1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十一年十一月四日(木曜日)
午後八時八分開議
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○議事日程 第十号
昭和五十一年十一月四日
午前十時開議
第一 公衆電気通信法の一部を改正する法律案
(第七十七回国会内閣提出、第七十八回国会
衆議院送付)
第二 一般職の職員の給与に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第三 特別職の職員の給与に関する法律及び沖
繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨
時措置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第四 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
第五 LPガス事業者の営業と生活の安定に関
する請願
第六 産炭地田川市郡の振興策と緊急施策に関
する請願
第七 家庭用燈油並びに液化石油ガスの安定供
給と価格抑制に関する請願
第八 重度戦傷病者と家族の援護に関する請願
(十四件)
第九 個人雇用社会にある看護婦、家政婦に対
する労働保険適用措置等に関する請願(四十
件)
第一〇 市町村社会福祉協議会の充実強化に関
する請願
第一一 就学勤労青少年の就学時間の確保に関
する請願
第一二 炭鉱離職者緊急就労対策事業及び産炭
地域開発就労事業の昭和五十二年度以降の存
続等に関する請願(三十件)
第一三 失対事業就労者に支払われる賃金及び
臨時の賃金と就職仕度金の増額に関する請願
第一四 日雇健康保険への任意継続制導入に関
する請願
第一五 国民健康保険組合に対する国民健康保
険法一部改正による療養給付費補助金の定率
引上げ等に関する請願(五十四件)
第一六 成人病予防の法制化に関する請願(二
件)
第一七 難病対策の促進に関する請願
第一八 国民健康保険の抜本的改善に関する請
願(五件)
第一九 大腿四頭筋短縮症「患者」の救済に関す
る請願(二百二十六件)
第二〇 母性保護の強化に関する請願
第二一 准看護婦制度廃止等に関する請願
第二二 脳卒中対策強化に関する請願(二件)
第二三 中小商工業者の老後の保障に関する請
願
第二四 業者婦人の健康管理に関する請願
第二五 業者婦人の母性保護に関する請願
第二六 商工業者に対する社会保障制度の確立
に関する請願
第二七 業者の子どもが安心して育つため保育
所の入所基準の改善に関する請願
第二八 民間山林労働者の振動病に対する早期
発見と治療体制の確立に関する請願
第二九 国民健康保険事業の健全化に関する請
願
第三〇 市町村社会福祉協議会の法制化並びに
拡充強化に関する請願
第三一 保育対策の強化に関する請願
第三二 生活保護の年末手当大幅増額及び夏期
一時金制度の新設に関する請願
第三三 准看護婦養成制度廃止、看護制度一本
化に関する請願(二件)
第三四 成人病予防法の法制化に関する請願
第三五 老人医療の有料化反対に関する請願
(二件)
第三六 医療保険の大改悪反対等に関する請願
(二十件)
第三七 保育所の父母負担軽減に関する請願
(五件)
第三八 老人医療費の有料化反対、現行制度の
改善に関する請願(二十件)
第三九 公衆浴場の確保に関する請願(二件)
第四〇 救急・緊急医療の確保に関する請願
(二件)
第四一 予防接種の円滑な実施に関する請願
第四二 社会保険診療報酬引上げに関する請願
第四三 保育行政充実に関する請願
第四四 老人医療の有料化反対等に関する請願
第四五 医療保険改悪反対に関する請願(二
件)
第四六 医療保険の抜本改悪反対等に関する請
願(三件)
第四七 林業労働者の振動病絶滅に関する請願
第四八 業者婦人の健康と母性の保護に関する
請願(二十一件)
第四九 障害者(児)の生活の保障に関する請
願(九件)
第五〇 失業対策事業に関する請願
第五一 大腿四頭筋短縮症「患者」救済に関す
る請願
第五二 身体障害者対策に関する請願
第五三 身体障害者の在宅雇用制度確立に関す
る請願
第五四 救急、休日・夜間医療体制の確立に関
する請願
第五五 私立保育園保母の待遇改善に関する請
願
第五六 働く婦人の権利拡充等に関する請願
(六件)
第五七 完全週休二日制の法制化に関する請願
(二件)
第五八 難病対策特別措置法制定に関する請願
第五九 肉用牛売却所得免税措置の延長に関す
る請願
第六〇 企業組合に対する課税の適正化に関す
る請願
第六一 東京都の第二学区内にある教育大学農
学部等の筑波移転跡地に高校の増設に関する
請願(二十五件)
第六二 配合飼料製造原料としての甘薯の輸入
関税の全額免税に関する請願
第六三 公立高校用地確保のため国有地の優先
払下げ等に関する請願(二件)
第六四 農畜産物、水産加工業等の公害防止施
設整備のための融資制度の拡充等に関する請
願
第六五 鹿児島湾の水銀汚染対策に関する請願
第六六 一般国道十九号の改築に関する請願
(二件)
第六七 がけ地近接危険住宅移転事業及び急傾
斜地崩壊対策事業の抜本的事業推進に関する
請願
第六八 宮津バイパス新設工事促進に関する請
願
第六九 国道一七三号線早期改築に関する請願
第七〇 由良川の改修促進等に関する請願
第七一 由良川改修促進と予算の増額に関する
請願
第七二 由良川の改修促進と予算増額に関する
請願
第七三 国道九号線バイパスの早期完成に関す
る請願
第七四 由良川改修促進に関する請願
第七五 急傾斜地崩壊危険区域の指定に関する
請願
第七六 急傾斜地崩壊危険区域の防災工事促進
に関する請願
第七七 京都府三和町地内の国道九号線に自転
車通学道の設置に関する請願
第七八 日中平和友好条約締結促進に関する請
願(三件)
第七九 大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の
自主的平和統一促進に関する請願
第八〇 地方財政の抜本的改善に関する請願
第八一 地方団体金融公庫(仮称)の創設に関
する請願(二件)
第八二 自治体病院の財政健全化に関する請願
第八三 ロッキード事件の徹底的な糾明に関す
る請願(二件)
第八四 ロッキード事件の真相の徹底的な糾明
に関する請願(二十三件)
第八五 ロッキード汚職の徹底究明に関する請
願
第八六 ロッキード真相の徹底究明に関する請
願(二十件)
第八七 災害緊急医療救護活動の費用の保障に
関する請願
第八八 リンゴ腐乱病の防除対策に関する請願
第八九 外麦輸入の削減に関する請願(百三十
一件)
第九〇 松くい虫防除及び被害跡地造林に関す
る特別法制定に関する請願
第九一 日本国とアメリカ合衆国との間の相互
協力及び安全保障条約に基づき日本国にある
アメリカ合衆国の軍隊の水面使用に伴う漁船
の操業制限等に関する法律による佐世保海軍
施設水域の制限緩和に関する請願(二件)
第九二 異常気象等による稲作被害対策に関す
る請願
第九三 間伐事業の促進対策に関する請願
第九四 冷害による被災農家の自家飯米の確保
に関する請願
第九五 北海道の霜害に対する緊急対策に関す
る請願
第九六 農作物の冷害対策に関する請願(二
件)
第九七 みかん対策の強化に関する請願
第九八 団体営土地改良事業に対する予算わく
の拡大等に関する請願
第九九 希望するすべての子どもに行き届いた
高校教育の保障に関する請願(五十六件)
第一〇〇 国立能楽堂早期設立に関する請願
(十一件)
第一〇一 病虚弱養護学校の校地取得等に関す
る請願(二件)
第一〇二 生命育成技術教育(栽培・飼育)の
振興に関する請願
第一〇三 公立高校建設に対する国庫補助制度
確立等に関する請願(二百二十八件)
第一〇四 私立高等学校等の施設・設備の改善
と学費のすえ置に関する請願(四件)
第一〇五 公立高校新増設への国庫補助増額及
び私立高校生の父母負担軽減のための国庫補
助の増額に関する請願
第一〇六 養護学校義務制に伴う施策の推進に
関する請願(二件)
第一〇七 義務教育諸学校の建設に必要な事業
費の超過負担の解消等に関する請願
第一〇八 障害者(児)の教育の保障に関する
請願(九件)
第一〇九 高校建設予算の増額に関する請願
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一より第四まで
一、郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
一、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所
に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
一、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部
を改正する法律案(第七十七回国会内閣提
出、第七十八回国会衆議院送付)
一、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
一、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
一、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一
部を改正する法律案(衆議院提出)
一、日程第五より第一〇九までの請願及び地方
議会議員の半数改選制反対に関する請願外九
十四件の請願
一、委員会の審査及び調査を閉会中も継続する
の件
一、議員辞職の件
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/0
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001・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
日程第一 公衆電気通信法の一部を改正する法律案(第七十七回国会内閣提出、第七十八回国会衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長森勝治君。
〔森勝治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/1
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002・森勝治
○森勝治君 ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本法案につきましては、さきに本会議において趣旨説明を聴取しておりますので、簡単にその骨子を申し上げますと、日本電信電話公社の経営状況にかんがみ、その財政的基盤の確立を図るため、通常電報料を二倍に、加入電話の基本料を二倍に、電話の度数料を現行の七円から十円に、電話架設の際の設備料を単独電話については現行の五万円から八万円に、それぞれ引き上げようとする料金改定を行うことを主なる内容とするものでありまして、公布の日の翌日から施行することとしておりますが、基本料については二年度間にわたって段階的に引き上げることなどの経過措置を設けることとしております。
逓信委員会におきましては、この法律案の重要性にかんがみ、きわめて慎重な審議が行われ、料金決定原則の明確化、経営委員会のあり方、国民各層の意見を吸収し経営に反映させる方策、福祉型料金を初めとする料金体系上の諸問題、設備料の性格とその会計処理のあり方、現行の定率法による減価償却の是非、市外通話料の距離別格差の是正、福祉電話及び過疎地域への電話普及施策などについて質疑を重ねたほか、公聴会を開催して六名の公述人から意見を聴取するとともに、福岡市においても、いわゆる地方公聴会を開催して有識者等の意見を聴取し、また物価等対策特別委員会との連合審査会を開会し、さらに横浜市及び川崎市における関係施設の現地視察を行いました。
この間、郵政省及び電電公社はもとより、行管、経企、国土、大蔵、厚生、農林、通産、労働、自治の各省庁及び会計検査院当局に対し質疑を行い、特に最終段階においては三木総理の出席を求め、審査の万全を期したのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終え、討論に入りましたところ、日本社会党の森中委員より反対、自由民主党の原委員より賛成、公明党の藤原委員、日本共産党の山中委員、民社党の木島委員より、それぞれ反対する旨の発言があり、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、委員会は、電信電話サービスのあり方、料金制度などの基本問題について検討してその結論を得るため、公社総裁の私的諮問機関を設置することなど七項目にわたる附帯決議を付しております。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/2
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003・河野謙三
○議長(河野謙三君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。森中守義君。
〔森中守義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/3
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004・森中守義
○森中守義君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいまの議題について反対の討論を行うものであります。
本改正案が提出されるや、世論の厳しい批判が集中いたしまして、これは当然のことと言わねばなりません。インフレと不況によって国民生活が脅威にさらされ、加えて三木内閣による矢継ぎ早な公共料金の大型連続値上げによって、深刻そのものの打撃を受けるに至ったからであります。本来、国民に負担増を求むる場合は、政府の方策とその公的事業の経営内容などについて十分な理解と納得を得なければならないものであることを基本的要件といたします。しかるに、この改正案は、その要件をいささかも満たしておりません。すなわち、現在の電気通信事業は、経営の実態が国民に知らされていないのみならず、料金値上げの理由及びその必要性についても、国民の意見を踏まえる何らの方法も取られず、ただ政府と公社当局の主張を唯一のものとして押しつけようとしたものであります。
よって、わが日本社会党は、かかる政府と公社当局の姿勢を容認できないものとして、本年九月、広く国民の指し示すものをくみ上げ、電気通信事業のあり方、料金に関する方針など、これよりなすべき通信政策を、より建設的かつ具体的に提示いたしました。何よりもまず基本的なものとして、国民は利用者として経営の徹底した公開とその意見が十分反映される必要を求めている事実を直視し、経営体制の大幅な改革の断行を提唱し、開かれた公共企業体、日本電信電話公社の体質改善に踏み出そうとしたものであります。
