1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年二月十七日(金曜日)
午前十時七分開議
出席委員
委員長 竹本 孫一君
理事 國場 幸昌君 理事 西銘 順治君
理事 本名 武君 理事 村田敬次郎君
理事 加藤 万吉君 理事 安井 吉典君
篠田 弘作君 住 栄作君
上原 康助君 島田 琢郎君
玉城 栄一君 瀬長亀次郎君
甘利 正君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(沖繩開発庁長
官) 稻村左近四郎君
出席政府委員
内閣総理大臣官
房交通安全対策
室長 室城 庸之君
防衛施設庁総務
部長 奥山 正也君
防衛施設庁施設
部長 高島 正一君
沖繩開発庁総務
局長 亀谷 禮次君
沖繩開発庁振興
局長 美野輪俊三君
外務省アメリカ
局長 中島敏次郎君
委員外の出席者
厚生省医務局指
導助成課長 岸本 正裕君
社会保険庁医療
保険部健康保険
課長 坂本 龍彦君
農林省食品流通
局市場課長 渡辺 武君
特別委員会調査
室長 綿貫 敏行君
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二月十六日
沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律
案(内閣提出第二八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律
案(内閣提出第二八号)
沖繩問題に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/0
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001・竹本孫一
○竹本委員長 これより会議を開きます。
まず、沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から提案理由の説明を聴取いたします。沖繩開発庁長官稻村左近四郎君。
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沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/1
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002・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 ただいま議題となりました沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
沖繩振興開発金融公庫は、日本開発銀行、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫が行っているそれぞれの業務を沖繩において一元的に行う総合公庫として、沖繩が本土に復帰いたしました昭和四十七年五月に設立されて以来、産業の開発に必要な資金等を融通することにより、沖繩における経済の振興及び社会の開発に寄与してまいったところであります。
政府は、沖繩が本土に復帰して以来、沖繩の振興開発を図るため、沖繩振興開発計画に基づき、鋭意、各般の施策を進めてきているところでありますが、沖繩における産業の振興開発をさらに積極的に促進するため、沖繩振興開発金融公庫の機能の拡充を図る必要があるので、ここに、この法律案を提出することにいたした次第であります。
以下、この法律案につきまして、その概要を申し上げます。
沖繩振興開発金融公庫は、沖繩において産業の振興開発に寄与する事業を営む者に対し、主務大臣の認可を受けて、所要の長期資金を出資し、または債務の保証を行うことができることとしております。
なお、この改正に伴い、所要の規定の整備を行うとともに、公庫の予算及び決算に関する法律について、所要の改正を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/2
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003・竹本孫一
○竹本委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
なお、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/3
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004・竹本孫一
○竹本委員長 次に、沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井吉典君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/4
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005・安井吉典
○安井委員 できるだけ私の質問は詰めて、次の上原委員に早目にバトンタッチをしたいと思いますが、先日の長官の所信表明をお聞きいたしましたところ、沖繩の振興開発については他地域を大幅に上回る公共投資がなされて、公共施設の整備はおおむね順調に進展し、本土との格差は次第に縮小されているという表明が行われております。振興開発計画はいま後期に入り、最終の目標に向かって進みつつある中で、五十三年度予算が編成をされたということではないかと思います。しかし、県の調べによりますと、五十一年度における県民一人当たりの所得の全国平均との比較では七五・一%にとどまっているという数字が出ており、現在並びに今後における経済見通しの厳しさから判断して、最終年度の五十六年度に八〇%にまで引き上げるという目標は達成がかなりむずかしいのではないか、こう思われるわけですが、それについてはどうお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/5
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006・亀谷禮次
○亀谷政府委員 お答え申し上げます。
先生から御指摘がございましたように、沖繩が復帰いたしまして今年で五年を経過し六年目に入っておるわけでございますが、この間計画が、当初目標としておりますところは、御案内のとおり本土との間の格差を早急に是正をいたしますとともに、自立的な発展の基礎条件を整備をする、こういうことがその眼目になっておりますと同時に、何といいましても、県民の方々の所得を本土水準まで上げるということも大きな目標であることは明らかでございます。
復帰しましてこの五年間を見ますと、御指摘のように本土を上回る大幅な公共投資をいたしました結果、道路、空港、港湾等を初め、各般の社会資本施設につきましても、かなり本土水準に到達しつつあるわけでございます。そういったものはすでに本土水準に達しておりますが、なおそのほか学校教育施設を初め諸般の施設も、おおむね計画の期間中にほぼ本土水準に達するものと考えております。
県民所得につきましても、ただいま御指摘がございましたとおり、この前期五年の間の沖繩におきます経済成長率が本土の実質経済成長率のおおむね倍近く伸びてきておりまして、そういったことで五十一年までにはおおむね七〇%を超える所得の格差の縮まりがあったわけでございます。ただ、御案内のとおり、海洋博後の景気の落ち込みが、本土を含めました日本経済全体の影響の中に特に沖繩にも顕著に出ておることは否めません現実でございます。そういったところで、若干この五十一年の経済、所得の伸び等もやや停滞という計数も承知をいたしております。
ただ、五十二年になりましたところでは、具体的に申し上げますと、観光入り込み客も当初の予定以上に入っておるというふうに承知をしておりますし、御案内の政府公共投資も十五カ月予算というふうなことで、大幅に沖繩の社会資本の整備に合わせまして、景気、経済の振興も考慮しつつ組まれておる、こういったこともございまして、やや明るい見通しも持てるのではないかと年度末を見通した感じでは持っております。
なお、新年度につきましては、先生も御案内のとおり、現在の予算案におきましても、公共事業を中心にした沖繩振興開発事業におきまして三十数%、三六%を超えるような大幅な伸びを含んでおりますし、かたがた沖繩振興開発金融公庫につきましても、中小企業のてこ入れ、住宅投資等を中心にしてかなりの資金の伸びを見込んでおるところでございます。
なお、ただいま大臣から提案理由の御説明を申し上げましたとおり、沖繩の地場産業に関連しました企業の誘導、新規立地を目途としました公庫法の改正もお願いをしておるところでございます。
こういったことを含めまして、私どもとしては率直に申し上げまして、先生御指摘のように産業経済の構造及び労働雇用の面は相当厳しいものがあるとは思いますけれども、この後期五年に当たりましてもそういった問題を直視しつつ、なお計画の実施、推進を図ってまいりたい、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/6
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007・安井吉典
○安井委員 私が伺っているのは、大臣、目標どおりいくのかどうかというその見通しを聞いているわけです。非常に厳しい本土の経済の状況が沖繩にも当然響いていくし、企業の新しい進出などもなかなかむずかしいというふうな状況もあるわけです。ですから、よほどの決意でなければ目標の達成というのはむずかしいのではないか、こう思うのですが、大臣からもひとつお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/7
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008・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 いま御指摘の問題でありますが、沖繩の経済情勢、特に雇用関係、こういったものは大変厳しい中にあるということを私も率直に受けとめております。そういう意味から、今度の公共事業を三四・九%、大幅に伸長をいたしたわけであります。これから発生するところの雇用関係というのは大体一万人弱、八千人程度ではなかろうか、こういうふうに考えておりまして、きょう趣旨説明をいたしました沖繩振興開発金融公庫法の一部改正問題というのは、地場産業の育成を図っってまいりたい、せっかく伝統工芸としてすばらしいものがあるわけでありますが、やはりこれにもう少し力を入れていかなければならない、こういうふうな形で公庫の一部改正をお願いをしたところであります。
ただ、問題はやはり産業の誘致の問題でございますが、全く御指摘のとおり、なかなかむずかしいものがあるのではないか、こういうふうに考えております。結論といたしましてどうなるのか、こういうことになると思いますが、逐次向上をしておる。四十七年あるいは五十一年はやはり七〇%台まで、こういうことでございますので、見通しはきわめて明るいものがあるのではないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/8
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009・安井吉典
○安井委員 いまの段階で見通しを明確に言うわけにはいかないという事情もあるのはわかります。いずれにいたしましても、目標達成のために政府は施策のすべてを挙げて全力を尽くすべきだ、そういう言明だけでも明確にしていただきたいと思います。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/9
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010・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 お答えをいたします。
御指摘のありました点は十二分に受けとめまして、あらゆる角度からの施策を強力に進めてまいりたい、こういうように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/10
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011・安井吉典
○安井委員 それに関連して問題になる二、三の点を指摘したいと思うのですが、ことしの予算編成のうち、沖繩開発庁関係の部分の中身を見ましても、いま大臣が言われましたように三四・九%の前年度対比のアップというのは、まさに公共事業費を中心にした上昇であるわけです。したがって、公共事業にかかわりのある社会資本の充実というのは、新年度の予算の遂行の中でもかなり見込めるのではないか、そう思うのですが、ただ、過去の他府県との比較の上においても、おくれているのは福祉関係の事業、医療、あるいは同じ教育施設でもプールだとか屋体のような付帯的な施設、体育施設等は他府県に大きな格差をつけられているというのが実態であります。ですから、この面にもっと力を入れなければ、格差の是正と言ったって、公共事業だけば進んでも本来の県民の生活につながるものがおくれていくのではないか、これが一つ。
それからもう一つは、県民格差を幾らかでも他府県並みに近づけていくという段階において失業の問題があります。本土の二倍以上も高い失業率を抱えておるという沖繩の実態、失業している人には給料が当たらないわけです。いろいろな穴埋めがあっても、一〇〇%にはなっていないわけですよ。つまり、失業者が多いということは給与の所得が少ないということですよ。ですから、沖繩の所得水準を下げているのは失業率の高さというのが影響があるということは間違いないと思います。
ですから、私はいまここでたくさん問題がある中で、そのうちの二点だけ申し上げたいのは、福祉や文教施設における格差を是正することにもっと努力をすべきでないかということと、それから失業の問題をさらに真剣に対策を講ずるべきではないかということであります。その点についてお考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/11
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012・美野輪俊三
○美野輪政府委員 お答えいたします。
いま先生から御指摘のありました福祉、医療等の関係につきましても大いに施設整備等を図るべきじゃないかという点につきましては、私どもといたしましても前々から真剣に考えておるところでございまして、来年度の予算におきましても、たとえば保健衛生等の関係におきましては本年度に比較いたしまして四一・八%の増を見ておるところでございます。それからまた、教育施設関係等につきましては五十一年度から五十三年度の三カ年計画におきまして公立の文教施設も本土並みの達成ということを目標にいたしましてその整備を進めてまいったところでございますが、御指摘の学校のプールあるいは公民館、そういったものの整備水準は、まだまだ本土とかなりの格差がございます。私どもとしましては、まず根幹になる公立学校施設につきまして本土並みを達成する、それから先生御指摘のありましたプール等につきましても、大体計画年度内には本土並みを達成しようということで努力をいたしておるところでございます。
それから、もう一つお尋ねのございました雇用と公共事業との関係でございます。これは来年度三四・九%の公共事業費の伸びを見込んでおるわけでございますが、これはもちろん社会資本の整備をできるだけ早急に本土並みに達成するということで第一義的に考えておるわけでございますが、同時にやはり現在の沖繩の社会情勢、雇用情勢に対する効果というものも十分踏まえながら公共事業費の枠の確保に努力をいたしておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/12
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013・安井吉典
