1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十一年十月二十六日(火曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 渡辺美智雄君
理事 加藤 陽三君 理事 木野 晴夫君
理事 藤尾 正行君 理事 松本 十郎君
理事 上原 康助君 理事 大出 俊君
理事 中路 雅弘君
有田 喜一君 奥田 敬和君
加藤 紘一君 片岡 清一君
塩川正十郎君 葉梨 信行君
林 大幹君 三塚 博君
森 喜朗君 綿貫 民輔君
木島喜兵衞君 山本 政弘君
木下 元二君 山原健二郎君
鬼木 勝利君 鈴切 康雄君
受田 新吉君
出席国務大臣
文 部 大 臣 永井 道雄君
国 務 大 臣
(総理府総務長
官) 西村 尚治君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 坂田 道太君
出席政府委員
人事院総裁 藤井 貞夫君
人事院事務総局
給与局長 茨木 廣君
人事院事務総局
職員局長 中村 博君
内閣総理大臣官
房総務審議官 島村 史郎君
総理府人事局長 秋富 公正君
防衛庁長官官房
長 亘理 彰君
防衛庁人事教育
局長 竹岡 勝美君
防衛施設庁労務
部長 古賀 速雄君
文部政務次官 渡部 恒三君
文部大臣官房長 井内慶次郎君
文部省初等中等
教育局長 諸沢 正道君
委員外の出席者
内閣委員会調査
室長 長倉 司郎君
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委員の異動
十月二十六日
辞任 補欠選任
赤城 宗徳君 塩川正十郎君
大石 千八君 葉梨 信行君
旗野 進一君 綿貫 民輔君
三塚 博君 加藤 紘一君
箕輪 登君 奥田 敬和君
吉永 治市君 片岡 清一君
木原 実君 木島喜兵衞君
瀬長亀次郎君 山原健二郎君
同日
辞任 補欠選任
奥田 敬和君 箕輪 登君
加藤 紘一君 三塚 博君
片岡 清一君 吉永 治市君
塩川正十郎君 赤城 宗徳君
葉梨 信行君 大石 千八君
綿貫 民輔君 旗野 進一君
木島喜兵衞君 木原 実君
山原健二郎君 瀬長亀次郎君
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十月二十五日
台湾残置私有財産の補償に関する請願(萩原幸
雄君紹介)(第六八六号)
恩給法等の改正に関する請願(斉藤滋与史君紹
介)(第六八七号)
救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(
斉藤滋与史君紹介)(第七二〇号)
同(鬼木勝利君紹介)(第七九二号)
傷病恩給等の改善に関する請願(田中龍夫君紹
介)(第七九一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第五号)
特別職の職員の給与に関する法律及び沖繩国際
海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法
の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第七号)
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改
正する法律案(内閣提出、第七十七回国会閣法
第四八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/0
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001・渡辺美智雄
○渡辺委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、第七十七回国会閣法第四八号、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、第七十七回国会においてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/1
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002・渡辺美智雄
○渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/2
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003・渡辺美智雄
○渡辺委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/3
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004・大出俊
○大出委員 附帯決議をつける関係がございますので、最初に人事院に一つ質問があるわけでありますが、週休二日制の試行の段階になっているわけでありますけれども、これは九月までということではないかという気がするのでありますけれども、予定としては一体どういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/4
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005・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 試行の計画の実施は一年間ということでございますので、来年の九月までということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/5
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006・大出俊
○大出委員 だから来年の九月で切れる。いままで総裁と私とのやりとりからすれば、一年試行をやってみる、まあ、その間いろんな問題があるだろう、あるだろうが、その経験の上に立って、まずいところもあったり、いいところもあったりするのでしょうけれども、調整をして、いままでの筋からすれば、本格実施に入っていくというのが筋だと私は思っているのですけれども、そこのところは、本来そういう基本的な考えがあった、こう私はいままでの議論で思っているのですけれども、念のためにもう一遍ここで改めて聞いておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/6
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007・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 一般的にそういう受けとめ方をされておりますし、私自身も、やはり試行ということは本格実施の前提であるという考え方は、それはいまでも変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/7
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008・大出俊
○大出委員 いまでも変わりがない。長い論議をしてまいりましたが、これはたくさん議事録が残っておりますけれども、この間ちょっと大筋を読み直してみましたが、ずいぶん総裁も苦労なさって、大変苦労の多い答弁が出ておりますが、ようやくここまで運んできた。いろいろ条件が閣僚会議その他でついているけれども、何とか一年間試行をやって、本格実施に踏み切りたいという意欲で答えているわけですね。私もぜひこれはそういうふうにしていただきたいし、銀行協会等が調査をした西欧諸国の公務員の週休二日制というものを取り上げて、私ここで提起したこともありますけれども、あるいは教員の問題に触れたこともございますけれども、おくれているわけですから、日本の場合も、一年間の試行期限が来た、相互努力をして、そこから先ひとつ本格実施に踏み切っていこうという、そういう意欲で進めておられる。まずこのことの確認をしたわけでありますが、そうだとすれば、これは議会の側の問題ですが、試行段階が終了したならば、よく皆さんがお使いになる言葉で言えば、可及的速やかに本格実施に踏み切るための万全の措置を講ずべきだという気がするわけでありますが、そういう意欲でお進め願えますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/8
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009・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 従来からも私申し上げておりますが、この試行というのは、やはり本格実施の前提であるという立場で進めておることは、これは事実でございます。また、私はそうでなければならぬと思っております。世界の大勢その他から申しまして、やはりこれをめぐる諸条件でむずかしい面はございますけれども、しかし、何とか切り抜けてそういう方向に持っていかなければいけないのじゃないかという感じを、私ははっきりとした態度としてやはりいまでも持っております。だから、そういう前提といたしましてこの試行があるんだ、したがって、その試行の段階でいろいろ問題が出てまいりましょうけれども、その問題点というのも、やはり本格実施を前提として、それを解決するための一つの問題提起であり、それに対する対処策でなければならぬという気持ちは、私ははっきり申し上げておいていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/9
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010・大出俊
○大出委員 大変引っかかっていた問題でございますが、明確な答弁を総裁からいただきましたので大変ありがたいのでありますが、ぜひひとつその意欲で進めていただきたいと存じますし、けさほど理事会で、総裁がどこまでお考えかわかりませんでしたが、いま総裁がお話しになったようなことなんだという、いままでの質疑の経過で、週休二日について、そういう私個人の断定の上に立って附帯決議をつけてもらいたい、こういう提起を実はしたところなんですが、誤った判断でなかった気がいたしますので、これは後からひとつ理事間で相談をさせていただきたい、こう思います。
そこで、文部大臣に御出席をいただきましたから、あわせて承っておきたいのでありますが、学校の先生方の週休二日という問題が、歴史的にはいろいろな経過が欧州などでもございました。
私が戦後初めて、西ドイツの労働総同盟なる全国単一の総合団体がございまして、DGBでございますが、日本の労働界を代表して、ハノーバーで行われました西ドイツ労働総同盟大会に、私、ウィリー・リヒター会長から個人招待されたものですから、大会あいさつに参りました。そのときに、当時アデナウアー氏が総理でございましたが、学校の先生方の週休二日制というのが一つの問題点でございまして、当初父兄の側が週休二日制に非常に反対をしたわけで、結果的に先生は週休二日制から取り残された、学校は週休二日に踏み切らなかったという経緯がございます。ところが、世の中じゅうが週休二日になってしまいますと、どうも子供さんがいるために、子供は学校へ行くわけですから、親の方が週休二日にならぬわけでございまして、後から先生の週休二日という問題がさらに議論に上りまして、これについていくというかっこうに結果的になったという歴史的経過がございます。したがって、日本の場合はやはり先生方の週休二日というのを、そういう対岸の例ではありますけれども、踏まえて、やはり踏み切るところはきちっと踏み切った方がいいという気が私はするわけでありまして、いま人事院の総裁が、一カ年という試行期間でございますから来年の九月になります、試行というのは本格実施の前提だという割り切り方で物を言っているわけでありますが、文部省等でも、大臣は早くから賛成だという意向は示しておられるわけでありますが、あわせてこの点、大臣からも、いまどう考えておられるか伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/10
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011・永井道雄
○永井国務大臣 この問題につきましては、ただいま大出委員から御指摘がございましたように、諸外国の例を見ましても、学校の場合には、週休二日に移行していくときに、父母の間に反対があったり、ある種の混乱があるようでございます。
そこで文部省といたしましては、この九月、週休二日の試行について検討いたしまして、どうして混乱が起こるかといいますと、やはり子供が現在の教育課程で授業を受けているわけでございますから、したがいまして、子供の授業との関連において試行をやってみなければいけないのではないか、かように考えまして、文部省といたしましては、ですから、この試行を行います場合には、九月ではなく四月という新学期の段階、新学期から一年間、かような考えでいま検討を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/11
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012・大出俊
○大出委員 これは新聞にちらっと載っておったのを私読んだわけですが、学校という教育現場ですからね、四月からというのがわからぬわけではないですが、人事院がいま進めておる方式とのずれが出てくるわけですね。それがあるから実はあわせて質問申し上げたわけですけれども、私は、けさほどのこの委員会の理事会で、来年九月を想定して、その後、速やかに本格実施に入ってもらいたい、実はこういう附帯決議をつけてもらえないかという相談をしたのでありますが、この辺のずれなども一つ頭に置かなければならぬのではないかという気がいたしまして、やはり四月からということにするにしても、基本的な物の考え方として、試行以後は本格実施に踏み切るという、私が多少なり知っております範囲で言えば、他のいわゆる現業関係機関などに比べれば、どういう意識で割り切るかという問題なんだろうと思うのですね、学校の場合は。だから、その意味では、思想統一さえできれば、現場段階とは違った割り切り方ができるはずだろうと思っているのでありますが、九月になったときに、まだ試行を継続しているところがあるとかいろいろ問題があるところがあってというので、またずるずるおくれることは困るので、そこらを含めて、文部省として、いま人事院総裁が答えておられる、試行が終わったら、その試行というのは本格実施の前提なんだから、本格実施に踏み切りたいのだという、ここのところはどういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/12
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013・永井道雄
○永井国務大臣 これは人事院が、包括的に総裁がお立場を御鮮明になったわけでございますから、私どもとしては当然それを尊重してまいるということが大事であると考えております。ただ繰り返しに相なりますが、問題点は、学校の週休二日というのは教員の問題でございますが、それに伴って学校を五日という形を考えますのと、それから先生方が週休二日ですが学校は六日という考え方をとりますのとあり得るわけであります。その辺のカリキュラムの組み方が問題になっておりますために、これは御理解を願いまして、文部省の方は試行をちょっとおくらせていただきたい、しかし、基本的な考え方は当然人事院のお考えを尊重すべきものである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/13
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014・大出俊
○大出委員 施設庁、まだお見えになりませんですな。防衛施設庁、まだ来ておりませんね。
それじゃ、これは主任制度ということになるのですか、主任制度というのは一体何ですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/14
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015・永井道雄
○永井国務大臣 これは、主任というものが伝統的あるいは慣習的に各学校にすでに存在いたしておったわけでございますが、やはりこの主任の仕事というものは相当の労苦を伴う仕事であり、また、もう一つは主任の仕事の内容というものが、大体は把握されておりますけれども、幾らかあいまいな面もあり、一面では、これをいわば管理の角度からとらえる人がおったり、他方では、いや、むしろ管理というよりは教育指導的な側面が大事である、こういうとらえ方もあったりいたしましたので、制度化したという意味合いはどうであるかと申しますと、そういう一般に行われている中で、主任というものが、大体現状を踏まえながら、本来どのような方向に向かっていくべきものであるか、そして、そういう主任の中でとりわけ労苦を伴っているそういうものはどのようなものであるかということを省令によって明らかにいたしましたのが主任制度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/15
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016・大出俊
○大出委員 この教育業務連絡指導手当などという言葉が出てくるわけでありますが、これは一体どこの発想でございますか。教育業務連絡指導手当などという言葉がありますが、もう一遍聞きますが、一体これはいずれの発想でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/16
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017・永井道雄
○永井国務大臣 発想は、まず歴史的には先生方のお考えの中に発想されたものと思います。しかしながら、先生方の御発想の中、つまり現場から発想されているものと考えますが、先ほど申しましたように、他方、いやこれは校長、教頭が管理をするのだから、やはり管理というような角度からとらえるべきではなかろうか、かようにお考えの方々が教員の中にもあるかもしれませんが、政界向きなどにもおありになるというようなことでございましたし、そこで、そういう現場の発想というものを十分踏まえまして、教育指導というものをよりかみ砕いて、機能に即して理解をいたせばどうなるか、これは指導、助言、連絡調整、こういう言葉で表現することがよかろうということで文部省でまとめ上げたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/17
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018・大出俊
○大出委員 そうすると、ここで言う「教育業務連絡指導」というのは管理ではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/18
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019・永井道雄
○永井国務大臣 管理という言葉が、定義から始めなければいけないわけでございますが、そもそも管理という言葉がわが国に入ってきたのはマネージメントというものの日本訳だと思います。そこで、いろいろ管理についての本もございまして、その中には、管理というのは、いま申しました指導、助言、連絡調整、その仕事の内容に即してやっていくのも管理だという把握の仕方がございますが、他方、管理社会というような言葉がだんだんに行き渡ってまいりまして、管理というのは法や規則に基づいて秩序を維持していくということが重要な役割りである、かようなとらえ方をするようになった向きも強くなったと考えます。これを意味論の方から申しますと、実態に即した意味のとらえ方と、それから歴史的経過に即してとらえる意味のとらえ方と多様にあるわけでございますが、その状況の中で私が考えましたのは、やはり現在広く行われている意味の管理は指導、助言、連絡調整というようなことではなく、法や規則に基づく秩序維持の方に置かれておる、したがって、そうでないものであることを明らかにするために、管理と別個のものとして指導、助言、連絡調整という言葉をはっきり示したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/19
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020・大出俊
○大出委員 指導、助言、連絡調整というのは、いま大臣が説明していましたがそうすると、ここの教育業務というのは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/20
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021・永井道雄
○永井国務大臣 手当に関連した教育業務とは何かという問題については、人事院がお答え願うはずでございますが、まあ、その限りにおいてのことでしたら、まず最初に人事院の方から御説明をいただく方が妥当ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/21
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022・大出俊
○大出委員 これは大臣ちょっと違いはせぬですか。先ほど、その発想は先生方だと、こう言うのですね。私が聞いたのは、教育業務連絡指導手当というのはどこの発想だと聞いたら、先生方の発想だと言うのですね。いいですか。そこで、これは管理かと聞いたら、連絡だ調整だという話が出てきましたね。教育業務連絡指導手当というのは一つの言葉なんですね。だから、教育業務連絡指導手当というのはどこの発想かと言ったら、先生方の発想だとこういう答えなんですね。それは管理ですかと言ったら、連絡だ調整だという話が出てきたわけなんですね。じゃ、上にくっついている教育業務とは何だと聞いたら、これは人事院に答えてくれというのは、ちょっと筋が通らぬ。先生方が発想されたものならば、先生方の認識の中に教育業務というのはこういうものだというのがなければならぬでしょう。それは何ですかと聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/22
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023・永井道雄
○永井国務大臣 問題が三段に分かれるかと思います。教育業務連絡手当というお言葉がございましたが、それを三段に分けて御説明をいたしたわけでございます。
まず第一段階といたしましては、連絡というのはどこから発想されたかということでございましたので、連絡は現場の中にある、しかし、必ずしもそれが明確に定義されておりませんので、文部省で発想いたしましたと、かように申し上げました。
第二段といたしまして、文部省は現場の考え方というものに基づきまして、そして教育業務の中で連絡調整、指導、助言に当たる者は主任である、かように制度化したわけでございます。
そして第三の問題といたしましては、それに手当をお考え願いたいということを人事院にお願い申し上げた結果、その締めくくりとして人事院は教育業務連絡手当というものを考えられたわけでございますから、最終的に人事院が考えられたものについてはやはり人事院がお答えになるのが妥当である。
ただ、その一つの言葉が発生いたしますプロセスにおきましては、いま申し上げましたような三段階それぞれの言葉を吟味しながら発展をいたして、最終的に御発言のお言葉が生まれてきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/23
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024・大出俊
○大出委員 大臣、しきりにお述べになっているわけですが、当面この書いてあるものによりますと教育業務連絡指導手当なんですね。いまの大臣の言い分によると、この連絡調整、指導、助言というのは、これは主任だと言うわけですな。この手当の方でいきますと、教育業務連絡指導手当なんですね。しかし、まあ大臣が調整と助言が二つ入って連絡調整、指導、助言だとこう言うのだから、日本語というのはこれはなかなか使い方いろいろありますからね。それはそれとして、とりあえず教育業務というのは何ですかと聞いたらあなた方はなかなかお答えにならぬから、これは本来ならば人事院はわき役で文部省が主役なんですね。そうでしょう。教育業務、いやそれはこういうものだということがずばっと出てこなければ話がおかしいんですね。しかし、人事院人事院とおっしゃるから、給与局長ひとつどうなんですか。この教育業務というのは何ですか、これは一体。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/24
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025・茨木廣
○茨木政府委員 教育業務という言葉はこちらの方で考えた言葉でございますが、(大出委員「人事院が考えたの」と呼ぶ)はい。(大出委員「勝手なこと考えるものだな」と呼ぶ)これは、いまの主任の今度の制度化に当たりまして、連絡調整、指導、助言という言葉を文部省の方でお使いになりまして性格をはっきりされた一つの転機であったわけでございます。その中の二つの言葉を取り上げ、同時に先生が教壇に立ちまして対生徒との関係でいろいろ教える、それにまつわる採点とかいうようなものは、それは教育本来の仕事でございましょうが、そのほかにいろいろ校務と申しますか、これをいろいろやっていらっしゃる、あるいは先生方が教室において教える時間割りの調整のようなものもおやりになる、そういうものを俗称校務と言っているようでございますが、校務と言うのもいかがであろうかということで、広い意味の教育業務というとらえ方をするのが無難であろうということで教育業務という用語を使うことにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/25
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026・大出俊
○大出委員 わけのわからぬような話で、大風に灰をまいたような話じゃないですか。どこに飛んでいっちゃうかわからぬじゃないですか、いまのやつは。もう何か文部省が連絡調整、指導、助言と言ったから、その中の二つの文字を取ったと言うんですね。連絡調整、指導、助言の一つずつを置いて、真ん中二つ取ったと言うんですね。で、連絡指導手当だ、調整と助言がなくなって。その上に何か知らぬけれども校務みたいなのがある、それを適当に教育業務だと、こう言ったんだというわけですな。これ適当じゃ困るので、教育業務というのは一体何と何と何と何があるのですか、全部答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/26
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027・茨木廣
○茨木政府委員 これは、学校の中で行われておりますことがいろいろございますわけですが、それ全般を含めたような意味の言葉であろう、総称して教育業務とこう言えるのだろう。まあ一般の行政事務というものではないという意味で、こういう言葉を使ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/27
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028・大出俊
○大出委員 それじゃ学校という教育現場の中で一般の行政事務でないと、こう言うのですが、じゃ行政事務というのは一体何と何と何があるのですか、学校の職場の中に。限られた学校という中ですから、はっきりしているでしょう。この中で行政事務というのは一体何と何と何と何があって、教育業務というのはそのうちの、それと違うと言うんだから、ではそのほかの何と何と何と何を教育業務と言うのですか、はっきりしてくださいよ。そんないいかげんなことで審議できないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/28
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029・茨木廣
○茨木政府委員 学校の中の行政事務という意味でなくて、一般の私どもが各省でやっておりますような意味の行政事務でないという意味で、学校の中で行われておりますもろもろのことを教育業務というふうに包括申し上げたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/29
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030・大出俊
○大出委員 そうすると、学校の中には行政事務はないんですね、あなたのいまのお話なら。一般の行政事務と違うんだから、学校の中で行われているものはすべて教育業務と言うというのなら、学校の中に行政事務はないんだ。それじゃ文部省というのは、これは行政機関じゃないんですか。機構上、内閣委員会というのは、これは行政機構を扱っているのですよ。では学校というのは行政機構からおっぱずれて、行政機構じゃないものが、何か知らぬけれどもそこに家が建って生徒がいて先生がいるものがあるという、そうなるのですか。何を言っているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/30
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031・茨木廣
○茨木政府委員 その辺になりますと、言葉の広い意味と狭い意味とあると思いますが、(大出委員「広いも狭いもありゃせんよ」と呼ぶ)広い意味では行政の中に教育行政も入るということは、これは当然のことだと思いますが、ここで言っておりますいわゆる各省の事務をやるというような意味の行政事務というものとはやはり、同じ広い意味の行政の中でございましても、そこにおのずから相違があるという感じもいたします。そういう意味で、学校の中で行われておるそういうもろもろの仕事という意味で教育業務、こういう言葉を使って実施することがよいであろう、こういうことで、まずそういう教育業務という言葉を使ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/31
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032・大出俊
○大出委員 夢みたいな話じゃないですか。あなた方は手当を出そう——人事院に権限はありますよ、ありますけれども、いやしくも国民の税金を使って金を出そうというわけでしょう。そんないいかげんな教育業務というものは、何だかさっぱりわけがわからぬ。行政事務と違うものを、学校のいろいろな事務というのは校務で一般の行政事務じゃない、そういうふうなものを教育業務と、こう言ったらどうかということなんだ。そういういいかげんなことで、手当というのは、一つの行政というのは、あなたも官僚だからおわかりと思うんだけれども、人間の数というのは、一つの職があって、ここに一人人間が要る、定数というのは職の数で決めていくわけですよ。そうでしょう。そこに金がついてくるわけです。当然でしょうこれは、機構だから。そうすると、それは連絡調整、指導、助言、こういうのが主任だと文部省が言った、その調整と助言を取っちゃって、二つ引っ張ってきて連絡指導手当だとこう言う。なぜ手当を出すのかということについて明確でないものに手当が出せますか。そんなことを言えば世の中じゅうに主任がいるじゃないか。世の中じゅうの行政機関、どこでも主任はいるでしょうが。そんなことを言えば、どこの主任だって連絡もやっていれば調整もやっていれば指導もやっていれば助言もやっている。だから連絡調整、指導、助言をやっている者が主任だ、それに手当を出すというなら、特段に変わったことは一つもないのだから、何で一体あなた方は学校の先生方だけに手当を出すのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/32
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033・茨木廣
○茨木政府委員 世の中一般にたくさん主任がいらっしゃる。まず行政職(一)表の系統でいろいろ主任と言っております者、係長の下に主任等がございますが、こういう系統はいまの考え方といたしましては等級で評価をしていくという考え方をいたしまして、課長補佐でございますとか係長、主任というようなものを一つの足がかりとして等級上の評価を与えておるわけでございます。それから研究職等についても主任研究員等というような言葉がございまして、そういう主任も、これはまた異質のものでございますが、やはり等級上の評価を与えております。
そこで教育関係については、従来からそういう意味の主任というのがあったわけでございますけれども、教員としては一職一等級的な取り扱いをするということで従来も来ておりますので、そういうような意味の評価は従来ともやっていなかったわけでございます。今回この主任の制度化と相まってそれに相応する待遇を考えてくれという要望がございまして、これは一番当初四十五年からそういうものがございますのですが、そういう過程で今回のような特勤手当でもって処理をするという考え方を出したわけでございます。それは、等級上で評価をするということになりますとまた別の意味の差しさわりが出てまいるという感じもいたしますし、それからその分担というようなものも、そこに上がりましたらそこから等級的に変わらないというものでなくて、短期間の持ち回りということではないけれども、順次それが交代していくことが好ましいというあり方も文部大臣の方から出されております。そういうようなところをいろいろ考えてみますと、その職務を担当している間の期間についてある程度の等級上の評価を与えていくことが妥当であろうということで、そういう関係で、その他の主任と取り扱いを異にする考え方を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/33
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034・大出俊
○大出委員 大体茨木さん、学校の中の職員室におさまっておられる先生方のやっていることを一一検討したことはない。私は先週の土曜日に八つの学校を歩いて、職員室を八つ歩いて、端から全部聞いてきた。あなたみたいな抜けたようなことを言っていたのでは答弁にも何にもなりはせぬじゃないですか。教育業務というものは何かと聞いてきた。文部大臣が答えない、人事院だ——人事院の方は、教育業務とは何かと言ったら、さっぱり雲をつかむようだ。大風に灰をまいたようだ、どこへ飛んでいくかわからぬ。しまいには今度は行政事務のようなものでないと言う。行政事務だと言ってしまえば管理システムができてしまう。管理手当の方だ。今度は管理手当だと言えば、これは管理職なんだ。それなら何で、こんなヌエみたいなことをしないで管理職手当の方に持っていかないかということになる。あなたは困るものだから、私のねらいがわかっているものだから、行政事務のようなものじゃない——今度はそれを詰められたら、大きな意味で言えば行政事務かもしれぬ。何を言っているのだ、あなたは。本当に困った人だな。もううっかり答えれば、それじゃいきなり管理職手当じゃないかと詰まってしまうものだから、あなたは逃げている。あなたをいじめてもしようがないから詰めないでいるのだけれども、管理職手当というなら、これは係長手当だとか主任手当だとかを管理職手当の中にだんだん下げてきて創設しなければいかぬでしょう。そうでしょう。一般的に、学問的に、主任というのは管理職かというと、これはそうじゃないんだ。そうすると主任というのは管理職手当の中に入れようがないんだ。ぼくは十三年間内閣委員会をやって国家行政機構を扱ってきているんだから。そうするとこれはそこに持っていきようがない。文部大臣でも、下手を答えるとまた管理職手当だへったくれになりかねないものだから人事院に任して逃げた、給与の非専門家だから。そうでしょう。つまり、いまの答弁を聞いていれば、聞いている人はみんなわかる。こんな手当を出しようがないところに何とかかんとか手当——等級上主任と言うんだと言うならば、逆に本来こちら側に主任制度をつくりようがない。片方はみんなきちっと等級が決まっている。そうでしょう。これは人事院がよく知っているとおり。だから前の佐藤総裁が私の質問に答えて、公務員の給与体系、給与秩序というものがこんなことをされたら大変な混乱をする、だから不賛成であると最初答えた。そうしたら法律で決めてしまったから、仕方がない、不本意ではあるけれども法律で決まったことでございますからと今度は答えた。そうでしょう。無理やりに押っつけてしまった。こういうことをするからつじつまの合う答弁が出てこない。といって人事院が悪いわけじゃないんだから、これ以上人事院に聞いたって、本音を言えばどうもしょうがないからやったんだからその辺にしてくれという顔色に見えますからやめますけれども、そうでしょう。これはあと参議院もあることですから、専門家がたくさんおいでになるそっちに任せますが、筋が全く通らない。
そこで、全国の学校の皆さんの中に主任制度を、これは今度はいろんなかっこうになっております。調べてみるとそれこそ混乱の極に達しているのですね。あるところでは校長さんがみんな集まって、こんなものは御免こうむるなんて決めてみたりですね。そこで時間がありませんから承りたいのですが、全国的に六十種類ぐらい主任というのが学校にはある、こう一般的に言われています。そこでそれを特定の主任、そういうふうなことで、学校教育法施行規則、これは文部省令ですが、この一部改正をやって、この規則の中にはっきりさせよう、位置づけを明らかにする、こういうわけですね。文部省の方はそれで手当を出す、こういう発想です。そこで、去年の十二月二十六日にこの省令の一部改正をあなた方はおやりになったわけですな。だから、そうなると今度の発想の主任というのは省令職ですね。省令でお決めになるんだから法的には省令職です。省令職となる主任さん。小学校で言うとこれは教務主任さんと各学年主任さん。中学校ではそのほかに生徒指導主事さんが加わる。高校ではさらに進路指導主事さんあるいは学科主任、事務長なども入るのですかね。これはまたおまけに、固定したものではなくて、筋論からいけば学校の実情に応じて変更もできると、こういうわけですね。この辺がもう一つわからぬですね。
そこで人事院様が——様という言いぐさはないが、人事院殿がお書きになっている「教育業務連絡指導手当の支給のための規則九−三〇(特殊勤務手当)改正仮案」というのがあるのですね。あなたのふところに入っている。こちらの方と対比してみるとまことに奇妙なものなんですね。ある意味で言えば人事院がうまいことを考えたなと、こう思う面もなくはない。取捨選択自由にできるようになっている。教務主任さん以外は適当にくっつけられるわけですね。
ここからが一つ問題点なんですけれども、この一番末端までおりていったときに、文部省が三つの案を出しています。このA案、B案、C案と言ったらいいのですか、校長の意見を聞いて教育委員会が任命する。教育委員会の了解を得て校長が任命する。校長が任命して後で教育委員会に届けるなんということを言っておられるわけです。これは実態に即して考えたときに、この三つの案というのは、実態がこうだからこういうことを考えたということになるんだと思うのですが、どういうとらえ方を教育現場の——現に主任は六十種類ばかりあるわけですが、それらがどうなっているかという、ここに一つとらえ方があってA、B、Cという発想があるんだと思うのです。その一番根底になっているのは一体何なのか。これは前に大臣に何回か細かい質問をしていますから、それが私の頭の前提になっておりますけれども、時間がないから、その前提になっているものはここで申し上げないで、この三つのA、B、C方式を出されたのだが、大多数はこのうちのどれに乗り——教育現場の実態をとらえたら、一つ間違ったら二人主任制ができちゃったり二人教頭ができて大騒ぎした地域もございましたが、そういう実態をとらえて、あなた方は一体この三つの方式を出された気持ちの中には何があったのですか。質問していることがわかりますか。時間がないものだから、きわめて簡単に要約して物を聞いておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/34
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035・諸沢正道
○諸沢政府委員 昨年の十二月の省令改正の以前におきましても、省令における主任として進路指導主事あるいは保健主事というようなものがあったわけでございます。それ以外のものは御指摘のように、それまでは各学校あるいは市町村の段階において適宜校長が命じ、あるいは教育委員会が命ずるというようなことでやってまいったわけでございますが、いま申しましたように、すでに省令化されておった保健主事とか進路指導主事につきましては、高等学校で言えば県の教育委員会、市町村で言えば市町村の教育委員会が命じておるというような例も相当あったわけでございます。それらを見ますと、いま御指摘にありましたように大体三つの任命のやり方をやっておった、こういう実態がございましたので、今回の教務主任等の制度化に当たりましても、その任命の方式は大体従来の実績を踏まえて各教育委員会において選択して決めていただきたい、こういうふうな考え方を打ち出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/35
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036・大出俊
○大出委員 いまある学校の主任さんというのは、大体どこでも先生方が相互に相談をして、相談の結果、学校のいろいろな仕事の分担を決めるわけですね。行政的に言えば校務の分掌とでもいいますか、それを、こういうことにしようじゃないか、あなたは体育を持ってくれとか、先生方が集まってお互いに相談をして決まっていく。それを校長さんが追認をするということですね。大げんかしているところは別として、うまくいっているところはほとんど。そうだとすると、それが一つの歴史的な慣行で、学校の中、教育現場は非常にうまくいっている。これが一つ間違うと一番末端で混乱をする。どうもおもしろくないからというので非組合員教師を主任に任命する校長さんが出てくれば、先生方が相談してこうだと言っても、それとは別に、この幾つかの方式があるのですからどれをとったっていいんでしょうけれども、校長さんの発想でこれを主任にすると任命した。みんなが相談したら校務の分掌はこういうことになった、ところが今度校長の方は、任命権があるのですから上からぽんと任命した。そうすると、先生方が決めた校務の分担に基づく主任さんと校長がぽんと決めた主任さんと人が違うという場合が出てくる場合だってあり得る、場合によっては。これはなぜそうなるかという問題がもう一つあるから聞いているのですけれども、そういうことにだってなりかねないわけだ。てっぺんから、極端に言えば国家意思で学校の中に省令職の主任という制度を決めさせて、一つ間違ったら、校長がてっぺんからおまえさんが教務主任だと、こう。いままでは職員室の中で相談をした。気心の知れている先生方の間で、教務は何々先生が持っていただいてこうしましょうや、こうなっている。それが上がっていったら、教務主任とんでもない、あれはいつもおれに文句ばかり言っているからというので、それとは違うほかの先生のところへ、教務主任さんはおまえさんだ、こうやる。中にたまたま組合から抜けている人もいる。組合に入っている人は任命しない。組合から抜けている人だけぽんと任命するなんということだって起こり得る。これは主任という一つの制度の、あるいは事実行為としてある主任というものについての認識と発想が違う。管理という面が中心になるとすれば、校長さんというのは当然下から上がってくる発想のない者を任命することがあり得るわけだ。これはいままでの主任というものと違ったものになってしまう。なぜそうなるかといえば省令職の主任というものを決めているから。そうでしょう。大臣、ここを一つ間違うと大混乱になるのだが、あなたの頭の中じゃその辺をどう判断しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/36
