1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和五十三年三月二十三日(木曜日)
午前十時十三分開議
出席委員
委員長 岡本 富夫君
理事 小沢 一郎君 理事 大石 千八君
理事 佐々木義武君 理事 中村 弘海君
理事 石野 久男君 理事 貝沼 次郎君
理事 小宮 武喜君
伊藤宗一郎君 宇野 宗佑君
原田昇左右君 与謝野 馨君
渡辺 栄一君 安島 友義君
瀬崎 博義君 中馬 弘毅君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 熊谷太三郎君
出席政府委員
科学技術庁長官
官房長 半澤 治雄君
科学技術庁原子
力局長 山野 正登君
科学技術庁原子
力安全局長 牧村 信之君
科学技術庁原子
力安全局次長 佐藤 兼二君
委員外の出席者
原子力委員会委
員 井上 五郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
原子力基本法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、第八十回国会閣法第二五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/0
-
001・岡本富夫
○岡本委員長 これより会議を開きます。
第八十回国会内閣提出、原子力基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案につきましては、第八十回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/1
-
002・岡本富夫
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
—————————————
原子力基本法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/2
-
003・岡本富夫
○岡本委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/3
-
004・石野久男
○石野委員 すでに法案の説明はいただいておるのでございますが、この基本法改正の一番大きなねらいはどういうところにありますか、それを最初にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/4
-
005・牧村信之
○牧村政府委員 二つポイントがございますけれども、その前に、今回の改正に当たりましては、先生御存じのように、「むつ」問題等を契機にいたしまして原子力行政への不信が一般国民の間に持たれたということ、また「むつ」問題におきまして行政庁の責任が不明確である、規制が一貫化されていない、原子炉設置の許可とその後の規制行政が異なった官庁で行われておりまして責任の所在が明確でないということを踏まえまして、この法律改正をいたしたわけでございます。
その第一点は、現在の原子力委員会を二つに分けまして安全規制を所掌いたします原子力安全委員会を設置いたしまして、原子力の安全規制に対しまして、開発と規制の政策を審議し立案する機構を二分割したわけでございます。
それからもう一点は、規制の一貫化と私ども言っておりますけれども、設置の許可以降の規制も同じ主務大臣が行うということにいたしたわけでございます。たとえば、実用の原子力発電でございました場合には通産大臣が設置の許可を行い、その後の設工認の規制業務も通産省が行うということにいたしたわけでございます。それから、その一貫化の設置の許可を行う際に、規制を行う行政庁が責任を持って安全審査をいたしまして、その安全審査の結論を踏まえて、安全委員会においてその審査の内容につきましてダブルチェックをするという体制をとったわけでございます。これによりまして現在の規制行政が一段と強化されるという考え方のもとに、国民の信頼を得たいという考え方のもとに提出されてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/5
-
006・石野久男
○石野委員 原子力船「むつ」の事故によって国民の不信が出た、そこから出てきた問題は、政府の責任の所在が不明確であるということによって基本法の改正に手を入れたんだ、こういう御説明でございますが、今度この改正をすれば国民の信頼を得るという結果が出るとお考えになるのか。それはどういう点から国民の信頼が得られるというふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/6
-
007・牧村信之
○牧村政府委員 もちろん、原子力の規制行政というものは単に形を整えただけで信頼が得られるとは思いませんけれども、私どもといたしましては、ただいま申し上げましたような規制の強化の体制を組み、これを着実に実施するということで国民の信頼を得て、原子力の開発利用が効率的に進められるようにいたしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/7
-
008・石野久男
○石野委員 国民の信頼を得るということについて、一番大切だと思うことはどういうことだとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/8
-
009・牧村信之
○牧村政府委員 まず第一点に、この原子力の開発に当たりましては、この規制行政というのは国が責任を持って行うことといたしておるわけでございますので、この責任を十分果たすこと。具体的に申し上げますと、この原子力施設が健全に安全に運転され、いやしくも一般国民に放射線等による障害を及ぼすことがないように規制をしてまいる、また設置者に対してはそういうふうに行政指導をしてまいることが重要であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/9
-
010・石野久男
○石野委員 行政庁としては、国が、健全でしかも安全であることについての国民の信頼が得られるということが非常に重要だ——安全でということはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/10
-
011・牧村信之
○牧村政府委員 安全の概念には、最近におきましてはいろいろ広くなっておるものもございますが、一義的には原子力施設の安全、すなわち原子力施設は他の施設と異なりまして放射線に対する安全、これが一番重要なことであるというふうに考えております。しかし、最近におきましては、平和利用を担保するに当たりましての査察のセーフガードの問題あるいはPPの問題等もあるわけでございますけれども、今回御審議願っております法案の改正の趣旨は、この放射線に対して国民の健康を守るという観点の安全であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/11
-
012・石野久男
○石野委員 国民が放射線に対していろいろな危惧を持っておる、そしてその放射線に対して国民の健康を確保する点で今度の改正がより多くの信頼を得られるような方向へ進んでいく、こういうようなお考えのようでございますが、国民が放射線に対する危惧を持っておるということについて一番問題点だったことは、「むつ」の教訓からどういうところにあったとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/12
-
013・牧村信之
○牧村政府委員 「むつ」の放射線漏れの原因といたしまして、原子力委員会が安全審査をいたしまして、内閣総理大臣がその設置を許可し、それに基づきまして設置者が建造を開始しておる、そして建造が終了いたしまして性能試験に入るという段階でございますが、この設工認の段階は当然運輸省が検査等をやったわけでございますが、なおその間に、その船自体は船舶法で申します原子力船ではないというようなことで、非常に特異な段階におきまして放射線漏れを起こしたわけでございます。そこで、その責任はいずこにありやというときに、その責任の所在が明確でなかったということが非常に大きな問題であったかと思います。
したがいまして、今回の改正におきましては、原子炉の設置から詳細設計のチェックあるいは工事検査というものの設工認の段階まで一貫して一つの省庁で規制を行ってもらうような改正にしておるわけでございます。これによりまして、行政庁はみずから安全審査をして、しかもそれの結論を原子力安全委員会がダブルチェックをいたしまして、万全であるという保証を得てから設工認を行うということで、みずから十分な審査をしつつ、また検査等を行い、また運転に当たりましては運転の規制を行うという万全の責任を一貫して持って推進していくようにした方がいいというふうに判断したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/13
-
014・石野久男
○石野委員 運輸省が一貫してその審査をする、あるいは施行に当たっての責任をとるということで、「むつ」の一番問題点だったところは、そうすると、政府、あなた方の考え方ではどこにあったとお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/14
-
015・牧村信之
○牧村政府委員 現在、原子力船「むつ」につきましては総点検をいたしておるわけでございますが、今回の事故が、安全審査において基本的な設計に若干の不備があったということは言われておるわけでございますので、その辺の不備、また先ほど申し上げましたように、設置の許可と設工認以降の監督権限、規制権限が二つに分かれていた、この二つでございます。
したがいまして、今回の改正の趣旨におきましては、安全審査というものを一次と二次に分けまして、まず行政庁において十分安全審査をする、それを踏まえて原子力安全委員会がそれをさらにダブルチェックするということで、この面におきましては二重の規制と申しますか、チェックシステムを設けて「むつ」に対する反省にいたしたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/15
-
016・石野久男
○石野委員 行政庁、行政庁と言いますが、この関係する行政庁は幾つあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/16
-
017・牧村信之
○牧村政府委員 三つございまして、いまの考えでは、研究開発段階にある原子炉につきましては内閣総理大臣、それから実用の原子力発電につきましては通商産業大臣、それから実用の舶用につきましては運輸大臣、このような三つの主務大臣ができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/17
-
018・石野久男
○石野委員 三つの主務大臣、いわゆる行政庁がそれぞれ一貫しての審査あるいは責任をとっていくということでございますが、その三つの省庁におけるところの審査結果というものがそれぞれその間に非常に微妙な相違を来すという心配はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/18
-
019・牧村信之
○牧村政府委員 現在も、原子力委員会におきましては、安全審査に当たりまして安全の基準あるいは審査指針というようなものをつくって、安全専門審査会でそれに基づいて原子炉の審査をしておるわけでございますけれども、ただいま先生が御指摘のように、三省庁において一義的に安全審査が行われるということになりますので、この調整、それぞれ異なった観点で原子炉の安全審査が行われることはきわめてまずいことでございますので、私どもといたしましては、新しく原子力安全委員会ができました際には、この安全基準並びに安全審査指針、このようなものにつきまして積極的に十分なものにするようにしてまいりたいというふうに考えております。そういうようなことを専門部会等を活用いたしまして安全委員会で御検討いただき、それを各省庁に示して、各省庁の行う安全審査の基準として、あるいは指針としてそれを用いていただくというようなことによりまして整合性を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/19
-
020・石野久男
○石野委員 「むつ」の経験によってこういう基本法の改正をしなければならないような結果が出てきたということは、ただ「むつ」だけの事故ではなくて、その他原子炉等に同様の事故をやはり引き起こしておると思います。たとえば美浜の一号炉における燃料棒の破損の問題等においてあれだけ大きな事故があり、現に炉がとまっておるというような問題が起きたにもかかわらず、四年間も事故を隠蔽するというようなことがございました。私たちの見るところでは、この事故のよって来るゆえんのものは、基本設計と詳細設計のこの違いといいますか、その関連性に問題もあったでしょうし、それからそれの監視あるいは監督という側面での相違からきているものもあると思います。
学ばなければならないことは、事故を起こしたような行政、管理監督というものを排除することだ。そういうことをするような官庁をできるだけ疎外していくというこういう学び方をすべきだろうと私どもは思うのです。そういう観点からすると、むしろ電気事業法によるところの管理監督というようなものに問題があったことはすでに明らかになっておったわけですね。
私は今度の、行政庁において第一次審査をやって、そして安全委員会がそれをダブルチェックするという問題は、むしろわれわれが一番危惧した方向に重点をずっと移行させていって、そして科学技術庁なり原子力委員会というものがしっかりと見詰めておったところの責任を非常に軽くしていくというように本法ではなっておりはせぬだろうかと心配をするわけです。と申しまするのは、科学技術庁は美浜の問題などから見ますると、これはいろいろな見方がありましょうけれども、原子力委員会の安全審査会が基本設計をして、それから通産省が詳細設計の方をずっと分担しておったと思うのです。それの管理監督は電気事業法によってやった。電気事業法の定期検査を、原子炉規制法が疎外された条件の中で管理監督をしたわけですね。その結果としてああいう不祥な事態が出てきたんだと思う。だから、そういうことは極力避けて通るべきで、むしろ原子炉規制法の中にこの問題をもう一遍戻すべきだという考え方を私たちは持っております。これでやるというと、原子力委員会の管理監督の部分あるいは科学技術庁関係の部局が受け持つものが全部通産省の方に行ってしまいます。しかも、それを統括する、最終的にダブルチェックをするという安全委員会は、権限においても現行の権限よりも非常に力がなくなっていくと読まれるような感じがするわけですね。法律で規定されておったものが今度は政令事項になってしまうという安全審査会ですか、それがそういう形になっていきます。そうすると、規制の問題なり安全性に対する観点からすると、国民の側からすれば非常に安心感を持つよりも不安感が出てくるというように感じますけれども、そういう点についてはどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/20
