1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十一年十月十二日(火曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 稻村佐近四郎君
理事 近藤 鉄雄君 理事 前田治一郎君
理事 松永 光君 理事 武藤 嘉文君
理事 綿貫 民輔君 理事 上坂 昇君
理事 佐野 進君 理事 神崎 敏雄君
越智 伊平君 越智 通雄君
粕谷 茂君 木部 佳昭君
栗原 祐幸君 萩原 幸雄君
八田 貞義君 林 義郎君
板川 正吾君 岡田 哲児君
加藤 清政君 竹村 幸雄君
渡辺 三郎君 近江巳記夫君
松尾 信人君 玉置 一徳君
小林 正巳君
出席国務大臣
通商産業大臣 河本 敏夫君
出席政府委員
公正取引委員会
事務局経済部長 吉野 秀雄君
公正取引委員会
事務局審査部長 野上 正人君
資源エネルギー
庁長官 橋本 利一君
資源エネルギー
庁石油部長 古田 徳昌君
中小企業庁長官 岸田 文武君
委員外の出席者
商工委員会調査
室長 藤沼 六郎君
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委員の異動
十月十二日
辞任 補欠選任
田中 榮一君 越智 伊平君
同日
辞任 補欠選任
越智 伊平君 田中 榮一君
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本日の会議に付した案件
中小企業事業転換対策臨時措置法案(内閣提出、
第七十七回国会閣法第四六号)
揮発油販売業法案(内閣提出、第七十七回国会
閣法第六五号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/0
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001・稻村佐近四郎
○稻村委員長 これより会議を開きます。
第七十七回国会内閣提出、中小企業事業転換対策臨時措置法案を議題といたします。
提案理由の説明を聴取いたします。河本通商産業大臣。
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中小企業事業転換対策臨時措置法案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/1
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002・河本敏夫
○河本国務大臣 中小企業事業転換対策臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
最近の中小企業を取り巻く内外の経済環境の変化は、発展途上国の追い上げ等による輸出の減少及び輸入の増大、技術革新等による需要構造の変化、原材料の入手難、公害防止に係る企業の社会的責任の増大などきわめて厳しいものがありますが、加えてわが国経済は従来の高度成長から安定成長へと大きく転換しようとしており、中小企業はこれらの新たな情勢への対応に迫られております。
御承知のとおり、わが国の中小企業は、その旺盛な活力と創意工夫によりまして、戦後幾度か遭遇した経済的変動によく対処して、その困難を乗り越え、時代の要請にこたえてきたのでありますが、今日の新たな情勢に対しましても、従来にも増して合理化、近代化を進め、経営力の強化を図る一方、一部の中小企業におきましては、その事業の転換を図ることによりまして、このような厳しい環境変化に柔軟に適応し、経営の安定と発展を図ろうとするものも見られるのであります。
しかしながら、安定成長期においては、これまでの高度成長期と異なり、事業の転換も容易ではなく、それを成功に導くためには、中小企業者自身の努力はもちろんとして、各般の支援措置が必要と考えられます。
これまで中小企業者の事業転換を円滑にするための対策といたしましては、特恵供与やドルショックに対応しての緊急避難的な転換対策がありますが、これでは今日の中小企業が直面している事態に対して十分とは言いがたい状況にあります。
そこで、最近の経済環境の著しい変化に対応して中小企業者が自主的に行う事業の転換を支援するため総合的に対策を講ずる必要があると考え、本法案を提案申し上げた次第であります。
なお、以上の観点からして、本法案は、安定成長経済への適応のための期間として想定される十年間の限時法とすることとしております。また中小企業特恵対策臨時措置法及び国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律は、本法案の施行時に廃止することとしております。
次に、この法案の要旨を御説明申し上げます。
まず第一に、貿易構造その他の経済的事情により相当数の中小企業者がその事業活動に支障を生ずる業種を全国的にまたは産地を限って指定することとし、その業種に属し、かつ、事業活動に支障を生ずる中小企業者であって事業の転換を行おうとする者は、その転換計画について都道府県知事の認定を受けることといたします。また、指定された業種に属さない中小企業者であっても、同様の事情にある場合には、同じく都道府県知事の認定を受けることができることといたします。
第二に、これらの転換計画の認定を受けた中小企業者に対し、資金の確保、中小企業信用保険の特例措置及び税制上の特例措置を講ずることにより、その転換を円滑に進めることができるよう援助することといたしております。
第三に、事業の転換に伴う中小企業の従事者の職業訓練の実施、就職のあっせん等を講ずるよう努めるとともに、事業の転換を円滑に行うことができるよう必要な指導及び助言を行うことといたしております。
以上が、この法案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/2
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003・稻村佐近四郎
○稻村委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/3
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004・稻村佐近四郎
○稻村委員長 次に、第七十七回国会内閣提出、揮発油販売業法案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案につきましては、前国会においてすでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/4
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005・稻村佐近四郎
○稻村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————揮発油販売業法案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/5
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006・稻村佐近四郎
