1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十二年十一月二十四日(木曜日)
午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 岡本 富夫君
理事 木野 晴夫君 理事 佐々木義武君
理事 中村 弘海君 理事 宮崎 茂一君
理事 石野 久男君 理事 日野 市朗君
理事 貝沼 次郎君 理事 小宮 武喜君
伊藤宗一郎君 竹中 修一君
玉沢徳一郎君 塚田 徹君
塚原 俊平君 原田昇左右君
与謝野 馨君 渡辺 栄一君
安島 友義君 川本 敏美君
田畑政一郎君 矢山 有作君
近江巳記夫君 瀬崎 博義君
中馬 弘毅君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 宇野 宗佑君
出席政府委員
科学技術庁長官
官房長 半澤 治雄君
科学技術庁計画
局長 大澤 弘之君
科学技術庁原子
力局長 山野 正登君
科学技術庁原子
力安全局長 牧村 信之君
科学技術庁原子
力安全局次長 佐藤 兼二君
資源エネルギー
庁次長 大永 勇作君
資源エネルギー
庁長官官房審議
官 武田 康君
委員外の出席者
経済企画庁総合
計画局電源開発
官 高木 宏明君
労働省労働基準
局労災管理課長 増田 雅一君
労働省職業安定
局業務指導課長 田淵 孝輔君
自治省行政局行
政課長 鹿児島重治君
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委員の異動
十一月二十四日
辞任 補欠選任
佐藤 文生君 塚田 徹君
上坂 昇君 川本 敏美君
嶋崎 譲君 田畑政一郎君
村山 喜一君 矢山 有作君
同日
辞任 補欠選任
塚田 徹君 佐藤 文生君
川本 敏美君 上坂 昇君
田畑政一郎君 嶋崎 譲君
矢山 有作君 村山 喜一君
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本日の会議に付した案件
閉会中審査に関する件
原子力基本法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、第八十回国会閣法第二五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/0
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001・岡本富夫
○岡本委員長 これより会議を開きます。
第八十回国会、内閣提出、原子力基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案につきましては、第八十回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/1
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002・岡本富夫
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
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原子力基本法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/2
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003・岡本富夫
○岡本委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出があります。順次これを許します。原田昇左右君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/3
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004・原田昇左右
○原田(昇)委員 まず最初にお伺いしたいのでございますが、再処理の関係について若干政府側の見解をお聞きしたいと存じます。
まず、日米原子力交渉におきまして、かたくななアメリカ政府の一方的な見解に対して、日本側が相当御努力をいただいて、日米交渉がかなりの成果をおさめることができましたことは、大変高く評価すべきものと私は考えます。しかしながら、この合意の内容について拝見いたしますと、若干今後のために明解にしておかなければならない点が二、三あるのではないか。この点について最初にお伺いしたいのでございます。
まず第一に、日米再処理交渉においてプルトニウム転換施設の建設を二年間見合わせるということになっておりますけれども、この二年間見合わせた理由について簡単にお伺いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/4
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005・宇野宗佑
○宇野国務大臣 交渉の経緯から申しますと、アメリカは核不拡散という大テーマのもとに、極力できたならば混合抽出もしくは混合貯蔵を要求したわけでございます。これはアメリカといたしましても非常にかたい決意でした。特にこの後にいわゆるINFCEがあったわけでございますから、そのINFCEの世界会議を提唱しておきながら日本だけに何かそういう面を与えたのでは恐らくアメリカも大義名分が立たない、かように存じたような点が十分にございました。もちろん、私たちもINFCEを十二分に認識いたしまして、核不拡散は非常に大切な問題である、かような感じもございました。しかしながら、私たちの計画を大きく変更することは許されない、こういうような気持ちで、混合貯蔵反対、抽出も反対だが、しかしながらプルトニウムは硝酸プルトニウム、つまり液体で貯蔵した方が酸化するよりもなお安全だから、さような意味で、言うならばむしろこちらから自発的に転換工場の建設をしばらく待ちましょう、本来ならば予算もついておるからことしから建設してもいいんだが、ここまで日本はあなたたちの気分を尊重しておるんだよ、こういう意味でしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/5
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006・原田昇左右
○原田(昇)委員 いまの御答弁で実情はよくわかりましたけれども、この二年間建設を見合わせるということによって日本の転換技術、硝酸プルトニウムを酸化プルトニウムにする技術というものが二年間立ちおくれることは、ある意味で避けられないのではないかと思うのです。たとえば、もし二年後に混合抽出法が技術開発において失敗するというようなことがあれば、ますますそういう感が深くなるわけだと思うのでございますが、この点に対する御見解をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/6
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007・宇野宗佑
○宇野国務大臣 転換工場に関しましては、これはアメリカの要請ではなく、いま(申)ましたとおり、私たちの自発的な考え方でございまして、その間に当然INFCEは終了するでございましょうし、あるいは混合抽出等に関する技術が確立できたかできなかったかということも明らかになるでございましょうし、そうした段階を迎えることは事実でございましょう。だから、私はそれとは関係なく、転換工場というものはわれわれのスケジュールどおりに建設していけばよい、これはアメリカから待ったをかけられる筋合いのものでも何でもない、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/7
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008・原田昇左右
○原田(昇)委員 問題は、建設は二年間待つにいたしましても、早く建設するということはやはり技術の習熟にあるのじゃないか。その間、二年間のテクノロジーギャップというものを諸外国に比べて生じてしまうことが非常に心配だということなんでございますが、その点はいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/8
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009・宇野宗佑
○宇野国務大臣 確かに御指摘の面はあろうかと存じます。しかしながら、その面も十分技術家と話し合いをいたしまして、将来においてそれは十分取り返します。こういうふうな気持ちでございますから、したがってわれわれといたしましても、これは日米原子力交渉乗り切りの一つのわが国としての決意だというふうなことでございましたので、当然技術的にその二年間というものは貴重だと私は思いますが、今後において極力取り返すようにいたしたいと存じます。
なお、実務的にはその間やはり実験用にプルトニウムは必要です。その分はアメリカから——アメリカだけではありませんが、他国からも供給を受けるということだけははっきりいたしておきましたので、その点は支障はないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/9
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010・原田昇左右
○原田(昇)委員 いまのお話でわかりましたのですが、ただ私は、その間の時間というのは非常に貴重でございます。もちろん、合意にございますように、混合抽出法の研究を行うということになっておりまして、これについての技術評価をするということになっておる由でございますけれども、この混合抽出法についての技術を相互に情報交換するということとあわせて、硝酸プルトニウムを酸化プルトニウムにする技術についてもこの二年間日本はできないわけですから、向こうにも協力してもらって、相互の比較検討をやる意味もありまして、大いに情報交換をやらせてもらうということが必要じゃないかと思いますが、この点について具体的にどういうように日米間で取り決めておられるかどうか、アメリカの協力が果たして得られるのかどうか、しかと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/10
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011・山野正登
○山野政府委員 ただいまの混合抽出法の技術開発につきましては、わが国はこれから鋭意進めてまいるわけでございますが、その成果は、共同声明にも盛られておりますように、INFCEの場に提供するということになっております。
諸外国はどうかという点でございますが、特にアメリカはこのINFCEの主要国といたしまして、INFCEにはもちろん積極的な協力をするわけでございますので、自分のやっておりますこの混合抽出法関係の技術開発の成果というものは、当然にINFCEに提供してくるものと考えております。それからまた、この混合抽出法関連で非常に重要でございます。混合溶液を直ちに酸化物に転換する面での技術開発でございますが、これにつきましても、先般わが国の専門家が米国の関連の工場を視察いたしておりますが、この米国の研究成果がわが国との技術交流によって非常に効果を上げ得るだろうといったふうなことが将来はっきりした段階では、日米双方がよく話し合いをしまして、先生御指摘のように、情報の交換もするといったふうな方向でいま考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/11
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012・原田昇左右
○原田(昇)委員 そうしますと、いまの御答弁でこういうように了解いたします。つまり、混合抽出法についてはINFCEという場において各国とも情報を全部提供して相互に交換するのである、それからプルトニウムの転換技術については日米間で十分協力してもらってアメリカ側から情報が得られるようにするのだ、こういうように了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/12
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013・山野正登
○山野政府委員 米国以外のほかの国も混合抽出の研究をやっており、その成果を出すということはまだわからぬわけでございますが、少なくともINFCEの主要国でございます米国につきましては、この関連の技術というものは当然にINFCEの場に提供するであろうというふうに考えております。また、ほかの国におきましても、恐らく似たような研究をしております場合には、INFCEに対する熱意のいかんにもよりますけれども、日本と同じような態度で臨むのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/13
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014・原田昇左右
○原田(昇)委員 それでは、「日米原子力交渉の経緯の概要」の合意事項の第五項に、「新たなプルトニウム単体抽出法による再処理工場については、二年間、主要な動きをとることを見合わせる。」ということがうたわれておりますが、この「主要な動き」というのはどういうことを具体的に指すのか。われわれは第二工場が必要であるという法案を準備しようというやさきでございますので、その関連で、しかと伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/14
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015・宇野宗佑
○宇野国務大臣 第二再処理工場の運営をするための法人を設立するとか、その工場のためのサイトを取得する、それ以外のことは主要なる事業だ、こういうふうに私たちは了解いたしておるし、またアメリカもそのことを了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/15
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016・原田昇左右
○原田(昇)委員 再処理の第二工場に関する法案を次期国会で審議していただこうという大臣からの御発言も承っておるのでございますが、この「主要な動きをとることを見合わせる。」ということとの関連で、もうちょっと待ったらいいじゃないかという意見も出てくるかと思いますが、至急法案をやらなければならない根拠について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/16
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017・宇野宗佑
○宇野国務大臣 詳細なる再処理に対する需給の見通しは局長から説明をしてもらいますが、要は、第二再処理工場を建てなければ将来のわが国の核燃料サイクル確立に大いなる支障がある、こういうことでございます。
したがいまして、その第二再処理工場を本当に基礎打ちのコンクリートを打つという段階までにはやや時間があろうから、したがってわれわれとしても主要なる仕事にはいま当分は取りかからないというだけのことであって、第二再処理施設というものは必ずわが国のためにも必要であるということは、これは間違いございません。しかしながら、それは必ずしも遠い先のことではなく、いまから準備をしないことには間に合わないのです。もうその法案はどうでもいいのです。将来でいいのです。会社の設立も将来でいいのですというのではなくして、やはり法案は一日も早く通していただきまして、そうした民営によって第二再処理施設を動かすこと自体をお認め願って、直ちにわれわれとしては会社を設立したい、そしてその工場敷地も得たい、こういう準備から始めなくてはなりませんので、どうしてもそのことは必要でございますというのが、この間から私がお答え申し上げておりました趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/17
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018・原田昇左右
○原田(昇)委員 ただいまの御答弁で明確になったと思いますが、参考までにお聞きしたいのですが、今後原子力発電の比重が相当ふえてくると思うのです。この間の総合エネルギー調査会の暫定見通しにもございますが、昭和六十年度に二千六百万キロから三千三百万キロという数字も出ておるわけでございまして、さらに六十五年には六千万キロという目標もあるやに承っておりますが、こういうように原子力の比重がふえてまいりますにつけまして、多量の使用済み燃料が発生することになると思われるわけでございますが、その量はどのくらいになるのか、またその使用済み燃料をどのように計画的に処理していかれるか、これについてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/18
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019・山野正登
○山野政府委員 ただいま先生のおっしゃいました発電規模を前提にして考えました場合、つまり、昭和六十年度に三千三百万キロワット、昭和六十五年度に六千万キロワットという前提で考えました場合に、再処理の需要を累積で申し上げますと、昭和六十年度時点で約三千八百トン、それから六十五年度時点で約八千二百トンの需要量があるわけでございます。
これを今後いかにして再処理を行っていくかという点でございますが、現在稼動を始めました東海の再処理工場に引き続きまして、ただいま大臣が御答弁いたしましたように、できるだけ早く自主技術による自前の再処理工場というものを建設したいというふうに考えておりまして、その運転開始の時期を大体一九九〇年ごろに見込んでおります。その間は、過去に海外に委託しましたもの・と現在の東海再処理工場での処理量だけではとうていつなぎ得ませんので、新しく英、仏等に委託する必要があるわけでございまして、先般九月にフランスと電力業界とが契約いたしましたが、これに引き続きまして、年明けにもまたイギリスとめ契約が現在検討されておるわけでございまして、こういう海外委託というものは必要最小限にとどめまして、できるだけ早く第二再処理工場の建設に入りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/19
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020・原田昇左右
○原田(昇)委員 海外再処理の委託というお話が出ましたけれども、フランスと再処理契約が本年九月に結ばれたということも聞いておるのです。英、仏、また第三国、そういったものとの海外再処理委託の今後の見通しというものをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/20
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021・山野正登
○山野政府委員 ただいま海外に委託しておりますものは、先般九月のフランス契約分以外に、それ以前に海外に委託しましたものが約千八百トンあったわけでございますが、今回新規の契約分としましてフランスと千六百トンの使用済み燃料の再処理について契約を調印したわけでございます。さらに、これに引き続きまして、同量千六百トンにつきましてイギリスと交渉中でございまして、来年初めには契約調印の運びになろうかと考えております。こういった両方の海外委託分を加えますれば、大体一九九〇年の第二再処理工場の運開までの再処理需要というものをほぼ賄えるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/21
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022・原田昇左右
○原田(昇)委員 第二再処理工場について民間がいま準備中と聞いておりますが、その準備状況について、どんなふうになっておるか、また工場の今後のスケジュールについてどういうふうに考えておられるか、参考までに伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/22
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023・山野正登
○山野政府委員 第二再処理工場の準備につきましては、昭和四十九年に電力業界が濃縮・再処理準備会という組織をつくりまして、この準備会が中心になりまして準備、検討を進めておるわけでございます。ただいままでのところ、地図の図面上において各種候補地点をいろいろ検討したということに加えまして、今後第二再処理工場を建設します場合にはどの程度のリードタイムが必要か、どういった技術的問題点があるか等々、技術的な側面からの検討もいたしておるという段階でございます。今後第二再処理工場の建設に入るに際しましては、そういう必要な諸準備も含めまして、大体十三年ないし十四年という年月が必要でございますので、今日ただいまそのような具体的な準備に入る必要があるというふうに考えておりまして、この準備会におきましてもそのような方向で検討を進めておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/23
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024・原田昇左右
○原田(昇)委員 INFCEでわが国は再処理プルトニウム作業部会の共同議長国となったと聞いておりますけれども、この作業部会におきまして今後いかなる方針で対処していかれるか、お伺いしたいと存じます。それから同時に、いままでの締めくくりとして、二年後にまたアメリカとの交渉が予想されると思うのでございますが、私はやはり自主技術の開発というのは絶対に譲ることのできない線だと思いますので、これに対してどういう交渉方針で臨まれるか、大臣の御決意を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/24
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025・宇野宗佑
○宇野国務大臣 INFCEのプルトニウム・ワーキンググループの共同議長国として、そのことを念願いたしておりましたが、計画どおり議長国になりました。相手は英国だけであります。
再処理施設を持ち、同時にその能力を持っている国家が今日地球上には七つある。これは御承知のとおり、米ソはもちろんですが、英国、フランス、ドイツ、日本及びインドです。しかし、インドはきわめて小さなものでございましょう。これはまたそこで平和実験と称する核爆発をやられたわけですから、したがってこれが世界的な世論をいろいろと喚起した一つの原因になったわけでありますが、われわれといたしましては、さような意味で少なくともインドを除く六カ国が、あくまでも核の不拡散と平和利用とは両立できるという一つの哲学のもとに、日本は今後INFCEにもまたあらゆる原子力の会議に臨むべきだというのが私の方針でございます。現にこの間も、さような意味でわが国の代表はいま申し上げました主張を繰り返しました。そのことは広く世界にも認められております。だから、われわれはやはり今後資源有限時代を考えた場合に、プルトニウムそのものは確かに両刃の剣ではあるけれども、しかし極力悪魔の面は削り取って平和利用の面を大いに生かそう、この主張で徹底してINFCEでそのことを議論していきたいと存じます。
もちろん、プルトニウムの利用とは申せ、やはり単体抽出、混合抽出もあるわけでございますから、これに関しましては、アメリカとの共同決定どおり誠意を持ってその実験はしていく。しかし、できることはできる、できないことはできないということがございましょうから、そうしたことを二年先に迎えるわけでありますが、もし混合抽出が非常に優秀な方法でその技術も確立される、多少金はかかるがその方が世界のためになるのだというならば、何をか言わんやでございます。しかし、もしもそう簡単にその技術が確立されないということならば、今回の交渉におきましても、未確立の技術に対してわが国のタックスペアーに過重なる負担をかけることには私は反対せざるを得ない、そういう立場でございましたので、そのこと自体は二年後も同様のことであろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/25
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026・原田昇左右
○原田(昇)委員 ただいまの御答弁、大変結構だと思います。
そこで、基本法の問題に移りたいと思うのですが、原子力基本法等の一部改正に伴う原子力行政の改革ということは、原子力利用の安全確保に万全を期して、国民の理解と協力を得ることがその目的ではないかと考えます。したがいまして、原子力安全委員会を設立するということはどうしても不可欠だということはよくわかるのでございますが、それのみならず、行政庁におきます安全規制体制というものを十分整備されていなければ、安全確保に万全を期した原子力行政の改革とは言いがたいのではないかと思うわけです。行政庁の安全規制体制というものはどういうようになっているか、現状について承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/26
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027・牧村信之