-
021・牧村信之
○牧村政府委員 ただいま先生が御指摘になりました規制法と電気事業法の関係でございますが、これは規制法の御審議をいただいたときから、日本の発電所の規制体系としてきわめて古くから存在しておりました電気事業法の体系の中で、先生御指摘のように、設工認の権限を適用除外したわけでございます。本改正案におきましてもその点は変化ないわけでございますが、今回の一貫化に伴います原子炉の設置許可につきましては、これを適用除外して電気事業法に任せるということではございませんで、主務大臣を三つに、それぞれの所掌の大臣に分けたということでございますので、今回の改正によりそういうような、前の適用除外になっておりますような変更をしたわけではないわけでございます。したがいまして、現行におきます規制法体系がこういう一貫化に伴いまして変化はいたしますけれども、規制の形態として何ら変更と申しますか、弱めるというような措置をとっておるわけではございません。むしろ安全審査に考えます考え方を、現行におきましては先生も御存じのように科学技術庁が原子力委員会のもとにございます安全専門審査会と一緒になって安全審査を現在しており、その意見をもとにして内閣総理大臣が設置の許可をしておるわけでございます。これを、少し重複することは当然でございますけれども、さらに二つに分けて行政庁の審査と、それからそれを踏まえて安全委員会が科学技術庁の事務局と一体になりましてダブルチェックをするという強化を図っておるわけでございますので、先生おっしゃられるような懸念は私ども全くないと思いますし、この方式を用いまして今後の原子力施設の運転につきましても十分な規制を行うことによって、国民の御信頼をいただけるものと確信しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/21
-
022・石野久男
○石野委員 いま局長が言った、規制を弱めるものではないけれども所掌の範囲を三つに分けた。ですから、三つに分けたということによってわれわれにとって問題が出てくるわけです。基本的に言えば、原子力基本法の物の考え方というのは平和利用に徹するということであり、その中から安全性を確保するために、私たちはその観点から問題を一元的に処理することが国民に安心感を与えるというふうに、まず第一に考えております。第二番目には、一元的に処理することによって帰一化されたところの規制ができるというふうに考えます。
規制の内容を弱めるものではないと言い、あるいはまた、いままでそうであったにもかかわらず、通産の所管と科学技術庁の所管とでは明らかに規制の厳しさあるいは緩さというものの相違かあったとわれわれは見ております。美浜の燃料棒はどんなに理屈を言いましても、電気事業法によって定期検査をやった、その中で出てきた燃料棒折損という問題をよう見つけ出せなかった。作業日誌があるのですから見つけ出せておったはずです。それをよう問題にしなかったという通産省のいわゆる定期検査のあり方というものは、これは国民の信頼にこたえるものではありません。そういうようなことについて、私たちは少なくとも科学技術庁のあり方の方をより信頼いたしました。現在もいたしております。しかも、この美浜におけるところの燃料棒折損の問題は、単に見つけ出せなかっただけじゃなくて、隠していたわけです。それを隠していたのは、業者が隠していただけではなく、監督官庁が隠していたと見て差し支えない。なぜなら、本院における答弁はすべてそれを裏づけている。こういうような悪い実績を持っているところに、すべて一貫性という名においてその管理監督を任すということは、国民の不信は強まっても決して弱くなるはずはありません。私たちは、どんなことかあっても安全性について国民の信頼を得るということが、原子力については絶対に必要だと思っております。それが、少しでも安全性についての危惧が拡大し分散するということは、これは機構の改正において決してよろしいことではありません。
今度の改正においては、一元化と一貫性というものを混同して取り扱っておるのではないだろうか、あるいはむしろ意識的にそういうふうに置きかえていくのじゃないだろうかというふうな感じがするわけです。一貫性という問題は、基本設計から詳細設計へ、その一貫性を言うことですから、その点はわれわれも決して否定はしません。そして一貫性を説くために一元化というものが三分化してしまうということでは、安全性に対する信頼感を得ることはなかなか困難です。それが第一点。
第二点は、ダブルチェックをするという原子力委員会の中にありました安全審査会は、従来は設置法の中で明確に位置づけられていました。今度この法案の中では、設置法の中からこの安全審査会というものは削除されていますね。これはどういうところに位置づけられるのですか。この安全審査についての、従来規制法の中にありましたものはどういうところに位置づけられていくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/22
-
023・牧村信之
○牧村政府委員 先ほどの、美浜の事故の経緯から私どもの役所における規制行政の方が信頼をいただいておるというお話ではございましたけれども、現実に原子力発電所の規制は設工認以降通産大臣が従来からも行っておったわけでございます。その規制行政の中でああいう問題が起きてきたことにつきましては、私、科学技術庁の立場ではございますけれども、通産省も非常に反省をしておるというふうに伺っておりますし、この問題がわかりましてからは、科学技術庁並びに通産省で厳重に設置者に対して注文を出し、体制の改善等を図っておるわけでございます。それで、これの扱いにつきましては、なお原子炉の停止を命令しておるところでございます。したがいまして、この反省を十分踏まえて今後も処置していくということが必要であろうかと思います。
そこで、原子力委員会がとりましたその後の措置でございますけれども、これは「むつ」の経験も踏まえてではございますけれども、従来原子力委員会は安全審査のみを所掌することにして行政が行われておったわけでございますが、設工認以降の重要な事項あるいは事故、故障というようなものにつきましては原子力委員会の中に設けております安全専門審査会の下部機構に一つの部会、たとえば発電関係であれば発電炉部会というものをつくっておりまして、原子力委員会におきましても設置から運転に至るまでのチェックができるような体制をとったわけでございます。
〔委員長退席、小沢(一)委員長代理着席〕
この体制につきましては、新しい原子力安全委員会ができましても引き続きそういう体制をとって、たとえ行政庁に設置許可から一貫してその規制をゆだねるにしましても、ダブルチェックをするという立場から十分安全委員会の方にもそういう機能を持たして、設置許可にかかわることなく、施設の運転、保守等につきましても十分審議をして、必要なものは主務大臣に意見を申し出てそれを守ってもらうというふうな体制で進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
なお、今度の法律改正におきまして安全専門審査会を法定化しておりません。これは、現在の原子力委員会を二つに分けまして、安全規制にかかわりますことを責任を持って行うという原子力安全委員会ができるわけでございますので、そこの下にあります専門審査会は何ら法案化する必要はないであろう。名称は安全委員会の名称で非常に明確に明定化してございますので、それを踏まえて、あえて法定化をしなかった次第でございます。
なお、その実質的な運営に関しましては、現在三十名の専門委員の方に安全審査をお願いしておるわけでございますが、来年度予算におきましてこの審査の方々の実質的な増員を図っております。たとえば安全専門委員会におきましては三十名を四十五名にするというようなこと。それから、先ほど基準の制定あるいは指針の制定等に専門委員会で御審議をいただくと申し上げましたけれども、大幅なそういう専門委員の増員を認められておりまして、安全規制に関します体制を原子力安全委員会のサイドにおきましても強化を図っております。
そのほか、行政庁の私どもの方におきましては、この安全委員会がダブルチェックを行う実質的な事務局として安全調査室というものを設置いたしまして、専任のスタッフを置いて安全委員会の活動を補佐するというふうな体制もとって万全を期したい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/23
-
024・石野久男
○石野委員 幾つかの問題がございますが、規制を各主務大臣に守ってもらうようにする、こういうことを簡単に言いますけれども、役所のなわ張りとか、あるいはそのなわ張り争いからいろいろ国民が迷惑したり被害を受けたりすることを私は数多く見ているわけです。この基本法をつくるときの精神等にもかんがみまして、できるだけ国が斉一的に安全性に対する国民の信頼を得るような措置をすべきであろう。ましてや最近カーター氏から提起されておりまする核不拡散政策による国際的な諸要求、日本にもそれは来ておりますが、そういう問題を考えれば、やはり国が一元的に国民の信頼を得られるような処置をとることが望ましいというふうにわれわれは思っております。ところが、この法案は、国民の信頼を得るということに藉口して、一貫性を強調する余り、一元化が三元化するというような形になっていくところに一つ問題があるわけです。われわれは、この問題は非常に重大だと思っております。
それからなお、安全委員会が一つの任務分担をすることになったんだから原子炉安全専門審査会なるものは法的な扱いから外したというこの考え方ですね。安全専門審査会というのは従来は一定の法的な裏づけを持った審査会として権威を持っておったと思います。しかし、今度は法的ななにを持ちませんから、第三者に対抗する力量というものは原子力安全委員会にすべて包括される、こういうことになってくるわけですね。その上、安全委員会なるものは、その委員長の任命等におきましてもこれは互選で、今度の新しい法案では原子力委員会の「委員長は、科学技術庁長官たる国務大臣をもつて充てる。」こういうことになっておりますが、片方安全委員会の方は「互選」で任命されるということになっているわけですね。そして、原子力委員会の委員長と原子力安全委員会の委員長とではその扱い方の上で、また委員長の権限の問題においてもずいぶんと違いがでてくる。俗な言葉で言えば、格下げの形になっていると思います。もしこれが第三条委員会であるならば、私はそんなことは言いません。そうでありませんから、これはどう考えてみても安全委員会と原子力委員会との間に委員長の資格、権限において違いが出てきておると思うのです。そういうふうに見てみますと、安全委員会の方は原子力委員会よりも俗に言う格下げが行われていて、その委員会の中にある安全審査会なるものが、安全審査の衝に当たるものが法的資格を持たないで政令機関になってしまうということになると、安全に対するダブルチェックといいますけれども、権限の上からいえば非常に軽いものになってしまって、国民の側から見れば、それは信頼感を受けるよりもどうも不安だ。第一義的に行政庁かいろいろな審査をされます。それに対してダブルチェックをするものがより強い権限でダブルチェックすれば権威は出てきますけれども、第一義的なものに対して権限を及ぼすことのできないような形でのダブルチェックは意味がない、こういうことになって、むしろ安全審査は非常にルーズになってしまうのではないか。しかも、その第一義的なものは三つの行政庁に分かれてしまうのですから、そこでも不安がある。
こういうことになりまして、あなた方が「むつ」に学ぶ、あるいはその他の原子炉の事故等に学んで原子力基本法を変えたとは言うけれども、それは口実であって、むしろ行政の面で非常に仕事のしやすい方向を選んでいるのではないかという感じが私どもはする。そういう点についてどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/24
-
025・牧村信之
○牧村政府委員 新しくできます原子力委員会と新しくできます安全委員会、この委員会の間に差が全くないことは、設置法の改正案におきましてもそれぞれの所掌につきまして企画し、審議し、決定するということがうたわれておりまして、その決定されたことの尊重義務として内閣総理大臣が尊重しなければいけないということがうたわれておりまして、原子力委員会の委員長が国務大臣であったといたしましても、その格におきまして何ら差があるわけではございません。
なお、私どもの方の考え方からいたしますと、安全委員会というのは、その所掌するところの「原子力利用に伴う障害防止」「原子炉に関する規制」ということから出てまいります行政省庁の行った安全審査の結果をさらにダブルチェックするということに大きな使命を持っていただいておるわけでございまして、このようなダブルチェックというものはできるだけ中立的に行う必要があるということを考えますと、私どもといたしましては、安全委員会の委員は、中立的な、専門の方で高度の知識をお持ちになって、原子力の安全について大局的な御判断のできる方を選任させていただきまして、その中から委員長を選ぶということによりまして厳正中立のダブルチェックができるということを、ある意味では非常に大きな前進と考えております。
また、この基本法等の改正によりまして、安全審査の結果、原子力安全委員会の答申を得た上で各主務大臣が設置の許可をするわけでございますが、この際、各主務大臣は安全委員会の答申を尊重しなければならないということが特に明定化されておりまして、そういう観点から、規制を一貫化いたしますけれども、それによりまして安全委員会がほごになる、あるいは弱体化されるというふうな御感触の御質問ではございましたけれども、そういうことは全くない体制を組んでおるつもりでございます。すなわち、設置に当たりまして安全委員会の意見を主務大臣は尊重しなくてはいけないのだということが、さらに一般的な尊重義務あるいは勧告権のほかに、この設置に当たりましても同様の尊重義務を課しておるということで十分担保されておるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/25
-
026・石野久男
