1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十二年十一月一日(火曜日)
午前十時三十七分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 金井 元彦君
理 事
夏目 忠雄君
望月 邦夫君
野口 忠夫君
神谷信之助君
委 員
衛藤征士郎君
金丸 三郎君
熊谷 弘君
鈴木 正一君
鍋島 直紹君
成相 善十君
佐藤 三吾君
志苫 裕君
和田 静夫君
阿部 憲一君
上林繁次郎君
向井 長年君
衆議院議員
地方行政委員長
代理 木村武千代君
国務大臣
自 治 大 臣 小川 平二君
政府委員
内閣法制局長官 真田 秀夫君
大蔵省理財局次
長 副島 有年君
資源エネルギー
庁公益事業部長 服部 典徳君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 杉浦 喬也君
自治大臣官房審
議官 石原 信雄君
自治省行政局長 近藤 隆之君
自治省財政局長 山本 悟君
自治省税務局長 森岡 敞君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 保君
説明員
内閣審議官 黒木 忠正君
防衛施設庁施設
部連絡調整官 鳥羽 浜雄君
防衛施設庁施設
部施設補償課長 近松眞次郎君
沖繩開発庁振興
局振興第一課長 河津 四郎君
大蔵省主計局主
計官 足立 和基君
大蔵省主税局税
制第三課長 亀井 敬之君
運輸省自動車局
業務部長 梶原 清君
自治大臣官房審
議官 大橋茂二郎君
自治省財政局財
政課長 関根 則之君
自治省財政局地
方債課長 津田 正君
自治省財政局公
営企業第一課長 金子 憲五君
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本日の会議に付した案件
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○地方公務員法の一部を改正する法律案(衆議院
提出)
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001・金井元彦
○委員長(金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明はすでに聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/1
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002・和田静夫
○和田静夫君 非常に時間を縮められましたから簡単にいきますが、答弁の方もひとつ……。
忙しいところ、法制局長官に来ていただきましたので、最初にその問題から入りますが、地方債の許可に係る自治、大蔵両省の協議制度及び理財局職員の越権行為について、五月十二日の本委員会で私は取り上げましたが、その五月十二日の答弁では、理財局の次長は、「市町村分については、」「事実上全然内蔵令を引いた形じゃない形で大蔵省に連絡をしていただいている」、こういう答弁をされた。そして、法的根拠がないことを明らかにされました。認められました。しかし、大蔵省設置法の第四条には「大蔵省は、この法律に規定する所管事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律に従つてなされなければならない。」、こういうふうになっているわけですね。したがいまして、権限の行使に関して法治主義の原則に反することは私は許されないと考えます。この点、法制局長官いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/2
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003・真田秀夫
○政府委員(真田秀夫君) ただいまお述べになりました大蔵省設置法第四条、「権限」を定めた規定でございますが、これは大蔵省に限らず、各省通じてそれぞれの設置法に権限としてほとんど例文的に書いてあるわけでございますが、この規定の読み方といたしまして、なるほどおっしゃいますように「その権限の行使は、法律(法律に基く命令を含む。)に従つてなされなければならない。」、これはもう大原則でございますが、この各号列記をずっと読んでみますと、たとえば「所掌事務に関する統計及び調査資料を頒布し、又は刊行すること。」とか、あるいは「所掌事務の周知宣伝を行うこと。」、こういうような規定もまじっておるわけでございまして、したがいまして、こういうところから見ましても、先ほどお読みになりました第四条のただし書きは、これは国民の権利を制限したり、義務を課したり、あるいは他の法律によって法律事項とされているようなもの、そういう種類のものについては法律に基づかなければならないよと、そういう意味だというふうに理解するのが正しいのじゃなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、ここに書いてあること全部が一つ一つそれを裏づける実体法がなければ、この四条の各号列記の業務が行えないというものではないというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/3
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004・和田静夫
○和田静夫君 大蔵省の側は、先日の答弁でみずから法的根拠のないことは認められた。実態はそういう意味では違法である。で、私はこういう違法状態というのは放置することは立法機関の一員として認めることはできない。大蔵省が必要だと思うからという理由だけで勝手に関与してならないということですね。これはこの前も法制局から見解をいただいたときにはそれお認めになったんですね。したがって、大蔵省は見解を改められて、そして政府資金の融資事務以外は、直ちに市町村の起債への関与というものはやめなきゃならない。これはこういうふうに考える方が至当ですね。都道府県のことを述べているわけじゃありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/4
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005・真田秀夫
○政府委員(真田秀夫君) ことしの五月十二日の当委員会におきまして、私からもお答え申し上げましたとおり、いわゆる内蔵令の規定をつらつら読みましても、市町村の起債分についての普通の都道府県知事の許可、その許可については、大蔵省筋に協議をしなければならないということは書いてございませんので、ですからそのとき、その当日大蔵省の政府委員の方も御説明になりましたように、現実には財務部あたりで協議を受けて、相談に乗るということをやっているようでございますけれども、これは法令に基づくものでなくって、事実上専門家として御相談を受ければその相談に乗って、そしていろいろなアドバイスをするということにすぎないというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/5
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006・和田静夫
○和田静夫君 そこで自治大臣、いまありましたように、市町村の起債について自治省と大蔵省、これは本省ですね。それから都道府県知事と財務局または財務部と見解が異なった場合でも、都道府県知事が許可をすれば、法的には完全に有効である、これはこういうことになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/6
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007・真田秀夫
○政府委員(真田秀夫君) 市町村分の起債についての都道府県知事の許可権限がございます。この許可をするに際して、大蔵省筋に協議をしなければならないという拘束はございません。したがいまして、知事が仮に協議を持ち込まないで許可をするということが起こった場合には、その許可の効力はこれはもう否定されるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/7
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008・和田静夫
○和田静夫君 大蔵省よろしいですね、いま法制局長官の見解。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/8
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009・副島有年
○政府委員(副島有年君) 長官のおっしゃったとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/9
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010・和田静夫
○和田静夫君 これ最後にしますが、自治大臣、地方債の許可というのは自治大臣の専管事項でありますから、その意味では現在の状態というのは私はやはり許せないと思うんです。この辺は、この前、大臣は引き続き検討しますと答えられましたが、いま法制局長官並びに大蔵省の見解で明らかになりましたので、確認をしておきたいと思いますが、よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/10
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011・小川平二
○国務大臣(小川平二君) この問題につきましては通常国会におきまして和田委員からいろいろの御指摘があり、まあ本日この場でいわば結論が出たものと私は理解をいたしておりますので、この事実を踏まえまして大蔵省と十分相談をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/11
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012・和田静夫
○和田静夫君 じゃ、どうもありがとうございました。
次行きますが、本年度の予算の要求に当たりまして本委員会での五月十二日、私の問いに対する首藤現次官の説明を引用いたしますと、五十二、五十三年の税制改正なかりし場合の地方財政への一般財源の影響の加重平均額から交付税率五%アップを要求した、こういうことになっているわけであります。この考え方を一貫するとすれば当然来年度は五十三、四年について同様に計算して要求すべきところであります。
そこで第一に、なぜ概算要求でこの、要求をなされなかったのか。第二に、財政収支試算及び地方財政収支試算は現にある唯一の中期財政展望でありますから、最低限これに基づいて要求を出すべきだと私たちは考えますが、この考え方自体は自治大臣、放棄をされたわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/12
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013・小川平二
○国務大臣(小川平二君) ただいまの時点で来年度の地方財政の状況というものを的確に予見することは困難でございますが、いまお言葉にございました中期収支試算というようなものを仮に一つの手がかりといたしました場合に、恐らく二兆円程度の財源不足が生ずるに違いないという見通しが出てくるわけでございますが、一つの問題は、来年度の税制改正につきましてすでに中期税制のあり方ということについては税制調査会から答申をいただいておるわけでございます。答申の御趣旨どおりのことを、要するに一般消費税の導入ということでございますが、来年度から実行できるかどうかということは今後の検討の問題でありまするけれども、仮にこのことが実行に移されました場合に、新税の一定割合を地方税として徴収するということが考えられる、あるいは国税として徴収される部分を交付税の対象税目に加えるということも考え得ることだと存じます。そういう前提で考えますると、交付税の税率にいたしましても、あるいは五%という要求をしなくても済むということ、これまたあり得ることだと思います。そういった事情がございますので概算要求の時点で五%の要求をしなかったと、まあざっとこのようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/13
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014・和田静夫
○和田静夫君 別な機会にもう少し意見述べたいんですが、冒頭申しましたように時間が制限されてますので、大臣の考え方だけ聞いてここの部分はおきますけど、五十二年度の補正予算で、交付税特別会計の借入金の償還が来年度から始まりますね。で、五十三年八百五十、五十四年二千二十、五十五年二千六百八十、五十六年三千四十、五十七年三千四百三十、五十八年三千八百七十、五十九年四千三百八十、六十年四千九百四十九とちょっと、六十一年三千三百二十一、六十二年九百七十五と、そしてこれは今後も借り入れが増大するだけ償還額も増大するおそれが多分にあるわけですね。これは交付税率にして数多にも達する。そういう年度があることになってきますね。いわば交付税の先食いをしていると言えるような筋合いのものになりますね。全国知事会も、国は完全な補てん対策を講ずべきであるということを述べていますね。で、そこで第一に、五十年度の地方財政措置決定に当たって大蔵、自治両大臣覚書に、五十三年度以降の各年度の国、地方のそれぞれの財政状況を勘案しつつ、自治、大蔵両大臣協議の上必要があると認めるときは負担の緩和につき配慮を行う、こういうふうにされているわけです。この覚書に即して緩和を求められるのかどうか。第二に、この負担の緩和については毎年毎年の措置ではなくて、長期的な観点から検討する必要があると思っているんですが、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/14
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015・山本悟
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、五十年度以来の交付税特別会計におきます借入金というのも年々増加をいたしておりまして、その償還額というのもただいま数字をお述べになりましたような金額になる予定になっているわけでございます。まあその特別会計におきまして借入金をいたします際、これはやはりその年々におきますところの非常なまあ緊急事態というようなこともございまして、そういう措置で地方財政対策として切り抜けてきたわけでございますが、将来の問題といたしまして、ただいまお読みいただきましたような大蔵大臣と自治大臣との間の覚書というのも、そういう将来を見越しまして結ばれていたようなわけでございます。したがいまして、毎年度の地方財政につきましては、地方財政計画の策定を通じまして、それらの償還のものも当然に地方財政としての持ち出しというようなかっこうにおきまして地方財政計画の中に算入いたしまして、その上で各年度におきまして地方財政に支障のないような財政対策をとってまいりたい、こういうような考え方で対処をいたしているところでございます。ただ御指摘もございましたように、こういったものは毎年毎年の短期的なものでもって処分していけばいいということじゃなくて、やはり長期的にながめた上でこういったものも含めての財政対策というものが安定したかっこうでなければおかしいんじゃないか、御指摘のとおりであろうと思います。ただ残念ながら現在のこの国の経済情勢のもとにおきまして、国庫財政におきましても地方財政におきましても、まだ安定した見通しを得ることのできる段階に達していない。早くそういう時期になってこういった問題も全部ひっくるめまして安定した長期的な見通しのもとに立っての地方財政対策並びに地方財政制度というものが確立されなければならない、その点はまさに御指摘のとおりでございまして、早くそういう時期がきますように私どもとしても努力をいたしてまいりたいと、こう存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/15
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016・和田静夫
○和田静夫君 衆議院の運輸委員会で、この国会、国鉄値上げ法案の採決の後に、与党議員から「国鉄再建の基本方向」という文書が読み上げられました。その一の2ですが、「その他の特に効率性の低い分野については、他の輸送機関との関連において効率的な輸送体系を形成するための施策を強力に講ずるとともに、国鉄経営上の負担の限界を超えると認められる構造的欠損について、国民経済的観点を考慮して、公的助成を含む所要の対策を講ずる。」こうなっているわけです。ところが一月二十日の「日本国有鉄道の再建対策について」という閣議了解は、赤字ローカル線の助成などについては、国が所要の措置を講ずることというふうに明らかにしていますね。したがって、国の方針としては公的助成というのは国の助成であると解すべきでありますが、そういうふうに解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/16
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017・小川平二
○国務大臣(小川平二君) まあ字づらをさらっと読みまする場合に、国という概念よりは公という概念の方が広いわけでございましょうから、地方公共団体の助成を含むというふうにさらっと読みますればなりそうでございます。ただし、この点につきましては、衆議院の地方行政委員会で理事会を開催なさって、地方行政委員会としては、この公的という言葉は地方公共団体を含まないものと、このように理解するということを運輸委員会に伝達なさったということも私は聞いておるわけでございます。本件に対しまする総理の御答弁でございますが、公的助成については、字句的には地方公共団体を含むが、具体的に地方公共団体に負担させるかどうかについては新しい国鉄再建対策の閣議了解までの段階に関係省庁において詰めることとしたい、こういう御答弁をなさっておるわけでございます。地方公共団体の財政の実態については、和田先生にいまさら申し上げることもないのでございまするし、ことに赤字線のありまする場所というのはおおむね過疎地でございましょう。自分の赤字を消すのに四苦八苦している状況でございますから、とうてい国鉄の赤字を解消するために協力する余地などはございませんから、私は、これはもっぱら国の責任で解決すべきものだという主張をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/17
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018・和田静夫
○和田静夫君 自治大臣のその趣旨が閣議全体の了解事項になるように力いっぱいがんばってもらわなきゃならぬと思います。特に先ほど言いましたように五十二年一月二十日の閣議了解はそういう方途をとっているわけでありますから、それが曲げられることがないように。——意見だけ述べておきたいと思います。
地下鉄建設問題に入りたいと思います。
地下鉄建設、これも時間がありませんので私の方からずっといままでの経過を追いながら申し上げますが、地下鉄の建設補助金の問題につきましては、ことしの四月十一日の参議院予算委員会での論議あるいは五月十九日の本委員会での私との論議に対しまして、自治省と運輸省から、運営費補助か建設費補助か、あるいは一括補助か分割補助かという補助方式のあり方あるいは補助の性格、財源の問題も含めて地下鉄事業に関する経営の改善方策その他について調査研究を行って、そして結論ができ次第来年度の予算要求に間に合わせるという自治大臣答弁がございました。しかし、五十三年度概算要求を見てみますと、八月末までに自治、運輸両省の結論が得られなかった。結局五十二年度予算要求の場合と同様に、従来方式で運輸省が四百三十四億六千七百万円を要求している。そのために自治省は独自に補助率七〇%方式に要する国費の四百五十八億五千万円との差額すなわち二十三億八千三百万円を要求されている。こういう形になってきているのですね。この一々についてその経過を追いたいんですが、きょうはそれは許されません。で、今回この質問を取り上げるに当たりまして、ここ数年の会議録を改めて全部読み直してみました。そうすると、毎回、六六%方式の見直しの検討であるとか、あるいは莫大な資金を必要とする改良工事を対象とすることのいわゆる検討など、それぞれのときには前向きの答弁がずっとなされています。ところが一向に進展する気配がない。で、議論を重ねている間に建設費というのは非常に増高いたしまして、補助率の引き上げの要求という、要望というのはますます強くなってきています。公営交通事業協会が設けている都市交通整備調査会も、五十一年の五月には「地下高速鉄道の公共助成について」という要望の中で「現行助成制度の改善」としては、営業費補助でなく資本費補助とする、六年分割方式を改める、総工事費を補助対象として自己資本、間接費用の控除を行わないこと、改良工事について補助対象とする、それから補助率を総工事費の七〇%とする、などというような骨子の報告などが行われているわけですね。私は、もうこういう経過をずっと踏まえてみまして、本委員会では、ぜひ結論を得たいのは、この際実質的な建設補助費として七〇%補助を五十三年度予算では実現するということで、早急に結論を出すべきであると思いますが、これは財政局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/18
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019・山本悟
○政府委員(山本悟君) 地下鉄の制度に対します補助金の問題につきましての経過はただいま和田先生のお述べになりましたとおりの経過をたどっているわけでございまして、現行の六六%六年分割方式というのは四十八年以来、その前が五〇%方式——四十五年以来というようなことで次第に向上はしてきているわけでございますが、なお、ただいま御指摘がございましたように、費単価の増高等の事態を踏まえまして、これでは足らないじゃないかという御意見の非常に強くあることをよく存じているわけでございます。御指摘ございましたように、本年度の予算数要求といたしましては、時期的な関係もございましたために、運輸省においても自治省におきましても従来方式というようなことで一応出しておりますが、この十一月、今月のうちにはそれぞれ新しい考え方に基づきましたものを、運輸省が中心でございますが、自治省としても当然一緒の、同じ考え方に合わせ得るものをということで作業をいたしておりまして、そういう方向で要求をし直すという段階になると存じます。その際、ただいま御指摘がございましたようにいろいろ内容があるわけでございますが、七〇%といったような問題につきましても強く主張してまいりたい、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/19
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020・和田静夫
○和田静夫君 したがって、この七〇%補助を政府として明年度より行うように努力をする、そういうふうにいまの答弁を受けとめてよろしいですか、自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/20
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021・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 仰せのとおりでございます。御趣旨の方向で全力を傾注してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/21
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022・和田静夫
○和田静夫君 引き続いて既存線の大規模改良工事でありますが、これについても補助対象とするというふうに私はもう明らかにすべきときに来ていると思うんですが、既存線の大規模工事を補助対象とする努力をされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/22
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023・山本悟
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、既存線の大規模工事、やはりいろいろと企業の増強に役立つ面がもちろんあるわけでございまして、そういう意味からもこれらの点について考えていかなければならないということにだんだんとなってまいっていることはよく存じております。ただ、新線の問題が先ほど御質問にあったわけでございますが、明年度の予算要求といたしましては、新線中心ということでやはり焦点をしぼってまいりませんと、むずかしいものでございますので、将来の問題といたしまして、やはりその対象化ということも課題といたしまして努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/23
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024・和田静夫
○和田静夫君 大臣、財政局長答弁ですから、いまのやつよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/24
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025・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 御指摘の問題につきましては、補助制度が改善された後において、地下鉄の経営状態がどうなるかというようなことをも考慮いたしまして前向きに研究をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/25
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026・和田静夫
○和田静夫君 バスの補助でありますが、再建団体のバスの購入費補助金として、再建初年度から五年間の措置としてバス購入費の半額を補助する制度が四十八年度から実施されてきました。それで、その期限が本年度で切れるわけですけど、五十三年度以降も補助を継続すべきであるというふうにわれわれは主張してまいりました。で、この主張についてどう措置されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/26
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027・山本悟
○政府委員(山本悟君) 五十二年度まで続きました、五年間続きました再建団体のバス購入費補助、御指摘のとおりに五年間という一応の方針で始められた制度でございまして、五十二年度で一応終了というかっこうになっているわけでございますが、現在の再建バス事業の状況その他、その後の石油ショック以来の物価の高騰といったような諸般の事情を考慮いたしまして、なお存続させる必要があるということで、自治省といたしましては明年度予算要求をいたしている段階でございます。ただ、何分一応五年ということで出発した制度でございますので、相当になかなかむずかしい問題がございますけれども、自治省といたしましては、やはり重点事項の一つといたしましてがんばってまいりたい、こう思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/27
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028・和田静夫
○和田静夫君 これはともあれ五十三年度には継続をされる、こう踏んでおいてよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/28
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029・山本悟
○政府委員(山本悟君) その方向で最大限の努力をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/29
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030・和田静夫
○和田静夫君 ここのところ、運輸省、見通しどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/30
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031・梶原清
○説明員(梶原清君) 運輸省におきましては、昭和四十年代の初めから地方バス路線維持費補助の制度を設けまして、逐次拡充強化してまいったわけでございますが、先生いま御指摘の公営交通事業に対する車両購入費補助とは別の制度で運用してまいっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/31
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032・和田静夫
○和田静夫君 それだから、いま再建団体のバスの購入費についてことし切れようとしている。これは五十三年度は継続をされる、そういう見通しである、よろしいですか。端的に、時間がないものですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/32
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033・梶原清
○説明員(梶原清君) 私どもが、運輸省がやっております制度は別の地方バス路線維持費補助制度でやっておりますので、これにつきましてもたしか五十一年から五年の期間をもちましてやろうとしておるわけでございますが、再建団体に対するものとは別の制度でございますので、御承知おきをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/33
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034・和田静夫
○和田静夫君 自治大臣、それじゃ、財政局長答弁がございましたが、再建団体のバス購入費補助金についてはことしで切れますけれども、五十三年度は継続をきれる、そういう結果になるというふうに判断をしておいてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/34
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035・小川平二
○国務大臣(小川平二君) これを打ち切らないという前提ですでに概算要求をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/35
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036・和田静夫
○和田静夫君 そこで、再建団体以外の団体ですが、自主再建をしている団体の方が財政的には苦しいという理由もありまして、対象として、これをやっぱり補助対象にすべきだという要望が非常に強いわけですね。これはどうですか、いまここですぐしますという答弁にもなかなかならぬでしょうから、これは都市交通で働く人たちの知恵も出すという意味を含んで、そういうものをもろもろ組み入れる、そういう自治省の私的な協議の場とでもいいますか、そういうような機会というものを財政局長おつくりになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/36
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037・山本悟
○政府委員(山本悟君) バスの問題につきましては、いろいろとむずかしい問題が重なっているわけでございます。ただいま御指摘のバスの購入費というようなもののほかにも、行政路線の問題でございますとか、いろいろとバス経営につきましてのむずかしい問題があるわけでございまして、そういうもろもろのものにつきましていろいろな各方面の御意見を伺う、あるいは議論をするということは非常に必要なことでもございますし、お互い様にそこで知恵を出し合っていくということも大いに考えなければならないことだろうと存じます。そういうような意味で、あらゆる機会に私どもと関係者の方々とお話し合いをする、そういう場というなり機会なりというものをつくることについてはひとつもやぶさかではございません。そういういろんな御意見を伺うこと自体大変私どもが行政をやってまいります上にも役立て得るんじゃないかというような気持ちでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/37
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038・和田静夫
○和田静夫君 懸案の行政路線の問題でありますが、いわゆる行政路線に対する公費負担の要望というのは、これは民営であろうが、公営であろうが、経営主体のいかんを問わずに非常に強いわけですね。で、これは住民の足を確保するために必要最小限度の生活路線は確保しなきゃならぬという、そういう切実な問題があるからでありますが、この行政路線については、その基準の設定を含めて年々どのような改善措置が図られてきたのだろうか。
で、さらに過疎地域の住民の生活に不可欠な路線バスを確保するために、路線バスの営業赤字を一部補助する運行維持費補助、あるいはバス購入費補助、あるいは廃止路線代替バス補助金などというような、そういう施策がとられていますが、例年一部の単価の改定は見られますけれども、必ずもし質的な改善が図られてはいないように感ぜられるんです。この点はどういうふうにお考えですか。
それから、過疎地域における住民の足を確保するためのバス事業のあり方についてどういう検討を加えられていますか。
それから、これは運輸省ですが、民営が過疎地で共願を行った場合、公営交通が走っているところではやはりもっと慎重に取り扱うべきじゃないかと、一路線一営業が守られるように努力すべきじゃないだろうか、むやみに競争に駆り立てるというようなことはやめるべきだと実は思っているんですが、この辺は運輸省どういうふうにお考えですか。とりあえずその辺で答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/38
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039・梶原清
○説明員(梶原清君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、最近のバス事業が都市といわず地方といわず大変苦しい経営を余儀なくされておりますので、昭和四十年以来地方バス路線維持補助制度を拡充してまいったわけでございます。今日におきましては七十二億円の国費を予算計上さしていただいておるわけでございます。来年度におきましても、制度の充実強化につきまして予算要求をさしていただいておるわけでございます。先ほど御指摘のございました民営バスと公営バスが競願になりますものが最近間々あるわけでございますが、経営の実態が今日のような状態でございますので、十分慎重に審議をいたしまして遺憾のないように努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/39
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040・山本悟
○政府委員(山本悟君) バスの行政路線の問題あるいは過疎バスの問題、いずれも住民の足の確保という観点からいたしまして、公営のみでなく民営を含めました問題として考える必要のあることかと存じます。そういうような点から、ただいま運輸省からも御答弁ございましたように、運輸省におかれましても過疎バス路線補助や新住宅地バス路線補助といったようなもので各種の施策をやっておられるわけでございまして、そういったようなかっこうでの助成措置というものをより拡大するというかっこうによって対処していくことが望ましいという観点から、運輸省等にも自治省といたしましてはいろいろと御要請申し上げておると、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/40
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041・和田静夫
○和田静夫君 新住宅地のバス路線、いわゆる足なし団地に対する補助について五十二年度は人口五十万人以上の都市圏から三十万人以上に改善をされた。ここの根拠というのを少し詳細にしてもらいたいのですが、余り時間がありませんからあれですが、私は以前から中核都市として二十万人以上の都市を対象とするように主張し続けてきました。この点さらに私は改善の努力をしていただきたい。全国各市の新住宅団地を対象にして、もちろん民間の住宅団地も含めますが、補助額についても、路線の赤字補てんが十分可能となるように引き上げることがやっぱり都市問題として考える場合にも必要なんじゃなかろうかということを痛切に考えるわけです。私は今度参議院議長のお供をしまして諸外国を回った機会に、いわゆる勤労者住宅団地、たとえばパリから三十五キロぐらい離れたところ、あるいはワシントンから五十キロぐらい離れたところ、あるいはシスコから同じような状態というのを精力的にずっと都市を見てまいりました。やっぱり公営交通が通勤途上などに果たしている大きな役割り、それに対するところのいわゆる州政府としての措置などというものをずっと点検をしてきました。でき上がった段階では、それに基づいていろいろの論議をしてみたいと思っておりますが、やっぱりもっと赤字補てんのために精力的に取っ組んでやりませんと、どうにもならぬところにいってるんじゃないかと思うんですが、これはどちらか、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/41
