1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十年十二月十二日(金曜日)
午後五時二十七分開議
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○議事日程 第十二号
昭和五十年十二月十二日
午前十時開議
第一 海上航行船舶の所有者の責任の制限に関
する国際条約の締結について承認を求めるの
件(衆議院送付)
第二 油による汚染損害についての民事責任に
関する国際条約の締結について承認を求める
の件(衆議院送付)
第三 油による汚染損害の補償のための国際基
金の設立に関する国際条約(千九百六十九年
の油による汚染損害についての民事責任に関
する国際条約の補足)の締結について承認を
求めるの件(衆議院送付)
第四 油濁損害賠償保障法案(内閣提出、衆議
院送付)
第五 船舶の所有者等の責任の制限に関する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
第六 酒税法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第七 製造たばこ定価法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
第八 昭和五十年度における道路整備費の財源
の特例等に関する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、議長不信任決議案(岩間正男君外一名発
議)
(委員会審査省略要求事件)
一、日程第一より第五まで
一、本日はこれにて延会することの動議(塚田
大願君外一名提出)
一、大蔵大臣大平正芳君問責決議案(辻一彦君
外三名発議)(委員会審査省略要求事件)
一、大蔵委員会における酒税法の一部改正案お
よび製造たばこ定価法の一部改正案の採決無
効に関する決議案(竹田四郎君外一名発議)
(委員会審査省略要求事件)を議題とするこ
との動議(安永英雄君外一名提出)
一、日程第六及び第七を後日に延期することの
動議(黒柳明君外一名提出)
一、日程第六及び第七
一、大蔵委員長桧垣徳太郎君解任決議案(大塚
喬君外三名発議)(委員会審査省略要求事
件)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/0
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001・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
岩本政一君、中沢伊登子君から、いずれも病気のため九日間請暇の申し出がございました。
いずれも許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/1
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002・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/2
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003・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) この際、お諮りいたします。
岩間正男君外一名発議に係る議長不信任決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/3
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004・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。よって、本決議案を議題といたします。
土屋義彦君外一名から賛成者を得て、
本案の議事における趣旨説明、質疑、討論その他の発言時間は一人十分に制限することの動議が提出されました。
これより本動議の採決をいたします。
表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/4
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005・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/5
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006・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/6
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007・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十五票
白色票 百三十票
青色票 百五票
よって、本案の議事における趣旨説明、質疑、討論その他の発言時間は、一人十分に制限することに決しました。(拍手)
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〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 百三十名
柄谷 道一君 宮田 輝君
三治 重信君 寺下 岩蔵君
平井 卓志君 吉田 実君
中西 一郎君 藤井 恒男君
木島 則夫君 山本茂一郎君
中村 利次君 田渕 哲也君
山内 一郎君 久保田藤麿君
向井 長年君 木内 四郎君
佐多 宗二君 最上 進君
望月 邦夫君 森下 泰君
梶木 又三君 藤川 一秋君
福岡日出麿君 鳩山威一郎君
秦野 章君 夏目 忠雄君
林 ゆう君 安孫子藤吉君
青井 政美君 有田 一寿君
井上 吉夫君 石破 二朗君
中村 登美君 藤井 丙午君
桧垣徳太郎君 原 文兵衛君
中村 禎二君 高橋 邦雄君
細川 護煕君 宮崎 正雄君
林田悠紀夫君 佐藤 隆君
菅野 儀作君 石本 茂君
中山 太郎君 小林 国司君
寺本 廣作君 柳田桃太郎君
内藤誉三郎君 玉置 和郎君
高橋雄之助君 楠 正俊君
岩動 道行君 西村 尚治君
鍋島 直紹君 新谷寅三郎君
上原 正吉君 郡 祐一君
青木 一男君 徳永 正利君
小川 半次君 八木 一郎君
丸茂 重貞君 塩見 俊二君
志村 愛子君 河本嘉久蔵君
嶋崎 均君 棚辺 四郎君
中村 太郎君 戸塚 進也君
高橋 誉冨君 坂野 重信君
斎藤栄三郎君 山東 昭子君
糸山英太郎君 岩男 頴一君
岩上 妙子君 遠藤 要君
大島 友治君 大鷹 淑子君
斎藤 十朗君 古賀雷四郎君
黒住 忠行君 川野 辺静君
金井 元彦君 今泉 正二君
土屋 義彦君 山崎 竜男君
上田 稔君 初村滝一郎君
長田 裕二君 久次米健太郎君
鈴木 省吾君 世耕 政隆君
江藤 智君 藤田 正明君
大森 久司君 岡本 悟君
平泉 渉君 橘直 治君
町村 金五君 加藤 武徳君
安井 謙君 剱木 亨弘君
吉武 恵市君 増原 恵吉君
神田 博君 伊藤 五郎君
鹿島 俊雄君 大谷藤之助君
小笠 公韶君 亘 四郎君
橋本 繁蔵君 佐藤 信二君
亀井 久興君 岡田 広君
上條 勝久君 稲嶺 一郎君
矢野 登君 安田 隆明君
山崎 五郎君 高田 浩運君
増田 盛君 二木 謙吾君
源田 実君 熊谷太三郎君
植木 光教君 木村 睦男君
温水 三郎君 福井 勇君
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反対者(青色票)氏名 百五名
太田 淳夫君 矢原 秀男君
野末 陳平君 喜屋武眞榮君
下村 泰君 相沢 武彦君
塩出 啓典君 青島 幸男君
内田 善利君 桑名 義治君
上林繁次郎君 阿部 憲一君
三木 忠雄君 藤原 房雄君
黒柳 明君 矢追 秀彦君
原田 立君 田代富士男君
鈴木 一弘君 山田 徹一君
宮崎 正義君 柏原 ヤス君
二宮 文造君 白木義一郎君
小平 芳平君 多田 省吾君
中尾 辰義君 福間 知之君
矢田部 理君 案納 勝君
久保 亘君 青木 薪次君
野田 哲君 対馬 孝且君
秦 豊君 浜本 万三君
赤桐 操君 小山 一平君
片岡 勝治君 田 英夫君
宮之原貞光君 鈴木美枝子君
神沢 浄君 前川 旦君
竹田 現照君 山崎 昇君
村田 秀三君 小野 明君
野口 忠夫君 栗原 俊夫君
茜ケ久保重光君 瀬谷 英行君
森 勝治君 戸叶 武君
田中寿美子君 竹田 四郎君
戸田 菊雄君 森中 守義君
志苫 裕君 森下 昭司君
近藤 忠孝君 山中 郁子君
粕谷 照美君 片山 甚市君
目黒今朝次郎君 橋本 敦君
安武 洋子君 内藤 功君
佐々木静子君 辻 一彦君
小巻 敏雄君 神谷信之助君
小谷 守君 工藤 良平君
上田 哲君 和田 静夫君
松本 英一君 小笠原貞子君
立木 洋君 沓脱タケ子君
鈴木 力君 中村 波男君
川村 清一君 杉山善太郎君
沢田 政治君 加藤 進君
渡辺 武君 塚田 大願君
安永 英雄君 吉田忠三郎君
鶴園 哲夫君 松永 忠二君
小柳 勇君 須藤 五郎君
岩間 正男君 星野 力君
阿具根 登君 野々山一三君
中村 英男君 秋山 長造君
藤田 進君 河田 賢治君
野坂 參三君 上田耕一郎君
春日 正一君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/7
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008・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) これより発議者の趣旨説明を求めます。岩間正男君。
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〔岩間正男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/8
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009・岩間正男
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました議長河野謙三君の不信任決議案について提案の趣旨を説明し、同僚諸君の御賛成を得たいと思います。
まず、決議案文を朗読いたします。
議長不信任決議案
本院は、議長河野謙三君を信任しない。
右決議する。
昭和五十年十二月十二日。
次に、提案の趣旨を御説明いたします。
提案理由の第一は、議長河野謙三君が、わが党などが強く要求してきた委員会への差し戻しを無視して、議長要請なるものを提示、本日、本会議開会を強行し、酒、たばこ値上げ法案を強引に成立させようとしていることであります。これは自民党の不法不当な強行採決を容認するものであり、断じて許すことはできません。
しかも、この法案は、黒字であるにもかかわらず、あえて料金を引き上げ、公共料金などの引き上げの突破口をつくり、不況とインフレに苦しむ国民生活にさらに追い打ちをかけるきわめて反国民的な法案であります。
自民党が大蔵委員会で行った両法案強行採決の暴挙は、あらゆる面から見て、全く不法、無効なものと言わなければなりません。当日の会議録から見ても、自民党上條委員が「委員長」と叫んで挙手した以外、議事は何一つ行われておりません。また、質疑打ち切り動議を初め、法案採決に必要な手続は、すべて賛否同数となり、その一つ一つに委員長の決裁が必要であることは自明のことであります。大多数の委員が席を離れ、委員長の声も耳に届かず、賛否の確認も不可能な混乱した事態のもとで、どうして適法な採決が行われたと言えるでしょうか。
わが党は去る八日、このような事実を挙げ、河野議長に対し、大蔵委員長の採決は存在しないこと、自民党の桧垣大蔵委員長が提出した審査報告書は全く虚偽のものであることを強く指摘し、直ちに酒、たばこ値上げ法案を委員会に差し戻すべきことを申し入れ、回答を求めたのであります。河野議長は、その際、遺憾な事態であり、あの状態は正常とは言えないなどと述べたわけですが、わが党の要求にまともに回答することなく、突然、要請なるものを持ち出し、採決を有効なものと認め本会議に上程したことは、自民党のみが固執する主張を全面的に認めたものであり、公正であるべき議長の責務をまさに放棄したものであります。
さらに、大蔵委員会における二法案の審議は、社会党の二名の質疑だけで、わが党議員二人を含む野党議員十名には何ら発言の機会を与えず、不法、不当な強行採決を行ったのであります。
そもそも議会制民主主義とは何でありましょうか。それが真に民主的であるか否かの試金石は、反対党に十分な質疑と反対討論の機会を保障するかどうかにかかっておるのであります。古人いわく「我はなんじに反対す、されどなんじが反対する言論の自由は、死に至るまで擁護すべし」。反対党の言論をあくまで尊重する、これこそが民主主義の真髄ではないでしょうか。(拍手)しかるに、大蔵委員会において質問を封じたことは、言論の府において、当然保障さるべき言論を封殺したことであり、議会制民主主義の基本に背くものであります。議長がこの言論抑圧を黙認したことは重大であります。わが党の渡辺、近藤両議員を初め、野党の質問を封じた今回の暴挙を是認する河野議長の態度は、憲法に保障された議員の審議権を奪い、幾百万に及ぶ国民の意思を踏みにじるものであり、その罪は重大であると言わなければなりません。
提案理由の第二は、議長河野謙三君は、今回は従来の「裁定」や「あっせん」と異なり単なる「要請」だと称して、みずからの責任を回避しながら、自民党の暴挙を合法化するためにきわめて欺瞞的な行為をとっていることであります。
今回の不正常な状態を正しく解決する道は、両法案を委員会に差し戻し、正常な運営のもとで質疑通告者の質問を保障し、公聴会、参考人意見聴取、資料提出などを含め十分な審議を尽くすことこそ国民の負託にこたえる国会の責務であります。(拍手)このようなわが党の道理ある要請を無視して、本日議長職権で本会議開会を強行したことは、反国民的な暴挙の繰り返しであり、参議院の民主的改革の精神にも根底から反する許しがたい行為であります。(拍手)
提案理由の第三は、議長河野謙三君は、参議院改革を掲げて第六十六国会で議長に就任した際、「強行採決は避けなければならない。いままでどおりやっていたら自殺行為だ」と発言したのであります。しかし、その後四年余りを振り返ってみるとき、第六十七国会の沖繩関係五案件を初めとして、国鉄運賃値上げ法、防衛二法、筑波大学法、教頭法、そして公選法、政治資金規正法、酒、たばこ値上げ法と、議長就任以降四たびにわたり、自民党の強行採決を「あっせん」と称し、その合法化を行ってきたのであります。これに今回の「議長の要請」という形での事実上の「あっせん」を合わせれば、実に五度にわたる自民党の暴挙を是認したのであります。国会の公正な運営を行うべき議長にあって断じて許されるものでなく、こうした言行不一致、議会制民主主義じゅうりんを続けて顧みない議長河野謙三君の態度と行為は、本院の議長の職責を担うに値しないものであります。(拍手)
最後に、私は皆さんに想起していただきたい。
今国会は第七十六回国会と呼ばれています。いまから三十四年前の昭和十六年に開かれた帝国議会は、くしくも今国会と同じ第七十六帝国議会と呼ばれたのであります。この七十六帝国議会を知っておられる方もこの中にはおられるでしょう。第七十六帝国議会こそは、日本の国を破滅の道に追い込んだあの太平洋戦争突入直前の議会であり、当時、議会は政府、軍部の道具と化し、国家総動員法など戦争遂行の法案を、審議も尽くさず、もろ手を挙げて賛成する翼賛議会となっていたのであります。当時は、天皇のもとの議会で、現在の議会とはその性格が異なっていたとはいえ、尾崎行雄議員は、多額の国費をかげながら審議の空白が続き、議員の中に真剣に討論、質疑を尽くさないのをよしとする風潮に対し鋭い批判を加えていたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/9
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010・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 岩間君、時間がまいりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/10
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011・岩間正男
○岩間正男君(続) このことは、議会制民主主義の擁護と議会の民主的運営がどれほど重要であるかを教えているのであります。ところで、今国会はどうでありましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/11
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012・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 岩間君、時間が参りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/12
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013・岩間正男
○岩間正男君(続) 国の安全、赤字国債の発行、ますます深刻化する不況、インフレ、国民生活の危機など重要問題が山積みしながら、審議は尽くされないまま、この酒、たばこ値上げ法案の強行採決が行われたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/13
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014・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 岩間君、時間が参りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/14
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015・岩間正男
○岩間正男君(続) しかも河野議長は、この議会制民主主義じゅうりんの暴挙に手をかし……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/15
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016・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 岩間君、時間が参りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/16
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017・岩間正男
○岩間正男君(続) 国民生活を圧迫するこの法案を……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/17
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018・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/18
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019・岩間正男
○岩間正男君(続) しゃにむに成立させようとしていることは、歴史の教訓に照らしてもきわめて重大であり、断じて容認することはできないのであります。
これが本決議案を提案する理由であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/19
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020・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 討論の通告がございます。発言を許します。小笠原貞子君。
〔小笠原貞子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/20
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021・小笠原貞子
○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました議長不信任決議案に対し、賛成する立場から討論を行うものであります。
賛成する第一の理由は、酒、たばこ等の値上げ法案が、生活苦にあえぐ国民にとってのささやかな楽しみさえも奪うものであり、かつてない大幅値上げをもくろむ悪法だからであります。この悪法の成立に手をかそうとする議長の行為は、まさに重大な反国民的行為にほかならないからです。
昨今のますます深刻化する不況とインフレ、相次ぐ公共料金の値上げに苦しめられている国民は、常々こう言って嘆いていました。国会は国民の声をちっとも反映してくれないと。こうした中で、前国会の最終日、酒たばこ値上げ法案が廃案となったとき、国民は、やっとわれわれの意思が反映されたと、どんなに喜んだことでしょう。いま、国民は、年の瀬を控え、どうやってこの年末を越そうかと深刻に悩んでいるのです。河野議長は、一体、この国民の前にこの値上げ強行をどう説明されるのでしょうか。
自民党政府は、私鉄運賃値上げを認可し、いままた酒、たばこの値上げ、そして引き続き郵便料金等各種料金の値上げをたくらんでいます。これによって国民の生活がさらに窮迫の度を深めることは明らかであります。こうした事情から考えるならば、値上げ法案について国民本位の立場に立つか否かは、きわめて重大な政治問題として問われているのであります。このときに当たっての河野議長のとられた行為は、ひとしお罪深いものと私は言わざるを得ません。(拍手)
私は、河野議長の著書「一隅を照らす」という題の本を読みました。その中に「国民とともに」という言葉があり、「国民とともに」歩まんとする政治理念が述べられていました。議長の指揮指導のもとで本会議を開き、酒、たばこの値上げを強行することは、「国民とともに」歩まんとする議長自身の政治理念をみずからの手で捨て去ってしまうものでなくて何でありましょう。たび重なる自民党の暴挙を追認し、値上げ法案の成立に道を開こうとすることは、われわれの断じて容認できないところであります。(拍手)
第二の理由は、議会制民主主義を守り発展させる立場に立つならば、大蔵委員会でのあの暴挙は、これまた断じて容認できないからであります。
十一月十八日の大蔵委員会において委員長は、去る七月一日の強行採決や十一月十三日の趣旨説明強行について遺憾の意を表明されました。そして、今後は「円滑かつ充実した審議を行う」という確認が行われ、質問者の順序、そして時間が決められ、十一月二十日の大蔵委員会は順調な審議が行われていたわけです。ところが、社会党委員の質問が終了したところで突然強行採決の暴挙が行われ、理事会でも確認されていたわが党の近藤議員を初め、公明、民社、二院クラブの質問の機会と質問の権利を奪い去ったのであります。また、法案審議のために必要であるとして要求されていた資料も、いまもってそのほとんどが提出されておりません。こうした事実は、国会法規にも定められた審議権に対する重大な侵害であると言わざるを得ません。しかも、その採決といわれるもの自体、会議録には、「委員長、ただいま」という言葉と「本日はこれにて散会いたします。」という言葉の断片のみ記載されているにすぎず、およそ採決などと言えるものでないことは明々白々の事実であります。(拍手)
さらに、この大蔵委員会での暴挙の適法性について調査を求めたわが党の理にかなった意見に対し、河野議長は何ら誠意ある回答を示さないばかりか、「今後の参議院改革の参考にさせていただく」として、事実上自民党の意を受け、議会制民主主義の破壊と多数党の横暴に道を開き、何ら恥じない態度で終始されているのであります。