○石野委員 答申を尊重する、いわゆる尊重義務によって不安はなくなる、こういうお話でございますが、改正法による第四条には「委員長は、科学技術庁長官たる国務大臣をもつて充てる。」とあり、第十五条は「委員会に委員長一人を置き、委員の互選によつて常勤の委員のうちからこれを定める。」とあります。
ここでお聞きしますが、この「国務大臣」というのと委員会の「委員」というのとではどういう権限の違いがありますか。ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/26
-
027・牧村信之
○牧村政府委員 安全委員会におきましては、これは新しい原子力委員会でも同様でございますが、審議会でございますので、合議制によって行うわけでございます。
〔小沢(一)委員長代理退席、委員長着席〕
ここで多数決によって最終的には決められるわけでございますので、仮に委員長が非常に権限を持ったお方であったとしても独断専行は許されないシステムになっておる、これは法文上十分担保されておるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/27
-
028・石野久男
○石野委員 委員会が合議制で行われるということについては——私は、委員長が専横であれというようなことを、そういうような意味での質問をしているのではありません。委員会はどこへ行ったって合議制でやって、そこで決まらないことを委員長が勝手にやれるというようなことは許さるべきことでもないと思います。私の聞いているのは、これは法律です。いわゆる基本法の改正に伴って原子力委員会及び原子力安全委員会の設置法という法律ができるわけですね。その法律の中で、第四条は、委員長か国務大臣だ、それから第十五条は、委員長は委員の互選による、こうあるわけですから、そのときに、国務大臣とそれから安全委員会の委員との間における、あらゆる面における政治的な権限はどういうふうに違ってくるかということを聞いているのです。同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/28
-
029・牧村信之
○牧村政府委員 安全委員会の方につきましては、委員長は互選によりまして選ばれるわけでございます。原子力委員会につきましては、原子力委員長は国務大臣を充てるというふうになっていることは御指摘のとおりでございます。これは私自身の方からお答えするよりもむしろ原子力局長の方からかとも思いますが、原子力の開発利用を所掌いたします原子力委員会という存在の特殊性が一つはあらわれておると思うのでございますが、原子力の開発利用、特にエネルギー等に関連して、原子力の開発利用というのは国の政策に非常に大きな役割りをするわけでございます。このような委員会の意見ができるだけ国の施策に反映することが望ましいわけでございます。そこで、国務大臣である委員長が閣議の場に出られて、原子力委員会の意見を踏まえて内閣にいろいろな意見を具申いたしまして国の政策との整合性をとっていただくことがきわめて大事であろうというようなことから、現在の原子力委員会の委員長は国務大臣をもって充てておるというふうに私、解釈しております。
安全委員会につきましては、これは先ほども御説明申し上げましたように、安全の規制に関する政策等を所掌するものでございますので、これはむしろ安全委員会の立場といたしましては、厳正中立の立場で国の安全規制がそつなく行われることを確保するために、国務大臣である方が委員長にならない方が適当であるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/29
-
030・石野久男
○石野委員 原子力委員会の方は非常に広範な立場で原子力問題を扱って、その施策が国の施策に反映できるような整合性を得るために委員長は国務大臣、それから原子力の安全性の問題については中立の立場を確保するために、先ほどダブルチェックの話で、中立的で高度な知識を持った大局的判断のできる方々の合議制でというお話でございましたが、いまの御説明によりますと、安全性の規制については、国の施策に反映できるような整合性を得るような場は必要でないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/30
-
031・牧村信之
○牧村政府委員 それはきわめて重要なことだと思います。したがいまして、この原子力安全委員会もいままでの原子力委員会と同様の非常に強い権限を持った諮問機関になっておるわけでございます。ここで審議し決定された事項は、内閣総理大臣は尊重しなければならないという尊重の規定、また、必要と認めれば内閣総理大臣を通じて各行政庁の長に対して勧告ができる権限を引き続き持っておるわけでございます。しかも、先ほども御説明いたしましたように、特にこの安全委員会の重要な任務であると現在考えております設置許可に当たりまして安全委員会が審査をする、ダブルチェックをするということにつきましては、各省庁の主務大臣もこれを尊重しなくてはいけないというふうな非常に強い権限を持った安全委員会でございます。しかも、そこで審議され決定されることは、可能な限り中立的なことで決定していただきまして、それを行政庁が守っていただくような非常に強い権限を持った諮問機関であるというふうに私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/31
-
032・石野久男
○石野委員 法律を制定するときには、いろいろな規制を加えたり、あるいは国民の信頼を得られるようにしなくてはなりません。問題は、強い権限とか云々とかいうことはありますけれども、それは具体的に実行の過程で国民の信頼を失ってしまうような行為が出てこないようにということもまた考えなければならぬ。したがって、私どもは安全委員会というものが従来よりも一層強い権限を原子力については持つことを望んでおるわけです。そうでないと、国民は原子力に対して信頼を与えることはできない。
今日、原子力問題で大きい問題が二つある。一つは核兵器につながらないかという問題、いま一つは放射能における安全性が確保できるかどうかという問題です。私は、原子力に関するいわゆる国の施策に反映しなければならない大きな問題は、この安全性に関する問題がどのように国の施策と整合性を持って実行できるかということだと思うのです。
この二十年来のわが国における原子力行政の中でいま一番問題になっているのは、原子力の放射能に対する安全性の問題なんです。原子力委員会が持っているもの、それから原子力安全委員会が持っている重要性からいえば、法の改正をするならば、むしろこの安全委員会の方に重点を置くべきであろう。確かに原子力委員会は包括的な部分を持っております。事務的な分野も多く持っておりますから、その意味は十分わかりますけれども、しかし問題の本質は安全性の問題だし、また「むつ」に学ぶ点はそこにあるのだろうと思うのです。ですから、安全委員会の権限、任務というものがより充実され、より信頼感を得られるようにすることが、法改正の一番大きな問題でなければならないだろうと私どもは思うわけです。
ところが、いま政府の出してきているこの案は逆なんです。安全委員会は原子力委員会が二つに分かれて一つの委員会になったけれども、職務執行における権限内容等からいいますと、むしろ政令に外されたり、あるいはまた委員長が国務大臣であったものが互選による委員長というような形になったりして、法的裏づけからすれば非常に薄まっている、こういうように考えざるを得ない。何と政府が説明しましても事実はそうなっているのです。このことはまた後で本委員会において論議をしなくちゃならぬ問題ですけれども、どうも「むつ」の問題だとかその他で私たちが学ばなければならないことが逆になってしまっているのではないだろうかという疑問を持ちます。これは政府でもう一遍考えてもらわなければいけない問題じゃなかろうかと私は思うのです。
大臣にちょっとお聞きしますが、大臣は閣議に出ておられます。改正法の十五条の委員長と四条の委員長というものは、閣議の中での発言権限ということになるとどうしても差が出てくるように私たちは考えますけれども、大臣はどういうふうにお考えになりますか。また、この問題をだれが代行して閣議で説明するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/32
-
033・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 局長から先に申し上げて、後でお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/33
-
034・牧村信之
○牧村政府委員 安全委員会は、先生御指摘のように、委員長は国務大臣ではございません。したがいまして、この決定されたことの尊重義務は内閣総理大臣に報告されたときに生ずるわけでございますが、科学技術庁の長官はその安全委員会なり原子力委員会の事務局をいたしております安全局なりあるいは原子力局の長でございますので、そういう意味でまた大臣のお力を得なければならないことがあるわけでございます。そのほか、特に規制法の施行に当たりましての総括大臣としても存在していらっしゃるわけでございますので、この辺は、安全委員会の結論を踏まえて行政庁が行政の仕事として大臣のお力添えを得て仕事を進めていくということになるわけでございます。そういう意味で、科学技術庁長官である大臣が通産大臣あるいは運輸大臣とこの限りにおきましては対等の位置にある場合もございますし、この規制法等の総括者である大臣として上に立つと申しますか、指導的な立場をとらなければいけない場合もあるというふうなことでございますけれども、今回の改正で私どもの一番懸念しましたのは、安全委員会がたとえば国務大臣をもって充てた場合に厳正中立ということで世間の人が見ていただけるだろうかということを非常に議論されたわけでございます。むしろ信頼を得るのはこういう厳正中立な委員会にした方がいいんだというふうな形で法律改正をさせていただいているわけでございますので、その辺、先生の御見解と違う、反対の方かもしれませんけれども、私どもとしてはそういうような形で御信頼を得て、そこで決定され、審議されたことを行政庁が受け取りまして、十分規制行政に反映していくという体制がとれておれば万全を期し得るのだろうというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/34
-
035・石野久男
○石野委員 私の聞いておるのは、第四条における原子力委員会の委員長は閣議で物を申すことができます。ところが、安全委員会の委員長である第十五条の委員長というのは閣議で発言できますかということを聞いておるのです。
それからもう一つは、いまの御説明によりますと、厳正中立の立場で行政庁に物を申すということがあるからいいんだという話ですが、そうすると、厳正中立の立場で物を言った安全委員会の意見というのは、行政庁の長、各省大臣、各庁大臣、そういうところで一応とまる。あと総理のところへ持っていくのは、どういう形で、どういう場合に持っていくかという問題と二通り出てくるわけですね。そこのところはどういうふうに関連するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/35
-
036・牧村信之
○牧村政府委員 形の上では新しい原子力委員会も安全委員会もいまの原子力委員会と何ら変わるところはございませんで、これは内閣総理大臣に対する諮問機関であるわけでございます。したがいまして、安全委員会の決定されたことを閣議に反映しようと思いますときには、内閣総理大臣を通じて発言することができるわけでございます。また、そうとは申せ、安全委員会の所掌を私ども科学技術庁としてその事務局を各省と協力してやるわけでございますが、その関係大臣としての科学技術庁長官が身近に見ておられるわけでございますので、内閣総理大臣を補佐する国務大臣として必要があれば閣議でいろいろな発言ができようかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/36
-
037・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 いま直接のお尋ねの問題につきましては大体安全局長からお答えしたとおりかと思っておりますが、おっしゃるまでもなく、安全委員長は閣僚ではありませんから、閣議に出まして直接発言するということはありませんが、いま申し上げましたように、大体科学技術庁の所管になりますので、それを見守る立場としまして、責任を持ってその趣旨が貫徹しますように努めねばならぬことになるかと思っているわけでございます。
なお、先ほど来、法的な力、権限がないので、安全委員会がむしろ非常に弱体化するのではないかというような御心配がいろいろございました。これも原子力におきます安全性を第一に尊重しなければならぬというお立場、これはもう言うまでもなくすべての者が持たねばならぬわけでありますが、そういう御熱意のあらわれでございまして、先ほどから大変傾聴いたしておった次第でございます。ただ、その基本的な、安全性を第一に確保していく、そのためにというそこまでのお考え方はもちろん共通した考え方でございますが、現在の状態では、この信頼という問題にもいろいろな場合があるわけでありまして、行政官庁がその権限を持っているということになりますと、同じ答えを出してもそこに疑いを向けられる、あるいは不信を抱かれるといったような場合がなきにしもあらずということで、そういういわゆる中立的といいますか、行政的な権限は持たないが、しかし法的に尊重しなければならないという法的の力を持った、行政機関に関係のない第三者的な機関である方がやはり国民の方々により一層この安全性について御安心を願う道でないかというようなことが行政懇の中でも結論が出まして、このような考え方になったのではないかと思っているわけであります。
なお、いろいろの御意見は十分承りますが、とりあえずその点だけ申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/37
-
038・石野久男
