1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十二年三月一日(火曜日)
午前十時三十六分開会
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委員の異動
一月二十九日
辞任 補欠選任
植木 光教君 加藤 武徳君
二月二日
辞任 補欠選任
菅野 儀作君 植木 光教君
二月二十二日
辞任 補欠選任
福岡日出麿君 青木 一男君
斎藤栄三郎君 郡 祐一君
二月二十三日
辞任 補欠選任
青木 一男君 福岡日出麿君
郡 祐一君 斎藤栄三郎君
三月一日
辞任 補欠選任
藤井 恒男君 向井 長年君
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委員長の異動
一月三十一日柳田桃太郎君委員長辞任につき、そ
の補欠として加藤武徳君を議院において委員長に
選任した。
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出席者は左のとおり。
委員長 加藤 武徳君
理 事
熊谷太三郎君
福岡日出麿君
竹田 現照君
須藤 五郎君
委 員
植木 光教君
斎藤栄三郎君
吉武 恵市君
阿具根 登君
鈴木 力君
対馬 孝且君
森下 昭司君
桑名 義治君
中尾 辰義君
向井 長年君
国務大臣
通商産業大臣 田中 龍夫君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 倉成 正君
政府委員
公正取引委員会
委員長 澤田 悌君
公正取引委員会
事務局長 後藤 英輔君
経済企画政務次
官 森 美秀君
経済企画庁長官
官房長 田中 敬君
経済企画庁長官
官房会計課長 小林 進君
経済企画庁国民
生活局長 井川 博君
経済企画庁物価
局長 藤井 直樹君
経済企画庁総合
計画局長 喜多村治雄君
通商産業大臣官
房長 宮本 四郎君
通商産業大臣官
房審議官 栗原 昭平君
通商産業大臣官
房会計課長 小長 啓一君
中小企業庁長官 岸田 文武君
事務局側
常任委員会専門
員 町田 正利君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○派遣委員の報告に関する件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
(経済計画等の基本施策に関する件)
(昭和五十一年における公正取引委員会の業務
の概要に関する件)
(通商産業行政の基本施策に関する件)
(昭和五十二年度通商産業省及び経済企画庁の
予算等に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/0
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001・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
一言ごあいさつを申し上げます。
去る一月三十一日の本会議で商工委員長に選任された加藤でございます。もとより浅学非才でございますので、理事の皆さんを初め、委員の皆さん方の御指導と御協力をお願いを申し上げまして、きわめて簡単でございますが、ごあいさつといたします。
よろしくお願いいたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/1
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002・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 委員の異動について御報告いたします。
去る一月二十九日、植木光教君が委員を辞任され、その補欠として私、加藤武徳が選任されました。
また、去る二月二日、菅野儀作君が委員を辞任され、その補欠として植木光教君が選任されました。
また、本日、藤井恒男君が委員を辞任され、その補欠として向井長年君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/2
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003・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 次に、理事の辞任についてお諮りいたします。
楠正俊君及び加藤進君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/3
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004・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/4
