1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十二年十一月十五日(火曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 上村千一郎君
理事 羽田野忠文君 理事 濱野 清吾君
理事 保岡 興治君 理事 山崎武三郎君
理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君
理事 沖本 泰幸君 理事 高橋 高望君
小坂善太郎君 塩崎 潤君
篠田 弘作君 田中伊三次君
中川 一郎君 二階堂 進君
福永 健司君 渡辺 紘三君
島本 虎三君 西宮 弘君
飯田 忠雄君 長谷雄幸久君
正森 成二君 加地 和君
鳩山 邦夫君
出席国務大臣
内閣総理大臣 福田 赳夫君
法 務 大 臣 瀬戸山三男君
出席政府委員
内閣法制局長官 真田 秀夫君
内閣総理大臣官
房同和対策室長 黒川 弘君
法務政務次官 青木 正久君
法務大臣官房長 前田 宏君
法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
外務省アジア局
長 中江 要介君
外務省欧亜局長 宮澤 泰君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 岡崎 洋君
法務委員会調査
室長 家弓 吉己君
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本日の会議に付した案件
航空機強取等防止対策を強化するための関係法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/0
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001・上村千一郎
○上村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、航空機強取等防止対策を強化するための関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、質疑者各位に申し上げます。
本日は総理大臣の出席時間が限られておりますので、申し合わせの質疑時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りまするようお願い申し上げます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/1
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002・横山利秋
○横山委員 本委員会はハイジャック問題につきましてさまざまな角度から討議を続けてまいりました。他の委員会も同様でございますから、御存じのように五委員会の連合審査をもって審議も行いました。きょうは総理に御出席を願いまして、最終的な詰めの質問を総理大臣にいたしたいと思います。
総理にお伺いいたしますが、外国では、日本が過激派や赤軍の輸出国であり、日本の社会、政治がその温床であるかのような言動が一部にございます。それは決してゆえなしとはしないのであります。また外国の印象が、戦争中の特攻隊を含めて日本がともすればそういうような行動に出るものがあるし、またその温床があると言われています。私どもは、この赤軍派や過激派の意見や主張や要求に決して耳をかすものではありません。それははっきり申し上げます。けれども、そういう赤軍派や過激派が日本に常に存在し、われわれがその対策、罰則、予防策を講じても、その温床を見詰めることをわれわれはとかく忘れているのではないか。この間も鳩山、いわゆる親子バト論争かございました。食い違いました。一つには、若い立場を年寄りが考えないという議論でございます。外務大臣は、それは外国の問題、外国の政治、民族問題が深くかかわっておるということですれ違いました。一方、赤軍派の主張をとにかく一応考えてみますと、最近のように神社、東本願寺をねらう、アイヌの問題を取り上げる、天皇制打倒を考える、日韓癒着の問題を取り上げる、こういうことで、政治的な問題であると同時にいろんな問題が含まっておるわけであります。われわれはそれをやったら処罰する、処分するだけで一体いいのだろうか。政治を担当するものとして、赤軍派、過激派の温床となるものが一体何であるか、その根本要因を除去することがわれわれのジャンルの中で一体できるのだろうかどうか、どうしたらいいだろうかということはまだ十分に論争されていません。なぜ論争されていないか、お互いにあの人たちと次元が違うと言う、言ったって聞かぬだろうという先入主があるわけであります。しかし、それだけでは今後もあり得ることでありますから、われわれの手が及ばない問題であるにしても、政治を担当するものは、われわれの知らぬこっちゃ、とてもそんなことはできやせぬ、それで済むかどうか、総理の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/2
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003・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 私も最近のハイジャックに見られるような非人道的行為の起こってくるその根源が一体どこにあるのか、そういうことを考えてみることがあるのですが、これはいろいろの背景があるだろうと思います。私は、最大の背景は、やはり戦後、自由あるいは民主主義、そういうものについてのとらえ方、これが間違った方向へ行っておる側面がある。つまり、自分さえよければ人の利益は顧みない、自分の利益のためには人を犠牲にしてもいい、あるいは自分の主張を貫くためには何事をやってもいいというようなエゴ、こういう風潮が、これは世界的にもそうであろうと思いまするけれども、日本社会に脈々として流れておる、そういうところに問題があるのじゃないかと思います。ハイジャックの犯人たちが主張すること、これを法秩序のもとにおいて主張する、これは許されておることです。それを法秩序を無視し、社会それからまた個人の犠牲において自分たちの主張を貫こうとする。私は、そういう戦後誤った民主主義、また自由、そういう物のとらえ方、そこら辺に大きな問題があるのじゃないか、そのように考えておるのですが、社会風潮、この社会というものは自分たちだけのためにあるのじゃない、社会全体のためにあるんだ、人の立場というものを尊重しなければならぬ、その中に自分は生きていかなければならぬという考え方、これは政治といたしましてももっともっと突き進めていかなければならぬ問題である、このようにとらえております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/3
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004・横山利秋
