1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十二年十一月二日(水曜日)
午後一時十一分開会
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委員の異動
十一月一日
辞任 補欠選任
和泉 照雄君 塩出 啓典君
十一月二日
辞任 補欠選任
柿沢 弘治君 森田 重郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 藤原 房雄君
理 事
源田 実君
藤川 一秋君
森下 昭司君
塩出 啓典君
佐藤 昭夫君
委 員
亀井 久興君
望月 邦夫君
山崎 竜男君
松前 達郎君
吉田 正雄君
中村 利次君
森田 重郎君
衆議院議員
修正案提出者 宮崎 茂一君
国務大臣
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 宇野 宗佑君
政府委員
科学技術政務次
官 大島 友治君
科学技術庁長官
官房長 半澤 治雄君
科学技術庁原子
力局長 山野 正登君
科学技術庁原子
力安全局長 牧村 信之君
科学技術庁原子
力安全局次長 佐藤 兼二君
資源エネルギー
庁長官官房審議
官 武田 康君
運輸政務次官 石井 一君
運輸省船舶局長 謝敷 宗登君
事務局側
常任委員会専門
員 町田 正利君
説明員
科学技術庁原子
力安全局原子炉
規制課長 松田 泰君
環境庁水質保全
局水質規制課長 島田 隆志君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法
律案(第八十回国会内閣提出、第八十二回国会
衆議院送付)
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
する法律の一部を改正する法律案(第八十回国
会内閣提出、第八十二回国会衆議院送付)
○科学技術振興対策樹立に関する調査
(原子力行政に関する件)
(使用済核燃料の再処理に関する件)
(原子力船「むつ」に関する件)
(日米原子力協定に関する件)
(原子力発電の安全性及び温排水規制に関する
件等)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/0
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001・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告をいたします。
去る十月二十八日、久保亘君が、昨日、和泉照雄君が、本日、柿沢弘治君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として、松前達郎君、塩出啓典君及び森田重郎君がそれぞれ選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/1
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002・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) 委員の異動に伴い、現在理事一名の欠員が生じております。この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/2
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003・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) 御異議ないと認めます。
それでは理事に塩出啓典君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/3
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004・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案並びに核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、両案の趣旨説明並びに衆議院における修正部分の説明を聴取いたします。それでは政府から趣旨説明を聴取いたします。宇野科学技術庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/4
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005・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) まず、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
わが国における原子力船開発に関しましては、原子力第一船の建造、運航により、原子力船に関する技術の確立を図るため、その開発を担当する機関として、日本原子力船開発事業団を設立することとして、昭和三十八年に日本原子力船開発事業団法を制定いたしました。
日本原子力船開発事業団は、原子力委員会が決定した原子力第一船開発基本計画に従いまして、原子力船「むつ」の開発に努めてまいりましたが、昭和四十九年九月、出力上昇試験の際に発生した放射線漏れのため、現在、母港の岸壁に係留の状態にあり、原子力船開発は一時中断のやむなきに至っております。
このような事態に対処し、政府といたしましては、「むつ」放射線漏れの原因を調査するため、総理府において調査委員会を開催し、専門的な調査検討を求めたのでありますが、同委員会におきましては、自主技術による原子力船開発を達成するためには、「むつ」の開発を引き続き推進すべきであること、及び「むつ」は技術的にみて全体としてはかなりの水準に達しており、適当な改善によって所期の目的を十分達成し得るものであることが結論として報告された次第であります。また、このことは、原子力委員会においても原子力船懇談会を設け、原子力船開発のあり方等について各分野の学識経験者の意見を徴したところ、同様のことが確認されたのであります。
政府は、右に述べた各委員会等の意見を尊重し、検討した結果、引き続き日本原子力船開発事業団が中心となって「むつ」の開発に当たり、遮蔽改修、−安全性総点検、出力上昇試験、実験航海等を行い、原子力船建造の経験を得るとともに、原子力船の安全性、信頼性を確保するための技術を蓄積する必要があると判断した次第であります。
政府といたしましては、日本原子力船開発事業団の設立目的を達成するため、日本原子力船開発事業団法が廃止するものとされる期限を、現行法に規定する昭和五十一年三月三十一日から十一年間延長して昭和六十二年三月三十一日に改正しようとする内容の法律案を国会に提出した次第でありますが、衆議院におきまして、日本原子力船開発事業団が原子力船についての研究開発機関に移行するための必要な措置として日本原子力船開発事業団法が廃止されるものとされる期限を昭和五十五年十一月三十日とするよう修正されております。
次に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
昨年六月、わが国は、核兵器の不拡散に関する条約を批准いたしました。これにより、国際原子力機関との間に保障措置協定を締結することとなり、同協定について御承認をいただくべく、今国会に提出しているところであります。
本協定では、現在、わが国が受け入れております米国等五カ国との間の二国間原子力協力協定に基づく保障措置に比し、種々の合理化が図られており、わが国の原子力開発利用の促進に大きな寄与が期待されるところでありますが、本協定を実施するためには、立入検査に関する規定の整備等国際規制物資の使用に関し、所要の国内制度の整備を行う必要があります。
次に、本法案の内容を述べさせていただきます。
本法案は、保障措置協定の実施に伴う国際規制物資の使用の規制にかかわるものであります。
わが国職員が立入検査を行う際、必要な試料を収去できることとするとともに、国際原子力機関の指定する者も、立入検査を行うことができることとするほか、国際規制物資を使用する者は、国際規制物資の適正な計量及び管理を確保するため計量管理規定を定め、内閣総理大臣の認可を受けなければならないこととする等国際規制物資の規制に関し、関係規定の整備を行うこととしております。
なお、当初の政府案におきましては、以上のほか、再処理事業の規制にかかわる規定の整備も内容としておりましたが、衆議院におきましては、保障措置協定を一定期日までに発効させる必要があることに伴い、同協定の実施に関する規定のみに修正されております。
以上、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案並びに核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/5
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006・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) 次に、衆議院における修正部分について修正案提出者衆議院議員宮崎茂一君から説明を聴取いたします。宮崎茂一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/6
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007・宮崎茂一
○衆議院議員(宮崎茂一君) ただいま議題となりました両法律案に対する衆議院の修正につきましてその趣旨を御説明申し上げます。
まず、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案に対する修正の内容は、附則第二条の改正規定中「昭和六十二年三月三十一日」を「昭和五十五年十一月三十日」に改めたことであります。
この修正は、日本原子力船開発事業団が原子力船についての研究開発機関に移行するための必要な措置として、同事業団法を廃止するものとする期限を、現行法に規定する昭和五十一年三月三十一日から四年八ヶ月延長することとしたものであります。
次に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正の内容は、改正規定中、再処理事業の規制に関する部分を削除したことであります。
この修正は、昨年六月に批准されました核兵器の不拡散に関する条約に基づき、国際原子力機関との間の保障措置協定を一定期日までに発効させる必要があることに伴い、同協定の実施に関する規定の早期施行を図るため、原案を、同協定の実施に関する改正規定のみに改めたものであります。
よろしく御審議をお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/7
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008・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) 以上で両案の説明及び修正部分についての説明は終わりました。
速記を中止してください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/8
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009・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) 速記を起こしてください。
暫時休憩いたします。
午後一時二十四分休憩
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午後一時三十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/9
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010・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) ただいまより委員会を再開いたします。
科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/10
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011・吉田正雄
○吉田正雄君 私は、先日も委員会で、今日、日本が直面をいたしておりますエネルギー問題に触れながら、とりわけ今日まで進められてまいりました原子力開発に関します行政のあり方に触れながら具体的な問題として柏崎・刈羽に建設が認可をされました原子力発電につきまして、今日までの安全審査委員会の審議のあり方と、それから具体的な現地における調査等の中に幾つかの点で問題があるんではないかという点で指摘をいたしてまいったところです。そして、必ずしも十分な、あるいは現地の住民の皆さんが従来指摘をしてまいりました点が解明をされない、ますます原子力行政のあり方なり安全審査会のあり方について不信感をむしろ増大をさせる結果になったんではないかというふうに私は思うわけです。そして、私が当初申し上げましたように、この問題はきわめて技術的な高度な科学的な判断を要するという問題であるだけに、一般国民としては、そのことが本当に正しく理解をされるような資料の提供というものがなされなければ判断のしようがないわけですね。ですから、私は、もう何が何でも開発促進、あるいは何が何でも絶対反対という、そういう立場ではなくて、原子力発電を、原子力というものを開発するに当たって、本当にそのことの今日問われている意義というものが国民に正しく理解をされた上での選択を迫るということなら話がわかるんですね。ところが、一方的な宣伝が行われる中でどんどん開発が進められていく。しかも、強調されておる安全性というものが十分に確認をされないまま、まさに開発と安全性というものを並行しながらという、確認しつつというその言い方の中で、実は安全性が何ら確認をされないまま開発だけが強行されていくという点に、今日の原子力行政の私は基本的なやはり問題点があろうというふうに思うわけです。そういうことで先日も幾つか具体的な点について見解を求めたり実情をお尋ねをしたんですが、十分な回答が得られない。何かこの場における質問に対しては、その場限りで答弁をして言い抜けていけばいいんじゃないかというふうな姿勢も私は見られるような感じがしたわけですね。そういう点で、きょうは現地の皆さんに答えるというそういう姿勢の中で私は答弁をいただきたい。このことを当初強く要請をしたいと思うんです。
この前、答弁をいただいた中で時間切れで実は不十分な点がありましたし、残された問題がたくさんあるわけです。そこで、最初にまずお聞きをいたしたいと思いますのは、東電や科学技術庁当局は、地元住民の公開討論会の開催要求に当然応ずるべきであった。にもかかわらずこれを拒否をしたわけですね。そして、後ほどこれにかわるような何か現地の住民の意見を——開催するというふうなことも後ほど言い出されたんですが、逆に現地の人たちはそういうまやかしの公聴会には応ぜられないと、こういうことで現地の皆さんは断って、そしてこれは文書による住民の意見聴取という形に終わったわけですね。そういう点でなぜ地元住民の公開討論会の要請というものを断ったのか。私は、本当に皆さん方が住民の十分な理解と納得を得るという、最大限の努力を払うんだという文字どおりそういうことが行われておるならば、当然私はこの公開討論会に応ずるべきだったと思う。応じなかったその最大の理由といいますか、それは何なのか、それはまた今日の原子力行政のあり方と関連して、本当に私は住民の理解あるいは同意が得られる措置だったのかどうなのか、そういう点でまずお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/11
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012・松田泰
○説明員(松田泰君) 新潟県で予定をしておりました公聴会、まあ公開討論会と先生おっしゃいましたが、公聴会の意味だと思います。公聴会を原子力委員会が主催でやるべく私どもも準備したわけでございますが、最終的には新潟県知事の同意を得てやる予定でおりましたところ、新潟県知事の方から、現状で開くことは地元に混乱を起こす可能性があるということで、いまのような姿で公聴会をやるのは望ましくないという回答を得ましたので、それにかわりまして、それでは文書意見による意見を聴取しようということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/12
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013・吉田正雄
○吉田正雄君 現状のままで開催をしたならば混乱を起こすおそれがあるという、その混乱とはそれは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/13
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014・松田泰
○説明員(松田泰君) これは新潟県からの回答の文書を申し上げましたので、別に混乱の内容がどうこうと私どもが推測しているわけではございませんが、いずれにしましても相当の地元では激しい反対運動もありましたことも頭に置きまして文書意見による方がいいと、新潟県知事の回答を尊重して決めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/14
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015・吉田正雄
○吉田正雄君 おかしいでしょう。現地の反対会議の方からも直接皆さんに公開討論会を開催してほしいという要請があったでしょう。その点まず答えてください、直接要請があったかどうか。県知事を通じての要請だったのか、直接要請が行われたのか、どっちなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/15
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016・松田泰
○説明員(松田泰君) 現地から直接開いてくれという要請があった点については、この場でちょっと記憶が確かでないこともございますが、この公聴会はそもそも原子力委員会が設置許可をおろすまでに開きたいということで計画したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/16
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017・吉田正雄
○吉田正雄君 私の質問に答えていないですよ。いいですか。私は一番当初に、皆さん方原子力委員会が計画をしておるいわゆる公聴会というものと現地の住民が要請をした公開討論会というものを私は区別をして申し上げておるのですよ、当初から。いいですか。そして皆さんが計画をした公聴会についてはそんなものはまやかしだからということで現地では断った。しかし、そうでなくて公開討論会というものを現地住民が、反対同盟の皆さんが、要請をしたんですよ。その点について私は聞いているのに、記憶がないとは何ですか、それ。記憶がないのですか、それともそこ混同されているのですか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/17
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018・佐藤兼二
○政府委員(佐藤兼二君) お話しの件は、もともと柏崎の炉が申請になった場合、具体的な処理等の一環といたしまして原子炉安全審査会が審査をする場合、原子力委員会の方針といたしまして、審査に当たってできるだけ地元の方の御意見等を拝聴して、その意見等をも考慮して審査に万全を期す、そのために所要の制度の一環として公聴会というものを開こう、こういうような制度が一つ考え方としてあるわけでございます。それに対する柏崎の炉の問題に関する適用の問題といたしまして、私たちはあくまでもその方法にのっとりまして、現に、当初先生御指摘のとおり地元の方々のそういう声もありましたし、それからスタートのころは、県の方でもでき得ればそういうような制度にのっとって地元の声ある声を聞いて審査を万全にしてもらうことは地元としても非常に望むところであるというような声もあったので、その線に従って具体的な詰めを県当局等々を通じましてこれを進めてきたわけでございます。しかしながら、結果的には非常に、その御希望の趣旨と私たちの方が考えております制度との運用の問題で十分それをくみ取ることができない部分もございまして、結果的には書面公聴会をもってこれにかえる、つまり万やむを得ず次善の措置として文書公聴会をやらざるを得なかったというのがその経緯の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/18
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019・吉田正雄
○吉田正雄君 皆さんはどういう趣旨で地元の意見を聞くという立場に立つかと言えば、趣旨は、皆さん方の考え方を地域住民に十分理解をしてもらう、また計画の内容も十分知ってもらう。したがって、むしろ一番対象とすべき人たちというのは反対をする人たちが対象でなきゃいかぬわけでしょう。もう文句なしに賛成という方に何をいまさら説明する必要があるんですか。そうでなくて、現地住民の同意を得るということは、とりわけその開発に疑問を提示をし、不安を持っている人たちに対してなされなければならないわけですよね。ところが、一番異議を唱え、一番不安を感じ、一番疑問を持っておる人たちのそういう要請というものを断って、一体何を現地で開催しようというのですか、公聴会というのは。賛成者だけ集めて賛成者の意見を聞くという公聴会なんですか。皆さん方の考え方は一体どういう趣旨で開かれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/19
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020・佐藤兼二
○政府委員(佐藤兼二君) 先刻申し上げましたように、ポイントをしぼって申し上げるならば、原子炉安全審査会が審査するに当たって——審査の結果でございません、今後審査するに当たってどういう点を最も留意しながらやるべきなのか。これは単に申請書に書かれていることから見て、こういう項目をこういうふうに審査しようというだけじゃだめだろう。御案内のように具体的に、炉の審査は個別具体的なそのサイトとの関係においての審査なわけでございますから、そのサイトに絡まる固有の問題、それから審査会の先生方が恐らく書面ではわかりきれない場合があってもいかぬので、むしろそこの土地にお住まいになっていらっしゃる方の実際的な御意見というものを拝聴してやった方が最も民主的な方法であろうという判断から、むしろ御意見のあるその中身をお聞きするというのが趣旨でございまして、むしろ公聴会などを開かれた場合は、あわせて現地に出向いてやるわけでございますから、われわれの考えをそれなりに申し上げてプラスになるお話があるならば、あるいはその時点でお話し得ることがあるならば、せっかく出向いたんですから、できるだけ時間をかけてお話し申し上げようというのがあわせての趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/20
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021・吉田正雄
○吉田正雄君 そういう通り一遍の答弁ですから、現地の皆さんが、皆さん方原子力委員会が計画をした形式的な公聴会には参加をできないということになるんですよ。当初から言っていますように、立地条件の中でも私は何よりも最大の要素というのは、現地住民の納得が得られるかどうかということが私は最大のポイントだと思うんですよ。現地住民が一々原子炉の科学的や工学的なむずかしい話わかるわけないんです。そういう点で現地住民の不安を解消し、そして本当に理解を得るという皆さん方に積極的な姿勢があるならば、むしろ進んで現地住民の要請をくみ上げていくという、そういう姿勢がなければいけないと思うんですよ。ところがそうでなくて、現地住民の要請を入れた公開討論会を開いたり、あるいは公聴会を開いたりすると、何か不穏な情勢が出てくるんじゃないかとか、混乱が生ずるのではないかという、そういう一方的な判断のもとに、つまりは住民が何か不逞のやからの集団でもあるような、そういう不法集団でもあるような、そういう概念、観念というものが常に皆さんの中にあるんじゃないか。またそれを裏返して言うならば、現地住民を納得させるだけの皆さん方には確信がない、自信がない。そのために現地住民のそういう要請というものを断わった。そういうふうに現地住民はむしろ受けとめておるんですよね。自信がない、現地住民を納得させられないだろうという、そういうふうに現地住民は受けとめたわけです。ですから、ますますまやかしの原発建設ではないかと、こういうふうに受けとめておるんです。しかも私はこの前もちょっと申し上げたと思うんですけれども、この開発促進に賛成をする促進協議会、この促進協議会も独自の調査で地質調査をやっているんですよ。その結果、きわめて地盤が悪質であり、地質もよくないということで、これは大変だという結果が出ているんですね。そういうことで皆さん方もその結果を見て炉心の位置を転々と五回も変更されたということになってきておるわけです。だから変更の理由というものもきわめてあいまいであり、つまりは皆さん方自身の中には現地住民が指摘をするような幾つかの欠陥、問題点というものを抱えておるがゆえに、当初言った炉心の位置というものを五回にわたって変更しなければならなかった。このことはもうはっきりしてきているんですね。であればなおさら私は現地住民に積極的に会って、機会を持って説明をするというのが当然だと思うんですよ。そういうことがなされなかった。こういう点で私は皆さん方の行政のあり方としてその点非常に問題があるし、不満なんですね。で、この点いまここで言ってみても同じような答弁しか出てこないでしょうから——そういう点では不十分である。現地住民はますます不信感をそれによって持ったということだけをまず指摘をしておきたいと思うんです。
そこで、次にお聞きしたいんですが、これ非常に大切なことですからね、思うでは困るんで、確実に根拠なり資料なりというものを皆さん方の方で明示をしてもらいたい。
で、活断層については皆さん方も真殿坂断層については存在を認めておいでになる。ただ、その断層の距離については従来帝石やその他の地質学者あるいは現地の地質学者が調査をした結果と、それから東電と、安全審査委員会の地質部会ですかね、の結論が違っているわけです。つまり、皆さん方の結論というのは、従来の学説や、あるいは現地の地質学者の調査結果というものを否定をしておるんですけれども、否定の根拠というものが何ら明示をされないで取るに足りないとか、こう判断をするという一方的な断定で、きわめて非科学的なんですね。そういうことで、私はこの前も真殿坂断層については、あれは活断層であるということで、第四紀後期の地質であるがゆえに、これは活断層なんだ、なるほどその活動性についてはいろいろランクがあって、現に目でもって確認できるような活動を続けておる断層もあれば、なかなか目では確認できない、きわめて活動度が目で見る限りでは小さい、しかし地震という観点から考えると、活動度の少ないものであっても、私が先般も申し上げましたように、明治以降の地震の半数というものが最も活動度の低いこのランクの活断層によって起きておるということを申し上げたんです。そういう点で、この第四紀後期というのが日本のほとんどの地質であり、日本の地震の発生をしている圧倒的多くの部分というのは、この第四紀後期の中で地震というものが起きておるわけですね。それ以前の古い地層というのは飛弾とかほんとの一部分しかない。日本の土地というのは、ほとんどが第四紀後期なんだ。そういう点で第四紀後期の活動性が無視をできるという断定なんですね。一体この無視できるというこの根拠というものは、どういうものによって得られたのか。このことを地質学的に、もうちょっとはっきりさしていただきたいと思うんですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/21
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022・松田泰