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042・梶原清
○説明員(梶原清君) 新住宅地バス路線開設運行費補助につきましては、五十二年度の予算では七千八百万円計上いたしておるわけでございますが、来年度につきましても、従来の公的な団地だけでなしに、さらに民間事業者開発分も含めて要求をいたしたいということで対処してまいっておるわけでございますが、先生御指摘のような趣旨に沿って大いに充実強化するように努力をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/42
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043・和田静夫
○和田静夫君 四十九年度に新設された大都市バス輸送改善対策補助金ですね、その中小都市への範囲の拡大について私は五十年六月二十六日の本委員会で論議をいたしました。そのときの答弁としては、その進捗状況をよく見守りながら、今後制度をどう変えていくか前向きに検討する、こう述べられているんですが、前向きの検討の結果はどうなったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/43
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044・梶原清
○説明員(梶原清君) 先生御指摘のように、当初人口五十万以上の都市を対象にいたしておりましたが、五十二年度本年度から人口三十万以上の都市を補助対象に入れたわけでございます。逐次拡充強化していくように努力をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/44
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045・和田静夫
○和田静夫君 総じて行政路線問題についても、財政局長、先ほどのようにひとつ関係労働者を含んで、あるいは公営交通の企業者を含んで、知恵を出し合うために適当な場を用意をする、そういうことが必要になってきていると思うんです。私はある意味じゃ公的な協議会などをつくった方がいいんじゃないかということを前の委員会では提案をしたんですが、一挙にそこまでいかなくても、自治省担当の部署において私的にそういう場所というものを少し動かしてみる、こういうことが行政路線全体の問題として必要なところに来ているのじゃないだろうかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/45
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046・山本悟
○政府委員(山本悟君) 先ほども申し上げましたように、いろいろの各方面からのお話をフランクに聞くという気持ちは常に持っているわけでございまして、そういう機会というものも必要なことになってくるんじゃないかというような気持ちもいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/46
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047・和田静夫
○和田静夫君 交通環境の整備の問題でありますが、四十八年度の交通事業の健全化法によりまして公営バス事業の第二次再建が始まりましたが、当時八百七億円の不良債務をたな上げをして、そして国の利子補給といわゆる地方団体の一般会計からの補助で健全化が図られた。その後この不良債務は減少するどころか実は逆に増加をしているわけですね。こういう状態になっていますが、これ五十一年度の決算見込み、どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/47
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048・金子憲五
○説明員(金子憲五君) 再建団体につきましては、五十年末の不良債務額八百億から約九百億に増加をするという見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/48
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049・和田静夫
○和田静夫君 私はバス事業の経営の悪化は、企業の内部努力はもとより必要なことでありますが、それ以上に自家用車の急増などに起因する表定速度の低下であるとか、あるいは定時制の喪失であるとか、これに伴う乗客の減少であるとか、企業の外的経営圧迫要因によるところが非常に大きいわけですね。で、この公営交通事業の経営の健全化を図るには、私は何よりも交通渋滞等の企業の外的経営圧迫要因を除去することが必要であろうと思うんです。そのためには都市対策であるとか、あるいは合理的な都市交通体系を確立をして、そして対策の総合性あるいは一体性の確保を図る必要がある。だれしもがそう考えます。都市交通環境整備については、昭和四十七年の十月三十日の公営交通問題研究会の報告もあるわけです。これに関連して、私の質問に対して、バス優先信号の設置等については第二次交通安全施設整備事業で五十五年度までにやるということでありました。私はこれは取り組み方としてはまだ十分ではない、そう考えているのでありますが、交通環境の整備を飛躍的に発展させるためには、これまた私は幅広く人材を集めて、そして大きく知恵を出し合う、そういうような場所というものが設定をされる、そういう意味では民意が反映をするという、そういう機会というものはつくられるべきだと思うんですが、さっき二点の問題についてそういう私的な自治省における場というものを求めましたが、この部分についても財政局長いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/49
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050・山本悟
○政府委員(山本悟君) 一つ一つの事項ということでなく、公営交通全体といたしましてのやはり再建といいますか、経営合理化といいますか、いろいろなものでフランクにいろいろな各方面の御意見を伺う必要があると、こう申し上げているわけでございまして、その中にもちろん公営交通の立場からするところのこの交通環境といったようなこともいろいろお話を伺います際の一つの事項ということになり得るものじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/50
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051・和田静夫
○和田静夫君 自治大臣、お互い知恵を出し合う、そういう意味じゃ民意を反映をする場所というものを、自治省の財政局長答弁にありましたように、機会をつくるということについて三つぐらいのことをいま提案をしたのですが、それは財政局長はオーケーということになりましたが、自治大臣よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/51
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052・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 関係者が隔意なく話をし合い、研究し合うということは必要なことだと存じますから、何か工夫の余地がありますれば、御期待の方向で研究をし、実行してみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/52
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053・和田静夫
○和田静夫君 最後の問題に入りますが、七月四日の公企一・課長内簡問題で、若干。
この現行地方公営企業労働関係法というのは、公営企業労働者の基本的権利を不当に抑圧するものであって、これは当然私は改められなきゃならないと考えているわけです。しかし、その点は別の機会にしばしば改善を求めてきていますので、きょうはことさらに触れません。きょうは、自治省が地公企労法によって認められているきわめて不完全な労働権すら、行政指導の名のもとにそれを骨抜きにしようとするというような思惑があるのではないかと思われる点を問題にしてみたいんです。それは、本年七月四日に出された公企一課長の内簡が実はその最たるものだと考えていますが、労使関係が円滑に推移するためには、労働者側において争議権を背景に完全な団体交渉権を持つことと、使用者が働く者たちの要求に対応できる実質的な当事者能力を持つことであろうと思うんですね。争議権を与えたからといって争議が頻発するわけではありません。むしろ争議が起こるのは労使間に信頼関係が失われたことに起因する場合が多い。特に、使用者側が労働者の要求に対応できる、つまり実質的な交渉能力を持たないときは、その信頼関係は根底から崩れるということにもなるわけですね。そういうことをあれこれ考えますと、地公企労関係のこの労使関係が円滑に成立するには、管理者に十分な交渉能力というものが持たせられなくちゃならないんだろうと思うんです。地公企労法が公営企業労働者に団交権を認めたということは、その意味で管理者の完全な交渉能力を前提としたものでありましょう。そうして、地公企労法は団体交渉の結果としての協約締結権が予算上、資金上不可能な場合にのみその実現に制限を加えているにすぎないこともまたこれは周知のところです。ところが内簡によりますと、企業管理者の交渉能力にどうも枠をはめるようなにおいがする。実質的に当事者としての正当な能力を否定しようとしているのではないだろうか。これは明らかに労使関係への意識せざる介入とでも言いますかね、不当な介入だと思いますが、皆さん方から言えばいやそんなこと意識してないと言うかしれませんが、ともあれ介入であって、地公企労法における労働権を否定するところにつながっていく危険性があります。自治省が地方公営企業労働関係法で認められている団体交渉権すら再建企業の労働者には認められないとお考えになっているのですか。そんなことはありませんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/53
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054・金子憲五
○説明員(金子憲五君) もちろん公営企業職員の給与その他の勤務条件につきましては、交渉によって労働協約で定められるべきものでございます。ただ、一方におきまして、再建団体は再建計画を実行する義務を持っておりますので、各交通事業の管理者、それからその団体の長におきましてはその計画を実行してもらいたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/54
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055・和田静夫
○和田静夫君 要するに、内簡は再建都市交通関係に働く者たちの労働権というものを否定するものではないということは、これははっきりしていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/55
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056・山本悟
○政府委員(山本悟君) そのとおりであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/56
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057・和田静夫
○和田静夫君 それから、いわゆる管理者に交渉能力を制約するものでもない、これもはっきりしていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/57
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058・山本悟
○政府委員(山本悟君) 先ほど公営企業一課長から申し上げましたように、再建団体は再建計画を実行していただくという義務もまた負っているわけでございまして、その間の調和というものは管理者なら管理者というものでお考えいただくことと、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/58
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059・和田静夫
○和田静夫君 結論的に言えば、もう時間がないからあれでしたが、適法な労使の交渉の結果については、自治省としてもこれは尊重するということはあたりまえなことだと、自治大臣それはよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/59
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060・小川平二
○国務大臣(小川平二君) これはもう当然のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/60
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061・和田静夫
○和田静夫君 そこで、最後ですが、内簡の具体的な指導というものは、これはもうたとえば起債の制限などというものに直接的には結びつくものではない。これはもう常識的なことでありますが、財政局長、それはよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/61
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062・山本悟
○政府委員(山本悟君) 公営企業の起債の制限、やはり欠損額が全体の規模の一〇%以上になるというような場合には、起債許可方針でもっての起債の制限という考え方はございます。しかし、それはいまの内簡によっての云々ということと直接に結びつくものじゃない。これは内簡があろうとなかろうとそれはそれと。それから、それに達しないものは、内簡がどうのこうのということじゃなくて、それはそれということでございますから、直接的に内簡によってどうこうしようということを申し上げているものじゃないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/62
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063・衛藤征士郎
○衛藤征士郎君 まずお伺い申し上げたいことは、オイルショック以降、今日非常に地方財政が逼迫しておるわけでございますけれども、自治省としましてオイルショック以降の地方行財政の実態の把握というものにつきましていかように理解され、認識されておるかということにつきましてまずお伺いを申し上げたいわけであります。
特に、三千二百五十六、東京二十三区を入れまして三千二百七十九の市町村、地方自治体があるわけでございますが、この三千二百七十九の市町村の実態把握につきましても、一括した形ではなくして、私どもがお伺いしたいのは、六百三十あるところの全国の村、そして千九百八十二ある町の実態、あるいは六百四十四ある市の実態のブロック別にどのように御理解をされているのか。特に、昭和五十年度なり五十一年度なりにおけるそれぞれの市町村に占める歳入におけるところの地方交付税の割合はどうなのかとか、あるいは地方税の割合どうかとか、そういったようなことにつきましてきめ細かくどのように理解されておられるんだろうか、認識されておられるんだろうかということを常に懸念してきたわけでございますが、どうもこのいわゆる捕捉が、三千二百七十九一括して捕捉されておるような感じがしてならぬわけです。ですから、私ども過疎の町村にありましての悩み、苦しみというものが、全国町村長大会なり、あるいは全国議長会、いわゆる地方六団体から過去毎年毎年、五、六年出されてきておる。その資料を私全部手元に集めてみたんですが、この要求事項につきましても、どれだけ熱心に自治省なり、あるいは大蔵省が取り組んでくれただろうかという感じがしてならないわけなんです。私は、少なくとも、今日この全国の地方自治体というものは、国の行政単位で最も基幹になる大切な行政単位である、こういうふうに思います。特に、これほど国際交流が盛んになってきたときに、政府が日中問題を云々するときに、ある自治体においては中国との結びつきを非常に盛んにし、ある都道府県にあっては知事が盛んにお隣の中国に出かけて行って親密なる経済交流をするためにいろいろと手を打っておる。国の意思とは違った形で、少なくともどんどんどんどん先行した形で地方自治体が国際舞台に出て行くというような状況を見たときに、私はまさに、この一つ一つの地方自治体というものは、三千二百七十九の市町村があるなら、三千二百七十九分の一の縮尺日本国である、ミニジャパンだ、そういう感じがするわけなんです。少なくとも、全国の地方議員たりといえども、そういうような認識に立って、そして行政の首長も、そういう少なくともミニ総理大臣、ミニ国会議員の感覚に立って取り組もうという段階ではありますけれども、残念ながら、地方財政が非常に基盤が脆弱であるために空回りになっておるという感じがするわけでございます。
そこで、私がきょう申し上げたいことは、地方交付税の問題ではありますけれども、まずその前提になる地方自治体の財政状況をどのように把握されておるのか、まず一点お伺いしたいということであります。
それから第二点は、地方自治における、住民の方々の地方自治に対する期待感なり、あるいは信頼感、その度合いは一体どうなのか。自治省が見た場合に、いいのか、まあまあなのか、これはいかぬと、このように認識されておるのか。どのようにとらえられておるのか、承ってみたいと思うんです。
御案内のように、すでに十人のうち四割の方々、四人の人が既成政党を支持しないというような今日、何の原因が一体あるのかということを考えてみたときに、どうも私は、地方自治体の中にそういう問題がひそんでおるような感じがしてならないわけです。自分たちの住んでおる小さな町や村で、自分たちが要望したことさえもできないことが、どうして県なり、あるいは国の広域行政の中でできるだろうか、できっこないんだというところに、だんだん地方自治に対するいわゆる期待感も信頼感も損なわれてきまして、いわゆるノンポリの方がふえてくるという傾向が出てくると思うんです。ことしは地方自治制度施行満三十年に当たる記念すべき年でありますが、私は、この記念すべき年に、こういった問題、過疎の町村のこういった実態にも深くメスを入れていただきまして、記念すべき年にしてもらいたい、このようにお願いを申し上げたいわけでございます。
少なくとも、戦前の権力政治なり戦前の一握りの財閥政治と違いまして、今日は開かれた政党政治が行われている。その開かれた政党政治のエネルギーと、開かれた政党政治の力こそが、日本のエネルギーとなり、日本をここまで発展せしめた力であったと、このように思うときに、その政党政治に対してさえも、地方自治に対する住民の方々の信頼等をなくすがゆえにだめだということになってしまったら、私はゆゆしき問題だと、このように思うわけなんです。
そこで、今後の自治省の地方自治行政に取り組む姿勢としまして、包括的にとらえていくのか、少なくとも市、町村、あるいはそういったブロック別に、あるいは県別ぐらいに細かくとらえていくというような姿勢をとっていくのか、その辺のところをお伺い申し上げたいわけでございます。
とりあえずこの二点につきまして、自治省の御意見をお伺い申し上げたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/63
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064・山本悟
○政府委員(山本悟君) 第一点の、地方財政の現状の把握というようなものが、地方財政全体、三千有余の団体全体としての地方財政というような大ざっぱな観点からの把握だけであって、県、市、町村といったようなブロックあるいはさらに各県別の状況というような細部にわたってまでの把握というのが不十分なんじゃないかという御指摘でございます。確かに、私ども、地方財政対策といったようなかっこうでいろいろと物を考えます場合、地方財政全体としての大きなボリュームというものについての措置ということを描きがちでございまして、それが個々の県、個々の市町村にどういうようにいま影響していくかという一つ一つの細部の点につきましてまで、何と申しますか、一々の実態の把握あるいは目の届き方というものに十分な点がないんじゃないかという御指摘であるといたしますれば、その点は、まさにそういうような御批判をいただいてもやむを得ないような状況も一部にはあろうかと思います。ただ、地方財政全体としての財政対策というようなことを地方財政計画等を通じまして行うことによります結果、個々の団体、通常の行政レベル、通常の状況という多くの団体におかれましては、まず、これまた、通常の財政運営というものをやっていただければまずまずの財政運営というのはできるような状況に、地方財政全体としてまあ個々の年度といたしましては措置ができているのじゃないか。このことは、私どもといたしましては、地方財政の運営に支障がないように措置をする、こういう言葉で言っているわけでございます。そういう意味のことはある程度は実際にやってまいってきておりますし、また、個々の団体の決算というような面を通じまして個々の団体のことを把握さしていただくわけでございます。
現在までのところはまだ五十年度の決算まででございまして、五十一年度の決算全体としていま取りまとめ中、まだ公表する段階に至っておりませんが、こういうような状況を見さしていただきますと、たとえば五十年度で申し上げますと、赤字団体は、二百十六市町村が赤字である。この赤字の傾向というのはやはり、四十八、四十九、五十というようなかっこうでながめてまいりますと、赤字がふえていっている。五十一年度は、これに比べますと、見込みといたしましては、この二百十六というのが百十ぐらいに減るであろう、こういうような総体としての傾向はつかまえているわけでございます。また、赤字の額にいたしましても、同様なことが申せるわけでございまして、その他公債費比率の問題、あるいは歳入に占めます一般財源の割合の問題、これらもそれぞれ年度としてはつかまえてまいり、また市、町村というようなランクとしては把握をさしていただいておる。しかし個々の団体の決算というものをとってみますると、一つの県で数十の町村があった場合に、相当な赤字を出している団体、あるいは非常に黒字で大きく出ている団体、ばらばらでございます。そのばらばらな点につきまして、一つ一つの事情というような点、私どもとしてはなかなかそこまで把握をいたしかねているわけでございます。問題の起こったような場合あるいは起こり得るような場合につきましては、いろいろ個々の事情につきましても伺いまして、自治省といたしましても財務調査官というようなものを三名置きまして、各方面を個々の団体の指導までできるように分担、方面別に担当してもらっているというようなこともいたしているわけでございまして、そういうような点で、さらに一層個々の団体につきましての事情の把握ということも努めてまいりたいと思っている次第でございます。
それから、第二点の、住民が地方団体への信頼感を持っているだろうかどうか。この点につきましては、御指摘のように非常にむつかしい問題もはらんでいると思います。公害問題その他から起こりましたところの住民運動というようなものを一つ取り上げて考えてみましても、いろいろとむつかしい事情が各団体に起こっておると存じます。住民の意識の多様化あるいは要望の多様化と申しますか、それに対しまして地方団体側が十分に機能的に対処できるかどうか、できていっているかどうか、こういう点につきましては、いろいろ御批判もございましょうし、これまた、実を言いますと、各団体の対応の仕方によりましていろいろと事情の違いも出ているように見ているところでございます。しかしながら、先般の第十六次の地方制度調査会におきまして、住民の自治意識につきまして答申がなされたわけでございますが、ああいった自治意識というようなことが地方制度調査会等におきまして議論になるということ自体、やはり現在の三十年たちました新しい地方自治制度というものが一つの曲がり角に来て、今度は単に物の問題じゃなくて心の問題としての地方自治というものを考えていかなきゃならない時期に到達しているということを示していることであろうと思います。ああいった答申の考え方というようなものも、私どもとしても十分踏まえて、機能的に地方自治というものが運営されますようにいろいろの面で、何といいますか、指導もし、あるいは応援も申し上げてまいりたいと、こう存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/64
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065・衛藤征士郎
○衛藤征士郎君 お尋ね申し上げますが、特に全国の町村におけるところの歳入に占める地方交付税の割合、どのように実態を把握されているか、ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/65
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066・関根則之
○説明員(関根則之君) 全国の町村の歳入中に占める交付税の割合は、昭和五十年度で三二・六%になっております。前年の昭和四十九年度が三四・一%でございますので、わずかに低下いたしております。しかし、この率は、市町村全体では昭和五十年度が一六・一%ですから、市町村の中では町村に、市町村平均の倍ぐらいの交付税のシェアが交付されておる、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/66
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067・衛藤征士郎
○衛藤征士郎君 私の手元に昭和五十年度の資料があるんですが、まあこれは仮に大分県でございますけれども、市町村という形で突っ込みをしますと非常にわかりにくいんですが、たとえば三十六ある大分県の町、平均しますと、昭和五十年度で実に歳入に占める地方交付税の割合が四一・八八%になっているわけです。それから村では、十一村ありますが、これが四五・九二%になっています。一方、市の方にまいりますと、これが一五・三八%になりますから、この市町村突っ込みでいつもやられますから、大したことないじゃないかと、まあこうやられてしまうんですが、実際町村別に見ますと非常に高い。そして一方歳入に占めるところの地方税の割合でございますけれども、たとえばある町では地方交付税の占める割合が五四・七七%、地方税の方は実に七・五五%しかない。また、ある村については五二・七一%、そして地方税の方は四・四八%、こういうのがたくさんあるわけですね、町村別に見ますと。先般地方行政委員会で長野県、そして新潟県の行政視察に行きました。両県からも私は資料をいただきましたけれども、似たり寄ったりでございまして、やはり過疎の町、村を見ますと非常に苦しいわけです。
このように見てまいりますと、いわゆる地方交付税というものが町村にとりましていかに重要な自主財源になっておるかということでございます。
そこで、町村長は毎年毎年の予算編成要望をする場合には、当然国が示したところの地方財政計画を一つの基準としながら予算編成等々に取り組むのはもちろんでございますが、一体どうなるのかということでいつも不安に思っておりますが、何とかして地方交付税の交付率を引き上げてもらいたい。それでなけりゃもう地方自治体はにっちもさっちもいかないということをいままで訴えてきたわけでございます。それがなかなか取り上げてもらえないというのは残念であります。私の手元に、昭和四十八年からことしの、前国会までの衆参議院の地方行政委員会で地方交付税につきまして議論された資料がここにございます。この経緯を見ましても、私ども現場におった町村長として見ましたときに、非常にむなしいわけです。われわれがあれほど昭和四十八年、四十九年、五十年、ずっと訴えてきたことが、この議事録を見ますと、大臣なり、あるいは局長なりが答弁した中で、地方交付税の交付率の引き上げの必要はないんだと言っておるわけです。そして、全国三千二百七十九の市町村長が血のにじむような努力をして自治省なり大蔵省なり、あるいは国会なりに陳情したことが、堂々とこういう地方行政委員会の席でその必要ないと、こう言い切っているわけです。これは一体どういうことだろうかということで、非常に理解に苦しむことでございます。昨年は、御案内のように、自治省の方も意を決していただきまして、大蔵省につきまして地方交付税の問題につきましては非常に御努力をいただきましたことは高く評価いたしますし、実質上三・六%の地方交付税の交付率のかさ上げというような形になっておりますが、しかし、それは私どもから見ますと制度改正ではないわけでございまして、ちゃんとした制度の改正をやっていただきまして、交付率の改正をやっていただきまして、町村長が安心しまして地方交付税を一般財源として繰り入れてもらう、そして仕事ができるというような措置をやっていただきたいと思うんでございますが、どうなんでございましょうか。昭和五十三年度、来年度は、地方交付税交付率の改定を行うという姿勢が、意欲が、いや行うんだと言い切ることが自治省の方でできるんでございましょうか。この点をお伺い申し上げたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/67
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068・山本悟
○政府委員(山本悟君) 明年度の地方財政をどうするかという点は、現在の時点におきましては、その前提になりますところの税制改正の問題その他の事項が不確定でございますために、現在のところまでまだそういったことを申し上げられる段階ではないということになるわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても、明年度の地方財政におきまして相当程度の財源不足というものが生ずるであろうということは、まあ現在の経済情勢その他から見まして容易に想像のつくことでございまして、これから予算編成の時期にかけまして、そういった各種の地方行政制度あるいは税制の制度、そういった事項も全部踏まえた上で、交付税率の引き上げということも含めまして、明年度の地方財政運営に支障が生じないように、自治省としては財政対策をとっていく責務がある、こう思っているところでございまして、これから次第にそういうことに対します数字というようなものも詰まってまいることになってまいりますので、その際にそれぞれの時期に対応いたしまして最善の努力をさせていただきたい、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/68
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069・衛藤征士郎
○衛藤征士郎君 四十八年からのこの議事録を見ましても、いま局長が御答弁されましたような答弁がいつもされておるわけでございまして、そして結果として見ますといつもなされていないというような形になっているわけでございますが、少なくとも私は、いまの時点におきまして、地方交付税の交付率の改正、引き上げをやるんだという意欲を、姿勢を、自治省として当然示すべきではないかと思うんです。示してもらいたいんです。そして、また一方大蔵省の方にも私はお願いをしたいと思うんですが、先ほども申し上げましたように、わが国にとって最も大切な国の基幹となる、国の単位である三千二百七十九のこの行政単位、国の単位です、末端の行政単位ですが、これが現在いま申し上げましたような形で非常に財政危機になり、行財政が非常に苦しいという中にありまして、この枠の中で操作する、あるいは新税をつくってそれを打ちかえるとか、あるいは原資補てん債でこれを賄っていくとか、そういうようなことではなくして、大切な国の行政単位であるから、不要不急の事業は、これを少々割愛してでも、この地方交付税の交付率の引き上げのために財源措置をしていくんだというような、そういう姿勢はないんですか。この点について大蔵省に御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/69
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070・足立和基
○説明員(足立和基君) 地方公共団体が国の自治団体として非常に重要な役割りを果たしておるということは申すまでもないことでございまして、またその地方団体が現在非常に財政困難な状況にあるということも私ども十分承知しておるところでございます。しかしながら、現在の財政苦境というものは、石油ショックを契機といたしまして非常な異常な経済の状況から多額の収入不足というものが生じてきておるわけでございまして、これはきわめて深刻な国、地方を通ずる財政窮迫の状況でございます。したがいまして、私どもといたしましては、地方財政の非常に苦しい状況ということは十分認識しておりますが、国、地方を通じます交付税率の引き上げを含みます抜本的な制度改正というものは、やはりこの現在の異常な経済の状況から脱却いたしまして、慎重に、国、地方を通じます行財政制度のあり方というものを含めまして検討していかなければならない問題ではないかと一般的に考えておる次第でございます。具体的に明年度の地方財政対策としてどうかということになりますと、現段階ではまだ具体的に申し上げるわけにはまいりませんが、各方面の御意見を伺いながら、また自治省等とも十分協議いたしまして、地方財政の運営に支障のないように十分考えていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/70
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071・衛藤征士郎
○衛藤征士郎君 それじゃ自治省の方から、昭和五十三年度地方交付税の交付率を引き上げるべきだということで、そういうような折衝があった場合に、きょうは大蔵省を代表してあなたが来ているんですから、あなたとしましてはそのときにどうされますか。積極的にこの問題について取り組む姿勢がありますか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/71
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072・足立和基
○説明員(足立和基君) ただいま御答弁申し上げましたように、交付税率の引き上げを含みます抜本的な制度改正というものを、現段階、このような経済の異常な時期におきまして行うことが適当かどうかということについては、やはり私ども問題があるのでないかと、率直に申しまして考えておりますが、五十三年度の問題でどうかと申されますと、現段階で具体的に、それではこういたしますということをお答えするわけにはまいりません。しかしながら、先ほど申しましたように、十分自治省等とも協議いたしまして、地方財政の運営に支障のないように考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/72
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073・衛藤征士郎
○衛藤征士郎君 最後に、時間がありませんから、小川自治大臣にお尋ね申し上げたいと思います。
ただいま過疎の町村の実態等を踏まえながら、非常に厳しい五十二年度あるいは五十三年度の地方行財政、訴えたとおりでありますが、私は、何といいましても地方交付税、この問題が地方自治体にとって最も大切な財源であると考えていますが、ためにも、地方交付税の交付率の改正を、何とかして地方自治制度三十年のこの記念すべき年に前向きに、そして改正をしてもらいたいと、このように考えておるわけですが、大臣、どうなんでしょう、これはもう行政のレベルでは、この議事録を見てもどう処理もならぬような感じもしますし、まさにこれは政治の段階で解決する問題であるという感じを深くしていますが、大臣として政治的にこの問題をとらえた場合に、どうでしょうか、地方交付税の交付率の改正は改善をすべきである、引き上げるべきだということにつきまして、簡単で結構ですから、引き上げるべきだと、五十三年度についてはやるんだというその決意のほどを、簡単にひとつ明確に御答弁をお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/73
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074・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 今日の地方財政の困難と申しますものは、根本的には経済基調の変化に今日の税財政制度が迅速に適応していけないというところにあるわけでございまするから、ある時期に仰せの交付税率の変更を含めまして文字どおり抜本的な改善をしなければならないと、このように信じておりますが、先ほど来大蔵省からも答弁がございましたように、五十二年度におきましては、かような経済の変動期に国と地方の財源配分の問題でありまする交付税率の変更ということを長期にわたって固定するということは困難であると、そういう判断のもとに、御高承のようないわば一時に対処する解決策をとったわけでございます。これが本格的な恒久的な対策でないことはもとよりでございます。来年度において交付税率を引き上げるかどうかということは、これは経済の状況あるいは景気の動向ということを判断して決めなければならないことでございますから、この場でお約束はいたしかねるわけでございますが、私といたしましては、少なくとも本年度にとりました措置に一歩を進める措置だけはどうしてもとらなければならないと、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/74
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075・衛藤征士郎