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037・永井道雄
○永井国務大臣 ただいままでの慣行では先生方が御相談になって決めるというお言葉でございますが、やはり学校は一つの組織体でございますから、先生方が御相談になって全然校長さんと御相談もなく決められてきているのではないと思います。そうではなくて、先生方の意見というものもいろいろあり、そして校長先生が責任を持って決めてきておるというのが慣行でございますから、したがいまして、C案で示しましたのはそういう実態に即したわけのものでございまして、校長先生が学校の責任者として仕事をしておられるときには、もちろん毎日学校に行っておられるわけでありますから、御自分の頭の中だけでやるということじゃなくて、学校の諸先生方の意見というものを絶えず考えて、そしてどういうふうに学校を生かしていくかということを考えながらやられるわけでございますし、またとりわけ、先ほどから申し上げましたように、この仕事は連絡調整、指導、助言、かようなものでございますから、従来どおり、先生がお示しになりましたのも従来でもやはり校長先生が責任を持っておられたのでございましょうから、それを明記したということでありまして、校長先生が全く独断専行していくということを奨励しようとするようなものでは別にないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/37
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038・大出俊
○大出委員 勤務評定以来——勤務評定は、私は神奈川ですが、これは歴史をたどりますと、神奈川方式というまとめ方をしたのです。全国的に大混乱になった時期ですけれども、神奈川は神奈川方式でまとまっておるわけです。そのころから私も携わっておるのですからよく知っている。そこでこれ以来、学校の教育現場に対する管理システムというのが徐々に強化されてきていると私は判断をしている。なぜならば、四十九年でございますか、学校教育法一部改正によって教頭も法律職というふうに変わってきているわけです。それまで組合員であった人が抜けていったり、校長ももとは組合員になっていたわけですから。さっき私が言ったことなんというのは校長が組合員ならば何でもない、職場の組合員諸君が集まって決めれば校長も入っているのですから。ところが、校長は管理職で抜いてしまうかっこうになる。教頭も抜いてしまうということになってくるから、いま私が例に挙げたようなことが起こりかねない。大臣は前に私の質問に答えて、時間は幾らかかっても、会社ではない、カンパニーじゃないのだから、事教育現場なんだ、だとするとここが混乱をすることは断じて避けたいとおっしゃっている。断じて避けたいという気持ちなら断じて避けなければならぬ。そういう方法でものを考えなければならぬわけです。だから私は、その意味では、さっき人事院がお答えになったわけのわからぬことでやったんじゃ、つまらぬ手当を出すと混乱をする、だから出さぬ方がいいというのは私の考えなんだが、念のために聞いておるのです。つまり、それが管理システムの一環であるとかないとか、口の先でどう言ってみても、現実にそれが管理システムを強化していくのだという方向に動くとすれば職場は混乱をする、いま私が例に挙げたような形で。そこで、教育者という立場の校長さんが外れて、組合員でなくいわゆる管理人になったわけですから、そのために対立が起こるという面だってあった。いまでもある。一つの学校の中で校長だけが疎外されている職場はいっぱいある。それに今度は教頭がついていく。父兄の方だって、校長さんや教頭さんに話してもしようがないというわけだ。子供のことを本当に考えてくれているのは受け持ちの先生だ、こうなってしまう。学校が何となく父兄から遠いものになっていく。これは実を言うと困る。そこに今度は省令職の主任ができたとなると、管理システムがそこまで来ると、省令職の主任さんも父兄から遠い先生だということになったのじゃ困る、なぜならば受け持ちの先生と対立しているのだから、こうなっちゃう。その意識があるから、父兄というのは意外に主任制度反対の署名をもらおうというので飛んで歩いているのですよ。そういう父兄がたくさんいるのですよ。頼りになるのは、本当に自分の子供のことを考えてくれているのは受け持ちの先生だという認識があって、そこへ省令職の主任ができて、また向こうを向くのじゃという気持ちになるから——体系的に意識しているかしていないかは別ですよ。私に一言わせればそこに問題がある。それじゃ、この省令職の主任に手当を出すことによって大臣が心配していたことになりかねない、だから私はこれについては賛成できない、それがいま私の言いたい本心なんですよ。
そこで、私がここで大臣に一つ承っておかなければならぬと思っておりますのは、私が前から何遍か質問をしている中で、大臣自身の気持ちというのは、いわゆる普通の行政機構そのものでもないし、会社でもないし、教育の現場なんだ、だからそこに混乱を持ち込まれるとそれは即父兄にも響くし、生徒にも響く、そういうことがあってはならない、教育そのものが前進をするのでなければ困る、こういう発想だったですね。そのために今度のこの主任制度をどう処理するかでずいぶん悩んでおられたのですよ、私とやりとりする限りの大臣の答弁では。そうなっては困ると私は思っている。だからでき得れば、まあ選挙の結果どうなるかわからぬけれども、選挙でも終わって世の中どうなるかながめてから改めて——大臣は三木さんが任命したのだから三木内閣がなくなっちゃちょっと困るかもしれないけれども、いまあわててこれをおやりにならぬ方が、もう少し様子を見た方が大臣が懸念されていたことが消えていく条件が出てくる、そういうことの方がいいのかもしれない、私はそう思っている。だから余りこれを焦らぬ方がいいという気がする。
いろんな議論がいま行われている。いまだってある区の校長さんが集まって反対だと決めているところだってある。それはだんだん準則ができて、おりていって——横浜や京都なんかでは、やれ何とか管理規則なんというのはないのだ。そういうところもあるのだけれども、それがおりていくものだから下でいろんな話が出てくるわけですね。そういう混乱が、おりていけばいくほど末端で広がっていくわけですから、強引にやってしまって手当を出したって、今度はその手当は宙に浮かしておこうなんという発想だってあるのだ。属人的にだれだれがもらわない、その金はここに置いておこう、置いておいて奨学金か何かに使おうなんという発想だって職場によるとある。だからそういう無理をなさらぬ方がいいという気が私はしているのです。
そこで、この一、国立学校設置法施行規則(昭和三十九年文部省令第十一号)第二十六条の二「第一項の規定により置かれる主任等で、教務その他の教育に関する業務についての連絡調整及び指導、助言に当たる職務を行う者、」これが主任手当支給の対象だというわけです。特勤手当の枠内でやろうというわけですね。教育業務連絡指導手当、第二十六条の二「教育業務連絡指導手当は、国立の小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校または養護学校に所属する教諭のうち次の各号に掲げる主任等で、その職務が困難であるとして人事院の定めるものの職務を担当する教諭が当該担当にかかわる業務に従事したときに支給する」——特勤手当ですね。この一の発想というのは大変に幅が広いのです。挙げているのは教務主任等で、あとはどういう広め方もできるようになっている。将来どこまで広がるか実はわからぬ要素もこの書き方の中にある。これはおたくが出したのじゃない、人事院が出そうと考えている、職員局長かだれかのふところの中に入っている案です。あとは二番目に養護学校の件が書いてある。こういうかっこうなんですね。これが人事院の考えているいまの構想ですね。これだって大変に危険だ。
そこで、締めくくりにひとつ承っておきたいのですが、管理というのは、できるだけ少ない人間がたくさんの人を動かしていく、上手な管理というものはそういうものだと私は思っているのですよ。やたら管理者の数ばかりふやすのがうまい管理じゃない。ある省のごとくどんどん管理職の方の仲間をふやすことばかり考えているようなことをするから労働組合というのは強くばかりなっちゃう。つまり、管理する側に近い発想を持っている人をみんな管理職の方に引っ張っちゃう、そうすると残った人は全く共通の利害できちっとまとまってしまう。だから、管理職をふやしたからうまく抑えられるかなどと思っていると逆になってしまう。決定的な対立になってしまうのですね。そうでない層が入っているから幅の広いまとまり方をするんだけれども、それをみんな管理職の方に引っ張っちゃう。そうすると決定的な対決、対立になっちゃう。それで組合は決して弱くならない。これはまことにまずい管理の仕方なんですね。文部省がいまおやりになろうとすることは、大臣はこの間大臣におなりになったんだから、歴史的に物を言えば、四十九年の教頭を管理職に取り込むというところなどもそうなんですけれども、一生懸命管理職をふやそう、今度の省令職でもって主任を決めてまた管理職をふやそうとする。私はむき出しで管理職と言います、きれいごとは言いません。このやり方というのは、一つ間違うと、省令職で主任になった先生までから上というのは全くの管理職であって、決定的に対決をした受け持ちの先生がいて、この受け持ちの先生と父兄は——父兄は自分の子供を真剣に考えてくれているのは受け持ちの先生だけだという発想になるんだから決定的な対決になる。このことを私は避けたいと思っているのですよ。学校という、教育という現場だからいけないと実は思っているのですよ。私は給与の面で詳しいんだが、この教育は素人だから心配をして大臣とやりとりをしてきた。ここまで来たから言うんだが、真剣に考えてみて、これはまずいなと思っている。だから土曜日に学校を八つ歩いてみた。先生方にもいろいろ聞いてみた。聞いてみたがますますいかぬなという気がしたから率直にいま申し上げた。だから私は、この主任手当というのはおやめになった方がいいというのが、いまでも遅くはないのだというのが、これから限りなく混乱をしていくのだというのが私の主張だ。これはぜひ大臣お考えをいただきたい。一言御意見を承って交代いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/38
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039・永井道雄
○永井国務大臣 私は先ほどから大出議員の御意見を承りまして、全く私と同じ考えであるということがよくわかりました。この管理強化、管理反対という情勢が長く続きますと非常によくない、そこで管理強化というような方向であってはならない。
そこで、この主任というものを考える場合に従来と全く違う考え方をしなければいけないというばかりでなく、校長、教頭につきましても教育指導の方に力を入れていただきたい、これはもう去年私が省令化をやりました後のあらゆる会議において発言をいたしておりまして、校長先生方も十分に御理解になったわけでございますし、議事録も多数あるわけでございます。
大出議員と私とどこが意見が違うかというと、いまの段階でも、私が考え、そして公式に幾らでも発表いたしてまいりましたものをまだ管理主任というふうにお考えになっておられるところが違うわけでございまして、その角度で現場をお回りになってお話しになると先ほどのような混乱が起こりますので、ひとつ御協力をいただきまして、素直にこの文書どおりお考えいただきますと、私は御懸念のようなものを本当になくそうというものでございますので、これはそうした目的に沿いまして教育を強化をいたしていくという点で別に与党、野党の別なく、教育の強化のために大出議員の御協力もいただけるようなものであるということを、お話を承っておりますうちに一層強く感じたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/39
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040・大出俊
○大出委員 大臣、そこが素人なんですね。あなたに全くわからぬのです。惜しいですなあ。あなた、大変ごりっぱな大臣で、人間的に私は大変好きなんですけれども、全く素人で困ったものだという気が私はするのですがね。
というのは、行政機構なんというものをあなたは御存じない。一例を挙げますと、どこかの省が局長をここで一人つくりたいというのですね。いま部長なんだ、局長をつくりたい——局長を一人つくることに意味があるんじゃないんですよ。局長一人つくるということは、大きな意味で言えば、その面の行政が前に出るということなんですよ。つまり、ここに主任というものを一つ制度化するということが——行政機構というものは、ある意味では管理機構なんですよ。そうすると、管理システムというものは間違いなく前に出るんですよ。そういうものなんです。生きているんですよ。だからあなたは、私が管理という面で物をとらえて見るからとおっしゃるんだが、人事院の給与局長逃げたけれども、これを機構として純粋にながめていけば、行政機構なんですよ。そこに一つの省令主任という制度ができるということは、その意味の変わった形の管理だ、教育現場だから。だがしかし、そのものは必ず前に出る。あなたの発想は確かに私もわかっている。気持ちはわかる。わかるが、つくってしまえばそうはならない。今日校長というものも、あるいは四十九年の教頭というものも、できてしまえばそうではない。あなた方の発想のようにはいかない。だから、今度主任というものをつくれば、その点が前に出る。つまり、管理システムが一つ前に進むということになる、口の先でどう言っても、現実は。それが機構というものですよ。だから、どこの省でも部局設置という問題が非常に大きな問題になるというのは、そこに理由がある。局長を一人つくることに問題があるんではない。そこに問題があるんで、しょうがない人だと思うんですな。せっかく真剣にお考えなんだが、そこがおわかりにならぬ。もっとも、これはわかっているでしょうけれども、後ろの方でいろいろめんどうくさいことがあって、大臣大分悩んだこともあるんだから、わかっていると思うけれども、大臣をやっている以上は組織機構から抜けるわけにいかないんだからしようがないというところもあるんだと思うけれども、それでも遅くないからおやめになったらどうだと言っている。
委員長、もう一つ、防衛施設庁呼びましたから、国家公務員や何かの皆さんの給料は何とかここで通したいわけですけれども、一つ取り残されそうであるのは、駐留軍の基地で働かれる皆さんの給与なんですよ。あなた、来年の五月だなんていうのではうんざりしますからね、家族ならずとも。現在どうなっていますか。簡単に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/40
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041・古賀速雄
○古賀政府委員 実はけさほども全駐労と団体交渉いたしまして、この点で話し合っていたところをお呼びいただいたわけでございますが、米軍の方には、公務員に準じた例年並みの提案を九月の二十九日にいたしておりまして、いま協議に入る段階でございますが、先生御承知のように日米間で労務問題の基本問題をいま精力的に詰めて協議をしておりますので、相手は給与改定の方もこの方も一緒でございますので、なかなかスケジュールの上で折り合いがつかないわけでございますが、私どもの方としては、十一月の初旬には具体的な協議に入るということでやっております。
それから、先週の二十一日には施設庁長官もリン参謀長と会いまして、これについては御懸念のようなことが絶対にないようにやろうじゃないかということで話しておりますし、私どもも、労務担当の責任者といたしましても、昨年のようなことは絶対にないようにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/41
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042・大出俊
○大出委員 退職手当だ何だ、あるいは格差給がどうのこうのというのがありますけれども、これはおやりになっておられる方向が来年の十一月目途にしておられるわけですから、先般外務省、防衛庁、二回私質問を続けておりますけれども、ことしはその問題とリンクさせないで、やれ十二月に、やれ三月に、それもだめで五月になんということで延びてきているわけですから、ことしはそれはそれでリンクさせないで、ひとつ一般公務員に追っかけて給与改定ができるように、そして来年の十一月見通して、これは大蔵省との関係その他も出てまいりましょうが、精力的にみんなで努力をするということで、何とかひとつ成功させていただきたい、こう思っているんですが、中心になってやっておられる労務部長さんなんだけれども、くどいようですけれども、本当に精力的に年内決着、早期決着を図っていただきたいんですが、よろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/42
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043・古賀速雄
○古賀政府委員 私どもは、長官以下そういう決意でやっております。ただ、従来からも公務員の給与決定後、直ちにというわけにまいりませんので、若干のおくれはございますが、とにかく昨年のようなことはないようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/43
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044・大出俊
○大出委員 西村さん、最後にひとつ念のために触れておきたいのですが、さっきお聞きいただいたと思うのですが、冒頭に申し上げた週休二日制の試行後の本格実施に絡みまして、けさほどの理事会でも附帯決議をという提案をしているんですけれども、藤井総裁から、さっきのように試行というのは本格実施の前提であるというんですね。だから、来年の九月が一年の期限の切れどきですけれども、何とか本格実施の方向へという御答弁もあったんですけれども、実はさきの総務長官植木さんに、大変にこの週休二日制問題では御努力をいただいた。官房長官からも私、詳しく聞いております。したがいまして、これは人事院の総裁は悪戦苦闘し続けたんですけれども、ぜひひとつ総務長官、この週休二日制問題は国際的に見て日本の公務員は大変遅いわけでありますから、世間一般の風向きというものもなくはないのは承知でありますけれども——最近、私ども選挙をやる身ですから土曜日でも朝七時から駅に立っておりますけれども、土曜日の駅の乗車人口というものは極端に減るんですよ。横浜の一番人口の多い戸塚のマンモス駅に、先週の土曜日の朝ぼくは立っていましたが、この土曜日の人口というのは、知り過ぎている自分の選挙区なんですけれども、これだけ違うかと思うぐらい違う。なぜならば、週休二日が非常に大きく響いているからです。これは民間です、公務員はまだ試行の段階ですから。ですから、これはぜひひとつ大きく御努力を願えるように、西村さんと私は同じ郵政省のかまの飯を食ってきた長いつき合いです、きのうやきょうじゃないですけれども、よくわかっておりますが、そういう前提の上でひとつお願いをしておきたいのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/44
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045・西村尚治
○西村国務大臣 この週休二日制、これは先ほど来人事院総裁からもお話がありましたように世界の趨勢でございます。またいま先生御指摘のように、民間でもかなり実施しておるところが多くなってきております。政府としましても、一年間、今月から試行するわけですが、その試行の結果、いろいろやはり問題があると思うのでございます。定員増の問題なんかも恐らく伴うかと思います。そういったいろいろな点を検討、勘案をいたしますことと、それから民間の中小企業なんかの意向というものも、やはりわれわれとしては考えなければいけません。そういったような点もよく勘考いたしまして、前向きの姿勢でひとつ善処してまいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/45
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046・大出俊
○大出委員 ぜひひとつお願いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/46
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047・渡辺美智雄
○渡辺委員長 木島喜兵衛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/47
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048・木島喜兵衞
○木島委員 きょうは出かせぎですから、そしてこの問題については永井さんとずいぶんいろいろ議論しておりますから、きょうは、きょう審議しております法律案に沿って御質問申し上げます。
大臣、ちょっとその導入部分でございますけれども、いまロッキードでもってずいぶん揺れていますけれども、ロッキード事件を通しまして教育という点から考えなければならないところとか、あるいは反省しなければならないところとか、そういう点で、何かロッキード事件というものの筋書きじゃなしに背景とかそういうような問題では、文部大臣として教育的な立場でもって何かお考えになるところはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/48
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049・永井道雄
○永井国務大臣 私として考えますことは、やはり教育基本法八条に基づくわが国の教育というものはどのくらい十分に行われてきたかということでございます。これは申し上げるまでもなく二項から成り立っておりますが、一つの党派性に流れずに教育というものは中立的にやるべきである、この方はかなり議論されておりますが、もう一つの項目ですね、わが国を民主的な社会にしていくのには政治的教養というものをつけさせる教育を行わなければいけない。これを十分に強化いたしておくことは非常に大事である。今度のロッキード事件というものは一つの重大な事件でございますが、しかしこの事件に限らず、やはり政治の問題について教育の場面で十分な教養というものを積ませておくことは、国民主権の国家でございますから、本当にすぐれた政治家を選出していくという地盤に相なるわけでございますので、もちろんロッキード事件なども学校において——これはまだ経過中の事件でありますから、教科書にも出てきませんけれども、年齢に応じてやはり時事問題として取り上げるべきことと思います。何と申しましても重要なことは、ロッキード事件と学校との関連について申しますと、政治的教養の教育というものを重視いたすべきことである、まずこれが第一点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/49
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050・木島喜兵衞
○木島委員 政治的教養全般は、これはもう主権者をつくるわけでありますから、その限りでは国主主義の基礎が教育にあると言っていいことになりましょう。
ただ直接的にこのロッキードで言うならば、一つは、これは構造汚職などと言いますけれども、国民の意識構造の中に金が最高の価値という定着がありはしないか。それは教育の内容の面においてもあるいは制度の面においても、そういう価値観を植えつけたその教育に、このロッキードという事件の中でもって日本の政治全体が、日本の国全体が動いている中でもって、少しメスを入れねばならない要素があると思うのでありますが、きょうはこれは文教委員会じゃありませんから、あすまたやります。
ただ給与の面で言いますと、たとえば人確法、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法、人材確保するというその法律の名前。そしてその第一条の目的は、給与について特別な措置をすることによって人材を確保する。金をやるから、金があるから、だから教師になろう。金が最高の価値という発想がこの人確法の中にもありはしないだろうか。だから金を求める。金が高いから教師になる。その教師が子供にその思想を持って、その意識を持って触れ合うときに、国民の中に金が最高の価値という意識構造が生まれてきはしないのか、そういう気もするわけでありますけれども、その辺はどんなにお考えになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/50
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051・永井道雄
○永井国務大臣 人材確保法の趣旨がいま申されたようなことにあるとすると非常に困ったことであります。これはもう木島議員に申し上げるまでもないことでございますが、わが国に経済成長が起こった過程におきまして、事実上教員の給与というものは相当落ち込みがございました。そこで、もちろん先生になるのは金をもうけるためになるのでもなく、また他の職業と申しましても、たとえば政治であれ経済であれ、ただ金もうけのために人間が働くのじゃないと思います。そうではなくて、やはり給与をもらって安定した生活をするということはございますが、それ以上の生きがいというものが大事であろうかと思います。
人材確保法について申しますと、そういう落ち込みがございましたから、その落ち込みを是正をいたしていく、そうして先生方がそれ以上に安定した生活の上に立って本当に生きがいのある教育をなさっていく、いわばその基本的条件をつくるものとしてでき上がっていくものである。金を出すから先生になりなさい、かようなものではなくて、いままでが大変不均衡でございましたから、それを直していこうというものだと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/51
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052・木島喜兵衞
○木島委員 私も教員の賃金が上がることを否定したり何かという意味で聞いておるのではありません。したがって、これからの質問はそういう方向に移るのでありますけれども、そこで、人確法第三次分の配分について文部省から人事院への要望がありましたが、その第一は、全員に渡るようにしてほしいという中に、本俸を上げるか、または義務教育等教員特別手当の増額をと言っていらっしゃる。本俸だけとなぜ言わないで——教員特別手当というものでもどっちでもいい、あるいは両方という意味であるかもしれませんが、そういう意味があったのであります。この特別手当というのは、前に人事院総裁や茨木局長に聞いたんだけれども、性格、意味が全くわからないですね。本俸ならわかる。ただ小中学校をだんだん上げていくと高校と逆転する、それを上げていくと高専と逆転する、だからこういうものをつくったんだということであります。意味のわからない金を教員にやってそこで教育界に人材を確保しようというその発想が私は大変におかしいと思う。だから、しょせん本俸なら本俸という——賃金には意味がありますから、思想がありますから、いま言うとおり、政策的に教員を、教員というものの価値、教育の価値、そういうものを求めてそこへ来る人たちの仕事、そういう意味では、本俸だけというならいいですけれども、わけのわからない金でもって人材を確保しようという人材確保法というものの思想が私は基本的に納得できないのであります。総裁、これは前にもお聞きしましたが、実際この手当をつくったのはそうでしょう、この前のあなたの御答弁のごとく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/52
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053・茨木廣
○茨木政府委員 この前、二次のときの論戦の主点は、なぜ本俸に計上しなかったのかというところに主点がございまして、そういう意味でいま御指摘のような答弁をいたした経緯がございますが、なぜ本俸の方に全部盛っていけなかったかという点に重点を置いて御説明申し上げました。今回もさらにそれを二%程度ふやす趣旨で最高額の移行を今回御審議いただいておる法案の中でお願いを申し上げたことになるわけでございます。
そこで私どもとしましては、あの当時は一応本俸に盛れないものをという形で出しました。結局、給与としまして本俸が中心でございまして、その補完的なものとして今度手当をいろいろ考えていくという給与法上の体系になっておるわけでございます。そういう意味で考えてみますと、教員としての教育本体あるいは生活を支える意味の生活費的なものというのは本俸に計上してあるというふうに言っていいと思います。
今回そのいまの手当の方に何がはみ出してきたかということを考えてみますと、その当時ある一部の方には御説明した経緯がございますけれども、国会の席では申し上げなかったかもしれませんが、校務を担当していらっしゃる方、また先ほどの教育業務的なことを担当していらっしゃる方、それを各先生方がいろいろ担当していらっしゃる。あるいは部活動、クラブ活動の顧問という形で、そういう面も正規の授業時間以外にも御指導をされている。いろいろなことをやっていらっしゃる。そういう面を主としてこちらの方で見ていくのかなというような気持ちもして、今回さらにそういう点について評価を強めますという意味で四%を六%に上げましょうということにしたわけでございます。その当時、その特別手当の名称を考えますについても文部省側と意見を交換した中でも私の方から提案しましたが、実は名称は幾つかあったのです。校務担当手当にしましょうか、研修手当にしましょうか、あるいは訓育手当にしましょうかというように幾つかの名称がありました。しかし、特定の名称にいたしますと、どうもその一部分だけというふうになって、なかなか一長一短があるということで、そこで、かつて、昔そういう名称で要望がございましたこともありましたので、そういう特別手当というような抽象的な名称をつけるということに実はなった経緯もございます。そういうことで、そういういろいろなことを含めた意味であれを計上した。本俸を補完するという解釈をこの際明らかにして、了解いただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/53
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054・木島喜兵衞
○木島委員 本俸を補完するなら本俸に入れたらいいのであって、何もわけのわからない金でもって教育界に人材を集めるというその思想が、最初に私は永井さんに聞いた、そういうところに集まってくる教師によって、金が最高の価値という、そういう公務員の意識構造というものをつくっていく一つの要素になってくるのじゃないかという意味で実は言っておるのです。これは、さっき言った均衡上でしょう、均衡上本俸を上げたら逆転するから。しかし、義務教育に人材を確保するというこの人材確保法は、均衡を破っても、本俸を上げることによって、給与を上げることによって、教育界によりよき人材を集めようという思想でありますから、これは意味のわからない、わけのわからない、ただ均衡上アンバランスになるから、だからこういう手当をつくるのだ——同じ金なのです、同じ金が支給されるのです。立法の趣旨が生きてないのじゃないか。国会の満場一致の法律です。
永井さん、時間がありませんから、そういう前提に立ちながら、私はもしもそういう手当で出すとするならば、明確に研究、研修というのでありましょうか。教育は決して知識の切り売りではありませんから、人間と人間との触れ合いなのでありますから、人間形成なのですから、教師は広い教養、文化というものを、教育技術の研修とかという狭い意味じゃなくて、もっと広い教養というものが身についておる。そこから触れ合うところの子供への影響による人間形成が行われる。そういう意味では、それは音楽会も展覧会も、それは自分の専門以外のいろいろな本も読まなければいかぬでしょう。そういう意味につければ、私はこの金はこれで生きてくると思うのです。基本法にも研修の義務を負わしておりますね。そういうところに教師というものの、専門職というものの意味が生きて、明確になってきますね。そして教師はその自覚をしますね。そういう意味におけるところの賃金がつけられれば、また国民もその目で見ます。その目で見た中でもって、ときに教師に対して国民の正しい批判もあるかもしれません。そういう国民との正しい意味における相互批判、自己批判というものが繰り返される中でもって教師が力をつけていくことは好ましいと思うのです。教育基本法の第十条の、不当な支配によるところの教師でなしに、国民全体に直接責任を負う教育なのでありますから、国民全体との相互批判の中におけるところの、そういう教師のあり方というものが求められていくことが、私は直接責任を負う——行政はすべて国民全体に責任を負うのでありますけれども、あえて十条の「国民全体に対し直接に責任を負う」この「直接」とは、私はこの場合においてもそういうふうに理解するのです。なぜそういうことができないのだろうかと思うのです。
そういう意味では、文部省の方で言うと、第三次に対する、人事院に対する配分の要望について、そういうあたりを明確になさらなかったことは、私は文部省が、これから第四次もありますよ、第四次にはどんな要望をされるのか私は聞きたいと思うのですが、少くとも文部省として教師のあらまほしき賃金、あるべき賃金形態というものが一つ描かれて、それに向かって、人材を確保するためにどのような賃金形態がいいか、それに順次第二次、第三次と行かなければならない。ところが、初めからわからなかったのだから、構想がないから、だから一次、二次やってみたら、二次でもってちょっと逆転しそうになってしまった。ここのところがこうなりそうだ、だからどうしようか、苦肉の策でもってこんなものをつけろやということでわけのわからないものがついたのです。そういう思想が、私は最初にロッキードのときに申しました、そういうことになるのだと思うのです。
大臣でなくていいですけれども、教員のあるべき、あらまほしい賃金の形というものを文部省は持っておいでですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/54
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055・諸沢正道
○諸沢政府委員 ただいま御指摘のように、この第二次、三次の改善を実施するに当たって、文部省では省内に設けられました教員等待遇改善研究調査会というものに御意見を伺ったわけでありますが、それに基づきまして、昨年の三月に、第二次、第三次の改善に当たってはこういう点に十分配慮していただきたいという申し入れを人事院にしたわけでございます。したがいまして、その申し入れの中身というものが、いわば私どもが考えておる望ましいあり方、こういうふうにも言えるかと思うのであります。
ここで申し上げておることは、第一は、人確法の趣旨にのっとった処遇をしていただきたいということであり、第二は、いわゆる俸給表の改善という点については、その改善の重点として、初任給については他の公務員との均衡を考慮して改善していただきたい、それから経験の豊かな中高年齢層教員の給与の改善には特に配慮をしていただきたい、それから最高号俸の到達給を引き上げていただきたい、そういうようなことを申し上げたわけでございます。そしてその他の手当の問題については、今回人事院が言われますところの教育業務連絡指導手当あるいは部活動指導手当の範囲の拡大とかあるいは管理職手当の拡大とか、こういった点をお願いをしておるわけでございます。
したがいまして、そういう点がわれわれとしましては給与改善に当たって考えていただきたい重点である、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/55
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056・木島喜兵衞
○木島委員 だからその中に、さっきから言っているように、たとえば教員手当なら教員手当というものの性格なら性格を明確にするとか、そういうものがなければならぬはずですよ。賃金には思想があるのです。政策があるのです。
どうですか、高校と小中学校が三本立てになるのか、二本ですかね。そこで、だんだんと小中学校を上げていったら、義務教育を上げていったら高校と逆転するというのだけれども、茨木さんどうですか、これは。正直に言いなさい。同じ大学を出て、そしてたとえば中学校と高校で英語なら英語、数学なら数学——四年間の大学を出て高校と中学校へ行くことによって賃金が異なるといういまの給与体系は正しいと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/56
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057・茨木廣
○茨木政府委員 現在の三本立てにはそれなりの経緯があったわけでございますが、最近のところは、いまおっしゃられたように同じ大学出の者がそれぞれの職場に分かれるということに相なるわけでございますので、入り口のところから十三年目程度のところまではいま実は全く同額にしてございます。
ただ、その問題についてどういうことが一番正しいのかということになりますと、これは免許法の資格の問題とも関係するわけでございまして、文部省さんの方では、片や一級免許を与え、片や二級免許しか与えないというのは、一体これはどういうことであるか、この辺のことも整理をしないと、これはとことんまでなかなか言いかねる問題を含んでいるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/57
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058・木島喜兵衞
○木島委員 その免許法の関係、文部省はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/58
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059・諸沢正道
○諸沢政府委員 現在の教員免許法の制度では、中学校、小学校の先生は大学四年卒業で一級、二年の短大で二級ということになっておりますが、高等学校の先生は、大学を卒業して一年以上専攻科、大学院等に在学した場合に初めて一級、大学卒業だけの者は二級ということで、これは戦後できました免許法のたてまえであり、それは今日も変わっておりません。その基本的な考え方は、やはり高等学校の方が中学校、小学校に比して教育内容、程度が高い、こういうことであったろうかと思うのでございます。
そこで、免許法ができました当時の給与体系と学校の実態を見ますと、高等学校の教員と小中学校の教員とでは大学卒の比率等もかなり違っておったという実態もあり、かつ小中学校の方が一般に規模も小そうございますから管理職の登用率も高いというようなこともあって、小中学校教員と高等学校の教員の俸給表に差が出てまいったということでございますが、ただいま給与局長が言われましたように、現在では教員構成等も大分一致してきておりますので、下のところの給与はほとんど一緒になってきておるわけでございます。今後どういうふうにするかということは人事院のいろいろの御検討にまたなければならないところでありますけれども、さしあたって、現段階においては、私どもは高等学校の教員の資格を特に変えるというような考え方はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/59
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060・木島喜兵衞
○木島委員 この三本立てができたのをあなた知らないのです。知っているのは大出さんと私くらいじゃないかな、いま政界や官界では。これは組合の分割統治のあらわれだったのですよ。いまいろいろおっしゃるけれども、まあいいです。同じ学歴で賃金が高ければやはり高校に行きます。あたりまえです。だが、いま義務教育に人材を確保したいのです。同じ学校を出て、賃金が高いから人材は高校に行くのです。だから人確法は義務教育に必要なのです。そこに矛盾があるのですよ。そこで、それが逆転するからいけない、あるいは接近するといけないから、わけのわからないところの教員特別手当をつけるということで、人確法によって矛盾が拡大してくるのです。ここをまず整理すべきだろう。現状における教員のあらまほしき姿としてまずそれを整理する。そして、もしもその上に教員特別手当をつけるならば、さっき言いましたところの教員の教養なりそういうもを豊かにするという性格をつけた手当にしたらよろしい。意味のわからない、ただ逆転するから仕方ない、その金だけ、何か四%に二%つけるというようなものであってはならないと思うのですが、大臣、そういう考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/60
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061・永井道雄
○永井国務大臣 まず、教員の給与体系を分割することによって組合の分割統治をやるというような考え方は、もし仮にあるとすれば大変不適切なものだと思います。
次に、大局的に申しますと、先ほどから初中局長も申し上げたような資格の問題もございますけれども、学歴構成も非常に似通ってきておりますから、その間にいろいろな資格の問題、また人事院のこれに対するお考え等いろいろなものがございましょうが、長い見通しといたしましては、小中高いずれに参りましても教員としての給与が保障されて、そして教育ができる、こうした方向に向かっていくことが望ましいと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/61
