1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十一年十月五日(火曜日)
午後四時十分開議
出席委員
委員長 中川 一郎君
理事 加藤 六月君 理事 佐藤 守良君
理事 浜田 幸一君 理事 増岡 博之君
理事 斉藤 正男君 理事 坂本 恭一君
理事 梅田 勝君
木野 晴夫君 木部 佳昭君
佐藤 文生君 關谷 勝利君
葉梨 信行君 細田 吉藏君
前田治一郎君 宮崎 茂一君
森 美秀君 山下 元利君
綿貫 民輔君 太田 一夫君
久保 三郎君 兒玉 末男君
楯 兼次郎君 紺野与次郎君
三浦 久君 松本 忠助君
河村 勝君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 石田 博英君
出席政府委員
経済企画庁物価
局長 喜多村治雄君
経済企画庁総合
計画局長 宮崎 勇君
大蔵省主計局次
長 松下 康雄君
厚生省社会局長 翁 久次郎君
運輸省鉄道監督
局長 住田 正二君
委員外の出席者
経済企画庁長官
官房参事官 朴木 正君
資源エネルギー
庁石油部流通課
長 宇田川治宣君
運輸大臣官房審
議官 真島 健君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 杉浦 喬也君
労働省職業安定
局特別雇用対策
課長 清水 傳雄君
自治省行政局選
挙部長 佐藤 順一君
日本国有鉄道総
裁 高木 文雄君
日本国有鉄道常
務理事 田口 通夫君
日本国有鉄道常
務理事 馬渡 一眞君
日本国有鉄道常
務理事 吉武 秀夫君
参 考 人
(日本鉄道建設
公団総裁) 篠原 武司君
運輸委員会調査
室長 鎌瀬 正己君
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委員の異動
九月三十日
辞任 補欠選任
石田幸四郎君 矢野 絢也君
同日
辞任 補欠選任
矢野 絢也君 石田幸四郎君
十月五日
辞任 補欠選任
竹中 修一君 綿貫 民輔君
徳安 實藏君 森 美秀君
丹羽喬四郎君 山下 元利君
野田 毅君 木野 晴夫君
渡辺 紘三君 前田治一郎君
同日
辞任 補欠選任
木野 晴夫君 野田 毅君
前田治一郎君 渡辺 紘三君
森 美秀君 徳安 實藏君
山下 元利君 丹羽喬四郎君
綿貫 民輔君 竹中 修一君
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九月三十日
国鉄運賃値上げ反対等に関する請願(紺野与次
郎君紹介)(第四三号)
国鉄運賃の値上げ反対に関する請願(楯兼次郎
君紹介)(第九二号)
国鉄の運賃値上げ反対等に関する請願外四件
(楯兼次郎君紹介)(第一五二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改
正する法律案(内閣提出、第七十七回国会閣法
第一六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/0
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001・中川一郎
○中川委員長 これより会議を開きます。
第七十七回国会から継続審査となっております国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、前国会におきましてすでに趣旨説明は聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/1
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002・中川一郎
○中川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を的
正する法律案
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/2
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003・中川一郎
○中川委員長 これより、本案について質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/3
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004・久保三郎
○久保(三)委員 まず、最初に、運輸大臣にお尋ねしたいのでありますが、審議に入っております三つの法案は、国鉄の財政改善というか、そういうことに尽きるわけでありますが、この法案は、言うならば、内容の是非は別として、すでに年度半ばを過ぎております今日まで、この法案に基づくところの財源というか、そういうものには歳入欠陥があるわけですね。
そこで、歳入欠陥をどうするのかという考え方が示されることが一つではないかと思うのでありますが、この点については、運輸大臣及び大蔵省から御答弁をいただきたいのであります。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/4
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005・石田博英
○石田国務大臣 御承知のとおり、予算には六月一日から実施することになっておりまして、すでに五ヵ月おくれておるわけでございますが、これは最大限の節約を国鉄当局がいたしまして、まあ一言で言えば無理に無理を重ねて今日まで参ったわけでございます。これがこれ以上おくれますると、もうすでに短期借り入れ限度の枠すれすれまで来ておりますし、さらに、このおくれによって物件費あるいは工事費等の削減のために関連企業に深刻な影響を与える。そして、その勤労者各位にも非常な不安と迷惑を与えつつある状態でございます。
現在まではいま申しましたような財源措置をとってまいりましたが、これ以上おくれた場合には非常な混乱を来し、国鉄の円滑なる運行にも影響を及ぼしますので、ぜひ今国会で成立するよう御協力をお願い申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/5
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006・松下康雄
○松下政府委員 ただいま運輸大臣からもお答えがございましたように、この九月末までの国鉄の予算に対しますところの収入の減少は約二千百億に達しているわけでございますけれども、これに対しましては、その減少額に見合った支出の抑制、削減ということをもちまして対処してまいったわけでございます。
どうしてそういう必要があったかということでございますけれども、それは、年度内を通じまして収入が減りました場合に、やはりそれに応じた支出の削減がある。そこで、年度内を通じますと国鉄の収入と支出とはバランスをしてまいっておるという姿が大変大事なことでございまして、実は、大蔵省の資金運用部からの短期の融資をいたします場合にも、それが年度内に返されるということが確実でなければならないのでございますけれども、その償還を確実にいたしますためにも見合いの歳出の抑制を行ってきたわけでございます。
ただ、九月いっぱい二千百億、主として工事費その他物件費の削減で対処してまいりましたけれども、非常に苦しい事態でございますので、法案の成立の早からんことを私どもも衷心から期待しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/6
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007・久保三郎
○久保(三)委員 運輸省にお尋ねした方がいいのかもしれませんが、これまでの歳入欠陥に見合った二千百億の経費を抑制あるいは節減したと言うが、抑制と節減ではずいぶん違うと思うんですね。これは抑制なのか、節減なのか、いずれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/7
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008・住田正二
○住田政府委員 今月末に運賃法が成立するであろうという期待をいたしているわけでございますが、そういたしますと五ヵ月間のおくれになるわけでございまして、そのための減収額は二千六百五十億になります。
二千六百五十億の減収に対してどう対処しているかと申しますと、そのうち二千九十億は工事費の抑制によって対処いたしております。残りの五百六十億は物件費等の経費を節減いたしまして財源に充てているわけでございます。したがって、工事費の方を抑制、経費の方を節減とお考えいただいていいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/8
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009・久保三郎
○久保(三)委員 次にお尋ねしたいのは、大臣は交代されましたけれども政府は交代していないようですからなんですが、国鉄の再建について、今度の法案の中では、財政再建措置法というか、そういうものはもうやめたということになるんですね。これをつくったのはたしか四十四年ですね。昭和四十四年につくりました。その当時十ヵ年計画ということであって、途中若干の改定をしましたが、これは成功しなかった。
これが成功しなかった責任というものはどんなふうに感じているのか。しかも、反省の上に立って新たな施策を展開したと言うが、どういう点を反省したのか、その点を明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/9
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010・住田正二
○住田政府委員 前国会でも御答弁申し上げたわけでございますけれども、確かにこれまで二回にわたりまして、十ヵ年という長い計画のもとに国鉄の財政再建を行おうといたしたわけでございますが、今回の財政再建は従来と大きな点で違っております。
一つは、従来は長期的な、十ヵ年という非常に長い期間をかけて国鉄の財政再建を図るということであったわけでございますけれども、今回は短期の間に再建をやりたい。なぜそのような考え方をとったかといいますと、前回の計画では十年間ということでございますので、非常に不確定要素がたくさんあったわけでございます。特に、オイル・ショックという大きな経済上の変化がございまして、そのために人件費、物件費が高騰してしまった。同時に、国鉄の財政のアンバランスというものが極端になってしまったわけでございます。
また、同時に、従来の長期計画は高度成長というものを前提に考えておりまして、将来とも日本経済は大幅な発展を続けるという高度成長を前提にして、需要がふえればその需要増によって経営の健全化が図れるということも前の計画では想定いたしておったわけでございますけれども、そういうような前提が全部崩れたために、今回は短期の間に収支均衡を図って健全経営を回復するということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/10
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011・久保三郎
○久保(三)委員 余り反省していないのですね。たとえば、十ヵ年計画については当時もこの委員会で議論をしました。十ヵ年という長い計画について、それは予測なら別ですが、計画としては役に立たないであろうということで議論をしたのですね。ところが、確信があるような数字まで入れて、実は十ヵ年でとんとんであります、十一ヵ年ならば黒字になりますという説明まで堂々としていたわけですね。われわれはその当時から、かかる再建計画ではだめだ、やはり根本的に財政悪化の原因にメスを入れて十分な施策を講ずべきだというので提唱しているのでありますが、今度の提案された中身を見ても、政策的なものが幾つかあるが、十分な手当てではないのですね。しかも、短期にやろうということです。短期にやろうというのは、前の説明によれば、運賃値上げは今年度並びに来年度二ヵ年でそれぞれ五〇%ずつ上げて、それで再建をやろうというお話のようでありますが、年度半ばを過ぎた今日、来年度についても予測しなければならぬ時期だと思うのですね。ノーマルな政治情勢なら、すでにいまごろは国鉄を含めた国家予算全体の調整期に入っているわけですね。もう一ヵ月もしないうちにコンクリートしなければいけない時期になっている。
あわせて聞きますが、いままで話が出たように、来年度の値上げを含めて短期でやりおおせるつもりがあるのかどうかということと、それから、もう一つは、来年度の計画というのは、対策要綱に示したように運賃の値上げを含めてやる考えでいるのか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/11
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012・住田正二
○住田政府委員 先ほど御指摘がありましたように、私どもといたしましては、反省をいたした結果、長期計画から短期的な収支の均衡を図る方向をとったわけでございます。たしかこの前の再建法の審議の際に、久保委員から長期的な計画ではだめではないかという御指摘があったように記憶いたしておりますが、先ほど申し上げましたような、再建がうまくいかなくなったいろいろな原因を検討いたしました結果に基づいて短期的に収支均衡を図ることにいたしたわけでございます。
短期的というのは、ことし来年を含めた意味でございます。来年度幾ら運賃値上げをするかという点につきましては、現在まだ検討中でございますが、来年度収支じりが黒になるか、ゼロになるか、いずれにいたしましても、赤字が消えるような程度の値上げを行う方向で現在検討をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/12
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013・久保三郎
○久保(三)委員 そうしますと、昨年の十二月三十一日に閣議了解で決めた国鉄の再建対策要綱に基づいて、これを修正することなく来年までやっていって、来年度収支均衡を図るという考え方でありますか。そうだとするならば、もはや来年度の予算編成期でもあるのでありますから、これはやはり全体を通して計画を御発表いただくのが筋かと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/13
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014・住田正二
○住田政府委員 いまお話がございましたように、昨年の暮れに閣議了解をいたしました国鉄財政再建対策要綱に基づいて再建を図っているわけでございまして、あの要綱の中で示された方針を変更することは考えておりません。先ほども申し上げましたように、来年度で収支均衡を図るということで値上げ率を検討いたしております。
現在の段階では、まだ来年度の値上げについても御決定をいただいていないとか、あるいは貨物の問題とか地方交通線の問題についてなお検討を必要とする事項がございますので、そういう点を勘案した上で最終的に値上げ率を決めたい、さように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/14
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015・久保三郎
○久保(三)委員 先ほどのお話で、工事費については抑制するという説明ですが、それでは、これは繰り延べ、繰り越しをして工事をするというのか、最悪の場合には切るのか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/15
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016・住田正二
○住田政府委員 現在成立いたしております予算から申し上げますと、抑制した分は切り捨てということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/16
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017・久保三郎
○久保(三)委員 そうすると、これは削減ですね。抑制ではなくて削減ですね。もはや回復しませんからね。そういうことになるじゃないですか。抑制というものじゃなくて削減ですね。
それじゃ、現時点では、おっしゃるように二千六百五十億減収で、その後二千九十億ですか、言うなら、その額だけは予算から削減するということでいるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/17
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018・住田正二
○住田政府委員 予算の支出権は別に減るわけではございませんけれども、支出に見合う収入がございませんので、二千九十億分だけ工事費を抑えざるを得ないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/18
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019・久保三郎
○久保(三)委員 先ほどお尋ねしたように、年度半ばを過ぎて、いまの鉄監局長のような説明でいくならば、当然予算は減額なり何なりの補正をしなければならぬだろうと思うのですね。
しかも、皆さんというか、政府の方では、いまの説明では、この法案が今月いっぱいで通ることを前提にしていると言う。だから、今月いっぱいまでは少なくとも運賃の値上げはないものですね。こういうことになるわけだ。そうなれば、収支ともにやはりこれは減ってくるのか、あるいは何かで補正をするのか、補いをするのか、いずれかだと思うのですね。今後の方針がちっとも明らかではない。当初の、いわゆる法案を出した時点での形だけをずっと踏襲して、実際は支出は抑制しますとか、あるいは削減しますと言っているが、収入の方も減ってきているわけだ。そうなれば、今後の方針としては、年度末まで少なくともどういうふうにおやりですか。
たとえば、あなたの方の御方針どおりいくならば今月いっぱいで法案が成立する。そうなればこういう形で事業はやっていきますとか、あるいは再建計画はこういうコースでやっていきますと言っても、すでに半年たっているのでありますから、計画どおりにいっていないことは事実ですね。だから、短期で、来年を含めて二年間でやるというのは、言葉だけならいいですが、実際はだれも信用しないのじゃないですか。そういう信用できない計画を前提にしていろいろ議論することは無理だろうと私は思うのですよ。まじめに審議を尽くすということなら、これからの下半期におけるところの国鉄の財政はどんなふうにするのか、あるいは予算はどうするのか、あるいは再建の計画はどういうふうに修正していくのか、あるいはどういうふうな手直しが必要なのか、あるいは先ほども言ったように来年度の計画はどうするのかというようなことが明らかでなければならぬ。いまだに来年度のことはまだ考えておらぬという話でありますが、もう目睫の間に迫っているのですね。
だから、言うならば、来年を含めて再建計画を考えているとするならば、十八ヵ月ですか、そういうものの予算、そういうものの財政措置、そういうものの計画に基づいて提案をし直すという時期ではないかというふうに私どもは思うわけでありますが、ところが、全然当てにならないような予算や当てにならない法案を前提にして一年間の議論をしようというのですから、これは無理だと思うのですよ。
本来ならば補正予算を組んで出すのがあたりまえだと私は思うのです。もっとも、三木内閣にはそういう力もないのか知りませんけれども、いかがでしょうか。くどいようでありますが、運輸大臣、先ほどの御答弁ではどうもはっきりしない。何もせずにというのは語弊がありますが、すでに半年たってしまっているのですから、まじめに再建をすると言うならば、これからの半年をどうやってやるのかということは当然明らかにして、その上で法案の成立が必要であるとか、財政措置はこうしますとか、これは提示するのがあたりまえじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/19
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020・石田博英
○石田国務大臣 われわれの方といたしましては、できるだけ早く、今月いっぱいに成立することをお願い申し上げているわけであります。たとえ今月いっぱいに成立をいたしましても、財政上の欠陥が生じ、歳入の欠陥が生じているのは御承知のとおりでございますが、その成立するという前提の上に立ちまして、新しい再建計画を検討し直して、明年度予算その他でこれを処理していかなければならぬと思ってはおります。
ただ、現在のところ、今国会に補正予算を考える段階ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/20
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021・久保三郎
○久保(三)委員 段階ではないと言っても、それは大臣の見解か知りませんが、審議をする方にとれば段階ではないという話はないのじゃないですか。大臣はかわったばかりでそういうことは余り関心がないのか知りませんけれども、少なくとも半年たっているのですよ。しかも、この法案の成立を期待することは御自由でありますけれども、現実には成立していないのですからね。
だから、成立を期待すると言うなら、十一月一日から値上げがあるものとして計画を出してもらいたい。来年いっぱいに収支の均衡が図れると言うなら、どういう方法で図るのか、あるいは予測はどうなのか。十ヵ年計画じゃないからでたらめだとは最初から申し上げませんけれども、一年半だから一年半の計画を出してもらいたいと思うのですが、これはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/21
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022・住田正二
○住田政府委員 運賃値上げがすでに五ヵ月おくれて、二千六百五十億の減収が見込まれているわけでございます。この減収は、確かに、現在考えております国鉄財政再建にとって大きな影響があるわけでございますが、収支の面から見ますと、本年度赤字となってあらわれるのはそのうち二千億でございます。二千六百五十億のうち五百七十億は経費を節減いたしますので、その分は赤字になりませんので、差し引き二千億程度が赤字となってふえるわけでございます。
本年度六月一日から運賃値上げが成立するという前提で約五千億の赤字が見込まれておりますので、いまの二千億を含めまして七千億が本年度の赤字となるわけでございます。その七千億を含めまして、来年度末までに累積欠損をなくし、かつ、単年度で収支均衡を図るという前提でいまいろいろな作業をやっているわけでございますが、その作業をやる上において、本年度新たにふえました二千億の赤字のために考え方を根本的に変えなければいかぬということではなくて、その二千億を含めて来年度予定どおり収支均衡が図れるのではないかという、そういう方向で現在作業をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/22
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023・久保三郎
○久保(三)委員 お話しのように、七千億の赤字になる、これを含めて来年度で、方針の変更なく大体収支の均衡を図れるという御説明だと思うのですが、七千億を含めて収支の均衡を図れるというのは、何か手品でもあるのでしょうか。同じようなやり方でいって、算術計算では図れるはずはないというふうに思うのであります。もっとも、これは御答弁をお願いするのははっきり言って大変無理なことだと思うのです。しかし、審議する方の側から言えば、いいあんばいな返事、ああそうですかという返事ができないほどの深刻さがいま国鉄にはあるということですね。
だから、来年度も含めて一遍試算を出してください。この問題だけで時間をとるわけにはまいりませんから、来年度を含めて収支均衡を図ると言うならば、試算としてはどういうふうになりますかということを出していただきたいと思うのであります。いいですか、おわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/23
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024・住田正二