○稻村委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。綿貫民輔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/6
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007・綿貫民輔
○綿貫委員 石油政策には開発、精製、流通という三つの面があると思うわけでございますが、このうち開発面、精製面においては、たとえば石油開発公団法あるいは石油業法をも含めていろいろな形で行政がなされているようでありますが、流通面においては必ずしも充実した形で行政がなされていないと思われるのでございます。したがって、まずその点からお尋ねいたしたいと存じます。
通産省として石油の流通政策についてどのような考えを基本的にお持ちであるかをまずお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/7
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008・河本敏夫
○河本国務大臣 石油の流通問題の第一点は、わが国が必要とする石油の一定の数量を安定的に確保するということであると思います。現在、一年に約三億トン近い石油を必要といたしますし、さらに五年後には四億トン、十年後には五億トン、こういう想定がされておりますので、これだけの必要量をいかにして長期にわたって安定的に確保するかということが最大の課題だと思います。そのためには、まず従来の主生産地であるOPEC諸国との間に対話を通じて友好関係を継続いたしますと同時に、石油の輸入先をできるだけ分散をするということが必要だと思います。
第二点は、国内における価格の安定ということだと思います。価格の安定ということにつきましては、やはり石油業界の体質がある程度強化されまして、たとえばOPEC等の値上げがありましても、交渉を有利に展開をいたしまして有利な条件を日本がつくり出していくという、そういう交渉力を持つためには、やはり石油業界の体質の強化ということが必要だと思います。同時に、国内の分野で流通を円滑にするために幾つかの対策が必要でありますが、今回御審議をお願いしております法律案なども、いろいろな目的がございますけれども、一つはこの流通の円滑化ということも大きな目標になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/8
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009・綿貫民輔
○綿貫委員 特に河本通産大臣は安定確保ということを申されましたが、みずから中近東にもお出かけになり、いろいろ御努力されておることはよく存じております。ただいま価格の安定ということについての御抱負がございましたけれども、流通面において価格安定に対していままでどのように政策を推進してまいったのか、その点についてもうちょっと具体的にお聞かせ願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/9
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010・橋本利一
○橋本(利)政府委員 ただいま大臣からもお答えいたしましたように、われわれといたしましては、流通政策を進めるに当たりまして、安定供給と価格安定を図ることに意を用いておるわけでございますが、特にただいま御指摘の価格の安定につきましても常に配慮してまいったわけでございます。特に石油危機の際には、家庭用灯油、家庭用LPGの小売価格につきまして、国民生活安定緊急措置法に基づきまして基準価格を設定するとかの措置を講じておるわけでございまして、特にまた昨今は、家庭用灯油につきましてその量の確保を図るとともに、価格が少なくとも中間三製品との関係においてバランスを失しないように、適正な価格を維持するように常日ごろから指導しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/10
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011・綿貫民輔
○綿貫委員 石油の流通問題についてはただいまいろいろと伺ったところでございますが、なおいろいろの施策の面において、補充する必要があるということで、今回の揮発油販売業法案の提出になったものだと思うのでございます。そこで、この揮発油販売業法の内容等について二、三お尋ねいたしたいと存じます。
石油流通面における最大の問題はガソリン流通問題にあると思うわけでございますが、まずガソリンスタンド業界の現状はどうなっているのか、その企業数、企業規模、ガソリンの流通経路、あるいはガソリンスタンドの経営状況について具体的に御説明を一応お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/11
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012・橋本利一
○橋本(利)政府委員 現在、揮発油の販売業は企業数にいたしまして三万六千五百、店舗の数にいたしまして五万三千ございまして、この大半と申しますか、九三%までが中小企業、零細企業になっておるわけでございます。
流通経路といたしましては、いわゆる元売というのが十三社ございまして、その下に特約店、さらに末端のスタンドと申しますか、揮発油の小売店があるわけでございます。かなり複雑な流通経路をたどっておるわけでございますが、その経営状況につきまして一言で申し上げますと、一般的にかなり苦しい状況にあるということでございます。と申しますのは、ただいまも触れましたように、そのほとんどが中小零細企業でございまして、従来からも過当競争を繰り返しておるわけでございますが、最近はいわゆる業転玉の安売り等によりまして一層その過当競争が激しくなってきておる、こういう状況でございます。
簡単に数字的なことを一、二申し上げますと、四十九年におきますところの揮発油販売業を含む石油製品小売業の売上高、営業利益率は二・八%でございまして、小売業全体平均いたしまして四・二%ということで、かなり低いレベルにあるかと思います。
それからいま一つ、五十年度におきまして東京総合計算センターで調査いたしましたところ、調査対象企業五百五十八社のうち、欠損企業は百四十二社、かれこれ四分の一ぐらいが欠損企業でございまして、その欠損企業の売上高対営業利益率はマイナスの〇・八七%、こういう状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/12
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013・綿貫民輔
○綿貫委員 ただいまの長官の説明によりますと、非常に中小零細企業が業者に多い。しかも四分の一が欠損を出しておるというような御説明でございますが、従来、通産省は行政指導でこの業界のいろいろの問題に対処してきたと思うわけでございます。しかも、この法案が提案されます前までも、通産省では行政指導で事足りる、こういう主張をされてまいったように承知しておるわけでございますが、最近のガソリンの流通についての現状は非常に深刻であるという認識ができたものだと思うわけでございますが、本法案を提出するということにしたのは、単に議員立法とかその他が出るからやるのだというようなことでおやりになったのか、本当に真剣にその背景を御認識になって提出されることになったのか、その辺をひとつ正確にお聞きいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/13