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062・木島喜兵衞
○木島委員 よって三本立てを二本立てにする。もっと言えば幼稚園から大学までということもありますけれども、いま現実的には接近してきましたね。小中高の一本化の方向に人事院はもう作業に着手すべき時期だと思うのですけれども、およそいつごろくらいまでに——そうでしょう、人確法によって、実際にはそうしないとあなた方も困るのじゃないですか。これはむしろ非常に高度な判断だとすれば総裁の方がいいのかもしれませんが、どちらでもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/62
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063・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 いまの御指摘の点でございますが、これは重要な検討事項としてわれわれも問題意識をはっきりと持って検討いたしておることでございます。具体的に申しまして、同じ条件、同じ資格ということに相なりますと、義務教育と高等学校で本質的に区別すべき理由はないということから、漸次大学卒が多くなってまいっておる現状からそれに対応する措置を講じておることは、専門家であります木島先生も先刻御承知のとおりでございます。さらにこれを推し進めて一本化するかどうかということは、私はやはりもう少し時期がかかるのではないかというふうには思っておりますけれども、これは当然検討の対象として考えていかなければならぬ問題として、事務的にも私からも給与局長以下に検討を命じておるという段階でございます。ただ、いま、いつどこでこれを実現するかということはまだはっきり申し上げる段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/63
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064・木島喜兵衞
○木島委員 総務長官、形の上ではあなたがこれの提出者でありますから、この法律の責任者でございますね。人事院というのは、大ざっぱに言いますと公務員の一般的な給与水準を決めることが主任務であります。ところが、議員立法で出てきた人材確保法というのは大変に政策的賃金を志向しているのだと思うのです。人材を確保するために賃金をどうするかということですね。ですから、その場合、政策的にという場合は義務教育の人材を確保するための政策的な賃金ということでありますから、これは文教政策と深くかかわってくるのです。ところが、人事院は必ずしも——必ずしもですよ、全然という意味じゃないです。必ずしも文教政策のあり方と賃金という関係においては専門的ではありませんね。しかし、その配分は人事院が決める。予算がつく。予算にも思想があります。教育のあり方に対するところの賃金はどうあるべきか。教育のあり方の中では、人間と人間との触れ合いですから教師が一番大事になりますね。だから賃金をということが人確法でしょう。教育の成果を上げるためにはどうしたらいいか、人材を集めるためにはどうするかということでしょう。教育政策ですね。ところが、人事院はその専門家じゃない。しかし、勧告は人事院がなさる。その人事院勧告によってあなたは法律を出す。長官、この形はどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/64
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065・西村尚治
○西村国務大臣 確かにそういった疑問が持たれ、ないでもございませんけれども、いまのたてまえといたしましては、主管の窓口になります総理府が——いまも教育政策の問題をおっしゃいましたけれども、これは一般職の国家公務員の中で若干特殊性はございましょう。ございましょうけれども、ほかに税務だとか防衛だとか、いろいろたくさん業種の違うものを抱えておる。それで、それぞれの給与を検討することも必要ですけれども、一般職国家公務員としてやはりある程度その間の調整、均衡というものもとっていかなければいかぬわけでございますので、総理府としましては、やはり公正な第三者機関である人事院の公正な検討を待って、その結論として出される勧告を尊重して実施していくということよりほかないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/65
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066・木島喜兵衞
○木島委員 ほかないから質問しているのです。繰り返しますよ。人材確保というのは政策的に——人事院は一般的な賃金水準のこと、さっきあなたがおっしゃったように、公務員全体の均衡ということなんです。だが、法律でもって教育政策として人材を確保するためにというこの法律をつくったのです。しかし、これには教育のあり方なりそういう思想が含まれるのですよ。その思想から賃金の形態が出てくるのですよ、政策的に。その政策というのは、専門家であるところの文部省なら文部省がむしろ中心であるかもしれません。そういうものが先になければ、人事院は本来こういう専門的な政策的なことは必ずしもなじまないわけです。あなたは能力がないとか言っているのじゃないのですよ。専門的じゃないという意味なんだから。あなたが全部やったら、文部省をあなたの方へ持っていってしまえばいいんだから。文部省があるというのはそういうことなんだから。とすると、そういうものを人事院が決めて勧告をする、その勧告どおりにあなたは法律をつくられる、こういうのは特殊の場合でありますから、他の均衡とかなんとかというのじゃありません。人材確保法という政策的な賃金をどうするかという、そういう議員立法で満場一致でやったのだから。だからそれをどうするのか、そういう意味ではこういう形でいいんだろうかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/66
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067・西村尚治
○西村国務大臣 教育政策、それを推進する上におきましてどういう内容を織り込むか、これは非常に大事な要素だと思いますね。しかし、そういった点につきましては人事院の方で文部省当局の方の意向その他をもよく勘案されまして、一般職公務員の中にどういうふうに給与体系を位置づけするか、そういったことを十分御検討の上で出されておるもので、ほかには、性格は違いますけれども、医療職だとか、さっき申しました防衛の関係だとかいろいろあるわけです。やはり人事院が給与担当のそういう独立した第三者機関として存在いたしますからには、そこで案をまとめれば、われわれの方はそれを受けて法案として出して御審議をいただく、こういうことよりほかないと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/67
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068・木島喜兵衞
○木島委員 いまの制度ではわかりますよ。だが、議員立法で満場一致でもって可決したところのこの法律であります。そして予算がつきました、その予算の配分でもって勧告がなされました。
これからだんだん質問していきますけれども、そこで、たとえば主任手当なら主任手当というものが出たために、政党間でもって賛否の激しい争いが一年有余続いておる。教育界はそのために混乱をしておる。しかし、人材の確保をするそのために賃金を上げようということにおいての法律は全会一致で通っておる。その配分をするということになると、こう混乱をする。これでは立法の趣旨に合わないじゃありませんか。その点を聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/68
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069・西村尚治
○西村国務大臣 先生の御指摘なさる点もわからぬではございませんけれども、その満場一致で成立いたしました人確法の中にも、実はこの給与の関係については「国家公務員である前条の教育職員の給与について、」人事院は「必要な勧告を行なわなければならない。」この法律の中にやはりそういうたてまえがちゃんとうたってあるものですから、この趣旨を尊重していかなければなるまい、それよりほかないだろう、かように思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/69
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070・木島喜兵衞
○木島委員 それよりほかないと言ったって、現にそうなっているんだ。教育界が混乱しているんだから。
そこで総裁、しかしいまの制度で言えば、少なくとも義務教育の諸学校に人材を確保しようとして、そのために賃金を上げようということであれば、少なくとも各党が一致するもの、文部省に意見を聞く、あるいは教師集団の意見も聞かなければならぬし、もちろんお聞きになっていらっしゃるでしょう。同時に、これは議員立法なんですから、その議員立法でもってやったものの中で、議員が、各党に分かれている。けんかしている。賛成だ、反対だ。教育界はそのために混乱している。こんなべらぼうな話はないと思うのですよ、野党のわれわれからすれば。なぜ一致するもののための努力を勧告までに——一致しないものは出さないとか……。あえて教育界をよくしようと思ったのに、そのために教育界が混乱しちゃっているんですよ、現実は。こういうものはどうなんですか。だからいまの法律の制度を前提としても、人事院はなすべきことがあったのじゃないか。そうでなかったら立法の趣旨は生きない。法律をつくったところの意味はない。教育を高めるために教育界が混乱しちゃっては困る。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/70
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071・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 いまお話しの趣旨、言われんとするお気持ちというものは、非常に現場のこともお詳しい先生でありますから、その気持ちは私もわかります。ただ、この人確法ができまして現実に義務教育教員というものの処遇が相当程度に改善されたという現実の姿、これは疑うべくもございません。いままでの、よく対比されます県庁職員との関係その他から見ましても、ここで具体的に一々例を申し上げることは差し控えますけれども、大変よくなったということは事実だろうと思うのであります。これはやはり人確法というものができた、またそれの裏づけとしての予算措置が講ぜられたというこの厳然とした事実というものを前提としていろいろの措置が行われたということでございまして、この点は私はやはり否定すべくもないことであろうというふうに考えております。
われわれといたしましては、一般の給与を担当いたしておりまする立場といたしまして、当然やはり各職員間の均衡というようなものを全然無視するというわけにはこれはまいりません。いままでも機会のあるごとにこれは申し上げておったところでございます。ただし、こういう特殊の法律ができたわけであります。その趣旨自体もわれわれとしては納得できます。したがって、その線に沿っての努力をしてまいり、措置もいたし、また政府、国会に対して勧告もいたしまして、そのための措置が法律上も講ぜられて今日まで来たという姿がございます。その間に、言いわけがましいことではございませんが、われわれといたしましてはやはり独善的になることは差し控えなければならぬという謙虚な気持ちはいままでも失ったつもりはございません。したがいまして、この人確法に基づく措置につきましても、当の御専門であります文部省その他各界、あるいは各労働団体その他の意見というものも十分聴取をいたしまして、その間でやはりいろいろ取捨選択をし、調整を講じた上で具体的な結論を出すということにいたして今日まで来たわけでございます。当然われわれの方で確信を持って出した勧告でございますけれども、いろいろ御意見なり御批判があるということは当然のことでありまして、それに対しては謙虚に耳を傾ける態度は堅持いたしておるつもりでございますし、将来にわたってもそういう点について配慮をしてまいることについてはむろんやぶさかではございません。しかし、いろいろ資料も集め、われわれなりにあらゆる検討をいたしました結果、これが現時点においては一番いいのだということの確信を持ちまして出した結論に基ついて、政府並びに国会に対して勧告を申し上げたということでございますので、事情はよく御承知であろうと思いますけれども、その点についてはよく御了解を賜りたいという気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/71
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072・木島喜兵衞
○木島委員 立法の趣旨は十分にわかるし、理解しておる、各界の意見を聞いた、そして結論を出した。立法の趣旨がわかっているなら、満場一致でもって通したところの議会が、賛成反対でもって一年もこんなにわあわあ言うことはないじゃないですか。だから、この結論を出すに至るまでに、いまの制度というものを、人事院のあり方というものを認めても、その間になすべきものはなかったのですか。批判のあるのは甘んじて傾聴する用意があるというなら、長官、このまま一たん撤回をして、もう一回各党が一致するところのものにこの法律をまとめて、出し直したらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/72
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073・西村尚治
○西村国務大臣 総理府といたしましては、人事院の勧告はあくまで尊重しまして、これを完全実施したいというたてまえを堅持しておるものですから、今回もこの線でひとつよろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/73
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074・木島喜兵衞
○木島委員 今回と言ったって、これでもって一次、二次もめなかったんだよ、三次の主任手当でもめたんだから。こんなもの、もう議会の軽視だよ、無視だよ。一たん引っ込めて、出し直しなさい。今回だけと言ったって、今回だけで、この次は問題は余りないのだよ。今度が問題なんだ。(西村国務大臣「よろしく御審議」と呼ぶ)よろしくじゃない。引っ込めなさい。私の納得する理論があればいいけれども、ちっとも理屈を言わぬで、よろしくと言ったって……(西村国務大臣「専門家がいらっしゃいますから」と呼ぶ)あなた、提出者なんだよ、責任者なんだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/74
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075・西村尚治
○西村国務大臣 繰り返すようでございますけれども、人事院勧告はあくまで尊重してまいりたい、これが総理府のたてまえでございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/75
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076・木島喜兵衞
○木島委員 この人事院が勧告したまでが問題なんだ。完全実施はいいですよ。しかし、それは一般勧告の高いとか安いとかということじゃないのですよ。人確法という特別な議員立法をやったその趣旨に相反しているから言っているのです。委員長、これはどう思いますか。撤回してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/76
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077・渡辺美智雄
○渡辺委員長 当局に聞いてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/77
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078・木島喜兵衞
○木島委員 いや、審議しているのは委員長ですよ。どうなんですか、あなたも議員でしょう。議員立法の趣旨に相反していることをやっているのでしょう。これは議会として通せますか。委員長、じゃ理事会で相談してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/78
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079・渡辺美智雄
○渡辺委員長 審議を進めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/79
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080・木島喜兵衞
○木島委員 私、質問を続けますから、理事会で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/80
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081・渡辺美智雄
○渡辺委員長 答弁させます。藤井人事院総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/81
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082・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 先刻も申し上げましたが、私たちといたしましては、今回の提案というものは、人確法の精神に反したものだとは絶対に考えておりません。(木島委員「なぜ、どうして」と呼ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/82
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083・渡辺美智雄
○渡辺委員長 木島君、発言を求めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/83
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084・木島喜兵衞
○木島委員 満場一致でもって、議員立法で、人材確保をしようといって、附帯決議もつけて、そして衆参通ったのですよ。その議員が割れるようなこと、趣旨に反するじゃありませんか。委員長、質問を続けますから、別の問題に移りますから、理事会に諮っていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/84
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085・渡辺美智雄
○渡辺委員長 質問を続けてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/85
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086・木島喜兵衞
○木島委員 じゃ、理事会ね。
もう一つ、これは教頭のとき言ったんだけれども、主任手当をつけるということは、教育界に人材を確保することとどのようにかかわり合ってくるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/86
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087・永井道雄
○永井国務大臣 これは先ほど木島議員も仰せになりましたように、ただお金だけで教育界に人材を集めるというのはよくない考えだと思います。まさに人材確保法の趣旨も、ただお金だけということではないということも御指摘のとおりだと思います。
そこで、やはり学校というものを調和ある運営のもとに魅力のある場にしていかなければいけないという考えから、主任についても性格を規定して、そして従来からありましたようないろいろな対立というものを解消しながら教育を強化していく、こういう角度から、まず主任制度を考え、さらにその手当を考えたわけでございまして、一番初めに御指摘になりましたただお金をふやせばいいという考え方でなく、学校を魅力ある場たらしめるという目的に発しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/87
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088・木島喜兵衞
○木島委員 これは主任というものの一まあいままでの御説明でいいですが、教育界に入った人間を指導するのですね。確保した人間を指導するのであって、確保するときじゃない。確保してしまった人間がより教育的効果をあらわすためにというのが、あなたの指導職の方ですね。だから、人材確保じゃなくて、これは確保した後におけるところの手当なんです。そういう意味で、主任手当というのは人材確保とどのように関係があるかと実は聞いておるのです。
これは、もう五分しかないですから、もうちょっとここで詰めようと思ったのですが、困りますが、私は教頭のときに言ったのですよ。教頭も、五段階賃金をとらないということを決めました後に法制化されたのです。法制化されたということを前提にして、私は百歩譲っても、そうならそれは一般勧告であって、人材確保の財源を使うべきものじゃないのです。主任、しかり。今回規則化、省令化したということは、それは教育界全体の制度上の問題であるから、一般勧告の中でやるならまだしも、人材確保というこの財源を使って、その中での主任手当というのは筋が違う。その人材確保に基づく勧告、予算、それが一緒になっているのですよ。誤りですよ。これは立法の趣旨と違うのです。むだな答弁はいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/88
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089・永井道雄
○永井国務大臣 ただいまの問題でございますが、実はそういう角度から見ますと、人材確保法それ自体にある種の矛盾があるということにも相なるわけではなかろうかと考えます。つまり、これから新任の先生方だけの給与を上げるというのではなくて、すべての先生方の給与を上げようということが人材確保法の趣旨でございますから、はるか前に就職された方でも、先生方は上げられるということでございます。そういう形で、新任の方だけではなくて、いまおられる先生方もやはり給与が改善されて、人材として一瞬御活動になるということは確保法の趣旨でございますので、私はまずその点を確認しておく必要があると思います。主任手当というのは、確かに新任の方が主任になるということはまずあり得ないわけでございますから、主任になられる方は何年か職場におられる方、そしてその方に手当が出るということでございます。しかし、その下敷きになっております確保法につきましては新任だけに適用されるものではないので、その関係は節道が十分についているものである、私はかように理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/89
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090・木島喜兵衞
○木島委員 時間がありませんから最後に一つ。
中間管理職にしないとか管理職にしないとか、さっきの大出さんの質問のときにあなたのおっしゃった気持ちもわかります。だが、教頭もそうであったように、将来にわたって中間管理職にならないという保証がない。あなたがいつまでも大臣であるわけはないでしょうしね。あなたが大臣をなさるのはせいぜい三十日でしょう。一体法的なり制度的に中間管理職にならないという保証はどこにあるのですか。教頭がそうでした。制度的にあるいは法的に中間管理職にならないという保証が何らない。そのことは教頭でもって歴史があるだけに、教育界は大臣が何と言おうとも不信を持っておる。その保証の道がなければやはり不信は解けません。現場の混乱は避けられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/90
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091・永井道雄
○永井国務大臣 私は、あらゆる制度というものはそれをつくったときのように永遠に維持されるかということになれば非常に問題であって、それはそうでないかもしれないということはあり得ると思います。しかし、中間管理職でないということを明確にいたしますために、ただ談話を発表するというようなことではなく、省令においてもこのことを明記したわけでございます。さらにまた、人事院におきましても、管理職手当という姿ではないということを明言しておられるわけであります。そこで私は、教育界においてもこのことが十分に認識されておりますならば、いまのつくり上げましたそうした手当の性格、また省令、こうしたものを覆さない限り中間管理職というものにはなり得ないわけである、さようなものとして私は管理職でないものを定着させるために努力してまいりましたので、ただいまの御疑問の点については、その努力を続けてまいりましたし、今後も続けたい、かように考えておる、そう申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/91
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092・木島喜兵衞
○木島委員 省令はちょいちょい変えられておりますし、省令の解釈等も、時間がありませんから具体的に言いませんが、文部省で一方的に変えられております。だから保証がない。そこに不信があるのです。間違いありませんから、さっきの理事会での撤回のことも含めて、またなお足らぬところは文教委員会でいたします。
以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/92
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093・渡辺美智雄
○渡辺委員長 中路雅弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/93
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094・中路雅弘
○中路委員 最初に少し問題を整理しながら御質問します。
〔委員長退席、木野委員長代理着席〕
いま提案されています一般職職員給与法の改正案は七十七国会からの継続でありますが、人材確保法に基づく第三次教員給与改善の一環として昨年新設された義務教育教員の特別手当一律引き上げと育児休業中の女子教務員に対する育児休業手当を新たに支給するという二つになっていると思うのでありますが、いずれも三月十一日の教員給与改善と育児休業給についての勧告に基づいて提案された。先ほどから論議になっています、いわゆる主任手当の問題は、この人事院勧告の際の人事院の説明文書で提起をされているわけですが、勧告本文、それから法制的な面で、勧告に基づき提案されている法案の中に、いわゆる主任手当新設の根拠となるようなものは本改正部分には直接は含まれていない。いま撤回とか撤回でないというお話もありましたけれども、いま論議されている問題は、法制的な面だけで言えば、この提案されている法案そのものとは一応別個の問題だ。これは当然だと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/94
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095・茨木廣
○茨木政府委員 現在提案されております法案の中には主任のことは一言も書いてないはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/95
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096・中路雅弘
○中路委員 そうしますと、しかし、この勧告と同時に出されました人事院の説明文書で、規則改正をして、この主任手当の問題を含めた四点にわたっての処置を述べられているわけですが、これは法制的には根拠はどこにあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/96
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097・茨木廣
○茨木政府委員 従来とも人事院の勧告の際には、法律改正を要します事項は勧告事項としてずばり出し、それから法律からすでに授権されておりますものの権限の範囲内で人事院が所掌いたしております範囲に入りますものは、説明のところで、こういうこととしておるということを明らかにすることを一貫してとっております。今回もそういう趣旨で人材確保上の予算の処理の一環として文部省の方からいろいろ御要望がございましたものを吟味いたしまして、法律事項となりますものについては勧告事項とし、その他の事項につきましては人事院の権限内で処理をすることとしておるという説明を加えておるわけでございます。全体といたしまして、予算に計上されましたものの人材確保上の趣旨のための配分であるという考え方をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/97
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098・中路雅弘
○中路委員 特殊勤務手当の条項に位置づけてやるということですから、条文で言えば一般職給与法十三条の特殊勤務手当の規定、この四つの中の二つ、主任手当の新設と部活動指導業務への手当支給はそれが根拠になっていると私は思うのです。
そうしますと、最初にこの主任の問題に入る前にお尋ねしておきますが、この主任手当の新設にかかわる規則改正という問題は、いまの御答弁でも当然のように、いわゆる法制的には提出されておる本法案とは全く別個の問題であるということですね。人事院が勧告に当たっての、先ほどお話しの説明文書の中の提起として出されているという問題ですね。法制的には一応別個の問題だということはそのとおりですね。間違いありませんね。それを前提にしてこれからいろいろお尋ねしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/98
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099・茨木廣
○茨木政府委員 法律的にはそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/99
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100・中路雅弘
○中路委員 説明文書の中に、いまの二つの、法案として提案されています勧告とあわせて「それに合わせて次のような措置」をとるということで四点提起されています、主任手当を中心にしまして。勧告と「それに合わせて」というものは、この提出されている法案との関連ですね。法制的には別個だということはわかりますけれども「それに合わせて」というのはどういう意味なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/100
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101・茨木廣
○茨木政府委員 人事院のとっておる態度をここに宣明しておるわけでございますが、二つございます。一つは、先ほど申し上げましたように、予算に計上されましたものの配分として、人材確保法の趣旨をどのようにやるかという観点から、文部省さんの方から要望がございました諸点を総合的に判断をいたしまして、勧告事項とそうでない事項とに分けてございますので、それら両方あわせて一本の、今回の第三次、前段の改正になるものであるという点を示すことが一点でございます。
それからもう一点は、法律の方に出ております義務教育等教員特別手当の額の最高限度を上げていただいて、現在決めております額の約五割増しの改善をいたしたいという考えの中には、各学校におきましていろいろな校務分担を諸先生がやっていらっしゃる。そして各クラブの顧問につきましたり、あるいは各主任という形で職務を分担をしたりしておる方々がたくさんいらっしゃいます。そういう方々のそういう業務の評価をさらに上げていく必要が全員についてあるという考え方をいたしまして、それはどうしても法律事項との関係がございますので、勧告事項にいたしたわけでございます。それとの関連で、この省令化主任の中でも困難度の強いものについては、今度は人事院の権限事項であります特殊勤務手当の形で若干の手当を出しましょうということで考え方をいたしております。そういう意味では、まず全員にそういう意味の改善を加えて、その上でなおかつ本俸で考えても足りない、全員に改善を考えても足りないであろうと思われる点について若干のプラスをする、そういう思想で、主任及び部活動について長時間やりました者について改善を加えていく、そういう一連の考え方の連関がございます。そういう意味で二点関連をいたしておりますと申し上げたのでございますが、そういう観点でここで説明の中で「合わせて」というふうなことを敷衍したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/101
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102・中路雅弘
○中路委員 そうしますと、この中で「合わせて」と言っておられるのは、先ほど言うように法制的には別個だけれども、しかし方針としては、あるいは政策的には連関をしているのだ、方針としてはあわせて一本なのだ、今度提起されたものは、いわゆる政策的には連動しているのだというお考えですね。
そうしますと、たとえばいま二つ提起されておる法案の成立あるいは成立しない、そういうものとの関連でいまの主任手当を含めた四点ですね、政策的には、方針としては一本だというお話だとすれば、この法案の成立、あるいはするかしないか、そういった問題等はどういうふうに考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/102
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103・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 政策的な問題でございますので私から御答弁を申し上げたいと思います。
給与局長からも御説明をいたしておったところでございますけれども、われわれ人事院の方で、たとえば給与に関していろいろ措置をしていただきたいということを国会ないし政府に対して申し上げるそのやり方といたしましてはやはりいろいろございます。法律で措置をいたしていただかなければならぬという場合は勧告ということになりますし、そうでなくて、別に法律事項でなくて、人事院独自で、人事院規則なりその他の措置でもってやれるというような場合もございます。しかし、それらはやはり総合的な観点で、一つの一体的なものとしてこういう措置を講じてもらいたい、またこういう措置をとるんだということを申し上げてきておるわけでございます。その点は今回の場合だけでございませんで、従来もそういうようなことでやっておりまして、やります場合は、それは総合的な一体性を持ったものとして現在までやってもらっておるわけでございます。またそれでもって初めて総合的連関性というものが保たれるというふうに考えておる次第でございます。今度の場合もその点については何ら変わりはございません。
そこで、いまお話のございました点でございますが、この間の教員の問題についての第三次勧告では、大きな柱として四つあったわけでございます。その中の一つが勧告事項にいまなっておるわけでございますが、これらはやはりいずれも総合性、一体性を持ったものとしてわれわれは考えております。したがいまして、これらにつきましては、現在の継続審議の法案が御審議をいただいて成立をいたしました段階において、それを総合的に一体性を持ったものとして措置をするというものが本来のたてまえであることは申すまでもございません。したがいまして、われわれとしては、現在の状況におきましては、これは一体性を持ったものとして御審議をいただいておりまする法案が通過をいたしました段階において、四つの柱を同時に発足させたいという気持ちはいまのところははっきり持っておるわけでございます。ただ今後どういう情勢になりますか、その点はやはり絶対的なものとして、私自身といたしましても、これはすべて永久に成立しなければ、一体性だからそれはやれないのだというふうにいまこの段階ではっきり申し上げることはいささか言い過ぎではないかと思いますので、正直なところそういう気持ちはありますけれども、しかしたてまえといたしましては、あくまでもこれは一体性を持ったものであるというふうに解しておりまして、そういう態度でもって措置をいたすという気持ちは変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/103
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104・中路雅弘
○中路委員 いまの問題もう一点お聞きしますが、いまのお話ですと、総合性、一体性を一応持っている、それで出しておるのだ、だからこの法案の成立と関連して人事院規則の改正はやるのだというお話ですね。いまもちょっとお話しになりましたけれども、もう少しあえてお聞きします。では法案が成立しない、廃案になったという場合に、この人事院規則の改正は——いま総合性、一体性というお話がありました。しかし法制的には別だというお話もされた。もしたとえばこの法案が成立しないという場合に、人事院規則の改正についてどのように扱われるか。繰り返しになりますが、この点も大事な問題でありますからひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/104
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105・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 いま申し上げたとおりでございまして、この法案が成立をいたしますと同時に、先般の勧告ないし報告事項というものは一体性を持ったものとして施行したいという考え方を持っております。したがいまして、一日も速やかにこの法案が成立いたしますことをお願い申し上げておる次第でございます。
これが廃案になった場合にどうするかということになりますと、気持ちといたしましては、やはり非常に一体性を持ったものですから、同時に施行したいという強い気持ちを持っておることには間違いございませんけれども、しかしその場合にどうなるかというようなことにつきましては、そのときの状況によって各方面の意向も参酌をいたしまして決断をするというようなことに相なろうかと思います。しかし、あくまでも私の気持ちといたしましては、一体性というものは強調し確保してまいりたいという気持ちが強いということをはっきり申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/105
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106・中路雅弘
○中路委員 そうしますと、気持ちとしては、方針としては一体として扱っていきたい、しかしもしこの法案が廃案になったら、人事院規則の改正の主任制手当は一切やらないということはここでは言えない、その状況を見て決断をする、簡単に言いますとそういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/106
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107・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 非常にざっくばらんな申し方をすればそういうことになると思いますけれども、しかし気持ちとしてはあくまで連動性、一体性を持ったものだから同時にやりたい。しかもこの法律自身が先ほど来いろいろ御議論がございますように人確法に基づいてやる措置でございますので、これはやはり国会においても必ずや御議決をいただけるものだというふうに期待もいたし、またそういうふうに確信をいたしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/107
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108・中路雅弘
○中路委員 いまのを前提にしてお尋ねしますが、この法案、出されている二つの問題、特に育児休業中の休業手当、こういったものは関係の女子職員の皆さんからも強く望まれている問題だと思うのです。人確法に基づいて第一次、第二次としてやってきて第三次と出されてきた、そういう面では不十分なものですけれども一定の待遇改善と言いますか、そういう法案であることには間違いないだろう。しかし、この法案と関連してまさに政治的には一体のものとして人事院規則を改正して事実上主任制度を給与の面で裏打ちをする、主任手当をつけるという問題を、いま総合的な一体的なものだ、セットだということでお話をされている。ここに私は大きな問題があると思うのです。人事院の役割りからいっても重要な問題がある。先ほどからも質疑がありますように、この主任手当の問題では関連の教職員やあるいは父母を初めいろいろ教育に関連する皆さんからも数々の意見、不安あるいは反対の声が強く出されていますね。後で論議をしますが、人事院がいわゆる代償機関としての公正中立な人事院の行政の中で、関係諸団体の納得や協議、そういうものをなしに反対の声が非常に強いのを押し切ろうという、それを人事院規則の改正でやる。その問題を、今度は人確法に基づいて出されている第三次のこの法の改正と事実上絡めて提起をされてきている。いまこの法案の扱いをめぐる論議が非常に大きな問題になってきているというところに中心の問題があると思うのです。その点で先ほどの質疑の中でこの人事院の提案を撤回しろというお話で理事会というお話がありましたけれども、正確に言えば、人事院が規則を改正してこの法案に絡めて一体のものとしてこれだけ反対の強い主任手当をやろうとしている、これについては十分検討する必要があるわけです。これだけ反対があるわけですからそれは中止をしなさい、法制的にも別個の問題ですし、あるいは内容から言えば片方はこれだけ反対の強い問題ですから、それを人事院があえて出されるところに問題があるわけです。どうですか、この人事院の説明文書の中で出されている規則改正の四点、あとの三点は関係者の皆さん問題はないだろうと思うのです。この主任手当の問題についてはここで一応撤回する、中止する。二つの勧告については、基づいた法案はここで出されているわけですから、私はそのことを含めて撤回しろと言っているわけではない。セットの問題としていまあくまでやるのだと言われているこの問題については関係者との協議も納得も必要なわけですからここで一応撤回する、中止する、これは当然ではないですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/108