○横山委員 総理のおっしゃるのは、それは方法論、自分の主張を貫く方法論の中で御説明になっているような気がするのですが、彼らの要求の根底を流れるものがそういうエゴだけで理解できるであろうかどうだろうかという点にちょっと疑問を感ずるわけであります。彼らの主張なり要求というものが、言論の自由でございますから仮に万歩譲って正しいといたしましても、その方法論が最もいけないのだということなんでございます。だから、その方法論の前に彼らの要求はなぜ出てくるのかということを私は問題を提起しているわけです。ですから、私が先ほど言ったように、神社をねらう、東本願寺をねらう、独占資本をねらう、アイヌの問題を取り上げる、天皇制を取り上げる、日韓癒着を取り上げる、政治の不信を取り上げる、こういうところに彼らの主張の基礎があるわけでございますね。私はその意味において、その根底に民族問題、超大国なりあるいは大国意識に対する少数民族の問題やそういう帝国主義的な問題がある。そういう理論や現実認識にわれわれはくみし得ない点はないわけではない。それはあなたも私も同感だと思うのであります。
しかしながら、一方ではそういう日韓癒着なりあるいはきのう出ました会計検査院への建設省の宴会攻めでございますね。会計検査院というのは公務員の汚職を検査するところなんです。検査する検査官を検査する検査院、第二の検査院をまた置かないと収拾がつかない。こういうようなことで、おまえの主張は間違っておるということにはならぬと思うのであります。そういう政治不信、大国不信、民族問題、少数民族の問題について私どもが別な角度で、彼らの主張、根拠とはちょっと違うし、方法論は全く違うけれども、姿勢を正してやっていかなければならぬのではないか、そういうことを私どもは痛感するわけです。われわれがここで議論したことは罰則を強化することでした、旅券の発行を制限することでした、人権に多少の制限はあるけれども、やれることはみんなやろうということでした。けれども、それだけで一体済むだろうかということを痛感するのであります。
そこで私は、あくまで平和を追求するという福田内閣の方針であるならば、彼らの要求とは関係ないけれども、しかし、たまたま次元が合うという問題において、アジアの平和ということの意味において、この際日中条約の締結の決断をすべきではないかと思っています。何かあなたの顔を見ていると、いろいろな迷いがあるようでございますね。一つはこれは党内の反対派、一つには、日中をやるとすぐ解散になるではないかという解散恐怖派、一つは、総裁公選で岡目八目で、あなたにやらしてはいかぬとかあなたにやらした方がいいとかという岡目八目派、そういうようなことが、最も基本でありますこのアジアの平和、民族の融和、そういう問題におけるいま一番焦点となっている日中問題についてあなたの決断が足らぬのではないか、直接関係はないようでありますけれども、私は根本の問題としてあなたの御意見をこの際聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/4
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005・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 日中平和友好条約につきまして私は真剣に考えておるということをるる申し上げておるわけです。これは双方が満足し得る環境、条件の中でなるべく早くこれを締結したい、こういうふうに考えておるのです。私の決断一つで決まる問題じゃないです。条約ですから、これは相手があるのですから、双方が満足し得る条件、こういうことでなければなりません。私としてはそういう条件を早くつくり出して、そして一刻も早くこれを締結したい、非常に真剣に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/5
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006・横山利秋
○横山委員 民族問題としてアイヌの問題が取り上げられています。いまアイヌ問題について議論をする時間はございませんけれども、東本願寺がアイヌの問題についてやった行動について誤解が彼らにもあるようでありますが、このアイヌの問題、少数民族の問題と並んで同和対策の事業特別措置法がいよいよ期限切れとなりまして、これがやはり過激派とは言いませんけれども、一つの温床になっておるように思います。私は問題の温床になっておるように思います。同和対策事業特別措置法についての延長の訴えについて、あなたはどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/6
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007・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 同和対策特別措置法は議員立法でできている法律でございます。それで、これはどういうふうにこれから先処置するか、議員の皆さんの意見を尊重しなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、まだ時間のあることでありますので、これからの推移、そういうものを十分見まして、また議員の皆さんの御意見もよく承りまして、そして適正に処置していきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/7
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008・横山利秋
○横山委員 この延長問題が直接関連がないとは私は断言をいたしますが、遠因としてこの問題がやはり底流でかかわり合っていくであろうということを心配をしておるわけでありますから、どうぞその心配が杞憂に終わるように善処を願いたいいと思います。
それからあなたは人命尊重という決断をなさいました。閣議でずいぶんもめたそうでありますが、決断をなさいました。その後、瀬戸山法務大臣が、血を流しても今後はやり方が異なるという立場を明らかにされました。人命尊重方針がある意味では手の内をさらけ出して、粘り強さを失わせた。全部過激派が、まあ一番おとなしい国、日本が一番この種の問題について従順な国、そういう印象を過激派のみならず世界の各国に与えたと思います。その批判についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/8
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009・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 私は、この種の事件につきましては、これは人命も尊重されなければならぬ、同時に法秩序も維持されなければならぬ、この両者が満足される解決、これに向かって全力を尽くす、こういう姿勢でいくべきだ、こういうふうに考えておるわけであります。しかし、先般のハイジャック事件の処理に当たりましては、残念ながら法秩序という面を犠牲にせざるを得ないそういう環境であった。私はまことに遺憾に思いますが、どこまでも姿勢といたしましては法秩序の維持また人命の尊重、これを両全、両立させるというところでなければならぬ、そういうふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/9
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010・横山利秋
