1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十二年十一月一日(火曜日)
午前十時五分開議
出席委員
委員長 金子 岩三君
理事 今井 勇君 理事 片岡 清一君
理事 菅波 茂君 理事 山崎平八郎君
理事 竹内 猛君 理事 美濃 政市君
理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君
阿部 文男君 加藤 紘一君
久野 忠治君 熊谷 義雄君
佐藤 隆君 染谷 誠君
玉沢徳一郎君 戸沢 政方君
中野 四郎君 羽田野忠文君
福島 譲二君 水平 豊彦君
向山 一人君 森 清君
森田 欽二君 小川 国彦君
岡田 利春君 角屋堅次郎君
柴田 健治君 島田 琢郎君
新盛 辰雄君 田口 一男君
野坂 浩賢君 馬場 昇君
武田 一夫君 野村 光雄君
吉浦 忠治君 神田 厚君
津川 武一君 加地 和君
菊池福治郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 鈴木 善幸君
出席政府委員
農林大臣官房審
議官 渡邉 文雄君
農林省農蚕園芸
局長 堀川 春彦君
農林省食品流通
局長 杉山 克己君
委員外の出席者
労働省労政局労
働法規課長 岡部 晃三君
参 考 人
(精糖工業会会
長) 海江田一郎君
参 考 人
(日本ビート糖
業協会会長) 長野 善三君
参 考 人
(日本甘蔗糖工
業会会長) 杉野精一郎君
参 考 人
(全国砂糖労働
組合会議議長) 塚本 光三君
農林水産委員会
調査室長 尾崎 毅君
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委員の異動
十一月一日
辞任 補欠選任
愛野興一郎君 水平 豊彦君
平泉 渉君 戸沢 政方君
野坂 浩賢君 板川 正吾君
松沢 俊昭君 田口 一男君
菊池福治郎君 加地 和君
同日
辞任 補欠選任
戸沢 政方君 平泉 渉君
水平 豊彦君 愛野興一郎君
板川 正吾君 野坂 浩賢君
田口 一男君 松沢 俊昭君
加地 和君 菊池福治郎君
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十月二十八日
農業経営発展の基本施策確立等に関する請願外
四件(大原亨君紹介)(第六四三号)
同外十八件(渡辺三郎君紹介)(第六四四号)
中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願(竹内
猛君紹介)(第七三〇号)
同月二十九日
米国産サクランボの輸入反対に関する請願(古
寺宏君紹介)(第九九八号)
同(熊谷義雄君紹介)(第一一四〇号)
同(竹内黎一君紹介)(第一一四一号)
同(津島雄二君紹介)(第一一四二号)
農事試験場千葉試験地の移転に関する請願(井
上裕君紹介)(第一一三九号)
広域農業開発事業の促進に関する請願(椎名悦
三郎君紹介)(第一一四三号)
畑作物対策に関する請願(椎名悦三郎君紹介)
(第一一四四号)
土地改良事業に対する補助増額に関する請願(
椎名悦三郎君紹介)(第一一四五号)
二百海里漁業水域設定に伴う水産対策の強化に
関する請願(椎名悦三郎君紹介)(第一一四六
号)
食糧政策の確立及び米の需給対策の樹立に関す
る請願(椎名悦三郎君紹介)(第一一四七号)
農業用水の汚染防止に関する請願(井出一太郎
君紹介)(第一二四七号)
同(唐沢俊二郎君紹介)(第一二四八号)
同(倉石忠雄君紹介)(第一二四九号)
同(小坂善太郎君紹介)(第一二五〇号)
同(清水勇君紹介)(第一二五一号)
同(中島衛君紹介)(第一二五二号)
昭和五十三年度稲作の生産調整に関する請願(
井出一太郎君紹介)(第一二五三号)
同(唐沢俊二郎君紹介)(第一二五四号)
同(倉石忠雄君紹介)(第一二五五号)
同(小坂善太郎君紹介)(第一二五六号)
同(清水勇君紹介)(第一二五七号)
同(中島衛君紹介)(第一二五八号)
農林漁業金融公庫事務所の長野県内設置に関す
る請願(井出一太郎君紹介)(第一二五九号)
同(唐沢俊二郎君紹介)(第一二六〇号)
同(倉石忠雄君紹介)(第一二六一号)
同(小坂善太郎君紹介)(第一二六二号)
同(清水勇君紹介)(第一二六三号)
同(中島衛君紹介)(第一二六四号)
農畜産物の輸入規制に関する請願(井出一太郎
君紹介)(第一二六五号)
同(唐沢俊二郎君紹介)(第一二六六号)
同(倉石忠雄君紹介)(第一二六七号)
同(小坂善太郎君紹介)(第一二六八号)
同(清水勇君紹介)(第一二六九号)
同(中島衛君紹介)(第一二七〇号)
同月三十一日
マツクイムシ防除の農薬空中散布中止等に関す
る請願(小川国彦君紹介)(第一七〇七号)
同(後藤茂君紹介)(第一七〇八号)
同(島田琢郎君紹介)(第一七〇九号)
同(島本虎三君紹介)(第一七一〇号)
同(新盛辰雄君紹介)(第一七一一号)
同(竹内猛君紹介)(第一七一二号)
同(野坂浩賢君紹介)(第一七一三号)
同(馬場昇君紹介)(第一七一四号)
同(瀬野栄次郎君紹介)(第一九三一号)
同(武田一夫君紹介)(第一九三二号)
同(野村光雄君紹介)(第一九三三号)
同(吉浦忠治君紹介)(第一九三四号)
北海道に対する昭和五十三年度稲作転換目標面
積の配分に関する請願(安井吉典君紹介)(第
一七一五号)
昭和五十二年産米全量政府買い入れに関する請
願(安井吉典君紹介)(第一七一六号)
大規模林道事業の国庫補助率引き上げ等に関す
る請願(伊東正義君紹介)(第一七五四号)
米国産サクランボの輸入反対に関する請願(津
川武一君紹介)(第一九三五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――十月三十一日
農業経営発展の基本施策確立に関する陳情書
(第
一三四号)
食糧備蓄法制定に関する陳情書
(第一三五号)
食糧自給率の向上等に関する陳情書
(第一三六号)
昭和五十二年産米穀の売渡限度超過米の全量買
い上げに関する陳情書
(第一三七号)
水田総合利用対策の改善に関する陳情書
(第一三八号)
農業委員会関係費の増額等に関する陳情書
(第一三九号)
農地開発事業の充実強化に関する陳情書
(第一四〇号)
第三次農業構造改善事業の推進に関する陳情書
外一件
(第一四一
号)
日ソ漁業暫定協定の締結に伴う救済措置に関す
る陳情書外三件
(第一四
二号)
ソ連邦漁業水域における安全操業に関する陳情
書
(第一四三号)
沿岸、沖合い漁業対策に関する陳情書
(第一四四号)
畜産経営環境保全集落群育成事業の拡充強化に
関する陳情書
(第一四
五号)
林業政策の改善措置に関する陳情書
(第一四六号)
林業公社の法制化促進等に関する陳情書外一件
(第一四七号)
米国産サクランボの輸入阻止等に関する陳情書
(第一四八号)
昭和五十二年産サトウキビの最低生産者価格引
き上げ等に関する陳情書外五件
(第一四九
号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
砂糖の価格安定等に関する法律第五条第一項の
規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについ
ての臨時特例に関する法律案(内閣提出第一〇
号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/0
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001・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 これより会議を開きます。
委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。
砂糖の価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案を議題とし、審査を進めます。
本案について、参考人から意見を聴取することといたします。
本日御出席の参考人は、精糖工業会会長海江田一郎君、日本ビート糖業協会会長長野善三君、日本甘蔗糖工業会会長杉野精一郎君、全国砂糖労働組合会議議長塚本光三君、以上四名の方々であります。
この際、参考人各位に申し上げます。
参考人各位には、御多忙中にもかかわらず、委員会に御出席を賜りましてまことにありがとうございます。本案につきまして、参考人各位のそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
なお、議事の都合上、まず御意見をお一人二十分程度、海江田参考人、長野参考人、杉野参考人、塚本参考人という順序でお述べをいただき、その後委員から質疑がございますので、これにお答えいただくことにいたしたいと存じます。
それでは、海江田参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/1
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002・海江田一郎
○海江田参考人 本日、農林水産委員会において、砂糖の価格安定等に関する法律第五条の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案の御審議に際しまして、参考人として出頭を命ぜられました精糖工業会会長海江田一郎でございます。
精糖工業界は、現在千数百億円と称せられます巨額の累積赤字を抱え、なおいまだに出血がとまらないきわめて深刻な事態に立ち至っております。これは、高値原糖に由来いたしますコスト高にもかかわらず、過当競争による売り値の大幅なコスト割れ状態が長期にわたり続いております結果でございまして、この事情等につきまして、御指示に従い、意見を申し述べたいと存じます。
最初に、今日までのいきさつについて申し上げたいと思いますが、終戦直後は別といたしまして、昭和二十六年、為替割り当てによる粗糖の輸入が認められまして、国内砂糖消費は順調に伸び、企業の経営もきわめて安定したものでございました。しかし、昭和三十八年八月、粗糖輸入の完全自由化措置により様相は一変いたしました。その後十数年間、今日に至るまで、企業はおおむね赤字経営、慢性不況に呻吟することになった次第でございます。
昭和四十年六月、糖価安定法が成立いたしましたが、これは国産糖の保護に重点がございまして、同法は輸入の粗糖を上下限内の価格帯中におさめることによりまして、粗糖の輸入原価を国際相場の暴騰、暴落から遮断するにとどまり、需給調整機能としては不十分であったと考えられております。
一方、業界内企業はそれぞれ設備増強と生産、販売競争に乗り出し、その結果大きな損失と企業体力の消耗となり、四次にわたりますカルテルも中堅会社の不参加等で大きな成果を見ないままに、その間、砂糖の消費は着実に年率五、六%と順調に伸びましたにかかわらず、多数の会社が赤字経営を余儀なくされ、企業蓄積がないままに昭和四十八年の石油ショックに直面いたしました。
〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
たまたま同年秋、ISA世界国際会議が不調に終わりまして、国際的砂糖生産の不作が石油ショックと相まって糖価はウナギ登りに上昇の一途をたどり、四十九年初め百ポンド見当の粗糖が同年十一月には六百五十ポンドとなり、その間、ユーザーの仮需、消費者の一部買いだめ等も重なりまして、政府とされても、生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律をもって、砂糖も特定商品と指定されるに至りました。
ここに特に指摘しておきたいことは、砂糖が元来相場商品であることでありまして、粗糖価格上昇期には利益、下降の場合は損金を生ずる原則がございまして、ことに原料手当てから入着までに半年から一年を要する砂糖においては、この原則が重要なポイントとなる次第でございます。
したがって、政府が、粗糖価格暴騰期に価格安定のため、まず糖価安定資金を放出され、さらに輸入関税の減免措置を講ぜられ、暴落に際しましては製品価格下落防止の努力を傾注されたにもかかわらず、業界全体にわたって深刻な経営危機に直面するに至りました。
すなわち、このたびの砂糖パニック当時を振り返りますと、業界大手企業は供給の社会的責任を意識し、政府のこれが指導並びに要請に積極的に対応いたしまして、したがって、特に大手企業ほど累計損失が大きく、豪州糖長期契約問題以前にすでに危機の第一波を受ける結果となったのでございます。
たまたまこのような時期に豪州の強力な要請を受けまして、日本としても資源ナショナリズムの世界的風潮のもとに必要な原材料の確保を急ぎ、この交渉に当たり、五年間の固定価格に関して業界、商社ともに強い難色を示しましたが、最終的には民生安定という国民的要請にこたえることを第一義といたしましてこの締結に業界は踏み切った次第でございまして、昭和五十年七月契約実行の折にはすでに原糖価格は百三十ポンドを割りまして、国際水準と比較しまして二・五倍の割り高な原糖を負担する結果となった次第でございます。
次に、業界の現状と問題点並びに対策についてちょっと触れたいと思います。
精糖企業は会社数三十余社、現在年間約二百五十万トンを精製いたしまして、数社を除き赤字の状況下にありまして、累計一千数百億円の欠損となり、特に大手を中心として債務超過の姿でございます。また、本年に入って、残念ながら三社が事実上苦境に立ちましたことを見てもいかに深刻な事態にあるか判断ができます。
また、膨大な赤字を抱えまして現在も赤字経営を余儀なくされておる精糖企業もまた倒産のやむなきに至る危険なしとしないと考えておるわけでございます。
しかも、慢性的不況危機のよって来る原因は過当競争的体質でございまして、砂糖が自由無制限に輸入されること、新増設が自由であること等、輸入、生産、価格において何ら法的規制のない上に、商品として付加価値並びに銘柄の特質が少なく、完全自由下のわが国においては何の歯どめもないまま、それに先発、後発の利害の対立も加わりまして過剰生産の誘発を招き、ここにようやく過当競争の背後にあります過剰設備の合理化、適正化も避けて通れない時期に直面した次第でございます。
しかも、砂糖の国内消費は昭和四十八年の三百十万トンをピークにいたしましてその後漸減し、現在はおよそ二百八十万トン前後でありまして、最近の消費者の動向や、砂糖以外の甘味資源の進出等も重なり、当分の間、消費増に多くを期待し得ない状況にございます。
しかしながら、去る十月七日、国際砂糖協定が妥結いたしまして、国際価格はあるルールのもとに置かれるようになりましょうし、他方、豪州糖値下げ交渉もまず結論に達し、ようやく懸案の諸問題解決の時期と考えられます上に、長く混乱を続けておりました業界として協調体制の確立がすべての問題の前提として必要であるとせられまして、昨年は政府指導の指示カルテルを基礎といたしまして、業界内に体質改善委員会の設置等を積み重ねてまいりましたが、カルテルは緊急避難措置に過ぎませず、恒久的安定のためには別によりどころを求めざるを得ない次第でございます。
それでは、恒久的な業界の経営安定策いかんということになりますれば、それは時間をかけても業界の体質改善を行うことと、需給均衡を図る法的措置ということに相なりましょう。私どもは業界の構造改善という場合、広い意味での体質改善と理解いたし、それは業界の秩序の回復であり、すなわち原糖の輸入秩序、生産、販売、さらには流通の秩序の確立が業界の改善につながるものと考えております。また、その意味で設備の適正化を取り上げていきたいと考えております。この問題は、個々の企業ないし企業グループの自主的判断の問題でございまして、これをいかに摩擦少なく実現してまいりますか、雇用安定の問題等を勘案して、企業が生き延びていくにはいかにしたらよいかを各企業がそれぞれ真剣に判断いたしまして実現していくべき問題であると考えております。
最後に、臨時立法に対する要望を申し上げたいと思います。
以上申し上げましたとおり、精糖業界は何とか自主的に諸問題の解決を自力で取り進めたいと従来からも全力を尽くしてまいりましたが、今日、三カ年間という臨時立法ではございますが、今回政府が提出されました当法案は、業界にとりましてまことに干天の慈雨とも申すべきものでございまして、ぜひともこの成立を念願するものでございます。
しかしながら、当法案は需給均衡を図るための環境整備あるいは一種の土俵づくりと理解されまして、その効果ある活用のためには、われわれ企業の自覚と責任の重大さを痛感するものでございます。この三年間の業界の努力が、今後の精糖事業の消長を左右するものと考えておる次第でございます。また、もし当法案がなければ、現在の危機的状態から自力では脱出することができませず、業界の安定化への柱を失い、企業の倒産は必須と考えられまして、その結果、雇用、砂糖供給の安定にも重大な影響があるものと心配され、国産糖業界はもちろん、でん粉を原料といたします甘味業界、ひいては生産者農民に迷惑をかけることになることを恐れるものでございます。
よって、諸先生のお力添えによりまして、何とか今国会に当法案の成立を伏してお願い申し上げまして、私の意見の陳述を終わります。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/2
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003・金子岩三
○金子委員長 どうもありがとうございました。
次に、長野参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/3
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004・長野善三
○長野参考人 私は、日本ビート糖業協会会長の長野善三でございます。
本日、当委員会に参考人としてお呼びいただいたことをまことに得がたい機会と存じまして、厚く御礼を申し上げます。
昭和四十年に現行の糖安法が制定されましてから、精製糖業界の実態から原因いたしまして、しばしば形成糖価と市価との乖離を生じました。私どもといたしましては、実効ある需給調整措置をとっていただくよう国産糖、つまり北海道のビート糖業、南西諸島及び沖縄の甘蔗糖業並びにでん粉、ブドウ糖等の事業でございますが、そういう国産甘味資源の立場及びこれらの原料を生産いたしますところの農家保護の必須条件として、この需給調整措置を御要請してまいったのでございますが、いままで有効な手が打たれないままに今日に至った次第でございます。
その結果、精製糖業界の粗糖輸入は全く無秩序状態に陥りまして、自来十二年間、業界は過当競争を続けて今日に至り、ただいまではこの業界は、先ほど海江田会長もおっしゃったように、壊滅寸前にあると申しても過言ではないと存ずる次第でございます。
このことは、ひいては国内産糖にも悪影響をもたらしまして、常に不安定の状況下に置かれておりますのが現状でございます。糖安法に需給調整機能を付与し、糖業の安定を図られるよう、甘味資源審議会等において、毎回、委員の総意において要望建議等を行ってまいったところでございます。
このたび農林省御提出の法案は、糖安法に需給調整機能を与え、粗糖輸入に秩序を回復して精製糖業の経営を正常化し、ひいては国産糖に安定した基盤を与え、今後の国産糖振興上の障害を排除することのでき得る、ただいまでは非常に重要な事柄と存ずるのでございます。ぜひとも本法案が今国会において成立いたしますよう、国産糖業並びに国内生産農家の立場から強く要請を申し上げる次第でございます。
なお、成立後の実施につきましても、従来からのいきさつ等もございまして、なかなかいろいろの困難が予想されると存ぜられますので、需給の策定並びに精糖業界の各企業のシェアの決定その他につきまして、相当強力の行政指導が必要と存ぜられますので、この点についても、先生方から行政当局に対して今後とも一層激励、御鞭撻を願って、本法案が確定しまして有効な効果があらわれますよう、そして、われわれ国産糖業界が安定した基盤で生産増強ができ、したがって生産農家にも安定した基盤を与えるということが必要じゃないかと存ずる次第でございます。
なお、一言申し添えますが、ビート糖業はただいまでは北海道だけでございますが、このビート糖業の本質といたしまして、輪作経営というものがビート糖業を中心として成り立って、畑地の地力維持、農業の生産増強、生産効率の向上に非常に役立っておるということを一言つけ加えさせていただきまして、今後とも国産糖の振興には先生方の十分な御配慮をお願い申し上げまして、本案には全面的に賛成いたしますので、よろしく通過いたしますように重ねてお願い申し上げる次第でございます。
どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/4
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005・金子岩三
○金子委員長 どうもありがとうございました。
次に、杉野参考人にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/5
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006・杉野精一郎
○杉野参考人 ただいま御紹介をいただきました日本甘蔗糖工業会の杉野でございます。
本日は参考人としてお招きをいただきましてありがとうございました。私、こういう会合に初めて出席しましたので、どういうふうなことをどういうふうな形式で言うべきかわからないのでございまするが、端的に私の考えておることを申し上げてみたいと考えておるのであります。
私どもの工業会に所属しております会社は六社ございまして、鹿児島県の熊毛郡と大島郡の離島で生産者がつくったキビを買って分みつ糖をつくっている会社でございます。
沖縄にも私どもと同じような会社が十二社ございます。今日、私がここで申し上げることは、主として鹿児島県のことについてお話を申し上げるのでありまするが、そのことは同時に沖縄県の会社にも共通することが多いと存じまするので、その点お含みおきをいただきたいと存じます。
それでは、まず最初に、キビのことについて申し上げてみたいと思うのであります。
キビは、私ども南西諸島におきましては内地における稲作と同じように基幹作物として生産者がつくっておるのであります。御承知のように、南西諸島はサンゴ礁が多く、水田がないということからいたしまして、キビ以外には農作物の適当のものがないのであります。したがいまして、台風にやられ、干ばつにやられましても生産者は毎年このキビをつくっておるというような実情にあるのであります。政府の方々といたしましても、私どものやっておることをよくお考えいただきまして、ビートと比較してみますると非常に苦しい状況にあるということがおわかりになっておりますので、キビの最低生産者価格を決めるときにおきましても、また私どもがっくりました砂糖を買い上げる買い上げ価格を決定する場合におきましても、私どもからいたしますれば十分とは言えませんけれども、非常に好意的なお取り扱いをしていただいておるのであります。
しかしながら、われわれが与えられた自然条件のもとでは、なかなか思うような増産もできないような状態でございます。たとえば、品質改良の問題につきましても、私どもはこのことがキビの増産の基本になる問題である、どうしてもいい品質をつくっていただいて増産を図らなければならないと考えておるのでありまするけれども、キビの品質の改良についてどういう人が何人おるかということを、指を折り数えるほど技術屋さんというものは非常に少ないのであります。また、この品質改良をやる専門的な試験場というものもないというふうな実情でございまして、今回承りまするところによりますと、沖縄に独立の試験場ができるということでございまするが、ぜひこれを実現していただきまして、私どもの品種改良ができる、増産ができるようにお取り扱いをいただきたいと思っております。
また、キビの増産をするためには基盤整備をやらなければいけない。しかし、われわれのキビができております島は離島でございまして、サンゴ礁が多いのであります。したがって、なかなか基盤が悪いのでございまして、この基盤整備には全力を尽くさなければならないということで政府の御協力も非常にいただいておるのでありまするけれども、まだ十分に至っておりません。したがいまして、われわれの圃場というものは非常に旧式なものでございまして、機械を導入して省力経営をやるというふうなことはほとんど不可能に近い状態でございます。
これを北海道のビートと比較してみますと、北海道は広大なる地域で機械化がどんどん進んでいくのでありまするけれども、われわれの立地条件というものは非常におくれて、手労力でやらなければいけないというふうな非常に不利な状況にあるということを御承知いただきたいと思うのであります。
なお、ここでぜひ頭に入れておいていただきたいと考えますことは、私どもサトウキビから分みつ糖をつくっておる会社とキビをつくっております生産者とは、表裏一体の関係にあるということであります。私どもが工場をつくりましても、原料になるキビがなければわれわれの工場は成り立たないのであります。同時に、生産者といたしましても、キビをどんどんつくりましても、これを買ってくれる工場がなければ、そのできたキビは牛のえさにするかあるいは黒糖の原料にするか、いずれかのほかは方法がないような関係になっております。したがって、生産者もわれわれ会社も、車の両輪のような気持ちを持って常にキビの増産に励んでおるような次第でございます。この点をひとつぜひ頭に入れておいていただきたいと思います。
次に、われわれ企業の現状について申し上げますると、私どもの会社のやっておる地域は離島でございまするので、一島一社の方針にのっとりまして、大体、離島一つに一社があるというふうな状態でございます。したがいまして、小さな島におきましてはキビの生産量が非常に小さいということで、採算がやりにくいものが相当あるのであります。資本金にいたしましても、大体一億から三億くらいのものでございまするので、相当脆弱な状態にあるわけであります。しかも、毎年のごとく、程度の差こそあれ台風がやってきます。また干ばつがやってこういうふうなことによりまして、各社とも繰越赤字を相当持っておるような実情でございまして、非常に苦しい立場に追い込まれておるのであります。
沖縄と私どもを合わせまして、大体年産二十万トンくらいをつくっておるのであります。北海道のビートを入れて大体五十万トンくらいの生産が平年のような感じがしておるのであります。私ども、十分な効果が出ていないかもしれませんけれども、いろいろ構想を練りまして、われわれの力で及ぶ限り増産に励み、わが国における砂糖の自給率の向上に努めなければならないと考えて努力をしておるような次第でございます。
私どもの六社の状況を見てみますると、いま申し上げたような状態でございまするが、もうすでに二社倒産をしておるのであります。私どもはこの倒産を目の前に見まして、キビをつくっているお百姓がどうしていいか非常に苦慮しておる状態を目の当たりに見ておるのであります。それが、さらに最近、一社が倒産寸前に臨んでおるような状態でございます。
私どもは、次から次へと会社が倒産していくということは、キビを生産しておる農家の人たちが茫然としてキビの増産に対する意欲を喪失することを招くから、どうしても第三の会社が倒れないようにしなければならない、そのためにはわれわれが協力して、何とかこれの防止をしなければならないということでいろいろ努力をして、現在のところ、倒産寸前にありまするけれども倒産まではいっていないような状態でございます。こういうふうな会社が非常に苦しい立場にあるということをお考えいただきたいと思うのであります。
そういうときにおきまして、大きな問題が起こってきたのであります。それは、私どもがつくった砂糖を売ろうといたしましても、われわれが希望しておる、損をしない価格でこの砂糖を精糖会社に買ってもらえないという問題が起こってきたのであります。
私どもが生産者からキビを買いまして、それを加工して分みつ糖につくる、これは原料代は、最低生産者価格は政府がお決めになるのでございますので、その価格で買い取ってわれわれ工場で加工して、その原料費と加工費をプラスしたもので買い上げてもらっておるのでありますが、それが瞬間タッチによりまして私どもに売り戻しをしていただくわけであります。その売り戻しの価格は、形成糖価見合い金額でございます。この売り戻してもらった価格で精製糖会社が引き取ってくれれば私どもは損がないのでありまするけれども、御承知のように、精糖会社も非常に苦しい立場にあり、できるだけ赤字をなくさなければいけないということで、加工費におきましては各社とも決まっておりますので、赤字を出さぬためには原料として買う国産糖の値段を下げて買う以外には方法がないというふうなことで、私どもの売り戻し価格での買い取りが行われていないのであります。その金額も少しぐらいならばいいのでございまするけれども、私の推測するところでは、昨年におきましては、大体三十億程度になっておるのではないかと思います。ことしもまた、三十億に近い数字になるのではないかというふうに考えておるのであります。こういうふうな状態でございますると、赤字が出ることを知りながら、生産者のためにキビからつくらなければならないというふうなことは、いかにもわれわれとして忍びない状態であります。この状態をどういうふうにして打開するかということで、私ども窮状をいろいろ精糖会社にお話して、何とかわれわれが赤字をこうむらないで、政府から払い下げてもらった価格でひとつ買い取ってもらいたいとお話を申し上げるのでありますけれども、なかなか話が進まない。農林省にもお願いしていろいろ側面から御支援をいただいておるのでありまするけれども、いまだにこれが解決を見ていないのであります。私どもも、リファイナーの方々の御苦衷はよくわかるのであります。これを解決するためには、どうしても市価が安定して、精糖会社が赤字が出ないような経営状態に持っていく以外には方法がない。これをやる以外には方法がないから、何かそういうふうな方策を考えてもらいたいということをお役所にもいろいろ話をしておったのでありまするが、今回、糖安法の特例法案が上程を見まして、私どもほっとしておるような状態でございます。
そういう意味からいたしまして、私どもはぜひこの法案を早く通していただきたい、そうして私どもも安心して分みつ糖の製造ができるようにしていただきたい。生産者も、五万か六万の生産者が後ろに控えておりまするけれども、私どもの会社が次から次へと倒産する状況を見て、われわれの会社もまたつぶれるのではないか、これはどうしたらいいのだろうかというふうな不安におののいておるのであります。したがって、生産者自身が関係方面に対しまして、何とか会社がつぶれぬようにしてもらいたいということを陳情しておるような実情でございます。こういうふうな現実を踏まえまして、ひとつ今回の特例法案は早急に実現を見るように御配慮をお願いしたいと考えるのであります。
なお、この機会に補足的に、少し先走った意見かもしれませんけれども、ひとつ申し上げておきたいと思いますることは、ただいま長野さんからもお話がありましたように、この法案の実施に当たっては非常にむずかしい問題がたくさんあると考えております。砂糖業界におきましても、すでに過去におきまして、ガイドポストをつくって需給の調整をやろうということでやっておったときもあるのでありまするけれども、十分な効果があらわれなかったように聞いております。このときと比べまして、今回の需給の調整は法律に基づいて実行するのでありまするから、法的根拠を持っている以上は、必要あるときにはひとつ強い指導力を発揮してやってもらわなければいけないと考えております。特に今回の法案は時限立法であります。三カ年間の期限であります。この三カ年の期限内に所期の目的を達するように、早急にやることが私は必要ではないかと考えておるのであります。
勝手なことを申し上げまして失礼かもしれませんが、ひとつお許しをいただきまして、私どもの苦衷を十分お察しいただきまして、この法案が成立し、私どもの会社も助かり、背後にある五万の生産者も助かるというふうなことを実現していただきたいということを切にお願い申し上げまして、私の意見といたします。
どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/6