○安井委員 福祉や文教等、五十二年度に比べて五十三年度の予算が非常にふえたという御説明は、それはそのとおりかもしれませんけれども、しかし現実には、本土類似県との比較において、老人福祉センターなどは二八・六%というような低い水準なんですね。軽費老人ホームは四四・六%、精薄の方は五〇・三%、養護施設が三三・六%、あるいは小学校のプールなどは一七・六%、中学校の方は一六・九%と、幾つかの例を挙げましたけれども、これは問題にならないぐらいの低さの中にあるわけですから、昨年度の予算との比較において問題を論ずるのではなしに、格差を解消する、絶対額を大幅にふやすということに主眼を置かなければ問題の解決にはならぬということを私は一つ指摘をしたいわけです。
それからもう一つは、今度公共事業がこのような大幅な施行になるわけでありますが、これによってどれぐらい沖繩の雇用がふえるのか、それについてお見通しがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/13
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014・美野輪俊三
○美野輪政府委員 これは私どもの方できわめて大ざっぱな推計でございますが、むずかしいいろいろな条件がございまして厳密な推計というものはなかなかできないわけでございますけれども、沖繩振興開発事業費、それから公庫融資におきます住宅融資、それからもう一つは他省庁の予算の中で主として公共投資に相当するもの、こういったものを含めて考えてまいりますと、民間投資による雇用に変動がないものといたしましておおよそ八千人の雇用増が見込めるのではないか、このように推計をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/14
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015・安井吉典
○安井委員 もう一つ、公共事業がふえたことで総合事務局あるいは県、市町村等の施行体制が十分整っているのかどうかという心配も一つあるわけです。大変な仕事がふえるわけですから、それに伴う技術者などはきちっと対応できるのかどうか、あるいは自治体の側の財政への配慮、そういうようなものはきちんとなされているのかどうか、その点をひとつこの際お聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/15
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016・美野輪俊三
○美野輪政府委員 沖繩振興開発事業の施行につきましては、昭和五十一年度では年度内の執行率が九二・二%となってございます。これは全国水準が九六一%でございまして、復帰直後ふなれ等のために非常に低かったわけでございますが、ほぼ本土水準に近づいてきておるということでございます。それからまた五十二年度、まだ年度途中でございますが、十二月末におきまして公共事業の契約率が八二%で、これを前年同期に比較いたしますと、前年同期が八〇・五%でございますから、これを若干上回る改善を見ておるわけでございます。
今後の問題でございますが、県におきましても技術者の再配置等を含めて公共事業等施行推進本部を設置いたしまして執行体制を強化しておるということのほか、また沖繩総合事務局を中心にいたしまして、沖繩の出先機関、県等を交えました公共事業推進協議会をつくりまして、お互い協力し合いながら公共事業等の円滑な執行に努力をする、こういうことになっております。私どもといたしましても、その円滑な執行に万全を期してまいりたい、このように考えておるところでございます。
それから、公共事業費等の大幅増に伴いまして地元負担がどうかというお尋ねでございます。沖繩につきましては、先生御案内のとおり補助率等につきまして特例が設けられておりまして、地元負担が軽減されておるわけでございますが、さらに五十三年度の予算編成に当たりましては、県当局とも十分に連絡をとりながらこれを行ってまいっておるところでございます。また、地方の負担増のほとんどは充当率の高い起債対象事業でもございますので、かたがた昭和五十三年度の地方交付税等、地方財政措置の充実とも相まちまして円滑に執行されるものと私どもは期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/16
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017・安井吉典
○安井委員 ほかの問題がありますから大まかな議論だけで終わるようなことになりそうですが、現実にはほかの県、ほかの市町村も、実は公共事業をもてあましているのです。そんな仕事が来たってそれをこなすだけの人がいないとか、あるいは、沖繩は補助率が高いのはわかっていますけれども、しかし実際は超過負担があるのであって、政府の対象というのはそれで十分にできるような額になっていない。そういうようなことで自治体の財政にも非常にしわ寄せが行われているという実態が全国至るところにあって、沖繩だけが決して例外ではないと思います。したがって、そういうようなことにまで細かな配慮をもっともっと慎重にすべきではないかと私は申し上げておきたいわけです。
大臣にもひとつ、いまのやりとりの中でおわかりのように、福祉や文教施設の格差是正だとか失業率の低下だとか、それらの問題についてもさらに力を入れていただきたいわけですが、御決意を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/17
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018・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 お答えいたします。
いま、公共投資のみでなく福祉関係についてもと、こういう御意見でありますが、いま局長が申したとおり、この問題についても本土との格差を是正をする、こういう意味から積極的に取り組んでおる、こういうように申し上げたとおりであります。
もう一つ加えておきますならば、やはり水源対策である。この問題を相当積極的に予算化を進めて沖繩の方々の水に対する心配、こういう点をなくしていきたいというのも、今度の文教あるいは福祉、体育、その他と合わせて生活環境づくりの中での一つの大きな柱である、こういうふうに申し上げておきたいと思います。
雇用問題については、いま局長が申し上げたとおり、できるだけ本土並みの形に持っていくということにひとつ全力を挙げていきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/18
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019・安井吉典
○安井委員 次に、アメリカに対して放棄した請求権の補償の問題です。
今度の政府の予算の中にも漁業関係十億円の補償を予算化しているというのは、今日まで何ら手つかずに来たこの問題への一つの手がかりができたものとして喜ぶべきことであろうと思います。しかしこれだけで問題の解決ができるわけではありませんので、これに関連しての相対的な問題点をどう解決するのかということをひとつ伺っておきたいと思います。
その前に、漁業団体のこの十億円というのは一括して漁業施設整備等に充てられるというふうに説明を受けていたわけですが、たしか六千件を超える件数で四百九十六億円ぐらいの請求があったように思うのですが、これでおしまいなのか、これはなお追加されるのか、それからさらに、これについての法的根拠は何に求めておられるのか、その点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/19
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020・亀谷禮次
○亀谷政府委員 お答えいたします。
先生の御指摘にもありましたように、いわゆる対米放棄請求権の処理につきましては、復帰後今日まで関係省庁及び地元の県を初めとする関係機関の方々と協議あるいは調査を進めてきたところでございますが、今日に至りましていわゆる対米放棄請求権事案のうち漁業補償につきましては、おおむね調査が完了いたしまして、その実質的な被害と申しますか算定さるべき額につきましてもおおよそ推定といいますか額の捕捉がつく、こういう事態になったわけでございます。
そこで、地元の協議会関係の方とも御相談いたしました結果、他の事案につきましては昨年の七月に第三次のいわゆる補償請求の御提案がございました分を含めて全体がおおむね十二万件、金額にして一千億を超える膨大な内容となっておりますとともに、内容の事案がいずれも複雑でございまして、いましばらくこれらの事案の内容を調査し検討する必要があろうということで、むしろ県知事を初め地元の補償関係の機関の方々も、これらの陸上事案と切り離して漁業補償を先に処理してもらいたい、こういう御要請がはっきりございました。こういうことも踏まえまして、政府といたしましては五十三年度予算にいわゆる漁業関係の請求事案に限りまして、その所要資金の一部として十億円を特別支出金という形で予算案でいま御審議をいただいているところでございます。
この漁業補償の関係につきましては、いろいろ議論がありましたけれども、端的に申し上げまして、御案内のように返還協定等の条約におきましてわが国が請求権を放棄したということの内容につきましては、国の外交保護権を放棄するということでありまして、国が国民個々の方の請求権を国民にかわって放棄したものではございません。したがって厳密に法律上の責任ということではないわけでございますけれども、政府といたしましては、沖繩が戦後二十七年間米国の施政権下に置かれていましたことからくるいろいろな事情を考慮いたしました結果、先生御案内のとおり、沖繩の復帰対策要綱におきましても、実情を十分調査の上国において適切な措置を講ずるという方針を決めていたことにかんがみまして、今回これらの漁業の事案につきましては、すでに講和前の人身補償に関しまして見舞い金の支給等の措置もとられていることでございますので、これらの例を十分しんしゃくした上で特別支出金の支出ということにいたした次第でございます。
したがいまして、私どもの政府の見解といたしましては、これを一応予算措置で処理することが従来の他のいろいろな事案から照らしまして適当であろう、こういうことで判断いたしまして御審議をお願いしているところでございます。
なお、内容といたしましては先生が御提示のように、金額それ自体は協議会関係からの御要望はかなり大幅なものではございましたが、防衛施設庁等、現在漁業の補償関係を専門にやっていただいております機関等とも十分検討及び請求団体と御調整をいただいた結果、これらのいわゆる客観的な基準に照らしまして調整をいたしました結果、おおむねこれらの事案の内容といたしましてはほぼ三十億円、こういうことで内定を見ております。これの一部ということで今回十億円の特別支出金を計上いたした、こういう経緯でございます。
なお、他の事案につきましては、ただいま冒頭申し上げましたように、今後なお所要の調査、それから本土における先例等も十分徴しながら、新年度におきましては関係行政機関によるところの協議会も設置をいたした上で、地元等の意見あるいは御報告も十分徴しながら、なお慎重に検討していきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/20
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021・安井吉典
○安井委員 三十億円ですから、あとは後年度で支出をし、それで完全な納得がいくということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/21
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022・亀谷禮次
○亀谷政府委員 地元補償協議会とも、十分お話を申し上げた結果、申し上げたような処理をするということに相なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/22
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023・安井吉典
○安井委員 法的な基礎は、結局予算補助ですから、財政法ということになるわけですかね。――私は、戦後処理の一環としてのこの補償をどうするかという統一的な方針を政府として明確にすべきであるということ、それにはやはり立法措置が必要なのではないかということ、さらに窓口をきちっと早く決めるべきだということ、こういうようなことをいままで主張してまいりましたが、あと千百七十二億円もの膨大な請求があるわけです。それをどう処理するかということは、そのような方針を明確にするということから始めなければならぬのではないか。なし崩しにしていくというふうなことでみんな納得するものではないと思うわけです。その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/23
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024・亀谷禮次
○亀谷政府委員 先ほどお答えをいたしましたように、このいわゆる陸上部分と申しますか、三次までの御請求を合わせて件数にして十二万件、内容として一千億を超える膨大な事案でございます。個々の事案につきましては、それぞれいろいろの経緯がございまして複雑でございますが、私が申し上げましたように、それぞれの請求の事案が本土の先例あるいは過去に行われた事例、それから先生御案内のように、これらの事案につきましては、すでに沖繩が復帰以前に、米国が施政権を持っておりました当時の米国政府において一部支払われた、こういう経緯のものもございますので、これらいろいろなものを彼此検討、調査の上で基本的にどういう方針で陸上部分については処理するのが妥当であるか、こういった基本方針自身につきましてもさらに詰める必要がある面が多いわけでございます。したがいまして、先ほどお答えしましたとおり、明年度におきましては開発庁を含め、関係行政機関によるところの正式の連絡協議機関を設けまして、ここにおいてこれまでの調査で判明いたしましたいろいろな事案及び米国施政権下におきますところのとられた措置等を十分検討いたしました上で、政府としての基本的な処理方針を定めたい、これが大きな眼目になっておるわけでございまして、そういう基本的な方針が固められた上で、恐らく個々具体的な問題につきましての対策が図られていく、こういう経緯になろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/24
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025・安井吉典
○安井委員 大臣、どうでしょう。これは沖繩の戦後処理の最大の問題として残っている点なんですが、大臣が長官として在任中にひとつめどをつける、これぐらいのおつもりで取り組んでいただきたいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/25
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026・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 この問題はいろいろむずかしい問題があり、解明すべき点も多いかと思います。そういう意味から本土でなされた先例等々も参考にしながら、先ほど局長の方からお話がありましたように、五十三年度は各省庁による協議会を設けまして、この問題に取り組んでいきたい、こういうように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/26
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027・安井吉典
○安井委員 取り組みは事務ベースで進んでいるようですが、しかしこれはやはり政治的な決断だと思います。そのことをひとつ明確にしていただきたい、こう思うわけです。