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014・橋本利一
○橋本(利)政府委員 御指摘のとおり、昭和四十年以降設備につきまして行政指導を実施してきておったわけでございます。それはそれなりの効果もあったわけでございますが、いずれにいたしましても、行政指導というものは強制力を伴わないところにおのずからの限界もあるということでございまして、この激しい過当競争の存在というものを前提といたしますと、そういった単純な行政指導だけでは十分に目的を達成できない。特に先生も御承知のように、ガソリンというものは、ナフサを改質することによりましてきわめて容易にガソリンが得られる。しかも、ナフサと比べまして相対的にかなり価格水準が高い。こういうことから、えてしてガソリンが供給過剰になるといったような問題を持っております。
それから、いま主として設備面からの問題点を申し上げたわけでございますが、もう一つは、やはり粗悪品の発生と申しますか、ガソリンに灯油等を混入する、これは他の製品に比べまして六万円以上も価格差があるといったような、特に七月からまたガソリン税が引き上げられておるといったようなことも加わりまして、粗悪品の発生というものがやはり消費者利益をかなり侵害しておるというような問題がございます。
いずれにいたしましても、ガソリンが石油製品の中でも数少ない採算油種であるということ、それから高率のガソリン税が賦課されておるといったような問題もございまして、流通上かなり問題が複雑に、また憂うべき状態になっております。そういったことを是正するために本法案を準備いたしまして御審議をお願いしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/14
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015・綿貫民輔
○綿貫委員 通産省がただいま長官の御答弁のような考え方で本法案を提出された考え方については一応理解されるわけでございますが、そのような問題は、いま粗悪ガソリンの話も出ましたが、ガソリン以外の他の石油製品については生じていないのか。また、換言すれば、通産省の石油製品の中で揮発油の位置づけをどう考えているのか。さらに、他の石油製品について同様の考え方を及ぼしていくつもりはあるのかないのか、その点についてお尋ねいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/15
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016・橋本利一
○橋本(利)政府委員 ガソリンの石油製品全体の中に占める割合は一二%でございますが、先ほども申し上げましたように、他の製品に比べまして価格が相対的に高いということでございまして、売上高ベースで見ますと二〇%になっておるということでございます。さようなところから、石油関係各企業は揮発油に依存度を高めていく、それによって経営の安定化を図ろう、こういう状況にあるわけでございます。さようなところからいたしまして、ガソリンの流通上における問題点を是正しない限りガソリンの販売業者の経営が不安定になる、ひいては石油産業全体の経営が不安定になる、こういう問題意識に立ちまして、ガソリンにつきまして御審議いただいておるような法案を準備いたしたわけでございます。
〔委員長退席、前田(治)委員長代理着席〕
さようなことからいたしまして、ガソリンの販売業界につきまして安定を得るならば、その他の製品にも波及効果が及ぶことによりまして全体として安定化をもたらすことができる、こういう認識に立っております。したがいまして、その他の製品につきましては、ガソリンと同じような法案をお願いするつもりは現在のところ持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/16
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017・綿貫民輔
○綿貫委員 ところで、ガソリンスタンド業界は、先ほどの答弁にあったように、中小零細企業がほとんどで、過当競争に従来から悩んでいるわけでありますが、さらに加えて、きわめて高率のガソリン税が課されておることは御存じのとおりであります。この法律により過当競争は果たして解消されるのであろうか、またガソリン税の転嫁が十分達成できるのであろうか、こういうことが一番懸念されるわけでございますけれども、この点についての考えをひとつお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/17
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018・橋本利一
○橋本(利)政府委員 本法案におきましては、スタンドの乱設によりまして先ほど来お話が出ておりますような過当競争が発生しておるという事実に着目いたしまして、法案の第六条第二項でございますが、一定地域を指定いたしまして、その地域内におけるニューカマーについては若干の規制を行うという規定を置いております。また、不当な業転玉の規制を行うために、十九条によりまして極端な安売りを是正するための勧告規定も準備いたしておるわけでございます。こういった措置によりまして、過当競争を排除するための一応の基盤はできるものと思っておるわけでございます。
ただ、問題は、こういった末端だけの問題でございませんで、石油の精製業、元売までを含めまして石油産業全体の体質強化あるいは体質改善ということが必要であろうかと思いますので、この法案とあわせましてさらに体質強化のための適切な施策を展開していく必要があろうかと思っております。
それから、ガソリン税についてのお尋ねでございますが、本法案は、必ずしも直接的にガソリン税の転嫁を意図しておるわけではございませんが、この法案を施行することによりまして揮発油販売業の体質が強化される、あるいは経営が安定してくるということによりまして、結果としてガソリン税の転嫁が担保されることになるであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/18
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019・綿貫民輔
○綿貫委員 この法律のもう一つの柱となっております品質の確保についてちょっとお尋ねをしたいと思います。
本法案においては、粗悪なガソリンの販売を禁止し、あるいは品質管理者を選任して品質を確保することになっておりますが、一体この粗悪ガソリンはいかなる理由で発生するのか、業界では灯油等のまぜ物が多いと言われておるのでありますが、そのような事態が生ずる背景というものはどういうふうになっておるのか、この点をお尋ね申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/19