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109・茨木廣
○茨木政府委員 これを出します過程の中ではそれぞれの職員団体とも何回となく相談がございまして、いろいろな方が参られました。そういう過程で、この法案の中に出ております特別手当の方の額の限度の上げ方も、当初四%程度のものを五%程度にということで一%程度上げるということの原案から折衝に入りまして、片や主任の手当についてはもっと高い要望がございました。しかしその辺のところを調整いたしまして、全員にさらに上げていくということで二%にならぬかという話があって大体二%程度に、それじゃそのようにいたしましょうというところまで上げてまいったわけであります。その過程で主任の方の手当は現在出ておりますようにして余りぎらつかない方がいいであろう、その間に文部省の方の態度の変更もございます、そういうようなこともいろいろ考え合わせましてセットでこう出ておるわけであります。でございますから、そういうふうにして落ちつきましたものの中のまたいいやつだけを取りまして、いやなやつは取り残しということでは私の方としては納得しかねるというのが従来からの折衝の経緯であります。その辺の経緯のこともひとつ御理解をいただきたいものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/109
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110・中路雅弘
○中路委員 私はこの問題で人事院のあり方そのものがやはり問われているのじゃないかと思うのです。たとえば、これは昨年の四月だったですか、ジュネーブで開かれたILOの公務専門委員会の総会に日本の政府代表でたしか片山事務局次長が出席をされて発言されていますが、これを見ましても、政府から独立した中立的性格を有する行政機関である人事院、これが日本では一九七〇年以来いろいろな勧告の実施状況等も触れながら、十分な代償措置として形式上も実質上も整備をされているという趣旨の発言を繰り返しやられているわけですけれども、皆さんは人事院は代償機関として、いわゆる労働基本権を剥奪したその代償機関としての役割りを公正に果たしていると言っておられます。しかし直接の関係諸団体の反対がこれだけ強い、それでまだ十分その納得も得られていないという問題を時の政府や文部行政、自民党・与党の皆さんの主張に事実上あれして人事院がそういう手当を強行するということになれば、人事院の持っている代償機関としての性格そのものをみずから放棄するに等しいのではないか。そういう点からも、これだけ強い反対があるわけですからその問題は中止して、さらに関係機関と十分協議をするというのが人事院のあり方からいって当然のことじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/110
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111・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 人事院の職務の問題でございまして、その一つの重要な柱といたしまして労働基本権がない、そのかわりの代償機能を果たすということがあることは申すまでもございません、大変重要な役割りであろうと思っております。またその観点に立って従来からも努力してまいっておるつもりでございます。ただ人事院といたしましては、そういう代償機能という重要な機能のほかに、公務の公正な執行あるいは能率の維持というような機能があることもこれは御承知のとおりでございます。その場合に、現在の問題になっております主任制のことで申し上げますと、やはり学校の実態といたしまして、そういうものがある。また、機能をしておることも事実である。さらに、専門の文部行政、教育行政の主管省である文部省において、どうしてもこれは必要であろうということで、主任制度というものを省令化されるということに相なったわけでございます。いろいろこれをめぐって論議もあり、またいざこざもあるということはよく承知をいたしておりますけれども、しかし、漸次このことが制度といたしまして定着をしつつある。また実施についても、どんどん進んでおるというような現実の姿があることは、これは事実でございます。そういうことに相なりました場合に、文部省といたしまして、これはやはり制度化して何らかの措置をしてもらいたいという主張がございますれば、それをむげに退けていくということは、これはいかがなものであろうかという気持ちはございます。われわれといたしましても、実態というものもわれわれ独自の方法で調査もいたし、現況も把握をしたつもりでございますけれども、その上に立って、文部省の省令化というものは、それなりの実態に即応した措置であるということに判断をいたしまして、こういう措置を講じる方が適切であろうという結論に達した次第でございますので、このこと自体が代償機能を全く逸脱したことであろうというふうには、われわれといたしましては考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/111
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112・中路雅弘
○中路委員 公務の公正な執行とおっしゃったわけですが、これはどの行政機関でも当然なことなんですね、公正な執行というのは。その中で人事院というものの持っている役割りの一番の特質は何か。これは、第三者の機関として公務員労働者の労働基本権の代償機関としてつくられた。ここに人事院の最も重要な役割りがあるわけですし、その人事院が役割りを果たしていく上で、執行は公正でなければならない。当然、仕事の上で公正でなければならないということが言えるわけですね。いま文部省から要望があって、また省令化されて、それで手当をつけたんだというお話なんですが、この経過を見ますと、一番最初は文部大臣のこれは諮問機関ですか、教員等待遇改善研究調査会、これが五十年の三月六日に文部大臣あてに報告書を出されている。この中で「主任等に関する規定の整備と相まって給与上必要な措置を講ずること」という報告書が出ている。それに基づいて三月七日付で文部大臣から藤井人事院総裁あてに同趣旨の要望書が出されているわけですね。その中には、教務主任とか児童生徒主任、学年主任ですね、こういうところの職務を担当するところにつけるということでの要望が出されているわけですね。こういう経過がずっとあるわけですが、じゃ、この諮問機関である教員等待遇改善研究調査会、このメンバーを見ますと、このメンバーの名簿の中に、これは五十一年の三月一日現在ですが、人事院の給与局長の茨木さん自身もメンバーに加わっているじゃないですか。文部省がそういう要望をして、省令化も進んできた、だから、人事院は給与で裏打ちするんだ、だから、公正なんだ。そうじゃなくて、最初から関係団体で、いま大きい問題になっているこの問題について、その諮問に人事院の給与局長自身もメンバーに入っているんじゃないですか。これは全く初めから協力、加担していることになりはしないですか。これはいまもメンバーなんでしょう、茨木さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/112
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113・茨木廣
○茨木政府委員 その問題は、私の前任者の時代にも議論されたことがございまして、私の入っている立場はオブザーバーの資格でございます。給与行政の一番主管のところのいろいろ意見をここで述べたりあるいは向こうから聞かれるというような形でもって運営されるという意図のもとに私どもが参加することになったんだと思います。全く私どもの関係なくひとり歩きするということになります場合については、また何かしかるべき給与関係の経験者を入れていかないと、とんでもない方向に走ってしまうということになりますと、出されましたものの処理に、今度またお互いに非常に離れたところでやっておったのでは困るという問題もあろうかと思います。そういう立場で答申の決定の投票権というものは私どもは持たない形でここに顔を連ねておるという立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/113
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114・中路雅弘
○中路委員 いまオブザーバーとおっしゃったのだけれども、いただいた教員等待遇改善研究調査会名簿、オブザーバーも何も書いてないです。名簿は全部出ていて、それで茨木さん、人事院給与局長というので名前が出ているのです。オブザーバーというのはどこでオブザーバーなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/114
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115・諸沢正道
○諸沢政府委員 ただいま給与局長からお話がありましたとおりでございまして、この調査会をつくるに当たって外部の教育関係者にお願いしたわけでございますが、教員の給与という専門的事項に関する調査でございますので、やはり審議の過程でいろいろ御意見を伺ったり、教えていただかなければならないことがあるだろう、こういうことで、なるほど御指摘のように形の上では同じような委員になっておられますけれども、初めから給与局長はこういう立場でお入りになりますということを調査会の席でお話をいたしまして、そうして運営をしてきたわけでございますから、全くその経緯は局長が申されたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/115
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116・中路雅弘
○中路委員 しかし、この点は総裁どうなんですかね。代償機関である人事院の給与局長が、オブザーバー扱いにするとかしないとか内部のことは知りませんが、委員であることは間違いない。この諮問機関に入って、それが文部大臣に報告書を出して、それに基づいて文部大臣から人事院総裁にこういう手当をつけてほしいという要望書を出す。関係諸団体、たとえば教職員の団体の人たちはもちろんこの諮問機関に入っていませんね。それでこの関係の皆さんがえらく反対していることを人事院が決める。こういう点では公正な代償機関としての役割りからしても私は問題だと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/116
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117・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 先刻来うちの給与局長あるいは文部省の局長さんからも御説明がございましたとおりでございまして、各省庁においては、御承知のようにある事項を検討いたしまする場合にその省だけのことでなくて、やはりもっと広範にいろいろ意見を聞きたいというような場合におきましては、各省あるいはその他の学識経験者というものを委嘱をいたしまして、委員になっていただいて運営をしていくという例は大変たくさんございます。その点は人事院、私の立場といたしましても先刻給与局長が申し上げましたように、各省も良識がございますから、そんなにひどいことになるということは万々ございませんけれども、しかし何か発言の途中、討議の途中におきまして専門的な立場からその点はこうであるというような意見を求められれば意見を述べるというような機会があった方が万事スムーズにまいるというようなこともございます。そういうような点から、私自身といたしましては各省から御依頼がございますれば、立場立場でいろいろ問題はあるにいたしましても御協力を申し上げるという意味で参加を申し上げるということは、私はむしろ結構なことであろうというふうに思っております。そういう意味でいままで運営をしてきておりまして、給与局長さん自身にいたしましても、いまの御指摘の文部省の関係のみならず、ほかに外務省の関係でありますとかその他につきましてもやはり参画をいたしております場があるわけでございます。しかし、そこで討議されたことが決定をせられますのは、これはそれぞれの省の委員会の運営のやり方の問題でございますし、また、それを取り上げて正式の態度決定をされますのは各省の長の御責任でございます。また、それを受けましてわれわれの方でどういうふうな措置をするかということの場合には、おのずからやはり、給与局長が入っておったから必ずそのままになるようなものではこれはあろうはずもなし、あり得べきことでもないということで、最後的にはわれわれの方といたしましては人事院会議というものがあって、そこで審議をし、決定をするということでございますので、そういう点について行政が公正を欠いておるというような運営には絶対なっていないというふうに私は確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/117
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118・中路雅弘
○中路委員 一例で挙げたのですが、他の行政機関と違って人事院の独自の役割りといいますか、そういう設置の根拠、それからいっても、人事院が関係の諸団体の十分な協議や納得を得ない、反対意見も十分聞いてその納得を得ないでこういうふうに、しかも一セットで問題を提起するというところに今日のいろいろ大きな問題になっている点があるわけですね。私は、その点ではやはりこの問題については、規則改正、しかもそれも非常に法を拡大解釈した無理なやり方だと思うのですが、中止をすべきだ、撤回をすべきだということをもう一度強く要求しておきたいと思いますし、先ほどの質問者の皆さんから撤回の話が出ましたけれども、私はその点では、この法案そのものを撤回せよと言っているわけではない、やはりこれを区別して、問題になっています主任手当の規則の改正、これは撤回すべきだということを私は強く主張しておきたいと思うのです。
もう一つ関連してお聞きしたいのですが、先ほど、この法案が成立すれば、一体のものですから規則改正をしてやりたいということを述べておられますから、もうすでに構想はあるんだと思うのですが、支給の範囲ですね、事務総長の通達でやられるというわけですが、どの主任に手当をつけるのか、支給の範囲について、たとえば先ほど言いました文部大臣から総裁あての要望の中では三つほど挙がっていますね。「教務主任、児童生徒指導主任、学年主任等の職務を担当する」と出ていますけれども、人事院の方でこの支給の範囲についてどのようなお考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/118
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119・茨木廣
○茨木政府委員 なお最終的な詰めの決定は行われておりませんが、一応省令化されました際に、連絡調整、指導、助言という権限を明らかにされました主任が幾つかございます。そういうものが中心になって、種類といたしましてはそういうものをやはり全部網羅して出すことがいいのではないかという考え方をいたしております。ですから、小学校でいきますと教務と学年が入ってまいりましょうか。それから中学は、それに生徒指導を加えたもの。進学がございますけれども、これは今回は、ということで、文部省の間とも当初から中学の進学については考えておらぬことになっております。高等学校になりますと、それに進路指導と申しますか、これはついて、さらにそのほかに農場長それから寮務関係というようなもの、それから学科主任というようなものが挙げられておるわけでございます。そういうようなものを種類としては出していくことが妥当ではないかと思います。ただしそれは、そういうものの名前がついて置かれましたものを全部置くべきかどうかというものについては、なおやはり職員全体の中に占めます割合というようなものもそれぞれの職場ごとにあるのではないかという感じがいたしておりまして、そういうようなところについてなおいろいろ文部省と御相談をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/119
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120・中路雅弘
○中路委員 この点でも、私は東京都の教育委員会に小学校を聞きましたら、百以上そういうようなのがあるというのですね。そういう中から特定の主任を選んで、いまお話だと相当特定して幾つかに限定して考えられたようですが、こういうこと自身がやはり不当な差別的な行政の介入になると思いますし、大変この問題も大きな問題になると思うのです。時間が限られていますし、こういった問題に関連しては同僚の山原議員が後で御質問すると思うのですが、特にいま提起されていますこの問題は、いわゆる人確法成立の際に確認をした附帯決議「この法律における教育職員の給与改善は、現行給与体系に基づいて行なうこととし、いわゆる五段階給与制度はとらないこととすること。」こういう附帯決議を事実上踏みにじる行為になるというふうに私は思うわけです。いろいろこれは国会の審議を経ない、法律事項でない規則改正ということでやろうとしているわけですけれども、実際はこれは一層そういう中に差別を持ち込み、教育現場に行政のそういう管理の体制を一いままでの教頭の経過を見てもこれは明白じゃないかということで、先ほどこのことについても言いましたように関係者と十分協議をして慎重にやる必要があるという問題で、この人事院の規則改正については強く中止を要求しておきたいと思うのです。なお、こういう問題につきましては後で同僚の議員から質問もありますし、時間も来ていますので、一、二点関連した問題で一点ずつ聞いていきたいと思うのです。
第二次改善で幼稚園教員に教員の特別手当を支給する問題をしなかったということですね。その後衆議院のこの委員会でも、たしか五十年の十二月ですか、七十六国会に、その支給を求める請願が出されました。これは委員会で採択をしているわけです。従来からも内閣委員会は請願の取り扱いについていろいろ協議をしてきまして、請願については、ただ通しておくというのではなくて、やはりその後の行政あるいは法改正に反映さしていくということを、十分展望についても論議をしながら請願の採択に当たってきたわけですが、これが、請願を採択をされながら、今度の場合もまだ支給措置をとろうとされていない。提起をされていないわけですが、この問題はどのように扱おうとされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/120
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121・茨木廣
○茨木政府委員 後の問題にお答えする前に、ちょっと先の問題の補足をさせていただきますが、三次の後半がもう一回あるわけでございますので、主任の範囲を決めていきます場合にはやはり慎重に踏み出していった方がやはりいいのではないか、ばあっと広げてしまいまして後から縮小するというわけにはまいらない話でありまして、そういうこともあわせて人事院としては考えておるつもりでございます。
それから、幼稚園の問題につきましては、人材確保法の本体からこれは外れておるわけでございます。もちろん高等学校も外れております。が、高等学校の方につきましては、もともと小中の先生と高等学校の先生が六・三・三制の場合にもとの中学校の先生がそれぞれ分かれたというような経緯があって、相互の交流が相当あるという密接な関係がございます関係上、やはり逆転をしないように持っていかなければいかぬというようなことがございまして、ある程度はだんだん寄せていって、重なることはやむを得ないというような範囲内で、附帯決議のこともございまして、一緒に取り扱った勧告を申し上げておるわけでございます。
幼稚園の方につきましては、そういう関係が一応人材確保の中で切り離されておりますことがございますので、一次の改善の際と本法のところでやりましたものは大体適用になっておると思いますが、二次のところで問題点を指摘いたしまして、その間おくれておりました教職調整額四%の適用というようなことをその中に入れてまいるというような配慮をいたしながら持ってまいっておるわけでございます。その後、幼稚園の問題、これと、要するに文部省の局長と厚生省の局長、両局長との共同通達で幼稚園と保育所の関係の内容について御指導が行われております。そういう密接な関係もございますので、それらとの関係もどうするかというようなことで文部省、厚生省さんあるいは自治省、それから現場の方を見させていただいたりしながら、検討をせっかくいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/121
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122・中路雅弘
○中路委員 もう一点お聞きしますが、学校の事務職員の給与改善についての問題ですが、格づけの基準の問題ですね。上位への格づけの問題あるいは時間外手当の処置の問題、こういった点でいろいろいままで約束もされているわけですが、具体的に実効が十分伴っていないという実態があります。こういう問題について今後やはり実効を伴ような具体的な処置が必要だと思うのですが、これについてどのように改善されようとしておるのか、お考えを、これは文部省、人事院とも一言ずつお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/122
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123・茨木廣
○茨木政府委員 私どもの関係の問題についてお答え申し上げます。
国立の方の関係は、御案内のように大学の付属でございますので、その事務局機構ということで一連の人事が行われております。今回も、事務につきましても事務主任というようなもの、あるいは事務長というようなものが高等学校については制度化をされたわけでございます。そういうようなものが一つの足場になりまして、行政職俸給表の適用の際の等級評価の足場になっていくというように考えております。大体国立の関係では、そういうものをいろいろ勘案しながら、それぞれの大学と文部当局とで御相談されて人事が行われておるわけでございます。それで全く問題がないとは申し上げませんけれども、それぞれの際に大体問題は解決しておるつもりでございます。
それから、あと公立の方の問題につきましては、先般の際に私の方に対してもいろいろ組合その他からも御要望がございました。しかし、第一義的には文部省と自治省と地方との相関関係の問題でございますので、その辺の問題については、二次のときでございましたか、附帯決議がつけられました直後の勧告の実施の通達の中に、文部省の方からそれについての御指導がなされておるわけでございますし、先般の、先ほど触れましたような省令下でも足場が明確になったわけでございますから、それなりの進捗を図っていらっしゃるものであるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/123
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124・諸沢正道
○諸沢政府委員 公立学校の事務職員の処遇につきましては、ただいま御指摘がありましたように、従来とも任用、配置の適正あるいは超勤の実績相当の支払いというようなことと並んで等級格づけの問題があるわけでございます。そして、この点につきましては三十二年に出しました初中局長通達をもって、個々の事務職員についてその経歴等を見て、国の俸給表で言えば四等級まで格づけし得るものはすることができるんだ、こういう通達を出しましてそのような指導をしてまいったわけでありますが、現段階におきましては、四等級に格づけをしておる県は十九県程度でございます。
そこで、公立学校の事務職員につきましては、国立学校の大学付属というようなことと違いまして、それぞれ一つの学校に一人程度の事務職員しかいないということで、一般の事務職員が上位の等級へいわゆる渡りという措置がとりやすいのに対して、公立学校の場合はそれができにくい。そこで、いまの等級格づけの問題があるわけでございますから、この点についてさらに県の教育委員会を指導していくためには、その実態を詳細に調査をしまして、これだけ学校の事務職員と一般の事務職員では等級格づけの上に差があるんだという実績を詳細に見たい、こういうことで、実は今月の半ばに全国の公立学校の事務職員についてその等級格づけの実態というものを学歴、経験年数と対応して調べることとして、それをお願いしておるわけでございます。その調査の結果が来年の三月ごろまでにはわかる予定にいたしておりますので、その結果をもとにして、言われるような一般職員との間の不均衡の事実があれば、さらに自治省とも御相談しながら各教育委員会を指導してその処遇の改善を図っていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/124
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125・中路雅弘
○中路委員 これで終わりますが、一番最初お話ししましたように、この法案そのものは、出されている教員の特別手当の引き上げと育児休業給の支給を新たに設けるということですから、待遇改善を内容とした法案でありますけれども、先ほどからの答弁にもありますように、これにセットをして、規則を改正して主任手当を入れるんだというお話ですね。私は、そういう点では法制的には別個の問題ですけれども、政策的に方針の上であくまで連動さしてやられるということになれば、この法案そのものの扱いあるいは態度についても考えざるを得ない。単純に改良の法案だから賛成しますよというわけにいかない問題だと思うのです。その点でも、やはり規則の改正は、これだけ反対があるわけですから、中止をして、関係の諸団体の皆さんの納得のいくように十分協議されるということ、それから、文部省がそのもとになっています主任制度化の省令の撤回と、この手当の人事院の新設の規則改正の中止を強く要求して、発言を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/125
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126・木野晴夫
○木野委員長代理 午後二時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後一時三十八分休憩
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午後二時三十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/126
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127・渡辺美智雄
○渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出、第七十七回国会閣法第四八号、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/127
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128・鬼木勝利
○鬼木委員 なかなか応援が多くて、まことにありがたいきわみでございます。
〔委員長退席、木野委員長代理着席〕
永井文部大臣がせっかくお見えになっておるから、しばらくおつき合いを願います。
まず、きょうの論議の主題になっておりますところの教員給与の改善についてちょっとお尋ねしたいのですが、義務教育等教員特別手当、この「等」というのはどういう意味ですか。それをひとつ的確に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/128
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129・諸沢正道
○諸沢政府委員 ただいまは義務教育等教員特別手当の御質問だと思いますけれども、義務教育等教員特別手当というものは、現在義務教育学校の先生、つまり小中学校、盲学校、聾学校の小学部、中学部の先生のみならず、養護学校、高等学校の先生についても支給されることとなっておりますので、それらを含める意味で義務教育等教員特別手当という名称をつけられたものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/129
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130・鬼木勝利
○鬼木委員 義務教育ばかりでなくして高等学校も含んでおる、あるいは養護学校とか盲聾学校とか義務教育でないのも「等」ということで入れているのだ——これは非常に関連性がおかしいね。「等」というのはどういう意味か。私は「等」ということの的確な意味を聞いているのだ。私は文科出身で国漢専門だから、私が納得するような説明をしてもらいたいのだ。いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/130
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131・諸沢正道
○諸沢政府委員 いま申したようなことでございますから、正確に言えば、義務教育及び養護学校、高等学校教員の特別手当というふうに言えばよろしいわけでありましょうけれども、文部省関係の法令等でも義務教育及びその周辺の学校を呼称する場合に便宜「等」という言葉で、義務教育等というふうに表現することが間々あるわけでございまして、法令等においては、正確なことももちろん必要でありますけれども、余り長々しいのもどうかということで通常そういう扱いをしておるわけでございますので、恐らくそういう趣旨に沿って名称をつけられたものと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/131
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132・鬼木勝利
○鬼木委員 非常に苦しい答弁で、的確な答弁にならないね。「等」なんというのは、あなた方、通常だなんて言っているけれども、永井文部大臣は非常に博学なお方だと、かねがねあなたのおうわさは承っておるし、私もさようにあなたを御尊敬申し上げておるが、何が「等」ですか。どういうことで「等」というのをつけるのですか。紛らわしいじゃないですか。その紛らわしいということに対して、私は後で申し上げますが、そんないいかげんな答弁で——あなたはさっき、義務教育及び養護学校、何々学校とすればおよろしゅうございましたけれどもと言ったが、なぜよろしいようにしなかったのか。あなたはいま、問うに落ちず語るに落ちたじゃないか。このようにやればよかったと言っているじゃないか。なぜよいようにやらなかったのか、その理由を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/132
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133・永井道雄
○永井国務大臣 ただいま初中局長から申し上げましたように「等」というのは高等学校あるいは養護学校を含むわけでございます。それをなぜそうしなかったかということは、経過的に申しますと、実は義務教育等という言葉は人事院が使われたわけでございます。人事院が使われましてそういう表現をされましたので、私どもはいまのように解釈して妥当と考えたわけでございます。経過的にはそのようなことでございますので、そもそもなぜ「等」を使ったかということについては、人事院の方から御説明がございますればわかりやすいことと思いますが、私どもはそのように解釈して、なるほどということで「等」を承ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/133
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134・鬼木勝利
○鬼木委員 これは文部省のお考えとしては少しまずいと私は思う。学問の殿堂である教学の最高の文部省が、人事院がこうつけたからこうやるのだなんということでは、文部大臣としては、私は御答弁は当を得ていないと思う。仮に人事院がつけても、これは言葉の使い方としては間違いです、もっと適当な言葉をつけよと言うのが本当じゃないですか。私はそう考えますがね。それは人事院も学者ぞろいだろう。人事院総裁なんか特に博学な方で、卓越したお考えをお持ちかもしれぬけれども、そういう国語の使い方を人事院は専門であるはずはない、計算はうまいかもしれぬけれども。それは文部大臣のお言葉としては私は受け取りがたい。これは私因縁を吹っかけたり、あなたに文句を言っているのじゃないけれども、そういうところは人事院の言いなりに、ああそうか、ああそうかと——人事院が説明したくて一生懸命あそこでむずむずしているけれども、そういう説明ならぼくは聞かぬよ。これはまずいですね。だから紛らわしいことが現地に起こっておるのですよ。
ようございますか大臣。その証左として、これはもともと人材確保ということでおやりになったのだと思うのです。そうすると、同じ資格で——四カ年の国立の幼稚園の教職員の学校があるわけでしょう。そして幼稚園の先生をしておって入ってない、特別手当は何も出ていない。同じ資格を持ちながら、同じ大学を出ながら、片方は小学校に行くし、中学校に行ったら特別手当がついた。幼稚園、しかも国立の幼稚園、公立の幼稚園に行ったところが手当はつかない。じゃ、義務教育等というのは一体どういうわけでありますか。この「等」というのは何だ、こういう声がほうはいとして起こっておる。そういう紛らわしいことをあなた方がおやりになるがゆえに私はお尋ねをしておるのです。何も文句を言ったり、あなた方を突き上げたりしよう、そんな意味じゃないのですよ。現地の皆さんがおっしゃることは無理はないのですよ、私が考えれば。ですから、従来は人事交流が非常にスムーズにいっておった、ところが今度特別手当がついたために幼稚園の方には行かない、小学校や中学校へ行ってしまう。幼稚園の方に行ったって、同じ資格で、同じ学校出ておっても、幼稚園に行けば特別手当はつかない。そういう片手落ちみたようなことを、温情のある、しかも御理解の深い、三木総理から特別懇望されて文部大臣におなりになった永井文部大臣のお考えとしては、これはどうしても受け取れぬ。何かそこにはっきりした根拠があり、皆が納得するようなものがあればともかくとして。永井文部大臣は常に現場の先生方の声を聞いて私はやりますとおっしゃるけれども、現場の先生方の声はお聞きになっていないじゃないですか。永井文部大臣はいつもおっしゃっているんだ。何かけさほどもちらっと私は聞いたんだが、一切現地の声を聞きます、現地の先生方の声を私はいつも聞いてやる——非常にありがたいお言葉と思いますけれども、実態はこういうことになっている。よく御相談の上御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/134
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135・永井道雄
○永井国務大臣 幼稚園につきましてはただいま御指摘のような問題がございますので、私どももこの幼稚園の先生方の待遇がよくなりますようにいろいろと要望もいたしているわけでございますが、ただ、今日提起されました義務教育等特別手当につきましては、これはやはり文部省は文部省として、それこそ現場の声を聞きましてそして待遇を考えますが、また人事院は全体の情勢というものも見て、文部省の見解を聞くと同時に職員団体等の意見も聞かれた上で義務教育等特別手当というものに結論を出されたというふうに理解しているわけでございます。したがいまして、この「等」の中に幼稚園が含まれていないからといって永久に幼稚園の問題が等閑視されるというわけではなくて、やはり幼稚園の問題というのは今後も引き続き待遇改善の重要な対象として考えなければいけないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/135
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136・鬼木勝利
○鬼木委員 現地の声は十分聞いている、現地の声を聞いて人事院もわれわれもそうしたんだ、かようにおっしゃっていますけれども、現地の声は、実態がそうじゃないでしょう。全国の官公立の幼稚園の先生方は、これはどういうわけだ、同じ資格で同じ身分の方が、幼稚園に行ったために特別手当はつかない、小学校へ行けば特別手当がつく、義務教育でない高等学校にまでつけているじゃないか、じゃ幼児教育と青年の教育とは違うのか。私は教育というものは、これはもう幼児教育から一貫した教育でなければだめだと思う。これは大家である永井文部大臣も同感だと私は思いますがね。むしろ幼児教育こそ大事なんです。ですから、将来は幼稚園も考えるとおっしゃっていますけれども、将来は考えるとおっしゃっても、私は遅きに失すると思う。まず一番にやらなければならぬですよ。
それで、人事院はどういう考えでこういうことをやったのか。あなた方だってオギャーと生まれて人事院総裁になったのじゃないでしょう。小さいときから幼児教育を受けて、そして今日があるんでしょう。あなた方だってお子様やお孫さんがいらっしゃるでしょう。そしてしかも義務教育等という。そこで「等」というのには私は疑問を持つ。意味が何のことかわからぬ。それを、じゃ人事院の方から的確に一いいかげんな説明じゃ承知しませんよ。これは全国もう大問題になっているんですよ。ひとつそこのところを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/136
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137・茨木廣
○茨木政府委員 義務教育等教員特別手当の名称につきましては、第二次の勧告の際にそういう名称を入れました関係上、恐らく内閣法制局でも法律上の用語としてもそれをお使いになったものというように思います。
それで、幼稚園との関係の問題でございますが、一応とりあえず高等学校について出しております姿につきましては、人材確保法との関係でこれは出てまいった手当でございます。ここで人材確保法は義務教育だけを中心に書いてございます。したがって、高等学校も書いてございませんし、幼稚園も書いてございません。附帯決議で、それらについての均衡をとるようにという附帯決議がございましたので、そこで高等学校については一次のときから一これはまあもとの旧制中学校が解体されまして新制の中学校と高等学校とに分かれていったという経緯がございます関係上、大変密接な関係がそこの教員間にあるわけでございます。そういう関係から、少なくとも高等学校が今度の人材確保法による義務教育の改善よりも下回るということはないようにということで、改善を同時に手をつけるということでやってまいったわけでございます。そういう関係から、この特別手当につきましても、高等学校の方にはそのまま適用していかなければいかぬということで、義務教育について定めました金額をそのまま高等学校の方に持っていくというようなやり方で考えておるわけでございます。
そこで幼稚園の問題でございますが、これについても二次勧告の際に、今後幼稚園問題というのは検討しなければならぬということを説明のところで敷衍をいたしておる部分がございます。と申しますのは、文部省所管のところから見ますれば、先生がおっしゃられますような幼児教育からの一貫教育という問題も大変重要なことでございます。同時に、文部省の局長と厚生省の局長と両局長の共同通達という形で、幼稚園と保育所の教育及び保育内容と申しますか、そういうものについての指導通達がございます。そういうことで、いま両者が大変類似のことをおやりになっておるという関係がございます。全国、先生の数にいたしますれば、幼稚園系統が公私立合わせまして九万人、保育所の系統が十万人というものが相拮抗しておるというのは、先生御案内のとおりでございます。そういうものがございました関係上、人材確保法が始まりましてから、一次はずばりと適用し、それから、おくれておりました教職調整額の幼稚園適用をその間に実施をするということを幼稚園についてやりまして、そして二次の段階のところで、その段階まで行きますと、幼稚園につきましても、人事院の一般職の中級試験合格者よりも二号俸くらい高いところにもうすでに待遇が行っているという状況もございましたし、先ほど申し上げました保育所等との関係もございます。それから、義務教育と違いまして、これは全額いわゆる公費で賄われておるということではございません。相当な部分が父兄負担になっておるということもございます。それらをいろいろ考え合わせまして、全体の立場で検討を要するということでそこに敷衍したわけでございます。そんな関係で、このとき特別手当の問題を幼稚園に適用するということは行わなかったのでございます。
その後、文部省、厚生省、あるいは自治省等のそれぞれの関係の向きの意見も随時聴取をいたしておりますし、それから、幼稚園及び厚生省系統の保育所につきましても現場を見させていただきまして、検討を続けておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/137
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138・鬼木勝利
○鬼木委員 あなたの御説明は、結局いままでの経過をおっしゃったように私は思うが、その出発点そのものに私は異論がある。旧制の中等学校が学制改革によって中学校と高等学校に分かれた。だから、旧制中等学校は中学校——義務教育と非常に関連が深い、こういうことを一つの理由に挙げられた。私も旧制中等学校には二十年ばかり教職におりました。その後十年ばかり校長もしました。だけれども、新制中学と高等学校に分かれたから関連が深い、そういうことをおっしゃるのは、御冗談じゃないですか。幼児教育から小学校へ入る、これが一番関係が深いじゃないですか。どうですか、永井文部大臣。一番関係が深いのは幼児教育。それから今度は小学校の義務教育、これが一番関係が深い。これから教育というものは始まる。国家興隆の基は教育にある。ここから始まるのですよ。関係が深いのは、これが一番関係が深い。ようございますか。いま世論としまして、これは永井文部大臣もお考えいただいておりますが、幼稚園を義務教育にしろ、つまり、義務教育を延長して、幼稚園を一年ないし二年は義務教育にしろという声さえ全国ほうはいとして起こっておる。一番大事なのは幼児教育。それが新制中学と高等学校が関係が深いからなんという、そんなことはどこかよそで、ほかのところで言ってください。私の前じゃ通用しませんよ。あなた方は教育が何物であるかという、教育の本質を御存じないから、そんなことをおっしゃる。これは私は声が高くて、はなはだ済まぬけれども、しかっているのじゃないから。あなた方のような偉い人をしかる私は身分じゃないから決してしかりませんけれども、教育というものはそういうものじゃないのですよ。教育の出発、根本というものは幼児教育から始まるのですよ。これが一番大事なんですよ。それを関係はないんだ、新制中学と高等学校は関係があるんだ、そんな議論が一体どこから出てくるかと言うのですよ。私に言わせれば、教育を御存じない。