もう一つ、交通方法変更対策について伺っておきたいと思います。問題の交通変更の対策は、昨年の九月二十日の政令で、ことしの七月三十日からいよいよ本土並みとされるということになってきたわけです。私はこの問題について幾つかの特別な性格というものを考えることができるのではないかと思います。
一つは、いままでもオーストリアだとかアルゼンチン、ハンガリー、スウェーデン、アイスランド等でも交通方法の変更が行われたわけですが、これはいずれも左から右への変更であったわけです。右から左へ変えるというのは、世界唯一の例になるのではなかろうか。つまり世界の流れに逆行する今度の変更だという点が重大だと思います。国際条約でなっているのだから仕方がないのだ、こう言われるかもしれぬが、県民の気持ちからすれば世界全体の流れに逆行するものだということを、百万人の人がみんな一つずつ知っているわけですから、そういう意識というものをぬぐい去るわけにはいくまいと思います。
それからもう一つは、これも沖繩復帰後の大事業で、しかも県民の願わざる国家事業だという点だと思います。三十年もなれてきたいままでの交通方法、これは世界のどこの国も大陸国はみんなそうなんですから、それを国の都合で変えさせられるという点、これも県民意識の中に一つの抵抗感が残る点ではなかろうかと思います。
それから三番目には、私がいま幾つか国の名前を挙げましたが、それらの国の切りかえというのは国民全体が関係者なわけです。アルゼンチンにしてもスウェーデンにしても、国民全体が関係者で、一方で反対というのは許される道理はないわけです。しかし沖繩の場合は、日本国民全体の中の沖繩県民だけが、あの人たちの意識からすれば被害者だ、こういうふうな意識をぬぐい去るわけにはいかないと思います。つまり、こういうような幾つかの特殊な性格を持っている交通方法の変更であるという点を前提にして、私たちは取り組んでいかなければならぬのではなかろうかと思うわけです。したがって、国際条約の制約の中にあるわけですから、これでどうしてもやらなければならないとしても、県民の理解と協力ということ、そしてあらゆる救済の措置、打てるだけの手は全部打ったということでなければ、納得をしてもらうことはできないのではなかろうかと思います。むしろ、結果的に変更をしてよかったと将来において思われるような、それぐらいの措置が講ぜられるということが政府として考えなければいけない点ではなかろうかと私は思うわけです。そうでなければ、私どもは反対だという声を説得するわけにはいかぬわけです。そういう基本的な考え方について、これは私は同意を得られると思うのですが、どうですか大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/27
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028・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 御指摘のとおりであります。三十年間なじんで来られたわけでありますから、それを右から左に変える、こういうことでありますから、大変心情としてはよくわかるわけでございますが、やはり先ほど御指摘がありましたこの規則はどうしても守っていただかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。その意味でこれに対しますところの記念の事業といたしましては、いろいろ各県あるいは市町村等々との詰めをやっておるわけでありますが、なるほど一時は苦労したけれどもやはりやってよかったなあというこの実績だけは残していきたい、こういうふうに考えております。ただ、何と申しましてもやはり県民各位の理解と御協力をちょうだいしなければこの大事業は実現されるわけでないので、当委員会といたしましても全力を挙げて御協力のほどを伏してお願いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/28
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029・安井吉典
○安井委員 ですから、たとえば沖繩の道路整備がこの事業を契機にして行われて、沖繩県全体の道路がこの一つのきっかけで安全道路に見違えるようになってしまったという結果をつくるとか、あるいは沖繩県の街路灯というのが全県、離島の果てに至るまできちっとでき上がったとか、そういった一つ一つの実績をこの際つくるという気構えでなければいかぬし、県の方もいろいろな事業の要求をしているようでありますが、それらを要求どおり完全に実現をする、こういうようなことでなければならないと思います。
たとえば、交通のための医療のセンターだとか交通安全教育センターだとか道路整備の促進とか、こういったことも含めて特別事業としての要求もあるようでありますが、これらを実現するということが必要であろうと思います。そしてまた、それでもなお計量しがたいいろいろな問題があると思うのですよ。交通の方法が変更されることによって営業や生活や生命への不安、しかし、そういうものは数字であらわすことができないというようなものも多分に出てくるのではなかろうかと私は思います。道路沿いのお店屋さんの営業権の問題だとか、あるいは事故が将来、まあ中心部は別としても地方で――スウェーデンなんかの場合も地方でふえるのですね、真ん中のセンターラインのないようなところで左と右の錯覚が起きて正面衝突が起きるという事故もほかの方にあるわけです。ですから、そんなようなものが多発するのではないかという県民の不安もある。そういうさまざまな問題は計量しがたいものではないかと思います。一遍にハンドルが反対側の車に買いかえをするということになれば、車の下取り価格が安くなるのではないかという不安もみんな持っておるようです。しかし、だからといってそれをどうするかという国の計量しがたいものに対する手当というものはなかなかしにくいわけであります。ですから、県の要求のものはもう全部国が責任を持ってやってあげると同時に、計量しがたい損失の補償というようなものに対する特別中の特別事業といいますか、県民会館をつくってくれとか県民の森だとか中央卸売市場だとか、あるいは新しく起きるべきいろいろな問題に対する基金を設けるとか、いろいろな考え方があると思うのですけれども、そこまで配慮が行き届かなければ、これは県民の納得ずくの変更ということにはならぬのではないか、私はこう思うわけでありますが、これについてどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/29
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030・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 お答えいたします。
結論から申し上げますならば、先ほどから申し上げましたように、一日も早く本土との格差の是正を図ってまいりたい、これが結論でございますが、いま個々の問題をおっしゃられたわけでございますが、道路の問題は、可能な部分から積極的に進めてまいりたい。それから交通安全教育センターあるいは救急医療センターとかいろいろ御指摘がございましたが、こういったものもいま事務的に詰めておるところであります。
それからもう一つは、交通を変更して損をする人があるんじゃないか、これは確かに率直に見てあると思います。いままで右なのが左にいったわけですから。ところが今度は左にいって、もうけるところも出てくるわけです。言うなれば利害得失、こういうことになると思いますので、こういった点もいろいろ考え、思い合わせて調整を進めて、できるだけ御期待に沿うような方法で全力を挙げていきたい、こういうふうに思っております。
その他細かい――県民の森その他いま県の方からも数多く要望が出ておりますが、いま具体的にこれをこうというものがまだ事務的詰めはございませんが、詰まった段階においては御期待に沿うべく全力を尽くす、全力を尽くすということよりは、むしろ実現をする、こういうことを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/30
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031・安井吉典
○安井委員 これはちょっと時間が足りなくなりましたので、ここで委員長に一つ提案なんですが、沖繩県にとってもうこれからこんな大きな問題はそうないだろうと思われるような重大な問題なので、かつまたこれはきょうおいでの沖繩開発庁あるいは総理府の中の対策本部等だけではなしに、警察庁、運輸省、建設省、それから通産省もあるかもしれません、もう各省にまたがって五十三年度の予算の中に載っているわけです。そういうようなものでありますので、ひとつこの委員会で交通方法の変更の問題審議を特設していただいて、関係各省からみんな来ていただいて、徹底的に内容を議論し、われわれとしての結論を出す、そういうことが必要ではないか、私はそう思うのですが、理事会等で御相談していただければありがたいと思います。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/31
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032・竹本孫一
○竹本委員長 安井君にお答えいたします。
ごもっともな御提言でございますので、理事会で協議した上で善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/32
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033・安井吉典
○安井委員 では、後を上原君に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/33
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034・竹本孫一
○竹本委員長 上原康助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/34
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035・上原康助
○上原委員 きょうは時間が少ししかありませんので端的にお尋ねしますので、ひとつ誠意ある御答弁をお願いしたいと思います。
いま安井先生の方から、今度新しく沖繩開発庁長官に御就任なされた稻村長官の所信表明に対してのご質問がありましたので、その点は省きたいのですが、これまでにたしか七名か八名くらいの開発庁長官が復帰前から御就任なさっているわけですね。それぞれ私もいろいろお尋ねをしたり、また御指導もいただいてきたのですが、いろいろな議論もいたしました。点数を上げると、本名先生もいらっしゃるので言いにくいのですが、余り及第点を上げられる方は少ないような感じがしないわけでもないんですね。しかしそれは政治のことですからなかなか簡単に評価もできないと思うのですが、それぞれ御熱心にやってこられたという面では敬意も表しますが、先ほどのお話にもありましたように、県民の側から申すならば、まあまあというところまでもいっていないということは、ぜひ改めて御理解と御認識をいただきたいと思うのです。
そこで、海洋博のあの大事業にも長官はいろいろとお骨折りもいただきましたし、また現地の事情も知っておられる。県民の期待も大きいと思うのですね。率直に申し上げて受けもそう悪くはありません。それだけにやらねばいけない重要問題が山積をいたしておりますので、あれもこれもというわけにはいかぬと思うのですが、長官が任期中にこれだけはやってみたいというものが、政治家であるし、大臣であるし、あると思うのですね。それをひとつ披瀝していただいて、県民に約束をしていただきたいと思うのです。これだけは必ずぼくの在任期間中に県民の期待に沿うものをやる――その目玉は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/35
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036・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 お答えいたします。
まあ目玉、こういうふうに言われますと、あれやこれやとここでとっさに言われてと思うが、私は上原さんも御承知のように、通産政務次官時代に本部に海洋博の設定を御協力でさせていただいたわけです。その結果、いろいろな御批判もちょうだいをしながら成り行きをじっと見ておりましたが、私はあのときにはやはりこれが沖繩の経済起爆剤の一つになるんだ、こういう信念を持って皆さんに御協力をしていただいたわけです。そういう意味から、今度の亜熱帯植物園というのは世界で冠たるものである、こういうような関係から、これを必ず完成のめどをつけたい。ということは、中身もよくわかっておりますし、ほかのことですといろいろな障害が出てくると思いますが、これならば地元の御理解等々も得られる、こういうように思いますので、私の長官在任中にほぼ完成の方向で――これも何年続くかということを申し上げられないわけですから、五年も続くというなら完成いたします。こう言いますけれども、完成のめどをつける、こういうことだけを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/36
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037・上原康助
○上原委員 決意のほどを伺いましたが、ぜひそれに加えて先ほどお述べになりました水源の問題です。水の問題、海水の淡水化、そういうものも新しい振興開発の中に新しく位置づけてやっていただきたいし、当面はこの亜熱帯植物園――私もその主張者なんです。井上次官と私でかなり長時間お話し合いしましたが、ただ場所は違うのです。その議論はまたいつかやるとして、沖繩の立地条件を生かすにはそういうものを考えなければいけないと思うのですね。私は、発想と着眼は大変結構だと思うのです。やっていただきたいし、当面は交通区分の変更を、不確定損失に至るまで国の責任においてやっていただく。この三つはぜひめどをつけていただきたいと注文をつけながら御要望を申し上げておきたいと思います。
そこで、昨日、交通方法変更とか航空運賃の問題について、私予算の一般質問でお尋ねしましたので、きょうはきのうの問題と関連をして若干お尋ねしなかった面がありますから、もう少し中身を明らかにしてみたいと思うのです。
それとの関連もありますので外務省と施設庁においでいただきましたが、御承知のように名護市のキャンプ・シュワブの演習場に至る戦車道の問題です。これは民間地域を戦車が通って、水源地からの簡易水道のパイプを破損しているとかいろいろな被害を与えているわけです。たまりかねて名護市長が逆に軍用車道として戦車等は通行させませんということで、いま問題というより、まあ当然だと思うのですが、そういう事件が出ております。これに対して防衛施設庁なり外務省はどういう対処をしようとするのか。またそこは一部共同使用地域であるというようなことで、補償問題なり地位協定上いろいろ問題が出てくるというような言い方も現地の防衛施設局にあるやに聞いているのですが、そのことに対してどういうお考えを持っておられるのか、明らかにしておいていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/37
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038・高島正一
○高島政府委員 お答えいたします。
ただいま先生から御指摘になりました名護市の道路封鎖についての対応策でございますが、今後米軍はこの道路は通行しないという考えを明らかにしておるところでございます。
なお、御指摘のありました補償問題等については、まだ私ども承知しておりませんが、調査の上しかるべき処置をとりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/38
