1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十二年四月二十二日(金曜日)
午前十時十九分開議
出席委員
委員長 上村千一郎君
理事 羽田野忠文君 理事 山崎武三郎君
理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君
理事 沖本 泰幸君
田中伊三次君 福永 健司君
島本 虎三君 西宮 弘君
日野 市朗君 飯田 忠雄君
長谷雄幸久君 正森 成二君
加地 和君
出席国務大臣
法 務 大 臣 福田 一君
出席政府委員
内閣総理大臣官
房管理室長 藤井 良二君
法務政務次官 塩崎 潤君
法務大臣官房長 藤島 昭君
法務省民事局長 香川 保一君
大蔵省証券局長 安井 誠君
委員外の出席者
大蔵省証券局資
本市場課長 小粥 正巳君
大蔵省証券局企
業財務課長 森 卓也君
法務委員会調査
室長 家弓 吉己君
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委員の異動
四月二十一日
辞任 補欠選任
米田 東吾君 岡田 利春君
正森 成二君 津川 武一君
加地 和君 菊池福治郎君
同日
辞任 補欠選任
岡田 利春君 米田 東吾君
津川 武一君 正森 成二君
菊池福治郎君 加地 和君
同月二十二日
辞任 補欠選任
日野 市朗君 井上 一成君
米田 東吾君 高沢 寅男君
飯田 忠雄君 正木 良明君
同日
辞任 補欠選任
井上 一成君 日野 市朗君
高沢 寅男君 米田 東吾君
正木 良明君 飯田 忠雄君
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本日の会議に付した案件
社債発行限度暫定措置法案(内閣提出第四五
号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/0
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001・上村千一郎
○上村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、社債発行限度暫定措置法案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/1
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002・横山利秋
○横山委員 本委員会は昨年まで商法の一部を改正する法律案につきましてずいぶん長期間にわたって審議をいたしたことがございます。今回の法案は担保付社債の問題ではございますけれども、われわれが同僚諸君とともに、商法の一部を改正する法律案について質疑をいたし、そしてさまざまな問題点を浮かび上がらせた問題とかなり密接な問題がございますから、その当時の経緯をも含めまして、きょうは序論の序論のような問題でございますけれども、継続的な意味でまず少し質疑をいたしたいと思います。
つきましては、本委員会が過ぐる商法の一部を改正する法律案に対する附帯決議をつけまして、満場一致この附帯決議を可決をいたしたことの想起を政府側に願いたいのであります。その中に会社法の問題、それから「会計監査人の独立性を確保するため、その選任方法等について適切な方途を講ずること。」それから「監査法人の育成・強化を図る反面、個人たる公認会計士の業務分野についても行政上適正な措置をすることとし、もつて活動分野の調整をはかるものとすること。」「休眠会社の整理に当つては、事前に十分なPRを行なう等、慎重に措置すること。」順序不同でございますが、「監査法人は、その社員が税務書類の作成などの税務業務を行なつている会社について、本法の監査業務を行なわないよう規制すること。」「「企業会計原則」の修正が租税に大きな影響をもたらすこととなるときは、租税法律主義に反しないよう必要な手続をとること。また、同原則の修正に当つては、より真実の財務内容の公開という目的に合致するよう留意すること。」「商業帳簿等としてマイクロフイルムを一定の条件の下に認めること。」「学校法人等公益的な性格の法人について公認会計士の監査対象とするよう速かに措置すること。」等々が附帯決議でされておるわけでありますが、これらの附帯決議については、政府はその後もいまも今後も誠実にこれを実行する決意でありますかどうか、簡単で結構でございますが、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/2
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003・香川保一
○香川政府委員 商法に関係する部分につきましては、早速いま御指摘の商法の改正を要する部分の問題点を摘出いたしまして、一般に意見を聞きまして、一昨年から法制審議会の商法部会において会社法の全面的な見直しということで審議が続けられておるわけでございまして、その結論を待ってできるだけ早く改正すべきものは改正したいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/3
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004・横山利秋
○横山委員 昨年の十一月二十六日「公認会計士制度の当面の諸問題」としてこれは公認会計士審査会に政府がお出しになったということでありますが、大蔵省もちろんお認めになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/4
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005・安井誠
○安井政府委員 五十一年十一月二十六日に公認会計士審査会に対しまして、「公認会計士制度の当面の諸問題」ということで御審議をお願いした文書がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/5
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006・横山利秋
○横山委員 同僚諸君のために少しその内容を御披露いたしますと、公認会計士の現状を述べ、そして「その一」として「第三次試験の筆記試験合格点の引上げ」、「その二」の1として「監査法人のあり方について」、2として「試験制度のあり方について」、3として「公認会計士制度と税理士制度との関係について」、そして「公認会計士協会の運営のあり方について」、これらはかなり今日の公認会計士制度につきまして具体的な問題点を指摘し、その私どもの附帯決議の線に沿っているかのごとき点もないではありません。
ただし、一番私が頭にきましたのは、「公認会計士協会の運営のあり方について」という項であります。たとえば「事務体制の強化」について朗読いたしますと、
協会の組織は、会長、副会長、常務理事、各種委員会の委員長と一応ピラミッド型になつているが、このような縦の関係において有機的な連絡が行なわれているとは言い難い例が見受けられる。協会のかかえる問題を、常に統一的に把握する機能が十分といえるのかどうか、また、役員と事務局との関係についても、組織として規律のとれた指揮系統によつて運営されているとはいい難い面もしばしば見うけられる。
組織の効率的な運営を確保するとともに、外部に対する責任体制を確立する意味からも専務理事制の採用、長年にわたり空席の事務局長の補充等協会の事務体制の強化につき検討する必要がないか。
(2)協会運営の適正化
五十一年九月期決算から実施されることとなつた銀行監査に関連して、五行制限、監査日数等の問題で協会の内外に種々摩擦を生じた。
商法改正の経緯等から多くの公認会計士が金融機関監査に関心をもつたことは否めないが、公認会計士が自由職業人である限り、監査関与先をどこにするかはその良識ある判断の問題であり、また、監査を受ける側も公認会計士を自由に選択できなければ、信頼関係に立つた監査は期待できない。協会としての役割は、会員の監査が十分に行われるよう環境づくりをし、会員を指導監督することにある。
従つて、この意味からすれば、協会の打出した五行制限は行きすぎであり、又それを多数決原理によつて強行しようとしたことは、特殊法人たる協会の運営問題としても問題があるのではないか。
また、監査日数問題で現実とは相当かけはなれた指導を行い、全銀協等との間に種々軋轢を生じたことは、協会の信用にも大きな打撃を与えたことと考えられる。
企業経理を適正化し、投資者保護を推進するため、監査制度の重要性は、今後ますます高まることと考えられ、公認会計士制度の健全なる発展のため、協会運営の適正化に一層配慮すべきではないか。
これは一体何でございますか。これはまさに今日の公認会計士協会がその統制ができない、内部が混乱しておる、そして規律が十分でない、そしてやったことについて多数決原理で強行しようとしたことは問題がある。まことに内政干渉もはなはだしいことではありませんか。これは如実に大蔵省と公認会計士協会のいまのあり方を物語っておる。単に公認会計士協会ばかりではありません。それは政府の監督を受ける各種団体と政府との関係が常に問題になっている。公認会計士協会というのは少なくとも法に基づいてでき上がっておる一つの民間団体である。政府の多少の指導はともかくとして、まさにこの文章は、体裁のいいことを言っているけれども、おまえのところはでたらめじゃないかと言わんばかりの文章であります。まさになめた文書であります。なめた方もなめた方であるけれども、私に言わせれば、こんな文書をもらっていろいろ検討しておる方もなめられたものだと私は思うのであります。こういうことが政府の機関と民間の機関との関係であるとするならばゆゆしいことだと思うのであります。これらの問題の内容はまず別といたしましても、政府側が審議会へあの公認会計士協会はでたらめであると言わんばかりのことを文書をもって提出するとは何事でございますか。こんなことをこれからもおやりになるつもりでございますか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/6
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007・安井誠
○安井政府委員 公認会計士審査会と申しますのは、公認会計士制度の関係いたします諸制度の立案であるとかあるいはその運営につきましても、試験制度の実施のほかに非常に関心を持っておられる審査会であります。審査会の委員には学識経験者の方々のほかに公認会計士協会会長も実はメンバーに入っておられるわけであります。
そこで、先ほど先生がお読み上げになりましたように、監査法人の問題、この委員会で提示されましたような問題点、あるいは外国の公認会計士事務所ということで横山先生が御指摘になりましたような問題点とあわせまして、公認会計士協会の運営の問題につきまして私どもが非常に関心を持っておりましたのには、幾つか理由があるわけであります。公認会計士協会というのは、まさに先生が御指摘のように公認会計士の団体でありまして、公認会計士協会に公認会計士自身を監督する権限も与えておるわけであります。公認会計士協会の運営が必ずしもうまくいっていないということは、私どもとしても強い関心を持たざるを得なかったわけであります。たとえば、昨年のこの委員会におきまして先生から銀行に対しますところの公認会計士の監査法人の数の御指摘がございました。非常に恐縮でありますけれども、私どもが御報告申し上げました数字と先生がこの委員会で御発言になりました数字が違っていたわけであります。たしか五月十一日だったと思いますが、実はそれも公認会計士協会の方に御連絡をして数字をいただいたのでありますけれども、どうも中の運営がだれが責任を持っているのか必ずしもわからないような状態である。それからまた、銀行の監査に伴いまして、これまた先生に大変御迷惑をかけたのでありますけれども、協会の中での議論が外部にまで非常に影響を及ぼしまして、銀行協会との間にもいろいろなトラブルが起きたわけであります。公認会計士協会というのは公認会計士法上の特殊法人でありますから、私どもがそれに対します監督をしていく上で、たとえば検査をするとか報告を求めるとかいう方法もあるわけでありますけれども、その前に、一応公認会計士審査会という公認会計士制度の発展に関しても前々から非常に関心を持っておられる審議会で一度フランクに御議論をお願いいたしたい、そしてその上でもし改めるべきことは改めてもらったらどうだろうかという意味で問題を提起したわけであります。あるいは表現が少しきついという御批判はあるかと思いますけれども、中に書いてありますようにどう考えるかということで結んであるわけでございまして、それを十分御検討いただきたいということが私どもの希望だったわけでありまして、むしろ私どもは、公認会計士協会というのをますます育てて、公認会計士の自主規制の上に日本の公認会計士制度が発展していくようにしていきたいというのが私どもの本来の希望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/7
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008・横山利秋
○横山委員 本来の希望であろうと何であろうと物には節度というものがあります。よしや公認会計士協会内部にもしあなたのおっしゃるような指摘がありましょうとも、政府は政府、協会は協会であります。何かあなたの方が高いところにおって絶対権限を持っておるような顔をして、おまえらのやっておることは何だ、規律もだめじゃないか、内部も混乱しているじゃないか、あるいは指令が行き届かないじゃないか、だらしがないじゃないかというようなことを、協会直接ならまだともかく、あるいは文書でなくて呼んで口頭で意見を述べるならともかく、審議会のような公式なところへ文書をもって協会の内部のかかることを言うということは、まさに内部干渉もはなはだしいではありませんか。この種の事例がほかの団体にも政府機関との間にあることは私も知っております。知っていますけれども、しかしどこの省であろうとも、かかる文書をもって民間の団体に対してなめたようなやり方をするところはありませんよ。あなたが仮に公認会計士協会のよりよき健全な発展を図るとするならば、それは公認会計士協会みずからにやらせなければいかぬ。あなたにしかられて、そしてなめられたようなかっこうをして、あなたに文句もよう言わずに内心ふんまんやる方ない気持を持つということは当然なんでございます。これからはこのような内部干渉、なめたようなやり方をすることは差し控えてもらいたいと思う。これが一つであります。
それから、いまあなたは、私に昨年の銀行監査についてのいろいろないきさつをお話しになりました。事実でないとは言いませんよ。けれども、それとても内部でいろいろとやっておることについて多少の行き違いや数字の違いがあったからといって、いまこういう場所でそれを理由に議論をされるというのはいかがなものかと思います。
第三番目に、公認会計士審査会に公認会計士協会長も入っているとあなたはおっしゃいましたが、私はそれについて少し異論があるのです。公認会計士制度の根幹を議論するところに宮坂会長一人しか入っていない。これはほかの税理士会なりいろいろな会でも、あるいは労働問題についてもそうでありますが、一人ということはないですよ、医師会だって健康保険の問題だって。今後あなたが指摘したような公認会計士制度の当面の根幹の問題を審議するとしたならば、公認会計士の現職の中から審議会に少し人数をふやすべきだと思うのです。しかも出ているというのは会長なんです。会長という職は、それはそれで自由な発言が十分できるかどうか、会長が全公認会計士の意見を全部集約をして、実務を本当に知っているかどうかという点は、どこの団体でも会長がすべて知っているとは言えないのであります。政治的な高度の判断、決断は会長に要求はされても、具体的な内容に至って実務を知っておるというものではないのでありますから、審議会の中へ公認会計士の人数を少しふやすことを考慮されないものであるか。この三点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/8
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009・安井誠
○安井政府委員 繰り返すようでありますけれども、先生の御指摘の公認会計士審査会にこういう問題をお諮りいたしましたのは、公認会計士審査会というのは公認会計士制度に関する重要な事項を審査していただくところでありますから、しかも私どもといたしましては公認会計士協会の方とももちろん事前に何回か打ち合わせをいたしました上で、もし制度に問題があるとすれば制度的な改善も図らなければいけないだろうということから、このような問題提起をしたわけでございまして、少なくとも内部干渉をするという意向だけは全くなかったわけであります。