それから、内閣法制局がどうだ。今度はそちらに責任を転嫁する。いま厚生省とどこそこと相談しております——一番最初に相談すべきは文部省ですよ。事教育に関しては文部省。そういうことは的外れです。
はなはだ御無礼千万、失礼千万なことを申し上げて恐縮ですけれども、あなたの教育論に対しては、われわれはもう全面的に反対だ。だから、速やかに幼稚園にも特別手当をつけていただきたい。官公立の大学を出た、幼稚園教育の養成所を出られた方々です。何をそこに差別するあれがありますか。いささかも差別するところはないわけです。これはもう皆さんが文句言われるのが当然過ぎるほど当然なんです。それで人材確保のためだ、じゃ、幼稚園におけるところの教職員は、人材でなくていいというわけですか。とんでもない。そういうことは暴論ですよ。義務教育でもない高等学校にはつけろ、中学校にはつけろ、小学校にはつけろ、幼稚園の先生はどうでもいいからつけぬでもいい、人材確保は必要ない。だったら、国立でなぜそんな教員を養成するのですか。矛盾もはなはだしい。これは文部大臣にお尋ねする。それじゃ、なぜそういう学校で養成するのですか。なぜそんな学校を建てるのですか。つくるのですか。今度は文部大臣、ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/138
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139・永井道雄
○永井国務大臣 幼稚園と小学校の関連が大変重要であるという御指摘は、まことにそのとおりであると思います。
そこで、幼稚園あるいはそれ以前からの、三つ子の魂百までというような考え方、これは古くからあるわけでございますから、そうした教育は重視いたさなければなりません。そこで、文部省といたしましても、本年度は二十校、来年度は四十五校にわたりまして、全国の国公立の学校で、いわゆる先導的試行と申しますが、要するに学校の関連というものを現行学制にとらわれないで研究する指定校をつくっております。その中に幼小の関連を十分に研究するようにということも含めているわけでございます。したがいまして、将来幼稚園の先生方に対しまして給与が改善されますよう私どもも十分、心から考えておることであり、御要望も人事院に申し上げておりますが、ただ、ここで御理解願いたいのは次の点でございます。
まず幼児に対しましては、幼稚園に通っております子供さん方の大体七〇%は私立の幼稚園に通っておられるわけでございます。したがいまして、国立、公立の幼稚園の先生の待遇をよくするということも大事でございますが、それと並行してどうやって私立を上げていくかということを考えなければいけません。そのほかに、幼稚園年齢、まあ小さい年齢のところで——先ほど厚生省は余り教育に関係がないというお言葉でしたが、実は保育所におきまして非常に教育的な配慮をしながら行ってこられている面もあるわけでございます。そこで、文部省と厚生省との間でいわゆる幼保の関係、幼稚園、保育所の関係というものについて目下調査もいたしているわけでございます。
そういうふうな状況が一方にあるのに対しまして、高等学校の方は、私立の高等学校に通っております人の数がおよそ三〇%、したがいまして公立の方が七〇%というのが全国的な状況でございますので、給与の問題に関連いたします場合には、幼稚園と高等学校を比較いたしますときに、特に国公立を中心にいたしますと高校の方を配慮することが順序であろう、かような御意見が先ほど人事院から表明されましたが、私は、現状の学校、幼稚園、保育所、私立、公立の分布の関連などから考えますと、さようなお考えもまことに妥当であろうということから、人事院のそのお考えを私たちも受け入れたわけでございます。それは決して幼小の教育関連がないとか、あるいはそれを軽視してよろしいというようなことでは毛頭ございません。これは今後とも一層重視をいたしまして、そしてそれとの関連で給与体系も引き続き考えていかなければいけませんが、現段階、なぜまず高校の方が優先されたかという理由は先ほどから申し上げたような事情によるものと理解しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/139
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140・鬼木勝利
○鬼木委員 いまの大臣の御説明は一応私もわかりますが、幼稚園は全国的に七〇%が私立だ、高等学校は三〇%だと、これはしかし別問題だと思う。これこそ問題だと思う。問題は別に考えるべきだと思う。それは文部大臣が常におっしゃっておるように、私学振興、私学助成ということをおやりになっているのだから、ですから、それは私学振興、私学助成の問題として別にお考えなさるべきものであって、いやしくも官公立の幼稚園であれば、仮にその数が三〇%であろうが当然おやりになるべきであって、それはそれ、これはこれとして、別問題として、文部大臣ならば担当責任者としてそれを御解決になるべきだと私は思う。私学振興ということに対しては非常に力を入れていただいておりますので私どもも感謝しておりますが、それはそれとして、別問題として、広く私学教育振興ということでお考えになるべきだと思うのですね。
ところが、現実問題として幼稚園の官公立が三〇%ある、これを取り残したら大変だ、幼児教育と小学校、つまり義務教育との関連性が薄いということはわれわれはいささかも思っていないとおっしゃっておる。私の持論に対して肯定していただいておる。だから、単に将来将来ということをおっしゃらないで、これは速やかに解決していただきたいと思う。これは申し上げにくいことだけれども、命旦夕に迫っておる三木内閣がいつまでもつかわからぬけれども、しかしいやしくも永井文部大臣は未来永劫に御健在だと思います。仮におかわりになっても、この問題では絶対最優先すべきだということを言い継ぎ語り継ぎしてこれを実現していただきたい。人事院もそのようにひとつお考え願いたいと思う。そうせぬと、この給与法案は片手落ちです。
最後に、文部大臣と人事院の方から御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/140
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141・永井道雄
○永井国務大臣 幼稚園は、先ほど申し上げましたように七〇%の園児が私立に通っている、これはしかし私学振興の方で全く別個に考えてやるべきではないか、まことに御指摘のとおりでございます。そこで私学振興経常費の助成、これは人事院とは関係のないことでございますが、私ども本年も努力をいたしまして、幼稚園の私学経常費助成は本年度他の文部省の予算項目と比較いたしますと比較にならない伸びでございまして、四倍以上の経常費の伸びに相なっているわけでございます。ただ、そのようにいたしましても、事実問題といたしまして幼稚園の今日までの経営状況というものはよろしくございませんために、幼稚園の私立でお勤めの先生方の給与は国公立よりも不利な状況にあるということは否定できないことでございます。
そこで、私はこの席で申し上げているだけでなく、国公立の幼稚園の先生方のお集まりでも申し上げたわけでありますが、なかなか国公立の先生方の方を直ちに上げるということができないのは、まず私立の幼稚園について非常な努力をしていかなければいけない、国公私の差別がなくなっていくことが必要であるから、さような事情の中でわれわれとしては私立幼稚園に力を注いでいる、しかし、かといって国公立の幼稚園の先生方の問題がこのままでいいというわけではありませんから、大いに努力をいたしましょうというふうに申し上げている次第でございます。したがって、財政的な給与に関連する事柄といたしましては、文部省では、国公立に関しましては引き続き人事院に要望いたし、他方私立に関しましては私学振興助成の経常費助成を通しまして私立の幼稚園の先生方の待遇の改善に努める、国公私の別なく幼稚園の先生の待遇が改善されるように努力をいたさなければならないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/141
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142・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 非常に烈々とした気迫のもとに幼児教育の重要性をるるお述べになりました。私も全面的賛成でございます。私事になって恐縮でございますが、私自身も四人の孫がございます。現在三人が幼稚園にお世話になっておりまして、ときどき誘いも受けて幼稚園に参りまして、授業その他の育児の態様というものをつぶさに見ております。大変御苦労さんなことだろうと思っております。また、幼児教育自体も、全体としての子弟の教育というような観点から見ますれば大変重要な一環を担っていることは申すまでもございません。そういうことでは先生の御主張に全面的に賛成でございます。
ただ、御承知のように、義務教育の関係でもって人材確保法ができたというのは、そこはやはりおのずから、教育全体としては重要性はわかるけれども、とりわけその中から取り出して、義務教育についてはもっと国家施策として重点を置いてやるべきじゃないかという、事の順序としてそういうものが出てきたのではないかというふうに私は考えておるわけであります。そういう点から見ましてそれは当然の措置でございますが、ただ人事院といたしましては、全般的な給与を担当いたしておりまする役割りといたしまして、少なくとも教育職員自体の相互の均衡というものが余りにもひどくなることはやはり無視できないのではないかというようなことがございまして、高等学校の先生につきましてもそれとの均衡において最小限度の措置をするというようなことが必要であると考えまして、先刻来御指摘、また御批判のございます義務教育等というような言葉を使いまして、少なくともその均衡についてはやはり配慮した方がいいのではないかというようなことで措置をいたしたつもりでございます。しかし、いまの幼児教育の重要性、したがってこれに携わります幼稚園の先生の処遇というものも無視していいものではございません。おのずから事柄には順序がございますけれども、また給与局長も御説明申し上げましたように、保育所等との関係もあることは事実でございますけれども、それはそれなりにおのずから解決をしようということになれば解決のできる問題でございます。そこで、それらのことを総合的に勘案をしながら、順序も踏まえて、事柄の重要性ということは忘れることなくこれに積極的に対処をしてまいりたい、かように私自身としては考えておりますので、ひとつ御了解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/142
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143・鬼木勝利
○鬼木委員 よくわかりました。
そこで、文部大臣もそれから人事院総裁も幼児教育の重要性ということは非常に認めておる、自分にも小さい孫もおって、お世話になっておることは常に感謝しておる、よくわかっておる——でございますから私が申し上げたいのは、くどいようですけれども、義務教育等というその「等」の中になぜ幼児教育を入れなかったか、ぜひ「等」の中に入れてもらいたいということを強く申し上げたわけなんです。それには順序があるけれども、幼稚園とか保育所の関係いろいろあるから検討中だというお話もそれはわかります。わかりますが、いずれにいたしましても大臣と総裁のお考えは、なるべく早いうちに幼稚園の先生方の処遇の改善ということは十分考えておるということが結論であったと思いますので、さように私は理解しますから、時間がありませんから一応これで打ち切りますが、大体結論が出たようでございます。
その次にお尋ねしたいのは、これは前回も私は人事院総裁にもくどくど申し上げて、御不礼であったかなと思うようなことまで申し上げたかと思います。議事録を実はここに持ってきておりますが、主任制度の問題です。
これは大臣にお尋ねしたいのですが、先生方が非常に反対をなさっておる、これはもうすでにお聞き及びだと思いますが、時限ストの計画までしていらっしゃる。そういう騒がしい情勢であるのに、どうしてこれをおやりにならなければならぬのか。これは私はこの前の質問ではっきり予告申し上げたのです。この主任制度などというのをおつくりになって、手当をつけるなどということをおやりになると大変なことになりますよと前の国会で予告申し上げた。「これはよほど再思三考していただかぬと猛然と先生方の反対に遭うことは、これは火を見るより明らかです、」ということをちゃんとこの前も申し上げたのです。いまそのとおり反対が猛然と起こっておる。そういうことを押し切ってまでなぜおやりにならなければならぬのか。これは申し上げるまでもないけれども、中教審の五段階に持っていく考えだ、管理職にするような気持ちじゃないかというようなこともこの前盛んに私は申し上げた。そのとおりのことでいま先生方が反対なさっておる。従来主任制というものは、制度はないけれども主任制はあったのです。私の教育経験からもありました。私自体も旧制の中等学校で国漢部の国漢主任をしておりました。私の下にも五、六人おりました。それから校長になる前は教務主任も三、四年やりましたが、何の手当もない。何もなくて、非常にスムーズに気持ちよく仲よくいったわけです。それをなぜこんなに好んで、一方的に命令で、いやだいやだというのに無理やりに押さえつけるようなことをやって、そしていたずらに職場の混乱を来し、職場を暗くするのか。学校教育というものは先生方が全部一致協力して、皆先生方が一緒になってやられなければ——だから、どの先生が特にやっているからこの先生に手当をつけるというようなことは、本当に職員の平等上もよろしくない。校長、教頭あたりの管理職はまた別でしょう。これはまた異論もあるかも知れぬが別問題として、主任制度というものを制度化して一方的に命令でなす、そしていたずらに職場を暗くする、これはすこぶる非民主的な、私の過去三十年の教育生活において、従来の主任制度じゃない主任制は、いささかも支障を来すこともなくスムーズに本当にうまくいきました。それをなぜことさら平地に波乱を起こすようなことを、何を意図しておられるのか、何の目的でそうおやりになるのか。この前も昨年のここで詳しくお話し申し上げまして、何回言っても同じです、議事録にもはっきり載っていますから、そのことを繰り返しては申し上げませんけれども、そのところをひとつ文部大臣もはっきりおっしゃっていただきたいと思うのです。人事院にもひとつお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/143
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144・永井道雄
○永井国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、これは昨年の春の先生の発言からの議事録でございますね。主任というものを中間管理職というのでとらえる考え方があったわけでございます。それから五段階給与という考え方もあったわけでございます。事実そういうふうに動くのではないかということになると非常な衝突が起こるという意味の御心配の発言であったかと思います。私もまことにそのとおりであると考えたわけでございます。そこで主任を制度化するに当たりましてまず留意をいたしましたことは、現在でも御承知のように学校は校長先生と教頭先生が管理職である、ほかの先生方はそうでないというところから、また政治が学校に反映するというようなことも関連がございまして、一方では校長、教頭の管理強化、他方ではその管理を阻止する、反対するという一種の緊張状況というものが各所に見られるわけでございます。
そこで、主任というものについても性格が幾らかあいまいであって、本年度の日教組の大会でも主任というものは管理的なものなんじゃないかというような議論も出たようでございます。そうではないのだ、やはり学校は一つの組織体でございますから、校長さん教頭さん、これは管理者でしょうけれども、ほかの先生と一体になりまして教育を行っていく。その場合の主任というのは管理職にはしない、管理職にはしませんで、そして結局教育というものの指導に当たっていくいわば先輩の先生でございます。先生の中の先輩でございますから、そういうものとしてはっきりさせた方がよろしい、こういう考え方で制度化をいたしました。ところがその前に、主任というのは中間管理職ではないかというような考えもあちこちにあり、それに対して賛成、反対ということがあったものですから、私のそういう考え方が十分に学校の現場に伝わりますのには少々時間がかかったようでございます。その間に先生が、御指摘のような反対というものもあちこちにあったのでございますが、現状を申し上げますと四十七都道府県のうち四十二ですでに制度化が行われております。ただその過程においても、文部省では、教育委員会はなるべく現場とよく話し合いながらということで進んでまいりましたので、多少例外はございますが、制度化の過程も話し合いによって進んでいま申し上げたような現状に至っているわけでございます。
なおまた学校の中に、手当というものを出して五段階給与にするのではないかというような懸念もございましたが、これは恐らく、中教審の中に教諭の上に上級教諭をつくる、そういう考え方が示されておりますが、それと混同されてのことではないかと思うのでございます。主任というのはそうではなくて、教諭は教諭のままで授業をお持ちになるわけです。ただし教諭のままで授業をお持ちになって上級教諭になるのじゃないのですが、しかし教務主任であるとか進路指導であるとか生徒指導ということで、普通に授業を持たれる以上にある種の仕事をされるわけでございますから、決して多額ではございませんけれども、その御労苦に対して手当てをするということを考えたわけでございますので、従来あるいは五段階給与のようになるのではないかという懸念を持ってこられた方が抱かれた考え方というのと全く違うわけでございます。これについても相当時間をかけて御説明をいたしました。そして各都道府県でも委員会がいろいろ説明していただいたと思いますが、比較的理解も現段階においては行き届きまして、先年の先生の御注意の点、主任を中間管理職的にしては混乱が起こる、また五段階給与的にすると混乱が起こる、これはまさに御指摘のとおりであると考えましたので、そういう点を十分配慮いたしました上での現在の主任の制度化でございますので、その点を御理解いただきますならば幸いであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/144
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145・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 文部大臣からるる御説明がありましたとおりでございまして私からさらにつけ加えることもないわけでございますが、要するに人事院の立場といたしましては、今度の場合も主任についてやはり制度化をされるということになった、前々から主任についての何か給与的措置をやってもらいたいという要望がございましたけれども、やはりはっきりとした制度が確立をしないとそれに対する評価の仕方がないのではないかというような立場でまいっておったのでございますが、いろいろの経緯を経ましてこの主任についての制度化がなされた。したがって、その現実を踏まえましてこれに対してどういう給与的な評価をやるかということについて考えました結果、先般の勧告あるいはこれに関連する報告ということで線を打ち出したということでございまして、これは専門の担任省でございます文部省のお考え方というものを踏まえて、われわれとしてはわれわれなりに給与的な評価をいたしたということにひとつ御了解を賜わりたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/145
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146・鬼木勝利
○鬼木委員 あなた方のお話はよくわかります。いま文部大臣のおっしゃったように都道府県のうち四十二はもうすでに話し合いができた、実施しておる、こうおっしゃっておりますけれども、実態は、その内容は必ずしも大臣のおっしゃるように話し合いの結果円満に喜ばれてできておるのじゃなくして、現場の先生方は皆一方的に押さえつけられたのです、皆と言うと言い過ぎかもしれませんが、おおむね。
ですから私が申し上げますのは、じゃいま大臣がおっしゃるようにそういうお気持ちならば、なぜもっと話を煮詰めていただかないか。大臣のおっしゃっておるところのお気持ちが皆さんにはわかっていない、私もわかっていません。どうしても私の過去の経験からしましても、主任というのはむろん学校の先輩だから御苦労だ、御苦労賃だ、決して管理職には関係ない、五段階にも関係ないとおっしゃっておりますけれども、私らの時代はそれは時代が違うとおっしゃればそれでおしまいですが、これは内容を申し上げますと、各科の主任なんというのはおっしゃるとおり相当のベテランで、もう先輩ですから授業日数でも減らしてあります。そういう点から金で解決しようというのじゃなくして、私なんかは教務主任をしておるときなんかは、一週間に十時間ぐらいしか教えなかった。それから、国漢の主任をしておるときには一週間に十二、三時間でした。ところが、はなはだよくないことを申し上げてこれはいけないかもしれませんけれども、まだお若い、平教員の先生方は、一週間に二十何時間出る。一日が六時間とすれば六日間、もう三十時間から教えている。だからもうほとんど自分で教材の勉強なんかできない。毎時間教案に行かなければならない。ところがもうみんなが大事にしてくれまして、いまおっしゃるように、すべてを、各科の先生方を束ねていかなければならぬから、特別授業日数、時数は減らしてある。ですから、精神的にあるいはそういう技術的にみんなが大事にしてくれて、非常にスムーズにいく。一週間に一度あるいは二週間に一度は各教科の先生を皆集めて、主任が話し合いをする。高きより低きに水が流れていくように、すこぶるうまくいったんですよね。だから、これは慰労ということは、金で慰労を解決するというようなお考えは、それは一部そういうことは言われますけれども、疲労回復即金というものじゃないと私は思うのですよね。だから、もう少し大臣がおっしゃるように、おれの考えはこうだ、決して他意はないんだ、こういう意味だ、わかってくれと、もう少し私ははっきりその点をお話し合いにならなければ、皆もうストまでやると言って待ち構えているんです、反対だと。でございますから、私は遺憾ながら、この主任制度に対する制度化ということには反対です。その点、文部大臣、どのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/146
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147・永井道雄
○永井国務大臣 ただいま御指摘のように、主任は授業を減らしまして、そして主任をやったという御経験をお話しいただいたわけでございますが、現在は教員の定数増もいろいろ努めておりますが、御承知のように小中校ともに、これは高校もそうでございますが、非常に学校が大規模化してきておりまして、調査をいたしましたところ、主任をやっておられる先生方もやはり相当授業を持っておられるというのが実情でございます。さらに、学校の大規模化に伴いまして、校長、教頭というものも大事なのでございますが、また主任の方が担っていかなければならない仕事も前よりもむしろ倍加しているということもございます。
それからもう一つ、これは先生に申し上げると釈迦に説法のように相なりますが、旧来は、昔の師範学校時代には、教育実習というものの時間数が非常に長かったわけでございますが、今日の教員養成では、小学校は四週、それから中高二週という程度でございまして、教員免許を取りますまでの実習期間が非常に短いということがございます。そういたしますと、教員に就任をいたしましてからの現職教育というものが非常に大事になるわけでございます。これを当然校長や教頭も責任を持っておやりになりますが、同時に主任の先生方もそういう意味で教育指導に当たらなければいけない。これは管理とは違う、いわば現職教育上の指導ということでございます。そういう角度からこの主任というものを考えたわけでございまして、確かに御指摘のようにストライキというものが昨年の十二月十日でございましたかあったわけでございまして、そのときには主たる理由は、主任というのはどうも管理職でしょう、そこで任命制管理職で上から押さえつけるという考えであったわけでございますが、やはり時間を経ますうちに、いま私が申し上げたような性格のものであるということを、先ほど先生お言葉がございましたが、確かに全部の先生方が御理解になったというわけにはまいりません、しかし相当数御理解いただいて、そうして教育委員会との間に話し合いが成立いたしましたために、五つの自治体を残して制度化されたのだというのが実情でございます。
で私は、何と申しましても、これはお認めいただけると思いますが、わが国の学校の中でどうも管理強化、管理反対ということでいわゆる教育委員会とそれから組合の対立というようなことが続きますというと、これは本当によい先生というものを中心に教育現場を強化いたしていくということがむずかしい、こう思ったわけでございます。そこでその角度から考えますと、いまの主任の方方というのは相当程度教育経験を積まれた老練の方でございますが、管理というような角度ではなくて、そうして管理を強化するのでも阻止するのでもなく、全く学校というものは教育の場でございますから、そういうところでいわば一種の中堅として御活動願う、かような考えを進めてまいりますならば、管理をめぐる強化、阻止というような対立も漸次やわらげられていくのではなかろうか。これには多少の時日を要するかと思いますが、いまの点を御理解いただきますならば、私が時日をかけてわが国の教育を強化し、そうして何といっても教育の勝負どころは教科書でも何でもなく、先生方でございますから、その先生方をよくしていこうという点につきましては、これは教育委員会も組合も全く意見を異にしているわけではございませんで、その先生方を強化していくいわば一つの軸というものが主任である、こういうことでございますので、御賛同いただきますればはなはだ幸いである、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/147
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148・鬼木勝利
○鬼木委員 それはまことに高通なあなたの教育論には私も傾聴しますが、おっしゃるとおり教育は人ですからね。ですから、教える人、つまり先生そのものが一番大事であって——教材も大事でしょう、あるいは環境も大事でしょう、金も大事でしょう、がしかし、根本は先生そのものです。もと足りて末生ず、もとがなければ私はだめだと思う。その点は私も同感です。ですから、私が申し上げるのは、先生方にただ金をやって労をねぎらうということじゃなくして、もう少し皆さんが納得するような、いまもおっしゃるように、そう簡単にいくものじゃない、相当時日が要ると思うがというお話ですが、それをやはり皆さんが納得されるように、現場の先生方が喜ばれて、ああこの主任制度はよかったと喜ばれるような行き方で私はやってもらいたい。少なくとも現実は非常に厳しいです。先生方は非常に反対していらっしゃる。ですから、その点を文部大臣はよくお考えを願いたいと私は思うのですよ。事実、文部大臣のお気持ちということが、皆さんがなるほどそうだなというようになっておればいいですけれども、現実としてはそうなっていないですね。その点を私は、くどいようですけれども、時間がありませんので、なおよくお話し合いをしていただきたいということをひとつお話し申し上げて、一応これで打ち切ります。
時間がありませんけれども、後の方がまだ来ておりませんから、委員長ちょっと……。
これは人事院の方にもお尋ねしたいのですが、育児休業の問題です。これを私はちょっと疑問に感じ、矛盾があるんじゃないかというような点もあるのですが、育児休業は一年間これを無給とする、ところが身分は保障されておるから共済年金なんかの掛金は掛けなければならぬ、金は一厘ももらわぬで掛金だけは掛けていかなければならぬと、これではかわいそうだから共済年金の掛金は掛けてやろうと、そういうのが育児手当になるんじゃないかと、かように私らは解釈しておるのですが、それでは、一年間休ませて生活の保障は全然やらないと、その関係はどうなるんですかね。それは私は、いままで無給であった、ところが、全然無収入だから何がしかの掛金だけでも一年間は掛けてやると、それはありがたい。もらわぬよりもらった方がいいんだからありがたいが、そのことに対して私は異論はないけれども、一年間身分は保障してやる、しかし生活は、水を飲んでかすみを食って生活していけと、これじゃ一体どういうことか。今度は一般の先生方とか公務員の方が何か病気でお休みになる、あれはたしか三カ年休職になる、すると、休職の間は七割の手当がついているはずです。そこのところどうも矛盾があるようですが、これは人事院の方にお尋ねするが、文部大臣も御関係がありますよ、看護婦さんとかいろいろありますけれども、学校の先生も入っているのだから。お産すれば一年間休ます、無給だ、しかし身分だけは保障してやると。身分保障してもらうことはそれは無論ありがたいが、そのかわり一年間はかすみを食っていけと。そうしますと今度は、たとえば女子公務員の方が子供を産んだ、するとこれは、一年間休んでいいと休業法はないでしょう。これは女子公務員は子供は産むことはならぬぞという意味ですか。その辺の関連がどうも私は合点がいかないんですが、わかるようなふうにひとつ説明していただけばいい、わからぬからお尋ねしているんだから。じゃ、おまえ何もわかっておらぬからよく説明してやる、というので一応御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/148
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149・茨木廣
○茨木政府委員 これは議員立法でございますので私どもから御説明するのもいかがかとは思いますが、大変長い間各党間で御相談がございまして、ようやくこれが調整がつきまして、五十年の七月に議員立法の形で、義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律ということで成立を見たわけでございます。その過程では、いま御指摘のような業種の範囲について大変議論があったわけでございます。女子職員全部にこれが適用になるのではなくて、この法律にうたわれておりますものについてだけでございます。主として当初教員を中心に論議が交わされまして、その後やはり同じような、資格を必要とする職種でしかも女子職員が大宗を占めておるようなもので、育児のために退職されますと大変に支障が生ずるではないかというようなところ、そういうものというこで、その後看護婦さんでございますとか社会福祉施設関係の職員、それから保母さん等の一部、こういうものが追加されまして、そしてようやく調整がついたといういきさつであったように考えております。そういうことでございますので、そこに一応それなりの区切りができたのではないかというように見受けておるわけでございます。もう一つは、当時少し前に、この問題が議論されましたのは四十年代の初めごろからでございますけれども、四十七年に、労働省の方で一方やっておりますものとして勤労婦人福祉法というのができたわけでございます。これは民間にも適用になる一般法でございますが、その中の十一条に「育児に関する便宜の供与」という条文がございまして、その中では「事業主は、その雇用する勤労婦人について、必要に応じ、育児休業(事業主が、乳児又は幼児を有する勤労婦人の申出により、その勤労婦人が育児のため一定期間休業することを認める措置をいう。)の実施その他の育児に関する便宜の供与を行なうように努めなければならない。」という努力義務の規定がそこにうたわれまして、これが一般の公務員も含めました一般の婦人関係のあれに適用になる事業主に対する奨励施策として出てまいったのであります。こちらの方はそれよりも強いものでございますから、こういう公務の性質上その必要性の強いものということで選択されまして議員立法の形になったものだというように考えております。そういうことで、範囲の点についてはそういういきさつでございましたということを申し上げられるだけでございます。
それからその際に、給与の点をどうするかということも、これも大変、八割給付かあるいは六割とか、いろいろな要求がございましたし、それから国会でも、議員立法の形で一院を通って他院を通過しなかったという歴史的経過もあった、そういうことでずっとまいりまして、最終的にこの法案がまとまります段階で、やはり世界の大勢がそういうものについては無給原則であるということで、というのは事が育児ということでございますので、これが前提になっておるんだ、そういうことでございますから、夫の方もいらっしゃるはずであるということが大前提に入っておる。そういうことで、やはり無給が世界的な大勢であるということでノーワーク・ノーペイという給与原則というものをこの部分については守らなければならぬということで本則は無給、こういうことになりました。しかしそうは言ってみても、いままでの与野党の長い間の経緯もいろいろございます。そこで、何らか当分の間省令的な意味で何か出ないものかということから、法律的に当然その身分を持っておることに伴うて、長期、短期の共済制度というものが、民間で言えば厚年なり健康保険なりというものが同じ役割りを果たすわけでありますが、そういうものが適用されるんだから、せめてその部分はというようなことで、大体その裏の方でこの法律をまとめます際に、与野党それから国庫当局の方の意見もそこに入りまして、その程度ならば何とかしょうというようなことで、それじゃその取りまとめを最終的に人事院にひとつ考えてもらおうというようなことで、そこでこの附則に、その方の関係の条文が入ったわけでございます。
そういうことで、人事院の方に義務を課するということでもってそちらの方にはそういう考えで進んでまいった。それは御案内のことだと思いますけれども、ここの二項のところに「当分の間、この法律の目的の達成に資するため、」ですから、ややそういう省令的なにおいで書いてあるものでございますが「育児休業の許可を受けた女子教育公務員等に対し、法律又はこれを基準として定める条例の定めるところにより、必要な給付を行うことができる。」三項に「人事院は、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員に係る前項の給付について、国会及び内閣に対し、必要な事項を勧告するものとする。」こういうふうにまとまりました。
そこで、そういうような裏の経緯等も踏まえまして、今回この育児休業手当的なものということで給与法の附則に一項を設けていただきまして、今回提案しておりますように、大体この各所属の共済組合の長短期の負担金を合わせた額を育児休業給というようなことで出していただくということをお願いしようということに相なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/149
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150・鬼木勝利
○鬼木委員 いま経過を聞いたんですが、これは四十年ごろから問題になっておった、それは承知しております。しかも、これは議員立法である、それもよくわかっております。ところが、ようやく掛金に相当する額を、しかも私がもっとこれは論及したいんですけれども、育児休業法の附則として、当分の間必要な給付をやる、これがまた私は不可解で「当分の間」ということはいかなることか。ようございますか。これは文部法令なんかには「当分の間」というのが至るところにある。当分の間何々とする、当分の間どうする。そして二十年も三十年もたっておる。この当分の間必要な給付をする、の「必要な給付」というのは、共済年金の掛金だけが必要な給付ですか。どうも人事院でも何でも言葉をやたらに、簡単に無造作に使うから、日本人であって日本語を余り知らぬということですよね。じゃ「当分の間」というのはどういう意味だ。将来はこういうふうにするつもりがありますという何かそこに前提があるから「当分の間」だとこう言うのでしょう。どういうお考えがあるのですか。「当分の間」というならば、じゃ、これはちょっと済みませんけれども当分お借りしますと言って、二十年も三十年も当分とは言いませんよ。当分というのはごく短時間のことを言う。当分の間必要な給付というのはどういうことを意味するか。共済年金の掛金が当分の間必要ということですか。一年か二年必要ということですか。後はもうせぬというわけですか。「当分の間」というのは、その内容はどういう意味ですか。それをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/150
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151・茨木廣
○茨木政府委員 先ほど申し上げましたように議員立法でございますので、大体まとめました者としての知り得る範囲内の推測ということで御承知いただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたような過程で出てまいりましたものでございますので、一つは勤労婦人福祉法に基づきます民間の制度というようなものが今後どうなっていくか、大体給与については官民匹敵の原則というようなことで、国家公務員法にも書いてございます方針でやられておることは御案内のとおりでございます。そういうものの動きがどうなるかということも一つあったろうと思います。それから、今度の範囲が限定されました育児休業法自体の今後の動きというようなものもあったと思います。そういうようなことで無給原則ではあるけれども、そういうようなものがどうなっていくかということを今後見た上でまた御判断なさるんだろうと思います。そういうことで「当分の間」ということ。
それから「給付」という言葉を使いましたのも、大変そこで議論があったのでございますけれども、無給原則というものが前にうたってございまして、本体の給与ではないんだという思想がそこに入っております。しかしそうは言ってみても、どういう形で出すかは、私どもとしてもまとめろと言われましても、やはりよく検討してみなければわからぬ話でございますという話もいたしました。そういうようなところから、給与も含めた広い意味の言葉でそれをまとめろということになって、「給付」という言葉でもとめられたというようなふうに承知をいたしておるのでございます。
そんなところから今回もいろいろ考えまして、従来の本法なり何なりいわゆる休業給付というものではなくということで当分の間の給付だということが育児休業法本体で性格づけられております関係上、給与法の附則に持ってきた育児休業給付というものにしていただこうという、ここからずっと引用をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/151
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152・鬼木勝利
○鬼木委員 私はどうもそこが疑問ですよ。当分の間必要な額を給付する。そうすればこれは当分の間だから、先ほど仰せになったように無給原則であるけれども、将来はこれは何とかしなければならぬだろう。あるいは三%とか八%とかおっしゃっておったが、いずれにしても、将来はこれは何とか考えなければならぬだろう、だから、とりあえず今回はこういうことで当分の間という意味なら理屈はわかる。何も前提がなくて当分の間だったらどうするんだ。しかも私は、給付という言葉は的確じゃないと思う。そういう正式な給付という言葉を使われるということは、これはちょっと言葉が適当じゃないと私は思うのです。当分の間共済年金の掛金なんかの額を支給するとか手当をするとかいう意味ならわかるけれども、給付という言葉は決定的なものですからね。ところが事実はみんな実態が違うのです。ですから、当分の間ということは、給付という問題に対して言葉が妥当じゃないと私は思うのです。その前提があれば、根拠があれば私はいいと思うのですけれども、人事院総裁、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/152
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153・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 これは、先刻局長からも御説明申し上げましたように、議員提案でもって成立をした法案でございます。したがいまして、この法案自体に対して私から批判的なことを申し上げるというのは差し控えることが妥当であろうかというふうに思います。
ただ、御指摘になりましたように、私個人的な考え方といたしましては、やはり、当分の間とかなんとかというものはその場逃れの一つの妥協でありまして、余り適当なことじゃない。新しいことで改正をすべきことがあれば、また改正すればいいわけでありまして、それを、当分の間というようなことでやってまいりますと大変問題が生ずることが多い。たとえば例の、これは私自身も若干責任があるのですが、地方事務官制度などというものはそういうものでありまして、当分の間というふうに言ったのに、すでに今日まで三十年近くも経過しておるというようなことで、なお解決がじんぜんとして持ち越されておるというようなこともございます。大変便宜主義的な、便利な妥協かもしれませんけれども、余り適当なことではないという感じは、私は個人的には持っておるのであります。
給付ということも、いまいろいろ御質問がありましたように、妥協の産物といたしまして、人事院に勧告権を与える限りは余り枠をはめるのもどうだろうかというような含みも恐らくありまして、しかし原則的にはノーワーク・ノーペイということがございますので、それはそれとして、原則はやはり認めていこう、しかし、そのほかに何らかやはり手当てはしてやった方がいいのじゃないかというような配慮から、その点は人事院の判断に任せようというようなことから、給付という言葉に相なっておるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/153
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154・鬼木勝利