しかるに政府と当局は、時間的余裕が十分あったにもかかわらず、いたずらに聞くべき耳を閉ざし、法案の成立を図ることに終始いたしました。この姿勢は、世論に背を向け、唯我独尊の三木内閣の典型的事実と言うべきものであります。しかし、わが党は、国民のための電電公社を築き上げるため、党提唱の政策を未来の理想といたしまして、さらに積極的に推進をしたいと思います。
以上申し上げたことは本法案に対する彼我の基本的相違点でありますが、これより本法案における重要な不当性と改善点を次の諸点に要約し、一層反対の理由を明らかにいたしたいと思います。
第一点について申し上げます。
目下実施されている第五次計画は、高成長時に高成長をリンクして策定されたものでありますが、オイルショックと、そのために生じたさまざまな触発現象に対応した軌道修正をすべきであったのにかかわらず、これを行っておりません。そして所定の計画を進めたことが資金上の誤差を生じたものと見るべきであり、そのしわ寄せを利用者、すなわち国民に負担を強いることは言語道断であります。また、新価格体系への底上げとも見る限り、なおさらのことであります。
第二点について申し上げます。
料金改定の内容は、必要財源の逆算率によって割り出されたもので、正確なコスト計算に乗せられたものではないことであります。財政法第三条に根拠を置く公共料金の設定は、その企業の根幹として公平の原則の確立が必須の条件であるのに、この場合、単に本法第一条及び第六十八条できわめて単純に規定されているにすぎず、最大の重要事項が欠落をし、かつ、これを補完すべき事前における第三者等の意見聴取も行っていないなど、法案の扱い自体がゆゆしい独善性によるものであるということであります。
第三点について申し上げます。
値上げによる物価への波及率は〇・四%にすぎないとしていますが、それは虚構であるということであります。何となれば、昭和五十年を基準とした新消費物価指数が公表されているのに、四十五年基準指数を用い、波及率を薄めているの下あります。ちなみに、新指数として試算をすれば〇・七%以上となり、国鉄運賃の約二倍、郵便料金の約十二倍であって、公共料金の中で米価、電力に次ぐきわめて高率となっております。四十五年から五十年の五年間に加入者数は倍増し、国民の生活に及ぼす影響は余りにも大きく、負担の限界を超えるものであるからであります。
第四点について申し上げます。
昭和二十七年、公社発足時の百七十七万加入総数は、五次に至る長期計画によって今日三千二百万を記録し、そのために投入された巨大な財源は、そのほとんどが加入者負担によるものであって、政府の助成、補助は皆無であり、わずかに財投三・四%にすぎず、公社財務形成に重大な問題があります。いやしくも法改正の好機に、財投及び長期低利資金の大幅導入、産業用サービスに必要な資金のユーザー負担、そして固定資産の償却方式の定率法から定額法への転換など、なさるべき改善が確定されていないということであります。
第五点について申し上げます。
電話がいまや生活必需品となった現在、料金の設定上確立さるべきものは、利用者の負担能力やサービス効用を勘案して、一般家庭用、福祉サービス用、企業用の三種の体系化こそが必要であります。しかし、改正案では故意に視点を避けて、受益者負担による収支相償論をもってし、公共性を捨て、経営偏重の発想に立ち、社会の強烈な要請を退けているということであります。
第六点について申し上げます。
現行料金制度が、大都市への人口集中や交通機関の発達によって、生活権や経済圏の拡大に対応せず、また、長距離通話料と近距離通話料の格差は、もはや完全ネットワーク完成に近い現在、その根拠を失っているにもかかわらず、かつまた、これらの問題が昭和四十六年の改正において逓信委員会の附帯決議で早急な是正が求められた経緯も忘れ、放置されていることは、きわめて不遜と言うべきであります。
最後に、この法案は、現在すでに四千六百億を超ゆる歳入欠陥があり、政府はその事実に基づいて当然充足すべきものを充足せず、審議に供し、かつ促進を図ったことは、国会の審議権の形式化、形骸化を意図したもので、絶対に許せません。
よって政府は、その非難を免れるためにも、速やかに予算の補正を行い、法案提出者としての責任を果たすべきことを強く強く求めて、反対討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/4
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005・河野謙三
○議長(河野謙三君) 最上進君。
〔最上進君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/5
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006・最上進
○最上進君 私は、自由民主党を代表いたしまして、本法律案に対し、賛成の意を表するものであります。
御承知のように、四十八年暮れの石油ショックを契機といたしました社会経済情勢の急変は、公社の経営に大きな影響を及ぼしてまいりました。四十九年度並びに五十年度で約四千五百六十五億円という大幅な赤字を生ぜしめたのであります。さらに、今後の公社財政を展望してみましても、わが国経済の成長率の低下に加えまして、低収入の住宅用電話の増加など、電話の収入構造の変化に伴いまして収入の伸び悩みが当然予測されるわけであります。しかし、その反面におきまして、電話の積滞解消や既設加入者へのサービスの維持などに必要な建設投資を行わなければならないこともまた事実でありますので、公社財政を現状のままに放置できないことは言をまたないのであります。
野党の中には、公共料金である電報電話料金は物価安定の立場からこれを行うべきでない、あるいはまた、その上げ幅を縮小すべきであるとの主張がございますが、今回の改定は、石油ショック以後の新物価体系にあくまでも整合させるものでありますし、同時にまた、これは五十一年度の消費者物価の上昇目標の中にすでに織り込み済みのものでございまして、物価情勢も幸い安定基調に定着する見通しもありますので、本案による料金改定は国民の方々の理解を得られるものと信じるのであります。
次に、今回の大幅な赤字は、政府の高度経済成長に追随した過大投資の結果によるものであるという意見がございますが、公社は発足以来、電話の積滞解消と全国ダイヤル即時化の達成という国民の切実な要望にこたえるために必要な投資を行ってきたものでございますし、一方では交換設備や伝送路などに新技術を積極的に開発導入いたしましてサービスの改善を図るとともに、このような技術革新によって一兆数千億円に上る巨額の建設投資の節減に努めてきたわけであります。この結果、公社発足時に比べまして一般加入電話数はすでに二十一倍に増加しておりますし、ダイヤル自動化も九九・四%に達しているのでありまして、過大投資であるとの批判は当たらないと思うのであります。
次に、減価償却が定率法による過大償却であり、定額法に変更することによって事業収支の赤字は解消できるのではないかという御意見がございますが、電信電話事業は御承知のとおり典型的な設備産業でございます。急速な技術革新や道路計画など社会的要因によります設備の早期除却等も多いことを考慮いたしますと、長期的な事業の健全性を追求します場合には、固定資産の八五%を占めておりますいわゆる通信施設につきまして定率法を採用するということは当を得ているのであります。これを国内の他の企業について見ましても、固定資産に対する減価償却費の率はガス事業や製造業に比べまして決して高くないわけであります。
以上、主要な数点について申し上げましたけれども、政権を擁する与党自由民主党といたしましては、社会の発展あるいは社会資本の充実、加えて社会秩序の維持という観点からいたしまして、この料金の引き上げはやむを得ざる措置と考えまして、本法案に賛成するものであります。
なお、私は、この際政府及び公社当局に対しまして若干の要望をしておきたいと思います。
その第一は、過疎地域における電話普及対策についてであります。電話はいまや国民の日常生活に不可欠のものとなっておりますが、農山漁村地域におきましては、都市地域に比べまして、まだまだおくれているのが実情でございますので、すべての国民が平等に電話の利便を享受し得るよう、過疎地域における電話の普及につきましても格段の努力が望まれるところであります。
その第二は、福祉電話対策の推進でありますが、社会福祉の充実の観点からいたしまして、なるべく早く福祉電話設置の要請にこたえるよう特段の御配慮をお願い申し上げる次第であります。
第三は、公社の関連中小企業に対する対策についてでありますが、料金改定の大幅なおくれによります深刻な経営危機と雇用不安を解消するように御配慮願うとともに、これら企業の経営近代化につきましても適切な御指導をお願いしておきたいと思います。
最後に、公社はなお一層の企業努力によりまして料金の長期安定を図られるよう要望いたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/6
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007・河野謙三
○議長(河野謙三君) 宮崎正義君。
〔宮崎正義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/7
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008・宮崎正義
○宮崎正義君 私は、公明党を代表して、ただいま議題になりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行うものであります。
電報電話料金の大幅引き上げが、国鉄運賃の大幅引き上げと並んで諸物価への影響が甚大であることから、国民は重大な関心を持ち、見守ってきたのであります。しかるに、委員会の審議を通してはっきりしたことは、政府や日本電信電話公社がどのように喧伝しようとも、値上げを実施する理由は全く見当たらず、また、経営の改善、制度の改正等重要な基本的事項について抜本的検討もされず、かえって改悪となっているのであります。
このようなことで、国民及び利用者に納得が得られると政府並びに日本電信電話公社が考えているとするならば、それは思い違いもはなはだしいと言わざるを得ません。
以下、具体的に反対の理由を述べたいと思います。
まず第一の理由は、電報電話料金及び国鉄運賃等の公共料金の大幅値上げが諸物価の高騰を誘引し、ひいてはインフレ再燃のおそれがきわめて強い現在の経済情勢の中で、不況などの影響とあわせ国民生活をますます窮地に追い込むことになるからであります。
たとえば、四十九年度の勤労者世帯五分位の階層別の公共料金家計支出の割合は、第一分位、すなわち最も所得の低い階層では一五%に及んでいます。したがって、電報電話料金を初めとする今後予想される公共料金の値上げラッシュは、低所得者層の人々の生活にどれほどの影響を与えるか、この数字によっても明らかであります。このことは、三木総理の公約である不公平是正に逆行するものであります。また、家計に占める電報電話料金の割合は、昭和四十年では〇・四二%であるのに、昭和五十年では何と一・二四%と、ほぼ三倍になっております。他の電気代、ガス代、水道代、郵便料、新聞代等々は十年前と家計に占める割合はほとんど変わっておりません。ただ電報電話料金だけが三倍という異常な伸びを示しているように、電報電話は国民生活にとって欠くべからざるものとなり、その占める位置はだんだんと大きくなっているのであります。したがって、今回の値上げは、低所得者層のみならず、国民全般に大きな負担を強いるものであり、認めるわけにはまいりません。
第二の理由は、事業計画の規模が現在並びに今後の経済情勢に適応したものでないということであります。
公社の事業計画は、昭和四十八年度から第五次五カ年計画で総額七兆円の建設投資額を予定しており、そのうち、昭和四十八年から昭和五十年までの三カ年で三兆七千億の投資を行っております。しかし、今回の電報電話料金の値上げに当たり、公社がこの第五次五カ年計画の見直しとして、昭和五十一年二月に新しく当面の計画としてまとめた昭和五十一年からの三年間の事業計画においては、総額五兆四百億の投資を行おうとしているのであります。何と三六%の伸びであります。この伸び率を見ても明らかなように、公社はいまなお高度経済成長のときと同じような建設投資を行おうとしております。
また、昭和五十一年からの三年間で七百七十万個の電話を架設すると予定しておりますが、果たしてこれだけの需要があるかどうか疑問であります。設備料を五万円から八万円に値上げすればかなりの需要が落ちると予測され、これに対して公社は三カ年で二十万個減と言っておりますが、果たしてそれで済むでありましょうか。これから電話を架設しようとする人は、どちらかと言えば、いままで経済的理由により電話を申し込めなかったと思われます。したがって、設備料の高騰により、ますます申し込みにくくなると思うのであります。現に、値上げ前のことしですら、第一・四半期の新規申し込みは前年度に比べて七万個減っております。五十九万個となっております。このように検討していけば、三カ年の七百七十万個は多過ぎるのであります。さらに、この当面の建設計画は、さきに政府の発表した五十年代前期経済計画の電気通信部門の投資額五カ年で七兆三千億と比べても大き過ぎるのも明らかであります。
したがって、現在並びに今後の経済情勢にそぐわない過大な事業計画を根本的に改めるべきであり、そうすれば過大な建設投資の財源確保のための今回の大幅値上げを回避することは可能になるのであります。
第三の理由は、減価償却費が過大であるということであります。
確かに公社は典型的な設備産業であり、減価償却費が他の事業に比べ大きな割合を占めることは免れないものがありますが、しかし、詳細に検討をすれば過大な償却が行われていることも事実であります。たとえば、総費用に占める減価償却費の比率を同じ設備集約企業と比較すると、昭和四十九年度において公社三一・五%、国際電電一五・二%、東京ガス一一・七%となり、いかに公社の償却費が大きいか明らかであります。公社の償却法である定率法を定額法にすると、五十五年度の赤字を埋めてもなお余りあるものとなるのであります。公社が常に目標として引き合いに出すアメリカ電信電話会社も、この定額法であります。公社に都合のよいときだけ引き合いに出すのではなく、とのような定額法を考慮に取り入れるべきだと思うのであります。
第四の理由は、料金体系の抜本的改正が何もなされていないということであります。