それから公認会計士審査会の運営の問題、第五番目でございますか、この点につきましては、いま先生の御指摘のとおりに、会長だけにお答えいただくこと私どもむずかしいというふうに考えております。したがいまして、運営の問題になりましたときには、協会からしかるべき方をおいでいただきまして、非公式の懇談をするなり、あるいは公式の席上で御意見を述べていただくなり、こういう問題につきまして、公認会計士審査会の委員方と公認会計士協会との間に十分意思の疎通が行われるように——私とも決して、個別にこういう点を指摘して、これがけしからぬとか、公認会計士協会をなめ切ったとかいう気は毛頭ないわけでありまして、とにかく公認会計士制度というものが——私どもが特に指摘をしました理由というのは、内部で議論されている限りでありますればそれは協会の中の問題でありますが、これが外部に出てきて外部からいろいろな批判を受けるのは改めてもらわなければいかぬ。それをしない限りは、公認会計士の将来の発展のためにも非常に望ましくない、そういう意図であったということだけは御理解をいただきたいと思いますし、またこの点を問題提起したことによりまして協会の中でも最近いろいろ議論が尽くされておるようでありますので、いずれまた審議の経過等については御報告申し上げる機会があればと思いますけれども、そういう意味でやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/9
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010・横山利秋
○横山委員 あなたは私と立場は違いますが、公認会計士制度及び公認会計士協会のあり方にお互いに関心を持ち、その健全な発展を図るという意味においては変わりはないと思うのであります。けれども、物には節度というものがある。自分は高いところに立って、おれの言うことがすべて正しくて、公認会計士のやっていることについておれが言わなければ何ともならぬといううぬぼれだけはお互いに慎みたいと思うのです。したがって、今後このようなことがないように、手段、方法を十分考えてやっていただかなければなりません。あなたは本件についてはずいぶん知識を持っていらっしゃるし、判断なり展望も持っていらっしゃるようだ。しかし、あなたが大変頭のいい人であることは認めるけれども、あなたがいつまでもその職にとどまっておるわけではありません。だから、いかにして公認会計士が自発的にその協会を健全に発展をさせるかということに節度を置いてひとつやっていただくように希望をいたしたいと思います。
それから、いま人数をふやさぬでも幾らでも方法はあるとおっしゃいましたけれども、これとても私は、少なくとも他の審議会はその関係の業界が一人ということはないのでありますから、他のいろいろな審議会等の経緯も考えて、これほどの重要な問題、これからまだたくさん生ずるわけでありますから、審議会における公認会計士のメンバーの増加について他と均衡を失しないように御検討を願いたいと思います。
次は、本年の一月十四日に各新聞が一斉に取り上げたわけでありますが、公認会計士協会の近畿会が灰色決算を内部告発をしたという記事が出ています。要するにそれは、公認会計士が監査をした会社についてその公認会計士の監査が適正であったかどうかを、また公認会計士協会の内部にあります組織——その組織が各地方に置かれておるわけでありますが、その近畿会がその監査のありようが問題があると言うて、それが新聞に出たわけであります。
このことは二つの問題があります。一つは内部告発の問題である。もう一つはその内容の問題であります。まず私は、内部告発という言葉が適当かどうかわかりませんが、この公認会計士協会が、自分たちの同僚のやったことを機関として適切であるかどうかということを念査するという機構があることは大変いいことだと思うのであります。それは公認会計士協会それ自身のためにも社会のためにもいいことだと思っています。たまたまその下部機関であります近畿会がそれを機関として調査をして、それが新聞に出た。一つの考え方としては、内部の問題であるから、これを出さないようにしたらよかったのではあるまいかという意見がないてはありません。しかし、この事件を——事件といいますかどうか、この問題を私が高い次元で考えてみますと、公認会計士協会の内部機関であります紀律委員会というのですか、あるいはまた場合によっては懲戒委員会といいますか、それらの機関が十分公正に活躍することを衷心私は期待したいのであります。この監査結果を大蔵省がまた念査して公認会計士を処分したりなんかする前に、協会がそれを念査する、紀律委員会あるいは懲戒委員会でやるということほど民主的な問題はないと私は考えています。まずその点について、大蔵省は、内容の問題でなくてその機能の問題についてどうお考えか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/10
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011・安井誠
○安井政府委員 先生のいま御指摘の問題点でありますが、公認会計士協会というのは、先ほど申し上げましたように、会員の自主的な組織であります。当然協会としては、この会員に対する監督権限を持っているわけであります。それで、会則によりまして、先生御指摘のような紀律委員会その他もございますけれども、事監査に関しましては監査委員会というのを設けられているわけでありまして、個々の会員が監査したものが適正に行われているかどうかということをみずからの手で確かめていくということは、私も基本的には大賛成であります。
今回御指摘になりました問題点につきましては、先生の御指摘のような少し手続的に——少なくとも同じ公認会計士のだれかが監査している結果についての監査の問題をレビューしたわけでありますから、まず内部でよく議論をされて、その上でおかしいものはおかしいものとして協会としての措置をとられても結構でありますし、まあ直ちに処分ということにはならないかと思いますけれども、仮に処分の必要があるということであれば、協会からも私どもに対して処分の請求もできるわけであります。その意味で、先ほどのお話もございました銀行の監査等に関しましても、協会が、監査を現に行っております監査法人がこの監査の手抜きをするというようなことがあるかどうかというようなところを、監査委員会等でみずから規律を高めていかれるということには私ども全く賛成であります。私どもの方の企業財務課の事務の運営にいたしましても、われわれの職員で、個別の監査が適正であるかということを一々見ることはほとんど不可能に近いわけであります。私どもの方も、むしろ、問題点が出ますれば、協会の方に御連絡をいたしまして、こういう点についての中での検討をしていただいたらどうかということもいたしているわけでございますし、いま御指摘の大阪の問題につきましても、私どもの方でも調べておるわけでありまして、いずれ協会の方とまた意見をすり合わせてみたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/11
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012・横山利秋
○横山委員 公認会計士協会のこの種の問題に対する内部的な機能が充実され、そして十分効果をおさめるようにという点については、あなたも私も意見が一致いたしました。たまたまこの近畿会の問題が新聞にわっと出たわけであります。結果として私は——結果としてでありますか、こうして政府とこの公認会計士協会の内部における念査機能というものをお互いに評価をするということでありますから、多少の行き違いがあったにしても、結果としては、私はオーソドックスな方向をこの機会に一層進めてもらいたいということを、特に公認会計士協会にも期待をいたしたいところであります。
さて、今度はその内容の問題であります。商法によって、評価損は上げてもいいけれども評価益は計上をしてはならない、こういうことでございましたね。資産の評価損は計上してもいいけれども、評価益は計上してはならない。私も専門家ではありませんけれども、そういうことではございますまいか。結局この内容の問題は、資産をその会社が現在の時価で評価すると大変な金額になる。そこで、これを子会社に時価で売却をして、そして子会社からまたその資産を、不動産を賃借りする。そして、子会社は十億なり数十億なりの資産を買ったけれども、しかしそれは払えない、そういう仕掛けになっておる。これが四月から始まっております連結財務諸表の制度では一見してわかるのでありますが、しかし本年の三月以前までの状況におきましては、それが莫大な利益を親会社は帳簿上は生ずることになる、こういう事案でございますが、商法上どういうふうに民事局長お考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/12
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013・香川保一
○香川政府委員 いわゆる計算規則の十条の規定によりまして、いまお話しのようなその子会社がその代金を実質的に払えない、つまり取り立て不能になる債権ということになるわけでございますから、さような債権は実質的にはいわば債権としての価値がないようなものでございますから、債権から控除しなければならないということに計算規則の十条にはなっておるわけでございます。したがって、そういう子会社に売却したその対価、売買代金債権というものは、子会社の資産能力がないために支払い不能であるというふうなものは債権として計上することは、計算規則十条に違反するわけでございまして、さような意味から商法上、計算規則十条の違反のことであるというふうに考えるべきであろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/13
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014・横山利秋
○横山委員 これは「商事法務」に載っております安原という公認会計士さんのものでありますが、この人の調査によりますとこういう文書がございます。「統計調査によると、五〇年四月から五一年三月の間に決算期の到来する一部上場企業においては、経常利益よりも税引前当期利益がはなはだしく増加(あるいは赤字の減少)している業種が多い。水産鉱業・繊維・パルプ紙・化学・石油石炭ゴム・ガラス土石・鉄鋼・非鉄金属・金属製品・運輸倉庫通信の一〇業種合計三六〇社において特にこの傾向が顕著である。そしてこれらの業種全体の経常利益計は六五二億円の赤字であるが、税引前利益は逆に四三一四億円の黒字となっている。この差額を埋めたのは、(イ)有価証券売却益一九六六億円、(ロ)固定資産売却益二五七〇億円、(ハ)引当金戻入益一一九五億円の合計五七三一億円である。上記のうち、特にこの影響の顕著な五業種について、業種別にこの関係をまとめたものが表1である。」として、繊維は税引前利益が赤字の百五十五億、修正後税引前利益が千六百三十一億やらなかったらとうかということですねパルプ・紙が百二十五億が実はマイナスの百五十一億、石油・石炭・ゴムの四百四十六億が実はマイナスの三百二億、鉄鋼が四百八十八億、これは黒字でありますが、実はマイナスの百八十三億、非鉄金属のマイナスの百十二億が実は六百五十億、すべてこれは有価証券の売却益、固定資産の売却益、引当金戻入益によってこういう実態が明らかにされておるわけであります。
もしこのようなことが行われておるとするならば、公表利益というものは実にいいかげんなものではないかということが痛感をされるわけであります。本件について、大蔵省としては具体的にどういう見解をお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/14
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015・安井誠
○安井政府委員 現在、個別のいまそこに取り上げられております問題点と申しますのは、先ほど先生の御指摘になりました公認会計士協会の近畿会で作成しました資料に基づくものだったと思います。個別にはそれを監査いたしました公認会計士にいま意見を求めておりますし、検討いたしておるわけでありますが、いま先生が御指摘になりました有価証券の売却益であるとかあるいは固定資産の売却益というものを特別損益で立てるということは、それ自身別に違法だと私ども考えておりません。たまたま含み資産を持っておりまして、それで当期の利益が赤字のときにその資産を売却することによって赤字を埋めていくというのは、企業としても通常のことであります。
問題は、この売却が子会社に対して行われたときにどうなるかという議論が残るわけでありますけれども、虚実の表示をしたようなときにはもちろん粉飾決算になるわけでありますけれども、子会社に売却したからということだけで直ちに違法になるかどうかというのは非常に問題かと私は考えているわけであります。現在むしろこの問題の根底には、先ほど先生が御指摘になりましたように、資産の取得が取得原価主義にのっとっておりますために、たとえば土地のような場合には大変な値上がり益があるにもかかわらず、それが有価証券届出書あるいは報告書等に表示されていない、つまり企業内容がそれだけの含み益があるということの表示がないわけでありまして、この辺、最近アメリカあるいはイギリス等におきましても、いわゆる物価変動会計ということで議論がされつつありますので、私どもといたしましても、そちらの方の検討もしていかなければならないかな、こういう感想をいま持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/15
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016・横山利秋
○横山委員 なるほど、ごもっともなようなお話でございます。売却するのは勝手である、それは子会社であろうと勝手である、それもそこまでは認めましょう。しかし私が、またはいろいろな人たちが指摘をしておりますのは、子会社に売ったその内容実態がこれはまさしくおかしなことではないか。
たとえば大協石油がそうでありますが、余り詳細に物を申し上げる時間はございませんけれども、これによりますと、固定資産の売却益は、四十八年度で一億二千八百万、四十九年五月でゼロ、四十九年十一月で十六億八百万円、五十年五月で六十六億九千四百万円、五十一年の五月で八十六億九千七百万円、そして売却先は日本経済新聞によりますと子会社の大協タンカーに売却。
それから丸善石油を例にとってみますと、売却益は、四十九年三月で二十億九百万円、四十九年九月で十一億八千百万円、五十年の三月で三十六億三千八百万円、五十一年の三月で二百七十五億五千七百万円、そして丸善石油不動産がかなり売却されて買っておりますし、丸善流通サービス等もございますが、丸善石油不動産には長期貸付金が四十八年十月から四十九年三月に八億六千三百万円、四十九年四月から四十九年九月までに八千万円、四十九年十月から五十年三月に十九億二千四百万円、五十年四月から五十一年三月までに驚くなかれ四十四億四千六百万円、それから丸善流通サービスには、長期貸付金が五億五千万円。それから同じく丸善石油の例でありますが、関係会社の丸善石油不動産に対する遊休不動産の売却益は四十九年三月でございましたか、十七億六千二百万円、そのほかいろいろなところへ売っておりますけれども、関連会社、子会社が非常に多く、しかも自分がいま使っておるところを売っておるのが特徴であります。
昭和電工でも同じようなことが言えます。固定資産の売却益は四十八年が八億九千四百万円、四十九年が二億二千万円、四十九年が二億四千万円、五十年に至りますと六十七億六千八百万円。
日魯漁業についても同様なことが言えるのであります。急速に、四十九年、五十年に資産の売却が子会社、関連会社に行われており、しかもそれが長期貸付金だとかいろいろなところが急速にふえておりますことはこれは言うまでもありませんが、実際問題として回収が困難であることを意味しておる。そして、それによってその年における会社の経常利益ががんとふえておるというようなことを考えますと、これはまことに詐術である。事実上会社の資産内容というものが公表利益と比べまして実態にそぐわない。インチキだ。これは株主に対して非常に、実質的な違法行為だ。これが理論上間違いがないと仮に言えても、実質上の間違いとして指摘しておかなければ、是正をさせなければこれは意味のないことになるのではないか。
いまあなたがちょっと触れました外国の例でございますけれども、いわゆるロッキード委員会で有名になりました証券取引委員会、ここでは「「取引を記録する時点では利益が未稼得の状況にあるような不動産取引の会計処理」を発表して、こうした問題についての取扱指針を示している。その中で、SECは「利益認識することの適否に疑問を抱かせる状況」の例として、例えば、売却した資産に対する実際上の支配を売主が引続き保持している場合、販売と同時に売主から買手に貸付が行われている場合、販売と賃借が同時に行われている場合、実現すべき収入金額について重大な不確実性がある場合、等々九つの状況を例示し、それらの状況は、その一つだけでは利益を認識することを妨げないかも知れないが、いくつか組み合わさっている場合には不確実性の程度が大きくなるとしている。一言でいうならば、法形式以外に実質判断が必要であるとの強い姿勢を打出しているものと理解される。」まことに適切な証券取引委員会の指摘だと私は思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/16
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017・安井誠