○衛藤征士郎君 最後に、現在高福祉高負担というようなことで、国の福祉国家、福祉地域社会に向けての政治が行われておりますが、過疎の町村にありましては、こういった窓口の広い、幅の広い、そして深さの浅いという感じの福祉を私は感じるわけなんですが、過疎の町村にあっては、福祉の窓口は狭くともいい、しかし深みのあるひとつ福祉をやってもらいたいという気持ちが非常に強いということです。と同時に、そういった福祉行政はもちろんですが、過疎の町村にあっては、橋をつくったり学校を建てかえたり、あるいは道路を改良したり舗装したり、そういうことの方が福祉だという認識が非常に強いということなんです。厚生省サイドの福祉政策、福祉という発想よりも、まあ建設省と言っては大げさですが、建設省なり、あるいは国土庁なり、いわゆる地域社会を建設するというそういう建設省サイドの発想、それが福祉だというような、そういう段階にある過疎の町村が非常に多いんだということなんですね。そういうことからしたときに、当然この地方交付税の問題が、いまこんなにやりとりされておるわけですが、その辺のところを十分御認識いただきまして、何としてでもひとつ地方交付税の改正、引き上げについて勇断をもって臨んでいただきたい。これは自治省の方にも大蔵省の方にもお願いしまして、時間が参りましたのでこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/75
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076・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
午前十一時五十八分休憩
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午後一時五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/76
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077・金井元彦
○委員長(金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/77
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078・佐藤三吾
○佐藤三吾君 先ほど衛藤委員が、交付税の、地方財政の問題について御指摘がございましたが、その問題につきましてもう一つ、大臣においでいただいておりますから御意見をいただきたいと思っております。
一つは、御存じのとおりに、地方財政が非常に逼迫しておる。そうしてこの問題が起こりましてからもうすでに四年有余になっておるわけであります。ところが、たしか七十六国会だったと思いますが、この国会の中で、政府側の答弁というのが議事録を見ますと展開をされておるわけです。一つは、地方財政が今日の貧困を招いておる一番大きな原因は放漫財政だ、そうしてその典型が福祉のばらまきだ、人件費が高い、こういう主張を政府側の答弁として議事録を見ると終始繰り返しておる。もう一つの問題は、七十六国会の中だったと思いますが、いわゆる交付税法の六条の三の2ですか、この問題をめぐって当時の財政局長であります松浦さんからの答弁として、「著しく」「引き続き」という中身について、「著しく」は一〇%以上だ、そうして「引き続き」は二年で、三年目も引き続いて起こるときに税率の改正もしくは制度の改正をやらなきゃならぬと思いますと、こういう答弁が出されておるように私は拝見したんでありますが、にもかかわらず、五十二年度はちょうど三年目になるわけですが、その予算の過程を見ると、特別会計でやることがいわゆる制度の改正になるんだとこういう、これはだれが見ても正しい解釈でない。その場逃れの言い逃れ的な答弁でやられておるわけです。今回のこの案件を見ますと、やはりその延長線上で財源措置がなされておる。こういったことに対して、私は当初政府のこの地方財政問題に対する構えなり、交付税法の六条の趣旨から言っても、このまま推移することは許されないことだというように私は考えるわけです。先ほど衛藤さんの答弁によりますと、大臣の答弁としては今年度の方法で、いわゆる五十二年度の方法でさらに一歩前進する方向を決意をしておるというような、そういうお話がございましたが、この問題については私はそういうことでは許されない問題があるというふうに思いますし、もう一度大臣のこの問題に対する、いままでの国会における答弁とかみ合わしてひとつ見解をお伺いしておきたいというふうに思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/78
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079・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 交付税法の六条の三の2項は、交付税率の変更をするか制度の改正をするか、いずれかを選ばなければいけないと規定をいたしておるわけでございます。五十二年度におきましては制度の改正をもって対処いたしたわけで、この点につきましては繰り返していろいろ御批判をいただいておるわけでございます。私どもはこの制度の改正、しからばいかなるものが制度の改正であるべきかという点については、法律は相当広い選択の余地を認めておると解釈いたしておるわけで、必ずしも恒久的な制度たるを要しない、かような解釈のもとに御高承のような措置をとったわけでございますが、先ほども申し上げましたとおり、これが本格的な方法だと考えておるわけではございません。そこで、来年度も同じ方法でさらに一歩を進めるという答弁を申し上げたつもりはないのでございまして、来年度は一歩進んだ措置をぜひともとりたい、かように答弁を申し上げたわけでございますが、そのようにひとつ御了承いただきとう存じます。同じ手法を踏襲するというつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/79
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080・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いまお答えの進んだ方法というのは、具体的にはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/80
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081・小川平二
○国務大臣(小川平二君) まあこれはいかなる方法をとりまするか、来年度の地方財政の状況につきましてもう少しはっきりした見通しが出てまいりませんと、今日の段階では的確に申し上げかねるわけでございますが、少なくとも同じことをやって通り抜けられる状況ではないと、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/81
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082・佐藤三吾
○佐藤三吾君 具体的にこうだ、ああだということはなかなかいまの段階では答えができないと思うんですが、いわゆる方向というか、幾つかあると思うような発言があるんですが、その中で一体どういうものを考えておるのか、大臣の見解をぜひひとつ聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/82
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083・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 午前中和田委員の御質疑に対して答弁を申し上げたのでございますが、税制調査会が中期の財政、税制のあり方について答申をお出しになっておるわけで、御高承のように一般消費税の導入を提唱しておるわけでございます。仮にこのことが実現いたしました場合においては、新税の一定割合を地方税として徴収する、あるいは国税として徴収される部分、これを交付税の対象税目に加えるというようなことも考えられることで、もしこれを実行いたしますれば、相当程度地方財政の今日の困難を緩和することができると存じます。さような場合には、その前提に立って交付税率の問題も研究しなければならないと考えるわけでございます。そう申しましても、税調の御答申どおりのことが明年度において果たして実行できるかどうか、これもいまの段階でははっきり断定いたしかねることでありまするので、なかなか具体的にどう進めるかと仰せられましても、いまの時点では責任ある御答弁を申し上げかねるわけでございますが、少なくとも本年度よりは一歩前進した対処の仕方をしなければならない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/83
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084・佐藤三吾
○佐藤三吾君 私はきょうは時間がございませんから、これ以上まあこの問題に深入りは避けたいと思いますけれども、しかし大臣、地方財政の現状の中で今日の危機というのは、国の財政危機も問題でございますけれども、しかし、つとに言われておりますように、自治体の自治そのものが損なわれるという実態は、何としても国の責任で措置をしなければならぬ問題だと思うんです。ですから、そういう意味合いから見ると、私はこの国の財政の危機、国自体が財政危機にあるから地方財政も云々であるとか、先ほど大蔵省の主計官が答弁しておりましたが、もしくは国、地方を見通して財源云々という議論がございますけれども、そういった問題を抜きにしても、私は交付税率の引き上げであるとか、もしくは地方財源の恒久的財源の確立を求める施策は別途の観点から検討しなければならぬというふうに思うんです。そういう意味で、大臣がこれからのこの交付税の、五十三年度予算編成に当たってひとつぜひそういう観点から対処していただくことをこの機会に強く要求しておきたいと思います。
そこで私は、過ぐる十月の十五日に起こりました政令二百四十号の改正に伴う福岡県議会の流会という事態について、自治省の見解をお聞きしておきたいと思うんですが、御存じのとおりに、福岡県議会が政令二百四十号ですか、それの取り扱いをめぐりまして議会が流会して、そして二百四十億近い補正予算が廃案になるという、そういう事態が起こりましたですね。この件について自治省のいわゆる見解というかそのものが、衆議院の地方行政委員会の中の議論の中で、違法でないけれども余りいいことではないというような、こういう発言になっておるということを聞いたわけでありますが、この点に対して大臣の見解をひとつぜひお願いしておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/84
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085・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 一言にして申しますれば、違法ではないが好ましくないという趣旨を御答弁申し上げたのでございます。やはり地方行政財政の運営は長と議会との相互の理解協調の上に立って行われるべきでございますから、そういう観点から見まするときに好ましくない事態であったと、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/85
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086・佐藤三吾
○佐藤三吾君 私はこの事件が起こって若干調べたんですが、福岡の議会では過去十回こういう事例があるそうですね。そして議会が流会すると同時に知事専決で処分すると、こういう事例が十回あって、そのうち七回が亀井知事になってから起こっておる、こういうふうに聞いておるんですが、そういうことでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/86
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087・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) 過去にどの程度あったかということを実は私どもの方で把握いたしておりません。今回の件につきまして衆議院の方で御質疑がございましたので、調査いたしましたところ、専決処分で契約の基準を引き上げる条例を行ったと、そのために次の議会におきましてその問題をめぐっていろいろ紛糾して流会になったと、したがってその中で提案しておりますもののうちの特に急施を要するものについて専決処分を行ったという報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/87
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088・佐藤三吾
○佐藤三吾君 十回——回数は全然調べてないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/88
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089・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) 過去においてどれだけ流会になったか、専決処分を行ったかということは調べてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/89
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090・佐藤三吾
○佐藤三吾君 私の調べでは、福岡のこの種の事件というのは戦後十回、そのうち亀井知事になってから七回行われておる。ですから福岡のいままでの亀井県政のやり方を見ると、むずかしいような議案は流会に持ち込んで知事が専決すると、こういう慣例というか一つの事例が積み重ねられてきておるわけですね。そういう慣例があったものですから、したがって、いわゆる知事専決で、専決条例を専決すると、こういうような、大臣の言葉では遺憾という言葉でありますけれども、事態を引き起こしたと、そういうふうに思うんです。問題は、こういった専決条例を専決するということに対して法律的に違反でないといういま大臣の答弁があったんですが、これは何を根拠に違反でないと言っているのか、ここのところをひとつお聞きしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/90
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091・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) 地方自治法の百七十九条に長の専決処分の規定がございますが、その中で、「普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条但書の場合においてなお会議を開くことができないとき、」、そういうのと並びまして、「普通地方公共団体の長において議会を招集する暇がないと認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。」となっておりますので、恐らく「普通地方公共団体の長において議会を招集する暇がないと認め」て、専決処分を行ったものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/91
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092・佐藤三吾
○佐藤三吾君 それは調査をした上でそういう判断したんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/92
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093・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) 議会を招集する暇がないかどうかという判断につきましては、昭和二十六年八月の実例によりまして、長の裁量によって決すべきであるということになっております。もっとも、この長の認定には客観性がなければならないということにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/93
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094・佐藤三吾
○佐藤三吾君 その客観性の問題ですが、それはおたくの方で調査をした上で、その結果客観性があったと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/94
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095・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) 私の方で一々調査いたしまして客観性があるかないかというのを調べ、措置をとるという立場にはないわけでございますが、長の場合におきまして、恐らくいろいろな客観情勢から見てこの際専決処分にすべきであるということで専決処分されたものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/95
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096・佐藤三吾
○佐藤三吾君 こういう事例は全国でどのくらい出ていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/96
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097・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) 現在手元に資料ございませんけれども、専決処分の事例というのは相当あると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/97
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098・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いやいや、そうじゃなくて、七月の二十二日に政令を出したわけでしょう。この七月の二十二日の政令の中身を見ると、附則の中で、いわゆる十二月三十一日までという、制定するような、指導を含めて出していますね。そのことは逆に言うならば、政府の、この政令の改正については少くとも九月議会を想定しておると、しかし九月議会でもできないのは、十二月までひとつとしてもらいたいと、そういう趣旨に私はとったんですが、そういうことでしょう。そうなると、この期間に一体何県、あなたが言うように再三他県でも専決処分やっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/98
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099・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) 県分につきましては、現在条例改正済みの県が四十一県ございますが、福岡県を除いては議会の議決を得ております。それから条例を改正しなくてもすでに基準以上になっておる県が四県ございます。残りは二県でございますが、これは近く開かれるところの県会に提案する予定であるというふうに聞いております。なお、市町村分につきましては、改定済みの団体、相当多いわけでございますけれども、専決処分かどうかという調査はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/99
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100・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そうしますと、いまあなたがさっきおっしゃったように、客観性があったと、専決処分をしなきゃならぬ客観性があったという論理とはどういうことになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/100
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101・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) それはその県の置かれた状況によって知事が判断すべきことだと思いますけれども、そしてまた県によって事情がいろいろ違うと思いますけれども、たくさんこういう契約案件が殺到しておって、公共事業促進という意味からどうしてもやらなければならないという判断をされたのかとも思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/101
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102・佐藤三吾
○佐藤三吾君 公共事業の促進というのは何も福岡に限ったことじゃないんでしょう。そうじゃないんですか。福岡に限ったことじゃなくて、全国的に七割の繰り上げという措置を政府として指導しておるわけでしょう。そうすれば、そういうことを前提としながらも、政令の改正は七月二十二日にしたわけでしょう。そうして、しかもその政令の改正の要旨としては、九月議会を想定しながら、それで間に合わぬところは十二月までにやりなさいということをつけたわけでしょう。そういう状態になれば、福岡だけ例外的に客観性があるということにならぬじゃないですか。八月のしかも十二日に決裁をしておる。そうでしょう。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/102
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103・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) 私どもの政令改正の趣旨は、いま御指摘のようなことで、次の議会にかけられるというようなことも見込みまして十二月末まで経過措置を置いておるわけでございます。したがって、ほとんどの県は次の議会に提案しておるわけでございますが、福岡の場合におきましては、恐らく福岡県の知事が県内のいろいろな状況等を勘案されて専決処分されたものと私どもは思います。私どもは事前にそういうことが起こるということをもちろん期待しておったというようなことは毛頭ないわけでございまして、恐らく知事の判断で専決処分なされたことと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/103
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104・佐藤三吾
○佐藤三吾君 私は、恐らく福岡県の行政ベースとしては、これだけ重大な問題ですね、議会の権限にかかわる問題でもあるわけです。しかも、この政令の改正の趣旨からいってみても、十二月までの猶予期間を置いておると。そういう点から見ると、恐らく自治省に事前に専決条例の専決をやってもいいかどうかということについての問い合わせがなされておるんじゃないかと私は思うんです。それに対して、さっき大臣の答弁のように、違法ではないけれどもまあ政治的な問題があるとか、こういったような指導というか回答がなされた上でやられたんじゃないかと思うんですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/104
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105・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) 私は少なくとも聞いておりません。恐らく自治害そのものにもそういう照会はなかったものと思います。衆議院の方で御質問があって照会して初めてわかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/105
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106・佐藤三吾
○佐藤三吾君 それでは、この問題については衆議院でそういう質問があった後にどういう指導措置をとられたのか、あわせてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/106
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107・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) 指導措置と申しましても、これは知事と議会との間の問題でございまして、地方自治の精神を体しまして、車の両輪とも言うべき知事と議会とで十分話し合われるべき問題であろうと私ども思っておりますので、具体的にどうこうしろという指導はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/107
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108・佐藤三吾
○佐藤三吾君 ただ、先ほど私が申し上げたのはそういうことをも含めてですが、福岡というところの知事の扱いですね、知事のいままでとってきた経緯を見ると、過去七回ほど亀井知事がこういう事例を議会を流会して専決処分するというような方法をとってきておる。そういう経緯を考えると、当然単なる遺憾だけじゃなくて、こういった問題に対する適切な指導というのが必要じゃないかと思うんですが、これについて大臣のひとつ見解をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/108
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109・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 議会との協調のもとに円満に円滑に地方行政を運営していくことは望ましい、そういう観点から、一般的な指導は絶えずこれからもいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/109
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110・佐藤三吾
○佐藤三吾君 私は非常にこの問題は不満でありますが、大臣が遺憾であるということもございましたから、これはひとつぜひそういった実情をにらんで——議会が流会しておるわけですから、そうしてしかも流会した後に十九件にわたる案件を専決処分しておるような問題ですから、適切な指導というものをぜひ行ってもらいたいということをつけ加えておきたいと思います。
特にその問題とは直接はかかわりはないんですが、やはり議会とかかわる問題で、自治行第五十九号ですか、十月の三日に出した通達、予算増額の修正についての通達が出されておりますね。これの意味するものは一体何なるかをちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/110
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111・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) さきの国会におきまして、国の予算におきまして議会でどの範囲まで増額修正できるかということがいろいろ御議論になったわけでございます。その論議を踏まえまして地方行政委員会におきましても、地方議会の予算増額修正権はどの範囲かという御質疑等がございました。従来は形式主義によりまして、款項にわたるものはだめであるという解釈をとっておりましたけれども、国の方の解釈が実質論ということになりましたので、それに合わせまして部内でいろいろ論議いたしました結果、地方議会の場合におきましても実質論に全面的に切りかえたわけでございます。したがいまして、長の提案権を侵さない限り増額修正も可能であるという結論にしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/111
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112・佐藤三吾
○佐藤三吾君 三十九年の三月十六日付の自治行第三十七号予算の増額修正についてを廃止をするということをうたっていますね。これはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/112
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113・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) 従来の実例が形式主義で款項にわたる修正は行うことができないという趣旨で貫かれておりましたもので、これを廃止したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/113
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114・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そうしますと、この問題はいままでできないという、款項目の修正は。そういう指導であったのが、今度はそれはできると、そういうふうにとっていいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/114
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115・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) 長の提案権を侵害しない限りということでございますので、予算全体の性格を揺るがすような修正はできませんけれども、その範囲内であれば修正できるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/115
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116・佐藤三吾
○佐藤三吾君 この文書の中で二項目に、地方公共団体の議会の予算審議について議会は予算修正を行うときには長と議会との間で調整を行い、妥当な結論を見出すことが望ましいと、こう書いていますね。そのことですか、いま言うのは。問題は大体予算修正をやる場合には議会と提案者の長との間に鋭く対決しておるとか、そういう中でやられるんじゃないですか普通、通例。それはそういう面から見ると望ましいということはわかりますよ。望ましいということはわかりますが、通常あり得ないことでもある。そういったものを前提として、いわゆる長の権限といわれる予算提案権に対して修正するという、そういう変更通知をしたという意味が私はわからない。ですから、各議会の事務局ともこの通達については怪文書と言っているんですね、怪文書と。そうして何を意味しているのかさっぱりわからない、こういった点があなたのところにも寄せられておると思うんですが、いまあなたがおっしゃったようなことが問題なら、もっとこの辺を詳しく説明していくべきじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/116
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117・近藤隆之
○政府委員(近藤隆之君) なかなか団体によって事情等も違いますので、一律の基準というのが定めにくいわけでございます。いままでの実例が出た経緯というのは十分御承知かと思いますけれども、自由に行えるということになると歯どめがなくなるということで、実例で款項というのは禁止項目ということで縛ったわけでございますけれども、この前の国会の論議等からいきまして、そうした形式論でなくて実質論ということになったわけでございますので、そうなってきますと、私ども従来の考え方を改めて実態に合うように、これが長の提案権を侵害するかどうかということを個々のケースによって判断せざるを得ないということだろうと思います。したがいまして、これから私ども、地方団体の方とも十分話し合いもしていかなければなりませんが、幾つかの実例を積み重ねて、そこに一定の基準というのが出てくるんじゃないかということを期待しております。しかし基本的には、それより前に長も議会も、その地方団体のためによかれということで修正の問題も起きるのでございましょうから、十分な話し合いをしていただきたいということでございます。どうしても話し合いがつかない、長と議会が対立しておるというような場合は、御承知のように、自治法には「再議に付する」といったような長と議会との間の関係の規定もあるわけで、そちらの方へいくわけでございますが、そういった方へいく前に、私ども両者の良識でもって解決してほしいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/117
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118・佐藤三吾
○佐藤三吾君 それは言うなら願望ですね。この問題については私はこれからも多くの議論が出されると思いますし、われわれとしても釈然としないものを持っておりますが、議会の事務局から怪文書とそう言われるような意味のわからない文書を出したんでは私は問題があると思いますし、いま検討するということですから、次の段階でもぜひこの問題はもっと鮮明にして、よくひとつ引き続きお願いしておきたいというふうに思います。
時間がないものですから大変あれですが、次に防衛施設庁ですか、開発庁ですか……沖繩の問題について二、三御質問したいと思うんですが、いま沖繩で一番大きな問題になっておる内容は幾つかございますが、特に私が現地に参りまして自治体の皆さんから強く要求された問題で、つぶれという問題があるわけです。これは御存じのとおりに戦時中と戦後——ですから旧日本軍の場合も含まれるわけですが、主としてアメリカの占領下の中でやられた内容ですが、いわゆる沖繩の場合は戦争中で地籍の原簿がなくなっている。そこにまた占領政策、軍事政策という両面から道路がつくられている。言うなら地籍権者と話し合いなく、強制的につくられていって、その結果、いわゆる本土のように買い上げて公有地になってないわけですね、道路が。それで、そういった問題が戦後処理の重大な問題としてこれまでも取り上げてきたわけでありますが、いま現地で見てまいりますと、国道と県道については大体軌道に乗って買い上げが進められておる。私の調査によりますと国道が二七%、それから県道が二三%買い上げが進められておるわけですが、市町村道は戦後三十年たっていまだに全然それが進められてない。ようやく本年度で調査を終わるという、そういう段階にきておるわけです。そこで、この問題の処理がこれからの沖繩の当面の重要課題になってくるわけでありますが、まず国道と県道の買い上げというか、補償というか、つぶれ地の補償というのはこれは何年計画でいつ終わるのか、この問題についてひとつ聞きたいと思います。当初沖繩開発振興法ができた当時は五年計画ということが言われておったようでありますけれども、その五年はとうに過ぎたわけです。後、振興計画から言いましても後期の段階に入っています。そういう中でいま二七%、二三%というところに来ておるわけでありますから、これが一体いつまでに終了するという計画になっているのか。この点を一つお聞きしたいのと、もう一つは、市町村道についてどういう補償計画を持っておるのか。これは開発庁ですか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/118
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119・河津四郎
○説明員(河津四郎君) お答え申し上げます。
ただいま御指摘のいわゆる道路つぶれ地の問題につきましては、昭和四十六年の九月に閣議決定いただきました沖繩復帰対策要綱におきまして「軍道および軍営繕政府道の敷地の取得については、特段の助成措置を講ずる」という旨が定められております。この方針によりまして処理すべきつぶれ地の要処理面積は国道で概略二百七十五万平方メートル、県道で概略百八十一万平方メートルでございます。この処理につきましては、先生御指摘のように復帰時におきましておおむね五年間でこれを完了するということにいたしておったわけでございますけれども、その後、御承知のように急激な地価の上昇がございまして買収費の増高がきわめて大きくなったわけでありまして、結果、この計画が大幅におくれているというのが実情でございまして、御指摘のように処理必要量の二七%、二三%、国、県道合わせまして二五%というのが現在の五十二年の計画をも含めまして現在におきます国、県道の処理の実情でございます。したがいまして、今後できるだけ早期に現地におきます処理能力その他も勘案いたしまして、この処理を早期に終了できるように特段の努力をしてまいりたいと存じておるわけでございます。