○住田政府委員 先ほど申し上げましたように、新たに解消しなければならない赤字額としては二千億ふえるわけでございまして、もちろん二千億という額は非常に大きい額でございますが、国鉄としてはなお相当の積立金も持っておりますし、また、来年の運賃値上げの幅をどうするかという過程においてその解消を検討いたしたいと思っているわけでございます。
最終的には来年度予算で決まる問題でございますので、この段階で具体的な数字を出すことは非常にむずかしいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/24
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025・久保三郎
○久保(三)委員 十ヵ年計画でさえ数字をごろ合わせで出してきたのだから、一年半ぐらいの数字のごろ合わせができないはずはないでしょう。これは返事は要りませんから、そろばんをはじいて持ってきてください。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/25
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026・浜田幸一
○浜田委員長代理 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/26
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027・久保三郎
○久保(三)委員 次に、これは運輸大臣に、その道の専門家でありますからお答えをいただきたいのですが、仲裁裁定の問題が先般本会議でも質問がありまして、総理大臣から適切な答弁がありました。しかし、仲裁裁定と国鉄財政の全体の問題は関係はもちろんありますから、公労法十六条によるところの手続がなされていることは御案内のとおりであります。しかし、全体として、世間でもあるいは皆さんの方でも法案の成立に絡めておられるようでありますが、その心情はわからぬわけではありませんが、しかし、法律的に見て制度を絡めることは正しくないと思うのでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/27
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028・石田博英
○石田国務大臣 公労法の三十五条の規定の付加は、当時私が労働大臣でございまして、ほとんど私の独断で組合と話し合いをつけた問題でございます。そして、これが争議行為を禁止しておる代償として守らるべき公労法の精神であると理解をいたしております。したがって、政府も公労法の精神を尊重するから組合も公労法の精神を尊重してくれという約束のもとに行ったものでございまして、政府は以来十八年間にわたってこのお約束を実行してまいったつもりでございます。ただ、組合側の方は三十五年まではお守りをいただけたと思うのでありますが、その後変化が生じたことは大変残念でございますが、それをとやかく言うつもりはございません。私としては、そういう経緯にかんがみて、公労法の精神はあくまで三十五条の義務を負うものと考えておる次第でございます。
したがって、財政その他と絡み合わせるべき性質のものではないとは思いますが、現実の問題として支払う余地がないという状態にぶつかっている。そして、しかも、それのエクスキューズとして十六条の規定がございますので、やむを得ず議決案件として出した次第でございます。直接絡むとか絡まないとかという問題は別といたしまして、政府として運賃及び電話電信料の料金の改定が成立することを希望するのは当然であると考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/28
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029・久保三郎
○久保(三)委員 お話のとおりでありますれば、後段の問題は、大臣のお立場として、政府の立場としてそれは当然かもしれません。しかし、前段にお話があったように、理論的に割り切りますれば、これは別個のものだというか、そういうふうに理解していいと思うのですね。また、絡めているところに、それぞれの組合というか、職場で問題がないわけではありませんね。だから、できますならばこの際議決案件としてお出しになったものを政府は取り下げを願ったらどうだろうか、そこまでおっしゃるなら取り下げを願っていくべきではないだろうかというふうに思うのですが、重ねてお答えいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/29
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030・石田博英
○石田国務大臣 一昨々年、昭和四十八年までは毎回議決案件として出しておったわけでございます。そして、御審議を願っておる途中に財政的措置ができたとき政府はこれを取り下げたわけでございます。
現在のところは財政的措置ができたというわけにまいりません。したがって、そういう現状の上に立って国会の御判断をお願いするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/30
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031・久保三郎
○久保(三)委員 よしんば政府の立場に立ちましても、法案の成立と兼ね合いだと見ても、予算上は御承知のとおりすでに半年減っている。その分については、先ほどのお話のように多少の手当てはした。しかし、完全な手当てをできるかというと、先行きそういうふうには考えられません。しかも、予算上の問題として五%程度は組んであるかもしらぬが、裁定実施のための予算は組んでない。その分に相応するものは予算上はない。そういうことを考えますれば、せめて予算は、あなたの方のお立場になるなら、先ほど言ったように、法案の成立を前提にして、予算の補正をして出してくるのが当然の手順ではないのですかと聞きたいのですよ。そのこともしないで、補正の予算案も出さないで、それでこの裏づけになる法案の成立だけを急ぐというのは、やはり、何といっても少し筋が違うのではないだろうかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/31
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032・石田博英
○石田国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、三十五条の精神を貫きたいという強い願望は持っております。
それから、御指摘のとおり、五%程度は仲裁裁定が行われた場合を予想して編成はしてございますが、その残余の分について何ともやり繰りのつかないという苦境の中に現在あるわけでございます。つまり、予算措置が不可能な、困難な現状にある、したがって、これを実行いたすためには、国会において許された予算の中では、決められた予算の枠の中では現状においては困難だ、こういうことで議決をお願いをしている、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/32
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033・久保三郎
○久保(三)委員 次にいきましょう。
国鉄の経営悪化について、もう十年以上も国会で議論しているのです。この議論の焦点というのは、われわれの方としては余り変わっていないのです。特にいつも焦点になる一つである運賃の値上げの問題であります。
運賃値上げについては見方が幾つもあります。しかし、一つの見方は、国民生活に関係の深い物価対策として、公共料金の中の大きい柱とも言うべき国鉄の運賃をどうやって決めるかということが一つの問題だと思うのですね。それから、もう一つは、われわれが主張するように、負担する分野というか、負担する責任のあり場所というものが明確でない。そして、結論として赤字であるから値上げをしなければならぬというような二つの問題があって、いつでも議論がかみ合わない。世間でも、二つの問題が釈然としないから、運賃の値上げというか、改定にはやはり賛成しかねるという者が多いと思うのですね。国鉄の経営改善というものは、単に赤字、黒字という問題以前に、もう一つは、国鉄の輸送というものが国民経済にとってどんな部面でどうして有用であるかという証明がなされなければならぬ。証明がなされないままに、赤字であるから運賃を値上げするということについては国民はなかなか納得しないのであります。大体この三つを抜本的に反省をし、検討していかねばならぬと思うのです。
そこで、前段の物価政策の問題は後から聞くことにして、国鉄の経営全体について、財政的な面で、赤字の要因になるもので、利用者が負担するのには理不尽なものが幾つかある。その理不尽なものの処理が完全に行われない、あるいは全く手がつかないということでありますれば、これはむずかしいと思うのですね。これをまとめて幾つかに申し上げますというと、たとえば現在国鉄には長期債務が六兆八千億くらいある。その六兆八千億すべてではないにしても、これは国鉄のこれまでの改良工事とか、そういうものに使った金が大半である。たとえば昭和三十二年から第一次五ヵ年計画が始まりましたが、終戦直後当時は全部現有勢力と施設でもって増産増送ということで送ってきた。そのために、線は荒れ果てた中で何の手当てもなくて三十年までやってきて、いよいよもはや国鉄自体の運営は危なくなってきて、トンネルにはひびが入り、橋梁にはゆがみがきているというような状態で、これではというので第一次五ヵ年計画が始まったのであります。
第一次五ヵ年計画も国家政策の遂行上必要ならば、道路や港湾と一緒にこれは当然国家の手でめんどうを見るべきであったのでありますが、御承知のとおり、五ヵ年計画は借入金を中心にしてやってきました。今日もほとんどそのとおりですね。わずかに最近工事費の利子補給を三・五%までめんどうを見ようというようなことだけなんですね。結局、三十二年からの長期投資というか、改良工事の資金は六兆五千億にもなろうとしている。ところが、政府からめんどうを見てもらったというか、政府の出資はたしか三千七百億ちょっとだと思うのですね。一割にも達しない。しかも、これが年々七千億ないし八千億の経営上の負担になっていることは御案内のとおりであります。他の輸送機関と比べて、道路と鉄道を比べた場合に、なるほど道路にも重量税なりガソリン税なりは今日ではかかる。あるいは有料道路もある。しかし、三十二年から、戦後から比べてみて、この道路との関係では、イコールフッティングの観点からするならば大きなアンバランスがあるわけですね。だから、そういうものを考えてみれば、長期債務の始末というものは一番大事だと思うのです。
今度の提案では、二兆五千四百億ですか、これの長期債務の処理をやろうというのでありますが、ところが、これは二十二年の年賦償還で利子補給をして、言うならば無利子ですね。ところが、二十二年の償還計画はどうなっているかというと、国鉄の資産処分をもってこれに充てるというのであります。そうですね。この国鉄の資産というのは幾らあるか。財産は大体六兆円足らず。これはいまの金に換算してでありますが、大体それの半分を長期債務の返済に充てる。もっとも、将来のことでありますから、目の前のことじゃありませんから余り心配する必要はないと言えばそれまでの話でしょう。しかし、計画として聞いた場合は、果たしてそれが可能なんであろうか、必ずやまたいまと同じように国鉄の一般財政の中に重圧になってかかってくることは当然ではないかというふうに私は思うのであります。この処理が完全ではない。しかも、再評価積立金を半分これに繰り込んで二兆五千四百億という金にした。
来年もあとの半分を繰り込もうというのでありましょうが、それはそれでいいと思うのでありますが、再評価積立金というのは将来何にするつもりで持っていたのか、これは運輸省と大蔵省から聞いたのであります。資本積立金ですね。これはどういうことで持っていたのか、政府の施策の不足をこれは補うものであるのかどうか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/33
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034・住田正二
○住田政府委員 国鉄が再評価をいたしましたのは昭和三十一年であったと記憶いたしておりますが、その当時再評価いたしましたのは、国鉄の所有している資産の簿価が非常に安い、そのために再投資の資金が得られないおそれがあるということで再評価をいたしたのであろうと考えております。これは一般に昭和二十年代に民間の企業で同じようなことが行われているわけでございまして、趣旨としては同じではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/34
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035・松下康雄
○松下政府委員 ただいま運輸省から答弁がありましたとおりと思っておりますけれども、この再評価積立金につきましては、御承知のように、この三兆一千億の繰越欠損金の半分を取り崩すことによりまして一部相殺処理をしたわけでございます。
それは繰り越しの欠損金は存在をいたしておりますけれども、別途に自己資本が充実をしておりまして、実質的にこれは企業といたしまして完全にその部分が穴があいておるというふうに判断する必要が全部についてはなかろうということから、資本金そのものには手を触れませんでしたけれども、再評価積立金につきましては、本年度その半額を取り崩すという御提案を申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/35
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036・久保三郎
○久保(三)委員 どうも御説明がはっきりしませんね。何となく取り崩したような話でありますが、いずれにしても、これはそういうものの趣旨に合う使い方をしているのかどうかが問題だと思うのです。そういう趣旨をわきまえないで使っているとするならばこれは問題だし、また、そういうことで使うというのならもっと早く使えばよかったのだという考えも出るわけであります。いずれにしても、何かないかと探して、あああったあった、ここにあったということで、半分もやっておこうかという、言うならば手当たり次第というか、場当たり的な財政措置ではないかというふうに一つはとれるわけであります。これはもう一遍考えてほしい。便宜主義なやり方では財政は処理できませんよということを言いたいのであります。
次に、財政悪化の原因は、言うまでもありませんが、地方ローカル線の赤字の問題がございます。今年度予算では百七十二億を助成するということになった。実際には、この赤字は、とりようによるのでありましょうが、二千三百五十億ほど赤字だと言われておりますね。この二千三百五十億に対して百七十二億というのはどんな計算なのか。これが一つ。
それから、もう一つは、このローカル線というのは、十ヵ年計画をつくる段階では、二万一千キロのうち約一万キロと言われていた。最近聞きますと九千六百キロという話が出ておりますね。実際のところ、そういうものを出す根拠はどういうものを根拠にして出したのか、正確には何キロあるのか、しかも、具体的にはどういう線区がローカル線として当然政府の助成に値するものなのか、それ以外の幹線系路線というのは助成に値しないという理論は何だろうか、これがお答えの二点目であります。
それから、もう一つは、この再建対策要綱によりますれば、国鉄の責任をもってローカル線の処理をするというのですね。国鉄の責任において取り扱いを検討する。いわゆるやめるかどうするかということなんですね。もはや半年もたっているのでありますから、国鉄の責任においてその取り扱いを検討するという基準というか、考え方は固まったと思うのであります。もし固まらなくても、大体こういう構想でやりたいというものがあってしかるべきだと思うが、これはどういうふうになっているか。
そういう方針がちっとも明確にならないままに、赤字であるから運賃も値上げしなければならぬということだけでは困る。地方ローカル線の処理はこういうふうにしますとか、足りない部分は運賃でやりますとか、この部分だけは国がめんどうを見ますとかどこがめんどうを見ますとか、そういうことが政策上あってしかるべきだと思うのですよ。地方ローカル線を撤去するばかりが能ではない。よく言われるシビルミニマムという観点から言っても重要な線路はたくさんあるわけです。だから、そういうものをどういうふうに持っていくのか。この地方ローカル線の経営について、一定の方針がないままに抽象的に国鉄が取り扱いを検討するなどということでは今後の再建策にはならぬと私は思うのですよ。
少なくとも、地方ローカル線は、地域における総合交通体系を整備して、その中でローカル線の処理を民主的に考えたらどうだろうか。そういうものをやらないままにいっときやり出したのは、ここは扱いが少ないからやめよう、ここは短いからやめようということで、幾つかやめた。それも、住民の大きな抵抗を受けながらやってきたんですね。これからもそういう方法でやるのかどうか、明確な基準を示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/36
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037・住田正二
○住田政府委員 五十年度の地方交通線九千二百キロの欠損は二千二百五十億でございます。これは従来は一万一千キロ程度のものを地方交通線として扱っておりまして、したがって額も多かったわけでございますが、五十年度の決算からは九千二百キロを対象に赤字を計算いたしております。一万一千キロとか、一万キロあるいは九千二百キロというようにいろいろな数字があるわけでございますが、今回九千二百キロという数字を挙げておりますが、これは確定的なものではございませんで、一応暫定的に数字を出しておるわけでございます。
それで、従来の地方交通線あるいは今回の九千二百キロにつきましても、考え方といたしましては、鉄道特性のある分野とない分野とを分けて、鉄道特性のある分野を幹線、そうでないものを地方交通線というふうに分けているわけでございます。そして、鉄道特性のある分野については、それを一体として国鉄が運営して、その際適正な運賃をとっていけば十分経営できるだろうというように見ているわけでございます。したがって、幹線の中にも赤字の路線もあれば黒字の路線もあるわけでございますけれども、幹線の中の赤字線を取り上げて特に助成策を講じなくても全体として経営できる、そういう判断をいたしているわけでございます。
最終的にいかなる範囲のものを地方交通線として取り扱うかにつきましては、現在運輸省の諮問機関である運輸政策審議会でいろいろ御検討いただいているわけでございます。また、地方交通線の赤字対策につきましても、いま申し上げました審議会の中でいろいろ御提案をいただくことになっております。
その際の考え方といたしまして、従来輸送量の少ないものは廃止するとかいうことでやっておりましたけれども、今後はできるだけ選択的な案を出してもらって、その案を地元の方といろいろ御相談して選択していただくということにいたしたいと思っております。
選択的な案というのはいろいろ考えられるわけでございまして、たとえば地方公共団体に委譲するとか、あるいは第三者機関をつくってそこで運営するとか、あるいは地方交通線の場合には経費も非常に高くかかっているので、特別な運賃を負担していただくとか、いろいろな選択的な案が考えられると思いますが、そういう案を地元にお示しした上で、地元の意向を十分尊重して処理方針を決めていきたい。
いずれにいたしましても、私どもといたしましては、地方交通線の赤字が国鉄の財政上の負担になっていることは明らかなことでございますので、今後健全経営を維持する上におきまして、地方交通線の赤字を何らかの形で解消いたしまして、国鉄財政の負担をなくなすように配慮をいたしていきたいと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/37
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038・久保三郎
○久保(三)委員 二千三百五十億も赤字なのになぜ百七十二億だけ補助したのか、その理由は答弁漏れになっているが、いかなる計算に基づくのか。
それから、もう一つ、九千二百キロも固まっていないようなお話なんですね。これは非常に不謹慎な考え方じゃないかと思うのです。赤字ローカル線はこれだけあります、赤字はこれだけですということを公表しているのでしょう。九千二百キロは、多少端っぱがあるのかもしれませんけれども、どういう線区であるのか、これはやはり明確にすべきですよ。明確にしないまま百七十二億を助成するというのでしょう。これはどうもわれわれとしては納得がいかない。
それから、もう一つ、いまの答弁の言葉じりをとらえるわけじゃありませんが、鉄道特性のある部分は残す、いわゆる助成はしませんということで、特性とは何だということになる。国鉄の特性、鉄道の特性がある部分は助成の対象外にします——特性というのはいろいろな解釈があると思うのです。特性と言うならば、いままでの皆さんが使っている言葉で言えば、いわゆる中長距離・大量輸送ということなんだ。あるいは都市圏の輸送ということだ。そうすると九千二百キロは、全体は要らない線区という、特性のない線区ということになるのですよ。たとえば積雪地帯におけるところの交通をとってみますと、バスは特性がないのですよ。雪が積もる。そういう場合にはどうしたって鉄道が必要になってくるのです。だから、単にいまのような中長距離・大量輸送、都市圏輸送、都市間旅客輸送というようなことに限定することが鉄道の特性ではないようにもわれわれは考えている。
その辺が非常に明確でないのですね。そういうものを国家政策が当然カバーすべきものが、乗る人や荷物を送る人の負担に転嫁することが冒頭に申し上げたように納得がいかないと私は言っているのですよ。政策の責任がきちんとしているならばだれでも納得がいくのです。運賃の改定にはそれが納得いかないから異論を唱えるのですよ。
だから、いまの赤字線の——これはまだはっきりしていないのだから、もうそれ以上答弁ができないのでしょうが、しかし、怠慢だと思うのだ。最近新聞でも見たし、いまも答弁があったけれども、やっと運輸省の中で政策審議会がローカル線の問題を取り上げたというのだな。半年何をやっていたんだ。半年以上ですよ。去年の十二月にこの対策要綱を出しているのです。もはや十ヵ月になるのにそういうものが全然運んでいない。しかも文句だけ読めば、運輸省の責任ではなくて、国の積極的な支援のもとに、国鉄の責任で取り扱いを検討するということだ。国鉄はどうしているのですか。いかがでしょうか、鉄監局長、前の話だが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/38
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039・住田正二
○住田政府委員 本年度予算で地方交通線の補助金として百七十二億を計上いたしているわけでございますが、これは九千二百キロの運営費の一部を補助するということにいたしているわけでございます。
それで、この補助金を今後どうするかということにつきましては、先ほど申し上げましたような地方交通線対策の一環としてさらに再検討をいたしたいと思っているわけでございまして、本年度の百七十二億は、本年度の運営費の一部を助成したということで御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/39
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040・高木文雄
○高木説明員 九千二百キロというものをローカル線として概念をするということは、政府のベースで決められたわけではございませんので、国鉄の経営をいろいろ考えるときに、幹線とローカル線を別にして経理がどうなっているかということを区分して見た方がよかろうということで、昭和四十年代の中間の時点くらいから私の方の諮問委員会で御議論を願いまして、いろいろ検討の結果一万一千キロというものを出されたと聞いております。
その後、昭和五十年の段階でもう一遍これを見直そうということで各線区別にいろいろ検討が行われまして、それで九千二百キロということを、国鉄の経営状態をいろいろな角度から見てみようという場合の基準として一応決められたものでございまして、政府の段階でそういう区分をして物を考えるというところまではまだいっていなかったわけでございます。