○安井政府委員 ただいま先生の御指摘になりました日魯漁業であるとか大協石油の問題、個別に存じていないわけでございますが、私どもが一度見ましたときの印象を申し上げてみますと、確かに子会社に売却をし、しかもその売り掛け債権の回収が必ずしも十分でないということであれば問題になるケースもあろうかと思います。
また、お取り上げになりましたSECの基準につきましても、SECが置かれておりますようなアメリカの環境と日本の環境と必ずしも同じではありませんので、いろいろ議論があろうかと思いますけれども、私どもとしても一つの有益な示唆だと考えております。現に公認会計士協会におきましてもこういう問題をどの程度まで判断をすべきかということをお願いをしてあります。監査委員会等で議論されていると聞いているわけであります。
ただ私が少し申し上げたいのは、多少違った角度からでありますが、一体先生がいま御指摘になりましたように、企業経理というのはその会社の財務内容を正確に投資者に開示しなければいかぬわけであります。その開示いたします場合に、たとえば一平米十円という取得価額でついている土地を、現在時価が仮に一万円となっているという場合に、いまの商法の取得原価主義ではそのままなんであります。それが果たしていいのかということを、逆に、つまり十円という表示をされている財務諸表を見て、大衆、一般の投資家が、その会社とすぐ隣に同じ土地について現在時価が仮に一万円になっているような土地を持っている会社の資産内容とでは、価額表示の上では非常な差があるわけであります、しかし内容は実は変わらないという場合もあり得るわけでありまして、この辺の問題をやはり取り上げて検討しておかなければいけないのかなという感じも実は持っているわけであります。つまり先生の御指摘の問題があると同時に、そういう問題を生じさせました裏にある問題点につきましても検討していかなければいかぬ。しかもその後の問題というのは、非常に日本独自の問題でありまして、外国の場合に戦前戦後を通じてこれだけ土地の価額騰貴が行われた国はないわけでありますので、検討してみなければいかぬかなということをいま内々企業会計審議会の委員の先生方とも御相談を申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/17
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018・横山利秋
○横山委員 まさに私も同感なんであります。私ども社会党が昨年来、資産を評価してその評価益に課税をしろと言っておるのも、まさにそこにあるわけであります。国会はもうすでに大蔵委員会において一次、二次、三次まででしたか、資産再評価の法律案を通過をさせておるわけであります。しかし、その後、このオーソドックスな資産再評価が行われません。だから、いわゆる含み資産というものを各企業が持っておる。先ほど商法の基本原則として、評価損は計上してもいいけれども評価益を計上してはいかぬ、簡単に言えばそういうことだと思うのでありますが、そこに問題があって、その原則を回避するために、子会社に時価で売って、そして子会社はそれが払えぬからそのままになる、親会社の方はそれを計上して莫大な帳簿上の益を立てることができる。そういう回避の原因はそこにあることは私もよくわかる。だから、その根っこを直さなければいかぬということも私どものかねての主張でありますから、それはそれとして引き続き私どもは主張を続けていくわけでありますが、当面いま起こっておりますこの問題について、やはり適切な措置をしなければ、国民なりあるいは株主なりに対して大変な隠蔽行為である、私はそう思うわけであります。それで、本件につきましては、いまあなたの方の御意見もわかりましたし、私の意見も十分聞いていただいたのでありますから、ひとつ善処をしていただきたいと思います。
次に、この出されました当面の諸問題に返るわけでありますが、この中で監査法人の設立の認可基準の問題があります。公認会計士というものが、私の信ずるところによりますと、今日の大企業の行っております事業またそれに生ずる社会的責任、その社会的責任というものを全うせしめるために、ある意味では法律に準拠して国民の立場から適正な会社の運営を行わしめるための非常な社会的な任務を持っておると思います。しかし、先年、一人の公認会計士では、とても一人では大企業に立ち向かってこの任務を全うすることができないから、監査法人をつくることに相なり、一たんその法的根拠が行われますや、監査法人が続々と誕生をいたしました。ところが、そのときに私が強く指摘したし、先ほど冒頭に当たって附帯決議を引用いたしましてあなたの方に確認を願ったのでありますが、「監査法人の育成・強化を図る反面、個人たる公認会計士の業務分野についても行政上適正な措置をすることとし、もつて活動分野の調整をはかるものとすること。」という附帯決議がございます。この決議の趣旨は、それぞれ所を得さしめなさい、五千人あります公認会計士にそれぞれ所を得せしむるように努力をしなさい、大企業についてはある意味では大監査法人が任務を担当するもよし、あるいはその水準の下のものについては小監査法人がそれに当たるもよし、あるいは個人たる公認会計士の業務分野についてもそれぞれ所を得さしむるようにしなさい。現在五千人おります公認会計士の中で、実際に監査業務をいたしておりますのは、恐らく半分にも満たないであろうと思う。そういう点から、銀行等の監査の機会に、この附帯決議を私どもは決めたわけであります。
ところがその後の状況を見ますと、大蔵省は大きいものはいいものだ、大監査法人は、それは大きければ大きいほどよろしい、こういうような考え方が一時あったようでございまして、暗に大蔵省の指導あるいはまた慫慂によって、この商法の一部改正によって新たに監査対象になりました金融機関等について、内部に問題が生じたわけであります。
この先ほど指摘しました「公認会計士協会の運営のあり方」の中にも、あなたの方から、「この意味からすれば、協会の打出した五行制限は行きすぎであり、」こういうことを言っておりますが、明らかにこの行き過ぎという指摘は、私ども国会が付しました附帯決議に対して、あなたの方は附帯決議を守っていない、こういう論理を私どもは考えざるを得ません。大きいものはいいものだ、大監査法人なら信用がある、だから、金融機関なりいろんなところが大きなものに寄りやすいようにあなたの方が指導する。だから混乱が生じたわけであります。もしも、あなた方が附帯決議を忠実に理解をして、それぞれ公認会計士の規模に準じて所を得せしめたならば、むしろ混乱は起こらなかったのではないか。こういうことを言うことは天に向かってつばするも同様であって、あなたの方が附帯決議を守らなかったから、むしろそれに逆行しておったから協会で混乱が生じた、私はそう考える。あの当時のいきさつから言うならば、よくもまあこの文章をあなたの方は麗々しく出されたものだ。むしろ、この附帯決議の線に沿って行われるべきが至当であるという文章がここに書かれるべきが当然ではないか、そう考えるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/18
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019・安井誠
○安井政府委員 私ども商法改正の際の委員会の附帯決議で、いま御指摘のように、監査法人と個人とそれぞれ所を得しめるという先生の御趣旨はそのとおり受け取っておりますし、たとえば小規模の監査の場合にまですべて監査法人でなければいかぬということを申し上げたことは全くないのであります。
監査法人につきましては、実は、もう先生に申し上げること自身が釈迦に説法みたいなことで、昭和四十一年の公認会計士法の改正のときにも大変先生に御示唆をいただいたのでありますが、今回私どもが、先ほどの審査会に出しましたペーパーで、五行制限というのは行き過ぎであるということを申し上げましたのは、公認会計士の監査法人にいたしましても、たとえば十人ぐらいの監査法人もあれば、三百人、四百人という監査法人もあるわけであります。その監査法人につきまして、一つの監査法人が五つ以上の監査をしてはならない、しかも、それをすれば、それは会長の勧告によって、その監査法人につきましては協会としての自主権のもとで懲戒処分もしかねないという状態があったために、私どもとしてはこれは行き過ぎであるというふうに判断をしたわけであります。そのために、私どもが監査法人のこの五行制限の議論のときには、あるいはお聞き及びであったかと思いますが、公認会計士協会の中で、監査法人が協会からも場合によっては脱退しようかという議論さえあったことは御承知だと思います。私どもは、監査法人が組織的監査をしていって、それが大きな規模の会社等につきましては、明らかにその方がすぐれていると思いますけれども、それ以外の、たとえば小規模の法人、しかもそれは一人でやるのではなくて、個人の場合にも共同事務所等で共同組織というのはつくれるわけでありますから、そういう形でそれぞれ監査を行われることが望ましい。したがって、私どもはむしろこの五行制限ということが決して先生の御指摘のような附帯決議の線に反するものとは全く考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/19
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020・横山利秋
○横山委員 ここには「五行制限は行きすぎであり、」と書いてある。あなたのいまの答弁は、五行制限は是としても、それによって、もし守らなかったら処分だとかなんとかいうことは行き過ぎであるといま答弁された。そういうことなんです。それから少なくとも、いまあなたが言われたように、また附帯決議で言っておるように、それぞれの分野に適切にそれぞれの機構及び個人、大、中、小の監査法人、個人の公認会計士に所を得せしめるという文章はここには何にも書いてない。むしろ、あなたのこの文章は五行制限そのものがいかぬと書いてある。だから私は指摘しているのです。しかし、いまあなたが言われるのが本当であるとするならば——するならばじゃない、あなたの御答弁ならばまだ恕すべき点があると私は思うのですよ。こういう書き方をするからいけないと私は言っているのです。それでは、その気持ちが十分に徹底するようにしていただかなければなりません。
それから認可基準の問題であります。私はしばしば本委員会でも指摘をしたわけでありますが、公認会計士としての資格を持っておる、しかし、仕事をしておっても、監査法人になるときには、公認会計士という鉄砲は持っておるけれども、カモを持ってこなければ、つまりお客さんを予約してこなければ法人としての認可をしないという論理をあなた方は長らくしてきましたから、それは間違っている、鉄砲を持っておるけれども、カモがなければ監査法人としての認可をし得ないというのは逆立ちした理論だ、金融機関でも会社でも、これから監査法人をつくろうとするのですが、あなたのところひとつ私どものお客になってくれませんかと言って予約をしなければならぬのでは、予約先であるこの会社なり金融機関が、ああそうですか、監査法人になったならばそれじゃあなたのところのお客になりましょう、こんなことが容易に行われるわけがない。もしそれを実行するとするならば、その監査法人になろうとする希望者は、金融機関なり会社にどんな働きかけをしなければならぬか容易に想像ができる。昨年の商法の一部改正の法律によりまして、新たにこの監査対象になった会社の奪い合いといいますか、そのために醜い現象が公認会計士の内部にあったことも御存じのとおりであります。そんなことを二度とさせてはなりません。自分が監査しなければならないことになるかもしれない会社に拝んで頼んで、私を使ってくれというような姿勢を示す公認会計士が、どうしてその会社の監査に適切な厳正な態度がとり得るであろうか、これには根本的な問題がひそんでおりますが、いまは言いますまい。しかし、少なくとも監査法人の認可が厳し過ぎる。ここでは認可についての緩和について少しお考えがあるようでありますが、その点について具体的にはどうお考えでありますか、御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/20
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021・安井誠
○安井政府委員 監査法人を当初つくりましたときには、これも先生御承知のとおりでありますが、個人である公認会計士にしか資格の与えられていない監査業務というものを、法人の名においてやらせようという組織であります。あの当時でも多くの粉飾決算が続出いたしまして、それの対応策としては、公認会計士の地位を上げる、力をつけるということが何よりも優先しなければいかぬということから、あの監査法人制度に踏み切っていただいたわけであります。その際私どもが考えましたのは、新しい組織でありますから、とにかく組織をつくりますときには大事に育てていかなければいかぬということから、とにかく先生の御指摘、あるいはそのペーパーにも書いてありますような、人数を社員五名以上、あるいはそのときにはたしか、当初は職員たる公認会計士も五人以上というような制限まで加えていたかと思いますが、さらには、被監査会社もある程度持ったしっかりした組織を持つ、あるいはそこの審査機構を持っている等幾つかの条件を付してきたことは御承知のとおりであります。その後、もう監査法人制度ができまして十年を経過いたしまして、現在監査法人が全国で四十七ございまして、その中に属している公認会計士、これは部分的に補助的な仕事をしている者を除きまして、社員と正規の従業員たる公認会計士だけで千六百三十人、そこにおります公認会計士補が九百四十八人と、非常に進んでまいったわけであります。規模におきましても、外国の監査法人といいますか、外国のパートナーシップとも肩を並べてやれるような監査法人もできてきたわけであります。そういう時代でございますし、また、先生からの御指摘もございますので、この公認会計士審査会で、先ほどの問題点の一部としてこの条件の緩和についてどう考えるか、私どもとしては、もう当初の監査法人設立当時の事情とは大分違っているので、少し緩める方向で検討したらどうかというふうに考えているがということを御相談を申し上げたのであります。いま一度議論していただいたのでありますが、審査会では、やはり監査法人が、公認会計士の地位の強化のために、公認会計士としての地位を高めて被監査会社との間の力を強くさせるということのためにでき上がった制度なので、その原点を崩さない範囲において条件等を緩和するのはどうかなというような、つまり、方向としては結構であるけれども、具体的な基準についてはもう少し検討してからというような状況に現在なっているわけであります。先生の御指摘がございましたように、私どもも公認会計士が監査に従事している数が必ずしも全部でないということは十分承知いたしております。銀行の監査等におきましても、私どもがいまいたそうと思っておりますのは、銀行と監査契約をした監査法人が、どれだけの日数をかけどれだけの監査手続を踏んでいるかということを個別に私どもの方でも検討を始めているわけでありまして、そういうことが間接的に公認会計士の仕事の量をふやしていく。仕事をふやすためにやっているのではなくて、監査の質を上げて日本の監査制度を伸ばしていきたいという立場からでありますけれども、結果的には、そういう形での仕事をしていくことが、先ほどの御指摘になりました附帯決議の線にも沿う方法であろうと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/21
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022・横山利秋
○横山委員 次に、外国監査法人の問題について意見を聞きたいと思いますが、私はかつて、当面外国の監査法人を認可すべからずという論議をいたしました。言うまでもなく、それは絶対と言っているわけではありません。少なくとも、監査法人制度ができて、そして紆余曲折を経て今日に至っておるが、この際、日本における公認会計士協会を初め、監査法人、個人の公認会計士が、新しい制度のもとに非常な努力と内部充実と発展をすべき過渡期にある。この過渡的な時期に、アメリカのビッグビジネスとも言うべき大きな監査法人が日本に認可され、上陸し、そして監査を行うとするならば、日本における公認会計士のマーケットは全く荒らされてしまう。したがって、将来ともにというわけではないけれども、この際引き続き当面は外国の監査法人を認可すべきではないという論理に変わりはありません。しかし、そうは言いましても、ただ、いま放置さるべき状況にあるわけでもありません。それは、私の手元にも資料が来ているわけでありますが、外国の監査法人というものは、日本にすでに事務所を開いて、そして事実上とも言うべきやり方をして監査業務を事実上、ずいぶん問題がありますが、行っており、日本の公認会計士がその中に入って仕事をしておるのもずいぶん多いわけであります。そこで、当面としては、日本の監査法人が、大きなのは外国の監査法人と対等、平等の立場において一対一で業務提携をするやり方を推進をする、そして一刻も早くその大きな監査法人は国際的な分野にも進出をする実力をつける、そういうことが望ましいのであって、その時期を飛び越えて、外国の監査法人を日本の法律によって業務を認可するというのはいまなお早い、そう考えておりますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/22