○牧村政府委員 先生御指摘のように、この基本法の改正をお願いいたしまして、原子力安全委員会の設置並びに規制体制の一貫化を図るということで、私どもそれに対応して本年度におきましても行政対策の強化を図ってきたところでございますが、来年度の予算要求におきましても、さらに一段と強化を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。おかげさまで科学技術庁に原子力安全局をお認めいただきまして、ただいま先生がおっしゃっておられますようなことで鋭意整備を図っておるわけでございますけれども、五十三年度につきましては、新しい体制のもとにこの問題に対処するために、行政体制の整備をさらに確立していくということで考えております。
まず科学技術庁につきましては、実用の発電炉あるいは実用の舶用炉につきましては、一貫化の趣旨にのっとりまして、通産省並びに運輸省にその権限が移るわけでございます。その人員は削減されることになりますけれども、一方、新たに研究開発段階の原子炉につきましては科学技術庁が規制を行うということで、新型転換炉あるいは高速増殖炉「もんじゅ」の設計、工事方法の認可、検査、こういうものの増強を図ることといたしております。
それからもう一つは、放射性廃棄物あるいは環境放射線のモニタリングということがきわめて重要なことになってきております。これらの施策を強化いたすことが、さらに国民の理解と協力を得る上で必要でございますので、新たに環境安全課を新設したいというようなことでの整備を考えております。
それから、原子力安全委員会が、行政庁の行いました安全審査を中立、公平な立場でダブルチェックするという体制に移行するわけでございますので、この事務局につきまして新たに原子力安全調査室というものを局の中に設けまして、必要な人員を増強いたしまして新しい規制体制に対処していきたい。
これらのほか、核燃料物質であるとか再処理の安全規制につきましても人員の充実等を図っていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/27
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028・原田昇左右
○原田(昇)委員 いまのお説ですと、万全を期しておられるというように承るのですが、どうも安全審査に対して、いままで何かパートタイムで別に職のある先生を雇ってきまして、委員会のようなものをつくったりしておやりになるというようなことが頻々としてある。これでは本当の審査はできないのではないかと思うのです。やはり行政庁の中に専門家がおって、それに専念する人がおって、そしてやらなければならないのではないかと思うのです。パートタイムの先生を雇ってくるなんというのはもうやめてもらって——すぐやめろと言っても、なかなか人間が育たないうちにできるかどうかなんですが、むしろ行政庁でしっかり責任を持ってやってもらうという体制、これは運輸省、通産省にも言いたいことなんですが、
一貫化でその体制をとれるのかどうかということをはっきり伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/28
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029・牧村信之
○牧村政府委員 今回の一貫化の体制が整いますと、まず原子炉の設置の安全審査は行政庁が第一次の審査をいたします。それを安全委員会のダブルチェックを受けるということになるわけでございます。そこで、私どもの方もそうでございますが、行政庁で行う第一次審査につきましては、人員の充実等を図り専門家を養成いたしまして、できるだけ行政庁として一次の審査を行いたいということで、逐次体制を整備していくことといたしております。
なお、安全委員会のダブルチェックにつきましては、引き続きその下の専門部会におきまして、安全審査会にパートタイムの先生をお願いせざるを得ないと考えておりますのは、安全審査会の審査につきましては、できるだけ中立公平な立場で審査をするわけでございますが、その質を高めるということで、非常に高度の知識を持たれた学識経験者を数多く御参加願うということで対処したいと考えております。現状におきましては、それらの先生方、学識経験者を行政庁の職員で対処するということは、日本の雇用制度等からきわめてむずかしい問題もございますので、原子力安全委員会におきます審査につきましては、引き続き学識経験者を、先生はパートタイムとおっしゃいましたけれども、そういう方を数多くふやすことによってやらせていただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/29
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030・原田昇左右
○原田(昇)委員 いまの御答弁ですが、安全委員会というのをせっかくつくるわけですから、安全委員会に学識経験者がおって、基本的な事務を、先ほど安全調査室というところで整理して安全委員会に提出するというようなお話だったのですが、そうすると、その安全委員会に権威ある学識経験者がいて、さらに民間から、外部からそういう学識経験者を大量に雇ってパートタイムでやってもらうというのは、私はどうも責任体制からいってもちょっとおかしいのじゃないかと思うのですね。安全委員会をつくる以上は、安全委員会と行政庁ということで責任体制をしっかりしいてもらうわけにはいかないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/30
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031・牧村信之
○牧村政府委員 先ほどちょっと申し上げましたが、安全委員会が審査をいたしますダブルチェックでございますが、これの事務局としては、先ほどの安全調査室を新設したいということで考えておりますが、ここには行政庁の職員として安全審査のベテランをできるだけ投入いたしまして、ここで審査会との連携を十分とれるような体制を考えて進めさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/31
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032・原田昇左右
○原田(昇)委員 ダブルチェックについてですが、安全審査ということは非常に大事でありますから、これに万全を期すということはきわめて重要なことでございますけれども、一方において効率化ということも図られなければならないと思うのです。どうも、いま現状を見ておりますと、石油エネルギーに代替する原子力の比重を高めていく上に、電源開発が遅々として進まないというところに非常に問題がある。その点について、特に安全審査にやたらに時間がかかるということはどうかと思うのですが、これについて具体的に、期間を短縮して効率的にやる方法についてどういうように考えておられるか、ぜひお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/32
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033・牧村信之
○牧村政府委員 先ほども御説明いたしましたけれども、ダブルチェックを効率的に行う必要性は先生のおっしゃるとおりでございます。ダブルチェックというのは、今回法改正されますと、一度行政庁が安全審査をしておるわけでございますので、これをまた同じように、全く同じことをやるということは意味がないと私どもも考えております。そのやり方につきましては、最終的には新しくできた原子力安全委員会が定めることでございますけれども、事務局としては、その辺の点を十分考えていかなければいけないということで、できるだけ効率的にあるいは重点的にやっていきたいと考えております。
そこで、その重点的に行う項目は、もう一次審査が済んでおるわけでございますので、従来の設計であるとか考え方と異なったようなものが原子炉の設計上取り入れられておるような問題、あるいは新しい知見であるとか新しいデータに基づいて設計が考えられておるようなもの、そういうものにつきまして重点的に行う、なお省庁間での審査に当たっての調整というようなものが重点的に行うべき項目だと思っておりますが、このような重点的に行うものにつきまして、効果的に進めてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/33
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034・原田昇左右
○原田(昇)委員 時間も迫っておるようでございますので、簡単に御答弁願いたいと思うのですが、この安全審査の効率化を図る上に、型式を決めて、あらかじめこの型式ならよろしいということを考えてみたらどうかと思うのですが、その点について具体的に作業が進んでおるかどうか。
それから第二点、仮に通産省が第一次審査をやり、それから原子力安全委員会がダブルチェックをやるという場合に、おおよそのめどはどのくらいの期間でおやりになることを考えておられるか、その二点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/34
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035・牧村信之
○牧村政府委員 先生ただいまの御指摘の問題は、要するに、審査に当たりまして、安全審査をいたします安全基準というものの整備が非常に大事だと思います。で、そういうようなものにつきましての検討をする場がすでに原子力委員会にございまして、安全技術専門部会におきまして基準の整備を進めておるわけでございます。これを整備することによって安全審査が非常に効率的に行えるということでございます。
なおもう一点は、基準化された原子炉の審査が終わって、次にまた参りましたときには、きわめて簡単な審査で済むということになると思います。
なお、期間につきましては、その原子炉のみでなくて、環境の問題も審査するということも含まれるわけでございますので、いまここで一つの炉で何カ月というようなことは、その炉ごとに違いもあるわけでございますので、はっきり申し上げることはできないかと思います。いずれにしても、効率的に、重点的にやっていただくようにお願いしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/35
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036・大永勇作
○大永政府委員 先生のおっしゃいました検査のスピード化につきましては、通産省におきましては原子炉の標準化ということを進めておりまして、PとBとそれぞれにつきまして八十万と百十万キロワット、それでその中身につきましても標準化をするということをやっておりまして、現在その第一段階が終わったところでございます。標準化が進めば、当然その検査のスピードアップが図られるというふうに考えております。それで、現在は二年ぐらいかかっておりますけれども、なるべくわれわれとしては早くやるように努力いたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/36
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037・原田昇左右
○原田(昇)委員 いまのお話で、ぜひその効率化の点を考えていただきたいと思うのですが、現在の電調審で開発が決まるという形になりますと、電源開発促進法において、たとえば新型炉は若干安全審査に時間がかかるというのはわかるのですが、いまのように型式が決まったものについては、電調審の方で審査をして電源開発の許可をした場合には、その安全審査の点は後でやっても十分問題はないわけですから、早くその設置許可をするようなことを考えたらどうかと思うのですが、これについて電源開発促進法を所管されておられる経済企画庁に、電調審の審議のあり方という点、また電源開発促進法について少しスピードアップすることばできないのかどうかという点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/37
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038・高木宏明
○高木説明員 電源開発調整審議会におきましては一最終的には、どういう場所にどれぐらいの規模のものを、たとえば水力にしろ火力にしろ、どういう種別でつくっていくかという、こういつたきわめて基本的なことのみを決定し、公表することになっております。
それを決定し公表するに当たりまして配慮すべき事項といたしましては、一つは、電力需給上適切であるかどうかということ、それからもう一つは、やはり各種の計画がございますし、また各種の権益がございますから、そういうものとの調整が十分とれているかどうか。大体大きくはこの二点について審査をするものでございまして、これにつきましては関係各省あるいは県と緊密な連絡をとりながら詰めていくべきものが多うございまして、それで電調審の運用といたしましては、そういった緊密化という方向で努力をしているわけでございます。
ただ、先ほどの安全性の問題につきましては、これば調整という問題ではございませんで、むしろ万全を期するという問題でございますから、電調審の場ではこれは取り扱っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/38
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039・原田昇左右
○原田(昇)委員 ちょっと質問がはっきりしなかったと思うのですが、電調審の審議の短縮の問題とあわせて、炉の設置許可をする場合、電調審で全部調整済みだということなら、もう型式が決まっておれば、もう安全であることはわかっておるわけですから、早く設置許可をして、スタートしてもいいのじゃないか、こういう考え方なんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/39
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040・牧村信之
○牧村政府委員 型式が決まっておれば、確かに非常に審査はスムーズにいくと思います。
ただ、安全審査は、個々のサイトに、それぞれ違ったサイトに置かれるわけでございますから、そういう地盤であるとか環境条件、これはサイトごとに違いますので、そういうものが中心になって審査がなされるというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/40
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041・大永勇作
○大永政府委員 先生御指摘の電調審の前に、今度の原子炉の設置につきましては公開ヒヤリングというのを地元でやることになっております。これは環境問題が中心ではございますが、地元とそういう調整をやることによりまして、電調審後の許可についてはスムーズな運行が期待できるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/41
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042・原田昇左右
○原田(昇)委員 時間のようでございますので、質問はまだたくさん残っておりますが、いずれまた別な機会にやらしていただくことにいたします。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/42
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043・岡本富夫
○岡本委員長 原田昇左右君の質疑は終了いたしました。
次に、石野久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/43
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044・石野久男
○石野委員 私は、最近、現地の調査というようなことで、三重県とか福井県へ参りまして、いろいろと地域のお話を聞いてまいりましたが、原子力の安全性を確保するためにいろいろと処置がとられて、基本法の改正が行われようとしておるときに、いろいろ問題が多いと思われますので、ひとつお聞きしておきたいと思います。
三重県へ参りましたら、三重県の熊野では、町が原子力を誘致することに反対する決議をしておる。けれども、中電さんが盛んに話を持ち込んできて、大変に困っているというような情勢がございました。これはまた後で聞きますけれども、福井の方で問題になりましたのは、私は行く前に、あそこでは京都大学の市川先生がムラサキツユクサの問題で突然変異の問題があるということの話がありましたから、そういうような問題等について、県庁で県の当局者にいろいろ話を聞きまして、こういうような民間での調査が行われているときに、県の方は、市川先生がこういう結論を出しているのだから、それをやはり県としても追跡調査したらどうだということを言いましたら、県の方では、とんでもない、もうそういう問題はわれわれはいろいろやっているけれども、この際はひとつ国でやってもらいたいのだというようなことで、余りにも地方自治体に原子力の問題でおっかぶせられているものが多過ぎるのだ、ひとつ県というよりも国でそういうことをやってもらいたいのだということを逆に私は要求されてきたのですよ。
そのときお見せいただいた中に、「原子力行政に関する要望書」というのを福井県がつくって、恐らく科学技術庁の方にも来ているのだろうと思いますけれども、出身の各議員の方にも出しておられる。これを見ますと、いろいろな問題が出ておりまして、とにかく国にやってもらいたいのだということがたくさん記述されておるわけでございます。そういうようなことについて、二、三私は聞いておきたい、こう思うのです。
特に、美浜の一号炉の問題でああいうことがありましてからというものは、県としてはどうしても保安規定の中に県への報告要件というようなものをむしろ法律的にぴしっと義務づけるようにしてほしいのだというようなことなどが要望されておるのですが、科学技術庁はこの「原子力行政に関する要望書」というものをごらんになっていると思いますけれども、これについての所見をひとつ聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/44
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045・牧村信之
○牧村政府委員 ただいまの安全協定の法制化の御質問かと思いますが、現在原子炉設置者と地方公共団体との間で、地元当事者間で自主的に締結されておるわけでございます。私どもといたしましては、現法律体系におきまして、これらのことを保安規定の中に織り込むということは非常に困難であるというふうに考えております。保安規定の中に織り込みますと、いろいろ罰則規定等がございまして、設置者と地方公共団体の間で結ばれたものと、設置者が守るべきことと対象が全く異なることでございますので、きわめて困難であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/45
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046・石野久男
○石野委員 困難であるということと、それから地方の特に県の段階でそうでもしてもらわないとどうにもならぬという不安があってこの要望が出ておるわけですが、それじゃどういうふうにしてこたえるつもりでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/46
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047・牧村信之
○牧村政府委員 この問題につきましては、かねてから福井県とも話し合いを進めておるわけでございますけれども、私どもそういうような考え方でございますが、設置者と地方公共団体において結ばれるこのような約束事が十分に履行されることが一番大事であるというふうな考え方から、各設置者に対しまして通達を出しまして、それを遵守するように指導しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/47
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048・石野久男
○石野委員 通達を出して指導しておって、それが十分にいけば、恐らく県はこういういかめしい要望書というようなものを書かないと思うのですよ。県が少なくともこういう要望書を書くということについては、よっぽど思い余って、あなた方のそういうやり方ではどうにもならぬのでこれは書いてきておるので、いまその通達を出して云々というようなことだけでは、県はそれで結構ですとは言わないと思うのですが、これはどういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/48
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049・牧村信之
○牧村政府委員 本件につきましては、この要望書をいただきまして、何回かにわたっていろいろ打ち合わせをしておるわけでございますが、まあ県側も現在のわれわれの立場等もある程度最近におきましてはわかっていただいた結果、県の要望もございまして、先ほど申しましたような通達を出したような経緯がございます。したがいまして、県の方も相当御理解をいただいておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/49
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050・石野久男
○石野委員 これは福井県だけじゃないと思うのです。私ども全国回りまして、特に原子力の施設に対するある種の問題に対する危惧は、われわれも持っているんです。福井県とあなた方との間で大体話し合いがついたというそういう問題点、解決の問題点というのはどういうことなんですか。精細にひとつ示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/50
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051・牧村信之
○牧村政府委員 ただいまも申し上げましたように、地元と結びました協定につきまして、それを遵守するようにということで通達を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/51
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052・石野久男
○石野委員 遵守するようにという通達だけで、県はもう納得したんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/52
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053・牧村信之
○牧村政府委員 現段階において一応の御了承が得られておるものと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/53
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054・石野久男
○石野委員 あなたの方では考えておられるが、県の方ではそれを了解したというふうに承知してよろしいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/54
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055・牧村信之
○牧村政府委員 お話し合いの結果、そういうような趣旨の通達を出して事業者を指導監督してくださいということでございましたので、こういう通達を出した次第でございますので、了解を得られておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/55
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056・石野久男
○石野委員 その指導すべき通達の内容は、従来の通達とどういう点が変わっておるんですか。そしてまた、どういう点で県はなるほどということで納得したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/56
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057・牧村信之
○牧村政府委員 局長名で、結ばれた協定等の遵守に遺漏ないようにしてほしいということを出したわけでございます。個々の中身についてそういうことを申し上げたわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/57
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058・石野久男
○石野委員 それでは、この要望書の当面の緊急処置としてのイの項については、福井県は十分あなた方との話し合いで納得したと理解してよろしいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/58
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059・牧村信之
○牧村政府委員 私どもはそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/59
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060・石野久男
○石野委員 これは福井県の当事者のことでございますから、それはそれでいいのですが、私は、福井県がそういうふうに理解しましても、他の府県には同じようなことがあるわけです。その同じようなことが、幾つかの問題をその後においても出しておりまして、美浜の問題のほかに、あるいは福島にしても茨城にしても、事件が起きてからなかなかそれは報告されないというような事態が数多く出ているわけなんですね。
〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕
そうすると、いま福井県から要望が出てきておるという問題については、いまの話し合いですべて解決できると、他府県についてもそういうことができるという自信と確信があり、あるいはまたそれを具体的にさせるというあなた方のそういうはっきりした見解に基づいて今後も十分成果を上げられる、こういうようにお考えであるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/60
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061・牧村信之
○牧村政府委員 ただいま福井県に対しましてそういうようなことでお話し合いをしたわけでございます。その他の県がどういうようなお考えをお持ちになるか、これはまたいろいろあろうかとも思いますけれども、私どもといたしましては他の都道府県に対しましても、全事業者に通達を出しましたので、その出した事情を御報告しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/61
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062・石野久男
○石野委員 私はここで聞きたいのは、通達を幾ら出しても、それが実際に具体的な成果が上らなければいけないと思うから言うのであります。ですから、もしほかの都道府県の中で同じようなことが再度起きるというようなことがあってはならないわけです。最近のうちに、もしそういうような事件が起きた場合には、政府はどういうふうにしてこたえようとするのか。これはどうにもしようがないと言われれば、これはどうにもならなくなる。そしてそのことから住民の原子力行政に対する不信感が高まるだけなんですから、福井県との話し合いがついたのかどうか。私は、いつ、それがそういう形で話し合いがついたのか、この際聞いておきたいのです。私は福井県へ行ったのはきのう、おとといですからね。一昨日ですから、解決していることは聞いていないのですが、いっそういう話がついたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/62
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063・牧村信之
○牧村政府委員 ただいまのお話は、私どもが話し合ったのは八月時点でございます。それで、通達を出しましたのが八月十九日でございます。
なお、県といたしましては、この措置が未来永劫にわたってこれでいいのだというふうにお考えになっているかどうかは、それはわかりませんけれども、私どもとしてはいまの段階でこういうことで指導いたしますので御了承いただきたいということで、県の方もそれではこういうふうなことをしてほしいということで行った処置でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/63
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064・石野久男
○石野委員 これは皆さんは、それで政府としては理解はついたと思っておりましても、われわれが県当局にお伺いをして、向こうからの要請としてこういうことを聞いてきておる。どうもその間に食い違いがありますね。こういう食い違いがあるようでは、今後ともまた問題が起きるだろうということだけを申し上げておきたいと思うのです。
大臣は、この種の問題が知事からそれぞれの国会議員なりあるいは科学技術庁に要請される意味合いというものは大体おわかりだろうと思うのです。事務当局がそういう形の話し合いをしたことだけで問題が解決するということは、なかなかこれ、私たち政治家という立場で見ると、納得できないし、恐らくまた問題が再度起きるだろうと思う。もうちょっとしっかりと地方の要請した真意を受けとめる施策をしませんと、これは問題は一つも解決したことにはならないだろうと思いますが、この際、ちょっと所見だけ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/64
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065・宇野宗佑
○宇野国務大臣 福井県は特にたくさんの原発施設を持っていただいておりまして、非常に県当局にも、言うならば御協力を願っておる県であります。もちろん、そのほかにも、福井と言わず七つ、八つという県が今日原発には協力をいただいております。だから、私は極力時間を割きましてそういう府県を私自身も回りまして、知事さんにもお目にかかっております。
福井の知事さんとは一度お目にかかりましたが、これは会談という内容でなく、単なるあいさつ程度ということでありまして、しかしちょうど県で、特別の原子力関係の局でございましたか課でございましたか、そうしたものまでつくって、そうして国と十分に連絡しようというふうな体制がありましたので、その担当者がわざわざ私のところへ来てくれまして、いろいろなお話を伺いました。当然あれだけたくさん原発施設がございますと、いろんな問題におきまして県自体にもそれぞれ地域性という立場から申し上げても問題があることは事実であります。だから、私もそうした御意見を承るたびに、何か政府だけが一つの大きな政策を決定して、これを実施してください、その実施するのは民間の電力会社であり、またその地域の市町村長さん、知事さんであるというふうな体制だけで、果たして今後原子力行政そのものがスムーズにいくのだろうかということは痛感いたしております。
したがいまして、そういう面におきましても極力三者が十二分な連絡をとりまして、やはり現在こういうような状態にある、あるいはこういうようなことが起こったということ自体も、国へ連絡することはもちろんでございましょうが、その施設をされております県には少なくとも速やかに国と同様のスピードで連絡をして、一々そうしたことに対しましても報告を怠ることのないようにしておきませんと、当然住民と一番つながりの深いのは第一線の地方自治体でございますから、さような意味合いにおきまして国はもっともっと地方自治体の立場を尊重し、そして施設者との間においてもそのことをもっと有効的に連絡ができるように、またお互いの意思が通じ合うような措置を講じていくべきである、こういうことは常に指示をいたしておる次第であります。
だから、今日の員体的な福井の問題に関しましては、いま局長がお答えしたようなことでございましょうが、私自身といたしましても、今後そうした原発施設を持っていただく地方に対しましては、国はさらにもっと責任を痛感して、そしていろいろとその責任を果たさなければならない、かような気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/65
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066・石野久男
○石野委員 福井県との話は一応ついたのかどうかわかりませんけれども、局長がそういうように言うのですから、私が福井県へお伺いして福井県庁の要望として聞いてきたこととの食い違いはまだ依然として残っておりますけれども、局長の答弁はそれで一応私は承ったことにはしておきます。しかし、保安規定の中に、県への報告をするということの必要性を——これは私も痛感しておりますし、今後これは当然検討してもらわないと困ると思うのですよ。国へ報告するということよりも、何か報告をしなければならぬような事態が起きるときは、一番直接的に関係するのは地域なんですよ。国なんというのははるか後のことになるんです。たとえば何か事故が起きて放射線なり放射能の漏れがあったというような場合に、東京のここまではめったに来やしないのです。そうだとするならば、県へその報告をするということがもっと緊急な問題として大事なんだと思うのですよ。そういう条件を科学技術庁は全く無視するというふうにしか私には受けとめられませんけれども、その件についてはどういうふうに政府はお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/66
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067・牧村信之
○牧村政府委員 すでに私どもの出先機関として、原子力発電所が設置されたところには連絡調整官が配置されておりまして、国に報告を受けたようなことで当然地元も知っていなければいけないようなことにつきまして、たとえば事故等の報告につきましてはわが方からも常に連絡をしているところでございます。またその措置等につきましても県の方に報告をしておるというようなことで、十分県と国との連絡体制はとるように、またそれを今後も引き続き整備していくように努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/67
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068・宮崎茂一
○宮崎委員長代理 関連質問を許します。田畑政一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/68
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069・田畑政一郎
○田畑委員 いまの問題ですが、敦賀の連絡調整官事務所でございますが、これは一体何人いるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/69
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070・牧村信之
○牧村政府委員 全体の数、ちょっといま調べておりますが、本省から派遣しておる職員は二名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/70
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071・田畑政一郎
○田畑委員 いま御説明ありましたように、科学技術庁から派遣されている人員はわずか二名でございますね。ところで、御案内のとおり、福井県の若狭湾にはここ一、二年のうちに九基、さらに四基の増設の願いが上がっております。したがいまして、全部できれば十三基、できなくても十一、二基のものは非常に現実視されておるわけです。そこへ二人ぐらいの調整官の事務職員を派遣しておいて、果たしてそれで国が原子力発電所に対して地元との関係等につきましても十分な施策を講じておるということができるかどうかということです。私はできないと思うのですよ。
そして、私のところにいろいろな請願書が来ております。たとえばここに原子力発電関係団体協議会、福島県から鹿児島県までの約十県ほどの知事による要請書が来ておるのでありますが、これを見ますると、地元の各都道府県におきましては、原子力委員会、科学技術庁、通商産業省等の人員を配置したところの原子力調整官事務所を早急に設置してもらいたい、これは現場からの要求ですね。これに対して、これ全部にはないでしょう。恐らく三つぐらいの県にしかこの調整官事務所は派遣してないでしょう。つくってないでしょう。私はこれでは国が本当にいわゆる地元のことも考えて、地元の仕事もお助けして原子力発電所政策を遂行していこうという気はないのじゃないかというふうに考えざるを得ないわけです。その点についてあなたの方の見解を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/71
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072・牧村信之
○牧村政府委員 現在調整官事務所が置かれておりますのは、福井、福島、静岡、島根、佐賀、近く愛媛に置かれる予定になっております。これは運転開始の段階から現時点で置くような形になっておるわけでございます。
なお、この調整官事務所と申しますのは、確かに先生おっしゃいますように、もっと増強されることも必要かとも思いますけれども、私どもの科学技術庁との連絡を密にするということで置かれた制度でございますので、いろいろな観点から必要があれば当庁の職員が出張し応援するというような体制も常にとっておりますし、これからもとってまいりまして、できるだけ県の御要請等にこたえていくというふうなことで考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/72
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073・田畑政一郎
○田畑委員 この調整官事務所でございますね、これは科学技術庁の、便宜的というとなんでございますが、いわゆる地元の要求もございまして、国の出先が全然ないということでは困るということでここに置いてあるわけですね。だから、二名とか三名とかというような少人数にならざるを得ないのですよ。本来言えば、これほどエネルギー問題を重視して原子力発電所に相当な力を注ぐというならば、それにふさわしいところの行政体制というのはとられなければならないと私は考えるわけです。そういうふうに考えてみますと、これは福井県知事からも来年度を目指す要請として出ておりますが、国家行政組織法令に基づくところの調整官事務所といいますか、そういう国の機関として置かれているというのが本当じゃないのですか。ただ東京との連絡に当たるだけ、一人か二人の置かぬよりはいいだろうというような式のやり方でもって糊塗しておられるような今日の政府の態度、これは私、納得できないと思います。地元もこれだけ騒いでいるのですよ、原子力問題においては。常にストップをしたり、反対したりして非常に騒いでいるわけなんです。それにこたえる国の姿勢とは私は考えられません。この点について大臣の見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/73
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074・宇野宗佑
○宇野国務大臣 同様のことを私、敦賀で直接伺いました。私自身といたしましてもあちこち参りまして、調整官そのものは非常に若手の、しかも優秀な人、次には課長にもなろうかというちょうどそのクラスがついております。だから、識見並びに行政手腕等々評価するならば、私はりっぱな人がついていると思いますが、しかし地元といたしましては、もっと拡充してほしい、もっと責任とってほしいんだという御意見は私もっともだろうと思います。
ただ、今日までわれわれが非常に苦労いたしますのは、やはり現在国の方向といたしまして行政機構改革あるいは人員問題等々常に出るわけでありますが、もちろん、今日のそうした体制の中においてエネルギーがいかに大切であるかという立場から申しますと、そうした問題とはまた別枠で考えなくちゃならない問題ではないだろうか、こういうふうに思っておりますから、そうした問題に関しましては非常に重要なポイントであろうと思いますから、検討さしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/74
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075・田畑政一郎
○田畑委員 科学技術庁はこの調整官事務所というのをどういう形で置いておるのか、実際、地元では不明確なんですよ。ここへ事務所を置くということは、先ほど申しましたように、何も国家行政組織法の中にはないわけですね。にもかかわらず、原子力発電所のあるところには次々に置いている、あるいは置こうとしている。そうすると、事務所というのは、国の行政組織法から言うと、どういうことになるのですか。この点どうです。ただ簡単に常勤か何かで——私はどういう形で行っているのか知りませんが、こういうふうに国が勝手にちよいちょいと小さい事務所をつくるということは、今日行政機構改革なんかがやかましいときに、それでいいのですか。こんな資格のないものを置いてそれで事足れりとしている今日の態度は、原子力問題に対する地元の苦悩もわからぬし、またやり方として非常に不明朗だと私は思う。この点いかがですか。担当局長としてははっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/75
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076・山野正登
○山野政府委員 この連絡調整官事務所は、御指摘のように、国家行政組織法に基づくものではございませんで、大臣の訓令に基づきまして本省から派遣しておる、こういう性格でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/76
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077・田畑政一郎
○田畑委員 これは大臣におかぶせになるけれども大臣、どうですか。こんな訓令に基づいて次々と事務所を設ける、こんなことでいいのですか。これは国会議員として許せませんね。設けるなら設けるように、ちゃんとしなければいけませんよ。
それで、ここへ行っている職員はどうなっているのですか。毎日出張になっているのですか。これは常駐出張ですか。
〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕
こういうものは私はやはりはっきりしなければいかぬと思うのですね。答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/77
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078・山野正登
○山野政府委員 地元との話し合いで長期に駐在するわけでございますが、これが出張扱いかどうかという点は、いま直ちに確認いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/78
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079・田畑政一郎
○田畑委員 いかがです。大臣。こういうことは私、不明朗だと思うのですね。置いていただきたいというのは地元の要求なんですよ。しかし、置いていただきたいということは、これは正規に置いていただきたいということであって、一月か一月半なら別でございますけれども、これは原子力発電所がある限りかなり永久的なものなんですね。それをただやみで置くものだから、一人か二人で、ただ本省との電話連絡程度に人がいるということになって、事が起きてもそこへ陳情にも行けず、問い合わせもできずというようなかっこうのまま放置されておるのです。これは設置されておるところの市町村から都道府県、各団体に至るまでの大きい要望なんですよ。これについては科学技術庁としましても、やはり置くなら置くできちんと体制をもって、そしてどこから押されても、いわゆる後ろ指を指されないようにきちんとしてやっていただきたいということを私は強く要望したいと思うのです。これについて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/79
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080・宇野宗佑
○宇野国務大臣 十分御意見を尊重いたしまして、検討いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/80
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081・田畑政一郎
○田畑委員 それから、いまの旅費のことについては後から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/81
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082・石野久男
○石野委員 いま連絡事務所の問題でもわかるように、行きずりの形の、非常に安易な対策が地方に対して行われていると思うのです。先ほどの質問でも自民党さんからは、安全審査を早くやりなさいという要求がずいぶん強く出ておりますが、地元の方では、いまも言ったように、県からの要請が強く出てくる。それから地元では、不安が多いからもっと確実なものにしてほしいという正規の要求が出てくるわけですよ。ちょうど私、今度参りまして、京大の市川先生のムラサキツユクサの問題については、これは年度二回にわたって調査した結果が出ているわけでございまして、こういうようなことに対して、それをどういうふうに行政上に受けとめていくかということの前に、新聞紙上等では、学術会議なんかでもどういうふうに受けとめるかという問題もあると聞いております。しかし、それと同様に、いやそれとは別個に科学技術庁としても、そういう問題が提起されたら、この調査追求というのは非常に緊急にやらなければならぬ仕事のように思います。県はそのことを国でやってほしいと言っているのですが、こういうことについて長官はどういうふうに受けとめますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/82
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083・牧村信之
○牧村政府委員 ムラサキツユクサに関します新聞発表につきましては、私どもの方は現在この点につきましての見解は、本来ムラサキツユクサの雄しべの毛の細胞が突然変異を起こすということの発表でございまして、それが原子力施設の周辺でその発生率が高いというふうな御発表があったと聞いておるわけでございますけれども、このムラサキツユクサの雄しべ毛の細胞と申しますのは、確かに放射線にも非常に鋭敏に反応するものでございますけれども、そのほか、環境条件と申しますか、温度であるとか湿度であるとか、あるいは日照度あるいは降雨量、それから空気中に含まれております化学物質であるとか、あるいは海岸地帯であれば塩分、こういうようなものに非常に感受性が高いものでございます。したがいまして、これが直ちに放射線の影響かどうかというような判断をするためには、ただいま申し上げましたような自然環境の要因を十分取り除いた上で判断しなければならないわけでございます。新聞発表によります実験がどのような実験であるかは詳細につかんでおるわけではございませんけれども、直ちにそういうようなことで放射線の影響であると判断することはできないのではないかというふうに考えておるわけでございます。したがって、このような問題でございますので、自然界に発生する微量の放射線に対してどういうふうに判断するかということを研究するためには、さらにいろいろな条件で、多量の試料によって研究を進める必要があるのではないか、かように考えておるわけでございます。
御承知のように、この高浜の発電所におきましては、年間の周辺の線量というものは、実際には安全審査時におきまして定められた線量の百分の一ぐらいで運転されておるというようなことでございますので、自然放射能にプラスごく微量の放射線が出ておる状況で、その放射線は自然放射線よりも少ない量で出ておるわけでございまして、したがいましてこの放射線による影響であるというふうに断定するのは学問的にもきわめてむずかしい問題ではないかと考えております。
なお、こういう問題は国の方で十分研究を進める必要があるではないかという御指摘でございますが、すでにこの研究につきましては、農林省の農技研並びに原子力安全研究協会に助成金を出しまして研究を進めてきておるところでございます。もう数年にわたりまして農技研の方で研究を進めておるわけでございますけれども、原子力発電所周辺の線量、予想される原子力発電所から出るようなごくわずかな線量に対しては全然影響が出ない、あるいはそういう実験をすることすら非常に困難であるというようなことで、実験はむしろ高い一レム以上の線量で研究を進めておりますけれども、その辺の線量におきましても、直ちに放射線の影響があらわれたと断定するまでの段階には至っていないというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/83
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084・石野久男
○石野委員 市川先生のムラサキツユクサについての放射線の影響、特に突然変異の問題はきのう、きょうの問題じゃなく、もう数年前から問題になっておるわけです。それから、これがどの程度学問的に対応するための対象として価値づけられるかどうかということは、これはそれぞれ論批の差があると思うのです。しかし、現実にこういう問題がありますから、だから京都大学の先生がやるよりも県でやったらどうだ、あなた方にもすぐ問題があるのだからということを言ったら、県は、それは当然そういうことはあるけれども、それはもちろんやるべきだけれども国でやってください、こういうことを言われたから、私はやはりそれはそうだなというふうに考えてきているわけです。市川先生の言うような結果に、論断をすべきような内容になるのかどうかはわかりませんよ。しかし、市川先生は声を大にしてこのことを訴えているわけです。でありますから、科学技術庁としても、こういう問題は環境アセスメントの一つの対象として非常に大事な問題ですし、ことに地域住民からすれば非常に不安を持っている問題ですから、当然あなた方の手でその問題の解明、あるいは論争に参加していくというような姿勢をとるべきじゃないかということを私は聞いているわけだ。用意があるかどうかということを聞いているので、どっちがいいとか悪いとかいうことはそれは別ですよ、それはまだわからないのだから。政府はどういうふうに考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/84
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085・牧村信之