○石野委員 いま局長と大臣からの答弁を聞いておりますと、いわゆる厳正中立で、しかも行政官庁か権限を持っているといろいろな疑いを持たれたり不信を抱かれるからいわゆる中立的なものにした方がいい、そういう観点から、安全委員会は委員長の選出についても互選ということでいったんだ、こういう説明でございますが、そういうことであるならば、これは三条委員会にすればいいのですよ。それが一番いいのです。そして閣議に出て——まあ科学技術庁長官は身近に見守っている立場でそれは発言して云々と言いますけれども、実質的には安全委員会の発言が、閣議に出るのには総理大臣を通じなければ出ないことになります。各省庁のいわゆる各行政庁の長が安全委員会を代行してということは、行為的にはやれるとしましても、実質的には安全委員会の委員長は閣議には出られないのですから、出るのはやはり総理大臣ですよね。そういうやり方は、いま三条委員会がそういう権威を担って任務を果たすということになるのですから、私どもは、安全性の問題を皆さんが非常に重視して、原子力委員会と安全委員会と二つに分けたということの具体的な成果を得られる道というのは、こういう形で科学技術庁の片すみにちょこっと置くということじゃなしに、むしろ第三条委員会として中立的な権限を持たす、それの方が、局長のいまの答弁なり大臣の答弁に合致するんだ、こう思います。しかし、改正法の第十五条の実態から見ますると、これは局長や大臣が言うようなふうにはいかないということが明らかでございますので、ぜひひとつ政府も考えてもらわないといかぬ、こういうように私は思います。
いずれにしましても、私は原子力の安全性を確立して国民の信頼を得るようにという方向で基本法が見られることか望ましいのですが、どうも改正の方向というのは、逆に一般の人々がわかればわかるほど原子力行政に不信を持ってくるという結果を招来するのではないだろうかという実は心配をするわけなんですよ。この点はひとつ大臣も、法案は出ておりますけれども、検討していただかないといけないのではないか、こういうように感じます。
科学技術庁が行政庁として、総括者として指導的役割りを果たすという言葉がしばしば出てくるのですけれども、この法改正の中で科学技術庁が総括者として指導性を持つというところはどこに確保されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/38
-
039・牧村信之
○牧村政府委員 具体的には各省庁が設置の許可を行いますときに、内閣総理大臣の同意を得なければならないということが今回の改正に当たりまして制定されておるわけでございます。これが法律的に、内閣におります科学技術庁として必ずそういう同意を求めてくるのに対して検討した上で返事をしなければ設置の許可が行われないという形になっておるわけでございますので、その辺で十分ただいま先生の御質問のあれにお答えできるかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/39
-
040・石野久男
○石野委員 内閣総理大臣が、と言いますけれども、科学技術庁は内閣総理大臣の持つ権限のすべてを今度は代行するというわけにはいきませんね。改正前の場合であればそういう解釈はある程度われわれも容認できるというふうに思っておりましたけれども、今度は各省庁に分散化されていく、そして各省庁は内閣総理大臣の指導を受けることになりましょうし、科学技術庁長官が内閣総理大臣を代行して各省庁の上で行い得る問題というのは、どことどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/40
-
041・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 先ほどから御説明してまいりましたように、原子力安全委員会ができまして、そこで安全性の問題に関する諮問等が行われまして、その答申などは各省に行われるわけでございますが、それとまた並行的に、いま局長が御説明申しましたように、統括庁としての横断的な安全問題をチェックするべきポジションにあります総理府科学技術庁といたしましては、各省の許認可が行われた場合につきましては、必ずこれに対する同意を求めるというかっこうになっておりまして、それでもって確保をしておるわけでございます。
なお、具体的に御指摘のありました総理大臣に対する同意の請求の問題につきましては、法律の七十四条の二に総理大臣の権限のうち科学技術庁の長官に対する委任事項があるわけでございますが、先ほど申しましたような許可等に関しましては、委任はなされておらず、総理大臣そのものの権限として留保されているわけでございます。そういうことによりまして、総理大臣によっての同意というかっこうで事実上チェックされるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/41
-
042・石野久男
○石野委員 その認許可の問題等について、総理大臣か持っている権限——科学技術庁の長官か持つ権限というものは、総理大臣の代行という点で旧法と新しい法案とで違ってきている点を明確に出していただきたい。ちっとも変わらないのですか、古いものと新しいものとの間は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/42
-
043・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 いま御指摘の内閣総理大臣の権限のうち、科学技術庁長官の方に委任さるべき事柄と、それから各省大臣と総理大臣における同意との関係の問題につきましては、基本的に変わりありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/43
-
044・石野久男
○石野委員 従来、総理大臣と各省庁の大臣との同意の問題は旧法においてありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/44
-
045・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 七十一条にその根拠規定を置いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/45
-
046・石野久男
○石野委員 その七十一条の問題点というのは、原子力において従来どういうふうに働いておりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/46
-
047・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 設置の許可に関します同意ということでは同等でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/47
-
048・石野久男
○石野委員 設置の許可についての同等というのは、どういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/48
-
049・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 通産大臣が許可する際に、総理大臣に対する同意というかっこうで同意を求めておる、具体的には七十一条の根拠規定ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/49
-
050・石野久男
○石野委員 科学技術庁長官が持っておった権限が各省庁に分散化していくときに、従来科学技術庁がやっておったことで通産あるいは運輸大臣に移っていく問題点というのは、どういうことと、どういうことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/50
-
051・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 設置の許可に関してだけ同意ということが結びつくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/51
-
052・石野久男
○石野委員 ほかは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/52
-
053・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 ほかは結びつきはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/53
-
054・石野久男
○石野委員 ほかに結びつきがないということでは、すべて科学技術庁長官が従来どおりの権限を持っているという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/54
-
055・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 その許可の段階での同意ということはございますが、その後の設工認の問題等につきましては原子力安全委員会におきますチェックの運用というかっこうで実質的に担保されているのか現状でございます。また、今後も同一のような制度のもとで実施していくという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/55
-
056・石野久男
○石野委員 安全委員会がそれに接点を持っているということの意味は、科学技術庁長官がそのことを補完するという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/56
-
057・牧村信之
○牧村政府委員 そうではございませんで、科学技術庁長官は原子炉等規制法の総括の大臣であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/57
-
058・石野久男
○石野委員 そうすると、その規制法の総括であるけれども、その他の部分についてはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/58
-
059・牧村信之
○牧村政府委員 ちょっと御質問の趣旨がわかりかねるのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/59
-
060・石野久男
○石野委員 原子力行政について全般の問題で、各省庁の大臣と科学技術庁の長官との間の従来の諸関係と今度の関係とでどういうふうに変わってきているかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/60
-
061・牧村信之
○牧村政府委員 変更されましたものは、従来設置の許可を内閣総理大臣が出しておりましたものを各主務大臣に設置の許可を行わせしめるように変えたわけでございます。その際に、各主務大臣は内閣総理大臣の同意を得なければならないという変更をしておるわけでございます。
私ども科学技術庁としての原子力行政に対しての立場といたしましては、二つの仕事があるわけでございますか、平たく申しますと、一つは原子力委員会なり安全委員会なりの実質的な事務局を相務めておることか一つございます。そのほかに科学技術庁の設置法に基づきます権限といたしましての科学技術庁の原子力にかかわる、あるいは私のところでございますと安全規制にかかわることを所掌しておるわけでございます。この段階の行政府としての権限は、その観点におきましては何ら変更はされていない。ただ、安全委員会が所掌する事項につきましての、設置の許可に当たりましての審査その他のやり方が変更になっておるわけでございますので、その観点の事務局サイドの対応が従来とは逆になった、ダブルチェックということをやるということでの関与の仕方になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/61
-
062・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 補足的に申し上げますと、御案内のように、科学技術庁のポジションというものは、科学技術庁設置法に基づきまして、具体的に国家行政組織法における総理府の外局として位置づけられておるわけでございます。その中の具体的な所掌権限といたしまして、科学技術庁設置法の第四条第二十号にあるわけでございますが、「原子炉の規制に関する法律に基く内閣総理大臣の権限に属する事項について内閣総理大臣を補佐すること。」ということで、具体的にその規制の問題に関してタッチしておるわけでございます。この部分につきましては従前もそうでありますし、今後の改正に関してもこの部分は変更はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/62
-
063・石野久男
○石野委員 従前とは変わりはないというのだが、そうすると、科学技術庁の長官と新たにできる安全委員会との関係、各省庁の長との関係、この関係はどうなってきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/63
-
064・牧村信之
○牧村政府委員 現在の原子力委員会の委員長を国務大臣である科学技術庁長官がなさっておられるわけでございますが、その関係がないだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/64
-
065・石野久男
○石野委員 その関係がないだけということは、安全委員会が新たにできることでその関係がなくなったということのほかにどういう関係が新たに生じてきますか、生じてこないのですか。どうなんですか、安全委員会は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/65
-
066・牧村信之
○牧村政府委員 原子力安全局が安全委員会の庶務の総括をするということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/66
-
067・石野久男
○石野委員 原子力安全委員会の事務は科学技術庁安全局かやるということになります。そうしますと、科学技術庁との関係が通産、運輸との関係ではどういうふうに位置づけられてきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/67
-
068・牧村信之
○牧村政府委員 今回の改正によりまして、各省の所掌に関することを当然安全委員会が審議するわけでございますので、そういう際に関係各省が出向いてきて説明をするというようなことが当然必要でございますので、共同して庶務を行うという形になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/68
-
069・石野久男
○石野委員 そうすると、そういう共同して行う庶務というのは、どういうところでやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/69