○説明員(松田泰君) 真殿坂断層の第四紀後期の活動性につきましては、先生がおっしゃいます一般論としましては、確かに活動している断層は第四紀後期の断層が多いわけでございますが、真殿坂断層は第四紀後期の地層の中に、その第四紀後期の地層を切っているというような形で存在しているというものではないわけでございます。真殿坂断層があると推定されておりますところは、もりと古い地層のところでございまして、しかも真殿坂断層という推定断層自身が根拠となっている文献を見ますと、なるほどある先生は一つの断層を推定していらっしゃいますけれども、必ずしもその先生以外の方が同じような推定をされているわけではございません。で、その根拠となっている断層は、非常に短い断層をいろいろな評価を加えてつなげていらっしゃるわけでございます。で、そういう根拠となっている文献を、これは数はたくさんございますけれども、石油関係資料等の文献を一応審査会の先生もあたりました。それからもう一つは、これは報告にも書いております航空写真等による大きな地形構造の判定もいたしました。それからわずかではありますけれども、露頭があるようなところは現地調査もして、その露頭が真殿坂断層そのものを示す証拠ではないということも確かめておるわけでございます。そういうことから判断いたしまして、非常に活動性が低いと、これは細かく専門的に見ますと、時間があれば幾らでも資料をそろえて御説明できますが、そういう思考で真殿坂断層の活動性を判断したと、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/22
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023・吉田正雄
○吉田正雄君 いまの答弁でもきわめて抽象的なんですよ。いろんな資料を調べました。しかしそういうものを確定づけるような資料はありませんとか、そういう断定をしたものは余りないというふうないろんなことをおっしゃっているんですけれども、きわめてこれは大事な問題でして、もしここで予想されるような、私たちが予想しているような、地震がもし起きたとするならば、大変な事態になることは、これは皆さんも御承知のとおりですね。皆さんは地震が起きても、マグニチュード最大で六・九というふうな想定しかされていない。きわめて低目に見積っておるんですね。今日、日本の地質学者と土木工学者の間には確かに意見の違いはあるんですよ。土木工学とか建築工学の場合にはできるだけ安全性よりも建築単価という方にどうしても重点が移る。そのことが戦後の日本の地震とそれに伴う災害を見た場合に、近代工学、近代建築学といいながら、できたばかりの建物がもろくも崩壊をしておるというのを地質学者が指摘をし、地震学者が指摘をしておる。地震に対する認識の度合いというものが、余りにも経済性優先という土建業界にあって無視をされてき、あるいは軽視をされてきたんですね。もしこんなことが原発の時点で起きたらどうなりますか。取り返しのつかないことになるわけですね。そういう点で納得のいく私は資料を皆さん方の方から提出をしてもらいたい。この前も言ったように、航空写真のたとえばリニアメントが認められないということも、われわれの方ではリニアメントを確認しておりますよ。だから、皆さんは現地の調査もやっておいでにならない。そういう点で不十分なんです。不十分ですから、結論が出たからもうやる必要がない、じゃなくて、現にそういう指摘がなされているんですから、まず皆さんの根拠となる資料なり検討結果というものをもう少しそこの点については具体的に出していただきたいと同時に、この前も、気比宮断層について安全審査会として独自に調査をしたかという質問に対しては、どうも調査は余りやらなかったような非常にあいまいな回答だったんですね。ですから、調査をしてないならば私はこれからでも調査をすべきだ。そして、安全審査会の検討の内容が不十分でありこれではまだ安全性が十分でないという確認がされるならば、またわれわれが指摘をしたことが確認をされるならば、その審査内容については補強すべきだろうと、こういうふうに思うんですよね。その点についてどうなのかお聞きをしたいんです。
まず、正確な皆さん方の根拠となった資料、調査結果、それから、いま言った気比宮断層等についてもあるいは真殿坂断層についても、皆さんの場合にはリニアメントがないとおっしゃっているんですが、私たちの調査や現地の地質学者やあるいは和光大の生越忠教授の調査では、現にあるという確認なんです。ですから、気比宮については、われわれが指摘をした三十キロはあるというその指摘について、皆さん方の独自の調査をやられたのかどうか、この点をもう一回はっきりさしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/23
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024・松田泰
○説明員(松田泰君) 問題三つほど指摘されておると思いますが、まず、リニアメントを含めまして、航空写真等を含めまして根拠となる資料を出してくれということでございますが、われわれが根拠として使いました資料のうち、審査会からのいろいろな指示も含めまして東京電力がやった資料はもうすでに公開されております。それから、一般に公開されている文献等は、文献名がすべてその資料の中に挙げてございます。それから、航空写真そのものはまだ一般に公開しておりませんけれども、これは、先ほど先生もおっしゃいましているように、もうごらんになっていると思うわけでございます。それで、なるほど航空写真につきましての判断につきましては、たとえば生越先生等は審査会の先生とは意見が違うと思います。それはいろんなサイトでそういう判断の違いが見られるわけでございますが、しかし私どもは、審査会の先生数名の権威者の方々にいろいろ検討をお願いした結果、十分リニアメントをほかのサイトでいろいろ見ていらっしゃる先生が、この場所では真殿坂断層を推定するようなリニアメントはないというふうに判断していただいたわけでございます。ですから、それ以上のことにつきますと地質学者同士のいろいろな議論というのはあるいはあるかもしれませんけれども、私どもはそういった先生方の判断結果に基づいて設置許可をしたということでございます。
それから、気比宮断層につきましては、審査会の現地調査は行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/24
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025・吉田正雄
○吉田正雄君 長官にお尋ねをしたいんですけれども、事がきわめて重大な安全性の問題であるだけに、私は慎重にもより慎重を期すべきだと思うわけです。その際に、一つの学説なり一つの調査、そういうものをとるのがより安全性が高まることになるのか。現地調査でも、これは活断層だと言う地質学者、特に地元の地質学者というのはほとんどと言っていいほど、と言うよりも、これは活断層でないと否定をしている方が少ないわけです。少ないというよりも、ないわけです。つまり、現地の地質学者というのは全部、ここには活断層があると。目で確認をしているわけですから、あると言っているわけです。そういうぐあいに、安全審査会のいわゆる権威者と称される学者の皆さんが、われわれに言わせれば必ずしも現地調査は十分やっておりませんよ。そのうちに審議日程等あるいは審議内容等についての、いままでの審議会のあり方についての、審査内容についての資料を出してもらうことになっていると思うんですが、現地の人たちがやったほどの調査はこれはやっておりません。そういう点で意見が食い違い、現に学説でも今日まで指摘をされてき、あるいは長年調査をやってきた帝石の資料でも活断層があり、しかも帝石の調査結果というものが現地の人たちの調査結果、現地の地質学者の調査結果とほぼ一致をしておるというこれは厳然たる事実があるときに、それを一方的に無視をする、こういう態度が果たして安全性をより高めることになるのかどうか。私はむしろ、意見が違い、異なる調査結果が出たならばさらにそれをより慎重に主体的な自主的な調査をやるべきだろうし、食い違う場合には、より安全性という観点から、指摘をされたその点も含めて、安全性が確保できるそういう方針を私はとるべきだと思うんですね。ところが、一方の指摘については、これは大した根拠もなく、また納得させ得るような科学的な資料や根拠もないままに、単にこちらの方で十分だという一方的な断定、これでは私は本当の意味での安全性の確保にはならないし、そういう態度が非常に危険なことではないか。そのことが今日まで、原子炉のいろんな機器の故障にしろ、あるいは戦後のわずかこの十数年の地震の災害状況をとってみても、近代建築で絶対耐震性は大丈夫だと言われた建物が次から次へと崩壊をしておる、こういう事実を見るときに、私は、指摘をされたものも全部含んだそういう観点での安全性の確認でなければいけないと思う。
こういう点で、長官は、一体どちらをとるのが正しいか、また、より安全性を高めることになるかとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/25
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026・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) この問題は、衆参両院の委員会におきましても、関係議員の各位から長らくにわたりましていろんな問題の指摘等々がございました。私も就任以来しばしばそういう御意見を耳にいたしたものでございますから、したがいまして、安全審査会におきましても、当然私から、十二分にああした御意見を一つ一つ消化をしてそして最終的な結論を出していただきたいということを言っておりますが、きょうは細かな資料を私持ち合わしておりませんが、本当に何度となく集まりましては十分な議論が尽くされたということを私は確認いたしております。したがいまして、一言にして言えば、技術的、科学的さらには地質学的にも安全を徹底的に審査した結果の答えである、こういうことで、私といたしましてはその旨を了といたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/26
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027・吉田正雄
○吉田正雄君 松田課長にお尋ねしますけれども、八月十八日の、現地住民が科学技術庁に行ってすぐにその主任審査員ですか、部会長ですね、以下とお会いしたときに、東電の追加資料が出された後でもなおかつ、あの交渉の席上で現地の皆さんから、ここにこれこれこういう事実があるじゃないかという指摘をしたときに、皆さん方の担当課員の方から、そのことは初めて聞きましたと、こういう回答が出たわけでしょう。初めて聞いたということで、その点については、したがって確認はもちろんしてないということだったんですよね。そういうぐあいに、私どもがいま言っている、リニアメントがあると言っているのはそういうことなんです。場所も指摘をしたのです。ところが皆さん方の場合には、その点は調査はしておりません、その場所については、ということをはっきりと答弁をしているわけでしょう。だから、決して十分な現地調査ではないわけですよ。それは、長官の立場にすれば、十分調査をやりましたと言われれば、そうかということになるでしょうけれども、現地の指摘については、そういう点ではまだ調査をしていないということを認めて、その点についてはしたがって回答ができなかったわけですよね。そこで現地住民としては改めて現地に出向いて、それらの点の確認も含めて、現地住民と十分話し合うべきだということを八月の十八日に皆さん方に強く申し入れをして、前向きに検討しますということになったんですけれども、前向きに検討どころか、もうそんな者に会って話をする必要もなければ、説明をする必要もないということでもって、一方的に現地住民の要請というものが断られたわけですね。そういう点で、私は、皆さん方も認めておるわけですよ。その点については十分調査をしていない。指摘に対して何ら現地調査やってないんですよ。そういうことを長官、どのようにお考えになりますか。現地住民が指摘をしている。そこはまだ調査をしてありません。調査をしてありませんと答えているものが、どうしてそこにリニアメントがないということが回答できるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/27
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028・松田泰
○説明員(松田泰君) 現地の方からいろいろ——まあ現地の方だけが御存じになっている事実の指摘というのはあり得るわけでありますが、われわれが現地調査並びにいろんな地質の調査をします場合に、どこまでのことをやれば果たして十分と言えるかどうかということはおのずから一つの判断があるわけでございまして、たとえば、真殿坂断層の活動性あるいはサイトに延びているかいなか、そういうことを判断するためにはどれだけのことを見ればいいかということは、おのずから専門の先生方の検討の結果によって出てくるわけでございます。
で、たまたまその範囲ではまあ気がつかなかったと言いますか、わからなかった地元の、ある場所での、ある現象というものを指摘された場合には、当然それを知っていなければ、知らないとまあお答えするわけでございます。しかし、その事実が仮にあったとしても、全体の判断にどういう影響があるかということは、また検討すればおのずから判断ができるわけでございまして、私どもとしては、指摘された事項を含めまして検討した結果は、別に従来の判断を覆すようなものではないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/28
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029・吉田正雄
○吉田正雄君 長官にお尋ねしますけれども、耐震設計の基礎になった資料としては、気比宮断層の長さが十七・五キロメートル、そういうところから逆に、いろんな式がありますけれども、たとえば審査員の一人である東大地震研究所の助教授の松田さんの式なんというのもあるわけですね。まあ、そういうことで、松田さん自身が従来のこの気比宮断層については三十キロメートルの長さがあるということで、これは東大から出版されている本の中にも、この前御紹介申し上げたように、書いてあるんですね。そして、今日までこの気比宮断層の長さというものは三十キロメートルだというのは、これは大体通説になってきておったわけですし、また帝石の地図を見ても、それから現地の私たちの調査によっても、三十キロというのはほぼ間違いないんですよ。まあ、三十キロ、三十一キロ、一キロ程度どうってことないと思うんですが、少なくとも十七・五キロではないわけです。したがって、そういうものがちゃんと出ておるにもかかわらず、十七・五キロ。私はこの前言ったように、それは耐震設計の経済性との関係での逆算であろう、六・九でおさめるために気比宮断層というのは十七・五キロにおさまらなきゃ困ると、そういう逆算から出てきたんじゃないかということを私は指摘をしたんですが、再度それなりの専門家による調査結果として三十キロメートルの活断層に間違いないという結果が出たら、これは長官、どうされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/29
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030・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) ただいまの御指摘の長さのことでございますが、安全審査会では、地震を起こす可能性のある断層の距離は十七・五キロと判断してよろしいということを御判断なさったわけでございます。これは、先生御指摘の松田先生も、当安全審査会の先生でいらっしゃるわけでございまして、その先生も、松田先生も含めて、専門家の間で合意され、判断されたということでございますので、私どもはその結果から来た耐震設計上考慮すべき基準が十分であるというふうに確信しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/30
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031・吉田正雄
○吉田正雄君 私はね、そこのところがきわめて重要だと思うんですよ。松田助教授は審査員の一人です。含めてとおっしゃっている。なるほど含まれているんですよ。含まれておるけれども、いま非常に言葉の微妙な使い分けをされた。地震を起こすであろうと思われる活断層は十七・五キロだという言い方なんですね。いいですか。活断層は、松田助教授のいままでの調査結果では三十キロメートルある。帝石の今日までの調査でも、活断層の長さは皆さんの言っているのとは違っているわけです。現地の地質学者の調査でも、皆間違いなくそ二までいっているわけです、三十キロのところまで。したがって、地震の起きる活断層は十七・五キロだけれども、そうでない活断層としては三十キロあってもいいというふうな、裏返せばそういうふうな非常にいま微妙な言い方をされているんですよね。これはどういうことなんですか。そういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/31
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032・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 私も専門ではございませんけれども、審査会の結論は、断層がこうありましても地震を起こす可能性のある活断層として考える部分が十七・五キロと判断してよろしいというのが、先生方の判断であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/32
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033・吉田正雄
○吉田正雄君 これはね、私は非常に重大な発言ですよ。この前聞いたときは、活断層そのものが十七・五キロしかないということを皆さん方強調されたんですよ。いいですか。きょうは、今度は、地震を起こす可能性のある活断層が十七・五キロだと、こうおっしゃる。大体三十キロの活断層を否定する皆さん方の調査結果というのは、大した調査はやられていないですよ。現地調査は。しかも、三十キロの活断層があるのに地震を起こすのは十七・五キロだなんていう、そんないま断定を下せるような予知地震学は発達しておりません。断層のあるところに常に地震が起きるというのが、これはもう地震学者の考え方ですよ。三十キロの活断層がありながら地震が起きそうなのは十七・五キロだなんていうそんな結論を言ったら、これはもう地震学会なりいろんな今日までの学界の通説からして全くおかしな結論であって、これは珍説と言わなければならぬ。そういう点で、もう一回確認しますが、活断層はもっとあるだろうと、しかし地震の起きそうなのが十七・五と言うんですか。そこをはっきりさしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/33
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034・松田泰
○説明員(松田泰君) 活断層という言葉の定義は、地質学者によっても非常に違いがありますし、あるいは、先生おっしゃいましたように、土木工学関係の先生の概念も非常に違うのが現状でございます。それで、われわれは、審査会では原子炉の耐震設計を考える場合に、つまり耐震設計上想定すべき地震の原因となるような活動性を持っているような断層というふうに考えて使っているわけでございます。そこで、この気比宮断層がどれくらいの長さがあるかというのは、たとえば二百万年ぐらい以降の第四紀以降の地質にあらわれている断層は全部活断層であると、こういう定義もあるわけでございます。そういう目で見ればあるいはいろいろ長い評価もできるかもしれませんが、正確に申し上げまして、原子炉設置の耐震設計上活動性を考慮する、そういう活動性を持っている断層の長さは、十七・五キロと評価したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/34
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035・吉田正雄
○吉田正雄君 あのね、それは答弁になっていないですよ。この前皆さんはね、活断層そのものが十七・五キロだとおっしゃったんですよ。そうですよ。そうすると、あれですか、松田助教授が言っておる活断層が三十キロだというのは、これは誤りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/35
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036・松田泰
○説明員(松田泰君) 手元にその松田先生の資料を持っておりませんので、どういう意図でお書きになっているかは確認をして御返事したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/36
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037・吉田正雄
○吉田正雄君 いや、意図ではないですよ。これは明らかに東大の——この前も資料を申し上げたでしょう——「地震」という本の中に、松田助教授が担当した「地震と活断層」というのがあるんですよ。そして、活断層については、今日一応、松田助教授がこの面におけるそれなりの権威者として今日まできているわけです。ですから皆さん方は審査委員の中に入れたんですよ。その松田助教授が、気比宮断層については三十キロメートル以上——以上ですよ。三十キロメートル以上ということで、三十キロメートルまではきちっと確認をした、そういう資料になっているわけですね。これは東大から出版されている「地震」という本の中にあるのですよ。きょうちょっと持ってきておりませんけれども、書かれているのですよ。ところが皆さん方は、活断層の長さそのものが十七・五だとこの前おっしゃった。きょうは、今度は、地震を起こしそうな活断層の長さは十七・五だと、こういうふうに言い方が変わってきているのですよ。こういうふうに言い方が変わるということは、ますます皆さん方のおっしゃっていることが危険この上もないということなんですよ。現に活断層が三十キロもある。これを否定するあれ何にもないですよ。
一体、現地調査をされたということも、形式的な現地調査でしょう。何回どういう地点を選んで——皆さん方おっしゃっているのは雲出から北の方なんですよ。雲出から南西の方向といいますか、この方向にわれわれが指摘をしているところをそれでは何地点について調査をされましたか。何回調査をされましたか。その点まず答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/37
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038・松田泰
○説明員(松田泰君) いま手元にその資料がございませんので、調べてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/38
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039・吉田正雄
○吉田正雄君 これ出るわけないですよ。皆さん方調査をしたとこの前おっしゃっていますけれども、ほとんど調査らしい調査は、私どもの調査では——皆さん方か調査をやられたかとうかの調査、われわれの調査ではほとんどやられていないのですよ。これは出てくるわけないですよ。
そういう点で私は、長官ね、これが非常に大切なことだと申し上げますのは、三十キロを否定する根拠というのは何にもないのですよ。十七・五というのは、式がありまして、活断層の長さがどれだけになるとマグニチュード最大振幅がどれだけになるかというふうなことについては、式があって、そこから私は、だからこの前逆算しただろうと言うのですね。六・九というマグニチュード、それを導くためには十七・五キロというキロ数にならなきゃ困るわけです。三十キロにしますと、マグニチュードが約七・三になるのですよね。そういたしますと、耐震設計を根本から変えていかなきゃいけない。皆さん方の計算では六・九とすると、最大加速度というのが二百二十ガルだと、こうおっしゃっているわけですよ。そして安全性を見積もって、三百ガル見積もればいいだろう。
ところが、この前も言ったように、福井地震一つとってみても、五百ガルを超えておりますし、戦後このわずか二、三十年の間にも千ガルを超えている地震だって幾らでも発生しているわけですよ。もう日本国内においても五百ガルを超えた地震、三百ガル、四百ガルという地震が頻発をしておるわけです。ところが、そうなると耐震設計は大変で、ものすごく金がかかるわけです。そういう点で、まあ、耐用年数三十年、三十年の間にそんな地震は来まい、むだな経費を使うよりも三十年間の耐用年数を考えて、まあ三百ガルもあれば十分だという、こういうことだろうと思うのです。実は炉心の位置も五回にわたって変更して、当初は二十メートルぐらい掘ったところにつくる予定であった。ところが、とても地盤が悪いと指摘をされて、転々と変わって、最終的には、今度は四十メートルも掘り下げることになった。確かに建築費用はこれはものすごく増大します。それが今度三百ガルでは間に合わぬということになってきたらこれは大変な金になるのですね。気持ちはわかるんです。これは大変な金になりますよ。しかし現実の科学という観点からするならば、皆さん方のおっしゃっている地震が、六・九でおさまるなんという確証や保証はどこにもない。いままでの地震の発生状況からするならば、むしろ三百ガルを超える地震というものが頻発をしているわけでしょう。北陸地帯だって出ていますよ、これね。福井地震、御承知のとおりですよ。あれだけの建物が全部崩壊しちゃった。あれは五百ガルを超えただろうと言われているのですね。この間の十勝地震でも、二百キロも離れておっても二百ガルを超えているわけです。そういう状況なんですよね。そういうことでいま皆さんは資料がいまありませんとおっしゃったですよね。あるわけないのですよ。でも調査をされたとおっしゃるからには、いつ、とこの地点を——われわれが指摘をしておる十七・五キロでない、それからさらに宮本、大積、山屋とずっと松田助教授が今日まで言われてきておる、あるいは帝石で指摘をしてきたようなそういう地点について、いつ、どういう調査をされたのか、その調査結果を出してください、それは。いいですか。
そして、それと、であると同時に、十七・五キロまでは地震が起きるけれども、その他の断層の残りの十三キロについては、地震の起きる断層じゃないという根拠が一体どこから出てきたのか、これは地質学的にも明らかにしてもらいたいと思うのですよ。だろうでは困るのです、推測では困ります。その点をそれじゃ次回というか——皆さん調査をされているのですから、資料があるはずですから、早急に取りまとめて、この前言った審議日程に合わせてその資料を出していただきたい。皆さんとすれば、しつっこい言い方だと思うのですけれども、事が事だけに一たんたとえば重大事故が起きたらどうなりますか。
西ドイツの去年行われた、政府が依頼をした専門調査機関によっても、何千万人の人間が、いわゆる重大事故が発生した場合には、放射能を浴びて何千万人というものすごい人間が死亡する、被害は三千万とか言われておりますね。ここにもありますけれども、いま読み上げている時間がありませんが、いいですか。重大事故が発生した場合にはそれだけの被害というものが出るということが指摘をされている。余りにも重大事故の被害の悲惨さというものがあれなもんですから、その発表を抑えたわけですね、政府としては発表を抑えた。しかし、それが暴露されて大騒ぎになったということは皆さんだって御承知のはずなんですよ。
それだけの予想される大事故というものが起きるならば、大変な災害を及ぼすだけに、いいかげんなごまかしの資料に基づいて、安全性よりも経済性が優先するということは原発の場合には許されないですよ。そういう点で、私はしつっこいようですが、本当にこれを科学的に確認をすることがきわめて重要だと思うがゆえに、私はくどいようですけれども、何回も繰り返しそこの点を申し上げている。そういう点で皆さん方は確信を持っておられるならば、いままでの調査結果、私がいま指摘したような点についてその調査結果というものを次の委員会までに——あしたと言っても無理でしょうから、次の委員会がいつになりますか、次回までに、資料があるはずですからこれは出してください。その点まず、よろしいですね。資料を出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/39
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040・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 御指摘のあれをできるだけ御説明できるようにいたしたいと思います。
それから、なお念のためにお話し申し上げたいわけでございますが、耐震設計のガル数等を算定いたしますのは、この地盤におきます過去非常に長い間の地震を調べまして、このサイトにおきましては、過去の地盤活動というものは二百ガルに達したものはないというような歴史的な事実も踏まえまして、それにさらに先ほど申しました地質構造等から見て、ここの耐震設計するときに地震を考慮するのは二百二十ガルである、しかしその安全をさらに確保する意味で三百ガルにしたというのが審査の結果でございますので、あわせて御説明させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/40