それで、その後の問題といたしましては、ただいま鉄監局長から御説明がございましたように、政府のベースで一遍この問題をきちっと議論していただきまして、その上で個別処理については国鉄の責任において処理をいたそうということでございますので、政府におかれましては、運輸政策審議会においてその問題を取り上げるということが決められたわけでございますが、国鉄の方といたしましては、国鉄としてやはりそれと並行して作業を進めなければならないというふうに考えまして、現在の段階では、外部の委員の方にお願いをするという形ではなくて、国鉄の中で事実上の委員会のようなものをつくりまして検討を始めているわけでございます。
ただ、この問題は今日まで長い間言われながら解決がつかないでおりますのは、過去におきましては八十三線区を撤去しようというようなことも考えたようでございますけれども、これは現実問題として非常にむずかしい。また、むずかしいというのはそれなりに住民の強い要望があるということを示すものでございまして、撤去するというような方向ではなしに、ただいま鉄監局長から御説明がありましたような形で別途いろいろな組み合わせで考えていかなければならないのではないかと考えておりますが、その細目につきましては、国鉄は国鉄の立場において内部の討論を重ねて大至急見当をつけていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/40
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041・石田博英
○石田国務大臣 いまの御質問にお答えする立場としては、国家的と申しますか、政治的な判断の上に立って対処しなければならぬことが幾つかあると思いますので、私は就任まだ間がないのであるいは見当違いなことを言うかもしれませんけれども、いま考えておる概要を申し上げてみたいと思います。
国鉄が赤字になった原因は幾つかあると思いますが、昭和三十八年まではとにかく黒字であったわけでございます。三十九年から約三百億円の赤字が出た。その原因については、いわゆる高度成長下の産業構造の変化、立地条件の変化というようなものにうまく対応ができなかったということも一つの原因でありましょうけれども、もう一つは、運賃、料金等が適切に行われなかった、時期がおくれた、おくれたために赤字が累積したというようなことも原因だろうと思いますので、そういう面から今度は運賃の改定をお願いをしているわけでありますが、それだけで再建が成るとも思っておりませんし、それだけで再建をすべきだとも考えておりません。やはり、赤字を背負っておる国鉄が限度を超えた負担をしているのではないか。たとえばいまお取り上げになった地方のローカル線の問題は、これはたとえば離島振興などのような国策的な意味から取り上げられる。あるいは奥地開発という意味から取り上げられる。そういう面から取り上げた場合に国鉄の運賃コストと非常に食い違ってくる。そういうような場合の負担まで国鉄が負うべきかどうかということが第一点です。
同じような見地から、たとえば学生の割引が必要であるとするならば、それは文部省の予算で処理すべきであって、赤字の国鉄に覆いかぶせるのが適当であるかどうか。そういう面の検討を行う必要があると私は考えておるわけであります。
そこで、いまのローカル線の問題でございますが、審議会に御相談をすると申しましても、国鉄としても一定の幾つかの案を示して、それをたたき台にして御検討願うということがやはり前進を図っていく道ではなかろうかと現在考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/41
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042・久保三郎
○久保(三)委員 大蔵省の主計局次長にお尋ねしますが、いま大臣から質問以外の答弁もありまして、私が言わんとするところでありますが、一応ローカル線の助成は今年度は百七十二億、これは前段それぞれ答弁がありましたが、二千三百五十億がいいか悪いかは別にして、百七十二億というのは余りにも少ないし、どういう計算で来たのか、これはわれわれにはなかなかよくわからぬ。まあ、わかるわからないは別にして、今後これは来年度はさらに前進させる方向で考えておられるのかどうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/42
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043・松下康雄
○松下政府委員 本年度のローカル線関係の国の助成金につきましては、国鉄の再建を図ってまいります上に、ローカル線問題を根本的にどういう形で解決いたすべきかという点につきまして、昨年再建のあらましの道筋を決めましたときにはまだ具体的な結論までは至りませんでしたので、その問題につきましては引き続いて政府、国鉄でよく御相談をする、できるだけ早く御相談をしようということにいたしまして、その結論が出ますまで、とりあえずの措置といたしましてローカル線のコストの一部分について助成を行うという趣旨で計上されたものでございます。
この問題につきましては根本から考えなくてはならない問題がたくさんあると思いますので、私もここで意見を申し上げますほどまだ考えが進んでおりませんけれども、百七十二億円で問題を解決したのではございませんで、むしろ根本的な問題解決のためにはどういう方法をとっていくべきかということをこれから検討するつもりの予算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/43
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044・久保三郎
○久保(三)委員 続いて松下主計局次長にお伺いしたいのですが、いま運輸大臣からもお話があった公共割引の問題ですね。これに関しては、社会党としては前国会からずっと引き続いて国会に提案をしているのです。提案の中身が全部妥当かどうかということについては問題があるかもしれませんが、少なくとも政策的なものに基づく割引は政策担当者が負担するということが運輸大臣のお話のように妥当なことなんですね。学生割引にしても、これは文教政策上必要だから割り引いている。あるいは農林物資の問題もそのとおりです。しかも、そういう制度は長い伝統というか、歴史の必要性から今日あるわけですね。
だから、これをやめるということじゃなくて、これは政策の発動をした者が負担していくということは当然だと思うのですよ。ところが、これがいままでは全然一顧だにされていないのですね。しかも、この公共負担は、極端な言い方をすれば一般の利用者の負担になっているのですよ。これは筋としても通らぬことでありますから、公共割引に対してはいかがな方針でおられますか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/44
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045・松下康雄
○松下政府委員 国鉄も、沿革的に国の企業としてスタートしてまいりました。そのスタートにおきましては非常に独占的な事業でございましたので、この事業に関連をいたしまして、単に営利を目的として経営をしてまいったということとは違いまして、やはり、公共のために最もよい輸送サービスを提供するというたてまえで長く運営をしてまいったのだと考えております。
そして、国鉄は長い歴史を持っておりますけれども、昭和三十九年ぐらいに至りますまでは収支相償って独立採算におきまして経営をしてまいり、その間に、御指摘の公共負担につきましても、これを負担しながら問題なく経営を続けてまいったわけでございますけれども、その後、最近の十年余りの間のいろいろな情勢の変化によりまして現在のような収支の状況に立ち至りましたので、ここで改めて御指摘のような公共負担と言われますものをだれがどういうふうに負担すべきであるかという問題か生じてきたのであろうと思っております。
この問題は、私どもとしましては、これも非常に基本的な問題でございますけれども、今日の状況でございますと、やはりいろいろな角度から検討してまいる必要があろうと思います。たとえば公共負担と言われて業務を続けてまいっておりますものをまたよくながめてみまして、その中で、たとえば長年の間続けておりますうちに所期の目的から離れてきておりますとか、あるいは惰性的になりまして効果が薄れているというようなものがもし仮にございますとすれば、それはそのような制度をむしろ解消していくことを考えなくちゃならないということもあろうかと思います。
この件につきましては、これも再建の問題を考えてまいりますに伴って検討してまいることでございますけれども、現在のところ、たとえば予算要求というような形で統一的な結論が出るというところまでは立ち至っておりませんので、私どももそういう幅広い角度でこの議論には参加をしてまいりたい、ただいまのところはそのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/45
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046・久保三郎
○久保(三)委員 公共割引を整理するかどうかは広い観点から再検討する必要もあるかもしれません。しかし、原則として、公共割引は、政策発動に基づくものはその政策担当者からの負担にするということだと思うのですね。これは過去において、国鉄が独占時代には、内部的な相互補助方式というか、そういうもので一つの国家政策を遂行したということはそれなりの評価があっていいと思うのですね。しかし、独算制を前提にし、運賃収入を基本にしている限りは、やはりこれはきちんと整理すべきだと思うのですよ。大臣、これはあなたがおっしゃったことですが、これはやはりきちんと整理をして、負担区分を明確にしてもらいたいと思うのです。こういうものが一つも片づかぬままに運賃値上げはどうするかという議論は、議論が成り立たないと私は思うのですよ。そういうことをどうかもっと早くやってほしい。
それから、もう一つは、地方ローカル線の話に関連して、鉄建公団ができて、やはり生き物でありますから今日どんどん事業は拡張していく。ところが、後の運営については全然一向お構いなしです。片方では、ローカル線の処理をどうしようか、いまの話じゃないが、百七十二億じゃ少ないがどうするかというばかばかしい議論があるのですね。しかも、この経営の衝に当たる国鉄の意思に関係なく新線建設はやっている。御承知のように鉄道敷設法がありまして、政府がこれは決めて国鉄に命令するのですね。公団に命令する。公団が決めてこれを国鉄に運営させる。こういうばかばかしい話はいまの時代に通るはずはないと思うのですよね。私はまるっきり全部新線建設やめろとは言っていません。鉄道でなければならぬところ、そういうものは限定してやるべきなんです。しかも、予定線が百線もあるのですね。そういうものにちびりちびり予算をずっとくっつけている。完成にはかなり長い年月がかかっている。できたときにはもはやこれは老朽な交通機関になってしまう。最も有用なものができないで無用なものがざあっとできてくるという、そういう矛盾を解決しなければ、国鉄経営ばかりじゃなくて、日本における総合交通体系が狂ってくると思うのですよ。これは資源のむだ遣いですね。そういうものはこの際やはりきちっと整理するのが国鉄再建の大きな柱だと私は思うのです。
新幹線鉄道網の問題もそのとおりですね。七千キロということだが、果たして七千キロが必要あるのかどうか。しかも、いま建設中のものもこのままでいいのかどうか。こういうことを考えれば、新線建設なり新幹線建設というものをきちっと整理する段階だ。それは言うまでもありませんが、総合交通体系をきちんとして、あるいは国土利用計画をきちんとして、その中で配置を決めていく。それから後の運営についても、一定の方式をこれは決めていくということですよ。そうでなければ、新幹線だから黒字になるわというのは東海道新幹線だけの話で、あとの新幹線はいまの二万一千キロと同じ運命をたどることはあたりまえですよ。同じ運命をたどらぬでも、並行の幹線は当然いまよりひどくなる。それが証拠に、旧東海道をごらんになればおわかりのとおりですね。だから、これは採算面から言っても問題がある。
だから、わが方としては、鉄道敷設法並びに全国新幹線鉄道整備法という二つの法律はこの際廃止すべきだと思っているのです。よってもって鉄道建設審議会というものはなくなるわけです。そして、いま申し上げたように、改めて国土利用計画、総合交通体系というものの上に立って、在来線を含めて鉄道網を整備していくという方向をとるべきだと私は思うのですが、運輸大臣、これはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/46
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047・石田博英
○石田国務大臣 久保さんの御意見はまことにごもっともだと私も思います。これを地方の開発、奥地の開発あるいは雪寒地、他の交通機関にかえられないところの開発という意味から行うならば、これは国鉄の負担として行うべき性格のものでなくして、国家の政策として行うべきものだと私は考えておる次第であります。
それから、先ほどの大蔵省の答弁の中に、前は黒字であって、黒字のときはいろいろ割引したけれども黒字であったというお話がありましたが、健全な家庭を営んで健全な生活をしている人にお祭りの寄付を頼みに行くのはあたりまえですけれども、生活保護を受けているところにお祭りの寄付を頼みに行くのは筋違いだという、そういう観点からこの問題に対処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/47
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048・久保三郎
○久保(三)委員 国鉄総裁、いまの新線建設について、新幹線を含めてあなたはどういう考えをされていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/48
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049・高木文雄
○高木説明員 新しい路線ができるということにつきましては、これは私どものフィールドで考えるべきことかどうか、非常にむずかしい問題だと思います。一線、一線をとってみますと、明治の時代から計画があったとか大正の時代から計画があったとかいうことでございますので、ある意味から申しますと、そのころは道路とか自動車交通とかいうものがなかったわけでございますから、情勢が変わっておりますのに、それに関係なく明治の人の願い、大正の人の願いをいま果たすということがどれだけ意味があるかということは合理主義から言えば相当疑問なわけですけれども、また、それはそれなりに歴史をしょっておるわけでございますので、そこらをどう処理したらいいか、これは高度の政策の御判断の問題と思います。
ただ、それを私どもの方に当然のこととして運営をやれということになる部分につきましては、いま大臣が言われましたように、昔の地主さんといいますか、素封家の方々に、昔金持ちさんであったからいまもってたくさんの負担を求めるということになることといささか似たような関係になるわけでございまして、運営そのものを私どもの方に当然のこととして求められるということについては、これは赤字問題の処理全体との関連においてひとつ考え直していただかなければなりませんし、私どもももう少し態度を明確にしなければならないのではないかと思っております。
いずれにいたしましても、いまのローカルの問題につきましても、新線建設の問題につきましても、また、割引の問題につきましても、もともと国鉄が経済的に力が強かったということが前提になっておるわけでございますので、そこのところを各方面の方々に十分御理解いただいた上で、いままでのものを惰性で続けるということでなしに考え直していく、そのことについて国鉄自体もいずれ遠からざる時期に明確な態度を出さなければならぬ、そういう時期が迫っておるというふうに考えておりますが、私もまだ何分就任後短い期間しかなっておりませんので、その前にひとついかにも低い運賃の改定をしていただいた上で、どんな赤字になるかということを見てから考えませんと——いろいろ矛盾があることも御指摘のとおりではございますが、運賃水準がいかにも低いということもまた事実であると私は思いますので、そこらを両々相まって考えるということでないといけないのではないかと思ってあれこれ考えているところでございます。(「余り考え過ぎちゃだめだぞ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/49
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050・久保三郎
○久保(三)委員 国鉄総裁、いまも不規則発言がありましたが、余り物を考えないうちの方がいい考えが出る。また、勇気が必要だと私は思うのですね。後からも申し上げますが、国鉄経営には新しい血が必要なんであなたが行ったと私は思っているのです。あなたは有能なことは天下一品だと思うのですが、それ以上にやはり新しい血が必要なんで総裁になられたと思うのですね。そういうことからいくならば、四方八方余り気を配らないで、責任を持つのにはこうだということがやはり必要だと思うのですね。着任してからまだ幾らにもならぬからよく検討してという御答弁でありますが、そういうことでは昔の総裁と同じになってしまうのではないかと心配いたします。
いずれにしても、公団がつくった新線にダイヤが往復たった三本しか入っていないものがたくさんある。これが国鉄のいわゆる陰の抵抗なんですね。地方住民こそいい面の皮ですよ。たった三本しか走らせない。しかも、幹線との接続は余り関係なくダイヤを引っ張っている。そういうもので果たしていいのかどうかという疑問がどこにでもあると思うのですね。そういうことを御存じだと思うので、この際はやはりきちんと物を言えるようにしたらどうですかというふうに私は申し上げて、先にいきましょう。
それから、次には、総合的な交通政策というか、そういうものがほとんどできていないというか、確立していない。もっとも、数年前に経済企画庁が取りまとめの責任に当たった「総合交通体系について」によりますればいろいろ書いてあるけれども、言うならば、どういう交通を配置するかは利用者の選択に任せるというのです。選好に任せる。好むところに従って選んでもらいましょうということが基本になっておりますが、これは修正されているのか、修正する考えであるのか、これは経済企画庁から先に聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/50
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051・宮崎勇
○宮崎政府委員 お答えいたします。
ことしの五月に発表されました昭和五十年代前期五ヵ年計画におきましては、従来の総合交通に対するいろいろの研究の成果を踏まえて新しい計画がつくられているわけでございまして、その中にいま御指摘の研究報告の成果が取り入れられております。
これからの交通政策の考え方といたしましては、一つには、国民の選択という御指摘の点もございますけれども、同時に、各交通機関が持っております特性に応じて交通体系を考えなければいけないということと、特に、石油危機以降日本経済に新しく出てまいりましたエネルギー資源制約という条件を加味して考えなければいけないということで、今回の新しい計画もその線に沿って作成されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/51
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052・久保三郎
○久保(三)委員 新しい総合交通体系というのは、いま御指摘がありましたように、一つはエネルギーの問題、資源の問題、労働力の問題、安全の問題、環境保全の問題と、大体この五つか六つの枠組みの中で特性をどうやって生かすかという組み合わせの問題だと思うのですね。そうなりますというと、いままでそういうものがもしも検討されているとするならば、政策が直ちに発動しなければ、先ほど申し上げたようにやはり選好に任せるということになる。政策の前進がちっともないじゃないですか。
あえて私は後から国鉄の貨物の問題にも言及しますが、国鉄の貨物を何とかしようということじゃなくて、国民経済的に見て、いま申し上げたようなフレームの中でどうやったら一番いいのか、その中で国鉄はどうすべきかということがあってしかるべきだと思うのですね。ところが、いまのところは何にもないのですね。そういう中で旧態依然として国鉄の経営をやっていく。これではだめになっていくのはあたりまえだと私は思っているのです。しかも、前段に幾つか申し上げたような制約をしょっているわけでありますから、これを解放しない限りはだめだと私は思うし、いまのように政策的に筋道が立っていかなければならぬというふうに思うのです。
まあ、いずれにしても具体的にどういう政策を立てましたか。どういう政策を推進していますか。たとえば私が前段に質問したように、新線建設や新幹線鉄道網についてはどういう政策なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/52
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053・宮崎勇
○宮崎政府委員 お答えいたします。
各交通機関の特性に応じてということにのっとりまして、鉄道につきましては、特に都市間の旅客輸送、大都市圏の旅客輸送、それから中長距離の貨物輸送という点に重点が置かれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/53
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054・久保三郎
○久保(三)委員 それは物の考え方だけであって、そうだとするなら、新線とか新幹線はどこまでどういうふうにするのかという具体的な政策がなければいけないのじゃないですか。まあ、いまの局長の御答弁は文章上の話でありまして、政策ではない。国鉄の特性をいまお述べになっただけだと思うのですよ。特性をどうやって生かすかという問題が政策として出てこなければいけないのじゃないですか。これは急な質問でありますから御準備もできないようでありますから、できているというなら、いずれ文書でお示しください。しかし、いまの御答弁のようなものでは、これは政策ではなくて物の考え方であります。これは念のため申し上げておきます。
運輸省に聞きますが、これはだれに聞いたらいいのですかな。真島さんだな。大臣にお聞きしてもいいのだが、専門的だから審議官に聞きましょう。
総合交通政策というか、そういう問題については、特に運輸省は陸海空の全部を持っているのですよ。持っていないのはただ道路ぐらいなんだな。しかし、上を走るものは行政として持っているわけです。一番先に総合的な政策が発動できるのは運輸省なんですね。いまだ寡聞にしてそういうものを聞いたことがないのですが、あるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/54
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055・真島健
○真島説明員 お答えいたします。
先ほど経済企画庁の方に御質問になりましたときにお触れになりました総合交通体系については、その基礎になる案といたしまして、私ども運輸省といたしましても、四十六年に総合交通体系に関しまして運輸政策審議会にお諮りをいたしまして、答申をいただいております。その答申を経済企画庁その他関係省庁と一緒にいろいろと検討いたしました結果が先ほどお触れになりました総合交通体系でございます。
そういう意味では、私どもも、四十六年時点において、ある程度のそういう体系的な需要予測あるいはそういう需要予測に応ずるような交通の資本整備、運賃バランスというようなことについての一応のものを持っておりました。ただ、最近、石油ショック以来の非常に大きな経済変動の中で、今後の安定成長というような経済フレームの中で物を考えようということになりますと、当時の考え方が高度成長ということをある程度前提にしながらいろいろな予測を行っておったということで、これは当然に見直しをすべきであるということになりまして、私ども事務的には部内でいろいろな試算を行い、検討を行っておったところでございますが、先ほど企画庁からのお話のとおり、昭和五十年代前期経済計画というものが本年の五月に閣議決定を見たわけでございます。この計画フレーム等に準拠いたしまして、私どもは現在私どもなりに五十五年程度までの短期のいろいろな需要予測、そのための資料その他を集めまして、現在総合的にどういうような輸送需要をどういうような交通機関がそれぞれ特性に応じて分担することになるだろうかという試算を鋭意行っておるのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/55