わが党は、このような暴挙を絶対に承服することはできません。直ちに委員会に差し戻し、正常な運営のもとで質疑通告者の質問を保障し、参考人意見聴取、資料提出などを含め十分な審議を尽くすことこそ、不正常な状態を解決し、踏みにじられた議会の権威を回復する唯一の道であることを強く主張するものであります。しかるに、河野議長は、酒、たばこ両法案を十二日の本会議に上程するという議長要請なるものを提示し、裁定やあっせんではない、単なる要請だと称して、実際は有無を言わせず、こうして本日、議長の指揮指導のもとに本会議開会を強行したのであります。自民党の党利党略に屈服したこのような行為は、参議院の公正な運営に当たる最高責任者の名にもはや値するものでないことはだれの目にも明らかであります。(拍手)
第三の理由は、かかる議長の行為は、参議院改革の旗をみずからの手で投げ捨てる裏切り行為だからであります。
昭和四十六年の七月、重宗前参議院議長の独裁的な議会運営に対する国民の批判の高まりの中で誕生した河野議長は、国民の声にこたえ、でき得る限り党派を超えて本院の使命を達成するとその就任あいさつで述べられ、参議院改革を旗印に掲げられました。これに対してわが党は、たとえ不徹底さはあるにせよ、自民党議長の再現を阻止することが今後の参議院民主化を進める上で一定の意義を持つものと考え、支持する態度をとったのであります。しかるに今回の議長の行為は、こうしたわが党ばかりか、国民への裏切り以外の何物でもありません。参議院の民主的運営をというこの旗は、いまや地に落ち、どろにまみれていると言わざるを得ません。
議長自身、その著書で次のように言われています。すなわち、「参議院は、法案を通す儀礼の場ではない。」「審議をつくした上で、通すか通さないかを決めるのである。初めから結論を出しておいて、通す通さないの取引きに憂き身をやつすのでは、国会なんて、ことに参議院なんて必要ないことになる。」、こう言われたのです。河野議長は、このりっぱな言葉をお忘れになったとおっしゃるのでしょうか。私はいまここで怒りを込めて河野議長にこの言葉をお返ししなければなりません。(拍手)
自民党の強行採決−国会空転−与野党の協議−決裂、そして議長裁定というこのパターン、一体何度繰り返されたことでしょうか。幾ら議長が交代しても、また何らかの約束がなされても、自民党の必要なときにはいつでもこのような暴挙が繰り返されてきたのであります。いまこそ国会は、この悪例を断ち切るため、毅然たる決意を示すべきときであると思います。河野議長の今回の暴挙に対する責任を問うこと、そのことこそが、主権者である国民に対して、真の議会制民主主義を守り発展させる道を明らかにすることであり、かつ、良識の府参議院の権威を回復する唯一の道であると確信し、議長不信任決議案に賛成するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/21
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022・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) これにて討論は終局いたしました。
これより議長不信任決議案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/22
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023・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 少数と認めます。よって、議長不信任決議案は否決されました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/23
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024・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 日程第一 海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
日程第二 油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
日程第三 油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(千九百六十九年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の補足)の締結について承認を求めるの件
(いずれも衆議院送付)
以上三件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外務委員長二木謙吾君。
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〔二木謙吾君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/24
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025・二木謙吾
○二木謙吾君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約は、海上航行船舶の所有者の責任制限制度として、事故ごとに責任を定め、トン数に応じ一定の割合で算出される金額に責任を制限することができることを定めたものであります。
〔副議長退席、議長着席、拍手〕
次に、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約は、タンカー事故による油汚染の損害が巨額に上る現状にかんがみ、タンカーからの油の流出または排出による汚染損害の被害者に対し適正なる賠償が行われることを確保するための統一的な国際的規則及び手続を定めたものであります。
次に、油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約は、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の補足として、タンカーからの油の流出または排出による汚染損害の被害者に十分な補償を行い、かつ、タンカーの所有者に課される経済的負担を軽減することを確保するための国際基金を設立するとともに、この目的を達成するため、基金が各締約国において海上を輸送された油を受け取る者から拠出金を徴収することを定めたものであります。
委員会における質疑の詳細は、会議録によって御承知願います。
質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約は多数をもって、また、他の二条約はいずれも全会一致をもって、それぞれ承認すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/25
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026・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
まず、海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。
本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/26
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027・河野謙三
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本件は承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/27
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028・河野謙三
○議長(河野謙三君) 次に、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の締結について承認を求めるの件及び油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(千九百六十九年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の補足)の締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。
両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/28
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029・河野謙三
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/29
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030・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第四 油濁損害賠償保障法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長宮崎正義君。
〔宮崎正義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/30
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031・宮崎正義
○宮崎正義君 ただいま議題となりました油濁損害賠償保障法案につきまして、運輸委員会における審査の経過並びに結果について御報告を申し上げます。
本法律案は、一九六九年民事責任条約及び一九七一年国際基金条約の実施に伴い国内法を整備しようとするものでありまして、その主な内容は、タンカーによる油濁損害が生じた場合における船舶所有者の責任とその制限について定めるとともに、船舶所有者の賠償能力を確保するための保険契約等の締結の強制、船舶所有者及び被害者の国際基金に対する補てん、補償の請求、油受取人の同基金への拠出金納付義務等について所要の規定を設けることにより被害者の保護を図ろうとするものであります。
委員会におきましては、海洋汚染の防止対策、原因者不明による油濁損害の救済対策等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/31
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032・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/32
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033・河野謙三
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/33
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034・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第五 船舶の所有者等の責任の制限に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長多田省吾君。
〔多田省吾君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/34
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035・多田省吾
○多田省吾君 ただいま議題となりました船舶の所有者等の責任の制限に関する法律案について、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
本法案は、海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約の実施に伴い、船舶の所有者等の責任を、事故ごとに、その船舶のトン数に応じ、物的損害及び人的損害につき、それぞれ一定の金額に制限することができること、及び、責任の制限のため必要な手続規定を定めること等、所要の立法措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、国際条約成立と本法案提出の経緯、船舶事故による損害てん補の実情及び本法施行と被害者保護の関係等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録で御承知願います。
質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/35
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036・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/36
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037・河野謙三
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/37
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038・河野謙三
○議長(河野謙三君) 塚田大願君外一名から、賛成者を得て、本日はこれにて延会することの動議が提出されました。
これより本動議の採決をいたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。(「賛成」「反対」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/38
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039・河野謙三
○議長(河野謙三君) 少数と認めます。よって、本動議は否決されました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/39
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040・河野謙三
○議長(河野謙三君) この際、お諮りいたします。
辻一彦君外三名発議に係る大蔵大臣大平正芳君問責決議案は、発議者要求のとおり、委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/40
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041・河野謙三
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、本決議案を議題といたします。
土屋義彦君外一名から、賛成者を得て、
本案の議事における趣旨説明、質疑、討論その他の発言時間は一人十分に制限することの動議が提出されました。
これより本動議の採決をいたします。
表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/41
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042・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/42
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043・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/43
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044・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十七票
白色票 百二十三票
青色票 百十四票
よって、本案の議事における趣旨説明、質疑、討論その他の発言時間は一人十分に制限することに決しました。
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〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 百二十三名
宮田 輝君 寺下 岩蔵君
平井 卓志君 吉田 実君
中西 一郎君 山本茂一郎君
山内 一郎君 久保田藤麿君
前田佳都男君 木内 四郎君
佐多 宗二君 最上 進君
望月 邦夫君 森下 泰君
梶木 又三君 藤川 一秋君
福岡日出麿君 鳩山威一郎君
秦野 章君 夏目 忠雄君
林 ゆう君 安孫子藤吉君
青井 政美君 有田 一寿君
井上 吉夫君 石破 二朗君
中村 登美君 藤井 丙午君
桧垣徳太郎君 原 文兵衛君
中村 禎二君 高橋 邦雄君
細川 護煕君 宮崎 正雄君
林田悠紀夫君 佐藤 隆君
菅野 儀作君 石本 茂君
中山 太郎君 小林 国司君
寺本 廣作君 柳田桃太郎君
内藤誉三郎君 高橋雄之助君
楠 正俊君 岩動 道行君
西村 尚治君 鍋島 直紹君
新谷寅三郎君 上原 正吉君
郡 祐一君 青木 一男君
徳永 正利君 小川 半次君
八木 一郎君 丸茂 重貞君
塩見 俊二君 志村 愛子君
河本嘉久蔵君 嶋崎 均君
棚辺 四郎君 中村 太郎君
戸塚 進也君 高橋 誉冨君
坂野 重信君 斎藤栄三郎君
山東 昭子君 糸山英太郎君
岩男 頴一君 岩上 妙子君
遠藤 要君 大島 友治君
大鷹 淑子君 斎藤 十朗君
古賀雷四郎君 黒住 忠行君
川野 辺静君 金井 元彦君
今泉 正二君 土屋 義彦君
山崎 竜男君 上田 稔君
初村滝一郎君 長田 裕二君
久次米健太郎君 鈴木 省吾君
世耕 政隆君 江藤 智君
藤田 正明君 大森 久司君
岡本 悟君 平泉 渉君
橘直 治君 町村 金五君
加藤 武徳君 安井 謙君
剱木 亨弘君 吉武 恵市君
増原 恵吉君 神田 博君
伊藤 五郎君 鹿島 俊雄君
大谷藤之助君 小笠 公韶君
亘 四郎君 橋本 繁蔵君
佐藤 信二君 亀井 久興君
岡田 広君 上條 勝久君
稲嶺 一郎君 矢野 登君
安田 隆明君 山崎 五郎君
高田 浩運君 増田 盛君
二木 謙吾君 源田 実君
熊谷太三郎君 植木 光教君
木村 睦男君 温水 三郎君
福井 勇君
—————————————
反対者(青色票)氏名 百十四名
太田 淳夫君 矢原 秀男君
野末 陳平君 喜屋武眞榮君
下村 泰君 相沢 武彦君
塩出 啓典君 青島 幸男君
市川 房枝君 柄谷 道一君
内田 善利君 桑名 義治君
三治 重信君 上林繁次郎君
三木 忠雄君 藤原 房雄君
和田 春生君 黒柳 明君
矢追 秀彦君 原田 立君
田代富士男君 藤井 恒男君
木島 則夫君 鈴木 一弘君
山田 徹一君 宮崎 正義君
柏原 ヤス君 中村 利次君
田渕 哲也君 二宮 文造君
白木義一郎君 小平 芳平君
多田 省吾君 中尾 辰義君
向井 長年君 福間 知之君
矢田部 理君 案納 勝君
久保 亘君 青木 薪次君
野田 哲君 対馬 孝且君
秦 豊君 浜本 万三君
赤桐 操君 大塚 喬君
小山 一平君 片岡 勝治君
田 英夫君 宮之原貞光君
鈴木美枝子君 神沢 浄君
前川 旦君 竹田 現照君
山崎 昇君 村田 秀三君
小野 明君 野口 忠夫君
栗原 俊夫君 茜ケ久保重光君
瀬谷 英行君 森 勝治君
戸叶 武君 田中寿美子君
竹田 四郎君 戸田 菊雄君
森中 守義君 志苫 裕君
森下 昭司君 近藤 忠孝君
山中 郁子君 粕谷 照美君
片山 甚市君 目黒今朝次郎君
橋本 敦君 安武 洋子君
内藤 功君 寺田 熊雄君
辻 一彦君 小巻 敏雄君
神谷信之助君 小谷 守君
工藤 良平君 上田 哲君
和田 静夫君 松本 英一君
小笠原貞子君 立木 洋君
沓脱タケ子君 鈴木 力君
中村 波男君 川村 清一君
杉山善太郎君 沢田 政治君
加藤 進君 渡辺 武君
塚田 大願君 安永 英雄君
吉田忠三郎君 鶴園 哲夫君
松永 忠二君 小柳 勇君
須藤 五郎君 岩間 正男君
星野 力君 阿具根 登君
野々山一三君 中村 英男君
秋山 長造君 藤田 進君
河田 賢治君 野坂 參三君
上田耕一郎君 春日 正一君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/44
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045・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより発議者の趣旨説明を求めます。辻一彦君。
〔辻一彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/45
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046・辻一彦
○辻一彦君 大平大蔵大臣問責決議案
本院は、大蔵大臣大平正芳君を問責する。
右決議する。
昭和五十年十二月十二日。
理由。
一、大平大蔵大臣は、財政演説の中で、均衡のとれた経済発展を図り、社会的な公正を確保して国民生活を安定すると表明し、国民に約束をしてきたにもかかわらず、インフレと不況の同時進行という経済危機を早期に克服して、国民経済を安定させるという当然の任務を怠り、景気の回復をおくらせ、日本経済の危機をさらに深刻なものにし、重大な財政欠陥をもたらした。
二、特にインフレを抑制すると称して総需要抑制政策をとり、勤労者の賃金を極度に圧迫する政策を進める一方、酒、たばこ、郵便などの値上げのほかに、一連の公共料金値上げをも次々ともくろみ、国民生活を破壊しようとしている。また、国民が強く要求している勤労所得税の減税を行わず、租税特別措置法の改廃もせず、依然として大企業、大資本のための政策をとり続けて、富と所得の格差をますます拡大している。
三、さらにその上、景気対策として、三兆円に上る大幅赤字国債発行を含む第四次不況対策を打ち出し、本四架橋、新幹線建設などの大型プロジェクト、公共事業中心の政策を進め、新たなインフレの危険を引き起こそうとしている。また、国民が強く反対している酒、たばこ、郵便などの値上げ法案を再三国会で強行採決を行わせ、国会を混乱せしめるなど、議会の民主主義的運営の面でも許しがたいものがある。
四、以上のように大平大蔵大臣のとってきた政策によって史上最高の中小企業倒産、国民生活の破壊、地方財政の危機などを招き危機的情勢をさらに深めつつあることは重大であり、容認できない。
よって、その責任を徹底的に追及し、退陣を求めるものである。(拍手)
私は、日本社会党、公明党、民社党、第二院クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました大平大蔵大臣の問責決議案の提案理由の説明を申し上げ、議員各位の御賛同を得たいと思います。(拍手)
日本経済の現状は、多くを申し上げるまでもなく、まことに破局的な矛盾を深め、日一日とその深刻さを増加している状況であると思うのであります。
このような状況をもたらした責任はだれなのか。大平大蔵大臣も三木内閣総理大臣も、明らかにこの自民党内閣の高度成長政策、大企業擁護、国民生活軽視の政策を徹底的に貫いてきたのであり、その政策欠陥の総決算が今日のインフレと不況の同時進行、いわゆるスタグフレーションの情勢をつくり出し、国民生活を根底から破壊して矛盾を深めつつあるのであります。この失政と責任について三木内閣、とりわけ直接の責任者である大平大蔵大臣はみずからの責任を十分自覚し、反省し、国民に陳謝する態度を示すことが当然の常識であります。
ところが、そのような反省もなく、むしろ開き直った形で、インフレ抑制のためには総需要抑制である、一五%のガイドラインを強行し、勤労者の要求を抑え込んだのであります。なるほど、一時的には善良な日本の労働者を抑え込んだ形にはなったかもしれないが、このために大衆の消費性向が極度に低下をし、これが最終需要の冷え込みとなり、このために景気回復がおくれにおくれたのであります。このことは、われわれが申し上げるまでもなく、大蔵省を初め政府部内で、余りにも賃金を抑え過ぎた結果、大衆消費の需要を低下させ、景気の回復をおくらせているとの反省が行われているのであります。