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041・吉田正雄
○吉田正雄君 それは地質学的にも、今日までの地震学的にも、いまの説明ではどなたも納得されないでしょう、それは。地震というのはいつ、どこで起こるかわからない。それからいままでこれだけの規模の地震しか起きていなかったから今後も起こり得ないだろうという、そういう発想がこれは一番危険なんですよ。今日まだ地震の予知学にしても、いろいろな学問的な面からしても、どれだけの規模の地震が将来この地区に起こるかなんという予測はできない。しかし、少なくとも新潟地震一つとってみたって、あのマグニチュードはどうです、六・九じゃないですよ、七を超えていますよ。いいですか。近いですよ、新潟地震。その前の長岡地震しかりです。
それから、マグニチュードが小さくても最大加速度というものが非常に大きくなる例というのもこの前皆さんにお知らせしたとおりですよ。いいですか。いま地震の歴史からというふうにおっしゃいましたが、地震の歴史からしたらなおさらその可能性というものは否定をできない。いつ、より大きな地震が皆さんが指摘をされておる、あるいはこれで大丈夫だとおっしゃっている地震よりも大きな地震が発生する可能性というものはあるんです。そういう点では、そういう答弁では現地住民納得できません。いずれにしても、皆さん方が調査をされたという具体的なものから論議をしませんとどうしても抽象的になりますから、さっき言ったように、その調査結果をひとつ間違いなく出していただいた段階で論議をやりたいと思いますし、それからもう一つ、さっき長官に言ってまだもう一回答えをもらっていないんですが、いま言い方が並行しているんですよね、対立している。しかし私どもとしては、どうしたって十七・五キロという言い方や、あるいは真殿坂の断層が都合のいいところで切れておる、あるいは活動性がない、低い。だから地震の心配がないという、そういう言い方にはどうしたって学問的にも納得できないんですよ。納得させる皆さん方根拠を示していないわけです。そういうことで改めて認可は認可でいいでしょう、すでに出ちゃったんですが、科学技術庁としてはそういう疑問なり、問題点が指摘をされておるわけですから、合同調査委員会のようなものをつくって現地調査をやられる気はありませんですか。それをやられて、なおかつ皆さん方の主張されたとおりであるなら、現地の住民は、なるほどやはりさすがは国の機関だと、科学技術庁だという私は信用されてすっといくと思うんですけれども、そのこともなされないということになるならば、やっぱり現地住民の言い方が正しいので科学技術庁はしっぽを巻いて逃げて、来ないというますます不信感が高まる、反対運動はより強力になると思うんです。その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/41
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042・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) いろいろ吉田委員が、地元のことでございますから憂慮していらっしゃるお気持ちに対しましては、私は十分理解するものでございますが、しかしやはり、専門審査会もあくまでもこれは専門家が集まって安全審査をやっているわけでございますから、したがいまして、私はそれらの人たちが吉田委員のそうした御高説も十二分に受けとめて、含めて、そしていろいろと検討した結果が出されたものである、かように存じます。なおかつ学説問題いろいろございますが、原子力に関しましては、あえて私が申し上げるまでもなく、タンブリン博士の反対説もあればラスムッセン博士が細かく調査された賛成説もあり、なおかつ今日までわが国におきましては、幸いにも軽水炉においては人身傷害事故が出ておらないというふうな等々のこともございますから、われわれといたしましては、だから今日まで大丈夫だがあすはどうか、より一層私たちはあすを大切にしたい、これが私の方針でございますので、安全審査会におきましても、そういうような気持ちでやってくれたと思います。なおかつ、いまの多少食い違っておることに関しましては、さらに詳細きちっとした回答をお出しするように私の方からも指令をいたします。したがいまして、もう一回何かやれということに関しましては、私は従来の経緯により考えまして、そうしたことは今日ただいま私としては考えられない、こうしかお答えできない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/42
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043・吉田正雄
○吉田正雄君 時間がきょうも迫ってきておりますが、長官のいまの答弁きわめて不満だといいますのは、たとえば伊方原発につきましても、安全審査会がどの程度行われて、どういう審議がなされたかということについて、いま裁判になっておりますね。この間結審いたしました。つい一週間ほど前、結審をいたしましたが、あの裁判経過の中で明らかになったように、審査委員が一回も出ないとか、たった一人でもって審査が行われているということが明らかになったわけですよ。つまり安全審査会は本当に安全審査をしたかどうかというまさに基本的な疑問というものがあそこで提示をされたわけですね。これに対して、安全審査会なり原子力委員会というものは納得させ得る答弁があの裁判の中では行われなかったわけです。このことによって、ますます原子力行政に対する不信感というものが私は国民の間に強まったと思うんですね。ですから、まさに地震というのは起きてみなきゃわからない、どういう地震が発生し、どんな規模になるかなんていうのはわかりませんよ。再び関東、東京あるいは湘南地方にかつてのような大震災が起きたらば、死ぬ人間が五十万とも百五十万とも、学者の中にはそんな少ない数ではない、三百万、五百万人の人間が死ぬんじゃないか。しかしそんなことをうっかり言うと、人心不安を引き起こして大変なことになるということで、被害というものは少な目に言うのがこれはむしろ地震学者だという考え方もあるようですけれども、たとえて言うならば、戦後発生した地震を見ただけでもマグニチュードとの関係ではこういうものがありますね。この前もちょっと言ったかどうかわかりませんが、六六年の四月に松代でもって発生した地震はマグニチュードは五・四ですよ。震源地の距離が十キロメートルほど離れておるところで五百四十ガルです。これは建設省の港湾技術研究所の資料なんですよ。調査資料ですよ、いいですか。同じく六八年の八月に豊後水道で地震が発生をして、このときのマグニチュードが六・六です。そして宇和島で測定をしたわけです。震源地からの距離が四十四キロメートルです。そのときの最大加速度が四百三十八ガルです。七〇年の一月のいわゆる日高山系の地震、この震源地から五十四キロ離れた広尾での最大加速度が四百三十七ガル、同じく六八年の四月、日向灘、このときのマグニチュードが七・五、百十四キロメートル離れた宇和島での最大加速度が三百七十五ガル、同じく六六年の四月、松代で起きた地震、これはマグニチュードたった四・一です。四・一ですが、十一キロ離れた所での最大加速度が三百三なんですよ。ここわずか十年以内に起きている。これらの地域の地震ひとつとってみてもマグニチュードが四あるいは五という、あるいは六・六、いま申し上げた中ではこの日向灘の七・五を除いてはいずれも六・九より小さなマグニチュードですよ。にもかかわらずいま申し上げたような最大加速度というものが観測をされている。これは建設省ですよ。だから皆さん方がさっきからおっしゃっているようなああいうのは、私に言わせればあくまでも単なる想定であり、しかもそれは低目低目に見積もっていこうという意図というものが私はそこにある。この疑問というもの、不信というものを皆さん方の答弁ではどうしても払拭し得ないのですよ。まあそういうことで余りその問題ばかりやっておっても、聞いておいでになる方も、そんなのは学術会議の席上でやってくれとか、もうちょっとほかの場を設けてやってくれ、この前も佐藤委員の方からも話がありましたように、私は言いっ放し、答えっ放しでなくて、本当に納得がいく論議をするためには確かに討論すべきなんですね。そういう点で委員会の場以外にそういう場所を設けて本当に納得のいくような論議を私はやって、そこで合意が得られるならばその方が私はよほど早いのじゃないか。問題の解決には早いのじゃないかという感じがするのです。
そこであまり技術的なことばっかりやっていてもしようがありませんから、次に移りますけれども、もう一つ、これも行政のあり方として問題であろうと思うんですが、この間、二十五日と二十八日に現地や新潟県内の百キロ圏以内に住んでいる人たちが不服審査法に基づく異議申し立てをやったわけです。その中で土地の問題が触れられているわけです。つまりあの海岸地帯の一部の土地というのは昔からの入会権なり、あるいは長年江戸時代から何百年と住みついてきた住民の共用地であった。それがたまたま市町村合併によって刈羽村から柏崎市有地というふうなものに形式的になったけれども、もともとあの土地というのは全部ではありませんが、指摘をされている土地については、あれは住民の共用地である。そしてそれは今日の法体系の中においても入会権というものを持っておるのだといういろいろの言い方があるわけですけれども、そういうものが決着がついていない段階でもうすでに認可したと、許可をしたと。幸いこれは、柏崎市議会がその売り渡しについては、同意の市議会というものを機動隊の包囲の中で、機動隊に守られながら、ここにもそのやり方にはきわめて問題がありますけれども、いずれにしても機動隊に守られながらというよりも機動隊主導のもとに、また機動隊で守られなきゃしようがないような中で、一方的に大した論議も行わないうちに、法的な検討もしないうちにさっさと東電に売り渡す市議会決定を行ってしまった。もし仮に市議会がこれを否決したら、認可をしたその認可というのは一体どうなんですか。宙に浮いてしまわないですか。そういう点で、いまだに用地が東電のものになっていない段階で、原発建設の許可をしたことについての疑義というものが残るのではないか。その点についてはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/43
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044・松田泰
○説明員(松田泰君) 原子炉規制法に基づきます設置許可におきましては、いまたまたま例を土地の問題で出されたと思いますが、そういう計画を実施するために必要な周辺のいろいろな手続なり諸条件が、一〇〇%全部済んでいなければ許可ができないというたてまえになっておりません。許可をおろしますときには、もちろん全くできない架空の計画であるというふうなものでありますればそもそも許可の対象にはならないわけでございますけれども、柏崎の場合にもその地元情勢はわれわれ承知しておりましたけれども、その段階でこれが実行ができないという、そういうことは何もありません。
今後の推移によって十分それが可能であるという見通しもありましたので、許可をしたまででございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/44
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045・吉田正雄
○吉田正雄君 これはいずれ裁判問題になると思いますから、いまここでやりとりやっても仕方がないと思いますけれども、しかしそれは皆さんの見込みどおりいったというだけの話であって、しかもあの供用地と言われる土地というのはこの原発が建設された際の冷却水の取り入れ、排水のきわめて重要な土地なんですね。幸い、たまたま市議会で可決をしたけれども、あれがもし可決をされなかったなんということになったら、これは大変なことになったと思うんです。そこで、この前の異議申し立ての中で科学技術庁としては——科学技術庁というか、政府としては、証拠保全ではありませんが、森林をどんどん切っていくというふうなことでは原状の確認というふうな点で非常に困るので、そういう点では原状というものをできるだけひとつそのままに保全をしてもらえないかという要請がなされたんですね。これは局長、お聞きでしょう。
それからもう一つは、現地に出向いて、そうして現地の皆さんとも十分ひとつ不服審査について現地の住民の言い分を聞くための機会というものを設定をすべきだと、こういうことが申し入れとしてなされているのですけれども、この要請については要請を受け入れられる気持ちですか、どうなんですか。その点聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/45
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046・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) ただいまの先生のお話でございますが、現在、柏崎原発の設置許可に対しまして、異議の申し立てをとなえて——非常に数の多い方々から三件の異議の申し立てが出されております。合計いたしまして約七千人に及ぶものでございます。で、そのいろいろな異議の申し立てにつきましては、行政不服審査法の手続によりまして、これから科学技術庁の方で内部審査をいたしまして決定を下すということになるわけでございます。
なお、この手続を御提出いただきましたときに、ただいま先生がおっしゃいましたような御希望も確かに承っております。私どもはそういうことも含めましてこの決定をする作業を進めていきたいということでございますが、したがいまして、この現段階におきましては、そういう検討をこれから進めていくという段階でございますので、はっきりした見解をいまここで述べることは差し控えさしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/46
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047・吉田正雄
○吉田正雄君 その問題についてはいずれ審査の場あるいは行政訴訟等も提起をされる見通しでありますから、ここまで来た以上その段階でやらざるを得ないと思いますから、それはその程度にしておきますが、私は、いままでの科学技術庁の答弁というものを聞いて、これは科学技術庁というよりも政府の方針だろうと思うのですが、原子力行政のあり方、とりわけ首相の施政方針演説、当初にも私がちょっと部分的に読み上げましたように、何といっても住民の同意を得るということと安全を確認をするということが前提でなければならないわけなんですけれども、その大前提というものが、技術的な面によってすべて崩れ去っておるという点で、原子力行政のあり方について幾つか疑問があるわけです。
これは五つにしぼって申し上げますと、御承知のように、当初も申し上げましたけれども、経済成長とかあるいは人間のあるいは人類の幸福や文化というものは一体どういうことなのかという、そういう今日の価値というものについて根本的にやはり私は問われなきゃならぬと思うんですね。経済成長率というものがすべてに優先をするという今日の政治のあり方そのもの、そのことがいま私は問われているんじゃないかと思いますし、経済成長率を高めるためにはエネルギーの多消費である。ところが、何か石油が不足をしそうだ、必要以上にその石油不足というものを宣伝をしているわけですね。私はそこにその根幹として、要するに、人間の幸福を追求してきたものがいつの間にか企業活動が中心という主客転倒したそういう価値観なり、今日の社会構造というものに基本的なやはり私は問題点があるんじゃないかと思うのです。人間の幸福の追求が企業中心になってしまい、企業に従属する人間、こういう状況というものが今日色濃く私は出ているんじゃないかというふうに思うわけです。そしてまた、エネルギーの多消費によって環境問題も大変な事態になりつつあるわけです。
よくエントロピーの問題が言われますけれども、エネルギーをどんどん消費することによって、いかんともしがたいところまで環境というものが悪化をしてきておる。まさに人類はみずからの手でみずからの首を絞めているんじゃないか。また、こういう無制限なエネルギー消費というものは、今後の子孫に対する一つの犯罪行為とも言えないのかどうなのか。現在生きている人間が全部のエネルギーやあるいは資源というものを一体使うことが許されるのかどうなのか。そういう点で私は今日の文明のあり方なり、人間の幸福追求という点で、そこのところをもう一歩下がって、本当にみんなで未来、将来という観点から考えていく必要があるんじゃないか。そういう点で今日のエネルギー問題や原発問題というものはその肝心かなめの点を見落として、単に経済成長率そして安価な原子力というものが崩れ去ると同時に、今度は雇用問題に結びつけていくという、そういう原発推進の理由というものが次から次へとめまぐるしく変わってきておるという点にも納得させ得ない、立論の立て方、仕方というものがどこか間違っているんじゃないかと思うのです。その点が第一点なんです。
あるいはまた、総合エネルギー政策の立場から考えても、石油代替エネルギーとして当面原子力しかあり得ないというそういう宣伝あるいは行政、もういや応なくそれしかないんだというふうに行政の仕組みがそちらの方向に向いている。まさに体制そのものとしてそのことが行われているという点でも問題があるんじゃないか。さらには、この経済性と安全性がどうだこうだといわれるわけです。そういう点で文字どおり安全性が確認をされる中で推進をされるということになっていない。このことを私はやはり問いたいと思うんです。つまり、事前の実証というものが行われないうちに、どんどんどんどん開発が優先をしていくということだろうと思うんです。本来ならば、確かに実験と安全確認と言っても、原発の開発というのは大変なものですから、簡単に実験というわけにはなかなかいかぬだろうと思うんです。しかし、一たん大事故が発生した場合のことを考えるならば、私は決してそのことは経済性の面から見ても、たとえばいままでの薬事行政においてもあるいは公害問題においても一いろんな公害が発生をすれば企業の存立すら脅かすような大変な事態になるという点から考えても、私はとりわけこの原発については安全の上にも安全を確認をすることがもう大前提だと思うんです。ところがそうではない。今日までの原子力行政というものを見ますというと、それに従事をしている職員や住民の犠牲という中でこの開発が優先をしてきておると、こういうことじゃないかと思うんです。まあ、極端な言い方をする人は、モルモットにしているんじゃないかというふうな言い方もありますが、そこまでの私は表現はとにかくとして、実験が非常に軽視をされていると言いますか、安全性が確認をされてないという点で問題だろうと思うんです。
五点と申し上げましたが、時間が来ましたから一つだけ、せっかくのあれですから一つだけお聞きをしたいんですが、日米核燃料交渉の結果、日本はとりあえずこの東海村の再処理工場でのプルトニウム単体抽出をINFCEの提案が出るまでの間、二年間ですが、認められたわけです。過去の各国の再処理工場というものは日常的に放射能汚染源になってきておるんです。安全性が確認をされない。アメリカで最初に、一九五一年に再処理工場ができてから、今日再処理工場は各国の非常に大きな厄介者になってきておるんです。だから、率直に言ったならば、再処理工場なり原発というのはやむなくやってきたからメンツにかけてもやるというふうな面があって、本当はもうやめたいというのが私はむしろ推進をしてきた人たちの間にも強くなってきているんじゃないかというふうな感じもするんですけれども、いずれにしても、再処理工場の膨大な量の放射能汚染あるいは廃棄物、この処理についてはいまだ確立をされていないんです。そういう点で、これも安全性の問題に絡むんですが、いまの再処理工場の運転に伴ってその点の廃棄物とプルトニウムの管理についてどのような対策というもの、安全性というものがいま確認をされて行われようとしているのかどうか、その点をちょっとお聞きしておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/47
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048・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) 再処理施設をすでに持っている国家は、インドを含めまして七カ国ということは御承知のところでございます。ただし、インドはまあ非常に小規模なものということでございます。もちろんわが国のも現在は二百十トンですから、これはあと四、五年たたないことにはそのようなところまで達しないであろうということになりますと、あくまでもこれは現在は実証炉であるということは過般も申し上げました。したがいまして、今後わが国がやはり伸びんがためには、どういたしましてもプルトニウムを生産いたしまして、高速増殖炉を一日も早く実用段階に到達せしめる、これが私たちの願望であり、同時に、これは同じように欧米を通じましても一つのパターンになっております。したがいまして、INFCEというこの間世界の会議が行われましても、やはりプルトニウム・サイクルというものは非常に大切なんだということで話がどんどん進んでおりまするし、じゃ、現在それにかわるべき技術があるんだろうか。まだ初歩の段階ではございます。討論としては初歩の段階ではございますが、なかなかむずかしいんじゃないか。そういうふうなことで、現在二年間INFCEが進められるということでございますので、われわれといたしましてもこのサイクルの確立に関しましては今後も自信を持ってやっていかなければならない、それが宿命だと私は申し上げているわけでございます。特に安全性に関しましては、もちろん二十年来この再処理施設というものは世界的にも研究をされてまいっておりまするし、わが国といたしましてはプルトニウムの管理に関しましても、先般、危ないから混合貯蔵せよとか、混合抽出せよというふうなアメリカの要求に対しましても、私がはねつけまして、単体抽出並びに単体貯蔵、ただし、コンバージョン・プラントだけはつくりませんよと、これは自粛しましょうと、こういうことでやっております。
なおかつ、廃棄物に関しましては、低レベルはすでにわが国におきましてもその方針を立てております。高レベルに関しましては、現在世界が一つの大きな問題として検討中でございますことはすでに御承知だろうと存じます。
いずれにいたしましても、さようなことで、われわれといたしましてはこの問題に真剣に取り組んでいく所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/48
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049・吉田正雄
○吉田正雄君 あと三分です。
この前からお聞きをしようと思っておったんですけれども、東海再処理工場の運転開始に当たって、こういうことが言われているわけですね。茨城県警と協議をして特別の警戒体制に入ったというふうなことも言われているわけですね。私は、この再処理工場という問題、とりわけ核不拡散というふうな問題とも絡んで、安全性というものと、いま言った管理という面からして、その管理体制を強化をしなければ核ジャックというものが起きるだろう。そうかといって、この管理体制が強化をされることによっていわゆる住民なり、あるいはそこに従事をする人たちのいわゆる人間管理が極端に強化をされる結果、よくいわれるところの警察国家化される心配がありはしないかどうかですね。そういう点で、自主、民主、公開というそういうあるべき姿から、いつの間にかきわめて高度の秘密体制に入っていくんじゃないか、こういうことを私は非常に心配をするわけですね。つまり、秘密保持に名をかりたそういう特別立法、何か先ほどの説明、法案の中にも守秘義務のようなことが云々とこう書いてありますが、そういう点でこの再処理工場の問題では何としてもいまおっしゃったような、低レベルのものの放射能については簡単な容器に入れて海に流さなきゃならぬだろうとか、高レベルについては今日まだ完全にこれを保管し、処理をする技術的な問題も解決を見ておらないわけです。加えて、いま言ったような住民管理、職員管理というそういう面からも私は危険性、そういうものを感ずるわけです。
ちょうど私の質問時間が参りましたので、そういうことを次回にまたさらに質問を継続をしてまいりたいと思いますから、茨城県警とのことは聞いておりますが、どういうことが協議をされたのか次回までにひとつお聞かせ願いたいと思います。
これで一応質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/49
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050・藤川一秋
○藤川一秋君 私は、本日趣旨説明がありました原子力関係の二法案について、これに関連して具体的な二、三の質問をしたいと思いますけれども、その前に、長官に科学行政を担当される責任者として一言お伺いをしたいと思っておるわけでございます。
日本はいま現在不況のどん底にあるわけでありますけれども、これは日本だけでなくて、世界的傾向だと思うわけであります。この不況というものは突如として起こったんではなくて、いわゆる資源有限時代を迎えて、世界の産業構造自体を改革しなければいけないというようなことにきておるんだと私は思うわけでございます。日本は、池田倍増政策以来高度成長いたしまして、それなりに技術革新もやってまいりました。大きな成果をおさめたわけでございますけれども、いつまでもこのままではいけない。端的に申し上げるならば、いわゆる資源をいかに有効に使うかとか、資源にかわるべきものは何かとか、構造欠陥業種にかわるべき産業は何かとかいうような、いわゆる第二の大きな技術革新がなければとうてい一億一千万人が二十一世紀につなぐことができない、こう考えておるわけでございます。そういう意味からして、技術革新のいわゆる責任省庁である科学技術庁の長官として今後こういう問題をどういうスタンスでとらえていかれるのか。いま現在日本の科学技術に対する研究費が民間も合わせて二兆五千億とか言われておりますけれども、官民の比率は七対三であるというようなことで、私はその比率が非常に政府支出が少ないということを感じますし、また全体としても非常に少ないんではないか。ソ連、アメリカその他は大きな軍事費の中で大きな技術革新もやっておるわけでございます。そういう点について今後科学技術行政の中でどういう考えを持って対処されていかれるのかというようなことを一言お伺いしたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/50
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051・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) 資源小国の日本といたしましては、資源と輸入と景気というものは常に重大な関係において展開しておるんじゃないか、私はこう思います。現に石油九九・七%輸入のわが国は、その石油が上がったといった瞬間にいわゆるインフレ傾向を露呈いたしましたが、インフレを幾つか要因を分けましても、輸入インフレ、つまり外国で値上げをされたものがそのまま入ってきて国民生活に直撃を与えるというふうな面が、多いときには四〇%も言われ、普通で二〇%もあると言われておるということを考えますと、やはりこの条件を克服せざる限り、景気、さらにはインフレとの問題は重大なことになろうと私は思います。
したがいまして政府といたしましては、たとえばインフレのときには、総需要抑制であるというので総需要を抑制いたしましたが、そのために公共事業を抑えるんだ、あるいはまたそのほかの需要を抑制したんだということが不況に連なったことは、今日までの経緯を見れば明らかなところであります。その中におきましても、特に資源と産業という関係は、私は今後重大な関係であろうから、これをどうするかということも考えていこうじゃないかと申し上げておるわけであります。
私は時折例として言うんですが、道路一つを考えてみますると、道路が発展することは非常にいいことだ。しかしながらやはり自動車が多くなってガソリンを消費するであろう、騒音だから周辺の人家はすべてサッシによって窓をつくるであろう、サッシになれば冷暖房をしなけりゃならなくなるであろう。そういうふうに考えますと、今日、次から次へとエネルギー費消型の産業であり生活であるということは否むわけにはまいりません。と申し上げまして、じゃそれをどういうふうに変えるかということになれば、重大なことであります。
そうやっていろいろ考えてまいりますると、確かに仰せのとおり、私は今後の科学技術は次のような分類でやっていこうということを科学技術庁内においても申し上げておるわけでありますが、まず第一番目には、何といいましてもやはり資源小国であるという悪い環境、非常に貧弱な環境を克服するような科学、これを打ち立てようではないか。そしてやはり資源小国であるが、それを加工して外国に出して今日の繁栄を遂げたのであるから、日本は黒字国だから遠慮せよと言われるかもしれないけれども、しかし将来においてそういう科学はいうなればわが国にとっても安全保障の一環である。そういう意味において、常に国際競争力を持ち得る科学というものをわれわれは念頭に置いておかなくちゃならない。同時にそれはいわば資源有限時代を迎えた世界に役立つ科学であることも必要である、こういうふうに私はまず申し上げております。