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056・久保三郎
○久保(三)委員 輸送需要の予測というのは、いまお話があったように、あの当時のものは全然当てが外れた。いまも輸送需要の予測をやっているそうでありますが、それもやってはいかぬとは私は言いません。しかし、これはすべて予測でありまして、どういうものを配置するかということには多少関係がありますが、不確かな予見を土台にしてやっているのでありますから、これだけを総合交通体系の前提にしていることは間違いだと私は思うのですよ。前につくりましたやつは、いわゆる五つか六つの条件というか、さっき言った省資源、省エネルギーなど幾つかある。そういう中で見直す時期が来ているということはだれも異論のないところ、だと思うのですね。
ところが、いままでのお二人の御答弁を聞いていると、そういう見直しについては別に何も触れておられない。これは全くどうかと思うのですね。無関心なん、だろうか。それから、もう一つは、学者の論文を期待しているのではないんです。いかにしたならば国民経済に寄与でき、効率的な輸送網ができるかということなんです。その中には、国鉄の特性をどうやって生かすべきかというのが当然あってしかるべきなんですが、政策的には何もない。提案されてきているものは、単なる、赤字だから財政助成も多少やりましょう、運賃値上げも二年間続けて五〇%をさせましょうというだけの話です。極端なことを言えば、この中には政策のかけらもないのじゃないですか。対策要綱の中には、はっきり言って政策は全然ないんですよ。
そういうことを考えていけば、もはやそういう輸送需要の予測に血道を上げているのじゃなくて、もう一歩踏み込んで政策をどうするかということを検討していくべきだし、また、国鉄自身もそういう観点から政策を要求すべきだと思うのですが、総裁、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/56
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057・高木文雄
○高木説明員 いろいろな事情で現在経営がぐあい悪くなっておるわけでございますが、その事情の中に私どもの内部の問題がやはりいろいろあるわけでございます。たとえば、これは一例として適当かどうかわかりませんが、ローカル線のうち一部はやめるかということで、八十三線区、二千六百キロについていろいろ議論があったわけでございますし、過去におきまして、国鉄といたしましても地方住民の方々といろいろお話をして整理をする努力をやったわけでございますが、その成果は上がっていないわけでございます。
それはいろいろ事情があるわけで、地方住民の方にも、経営のいかんにかかわらず従来どおり列車、電車を走り続けるようにしてほしいというたっての強い御要請があるという動かすべからざる事実がございますし、また、その間において、これはいろいろ見方にもよりましょうけれども、私どもの職員自体が村の方々と一緒にお話し合いをといいますか、働きかけをして反対運動に回るというようなこともあったわけでございまして、そういう実態からいたしますと、私も、国鉄の立場といたしましていろいろお願いしたいことは山ほどあるわけでございますけれども、それと並行して、やはり、内部の全体としての物の考え方も次第に変えていかなければならないわけでございます。
赤字の原因といたしましては、お客さんが少ないということが非常に大きな理由でございますけれども、内部としてできるだけ合理的な経営をといいますか、経費の切り詰めといいますか、そういうこともやっていかなければならないので、外に向けて声を大にしてお願いをするにつきましては、やはり内部の方もまた同時並行的にもう少し直していかなければならぬ点があると思います。
したがいまして、御指摘のように、私が国鉄にかくあるべしということを声を大にして言えとおっしゃる気持ちも非常にわかりますし、そのように時が至りましたならばしてまいりたいと思いますが、同時に、また、内部につきましても、自分自身の問題として、経営者だけじゃなくて職員全体がいろいろともう少し考えるような雰囲気をつくっていかなければならない。それを並行的に進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/57
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058・久保三郎
○久保(三)委員 お話に関連して前へ進みます。
お話では内部的にというお話がありました。これはそのとおりなんです。世間に対して果たして国鉄はまじめにやっているかどうかという問題は、まじめにやっていないという断定は私はしませんけれども、これまでやってきた近代化、合理化というのはふまじめのそしりを免れないものも数多く見られるということですよ。ここに重役から局長までずっとそろっておられますが、これまでやってきた近代化、合理化というものについてはだれも責任を負っていないのですね。二年か三年足らずでみんな御破算にしてどんどん先へ行ってしまう。これもはっきり言って無理からぬこともあるかもしれません。
いままでは、人件費を圧縮しようということ、予算上の人件費を圧縮しようという人減らし、五万人合理化とか十万人合理化ということで、いわゆる数字を合わせるために何をやったかというと、いままで国鉄職員がやっていた仕事を外注や下請に出している。こういうことをやってきている。いまや、国鉄全体の関連産業を含めて働いている労働力というのはちっとも減っていない。減っていないというよりは、むしろそこにむだがありはしないかということなんです。外注や下請という問題で、ですね。
私は、言いにくいことでありますが、この際申し上げておきたいが、たとえば一つのCTCをやる。その前に単線自動をやっちゃう。各駅には継電連動でパネルも備えておく。ところが、日ならずしてこれは要らなくなっちゃうのですよ。CTCでどこかの指令所で全部やっちゃうのですからね。そういうことを平気でやっているのですな。あるいは、ある駅では、石炭がもう斜陽になっているというのに、それは目に見えているのに、これは小さい話でありますが、構内の拡声電話を取りつけているわけだな。これはいまじゃありませんよ。ずっと昔だ。これは何百万くらいだから大したことはないかもしれません。しかし、目に見えてわかっているのにそういうものをやっていくわけだな。
たとえば国鉄のバスだが、これは自動車局長は来ておりませんか。——いないですね。常務でわかるでしょう。バスというのはどこのバスでも大体同じだと思ったら、国鉄には国鉄の規格があるそうですね。国鉄の規格がなぜ必要なのか。一般に市販されているバスを何で買えないのか。規格に沿ったバスを特別に注文すれば高いのがあたりまえですよ。
それから、ついこの間ダイヤ改正で新聞にも載ったが、寝台車のコンバートの新しい車をつけるそうでありますが、きょうも走っているんでしょう。結構な話です。けれども、いまや寝台車のそういうコンバートの、一人乗りのものをつくる時代であるのかどうかということです。これは極端な言い方をすれば道楽だ。そういうものをチェックできないところに国鉄の経営のずさんさがあると思うのですよ。
たとえば、保線の仕事にしてもそうだ。列車が間合いがないのに大きい機械を入れてきて使い物にならぬ。そういうものをやった責任ですね。たとえばだれがやったのか、全然責任は感じられていないのですよ。局長がやったのか課長がやったのか知らぬけれども、二年なり三年たてばそういう者は責任部署から全部移動していくわけです。
小さいことかもしれませんが、出札の窓口もそうですね。券売機をたくさん入れてきた。券売機で売れる切符というのは単位が決まっているんですね。だから、列車に乗ってごらんなさい。乗り越しの人はたくさんいる。昔は車掌というのは一列車に二人から、その辺なんですね。案内、誘導が中心なんです。いまやまさに切符売りが専門になっている。それに追われている。そうかと思うと、それによっていわゆるただ乗りもできている。そういうものについてちっとも関心を持っていないんだろうかという憤りさえ私は感ずるのであります。
よく世間では国鉄の職員の生産性の問題を言うけれども、生産性が上げられないような仕組みになっている場合もあるのですね。たとえばダイヤ編成についてもそうですよ。非民主的だ。私は、ある線でこの間列車のダイヤを調べて乗ろうとしたのですが、そうしたら、先の方から来る、私が乗る駅からのものは途中までしか来ない。ある主要駅から先へぼくは行かなければならぬのだが、時刻表で見たらば、そのある中間乗り継ぎの駅から先に行く電車が十分前に出ちゃう。十分おくれて到着するようになっている。なるほどいろいろ事情があるかもしらぬ。ダイヤ編成上の事情もあるかもしれないし、構内の問題もあるかもしれないが、しかし、こういうものを見た場合に、はっきり言って国鉄は民主化されていると思っている人は一人もありません。しかも、ダイヤばかりじゃない。貨物の輸送にしてもそうだ。扱いの廃止をたくさんやっている。
貨物についても時間があれば後からやりますけれども、いまや到着はその駅の収入にならぬということなんですね。だから、発送だけはなるけれども到着はならぬというので、扱いが少ないからやめようというのです。やめれば、その到着の貨車の出る発送の方は、これもやめざるを得なくなる。一貫性がないですね。そういうことはどこへ行ってもたくさんある。極端なことを言えばたくさん目につく。そういうものに対する検討はどうなっているのか。近代化や合理化は、たとえば貨物の問題でも、この対策要綱に書いてあるが、固定経費でとんとんになるように、五十五年までに二〇%固定経費を削減して、そうして収支を均衡させるというふうになっている。二〇%固定経費を減らすという原点からいくならば、国鉄の貨物はなくなってしまうのです。しかも、いままでのやり方でいけば、高度成長経済に乗ってトラックと競争しようというので二つやってきた。一つはいわゆる物資別適合輸送、専用線の荷物、それからもう一つはコンテナの輸送をやってきたが、いずれも経済成長がぽきっと折れたからこれはだめになってきた。だめになってきたばかりじゃなくて、国鉄が当然受け持つべきところの一般車扱い貨物というものが扱いの廃止をやってきたから全部なくなってしまった。いまや荷物は集まらぬという。だから、貨物列車の輸送は牽引定数の半分も引っ張っていないのがたくさんあるじゃないですか。しかも、通運との二人三脚が国鉄の貨物本来の姿なんだ。それをあの当時は通運と競争しようという。国鉄には荷物を集める能力は絶対にないのだ。また、そういう仕組みなんだ。輸送を売るということが国鉄の任務なんだ。それを忘れている。これは運輸省にも責任がある。
そういう中で、結局国鉄の貨物はヤードパスの直行方式にした。拠点輸送方式だ。いままであったヤードは改良した途端になくなってしまう。空っぽになってしまう。結局、中間駅というか、そこにある程度扱いがあってもやめて行ってしまう。やめていくのでは、これは縮小再生産の方向でありますから、国鉄の貨物は減らざるを得ないのです。
もう一つ、時間がありませんからついでに申し上げますが、小量荷物の問題です。手小荷物と称するものですね。前には小口扱いの貨物というのがあったが、そういうものもいまやまま子扱いなんですね。採算に合わないのかもしれません。しかし、先ほど言ったように、国鉄というのは国民経済にとってどれだけ有用であるかというところに使命があり、値打ちがあるのです。ところが、頭に考えた合理化、近代化というか、そういうものの妄想にとらわれて全部切っていく。それぞれの駅へ行ってごらんなさい。荷物は山ほど到着があるが配達はしませんと言う。だから、これを一々手紙を出したり電話をかけたりして引き取りに来てもらう。ところが、これは到着になっているのでありますから、遠いところまで何倍もの運賃をかけて取りにいく。取りにきたときには、いわゆる腐るものはもう用を足さぬというものもたくさんあるわけですね。そういうものも考えているのかどうか。あるところに聞くと運送屋がきらうからと言うが、実際を言うと、運送屋がきらうのじゃなくて、国鉄が積極的に努力しないから運送屋は配達を請け負わないのです。
それから、もう一つついでに申し上げますが、貨物で代行輸送というのがあるが、代行輸送とはトラックで輸送するわけだ。国鉄がトラックで輸送するのでありますから、これは実際漫画ですよ。しかも、漫画もまじめにかいているわけだ。しかも、トラックに半分も荷物を積んでいない。毎日は便を出さない。週二便か三便だ。そんな輸送に載っける荷主はどこにもありませんよ。それで、片方は、さっき言ったように貨物列車は半分ぐらいで走っているというのでしょう。これで矛盾を感じないのだろうか。
そういう点検を総合的に早急にやるべきだと私は思うのでありますが、いかがでしょうか、総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/58
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059・高木文雄
○高木説明員 ただいま御指摘になりました点は一々私ども胸にこたえるものがあるわけでございます。いま、貨物の問題で申しましても、これをどうやって経営収支が償うようにするかということは非常にむずかしい問題でございます。確かに、大量の輸送物資でございました石炭でございますとか、木材でございますとか、鉄道で余り扱われなくなった——石炭のように全くお客さんがいなくなったというようなものもございますし、木材のように海外からの輸入材の方に置きかわっていったというものもございまして、国鉄自体の問題としてではなしに、日本の経済構造の変化ということによって減った部分もあります。また、工場の立地との関係で鉄道の有効性を失ってきたものもございます。しかし、そういうふうに世の中が変わったからわれわれの経営がうまくいかなくなったと言っておったのではだめなのでありまして、あらゆる角度でもう一遍洗い直さなければならないというふうに思っております。
一番多いときに比べまして七割ぐらいに荷物が減っておるわけでございますが、荷物が減りましても手間は変わらないというようなかっこうになっております。どこのヤードにおきましても、扱っている貨車あるいは荷物の量は減りますけれども、しかし、そうだからといって人員を減らすことができないという仕組みになっておりますので、それを基本的に直さねばならぬというふうに考えております。
貨物の問題につきましては、かなり早い時期に方針を立てて、そして何年かかかって順次切りかえていくということをいたさなければならないと思います。
なお、先ほどお触れになりました手小荷物の問題等につきましても同様の問題がありまして、よほど考え直す必要があるというふうに思っております。
同時に、いまお触れになりましたように、国鉄とトラックとが競争するのではなくて、トラックを扱っておられる業者の方々と提携をしてやっていくという精神が必要だということは、ことしの監査委員会の報告の中でも非常にウェートを置いて指摘された点でございまして、これもまた貨物問題、荷物問題の課題の一つとして取り上げていきたいと思っております。
そのほか、ただいまいろいろ御指摘がございましたが、いままで取り上げてきました施策で必ずしも十分でないものもあります。保安のための機械の導入につきましても、結果としては必ずしもうまくいっていない点がございますので、これも内部ですでに相当反省が進んでおりまして、この機械をうまく使うこと、そして保安の関係の要員が現在よりはもう少し働きがいのあるといいますか、働こうとする積極的な気分を持てるような職場に変えていかなければならないということで、このことにつきましては担当の局自体でもいろいろといま案を立て、少しずつ前進をいたしておるわけでございます。
それらのことは、中で経営を合理的にやっていくということがやはり何としても基本でございますので、細々した問題はたくさんございますが、これを一つ一つ取り上げて、内部でいま議論をいたしております。その御指摘の方向にはぜひ沿いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/59
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060・久保三郎
○久保(三)委員 私がいま具体的に挙げた事例について、もしも何か言い分があるならば——言い分というのはおかしいが、説明があるならば説明をしてもらった方がいいと思うのです。私も独断ではいけませんからね。それは総裁にはむずかしいことかもしれませんが、いずれにしても、そういう近代化、合理化というのは、名前は大変いいが不合理化をやっているのではないかというように思うし、思いつきも多少入っているのではないかと思うのです。なるほど近代化することは結構ですよ。しかし、一つは分相応にということもありますし、だから、寝台車などは分相応ではないと私は思うのです。
この車両の発案をしたのはだれですか。ひとつ具体的にどんな考えかをお聞きしましょう。総裁でなくて、これは具体的におやりになった人から聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/60
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061・高木文雄
○高木説明員 いまの寝台車は、実は私が参ります前にもう方針が決まり、車両ができておったのでございますけれども、しかし、後で聞いてみますと、私は決していま御指摘のように——先ほど来いろいろなことが御指摘がありましたが、その中で寝台車だけについてはそう非難さるべきものではないのではないかと私は思っております。と申しますのは、現在のように東京から博多までああいう新幹線ができましたけれども、寝台車を利用されるお客さんはやはり非常に多いわけでございます。その場合に、そのサービスとしては余りにも狭いということが問題になっておるわけでございますのが一つと、三段式であります場合には、途中で段を外すとか、そういうことでかなり人手を要するわけでございまして、固定式寝台車にするということは、一台に乗っていただくお客さんは減りますけれども、総体の経費としてはかなり能率化を図られるわけでございまして、この点は、まだ数日前から走り始めたところでございますので、その結果がどうであるか、もう少し結果を見ていただいて御批判をいただきたいと思います。
その他の点につきましては、保守の機械の問題とか手小荷物の問題とか貨物の問題等につきましては、御指摘のいずれの点につきましてもいろいろ研究すべきだというか、研究というよりは、直ちにやり方を変えるべき点がいろいろありまして、それらの点については、いずれも私は御意見の方向で考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/61
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062・久保三郎
○久保(三)委員 寝台車にこだわるわけじゃありませんが……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/62
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063・中川一郎
○中川委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/63
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064・久保三郎
○久保(三)委員 いまや寝台車の比重というものは、日本国内の輸送体系から見れば検討を要する時期に来ていると思うのです。飛行機もございますし、そういうことを考えれば、新しいものをつくって要員は多少削減できたかもしれないが、スペースから言っても、これは残念ながら収入の面ではマイナスだと思うのですね。そういうことを考えて、これは一つの例でありますが、どうも独断的なものが非常に多いのじゃないかと私は思うので、これはもう少し謙虚にお聞きをいただきたいというふうに思います。もっとも、つくってしまったものだからいまさら外すわけにはまいりませんから、どうぞお使いください。やむを得ません。
それから、最後に一つだけお伺いしたいのです。これは運輸省鉄監局長並びに国鉄担当常務で結構ですが、対策要綱では五十五年度までに固定経費二〇%削減で収支とんとんにしようということで、これは中身はいままでやってきた方式の踏襲のように見受けられます。踏襲というのは、言うならば集約ですね。集約というのは扱いを廃止していこうというようなこと、あるいは近代化というのはヤードを整備していくというようなこと、ヤードを整備するというより整理するということですね。そういう方式でいくことは、先ほども申し上げたように、国鉄の貨物の中枢は物資別適合輸送とコンテナであるという前提に立っての話かと思うのでありますが、そういうことに頼ることは非常に危険である。景気の波動につれてこれは問題が出てくる。いわゆる貨物で言うベースカーゴーというのをどこへ置くのか。(「車扱い」と呼ぶ者あり)
車扱いという話がありましたが、車扱いに置くのなら、いままでの話は誤りであるということなんですね。あるいは国鉄の使命で、ほかの分野でタッチできない少量荷物の輸送はおやりになるのか、ならないのか。やらぬということになれば、いままでの方針どおり扱いの廃止をする、あるいは先ほど指摘したように配達をやめるというようなことに尽きるわけですね。その辺のことの考え方はどうなんでしょうか。簡単にお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/64
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065・田口通夫
○田口説明員 簡単に御説明申し上げます。
固有経費二〇%削減というのが目標でございまして、私どもといたしましては、今後も集約は進めていきたいと思っております。ただ、貨物集約に誤解がありましたと思いますが、発送だけを考えて集約をしてまいったわけではございませんで、発着を考えました扱いトン数を頭の中に入れまして集約を今日までしてまいったということをもう一度念を押しておきたいと思います。
それで、物の考え方ですが、三つの方式、すなわち物資別輸送、コンテナ、そして一般車扱いはもう捨てたのかということでございますけれども、私どもの考え方といたしましては、一般車扱いを主体にいたしまして、量から申しましても、四百六十六億トンキロのうちの三百億トンキロは一般車扱いでございますので、一般車扱いを基調といたしましてコンテナあるいは物資別輸送をやっていくということでございます。したがいまして、貨物集約はやっていきますが、通運との連携その他を非常に考えまして、できるだけ国鉄の輸送に乗るように、たとえば現在の主要ヤード間につきましてはコンピューターシステムを使って、自分の送った貨物はどの貨車に乗って現在どこにあるかということを最終目標にいたしまして努力をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/65
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066・久保三郎
○久保(三)委員 一番最後ですが、経済企画庁に念のためお伺いしておくのですが、今回の国鉄運賃の値上げが実行されれば物価に対してはいかなる影響があるのか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/66
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067・朴木正
○朴木説明員 〇・五%程度の影響が出ると思われます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/67
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068・中川一郎
○中川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案について、本日、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君を参考人として出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/68
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069・中川一郎
○中川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/69
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070・中川一郎
○中川委員長 質疑を続行いたします。梅田勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/70