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039・上原康助
○上原委員 そうしますと、封鎖をしたことによって地位協定上問題はないというふうに理解していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/39
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040・高島正一
○高島政府委員 お答えします。
米軍とその問題について協議をしました結果、ただいまお答え申し上げましたとおり米軍は通行しないということでございますので、実態上は問題はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/40
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041・上原康助
○上原委員 その点は外務省も確認いただけますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/41
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042・中島敏次郎
○中島政府委員 ただいま詳細について心得ておりませんけれども、施設庁と十分協議をいたしまして万遺漏なきを期したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/42
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043・上原康助
○上原委員 よく実態を調査というよりも、県民の側に立って名護市の主張に基づいた解決策をとっていただくように要望、要求を申し上げておきたいと思います。
そこで、そのほかにもいろいろこの戦車道の問題はありますが、時間がありませんので、昨日施設庁長官の方から基地の整理縮小問題について概略を承ったのです。私は以前から大変疑問を持っておりまして、実はこの問題だけで相当時間をとって、いずれ内閣委員会なりで議論をしてまいりたいと思うのですが、全体像としては十四、十五、十六、主に十五、十六の日米安保協で決まった基地の整理縮小について、これまで合意を見たものだけでもあと五、六年かかる。大体この積み残しの分、今後解決しなければいけないものの予算はどのくらい必要かということに対しては、おおよそ千五百億程度現段階で見積もられるということで、これは膨大な予算になっているわけですね。そこで十五、十六の安保協で合意を見て、合意を見たけれども取り残される部分があるやに聞いております。一例を言いますと、那覇軍港なんか手がつけられないと思う。移設を伴うこの合意の一つに入っているのですが、そういうのはどことどこがあるのか、それをお示しになっていただきたいということ。
また、何か進行がよくないので洗い直しをして、練り直してもう一度計画を立て直すということが日米間で、特にこの間のハワイにおける安保運用協ですか、事務レベル協議会で話し合われたというふうな報道もなされておりますが、それはどうなっているのかということですね、これが二点目。
三点目として、具体的にひとつ一、二の基地施設を例に挙げてみたいのですが、たとえば那覇空軍・海軍補助施設の場合は五十一年、五十二年、五十三年と予算計上されて、今日まで私の計算ではたしかすでに二百九十六億八千万くらい支出されているわけですね。さらに、いま審議中の五十三年度予算の中で後年度負担分として七十億八千八百万、これを加えますと何と三百六十九億六千三百万程度那覇空軍・海軍補助施設だけでも必要だという計算になるわけですね。しかし、これは那覇空軍・海軍補助施設の全体の何%に当たるのか、これもお答えをいただきたい。たくさん聞くとこんがらがると困りますから、まず三点だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/43
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044・高島正一
○高島政府委員 第一点の十四、十五、十六のうち積み残しになると思われる施設という御指摘でございますが、私ども現在推計しておるものの中で推計ができないというのは二つございます。那覇港湾施設と那覇サービスセンターでございます。これは先ほど先生御指摘のあった千五百億の中には計上してございません。といいますのは、移設先についてのめどが全く立っておらないということから推計が困難であるということでございます。
それから第二点目の、今後十四、十五、十六安保協で合意を見たものを見直しをする、そういう方向かというふうな御指摘だったと思いますが、この点につきましてはまだ正式に決まっておるわけではございませんが、防衛施設庁といたしましては、先ほど先生御指摘のように、まだ相当の年月がかかるという観点から、この際もう一度米軍と話し合ってみて、改正すべきところがあったらば改正をしたらいいのではないかという希望を持っておるということを申し上げておきたいと思います。
それから第三点の、那覇空軍・海軍補助施設の移設工事で、いままで済んだものと今後のもののパーセンテージという御指摘だったと思いますが、実はこの那覇空軍・海軍補助施設を全部完了するということになりますと、私どもの現在の大まかの推計では六百数億かかるという考え方でございます。そこで、昭和五十四年度以降が二百三十六億という推計でございますので、そういった点から御判断を賜りたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/44
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045・上原康助
○上原委員 これは本当に目玉が飛び出るほど基地の移設に伴って金がかかっているわけですね。この実態はぜひわかっていただきたいと思いますし、これは非常に疑問がありますのでいずれ――きょうはもう時間がありませんから、もう一つ、キャンプ・へ-グも問題なんですよ。私は前にもこれは問題だと言ったんです。これはすでに移設しているわけでしょう。しかし、これも後年度負担まで入れますと予算は何と三十六億から約五十億近く計上されているんじゃないですか。このキャンプ・へ-グという部隊はほとんど五〇年代にできた古いトタンぶきの兵舎だったですよね、恒久建物というのはほとんどなかった。これはどこに移転したのか。なぜこういう非常に古い建物であるにもかかわらずこれだけの移設費が必要であったのか、その点も明確にしておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/45
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046・高島正一
○高島政府委員 お答えいたします。
キャンプ・へーグにつきましては、御案内のように、移設を実行するという段階においては遊休施設であったということは事実でございます。しかし、先生御指摘のような全くのいわゆるトタンぶきだけの建物ばかりだというふうには私どもは承知しておりません。遊休施設といいましても、当時たまたま、米軍の必要性がなくなったということではなくて、部隊移動に関連した一時的な事情によって米軍が他に移動しておるのだという説明でございました。そこで、私どもといたしましては、第十五回の安保協で日米両政府間で合意を見ておる以上、また米軍のそういった一時的な移動の事情によってそれが左右されてはならないというふうな観点から、と申しますのは、私ども当初から計画をどんどん進めておるわけです。米軍もそのような計画を進めてまいっておるわけです。その間におきまして、一時的な米側の事情によって移動したという事情があったわけでございますので、私どもはその計画を既定方針どおり進めたわけでございます。
それから、御指摘のように金額は全体が五十億でございます。内容といたしましては……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/46
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047・上原康助
○上原委員 内容はいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/47
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048・高島正一
○高島政府委員 そういう事情でございますが、移設先はキャンプ瑞慶覧が大部分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/48
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049・上原康助
○上原委員 長官、さっき余り的確な表現でないかもしれませんが、目玉の話をしましたが、那覇空港は完全返還ということで沖繩返還の目玉だったんですよね。しかし、すでに申し上げましたように三百六十九億かかって、あと五十四年度以降大体二百三十六億、まあ七百億近くこれだけでもかかるわけですよね、全体を移設するのに。
さらに、いまのキャンプ・へーグに至っては、これは大多数がそうだった、あれはだれが見たって古ぼけたトタンぶきのあれですよ。それをあなた、そうごまかしてはいかぬですよ。
それと、久場先の学校はどうでしょう。いま日本の標準の学校を一つつくるには、土地代も入れて五、六億ですよね。この久場先の学校をつくるのに何と幾ら使っている、全体で二十七、八億かかるんじゃないですか。とてつもない金の使い方をしている。こういう実態であるということはぜひわかっていただいて、沖繩開発庁が振興開発のために、公共投資のために幾ら金をやっているといったって軍事費から比べると、基地の縮小整理計画、アメリカのために投資をしている金と比べるとまだまだとんでもないですよ。そういう実態であるということを御理解いただいて、これは政府全体の計画がそうであるということであるならば長官の御意見と私の方が一致はしないと思うのですが、やはりこの基地問題についてもさっきの長官のお考えの中に柱を入れていただいて、不要な土地とか、あるいは余り金をかける必要のないものについては施設庁も外務省ももっと点検をしていただいて、国民の税金のむだ遣いを省いていただきたい、そしてその面は民需に充てる、労務者の対策とか失業対策とか、本当に県民の福祉につながる財政の投資ということをこの際やっていただきたいということを申し上げて、きょうは、大体何をやろうとしているかわかりましたので――POLラインだって大変ですよ。あの輸送管をかえるのに幾らの金がかかる。したがって、そういう資料を全部出していただくということ、委員長、これは出させてください。そして大臣はこの問題についてどういうふうなお考えを持たれるのか、また、政府なり開発庁としてどうやっていくか。
なぜ私がこれを聞くかというと、きょうは時間がありませんが、アメリカの議会では、日本の基地は縮小し過ぎているということを言っているのです。したがって、在日米軍基地についていろいろここで、これは引用しようと思ったのですが、そういうこともあるから、もう十四、十五、十六で決めた以外は今後はやりたくないというのがアメリカ側のいまの姿勢ですよ。
それともう一つ。ぼくもこの間アメリカに行ってびっくりしたのですが、日本の国会は日米間で決めたことが守られなくても余り問題にしないのですかという、そういう非公式な見方もありますよ。そういうのを含めて、御見解を賜っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/49
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050・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 お答えいたします。
沖繩の振興開発の促進は、これは全力を挙げてまいらなければならぬと思っております。ただ、駐留軍の施設その他の問題につきましては、いま御指摘のように、できるだけ縮小するという、こういう形で努力してまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/50
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051・上原康助
○上原委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/51
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052・竹本孫一
○竹本委員長 玉城栄一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/52
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053・玉城栄一
○玉城委員 大臣の沖繩の施策についての所信表明につきましては先日お伺いをいたしましたけれども、新しい沖繩担当の大臣でもいらっしゃいますので、私にとりましてもきょうは初めての機会になりますので、大臣としての沖繩施策に対する基本的な考え方を改めてお伺いをしておきたいわけであります。
御存じのとおり、沖繩が復帰をいたしまして、あのときに沖繩が返還されたということは、単に日本の施政権の範囲が拡大をしたというだけではなくして、むしろわが国にとっても新しい価値が生まれたのだ、そういうような評価もされて今日に至っております。近隣アジア諸国への日本としての経済的な果たすべき役割り、貢献と申しますか、そういう意味におきましても、沖繩の置かれた地位というものは非常に重要な意義を持つものである、国際交流拠点の形成ということは当然国としてもやらなくてはならない、こういうような評価もされ、沖繩振興開発計画もそういう線に沿ってなされていると理解をしております。
御存じのとおり、いまわが国は、アメリカを初めEC諸国からの外圧が非常に激しいわけです。日本は世界経済に果たすべき役割りを果たしていないのじゃないか、もっと経済的にオープンにしろとか、いろいろなことが言われております。そういう意味におきまして、沖繩のわが国に占める位置というものはこれからますます重要であり、政府が本腰になって、世界に向けても、あるいは東南アジアに向けても、あるいはお隣の中国に向けてもいろいろな意味で重要な地位に私はあると思います。そういうことについて、非常に抽象的になりますけれども、基本的に大臣とされてわが国における沖繩の占める位置と申しますか、その点についての御認識をまず最初にお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/53
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054・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 御指摘の点でありますが、沖繩の人々が日本の南端で、最後まで――若い人も年寄りも壮絶な中でアメリカの施政権の中に組み入れられていかれた、私は日本人の一人として悲しいことであった、こういうふうに思っております。そういう意味合いにおきまして、復帰された後におきましては、われわれは物や金でなくして、それも大事でありますが、やはり心の触れ合い、こういうふうな形でやはり沖繩振興のために政府も過去、復帰後全力を挙げてまいった、こういうふうに私も評価をいたしております。
そういう意味合いにおきまして、三十年の空白でございますから、一遍に埋めるということはこれはなかなか至難なことであります。そういう意味から、先ほど来もいろいろな各先生方の御質問にお答えをいたしましたように、できるところから順次話し合いを進めながら、こういったことを基本の理念として、私は沖繩を温かく見守りながら、心ある協力をしていくことがいいのではないか、こういう基本的な考え方を御披露申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/54
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055・玉城栄一