景気回復の見通しだけを見ましても、国会を通して政府は、六、七月ごろから、八、九月から、そして秋ごろ十、十一月からと言い続けてまいりましたが、ついに年を越えようといたしており、このために中小企業の倒産が十月の千二百件、十一月実に千三百十五件に達し、負債総額は二千四百十八億円と、九月以降一千件を超え、史上最高の倒産件数となっているのであります。このことだけを見ましても、大平大蔵大臣はその任にとどまることができないことを実証していると言わなければならないのであります。(拍手)
第二は、歳入見通しを大きく誤った責任であります。本年五月二十九日、私は参議院大蔵委員会におきまして、日本経済の見通しと歳入欠陥についてただしたことがあります。そのとき大平大蔵大臣は、経済の見通しが改定されない限り税収見積もりを改定することはできないと言い張り、膨大な税収不足、歳入欠陥が生じることを知りながらも、五十年度税収不足は約一兆円弱であり、赤字国債の必要はないと答えたのであります。しかし、それから三ヵ月を経ずしてその税収不足は三兆円を超え、ついに三兆八千億を超える巨額となり、赤字国債二兆三千億を含む補正予算を組むに至ったのであり、これは経済見通しと歳入見積もりに重大な誤りを犯したものであり、その責任はまことに重大であります。四兆円近い歳入欠陥を起こした経済、財政の運営に重大な誤りを犯した、これは内閣にとってはまさに総辞職に値する失政であり、特にその直接担当者である大平大蔵大臣は当然その責任をとって辞任すべきであります。
大平大蔵大臣はまた財政演説の中で、「社会的公正を確保することはあらゆる政策の基本であります。」、さらに「財政金融政策におきましては、インフレーションが所得や資産の分配に大きな不公正を生み、国民生活と社会秩序を根底から崩す元凶である」とまで述べているのであります。しかし、実際とっている政策は、国民に約束していることとは正反対の行動であり、不況対策の切り札とまでみずから言った第四次不況対策にしましても、公定歩合の引き下げと公共事業費、その公共事業費も本四架橋、新幹線、高速自動車道建設など大型プロジェクト中心であり、依然として大企業中心、上から下への景気回復をねらっており、この基本からも当然さらに国民的不公平を拡大させる政策構造となっているのであります。
しかも、一不況による財政欠陥が生じたからとして、われわれが要求している大企業からの法人税、高額所得者からの課税を見逃し、やるべきことをやらずして安易に三兆二千九百億円に上る赤字国債を発行し、借金財政によってこれらの景気回復対策を進めようといたしておるのであります。しかも、これは政府の措置によれば、インフレに対する歯どめは全くなく、一年後には日本銀行の買いオペレーションに回り、結局、日銀券増発の信用膨張インフレの悪循環をもたらすことは必至であります。この意味では、明らかに大平大蔵大臣はみずら述べた公約を踏みにじり、国民生活を根底から崩す元凶を大蔵大臣が育ててやると言わなければならないのであります。
大平大蔵大臣は、昨年十二月、三木内閣の大蔵大臣として就任したときの抱負として、「インフレの抑制のために物価抑制に力点を置く」と語っておりますが、その物価はどうなっているでしょうか。なるほど十一月段階で前年度同月比八・八%の一けた台になりましたが、これは天候による野菜と果物の豊作による値下がりなど、多分に偶然性、自然性に助けられたものであります。それのみではなく、その陰には有史以来の中小企業の倒産と弱者、勤労大衆の犠牲が隠されているのであります。しかも、一けた台といいましても、依然として預金金利を上回る上昇であり、また十一月における物価は、前年同月比、つまり一昨年から見て二五・八%の上昇であり、さらにことしの八・八%を足せば、二年間のロングランでみると、実に優に四〇%に近い世界最高の物価上昇で、決して自慢のできるものではないのであります。
さらにその上、現に大蔵大臣が先頭に立って、酒たばこの大幅値上げをしゃにむに進めており、その上、私鉄運賃、電話料金、電力料金など各種公共料金を初めとして、鉄鋼、石油など次々と値上げ攻勢を準備をいたしておるのであります。大幅赤字国債、大型プロジェクトの公共事業推進とあわせて見ますと、これからの経済情勢の中で物価一けたの公約は全く神頼みに等しいというのが専門家のほぼ一致した見通しであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/46
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047・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君、辻君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/47
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048・辻一彦
○辻一彦君(続) 事実、政府みずからが、最近……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/48
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049・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/49
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050・辻一彦
○辻一彦君(続) はい、はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/50
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051・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君、簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/51
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052・辻一彦
○辻一彦君(続) 最近、新価格体系を唱え、石油価格介入に見られるように、あらゆる主要生産物に政府が介入する新価格という名の高物価体制時代に突入しようとしているのであります。
このように一連の公共料金値上げに、物価引き上げの引き金ともなる酒、たばこの値上げ、しかも年度内一千億余りにすぎない値上げをなぜこうまでもして強行しようとするのか、その理由を理解することができないのであります。これはもはや大平大蔵大臣がメンツにこだわっているものと言うほかないのであります。メンツにこだわり大局を見失っている大平大蔵大臣は、まさに内閣のかなめであるゆえに厳しく糾弾されるべきであります。
第五に、国会運営の常道を逸し、酒、たばこ値上げ二法をごり押しに国会に再提出し、国会を紛糾させた責任であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/52
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053・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/53
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054・辻一彦
○辻一彦君(続) そもそも……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/54
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055・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/55
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056・辻一彦
○辻一彦君(続) はい、はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/56
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057・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/57
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058・辻一彦
○辻一彦君(続) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/58
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059・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君、辻君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/59
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060・辻一彦
○辻一彦君(続) そもそも……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/60
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061・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/61
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062・辻一彦
○辻一彦君(続) 今国会が……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/62
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063・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/63
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064・辻一彦
○辻一彦君(続) 冒頭で混乱し……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/64
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065・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君、聞こえましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/65
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066・辻一彦
○辻一彦君(続) はい、はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/66
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067・河野謙三
○議長(河野謙三君) 簡単に願いますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/67
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068・辻一彦
○辻一彦君(続) もう少しですから……。
一ヵ月の空白をつくった原因は、国民が要求した不況対策を含む補正予算案の提出を後にして、酒、たばこ二法をごり押しに国会に再提出したことにあります。昨年十二月以来、六ヵ月にわたり衆参両院で審議され、それがついに廃案となったのは、酒、たばこ値上げ二法に反対する国民の声であり、天の声であります。この天の声を無視して、廃案になってから二ヵ月とたつかたたぬかに臨時国会を開き値上げ二法をごり押しするところに国会の混乱があり、このために不況対策、補正予算の成立が著しくおくれ、不況をますます深刻化さしたのであります。その責任は三木内閣の大局を見誤ったところに、そして直接担当大臣たる大平大蔵大臣の国民の声を無視した非民主的な態度にあるのは当然であります。
さきの通常国会において、政府・与党は参院大蔵委員会で単独採決の暴挙を行いました。今次国会でも衆院で再び単独採決の暴挙を重ねるのみならず、参院大蔵委員会において桧垣大蔵委員長は、十一月十三日のだまし討ち的……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/68
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069・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/69
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070・辻一彦
○辻一彦君(続) 趣旨説明を単独強行……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/70
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071・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君、辻君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/71
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072・辻一彦
○辻一彦君(続) もう一枚で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/72
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073・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君、だめだよ、そんなこと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/73
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074・辻一彦
○辻一彦君(続) 十一月二十日には再び強行採決を行い、議会運営の民主的手続を踏みにじり、ひいては議会制民主主義を破壊してきたのであります。この暴挙に呼応し、これを黙認してきた大平大蔵大臣の態度は、経済政策の誤りと責任のほかに、意識的、計画的な議会制民主主義の原則を踏みにじる加担者として厳正に糾弾されなければなりません。
以上により、大蔵大臣大平正芳君を信任することはできないのであります。よって、本案を提出する次第であります。
若干の説明を申し上げて、私の提案理由の説明を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/74
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075・河野謙三
○議長(河野謙三君) これにて午後七時三十五分まで休憩いたします。
午後六時四十四分休憩
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午後七時四十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/75
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076・河野謙三
○議長(河野謙三君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
大蔵大臣大平正芳君問責決議案の議事を続けます。質疑の通告がございます。順次発言を許します。粕谷照美君。
〔粕谷照美君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/76
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077・粕谷照美
○粕谷照美君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま御提案のありました大平大蔵大臣の問責決議案に対しまして、賛成の立場から若干の質問をさせていただきます。
申し上げるまでもなく、大蔵大臣は、国の台所を預かる重要な職務であり、財政運営を通じて、経済の安定と国民生活の向上を図るかなめの役割りを担っております。景気、物価、税金、社会保障、教育など、政治と経済全般にわたって深いかかわり合いを持つきわめて重要な存在です。にもかかわらず、大平大蔵大臣は、史上最悪の財政運営によって、その責務とは全く反対の政策をとり続け、今日の深刻な不況とインフレを招いたのであります。
政府は口を開けば、インフレと不況の克服に全力を挙げると言っておりますが、実際の施策は全く逆です。不況の中で百万人を超える失業者がちまたにあふれ、物価高から消費需要はますます落ち込むという深刻な事態が進行しております。不況の原因がインフレ、物価上昇にある以上、不況を克服するためには、まず現在の物価高を抑えることが必要であると思いますが、大平大蔵大臣は、酒税、たばこ、郵便料金の値上げをし、三兆五千億円もの巨額な赤字国債を発行することを提案しています。
そこで、私は、提案者辻一彦さんにお尋ねしたいことの第一は、大蔵大臣が全力を注いでいられる値上げ三法案と財政特例法が成立することは、インフレ、物価高を落ちつけ、不況を克服するための有効な施策であるかどうかということです。消費者物価は今回の酒税引き上げで〇・一%、たばこ値上げで〇・六%にすぎないという経済企画庁の発表を信じたとしても、さらに郵便料金、私鉄の値上げ、石油製品、便乗値上げなど、諸物価がウナギ登りになるおそれが多分にあります。現に、昨年秋の消費者米価値上げで経済企画庁は、茶わん一杯五円の値上げにすぎないとうそぶきましたが、食堂の値段は暴騰し、他の食料品などへの影響は数倍にも波及していったことをいやというほど味わわされている国民は、大蔵大臣のされようとすることは間違っているのではないかと心配をしているものですから、提案者の御意見をお伺いする次第でございます。(拍手)
第二に、私は歳入欠陥のことについてお伺いいたします。提案者が指摘されましたように、大平大蔵大臣は税収の見通しを誤り、四兆円に上る膨大な歳入欠陥をもたらし、国民経済に重大な打撃を与えています。この歳入欠陥の主な原因は、インフレと法人税の落ち込みとされていますが、この原因は大平大蔵大臣がつくり出したものではないでしょうか。インフレ政策を推し進め、大企業の含み利益の追及を意図的に避けて、大企業優遇の税制をかたくななまでにとり続けてきたことが結果として歳入欠陥を招いたにもかかわらず、政府は、不況だから、大企業の特権的減免税を改めたり企業への課税を強化することはできないと申しています。提案者は、歳入欠陥をもたらした諸悪の根源は何であり、その責任者はだれであり、いまこそわれわれは何をなすべきかについてお考えを述べでいただきたいと存じます。(拍手)
第三に、大蔵大臣は、国民が労働によって得た賃金の中から苦労して積み立ててきたわずかばかりの預貯金の金利を引き下げたり、中小企業に対する歩積み・両建てなど、勤労者の生活や中小企業の経営を圧迫する金融政策をとり続ける一方、酒、たばこの値上げに見られるように間接税の増徴政策を推し進め、勤労国民や中小企業などに対する負担を一層強めようとしています。三木内閣は社会的不公正の是正を掲げて盛んに宣伝をしてまいりましたが、大蔵大臣の進めているこのような財政金融政策はまさに逆コースであり、社会的不公正拡大政策ではないでしょうか。(拍手)これは明らかに三木内閣の国民に対する公約違反であると言わざるを得ません。大蔵大臣の責任はきわめて重大であると考えますが、提案者のお考えをお伺いいたします。(拍手)
次に重要な問題は、この国会中で大蔵大臣が終始とり続けてきた議会制民主主義破壊の態度です。大蔵大臣は、酒、たばこの値上げ二法を是が非でも通そうとして、衆参両院の自民党大蔵委員と相呼応して強行採決を何回も黙認し、議会制民主主義破壊の国会運営に積極的に協力をしてまいりました。御存じのように、酒、たばこの値上げ二法案は、郵便料金値上げ法案とともに、さきの国会において、野党や圧倒的な国民の反対によって廃案となったものです。ところが、大蔵大臣は国民の声を全く無視して、厚かましくも再び値上げ法案を国会に提出してきたのです。酒、たばこの両値上げ法案は、十月一日、衆議院大蔵委員会における自民党の単独強行採決、十月二十四、五日の両日にわたる衆議院本会議におけるごり押し通過という経過をたどっています。さらに参議院においても、十一月十三日、大蔵委員会における大臣みずからの提案理由説明の単独強行、十一月二十日のあのすさまじい強行採決となっています。まさに大蔵委員会は衆参ともに強行採決委員会との感を深めているのでございます。(拍手)このような強引かつ不正常な議会運営は、明らかに議会制民主主義を踏みにじり、国会の権威を失墜させ、国民の信頼を裏切った暴挙であります。私は、このように議会制民主主義をみずからの手で積極的に打ち壊してきた大蔵大臣に対し、民主主義を愛する圧倒的多数の国民にかわって強く抗議をします。そして、このような非民主的な大蔵大臣に責任をとっていただくよう、直ちに院の名において辞任させるべきものと考えるのですが、いかがなものでございましょうか、提案者のお考えをお伺いいたします。(拍手)
〔辻一彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/77
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078・辻一彦
○辻一彦君 質問者にお答えをいたしたいと思います。粕谷議員にお答えをいたします。
第一の御質問の点は、大蔵大臣は口ではインフレ抑制を言いながら、実際はそのような考えはないのではないか。また、あったとしても、今日のような経済情勢の中で本当に物価を抑える力がないのではないか、こういう御趣旨のように思います。確かに十一月の消費者物価上昇は一けた以下に抑えられましたが、先ほど趣旨説明で御説明を申し上げましたように、これは、野菜の値下がりや果物の豊作という、こういう点が幸いをしたのでありまして、しかし、との陰には非常に大きな中小企業の倒産、九月以来一千件を超える大きな倒産があり、勤労大衆の大きな犠牲があるということを私たちは忘れてはならないと思います。
いまも御指摘のとおりに、公共料金の値上げは酒、たばこに続いて郵便料金、私鉄、国鉄、電信電話、電力料金、大学の授業料等々全くメジロ押しに、一波は万波を呼ぶ形で続いておるのであります。酒、たばこの値上げが、これから公共料金の値上げの引き金になる懸念は十分にあると私は思うのであります。しかも民間企業の、たとえば石油化学を初めとして、有力な新聞の調査によりましても、大部分が製品の値上げを待っておるという状況でございます。こういうような一連の政策をとってまいりますと、主観的に大蔵大臣がどう考えられましても、酒、たばこの値上げは、その波及効果として物価上昇は避けられないと思うのであります。