公社の現行料金体系は、最近の都市構造の変化、技術革新によるコストの低下、通信回線の有効利用などの料金面への反映が十分とは言えなくなっており、今回の値上げ案は、単に料金を一律値上げしたにとどまり、サービスの価値、サービスにより生ずる受益の度合い、利用者の負担能力による見直し等は全くなされていないのであります。赤字であるデータ通信の値上げを行わず、一般の電話料金の大幅値上げのみ行うなど、余りにも企業優遇の値上げ案であります。公社は、データ通信などの値上げを行わない理由として、短期間の値上げはユーザーに過重な負担になると説明していますが、このような説明は、一般電話加入者は利用者であるがユーザーではないという公社の考え方を言いあらわしており、データ通信利用のユーザーには出血サービスをすることを妥当とすることにほかなりません。まさに、企業の代弁であり、国民の利益を第一義とすべき公社の姿勢が問われるのは当然であります。公衆電気通信法の第一条、公社は「公共の福祉を増進する」という目的に反した、公社の企業優遇の料金体系は断じて認めるわけにはまいりません。
第五の理由は、社会的弱者に何らの配慮もされていないことであります。
公共の料金制度は、社会的、経済的に弱い立場にある身障者、母子家庭等の経済的負担の軽減については何らの考慮が払われておりません。郵便では盲人の点字郵便等は無料であり、国鉄は身障者に対して運賃を半額にしております。身障者の中で、特に盲人は歩行の自由がきかず、日常生活の中で電話は欠くことのできない補装具の一つになっているのであります。このような人々のために、電話料金の基本料、度数料、設備料等に、いわゆる福祉料金制度を採用すべきであります。
第六の理由は、電報料金については電報事業全体の改善を図るべきであるということであります。
電報は、電話を引けない階層の人々や僻地、過疎地域の住民にとって緊急の通信手段であることは申すまでもありません。今回の二倍ないし三倍の大幅値上げには、公社の事業経営に当たって公共性を忘れ、ただ収支率という経済性にのみとらわれた経営姿勢が露骨に示されており、まことに遺憾なことであります。
以上のほかにも、国民の必需品となった電話について、電話設備料の性格があいまいな点、住宅用電話が赤字であるという公社の論拠が不明確な点、さらに、現在の料金制度を国会審議にかけない認可料金にしようともくろんだこと等々、指摘すべき問題点は余りにも多いのであります。
以上申し述べました理由から、私は公衆電気通信法の一部を改正する法律案について、反対の態度を明らかにするものであります。
以上。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/8
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009・河野謙三
○議長(河野謙三君) 山中郁子君。
〔山中郁子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/9
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010・山中郁子
○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、電話電報料金の大幅値上げを図る公衆電気通信法の一部を改正する法律案に断固として反対することを表明し、討論を行います。
反対する第一の理由は、本案が不況と物価高に苦しむ国民の生活に一層重い負担を強いるものだからです。
現在、電話は七割以上の家庭に普及し、買い物から種々の連絡、消息の交換など、生活の必需品であるのに、本案は住宅用電話を六〇%、事務用電話を五二%も大幅に引き上げるものであり、生活に重大な支障を与えるものです。
反対の第二の理由は、十月七日に発表したわが党の政策の指摘や私の質問によっても、公社当局や政府の言う公社の赤字が経理操作でつくり出された、にせ赤字であり、実際は大幅な黒字であることがいよいよ明らかになったからです。これによって料金値上げの論拠自体が崩れ、値上げの必要がないことがはっきりしたにもかかわらず、値上げの結論だけを押しつけようとする不当なものを断じて認めるわけにはいきません。
一つには、電話架設の際取り立てる設備料は、四十九年度千七百六十六億円、五十年度千六百五十二億円の多額に上るにもかかわらず、公社はこれを収入と計算せず、資本剰余金に繰り入れています。これが不当なやり方であることは、政府や公社自身、委員会審議で現在の方法に疑問があるとして研究、検討の必要を認めていることを見ても明白ではありませんか。設備料を収入に計上することは当然であり、そうすれば値上げの論拠にしている赤字額自体大幅に変わります。
二つには、支出の三二%を占める減価償却費が過大なものであることがいまや全く明らかになったことです。設備の耐用年数を異常に短くしていることや、定率法を採用している理由についても何らまともな説明ができず、政府、公社ともとの点についても検討することを約束せざるを得ませんでした。わが党が再三指摘したように、このような赤字づくりの不当な経理操作をやめるだけで、四十九年度は三千二百億円、五十年度は二千五百億円の大幅な黒字となり、値上げの必要はいささかもありません。これだけでも当然本案を撤回して出直すべきです。それなのに、政府は卑劣にも、当然に無条件で即時完全に実施すべき仲裁裁定の実行まで絡めて、法案の審議と成立を強引に進めてきたことは断じて許すわけにはいきません。
反対の第三の理由は、本案が国民の負担の一層の増大で、大企業には低料金で引き続きサービスを続け、これを拡大しようとさえしている点にあります。全国の大銀行を初めとする大企業が主に使っているデータ通信、テレックスは、経費を少なく見せかけるためにさまざまな不当な経理操作をしている。それにもかかわらず、この二種類だけで、四十九年度は三百四十五億円、五十年度は四百二十四億円の大出血サービスを行っています。本案は、その上に、これらの現行料金を据え置いたまま、一般電話や電報料金だけを引き上げ、これで穴埋めしようというものです。専用料金も同様であり、断じて容認できるものではありません。
さらに、設備料についても同様に、一般電話の架設コストは一万六千円であるのに五万円の設備料を取り立て、これを八万円に引き上げようとしています。十六万七千円かかるビル電話は二万五千円の設備料、データ通信回線は二十万円の架設コストに対して五万円、テレックスは九十四万円に対してわずか五万円です。この不公正の指摘に対し、公社は一般電話と同じ八万円にすると答弁したにとどまり、具体的に不公正を解消する方策を示していません。政府も公正さには疑問があると答え、公社も不公正をなくすようにすると答弁したではありませんか。それなら、このような大企業奉仕の料金体系を改め、一般電話料金の値上げはやめるのが当然です。
反対の第四の理由は、主に大企業が使うデータ通信、画像通信、ビル電話などを中心にした過大な設備投資を引き続き強行しようとしていることです。公社は四十六年から五十年までの五年間に五兆八千億円を投入し、さらに五十一年から三年間に五兆四百億円も投入する計画で、情報化社会の進展に寄与するとして、大企業本位の全国情報ネットワークづくりを強行してきました。そのため、大企業向けのサービスの拡充とともに、これらと電信網、電話網を相互に接続する総合通信網づくりに莫大な資金を投じています。また、自動車電話、電話ファックス、コードレス電話など、一般家庭に当面必要でない新サービス建設にも、住宅用電話の増設を口実にしながら多額の資金をつぎ込んできたのです。これがまた減価償却費をふくらませて、借入金を五十年度には四兆六千億円まで拡大し、金利負担を増大させてきたのです。
公社経営を圧迫するこの過大な大企業奉仕の設備投資計画を改め、適正に圧縮すべきであるにもかかわらず、公社はかたくなに耳をかそうとしていません。それは、通信機メーカーを初めとする大企業が公社の設備投資を食い物にして膨大な利潤を上げる必要があるからです。
通信建設関係でも年間四千億円以上を投じていますが、大手の元請はほとんど仕事はしないのに三割から四割以上のピンはねを行って、仕事は下請や孫請にさせているありさまです。この点を改め、中小企業に直接発注を拡大すれば、通信建設予算の二割以上が節減できるのに、公社は抜本的には何ら改めようとしていないのです。
以上指摘した点を改めれば、料金値上げをやめるとともに、普通加入区域の拡大、公衆電話の増設、地域集団電話の一般電話への切りかえ、また身体障害者、寝たきり老人の方たちなどが使える福祉電話の開発と普及という、当面の切実な国民的要望には十分こたえることができるにもかかわらず、値上げしなければこれらは実行できないという態度に終始してきたのです。
反対の第五の理由は、公社の非民主的な経営姿勢にあります。公社の最高経営陣である経営委員会が、八月に辞任した小佐野賢治氏など、中央、関西財界出身者が多数を占めているありさまでは、決して国民本位の運営ができるはずがありません。清廉潔白、公正な国民の真の代表が多数を占めるようにし、委員会も公開すべきであることは当然です。さらに、関連大企業に公社幹部が多数天下っている実情を改めるとともに、管理運営をガラス張りにし、購入資材の原価なども公表すべきです。しかし、この当然な措置を公社や政府はがんこに拒否しています。これらの点を改めることなく、公社総裁の私的諮問機関という性格のものをつくっても、お茶を濁す程度で、実効ある改善の保証にはならないでしょう。公衆電気通信法の精神を政府に厳格に実行させるためには、国会の権限を強化することこそが基本でなければなりません。
わが党は、電話電報料金の値上げを抑え、日本電信電話公社の財政経営を民主化する提案を発表し、第一に、利益隠しの財政経理にメスを入れ、つくられた赤字をなくす、第二に、大企業に不当に安くサービスしている料金体系を国民本位に変える、第三に、大企業本位の過大な設備投資を抑え適正化する、第四に、公社の経営、人事、管理、運営の民主化を図ること、などを中心とする電電公社の改革案を発表し、審議の中でも一貫してこれを主張するとともに、委員会に対しても改革策を検討し、作成することを提起してまいりました。しかし、政府、公社とも、経営の抜本的な検討については全く不誠実な態度に終始してきました。私はこの点について大きな怒りを禁じることができません。
わが党は、いま国民が切実に求めているのは値上げではなく、このような公社財政と経営の改革であることを重ねて強調して、反対討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/10
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011・河野謙三
○議長(河野謙三君) 木島則夫君。
〔木島則夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/11
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012・木島則夫
○木島則夫君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
政府がかねがね主張しておりますように、すべての公共料金を一律に、しかも長期にわたって凍結することが不可能に近いことはわれわれも理解をしております。しかし、今回の電話電報料金の大幅な値上げにつきましては、依然として九%台に推移してきた消費者物価をさらに押し上げ、国民生活をますます苦境に陥れるばかりでなく、次に指摘をする理由から、国民を十分に納得させるだけの合理性、妥当性を欠いたものとして反対せざるを得ないわけです。
私が反対する最大の理由は、今回の改正案が収支の均衡を盾にとり、単に料金値上げだけを先行させ、料金体系の合理化改善を全く図っていない点であります。
その具体例は、特に家計に与える打撃の大きい住宅電話の基本料金であります。改正案は、現行の二倍、つまり東京の場合ですと月額九百円を千八百円にするというものであります。これは、住宅用電話と事務用電話の利用価値及び負担能力の相違、全国即時自動化の現状における級局区分制度のあり方などについて抜本的に検討することなく、固定収入源の強化という経営サイドの論理だけを一方的に国民に押しつけたものです。なるほど、電電公社の言い分によりますと、住宅電話の場合、一台当たりの料金は月額二千六百円程度で、事務用電話の三分の一程度にしか当たらず、これでは収支のバランスがとれないということです。ここで問題になりますのは、住宅用電話を赤字ときめつけている点です。住宅用電話は発信面からの収入こそ少ないけれど、事務用電話からの受信面を通じての総収入に大いに寄与している点も見逃してはならない大事な点であるはずです。
私は、電話部門の収支は一律の値上げによらないで、料金体系のひずみを是正することによって大幅に改善すべきだと思いますが、今回の改正案には、この点については盛られておりません。三分七円の市内通話料金の区域は大体半径十五キロぐらいになっておりますが、この中身は大都市と地方では大変な差がついています。たとえば、市内料金区域に含まれている加入電話数を見ると、東京二十三区は三百十四万、大阪百九万、名古屋六十七万、岡山十五万、倉敷十万などで、同じ三分七円の市内料金でも便益には大きな差が生じています。この地域の差を考えて基本料には差がついており、東京、大阪、名古屋の基本料は事務用千三百円、住宅用九百円、岡山、倉敷は事務用千百五十円、住宅用八百円となっておりますが、この差は便益の格差の巨大さと比べればきわめて小さく、大都市の事務用電話は安い市内料金でこの集積の利益をフルに利用しているわけであり、事務用電話に対してはいまの数倍の基本料を考えてもしかるべきでありましょう。要するに、総括原価は利用者の便益に応じて公平に負担をするという料金決定の原則からかなり外れている点も、反対の理由として挙げざるを得ないわけです。
料金体系の矛盾として次に指摘をしたいのは、距離別料金格差が是正をされていないということです。これは、自動即時化によってコスト安になっていることからしましても当を得ないだけでなく、欧米諸国と比べて大変割り高であります。日本は、一区域内の通話料を一としますと、千キロメートル、東京−福岡間は七十二倍、これに対し米国は十四倍、西ドイツは十五倍です。距離的錯覚を利用した料金体系が電電公社に大きな利益をもたらしたと言っていいでしょう。改正案は、技術革新の成果は電話利用者にも還元されるべきであるという原則を全く無視したものであります。
次に、政府の責任を厳しく追及したいのは、福祉の視点からの温かい配慮がなされていない点です。心身障害者、寝たきり高齢者などにとって、電話は現代社会を生きていくために不可欠であることから言いまして、電話料の大幅な値上げは日常生活の維持に深刻な影響を及ぼすことは明白であります。福祉国家を指向するわが国において福祉的な政策料金制度の確立が重要課題であることを銘記すべきであります。
改正案に反対する次の大きな理由は、合理化に対する経営姿勢が熱意を欠き、依然として惰性に流れている点、その典型的な例は電報部門に見出すことができましょう。電報部門の収支状況は年々悪化の一途をたどり、昭和三十年度の赤字は約百億円でしたが、ここ十年来電話の普及に比例をして電報の扱い件数は毎年四百万から五百万通減り続け、去る四十年度には国民一人当たり年間〇・九通だったものが、五十年度には〇.四通に減っています。要するに、一通の電報を受けてから配達をするまでに料金の十倍近くの費用がかかります。五十年度の赤字額は千八十八億と、三十年度の十倍以上にふくれ上がり、公社全体の事業収支赤字二千七百五十億円の四〇%を占めているほどであります。このような最悪の事態をもたらした根本的な原因は、電報利用の大部分が儀礼的、社交的なものになっている事実を直視して、電報事業の縮小またはその廃止を基本とし、電話のない僻地の、どうしても必要な電報などについては低い政策料金を設定し、存続するなど、抜本的な対策を講じなかったことにあります。