○玉城委員 いま長官のおっしゃいましたとおり、国内的に沖繩がそういう特殊な状態にあったという、その立ちおくれを早急に回復せしめていくということは、これは当然なことであると思うわけであります。
御存じのとおり、沖繩の先輩と申しますか、非常に気宇壮大な世界的なスケールで生活空間というものを提唱しながら、またその実証も示してきたわけであります。いざ行かん、われらが住みか五大州ですか、そういうようなきわめて世界的なスケールで、進取の気象と申しますか、そういう活躍をし実績を示してきたわけであります。
したがいまして、いま日本の置かれている立場からしましても、沖繩の立場というものは、特に東南アジア、まして中国にしましても、南の広州とは非常に近いわけであります。これは東南アジア、中国だけに限らず、まさに振興開発計画の中にも位置づけがされておりますとおり、日本の南の玄関である。南の玄関というよりは、むしろ――南というのであれば北の玄関というようなことも対置して言えるわけでありますけれども、むしろ日本の玄関として沖繩がこれから日本の立場から大いに活躍される大きな使命があるのではないかと思うわけであります。
いま沖繩の場合きわめて暗いニュースが多いわけでありますけれども、やはりもっと希望的な意味からも、沖繩の資源というものが太陽と海である、これは重要な沖繩の資源の一つであるわけであります。そういう太陽と海、こういうものを中心とした一大行事を行って、北海道の雪まつりをしのぐような、全国的な規模で沖繩にそういうことをやってみるとか、あるいは海洋資源の開発あるいは海洋エネルギーの開発等の研究機関をあわせ持つところの国際海洋大学の構想を考えてみるとか、いろいろな立場からそういう施策を施すことによって、本当に国際交流拠点の形成というものをしていかなくてはならない、このように考えるわけであります。
したがいまして、ぜひ大臣とされましても、その点を御認識をいただきまして、本格的に沖繩の置かれた位置というものを見直されまして、振興開発計画というものを着実に施行していただきたい、このように思うわけであります。
次に、交通方法変更の問題につきましては、これまでも数多く論議をされてまいりました。一昨日からきのうにわたりまして交通安全特別委員会が沖繩の視察をいたしまして、つぶさに現地の関係諸団体、また道路工事の実態等につきましても調査をしてまいっておるわけであります。また、私たちの党も先月二十九日から三十一日まで三日間にわたりまして実態調査を行いましたが、その結果につきまして概要を大臣に御報告をしておきたいわけであります。これは私たちの党の調査ですけれども、時間もございませんのでポイントだけ申し上げておきます。
沖繩県民が、戦後三十二年間、廃墟の中から広大な軍用地を抱えながら町づくりを進め、道路も、建物も、車も、日常生活も、すべて車の右側通行に合わせてつくられてきたことを再確認した。この認識をせずして交通方法変更を強行しようとすることは、県民の生命と財産を脅かす大きな要因を含んでいること。さらには、県民は望まないけれども、国策だからやむを得ないとの論理を盾にするならば、十分なる行政措置と補償をもって当たらなければ七・三〇は失敗に終わるであろうことを痛感した。ゆえに、交通環境が改善されるなど、沖繩県民にとって将来へのステップとするために、沖繩における復帰後最重要事業としての取り組みを政府に強く要請し、詰めの段階に入った具体的な問題に対処し、可能な限り努力をすべきである。
こういう趣旨に沿いまして、まず一点としましては、先ほどからも御質疑がありましたとおり、県側の要請の六項目、これを今月に予定されております政府の交通方法変更の実施要綱の中にぜひ盛り込んでいただきたい、これが一点です。二点目に、県や市町村は、これまで対策室などを設けその準備に当たってきたが、その特別経費や人件費、調査費などすべて自己負担で賄ってきているが、国はこのことを十分配慮すべきである。三点目に、特別事業、御存じのとおりこれは県民の協力と理解を得るためにも不可欠なものであり、国は責任を持って対処すべきである。四点目に、県民の生命と財産損失補償については、県民が不安と危惧を抱いており、交通方法変更に伴い営業上著しい影響を受ける者に対する救済措置について国は明確な態度でこたえるべきである。五番目に、幼稚園とか保育園、交通弱者に対する措置は十分配慮すべきである。それと、この事業に伴って多くの事業があるわけでありますけれども、この事業については地元優先でぜひやってもらいたい。こういうようなことであります。この件につきましては、党としましても改めてまた大臣の方にも要請をいたしたいと思います。
それと、交通安全特別委員会の現地調査団がきのうとおとといにわたりまして視察されておりますが、やはり一貫して言えますことは、まだ県民に多くの不安あるいは不満もございます。その中で、やはり特別事業といいますのは異口同音に、これはぜひ国が責任を持ってやるんだ、こういうことを明確に言ってもらいたいということは、きのう、おとといにかけて、政府の方々も御一緒におられましたので、その点はそういう認識であったろうと思うわけでございます。したがいまして、改めてこの特別事業の問題について長官のお考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/55
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056・室城庸之
○室城政府委員 特別事業につきましては、従来県の方から三つの項目についての要請が出ておりまして、昨年の八月段階で承っております。当時の内容から見まして非常に抽象的な御要望の出され方でございましたので、これについては十分事務的に詰めてまいりたいということで、現在県あるいは市町村と国とのいろいろな事務連絡等をやっております連絡会議というものを設けておりますので、その連絡会議でもこれを議題にして、できるだけ詰めていきたいということを申してまいりました。昨年前藤田長官のときにも、国会でも御質問等に対しまして藤田長官は、五十三年度予算にぜひ調査研究費を計上してそこでさらに具体的な問題について詰めたいということを申されまして、私ども事務的にも五十三年度予算にただいま五百十四万という調査研究費を計上し、御審議をいただくようにしておるわけでございます。
この調査研究は、交通方法を変更しました場合に、今後の沖繩の交通安全のために一体どういうことをやる必要があるかということを、われわれ行政担当者はもちろん、一般の本土あるいは沖繩の専門家の方々にも御参加いただきまして、幅広く交通安全上の対策について検討していこうという意気込みで委員会を組織するつもりでございます。その中で交通安全対策並びに県側からの御要望の中にあります救急医療センターとかあるいは交通安全教育センター、こういったものの御要望がどういうふうにかみ合ってくるかというような点を当然含めて検討していただく。さらにそれ以外にもいろいろ、もっとこういう事業も特別事業として考えるべきではないかというふうな御意見も出ておるやに聞いておりますので、いろいろ調査研究という過程の中で今後具体的に何をやるべきかということを特別事業の具体策として考えてまいりたい。そしてその具体策が決まりましたならば、これを所要の行政措置をもって実現するように努力をしたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/56
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057・玉城栄一
○玉城委員 特別事業につきましては、三点の中でも特に交通災害医療センター――県の要請の三つの、安全教育センター、それから道路整備の促進、これは同時に必要でありますけれども、特に交通災害医療センターについて、まだその件が具体的に政府として明らかにできない。もう少し説明していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/57
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058・室城庸之
○室城政府委員 ただいま県側から要請が出ておりますいわゆる救急医療センター、これは二百ベッドをふやしてくれという御要望でございまして、それについては、用地を取得し建物をつくりというようなことになればこれだけ金がかかるだろうということで所要額が見積もられておるわけであります。しかしながら、どこに具体的にどういう形の病院をつくるかということについては十分な説明がございません。さらに、それでなくても現在私ども、沖繩県では医者や看護婦という人的な要員に非常に窮屈な思いをしておられるというふうにも聞いておるわけでございます。したがいまして、仮に病院をつくったといたしました場合に、今後どういうふうな運営をしていくのかというような見通しがございませんと、これはなかなか具体的な計画というわけにはまいらないのじゃないか。まして今日の段階でこれを予算化するといたしますと、具体的にどこにどういうような建物をつくるのだというところまで詰めてまいりませんと、これはなかなか予算措置というわけにはまいりませんので、御趣旨は十分理解できるところでございますけれども、さてこれを具体的に行政措置として取り組んでいくためには、いまの段階ではやや詰めが足りない、こういうふうに考えておるわけでございまして、これらの点を、いま申し上げましたように、今後連絡会議あるいは研究調査費の運用の中で詰めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/58
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059・玉城栄一
○玉城委員 ただいまの問題につきましては、いろいろ私たちもこれまで説明を承ってまいりました。行政的な面でいろいろな問題点がある、あるいは地元の計画段階でもまだまだ具体的なものが出ていない、よく承知しております。しかし、こういう特殊な問題につきましては、既成の制度の中で乗っけていくというのは非常に困難性があるわけですね。ですから、それは承知の上で、ぜひ交通方法変更という、こういう特別な国の施策においては、そういう行政ぺースではなくして政策的な配慮が必要である、こういうふうに主張しておりますし、またわれわれもそう思っておるわけであります。したがいまして、これはそういうことでやるんだというやはり意思というものが明確にされない限り、これはなかなか進まないと思うわけです。したがいまして、この件につきましては、われわれ党の調査団が行きましたときにも、現地の声もありました。政府がそういう煮え切らない態度である限り、これは一向に進まないであろう。したがって、国会サイドでもあるいは特別立法措置をもってしてでもこれをやるんだというようなことをやってもらえないかというような強い要請もあったわけであります。したがいまして、これはやはり大臣とされても政策的なそういう判断、考えというものがこれに生きてこない限りこれは一向に実現しない、こう思うわけです。ひとつどうでしょうか、大臣にぜひ政治家として御決意をお聞きしておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/59
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060・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 特別立法の問題でありますが、これは中身は何をもって立法するのかという、こういう問題もあるかと思います。これは検討を要することではないかと思います。
先ほど来特別事業の問題は幾つか出されておりますが、問題は施設でありまして、道路ですと可能な部分からどんどんやっていく。ことしはやはり大きな目玉としては石川市から那覇市へ高速道路というものが大体顔出しをしたわけです。これも記念事業の一つではなかろうか、こういうふうに思って促進をしていきたい、これはもちろん地元各位の御協力もちょうだいすることですから。ただ、交通安全教育センターあるいは教急医療センターとか、こういうものについては、これは必ず実行いたします。しかしながら、事務的にどこが将来管理者となっていくのかとか、いろいろな問題があるかと思いますので、やはり事務的に詰めていかなければならぬ点が数多いように思います。
その他もう一つ大きな問題は、弱者対策、先ほど御指摘を受けたように生命、財産という、こういう問題も大変な、これは最大の重要なものと私は考えております。極端な言い方をしますと、そのために損をする人も必ず出てくることは間違いない、しかしながら、そのことによって得をする人も必ず出てくるんだ、こういった認識の上に立ってそういったことの調整を、地元民に大きく還元ができるように、皆さんのその御不便なことにおけるそういった損失をできるだけ補うような形をどこでやっていくかという、こういうことについては、私といたしましては全力を挙げて、先ほど来も申し上げたように、革命ですから、右から左に変われという革命的な大事業でありますから、私といたしましては、各省庁との調整を進めながら地元の要望にこたえて全力を挙げるということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/60
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061・玉城栄一
○玉城委員 時間がございませんので、取り急ぎ申し上げておきたいのですが、きのうも交通安全対策特別委員会の諸先生方、バスの中でいろいろ雑談の中で、現場視察の段階で出ておったわけです。都心部において車が流れておるときは、それに沿っていけば別に問題はなかろう、しかし田舎道で車が通っていないところでひとりぼうっと走っているときに、ぽうっとと言ったらおかしいのですけれども、そういうときが一番危険だ。さて、こう向かってくる、右か左かわからぬ、まさに正面衝突の可能性が十分ある。これはまさにそういう心配が考えれば考えるほど出てくるわけです。
この交通方法変更ということは、まさに世界でもまれな事業なんですね、スウェーデンとか、一部行われましたけれども。そういう意味で本当に世界の物笑いになるようなことを――沖繩においてこの交通方法変更でやったはいいけれども、事故が多発した、地元では不満は出てくる、こんなことだったら、もうまさにおかしなかっこうになると思うわけですね。ですから、そういう意味におきましても、特にこの特別事業の中の交通医療センターは設立しておかないと、急には無理でしょうけれども、設立しないと、そのアフターケアの段階においてもこれは非常にまずい、このように思います。
同時に、補償の問題も出ましたのですけれども、これももっと親切に、たとえば七・三〇、その切りかえ後でもいろんな補償問題が出てくると思うのですね。そういうものの特別な対策室もきちっとつくる、あるいは救済室と申し上げてもよろしいでしょう。そういうものをつくって、七・三〇で終わるわけじゃないわけですから、そういうこともぜひやっていただきたい。これは御要望申し上げておきます。
それで、いまの特別事業につきましては、長官、特別立法の試案をつくってあります。これはもう御披露申し上げたいんですが、どうでしょうか、この特別立法をつくって、これをぜひ実現させていくということについてお考えをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/61
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062・室城庸之
○室城政府委員 事務的に申しますと、仮に特別事業で何をやるかということが決まりました場合に、それが行政措置でやれないという場合には何らかの措置が必要であろう、それを実現するための手段として何らかの手だてが必要であろう。特別立法といいましても、立法することによるメリットは何だということが……(玉城委員「やることですよ、事業を」と呼ぶ)はい。ですからその事業をやること自体は、いまも長官がお答え申し上げておりますように、決してわれわれあいまいにしておるわけではございませんで、何をやるかという中身がまだ詰まっておらない。やるという前向きの姿勢は長官からもお答え申し上げておるとおりでございまして、さてそれが具体的にそれじゃ何をやるかということが決まりました場合に、いわゆる予算措置等でどうしてもできない内容のものであるのかどうか、その場合にできないとなれば何かの工夫をしなければいかぬという段階で出てくる問題じゃなかろうかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/62