○鬼木委員 さすがに人事院総裁、明快な答弁で私も満足しますが、ただ、議員立法だからわれわれはどうだこうだ、手が出なかったとか、論は避けるとかいうことじゃなくして、あなた方は、それがあなた方の職務だから、だからあなた方は勧告をしていらっしゃるのだから、最もベストでこれがいいな、この言葉はこうやるべきだというようなあなた方の意見は当然申し述べらるべきであると思う。当然申し述べらるべきである。決して破壊するのじゃない、よかれといいようにあなた方がお勧めになるのだから、その点が実に私は残念である。その点が残念だということを申し上げて、あなたのいまの御回答でまことに私もすっきりしましたよ。さすがに人事院総裁だ。実に明快で私も満足です。
それじゃ、時間が超過しましたけれども、これで御無礼します。どうも文部大臣、大変お世話になりました。委員長、終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/154
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155・木野晴夫
○木野委員長代理 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/155
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156・受田新吉
○受田委員 総務長官西村先生、郵政省の局長さん時代以来長い間おつき合いいただいておるわけです。ただ、国務大臣になられると特別の任務をお持ちになっておられるわけで、国の最高の行政長官になってこられたわけです。
そこで、特別職の給与にちょっと触れておくのですが、国務大臣の給与が今度九十万から百五万になった。総理大臣が百二十五万から百四十五万になった。この金額、大幅昇給の根拠がどこにあるか、お示しをいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/156
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157・西村尚治
○西村国務大臣 一般職国家公務員につきましては、人事院勧告でベースアップすることになったわけでございます。ところが、先生御承知のように、国会法三十五条で議員の歳費は一般職公務員の最高額を下回らないものとするという規定がございます。そうすると、いままでは一般職国家公務員の最高額は東大、京大の学長ということになっております。それと政務次官とが同額だったわけです。ところが、東大、京大の学長が今度上がったわけです。そうしますと、政務次官もどうしても上げなければいけない。それの突き上げがございまして、だんだんと特別職の方も上げざるを得なかったということが一つございます。
それから、民間の企業等の長、そういう方々との権衡から見ましても、やはり据え貫くことは妥当でない。昨年は、先生御承知のように据え置いたわけです。しかし、二年にわたって据え賢くことになりますと、いずれまた今度いじるときに非常に無理が出ます。そういうことからしまして、余り無理にならない程度で、今度一般職公務員に準じて少しずつ是正をした、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/157
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158・受田新吉
○受田委員 国会議員は行政(一)の最高の号俸をもらう者と同等、それは法の精神で、そうなっておる。われわれも議員の給与がそうした根拠に基づいて引き上げられるのを内心大変相済まぬと思っておりまするし、この引き上げはわれわれも遠慮すべきであると提唱してまいっておるわけです。
そこで、昨年は国務大臣、総理大臣はそういう趣旨に基づいて遠慮された。今度は遠慮すべきじゃない、思い切って上げろということでお引き上げになった。これでは去年遠慮した意味はないじゃないですか。遠慮ということは、ことしも引き続き遠慮ということがあって初めて本当の遠慮であって、去年の分をひっくるめて一遍に上げたのじゃ、遠慮でないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/158
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159・西村尚治
○西村国務大臣 これは、下の方がこう上がってきますと、上の方を抑えておけば、この間に何段階かございまして、ここに大変な無理ができるわけでございます。少しゆとりを持たせるためにある程度の是正はやむを得なかったということでございますが、ともかく計数、率その他でもし必要でございますれば、人事局長から説明させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/159
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160・秋富公正
○秋富政府委員 昨年は、先生御案内のとおり、一般職の職員につきましても、いわゆる課長クラスの一般職の管理職手当は一〇%削減したわけでございます。それに伴いまして、特別職につきましてもこのアップ率を四・七%というように抑えまして、御指摘のように、総理、国務大臣はこれを据え置くということにいたしたわけでございます。でございますが、一般職の管理職手当につきましても、民間の状況を勘案しながら一年間ということでございまして、ことしの三月三十一日をもちまして、その一割削減ということは廃止したわけでございます。これに伴いまして、今回御審議いただいております指定職のアップ率というものも調整したわけでございまして、先ほど総務長官からお話しございましたように、全体の給与体系ということを考えまして、今回の総理、国務大臣の百四十五万あるいは百五万という案を御審議いただきたいと今回提出いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/160
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161・受田新吉
○受田委員 国会議員の給料は行政職(一)の指定職の最高よりも下回らないという法の根拠、そこでこれに対応した国会議員の歳費等の改善が行われるわけです。国会議員の中から選び出された議長が、国会議員の倍額も手当をもらうという筋になるわけです。これは、同じ仲間の中で当番の任務を果たす代表者を選ぶわけですから、これは倍も違う必要ないですよ。地方議会の議長などもそうです。一般議員の倍ももらっておらぬです。その差はごく少数です。国会の議長と議員の給与は、やはりよく似通ったような、同じ議会であれば地方の都道府県の議会の議長及び議員の金額等も参考に御調査相なっておると思うのでありますが、全国の議長の給与と議員の給与との比較表はお持ちでないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/161
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162・秋富公正
○秋富政府委員 ただいまその資料は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/162
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163・受田新吉
○受田委員 お持ちでない。けれども、西村先生は御存じと思うのですが、地方議会の議員の倍も議長がもらっておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/163
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164・西村尚治
○西村国務大臣 私も、どうもその実情を残念ながらつまびらかにいたしておりませんけれども、今度、国会の関係につきましては、倍ということが果たして妥当かどうか、なかなか議論のあるところだと思いまするけれども、私どもの慣例としましては、先生に申し上げるまでもないことですけれども、給与というものは、一般職につきましても特別職につきましても、その担当する職務と責任の度合いに応じてこれはランクされるべきものだという考えに基づきまして、議長というものは非常に重く見ているわけでございます。地方議会の方がどうなっておるのか、そこまでちょっと勉強しておりませんのははなはだ残念でございますが、まあそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/164
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165・受田新吉
○受田委員 大体一・五倍以内です、それは府県の事情にもよりますが。
そこで、三権の長は同率にするということで、総理大臣が百四十五万になれば衆参両院の議長も最高裁の長官も同じになる、これはバランスの上で。しかも、国権の最高機関が国会でございますから、国会には総理と同じ給料をもらう二人の人がおるわけで、政府には一人しかおらぬです。司法機関にも一人しかおらぬ。やはり政治の衝に当たる人は、トップの方が謙虚に考えていく方がいい。いいということは、三木内閣成立当時閣僚になられたあなた方が、西村さんは最近なられたばかりでございますが、永井先生はすでに最初から閣僚でいらっしゃる。最初、給料のうちで十万円何とかされたと聞いておるのですが、あれはどういうことでございましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/165
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166・永井道雄
○永井国務大臣 公債を買うということで、いまも続けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/166
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167・受田新吉
○受田委員 公債を買う前に何か寄付するとかいう意思があったんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/167
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168・西村尚治
○西村国務大臣 私がなる前の話でございましたけれども、おっしゃいますように、返納する、言葉をかえれば寄付ということでございましょう。そういうことで、しばらく続けられたようでありますが、御承知のように先般公職選挙法が改正になりました。新しい改正公職選挙法から見ますと、寄付をするということはこの法律に抵触をするということを、関係省の方でそういう見解が述べられましたので、それでは抵触するようなことを閣僚が率先してやってはいけませんのでそれをやめまして、それにかわって公債十万円ずつ購入するということになったのだそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/168
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169・受田新吉
○受田委員 だから、約一年間は十万ずつ返納の意味の帯付をされた、永井先生も十万円ずつ差し引かれたわけです。その後、今度国債を買う。国債を買うのは、これは貯蓄であって、最後には利息も入れば原資も戻ってくるというわけでございまして、そう大きな称賛に値するというわけにはならぬわけなんであります。だからそういう気持ちを持っておられる内閣なんでございますから、そうしたクリーン三木を目指しておられる内閣でございますから、給与の引き上げについても、一年間も引き上げをストップされたそれに基づいて、一挙に十五万円も上げなくて、せめてその半分くらいをお上げになるという程度で遠慮すべきではなかったか。せっかくクリーン三木の、返納までされてきた歴史をお持ちの内閣がこのたび特別職の法案を出されるわけです。これは国民が右へならいますからね。政というものは常に上に立つ人が範を示して下が従うのである。しばしば指摘するように、政は正しくなければならないと、こう言うのですよ。上正しければ下礼せずといえどもこれに従うという趣旨の故事が日本の歴史にもまた中国の歴史にもある。王道の精神はそういうところにあるんです。それを上に立つ人が進んを大幅給与引き上げをして国民に範を示す。わずかな所得に甘んじて四苦八苦している庶民が潮のごとく押し寄せている中で、こうした国家公務員の給与引き上げについては、特に上位にある特別職の場合は——ある意味においては特別職は、その特別職の地位にあることによって奉仕をより大きくする栄光の座にもあるわけなんでございまして、思い切った引き上げ、二十万と十五万、敢然たる引き上げは、これはいかがなものかと思うわけでございます。こういう質問をする議員が私以外にないのでございまして、あえてこれを提案して、これに対する御答弁を仰ぎたい。機械的に一般の公務員の最高の倍ぐらいが大体総理大臣じゃろうというような線引きでものを決めるべきじゃない、国民に対して政が正しくなければならぬと思うのですよ。上正しければ下礼せずといえども従うというような、クリーン政治を願う三木内閣としてはよりこの問題はえりを正して、十万円の寄付までされた内閣でございまして、この際帯付をするものと思えば、引き上げを遠慮すればいいわけですよ、結局審付したのと同じことになるわけです。私の言うことが一理あるとおぼしめされるか、なしとおぼしめされるか、明快なる御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/169
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170・西村尚治
○西村国務大臣 受田先生の御趣旨まことによく腹にしみてわかります。実は私どもも、また三木総理大臣もそういうお気持ちはあったわけでございます。これを一般職国家公務員の率で——昨年も中止した、そのことも考えますと、その分も合わせてこのパーセンテージをはじきますと、二〇%アップにしないとならない、そういう計算になるのでございます。しかし、先生ただいまお話しになりましたような気持ちも私どもにも実はございまして、二〇%アップにすると百五十万になるのですけれども、これを一六%ということで遠慮をいたしまして百四十五万ということにいたしたわけでございます。御了承を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/170
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171・受田新吉
○受田委員 ちょっぴり遠慮したという、五万円ほど遠慮したというお話でございまして、それは焼け石に水の遠慮であるという意思表示だけしておきまして、質問を次に移します。
さきの委員会で私は給与三法をお尋ねしたわけでございますが、きょうは継続審議になっている一般職の職員給与法案の質問をいたします。すでに永井文部大臣には、さきの文教委員会で主任制度に対する核心に触れた質問を申し上げまして、大臣の御信念などを含めた御答弁をいただきました。きょうはそれの上積みをさせていただきます。
この三月に出された継続審議になった法案、この法案はいわゆる人確法の精神にのっとって出された法案です。ところで人材確保法案を用意した田中内閣時代に教員に人材を確保しようというので、教育界にはその時点では余り人材がいない、そこで人材を吸収しなければならぬ、人材が少ないということで教育界に多くの人がはぜ参ずるような待遇改善をしなければならぬというようなお話でございましたが、この人材確保法案による改善によって人材が教育界に、教員養成学校等にどんどんふえていき、また教員の志願者もぐんぐんふえてきておるという現象を私もほのかに知っております。初中局長、どうですか、最近における教員志願者の増加傾向を御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/171
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172・諸沢正道
○諸沢政府委員 教員、教職界に人材を集めるという観点から見ました場合に、一つは教員養成大学への志願者数の増加の傾向はどうかということが考えられるわけでありますが、この点につきましては、昭和五十年度におきますところの国立大学の分野別の志願状況を見ましたところ、全学部を通じての志願者数の増が九万三千、増加率が二五・八%、これに対しまして教員養成の学部だけの志願者増を見ますと、増加数が三万五千、増加率は五一・五%となっておりまして、他の学部に比べて教員養成学部の増加率が非常にふえておるというのが事実をもって証明されておるわけであります。
ところで、今度は、それぞれの学部の分野別の入学倍率でございます。入学者に対して志願者が何倍あったかという問題でありますけれども、この点につきましては昭和四十六年と昭和五十年の倍率を調べますと、教員養成学部の四十六年度における倍率は四・一倍でございましたが、五十年度の倍率は五・四倍というふうになっておりまして、これは他の人文、社会、農水産、薬学、理工、医、歯といった各学部における入学倍率がほぼ横ばいであるのに対しまして、かなりふえた倍率になっておるわけであります。
それから今度は、実際に公立学校の先生になりたいという人と現実に先生として採用された人との関係はどうなったかというのを調べますと、昭和四十六年におきましては、小学校の教員が一・七倍、中学校の教員が五・五倍でございましたが、これが五十年におきましては、小学校が二・四倍、中学校が七・三倍というふうに、それぞれふえておるわけでございまして、この数字から見ましても、教員になりたいという方が、優秀な方がふえておるというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/172
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173・受田新吉
○受田委員 そのふえ方は教員給与改善のおかげであると簡単に判断はできないわけです。世は不況時代で、公務性を持った職種につきたい人が多くいる。これは公務員の試験を受ける数の増加を見てもわかるわけです。ほかの社会が政治の貧困から来る不況、そういうところから自然に安定した職種という意味で駆けつける人がその中に大量におるということはおわかりでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/173
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174・諸沢正道
○諸沢政府委員 私も、御指摘のとおり、そういう社会一般の事情の変化、経済情勢の変動等の影響が相当あるというふうに考えております。考えておりますけれども、なおしかし、それだけ志願者が多くなっておるということは、そこにより質のいい人材が集まっておるだろうというふうには想定されるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/174
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175・受田新吉
○受田委員 結果から見れば、質のいいのが採れるという答えが出るわけです。
そこで、人確法の一次、二次改善、今度の三次改善、最初の九%、七%、今度それを四%の分を二%ふやす。一般の先生は、この三次改正、これが改善されると同時にどれだけの改善措置がされることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/175
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176・諸沢正道
○諸沢政府委員 昭和四十七年の四月を起点とし、四十七年から五十一年八月までの給与のアップ率、その間には一次、二次、三次の改善、それから一般の八月に行われる人事院勧告によるアップと両方を含んで考えますと、初任給におきましては四万三千八百円が九万七千百円でございますから一二一・七%、それから十五年目程度の教員をとりますと、八万二千八百円が十八万四百円で一一七・九%、全体を大体通じて見ましても一二〇%前後の引き上げとなっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/176
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177・受田新吉
○受田委員 おおむね一二〇%ということになると思います。ところがこの中には、学校長、教頭の皆さんは別に管理職手当が加わってくるわけです。そういうものを加えると、校長、教頭及び一般教員別にして、校長の場合どれだけになり、教頭の場合どれだけになり、一般教員の場合どれだけになるという数字が出ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/177
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178・諸沢正道
○諸沢政府委員 いまのような比較で四十七年と五十一年と比べますと、三十年勤務した教頭先生の給与は十一万三千二百円が二十七万七千八百円となりますので、一四五・四%の引き上げ、校長、三十五年程度勤務した人と想定して計算いたしますと十三万四千九百円が三十一万二千九百円で一三一・九%、こういうふうになっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/178
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179・受田新吉
○受田委員 その引き上げの過程において一般教員を二〇%引き上げされたとして、その上に管理職手当を上積みにしてどれだけの差が出てきておるかという統計は出ておりませんか。これは貴重な統計なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/179
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180・諸沢正道
○諸沢政府委員 その統計は現在手元にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/180
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181・受田新吉
○受田委員 この前の三月に出されたこの法案を拝見しますと、一万百円から一万五千二百円、つまり四%プラス二%の上積みの数字が出ておるわけです。そしてずっとこれを拝見していきまして、この法律のどこにも主任手当の規定がないのです。そして御説明をいただいた提案理由の説明にもこれがない。ということになると、この法案だけを普通の形で見たら、これは待遇改善だからいいじゃないかという答えが出るわけです。ところがその裏がある。人事院勧告、この三月に出された勧告案の中身にそうした主任手当制度なるものが誕生をしておるわけです。法律を忠実に判断をする場合とその裏を考える場合とがあるような法案の出し方というのは、出し方としてまずいと私は思うのです。法案を見てそして答えが出るような法案でなければいけないと思うのですが、良心的な法案の提出の仕方であるかどうか、文部大臣として御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/181
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182・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 法案提出の形式等についてはいろいろ御批判なり御見解があることは否定するものではございません。ただ従来、先生も先刻御承知でありますように、人事院といたしましては法律その他でもって措置をしていただかなければならぬものは勧告というかっこうでやっておりますし、人事院独自の判断でやれる、具体的に申せば、人事院規則なりあるいは人事院指令なりというようなことで措置ができますものについては、かくかくのことをやはりやりたいというようなことを報告というようなかっこうでやっておることが通例でございます。
この主任手当の問題を含みとして御発言になっておるのだろうと思うのでございますけれども、主任手当につきましてはどういう形式でやるかということにつきましては、いろいろ世の中の御見解もございます。われわれはわれわれなりに大変に苦心をして検討をいたしたところでございますけれども、結論的に申して、これはやはり特殊勤務手当ということになじむのではないかということで最終的な結論を得まして、特殊勤務手当の形式でやろうということになったわけでございます。ということになりますと、これは人事院の独自の判断でやれることでございますので、法律事項ということにはならないというようなことから、勧告といたしましては特別手当の二%引き上げ分ということを国会、政府にお願いをするということにいたしまして、後は人事院独自でやれることでございますので、報告事項として処理するということにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/182
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183・受田新吉
○受田委員 その特殊勤務手当に回す財源というものをこの給与改善で一律に出すとすればどれだけ上積みになるかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/183
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184・茨木廣
○茨木政府委員 全員にやっておりますものに予定いたしておる分は約百六十億でございます。それから主任手当に予定しておりますのが四十億ばかりでございますから、約四分の一程度ということに考えていただけばいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/184
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185・受田新吉
○受田委員 今度の一般的改善に回す分の四分の一程度というのであるから主任手当の金額はごくささやかである、そういう御答弁でございます。
〔木野委員長代理退席、加藤(陽)委員長代理着席〕
そこで、田中内閣がこの人確法を提案されるときに、当時の奥野文部大臣のときに、人確法によって約三割の給与改善をしたいという意図があったと私はいま覚えておるわけです。これはどういう形で発表されたか、やり方はわかりませんが、そういう意図であった。そうしますと、いまその約三分の二の二〇%のところへ来たわけで、残りの一〇%は今後やる気があるのかないのかをお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/185
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186・諸沢正道
○諸沢政府委員 人確法が成立すると並行してどの程度教員の給与ベースを引き上げるかということにつきましてはいろいろ論議をしたわけでございますが、最終的には金額としては三年の年次に分けて一〇%、一〇%、五%、つまり二五%引き上げということで考えてまいったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/186
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187・受田新吉
○受田委員 そうしますと、残余の改善分は今後第四次の改善として考えるのかどうか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/187
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188・諸沢正道
○諸沢政府委員 ところでその予算計上時期の一〇%というのは、その後の一般の公務員の給与引き上げ等によるベース改定の時点においては一〇%には当たらないというようなこともありまして、いま御指摘のように第一年次において九%、第二年次において特別手当を含めて七%、それが予算的には一応一〇%のめどでやったわけでございます。
ところで、ただいま考えております五十一年度の第三年次分というのは、当初は五十一年度において五%相当をめどとして全部実施する予定でありましたけれども、諸般の事情がありまして、その半分に当たる二・五%相当額をことしの三月予算に計上し、したがって、五十一年度においては二・五%相当というのを予算のめどとして第三次改善の第一年次分を実施するということにいたしまして、引き続き五十二年度において残りの二・五%相当にする改善を実施しよう、こういう計画になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/188
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189・受田新吉
○受田委員 五十二年度において残りの二・五%は必ずやる、もう確定ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/189
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190・諸沢正道
○諸沢政府委員 五十二年度の予算はこれから具体的には折衝するわけでございますけれども、それを前提として五十二年の三月ひと月分について、いま申しました二・五%を財源のめどとする、その予算は計上されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/190
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191・受田新吉
○受田委員 そこでもう一つ、高等学校、それから教育職俸給表(一)の大学、それから(四)の高専、それに当然はね返ってくると思うのですが、そういう大学や高専は抜きにして小中の教育職俸給表(三)をやるということになるのか。いやそうでなくして、大学、高専にまで及ぶというのか。人確法の精神は、義務教育の学校の職員を優遇するという精神である。その精神が、実は教育全般を優遇する、結果としてはそうなるという法案であったのかどうかを伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/191
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192・諸沢正道
○諸沢政府委員 ただいまの御指摘のように、人確法におきましては義務教育学校の教員の給与の改善ということをねらいとしておるわけでありますが、しかしながら、この法律が成立いたしましたときの国会における附帯決議を見ましても、高等学校や幼稚園等の教員の給与についても同時に必要な措置を講ずるんだというようなことが、言ってみれば国会の意思として表明されておるわけでありまして、そういう点を受けまして文部省では、人確法に基づく改善をするために、教員等待遇改善研究調査会を設けて御審議を願ったわけでありますが、その調査会の報告におきましても「義務教育諸学校の教員の給与改善との均衡等を考慮し、義務教育諸学校以外の学校の教員の給与についても、必要な改善を図る」というような報告を受けておりまして、その報告を受け、その趣旨をさらに人事院に対して要望という形で、文部大臣より人事院総裁にお願いをしておるということで、人事院におかれましても、そういう点を考慮しながらこれまで改善を考えてこられた、こういう経緯のように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/192
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193・受田新吉
○受田委員 俸給表(二)の高校と(三)の中小教具の俸給表はほとんどわずかの差で均衡を保っているわけです。大学、高専になるとちょっとかっこうが違うのです。すなわち、国立大学の最高の俸給をもらう人は国家公務員の最高の俸給になっている。今度七十四万になるわけです。小中学校あるいは高校の先生は半分ですよ。そして中小学校が高校にはね返る。それは、附帯決議としてわれわれは私学の先生までのはね返りをやったのを覚えているのですが、大学、高専までやれとは附帯決議になかったのです。これにはね返る改善措置がされてきたのはどういう理由であるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/193
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194・茨木廣
○茨木政府委員 ただいま初中局長の方から御答弁ございましたように、文部省の方からも、それらとの均衡をとって改善をしてもらいたいという要望が一般勧告の際にございました。それから人材確保法の附帯決議の際には、高等学校についてはそれがあったわけでございます。そこで当初は、義務教育関係を一〇%上げれば大学の先生のものも一〇%上がるんですよというような説も巷間には流れておったこともあったようでございます。しかし、私どもとしましてはそうは考えてなかったわけでございますが、そういう期待感もややあったようでございます。それで私どもがとりあえずいまやっておりますのは、従来高等学校の教諭と高専の講師のところで一つのリンク関係がございまして、従来対応させておったわけでございます。また高専の講師とそれから大学の教官との関係等のところでも、やはりそういうような相互関係で俸給表というものができておる。そこで、人材確保法の関係で義務教育も上がってまいり、それとの関連で高等学校が上がってまいるということになってまいりますと、その高等学校との関連でできておりました高専の俸給表、それからそれとの関連でできております大学の俸給表等についても、最小限度逆転を防ぐというところまではやはり改善をしてまいらなければならないというのが、一般給与を所管しております人事院といたしましても考えていかなければいかぬ点でございます。そういうようなことが相まちまして、それぞれの一般勧告の際に、昨年も説明の中で敷衍いたしましたし、今年も説明の中でそういうことを敷衍してございますが、そういう考慮を払いながら、一般勧告の際に大学、高専について特別の配慮を払って、できるだけその逆格差を縮めていくという措置をとるようにお願いを申し上げておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/194
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195・受田新吉
○受田委員 教育職俸給表の高校の校長さんで、特一の最高が三十二万四千円ですね。東大、京大の総長のちょうど半額です。同じように教育職に従事して高等学校の先生になっていった場合は最高三十二万までしか上がらないが、国立大学の先生になれば最高七十四万になるという。半分しかもらえないという。高校教育あるいは中、小の教育に志して克苦精励して最局の水準に到達した人も、国立大学の先生の最高の半分だというのは、教育界の現状としてはちょっとひど過ぎると私は思うのです。それは、おのおの志す学校の種類がありますよ。大学の教師になっていく。しかし、大学の教師でそこへ残って、助手、講師、助教授、教授といく人もあれば、おれは中小学校の教師、高校の教師になりたいといく人もある。同じスタートをして取りつく山の上は半分しかいっていない。これは余りにも大きな懸隔であると思います。義務教育学校の処遇改善をすることによって高校まではね返るのは余り違いがない、高校の校長と中小学校の校長というのはほんのわずかしか違わない、それはわかる。けれども、大学の改善を余り多くやられると、その校長に例をとっても、倍の給与をもらうのと半分で人生を終わるのとがある。教育への熱意を持って、次代を背負う青少年の教育をやる者にこの大きな差異ということについては、ちょっと問題がある。たとえば、国立大学の最高の給料の七十四万の先生と、そうして同じ付属の中学校、高等学校の先生と比べたときに、校長の中で最高号俸をもらう人は営々と努力を積み重ねた人であるはずですが、半額というのはちょっとみじめであると思います。この法の趣旨と現実とどんどん離れていけば、これはみんなほかにはね返っていく。こうなると、文部大臣、教員を優遇しようとするとほかの職種へみな影響する。教員には特別昇給制度が実際にない。ところが一般公務員には、五年なり六年になると、大体七人に一人か六人に一人は一年の特別昇給制度がある。そういう恩典もあるわけなんです。これはもうここでしばしば論議されているとおりなんですから、そういう意味では、義務教育学校の先生の待遇改善を二割から二割五分程度しても、取りつく先では大したものにならぬような答えになっているのです。これはもう給与法を勉強しておる人が見たらすぐわかることなんです。これがまた他にどんどんはね返るということになれば、人確法ができたばかりにみんな他へはね返るというのじゃ、人確法の対象になった人は最後は特典がないのだ、せっかく二割なり二割五分上がったと思ったらほかもみな一緒に上がったというのでは、また最後に人材が集まらないで不人材が集まるような社会になる危険がある。人材確保が、逆にまたこのようなことで他へ皆行って、ほかも同じように上がっていったのでは、不人材確保法というのは生まれないけれども生まれたと同じ結果になる。これは人確法制定の趣旨に反してきはせぬかと思いますが、法案を出されたのは総理府総務長官が出されたのでございますので、こういうものの扱い方については、取りまとめ役の責任にあられる総理府総務長官として、法案を出された責任者としてどうお考えになるか御答弁を願いたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/195
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196・西村尚治
○西村国務大臣 毎回申し上げておりますように、総理府といたしましては、公務員の給与体系はどうあるべきか。これはもう専門の中立公正な立場にある人事院にいま専門的な立場で鋭意検討をいただきまして、その勧告を待ってこれを実施する。勧告を尊重し、それを完全実施することをたてまえとして今日に至っておるわけでございます。
ただいま御指摘の人確法との関係、そういったようなことにつきましても、私どもとしましては、人事院の方で十分そういった点は配慮して検討された結果、今回のような内容の勧告が出されたものというふうに考えまして、それをそのまま尊重してこれを法案に織り込んで提出をした、そういうことでございますので御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/196
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197・受田新吉
○受田委員 そうしますと、人事院が皆責任があるように、みんな人事院の方にいきました。お気の毒でございまするが御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/197
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198・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 御指摘の点でございますが、人確法成立のいきさつ、その他にさかのぼっていろいろ論議をいたしますることは差し控えたいと思いますけれども、これは国の意思として、国会の意思として確定をし、またそれを実施するための予算上の裏づけ等もなされて今日まできておるわけでございます。そういう意味から申しまして、人事院といたしましても、義務教育諸学校の先生の処遇をとりわけて改善をしていくということは、これは法の精神であり、また目途でございますので、これを十分に尊重していくという立場に立っておりますことは申すまでもございません。これが新たに第三次にわたる勧告ということになって具体化しておるわけでございます。そういうことから見ますと、先刻局長からも御答弁申し上げておりますように、まことに際立った改善措置というものが具体的にはっきりと出てきておることは事実でございます。なかんずくよく対比されます県の場合で言いますと、一般の小中学校の先生とそれから県庁の職員というものの対比等につきましても、この点は明確に先生がよくなっておることはこれは事実でございます。具体的な例証を申し上げることは、もし御要求がございますれば述べさせていただくことにいたしますけれども、これは明確によくなっておるわけであります。したがって、その点はやはり法律の精神がそこにありますからして、当然それを実現することはこれはあたりまえのことであるということで今日まで来ております。
ただ、先刻も説明を申し上げておりますように、明確な逆転現象その他が生ずるということは、これはやはり一般的に公務員の給与を担当いたしておりまする人事院といたしましては、やはり無視しがたいということがございます。特に、教育界自身ということに相なりますと、義務教育職員をとりわけて優遇する趣旨は十分わかりますけれども、そのことによって明確に他の高等学校あるいは高専、大学等の先生について逆転現象が起こるということになりますと、これはやはり均衡の問題から申しまして問題がございますので、それらについてはさしあたり最小限度の手直しをするという態度をもって今日までやってきておるわけでございます。したがいまして、われわれの感覚から申しますと、ここで申し上げることはあるいはまだ差し支えがあるかも存じませんけれども、大学、高専等につきましてはもう少しやはり何とかしてあげなければいけないんじゃないかという感じを持つ部面もあることは事実でございます。しかしそれもあえて人確法の精神からいって、当面はやはりやむを得ないんだということで処置をいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/198
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199・受田新吉
○受田委員 大学、高専の先生の場合、助手、講師からいくときのスタートは大体、小中高校と同じなんです。それが一方は停年間際になってくると七十四万になり一方は三十二万でとまっておる。その上げ幅が余りにも大きな開きになってきたわけです。その現象をとらえてみて御検討願い
たい。
それからもう一つ、今度は主任手当でございますが、私ここで幾つかの資料を持っておるのですが、これを一々例示するのは煩わしいので申し上げませんが、主任という名前のつく学校の先生のお仕事、これは文部省はどのような程度に名前がついておるとおぼしめされるか、各県の実情を整理されたものがあると思うのでございます。御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/199
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200・諸沢正道