-
070・牧村信之
○牧村政府委員 この庶務と申しますのは非常に形式的な事務でございますけれども、原子力安全局がその総括を行いつつ各省庁の協力を得て庶務を行う。したがいまして、安全委員会がいろいろの件につきまして審議し、決定する場合には、それの補佐機関として全面的に原子力安全局が協力する必要かあるわけでございますが、特にダブルチェック等、設置の許可にかかわるきわめて厳正中立を必要とする事務につきましては、先ほども御説明したかと思いますが、原子力安全調査室というものを安全局の中に設けまして、その仕事につきましては特に専任して原子力委員会を補佐するような体制をとっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/70
-
071・石野久男
○石野委員 安全委員会は相当な業務を持たなければならないし、いまもお話しのように、各省庁に関係がある。原子力安全局はその庶務を各省庁と連携で補佐し、遂行する、こういうことになるわけですね。その際なぜ安全委員会に事務局を置かないか、安全委員会に事務局を置かない理由はどういうところにあったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/71
-
072・牧村信之
○牧村政府委員 安全委員会に事務局を置かないかという御質問でございますが、これは私どものただいま御提案申し上げておる安全委員会というものは諮問委員会でございます。これは御存じのように、現在の原子力委員会の所掌業務を二等分いたしまして、規制にかかわることを調査し、審議し、決定する機関としてつくりたいということでございますので、当然この安全委員会も諮問機関でございますので、安全委員会の中に所属する事務局を持つということはきわめてむずかしいことでございます。しかしながら、実質的に各省庁の行います安全審査の結論をダブルチェックするというような仕事、あるいは原子炉等の安全審査を行いあるいは検査等を行いますときに必要な基準あるいは指針というようなきわめて重要な仕事をするわけでございますので、しかもその基準等が、私どもの立場としても安全委員会というのは中立、平等の立場を保持すべきであるということを考えておりますので、先ほど申し上げましたように、実質的な事務局でございます原子力安全局の中におきましても中立的な立場をとれるように原子力安全調査室というものを設けまして、特にダブルチェック等の仕事につきましてはそこに専任させる。
そういうような組織を設けました理由といたしまして、私ども科学技術庁も研究開発段階におきます原子炉の安全規制を行政的に所掌するわけでございます。当然行政庁の行う安全審査を、現在の課で申し上げますと原子炉規制課というところがやるわけでございます。その機能がまた安全委員会のところへまいりまして事務局をするということになりますと、公平とかいうような観点からは望ましくないということで、独立した課をつくらしていただきまして、安全委員会の補佐をする体制をとった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/72
-
073・石野久男
○石野委員 公平とか中立とかいうことを盛んに言われるけれども、公平、中立ということを強調されるならば、科学技術庁の中にそういうものを置かないで、安全委員会の中に事務局を置くことの方が公平、中立ですよ。安全委員会の事務局をどうして科学技術庁が持っていなければいけないのですか、科学技術庁の中に所掌させなければいけないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/73
-
074・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 ただいまの御指摘の点は、行政懇談会の際にも相当議論されたやに承っておりますが、その際も、やはりそれなりの中立、平等性というのを保持すべきであるという点は基本的な考え方であるが、また同時に、その委員会の機能というものが行政実務との関係ということとやはりよく連携をとってやっていく必要があるだろうということを考えるならば、望むべきは全く御指摘のような純粋に独立なものということを期待した方がいいのだろうが、あわせて考慮ということもありますし、それから現実的にそれをはっきり早急にと言ってもなかなか時間のかかる問題でもあるだろうというような意味もございまして、具体的には原子力安全局にできるだけその中立性を保つような配慮のもとで置いたらどうだろうかという御示唆をいただいておるわけでございます。私たちといたしましても、いろいろ各省間折衝等も行いました結果、結論といたしましては、局長から御説明申し上げました内容に現在のところ案として落ちついているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/74
-
075・石野久男
○石野委員 いま原子力安全委員会の事務を科学技術庁の安全局がやっていくというのはいわゆる時間的な関係で、行政機能の観点からすればむしろ安全委員会に事務局をつけておいた方がいいけれども、それがすぐにはできないから科学技術庁の安全局の中に置いている、こういう行政懇の示唆もあってという御意見でございますと、これはいずれは原子力安全委員会に事務局を持たすという考え方がその中に潜行しているというふうに受けとめられるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/75
-
076・牧村信之
○牧村政府委員 現段階においては私どもが御提案しておる形でいいものと思っておりますけれども、原子力の開発利用の進展に伴いまして、またこれが不十分であるということであれば、有沢懇談会の方の御示唆もあるわけでございますので、真剣に考えてまいりたいとは存じます。ただ、現段階においてはこれで十分対処できると確信しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/76
-
077・石野久男
○石野委員 先ほどから厳正中立、平等ということを盛んに言っておられますが、科学技術庁の中に安全委員会の事務局かあるということは、通産あるいは運輸からすれば偏っているわけですよ。幾ら御協力をいただくといっても、これは偏っていて、機構の上からいえば厳正中立ではありませんね。ちっとも局長の言っているような方向には出てないのですよ。ただ、一般に国民の目をくらますというような形では一つの形かもしれませんけれども、実際問題として厳正中立でも何でもないし、しかも話の内容から聞けば、この安全委員会のやらなければならない仕事を、委員長選任といいますか委員長の互選というようなことからも、法的には非常に格下げになってしまっているし、閣議への提起ということはでき得ない。総理大臣にそういうようにしようとすれば、どうしたって迂回するし、実際には能率的じゃないという事態になってしまっているのですね。だから、改正法の目指している安全性に対する期待性というものからいいますと非常に希釈化されている、こういう感じを受けざるを得ない。だから、これはいままでの局長や大臣の答弁なんかを総合すれば、当然のこととして原子力安全委員会というものは第三条機関というような性格の内容でなければならないわけです。またそのことが「むつ」の教訓に学ぶ、あるいはまた原子炉の各地におけるいろいろな行政上の手続の不備等に対して学ぶ結果になるだろうと思うわけなんでして、どうもその点は私どもはちょっと納得のできない点です。これはいずれ委員会としていろいろ審議しなくてはならないことですから、各党の諸君ともひとつ相談をしてみたいと思うのです。
私は、基本法が制定される段階で実際問題としていろいろな論議もあったわけですし、当時、昭和三十年の十二月に基本法が自由民主党と社会党との共同提案として出されたその時点で中曽根氏から提案の説明があったわけですよ。その中曽根氏の提案をした段階での主な趣旨というのは、あなた方の方でも十分踏んまえているだろうと思いますけれども、当時、中曽根氏が提案の説明をしたときの一番問題点というのはどういうところにあったとお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/77
-
078・牧村信之
○牧村政府委員 これは基本法にも明定してあるわけでございますが、原子力の開発は平和、自主、民主、公開の原則で進めるんだということが基本的なお考えであったかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/78
-
079・石野久男
○石野委員 当時、自主、民主、公開の三原則というものをうたわなければならなかった諸情勢なりそれを考えたことの中に、その当時の情勢からしてなぜそういうことを考えなければならなかったか、こういう問題は基本法をいじるに当たって非常に重要だと思うのです。自主、民主、公開の三原則というものを当時中曽根氏を初め国会が強く言った背景なりその真意というものはどういうところにあるとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/79
-
080・山野正登
○山野政府委員 当時原子力の平和利用、開発利用というものを日本が初めて始めるわけでございますので、非常に新しい技術でございますし、また平和利用と軍事利用というもろ刃のやいばを持ったものでもあるわけでございますので、こういったものについて開発利用を開始するに際しましてわれわれは大原則を打ち立てておこうという配慮に基づきまして、平和目的に限り、かつおっしゃいます三原則を打ち立てたというふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/80
-
081・石野久男
○石野委員 当時の中曽根氏は、いろいろな意味において原子力基本法の制定ということを当時の正力長官との話し合いの中で提案しているわけですね。そこでは、もちろんいろいろな意味で日本における原子力基本法を制定するについて一番強調しているのは、何といっても国民の協力を得るということを強調しているわけです。国民の協力を得なければならぬのだということを言っておると同時に、政治の場では超党派でこれはやらなければいかぬという要請を強くしております。しかもその中で、長期計画の中に日本の個性を生かさなくてはいけないということも言っているわけです。その上で学者諸君の協力を得なければいけないということを言い、そして特に国際的な観点を重視すべきだと言って、最後に問題提起もまとめのような形で、広島、長崎の悲しむべき悲劇、そういうものから発しておる国民の間の原子力に対する疑いというものがあるんだから、この国民の誤解をわれわれはしんぼう強く解くことに努力しなければいかぬということを言っておるわけです。このことはいまもちっとも変わらないのです。その当時は、いわゆる核兵器というものに焦点が合わされた形での疑義を持っておりましたけれども、いまは同時に原子力の安全性の問題についての疑義が強く国民の中に出てきておるわけです。そういうことが、たまたま原子力船「むつ」の問題で政府もそれに手をつけなければならぬような状態になったのですから、国民が安全性の問題について非常に強い関心を持っているというときに、法の改正をするに当たっては、その方向としては、政府の施策あるいは法の改正は安全性について一層信頼ができるものでなければいかぬ、そういうような内容を持っていなければいけないと思うのです。ところが、逆に、いままで国が基本法に基づいて一元的に安全性に対する規制を処理しておった、それが今度は、問題になるであろう一貫性というものの強調のために、通産、運輸そして科学、三省庁が三元的に一貫性を強調する、そういう内容にこの法律は改正されようとしておるのです。安全規制について一元化の問題が三元化していくわけですね。それで、それを強いて一元化があるんだと言わすためにダブルチェックなるものを言っているわけです。しかし、ダブルチェックをする原子力安全委員会というものはどちらかというと、法律の問題からいえば、委員長の選任についても安全委員会は原子力委員会よりも言うなれば政治的には権限が非常に弱くなっている。同時にまた、安全委員会の一番問題にならなければならないいわゆる原子炉安全専門審査会なるものも、従来は法的裏づけがあったものが、法的裏づけもなくなってしまっている。理屈はどうあろうとも、とにかくなくなってしまっている。これはどう見たところで安全性の問題についての法的扱いは、全部権限が重くなっているのではなしに、権限が剥奪された形、極端な言葉で言えば。薄められていく、こういう形は、私は、法の改正に藉口していわゆる一貫性ということを強調する余り、むしろ安全性に対する規制力というものを法的には弱める結果になってきているというふうに見ざるを得ないのです。こういう点ではむしろ国民の合意を得ることはできないであろう。原子力委員会と原子力安全委員会、二つに分けたということでいかにも熱意をもって安全性を取り扱うように見せるけれども、内容からいうと、むしろ安全委員会の権限というか、そういうものは薄められていくという内容になっているというふうに私は思う。この点について一応、これは大臣でもいいし、あなた方がどういうふうにお考えになっているか、ちょっと聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/81
-
082・牧村信之
○牧村政府委員 原子力安全委員会の所掌につきましては、今回御提案させていただいておりますけれども、安全規制に関します政策を初めとして規制の実施に関する規定を非常に明確にさせていただいて二分割をしておるわけでございますので、私どもといたしましては、安全委員会の権限がいささかも原子力委員会に比べて規制の面における権限が弱められたとは考えていない次第でございます。このようなはっきりした安全規制を所掌する安全委員会をつくりましたために、その下の安全専門審査会というものは明らかに安全審査を所掌する部会として委員会の権限なり目標がはっきりしたために安全専門審査会を法定しなかっただけでございまして、私どもこれによって法的に弱めたということではなくて、むしろいままで法定化されております安全専門審査会、そのほかに再処理施設の審査をいたしております燃料の関係の安全専門部会、こういうものと全く同じようにそういう関係の専門部会も拡充強化して、安全専門審査会も同様でございますが、拡充強化して、原子力安全委員会のサポートをする機関としたいということで、単に原子炉安全専門審査会だけにそういう役割りを法定化する必要は、この安全委員会ができれば必要がないんだ、むしろ強化するんだというつもりでやったわけでございます。その辺は、先生の御理解を得られないのはまことに残念でございます。