○牧村政府委員 この農林省の研究自体も原子力予算でやっておるわけでございまして、この辺われわれは非常に大事に思っておるわけでございます。
ムラサキツユクサ自体の研究については、きわめて低線量における実態が学問的にもまだなかなか実験がむずかしい等々で、むずかしいわけでございますが、先生の御指摘のような点につきましては、学会等でもいろいろ議論されておるわけでございまして、また必要があれば、私どもの方も、私どもの現状における見解をいろいろお話しし合うということにつきましてはやぶさかでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/85
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086・石野久男
○石野委員 いまの御答弁は、「必要があれば」という前提があるわけだよ。必要があるのかないのかということを私は聞いているわけだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/86
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087・牧村信之
○牧村政府委員 大変失礼いたしました。「必要があれば」というのはとらせていただきます。
なお、このことにつきましては県の方も非常に御心配なさっておりますので、県の方ともいろいろ御説明を申し上げる機会をさらに持ちたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/87
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088・石野久男
○石野委員 答弁があいまいだからわからないのだ。とにかくあなた方がこの問題に積極的に参加して、京大の市川先生の所論に対してどういうふうに対応するかという対策、姿勢をとるのかどうかということを私は聞いておるわけなんで、あいまいにしてもらう、そういう返事を承りたくて言っているのと違うのだから、はっきり返事をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/88
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089・牧村信之
○牧村政府委員 前向きに検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/89
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090・石野久男
○石野委員 市川先生はもう数字をもってデータを示しているわけですから、非常に微量なもので調査しにくいかどうか、線量が小さいかどうかは別として、すでにそういう問題についても結論を出しているのだから、あなた方だってやればやれないことはないのだから、早急にやってくださいよ。そうして市川先生の世間に訴えている問題に対して、あなた方はイエスかノーかの答えを出すようにする必要があると思うのだ。これは当然やるべきだと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/90
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091・牧村信之
○牧村政府委員 きわめて学問的な内容にも入りますが、遺伝の方の専門家の方々の御参画を得て、市川先生等とお話し合いの場が持てるように努力してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/91
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092・石野久男
○石野委員 私は、原子力の問題が一番大事なのは、炉の安全性を一方ではしっかりと審査すると同時に、一方では環境に対して地域住民が安心感を持てるように、具体的に安全性が確保されるようにすることが大事なのだと思うのです。基本法が指し示しておる三原則は、いわゆる民主、公開というのがあるわけですよ。この民主、公開というのは、全部政府の立場ではないのですよね。これは国民の立場なんですよ。ですから、基本法の問題が業者あるいは企業者側の立場というよりも、より多くは住民の立場、国民の立場を重点に視点を合わせませんと、安全性に対する信憑性というものは確保できないと思います。したがって、住民が不安に思うことに対しては積極的にこたえていくようにしなければいけないのじゃないかと思います。私はこの考え方は行政を預かっておる長官が最も真剣に心に置いてもらわなければいけないことだと思うのですよ。炉の問題は機材そのもの、器物そのものを審査するのですから、これはだれにも関係なく技術屋が検討すればできることですよ。しかし、環境の問題については、住民との間の対応、それは具体的な事象がなければならないわけです。住民が具体的な事象に対する安全性についての安心感を持たなければ、幾らでも問題が出てくるわけですよ。
福井県へ参りましたら、敦賀で条例を制定するということについての要請を出しました。これはもう御承知であると思うのですが、——自治省は来ておられますね、この条例をしいてもらいたいということで、敦賀市長に地元の方から要請を出しましたところが、市長から、「直接請求の目的である「原子力発電所、核燃料再処理工場及び核燃料製造工場等の事業所の建設について、市長の同意を直接住民投票の過半数によって決定する」ということは、条例制定事項に該当しない。」ということで、これはもう受け付けも何もされなかったわけですね、却下されたのです。この辺について、ひとつ自治省の見解を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/92
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093・鹿児島重治
○鹿児島説明員 お答えいたします。
ただいまお話がございましたように、敦賀市に対しまして住民から条例の制定、改廃の請求がございました。請求がございますと代表者証明書を交付するということになっておるわけでございますが、ただいま先生のお話がございましたように、当該案件につきましては、条例の制定事項ではないという理由のもとに、代表者証明書の交付をしなかったという話は聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/93
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094・石野久男
○石野委員 これはそういうことだということは、ほくはいま言ったんだから、あなたに聞かなくてもわかっているんです。本当に証明書交付の申請をしたけれども、あなたにはその資格はない、こういう条例制定の事項に該当しないからだということで断ったんですけれども、地方の人たちの要請していることは、ここにも書いてあるように、「大量の温排水は環境に重大な影響を及ぼさないのか等についての不安が増大している。このため日本国内ではこれを受け入れる地方公共団体は少なく一部地域に過度に集中しているのが現状である。」アメリカでは云々と書きまして、そして、「この際市は原子力発電所等放射性物質を大量に取扱う施設の受け入れについて直接住民投票により、その是非を決することが間接民主政治の欠陥を是正し、住民の基本権である直接政治に関与することになると思料し、別紙条例を制定されるよう請求する。」こう言っておるわけです。それで、こういうような要望を受けとめるのには、この手続ではいけないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/94
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095・鹿児島重治
○鹿児島説明員 私ども、いま県の方に連絡をとっておるところでございまして、まだ条例の具体的な内容につきまして判断する立場にございませんが、一般論として申し上げますならば、私どもは従来から、条例の制定事項でないものにつきまして、制定、改廃の請求がありました場合には、代表者証明書は交付しなくてよろしいというような指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/95
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096・石野久男
○石野委員 条例施行の事項に該当しないということの意味は、たとえば原子力の問題で不安を感じている住民が、いま私が申し上げたような理由によって条例施行を要求している場合に、この事案が該当しないという理由はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/96
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097・鹿児島重治
○鹿児島説明員 私どもはまだ具体的内容を見ておりませんから、当該事案につきまして、条例の制定事項かどうかということの判断までいたしておりません。
しかしながら、一般的に申しますと、先ほど申しましたように、当該事案が条例の制定事項ではないという判断を市長はしたものというぐあいに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/97
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098・石野久男
○石野委員 自治法の七十四条の一によってこういう処置をするという形で出て、それから第二条のいわゆる事務当局で国の事務に属しないものを処理するということが書かれてい、三項に、「前項の」云々とずっと書かれておることの中にそれが該当するかどうかということが問題なようでございます。
原子力に関する問題で、当時、市長の説明なんかによりますると、原子力の問題は国が安全審査をするんだから市や県には問題がないんだ、こういうことを言うわけですよね。しかし、国が安全審査をするということの中では、当然のこととして、やはり県や市に案件についての意見聴取があるわけですよ。意見聴取があれば、それの同意がなければ国はなかなかできないのだと思うのです。その同意をするのは市長がやるわけでしょう。その同意をすることについて、やっぱり市民が全く反対しておることを同意することはできないわけですよ。
この要請していることが、ここにも書いてありまするように、ちょっとなにになりますけれども、建設規制に関する条例ということで案を示されておるのは、第一条の「目的」として、「この条例は敦賀市に建設を予定する原子力発電所などを自然環境保全と市民の健康保持の立場から規制することを目的とする。」と書いてある。それから第二条は「適用範囲」を書いてありまして、その適用範囲としては、「原子力発電所、核燃料再処理工場及び核燃料製造工場等放射性物質を取り扱う事業所。」それで第三条に「規制措置」として、「前条の事業所より建設の申し出でがなされた場合、」という、こういう限定をしているわけですね。その場合、「長は選挙権を有する者による投票を行い、その賛成、反対を求め過半数を得なければ同意することができない。」、こういう旨のことを条例として出してほしいということを書いているわけですよ。
ですから、ここでは、国が行うところの認許可の問題に関連して、当然地域住民に関係するものが出てき、それに関連して長が一つの答えを出さなくちゃならない、そのときの案件なんですからね。市長が言われるような筋合いのなにとはちょっと違ってくると思うのですよ、解釈が。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/98
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099・鹿児島重治
○鹿児島説明員 これもあくまで一般論としてお答えさせていただきたいと思いますが、いま伺いました限りで若干考えられますことは、一つには、市長の当該行為が具体的に法令その他に基づいて行われるいわゆる市長の権限としての行為であるかどうかという点も若干問題になろうかと思いますし、いま一つは、住民投票ということになりますと、いろいろほかに例がないわけではございませんけれども、やはり地方公共団体の事務を執行いたします場合に、地方公共団体の議会あるいは長というものにそれぞれ与えられている権限がございます。その権限の分配につきまして、住民投票によりましてそれぞれまた賛否の意向を具体的に決めてまいるということになりますと、その権限分配との関係もあろうかと思います。いまさしあたりそういう感じがいたしますが、条例の制定事項に当たるかどうかということは、もう少し具体的に検討させていただきませんとお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/99
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100・石野久男
○石野委員 これは自治省の方でもひとつ検討してもらいたいと思うのですよ。こういう施設ができる場合に、これは非常にもめごとが出てきます。しかも、地方の自治団体の長は当然そういう要請に対してこたえなければならぬ場合が出てくるわけです。しかし、地域住民が圧倒的にそれに賛成しないというような問題をもし長が押し切って賛成すれば、トラブルは拡大するだけだと思うのです。
後でまた、他日問題にしたいと思っておりますことは、三重県の熊野などでは、市議会が全員で一つの決議をしている問題に対して、上からの行為がいろいろ来ているわけです。こういうように市議会が反対なり、反対の決議で明確に意思表示されておっても、またそれと逆な行為が入ってくる。それで長が非常に混迷して、しかも上からの圧力で下の意見を聞かないで返事をするというようなことになりますと、これは民主の筋合いが全然通らなくなってしまう。原子力については、何よりもまず原子力基本法があります。そこでは、自主、民主、公開の原則があって、その民主という問題が一番大きな課題になってくるわけです。安全性の問題についても、この民主、公開の問題が大事になってくる。条例制定を要求する地方住民の要求は、この民主、自主の立場に立って安全性の追求をしようとしているわけなんでして、反対のための反対をするのではない。そういうことであるのに、条例制定等の要請を抑えつけるようなことがあったのでは、これはまずいことでございます。これは一応自治省でよく検討してもらいたい。
それから、科学技術庁の方に対しましても、地方住民が、原子力発電所だとか再処理工場だとか、その種の放射性物質あるいは放射線等の危惧を持っておるところ、ことに福島のように事故が発生してもそれが隠蔽され、危険性を非常に大きく感じているところでは、こういう条例の要求をするのは当然のことだと私は思うのです。そういう意味からしても、やはり自治省ともよく相談をして、地方住民の民主的な要望にこたえる対策をとってもらうようにしてもらわぬと困ると私は思うのです。この際ひとつ自治省と科学技術庁の所見だけ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/100
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101・鹿児島重治
○鹿児島説明員 お話にございました地域住民の民主性に基づく行政をするということは、私どもかねがねお願い申し上げていることでございます。ただ、一言申し上げさせていただきますと、民主性と申します場合に、地方公共団体の長が地方公共団体を代表いたしておりますし、また地方公共団体の議会が、現在の法制におきましては、地方公共団体の意思を決定いたしておるわけでございます。それと住民投票とがどのようにかかわるかという問題につきましては、今後なお検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/101
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102・宇野宗佑
○宇野国務大臣 先ほど来お答えいたしておりますとおり、地方住民の意思は私たちは尊重しなければ原子力行政は推進できない、かように存じております。ただいま自治省が答えましたとおり、住民投票が直接そうしたものに該当するかどうかということははなはだむずかしい問題でもございましょう。これは言うならば、私の所管事項ではございませんが、そういった意味合いにおきまして、今後科技庁といたしましては、地方の意思を常に尊重しているんだという立場は崩したくございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/102
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103・岡本富夫
○岡本委員長 補足答弁の申し出がありますから、これを許します。山野原子力局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/103
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104・山野正登
○山野政府委員 先ほどの連絡調整官の出張扱いか否かという御質問でございますが、連絡調整官の設置そのものは科技庁長官の訓令で決めております。それから事務所の設置につきましては大臣決裁によって行っておりまして、必要な予算につきましては、大蔵省並びに行管とも協議の上、事務所に関する必要経費を計上いたしております。したがいまして、連絡調整官が現地に赴くに当たりましては、出張扱いではございませんで、大臣の命令によって現地に赴任するという形をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/104
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105・石野久男
○石野委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/105
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106・岡本富夫
○岡本委員長 石野君の質疑は終了いたしました。
貝沼次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/106
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107・貝沼次郎
○貝沼委員 私は、本日は原子力基本法等の一部を改正する法律案につきまして質問をいたします。
なお、この基本法の問題点は非常にたくさんありまして、きょう三十分ばかりの質問ではとても尽くせません。そういう観点から、恐らくこれは継続審議になるだろうと私は予測いたしますが、その問題点を一応指摘いたしまして、そして今後これを具体的に議論してまいりたい、こう思います。
その第一点は、何といっても安全委員会の設置の問題であります。これは現在諮問委員会となっておりますけれども、これでよいのかどうか、行政委員会にすべきではないかという一点があります。それからもう一点は、原子力委員会と安全委員会が異なった結論を出した場合に、意見の調整は具体的にどのようにして行われるのかという問題。さらに三番目としては、安全規制の質的な充実を図ること、特に行政の一貫化に伴うマイナスの面をどう防ぐのかという問題がございます。それから四番目としては、いわゆるダブルチェックの中でも、たとえば電力会社から主管官庁、通産省でしょうけれども、こういう関係において官民癒着の疑念を持たせるようなことがあってはならないという点をどうするか。それから、安全審査の能力をいまよりも低下させてはならないという点からの問題があります。それからもう一点は、安全委員会のダブルチェックを具体的にどうするのかという、その手続上の問題でいろいろございます。それから、この安全性を審査した場合に、その結論を出した最終責任は一体どこにあるのか。要するに担当官庁にあるのか、それとも安全審査委員会にあるのかという問題。さらに、どのような機構をつくりましても、要は人の問題でありますから、その人選の問題。さらに、公開ヒヤリングというのが今回出てくるわけでありますけれども、このやり方の問題。あるいは安全委員会のスタッフの問題。これはアメリカなどと比べて考えてみますと、アメリカなんかの場合は非常にスタッフが多いのでありますが、日本の場合、現在考えられているようなもので果たしてできるかどうかという問題があろうかと思います。まだほかにも出てくると思いますけれども、こういった問題について私は一つ一つじっくりとやりたいわけでありますけれども、きょうはその問題に入る前の方、入り口のところを議論しておきたいと思います。
そこで、第一番目に、原子力基本法等の一部を改正する法律案となっておりまして、基本法という言葉が使われております。そこで、この基本法というのは一体どういう意味合いで基本法とされたのか。なぜ基本法とされたのか、この点について事務局から答弁を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/107
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108・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 今回の改正の一つのポイントは、安全委員会の原子力委員会からの分離設置ということでございます。原子力委員会にかかわる原子力安全委員会の設置ということになりますと、御案内のように、原子力委員会そのものの設置、それから任務内容が原子力基本法に根拠を置いているわけでございます。したがいまして、原子力委員会からこれを分離設置することになりますと、その辺の修正も要するということで、原子力基本法の面の修正も必要となったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/108
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109・貝沼次郎
○貝沼委員 私が質問しているのはそういうことではなしに、原子力基本法というものがっくり出されたが、やぜこれを基本法とされておるのか、こういう質問なんです。基本法という名前がついておるのはどういう意図によるものですかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/109
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110・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 原子力行政にかかわる基本的事項、たとえば基本となる組織体に関します原子力委員会の設置、それから一連の任務等々、そういうより基本的な事項をここに決めておく必要がある。個別の各法をまつまでもなく、そういうベースになるものを定めておく必要があるという意味で、基本的事項をまとめてこの法律は設けられたものというふうに解します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/110
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111・貝沼次郎
○貝沼委員 この法律の第一条の「目的」には「この法律は、原子力の研究、開発及び利用を推進することによつて、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。」こうなっております。そうすると、これは将来におけるエネルギー資源というものを確保するためを目的としてつくられたことは間違いないと思いますね。
ただ、その場合に、これは昭和三十年だと思いますが、このころはいわゆる原子力ブームでありまして、次のエネルギーというものはもう原子力であるという感じが非常に強かったので、将来のエネルギー資源の確保というところを、将来は原子力であろうというところから、原子力基本法というものが案外できたのではないか。ところが、現在考えてみると、果たして将来のエネルギーというものは原子力だけなのかということを考えると、必ずしもそうではない、こう思うのですね。たとえば、もう私が一々申し上げるまでもなく、サンシャインの問題あり、あるいは地熱の問題等、いろいろありますから、そういう総合的なものを考えた場合には、この原子力基本法だけではエネルギー資源を確保するということには私は足りないのではないかという感じがするわけであります。
そこで、原子力に関してはこれでよろしいと私は思いますけれども、ほかのエネルギーのことを考えると、単に「将来におけるエネルギー資源を確保し、」ということは、これはやはり何らかの断りをつけないと、たとえば原子力のエネルギー資源を確保するとか、こういうふうにはっきりしておかないと、これはうまくないのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/111
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112・牧村信之
○牧村政府委員 先生の先ほどの御質問の中にも、基本法はどういうためにという一番大事なところは、わが国で原子力の開発を進めるに当たりまして、これを平和の目的に限り推進する、それから民主的な運営のもとに自主的に行う、この三原則を確保することが最も大事であるという御認識のもとに制定されたものでございまして、これは現在も何ら変わっていないことでございます。したがいまして、原子力につきましては、この平和の目的に限るという非常に重要な問題がございますので、特にこういう基本法にこれをうたっておるわけでございます。なお、そのほかの新しいエネルギーの開発、これはもちろん重要でございます。しかしながら、そこに仮に基本法的なものをつくるといたしましても、その性格は必ずしも原子力と同一のものではなかろうというふうにも考えられますが、われわれとしては、この原子力の推進に当たりましては、この基本法の精神にのっとって進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/112