○諸沢政府委員 昨年の五月に全国の小学校千八百十、中学校八百六十二、高校二百八十六、大体全学校の十分の一に当たる学校について、それぞれの学校に置かれておる主任の名称それから年齢、経験年数、担当授業時数等を調査いたしました。その結果、小中、高等学校におきましてそれぞれの学校の一〇%以上の学校において、つまり設置率が一〇%を超える主任というものが、小学校で言えば教務主任以下十七ございます。それから中学校では二十二ございます。高等学校は十九ございました。そのほかに小中、高等学校ともそれぞれ設置率が一〇%に満たない主任というものが、その名前がたとえばクラブ主任とか教材教務主任とかいろいろございますが、小中高おのおの二十程度ある、こういうふうな実態でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/200
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201・受田新吉
○受田委員 人事院はその手当に対して、文部省からどれだけのものに手当を出してくれという要請がありましたか、十七から二十の中で。率直に御答弁願いたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/201
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202・茨木廣
○茨木政府委員 それは省令化主任が中心でありまして、小学校については二種類、中学校については三種類それから高等学校については七種類でございますか、そういう種類でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/202
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203・受田新吉
○受田委員 その種類を明示していただきたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/203
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204・茨木廣
○茨木政府委員 小学校については教務主任と学年主任、中学校については教務主任、学年主任、生徒指導主事、高等学校については教務主任、学年主任、それから生徒指導主事、進路指導主事、学科主任、農場長、これに盲学校とか聾学校または養護学校等の場合に出てまいりますが、寮務主任でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/204
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205・受田新吉
○受田委員 そうしますと中小学校で教務主任、学年主任、それで生徒指導主事が中学校で入る。それは学校の大きさのいかんを問わずということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/205
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206・茨木廣
○茨木政府委員 その辺のところは両者で相談をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/206
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207・受田新吉
○受田委員 法律がもう通るという前提になれば、当然その話がついておらなければいかぬ。いま相談しよるというのは、非常にあいまいもこのうちにこの作業が進められておるとしか理解できないわけです。私は、文部大臣としてのお立場はよくわかります。この主任制度なるものが管理職の形でスタートすべきであるという文部省の事務当局の意図があったことを私ほのかに承っておるのでございますが、初中局長さん、文部省としては教務主任その他、これを教頭に続いてやがて中間管理職にしようという御意図をお持ちじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/207
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208・諸沢正道
○諸沢政府委員 その点につきましては、昨年の十二月に、この制度化に先立ちまして文部大臣が見解を表明いたしましたが、その中に、主任は中間管理職ではないということをはっきり言いました。そのための証拠といいますか、としては、この主任の仕事は連絡調整、指導、助言である、そして主任の職務は上司として職務命令を発することにあるのではないということを言うておるわけでありますから、われわれといたしましては、その趣旨を受けまして、ただいまの省令の改正をいたしたわけでありますので、これを中間管理職とする考えはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/208
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209・受田新吉
○受田委員 主任というものは、私ここへ用意しておりますが、もう列挙しませんけれども、県々によってもまたいろいろ違うのです。いろんな性格の主任が生まれておる。よく似たような形が皆主任という名称で生まれておる。高等学校の中に学科主任というのも出ている。学級主任というものも要請があっておる。こういうようなところにいきますと、一校の中で大体五割、六割が主任になってくるのです。これは大臣、主任はそうなりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/209
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210・永井道雄
○永井国務大臣 学校によりまして主任の数が非常に多いところがあるということは十分承知をいたしております。そこで、先ほど初中局長が申し上げましたように、全国調査をいたしたわけでございまして、そして全国調査をいたした結果、一〇%以上のもの、それから一〇%以下の普及率のものを区別いたしまして、さらに一〇%以上のものの中でも普及されていて重要であると考えられるものを選び出したわけでございます。その選び出したものが、人事院に対して手当を配慮していただきたいというものであると同時に制度化の対象になったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/210
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211・受田新吉
○受田委員 この主任という名称がつけられるのは、小さな学校で二学級ずつもあるとするならば、一学年の学年主任というのは二人に一人あるわけです。それに教科主任というものもあり、幾つもいま列挙されたような主任を入れると、七割、八割が主任になる。皆主任になるところもある。それだから余り主任が多過ぎるから整理して一〇%というような水準も一つ出す、こういうことになると、ごく限られた人だけが主任になる。教務主任はどこも皆入る。また学年主任も入ってきておる。小学校でも学年主任がいる。僻地の小さい学校なんというのは、むしろ教育の現実は非常に厳しいのです。地域社会の指導もしなければならぬ。そしてお医者さんがいないところは、養護の先生などは医師の代理もしなければいかぬ。地域社会のお年寄りが来ても、ちょっとおなかが痛いと言えば学校の腹薬でもちょっと出すとかいうことになると、大校の先生よりもそういう小校の先生に、むしろ対社会的な使命感等から言うと、社会教育、学校教育、家庭教育、一貫教育から言うと生涯教育の若き時代の教育というものは、これはもう地域社会ぐるみの教育ですよ。そうすると小校の主任の先生の使命は大校の先生の使命にまさるとも劣らない使命が生まれてくるわけです。そういう方々に手当を出さないで、大きな学校の主任に手当を出すというようなことになってくると、主任手当を出す趣旨が、どこかに管理的性格を持つ立場の人に限定されてくる。
〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長滑席〕
結果的には、中間管理職のようなにおいがずるような人だけが主任手当を受けるようになる。その主任手当をもらう人は、おれは銭をもらっておるんだから、ちょっと一枚上だぞ——それは大臣が、単なる連絡調整の任務に当たる人だから、その御苦労に対してという趣旨とは違った意味で、この銭が出ると認識が変わってくるんですね。これは学校の現場をよく知る者においてはよくわかるのです。
おととしの学校教育法の改正のときに、私は教頭の仕事というものの使命が対社会的にも重くなっているという意味で、むしろこの法案に修正案を出して、専任的立場でやって、そのかわり学校の先生は教頭の数だけ別枠で定数をふやしていく、教頭の受け持ちの子供が教頭の仕事をやる先生のために自習時間が多くなるのを防ぐ意味でも専任の先生が一人配置されれば、ほかの先生も助かるじゃないかという意味で、学校教育、社会教育、また親との家庭教育、子供、先生、父母、全部めでたしめでたしという意味でこれを提案しました。
ところがこの間御答弁を聞いても、五年がかりで五千弱の増員で、残りはこれから検討しますという御答弁で、余りにも遅々として進んでいないことを私指摘して、これは急ぎひとつ根本対策をしてくれろという、私が法案の提案者だけに責任を感じているから、要求をしました。それに対して大臣からも、御趣旨に沿うてできるだけ善処しますという御答弁をいただいたのですが、これは間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/211
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212・永井道雄
○永井国務大臣 間違いありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/212
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213・受田新吉
○受田委員 大臣は率直に受けとめてくださいました。この問題が解決しないところへさらにここにこれに準ずるような手当が出ることになると、これはまた問題が起こるということで、出すんなら手当をみんな出したらいいんじゃないか。主任という名前のつく人には五千円の予定された金額を、千円でも二千円でもいいから、少しの金額でもこれをみんなに与えるという方が、これは主任として執務する人に、御苦労さんですから勤務給として差し上げようという主任手当というものの性格からいって、いいのではないか。これは主任のうちの特定の主任だけが重くて、他の主任は軽いとは私は思いません。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/213
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214・永井道雄
○永井国務大臣 ただいま受田先生御指摘のように、主任はすべて大事でございますが、しかし実態を調べてみますと、一つの学校で三十種類ぐらいも主任がある。そういう場合には、やはりおのずから軽重もあるんじゃないか、これは常識的なことであろうかと思います。
そこで、先ほど教頭との対比において主任のお話が出たのでございますが、そういう軽重というものがある場合に、比較的重要であると考えられる主任、これを選び出しまして、そうしてその方に御労苦に報いる意味で手当を出すということはよろしいと思います。
ただ教頭と違いますのは、その調査をいたしましたときにわかったことでございますが、主任というのは、一度主任になったらもういつまでも主任をやっているというものではないようでございます。これは主任の種類によって多少違いがございますが、大体二年前後ということがわかりました。そこで、文部大臣の見解というのを昨年の十二月に発表いたしましたときにも、主任というのは今度ある種のものを選び出しますが、それにつく人はでき得る限り多くの人がかわり合ってなることが望ましいということを示したわけでございます。この点が教頭と違う点でございます。教頭は、教頭になられますと、かわり合ってなるということはないのですから。そしてまた私の記憶に誤りがなければ、一月に入りましてからの次官の通達でもそのことを繰り返しましたので、やはり軽重はあって、比較的重要な主任を制度化したわけでございまして、すべての先生方に千円というようなことではございませんが、しかしながら、ある種の重要な主任というものはやはりかわり合ってやっていく、単純な輪番制ではなくて、不向きな方もおありでしょうけれども、かわり合ってやっていくことによって、やはり全校がなるべく協力していくというような体制、そういうものをつくり上げていく主任並びにその手当を与える、そういうことを通達等においても明らかにしてまいったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/214
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215・受田新吉
○受田委員 それが、主任の限界が非常にむずかしいのです。ここまでが大事で比較的むずかしい、それから先は大事じゃないという、その限界はどうして示されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/215
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216・茨木廣
○茨木政府委員 ただいまのような問題が、一次改善のころから問題が出ておりまして、御指摘のとおりたくさんの主任がいることが一番中心問題であったわけでございます。
そこで、最終的にいろいろ文部省さんでも制度化に当たって吟味をされたわけでございますが、なおそういう議論が起こるだろうということで、私どもといたしましては、義務教育等教員特別手当というものは、一般の教員がいろいろな校務を担当していらっしゃる、その中にはいろいろな主任もいらっしゃる、それから各クラブの顧問もいらっしゃる、そういう者の担当している仕事を全部含めて、今回さらに従来四%程度であったものを六%程度に変えていきますというのを御提案申し上げておるわけです。
そこで、なおその中でも、組合側に聞きましても、たとえば教務主任のようなものでございますと、なるほどという感じがされるようでございますが、その次あたりからだんだん境がむずかしくなってくるという点はございます。それからまた、学校規模によってもいろいろその困難性も違ってまいります。そういうことがございますものですから、そこで、なるべく今度出します特効手当は恒久的なものでなくて、しかも金額もあまり張らない方がいいであろうというふうな考え方をしまして、片一方の底上げとそれからそちらの方の出し方と、両方が調和をした出し方をしてお願いをしておるというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/216
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217・受田新吉
○受田委員 いま大臣がおっしゃったように、主任というものは固定したものではない、みんなで輪番に回していく、二年程度でやめるようであるから適宜交代させていくのだ、こういう御趣旨でした。その御趣旨であれば、主任を一遍二年ほどやったら途中で転出——転入もあるが、大体一度は学年主任も経験させ、教務主任も経験させるというような形で公平な配置をするというのがぴしっとできるということであれば、それはそのポストというものは固定したものでなくて流動的なものである、そういうことなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/217
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218・永井道雄
○永井国務大臣 ローテーションとか輪番制ということはございますが、ローテーションとか輪番制という場合には自動的にぐるぐる回すわけです。自動的に回すのは、専門的に見て主任向きでない方もいらっしゃいますから、次官通達の中に書きました、それから私がその前に文部大臣の見解を発表しました中に書きましたことは、でき得る限り多くの人々が専門的な立場から見て参加をすることが望ましい、固定をしないでそういうふうにすることが望ましい、かように示しているわけでございます。ですから、先生がただいまおっしゃった輪番という意味が、自動的にただぐるぐる回すというのではなく、やはりでき得る限り専門性を生かしていくという意味であれば、私どもはそういう立場で臨んでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/218
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219・受田新吉
○受田委員 それが、そういう形で適宜——まあまれには非常に専門的であり勉強家であるが、主任として果たす業務のポストには適当でない人もありますよ。それはありますが、大筋として、それを多くの人に経験させるものであって固定したポストではない、この原則なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/219
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220・永井道雄
○永井国務大臣 その原則に間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/220
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221・受田新吉
○受田委員 その原則で、公平に、できるだけ多くの人に経験させるポストであって、そこへ固定しないということでございますから、ひとつそこはやはり校長とか教頭とかが教職員を見て——私も学校長を六年経験しております。大東亜戦争の前から戦後へかけて経験しておりまして、そのときに適当な皆さんに公平にそうした役割りを果たしてもらうような経験を持っておりますが、中には管理体制をしくかたくなな学校長もいらっしゃって、自分の気に入る者を教務主任にするというようなことになって、それがいつまでも教務主任で、あるいは学年主任でいくというようなことになってくると、大臣の趣旨とは違った結論が出るわけです。文部省はそれの指導が十分できるのかどうかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/221
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222・永井道雄
○永井国務大臣 それが私の一貫した方針でございますので、春先から、教育長会議それから教育委員長の会議、さらに小中校長の会議において、まさにいまの問題を繰り返して話しました。今後は、校長は単に管理という立場で臨んでは困るということで、教育指導という立場から学校を考えてほしい、これはそのときの講演もたくさん文書に残っておりますが、ほとんどすべての会合でそれを述べております。
それにこたえまして、いま全国小学校長会議では、校長は仕事の上でどういう仕事をしているかという調査をやっておられまして、やがてその結果が出てくるはずでございますが、この結果が出てまいりますと、やはり校長というのは、先ほどお言葉にございましたような、管理は尊重すべきでありますが、管理主義というような形で学校を動かしていくという方向でない方向に向かっていくことになりますようにいろいろな指導を重ねてまいったばかりでなく、校長会の方でもそういう方向を生み出すべくいま努力をしておられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/222
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223・受田新吉
○受田委員 今度のこの法律に裏づけされる問題としてすでに規定されているのは、人事院規則にある標準職務表、例の特一と一等級とを決める、特一は規模の大きい学校というようなところでこの標準職務表をつくっておるのですが、高校はリ、中小校はヌという規定ができておる。もう一つは、今度の法案の中にある教員の例の特殊勤務手出、これはすでにある給与法十三条に基づく特殊勤務手当の一環として考えていきたいということになると、人事院規則の九−三〇、特殊勤務手当の中の二十九にある教員特殊業務手当、部外活動のあるときの手当、そういうときは一日五時間以上やったときに五百円とかいうような金額を出す手当もあるようでございますが、五千円という手当は、これはやはりそれをもらう先生は主任であるから授業を少し少なくして他の先生に負担をかけるというような現象をさせないのかどうか、これをひとつはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/223
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224・永井道雄
○永井国務大臣 これも調べたわけでございますが、相当いま主任は授業を持っておられます。そこで、授業を教諭として持ち続けて、なおかつ主任の仕事をお願いする、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/224
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225・受田新吉
○受田委員 授業を持ち続ける、そうしたら主任であるがゆえに時間を減らしてほかの先生がその分を余分に負担するという現象はないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/225
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226・永井道雄
○永井国務大臣 そういう原則でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/226
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227・受田新吉
○受田委員 特殊勤務手当という性格にしたいということです。特殊勤務手当、勤務手当ということになると、その職務をやるときにもらって、それをやめたら切れるわけだが、五千円の基準は何から出たのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/227
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228・茨木廣
○茨木政府委員 その当時の一等級と二等級の水準差と申しますか、その差額の二分の一程度の額をめどに、それを基準にして日額を策定するという考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/228
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229・受田新吉
○受田委員 差額の二分の一とは何を根拠にされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/229
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230・茨木廣
○茨木政府委員 もう一つ、入り方といたしましては、先ほど触れました義務教育等特別手当の四%を六%経度の額になるように上げることを前提にお願いをしておるわけでございますが、それの大体二分の一程度をまためどにしたということで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/230
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231・受田新吉
○受田委員 ちょっと場当たり的な思いつきでやっておられるように思うのですが、やはり、こういう給与を決めるのには一つの基準というものが、すかっとしたものが要るわけです。
それで、私が非常に懸念しておるのは、人事院がこの作業をなさるわけだが、作業をなさるときに、はなはだあいまいもこな、四十億くらいを適当に一〇%程度で足していくとかいうような大づかみの計算でいく、そういうことになるので、この金額などというものについては、できるだけ多くの人に均てんするような形をとる方が——大臣、これは七割も八割も、ほとんどがもらうというようなことまでいかなくても、少なくとも大体四割から五割程度の人までいくような形にすれば、そこで一年後、二年後にはどの主任かにみんながかわっていけるということになり、全員に均てんしますよ。大臣は初め、そういうできるだけ多くの人に均てんさせたいという御趣旨だったのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/231
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232・永井道雄
○永井国務大臣 私は、均てんというのはお金の面だけでなくて仕事も均てん、さような考えでございます。
調査をいたしましたときに、わが国の学校の先生方、特に小学校段階はそうでございますが、婦人の先生方が多いのでございます。ところが、ともすれば婦人の先生方は軽視されております。ところが学級主任というようなものを調べますと五〇%を超えているわけですね。やはり婦人の先生方も尊重される、そうしてすべての先生が力を合わせて、金銭的な面でもあるいは仕事の上でも均てんする。ただ、これは一遍に全部五千円渡るというのじゃないでしょうが、かわり合うというような姿で協力的な態勢ができていく、こういうことを私は願ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/232
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233・受田新吉
○受田委員 特殊勤務をなさる人に五時間延びて五百円程度の手当を出しておるのですよ。それから見ると、いまみたいに五百円出しているのでしたら、十日分の手当が五千円で出るわけなんです。そういうことは金額的にも相当の待遇ということになってくるわけでありまして、いまできるだけ多くの者に均てんさせる作業中でありますが、どこまでを主任にして、どの主任までをやるか、あるいはできるだけ多くの者にやろうとすればどういう方法をとったらいいか、私は少し検討をする必要があると思って、昨年の秋もその点を主任制度については十分検討をして、手当を出すとするならば場当たりでやらないように、思いつきでやらないように、多くの人に経験させるという大臣の御趣旨を生かすようなかっこうで人事院が作業してもらえるのだと思っておったわけですが、非常に早く答えが出過ぎた、三月にはもう勧告が出ておる、大作業をされたと思うのです。
いままで、人事院の勧告は完全実施の線でわが党は終始してきたわけです。
〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕
したがって、人事院の機構を尊重し、人事院が他省の圧力に屈しないで、人事院本来の使命に基づいて国家公務員法の精神を生かす役所として伸びてもらいたい。ある省がこういう問題を出したらすぐ屈服する、この省がひっかけてきたら屈服する、そこでアンバランスができたらこの方から今度また上げてくれ、こういうのが出たらすぐ屈服するというのでは、人事院としては大変主体性を喪失して、なれ合い人事院ということになるわけなんです。
これは藤井先生、こういう各省からちょっと思いつき的に出たような問題で、かつて文部省からから東大と京大の総長を認証官にするという法案が出たことがあるのです。これは私が当時の佐藤先生に終始一貫してこれを拒否してもらいました。しかし、今度の場合は人確法という問題でありますので、この問題については人材確保という趣旨で人事院勧告に賛成したのですが、主任制度というものの制度の検討も大分できてない、それをどこで切るかということも十分検討ができないままにこの手当が出てきたというわけでございまするから、人事院はしばらくの間、ひとつ一年間ぐらいは検討期間を持って実施をおくらしていくということはできませんか。実施をおくらすことはできるはずですね。つまり、この主任手当の支給について、ある期間を調査に充てて実施をおくらすということができないものか。私は人事院の裁断でできると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/233
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234・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 人事院の任務、性格あるいはあり方等について御意見を賜り、また大変御鞭撻を受けましてありがとうございました。私たちといたしましては、そういう基本的な精神でもっていままでも仕事をしてきたつもりでございますし、今後ともそういうつもりでやってまいりたいというかたい決意を持っておることを申し上げておきたいと思います。
主任制度の問題については、いろいろこれを取り巻く問題があることは私自身もよく承知をいたしておるわけでございます。ただ、いろいろな経過はございましたけれども、文部省といたしましてもいろいろの過程を経た結果、これを省令化され制度化されたという現実の姿がございます。それ以後、各県の実情等についてもいろいろ動きがございましたが、私たちといたしましても、やはりそういう動きも見ながら今日まで慎重に検討してきたつもりでございます。
〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕
ただ、この問題につきましては、すでに勧告を申し上げておりまして、いま御審議をいただいております第三次勧告に基づく法律案の成否と絡む一貫した問題でございますので、すでに制度化され、その後、各県における推移も順次これが実行に移されておるという現実を踏まえます場合におきましては、やはりこれの制度的な一環といたしましてこれを取り上げて実施に移さざるを得ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
ただ、これの具体的なやり方等につきましては、もう法律がここまで来ておるのに態度が決まってないのはおかしいじゃないかという御議論がございましたけれども、しかし、手続上から申しますと、人事院の場合におきましては、最終的には人事院会議というものにかけまして正式に態度を決定するということに相なるわけでございます。それと、問題が問題でございまして、非常に重大でございますので、われわれとしては場当たり的なことになる、そういうそしりを受けないように慎重な態度をもってこれに対処していきたいために、最終段階に至るまで責任当局であります文部省とも十分連絡をとりまして、いまのお説のような点も十分配慮いたしまして善処をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/234
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235・受田新吉
○受田委員 文部大臣の約束の時間が一時間半と約束してあったのに、私が二十分に減らしたわけです。ただやはり初めの約束でもう一問、これで終わらしてもらいますが、大事な問題です。
そこで大臣、いま人事院総裁は、私の提案したことも含めて十分検討さしてもらいたいという御答弁があったわけですが、これは、大臣の御意図は私は非常によくわかる。あなたが、主任をみんなにできるだけ多く経験させて、一わたり主任を経験した者を漸次将来登用して教頭、校長にする。それからまた、教頭、校長にならないで、一般教諭としてりっぱな使命を果たす先生を一等級にするという、これもこの裏づけにあるわけですから、それの作業を早く進めなければならぬ。一等級にする先生の処遇を早く実行に移さなければいかぬ。そういうことはすぐにやらなければいかぬことですが、いま給与局長の茨木先生のお話を聞くと、手当をどこで切ったらいいかまだわからぬところがある、いまはっきりこうおっしゃっていたでしょう。そうすると、まだ作業は完了しておらぬですよ。そういうことになれば、この四十億の金の使い方についても、五千円を三千円なり四千円なりに減らす、もう少しふやすというような作業もできるし、それから、これは非常に問題があるから、実施期は、これは人事院としても文部省としても、主任手当の支給実施期は、いまのような作業未完了の現実において、法律が通っても、少し実施期を検討期間として置く余裕があってしかるべきだといま提案したわけです。そういうことについて、いま総裁が、それを含めて人事官会議で相談したいと言っておるのですが、大臣、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/235
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236・永井道雄
○永井国務大臣 この主任の手当について、最終的には人事官の会議で御決定になる、したがって、その手続というものを踏まないでこの段階で申すことはできないという人事院総裁の御見解は、まことに人事院の公正なお立場に立つものでございますから、当然私どもとしてはこれを尊重いたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/236
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237・受田新吉
○受田委員 質問終わり。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/237
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238・渡辺美智雄
○渡辺委員長 山原健二郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/238
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239・山原健二郎
○山原委員 文部省の方にお伺いしますが、新学校管理読本が本年の九月十日に改訂をされたと聞きますが、この中身はいままでと変わっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/239
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240・諸沢正道
○諸沢政府委員 新学校管理読本は文部省の地方課の職員の私的な研究団体の著作した書物でありますので、その内容全般について私自身が通読しておるわけではございませんけれども、聞きますところでは、その内容について最近一部訂正をしました、こういうことだそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/240
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241・山原健二郎
○山原委員 この主任制度の問題に当たって、昨年の年末に論議がありまして、文部大臣の方も、いままでのところでは主任は職命を出せる上司である、こういう見解であったのが、それが変わるということだったんですね。文部省の方針が今度変更された——これは私、いま手に入れたのですけれども、これは一部落丁でしょうかね、どなたか返事できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/241
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242・諸沢正道
○諸沢政府委員 ただいま見ますと、二百六十三ページから二百六十四ページにかけての文章のつながりが合っておりませんので、これは、聞きますと、印刷ミスのようでございます。しかしながら、内容にはかねて議論になっておりました点が含まれておりますので、この点につきましては、現在出版社の方と早急に差しかえを行うように話し合いを進めておる、こういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/242
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243・山原健二郎
○山原委員 そうしますと、ここの残っております、上司であり、職命を出せるという見解のところは、これはこの印刷の乱丁として訂正をするということですね。
ところで、いままでの主任に対する文部省の見解と、今度改めて変えようとしております、文部大臣の「主任等は、いわゆる中間管理職ではなく」この言葉はあるのですけれども、実は、新しい新学校管理読本の方が、より管理的性格が強くなっています。いままでの分は「学年主任とか、教務主任とかの職務内容は、法令で一般に定まっているものではなく、実情によって様々であるが、大ざっぱにいって、学年主任はある学年に関する仕事の取りまとめ、教務主任は教務に関する仕事の取りまとめを行なっているといってよいであろう。」これが文部省の見解として受け取られてきたわけです。ところが今回は「中間管理職ではなく」という言葉は入っておりますけれども、実はこうなっているのです。
主任等は、いわゆる中間管理職ではなく、その職務を遂行するに当たって必要があれば、校長又は教頭の指示を受けてこれを関係教職員に伝え、あるいは、その内容を円滑に実施するため必要な調整を行うものである。
これは明らかに職務命令伝達行為がこの主任の中に入ってきているわけです。これが第一点です。
ところで、この主任等の職務内容を具体的に記述すると次のようになる。
例えば、教務主任は、年度当初において、国語、社会、卸数、理科等の各教科や特別活動等の担当教員間の連絡調整をして教育活動の全分野にわたる年間教育計画の企画、立案を行ったり、年間の授業日数、授業時数等の教育活動の枠ともいうべきものの企画、立案を行う。また、同じく教員間の連絡調整をして、学期や月、週の全体教育計画の企画、立案を行う。さらに、個々の教員の教育計画の作成や教育の実施について指導、助言をしたり、学年の運営等について指導、助言を行う。
要するに、主任等は、教育指導のかなめともいうべき重要な役割を果たすのであるが、文部省令及び教育委員会規則によってその職務内容を一層明確にすることにより、その役割の充実が図られ、また、主任等もこのような責任のある立場に立ち、その専門的能力や指導力を十分に発揮することによって、学校の教育活動を一層活発にし、生き生きとしたものになることが期待されるのである。
こういう解釈になってくるわけですね。そうしますと、中間管理職ではないという言葉は入りましたけれども、実は、いままでより以上に、これは指導面における管理体制の職として、しかも重要な職として、しかも職命伝達の行為を握った者としての性格を持たされているわけでございますが、この点は、文部大臣が幾ら中間管理職ではないと言っても、いままでより以上に管理職的性格、特に指導面における管理体制の強化ということが明確に出ているわけです。ここのところに、いままで論議した中での欺瞞性があるのではないかというふうに私は考えているのですが、この点について簡明に文部大臣の見解を伺っておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/243
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244・永井道雄
○永井国務大臣 これは山原議員とも前に討議した点でございますが、主任それ自身から職務命令を発するということはない。上司として職務命令を出さない。しかし、校長がそれを出すという場合に、それを伝達するということはある。ただし、これは主任だけではなく、学校の他の先生方に対しても校長が職務命令を出しまして、そうして、それがほかの先生に伝達されるということはあるわけでございますから、そのことは明記されているわけでございます。ただ、主任自身が上司として職務命令をみずから発するということはない。
それから、以下お読みになりましたところは、これは教育活動というものを中心にいたしていきます上で、主任が指導、助言、連絡調整に当たってなすべき事柄が列記されているわけでありますから、私は私自身が示しました見解とただいまお読み上げになりましたところとに矛盾があるというふうには考えておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/244
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245・山原健二郎
○山原委員 この問題は、ここに主任手当というものをまた付加されてまいりますと、これは実質的に教育指導面における管理体制の強化ということになるわけです。実はその歯どめがないのですね。中間管理職ではないという言葉はあっても歯どめがなくて、実はもっと強化されたものとして、これからたとえば中堅教職員の講習会あるいは管理職の方たちの講習会にこれが文部省の方針として使われるわけですから、幾ら中間管理職ではないと言いましても、非常に重大な中身を持っている。私はこれをいま見たのです。なかなか手に入らなくて、いまここに手に入れて見て、これはいままでと違った中身が、もっと主任の性格をはっきりさせて、しかも職責の重要性まで書いているという点で、文部大臣の言われていることとこれは全く違うなということを感じておりますので、その点にこだわるわけにはいきませんが、その指摘だけ、私の危惧を申し上げておきたいと思うのです。
次に、人事院総裁に伺いたいのですが、何でも本日の質問の中で、法案が成立したら同時に規則を制定する、機は熟したというような言葉を使ったというのですが、そういうことを言っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/245
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246・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 この第三次勧告の内容といたしまして、一連の問題を勧告を申し上げ、また報告をいたしておる次第でございます。その中の勧告事項としては特別手当の問題がございますが、同時にその他についても、主任の問題あるいは部活動の問題等についても見解を述べておる次第でございまして、これは一連のものとしてわれわれは受けとめておる次第でございます。したがって、法律が幸いにして御承認いただくということで成立をいたしますれば、その時点において同時にそれらの点についても実施をするということで準備は進めておるということを申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/246
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247・山原健二郎