しかしながら、何と申し上げましても、今日の繁栄は科学によって私は繁栄を来したとも考えられますし、その科学技術によってたとえば公害のような鬼子が出たということも考えられます。こういう問題はやはり科学技術によってしか解決することはできませんが、その中心は人間だ。人間中心ということを考える科学でなくちゃいけない。原子力の問題もあるいはその他万般の科学もやはり人間ということを中心に考えようじゃないか、こういうことを私はやかましく言っておるわけであります。原子力につきましても安全性を重要視しながらやっていくのがやはり人間中心でございます。そのほかのいろいろな問題もやはり人間中心として私たちは科学の振興を図っていかなくちゃならないのじゃないか。
仰せのとおりに、それにしては余りにも研究費が貧弱じゃないか。これは確かに私はさように存じますが、過般も当委員会でお答え申し上げたかも存じませんが、ただいまアメリカが十兆、ソ連が六兆、そして日本が二兆六千億です。西ドイツが大体肩を並べております。あるときは二兆五千億、あるときは二兆七千億。で、一応世界の四番の中に入っておることは事実でございます。そのほかフランス、イタリー等々になりますると、もう一兆円台に落ち込んでいきます。しかしながら、その比率が、言うならば官民の比率七対三というのは日本だけで、ほかは大体五分五分というふうなことを考えますと、私は総理にもいつも御進言申し上げておるわけでございますが、やはりその面の比重を高めるということも必要ではございますまいかと、こういうふうに申し上げておる次第でございます。もちろん米ソは強大な軍事産業というものを抱えておりますから、これが相当なウエートを占めておるであろうということを考えますと、絶対額においてはわが国はかなりの水準にあるのじゃなかろうか。しかしながら、政府としてどうなんだと言われるときには、私はやはり七対三じゃねと、もう少しくはっきりした体制を整えるべきではなかろうかと、こういうふうに考えて今日科学技術庁を指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/51
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052・藤川一秋
○藤川一秋君 どうもありがとうございました。長官の考え方その他はよくわかりました。
そこでまず原子力船の「むつ」の問題について伺いたいと思うわけでございますけれども、昭和四十九年の九月の一日に出力上昇試験中に放射線漏れを起こしたということで、「むつ」の開発というものが一時中断されておるわけでございます。これは大きく言うならば、日本のために非常に残念なことだと私は思っておるわけでございます。政府におかれましても、この間三年間むつを再び軌道に乗せようということでいろいろな努力を払われてきておることを承知しておるわけでございますけれども、きょうは政府がこの問題にどういうふうに対処されておるのかということについて伺ってみたいと思うわけでございます。
第一点は、放射線漏れの後、政府と青森県知事、むつ市長及び青森県漁業協同組合連合会、いわゆる県漁連との間で四者協定を結んでおられるわけでございます。現在この協定がどのような状況にあるのか、特に五十二年四月の十四日で母港を撤去するということになっておるわけでございますけれども、その間の事情について御説明をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/52
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053・山野正登
○政府委員(山野正登君) ただいま御指摘の四者協定につきましては、この協定の内容は三つの部分からできております。一つは、ただいま御指摘の定係港に関する部分、第二は、地元の対策ないしは漁業金融対策等に関する部分、三つ目は監視委員会に関する部分でございますが、この三つのうち地元対策、漁業金融対策並びに監視委員会等に関する事項は、これはすべて協定どおり実行済みでございますけれども、第一の定係港に関する事項というのは、残念ながら種々の経緯がございまして、まだ実行されていないという状況にあります。これは協定を締結しました当初は、早速に半年以内に定係港を決定しまして二年半以内に現在の定係港を撤去するという予定でおったわけでございますが、新定係港を選定します経緯におきまして、まず新定係港を決めます前に修理をしまして、この放射線漏れのあった船をより改良された形にするのが先決ではないかというふうなことで、現在までこの修理港の選定作業というのを進めておる次第でございまして、そういうことで、残念ながら、この協定の定係港に関する事項というのは、御指摘の五十二年四月十四日の期限を過ぎましてもまだ実行されていないという状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/53
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054・藤川一秋
○藤川一秋君 そこで、新母港を決定する前に、まず修理港を決めなくちゃならないという問題があるわけでございますけれども、新母港を決めるにはぐあいの悪い状態で決めるということはなかなか困難だと思うわけでございます。修理を完全にして、その間に新母港を決めるという段取りだと私は思うわけでございます。
そこで、その修理方法ですけれども、政府は佐世保港が最も適当であろうということで、昨年の三月に総理大臣から佐世保市長あるいは長崎県知事に対して修理受け入れの要請をされたわけでありますけれども、その後、佐世保市長、長崎県との交渉の経過といいますか、どういうふうになっておるのか、特に佐世保市長は無条件受け入れを言っておるわけであります。知事は燃料棒抜きの受け入れを言っておる。そういうような事情もありますので、その間の事情を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/54
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055・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) 仰せのとおり、佐世保市といたしましてはそのままの姿で入ってきてほしい、そして修繕を引き受けましょうという態度は最終的に市会において決定された次第であります。この後に、長崎県会におきましては、いわゆる燃料棒を抜いてくるのならばよろしいというふうな決定がなされました。なおかつ、この決定に至るまでの経緯といたしましては、知事が諮問委員会をつくりまして、その諮問委員会において抜いた方がベターであろう、こういうふうな結論を得て、知事がそれを県会に諮ったということでございます。
したがいまして、われわれといたしましては、佐世保の決定どおりならば、もういまごろ「むつ」はとうの昔に佐世保港に入っているわけでございますが、県の方の決定がさような条件がついておりますから、われわれの予期せざる条件でございますから、それに対しまして念には念を入れるべく、私といたしましては、私並びに運輸大臣の共同の諮問機関がございます。いわゆる安藤委員会と通称申し上げておりますが、この委員会に諮りまして、その委員会の結論も得ました。その結論は、燃料体を抜くこと自体は少しも危険ではございません。なおかつ、もうすでにその燃料体そのものがもう冷え切っておるから、手でさわっても大丈夫だから抜かなくったって大丈夫なんですと、こういうふうな、言うならば結論を仰いだわけでございます。しかしながら、佐世保並びに長崎の見解が違いますし、では、どこでどういうふうにするかという問題等々もございましたが、はっきり申し上げまして、その間に肝心かなめの青森県のむつにおきましては市長選挙もございました。そういうふうなことで、われわれといたしましても、いろんな条件を勘案いたしますと、いずれにいたしましても、出口の青森県において四者協定もまだ生きておるわけで、それを私は尊重したいと思いますが、果たして知事さん、市長さん、また漁連の方々がどういうふうなお気持ちを抱いていらっしゃるであろうか等々のことを考えますと、この間、出口の方々の意見の一致を見て、そうして行動をとらなければならないというふうなこともございます。もちろん、これは燃料体を青森県で抜くのだということが前提条件じゃございません。どこかにおきまして、われわれはもしも県会が言うたのならばそのような措置を講じなくちゃなりませんが、しかし、その辺のことが現在といたしましては、いろいろ接触はいたしておりまするけれども、残念にいたしましてまだ出口の意見をまとめるというところまで来ておりません。その間に、むつの市長さんに新しい市長さんが当選なさいました。その方は御承知のとおりに母港賛成という立場を鮮明になされたわけでございますが、母港と四者協定、おのずからこれはまた重大な関連がありましょうけれども、またまたそれをごちゃまぜにして私たちが考えるわけにはまいりません。一応これに対しましては知事が中心となって今後いろいろと検討を重ねられることであろう、こういうふうに考えておりますので、率直に申しまして、現在、出口、入り口に対しましても私は慎重に事を運んでまいりまして、もちろん地元の方々の御了解は極力得なければならぬ、そういうような体制で進んでおるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/55
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056・藤川一秋
○藤川一秋君 まあ辻市長の見識も一つの考え方だと思って評価できるわけですけれども、長崎県は被爆県でありますし、水産県でもあるというようなことで、十分慎重に御検討を願いたい。いまおっしゃったように、むつの市長がかわられたということで、その間の事情もまた変わってきておると思うんでありますけれども、十分配慮されて御決定を願いたい、かように思うわけでございます。
次に、私は日本原子力船開発事業団のことについてお伺いしてみたいと思うわけでございます。
放射線漏れの後で、政府は学識経験者などを集められて委員会を形成されて、今後の開発の進め方などについて御検討をされたわけでありますけれども、「むつ」の開発を続行するためには組織、体制が弱体ではないかというような指摘があるわけでございます。それらに対して、政府はどう対処されておるのか、今後の組織、体制をどう改善されていくのかというようなことについて御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/56
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057・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) 詳細は局長から答弁いたしますが、概念といたしまして私が次のように思っておるということを申し述べるといたしますならば、確かに御指摘のとおりでございまして、いろいろ経緯はありましたが、時限立法下に事業団がつくられておるということが、いかにそこに働いている方々の士気を阻喪せしめておるかという問題が一つあったろうと思うのでございます。
第二番目は、中途半端なままに宙に浮いておるというような姿ではなお一層そうしたことが言えるのじゃなかろうか。したがいまして、単にプロパーの職員だけではなくして、関係会社からも出向している人たちもいるわけでございますから、さような意味合いにおきましては、私はやはり今後重大な原子力船時代を迎えるに際する実験船、この「むつ」に取り組んでいただかんがためには、その面におきましてもなお改良の余地は十二分にあると。それをやはりりっぱにしてこそ、初めて、そうしたことが希望がかなえられるんじゃなかろうかと、こういうふうにごく大ざっぱでございまするが、私といたしましては把握をいたしておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/57
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058・山野正登
○政府委員(山野正登君) 細かい点につきまして若干補足申し上げますが、放射線漏れの後、各種委員会で指摘されました体制面の強化という点につきまして、この指摘をいただきました後私どものとった措置というのは、事業団の体制問題と行政体制問題と両面あろうかと思いますが、まず事業団の体制につきましては、五十年の半ばに理事長以下全役員を一新いたしまして、できるだけ経験豊かな実務家を理事に据えるという改正をいたしております。
それからまたこの各種委員会の御指摘の中で、従来の事業団がややもすれば事務処理機関的なにおいがあったといったふうな指摘もございましたので、この事業団の技術部門を特に強化すべく技術の次長の新設でございますとか、あるいは技術データを一元的に管理しますための技術管理課の新設等、この技術部門の再編成というようなのもいたしております。
それからこれは事業団だけではございませんが、今後事業団が進めてまいります遮蔽改修あるいは安全性総点検といった各種の問題につきまして、これを技術的な観点から十分に科学技術庁並びに運輸省が監督し得るように、先ほど大臣の申しました安藤委員会というものを設けまして、概念設計の段階から工事に至るまで、あらゆる段階でこの機関で十分チェックをしながら進めるというふうに配慮をいたしておるわけでございます。
それから行政体制につきましては、これは御案内のとおり、五十一年の一月に科学技術庁に原子力安全局を設置いたしまして、原子力の推進部門と安全規制部門との分離をいたしますとともに、ただいま原子力安全委員会の創設あるいは安全規制の一貫化といったふうなことを目的といたしました法律案を国会に御提案申し上げて、御審議いただいておるわけでございまして、私どもといたしましては事業団並びに行政面両面におきましてこの各種委員会の御提言というものを率直に受けとめて、尊重してしかるべく対処をいたしておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/58
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059・藤川一秋
○藤川一秋君 そこで「むつ」を再開発するという手順としては、安全性の総点検、遮蔽改修というようなことになっておるんだと承知しておるんですけれども、その事業団における「むつ」の修理点検作業の進捗状況と申しますか、それについて簡単にひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/59
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060・山野正登
○政府委員(山野正登君) ただいま「むつ」についての作業は大きく分けまして遮蔽改修の作業と安全性の総点検と二つあるわけでございます。この両方とも五十年の秋に安藤委員会が認めました計画に沿いまして現在仕事を進めておるわけでございますが、まず遮蔽改修部分につきましては、概念設計並びに必要な遮蔽モックアップ実験といったふうな各種の関連実験をすでに終了いたしまして、現在これらの成果を踏まえながら基本設計を進めておる段階でございます。で、基本設計は五十二年度の末までに完了するという予定で現在進めております。
それから安全性の総点検に関する部分につきましては、これはこれまでに安全上重要な機器についての健全性の確認でございますとか、あるいは陸上原子炉の新安全基準に基づく設計の再評価といった作業を進めておるわけでございますが、現在までに重大事故を想定した場合の安全体制それから設計の再評価及びこれに必要な関連実験といったふうなものを進めておりまして、本年度はこれらの結果を踏まえまして改良設計を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/60
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061・藤川一秋
○藤川一秋君 石油資源の制約などもあってどうしても原子力開発というものは日本でもやらなければならない、こう思いますし、その中でも原子力船については早く結論を出すようにしていただきたいと私は思っておるわけでございます。日本は貿易産業立国であるし、造船国でもあります。そういったところが、船はできても燃料がないという状態になるということはとても耐えられないというふうに考えますし、やはり原子力事業団というものが中核になって今後大いに活動をしていただくということでないと、大きな成果に結びついていかないんではないかというふうに考えておるわけでございます。
そこで事業団延長に関する法律の改正についてお伺いいたしたいのでありますけれども、衆議院で改正法案について期限を昭和五十五年十一月三十日とするというように修正されたわけでありますけれども、この修正によって原子力船開発の方針に変更があるのかないのか、あるいはまたこの修正を踏まえて今後どのように開発を進めていくのかというようなことについて、お尋ねをしてみたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/61
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062・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) 衆議院の修正は先ほども宮崎理事から説明がございましたように、事業団を研究所というふうに新しく衣がえをする、その手続として必要な措置であると、こういうふうに私たちは承っておりまして、当然そのことに関しましては政府といたしましても賛意を表しておる次第でございます。したがいまして、私どもはやはり「むつ」というものは原子力船の第一船である、これによって新しい原子力時代を迎えなければならない、そういう使命を「むつ」に果たさせたいというのが今回事業団法の延長をお願いしておるゆえんでございますから、したがいまして、当然「むつ」に関しましては遮蔽改修を初め安全性の総点検等々必要な措置は今後も続けていきたいと、かように存ずる次第でございますが、国会の意思もあることでございますので、この三年の間に衣がえをしてその衣がえがどういうふうな姿になるかということに関しましては重々に私たちも検討いたしますが、国会の御意思も尊重してそして進んでいきたいと、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/62
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063・藤川一秋
○藤川一秋君 次にはNPTの保障措置協定関係についてお尋ねをしたいと思うわけでございます。今回の保障措置協定が発効することによって従来の二国間原子力協定に基づく保障措置に比べると保障措置内容が合理化されるというふうに聞いておるわけでありますけれども、どういうことが合理化されるのか。あるいはまたわが国が新たにどのような義務を負うのかというようなことについて、わかりやすくひとつ御説明を願いたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/63
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064・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) お答えいたします。
現在の二国間協定に基づきますIAEAの保障措置協定は、IAEAが一方的にいつでもどこへでも査察をし得るたてまえになっておるわけでございます。今回のNPT下の保障措置協定が結ばれますと査察の様態はわが国が自主的に査察をすることに相なります。IAEAはそれを立ち会いまたは監察するという間接的な査察体制になるわけでございます。これが大きな違いでございますが、IAEAの行います査察につきまして、現在とさらに異なるところは、新しい保障措置体制になりますと、現在IAEAがいつでもどこへでも行けるということが制限を受けまして、IAEAの査察の場所あるいは回数が制限されるということになるように計画されております。そのほか商業用の機密につきましては、特にこちらの申し入れをいたしますと、そういう場所にはIAEAの査察官が立ち入り制限を受けるというようなことによりましてさらに合理化が図られるというようなことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/64
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065・藤川一秋
○藤川一秋君 その自主査察体制ということでございますけれども、その強化が必要であるということは当然ですけれども、その体制が現在どうなっているかということについてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/65
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066・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) NPTの条約を批准いたしましてから、私どもの方では今日あるのに備えまして、かねてから自主的なわが国における保障措置体制の整備について検討あるいは準備を進めてきておるわけでございます。私どもは現段階におきましてはほぼユーラトムと同様の保障措置、国内で保障措置を適用するという段階に来るだけの機構あるいは能力が備わってきておると考えております。
若干中身を申し上げますと、本年度におきましては、科学技術庁に保障措置課を新設いたしましたほか、査察官の増員を図っておる、こういうような体制の整備を進めてきております。また実際の査察を進めるに当たっての準備体制でございますが、すでに実験的ではございますけれども、新しい自主査察体制を実験的にある施設を対象にしてわが国の査察官が査察をいたしまして、その結果をIAEA等に連絡いたしまして向こう側での検査の結果と比較するなど、いろいろな実験的なことも行ってきております。また査察を今後合理的に行いますためには、いろいろな機器の開発、監視機器の開発等が必要でございますし、核燃料の管理等をいたしますための計算手法の開発というようなもの等が必要でございますけれども、それにつきましてもこの二、三年間非常に力を入れまして、研究開発を進めておる段階でございます。したがいまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、この法律をお認めいただきます際には、十分その体制が整い得ると確信しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/66
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067・藤川一秋
○藤川一秋君 核の再処理に関する日米交渉で、動燃事業団の再処理施設を保障措置対象にするというようなことになっておるわけでございますが、日本の保障措置関連の技術開発、これは十分に進んでいるのかどうか。また、どのような方針のもとに技術開発を進めていくのかということについて御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/67
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068・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 保障措置分野の技術につきましては、先ほど若干簡単に御説明いたしましたけれども、まず大別いたしまして、核物質を計量管理し、そのデータ等を的確に情報処理する技術が一つ必要でございます。
それから第二番目としては、これは査察の合理化に必要な技術でございますけれども、核物質を非破壊で検査する技術が必要でございます。通常の分析技術ですと、試料を取ってきてそれを化学分析するわけでございますが、そういう技術も必要でございますが、非破壊の状態で、たとえば燃料体なら燃料体のままでの非破壊検査技術、こういうものが必要でございます。それと通常の分析化学技術をさらに高度にする技術が必要でございます。
それからもう一点は、これが将来の査察の合理化に役立つ最も重要なものの一つでございますが、核物質の監視であるとか封じ込めの技術を開発する。以上大きく分けまして、技術的にはこの三つの技術が必要でございます。
で、現在私どもの方といたしましては、これらの技術につきまして高度に試験研究が必要であるものが多いわけでございますので、原研あるいは動燃事業団におきましてこれらの技術開発を進めておる次第でございます。
なお、最初に申し上げました計量管理データを的確に情報処理する技術につきましては、財団法人核物質管理センター等に委託をするなどして研究開発を進めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/68
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069・藤川一秋
○藤川一秋君 核燃料物質の計量管理のために計量管理規定の認可制を設けておられるわけでありますけれども、その目的とするところは何か、また具体的にどのようなことを指定されていこうとするのかということを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/69
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070・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 計量管理制度の新設を行います一番大きな理由としては、今後のNPT下の査察の場所であるとか回数をできるだけ減らしていきたいという考え方でございます。
簡単に申し上げますと、いろいろな施設があるわけでございますが、その施設のたとえば入り口と出口だけをチェックすれば核物質の動きがわかるわけでございます。そういうような合理的な計量管理機構をつくりまして、場所を設定してそこの中の核物質の動きをたとえば出口と入り口でチェックできるようにする、そういうことによって不必要な場所に査察官が立ち入らなくても済むというふうな考え方からの査察をこれからやっていこうとしておるわけでございますが、そのためには各事業所が核燃料の管理の仕方を統一とれた決まった方法で正確に行われる必要がございます。その点がきわめて重要なことになりますので、今回の法律の改正でお願いしておりますように、この新しい計量管理規定の認可制度を設けて、ただいま申し上げましたような核物質の管理が十分行われるようにいたしたいという趣旨でお願いしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/70
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071・藤川一秋
○藤川一秋君 最後にお尋ねしたいわけでありますけれども、衆議院において再処理関連規定というものが修正削除されたわけでありますけれども、これに対して今後再処理問題についてはどのような方針で政府が望まれるのか。また、民間にやらせる再処理についてどういう準備ができておるのかというようなことについてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/71
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072・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) 一九八五年を一つのめどといたしまして計算いたしましても、実は再処理需要は四千百トンございます。したがいまして、今日は英仏に委託をする、あるいはまた動き出しました動燃の再処理施設を用いるといたしましても、やはりその需給関係におきましてはどうしても第二再処理施設が必要だということになるわけでございまして、特にこれは本日の本会議でも申し上げましたとおりに、わが国の電気事業が私企業でございますから、当然それに対応すべく私企業の経営ということを考えたわけでございます。
で、この問題は日米原子力交渉におきましても一つの話題になりました。立法に対しましてはアメリカがいろいろ申しましたが、立法まであんたたちの指示は受けない。これはわが国の主権に基づいてわれわれが考えることだから、そこまであなたたちが言うのは内政干渉だというような一幕もあったぐらいの問題でございましたが、私といたしましては、非常に日本としては必要な施設であるから、当然、この問題に関しては、コンクリートを打っていよいよ建設というのはまだ将来のことであろうけれども、やはり法律が幸いにして通ったならば直ちに会社を設立する、並びに用地、それを買収する、そういうふうなことに関しては当然私たちやっていきたいのだというふうなことで、言うならばアメリカの理解を得て、そのことが共同声明にもうたわれておるというふうな次第でございます。