加えて、御指摘のように大量の赤字国債の増発でありますが、これは、インフレを呼ぶのは必至であろうと思います。御案内のとおりでありますが、わが国の財政法は、戦時中の愛国国債のあの事実にこりまして、日銀が直接国債を引き受ける、こういうことを今日禁止をいたしております。しかし、一年たてば、日本銀行に市中金融機関は国債を持ち込むということができるわけでありますから、結局一年後には一万円札に全部国債をかえることができる。これはもう明らかに、大量の赤字国債の増発は通貨の増発につながると言わなくてはならないと思います。しかも、これはことしだけではなくして、たとえば五十一年度におきましても、当初から大蔵省は総額七兆円に及ぶ膨大な国債を予定しているということであります。したがいまして、明確な償還の財源計画もない以上、大量の通貨が出回り、インフレ、物価高の道を開くことは避けられないと思う次第でございます。公共料金の引き上げ、赤字国債増発の道は、物価高、インフレヘの再発への道であると言わなくてはならないと思います。
粕谷先生御質問の第二点は、勤労大衆からは容赦なく税金を取って、大企業には軽い徴税政策が今日の歳入欠陥をもたらしたのでないか、このような御趣旨でございます。もっと取れるところから取ってみてはどうか、こういう御意見であります。そこで、歳入欠陥の元凶といいますか、根源は何かということであります。簡潔に申し上げますと、これは総需要抑制のもとに賃金をひとつ非常に強く抑えました。これがいわゆる個人消費が伸びることを非常に抑えまして、これが景気を沈滞さした大きな原因の一つであろうと思われますし、また、不況対策のタイミングを失ったということ、言うならばこの二点は、不況は政策不況であると言わなくてはならないのでありまして、この点、政策の最高責任者であります大蔵大臣の責任はきわめて重いと思うわけであります。
税金につきましては、たとえば列島改造論の土地ブームによりまして日本の大企業は膨大な土地を買い集めましたが、和光証券が調査をいたしました資料によりますと、その含み資産は六十八兆円とも七十兆円とも言われておるのであります。これに一〇%の課税、五ヵ年で分割を行って課税をするならば、かなりな財源を確保することは不可能ではないと思うのであります。
また、第二に、今日よく言われておりますが、都市銀行が留保しています貸し倒れ引当金は一兆三千億とも言われております。実際に引き当てに使われる金額は問題にならないぐらい少額であります。千分の〇・〇二とも言われますが、これへの課税を年度内に行うならば、かなりな財源が確保できると思います。また、経常的にも、引当金の一千分の十を千分の五に引き下げるならば、これはわが党の大蔵部会で検討いたしますと、三千億程度の財源を確保することは可能である、こういう結論を出しているのであります。しかし、銀行から莫大な五十億、百億という寄付金や献金を集めている自民党では、そういう法改正によって銀行に強い態度に出られないことは当然であります。現に、去る十一月本院の予算委員会におきましてわが党の小野議員が銀行の献金に関する資料要求をいたしましたが、政府・与党はなお十分にこれに応じていない。この事実を見ても明らかであると思うのであります。不公正是正の最たるものは、何といいましても租税特別措置でありますが、これの徹底的な洗い直しをするならば約五千億前後の財源を確保することは可能であります。要は、何といいましても大企業中心の優遇税制を洗い直して本当に取る気があるかどうか、これにかかっておると思います。この点、いままでこれを放任してまいった大蔵大臣の責任はきわめて重いと思います。
第三点は、粕谷議員は、勤労大衆は片方では酒、たばこの値上げによって大衆課税として重い負担を受ける、片方では零細な預貯金の金利引き下げ、中小企業のいわゆる歩積み、両建てで大きな圧迫を受けていると指摘をされております。私は、去る十一月五日の本院予算委員会におきまして、この点について大蔵大臣並びに森永日銀総裁に伺ったのでありますが、ことしの一月から十月にわたる公定歩合〇・五%を三回やりまして、十月には一%、合わせて二・五%公定歩合を引き下げたのでありますが、全国の大企業三百六十社における金利負担の軽減、いわゆる利子負担の軽減は幾らぐらいになるかと聞きますと、十月から三月、向こう半期で千四百八十九億、約千五百億になるということであります。一年にすれば約三千億。もし資金の流れが多くなりまして、より多くの資金が貸し出しされるとするならば、四千億、五千億にも及ぶ膨大な金額に金利負担の軽減がなるわけであります。大企業に対しては公定歩合の引き下げはこのような大きな恩恵を与えておるわけであります。
しかし、これに反して、庶民がいわゆる子供の教育のために、老後の不安のために、あるいはまた病気の費用に備えまして乏しい中から貯蓄をしているこの庶民大衆の預貯金は四十八年度で一世帯当たり八十二万九百円、四十九年度では一世帯当たり九十九万五千七百円となっておりますが、その目減りは四十八年では十万九千六百円、四十九年では十四万三千四百円にも及ぶという、これは十一月五日における大平大蔵大臣の予算委員会における答弁でございます。また関西や北陸の地方には繊維の工場が大変多いんでありますが、学校を出たばかしの娘さんが繊維工場に勤めまして、四、五年で嫁入り支度をしたい、こういうふうにしてお金を積み立てておりますが、これでは何年たっても結婚の支度はできないと言って大きい嘆きを見せております。このように金利、公定歩合の引き下げは、貯金の金利の引き下げという形で非常に弱いところにしわ寄せがされております。私は、これは社会的不公正の是正ではなくして社会的不公正の拡大の政策であって、三木内閣の公約にも著しく反するものでなかろうかと思うのであります。そういう意味におきまして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/78
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079・河野謙三
○議長(河野謙三君) 辻君、辻君、時間が経過いたしました。簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/79
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080・辻一彦
○辻一彦君(続) はい。
財政金融政策の最高責任者であります大蔵大臣の責任はこの点でも大変重いと思うのであります。
最後に、質問の第四点は、参議院大蔵委員会におけるいわゆる酒、たばこ値上げ法案の衆参両院にわたる強行採決を行わしめた、これを黙認したことは議会制民主主義の上からも許すことができないのではないかという粕谷議員の御趣旨であります。私も、その趣旨説明で申し上げましたように、質問者と全く同感でございます。第七十五国会で、七月一日に桧垣大蔵委員長が大蔵委員会で単独採決を行い、今次国会でも十一月の十三日、二日にわたる話し合いを続けた後で突如打ち切って職権開会、趣旨説明を強行したのでありますが、さらに、十一月十八日は遺憾の意を朝表明しながら、二日目には質疑打ち切り、三度目の強行採決を行った暴挙は全く許しがたいものと言わなくてはなりません。しかるに、大蔵大臣は、十一月十三日のこのようなだまし討ち的強行されました委員会において趣旨説明を強行されたことは、この暴挙を黙認したことであり、加担したことであります。また、十一月の二十日に、十二名の野党議員が二名しか質問せずに、十名が残った中で質疑打ち切り、強行採決が行われましたが、これを黙認をしたことも、私は、この大蔵委員会の慣例におきまして断じて容認することができないと思うのでございます。このことは、大平大蔵大臣もまた議会制民主主義の破壊に手をかしたものと言わざるを得ないのであって、その責任はまことに重大であり、お説のとおり辞任に値するものと思う次第でございます。
以上、答弁にかえます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/80
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081・河野謙三
○議長(河野謙三君) 桑名義治君。(拍手、「再質問」「時間残っている、まだ」「再質問」「再質問」と呼ぶ者あり)粕谷照美君。
〔粕谷照美君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/81
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082・粕谷照美
○粕谷照美君 ただいまはどなたにでもよくわかるような明快な答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)けれども、わかればわかるほど私は、自民党政府が、いま今国会においてとった態度は心の底から許すことができないと思っているものでrから再質問をいたしたいと思います。
「対話と協調」というかっこいい看板を掲げて、さっそうとはまあ申せませんけれども、ソフトムードで登場した三木内閣は、いまや完全に化けの皮がはがれました。この国会では、さきにも述べましたように、衆議院の議院運営委員会や衆参両院の大蔵、逓信委員会などで野党の反対を押し切って強行採決を連続されたことなど、対話と協調は口先だけではありませんか。こういう暴挙を平然として繰り返し繰り返し打てる自民党政府には、もはや議会制民主主義を語る資格すらないと思うのです。私たちは、国民の支持率が二四%しか得られない三木内閣によって民主主義がこのように冒涜されることをもはや黙って見ているわけにはいきません。初心を忘れた三木内閣の仮面がはがれ、ファシズムヘの危険が強まっている現在、この問題はきわめて重要と思いまして提案者のお考えを再度伺うわけです。
さらに私は、不況とインフレの中で低所得者層の生活苦のあえぎや、家族の台所を預かる主婦の怨嗟の声がひときわ高まっていることを歯牙にもかけず、インフレ政策を進めるために強行採決を繰り返すような大蔵大臣は、もはや財政運営の能力がないのではないかと思われるのです。一億一千万国民の台所を預かる大蔵大臣がこのようなお粗末な財政運営しかできないのでは、この重要な職務を安心して任せておくことはできません。国民のだめに大平大蔵大臣は即座に辞任し、本当に能力のある方が交代すべきであると思いますが、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。(拍手)
〔辻一彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/82
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083・辻一彦
○辻一彦君 粕谷議員の再質問にお答えをいたします。
議会制民主主義をどう考えるかという問題でございます。私はその前に、やはりこの問題を考える場合には、どうしても参議院の大蔵委員会におきますところのやはり数回にわたって行われた強行採決をもう一度詳しく振り返ってみなくてはならないと思う次第であります。
まず第一に、酒、たばこ値上げ二法案は、第七十五回の通常国会で衆参両院で六ヵ月、百八十日の長期にわたって審議をされまして、最後に廃案になったのであります。廃案になったということは、国民の意思がともあれ示されたわけであります。仕事後の一服を願うたばこ、仕事を終わって飲む晩酌を、その一杯を値上げをするなという国民の声が、それが天の声であり、国民の声として通ったわけであります。私は、良識ある政府ならば、民主的な政府ならば、ここで考え直すのが当然であろうと思うのであります。ところが、三木内閣はどうか、その担当者である大蔵大臣はどうでしょうか。通常国会が終わるや否や、八月に臨時国会を開いて値上げ三法だけをやりたいと言ったのであります。これは全く国民の声を無視したもので、国会の審議を無視したものと言わなくてはならないと思います。これでは六ヵ月間何のために国会審議をしたのか私はわからないと思います。社会党初め公明党、共産党、民社党、第二院クラブ、各野党は、この間廃案になったのを、二ヵ月たつかたたない間に臨時国会を開いてこれを一番先にやれと言われては、これは全くけんかを売られたものと同じでありまして、これを承服することができないのは当然であろうと思います。国民は、何でも値上がりをする中で、専売公社、国の独占している専売公社が出すたばこの一つぐらいは値上がりをしないでほしい、こういう願いが通じてほっとしておったときでありますから、私は、大きな国民の怒りは当然であろうと思うのであります。国民が望んだことは、深刻な不況の中で倒産が続出をしてまいります、こういう中で一日も早く不況対策を立てて補正予算を成立をさすことにあったことは言うまでもないと思います。また、二兆三千億といういわゆる地方財政の赤字の手当てを一日も早くやってほしい、これは全国民の声であったと思います。さらには恩給法の改正や老齢年金、厚生年金、農林年金等々、いわゆる生活関連の法案を早く成立をさせるということでありました。この声を無視をして、それは二の次だ、まず値上げだけを先にやれ、こういう無理押し、ごり押しは、一体これで国民の皆さんが承知するはずはないのでありまして、そこに議会制民主主義は私はないと思うのであります。
そもそも今次臨時国会では、政府・与党は、最初にチョッキのボタンを私はかけ違えたと思うのであります。今次国会のいわゆる当初における混乱、一ヵ月の空白は、このチョッキのボタンの最初をかけ違えてごり押しをしたところ、国会論議の大局を見誤ったところにあると思います。これはまさに大平大蔵大臣の責任と言わなくてはならないと思います。
政府は、酒、たばこ二法をすでに成立した五十年度予算に組み込んだものである、予算関連法案であるから一番先にやるのは当然と言っております。そうは私は思わないのであります。先ほども申し上げましたが、いわゆる五月の下旬段階におきまして一兆円弱と言われた税収不況が四兆円近くになり、二兆三千億の赤字の国債が要る、こういうようになるということを先ほども申し上げましたが、こういう状況の中で、春の予算審議のときと全く状況は違っておるのでありまして、すなわち五十年度予算の前提は全く変わっておりました。補正予算こそは何よりも五十年度予算に関連する最大、最優先すべきものであるのは理の当然であります。これを無視をして、一千億と二兆三千億の順序を間違えて、値上げ法案をメンツにかけても先に通そうと全くのごり押しをしたところに今次国会の——繰り返すようでありますが——混乱の最大の原因があったと言っても過言ではないと思うのであります。このような点につきまして、紛糾の責任が大蔵大臣にあることは当然と私は言わなくてはならないと思います。
先ほど粕谷議員お尋ねの議会制民主主義の問題でありますが、それは議論の問題で私はないと思います。国民の声を素直に受けとめるところに出発すると思います。七月四日、酒、たばこは廃案になった。次の年度の国会にこれを出し直すか、あるいは内容を十分検討をして、国民の声を聞き入れて再出発をすべきでありましょう。それが具体的な私は議会制民主主義の一つであると考えるのであります。強行採決を行わずに、少数の意見を尊重して十分審議を尽くすところから出発することが議会制民主主義の第一歩であると思います。
粕谷議員も言われますように、三木内閣は一年前に「対話と協調」を一枚看板に出発をいたしました。そのときに、保守党内閣でも、何かの期待が寄せられたのであります。しかし、一年たって今日、三木内閣は「対話と協調」の看板をおろして、対決への姿勢を露骨に強めてまいっております。三木内閣のスローガン、「対話と協調」は全く色あせて看板倒れになっているのは当然であります。
また、三木内閣の二つ目の「社会的不公正の是正」につきましても、これはすでに私は申し上げましたので、重複を避けまして申し上げませんが、目減りの問題、租税特別措置の問題等々、何ら改善がされておりません。毎月千件を超える中小企業の倒産も、これらを考えるならば、「社会的不公正是正」の看板をおろしたも同然と言えると思います。
三つ目に、「清潔な政治」を三木内閣は標榜してまいりました。しかし、自民党の借金百億円を、先ほど申し上げましたように、大銀行や大企業に全部肩がわりをしていく、こういうことでは、私は「清潔な政治」の看板はおろさざるを得ないと思うのであります。
このように議会制民主主義は、いわゆる天下の政党が国民に公約をしたことを誠実に実行するところから私は出発をしなくてはならないと思います。こういう点におきまして、大平大蔵大臣はもちろん、私は国民のこの公約をほごにし、公約に反しておる三木内閣は当然退陣をしてもらわなくてはならない、このように考える次第であります。
以上で答弁を終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/83
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084・河野謙三
○議長(河野謙三君) 桑名義治君。
〔桑名義治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/84
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085・桑名義治
○桑名義治君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました大平大蔵大臣問責決議案に対して提案者に質問をいたします。
今日の経済情勢は、一時の物価狂乱状態を抜け出したとはいえ、国民は不況からくる生活の不安に日夜脅かされているのであります。これは、政府のたび重なる政策ミスからきていることは言をまたないのであります。このような際に、わが国の経済運営の最高責任者たる大蔵大臣が、みずからの経済運営の失敗を糊塗し、そのしわ寄せを塗炭の苦しみにあえいでいる国民に押しつけんとする姿勢は、断じて許せるものではありません。
今日の国民生活は、ますます深刻化する不況とインフレにより一層苦しいものになっており、この不況の結果、失業者は激増し、いまなお百万人以上を記録し、潜在失業者は二百万人と言われております。一方、中小企業の倒産も激増し、その負債総額は戦後最大となっております。不況とインフレによる社会的不公正はますます拡大し、特に低所得者層ほどそのしわ寄せを強く受けております。
このような事態に、税制に期待すべきことは、インフレによって利得を得る不動産所有者あるいはインフレヘッジを持つ株式等の金融資産を有する者からその利得の一部を徴収し、インフレにあえぐ弱い立場の人々に向けて財政支出を行うのが、財政の所得再分配の機能をよりよく果たす道ではないでしょうか。それに反し、逆進性の最も強い酒、たばこ等の間接税を大幅に増徴しようとする態度は全く許せないものであります。
国民生活が破綻の危機へと追い込まれている中で国民が緊急に切望しているのは、国民生活を優先する諸施策であります。
そこで、まず第一に、との国民生活を守ることを第二にし、国民に背を向け、前国会廃案になった値上げ法案を再提出して強行しようとする大蔵大臣の姿勢とその責任について、まず提案者の御所見を承りたいと思います。
質問の第二は、巨額の歳入不足と安易な赤字国債の発行についての大蔵大臣の責任であります。
大蔵大臣は、経済の見通しの誤りのみならず、その後における経済運営についても重大な誤りを犯した結果、本年度の税収が三兆四千八百億円に及ぶ巨額な赤字を生み出してしまったのであります。本年度の税収が落ち込むことは、大臣自身が一番よくわかっていたはずであります。この約三兆五千億円にも上る膨大な赤字を出した事実に対して、政府は経済政策の運営の基本には誤りはなかったとか、その原因の多くは海外要因によるものであるとか、言い逃がれに終始していますが、その失政を他に転嫁する態度は全く無責任以外何物でもありません。
さらに、赤字国債を二兆二千九百億円も発行し、その上、この国債発行に対して、インフレ防止のための施策、償還財源計画、公社債市場の整備等、当然行うべき基本的なことも全く手をつけていないのであります。歳入欠陥と赤字国債発行に至らしめた大蔵大臣の責任について、率直な御意見を伺いたいのであります。
質問の第三は、酒、たばこの値上げが、苦しみにあえぐ国民生活をさらに圧迫することと、他の物価に及ぼす影響についてであります。
酒、たばこの両値上げ法案は、わが国が抱えている赤字財政を、値上げといういわば大衆課税の強化によってその解消を図ろうとするものであります。これは財政の基本を無視し、国民に一方的に犠牲を強いるばかりか、ただでさえ不公平な現行税制をますますゆがめ、一層大きな不公平をつくり上げるものであります。取りやすいところがら取ろうとするまことに安易な対応策であると言わなければなりません。このような大衆犠牲によって問題の解決を図ろうとするのであるならば、これはもはや国民が期待する大蔵大臣の手腕などと言うべきものではないと思うのであります。
すなわち、財源不足の解消は、政府が総花的予算から福祉重点型の予算に改めるとともに、現存の税体系そのものを根本的に洗い直すところから始めるのが当然であると考えるものであります。大衆課税の代表とも言える酒、たばこを値上げ、医師優遇税制、利子・配当所得の分離課税、租税特別措置の改廃等、不公平税制の是正にはほとんど手をつけておりません。この酒、たばこの値上げは間接税の増徴、すなわち付加価値税導入のきっかけになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
同時にただしておきたい点は、酒、たばこの値上げがもたらす他の物価への影響がきわめて大きい点であります。それは、現在議論となっております郵便料金の値上げと相まって、政府主導型の物価高騰の導火線になることは明白であります。この点についても、大蔵大臣の姿勢は、まさに、国民生活に対して無神経、無責任なものと言わざるを得ないのでありますが、あわせて提案者の御所見を伺いたいのであります。
質問の第四は、弱者切り捨てとも言える中小零細企業に対する金融政策の姿勢であります。
従来から、中小零細企業に対する金融は常に冷遇されております。中小零細企業は、年末を迎え資金繰りにあえぎ、なお倒産も続出しております。政府系三金融機関に対する財政投融資金の繰り入れを見ても、昨年度に比べて九百九十一億円も少なく、中小企業の資金需要に十分にこたえていないのが実情であります。中小零細企業は、民間金融機関からの借り入れに当たっても歩積み両建て等による資金の拘束が厳しく、十分な借り入れをすることができないのが現状であります。その金融機関の態度は、三十年代以後の高成長期と何ら変わっていないのであります。その融資態度を根本的に変えるには、わが党の主張しているように、現行の銀行法を改正し、その使命を明らかにし、中小企業の育成強化の方向を示すべきであります。しかるに大蔵省当局は、銀行法改正について積極的な態度を示さず、結論の引き延ばしに終始しているのであります。この態度についても大蔵大臣の責任が問われなければなりません。
第五に、当面の不況対策についてであります。
今日まで政府の提出した四回にわたる不況対策は、必ずしも効果を示していないのであります。その上、そのパターンは、高度成長期と同じで、高速道路建設など産業基盤造成の大型プロジェクトに重点を置く、全く大企業のための不況対策であります。現在、国民の要望する不況対策は、従来の産業優先から脱皮した、住宅、環境保全等国民に密接な福祉を中心とした公共投資でなければなりません。さらに、冷え込んだ個人消費を喚起することであります。それに対して政府は何ら対策を講じていないのであります。その態度は、国民が要望する。失業、中小企業倒産の防止、福祉対策の充実の声に背を向けた、まさに大企業本位、弱者切り捨ての国民不在の態度と言っても過言ではありません。国民の要望を無視する大蔵大臣の姿勢は、許しがたいと言わなければなりません。その責任について率直な御意見を承りたいと思います。
以上、数点にわたり大蔵大臣問責決議案の趣旨説明に対し質疑をいたしましたが、明快な御答弁をお願いして質問を終わります。(拍手)
〔辻一彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/85
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086・辻一彦
○辻一彦君 桑名議員にお答えをいたします。
先ほどの熱意ある御質問に対しまして、私は五点につきましてお答えをいたしたいと思います。