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007・金子岩三
○金子委員長 どうもありがとうございました。
次に、塚本参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/7
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008・塚本光三
○塚本参考人 私は、全国砂糖労働組合の議長をやっております塚本でございます。
私たちは、もちろん国産糖を含めた砂糖産業の健全な発展を願っているものでございますが、本国会で私たち働く者の立場の意見を申し述べることができる場をつくっていただきましたことを感謝申し上げます。
私たち砂糖業界に従事しております労働者は、いま、かつて経験のない大規模な首切りと生活不安に脅かされております。すでに昨年の九月、明治製糖川崎工場の閉鎖と、ことしに入ってから大分県の新光砂糖工業、三重県の東海精糖の工場閉鎖が強行されて、合わせて千人近い労働者の生活が奪われたのであります。そして、このような雇用と生活不安は、これにとどまらず、今後ますます広がりをさらに深めていく様相を見せております。
砂糖産業に従事しております私たち労働者は、昭和三十八年八月の、政府が突如として断行した原糖の輸入自由化以来、十年余りの間、首切りの不安と生活の不安に脅かされない日は一日たりともありませんでした。打ち続く赤字乱売競争と原糖の輸入競争、工場の新設、増設の競争など、業界は常に動揺と混乱の波にもまれて、その過程で企業を維持するために六千人余りの労働者の首が切られ、生活が奪われてきたのであります。
この業界の混乱の原因をたどりますれば、昭和三十八年八月に何ら国内対策を準備することなく突如断行しました原糖の輸入自由化に起因するものであることは明らかであります。原糖の完全輸入自由化は、欧米先進諸国を含めて、諸外国においてもほとんどその例がありません。国内の糖業に対しても適正なコントロールと保護が加えられているのがむしろ一般的であります。政府が何ら国内対策を講ずることなく、原糖の輸入自由化を強行したことは、私たちは、高度成長政策のもとにおける砂糖産業の切り捨てであり、商社の利益を保証する政策であったと言わざるを得ないと思っております。
原糖の輸入自由化を契機といたしまして、精糖企業は先を争って原糖の輸入と生産、販売競争に乗り出しました。これに加えて、設備の新設、増設の競争も激烈をきわめ、このために砂糖の市況は大幅に下落し、しかも企業は赤字操業を余儀なくされ、倒産の危機に瀕したのであります。そして、これを回避するために、各企業は軒並み私たちに人員整理という名のもとの首切りをかけてまいりましたし、強行してまいりました。私たち砂糖労働者は、これを第一次の合理化攻撃と言っております。
労働者の犠牲によって経営危機を切り抜け、身軽になった精糖企業は、再び激烈な赤字乱売競争を行い、底なしの泥沼に足を踏み入れていったわけでございます。この過程で、原糖の輸入を代行してきた商社は、精糖企業の経営立て直しのために積極的に資金を援助し、その見返りとして、国内の販売権を手中におさめたのであります。膨大な資金力を誇る商社の業界への介入は、企業間の競争にさらに拍車をかけ、一層拡大され、その支配強化は精糖企業の商社系列化となってあらわれるとともに、その競争はこれまでの規模をはるかに越えた商社間の競争に転化されてきたのでございます。
昭和四十五年十一月の三井製糖の発足は、商社主導による業界再編成の突破口となり、工場、事業所の閉鎖が相次いで、そこで働く労働者の首切りが強行され、私たち砂糖労働者はこれを第二次の合理化攻撃と言っております。
商社主導による業界再編成によって、精糖業と国産糖業を問わず、砂糖産業は三井、三菱、丸紅、日商岩井、伊藤忠の五大商社が支配する産業になっております。
石油危機を引き金としまして発生しました昭和四十八年から四十九年の国際砂糖相場の暴騰を背景といたしまして締結されました日蒙砂糖協定は、業界を支配する商社が、輸入市場の独占と、その協定によって国内での競争に優位の立場を確保するということをねらって締結されたものであります。この日豪砂糖協定の締結は、三井、三菱の豪州糖グループとそれ以外の商社との対立を決定的なものにすると同時に、その支配下にある精糖企業問の反目と対立を必然的に生み出し、これによって業界の混乱はいよいよ深まり、精糖企業は赤字と乱売競争に明け暮れ、まさに砂糖をつくるのではなくて赤字をつくってきたと言えるのであります。しかも、国際原糖相場は昭和四十九年の暮れの大暴騰の後、半年後には大暴落を見せました。固定価格で契約しました豪州糖は、一年後には二倍半もの高値で輸入しなければならない羽目に陥ったのであります。そのために、資金繰り、コストダウンのための量産と乱売競争を繰り返し、赤字を累積し、さらに国際価格の二倍半もの高い豪州糖を引き取るという、およそ常識では信じられない振る舞いを続けてきたのであります。
このような状況の中で精糖企業は、生きるために工場、事業所を閉鎖し、商社は、系列内でも系列関係の薄い企業に対しては資金融資のストップ、原糖供給の停止によって企業を破産に追い込み、そこに働く労働者の首切りを強行してきたのであります。明治製糖の川崎工場、大分の新光砂糖工業、三重県の東海精糖の破産がまさにそれであります。私たち砂糖労働者は、今次の合理化攻撃を第三次の前段の合理化と位置づけております。
このような業界の混乱に対して、政府、農林省はいかなる対応をしてきたのでしょうか。政府は昭和二十八年一月のてん菜生産振興臨時措置法の制定以来、一貫して国内産糖業の保護育成の方針を掲げ、不十分ながらも一定の助成策を講じてまいりました。しかし、政府は国内体制の整備を欠いたまま、原糖の自由化や、法の目的さえ達成できない糖価安定法の制定と運用、そして精糖業の混乱状況の放置など、せっかくの国内産糖保護政策も空洞化されてきたのが実態であります。精糖業に至っては、政策のせの字もありません。わずかに昭和四十年に制定された糖価安定法とその運用、さらに昨年の十二月からことしの五月にかけて農林大臣による指示カルテルの実施以外、何ら施策がありませんでした。しかも、この糖価安定法は、昭和四十八年から四十九年にかけての砂糖パニックの時点でその機能は破産し、制定以来現在まで第一条の法目的は完遂されていないと言わざるを得ないのであります。その上、国民の食生活に不可欠の砂糖を供給する責任を持つ業界を一握りの商社の利益に奉仕する業界に放置してきた行政の責任は、いかなる角度からも糾弾されなくてはならないと思っております。
政府の総合食糧政策の重要な柱であります重要食糧の長期輸入協定の推進によって具体化されました日豪砂糖協定が破産に瀕しているとき、契約当事者は民間だとして、みずからの責任にほおかぶりをしてきた政府の態度こそ、この問の精糖業に対する政府の政策を雄弁に物語っているものではないでしょうか。政府の態度に加えて、膨大な資金力を背景としました商社の、倒れるまで戦う熾烈な競争と、依然として投機的経営から抜け出すことのできない、相場に失敗すれば労働者の首を切り、労働条件の引き下げであがなう精糖企業の経営者の攻撃を、私たちは、みずからの生活と働く権利を守るために、この三年間あらゆる困難と戦って運動を続けてきたのであります。
私たちの運動は、大別すれば、国内産糖の自給率の向上であります。業界の商社支配の排除による、消費者に対して適正な価格で安定した供給をする、そこで働く労働者が安心して働くことのできる民主的な業界づくりを目指してきたものであります。このために、恒久的な需給の調整措置とその国民的な合意を保証する需給調整委員会の設置を糖価安定法に規定することによって、機能を麻痺したこの法律をよみがえらせ、法の目的を遂行するよう改正すべく運動をしてまいりました。この需給調整によって精糖業の常識を超えた過当競争を正常に回復させ、そして国内産糖の安定を確保し、甘味資源耕作農民の営農を保証しようとしてきたのであります。同時に、私たちは、政府の食糧政策を背景として、政府がこの締結を積極的に支援してきた日豪砂糖問題の解決、言いかえれば、日蒙間の交渉で解消し得ない原糖の価格格差の国内措置を強く要求してまいりました。業界の今日の混乱が豪州糖の異常な価格格差を原因としてある以上、この解決のために、この協定を推進し、援助した政府、農林省の責任は免れないものだと思っているからであります。さらに私たちは、みずからの経営の失敗を労働者の犠牲への転嫁によって償ってきた経営者とその背後にある商社に対して、業界の安定と労働者の声を反映させる場をつくるために、業界ベースの労使交渉のテーブルを築くことを強く要求し、そのテーブルに、雇用不安をなくし、人間らしい労働条件を確保するための最低限の要求であります年間交代労働日数の制限に関する協定の締結を求めてまいりました。
これに対しても、企業経営者と商社は、労働組合敵視の政策を正面にすえて、私たちの真摯な要求を一蹴し、歯牙にもかけない態度をとり続けているのであります。昭和三十八年の自由化以来、連綿として絶えることのない雇用不安と生活不安から一日たりとも解放されたことのない砂糖労働者が、みずからの職場と生活を守るために、業界の安定と雇用の安定を目指して、業界ベースの労使交渉のテーブルをつくれ、また人並みの生活をするために、昼夜兼行の二十四時間の交代制勤務の年間制限を求める私たちの要求は、果たして理不尽だとでも言うのでしょうか。
もちろん私たちにも問題はあります。主体的な力量不足を他に転嫁して責任を回避するつもりはありません。昼夜をたがわず文字どおり身を粉にして砂糖の増産を図ってきたのは現場で働く私たち労働者です。業界の混乱をなくして、雇用と生活の不安のない安定した業界を築けという圧倒的な多数の砂糖労働者の仲間の叫びにも呼応して立ち上がれない労働者のいることも事実です。しかし、経営者の指示にまじめに従って日々の労働を忠実に遂行し、そのあげく生産過剰だとして首を切られるとしたら、果たしてその労働者に一体いかなる責任があるというのでしょうか。
政府はいま、業界の正常な秩序回復を目指して、砂糖の売り戻し特例法を上程し、その成立を期しております。確かにこの条文には、工場、事業所の閉鎖はもとより、労働者の首切り等をほのめかす一片の文字すら含まれておりません。しかしまた、昭和三十八年の原糖自由化以来六千人以上に上る砂糖労働者の失業と生活破壊が再び繰り返されないという保証もありません。私たちは過去の苦い経験から、むしろ政府、商社、企業が、精糖設備能力が二〇%以上も過剰であるとして、その廃棄のためのキャンペーンを大々的に繰り広げていることを知っております。したがって、この特例法は、豪州糖の解決に名をかりたコスト競争、工場、事業所の廃棄を強要し、多大の労働者の雇用を奪わんとするものと思えてならないのであります。糖価安定法に基づく下限見合い価格の維持を至上命令とするこの法律の需給調整は、合意された日豪砂糖協定の価格よりはるかに低い水準であり、この価格に近づけるために、好むと好まざるとにかかわらず、精糖企業は生産の集中を促され、工場、事業所の廃棄を強制されるに違いありません。それと同時に、企業別のシェアの確定は、企業の保護になっても、そこで働いております私たち労働者の雇用の保障につながるものでないことは、私たちの被害妄想ではなく、まさに冷徹な経済の原則だというふうに思えてなりません。しかも政府は、去る五十一年十二月一日の農林大臣指示によるカルテルの発動に当たって、精糖設備の廃棄を初めとする業界の構造改善を示唆して、精糖工業会は、先ほど海江田会長からお話がありましたように、これにこたえて設備の二〇%の廃棄をする合理化案を策定しているのであります。
さらに重要なことは、この法案が三年の時限立法であり、その需給調整の権限が農林大臣に集中されております。政府にも責任のある日豪砂糖協定に伴う国内解決がうやむやにされるのではないかと思っております。私たち、およそ砂糖に携わり、その混乱をつぶさに経験してきた者にとっては、どうしてもこの砂糖業界には恒久的な需給調整なくして業界の安定はないということはもはや常識でございます。三年後のこの法律の期限切れを迎えて、現在の混乱が再現されないという保証はどこにあるのでしょうか。
以上の見地に立って、私たちは次の諸点を明らかにし、そのために所要の政策を講ずることを強く要求したいと思っております。第一に、日豪砂糖協定の合意に伴う国内措置の実施。第二に、労働者の雇用の確保と安定施策を講ずること。そのために交代制労働日数の制限協定の締結について指導をしていただきたい。第三に、恒久的な需給調整を講じていただきたい。第四に、安定した民主的業界を築くための業界ベースの交渉体制を経営者が確立するよう行政指導していただきたい。以上であります。
これらの施策が講じられない限り、この法律は需給調整に名をかりた労働者の首切り法案であり、商社、企業の利益のみを擁護するものとして私たちは反対せざるを得ないのであります。それこそが前後三次にわたって加えられました私たち砂糖労働者の累々たる犠牲をこれ以上積み重ねない保証となるものだというふうに信じているからでございます。
どうか私たち砂糖で働く労働者の雇用と生活、日々この不安の中で働いております立場を御理解いただきまして、十分御審議をお願いしたいということを申し添えまして、終わりといたします。
どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/8
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009・金子岩三
○金子委員長 どうもありがとうございました。
以上で、参考人の意見開陳は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/9
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010・金子岩三
○金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/10
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011・今井勇
○今井委員 時間がきわめて限られておりますので、簡潔に質問を投げかけますので、簡潔にまたお答えをいただきたいと思います。
まず最初に、御発言の順序に従いまして、海江田さんに三点ほどお伺いをいたしたいと思います。
第一点は、あなたは今回の臨時特例法は砂糖業界に対する一つの土俵づくりであるというふうに言われました。私どももそのように考えておりますが、この三年間の時限立法の間に、あなたの言われる体質改善、これに対する業界の厳しい決意がなければならないと思います。他力本願では解決できない厳しいものがあります。その体質改善に取り組むあなた方の基本的な決意をまず第一点としてお伺いをいたしたいと思います。
一方、消費者サイドに立ちますれば、今回の措置が、はね返って消費者に高い砂糖を買わせるようなことに相なるわけには、必ずしもまいりません。そういう意味で、消費者サイドに十分目を向けた価格が維持されるということもまた大事なことであろうと思います。
第三点は、先ほどの最後の塚本参考人のお話にもありましたように、砂糖業界に働く人たちの雇用の不安ということは、現在、日本で抱えておる大きな問題の一つであります。したがって、そういう問題を含めてあなた方がどのように決意をされておるか、その三点について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
時間がありませんので、全部の参考人に一わたり私の質問したいことを申し上げますので、その後に御返答をいただきたいと思います。
第二番目の長野さんに対します御質問は、しぼってお伺いをいたしたいと思いますが、あなたがおっしゃいました中で、ビート工業、ビートの生産性の向上を取り上げてみたいと思います。
最近、生産性の向上が生産者サイドからの努力によってずいぶんなされておりますが、今後とも相当厳しい生産性の向上がなければなかなか苦しい立場から脱却できないであろうと私は考えます。したがいまして、生産者サイドあるいはそれを統括されますあなた方の態度として、生産性の向上にいかに取り組もうとしておられるのか、具体的なお考えをお伺いしたいと思います。
それから、杉野さんには三点ほどお伺いをいたしたいと思います。
私の認識が間違いでなければ、サトウキビの生産者価格といいましょうか、その中に占めるものは労働時間が大半であります。しかも、労働時間の六割以上が収穫の労働であるというふうに私は理解をいたしております。あなたがおっしゃるとおり、基盤整備が不十分である状況下においてその労働時間をいかにして節約するかはむずかしい問題であることは間違いありません。機械化が十分できない、そういう機械がはいれないという状況では、私にもわからぬではありませんが、しかし、この労働時間の短縮、特に収穫時の労働時間の短縮にメスを当てない限りは、生産者が十分納得できるといいましょうか、十分に皆さんに理解できる価格にはなり得ないと私は信じております。それに対するあなたの御見解を賜りたいと思います。これが第一点であります。
それから、売り戻し価格についてのお話がありました。それを抜本改正するためにも今回の特例法の成立が必要だと結ばれました。私もそのとおりだと思いますが、そのためにも、売り戻し価格は、現在あなた方が希望されないという立場にあります。その解決方法は今回の特例法の成立のみであろうか、そのほかにないんだろうかというふうに私は思います。もし、ありますればあなたのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
それから、もう一つは品種の改良の問題であります。あなたもその点については強調されました。私も同感であります。しかし、これはだれかやってくれるであろうということでは解決できません。やはり業界に携わるあなた方がまず最初に立ち上がることであろうと思いますし、まず最初にあなた方が努力をされることであろうと思います。それに対するあなたの決意のほどをお伺いをいたしたいと思います。
最後に、塚本参考人にお伺いをいたします。あなたにはただ一点お伺いいたします。
あなたがるる言われましたこともわからないではありませんが、結論だけお聞かせ願いたいと思いますのは、あなたは今回の法律案に対して四点の要望事項を言われて、それが満たされなければ反対だと結ばれました。私は、しかしながら、現状維持のままであるならばまさに救いのないような状況である、しかも数次のカルテルをやりましてもなおかつ回復できなかった現状から見て、今回の特例法をどうしても成立させなければあなた方の雇用の不安というのはいつまでたってもつきまとうものであるというふうに考えておりますが、あなたは条件つきでなければ賛成をできないのかどうか、ひとつ明快にお答えをいただきたいと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/11
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012・海江田一郎
○海江田参考人 お答えいたします。
先ほど私、土俵づくりと申し上げました。その第一の御質問に対して、まずお答えをいたします。
この土俵づくりと申しましたのは、この責任は業界にある、そのための基盤をつくっていただいた、こういうふうにこの法律を考えております。したがって、この責任の遂行が大事であるというふうに考えております。ところが、事実、いままで当然業界ではそれに取っ組んでいかなくちゃならないということでございますけれども、たまたま完全自由化ということであっては業界の中の体質が大小強弱いろいろまざっておりまして、話し合いがなかなかできにくいという事態になっております。そのための土俵を今回御審議願っているという意味において本当の基礎ができた。したがって、三年というものは短い期間であるけれども、この期間を大事に効果あることにしていかなければ許されない、こういうふうに考えておる次第でございます。
そして、それではどういう形をということになってまいりますが、これは広い意味での体質改善、こういうふうに考えております。これはただ単に設備を一部消却するとか、そういうことにとどまらないで、要するに世界の砂糖というものは相場商品であるために非常に価格の変動がございます。こういうためにも、また絶対量がちょっとでも多うございますと暴落する、あるいは原糖が少し少ないと暴騰する、こういうような特殊の体質を持っております。このための協調あるいは需給調整ということに対しての配慮がこの法律の基盤によって業界の中にしみわたってくる。これが将来、三年後になっても一つの大きな力になってくる。この協調体制の確立ということがまず大事なことになってくると思います。
それから、その次に、それではその間にできるだけ製造方面、ということになりますと設備ということになってまいりましょうが、そういうことに対してのむだを排除して合理的な運営が各社できるようにやっていく、そういうようなところに第二の点が配慮されてくると考えております。
第三の点といたしましては、販売という問題にももちろん問題がございましょう。要するにむだな競争、コストを割っての姿、こういうものが業界の体質を最悪の事態にしております。こういうことも需給調整という基盤において初めて明るい将来を得ることになると考えております。この中には、販売のいろいろなテクニックその他も、これは細かくなってまいりますが、たとえばいろいろなところでいろいろな競争をしながら先の先まで売っていくというようなことも避けまして、輸送という問題の限界も考え、協調体制というものもそういうところからまた生まれて市場の混乱が避けられていくという性格のものだと思っております。
それからもう一つ、やはり流通段階もこの際無関心であってはいけない。やはり流通段階においてもさらに一段の近代化ということが必要である。
こういう一連の問題を取り上げますことによりまして、三年という短い期間ではございますけれども、業界として責任を持って完全な、これは完全と言い得るかどうかは別といたしまして、一歩進んだ業界に育っていきたい、これを取り上げていきたい、こう思っております。これが第一の御質問に対するお答えといたしたいと思います。
それから次に、値段の問題で、消費者に転嫁するということに限界ありという御意見、まことにそのとおりでございまして、民生物資でございます砂糖というものは、砂糖企業によって大きな利益を確保する、こういうことは許されない性格のものだと考えております。
そこで、まずこの法律でありますが、法律の運営の段階というものが非常にデリケートになってくると思います。いま大まかに言って、この砂糖業界での値段の判断の基礎が、上限価格と、それから合理化目標価格と、それから形成糖価という一般平均コストを基礎といたしました糖価と、それから原糖が暴落したときの下限価格という、この四つが一応基準のめどになっておりますが、今回の運営に際しては、行政のお立場では、その中の上から三番目になりますか、形成糖価を上回ったときにこの法律による原糖の量の束縛を解除する、こういうことになっております。そういたしますと、この基本は平均コストということになってまいりまして、全部の会社が黒になってくるということを期待することは許されない、こういうふうに腹を据えております。それだけにあらゆる努力がそういう中でもまた積み上げられていくという性格のものだと思いますので、この際、これを消費される段階の方々に御迷惑をかけるということにはならないというふうな判断をいたしております。これが第二の問題についてのお答えでございます。
それから、第三の問題といたしましての雇用の安定対策いかん、これは会社としても非常に重要なことでございます。これは工業会長としていろいろそれぞれの会社の事態を理解できませんために、個々の問題について判断をいたすという立場ではございませんが、しかし、これは総合的な問題として一般論として申し上げ得ると思うのでございますけれども、経営陣と従業員というものは会社を構成しておる一つの組織でございます。そして、これが会社の将来の発展にも非常に大事な基礎になってまいります。したがって、従業員に対しての経営者の心構えというものは、普通に一般の方々が考えられるよりもっと緊密なものでございます。会社の宝だと実は思っております。こういう従業員を基礎に将来の発展というものをやってまいります立場上、これはおろそかにはできない、もうはっきりそういうものだと思っております。したがって、すぐその設備を一部消却するということからこれに対して整理に入るという性格のものではございませんで、それに対してはもちろん多角経営に入るとか、あるいは配置転換をするとか、あるいは系列関係で処理する、あるいはいろいろめんどうを見てもらっております商社との話し合いにおいて不測の最悪事態を逃げる、いろいろな手がそこに講ぜられるものだ。また、それによって初めて将来の安定というものが確保できる、こういうふうな問題だと考えておりますので、その意味では一般論として当然そういう大きな問題に立ち至らないようにどうするかというのが経営者としての本当の心構えであると思います。
ただ、そういうものの、それぞれの企業という立場になってまいりますと、今度それに株主、それから債権者というものが、当然その会社のデッドロックにあると仮定いたしましたときに、どうしていいかということを考えてくるものだと思いますから、そういう意味で問題は審議され、しかし、そういう一般論のこれが基礎でございますから、そういう前提のもとにいろいろな処理がいくものだ、こういうふうに思っております。ただ、ここでさらにちょっと触れさせていただきたいのは、そういうふうな経営者の心構えとしての姿でございますので、従業員の立場においてもその点をよく理解してもらいまして、そしていろいろな、たとえば多角経営に対する前向きの姿勢とか、あるいは労働過重になるとか、そういうようなことには余り神経を使わぬで前向きの対応、その努力を経営者とともに積み上げてほしい、これが私ども経営の立場でも希望でございます。いま砂糖に関する従業員がそういうような態度だと申すのじゃございません。ございませんけれども、一般論としてやはりそういうところまで話し合って、そして積み上げていくということが一番大事じゃないかと思っております。
お答えとかえます。失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/12
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013・長野善三
○長野参考人 先ほどの御質問に簡単にお答えいたします。
ビートの生産性は、面積、ヘクタール当たりの収量、それから労働時間、要約してこの三つで御説明申し上げたいと思います。
面積は昭和四十八年に六万一千ヘクタールに上りました。ところが、その後の三カ年間は砂糖市況の不況が原因しまして、いわゆるビート離れというような現象が生産農家の間に起きました。それから、もう一つは、畑が牧草にかわるというようなこともございましたが、私どもは主としてやはり砂糖不況ということが減反の理由かと思いますが、四十八年に六万一千ヘクタールに上りましたものが五十一年には四万二千ヘクタールと、三割以上になりますが、非常な激減をいたして、はなはだ心細い感がしたものでございますが、幸い昨年の反収が五十一トンを超えるという状態をあらわしまして、その前年が三十六トンでございますので、その面では大変な生産性向上、これは主として農家の努力もありますが、作況がよかった、天候関係が幸いしたということが幸いいたしまして、ひとえに十数年来続けて奨励してまいりました紙筒育苗栽培、紙筒移植栽培、このことが天候とマッチしまして大変な向上になった。反収が五十一トン以上ということになりますと、ヨーロッパの中心地のドイツ以上であるというふうにお考え願っていいわけでございます。
それから、もう一つは、労働時間でございますが、昭和四十七年に例をとりますと、労働時間が四十三・六時間でございました。これが五十一年になりますと三十六・四時間。このことはやはり機械化が相当進んだ、特に育苗段階において大規模経営ができた、これは農林省の御指導と予算措置等もございまして、非常にいい結果が出たわけでございます。
そんなぐあいで、天候には影響されますが、やはり今後漸次糖価が安定しますと作付反別もふえていき、また労働時間も減っていく、まだ生産性がだんだん向上する余地があるということを申し上げて御回答にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/13
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014・杉野精一郎
○杉野参考人 今井先生のただいまの御質問にお答えいたします。
最初の労働時間の問題でございます。が、御説のように、キビにおきましては刈り取り脱葉に一番時間がかかるのであります。したがいまして、機械化をやるならば、これからひとつやりたいということで十数年前からいろいろやってきたのでございますけれども、業者の人たちは販売数量が余りないということで力をかしてくれません。したがいまして、私どもがいろいろ苦労をいたしまして、今日においては、私の会社で私の圃場に合った刈り取り脱葉機ができまして、これを利用しております。県においてもこれを優秀な機械として採用されて、ほかの島でもこれを利用しておるような状態でございます。
それから、売り戻し価格による負担を自分でするような覚悟はないのかというような御意見でございまするが、私どものできました砂糖を売るところは私どもの親会社に当たるところに売っておるのであります。したがいまして、私どもはできるだけ経営を合理化しまして、そうして余裕があれば、親会社が苦しいのだからそこに御奉公したいというつもりで私どもは努力をしております。
次の品種改良の問題でございまするが、私はこれはキビをつくっておるものとして一番大切なことである、何とかいい品種をやらなければいかないという考えを持っておるのでありますが、日本では十分な研究機関も試験場もありませんし、人もありません。したがいまして、現在わが国で植えられておりますキビの品種はNCO三一〇という南アフリカで発明された品種が中心になっておるのであります。私も一昨年向こうに参りまして向こうの試験状況を見ましたけれども、資格を持っておる研究員だけでも四百人おる。広大なる面積でやらなければ品種改良というものはなかなかできにくい状態にあるようであります。しかしながら、私どもは自分で圃場を持って、そこでいろいろ研究をさしています。南アの試験場長も私の方に呼びまして沖縄と奄美の圃場を歩いて回って、これはこうすべきだ、ああすべきだ、こういう品種がいいといういろいろな知識も教えていただいたような状態でございます。
私は品種改良になぜ力を入れるかと申しますると、稲におきましてわせ、なかて、おくてがある、こういうふうにわれわれのキビにおいてもわせ、なかて、おくての品種があってしかるべきじゃないか。われわれは一品種を中心にやっておる関係で一時にキビが登熟する、そうすると集中的にこのキビを圧搾しなければ糖度が下がるというふうなことになりますので、幾品種かがあって、わせ、なかて、おくてのような品種ができれば、操業期間が現在は二カ月か、長いところで三カ月でありますが、これを少なくとも六カ月に持っていきたい。そうすれば、われわれのコストも半減する。工場も半分でいい、従業員も半分でいい。こういうふうな努力をしてわれわれの合理化を進めたいということで、品種改良にいろいろ力を注いでおるのであります。最近、日本におきましても外国から優良品種を取り寄せまして交配させまして、いい国産の品種が出ました。これはNi1という品種でありますが、種子島にだけしかつくっておりませんけれども、こういうふうにだんだんわが国でも私どもの構想を政府においても御理解いただきましていろいろ御配慮をいただいておりますので、やがてそのうちにはわれわれのキビ作というものも相当進歩した形態で経営ができるようになるだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/14