したがいまして、私たちといたしましては、できたならば、今回、これもひとつ制度の対象でございますからお願いをしたかったのでございますが、衆議院におきましてはいささか審議時間が私は足りなかったのではないか。また、なぜ民間にするのか、その辺の御理解がまだ仰ぐことができる余裕がなかったものでございますから、したがいまして、われわれとしては万やむなく切り離しをいたしまして、規制法だけの改正を御審議を願ったというふうな次第でございますが、もちろん民間といたしましても、これに対しましてはすでに電力会社を中心としてその準備委員会をつくっております。この準備委員会はいつでもOKできるように、技術的にも社会的にもあらゆる問題からいろいろ検討いたしておりますので、したがいまして、そうした意味で、法案を、今国会ではもうこれはだめでございますが、来るべき国会におきまして御審議を得て、なおかつ成立が図られた場合には、すでにそれに対応し得るだけの体制は整えておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/72
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073・塩出啓典
○塩出啓典君 それではまず最初に国際核燃料サイクル評価会議の問題についてお尋ねいたしますが、先般ワシントンで開かれまして、共同コミュニケを発表してこの会議が終わったわけでありますが、わが国政府としてはこの会議の結果をどう評価しておるのか、これをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/73
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074・山野正登
○政府委員(山野正登君) このたびの日米原子力交渉の成果と申しますのは、日米共同声明と日米共同決定に示されておるわけでございますが、本件はもともと原子力平和利用という視点からのわが国の主張と核不拡散政策の強化という米側の主張との調和点を求めるという交渉であったわけでございますが、私どもは、結論的に申し上げて十分わが国の主張を通し得たと、満足すべき成果であったというふうに評価しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/74
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075・塩出啓典
○塩出啓典君 研究の結果が各国の独自の計画を拘束しない、こういうことが明確化されたと、こう判断をしておるわけでありますが、これはわが国の場合はどのように理解をすればよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/75
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076・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) INFCEにおきましてそういうふうな理解ができたことは、わが国にとりましても非常にうれしいことだと存じます。なぜならば、日米間の原子力協定に基づく交渉におきましても私は次の二つのことを相手に言い、そのことが認められたからであります。それは、わが国の核燃料サイクルというものは、これはもう死活の問題であると、こういうふうに私たちは認識しておる、したがって、その死活問題に関して、アメリカはいろいろと確立しておらない技術を、何とか日本が施設を改良してやれと、こういうふうにおっしゃるけれども、そのことはわが国のタックスペイヤーに対して新しい負担を課すものであるから、たとえ将来のことといえども未確立の技術に対する問題はわれわれはそう簡単に応ずるわけにいかない、こういうふうに申し上げた次第でございます。つまり、INFCEの結果におきましてもいろんな問題が出るでございましょうけれども、たとえば混合抽出だというふうなことがたとえ決まったといたしましても、われわれはそれに決して応ずるものでもなければ、またそれが非常によいというのならば応ずるというふうな弾力性を持ったということにおきまして、私はINFCEのそうした結果はわが国にとりましても好ましい結果であろうと存じます。
ただ、日米間にはそれとは別に日米原子力協定八条C項がなおかつ厳然とあるということはまた話は別であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/76
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077・塩出啓典
○塩出啓典君 そうしますと、新聞等いろいろ拝見しますと、大体、フランスにしても英国にしても再処理工場の計画をこれはもう断じて予定どおりやると。しかもわが国とも−わが国はすでにそれと契約をしようとしておる。こういう違いは、結局、わが国の場合はそういう国々と違って日米の原子力協定があるわけですから、INFCE——いまはインフセと言うんですか——の束縛は受けなくてもアメリカの束縛は受けなければいけないと、こういうように理解していいわけですね。
それから米国のエネルギー省が、米国内だけでなく外国の使用済み燃料まで今後十五年間引き受けると、こういうことを発表したと聞いておるわけでありますが、このことは事実であるのかどうか。また、その意図はどこにあるのか。また、果たしてこういうことが実現の可能性があるのかどうか。このあたり政府としてはどう判断していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/77
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078・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) おおむねそのように承っております。しかし、結論といたしましては、わが国自体とは何ら関係のない問題であると、こういうふうに考えております。ただ、米国といたしましては、カーター大統領の核不拡散という大理想がございますから、そうしたものを通じてINFCE、これが将来どのように動くかということをわれわれがいろいろ判断をいたしますと、やはり核不拡散だから、できたならば燃料を預りたいと、またその燃料の出し入れは自由にいたしますからどうですかということはまあ言ったんじゃなかろうかと、こう思っておりまするし、われわれといたしましても将来INFCEを通じまして、そうした問題を含めまして、やはり核平和利用と核不拡散、これは両立するということもINFCEで認められたわけで、このことは、むしろ日本から言い出したことがINFCEにおいて大きくグローバルな合意になったということを考えますと、今後日本の果たすべき使命は大きいのだと、傍観者であってはいけない、こういうふうに私たちは戒めておるような次第でございます。平易な言葉で申しますと、私は原子力委員会の新関、村田両委員がINFCEに出られるときにも次のような話をして出ていただいたんですが、直接日米交渉をした私から言うならば、INFCEは日本にとっても次のように考えている。すなわち、再処理施設を行う資格、能力を有するものはいまインドを別として世界に六カ国ある、だから、この六カ国が現在バスに乗ったとしよう、私たちも乗ったんだと、あるいは乗せまいとする勢力があったかも知らぬがとにかく乗ったんだと、したがいまして、今後、乗って、ただ単に乗客というふうな立場ではいけないので、やはりわれわれは一つの哲学を持っておるのだから、それを十二分に高く掲げて、時と場合にはハンドルを握るくらいのそういう姿勢が今後の日本の原子力行政である、こういうことを申しまして、お二方もそのことを了としていろいろとINFCEの会議におきましてもそのことを主張してまいりました。したがいまして非常に日本の立場は大きくなりました。こういうふうなことでございますから、アメリカの政策は一応アメリカのいろんな立場上の政策だと考えております。しかし、将来におきましては、いろいろそうしたことを含めまして私たちも考えていかなくちゃならないんじゃないかということは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/78
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079・塩出啓典
○塩出啓典君 そこで、今回のこの会議の結果、十の部会でございますかできまして、わが国は再処理部会の議長に英国とともに選ばれたと報道されておるわけでありますが、この意味はどういう意味があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/79
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080・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) アメリカにも私はいろんな要路の方々にINFCE開始前に次のようなアドバイスをいたしました。
それは、INFCEはアメリカが提唱し、七カ国首脳会談において合意を得て、わが国の福田総理もその推進を大いに言われた方であるから、当然われわれも積極的に参加をいたしましょうと、しかし、幾つかのグループかできる——現在八つでございますか、グループができたわけでありますが、そのワーキンググループの共同議長国というものがあるが、その共同議長国を、たとえば核保有国だけが独占をするとかあるいは非保有国だけとか、そういうふうなことがあってはINFCEの将来のいろいろと合意を得ることはむつかしかろう、だから、核保有国だけがいばるんじゃなくして、やはり非保有国にも重大な発言権があるので、特に日本は重大な発言をしようと思っておるのだから、したがって共同議長国には保有国と非保有国が交互に入ると、そういうふうな姿が望ましいのではないかと、私たちの方からそのことをアメリカに伝えたような次第でございまして、なおかつ、日本は再処理という重大な問題を今日抱えておるわけでございますので、今後世界において再処理という問題と核不拡散という問題がどういうふうに両立するか、これはみずから求めてそれだけの仕切りをしていかなければならないのでございますので、われわれといたしましては、第四番目のワーキンググループである再処理を選んで、そしてそのとおり核保有国の英国と非保有国の日本が共同議長国になったという経緯でございますので、このことに関しましては、今後責任を帯びたものの、われわれの希望がかなえられたということにおきましては一応の成果と私たちは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/80
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081・塩出啓典
○塩出啓典君 今後二年間この会議が続くように聞いておるわけでありますが、わが国は議長国としてどういう役割りを果たしていくのか、その点、今後のスケジュールと申しますか、それを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/81
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082・山野正登
○政府委員(山野正登君) まず議長国の責務といたしましては、第四ワーキンググループの指導的立場に立ちましてこの作業というものをリードしていく必要がありますとともに、年に二回開かれます技術調整委員会にも議長国として参加いたしまして、各ワーキンググループ間の調整というものもする必要があるわけでございまして、大変多忙でございます。
そこで国内的には、原子力委員会の中にINFCEの対策協議会を現在すでにつくっておりまして、この場でわが国の基本的な対応ぶりというのは決めてこれに対応すると。しかも、これは随時開催しまして、この検討の進展に応じて対策を進めていくというふうに考えております。
それから議長国といたしましては、あくまでも中立的な立場で物を申すわけでございますから、これにあわせましてわが国の国益を代弁する代表というのも当然に必要でございますので、これもこれで派遣するというふうな方向で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/82
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083・塩出啓典
○塩出啓典君 それで、この再処理部会はプルトニウム再処理生産に関する安全性の問題とかあるいは混合抽出法などの新方式の研究とか、こういうものをやるように聞いておるわけでありますが、これは一体どこでやるわけなんですか。日本とか英国とかその他どういう国がやるのか。それともう一つは、この再処理部会のメンバー国というのはどことどこなんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/83
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084・山野正登
○政府委員(山野正登君) まず、この再処理部会のワーキンググループのメンバー国でございますが、ただいまのところは英国と日本がコーチェアマンをやるということが決定されておるだけでございまして、これは希望国は、今回集まりました四十カ国以外でも参加できるわけでございます。
それから、どこで行うかということでございますが、これはワーキンググループの会合自体は、たとえばウィーンでやりましたり、ロンドンでやりましたり、あるいは場合によりましては議長国である東京でやるといったふうなことも当然あるわけでございます。
それから、先生の御質問の趣旨がそういうデスクワークだけではなくって、実験等はどうなんだという御趣旨であるとすれば、これは参加国がおのおの研究の成果というものを当然こういった検討の場に持ち出してくると思われますので、これは参加国の持っております各種研究所における成果——各種研究所においてそれらの実験は行われるというふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/84
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085・塩出啓典
○塩出啓典君 そうすると、わが国は議長国であるとともに参加国の一国でございますので、わが国としては二年間どういう研究をしてこれを再処理部会、さらにはINFCEの会合に反映しようと考えておるのか。その方針はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/85
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086・山野正登
○政府委員(山野正登君) 先ほど冒頭に、私、INFCEと日米会議とを若干取り違えて御答弁申し上げて大変失礼申し上げましたが、日米共同声明並びに日米共同決定に明らかにされておりますように、今後わが国の東海再処理工場の関係実験施設におきまして、混合抽出法等の実験も行うことになっておるわけでございますが、こういった成果も持ち込みますし、それからまた同じく東海工場の施設を活用しましてIAEAと保障措置の技術の改善のための研究というのも行いますし、場合によりましてはこれに米国もまた参加する場合もあり得るわけでございますが、このような研究成果といったふうなものも当然にこのINFCEの場に提供したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/86
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087・塩出啓典
○塩出啓典君 この問題の最後に長官にお話をしておきたいと思うのでありますが、先ほどのお話のように原子力の平和利用を推進していくと、そういう点においてわが国の代表が単なる乗客ではなしに運転手の気持ちでやっていけと、一つの平和憲法を持つわが国がそういう理念を持って国際社会をリードしていくと、そういう姿にもわれわれも大いにこれは党派を超えて応援をしていかなくちゃいけないと思いますし、ただ国内において再処理工場をどう進めていくかと、こういうことはこれまた別な問題でありまして、われわれがその再処理をやるやらないというそのことは、やはりわが国が主権のもとに決めるべき問題であって、国際社会においてそういう権利を、フリーハンドを持つということと、それは即刻その再処理を民間にやることに大賛成と、そういうこととはこれは別問題でございますので、その点をひとつ御理解をいただきたい。それとひとつ長官としてもそういう国益を踏まえてがんばっていただきたい、こういうことを強く要望をいたしたいと思います。そういう点についての長官の御決意をちょっと承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/87
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088・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) 今回のINFCEにおきまして、原子力の平和利用と核の不拡散は両立するということが確認されました。これは日米交渉において確認されたことで、言い出しはわが国で福田・カーター会談のときに福田総理が初めてこのことを言い切ったわけでございます。国内的には、私は私として原子力委員長の立場で去る八月の十五日でありますが、このいわば終戦記念日、三十三回忌に私は談話を発表いたしましてそのことも言い切ったわけであります。だから多くの識者は言い切ったというところに意味があると、そういうことでわれわれは今後世界に、原子力の何たるやということでわれわれの一つの哲学として臨まなければならない。同時にまた国内におきましては、やはりさような意味で私は安全と開発を同様のウエートで進めてみたいということはしばしば申し上げたところでございます。先ほど第二再処理施設に関しましては、与党の藤川委員にお答えいたしましたので重複を避けたいと存じますが、それに対するいろんな各党の御意見また個々の御意見、これはこれで私は承っていきたいと存じますけれども、原子力行政を預かる者といたしましては、やはり開発と安全、これを車の両輪のごとく私は推し進めていく、そして国際的には不拡散と原子力の平和利用、これを推し進めていく、こういう決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/88
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089・塩出啓典
○塩出啓典君 それでは、次は少し問題を変えまして、最近動燃事業団におけるトラブルが非常に、八件ほど発生をいたしまして、そういう点で科学技術庁としてこれは原子力局長・原子力安全局長名で「安全管理の徹底について」というこういう通達が出されておるわけでありますが、
〔委員長退席、理事森下昭司君着席〕
この事故の内容と申しましても余り詳しいことを聞いても時間もございませんので、簡単にどういうわけでこういう通達を出したのか、そのあたりを御説明いただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/89
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090・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) まず、最近一月ちょっとの間に起きました事故と申しますか、われわれトラブルと考えておりますが、その内容を御説明いたします。
再処理工場では四件ございまして、脱硝塔ノズルの配管から水の漏れがあった、その水の中に含んでおるウランが、微量含んでおりましたのが作業員のくつについたというのが一つございます。
それから、溶解オフガス室でクリプトンがフランジから漏れてその部屋が若干汚染したというのがございます。
それから三つ目が、燃料を勢断しておりました際に、燃料の勢断された物を受ける分配器内、分配器で詰まり現象が起きたというのがございます。これは私ども機械の故障であるとか放射能汚染があったというふうには考えておりませんが、工程の一時停滞現象を起こしたということでございます。
それからもう一点が、分析所における作業衣、手袋等が、プルトニウムを扱っております分析所のグローブボックスの中の手袋に穴があいておって、それが外へ出まして作業着、手袋を汚染したというものがございます。
それからその他のプルトニウム施設あるいはその他の事業所におきまして、プルトニウムの燃料開発室でプルトニウムを、これもグローブを切りまして、作業員が、ごく微量でございますけれども、プルトニウムを吸入したというトラブルがございます。
それから、ウランの濃縮研究施設で、フード内での六弗化ウランの漏洩がございました。
それから、敦賀の建設事務所でコバルト60の紛失がございました。ただ、この紛失は、翌日いろいろ捜しました結果、無事回収されております。このコバルト60は、障害防止法上も、非常に百ミリキュリー以下のものでございまして、何ら周辺等に害は与えておりません。
それからプルトニウム研究室でもう一件、グローブボックスからのプルトニウムの微量汚染がございました。
以上八件のものが、九月あるいは十月の初めにかけまして起こっておることは事実でございます。これらのトラブルは、いずれも幸いにして軽微なことで済んでおりますけれども、私どもこの一々についていろいろ説明を動燃から受けた結果、ものによりましては、何か、安全作業と申しますか、安全作業に若干のなれが来ておって、作業管理面等にたるみがあるんではないかというようなものが二、三——二、三と申しますか、認められております。比較的、施設のふぐあいとか、故障によるというものが少なかったわけでございます。
で、そのようなことでございましたので、現在動燃事業団では再処理工場の試運転をやっておるきわめて重要なときでございます。また、これらのトラブルの外部に対します発表におきまして、若干時間的なおくれがあったというものも一、二あったわけでございます。まあ、このようなことにかんがみまして、先ほど先生がおっしゃいましたような点検を、さらに厳重な注意と点検をするようにということと、外部に対する、役所に対する報告、あるいは場合によっては新聞発表の仕方等を含めまして、点検をお願いしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/90
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091・塩出啓典
○塩出啓典君 それで、いまもこれは事故ではなくてトラブルであると、このように安全局長は言われたわけですが、まあ事故と故障ということがよく言われるわけなんですけれどもね、これは大体事故と故障、あるいは事故とトラブル、そういうものの違いというものを、どう、どのような基準で考えておるのか。そして今回起こった八件というものは大体トラブルに該当するものであるのか、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/91
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092・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 先ほど一件、プルトニウムを体内に吸入したと、これは許容値以下の吸入でございますけれども、これはやはり体内に被曝して問題になるものを吸引したということでございますので、当然、法律による報告を受けるべきものだと考えております。それで、具体的にいま私どもは、規制法上報告すべきものと、報告の義務はないけれどもトラブルはできるだけ報告させて、世間にその原因、対策等を明らかにするというふうなことで、二つの段階に分けまして、しかもそれがそれぞれ起きたときに的確に処置するというふうな点を指導しておるわけでございますが、規制法に基づきます報告すべきものというものは、核燃料物質の盗取が生じたとき、これは報告義務かございます。それから施設の故障——これは軽微なものを除くとなっておりますが——があったとき、それから核燃料物質が異常に漏洩したとき、それから四番目に、従事者に、許容被曝線量を超え、または超えるおそれがある被曝があったとき、その他人の障害が発生し、または発生するおそれがあるときというようなことでございまして、しかしながら、これらの規定は、具体的にはいろいろな施設で、その故障、トラブル等が起きる様態が違うわけでございますけれども、法律的には現在ただいま申し上げました、主として五つのことについて報告させておるわけでございます。
で、先ほど御説明申し上げましたトラブルのうち、当然当方が正規に報告させるものは、先ほどのプルトニウムを体内に吸入したということ以外は、法律的には何ら報告を受ける必要がないものではございますけれども、しかしながら、動燃事業団というのは国の原子力開発を進めており、現在、再処理工場であるとか動力炉の開発というようなことで、非常に社会的な使命も重いところでございますので、こういうようなところで起きたトラブル等が隠されておったり、あるいは報告をするのに非常におくれるということは、非常に社会的にも世間の不安あるいは不信感を増すもとでございますので、若干軽微であると思われるようなトラブルにつきましても、現段階では報告を受けて的確にその処置をするように指導する、あるいは外部に対して発表するようにするというふうな指導を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/92
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093・塩出啓典
○塩出啓典君 そうしますと、今回は八件ありますけれども、まあ法律というか、決められた規定によって報告しなければならないものは一件だけである、あとは別に報告の義務はないわけだけれども、ただ、こさいな事故でも直ちに報告しろという、そういう趣旨に沿わなかったと、そういうことでございますか。そして、全体を通じて報告がおくれたのか、あるいは実際に意図的に隠したような事実があったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/93
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094・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) お答えいたします。
おくれたものが何件かあったことは事実でございます。それで、そのおくれた理由につきましても動燃から聞いておりますけれども、ものによりましては、現場の方で、この程度のものは報告しなくてもいいではないかというような、私どもの方の指導方針と違う誤った気持ちで現場で抑えたものもあったようでございますので、通報につきまして、特に先ほど申し上げましたような通報体制をもう少し明確にしようではないかということて、監督——注意をするときに通報体制のことも入れたわけでございます。
その他のものにつきましては、大体において即刻来たものもございます。そういうような状況でございます。
なお、先ほどちょっと私、御報告いたしましたときに御説明いたしましたコバルト60の紛失で百ミリキュリーと申し上げましたが、百マイクロキュリー以下のものでございます。修正させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/94
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095・塩出啓典
○塩出啓典君 だから、まあ意図的に隠そうと思って報告を怠ったとか、そういうような事実はなかったと、そう判断しているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/95
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096・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) そういうふうに私どもも了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/96
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097・塩出啓典