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063・玉城栄一
○玉城委員 政府の方が余り消極的であり、あいまいだもんですから、そこまでわれわれが準備してやらないとこれは実現しないんじゃないかということでいるわけでして、本当にこれはおっしゃるとおり実現していただきたいと思います。
同時に、これは施設庁の方にお伺いしておきたいんですが、きのうも諸先生方、ずっと中部の方から那覇に入る約一キロぐらいなんですが、もう飛行場に着く時間の、あのわずか一キロぐらいでしょうか、もう三十分、四十分もかかるという交通渋滞です。国道五十八号線。これはもう各先生方も何とかしなくちゃならぬという声が非常に強かったのです。いまはもう交通方法変更に伴う諸事業が、改良事業等が行われていまして、ますます交通渋滞はもう大変な状態にあるわけですね。それで、先ほどの御質疑にもありましたけれども、何とかそういうものを少しでも緩和できる方法を考えられないものかどうかということでいろいろわれわれなりに調べてみましたら、たとえば五十八号線の那覇市に安謝の方から、浦添から入っていくあの間の交通緩和のために何か考えられる方法はないか。いろんな考え方がありますけれども、たとえば陸軍の第二兵たん部隊の西側の方に約九百メートルぐらいですかね、幅員十二メートルぐらい、ほとんど軍が使用していない道路がそのままあるわけですね。これも何とか返還をしてもらいたいわけですけれども、それが無理であるならば、当面この問題の解消策の一つとしてこれを一時使用できないものかどうか。あるいはもう一つ、牧港住宅地域、これは天久の方にあります。これもいまそのままの状態なんですが、これの返還も一応予定されておりますけれども、急場をしのぐ意味で、あの中を突っ切っている道路が、五十八号線のバイパス道路として使用できるのであれば、交通渋滞の解消の一つには役立つ、このように考えるわけでございます。そういうきめ細かなものをいろいろと調べ上げて、何とか問題解決をしていこうという姿勢が私は大事であると思います。といいますのは、例の国道三百三十一号線の、那覇から糸満の方に通っている道路がありますが、あの道路が四十八年七月三十日に返還されまして、そのために南部への交通問題が非常に解決されたという例もあるわけです。ですから、これも過去にもある例であります。したがいまして、牧港兵たん部隊の西側道路の使用と、それから牧港住宅地域内の道路使用について、施設庁として米軍側と話し合いをする用意があるかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/63
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064・高島正一
○高島政府委員 お答えいたします。
先生御指摘の、具体的な例としては、牧港の補給地区を挙げられたものと理解いたします。南北に縦断しております道路を迂回道路として使用できないかという御指摘であろうかと思います。この点につきましては、内々米軍側とも交渉をしてみたわけでございますが、米側としては、この施設は、陸軍の補給施設としてきわめて重要な施設であって、これを開放するあるいは一時的に使用させるということは大変困難であるということで、難色を示しております。しかしながら、御指摘のように、国道五十八号線の渋滞の緩和に資するということで、この五十八号線を拡幅するという趣旨であれば、十分私は交渉の成果が期待できるものというふうに考えております。と申しますのは、先生御案内のように、牧港補給地区の一部地区が、第十五回だったと思いますが、安保協で、移設を条件として返還ということが合意されておる経緯もございます。いろいろ土地の所有者の方々とも折衝等があろうかと思いますが、問題は、国道の拡幅であるということで、具体的な計画がセットされるということであれば、十分米側とも話し合いは可能であるというふうに考えておる次第でございます。
なお、第二点は、牧港の住宅地区の中を使用できないかということでございますが、これは御案内のように、十四回、十五回でいま移設を計画中でございます。いろいろ都市計画等、今後の地元の跡地利用等との関連もございましょうし、そういった点も調整しつつ、米軍と交渉に当たってみたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/64
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065・玉城栄一
○玉城委員 ぜひ力を入れてやっていただきたいと思います。
次に、沖繩は、御存じのとおりきわめて医療施設が全国レベルより低いわけであります。そういう中で沖繩の場合、医療保険が黒字なんですね。これは五十年度なんですが、たとえば政府管掌健康保険が三十億五千万の黒字、地方公務員共済組合が九億二千万の黒字、船員保険が六億五千万の黒字、私立学校教職員共済組合が五億三千万の黒字、合わせて約五十一億九千万なお黒字なんですね。これもなぜ黒字になったかといいますのは、それだけ医療施設が非常に少ない、乏しい、そういうようなことが原因で県民の払っておる保険料というものが黒字の状態にある。したがいまして、国立の一般病院にしましても、全国一県平均約八ヵ所に対して沖繩はわずか一ヵ所である、こういうようなことで保険料の払いっ放しという状態が現在あるわけです。したがいまして、それに対して何らかの形で県民が医療の恩典を受けることができるようにというようなことで、保険共済病院をぜひ医療保険の黒字を活用して沖繩につくったらどうかという声があるわけですけれども、そのことについてどのように考えておられるのか、これは開発庁ですか、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/65
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066・美野輪俊三
○美野輪政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、沖繩県には現在社会保険関係の病院は全然設置されてないという状況にございます。先生すでに十分御案内のとおり、沖繩の医療施設整備はおくれておりまして、本土とかなりの格差があるということでございますので、私どもといたしましては、現在関係の各省庁による打合会を設けておりまして、沖繩の医療の現状等について十分御理解をいただく、また、各省、各庁でそれぞれの制度の中で、端的に申しますと財政事情とか整備等、いろいろの事情があろうと思いますけれども、先生御指摘のような趣旨で、沖繩に社会保険関係病院を設置するということについて、それらの関係省庁の十分な理解を求めるということで、その検討をお願いしておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/66
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067・玉城栄一
○玉城委員 厚生省の方がお見えになっていると思いますが、先ほどの特別事業の救急医療センター、この関連もあるわけです。病院ばかりやたらにつくればいいというものではないわけですけれども、いま申し上げましたとおりに、こういう問題もあるし、そうして、なお交通方法変更に伴っての特別事業の中の医療センター設立についても、なかなかうまいぐあいにいかない、そういうところに大きな不満があるわけです。それで、その点で非常に危惧されますのは、こういう変わった事業が行われるときに、突発した、予測できない事故が多発したときに、それにどう対応するか、いわゆる沖繩の救急医療体制をどのように厚生省としては考えておられるのか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/67
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068・岸本正裕
○岸本説明員 救急医療の問題は非常に現在大きな社会問題になっておりますので、この問題は最も緊急を要する課題であるというふうに私ども考えておるわけでございます。
それで、一般対策といたしまして、全国的に一斉に、本年度を初年度として、三年を目途にこの救急医療体制の整備を進めているところでございます。本年度は初年度に当たるわけでございますけれども、沖繩におきましては特に重点的に考えております。この救急医療体制を考える場合に、最も効率的に進めるために、私どもは医療機関の機能分化ということを中心に考えておりまして、軽症患者を大量に治療する初期医療機関、それから重症患者を治療する第二次医療機関、それから超重症といいますか、重篤といいますか、そういう患者に対処いたします第三次医療機関、これは私どもは救命救急センターというふうに呼んでおりますが、そういうものを体系的に整備していくというふうに考えております。
沖繩の現状でございますけれども、大きくブロックを五つくらいに、本島それから宮古、八重山というふうに分けてみますと、それぞれの中心に初期機関の中核となるべき急病の診療所というものが整備されてきております。そして、沖繩市に本年、五十三年の四月からオープンが予定されております沖繩市救急診療所ができますと、それぞれのブロックで一応初期体制というものは整うように考えております。
それから、第二次体制でございますけれども、これも北部地区、宮古地区、八重山地区ではすでに一応整備が進んでおりまして、そのほか今後南部、中部地区について現在検討中でございます。
それから、先ほどの第三次といたしましては救命救急センター、これは県立中部病院がいまそのような内容で活躍をしているところでございます。
このように沖繩県の救急体制につきましては、全国的な三年計画の中で進めているわけでございますけれども、現段階において、初年度としては非常に進捗のよい状態にあるというように考えております。今後とも沖繩県の救急医療体制の整備につきましては県とよく御相談をしまして、より一層の充実を図っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/68
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069・玉城栄一
○玉城委員 先ほどの保険共済病院の件ですが、厚生省の方にぜひ伺っておきたいのです。
現在沖繩にそういう社会保険共済病院が全くないということと、沖繩の医療保険の黒字が大幅にあるということと、沖繩の医療水準がきわめて低いということ、あわせていまの交通変更問題等を前提にしまして、厚生省としてどのように先ほどの問題を考えておられるのかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/69
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070・坂本龍彦
○坂本説明員 私どもは政府の実施しております健康保険の関係をお答えさせていただきたいと存じますが、現在沖繩開発庁でいろいろと御検討をいただいているその場に社会保険庁としても参加をいたしまして、他の関係省庁の方々と御一緒にいろいろと御協議をさせていただいておるわけでございます。
先ほど御指摘がありましたように、沖繩県の医療施設がきわめて不足しているという事実、あるいは沖繩の方の保険料の納付の額と給付を受けられた額との間で、保険料の額が大分上回っている、これは事実でございまして、私どももそういう点については十分認識をいたしております。
ただ、政府の行っております健康保険につきましては、これは全国一本の制度といたしまして国が特別会計を持って一般会計とは切り離して実施しておるわけでございまして、これが現在財政的に非常に窮迫した状況にございます。五十二年度末で大体千四百億円、さらに五十三年度末には二千億円を超す赤字が見込まれておるわけでございまして、先生御指摘のように確かに沖繩県の部分を考えますと、そこに黒字という形は出てまいるわけでございますが、政府管掌健康保険全体としては、いま申し上げましたようにきわめて苦しい状況でございまして、この財政状況をどうやって立て直すか、現在私ども苦心しておる状況でございます。
したがいまして、私どもも沖繩県の現状についてはいろいろと頭を悩ましておるわけでございますし、また県民の方のお気持ちも十分理解できるわけでございますけれども、何分にもこういう財政状況でございますので、病院を新たにつくるということになりますと相当の経費もかかるかと思います。この政府管掌健康保険の財政状況が健全化されるまでの間において、果たして病院の建設ができるかどうかいろいろと考えておるわけでございますけれども、現段階においては、この問題については非常に困難な問題であるというように理解しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/70
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071・玉城栄一
○玉城委員 時間もありませんので、そういう困難――これは五十年、五十一年、五十二年、五十三年度、こういう関係の調査費がたしか組まれていたと思うのです。いまおっしゃいましたのは厚生省としての結論ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/71
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072・坂本龍彦
○坂本説明員 政府管掌健康保険につきましては、いま申し上げました状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/72
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073・玉城栄一
○玉城委員 時間がございませんのでもう一点。
沖繩の流通体制が非常に悪いわけです。従来から中央卸売市場の件について、県側からも強い要請がありますし、県民の間でも早く何とかこの問題を解決してもらいたいという要請があるわけです。その件について経過と現在の考え方を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/73
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074・渡辺武
○渡辺説明員 お答え申し上げます。
先生ただいま御指摘のとおり、沖繩県におきましては現在、二十の卸売市場がございまして、これが生鮮食料品の流通を担当しておるわけでございますが、いずれも規模が零細でかつ施設は老朽化しておるというように存じております。また、大規模な市場でございます中央卸売市場と申しますものは、まだ沖繩には開設されておりません。
このような状況にありますものですから、沖繩県におかれましては従来から、沖繩にも青果あるいは水産物を取り扱う総合市場としての中央卸売市場をつくることを計画されておるわけでございまして、われわれといたしましても、このお考えを、国全体の計画でございます第二次の中央卸売市場整備計画というのがございますが、その中に取り込みまして推進していくというように考えておるわけでございます。
この計画によりますと、五十三年度に用地を取得しまして、五十四年、五十五年と必要な建物を建てまして、五十五年度の末に中央市場が機能するというようになっておるわけでございますが、現実にはこの市場を設置いたします前提になります用地、これを埋め立てによってつくっていくということになっておりますが、この埋め立てが大幅におくれております。したがいまして、市場を建設する場合、私たちの方で補助を申し上げるわけでございますけれども、このような補助ということを伴います施設の整備に着手するのは、現在の段階で見通してみました場合には、早くて五十六年というようなことになるのではないかというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/74