私が特に主張をしたいのは、電報部門の赤字の解消は不可能である、この点です。それならば、現状でいかに赤字幅を縮小できるかを真剣に考えるべきでありましょう。それには、不必要な中継局を整理統合すること、これによって電報送達に支障のないことは電電公社もはっきり言っております。さらに、配達段階での合理化を図るとともに、この際特に申し上げたいことは、膨大な赤字に悩む電電公社が委託局に対して支払っている委託費手数料について根本的に見直すべき時期に来ていることをこの際はっきりと指摘をしたいと思います。電報が推移してきた今日的状況の中では、時として歴史的経過を断ち切る勇断も必要であることを強調いたします。
さて、今回の改正案が、収支の均衡を盾に料金値上げだけを先行させ、料金体系の合理化、改善を全く図っていない点は、冒頭でも指摘をいたしましたが、仮に改正案が実施されたといたしましても、収支の均衡は、たかだか数年もつかもたないかという点です。この際、公社のあるべき姿を明示すべきことも忘れてはならない問題です。それは公社の経営をいかに図るかという根本の問題にもつながる大事な問題だからです。電電公社のあるべき姿、ビジョンの明示のない改正案はまことに不満であります。
終わりに当たり、特に強調をしたいのは、電電公社も、いまのうちに抜本的な経営の刷新を図っておかなければ国鉄と同じ運命になる可能性があるということであります。言うまでもなく、電電公社は独占公企体であり、国民は、料金が不当に高くとも、また、サービスに欠陥があろうとも、公社以外に選択の道はなく、その料金は実質的には税金と同じ性格を持っているものです。このような公社の企業としての有利性の上にあぐらをかいて真剣な努力を怠るならば、第二の国鉄化は明白であります。このような事態に立ち至らないよう、政府及び電電公社に厳しく要望、指摘をして、私の反対討論を終わるものです。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/12
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013・河野謙三
○議長(河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。
これより採決をいたします。
表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/13
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014・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/14
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015・河野謙三
○議長(河野謙三君) よれより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/15
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016・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百四十三票
白色票 百二十六票
青色票 百十七票
よって、公衆電気通信法の一部を改正する法律案は可決されました。(拍手)
─────・─────
〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 百二十六名
安孫子藤吉君 青井 政美君
青木 一男君 井上 吉夫君
伊藤 五郎君 岩動 道行君
石破 二朗君 石本 茂君
糸山英太郎君 稲嶺 一郎君
今泉 正二君 岩上 妙子君
上田 稔君 上原 正吉君
植木 光教君 江藤 智君
遠藤 要君 小笠 公韶君
小川 半次君 大島 友治君
大鷹 淑子君 大谷藤之助君
岡田 広君 岡本 悟君
長田 裕二君 加藤 武徳君
鹿島 俊雄君 梶木 又三君
片山 正英君 金井 元彦君
上條 勝久君 亀井 久興君
川野 辺静君 河本嘉久蔵君
神田 博君 木内 四郎君
木村 睦男君 久次米健太郎君
久保田藤麿君 楠 正俊君
熊谷太三郎君 黒住 忠行君
剱木 亨弘君 源田 実君
小林 国司君 後藤 正夫君
郡 祐一君 佐々木 満君
佐多 宗二君 佐藤 信二君
佐藤 隆君 斎藤栄三郎君
斎藤 十朗君 坂野 重信君
迫水 久常君 山東 昭子君
志村 愛子君 塩見 俊二君
嶋崎 均君 新谷寅三郎君
菅野 儀作君 鈴木 省吾君
世耕 政隆君 園田 清充君
高田 浩運君 高橋 邦雄君
高橋 誉冨君 高橋雄之助君
橘直 治君 棚辺 四郎君
玉置 和郎君 土屋 義彦君
寺下 岩蔵君 寺本 廣作君
戸塚 進也君 徳永 正利君
内藤誉三郎君 中西 一郎君
中村 太郎君 中村 禎二君
中村 登美君 中山 太郎君
永野 嚴雄君 夏目 忠雄君
鍋島 直紹君 西村 尚治君
橋本 繁蔵君 秦野 章君
初村滝一郎君 鳩山威一郎君
林 ゆう君 林田悠紀夫君
原 文兵衛君 桧垣徳太郎君
平井 卓志君 平泉 渉君
福井 勇君 福岡日出麿君
藤井 丙午君 藤川 一秋君
藤田 正明君 二木 謙吾君
細川 護煕君 堀内 俊夫君
前田佳都男君 増田 盛君
増原 恵吉君 町村 金五君
丸茂 重貞君 宮崎 正雄君
宮田 輝君 最上 進君
望月 邦夫君 森下 泰君
八木 一郎君 矢野 登君
安井 謙君 安田 隆明君
柳田桃太郎君 山崎 竜男君
山本茂一郎君 山内 一郎君
吉田 実君 吉武 恵市君
亘 四郎君 有田 一寿君
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反対者(青色票)氏名 百十七名
阿具根 登君 青木 薪次君
赤桐 操君 茜ケ久保重光君
秋山 長造君 案納 勝君
上田 哲君 小野 明君
大塚 喬君 加瀬 完君
粕谷 照美君 片岡 勝治君
片山 甚市君 川村 清一君
神沢 浄君 久保 亘君
工藤 良平君 栗原 俊夫君
小谷 守君 小柳 勇君
小山 一平君 佐々木静子君
沢田 政治君 志苫 裕君
杉山善太郎君 鈴木美枝子君
鈴木 力君 瀬谷 英行君
田中寿美子君 竹田 現照君
竹田 四郎君 対馬 孝且君
辻 一彦君 鶴園 哲夫君
寺田 熊雄君 戸叶 武君
戸田 菊雄君 中村 波男君
中村 英男君 野口 忠夫君
野田 哲君 野々山一三君
羽生 三七君 秦 豊君
浜本 万三君 福間 知之君
藤田 進君 前川 旦君
松本 英一君 宮之原貞光君
村田 秀三君 目黒今朝次郎君
森 勝治君 森下 昭司君
森中 守義君 矢田部 理君
安永 英雄君 山崎 昇君
吉田忠三郎君 和田 静夫君
阿部 憲一君 相沢 武彦君
内田 善利君 太田 淳夫君
柏原 ヤス君 上林繁次郎君
黒柳 明君 桑名 義治君
小平 芳平君 塩出 啓典君
白木義一郎君 鈴木 一弘君
田代富士男君 多田 省吾君
中尾 辰義君 二宮 文造君
原田 立君 藤原 房雄君
三木 忠雄君 峯山 昭範君
宮崎 正義君 矢追 秀彦君
矢原 秀男君 山田 徹一君
岩間 正男君 上田耕一郎君
小笠原貞子君 加藤 進君
春日 正一君 神谷信之助君
河田 賢治君 沓脱タケ子君
小巻 敏雄君 近藤 忠孝君
須藤 五郎君 立木 洋君
塚田 大願君 内藤 功君
野坂 參三君 橋本 敦君
星野 力君 安武 洋子君
山中 郁子君 渡辺 武君
柄谷 道一君 木島 則夫君
三治 重信君 田渕 哲也君
中沢伊登子君 中村 利次君
向井 長年君 和田 春生君
青島 幸男君 市川 房枝君
喜屋武眞榮君 野末 陳平君
松岡 克由君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/16
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017・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第二 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
日程第三 特別職の職員の給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案
日程第四 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上三案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長中山太郎君。
〔中山太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/17
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018・中山太郎
○中山太郎君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
まず、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、本年八月の人事院勧告を完全実施するため、一般職の職員の給与について全俸給月額を平均七%引き上げるとともに、初任給調整手当及び扶養、住居、通勤、宿日直等の各手当を改定するほか、期末・勤勉手当の支給割合を引き下げ、本年四月一日から実施しようとするものであります。
次に、特別職の職員の給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案は、一般職の職員の給与改定に準じて、特別職の職員及び防衛庁の職員の俸給月額等についてそれぞれ所要の改定を行おうとするものであります。
委員会におきましては、以上三法律案を一括して審査いたし、生計費、物価の伸びと人事院勧告との関係、特別給削減の是非と今後の回復見通し、特別職の給与改定の根拠、人事院勧告後の支給手続の改善、駐留軍従業員、地方公務員及び公立学校教員の給与改善等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲りたいと思います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して野田委員より一般職及び特別職給与法等改正案に賛成、防衛庁職員給与法改正案に反対、公明党を代表して峯山委員より三案に賛成、日本共産党を代表して岩間委員より一般職給与法改正案に賛成、特別職給与法等改正案に反対、防衛庁職員給与法改正案に棄権、民社党を代表して中村委員より三案に賛成する旨の発言がそれぞれありました。
次いで順次採決の結果、一般職給与法改正案は全会一致、特別職給与法等改正案及び防衛庁職員給与法改正案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、一般職給与法改正案に対しまして、特別給について民間の動向を考慮し、従前の支給割合に回復するよう努めること等を内容とする各党共同の附帯決議案が提出され、全会一致をもって当委員会の決議とすることに決定いたしました。
以上、御報告をいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/18
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019・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
まず、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/19
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020・河野謙三
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/20
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021・河野謙三
○議長(河野謙三君) 次に、特別職の職員の給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/21
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022・河野謙三
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/22
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023・河野謙三
○議長(河野謙三君) 次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/23
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024・河野謙三
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/24
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025・河野謙三
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
郵便貯金法の一部を改正する法律案
郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/25
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026・河野謙三
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長森勝治君。
〔森勝治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/26
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027・森勝治
○森勝治君 ただいま議題となりました二法案につきまして、逓信委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
まず、郵便貯金法の一部を改正する法律案は、郵便貯金の周知宣伝を行うための施設である郵便貯金会館の設置について、その法的根拠を明確にするとともに、同会館の運営を郵政大臣の認可を受けて設立される郵便貯金振興会に委託することにしようとするものであります。
また、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案は、最近における経済事情の推移にかんがみ、郵便切手類の売りさばき人に支払われる売りさばき手数料の額を約二〇%引き上げようとするものであります。