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020・橋本利一
○橋本(利)政府委員 そのためにはいろいろな理由があろうかと思いますが、ここでは二点ほどにしぼって申し上げたいと思います。
一つは、先ほども申し上げましたように、ガソリンなるものが石油製品の中ではきわめて数少ない採算油種であるというところからいたしまして過当競争が起こる。この過当競争の過程におきまして粗悪ガソリンが発生するというのが一つの理由かと思います。
いま一つは、元売仕切りの価格が他の油に比べて比較的高い上に、高率のガソリン税、本年七月一日から八千六百円増徴されまして、現在四万三千百円ということになっておりますが、これと元売仕切り価格を合算いたしますと六万円から六万数千円他の油種よりも高くなっておるといったようなところから、やはり灯油等を混入いたしまして、その間において不当な利益を得ようといったような動きが遺憾ながら現実にある。主としてこの二つがその経済的背景と申しますか、理由になっておろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/20
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021・綿貫民輔
○綿貫委員 粗悪ガソリンが発生する理由はいろいろと言われておるわけでございますが、ただいまの長官の御答弁のように、これを防止するというのが本法案の趣旨でもあろうと思います。
〔前田(治)委員長代理退席、委員長着席〕
これは消費者の立場からの強い期待でもあると思うわけでございますが、本法案において、消費者保護の見地からいかなる配慮がなされておるのか。聞くところによりますと、本法案の骨子を石油審議会で検討した際にも、消費者の立場からいろいろな意見が出たと聞いておりますが、そのような点に関して十分な配慮がなされておるのかどうか、この点についてお尋ねをいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/21
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022・橋本利一
○橋本(利)政府委員 本法案の目的自体が、石油製品、特に揮発油の安定供給と品質の確保ということにあるわけでございまして、そういった意味合いにおきましても、消費者対策としての性格も持ち合わせていようかと思うわけでございます。
具体的に本法案の中で特に消費者に対して配慮いたしておりますのは、本法案の第十九条によりまして、揮発油の販売価格が標準的な価格に比べて著しく高い場合に、大臣の勧告によりまして値下げをする、是正の方向を規定いたしておること、あるいは先ほども触れました地域指定に当たりましては期間を定める、あるいは石油審議会の意見を聞く、必要最小限の規制によって目的を達成したい、かように考えておるわけでございます。
先ほど触れられました審議会における審議の過程で、消費者の方からは、特に品質の確保、粗悪ガソリンの排除ということについて強い御意見もございました。そういった規定を本法案の中にも取り入れているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/22
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023・綿貫民輔
○綿貫委員 ただいままでお伺いいたしました諸点について、さらに委員会において審議を続けていただくわけでございますが、われわれ自由民主党といたしましても、やはり今日は正しくまじめに働く者が正当な利潤と正当な働きがいを得られる経済あるいはそれを支える政治というものが国民に望まれるわけでございまして、揮発油販売をまじめに営む業者の方々に、国民のために安定した揮発油の供給とまた品質を確保していただき、そして生業が得られるように、そしてこれを受けて消費者がまた安心して揮発油を消費することによって文化生活面あるいはその他に活躍できるようにするというのが大きな柱であると考えております。そういう意味におきまして、この法律が成立いたしました後におきましても、さらにきめの細かい、しかもこの法律の趣旨が生かされるような行政を期待いたしておるわけでございます。
以上、この揮発油販売業法が十分に審議された後に成立することを私どもは心から期待して、本日の私の質問を終わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/23
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024・稻村佐近四郎
○稻村委員長 玉置一徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/24
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025・玉置一徳
○玉置委員 揮発油販売業法案の質問に当たりまして、まず最初に大臣にお伺いをしておきたいと思います。
世界経済の不況のために、石油の需給がある程度節約に努められたために、緩んでおりました。したがって、値上げ等の問題もさして大きく刺激を受けなかったわけでありますけれども、世界経済の回復とともに、不況の回復がだんだんと石油の需給をタイトにしていくのじゃないだろうか、こういう感じを持っております。そういう動向をにらみますと、いつごろに石油価格の値上げの要請が産油国から来るものだろうかというような心構えが必要でありますが、所感をひとつお述べをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/25
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026・河本敏夫
○河本国務大臣 ここ数年間の石油価格の動向を見ておりますと、OPECによる何回かの石油価格の引き上げがございましたが、これらはいずれも需給関係によって価格が変動するということではなくして、ほとんど全部が政治的配慮によって一方的に決められる、こういうケースが大部分であったと思います。
御案内のように、昨年の十月一日からOPECは一〇%の値上げをいたしました。本年の五月、インドネシアのバリ島におきます総会では一応値上げは見送られたのでありますが、その後、年末十二月にカタールで総会が開かれることになっておりまして、この総会ではあるいは若干の値上げが行われるのではなかろうか、こういう説がもっぱら強くなっております。政治的な配慮によって決められるわけでございますから、その直前まで値上げがあるとかないとかということを軽々に申し上げるのは避けたいと思いますが、そういう動きが非常に強くなりつつある、こういうふうにいま言われております。ただしかし、ようやく世界経済が軌道に乗りかけたこのやさきにおきまして、石油の値上げはできるだけ避けたいというのが消費国側の希望でありますが、ここしばらくの間の動きは非常に微妙なものがあろうかと思います。