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015・塚本光三
○塚本参考人 ただいまの条件なしでは反対なのかということなのでございますが、私たちは特例法の条文の中でこの項を入れてくれということ、それはもちろんねらっているわけでございますが、審議の中で十分慎重に審議していただき、それなりの手法をとっていただければと思っております。したがって、無条件では私たち反対の態度をはっきりしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/15
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016・今井勇
○今井委員 ありがとうございました。また追加質問もいたしたいのでありますが、私に与えられた時間が超過しておりますので、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/16
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017・金子岩三
○金子委員長 参考人の皆さんにお願いいたします。
ただいまお手元に日程表を御配付いたしましたが、次は社会党の竹内さんは二十分と、こう書いてありますが、これは質問とお答えを入れて二十分でございますから、そのつもりで御答弁をひとつ簡潔にお願いいたします。
竹内猛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/17
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018・竹内猛
○竹内(猛)委員 砂糖に関する法案の審議に当たって、御多忙中にもかかわらず参考人として貴重な御意見をちょうだいいたしましてありがとうございました。私は、各参考人に次の点を御質問申し上げますので、時間の範囲内でひとつお答えをいただきたいと思います。
まず、海江田参考人に御質問いたしますが、砂糖というのは、これは国民にとって不可欠の食糧である。しかも、それが国内では現在二〇%しか生産が行われておらない。八割は海外に依存する。しかも、それが投機という形で非常に相場を伴うものである。不安定だ。こういう形である中で、日蒙砂糖協定のその取り決めの結果もあり、しかも在来からのいろいろな経緯があって過当競争が絶えない。過剰設備もあると言われている。そういう中で千三百億と言われ、千六百億と言われる赤字が出る。こういうものを放置しておいたならばなおさら深刻になるということでこの法案が出たわけでありますが、三年間のこの期間、時限立法でありますけれども、この中に、果たして業界におけるところの今日の状態の中でこれが解消できるという確信、見通しというものがおありかどうか、これが第一点。
第二点は、精糖業界におけるところの体質改善、合理化あるいは構造改善が求められております。そういう中で労使関係というものがきわめて厳しい状態にあるであろう。今日すでに二つの精糖会社が倒産をしている。こういうような状態から考えてみて、労使の間の関係というものをもっと豊かなものにするために、業界の中で砂糖業の再建という問題の話し合いを両方でしていくというお考えはないか、これが海江田参考人に対する私の御質問。
それから、長野参考人に関しましては、先ほど今井さんからも御質問もございましたが、やはり現地における、北海道におけるところの生産努力は相当なものだと思います。近代化あるいは時間の短縮、増産というような形でしているにもかかわらず、なお国際価格に比べてみると割り高であるということがしばしば言われている。したがって、これからなお国内におけるところの、しかも北海道の重要な農産物の一つとしてこれを前進させるためには、政府に対し、あるいはまた砂糖の業界に対してどういうような御要求があるかということをさらにお尋ねをしたいと思います。
杉野参考人にお尋ねいたしますが、先ほどもお話がありましたように、私もまた沖縄方面を現に調査をして現地を見ておりますけれども、確かに米と同じように南西諸島及び沖縄県においては基幹作物であることには間違いない。これを何とかして生産を高め、そして所得が保障されるようにしていきたい、こういうふうに努力をしておりますけれども、現地における努力の限界というものがあるであろう。その限界を乗り越えた要求に対して、やはり幾つかあると思いますけれども、それをなおお聞きをしたいと思います。
そして、もう一つは、現在二つの会社が倒産をしている。もう一つが危うい状態にあるという。その原因になっているものは何か。これに対して金融機関なり関係機関はどのような努力をしているのか、こういうことについてのお答えをいただきたいと思います。
四番目は、塚本参考人に御質問をいたしますが、先ほど四点にわたる御要望がございました。その中で私は非常に重要な問題だと思いますのは、現に企業倒産という形で三重県の東海精糖が二百二十六人、二百人を超える労働者を含んでいまいろいろ悩んでおりますが、この背景になっているものは何であるのか。もう一つは大分でも倒産をしておりますけれども、あわせてそれに関連をしてその背景になっているもの、これに対する各般の処置がどのようにされているのかという点についてお尋ねをします。
それから、しばしばお話に出ますように、砂糖が国際的な商品であり、投機商品であり、国内において二割しか生産がないということからして、非常に不安定である。この法案が通過をした場合において果たして安定するであろうかということについて大変御心配のようであります。したがって、そこで砂糖の需給見通しというものを明らかにし、その需給見通しを立てる場合において、労働者あるいは消費者、生産者、それから業界それぞれが参加をする需給協議会をつくれ、こういう御要請もあります。私たちもこれはやはり当を得た一つの御意見だと、こういうふうに思っておりますが、このことについてやはり中身をもう少しお願いをしたい。
なお、国内産糖の問題や消費者への転嫁、こういうことはやってはならないということも先ほども御意見がございましたが、これはやはり正しいと思う。政府の見通しの甘さ、誤りの中から起こってきた問題を、労働者の合理化や消費者への値上げによってこれを切り抜けるということではなくて、やはりこれは政治的な努力というものが当然金融の面から、あるいは基盤を整備するところのそういう面から行われて、大所高所から行われていかなくちゃならない。その中に働く者がやはり正しく位置づけられるということが正しいと思いますので、そういう点についての御意見をいただきたい。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/18
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019・海江田一郎
○海江田参考人 お答えいたします。
いま先生からお話しの、大事な食糧である、それが日本の中で二〇%以内しかできない、これは現実でございまして、前に暖地ビートその他の問題で国内産糖をふやそうということもあったんでございますけれども、地理的条件その他でなかなかでき上がらなかったというのが現実でございます。したがって、そういうことを構えて、石油ショック以来の事態の解決のために、豪州糖の長期契約において固定価格という無理もあえてせざるを得なかった。これも国内の砂糖の安定ということを念願した業界の姿であったかと実は思っております。
また、過剰設備その他の問題になりますが、これも先ほど申し上げましたとおり三年の期間というものは非常に短い。短いけれども、あえてそれを有効に基礎づけてこの業界の混乱の解決に処していきたい、こういうことでございまして、特にいま御指摘の手数百億のマイナスをどういうふうにして三年間で解決できるか、こういう御質問に対しては、これははなはだ御説明としてはむずかしい問題だと実は腹を据えざるを得ないと思っております。しかし、この問題になりますと、個々の会社のそれぞれの事態、経営陣、組合を含めた従業員全般との話し合い、そして一番大事なのはそれに対する債権者関係、これは商社もございましょうし、金融機関もございましょう。そういう方々と徹底してお話し合いを積み重ねまして、そして、これをどう処理していくかということが結論づけられていくものだと実は思っております。したがって、こういう債務を即売り値に転嫁していくということは不可能ということだけに、なおのことそういう点の整理というものに対してはいろいろな配慮が必要であるかと思います。もちろん一つの例となりますかどうでございますか、いずれは資産の再評価というものも大蔵省でも考えておられるということも聞いておりますが、時間的にそれが合えばそういう面によってその債務の消却というようなこともできれば入ってくる。これは一例でございますけれども、こんなことを含めていろいろな処置、整理、結論を出していくということだと思っております。
それから、次の、こういう大事な問題になりますと、労使関係をもっと豊かなものにする、これは本当にお言葉のとおりでございまして、労使関係の混乱があればその会社は生きる資格がない、そこまで言える大事な問題であると思っております。したがって、そういう意味ではこれもそれぞれの会社という立場になりましょうが、あらゆる話し合い、検討を平常積み上げてきておるわけでございます。
ただ、工業会という立場で申し上げますと、工業会はどうもそれぞれの会社の内部の問題にまでなかなかタッチし得ないという立場でございますし、また組合のある会社、ない会社いろいろございまして、そういう意味で工業会の活動には個々の問題に対しては限界がございます。
ただ、一般の問題といたしまして砂糖業界をどう改善していこうかとか、その他協調していこうかとか、そういう問題は工業会の重要な問題でございます。こういう問題を中心といたしまして、労使と申しますか、経営陣と組合関係者というものが工業会でいろいろ総合的な問題で論じ、話し合い、そして、いい道をお互いにつかんでいくということが大切な姿かと思っております。
以上、お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/19
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020・長野善三
○長野参考人 お答えいたします。
てん菜糖の価格が非常に高いということでございますが、これはサトウキビの砂糖と比べますと、残念ながら、日本同士の話ではございませんが、大きな生産国のカンショ糖と比べますと、これはもう生産性が非常に違います。そういうことで価格が高いのはやむを得ないビート農業の体質であるというふうにお考え願いたいと思います。
それから、もう一つは、国内における価格が高いじゃないかということでございますが、これは日本の農業がやはり米作中心になっておりまして、すべての農産産物が、ビートのみならず米とのパリティといいますか、米が上がればそれに準じて同じ程度のパリティでやっていかなければいけない、そういうことが積み重なっておるのでございます。これを避けますにはやはり生産性を上げるよりほかない。反収を上げるよい品種を研究し、また導入をしまして反収が上がる作物をつくる、あるいは栽培法にもっと工夫をこらすということが必要じゃないかと思います。
また、会社側のコストを下げるという努力は常にやっておりますが、これはやはり経費の節約と、それから歩どまりの向上でございますね。つまり糖分の多い砂糖をつくるということよりほかに方法がない。このことはやはり日夜研究し、工夫しておりまして、今後、だんだんそういう成果もあらわれてくると確信しております。いまのままの割り高が依然として将来に残っていくというふうには考えておりません。
以上、御回答申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/20
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021・杉野精一郎
○杉野参考人 最初の、限界以上の増産対策はあるのかという御質問でございまするが、私どもの現在のキビの反収が五トンちょっとくらいでございます。現在、いろいろな工夫をこらしまして反収八トンに持っていこうという運動を展開しております。
その方法としては、水の利用をもう少し有効にやろうということ、あるいは土壌を深く掘るということで、ホイールトラクターで深耕しておるのを、ブルドーザーにかえてこれを使う、あるいは現在、一種類の配合肥料を使っておりますけれども、土壌調査をやりまして土壌に応じた配合肥料をやるように実施するというふうないろいろなことをやっておりまして、これによって反収を五トンから八トンにしようとやっております。相当の成果が出るものと期待しております。
第二の、倒産会社の倒産した原因はどうか、また現在倒産になろうとしておる会社の原因はどうかという御質問でございまするが、この三社とも、原料不足によるコスト高による経営不振ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/21
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022・塚本光三
○塚本参考人 東海精糖、新光製糖工業の倒産の背景でございますが、大きくは二つあると思います。一つは日蒙砂糖協定の重圧、二つ目には商社の原糖の選別供給、これが大きな原因だと思っております。
先ほど意見陳述の中で申し上げましたように、日豪砂糖協定の協定価格、国際原糖価格の約二倍半という異常な高値となりまして、すべての精糖企業の経営に大きな重圧を加えてきたことも事実でございます。両社とも三井物産、三菱商事の系列下にあります中堅的な企業でございます。この豪州糖の重圧は、両社の経営に決定的な打撃を与えたというふうに理解しております。
さらに、この豪州糖の重圧によって悪化した経営内容のもとで、三井、三菱が、みずからが投下した債権を確保するために原糖の供給を停止した。特に東海精糖の場合には、そういうことが顕著にあらわれております。この債権を一挙に回復しようとしたものでありますから、これが大きな原因だと思っております。特に東海精糖の場合に、今回のこの特例法が仮に東海精糖に対して引導を渡すような引き金となるとすれば、行政の責任の追及は免れないだろうというふうに私どもは理解しております。
それから、需給調整の問題ですけれども、私たちやはり甘味資源特別措置法、糖安法の中に需給調整委員会を設けていただきたい。つまり、これも意見陳述の中に申し述べましたように、三年間の時限立法ということではこの業界はもう安定しないだろうというふうに砂糖に携わる者は思っております。したがって、恒久的な需給調整、しかも、これを農林大臣の権限ということでなくて、より国民的な合意のある需給、消費者も農民もそこで働く者も参加させるような需給委員会を設けていただきたい、そう私たちは思っております。
三点目の問題ですけれども、確かに業界全体の問題に対しては、これは個別の労働条件、経済要求の問題については、個別の労使間で十分話し合って解決していくと思いますけれども、業界全体の問題につきましては、やはり経営者団体と私たちが十分話し合える場というものをぜひ行政的にもつくっていただきたい、そう思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/22
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023・竹内猛
○竹内(猛)委員 時間がありませんので、これで終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/23
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024・金子岩三
○金子委員長 瀬野栄次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/24
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025・瀬野栄次郎
○瀬野委員 砂糖の価格安定等に関する法律の臨時特例に関する法律案について、各参考人から貴重な御意見を開陳していただき、ありがたく拝聴いたしました。
私は去る十月二十六日、二時間近く本法に対する質疑をいたしまして、参考人が述べられたような事項については事細かに政府の見解をただしてまいりましたが、さらに焦点をしぼって、当面重要な問題でございますので、各参考人に時間の範囲内で若干お聞きしたい、かように思いますので、要点を簡潔にお答えいただければ幸いでございます。
まず、全国砂糖労働組合会議議長塚本光三参考人に伺いますけれども、端的に言って労働組合は、この法案は需給調整に名をかりた首切り法案である、こういうような意見を先ほど開陳されましたが、この点についてはそのように端的に理解しているのか、その辺についてもう一度意見をいただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/25
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026・塚本光三
○塚本参考人 私たち、三次にわたる合理化攻撃、これからもさらにそういう事態が深まろうとしている様相がいまあるわけでございます。
私たちは、この法案の背景としてまず一点明確にしておきたいと思っておりますのは、前から一般的な産業と同じように構造不況、設備過剰だ、この業界を立て直すためにはどうしても設備廃棄が必要なんだというふうにいろいろマスコミを含めてキャンペーンされております。そのことが昨年の十二月から五月におきます糖安法十三条による指示カルテルの中でも、体質を改善するということで、具体的にそういう計画が策定されております。このことについて、私たちは、一般的に言われる砂糖産業は設備廃棄をするような過剰設備、いわゆる構造改善を必要とするような産業でないというふうに思っております。したがって、その辺の背景から考えても、この法案ができたときにシェアは確保される、工場をつぶしていってもシェアは固定されるという状況が生まれてまいります。したがって、集中生産、コストダウンをそれぞれのメーカーは図るでしょうし、支援団体である背景の商社も系列内で整理統合を画策されてくる、そういう状況がありますので、私たちはこの法案は背景に首切りがひそんでいるというふうに見定めております。したがって、国会審議の中でも、砂糖産業が一般的に言われる構造改善を必要とする不況業種であるのかどうなのかということを十分御審議していただきたい、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/26
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027・瀬野栄次郎
○瀬野委員 精糖工業会会長の海江田一郎参考人にお伺いします。
いま塚本参考人から述べられましたように、本法の一つの大変な問題点を答弁いただいたわけですが、労組は、本法は首切りまたはスクラップ化を目的とした法案である、端的に言えばこういうように理解をしておられるようでありますが、精糖工業会としてはこの法案をどう見ておられるか。そんなことはないというふうに見ておられるのか、その点、簡潔でいいですから、ひとつお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/27
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028・海江田一郎
○海江田参考人 お答えいたします。
精糖工業会としては、この法案がこれからの業界の再建の大事な柱である、こういうふうに考えております。と申しますのは、設備の削減即人員整理ということはわれわれの判断の外である。判断の外と申しますのは、直接は考えていないというように考えております。
というのは、この設備も確かに多いのでございます。数字的に申しますとこれはちょっと時間がかかりますから避けますけれども、ただ数字だけぶつければ四割多い、あるいは数字の判断によっては二割は多い、こういう意見がございますけれども、これ自体ももっと少ないものじゃないかと実は考えております。というのは、精糖企業というものの体質でございますけれども、紡績のように紡錘を何個カットすることによって処理ができるというような単純なものでございませんで、この体質改善にはいろいろなほかのファクターを入れていかなければならない。そういう意味から数字をずっと追ってまいりますと、二割を割ってしまうというのが限界でございます。そうすると、いま塚本参考人からお話しのように、人間の数へとすぐいくというようなことでなく、何とかできれば吸収をしていきたいということがまず当面の姿でありまして、そういう意味で、問題は、各社のそれぞれの体質によってまた結論は個々変わってまいりましょうけれども、ある線が確保できるのではないかとわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/28
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029・瀬野栄次郎
○瀬野委員 海江田会長からありがたい言葉をおっしゃっていただきました。多少含みのある言葉でありましたけれども、各社の体質等を考え、ある線が確保できるのではないかということであります。
御承知のように、砂糖という商品の性格から言いますと、これは全体の安定があって初めて個別の安定があるということは言うまでもありません。工業会会長は特にそういったことは十分おわかりであります。
そこで、先ほど私が申し上げましたように、本法はいわゆる首切り、スクラップ化がひそんでいるということで労働組合としては大変心配しておるということでございますが、会長としては、設備削減即人員整理ということではない、直接は考えてない、何とか吸収していきたい、こういうお話があったので一応本員は安心はするものの、再度お伺いしておきます。
そういうことで、工業会としては、こういった首切りまたはスクラップ化ということで、いわゆる需給調整に名をかりた整理統合というようなことで、労働組合の皆さんあたりも今後の心配が消えないということで、最大の努力をしていく、こういう決意には変わりないか、また、そういうふうに私理解してよいのか、再度お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/29
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030・海江田一郎
○海江田参考人 いまの先生のお言葉のとおりと思います。あらゆる努力を傾注して、不安のないように配慮したい。ただ、それ自体の再建に当たってはいろいろなネックもそれは当然起こってくると思います。そういうときの心構えとして、そういうふうにありたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/30
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031・瀬野栄次郎
○瀬野委員 いまの決意でしっかりがんばってもらいたいと思います。
さらに、海江田参考人にお伺いします。
そうでございましたならば、従来から精糖工業会と全国砂糖労働組合の話し合いが、話し合いの場は持っても、全部かみ合わずにすれ違いばかりでいままで実効が伴っておりません。こういう重大なときに当たっておりますので、精糖工業会と全国砂糖労働組合が労使積極的な話し合いをすべきである、かように私は思うのです。私は去る十月二十六日、二時間近く質問した際にも、労働省また農林大臣に対しても、勧告をすべきだ、そして、こういったことをひとつしっかり話し合う場をつくって積極的にやれということを強く言っておきました。それについては今後十分指導していくということでございました。こういうときであります。国民の消費にも大きく影響する問題でございます。千三百億以上の赤字を抱えて、それをどうするか、こういった問題についても企業努力でこれを解決してもらわなければならない。これを消費者に負担させては困る。いま砂糖がキロ百七十五円、この法案が通れば百九十五円ぐらいが適正価格であるかのようにいろいろ言っておるようでありますが、そういった点も含めて、国民の主要食糧である砂糖に大きな消費上の負担がかかってくる。いわゆる物価値上げにまつわって消費者に影響してくるというような問題もございますので、国民の重要食糧であるという意味からも工業会と労働組合がよく話し合いをして、積極的にひとつ、三年というと、あっという問に来ます。過去四回もカルテルを結んでやりましたけれども、結んだときには緊急避難、すぐにまたもとのもくあみになっています。三年間はあっという間に来ますので、そういった意味から早速話し合いの場をつくって、本当に国民のためにも真剣にひとつ労使ふところを大きくして話し合いの場をつくっていただきたい、このことを私は切にこの機会に海江田工業会会長に申し上げるのですが、簡潔でいいですから、決意を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/31
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032・海江田一郎
○海江田参考人 お答えいたします。
先生のお言葉を大事にいたしまして、特に善処していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/32
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033・瀬野栄次郎
○瀬野委員 会長からのかたい決意の表明がございましたので、ぜひそのようにしていただきたい。私もそれによって一抹の不安を取り除くことができると思いまして、本当に心から敬意を表します。
そこで、時間が短いものですから、いろいろたくさんあるけれども、過日二時間近く質問をして問題点を明らかにしておきましたから、最後にもう一点、工業会の海江田会長にひとつお尋ねしておきます。この問題は、私も去る十月二十六日、勇気ある発言として今後、将来を思うために発言したわけでありますので、そういう意味で、誤解のないように誠意ある回答をお願いしたい、かように思うわけです。
御承知のように、精糖企業というのは、他の企業と異なりまして、これは装置産業でございます。また、一社一工場でございまして、工場のうち半分を切ってよそへ持っていくわけにはいきません。これは流れ作業で、一社一工場というのが特色であります。また、砂糖というものは白くて甘いということで、北は北海道から南は沖縄に至るまで、どこに行っても砂糖というものは変わりない、上白糖の場合は。そこで、商品に特性がないという意味からも、業界のためにあえて申し上げるのですけれども、今後ブランドの統一を図るということをこの機会に考えなければならぬ、将来三年の間に真剣に考えるべきじゃないかと私は思います。そして、ブランドの統一を図って、北海道はA企業、九州はB企業というようにしないと、輸送もまたいろいろな面でコストが相当かかるし、むだなことが多いので、そういったことをこの際やはり砂糖業界の再建のためには考えていかなければならぬのじゃないか、かように私は思うわけです。また、販路の協定を結ぶことによってむだな運賃を除き、また、いろいろな乱売合戦もなくなるわけでありまして、私はそういったことを真剣に話し合う姿勢というものが大事じゃないか、その旗振りを工業会がすべきじゃないか、かように思うわけです。これは困難ではあるが不可能ではない、かように私は思っておりますが、その決意を承りたい。
それと同時に、もう一つは委託生産ということで、いわば大阪なら大阪でAとBがあれば、Aが大変困難な状態になれば、今度はBに委託生産をするということも、次の次の段階ぐらいでは考えていかなければならない。そして、最終的には合併というようなことも場合によっては考えて、とにかく首切り、スクラップ化をせず、何とか業界が健全な発展をしていくように、また政府も調整機能を十分、本法成立後はきちっとこれを指導監督してやっていく、また業界に対する砂糖のいわゆる総量とその割り当てのシェアによって、業界が争うことがないようにしていくということも重要な問題である、かように思います。
あとたくさん参考人に聞きたいこともありますが、重要な問題を指摘し、いまの問題について工業会の会長海江田参考人に代表してお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思うから、ひとつ慎重にお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/33
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034・海江田一郎
○海江田参考人 お答えいたします。
先生のお話の第一の点、ブランドの統一から入れということ、これはお言葉のとおりだと思います。いままですでにグループではそれを手がけてきておる場合もございます。したがって、こういう問題が将来だんだんと各会社が、いままではグループという考え方で進んできておりましたが、近接地あるいは資本関係が近いとか、そういう問題からだんだんと親密になっていく、これが業界の協調体制の基礎でございますし、これをやることによって初めて三年後の事態も安定が確保できる、こういうことだと思っております。したがって、いま先生のお言葉どおり、まずブランドの統一というようなことは、すでに部分的には始まっておりますけれども、工業会といたしまして前向きでリードしていきたい、こういうふうに思っております。
それから、二つ目の委託生産という問題に対しましては、ブランドの統一ができるような事態ということは、品質が同一になってくるということを意味しております。したがって、お互いに委託生産をするということが可能になってまいります。そういう意味において、そういう進み方をしてまいりますと、委託生産もお互いにして、いま御指摘のとおりの輸送費の削減とか、その他いろいろマイナス点をカットすることによって、当然業界の安定と発展が確保できるという性格のものだと思っております。これは時間もかかりましょうけれども、そういうような方向に向かって話を持っていくということが当然大事でございますので、機会あるごとにそういう線を取り進めるようにしていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/34
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035・瀬野栄次郎
○瀬野委員 参考人の意見、ありがとうございました。
時間が参りましたので、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/35
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036・金子岩三
○金子委員長 神田厚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/36
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037・神田厚
○神田委員 各参考人の皆さんには大変貴重な御意見をありがとうございました。
過日の委員会におきまして、法案の内容につきまして突っ込んだ議論をしてまいりましたが、本日、参考人の皆さん方の御意見をお聞かせいただきまして、若干の御質問をさせていただきたいというふうに考えております。
まず最初に、海江田参考人に御質問を申し上げたいと思うのでありますが、この需給安定特例法、この問題が出てきた背景といいますのは、やはり豪州糖の問題を抜きにして考えることはできない。したがいまして、この法案を運用するに当たりまして、その後の問題といたしまして、豪州糖をたくさん買ったところとそうでないところとの問題を少し考えた方がいいのではないかというふうな意見も方々から聞こえてくるのでありますけれども、こういう点につきまして、工業会といたしましてはどのようなお考えでありますか、第一点であります。