次に御指摘の市町村道のつぶれ地の件でございますけれども、同じく沖繩復帰対策要綱に「その実態を調査のうえ、必要に応じ適切な措置を講ずる」というふうに定められております。市町村道のつぶれ地の実態というのは非常に複雑でございまして、不分明の点も多かったわけでございますので、政府といたしましては四十七年から五十二年まで、今年度までの六ヵ年間に大体四億円余りの調査費を投入いたしまして現在調査を続行中でございます。五十二年度末までに対象路線約千六、百キロメートルについての調査を完了する予定でありますけれども、現在一部の市町村から申請漏れがございまして、なおこれから延長約百十キロメートルぐらいのものにつきまして五十三年度において追加の調査が必要となっておるのが実情でございます。この五十一年度までの調査の大体の実績から判断いたしますと、市町村道のつぶれ地の実態につきましては、まず第一にその発生原因がいろいろあります。それから道路認定をいたしましたそのいろいろないきさつ、それからつぶれ地が発生いたしました時期とか、現在及び将来にわたってのその利用状況というものがいろいろございまして、必ずしも一義的にこれを取り扱うことができないというのが実情でございます。したがいましてただいまのところ、このただいま申し上げました調査の結果を集約整理した上で、本土の同種事例の取り扱いあるいは沖繩における諸制度を十分に勘案いたしまして早急に処理方針を決定するようにやってまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/119
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120・佐藤三吾
○佐藤三吾君 その早急にという国道、県道の問題ですが、少なくとも振興計画の終了する後期の段階で完了するというふうにとっていいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/120
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121・河津四郎
○説明員(河津四郎君) 振興開発計画期間のうちに完了ができるかどうかは、今後の予算あるいは処理能力にかかわってくると思いますが、少なくとも明年度から発足を検討しております第八次道路整備五カ年計画の期間中におきましては大幅な進捗を図ってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/121
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122・佐藤三吾
○佐藤三吾君 早期とか大幅だという言葉が出るんですが、本土におけるこの道路の整備というのと、このつぶれ地問題というのは基本的に違うわけでしょう。戦後処理の問題でしょう。そうしてもうすでに戦後三十年たって、しかも復帰後、振興開発計画を立ったときには、四十六年ですか、少なくとも五年間以内に完了するという方向を出して、そういった性格であるだけに、大幅とか早期ということだけで片づかない問題があるわけです、現地の感情としては。ですから、この問題についてははっきりしてもらいたいと思うのは、いつまでにこれをするんだと。金のあるなしの問題で、そう何十兆円かかるというもんじゃない、だからそういった意味でもっとはっきりした答えを聞きたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/122
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123・河津四郎
○説明員(河津四郎君) まあ何年度までにというようなことにつきましては申し上げられませんが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/123
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124・佐藤三吾
○佐藤三吾君 期間中にやるのかやらぬのかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/124
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125・河津四郎
○説明員(河津四郎君) 第八次五カ年計画、これは五十三年度から五十七年度までということで検討しておるわけでございますが、その期間中には概成するべく努力してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/125
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126・佐藤三吾
○佐藤三吾君 何年度までですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/126
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127・河津四郎
○説明員(河津四郎君) 五十七年度が最終年度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/127
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128・佐藤三吾
○佐藤三吾君 わかりました。
そこで、この市町村の問題についてはいま調査中ということですが、そこでお聞きしておきたいと思いますのは、あなたがさっき言われた中で、基準というんですか、市町村道の場合にはいろんな要素が取得の中にある。だから一律に全部というわけにはなかなかいかぬというような含みのあるような言い方をされたんですが、そういうことなのかどうか。私はこの現地のお話やいろいろ聞きますと、一級、二級というのがあるそうです。そうしてその講和の前までのものだとか、こういう物差しを引いて、それについては国で十分の八とかめんどう見るんだと、あとは見られぬのだというようなことを聞いておるんですが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/128
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129・河津四郎
○説明員(河津四郎君) 市町村道につきましてのつぶれ地につきまして、いろいろな事情があると申し上げましたのは、たとえば発生原因について申し上げますと、旧日本軍、あるいは米軍によってつくられたもの、あるいはそうでなくて市町村が独自の判断においてつくったものというようなことも考えられます。
それから、つぶれ地の発生の時期というようなことにつきましては、先生御指摘のように、講和発効前後というようなことでも、と申しますのは、言いかえますと、戦中戦後の混乱の時期に生じたものか、あるいはそういう混乱がおさまって後に生じたものかというようなことによっても相異なるということであろうかと思います。
また、その利用状況ということにつきましても、これは不特定多数の通行の用に供せられているものと、その沿道におきます特定少数の者の利用に供せられているものというようなことによってもいろいろと取り扱いの性格が異なろうかと存じます。
それで、第二の御指摘でございますが、この市町村道つぶれ地の買収、あるいは処理の方法につきましては、このようないろいろな事情ございますので、現在調査中でございまして、この調査の結果を踏まえて、関係省庁とも十分に協議をしてもらった上で、その方針を決定してまいるということを先ほど申し上げたわけでございますが、御指摘の補助対象、あるいは補助率の問題、これはまあ一番このつぶれ地処理の問題では重要な問題でございまして、事務的な段階においての検討事項の一つに、いまも御指摘のあったようなことはしたことはあるわけでありますけれども、これについての沖繩開発庁としての最終的な決定ということは、調査がまだ続行中でございますので、現在のところまだ行っていないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/129
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130・佐藤三吾
○佐藤三吾君 まだ決定してなくて、いま調査を続行中ということですが、調査を続行する中で、いま言ったような基準を示したのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/130
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131・河津四郎
○説明員(河津四郎君) これは将来におきます、調査終了後におきます処理方針の決定のためにいろいろな形でその調査の中身を、つまり市町村道それぞれの性格、生い立ちの中身を整理して区別しながら、たとえば復帰以前のものは幾らあるとかいうふうな形で整理しながらしてまいりませんと処理方針が立ちませんので、そういうことになったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/131
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132・佐藤三吾
○佐藤三吾君 それではその基準で政府として補助をする、それのいま考えておる基準とはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/132
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133・河津四郎
○説明員(河津四郎君) 現在のところ未定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/133
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134・佐藤三吾
○佐藤三吾君 未定でございますか。それではひとつぜひあなたの、未定でありますから、未定という前提に立って、この問題についてひとつ私の方から時間もございませんが、知っておいてもらいたいと思いますのは、いま調査集約段階ですが、大体の概数を見ると、講和の——市町村道の全体のつぶれ地の面積というか、それが四百二十一万九千五百九十九平方メートルですか、それに必要な額としては八百二十三億程度ですね、予測されるという内容なんです。そのうち、いまあなたの方が示しておる基準でいきますと、講和前の面積というのが三百七十四万六千五百九十七平方メートル、そうして金額が七百五十四億八百九十一万と、こういう内容になる。ところが、このうち、たとえば十分の八であるとか、たとえば一級、二級であるとか、こういう基準をつくっていくと、結果的にはどういう結果になるかというと、自治体の負担が五百五十七億八千八百万ということになる。国の負担が二百六十五億五百十七万と、こういう数字になって、結果的には全体の八百二十三億のうちの六七%が自治体負担と、こういう限定、内容になってくるわけですね、あなたのところがいまこの基準を示している中を見ると。沖繩の全市町村の五十一年度決算が三百五十七億です、五十一年度の決算が。それに対して五百五十七億八千八百万という自治体負担が、いまのあなたのところの流れからいくと出てくる、金額面でですね。こういうことは、それでは沖繩の市町村道というのが、つぶれ地問題というのが一体どういう経緯で起こったのかと言えば、それはあなたも御存じのとおりに、たとえば読谷の場合、一番いいところは軍事基地でやられたわけですね。もっと言うと、いままで住んでおったところをやられたわけでしょう。そうしていままで住んでなかった山の上とか、谷底とかいうところに移されていったわけでしょう。こういう形の中で住宅は密集するし、その部落に必要な道路をつくらなきゃならぬと、こういう形で、まあ言うなら軍事基地という前提の中でつくられていった道路というのが、あなたが言う対象外の道路のほとんどです。ですから、そういう面から見ると、まさに私はこの問題というのは、戦後処理という観点で、本土にない例として、沖繩だけの当面の問題として政府が積極的にひとつ解決していくという姿勢なしには、この問題の解決できないと思うんです。ところが、いま建設省なりおたくの方で調査しておる内容、基準を見ると、ほとんど本土のつぶれ地問題の処理の基準であるとか、いわゆる市町村道の買い上げの基準であるとか、そういうものが基準になっておるんですね。本土の場合には三分の二ですか、市町村道は、新開発の場合に。それが十分の八になったと、一級、二級というのはそのときの物差しなんですね。沖繩のこの市町村道という特異性の中における基準じゃなくて、そういった問題のところに今日の問題が私はあると思うんで、この問題についてはひとつそういう観点から、戦後処理という観点からひとつぜひ処理してもらいたい、すべきじゃないかと、そう思うんですが、その点についてはどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/134
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135・河津四郎
○説明員(河津四郎君) 先生御指摘のとおり、沖繩におきますつぶれ地の問題、これは一つの大きな沖繩の復帰の戦後処理の問題でございますけれども、翻ってみますと、これは道路の管理を十全に行うためには、その権限を道路管理者が取得するという意味では、一つの道路管理上の問題かと存じております。その取得を行うか、行わないか、また取得をどういうふうにして行うか、これは本来的には道路管理者である公共団体等が果たすべき問題と考えるわけでありますけれども、現在のところ、そのつぶれ地の問題につきましては、県道のつぶれ地につきまして、これは地方財政法の十六条によります予算補助ということで特別の補助制度によりまして十分の十、全額国庫負担という形で実施しておるわけでございまして、つぶれ地の問題、これは直轄の国道を除きまして、つぶれ地の問題につきましては本土の基準によって律しているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/135
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136・佐藤三吾
○佐藤三吾君 まだこの問題については私も質問が多くあるんですが、時間がないもんですから、一応ここでとどめますが、いま言ったように、戦後処理という観点でこの問題をひとつぜひ、自治体に膨大な負担をかけることなく、国の責任で処理する、そういった方向でやってもらいたいと思いますが、もし調査が終わってこれにかかったら大体何年計画ぐらいでやるという予定ですか、市町村道。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/136
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137・河津四郎
○説明員(河津四郎君) 御指摘の何年間という話でございますが、これ調査を終わってみませんと、対象範囲、補助率等の問題が決まりませんので、したがいまして、どれほどの国費を要するかということについての額も決められておりませんので、ただいまのところお答えなかなか申し上げられないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/137
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138・佐藤三吾
○佐藤三吾君 ただ問題は、これもやはり戦後三十年間、地主にしてみると全然補償されていないんですね。そうして地籍の決定したところでは固定資産税すら払っておるわけですね。そういう性格のものですから、この問題がそう財政の都合ということでおくれるということには私はならぬと思うんです。ですから、こういった問題の処理もやはり振興計画で十年間で達成するという方向の中でもうすでに後期に入ったわけだから、この後期の中でひとつ可能な限り処理する、こういった前提に立って私はひとつ要求しておきたいと思うんですが、同時に、この問題について自治大臣の決意をひとつお伺いしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/138
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139・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 自治省といたしましては、市町村の財政がこれによって圧迫されるような事態を生じませんために、関係者に対しまして、そういう方向で解決がなされますよう強く要請を続けるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/139
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140・佐藤三吾
○佐藤三吾君 時間がないもんだから二、三飛び抜けてしようがないんですけれども——わかりました。ひとつぜひそういうことでお願いしておきたいと思います。
次に、防衛施設庁来ていますか。ことしの三月に沖繩市で八十万坪ほど基地の返還がございましたですね。もう時間がないですから簡単にひとつ答えていただきたいと思うんですが、この問題でいまあそこで、現地では大変にその扱い、処理ですね、地主に返還を含めて集団交渉をやっているわけですが、私も現地に入って、地方行政委員会の調査で入ってみたときに強く感じたのは、何年計画、たとえば五年なら五年前に計画的に土地を返してくれるなら、それはその期間に跡地利用を含めて処利を自治体でもひとつ考えることができるんだけれども、言うなら突然返したというわけですね、二、三カ月ぐらい前に。
そこで、しかも管理費ですか、地代ですか、それについては一年ですか、十割が。あと一年が十分の一割、もっと端的に言うなら、一年以後解決がおくれると地代は一体どうなるのか、自治体で払わなければならぬのか。八十万坪で大体五億らしいですけれども、そういった問題が切実に当局から聞かれたんですが、一体軍用地の返還というのが、突然返還するというような仕組みですね。この一つの、何というんですか、もっと計画的に自治体で跡地の利用がしやすいような、そういった意味での返還というものはできないものかどうなのか。
それからもう一つは、そういった今度は沖繩市のような事例に見られる点からいいますと、一年で、約六百人という地主がおる。その六百人の地主と集団方式で解決していかなければならぬわけでしょう。そういうできるという実情じゃないということですね。この問題についてたとえば話がつかなければ二年なり三年なり、そういったものに対する幅を持っておるのかどうなのか、これをひとつ簡単で結構ですから、お答え願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/140
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141・鳥羽浜雄
○説明員(鳥羽浜雄君) 最初に、計画的返還についてお答え申し上げます。
政府といたしましては、従来から日米安保条約の目的達成に支障を及ぼさない範囲内におきまして、基地周辺住民の御要望、あるいは地域開発計画等を考慮しながら、施設区域の整理統合に努めてまいったわけでございますが、特に沖繩におきましては、基地の密度が非常に高いという観点から、過去数回にわたる日米安保協議委員会において、その整理統合について日米間の了承を得たものでありまして、これまで返還されましたものが復帰後約二千万平米強ございます。しかしながら、関係地主の方々から跡地利用に支障を及ぼすような返還、これは困るというような声がございますので、今後はこの御要望を十分踏まえまして整理統合に努めてまいりたいと思うわけでございます。
後半につきましては、担当の方からお答えします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/141
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142・近松眞次郎
○説明員(近松眞次郎君) 管理費の件につきましてお答え申し上げます。
返還土地のいわゆる管理費の補償の期間につきましては、本土の場合は返還後、物件撤去のある場合は物件を撤去した後でございますが、三カ月を限度とするということを原則としております。
沖繩の場合におきましては、戦災に次ぐ接収というようなことで形質の変更が非常にあるというようなことで、特殊な事情にあるということは十分承知しているところでございます。そのため、返還地の地籍の未確定なものにつきましては、管理費の支払い期間の特例といたしまして、先ほど先生おっしゃいましたように、期間といたしましては二カ年、その二カ年の内訳といたしましては、集団和解期間といたしまして一年、そしてその後の調整期間といたしまして一年、金額的には先ほどおっしゃいましたように、一年プラス一年の十分の一ということで十三・二カ月ということで運用しているところでございます。これは関係土地所有者間によるいわゆる集団和解を基盤とした境界確定作業期間として、復帰前の琉球政府による地籍確定作業の事例等を参考にいたしまして、まず集団和解期間を一年と認定したものでございます。また、いわゆる集団和解が成立いたしますれば、現実の利用には支障がないという事態になるわけでございますが、なお不動産登記簿の更正その他各種の調整作業が必要とされるという事情も考えまして、その期間といたしまして、いわゆる集団和解調整期間として一年を設定いたしまして、その間の土地所有者の不便を救済するという目的で管理費の十分の一を補償費としてお支払いしたいということで現在実行しているわけでございますが、なお当庁といたしましては従来から地籍の明確化につきましては進めておったところでございますが、今後は沖繩県土地基地境界明確化法も成立いたしましたので、これに基づきまして早期かつ計画的に明確化が促進されるものと考えております。したがいまして、この間におきます管理費の支給期間につきましては、従来同様二カ年の範囲内、十三・二カ月、予算的にはそういうことになりますが、その範囲内で適切に処理いたしたいと現在は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/142
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143・佐藤三吾
○佐藤三吾君 あなたが言うように本土の基準は三カ月——時間がないですからあれですが、三カ月と、そこに基準を求めては現実の沖繩の実態というのは全然基準にならぬのですよ。むしろ琉球政府時代に、地籍が明確になる分は琉球時代になっておるわけです。ならないようなむずかしい問題がみな残っておるわけですよ、地籍はね。そういった問題、しかも集団和解方式で一年でやれといったって、現実にそれはあなたの方で責任持ってやるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/143
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144・近松眞次郎
○説明員(近松眞次郎君) 現在私の方で補償費を差し上げまして境界を確定していただいた案件が相当数あるわけでございますが、ほぼ現在のところ一年でもって終わっている例が多いということで、まあ現在のところはこういうことでいわゆるその境界確定のための通損期間といいますか、通常必要な期間として一年プラス一年を設定していきたいというふうに現在も考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/144
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145・佐藤三吾
○佐藤三吾君 一年プラス一年って、あとの一年は十分の一でしょう。一年してできなかったときの地代はどうするんですか。それはおたくの方で責任持って出すんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/145
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146・近松眞次郎
○説明員(近松眞次郎君) 現在私の方でやっておりますのは、通常一年あればできるであろうということを通常的に認定いたしまして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/146
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147・佐藤三吾
○佐藤三吾君 できない場合は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/147
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148・近松眞次郎
○説明員(近松眞次郎君) 種々できない場合には事情があろうかと思いますが、われわれといたしましては、一応通常一年あればできるものであるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/148
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149・佐藤三吾
○佐藤三吾君 できない場合は一体どうするんですか。そのときには、一年でできれば一番いいですよ、できぬと言っているわけだ、現実に、むずかしいと。真剣に努力するけれどもできないという事情を切々と訴えているわけだ。その場合には一体どうするのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/149
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150・近松眞次郎
○説明員(近松眞次郎君) 先ほどもお答えいたしておるわけでございますが、一応まあ多くの事例を調査いたしまして、通常の場合にはできるということで認定いたしておるわけでございますので、まあ案件によってはこういうものもあろうかとも思いますけれども、やはりそれはそれなりに特殊な事情もあることではなかろうかと思いますので、全体といたしましては、やはり一年の現体制でもって実施してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/150
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151・佐藤三吾
○佐藤三吾君 答弁になっていないわな。本当に時間がございませんからあれですが、この問題ひとつ、必ず起こってくる問題だと思いますし、そういう答弁では済まされぬ問題だと私は思います。私どももこれからも携わっていきますけれども、ひとつぜひそういう本土感覚で物事を考えるんでなくて、いわゆる基地そのものの中で非常に犠牲をこうむった問題ですからね、問題の解決に当たってそういう紋切り型で処するんでなくて、一年の見通しは確実にできるという見通しを持っているけれども、できぬ場合には、それは当然管理費を含めて延長していくという、そういった対処をぜひ検討してもらいたいと私は思います。
それから最後に、これは開発庁ではなくて総理府ですか、ベトナム難民の問題について一言だけお伺いしておきたいと思いますが、御存じのとおりにいま全国で五十年の五月からベトナム難民が四十五回にわたって日本に、一時上陸とか水難とかいろいろ理由がございますけれども入国しておるわけですね。人員で言いますと千二百六名。ここでちょっと、そういった実態にかかわらず国の対応というのが非常に鈍いというか、全然なされてないと言っていいぐらいにおくれておるわけです。わずかに難民対策室というのができたのがことしの九月二十八日という状況ですから、五十年から起こっておるんだから。その中で特に私はきょう聞きたいと思いますのは、与那国で約二カ月町がめんどうを見なければならぬという事態が起こったわけですね、八十六名の。その中には一人マラリアにかかったというマラリア患者というか、疑似患者というか、そういう事例も起こって、与那国の町長から大変この問題に対する憤激の言葉をいただいたんですが、こういった二カ月余にわたってでなければこの問題の処理ができないという国の対応というか、同時にまた、与那国の例をとりますと、五月の段階で第一回、そして今度は第二回、これは五月の問題についても国が費用を全然いまだに見てない。ようやく最近になって費用の問題についてはひとつ国の方で見ようという方向が出てきておるようでありますけれども、そういった点が現地で切々と訴えられたわけです。
そこで、私はここで政府側の考え方を聞いておきたいと思いますのは、一体、ベトナム難民という問題は、これからも継続して起こるような事例でもあるわけですね。これが自治体にこういう形でやられておること自体が私は問題だと思うんです。政府のこの問題の対応というのが非常におくれておることもありますけれども、いわゆる自治体に対して金銭的な迷惑というものをかけるのか、かけないのか、全額これは国が負担するということについてはもちろんでありましょうが、そういう負担について一体国の考え方はどういうものを持っておるのかということが一つと、それから与那国というのは日本の最南端のところにあるんですけれども、この最南端のところに上陸した事例を見ると、非常に計画的な実態にあるわけですね。というのは、あそこまで親船で来て、救命ボートに乗せてそのまま上げていくという式をとっているんですが、そういった面を見ると、ここにそれ相応の政府の収容施設であるとか、もしくは、万が一そういうことが続いて起こるということを想定した対応措置というものが、そういうものがとられてしかるべきじゃないかと思うんですけれども、その問題について一体どういう考え方を持っておるのかということが一つと、それからこういった難民の措置が、言うならば日本の政治の面でどういうふうな受け入れ体制措置というものがとられておるのか。聞きますと何か宗教団体に依頼するだけで、後はもう出国待ちと、そういったことを聞いておるわけですけれども、これはもうすでに社会党が難民保護法ですか、を国会の方にも提起しておりますけれども、そういった関連で難民保護について国としてどう措置をしようとするのか。こういった問題について政府側のひとつ御答弁をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/151
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152・黒木忠正
○説明員(黒木忠正君) 御説明いたします。
最初に与那国町が立てかえておりますお金の問題でございますが、従来このベトナム難民に対しましては、日本政府から国連の難民高等弁務官の方に国外ベトナム難民援助金ということで過去三年ほどの間に五億五千万ほどの拠出金がなされております。それで難民がわが国に到着いたしますと、これに対しまして国連難民高等弁務官事務所の方で一切の経費を負担するということを申し入れてまいりまして、日本国政府に保護を要請する、こういうシステムになっております。与那国につきましては難民の到着が事実行為が先行いたしまして、実際のところ金の支払いがおくれているという事実がございますが、私ども国連に照会いたしましたところでは、九月までの分、これ五月の分を含めてでございますが、五月の分と九月四日から九月末日までかかりました経費約五百五十万について国連当局に現在請求書が送られている。それから十月に入りました分についてはまだ到着していないと、このように国連では言っております。私どもとしましては、国連の方に早急に支払うようにということを強く要請いたしている実情でございます。
それから二番目の収容施設ないしは国の対応策いかんということでございますが、九月二十日の閣議了解によりまして、難民につきまして政府として何らかの取り組みをしなくちゃいけないということになりまして、まず当面従来宗教団体、赤十字等のいわゆる善意の方々の世話に任せておりました収容施設を、従前どおり放置いたしますと、これは数もふえてきているというような実態もございましたので、国としてぜひ施設を探し出して、国の施設に難民を受け入れるというふうにすべきであるということでございまして、総理府におきましても現在各省庁手持ちの未利用の施設等がありましたらこれを提供してくれということを各省にお願いいたしまして、各省の方から若干の提供の申し出が出ているという現状でございますので、いずれ近いうちにこれらの施設を決定いたしまして難民を収容するというような運びになろうかと思っております。
それから、先生おっしゃいました法案の点でございますが、たしか私記憶しておりますところでは政治亡命者保護法案ということになっていたかと思いますけれども、この法案につきましては法務委員会の方に付託されておるようでございまして、そちらの審議の結果を待たざるを得ないという状況だと理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/152
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153・佐藤三吾
○佐藤三吾君 わかりました。財政的な面については早急に措置するということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/153
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154・黒木忠正
○説明員(黒木忠正君) そのように努力いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/154
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155・佐藤三吾
○佐藤三吾君 まあ、ああいう小さな町で大変な出費がかさんでおる問題ですし、非常に町としても大変な、国から考えると大したことないにしても、町の財政から見ると大変な問題ですから、早急に措置してもらって、そして同時に今後与那国なりそういった自治体に起こってくる問題についてはひとつ敏速な措置をぜひひとつお願いしておきたいと思います。
時間ございませんからこれで私終わりますが、最後につぶれ地の問題を含めて沖繩問題に対して、特に地方自治体では大変な財政困難に陥っているわけですね。恐らく今月から五十三年度予算要求を踏まえて現地からの要求も激しくなってくると思うんですが、自治省として沖繩の戦後処理についてどういう決意で臨んでいくのか、大臣の答弁をお聞きして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/155
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156・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 本日御指摘の点を含めまして、一般的に戦後処理に関連して出てまいりまする地方公共団体の財政負担によりまして財政の健全な運営が阻害されませんように万全の措置を講ずるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/156
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157・阿部憲一
○阿部憲一君 自治省にお伺いしますが、補正予算等に伴う地方財政収支の資料によりますと、歳出の追加額として普通会計ベースで公共事業等の追加が四千四百六十二億円計上されております。従来から景気浮揚といいますと、治山だとか治水だとか道路とかいうような産業関連が中心になってますが、私ども景気対策としましては、学校などの公立文教施設、保育所などの福祉厚生施設の整備を要求してまいったわけでございまして、今回の補正予算ではどのように反映されているか、事業費別に説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/157
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158・山本悟
○政府委員(山本悟君) 今回の国の予算と補正予算等に伴います地方団体の公共事業等の歳出の追加額は普通会計ベースで四千四百六十二億円であります。投資的経費が四千三百九十八億円、一般行政経費六十四億円となっているわけでございます。このうちのいま事業費別という御指摘でございますが、投資的経費の内訳は直轄事業の負担金が二百五十六億円、それから補助事業費三千四百二十八億円、このうち補助事業の中では普通建設事業が二千八百六十六億円、災害復旧事業費が五百六十二億円ということでございます。またそれから単独事業費が七百十億円でございまして、そのほかの一般行政経費は、都市高速鉄道出資金の五十億円等がこの内容でございます。補助事業の主な事業は道路事業が九百十六億円、農業基盤整備事業が七百億円、治水事業が五百三十八億円等でございまして、先生いま御指摘の公立文教は事業費におきまして九十億、体育施設十四億、自然公園約二億、厚生福祉施設四十八億、交通安全施設五億と、こういったようなのがそれぞれの事業内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/158
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159・阿部憲一
○阿部憲一君 この国の総合景気対策に伴う地方負担は全額地方債で財政措置をされるようでございますけれども、この自治省の地方債改定計画によりますと、追加額五千八億円のうち政府資金が千六百三十九億円、民間等資金が三千三百六十九億円となっていますけれども、単独事業、その他の事業に分けて資金の配分はどのようになっておりますか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/159
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160・山本悟
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、地方債計画の追加は五千八億ということでございますが、この資金の内訳は、政府資金が一千六百三十九億、民間資金が三千三百六十九億円と、こういうことになっております。その民間資金の三千三百六十九億のうち市場公募分は五百億という予定でございます。政府資金は、今回の国の補正予算に伴います地方負担額に充当するものとした地方負担額の八〇%以上を確保するという意味での千六百三十九億ということになっているわけでございます。まあ地方単独事業の追加分三千億あるわけでございますが、これにつきましてはすべて民間資金を充てる、従来からそういうかっこうで処置をいたしたところでございますが、本年度も同様な措置をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/160
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161・阿部憲一