○横山委員 最後に伺いますが、本委員会でずいぶん議論されました国際的な問題がたくさんございます。逃亡犯罪人条約三条約の諸外国加盟促進及び改正、司法共助、国際運送約款の徹底等々、国際的になすべきことが余りにも多く、国内だけではこの問題の処理はなかなか困難である。それを考えますと、西ドイツ首相が各国に直接いろいろな問題のときに電話をかけ、自分が行動したこととあなたの決断と——あなたとしてみれば、決断をしたとおっしゃるかもしれませんが、そういう点で対比されておるわけであります。総理大臣としてもう各国もお回りになったし、各国首脳とも御存じでございます。友好が経済的にも外交的にもいろいろございます。総理大臣が、この種の問題について事前にもその起こったときにももう少し行動的に、いま申し上げた諸問題についても事前に行動される、瞬間的にも行動されるということが要請されていると思うのでありますが、その点で御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/10
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011・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 私もあの事件の処理の過程におきまして、バングラデシュの大統領に二回も電話をいたしておるわけです。それから、あの事件を処理してからも、鉄は熱いうちに打て、こういうので、外交機能を総動員をいたしまして、各国間に協力の体制ができるように協力を頼む、こういう行動をとっているわけでありまして、西ドイツ云々というお話がありますが、西ドイツに対しましてわが国のとっておる行動がいささかも劣っておるというふうには考えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/11
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012・上村千一郎
○上村委員長 沖本泰幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/12
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013・沖本泰幸
○沖本委員 時間がありませんので、多くをお伺いできませんけれども、二、三についてお伺いしたいと思います。
まず、先ほど横山先生のお話にもいろいろと、今度おとりになった対策なり何なりの反省材料なり何なりというものが出ておるわけですけれども、それについて、対策本部をつくって、そしていろいろ具体的な予防の体制がいま組まれておるわけです。また、国連でも相当先頭に立って主張もしていっているわけですけれども、まず国連の中で、諸外国に向かって同じような体制をとってもらわなければならないし、またダブルチェック等についてもなかなか各国の協力が得られないというような事情にあるわけですが、そういうものについて、今後国連の場で日本がどういうふうな役割りを果たし、そして目的を達成するためにはもっと力を入れていかなければならない、こういう面について総理の決意を一応伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/13
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014・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 わが国は、この事件の再発防止、このためには国内措置では足らぬ、国内措置とあわせまして国際協力、これがどうしても必要だというので、御承知のように、国連でも決議案の推進に大いに努めたわけでありまするし、またハーグ条約その他、いわゆるハイジャック阻止のための国際協力の条約、これに対しまして、まだ加盟してない国が相当あるわけであります。それらの国に対しまして、その加盟方を慫慂するとか、いろいろ努力をしておるわけですが、そういう努力はもとよりやっていきます。同時に、これは政府ばかりじゃなくて航空企業間の協力も必要であるというので、ICAOの組織などを中心とする国際航空の協力体制、これの中においてハイジャック阻止の施策を強化する、こういう努力もいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/14
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015・沖本泰幸
○沖本委員 それにつきましてこの間から新聞なんかに出ているわけですけれども、たとえば警察庁が新しい対策案をつくって諸外国の情報なり何なりを集めるために新しい動き方をしているわけですけれども、そういうものに対する予算を大蔵省あたりが渋っているというふうなことが新聞に出ていますけれども、犯人を飛行機に乗せないなりあるいは犯人をチェックしていくなり何なりには相当な人と金が要るということは想像できるわけです。
一つの具体例を申し上げますと、たとえば先日当委員会で羽田の方を見せていただいて、そのとき話題にしたわけですけれども、たとえばローカル空港のチェックですね、海外ではダブルチェックまでいっているし、いろいろな点でチェック機関を強化していっているわけですけれども、ローカルの国内空港では十分チェックができていない。これは予算の面、人の面という点で非常に弱いわけです。そのときのお話では、プロペラ機だからハイジャックしてもほかの国まで飛べないから大体は大丈夫だろう、こういう御意見だったのですが、じゃプロペラ機をハイジャックして、乗っている人を人質にして、そしてさらに大きい飛行機を要求してやればできないことはないわけです。その辺にまだまだ抜けている問題が、私たち素人が考えても現実にあるわけです。これは大変だと思うわけなんですけれども、ローカル空港、たとえば米子であるとかそのほかの小さな飛行場がありますけれども、その辺は金属探知器なんかいろいろあるわけです。あるけれども十分機能も果たしていませんし、持っている物も十分検査できていないということですから、当然何人か犯人がその中に目をごまかして入って、プロペラ機をハイジャックすればできるわけです。ただ大阪なり羽田なり千歳なり、そういうところで乗りかえるときにもう一度外へ出してチェックした場合には乗れない、その辺までの話なんです。ですけれども、その場で飛んでいるときにハイジャックして、どこかの大きい空港でおりて、そのまま要求すればできるわけです。こういうものを全部未然に防ぐためにきちっと整えていかなければ、やられるということは間違いない。そうなってくるとやはり大きな金がかかってくる、人も要るということになるわけです。いま法律を強化しようとしているわけですけれども、この法律がすべて完全であるとは言えないのです。私たちは法律をつくりながら法律だけではだめだということをお互いに言っているわけなんです。そういう点ですと、やはり十分な対策を立てるためには十分な人と予算を使っていただかないと十分のことはなかなかできにくい、こういうことになるわけですけれども、いまの例をお聞きいただいて総理も御想像できると思いますけれども、これからそういうものに対して政府としてどういうふうに力を入れていかれるか、十分お金をお使いになりますか、人も十分おやりになりますか、あるいは航空会社に対しても十分のことをおやりになるか、その辺を伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/15