第二点は、この法案が出てくる前の段階で、政府と工業会の間で多少の意見の調整あるいはこの法案を出すための下の話があったというふうに伝えられております。それはどのような形でどういう話し合いがなされたのか、お聞かせいただければと思います。
第三点、この法案の成立後の具体的な運用に当たりまして、大変むずかしい問題をたくさん持っているわけであります。これは農林省が過去の実績に基づいて業界の意見を聞いて総枠を定める、しかし個々の企業のシェアの配分については業界の自主性に任すということになっております。そうしますと、いままででもこのシェア配分につきましてはなかなかむずかしい、まとまりがない、そういうふうな現状の中で、果たしてこのシェアの配分がうまくいくような形で業界の内部で話し合いがなされているのかどうか。これがきちんとされなければ、私はこの法案ができた意味はないというふうに考えているのでありまして、この点につきまして、第三点としてお答えをいただきたいと思っているわけであります。
以上、三点についてまずひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/37
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038・海江田一郎
○海江田参考人 お答えいたします。
第一の御質問の豪州糖格差の問題、これは非常に困難な問題でございまして、格差があるということがコストの違いになってきております。そこで、業界の混乱というものが大きく出てくるということでございます。ただし、その格差というものがよって起こります原因が、それぞれの豪州糖のシェアということで、過去、三年前に決まってしまっている、したがって、これを改正することがそれぞれの会社の損益に大きく影響するという問題がございますので、話し合いは、これが頭の痛い問題なんだというところまでは工業会でもはっきりされるわけでございますけれども、それ以上格差の解消ということがなかなかむずかしい。また、実は行政のお立場にもこれをお願いしたいところなんでございますけれども、特定と申しますか、あるいは半分の会社と申しますか、比較的豪州糖の多い会社と少ない会社ということに分かれましょう。そういうふうな事態である場合に、行政にお願いしてその処理をしていただくということが、これはまたお立場上も非常にむずかしい問題じゃないかということもございまして、考えとしては、当然格差の解消というものが一番スタートになるとは思うのでございますけれども、われわれとしてもそれ以外の事態の中でひとつ業界の改善を図っていこう、こういう姿に腹を据えざるを得なかったということだと思います。
それから二つ目の、今度の法案につきまして行政のお立場に対して工業会はいろいろな接触を持ったというお言葉ではございましたけれども、実はこれは一応御方針が決まってから初めてわれわれは承りました。その前にかえって新聞などでうわさ話としてニュースが流れたというようなことでございまして、工業会が正式に御意見をちょうだいいたしましたときには、この法案は原案としては一応内容が確定していたということであったと記憶しております。したがって、そういうようなことは、その時点そうであったということをいまここでお答えをいたします。
それから、最後にシェアの配分、これは本当に一番むずかしいことなんです。これまた先ほどの格差の解消と同じように、三年間とはいえ業界の大きな損益の基礎になってまいります。したがって、これは徹底した業界の話し合いということが必要でございます。これは業界の責任として、当然自分たちのことでございますから、あらゆる努力を払って決めていきたい。ただ、それにもなかなか限界がございましょう。願わくは諸先生並びに行政のお立場の方々にいろいろ御意見も承りながら、円滑にそれを決定していくように処置していきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/38
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039・神田厚
○神田委員 続けて、海江田参考人に二、三御質問を申し上げます。
累積赤字の問題が一つありますけれども、この累積赤字を解消するという問題につきましては、この法案では直接的にはできないわけであります。したがいまして、会社側の対策といたしましてはこの累積赤字の解消というのをこれから先どういうふうにおやりになるのか、工業会の考え方をお示しをいただければと思うのであります。
それから、もう一つは、要望でありますが、やはり私どもが一番心配しますのは、これらのことによりまして消費者の皆さんが高い砂糖、高い甘味料のツケを回されるということを一番心配しているわけであります。先ほどの御質問にもありましたけれども、ひとつこういうことのないような形で十二分な配慮をしていただきたい、この二点についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/39
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040・海江田一郎
○海江田参考人 お答えいたします。
累積赤字をどうして消すかということは、これは大変普通ではできない、また製品に転嫁して消していくということが許されない、こういう立場でございます。したがって、それぞれの累積赤字が起きた原因あるいは体質、そういうものがそれぞれの会社みな違っておりましょう。こういうそれぞれのケースに基づいて、その会社の経営者は腹を据えて債権者、株主、従業員と話し合って個個詰めていくというのが本来のあり方、またそれがなければなかなか工業会でどうしていくということの言えない性格のものだと思っております。ただ、先ほどちょっと触れましたとおり、それでは価格に転嫁もしないでどうするんだというような御懸念も当然起こり得ると思いますので、たとえば資産再評価ということも将来考えるというようなこともあるかもしれないという点をちょっと申し上げただけでございまして、非常にむずかしいということにおいては重々心得ております。
それから、高い砂糖が消費の段階に行かないように、これは民生産業である砂糖企業でございますから当然な心構えでございます。ことに二五%は家庭直消でございますから、これには大きな問題は、たまたま平均物価以下でございますからないとしても、これを原料としていわゆる製菓関係その他では高くあっては許されない。たださえ日本の砂糖というものは、税金関係あるいは課徴金その他の賦課費用、そういうものをしょっておりますために、たとえばチョコレートとかチューインガムとか、そういう面で世界的になかなか競争ができにくいということもあるかと思います。そういう意味で、われわれも重々心得ながら処理をし、また、その値段の限界というものをはっきり判断しながら進んでいくことだ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/40
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041・神田厚
○神田委員 海江田参考人については最後の御質問をいたしたいと思いますが、先ほどから労働組合の皆さんが心配しておりますように、これから先の問題につきましては雇用の問題が非常に大事だと私どもは思っております。この雇用確保について工業会といたしましては、この法律が進められてさらに業界の体質改善というものの方向性が出されていく、こういう中で、お答えは簡単で結構ですから、ひとつ雇用安定についての御決意をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/41
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042・海江田一郎
○海江田参考人 お答えいたします。
先ほども触れましたとおり、労使の関係というものは親子と申しますか、それ以上の本当の相対の関係でございまして、雇用という問題は将来の回復、発展のためにも当然基礎になります、おろそかにできないことでございますので、したがって、これは個々いろいろなケースもございましょうけれども、一般論といたしまして工業会長といたしましても、雇用の問題はできるだけ大事に配慮するように当然いろいろ話し合いを進めていく、こういう心構えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/42
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043・神田厚
○神田委員 続いて、ビートの長野会長さん、さらに甘蔗糖の杉野会長さんに御質問する予定だったのですが、時間が来てしまいました。私どもは、国内産糖の自給率の向上、そのための国内の基盤の整備あるいは自給率向上のための施策の問題につきまして、いろいろと御意見を聞きたかったのでありますが、先ほどの話の中で、それにつきまして多少お話を伺うことができました。そういう点につきまして今後とも自給率向上のための諸施策につきまして、いろいろな考え方を積極的に御発言いただきたいということを御要望しておきまして、最後に、全砂糖の塚本議長に御質問申し上げます。
私どもは、塚本議長さんのおっしゃることは大変よくわかりまして、そのことがやはりこの法案の一番大事な問題だというふうに考えております。それで、さらに塚本議長さんにおきましては、糖業の安定及び糖業労働者の雇用の確保に関する決議というようなことで、いろいろと政府に対しましてその安定問題につきましての施策をお持ちのようでありますが、このポイントをひとつお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/43
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044・塚本光三
○塚本参考人 私たちは労働組合でございますので、そこで働く労働者の雇用、生活を守っていかなければならない立場にあるわけでございます。
そこで、先ほど来申し上げておりますように、決して設備過剰、設備廃棄をしなければならないような業界ではない。私たちは昼夜兼行で交代勤務をしております。しかも、その労働条件が日曜日も休まずこしらえているような状況になっております。そういう交代制労働日数を年間制限していくことによって、いわゆる需給に見合った生産が可能だというふうに私たち思っております。したがって、私たちも、この砂糖業界の混乱の原因が豪州糖の格差にあったり、それからいま一つ大きな問題として、いままでの自由化以来の競争の中で、ほとんどメーカーとしての権威を失っております。言いますれば、商社の支配力が非常に強化されております。その辺で、メーカーとしての権威を確立していただき、いわゆる国産糖を含めた需給の調整を図り、適切な生産をすることによって秩序ある健全な産業になっていくだろう、そういうふうに思いまして、それを含めました政策を細かくつくり、需給調整を含めまして、いま政府に政策要求を続けているわけでございます。これについては、この法案は三年間の時限立法でございますから、その後またこのような混乱が再現されないように、私たちその政策を最後まで追っていきたい、そういうふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/44
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045・金子岩三
○金子委員長 津川武一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/45
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046・津川武一
○津川委員 参考人の皆さんには、きょうは本当に御苦労さまでございます。皆さんの示唆に富んだお話、業界の非常に容易ならぬ状態、労働界の状況なんかも伺わしていただきまして、ありがとうございました。
私たち、砂糖はカロリーが一番多い食品だと考えております。また、一番いい甘味資源だとも考えております。また、日本の食品、特に加工食品の中で、砂糖を加えることによっていろいろなにおいを取ったり、酸っぱみを取ったり、さらにはまた、パンなどに加えると腐敗や老化を防ぐことができている、そんな大事な国民の食品なので、この需給の関係、これを何とかよくしたい、ここで働く人たちの生活を守りたい、このように考えてきたところでございます。きょうは時間がないので、皆さん全部に質問できるかどうか不安に思っていますが、まず一番最初に塚本さんにお伺いいたします。
先ほどからお伺いしていますと、特に自由化以来、砂糖の需給関係の安定化のためや雇用の安定、正しい労使関係の確立、つまり甘味資源を守るために非常に闘ってこられましたが、その経過をもう少し、関係者もおいでになるでしょうが、その皆さんの闘い、運動に対する関係者の反応なども交えて明らかにしていただければわれわれはまた参考になるかと思うわけであります。これが一つであります。今度の法律案と雇用関係、特にこれは皆さんが強調されておりますが、法律ができるとどうなるか、法律があろうがなかろうがどんどん進んできた企業整理や労働者の首切り、これからも進むであろうそういう労働者の首切り、労働強化の実態などをもう少し具体的に話していただければと思います。工業会の会長さんもおいでになる中で言いづらいこともあるでしょうが、私たち、糖業界の労働関係は必ずしも近代的でない、前近代的だとも伺っております。労使論争の場ではございませんが、その点、差し支えなかったなら明らかにしていただいて、もし、これにまた反論などがありましたら、海江田さんに多少答えていただいてもよろしいかと思います。
もう一つ塚本さんにお願いしたいのは、先ほど四つの提案をしてくださいまして、私たち、なるほどとうなずいて聞いていたわけですが、特にこの中で、恒久的な需給調整をしなければならぬ、これはどう考えて、どうされればいいのかということを話していただければ非常にありがたいと思います。
塚本さんに最後に、これは塚本さんの御意見の中にも出ましたけれども、砂糖会社は商社に系列化されているという点、この実態などもわかっていたら話していただける分だけ話していただければ幸いと思っております。
とりあえずこれだけ伺わしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/46
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047・塚本光三
○塚本参考人 お答えいたします。
まず、第一点目の問題ですが、これもたびたび申し上げているわけでございますけれども、業界全体の問題、これについて私たち何とか経営者の方々ともひざを交えた話し合いをしていきたい、個別の問題は確かに個別の労使の中で、いろいろ労働条件、それから地域の問題等がありますので、個別の労使間の問題はそれなりに進められていると思いますけれども、このような業界全体の安定の問題、やはり私たちいままで三次にわたる合理化、首切りを経て六千人もの人が生活を奪われ、失業しているという状態があります。しかも、御存じのように、砂糖業界はこのような累積赤字を抱えて構造改善が迫られているという状況があります。そういう中で業界全体の問題をぜひ労使で話し合える場をつくっていきたい、そういうふうに私たち願いまして、これについての場をつくろうと思いまして再三呼びかけを行ってまいりました。それにつきましては、どうしても、先ほど海江田会長の方からお話がありましたように、工業界の性格からいっても執行部がそういう形をとり得ないという実情があるというようなことになっておりますので、私たちは個別に経営者にぜひ出ていただきたいという要求をし、そこで有志という形で精糖工業会に出てきてもらって話し合いを続けてきていた経過がございます。しかし、それとても、全体の問題を話し合うという、実際に具体的にどうするかというところに行かずに、単に情勢の話し合い程度で終わってきたのが今日に至るまでの経過でございます。これにつきましては、私たち、この業界をわれわれのそういう労働者の生活、雇用の不安のない健全な秩序ある業界にしていくためにいろいろな考え方を経営者にも出していきたい、そういうふうに思っております。その辺が私たちとしてはいままでの苦しいいろいろな条件の中で一番の問題だったろうというふうに思っております。
同時に、大きくは、これは砂糖産業だけではないと思いますけれども、いまは私たちの雇用問題も、雇用契約のある経営者とだけの話し合いでは解決できない、それに対して支援をしている背景のいわゆる商社なり金融なりがどうしてもそれなりの力を持っておりますので、雇用契約のある経営者とだけの話し合いでなかなか解決できない、そういう側面があります。これについては私たちの一番苦しい闘いの問題だというふうに理解しております。
二番目の、需給調整の問題ですけれども、これにつきましては、やはりそれなりの国内準備が十分できた上の自由化でしたらスムーズにいったんだろうと思いますけれども、先ほど来お話し申し上げております砂糖業界が今日に至った要因というのは、その辺に大きな原因があると思いますので、この三年間の時限立法でなく、やはり需給調整委員会というものを恒久的な形で確立していただくことが、この産業を秩序ある健全な産業にしていくものだというふうに思っております。
その辺につきましては、私たち細かい政策要求につきましては後ほどまた改めて必要とあれば御提出申し上げたい、そういうふうに思っております。
三点目の、この取り組みについて私たちがいかに苦労してきたかということですが、これにつきましては、やはり首を切られていく、職場を失っていく、そういう人たちが一生懸命増産に励みながら、結果的にはそういう経営の実態その他からやむを得ず職場を離れていかなければならない、そういうこの犠牲になった人たちの苦しみというものを、いかにして経営なりその背景の資本なりに訴えていくか、職場を確保していくか、そういう問題については非常に私たちも、いま言いましたように、雇用契約のある経営者とだけの話し合いで解決しないという、そういう側面がありますので、その辺については一番私たちが苦労している問題だというふうに御理解願いたい、そういうふうに思います。
時間もありませんので、簡単ですが、これでお答えにかえさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/47
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048・津川武一
○津川委員 ありがとうございました。
杉野参考人にひとつお願いいたします。
精製糖企業の皆さんが国産糖の買い入れをするときに非常に苦労が多いというお話を伺わせていただいて、非常に私も胸を打たれたわけであります。
そこで、国産糖製造企業の経営を守るため、そういう買い上げの価格の苦労、ここいらはどうなさればよろしいか、ひとつ方針を伺わしていただいて私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/48
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049・杉野精一郎
○杉野参考人 お答えいたします。
私どもの製品の買い上げにつきましては、一つのルールが決まっております。それはちょっと先ほども申し上げましたけれども、原料価格を幾らに見るかということでございますが、これは政府の方で決めた価格が決まっておりますので、それで買わなければならないことになっております。
次の製造経費でございますが、これを幾らに見るかというところにいろいろ見方があるわけであります。たとえば、人件費を幾らアップに見るか、あるいは資材を幾らに見るか、輸送費を幾らに見るか、ここらの見方がいろいろ変わってくるわけでありますが、私どもといたしましては、満足はできないけれども、大体満足に近いようなお取り扱いをしていただいておるということで、私どもは別に異議を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/49
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050・津川武一
○津川委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/50
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051・金子岩三
○金子委員長 以上で、参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人各位には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
この際、午後四時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時三十二分休憩
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午後四時三十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/51
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052・金子岩三
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。柴田健治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/52
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053・柴田健治
○柴田(健)委員 きょうはこの砂糖法案については質疑終了、討論、採決ということで大詰めを迎えたわけですが、私に与えられた時間と、そして田口議員の関連質問で、私は十分ほどでひとつ質疑を終わらせたいと思います。
問題は二つの点でお尋ねしたいのですが、今度の需給調整というか、価格安定政策の法案を提案される最大の理由は、過当競争、そして過剰設備、そのために企業の努力ということで体質改善をしてもらうのだといろいろ大臣は言われたのですが、私は精糖会社の味方をする気はないのですけれども、生産能力は四百万トン余りの生産能力を持って、現在は実質二百八十万トンほどしか需要がない、こう言われておるのですが、私は過剰投資からそして過当競争というのはどうもつじつまが合わないという気がするのですね。いまこの砂糖の一連の流れを見て、国内の生産ということと、そして外国から粗糖を輸入してくる。原料輸入なのですが、この輸入権を持っておるのは商社が持っておる。そして、精糖会社へ精製をやらせるわけです。今度は、できた製品がどういう形で流れておるのか。いまのような過当競争が起きるようなそういう流通を農林省はいままで手をこまねいて見ておったのか。行政指導がいままでの法律でもできるはず、いまの制度でもできるはずなのに、手をこまねいて過当競争をやらせておる。この法案ができたからといって、過当競争はほっておいたらやまらない。いまでもキロ二百二十円から二百七十円の問で売っている。同じ砂糖ですよ。同じ糖分を持ったものが、スーパーでは目玉商品的にキロ二百二十円で売っておるところもあれば、二百七十円で売っておるところもある。消費者は少しでも安いところの砂糖を買おうといって右往左往して買っているのですが、この流通のあり方と、そして精糖会社の体質改善というものとどういう形で結びつけて考えたらいいのか、その点が私にはよくわからないので、大臣として体質改善はどういう形でやらせるのか。ただ機械設備を廃棄処分させるとかいうことでやるなら、ぼくは必然的にしわ寄せが来ると思うのですよ。体質改善をやらせるということは、設備過剰であるからそれを縮小させる。今度は労働力が余ってくるから首を切りなさいという体質改善、いずれは労働者にしわ寄せが来る。過当競争をとめるというたら、消費者へしわ寄せが来るということが出てくるのではないでしょうか。この点の結び、つなぎというものをどう判断したらいいのか、大臣、ちょっとお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/53
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054・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 現在の精糖産業、これは何といっても過当競争と過剰設備、また販売面でのこれまた激烈なシェア競争、こういうようなことで御承知のようにコスト割れを生じて、その経営は日に日に悪化しておるわけでございます。もしそれ商社がこれを抱きかかえてやっていないとしましたならば、精糖企業それだけであれば、もうとうに倒産をするような経理内容にまで悪化しておるということは御承知のところでございます。
そこで、政府としては今日まで糖価安定法に基づく指示カルテルをやりまして、この過当競争等による経営の悪化をできるだけ改善をするという措置をとったわけでありますが、この指示カルテルが一定の期間を経て解除されますと、直ちにまた同じような結果が出てきております。これはやはり三年ぐらいの期間をかけて、そして、この経営の改善、体質の改善、また需給の関係に即応したところの輸入、そういう秩序あることをやらないと国産糖の方の保護政策にも影響を与える、こういうことを総合判断しまして、私は今回の法律改正案というものの御審議を煩わしておるわけでございます。
私はこの企業努力、体質の改善、需要に見合ったところの輸入、そういうようなものをやることが喫緊の要務である、このように考えておるわけでございまして、私はそういう間におきましても直ちにそれが首切りその他につながるものでなしに、労使の間でよくお話し合いを願って、そして犠牲を少なくしながら精糖業界の改善をひとつやってもらいたい、こういう考えを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/54
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055・柴田健治
○柴田(健)委員 もう時間がないからあなたと余り論戦できぬのですが、どうもあいまいでよくわからない。たとえば、流通の過程ですね。精糖会社に企業努力だけやれと言っても、企業努力だけで物が解決するなら、そこに必然的に労働者にしわ寄せが出てくるのはあたりまえのことなので、いまたとえば精糖会社から消費者の段階に行くまでに、商社が販売権をほとんど握っているんですよ。それから、商社というのは倉庫を持たなければ何も持たない。何々卸問屋とかもう三段階になっておる。それで、そこへ荷物が着けば結局自動的に商社の方へ伝票が回ってきて、一キロ当たり何ぼという口銭を自動的に取れるようになっておる。倉庫を持たなければ何も持たない。ただそういう形で流しておる。その商社がなぜそういう伝票だけでキロ当たり何ぼという口銭を自動的に取らなければならぬのか。いまの流通がいいと思っておられるのかどうか、その点をはっきりしないと、精糖会社でこの上限、下限を普通として、中間で百九十五円で決めたところ、それはもうだれが取るのかということですよ。利潤はだれが取るのかということの疑問がそこに出てくるわけですから、この輸入権限を持っておるのは商社しかないとしても、販売権だけは商社から手を引かせる、それくらいきつい行政指導をしないと本当に流通の合理化にならないし、消費者も助からないし、企業努力を幾らあれしたって、マージンを取るところは別に損しようと得しようと自動的に抜くというのは、これは本当に悪質だと思うんですよ。その点の合理化をどうするかという点をお尋ねしたいのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/55
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056・杉山克己
○杉山政府委員 柴田先生のお尋ねのポイントは、一つは、過当競争それから値崩れといってもそれはメーカーだけの責任ではあるまい、輸入する商社にもやはり過当競争を支えるような一つの空気があるのではないか、さらにまた、でき上がった製品を販売する過程における販売競争、しかも商社の系列下の販売店のそういう販売競争の激化が値崩れを招来しているのではないか、そういうところもあわせて直すべきである、こういう御趣旨かと思います。私もそのように考えます。
砂糖の流通につきましては、大きく分けまして大体三つのタイプがあると思います。一つは、消費者向けの小袋の流れ、もう一つは、大口需要者に対する流れ、さらには末端消費者へ直接供給する機構でありますスーパー、デパートへ大量に出される流れ、こういった三つの流れがあると思います。消費者向けの小袋は、メーカーから代理店、さらに特約店、二次卸、小売というような階層を経て、そういう順序を経て流通に供されるということになるわけでございます。その点、大口需要者に対する供給は、代理店あるいは特約店の段階から直接販売されるのが量的には最も多いという状況になっております。中にはメーカーから直接供給されるものもある。それから、スーパー、デパートに対しては、特約店あるいは二次卸の段階からの販売が一般的でございますが、中には大もとのところの代理店から直接販売されるものもある。
そういうような販売系列がいろいろな形、特に、新しい大口の需要者が進出するに伴ってこれが錯綜してまいります。そのことによって、また販売競争が激化される、流通秩序が混乱するということがございます。
それぞれの段階でもってどの程度マージンを取っているかということ、私どものおおむねの推定では、代理店段階、一番大もとの卸の代理店段階では約一%程度、特約店では約二%程度、二次卸の段階では三ないし五%、小売店では一五ないし一八%程度ということになっております。
これらのマージンが妥当かどうかということになりますと、それはやはり大量の商品を多くの荷口に分けてそれぞれの地域に円滑に供給するということならば、商業機能としてそれぞれマージンを取ることは必要だと私ども考えております。ただ、それが本当に妥当な水準であるかどうか、それから過当競争の余りそういうマージンを切ってでも値崩れを起こさせていることはないか、さらには逆に、優越的な地位を利用してマージンを不当にかせいでいることはないか、その点私どももまことに問題なしとはしないと思っております。
この際、せっかく需給調整を図るこの制度の発足に伴いまして、メーカーのみならず、そういう輸入の段階、さらには製品の販売の段階、それぞれ秩序を正す、そうしてコストに見合ったきちんとした価格体系を確立することが必要であるというふうに考えております。また、そのように役所としても指導するように努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/56
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057・柴田健治
○柴田(健)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/57
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058・金子岩三
○金子委員長 田口一男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/58
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059・田口一男
○田口委員 関連で時間をいただいたことにまずお礼を申し上げます。
まず、関連の質問ですから時間が余りないのですが、二十六日以降、この法案の提出されるに至った背景なりその期待するところについて、それぞれの委員の方から御質問があり、お答えが出ておりますから、改めて質問をする必要はないと思うのですけれども、念のために確認をしておきたいと思います。