それからもう一つ、一元化のお話でございますけれども、この原子力行政が始まりましたときに、この基本法並びに原子力委員会設置法を通していただくと同時に、規制の体系として原子炉等規制法をほぼ同時期にお認め願ったわけでございますが、この規制法におきましてすでに当時から通産省並びに運輸省が従来から所掌しております発電施設に対する規制として電気事業の関係の法律がある。それから船舶につきましては船舶法というのがあるわけでございまして、この整合性は、すでにこの原子力行政、規制行政か始まるときから設置許可以降の規制監督につきましてはそれぞれの省庁の法律にゆだねて、それ以降ずっと規制体制が敷かれてきておるわけでございますので、この法案が出されたときから、先生ただいま申し上げましたような、一挙に三元化になっておるわけではないわけでございます。規制法の関係条文は、それぞれの省庁の法律体系が同様の趣旨の規定を設けておりますので、適用除外にして規制を進めてきておったわけでございます。ここでそのような状況で「むつ」問題等が起きまして、各省庁の責任の所在が明確でないという非常に強い、世間並びに一般国民並びに国会等においても指摘を受けたことを踏まえまして、有沢先生を長とする行政懇談会においても種々議論した結果、この行政責任をとるということで一貫化を図った方がいいんだというふうな答申をいただき、その後その答申を踏まえて、関係省庁でいろいろ審議した結果、この一貫化を進めようではないかということになったわけでございます。それに対しまして、確かに先生も若干御懸念を持っておられる、規制が偏ってはいけないということで安全委員会の安全規制の体制を非常に強化して、万全を期するということを考えた法律の趣旨でございますので、先生おっしゃいますように、非常に法的に弱体化されたとは私ども現段階でひとつも考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/82
-
083・石野久男
○石野委員 この法律改正によっていわゆる安全委員会の権限と目標がはっきりした、そしてそういう中でむしろ審査会は拡充強化して安全委員会をサポートさせたい、こういうふうにいま局長は言いますけれども、しかし局長が何と言おうとも、法律の上からいえば、この委員会の委員長は原子力委員会の委員長とは違うのです。片方は国務大臣だし、片方は一般の委員が、それは識見が高い方であるかもしれないし、中立性があるかもしれないけれども、一般の委員の互選でありますから、政府の部内におけるところの発言力というのは弱いです。従来であれば原子力委員会の長を科学技術庁長官が兼ねておられて、そしてその中における発言は閣議でもどんどんやれたんだけれども、これはできないわけです。総理大臣を通さなければできないわけです。そういう形になっているのです。非常に迂遠なやり方になっております。同時にまた、この安全審査会なるものは、安全委員会というものが権限、目標がはっきりしたのだから別に法的な裏づけがなくてもいいじゃないかという考え方はあなた方の考え方で、われわれから見る場合においても、あるいはまたそれが具体的に行政的な権限を実行するという場合においても、弱くなっても、強くなるとは見られない。それはあなた方とわれわれとの見方の違いかもしれません。また一元化の問題について申しますならば、私が一元化を強調することは、安全性がより国民の信頼感を得られるように裏づけられるだろうという考え方があるわけですよ。皆さんが行政懇を通じて一貫性を強調されるのは、「むつ」に学ぶ、そして国民が各行政官庁の責任が不明確だから明確にしろと言ったからというので、いわゆる一貫性に籍口して三元化がここへ出てきたわけです。
そこで、「むつ」の問題点はどこにあったのか。たとえば「むつ」で言いますならば、科学技術庁がいわゆる原子力委員会で基本設計を受け持ったわけです。それから運輸省の方は詳細設計を受け持ったわけです。素人考えで、詳細設計の方はしっかりしておったのだけれども基本設計が間違っておったというならば、これはもう原子力委員会はやめちゃって、科学技術庁が運輸省の方へ持っていこうというのならこれはわかるのですよ。問題はそうじゃないのです。基本設計の方には何も問題はないけれども詳細設計の段階で問題が起きたんだということであって、運輸省の方に問題があったわけです。そういうことで事故が起きているのに、一貫性に藉口して科学技術庁をスポイルして片方の運輸省の方へ問題を持っていくというやり方は、これは非常に巧妙な詐術ですよ。なぜこういうことが行われるのだ。実務のやり方がやりにくくなるからだということにすべてかかるのだろうと思います。施行がしにくい、これは運輸省だけじゃないのですよ。むしろ運輸省よりも通産省の方に問題があると思うのですが、いわゆる施行がやりにくいからということで、施行官庁であるところへ一貫性の重点を置いていったというふうにしか見れないのです。だから、そういう問題の解明というものにはわれわれはやはり非常に大きな疑義を持ちます。あなた方との考え方の違い、行政懇との考え方の違いはそういうところにあるわけです。いずれが国民の安全性に対する信頼感をかちとり得るやという問題は、これからやはり国民に訴えなければならぬ問題だ。法の改正にはそういう時点で、国民はどういうところを見ており、どういうところに信頼感の視点を置くだろうかということを国会はあらかじめ明確に見定めなくてはいけない。政府が出されておる案に私たちが信頼してそれへオーケーをやった場合に、国民の不安感を増大させたのではこれは困るのだから、われわれとしてはむしろ、国民がより多く、より強く、深く安全性の問題について信頼感を得られるような法改正を望みたいわけです。そういう意味からいたしますると、基本法制定の時点での要するに国民の多くの合意を得られるようにという精神を生かす上からいっても、どうもこの法改正の方向は逆なように思われます。特に一元化の問題でもうあなた方はよくおわかりだと思いますけれども、四十二年にいわゆる公害基本法ができました。公害基本法はその八条においてどういうようなことの規定をしておるか、すでに御承知のはずだと思いますが、八条規定はどういうことを内容としておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/83
-
084・佐藤兼二
○佐藤(兼)政府委員 いま手元に条文そのものがございませんが、趣旨といたしまして、放射線に係る公害問題に関しましては原子力基本法等の体系によるという趣旨だったと私は了解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/84
-
085・石野久男
○石野委員 各省庁は、公害という国民にとって非常に大きな問題についても、原子力問題だけは基本法でもこれを原子力基本法に関連する法律にゆだねておるわけです。公害基本法のそういう規定の仕方から、大気に関する問題、水質汚濁に関する問題、農用地の土壌汚染に関する法律あるいは海洋汚染防止、こういうような問題も、原子力に関連するものはすべて原子力基本法にゆだねてきておる。これは、法律の上におけるところの基本法の持っておる一元的な立場を明確にしておるものだと私は思うのです。公害基本法でさえも、原子力に関する限りは原子力基本法にゆだねようということで排除規定をなさっております。しかもそれの一番のよりどころというのは、科学技術庁がそれを統括して一元的にそれを押さえているところに信頼感を置いたわけなんです。ところが、この原子力については今度は通産省、運輸省に皆分掌してしまうわけです。原子力に関連している一貫性という意味において一元化が三元化するわけですよ。私はこれは、いわゆる原子力船「むつ」の事故にかんがみて、法の改正をするということに藉口をしながら、施行行政官庁である運輸省とかあるいは通産省あたりが、どうもやはりめんどうくさい——あの当時しばしば言われておりました。いわゆる安全性等の審査が非常にめんどうくさいとかなんとかというようなことがあり、しかも科学技術庁と運輸省、それから科学技術庁と通産省、こういうように管理監督というものの重複した形に対しての排除、これを一貫性ということによって持ち込んでき、そして三元化していくというやり方は、非常にこうかつな実務優先の形であり、言うなれば安全性優先よりも開発優先の精神がここに出てきた。「むつ」の問題で当時叫ばれたものは何であったか。安全性を第一義にしなさい、開発は第二義にしなさい、開発優先ではいけませんよ、こういうことが「むつ」問題の教訓なはずなんです。この改正法案はむしろ開発優先の指向型でありまして、安全性指向型とは言えない、安全尊重というふうには言えないという観点を私どもは持つわけです。政府はそういう点について、よけいなことを言わぬでもいいですよ、私がいま聞いたこと、この問題についてどういう感じでいるか、考え方を持っているか、ひとつお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/85
-
086・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 余分なことは言わないでおけということでございますから、簡単に申し上げますが、もちろん安全第一でございますが、開発をしていかなければならぬので安全第一、こういうことで考えているわけでございまして、開発をしないということであれば、安全ということも考える要はないということになりはしないかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/86
-
087・石野久男
○石野委員 答弁の内容がちょっとわからないですけれども、要するに、開発がなければ安全はないんだという、どうも逆に物事が置かれているようでございまして、私は、原子力平和利用におけるところの諸般の問題を発展的に処理していくことには何にも反対していないんですよ。だけれども、開発優先のために安全性が軽視されるということはやはりよくない。だから、特に今度の「むつ」の問題等から見まして、基本設計と詳細設計との間に連携がうまくいっていなかったというようなことでございまして、ここで行政官庁の問われるべきものは何であるかというと、科学技術庁というよりも、運輸省が問われていたわけですよ。詳細設計の問題が問われておったんですね。だから、私はすべて運輸省に責任があるとは言いません。国民が期待するものは、その一貫性をむしろ一元的に処理される方がいいだろうということを期待しているわけですよ。三元化を期待していないと思うのです。行政懇がどういう観点からそういう結論を得たかはわかりませんけれども、やはり国民の疑義にこたえることから著しく遠ざかった結論になってしまったのではないだろうかと私は思います。
いずれにしましても、これは法案の提起でございますが、私の質問でございますから、私どもの考え方を申し上げ、政府側の意見をお聞きしたわけでございます。
私は委員長にお願いしたいのでございますけれども、本件は政府からの提案になっておりまするけれども、いろいろ問題が多うございます。特にこの委員会における政府と各委員との間の折衝もさることながら、基本法制定の当時、いろいろ各党間におけるところの討議もあったと思いまするし、本件における問題点は、やはりもう少し各党の間でも、政府との間というのじゃなくて、各党の間で話し合いをするような機会を、これは委員会じゃなくてもよろしいのですから、ぜひひとつ持っていただいて、このことについて、やはり基本法制定の当時の精神をもう少しかみしめながら、基本法の精神をどういうふうに生かすべきかということの相談事をする機会を持つようにひとつお願いをして、私は質問を終わらしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/87
-
088・岡本富夫
○岡本委員長 いまの件につきましては、理事会で検討いたしたいと思います。
石野久男君の質疑は終了いたしました。
午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十三分休憩
————◇—————
午後一時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/88
-
089・岡本富夫
○岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。貝沼次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/89
-
090・貝沼次郎
○貝沼委員 原子力基本法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
初めに、参考として聞きたいわけでありますか、現行の原子力委員会の設置に際して、当時の模様でありますが、私が聞いた範囲によりますと、当初の意見というのは、いわゆる行政委員会でかなりコンセンサスが得られておった。それが土壇場になって諮問委員会にひっくり返ったというようないきさつがどうもあったようでございますけれども、これはどういう理由によってそうなったのか、この点について伺っておきたいと思います。
また、あわせて、行政委員会であった場合にデメリットというのは一体何であったのか、またある程度コンセンサスが得られておったという場合のメリットというのはどういう点であったのか、この点について答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/90
-
091・牧村信之
○牧村政府委員 当時の御議論を私、完全にはフォローしていないわけでございますが、むしろ、ただいま先生、当初は行政委員会で出てきて、ということのような御質問でございますけれども、私ども承っておりますのは、原子力委員会をつくるときに、これは非常に強い権限を持った組織にしようではないかということで、諮問委員会ではあるけれども、一見行政委員会にも匹敵するような権限を持っておりた。そういうような形で御説明を申し上げた関連におきまして、この委員会の性格がどっちなのか、行政委員会なのか諮問委員会なのかというような御議論が各党から出されたわけでございますが、私どもの方の認識しております限りにおきましては、あくまでも諮問委員会であった。しかしながら、その審議し、決定したことは内閣総理大臣が尊重しなくてはならない。また、内閣総理大臣を経まして各省大臣に対して原子力委員会が意見を申した場合には、各省大臣はそれを尊重しなくてはいけない。また、尊重じゃなくて、勧告することができるというような強い権限を持っておった諮問委員会で御審議をいただいたわけです。したがいまして、それかあたかも行政委員会であるというふうにとられる向きがあった。この点につきましては、当時総理府に原子力局をつくることが同様に御議論があったわけでございますが、そこが実質的な原子力委員会の事務局をするということとの関連におきまして行政委員会的に見られて、行政委員会じゃないのかというような御審議があったやに私どもは了解しておる次第でございます。