○阿部憲一君 この地方単独事業の三千億円、これは縁故資金を充てるということでございますけれども、非常に財政力の弱い団体もあることを考えますと、政府資金をもって充当するのが望ましいように思われますけれども、その辺の措置はできないものかどうかお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/161
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162・山本悟
○政府委員(山本悟君) 今回の地方単独三千億円、御案内のとおり、そのうちの半分の千五百億は本年六月に決定をいたしました臨時都道府県道整備事業債でございまして、その残りの千五百億は今回の二兆円の景気浮揚対策に関連いたしまして、臨時河川等整備事業債、あるいは下水道事業債の追加と、こういったような各種の事業を持っている、中身を持っております千五百億でございます。確かに御指摘のとおり、こういった現下の景気浮揚対策の一環といたしまして、これらの事業の整備促進のために年度途中で措置したわけでございますが、資金につきまして、政府資金であればもちろんベターでございましょうが、政府資金におきましても、住宅関係等におきまして非常に資金が要るというようなことで、その余裕がございませんので、一律に全部民間資金を充当することとしたわけでございます。
まあ各団体におきまして御指摘のとおり財政力の弱いところはどうだという御指摘でございますが、ほぼ現在のところまでで実際非常にその資金調達に困るというようなところは報告にはまだ上がってきておりませんで、万一さような団体がございますれば、施設、個別的にも手当てをしてまいりたいと、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/162
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163・阿部憲一
○阿部憲一君 国の公共事業追加に伴う増発地方債が二千八億円ありますが、これについて従来どおりほぼその八割に相当する額を政府資金で充てるということでありますけれども、元利償還金については交付税の基準財政需要額に算入されるのかどうかお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/163
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164・山本悟
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、今回の補正予算には二千八億の地方債の増発を普通会計でいたすわけでございますが、その元利償還金につきましては昭和五十一年度の補正予算の際にいたしました措置と同様に、その他の土木費というところにおきまして事業費補正というかっこうで一括して各団体ごとに元利償還を将来算入をしていきたいと、こういうような予定にいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/164
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165・阿部憲一
○阿部憲一君 どの程度算入されるか都道府県別、市町村別に示していただきたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/165
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166・山本悟
○政府委員(山本悟君) この算入の仕方でございますが、各事業費ごとの理論算入率というのを出しまして、それごとの地方債の許可額で加重平均をいたしまして、その分を一括してその他の土木費で基準財政需要額に措置をすると、まあこういう技術的なことをやっているわけでございますが、それぞれの事業によります平均的な算入率というようなものから大体計算をして積み上げてまいりますと、県分におきましては六五%ないし六七%程度は算入できる。それから市町村分は下水等のいろいろな関係があるものでございますので、少し率が落ちまして四〇%から四五%程度、このぐらいのものが基準財政需要額に算入する率になるのではないか。これはまあ個々の団体に実際に事業が割り振られまして積み上げをいたしませんと正確には出ませんけれども、ほぼ推計といたしましてはただいま申し上げましたような数字のものは算入できると、こういうぐあいに見ているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/166
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167・阿部憲一
○阿部憲一君 さきに自治省の出されました、この五十三年度の地方行財政重点施策について若干お伺いしたいと思いますが、まず交付税に関しての重点施策では「地方交付税制度の改正を含め、地方交付税の所要額の安定的確保措置を講ずる。」と、こういうふうに述べておりますけれども、五十二年度には「税率の引き上げ等を含め」とうたわれておったわけですけれども、来年度の重点施策が今年度の率の表現が「制度の改正」とされておりまするのはどのようなお考えに基づくものかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/167
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168・山本悟
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり明年度の重点施策におきましては「制度の改正」といいまして、率という言葉を使っていないその理由ということでございますが、「制度の改正」と申しますのは、率の改正はもちろん含めました広い概念として私どもは考えたわけでございます。と申しますのは、明年度の地方財政の問題といたしましては、基幹的な税につきましての増税の問題、あるいは新規の新税の問題というようなものがあるわけでございまして、相当大幅なる税収入を得られるような新税というのが、国税あるいは地方税の中にできてくるというような事態を考えますると、まあ特に国税にそういうものができました際には、場合によりましては所得税、法人税と同様にそういった新規の税目につきましても交付税の算定の基礎に入れる必要があるのではないか。そういうような交付税の基礎になります税目自体の追加というようなことも当然必要にもなってくるのではないか。こういうような事態と想定をいたしましたものですから、単なる率の引き上げ、率の改定というものだけでなく、基礎になる税目自体の改定というものも含める意味におきまして「交付税制度の改正」と、こういう言葉を使わさしていただいたわけでございまして、むしろ従来の税率というだけ場合よりも、広い範囲でより基礎的なものにまで及んだような意気込みで実はあの言葉を使っているというのが私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/168
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169・阿部憲一
○阿部憲一君 まあちょっと私の方の受けた感じでは、含めたと言われると非常に飛躍されたようないい意味にもとられやすいんですが、私どもそう考えませんで、むしろいままでの交付税率を引き上げるという、いわゆる三二%を五%ふやすとか一〇%ふやすとかというようなそのことを薄めてしまったような感じがするんですが、その辺大丈夫ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/169
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170・山本悟
○政府委員(山本悟君) 明年度の税財政対策といたしましては、先般の税制調査会においての御答申にありました一般消費税といったような問題が非常に大きくクローズアップされてきているわけでございまして、こういったものがもしもできるというような状況になれば、やはり交付税の算定基礎である税目の中に取り込む必要もあると、非常にそのことによりまして交付税としても安定的になってくる、こういうようなことにもなるわけでございますので、そういった考え方も一言で表現をするというような気持ちから「制度の改正」と、こういう言葉を使わしていただいたわけでございまして、税率の問題はもちろん中に含んでいる、そういうような説明を常にいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/170
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171・阿部憲一
○阿部憲一君 五十三年度の重要施策として制度の改正をいま盛り込まれているわけですけれども、このことについて自治省のもくろみとしては一般消費税がもし創設されれば、交付税の算定基礎を国税三税から一般消費税にまで広げたいという腹づもりであるといわれておりますが、これはこのとおりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/171
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172・山本悟
○政府委員(山本悟君) 国税といたしまして相当の税収を持ちます一般消費税というものが創設された場合には、自治省といたしましてはやはり所得税、法人税、酒税と並ぶ国税の中心的な税目というような意味から申し上げましても、ぜひ交付税の積算の基礎にそれを取り込みたいという気持ちでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/172
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173・阿部憲一
○阿部憲一君 もう一度重ねてお伺いしますけれども、交付税に関しては、内治省としては一般消費税が創設されるかどうか、一般消費税が交付税に取り込めるかというその成り行きを見た上でもって交付税率の引き上げは論議をしようということのように思われますけれども、この交付税率の引き上げについてはどのように考えておられますか。もう一度お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/173
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174・山本悟
○政府委員(山本悟君) 現時点におきましては、明年度のそういった税財政の対策そのものがどういうぐあいになるか、あるいはどれだけ財源不足が出るのかというような点が明確でございませんために、交付税率をどうこうというところの論議までまだしにくいわけでございますけれども、だんだんと明年度予算編成の時期等が迫ってまいりますれば、おのずとそういうものが出てくるわけでございまして、その際には交付税率の引き上げも含めまして大いに努力をいたしたい。地方税源、自主財源の確保という意味におきまして私どもとしては全力の努力をする必要があると、かように存じておりますし、また単年度といたしましての明年度の地方財政にも支障のないようにあらゆる手段を使っていく必要があるのではないかと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/174
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175・阿部憲一
○阿部憲一君 五十二年度の概算要求額は五兆六千四十二億円となっていますけれども、この内訳と根拠はどうなっていますか。御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/175
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176・山本悟
○政府委員(山本悟君) 地方交付税交付金の概算要求の額でございますが、これは従来から要求の時点すなわち八月の末でございますが、この時点におきましては国税収入の見込み額が明らかでないわけでございまして、自治省におきまして国税三税の収入見込み額を推計いたしまして、一応算定をして要求をすると、かようなやり方をやっているわけでございます。今回の基礎といたしましては、五十三年度におきましては経済成長率を名目で一五%と見込みまして、国税の弾性値を一・三九と、こう見込みまして計算をいたしました結果、国税三税は十七兆一千九百八億円となったわけでございます。これに現行の三二%の交付税率を乗じまして、それを基礎にいたしまして、それに過年度の精算金、返還金、加算金、そういったようなものを増減を行いまして、一般会計ベースで五兆六千四十二億というものを要求をいたしたわけでございます。ただ、そういうようなやり方でございますから、この概算要求書には、今後経済情勢の推移、それから国、地方を通ずる財源の状況についてさらに検討を加えて、必要と認める場合には交付税率の引き上げ等を含め所要の措置を講ずることとし、概算要求額に修正を加えると、こういうことを明記をいたしまして要求をいたしているわけでございまして、あくまでも八月時点における、しかも現行の率による一応の要求ということでその本体の対策はこれからということになるものと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/176
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177・阿部憲一
○阿部憲一君 今年度において臨時特例措置としてとられた所得税の源泉分離課税を選択した利子所得の扱いは、来年度はどのように措置なさいますか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/177
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178・森岡敞
○政府委員(森岡敞君) 所得税におきまして源泉分離課税を選択いたしました利子所得等につきましては、御承知のように住民税が課税されておりません。これは二つ問題があるわけでございまして、一つは住民税負担のバランスを失するということと、いま一つは、地方財源として確保すべきものが確保されていない。両面を一挙に解決いたしますためには、申し上げるまでもなく総合課税に移行しなければなりませんが、総合課税に移行するためには、まず第一義的に所得税において総合課税をやってもらわなければどうにもならないわけでございます。で私ども、大蔵省に強くその面の要請もしておりますし、また税制調査会も速やかに総合課税に移行するように指摘をいたしております。ただ、そのためにはいろんな条件を整えなければならない、そういう課税技術面のむずかしさはございます。そういう環境条件を整えて速やかに総合課税に移行すべし、こういう結論になっているわけでございます。しかし、なお若干の期間、暫定的にこの源泉分離課税制度が残るわけでございますので、五十二年度と同様に、少なくとも地方の財源は確保するという観点から、臨時特例交付金のような形で所要の資金を交付税特別会計に繰り入れてもらうように要求をしてまいりたい、また、その実現を期したい、かように思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/178
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179・阿部憲一
○阿部憲一君 同じく地方行財政の健全化の促進として地方税制の改革に取り組むと述べておられますけれども、自治省としてはどのような御趣旨を考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/179
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180・森岡敞
○政府委員(森岡敞君) 御承知の税制調査会のいわゆる中期税制の答申におきましても明確にされておりますように、今後の適正な経済成長率のもとでは恐らく従来のような多額な自然増収は求め得ないだろう。一方、社会資本の充実なり福祉の拡充ということは、国民生活の面からも、それから今後の経済発展の公共部門の占める重要性から考えましても、これはやはり拡大をしていかざるを得ないだろう。そういたしますと、やはり一般的な租税負担の増加を国民の理解を得て求めていかなきゃならない。その場合に、もちろん歳出の節減合理化なり、あるいは租税負担の公平化を図ることは必要だけれども、それとあわせて租税負担の増加を求めなきゃならないだろう、こういうことが指摘されております。その方法としては、個人所得課税の増税か、あるいは新税の創設か、どちらかの選択であろう、こういうふうに指摘されておるわけでございますが、さしあたり明年度一体どういうことにするのかということにつきましては、いまの経済情勢から申しましてなかなか一義的に現段階では結論が出にくい状況にあるわけでございます。これだけ停滞しております景気情勢から申しますと、来年度はかなり財政は前に出て、景気刺激と申しますか、そういう形で予算を組むべきだ、こういう議論もかなり強うございます。反面また、増税ということになれば、それは景気の刺激に大変抑制的な効果が出るではないか、こういう御意見も多いわけでございまして、そういう意味合いでは大変むずかしい現段階では判断の時期に立っておると思います。
しかし、そうは申しましても、明年度はやはり何としても地方自主財源を中心に財源の拡充を図っていかなきゃならぬ時期に逢着しておると思うんでございまして、そういう意味合いで、税制調査会が答申しておられますような形の一般の租税負担の増加という方向に進むのか、あるいはそれはいま少し時期を見るということになりまして、いわゆる選択的な増収を図るということになりますのか、その辺のところはいま少しく諸般の情勢を見きわめませんと結論がなかなか出しにくいと思います。しかし、いずれにいたしましても、できる限り地方税を中心といたしました地方自主財源の増強に努力をしてまいる必要がある時期に来ておるということは申し上げ得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/180
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181・阿部憲一
○阿部憲一君 地方税源の充実として、法人事業税の外形標準課税の導入を図ることがうたわれておりますけれども、これはかねてからの懸案事項であったのでありますし、この実施についてどのようなお見通しをお持ちになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/181
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182・森岡敞
○政府委員(森岡敞君) 事業税の外形標準課税導入問題は、一つは法人税や所得税のような所得に対する課税と事業税とは性格が違うということが一つ。いま一つは、都道府県の税収入の安定的な確保を図る必要がある。この二点から外形標準課税を現行の所得課税に併用すべきだ、こういう御意見が強く、また研究もなされ、当委員会でも附帯決議でたびたび御指摘を受けておるところでございます。税制調査会で御審議を願いました結果、税制調査の答申では、一般消費税として考えられておる新税と、この事業税の外形標準課税とは大変共通する面がある、こういう指摘がなされています。共通する理由は、一つは、同じく売上金額を課税標準にするという仕組みをとろうとしておるということ、いま一つは、この税負担というものは製品やあるいはサービスの価格を構成いたしますので、当然納税義務者は事業でありましても、最終的な負担の帰着は消費者に転嫁をされていく、こういうものであるからして共通するのだ、こういう御指摘がされております。いま一つの問題は、新税を仮に創設するということは、国、地方双方財源が不足をしておる、それに対処するための方策でありますから、仮に新税を創設する場合には、国と地方と適切に新たな税収入に伴う財源を配分しなきゃならない、その配分の具体的方法をどうするかということをあわせて検討しなければならない。そういう諸般の事情を総合いたしまして、新税問題と事業税の外形標準課税導入問題とはあわせて検討すべきであるという結論が出されております。具体的な方法としては、答申をごらんいただきますと書いておりますが、一つは国税で一本で徴収して何らかの基準で地方に配分するという方法、いま一つは、地方独立税として課税をする、同時に交付税にもリンクさせる、そこのところは、交付税のところは必ずしも明確に書いておりませんけれども、気持ちとしてはそういうことでございます。独立税として課税する場合に、事業税の中に売上方式による外形標準課税方式を使って新税の一部を事業税として徴収するという方式がある。この二案のいずれをとるかは、なお今後慎重に検討して新税導入時までに結論を出せと、こういう御答申をいただいているわけでございます。私どもは、この御答申の線に沿いまして、事業税の外形標準導入問題の決着を速やかにつけるという方向で検討してまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/182
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183・阿部憲一
○阿部憲一君 来年度の地方債計画案を見ますと、起債充当率が一般公共事業で今年度は九五%、これが六〇%に、それから公営住宅建設事業は九五%から八五%に、それから義務教育施設整備事業と一般廃棄物処理事業が、これは九五%へとそれぞれ引き下げられていますが、これはどういうわけかちょっと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/183
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184・山本悟
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、昭和五十三年度の地方債計画におきましては、一般公共事業の充当率を九五を六〇にする、あるいは住宅等のその他のものにおきましても幾分かずつ充当率を下げるというような要求になっておるわけでございます。それで御案内のとおり、五十二年度の地方債におきましては、地方財政の財源対策というような意味からいたしまして起債の充当率を引き上げまして、それによって二兆七百億円の半分をカバーする、こういうような特別な措置がとられたわけでございまして、明年度の要求といたしましての地方債計画というものにおきましては、地方財政の長期的な観点から見た場合には、地方税なり交付税なり、そういった一般財源を増強することによりまして、財政措置をするというのがベターである、こういう観点から、充当率九五%というような異常に高い地方債の充当率を避けまして一応要求をいたしているわけであります。もちろんこの最終的な結果というのは、地方財政全体の対策がどうなるかということによって変わってくるわけでございますけれども、そもそもこういった公共事業の地方負担に対しまして九五というような高率な充当率を挙げなければならないということは、やはり異常な財政状況のもとにおける局地的な対策であるというように存じているわけで、それをある程度通常のベースといいいますか、平常の安定したベースに戻す、要求といたしましては、そういうようなかっこうで要求をさしてもらいたいというような意味から避けたかっこうで充当率を下げました姿で地方債計画というのを一応つくりまして、これから折衝に入る、こういうことになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/184
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185・阿部憲一
○阿部憲一君 そうすると、結局、来年度も同じように最終的には残念ながら引き上げられる、こういうふうな予測もお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/185
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186・山本悟
○政府委員(山本悟君) まさにこれからの地方財政をめぐります攻防はそういうところにもかかってくるわけでございまして、私どもといたしましては、できることならば地方税あるいは地方交付税という一般財源をより多くすることによって九五といったような無理なかっこうにしないで済むように持っていきたい。しかし、その最終的な結果というのはこれからでございますから、予測はしがたいわけでございますが、いまの気持ちといたしましては、ぜひ一般財源を強化する方向で措置ができますように努力を重ねたい、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/186
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187・阿部憲一
○阿部憲一君 地方債の財源区分を見ますと、政府資金が全体の五二・七%、二兆九千億円余が見込まれているわけですけども、今年度の当初計画でさえ四千二百億円の増加で終わっております。今日の財政事情から見まして、五〇%以上も大蔵省がのむということはとうてい望み薄じゃないかというふうな気がしますけれでも、自治省としてはどういうふうなお考えで、お見通しを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/187
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188・山本悟
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおりに大幅な増加を要求をいたしているわけでございまして、その原資が不足するなど非常に困難な問題が予想されるところでございます。本年の場合には政府資金としての額は一兆八千五百億というようなことでございまして、増加額もそれほどではないわけでございますが、そのかわり財源対策等の関係からいたしまして、一定の民間資金の部分につきましては利子補給をするというようなことによりまして、実質的に政府資金と同じ利子によって借りられるというような措置をいたしているわけでざいますが、明年度の要求といたしましては特段にそういったことを想定せずに、まあはっきり申し上げれば、全体の資金といたしまして六〇%は政府資金で確保できるようにということを基礎にいたしまして、そのうちから一部を公庫の改組の方に振りかえまして、残りを政府資金ということにいたしたわけでございまして、これが本来地方財政としてはあるべき姿としての要求である。現実の姿としてはなかなか、こういう情勢でございますから、いろいろなことが起こるかと存じますが、要求としてはあるべき姿を要求させてもらった、こういうことにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/188
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189・阿部憲一
○阿部憲一君 この地方債計画によりますと、新たに地域総合整備事業一千億円が計上されておりますけれども、これはどういうお考え方でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/189
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190・山本悟
○政府委員(山本悟君) 自治省におきましては、かねてから広域市町村圏の振興整備というのを重点施策といたしまして進めてまいったわけでございますが、最近の地域社会の変貌に対処いたしまして、例の国土庁でやっております三全総というようなところにも定住圏構想といったような理念が掲げられておりまして、そういったような関連からの広域市町村圏の振興ということにつきましても、新しい展開を図る必要があるんじゃないかというように存じているところでございます。そのためには従来の広域市町村圏といたしましては、大体市町村の共同事務の処理というようなことが中心になって運営が図られてきているわけでございますが、それに加えまして、都道府県が積極的な役割りを果たすことが広域行政をやる上に非常に必要になってくるんじゃないかというような考え方もございます。そういうような場合の財源措置といたしまして、地方債を確保しておこうというような気持ちで、これを新たなる項目をつくったわけでございます。地域総合整備事業債、こういうような趣旨でございますので、都道府県において計画的に選択をいたしました事業について、市町村の事業に係るものも含めまして、包括的に枠配分をいたしまして、地方債を許可して、その中で市町村が担当する事業は市町村にやってもらう、県の担当する分は県にやってもらう、こういったもので枠配分によってそれぞれの地域に適合した事業を計画的に選定をさせる、こういうようなことに役立てようということでこの新しいものをつくった、こういうようなことになろうと思います。したがいまして、対象となる事業として考えられますのは、都市的な機能の充実強化にかかるような事業あるいは都市と農村の連携の強化を図るような事業あるいは農山漁村の特性を活用する事業あるいは広域市町村圏相互に関連する事業と、こういったようないろんな、抽象的でございますが、そういったものに適合するような事業というのをそれぞれの地域について考えてもらって、適当なものを執行してもらう。それによって広域行政というものが一段と発展するのではないか、こういう見込みを立てているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/190
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191・阿部憲一
○阿部憲一君 公営企業金融公庫の改組問題についてですけれども、これについては大蔵、自治両大臣の覚書もあるわけでございまして、この実現についてはどのような見通しをお持ちになりますか。大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/191
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192・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 良質な地方債資金の確保を図りたい、かような観点から、学校の建設でありまするとか、道路の整備あるいは廃棄物の処理と申しますような普通会計に属する事業に伴う地方債につきましても、公営企業金融公庫の資金が融資できまするように改組をしたいということで、五十一年度から大蔵省と折衝を続けて今日に至っております。五十二年度において、まことに遺憾ながらこのことが実現できなかったわけでございます。今日、金利も下がってきておりまするから縁故債の消化も一ころに比べますればある程度円滑になってきてはおりまするけれども、長期的に見て地方公共団体に良質な資金を供給するという必要性は少しも減じておると存じませんから、覚書もあることでございまするから、大蔵省と鋭意折衝をいたしまして、ぜひ来年度には実現できますように努力をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/192
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193・阿部憲一
○阿部憲一君 次に、地方債の利率についてお伺いしておきたいんですけれども、公定歩合引き下げ後、それに応じて地方債の金利がどのようになっているか、状況つかんでおられたら御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/193
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194・山本悟
○政府委員(山本悟君) ことしの五月、七月、八月それから十月に長期金利の改定が行われまして、市場公募地方債の発行条件は十月から表面金利が六・七%、発行価格九十九円五十銭、応募者利回り六・七八三%、発行者利回りが七・一四二%となっておりまして、本年四月までの条件に比べまして応募者利回りで一・八五六%、発行者利回りで一・八九七%引き下げられているところでございます。十月以後に縁故地方債を発行いたしました団体はまだ少数でございますが、都道府県のうちの市場公募の団体の場合には、表面金利、発行者価格ともに市場公募地方債と同一でございまして、市場公募団体以外の団体の場合におきましても、市場公募地方債に準拠してほぼ適正な発行条件が定められているというように存じております。しかしながら、大部分の縁故地方債は十二月以降に消化されるのが例でございまして、今後ともに適正な発行条件によって縁故地方債が発行されますように地方公共団体を指導してまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/194
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195・阿部憲一
○阿部憲一君 今回、鉄鋼、電力などの一流銘柄の事業者への償還期間が十二年に切りかえられていると聞いておりますけれども、地方債についても同様に十二年に移行する考えをお持ちなのかどうか。それから償還期間の延長のメリットとかデメリットについてどのようなお考えをお持ちになりますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/195
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196・津田正
○説明員(津田正君) 御指摘のように十一月から民間事業債の一部につきまして十年の従来の償還期限を十二年に延長する、こういう動きがございます。
〔委員長退席、理事夏目忠雄君着席〕
このような考え方は、現在の低金利時代になるべく資金を取り込もうと、それも長い資金を取り込もうというようなことでございますが、やり方としましては償還期限を延長する、そのかわり毎年毎年の償還額を少しふやす、それから表面金利を〇・一%乗せると、そういうような仕組みでやっておるわけでございます。その結果、御指摘の電力債等に見ますと、応募者利回りでは高くなる、しかし発行者利回りでは安くなる。いわば応募者にとっては引き受けやすい、それから発行者にとりましてはコストが下がる、こういうようなことで大体いけそうでございます。
地方債の場合につきましても私ども検討しておるわけでございますが、やはり償還期限の延長等の有利さというものがございます。ところが、現在の金利体系と申しますのは、国債から政府保証債、地方債、電力債等の間、非常に幅が狭くなっております。その中で十二年ものに直すには表面金利をやっぱり引き受け者が引き受けやすいように上げるということになりますと、地方債の場合には応募者利回りが上がるだけでなく、発行者利回りも上がってしまう、こういうような検討結果になっております。それから実質的な問題といたしまして、その発行者コストが高くなるというようなことでございますので、地方団体側からの要望も実はない状況でございます。
それから、地方債につきましては、従前から十年目になりますと借りかえをやっておりまして、それが現在までのところ順調にいってきております。したがいまして、十年を十二年に延びらすだけではなく、十年ものをもう一回借りるということも現状において行われております状況でございますので、すぐ踏み切るというのにはいろいろ問題あるんではないか、もうちょっと電力債等の定着化というものの推移を見ながら今後とも検討を続けてまいりたい、現段階では余り地方債にとっては得にならない、こういうような結論を得ておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/196
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197・阿部憲一
○阿部憲一君 地方財政の充実確保の一項として使用料、手数料等の受益者負担の適正化をうたわれていますけれども、具体的にどのようなものの適正化を考えておられますかお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/197
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198・山本悟
○政府委員(山本悟君) 使用料及び手数料等につきましては、一般的には人件費の増高なり物価の上昇といったようなコストの上昇等に応じまして適正化すべきものであると存じますが、昨今の経済情勢及び地方財政の現状にかんがみまして実情に適して適時適切に適正化が図られる必要があるというぐあいに思っているものでございます。たとえば大学、高等学校の授業料といったようなものにつきましても常に見直しが必要であろうと思いますが、現時点におきまして具体的に何をということを特段に限定をいたしておるわけではございませんが、たとえば国の学校におきますところの授業料等の適正化が行われる場合、そういった場合には地方団体におきましてもそれに準じまして所要の措置を講じてもらう、こういうようなことをやっていく必要があるのではないかという程度の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/198
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199・阿部憲一
○阿部憲一君 次に、住みよい生活環境の整備の項目として広域市町村圏の振興整備をうたわれていますけれども、さきに国土庁が発表した三全総の試案によりますと、新たに定住圏の構想が出ております。この定住圏の考え方と、それから広域市町村圏とのかね合いについて、自治省としてはどのようなお考えか伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/199