いままでの政府答弁を要約いたしますと、精製糖、精糖業界は経営が破綻状態になってきておる、そこで業界のみならず、そこに働く労働者の諸君にとっても雇用を不安にしておる。したがって、この状況を打開するためにこの法案というものを考えて、言うならば糖価安定事業団が国内に流通する砂糖の全量を把握して、その上に需給を完全に調整することによって業界のシェアというものを固定していく、そして糖価を安定していく。その安定の仕方は、企業のコストを償うに足る価格形成を図る、こういったことが背景になり、この法案が成立した暁に期待のされる状態だ、こういったことだと私はいままでの質問のやりとりの中での要約をしてみたのであります。
そこで、だめを押すようでありますけれども、いまも大臣のお答えがありましたが、この法案が成立をすることによって、まあ一朝にしてということは無理だと思いますけれども、経営が安定をし、雇用不安が解消されるものである、こういう状態を望んでおると、こういうことでありますか。それをもう一遍ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/59
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060・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 田口さんもう御承知のとおり、砂糖精製業界がこういう極度に経営不振に相なっておりまして、九州の大分県あるいは三重県等において倒産ないし破産の宣言をしたというような事態も現実に起こっております。その職場で働いておられる方々も大変な不安に駆られておる。私は、この二つの会社だけでなしに、いまのままで放置いたしますれば相当そういう事態に追い込まれるような企業がある、こういうぐあいに心配をいたしておるわけでございます。
そこで、いま精糖業界のみならず、構造不況産業というのが幾多ございますけれども、農林省としては、糖価安定法というものがございますから、これを足がかりにして糖安法の改正によって迅速にこれに対応して、そして雇用の問題についても心配のないようにできるだけのことをしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/60
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061・田口一男
○田口委員 そうしますと、これもいままでに質疑があったと思うのですが、いま大臣がおっしゃったような状態、そういう状態にしようとするためには、また、なるためには、現状の業界のどの部分を、さっき言った企業努力が足るか足らないか、商社の介入の問題であるとか過剰設備であるとか流通の問題、いろいろと大臣なり局長からお答えがありましたけれども、ずばり言って、どの部分を改善すればいま大臣がおっしゃったような状態に近づけることができるのか、その点をひとり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/61
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062・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 やはり第一の問題はこの過当競争、どうしても需要に見合ったところの輸入なり、国産糖は私はぜひ自給力を高めていきたい、こう思いますが、特に輸入面につきまして需要に見合ったところの輸入が、一定の計画性を持って秩序のある輸入がなされなければならない。
そこで、需給計画の目安をひとつ提示しまして、そして糖価安定事業団が瞬間タッチでやっておるわけでございますけれども、その全体の需給計画と、また自分のシェアを超えて需給計画を乱すようにたくさん入れるという場合には、これは糖価安定事業団においてはこの売り戻しを一年以内凍結する、こういうようなことで、まず需給の均衡のとれるようなことをする、それがひいては販売面におけるところの過当競争、乱売競争をチェックすることにもなる。そういうことで、安定したところの企業経営ができるようにすることがやはり何といっても根本である。
あとのこの体質の改善、構造的な改善、特に労使の問題というのは、やはり労使間の話し合いによってやるべきであって、役所がこれに介入してどうこうというようなことはすべきでない。あくまで業界、企業内部における労使の問題で、知恵を出し合って、そして、できるだけの経営改善をやっていくということを期待いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/62
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063・田口一男
○田口委員 そこはわかるのですが、いまそういった状態になっている原因ですね。ちょっと細かい数字を挙げて恐縮なんですけれども、また数字が入ってなんですが、過当競争であるとか輸入の問題もありますけれども、それから乱売、こういう状態が起こることは、今日の業界そのものがいわゆる設備過剰であるということは否定できぬだろう。いままでも言われておりますように、きょう午前中の参考人の中にもそれがあったように聞いておるのです。端的な数字の比較をいたしますと、生産能力が四百四十万トン、ところが需要の方は二百六十万トン、したがって四百四十万トンと二百六十万トンの関係では設備が四割過剰である、端的な言い方をすれば。もちろん季節需要なり何なりということで、そういった数字を見込めば、二、三〇%の過剰になるのではないか、こういう言われ方がされておると思うのです。いまの過剰設備を数字的に挙げてずばり四〇%、三〇%という数字は出しにくいと思うのですが、過剰設備の根拠というものをちょっと説明していただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/63
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064・杉山克己
○杉山政府委員 過剰というのは相対的な概念でありますし、それから過剰というものをどうするかという問題意識をどう持つかということによって把握の仕方が異なってくると思います。その意味で、そのつかまえ方、理解の仕方は慎重を要するのでございますが、一応需給関係からの数字で申し上げますと、わが国の砂糖の需要は総体でもって、精製糖で二百八十万トン程度というふうに考えられます。そのうち国内産のビートで供給されるものが約三十万トン、そうしますと二百五十万トンが原糖を溶かしてつくられる精製糖ということになると思います。原糖といいますのはサトウキビの原糖ですが、その二百五十万トンは九五・五%程度の歩どまりということで、原糖に換算いたしますと約二百六十万トン程度になります。要するに溶かすべきサトウキビの原糖は約二百六十万トン。
これに対して生産能力はどのくらいあるかということで見てまいりますと、これはいろいろな見方がございましょうが、私どもは約四百四十万トンと見ております。これをいま申し上げました需要量の二百六十万トンと比較いたしますと、稼働率は約六〇%ということになります。ただ、この差が、四〇%が直ちに過剰かといえば、それはそんなことはないのです。今後の需要の動向というものもやはり見なくてはいけない。需要はそんなに伸びるということは期待しにくうございますが、なお人口増等もあり、若干の伸びはあるだろうということ、それから同じ一年の中でも操業に繁閑がございます。需要期と不需要期、そういう繁閑はできるだけならす必要はありますが、しかし現実にお中元の時期でありますとかお歳暮の時期に備えてある程度操業を高めなくちゃいけないという期間がございます。そういう繁閑も見ておく必要がある。さらに、何がしかの事故等も考えて、余裕を残す必要があるというようなことになりますと、その四〇%が直ちに過剰ということにはならない。どの程度が過剰として考えられるだろうかということになりますと、これは人によって幅のある、見当をつけるような話になりますが、私どもは大体二〇%程度は過剰でないかと見ております。
ただこれも、二〇%がでは直ちに過剰として整理するのかということになりますと、これが先日来いろいろ議論をちょうだいいたしているところでありますが、精糖企業というのは地域的に供給する地域も限定されている。それから、一社一工場的な企業形態をとるものが多い。それから、その工場の設備全体が一つの装置である。したがって、部分的に操業短縮をするというようなことも現実問題としてやりにくい。そういうことになりますと、装置機械設備の整理ということは、言うべくしてなかなかむずかしい問題がございます。それらの実態も考え合わせながら、大臣が先ほど申し上げましたように、雇用問題の点も考え合わせて、現実の経営の問題として、これは労使間の協調も得ながら具体的に処理してまいる、こういう話になろうかと思います。
それから、数字の根拠についてでございます。精製糖の設備能力をどうやって評価するか、その評価方法については種々技術的な問題がございます。もちろん、学問的にこれが絶対確かな方法だということはまだ確立されておりませんが、先ほど申し上げました四百四十万トンの算定は、昭和四十一年に農林省が主催して行いましたところの研究会から報告された機械寸法能力、機械の能力をどのように評価するか、それからセットになっている機械について隘路部分というのがあります。その隘路部分が一番、何というか評価のべースになるのではないか、そういう隘路についてどういうふうにつかまえるか、さらにまたアローアンスをどの程度見るかというようなことによって機械寸法能力を算定する。それをベースにして先ほど申し上げました四百四十万トンというものを算定いたしておるわけでございます。
それから、操業日数でございますけれども、これは各社別にそれぞれ操業の実態というものがあります。操業の実態はかなり企業によって差がございます。その実態を踏まえまして、理論的に算定した平均値を用いております。具体的な日数としては二百六十七日ということになっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/64
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065・田口一男
○田口委員 そうすると、さっきの話、これまた要約いたしますと、単純な数字で言えば、生産能力四百四十万トン、それから需要が二百六十万トン。そこで、操業率からいけば四〇%が過剰、しかし、いま言った季節的にいろいろな変動がある。地域的にも問題がある。それらを考えると二〇%。だから、二〇%と言い、四〇%と言っても、過剰ということには即ならないという受けとめ方をしていいのですか。即過剰だ、もっと強い言葉で言えば、余っておるのだからつぶしてしまえ、こういう言い方には通じないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/65
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066・杉山克己
○杉山政府委員 一義的になかなか言いにくいことがございますが、いまの御質問、なるべく要約して、結論的に言えという御趣旨のように存じますが、四〇%が過剰だというふうには私ども考えておりません。四〇%は、いまの能力からしてそこまで生産できるということでございます。それと需要量との差はギャップではありますが、それが過剰だというふうには考えておりません、大きいということは言えましても。では、過剰になる部分というのはどのくらいだろうか。削っても可能なというか、いまの需要を十分満たし得るような生産の過剰部分というのはどれだけだろうかと言えば、これは見当で申せば二〇%程度であるということでございます。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
ですから、数字的に強いて言えということならば、二〇%程度が過剰であるということになりますが、ただ過剰という考え方については、先ほども申し上げたことを繰り返すことになりますが、すぐに整理せい、これをなくせという話になると、これはまた別な次元の問題が一つあるということを申し上げたのです。過剰である事実には変わりないと思いますが、それをどう扱うか、どう処理するか、これは企業の自主判断も伴う全体の経営努力の中の問題として処理していく必要がある問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/66
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067・田口一男
○田口委員 おっしゃるとおりだと思うのですよ。すぐに、二〇%なり何なりが出たとして、それをどんぴしゃりということにはならぬだろうと思うのです。しかし、私はもっと細かい数字でお聞きしたいのですが、さっき局長がお答えになったように四百四十万トン、そこでいろんな生産能力というものについての見方のお答えがあったのです。では、年間の操業日数が二百六十何日となると、そこで簡単に逆算をすれば日産能力というのが出てまいりますね。四百四十万トン、操業日数が二百六十何日、そうするといま日産能力が大ざっぱな計算で一万六千トンか一万七千トンという日産能力ということになる。計算をすればそういうことになりますね。その場合に、一万七千トンと押さえたときに、これはもう専門家の大臣、局長ですから言わずもがなのことだと思いますけれども、糖種によって操業日数なり何なりという時間の差がある。こうなってまいりますと、私はきょうは専門的なことではなくて労働者の雇用という面からお尋ねをする立場で言っておるのですけれども、糖種の違いがある、いろんな違いというものを考えれば、過剰だ、過剰だということが即きょう法案が通ってあした首を切るとか、一カ月後に首を切るとかということがないにいたしましても、過剰設備即過剰労働だということには当たらぬというふうに私は思うのですけれども、そういうふうに理解ができるかどうか、この点、局長どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/67
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068・杉山克己
○杉山政府委員 先生のおっしゃられるように、過剰だからといってそれを直ちに整理するとか合理化でもって廃止するとか、そのことにはすぐにはつながらないと思います。
それから、この法律ではそういうことを義務づけたり条件としているわけではございません。ただ、一般的に、精糖企業は企業経営が不振である、それから企業努力に欠けるところがあるという指摘がなされております。その中で努力を要請される、また、みずからその努力を今後続けていくということになれば、そういう設備の問題も含めて、労使関係の問題も含めて、いろいろ話し合いながら改善を探っていくということになろうかと思います。
ですから、私ども直ちにそういう雇用問題をどうこうということではないと思います。ただ、この法律によりましておよそ経営の経済環境すべてを一〇〇%問題をなくする、きわめて安易に望ましい状態が実現できるというふうには考えておりません。経済問題としてはかなり深刻な事態が、この問題によって相当程度改善を図られるにいたしましても、今後続くと思います。この法律自体が直ちに設備廃棄あるいは人員の首切りというようなことを予定するものではございませんが、全体としての経営努力の中でそれは今後いろいろ労使協力して解決に当たっていくべき問題であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/68
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069・田口一男
○田口委員 私は、過剰設備即過剰労働といった単純な図式でくどいほどお尋ねをするのは、いま局長がおっしゃったように、この法案のどこを読んでもそれによってばっさりやれとかということは出ていないことは認めています。しかし、業界の姿勢といいますか、物の考え方が、たとえば具体的な事実なんですけれども、去年の暮れ指示カルテルを出した場合、それから引き続いて本年の春指示カルテルを継続をしたときに、おたくの方から工業会あてに一連の文書が出されておりますね。この文書を読んだ限りについては、指示カルテルをやるんだから業界でひとつ適切にやってもらいたい、こういう文書ですから、それはとがめはいたしません。ところが、おたくの方から出された文書に対して精糖工業会がどういう対応をしておるか。これを読みますと時間がありませんから、そのくだりは省略をしたいと思うのですけれども、はっきり言って、二割程度余る、余ったものは、一企業か一工場か別として、それはひとつつぶそうじゃないか、つぶすに要する金はキロ当たり三円の補償金か何なりをとってお互いにめんどうを見ようじゃないか、労働者については雇用安定資金というものがあるからそれの方に乗せていこうじゃないか、こういうことを体質改善委員会というところで、手続としては精糖工業会の会長あてに答申をしておるのですね。
こういった流れをずっと見た場合に、さっきから四百四十対二百六十、四割と二割、三割といった過剰設備、これは一遍に首切りではないとは局長おっしゃいますけれども、すでに業界の対応が、余ったものはつぶしてしまうのだ、そこではみ出た労働者についてはどこかの受けざらがあるからそれに任せなさい、どうも安易に過剰設備に対する考え方、過剰労働力に対する考え方が出ておると思うのです。
そこで、くどいほどこの日産能力やそういった問題について聞くのでありますが、いま仮に日産一万七千トンとした場合に、糖種によって日数が変わってくる。また、労働形態にいたしましても、各企業によって四直三交代、三直三交代といったいろんな勤務形態をとっておりますから、そういうところもこれは労働省が指導すべきでしょうけれども、体質改善、経営改善という面に含めて農林省がおやりになるならば、いまのは業界が安直に二割余ったから二割つぶす、つぶした費用についてはお互い金を出し合って、そして労働者は他のところにめんどうを見てもらう、こういうことにはならぬのではないのか、私はこう思うのですよ。そういう点について、私はここで、二割は過剰じゃありません、即過剰労働力じゃありませんという答弁をいただきたいのですが、そんなことは言ったって無理ですからなんですけれども、そういう業界の対応に問題があるのじゃないか。それを行政の側から、ひとつこういった法律がいま立法されようとしておることに絡んで、もっと強く業界の姿勢というもの、労使の円満な話し合いといったものを示唆する必要があるのじゃないか、指導する、これを言いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/69
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070・杉山克己
○杉山政府委員 過剰というのは、どういう操業をしているかということと、それから設備がどれだけあるかということ、相関の問題であろうかと思います。その意味では、先生おっしゃられるように、精糖業界は企業によって五直であり、四直であり、三直、二直、一直と実にさまざまな直が立つような制度というか、実態になっており、それから交代も三交代、二交代、いろいろあるようでございます。逐次、四直三交代というのが一つの支配的なというか、中心的な傾向として落ちつきを見せつつあるようでございます。しかし、企業によってまだ相当の差があるというのが実態でございます。私ども現在の能力を算定するに当たっては、これらを何か理想的なある就労形態に引き直して、そして全体としての推定能力を出すというのでなしに、現実にそういうふうに働いておられる、あるいは操業している企業の実態に即して能力を算定いたしております。
こういう就労形態について改善を図るべきであるということでございますが、同種の企業といいますか、同じ業種の中の企業でありますれば横のバランスというのは当然考えられてしかるべきだとは思います。もちろん企業によって個々の経営の事情の差がありますからそう簡単にはいかないにしましても、そういうバランス感覚は経営者は持ってしかるべきだと思います。その点、しかし、また逆に、一人当たりの年間溶糖能力が、一番能率のいいところは千トンを超えるようなところもございます。大方のところは四百トン程度におさまっておるのでございますが、能率の少しいいところは六百トン、七百トンというふうに企業間の能力差がかなりあります。それから、現有の設備についての稼働率も、能率の高いところは八割以上、能率の低いところは四割程度というようなばらつきが見られるわけでございます。そういう意味を含めまして、私どもは老朽非能率の設備のあるものはできるだけ置きかえていくということは方向としては当然ある話だろうと思います。
そこで、確かに前の指示カルテルの際に構造改善について長期的な展望を持つようにということを役所の方からも指示いたしましたし、それから、それを受けて業界内で種々検討が進められております。その方向としては過剰設備を整理するんだという考え方に立っております。私は、非常に能率的な工場もあり、そうでないきわめて非能率的な工場もあるなら、そういう合理化の過程というのは必要であると思っております。ただ、それを現実の雇用形態なり企業の置かれている状況というものを無視して、一律機械的に、短期間に強制して、何か工場整理をするんだということには結びつけないでよろしいんじゃないか、やはり現実の実態を踏まえながら、ある程度の期間をかけて、首切りとかなんとか、そういう労働問題を生じないような形で、企業の中でまさに経営者の知恵をもって労使の話し合いのもとにうまく解決していくということが望ましいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/70
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071・田口一男
○田口委員 おっしゃるように、労使の関係は労使間で十分誠意をもって話し合う、これは基本だと思います。しかし、いま言った業界の体質改善委員会なんかの答申の内容を見ておりましても、さらに、これはもう数字的に御存じだろうと思いますが、一つの例として昭和三十九年から本年の春先までのそれぞれの精糖メーカーごとの従業員の推移というものがあるのですが、一々言いませんけれども、総計で言っても三十九年には七千八百五十七人もの労働者を抱えておった、それが本年の春には五千三百三十一人に減ってきておる。三十九年から五十二年までの間にまさに三四%も人員が減らされてきておるわけですね。こういった傾向の中で、この法案には設備の廃棄をしなさいとかどうとかということは一言も書いてないにいたしましても、客観的な情勢は過当競争、乱売、過剰設備ということは言われておるんだから、この際ひとつ、何割になるかは知らないけれどもスクラップをし、スクラップに伴って労働者もほうり出してしまおう、こういう一連の道筋を歩んでいくのではないか、いままでの流れを見てもこう危惧するのは無理がないと思うのですね。したがって、私は、ここでどうしてもこの雇用保障、一番初めに大臣のお答えになったように企業の安定、雇用不安を解消する、こういったことを目的とするんであるならば、やはり雇用保障の歯どめというものをどこかに設けておかなければならぬ、この歯どめというものを一体どう考えておられるのか、これなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/71
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072・杉山克己
○杉山政府委員 雇用の問題は、私は基本的には経済の問題であると思っております。経済環境が精糖業界にとってはきわめて厳しい。この法律が出ることによって多分業界も協調するでありましょうし、役所も指導するということによって製品の価格は何とか回復できると思います。しかし、それでもって完全によくなるかと言えばまだまだ苦労は続くと思います。その意味では、この法律はいわば自主的な努力をする基盤を整備する一つの最低限の条件を満たすという効果を果たすことはありますが、企業の繁栄を保障して雇用がいささかも不安ないというようなところまでは保障する力は持っておりません。ただ、いままでよりは経営が安定することによって雇用の安定に貢献するということは当然言えると思います。その意味では、私はこういうものも一つのステップとして、将来の企業努力によって雇用安定をさらに図るということを努めるべきだと思います。
この法案を出した際に、単にそういう企業の一応の地盤をつくるとか価格面での回復を図るということだけでなしに、もっと積極的な、雇用を全く不安のないような形での具体的な強力な対策がとれないのかというお尋ねのようでございますが、それまでの力は、率直に申し上げましてこの一片の制度だけではむずかしゅうございますが、このことを契機に、何か直接雇用不安をもたらすようなことのないように、全体として、特に従来労使の話し合いも十分持たれておらなかったというような指摘も聞きますので、そういう問題について、もうこうなれば経営者側とか労働者側というようなことでなしに、まさに企業が全体一体となってこの難局打開に協力していただく、そのために十分話し合いの場を持っていただくということが必要ではないか、そのために役所もそういうことができるように指導をするようにしてまいりたいというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/72
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073・田口一男
○田口委員 確かにおっしゃるように、雇用問題は経済ですから、この法律がうまく運営をされたにしても、これは完全に一人の出血も出さないといったようなことは言えないと思うのです。ただ、私は歯どめとして、それに関連をしてこういう考えを持っておるのですが、そちらのお考えを承りたいと思うのです。
それはいまのシェア割りの問題ですね、シニアをどう配分するか、このことについて、需給調整の結果シェアというものを固定するのか、または極端な話でございますが、毎砂糖年度ごとに再配分をするのか、こういう点で多少違ってくるんじゃないかと思うのです。それは局長、ある席で、私も同席をしておって、組合との話し合いの場なんですが、ちょっと意識過剰といいますか、被害妄想ではないかというようなことも言われたのですけれども、それは別として、こういう危惧すら持っておるのですね。仮にシェアを固定する、そうすると、何か利権というふうな言葉も委員から出たそうですか、そうではなくて、商社の介入ということは必然ですから、当然にシェアというものが業者間で売買される。五%なり一〇%なり持っておる一業者が他の業者に売ってしまって、自分のところをスクラップにしてしまう、こういうことも起こり得るのではないのか。そして、もうシェアがなくなったからこの工場はやっていけません、こういうことではスクラップ化をますます促進させる。したがって、私はあえてスクラップ化と言いますけれども、そのスクラップ化の歯どめとしてシェア割りの方法を検討する必要があるのではないか。条件が不変として、固定か再配分か、こういう点はどういうお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/73
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074・杉山克己
○杉山政府委員 この法律の二条と三条の関係でございますが、二条では、事業団に対して法第五条第一項の規定による指定糖の売り渡しの申し込みがあった場合において、その申し込みをした者の一定期間ごとの指定糖の売り渡し申し込み数量を合計した数量が通常年におけるその者の当該期間ごとの指定糖の売り戻しの数量を合計した数量を超えるときは、とございます。ちょっと条文どおりですとわかりにくうございますが、要するに、輸入をしたいという者が過去の通常年における実績を超えて輸入をしたいと言ってきたときは、ということになっております。そのことは、通常年の数量の範囲内の数量であるならば何ら報告する必要もないし、当然規制を受けることもないということになります。その通常年における過去の実績数量というのは、これは通常年をどのような時期、どのような幅でとるかということは検討する必要がありますけれども、一遍決めれば、これはこの期間、三年間固定されます。そして、実際に規制を受けるのはどうかといいますと、そういう過去の実績を超えて申し込みをした場合、その申し込みをした者が最近におけるもろもろの事情を考慮してもなおその売り戻し数量等から見て過大であるというふうに認められた場合、しかも、その売り戻しが行われるとすれば、砂糖の需給の見通しに照らして需給安定に悪影響を及ぼすおそれがあると認められた場合、そのときは売り戻しをおくらすことができるということになっております。ですから、いま申し上げましたように、過去の通常年における数量は一たん確定したらこれは動きませんが、実際に売り戻しをおくらせる、規制を受けるというのはかなりそのときそのときの事情も反映して、砂糖の需給の安定に悪影響を及ぼすおそれがあると判断されたときに、機械的ではなしに、その売り戻しが延期されることがあるということで、そこは運用上の余地があるというふうに考えておるわけでございます。
それから、そういうことで一つのシェア、これは商売がそれだけよけいできるか、あるいはよけいできないかというような話になってきますと、金銭的、経済的な問題が絡む、したがって利権化する問題があり得るのではないかということでございますが、私どもはこれは白地に絵をかくような話ではなくて、過去の通常年における実績というものをベースにしておりまして、それを上回る場合の部分的な数量の話である、それから従来の過去の経験に徴しまして、この点については厳正の上にも厳正を期してそういう問題を起こすことのないように運用してまいりたいというふうに考えております。
それから、売買云々というようなお話がありましたが、私どもは、その申し込みをした者の一定期間ごとの云々というようなことを規定しておりまして、対象企業に着目してその枠の設定を考えております。したがいまして、それの売買ということはこの法律の形では予定いたしておりません。もし、そういうようなことが実質あり得るとすれば、それは吸収合併するとか、企業ごと新しく継承されるというような場合には、その実績が申し込みをしたものとして新しいものの中に算入されるということになるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/74
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075・田口一男
○田口委員 もう時間がありませんが、もう少し聞きたいのです。思い過ごしか知りませんけれども、いま言ったシェアの扱いをめぐって業界の自主性ということに任していってしまうならば、今日は確かに過当競争をするような状態になっておるのですが、三年先には寡占状態になってしまうのではないかという気さえするんですね。いまは過当だけれども、そのシェア割りをめぐって三年先には寡占状態になってしまう。その過程においてスクラップされる企業があり、そこから労働者はどんどんほうり出されるんじゃないか、そういう気すらするものですから、その辺はひとつ行政の側で十分な配慮をしていただきたいと思います。