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023・安井誠
○安井政府委員 先生が外国の監査法人につきましていま仰せになりましたような御意見をお持ちであることは、私ども議事録でも十分承知しているわけであります。今回、先ほどの公認会計士審査会で当面検討すべき問題点として提出いたしましたペーパーで、外国会計事務所の監査法人化をどう考えたらいいかということを提出いたしました際にも、先生の御意見も審査会には十分お伝えしたわけであります。ただ、この問題につきましては幾つかの問題点がございまして、一つは、公認会計士協会の方に私どもとしてはこの点をどう考えるかということを御相談したのであります。そういたしましたら、昭和四十九年の八月でありますが、公認会計士協会としては、外国監査法人、外国の公認会計士事務所を監査法人とすることについてはむしろ賛成である。一つは、公認会計士法上の疑義が解消する。二つには、公認会計士協会の傘下に入り、必要な規制が加えられるという点から、協会としても賛成をされたのであります。ところがその後、またこれもいろいろな事情があるのだろうと思うのでありますけれども、反対であるという意向を述べられるようになりまして、私ども、審査会といたしましては、協会が賛成であるということを踏まえて一たん監査法人を認可するという方向に傾いたのでありますけれども、協会の方の意見が変わったとすれば、もう一度考え直してみようかということで、いま審議していただいているのが現状であります。
それからもう一つ先生の御指摘の後半の部分で、日本の監査法人が外国のパートナーシップとむしろ提携することが望ましいというのは、私ども全く同感でありまして、現に日本の監査法人がアメリカのパートナーシップと提携しておりますのは七つございます。中にはADRの発行に際しましても、日本の公認会計士、日本の監査法人の署名と、向こうの、アメリカのパートナーシップの署名と二つ並べまして、それでSECにも登録が済んでいるという例も現に出てくるようになったわけであります。さらに、去年の暮れだったと思いますが、私どもの企業財務課長森がアメリカに参りましたときに、アメリカの公認会計士協会と話をいたしましたときにも、日本の公認会計士に対して、アメリカはいままで全部の試験、再試験を、アメリカの制度によるところの試験を要望していたのでありますけれども、今後アメリカの会計実務に関しては試験は要らない、むしろビジネスローについてだけの試験をしていったらどうかということも考えているという議論もあったわけでありまして、その際、向こうの方からは、むしろアメリカのパートナーシップを監査法人として認めるわけにはいかぬのかという議論もあったやに聞いているのであります。ただ、私は、どうもこの問題につきまして、少し法律的に過ぎるのかもしれないのでありますけれども、アメリカのパートナーシップが、先生も御承知のように、現在すでにビッグエイトが八つとも日本に事務所を開いております。これらのパートナーシップというのは、法律的に申しますれば日本では組合的なものでありますので、パートナーシップとしての監査証明はできない。監査証明をやっておりますのは、そこに属している個人であるところの日本の公認会計士の資格を持つ者が監査証明をしているわけでありまして、監査法人にすることによって特に仕事がふえるわけではないわけでありまして、監査法人は監査法人としての規制に逆に従わなければいかぬという、先ほど協会が指摘されたようなメリットもあるわけであります。ただ問題は、日本で監査法人というのが大分育ってまいりまして、そういう育った監査法人というものが組織的監査のために必要だというような一般的な空気を利用して、パートナーシップのときには個人で監査していたけれども、もし自分たちが監査法人になれば、日本の法に基づくところの監査法人だからという理由で、ほかの公認会計士のあるいはほかの日本の監査法人の仕事を取っていくということがなければ問題ないわけでありますけれども、どうもその辺にまだ先生の御指摘のような疑義もあるわけでありますので、今後審査会の方でも御検討いただいた上で結論を出したい。特に協会の方には、どういうふうに対処していっていいか、そういう国際的な問題も含めて、日本の監査法人が外国へ進出していく場合のことも考えて検討していただきたいということをいまお願いしている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/23
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024・横山利秋
○横山委員 あなたは公認会計士協会が一遍賛成しながら反対するとは何事だというやゆをしていらっしゃるようでありますが、これは私は、公認会計士協会の最初の判断が間違っておるという、間違っておるものを正しく改めたんですから、その点については余りこういう席上でいやらしいことを言わないようにひとつしてやってもらいたいと思います。私は終始一貫して、それはまだ早い、こういう立場を堅持しておるわけでありますから。
それから一つ気になることがあります。それは、当面の諸問題の中であなたが、「公認会計士制度と税理士制度との関係について」という一項を設けておることであります。伝え聞くところによりますと、ここに書いてあること、この中に書いてあることよりも、あなたの内蔵しておる考え方はもっと奥深いものではないかという考えが一部に伝えられています。ここでは、当面あります税理士会の税理士法改正の要求やあるいは公認会計士協会からの監査対象の拡大等の問題に触れていらっしゃるわけですが、本当はあなたの考えているのはそうではないんではないか。ここは導入部であって、実は公認会計士制度と税理士制度を一体化していくという、奥座敷へ踏み込みたいのではないかという疑いがあるわけであります。そういうことならそういうことのように、あなたが問題提起を大蔵省がするならばしてもいいのではないか。ここで書いてあることと実は大蔵省のねらっておることとは違うのではないかという疑問がありますが、この際、その問題を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/24
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025・安井誠
○安井政府委員 どうも先生のように公認会計士制度にもあるいは税理士制度にもお詳しい方に申し上げるのは非常に恐縮なんでありますけれども、先生も御承知のように、この委員会で御審議いただきました商法の改正に際しまして、公認会計士の監査が商法に入るということで、税理士会の方が大変反対をしたわけであります。先生方にもいろいろ御迷惑をかけたかと思うのでありますが、今回また税理士会の方が税理士法の改正ということをしたいということでこの議論が始まりますと、今度公認会計士協会の方はそれは全く反対だという議論をされているわけであります。私も、公認会計士制度と税理士制度というものは長いそれぞれの歴史があるものであります。税理士制度というものは明治時代からございますし、公認会計士制度というものは昭和二十五年にできたとは言いながら、そのもとはやはり経理士制度にあったわけでありますから、それの制度をどうするかということは軽々に片づく問題だとは考えていないのであります。ただ、少なくともここの問題点として取り上げておりますのは、日本の会計制度を充実し、監査制度を発展させていくときには、いまの公認会計士協会と税理士会とが非常に強く反発し合って争っているという状態が続いていいのかどうかということが、私どもとしては一番気になるのであります。たとえば連結財務諸表が法制化されたわけでありますけれども、連結納税制度という問題も当然いつかは出てくる問題だと思うわけでありますけれども、これに対しましても非常に強い反対が税理士会の方にはあるようであります。それからまた、監査の対象を広げるといいますか、公認会計士に先生のお言葉を借りれば所を得せしめるために、監査の仕事をさせていくためにやはり何といっても一番大きなのは、会社に対する監査の対象を広げることだと思うわけであります。アメリカのことは、御承知のとおりアメリカの会社は全部公認会計士の監査を受けているわけでありまして、そういう公認会計士が監査を通じて企業会計の経理の健全な発展に寄与するということが制度として一番大事なことだと思うのでありますが、いまの日本の場合に必ずしもそう理屈どおりにいかないわけでありますから、いろいろな問題点はあるわけでありますけれども、私どもとしては、公認会計士制度を考えるときにも、税理士制度との関係をどう考えるかということはやはり考えてほしい。それを、公認会計士と税理士とは水と油というようなもので一切違うのだという議論だけしていたんでは、日本の会計制度というものは進まないだろうという感じを私は持ったわけでありまして、また審査会の中にもそういう御意見をお持ちの先生方もいらっしゃるわけでありまして、こういう問題点をこの審査会で取り上げていただきたいということを申し上げたわけでありまして、私が何かこのかきねを一度に、長い間の歴史のあるものを一度に片づけられるというふうに考えるほど私も楽観的には考えていないのでありまして、ただ、少なくとも制度というものは常に見直しをしていかなければいかぬ、世の中の動きにつれて制度を考えていってほしいということでこういう問題を提起したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/25
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026・横山利秋
○横山委員 ちまたの意見を二、三御披露いたしますと、まず銀行側の意見でございますが、いいとか悪いとかということは別にして、銀行は日銀の監査、大蔵省の監査、内部監査、公認会計士の監査、それから税務署の税務調査、五重苦と言っておるそうであります。同じようなことが結局いつもいつも行われる、年がら年じゅう行われるという点について陳情がございました。どう考えるのか私まだ必ずしも判断できないのでありますが、少なくとも公認会計士の監査というものが主軸になれば、日銀、大蔵がもう少し引っ込んでもいいんではないかという感じが一ついたします。
それから公認会計士側とそれから被監査会社との関係から言いますと、公認会計士側としては監査時間が少な過ぎる、それから被監査会社としては多過ぎる。それは報酬にも関係するのですけれども、これがいつも問題があるようであります。
それからその次に、ちまたの意見としては、公認会計士の責任をどう徹底をさせるか。端的に言えば、公認会計士で企業と癒着して粉飾決算なり何なりしたものをどんどん摘発しろ、犠牲者をもっと出させろ、そうすることによってしか本当の公認会計士というものはうまくいかないんじゃないか。公認会計士が被監査会社から報酬をもらって監査しているという基本的な問題は私はたびたび指摘しておるわけでありますが、それが一朝一夕にうまくいかないとすれば、公認会計士が、私がおかしなことをしたならばあれ見てください、この新聞見てください、この実例を見てください、私は処分されますからということの実例をどんどん過渡期においては出すべきである。公認会計士の処分について甘い考えを持つべきではないし、公認会計士内部においても、先ほど例を出しましたような内部念査機関というものを充実をして自分たちで処置をせよ、大蔵省もこの点について勇断をふるえという意見があるわけであります。
それから、あなたのおっしゃったような外国の公認会計士と日本の公認会計士と比べて、かなり外国へも進出する監査機能というものが進歩してきたようではありますが、まだまだ国際的比較を考えてみますと、月とスッポンではないかという感じがいたします。どうしたら過渡期において監査法人が国際的な水準に達するようなことができるであろうか、それらについて余り時間がございませんから簡単にひとつ御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/26
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027・安井誠
○安井政府委員 第一点の五重苦という問題でありますが、私どももそういう声は聞いております。ただ、銀行局あるいは日本銀行によりますところの検査ないし考査ということと、公認会計士の監査とは本質的に私どもは違っているというふうに考えているわけであります。たとえば銀行局であれば、貸付債権がどのような回収可能性があるかということを、非常に強い立場から、預金者保護の観点から見ているわけでありますが、公認会計士の場合には、預金者保護という観点はさることながら、会計の表示が適正であるかどうかということを監査されているわけであります。
また税務との関係でも、片一方はある意味では摘発的な、あるいは税務上の不正の発見ということが主になるわけでありますし、公認会計士の方の監査というものは全部必ずしも悉皆の監査をするわけではございませんので、そこもおのずから違っているということも、これは先生も御承知のとおりだと思います。
しかし、少なくとも公認会計士の監査が十分行われていけばいくにつれて、その公認会計士の監査調書であるとか監査のときの記録をそれぞれの関係機関に、これは顧問先といいますか、被監査会社の了承を得た上で提示するということによりまして、同じことを重複して監査したり調査したりすることは少しでも省略していけないかなという感じは持っているわけであります。たとえばイギリスのチャータードアカウンタントの場合には、聞いておりますところでは、それが見たものにつきましてはほとんど税務署は調査省略をしているようでありますし、その辺のことも一つの参考になろうかと思うわけであります。
それから第二の、監査日数が外国に比べて非常に少ないではないかという御意見について私も全く同感であります。ずいぶん、前に比べますとよくなったと思いますけれども、ADRを発行するときに、外国の公認会計士事務所から、パートナーシップから監査依頼をしますときには、日本の会社というのは相当巨額な報酬を払うのでありますけれども、大分上がったとは言いながら、まだ日本の証券取引法あるいは商法に伴う監査につきましては十分だとは言えないわけでありまして、私は何も監査報酬が多くなることだけがいいとは思いませんけれども、監査が充実していくようなことを私どもの行政の上でもよく見てまいりたいし、また、公認会計士協会にも先ほど申し上げましたような見地から監査の強化についての指導をしていっていただきたいなと思うわけであります。
第三番目の、監査の水準を上げるために大蔵省の行政で強い行政措置を講じたらどうかという御意見でありますが、実は十年ぶりぐらいにいまの仕事に帰ってまいりまして見たところでは、十年前の粉飾決算が続発していた当時の公認会計士さんの監査といまの監査とでは本当に非常に大きな隔たりがあるようであります。大蔵省側が調べております内容というのは十年前と余り変わらぬのでありますけれども、少なくともここ数年粉飾決算でこの措置をしていったというケースは著しく減っております。一年に一件もなかった時期もあるわけでありまして、私ども、だから粉飾決算が全くなくなったとも思いませんけれども、十分公認会計士の監査が充実していくようにという立場から、今後ともこの行政をしてまいりたいと思うわけであります。
第四番目の、国際水準の問題でありますが、先生、月とスッポンとおっしゃったのでありますけれども、せめて月と星ぐらいにはなっているだろうと思うのでありまして、やはり被監査会社の大会社の方に聞きましても、日本の監査法人の監査を受けた方が望ましいんだと言われる方も出てきているようでありますし、今後逆に、アメリカの会社が日本の証券取引所に上場されているときには日本の公認会計士の監査を受けておられるのが普通でありますので、その辺との二重監査という点の問題点が起ころうかと思いますけれども、私どもとしても、極力日本の公認会計士の監査が国際的にも通用するように、現在会計基準の国際化というようなことも進んでおるようでありますので、ぜひ進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/27
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028・横山利秋
○横山委員 総理府からおいで願っておると思うのでありますが、民法三十四条による法人届け出をして許可された法人は、政府側からの資料によりますと、社団法人が二千六十、それから財団法人二千五百五十、合計いたしますと四千六百十あるそうであります。これは私が説明を受けたところによりますと、民法三十四条による届け出で、この数字のほかに特別法による法人あるいは各種業法による定めのある、その法律の中に明記されております法人を比べますと、実にたくさんの社団法人、財団法人があると推定されます。これはそれぞれ各省ないしはその内部におきます各局が許可をして法人を認めておるわけでありますが、これらについて、私の承知いたしておりますところによりますれば、それぞれ届け出の際に内部を念査し、それが特殊法人として適当であるかどうかを念査をして、許可をした後について監督責任があるにもかかわりませず、十分なことがされていない。同時にまた、各省各局まちまちな指導が行われている。特にその中で経理、財務等につきましては大方放置をされておるような状況であると私は推察いたします。そのためにしばしば国会の各種委員会におきましてこれらの政府許可の法人が問題を生じておる。したがって、公益法人等について統一的な何かが行われるべきではないかという点について、従前も指摘したことがございますが、総理府はどういうことをなさっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/28