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016・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 この問題は国際線ばかりの問題じゃないのです。国内線にもあることは沖本さんの御指摘のとおりでございます。ただ国内線につきましては、従来警備体制というか取り締まりがやや緩やかであったかの感がありますが、今回の事件を契機といたしまして、国内につきましても警備体制を強化したい、このように考えています。それには金も要るし、また人手もかかるわけです。しかし早急にそれをしなければならぬ。本格的には五十三年度予算の問題になりますが、そのつなぎといたしましては、人やお金は現在の手持ちの予算を差し繰りましても警備体制を速やかに整備しなければならぬ、そのように考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/16
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017・沖本泰幸
○沖本委員 現場を一つ見ただけで、間違いなくこれはハイジャックできる、私がやってもできるのじゃないかという点が指摘できるわけです。ですからその点を考えますと、ただ法律だけつくったり国会でやあやあ言うだけで事が済ませられる問題ではありませんので、十分その辺、国民が安心して生命財産を守れるような体制をおつくりいただきたいことをお願いいたします。
時間が来ましたので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/17
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018・上村千一郎
○上村委員長 高橋高望君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/18
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019・高橋高望
○高橋委員 総理にお伺い申し上げます。
具体的なことについては先輩並びに同僚議員からいろいろお尋ねがあろうと思います。私は今回の事件の取り扱いに際しての総理のいろいろな原則論についてお伺いしたいと思います。
今度の事件の結果いろいろの意見があることは御承知のとおりであります。しかし私は、これは余り結果から判断することではなしに、結果の前に原則があるという立場をとりたいと思います。総理はいち早く、人命は地球より重いという考え方を示されました。しかし私に言わせるならば、国家の威信、名誉というような問題と人命という問題をもう一度基本的に考える必要があるのじゃないかと思います。確かに人質が発生し大変不幸なことでございますし、もし私個人も、あるいは私の身内の者も人質の対象になった場合にはずいぶんといろいろ考えるかと思います。しかし、もう一つ進んで国家の威信とかあるいは名誉ということを考えた場合には、私たちはもう一つ考えなければいけない問題を持っておると思います。したがって、お茶の間とか台所の判断で決めるべき課題ではなくて、大きな政治的な決断が必要である。自分の国の威厳を保つためには、個人が非常時に当たってはどうするかということを考えることが、私は必要ではないかと思います。この辺について総理がいち早く人命は地球より重いという、恐らく後世に残る言葉を言われましたけれども、何かそこに私はまだまだもう一段階お考えいただきたかった気がしてなりません。御意見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/19
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020・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 わが国は法治国家でありますから、法の秩序をどこまでも堅持しなければならぬ。つまりそれが国家存立の基本であります。しかし同時に人の命も尊重しなければならぬ、こういう立場にあるわけであります。これはもう人道上当然のことであります。そこで基本的な考え方、構えといたしましては、人の命も尊重しなければならぬ、また法の秩序、国家の存立もこれを守り抜かなければならぬ、この両者を相ともに貫き通す、こういう姿勢が、私は政府のとるべき正しい姿勢でなければならぬ、そのように考えておるわけであります。あの事件の瞬間におきまして、私が人の命は地球より重い、こういうふうに申し上げましたが、国家の存立、法の秩序の尊重、堅持、これは当然のことでありますから、それは省略いたしまして、人の命は地球よりも重いと申し上げておるわけでありまして、私の最終的な見解といいますか、基本的な考え方は、人の命も法の秩序も両々相まって存立するという方向、これを目指さなければならぬ、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/20
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021・高橋高望
○高橋委員 私は個人の生命というものを尊重するのには人後に落ちないと思います。しかし現在の世相の中で言われている個人の尊重あるいは生命の尊重の中に、敗戦の中から生まれた大義名分で全部が割り切られているような気がしてなりません。この種の問題を判断するときには、敗戦から生まれた価値判断をにしきの御旗にしてはめたり非難したりする方向というものを私は避けなければいけないと思う。敗戦から生まれた価値判断で物事を決めるというのは、ある意味においては楽です。でも、そういったことだけでは国家の威信、名誉という問題は私は解決しないと思う。総理にぜひお願いしたいことは、今度の事件を契機にして、改めてこういう問題を国民の前に、含んでおいているというお話ではなしに、提起していただきたいと私は思います。
さらに私が申し上げたいことは、どんなになっても社会というものは私はあると思います。個人と社会は存在すると思います。しかし国家というものは大なり小なり犠牲なり拠出によって存立するものであり、したがって、逆にその恩恵を受けるものであろうと思います。とかく日本人の共同生活というものは社会という面だけでとらえられて、同時にそれが国家として存立したり、あるいは世界の諸国に伍していくという意識が薄れているような気がしてなりません。今回の事件を一つの契機として、総理、どうぞひとつこの意味での御決断を重ねて私はお願いいたしたいと思います。御意見をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/21