最後に、この特定の企業の名前を出してちょっと恐縮なんですけれども、さっき大臣、九州の企業の名前、三重の名前も出ましたから私は言うんですが、破産とか倒産という表現がありましたから。三重の東海精糖に限って、ひとつどういう認識を持っておるかということをずばりお聞きをしたいのですけれどもね。まあ事情は御存じだろうと思うのですが、昨年の九月二十七日から機械がとまっております。全くとまっておる。賃金も本年に入ってからは支払われていない。そこで、関連の労働組合、地域の労働組合からそれぞれカンパをしたり、またそこに働いておる労働者、家族を含めて行商をしたり労働金庫から金を借りて、いまお互いに助け合って、企業再建ということを唯一の望みにして今日まで来ておるんですね。その東海精糖というものは、これはたとえで言いますけれども、労働者側としてはすでに鬼籍に入っておると見ておるのか、これからこの法案が成立をすれば、まだいま多少息をしておるけれども、とどめを刺すというふうな状態になると見るのか、この現状をどう見ておるのか、ひとつお答えをいただきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/75
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076・杉山克己
○杉山政府委員 大変現実的、具体的な御質問でお答えのしにくいところもあるのでございますが、いろいろ経営上の悪条件が重なって事実上倒産といいますか、経営が行われなくなっているという事実はもう事実としてここしばらく続いているわけでございます。ただ、裁判上で言いますと、破産申請は出されておりますけれども破産宣告が出ていないというふうにも聞いております。また、関係者同士がいろいろ話し合いをしているというようなことも聞いております。
私どもの考えでは、本特例法に基づく需給調整措置の運用の場合、そういう経営者が公式に経営の継続の意図がないということを明らかにしているような企業をほかの企業と同じように扱うというわけにはなかなかいかない、そういうことは現実的でないというふうにも思いますが、いま申し上げましたように形式的には破産宣告が出ていない、関係者の間で相談もまだなされているというようなことも聞いております。そういう意味で、鬼籍に入ったとは申し上げません。むずかしい問題はありますが、今後の事情の変化も見ながら検討していく問題であろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/76
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077・田口一男
○田口委員 重ねて念を押したいのですが、いまのところは鬼籍に入っているとは思わない、となると、通常年とかなんとかいう第二条の関係も出てくるのですけれども、東海精糖そのものは鬼籍に入っているとは思えないのだから、通常年のとり方はどうとられるか知りませんけれども、若干の情勢の考慮はしなければならぬけれども、生きておるものとみなしてシェア割りなり何なりはやっていかざるを得ないだろう、こういうことにもなるのですか。シェアは何%か知りませんけれども過去持っておった。去年の九月までですね。それでいまちょっと横になっておるわけですね。まだ鬼籍に入っていない。お医者さんのやりようによってはまた息を吹き返すといいますか、立ち直っていく、こういう状態にあることに対しては、むずかしいでしょうが、どんなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/77
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078・杉山克己
○杉山政府委員 確かに東海精糖、いま操業はいたしておりませんが、過去の通常年における輸入をした、あるいは売り戻しを受けた実績はございます。それはその数量として確認され得ますが、ただ現実の経済の問題といいますか、この運用の問題といたしましては、単に過去の数量、輸入実績ということだけでなしに、東海精糖も豪州糖の負担を背負っておったはずでございます。豪州糖の負担、これをこれからどういうふうに処理をするのか、いわば権利的に考えられる過去の通常年の輸入数量の実績だけでなしに、負担義務と考えられる豪州糖、このシェアをどう扱っていくか、それから、そういう実績をベースにしてシェアが確定されたといたしましても、それから豪州糖の問題についても、処理というか、業界全体での納得のいく解決が図られたといたしましても、そういうシェアのもとでの操業が行い得るかどうかということは、これはまさに経営の問題であろうかと思います。
いろいろむずかしい事情がございますが、私がこの席でそういう経営は成り立たないというようなことを申し上げるのは妥当でないと思います。関係者もいろいろ努力をされているということも承っておりますので、それはいま申し上げましたようなむずかしい問題全部を含めて、今後広い、広いといいますのは業界全体の協調という意味も含まして、関係者間の話し合いを見ながら現実の事態の進展を見て検討していく問題であるというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/78
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079・田口一男
○田口委員 最後にいたしますが、私はあえて特定企業である東海精糖の名前まで出したのは、それだけのことじゃないのですが、やはり今度のこの法案が提出をされたその審議の過程ですでに十分御理解もいただいておると思うのですが、雇用不安というものを大変強く持っております。しかも加えて、相手の企業なり企業の集まりである業界と労働組合といったものとが、はっきり言ってどうも円満に話がされていないのですね。意思疎通を欠いておる。だから、何回も大臣が言われたように、企業努力だけではだめでしょうけれども、企業努力もしていく。企業努力をするためには働いておる労働者の積極的な協力も必要になってくるんだ、となると、円満な話し合いが必要だ。そういった話し合いができるように農林省としてもひとつ積極的に指導をする必要があるし、そして私はシェアの問題に言及をいたしましたけれども、そのことによって、そこに働いておる労働者もシェアだけは確保する、そして企業の経営、さらに消費者価格というようなものも横目に見て、それに積極的に協力をしていこうという気になるんじゃないか。したがって、最後に私は、これはお願いをしておきますけれども、これほどむずかしい状態になってきておるのですから、これは農林省の所管じゃないとかどうとかでなくて、ひとつ労使の話し合い、端的に言うならば精糖工業会と全国砂糖労働組合という団体があるのですから、その問の積極的な話し合いを持つように強く指導してもらいたい。その中から、この法案の期するように経営の安定と雇用の不安解消、これが実現できるようにひとつ積極的な努力をお願いをしたい。このことを申し上げて、決意のほどを聞かしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/79
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080・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 私、冒頭に申し上げましたように、精糖業界の現状は、放置できない非常に困難な事態に当面をしておる。そこで、政府としてなし得ることはどういうことか。いろいろ検討いたしました結果、今回の法律の改正によって需給の関係というものを正常な姿に持っていく、そういう環境条件のもとに過当競争もひとつ是正をしてもらう。また、そういうベースができるわけでございますから、業界は労使を含めてこの際業界の経営が安定をし、回復をするように努力をしてもらいたい。いまのままで放置すれば精糖業界全体が非常な危機に陥り、雇用問題も深刻な事態が発生するであろう、それを回避するために政府としてはこういう努力をしておるのだということで法案の御審議を願っておるわけでございます。したがいまして、そういう気持ちから出た問題でございますから、いま田口さんお話しのように、労使の間でいろいろ不信感があってなかなか話し合いもうまくいかないというような状況でありますれば、農林省としても、労使の間が円満に本当に再建の方向に向かって話し合いができるようにできるだけの指導もしてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/80
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081・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 竹内猛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/81
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082・竹内猛
○竹内(猛)委員 砂糖の価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案について、私は、本日の午前中、関係者のいろいろな参考意見なども承りまして、また過般二十六日には一般的な質問がございましたが、そういう問題を総括的に質疑をしていきたいと思います。
まず最初に、砂糖の食糧におけるところの重要な位置づけ、こういう点から考えまして、最近は国内における消費が減ったとは言え、なお二百八十万トンほどの砂糖の消費があります。それに対して国内産糖は大体二〇%の生産状態である、海外からこれを輸入しなければならない、しかも、それは大変相場を伴うものであって不安定である、こういうところから実は砂糖における特殊的な問題が起こってきた。なかんずく巨象砂糖協定に基づいて起きてきた一つの業界における過当競争あるいはその他の諸問題からして、このままでほっておけないということから本法案が出されたと思いますが、この法案を出した意義というものをもう一度ここで再確認をして、その線に沿って集約をしていかなければならないと思いますけれども、その出した意義をもう一度ここに明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/82
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083・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 第一点は、砂糖に対する食糧政策上の私の認識の問題でございますが、私は国民生活が多様化し、また向上してきておる中におきまして、砂糖は食糧の問題としても、国民生活の観点から見てもこれは重要な食品である、このように私はとらえておるわけであります。したがいまして、これを消費者である国民の皆さんに量の面でも価格の面でも安定的に供給するということが必要である。また一面、国産糖のてん菜あるいはサトウキビの生産に当たっておる農民の諸君の立場を考えましても、私はどうしてもこの精糖業界の安定、現在、体質的に過当競争の弊害に陥っておる、こういうような問題を是正する必要がある。また、竹内さん御指摘のように、砂糖は国際的に非常に価格に乱高下のある特殊な商品でございます。これもひとつ事業団の運営等を今回の改正によってさらに機能を充実しまして、そして海外における乱高下がそのまま消費者の方に反映しないように、悪影響を与えないように、これが一つのクッションといいますか、緩衝地帯になってそういうことが図られるようにしたい、こういうことが一つの認識でございます。
それから、もう一つは、先ほど来申し上げておるのでありますが、現状のようなままに精糖業界を放置しておきますと、これは一、二の会社だけではなしに、全体として大変な経営のピンチを招来する、それは雇用問題にもつながる。
こういう認識からいたしまして、私どもはこの際、業界が立ち直る環境条件をつくる最小限度の措置として今回の法案の提出をいたし、御審議を願っておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/83
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084・竹内猛
○竹内(猛)委員 問題の再確認をして、その再確認したところから一つ一つ詰めてみたいと思います。
そこで、まず第一点は、これは三カ年間の時限立法でございます。したがって、この法案が成立をしてから三カ年間に、いま問題になっているところのまず第一に精糖業界における千三百億ないしは千数百億と言われるこの赤字を解消し、再建をする、こういうことがどのような努力によって行われるか、まずこの点を御質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/84
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085・杉山克己
○杉山政府委員 この法案は三年の時限立法でございます。まず、その三年間に何を期待をするか、どこまで回復し得るかということになれば、私は、大臣も申し上げましたように、最小限の基本的な条件を整備するということで、このことによって三年間のうちに企業がすっかり安定を取り戻す、そして千三百億の赤字も解消をする、そういうようなことは、これは望むべくもないと思っております。
ただ、こういう措置をとることによりまして、企業の健全な通常の経営のあり方というものが回復される、しかるべき水準の安定した利潤も確保し得るということによって、企業が長く存続し得る。そのことによって千三百億というように、あるいはもっと大きいかもしれませんが、思われる赤字も時間をかけまして逐次解消を図っていくということであろうかと思います。
千三百億自体の赤字の額はきわめて大きゅうございますから、そう短期間に解消し得るとは思いません。これにつきましては、それなりに各企業によって事情も異なりましょうが、この債務といいますか、繰り越し赤字の解消計画、それらを今後真剣に努力して打ち立ててもらっていかなければいけないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/85
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086・竹内猛
○竹内(猛)委員 この場合に、私は三点にわたって非常に心配することがあるわけです。
まず第一は、なるほど原糖の買い入れ等に関しては一定の制限をされる、それを超えた場合には事業団によって抑えられるというような形がとられて、過当競争の部分についていままでのようなことは恐らくなくなるだろう。だがしかし、その赤字を解消する場合に、第一に考えられることは、消費者に向かって消費者価格が引き上がるのではないか。この法案に関する新聞の論調の多くは、消費者価格が引き上がる、こういうことを新聞はかなり書いております。したがって、消費者価格を引き上げないでいくという保証について、どのような処置をとられるか、これが第一。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/86
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087・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 この法案の改正案を作成するに当たりまして、一番その点を私ども配意をいたした点でございます。現在のような過当競争のもとにおいてコスト割れを生ずるようなそういう状況下において、また流通面においても乱売競争をやっているというようなことで、現在の末端価格が健全な価格である、こういうぐあいには私は見ておりません。こういうものは長続きするものではない、ますますそういうことで企業は破綻の一途をたどるのみである。そこで、やはり健全な経営、そして末端価格においても適当な価格、コスト割れを生じないような安定的な経営もできるようにということが健全な消費者価格になっていく。この法案によって、それ以上に不当に値上げをして過去における累積赤字千何百億というものの補てん財源を急速に生み出そうなどということは、これは許されないことでございます。
そういう趣旨でございますので、その安定的な輸入、需給の関係、そして経営の合理化、健全化、それを通じて生まれてくるところの適正な消費者価格、これがなければ国民生活に安定的な供給もできませんし、価格も安定をしない、業界も安定をしない、こういうことであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/87
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088・竹内猛
○竹内(猛)委員 もし、その業界が、この法案が通った後で値上げをする、消費者価格を政府が心配するように値上げをした場合には、そういうことがあってはならないけれどもあったときには、それをどのように抑えるという保証はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/88
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089・杉山克己
○杉山政府委員 物の価格でございますから現実に毎日毎日変動する、時々刻々の動きをとらえてみますれば、あるときは高いような事態も出てまいるかもしれません。
ただ、この法律の規定からいたしますと、第三条の一項一号のところでございますが、次のような場合には売り戻しの延期をさせる、つまり規制をするというような、そういう命令はできないことになっております。その次のような場合というのは「精製糖の価格が平均生産費を上回って推移している場合」、それから二号でございますが、「その命令をすることによって一般消費者又は関連事業者の利益が不当に害されるおそれがある場合」、もう少し具体的に申し上げますと、精製糖の価格、これはたとえば卸の価格で言いますと、現在はキロ当たり百七十五円くらいでございます。これが平均生産費、コスト見合いということになりますと、百九十五円ぐらい。これはもちろん原糖の入手価格がどのくらいになるか、相場でございますから変動しますので、そのときそのときで若干の差は出ましょうが、しかし現在時点で言えば百九十五円程度、これを上回って推移する場合、つまりその価格が百九十八円になったり二百円になったり、さらには二百円を超えるというような場合は売り戻しの規制をかけられない。したがって、潤沢に輸入され、製造されれば、それが供給されるという関係になります。それからまた、その命令をすることによって一般消費者及び関連事業の利益が不当に害される、欲しい物が手に入らないということがあれば、その場合も命令はできない。さらに、一たん出した命令でも、そのような事態が生じた場合は、その後の二項以下でございますが、命令を取り消すというようなことになっております。
ですから、法の仕組みからしても、そういう消費者に不利益をもたらすようなことは許されない。当然私どももその趣旨で運用をいたしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/89
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090・竹内猛
○竹内(猛)委員 この問題は本法案を審議する上においてきわめて重要な問題でありますから、厳重にこのことについては監視をしたり調査をしたり、かりそめにも消費者に転嫁をして業界の安定を図るようなことがないように要請をします。
続いて第二点は、先ほど田口委員からるる質問がございました、きょうは労働省も見えていると思いますが、東海精糖並びに新光砂糖が倒産をした、あるいは現状がそういう方向にあるわけですから、それの理由、背景になっているものは何かということについて、これは農林省からも聞きたいし、それから労働省の方からもなおつけ加えてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/90
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091・杉山克己
○杉山政府委員 東海精糖の方から申し上げます。
東海精糖は五十一年の九月、ですから一年以上も以前でございますが、それ以来長期間にわたって操業を停止しておりましたが、去る七月破産の申し立てを行っております。現在までのところ裁判所の破産宣告は出されておりません。東海精糖がこういう破産申し立てを行うに至った要因は、これはいろいろ考えられます。
一般的な要因としては、需要が停滞している、そのもとでの国際糖価が大幅かつ急激に下がっております。そういう事情を背景にしてのメーカー問の過当販売競争、このことによって国内価格がさらに低迷した、大幅なコスト割れの価格になったということで、一般的にどの企業も経営は非常に悪化いたしました。東海精糖もその一つとして一般的な経営の悪化がベースにあったと思われます。
しかし、東海精糖が破産の申し立てをするまでに至ったのには、そういう一般的な事情のほかに、特殊な事情がもちろんあるわけであります。
特殊な事情としては、私どもはその一つとして、四十九年十月ごろから同じ中京地区に強力な近代的設備を備えた大規模な新鋭工場が操業を開始した、これに伴って東海地区のマーケットの競合、販売競争がきわめて熾烈になったということが一つあると思います。
それから、もう一つは、東海精糖の能率といいますか、溶糖量の実績を見てみますというと、正常な経営を行っておったと見られる四十九年当時でも、全社平均の数量に対しまして約六〇%程度の低位にあったわけでございます。賃金も、これと同規模かつ同年齢というような他メーカーに比べて若干割り高であるというような事情もあって、経営的にきわめて長期にわたって苦しい事態が続いておったということはあると思います。
そのほか、個別な事情、たとえば港湾に直接面しておらず、一遍港湾に入った原糖をさらに陸送をしなければいけないというような地理的な条件の不利さもあったとか、各種の事情が加わって、このような事実上倒産にも等しい事態に至ったというふうに理解いたしております。
新光砂糖につきましては、これはやはり港湾に面しておらず、立地の条件が大分の内陸であるというようなところに、一つ原糖取得上の不利な要件があったというふうに理解いたしております。
それから、いずれも豪州糖の負担はそれなりにあった。東海精糖の方が若干平均よりも高いというような状況で、それも経営悪化の一つの要因であったかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/91
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092・岡部晃三
○岡部説明員 お答え申し上げます。
本年の六月十五日でございますが、全国砂糖労働組合会議ほか関係組合の方々が労働大臣あて要請書をお持ちになったわけでございます。それによりますと、東海精糖の問題と新光砂糖工業の問題が述べられておりまして、私どももその辺の事情を調査したわけでございます。その結果、私どもといたしまして把握した事実は、次のとおりでございます。
まず、東海精糖でございますが、昭和五十一年の七月に原糖供給がストップいたしまして、九月二十五日から操業停止になったということと、十一月には、上部団体も加入いたしました東海精糖企業閉鎖首切り反対共闘会議が結成されたということでございます。
賃金でございますが、五十二年、本年の三月分まで支給になったわけでございますが、四月、五月分は労金からの借入金で賄いまして、六月分は組合の自己資金で支払うというふうなことであったようでございます。
会社側は、本年の七月十四日に、十五日付をもちまして全員を解雇する旨通告したということでございます。これにつきまして、七月十五日に会社の方は津地裁四日市支部に自己破産の申し立てをしたというふうにも聞いております。
組合の方では、七月の十八日に津地裁四日市支部に対しまして、地位保全、賃金支払い仮処分を申請しておる。
こういう事態に対応いたしまして、四日市市が呼びかけまして、七月の二十日に、県、労働基準局等、行政機関を中心といたしまして、雇用対策会議が結成いたされたわけでございます。
それからまた、組合は本年十一月四日に、三重県知事に対し、工場再開に向けて政府に働きかけるよう要請する予定であるというふうに最近の情報として承っております。
それから、新光砂糖工業でございますが、これは本年の二月十四日に、二月十六日からの操業の中止、従業員の自宅待機を組合側に通告したようでございます。
これに対しまして、組合側は休業反対を要求いたしまして団体交渉を行ったわけでございますが、合意に至りませんで、会社側は再度、三月十六日以降休業をいたしまして、休業補償は一〇〇%支払う、三月三十一日に工場閉鎖ということを通告したということでございます。
組合側は、これに対しまして地方労働委員会にあっせんを申請いたしたわけでございますが、不調に終わった。
さらにまた、会社側は四月十一日付で全員解雇を通告いたしまして、これに反発して、組合側は四月十二日に大分地裁に地位保全の仮処分の申請を行ったというふうな事情でございます。
それから、四月三十日に至りまして、会社は破産の申請を行ったというふうな経過を経まして、結局七月三十日に、新光製糖労組委員長のあっせんによりまして一つの協定が締結いたされまして、八月二日に組合側は争議終結宣言を行った、こういうふうな経過であるというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/92
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093・竹内猛
○竹内(猛)委員 大変不幸な問題が生じておることに対して、はなはだ残念だと私は思います。特に、大分の場合には争議終結宣言をされた。それから、東海精糖の場合には、まだこれはいろいろな手続がありますけれども、先ほど田口委員からの話のように、杉山局長が答弁されたように、現在生きているという形になっておる。
私のいろいろ調べたところによると、金融機関なり商社なりとの関係があるだろう、こういうふうに思います。だから、その点を抜きにして、ただ立地条件や社会的な条件だけでこの問題が起きたとは思われない。その点についての問題はこれからも起こるであろうと思いますので、なお続いてその点についてちょっとお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/93
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094・杉山克己
○杉山政府委員 東海精糖が破産の申し立てば行ったけれどもなおかつまだ破産の宣告がなされておらないという意味で、生きているかと言われれば、それは生きているわけでございますが、事実上の経営は久しく停止しているわけでございます。
それから、そういう破産に至った原因としては、確かに現象的には、私も商社なり金融機関からの融資がだんだんむずかしくなって、最終的にはとだえたからだということは言えると思いますが、ただ、これらの商社なり金融機関が融資を停止するまでに至った事情としては、先ほど申し上げましたような経営一般の経済的な条件があったものだというふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/94
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095・竹内猛
○竹内(猛)委員 この問題を長くやるわけにいきませんが、特に二・五%のシェアを東海精糖が持っているということですね。だから、この問題についてはそれを確保しながら、この法案が成立した後においてひとつぜひこれが再建できて労働者が従来のように働けるような努力をこれはお互いにしてもらいたい、こういうふうに思いますが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/95
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096・杉山克己
○杉山政府委員 東海精糖という企業がかつて輸入した実績なり売り戻しを受けた実績はございます。それは客観的な事実でございますが、ただ業界の全体のシェアの問題になりますと、いわばこういう新しい事態のもとにおきましては、権利的なもののほかに、普通の価格よりもよほど割り高になっております豪州糖のシェアの問題がございます。東海精糖がそのシェアをかなり高く負っておったということも過去の経過としてあるわけでございます。それらの関係をどうするか。それからまた、そういうものを受けとめて新しい経営が順調に行われるかどうかということになりますと、現実の経済問題として私は非常にむずかしい事情があると思います。ただ、むずかしい事情があるからおよそ経営はできない、だめだという言い方は、これは私の立場からお答えすべきでなく、まさに現実の問題として業界全体の協調の中でどういうふうに処理されるのか、今後の問題として検討すべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/96
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097・竹内猛
○竹内(猛)委員 きょう特に本法案の陰にある重要な問題として労使関係という問題で、今日までの中で問題になっていること、あるいはきょう参考人の話の中にあったように、すでに南西諸島、沖縄においても三社が倒産をし、一社がふらふらになっている、こういうようなお話もございましたが、それらを含めて大変雇用関係が重大でありますから、海江田会長も言っているように、労使の関係というものを農林省なり労働省があっせんをして、お互いにもっと豊かな人間関係をつくり、そして再建ができていくようにぜひ努力をしてほしい。これは労働省の方にもぜひこの問題については注意をしてほしい、こういうことを要望いたします。
続いて、国内産糖に関する取り扱いの問題について質問をします。
午前中もビート協会あるいは甘蔗糖の代表の御意見をいただきました。いずれも現地においては最高度の努力をされております。にもかかわらず、やはり立地条件や諸般の情勢から言って必ずしも思うように生産が伸びていない。国もこれに努力をしてきたけれどもなおもう一息、二息というところにあります。農林省がつくった長期展望のもとにおいてもそのとおりに進んでいないということもこれは明らかであるわけでありまして、何とかして国内の産糖というものをもっともっと大事にする、育成をする、こういう上においてやはりこれは価格の問題になってくるかと思いますが、国際的な価格から見るとなお割り高であるということも、これもよく理解をしておりますが、それを理解をした上でなおかつ国内の北海道におけるビート、それから鹿児島及び南西諸島における甘蔗糖に対する農林省としての前向きの答弁と、それから対策をひとつ示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/97
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098・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 国内における甘味資源としてのビート並びにサトウキビの生産の向上の問題でございますが、私は全体の二〇%近いシェアを持っておるビートなりあるいはサトウキビ、この生産性を今後とも高めて、そして自給を向上させる方向で取り組んでまいりたい、こう考えております。
てん菜につきましては、これは北海道の畑作農業の中におきましては、やはり輪作ということを考えますと重要な作物でございます。北海道農業においては基幹的な性格を持つ重要な作物である。また一方、沖縄及び鹿児島の南西諸島はああいう亜熱帯性、海洋性の特殊な気候風土の中で、また台風その他の常襲地帯とも言われる厳しい環境の中で、このサトウキビ農業というのは私は非常に大事な、あの地域においてはまさに内地の米に匹敵する基幹的作物である、こういうぐあいに認識をしております。
そういうような観点から、これが育成につきましては価格政策あるいは生産性の向上のための基盤整備事業あるいは構造対策、そういうようなものを総合的に進めまして、貴重な甘味資源としてこのてん菜及びサトウキビの生産が今後とも再生産もでき、この農業が伸びていくように努力をいたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/98