なお、需給関係から申し上げますと、OPEC全体の生産能力は三千八百万バレルと想定されておりますが、昨年は不況のために生産が減りまして、二千七百万バレル・パー・デー、こういう状態であったと思います。ことしは景気が回復いたしまして若干ふえておりますが、約三千百万バレルという水準だと思います。でありますから、なお若干の余力がございまして、そういう意味から言えば、現時点では需給関係はそうタイトになっておるということではないと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/26
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027・玉置一徳
○玉置委員 さらに、世界不況のために需要が落ちておるとは言いながら、こういう問題につきまして、将来のわが国の石油の需要をどのように安定的に確保するか、あわせて将来ともどのように石油の使用を節約するのかというような方向は常に考えておらなければならない問題じゃないだろうか、問題が非常にむずかしくなってからあわててするだけの問題じゃなしに、それの代替品の問題とか、あるいは精製元売業界にも問題があるのじゃないだろうかとか、あるいは三つ目は、ある時期には興りますけれどもある時期には引いてまいります民族系というものをどのように位置づけて、どのように強くしていかなければならないのか、こういう問題につきまして、現在お考えになり、そして手を打っておいでになる方向をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/27
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028・河本敏夫
○河本国務大臣 石油政策の最大の課題は、現在全エネルギーにおいて石油の占めております割合が約七八%で、世界各国で最高の水準になっておりまして、しかもそのほとんど全部輸入に依存しておるという状態でございますので、この石油依存率を今後十年間に一五%引き下げまして六三%にするというのが最大の眼目になっております。しかし、消費量が現在の約三億トン弱から十年後には五億トンというふうにふえますので、依存率そのものは減りましても、消費の絶対数量は逆にふえる、こういうことになろうかと思います。
そこで、わが国といたしましては、アメリカと並ぶ世界の最大消費国でありますこの日本にとりましての石油をいかに長期にわたりまして安定的に確保していくかということが、これは産業のみならず国全体としての最大の課題でなかろうかと考えております。やはり何と申しましても、中近東諸国を主軸といたしますOPEC諸国との友好関係を対話及び経済協力等を通じてだんだんと深めていくということが何よりも大切であろうと思います。それから同時に、中近東以外、OPEC以外の国々から輸入ソースを開拓していくということ、たとえば中国、アラスカあるいは北海、こういう方面での輸入ソースの開拓のための研究、こういうことも今後の大きな課題でなかろうかと思います。
それともう一つの大きな課題は、やはり世界全体の石油の供給量をふやしますためには、わが国が積極的に全世界におきまして開発に参加していくということが大きな課題だと思います。
さらにまた、もう一つ大きな課題というものは、いま世界各国とも最低九十日を目標としての備蓄政策を進めております。中には百八十日という目標のところもありますし、ごく一部の国でありますがすでに百八十日という備蓄を達成しておるところもございます。そういうことを考えますと、わが国といたしましては、世界の標準であります九十日備蓄の達成ということに対しては今後大いにまた努力しなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
なお、国内の流通業界の問題につきましては、石油業界の体質が非常に弱体でございますので、この体質の強化ということが一つの大きな課題となっております。どういう方向でこの体質強化をするかということにつきましては、若干の予算もことしは計上しておりますが、具体的な方向等につきましては目下検討中でございまして、近く大体の方向が決まるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/28
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029・玉置一徳
○玉置委員 ついでにお伺いしておきたいと思うのですが、日韓大陸だなの開発、これは御承知のとおり目下外務委員会で審議をしつつあります。それに関連いたします問題点でありますが、私は前にお伺いしたのでありますが、実際わが国の近海で入手し得るようなものは、採油可能な的確な場所ということになれば、日韓大陸だなの問題がそのうち一番確実じゃないだろうか、こういうふうに想定される。こういうことになりますと、この問題は若干の問題点を含みますけれども、政府としてもその方向に思い切って推進をすべきじゃないかと思いますが、御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/29
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030・河本敏夫
○河本国務大臣 わが国の石油開発事業もだんだんと成果を上げておりますが、なお全需要量のおよそ一割である約三千万トンというのが現在のわが国の開発いたしました自主原油でございます。将来はこれを三割まで引き上げたいというのを一応の目標にしております。
それから、開発地点でございますが、これまでは全世界どこでも飛びついて開発しておったわけでありますが、最近は国有化の動きが一部の国では非常に強くなっておりまして、開発いたしました油もその権利を国有化されてしまう、こういうケースが非常に多くなっております。世界全体の供給がふえるのだから、国有化されて取り上げられてしまっても構わぬのじゃないか、こういう議論もありますけれども、しかし日本が開発した原油は取り上げられるより取り上げられない方がいいに決まっているわけでありますから、やはり今後は開発地点をよほど選択する必要があろうかと思います。
そういう意味で、最近アラスカ方面での開発事業も軌道に乗りつつあるようでありますし、先般ブラジルの大統領が来られました際にも、ブラジルにおける開発に対して日本が積極的に参加してもらいたい、こういう強い要請もございましたしいたしますので、これまで以外の、開発しても取り上げられないような地点に対してもっと積極的に研究をしなければならぬ、かように私は考えております。
それから同時に、日本近海の大陸だなは、わが国にとってやはり一番有利な開発地点であることは申すまでもございません。これまで幾つか日本近海において試掘が行われましたが、本格的な成功をおさめましたのが、先般から生産に入っております新潟県下阿賀沖の石油開発事業でございまして、現在は石油に換算いたしまして約八十五万トン年産出るようになりました。まだきわめて小規模でありますが、このいわゆる日韓大陸だなには、一説によりますと非常に膨大な石油資源が埋蔵されておると言われておりますし、しかもそれはきわめて有力な説になっております。そういうことから、わが国といたしましては日韓大陸だなの石油開発事業はぜひやりたいというのが現在の政府といたしましての強い願望でございます。