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113・貝沼次郎
○貝沼委員 どうも話がかみ合わないのですけれども、私が言っておるのは、原子力基本法は原子力に関する限りはいいでしょうと言っておるわけです。だけれども、「将来におけるエネルギー資源を確保し、」ということは、この文言だけでいけば、何も原子力に限らないではありませんか。だから、ほかのものもあるのだから、原子力とはっきり言っておいた方がいいのではないですか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/113
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114・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 いま先生御指摘のとおり、確かに「将来におけるエネルギー資源を確保し、」云々ということを取り上げておりますが、この法律で扱うべき方法としまして、法の一条に書いておりますように、「この法律は、原子力の研究、開発及び利用を推進することによって、」ということで、エネルギー全体に関する確保の問題ではあるが、方法手段的には原子力の研究、開発、利用を促進することにかかわることによってどうするかということをこの基本法に定めよう、こういう趣旨で書いておるのだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/114
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115・貝沼次郎
○貝沼委員 そういたしますと、これは要するに、ほかのエネルギーについては少なくとも入っておらないということですね。そうすると、他のエネルギーについて私は考える必要があると思います。
そこで、こういう基本法というものがいまどういうふうにしてどんなものがあるかということを当たってみますと、たとえば公害対策基本法であるとかあるいは心身障害者対策基本法であるとか、私が見た範囲で大体十一ばかりあるようでありますが、その目的のところを見ると、大体国及び地方公共団体等が関係いたしまして総合的にこれを計画し推進をしなければならないというような内容のものがかなりあります。それから教育基本法みたいな内容のものは、「教育の基本を確立するため、」とこれまた少し変わっております。それから農業基本法と観光基本法、中小企業基本法、これらは、たとえば「農業の向うべき新たなみちを明らかにし、農業に関する政策の目標を示す」というような同じパターンで大体これが書かれております。原子力基本法と林業基本法は、要するに、林業の場合は、林業の発展、森林資源の確保、国土保全というようなものが大体目的になっております。
こういったところから考えますと、いろんな分野にわたって行われる場合に、やはり一つの基本的な法というものを定めておかなければなかなかむずかしいというところから基本法というものはできておると思いますが、そういう立場から考えますと、このエネルギーの問題、ことにこの一、二年間日本の将来のエネルギーをどうするかということでもう非常に議論が出ておるわけでありますし、政府もエネルギー省設置であるとかあるいはエネルギー委員会をつくろうとか、いろんな声が出ておるわけでありますけれども、こういうときこそエネルギー基本法、こういう名前がいいか悪いかは別といたしまして、エネルギー全般にわたる基本法というものを私はつくる必要があるのではないか、つくるべきではないのかというふうに考えるわけでありますが、大臣、この点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/115
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116・宇野宗佑
○宇野国務大臣 昨今のわが国のエネルギー事情等々を考えますと、いまおっしゃったことも一つの大きな御提言であろう、私はかように存じます。ただ、エネルギー省のときに私は関係者に申し上げたのですが、エネルギーというものはあくまでも確保されなければならないので、しかもそれはきわめて低廉なものを必要とする、やはり国民生活を圧迫しないということが必要なのであって、そうした意味においてはいろんな政策があるのだから、だからその反面においては科学技術の振興によって、いわゆる行政改革、機構改革的なチープガバメント的思想ではこれはできませんぞ、時と場合には巨大なる先行投資をすることによって確保し得ることもある、そういうふうに考えれば、生々しいエネルギーだけの行政面においては価格政策も入るであろうし、また科学技術の面においてはいま申し上げたようなそうしたことを一切抜きにした問題も入るであろう、こういうふうなことをよく分析をしない限りは、そう簡単に入れ物をつくっただけでエネルギーが確保し得るものではない、こういうことを私よく申し上げまして、特にこの問題に関してはやはりそれ相応の機関において十二分に検討することが必要だ、こういうことを私は主張いたしております。
そういう主張から申し上げるのならば、やはりその中の一つとしてエネルギー基本法等も一つの重要な一環ではないだろうか、これはきわめて私見でございまするが、私はそういう感じもいたします。特に最近の電力事情等を考えまして、たとえば原子力発電所を設けるのにどれだけの法律があるかと申し上げますと、ざっと三十ございます。さらには認許可が幾つ必要かと申しますと、これまたざっと六十以上ございます。そうしたことが各省庁にまたがっておって、それでただ通産省、科学技術庁だけがエネルギーの逼迫状況を訴えていて、果たして効能があるかどうかということ等を考えますと、やはりそれらの問題にも直接間接に大きな影響が与えられる、こう思いますので、やはりじっくり腰を据えて全般を見渡したところのエネルギーを確保するためにはどうしたらいいかということは大変必要なことではないだろうか、私はこういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/116
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117・貝沼次郎
○貝沼委員 私は、いまの時代を考えた場合に、やはり基本法——中身はいろいろ検討しなければならぬと思いますが、私は自分では少し考えておりますけれども、そういう基本法的なものを据えて、それでそのときの波に乗ったものを一生懸命みんなでわあわあ騒いで、それがちょっとおかしくなったら別のところに大騒ぎして動くという、右往左往した方向ではなしに、あらゆる方面にくまなく手を打って、そして将来の日本のエネルギー資源というものを確保していくことが非常に大事なことではないかと思っております。これは強く要望しておきます。
それから、次の問題でありますが、原子力委員の問題であります。
原子力委員は、現在四人の定員でございます。この四人で日本の原子力関係の問題をほとんど全部決定をしていくわけでございますが、いままでの原子力委員の経歴、たとえばどういう専門の方が原子力委員になられたのか、この点について事務局からお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/117
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118・山野正登
○山野政府委員 原子力委員会の権成は、科学技術庁長官たる委員長以外は、産業界の代表者あるいは国際問題に堪能な方、さらに工学あるいは理学といったふうなことについての専門家といった各分野から選任いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/118
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119・貝沼次郎
○貝沼委員 たとえばその中に生物学者は入ったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/119
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120・山野正登
○山野政府委員 ただいま放射線医学総合研究所の所長が委員に入っておられますけれども、これは生物学者ではございませんが、医学の御出身でございまして、そういうかかわりにおきまして生物学につきましても御造詣はあろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/120
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121・貝沼次郎
○貝沼委員 四人ですから、非常に専門家であるということは、ほかのことにはわりと素人だと私は思いますね。狭く深くというのが専門家でありますから、その裏を返せば、自分の専門には詳しいけれどもほかのことはよく知らない、こういう人が四人集まって判断を下す。ところが、先ほど石野先生からも質問がございましたけれども、たとえばムラサキツユクサの遺伝の問題であるとか、こういうことが言われております。先般消費者関係の方々の意見を聞きましても、ややこしいことはわからないけれども、人間のそういう細胞に影響があるとかいうことになってくるとことに女性の方は非常に敏感である、そしてそういうことがわかる人が果たして原子力委員会の中におるのだろうかという疑問、これはもう率直な疑問であります。
そこで、この四人の方々はりっぱな方々ばかりでありましょうけれども、幾ら考えても四人ですべてのことがわかるということはちょっとむずかしいだろうと私は思います。そこで、何らかの方法でそういう具体的な疑問が起こった場合にはそれにこたえられるような方法をとっておるだろうと思いますが、それはどのようにやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/121
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122・山野正登
○山野政府委員 原子力委員会の委員は、委員長を含めまして七名でございまして、四名ではございません。委員長以外六名の方々で各種の専門分野をカバーしておるわけでございますが、もちろん、各専門ごとの細かい点に立ち至るまで先生方が全部処理されるわけではございませんで、原子力委員会の中に専門委員というものを設けまして、各分野ごとの専門的事項につきましては専門部会等を設けてこれを検討せしめ、原子力委員会の機能を補佐しておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/122
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123・貝沼次郎
○貝沼委員 四名は私、勘違いしておりましたけれども、それは七名に訂正しておきます。
そこで、要するにそういう一般の素朴な意見にこたえられるような対策というものは私は必要だと思うわけであります。ところが、私がいままで見てきた範囲では、この委員会ができてからの名簿をずっと調べてみましたけれども、生態論というか、そういうような立場からの専門家というのはわりと携っているのは少ない、こういう感じがするわけであります。
そこで、今後こういうような立場の学者あるいはその意見というものを十分くみ上げられるような体制にすべきである、いまではまだまだ不十分であると私は考えるわけでありますが、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/123
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124・牧村信之
○牧村政府委員 ただいまの先生の御指摘でございますが、安全委員会がお認めいただきますと、この安全委員会は非常に高度な科学技術の問題を対処していただくということで、安全委員会の方はそれぞれの御専門の分野で非常に高い識見を持っていらっしゃる学識経験者をお願いしたいというようなことで考えております。そのため、そういうような関連におきまして、生物学者等が必要ではないかという御指摘でございますが、ただいまの先生の御指摘を十分踏まえて今後対処してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/124
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125・貝沼次郎
○貝沼委員 安全委員会にそういうメンバーを配置するというお考えのようでありますけれども、私はそういう答弁が出るだろうと思っていたのです。そうすると、そこで安全委員会の結論とそれから原子力委員会との結論の調整という問題が出てまいります。これはまた次回の質問のときでもやりたいと思いますが、そういう点がありますので、いまことさら質問しているわけであります。
それから、時間がありませんので次の問題に移りたいと思いますが、原子力委員会の所掌事務、特に原子力委員会設置法にあるこの所掌事務の二番目、三番目、これはどういうことでしょうか、ちょっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/125
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126・山野正登
○山野政府委員 原子力委員会と申しますのは、原子力の開発利用に関する関係行政機関すべての上に立って原子力関係の基本的な方針を決める機関でございます。そういう関係で、ここにございます「関係行政機関の原子力利用に関する事務の総合調整に関すること。」あるいは「関係行政機関の原子力利用に関する経費の見積及び配分計画に関すること。」と申しますのは、これら原子力関係の行政機関の間におきまして事務が重複しないように、また全体として総合性、調和のとれた政策の推進が図れるようにという配慮から、その事務の総合調整をしますとともに、必要な経費予算の見積もりにつきましても各省庁間の重複を避け、かつできるだけ資金効率を高めるように資金配分を考えるという観点から、それらの問題についての原子力委員会の所掌の範囲を明確にしたというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/126
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127・貝沼次郎
○貝沼委員 そういたしますと、原子力委員会では、雑な言い方をいたしますと、ウラン資源の探査、開発、それから今度は燃料の確保、要するに買ってくることになると思いますが、あるいは濃縮したのを買うといたしましても、要するに輸入をしてくる、それからその燃料を使う、それから今度は使用済みについては再処理をする、それから廃棄物の処理というような、あらゆる面について検討をされるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/127
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128・山野正登
○山野政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/128
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129・貝沼次郎
○貝沼委員 そういたしますと、私はいま全部は申し上げられません。先般、原子炉を解体するときにはどうするかという議論をいたしましたし、それからそのときに廃棄物の処理は、ことに海洋投棄はいつどのようにするのかということをやりましたので、きょうはウラン資源の要するに輸入の問題について触れておきたいと思います。昭和五十二年十一月十九日の報道でありますが、共同通信が入手した資料によりますと、大きな見出しで「日本向け、不当な高値 秘密裏に〃国際カルテル〃 特別手数料上乗せ 住友商事も参加か 米下院資料で判る」こういうふうになっておりまして、「ウラン価格を不当につり上げていた秘密の国際ウラン・カルテルの全容が米議会や裁判所の手で次々に明らかにされつつあるが、ウランを全面的に輸入に仰がねばならない日本向けのウラン価格が同カルテルの取り決めによる「特別手数料」のため他地域向けより高値に設定されていたことが、このほど共同通信が入手した米下院商業委員会監視・調査分科委員会の秘密資料から明らかになった。」こうなっております。それで、ここに細々とそのカルテルのことが書かれております。もっともこのカルテルは、一九七二年ごろからアメリカという非常にたくさんウラン資源を持っている国に対処しての他の国の対抗措置としてつくられてきたようでありますけれども、ことに最近この秘密カルテルの情報の中に三つの点が特に明らかになったということで、実はその特別手数料が上乗せされていたとかあるいは住友商事がそれに参画しているのではないか、連絡役を務めていたのではないとかいうようなことが書かれておるわけであります。
そこで、こういう問題について当然原子力委員長であります国務大臣は報告を受けておると思いますけれども、報告は受けておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/129
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130・宇野宗佑
○宇野国務大臣 まだ詳細な報告は受けておりませんが、しかし私もその記事を見まして非常に驚きました。現実の問題として、だからどのくらいウランは高くなっておるかということに関しましては、担当官に聞きましたら、この四年間で大体六倍になっておるという事実もございます。もちろん、これはスポット買い等々におきまして値上げをしたという面もございましょうが、非常に重大なことでありまして、特にわが国は現在ドル減らしのためにウランを購入しようかということすら考えておるところでございますから、なお詳細検討いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/130
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131・貝沼次郎
○貝沼委員 時間が来ておりますので、私はこれをいま細かくやることはできませんけれども、ただいま大臣が申されましたように、日本の国は言わばウラン資源においては首根っこをつかまれておるわけでありますので、これはゆゆしき問題である。これはたしか六月十六日に分科委員会で発表しているのです。したがって、通産省はこれはもう知っておっただろうと私は思うのです。それがいまだに原子力委員長の方に報告がなされてなかったということは、あるいはおくれておったということは、私は非常にまずいのじゃないかと思うわけであります。いずれにいたしましても、この点についての資料はアメリカからあるいはもらっておるかもしれませんけれども、当委員会に提出をしていただくように要求したいと思います。この点についていかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/131
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132・大永勇作
○大永政府委員 資料は英文の相当大部のものでございますが、事務局の方と打ち合わせまして御提出申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/132
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133・貝沼次郎
○貝沼委員 最後にもう一点でありますが、きょうの報道によりますと、アメリカがまた濃縮ウランでもって日本にずいぶん圧力をかけてきておるらしい。原子炉や原子力機器なども含めた一括買い付けとか、あるいは政府保有ウランの購入と米側ウラン鉱山への投資を並行実施するというような、いろいろな条件をつけてきておるようでありますが、これに対しては私は非常に遺憾な感じがするわけであります。この話も、ドル減らしのためのウランの購入という単純な発想というものが実はこういうものを招いておるのではないかという感じもいたします。
そこで、参考のために通産省から承っておきたいと思いますけれども、現在の日本の、たとえば原子力機器産業というものは三十一年以降二十年間で、一説によりますと累積赤字一千億円と言われておりますけれども、こういうような状況を抱えておる日本として、このアメリカの言い分に対してどういう感触を持っておるのか、また、この報道のもとは通産省、電力業界などで構成されている米国濃縮ウラン専門家調査団の発表のようでありますけれども、そういった資料についても当委員会に提出してもらいたいと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/133
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134・大永勇作
○大永政府委員 きょうの新聞に出ておりましたが、先般、役所の実務担当者それから電力の実務担当者がアメリカに参りまして、ウラン購入の可能性につきまして調査をしたわけでございますが、まだ交渉というようなところまでもちろん行っておりませんし、アメリカ側も、これに対しましてアメリカ側としての態度を示すというところまでまだ行っていないわけでございますので、新聞で出ておりましたようなアメリカ政府の方針というのが出る段階にはまだないということでございます。したがいまして、それに関する資料等もないわけでございます。
それから、先生御指摘のように、原子力機器産業の現状でございますが、日本経済全体が不況の中にありますし、重電機器その他原子力関連産業もまた不況の中にあるわけでございます。現在国産化率はすでに九〇%を超えておるという状況からいたしますと、これをもしアメリカに発注するということになりますと、相当大きな影響をこうむるわけでございまして、これはもしそういう——いまそういう話かあるわけでございませんが、万一そういう話がございました場合にも、これは慎重に対処する必要がある問題であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/134
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135・貝沼次郎
○貝沼委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、ただ一点だけ、通産省並びに科学技術庁にも関係あると思いますが、原子力機器産業というのは非常に高度な技術を扱っておるところであります。したがって、これから先恐らく独占的な企業、寡占的な部分が非常に強くなってくると思うのです。そういうことを考えますと、非常に問題がありますので、その寡占、独占という問題に対してどういう歯どめをされようと考えておるのか、この辺のところも実は御検討願いたい、こういうふうに思っておるわけでございます。この点について、大臣、感想で結構ですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/135
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136・宇野宗佑
○宇野国務大臣 いろいろそういう問題も、将来のためにわが国の産業のあり方から申し上げますと必要なことだろうと思いますから、十分検討していきたいと思います。そして、やはりわが国におきましても、一つの目的を原子力行政において持たなくちゃうそだと思います。いまはとにかく首根っこを押さえられておりますから、自主開発だということだけでございますが、しかし将来におきましては、そうした問題におきましても国際的な技術の面において、わが国は相当優秀な面が発揮できる面もあると思いますから、そうした面はやはり育てていかなくちゃならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/136
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137・貝沼次郎
○貝沼委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/137
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138・岡本富夫
○岡本委員長 貝沼君の質疑は終了いたしました。
この際、本会議終了後再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時五十分休憩
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午後一時三十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/138
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139・岡本富夫
○岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。小宮武喜君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/139
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140・小宮武喜
○小宮委員 最初に原子力基本法の問題について若干お尋ねしたいと思います。
原子力施設の安全規制を実効あるものにするためには、原子力安全委員会は行政委員会にすべきであるという意見もかなり強うございますが、欧米諸国では行政委員会になっているのかどうか、また欧米諸国ではどのような体制のもとで安全規制を行っているのか、その点お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/140
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141・牧村信之