委員会におきましては、以上二法案について法案ごとに審査に入り、熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
それぞれ質疑を終局し、両法案とも別に討論もなく、採決の結果、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/27
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028・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより両案を一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/28
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029・河野謙三
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、両案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/29
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030・河野謙三
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(第七十七回国会内閣提出、第七十八回国会衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/30
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031・河野謙三
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長上林繁次郎君。
〔上林繁次郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/31
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032・上林繁次郎
○上林繁次郎君 ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
本案は、日本国有鉄道の経営の現状にかんがみ、その経営の健全性を確立するため運賃を改定するとともに、日本国有鉄道の経営改善計画、国の援助の措置等について定めようとするものでありまして、その主なる内容は次のとおりであります。
まず、国有鉄道運賃法の改正内容について申し上げます。
第一に、鉄道の普通旅客運賃については、その賃率をおおむね五五%引き上げようとするものであります。
第二に、航路の普通旅客運賃については、鉄道の普通旅客運賃とほぼ同程度の改定を行おうとするものであります。
第三に、貨物運賃については、車扱い貨物運賃の賃率をおおむね五九%引き上げようとするものであります。
次に、日本国有鉄道法の改正内容について申し上げます。
第一に、国鉄は、その事業の収支の均衡の速やかな回復及び維持を図るとともに、その経営の健全性を確立するよう努めなければならないとするものであります。
第二に、国鉄に対して経営の改善に関する計画の作成及び実施を義務づけるものであります。
第三に、政府は、昭和五十年度末の国鉄の長期債務のうち、累積赤字相当額の一部について、毎年度その償還額を無利子で貸し付けるとともに、その利子を補給することができることとし、国鉄は特定債務整理特別勘定を設けて、他の勘定と区分計理を行うこととするものであります。
第四に、国鉄は、前事業年度から繰り越された損失があるときは、運輸大臣の承認を受けて、資本積立金を減額して整理することができることとするものであります。
第五に、政府は、国鉄経営の健全性の確立のため、必要があると認めるときは、財政上の措置その他の措置を講ずるよう特別の配慮をすることとするものであります。
なお、以上の措置に伴い、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法は廃止することといたしております。
委員会におきましては、公聴会の開会、農林水産委員会及び物価等対策特別委員会とそれぞれ連合審査会を開くほか、委員派遣を行い、国鉄バス白棚線の運営状況等の視察、札幌市におけるいわゆる地方公聴会の開会など、慎重な審議が行われました。
その間における質疑の主なる点は、これまでの再建計画が達成できなかった理由、今回の再建計画達成の見通し、総合交通体系の確立、国の助成策としての過去債務対策、地方交通線の赤字対策、いわゆる公共負担の政策実施部門における負担、国鉄運賃値上げと物価政策との関係、国鉄における合理化問題、国鉄の利用者に対するサービスに関する問題等、国鉄をめぐる各般の諸問題についてでございますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党青木委員、公明党三木委員、日本共産党内藤委員、民社党和田委員、及び松岡委員よりそれぞれ反対、自由民主党中村委員より賛成する旨の意見が述べられ、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本案に対し、瀬谷委員より各派共同提案に係る附帯決議が提出されました。
その内容は、
政府及び国鉄当局は、左の事項の実現を図るため、万全の措置を講ずべきである。
一、国鉄の過去債務は国鉄の負担を軽減するよう積極的に処理する。
一、国家的政策にもとづく国鉄の公共負担は、それぞれの政策実行部門が負担するよう努力する。
一、地方交通線等の赤字に対しては、一段と助成を強化し、国の責任において解決するよう努力する。
一、通勤、通学輸送の改善と在来線の輸送力強化を促進する。
一、昭和五十一年度末の赤字については政府が責任をもって処理する。
一、国鉄自身の企業努力と労使関係の正常化により責任ある経営体制を確立する。
一、政府は、以上の措置を確実に実行することにより、昭和五十二年度以降の運賃改訂は極力これを回避するよう努力する。であります。
採決の結果、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/32
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033・河野謙三
○議長(河野謙三君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。青木薪次君。
〔青木薪次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/33
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034・青木薪次
○青木薪次君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
反対の第一の理由は、このたびの法案がその場しのぎの性格を持っていることであります。
政府は、これまで二度にわたって再建法案をまとめ、われわれの強い疑問や反対を押しつぶし、それを強引に成立させ、国民にその実施を押しつけてまいりました。このことは多くの国民がよく知っていることであります。先日も、この本会議において、三木内閣総理大臣は国鉄を二年で再建させると明言しておりまするが、本日の運輸委員会における三木総理の不勉強かつ抽象的な、何ともそらぞらしい答弁が繰り返されたのみであります。毎回このように政府は国民をだまし続けながら、みずからの政治責任に何らの言及もせず、また新しい再建計画なるものを出していますけれども、昨年暮れから始まった答申や意見書、要綱など、その場限りのものが提案されていることは、真夏のセミがミンミン鳴きじゃくるその姿に似ていて、形式的でそらぞらしい官僚的作文に終始してきたと言っても過言ではありません。
赤字の原因となっている借金政策は、今後根本的に改められるか、総合交通体系の確立とあわせた国鉄への投資のあり方をどのようにするのか、九千二百キロの地方ローカル線を維持するために政府はどのように責任を持って処理するのか、赤字の相当部分を構成する貨物輸送について具体的にどう対処するのかなど、基本的な諸問題の解決の方向がほとんどなされないまま今日に至っているのであります。こうした重要な問題を素通りし、その場しのぎの再建策を押し通しても、真の再建はとうてい不可能であることを認識すべきであると思います。
反対の第二の理由は、政府・自民党が進めようとしているこのたびの国鉄再建対策要綱と、それに基づく法案の反国民的内容についてであります。
政府は、オイルショック、狂乱物価などが国鉄の危機へ大きく影響していると主張しておりまするが、みずから進めてきた財政経済政策と国鉄との関係については一言の反省もないのであります。政府は、今回の五〇%という超大幅な値上げに加えて、来年もまた値上げをする意向を決めておるということであります。
三木内閣は公約に物価の安定を大きな柱に据えたことは、よもや忘れてはいないことと思いますが、その結果はどうでありましょうか。最近においても、政府の関与する公共料金が、酒、たばこ、郵便料金、NHKの受信料、電気、ガス、消費者米価、大学の授業料など、次から次へとメジロ押しに値上げされているのであります。そしてこのたびは、電報電話料金とあわせて国鉄運賃の値上げを行うというわけですから、単なる公約違反ではなくして、表と裏を都合よく使い分けるというきわめて反動性の強い措置であると思うのであります。
反国民的な再建策の内容は、合理化の方向づけについてもはっきりとあらわれています。政府は、今後さらに大量の人員削減や地方ローカル線の廃止、駅の無人化、貨物や手小荷物の取り扱いの廃止などをさらに積極的に進めようとしていますが、そのことによるサービスや安全性の低下、労働強化などは必至でありますし、利用者との関係、さらに国鉄労働者等には過酷な犠牲を強いるものにほかならないものなのであります。
第三の反対の理由は、すでに申し上げたことと関連しますが、今回の再建計画を進めるに当たっての政府・自民党のその反動的態度であります。
政府・自民党は、過去の再建計画の際にわが党の指摘した問題点、具体的提言をほとんど無視したばかりでなく、議会制民主主義に対する重大な挑戦を行いながら、強引にその意図を貫いてきたのでありますが、その中で、鉄鋼、セメント等の大企業にとっては非常に潤う投資部門への実績であり、地域住民の反対を無視した駅の無人化などの合理化計画であり、下請や外注の一層の拡大による帳じり合わせの人員削減であって、国民に約束をしたサービスの向上や安全の確保については何ら見るべきものがなく、しかも財政悪化という状態に追い込まれたのであります。この責任を明らかにしないまま、犠牲を再び国民と国鉄労働者に転嫁するというやり方は、国鉄を赤字のまま放置しておいて、国民大衆にそのツケを回すという許しがたい行為だと言わなければなりません。
わが日本社会党は、独自の再建対策要綱を作成し、その立場に立って、第一に、国鉄の安全、適確な大量高速輸送機関としての使命を果たさせるため、政府が基本的な責任を持ち、経営の改善を進めること、第二に、政府は国鉄が国民の国鉄として民主的に機能できるよう経営体制の確立を図り、あわせて健全化のための必要な措置を講ずること、第三に、省エネルギー、省資源、安全、環境保全の枠組みの中における総合交通体系を確立し、国鉄がその輸送分野を有効に利用できるよう施策の推進を図るよう、明らかにしたのであります。そして具体的には、経営の民主化、国民の国鉄にふさわしい営業方針の徹底、財政の改革、そして近代的労使関係樹立のためにスト権の付与を即刻行うべきであり、政府はもはや従来のように引き延ばしは許されません。スト権付与と財政再建は車の両輪であります。三木内閣のスト権問題に対応する姿勢は、無責任きわまる反動的なものと断ぜざるを得ないのであります。
とりわけ財政再建については費用負担のあり方に抜本的な改革を目指したものでありますが、新幹線、新線建設、改良工事のうち通路施設の部分は全額政府が出資し、その工事については利子補給をすること、全国九千二百キロの地方交通線の損益欠損分については政府が財政責任を負うこと、公共割引についてはそれぞれの政策実行者がそれを負担すること、こうした措置をとった上、損益勘定にかかわる資金については利用者の負担とすることなどであります。
政府・自民党は、わが党のこれらの積極的な政策要求を率直に受け入れるべきであります。国鉄の現状を冷静に直視するならば、これまで繰り返してきた場当たり的な対応をやめて、いまこそ根本的な改革を進めるべきであります。わが党は、政府・自民党の反国民的な再建策に断固として対決し、その是正のために徹底的に闘う決意であります。
最後に私は、すでに決定している仲裁裁定を予算上資金上不可能な支出と断定し、議決案件として国会に提案したことは許されません。しかも、仲裁裁定の実施を人質にして政府原案の成立を期すという全く卑劣なやり方は、今後とも断じて許さるべきではないと考えます。
わが党は、国民の生活を守り、労働者の生活を守る立場から、こうした反国民的な政治の転換を求める民衆の負託にこたえ、全力を挙げて闘うことを決意し、私の反対討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/34
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035・河野謙三
○議長(河野謙三君) 佐藤信二君。
〔佐藤信二君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/35
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036・佐藤信二
○佐藤信ニ君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。
国鉄は、過去百年間にわたり、わが国内輸送の大動脈として国民生活の向上と国民経済の発展に寄与してまいりましたが、近年において、産業構造の変革や他の交通機関との競合により、その占有率は低下し、旅客三〇%、貨物一三%と、かつての独占的地位を失ってまいりました。しかしながら、鉄道が持っております高速大量輸送等の特性に加え、安全性、エネルギー効率等の観点から、国鉄は将来にわたって国民の足としてその果たすべき使命は重大であります。
一方、国鉄の財政は、昭和三十九年度赤字に転落して以来急速に悪化の傾向をたどり、政府においては、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法に基づき、昭和四十四年度及び昭和四十八年度の二度にわたって財政再建に関する基本方針を決定し、国鉄の合理化、国の助成及び運賃改定等の各種の対策を推進してまいりましたが、しかし、その効果なく、昭和五十年度末における累積赤字は三兆一千六百十億円、長期負債も六兆七千七百九十三億円となりました。