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005・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に福岡日出麿君及び須藤五郎君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/5
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006・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) この際、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。
先般、当委員会が行いました電力産業に関する実情調査のための委員派遣については、報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/6
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007・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/7
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008・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。
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経済計画等の基本施策に関し、経済企画庁長官から所信を聴取いたします。倉成経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/8
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009・倉成正
○国務大臣(倉成正君) わが国経済運営の基本的方向と当面の諸施策につきましては、さきの経済演説において明らかにしたところでありますが、当委員会が開催されるに当たり、重ねて所信の一端を申し述べたいと存じます。
顧みますと、石油危機に始まる異常な物価上昇と厳しい不況、大幅な国際収支の赤字からいかに脱却するか、これは、わが国のみならず、欧米先進諸国の共通の悩みであり、課題でありました。
この中にあって、わが国は、これまで三カ年にわたるいわゆる調整過程を通じて、マイナス成長から立ち直るとともに、物価も狂乱期を脱し、また、国際収支の大幅な赤字も解消するなど、同様な困難を経験した先進諸国の中にあって、比較的順調な推移をたどっております。
しかしながら、その過程で、なお解決すべき問題として残されている点も少なくありません。本年の経済運営に当たっては、それらの諸問題を将来にわたって解決していくため、適切かつ機動的な政策の展開を図り、この年がわが国経済の新しい展望を切り開く年となるよう、一層の努力を続けてまいらなければなりません。
私は、このため、昭和五十二年の経済運営の目標を次の三点に置き、これに積極的に取り組んでまいる所存であります。
その第一は、景気の回復をより着実な、より持続的なものとし、第二は、物価のなお一層の安定化に努め、第三には、わが国経済を長期的な安定成長路線に円滑に乗せていくための基盤を築いていくことであります。
さて、最近のわが国経済を見ますと、景気は基調としては回復過程をたどっており、五十一年度の国民総生産は、ほぼ政府の当初見通しどおり、実質五・七%程度の成長を達成するものと見込まれます。
しかしながら、昨年夏以降、景気回復のテンポが緩慢なものにとどまっている中にあって、業種、地域によって回復の進度に格差が見られるほか、企業倒産も高水準に推移し、雇用情勢の改善もはかばかしくない等の問題が残されております。
こうした情勢のもとで、今後の経済運営に当たっては、まず第一に、景気の一層着実かつ持続的な回復を図り、特に雇用の安定について十分な配慮を払ってまいることが最も緊要であります。
政府は、昨年十一月に公共事業等の執行促進等七項目の措置を決定、推進しているところでありますが、昭和五十一年度補正予算及び昭和五十二年度予算の編成に当たりましても、特に当面の経済に好ましい需要創出の効果をもたらし、かつ、長期的に見ても、国民生活の充実と経済社会の基盤整備に役立つ公共事業費等の投資的経費に重点を置き、経済情勢に見合った財政規模と投資水準の確保に意を用いております。
昭和五十二年度のわが国経済は、政府の施策の機動的な運営と民間の自律回復力とが相まって、実質六・七%前後の成長を達成し、安定して均衡のとれた、しかも活力ある経済の実現に向かって、さらに着実な歩みを進め得るものと考えております。
物価の安定は、景気の回復と並んで、当面する最も重要な課題であります。
最近の物価動向を見ますと、まず卸売物価は、一昨年末から昨年夏にかけてやや高いテンポの上昇を続けておりましたが、その後は景気回復のテンポが緩慢化した中で、海外商品市況の軟化等もあって落ちついた動きで推移しております。しかしながら、不安定な海外要因等を考慮いたしますと、先行きなお警戒を怠ることはできないと考えております。