酒、たばこ値上げ二法を再提出する大蔵大臣の姿勢はどうかと、こういうことでありますが、この点につきましては数回申し上げましたので、簡潔に申し上げたいと思います。
一つは、七十五通常国会でこの値上げ二法が廃案になったのは国民の声であります。第二は、したがって、わずかに二ヵ月程度をもって臨時国会に出すべきではないのでありまして、しかも、これを再優先さしたところに国会の混乱の原因があったと思います。第三に、二兆三千億の財政手当て、一千億の酒、たばこ財源の論議を順序を間違えたところに問題があったと思います。そういう意味におきまして、国会を紛糾せしめた大蔵大臣の責任はきわめて重大であり、遺憾であると思っております。
質問の第二点につきましては、歳入欠陥と安易な赤字国債発行に至らしめた大蔵大臣の責任をどう思うかということであります。今日の歳入欠陥の原因は、少しさかのぼりますと、四十九年の補正予算において見通しを誤ったということにあると思います。当時税収欠陥が予測されたにもかかわらず、大企業中心の大盤振る舞いをやって、そこに私は問題があったと思います。そして、四十九年補正後半年足らずで八千億近い税収の不足が生じてまいりました。歳入欠陥を出したのであります。これを埋めるために五十年度税収を先食いをしたわけであります。前倒しをやったわけでありますが、この分だけ五十年度税収がさらに不足をしてまいったことは当然であります。加えて、先ほども粕谷議員にお答えをいたしましたが、総需要抑制の政策をとり続けて、不況対策のタイミングを失った、不況を深刻させた大きな原因であると思います。そこに税収不足、いわゆる歳入欠陥がますます増大した原因があると思います。言うならば、政策の不況、経済、財政政策の失政によって膨大な歳入欠陥を生じたのでありまして、その経済、財政運営上の責任は当然大蔵大臣として問われなくてはならないと思う次第であります。今年度の赤字国債二兆三千億はもとより、明年度も、先ほども申し上げましたので省略をいたしますが、七兆円に及ぶ国債が出されようと言われております。これは、質問者御指摘のように、十分な歯どめと財源の償還計画がないならば、インフレを招くことは当然であると思わなくてはなりません。
第三点は、酒、たばこの国民生活への影響とほかの物価への波及をどう見るかということであります。これもすでに御指摘のとおり、またお答えをいたしましたが、酒、たばこの値上げは、やはり大衆課税を強化をして、所得の低い者に負担を強いる逆累進性でありまして、取りやすいところがら取る不公正税制をますますゆがめ、一層大きくするという御指摘は当然なものと思うのであります。財政のいわゆる徹底した洗い直しをやらずには、取りやすいところがら取るということでは、この間接税強化の道は、いずれ付加価値税導入のきっかけになるのではないかという御心配でありますが、この点については、私も質問者と同じ懸念を持つものであります。間接税が所得の低い人ほど重く、重い負担になるということは言うまでもありませんが、すでに政府は今後の税制の見直しの第一に付加価値税の導入を考えていることは明らかであります。これは最悪の間接税でありますし、商品の価格に転嫁をされまして、全面的な物価上昇をもたらすことは西欧諸国の例からも明らかでございます。
次に、酒、たばこ値上げのほかの物価への波及、影響でありますが、この点につきましても、さきの御質問にもお答えを申し上げましたので省略を申し上げますが、その懸念はきわめて大きいと思うのであります。お話しのように、公共料金の引き上げになり導火線になるということも私も同感に感ずるところであります。
質問の第四点は、中小企業の金融政策と銀行法の改正についてであります。
御指摘のとおりに、中小企業、零細企業金融はまことに大企業に比べて冷遇をされております。政府は年末金融対策として政府三機関から、すなわち国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金を通じて四千八百億の枠を確保したのでありますから心配はないと言っておりますが、実態は御意見のとおり不十分であります。それだけではなくして、今日の中小零細企業の実態は、融資の枠がたとえあっても借りる力がないということ、いわゆる第一、第二、第三担保を担保に取られまして、全くの担保枯れの現状でありまして、まずこの担保の見直しをすることなしにはどうしても金が借りられないのであります。先日の新聞にも、銀行による拘束預金の実態調査が載っておりまして、いまさらのように歩積み両建てによる資金の拘束のあくどさを知ったわけであります。しかし、大企業はたとえ拘束預金によりまして、これがあったといたしましてもやっていけるでありましょうが、中小零細企業にとってはまさにこれは死活の問題でございます。この点につきましては、私も過日の予算委員会で、大蔵大臣並びに銀行局長に拘束預金の排除を厳しくただしたところであります。このような銀行の融資態度を根本的に変えるには、銀行法の改正によって銀行の社会的使命を明らかにし、中小企業育成の方向を示すべきであるという御提案には私も全く同感でございます。過日の大蔵委員会でも森永日銀総裁は、銀行法改正には銀行の社会的責任を盛り込むべきであると答弁しております。週休二日制をも含めまして銀行法の改正は急ぐべきであり、すでに政府は銀行法改正に取り組むことを国会で明言しております。大蔵大臣の怠慢があるとすれば許されないことと思うのであります。
第五に、最後でありますが、当面の不況対策であります。第四次不況対策が高度成長期と同じようなパターンで、高速道路や新幹線等々、大型のプロジェクト中心であるという御指摘は当然であります。公共事業が不況対策としての効果を上げるためには、やはり地方への分散を図るべきであると思います。また、膨大な国債発行は、市中金融を圧迫しまして住宅ローン等々を圧迫いたしておりますが、そういう心配がございますので、住宅投資の波及効果を考えれば、公共投資の重点が住宅に向けられなくてはならないという御指摘も当然であろうと考える次第であります。第四次にわたる不況対策の中で、冷え込んだ個人消費を喚起することにつきまして、政府は御指摘のように何らの対策も講じていないのであります。個人消費の喚起のためには、社公民三党が議員立法として提案いたしております年度内所得減税の共同提案をいたしておりますが、これらを無視をして、国民の所得減税を求める声を、これに背を向ける大平大蔵大臣の姿勢はまことに遺憾であると言わなくてはならないと思います。
総じて申し上げれば、大平大蔵大臣の姿勢は大企業と銀行に顔を向け、国民と中小零細企業、勤労大衆に背を向けるものと言うべく、許しがたいものであることを申し上げまして御答弁を終わりたいと思います。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/86
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087・河野謙三
○議長(河野謙三君) 土屋義彦君外一名から、成規の賛成者を得て、
質疑終局の動議が提出されました。
これより本動議の採決をいたします。
表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色粟を、御登壇の上、御投票願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/87
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088・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/88
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089・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/89
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090・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十二票
白色票 百二十五票
青色票 百七票
よって、質疑は終局することに決しました。(拍手)
—————・—————
〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 百二十五名
宮田 輝君 寺下 岩蔵君
平井 卓志君 吉田 実君
中西 一郎君 山本茂一郎君
山内 一郎君 久保田藤麿君
前田佳都男君 木内 四郎君
佐多 宗二君 最上 進君
望月 邦夫君 森下 泰君
梶木 又三君 藤川 一秋君
福岡日出麿君 鳩山威一郎君
秦野 章君 夏目 忠雄君
林 ゆう君 安孫子藤吉君
青井 政美君 有田 一寿君
井上 吉夫君 石破 二朗君
中村 登美君 松岡 克由君
藤井 丙午君 桧垣徳太郎君
原 文兵衛君 中村 禎二君
高橋 邦雄君 細川 護煕君
宮崎 正雄君 林田悠紀夫君
佐藤 隆君 菅野 儀作君
石本 茂君 中山 太郎君
小林 国司君 寺本 廣作君
柳田桃太郎君 内藤誉三郎君
玉置 和郎君 高橋雄之助君
楠 正俊君 岩動 道行君
西村 尚治君 鍋島 直紹君
新谷寅三郎君 上原 正吉君
郡 祐一君 青木 一男君
徳永 正利君 小川 半次君
八木 一郎君 丸茂 重貞君
塩見 俊二君 志村 愛子君
河本嘉久蔵君 嶋崎 均君
棚辺 四郎君 中村 太郎君
戸塚 進也君 高橋 誉冨君
坂野 重信君 斎藤栄三郎君
山東 昭子君 糸山英太郎君
岩男 頴一君 岩上 妙子君
遠藤 要君 大島 友治君
大鷹 淑子君 斎藤 十朗君
古賀雷四郎君 黒住 忠行君
川野 辺静君 金井 元彦君
今泉 正二君 土屋 義彦君
山崎 竜男君 上田 稔君
初村滝一郎君 長田 裕二君
久次米健太郎君 鈴木 省吾君
世耕 政隆君 江藤 智君
藤田 正明君 大森 久司君
岡本 悟君 平泉 渉君
橘直 治君 町村 金五君
加藤 武徳君 安井 謙君
剱木 亨弘君 吉武 恵市君
増原 恵吉君 神田 博君
伊藤 五郎君 鹿島 俊雄君
大谷藤之助君 小笠 公韶君
亘 四郎君 橋本 繁蔵君
佐藤 信二君 亀井 久興君
岡田 広君 上條 勝久君
稲嶺 一郎君 矢野 登君
安田 隆明君 山崎 五郎君
高田 浩運君 増田 盛君
二木 謙吾君 源田 実君
熊谷太三郎君 植木 光教君
木村 睦男君 温水 三郎君
福井 勇君
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反対者(青色票)氏名 百七名
太田 淳夫君 矢原 秀男君
喜屋武眞榮君 下村 泰君
相沢 武彦君 塩出 啓典君
青島 幸男君 市川 房枝君
柄谷 道一君 内田 善利君
桑名 義治君 三治 重信君
上林繁次郎君 阿部 憲一君
三木 忠雄君 藤原 房雄君
黒柳 明君 矢追 秀彦君
原田 立君 田代富士男君
藤井 恒男君 木島 則夫君
鈴木 一弘君 山田 徹一君
宮崎 正義君 中村 利次君
田渕 哲也君 二宮 文造君
白木義一郎君 小平 芳平君
多田 省吾君 中尾 辰義君
向井 長年君 福間 知之君
矢田部 理君 案納 勝君
久保 亘君 青木 薪次君
野田 哲君 対馬 孝且君
秦 豊君 浜本 万三君
赤桐 操君 大塚 喬君
小山 一平君 片岡 勝治君
田 英夫君 宮之原貞光君
鈴木美枝子君 神沢 浄君
山崎 昇君 村田 秀三君
小野 明君 野口 忠夫君
栗原 俊夫君 茜ケ久保重光君
瀬谷 英行君 森 勝治君
戸叶 武君 田中寿美子君
竹田 四郎君 戸田 菊雄君
志苫 裕君 森下 昭司君
近藤 忠孝君 山中 郁子君
粕谷 照美君 片山 甚市君
目黒今朝次郎君 橋本 敦君
安武 洋子君 内藤 功君
辻 一彦君 小巻 敏雄君
神谷信之助君 小谷 守君
工藤 良平君 上田 哲君
和田 静夫君 松本 英一君
小笠原貞子君 立木 洋君
沓脱タケ子君 鈴木 力君
中村 波男君 川村 清一君
杉山善太郎君 沢田 政治君
加藤 進君 渡辺 武君
塚田 大願君 安永 英雄君
吉田忠三郎君 鶴園 哲夫君
松永 忠二君 小柳 勇君
須藤 五郎君 岩間 正男君
星野 力君 阿具根 登君
野々山一三君 秋山 長造君
藤田 進君 河田 賢治君
野坂 參三君 上田耕一郎君
春日 正一君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/90
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091・河野謙三
○議長(河野謙三君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。初村滝口郎君。
〔初村滝一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/91
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092・初村滝一郎
○初村滝一郎君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました大蔵大臣大平正芳君問責決議案に対し、反対の討論を行うものであります。
本院歴史二十八年を顧みて、これまで幾たびか財政当局より値上げ法案あるいは増税法案が提出されておりますが、大蔵大臣の問責決議案が本会議場に上程されましたのは今回が初めてであります。これは国民生活に直結する国家の財政がいかに政争の具になじまないかを物語るものでありまして、いまからでも遅くはありません。本決議案を撤回してください。(拍手)
私は、野党諸君に撤回だけを要求するものではありません。この経済危機に際会して政府がとりました政策に反対するばかりでなく、大蔵大臣が採用できるような現実的な、また具体的な財政再建の代案を要求したいのであります。それは、野党といえども議会制民主主義の一端を担う公党としての責任があるからであり、反対のための反対、空理空論だけでは、現実の政治の責任は果たせないからであります。(拍手)
さて、今期国会の意義は、申すまでもなく、わが国がこれまで経験しなかった未曾有の不況からの脱却と、雇用の安定を図るための財政対策を確立すること、及び前国会積み残しの国民生活法案や歳入法案の早期解決を図ることであります。
以下、本決議案の問責理由について若干反論をしてみます。
まず第一は、経済政策についてでありますが、石油危機以後の経済の異常事態は、政府の財政金融の両面にわたる厳しい総需要抑制策により、高騰を続けた物価は所期の目的どおり鎮静し、国際収支の改善も図られたのでありますが、一方、その影響を受ける部門に対しても、金融上の措置、雇用制度の改善など、きめ細かい配慮がその余波を最小限に食いとめております。
今年度はさきの補正予算を初め、四次にわたる景気対策により、最近徐々ではありますが、着実に景気回復の兆しは見えておるのであります。厳しい内外の経済情勢の中で物価と不況という二律背反する難題が解決されようとするとき、その実績を高く評価することならともかく、批判するがごときは、国際経済とわが国が置かれている立場を理解しない、ためにする議論以外の何物でもありません。(拍手)
第二に、歳入欠陥でありますが、これは世界的不況の中でわが国も連鎖的にその影響を受け、法人税を初めとして三兆八千億を超える税収不足となりました。今日の減速経済下で歳出削減や増税は不可能で、この際需要喚起のため赤字国債の発行はやむを得ないと思っております。この赤字国債の発行に反対し、他方では景気対策を積極的にやれと言う向きもありますが、これは木を見て森を見ざることわざのとおり、総合的な財政対策に対する無責任な議論であります。
第三は、酒、たばこ法案でありますが、これは衆議院の二倍に相当する実質審議が行われております。二回も衆議院で可決しております。予算と表裏一体のものであること及び四十三年以降据え置きの嗜好品の最小限の引き上げであることなどを考えるならば、その速やかな成立を希望するものであります。
以上、主な事項について意見を申しましたが、いかに私が冷静に判断いたしましても、本決議案は単なる議事引き延ばしの手段にすぎない。大平大蔵大臣が問責に値することはとうてい理解しがたいのであります。
いまさら私は大平大蔵大臣の人となりを本席で申し述べる必要もありませんが、同大臣の高邁な理想と卓越した識見は他に比類を見ないばかりか、人情と人間味あふれるお人柄は多くの人々の尊敬を集め、かわいらしい細い目をしながらも、その奥に秘めたる情熱、洞察力、強いリーダーシップは、過去の政治経歴からいたしましても当代一流の政治家であることは、与野党を問わず衆目の認めるところであります。(拍手)
かかる大平大蔵大臣が、わが国の財政、金融、税制の最高責任者として、崩壊寸前の経済危機から燃え盛るインフレの火を静め、悪化した国際収支を立て直し、さらにまた当面する内外の苦境の中で景気の回復、雇用の安定、物価の鎮静を初めとして、財政の健全性の回復のために日夜を惜しまない懸命な努力を傾注している姿を見るとき、たとえ主義、主張、政治的立場を異にするとはいえ、同大臣を問責するがごときは、公党としてあるまじき態度であり、義憤を覚えるのであります。
今日、わが国経済が回復基調に向かいつつあるとは申せ、自律的回復力のみに期待することはなお困難であり、大平大臣の手腕に期待するところは大であります。同大臣を信頼こそすれ、問責など、まさに言語道断であります。提案者に猛省を促して、私の反対討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/92
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093・河野謙三
○議長(河野謙三君) 青木薪次君。——青木薪次君。(「水をまくとは何事だ」「見たまえ、何だ、この水まいたのは、コップでじゃあと水まいたのは何だ、このざまは、失敬な、議場を汚すとは何事だ」「神聖な議場を何と思っている」「余りひどいですよ、もう少しまじめにやってもらいたい」「休憩だ、休憩だ」「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
ただいま初村議員が降壇に際し、水を神聖な議場に捨てたことにつきましては、はなはだ遺憾でございます。厳重に注意いたします。
青木薪次君。
〔青木薪次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/93
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094・青木薪次
○青木薪次君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました大平大蔵大臣の問責決議案に賛成の討論をいたし、大方の御賛同をいただきたいと存ずるのであります。
今日、世界的インフレと世界不況の同時存在という深刻な病理現象を露呈している世界経済の中にあって、日本経済もまた容易ならぬ困難を抱えていることは周知の事実であります。いまわが国経済と国民生活の現状は、インフレ、不況の中できわめて深刻な事態に立ち至っております。昨年来の不況の進展に伴い、生産は停滞し、雇用状況はますます悪化の一途をたどり、完全失業者はこの十月百万人を超え、有効求人倍率はついに〇・五三にまで低下しておるのであります。中小企業の倒産も激増し、十一月には千三百件を超えることとなったのであります。また、昭和五十年の年間倒産件数は一万二千件を超えることがほぼ確実となり、これは戦後最高の記録であります。鉱工業生産は昨年六月以来、この十月まで前年同月比で一貫してマイナスを続け、企業倒産は興人の倒産など中堅企業にまで及んでおる実情であります。このような事態は、四次にわたる不況対策の名による政府の若干のてこ入れ策にもかかわらず、むしろ質的には悪化する一方であり、いつになったら景気が回復するのかまるで見当もつかない状態であるのであります。
今日の深刻なインフレ、不況をもたらした原因の第一は、総需要抑制策を名とする政府の政策の根本的な失敗による政策不況であります。第二は、インフレ不安と賃上げ抑制を軸とした個人消費の落ち込みであります。第三は、独占、寡占体制の強化を基礎とした産業、経済構造のゆがみであります。そして、これらの原因を総合的に判断するならば、政府、財政当局の失政の責任はきわめて明白であり、国民生活を窮状に陥れたことに対し、大蔵大臣はその責めを免れ得ないと信ずるのであります。
大蔵大臣は、十月十七日夜行われました財政演説の中で、個人消費支出、民間設備投資、輸出が停滞しているため景気の自律回復が期待できず、景気回復の起動力を財政支出の拡大に求めざるを得ないことを強調しておられます。その観点に立って財政を柱とした不況対策を打ち出したと述べておられます。
しかし、政府のとっている不況対策は、実際には産業界の強い要求に応じたものであり、経済危機に対する正しい認識を全く欠き、単なる大企業中心の景気刺激策によって需給ギャップを埋めようとするものであります。そして失業、レイオフによる労働者へのしわ寄せ、実質賃金の大幅な低下と相まって格差、不公平は拡大しつつあります。不況、歳入欠陥という深刻な事態に対し、大蔵大臣は何ら具体的な展望を示し得ず、国民の疑問に十分に答えることもしないままに、酒、たばこ等、公共料金の値上げを強行しようといたしているのであります。ただでさえ生活の困難にあえいでいる勤労国民は、政府、特に大蔵大臣の行政に対するこのような無責任な態度を断じて許さないでありましょう。(拍手)
私は、いまこそ国民生活を防衛し、大企業の横暴を排して、経済を真に国民生活優先の方向に転換するための緊急対策及び経済社会の制度的改革に着手することでなければならないと信ずるのであります。そしてその責任はまず大蔵大臣にあります。
しかるに大蔵大臣は、そのような国民の期待を全く裏切っているのであります。そしてあくまでも大企業本位、国民生活軽視の経済運営を続けているのであります。実際、日本の経済と政治を動かしている真の実力者は、大手商社を含む一連の巨大企業にほかなりません。しかも、歴代自民党政府が戦後一貫して取り続けてきた産業優先の政策と、それに伴う放慢な財政金融政策に帰せられるべきなのであります。
さきにも述べましたように、いま大蔵大臣に求められる施策は、大企業の横暴を排して、経済を真に国民生活優先の方向に転換することでなければならないにもかかわらず、大蔵大臣はこの重要な責務を全く怠っているのであります。酒、たばこの値上げは、庶民のささやかな楽しみにいままで以上の重税を課するものであり、安易に容認できないところであります。しかも、この値上げを強行採決によって押し切ろうという政府、大蔵大臣の責任はきわめて重大であります。
また、赤字国債の発行はインフレにつながることが明白であり、将来国民を生活の困難に苦しめることになるのであります。経済、財政運営の失敗と不況の深刻化に伴い、巨額な歳入欠陥が生ずることが明らかとなり、不況対策とあわせて緊急に対策を講じなければならないのであります。しかるに、政府はわが国財政法上の健全財政主義を放棄してまで安易な赤字国債の発行に頼ろうとしているのであります。
一方、地方財政も不況とインフレによって深刻な危機にあり、地方自治体の多くは赤字予算を余儀なくされておるのであります。国民生活に占める地方財政の比重は高く、今後この比重は高まりこそすれ低下することはないのであります。国民の生活、福祉は景気変動に左右されることなく充実されなければなりません。社会的不公正の実態を少しでも是正してきたのは、国の財政ではなく、革新自治体を中心とする地方財政であります。老人医療の無料化など、国の貧困な福祉政策に先鞭をつけてきた革新自治体の福祉政策は、地方財政本来の存在を示したものと言わなければなりません。しかるに、このようなりっぱな実績をおさめている地方財政も、インフレ、不況によりきわめて窮乏しておるのであります。ところが大平大蔵大臣は、このように深刻な地方財政危機に対し何らの有効な解決策を示せぬままに、地方交付税交付金の減額をのみ行おうとしているのであります。
以上、述べてまいりましたように、みずからの失政のしりぬぐいを国民大衆に押しつけ、国民大衆の犠牲において政権の安泰を図る、これこそ歴代自民党政府の行ってきた常套手段であり、いままた大平大蔵大臣が行おうとしていることなのでございます。このような現実を見るならば、先ほど決議案の提案者であるわが党の辻議員の趣旨にもありますように、大平大蔵大臣はもはやその職にとどまることを許されないと考えざるを得ません。(拍手)