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022・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 私は先ほど横山利秋さんの御質問にもお答えしたのですが、どうもエゴ的な風潮が日本社会にある、今回のハイジャック事件なんかもそういう風潮を背景として出て来ておるんじゃないかと思っておる、こういうことを申し上げたのであります。人はというか、日本人ひとりで存在するわけにいかぬです。やはり共同生活というか、相寄り相助けて、そして足らざるところは他人から補ってもらう、また持っている力は他人に分け与える、そういう仕組みとして社会があるのですから、その社会についてもまた一人一人は責任を持つ、こういう考え方でなければいい社会は存立しません。そういう考え方、私の常々言っている連帯と協調、これをどこまでも私は高らかに国民に訴えてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/22
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023・高橋高望
○高橋委員 総理、大変くどいのですけれども、社会というお取り上げ方のほかに、もう一つ国家という考え方をこの際はっきり国民の前にお示しをいただきたい。個人があり、社会があるところまで、これはもういつの場合でも私はあると思います。更に国際社会ということを考えた国家という考え方を、今度の事件を契機にしてひとつ総理から国民全体に対して御方針あるいは考え方をお述べいただきたいとつくづくそう思いました。今後この辺での御苦心があろうかと思いますけれども、お願いを申し上げて私の質問を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/23
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024・上村千一郎
○上村委員長 正森成二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/24
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025・正森成二
○正森委員 それでは、時間がございませんので二、三の点について私から聞かしていただきたいと思います。
今度のハイジャック法案で、赤軍派などが安易に海外に出てハイジャックを起こすことがないように旅券法が改正されまして、発給制限が加重されました。しかし二年以上の者にまで広がりますと九百二十ぐらいの罪種に広がるわけですね。当委員会での質疑におきましても、連合審査でも、この点が最も問題になりました。そこで法務委員会では、この審議が終わりました後与野党で一致して附帯決議をつけたいという意見が出ているわけであります。その案文の趣旨は、本法において加重された旅券発給制限については、その適用をハイジャック等非人道的暴力行為を行うおそれのある該当者を対象とするものとし、いやしくも一般国民の渡航の自由を侵すことのないよう、その運用につき特段の留意をなすべきである、ということを政府に求めたいという趣旨であります。そこで私は、総理に対して、こういうような行政姿勢で今後進んでいただけるかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/25
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026・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 これは、正森さんのいまおっしゃるとおりの心構えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/26
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027・正森成二
○正森委員 それでは次に、ハイジャック等非人道的暴力防止対策本部が十一月八日に発表なさいました対策についての一番最初に「日本赤軍対策」というのがございます。いろいろ法律をつくりましても、赤軍に対する対策をやらなければ根本でとめることはなかなかできないのですね。その第一項目に「日本赤軍に対する情報収集および取締りを強化する。このため早急に所要の専従組織を発足させる。」こういうぐあいになっております。これがいままで不十分であったということの中に、巷間いろいろ政府に手落ちがあったんじゃないかなどというのが出てきている根本でもあるわけですね。そこで、こういう対策が出てきたことは非常にいいことだと思いますが「このため早急に所要の専従組織を発足させる。」というような趣旨で、具体的にどういうことをなさろうとしておられるのか、お答えできればお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/27
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028・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 まだ具体的に結論を得ておるというところまでいっておりませんけれども、その対策要綱に盛っておるその趣旨に従いまして、いま関係各省でその詰めをしておる、こういう過程でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/28
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029・正森成二
○正森委員 本日は十一月十五日でございます。十一月十五日といいますのは西独の赤軍派がルフトハンザの飛行機を一機ずつ警告なしに空中で爆破するということを言いましたその最初の発動の日であります。わが国の羽田にもルフトハンザ機が一週間に七便やってきておるということで、それに乗る日本国民も相当数に上るということになるわけであります。そこで私は、西独政府からわが国政府に何らかの協力の要請が参っておるかどうか、来ておるとすれば、どういう内容でどう応ぜられるか、もし来ていないとすれば、来ていないからほっておくというのではなしに、人命の尊重を考えられる総理として何らかの対策を御指示なさるお気持ちがあるのかどうかを伺って私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/29
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030・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 この問題につきましては去る七日西独政府から、ルフトハンザ機をめぐっていろいろ情報がある、ついては日本政府も不測の事態の起こらないように協力せられたいという要請を受けております。その要請を受けて適正に行動しておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/30
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031・正森成二
○正森委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/31
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032・上村千一郎
○上村委員長 加地和君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/32
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033・加地和