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099・竹内猛
○竹内(猛)委員 この点についても国内産糖の確実な発展と成長のために、きょうも参考人として意見を述べられたその中にもあるように、ぜひこれからも努力をさらに続けてもらいたい、こういうことも私は要請したいと思います。
そこで、やはり問題になっているのは、何と言っても砂糖の需給見通し、こういうものが問題になるだろう。先般二十六日の本委員会でわが党の小川委員並びに島田委員から発言がありまして、需給の見通し並びにこれに対する協議会、あるいは需給調整のそういった協議会のようなものをつくってほしい、こういう質問がありました。これに関してぜひ農林省の方から前向きな答弁をひとついただきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/99
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100・杉山克己
○杉山政府委員 本法案におきましては、指定糖の売り渡し申し込みがありました場合、その申込者の申込数量が通常年におけるその者の輸入実績数量等を超える旨の報告が事業団からなされました場合、農林大臣は当該超える量の売り戻しを行うことが砂糖の需給見通しに照らし妥当であるか否かの判断を行うということになっております。
この需給見通し、そういう妥当かどうかの判断を行う基礎となりますところの需給見通しの作成に当たりましては、国民一人当たりの需要量を基礎とした総需要量、これがどうなるかという見通し、さらに国内産糖の生産見通し、また輸入の動向、こういった各般の要素を十分踏まえて適正に作成してまいるという考えでおるわけでございます。それから、その見通しを作成するに当たっては、先般の質疑におきまして種々御意見をちょうだいいたしたわけでございます。その趣旨に沿って広く関係者の意見を聞いてこれを適正に反映させるように措置してまいりたいと考えております。
それから、関係者の意見を聞く際には、たとえば需給協議会を開くというようなことを考えて見通しの適正を期したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/100
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101・竹内猛
○竹内(猛)委員 その需給協議会の中身、それは生産者、消費者、労働者、あるいは企業その他の経験者等々を含むものと想定をするけれども、これについてはどのような考え方を持っておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/101
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102・杉山克己
○杉山政府委員 いま申し上げましたように、具体的な運用の基準となるようなものでございますから、実際上の処置、取り扱いに一番有効な適正見通しをつくってまいる必要があるわけでございます実際にどういうメンバーでその見通しについての需給協議会を構成するかということになりますと、これは余り広範にわたって意見がなかなか集約できないというようなことでも困ります。具体的にどのような方々ということはお答えにくいのですが、いずれにしても適正に意見をお出しいただき、まさに適正な見通しが立てられるような、そういうメンバーの方にお願いして協議会を運営してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/102
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103・竹内猛
○竹内(猛)委員 この際、国際関係の問題で質問を終わりたいと思いますが、本法案を審議をしている過程において、豪州とのいろいろな争いが終わって、またあと一年間延びたけれども、六十万トン高い砂糖の契約をされた、これも新聞紙上では余り評判はよくないが、やむを得ないことだ、これを消費者に転嫁をしてはならないということになりましたが、いろいろわが国の資源の現状からしてみてやはり一定の輸入はやむを得ないであろう、しかも、それが安定的であってほしい、こう思いますが、国際関係を悪くしないようにするために今後もいろいろと努力をしてもらいたいと思っております。現在は豪州の砂糖、さらにタイあるいはキューバ等もいろいろ動いておるようでありますけれども、これからの砂糖をめぐる国際関係について、大臣から一言見通しと決意などを述べてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/103
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104・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 砂糖に限りませんが、できるだけ国内で生産できるものは生産を振興して自給力を高める、しかし国土資源の関係からどうしてもやはりある程度足らざるところは外国からこれを輸入せざるを得ない、こういう関係にございます物資につきましては、これを安定的にその輸入が確保できるようにいたしたい、私はこう思っております。
世界で砂糖の主要な供給国は七カ国かその辺ございますが、そういう国々とは絶えず緊密な連絡をとり、情報の交換をやり、そして国内産糖の自給力向上と相まって砂糖の安定的な輸入確保ができるようにやってまいりたい、こう考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/104
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105・竹内猛
○竹内(猛)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/105
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106・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 野村光雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/106
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107・野村光雄
○野村委員 私は、ただいま議題となっております糖価安定法の特例法案等につきまして、総括的な立場で大臣に質問いたしたいと思いますが、御存じのとおり、本案が提案されまして以来非常に長時間にわたりまして、また数多い委員の皆さん方からすでにほとんどの問題が質疑に出ておりまして、しかもその間、長時間にもかかわりませず大臣の非常に熱意ある、また真心込めての御答弁の姿勢を伺っておりまして、私の本来割り当てられました時間は五十五分でございましたが、三十分に短縮いたしまして質問いたしてまいります。できるだけ大臣の労をねぎらいたい、こういう気持ちで短縮いたしております。そういうことで、基本的な問題を最終的に御質問いたしたい、こう思っておりますので、よろしくひとつ御答弁をいただきたいと思います。
まず第一に、午前中の関係精糖業界の代表者の方々並びに労働組合の責任者の方の参考意見をずっとお聞きいたしておりまして、想像以上に精糖業界が非常な混乱の状態にある。特に精糖工業会の会長であります海江田会長のお話等によりますと、この業界におきましては一千三百億の赤字をいましょっている。しかも、その原因はどうなのかといろいろ意見聴取の中で聞いておりますと、すでに論議されておりますとおり、過当競争、また過剰生産、過剰設備、こういう悪循環が重なってきて、さらに年々需要の低下、こういう事態に見舞われて、いま手の打ちようがないと言っても過言でないような状況にまで立ち至っている、概略こういうお考え、状況の御説明をお聞きしたわけでございます。しかし、このような深刻な状況に至るまで、別に手をこまねいて見ておったというわけではないでしょうけれども、私は、いま少し早く適切な対応をする必要があったのじゃないか、こういう感じを受けて午前中の御説明を聞いておったわけですけれども、率直に申しまして、大臣がこの業界の混乱に対してどのように認識してこられたのか、その点に手抜かりはなかったのか、反省していらっしゃるものはないのか、こういう点が第一点。
それから、この混乱した業界の対応策は、当然業界自身の体質改善並びに税制、金融等各般にわたる諸対策を講じない限り、今回提案されました三カ年という時限つきの立法等においては満度にこの窮境を救い得るものではないのではないか、こういう懸念を抱いた一人でありますけれども、大臣の率直な、この業界に対する今日までの対応策、認識、そして今後の対応策等をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/107
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108・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 日本の精製糖業界の現状、これはきょう午前中参考人から御聴取をいただいたことをいま野村さんからお話がございましたが、私も客観的に見ましてもまさにそのとおりであると存じております。
そこで、農林省としましても、糖価安定法に基づく指示カルテルを過去二回にわたりまして適用認可をいたしまして、今日まで業界の再建の努力を期待をしてきたところでございます。しかし、この指示カルテルの期間が満了になりますと、一時小康状態にあったこの正常な競争関係も再び崩れまして、また依然たる過当競争、また過剰生産、乱売、そういうことの繰り返しをやってきたわけでございます。私は、何といってもこれは企業でございますから、精糖業界自体がみずからそういう点を反省し、また業界内部において協調と連帯で自分らの業界を立て直していくのだという気構えが生まれてまいりませんと、政府だけでどうこうというわけにはまいりません。しかも、御承知のように、これらの企業は商社の系列下に実際上入っておるということでございます。金融機関がバックにあり、商社が精糖企業を系列化しておる現状において、国民の税金である財政の援助というようなことも、これはなかなかわれわれとしてはそう国民の皆さんにも納得いただけるかどうか。そうでなくても中小企業その他の不況産業がたくさんあって、非常に困っておる。現在の不況克服のためにも政府としても中小企業等の再建に努力をしておるところでございますが、そういう精糖業界というものは、何といっても第一義的にやはり業界自体が自粛するところは自粛し、協調するところは協調し、みずからの問題としてこれに取り組んでいくということでなければいけない。しかし、だんだんそういう機運になってまいりました。政府としてもこの機運をとらえ、また放置できないような現状に立ち至りまして、今回法律の改正案を国会に御提案を申し上げて御審議を願っておるのでありますが、これは先ほど申し上げたように、業界が立ち直る条件整備をひとつやろう、環境づくりをやろう、それには一番大事な需給関係をしっかりしたものにする、そして、その基礎の上に立って業界が企業努力もやり、従来の過当競争、過当販売ということもやめてもらう、そういう形でやっていくような条件をつくるということをまず政府としてここで御提案を申し上げておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/108
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109・野村光雄
○野村委員 大臣の御趣旨をよく承りまして、私も了解できるわけでございますが、ただ業界のために条件づくり、こういう善意の立場でできましたこの三カ年の期限づき立法によって、まさしく大臣の構想どおり立ち直って、そして安定した運営が営まれればそれにこしたことはないわけでございますけれども、聞いておりました午前中の意見の中で、日本甘蔗糖工業会の杉野会長さんがおっしゃっておりましたけれども、関連の会社ですでに二社が倒産をし、さらにもう一つの会社が倒産寸前の憂き目にあるというような事態も承ったわけでございますけれども、この倒産寸前の会社等に対しましても政府として具体的にどのような援助対策なり考えを持っていらっしゃるのか、この点もあわせてお聞きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/109
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110・杉山克己
○杉山政府委員 沖縄あるいは奄美にある原糖メーカーは、原糖を国内の精製糖メーカーに販売することによって経営をいたしておるわけでございます。その製品、この場合は原糖メーカーでございますから製品は原糖で、その価格がなかなか保証されない。最終製品であるところの精製糖の価格がコスト割れをしておるような状況のもとでは、精製糖企業がなかなか十分な価格でこれを引き取れないという状況から、経営悪化の事情があるわけでございます。
ただ、沖縄にいたしましても奄美にいたしましても、工場経営が困難になっている、中には倒産に至ったという事情の背景には、製品の市況が悪化しておるということだけでなしに、生産の条件が変わってきた、すなわち、だんだん開発も進むとか、ほかの地理的な条件等の関係から、工場の近くで原料を生産する農家も少なくなってくる、その関係で操業率が落ちる、したがって経営が成り立たないというようなこともあって悪化し、あるいは倒産に至ったものがあるわけでございます。
その点、今回の措置によりまして、少なくとも市況の方は精製糖の採算がコストと引き合うような形で維持されることになれば、沖縄や奄美から供給される原糖についてきちんとした価格で買い取れる条件ができるようになるというふうに思っております。また、そのように今後この制度を一つのベースにして、私どももその取引について正常な関係が回復されるよう指導してまいりたいと思っております。
また、倒産あるいは倒産直前の会社に対して具体的にどうかということにつきましては、いまのような基本的な市況の条件を整備するとともに、いま少しく具体的な経営悪化の内容、事情を十分調査をした上でさらに必要な措置をとるように検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/110
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111・野村光雄
○野村委員 時間がございませんが、ぜひもう一つここでお伺いいたしておきたいのは、先ほど来大臣からも御答弁がございましたけれども、いずれにしても混乱しておる業界の構造改善が必要潜ろうと思うのでございます。これは民間企業でございまして、どこまで権限を持ってやれるかということはまたいろいろな問題があろうかと思いますけれども、理想として業界の改善の方向性に対しては具体的にどういうような試案を持っていらっしゃるのか。
もう一つは、確かに今回のこの法案によって消費者価格が必要以上にまた高騰するのじゃないかという不安がございます。先ほどの答弁の中で、大臣は適正な価格で推移させたい。私どもから聞くと、大臣、非常に適当といいますか、非常に上手な御答弁をしていらっしゃるな、適正価格といいますと、これ以上言いようのない価格でありますけれども、われわれの立場から言うとちょっとあいまいでございまして、適正というのは現在の価格を維持しようとすることを言うのか、現在の価格よりも上がるのか下がるのか、この適正価格の基準というものを端的にお伺いをいたしたい。
この二点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/111
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112・杉山克己
○杉山政府委員 業界に対してどのような具体的な将来への展望というか、指導を心がけていくのかというお話でございますが、先ほど先生の御質問の中にもありましたように、製品についてコストを維持できるような価格で販売させるということのほかに、確かに構造改善とか体質改善という言葉で表現されますが、いろいろ広範な問題にわたるその企業の自主努力が必要、前提となってまいると思います。単純に過剰設備を解消していくというようなことだけでなしに、商社が介入してなかなかメーカーの意図どおりの経営が行われない、そういう商社介入のあり方であるとか、それから販売面における無秩序というか、混乱であるとか、そのほか従来からの精糖企業にまつわるいろいろな問題を考えます場合、単に価格の面だけでなく企業ビヘービア、企業行動の面を通じての本格的な反省、立ち直りというのが必要だというふうに私は思います。その意味では、まさにこの三年間の時限立法でそういうことのできる基本的な条件を整備するというふうに考えているわけでございます。業界に自主努力を要請し、もってこの三年間に、将来長期にわたる経営が安定して続けられるような、そういう体制づくりを考えるということを考えて指導してまいりたいと思っております。
それから、消費者価格について、適正な価格とはどういう水準で考えるかということでございますが、これは具体的な数字でお答えした方がおわかりいただけるかと思います。現在、企業から出されるコストの価格は百九十五円見当であるべきなのですが、それが著しくコスト割れして百七十五、六円ということで推移いたしております。これに対して末端の消費者価格はどうかと言いますと、これはキログラム当たり約二百三十円から四十円でございます。大体六十円ぐらい中間の経費が加算されて消費者価格が形成されております。それをもとの価格でコストを回復するということになると、おおむね二十円見当キログラム当たり上げることになります。これが消費者価格にそのまま反映されるということになりますと、いまの二百三十円から二百四十円見当の価格が二十円程度上がる、こういう関係になります。ただ、これは現在の低い価格から見て上がるということでございまして、一ころ消費者価格は三百円あるいはそれ以上しておった。それがもろもろの物価あるいは賃金が上がる中で下がって、今日の二百三十円見当ないし四十円見当の水準にまでまいっておるわけでございます。
いま申し上げましたように、メーカー段階でのコストをカバーし得るような価格でこれを出荷させるということになりますと、現在よりは確かにそのことがはね返って上がることになりますけれども、これは上がるというよりはまさに適正な価格水準を回復するということで、そこは現象的にはいまより上がるということではありますが、消費者にも御理解いただきたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/112
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113・野村光雄
○野村委員 次に、国内甘味資源の位置づけ並びに甘味資源の生産担い手でありますところの農家等の位置づけ等につきまして、基本的なことをお伺いいたしたいと思います。
特に、今日におきますところのこの国内生産自給率というものは、先般来皆さんから申されておりますとおりわずか二〇%しか確保されてない、こういう状況でございます。そういう中で、特に私は北海道の人間といたしまして、北海道におきましては長年の間ビートというものはなじまれてまいりました畑作物でございまして、最近の米の生産調整、こういう中から非常に多くの農民がせっかくこれに意欲を持ってきている、そういう傾向になってきておりますけれども、今後のわが国におきますところの甘味資源というものに対しての位置づけ、計画、さらにビート糖におきますところの国内生産の方向づけ、こういうものに対して、将来どのような基本的な展望を持っていらっしゃるのか、この点大臣からひとつお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/113
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114・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたように、甘味資源はわが国の食糧の問題としても大変重要な農作物である、特に北海道のてん菜は畑作の輪作等におきましてはどうしてもこれを育てていかなければならない、まさに北海道では基幹的重要な作物である、このように考えております。したがいまして、今度の米の需給均衡を回復する対策の中でも、これは麦、大豆あるいは飼料作物等と同じように重要指定作物として指定をしてやってまいる考えでございます。それから一方、鹿児島の南西諸島、沖縄県等におけるサトウキビの重要性、これは先ほどるる申し上げたところでございます。現在、てん菜糖あるいはサトウキビ、これの自給度というのは一七、八%、二〇%を割っておるような状況でございますが、農林省としては六十年を展望したところの農産物の需要と生産の長期見通しにおきましては二八%程度の自給力を持つようにこれを育てていきたい、こういうことで、今後、価格政策はもとより土地改良事業等の基盤整備の問題あるいは構造政策や生産対策、担い手の問題、総合的な対策を講じてできるだけこの貴重な甘味資源としてのてん菜並びにサトウキビの振興に努力をしてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/114
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115・野村光雄
○野村委員 時間が参りまして、最後にお尋ねいたしたいことは、すでに御存じのとおり、東京湾に停滞いたしております砂糖の引き取り問題と、日豪の間で本質的な交渉解決がなされたと思うのでありますけれども、この内容につきましてお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/115
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116・杉山克己
○杉山政府委員 一時東京湾に十六隻、二十一万トン余に及ぶ砂糖が浮かんだわけでございます。しかし、本体の交渉の妥結に先立ちまして、この滞船については日本側が仮価格で引き取るということで妥結を見ました。
〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
現にこの引き取りが開始されております。
それから、引き続きまして本体の方の問題につきましても、残る三年間の百八十万トンの引き取りを四年間に薄める。そして、これと並行して、四年間に薄めたことに伴って従来の引き取り量の毎年の数量が減ることになるものですから、その数量の差分を通常の国際価格をベースとする価格でもって引き取るということにいたしまして、いわば薄めたということで当事者間の仮の妥結がなされております。
本格的な最終契約更改という問題になりますと、実は日本側の当事者間での具体的な数量の配分をどうするか、取り扱いの細部について種々成文にする必要がございます。そこで、現在、関係者の間で詰めておりますが、いずれにいたしましても東京湾の滞船の解決を皮切りに本体についても実質的な合意が見られるようになっている状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/116
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117・野村光雄
○野村委員 最後に、御要望申し上げて終わりますけれども、本制度の今後の運用に当たりましては、消費者を含めた関係業者の意見というものを十分参酌されながら運営されますことを特に強調、要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/117
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118・金子岩三
○金子委員長 神田厚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/118
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119・神田厚
○神田委員 二十六日からこの法案の審議が始まりまして、本日、午前中は参考人の意見をいただきながらいろいろと審議をしてまいりました。締めくくりの質問ということで、基本的な問題につきまして農林省当局の御意見をお伺いしたいと思っております。
まず第一は、ほかの委員からも何回か質問の中で出てまいりましたが、この法案の一つの目的とされております企業の体質の改善というものが、一体この三年間の法律の中でどの程度進むのであろうか、この見通しが私どもは明確につかめないのでありますが、一つには、これは企業家自身の、企業自身の努力というものが非常に重要である、そして、それを側面的に当局が行政指導の中でどういうふうにしていくのだろうか、具体的には商社の支配の関係、こういうものをどの程度、どういうふうな形で見ていったらいいのか、こういう問題があるわけであります。
過剰設備の問題にいたしましても、この過剰設備そのものが、さらに商社の激烈な競争によりまして、この法案が意図していることが全然尽くされない、こういうような危険すらあるように私どもは考えているわけでありまして、まず根本的な過剰設備の整理、それから業界あるいはこういうふうなものでの構造改善、こういうものが実行できるのかどうか、そして、これらを実行することができれば、この法案というものが、つまり実行されないままでおりますと、製品の値上げやそういうものでかえって設備統合というような問題、設備の整理というものがおくれてしまうという議論もあるわけであります。したがいまして、その辺のところにつきましてどういうお見通しをお持ちになっておりますのか、その指導方法についてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/119
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120・杉山克己
○杉山政府委員 おっしゃるように、この法律はむしろ条件整備を図るということでございますが、基本は経営する者の経営の態度にかかっていると思います。この法律ができますためにむしろそういう自主努力が怠られるというようなことがあっては本末転倒になると思います。
そこで、どういうふうに具体的にこの後のスケジュールを考えていくのかということでございますが、一つ、確かに設備が過剰であるという問題があり、これをどのように考えていくか、これは労使問題等もあり、非常に経営としては処理にむずかしい問題でございますが、もう一つは、一社一工場というような形態のほか、製品の流通が地域的にも限定されているというようなことから、構造改善というか、設備の整備ということについては種々やりにくい事情はあると思います。そういう意味からすると、三年間に何もそんな二〇%とかなんとかをきちんと計画的に整備するというような話でなく、それは時間をかけて、まさに労使の話し合いも詰めながら合理化を図っていくというような話であろうかと思います。そういうようなプロセスの中で、実情に合わせて、できるところから、商標の統一でありますとか、販売協定でありますとか、あるいは委託加工といったような段階から取り入れて進めていく必要があろうかと考えております。そういうような過剰問題の対策、対応、さらには企業の経営の行動のあり方、この中には商社とのかかわりを今後どのように合理化といいますか、整ったものに改善していくか、さらには販売の段階で系列を、あるいは秩序を乱すようなそういう過当競争、この面での是正措置、さらには労務問題に対する経営者の扱い方、そういったような各般の問題を総合的に自主努力でもって解決するような機運を促す、率直に言いまして今日までなかなか業界の協調も悪く、そういうような体制になかったわけでございますが、今回の措置を契機に、そういう全体としての条件整備、自主的な機運が醸成されるということを期待いたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/120
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121・神田厚
○神田委員 そうしますと、私ども、きょうもずっといろいろ労働組合の議長さんの方から話なども聞いておりましたが、一番心配しておりますのは、雇用不安がそのことによってもたらされないか、こういうふうなことでありました。こういう面につきましても、ひとつ十二分な配慮を持った形でいろいろ指導できないものだろうかと思うのでありますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/121
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122・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 今回の法律の改正は、業界全体が危機的な経営難に陥っておる、これを放置すれば雇用問題等にも深刻な事態を招きかねない、こういうことも私どもがこの法律改正に踏み切った一つの大きな理由でございます。
そういうようなことでございますから、この業界の体質改善なりあるいは自己努力なりそういう過程において、労使の間でできるだけ話し合いをしていただく、また、そのために必要であれば、農林省としてもできるだけ労使の問に立ってそういう話し合いの場をつくるように努力をしてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/122
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123・神田厚
○神田委員 次に、いろいろと議論の中で言われてきましたが、この問題によりまして消費者へつけが回らないか、こういう問題であります。前にも何度か御質問を申し上げたり、あるいは大臣の方から答弁があったようでありますけれども、鈴木大臣は末端価格が上がらないように指導する、こういうふうな御発言をしているようであります。しかし、現実に卸売価格が上がってしまえば、国内のいろいろな清涼飲料やあるいは菓子類、こういうものが上がるであろう、値上がりにつながるであろうという可能性が非常に多いわけであります。この場合、それでは具体的にどういうふうな施策でもって末端価格が上がらないような御指導をするのか、お聞かせいただけたらと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/123
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124・杉山克己
○杉山政府委員 現行の糖価安定法は、輸入にかかる砂糖の価格調整を通じて、国内価格水準の安定を図ることを予定しておるわけでございます。現実には、先ほど来申し上げておりますように、消費が停滞しておりますとか、過剰設備で過当競争が行われているとか、あるいは日豪長期契約に基づいていろいろ困難な事情が生じているというようなことのために、市況はコストを著しく下回って推移している、そういう状況にあるわけでございます。そのコストが下回っている状況を回復するということが、今回の法案の主たる目的としているところでございます。私どもはこのことによって消費者価格が現在より全く上がらないということはない、むしろ現在の低過ぎる水準からすれば若干上がることはあり得ると考えております。ただ、若干上がるといいましても、従来、過去におきましてキログラム当たり三百円あるいはそれ以上しておったものが今日二百三、四十円だということからすれば、コストをカバーするような水準に見合った消費者価格になることは御理解いただきたいものであるというふうに考えますし、また、そういう価格形成を通ずることによって、将来の企業安定、それによる安定的な供給ということも期し得るのであるというふうに考えております。