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200・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 三全総の定住圏の考え方と申しますのは、人口、産業の地方分散を図って地方を振興する、そして人間の定住のための一つの総合的な環境をつくっていこうという考え方でございまするから、これは自治省がかねてからきわめて望ましいと考えておった考え方と一致いたすわけでございます。定住圏というのは、定住圏構想を実現いたしますための計画の上の一つの圏域でございますが、反面におきまして、広域行政の仕組みとしてすでに地域に定着をして着々実績を上げておりまする広域市町村圏というものがあるわけでございますから、自治省といたしましては、この定住圏というものを、現にありまする広域市町村圏を拡充発展させていくための理念である、そういう位置づけをいたしておるわけでございます。そういう考え方で国土庁との間に完全に合意を見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/200
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201・阿部憲一
○阿部憲一君 公有地の計画的な確保として、土地開発公社の保有する土地の再取得の促進を図っていって、公社の通常の健全化を図ることがうたわれておりますけれども、現在土地開発公社が抱えておる土地はどのくらいになりますか、具体的にどのような健全化策を考えておられますか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/201
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202・大橋茂二郎
○説明員(大橋茂二郎君) 全国の土地開発公社が昭和五十年度末で、先行取得として入手しました保有状況でございますが、面積にして二万八千百五十二ヘクタール、金額にいたしますと二兆二千三百九十四億円となっております。なお昭和五十一年度末の保有状況でございますが、現在集計中でございますので、はっきりした数字はまだ出ておりませんが、昭和五十一年度中にかなりの分が処分ないしはそれぞれの予約されたところに買い取られておりますし、したがいまして、新規分との差し引きしまして、全体としては保有量は五十年度よりは減少しているというふうに推定されます。
これらの土地所有についてどういう考え方でおるかということでございますが、これらにつきましては、かねがねから通達等をもって指導しているところでございまして、それぞれの地域の実情に即した土地利用計画を立てましてへそれを十分に配慮して、現実にその土地を取得することが必要であるかどうか、さらにまた、取得した場合において、地方公共団体等でそれを買うということの見通しが確実であるか、そういうようなことにつきまして十分協議した上で、計画的にその用地取得を行うように指導しているところであります。経済動向大変厳しい事情がありますから、そのような経済動向等も十分に配慮しつつ、計画的な土地の確保、運用を図るように指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/202
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203・阿部憲一
○阿部憲一君 住民の自治意識の向上に資する施策の推進が重点施策として盛り込まれておりますけれども、昨年の第十六次地方制度調査会の答申にもありますが、当然この答申を踏まえておやりになっているわけでしょうけれども、具体化についてどのようなお考えをお持ちでありますか、大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/203
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204・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 十六次の地方制度調査会の御答申として、「住民の自治意識の向上に資するための方策に関する答申」というものがございます。御指摘のとおりですが、その具体的な方法として、地方自治の日を設定する、選挙の期日を統一する、議員の半数を改選する、コミュニティー対策を推進するというような九つの項目を提案なさっておるわけでございます。このうちコミュニティー対策というような問題につきましては、自治省がただいま推進に努めておるわけでございますが、その他の項目、たとえば半数改選、まあ非常に強い反対も現にあるわけでございます。あるいはこれを祝祭日にするというようなことにつきましては、すでに祝祭日が十二ですか、諸外国と比較いたしましても、この辺がいっぱいだというような意見もあるわけで、これらの問題につきましては、答申が書いておいでになりまするように、いろいろな意見があるから、よほど慎重に研究せよ、こういうことを付記しておられるわけでございますので、もう少し時間をかけまして研究をしなければならない問題だと思っております。関係方面の意見も十分伺いまして、できるだけ早く結論を得たいと思っておりますが、ただいまのところは申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/204
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205・阿部憲一
○阿部憲一君 もう一回大臣に伺って私の質問を終わりますけれども、このいまの最後のお話の地方自治の日ですね、この制定について大臣はどのようなめどをお持ちですか。いま慎重にというようなお答えのようですけれども、大臣の個人的な御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/205
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206・小川平二
○国務大臣(小川平二君) ただいまお耳に入れましたように、事務的にはなかなかむずかしい問題でございます。休日にしないということになりますると、どうも余り魅力のないことになりそうでございまするし、なかなかどうもうまい知恵が出ないというのが偽らざる現状でございますが、なおひとつ各方面のお知恵を拝借して、何とか答申の趣旨が実現できるような方法がないものか研究してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/206
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207・上林繁次郎
○上林繁次郎君 大蔵省にお尋ねいたします。
昭和五十二年度の税収見込み、当初見積もっているわけですが、それに対して現時点でその伸び方、また当初考えられたとおりにそれが達成できるのかどうか、この見通しについてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/207
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208・亀井敬之
○説明員(亀井敬之君) ただいまの御質問でございまするが、五十二年度の税収につきましては、まあ本日九月末の状況が出ておるようでございますけれども、簡単に申し上げまして、本年度自然増収がとても期待できるような状況にはなかなかないのではないか。ただまあ何とか現在の予算額を達成していきたい、こういうふうに念じておる、ただ楽観を許さない状況である、こういうことでございます。非常に雑駁でございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/208
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209・上林繁次郎
○上林繁次郎君 九月度の法人税の申告税額は前年同期に比べてどのくらいの状況になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/209
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210・亀井敬之
○説明員(亀井敬之君) 九月——いま先生の御下問は、実は税収の直接——突然のお尋ねのようでございまして、申しわけございませんが、七月の決算法人の申告額が二・五%減少をしておる、こういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/210
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211・上林繁次郎
○上林繁次郎君 そうすると、いまあなたがおっしゃったように、自然増収どころではない、自然減収ということもあり得るということが一応予想されるんですね。ですから、最後を締めくくってみなくちゃわからないけれども、傾向としては確かにいわゆる当初見積もったペースからそのペースが非常に鈍化してきている、こういうことが言えると思いますね、いまの状況からすると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/211
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212・亀井敬之
○説明員(亀井敬之君) 先生の御指摘の鈍化をしておるのではないかという点でございますが、九月末の法人税の全体の、四月から九月までの進捗率と申し上げますか、どのくらい予算に対して入っておりますかという割合は四八・三%というふうになってございます。で、これは全体の税収の予算に対する進捗割合が四二・九でございますので、その意味では数字にあらわれております限りは、まあまずまずのところではないかと。ただ、先生御指摘のように、七月の申告というようなことで取り上げて見てみますと、やや御指摘のような鈍が見られなくもないということでございます。今後の状況いかんによるわけでございますけれども、そういった事情にございますということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/212
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213・上林繁次郎
○上林繁次郎君 大蔵省の方からいまのような話があったわけですが、非常にこの税収というものが鈍り出している感じ、これは新聞等にもはっきり書かれておりますね。ですから、当初の見込みよりも減るという可能性が非常に強いという感じ、こういう感じがこれはもう常識的にもそういった感じがするわけです。そうなりますと、いわゆる地方交付税のまた減額なんというような問題も起きてくるわけですよ。当然そういうことになるでしょう。そうすると、今年度の地方交付税額は五兆七千五十五億円ですね。これでもって地方は財政を考えていく。だけれども、これがまた減るということになるとどういうことになるか。よしんば、いわゆる税収が鈍って当初のように思うようにいかないとしても、もしいかなければ減額という措置もやむを得ないということになるんですけれども、今年度のいわゆる五十二年度の地方交付税額が五兆七千五十五億円と、これはどういう税収の状態がどうあろうとも、国としては、自治省としてはこれだけのものを確保するという考え方はあるのかどうか。もしなけりゃどういう考え方を持っておられるのか、その点ひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/213
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214・山本悟
○政府委員(山本悟君) 本年度の税収の見込みはまだもちろんわからないわけでございますが、五十二年度におきますところの税収が、国税三税がもしも予算額確保されないという事態に相なりました場合には、その交付税におきますその精算は、五十四年度の分の交付税において精算が行われると、かような事態になってまいると思います。したがいまして、本年度で見る限りにおきましては、国の予算が計上され、今回のただいま御審議いただいております交付税法等の一部改正によりまして九百六十億円の措置が済みますれば、当初予算として予定をいたしました交付税の総額が配分ができる。ただし、もしも本年度の税が自然減ということでございますと、これは五十四年の財政対策としてどうするか。五十四年の地方財政の計画をつくります際に、やはりその分だけ交付税が三角が立ってくる。その上で五十四年度の地方財政をどうするかという論議をやり、そこで私どもといたしましては、五十四年なら五十四年度にやはり地方財政として支障のない地方財政計画と地方財政対策をとらなければならない、こういうことになってくると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/214
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215・上林繁次郎
○上林繁次郎君 この問題については、減額するとしても、五十四年度の時点で考えるという、こういうことですが、それは決まったことなんだけれども。で、今年度は当初決められたとおりである。これは五十四年度もまた問題になるんで、とやかく言ってもしようがないんで、これはもうさておきまして、で、あと自治大臣に連続してお尋ねをしたいんです。
大臣は先般、五十五年度までの地方財政の中期見通し、これを明らかにいたしましたね。そこで、これによりますと五十五年度で地方財政の収支を均衡させると、こういうことなんです。このとおりいけばまことに結構ですよ。で、その達成のために一つは大幅な増税改革を断行する。もう一つには地方交付税を増額する。それから三つ目には歳出を抑制する。こういうふうに、これは目玉ですね。いわゆる五十五年度収支を均衡させるための目玉としてこういうものが掲げられた。
そこで私の聞きたいのは、このとおりになればまことに結構なんですよね。だけれども、これはあくまでも試算であって、五十五年度にはこうなりますよということではないわけです。必ずこうしますよということなのか、その点はどういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/215
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216・小川平二
○国務大臣(小川平二君) これは計画というものではございませんし、もとより公約というものでもございません。文字どおり一つの試算でございます。五十五年度において国は赤字公債から脱却する。地方財政は財源不足でない状況になる、そういう目標を設定した場合にどうなるかと、こういう一つの試算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/216
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217・上林繁次郎
○上林繁次郎君 ですから、試算ということについてはもちろん新聞にもそういった点が明らかにされておりますよね。それから新聞に明らかにしたということは大臣の言われたことですから、そのとおり明らかにした。で、試算ということは、いまのお話からしますと、理屈こねるようですけれども、何かこう雲をつかむみたいなもので、そうならなきゃだめなんだよという、極端に言えばこんな感じです。何のことだろうという感じを抱かざるを得ない。
そこで、少し一つ一つ詰めてみたいと思うんです。まず第一点、大幅増税の改革ですね、これを断行する。これは大臣がおっしゃるんですから、大臣その方向へ向かって努力をなさるでしょうけれども、しかし、御承知のとおり、今回の予算委員会通してみても一般消費税の問題、それが簡単にいくものじゃないんじゃないですか。ちょっと現実離れしているという感じ、これをもって五十五年度の地方財政の収支を均衡させるんだという考え方、これはちょっと私はどうかと思う。そう簡単にいわゆる増税の断行ができるかどうか、改革ができるかという点についてどのくらいの大臣は確信を持っていられるのか、この点ひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/217
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218・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 税制調査会が一般消費税の導入ということを答申なさっておるわけでございますが、これは中期の財政のあり方いかんということを諮問申し上げたのに対する答申でございますから、明年度からこの税を導入すべしとおっしゃっておるわけでは必ずしもないわけでございます。これを明年度から導入することができるかできないかということは、一つの非常に大きな問題でございましょうし、論議を呼ぶ問題であるに違いない。経済の動向、景気の先行きというような問題とも絡む事柄でございますから、大変むずかしい問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/218
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219・上林繁次郎
○上林繁次郎君 私も非常にむずかしい問題だろうと、だからお尋ねをしたわけです。したがって、大臣のいわゆるこういう中期見通しというものの内容として、その目玉として掲げられたことですから、特に突っ込んでお尋ねをしておく必要があるだろうと、こういう観点からお尋ねをしたわけです。いまのお答えでありますと、非常にむずかしい問題である。むずかしい問題ということは、実現の可能性がまことに薄いという考え方にもとれるわけです、むずかしい問題であると。そうなると、突っ込んで言いますと、もしそれじゃこれがだめだった場合には、五十五年度の収支均衡という問題は全部これは御破算になりますよ、こういうことにならざるを得ませんね。さもなければ、もしそれがだめならば、いずれにしても逼迫した地方財政立て直しのためには、これがだめならこういう形でもって手当てをしていくんだというものがあるならば私はお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/219
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220・小川平二
○国務大臣(小川平二君) むずかしいと申し上げましたのは、できそうもないという意味で申し上げたわけではないので、いろいろの論議を呼ぶでございましょうし、抵抗も予想される、そういう意味でなかなかむずかしい問題だ、明年度において実現の見通しがきわめて乏しいとまで申し上げたわけじゃございません。しかし、これは実行あるいはできないかもしれない、その場合にどうするかといういまお言葉でございますが、これはもう少し先に参りましての判断になるわけで、ただいまから具体的にどうするということはとうていこれは申し上げられることでございませんが、どっちにいたしましても地方財政の運営に大きな支障が生じないような措置だけは必ず実行する、このことだけはお約束申し上げられるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/220
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221・上林繁次郎
○上林繁次郎君 この点はこの程度にしておきますけれども、その二つ目の今度は柱ですね。いまのいわゆる第一の大幅増税改革、これは非常にむずかしい問題だ。そうしますと、もしこれがだめだ、だめだという可能性もあるわけです。その場合、それじゃどうするかということになると、いまの制度の中で一番手っ取り早いのは第二番目だろうと思う。交付税の増額について言われているわけですね。そこで、その現在の地方交付税はいわゆる三税の三二%、これは私が言うまでもない、三二%である。そうすると、この地方交付税額の増額ということは、まず最初に五十五年度に収支均衡をと言うんですから、まず五十五年度の時点ではどの程度までこれが増額されてくるのか、どの程度まで増額されれば地方財政収支というものが均衡するんだと、こうお考えになっているのか、どのようにお考えになっているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/221
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222・森岡敞
○政府委員(森岡敞君) 先ほどお話しのございました中期財政収支試算は、大臣からもお答え申し上げましたように五十年代前期経済計画を基礎にいたしまして、その成長率を用い、かつ社会資本を約百兆とか振替支出を一〇%にするとか、そういう前提を置いてそれに基づいて計算した試算でございます。同時に、五十五年度で赤字国債脱却、地方財政収支均衡をとるということでございますので、交付税率なり交付税制度につきましては現行の制度を前提として考えておる。ただ国税、地方税を通じまして、先ほどお話しの三%という租税負担率のアップ、それに伴う増収を見込むと、したがってそれは地方税の増収であると同時に、地方交付税の増収にもつながるわけでございますが、しかしそういう計算でございますから、いまお話しのように交付税率を引き上げてどうこうという政策的な内容にはなっておらないわけでございます。その辺のところを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/222
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223・上林繁次郎
○上林繁次郎君 矛盾ですよ、あなた。じゃいまのお答えですけれども、それじゃ第一の目玉である大幅増税、あなたはあらゆる要素を、経済の成長率だとか、あらゆる要素を踏まえた上でそれが達成されなければ、地方交付税増額はできないということじゃありませんか、いまのお話だと、そうじゃないですか。あらゆる要素が達成されて初めて、いわゆる地方交付税の増額というものは考えられるんだと言ったんでしょう。だから、そうだとするならば、第一点である大幅増税がだめな場合には、地方交付税もこれはその増額というものは考えられないということになるのかどうか、これは大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/223
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224・森岡敞
○政府委員(森岡敞君) ちょっと恐縮ですが、私が申し上げたことでございますので、さらに引き続いてちょっと……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/224
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225・上林繁次郎
○上林繁次郎君 だから、うまく答えてくださいよ、こっちにわかるように。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/225
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226・森岡敞
○政府委員(森岡敞君) いま申し上げましたように、租税負担率を三%引き上げますと、これは困難だろうという御指摘でございますけれども、そういう前提で計興しております。租税負担率を三%引き上げることによって交付税収入はふえるわけです。それから地方税もふえます。それから国税三税にリンクしております地方交付税も三%引き上がった分だけふえる、こういう前提で計算されておる、こういうふうに申し上げたわけでございます。ですから、いまお話しのように増税がもしできなければ、交付税はふえないだろう、通常以上にはふえないだろうという御指摘はそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/226
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227・上林繁次郎
○上林繁次郎君 あなたしつこいんだよ、ぼくが言ったとおりのことをまた言っているんだから。何もあなた時間かけて何回も何回も同じことを言う必要ないんですよ。そんな文句たらしいことはぼくは言いたくないけれども、時間に制限されているんですよ。そうでしょう、同じことを何回も何回も繰り返さないで。だから、ちょっとエキサイトするんです。あなたの方で、一回でもって済むことを一回でちゃんとやってくれれば、何もエキサイトすることないんです。だから、いまも言ったように地方財政というものは、逼迫しているわけですよ。地方交付税率の引き上げということについては、何もこの場でもっていま論じられている問題ではない。何かの形でもって財源の再配分だとか、いろいろのやらなくちゃならぬ行政改革、あらゆるものを行って、そして地方行財政の立て直しというものをやらなくちゃならない時期がきているということは、いま私がここでもって言うまでもないんです、そんなことは。そうでしょう。だから、そうなるとせっかく中期計画を立てて、見通しを立てて、そして第一点がだめならば、第二点のいわゆる交付税の増額、これもできませんよといったら、何もできないじゃないですか、今度は。何かでもって手当てしなきゃならぬでしょう。だとするならば、まず第一点がだめだとしても、いわゆる大幅増税がだめだとしても、地方交付税の増額ということはやろうと思ったらできないことはないんじゃないんですか。法律の見地から言ったってできないことはないんじゃないですか。それをいままでやらないのはおかしいんだ、大体。だから、先ほど問題になった地方交付税の六条の三の2、その問題も問題になってきて、それはさっき問題になっただけでなくて、ずっとそんなことは論議されてきていることですよ。そうでしょう。一つだめだったらみんなだめだということなのか。せめて中期見通しをこういうふうに立てた、一つがだめであってもこの点で何とかしましょうというやっぱりものがなければ、地方財政というものは、多少わずかであろうけれども、立て直しというのはできない、そこをどうするのかという問題なんです。これが一番大きな問題です。それは大きな問題ということは、理屈ではなくて、現実の問題を踏まえた場合に、そう言わざるを得ないじゃないですか。現実に即して何とかしなくちゃならない。だから、そういう立場を踏まえた場合に、地方交付税額というのは、いろいろなことを言いますけれども、この中期見通しによりますと、五十五年で単年度でもっていわゆる赤字の解消、こういうわけですよ、それまでは苦しいんですぞというんです。しかし、こういう見通しがついていれば、それも我慢できるかもしれない。しかし、その見通しが崩れた場合、地方ではどうするんだ、地方自治体では。何にもお手上げじゃありませんか。だから、そのようにますます苦しくなるであろうというんですから、それはもうはっきりだれが考えてもわかることです。だから、その苦しいままにほっておくのかどうかということです。これがだめでも何らかの手当て、いわゆる地方交付税なら地方交付税で何とかしますよという、こういう考え方があるのかないのかということをですね。これをやっぱり親切な意味で明らかに自治省としてはしておく必要がある、私はそう思うんです。そういうわけで、大臣ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/227
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228・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 五十二年度で二兆七百億円の財源不足を生じたわけでございますが、その半分は、御高承のとおり、地方債の活用で解決をする。あとの半分は一兆三百五十億円交付税を増額——先ほどから交付税の増額という言葉がございますが、交付税の増額をいたしておるわけでございます。ただし、税率は変更できなかった。できない理由は、こういう経済の変動期に交付税の税率だけ先取り的に決定をして、相当長期間固定するということは困難でございますから、本年度においては実行できなかったわけでございます。来年度の財政状況がどうなりまするか、いまの時点では正確に予見はできないわけでございまするけれども、仮に交付税承を引き上げるということが実現できませんでした場合においても、必要な交付税を何らかの方法によって増額をいたしまして、地方財政の運営に支障のないだけの措置は実行する決心でございます。また、必ずこれはできるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/228
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229・上林繁次郎
○上林繁次郎君 大臣がせっかくおっしゃいましたので、ちょっとその点に関連して、聞くつもりじゃなかったんですけれども、お尋ねしておかなくちゃならんなあという感じを持つわけですから、お尋ねをするわけですけれども、いま大臣がおっしゃったことは、地方交付税の六条の三の2と、これにやっぱりひっかかってくるわけです。
そこで、問題は、大臣がそう言った以上、六条の三の2という、その法解釈というか、この法律に掲げられているその法の精神というか、これをどういうふうに受けとめられておるのか。いま大臣のお話ですと、交付税率は上がらないけれども、いわゆる地方税の増額はいたしてまいっております……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/229
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230・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 交付税の増額。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/230
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231・上林繁次郎
○上林繁次郎君 失礼。交付税の増額をやってきておりますと、こう言っているわけです。ですから、それはよくわかります。毎年毎年やってきている。ですから、そういうやり方がいわゆる六条の三の2に該当するということなのか。ということがやはりいまの地方財政の逼迫の状況からいってそれ肉体を真剣に、いわゆる法の精神というものを真剣に考えてみなければならない、私は時期が来ていると思う。時期と同時に、それを、その法の考え方、精神というものを、これはこういう趣旨、こういう意義を持ったものだという、そういったものを自治省としても明らかにする。その明らかにすることによって、地方自治体というものもどれだけかの納得というものがなされるであろう、こういうふうに思います。それはまた、まことに親切なやり方じゃないか、こういうふうに思いますので、その辺をひとつ、大臣のお考えをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/231
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232・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 交付税法の六条の三の2項が、まあ一定の条件のもとにおきましては、またその法律の定める状況というものも明らかにいま出てきておるわけでございますが、制度の改正をするか、交付税率の変更をするか、いずれかを実行しなければいかぬと規定をいたしておるわけであります。五十二年度においては交付税率の変更はいたしませんで、制度の改正で対処したわけでございます。この点についていろいろ御批判をいただき、繰り返しておしかりも受けてきたわけでございますが、私どもはこの制度の改正というのは、どのような制度であるべきかという点については、法律は相当広い選択の余地を残しておるのであって、経済の前途が見きわめがたいというようなときに、さしあたって当年度の交付税の総額をふやすということもまた制度の改正と蓄えるんだと、これはまあ法制局の解釈でございますが、そういう意味での制度の改正を実行したと考えておるわけでございますが、しかしこれは、何と申しましても本格的な恒久的な措置でないことは明らかでございますから、ある時期に、それもできるだけ早い時期に、本格的な制度の改正あるいは交付税率の引き上げということを実行しなければならない、こう考えておるわけでございます。来年度にこのことを必ず実行しますというお約束まではできかねるわけでございますが、ぜひこれを実現したいと願っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/232
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233・上林繁次郎
○上林繁次郎君 まお六条の三の2については、その制度の改革をやると、まあいうならば、いまの大臣の御発言からすれば、そのいままで手当てをしてきた、交付税の増額をしてきた、これを増額というそういういき方は、それは一時しのぎ、いわゆる便法的な問題であって、この法の精神というものはそういうものではない、地方交付税率の引き上げ、あるいはこの地方税制の改革、こういったものを徹底してやっていくことが本旨である、こういうふうに受けとめてよろしいですね、いまの御発言からすれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/233
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234・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 法の精神に違背するものだとは考えておりませんけれども、恒久的な本格的な方法ではないと、こう申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/234
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235・上林繁次郎
○上林繁次郎君 苦しいお気持ちよくわかります。まあその程度にしておきましょうか。
そこで、先ほども話がありましたけれども、いわゆるこの地方財政の中期の見通しについて、先ほども話があったように、あらゆる要素を踏まえた上でこれは五十五年で達成されるという、こういった考え方。そこで、やはりその中で大きな問題、まあいま目玉になった問題をこう申し上げたんですが、
〔理事夏目忠雄君退席、委員長着席〕
その中にいわゆる経済成長の見通し、こういったものを立てていらっしゃるわけですね。これを見ますと、五十三年、五十四年、五十五年、いわゆるケースAというその考え方からすると、昭和五十三年度は一五%の名目成長率、それから五十四年、五十五年は名目一二%、こういうふうに言われている。それで、ケースBによりますと、これは平均して各年度二二%、こういうふうになっているんです。そうしますと、これはいわゆる一応名目でもって言われておりますね。実質成長率をどのくらいにお考えになっておるのか。いわゆる名目で言われている。実質成長率をどのくらいに押さえていらっしゃるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/235
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236・山本悟
○政府委員(山本悟君) 経済計画の数字を実質は使っておるんだろうと思います。計算上は名目しか出ておりませんで、実質のことが触れられておりませんけれども、経済計画の分でいきますと、六%程度の実質成長率を毎年やるというようなのが基礎になっておるんじゃないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/236
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237・上林繁次郎
○上林繁次郎君 それじゃ、実質で六%。まあいまの経済見通しからしますと、そうなりますと、自治省としては、物価の上昇率というもの、これは聞けばわかることですから、わかることだけれども、あえてお聞きするわけですよ。物価の上界率をどのくらいに考えているんですか。ここをはっきりしなけりゃ、あなたこんなもの空文になっちゃいますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/237
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238・山本悟
○政府委員(山本悟君) 消費者物価の年平均上昇率を五十一年から五十五年度までの平均伸び率六%台というのが基礎にとられている数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/238
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239・上林繁次郎
○上林繁次郎君 間違いありませんか、六%もう一遍資料を検討し直してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/239
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240・山本悟
○政府委員(山本悟君) ただいま私の申し上げました数字は、前期経済計画の表によります数字をお答え申し上げたわけでございますが、これによりますと、消費者物価の年平均上昇率、五十一年から五十五年度の年平均伸び率六%台、それから国民総生産の五十一年から五十五年、年度平均伸び率一三%強ということで計算がされているということになっているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/240
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241・上林繁次郎
○上林繁次郎君 まあしかし、はいわかりました。これだけのことを言うんですから、そんながたがたしなくたってぱっぱっと出てこなけりゃ、作文だっていうふうに思われてもしようがないでしょう。だから、そういう意味で一応のこの六%の消費者物価指数、これが六%というのも、ちょっといまの勢いからするとまゆつばものですがね。ですから、その辺のところにも非常にむずかしさがあるなあという感じがいたしますよ、これは。まあ時間も参りましたので、このぐらいでひとつこれはとどめておきたいと思います。