○加地委員 このたびいろいろな防止対策が立てられつつございますけれども、やはり根本的に、今後超法規的な措置をとらないというはっきりとした態度を政府の方がお示しにならないと、どんなに制度をつくっても、最後はまたハイジャック犯人の恐喝に乗せられて、何をしておることかわからない、こういう不安感を持つと思うのです。それと、私はまた超法規的な措置をとらないという毅然とした態度をとるということは、ハイジャック事件鎮圧といいますか予防的効果も大きいと思うのです。そういう点について総理もいままでいろいろなところで答弁はしておられますけれども、将来の犯罪鎮圧、予防という観点から、やはりこの際考え直した決意を御表明いただけるかどうかお尋ねしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/33
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034・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 この種事件の処理に当たりましては予防的措置を充実しまして、人命も尊重される、同時に法の秩序も維持される、この二つのことを目指してやっていかなければならぬ、こういうふうに考えます。人の命はどうなっても構わないんだという原則を初めから立てておく、それはいかがかと私は思いますが、とにかく人の命もひとつ大事にしましょう、法の秩序も大事にしましょう、両々相まって実現されるような体制に向かって邁進する、これが政府の基本姿勢でなければならぬ、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/34
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035・加地和
○加地委員 ただいまの質問に関連しまして、政府が毅然とした態度をとる一つのあらわれとして、時と場合によれば日本の警察の機動隊が海外へ派遣され、人質の救出、ハイジャック犯人の鎮圧に当たり得るというような制度を確立しておくことが非常に重要じゃないかと私は思うのです。これは、こういう制度が発動されることを望みはしません。しかし時と場合によっては日本政府はそこまでやるんだという構えを見せておくことが非常に大事だと思うのです。ところがこの前の法務委員会におきまして、私の質問に対し、警察法の改正問題も、また解釈で運用するかどうかという問題も、また海外へ派遣するのかしないのかという問題についてもまだ解答が出ていないという状態でした。事件が起きて相当日にちがたちますのに、このように非常に重要な基本的な問題について答えが出ていないというところにハイジャック犯人につけ込まれるすきがあるのではないでしょうか。総理、いわゆる警察官が臨機応変に出動し得るという問題についてはどのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/35
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036・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 ただいまの点は非常に重要な点だろうと思うのです。現実の処理の問題とすると相手国がある。ですから、わが国の法制がどうあろうとも、相手国の意向いかんによりましては警察官派遣はできないかもしれませんけれども、とにかくわが国の法制としてどうなっているんだということをはっきりさせておく必要がある。これはまだいろいろ議論がありまして、御鞭縫を受けた次第でございますが、早急に結論を出しまして対処したい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/36
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037・加地和
○加地委員 ただいまの前向きの答弁に私は期待をいたしております。
それをやはり御注意喚起ということになるかもしれないのですが、僣越でございますが、最近のテロ犯人たちの声明文によりますと、どうも国内問題に焦点が当たってきておるような気がします。天皇制の問題、日韓腐敗という問題、ロッキード事件の問題こういうものに政府に反省を求めるがために自分らは行動するのだという、盗人にも三分の理ありというようなことを言ってきております。また天皇制ということが出てまいりますと、右翼の方の激化ということも想像されるわけでございまして、いま飛行機のハイジャック、ハイジャックということでそちらへ焦点が移っておりますけれども、敵はどの方角からどこへやってくるかわからないということでございますので、万全の体制を敷いていただきたい、このように私は最後に希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/37
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038・上村千一郎
○上村委員長 横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/38
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039・横山利秋
○横山委員 先ほど私の質問につきまして、総理のお答えに大変な間違いがございました。同和対策事業特別措置法につきましての質問に対しまして総理は、議員提案であるから、国会側の処置、それに対して自分も努力をする、こういう御答弁でございました。これは申すまでもなく政府提案なのであります。その認識の違いは単なる間違いでなくて、総理が日ごろそういうふうに物事を考えられておるのではないか。議員提案と政府提案との違い、したがって政府に一義的な責任はないという気持ちが、この同和対策事業特別措置法に限ってあるのではないかという気がしてならないのであります。したがいまして、もう一度この事業特別措置法についての法律的な根拠、政府の第一義的な責任、それについて正しくお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/39
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040・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 私は先ほど同和対策特別措置法は議員立法だ、こういうふうに申し上げたわけですが、あれは一つ言葉が抜けているのです。実質的には、という言葉を落としたので、いまつけ加えようと思っておったやさきに横山さんから御指摘を受けたわけですが、これは今度十年を経過いたしまして、法律の期限が到来をする。そのときこの法律をどうするかということは政府の問題でございますから、政府において判断を示します。その際に強調しておきたいことは、あれは実質的に議員立法でありまするから、議員の皆様の御意向、御意見もよく承りまして、そして結論を出す、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/40
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041・横山利秋