○山原委員 十月十五日、十日前でありますが、私の質問に対して人事院総裁は、教員団体の動向、国民の世論、全国の実施状況を見きわめてという言葉を使っておりますし「具体的な処理の仕方につきましては、関係当局の意向等を十分に配慮をしながら、われわれといたしましてもさらに慎重な判断をしてまいりたい」こう述べているわけです。それからわずか十日しかたっていませんが、すでに今日は機が熟したから直ちにやるのだという御答弁ですが、これは納得いきません。どうして私に対して十日前にこういう答弁をしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/247
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248・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 機が熟したという表現は使ったかどうか私も覚えておりませんですが、これら一連の問題は一つの総合的な対策の一環として打ち出しておるつもりでございます。したがいまして、先刻も申し上げましたように、最終的には人事院会議等でもってこれは確定を見るものでございます。したがって、私の個人的な、いまの段階でここでいつ出すとかいうようなことを申し上げることは、これはできない性格のものでございます。また、事柄が大変重要でございますので、従来からも主管官庁であります文部省当局とも十分連絡を事務的にはとって今日まで来ております。来ておりますが、なお、今後世論の動向なり文部当局の見解なり地方の御意向なり情勢なりというものは、無論最終的な判断をいたしまする際の参考資料としてこれは重視をしてまいることは申すまでもございませんという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/248
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249・山原健二郎
○山原委員 世論の動向には変化がありましたか。また全国的な実施状況に、あるいはこの十日間、あるいはこの一カ月と見ても変化があったのですか。慎重にやられるということはわかりました。いろいろ世論の動向を検討されるということはわかりましたから、その点は受け取っておきますよ。受け取っておきます。だから慎重にやられるということはよく私もわかりました。しかしながら、いままで、先ほど言われたその機が熟したという言葉を使ったかどうかわかりませんが、ともかく直ちにやるというような言葉もいまも言われているので、慎重にやると一遍言いながら、世論の動向を見ると言いながら、全国的な実施状況を見ると言いながら、一方では直ちにやるんだ、こんな矛盾したことをこの国会の答弁で言ったらだめですよ。慎重にやる、世論の動向を聞くというのは、会議にかけて形式的にやるということじゃないのです。これは国会の場で答弁をされておるのですからね。慎重にやられるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/249
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250・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 これは事柄が重要でございますから、あくまで事を決する場合におきましては慎重な考慮をしてまいるということは、これは当然のことでございます。ただ、従来、問題が問題でございますので、いろいろな資料も集め、また世論の動向あるいは関係各省の御意向等を十分聞きながら、いままでも検討を加えてまいったということでございまして、われわれといたしましてはそういう資料なり何なりの積み重ねというものは、これはございます。しかし最終的には人事院会議で決めることでございますので、そういう際に従来のそういう諸般の事情は十分検討をしながら慎重な態度で決定をいたしたい、かように申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/250
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251・山原健二郎
○山原委員 そこの答弁にごまかしがあるのですけれども、たとえば実施状況はどうですか。私どもの知っておるところでは、東京、神奈川、京都、大阪、沖繩さらには地教委段階でも北海道、兵庫とか、それから地教委段階で実施していないところもあるわけでして、この県数を言えば、都道府県で言えば五県とかなんとかいう数字が出てきますけれども、人事院総裁、御存じでしょうか、全教員の何%になりますか。それから全児童の何%の部分がまだ実施をしていないと把握をされているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/251
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252・茨木廣
○茨木政府委員 十月七日現在の調査で連絡をいただいたところでございますが、市町村の数で申し上げますと制度化率が八二%、それから教員総数で言いますと六四%、府県立学校、主として高等学校になりますが、それでいきますと制度化率が八九%というようなことになっておる。公立学校総体であらわすとそういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/252
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253・山原健二郎
○山原委員 これは教員数で実に三三・二%が実施をされていない県教育委員会に所属しているのです。これは小学校の場合ですね。それから中学校の場合で三一・六%が実施していないのですよ。それから生徒数にしますと、何と小学校で三五・七尾、それから中学校で三三%、そのほかに福岡、青森、宮城とかいうところで実施していないところもありますので、こういう状態ですね。だから情勢は変わっていないわけです。全く変わっていないのです。しかも三割以上のものが未実施の状態に置かれておるというのが今日の実施の状況ですね。これははっきりつかんでおいてくださいよ。それから国民世論の動向と言えば、これはこの数カ月の間に賛成に回った団体があるのですか。国民世論の動向は、たとえば日本教職員組合などを初めとして反対をしておられる。先ほど代償機関としての話がありましたけれども、反対しているわけです。そういう状態で、全然事態はいま動いていない。問題は、ここで教育の問題としてどう討論をしていくか、どう国民的なコンセンサス、合意をかち取っていくかが残されておるのであって、ここで強行するなどということは教育の立場から見て絶対に正しいことではないのです。こういう事態の中で強行するなどということを人事院総裁に要請することは、まさに教育の中に混乱を持ち込む以外の何物でもないわけです。その点は文部大臣として本当に考えていただきたいと私は思うのです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/253
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254・永井道雄
○永井国務大臣 ただいま人事院の方から御発表のありました数字のとおりでございますが、それはいろいろ話し合いを重ねてその数字に到達しているわけでございます。
ただ、御承知のとおり東京都などもその中に含まれておりますが、東京都の教育委員長は蝋山政道先生ですが、やはり主任制を実施したいという御意向でその任につかれて、今後とも仕事に当たられるという意思を表明されたのはごく最近でございまして、そうしたことを踏まえて人事院でも慎重に考えていただき、そして最終的には人事官の会議でお決めになるということでありますから、その御意向を尊重してこれが実施されることを私は期待している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/254
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255・山原健二郎
○山原委員 文部大臣も非常に重要な発言をされておるのですが、主任手当を実施していくことが、場合によっては現在制度化を見合わせておるところに対してまさに制度化の誘導をしていく、お金をぶら下げて誘導していくという状況すら生み出す可能性を持っているわけです。これはまさに教育行政の反動的誘導だと私は思うのですよ。だから、何々の教育委員が個人で賛成の方に向かっておるというような問題じゃなくて、そういった点を正確にとらえておかないといけないと思います。主任手当の実施を強行する、そして主任制度をつくらせていくように誘導していく、これこそが教育に対する行政制度の介入であります。そこのところが一番問題なのです。そういう今日の国民的な合意、多くの団体が反対しておる事態、そこで無理やりに強行すべきではない。これは私たちお互いに、きょうは内閣委員会ですけれども、文教委員会で教育のことを語っておるものとして、当然ここで強行すべきでないということを確認したいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/255
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256・永井道雄
○永井国務大臣 まず、金でつって制度を変えるということは非常に妥当でないと思います。したがいまして、制度を最初につくり上げていく、しかし、その制度は給与の問題と関連をいたしておりますから、人事院に対してお願いを申し上げる。制度の問題に踏み切ってからすでに約十カ月を経過いたしておりますから、その経過をごらんいただきましても、まず金の問題があり、次に制度があったという経過ではないことは御理解いただけると思います。
強行ということでございますが、これは現行の制度に基づきまして、人事院におかれていろいろいままでの経過も御調査になり、また文部省だけでなく他の団体の意見あるいは関係方面の意見も聴取されて、最終的には人事官の会議において御決定になる。これは現行の制度上強行というような考え方に立つものではないと私は理解いたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/256
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257・山原健二郎
○山原委員 強行という立場に立たないと言われても、反対をしておるあるいは危惧の念を持っておる多くの団体があるわけですね。日本の教育はこれからどうなるのだろうか、こんなことをみんなが合意をしないで無理にやってどうなるのだろうという父母たちの心配もあるわけです。あることは厳然としてあるわけですね。そういう状態ですから、その中で実行するということはその人々にとってはまさに強行なのです。そのことを一つ申し上げておきたいのです。
それともう一つ、私が不思議でかなわないのは、昨年の三月七日に「教員の給与改善について」という人事院に対する要望を文部大臣が出されているわけですが、主任手当をなぜ出さなければならぬかという理由はどこにもないのです。主任手当をなぜ出さなければならぬかという教育的な説得力も説明も理由も全くないのです。何のために出すのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/257
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258・永井道雄
○永井国務大臣 主任手当を出します理由は、主任は決して、たとえば上級教諭というふうに教諭に対して違う地位に立つものではなく、教諭としての仕事を続けてやっていかれる、さらに、いわばプラスアルファとしてある種の仕事をすることによって労苦があるというふうに考えられますから、それに対して手当を差し上げるということが妥当であろう、こういう考え方によりまして主任に手当というものが考えられるように要望した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/258
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259・山原健二郎
○山原委員 御苦労賃という意味でしょうかね。御苦労賃ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/259
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260・永井道雄
○永井国務大臣 御苦労賃という言葉の意味がどういう意味かちょっとわかりませんが、私が考えておりますのは、やはり自分の教諭としての仕事以上に労苦があるわけですから、その労苦に対する報酬というものはあってしかるべきもの、こういうことでございます。ですから、御苦労賃という表現がそれを意味するものであれば、さようなものであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/260
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261・山原健二郎
○山原委員 これは主任手当というものですからね。
いままで文部大臣はどういうことを言っておられるかといいますと、人事院に出された要望の中では「教務主任、児童生徒指導主任、学年主任等の職務を担当する教員に対しては、その職務と責任にふさわしい処遇を確保する必要がある」という出し方ですね。私はこれを読みまして「職務と責任にふさわしい処遇」これは単なる御苦労賃じゃない、これは明らかに職制あるいは関係教員にとって上司的な考え方でこの要望書が出されておるというふうに思うのです。ところが、そのほかに主任手当が必要だということはどこにもないのです。いま言われた御苦労賃といいますか、御苦労だから差し上げるのだという、そんな単純なことがぽんと出てくるだけであって、全く理にかなった理由というものはないのですよ。
しかも文部大臣は、昨年の十二月六日に、文部大臣見解として「調和のとれた学校運営について」の中でも「第三次給与改善を行うに当たって、目標とするところは、「調和のとれた学校運営」の言につきる。」と言っています。この中でも、なぜ主任手当を出す必要があるか、一言も出ていません。
同じく五十年の十二月二十五日に「主任の制度化に当たって」という補足見解を文部大臣は出されていますが「第三次給与改善は人確法の趣旨に基づき、まず全教員の給与の改善をめざすべきだとする間があるが、同感である。」と言っています。そして「第三次の給与改善については(1)全教員の給与の改善、」云々とあって、「(3)主任や部活動の促進と助言指導に当たる者の待遇改善を考えている。」と書かれているだけでございまして、教職員などの批判や反対を押し切ってまで主任手当をなぜ出さなければならないかという説明にはなっておりません。だから、ここの一番肝心なところ、教育行政の立場で、いろいろな反対があろうとも、なぜ主任手当をやらなければならぬのかという、この理由がないわけです。御苦労だから出すのですなどということは、少なくとも教育行政的な立場での発想ではないと私は思うのです。だから、この肝心のところがどういう理由か明確にしてもらいたいのです。ここのところ、もう一回お尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/261
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262・永井道雄
○永井国務大臣 第三次給与改善に伴っての四つの柱というのは、その十二月六日の見解のときにあわせて発表しているわけでございます。したがいまして、給与改善ということでございますから、当然給与の改善に当たって考えるべきことの一つとして四つの中に主任を含めたわけでございます。そして、それではなぜ給与を改善するかというところにさかのぼらなければいけないことに相なって、それは恐らくそのうちの第一でございます全体の先生方の給与を上げるというところまで説明しなければならないと思いますが、もちろん、教員は給与だけが目当てで人材が集まったり仕事をするわけではございませんでしょうけれども、しかし教員の仕事というものの重要性を考えますときに、人材確保法というものができて、待遇の上での改善が行われるべきである、それがまず第一の理由であったかと思います。そこに主任を含めたわけでございまして、その理由というのは、いま申し上げましたように、他の先生方と同じように教員として日常の仕事をなさるわけでございますが、さらに、それにプラスアルファとして主任という教育活動上きわめて重要な仕事をされるわけでございますから、その方に手当を出すということでございまして、そのほかに特別なる理由があるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/262
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263・山原健二郎
○山原委員 御苦労であるから、教務主任、児童生徒指導主任、学年主任というこれが昨年の三月の七日に出ているわけですね。何でそんなものが選ばれたのですか。御苦労であるならば、御苦労な仕事、プラスアルファの仕事というのは、精密に調査をして、各学校におけるいろいろな実態も調べてそれができることだろうと思うのですけれども、そういうことなしに、三月七日の段階で主任手当はずばり出てきておるのです。それまで主任手当の問題は全く話はされていない。人材確保法のときには、主任手当のごときものをやったらだめだという、五段階給与体制はとらないという附帯決議、これは国会、院の議決ですね。そういう議決があって否定されておるものが、何で三月七日ぽっと出てきたのですか。しかも三つの項目をなぜ選んだのですか。しかも、いま文部大臣が言われたことを裏づけするように、この管理読本の中にはもうちゃんといままでよりもはるかにその職務を明確にして、明確にしたばかりか、さらに重要な職制としての任務を規定づけているじゃありませんか。だから、そういう点で文部大臣の一言われることを私は少なくとも納得しません。
そこで、文部大臣はいままでどういうふうに言われてきたかといいますと、調和のとれた運営の中で、きしみがある、学校が暗くなることが多かったと言われているわけであります。そして、このきしみや暗くなるということに対して反省をしなければならぬというのがあなたの主張です。ところが、まさにこの主任手当というものは、特定の、たとえば教務主任とか学年主任とかというものの選択を文部省が勝手にしまして、それに対して手当を支給していくということが、このきしみや暗さをなくする要因になるのか。そうではなくて、現在の学校現場の実態からするならば、それこそまさに一層きしみと暗さを学校の現場の中に送り込むものではないのか、これがまじめに教育を考える父母や教師の危惧するところでございます。この点について文部大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/263
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264・永井道雄
○永井国務大臣 主任の問題が出てまいります前に、教頭あるいは校長というものを管理職としていわば制度化された事実がございます。しかし、考えますのに、この管理という言葉の意味合いについて、実はいろいろ不明瞭な点がございますが、一般に広く用いられてき始めましたことは、校長や教頭というのはいわば法令ないしは規則などに基づいて学校を運営する最終的責任を負うという側面が非常に強く出まして、教育者のベテランとしてその仕事をやっていかれるという側面がそれほど論じられなかったのではないかと思うわけでございます。それに伴いまして、主任の話も前から進んでおりましたが、どうも主任は中間管理職ではないか、つまり教育活動ということよりも、校長、教頭に次いで、どちらかというといわゆる管理をやるのではなかろうかという考えがあったわけでございます。
そこで、そういう状況では学校の中にいわば管理主義的な色彩というものが非常に強くなります。また、それに反対する人というのも当然出てまいりましょうから、この主任というものを明確に定義づける。そして明確に定義づけますと、これが管理ではなくて、やはり教育活動でやっているということが実態においては大勢を占めている。しかしながら、本年の春の日教組の大津の大会のときの討論を読みましても、どうも主任も管理職的にやっている、そういうところがあるという議論があったようでございます。それではせっかくの、学校の中で管理ということよりもむしろ教育指導という方に重きを置いていかなければいけないという勢いが非常に弱まってしまいます。したがいまして私は、十二月の初めの見解におきまして、主任は管理職ではなくて教育指導を行うのだ——それ以下の発展があって今日に至っているわけでございますから、これはきしみをふやすためかというお尋ねでございますが、全くそうではなく、むしろこの主任というものの性格を御理解いただき、また、今日までもそうでございますが、現場における主任の活動が一層教育指導また連絡調整の方向に置かれますならばむしろきしみが減ってまいりまして、学校教育の中で教育活動というものが本当に中心的な問題として浮かび上がってくる、私はかように考えて今日まで進んでまいっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/264
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265・山原健二郎
○山原委員 中間管理職ではないというのがいつから出てきたかというと、去年の年末ごろであります。その前に、その年の三月七日にあなたの方が人事院総裁に対して出されておる要望は、職務と責任にふさわしい処遇。しかもその主任の問題について国会で討論をされておる中で、文部省の見解としては、主任は管理職であるという見解まで出てきておるのです。そして十一月、十二月の段階で、あなたの方から中間管理職ではない、こう言ってきておるわけですね。だから昨年三月七日の人事院に対する文部大臣としての要望が変化しておるとするならば、三月七日の要望に基づいて人事院総裁はいま規則を出そうとしておるのですから、昨年三月七日の人事院に対する要望は撤回をすべきである、私はこう思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/265
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266・永井道雄
○永井国務大臣 昨年三月七日の要望は、規定の整備と相まって御配慮願いたいということでございます。そしてそれ以後、私は、国会の場におきましてもどの場におきましても、一度として主任は中間管理職でございますと申したことはございません。しかしながら、私がたださように考えるということで国会で述べるだけでは実態に即した行政というものを行うことができませんから、したがいまして、他方において調査もいたしましたし、また教育委員会や教育長協議会等の御意見も承った結果、やはり私が中間管理職と考えてこなかったことの方が実態に合っておる、かように考えましたから、十二月の初めにそのことを明らかにいたしたわけでございます。三月七日のは規定の整備と相まってということで、その規定の整備を非常に明確な姿で打ち出しました第一歩が十二月六日でございますから、人事院との関係について申しますと、その間人事院は規定の整備を待っておられたわけでございまして、三月七日の約束は、もしも文部省が規定の整備をしないのならばこれは別問題、十二月以降に起こりましたのは中間管理職でないという、私は従来からそういう考えを持っておりましたが、その点を調査あるいは意見の聴取等に基づいて整備をいたしまして、今回は人事院はそれにこたえて案を御提出になったわけであって、三月七日の「規定の整備と相まって」という、それを直ちに受けたのではなく、規定が整備されたから考えるというふうな形で進んでまいったものと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/266
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267・山原健二郎
○山原委員 その付近はいろいろ言い方もあると思いますけれども、文部省内部の意思の統一もなかったわけですよ。昨年の十一月、十二月に私が質問したときにも、主任は職命を出せるし上司であるという見解が出されました。それから今度はその手直しが行われた。そして一月に入ると、助け合い教育という問題が出てくるわけですね。だから、昨年の三月七日から昨年の十一月にかけての長期間にわたっての文部省の、もし仮に中間管理職ではないということを部大臣が考えておるとするならば、それが表面に出ていないで、もしあるとするならば、文部省内部の意思の不統一ということ以外の何物でもないわけで、しかも、文部省の見解としては中間管理職的な考え方を持っておられたわけですからね。だから私は、三月七日の要望の中の職務と責任にふさわしい処遇ということを中教審の言葉にかえてみますと、中教審はこう書いています。「管理指導上の責任に対応するじゅうぶんな給与が受けられるように給与体系を改めること」まさにこの中央教育審議会の答申の中身と三月七日の人事院に対する文部大臣要望というのはぴたっと合っているわけです。これが経過から見ましても正確な分析だろうと私は思っているわけでございます。
そういう問題を含めながら、いままさに最終段階を迎えようとしているわけですが、最後に私は文部大臣に対しまして、いま事態はそう変化しておりません。国民の世論も、また関係する教職員団体の反対の声も弱まっているわけではありません。その間の話し合いというものも前進しているわけではありません。そういう点から考えますと、ここで無理やりに文部省の見解を押し通そうとすることは、文部大臣が言葉では言ってきた協調の問題、「調和のとれた学校運営」という問題とは全く逆な形で学校の中に混乱を起こす。また人事院にとってみるならば、労働基本権の剥奪の代償機関としてつくられた人事院の性格の放棄でもあるというふうに、幾つかの面から考えましても大変無理なのです。その無理を押し通そうとするならば、日本の教育に重大な禍根を残すと私は思います。この点はどうしても文部大臣に認識をしていただきたいのです。日本の教育の前進にとって重大な禍根を残す。いままで、たとえば勤務評定とか、いろいろ正面からぶつかって、それこそがきしみであり、暗くなった原因であると文部大臣は言われてきたわけです。形は変わっていますけれども、しかしこれだけの反対を、しかも関係者の反対まで納得させられないでここで強行するということは、必ず日本の教育の将来に重大な禍根を残すということを私は指摘をいたしたいのであります。したがって、この人事院のいま考えておられるであろう規則の改定は中止すべきである。同時に、文部省は省令の撤回をすべきであると私は考えております。私は、日本の教育の将来のために、このことを皆さん方に提起したいのです。心から注意したいのです。そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/267
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268・渡辺美智雄
○渡辺委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/268
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269・渡辺美智雄
○渡辺委員長 ただいま委員長の手元に、木野晴夫君から、本案に対する修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。木野晴夫君。
—————————————
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/269
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270・木野晴夫
○木野委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
案文は、お手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その趣旨を申し上げますと、原案のうち、昭和五十一年四月一日から施行することにしている部分については、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日から施行し、育児休業給については本年四月一日から適用することに改めようとするものであります。
よろしく御賛成をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/270
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271・渡辺美智雄
○渡辺委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/271
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272・渡辺美智雄
○渡辺委員長 この際、ただいま議題となっております内閣提出、第七十七回国会閣法第四八号、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案並びに同案に対する修正案に、去る二十一日質疑を終了いたしております一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の各案をあわせて一括議題といたします。
これより、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及び内閣提出、第七十七回国会閣法第四八号、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案並びに同案に対する修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。中路雅弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/272
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273・中路雅弘
○中路委員 ただいまの四法案について、それぞれ簡潔に見解を述べて、態度を表明したいと思います。
第一番目の一般職給与法案は、物価上昇率をもはるかに下回る低い改善率に加えて、期末勤勉手当を年間〇・二カ月減額するなど、公務員労働者に実質賃金の低下、生活水準の切り下げを強いる不満足なものであります。しかし、このような問題点はありますが、法案自体は公務員労働者の要求を一定程度反映した改良法案でありますので、賛成であります。
第二番目の特別職給与法案につきまして、特に内閣総理大臣や国務大臣等の俸給は、一般職に準じた改善と称しながら、その改善率は一般職平均改善率の二倍前後、額では十倍から二十倍にも達する手厚い改善を加えています。こうした大幅な改善は、民間の賃金水準や国民の生活実態から見て緊急性も必要性もありません。これでは国民的合意を得ることができないというだけではなくて、お手盛りのそしりも免れないと思います。したがって、本法案には反対であります。
三番目の防衛庁職員給与法案は、昨年のような特別の優遇策は含まれておらず、一般職に準じた改善を図っているものであります。一般隊員あるいは家族の現実の生活防衛という観点から見た場合に、それ自体反対はいたしませんが、憲法違反の自衛隊の隊員の給与改善について単純に賛成することはできません。したがって、本法案には一昨年と同様棄権の態度をとることにいたします。
最後の、本日質疑が行われました、七十七国会から継続の一般職給与法案は、人材確保法に基づく昨年の第二次教員給与改善で新設された教員特別手当の引き上げと女子公務員に対して新たに育児休業金を支給することを内容にする改善法案であり、法案それ自体としては本来賛成のものでありますが、しかし、政府、人事院が今回の第三次教員給与改善において、本法案と制度的に全く無関係な主任手当導入の人事院規則の改正方針を政治的に連動させて、規則改正を強行しようとしています。この主任手当は民主教育を破壊する主任制度を給与面から裏打ちし、中教審が目指した五段階給与、差別給与体系を事実上実現しようとするものであり、断じて容認することはできません。
わが党は、政府、人事院のこうした不当性を糾弾し、主任手当導入の中止と主任制度化の撤回を繰り返し要請してまいりましたが、政府、人事院はその企図を撤回しようとしていません。政府、人事院がこうした態度をとっているもとにおいて本法案に賛成することは、一方な主任手当導入に新たな口実を与えることになります。政府、人事院に再考を促す意味を含めて棄権の態度をとることといたします。
以上で討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/273
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274・渡辺美智雄
○渡辺委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/274
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275・受田新吉
○受田委員 私は、民社党を代表して、今国会に提出されました給与三法案、一般職、特別職そして防衛庁職員の給与改善につきましては、これに賛意を表します。同時に、前国会から継続になっております一般職の職員の給与法の改正につきまして一言申し上げます。
この法案につきましては、法律そのものに盛られたこの原則はわれわれ一応賛意を表します。ただ、この法案に盛られない、裏づけとしての人事院規則にゆだねられたいわゆる主任手当なるこの規定は、私自身この問題につきまして文教並びに当委員会でしばしば質問を繰り返したのでありまするし、また昨年来、主任制度につきましては、その手当を含む問題として十分検討期間を置くべきであると提案をいたしました。ところが、大急ぎで出された人事院勧告を拝見しますると、その主任の範囲、そういうものにつきましてきわめてあいまいもことしておる。特に教科主任のごときは、各学校とも非常にウエートの高いものでありまして、その点数を決める責任は教科主任にあるような、そういう使命の重い主任、また同和教育主任のごとく対外的には大変な苦労の多い仕事をしておる、そういう主任というものについての配慮が欠けておりまして、そこにごく限られた一部の主任だけが採択されておる。検討が十分されていない。このことは現場におきまして、主任制度そのものについてはわれわれはこれを肯定しておる、そしてその主任がそれぞれの職務で精励しておる、そういう立場を十分考えていけば、手当などなくても実績は上がるはずなんでございます。検討が十分できずして、ある限られた主任だけを人事院が採択しようとしておるし、また文部省もそれにこだわり過ぎていらっしゃる。主任というものに対しては公平な手当を支給するという立場をわれわれは考えておるのでございまするが、ここに検討不十分で一部の主任だけが採択されて、かつ、これが規則として人事院から近く、文部省の強い圧力で出されようとしておるということについては大変残念です。
かつて教頭職に対する専任的な修正案まで出して、私たち学校のある意味の管理体制の強化と同時に、またこれにかわる、教頭の数ほど一般の教員をふやすべきであるという教員定数の是正を提案しておるのでございますが、その是正は遅々として進んでいない。そういう先行すべき問題が片づかないままで主任制度を手当化することについて、急ぎこれを強行されようということに対しまして、遺憾ながら反対をせざるを得ません。
教育の本当の運営というものにつきまして、文部省はいたずらに管理的性格の強化でなくして、もっと教職員がそれぞれの職場で楽しくそして教育効果を上げるように奮励努力することを期待する立場から、拙速に基づくこの部分の提案に対して反対、したがってこの基本的な法律案にも反対という態度をやむなくとりました。
以上、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/275
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276・渡辺美智雄
○渡辺委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/276
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277・渡辺美智雄
○渡辺委員長 これより採決に入ります。
まず、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/277
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278・渡辺美智雄
○渡辺委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、特別職の職員の給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/278
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279・渡辺美智雄
○渡辺委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/279
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280・渡辺美智雄
○渡辺委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、第七十七回国会閣法第四八号、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案並びに同案に対する修正案について採決をいたします。
まず、木野晴夫君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/280
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281・渡辺美智雄
○渡辺委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
ただいまの修正部分を除く原案について採決をいたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/281
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282・渡辺美智雄
○渡辺委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/282
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283・渡辺美智雄
○渡辺委員長 ただいま可決いたしました各案中、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対し、木野晴夫君外四名から、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の各派共同をもって、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。木野晴夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/283
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284・木野晴夫
○木野委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第五号)に対する附帯決議(案)
一 公務員の給与決定は、人事院勧告をもととする法定主議によるものとされている。これは民間給与の決定方法と異なる公務員給与制度の特殊性である。
政府並びに人事院は、このような公務員給与制度の特殊性にかんがみ、今回の特別給の改定については、民間の動向を考慮し、可及的速やかに従前の月数に回復するよう努力すべきである。
二 政府並びに人事院は、給与の早期支給を含め、支給手続の改善について引き続き検討すべきである。
三 政府並びに人事院は、週休二日制については、試行終了後本格実施について速やかに所要の検討を進めるべきである。
右決議する。
本附帯決議案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑を通じまして、すでに明らかになっておることと存じます。
よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/284
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285・渡辺美智雄
○渡辺委員長 本動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/285
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286・渡辺美智雄
○渡辺委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、西村総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。西村総理府総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/286
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287・西村尚治
○西村国務大臣 長時間にわたりまして熱心に御審議賜りまして、ありがとうございました。
ただいまの附帯決議につきましては、政府として今後とも努力し、検討を続けてまいりたいと存じます。
以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/287
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288・渡辺美智雄
○渡辺委員長 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/288
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289・渡辺美智雄
○渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/289
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290・渡辺美智雄
○渡辺委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107804889X00519761026/290
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