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071・梅田勝
○梅田委員 私は、まず委員長に申し上げたいのでありますが、本日は参議院の予算委員会で総括質問が行われておるのでありますから、当委員会の開会を私どもが理事会で反対したにもかかわらず、あえて強行されたことはまことに遺憾であります。私は、日本共産党・革新共同を代表して、厳重に抗議をいたします。
わが党は、今度の国鉄等二法案は国民生活にきわめて重大な影響を与えますので、慎重審議を要求してきたのであります。七十一国会の例にならいまして、委員会における徹底審議と、また、運輸委員会のほかに地方行政、大蔵、公害、社労、農水、物特、商工、建設、交通、文教の、これら関係ある十委員会との連合審査会も十分に時間をとってやっていただきたい。
また、あすは公聴会が行われるわけでありますけれども……(「あさってだ、公聴会は」と呼ぶ者あり)失礼しました。あさって公聴会が行われるわけでありますけれども、前回は地方公聴会も開催いたしております。現地調査を含めまして、これらを十分時間をとってやっていただくことが必要であります。そのほか、参考人の意見聴取等、とにかく慎重審議をやるということを国民が求めておるわけでありますから、それを十分にやっていただくように要求するものであります。
また、徹底審査をやるために昨日私が理事会でいろいろな資料要求をいたしました。たとえば昭和五十年度における出荷契約トン数つき割引で、セメントや石油、鉄鋼及び同製品、自動車、紙パルプといった重要な品目についての発駅、契約企業名、輸送量、割引率、割引額といった諸資料を要求したのでありますが、本日の理事会でようやく大筋の承認がなされたわけでありますけれども、これらの資料はまだ私の手元へ届いていないのであります。私はこの資料を十分に研究して質問をしたいと考えておりましたので、本日の質問の後、これら関係分につきましては後日再質問を許してもらえるようお願い申し上げたいと思います。
また、本日は運輸大臣以外に四人の関係大臣の出席を求めたのであります。福田経済企画庁長官、早川厚生大臣、大平大蔵大臣、天野自治大臣といった関係大臣の出席を求めたのでありますが、これはいま予算委員会を開いておるので出席ができないということでありますが、大体、こういうむちゃな日程でやること自体が全く不当でありますので、その点委員長の見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/71
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072・中川一郎
○中川委員長 梅田君にお答えします。
予算委員会も大事でありますが、当委員会も並行して重要でございますので、並行審査は当然でございますし、徹底審査を要求される共産党の要求にもこたえてきょう委員会を開いた次第でございます。
なお、公聴会、参考人、資料要求等につきましては理事会で相談をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/72
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073・梅田勝
○梅田委員 まだ資料をいただいておらないのですから、これらを十分吟味して、後日再質問をやらせていただけますか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/73
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074・中川一郎
○中川委員長 再質問を許す気持ちはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/74
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075・梅田勝
○梅田委員 全く不当ではないか。どうなんですか。(「資料を渡してあるじゃないか、うそを言うなよ」と呼び、その他発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/75
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076・中川一郎
○中川委員長 速記をとめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/76
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077・中川一郎
○中川委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/77
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078・梅田勝
○梅田委員 資料につきましては、私が要望している内容とは似てもつかないものが来ているわけですよ。こんなものは全然話にならない。私が求めているものを出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/78
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079・中川一郎
○中川委員長 梅田君に申し上げます。
先ほど理事会において協議をして、出せるものは出せる、出せないものは出せないと整理をした結果を出しておりますので、それ以上のことは委員長として受け付けません。質疑をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/79
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080・梅田勝
○梅田委員 国鉄のきわめて重大な財政破綻の状態、あるいは公共輸送としての機能を消失しているという、こういった問題を徹底審査するために私は資料を求めているのです。前の国会のときにも私が要求した多くの資料を出さなかったのです。それをあえて強行したということについては、そのときにも抗議をいたしましたが、今度の国会におきましても、政府当局はきわめて不誠実な態度をとっているということは問題でございます。私は、厳重に抗議をしながら、時間がありますので、後日再質問をするということを念頭に置きながら、また理事会で協議をしてもらうということを申し上げて、それでは質問を続けていきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/80
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081・中川一郎
○中川委員長 梅田君に申し上げます。
資料が出ておりますのに出ておりません程度のことで意見を申されることは遺憾であります。再質問を念頭に置くことは結構でありますが、理事会で諮ることはいたしません。質疑を続けてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/81
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082・梅田勝
○梅田委員 委員長、何を言うか。私が先ほど読み上げたものは出ていないのは確かですよ。昭和四十九年、五十年度における顧客台帳整備基準規程に基づく五万トン以上の大口荷主の事業所別発送トン数、輸送トン・キロ、運賃収入その他の収入、これは出ていないですよ。
国鉄の今日の危機の実態につきまして質問をしていきたいと思います。
御承知のように、今日の国鉄の危機はきわめて深刻であることはだれの目にも明らかであります。十二ヵ年連続の赤字であり、累積赤字は五十年度末で三兆一千六百十億円、長期債務は約六兆八千億円に達しております。
〔委員長退席、浜田委員長代理着席〕
本年度の利払いは、一日当たり十四億円の多額に達しておるのであります。このように、だれの目から見ても国鉄財政は破綻している。しかも、国鉄の危機が深刻なのは財政破綻だけではありません。地方線の赤字を理由に、それが廃止や間引き運転、これでサービス低下が重大な問題になっております。無人駅や貨物取り扱いの駅の廃止が続いています。国民は大変な不便にさらされておるのであります。いわば公共輸送機関としての機能が破壊されてきているというところに今日の国鉄の重大な危機があると思うのであります。
さらに、相次ぐ労働者に対する合理化攻撃がある。労働者はスト権が剥奪されている。きわめて低い労働条件である。ところが、仲裁裁定も実施されない。踏んだりけったりであります。国鉄再建の上で労働者のエネルギーを発揮するという点がきわめて重大であるにもかかわらず、これが軽視されている。今日、国鉄の職場における正しい労使関係の確立というものはきわめて重要であります。これが再建問題にとって不可欠であるにもかかわらず、その点がはっきりしていない。
そういう点で、今日の国鉄の危機というものは単に財政問題だけではない、公共輸送機関としての機能が破壊されている、職場がきわめて不安定な状態になっているというように私は思うのでありますが、大臣は今日の国鉄の危機というものをどういう視点で考えておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/82
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083・石田博英
○石田国務大臣 国鉄が今日の状態になりました原因はいろいろあると思いますが、先ほどもお答えを申し上げましたように、また、あなたも御指摘のように、三十八年までは黒字経営を続けてこられたわけであります。その後の経済構造の変化、産業立地条件の変化というものへの対応の仕方に問題があったことが一つでありますが、もう一つは、適正な運賃改定が予定よりおくれて、そのおくれが負債の増加につながり、金利の増加につながって経営の悪化を来したこともまた事実でございます。
その国鉄が本来の役目を果たしますためには、まず、その経営基礎の安定が第一であり、そして、国民に対して責任を持った運営ができる体制の整備が肝要であると考えまして今回運賃改定を含む法案をお願いをしておるわけであります。
それだけでなく、政府も、なすべきものとしては、二兆五千四百億円に上りまする負債をたな上げいたしまして、これに対する利子補給その他の処置をとっていることは御承知のとおりであります。また、国鉄のサービスの問題あるいは国鉄の地方線の運営の問題もやはり国鉄経営の現状、財政的現状と切り離しては考えられない問題でございます。しかし、国鉄経営全体が従来の発想にとらわれることなく発想を転換して、そしてこの危機を乗り切って公共輸送機関としての役割りを担っていくように、その第一歩として今度の法案の御審議を願っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/83
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084・梅田勝
○梅田委員 今日の国鉄財政の破産の問題あるいは公共輸送機能の重大な危機という問題を、いま大臣のおっしゃったようなことで問題の本質をすりかえるということはきわめて重大だと私は思うのです。
私どもは、あの再建計画自体が今日の財政破綻をつくり出した重要な原因だと思っている。あれが出されて審議をしたときに、この計画自体が非常に問題だ、心ず失敗するというように指摘をしてきたわけであります。御承知のように、当初の計画によりますと、昭和五十年度は長期債務は六兆三百五十四億円、十年後の昭和五十七年度には十兆九千八百十九億円となる計画でございます。借金はだんだんふえるという計画だったのです。十年間で十兆五千億円、こういう莫大な設備投資が計画されておったのです。年平均いたしますと一兆円を超える設備投資計画というものがあったわけです。今日の借金のふえ方を見てみますと、いわば計画どおりで、借金は一年くらい早い速度で進んでおるということでありまして、いろいろの要因で誤算は生じたとはいいますけれども、大局的にはあの計画どおりにいっておるというわけであります。
いま、大臣は、運賃値上げが適切にできなかったとか、あるいは人件費等が値上がりしておるということを言われるけれども、もともと政府はインフレ政策を進めているんですし、そして計画自体の人件費の予想額というものは少ないんですから、われわれは当初からそういった弱点は指摘してきたんです。コストが上昇するといいましても、それは皆さん方の計画がきわめてずさんであったということの証明でありまして、これはもう今日までの政府のとってきた方針の誤りというものは根本的に明白だろうと思うんです。
したがって、もともと破産するような計画で事を進行させてきた政治責任というものはきわめて重大だと私は思いますから、その点の見解を示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/84
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085・石田博英
○石田国務大臣 前の計画がいろいろの事情で計画の基礎が動揺したために、新しい計画に基づいていま再建策を御審議願っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/85
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086・梅田勝
○梅田委員 計画はそごを来して、再建計画をもう一度やり直さなければならない。これはあなた方が進めてきたことが失敗したということでありますから、ここのところは率直に失敗を認めていただきたいと私は思うんです。政治責任は重大だと思うんです。
七一国会で新谷運輸大臣がどういうことを言っておったか。大体これで国鉄の再建の可能性が出てきたということを発言しております。当時の田中総理はどう言っておったか。四十八年六月十二日の委員会におきましてこのように言っております。私どもが、このような無謀な運賃値上げをやめて、十兆五千億円の設備投資を含む再建計画の再検討が必要だと思うというようにただしましたのに対して、当時の田中総理は、「いま一五%の値上げをするような法律を御審議していただいておる」ということで、全く耳をかさない。その上こういうことを言っておるんですね。「設備投資は、さしあたり大都市の通勤輸送力の増強や地域住民、中小荷主の利用できるような輸送力の整備、こういう必要なものを最優先的にやるように改めて、規模を大幅に縮小する、」「利子補給を含めて年に五千数百億円の国の支出を行なえば再建可能になる」と私が言って、国民が求めておるのはそのような抜本的な再建策だということを私どもが提案したのに対して、彼は十兆五千億円ではまだ足りないというように言っているんですね。そして、いま出しておるのが鉄道の再建策としては最善だと言っている。このように、幾らやりとりをやりましても、自分たちの計画が正しいというように言い切ったわけです。
それから、七三国会の徳永運輸大臣のときには、計画が延びまして、その問題が審議されたわけでありますけれども、計画を変更し、あるいは崩すという考えは全くないというように当時の責任者は言っております。しかし、今日このように法案の変更を出さざるを得ないということは、明らかに失敗しておるということの証明ではありませんか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/86
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087・石田博英
○石田国務大臣 これは表現の問題でございますね。その後にいわゆる石油ショックもありました。あるいはまた世界的な不況の中の物価高、いわゆるスタグフレーションとでも申しましょうか、そういうようなものもございました。また、わが国だけではありませんけれども、物価安定策の裏側としての深刻な不況もあったわけでございます。
そういう情勢の変化を見まして、その変化の影響を受けて、あの計画を長期のものから短期のものに振りかえ、そのかわり政府の負担すべきものは負担するというたてまえに変えたのでございまして、前の計画といま出している計画とが違うという事実は、これは事実でございます。それを失敗と御判断なさるか、あるいはその後の情勢の変化によるやむを得ないものと御判断なさるかは、これは御自由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/87
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088・梅田勝
○梅田委員 計画どおりに借金がふえて、失敗しているということは事実なんですから、その点をはっきり認めることが必要だと思うのです。
私どもは、前の審議のときにおきましては、四十八年の六月でありますが、国鉄の財政改善に関する五項目の提案というものを発表いたしまして、国鉄の真の再建の方向を打ち出しました。一つは、基礎施設の建設費は国の出資で賄うようにして、公共輸送機関にふさわしい、いわゆる費用負担原則を確立すること、二つには、大企業本位の運賃体系を抜本的に改革するということ、三つ目には、設備投資の規模を縮減して、投資の優先順位を科学的、民主的に決めるようにすること、四つ目には、長期債務を縮減して、利子負担を軽減するような措置をとること、第五には、国鉄の管理、運営を民主的にすること、こういう五項目の改善を当時提起をいたしました。こういうことを政府がまじめに取り上げて検討してきたならば、今日の危機はもっと違った形になっただろうと私は思うのですが、こういう警告を無視してやってきたのでありますから、その責任は非常に大きいと私は思います。
今回の提案は、いわゆる再建要綱によりますと、長期でやってきたから失敗したんだ、今度は短期決戦で行くのだという構想でございます。これでは真の解決策にはならないと思います。
私どもは、今回の再建に当たりましては、三つの民主的な転換が必要ではないかと考えております。一つは、先ほど申し上げましたように、公共交通機関にふさわしい費用負担原則を確立して、国鉄財政を民主的に転換するということ、二つ目には、大企業本位ではなくて、国民本位の輸送力増強への転換を図る、陸上貨物輸送におきましても国鉄の役割りを高めるということ、第三には、国鉄の管理運営の民主的な転換を図って、もっと国民の声を聞くということ、こういう制度的な改革を思い切ってやる必要がある。この三つの民主的な転換が必要であろうと思います。
言うまでもありませんが、長く続いた不況でまだまだ国民経済は苦しい状況にありますし、その上、最近は激しいインフレでありますから、国鉄運賃は物価の王様だとか、あるいは物価値上げの機関車と言われておりますね。こういう大きなウエートを占める運賃値上げをやることはとうてい許されないと思います。問題は、なぜ今日の失敗が起こったのかという根本原因を明らかにしないで、いわば本質に触れないで、運賃値上げによって国民に犠牲を転嫁していくというやり方は絶対に許せないと思います。したがって、いま出されている国鉄二法改正案は撤回して再検討すべきだということを私は求めたいと思うのでありますが、大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/88
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089・石田博英
○石田国務大臣 第一の御提案でございますが、費用負担を国庫に求めることは一見非常に平等かつ民主的であるように考えられますが、国鉄をたくさん利用する人と、そう余り利用しない人とがあることはよくおわかりだと思うのです。そうすると、その御提案は、国鉄をたくさん利用する人には有利でございますが、そうでない人には不利でございます。やはり、これは利用者負担を原則とすべきだと考えております。
それから、第二は、国鉄の輸送は大企業優先という方針をとっておりません。恐らく御指摘は、運賃等が、大量な場合、あるいはまたトラックその他との競争の場合、それに対抗する手段として特定措置をとっていることを指摘されているのだろうと思うのでありますが、いま申しましたように、大企業優先というような、企業の規模によって割引率を変えたり、あるいは便宜を計らったりはいたしておりません。
それから、国鉄の運営に当たって多くの人々の意見を聞くことは賛成でございます。また、実際に働いておられる勤労者の諸君の労働の体験からの御意見も聞いてまいりたいと思っている次第であります。
先ほどの御質問の中で、仲裁裁定についてお触れになりましたが、これについての答弁は、先ほど久保さんにお答えしたとおりでございます。
以上の理由をもって、本案を撤回する意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/89
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090・梅田勝
○梅田委員 いま申されたことは、いずれも後ほど詳細に反論していきたいと思いますが、前回も申し上げましたように、必ずこれはまた失敗するのですよ。われわれの警告に耳を傾けないでやってきたものがずっと失敗してきているのですから、その点はよく覚えておいていただきたいと思うのです。
それでは、次に、運賃値上げが国民生活にどのような深刻な影響を与えるかという問題で質問していきたいと思います。
この九月は物価が非常に上昇いたしました。先日の新聞報道によりますと、東京区部における九月の消費者物価指数は五十年比一一一・五%、前月比二・八%の上昇、前年同月比が九・三%の上昇となっております。とりわけ消費者米価が上がっておりまして、主食の関係が六・七%の上昇で、電気代も上がっておるということで、電気が入代が九・三%の上昇、野菜が一七%の上昇というように、最近の物価上昇は非常に激しいものがあるわけでありまして、新聞は「またもや狂乱物価が再来か」というように書いておるわけでございます。
こういうときに、国鉄の再建計画によりますと、ことしは約五割を上げて、来年もう一度五割を上げていくということだが、これでいきますと、実際の値上げ率は、二年後には二倍以上、二・二五倍になるのではないかというように言われております。こうなると、過去にも国鉄の値上げによってそんなに諸物価には影響がないということを繰り返し言われてきたわけでありますけれども、実際は値上げごとに諸物価に大きく波及していったということは事実です。
経済企画庁からお見えになっておると思いますけれども、そういう点で諸物価に対する波及をどのように考えておられるか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/90
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091・喜多村治雄
○喜多村政府委員 五十一年度におきます、このお願いしております運賃改定に伴う消費者物価指数への影響は〇・五%強と見ております。
また、家計負担の増加額でございますけれども、五十年の家計消費支出額は、これは総理府統計局から出ておるもので、全世帯で見た場合でございますけれども、それによりまして計算いたしますと約四百円で、八百円が千二百円になる。こういう計算ができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/91
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092・梅田勝
○梅田委員 〇・五%ぐらいで影響がないとおっしゃるのですけれども、そういう予測自体が非常におかしいのですね。あなた方はウェートを決めて、これだけの比率だとおっしゃるけれども、しかし、国鉄運賃のような重要な運賃を上げていくと、もう波及することは確かなんですよ。よそが上がらない場合にはこれだけの影響とあなた方は計算されるわけだけれども、そうじゃないんですね。右へならえしていくのだから、ぐっと上がることは確かなんです。
大体、経済企画庁は今日まで政府の予測を立ててこられたわけでありますけれども、物価上昇というのはあなた方の予測で、実際に結果を考えた場合には余り当たらないのですね。新経済社会発展計画というのがありますが、物価を三%台にするといううたい文句でいろいろ計画を立てた。また、昭和四十八年からは経済社会基本計画で物価は四%台に抑えてというようにおっしゃってきた。この見通しと経済企画庁が統計をとられた実際とを四十五年から五十年までずっとおっしゃってみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/92
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093・宮崎勇
○宮崎政府委員 お答えいたします。