日本だけでやればいいじゃないかという議論も一部にはありますけれども、しかし現実問題として、一昨年の一月に日韓両国で条約が締結されまして、そうして共同開発ということが決まったわけでありますし、やはりこういうふうな外洋での開発というものは、日本だけで権利を主張いたしましても、近接諸国の意見も聞きませんと、権利だけ主張いたしまして、いつまでも永久に開発できない、こういうことになっては困りますので、何とか早く国会で御審議をいただきまして批准されまして、日本の西方海域における大陸だな開発が軌道に乗ることを、私どもは強く期待をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/30
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031・玉置一徳
○玉置委員 それでは、去る三月十日に石油審議会から、今日のガソリンの販売店、いわゆる流通につきまして答申があったわけであります。「ガソリンの需給のバランスを適正に保つことが必要であり、精製元売段階における適正な対策を講ずること。」これについて、長官、どのような対策をお講じになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/31
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032・橋本利一
○橋本(利)政府委員 ガソリンの流通につきましてはいろいろな問題がありますが、特に大きな問題は、激しい過当競争が行われているということと、いま一つは、不良ガソリンが発生しておる、この二点かと思います。
まず過当競争につきましては、先ほど御指摘の審議会の意見によりまして、現在御審議いただいておる法案を準備いたしたわけでございますが、この法案の中で、過当競争にかかわる事項といたしましては、主として六条と十九条の規定がございます。六条の規定によりまして、指定地域におきまして若干の建設調整をやる、その間、受け入れられない場合には、いろいろな手続を踏んだ結果ではございますが、最終的には登録を拒否するという形において担保するわけでございます。それから第十九条は、価格面におきまして、市場で販売される価格が通常の標準的な価格よりも著しく異なる場合、大臣勧告によりましてこれを是正する手段を準備いたしております。
それから、二つ目の粗悪品につきましては、本法案の第十三条で粗悪な揮発油の販売を禁止いたしております。これに違反する場合には、本法案の第十一条の規定によりまして、場合によっては六カ月以内を限りまして営業の全部または一部を停止をする、さらにそれに従わないときには登録の取り消しを行う、かような法的担保措置を講じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/32
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033・玉置一徳
○玉置委員 いまの登録制でありますが、条件に合わない場合は登録を拒否するということになりますけれども、拒否されるといたしましても、かなり大きな投資をするわけでありますから、事前にそういうことのないような方法としてどういう方法を講じようとお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/33
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034・橋本利一
○橋本(利)政府委員 御指摘の点は、かなり準備を整えたところで登録を願い出たところ、若干の調整期間でそれがそのままじんぜん日を送ることになると業界としては困るじゃないかという御趣旨だと思いますが、この点につきましては、私たちといたしましても、関係の業界、特にスタンド業界に対しまして、本法案がこういう審議状態にある、これが通った後には、ただいまの御指摘の六条の規定等によって、指定地域内についてはその建設について若干の調整がなされることがあるべしといったようなことを事前によく周知徹底しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/34
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035・玉置一徳
○玉置委員 事前に周知徹底するとは、大体こういう条件にはまらなければだめですよというような立地的な問題についてもそのような方法を講じようと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/35
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036・橋本利一
○橋本(利)政府委員 大体御指摘のとおりでございます。特に、登録を拒否する場合に、大きく分けまして人的要件の面からする当然拒否の場合と、それから指定地域内における調整といった任意拒否の場合とございますので、そういった内容についてもよくPRいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/36
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037・玉置一徳
○玉置委員 不良ガソリンの発生というのは、一体どこにポイントがあるのか。それから、それを排除するための立入検査というものはどのようにしてその発生を阻止しようとしておいでになるのか。それから、ユーザーが品質チェックをしようというときに、必要な情報の提供はどのようにしてなされようとしておいでになるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/37
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038・橋本利一
○橋本(利)政府委員 不良ガソリンの発生と申しますのは、結局はガソリンが他の石油製品に比べて比較的価格が高い、特に高率のガソリン税がかかっておるといったようなところから、灯油等を購入して不当な利得を得よう、こういう動きがあるわけでございます。これはケースによりましては、当然脱税行為と申しますか、ガソリン税法違反といったようなこともあり得るわけでございますし、あるいはこの法律におきましては、十三条でそういった不良製品を販売してはいけないといったような禁止条項を置き、それをさらに営業の一部もしくは全部停止、さらには登録の取り消しといったようなことで法的に担保することにいたしておるわけでございます。そういったことによりまして、十分そういった不良ガソリンの発生というものを防止してまいりたいと思っております。
それから、ユーザーのサイドで品質チェックをするというような場合には、お求めがございましたら私たちとしてもできるだけの情報を提供いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/38
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039・玉置一徳
○玉置委員 これに関連いたしまして、いわゆる無印のスタンドというものはいまの実態としては百分の一ぐらいというように推定をされておるわけでありますが、大体どういうケースが多いのか。その無印スタンドというものは、この法律が通ればどのような形になっていくのか。それから三番目に、登録制の実施に伴いまして、流通面において硬直化を招かないようにという審議会の答申はどのように対応されようとしておるのか、この三点についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/39