以上を申し述べて、大平大蔵大臣問責決議案に賛成の討論にかえさせていただきます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/94
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095・河野謙三
○議長(河野謙三君) 太田淳夫君。
〔太田淳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/95
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096・太田淳夫
○太田淳夫君 私は公明党を代表して、ただいま議題となっております大平大蔵大臣の問責決議案に賛成の討論を行うものであります。
問責決議案に賛成する第一の理由は、長期の不況と慢性的インフレの進行する中で、政府は、中小零細企業に対しては健全かつ円滑な経営を行い、不当なしわ寄せが生じないよう、きわめてきめ細かい対策を講ずると言いながら、四次にわたる不況対策あるいは金融対策等は相変わらず大企業中心に進められてきた。その結果、今年十一月の企業倒産は一千三百件も発生し、負債総額においても戦後最大と言われております。完全失業者は十月現在百三万人に達し、しかも、九月決算においては、経営利益の絶対額はピークの四十八年九月期の三分の一にすぎず、集計対象企業の三分の一が経営赤字に落ち込んでおり、戦後最悪の決算であると言われております。このように深刻な企業不況に続いて、再就職困難、失業給付の期限切れなど、年末を控えて雇用不安が最悪の事態に直面しており、国民生活においては、低所得者ほど社会的不公平、格差拡大が進行する中で著しい苦況に立たされているのであります。大平大蔵大臣は、こうした経済的、社会的不安の増大する中で、これに対応する具体的かつ実効ある対策を積極的に講じようとしないのは、まさに国民に対する背信行為であります。(拍手)
第二の理由は、このような経済的、社会的な不安定かつ国民生活の窮乏の中で酒、たばこ値上げ法案を再提出したことであります。本来、この値上げ法案は七十五国会において廃案になったものであり、それをおくめんもなく再提出したことはまことに遺憾であり、しかも、衆議院においては、不況並びに景気対策として最も重要な補正予算審議を差しおき、酒、たばこ値上げ法案の審議を先行するなど、国民生活無視もはなはだしいものと言わなければなりません。さらに参議院においては、酒、たばこ値上げ法案の趣旨説明の強行に続いて採決をも強行し、二十日間も国会を空転させるなど、政府・自民党の議会運営のルールを完全に無視した立て続く暴挙は、まさに議会制民主主義の基本を破壊するものであり、わが党はこれを断じて容認するわけにはいかないのであります。しかも、この法案は、みずからの失政により招いた財政危機、歳入欠陥の責任を大衆課税の強化に転嫁し、国民に犠牲を強いることによって対処しようとしているものであり、まさにこの法案の諸物価に与える影響ははかり知れなく、上昇機運にある政府主導型の物価騰貴に拍車をかけることは必定であります。大平大蔵大臣の物価抑制策とは、弱い国民に犠牲を強いることに本来的な意義があることを証明する以外の何物でもないのであります。このように国民生活の安定に逆行する国民犠牲の施策は、断じて許すわけにはいかないのであります。
理由の第三は、五十年度予算において三兆九千億円もの膨大な歳入不足を出してしまったことに対する責任であります。大平大蔵大臣は慢性的な経済運営の誤りを反省もせず、適切な積極的不況対策も講じようとしなかった結果、五十年度の歳入に三兆九千億円もの不足額を出してしまったのであります。五十年度の税収は、すでに四十九年度当初以来税収における対前年同月比の伸び率が落ち込む傾向にあり、四十九年度において八千億円の税収不足があったことは当局が最もよく知っていたにもかかわらず、何らの歳入対策も立てず、いわんや本年度の税収を四十九年度の税収不足の補てんに使用するなど、単に収支じりを合わせるやり方には、大蔵大臣としての能力を疑わざるを得ないのであります。このような実質的な予算の修正を単に大蔵省の省令の変更というような方法で解決済みというやり方は、憲法八十三条に違反するものであり、許されるべきことではありません。少なくとも国会の事前承認を受けることが財政民主主義における財政処理上のたてまえであるはずです。この大蔵大臣の措置は、憲法を尊重し擁護する義務に違反するもので、断じて許されるべきものではありません。
第四は、大平大蔵大臣は本年度の歳入不足分三兆九千億円を補充するため赤字国債を二兆二千九百億円も増発しようとしている責任についてであります。わが国の財政制度は本来均衡財政を義務づけており、原則として借金の形になる国債発行は認めておらず、特例として公共事業など投資的なものに限って財政法四条で建設国債という形で認めているにすぎません。今回のような歳入不足という理由で発行される赤字国債は厳に戒めているのであります。しかも、この赤字国債の安易な発行は財政破綻を招くばかりか、通貨供給の増大でインフレを加速させるものであります。しかるに大平大蔵大臣は、赤字国債の発行以外に方法はないとして、去る三日、衆議院において財政特例法を無謀にも強行採決し、議会制民主主義を踏みにじったのであります。これは断じて許せない暴挙であります。しかも、赤字国債を発行する前課題としてインフレ防止の施策、償還財源計画等、当然行うべき基本的なことについては何ら国民に示そうともせず、いたずらに発行を先行させることは反国民的行為であると言わざるを得ないのであります。
第五は、大平大蔵大臣は補正予算の編成に当たって、旧態依然とした大企業優遇、国民無視の姿勢を一向に反省していない責任についてであります。第四次不況対策は、高度経済成長期と全く同じパターンで、高速自動車道等産業基盤造成の大型プロジェクトに重点を置くもので、まさに大企業中心の不況対策であります。不況対策は、本来最も不況の波に弱い国民を救済することにその本義があるにもかかわらず、いわゆる低所得者に対する所得税減税、失業及び中小企業倒産防止、消費需要の喚起、並びに老人、生活保護世帯、母子家庭等の社会的福祉事業の拡大については積極的な施策が何らなされていないのであります。すなわち、大企業優遇の租税特別措置をそのままにし、大企業が中小企業より軽い法人税等社会的不公平を放置するなど、国民の要望を無視する今度の補正予算の編成のやり方は断じて許すべきではありません。
最後に、預金金利の引き下げを強行した大蔵大臣の責任についてであります。大平大蔵大臣は、公定歩合の引き下げや国債発行の条件づくりのために預貯金金利の引き下げを決定しました。異常なインフレですでに国民の預貯金は大幅に目減りをしており、その上、物価の安定の見通しも立たない以上、公定歩合の引き下げや国債発行の条件づくりのため国民の零細な預貯金が犠牲にされることは絶対に許せません。
以上、数点にわたり大平大蔵大臣の責任は明白であります。
私は、以上をもちまして大平大蔵大臣問責決議案に対する反……賛成の理由を申し上げて、(笑声)討論を終了いたします。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/96
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097・河野謙三
○議長(河野謙三君) 土屋義彦君外一名から、成規の賛成者を得て、
討論終局の動議が提出されました。
これより本動議の採決をいたします。
表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/97
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098・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/98
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099・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/99
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100・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百四十票
白色票 百二十五票
青色票 百十五票
よって、討論は終局することに決しました。(拍手)
—————・—————
〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 百二十五名
宮田 輝君 寺下 岩蔵君
平井 卓志君 吉田 実君
中西 一郎君 山本茂一郎君
山内 一郎君 久保田藤麿君
前田佳都男君 木内 四郎君
佐多 宗二君 最上 進君
望月 邦夫君 森下 泰君
梶木 又三君 藤川 一秋君
福岡日出麿君 鳩山威一郎君
秦野 章君 夏目 忠雄君
林 ゆう君 安孫子藤吉君
青井 政美君 有田 一寿君
井上 吉夫君 石破 二朗君
中村 登美君 松岡 克由君
藤井 丙午君 桧垣徳太郎君
原 文兵衛君 中村 禎二君
高橋 邦雄君 細川 護煕君
宮崎 正雄君 林田悠紀夫君
佐藤 隆君 菅野 儀作君
石本 茂君 中山 太郎君
小林 国司君 寺本 廣作君
柳田桃太郎君 内藤誉三郎君
玉置 和郎君 高橋雄之助君
楠 正俊君 岩動 道行君
西村 尚治君 鍋島 直紹君
新谷寅三郎君 上原 正吉君
郡 祐一君 青木 一男君
徳永 正利君 小川 半次君
八木 一郎君 丸茂 重貞君
塩見 俊二君 志村 愛子君
河本嘉久蔵君 嶋崎 均君
棚辺 四郎君 中村 太郎君
戸塚 進也君 高橋 誉冨君
坂野 重信君 斎藤栄三郎君
山東 昭子君 糸山英太郎君
岩男 頴一君 岩上 妙子君
遠藤 要君 大島 友治君
大鷹 淑子君 斎藤 十朗君
古賀雷四郎君 黒住 忠行君
川野 辺静君 金井 元彦君
今泉 正二君 土屋 義彦君
山崎 竜男君 上田 稔君
初村滝一郎君 長田 裕二君
久次米健太郎君 鈴木 省吾君
世耕 政隆君 江藤 智君
藤田 正明君 大森 久司君
岡本 悟君 平泉 渉君
橘直 治君 町村 金五君
加藤 武徳君 安井 謙君
剱木 亨弘君 吉武 恵市君
増原 恵吉君 神田 博君
伊藤 五郎君 鹿島 俊雄君
大谷藤之助君 小笠 公韶君
亘 四郎君 橋本 繁蔵君
佐藤 信二君 亀井 久興君
岡田 広君 上條 勝久君
稲嶺 一郎君 矢野 登君
安田 隆明君 山崎 五郎君
高田 浩運君 増田 盛君
二木 謙吾君 源田 実君
熊谷太三郎君 植木 光教君
木村 睦男君 温水 三郎君
福井 勇君
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反対者(青色票)氏名 百十五名
太田 淳夫君 矢原 秀男君
野末 陳平君 喜屋武眞榮君
下村 泰君 相沢 武彦君
塩出 啓典君 青島 幸男君
市川 房枝君 柄谷 道一君
内田 善利君 桑名 義治君
三治 重信君 上林繁次郎君
阿部 憲一君 三木 忠雄君
藤原 房雄君 和田 春生君
栗林 卓司君 黒柳 明君
矢追 秀彦君 原田 立君
田代富士男君 藤井 恒男君
木島 則夫君 鈴木 一弘君
山田 徹一君 宮崎 正義君
柏原 ヤス君 中村 利次君
田渕 哲也君 二宮 文造君
白木義一郎君 小平 芳平君
多田 省吾君 中尾 辰義君
向井 長年君 福間 知之君
矢田部 理君 案納 勝君
久保 亘君 青木 薪次君
野田 哲君 対馬 孝且君
秦 豊君 浜本 万三君
赤桐 操君 大塚 喬君
小山 一平君 片岡 勝治君
田 英夫君 宮之原貞光君
鈴木美枝子君 神沢 浄君
前川 旦君 竹田 現照君
山崎 昇君 村田 秀三君
小野 明君 野口 忠夫君
栗原 俊夫君 茜ケ久保重光君
瀬谷 英行君 森 勝治君
戸叶 武君 田中寿美子君
竹田 四郎君 戸田 菊雄君
森中 守義君 志苫 裕君
森下 昭司君 近藤 忠孝君
山中 郁子君 粕谷 照美君
片山 甚市君 目黒今朝次郎君
橋本 敦君 安武 洋子君
内藤 功君 辻 一彦君
小巻 敏雄君 神谷信之助君
小谷 守君 工藤 良平君
上田 哲君 和田 静夫君
松本 英一君 小笠原貞子君
立木 洋君 沓脱タケ子君
鈴木 力君 中村 波男君
川村 清一君 杉山善太郎君
沢田 政治君 加藤 進君
渡辺 武君 塚田 大願君
安永 英雄君 吉田忠三郎君
鶴園 哲夫君 松永 忠二君
小柳 勇君 須藤 五郎君
岩間 正男君 星野 力君
阿具根 登君 野々山一三君
中村 英男君 秋山 長造君
藤田 進君 河田 賢治君
野坂 參三君 上田耕一郎君
春日 正一君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/100
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101・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより大蔵大臣大平正芳君問責決議案の採決をいたします。
表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/101
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102・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/102
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103・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/103
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104・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十九票
白色票 百十四票
青色票 百二十五票
よって、大蔵大臣大平正芳君問責決議案は否決されました。(拍手)
—————・—————
〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 百十四名
太田 淳夫君 矢原 秀男君
野末 陳平君 喜屋武眞榮君
下村 泰君 相沢 武彦君
塩出 啓典君 青島 幸男君
市川 房枝君 柄谷 道一君
内田 善利君 桑名 義治君
三治 重信君 上林繁次郎君
阿部 憲一君 三木 忠雄君
藤原 房雄君 和田 春生君
栗林 卓司君 黒柳 明君
矢追 秀彦君 原田 立君
田代富士男君 藤井 恒男君
木島 則夫君 鈴木 一弘君
山田 徹一君 宮崎 正義君
柏原 ヤス君 中村 利次君
田渕 哲也君 二宮 文造君
白木義一郎君 小平 芳平君
多田 省吾君 中尾 辰義君
向井 長年君 福間 知之君
矢田部 理君 案納 勝君
久保 亘君 青木 薪次君
野田 哲君 対馬 孝且君
秦 豊君 浜本 万三君
赤桐 操君 大塚 喬君
小山 一平君 片岡 勝治君
田 英夫君 宮之原貞光君
鈴木美枝子君 神沢 浄君
前川 旦君 竹田 現照君
山崎 昇君 村田 秀三君
小野 明君 野口 忠夫君
栗原 俊夫君 茜ケ久保重光君
瀬谷 英行君 森 勝治君
田中寿美子君 竹田 四郎君
戸田 菊雄君 森中 守義君
志苫 裕君 森下 昭司君
近藤 忠孝君 山中 郁子君
粕谷 照美君 片山 甚市君
目黒今朝次郎君 橋本 敦君
安武 洋子君 内藤 功君
辻 一彦君 小巻 敏雄君
神谷信之助君 小谷 守君
工藤 良平君 上田 哲君
和田 静夫君 松本 英一君
小笠原貞子君 立木 洋君
沓脱タケ子君 鈴木 力君
中村 波男君 川村 清一君
杉山善太郎君 沢田 政治君
加藤 進君 渡辺 武君
塚田 大願君 安永 英雄君
吉田忠三郎君 鶴園 哲夫君
松永 忠二君 小柳 勇君
須藤 五郎君 岩間 正男君
星野 力君 阿具根 登君
野々山一三君 中村 英男君
秋山 長造君 藤田 進君
河田 賢治君 野坂 參三君
上田耕一郎君 春日 正一君
—————————————
反対者(青色票)氏名 百二十五名
宮田 輝君 寺下 岩蔵君
平井 卓志君 吉田 実君
中西 一郎君 山本茂一郎君
山内 一郎君 久保田藤麿君
前田佳都男君 木内 四郎君
佐多 宗二君 最上 進君
望月 邦夫君 森下 泰君
梶木 又三君 藤川 一秋君
福岡日出麿君 鳩山威一郎君
秦野 章君 夏目 忠雄君
林 ゆう君 安孫子藤吉君
青井 政美君 有田 一寿君
井上 吉夫君 石破 二朗君
中村 登美君 松岡 克由君
藤井 丙午君 桧垣徳太郎君
原 文兵衛君 中村 禎二君
高橋 邦雄君 細川 護煕君
宮崎 正雄君 林田悠紀夫君
佐藤 隆君 菅野 儀作君
石本 茂君 中山 太郎君
小林 国司君 寺本 廣作君
柳田桃太郎君 内藤誉三郎君
玉置 和郎君 高橋雄之助君
楠 正俊君 岩動 道行君
西村 尚治君 鍋島 直紹君
新谷寅三郎君 上原 正吉君
郡 祐一君 青木 一男君
徳永 正利君 小川 半次君
八木 一郎君 丸茂 重貞君
塩見 俊二君 志村 愛子君
河本嘉久蔵君 嶋崎 均君
棚辺 四郎君 中村 太郎君
戸塚 進也君 高橋 誉冨君
坂野 重信君 斎藤栄三郎君
山東 昭子君 糸山英太郎君
岩男 頴一君 岩上 妙子君
遠藤 要君 大島 友治君
大鷹 淑子君 斎藤 十朗君
古賀雷四郎君 黒住 忠行君
川野 辺静君 金井 元彦君
今泉 正二君 土屋 義彦君
山崎 竜男君 上田 稔君
初村滝一郎君 長田 裕二君
久次米健太郎君 鈴木 省吾君
世耕 政隆君 江藤 智君
藤田 正明君 大森 久司君
岡本 悟君 平泉 渉君
橘直 治君 町村 金五君
加藤 武徳君 安井 謙君
剱木 亨弘君 吉武 恵市君
増原 恵吉君 神田 博君
伊藤 五郎君 鹿島 俊雄君
大谷藤之助君 小笠 公韶君
亘 四郎君 橋本 繁蔵君
佐藤 信二君 亀井 久興君
岡田 広君 上條 勝久君
稲嶺 一郎君 矢野 登君
安田 隆明君 山崎 五郎君
高田 浩運君 増田 盛君
二木 謙吾君 源田 実君
熊谷太三郎君 植木 光教君
木村 睦男君 温水 三郎君
福井 勇君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/104
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105・河野謙三
○議長(河野謙三君) 安永英雄君外一名から、賛成者を得て、
大蔵委員会における酒税法の一部改正案および製造たばこ定価法の一部改正案の採決無効に関する決議案(竹田四郎君外一名発議)(委員会審査省略要求事件)をこの際議題とすることの動議が提出されました。
これより本動議の採決をいたします。
表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/105
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106・河野謙三
○議長(河野謙三君) 速やかに御投票願います。——まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票願います。——投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/106
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107・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/107
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108・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百四十票
白色票 百十五票
青色票 百二十五票
よって、本動議は否決されました。
—————・—————
〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 百十五名
太田 淳夫君 矢原 秀男君
野末 陳平君 喜屋武眞榮君
下村 泰君 相沢 武彦君
塩出 啓典君 青島 幸男君
市川 房枝君 柄谷 道一君
内田 善利君 桑名 義治君
三治 重信君 上林繁次郎君
阿部 憲一君 三木 忠雄君
藤原 房雄君 和田 春生君
栗林 卓司君 黒柳 明君
矢追 秀彦君 原田 立君
田代富士男君 藤井 恒男君
木島 則夫君 鈴木 一弘君
山田 徹一君 宮崎 正義君
柏原 ヤス君 中村 利次君
田渕 哲也君 二宮 文造君
白木義一郎君 小平 芳平君
多田 省吾君 中尾 辰義君
向井 長年君 福間 知之君
矢田部 理君 案納 勝君
久保 亘君 青木 薪次君
野田 哲君 対馬 孝且君
秦 豊君 浜本 万三君
赤桐 操君 大塚 喬君
小山 一平君 片岡 勝治君
田 英夫君 宮之原貞光君
鈴木美枝子君 神沢 浄君
前川 旦君 竹田 現照君
山崎 昇君 村田 秀三君
小野 明君 野口 忠夫君
栗原 俊夫君 茜ケ久保重光君
瀬谷 英行君 森 勝治君
戸叶 武君 田中寿美子君
竹田 四郎君 戸田 菊雄君
森中 守義君 志苫 裕君
森下 昭司君 近藤 忠孝君
山中 郁子君 粕谷 照美君
片山 甚市君 目黒今朝次郎君
橋本 敦君 安武 洋子君
内藤 功君 辻 一彦君
小巻 敏雄君 神谷信之助君
小谷 守君 工藤 良平君
上田 哲君 和田 静夫君
松本 英一君 小笠原貞子君
立木 洋君 沓脱タケ子君
鈴木 力君 中村 波男君
川村 清一君 杉山善太郎君
沢田 政治君 加藤 進君
渡辺 武君 塚田 大願君
安永 英雄君 吉田忠三郎君
鶴園 哲夫君 松永 忠二君
小柳 勇君 須藤 五郎君
岩間 正男君 星野 力君
阿具根 登君 野々山一三君
中村 英男君 秋山 長造君
藤田 進君 河田 賢治君
野坂 參三君 上田耕一郎君
春日 正一君
—————————————
反対者(青色票)氏名 百二十五名
宮田 輝君 寺下 岩蔵君
平井 卓志君 吉田 実君
中西 一郎君 山本茂一郎君
山内 一郎君 久保田藤麿君
前田佳都男君 木内 四郎君
佐多 宗二君 最上 進君
望月 邦夫君 森下 泰君
梶木 又三君 藤川 一秋君
福岡日出麿君 鳩山威一郎君
秦野 章君 夏目 忠雄君
林 ゆう君 安孫子藤吉君
青井 政美君 有田 一寿君
井上 吉夫君 石破 二朗君
中村 登美君 松岡 克由君
藤井 丙午君 桧垣徳太郎君
原 文兵衛君 中村 禎二君
高橋 邦雄君 細川 護煕君
宮崎 正雄君 林田悠紀夫君
佐藤 隆君 菅野 儀作君
石本 茂君 中山 太郎君
小林 国司君 寺本 廣作君
柳田桃太郎君 内藤誉三郎君
玉置 和郎君 高橋雄之助君
楠 正俊君 岩動 道行君
西村 尚治君 鍋島 直紹君
新谷寅三郎君 上原 正吉君
郡 祐一君 青木 一男君
徳永 正利君 小川 半次君
八木 一郎君 丸茂 重貞君
塩見 俊二君 志村 愛子君
河本嘉久蔵君 嶋崎 均君
棚辺 四郎君 中村 太郎君
戸塚 進也君 高橋 誉冨君
坂野 重信君 斎藤栄三郎君
山東 昭子君 糸山英太郎君
岩男 頴一君 岩上 妙子君
遠藤 要君 大島 友治君
大鷹 淑子君 斎藤 十朗君
古賀雷四郎君 黒住 忠行君
川野 辺静君 金井 元彦君
今泉 正二君 土屋 義彦君
山崎 竜男君 上田 稔君
初村滝一郎君 長田 裕二君
久次米健太郎君 鈴木 省吾君
世耕 政隆君 江藤 智君
藤田 正明君 大森 久司君
岡本 悟君 平泉 渉君
橘直 治君 町村 金五君
加藤 武徳君 安井 謙君
剱木 亨弘君 吉武 恵市君
増原 恵吉君 神田 博君
伊藤 五郎君 鹿島 俊雄君
大谷藤之助君 小笠 公韶君
亘 四郎君 橋本 繁蔵君
佐藤 信二君 亀井 久興君
岡田 広君 上條 勝久君
稲嶺 一郎君 矢野 登君
安田 隆明君 山崎 五郎君
高田 浩運君 増田 盛君
二木 謙吾君 源田 実君
熊谷太三郎君 植木 光教君
木村 睦男君 温水 三郎君
福井 勇君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/108
-
109・河野謙三
○議長(河野謙三君) 黒柳明君外一名から、賛成者を得て、
日程第六及び第七を後日に延期することの動議が提出されました。
これより本動議の採決をいたします。