で、最後に、これもこれから大変問題になると思いますが、五十五年度には地方財政の収支を均衡させると、それは五十五年単年度でしょう。そうしますと、あなた方はいわゆる公債費の伸び、まあ比率とも言うんですが、これを五十五年度ではどのぐらいになると思っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/241
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242・山本悟
○政府委員(山本悟君) この中期試算によりますところの昭和五十五年度の公債費の額は、ケースAの場合におきまして三兆四百億ということになりますようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/242
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243・上林繁次郎
○上林繁次郎君 何ですって、三兆……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/243
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244・山本悟
○政府委員(山本悟君) 三兆四百でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/244
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245・上林繁次郎
○上林繁次郎君 ちょっといいですか。新聞そのまま読みますからね。新聞が間違っているかわからない。いいですか。「一方、地方債(公営企業債などを除いた普通会計債だけ)の残高も年々膨らみ、五十五年度で二十兆四千億円に達する。その利払いや償還費用などにあてる「公債費」の伸びも五十−五十五年度平均で二五・九%とかなり高くなり、歳出面での大きな圧迫要因になる見通し。」と、ここなんですね。その金額はいわゆるパーセンテージであらわすとこういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/245
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246・山本悟
○政府委員(山本悟君) 私のお答え申し上げましたのは、五十五年度におきます単年度としての公債費の歳出の額でございました。ただいま御指摘になりました二十兆四千億というのは、地方債の暫通会計の残高ということになります。これは二十兆四千億そのとおりでございます。したがいまして、ちょっといま率としての数字を持ち合わしておりませんが、先生ただいまお読みいただきましたような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/246
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247・上林繁次郎
○上林繁次郎君 そうしますと、五十五年度単年度において収支は均衡するであろう、これ全面的に私認めまして、そうなったと。ところが、公債費は何と二五%、二五・九%、こういうようないわゆる数字が出てくるわけですね。これに対しては、それじゃこのような公債費が残るということですね。こういうことに対する手当て、いわゆる帳面づらは五十五年度でもってぴたっとするけれども、中身はてんやわんやなんですよという姿じゃないかという感じですよ。この辺との絡みはどういうふうにとらえていらっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/247
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248・山本悟
○政府委員(山本悟君) ただいま二五・九%という数字をお述べになりましたのは、公債費の五十年から五十五年度の平均伸び率が二五・九ということでございます。したがいまして、五十五年におきます歳出の面における公債費、先ほど申し上げました三兆四百億というのを、歳出の合計のこの数字で申し上げれば四十二兆七千三百億で割り返しますと七・一%と、こういう数字でございます。そういう程度の数字でございますが、御指摘のとおり残高というのは相当に伸びてくるということは事実でございまして、ただ、こういうようなかっこうになりましても、現在の五十二年度までにおきますところのこういう各種の地方財政の対策のための地方債というようなものが非常に増高いたしました結果、こういう姿になるわけでございますが、この中期試算によりますような税制改正と国民の負担の増というようなことがお願いできれば、五十五年度以降におきましては、単年度収支償っていくと、均衡がとれていくと、こういうようなことでございまして、基本的に公債費が五十五年度以降も非常に大きく増高してにっちもさっちもいかないというような程度までにはならないで済むんじゃないか。それでも平均の伸び率というのは、いまのように二五・九ということでございますから、他の各種の歳出の伸び率に比べて非常に高いわけでございまして、従来に比べれば負担は重くなってくるというのは御指摘のとおりでございますが、にっちもさっちもいかないというほどにはなってこない、まだまだいまからこの計画されましたような財政体制がとられれば、五十五年度以降まだやっていけるような程度で済むのではないかと、この程度に思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/248
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249・上林繁次郎
○上林繁次郎君 最後、最後ということで申しわけありませんが、そうすると、私はこの新聞を頼りにしていまの数字を挙げたわけですよ。これによると二五%という。そうすると、これはそうではないんだという。地方債の発行比率といいますかがこういうことになるんだと、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/249
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250・山本悟
○政府委員(山本悟君) ただいまの申し上げました二五・九%というのは、歳出におきますところの公債費の要するに元利払い、毎年払っていく額の五十年から五十五年にかけましての平均の伸び率、毎年それだけふえていくと、こういうかっこうになっているわけでございます。二五%ずつ前の年に比べて、払っていく公債費が毎年二五%伸びていく。したがって、この伸び率は先ほど申し上げましたように、他の歳出の伸びに比べまして非常に大きくなっていく。
しかしながら、その理由というのは、やはり五十二年度までに各種の対策債というものがとられたわけでございますので、その元利払いというのがどんどんふえていきますために、そういうぐあいに大きく伸びていきますけれども、なお全体の地方財政の規模から言えば、まだしかく大きくはない、七・一%ぐらいであると、こう申し上げたわけでございまして、二五・九というのは伸びのカーブでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/250
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251・上林繁次郎
○上林繁次郎君 そこで、この公債費、いまあなたがほかのものから比べると非常に伸びが高いとこう言った。高くない方がいいんでしょう。どうなんですか。だから地方債発行についてもやかましいこと言っているわけだ。高くない方がいい。
ところが、いまの実情を見ますと、国としては、自治省もそうですよ。こういう不景気の時代だから、国の方も国債をこんなに三〇%近く発行しているんだと、予算に占める割合。だから地方はそれから見たら余裕があるじゃないか。何も現金、現金ということはない、どんどん借金でやれと、こう言っているわけですよ。
そうすると、その結果はどうなるかと言えば、結局、公債費に響いてくるわけでしょう。その辺はちょっと矛盾じゃないですか。伸びない方がいいんだ。それで、反面今度はそれが伸びるような行き方をいましておるじゃないですか。どう考えてもそれは矛盾という以外ないじゃないか。
そんなことでなくて、もっと根本的な、いわゆる地方財政を立て直すためにいままでいろいろな論議をされてきた、そういった論議をもっともっと真剣に自治省は考えるべきじゃないか。そしてそういう矛盾のない、そして、確かにこういう時代だから全面的にこうだという明確なものはできないかもしれないけれども、少なくともいまの窮迫した地方財政を救うための何らかの措置がとられてもしかるべきではないかと、言うこととやっていくことと、また、その結果と相矛盾するような行き方ではぼくはうまくない、こういうふうに思いますが、その点最後にひとつ大臣にお話し願って終わりたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/251
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252・小川平二
○国務大臣(小川平二君) こういう非常に困難な経済状況のもとでやむを得ずして公債に依存をいたしておるわけでございますが、これはもとより好ましい状況ではございませんから、ある時期に国民の理解と納得を得て、相当の程度まで租税負担率を高めることによって解決するほかない。中期収支試算の示しておりますことも同じことを言っておるんだと私は理解をいたしております。したがいまして、そういうことを実行できるような環境が一日も早く到来することを切望しておるわけです。政府が全力を挙げて経済の安定に努力をしておりまするのもこういう趣旨からやっておることと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/252
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253・上林繁次郎
○上林繁次郎君 最後に一点だけ。
いま大臣がお答えになったわけですけれども、大臣の結論としては大幅な増税という結論でありました。なるほど国の財政の基本となるものは税収である、間違いないでしょう。どれだけかの増税ということもこれから考えられる問題だろうと思いますけれども、しかし、いままで言われてきたことは、行政改革を含めていわゆる財源の再配分であるとか、逼迫した地方財政の改革についてはいろいろな角度から論じられてきているわけです。そういう問題が私はまだ残っておると思うんです。それをおろそかにしておいて——いや、それが基本的な問題です。だから、今度また何かの
ショックでもって、また大きな財政の逼迫というそういう状態になってきた、また増税するんだと、そうでなくって、どういうような状態になろうとも、地方行財政というものが完璧な状態で、
いわゆる国と地方との配分の問題ですね。これが均衡がとれていて、そしてどんな時代が来ても自主的に地方自治体が行財政を運営できるという体、制、これをつくっていくということが主眼でなければならぬ、私はそう思いますね。それでなけりゃちょっと雨風が吹けば、もういつも地方財政というのはぐらついちゃう。それをいままでずっと論じられてきているわけですよ。それに対して一向に踏み切ろうとしない。いわゆる中央集権的なかっこうをいつまでもいつまでも続けていく、そういう時代ではないということを、その点にきちっと手をつけないと、増税と言ったって、それは一時的な便法だと言えば言えると思いますよ。だからもっともっと地方行財政の運営がスムーズにいくための体制というものを、国と地方との配分の問題、そういった問題からきちっと手をつけて揺るぎない私は地方行財政というものを確立すべきである。またそのために自治省は本気になって取り組むべきである、そういう時期が来ているんだということを強く述べると同時に、それを大臣としてもしっかりと確認をしていただきたい、こうお願いしたいと思います。
その点について、いま私が申し上げたようなことについての大臣の今後の考え方について、私の言ってることが間違っているのか。またそうあるべきだと自分も考えているのか、その点をひとつお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/253
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254・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 国と地方の行政事務の再配分という問題につきましては、今日まで長い間にわたりまして地方制度調査会その他から具体的な形で御提案に接しておるわけでございます。仰せのとおり非常に大事な問題だと存じまするけれども、まあ実際にはそう簡単にはいかない、なかなかむずかしい問題でございますけれども、これから先も自治省といたしましては、いろいろな機会に鋭意努力をしてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/254
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255・上林繁次郎
○上林繁次郎君 納得はしませんけれども、むずかしい問題はむずかしい問題、いつまでやったってむずかしいですよね。どうしようもないんで、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/255
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256・神谷信之助
○神谷信之助君 きょうはこの国会で、当委員会として大臣の出席を求めて最初の問題でありますので、特にまあ来年度の地方財政の展望をめぐっていままでずっと議論をされてまいりました。私もこれからその問題について大臣の見解というのを聞いていきたいというふうに思います。
まず最初に、財政局長にお尋ねをしますが、まあ自治省としては新税その他税制の改革に大きな期待を持っておられるんですが、もしそれなしに来年度を迎えるという状況になれば、来年度の予想される財源不足額、これはどのぐらいというようにお考えになっているのかという問題です。それで、今年度の、先ほどから問題になっていました中期財政収支試算表ですね、これでいきますと、一兆一千億ないし一兆四千億ぐらいの数字になっています。これはまあ三%の増税の問題や、それからGNPが一五%ないし一三%ですか、いうのを想定をした数字ですから、これらが現在五十二年度進行の過程を見て、そのことがどう出るのかという問題も出てきますが、大体どのぐらいの財源不足になるであろうというようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/256
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257・山本悟
○政府委員(山本悟君) 中期試算によりますと、御指摘のとおりに、租税食掛率の引き上げをいたしましたといたしまして、ケースAの場合には一兆一千八百億、ケースBの場合には一兆四千八百億というのが五十三年度の不足額と見込まれるわけでございます。したがいまして、租税負担の引き上げということが全くなかったというぐあいに仮定をいたしますと、いろいろと税収の弾性値のとり方等によって違いますけれども、五十三年度にケースAの場合には、弾性値を国税一・四、地方税一・三と見れば一兆九千九百億、約二兆、もしも弾性値を国税一・二、地方税一・一と見れば約二兆四千六百億、こういうような数字がそれぞれ不足する金額だと。いずれにいたしましても、二兆を超える額というのが租税負担のなかった場合には地方財政の不足というかっこうであらわれてくるのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/257
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258・神谷信之助
○神谷信之助君 そうしますと、五十二年度以来、五十三年度を含めますと、これで四年連続二兆円以上の財源不足額ということになってきますね。きわめてこれは地方財政の上で重大な事態だと言わなきゃならぬ、こういうふうに思うんです。そこで問題は、だから来年度予想される二兆円を下らない財源不足額を何によって、どういう方法で補てんをしていくのか。この点についてあとこれから大臣の方からひとつお伺いをしたいというように思うんです。
いまもお話がありましたが、自治省としては一般消費税を初め、新税その他いろんな来年度の増税を大いに期待をすると。で、さらにできれば一般消費税も交付税の基礎に入れてもらうと、こうなれば非常に結構だというようにお考えのようですが、そこで、二兆円からの財源不足をそのうち増税によって来年度は少なくともどれぐらいは埋めようというお考えなのか、この辺はどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/258
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259・山本悟
○政府委員(山本悟君) まあ、具体の来年度の問題といたしましては、たびたびお答え申し上げておりますように、現在まだ税制改正の見込みその他がないわけでございますので、確定的な方向というものを申し上げるわけにはまいらないわけでございます。まあ、これから予算編成にかけまして次第にいろいろな話が税制改正その他の問題も詰まってまいると思いますから、その際に地方制度調査会等にもお願いを申し上げておるわけでございまして、その御意見等も伺いながら具体の対策を立ててまいりたいというように思っておるわけでございまして、具体に幾らの金額を税制改正の方に予定をしているのだと、こうおっしゃられましても、まだその考え方というものを具体の数字として申し上げる段階ではなかろうと思います。いま申し上げられますのは、先ほどの中期試算というものによりまして明年度一%租税負担を上げていただくというようなことであればどうなるというような程度まででございまして、それ以上の作業というものは進んでいないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/259
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260・神谷信之助
○神谷信之助君 一%というのは地方税関係のみですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/260
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261・山本悟
○政府委員(山本悟君) 中期試算で出しましたのは、五十五年度までに国民の租税負担を総体で三%増していただくと、その際には国が二%で地方が一%で分けるということでございまして、明年度の中期試算で予定いたしましたのは、先ほど申し上げましたように、負担税率のとり方によってでありますが、地方税一・三という弾性値でやりましたときには、税のはね返りも含めまして八千百億の増収と、その関係による増収と、もちろんそれは交付税の分も入っているわけでございますが、そういうかっこうで計算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/261
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262・神谷信之助
○神谷信之助君 そうすると、税の増収、地方税の方で一%、国税で二%、それから地方税のはね返り分含めて、交付税など含めて大体八千億というのを想定をしていると。これは何でしょう、試算表ですからね、一応の計算をされただけでしょう。それで、いま税調の方からの答申で出ているので、大体八千億ぐらいの税調の答申どおりやってもらえば、あるいは一般消費税その他不確定のものもありますが、大体八千億程度のそういう増収は見込めると、税調答申どおりやってもらえばそのことは可能だという、そういうことになるわけですか。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/262
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263・森岡敞
○政府委員(森岡敞君) 地方財政収支試算は、いま財政局長が申し上げましたように、五十五年度で国税、地方税合わせて三%租税負担率を引き上げていただくとした場合の税収総額を国税、地方税それぞれ出しまして、五十一年度の税収額と直線でGNPスライドで結んだわけですから、それはもう非常に機械的な計算をしているわけです。一方、税制調査会の答申は、中期的に見て一般消費税ないしは個人所得課税の増税をお願いしなければならぬだろうと、こういう指摘をしておるわけでございまして、増収の規模とか増税の内容とかにつきまして何兆円とか何千億円という指摘は全然していないわけでございます。ですから、そこを結びつけていただきますと、若干これは大変な誤解になろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/263
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264・神谷信之助
○神谷信之助君 五十五年度までに三%上げるわけですからね、五十三、四、五と一%ずつ上げると——いやいや、五十五年度までの間に一%上げるわけだな、最後に上げればいいというわけでもないんでしょう。最後に上げればもう少しよけい上げなきゃならぬと、こういう計算になってくるし、早く上げれば上げ幅が少なくていいと、そういう計算の数字ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/264
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265・森岡敞
○政府委員(森岡敞君) いや、早く上げれば上げ幅が少なくて済むという話ではございませんで、財政収支試算の考え方は、四十八年度から五十年度までの三年度間の国民所得に対する租税負担率が国税、地方税合わせて二〇・一%であったわけです。それを三%引き上げる、国税二%、地方税一%ということで五十五年度の税収見込み額を抑えまして、五十一年度の決算を基礎にしてGNPにスライドして伸ばしてみたと、つないだと、そういう計算なもんですから、一年ごとに何%上げていくという計算には実はなっていないわけです。したがいまして、五十年度から五十五年度までの財政収支試算で、五十三年度まで租税負担率の引き上げがなかった。むしろ減税によっていま一八%に下がっているわけです。減税によってというのは少し言い過ぎかもしれませんが、減税あるいは景気の沈滞によりまして一八%まで下がっているわけですから、その辺の根っこの違いという問題もあります。ですから毎年一%ずつ引き上げていくとか、そういうふうなつながりにはなっていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/265
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266・神谷信之助
○神谷信之助君 いや、だからそうなると結局何が何だかわからぬので、来年度は一体どれだけ、二兆円以上の財源不足が見込まれると、こういうわけでしょう、来年度は。それは一つは税収の伸びで、あるいは増収で一つの部分を抑えなきゃならぬ。後からずっといくと思うんですよ、それをなにするためにお聞きをしているんですが、約八千億、一%地方税、それから国税二%であれば来年度の分としては単年度で約八千億ぐらいの増収が見込めると、こういうお話ですね。そういうことでしょう、先ほどのお答えは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/266
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267・森岡敞
○政府委員(森岡敞君) ちょっと私の申し上げることが混乱いたしておるのかもしれませんが、財政局長から申し上げた、租税負担率の引き上げがなければ八千億程度、さらに財政収支試算で出ておる一兆一千億ないし一兆四千億に比べましてその赤が、財政収支のギャップがふえるだろう。それは中期財政収支試算で見込んでいる租税負担率のアップがないという前提で五十二年度から五十三年度まで推移したらば、通常の対GNP弾性値による自然増収しかないから八千億円程度のギャップがさらに生ずるであろうと、こういうふうに申し上げておるわけでございます。租税負担率アップなしという前提で計算したものであると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/267
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268・神谷信之助
○神谷信之助君 そうするとアップすれば、一%なら一%逆にアップをすれば八千億の増収が見られると、こういうことになるんでしょう。まあ二兆円のうち八千億は一%上げれば埋まると、こういう計算になってくるんですね。しかし、これはいま御承知のように不況とインフレが続く中で、しかも貿易の方は輸出が非常に制限をされてきているという、ストップかけられてきている、そういう状況の中ですから、最近は特に内需をもっと拡大をせいと、そういう声がずっと強まってきていますね。わが党もそのことをずっと一貫して要求しているわけですが、したがってそういう内需をずっと高めていかにゃいかぬときに、国民のふところからさらに増税を強いるというようなことというのは、非常にこれは先ほどから大臣もおっしゃるようにむずかしい仕事になってくる。とりわけ言われているような一般消費税でもやるというようなことになれば、これは非常に大きな国民的な反対の声が強いわけで、わが党ももちろん反対だし、他の野党も多くのところで反対の意見が強いわけですから、これもなかなかそうはいかぬというように思うんですが、もしそれがうまくいかないというようなことになってくると、この増税をするということができないということになると、これはまた大変、八千億というやつが一つは穴があく。政府の方でお考えになっている点では穴があいてくるという状況になってきます。これは一つ私は問題だというように思うんです。そういう場合に、まあ仮に一%予定どおり税の増収ができたとしてもまだ一兆二千億不足をします。この一兆二千億についてはその次は一体どういう措置をおとりになるのかという点です。これは先ほど大臣も、ことしと同じようなやり方はしないと、一歩前へ進んだそういう手法を考えたいということで、具体的にどういう手法なのかちょっとわかりませんが、そうおっしゃっているんで、内容を少し聞いてみたいと思うんですが、その点で一つは、例の超過負担の解消問題がありますね、国庫支出金。今度野口理事を団長にして私ども長野県それから新潟県に調査に参りましたが、まあ政府の、自治省の方でも努力をされて毎年超過負担の解消というのは部分的にはなされているけれども、やっぱりそこで各県の方もそれから市町村の方も、具体的にはもう時間がありませんから言いませんが、非常に強く要請されるのは、いまだに続いている超過負担の解消の問題、これがやかましく言われる。確かにこれは超過負担の解消を計面的にやるとすれば、年間二、三千億ぐらいの国庫支出金の増を見込むことが可能になってきます。したがって、これも財源不足額を今日の制度の中で解決をしようとすれば、できる部分を持った内容だというように思うんですが、この点については来年度に向けて自治省としてはどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/268
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269・山本悟
○政府委員(山本悟君) 超過負担の問題、数年ずっといろいろ努力をやってまいりました。本年度もある程度の措置をいたしたわけでございますが、超過負担の取り方につきましては、やはり政府側と地方公共団体側とのいろいろと考え方の同一でない点もあるわけでございます。いわゆる建築単価といったようなものから出発をいたしました超過負担の問題、そういった面につきましてはほぼ相当程度現状におきましても改善をされている。さらにそれが対象差あるいはといったようなところまでいろいろと中身が及んでくるというようなことで次第に発展もし、また改善の努力もされてきているわけでございますが、現実に地方団体がつくりました、あるいはやりましたものと、国庫補助負担金の基礎との差をすべて超過負担だというぐあいに持っていくのは事実上、なかなか論理といたしましても議論の存するところ、非常に意見の一致を見ることのむずかしい面があろうと存じます。しかしいずれにいたしましても、自治省の態度といたしましては、毎年度実質的に、常識的に見ましても非常におかしいと思われますような各種の各省所管の補助負担金の問題につきましては、申し入れによりましてその解消を図ってもらうような努力をしているところでございまして、明年度の予算編成に向けましても、すでに申し入れもし、またこれから実際に予算編成をされる過程を通じまして、大蔵省にもまた所管の各省にもそれぞれ強力にその実質的な解消を図ってもらうように努力を積み重ねてまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/269
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270・神谷信之助
○神谷信之助君 そのことと関連して、自治省の方から、事務次官の方から各省の事務次官あてに来年度の概算要求に当たって要請をしていますね。そしてこの超過負担の解消についても具体的に指摘をして、各省の概算要求でその解消に努力をするように要望しているでしょう。それに基づいて各省は概算要求出しています。これはもう御存じだと思うんです。その概算要求は、大蔵省でそのまま認めるかどうかは別にして、その各省の概算要求の中で出している範囲で、来年度のこの超過負担の解消というのはどのぐらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/270
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271・山本悟
○政府委員(山本悟君) 申し入れをやりましたことは御指摘のとおりでございまして、その後それぞれの段階におきましての概算要求への追跡調査、追跡といいますか、アフターケアというものをある程度実はいたしているわけでございますが、全体といたしまして集計というかっこうまで現在のところいたしておりませんので、ちょっと数字的には申し上げかねるわけでございますが、各省とも自治省からの要望、申し入れというものにつきましては、相当程度の配慮をして要求をしてもらっているというように思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/271
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272・神谷信之助
○神谷信之助君 どうもその点が私はちょっと不満ですね。これほど地方自治体が超過負担の解消を要求していると、それは今度も行きまして資料をもらってきましたけれども、具体的にどの事業でどれだけの超過負担が、単価差でどれだけ、対象差でどれだけ、数量差でどれだけというやつを全部私ども行ったらつくって、そしてやってくれ、何とかしてくれという陳情をされているわけです。だからそれを受けて自治省の方は各省に協力せいと言うて、言うのはいいですね。そして各省は出している。それが大蔵省にそのまま認められなかったら、削られたらこれはあかぬわけでしょう。それがそれぞれで一体どれだけの超過負担の解消になるのか。これはある意味で言いますと、二兆円からの財源不足を、国庫支出金を、そういう形で正常に超過負担を解消することによってふやしてもらって、そしてどれだけ財源不足を解消できるかという一つ重要な部門ですから。そういう意味からもやっぱり各省に調査をして、そしてそれが十分であるのかどうかも自治省として検討し、実態に合うのかどうかも検討し、そして実態に合うものであれば、その該当の省と大蔵省との折衝に自治省もバックアップをしていくということで、来年度はこれだけの超過負担がある、各省からの要求からしてもできると、何としてもこれは大蔵省に認めさせるんだということも、交付税率の引き上げも大事ですが、これもあるわけです。どうもその辺がいまの話でアフターケアができてないという状況では、私はちょっと不満だと思うんですが。これはひとつそういうことで至急やってもらって、またわれわれの方にも来年度へ向けて各省が超過負担の解消に対してこれだけの概算要求をして、そしてやっていますから、ひとつ地方行政委員会としても協力してもらいたいということで要望出されたらいいわけですよね。そうしなかったら、これなかなか解決しない問題でしょう。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/272
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273・山本悟
○政府委員(山本悟君) 御指摘のような点もございまして、私どもといたしましても、十二月の予算の際まで目指しまして、アフターケアをいたしまして、さらにいま各省に申し入れるべきものは申し入れると、こういう予定をいたしておりまして、現在まではまだ集まっていないというところでございますので、御了解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/273
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274・神谷信之助
○神谷信之助君 八月末にやっているんですからね。もう一カ月、二カ月も進んでいるでしょう、二カ月も。これは急いでやってもらって、またわれわれの方にも知らしてもらいたいというように思います。ですから、この超過負担の解消を来年度でどれだけ実現をするか。それによって一千億なら一千億の新たな財源をふやすことが可能なのか、二千億ふやすことが可能なのか、こういう点のめどというか、展望というのもひとつ持つ必要があるだろうと、こういうように思います。
それからもう一つは、この財源不足を何する方法として、先ほどから問題になっている交付税率の引き上げがあります。これについては先ほどから大臣の答弁を聞いていますと、交付税率の引き上げの実現のためにがんばるんだということを片一方でおっしゃりながら、片一方では経済が安定するその見通しがたたないとこれはなかなかむずかしいと、こういう話と両方出てくるのですね。経済の見通しがちゃんとたたないことにはあきませんということになれば、これはもう税率の引き上げはできぬと、こうなってきます。それで大臣は、もしその場合交付税率の引き上げができぬ場合には、それにかえて交付税額そのものが増額できるようにすると、恐らく特例交付金その他の措置をとろうと、こういうことになるのだろうと思うんですけれども、どうもその辺聞いていますと、表向きには交付税率の引き上げでがんばると言うけれども、もう腹の中では、なかなかこの不況が克服できない、今度補正予算通ったけれども、それだけでもなかなかいきそうもない、来年度も恐らく赤字の国債を発行して大量の公共事業投資というものをやらなければ、どうにもこうにもいかぬのじゃないかという従来型のそういう経済運営、財政運営を考えておられるようですから、そうなってくると、これは交付税率の引き上げはなかなかむずかしいんじゃないかという、そういう見通しを大臣お持ちで、したがって先回りをして、もし税率が上がらぬ場合には、交付税そのものをふやす、そういうことはちゃんとお約束しますということになってきたんじゃないかと思うんですが、この辺は余りうがち過ぎなのかどうか、少し大臣の方から御意見を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/274
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275・小川平二
○国務大臣(小川平二君) それはまことにうがち過ぎた御意見でございます。いまの時点ではこの経済環境がどう変わってまいりまするか、あるいは明年度の財政がどんな姿になってまいりまするのか、なかなか測定が困難でございます。何分相当巨額の公共事業費も注ぎ込んできておるわけですから、ある時間の経過とともに景気が上向きに転ずるだろうという期待を持っておるわけで、反面に円高というようなマイナス要因もございまするけれども、もう少し先へいきませんとなかなか見通しがつけにくい。したがいまして、交付税率の問題もその時点で研究してみませんければ何とも申し上げられないわけでございますが、先ほども申しました、ことしと同じようなやり方で、来年なかなかこれは先生方にはしかられるんですから、私はもうそのときやめておるかどうか知りませんが、後の人が大変困ることになり、これじゃとても通り抜けられないという感じを持っておりますということを率直に申し上げるわけです。交付税にいたしましても、これはそのときの状況いかんですが、たとえ一%でも引き上げることができれば非常に幸いだと、そういう努力もしなければならないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/275
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276・神谷信之助