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040・橋本利一
○橋本(利)政府委員 いわゆる無印給油所は、本年の三月末現在で約四百五十カ所ございます。この無印の経営内容ということについては必ずしもはっきりしたことを把握でき得ない状態にあるわけでございますが、一般的に無印の給油所と申しますのは、不特定多数の元売あるいは特約店から揮発油を仕入れまして、それが他の場合と比べまして相当安い価格で仕入れておるといったようなところから、他の平均的な小売価格に比べてかなり安い価格で販売しているものが多いというのが実情ではなかろうかと思います。
この法律が施行された場合にその無印はどうなるかということでございますが、私たちといたしましては、この法律のねらいが安定供給と品質の確保というところにあるわけでございますので、現在無印と言われておるスタンドが、やはり複数でも結構でございますが、元売だとかあるいは特約店との間に長期的、継続的に、あるいは安定的にガソリンを購入し得る体制ということが何よりも必要かと考えておるわけでございます。さもたければ消費者に対して安定供給が確保できないといううらみもございますので、そういったように必ずしも特定と申しますか、一つの元売あるいは特約店に契約関係が入ることはございませんが、安定的、長期的といったような担保がやはり必要ではなかろうかと考えております。
それから、流通段階で硬直化しないようにという御趣旨でございますが、これは当然でございまして、本来の目的を達成するために流通がぎこちなくなると困るわけでございますから、本法で予定いたしております規制措置も極力必要最小限にとどめるという方向で考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/40
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041・玉置一徳
○玉置委員 エネルギー庁の方では、今後石油の需要の増大、車の台数の増加等々に伴いまして、毎年どの程度のスタンドの増設を予想されておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/41
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042・橋本利一
○橋本(利)政府委員 むずかしい問題でございまして、いまの段階では必ずしも毎年どの程度ずつ増設するかということは予定いたしておりません。ただ、本法案で規定してございますように、まず全国平均的な数量を出しまして、それを地域を数種に区分いたしまして、その区分された地域の平均販売量よりもはるかに下回っているような市町村につきましていわゆる指定地域と指定いたしまして、その中では若干の建設調整を考えておりますが、一般的にどの程度毎年増設数を認めていくか、あるいは増設されていくかということについては、それぞれ需給状況を見て、あるいはその地域の特殊事情を勘案して考えていく必要があろうかと思いますので、数字的に申し上げるのはお許しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/42
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043・玉置一徳
○玉置委員 私は、元売業者も、ナフサその他いろいろな価格の実勢面に応じまして、ある程度よけいな生産ができまして現金化した方が得だというような場合に乱売があるようなことも聞いたことがあるのですが、そういう実態はございませんか。もしもありとすれば、今後そういうことについてどのような対応策をお講じになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/43
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044・橋本利一
○橋本(利)政府委員 先生御承知のように、現在石油業法に基づきましていわゆる供給計画というものをつくりまして、これに基づいて需給の安定的な関係というものを維持いたしておるわけでございます。ただ、仰せのように、これはマクロ的につくっておるものでございますから、一部の元売等において御指摘のような事態もないとは申し上げられないという問題もあろうかと思います。そういった点につきましては、供給計画の線に従いましてよく指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/44
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045・玉置一徳
○玉置委員 公正取引委員会はおいでになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/45
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046・稻村佐近四郎
○稻村委員長 見えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/46
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047・玉置一徳
○玉置委員 公取にお伺いしておきたいのです。
まず最初に、三月二十日ごろの新聞に出ておりますが、ガソリンスタンド登録制は、公取委員会は立法に反対であるという表明をなさったような感じがいたします。どういう根拠に基づいてそういうような表明をされたのか。そしてまた、今日はどのような見解をお持ちになっておるか、これについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/47
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048・吉野秀雄
○吉野政府委員 お答えいたします。
公取といたしましては、登録制度を採用いたしますと新規参入の阻止あるいは系列化の促進が図られるのではないかという点を考慮いたしまして、一応反対の意見を申し述べました。ところが、その後通産当局から、この登録制度につきましては新規参入を阻止しない、あるいは不当な系列化を促進するものではないという運用上の方針等が示されまして、一応この点につきましては、法律の運用上ただいま公取が懸念いたしました点の生じないよう十分慎重にやってもらいたいということで現在対処しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/48
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049・玉置一徳