一方、消費者物価は、季節的な要因等により若干の変動はあるものの、昨年来、基調としては安定化の方向にありますが、その上昇率はなお高く、本年度末の政府目標の達成に向かって格段の努力を続けることはもとより、今後ともその一層の安定化を図っていかなければなりません。
このような情勢のもとで、政府は物価の安定が引き続き経済運営の重要な課題であるという観点に立ち、適切かつ機動的な政策の展開を進めることにより、景気回復の過程で物価の安定化傾向が損なわれることのないよう、十分注意を払ってまいる所存であります。
同時に、今後とも生活必需物資の価格安定や、需給、価格動向の監視に努めるとともに、消費者に対する適切な情報の提供等のきめ細かな諸施策を実施してまいります。さらに、長期的、構造的な物価対策として、競争政策の推進、流通機構の合理化、低生産性部門の近代化等の各般の施策を引き続き強力に推進してまいりたいと考えております。
なお、公共料金につきましては、これらの関係事業が、国民生活に不可欠のサービスを安定的に供給していくためにも、その健全な運営が確保されることが必要であり、経営の合理化に努めることを前提としつつ、受益者負担の原則により、適時適正な水準に定めらるべきものであると考えます。しかしながら、一方において、その改定が国民生活に及ぼす影響についても十分考慮し、物価の安定化を阻害しないよう配意してまいる所存であります。
以上により、五十二年度中の消費者物価上昇率を七%台にとどめたいと考えております。
経済の運営に当たっては、当面する課題の解決を図りつつも、常に長期的観点から経済社会のあるべき姿を求め、これを実現する基盤をつくっていくことが肝要であることは申すまでもありません。
一九七〇年代に入り、わが国経済は、外にあっては国際通貨危機や石油危機を契機とする国際経済バランスの動揺にさらされ、内においては国民の意識の多様化、環境問題の深刻化、住宅や公共部門の立ちおくれ等を背景として、量的拡大から質的充実を目指すものへと転換を図る中にあって、成長率の低下、資源有限性の高まりという新しい事態への対応を迫られております。
こうした内外諸条件の変化を踏まえ、望ましい経済社会発展の道を開いていくため、政府も、企業も、家計も、従来の発想や慣行にとらわれることなく、新しい時代に対応するための態勢の整備に努めるとともに、経済の活力の維持に一層の配慮を払っていかなければなりません。
このような時期にあって最も重要なことは、わが国経済社会が長期にわたって進むべき発展の方向を明らかにすることによって、政府がとるべき政策の基本的方向を見定め、あわせて民間の経済活動の指針となるべきものを示すことであります。政府が昨年五月、昭和五十年代前期経済計画を策定いたしましたのも、このような趣旨によるものであります。
政府は、今後、同計画に示されている政策体系を着実に実施していくとともに、内外諸情勢の変化に対応しながら常に計画の推進が図られるよう、その前向きな展開に努めてまいります。私はこのことを通じて、企業や家計に新しい環境を乗り切っていく自信を与え得るものと確信いたしております。
景気の回復と、雇用と物価の安定は、国民生活の安定のための必要最少限度の課題でありますが、もとよりそれにとどまるべきではなく、真に豊かで落ちついた国民生活を実現するため、各般の国民生活行政を一層幅広く推進していかなければならないと考えます。
特に消費者保護のための施策につきましては、従来からその拡充に努めてきたところでありますが、昭和五十二年度予算においては、消費者保護に当たる機構の強化を図るとともに、国民生活センターに研修テスト施設を設け、その機能の充実を進めることにいたしております。
以上、わが国経済が当面する諸問題と、これに対する所信を申し述べましたが、私は、今後とも経済の動向を適確に把握し、機に応じ適切な経済運営を進めてまいる所存であります。
本委員会の皆様方の御理解と御支援を切にお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/9
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010・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 次に、昭和五十一年における公正取引委員会の業務の概要について説明を聴取いたします。澤田公正取引委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/10
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011・澤田悌
○政府委員(澤田悌君) 昭和五十一年における公正取引委員会の業務につきまして、その概略を御説明申し上げます。
御承知のように、昨年の我が国経済は、年初に景気回復の傾向があらわれましたが、その後回復のテンポは緩み、足踏み状態を続けました。