○神谷信之助君 私ちょっと非常に危険な話ですが、一%でも引き上げるようにしなきゃならぬということなんですが、そうしますと、あと今度は仮にそれじらいしかできなくって、結局後の穴埋めをどうするか、最終的には、ということになりますと、ことしは相当部分を地方債に振りかえるという措置で切り抜けたわけですね。これが実は非常に新潟、長野へ行きまして実際の現地の県なり、あるいは市町村を担当して行政を進めておられるところでは、もう大変なことになってきているというのを痛感をしたわけです。たとえば長野県の総務部長さんは、いまのような国の地方財源対策、借金対策のやり方というのは、後年度負担をますます増加させるもので、それでは不安で困る、そういう話が出ます。片一方で同時にもう一つ出るのは、しかしこの借金は自治省がやれと言うてつくった借金だから、わしらには責任はない、後でちゃんと政府がしりはふいてもらうのがあたりまえのこっちゃ、だから逆に言うと、地方債が何ぼふえてこようが、その分は自治体の知ったこっちゃありませんという一面も出てくる。しかし、現実の問題としては、公債費比率が上がってくる、現債高は上がる、だから大変だと思いながら、しかし、よう考えてみたらおれの責任じゃないと、借金は何ぼふえてもそう頭を痛めるだけあほなこっちゃと言わぬばかりの意見が出てきますね。これは新潟県の場合もそうです。私はイタリーまでこの間行かしてもらいまして思ったんですが、イタリーは御承知のように数兆リラからの自治体の借金が出ている。恐らく今年度終われば十数兆になるんじゃないか。そこで、向こうの市長さん二、三会いましていろいろ聞きましたが、それは政府がつくった借金だ、地方税を国税に取り上げて、そしてそのかわりの交付金をくれなかったんだから、こんな借金は何ぼふえようとわれわれは知ったことじゃないと、こう言っている。だから、借金は何ぼふえてもそれほど心配はないというような感覚の答弁、意見が出てくるんです。私はもしそういう状態になれば、これは大変なことではないかと。だから、ことし緊急避難的な措置としてああいう地方債振りかえの措置、財源減収補てん債その他の措置を含めて、今日までも何回かそういう地方債によって切り抜けるという措置をやってきたけれども、もう大変なところへ来ているんじゃないかというように思うんですね。この中期収支計画ですと、最終的には五十五年には二十兆からの地方債残高があるような、そういう計画をなさってますけれども、もう現在で各県市町村の意見を聞くとだめだと言っています。しかも、先ほどから答弁を聞いていますと、そういうやりくりをして、自治省としては財政運営上支障のないように措置をしたと胸を張っておっしゃるんです。ところが、現地へ行って実際に聞くと、何しろそういう借金で回しているわけですから、問題は単独事業というのがどんどんどんどん切り捨てざるを得ない、こう言っています。だから、自治体が地域の住民の要求にこたえて、そしてどうしてもやらなきゃならぬ仕事として、何とかやりくり算段して単独事業をやってきたのが、それは借金でとにかくやりくりしているんですから、そんなところにまでは金は回せぬということで、どんどん単独事業を切らざるを得ないということを長野でも新潟でもおっしゃっています。ですから、このやり方は私はもう来年度の場合、地方債振りかえ交付税の税率を引き上げられることはできない、したがって実質財源なのに、それを地方債に振りかえるというようなことは、これは来年度は財源不足を解消する手段としてはとるべき方法ではない、こういうように思うんですね。これは長野県の知事さん西沢さんも、財源不足を地方債に振りかえて、そのアフターケアを交付税で見るというような制度の運用には私は納得できないんだと。タコの足食いじゃないかと。こんなばかな話はないということを強調して、私ども調査団に意見をおっしゃっておったんですが、この点については大臣いかにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/276
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277・小川平二
○国務大臣(小川平二君) やはり国、地方を通じて税収の絶対額が不足しておるというところに根本の問題があるわけでございますから、仰せの借金政策から脱却いたしますためには、やはりある時期に相当大幅の税負担を国民にお願いしない限り解決しない問題だと思っております。ただ、これを実行できるような環境が到来いたしませんと、これはむずかしいわけで、一日も早くそういう環境が実現することを願っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/277
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278・神谷信之助
○神谷信之助君 いつも大臣はそうおっしゃるんですが、これで通常国会以来そういう答弁しか返ってこないという状況でずっときているんですね。具体的に、それじゃ抜本的な改革なり何なりというのが一体どう進行しているのかという点が少しも明らかにならないというように思うんです。この中期の収支試算表も五十一年度から五十二年度でまた試算表を計算をし直して数字が変わってきておりますが、そうしますと、たとえば五十二年度は前のやつでいくと一兆九千二百億の財源不足を予定しておったわけですが、実際には二兆七百億の財源不足になったわけですね。したがって地方債も一兆八千九百億の予定であったのが三兆二百億、五十二年度で発行せざるを得ない、こういうことになります。じゃ、五十三年度は前の何でいきますと、不足額は一兆四百億でしたが、今年度の分でいくと一兆一千八百億と不足額が上がりました。これは恐らくさらに二兆円を超えることになるか、あるいはその中間でとまるかにしましても、いずれにしてもこの一兆一千八百億を上回るような財源不足額が出るであろうことは、毎年これ収支試算表変えなければならぬような状況がいま起こっているわけですから、政府の思っているとおりに指数、仕法が変化をしていないわけです。したがって恐らくそういう状況になるだろうと。これをその年々の、何といいますか、そのときばったりの手当てをしている。とりあえずぼろをつくろうというようなやり方をとっていたんでは、私は実際に第一線で地方自治体を預かっている知事さんなり、市町村長さんにとっては大変なことだと思う。今度もつくづく痛感をしたんですが、問題は一体これからの地方財政なり行財政についてどういうことを考えているのか、その見通しがはっきりとしない。それが実際に地方で行政を担当している者としてはもう一番の最大のガンなんだと、こういうことをどこでもおっしゃっているわけです。さらにこれは長野県の西沢知事ですが、いま政府が考えているような景気浮揚対策だけでは効果がないと。どうしてもここで行財政の仕組みの抜本的な改革をやらなかったら、仮に増税をやろうとしても国民は納得しないだろうと、こうおっしゃっています。西沢知事は御承知のように税調へ知事会の代表で出ておられますね。税調のお話なんかも少し聞かしていただいたんですが、その西沢さん自身が、とにかく行財政についての抜本的改革、仕組みを根本的に変えるということを考えなかったら、国民に増税で協力をしてくれというようなことは言えた問題ではないということを強調されておりました。私も全くそのとおりだと思うんです。政府がやらなければならないことを一年延ばしに延ばし、場当たりのつくろいだけやってきて、そしてもうしりは増税で国民の方に振りかけると。こんなばかなことがあるかということになるのがあたりまえだと思うんですがね。この抜本的改革の問題については前の福田さんのときも天野さんのときもずっとお聞きしたんだが、しなければいかぬということを言いながら、具体的にどうするのか。地方制度調査会に御相談を申し上げておりましてというような話しか出てこない。これ実際やろうとすれば、急に来年度からやりますというわけにはいかぬわけでしょう。やっぱり何年かかかってコンセンサスを得ながら、そして検討もし、そして一つ一つ解決していかなければいけない、こういうことになろうかと思うんですが、この辺についての展望なり計画、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/278
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279・山本悟
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、地方行財政制度の抜本的な改革ということにつきまして、なかなか具体の問題に入ってこないじゃないかという御指摘でございます。ただいまのお話の中にもございましたように、やはり政府といたしましては、現在地方制度調査会に新しい経済環境に即応した地方行財政制度のあり方について御諮問を申し上げているところでございまして、今後の調査会の答申等を踏まえて所要の措置を講ずるというようなことを申し上げるよりほかに現在の状況ではないわけでございます。あるいは一方では行政改革の問題、いろいろ政府の方でもやっているところでございまして、それに対応いたしまして地方としてもやはり必要な改革をやっていただくというようなことになるわけでございます。そういうような意味で、現在どこまで進行しているんだ、こういう御質問であったと思うのでございますが、直接のお答えになりませんけれども、やはり政府といたしましては、調査会での御答申というようなものを踏まえてやっていくということを申し上げるほかにいまのところはないんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/279
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280・神谷信之助
○神谷信之助君 局長も答弁しながら笑いが出てくるような答弁になるわけでしょう。四十九年、五十年時代から同じ答弁なんです。それで地方制度調査会は今日まで、今度十七次ですか、調査会ができているわけですね。過去にも事務再配分についての答申もしているし、その都度、税財政についても答申もしておる。しかし答申はしたけれども、実際に実効は上がらない。それを繰り返して、何遍でも諮問をして同じことを求めておる。これでは私は問題解決しないと思うんです。まあこれで来年度展望すると、四年連続財源不足額が二兆円を超えるというような事態になろうとしている。冒頭申し上げましたが、きわめて地方財政、行財政にとっても重要な深刻な危機にきている。しかもそれは本来ならもう交付税率の引き上げあるいは制度改革、ことしのようなごまかしのような制度改革でなしにですよ、本来の意味における制度改革に手をつけておらなければならないにもかかわらず、経済の見通しが立たないということを口実にしてサボってきているわけです。経済の見通しが立たないのは政府の責任です。どんな状況であろうと経済の見通しは立つのです。福田さんだから立たないのでしょう。自民党きっての経済通の福田さんが総理になっても、いや景気は持ち直します、七月まで待ってくれ、梅雨が済んだら何とかなる、八月末だと。いまもう年末になってきたでしょう。何ぼでも景気の回復はおくれる。同じやり方やっているんだから、私どもはそれはあたりまえだと言っているんですけれども、そういう政府自身が見通しが立てられないような日本経済の運営をやっている。そのしわ寄せをいま地方自治体が受けて深刻な事態を迎えている。こうなっていると思うんです。ですから、もう御承知かと思いますが、わが党が今度日本経済の提言の中で、今日の地方財政の危機打開の問題についての私どもの考え方も明らかにしています。私どもは今日の事態を解決するのに、一年や二年で一遍で解決できるとは思わない。五カ年ぐらいの計面を立てて、五カ年で正常な状態をつくっていくという方向を考えなければいかぬ。この収支試算表も五カ年になっていますけれども、これはたびたびおっしゃるように、数字合わせにしかすぎないわけです。これが政府の計画として、これでやり切りますということではないということは、先ほども大臣がおっしゃったように、これは計算上の数字にすぎない。そういうことじゃなしに、私ども育っているのは、一つは、地方財政再建緊急措置法というような法律でもつくって、そうして時限立法として、五年なら五年の時限立法として、その間は交付税率を四〇%に引き上げる。あるいは超過負担を計画的に解消するとか、あるいは例の総合補助金制度を導入するとか、そういう方法、それから地方債も政府資金を六〇%というのを自治省は目標にされていますが、これも八〇%までは政府資金を充てるということで、当面の地方財政に対するカンフル注射をやる、片方で同時に地方行財政委員会というものを設置して、そしてこれに政府機関、自治体の代表、学識経験者を含めたそういう三者構成の委員会を置く。で、ここの事務局を強力な事務局にして、そして補助金の対象額の決定やら交付税率の決定やら、あるいは財政基本計画なり地方債計画なりはここでやる。だから、自治省の権限はうんと縮小されるわけです。そういう方向で地方自治の民主的な運営、しかも地方の意見が反映し、地方のそういう代表責任者なんかも入ったようなそういう機関も設けて、この五年間の間に全体的な事務再配分も含め、あるいは税財源の再配分も含めて検討して結論を出していく、こういうことを私どもは考えているわけです。ところが、いままでの各歴代の大臣に聞きましても、一体この地方財政の危機をどうやって、どのように一年で解決するのか、三年かかるのか五年かかるのか、その辺もはっきりしない。ただ、計算上はこういうことになっていますと、ただこれは大蔵省のつくったやつに、その数字そのまま経済企画庁の指標を使って同じような計算で出した数字にしかすぎない、これで解決するわけではない、なぜならこれで交付税率は一体どれだけに上げて、そして地方財源を何年後にはどれだけふやしていくのか、こういう方法、手法は全然ないわけですから、これでは何ぼ五年間の指標が出ていましても、これは五カ年計画とはゆめゆめ言うことはできない、こういうことでしょう。だから、地方財政の危機がこれだけ深刻になってもうすでに数年間にわたって指摘をされながらも、これをどうやって解決するのか、二年で解決できるのか、五年かかるのか、その間に五年間ではどういう計画で何をやるのか、こういう方法すらできていないところに、いま重大な私は問題があると思うんですが、この点についてひとつ大臣の見解をお聞きしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/280
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281・小川平二
○国務大臣(小川平二君) これは地方財政は、国の財政に従属してそのしわ寄せを受けるべきものじゃございますまいけれども、さらばと申して、国の財政と地方財政も分かちがたく不可分の形でつながっておるわけでございましょう。やはり経済が安定の軌道に乗りましてある程度の自然増収にも期待できる、同時にまた、増税が実行できるような環境が出てくるということでありませんと、抜本的な改正ということはなかなか困難だと存じます。五年の計画を立てるといいましても、これはあたかも中期収支試算と同様に幾つかの前提を置いて、これは経済全体の動向を見通した上でなければなかなかむずかしいことだと存じまするし、その前提と現実の経済との間に乖離が出てしまえばそれっきり絵にかいたもちのようなことになるわけでございますから、なかなかどうも仰せのようなことをすぐ実行するということもむずかしい。それじゃ、その日暮らしじゃないかというおしかりを受けるかもしれませんが、かようなむずかしいときでありますので、はっきりした目標を設定して、かつこれを必ず実行してみせるというわけにはまいりかねるというのが現状だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/281
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282・神谷信之助
○神谷信之助君 大臣おっしゃるように、地方財政が日本経済全体の再建といいますか、これを抜きに存在をするわけはないので、したがって、日本経済の再建計画というのをわれわれはつくらなければならぬと言っている。それと連動して、私たちは地方行財政の五カ年による見直し、抜本改革というのが必要だと。問題は、日本丸の船長だとおっしゃっている福田さんが、そういう計画、展望、これを持てないで、そのために国民は不況とインフレの中であくせくし、そして倒産をし、首を切られ、街頭におっぽり出されるという状況で、いま重大な危機がますます深まっているという状況になっていると思うんです。この点はひとつ大臣が閣議の中でも、特に地方自治体を預かる立場からいっても、このままではどうにもこうにもならない状態、これをはっきりさせてもらいたいと思うんです。だから公債費比率、先ほど五十五年度では七%ぐらいだとおっしゃるけれども、長野県で市町村では五十一年度決算では最高一五・七%ですか、というのが報告されましたが、だから現実にはそれぞれ個々の自治体にいったらそんな平均でとった七%ぐらいの数字どころの騒ぎではないので、これは過疎、辺地を抱えている市町村では財政力はきわめて低いわけですから、だからそういう状況があらわれるのは当然なんで、だからそういうことも考えてもらわなければならない。
それからもう一つ、これは新潟の場合で気がついて長野の方も聞いてみたんですが、市町村の地方債で、いままでの国会の答弁ですと、できるだけそういうところは財政力が弱いから良質の資金、すなわち政府資金を回すようにしているとおっしゃっておりましたけれども、そうなってないんですね、現実行って聞きますと。たとえば長野の市町村で縁故債の状況を見ると、四十九年二四・七%、五十年は二五・六%、ところが五十一年になると五四・九%に上がるんです。半分以上は縁故債ですね。で、新潟の方を聞くと、同じように縁故債が五十年が一六・九%でしたが、五十一年は三六・一%、こうなっているんです。ですから、国会で私どもがお聞きしているときは、府県とか大都市というような財政力のあるところには、政府資金じゃなしに、できるだけ財政力の弱い市町村の方に政府資金を回すようにいたしますという答弁でしたが、今度調査に行きまして初めて実態はそうなっていない、これは大変なことじゃないかと、こういうように感じたわけです。しかも、今度公定歩合が引き下げになりまして金利が下がってきますね。そうすると、大都市なんかの場合はある程度銀行と話をして借りかえも可能になってきますが、市町村の場合は農協資金が圧倒的に多いわけでしょう。そうすると、これはそうは簡単に金利の低い方に借りかえるということもなかなかむずかしい、そういう実情も出てきてますからね。だから、この辺はちょっと私どもの聞いておったのと実態が違うんですが、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/282
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283・津田正
○説明員(津田正君) 地方債の資金の問題につきましては、御指摘にもございましたように、いわゆる資金調達能力の弱い市町村になるべく傾斜配分するというようなかっこうになっております。先生御指摘の、長野県あるいは新潟県の数字は残念ながら私ども持っておりませんが、全国で申しますと、五十一年度におきまして政府資金のうち六四・九%を市町村に回しております。それから市町村自体の資金いろいろなものがございますが、市町村の借りている資金のうちの四六・三%が政府資金であると、全体的に都道府県、指定都市、市町村での割り振りでも大体六四%程度いっておりますし、当該市町村の中におきます資金構成におきましても四六・三%、こういうような状況でございます。
個別的な問題につきまして、また御指摘の点も調査いたしまして、もし資金調達等困難があれば私どもまた対処してまいりたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/283
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284・神谷信之助
○神谷信之助君 これは調査報告は十一日の委員会の議事録の末尾に付されることになってますからね、それにはちゃんとそれを指摘してます。ですから、調査報告を一遍読んでもらって、これは長野県及び新潟県の全市町村の資金区分ですが、そういう報告を受けていますから、だからいまの話とちょっと実態が違う感じですから、一遍調査してもらいたいと思います。
いろいろ申し上げたいことはあるんですが、時間もなんですから、地方財政問題については、きわめて来年度対策をどうするか。私はもう来年度あたりから根本的な抜本的な改革へ向けて、その初年度として方針を出して進んでいくということをやらなければ、その場しのぎの、その日暮らしのやり方では第一線の知事さんや市町村長はたまったものじゃないということを今度の調査でも痛感をいたしましたから、その点を指摘をし、またその対策として私どもの考え方も概略申し上げましたので、ひとつ御検討いただきたいと思います。
その次の問題は、前回の、二十七日でしたかの当委員会で、大臣お見えになりませんでしたので、中山政務次官に質問いたしました例の国鉄の再建に当たっての自治体負担の問題であります。これは、私の質問した翌日、二十八日の衆議院の運輸委員会で修正案が可決をされ、そして自民党、民社党、新自由クラブで再建の基本方向というのが政府に対する要望として出されました。
そこで、前回二十七日のときは、大臣おられませんでしたので、中山政務次官及び自治省当局に、あしたそういうことになってきているんで、緊急の対策といいますか、善処をするように注文をしましたら、善処をするというお答えでしたので、まず、自治省としてあれ以後どういう措置をおとりになったのか、あるいはその後の経過、まずお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/284
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285・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) あの際に政務次官から御答弁申し上げましたが、これは政府の問題でなしに国会の問題であると、国会議員としての立場で政務次官は善処するという答弁をされたわけですが、あの後すぐに衆議院の地方行政委員会の方に、そういう動きがあるということを政務次官の方からお伝えになりまして、翌日でしたか、地方行政委員会の方で、運輸委員会の方で国鉄の再建の基本方針の中に公的助成という表現があり、その内容として関係地方自治体の財政負担を予定しているんじゃないかというようなことの心配があるのでその点はどうか、ということを地方行政委員会の方から運輸委員会の方に連絡されまして、関係地方団体の財政力が非常に弱いし、その負担において国鉄の健全化対策が講じられるということは地方行政委員会としては困るという趣旨を伝えられまして、その際に、地方行政委員会のある理事さんがその旨を伝えられたところ、表現は非常に概括的というか抽象的であって地方団体の負担を直接的に表現するものでないというような回答があったので、それではやむを得ぬというようなことで、地方行政委員会としてはそれ以上の何というか申し入れとかその他の措置はとらなかった、このように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/285
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286・神谷信之助
○神谷信之助君 大臣、これ実際には、二十七日の委員会のときにも私申し上げましたが、衆議院の運輸委員会の理事会では、自民党の加藤理事から修正案の提案並びに国鉄再建の基本方向案について提案をされました。そして、この公的助成というのは国と地方公共団体と明確に書きたいんだけれども、地方公共団体と書けば風当たりがひどいので、公的助成という表現になっているという説明をつけて提案になったわけです。それを含めて二十八日に採決になったわけですが、この問題について福田総理の方はその運輸委員会でどういう答弁をなさっているか、御承知ならお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/286
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287・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 十月の二十八日の衆議院運輸委員会におきまして、小林政子議員の御質疑、国鉄経営上の構造的欠損について公的助成を含む所要の対策を講ずるとしているがこの公的助成には地方公共団体を含むのかと、これは要旨でございます。要旨このような御質疑があった。これに対して総理大臣の答弁、これも要旨でございますが、公的助成については字句的には地方公共団体を含むが、具体的に地方公共団体に負担させるかどうかについては、新しい国鉄再建対策の閣議了解までの段階に関係省庁において詰めることとしたい、こういう答弁をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/287
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288・神谷信之助
○神谷信之助君 参議院の運輸委員会は、昨年の十一月四日、この問題で決議をして、「地方交通線等の赤字に対しては、一段と助成を強化し、の責任において解決するよう努力する。」、こういう決議を全会一致でやっているわけです。これを受けて、先ほどもちょっと話が出ました閣議了解では、国の責任で対処するという了解事項が成立していると思うのです。で、ローカル線に対する赤字対策をどうするかという方向は、いままでは自治体までは考えていない、こういう路線が出てきておったわけですね。ところが今回の運賃値上げに当たっては、自民党、それから新自由クラブ、民社党の共同要望といいますか要請として、公的助成という新しい文書が生まれてきた。これは明らかに地方自治体への負担をも含めて政府は考えろということになるわけです。総理は慎重に、十分に関係各省と協議をし検討するというような答弁をなさったようですが、しかし、公的助成という文言自身の中に地方公共団体が含まれているということはお認めになっているわけです。私はこれは、だからそういう意味では、いままでの国会の国鉄の赤字対策に関するいろんな決議事項の中で初めて公的助成という文字が出、地方自治体への負担を検討するという問題が出たことはきわめて重大に思うわけですね。この間もですから申し上げておったのですけれども、いまおっしゃるように、大体ローカル線、しかも赤字のひどいところというのは過疎の地域、財政力の弱い市町村を走っていると。ここで構造的欠損が出るんだからそれを負担をせい、負担をしなければもうそこには汽車を走らせない。かわりに総合的交通機関、というのですから、バスにかえると。汽車をやめてバスにかえる。バスにかえますと、私も京都で調べてみると、一カ月の定期ですが、大体汽車で行くのとバスで行くのとでは、八倍上がるわけです。これはもう、産業基盤も弱い大変なところで、汽車もなくなってますます過疎が進行すると同時に、その地域住民の負担は交通費について八倍もふえていく。こういう事態が生まれるわけだし、どうもおかしな話だ。しかも第一項では、都市間輸送その他の問題は国鉄の中心の仕事としてこれはやります。都市間輸送あるいは都市圏輸送、これらで現在旅客貨物含めて総合で、全体で赤字でない線といえば、山手線と高崎線しかない。だから、たとえば大阪の環状線なんかは、赤字であっても、これは国鉄の中心の対策事業として、別に大阪市や大阪府に財政負担を求めるわけではない。だから財政力の最も弱いところに、おまえのところは赤字路線やからそれはもう廃止をするから、そのかわり走らしてほしかったら金を負担をせいということになりかねない内容なんですね。しかしそういうことを仮に自治体が負担をするとしましても、これは結局はそれに対する国の財政措置をせにゃいかぬわけです。自治体で、そういう市町村だけで負担できるわけでないんですから、結局は国が責任持つ以外にないわけです。ですから、この辺はひとつ大臣の方も注意をしてもらって、特にそういう点では運輸大臣とも十分事前にも協議をしてもらい、あるいは国鉄当局とも十分その点で協議をしてもらい、自治体に対する負担をしないということをぜひとも明らかにしてもらいたい。そういう点をひとつ決意を持って臨んでもらいたいというふうに思うんですが、この点大臣に見解を聞いておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/288
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289・小川平二
○国務大臣(小川平二君) この件につきましては、けさほど和田委員の御質疑に対してもお答え申し上げたのでございますが、この公的負担というような文言を用いるについて、私は国会でお決めになったことをとやかく申し上げるつもりはございませんが、各党の運輸委員、地方行政委員の間で十分の話し合いが遂げられざるままにこういう文言が用いられたんじゃなかろうかと存じまして、この点はまことに残念なことと思っておりますが、まあ公的負担という文字、字句を素直に解釈いたしますれば、これは公共団体の負担をも含むものと理解せざるを得ないと存じます。ただ、ただいまるる御指摘をいただいたように、今日地方公共団体が国鉄の赤字の解消に協力する余裕などは全くないものと考えざるを得ないわけで、総理大臣も答弁をなさっておいでになりまするように、公的負担をどうするかということは今後の検討問題にしたいと、こう申しておるわけでございますが、私は自治大臣といたしまして主張すべきことは主張をするつもりでございます。かようなことが実現をいたしませんよう努力するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/289
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290・向井長年
○向井長年君 私は一時間の持ち時間がございますが、実は今後の地方自治のあり方並びに来年度以降の財源の見通し、主要財政計画の見直し、あるいは地方交付税制度の改善、その他地方税全般について質問をいたしたいと思っておりましたが、もう時間も大分まいりましたし、先ほどからの質疑を聞いておると重複する点がたくさんあると思います。したがって、私はかかる問題については、特に大臣が、次期には大臣は私はやめているかもわからぬという弱気を出しておりますけれども、そういうことじゃなくて、先ほどからの質疑を通じて熱意を持って取り組んでいただきたいということをひとつ要望いたしたいと思います。したがって、先ほど申しました問題につきましては質疑を私は割愛いたしまして、適当な機会にまたやりたいと思います。
ただ、一点だけ申し上げたいことは、この十月二十日の週刊新潮ですね、ここに出ておるんですが、地方自治三十周年の式典がございまして、大臣が出席されて祝辞を述べておられます。この見出しが「自画自賛地方自治三十年」こういう見出しで、まあ大臣の祝辞でございますから、やはり儀礼的に言ったと思いますけれども、三十年経過して完全に国民生活に地方自治が定着したと、こういうことを言われておるんですよ。これはまあ儀礼的な祝辞でございますから理解できますけれども、心からそう思ってないでしょう、恐らく。私はそう思う。本当に定着したんだったら、きょうのあの論議のようなものは出ないはずなんです。そして赤字財政の中で各地方自治が苦しんでおるという実態、こういう問題出ないと私は思う。したがって、まあ儀礼として私は受け取り、先ほど言った見直し等を今後進めなければならぬと、そして名実ともにやはり地方自治の体をなす形をつくり上げなければならぬのではないかと、こう私は思うわけであります。したがって、その大臣の決意をお聞きし、まあ実際問題としては、先ほどの論議もありますように、国自体の経済、財政の計画、見通しがまだまだ不十分ですね。こういう中で、地方自治だけの財源がこうだああだと言っても、私は無理な状態であるということはわかっております。したがって、きょうは私は質問をやめますけれども、いま言ったこの地方自治が完全に定着したということは言えないんではないか、この点について大臣に質問いたしまして私は質問をやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/290
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291・小川平二
○国務大臣(小川平二君) 制度として国民の御理解と協力のもとにほぼ定着をしておるのではなかろうか、また地方公共団体におきましてもこの制度の運営に次第に習熟してきておるということは言えるかと存じますが、決して自画自賛できるような状況だとは存じておりません。ことに当面非常に不健全な状況に地方財政は立ち至っておりまするし、一日も早く今日の税財政制度の根本的改正を実行しなければならない、しかるにそれが思うに任せないというのが今日の実情でございます。また、国、地方の行政事務の再配分についても、いろいろ御指摘をいただいておるにかかわらず、なおかつこれが実行できない。今回の行政制度の改革を機会に実行いたさなければならない問題もたくさん残っておるわけでございまして、たとえば許認可の制度の大幅な整理、あるいは補助金の交付の手続をもっと簡素なものにする、あるいは地方出先機関の整理、地方公共団体の自主性を高めるという観点からは実行すべくして実行し得ざる問題がたくさん残っておると存じます。そういう意味で、決して今日の地方自治の制度これで十分だと自慢をするような気持ちはないわけでございまして、これからも御鞭撻をいただいて、及ばずながら一生懸命努力をしてまいりたいと考えておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/291
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292・向井長年
○向井長年君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/292
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293・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/293
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294・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
地方交付税法等の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/294
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295・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/295
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296・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 速記を起こして。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/296
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297・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 次に、地方公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、提出者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院地方行政委員長代理木村武千代君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/297
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298・木村武千代
○衆議院議員(木村武千代君) 地方公務員法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を申し上げます。
ただいま議題となりました地方公務員法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げます。
まず、本案を立案いたしました理由を述べますと、本案は、特別区の規模及びその特殊性にかんがみ、特別区が条例で人事委員会を設置することができる道を開こうとするものであります。
御承知のように、現行法では特別区に公平委員会を設置することが義務づけられておりますが、昭和四十九年の地方自治法の改正により、特別区について区長公選、保健所の移管など事務・事業の増大、配属職員の身分切りかえ等が行れるとともに、原則として市に関する事務を処理することとされ、特別区は実質的に完全自治体としての性格をきわめて強くしてきております。その人口の規模も大は七十万人を超える状況でありまして、これまでの都・区における人事行政の歴史的沿革や特別区における公正な人事行政の確保を図る趣旨から申しましても特別区に人事委員会を設けることは適切な措置と考えられるのであります。
次に、その内容を申し上げますと、現行法では地方公務員法第七条第三項の規定により特別区は条例で公平委員会を置くこととされておりますが、これを改正して特別区に人事委員会を置くことができることとするものであります。
以上が本案の立案の趣旨及びその内容の概要であります。
この法律案は、衆議院におきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの各党の合意のもとに成案を得まして、国会法第五十条の二の規定により、地方行政委員会の提出にかかる法律案として提案し、全会一致をもって衆議院を通過いたしたものであります。
何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申す次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/298
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299・金井元彦
○委員長(金井元彦君) これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
地方公務員法の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/299
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300・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/300
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301・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後五時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108214720X00419771101/301
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