表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/109
-
110・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/110
-
111・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/111
-
112・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百四十票
白色票 百十五票
青色票 百二十五票
よって、本動議は否決されました。(拍手)
—————・—————
〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 百十五名
太田 淳夫君 矢原 秀男君
野末 陳平君 喜屋武眞榮君
下村 泰君 相沢 武彦君
塩出 啓典君 青島 幸男君
市川 房枝君 柄谷 道一君
内田 善利君 桑名 義治君
三治 重信君 上林繁次郎君
阿部 憲一君 三木 忠雄君
藤原 房雄君 和田 春生君
栗林 卓司君 黒柳 明君
矢追 秀彦君 原田 立君
田代富士男君 藤井 恒男君
木島 則夫君 鈴木 一弘君
山田 徹一君 宮崎 正義君
柏原 ヤス君 中村 利次君
田渕 哲也君 二宮 文造君
白木義一郎君 小平 芳平君
多田 省吾君 中尾 辰義君
向井 長年君 福間 知之君
矢田部 理君 案納 勝君
久保 亘君 青木 薪次君
野田 哲君 対馬 孝且君
秦 豊君 浜本 万三君
赤桐 操君 大塚 喬君
小山 一平君 片岡 勝治君
田 英夫君 宮之原貞光君
鈴木美枝子君 神沢 浄君
前川 旦君 竹田 現照君
山崎 昇君 村田 秀三君
小野 明君 野口 忠夫君
栗原 俊夫君 茜ケ久保重光君
瀬谷 英行君 森 勝治君
戸叶 武君 田中寿美子君
竹田 四郎君 戸田 菊雄君
森中 守義君 志苫 裕君
森下 昭司君 近藤 忠孝君
山中 郁子君 粕谷 照美君
片山 甚市君 目黒今朝次郎君
橋本 敦君 安武 洋子君
内藤 功君 辻 一彦君
小巻 敏雄君 神谷信之助君
小谷 守君 工藤 良平君
上田 哲君 和田 静夫君
松本 英一君 小笠原貞子君
立木 洋君 沓脱タケ子君
鈴木 力君 中村 波男君
川村 清一君 杉山善太郎君
沢田 政治君 加藤 進君
渡辺 武君 塚田 大願君
安永 英雄君 吉田忠三郎君
鶴園 哲夫君 松永 忠二君
小柳 勇君 須藤 五郎君
岩間 正男君 星野 力君
阿具根 登君 野々山一三君
中村 英男君 秋山 長造君
藤田 進君 河田 賢治君
野坂 參三君 上田耕一郎君
春日 正一君
—————————————
反対者(青色票)氏名 百二十五名
宮田 輝君 寺下 岩蔵君
平井 卓志君 吉田 実君
中西 一郎君 山本茂一郎君
山内 一郎君 久保田藤麿君
前田佳都男君 木内 四郎君
佐多 宗二君 最上 進君
望月 邦夫君 森下 泰君
梶木 又三君 藤川 一秋君
福岡日出麿君 鳩山威一郎君
秦野 章君 夏目 忠雄君
林 ゆう君 安孫子藤吉君
青井 政美君 有田 一寿君
井上 吉夫君 石破 二朗君
中村 登美君 松岡 克由君
藤井 丙午君 桧垣徳太郎君
原 文兵衛君 中村 禎二君
高橋 邦雄君 細川 護煕君
宮崎 正雄君 林田悠紀夫君
佐藤 隆君 菅野 儀作君
石本 茂君 中山 太郎君
小林 国司君 寺本 廣作君
柳田桃太郎君 内藤誉三郎君
玉置 和郎君 高橋雄之助君
楠 正俊君 岩動 道行君
西村 尚治君 鍋島 直紹君
新谷寅三郎君 上原 正吉君
郡 祐一君 青木 一男君
徳永 正利君 小川 半次君
八木 一郎君 丸茂 重貞君
塩見 俊二君 志村 愛子君
河本嘉久蔵君 嶋崎 均君
棚辺 四郎君 中村 太郎君
戸塚 進也君 高橋 誉冨君
坂野 重信君 斎藤栄三郎君
山東 昭子君 糸山英太郎君
岩男 頴一君 岩上 妙子君
遠藤 要君 大島 友治君
大鷹 淑子君 斎藤 十朗君
古賀雷四郎君 黒住 忠行君
川野 辺静君 金井 元彦君
今泉 正二君 土屋 義彦君
山崎 竜男君 上田 稔君
初村滝一郎君 長田 裕二君
久次米健太郎君 鈴木 省吾君
世耕 政隆君 江藤 智君
藤田 正明君 大森 久司君
岡本 悟君 平泉 渉君
橘直 治君 町村 金五君
加藤 武徳君 安井 謙君
剱木 亨弘君 吉武 恵市君
増原 恵吉君 神田 博君
伊藤 五郎君 鹿島 俊雄君
大谷藤之助君 小笠 公韶君
亘 四郎君 橋本 繁蔵君
佐藤 信二君 亀井 久興君
岡田 広君 上條 勝久君
稲嶺 一郎君 矢野 登君
安田 隆明君 山崎 五郎君
高田 浩運君 増田 盛君
二木 謙吾君 源田 実君
熊谷太三郎君 植木 光教君
木村 睦男君 温水 三郎君
福井 勇君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/112
-
113・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第六 酒税法の一部を改正する法律案
日程第七 製造たばこ定価法の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/113
-
114・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) これより大蔵委員長の報告を求めるのでありますが、大塚喬君外三名から、委員会審査省略要求書を付して、大蔵委員長桧垣徳太郎君解任決議案が提出されておりますので、まず、本決議案についてお諮りいたします。
大蔵委員長桧垣徳太郎君解任決議案は、発議者要求のとおり、委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/114
-
115・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。よって、本決議案を議題といたします。
土屋義彦君外一名から、賛成者を得て、
本案の議事における趣旨説明、質疑、討論その他の発言時間は一人十分に制限することの動議が提出されました。
これより本動議の採決をいたします。
表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/115
-
116・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/116
-
117・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/117
-
118・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十七票
白色票 百二十三票
青色票 百十四票
よって、本案の議事における趣旨説明、質疑、討論その他の発言時間は、一人十分に制限することに決しました。(拍手)
─────・─────
〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 百二十三名
宮田 輝君 寺下 岩蔵君
平井 卓志君 吉田 実君
中西 一郎君 山本茂一郎君
山内 一郎君 久保田藤麿君
木内 四郎君 佐多 宗二君
最上 進君 望月 邦夫君
森下 泰君 梶木 又三君
藤川 一秋君 福岡日出麿君
鳩山威一郎君 秦野 章君
夏目 忠雄君 林 ゆう君
安孫子藤吉君 青井 政美君
有田 一寿君 井上 吉夫君
石破 二朗君 中村 登美君
松岡 克由君 藤井 丙午君
桧垣徳太郎君 原 文兵衛君
中村 禎二君 高橋 邦雄君
細川 護煕君 宮崎 正雄君
林田悠紀夫君 佐藤 隆君
菅野 儀作君 石本 茂君
中山 太郎君 小林 国司君
寺本 廣作君 柳田桃太郎君
内藤誉三郎君 高橋雄之助君
楠 正俊君 岩動 道行君
西村 尚治君 鍋島 直紹君
新谷寅三郎君 上原 正吉君
郡 祐一君 青木 一男君
徳永 正利君 小川 半次君
八木 一郎君 丸茂 重貞君
塩見 俊二君 志村 愛子君
河本嘉久蔵君 嶋崎 均君
棚辺 四郎君 中村 太郎君
戸塚 進也君 高橋 誉冨君
坂野 重信君 斎藤栄三郎君
山東 昭子君 糸山英太郎君
岩男 頴一君 岩上 妙子君
遠藤 要君 大島 友治君
大鷹 淑子君 斎藤 十朗君
古賀雷四郎君 黒住 忠行君
川野 辺静君 金井 元彦君
今泉 正二君 土屋 義彦君
山崎 竜男君 上田 稔君
初村滝一郎君 長田 裕二君
久次米健太郎君 鈴木 省吾君
世耕 政隆君 江藤 智君
藤田 正明君 大森 久司君
岡本 悟君 平泉 渉君
橘直 治君 町村 金五君
加藤 武徳君 安井 謙君
剱木 亨弘君 吉武 恵市君
増原 恵吉君 神田 博君
伊藤 五郎君 鹿島 俊雄君
大谷藤之助君 小笠 公韶君
亘 四郎君 橋本 繁蔵君
佐藤 信二君 亀井 久興君
岡田 広君 上條 勝久君
稲嶺 一郎君 矢野 登君
安田 隆明君 山崎 五郎君
高田 浩運君 増田 盛君
二木 謙吾君 源田 実君
熊谷太三郎君 植木 光教君
木村 睦男君 温水 三郎君
福井 勇君
—————————————
反対者(青色票)氏名 百十四名
太田 淳夫君 矢原 秀男君
野末 陳平君 喜屋武眞榮君
下村 泰君 相沢 武彦君
塩出 啓典君 青島 幸男君
市川 房枝君 柄谷 道一君
内田 善利君 桑名 義治君
三治 重信君 上林繁次郎君
阿部 憲一君 三木 忠雄君
藤原 房雄君 和田 春生君
栗林 卓司君 黒柳 明君
矢追 秀彦君 原田 立君
田代富士男君 藤井 恒男君
木島 則夫君 鈴木 一弘君
山田 徹一君 宮崎 正義君
柏原 ヤス君 中村 利次君
田渕 哲也君 二宮 文造君
白木義一郎君 小平 芳平君
多田 省吾君 中尾 辰義君
向井 長年君 福間 知之君
矢田部 理君 案納 勝君
久保 亘君 青木 薪次君
野田 哲君 対馬 孝且君
秦 豊君 浜本 万三君
大塚 喬君 小山 一平君
片岡 勝治君 田 英夫君
宮之原貞光君 鈴木美枝子君
神沢 浄君 前川 旦君
竹田 現照君 山崎 昇君
村田 秀三君 小野 明君
野口 忠夫君 栗原 俊夫君
茜ケ久保重光君 瀬谷 英行君
森 勝治君 戸叶 武君
田中寿美子君 竹田 四郎君
戸田 菊雄君 森中 守義君
志苫 裕君 森下 昭司君
近藤 忠孝君 山中 郁子君
粕谷 照美君 片山 甚市君
目黒今朝次郎君 橋本 敦君
安武 洋子君 内藤 功君
辻 一彦君 小巻 敏雄君
神谷信之助君 小谷 守君
工藤 良平君 上田 哲君
和田 静夫君 松本 英一君
小笠原貞子君 立木 洋君
沓脱タケ子君 鈴木 力君
中村 波男君 川村 清一君
杉山善太郎君 沢田 政治君
加藤 進君 渡辺 武君
塚田 大願君 安永 英雄君
吉田忠三郎君 鶴園 哲夫君
松永 忠二君 小柳 勇君
須藤 五郎君 岩間 正男君
星野 力君 阿具根 登君
野々山一三君 中村 英男君
秋山 長造君 藤田 進君
河田 賢治君 野坂 參三君
上田耕一郎君 春日 正一君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/118
-
119・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) これより発議者の趣旨説明を求めます。大塚喬君。
〔大塚喬君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/119
-
120・大塚喬
○大塚喬君 私は、日本社会党、公明党、民社党、第二院クラブを代表して、大蔵委員長桧垣徳太郎君の解任決議案の趣旨説明を行うものであります。(拍手)
大蔵委員長桧垣徳太郎君解任決議案。
本院は、大蔵委員長桧垣徳太郎君を解任する。
右決議する。
解任の理由を申し上げます。
初めに、その事実の経過を明らかにいたしますならば、十一月二十日、大蔵委員会は午前十時三十七分開会され、理事会決定に基づいて社会党、公明党、共産党、民社党、二院クラブの順序で、それぞれ持ち時間も定められ、各党一巡の議事日程で質疑が行われたのであります。同日午後、午前中から引き続いてわが党の同僚議員である寺田熊雄君が質問に立ち、酒類の原価について、物価政策上きわめて重要な問題でありますので、まことに真摯な質疑を続けておったのであります。この大蔵委員会の会場である第三委員会室は、議題が酒、たばこ値上げ二法案というきわめて重要な問題でありますだけに、傍聴者の方も多数見えておられました。しかし、会議そのものは至極円満に、順調に進行されておったのであります。このとき突如自民党の上條勝久君から発言がありました。この経過の詳細につきましては、大蔵委員会会議録第四号、昭和五十年十一月二十日号に述べられておるものですので、どなたもひとつぜひごらんをいただいて、篤と内容を御承知いただきたいと存じます。ともかく大蔵委員会はこのために騒然といたしました。その騒然とした中でついに会議は散会になったのであります。
で、その後、大蔵委員長桧垣徳太郎君は、同じく十一月二十日付で議長あてに酒、たばこ値上げ二法案についての審査報告書を提出いたしております。これによれば、国会法第五十条後段の規定に基づき可決すべきものであるとされております。しかし、当日このような議決をした事実は全くありません。すべて後でつけ加えられ、作文をされたものであります。
当日、私は上條君の「委員長」との発言、この発言と同時に間髪を入れず飛び出して、委員長の真っ正面から、大ぜいの方のわきの下をかいくぐって抗議をいたしました。そのとき、委員長桧垣徳太郎君は顔面蒼白、ほおを引きつらして、眼をうつろにして一言も発しなかったのであります。議場騒然とした中で、桧垣君はまさに荘然自失のていでありました。何らなすところがありませんでした。そして、その混乱の中で約二分経過したところが、桧垣徳太郎君は自民党議員の多数によって拉致されるようにこの大蔵委員会から連れ出されたのであります。これが当日の大蔵委員会審議経過の概要であります。したがって、大蔵委員長桧垣徳太郎君の河野議長あてに提出した審議報告書なるものはでっち上げであり、全く虚偽の作文であります。彼の議決と称するものは、したがって無効であります。もしも事実ありとすれば、このときに委員長後方におった自民党の某議員、この者が立って何やら一言わめいておりました。そして両手を挙げておりました。しかし、これは大蔵委員でも、もちろん大蔵委員長でもありません。論外であります。
さて、以上の経過の上に立って、私は桧垣徳太郎君の解任決議案の趣旨説明を続けます。歯にきぬを着せずに述べさせていただくならば、大蔵委員長桧垣徳太郎君は委員長の重責を担うには余りにも不適格者であります。なぜならば、彼は強行採決、単独審議の常習者であります。
その一つ。第七十五国会、自民党秘書団の逆ピケに守られた中で、七月一日夜十時三分、大蔵委員会を委員長職権で開会をし、そして自民党の単独強行採決を実施をいたしました。この所要時間わずかに一分です。一分。
その二。第七十六国会、十一月十三日午後七時十分、自民党単独で委員会を開会、大蔵大臣の提案理由の説明を強行いたしました。このときの所要時間はわずかに二分であります。
その三。第七十六国会、十一月二十日午後二時三十二分、これがこのたびの暴挙であります。これの所要時間はわずかに二分であります。
このようなごく短い期間の間に、前後三回もの単独・強行採決の連続、これはわが国の国会史上その例を見ない暴挙であり、国会の審議権を無視し、議会制民主主義を根本から踏みにじるものであります。まことに不信、不法な行為であり、断じて許すことはできません。(拍手)したがって、このような人物がこれ以上大蔵委員長の職にとどまることはまことに不当であり、単独審議、強行採決の常習者桧垣徳太郎君を大蔵委員長の席から排除せんとする第一の理由であります。
ここで私はぜひ付言をいたしたいことがございます。桧垣徳太郎君、この方は、委員会で前記のような強行採決、単独審議、こういうことがあるたびにその後に陳謝をし、釈明をし、そして円満かつ充実した運営を約束しておるのであります。ところが、このような約束、陳謝の後には、必ず決まってその直後に単独強行採決、これをやる、まことに妙な癖を持った人物であります。言行不一致、まことに国会議員としてはふさわしくない人物ではないかと私は考えるものであります。とても陳謝などでは信用できないものであります。
解任の第二の理由、それは、桧垣徳太郎君は大蔵委員会の職責と法案の重要性に対する十分な認識を欠如したものである、こういうことであります。たび重なる値上げ法案の単独審議、強行採決は、これはもちろん、政府・自民党のあらかじめ計画立案したものであることは疑いを入れません。そして、この強行スケジュールに率先参加をし、行動の首謀的役割りを果たしてきたものは、実に大蔵委員長桧垣徳太郎君その人であります。大蔵委員会は歳入委員会の性格と重要性を持つ委員会であります。したがって、その運営のいかんは、その及ぼす影響はきわめて大きなものがあります。歳入委員会の特質から、国民各層のふところぐあいに直接結びつき、その運営の方法いかんは、即国民に政治不信を強めたり、国会の機能や権威を失墜させる結果を直ちに生み出すものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/120
-
121・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 大塚君、大塚君、時間が超過しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/121
-
122・大塚喬
○大塚喬君(続) あなたが軽々にとった態度が大蔵委員会のみならず、本院全体にかくも大きな混乱、混迷を引き起こしておるのであります。
次に、本法案の持つ内容に触れながら、少しく申し上げますと……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/122
-
123・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 大塚君、大塚君、時間が超過しております。簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/123
-
124・大塚喬
○大塚喬君(続) この値上げ二法案は、他の公共料金値上げ法案と全く異なるものであります。酒もたばこも現在すでに十分な税収、専売益金が確保されておるものであります。今回その税収、益金率を大幅に引き上げようとする。それはひとえに勤労者の犠牲と負担において政府・自民党の大企業本位の政策遂行のための財源確保のねらいではありませんか。毎日毎日まじめに働き、つつましく生きておる庶民大衆から生活の憩いと楽しみを奪うものであります。大蔵委員長桧垣徳太郎君もそのことを知らぬはずはないのであります。ともかく、この点について認識が浅薄不十分であることは事実であります。
大蔵委員会は古きよき伝統を持った委員会であると言われておりました。多数決の横暴を戒め、単独審議、強行採決は絶対に行わない。慎重に鋭意審議を積み重ね、審議、討論が終結すれば賛否を問う議会制民主主義の基本を守ってきたのであります。しかしながら、今回一挙にこれがじゅうりんされました。これは最近政府・自民党に強まりつつある、国会審議運営についての一方的に凶暴化しエスカレートしておる風潮によるところが大であろうと思います。しかし、桧垣徳太郎君がおのれの大蔵委員長の地位を確保するのにきゅうきゅうとして、自己の政治信念や議会のルールを曲げた、政治家として……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/124
-
125・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 大塚君、簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/125
-
126・大塚喬
○大塚喬君(続) 変節な行為であるとすれば、これはまことに恥ずかしいことであります。
私はこの壇上から大蔵委員長桧垣徳太郎君にお尋ねをしたい。あなたは、いまあなたのとった強行採決と言われるその後の混乱について……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/126
-
127・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 大塚君、時間が超過しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/127
-
128・大塚喬
○大塚喬君(続) 深く反省をなさっておると思います。これから、この特例法の審議をどう進めようとするのか。民主主義を守り、国民の信をつなぐためには、いま多くの言葉は要しません。その実現を図るために、本決議案の審議を待たずに、直ちにあなたはあなたの意思で辞任をしていただきたいのであります。このようにあなたの深い反省に立った決然とした態度が、この危殆に瀕した大蔵委員会運営を再建し、軌道に乗せ、民主的にきわめて適切な方法であることを私はあなたに率直に示唆をするものであります。
大蔵委員会がその機能と権威を回復させるためにその必要な条件をつくり出すのはあなた自身でなければなりません。あなたはこのことを十分に認識され、最も賢明に善処されますよう強く要望いたしますとともに、満堂の諸君が……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/128
-
129・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 大塚君、簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/129
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130・大塚喬
○大塚喬君(続) 諸君の御理解と御賛同をお願い申し上げ、私の趣旨説明を終わるものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/130
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131・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 質疑の通告がございます。順次発言を許します。小山一平君。
〔小山一平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/131
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132・小山一平
○小山一平君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました大蔵委員長桧垣徳太郎君解任決議案について、提案者である大塚委員に対し若干の質問をいたします。
戦後、国会は重要法案をめぐってしばしば異常国会、変則国会と言われる事態を繰り返してまいりました。その事例を数え上げれば切りがございません。そしてそのたびごとに正常化への努力が議会で確認されるのでありますが、しばらくするとまた同様のことが繰り返されてまいりました。このことがどれほど国会と議員の信頼を傷つけ、ひいては国民の政治に対する不信を招いてきたかについてわれわれは謙虚に反省する必要があると思います。いま国民が保革伯仲の参議院に期待するものは、数に物を言わせてみだりに一方的な強行採決などが行われることなく、民主的に徹底した審議が尽くされ、野党の意見も尊重され、国民の期待する結論に到達するパターンであると思います。
河野議長もかつて、参議院が衆議院と同じ運営を繰り返していれば、その存在意義がなくなる。しかるに、現実には衆議院と同じことをやってきて国民を失望させている。いまや参議院は全くなくしてしまうか、その機能を十分発揮するようにしなければならない瀬戸際に立たされているとして、参議院改革の意欲を示されたことは記憶に新たなものがございます。立法府が議案の審議に当たって慎重を旨としなければならないのは当然であり、特に第二院の参議院としては緻密な審議を尽くし、時として衆議院の審議を補正すべき任務を持っているのであります。イギリスの上院が非現代的構成を持ちながら一応の評価を受けているのは、その国柄にもよるでありましょうが、議案審議の徹底した精緻にあると言われております。