○横山委員 これは私が心配しておりますのは、この特別措置法の延長問題は、単に部落解放に関係する人々だけの問題ではない、余波があるという意味から、この際緊急に質問をしたわけでございますから、御認識が少し違っておる。速記録を読んだ分では、総理が何か二義的に考えておるという熱意がないやにとられるおそれがあるのでありますから改めて質問をしたのでありますが、政府として延長について率先してこの延長をされるよう、第一義的な印象を与えられるよう希望いたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/41
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042・上村千一郎
○上村委員長 山崎武三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/42
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043・山崎武三郎
○山崎(武)委員 けさの朝日新聞のコラム欄、これを見ますと「「乗っ取り」さめてきた強硬論」というのでるる書かれております。総理初め法務大臣、お読みになったんだろうとは思いますけれども、要約するところ、瀬戸山法務大臣、血を流してでも法秩序を守るという言動が、最近はやや慎重になってきたという言葉、そして伊藤法務省刑事局長、態度が変わってきたという言動、政府首脳が西独の強行救出作戦を従来までは称賛していたけれども、いまになっては成功したからよかったもののという冷めた評価になってきた。したがって、事件が再発したら、またあっさり犯人に降伏するのではないかという懸念はむしろ高まったまま、ハイジャック防止法案は十五日の衆議院本会議で可決され、参議院へ送られるというような要約でございますが、法務大臣にまずお聞きしますけれども、新聞記者の諸君が、長い日にちをかけまして審議した今回のこのハイジャック法案をこういうぐあいに見ているのは当たっているのかどうか、まず法務大臣にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/43
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044・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 新聞記事でありますから、どういうお考えか私十分わかりませんが、私の法秩序あるいはこういう問題に対する態度は最初からいまも少しも変わっておりません。先ほど総理お話しのように常に私が申し上げておりまするように、憲法を制定し、かつ憲法の原則に従ってそれを実現するために各般の法律制度をつくております。これはやはり人間のため、国民のためでありますから、安全確実に生活ができるようにというのが法治国家の目的でありますから、最高度に人命を尊重しなければならぬのは当然であります。ただその基本が暴力等によって崩されるというときには、あらゆる努力をしてその基本を守ることには断固としていかなければならない、これは変わりありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/44
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045・山崎武三郎
○山崎(武)委員 法務大臣の御所見と総理の御見解、つまり総理の先ほど来からの御説明によりますと、事件が起きた場合に人命の尊重と法秩序の維持というのは両立すべきことである、したがって両々相まった形で事件の処理はすべきであるというふうに聞いたわけでございますけれども、この二つが両立できない場合はいずれを優先させるかということだろうと思うわけでございまして、そこで法務大臣の場合は、法秩序を維持するということがとりもなおさず将来にわたる人命の尊重につながるわけでもありますし、時と場合によっては血を流してでも法秩序を維持し、国を守る、こういう考えをとることもあるという御見解だと聞いております。この見解について、総理の御所見、つまり法務大臣の御意見と総理の御意見は異なるのか、一緒なのか、その辺をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/45
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046・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 私の見解と法務大臣の見解にはいささかの違いもございません。違いがあったらこれは大変なことであります。内閣不統一ということでございますから、いささかの違いはないわけで、私が申し上げているとおりこの法秩序、これを貫き通さなければならぬ、それから同時に人命も、これを尊重するということでなければならぬ、この両々、この二つの問題に対して満足した結論を出す、これが本問題に臨む基本的な姿勢でなければならぬ、こういうふうに考えているのです。いま、どっちか選択しなければならぬような事態になったらどうするというようなお話ですが、そんな場合を予想してはいかぬと思うのです。万全の事前対策をいたしまして、そしてそういう事態が起こらないように法の秩序も人の命も両々相満足されるような形の体制を整備しなければならぬ、このように考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/46
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047・山崎武三郎
○山崎(武)委員 十六億のお金はどこから御支出になったんでしょうか、ちょっとお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/47
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048・岡崎洋
○岡崎説明員 十六億円余の金額は、政府の予備費から支出いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/48
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049・山崎武三郎
○山崎(武)委員 これが仮に百六十億だったらお支払いになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/49
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050・岡崎洋
○岡崎説明員 予備費の支出につきましては、内閣の決定に基づきましていたすものでございますので、そのときの御判断によりまして私どもは処理をいたす、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/50
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051・山崎武三郎
○山崎(武)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/51