それから、砂糖を原料とする各種の加工食品の価格はどうかということでございますが、これらの価格は砂糖原料だけでなく、そのほかの原材料あるいは加工賃あるいは人件費、管理費といったようなもので原価構成がなされております。砂糖の価格回復による影響というものは確かに若干あり得るわけでございますが、全体としてはそれほど大きくないということ、それから、これらの企業が加工食品の原料の取得価格におきまして、少しく前までは砂糖自身がいまよりはかなり高い水準にあったということを考えますれば、一般的な指導とも絡み合わせてそれほど値上がりをもたらすようなことはない、また、そういうことがないように私どもの立場からも十分指導に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/124
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125・神田厚
○神田委員 ただいま局長の方の御答弁でありますが、大臣にお伺いしたいのであります。
私は、卸売価格が上がった場合にはそれに関連する価格がやはり上がってくるというふうに考えざるを得ないと思うのですが、その辺のところを上がらないように指導をするという御答弁でありますが、具体的にどういう御指導をどういう目安でおやりになるのか、お聞かせいただけたらと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/125
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126・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 私は先般来申し上げておるわけでありますが、現在の末端の消費者価格は、過当競争、そして乱売競争というようなことで結局大幅なコスト割れを生じながら出ておるところの不健全な価格である、こういうものが長続きするはずがございません。結局業界全体がどうにもならぬような事態に相なってくる、これでは国民の皆さんに量並びに価格の面でも安定的に供給をするという趣旨に反する、このように考えております。
そこで、コスト割れというこの関係を改善をしまして、適正なコストの上に適正な利潤というもの、これは当然見ていかなければ業界も安定をしない、また中間の流通過程におきましてもやはり乱売競争というようなものは不自然な姿であって、そういうものはやはり改善をされなければいけない。これは消費者の皆さんにも将来ともに安定的に供給が確保されるという立場において御理解を願って、そして正常な姿で生産から流通一末端の消費価格まで安定的に確保される、こういう姿を私はこいねがっておるわけでございまして、現在のような過当競争、乱売競争、そういうコスト割れを生ずるような中において出ておるところの消費者価格というものは不健全な姿であり長続きをするものではない、これを安定的なものに改善をしていきたい、こういうのが私の基本的な考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/126
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127・神田厚
○神田委員 どうもはっきりしたお答えをされてないようで、具体的にどういう御指導をしていただけるのかという質問をしたのであります。生産から流通、消費に至るまでの問で、きちんと目を向けていく、適正価格によってなされることを見届けて指導する、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/127
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128・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/128
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129・神田厚
○神田委員 時間がありませんので、次に、私は、やはり砂糖のこの問題というのは豪州糖との関係を切り離しては考えられない、こういうふうなことをずっと思いながら御質問を続けてきたわけであります。それで、この際、豪州糖をたくさん買ってしまって、そして長期契約をしている会社というのは、この法案が通りましてもやはりそんなに楽にならないわけであります。その辺におきまして、この豪州糖とグローバル糖との格差是正について何とかしてもらいたいという要望がたくさん来ているわけでありますが、この点につきまして簡単で結構でございますから、ひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/129
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130・杉山克己
○杉山政府委員 豪州糖の負担、これに対する国からの各種のてこ入れによる格差是正という要望は私どもも承っております。ただ、企業が経済問題で損をもたらしたものを、国が直接これを財政的に肩がわりするということは、政策としては妥当でないというふうに考えるわけでございます。豪州糖による格差は、やはり豪州との価格改定交渉、豪州側の値引きによってまず第一に解消を図るべきである、その考え方のもとに従来交渉を続けてまいったわけでございまして、必ずしも十分とは言いがたいのでございますが、先ごろ、豪州との価格改定交渉は若干の値引きを実現することによって妥結を見る段階に至ったわけでございます。
この値引きの幅はそれほど大きくないにいたしましても、引き取りの期間を、従来、残り三年ということでありましたものを四年にすることにいたしております。これによって格差は薄められたと言いますか、かなり縮まった状態にあると思われるわけでございます。
それから、現在、糖価安定法の枠組み、仕組みの中で安い輸入糖に対してかけられる調整金の負担、これを豪州糖については免除いたしております。このことによっても格差はある程度縮まっている。あとは、まだ若干格差は残ることは残りますが、これは全般的な製品の価格が維持されて過当な乱売競争がなくなるという条件のもとでは、若干の期間でございますし、企業努力によってその問を耐えるということで、合理化を図りながらも逐次解消を図っていくということで解決を見るべきではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/130
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131・神田厚
○神田委員 私はこの豪州糖の問題を、これから行政の中で目を向けていただきたいと思う。そうでないならば、この法案をせっかくつくっても豪州糖をたくさん買っている企業は立ち直れないかもしれないのです。そういうところでひとつ行政の中における配慮をお願いしたいと思うわけであります。
それから、さらに豪州糖との関係で、この問題は一応落着した、そういう中で、相手はまた同じような交換公文を要求しております。これについては農林省といたしましてはどういうふうなお考えでおられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/131
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132・杉山克己
○杉山政府委員 契約自身はあくまで民間の当事者によってなされる契約であります。ただ、従来の経緯もありますのと、それから業界を一般的に指導している、その業界の安定を図ることを責務といたしております役所の立場からして、豪州側から要望があれば私どもの立場でもって許し得るものは交換公文を交わすことはあり得るというふうに考えております。ただ、契約自体を国が保証するとか担保するというような性格の交換公文は交わし得ないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/132
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133・神田厚
○神田委員 最後に、この糖安法の改正は、豪州糖との長契問題から出てきたというふうに私は考えておりますけれども、これから先の農産物の輸入や何かにつきましても、安定供給ということでこういう形の契約を結びがちでありますが、このような豪州糖のような失敗をしないような形で努力をしてやっていただきたい、そういうふうにいたしまして、この法案が文字どおり需給調整の機能を十二分に発揮できるような形で適切な運用をしていただきたい。そのためには、場合によりましては、行政指導につきましても十分いろいろなものを配慮しながら時期を逸しないで指導もしていただきたい、こういうことを要望いたしまして、大臣からお答えをいただいて、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/133
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134・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 神田さんの御趣旨、十分私も理解をしておりますので、そういう方向で努力したい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/134
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135・金子岩三
○金子委員長 津川武一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/135
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136・津川武一
○津川委員 締めくくりの質問なので、少し締めくくりらしくやってみたいと思います。
先ほど田口委員から東海精糖のことが明らかにされましたが、東海精糖の人は、九月、組合員が二百四十人ありまして、現在二百四人で、この二百四人で工場再開に向かって、家族の方たちと一緒になってあらゆる努力を続けております。
どうして東海精糖がこういうことになったかと申しますと、原糖を入れておるのが三井、三菱、主として三菱でございます。これが昨年原糖の配給を停止した、そこではたと困ってしまったわけであります。問題は、こういう形で、精糖会社だけでなく、精糖会社を系列化したりその支配下に置いておる商社にかなり問題も責任もあるように見られます。もう一つの問題は、金融会社、いままで東海精糖をめんどう見てくれた東海銀行が融資をとめてしまったわけであります。
そこで、先ほど大臣が非常に前向きの答弁をされておるし、局長も非常に温かい答弁をされているわけでございますが、問題は、こういう二つの銀行と商社のやり方によって精糖会社が経営意欲を失ってしまっている、ここに私は重大な問題があると思います。
そこで、いま労働組合の皆さんが、商社と銀行と三者で協議を始めております。労働省も黙って見ておれないで、七月に、そういう点で労働基準監督署から東海精糖に一つの警告を発しております。それにもかかわらず、この三月から労働者は欠配になっておる。そして、局長が言われたように、まだ破産の宣告を受けていない、こういう状態にあります。
そこで、精糖業界のこれからの構造改善や立て直しや砂糖の順調な配給、需給の調節に商社がかなり大きな力を占めている、この商社に対する対策をほっておいて問題は解決しない。今度の精糖関係の業界の混乱を起こした大きな原因は、砂糖の自由化以来、商社がここで物すごくもうけようと思って競争に踏み出したことでもあります。そして、豪州糖の協定の中においても、ここが主導権を握って政府が一緒になっておる。政府と商社の責任が明らかにされなければ、ここの二つが腹を決めなければ、問題の解決にならないと思います。
そこで、一般論として、砂糖の需給調整、これからの糖業界の健全なる発達、育成のために、商社と銀行との話し合いがかなり必要になってまいりました。きょう参考人として午前中に来ていただいた砂糖労働組合会議の塚本さんという議長は、労使だけの交渉では事が済まされない、もっと複雑で、もっと大きなところにある、こう、はしなくも血のにじむような思いで私たちに話してくれたわけであります。
この点で、まず第一の質問は、商社と精糖会社をめんどう見る銀行、ここいらにも政府が何らかの形で要請する必要があるかと思いますが、この点、まず答えていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/136
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137・杉山克己
○杉山政府委員 商社が精糖企業に対して資本の上でもそれから金融の上でも深く介入しているという事実はございます。それから、今日の事態に立ち至った原因についていろいろありましょうが、商社も関係者の一人として、当然この事態の改善に努力すべき立場にあると思います。いま現に赤字の精糖企業が経営を存続していられるのは、一つにはその赤字に対する融資が商社及び金融機関の手によって曲がりなりにも続けられているというところにあると思います。このことが、またかえって企業経営の本来の健全なあり方を損なわせているという問題もありますが、ともあれ倒産を免れて経営が存続しているということは、そういうてこ入れがあるからだと思います。
ただ、これら商社とか金融機関のいまの考え方を大ざっぱに整理して申し上げますと、いままで出た赤字はまあ当分貸して、めんどうを見ていかざるを得ないかもしれない、しかし今後、いつとまるともわからないますます増大する赤字、これに対してはいかに何でもそれはめんどうは見切れなくなる、できるだけ早く足を洗いたいというようなことを言うわけであります。
そこで、私どもとしては、今後出る赤字については出ないように措置をする、そのことによって商社も金融機関も、いままでの赤字金融はやむを得ないにしても、今後の分について融資をふくらますというようなことはなくすようにする。そうすれば、融資をつなぐということにもなるわけでございます。現に商社、金融機関はそのような意向を出しておるわけでございます。そういうことで、とりあえず引き揚げるとかなんとかということでなしに続けさせるという上に立って、私どもは、精糖企業が今後健全な経営を続けていくためには、それら商社、金融機関の強力な協力、そういう力をかすということがなくては成り立たないと思っております。政府の指導の中でも、当然、債務あるいは累積欠損をどのように処理していくかということについても、見通しを立てていく上で、それら関係者の協力を得ながら展開を図るように指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/137
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138・津川武一
○津川委員 局長の説明、私たちもそう思っていました。三井、三菱の系統に入っておる精糖会社は、どんなに赤字でも破産していない。この商社のバックがなければ、あの精糖会社はとっくに破産している、これが財界の経営の常識なのです。破産しないで済んでいるのは商社のそういうバックがあるからです。手形なんか払えなくても、ちゃんと商社が処置してくれているから生き延びていると思っています。それはそれなりでよろしい。
ところで、この東海精糖が原糖は三井、三菱、トーメンの三つから入れてもらっておりますけれども、この系列下でなかったわけ、あれば、私はこれはこんなことにならなかったと思うのです。ここに問題があるわけです。したがって、これからのお世話は、系列化されていないところのお世話を見ていかなければならない。ここに私は国としてもかなりやるべきことが、この東海だけでなく、全般としてこの系列に入っていないのをよく見ておいてくださって、そこでこれを指導していく必要があると思うのです。もう一度この点で、商社の系列に入っていない企業の経営安定のためにやはり国も考えてあげなければならないんじゃないかと思うのです。ここいらの所見を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/138
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139・杉山克己
○杉山政府委員 すでに経営者が経営自体について継続の意思がないことを表明しているような東海の場合は、ちょっと特殊なケースであろうかと思います。そういうすでに出ている特別な処理困難な問題は別といたしましても、一般に商社の系列に必ずしも属していない独立資本系の精糖企業、特に中小に多いわけですが、あるわけでございます。こういったものに対しても当然商社あるいは金融機関からのそういう融資上のてこ入れというのは、私は従来にも増して、こういう政府の措置とあわせてしっかり手当てしていけるように持っていくべきである、また、そのようにわれわれとしても努力すべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/139
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140・津川武一
○津川委員 そこで、東海精糖の具体的な問題ですが、経営者が、三井や三菱、トーメンから原料を断たれている、東海銀行から断たれているので、まず生産意欲をなくしている。先ほどの大臣の答弁で私はいいと思うのだけれども、労働組合の皆さんも一生懸命がんばっておりますので、何か三井の商社と銀行と労働組合の皆さんと経営者が再建のために、これはやってみなければわかりません。私もそう思います。しかし、そのために何か農林省としても措置してくださる、応援してくださる、こういうお気持ちがあるのかどうか、大臣の先ほどの答弁でいいと思うのですが、念を押すために、重ねてもう一回お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/140
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141・杉山克己
○杉山政府委員 これはやはり経営自身の基本的な問題経済の問題が一つあると思います。それに対して、商社なり金融機関が、本当に将来の経営存続を安心して期待し得るかどうかという問題にかかってくるかと思います。その点は、役所ももちろん指導し得る立場にあるとはいうものの、そういう経済的な不安、困難をあえて商社なり金融機関が全面的にかぶるべきであるというふうにして押しつけることは権限的にもできない問題でございます。できるだけその辺は親切に温かくというごとは当然心がけとしてあるべきでございますが、置かれている基本的な一般の状況を考えますと、私は、だめだと引導を渡すようなことはもちろん言うべきではありませんし、そこはできるだけ当事者間の話し合いを待ちたいとは思いますが、なかなか困難な問題であるというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/141
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142・津川武一
○津川委員 東海精糖が成り立つか成り立たないかは、かなりこれからの業界の先を占う上において、農林省の精神を見られる意味においても大事なので、大臣に重ねてこの点の話し合いをさせていただいて、円満解決の得られるように要求して、次の質問に移っていきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/142
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143・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 先ほど来杉山局長からも申し上げておりますように、関係者が本当に再建をすることについて心を一つにして協力し合っていくという気持ちがなければなかなかまとまらないことだと思います。そういう方向で努力をされるということにつきましては、農林省としてもできるだけの御協力を申し上げることにやぶさかでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/143
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144・津川武一
○津川委員 次の質問は、これも午前中の参考人、サトウキビ工業会の会長の意見が話されまして、一島一工場、沖縄には沖縄のサトウキビを精製する十二工場、鹿児島県には六工場ある、このうちで鹿児島県で二つの工場がつぶれて、もう一つがまたつぶれそうになる、こういう状態で、非常に混乱を来しております。これがつぶれると、鹿児島や沖縄のサトウキビ農業が全滅してしまうのであります。
そこで、沖縄県農業協同組合中央会、沖縄県さとうきび価格対策中央本部がこういう要請を政府にもしております。「砂糖価格の安定、国内産糖製造業の経営の安定をはかるため、砂糖需給調整の強化、再販価格対策等に関する適切な措置を講ずること。」また、わが党の瀬長亀次郎議員が九月二十七日に農林大臣に申し入れしておりますが、その中に「精製糖企業の国産糖の買い入れ価格は、国産糖製造企業の経営圧迫にならない価格水準になるよう指導を強めること。」などということをお願いしております。この点は必要と思ってまいりましたが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/144
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145・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 きょう、私も代表の方から陳情を受けました。その方々は、今回の糖価安定法の一部改正は自分たちの業界を救済するためにもぜひそうしてほしい、こういうことを言っております。どうか共産党さんも御賛成願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/145
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146・津川武一
○津川委員 法案のことでなく、国産糖製造企業の経営は、精糖会社が買ってくれるそこの価格に問題があるわけなのです。これが経費だとか運送料とかいろいろな問題がありますが、経営が成り立つよう、ひとつ善処方を要求いたしまして、時間が少し早いようですが、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/146
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147・金子岩三
○金子委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/147
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148・金子岩三
○金子委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。津川武一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/148
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149・津川武一
○津川委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、本法案についての反対討論を行います。
反対の第一の理由は、このように精糖業界を不況に陥らせた責任は大商社とそれを放置してきた政府にあることは明確であるにもかかわらず、この法案が大窪の責任を何ら明確せず、かえって価格を上げてその責任のツケを国民に回すという点にあります。大商社の精糖業界への不当な支配にメスを入れ、規制することなしに、国民への砂糖の安定的供給確保と精糖業界の不況業種からの脱出、健全な発展がないのは明らかであります。
第二の理由は、この法案によって砂糖の需給調整により砂糖の価格が上がり、消費者としての国民への小売価格の上昇だけにとどまらず、砂糖の需要の七割を占める菓子や清涼飲料など加工食品に大きな影響を与え、菓子や清涼飲料価格の上昇など、国民に直結した消費者物価に影響を与えることは必至であるからであります。
第三は、昭和四十九年の砂糖パニックが大商社の価格操作によって引き起こされたことに見られるように商社の責任を野放しにしておくならば、需給調整のもとで、出荷調整による砂糖の暴騰が再び引き起こされないという保証はどこにもありません。そうした際の歯どめの措置についてこの法案には何ら明記されておりません。
第四は、その手続においても民主的でないという点であります。
農林大臣が糖価安定事業団の指定糖の売り戻しを規制することによって砂糖の需給調整を行うこととしていますが、農林大臣の判断だけで行われ、甘味資源審議会等の意見を聞くなどの手続の措置がとられていないのであります。わが党は、甘味資源審議会を、消費者、学識経験者、生産農民などを含めた砂糖関係者と国民の意見が十分に反映されるような構成にし、農林大臣は命令を出すに当たってその審議会の意見を聞くことを義務づけるようにすべきだと考えております。
以上、この法案は、精糖業界の不況問題に根本的なメスを入れようとせず、国民の犠牲のもとに対策を講じようとするのであり、わが党は反対するものであります。
委員各位の反対してくださることをお願いして、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/149
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150・金子岩三
○金子委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/150
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151・金子岩三
○金子委員長 これより採決いたします。
砂糖の価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/151
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152・金子岩三
○金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/152
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153・金子岩三
○金子委員長 この際、本案に対し、竹内猛君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。竹内猛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/153
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154・竹内猛
○竹内(猛)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、砂糖の価格安定に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案に対する附帯決議案の趣旨につきまして御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
砂糖の価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の運用に当たり左記事項の実現
に努め、国民生活の必需物資たる砂糖の安定供
給に万全を期するべきである。
記
一 本法の運用に当たつては、需給協議会の設置等により、的確な「砂糖の需給見通し」を策定し、これに基づき適正な国内糖価の実現を図り、精製糖業及び国内産糖企業の健全な発展と国内甘味資源生産農家の経営の安定に遺憾なきを期すること。
二 本法の運用に当たつては、これが消費者価格等の不当な値上げにつながることのないよう十分留意すること。
三 精糖業界の体質改善が円滑に行われるよう指導するとともに、これに必要な税制・金融等の各般の措置を講ずること。
また、その実施に際しては、これが関係者の雇用の不安につながることのないよう万全の指導を行うこと。
四 国内甘味資源作物の長期生産目標を達成するため、これに必要な生産、価格対策等を一層整備強化すること。
右決議する。
以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じてすでに各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
何とぞ全員の御賛同を賜わりますようお願い申し上げます。
以上であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/154
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155・金子岩三
○金子委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本動議に対し、別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。
竹内猛君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/155
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156・金子岩三
○金子委員長 起立総員。よって、動議のごとく決しました。
この際、ただいまの附帯決議について政府より所信を求めます。鈴木農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/156
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157・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、適切に対処してまいる所存でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/157
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158・金子岩三
○金子委員長 なお、本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/158
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159・金子岩三
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/159
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160・金子岩三
○金子委員長 次回は、明二日水曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205007X00519771101/160
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