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075・玉城栄一
○玉城委員 以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/75
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076・竹本孫一
○竹本委員長 瀬長亀次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/76
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077・瀬長亀次郎
○瀬長委員 私、きょうは限られた時間でありますので、安保、基地問題、さらに演習の激化、それに伴う県民に対する被害の続出、最後に自治体で始まっております対米抵抗といった問題に集中して質問をいたしたいと思います。
委員長にお願いですが、その前に長官にこの写真と資料をちょっとお見せしたいと思いますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/77
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078・竹本孫一
○竹本委員長 どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/78
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079・瀬長亀次郎
○瀬長委員 いま長官に渡しました写真ですね、人が立っていて、一メートルくらいの円筒がありますね。これは二月七日に渡名喜村に落ちた照明弾の写真です。それから二と三、これは例の名護市長が行った米軍の戦車の通行どめといったようなものと水道管の破損の個所、この写真であります。
さらに資料、これは嘉手納市における三日間、正味二十一時間の基地の実態調査の問題であります。
私がこれを出しました理由は、いままでたとえば予算委員会で不破議員が米軍の資料に基づいて質問すると、その資料も一方的なものであるとかと言うものだから、写真を見てもらえばこれは一方的なものだというふうなことはまさか答弁なさらぬだろうと思って提出したわけであります。
その前に特に、長官お忘れになっていないかもしれませんが、去る一月二十五日、本会議で、私、党の代表質問をやりました。演習の激化、基地の強化について質問した際に、総理がこう答えています。「それから、在日米軍の演習がふえたというようなことにつきまして、何かお触れになりまして、御所見が述べられましたが、在日米軍は、極東の平和、日本の安全を守るためにやってきておるのです。これが、演習もしないでじっとしておったのでは、その役目は果たされないわけです。在日米軍が演習をするということは、当然のことと御理解を願いたいのであります。」
そこで、きょうは質問でありますが、長官はこの前の所信表明の中で、「本土との格差の是正を図り、明るい豊かな沖繩県の建設のために努力邁進してまいりました。」と言われました。さらに、いまさっきの御答弁の中で、県民の生命、財産を守るのはあたりまえだと言われた。それを私は一番念頭に置いてこれから質問をしたいと思います。
最初に、渡名喜村に落ちましたあの照明弾についてです。これはちょうど出砂島で、いわゆる射爆場なんですよ。特に空対地の射爆と言われているが、空対地ではなくて、どうも艦対地もやっているというようなことももうすでに報じられている。その出砂島から約四キロ離れたところに渡名喜村があります。その渡名喜村の比嘉さんの庭先に一発、それから裏の畑に一発、これは、長さが約一メートルで直径が二十センチぐらいのものである。落ちたときに、その比嘉さんの奥さんは、井戸で洗たくした後で、手を洗っておりました。そこから一メートルのところに落ちております。一メートル外れて――本当に三尺三寸ですからね。もう当たったら最後、殺されよったんです。この実物はできるだけ捜してみたいと思いましたが、その前に何か警察が、那覇署だと思いますが、取っていったそうであります。
そこでお聞きしますが、これはまあ大臣でなくてもいいと思います。施設庁になるのですかね。外務省でもいいです。この照明弾、落ちたのは事実なんでしょう。認めるか、認めぬかは私も聞きません。どの部隊のどういう飛行機がこれを落としたか。もう一つは、七日は特別に晩の十一時半まで演習しています。この演習はもちろん爆弾の投下演習であります。この投下演習はどこの部隊のどういう飛行機で落としたか。飛行機でないのか。ミッドウェーから艦砲でやったのか。あるいはミッドウェーの艦載機が飛んできてやったのか。この点はっきり示してほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/79
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080・高島正一
○高島政府委員 お答えいたします。
事故が起きましたことを承知いたしましたので、直ちに米側に問い合わせをいたしたわけでございますが、結論といたしましては、ミッドウェーから飛来した艦載機、飛行機がそのような事故を起こしたということに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/80
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081・瀬長亀次郎
○瀬長委員 この、ミッドウェーから飛び立った飛行機の機種は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/81
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082・高島正一
○高島政府委員 飛行機の機種あるいはパイロット、そういうところまでは承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/82
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083・瀬長亀次郎
○瀬長委員 ブロンコという双発の飛行機がありますね。そういったもんじゃないかというんだが、あんた方でまだはっきりつかんでいないですか、とうですか。――つかんでいない……。
それから次の点がまだ抜けていますよ。
ミッドウェーであれば、艦砲射撃――あのとき十一時半までやられたことは、もう現地では、私、行って調べているんですよ、ほとんどが知っているんですよ。それはもちろん照明弾でやるから、これは常識ですからね。たまたま村に落ちたと思います。あの照明弾は出砂島を照明して、明るくして、そこで目標に向かってどかんどかんやるわけですからね。それはミッドウェーがやったんですか。ミッドウェーであれば、ミッドウェーの艦載機であるか艦砲射撃であるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/83
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084・高島正一
○高島政府委員 ミッドウェーから飛来した艦載機であるというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/84
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085・瀬長亀次郎
○瀬長委員 艦載機の機種は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/85
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086・高島正一
○高島政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、機種については承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/86
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087・瀬長亀次郎
○瀬長委員 いま答弁でもわかりますが、照明弾が落ちましてから米兵が二人渡名喜村に来ているんですよ。そして、そこでどこに行ったかなと照明弾を捜している。ところが、照明弾捜しは別として、被害者の比嘉さんのところに全然来ておらぬ。施設庁も来ておらぬ。これは一体どういうことなのだ。少なくとも落ちたところははっきり確認しておる。どうも大変でしたなぐらいは言うのがあたりまえだと思う。それは行っていませんね。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/87
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088・高島正一
○高島政府委員 二月七日の午後九時三十分ごろ、御指摘のような渡名喜村の民家の庭先に照明弾、長さ約一メートル、直径約二十センチのジュラルミン製の円筒形が落下したということを承知いたしまして、まず被害の有無について調査に入ったわけでございますが、被害は幸いにもなかったというふうな報告に接したわけでございます。
御指摘のように、たとえ人身にあるいは物的被害がなくとも、やはり民家が近いわけでございますし、先ほど御指摘のような方もそばにおられたということでもございます。私の方からも直ちにお見舞等に参上するのが当然であったというふうに反省しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/88
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089・瀬長亀次郎
○瀬長委員 民家の近くにと言われましたが、民家の庭先ですよ。屋敷内ですよ。そういった認識だから、しかも奥さんは井戸端で洗たくして手を洗って立とうとしたところにばんとやってきたんですよ。これは精神的な衝撃は大きいんですよ。もう奥さんは二日ぐらい寝られなかったそうです。こういった場合に、あなた方も日本人でしょう、当然大変でしたなぐらいは言ってよさそうなものだが、言っていない。これが現実だ。長官、その点はお認めください。
それから、施設局長が言ったのかどうか知らぬが、向こうの渡名喜村長に、渡名喜村の上空は演習でも通らないんだと言われたことは事実であると思いますが、認めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/89
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090・高島正一
○高島政府委員 渡名喜村の上空は飛行しないということを、米側もしばしば私どもの方に言明しておったところでございます。したがいまして、那覇局長は直ちに抗議を申し込みまして、これに対し米側は、きわめて遺憾であった、今後このようなことのないように全軍に布告するということで、きわめて丁重な遺憾の意を表してまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/90
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091・瀬長亀次郎
○瀬長委員 だから、アメリカを信頼するというのですね、政府の皆さん。ちっとも信頼できないということがわかる。村の上空を通らぬと言ったが、ちゃんと上空を通っていて、だから落ちるのです。
ところが、それは照明弾だけの話であって、あの演習をする場合に、飛行機の爆音、これで、小学校の防音装置をしているところは何とか授業をやっているというが、防音装置をしていない渡名喜中学の校長の話だが、一時間で三十分は爆音で授業ができないという。いかにその上空を通って出砂島の射爆場に行くかという現実なんですね。これをお認めになりますか。これは校長の話なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/91
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092・高島正一
○高島政府委員 御指摘の校長先生からそのようなお話があったということは十分承知しております。
なお、この防音対策については、今後全力を挙げて対処する所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/92
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093・瀬長亀次郎
○瀬長委員 いまの御答弁で、いかにむちゃくちゃな演習が、ミッドウェーの艦砲射撃ではなくて飛行機から――もう本当に、村民の話を聞きますと、常時飛んでいるというのですね。またドカン、ドカン、ドカンと、十一時半といいますから大変なんですね。あれは実際は、村と四キロぐらい離れているのですよ。いかに生命、財産の危険にさらされているかということがここでわかる。総理のあの答弁など、県民の生命、財産、安全に対するまさに挑戦であるということはこの一事でもわかりますが、さて、時間がありませんので、嘉手納基地に移ります。
長官に渡しましたこの嘉手納基地使用状況の調査ですね。これは一月二十三日から二十四日、二十五日、それぞれ七時間にわたって調査したものであります。
第一に、軍用機の機種、これが三日間で二十四機種。これは現に動いたものだけの話なんです。二十四機種なんです。
二番目に、三日間の飛行回数。これは形態別であります。たとえば、離陸、着陸、タッチ・アンド・ゴー、それからフライトパスに分けての実態調査なんです。
それから三番目は、三日間の主な機種の飛行回数。これはKC価からC141までの離着、タッチアンド・ゴー、フライトパスに分類してやっております。
それから四番目、これは三日間、特にファントムの飛行回数です。第三二一一師団の管轄下にある一八戦術戦闘航空団、これの主力部隊なんです。このF4ファントムの飛行回数。
それから6は、ファントム機の時間ごとの飛行回数。何時から何時まではどうかということ。ここで特徴的なのは、十二時から十二時五十九分までが一番多いというふうなこと。
さらに、7は部隊別の飛行状況。これは空軍、海軍、海兵隊別の飛行状況。
八番目は、とりわけ第一八戦術戦闘航空団のF4ファントム機の飛行状況。
それから九番目が、例のスパイ機と言われておるSR71戦略偵察機の行動時間。
十番目が、あの非常に危険な例のハリア。キャンプ・シュワブ、ハンセン、嘉手納から飛んで行って、そこで演習している、こういったような順序になっております。
特徴的なのは、これは調べた時間も二十一時間ですが、その間にやったのは、回数は五百二十六回やっています。もちろんタッチ・アンド・ゴーも全部加えて。そうなりますと、二分で一回やっているのです。この問題からも、さらにこの五百二十六回の訓練の中で、いわゆる核部隊と言われておる一八戦術戦闘航空団のファントム、これが二百六十六回。全飛行機の離着の五〇・五%は、本当に危険きわまりない核部隊と言われている一八戦術戦闘航空団の演習で占めておる。
それからもう一つ。とりわけ一八戦術戦闘航空団のファントムが演習する場合には、確実に爆弾を積んでおる。模擬核あるいは普通の模擬弾、いろいろな種類だと思いますが、基本的には、おりてきますね、おりてくるとき確実に化学消防隊などがちゃんと用意して、発動して待っておる。いわゆる落ちるのをもう予想しての演習である。
この前、不破議員が予算委員会でも――核武装しているこのファントムの演習、ブロークンアローというのですね、これは部隊は認めたのですよ、やったということを。ところが政府は認めぬわけなんですね。
それから、SR71、スパイ機だ。これは飛行回数は少ないわけです。ところが毎日確実に行っています。三日間、毎日見ております。中国領土にすれすれにやっては帰ってくるというふうな、もう全地域のスパイ活動をやっておる。