このような現状にかんがみ、政府は現行の財政再建対策が十分にその目的を達成できなかった原因について反省し、新たに再建対策を策定し、強力に実施していくため、五十年末日本国有鉄道再建対策要綱を閣議了解し、これに基づき本案及び五十一年度国鉄関係予算がさきの第七十七回国会に提出されましたが、本案は不幸にして今国会に継続審議となりました。
今回の国鉄再建対策は、まず第一に、その基本理念として、国鉄自身が安易な経営に陥ることなく、厳しい姿勢をとり、国民に対し責任ある経営体制を確立することとし、このためには、違法ストの根絶を含め労使関係を速やかに正常化するとともに、責任ある業務遂行体制と厳正な職場規律を確立するとともに、組織・人事制度の抜本的改革を行うことが必要であるとしておりますが、これらは、国鉄経営の現状を考えるとき、まことに適切な措置であると考えられます。
次に、財政再建の目標については、昭和五十一年度及び五十二年度の二年間で収支の均衡の回復を図り、以後健全経営を維持するとし、具体的には累積赤字の一部に該当する二兆五千四百億円に上る長期借入金のたな上げ措置が講ぜられておりますが、これは、過去の財政圧迫要因を除去し、健全な経営基盤を整備するため今回初めてとられた画期的、前進的措置であり、高く評価できるものであります。
運賃改定につきましては、今年度において旅客、貨物合わせての平均で、名目五〇・三%、実収三六・五%の運賃改定を行うことといたしておりますが、もし現行運賃のままとすれば、本年度だけで約一兆余億円にも及ぶ新たな赤字が見込まれるのでありまして、これ以上国鉄財政を圧迫するわけにはいかず、また、利用者負担の原則からしても運賃改定はやむを得ないと考えます。
本年度予算における運賃改定を見込んだ運賃収入におきましても、ようやく人件費、物件費及び諸税公課の合計額を償うに足るという範囲のものにしかすぎないのであります。しかし、運賃値上げで一番心配されるのは消費者物価に与える影響でありますが、その影響は〇・五%にとどまると予測され、鎮静傾向にある物価を押し上げる要因とはならないと考えます。それよりか、これより厳しい冬に向かって月給遅配を心配している国鉄職員四十三万人並びにその家族、工事費削減等により倒産の危機にさらされている下請関連企業約三万一千五百社、その関連従業員五十五万六千人と家族の生活のことも考えなければなりません。
赤字ローカル線の取り扱いに関しては、昭和五十年度二千二百億円に上る赤字は国鉄経営に大きな負担となっておりますが、他方、地域住民の要求も強く、いま直ちにその結論を求めることは困難でありますので、慎重に取り扱いを検討する必要がありますが、その間の運営費の一部として特別交付金百七十二億円が本年度予算に計上されております。これは今回初めてとられた前向きの処置であり、たとえ少額でも十分に評価できるものであります。
さらに、貨物につきましては、昭和五十五年度までに固有経費で収支均衡することを目標として、経費の二〇%を削減するよう近代化、合理化等の施策を講ずることとされておりますが、なお、貨物輸送につきましては、私は、荷主の選択にこたえ、市場原理に即した運用を行う必要があると考えます。
以上、今回の新しい国鉄再建対策について賛成の趣旨を申しました。
現在、本法案の成立が五カ月おくれたことにより、東北新幹線等の工事経費の抑制や物件費の削減等により、多くの国民に多大な影響を与えております。私は、今後国鉄の再建は政府・国鉄・国民が一体となり、初めて実現できるものと確信しておりますが、現時点においては、本法案の成立により一日も早く国鉄収支の均衡回復が達成され、真に経営の健全性が確立されて、国民の期待にこたえる国鉄として再出発できるよう、関係各位の一層の奮励と御努力を強く要望いたしまして、賛成討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/36
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037・河野謙三
○議長(河野謙三君) 中尾辰義君。
〔中尾辰義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/37
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038・中尾辰義
○中尾辰義君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
国鉄財政の現状は、いまさら申し上げるまでもなく、昭和五十年度で長期債務は六兆七千八百億円、繰越欠損金は三兆一千六百億円に上り、まさに破局的状況にあります。この国鉄財政をいかにして再建するかは国民注視の重要な政治課題であります。と申しますのは、国鉄財政再建の成否が国民生活とわが国経済に重大な影響を及ぼすものであります。従来の経緯から見ましても、単に一時的対策でなく、各般にわたる抜本的施策が講ぜられない限り、国鉄財政の再建はあり得ないからであります。
かかる観点から、わが党は、国鉄の経営の現状は重大なる事態に直面しているとの認識に立ちまして、去る十月の六日、国鉄再建対策案を発表いたしたのであります。
その内容は、国鉄の役割りと位置づけを明確にした総合交通政策の確立、国鉄労使関係の改善を図るための条件つきスト権の付与、国鉄企業努力の強化、国庫補助の強化、また貨物対策の充実などを主な柱といたしております。いたずらに運賃値上げに依存する政府案とは本質的に異なったものであります。
しかるに、今回政府が提案されました国鉄再建対策は、このような認識に欠けた一時的な収支均衡策であり、国鉄の再建を図ろうとする意図がきわめてあいまいなもので、その具体策も全く不十分なものと言わなければなりません。そして、このような政府の再建案は日ならずして破綻に至るでありましょう。
以下、何点かの指摘を行い、反対の理由を申し述べます。
まず第一の反対の理由は、今回の大幅な運賃の値上げが国民生活に大きな影響を及ぼすからであります。
いまや国民は、不景気とインフレ、物価高の中で不安におののいております。消費者米価、電気料金など一連の公共料金の値上げに続いて、ここでまた国鉄運賃が一挙に五〇%も引き上げられることになりますと、国民生活に与える影響は余りにも大きく、まさに暴挙であると断ぜざるを得ないのであります。さらに、この国鉄運賃の値上げは、私鉄、バス、航空など他の交通機関の運賃値上げを誘発することはもちろん、諸物価への影響はきわめて大きく、三木内閣が標榜する物価抑制策に逆行するもので、強く反対せざるを得ません。
政府が国鉄財政の再建に当たって運賃値上げを一つの柱とすることは、いままで二度にわたる再建計画が破綻したことから見ても再建を達成することは不可能であり、国民の上には運賃値上げのみが残り、国民生活を強く圧迫するものであると考えます。
反対の第二の理由は、国鉄の再建が国鉄一企業として解決できる問題ではなく、わが国の交通体系全体の中でのみ達成されるものであるにもかかわらず、いまだに総合交通体系が確立されていない点であります。
現在、総合交通政策といたしましては、政府が四十六年にまとめた「総合交通対策について」がありまするが、その内容は、政府の高度経済成長政策に追随し、各交通機関の競争原理に立脚したもので、交通本来の使命である公共性を全く軽視したものであります。また、今日的課題である省エネルギー問題、労働力の問題、環境問題等について、いずれもその解決策は明示されておりません。公共交通機関の中心的存在であり、国民生活の向上に重要な使命を持つ国鉄が総合交通体系の中で明確に位置づけられ、その機能を十分に発揮できるよう、政府の交通政策の根本的見直しと総合交通政策の早期確立を要求するものであります。
反対する第三の理由は、国鉄の赤字要因である過去債務対策、地方交通線問題、公共負担、貨物輸送問題等についての具体的施策が全く不十分な点であります。
まず、過去債務対策についてであります。政府は、国鉄の長期債務残高六兆八千億円のうち、二兆五千四百億円をたな上げすることとしておりまするが、五十一年度末における長期債務残高は五兆三千億円、同年度の利子負担は三千数百億円と、依然として大きな負担となっております。国鉄の長期債務が政府のこれまでの失政から生じたことを考えますと、過去の長期債務は全額国が肩がわりして、国の責任において処理すべきものと考えます。
次に、地方交通線問題についてでありますが、ナショナルミニマムとして維持、運営される地方交通線は、大幅な運賃値上げや合理化努力によってその収支を均衡させることは困難であり、そこから生ずる赤字は一種の公共負担的なものであります。したがって、この地方交通線から生ずる赤字は全額国が負担すべきものにもかかわらず、本年度においてわずか百七十二億円の特別交付金が支出されるにすぎないのであります。
さらに、これら地方交通線の存廃問題についても何ら明確なる方針は示されず、一方においては危機に瀕した国鉄財政のもとで、三十二線区千三百五十三キロに及ぶローカル赤字線の建設が政府の手によって進められております。政府の地方交通線対策がこのように終始する限りにおいては、国鉄財政再建もあり得ないのであります。
次に、国鉄のいわゆる公共負担についてでございますが、通勤・通学定期割引、学生割引、貨物政策、等級割引など公共負担は、国の物価政策、文教政策、福祉政策を補うために行っているもので、こうした公共負担の減収分は当然国が負担すべきで、いまさら申し上げるまでもございません。委員会審議の場におきましても、政府は、これら公共負担はそれぞれ政策実施部門が負担すべきであると答弁はしたものの、これを完全に実施するとの確約はされなかったのであります。われわれは、この公共負担はあくまでも国が負担すべきものとして強く要求いたしております。
次に、国鉄の貨物輸送問題についてであります。国鉄における貨物輸送の赤字が財政危機の要因であり、国鉄再建策の最重要な柱として位置づけられてしかるべきものであると同時に、貨物輸送部門は総合交通政策の立場からの見直しが最も必要な部門であります。国鉄貨物輸送のシェアが逐年低下し、衰退の一途をたどったのは、産業構造の変化等に対応する政府並びに国鉄当局の適切な施策がなされなかったからであります。今回の再建対策要綱におきましても、現在の輸送機能の維持を前提とし、当面、昭和五十五年度において固有経費で収支均衡することを目標として、所要の近代化、合理化等の施策を講ずると述べるにとどまって、国鉄貨物輸送がわが国物流部門において占める地位、その具体的実行策は明らかでなく、貨物の大幅な赤字は今後とも一般旅客が負担しなければならないとあっては、国民たれ一人として納得するものではありません。政府は速やかにその解決策を国民の前に示すべきであります。
以上数点、私は国鉄の赤字対策について指摘をし、国の財政措置について申し上げましたが、国がとるべき財政措置を明確にし、かつ実行するならば、運賃の大幅な値上げなしに国鉄財政再建は可能と思われます。
反対の第四の理由は、国鉄再建に当たって労使の協調が必要であることは政府みずからが提唱をしているにもかかわりませず、その労使関係にひびを入れる人員削減の強行にあります。
政府は、国鉄再建対策要綱の中で、昭和五十五年度までに五万人の要員合理化を行うとともに要員増は厳に抑制するとして、国鉄労使にとってきわめて重要な人員削減問題を一方的に行おうとしております。国鉄は、すでに四万数千人に上る人員合理化を実施し、もはや合理化の余地はなく、今後人員削減を実施するとすれば、地方閑散線の廃止、貨物輸送の縮小、安全保安業務の縮小など、国鉄本来の業務、サービスの向上に支障を来し、公共輸送機関としての使命を果たすことはできません。
こうした政府の一方的な要員合理化策は、労使間の協調体制を破壊しようとするものであり、絶対に認めることはできないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/38
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039・河野謙三
○議長(河野謙三君) 中尾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/39
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040・中尾辰義
○中尾辰義君(続) 国鉄が近代化……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/40
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041・河野謙三
○議長(河野謙三君) 中尾君、中尾君、時間が経過いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/41
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042・中尾辰義
○中尾辰義君(続) はい、わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/42
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043・河野謙三
○議長(河野謙三君) 簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/43
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044・中尾辰義
○中尾辰義君(続) 国鉄が近代化、合理化によって業務の能率的運営を図ることは当然でありますが、正常で安全な業務遂行のためには、現在の要員規模を維持すべきであることを強く主張するものであります。
反対の第五の理由は、運賃法定制度について弾力化するという政府の意向についてであります。
政府の言う適時適切な運賃変更は、政府当局が一方的に運賃値上げを国民に押しつけるものであり、これを容認することはできません。われわれは、国鉄の経営の自主性、当事者能力の拡大との関係を考慮し、一定の条件のもとに運輸大臣の認可にゆだねる等の措置を、国鉄財政再建が達成された時点におきまして、実施することを提唱するものであります。
以上五点にわたり反対の理由を申し述べましたが、国鉄財政の再建を達成するためには、国民の理解と協力が得られるものでなければなりません。さきに申しましたように、国民に負担を強いる運賃値上げ案は即時撤回をし、真に国民のための国鉄とする再建案を策定することを強く主張いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/44
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045・河野謙三
○議長(河野謙三君) 内藤功君。
〔内藤功君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/45
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046・内藤功
○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