石油危機以降の調整過程を経て、安定成長期を迎えようとするわが国経済においては、活力ある経済社会を維持するため、競争条件を整備することが、従来にも増して肝要となっておりますが、公正取引委員会といたしましては、このような点に十分留意しつつ、引き続き独占禁止政策の厳正かつ積極的な運営に努めてまいりました。
まず、昨年における独占禁止法の運用状況でありますが、昭和五十一年中に審査いたしました独占禁止法違反被疑事件は百六十七件、同年中に審査を終了した事件は九十件であり、そのうち、法に基づき排除措置を勧告したものは、二十七件でありました。
これら二十七件のうち、カルテル事件が十九件を占めており、主な事件としては、石油製品、家庭用プロパンガス等の一般消費財の販売価格についての協定事件があったほか、価格以外のカルテル事件としては、受注調整に関する事件が増加しており、昨年は五件について勧告を行いました。
このほか、近年目立っているのは、不公正な取引方法に関する事件が多くなってきていることであり、二十七件中八件を占めておりまして、再販売価格の維持行為、競争品の取り扱い等の禁止行為について必要な排除措置を講じました。
次に、許認可、届け出受理等に関する業務でありますが、まず、合併、営業譲り受けにつきましては、昭和五十一年中にそれぞれ九百二十五件、五百十八件、合わせて千四百四十三件の届け出があり、一昨年より若干の増となりました。内容的には、ほとんどが中小企業等の合併、営業譲り受けでありまして、特に問題となるものはありませんでしたが、特殊鋼メーカー三社の合併につきましては、市場占拠率の点から問題のある品目がありましたので、慎重に検討し、所要の措置を講じさせた上、合併届け出書を受理しました。また、近年、企業間の業務提携が活発になっていることにかんがみ、その実態を調査し結果を取りまとめました。
事業者団体については、事業者団体の成立等の届け出について督促に努めました結果、昭和五十一年中に千四百件に上る届け出がなされておりますが、事業者団体はカルテルの温床になりやすいところから、その活動状況等について実態調査を実施するとともに、そのあり方について基本的検討を行っております。
また、国際契約等につきましては、昭和五十一年中に六千百三十二件の届け出があり、改良技術に関する制限条項、競争品の取り扱い制限条項等を含む三百四十件について、これを是正するよう指導いたしました。
独占禁止法の適用除外関係では、昭和四十九年九月から再販指定商品の大幅縮小が実施されているところでありますが、残された再販商品につきましても、弊害が生ずることのないよう指導及び監視に努めております。
独占禁止法上の不況カルテルにつきましては、昨年中に小形棒鋼、ガラス長繊維製品及びセメントの三業種について不況カルテルが実施されまして、ガラス長繊維製品とセメントについては、昨年一月に終了しましたが、小形棒鋼につきましては、景気の低迷と相まって需要の伸びがはかばかしくなかったため、昨年五月からの六カ月間の中断を経て、再び不況カルテルの申請がありました。これについては、認可要件に照らし慎重に審査した結果、不況事態の克服に必要な限度を超えることがないよう所要の修正を行わせた上、認可いたしております。
次に、独占禁止法の適用除外を受けているカルテルについてでありますが、その総計は、昭和五十一年十二月末現在で、一昨年に比べ百二十八件減って五百三十一件となっております。これらのうち、昨年独占禁止法によるもの以外の不況カルテルとして、主務大臣等の協議に新たに応じたものは、中小企業団体の組織に関する法律に基づく生コンクリート、線材製品、黄銅棒等のほか、砂糖価格の安定等に関する法律に基づく砂糖のカルテルがあります。
さらに、経済実態の調査についてでありますが、昨年は昭和四十八年、四十九年の生産集中度について調査分析を行い、その結果を公表いたしました。また、従来から実施しております寡占産業の実態を把握するための調査を引き続き進めております。
なお、鉄鋼業界において、一昨年に引き続き、鋼材価格が同調的に値上げされたことに対し、事情を聴取する等調査を実施いたしまして、独占禁止法上の問題点を明らかにするよう努力いたしました。
次に、下請代金支払遅延等防止法の運用状況について申しますと、長引く景気の低迷下にあって、親事業者の資金繰りは一層悪化し、下請代金の支払い遅延等の増加が懸念されましたので、昨年は、約一万二千七百件の親事業者に対して調査を行い、千二百十四件について支払い改善等の措置を講じさせまして、下請事業者の保護に努めました。
最後に、不当景品類及び不当表示防止法の運用状況について申しますと、昭和五十一年中に公正取引委員会が同法違反の疑いで取り上げた事件は千五百九十四件でありまして、このうち、排除命令を行いましたものは十一件、警告により是正させましたものは六百七十件でありました。
また、過大な景品類の提供行為の規制基準を整備するための検討を行っております。
公正競争規約につきましては、新たにトマト加工品の表示に関するもの等五件について認定し、昭和五十一年末現在における公正競争規約の総数は、五十八件となっております。
また、都道府県の行いました違反事件の処理件数は約二千六百件となっており、今後とも、都道府県との協力を一層推進してまいる所存であります。