○塩出啓典君 先ほど、たるみがあるんじゃないかという、こういうことで注意したとおっしゃいましたけれどもね。それは、科学技術庁が厳重に注意したと言えば、かっこうはいいわけですけれども、どうもわれわれとして、やっぱり人間というのは、だれだって、たるみがあるわけですよね。じゃ、本当に再処理というのは、しょっちゅう緊張していなきゃやっていけないような、そういうものであるというような印象を受けるわけで、われわれは、本来人間というのはたるみもあるわけですから、少々たるんでもやっぱり心配のないように、そういうようにやっていくのが筋じゃないか。だから、科学技術庁として一片の通達を出して、これでもってわが科学技術庁は非常に安全審査に厳格なんだと、まあそういうような姿を示す意図があるとするならば、私はそれは余りにも従業員の人にとってもこれはよくないんじゃないか。もっと、そういうような作業の流れとか、作業の工具の問題とか、そういうような点をやはりきしっとして、そして少々二日酔いでちょっと疲れておっても問題のないような、そういうところにしていくのが筋だし、そういう点では、もしいろいろな事故があれば真っ先に科学技術庁なり、あるいは動燃事業団の最高幹部が本当に反省をして改めていかなければいけないんではないかと、私はそういう感じがして質問をしたわけでありますが、その点はどうですか。長官のお考えを承りたいと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/97
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098・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) 非常に人間的に思いやりのあるお言葉で、われわれといたしましても非常にうれしゅう感ずるわけでございますが、しかし、やはり安全ということは原子力行政上一番大切なことで、特に従業員みずから稚拙なミスで従事者に被害を与えたというのならばいざ知らず、やはりちょっとした不注意がもとで、それがたとえ規制量以下でございましても、やはり人に心配をかけたというふうなことはない方がいいと、こういうふうに思いますので、さような意味合いにおきまして、私たちだけが高いところからながめておるわけではなく、もっともっと思いやりのある行政をしたいと思いますが、やはりそうしたところで働いていただく方々も、ひとつ、自分は大切だということで働いていただきたいなと、そういうことで言うならば、多少たるみがあったんじゃないだろうかというふうな局長の言葉になったんじゃないかと思います。その点はいろいろむずかしい問題でございますけれども、十分人間味を失わない原子力行政を進めていきたいと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/98
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099・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 私の表現が、たるみというのが若干不適切であったかと思うのでございますが、要は、作業を進めるに当たりまして、皆が十分気をつけ、また作業基準があればそれを守っていくというふうなことを十分行っていただきたいというふうに考えておるわけでございまして、先ほどの表現が若干不十分であったことは訂正させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/99
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100・塩出啓典
○塩出啓典君 これで質問を終わりますが、いずれにいたしましても、原子力発電所あるいは再処理工場、まあ安全性というものが一番肝心でありまして、特にその中で一番身近に関係をしていくのは、そこに働いておる従業員の方たちが、もし何かあった場合には真っ先に影響を受けるわけでありまして、そういう点で、従業員の皆さんの健康管理あるいは安全というものには万全の体制を尽くし、そうして従業員の人たちが安心して伸び伸びと張り切って職場に通えるような、そういう環境をつくっていくことが、これがまた大きく原子力行政において国民の皆さんのコンセンサスをやがて得ていく道ではないかと思います。そういう点で、いろいろな教育の問題等にもひとつ力を入れて万全を期していただきたい、そのことを要望いたしまして、本日は質問を終わりたいと思います。
〔理事森下昭司君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/100
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101・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 私は、きょう午前中の本会議で二つの法案にかかわって質問を行いましたが、政府、各関係閣僚の答弁をめぐってなおずいぶんたださなくちゃならぬ点がありますが、その点は一切次回に回しまして、きょうは原子力発電所の安全性確保の問題と、特にそれの審査体制などを中心とした問題点、それから温排水問題、この二つを柱にしていろいろただしたいと思います。
まず最初に、前回もほかの委員から少し出ておりましたが、冒頭にただしておきたいと思うんですけれども、現在運転中の原子力発電所はこの十月から運転を開始したことになっております伊方の一号機、それを含めて十四基、このうち定期点検で停止しておるものが八基あるというふうに聞いておりますが、この中には周知のように、美浜の一号機のように、四十九年の末以来停止のままでまだ再開のめども立っていないというものとか、あるいは福島一号機のように、一年二カ月超えて停止をしたままというものもあるわけですが、その他のものについても相当長期間にわたって稼働が停止をしておるということは周知の問題であります。
そこで、こういう状況の上に立って、いわゆる「長期エネルギー需給暫定の見通し」、その中での長期の電源構成目標、これでいきますと、昭和六十年で一四・八%から一八・八%をその電源の設備出力でつくり上げていくんだというこの長期構想になっているわけですけれども、この長期構想について、現時点、科技庁、通産省、自信を持っておられるのか、一定の手直しをしなくちゃならぬというふうに考えておられるのか、まずその点をお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/101
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102・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) 二年前の昭和五十年につくられました長期見通し、これは御承知のとおり、原子力では四千九百万キロワットで二五%支える、こういうことでしたが、現在の進行状況から申しましてとてもとても無理だと、私がまず一番に疑問を投げかけまして、したがいましてエネルギー関係閣僚会議において当然見直すべきだというふうなことで、現在鋭意調査会がいろんな角度から検討しておるわけでございます。本式のやつは明年の夏これが出されますが、この間ございましたのは現在中間の見通しだということでございまして、それに従えば二千六百万キロワットから三千三百万キロワット、われわれといたしましてはこれは何としても実現したい数値である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/102
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103・武田康
○政府委員(武田康君) ただいま宇野長官のお話にあったとおりでございますけれども、私どもといたしましては、三千三百万キロワットの達成というのはなかなかむずかしいことではございますが、国民の合意と協力を得ながらそれをぜひとも達成すべく努力をしていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/103
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104・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 そこでいま触れました福島一号機の運転再開の見通しでありますが、エネルギー上庁の方では、この七月の段階であったと思いますが、この福島の第一原発の定期検査状況についてというその報告書の中で、十一月ごろの見込みというふうに触れていますけれども、このことについては、十一月といえばもうすでに十一月に入っていますけれども、実際にこのことが断言できる、そういう状況にあるかどうか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/104
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105・武田康
○政府委員(武田康君) 原子力発電所の定期検査の過程では原子力発電所内の各部分——いろんな配管もございますれば機器もございますが、それをずうっとながめまして、それで必要な場所の手直しするというのが定期検査の本来の趣旨でございます。
ところで御指摘の福島第一発電所につきましては、定期検査に入りましたのが昨年の八月でございまして、何回かその過程、いまこういう調子にあるということを発表いたしておりますが、先生御指摘のように、夏前には、この十一月ぐらいには運転再開できるんじゃないかというような感じを私どもは持っておりました。ただ、その後も定期検査は進行いたしておりまして、きょう現在の感じはもう少し延びまして、場合によれば年を越すかもしれないなということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/105
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106・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 そうすると、重ねてお尋ねをしますけれども、そういう見通しに狂いが生まれたというのは、何か別に新しい事故なり損傷なり、そういうものが発見をされたということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/106
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107・武田康
○政府委員(武田康君) 各部分の細部につきましては、私、ちょっと全部聞いているわけではございませんが、その後この場所を手直しをしなければいけないという場所が生じたためでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/107
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108・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 だからそれを具体的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/108
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109・武田康
○政府委員(武田康君) 福島のトラブルの中に、CRDの手直しをしなければいけないということが前からあったわけでございますが、手直しをすべき本数がふえた、それはCRDのコレット・リテーナー・チューブでございますが、手直しをすべき場所がふえた、これが一つです。それからもう一つ、ライザー管の手直しというものをいたしておりますけれども、その手直しが予想に反して少し時間がかかっていると、こういうようなことが主要なことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/109
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110・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 じゃ重ねて聞きますけれども、七月の段階では見通しありと、こうなったのが最近に至って——その見通しありと言うからにはきちっとした検査を行ってこの根拠があってそういう見通しを公式に発表したということだと思うんですけれども、それは七月段階ではどういう審査をやっておったんですか。というのは、今後この通産省初め各省庁がいろんなそういう見通しの発表をする場合に、非常にずさんな審査の上で公式発表をするということになったら、これはもう全く信頼ができないし、国民的不信を増すだけになるわけですから、なぜそういうことが起こってきたのかというのをもう少し端的に言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/110
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111・武田康
○政府委員(武田康君) この七月時点で、先ほども申し上げましたように、まあ十一月ぐらいかなという感触を持っていたということを申し上げましたが、私どもの公式ポジションは定期検査が当時の時点では全部済んでおりませんので、これはまあ推定でございますが、しかしいろんなデータあるいはいままでのもろもろの場所の定期検査の経験等を踏まえますと、こんな感じかなという感触はあったわけでございます。したがいまして、私どもの公式発表の中ではいつ運転を再開するということは言っておりませんけれども、ただいつごろになりそうかというようなプレスの方々等からの御照会に対しては、何にも言わないのもおかしなものでございますので、私どもの従来の経験からながめて、これはあと三、四カ月かなというような場合に、まあ十一月ぐらいになりますかというようなことをお話ししたのがいままでの経緯であったかと思います。ただ、そういう福島第一発電所の一号機につきまして、私どもは当時そういうふうな思い方をしていたわけでございますが、残念ながらもう少し手直しをすべき場所ないしは手直しの手間がかかるということがだんだんわかってまいりまして、いまの時点ではもう少し延びるというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/111
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112・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 言葉じりをとらえるつもりじゃありませんけれどもね、こうこうこういう感触を得たからそういう発表をしたんだという、そういうずさんな監督官庁としての発表というのはあってはならぬと思うんですよ。ちょっと訂正してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/112
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113・武田康
○政府委員(武田康君) 私どもの発表は、定期検査の場合、現在こういうことが発見されてかくかくしかじかの手直しをすると、あるいはすでにその原因等がわかっていますものについては、これはこういう原因であってこのような手直しをすると、こういうようなことが私どもの発表の現在のプラクティスでございまして、何月何日あるいは何年何月に運転に入るというようなのは、実は定期検査が全部済んでない状態では推定の域を免れませんので、公式な発表としては発表していないというのが実態でございます。ただし、そのいつごろになりそうですかというのに対しまして、この半月、一月であろう、あるいは三、四カ月かかる、またはもっとかかってしまうというような感触は、これはやはりどうも、ときにそういう話を個別に聞かれた場合に、半年ぐらいでしょうとか、三カ月ぐらいでしょうというようなことを言わざるを得ないケースもございますので、これはそのときの個人の経験、あるいはいろいろな経験を持っておりますけれども、その経験でそんな見当かということをお話ししていることがあると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/113
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114・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 とにかくその感触という表現については断じて納得できませんからね。重ねてそのことを、そういう監督官庁としてこの表現で公式の発表を行うということは何としてでも改めてもらう必要があるということを強調しておきますが、このことばっかりやっておるわけにいきませんからちょっと次へ行きます。
福島の一号、二号、それから島根の一号機、ここにいわゆる初歩的ミスとは言えない原子炉の圧力容器の部分にひびが入ったという問題が起こっておるわけですけれども、これらの問題について原因とその手当て、対策、これがどう進行しているか、ポイントを説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/114
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115・武田康
○政府委員(武田康君) 先生御指摘の給水ノズルにつきましては、福島第一発電所の一号機で給水ノズルの部分にひび割れが発見されました。これは私どもが発見いたしましたのがことしの二月でございまして、ただそういうようなことが起こり得ると、あるいはあるかもしれないというようなことで、アメリカの例等から情報をその何カ月か前に得ましたので調べさしたものでございます。
そのひびの原因でございますけれども、原因は炉水とそれから原子炉へ給水する水——給水ノズルのノズルを通って給水をするわけでございますが、それが給水ノズルのコーナー付近で混合をする、その際生ずる温度変化によるものである、こういうことでございます。
そこで今度は対策でございますが、もとになる温度変化を減らすあるいはなくす、こういうようなことで給水ノズルとそれからサーマルスリーブとの間の間隙を少なくするというような改造工事を行い、それからひびそのものでございますが、これはそのまま放置するわけにまいりませんので、削り取って修復する、こういうような措置をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/115
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116・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 その問題のそういうひび割れが入ったということとの関係ですが、いわゆるステンレス機器、この上張りをしているわけですけれども、それはいわゆる温度変化に伴うそういう応力腐食、これを少なくするためだという説明が行われているわけですけれども、それを削り取ることによっていわゆる母材を露出させるということになるわけですけれども、そのことによって腐食が一層深まっていくというふうに考えられるわけだけれども、安全性確保の点で、その点についてはどういう見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/116
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117・武田康
○政府委員(武田康君) ひび割れの修復の過程でひび割れの部分を削り取ったわけでございます。実はいろいろな議論、検討を経ましたあげく、二十数ミリの範囲ならば削り取っても強度上問題はない、その後の運転上も問題がないというようなことで、実績としてはそれ以下の傷の深さであったものでございますので、その傷がなくなるまで削り取ったと、その過程でいま先生御指摘のように、上張りの部分から母材の部分の一部も削り取ったというようなことが削り取った実態でございます。そして原子炉の中、それからそれに直接つながるような部分でステンレスの上張り等をいたしておりまして、ステンレスと炭素鋼でございますと、炭素鋼の方が物がしみ出していくというか、水の中に溶けていく、もっとも金属でございますので、一遍にわっと溶けるわけではございませんが、その勘定をいたしますと、ステンレスの上張りをした方がいいと、こういうようなことで上張りをしてたわけでございますが、母材まで削り取るということになりますと、その部分に関する限り、ステンレスの上張りがなくなるということでございまして、定性的にはメタルの中に入っております物質が水の中に溶け込んでいくという量がふえる、大きくなるはずでございます。ただ、何分その原子炉というのは非常に大きなものでございまして、削り取った部分に比べればのことでございますが、削り取った部分は小部分でございまして、これを削り取った後、丁寧な仕上げをいたしております。そういう意味では、確かに定性的には溶け出す量がふえる、あるいはステンレスと炭素鋼との境界線での——境界線というのは何らかの作用を起こしたりするような場所でございますが、そういう部分が新たにふえたというようなことではございますけれども、全体としてエンジニアリング的な判断をする場合には、安全上何らの問題もないというようなことでございます。
それからなお、傷をそのまま放置いたしますと、傷の部分がだんだん次第に深くなっていくというような現象が起こって、その深さがある一定の限度を超しますと——これは放置してでございますが——そうすると、安全上というか強度上の問題が起こるというようなことで、傷をとめなければいけないわけでございます。傷をとめるのにつきましては、その部分を削り取って適切な仕上げをするということで傷がとまるわけでございます。そういうようなことでございまして、実は私どもこういう判断をいたします場合に、事務局のみの判断で足りないところもございますので、顧問として学識経験の先生方何人もお願いしておりますが、そういう先生方にもいろいろ御意見を伺いまして、その御意見も私ども足りない部分でいろいろ伺っているわけでございますが、その御意見を伺った上で、そういう答えを出しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/117
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118・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 ちょっと最後の部分聞こえなかったんですけれども、あなたがいま言われたような判断、それはどういう機関で公式のそういう見解を出したのですか。もう一遍言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/118
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119・武田康
○政府委員(武田康君) 定期検査でかくかくしかじかの措置をする、あるいはこういう補修、手直しの措置をする、または改造でもよろしいんでございますが、そういう措置をいたします場合、私ども通産省といたしましては、通産省の責任で判断いたしております。ただ、とは言いながら、実は私どものメンバーも、有能なスタッフはたくさんおりますけれども、学識経験限られておりますので、原子炉工学とかあるいは金属であるとか、その他もろもろの専門分野の専門家の方々を顧問にお願いしております。したがいまして、私どもが迷うようなこと、あるいはよくわからないことは、その顧問の先生方に伺いまして、これは皆さん全部の方に伺わなければいけないケースもあれば、特定の専門の方というようなケースもありまして、ばらばらではございますけれども、一概にケースを特定できませんが、その関連の専門分野の先生方に伺って、それで私どもの判断で間違いないようにするというようなことで処理しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/119
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120・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 科技庁なり通産省なり、いろんな安全性を点検、確保するための作業チームといいますか、検討チームというか、ずいぶんさまざまのものを持っておるわけですけれども、そういうチームにきちっとこの検討をゆだねて、そこの結論に基づいての見解だということではないですね、いまの見解は。個々にはいろいろ聞いたけれども、通産省の担当者がそういう判定を下したんだということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/120
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121・武田康
○政府委員(武田康君) 先ほど、やや私舌足らずの説明をいたしましたが、何人もの専門家の先生にお願いしてということで申し上げたんでございますが、それを実は通産大臣が通産省の顧問ということでお願いしておりまして、二十数名の方でございます。で、顧問会というようなかっこうで運営をしているわけでございます。ただし、原子力発電所に関連する事項というのはいろんな分野がございまして、たとえば原子炉の反応の問題ならそういう方々のグループ、これは部会みたいなものをつくっております。あるいは金属の反応、金属の問題ならそういったグループというようなことで区分けをすることがあるというようなことでございます。したがいまして、通産大臣がお願いしております、任命しております顧問の全体のグループまたは一部のグループに、私どもがわからないこと、あるいは意見を伺った方がいいと思うことを伺って、しかし、これは行政事務でございますので、通産省として判断をしていると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/121
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122・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 そうしたら、重ねてちょっと言い方変えて聞きますけれども、いわゆる給水ノズルのクラック、これはこの起動停止時の応力変化がそういうクラックを進行させた原因なんだという、この問題についてはどういう見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/122
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123・武田康
○政府委員(武田康君) 私どもの判断は、起動停止時、これが中心かと思われますけれども、温度変化、温度がサイクル的に変化すると、これがひびに至った原因であると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/123
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124・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 いろいろ尋ねておるわけですけれども、いわゆるステンレススチールの上張り、これはその圧力容器の安全審査の上で、いわば非常に重要な部分を占めておるわけですけれども、この張ってあった部分が、たとえば原子力発電所の最初の段階で、ステンレスが張ってない、あるいははがれているものをそのまま使用する、こういうことは当然建設の段階ではだれも考えもしないことという問題であるということは明らかだと思うんですけれども、そういう点で、ステンレスが腐食をして、それを削り取るとか、いろんな操作の説明がいま行われているわけですけれども、本当に危険な放射性物質、これが外に出てこないような、そういう点で、もっと万全な措置をとるにはこういうことをという、ベターな、そういう方法についての研究はやってないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/124
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125・武田康
○政府委員(武田康君) ステンレスの上張りをしてつくるというのがリアクターをつくるブラクティスでございます。ただ、しさいに点検いたしますと、その上張りがない部分も原子炉本体に直結した部分に一部ございます。で、私ども傷を削り取りまして、それが一部母材に達し、それで、その結果といたしまして、炭素棒がそのまま露出したということでございますが、先ほどのように、きわめて比率的にも小さな面積でございまして、そしてそういうことから原子炉そのものの運転なり、安全性というものに重大な問題を与えるというものではないという判断をいたしております。
なお、安全審査会との関係につきましては、常時事務的な連絡をいたしておりまして、安全審査会で、原子炉をつくりますときにステンレスの上張りをするという報告が出ているかどうか、ちょっと私は、実はいま記憶しておりませんけれども、仮にそういうのがあっているといたしましても、いまのような微小部分につきましては同様な判断をなさるんではなかろうかと私は推測いたしております。ただ、その辺につきましては、私どもの方は事務局ではございませんので、ちょっとお答えしかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/125