○牧村政府委員 行政委員会で規制を行っておりますのはアメリカだけでございます。それで、その他の国がどうなっておるかを若干御説明させていただきます。
アメリカにおきましては、開発はエネルギー省が行い、規制は行政委員会であります原子炉規制委員会が一貫規制をしているわけでございます。それから英国でございますが、これも開発と規制は分離されております。開発はエネルギー省、規制は雇用省というところがやっております。それから西独は、開発は研究技術省、規制は州の政府が中心になってやっておりまして、その審査に当たりまして州政府は内務省に技術的な問題につきまして意見を聞くということで規制を行っております。フランスは開発と規制が分離されておりませんで、産業研究省が一貫してやっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/141
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142・小宮武喜
○小宮委員 詳しく質問する時間がございませんので先に進みますけれども、原子力安全委員会を行政委員会にしないとした場合に、今回の法律改正による体制の改革強化によって、原子炉の安全審査は実態的にどの程度強化されるのか、またこの点について来年度予算でどのように措置するつもりなのか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/142
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143・牧村信之
○牧村政府委員 まずダブルチェックをいたします安全委員会につきましてお話しいたしますが、御承知のように、安全委員会は五人の委員を置くわけでございますが、そのダブルチェックをいたしますときに専門委員を活用いたしまして、原子炉安全専門審査会並びに核燃料安全専門審査会、こういうような専門審査会におきまして原子力施設の安全審査のダブルチェックを十分に行っていきたいというふうに考えております。
どのくらい増強するかということでございますが、安全委員会をお認めいただきました際、大幅にこの専門委員の数を増強したいと考えておりまして、五十三年度の予算要求に当たりまして、現在九十名の先生方でございますが、これを百七十五名にいたしたいということで、審査が効率的あるいは重点的に行えるようにいたしたい、かように考えております。
それから、行政庁の方でございますけれども、このダブルチェックを行いますことを、行政庁との間の連携を緊密に保つために、また中立的に行っていただくために、現在は炉につきましては原子炉規制課というのが規制をやっておるわけでございますが、これとは切り離しまして、原子力安全調査室というものを設けまして、安全委員会の特に安全審査関係につきまして専任の事務局を安全局に設けたいというふうに考えております。
また、予算面等につきましては、本年度約八千万円の予算でございますけれども、二億九千八百万円と大幅に増強いたしまして、審査に必要な経費あるいは公聴会等に必要な経費並びに廃棄物処理処分の関係経費等要求しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/143
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144・小宮武喜
○小宮委員 原子力安全委員会でダブルチェックをしようという考え方は、これは安全審査に慎重を期する上から見ても非常に好ましいとは思うわけですが、反面、このような二重の審査体制によって審査期間がいたずらに遅延するようなことがあっては、これはまた大変だと思うのです。そういった意味で、このダブルチェック体制になっても、審査、検査などを手際よくてきぱきと、しかも安全を十分に確保しながら進めていく必要があると考えるわけですが、このダブルチェックの具体的な方法はどうするのか、その点ひとつ御参考までに教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/144
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145・牧村信之
○牧村政府委員 今回の法律がお認めいただきますと、先生御存じのように、規制の一貫化というものが行われます。実用発電炉につきましては通産省が行政庁の立場で安全審査をいたします。これは一次の安全審査でございます。それを経た上で安全委員会において安全審査のダブルチェックを行うという形になるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、安全委員会ができましてから当然その方針については安全委員会で決められるわけでございますが、現段階においてわれわれの考えておりますのは、すでに行政庁が一次の安全審査報告書というのをつくって出されるわけでございますので、これを完全に二度行う必要はないものと考えております。そこで、私どもとしては、ダブルチェックなるものを十分効率的に重点的に行いたいということでございます。したがいまして、当然一次審査で行われました資料や解析結果というものは十分活用いたしますけれども、考え方といたしましては、従来の設計であるとか考え方ですでに行われておる、こういうようなものはよろしいわけでございますが、それが異なった考え方で原子炉の建設が行われるというようなものであるとか、あるいは過去になかった新知見とか新データによって設計が行われておるとか、あるいは安全性の設計の考え方に各−省庁間に、たとえば科学技術庁と通産省の間に考え方が違うというような問題、このような問題については重点的に調整をいたしまして、審査を進めていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/145
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146・小宮武喜
○小宮委員 原子力安全委員会のダブルチェックを実効あるものにするためには、審査会の審査委員を常勤にすべきではないかと思いますが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/146
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147・牧村信之
○牧村政府委員 行政庁が今回はまず一次の審査を行いますが、これにつきましては行政庁として重点的にやっていきたいと考えておるわけでございますが、安全委員会の安全審査会の審査につきまして、その審査委員を常勤化した方がいいではないかという御指摘でございますが、そのようなことが日本の制度の中でとり得るのであれば、それが一番望ましいことではございますけれども、現段階におきましては、この安全審査に携わる先生方は非常に高度なそれぞれの専門の学識経験者をもって充てる必要があると考えておるわけでございますので、私どもいまの考え方では、そういうような学識経験者の方を多数確保するためには、専門委員という形で、パートタイム的ではございますけれども、やらざるを得ないと考えております。
その理由は、現在のわが国の雇用制度といたしまして終身雇用制度でございますので、こういうような非常に学識経験の豊かな方を安全審査のために長く確保するというためには、非常に高給をもって遇しなければいけない。あるいは場合によりましては、大学の先生等が一時こちらに来られてまた戻るというような制度が確立されておりませんと非常にむずかしい。また、当然国家公務員になるわけでございますが、こういうような先生方は常々調査研究をいたしまして最新の原子力の安全に関します知識を得るような体制になっておらないと審査の十分な反映ができないというようなことを考えますと、たとえば大学の先生のように比較的フリーな活動ができるのと違いまして、通常の行政機関であれば身柄を相当拘束するわけでございまして、そういう観点からも制度的にきわめてむずかしいということで、残念ながらその制度をとり得なかった。これは行政懇におきましてもいろいろ御検討されましたけれども、いまの形と申しますか、専門委員によってやるとせざるを得なかった次第でございます。したがいまして、私ども先ほど御説明いたしましたように、専門委員の数を大幅にふやすことによって効率的に、重点的に行っていきたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/147
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148・小宮武喜
○小宮委員 公開ヒアリングの問題は、有沢懇談会の意見書にも明記されているわけで、今回の法律改正には盛り込まれていないようですが、これは公開ヒアリングをやらないつもりか、それとも法定事項とはしないけれども、運用の面で実質的にやっていくというお考えなのか、その点ひとつ明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/148
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149・牧村信之
○牧村政府委員 確かに法定で定めておりませんが、運用で実施いたしたいと考えております。有沢懇にもございますように、第一次、二次と二回公開ヒアリングをやるように意見をいただいておりますので、私どもはその御意見に沿って進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/149
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150・小宮武喜
○小宮委員 この法律にちょっと関連して、原子力損害の賠償について若干お尋ねしたいと思います。
まず、原子力事業従業員が業務上こうむった原子力損害の賠償について、科学技術庁並びに労働省はどのように考えておられるのか。その点ひとつ科学技術庁と労働省からそれぞれ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/150
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151・山野正登
○山野政府委員 原賠法におきましては、ただいま従業員損害はその対象になっていないわけでございますが、この扱いにつきましては、五十年の七月に原子力委員会の原子力事業従業員災害補償専門部会というのが答申を出しておりまして、将来はぜひこの従業員損害も対象に含めるべきであるという勧告をしておるわけでございます。私どもその線に沿いましてこれを具体化すべく、関係産業界あるいは関係保険業界、さらに関係省庁といろいろ協議を重ねておるところでございますが、いろいろ問題点等もありまして、まだ法案の改正案をまとめるには至っていないという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/151
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152・増田雅一
○増田説明員 労働省といたしましては、当初から労災保険においてはすべての業種の労働者について同一水準の災害補償を行うべきであるという考え方に立っておりまして、原子力産業の労働者の業務上の災害補償につきましても同じ考え方でいきたいと思っておりますが、ただ原子力損害賠償法におきまして第三者についてきわめて高い水準の補償をされる。原子力産業の労働者についてもやはり同水準の補償が必要ではないかというふうに考えております。ただ、その補償のやり方につきましては、これは労災保険で一定水準を補償いたしまして、さらにそれを超える分につきましてはやはり原子力損害賠償法によって行われるのが至当であるというふうに考えておりまして、ただいまの専門部会の報告書にもこのような形で盛り込まれるようにお願いした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/152
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153・小宮武喜
○小宮委員 労働省としては、この原子力損害の賠償については賠償法の補償を改正してやる分には文句を言わないという考えですか。私はこの問題をかつて社会労働委員会で取り上げたことがあるわけですが、そのときはむしろ労働省の方が非常に抵抗しておったような感じを持っていたわけですが、労働省の考え方は、労災法を超える部分について、また労災法適用外の問題については原賠法あるいは補償を改正してやっても差し支えない、やってもよろしいという考え方に労働省は立っておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/153
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154・増田雅一
○増田説明員 ただいま先生おっしゃいましたように、労働省としては、当初から従業員の災害補償につきましては原子力損害賠償法で見ていただきたいという考え方に立っておりまして、したがってその考え方には現在も変わりございませんで、いま先生のおっしゃったとおりの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/154
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155・小宮武喜
○小宮委員 それでは、この問題の経過をずっと振り返ってみますと、これは非常にむずかしい問題があることは私も百も承知しているわけですけれども、昭和三十六年にいわゆる原賠法が国会で成立する際に附帯決議がつけられておりますね。「原子力事業者の従業員の業務上受けた災害に対しては、労働者災害補償保険法の適用のほか、原子力損害の特殊性にかんがみ、必要に応じ、別途被害者の保護に遺憾なきよう立法その他の措置を講ずべきである。」ということが言われておるわけですね。
〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕
さらにこの附帯決議に基づいて、三十七年に原子力委員会は災害補償専門部会を設置して検討した結果、四十年に原賠法を改正し、従業員損害も対象とすることが適当であるという答申をしているわけです。
ところが、四十四年に設置された原子力損害賠償制度検討専門部会では、労災保険制度が充実されているということ、原子力事業において労災保険の上積み労働協約が行われる傾向にあるということ、それから同一事業体内で他部門従業員とのバランス上問題があるというような理由を挙げて、今後引き続いて検討を進めることとして、当面はこの原賠法を改正する必要はないという答申が出ているわけですね。この制度検討専門部会の答申に対して、今度また災害補償専門部会は五十年七月に制度検討専門委員会のそういった問題点を指摘しながら、その問題点の解決を図るためにも原賠法を改正して従業員損害を対象に含めるべきであるという再度にわたっての答申を行ったというように私、理解しておるわけですが、その点科学技術庁は間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/155
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156・山野正登
○山野政府委員 そのとおりであろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/156
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157・小宮武喜
○小宮委員 そこで、この災害補償専門部会の答申を受けた原子力委員会は同年九月に、報告の内容は妥当なもので今後関係各省庁においてこの報告書に基づいて所要の措置が講ぜられることが適当であるという見解を表明されておるわけですが、関係省庁とはどの範囲を言うのか、労働省か科学技術庁だけなのか、各省庁でどのような必要な措置が講じられたのか、その点、科学技術庁あるいはほかの労働省も意見があれば、ひとつ意見を出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/157
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158・山野正登
○山野政府委員 原賠法に従業員を対象に含めるという点につきましては、先ほどいろいろ問題点があると申し上げましたが、具体的に一、二を申し上げますと、まず被曝と疾病との因果関係の認定という問題があるわけでございますが、この認定がかなり困難を伴うということで、民間の保険会社としましても、保険料率の計算という観点からこの因果関係の困難性との関係を詰める必要があるのでございますが、この辺にまだ詰め残した問題があるということ、一方、また政府が損失を補償する場合、この補償の料率についても全く同様の問題があるわけでございます。
それから、そのことにも関係するのでございますが、損害賠償措置を構成しております責任保険におきましては、その大半を外国の保険会社にさらに再保険しておるわけでございますが、外国の保険会社も労災保険との調整なしに直ちに保険会社から従来どおりの再保険を受け入れ得るかどうか、これはまだ明確になっていないということもございます。
それからさらに、先ほど御指摘のように、従業員損害補償専門部会の報告では、従業員損害の賠償というのは労働災害補償給付を超える部分とすべきであるという指摘をしておるのでございますが、これを具体的にどういうふうに担保していくかといったふうな問題についての検討がまだ残されておりまして、こういった問題につきまして労働省あるいは関係の労働界、産業界と鋭意問題を詰めておるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/158
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159・小宮武喜
○小宮委員 労働省の考えは先ほどからの答弁にもありましたように、これは四十八年一月の労災保険審議会に労災保険基本問題懇談会を設置する際も、原子力事業従業員の労災補償問題もその一環として十分に検討したいということを言っておりましたし、また四十八年二月には「労災保険と原子力事業従業員の災害補償について」というものを発表しておるわけですが、その中で、従業員災害についてはやはり賠償法の補償を改正し、労働者についても一般住民と同様の保護を与えるべきであるというのが現行の労災保険法のたてまえに基づく考えであるということを述べられておりますので、労働省の方はいまのような考え方であれば、原賠法の改正については理解できるものだ、こういうふうに考えるわけですが、問題はやはり科学技術庁なんです。だから、この問題について、いま検討しておるということで、またいろいろ問題もあるということは私も百も承知しておりますけれども、ところで、これはいつごろまで検討を続けるつもりですか。次の通常国会あたりにその原賠法改正というのはとうてい無理ではないかと思いますが、次の通常国会のあたりに原賠法の改正を提出する用意はないのか。そうであれば、いつごろまでに検討を続けたその結論が出るようになるのか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/159
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160・山野正登
○山野政府委員 先ほど来具体的にいろいろ検討を進めておると申し上げておりますのは、あくまでもできるだけ早い機会に原賠法を改正しまして、従業員もその対象にできるようにという配慮から、その具体化を急ぐ意味で検討を進めておるというわけでございまして、いつの時点で国会に提案し得るかという点につきましては、いま直ちに次期通常国会には改正案を御提案いたしますということは明言できませんけれども、できるだけ早くその具体化を急ぐようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/160
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161・小宮武喜
○小宮委員 きょうは余り時間がございませんので、いまの原賠法の問題についてにだ系統的に質問したわけですけれども、今後機会をとらえて、さらにこの補償の問題はどうなるのか、あるいは認定の問題あるいは被曝線量の問題等々いろいろ聞きたいことがございますが、きょうの質問はこれぐらいにして、具体的な質問は次に譲りたいと思います。
これで私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/161
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162・宮崎茂一
○宮崎委員長代理 小宮君の質疑は終了いたしました。
次に、瀬崎博義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/162
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163・瀬崎博義
○瀬崎委員 原子力基本法等の改正案が提案されているわけでありますが、政府が安全優先の原子力行政に改革する、本当にそう言うのであれば、やはり安全性の研究について中心的な役割りを果たしている研究機関において技術者、研究者が安心して研究開発に打ち込めるような体制になっているかどうか、あるいはこれをつくるかどうかが一つの試金石になると思うのですね。
そこで最初に、これは労働省の方に聞いておきたいのでありますけれども、すでに昭和四十八年には事務次官通達を出して、「現在の五十五歳定年は適当でなく、当面、今後五年程度の間に六十歳定年が一般化することを目標として、定年延長を促進すること」というふうなことを各基準局や都道府県に通達しておるのですが、おひざ元の特殊法人など政府関係機関でそうなっていないところが今日なおあるわけですね。科学技術庁関係ではどういうところがこの通達の趣旨から見て好ましくない状態にあると考えているのかが一点。第二点目は、すでにこの間の予算委員会で石田労働大臣が、十月に入ってから関係各省の担当官を呼んで強く改正方を要望した、という答弁をしているのですが、その中で科技庁の関係機関が入っているのかどうかということ、入っていたとすれば、具体的にはどういう内容の行政指導をしたのか、この二点をひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/163
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164・田淵孝輔
○田淵説明員 お答えいたします。
労働省としましては、従来から民間の企業におきまして当面六十歳定年制が一般的になるようにということを目標にいたしまして、その指導、援助に努めておるところでございます。これにつきましては、特殊法人についても同じ考え方でございます。
それからお尋ねの第一点の、科学技術庁関係の特殊法人についてどうかということでございますが、必ずしもすべてが六十歳定年制をとってはいないというふうに承知いたしております。
それから第二点の、政府関係機関に対してどういう指示をしたか石田労働大臣が御答弁申し上げた点、具体的に申し上げますと、労働省としましては、これは先般十月五日でございますが、政府関係特殊法人連絡協議会、政法連と略称されるようでございますが、この会議の総会に官房審議官の谷口が出席いたしまして、この際は高齢者の問題のみならず身体障害者の雇用の問題もあわせてお願いしたわけでございますが、その席上、定年延長につきましても労働省の考え方や、定年延長に関する先般国会の決議もございますので、そういう内容などを紹介いたしまして、特殊法人につきましても定年延長の推進方を強くお願いしたところでございまして、この会議には科学技術庁関係の特殊法人も出席されていたように記憶いたし
ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/164
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165・瀬崎博義
○瀬崎委員 では、科学技術庁関係の研究機関で、どこか成績のよろしくないところを特定していろいろ指導したという事例はまだ労働省としてないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/165
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166・田淵孝輔
○田淵説明員 はい。私どもとしては一般的な要請をするにとどまりまして、個別的な指導までは現在のところいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/166
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167・瀬崎博義
○瀬崎委員 別に労働省に指導をしてもらわなくても、宇野長官がいらっしゃるわけですから、必ず善処されると私は思うのですけれどもね。
一つは、若いフレッシュな人々の能力というものも、これはやはり新技術の開発には非常に大事だと思うのですが、一方では技術の蓄積ということも非常に大事だと思うのです。こういう点からも、機械的に五十五歳だとかあるいは運用で五十六歳というふうなことは、第一点妥当ではないと私は思うのです。
それから第二点目には、最近のように、研究開発の規模が非常に大きくなってくる。まさに先端科学の原子力分野はそうだと思うのですが、そういう総合的な研究開発の成果が求められている以上、若い技術者からも信頼され、多くの多面的な技術者の能力がそれぞれフルに発揮できるように配慮しながら、しかも全体をまとめていく、こういうリーダーという立場の人材も絶対欠かせないと思うのですね。こういう点からも、私たちはむしろ積極的にそういう経験豊かな人材が保存されることが望ましいと思うのです。