以上、簡単でありますが、業務の概略につきまして御説明申し上げました。
なお、この際、独占禁止法の改正問題につきまして一言述べさせていただきます。
独占禁止法の改正については、従来の経緯も踏まえ、政府において各方面と協議を進めた上で結論を得るという方向で、現在調整作業が進められておりますが、公正取引委員会といたしましては、寡占化の進行等、最近における経済社会の変化にかんがみ、独占禁止法の強化のための改正が速やかに実現するよう切に期待いたしております。
以上をもちまして公正取引委員会の業務の概略についての説明を終わりますが、何とぞ、よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/11
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012・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 次に、通商産業行政の基本施策に関し、通商産業大臣から所信を聴取いたします。田中通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/12
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013・田中龍夫
○国務大臣(田中龍夫君) 通産大臣の田中龍夫でございます。
八十回国会におきまする商工委員会の御審議に先立ちまして、通産行政に対しまする私の所信の一端を申し述べます。
当面の通産行政の第一の課題は、何と申しましても景気の浮揚でございます。わが国経済は、昨年初来石油危機以後の長期にわたります低迷状態からようやく脱しまして、上昇過程に入ったのでございまするが、昨夏以降に、設備投資、個人消費等の内需の不振等によりまして、再び足踏みの状態に陥ってしまいました。
倒産件数は、昨年十二月に千六百八十五件と史上最高を記録いたし、本年一月も千二百八十五件となお高い水準にございまするが、また、失業者数も昨年十二月には九十二万人と多く、依然憂慮にたえない状態でございます。また、全体が停滞状況にございまする中で、地域別、業種別の跛行性も強く、機械等設備投資関連産業、化学、鉄鋼等基礎資材業種の不振はまことに深刻でございます。
他方、世界経済は戦後最大の不況を克服し、ようやく回復過程に入ったものの、その歩調は遅々としております。それだけに、日、米、独といった国々が一致協力いたしまして、世界経済の景気回復の牽引車となることが期待されております。
こうした事態に対処いたしまするために、政府は、公共事業等の執行促進等七項目の景気対策を決定、実施するとともに、公共事業等の追加を内容といたしまする五十一年度の補正予算を提出し、さらに、五十二年度政府予算案は公共事業の伸びを対前年度比二一・四%増とするなど、景気浮揚に重点を置いた予算といたしております。このように政府といたしましては、鋭意景気回復に努めておるところでございますが、今後とも景気の動向には細心の注意を払い、事態に即応した対策を迅速に講じてまいる考えでございます。
次に、わが国の対外経済政策について申し上げます。
現在、わが国を取り巻く国際経済環境は、世界的景気の停滞、貿易摩擦問題、南北問題等困難な問題を抱えております。貿易で立国いたしておりまするわが国が、その繁栄を図りまするためには、国際経済の安定的発展が不可欠でございます。わが国は、このことを十分に認識いたし、国際協調を旨とした対外政策を遂行していくことが最も大切であります。
幸いにして、最近は、先進国が手を携えて世界経済再建を図っていこうという気運が高まっております。日米首脳会談、主要国首脳会議等の場におきまして、景気回復等、世界経済の当面いたしまする基本的な諸問題について率直な話し合いを行い、先進国が一致協力いたして、世界経済の問題の解決に全力を挙げることが必要でございます。
次に、貿易問題についてでございまするが、日米・日欧間の貿易上の諸問題が起きておりますることは御承知のとおりでございます。これらの問題につきましては、基本的には貿易全体を拡大均衡させる方向で解決を図っていくことが肝要であると考えております。このために、わが国といたしましては、積極的な景気振興策を講ずることによりまして、輸入拡大を図るとともに、自由貿易の原則と国際協調の精神にのっとり、各国との対話を進め、相互理解の増進に努めてまいる方針でございます。他方で、個々の商品の輸出につきましては、それが短期間に急増し、相手国市場におきましても大きな混乱を引き起こすことのないように、今後とも輸出動向を注視いたしてまいりますことが最も必要かと考えております。
世界経済の発展に積極的に寄与する観点から、経済協力の推進はまた、きわめて重要でございます。しかしながら、わが国の経済協力の実績は、国際的水準に比べましてまことに遅れをとっております。このために政府は、五十二年度予算案におきましては、経済協力予算の充実に努めております。また、当省の予算ではコンサルティング企業の育成対策費を大幅に増加するとともに、プラント輸出、海外建設工事を促進いたし、経済協力を円滑に実施するため、輸出保証保険を新設することといたしております。このために、輸出保険法の改正法案を提出いたしますので、よろしく御審議をお願いいたします。