なお、行政委員会にした場合のデメリットでございますが、先生すでに御承知のように、原子力の利用で一番大きな利用形態として、原子力発電、将来は原子力船というものがあるわけでございますけれども、そういう形態、発電並びに船というものは、昔からそれぞれ通産省並びに運輸省におきまして独自の規制体系の法律をもって行われておるわけでございます。仮に原子炉の安全にかかわることだけを行政委員会に所掌せしめるとすると、本来原子力発電所というものは、原子炉部分とその他の発電と一貫した有機的なものの中で実は現状におきましては規制政策等か行われておるわけでございますが、これを原子炉の安全のみに集中したたとえば行政委員会におきまして規制を行うということになりますと、行政組織の中で、同じ発電ということに着目いたしますと、非常に多元的なと申しますか、ダブった組織ができるおそれがあるということで、こういう組織をつくるということは、現在行政簡素化ということが叫ばれている中でもございますし、ある面では、すでに原子力政策あるいは原子炉規制というものが定着しておるわけでございますので、むしろ混乱を起こす行政改革になるというふうな観点から、この方向をとらずに、引き続き原子力安全委員会というものはいまの原子力委員会と同様な諮問機関にいたしまして、しかしながらその権限は、原子力委員会が持っておりますような権限を同様に安全委員会に与えまして組織していく。また、実質的な事務局といたしまして、科学技術庁原子力安全局が担当しておりますけれども、その面につきましても行政ベースでその辺を強化する。また、原子力安全委員会のもとに置かれます各種専門委員会は、その専門委員の数を大幅にふやしまして、自主的に安全委員会の業務を強化していけ得るようにさせていただいたというのが、今回お願いしておる改正の中身でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/91
-
092・貝沼次郎
○貝沼委員 いま総論の話がありましたけれども、私がいまお尋ねしておりますのは、現行の原子力委員会、これができたときにいろんな議論があったようですが、そのときに初めから非常に強い権限を持った諮問委員会で出発したのだという話がありましたが、それが途中で現在のようなものに変わった、そのときのいきさつ、そして初めの主張どおりでまずかった点、あるいはそのメリット、こういったものはどういうところにあったのですかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/92
-
093・牧村信之
○牧村政府委員 先ほど私、原子力委員会が発足したときのことを申し上げたつもりでございますが、発言中に安全委員会というふうにお話ししたかと思いますので、それは訂正させていただきます。
原子力委員会ができましたときの議論を申し上げまして、そのときの法律に出しました形が八条機関である諮問機関ではあったけれども、その機能は非常に強く、内閣総理大臣の尊重義務、あるいは勧告をする権限等を持っておった。それと、当時の総理府原子力局という自主的な事務事項を持つところ、これはあたかも行政委員会ではないか、それであったならば行政委員会にしてしまったらどうだというふうな御議論もあったやに聞いておりますけれども、原子力の開発を進めます場合に、そういう行政委員会にしますと一つの行政機関になるわけでございます。原子力の行政と申しますのは非常に幅の広い各分野にまたがる政策でございますので、内閣全体として責任が持てる体制をとりつつ、原子力委員会は公正な立場で審議し決定できるような組織にした方がいいということで合意をいただきまして、いまの原子力委員会の形ができたわけでございます。しかし、その設立後もう相当の年数がたっておるわけでございますけれども、この原子力委員会が、原子力の推進と安全の規制、これをあわせ持ってお互いに補完しながら進めてきたわけでございますけれども、たとえば「むつ」問題が起きましたときに御議論をいただきましたように、ややもするといまの原子力委員会というものが開発の方に大きく偏り過ぎておるからこういうような事象になったのではないかというふうな話も出てき、またいろいろなところで議論されるようになりまして、先生御存じのように、行政懇談会というのが持たれた経緯となったわけでございます。ここでいろいろな議論がなされました答申を踏まえて今回修正をお願いしておるわけでございますけれども、その点を踏まえて原子力委員会を二つに分けて、安全規制の実施にかかわる問題につきましては新しく安全委員会というものをつくりまして、それ以外の所掌をする原子力委員会と二つに分けたということがいままでの経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/93
-
094・貝沼次郎
○貝沼委員 それで端的にお伺いいたしますが、要するに、今回のこの改正で、これをやればあれだけ非難の多かったこと、いま経緯の説明がありましたけれども、「むつ」問題を初めとしていろいろ軽水炉の問題その他で非難がありました、それについては完全にこたえ得るという自信はおありですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/94
-
095・牧村信之
○牧村政府委員 これは制度をつくりましても、魂を入れませんと、もちろん完全なものにはならないわけでございますが、少なくとも体制的な形におきましてこういう体制で進めば十分であると私どもは考えておる次第でございます。
そこで、この安全委員会をつくり、行政の責任体制としては各省庁に設工認等設置から運転まで含めまして一貫して責任を持たせるということにつきまして、けさほどからも石野先生からもいろいろな御指摘は受けましたけれども、私どもといたしましては、行政庁が、たとえば通産省が、あるいは研究開発をやります原子炉におきましては科学技術庁がでございますが、責任を持ってまず原子炉の安全につきまして安全審査をして、自信を持ったものを安全委員会に提出しまして、安全委員会がさらにそれを公平な立場でダブルチェックをするという形で、いままでの安全審査にかかわる部門については二重の規制がしかれるというふうな形にもなるぐらいの安全強化を図っておるわけでございますので、体制としてはこれで十分安全を確保できるようなことになろうかと考えております。
また、従来原子力委員会は安全審査の後の設置許可段階以降につきまして若干手を緩めておったわけでございますが、「むつ」問題等を契機にいたしまして、設工認の段階におきます重要なことは、たとえば発電所であれば通産省からいろいろ報告を受け、審査し、必要な指示を与えるという、規制全体につきましてもいま実行上そういうチェックをしております。これは、安全委員会ができましても、引き続き同様な措置をもって規制全般について積極的に安全委員会としては意見を申し述べていくという体制をぜひとっていただきたい、かように思っておりますので、その面からも実行を十分行うことによって安全の確保を図り得るというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/95
-
096・貝沼次郎
○貝沼委員 答弁の方はなるべく短くひとつお願いいたします。
それから、原子力委員会と原子力安全委員会と二つに今度は分けるというふうになっております。これからほとんど安全委員会の方のことを尋ねてまいりたいと思いますが、原子力委員会の方で、たとえば今後の日本の原子力行政のあり方とかあるいは日本の原子力平和利用の方向性とか、こういったことが恐らく議論になると思いますが、ただ一点だけお尋ねしておきたいと思います。これはできれば大臣から伺いたいと思います。
たとえば軽水炉、それから次は高速炉、この中間の段階で、この間「ふげん」の問題もありましたので、わが国の行くべき方向ですね、要するに転換炉の方に行くのか、それともいま問題になっておりますカナダのCANDU炉という方向もありますけれども、この辺のところは方向性としてはどういうふうに考えておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/96
-
097・山野正登
○山野政府委員 将来のわが国の発電炉型のあり方という問題でございますが、これは大変重要な問題でございまして、過去両三年にわたりまして原子力委員会でも慎重に検討してまいっておるわけでございますが、ただいままた長期計画の見直しをいたしておりまして、まさにこの問題を審議いたしております。しかし、これまでに検討しました結果によりますと、当面、原子力委員会の考え方としましては、軽水炉からまず高速増殖炉に結ぶというのを基本路線に考えておりまして、その間、高速増殖炉の出現の時期でございますとか、あるいは先般臨界に達しました「ふげん」の運転の状況といったふうなものを勘案しながら、五十年代の半ばくらいまでに、新型転換炉というものを将来実用の炉型に組み込んでいくかどうかということを最終的に決心しようというのが、ただいまの原子力委員会の考え方、また科学技術庁の考え方でございまして、その間に御指摘のCANDUといったふうなものも介在するわけでございます。
今後の検討の見通しでございますが、ただいま申し上げました基本路線というものは恐らく変わらないと私どもは思っておりますけれども、きわめて重要な問題でもございますし、また、先ほど申し上げましたように、現在、長計の見直しも進めておりますので、重水炉のあり方という観点から、当庁並びに原子力委員会において引き続き検討してまいるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/97
-
098・貝沼次郎
○貝沼委員 安全委員会の方を今度はお尋ねいたします。
提案理由の説明の中で、「原子力の安全の確保に万全を期しつつ、原子力に対する国民の十分な理解と協力を得るため」というふうになっております。これは非常に短い言葉でありますが、結局これにすべてがこたえられなければ、今度の安全委員会の設置というものは意味をなさないと私は思うわけであります。したがって、簡単にこの二行の目指すものを説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/98
-
099・牧村信之
○牧村政府委員 目指すものという御指摘でございますので、まず、安全委員会の所掌のうち最も重要であると考えておりますのは、第二次の安全審査、いわゆるダブルチェックをいたすことでございます。
それからもう一点は、これは最終的には原子力委員会との関係もございますけれども、原子力の安全を確保するための安全研究についてのあり方を審議すること。
それから、この規制に関係いたしまして、国民の理解を得るというようなことにつきましては、この考え方は行政懇談会等でも指摘されております公開ヒヤリング、こういうことを積極的に実施してまいりたいというふうに考えております。で、公開ヒヤリングも一次と二次を考えまして万全を期してまいりたい。しかもそのやり方は、今後は、安全委員会ができましてからはすべての炉に行ってまいりたい、このように考えております。
そのほか、原子力施設から放出されます放射性物質の量であるとか、働いている従業者の方々の被曝の管理の状況であるとか、事故、故障等が起きましたときには、これはまだ実施しておりませんけれども、それを国民の前にまとめて、それを評価して公表していくというような仕事をぜひ行いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/99
-
100・貝沼次郎
○貝沼委員 それで、科学技術庁は、今度の改正案が成立いたしますと、権限は大幅に縮小されるのかどうか私はわかりませんけれども、変わるわけですね。少なくとも軽水炉は通産省の方に移るわけでありますし、舶用炉の方は運輸省の方に行くわけでありますから、変わってくるわけであります。
そこで、いままで科学技術庁で手がけてきたものがそういうふうに各省に分かれていくというこのことは、要するに、科学技術庁というもののあり方がひとつ問われるところであろうと思うわけです。要するに、科学技術庁というのは新しいいろいろな問題について積極的に取り組み、そしてある段階まで来たらそれは各省庁に移っていくということを原則にしてそういう方向を選ばれるのか、それとも、時代がそこまで来ちゃった、行きがかり上そうなっちゃったということなのか、その辺のところはどうなのかという問題であります。これから先の科学技術庁のあり方というものまでも含めて、そのお考えをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/100
-
101・牧村信之
○牧村政府委員 科学技術庁の役割りといたしまして、大きく分けて二つあろうかと思うのでございます。
一つは、先生おっしゃられましたように、研究開発を推進するための総合的な企画官庁でございます。この研究開発の推進につきましては、科学技術庁が行うのは、確かに先生もおっしゃいますように、新しいものを積極的に開発し、それを実用化まで持っていくための施策をそれぞれの役所に逐次引き継いでいくということがあろうかと思います。これは科学技術庁の一番大きな仕事であろうかと思います。
もう一つの柱といたしまして、原子力の問題があるわけでございますが、特に原子力の開発につきましては、先生ただいまおっしゃいましたようなことで対処すべき事柄だと思います。
それから、原子力の分野でもう一つは、この規制関係の問題があるわけでございます。この改正案が通りますと、確かに原子炉の設置許可というものは、内閣総理大臣の権限から各省庁の主務大臣の手に移るわけでございますので、内閣総理大臣の原子力関係の補佐をしております科学技術庁の権限が当然減るわけでございます。しかしながら、この減った権限と申しますのは、原子力の開発を進めましたときに、各省庁はそれぞれの法律に基づきまして、原子力の規制につきまして設置許可以降のことはすでに所掌しておったわけでございますので、そこへその設置許可の内閣総理大臣が持っておった権限を譲るということで、確かに権限が減ることは事実でございます。