それから第三には、問題の原子力研究所の労働組合が、昨年来アンケート調査をしておりまして、これは組合員に対してのようですが、四十歳以上の中高年齢者の五九・二%が六十歳までの延長を希望する、それから一四・三%の人が定年制の廃止を希望する、一一・二%の人は六十五歳まで、九・二%の人が五十八歳まで、それから一%の人が五十九歳まで。こういうわけで、合計いたしますと、四十歳以上の九四・九%の人が五十八歳以上に定年の延長を希望している。それからさらに、これは非組合員、管理職者対象のアンケートの結果でありますが、ぜひやってほしいという人が六二・五%、延長に賛成が三一・九%で、何らかの定年延長希望が実に九四・四%に達している。こういうふうな実態が客観的に存在する。
それから四番目には、これは国会の問題にもなるのですが、せんだって原研の労働組合から定年延長の請願書が出されておりまして、国会あてですが、長官も御存じだと思います。千五百名のうち千百名の署名で出まして、自民党を除く各党議員が一応紹介議員になっておるという事情があります。
それから第五番目には、政府関係機関の現在の定年制の状況を見ておりますと、現在五十五歳あるいはそれにプラス一年ぐらいというところの方がはるかに数が少なくなって、原研以外では中小企業金融公庫や地域振興公団ぐらいでして、また科技庁関係でも、動燃が五十八歳とか、あるいは情報センター、理研が六十歳、宇宙開発事業団は定年制なしというふうな実情ですね。
こういうふうな点からして、当然私は原研の定年延長に踏み切らなければならないときに来ていると思うのですが、第一点は、そういう状況の中で原子力研究所で定年制が延長されることが望ましいと思っていらっしゃるのかどうか、これをお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/167
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168・宇野宗佑
○宇野国務大臣 この問題は、過般も野党のどなたかからの御質問にお答えいたしましたが、私といたしましては、一言にして言えば、現状でよいというものではない、こう考えております。特に科技庁関係の事業団あるいは付属機関が多いわけでございますが、やはり研究者がそれぞれ意欲を持って働いてもらうというためには、科技庁、バランスがとれておるねというふうなことが望ましいので、余り極端なことでは困ったことだと思っております。
しかし、現在はいろいろ組合との間におきましても話し合いが進められておるということでもございますから、そうしたことを見守りながら、私といたしましては、石田労働大臣からもそういうようなお話を承っておりますから、政府の問題として、定年制のあり方、そして原研の問題、ひとつ今後十二分に検討していきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/168
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169・瀬崎博義
○瀬崎委員 もちろん、労使、当事者同士が話し合いをされるのは当然だと思うのですが、理事者側が定年延長に踏み切る意思を固めた場合、どうなんでしょう、やはりこれに見合う予算措置というのは必要になってくるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/169
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170・宇野宗佑
○宇野国務大臣 当然、予算措置が必要になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/170
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171・瀬崎博義
○瀬崎委員 予算措置が必要ということになりますと、その交渉は労使、当事者間でやるといたしましても、やはり所管の大臣、つまり宇野長官が本当にその気になって、ひとつ責任を持って大蔵省との折衝をしてやろう、こういうふうな意思表示を明確にしていただくことが、具体的な前進につながるのではないかと思うのです。その点について重ねて大臣の意思表示をお伺いしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/171
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172・宇野宗佑
○宇野国務大臣 これは理事者にも言っておるのですが、予算がないから、したがって定員の問題で、定年制を延長するというようなことになれば若い人を採用しにくいのだというのは理屈にはならないよということを、お互いにしゃべり合っておるわけですが、今後のバランスの問題なり、あるいは年齢構成の問題なり、いろいろな問題があろうと思いますけれども、前向きの姿勢でお出しになってはどうか、出されたら私は、もちろんそれに対して財政当局と渾身の力をしぼって折衝することは当然であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/172
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173・瀬崎博義
○瀬崎委員 同じように、今日、政府がいろいろ原子力行政の改革を進めて、国民の信頼を得ようとしているのだとおっしゃるのだけれども、現在政府のやっていること自身に改善の兆しがない限りは、なかなか国民の信頼を得られるものではないし、法律も通らないと思うのです。現に柏崎の原子力発電所の立地問題については、現地の方から、東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所の原子炉設置許可処分に対する異議申し立てが出ておりますね。時間がありませんので、余り細かいことをお尋ねできないのが残念なんですが、早い話が、ここは最終目標が大体七基ないし八基、一基が百万キロワットですから、八百万キロワットから一千万キロワットというふうな規模と言われているのですが、現在すでに立地を終わっている世界の原子力発電所で、このような一地点八百万キロワット前後というふうな事例はあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/173
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174・牧村信之
○牧村政府委員 現時点においては、そういうふうに大型の七百万とか八百万というのが建てられておるものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/174
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175・瀬崎博義
○瀬崎委員 では、計画中あるいは建設中のものも含めて、さしずめ八百万ないし一千万キロワットくらいの規模になりそうな世界の原子力発電所の立地点はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/175
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176・牧村信之
○牧村政府委員 ちょっといま手元に資料もございませんので、確認させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/176
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177・瀬崎博義
○瀬崎委員 すぐには思い浮かばないくらいに、まだこれは珍しいのだと思うのですよ。アメリカとかソ連のように非常に広大な土地を持っているところですら、現在そういう大規模なものはないし、今後の計画でもそう有名になっているところはないということでしょう。そういうときに、この日本の狭い土地で、あの柏崎に八百万キロワットのものがいま生まれようとする。こういうときに、住民が不安を持つのは私は当然だと思うのです。そういう点では、現在原子力行政改革の法案を出していらっしゃるのですが、それと並行して、こういう異議申し立てについてどういうふうに政府が誠意をもってこたえるか、これもやはり安全優先かどうかの一つの試金石になると思うのです。こういう申し立てを扱われる政府側としては、どういう態度でこれに臨んでいかれるのか、これを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/177
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178・牧村信之
○牧村政府委員 先生御指摘のように、柏崎刈羽原子力発電所に対しましては、三件の異議申し立てがなされておるところでございます。私どもといたしましては、これらの異議申し立ての中身につきまして、当庁限りで御返事できないものもあるわけでございますので、関係省庁といろいろ相談をしつつ結論を出していきたいというふうに考えておるわけでございますが、できるだけ早い機会にその決定の中身につきましての考え方を明らかにいたしまして、決定をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/178
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179・瀬崎博義
○瀬崎委員 少なくも世界に例のないような集中立地を行うに当たって、それにふさわしい慎重な配慮が政府にとって必要であること、また現在のそういう集中立地の計画に対して住民が心配し不安を持つこと、こういうことは当然だという理解はありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/179
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180・牧村信之
○牧村政府委員 おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/180
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181・瀬崎博義
○瀬崎委員 ぜひともこれは、住民に誠意のある回答を出していただくように特別に要望しておきたいと思うのです。
それからいま一つは、これも政府の原子力行政の姿勢を試される問題なのでありますが、動燃事業団のホットに入ってからの一連の事故に対して、一応科技庁が厳重な注意を促した、これに対して十一月十八日に事業団の方から両局長あてに「安全管理の徹底について」という一種の報告書が出ております。余りにもこれが抽象的、一般的なので、一体これが政府の厳重注意に対する報告のたぐいなのかどうか、私は疑いたいのであります。
そこで、こういうことがありますね。「時日を要するものについては、」時日というのは、今後の改善のために日時がかかるという意味だと思うのですが、「時日を要するものについては、その処置を終了した時点で速やかに報告を提出せしめることとした。」ここにはそんなに長くかかる改善とは何かとは何も書いていない。たとえばどういうことがここに該当するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/181
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182・牧村信之
○牧村政府委員 先生の御質問で、時日がかかるものということでございますが、動燃のこの報告につきましては、全事業所につきまして安全の総点検をやったわけでございます。主として三つの点について今後改善を加えていきたいということで出てきておるわけでございます。
たとえば、諸基準を改善したいということがございますが、すぐできるものは直ちにやっておるわけでございますけれども、基準の改定というようなことでございますと、ある程度時日がかかるというようなことで、する方針だけを決めまして、とりあえず報告し、その改定後なお科学技術庁の方に報告するということでございましたので、私どもの方としては、この報告書をこの時点で受け取ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/182
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183・瀬崎博義
○瀬崎委員 相当な時日を要する安全基準の改善が必要なことはこれで認められたようでありますが、科技庁として、科技庁の方から意見を出して諸基準についてこういう部分の改善が必要ではないか、そういうことは言っておるのですか。または、もっぱら事業団に任せて事後処理の報告だけ受けようというのですか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/183
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184・牧村信之
○牧村政府委員 基準の中にもいろいろな段階があろうかと思います。それで、基本的な基準については常々関係担当課と動燃との間にいろいろなディスカッションが行われておりまして、当方がちょっとおかしいなと思うものは、当然通常の場で行われておるはずでございます。今回の検討につきましては、自主的に動燃が行ったものの報告を受けとったわけでございますが、ただ連絡通報体制につきましては、先般のいろいろなトラブルについて不備が認められましたので、両者の間でいろいろ相談し、検討を加えて、その結果を動燃が最終的に判断をしていただいたというふうなことで報告が出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/184
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185・瀬崎博義
○瀬崎委員 その連絡通報体制なんですが、これもここには「軽微なトラブルも含めて事業所長より可及的速やかに本社当該事業本部に報告させることとした。」と書いてあるだけで、具体的に何も出ていないですね。
そこで、ほんの一例でありますけれども、この間も幾つかのトラブル、事故をこちらの方から紹介しました。その中に、使用済み核燃料を剪断したところ、その勢断片が詰まってしまって溶解槽に届かなかったということがありましたね。これの時間的経過をずっと見てみますと、十月六日十時に勇断を開始した。その日の午後五時になって前月断終了、夜九時ごろに溶解槽の加熱を開始し、この間、全然勢断片は溶解槽に届いていないのだけれども、気づいていない。日が変わって十月七日になってから、朝八時三十分、サンプリングの結果、ようやく溶解槽に届いていないことがわかったというのですね。こういう事実はもう判明しているわけですが、その日の午後四時ころですか、再処理のホットテストの経過について動燃事業団は新聞記者発表しているのですね。この発表では、いわゆる順調に動いていますという例の発表になっているわけでしょう。現にそういう事故が起こっており、そのことにはその時点ではもう気づいていながら、一方ではそういう発表が外に対して行われる。こういう点では、国民が後からこの事実を知ったとすれば、不信を持つのはもう当然だと思うのです。こういうふうな点については動燃事業団は何の反省もないし、なぜそうなったのかということも書いてないし、どうも科技庁も追及していないのじゃないかと思うのです。その後、十月八日、九日とバイブレーターを持ってきて詰まりを除去した。それでもだめなので、翌十日に分配器を外し、翌日十一日の午後六時ころに詰まりが取れた。十二日ころになってこのトラブルについてやっとこさ記者発表している。七日に順調でございますという記者発表をしたその前に起こっている事故の発表が、十二日までおくれている。この点でも二重の不信が起こってくる。
問題は、科技庁は知らぬと言えないのでしょう。科技庁の保障措置課の職員がホットテストに入ってからはずつとついておったという話なんですから、そういう点では、一体科技庁はこういうふうな経過について国民に知らせるということ、あるいは科技庁自身がこの実情をつかむということ、こういうことについてどういうふうな対処をしたのか、あるいはまた、こういうふうな抽象的な報告を出した動燃事業団に対して、科技庁はこの点については何か注意でもしたのか、あるいはもう少し実情を確かめようと努力したのか、その点を尋ねたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/185
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186・牧村信之
○牧村政府委員 先ほどの勇断の詰まりのお話でございますけれども、私どもは、事業団もそうでございますけれども、剪断の詰まり現象については事故、故障と考えていないわけでございます。したがいまして、このような報告等は事故、故障ということで受け取っていないわけでございます。ただ、この詰まりを除去していくというようなことにつきまして、どうしても時間的に少しかかりましたので、そういたしますと、当然、当初予定いたしました作業計画がずれるというようなことで、後ほど、事実はこうであったということを含めまして報告したわけでございます。
それから、事業団からこの十八日に出てまいりました報告につきましては、確かに先生おっしゃいますように、具体的な中身は書いてございません。考え方を中心に書いてございまして、何だかわからないというふうなことでございますが、われわれとしては、こういう検討を実施したということにつきまして、検討の実施あるいは改善を加えたものの中身につきましては、すでに行ったもの、それから現在検討中のもの等々を聴取しているわけでございまして、そういうような話の上に立ちまして、この辺を了承したというふうなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/186
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187・瀬崎博義
○瀬崎委員 この勢断片が詰まって溶解槽に前月断片が送られなかった、これを故障とは考えない、一体何と考えているのだ、当然こういうふうな疑問がまた起こってくるのです。本当にへ理屈だと私は思うのです。
それから、この動燃事業団の報告書には、一部装置、機器等の改善の必要もあるということが書いてあるのですが、こういうことも含めて、科技庁はこの間、必要があれば現場にも立ち入るとおっしゃったけれども、その立ち入りまでして一定の確認をしながらこういう報告書があらわれてきたのかどうか、また今後立ち入りする意思があるのかどうかということも含めて、一言聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/187
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188・牧村信之
○牧村政府委員 先ほども御説明いたしましたように、改善等を加えた項目が相当ございますので、それについてすでに聞いておりますし、作業中のものについては今後聞くつもりでございますが、私ども安全の規制をやっておる立場として、ある時期には当然検査官等が出向くわけでございますので、実際に改善され、行われておるかということは、随時そういう検査の段階において確認してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/188
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189・瀬崎博義
○瀬崎委員 時間ですので、最後に、きょうは私は具体的な例を挙げて、現在の安全行政に対する政府の姿勢が多少とも改まりつつあるのか、旧態依然としているのか、そういうことを問いただしたわけでありますけれども、現在提案されております原子力基本法等改正案については、各党間の最低限度の合意が可能な部分、つまり原子力委員会を開発と規制に分離して原子力安全委員会をつくる。その安全委員会の中身についてはいろいろ詰めなければならない点、若干各党派間の意見の相違があるでしょうが、とにかくその部分だけならば審議を進め得る可能性はあると私は思うのです。ところが、各党の合意がいままで全然なされていない、また話題にもなっていなかったいわゆる原子炉設置の許認可権を開発官庁に全部移行してしまうようなものもくっついている現在の改正案については、私たちは断固反対せざるを得ないと思うのです。むしろこの際、こういう法案は政府みずから撤回して、国会で各党の合意が得られる部分について出し直すべきであると思いますので、私は、国会としてもこういうものを継続審議にすべきではないということを申し上げまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/189
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190・宮崎茂一
○宮崎委員長代理 瀬崎君の質疑は終了いたしました。
次に、中馬弘毅君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/190
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191・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 原子力基本法の一部改正案についての質問をいたします。
従来の原子力委員会から分かれまして原子力安全委員会をつくるということでございますが、その原子力安全委員会は、原子力の安全の確保のための規制に関する重要事項を所掌するとなっております。しかし、安全という問題は非常に大きな問題ですし、また幅の広い問題ですが、委員五人ぐらいでこれがどのような形で実際できるのかどうか、この辺についての大臣の御所見をまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/191
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192・宇野宗佑
○宇野国務大臣 原子力行政の基本的な考え方に関しましては、毎度申し上げるようでございますが、開発と安全が並行して進められなければならぬ。特に今日、資源小国の日本としてあすのエネルギーを考えますと、やはり原子力に負うところが大きいということを痛感いたしますが、第一、原子力のそれだけのことがわかっておりながら、いまなお一向に具体的な発電施設等々の進捗状況が芳しくございません。
こうしたことを考えますと、唯一の被爆国である日本といたしましては、原子力というものに対するところの国民の深い疑惑がまだまだあるということを私たちもやはり痛感しておかなければならないわけであります。もちろん、原爆と原子力の平和利用は全く違うわけで、そのことをもっと広く国民の方々に理解をしていただくようにPRをすることが必要でございましょうが、そのためには、まず行政そのものに対する国民の信頼、これを固める、これがやはり先決ではないだろうか、かように考えまして、さような意味で従来の原子力委員会を二つに分けて、安全を専門とする委員会を一つ設けようではないか、そうしたことにおいて国民と原子力行政との間の信頼を確立したい、これが今回の法案の提案のわれわれの主たる目的でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/192
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193・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 その国民の信頼を得る委員会というものは五人でやるわけでございますが、その辺について、果たして幅広いまた重要であるこの安全という問題がどのように所掌できるのか、その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/193
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194・宇野宗佑
○宇野国務大臣 今日まで私を長といたしました原子力委員会、私を含めて全部で七名でありますが、いずれも公正、中正な学識豊かな方々に御就任をお願いいたしまして、しかもこのことは国会においてその承認を得なければならないという重大な人事でございまして、それぞれが真剣になって、わが国の原子力の平和利用の番人であるというそうした使命のもとに活躍をしていただいたわけであります。
そこにおきましても、当然今日まで安全に関しましてはその審査が鋭意続けられてまいったわけでございますが、それを分けるわけでありますから、したがいましていままでは開発と安全の両面を引き受けておったでございましょうが、たとえ人員は五名になりとはいえ、安全だけをもってその職分とするという委員会でございますから、私は、十二分に期待をして可なり、こういうふうに考えておる次第でございます。
もちろん、そのほかにもそれぞれの専門分野にわたりましては審査会等がございますから、そこには専門分野の方々に就任をしていただいて、それぞれがいろんな部面でその安全をチェックしていただく、こういうことでございますので、十二分にその機能を発揮できるものである、こういうふうに信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/194
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195・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 この安全委員会を支える実際の事務局あるいはスタッフ、これはどのような形になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/195
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196・牧村信之