消費者物価、卸売物価ともいろいろ計画との対比ができますが、いま御指摘の経済社会基本計画は四十八年の二月に作成されたものでございますが、その計画によりますと、四十八年から五十二年の計画期間において消費者物価の上昇は大体四%台と想定しておりました。卸売物価の方は二%台程度でございます。実績は、四十八年後半におきます石油危機が非常に影響いたしまして、消費者物価は、四十八年から五十年度までをとりますと平均いたしまして一六・一%、卸売物価は一五・六%上がっております。
この非常に大きな原因は、先ほど運輸大臣からもちょっとお話がございましたけれども、計画をつくりましたときと内外の条件が、特に海外の条件が非常に想定と違ったことでございまして、たとえば輸入物価が当時の計画では年平均三%程度上昇するというふうに考えていたわけでございますけれども、実際は三〇%年率にして上がっております。したがいまして、物価の見通しがこの計画において狂いました非常に大きな原因は海外要因でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/93
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094・梅田勝
○梅田委員 いろいろおっしゃいますけれども、予測が当たらなかったのはきわめて明白なんだ。四十八年は消費者物価指数は一六・一%上がり、四十九年は運賃を上げたわけだ。そうしたら二一・八%で、物すごく上がっているわけです。四十九年は卸売物価は二三・四%も上がっている。このようにずっと予測というものが当たらない。政府が次から次へと公共料金を上げていけば物価は上がるのは決まっているじゃないですか。それをどんどんやろうというのでございますから、これはまことに許しがたい問題であります。このように物価をどんどん上げていき、運賃を上げていくとどんなに国民が困るかということについて政府がどのように認識しているか、ただしていきたいと思います。
たとえば、出かせぎ農民がいま非常に苦しい状態になっております。仕事がないということも重大な問題だ。失業をして故郷に帰る。ところが、国鉄は運賃を上げる。これは踏んだりけったりですね。たとえば東北の出かせぎ農民が東京に来ている場合、青森 上野間は現在運賃は二千四百十円で、特急料金は千六百円で、B寝台が二千円ということでございますから、これは六千十円かかる。大変な負担だと思うのですね。
こういうように現在でも困っておる方々に対してなお上げるというのですから、これは全く重大な問題だと思うのです。失業者はますますふえておるような状況ですね。どうですか、最近の失業の状態を労働省の方からお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/94
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095・清水傳雄
○清水説明員 お答えいたします。
出かせぎその他を含めましての雇用の状況でございますけれども、出かせぎ労働者につきましては、冷害の関係等で増加が見込まれるというふうな状況が一方においてございますが、他方、求人の面につきましては、ことしに入りまして相当ふえてまいっておりまして、八月段階で見てまいりますと、昨年度に比しまして八五・九%という伸びを示しておるような状況でございます。したがいまして、求人倍率につきましても、出かせぎだけについて見ますと四・二倍というふうな状況になっておるところでございます。
一般的な雇用、失業の情勢の面につきましては、景気の回復に伴いまして明るさが増してきておりますけれども、回復の基調に若干ゆがみが見られるというふうなところもございます。昨年の十一月あたりが〇・五二倍という求人倍率で、一番底でございましたが、これもだんだんよくなってまいってきておりますけれども、最近の状況では〇・六七倍というふうな形で、横ばいないしは足踏みという状況になっております。新たな失業者の発生というものは少なくなっておりますけれども、高年齢者を中心に滞留するという傾向も見られるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/95
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096・梅田勝
○梅田委員 依然としてやはり出かせぎ農民にとっては厳しいのですよ。そういう状況のもとにおいてなお上げるということは許されない。大体、失業して非常に生活が困っており、あるいは仕事を探すためにはあちこち行かなければならぬという、こういう方々に対して運賃の割引制度を考えたらどうですか。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/96
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097・石田博英
○石田国務大臣 先ほども久保さんの御発言にお答えをいたしましたが、私は、こういう公共負担は、原則として、その政策を担当しているところで負担をしていただくもので、赤字で苦しんでいる国鉄が負担すべき性質のものではないと考えております。
それから、失業者の問題が出ましたが、いま一番困っておりますのは、運賃法の成立がおくれたり、あるいは電信電話の料金改定がおくれたりして、その関連事業にいま就業上の非常な不安が起こっているということで、これも御記憶を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/97
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098・梅田勝
○梅田委員 それはあなた方の政策上の失敗から起こっている問題であって、運賃値上げの問題と一緒にしたらいかぬ。
それから、これは国鉄に負担させるのじゃなくて、労働対策の一環として国が負担すればいいのですよ。国鉄がうんと割り引いて、その分は国が補助するというようにやれば国鉄が繁盛するわけですから、財政好転にもなるわけだが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/98
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099・石田博英
○石田国務大臣 その割引率がどの程度のものが適当かということは、その当該政策担当官庁が考えるべき問題であろうと思います。私どもは、運賃コストを割った負担を赤字の国鉄に押しつけることは原則として筋違いだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/99
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100・梅田勝
○梅田委員 国鉄に負担をさせるということをわれわれは言っておるのじゃないですよ。国がそういう方針をとるべきではないかということを言っているわけです。
次に、同じように国民生活に対する影響でありますが、学生にとりましても、運賃値上げということは非常に重大でございます。私どもで調べましたところ、立命館大学におきまして昨年学生割引をどのように使用したかという状況でございますけれども、法学部の例でございますが、正課で二百四十五人、課外活動で九百八十六人、就職関係で千五百九十三人、故郷に帰るということで、帰省関係は一万六百九十四人、見学が二千五十九人、その他が六百五十二人、合計一万六千二百二十九人ということでございます。立命館大学は非常に大きな大学でございますけれども、全国から来ているんですね。ですから、国鉄を利用する場合が非常に多いわけでございます。
そういう点で、国鉄当局にお伺いするわけでありますけれども、学割は廃止してしまえというような議論が盛んにあるようでありますけれども、この点についてどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/100
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101・高木文雄
○高木説明員 国鉄の経営の立場から申しますと、いろいろの割引制度があるということについては、先ほども大臣から御指摘がありましたように、現在の国鉄が経営基盤が、非常に弱くなっておりますので、昔の国鉄と同様に考えられるのは困るわけでございまして、その経営状態の変化に対応して政策について再考を願いたいという気持ちはいろいろと持っております。しかしながら、その場合には当然文部行政の問題としてお考え願う必要があるわけでございますが、残念ながら、いまのところ、文部省の方から、おれの方で持ってやろう、おまえ助けてやろうという話は余り出てこないわけでございます。その場合に、学生さんからすれば、文部省の方からはそういう政策がとられてこない、国鉄の方はうちの経営が悪いからもうやめますということで、そう単純に割り切ってしまうわけにもいかないわけでございますので、やはりそこは世の中のいろいろな場合にありますように、過去の歴史を、百年の歴史をしょったものでございますから、時間をかけていろいろお願いをしてまいらねばならぬと思っております。
しかし、国鉄の立場といたしましては、先ほど来運輸大臣がお話しになっておりますように、漸次それぞれの行政の範囲内において解決をしていただくようになる時期が一日も早いことを願っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/101
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102・梅田勝
○梅田委員 文部省なりが予算を組んで補助をしてくれれば一番いいということですね。
京都大学で私が調べたのでありますけれども、最近、教育実習履修学生が非常にふえておりますが、京都市でこれを受け入れられないというので、全国のそれぞれの学生さんの出身校方式に移行せざるを得なくなっております。統計的に昭和四十四年と昭和五十年を比較いたしますと、京都大学では一五二%になっております。また、これは京大以外ですが、東大の場合でも一八二%とふえております。名古屋大学が二一二%というように、教育実習に学生が非常にたくさん参加するようになりました。ところが、これの委託費というのは非常に少のうございまして、とうてい学生の交通費を見ることができません。今日では全部個人負担になっております。
こういう点におきましても学割を使っているわけですけれども、これは教育的な仕事ですから、その関係で汽車に乗るわけですから、こういうものは公共負担として国の方で国鉄に対して補償するように、運輸大臣、ひとつ一はだ脱いでいただいたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/102
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103・石田博英
○石田国務大臣 国の方、国の方とおっしゃいますけれども、当該行政官庁の問題だということは、結局すればそういうことになるわけでございます。
いまの御質問は私がお答えすることでなくて、文部大臣がお答えすることだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/103
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104・梅田勝
○梅田委員 運輸大臣、いまあなたが主管している国鉄が大変だ、大変だと言っているんですよ。あなたも政府の一員だったら、それを閣議で要求すべきだ。そういうように積極的姿勢を持ってほしいということを私は言っているんですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/104
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105・石田博英
○石田国務大臣 先ほどから何度も申し上げておりますとおり、公共負担は当該行政官庁が負担をすべきものが原則だ、そういう立場を運輸行政においてとってまいりたいということは私は何回も言っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/105
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106・浜田幸一
○浜田委員長代理 前に進んでください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/106
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107・梅田勝
○梅田委員 全く理解できない答弁ですね。
さらに、続いて、内部身体障害者に対する割引問題を申し上げたいと思います。これは私は何回も今日まで主張してきたところでございますが、非常に深刻ですよ。人工透析のために毎月十回前後国鉄を利用して通院をしている腎臓患者がございます。福知山から京都市への例では、毎月二万二千百二十円が、今回の値上げによりますと三万三千三百二十円になります。もともと病気でハンディがあるわけですから、交通費が非常にかさまるということは非常に重大であります。
そういう点で、これは前にも厚生大臣にお尋ねしたことがあるのでありますけれども、きょうは厚生大臣がお見えにならぬということですので、社会局長がお見えになっておるようでありますからお伺いしたいと思うのですが、昭和四十八年六月八日に、厚生省社会局長名でもって国鉄の旅客局長あてに「身体障害者旅客運賃割引について」という要望を出されております。これは、「従来の措置に加えて、心臓又は呼吸器に障害を有するいわゆる内部障害者にも割引措置を講ぜよ」とか、その他のことが要求されておりますけれども、現在でも厚生省におきましてはこういう考え方でおられるのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/107
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108・翁久次郎
○翁政府委員 お答えいたします。
厚生省では、従来から国鉄の方で身体障害者について、要するに手足に障害のある方について割引制度をとっておられることについて非常に感謝をしているわけでございます。その後、法律の改正によりまして、御指摘のような内部障害者も身体障害者として福祉の措置をとるようになりました。私どもといたしましては、そういう方々に対しても割引制度が援用されるということは非常に望ましいことだと思っておりますけれども、国鉄には、先ほど来いろいろとお答えのありますように非常なむずかしい問題もあるようでございます。
厚生省といたしましては、身体障害者の福祉というものを所得保障で、例で申しますと、障害年金あるいは障害福祉年金、ことしの十月からさらに重度の障害者に対しては月五千円の福祉手当というようなことで措置をしておるわけでございまして、私どもといたしましては、障害者の福祉というものは総合的にやってまいる。もし事情が許すならば、従来の障害者に対する割引措置についてさらに国鉄の方でお考えいただくならば大変ありがたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/108
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109・梅田勝
○梅田委員 先ほど大臣の意見もありましたけれども、厚生省としてこれらの割引が必要だということを従来言っていたのですから、公共割引の問題を予算で保障していくという考えにはならぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/109
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110・石田博英
○石田国務大臣 厚生省の現在とっておられる方針はそうでしょうけれども、先ほども申しましたように、国はいま財政上非常な困難な状態にあります。そういう状態にあり、先ほど妙なたとえを申しましたが、生活保護世帯にお祭りの寄付を強要するというような形の状態にはとても耐えられない。したがって、これからの予算折衝、その他国鉄再建策の進行に当たってはいままで申しましたような態度で臨みたいと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/110
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111・梅田勝
○梅田委員 全く問題にならぬと思うのでありますけれども、これからひどい値上げをしようというのですよ。われわれは絶対にこれは認めることはできません。国民は絶対に納得しませんよ。そういう状況のもとで、身体障害者に対してとか、あるいは失業者に対してとか、あるいは苦労して学んでいる学生諸君に対してとか、いわば温かい処置をとってこそ国民の支持は得られると思うのですよ。今日の状態を生活保護にたとえること自体が全く——これは後でまたちょっと問題にしようと思うのですけれども、こういう考え方では国民は納得しないということを再度強調しておきたいと思います。
次に進みますが、新幹線は御承知のように非常にもうかっておるわけですね。五十年度決算が先日も発表されましたけれども、千八百十九億円の利益を上げております。一日当たりにいたしますと約五億円ということになる。新幹線はきのうも五億円もうけ、きょうも五億円、あしたも五億円、あさっても五億円もうける。そういう大変なもうけですよ。特に東京−大阪間で言えば、営業係数は四九でございますから、いわば、この間乗車される方については原価の二倍の運賃、料金をいただいておることになるわけです。この上ことし五割、来年また五割だということでは国民は本当に承知しませんよ。きのうも五億、きょうも五億もうけ、あしたも五億もうける、そしておまえたちからは運賃を二倍にするでは、これでは全く国民は納得ができないのでございます。
そこで、なぜ新幹線がこのような高い運賃、料金をとっておるのか。そこで内訳を見てみますと、現在東京−京都間で運賃より特急料金の方が高いのですね。これは間違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/111
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112・吉武秀夫
○吉武説明員 現在運賃が二千六百十円、料金が二千七百円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/112
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113・梅田勝
○梅田委員 今度運賃値上げをしますとどのようになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/113
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114・吉武秀夫
○吉武説明員 運賃が四千円、料金が四千円というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/114
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115・梅田勝
○梅田委員 いま国鉄が明らかにされましたように、普通乗車券よりも特急料金の方が高いのですよ。なぜこんなに高いのですか。理由を言うてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/115
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116・高木文雄
○高木説明員 現在、新幹線は御指摘のように黒字になっておりますけれども、各線区別に赤黒を明らかにするということは、これはいろいろな意味で、経営の面から言いましても、それから運賃問題について広く国民の皆様からいろいろ御批判をいただく上においても必要なことだということで線区別に表示をいたしておるわけでございます。しかし、本来、東京から博多の区間で見ますと、幹線であります東海道線あるいは山陽線も実は赤字になっておるわけでございまして、一応技術的な理由で新幹線は分離して計算してお示しをいたしておりますが、果たしてそれだけで物を見ていただくことがいいかどうか。やはり、東京から大阪まで全体を通じて、在来線と新幹線を通じて見ていただくというような考え方も必要であろうかと思いますし、それから、また、新幹線を御利用いただいております方々は必ずしも新幹線沿線の方ばかりではないわけでございまして、東北の方、北海道の方、九州の方も利用していただいておるわけでございますので、新幹線だけを外して物事の判断をしていただくということについては、私どもはいささか異論があるわけでございます。
また、特急料金あるいは新幹線特別料金と普通運賃との関係でございますが、これはいまの赤黒でおわかりいただきますように、特別料金をいただきましてもやはり新幹線にお乗りいただく方の方が多いわけでございますから、旅行サービスの価値としては、それなりに新幹線の価値を皆様から評価をしていただいていることではないかと思います。
皆様の御都合から言いますと早く目的地へ行きたい。また、それがサービスの内容でございますので、速いものと遅いものとの間ではやはりお値段に差があってよろしいのではないかという前提でいるわけでございますが、その場合に、運賃と特別料金とが逆転をしているというのもいかがかということで、いまお答えいたしましたように、今度は逆転をしないで、せめて同じにいたしましょうということでございます。
この運賃問題の水準問題というのは非常に皆様の生活に御関係のある問題でございますし、それからまた負担の問題もありますし、また、いろいろ御批評もございますので、今後とも広く大ぜいの方々の御批評をいただきながら対応してまいりたいと思っておりますが、その場合には、何と申しましても、結論的には、余り変な体系をとりますとその列車にはお客様が乗らなくなるということでございまして、体系がバランスがとれていればそちらに乗っていただけるということでございます。
私どもの案だけが絶対的な案だとは思いませんけれども、まあまあいまのところ、基本の運賃と特別の料金の同額というのはまずまずのところではないかというふうに私は判断をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/116
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117・梅田勝
○梅田委員 いま、総裁は、新幹線は非常に速度が速いし便利だからお乗りになるのだというようにおっしゃったですね。これはいわば新幹線に匹敵するものが地上交通としてはないからそこに全部お乗りになるのだということですね。つまり、独占的路線だからそこに乗らざるを得ないということですね。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/117
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118・高木文雄
○高木説明員 一般的にはなかなか申し上げられないわけでございますが、新幹線だけをとりますと、東京−博多間で競争の輸送機関はたくさんあるわけでございまして、私どもは、飛行機を利用される方がどんどんふえるということについて、率直に申し上げて脅威を感じておるわけでございます。
国鉄の独占的企業としての性格というものはだんだん希薄になってまいりまして、現在では、旅客輸送におきましても、運輸省の統計等で見まして三〇%が国鉄を利用していただいておるわけでございますが、十数年前にはこれが五〇%を占めておったわけでございまして、いかに国鉄が独占性を失いつつあるかということはすべての統計の上において明らかでございます。したがいまして、新幹線に関します限りは決して独占性を持っていないというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/118
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119・梅田勝
○梅田委員 京都−東京間で言えば、普通乗車券で行けば二千六百十円で行けるわけだよ。速度の遅いやつで行くのだったらそれで行けるわけだ。しかし、新幹線が速いから、そっちに皆乗る。そのときには二千七百円をプラスしなければならぬ。基本運賃よりも高いものを払わなければならぬ。払うのにはそれだけの値打ちがある、あるいはそれしか乗らざるを得ないということで、いわば独占的な路線ということになるのじゃないですか。私は空のことを言うておるのじゃない。地上の鉄道のことを言っておるのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/119