○玉置委員 さらにお伺いしておきたいのですが、第十九条によります価格の勧告でありますが、安値になることはいいことだと思いますけれども、高値勧告になる危険もあります。これについて公取はどのようにお考えになっておるのか。それから、通産当局はどのように対処しようとしているのか、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/49
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050・吉野秀雄
○吉野政府委員 お答えいたします。
この法案で問題になっております不当廉売あるいは差別対価といった問題は、本来は独禁法上の不公正な取引方法として対処できる問題でございます。したがいまして、この法案でそういった事態に対して価格介入をいたしますことは競争を制限するというふうな結果も生じかねないというところで反対をいたしたわけでございます。しかし、その後、法案作成の段階で、この勧告発動の要件について若干厳しい要件をつけ加えるという修正も行われ、またその後、運用に当たってもただいま公取の心配したような事態の生じないよう十分注意をしていただくということで現在対処しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/50
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051・橋本利一
○橋本(利)政府委員 本法案の第十九条は、ガソリンの販売価格が通常の標準の価格に比べて著しく異なる場合ということで、著しく高い場合と著しく低い場合、両方を想定いたしておるわけでございますが、いま先生の御指摘の点は、著しく低い場合に高値安定の手がかりになりはしないかという御懸念をお示しになったものだと思います。この法案の中にも、著しく低い価格によりまして相当部分の販売業者が経営が悪化いたしまして事業の継続が困難になるような場合というように、要件を非常に限定的に規定いたしておりまして、さような場合でないと是正のための勧告が発動されないわけでありますから、そういった意味では、せいぜい通常の標準的な価格に戻すというのがやっとのことでございます。かたがた先ほどもちょっと話が出ておりました、いわゆる業転玉といった不当に安い——不当と言っては言い過ぎかもしれませんが、きわめて低い値段のものを是正するといったような趣旨がございますので、万々高値安定になることはないと思いますし、またさようなことにならないように措置いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/51
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052・玉置一徳
○玉置委員 わが国の石油の精製業界がここ数年前は非常に大きな打撃を受けて、累積赤字もずいぶんあったわけであります。業界自体がそのようになるということも、石油の安定供給という問題について非常に不安を感じておったわけですが、為替の関係でここもと回復をしつつあるということは事実であります。将来は一体、いまのままで、またもとのようになる危険はありはしないか、そういう点のお見通しが一つ。それから、いまは元売の方がよくなって、販売業者の方がかなり倒産を見つつあるというように承っておりますが、それについての現状と見通しをお伺いして、私の質問を終わりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/52
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053・河本敏夫
○河本国務大臣 石油業界の現状を申し上げますと、オイルショック以降、政府が石油価格をある程度低く抑える政策をとっておりました関係もございまして、ずっと赤字経営が続いておりました。ことしの三月現在における各社の決算数字を集計いたしますと、表面の赤字は千二百億円、こういう数字になっておりますが、実はそのほかに過去の蓄積をいろいろな形で全部使い果たしまして、まる裸になってしまったというのが現状だと思います。その金額は定かではありませんが、数千億円というふうに言われておるわけでございまして、石油業界はここ二、三年の間に非常に体質が弱体化したわけでありますが、昨年の十二月一日に、これでは石油業界の崩壊にもなりかねないということで標準価格制度というものを設定いたしまして、いろいろ努力をいたしました結果、この五月にはその標準価格がほとんど全部実現する、こういうところまで来ましたので、五月に標準価格制度を廃止したわけでございますが、そのことによりまして石油業界が非常に大きく立ち直っていくのではないか、非常に大きな金額が石油業界に増収になって入ってくる、私はこういうふうに期待をしております。
それからあわせまして、昨年十二月の標準価格設定のときには、為替を三百二円というふうに想定をいたしまして計算いたしました。ところが、その後ずっと円高傾向が続いておりまして、一円違いますと年間で約二百億円違うというふうに言われておりますので、これもまた非常に大きな差益になって出てきておるわけでございます。そういうことで、石油業界の体質はこの春以降私は飛躍的に改善されつつある、かように考えておるわけでございます。
ただしかし、経営というものはいいときもあれば悪いときもあるわけでございますから、何とか現在の日本の石油業界の体質を強化をしてもらいたいというのが政府の強い希望でございまして、どういう方向にこれを強化するか。何分にも石油業界は非常に複雑でございまして、約半分が外資系、約半分が民族系、こういう構成になっておるわけでございまして、世界的な規模での経営をしなければならぬという石油業界の性質上から言いましても、いろいろむずかしい問題をはらんでおりますけれども、いま各方面と連絡をとりながら予算も計上しておることでございますから、いかなる方向に体質の強化をすべきかということについて目下検討を急いでおるところでございます。
なお、いま御指摘のように、元売の方は体質が著しく改善されつつありますけれども、一方において小売その他の段階においては、先ほども長官が話しましたように、なお赤字経営が続いておるところ等も相当ございまして、こういうものの体質の改善をしなければ、将来は流通分野でやはり若干の禍根が残るであろう、こういうふうに考えまして、今回の法案を御審議していただきまして、特にガソリン業界における流通の堅実化ということを考えていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/53
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054・玉置一徳
○玉置委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/54
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055・稻村佐近四郎
○稻村委員長 次回は、明十三日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十二分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804461X00319761012/55
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