次に、資源エネルギー政策について申し上げます。
国際資源エネルギー情勢は依然として流動的でございます。エネルギー供給いかんによってわが国の成長率ひいては、福祉等国民生活水準が決定されると言ってもあえて過言ではございません。このために、通商産業省といたしましては、省を挙げて実効性のある総合エネルギー政策を確立推進いたしてまいる覚悟でございます。
まず、第一に石油の安定供給の確保についてでございます。わが国は、一次エネルギー供給の八〇%近くを石油に依存いたしており、しかもその石油のほとんどが、全量を海外からの輸入に頼っておる次第でございます。このために、産油国との対話、石油開発、石油供給体制の整備等を図りまするとともに、緊急時に備えて石油備蓄の増強を推進いたし、石油の安定供給の確保に努めてまいります。この一環といたしまして、わが国近海の大陸だなの開発を進めるため、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸だなの南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法案を提案することといたしておりますので、御審議のほどよろしくお願いを申し上げます。
次に、石油への依存度を減らし、エネルギー源の多様化を図りますることも重要でございます。このために、将来のエネルギー供給源として重要な地位を占めまする原子力の利用促進を図りまするとともに、石炭の活用、太陽熱、地熱利用等の新しい技術の開発のためのサンシャイン計画等を鋭意推進してまいります。特に原子力につきましては、その安全対策を強化し、原子力の安全性に対しまする国民の信頼を回復していく必要がございます。この観点から、政府は原子力安全委員会の設置と原子力規制行政の一貫化に取り組む等、安全規制行政の強化に力を注いでおります。
第三に、需要面からのエネルギーの節約も重要でございます。政府は、二月を「省エネルギー月間」として、幅広い省エネルギー運動を展開いたします等、広くエネルギー節約の意識の高揚に努めておりまするが、今後とも、総合エネルギー政策の一貫として省エネルギー政策を積極的に推進してまいる方針でございます。
これらに加えまして、国際エネルギー機関を通じ、消費国間の協調を図るとともに、国際経済協力会議、国連貿易開発会議等国際的対話の場に積極的に参加いたし、国際協調を旨とした資源エネルギー外交を進めてまいる所存でございます。
いずれにいたしましても、このような総合エネルギー政策の円滑な推進のためには、国民の深い御理解と御支援が不可欠でございます。私は、エネルギー問題の現状を率直に国民の皆様に訴え、その理解を得るように大いに努力してまいるつもりでございます。
次に、中小企業対策について申し上げます。
中小企業は、長期にわたりまする不況によって、深刻な影響をこうむっております。改めて申し上げるまでもなく、わが国の中小企業は戦後一貫して日本経済の基盤として重要な役割りを果たしてまいったのでございます。今後日本経済の基調がいわゆる安定成長経済へとその方向を転換していく中におきましても、その本来の活力と創意工夫によりまして従来にも増して重要な役割りを果たしていくことを期待いたしております。
この観点から、通産省といたしましては、政府系金融機関を通じました金融面の措置等により、中小企業の経営安定を図りまするとともに、新しく制定されました中小企業事業転換対策臨時措置法の的確な運用によりまして、事業転換により新たな発展を期する中小企業に対しまして、金融税制等総合的な支援を行ってまいる方針でございます。さらに、来年度の予算につきましても中小企業対策には、特に重点的に配慮いたしまして、前年比一六・四%増の千七百二十九億円を計上いたしております。これによりまして、小企業経営改善資金融資制度の拡充、経営改善普及事業の強化等、小規模企業の経営基盤の強化のための施策を講ずるとともに、中小企業の近代化、高度化、診断指導等各般の施策の充実を図ることといたしております。なお、小規模企業共済制度につきましては、掛金限度額の引き上げ等を内容といたしまする小規模企業共済法の改正法案を提出いたしますので、よろしく御審議のほどお願いいたします。
懸案の大企業と中小企業の事業分野に係る紛争の調整問題につきましては、中小企業政策審議会の意見に沿いまして、今通常国会に法案を提出すべく、現在鋭意立法化作業を急いでおるところでございます。
次に、引き続いて高水準にあります企業倒産対策につきましてでありまするが、中小企業の倒産防止につきましては、政府系の中小企業金融三機関の融資、信用補完制度、下請振興協会によりまする仕事のあっせん等きめ細かな対策を講じておるところでございます。かつ、こうした施策を効果的に実施いたしまするために、地方通産局体制を一層整備をいたしまして、本省、地方一体と相なって機動的に対策を講じてまいる所存でございます。