まず私は、本法案の審議に当たって、今国会の重大な任務は、大幅な運賃値上げをやめさせるとともに、何よりも今日非常な危機に直面しております国鉄の抜本的再建策を明らかにすることであったと思うのであります。したがって、わが党が提起しております抜本的民主的な再建案はもとより、各党のお出しになっている政策につきましても十分論議し、再建の道を見出すことはどうしても必要であったと思うのであります。ところが、委員会での私の強い主張にもかかわらず、このことが今日実現に至らないままこの段階に至りましたことは、きわめて遺憾であると言わなければなりません。
以下私は、四点にわたりまして反対の理由を申し述べたいと思います。
私が本法案に反対いたします第一の理由は、政府案が、国鉄の危機についてその根本的な検討も加えずに、再び安易なその場しのぎの運賃値上げという従来のやり方を繰り返そうとしている点であります。政府は、国鉄が赤字に転落しました昭和三十九年以来、すでに三たびにわたる運賃値上げを、国民の大きな反対を押し切って進めました。その都度、国鉄の財政はこの値上げで健全化できると強弁してきたのであります。しかし、その結果残されましたものは、六兆八千億に上る長期債務と三兆一千億円の累積赤字であります。政府は、まず、このような財政と経営の破綻の根本の原因を明らかにしなければならないはずなのであります。ところが、政府は、事実を挙げての私の質問に対しても、その根本の原因と責任を明確にしないばかりか、逆に、しゃにむに法案の成立を図って、五〇%を超える運賃値上げを国民に押しつけ、しかも、来年度についても同様な値上げを明言するありさまであります。このような態度は断じて容認できません。しかも、当然即時実施すべき義務のある仲裁裁定をてこにとって、法案の審議促進と成立を強引に進めてきた政府の卑劣な術策は厳しく糾弾されなければなりません。
反対の第二の理由は、国鉄財政、経営の抜本的再建の重大な条件というべき国と大企業の負担の適正化について政府が何ら具体策を示そうとしていないことであります。
今日の国鉄財政、経営の危機は、政府が長年にわたって国鉄に対し公共交通機関にふさわしくない財政制度を押しつけるとともに、国鉄経営を大企業本位の高度成長政策に奉仕させてきた結果であることは、今日もはや議論の余地のないことであります。それは、政府が公共企業である国鉄に対して当然なすべき出資、助成を怠り、しかも、大企業本位の列島改造計画に沿った莫大な設備投資を、借金に次ぐ借金で賄わせてきたことであります。
この結果、国鉄の利子負担は、昭和五十年度におきまして、同年度の国鉄赤字額のほぼ半分に当たる四千億円にも上っておるのであります。そして、との設備投資の資金をつくり出すために、過大な減価償却方式を昭和三十六年度から取り入れて、この十六年間に約八千五百億円の過大償却をしてきた点であります。
また、過去十カ年間の国鉄の赤字の約八割が貨物輸送によって生まれていることにも明らかでありますように、国鉄は大企業貨物——セメント、鉄鋼、自動車、石油製品などには、もともと低い運賃に加えましてさらに営業割引などの特別割引を行ってきたのであります。私が委員会の質問でも明らかにしましたように、旅客運賃料金の方は、たとえば東京−名古屋間について見ますと、昭和四十一年当時に比べましてこの十年間に六六%も値上がりしているのに、トヨタ、日産などの自動車輸送運賃は、わずか六・七%しか上がっていないというありさまであります。質疑の中で、私は、これら国鉄赤字の根本的原因を取り除いて、その仕組みを抜本的に改めることこそが国鉄再建の道であるということを一貫して主張してまいりました。政府・国鉄当局は私の提案を受け入れる熱意なく、また、みずからの具体的計画も示さず、ただただ運賃値上げだけを繰り返そうとしてきていることは、これでは財政再建どころか、財政破綻を一層激しくするものと断ぜざるを得ないのであります。
反対理由の第三は、国鉄貨物のシェアの低下による収入減対策について、政府が何ら具体的、根本的な解決策を明らかにしていないことであります。
現在、陸上の総貨物輸送量に占める国鉄の割合は年々低下して、貨物運賃収入はここ数年来横ばい状態となり、それは国鉄赤字の要因の一つであることは明らかであります。しかも、その原因が、国鉄への出資は怠りながら、高速自動車道路の建設には莫大な国費の支出を重ねるなど、政府の自動車優先政策に裏づけられたトラックの進出によることが明らかであります。にもかかわらず、政府はわが党のたび重なる主張をも無視して、何ら具体的な、積極的な解決策をとろうとしていないことは、言語道断と言わなければなりません。
反対理由の第四は、政府・国鉄が従来の新幹線と大企業貨物輸送の増強に依然として設備投資の大半をつぎ込みながら、他方では、地方路線の切り捨て、駅の無人化、ダイヤの削減など、国民の犠牲を一層大きくしようとしていることであります。
私は質疑の中で、地方の通勤・通学列車の実情、無人駅の荒廃の実態、身体障害者、視覚障害者の方々に対する安全施策の欠如などについて、それぞれ具体的な事実を挙げてその改善を求めたのであります。政府・国鉄当局が依然として国民への安全、サービス義務を無視した大企業奉仕の輸送政策を改めようとしないことは、きわめて不当だと言わざるを得ません。
以上四点の理由から、二法案に反対するものでありますが、私たちは、それにとどまらず、積極的に国鉄の財政と経営についての民主的、抜本的な再建策を提案しております。
その内容は、第一に、線路や路盤など国鉄の基礎施設の建設、改良資金は国の支出で賄うこと。第二に、莫大な過去債務については、その全部を国の責任で計画的に解消すること。第三に、大企業の貨物運賃の適正化を図り、特に貨物の特急、急行、物資別専用列車などについても料金制度を設けること。第四に、陸上貨物輸送での国鉄の役割りを高めるために、鉄道とトラックの貨物輸送分野を総合的、民主的に調整すること。第五に、大企業本位の設備投資のやり方を改め、ローカル線の路線整備、大都市通勤輸送の改善など、国民生活に直結する交通網の確立を図ること。
以上五つの大きな骨格を持った政策であります。政府が、このような再建策を確立することを私は最後に重ねて強く要求をいたしまして、反対討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/46
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047・河野謙三
○議長(河野謙三君) 和田春生君。
〔和田春生君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/47
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048・和田春生
○和田春生君 ただいま議題に供されております国鉄運賃法及び国鉄法の一部を改正する法律案に、私は民社党を代表し、反対の立場で討論を行います。
私が反対する主な理由の第一は、国鉄の再建対策及び関係予算措置の取り扱いにつきまして、政府の態度が無責任であることによります。
これらの措置が当初国会に提案されて以来約十カ月を経過し、この時間的なずれによりまして、当初予期された効果がすでに期待できない事実関係が発生し、そのことが明らかとなっているにもかかわらず、何ら対策の修正も予算の補正も行わずに、当初原案のまま強行を図ることは、政治的にはなはだ節操を欠いているものと言わなければなりません。
反対するもう一つの主な理由は、国鉄の再建に対する国の責任と、政府の果たすべき役割りにつきまして、政府自体の思想統一ができていない点であります。
そのために、三木総理を初め、運輸、大蔵の両大臣など、責任者が委員会で行ってきた答弁にも重要な点で食い違いや混乱が認められ、それは単に表現上のニュアンスの相違といった程度のものではありません。また、その結果として、国鉄再建に関する政策手段と予算措置につきましても未確定の部分がなお多く残されたままであります。にもかかわらず、去る十月十五日、本院本会議における三木総理の答弁で、五十一年、五十二年の二年度で国鉄の収支均衡を図り、以後健全経営を維持するという政府の立てた再建目標につきまして、これを達成できるものと断言したことは、まさに政治的な詭弁であります。とのように不実な政府の態度は、まことに遺憾であると思います。一国の総理大臣がこのような態度を示し、もしその言明のごとく五十二年度において再建目標が達成されなかったとした場合、一体いかなる政治的責任をとるつもりでしょうか。仮に次年度審議のとき、三木さんがすでに総理の座を去っているかもしれない、そういうような話でその責めを免れるものではないと思います。
ところで、現在の国鉄そのものについて、もちろん数多くの問題があることは否定できません。まず、たとえ赤字で身動きができない状態であるといたしましても、国鉄経営者としての経営責任をいいかげんにしておいてよいはずはありません。また、企業は人なりと言います。国鉄を支えている労使の関係を正常化することは目下の急務であります。とりわけ、この国鉄の深刻な危機状況の中にあって、国鉄の足を引っ張る無責任な違法ストライキやサボタージュが行われ、国民の不信を買い、国鉄離れの機運を増幅してきた事実に対し、関係当事者の反省が特に重要であります。
さらに、国鉄の運行や管理運営の近代化、合理化、生産性の向上に不断に取り組み、コストの引き下げとサービスの向上という課題に挑戦することも、上は国鉄総裁から一般職員に至るまで、国民の国鉄を預かる国鉄マンとして当然の責務であると存じます。このような国鉄の体質改善に対しまして、なお一段と真剣な努力が払われ、まじめに働く国鉄職員が本当にやる気を起こして、全体として国民から愛される国鉄がつくられない限り、単に金銭的、物質的な助成だけで国鉄の立て直しができないことは申すまでもございません。
しかし、そのことを踏まえながらも、なおかつ、現在の国鉄は、国鉄自身の努力をもってしてはどうにもならないところに来ているわけでございます。こうした状態で、そしていま政府から提案されている程度の再建策では、働けど働けど国鉄の赤字は消えません。国鉄の経営努力のむなしさが必然的に士気の低下に結びつくことは避けられないと思います。現に、この五十一年度だけで、過去の累積赤字をたな上げいたしましても、なお約八千億円という巨額な赤字が残されているわけであります。この額は、本年度運賃引き上げが平年度化されても、さらにそれを上回るほどのものでございます。この赤字を一体どう処理するつもりでしょう。さらに、四兆数千億円に及ぶ膨大な過去債務を抱え、依然として国鉄はその重荷を背負っておりますけれども、金利負担、償却はそのままでは、国鉄再建を絶望的にするものでございます。これを一体どうするつもりでございましょうか。三木総理、大平大蔵大臣、石田運輸大臣ともに何ら明確な方針を示さず、ただ検討すると繰り返すばかりではございませんか。
国鉄は国民の貴重な資産であります。この国鉄を必要とする限り、国鉄自体の責任において処理することができず、国鉄に背負わせることが不適当な重荷につきましては、わが党がかねがね主張してまいりましたように、政府の責任で処理するのが理の当然であります。にもかかわらず、そのような国鉄を再建するための基礎工事が粗雑で、合理的な基盤を欠いたまま、大幅な運賃値上げばかりが先走っているところに政府提案の大きな矛盾があるわけであります。つまり、再建にならない再建案と称しても過言ではありませんから、このままでは早晩抜本的な見直しと手直しを迫られることは必至でございます。
今回の政府提案の中には、従前のそれに比して前進した内容を含んでいることをあえて否定するものではありませんが、以上の理由によりまして、政治的な良心にかけて政府原案のままでは断じて賛成するわけにはまいりません。
さて、ここで私は、三木総理を初め政府・与党に対して特に苦言を呈し、深い反省を求めたいと思います。
残念ながら、三木総理はいまこの席上におられませんけれども、本日の本院運輸委員会における私の締めくくり質問に対する総理答弁は、核心に触れる重要なポイントについては抽象的な言葉の羅列でお茶を濁し、責任ある総理見解をついに聞くことはできませんでした。いかにも空疎で、知的な誠実さに欠け、その場しのぎのものでしかありませんでした。
政府一般会計予算規模の一割にも相当する財政規模を持つ国鉄の再建いかんは、まさに国家の大事であり、国民生活にきわめて大きな影響を持つ仕事であります。それについて、もし政府の意図として伝えられているがごとく、次年度以降も相当大幅な運賃値上げの必要を考えているとするならば、国鉄任せとせず、なぜそのことを大胆率直に訴え、国民の理解と合意を求めるため懸命の努力をしないのですか。それが政府・与党の責任ではありませんか。また、もし国鉄運賃の大幅引き上げが、かえって国鉄離れを促進し、必ずしも国鉄の増収につながらず、再建にとって不都合であるとするなら、政府が財政的に大きな負担をする以外に事実上適切な方途はないのであります。その間の事情を明らかにして、政府の大幅な助成、すなわち国の責任における国鉄再建について広く国民の賛意を求めるため積極的に努めることこそ、政治家たるもののとるべき道ではないでしょうか。そのいずれもが困難であるとするなら、国鉄をやがて破産させるのか、抜本的に国鉄のあり方を変えることとするのか、その選択について国民の前に真相を包み隠さず明らかにいたし、率直に問いかける姿勢こそ必要ではないかと存じます。
正直に言って、いまや国鉄はその瀬戸際一歩手前に来ていると思います。それを知ってか知らずか、言葉の操作で当面を切り抜けようとする三木総理の態度は、具体論に対する無知を抽象論でごまかし、言論あって実行なしという、まことに芳しくない世評をまさに証明するものと言わなければなりません。一国の総理として抱負経綸のかけらも見られないことに失望し、まことに残念であると考えます。
しかし、その三木総理・総裁を生み出したのは、ここに多数を占めておる政府・与党たる自民党の議員諸君であります。三木総理のみの責任ではございません。どうか政府・与党たる立場と責任に対する自覚のもとに真剣な反省をしていただきたい。そして、われわれの批判、検討にたえる国鉄再建の具体策を速やかに立てられるよう心より望みまして、私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/48
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049・河野謙三
○議長(河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。
これより採決をいたします。
表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/49
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050・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/50