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126・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 とにかく、幾ら説明を聞いても私は納得できないわけですけれども、当然最初の段階で非常に肉の厚さがイレギュラーなんですね。そういうものから出発をしたらそれはきわめて危険だということは、もうこれはだれしも考える問題だろうと思うんです。
そこで、腐食が発見をされた。したがって、それを削り取る。削り取るだけで済ますんじゃなくて、削り取った部分に対してどういう補修を行うか、このことが本当にあらゆる角度から検討を加えられて、これで安全だということが立証されて初めてこれでやっていこうかという結論が出てしかるべきだと思うんです。ところが、いまの話によれば、とにかくこれだけの厚さのところまでは削ったって大丈夫ですと。本当に危険きわまりない非科学的な私は論法だと思うんです。どうしてもこういうやり方を改めてもらわなくちゃならぬし、こういうことがまかり通っているから、たとえば「むつ」のあの問題でも、ああいう初期の段階では安全審査が行われて、そうして放射線漏れが露呈をする。そうしてこの問題について真剣な検討、対策も加えられないまま、とにかく時期が来たからということで、また発車しようかと、こういう行政になっているということだと思うんですけれども、「むつ」問題はまた次回いろいろ申し上げますから、きょうは避けておきますけれども、とにかく、るる、いろいろ言っておるんですけれども、こうした問題について、通産省、御存じですか。日本原子力研究所の近藤達男さんという研究員の方が、第二十一回腐食防食討論会、昭和四十九年ですけれど、いまの問題にまさに的を当てて、原子力発電所の安全を確保するためにはどうすべきか、いまの現状でいいのかという点についてのかなり詳細な報告を出されておるんですけれども、これは御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/126
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127・武田康
○政府委員(武田康君) 申しわけございませんけれども、私自身それを読んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/127
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128・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 ですから、私はもう何回も言うわけですけれども、本当に学者、研究者が学問的、一つは真理、同時に真理、真実に忠実でなくちゃならぬという学者の良心からいろいろな研究を加えて出されておるこういう結論。こういう結論をもっと大事にして、そこに耳を傾けてわが国の原子力行政、原発行政が進められていかなくちゃならぬと思うんです。そういう点で、皆さんもお耳に達していると思いますけれども、別に私はこの前も学術会議のことを言ったから、学術会議の右代表ではありません。ありませんけれども、先だっても学術会議の総会をやられて、新聞にも出ておりましたように、今日の日本の原子力行政のそういう事故情報の収集、整理、保存及び公表に関する体制の整備確立についての勧告というものを出しておるということは、もうよくよく御存じのことだと思うんです。御存じですね。
そこで、重ねて通産省と長官にお尋ねをしたいんですが、いまのそういういわゆる初期的ミスとは言えない原子炉そのもののそこに故障が発生をしておる、そういうこの重大問題、これをどういうふうに一体これに対して手当てをしていくか、対処をしていくかという問題で、いまのやり方がこれで本当に安全と言えるか、もっと広い角度から学者、研究者のいろんな意見も取り入れて、全面的、総合的に検討してみるという、そういう意思はいまあるのかないのか。いまのやり方で何一つ間違っていませんと、こういうふうに突っ走るのか。そこを御両名に再度お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/128
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129・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) 詳細は局長から答えますが、いまさっきからのずっと御質問並びにその答弁に関しまして、私に関係するところだけは申し上げておきたいと思うのであります。
軽水炉は、今日、加圧水型、沸騰水型二つわが国で用いておりますが、実は、非常に国産化が進んでおります。国産化が進むためにはやはりそれだけの研究をしなくちゃなりませんから、いまの故障で、そうした金属材質に関しても十二分な研究がなされておるのであるかとか、あるいはさびについても研究がなされておるのであるかというようなお問い合わせでございましたが、もちろん、これは今日科学技術庁の事業団あるいは付属機関において鋭意そうしたことをも含めまして大研究を進める。そうして、それが、言うならば、国産化の一つの大きな手がかりとなりまして、現在では加圧水型、沸騰水型ともに九〇%以上の国産化が進んでおるわけでございます。したがいまして、私は本会議におきましても申し述べたと存じますが、もちろん、今後そうしたことに関しましては改良標準化ということを進めていきたい、かように存じますが、たとえば九州電力の玄海、ここの原子炉の操業率は非常にいいわけであります。それは非常にいいわけであります。ことしなんかは世界で最高の操業率であるというところまで継続的な成績を上げております。だから、私はそういうふうなデータもわれわれは十分総合的に尊重いたしまして、今後いろいろな問題を研究をして、そうしてさらには、仰せのとおり、操業率を上げるということが将来のエネルギーに備えるゆえんでございますので、さようなことで、私たちは決して一つ一つのトラブルを無視しておるわけじゃございません。美浜のああいうふうなトラブルに関しましても、現物は原研に持って帰って鋭意調査をしておるとか、それに対してどこが欠陥であるからこういうふうなところは金属研で研究すべきであるとか原研だとかいろいろやっておりますので、その点も御了解賜りたいと存ずる次第でございます。
したがいまして、確かに、いろんな方々の英知を結集してもっとさらに勉強せよという趣旨には、私はなるほどとうべなえる点もあるわけでございますが、現在、われわれといたしましてはそういう角度でやっておるわけであります。特にときどき原研の問題も出てまいりますが、私から言うのはいかがかと存じますけれども、しかし、原研で働いてもらうということはやはり原子力の研究なんですよ。反対だという立場で働いていらっしゃるという方が、まあないとは思いますが、しかし、仮にそういうようなことでやっておるならば、私は、非常にこれはわれわれといたしましても、何かこう割り切れないような気持ちを抱く面もある。したがいまして、いろいろ申されまする論文の中には、なるほど論文でございまするから傾聴しなくちゃならぬ、検討もしなくもやならぬでございましょうけれども、何か、反対というところから出発されておる論文もあれば、賛成だがもっとしっかりしろという論文もあれば、いろいろあるわけでございます。十分私たちもその点を考えて今後もやっていきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/129
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130・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 学術会議からの事故、トラブルに対しましての意見につきましては、先般の総会によって採択されたというのを聞いておりますけれども、近く十一月中旬に総理大臣より勧告がされる予定というふうに聞いておりまして、当庁におきましては科学技術会議の場で学術会議との連絡の場を持っておりまして、十二月に予定されておる連絡部会でその内容につきまして趣旨を学術会議から伺うことになっております。したがいまして、そのお話を伺った上でこれに対する方針等を検討してまいりたいとは思っております。ただ、原子力委員会の一つの専門部会がございまして、安全研究専門部会におきましては、かねてからこういう事故の、あるいはトラブルの情報というものは、今後の安全研究の解析にとって重要な資料であるという認識のもとにこれらを収集する方法等についての検討がすでに行われておるわけでございますので、そういうような検討の結果も踏まえて、わが国のあり方というようなことについて検討を今後進めてまいりたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/130
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131・武田康
○政府委員(武田康君) 原子力発電所、その運転をいたしまして、運転中でもそうでございますし、定期検査の過程、これは手直しすべきところを探すのでございますから、ある意味でその目的には合っているのでございますけれども、その過程でいろいろな事故、故障、トラブルとか、そういうようなものを含めての話でございますが、現に発生しているわけでございます。その手直しに時間がかかっているものでございますので稼働率が下がっているというようなことでございますが、先ほど宇野長官のお話の中にもございました改良標準化を進める、もう一つは見つかった事故、故障、トラブルの原因を究明いたしまして、それを運転なり設計なりあるいは改造なりというものにフィードバックいたしまして、そういうものが起こらないようにするというような措置を逐次加えてきたところでございますが、今後ともそういったことを繰り返しまして、何年か先にはもっといい稼働率というようなふうに持っていきたいというようなことでございます。その過程で私どもといたしましては、事故でも故障でもトラブルでも、ささいなものも含めましてでございますが、できるだけそれが見つかったとき、あるいは検討して結果が出たときに、原因はこうであり、起こった現象はこうであり、こういう手直しをしてこういう結果であるというようなことをまとめまして、プレス・リリース等をすると——プレス・リリースという表現、適切かどうかわかりませんが、一般に発表すると、こういうようなことをやってきておりまして、ただ私どもそういう心がけではあったわけでございますが、その頻度が最近少しだんだんこう、何といいますか、頻度を高くしていくという方向で努力しているところでございます。そういったものは、実は原子力発電所はわりに最近でございますけれども、同じような高温高圧の蒸気を使います火力発電所の経験は、これは戦前から数十年にわたって持っているわけでございまして、そこでの経験がそのまま応用できるような分野もございます。ただし、火力と原子力は放射能ないしは放射線の管理をしていかなければいけないというところが非常に大きな違いでございますので、その部分の手直し、修正といいますか、翻訳みたいなことをしなければいかぬわけでございますが、そういった原子力以外の関連分野あるいは似たような分野の経験も原子力の改善というものにつぎ込んでいきたいというようなことでございます。そんなかっこうで今後ともいろいろな問題が起こりますと、それを分析し、評価し、それから公表して、それでさらに今後いいものにするための方向に持っていきたいというようなかっこうで進めたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/131
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132・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 とにかくいまの三人の方の御答弁では、私が質問しておる一番のポイントの点に適切に答えていただいてないと思うんです。ただ長官の後半で言われた、原研には原子力開発に賛成なのか疑わしいような、そういう学者も云々と、そんなようなことはもう要らざる答弁でありますからね。問題は、私が例として挙げた論文について、読んでおられますかと聞いたって知らないと言いながら、そういう一般論で中傷を受けられるようなそういう発言というのは長官として不届きですから、不見識ですから、そういうことはやめてもらいたいと思うんですが、ただ長官が前段で言われた、できる限り広く学者、研究者の意見も組み入れてという、この点を本当にこの場だけの言明にとどめないで、実際にそれを、国民の期待にこたえて日本の原子力行政を基本法で定める三原則に基づいてしっかり間違いなくどう進めていくかと、こういう立場で、いろいろまだ聞きたい点あるんですけれども、時間の関係で逐次今後お尋ねをしていきますので、いずれにしても、私が申し上げたそういうことをそれぞれの関係官庁でどういうふうに今後進めていくべきかということの構想をぜひよく練っておいていただきたいと思います。
それで時間の関係で温排水の問題に移りますが、もう御存じと思いますが、昭和四十五年の十二月、例の水質汚濁防止法が国会で審議になって、最終的に附帯決議が衆議院の商工委員会でつけられた。そこで、速やかに温排水の排出基準の制定を行うべきであるという附帯決議が行われたということですが、当時に比べて今日二百海里問題というのも新たに起こってきております中で、沿岸漁業の占める比重というものはますます重要になってきているということから、大型発電所の排出をするそういう温排水を規制をするという問題は一層重要になってきていると思います。そういう点で、国会での決議がなされて以降、関係各省庁といいますか、通産省、環境庁、科技庁、ごく要点、どういう努力をしてきたかということを説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/132
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133・島田隆志
○説明員(島田隆志君) いま先生の御指摘ございましたように、温排水につきまして適正な排水基準を設けるという要請が、指摘がされているのはもう先生御指摘のとおりでございます。環境庁としましても、これらの問題の重大性にかんがみまして、従来から調査研究は進めるとともに、五十年にこれらの排水規制、温排水の基準のつくり方、その辺につきまして、私どもの中央公害対策審議会の水質部会の分科会でいろいろ御検討もいただいておるわけでございます。その中で、いろんな知見の集積等が相当なされておるわけですけれども、国が統一的に排水基準をつくるについては、特に温排水が生物へどう影響を及ぼすのか、その辺の解明についてのデータが、あるいは調査研究が必ずしも十分でないということで、統一的な基準をつくるについてはもうちょっとその辺の研究を強力的に進めてくれということで中間的な報告があったわけでございます。さらに、しからば今後の方向として温排水の基準についてどう考えていったらいいのかと、温排水の放熱量が地元水域の自然環境、環境容量の中でおさまるようないわゆる環境容量的な規制をやっていくことが望ましいんじゃないかと、その辺について特に温排水と生物との影響についての調査研究を進めろということで排水基準をつくるまでには至らなかったわけですが、その中間報告に基づきまして、五十二年からいわゆる環境容量をつくるための生物と温排水の影響というようなことで調査研究を進めておるところでございます。先生御指摘のとおり、附帯決議までできているような事項でもございますし、環境庁としても今後積極的に取り組んでいきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/133
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134・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 もう少し質問の焦点をはっきりさせる意味で答弁をお願いをしたいんですけれども、四十五年ですからもう七年近くこの間経過をしている。いまだに温排水の規制基準というのは決まってないわけですね。ですから、もう七年近くもたってなぜ決まらぬのかというこことの関係で、一体どういう努力をやってきたかということを端的に言うてもらいたい。そのほかの、あと通産、科技庁……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/134
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135・武田康
○政府委員(武田康君) 火力発電所でも原子力発電所でも、これつくろうと思いますと、百万キロワット当たり四十トン毎秒とか六十トン毎秒というような温排水、温排水といいますか、冷却水を使わなければいけないことになりまして、これが温排水問題のもとでございます。で、実は発電所をつくりますときに、やはり地元の方々なり漁業者の方々の御理解と御協力を得なければいけませんので、温排水問題は当通産省にとりましても非常に重要な問題でございます。そういう観点から、それから国会の御指摘ももちろん踏まえてでございますけれども、私どもとしましては温排水がどのように拡散していくんだろうか、あるいはそれはなかなか実験というのもむずかしい点もございますが、実測なり水理模型をつくったり、あるいはコンピューターのシミュレーション計算をしたりというようなことから始まりまして、それがプランクトンにどう影響するか、あるいはプランクトンを食べる魚にどうなるんだろうか、または魚の行動がどうなるだろうか、これは通産省の守備範囲から外れる部分もございますけれども、これは関係各省と共同でございますので、そういった調査研究に非常に関心を持ちまして、昭和四十八年度から逐次その勉強の範囲といいますか、調査研究の範囲を広げてきているところでございます。毎年相当の予算を使っていまいろんな勉強をいたしております。一方、温排水の利用の問題もございますので、そういった問題についても調査研究をするというアプローチをいたしております。それで、先ほど申し上げました拡散がどんなぐあいになるんだろうか、温度分布がどうなるだろうか、あるいはこんな細工をしたら温度が減るかもしれない、またはふえるかもしれないというようないろんな勉強は、これは先ほど先生おっしゃいました環境基準の制定をなるべく早くやるというようなことの判断に、私どものやっております調査研究の結果も役立つのではないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/135
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136・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 ちょっと制限時間が近づいておるということで連絡が来ておりますので、もっと詳しくいろいろだだしたいんですけれども、もうちょっと私の言いたいことと尋ねたいポイントを全部言うて、後一括答えていただきますけれども、これはほかの委員の方も御同感じゃないかと思いますが、七年もたって排出基準がなぜ決まらぬのかという、これはもう本当に私は理解できないことです。私、必要があればこの数字をいまいろいろ調べておるので調べた範囲内の数字を言ってもいいわけですが、温排水規制のためにいろいろ調査研究に投じてきた予算、片一方、この温排水を有効利用をするということでいろんな魚の養殖をやるとかなんとか、これは対比をしてみた場合に本当に国民の立場に立って温排水を規制をしようという努力をやってきたというふうに私には思えないわけです。あるいはせんだって環境庁から資料を見せていただきましたけれども、各発電所の温排水と海水との温度差がどうあるかという、これのかなり全国的な調査をやったというわけですけれども、これ昭和四十七年にその調査をやった以降、全然やってないということですから、本当にこの温排水の問題を規制をしようという政府としての強い姿勢、努力、これがあるのかということがその問題にも私はにじみ出ておると思うんです。片一方、原発の認可に当たっての基準ですね、認可判定をする際、長い間温排水というのはもう全然念頭から外されておった。それが昭和四十八年以降、例の浜岡の二号機の原発、あれ以来一応この温排水問題も検討の一つの項目に加えるということにはなってきているんですけれども、これをめぐってはもう前から議員をなさっている方よくよく御存じと思いますけれども、通産省のデータ捏造事件というのがあって国会でも大変紛糾をしたということで、本当に科学的な立場で温排水の問題をきちっと調査をして判定をしていくかどうかということは疑わしいわけですけれども、それの結果報告もごく断片的なことしか報告が出されないわけですが、片一方で温排水規制の基準もきちっと決まっていないのに、温排水の調査をやって、これこれの調査をやって、こういう結果ですからオーケーですという論法になっていくというのは奇妙きてれつですね。基準もはっきりしてないのに、物差しもはっきりしてないのに、温排水も調査項目に入れまして、こうこうこういうことで結果が出ていますからオーケーですという、こういう仕組みになっている、どうしても合点がいかぬわけです。だから、そういう点で、七年も経過をしているのに温排水の規制基準がいまもなお決まらぬというのはなぜか。で、いつ決めるということを目標に置いて関係当局は鋭意努力をやっているのか。そして、いまの原発認可基準との関係はどうなのか。最後、この三つの点にしぼってぜひ明確な答弁をしていただきたいと思います。これはどこがいいんですか、通産省ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/136
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137・島田隆志
○説明員(島田隆志君) まあ先ほど私申し上げましたのは、いまの水質汚濁防止法に基づきます排水基準、全国一律シビルミニマムという形で決めているわけでございますが、確かに全国一律に決めるということにつきまして考えますと、それぞれ水域の海流等も違いますし、そこにすんでおります生物等も相当違っておりますので、統一的な手法に基づいて基準を決めるについては、先ほど申しましたようにもうちょっと詰めなきゃならないというところが多々あるということでございます。ただ、個々の原子力発電所等の建設に伴う温排水問題について見ますと、そこの海象だとかあるいはそこにすんでおります生物等々具体的な問題もわかりますので、環境条件に即した対処をすることは可能だということを考えております。
しからば今後その環境基準のめどはどうかというお尋ねでございますが、私ども五十年の中央公害対策審議会に御審議をお願いしたとき、あれは早くつくりたいということでいろんなことを検討したわけでございますけれども、やはり一律的な規制についてはもうちょっと調査研究を進めてその結果に基づいて判断をしたいということで、その方針に基づきましていま調査研究を五十二年、来年度も要求していることでございますが、そういうことで進めて、その結果を待って早急にその国の統一的な基準については結論を出したいということを考えております。
まあ排水基準のつくり方にはいろいろあるかと思います。たとえば温度差で決める方法、あるいは最高温度で決める方法、あるいは温度差と水量を掛けた容量的な総トータルで言う方法等々あるんですが、それぞれ欠陥がございまして、やはり環境容量的なアプローチが一番妥当じゃなかろうかという結論でございますので、その方向で必要な調査研究を鋭意進めたいということで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/137
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138・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 原子炉の設置許可を与えるための安全審査を行っておるわけでございますが、現在の規制法の体系からも考えまして温排水は安全審査の対象になっていないわけでございます。しかしながら、科学技術庁におきましては発電所から出る温排水等をいろいろ有効に利用しようというような考え方も出ておりますので、研究開発計画、研究計画としては温排水で魚を飼ってその成長を確かめる、あるいは温排水の中にごく微量に含まれます放射性物質がそういう飼育魚にどういうふうに蓄積されるかというような調査研究をいま実施しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/138
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139・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 ちょっと一言だけ。答弁漏れがある。
それで、いつ基準をつくるんですか。いつつくるという目標でやっておるかということ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/139
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140・島田隆志
○説明員(島田隆志君) 私どもは、極力早くつくりたいということで鋭意調査研究を進めておるわけでございますが、いかんせん生物と温度との影響ということで非常に基礎的な研究から進めなければならないという状態でございますので、いますぐ来年からとか、そういうことをいまの段階で申し上げるところまで行っておりませんが、できるだけ早い機会に基準をつくる方向で進みたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/140
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141・中村利次
○中村利次君 いまの温排水の問題は、前々からいろいろこれは本特別委員会でも議論があって、水産庁なんかでも調査、検討中でございますということですが、それはやっぱり早くつくるべきですよ。
それから、科学技術の振興は、これはもう人間のためにあることは明らかですから、エネルギーが大変な状態にあるというから原子力問題が大変かまびすしいわけですが、私は、石油問題が深刻だから原子力をという、そういうとらえ方ではないんです。それもあるかもしれないけれども、原子力はやっぱり私は正しく開発をすべきである。ところが、こいつがどうもやっぱりかんかんがくがくの議論が本特別委員会でも長年にわたって続けられてきましたけれども、環境問題から安全問題——環境、これはまあ国会議員なんというものは、憲法の定めによって、院内の本会議や委員会でどういう発言をしても院外では責めを負わないという結構な定めがありますから——大臣はしかられますよね、政府委員も。これは前々科技庁長官だったかな、学術会議の政治好きの学者さんたちがとかなんとかいうような意味の発言をしてさんざんかみつかれた例がありますけれども、たとえば温排水の問題にしても、本委員会のこれは速記録にあるはずですけれども、浜岡の原発のときに、浜岡の原発が運転開始になればシラスが死滅をすると言って地元は反対をしておるという、こういう議論があった。私はそんなばかなことがあるか——これは、私の発言も速記録に残っておるはずです。ところが、あそこには運転開始して何年になりますか。私はいまだかつて、あそこのシラスが死滅をしたということを聞いたことがない。これは私は、反対の立場で物を言う、自由ですから結構です。この間も言ったけれども、むつで、あそこで、あんた、原子炉の運転全くやってない。放射線は全く関係ないのにホタテガイの養殖で全部死滅した、これがやっぱり原子力船「むつ」の放射能によるという、そういうかんかんがくがくのやっぱり議論があった。ところが、「むつ」がこの関係なくてもあそこはえらい死滅をしたという、大量死滅をしたという実績があるんですね。
先ほど、あっち飛びするようですけれども、原子力船の修理について、これは佐世保市と長崎県の受け入れ体制が違ったことに対しては慎重にしてほしいという御意向がありました。慎重にすることに私は賛成です。しかし、慎重にするということと、それから正しく原子力行政を進めていくにはどうすればいいかということはおのずから別でしてね。それは燃料棒を抜くのと抜かないのは何ら安全上には関係がないということははっきりしているんですよ。原子力船をひっつぶせという学者であっても、燃料棒を抜かなければ安全上問題ありと言う人はいないでしょう。ところが、やっぱり広島、長崎、世界でたった二つの被爆県であるという県民感情を考慮して、そして燃料棒を抜いてこいということが長崎県の県の決定ですね。私は、慎重であって、県民感情を尊重するのは非常に結構だと思う。しかし、そのことが結果して原子力の正しい開発に支障があるとすると、そういう道をとる知事さんなんというものは、これは国民百年の計から言ったら私は誤りだと思いますよ。県民感情を尊重すると言いながら実は誤解を生むような、やっぱり燃料棒をそのままつけてきたのでは安全性に問題があるからそうなんだと。たとえば電労連で一次、二次、三次、四次、五次というぐあいな原子力の開発に対する手順をやった、トータル・マン・レムの問題等も含めて。いろいろやっぱり内部には問題がある、金属の開発等も含めて。ところが、そういうことを言うと、すぐ内部告発だと言って反対をする人たちに利用されるんですよ。だから、全く私は、国民のためのエネルギー源がいかにあるべきか、原子力の開発をどうすべきか、あるいはすべからざるかという議論が正しい形で行われていないで、もう反対と言ったら、あんた、核兵器と一緒くたにして粉砕粉砕のあれが全国に起きているじゃないですか。私はいろんなところへ、現地に行きますけれどもね。