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029・藤井良二
○藤井(良)政府委員 お答え申し上げます。
いま先生がおっしゃられましたように、公益法人につきましてはいろいろな問題がございました。それで、昭和四十六年に行政管理庁がこの公益法人に関連いたしまして勧告をいたしました。この勧告に基づきまして、公益法人の監督事務の改善が各省庁で統一的に行われるようにするために、各省庁の文書課長会議の申し合わせによりまして、公益法人監督事務連絡協議会というものを置いております。その庶務を私どもの方で担当しております。同協議会におきましては、昭和四十七年以来、公益法人の設立許可及び定款の変更の認可に係る基準あるいは省令により提出を義務づけられておる書類の範囲、提出期限等について申し合わせを行っております。特に公益法人の会計経理の事務処理に関する基準につきましては、鋭意検討を重ねました結果、本年の三月、各省庁の合意を得まして、公益法人会計基準というものをつくって、これを今後各省庁におきましてこの会計基準に基づいて所管法人を指導するようにしていく方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/29
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030・横山利秋
○横山委員 そこで私は問題を提起いたしたいと思いますのは、各省庁がそういう経理基準をつくって実行せしめる。その実行について、附帯決議で私どもが決めました「学校法人等公益的な性格の法人について公認会計士の監査対象とするよう速かに措置すること。」という項目がございます。この点について一向進展がないのであります。あなたは総理府として、商法の一部を改正する法律案の審議並びにその附帯決議について御存じがないようでございます。そういう場所があれば、この国会の意思、意向というものをそこへ披露をされて、公認会計士の監査対象を受けるように指導すべき責任がある。もとよりこの公益法人、数千になります公益法人もピンからキリまであります。また公益法人が、すでに公認会計士が関与しておるところももちろんないとは言えません。その公認会計士が関与しておるもの、監査を受けているものと、そうでないものと、おのずからその業務、会計経理の運営についても違いがあろうかと思います。そこも調べて、附帯決議が実践されるように指導してもらいたい。もしそのために必要とあるならば、法律改正をして監査対象にすることも必要であろう。もちろん大きな法人と小さな法人とにおいては、これが全部対象にすべきであるとは必ずしも言いません。それから監査報酬の問題についても、これは公認会計士協会に私は希望したいのでありますけれども、この種の監査対象、小さな公益法人についてはしかるべき報酬が決められても妥当ではないか。少なくとも数千のこの公益法人について、各省各局が、一つの基準がありとしても、日常その問題について指導するあるいは念査することは困難ではないか。少なくともある水準以上の公益法人については、これは公認会計士の監査証明書を持ってきてもらいたい、こういうように指導をすべきではないか、こう思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/30
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031・藤井良二
○藤井(良)政府委員 お答えいたします。
いま申し上げましたように、私どもの方でやっております公益法人監督事務連絡協議会におきまして、このたび会計基準をつくりました。この会計基準をつくる際には、公認会計士の先生方にもいろいろと御意見を拝聴し、またお手伝いもしてもらっております。こういう観点から、公益法人について公認会計士の監査対象にすべきではないか、これは先生がいまおっしゃいましたように国会の附帯決議にあるということは私どもの方も承知しております。また、いま先生がこの点についていろいろ温かい御指摘を下すったことも含めまして、この協議会において関係省庁とよく協議の上今後検討してまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/31
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032・横山利秋
○横山委員 かつて日本青年館、これは全国の都道府県青年団の上部団体ですが、財団法人日本青年館の元理事が、借り出した同館理事長印を使って総額六億円に上る約束手形を乱発した事件がございます。去年の八月のことであります。一体この種の事件が公益法人の中でどうして起こるのであろうかということを考えるわけであります。この種の問題が、一体公認会計士が公認会計士としての仕事をしておったのであろうかどうか調べてみました。そうしたら税理業務をやっておったというのであります。その後弁護士が中へ入りまして、今後は公認会計士としての仕事を別な人がやるようになったというのであります。この日本青年館と言えば全国青年団の上部団体である。それが六億円に上る約束手形を発行しててんやわんやの大騒ぎになるようなものが、公認会計士の監査をしていなかったということ自身がおかしなことだと思うのです。これは、その人は公認会計士の資格は持っているけれども、公認会計士としての監査を委嘱されたのではなくて、税理士としての仕事を委嘱されておったのであるということだそうであります。いま、これはいろいろございますけれども、この内容を取り上げるつもりはございません。
ただ、私があなたに言いたいのは、この種の大きな公益法人かこのような事態を招く——ばかばかしい話で、六億円も約束手形を乱発するような状況が、内部の会計経理の中が適正でなかったという事実を裏書きしておるわけでありますから、少なくとも私は、この数千の、民法三十四条にあります社団法人、財団法人だけでも四千六百、そのほかの特殊法人を含めますならば、政府が指導する責任のある特殊公益法人は実に多いと思うのであります。せっかく経理基準をおつくりになるならば、その経理基準が正しく行われているかどうか、その経理基準で実際日常指導をしておるシステムができるかどうかということに百尺竿頭一歩を進めなければならぬと思うのであります。したがいまして、くどく言いますけれども、せっかくそのような作業を続けてきたならば、公益法人についての公認会計士の監査は、一定の水準以上の公益法人については監査義務を法的かあるいは内部指導かなさるべきであると思いますが、重ねて御意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/32
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033・藤井良二
○藤井(良)政府委員 いま御指摘の問題になった公益法人につきましては、私どもの所管法人ではございませんので、詳しい事情はよく存じ上げませんが、いま御指摘のあったような問題が起きたということも、一つには会計基準がなかったというような点も響いているのではないかと思います。したがいまして、今後、こういうような会計基準をつくりましたのでそれに基づいて各省庁が指導していくようにしていくならば、そういうような事件も次第に少なくなるのではないかというふうに考えております。特に先生の言われました公益法人について公認会計士の監査対象にするという問題につきましては、いま先生のおっしゃられたような御意見も含めまして、先ほど申し上げました公益法人監督事務連絡協議会に諮りまして十分に検討してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/33
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034・横山利秋
○横山委員 時間になりましたので、一応第一段階における質問を終わるわけでありますが、ただ、大蔵省とのやりとりの中で、委員長お聞きくださったと思うのですけれども、公認会計士協会内部の問題について大蔵省の意見あるいは私の意見がかなり交錯をいたしました。私は公認会計士協会についての内部干渉であるという大原則を踏まえておるわけでありますが、安井証券局長はそれは暗に認めながらも、事実関係について言いたいことを盛んに言われたようであります。これでは、私が何も公認会計士協会を代表しているわけじゃありません。いささか一方的になった発言だと思います。そこで私は、この種の指摘をされた問題を含めまして、参考人として公認会計士協会の会長、まあ複数でも結構でございますが、一回本委員会に出てきてもらいたい。そうでなければ、きょう論議をされました公認会計士協会及び公認会計士のあり方についての論争について、このやりとりだけではいささか一方的になる、こう思いますから、委員長に善処をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/34
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035・上村千一郎
○上村委員長 横山委員のおっしゃることはよくわかりますから、理事会にも諮りまして善処していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/35
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036・横山利秋
○横山委員 本日の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/36
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037・上村千一郎
○上村委員長 次に、稲葉誠一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/37
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038・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 時間も時間ですし、急なものですから、十分準備ができないで申しわけございませんが、要点だけ、基本的な点だけをまず先にお聞きをしたいというふうに思います。
〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕
明治三十二年にこれは法律第四十八号でできた商法ですね。これの二百九十七条というのがいまになって改正というか、暫定措置になって出てきているわけですけれども、商法の改正という形をとらなかったのはどういうわけなんですか。前の特定引当金の問題のとき、あるいは監査法人のときも商法の一部改正という形をとったと思うのですが、事実上は商法の改正ではないか、こう思うのですが、そこはどういうわけなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/38
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039・香川保一
○香川政府委員 商法の二百九十七条につきまして、これを改正するあるいは廃止するというふうないろいろな考え方が論議されておるわけでございますけれども、この問題は、根本的には単に法律改正だけで済む問題ではなくて、社債権者保護の見地から考えましても、あるいは自己資本の充実の問題から考えましても、いろいろ関連する問題もあり、社債市場そのものの育成というような外の問題もあるわけでございまして、さような点を十分論議した上でないと二百九十七条の改廃については若干ちゅうちょせざるを得ないということでございますので、そこで商法における改正がされるまでの間の暫定措置として今回の法案を提出した、かような経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/39
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040・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 この二百九十七条の条文の意味ですね、「資本及準備金ノ総額ヲ超エテ之ヲ募集スルコトヲ得ズ」、こういうことですね。これは具体的にどういうふうなことを意味しているわけですか。これは資本だけではいけないのですか、なぜ準備金を加えるような形になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/40
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041・香川保一
○香川政府委員 これはどのような趣旨でかような枠を決めておるかということにつきましては、一般的には社債権者の保護だというふうに言われておるわけであります。その保護を図る面から考えますと、資本及び準備金といわば純資産とのいずれか低い方を限度にするというふうなことで、実質社債の見返りと申しますか、一般的な意味での担保としてこの限度というものを考えまして、かような規定になっておるわけでございます。しかし、そうだからといって、これだけで社債権者の保護が十分図れるか、合理的な社債権者保護の規定として十分たえ得るかという問題は、必ずしも疑問なしとしないわけでございまして、そのような意味でこの規定の改廃について論議がされておる、これは先ほど申し上げたようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/41
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042・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 二百九十七条が社債権者の保護に不十分だといま言われるなら、この法律は明治三十二年からずっとあるわけですよ。それじゃそれをいままでどうして放置されてきたわけですか。そういうふうになってくると、そこら辺のところがどうもよくわからないのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/42
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043・香川保一
○香川政府委員 これは私の個人的な意見でございますが、社債権者の保護を十分図るというためには、社債発行の都度、その社債を発行する会社の財務内容と申しますか、資産、収益力等も十分勘案しなければならぬわけでありまして、単に資本及び準備金と純資産のいずれか低い方を限度にするというだけでは不十分と申し上げたわけであります。しかし商法の枠内で考えますれば、現状においては今日までそれで不十分ながらもやむを得ないというふうなことで改廃について結論が出ていないということなんでありまして、やはり根本的には社債のランクづけ等のいわば社債市場における自主的なそういう運営が先決問題でございまして、さような関係が必ずしもまだ熟していないというふうなことで、それが熟するのを待って改廃すべきだろう、こういうふうなお考えで今日まで改正が見送られてきておる、さようなことだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/43
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044・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 その改廃の廃はわかるのですよ。だけれども、この法案は改でしょう。そうすると、この前大蔵省のどなたかが、証券取引基本審議会というのですか、これは東大の館龍一郎さんが会長ですか小委員長ですか、忘れましたが、何かやっておられますね。これが秋には何か結論が出る、もっと成熟というか何かしたものが出るということを言われておったように記憶するのです。そうすると、なぜいまの段階で急いでこの法案を通さなければならないのかというところがよくわからない。証券取引基本審議会ですか、そういうふうな委員会のまず中身ですね、一体具体的にどういう中身なのか、一体何を論議されておられるのか、秋までに一体何の結論が出るのか、それに伴って一体法律が必要なのか必要でないのか、この辺のところが私ども素人でよくわからぬものですから、わかりやすく御説明願いたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/44
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045・安井誠
○安井政府委員 証券取引審議会と申しますのは、証券取引法に基づきまして証券制度全般の審議をしていただくために大蔵省に設けられている大蔵大臣の諮問機関でございます。昨年の五月に株主構成のあり方についてという答申を出されまして、要するに、個人株主が非常に少ないのが問題ではないかということ、それに対する対策をお示しいただいたのでありますが、その後、次に取り上げるべき問題点として、安定成長期における公社債、それから株式市場のあり方についてということで御議論をいただきたいということになったわけであります。