次に、国民生活の安定向上対策について申し上げます。
当省は、従来から消費者利益の保護に努めてまいりまするとともに、生活関連物資の供給と価格の安定、国民生活関連産業の振興等を図り、ゆとりのある生活を実現するよう努力してまいりましたが、今後とも次のような施策を展開いたしてまいります。
まず、消費者利益を保護いたしまするための施策でありまするが、電気用品、ガス用品その他の消費生活用製品の安全規制の強化を図り、消費者の危険防止対策を進める一方、品質表示の適正化等消費者に適正な商品情報を提供する施策を行ってまいります。
さらに第七十七国会で成立をいたしました訪問販売等に関しまする法律の厳正な運用によりまして、消費者が、訪問販売等の取引によって不測の損害をこうむることのないように努めてまいります。
また、物価安定や流通合理化につきましても、各般の施策を推進してまいります。
これらに加えまして、ハウス55計画を強力に推進し、良質低廉な住宅の供給に努めるとともに、繊維、生活用品、伝統的工芸品産業につきましても、引き続いてその振興を図ってまいります。
次に、産業立地、公害対策について申し述べます。
まず、産業立地政策につきましては、過密、過疎を同時に解消し、産業と地域社会との調和を図りつつ、円滑な工業立地を促進するために、工業再配置政策、工業団地政策を推進いたしまするとともに、工場環境整備に努め、工場周辺の生活環境の維持に全力を挙げてまいります。また、産業基盤の整備、地盤沈下の防止のため、工業用水政策のより一層の充実を図ってまいります。
さらに、産業活動に伴う危険の防止を図りまするために、コンビナート防災対策を積極的に推進房とともに、液化石油ガスの消費先におきまする保安対策についても特段の配慮をいたしてまいります。
次に、環境保全対策につきましては、工業開発に伴いまする公害の発生の未然防止の徹底を図りまするとともに、公害防止技術開発の推進、金属鉱業等の蓄積鉱害防止対策の強化、化学物質によりまする環境汚染の防止に努める等公害防止対策の一層の充実を図ってまいります。さらに、資源の有効利用と環境保全の観点から、廃棄物の有効利用、再資源化の促進のための法案も検討いたしております。
次に、技術開発の促進について申し述べます。
わが国が長期にわたって発展を続けてまいりまするには、その基盤と相なる技術開発力を強化することが重要でございます。このために、大型工業技術開発の推進、医療福祉機器の開発普及に努めまするとともに、電子計算機産業、航空機産業等の技術集約型産業の育成強化を図ってまいります。
以上、通商産業省が当面展開いたすべき施策につきまして申し述べましたが、本年は、経済の年でございます。私は、こうした困難な時期に通産行政を担当いたす者といたしまして、その責務の重かつ大なることを痛感いたしますとともに、この難局の克服には全力を傾注してまいる所存でございます。
委員各位におかれましても、一層の御理解と御協力を賜りますようよろしくお願いを申し上げまして、ここに私の所信を表明いたす次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/13
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014・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 以上で関係大臣の所信及び政府側の説明は終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/14
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015・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) この際、会議録に掲載する件についてお諮りいたします。
通商産業省及び経済企画庁の昭和五十二年度予算等については、説明を省略し、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/15
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016・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/16
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017・加藤武徳
○委員長(加藤武徳君) 通商産業行政の基本施策及び経済計画等の基本施策に関する件等に対する質疑は、後日に譲ります。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十六分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108014461X00219770301/17
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