それから、いま柏崎から川内問題なんかでいろんな問題になっていますがね、和光大学の生越教授が問題提起をされますと、北海道の伊達火力のパイプラインの問題から、それから柏崎・刈羽の問題から、あるいは四国の伊方、それから九州のいまの川内、これはもう仮想事故から環境から、もう安全性の問題ひび割れからピンホールから、いろんなことをいままで取り上げてきた。地質学に生越教授の影響力というのは、これは大変なものだと思うですね。ところが、それが私は、原子力行政を前向きに進めることになっておるかと言うとそうじゃない。きょうも議論になった公聴会、これは大分前に本委員会で衆参でやっぱり原子炉設置についての公聴会を開催すべきである。私はそのときには、これはアメリカの例を見ても、現状で原子力粉砕をしようという人々が少数であっても——地域住民とおっしゃるけれども地域住民の中の一部です。少数であってもそういう方たちがいらっしゃる限りは、これは弁護士にしろ、あるいは科学者にしろ、地質学者から、建築工学から、あるいは医学者から——久米三四郎大阪大学講師なんという人は本特別委員会に二回も参考人でいらっしゃいましたよ。やっぱり絶対反対という立場からの御意見もいろいろ承りました。私も質問しました。何ら前向きの結論なんかそういうもので私は出てきたとは思っていない。しかし、やっぱりそういう状態の中で専門家同士が反対だ、賛成だと言って騒ぎ合って、それから外人部隊の大衆動員等もあって、本物の地元の人たちが正しく知りたがっておる公聴会にはなり得ないような現状では、公聴会の設置については私はきわめて慎重論、批判的なことを言ったんです。当時原子力委員会は決めたんですよ。ところが、その公聴会を開くべきであると主張をされた方々が今度は原子力紛砕にお回りになった。福島第二原発からそれはあったんですから、千人動員をやって紛砕をするといういろんなトラブルがあったんです。そしてついに新潟ではこれは言わぬことじゃない、原子力委員会は知事の意向に従ってこいつをやめなきゃならないんだ。だから私は、そういうのは法律事項じゃないんだから、原子力委員会の運用でこの公聴会という制度をおつくりになったその要綱が納得をできないという方々は、これはどんなことをやっても反対をなさるんだから、したがって公聴会が開けなかったという事実が安全審査にいささかも影響を与えるようなことがないでしょうなと言ってだめ押ししたら、そういうことはございませんと言っているけれども、本当、川内だってかなりこれは影響されているんじゃないんですか。私に言わせると、いまごろは安全審査の答えが出てなきゃならない。新潟の柏崎・刈羽の問題については、すでにもう安全審査を終わっておりますから、したがって再びここでは触れませんよ。
これは大臣、安全審査の答えが出て、そして内閣総理大臣が認可をしたんですから、国会の議論は自由、どんな議論でも結構、しかしそういうものに影響されないで責任を持って認可したんでしょう。どうですか、ここら辺で一回聞きましょうか。責任を持って認可したんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/141
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142・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) おっしゃるとおりでございまして、先般来も吉田さんの同様な質問に対しましても、私、はっきり、もうすでに結論は出たんだからということを申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/142
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143・中村利次
○中村利次君 進めなさいよ、進めなさいよ。進めなきゃ今度私がそれを追及しますから。川内はこれからの問題ですが、本当は出てなきゃおかしいんだ、これは。
そこで、これもやっぱり和光大学の生越教授があそこに行かれて、地質問題が起きました。そしてこれはずいぶん古い話ですよ。何かボーリングなんというものは下請のまた下請というような、そういうシステムになっているようですけれども、作業をやった人がコアの差しかえをやったとかなんとかいう話が出てきた。ところが、そういう問題が出たときに、川内の市議会の原子力対策の特別委員会で、やっぱりそういうことであればというのでこれを取り上げた経過、御承知ですか。御承知ならその経過についてお伺いをしたい、どういうことになったか。御承知にならなきゃ私が申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/143
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144・松田泰
○説明員(松田泰君) 私がお聞きしている範囲を申し上げますと、川内市議会で、ボーリングコア差しかえに関して疑いがあるという発言をされました議員さんがおられましたので、川内市議会原子力特別委員会としては、どういう根拠に基づいてそうおっしゃるのか、たとえばそういう証人の方がおられるならそれを明らかにしてほしいということをお決めになりましたところ、結果的には、一つは地方自治法百条に基づきます地方自治体の調査権の問題も絡んでいたようでございますが、そういうこととの絡みで、結果的にはその方からはっきりした証拠が出なかったと、したがって川内市議会としてはもうこれ以上調査できないということになったように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/144
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145・中村利次
○中村利次君 いささか違うんですよ。取り上げてやったんだけれども、証人が出なかったんですよ、騒ぐだけで。そして結局事実無根であるという結論になったんです、市議会は、私が調査している限りでは。事実無根だというので、これはそのままになったら、その後また再燃をしてきましたよ。それでその後、これは原子力局長だと思うんですが、文書で、そういうことを言っている証人がいるんだったら、住所、氏名、そういうものを明らかにしてほしいということをおやりになりましたか。安全局長ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/145
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146・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 安全局長名で、その事実、何でもよろしいですから、そういう事実をこちら側が知る手だてとして、何でもよろしいから事実なり、氏名でもいいし、そういうような形におきまして依頼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/146
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147・中村利次
○中村利次君 いろいろの応酬があったようですけれども、私はやっぱり当事者の責任のある政府から、当事者ですから聞きたいですが、どういう応酬がありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/147
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148・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 二回ほど行き来があったわけでございますが、まず時間が欲しいというふうなことが向こう側から出てまいりました。しかしながら、こちらとしてはできるだけ早くということで、これは口頭でございますけれども、人の名前を明らかにすることが不適当であれば、たとえばボーリングの場所であるとか、ナンバーだけでもよろしいというようなことで、とにかく事実がわかるようなことを教えてくださいというふうなことでお願いをしたと。それに対しまして地元の方が参りまして、代表として参られた方の中に川内市の市議をなさっておられる方だと思いますが、その方から、私がそういうことを指摘している人から聞いた話であるけれども、これこれこれこれの四人の人がこういうふうに、このボーリングを作業をやっておるときに、こういう状態でボーリングが行われておったと、したがってコアの差しかえ等疑わしいものがあるというふうなことにつきまして、延べ約十七本のボーリングコアにつきまして、場所、番号につきまして指摘を受けたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/148
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149・中村利次
○中村利次君 どうもやっぱり原子力安全局長、決してあなたを責めるわけじゃありませんが、申しわけないけれども弱いんですよ、おっしゃることが。九月三日にそういうことをおやりになって、十五日の期限つきでぜひひとつ明らかにしてくれと、こうおやりになったんでしょう。向こうが応じる姿勢がなくて、月末までで、そして実際に来られたのは、コアの差しかえをやったとおっしゃる本人ではなくって、六人の代表と称する方たちと話し合いをされたわけでしょう。そうして何か証人と称するのは幻みたいなもので、これは。AとかBとかEとか、そういうことをぼくは聞いているんですから、もっとしっかり明らかにしてくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/149
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150・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 確かにおっしゃるように、事実はただいま先生がおっしゃいましたように伝聞でございます。数人の方がお見えになって、その中の代表の方が、私が聞いた範囲ではA、B、C、Eという四人の方がこういう作業のときにこういう状態であったということでのコアの指摘があったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/150
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151・中村利次
○中村利次君 これは私は、日本は民主主義国ですからどんな主張をしても結構だが、主張するからにはやっぱり責任があると思う。それが何か証人と称する人はあらわれないで、そして、いやおれはそれから聞いたという代表が言っている言葉を政府は信用するんですか、しないんですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/151
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152・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) 仰せのとおりだと思います。しかし、国会におきましていろんな委員各位からの御意見もありました。これは単にここの場所だけではなくして、去る十月の初め、衆議院の予算委員会においてあったような次第でございますから、そういうものをも含めまして、私は私なりに十二分に調査を命じてあります。したがいまして、もうすでに現地調査も二回行われておるという段階でございますから、私は私なりにその意見を聞きまして、最終的な意見を聞きまして、そうして判断をいたしたいと思いますが、この問題も、過般もここでお約束いたしました後で、十分私は各委員の御意見は承っておる所存であるから、それに対しても忠実に答えが出るように私としても努力しておると、こういうふうに言い切っておりますので、そういうふうな形で今後も、慎重ではございますが、この問題は最終段階に入っておるということだけは申し添えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/152
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153・中村利次
○中村利次君 それは最終段階で、すでに私に言わせるとおくれておる。ですからそれは、それほどの責任を持って進めてこられたんだったら、これはもう一刻も早く、正しい日本の原子力行政を進めるために私は安全審査の結論をお出しになるべきだと思う。これは幻問題というのは、原子力問題にはつきものですよ。先日の委員会でも私は申し上げたけれども、敦賀のあの被曝だって、全くこれは幻だ。もう一ミリがベータ線かガンマ線かという、そういう議論まで盛んにやって、それで結局は、カルテがちゃんとあったからいいけれども、その作業をして何か五日か一週間して皮膚科の病院に、山口医院という医院に行ったのはひじであって、そして問題として裁判騒ぎにまでなったのはひざであるという、こんなあんたばかげたことで、そうしてやっぱり国会でそいつを議論をして、そうして政府はそれに影響されちゃうんですな、これは。それは国会に全く、あんたたちは勝手にやんなさい、われわれはわれわれで勝手にやりますというんでは、これはけしからぬ話ですから、当然ですけれども、やっぱり正しい取捨選択というのは——だから私はこういうことを言うんですよ。これが真剣に議論されるんでしたら、お互いにやっぱり原子力の問題には、これは私どももかなりの問題があると思っている。また、あります。しかし、それは原子力の開発を人間のために進めていくための問題点であって、粉砕するための問題点とは、これはもう全然次元が違うんですよ。ですから、そういう意味では、私も本特別委員会でいままでのもうずっとした議論を思い起こしてみますと、全くこれは反対の議論なんというものは、私の判断によれば、決してこれは前向きの議論と口では言われても、何とかして原子炉の設定をおくらそう、あるいは阻止しようと、もうそういう手だてがずっと行われてきたわけでありますから、したがって、そこで改めてお伺いしますけれども、川内のこの安全審査会の審査のその結論というものはいつごろ出ますか。もうそういう時期に来ておるというお説ですけれども、きわめて近い時期であると、こう解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/153
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154・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) 先ほど申しましたとおりに、それぞれの安全審査委員のさらに私は慎重な結論を求めておりますから、したがいまして、もう最終段階であることは間違いございません。ただ、私がここでいつかということを申し上げることがいいかどうか、もう少しく考えさしていただきたいと、きわめて近いのか、ただ単に近いのかと、はなはだデリケートな問題もございまするから、そこら辺で御勘弁賜りたいと、かように存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/154
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155・中村利次
○中村利次君 まあ、それはいいでしょう、それ以上追っかけてみたってしようがないでしょうから。ただ私は、やっぱり日本の原子力行政というものを正しく進める上では責任を持った結論を右顧左べんをしないで速やかに出すべきであるということは、これはもう繰り返し繰り返し申し上げておきますよ。そういうことをなさらないと、いままでのあんたずうっと経過を見てごらんなさいよ、エネルギー危機の看板を掲げながら、残念ながら中身は本当にない。これはもう通産省もきょうお見えになっておりますけれども、やっぱりエネルギー問題の中身というのは石油にしろ電力にしろ、私はこれは立地問題だと思いますよ。ですから、そういう意味では中間見通しで昭和六十年七億キロ——六億六千万キロですか、私はこれは甘いと言うのは、私が試算をした結果では、仮に五・八%の成長をしたとして、昭和六十年には七億五千万キロリッターぐらいになりますよ。だから、政府が、あるいはエネ調が期待をされるような省エネルギーに成功したとしても、七億キロを超えることは避けられないんじゃないか。なお、私は、エネルギーの大食い反対です、私も。
それから省エネルギー、どう進めていくかということは、非常に大事な問題で、ところが、こいつを産業優先という、そういう議論には私はくみするわけにはいかぬ。あんた石油がちょっと足りなくなった、高くなったと言ったら、世界じゅうがパニック状態になっちゃって、あんた、大変な雇用不安とそれから物価問題にひどい目に遭っているわけでしょう。だから、省エネルギーと言うをつくるにしても、お金がかかり、お金以外にいろいろ労力がかかり、手間がかかるわけでございます。それからまた、先ほど先生御指摘ございましたような立地の問題は、その周辺の方々の御理解を得なければいけないと。で、お金の方は、回り回って申し上げますと、お金がかかればそれだけが将来のコストというようなかっこうで、しかしそれは最終的には、いろんな経路があるかと思いますけれども、エネルギーの消費者が負担すると、大部分において。全部か大半であるかはあれでございますが、負担すると。そうすると、ワンクッション置いた先は自分の負担ということで、そういった意味で国民の御理解と御協力を得ながら、しかも関係の方々が全部、政府もそうでございますが、全部総力を挙げて取り組んで対策促進ケースができるかどうかと、こういうようなことで、しかし、これは可能であるということで目標に掲げているわけでございます。さて、そういうことが得られないときには……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/155
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156・中村利次
○中村利次君 結構です、結構ですよ。
そういう確信があって掲げたとおっしゃるけれども、そんなのがもうずうっと崩れてきているんですよ。そうすると、仮に四千万キロリッター、八千万キロリッターの節約に成功したとして、仮定でね、負荷率はたとえば、これはエネルギー総体的な問題はともかくとして、電力の場合には先ほど申し上げたように負荷率が六〇%というまことにばかげた状態になっている。負荷率は大体どういうことになりそうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/156
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157・武田康
○政府委員(武田康君) 先ほどの需給想定と同時並行いたしまして電気事業審議会の方で電力の部分だけを取り出しました電力の需給想定というのをいたしております。それで、その場合に実は現在夏の八月、大抵下旬なんでございますけれども、これが電気を、産業もそれから一般の住宅も商店等も全部含めまして一番たくさん使う時期でございます。その時期に一番たくさん使う量と、それから年間でどれだけ使うのかなというのを比較しまして比率を出したものが先生御指摘の負荷率でございますが、まことに残念ながらわが国の負荷率というのは次第に低下しております。で、それはつまり設備がありながら発電をしない時間が長くなるといいますか、比率が高くなると設備の一単位当たりの有効な利用度が下がると、こういうようなことでございまして、で、そうなんでございますが、実はこれは一億の方がいろんな角度でそれぞれの観点から電気をお使いになりますので、これは生活の向上とともにあるいはいろんな工場の作業条件の変更等々、また産業構造の変化等々が影響いたしまして率は逐年下がっておりまして、たしか現在が六〇%前後でございますけれども、それが十年先にはちょっとデータございませんけれども、十年先にはそれがさらに三、四%下がってしまうというようなことでなかったかと思われます。それで、電気事業審議会の方でいろいろのコメントがございまして、一つは省エネルギーということでございます。省エネルギー、省電力でございますが、もう一つピークシフトというようなコメントがございまして、なるべく使い方をピークを下げて年間あるいは一日の間でならして使ってもらえないか、それからむだなものを節約してもらえないかというようなことのコメントがございまして、これを具体化する。これは一つは、いろいろそういう実態を知っていただくことと、またそういうふうに一番皆さんが使いたい時期に使わなければ、むしろ価値の高い時期に使わないわけでございますから、仕上がりとしてお金が安くなると、こういうような誘導手段なり何なりがあるわけでございますが、そういったものの組み合わせを鋭意いろいろ詰めて検討していると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/157
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158・中村利次
○中村利次君 これはエネルギー節約をやり、電力節約をやって負荷率はなお下がるなんて、これはどうも全くどういう節約をやるのか、これは聞いたってお答えわかっていますから聞きませんけれども、それはことしの夏ね、甲子園で高校野球があった。ことしの夏の甲子園の高校野球のときに仮に猛暑に見舞われたら、ことしすでにもうこれは危なかったんですよ。ただ、非常に冷夏であった、そういう状態ですよね。だから、季節需要であろうと何であろうと、そいつを法律でもって甲子園の野球中継はさせないと、これなら負荷率上がります。あるいはクーラーの需要は制限をする、負荷率は上がります。そういう手だてをお考えになっておるのかどうか。実態を知っていただいて、できるだけ調整をしてお使いいただく——お使いいただけると本当にお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/158
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159・武田康
○政府委員(武田康君) いま御指摘のように、ことしの八月は、たしか東京では八月の五日か六日から涼しくなりまして、それ以前に全国的な夏のピークが出たわけでございまして、通常ピークが出るようなのは八月の二十日過ぎ前、お盆の後でございます。予想のピークに比べまして、ちょっと数字は不正確でございますが、三百万キロワットか四百万キロワット分だったと思いますけれども、需要がダウンいたしました。したがいまして、先生御指摘のように、ことしは乗り切れてしまったと、こういうことでございます。ただし、仮に温度が、たとえば三十六度、七度というような状況がそのときにあったとしますと、相当いろいろ大口の方に御協力をお願いしたり、それを強化したりというようなことをやらなければいけなかったかもしれません、ちょっとこれはちゃんとした計算をだれかにさせませんとはっきりいたしませんが。
それで、これから先行きでございますけれども、実は夏の需要のうちの約三分の一あるいはもうちょっとがクーラーの需要でございます。これは家庭にもあれば事務所、商店にもございますし、一部工場の事務所等にもございます。それは逐年ふえている状況でございまして、で、今後そういうことも含めてどうも負荷率が下がってしまいそうであるというようなことを先ほど申し上げたわけでございます。ただ、需要、いろいろな使い方をなさっている方々のうちで、いろいろある時間的な調節をできる方とか、それから無理をお願いして、そのときに少し電気の使い方を少なくしてくださる方とか、いろいろ使い方の態様と、電気の使い方を変える、その便利さといいますか、その不便さの比較的少ないというようなこともございまして、そういうようなものの組み合わせをいろいろ考え、で、それもどうにもならないという時期には、これは戦争中から戦後にかけましてよく停電の起こった時代もございますが、そういうことに算術の上ではなっていくわけでございます。しかし、私どもといたしましては、そういうことにならないように、これは総理大臣をリーダーに閣僚の間でエネルギー対策推進の会合をつくっていただいておりますし、そこのリーダーシップのもとで事務的な面もあるいはその供給者もみんな大いに協力しまして、それで電源開発を推進していくということが、やっぱり一番大切な道ではなかろうかと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/159
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160・中村利次
○中村利次君 時間がなくなりましたから、これが最後になりますからまとめて質問しますけれども、これはやっぱりエネルギー節約をどういう形でやっていくのか、これはやるべきです。ところが決め手がなかなかない。いま審議官がおっしゃったように、そういう中で、やっぱりエネルギー不足、電力が足りなくなれば大口から規制をせざるを得ない。そうですね。ほかに方法ありませんね。そうなると、いま不況問題、この国会は不況克服の国会であると言われておる。ところが、なかなかそいつが思うように産業の操業度も上がらない、したがって失業だってなかなか好転しない、労働市場は荒れっ放し、そこへ今度は円高問題がまたダブルパンチで直撃しているわけですから、そういうところに今度はまた電力不足で大口から規制ということになると、これはね、しようがないんだと、そうなっちゃったんだから、だから失業したって帰休をしたって雇用保険の厄介になったってしょうがないんだということならいいけれども、それではならぬでしょう、福祉国家をつくろうという、そういうあんた、あれがあるのに。
そこで、最後に、これはもうエネルギー問題をどうするかということになるんだけれども、やっぱり太陽熱の利用とか、核融合だとか、あるいは地熱だとか、あるいは潮——これは波から落差までいろいろあるようですけれども、みんなこれは少なくとも先進国でこれに取り組んで研究開発を進めていないところないと思いますよ。しかし、私に言わせると、火山国の日本でもこの地熱発電といったって小容量であり、あるいはあれだってどういうリスクがあるか、これはかなりの開発を進めた場合には問題になることは間違いない。そういうものを無責任に、エネルギーはそれじゃどうするんだと言ったら、地熱開発あるいは石炭——石炭なんかこの原油高の大変なときに、原重油関税から五十二年度の特別会計なんか一千百五十億余りをつぎ込んで、これは出炭量トン当たり六千円ぐらいのつぎ込みになる、そうしてなお豪州炭なんかに比べる——こんなことはどうでもいいですよ、どうでもいいけれども、石炭火力によってエネルギーを賄うという説がある。あるいは太陽熱の利用、核融合という、もうエネルギーどうするんだと言えば原子力に反対するためにそういうものを引っ張り出す、こういう傾向が見えますが、いま私が申し上げた地熱はいいですよ。核融合から潮、それから太陽熱、これが実用化されるのは大体、世界の先進国の技術の粋を集めてやって、どれくらい先だとお考えになりますか。それだけ聞いて質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/160
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161・宇野宗佑
○国務大臣(宇野宗佑君) 核融合は二十一世紀が訪れまして三十年ぐらいたたないことには無理であろうというのが一般の通念であります。なおかつ、そのほかの新エネルギーと言われるやつ、特に非核エネルギー、それに関しましても、私たちは早くて一九九五年、それ以降の問題であります。特に、地熱と一口には申しますが、私たちの考えている地熱は、地球にひび割れをして水を差し込んで、下の溶岩でそれを熱くして、そこから噴き出す蒸気を用いる、こういうことになりますと、アメリカともこの間話してまいりましたが、これまた二十一世紀の物語ではなかろうか。いずれも今日このような大きなGNPの国家を支えるだけのエネルギーでないということだけは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108213913X00319771102/161
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162・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後六時一分散会
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