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120・高木文雄
○高木説明員 交通機関のサービスに対していかなる対価で臨むべきか、つまり、運賃はどういう水準であるべきかという場合には、旅客についてはやはり飛行機も非常な競争相手でございますし、自動車も競争相手でございます。また、東京から京都まではりっぱな道路もできておるわけでございます。先ほどは飛行機の例だけを申しましたけれども、自動車でもって東京−大阪間を通行されるし、特にレジャーのような場合にはそういうお客さんも非常にふえていっているわけで、私どもとしては、飛行機だけじゃなくて自動車もまた競争相手としてきわめて強敵であるというふうに考えております。
同じ輸送手段でございますから、鉄道だけで比較せいという御提案は私どもはどうも納得がいきませんので、あらゆる交通手段を比較して、しかるべき料金体系があるのが望ましいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/120
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121・梅田勝
○梅田委員 新幹線の特急料金が普通運賃よりもたくさん取れる客観的な条件というか、問題は何かということを聞いているのですよ。それは新幹線が独占的な路線だから取れるんじゃないですか。新幹線が原価計算したら、いわば超過利潤を上げているわけでしょう。独占的な価格を取れるというのはそれしかないからじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/121
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122・高木文雄
○高木説明員 現実に飛行機でおいでになることもできるし、自動車でおいでになることもできるという状態にある状態を独占という表現でお話しになるのは、私にはどうも理解できないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/122
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123・梅田勝
○梅田委員 自動車で行けば相当高くつくんだよ。新幹線にあれだけの多くの乗客が出てくるというのは、新幹線が今日のところは独占的な路線として走っているから、鈍行でとことこ行くよりもそっちの方が便利だということで乗るんじゃないですか。それは明白ですよ。そうなると、国鉄は国の独占に属する事業だということですよ。だから、財政法第三条の精神でいけば運賃を法定にしているわけです。そうなんですよ。特例で料金というものを除いているけれども、基本運賃以上に料金を取るというのは、どう考えても財政法の精神に違反している。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/123
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124・高木文雄
○高木説明員 現行の法制ができまして、公共企業体になりましたのは昭和二十五、六年のことでございました。そのときには明らかに東京−大阪間を通行される方は飛行機もございませんでしたし、高速道路もございませんでしたから、独占的状態を呈しておったわけでございます。
その当時、同様に電話あるいは郵便等につきましてもやはり私どもと同じような法制になっておったわけでございますが、その後二十五年間を経ました結果、電話あるいは郵便については御存じのように他に全く競争企業というものがないわけでございまして、これはその当時から二十五年間変わっておりません。しかし、私どもの場合にはその辺の事情は全く変わってしまったわけでございまして、そういう状態のもとにおいて、特別料金についてある種の、何といいますか、どういう価格で売り出した場合にどれだけの収入を得られるかということを基準にして決めさせていただくことができる現行の制度のもとにおいては、そういう精神で、要するに最大収益を上げるにはどうしたらいいかということで考えてよろしいのではないかというふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/124
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125・梅田勝
○梅田委員 これは重要な問題ですから大臣にお伺いしているのですけれども、事実上新幹線というのは独占的な路線ですよ。そこの料金が基本運賃よりも高いということは、どう考えても、財政法三条の運賃は法定しなければならないという精神から明らかに外れているのですが、国鉄は越権行為をしているとは思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/125
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126・石田博英
○石田国務大臣 安い在来線が十分利用できるわけなんで、その利用は別に禁じているわけではないので、法定運賃で旅行をなさる自由はちゃんと現存をいたしておるわけであります。
それに比べて新幹線は、それこそ世界有数の高性能を持ち、そして現在非常に高い利用率が示しているように、お客様にも御愛顧をいただいておるわけなんであります。したがって、この料金がそれにふさわしい料金をかけられることは、在来線をなくしてしまえば別ですけれども、在来線はちゃんとあるのですから、法定主義の精神に反しているとは思いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/126
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127・梅田勝
○梅田委員 在来線があるといっても、そこはきわめて遅い列車が走っているわけですよ。そもそも新幹線と比べること自体がおかしいのですね。新幹線の条件と同じようなものを持っているのはほかにはないんだから、そこしか乗らざるを得ない。これはまさに独占的な状態だ。そこの運賃、料金というものを今日のような状態にしておくということはきわめて重大だと思うのです。
まあ、国鉄はようやくこの改正において同額にまで持ってきたわけですけれども、しかし、それだって一〇〇%ですから、運賃の方は法定しているんだ、料金の方は勝手に決められるのだなんて、こんなことは重大な問題だ。これはあくまでも改めるように要求しておきたいと思います。
続いて地方線の問題に入りますが、地方線が赤字が大きいということで、地方線を整理していく必要があるとか、あるいは地方線については特別の運賃が必要であるとか、さまざまな盛んに議論がなされております。しかし、国鉄は、日本国有鉄道と示すように、全国どこへ行っても一貫した路線であるというところに国鉄としての値打ちがあると思うのですね。日本は非常に細長い国でありますから中心の都会には人口が集中する。しかし、僻地へ行けば人口は非常に過疎である。まあ、これはどこの国でもそうでありますけれども、とりわけ日本のような国土形態ではどうしても過密過疎という問題は起こるわけですね。とりわけ、今日の非常に極端な過密過疎状態というものは、自由民主党政府の今日までとってきた農業政策やその他の産業政策というものが間違っていたために起こってきた現象だと思うのです。だから、国の政策の問題とか国土形態とかいろいろな点を考えましても、地方線はもともと都会と比べたら乗る人間が少ないのは当然なんです。そういう点で、国鉄の運賃制度は総合的な見地で考えられておりますけれども、地方線につきましては当然国の補助というものは必要だ。国鉄財政再建を考える場合に、そういう見地を念頭に入れなければ、これは今後うまくいかないと私は思うわけです。
今回地方交通線特別交付金は百七十二億円計上されましたが、これはむしろ当然なんですね。市町村納付金というものを国鉄は百七十八億円も納めておりますが、それと比べるとまだ少ないぐらいだという点で、今日の必要な地方線の確保につきましては、そこで発生している赤字は当然国の補助というものが必要であろうと思うのであります。交付金をつくったということで盛んに自慢されているようでありますけれども、こんなものは金額ははなはだ少ないし、問題だと思うのですが、その点、もっとふやすという考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/127
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128・住田正二
○住田政府委員 本年度の予算に計上いたしました地方交通線特別交付金の百七十二億というのは、先ほども御答弁申し上げましたように暫定的な意味でつけてあるわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、地方交通線の赤字が国鉄の財政にとって大きな負担になっており、圧迫になっているということは事実でございますし、国鉄の健全経営を維持するためにはやはり地方交通線の赤字を解消する必要があるということで、現在運輸政策審議会でこの問題をいろいろ御検討いただいているわけでございます。
その御検討をいただいた結果、いろいろな御提案があると期待いたしているわけでございますが、その一環として地方交通線の補助問題についても根本的に考え直したい、私どもといたしましては増額をいたしたい、さように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/128
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129・梅田勝
○梅田委員 幹線系統と地方線の系統と国鉄は区分をされておるようでありますけれども、新幹線を除いた幹線系統区と地方交通線の線区と、この累積赤字額はどんなぐあいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/129
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130・馬渡一眞
○馬渡説明員 新幹線を除きました幹線系の累積赤字額を、赤字が発生をいたしております昭和三十九年度以降での累積で申し上げますと二兆八千八百三十九億でございます。地方交通線の累積赤字額は一兆二千八百四十八億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/130
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131・梅田勝
○梅田委員 新幹線を除く幹線区は営業キロメートルでは幾らか。地方交通線で営業キロメートルは幾らか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/131
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132・馬渡一眞
○馬渡説明員 営業一キロメートル当たりということで申しますと、幹線がおよそ一万二千三百キロございまして、それで先ほどの数字を割りますと、キロメートル当たりの赤字額が幹線系が二億三千万円で、地方交通線が九千二百キロございますが、それを割りました場合に一キロメートル当たり一億四千万円でございます。一応一・七倍ということでございますが、ただ、これはキロメートル当たりで割った場合でございまして、お客様を運び、貨物を運んでおります人トンキロ当たりというかっこうでそれぞれ見てまいりますと、幹線系の場合の損失額が一人トンキロ当たりの赤字額四円三十二銭、地方交通線の場合は同じく十八円六十三銭、約四倍の割合に幹線と地方交通線はなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/132
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133・梅田勝
○梅田委員 いまの数字で明らかなように、地方線は赤字赤字と言いましても、確かに収支係数でいきますと幹線の方が成績はいいことはもう明らかでございます。これは人間が多いのだからね。ところが、累積赤字を出しているという点ではやはりそっちも大きいのですね。一キロメートル当たり、新幹線を除く幹線のところは地方線に対して一・七倍である。地方線の方がキロメートル当たりは赤字は少ない。だから、地方線が今日の国鉄財政をがたがたさせている何か根源みたいなことを言いますけれども、先ほど言いましたように、国土というものは全部人口が稠密なところばかりじゃないのですから、農村地帯もあれば、中都市もあれば、大都市もあるのですから、そういう状況の中で線路をつくっていっているのですから、ただ収支係数が悪いからそこはとっていくということになりますと、そっちの地域に住んでいる国民にとってみたら一体どういうことかということになるわけですよ。もともと過密過疎というものはあるわけですから、都市と農村の形態は全然違うのですから、そういうものは総合的な見地で政府が見ていくべきだ。いまキロメートル当たりを出してみたら地方線の方がはるかに累積赤字が少ないという事実が明らかになったわけでありますから、地方線の対策につきましては国がもっと根本的に考えていただきたいと私は思うのであります。
〔浜田委員長代理退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
そして、同時に、幹線系統区におきまして赤字が大きいという原因の一つに貨物運賃の問題があると私は思います。東海道本線は昔はドル箱だったが、新幹線ができて後はごつい赤字を出す路線になっちゃった。それで、走っていないかと思えばどんどん走っている。貨物もたくさん走っていますよ。そこで赤字が出ているということは貨物運賃の問題が果たして適切であったかどうかということになるわけであります。
昭和四十一年以降貨物の営業係数は、一二五から四十九年二六九というように激増いたしております。四十一年から四十九年までの貨物の欠損額は累積で一兆七千七百十四億円となっております。これは四十九年度末の累積赤字二兆二千四百六十三億円の七八・五%にも相当しております。五十年度も恐らく欠損だと思いますが、どの辺まで計算されておるかわかりませんが、ほぼ四千億から五千億くらいは出ておるのじゃないかと思いますけれども、国鉄、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/133
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134・田口通夫
○田口説明員 四千億を下らないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/134
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135・梅田勝
○梅田委員 そういたしますと、ここ十年の間に貨物の赤字は二兆一千七百六十六億円になる。仮に四十九年と五十年が一緒だとしたらですよ。これは大変な赤字になっているわけです。この問題を真剣に考えない限り、これは重大な問題になると私は思うのです。ここにはっきりメスを入れないで通っていくということはできないと思う。大体、過去十年の間に発生している国鉄の累積赤字の四分の三は貨物がつくったということになろうかと思います。もう原価をはるかに割って三分の一近くしか料金をもらっていないということになると、これは重大な問題です。それだけ奉仕しているのに、貨物の関係におきましてなぜ今日引き続いて割引をしておるのか。私は全くこれが理解できない。
国鉄運賃法第八条によりますと、国鉄は軽微な変更は可能だということになっていて、これでやっておられるのだと思いますが、しかし、今日の赤字の主要な原因という問題を考えた場合に、なお引き続いて割引をしておるということは重大な問題だと私は思います。私が聞いたところによりますと、四十六年当時、いわゆる営業割引というのは七十六億二千七百万円、四十七年度は八十億六千二百万円、四十八年からどんどん国会で問題になったので、これを減らさなきゃいかぬということで六十四億四千百万円になり、四十九年になったら二十九億四千四百万円となり、五十年度は二十七億二千二百万円となってきた。だんだん減ること自体はよろしいのですよ。どんどんふえていったら問題ですからね。この五ヵ年で二百七十七億円。もともと三分の一ほどしかもらっていないのに何でこんな特別サービスをするのか。ずっとこの十年の問題になっているのですか、十年間でどれくらいまけたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/135
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136・田口通夫
○田口説明員 十年間で申し上げますと、実は、四十一年から四十五年度は比較的順調に貨物が伸びておりまして、その五年間の合計が百二十八億でございます。それから、御指摘のように四十六年から五十年までは二百七十七億でございまして、合計いたしますと十年間で四百六億になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/136
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137・梅田勝
○梅田委員 国鉄運賃法によりますと、「原価を償うもの」等いろいろ基準がありますわね。いまあなた方は値上げをしようとして、これでずっと来ているのですよね。新幹線みたいなものはもうけてもうけて、もうかってしょうがないという状態だ。きのうも五億、きょうも五億もうけ、あしたも五億もうける。それだけもうけておってどんどん上げるというのはけしからぬ。地方線が赤字になるのはあたりまえだ。これは国が補助すればいいんだ。しかし、何で貨物はこんなに原価を割ってまでサービスしなきゃならぬのか、これはどう考えてもおかしいと思うのですが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/137
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138・高木文雄
○高木説明員 私は、基本的には先生の御意見に全く反対でございます。むしろ、割引をよけいし過ぎるということで非常に国鉄が気にしたということも貨物が減った大きな理由であると思っております。貨物の場合には旅客の場合よりももっと競争が激しいわけでございまして、荷主は経済計算に詳しいわけでございますから、どうしても安い方へ安い方へと荷物は移ってまいります。ですから、日本の交通の形が変わってまいりまして、内航海運がどんどん伸びる、陸上のトラック輸送がどんどん伸びるというときには、やはり、地域別、商品別に競争関係を頭に置いて、競争に耐え得る価格をもって運ばなければならないという原則で臨みませんと、これはどんどん競争に負けてまいるわけでございます。
そこで、今後の問題といたしましては、やはり、水準は全体として上げなければなりません。上げることによってお客さんに十分利用していただけるフィールドがたくさんございます。でございますから、全体としての水準は上げなければなりませんが、個別の対策はきめ細かくとらないとお客さんがどんどん落ちるということになると思います。
割引が大きいことが赤字をふやしたのだという御意見には私は真っ向から反対でございまして、むしろ、割引制度をうまく使うということを考えなければならぬということをこの機会に申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/138
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139・梅田勝
○梅田委員 私の質問に答えてもらわなければいかぬわね。そもそも原価を割っておるのに何でそれ以上にサービスするのか。こんなものは国鉄運賃法第八条違反ですよ。そんな権限まで国鉄総裁には与えてない。
運輸大臣、その問題についてはどう考えるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/139
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140・石田博英
○石田国務大臣 国鉄も商売でありますから、これは電話や電信と違って一つの競争相手がおるわけで、それから地域によって事情が違いますから、そういう営業政策上の配慮はやむを得ないと私は思います。
それから、また、政策的要求がある。たとえば北海道とか九州とかというところの農産物の輸送等につきまして政策的要求もございます。これは本来農林省が持つべきだと思いますが、そういうものも従来あったと思いますが、国鉄の赤字の一番大きなものは貨物であるということはよく承知しております。そして、この赤字をなくするために計画的な努力をいま続けているところであります。
ただ、新幹線がもうけるのはけしからぬ、赤字の方は国庫で負担しろということは、これはやはり、国鉄という全体としての企業は総合的バランスをとっていかなければならぬ問題だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/140
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141・梅田勝
○梅田委員 バランスをとるという考え方でいけば、むしろ大企業の貨物からはもっと適切な運賃を取ればいいのですよ。それが欠けておるから今日の財政破綻が出てきておるということをもっとはっきりしてもらわなければ困る。貨物だって、無人駅がふえ、取扱駅が減っていく。どんどん減らしているじゃないですか。そういう点で、中小の企業が国鉄の貨物を利用しようとしても、取り扱いが減っていくのですからだんだん不便になる。だから、荷物が寄ってこないように国鉄はやっておるとしか考えられない。
ところが、大企業の方には違いますね。たとえば岡多線という問題があります。これは三百十二億を投じて、現在新豊田まで開業しておりますが、営業係数は一一六〇の大変な赤字線です。これはできてから貨物ばかりやっておった。旅客はことしの四月にようやく開業したのですね。それまで使っていたのは一体どこの企業ですか。トヨタじゃないのですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/141
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142・田口通夫
○田口説明員 企業の名前は直接お調べ願えればわかりますが、二、三使っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/142
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143・梅田勝
○梅田委員 圧倒的に使っているのはトヨタ自動車です。(「知っておるのなら質問しなければいい」と呼ぶ者あり)それをあなたの口から言いなさいよ。
ところで、この岡多線が昭和四十五年十月に開業しておりますが、割引率はどのように変化してきていますか、言うてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/143
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144・田口通夫
○田口説明員 桝塚から自動車を出します場合の割引率を申し上げます。
四十五年十月一日開業でございまして、四十五年から四十七年の上期までは二八ないし三〇%で、このパーセントが波がありますのは、輸送量が多くなればそれだけ割引をするという形になります。それから、四十七年の上期から四十八年の上期までは二一%、それから四十八年の下期は一六%、四十九年が八%、五十年が六ないし途中で三%が入りますが、現在は五%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/144
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145・梅田勝
○梅田委員 とにかく、四十五年開業当時は二一%から二九%の割引率で、それからその翌年は最高三八%で、ものすごく割引しておったのですよ。これは四十八年の運賃値上げ法案の審議のときにも問題になったが、三八%の割引率は大変ですよ。こんなことをしておっては国鉄はもうかるはずがない。ところが、相手のトヨタ自動車は大変もうけているわけだ。これはこの間新聞に載っておりましたね。「トヨタほくほく空前のもうけ、税引きで千億円近く」と書いています。五十年度決算におきまして経常利益が千九百億円、税引き利益でも一千億円、配当は一六%もすると書いてある。それだけもうけているトヨタ自動車に対してなぜ今日までこんな高い割引をし、さらに現在も割り引いておるのか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/145