重要法案が衆議院から参議院に送付されてくると、与党自民党は党の要請に迫られるせいでもありましょうが、やみくも早朝に議決しようとする傾向が強くなってきたことはまことに遺憾であります。重要法案をめぐる与野党の対立は民主的妥協の余地が少ないことによるものであって、その処理が困難であることは明らかであります。しかし、そうであればあるほど徹底した審議が必要であり、大蔵委員会の強行採決のように、幾人もの質問者を残し、審議が十分尽くされていない段階で一方的に質疑を打ち切って強行採決の挙に出るようなことは、議会制民主主義を破壊に導くものであると思います。ここに解任決議案が出されるのは当然でございます。
私は、まず第一に、大塚議員に対し、このように議会制民主主義がますます危機に立たされていることについて御見解を求めたいのであります。
次に、議員各位も御承知のとおり、参議院の活動の歴史の中で、緑風会が大きな勢力と影響力を持ち、参議院がその良識ある行動と判断を尊重し、「理の政治」の理念を貫く姿勢を堅持して国民の期待にこたえた時代が最も高く評価をされております。
緑風会が消滅した以後におきましても、昭和二十七年の国会では破壊活動防止法の乱用防止の規定の挿入、昭和二十九年国会では、吉田内閣の指揮権発動に対する警告決議及び教育二法案の修正など、院の独自性が発揮されて、当時の世論にこたえたものとして評価されております。
現在、参議院の政党化が進み、党議の拘束が強化されていることはやむを得ざることでありますが、与党が常に数の力学を唯一の武器と考え、性急に数の力による決着を強行して「理の政治」の理念を放棄するならば、現憲法制定に当たって二院制が採用されるに至った経緯にさかのぼるまでもなく、二院制について、さらには参議院の存在意義について問い直されなければならないことをみずから厳しく反省すべきでありましょう。
私は、大蔵委員長桧垣徳太郎君の暴挙は、議会制民主主義を損なうばかりでなしに、参議院の良識と独自性を放棄してその存在意義をみずから危うくする行為であると考えますが、この点について大塚議員の御見解を承りたいのであります。(拍手)
今回の酒、たばこ値上げ法案は、不況と物価高にあえぐ庶民大衆にとっては過酷な大衆課税であります。政府。自民党は、経済の高度成長政策、列島改造等、その政策の誤りによって国民を不況とインフレのどん底に陥れ、国家財政、地方財政を危機に追いやる結果を招いたのでありますが、そのしりぬぐいをこのような庶民大衆収奪に転嫁しようとしていることは許せません。酒、たばこは嗜好品であって生活必需物資でないとして、値上げを合理化そうとする論もありますが、それは庶民の生活実態や庶民の心を無視する暴言でございます。与党の諸君が党議の拘束を排除して、この値上げに反対して世論にこたえるほどの勇気を期待することは無理でありましょうけれども、私は、参議院においては強行採決はやらないぐらいの独自性は発揮していただきたいのであります。
大塚議員は、国会随一の酒についての研究者でもあります。桧垣君が強行採決した酒、たばこの値上げ法案が庶民大衆にとってどれほど重大な問題であるかについて、そのお考えをお尋ねいたしたいと思います。
まず、以上をお尋ね申し上げます。(拍手)
〔大塚喬君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/132
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133・大塚喬
○大塚喬君 小山一平議員の御質問にお答えをいたしたいと存じます。
まことにりっぱな御意見をお聞かせいただいて、私もおっしゃることに一々うなずきながらお聞きをいたしておったところでありますが、なお重ねて付言をさせていただきますならば、初めに議会制民主主義と参議院の存在の理由、このことについて答えを述べさせていただきます。
日本国憲法は、第四十二条において、「國會は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。」とあります。二院制を採用した理由は、列挙すれば多くの点を挙げることができると思いますが、特に重要な点は次の二点であろうと思います。
第一に、一院制においては、往々にして多数決原理の行き過ぎ、これは現在までの衆議院の経過のようなものであります。多数横暴の弊害を生じ、結果的には国会の決定が国民の意思と遊離する危険があるということであります。そこで、多数横暴を抑制し、議会制民主主義の健全な発展のために抑制的機能を果たすべき他の一院の存在がどうしても必要となるわけであります。
第二は、二院制をとることにより、一院の意思決定を他の院において別な観点から補整するとともに、一院の議決後に生じた世論の推移を見守りながら、他の院においてこれを修正する余地を残しているということであります。歴史的に概観してみましても、古くは、第十三国会の破防法の修正、第十九国会の教育二法の修正、そして第三十八国会の酔っぱらい行為防止法の制定、そして最近では第七十一国会の国鉄運賃値上げの時期の修正など、参議院の良識を発揮した事例は数多く挙げられることができるのであります。特に、今回の酒、たばこの衆議院における委員会での強行採決、本会議での異常事態の中での採決といった事態を補整し、正常に軌道に乗せ、真に国民の意思を反映させようというのが参議院の重要な役割りであると私は信ずるものであります。しかるに、その責務を負う本院の大蔵委員会において、数を頼んで強行採決の暴挙に出るがごときは、議会制民主主義、そして憲法に定める二院制の本旨を踏みにじる行為であり、断じて許すことのできないものと私は考えておるものであります。
次に、酒、たばこの値上げが庶民にどのような影響を持つものであるか。酒やたばこは、これは嗜好品中の、その中の最もの嗜好品であります。これを財政物資ということで、時の為政者が庶民に禁酒をしたり、抑圧したりしてきたことは歴史にもございますが、しかし、嗜好品だから価格が高くてもよい、また禁止してもよい、こういう論拠にはならないのも歴史が証明しておるところであります。食後の一服、仕事の後の一杯の晩酌、これは庶民にとって欠かせないものであり、生活のリズムであり、必需品であります。いかなる権力者でも、このささやかな楽しみを奪ったり抑えたりすることはできないものであろうと考えておるものであります。今回の大幅な値上げは、まさしくこの庶民の声を無視した権力の乱用であります。政治をつかさどる資格はないと言っても過言ではないと思うのであります。政府の経済政策の失敗によってもたらされた歳入欠陥、そしてこの大不況、大幅値上げにしても、国民は酒やたばこをやめられないという嗜好品の弱点をついたまことに卑劣な手段で財政を確保しようとする、このようなところに私は問題があろうと思うのであります。国民にその責任を転嫁しようとする。いま日本の成人人口の七〇%以上の人が酒をたしなんでおります。また八〇%の人が紫煙——たばこを楽しんでおります。酒、たばこの増税はまさしく大衆課税以外の何物でもないものであります。これら間接税の増強はインフレ、不況対策とは逆行する政策であり、納得できません。酒やたばこは庶民にとっては、それをたしなむのも自由、たしなまないのも自由ということで、幅の広い選択の中で、人によって特定の消費量と接触行動の独自のパターンをもつパーソナリティが望まれ、生活の伴侶となるものと私は考えておるものであります。酒、たばこを欠くことはその人の個性を、その人の人生をも生きと語ることはできないということを——人生のかなり重要な部分を装飾する伴侶なのであって、政府といえども、それを奪ったり抑えたりすることはできないものである。私はこのように考えて、この値上げをどうしても賛成することができないという立場をとるものでございます。
以上で答弁を終わらせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/133
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134・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 小山一平君。
〔小山一平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/134
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135・小山一平
○小山一平君 ただいまは非常に懇切な御答弁をいただいてまことにありがとうございました。
さらに、もう一点について追加してお尋ねをいたしたいと思います。
今国会の空転、混迷ぶりはかつて見たことのないほどの目に余るありさまであります。
その原因の第一は、今国会が不況対策国会と銘打って九月十一日に召集されながら、政府は補正予算を提出せず、一連の値上げ法案を優先的に提案してきたところにあります。議会を召集しながら予算案の提出が一ヵ月も後になるというような非常識は、辺地の村議会でもやりません。当初から議会が空転するのは当然のことであります。
第二は、十一月二十二日、衆議院で社会党、公明党を抜きにして会期延長を強行したことであります。
第三は、衆議院大蔵委員会、なおまた、ただいま問題となっているように、参議院大蔵委員会における桧垣委員長による酒、たばこ値上げ法案の強行採決であります。
加えて、スト権ストに対処するべき三木総理の当事者能力の欠如と指導力の欠如がございます。さらに、三木総理の党内派閥の前にその無力ぶりを露呈し、かっこうのいい公約も対話と協調も放棄し、節を曲げてタカ派に迎合してその延命を図ろうとする姿勢にございます。
私は自民党による単独採決、強行採決を繰り返す議事運営の中に議会制の病理を見るのでありますが、大蔵委員会の強行採決の不当性にとどまらず、私は議事手続無視の違法を指摘したいと思うのであります。
大蔵委員会における採決について大塚委員が先刻詳細に述べられましたように、上條勝久君の動議も、委員長の発言も、賛否の表決も、いずれも所定の手続や手順を欠いており、あのような実態でも採決が有効であるとしてまかり通るならば、国会とは実に奇怪なところと言わざるを得ません。この問題は憲法学者の間でも厳しい批判のあることは御承知のことと思います。私は採決の違法とその無効についてさらに大塚委員の見解を明確にしていただき、議会制民主主義を守り参議院の良識と権威を回復するために自民党議員諸君の反省を促したいと思うのであります。せっかくの意義ある発言をしていると思っているのに欠席者の多いのはまことに遺憾であります。どうぞ大塚委員の御答弁をお願いを申し上げます。(拍手)
〔大塚喬君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/135
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136・大塚喬
○大塚喬君 小山一平君の重ねての質問にお答えを申し上げます。
質問の要旨は、手続、手順が欠如しておる採択の違法性、こういうことについてお尋ねがあったものと理解をいたします。
先ほども申し上げましたとおり、去る十一月二十日の大蔵委員会桧垣徳太郎君の採決、そしてこのことに対する議長あての審査報告書、これには、国会法第五十条後段の規定に基づき可決すべきものであると議決したと述べておるのであります。だが、先ほど申し上げたとおり、当日の大蔵委員会の会議録を見ても、両法案の採決という事実は全く存在しておらないことが明白であります。採決があったとおぼしき個所をもう一度皆様に申し上げますと、自民党の上條委員が「委員長、ただいま……」これは議事録ございますから、上條委員が「委員長、ただいま」、そして「(発言する者多く、議場騒然)……」となっておるわけであります。これに対し委員長は、やはりそこのところの議事録を読んでみますと、「(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)……」とあります。「本日はこれにて散会いたします。」。ですから、議事録をごらんいただいてわかりますように、上條君の「委員長、ただいま」という一言、そして委員長の「本日はこれにて散会いたします。」と記載されておるだけであります。このように、上條委員の発言は何物を意味する発言であるか全く不明であります。そして委員会は直ちに散会を委員長が宣言をいたしておるわけであります。したがって、採決の事実はどこにも見当たりません。したがって、大蔵委員長は事実をでっち上げし、虚偽の審査報告書を議長に提出したことになるわけであります。かように、大蔵委員会における酒、たばこの両値上げ法案の議決が存在しないことは、これは全くどなたがごらんいただいても明らかであります。もし仮に採決があったといたしましても、審査報告書の作成につき当委員会に諮ることになっておるのに、委員長はこれを怠っておるのであります。採決が違法というより採決そのものが存在しておらないのであります。審査報告書の内容は、虚偽であるばかりか、それ自体正規の手続を踏んでおらないのであります。まさに無効であり、文書偽造、私はこれは公文書になると思うわけでありますが、本当なら手が後ろでこうなっても私は当然だと思うわけであります。
私は、ただいまの小山一平君のお尋ねに対して私はそのような理解をいたしておることをここで明言をいたすものでございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/136
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137・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 矢原秀男君。
〔矢原秀男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/137
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138・矢原秀男
○矢原秀男君 私は、公明党を代表して、ただいま提案のありました参議院大蔵委員長桧垣徳太郎君の解任決議案に対して、提案者大塚喬君に若干の質問を行います。
酒、たばこ両値上げ法案について前国会より政府・自民党の異常なごり押しが本院の大蔵委員会でも行われました。全く議会軽視もはなはだしいものであります。
この両値上げ法案に対する政府・自民党の暴挙を見ますと、まず、前国会の七月一日、参議院大蔵委員会の開会を抜き打ちに行い、廊下を自民党関係者の一団でピケを張って、自民党による単独強行採決をたった数分間で行ったのであります。
また、この七十六臨時国会においても、両値上げ法案の衆議院での本会議における趣旨説明を行わず、一方的に委員会に付託、一度も審議が行われないまま単独強行採決を行い、本会議でも野党の反対を押して一方的に開会して強行採決を行い、参議院に来てからも同様のことが続いております。
まず、十一月十三日、大蔵委員会で両値上げ法案の趣旨説明を自民党単独で強行し、さらにその後の委員会では、同値上げ法案に対し公明党の質疑は行わせないまま質疑を打ち切り、強行採決を行ったのでございます。
これは、前国会で廃案となった酒、たばこ値上げ法案を再度今国会に提案してきたことでさえ異常であるにもかかわらず、再三にわたる政府・自民党の強行は許しがたい行為であります。
酒、たばこの値上げは、国民生活に多大な悪影響を与える法案でございます。まして、前国会で廃案となっている経過からしても、十分に審議を行うことは国民に対する国会の責任であることは申すまでもありません。
わが公明党は、この政府・自民党のたび重なる暴挙に対して、直ちに河野議長に、大蔵委員会の酒、たばこ値上げ二法案の採決は無効であること、さらに大蔵委員会に同法案を差し戻すことを強く申し入れました。
このように国民生活を全く無視、ただ政府・自民党の都合だけでこのようなごり押しを再三行うことは、国民の政治不信を増大させ、さらに良識の府である本院の権威を著しく失墜せしめるものでありますが、これについて提案者の御意見をお伺いいたします。
次に、この値上げは低所得者にとって大きな負担増加となる税の逆進性が高いので、多方面より値上げ反対の声があります。つまり、酒税とたばこ納付金を含めた間接税については、所得額の高低にかかわらず全く同じ税額となるこの税率引き上げは、明らかに大衆課税強化であります。現在のような不公正税制のもとで酒、たばこの値上げは、さらに税の不公正を拡大することは明らかでございます。まして、政府はみずからの経済政策の失敗によって三兆四千八百億円という巨額の歳入欠陥を生じさせ、穴埋めとして安易にこの酒税、たばこ値上げによって補おうとしています。これは、昨年の税制調査会の答申の中では酒、たばこの値上げについては全く触れられていなかったのに、五十年度の歳入欠陥が巨額になることが明らかになってきた時点で急遽提案されたことがらして、歳入補てんのための増税案であることは明らかでございますが、提案者の御所見を承りたいと思います。
現在、国民は自民党政府の失政による不況の波をもろに受けており、十一月の企業倒産は戦後最大の一千三百十七件であり、その大部分は中小零細企業でございます。また、雇用状況も、新卒者の採用減、臨時社員の解雇、一時帰休等によって悪化しており、総理府統計局発表で、十月、わが国の完全失業者数は百三万人に達し、前年同月に比べて実に二十八万人の増加であります。十一月、十二月にはさらにふえると言われております。中小零細企業においてはボーナスの支給が出せるかどうかという大変厳しいところもあります。このような苦しい経済状態の中に国民を陥れており、ささやかな楽しみである酒、たばこの値上げをしようという政府・自民党と、さらにそれを推進さしている大蔵委員長桧垣徳太郎君は、国民生活に背を向けた姿勢であることは明らかでございますが、これに対する提案者の御見解をお伺いいたします。
次に、この値上げが他の物価に及ぼす影響はきわめて大きく、新価格体系という政府主導型の物価つり上げのはずみとなることは必至でございます。鉄、石油等の原材料費の値上がりに加えて、郵便、電信電話、ガス料金、さらに国鉄、私鉄運賃等の公共料金の一連値上げが言われ、また来年度の税制改正では大幅増税が予定されております。その上、財政赤字での大量の国債発行による通貨の増発等、これらのことを見ますと、今後の物価上昇は必至であり、その口火を切るのがこの酒、たばこの値上げであります。それを余りにも安易に強行採決甘しめた桧垣徳太郎君の無見識な政治姿勢を疑わざるを得ませんが、提案者の御見解はいかがでございましょうか、お尋ねをいたします。
高度経済成長から低成長への転換期に当たり、今後の財政、税制、金融政策等のいずれにおいても大変な重要問題が山積しております。その中で大蔵委員会の果たす役割りははかり知れないものがあり、直接国民生活への重大な影響を与えることからして、十分なる審議と委員会の円滑運営が行われるように委員長が努力すべきことは当然であります。いままで大蔵委員会での委員長桧垣徳太郎君のとった行動は、まさしく政府・自民党の都合によるものだけで、国民に背を向けたものと断ぜざるを得ないと思います。このことについて提案者はいかがお考えでございましょうかお伺いをいたします。
最後に、この酒税、たばこ値上げ法案の委員会採決を無効として、委員会への差し戻しを行うべきことを強く主張するものでございます。これに対する提案者の御所見を伺いまして私の質問を終わります。(拍手)
〔大塚喬君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/138
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139・大塚喬
○大塚喬君 公明党矢原議員の質問にお答えを申し上げます。
あなたのおっしゃるとおり、参議院は戦後良識の府として、衆議院の多数決原理の行き過ぎをチェックし、議会制民主主義をより完全なものにするために、そしてその期待のもとに現在まで活躍を続けてきたものであろうと考えるものであります。
にもかかわらず、衆議院における多数横暴による暴挙を反省するどころか、参議院の本質を全く顧慮することなく、しかも手続的に見ても不法な強行採決をあえてした大蔵委員長桧垣徳太郎君の行為は、参議院の良識の府としての権威を全く失墜せしめる以外の何物でもございません。(拍手)
次に、酒、たばこの増税は歳入欠陥を補完するためのものではないかという趣旨の御質問でありますが、政府は今回の酒、たばこの値上げで補正予算を、酒税で二百六十億円、たばこで千六十八億円、計千三百二十八億円の増税を見込んでいるわけでありますが、一方、歳入欠陥は実に三兆円から五兆円と言われておるわけであります。これと比較をしてみますならば、酒、たばこの増税はまことに微々たるものでありまして、財政収入としてわずかな効果しか期待できないものであります。そして、国民大衆が強く反対している酒、たばこの値上げ、これで財政欠陥をカバーしようとする政府の姿勢が私にはどうしても理解ができないのであります。財政収入としてはわずかですが、実に国民にとってはこれは大きな痛手を受けるものであります。そしてまた、あなたがおっしゃるように、第二次の物価狂乱、インフレを引き起こす引き金にもなりかねないまことに恐ろしいものと言わなければならないと私は考えております。このように政府は歳入欠陥という大きな穴を国民の反対している酒、たばこでふさごうとしておるのがこの法案、このような混乱のすべての原因であることを自民党の諸君もぜひ銘記をいただきたいと思うものであります。
また、大蔵委員長の政治姿勢についてでありますが、逆進性の強い酒、たばこの値上げ法案、税の重要な機能としての所得再配分を全く踏みにじるもの、私どもは全野党の皆さんが反対いたしておりますように、この酒、たばこの値上げ二法は全く不当なものと断ぜざるを得ないわけであります。租税特別措置、この中で見られますように、税負担の公平が是正されていない現行税体系のもとでは、これが国民の納得を得られるものでは決してありません。再三にわたって全野党がこれに反対をし、これの阻止に努めてきたことは実にこういうところにその因があるわけであります。まことに残念ながら、桧垣大蔵委員長が、自民党が単独で強行採決をするこの値上げ法案、これを先ほど申し上げたように、委員会に強行付託をし、わが党初め多くの野党の皆さん方が、これらの法案の内容を審議の場で不当性を強く主張し、政府・与党の猛省を促し続けてきたことはあなたも御承知のとおりであろうと思います。しかもまた質疑を終わらないうちに——国民の意思を議会で十分にただすべきであろうと思うわけでありますが、わが党の寺田議員の発言中、採決を強行した桧垣大蔵委員長、この政治姿勢は、議会制民主主義の立場から、どなたがお考えいただいても、これは容認できないものであろうと考えるものであります。国民不在の暴挙であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
最後に、酒、たばこ増税案の委員会処理の不当性について御指摘がございました。また、今後の取り扱いについてもお尋ねがございました。両案の大蔵委員会の処理につきましては、先ほどわが党の小山議員から質問があり、それにお答えいたしましたとおり、全く不当なものでありますので、われわれは断じて委員会の処理が済んだものとは考えておりません。したがいまして、虚偽の審査報告書を速やかに撤回をし、両法案を委員会に差し戻し、委員会審査を継続することが最も正しい処理の方法であろうと私は確信をいたしておるものであります。速やかに本院がこのような措置をとられることを重ねて要望するものでございます。
終わり。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/139
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140・前田佳都男
○副議長(前田佳都男君) 本日はこれにて延会することとし、次会は明日午前十時より開会いたします。
これにて延会いたします。
午後十一時二十六分延会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615254X01319751212/140
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