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052・上村千一郎
○上村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/52
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053・上村千一郎
○上村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/53
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054・上村千一郎
○上村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/54
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055・上村千一郎
○上村委員長 次に、ただいま可決いたしました本法律案に対し、羽田野忠文君外六名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同、新自由クラブ及び無党派クラブの共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提案者から趣旨の説明を聴取いたします。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/55
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056・横山利秋
○横山委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同、新自由クラブ及び無党派クラブを代表して、附帯決議案の趣旨について御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
航空機強取等防止対策を強化するための関係法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に伴い、行政措置による諸般の対策を適切に実行しつつ、ハイジャック等非人道的暴力行為の絶滅を期するために、次の諸項を含めて格段の努力をすべきである。
一 政府部内の対策本部は、恒常的に非人道的暴力行為の絶滅のため予想される行為のあらゆる分野にわたり検討を行い、各省庁を指導して統一的かつ機動的な運営を行い、先行して予防措置を講ずるとともに、緊急事態に応じ敏速に対処しうるよう体制をとるべきである。
二 国際的な相互協力は、警察、検察、外交、運輸等各般にわたつて強化する必要あるにかんがみ、国内における国際的協力体制を整備するとともに、各国に対しても積極的に協力体制整備を求めるための努力をすべきである。
三 国連で決議されたハイジャック防止決議の実施促進を図るとともに、ハイジャックに関する三国際条約の未加盟国の加入を要請し、併せて同条約の不充分な点についての改善に今後努力すべきである。
四 国際刑事警察機構や在外公館、民間機関等の協力を得て情報の収集を強化し、日本赤軍等過激派の公開捜査に特段の工夫をすべきである。
五 過激派によるハイジャック事件のみならず、暴力団犯罪や内ゲバ事件等国民生活の周辺に惹起する非人道的暴力行為に対する取締り及び刑罰の強化についても検討すべきである。
六 機内持込品の制限等についての国際運送約款の安全管理条項が国際的に厳正に実行されていない実情にかんがみ、各国に協力を要請し、また各国の空港における安全検査体制の強化を求めるべきである。
この間、日航等は、ダブルチェックをはじめ自主的防衛措置の整備に遺憾のないようすべきである。
七 国際的司法共助の強化が必要であるから、国際的な協力を促進するとともに、これに伴う国内法の整備を検討すべきである。
八 逃亡犯罪人の引渡し条約の締結国を拡大することについて努力をすべきである。
九 今日までのハイジャック関係犯人については、国民世論にかんがみ、あくまでその追及、逮捕、引渡等について全力を尽くし、必ず成果を期すべきである。
十 本法において加重された旅券発給制限については、その適用をハイジャック等非人道的暴力行為を行うおそれのある該当者を対象とするものとし、いやしくも一般国民の渡航の自由を侵すことのないよう、その運用につき特段の留意をなすべきである。
十一 以上の各般の措置を実行するに当たつて、一般国民の人権に不当な制限を与えることのないよう留意すべきである。
以上であります。
本案の趣旨については、委員会の質疑の過程ですでに明らかになっておりますので、省略いたします。
何とぞ本附帯決議案に御賛同あらんことをお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/56
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057・上村千一郎
○上村委員長 以上で趣旨の説明は終わりまし
た。直ちに採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/57
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058・上村千一郎
○上村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、瀬戸山法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。瀬戸山法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/58
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059・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、至極もっともな御指摘でありますので、政府といたしましては、附帯決議の趣旨を尊重し、ハイジャック等非人道的暴力行為の絶滅を期するため、全力を挙げて万全の措置を講ずることとしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/59
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060・上村千一郎
○上村委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/60
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061・上村千一郎
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/61
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062・上村千一郎
○上村委員長 次回は、来る十八日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108205206X00819771115/62
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