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146・高木文雄
○高木説明員 余り個別企業の個別問題を深入りすることはいかがかと思いますけれども、いまの例で申しますと、実は、割引率の低下に伴いまして輸送量が逆に減ってくるという関係が出ております。割引率を減らして高くなればほかの輸送手段で運ぶということになるわけでございまして、割引が国鉄経営にマイナスの程度を——どうせ貨物の場合にはマイナスになってしまうわけですが、マイナス増加に貢献したかどうかということは必ずしも言い切れないと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/146
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147・梅田勝
○梅田委員 大企業はそんなに減らしてはいないのですね。不況になったら、それは全体として減りますよ。しかし、そこを利用するという点では、後でもいろいろ問題を挙げますけれども、大体五万トン以上を発送する事業所は四十八年度実績では四百三十三事業所ありますね。発送トン数比では全体の五八%。大体でっかいところがほとんどですよ。私の住んでいる京都の山陰線二条駅を調べてみたのですけれども、ここは昭和四十三年十月以前は自動車はそんなに扱っていませんね。どうですか。現在どうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/147
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148・田口通夫
○田口説明員 総貨物につきまして、四十三年から五十年の発着の二条駅の貨物取扱量は減っております。
その間自動車はどうなっているかということでございますが、実は、自動車の問題は誤解のないようにお願いしたいのですけれども、これは、もともと自動車はトラックが自動車を運ぶほどの大型化されていないときに自走をやっておりまして、要するに運転手を雇ってプレートナンバーに赤いのをつけて走っておりまして、非常にコストが高くなっておりましたので、国鉄も設備投資をいたしまして、そういうことでは非常に道路の混雑上問題があるし、国鉄も非常に集約輸送ができるということで始めたものでありますので、四十三年度から二条駅にもその方式を取り入れたわけであります。
しかしながら、最近になりまして、大型トラックの発達によりまして、四両ないし六両積みのトラックができてまいりましたために、かなりの競争になってきております。現に、二条駅の貨物の自動車の取扱数量は、四十七年度をピークにして現在相当の量下がっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/148
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149・梅田勝
○梅田委員 五十年度では、発送、到着で何ぼ扱っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/149
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150・田口通夫
○田口説明員 総貨物から申し上げますが、総貨物の発送が六万トンでございます。それから、着が三十一万九千トンでございまして、合計三十七万九千トンの発着でございます。
それから、その内訳でございますが、自動車は発送が二万五千トンでございます。着が五万五千トンで、合計いたしまして八万トンということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/150
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151・梅田勝
○梅田委員 昭和四十三年十月以前はほとんどなくて、現在は八万トンも扱っておるわけです。基地整備に莫大な金を使って、一万一千平米の広い広いところを、ここを自動車だけ使っているんです。いろいろな載せる機械がありますけれども、そんなものは全部自動車会社に無料提供しているわけですよ。ところが、それは採算的に言えばごつい赤字になっているんだ。そんなばかな話はないと思うのですよ。
石油について伺いますけれども、石油の場合は、臨海工業地帯がふえておりますから内航海運を利用する場合が非常に多くなってきた。海に近い大都市も、これも鉄道で運ぶよりも内航海運という場合が多い。タンクローリーを使うというようなことで、輸送分野における国鉄の受け持ちというものは確かに変化してきていると思いますが、内陸地帯は違うと思うのですね。これは通産省から流通課長さんがお見えになっていると思いますが、内陸地域における石油の輸送における国鉄の依存度というのはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/151
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152・宇田川治宣
○宇田川説明員 お答えいたします。
昭和四十六年と昭和四十九年の輸送量のうち、タンク車で運ばれている比率は約六%程度というふうに承知いたしております。そのうち内陸地域と、それから沿岸地域という地域別の輸送量につきましては、府県別の統計は手元に持っておりますけれども、その中のタンク車の比率という具体的な数字につきましてはただいま手持ちがございませんので、後ほど御説明にお伺いしたいと思います。
ただ、概念的に申し上げますと、北海道関東及び中部地域の内陸地帯と、それから東北の一部というところにつきましては、タンク車の依存度が平均よりも高いというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/152
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153・梅田勝
○梅田委員 昨年の十二月のストライキのときに南松本で石油不足が言われたわけでありますけれども、あの辺の地域に対して国鉄はどのような比率を持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/153
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154・田口通夫
○田口説明員 全体として、県としてお答え申し上げたいと思いますが、関東内陸各県のうちの長野県で、国鉄の比率は九一%になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/154
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155・梅田勝
○梅田委員 流通課長、どうですか。
〔佐藤(守)委員長代理退席、浜田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/155
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156・宇田川治宣
○宇田川説明員 お答えいたします。
五十年度におきます南松本の石油の到着量につきましては四十五万一千七百トンというふうに伺っておりますが、その四十五万一千七百トンと申しますのが南松本におきます全体の石油流通量のうち何%を占めるかという点につきましては、ただいま統計を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/156
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157・梅田勝
○梅田委員 内陸地帯におきましては非常に大きなウェートを持っておるということが明らかだと思うのです。それで、四十六年度と四十九年度の対比におきまして、石油の輸送は、宇都宮貨物ターミナルの場合には、十八万四千九百六十九トンから四十四万七千二百九十五トンというように、二四一・八%に増加しております。それから、郡山に到着するものにつきましては、十九万二千八百二十三トンから三十五万一千五百八十四トンと、一八二・三%に増加している。いま言われました南松本につきましては、二十二万七千八百四十七トンから三十万八千四百七十九トンと、一三五・四%に増加している。ここに非常に詳細な資料がありますけれども、「主要品目別貨物駅別発着明細年報」というところから拾い出しましても、このように特定品目につきましては減らないのです。
日通の社長が言っている内容で、新聞に載っているものを見ましたら、あくまでも国鉄と手を組んでいく、国鉄離れは考えていないというように日通の社長は言うておるのだけれども、貨物に対して運賃をもっと適切に取っても減らないと言うているでしょう。貨物が非常に大きな赤字の原因になっておるときに、これに対して適切な措置を考えないというのは非常に重大だと私は思います。
現在、フレートライナーは若干の料金を取っておるわけでありますけれども、東京−大阪で考えました場合、フレートライナーでいくと時間は何分かかるか、車扱いの二級でいったら何ぼかかるか、それから、旅客の急行「銀河」の場合には何ぼかかるか、時間でひとつ言うてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/157
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158・田口通夫
○田口説明員 普通の場合ですと恐らく十二時間ないし十四時間、両ヤード梅田−汐溜という形で、集結輸送でまいりますとそういう形になろうかと思います。しかし、フレートライナーでいきますと、やはり両端の積みおろし時間を頭に入れて輸送をいたしますので、現在では十時間前後だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/158
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159・梅田勝
○梅田委員 私どもでいろいろ調べましたら、フレートライナーは一番速く行くものは八時間半で行くのですね。ところが、車扱いで遅いものになったら二十六時間かかるものがあるんだ。それから、急行「銀河」の場合は九時間十五分です。旅客の急行列車よりもフレートライナー、貨物の大企業のお客様の方が早いんだな。この点についてはどうですか。そして、運賃に対する料金の比率はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/159
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160・田口通夫
○田口説明員 誤解があるといけませんので申し上げますが、東京と申しましてもそれぞれたくさんの駅がございますので、二十七時間かかります場合は、大阪の場合でもヤード三つ、四つかかる場合は二十七時間もかかると思いますけれども、先ほど申し上げました汐溜と梅田ということになりますと、そんなに長くかかる列車はないと考えております。
それから、フレートライナーの料金と運賃ということでございますが、フレートライナーの料金は運賃の約五%程度を取っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/160
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161・梅田勝
○梅田委員 急行「銀河」の場合はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/161
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162・吉武秀夫
○吉武説明員 運賃が二千八百十円でございます。それから急行料金が五百円、寝台料金が二千円というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/162
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163・梅田勝
○梅田委員 とにかく、急行料金の場合は非常にたくさんの料金というものを取っている。ところが、フレートライナーは、私が試算したら四・五%になるんじゃないかと思うのですね。旅客の急行と比べて四分の一ほどですよ。貨物については非常に安いんですね。しかも、速度は、旅客の急行列車よりもフレートライナーの方が早い。
大臣、先ほどあなたは快適なものはよけい取ってもあたりまえとおっしゃいましたけれども、これについてはどうですか。こんな矛盾をどう思いますか。改正する必要があるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/163
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164・石田博英
○石田国務大臣 貨物料金の問題点についていろいろ承りましたが、ただ、貨物は人間ではありませんから、快適であるかどうか、これはにわかにちょっとお答えはできませんが、問題点を含んでいることはわかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/164
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165・梅田勝
○梅田委員 国鉄総裁、こういう矛盾を変える必要があるんじゃないですか。物資別専用列車と普通貨物につきましても、塩浜と宇都宮貨物ターミナルを考えました場合に、石油の場合は直行便で行きますと三時間三十二分で行く。ところが、普通の貨物で行ったらどれだけかかりますか。全くお話にならぬような速度ですよ。ある列車によりますと、十三時五十一分に出たのが着くのは明くる日の七時五十四分ですよ。ところが、物資別専用列車については特別の料金は取っていないのでしょう。先ほど言いましたように、内陸地帯へ向けての石油なんかはどんどんふえているのですから、小々上げても貨物が逃げたりはしないのですから、こういうところはもっと適切に料金制度を考えるべきじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/165
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166・高木文雄
○高木説明員 旅客につきましては、自動車のサービスと飛行機のサービスと国鉄のサービスとお客さん同士比較をして判断をしていきたいと思います。貨物は貨物で、内航海運とトラックと、そして鉄道とを比較していくべきものだというふうに考えておりますので、旅客の運賃体系と貨物の運賃体系はおのずから異なってこざるを得ないというふうに考えます。
それから、いま、時間が非常にかかるというお話がございましたが、A地点からB地点まで直行いたします場合と順番につなぎかえていく場合とは当然時間が違うわけでございまして、大量にまとまった品物であれば、初めから途中にも寄らないでA地点からB地点まで直行いたしますから速く運べますし、一般車扱いのようにいろいろな地点に順番に貨車を落としていく、またつないでいくという場合にはどうしても時間がかかるわけでございまして、これはそういう物理的な事情によるものでございます。
なお、いま、石油についてもっと思い切って上げたらどうかというお話でございますが、むしろ私どもが心配しておりますのは、今回の改定によりまして他の輸送手段との競争関係のぐあいが悪くなりますので石油については大変心配をしているわけでございまして、御指摘のようにそう上げることはほとんどお客さんを失うことと同じことだと思われますので、私どもは、むしろ石油は石油についての他の輸送手段の輸送コストとの関係を比べなければいけないわけでございまして、そもそも品物別に本来多少とも差があってみたり、地域別に差がありませんとなかなか貨物の商売はできかねるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/166
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167・梅田勝
○梅田委員 あなたは最前新幹線が高い料金を取るのは速くて便利だからとおっしゃったじゃないですか。そして、新幹線が特別に速いのは列車の機能にもよりますけれども、とまる駅が少ないんだよ。「こだま」と「ひかり」が、同じ列車でも「ひかり」の方が速いのはとまる駅が少ないからだ。
いま、貨物についてぴゅうっと速いこと走らすことをやっといて、そっちの方は何で安い料金しか取らないのですか。あるいは物資別専用列車の場合なんか全然取っていないじゃないですか。こういう輸送効果のあるものについて貨物関係は原価を大幅に割っているという実態から見て、適切に料金制度というものを考えるべきだと私は思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/167
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168・浜田幸一
○浜田委員長代理 この際、質問者の梅田君に申し上げます。
申し合わせの時間が参りましたが、最後の質問として取り上げさせてよろしゅうございますか。お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/168
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169・梅田勝
○梅田委員 私どもは徹底審議を要求しているのでありまして、きょうも強引に委員会開会をやられたわけであります。私の後には質問者は予定されていないのですから、時間は十分にある。あとまだ設備投資関係で何間かあり、職場の安全の問題で何問かあり、政治資金規正法の関係で何問かありということで、なお審議を尽くすという意味におきまして時間を与えてくださいますように要請をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/169
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170・浜田幸一
○浜田委員長代理 せっかくの御発言でございますが、それでは理事会の存在価値を失うことに相なりまするので御協力をいただきたいと存じます。
そして、もし質問に対する御要望があるとすれば、追って理事会において御協議いただくことが委員長といたしましては妥当だと存じますので、委員長の権限といたしまして、本日の梅田君の質疑はただいまの答弁を最終答弁といたします。高木総裁。(梅田委員「委員長横暴だ、横暴だ」と呼ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/170
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171・高木文雄
○高木説明員 やはり、旅客は旅客、貨物は貨物の特性に応じて運賃体系をつくるということでないと競争はできないと私は思います。また、貨物の中では、物資の特性に応じ地域別に考えることをお許しいただかないと競争に勝てないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/171
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172・浜田幸一
○浜田委員長代理 この際、梅田君に申し上げます。
理事会の申し合わせによる時間が参りましたので、質疑は打ち切らせていただきます。
ただし、過般質問に入りまする前の梅田君の発言の中で委員長を侮辱した発言がございましたし、資料要求に対する発言がありましたが、これに対して梅田君の所見を伺いたいと思いますが、御意見はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/172
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173・梅田勝
○梅田委員 資料は、ただいま私の手元へ到着した点を拝見したのでありますが……(「ただいまじゃないじゃないか」と呼ぶ者あり)これは私は企業ごとの資料を要求したのでありますけれども、この企業ごとの金額が明らかになっていない。(「理事会で了承したじゃないか」と呼ぶ者あり)了承はしておりません。企業別金額と契約の種類がございません。割引の条件だけが記載されていて、しかも、石油と自動車の一部分だけしか出されていない。事業所別の資料はない。そのほか、支出先一覧がないとか、あるいは一覧ではなくて最終の集計だけであるとか、そういうように私たちが希望したものとはきわめて違うものが出ているわけです。われわれは慎重審議のたてまえもございますので……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/173
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174・浜田幸一
○浜田委員長代理 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/174
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175・梅田勝
○梅田委員 こういう点につきましては、われわれの要望したものをしっかりと出していただきたいという点で、私ははなはだ不満でございますので、再度理事会等においてこの問題は協議をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/175
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176・浜田幸一
○浜田委員長代理 ただいまの梅田君の発言中、特に委員長が注意すべき点がございます。
本日の理事会において、本資料要求に対する説明については、自由民主党を代表し、加藤六月君よりその資料提出に対する説明がなされ、理事会はこれを了承しております。そして、ただいまの梅田君の発言を承りますと、異なったものが出ているということでありまするが、東北新幹線需注業者名の一覧等については、その御要求のありました部分の請負業者名は的確に出されております。ただし、請負金額について出ていないだけのことでありまして、その資料要求がでたらめであるとか、あるいは間違ったものであるということには必ずしも相なりません。あなたの要求されたものに対して、理事会において合意を得たものの範囲内においてはすべて正当に提出されていると思いまするので、その点は改めて御確認をいたしておきます。
もう一点ございますが、これに対しては回答を求めます。
過般の発言中、委員長に対して侮辱的な発言がありましたが、それに対してあなたの御見解があれば承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/176
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177・梅田勝
○梅田委員 理事会等におきましては、われわれは繰り返し資料の全面提出を要求してきたのでありますから、きわめて不当であって、いま浜田委員長代理が言われたことについては承服できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/177
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178・浜田幸一
○浜田委員長代理 この際、委員長より注意を申し上げます。
過般梅田君が発言冒頭委員長に対して侮辱的な発言をいたされましたことはまことに遺憾であります。今後そのようなことのないように御注意をいたしていただきたいと存じます。
同時に、私といたしましては、日本共産党を初め各党の資料要求に対しましては、過去は過去、今後は国政調査権を正しく活用するために公平な行動をとることをこの際申し上げておきます。
次回は、明六日午前九時五十分理事会を開き、午前十時委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
午後八時二十分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107803830X00219761005/178
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