と申しますのは、まず公社債の方から申してみますと、日本の公社債市場というのは、国債も含めてでありますけれども、外国特にアメリカなどと比べてみますと非常に違った形なんでございます。と申しますのは、基本的には日本の経済成長というものが、いままで高度成長ということで、結局直接金融に頼らないで間接金融中心にきたわけでございますので、株式あるいは公社債というものの占めるウエートというのは、個人の金融資産の中でも両方合わせても一〇%前後でございまして、アメリカが三〇とか四〇であるのとは非常に違っているわけであります。その上、たとえば社債の発行一つ見ましても、日本の社債ではいま十年ものと七年ものしかないのでありますけれども、アメリカの場合には五年ものもあれば三年ものもある、あるいは三十年ものもある。その公社債市場の繁閑によって出していくということになっているわけでありますけれども、日本の場合にはそれが行われてない。
たとえば、変な話で恐縮でありますが、昭和四十九年ごろ、あの金利の高かったときに、東京電力というのは九分五厘債を出しているわけであります。九分五厘で十年ものの社債を出しますと、企業とすれば、その社債でなしに金融調達した方がはるかにコストが安く済むわけでございますから、しかしそれは社債という市場が十年もの一つであるというのは非常に硬直化しているわけであります。そのほか外国にはない起債会と申しまして証券界と受託銀行界とがそれぞれ起債の調整をする、つまり市場が狭いものでありますから、そこで優先順位をつけたりしなければいかぬということから問題があるわけであります。この辺、いま経済のいわば転換期に来ていると言われているわけでありまして、公社債市場も御承知のような非常に多くの国債が出てきたわけでありまして、アメリカあるいはイギリスなどの公社債市場におきますところの国債のウエートは非常に高かったのでありますけれども、日本はこの数年急激にそういう方向に移ってきたわけでございます。したがって、日本のいままでの公社債市場のあり方というのは、その意味で日本の経済の成長というものとうらはらをなしてきたのだろうと思うのでありますけれども、さて、こういう時期になりますと、少しそこは考え直していいのではなかろうか。現に社債の金利につきましては、従前に比べますと金利が市場の実勢に応じて動きやすい状態に変わってきております。四十年から四十五年の間にはほとんど変更がなかったものが、四十五年から五十年の間には十数回も金利を動かしておりますし、大分変わってきたなという感じがするわけでありますが、どうも行政をしていく上でそういう市場のあり方、発行市場あるいは流通市場両面から見て、一遍基本的なあり方を見直してほしい。しかもそれを学者の方を中心にして、すぐ来年からとか再来年からということではなしに、中長期のビジョンを少しつくってもらって、それを行政の指針としてやっていきたい、こういうふうに考えているわけであります。したがって、私ども、この夏ごろに中間的な報告をとりあえずまとめていただきたいというお願いで、いま月に二回、学者の方でありますから、夏になれば四、五日詰めて御検討いただいてペーパーをいただきたいと申し上げているわけでありますが、それによって直ちに、その方針を受けて私ども徐々に制度の改正、行政を進めていきたいと思いますけれども、すぐにこの法律改正ということにはならないのではないか、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/45
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046・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 それはわかるのですがね。だから、それの結論が出るのを待ってからこの法案を出すのでも十分ではないか、こういうふうに思うのですが、なぜこの法案をそんなに急いで出すのか、そこら辺のところがよくわからぬ、こう言うのですよ。その必要性というか、緊急性というか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/46
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047・安井誠
○安井政府委員 必要性につきましては民事局の方からお答えがあるかと思いますが、私どもいまやっております審議会の方は、公社債市場のみならず株式市場も含めまして今後のあり方がどうかという議論をしているわけでございます。ところが片方、いま社債がもう出そうにも出せない企業が現に出てきているわけでありまして、それはやはり何とかしていただかなければいかぬのじゃないか。大蔵省としても、何といいましても社債というのは、銀行からの借り入れに比べますと安定資金でございます。長期の設備投資をするときに、銀行から借り入れをするよりは、やはりそれは社債という形の方が安定した資金になるわけでありますから、場合によっては金利も低いということも言えようかと思います。その意味で、企業の体質を強化していくためにも非常に大事なことであろう。ところがその社債が、増資のテンポが少しおくれたせいもあろうかと思いますが、ここへきてほとんど限度いっぱいになったとか、あるいは九割になってもう出せないというような企業も出てきたわけでありますから、やはりその企業の体質改善という、私どもの大蔵省サイドから見ましても、ぜひ今回急いでこの法案によってそういう企業の社債によるところの資金調達をさせてやってほしいというのが、私どもの希望でもあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/47
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048・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 いまは大蔵省もそうなったのでしょうけれども、これは証券局だからそういう考え方かもわからぬけれども、銀行局の方はこの法案に反対だった——反対というか消極的であって、ずっと新聞なんか見ていきますと、社債の枠の拡大に難色を示していたのは大蔵省だ、自己資本充実が先で、結局これをやっちゃうと、安易にこれに頼って、自己資本の充実ということがおろそかになるということもあって、大蔵省サイドでは最初これは消極的だったということが新聞に盛んに出ていますね。通産省は熱心にやりたがっていた。こういうふうなことなんでしょう。だから、銀行局と証券局との間で、実際問題としてはこの法案について意見の相違があったというふうなことは——現実問題としてですよ、言いにくいかもしれぬけれども、いまはどうか知らぬけれども、意見の違いというか、それはあったことは間違いないわけなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/48
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049・安井誠
○安井政府委員 先生の御指摘のように、新聞に何か難色を示したかのごとき記事が出たことは私も存じております。それは実は銀行局ではなくて、私どものおります証券局の中でむしろ、たとえば、先生ちょうどいま御指摘になりましたように、自己資本、つまり資本プラス準備金というのが自己資本でありますから、この条文があることによって、つまり社債をふやそうと思えばむしろそちらの自己資本をふやしなさいということに、自己資本充実に役に立つ条文ではないか、それを外してしまうのは、自己資本充実ということを証券局としては企業財務の点からも主張しているのに、いかがなものだろうかということで、内部で議論しましたときはいろいろな議論が出ました。それが、どうした関係か外へ出たというのがあれでございまして、決して大蔵省としての意見でも、あるいは証券局としての意見でもないわけでございまして、ましてや銀行局はこの問題について別に社債を出されることに決して反対とかいうことは一言も言っておりませんし、そういう状況で、何らかの形で漏れたということでありまして、それは大蔵省としての意見ではないということでございます。いま大蔵省としては、先ほども申し上げましたように、むしろ企業が社債によるところの資金調達ができることは望ましいという判断に統一をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/49
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050・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 いまの話の中では、この条文があることによって結局社債が発行できない、そのことがセーブになってというかチェックになって、結局自己資本を充実しなければならないという形になっていくということでしょう。これは日立造船なんかそういう形をとって自己資本を充実していったわけですね。そうすると、いまあなたの言われた、これが何か逆になるというような考え方、これはいまはもうなくなったのですか、そういう議論は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/50
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051・安井誠
○安井政府委員 いま先生御指摘のように、この条文があることによって、社債を発行したい、そのためにはまず増資をしようというような動きがあったことは事実であります。しかし、それでは逆にその増資をいたしますれば、いまの増資の仕方はいろいろございますけれども、税制その他の問題もございまして負担がかかるわけであります。必ずしもその増資というものに、企業としては企業の収益状況その他の問題を見なければ決断しかねる、しかし設備資金等が要る場合があるわけでございまして、そのときにやはり考えてみますと、決して私どもとしてもそういうメリットがこの条文になかったとは申さないのであります。外国には法務省から承りますとこういう例はほとんどないそうでありますけれども、これも一つのメリットではあっただろう。しかし、そのメリットと、いま社債が出せないで銀行から借り入れをすることによって企業の財務内容というものが不安定化する、逆に言えば、社債を出すことによって安定化していくことのメリットと比べてみた場合には、後者のメリットの方が大きかろう、そういう点から私どもとしてもぜひこの法案を進めていただきたい、こうお願いしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/51
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052・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 一般電気事業会社及び一般ガス事業会社の社債発行限度に関する特例法というのが昭和五十一年法律第五十九号で出ていますね。これは通産省から出たのですね。商工委員会にかかっていますね。この法律は、片方は四倍で片方は二倍だと思いましたが、この法律のときになぜ一緒にこの法案も出さなかったのですか。出せなかったのですか、あるいは準備できなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/52
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053・香川保一
○香川政府委員 そのころから会社全般についてこの商法の二百九十七条が論議されておったのでございますけれども、商法のいわば特則的な一般規定を設けるということに相なりますと、手続的にでございますけれども、法制審議会の関係がございまして、さような関係でいま御指摘の特例法と一緒に出す時間的な余裕がなかった、一年おくれになったというふうな原因でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/53
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054・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 この特例法は電気事業とそれからガス、これは法制審議会にはかかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/54
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055・香川保一
○香川政府委員 これはかかっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/55
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056・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 こういう場合はどうしてかからないのですか。法務省の管轄じゃないからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/56
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057・香川保一
○香川政府委員 形式的に申しますと、法案自身が法務省の所管の法案でもございませんし、また法制審議会として、電気事業とガス事業だけの問題でございますから、むしろ政策的な配慮の方にウエートがあると申しますか、法制審議会から言えば、失礼でございますけれども細かいことでございますので、さようなものまで法制審議会では取り上げないというふうな従来の慣行からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/57
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058・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 これは時限立法ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/58
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059・香川保一
○香川政府委員 時限立法でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/59
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060・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 こっちが時限立法で、いまの社債の暫定の方は一般的だから時限立法じゃないと言えばないかもわかりませんが、それはなぜ片方だけ時限立法になって、こっちの方は時限立法にならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/60
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061・香川保一
○香川政府委員 ただいま御審議願っておる法案は「当分の間、」ということになっておるわけでありますが、これは商法の特例的なものということでございまして、実質は、先ほど議論のありました商法の二百九十七条自身の改廃をどうするかという結論が出るまでというふうな意味合いで「当分の間、」ということにいたしておるわけでございます。御指摘の特例法の方は、形式的に申しますれば当分の間でもいいだろうと思いますけれども、ただ、電気事業に関しては四倍、これは従来は二倍まで法律があったわけでございますが、ガス事業については新たに二倍というふうな措置をとる、そういうふうな実質的な需要の問題を考えまして、このくらいの期間内に特例を認めておけばそれで事足りる、さような判断からだろうというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/61
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062・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 この二百九十六条に「会社ハ取締役会ノ決議ニ依り社債ヲ募集スルコトヲ得」とあるわけですね。これは今度の場合どうして問題にならなかったのですか。——問題の意味わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/62
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063・香川保一
○香川政府委員 ちょっとわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/63