○牧村政府委員 原子力安全委員会の庶務は、有沢原子力行政懇談会の御意見も踏まえて考えておりますが、現在科学技術庁原子力安全局が事務を総括して処理する予定になっております。それで、当然この原子力安全委員会は他省庁の所掌に属する事項も検討するわけでございますので、関係省庁と共同して庶務を処理していくという形でお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/196
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197・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 その安全局ですか、そこには他省庁からの出向だとか、そういう形で構成されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/197
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198・牧村信之
○牧村政府委員 ただいま共同処理と申しましたのは、出向という形ではなくて、各省庁の人も庶務的な事務局として参画していただくという形になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/198
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199・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 そうしますと、原子力委員会の方が科学技術庁長官以下での構成になりますし、原子力安全委員会の方は学識経験者ということになっておりますね。そしてその事務局が科学技術庁の中だということになっております。そうしますと、開発と規制といったような問題、実際の上下の関係等から申しまして、そこにそごを来さないものかどうか、その辺はいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/199
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200・牧村信之
○牧村政府委員 この両委員会は全く同格の立場の諮問委員会でございますので、そのようなことは委員会の方でもございませんし、また事務局であるわれわれ科学技術庁といたしましても、原子力委員会の庶務は原子力局が総括しますけれども、安全局の所掌については共同して事を処す、あるいは安全委員会の方に原子力局の方がわれわれと共同して庶務をつかさどるというようなことも行われるわけでございまして、その辺、連携を十分にしてやっていけば、先生のおっしゃいますような御心配はなかろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/200
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201・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 先ほど他省庁にもわたるというようなお話がありましたので、そこで、それぞれの所掌をむしろここではっきりさせていただきたいという気がするわけです。
この安全という意味、これはただ狭く考えましたら、本当に技術的なことだけかもしれません。しかし、この安全というのを少し分類して考えてみますと、狭義の技術上の安全が一つございます。それから立地も含めました環境上の安全の問題がございます。それから住民の心理的な安全といった問題もあろうかと思います。それからいろんな制度上の安全の問題もあります。またテクノロジーそのものの安全といったこともあるかもしれません。大体五つぐらいに分けて考えた場合に、狭義の技術上の安全はこれまでの討論の中でもかなりここでお答えになっております。しかし、環境上の安全について、たとえば放射性物質全体の問題、特に立地の問題で言いますならば、原子力発電所の場合で申しますと、温排水による熱公害の問題でございますね、これは環境基準すらはっきり決まっておりませんが、この環境上の安全の問題はどこが所掌するのか、環境庁なのかどこなのか。それから、原子力船が入ってきた場合、これは外国の原子力艦艇も含むかと思いますが、そういった場合の港湾の環境上の問題、これはどこが所掌するのか。そこはいかがお考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/201
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202・牧村信之
○牧村政府委員 ただいまお尋ねの環境問題の安全の体制でございますけれども、
〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕
核燃料物質等によります法律によって科学技術庁が行っておるわけでございますが、原子炉等の原子力施設等によります障害防止上の支障という放射線関係、こういう面での環境安全、あるいは立地上の問題としての地質、地盤等の問題、こういうものは原子力安全委員会が所掌いたしまして、関係する省庁は科学技術庁、通産省が当然入るわけでございます。また原子力船になれば運輸省でございます。その他の熱公害の問題でございますけれども、これは原子力と火力発電と比較いたしましても同様の問題でございますので、一般的な公害として現在関係しております省庁並びに、審議会といたしましては中央公害対策審議会がございまして、これは総括は環境庁が行っておるわけでございます。ここにおきまして今後基準等の策定等政策的な検討が行われ、実際の規制は通産省が行われるという形に相なろうかと思います。
それから、原子力船の入港につきましては、主として運輸省が御担当になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/202
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203・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 外国の原子力艦艇が入ってきた場合もやはり運輸省ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/203
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204・牧村信之
○牧村政府委員 原子力の艦艇と申しますと、軍艦の意味でございますか。(中馬(弘)委員「そうです」と呼ぶ)これの安全性につきましては、関係各省庁の御協力をいただきながら、科学技術庁が別の体系で環境モニタリング等を推進しておりまして、安全の確認をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/204
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205・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 としますと、それもやはり最終的には原子力安全委員会の範疇に入るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/205
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206・牧村信之
○牧村政府委員 おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/206
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207・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 次に、住民に対する心理上の安全といったことがあるわけでございますが、実際に、科学的に原子力安全委員会がこれで安全だと言っても、住民が不安に思うケースだってあるわけでございます。これは情報の不足だとか、あるいはいろいろな最近の住民パワーで調べてこうだったということも含めまして、そういった住民に対する心理的な安全、これをPRしたりあるいは住民対策を行ったり、これをやるのはどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/207
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208・牧村信之
○牧村政府委員 原子力の安全に関しましての制度といたしまして、実は安全委員会が発足後は公開ヒヤリングをいたしたいと考えております。この公開ヒヤリングは設置の許可までに二回行うつもりをいたしております。第一回目は、たとえば原子力発電所でございますと担当の通産省が一次に行います。二回目は、通産省において行政庁による安全審査が終了し、安全委員会のダブルチェックを行う段階で安全委員会が公開ヒヤリングを行うということで、そこに設置される原子力施設が十分安全であるということにつきまして、その安全上の御心配等の地元の意見をいただくということで措置を講じたいと考えております。
なお、そのほか私どもといたしましては、原子力施設の安全性につきましては関係省庁と連携をとりつつ、また産業界等の御支援も得つつ、一般のPR活動もできるだけ進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/208
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209・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 そういうことの総括的なことは安全委員会の方ではやるのですか、やらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/209
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210・牧村信之
○牧村政府委員 ただいま申し上げました公開ヒヤリングの進め方等につきましては、十分安全委員会にお諮りして進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/210
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211・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 それでは次に、制度上の安全の問題でございます。
最近、核ジャックといったことも出てきておりますが、ただ一つの決められたシステムの中でそれに合っているかどうか、技術的な意味でも合っているかどうかというような安全ではなくて、いまの取り扱いの方法だったらこういうところで核ジャックが起こる可能性がある、あるいはこういうような物で運んでおったらこれはだめじゃないかといったような制度上の問題ですね、これも原子力安全委員会が所掌すると考えていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/211
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212・牧村信之
○牧村政府委員 この核物質の防護という問題は、制度上災害防止という点にきわめて密接に関係する問題でございますので、中心としては先生御指摘のように、原子力安全委員会が設置された場合は、同委員会が所掌されるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/212
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213・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 考えると言うだけで、はっきりしていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/213
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214・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 現在の規制法の運用におきましても、この核物質の防護の問題は、広い意味の災害防止上の問題として当然規制法の対象としてやっておるわけでございます。したがいまして、今後ともその問題の所掌というのは原子力安全委員会において所掌されるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/214
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215・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 これはもう少し敷衍しておきますが、既存の原子力発電所だとかあるいは再処理工場だとか、そういうことだけではなくて、いろんな民間の核物質の研究所なんかもあるかと思うのです。そういうところに対する監督、指導、調査といったことはどこがやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/215
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216・牧村信之
○牧村政府委員 科学技術庁の原子力安全局がいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/216
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217・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 ということは、そのことも原子力安全委員会が最終的には責任を持つということでいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/217
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218・牧村信之
○牧村政府委員 おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/218
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219・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 次に、原子力というテクノロジーそのものの安全、テクノロジー・アセスメントと言った方がいいか知りませんが、プルトニウムを単体で抽出するのがいいのか、あるいはカーターが言うように混合抽出するのがいいのか、これは初めてアメリカから指摘されてそういった問題が日本で議論になってきているようなことでございますが、むしろそういうことを自主的に、こういうことは危ないんだとかあるいはここは安全だとか、そういった本当の意味での技術全般の安全に対しては、どこが結論を出すわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/219
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220・牧村信之
○牧村政府委員 先生の御質問を確実にとらまえての御返事がちょっと自信がないわけでございますが、原子炉を例にとりまして、設置の許可時に安全審査を行うということは、一つにはこれはテクノロジーアセスメントの技術を審査に応用しておるものだと私は思っております。したがいまして、原子力施設の安全性ということにつきまして私ども役所なりが規制をいたしますときに、非常に新しい技術でございますので、環境に対する安全等々をやっておるわけでございますが、このやっておること自身、非常に広い意味で言えばテクノロジー・アセスメントをやっておるということではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/220
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221・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 ですから、そのことを、原子力委員会なのか原子力安全委員会なのか、どこが結論をつけるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/221
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222・牧村信之
○牧村政府委員 研究開発あるいは混合貯蔵の技術について、こういう問題につきましてのテクノロジーアセスメントをやるといたしますと、これは原子力委員会であろうかと思います。また安全上の問題点につきましては、それが規制の分野のものであれば、原子力安全委員会で行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/222
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223・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 ちょっとはっきりしないのですが、一つの核燃料サイクルなら核燃料サイクル、いまの一つのシステムがありますね。これのいまの形がいいのかどうかといったようなことを調査し最終的な結論を出すところは、安全委員会なのか原子力委員会なのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/223
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224・山野正登
○山野政府委員 原子力の開発利用を進めるに際しまして、先生御指摘の技術の事前評価という問題は非常に大事な問題でございまして、原子力委員会あるいは新しくできます安全委員会のみならず、科学技術庁におきましても、また関連の試験研究機関においてもやっておるところでございます。核燃料サイクルにつきまして将来どういった体系のものがよろしいであろうかという点につきましては、これは恐らく原子力局になりますけれども、最終的には原子力委員会といったふうな場でも当然検討されることになると思いますが、これを実際に事業として具体化していきます段階で、当然に安全を確保するという観点から安全審査が必要なわけでございますが、この安全審査を行う中で再度技術の評価をするということもあろうかと思います。その場合には安全委員会がやるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/224
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225・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 局長のおっしゃった後の方は狭義の技術上の問題でございますから、私があえてここで五つに分類して、それぞれどこが所掌するかをはっきりしておいていただきたいと申しておるのはそのことでございまして、むしろいまの前段のお答えで原子力委員会と考えてよろしいわけですね。
これも同じような意味でございますが、大学の研究室あたりで、プルトニウムに限らずいろいろな新しい核物質、放射性物質が出てまいりますが、カリホルニウム何とかとかいろいろなむずかしい名前がございますけれども、ああいったものが出てきたときに、それをどう扱うかとか、これもやはり安全委員会でなくて、原子力委員会でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/225
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226・山野正登
○山野政府委員 新しい技術が出ましたときに、これを将来どういうふうに活用していくかという点は、広い意味で将来計画を立案する段階だと思いますが、そういう段階におきましては原子力委員会が所要の評価を行って実際の計画に組み込んでいくということになろうかと存じます。先ほど申し上げましたのは、それがいよいよ具体化する段階になりますと、当然に安全規制を受けるわけでございますので、その安全規制の中の一環として再度評価をすることもあろうということでございますが、これは原子力安全委員会が行うということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/226
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227・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 少し考えただけでも、そういった幅広い安全という問題があろうかと思います。それも各省庁にまたがって、それぞれいまの段階の御答弁の中でも、まだはっきり決まっていないような印象を受けた面も多々あるわけでございまして、そのことを分けるなら分けるで、原子力委員会がどの部分とどの部分については最終的な責任を持つんだ、そして安全委員会の方はどういう形でどの点まで、の範囲を持つんだということをはっきりさせなければならないかと思います。そのことも含めまして、最後に大臣の御所見を伺いまして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/227
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228・宇野宗佑
○宇野国務大臣 安全委員会の新設に関しましては先ほどお答えしたとおりでございますが、いま詳しく分けていただいて、どの部分が安全かという問題に関しましては、非常に詳細な御質問もちょうだいいたしまして、ありがとうございました。もちろん、われわれといたしましては、原子力委員会と安全委員会のそれぞれの分野をきちっといたさなければなりません。あくまでも安全委員会は規制の面を担当いたします。それで残った部分を原子力委員会がやる。こういうことで、われわれは明確なる一線を引きまして、なお一層行政の充実に努めたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/228
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229・岡本富夫
○岡本委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/229
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230・岡本富夫
○岡本委員長 この際、御報告申し上げます。
今国会、本委員会に付託になりました請願は、日本原子力研究所職員の定年延長に関する請願外同趣旨請願七件、合計八件であります。
これらの請願の取り扱いについては、先刻の理事会において協議いたしたのでありますが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、さよう御了承願います。
なお、本委員会に参考送付されております陳情書は、お手元に配付してありますとおり、核燃料再処理問題の解決促進に関する陳情書一件であります。念のため御報告申し上げておきます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/230
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231・岡本富夫
○岡本委員長 次に、閉会中審査申し出に関する件についてお諮りいたします。
科学技術振興対策に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/231
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232・岡本富夫
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
引き続きお諮りいたします。
第八十回国会、内閣提出、原子力基本法等の一部を改正する法律案について、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/232
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233・岡本富夫
○岡本委員長 起立多数。よって、本案は、議長に対し、閉会中審査の申し出をすることに決定いたしました。
次に、閉会中審査のため、参考人より意見を聴取する必要が生じました場合、人選その他所要の手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/233
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234・岡本富夫
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。
閉会中審査のため、委員派遣の必要が生じました場合、派遣委員、派遣地及び期間並びに議長に対する承認申請の手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/234
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235・岡本富夫
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
本日は、これにて散会いたします。
午後三時散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108203913X00619771124/235
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