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051・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/51
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052・河野謙三
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百四十六票
白色票 百二十六票
青色票 百二十票
よって、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案は可決されました。(拍手)
—————・—————
〔参照〕
賛成者(白色票)氏名 百二十六名
安孫子藤吉君 青井 政美君
青木 一男君 井上 吉夫君
伊藤 五郎君 岩動 道行君
石破 二朗君 石本 茂君
糸山英太郎君 稲嶺 一郎君
今泉 正二君 岩上 妙子君
上田 稔君 上原 正吉君
植木 光教君 江藤 智君
遠藤 要君 小笠 公韶君
小川 半次君 大島 友治君
大鷹 淑子君 大谷藤之助君
岡田 広君 岡本 悟君
長田 裕二君 加藤 武徳君
鹿島 俊雄君 梶木 又三君
片山 正英君 金井 元彦君
上條 勝久君 亀井 久興君
川野 辺静君 河本嘉久蔵君
神田 博君 木内 四郎君
木村 睦男君 久次米健太郎君
久保田藤麿君 楠 正俊君
熊谷太三郎君 黒住 忠行君
剱木 亨弘君 源田 実君
小林 国司君 後藤 正夫君
郡 祐一君 佐々木 満君
佐多 宗二君 佐藤 信二君
佐藤 隆君 斎藤栄三郎君
斎藤 十朗君 坂野 重信君
迫水 久常君 山東 昭子君
志村 愛子君 塩見 俊二君
嶋崎 均君 新谷寅三郎君
菅野 儀作君 鈴木 省吾君
世耕 政隆君 園田 清充君
高田 浩運君 高橋 邦雄君
高橋 誉冨君 高橋雄之助君
橘直 治君 棚辺 四郎君
玉置 和郎君 土屋 義彦君
寺下 岩蔵君 寺本 廣作君
戸塚 進也君 徳永 正利君
内藤誉三郎君 中西 一郎君
中村 太郎君 中村 禎二君
中村 登美君 中山 太郎君
永野 嚴雄君 夏目 忠雄君
鍋島 直紹君 西村 尚治君
橋本 繁蔵君 秦野 章君
初村滝一郎君 鳩山威一郎君
林 ゆう君 林田悠紀夫君
原 文兵衛君 桧垣徳太郎君
平井 卓志君 平泉 渉君
福井 勇君 福岡日出麿君
藤井 丙午君 藤川 一秋君
藤田 正明君 二木 謙吾君
細川 護煕君 堀内 俊夫君
前田佳都男君 増田 盛君
増原 恵吉君 町村 金五君
丸茂 重貞君 宮崎 正雄君
宮田 輝君 最上 進君
望月 邦夫君 森下 泰君
八木 一郎君 矢野 登君
安井 謙君 安田 隆明君
柳田桃太郎君 山崎 竜男君
山本茂一郎君 山内 一郎君
吉田 実君 吉武 恵市君
亘 四郎君 有田 一寿君
—————————————
反対者(青色票)氏名 百二十名
阿具根 登君 青木 薪次君
赤桐 操君 茜ケ久保重光君
秋山 長造君 案納 勝君
上田 哲君 小野 明君
大塚 喬君 加瀬 完君
粕谷 照美君 片岡 勝治君
片山 甚市君 川村 清一君
神沢 浄君 久保 亘君
工藤 良平君 栗原 俊夫君
小谷 守君 小柳 勇君
小山 一平君 佐々木静子君
沢田 政治君 志苫 裕君
杉山善太郎君 鈴木美枝子君
鈴木 力君 瀬谷 英行君
田中寿美子君 竹田 現照君
竹田 四郎君 対馬 孝且君
辻 一彦君 鶴園 哲夫君
寺田 熊雄君 戸叶 武君
戸田 菊雄君 中村 波男君
中村 英男君 野口 忠夫君
野田 哲君 野々山一三君
羽生 三七君 秦 豊君
浜本 万三君 福間 知之君
藤田 進君 前川 旦君
松本 英一君 宮之原貞光君
村田 秀三君 目黒今朝次郎君
森 勝治君 森下 昭司君
森中 守義君 矢田部 理君
安永 英雄君 山崎 昇君
吉田忠三郎君 和田 静夫君
阿部 憲一君 相沢 武彦君
内田 善利君 太田 淳夫君
柏原 ヤス君 上林繁次郎君
黒柳 明君 桑名 義治君
小平 芳平君 塩出 啓典君
白木義一郎君 鈴木 一弘君
田代富士男君 多田 省吾君
中尾 辰義君 二宮 文造君
原田 立君 藤原 房雄君
三木 忠雄君 峯山 昭範君
宮崎 正義君 矢追 秀彦君
矢原 秀男君 山田 徹一君
岩間 正男君 上田耕一郎君
小笠原貞子君 加藤 進君
春日 正一君 神谷信之助君
河田 賢治君 沓脱タケ子君
小巻 敏雄君 近藤 忠孝君
須藤 五郎君 立木 洋君
塚田 大願君 内藤 功君
野坂 參三君 橋本 敦君
星野 力君 安武 洋子君
山中 郁子君 渡辺 武君
柄谷 道一君 木島 則夫君
栗林 卓司君 三治 重信君
田渕 哲也君 中沢伊登子君
中村 利次君 藤井 恒男君
向井 長年君 和田 春生君
青島 幸男君 市川 房枝君
喜屋武眞榮君 下村 泰君
野末 陳平君 松岡 克由君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/52
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053・河野謙三
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/53
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054・河野謙三
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長田代富士男君。
〔田代富士男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/54
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055・田代富士男
○田代富士男君 ただいま議題となりました二法案について、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
両法案は、一般の政府職員の給与改定に伴い、それに対応して裁判官及び検察官の給与を昭和五十一年四月一日にさかのぼって改定しようとするものであります。
委員会における質疑の詳細は会議録により御承知願います。
質疑を終わり、別に討論もなく、順次採決の結果、右二法案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/55
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056・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより両案を一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/56
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057・河野謙三
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、両案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/57
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058・河野謙三
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/58
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059・河野謙三
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長鍋島直紹君。
〔鍋島直紹君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/59
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060・鍋島直紹
○鍋島直紹君 ただいま議題となりました国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案について御報告申し上げます。
本法律案は、国会議員の秘書に対する勤勉手当につきまして、今回の政府職員の給与改定に伴う勤勉手当の支給割合の改定に準じ、同様の措置を講じようとするものでありまして、本年四月一日から適用することといたしております。
委員会におきましては、審査の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/60
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061・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/61
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062・河野謙三
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/62
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063・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第五より第一〇九までの請願、及び本日、公職選挙法改正に関する特別委員長外五委員長から報告書が提出されました地方議会議員の半数改選制反対に関する請願外九十四件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/63
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064・河野謙三
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/64
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065・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
まず、配合飼料製造原料としての甘薯の輸入関税の全額免税に関する請願は、委員長の報告を省略して、委員会決定のとおり採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/65
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066・河野謙三
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本請願は、委員会決定のとおり採択することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/66
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067・河野謙三
○議長(河野謙三君) 次に、その他の請願は、各委員長の報告を省略して、各委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/67
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068・河野謙三
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、これらの請願は、各委員会決定のとおり採択することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/68
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069・河野謙三
○議長(河野謙三君) この際、委員会の審査及び調査を閉会中も継続するの件についてお諮りいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/69
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070・河野謙三
○議長(河野謙三君) 本件は、各委員長要求のとおり決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/70
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071・河野謙三
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、本件は各委員長要求のとおり決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/71
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072・河野謙三
○議長(河野謙三君) この際、お諮りいたします。
本日、佐藤隆君から議員辞職願が提出されました。
辞表を参事に朗読させます。
〔参事朗読〕
辞 職 願
今般一身上の都合により議員を辞職いたし度御
許可相成るよう御願い申し上げます。
昭和五十一年十一月四日
参議院議員 佐藤 隆
参議院議長 河野 謙三殿発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/72
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073・河野謙三
○議長(河野謙三君) 佐藤隆君の議員辞職を許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/73
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074・河野謙三
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/74
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075・河野謙三
○議長(河野謙三君) この際、ごあいさつをいたします。
第七十八回国会を終了するに当たり、一言ごあいさつ申し上げます。
今国会は、財政、経済及び国民生活等にわたる重要な諸案件が議題となりましたが、各位におかれましては、それぞれのお立場を超えて熱心に御審議に当たられ、参議院本来の使命を発揮し、国民の期待にこたえ得たことと確信いたします。
ここに本日、円満に閉会できますことは、皆様の良識ある御協力によるものでありまして、議長といたしまして衷心より感謝にたえません。
いまや内外の情勢多端の折、各位におかれましては、御自愛の上、一層の御活躍あらんことを祈ってやみません。
これにて散会いたします。(拍手)
午後十時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107815254X01119761104/75
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