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064・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 「商事法務」という本がある。四課長の書いたものが載っている。これを見ると、社債を株主総会の承認事項にしたらいいじゃないかという意見も一部あるのじゃないのですか。あるいは私の理解の仕方は間違いかな。どうなんですか。「株主総会の権限強化として、一定事項(例えば、重要な財産の得喪、役員報酬、借入金や社債発行の限度、一定額以上の寄付金等)につき株主総会の承認を要するものと法定する、株主総会に債権者の代表者の出席を認めることにするとの意見を主張している。」これはどこかの雑誌に集まっている人たちが言っているらしいので、だれが具体的にどう言っているかということがちょっとはっきりわからないのと、それから社債発行の限度という意味もちょっとはっきりわからないところもありますけれども、だから、取締役会の決議だけでいいのか、株主総会の決議にするのかというようなことについて議論はないのですかというふうにお聞きしているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/64
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065・香川保一
○香川政府委員 その株主総会の決議事項あるいは承認事項にした方がいいのじゃないかという意見は、たしか会社法の全面改正について各関係方面に意見を承りましたときに、ごく一部の団体からその方がいいのじゃないかというふうな意見が寄せられたことがございますけれども、これは私の考えではむしろ逆行でございます。御案内のとおり、新株発行は取締役会の決議だけでやれることになっておりますし、先般のたしか昭和四十七年の商法改正の際に、それまで転換社債の発行が株主総会の決議が要ることになっておったのが取締役会の決議でいいということに改められまして、機動性を持たせると申しますか、さような意味でむしろ取締役会の決議事項として弾力的に時宜に適して運営された方がいいというふうな事柄につきましては取締役会の決議の方に移してきておる。そういう傾向にあるわけでございまして、さような意味から申しますと、ただいまの御意見は逆行じゃなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/65
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066・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 そこで、商法全体の改正について具体的にいまどういうふうに進んでいるのかということですね。どこにどういう問題があるのかということですが、たとえば一つ一つ挙げていきますと、ここに「商事法務」の七百二十五号、四課長が「会社法改正に関する各界の意見 法務省の意見照会に対する回答結果について」ということで書いているわけですね。ここにたとえば「企業の社会的責任について」ということがありますね。この点についてはどういうふうに進んでおるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/66
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067・香川保一
○香川政府委員 今回法制審議会にお願いいたしておりますのは、会社法全般についての見直し、根本的な改正ということでございますので、いろいろの問題を並行的に審議するわけにまいりませんので、いろいろ審議いただく事項のうち、今回の審議では、一番最初に株式の問題を取り上げていただきまして、これが小委員会あるいは商法部会におきましていろいろの意見がございますけれども、大方の方向が固まってきておる。甲案、乙案というふうに両案あるものもございますけれども、さような株式関係の審議が一応部会の段階で、結論が出たわけでございませんけれども、一つの中間的なまとまりができた段階でございまして、それを取りまとめてさらに公表いたしまして意見を聞くということを考えております。
第二番目には、総会屋等の問題もいろいろございますので、株主総会の問題を取り上げていただくということで、近く審議が始まるわけでございます。さような順序立てで商法部会におきまして審議の順序を決めていただいておりますので、いま御指摘の企業の社会的責任というふうな問題は、その先の方になろうかと思うのであります。
〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕
ただ、いま御指摘の改正に関する各界からの意見照会に対する回答を見ますと、商法の中で社会的責任を明確にするというふうなことは余り実効性がないんじゃないかというふうな御意見がむしろ多かったように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/67
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068・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 そこで、これを見ますと、「企業の社会的責任について」、それから「株主総会制度の改善について」、「取締役および取締役会の改善について」、「株式制度の改善について」、「株式会社の計算・公開について」、「企業結合・合併・分割について」、「最低資本金および大小会社の区別について」、こういうふうに主なものがあるわけですね。
そこで、いまの社債の発行限度の問題については、このアンケートを見るというと、アンケートの中には入ってなかったのじゃないのですか。「その他の改善意見」の中にちょっと答えとしては入ってきているようにとれるのですが、それはどういうような社債のことについてのアンケートを出したのですか。それは「その他の改善意見」という形で出したのですか。その辺のところをちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/68
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069・香川保一
○香川政府委員 アンケート、意見照会の中には、特に社債の問題は取り上げて意見を求めておりませんが、その当時すでに商法の二百九十七条の規定についてだけのいろいろの要望が出ておりましたが、意見照会に対して、私どもとしては一つも問題を取り上げていなかったにもかかわらず、幾つかの団体、学界等から、社債の二百九十七条をむしろ廃止すべきだとかあるいは緩和すべきだというふうな意見が積極的に寄せられた経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/69
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070・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 問題になっているならば、当然、社債のいまの発行限度の改廃の問題その他について、重要項目として法務省としてアンケートをすべきでなかったか、こう思うのですが、その中に入ってないで、そして今度は急にそれが法案として出てくるものだから、何だかどうもおかしいなというような感じを持つのですが、それをなぜアンケートに入れなかったのか。重要項目として考えてなかったんじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/70
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071・香川保一
○香川政府委員 意見照会の一番の大きな契機になりましたのは、先般の監査制度に関する商法の一部改正の際の附帯決議が一つの契機になっておるわけでございまして、その中で取り上げていただいた問題が一応主な基本的な問題全部触れられておったわけでございます。したがって、そのことが重要問題であるという意味で意見照会のテーマにそれを並べたわけでございまして、当時、社債の問題というのは、きわめて技術的なことでございまして、しかも商法の中では、これは経済問題としては相当ウエートの高い問題でございますけれども、さほど——二百九十七条だけの関係を議論していただけばいいわけで、むしろ、そのうらはらの問題として、自己資本の充実というふうな問題を商法中にどういうふうにするかというようなことが関連してくるわけでございますけれども、社債そのものについては特に取り立てて重要テーマの一つにするというふうな考えはなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/71
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072・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 だから、重要テーマにするという考えはなかったものが、今度出てきたわけでしょう。どこからこういうような法案をつくってくれという要望が出てきたのですか、ざっくばらんな話。それがよくわからないのです。何か急にぽかっと出てきたような感じを受けるものですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/72
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073・香川保一
○香川政府委員 もちろん社債につきまして、商法部会では内部的にいろいろ、特に二百九十七条を中心にして議論は従来からされておるわけでございますけれども、これは商法といたしまして、商法の社債の規定をどうこうすることによって社債発行が活発になるというふうな、さような直接的な関係はないわけでございまして、やはり経済界の要請と申しますか、さようなものを受けて今回の暫定措置法案を提案しているわけでございまして、経済団体、特に各企業で社債が限度近くまでもう発行されている、さような企業の団体数団体から非常に強い要請がございましたし、先ほど申しましたように、意見照会に対する意見の中でも積極的にこの問題について意見が寄せられた、さようなことを受けて暫定的なものとして提案した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/73
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074・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 これは資料の中にあるのかもわかりませんが、これは大蔵省に聞いた方がいいのかもわかりませんね。限度近くまで発行されていて、九〇%かあるいは何%か発行されていて、特にそれを必要だというふうにしているのは一体どういう業界でどういうところなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/74
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075・安井誠
○安井政府委員 昨年六月末で調査したものでございますが、現在事業債、社債を発行しております、これは公募債でございますけれども、会社二百三十四社で調査いたしましたところ、すでに七割を超えている会社が八十二社ございました。しかもこれが五十二年分につきまして、もし仮に前二年間、四十九、五十両年度の発行実績をもとにいたしましてどのくらい仮に伸びるかなというのを計算してみますと、一年内に限度超過となる会社が五十社程度出てくるということでございます。業種別に見てみますと、私鉄であるとか、紙パルプ、化学工業、鉄鋼業、輸送用機器製造業などに比較的多いようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/75
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076・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 そうすると、公募債というのは、ぼくは素人でよくわかりませんが、どういう形で具体的に出てくるかということが一つと、それと資本金なり資産が今度四十億か六十億以上のものでなければならないということになるわけですか、そこら辺のところはどういうふうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/76
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077・小粥正巳
○小粥説明員 技術的な問題でございますので、資本市場課長からお答え申し上げます。
ただいま先生のお尋ねは、社債のうち公募債がどんな基準で出されているか、こういうお尋ねでございますが、公募債につきましては、申し上げるものでもなく、広く一般投資家から資金を調達いたしますので、会社の信用度が高いこと、財務内容がすぐれていて、万一社債権者に迷惑をかけるような発行体では困るということ、それから社債が転々流通をするということが投資家にとっても必要でございますので、起債単位がある程度以上大きいこと、そのような必要性がございます。
したがいまして、先ほど証券局長からお答え申し上げましたように、現在の公募債市場では、起債関係者でございます引受証券会社、それから募集及び担保の受託をいたします受託銀行、この両者が自主的な起債ルールをつくっておりまして、いま一般的に申し上げましたような見地から一定の公募債についてのいわば適債基準のようなものを自主ルールで設けております。
その内容は、ただいま先生から御指摘がございましたように、この四月から新しく適用されておりますルールによりますと、会社の純資産額が六十億円以上ということを一つの要件にしております。そのほか、多少細かくなりますが、会社の財務内容についての質的な基準といたしまして、純資産倍率でございますとか、自己資本比率、使用総資本事業利益率あるいは配当率等の財務比率の基準が一定のレベルに達していること、これを要件にしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/77
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078・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 その起債会というのは法的根拠は何かあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/78
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079・小粥正巳
○小粥説明員 ただいま申し上げました起債会は、公募債の引き受けを担当いたします証券会社と募集及び担保の受託を担当いたします受託銀行から構成をされておりますが、これはあくまで公募債の起債関係者の自主的な集まりということでございまして、先生お尋ねのような法的な根拠は特にございません。したがいまして、また行政当局が関与しているものでもございません。全く市場関係者の自主的な集まりでございますし、いまのようなルールを申し合わせて公募債を受け入れておる、いわば市場のルールと申すべきものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/79
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080・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 銀行から金を借りる場合は銀行が介入してくることがいろいろ考えられますね。社債の場合には銀行が介入してくるということは普通はないわけですか。ただ銀行保証というのがあって、結局ある程度やはり介入してくるんじゃないかという説を言う人もあるのですけれども、それはどういうんですか、具体的にどうもよく内容がわからぬものですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/80
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081・小粥正巳
○小粥説明員 銀行借入金と社債とはもちろんいろいろな面で違うわけでございますが、社債につきまして銀行が関与いたしますのは、法的にはただいま申し上げました商法上の募集の受託、それから担保附社債信託法によります担保の受託、これは銀行が担当いたします。したがいまして、その面で受託銀行が公募債の起債関係者として登場してくるわけでございます。
ただ、銀行借り入れと違いまして、銀行のみが、いわば債務者であります企業、それに対する債権者としての銀行、こういう対峙の仕方ではございません。社債権者は広く一般に分散しているわけでございます。銀行もまた社債権者の一部として、銀行自体が社債を保有するということはございます。社債権者の一部であるというその程度の意味しかこの場合はございません。