時間がないので詳しく説明いたしませんが、これは実に臨戦体制と言うよりは、もう戦場直結型の基地になっておる。ベトナム後、朝鮮に照準を当ててと、いま、きのうきょうの新聞でも、米韓合同演習があって在日米軍もそれに参加することは当然だということを答弁しておりますが、このような形でやられているのですね。実にもう危険きわまりない。爆音といい――タッチ・アンド・ゴーは長官おわかりにならぬでしょうが、飛んで来ますね。ギュー、ポンと飛ぶのですよ。タッチしますから、その上がるときの爆音は大変ですよ、百何十ホン。それが嘉手納基地を中心にして行われている。実際これはこっちの調査なんです。ちゃんと望遠鏡を持って、機種は確実にすぐわかるのです。けつを見れば大体何かわかります。二十四機種もあって、常時、しかも二分に一回、被害も非常にひどい。
ここで外務省あるいは施設庁に言っても別にあれなので、時間の関係で、長官、基地を持っている米軍が演習しないというのは不思議じゃないか、むしろするのが当然だといったようなことを福田総理言われましたね。佐藤から田中、三木に至る大臣で、あんなことを言った大臣はいませんよ。あんなことを言ったものだから、沖繩では、大変な男が総理になったなというのが現実の話なんですよ。いま一番先に説明したように、米軍が演習しないのはむしろ不思議だ、当然じゃないか――長官、どうですか。沖繩の民生の安定、民生の安定というのは政治の目標ですよね、何といったって。いま言われた生命、財産を守る、これは開発庁長官としても十分やる。あなた一体、いまの演習の激化、こういったのは米軍だからしようがないじゃないか、当然じゃないか、むしろやれやれということになるのか。ここまでいくと、砲弾が総理の官邸に落ちない限りアメリカを信頼するといったことになりかねない。そういった点について、特に長官の所信をはっきり言ってもらいたいと思いますがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/93
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094・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 防衛庁、外務省という所管になってまいると思います。ただ、住民の不安という問題についてだけお答えしたいと思いますが、先ほどお聞きをしておりますと五百二十六回、二分ごとに離着というような形で大変地域住民の不安がある、こういうふうに御指摘をされましたが、私もそのとおりだと思います。できるだけこういうことがないようにお願いをしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/94
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095・瀬長亀次郎
○瀬長委員 長官としては、福田さんが言われた、米軍が演習しないのはむしろ不思議で、演習するのが当然だということではなくて、生命、財産にかかわる場合には規制してセーブしてやるような方向でしてもらわぬといかぬというような意見でございましょうね。どんなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/95
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096・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 総理と私と立場が違っておりまして、どういう発言であるかは私も存じておりません。いま申し上げたように、所管は外務省それから防衛庁、こういう形の所管でございまして、ただ、沖繩開発庁長官という立場から申し上げますならば、米軍の演習によって地域住民の不安があるという、できるだけこういうことはないように考えていきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/96
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097・瀬長亀次郎
○瀬長委員 最後に名護市の問題です。外務大臣も所信表明をやっておいて来ないでしょう、だれもおらぬですから、あなたは内閣の一員ですから、結局長官が内閣の代表者みたいなものですから、私は特に長官に質問します。
そこで、この前新聞にも報道されたのでおわかりだと思いますが、いま写真を見てもらった。名護市長名で――あれは私、見に行きました。水道管ですからトラックで破壊できないやつなんですよ。あれを破壊したのは戦車ですよ。ここは開放地区ですから市道です。名護の市道です。約二百メーターぐらいそこに、写真のように米軍の通行どめ。これは市長にも会いました。渡具知裕徳さんというのですが、もう政府に言ってもどうにもならぬ、アメリカにお願いしてもどうにもならぬ、二万人の名護市民の生命、財産を守るためには、もうここまでくると私自身が市道の管理者だからやらなくちゃいかぬというところに追い詰めめられた――自治体の長の本当の正義の行動なんですよ。これに対して長官はどうお考えですか。
自治体の長がそこまで追い込まれておる。これは向こうのハリアといいましたね、垂直離着陸するやつです。六機ありますが、一機はこの前墜落した。危険ですよ。二機は故障だ。いま三機でやっています。嘉手納にいてキャンプ・シュワブに演習に行っている。その抗議に行ったのです。水源地は大変なことになる、それで、県の農林試験場も、戦車道がありますから戦車訓練によって森林がどんどんやられておるという調子で、これではたまらぬと言って、名護市議会も全会一致ですよ。自民党の議員もいますよ。それから市長も先頭に立って行ってもどうにもならぬからこれを張ったわけです。米軍の通行どめ。まさにわれわれは政府に頼っているのだが、県も政府に頼る。頼るものない、米軍に言っても聞かぬ、だから自衛手段としてやる。これをどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/97
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098・亀谷禮次
○亀谷政府委員 米軍の演習に関連した問題についてはしばしば本委員会でもお取り上げいただいておるわけですが、歴代長官がこの席でいつもお答えをいたしておりますように、米軍の演習そのものにつきましては、日米安全保障条約上の問題でありまして、この点については政府としてもその条約の遵守方について配慮をしなければならないわけでありますが、同時に沖繩県民の感情というものも十分しんしゃくして、いやしくも不安を与えないような方向で行われることが望ましいと考え、関係方面にもいつもその注意を喚起しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/98
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099・瀬長亀次郎
○瀬長委員 そんなことだれも聞いていない。ただ、市長が自衛手段でああやっている。これは本当はできればやりたくないのです。だれでも。私も那覇市長になったことがありますが、そんなことやりたくないですよ。当然やるべきことを政府がやらぬから自衛手段でやっている。そこまで沖縄の地方自治体は追い込まれている。だからやったのですよ。それについて長官はどう思われるかという意見を聞いているだけの話なんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/99
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100・稻村佐近四郎
○稻村国務大臣 初めて御指摘をちょうだいいたしましたが、名護市長とは復帰後大変おつき合いをさせていただいておりますので、いろいろ事情を詳細にお聞きいたしまして、できるところはやっていかなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/100
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101・瀬長亀次郎
○瀬長委員 最後に、昨年の十月、名護市議会が全会一致で決議し、市当局も一緒に行って、ハリアとか、戦車から戦車砲をどんどん撃ち込む、もういろいろ被害が大きい、水資源の被害、爆音、騒音、いろいろなものがあるのでやめてくれ、こういうふうに米軍に言ったことがある。そのときに海兵隊の示したものなんです。何と言ったかというと、米側は、あなた方抗議するのだが、「五・一五メモ」と呼んでいる日米合同委員会のキャンプ・シュワブに関する合意メモ「ナンバー八六九」を出して、すべての武器の使用が日本政府によって認められているということを彼らは発言し、抗議に取り合わなかった。これは十月十九日に行っております。そうして現地新聞にも今月の、二月十日に出ております。この問題は非常に重要だと思うのですよ。それで、そのときのメモというのは赤表紙で、この内容をリリースする場合には日米両政府間の合意が要る。厚木の場合これに書かれています。「厚木海軍飛行場における航空機騒音の軽減に関する規制措置について」、日米合同委員会のを発表されております。そこで、こういったようなことがあって、オールウエポン、すべての兵器の使用を認められている。すべての兵器というのは核も含まれていると見なければいかぬわけです。これは核があるのかないのかという問題ではなくて、いまはっきり本土の他府県の基地と沖繩の基地は非常に違った性格を持っている。もう何をやろうが自由自在だ。こういったものは、いま私は例としてキャンプ・シュワブに関する合意メモ「ナンバー八六九」、これを出したわけだ。これはアメリカがちゃんと海兵隊が出しておるわけです。
これについて、これは長官ではちょっと無理でしょうから、外務省はだれか来ていますか。――ちょっと答えてください。それがあるかどうか。はっきり言えば、「五・一五メモ」と呼んでいる日米合同委員会のキャンプ・シュワブに関する合意、これをちゃんと海兵隊が持ってきて示しておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/101
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102・高島正一
○高島政府委員 突然の御指摘でございますので、なお詳細に調査させていただきますが、いま御指摘の点について私どもの理解するところでは、キャンプ・シュワブを復帰後米軍に提供するに当たりましての使用条件というものが合同委員会で合意をされておるわけでございます。その内容といたしまして、「合衆国軍が使用する兵器は通常海兵隊師団が装備する兵器の一般的範ちゅうに入るものである。射撃は、指定された野外射撃場地区で行われるものとする。兵器、実砲もしくは不活性弾はこの施設、区域内に航空機から投下もしくは発射されないものとする。」そういうふうな条件が付されております。その内容を恐らく米軍が示したものというふうに理解されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/102
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103・瀬長亀次郎
○瀬長委員 最後に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/103
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104・竹本孫一
○竹本委員長 瀬長君に申し上げます。時間が大分超過しておりますから、簡略にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/104
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105・瀬長亀次郎
○瀬長委員 これは委員長に要請しますので、理事会の方でやってもらいたいと思うのですが、これは非常に重要なんですよ。厚木基地あたりはちゃんと住民の要求を、無制限ではないが一応入れている。ところが沖繩の基地の場合には、もう自由自在に、どんな兵器を持ち込んでも使えるといったようなことが、はからずも――このキャンプ・シュワブに関する日米合同委員会の合意議事録、「ナンバー八六九」、これを提示してほしい。これは厚木のものはちゃんと提示されているのですよ。これが提示されると、沖繩基地がどのような基地になっているか、オールウエポンという問題かどういうものであるかということがわかります。これは出すことを約束されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/105
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106・高島正一
○高島政府委員 合同委員会の合意事項については、一切提出できないことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/106
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107・瀬長亀次郎
○瀬長委員 一切提出できないことになっているのに、なぜこれを提出したのですか。これは「厚木海軍飛行場における航空機騒音の軽減に関する規制措置について(一九六三・九・一八日米合同委員会公表)」あるじゃないか、なぜ沖繩の場合出せないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/107
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108・高島正一
○高島政府委員 飛行場あるいは演習場で、使用条件を合意したものについては、使用条件として告示をしたものはこれは発表しているわけでございますが、先ほどの先生の御指摘は、合同委員会の議事録を提出せよというふうに理解したものでございますから、そのようなものは提出できないというふうにお答えしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/108
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109・瀬長亀次郎
○瀬長委員 もう締めますが、この問題は、沖繩基地がなぜあのような傍若無人な演習を、ミッドウェーもやってきてどかんどかんやるか、もういまのあれでわかったと思いますが、この合意議事録なら議事録、あるいはせめて厚木の基地関係の合同委員会の公表、この程度でもいいので、シュワブに対してどういうことを合意したといったものをぜひ委員会に提出してもらうように、委員長の方で努力をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/109
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110・竹本孫一
○竹本委員長 理事会で協議して善処します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/110
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111・瀬長亀次郎
○瀬長委員 それではこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/111
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112・竹本孫一
○竹本委員長 これにて瀬長君の質問は終わりました。
次回は、来る二十二日午前十時より理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十七分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403895X00319780217/112
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