それからもう一つ、銀行保証についてのお尋ねでございますが、社債を発行いたします場合に銀行が保証を付するという例は、これは一般的にございます。
ただ、わが国の公募債市場におきましては、戦後、現在に至るまで公募債につきましては事実上すべて担保を付する、いわゆる有担原則が貫かれておりますので、担保、これは物上担保でございます。物上担保がございますと、その上に銀行保証をつける必要は事実上ございませんので、その意味で国内債については公募社債は物上担保つきであり、銀行保証がないというのが現在の姿でございます。
ただ、外国で発行されます社債、外債につきましては、むしろ担保がなく、いわばそのかわりと申しますか、銀行保証が付せられるという例は、これはございます。国内債につきましては、いま申し上げましたようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/81
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082・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 そうすると、公募債が発行できるのは純資産が六十億以上ですか。そうすると、資本金一億円以下の中小企業なんかは法律がありますね、中小企業投資育成株式会社法か。その間はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/82
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083・小粥正巳
○小粥説明員 先ほど申し上げました最近の自主的なルールでは、純資産六十億円以上というのを基準にしております。ただ、現実にはいわば経過規定のようなものがございまして、従来から社債を発行しております会社では純資産額が六十億円未満のものでも公募債を発行しているものがございまして、現在私どもが承知しておりますところでは、純資産が二十億円程度の会社でもなお公募債発行の発行残高を有しておる会社もございます。しかし、それより規模の小さい会社でございますと、先ほどの公募債の性格から申しまして、市場では公募債として受け入れられていない。したがいまして、それより規模の小さな会社につきましては、公募ではございませんで、私募の形で、これは狭い範囲の縁故関係者に保有されるという私募社債の形で社債を発行している例は、これは別途ございます。
いま先生一億円未満という御指摘がございましたが、私どもの法人企業統計によります調査でも、たとえば資本金一億円未満の法人につきまして社債の発行残高ありと統計上出ておりますものを集計をいたしますと、昭和五十年度の数字で二百億円を超える合計の残高が認められます。でございますから、一億円を超えまして実際に公募債が発行できない程度の中堅クラスの企業につきましても、これは一億円未満にしてその程度でございますから、私募債を発行している例はかなりあるわけでございます。ただ、私募債につきましては必ずしも十分な統計がございません。公募債につきましては私ども市場関係者から十分の数字を聞かせてもらっておりますけれども、私募債につきましては、担保つきのものはある程度把握ができるのでございますけれども、一般的にすべてを統計上把握できませんので、たまたま法人企業統計のようなもので総額としてある程度の見当がつく、そのような状況でございますが、いずれにいたしましても、公募債発行会社以外の企業、私募債を発行しているものは相当程度あろうと推測をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/83
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084・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 法律的な問題で、法務省の方に入るわけですが、この「商事法務」を見ますと、「社債および借入金について」ということで、「社債に関する法規(商法、担保附社債信託法、社債等登録法、証券取引法等)の調整ないし統一」ということの意見がいろいろ出ているようですね。これは具体的にどういうふうなことを言うのですか。
それから、本法案でその点の調整ないし統一ということが図られているのですか。これはここにしか書いてないものですから、内容がちょっとよくわからぬのですが、どういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/84
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085・香川保一
○香川政府委員 今回の法案では、証券取引法との調整と申しますか、従来は証券取引法の附則で、担保付社債についてはいわゆるディスクロージャーの制度が採用されていなかったのでございますが、今度の枠の拡大によりまして、拡大部分についての担保付社債についてはディスクロージャーの制度を取り入れるという改正がされておるわけでございます。
そういうわけでございまして、商法の社債の規定、それから担保附社債信託法あるいは社債登録法等の関係は、先ほど申しました株式会社法の全面改正の際に当然一つのテーマになってくるわけでございまして、たとえば、現在の商法における社債発行の規定よりも担保附社債信託法による担保付社債の発行の方がより複雑になっていると申しますか、手数がかかるようになっておるわけでございます。これは何分明治三十八年の法律でございまして。当時は恐らくは外債の問題があったのと、外資導入の問題、それからむしろ原則は無担保社債であって、それを担保つきで出さなければならぬという会社は、むしろ小さい会社と申しますか、あるいは資産内容が必ずしもよくないというふうなことも考えられたと思うのでありまして、商法の社債に関する規定よりも担保つきの方がむしろ複雑になっているわけでございます。そのような面もありまして、商法の社債発行のいろいろの規定も相当複雑でございまして、この辺のところが当然手数と費用の増加ということにつながってくる問題でございますので、できるだけコストダウンさせるという意味で商法のみならず、担保附社債信託法のいわば手数、費用がかからぬような配慮をするという意味で改正が問題になってくるだろうと思うのでありまして、私どもの事務当局の考えとしましては、むしろ社債法という単行法にして、登録法も含めたさような単行法の形で制定された方が望ましいのではないだろうかというふうな考えを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/85
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086・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 枠が拡大されて、それを、社債を買う社債権者と、それから既存のものを持っている人とありますね、それとの間の差ができてくるのではないですか。それはどうなんですか。片一方は担保つきだし、片一方は担保がつかないというようなことで、その点についてはどういうふうに考えておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/86
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087・香川保一
○香川政府委員 先ほど大蔵省からも答弁がございましたように、現在の商法二百九十七条の枠内で発行されておる既存の社債につきましても、全部といっていいくらい担保つきでございまして、したがって今後発行されるものも担保つきということになるわけでございますが、その担保価値の問題につきましては、やはり担保附社債信託法による受託会社が十分配慮して、大丈夫ということで受託することになるわけでございますから、したがって法的な保護の面ではいずれも担保つきでございますから、先後を問わず十分保護される面においての差はないというふうに御理解いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/87
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088・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 いまおっしゃるようならば、枠を拡大して担保つきになるのだから、社債権者の保護に支障がないということを声を大にして言うことはかえっておかしいのじゃないですか。前とちっとも違わないというのならば、何もそのことを特段に言う必要はなくなってくるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/88
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089・香川保一
○香川政府委員 私ども申し上げますのは、商法の面から申し上げておるわけでございまして、商法におきましては現行の枠内のものは担保付社債でなければならぬという規制はないわけでございまして、今後発行される拡大部分についての社債は法律でもって担保をつけなければならぬということに規制することは社債権者保護の見地からだ、かようにいま申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/89
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090・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 だから、それなら今後発行するだけじゃなくて、前から発行しているもの全部担保付社債にしなさいという法律にした方がいいのじゃないですか。その方がはっきりするのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/90
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091・香川保一
○香川政府委員 それも一つの考え方かもしれませんけれども、現在発行されておるのは実質は先ほど申しましたようにほとんど全部が担保つきでございますし、無担保の社債を担保つきに変えるというのは現行法の手続規定を相当整備しませんとなかなかうまくいかぬわけでございまして、実質的にさようなことをする実益が余りございませんので、さような措置はとっていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/91
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092・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 担保つき、担保つきと言うけれども、もとへ戻って、担保つきとは具体的にどういう担保がどういうふうにつくのですか、これ、よくわからないのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/92
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093・香川保一
○香川政府委員 これは担保附社債信託法でその担保が限定されておるわけでございますけれども、実際の担保は各種財団抵当権か、あるいはきわめて大きなしっかりした会社につきましては企業担保権というふうな、そういうものが主でございまして、たとえば株式の担保とかそういうふうなものは担保附社債信託法上は認められておりますけれども、その例はないように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/93
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094・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 それで社債権者が、会社が倒産したときなんかそういう場合には、保護はもうそれで十分なんですか。必ずとれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/94
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095・香川保一
○香川政府委員 実際の担保権を設定いたします場合には、その担保価値、たとえば一〇〇の担保価値があるものについて一〇〇の社債総額というふうな形にはなかなかいかないわけでございまして、やはり値下がりのこともあればいろいろ問題がございますので、現在六割とかいうふうなところを限度にするような担保価値の計算をいたしましてやっておりますので、万一破産というふうなことに相なりました場合でも、御承知のとおり別除権があるわけでありますから、担保権者としての保護は図られておる。しかし、これは法律的に申し上げた限りでございまして、実際問題として、先ほどお話もございましたように、社債を発行している会社がつぶれるというふうな例はごくまれにしか考えられないわけでございまして、実際的に担保価値が問題になるというふうなことはまずなかろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/95
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096・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 そうすると、社債に対して社債権者に先取特権を与えてほしいというような議論もあるのですか。そういう議論が証券業界なんかから出ておるのですか。具体的にどういうことを言うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/96
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097・香川保一
○香川政府委員 電気事業、それからガス事業、かつては戦前からございました鉄鋼関係、それからたしか日通でございますか、さようなところで一般の先取特権が法定担保として当然につくというふうな例がございました。現在も電気事業についてあるわけでございますが、これは恐らく発行会社の側から申しますと、担保付社債ということで担保権の設定手続あるいはそれの登記に要するいろいろの登録免許税も含めた費用等がやはりコストになるわけでございますから、できるだけコストを低くするという意味で、むしろそういった手数、費用を要しないような法定担保に切りかえてもらえればというふうな考え方が出てくることは十分理解できるわけでございますが、その辺のところも含めて、やはり今後、ひとつコストダウンさせるという意味でいろいろ配慮しなければならないのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/97
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098・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 これは一般借入金については法律で制限はないわけでしょう、会社は。そうすると、社債だけ商法で制限がついたというのは、これはまたどういうわけなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/98
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099・香川保一
○香川政府委員 私もよくわからないのでありまして、先ほど申しましたように、商法の二百九十七条は社債権者の保護のためだというふうに言われているのですが、お説のとおりその後借入金がどんどんふえた場合には、無担保の場合でございますと同順位でございますから、決して社債権者の保護が十分だとは言えないわけでございます。その辺のところがまさに商法二百九十七条の合理性が問題になる点だろうと思うのでありまして、外国の立法例では、たしかイタリアを除きましてさような枠を設けている国はないそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/99
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100・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 では、時間もあれですし、第一回ですから、きょうはこれで終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/100
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101・上村千一郎
○上村委員長 次回は、来る二十六日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108005206X01119770422/101
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