しかしながら、それに加えまして、私どもの方といたしましては、原子力安全委員会をつくっていただきまして、ここで原子力の開発利用に伴います安全の確保に関します規制の政策を含めた規制の実施を安全委員会が所掌する、それの実質的な事務局としてその活動範囲はいささかも減ってきておらぬ問題だと思っております。心情的には確かに権限が減るということはあろうかと思いますが、それよりも、先ほども御説明いたしましたように、原子力開発が始まりまして、実用化が進んでまいりまして新しい時代を画しつつあるこの時期に、最もいい原子力の安全行政をどうしたらいいかということを過去の失敗を踏まえて検討した結果、こういう結論を出したものでございますので、私どもとしてはこの線でお認めいただいて進めさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/101
-
102・貝沼次郎
○貝沼委員 それで、もしそういう考え方であるならば、科学技術庁で手がけたものが、今度は各省庁に移るという場合、そこにはきちっとした見きわめというものがなければなりません。今度の法案では実はそのことが見当たらないわけでございます。安全委員会をつくったというのはどこにも書いてありますけれども、なぜ通産省に行ってもいいのか、なぜ運輸省に行った方がいいのか、いままで科学技術庁がやってきたものがいまそっちに移ってもよろしいという、こういう十分な条件というものについて説明がございません。この辺が私は非常に心配されるところであろうと思うのですね。
ことに、午前中も質問がございましたけれども、軽水炉の問題やあるいはあの「むつ」の問題等で、原子炉に対する不安というものがあり、しかも通産省は企業サイドに立つのではないかという不安があり、ことに企業機密との問題で、公開の原則すらややもすれば侵されるのではないかという心配すらあるわけですね。運輸省に至っては、何も悪口を言いたくはありませんが、とかくいろいろな問題が運輸省から起こっているところを見ると、これまたなかなか信用できないというようなところから、その見きわめの条件というものが実はないわけであります。私はこの点は非常にうまくないと思うわけであります。少なくとも安全性ということが根本だと思いますけれども、見きわめという点についてどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/102
-
103・牧村信之
○牧村政府委員 まず、先ほども申し上げましたように、設置の許可を通産大臣あるいは運輸大臣にも持たせるわけでございますが、この際に、通産大臣並びに運輸大臣が設置の許可をしようとするときには、原子力委員会並びに原子力安全委員会の意見を聞かなくてはいけない、許可の条件につきまして、平和利用の担保であるとか技術的な能力であるというようなこと等四条件につきまして意見を聞かなくてはいけない、またその意見は主務大臣は尊重しなければいけないということを、規制法の改正の方に明定してございまして、先生先ほど御指摘の点は、各省の大臣がそれを守らなくてはいけないという形をはっきり定めておりますので、形の上では十分原子力安全委員会が出します意見、決定等は尊重されるものと考えております。
それから、見きわめとおっしゃっておる御質問をいただいておるわけでございますが、これにつきましては、当面、この法律改正をいたしまして影響する省庁は通産省でございます。原子力船「むつ」につきましては、逆に、いままで運輸省が所管しておりましたが、これは開発段階であるということで、科学技術庁がすべて一貫して見ることになる予定になっておりますので、運輸省は、当面、この規制体制につきましてそれほど強化する必要はないわけでございます。
それで、通産省の方におきましては、この発電の安全審査を実施する部署といたしまして一課を増設しております。また、一貫化の移しかえによりまして、私どもが設置許可をいたしておりましたその事務に、原子力安全審査会と一体になって安全審査に携わっておった何人かの人間、こういう専門家を通産省の方へ移しかえるというようなことで、通産省の安全審査の業務も円滑に行われるようにするというようなことを図っていく所存でございますので、その点に関しましては、十分移管後もスムーズに行っていただけるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/103
-
104・貝沼次郎
○貝沼委員 私がお尋ねしておりますのは、どこどこの発電所か今度は通産省の管轄になるという話は、これはわかると思うのですよ。だけれども、たとえば、いまたまたま「むつ」の話が出ましたから、これはまだ研究開発の段階であるという判断に立って科学技術庁がやるんだということですね。ある段階において運輸省に移るわけですね。そのときに何を基準にして、これはもう運輸省でいいんだということに見きわめをするのかということなんです。そこのところがこの法律にはありません。あるいは、たとえば転換炉にしてもあるいは高速増殖炉にしても、これはもう移るときなんだ、その見きわめというのはどこで決めるのですか。たとえば原子力委員会で決めるとか、何かそういったことがこの法案の中にあるのですかということをお尋ねしている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/104
-
105・牧村信之
○牧村政府委員 失礼いたしました。
この所掌に関する点につきましては、発電用舶用炉であっても、研究開発段階のものは科学技術庁、それから発電炉は通産省ということを考えておりますが、この規定は、これを決めるのは政令で定める予定をしておりまして、その政令で定めるときに両委員会に意見を聞いて、両委員会の意見を踏まえて政令で定めることになっておるわけでございます。
また、原子力船につきましては、これは研究開発の段階でございますので、当面、当然科学技術庁が所管することになろうかと思いますが、船につきましては、いまのところ、研究開発段階が終わりましたときには、また政令を場合によっては改正いたしまして、実際にもう研究開発の段階が終わってある目的を持った船として運航する場合には、運輸省が再度所管して安全規制を行いつつ運転せしめるという規定かございます。
ただ、原子力発電所の場合に、たとえばATRあるいは高速増殖炉の原型炉といったようなものにつきましては、当面その研究開発目的でつくりました炉として政令で定めますので、それを将来変えるつもりはいまの段階では持っておりません。しかし、その政令を原子力委員会の意見を聞いて変えれば、もう研究開発段階が終わって単なる発電炉として使えるという見きわめかつけば、そういう扱いもでき得るような法律の形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/105
-
106・貝沼次郎
○貝沼委員 ですから、そこのところがはっきりしてないのですよ。それは実用段階になれば——その実用段階というのをどうして判断するかというのがいつも問題なんです。いまの軽水炉は本当に実用でいいのかどうかという議論すらあるわけでありますから、その辺のところをだれが判断するのか。政令で定めるというふうに答弁がありましたけれども、その辺が実は非常に大事な問題を私は含んでおると思うわけであります。
それから、時間がもうだんだんたってきましたので、こればかりやっているわけにまいりませんが、次に、午前中も議論がありましたが、原子力委員会と原子力安全委員会、これの長の問題ですね。一方は国務大臣であり、一方は互選によって選ばれる人であります。したがって、ここに対等性という問題がやはり一番問題になってくると思うわけであります。答弁を聞いておりますと、対等性は確保されるというふうに言っておりますが、ただその言葉だけでは私はどうもいただけませんので、その対等性が確保される担保となるものは一体何があるのか、この辺について答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/106
-
107・牧村信之
○牧村政府委員 この新しい両委員会とも、今度の設置法によりますと、それぞれの任務がはっきり与えられておるわけでございます。それは所掌の範囲は当然違いますけれども、それをその委員会におきまして行う事柄につきましての権限等につきましては全く同様の趣旨の規定でございます。ただ、原子力委員会の「委員長は、科学技術庁長官たる国務大臣をもって充てる。」ということになっておる違いだけでございまして、諮問委員会の形といたしましては、内閣総理大臣に対して意見を申し述べる機関としては全く同等の権限でございます。しかも、その権限はそれぞれ独立でございますので、いささかも上下関係にあるというようなことにはなっていないというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/107
-
108・貝沼次郎
○貝沼委員 案外そうならないと私は思うのですよ。たとえば二十一条に「連絡」というのがありますね。これは両方連絡をとり合うわけですね。その連絡がどういう内容のものかはここでははっきりいたしておりませんが、とにかく意見が食い違った場合とか何かあった場合の連絡でしょうね。その場合、対等の立場で話し合いができるのでしょうかということなんです。片方は国務大臣原子力委員長、どっちを向いたってりっぱなものですよ。片方は学識経験者ですよ。それは法律の言葉では対等ですよ。だけれども、現実の問題として非常に疑問がある、こう私は思うのですが、この二十一条に関連してどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/108
-
109・牧村信之
○牧村政府委員 これは行政懇談会の答申におきましては、この二つの委員会はお互いに意見を尊重し、かつ両委員会の間に間隙が生じないように運営するために十分連絡を密にしなさいという答申も承っておるわけでございます。私どもこの点に関しましていろいろ検討した結果、この「連絡」の条項を入れさせていただいたわけでございます。これは現在の原子力委員会を全く二つに分割いたしまして、それぞれの所掌を行わせしめるような形での法案を提案しておるわけでございます。そうしますと、個々に独立した委員会としてファンクションをしていくことになるわけでございます。そうなりますと、原子力開発あるいは安全確保という大きな目的のために、この両委員会か独立したがために間隙が生じては非常にまずい結果になる、そういうことがないように十分連絡し合おう、しかもお互いの権限は尊重しつつ連絡をし合う。決してこっちの方か、たとえば国務大臣がいるからえらいんだというようなことでこっちが弱まるというような連絡ではなくて、対等の立場で連絡して、それでそごを来さないようにする。しかも、連絡し合った後は、両委員会か決めますことは対等、独立して決めていくというふうな規定になっておるわけでございますので、先生おっしゃいますように、大臣に学識経験者が言うのは、というふうなお言葉もございましたけれども、委員会というものの議決その他は合議制でございますので、その委員会同士が話し合う、連絡し合うということは、決してそういうふうな弊害を生ずるようなことはないのではないか。また、そういうことがないように連絡を密にすることを考えていくべきではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/109
-
110・貝沼次郎
○貝沼委員 そういうふうに世の中うまくいくと非常に簡単なんですけれども、なかなかそういかない。それから合議制、それは確かに合議制は合議制です。しかしながら、やはり結論はあるとき出さなければなりません。それから、お互いに連絡し合うときというのは、普通のときうまくいってあたりまえであって、大体連絡を密にしなければならないときというのは、微妙な食い違いのある場合が大事なんですね。したがって、そのときはどちらかの意見をとらなければなりません。こういったところから考えてみますと、単に対等性があると言っても、なかなかそう簡単には納得できない点がある。それはよほど何か担保にして、あるとき、たとえば国務大臣が自分の力をもってそれを押し切った場合には、今度は何らかのデメリットなるものが与えられるとか、そういったものは何にもないわけです。ただ、対等にいくだろう、いくはずだ、絶対いくんだ、こういう論になっているわけですから、これは私はちょっと甘いんじゃないかという感じがいたします。どうしてもその対等性というものを本当に理解させたいと思うならば、原子力委員長は何で国務大臣がやらなければならないのか。大臣というのは、そう言っては非常に失礼でありますけれども、ちょいちょいかわるわけですね。日本の原子力行政というのは非常に長期的な立場で考えなければなりません。ところが、大臣がかわるたびにいろいろな支障があったのではまたまずい。ことにそういう長期的な立場から安全委員会の方は一つには学識経験者というようなものも考えられておると思うわけでありますが、こうすると、両方の意見というものは何かちぐはぐで私は納得いかない点があると思うのです。この辺、簡単に説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/110
-
111・牧村信之
○牧村政府委員 その前に、先ほど御答弁いたしましたときに、連絡の問題でございますが、連絡の目的を調整し合うということにいたしますと、強弱が仮にあったときにそれは非常におかしなことになる。したがいまして、これは連絡の場を設けるというのみの趣旨でございますので、その辺はおわかりいただきたいと思います。
それから、安全委員会の委員長を互選によりまして学識経験者の中から選ぶ一つの理由は、先生からもお話ございましたように、その委員長が比較的短時間にかわるということはなかなかおもしろくないことでもございますので、そういう配慮も行政懇の方では一応御意見として承っております。
それから、一番重要なことは、この安全の確保ということはきわめて技術的な判断でございます。こういう意味で、私どもの方といたしましては、しかもそれをたとえばダブルチェックをいたしますときに厳正に、中立に行いたいということで、むしろ国務大臣をキャップにいただかない方がいいのではないかということで考えておることでございますので、その辺は御了承、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/111
-
112・貝沼次郎
○貝沼委員 それから、もう一点お尋ねしておきたいと思いますが、原子力安全委員会の機能というのがありまして、幾つかやることが書いてあります。このとき、要するに安全性の評価基準ですね、安全性を確かめるわけですけれども、その評価基準というのはどこでつくるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/112
-
113・牧村信之
○牧村政府委員 現在でも原子力委員会でいろいろな基準、指針等を決定しておりますが、これをつくりますやり方といたしましては、原子力委員会のもとにございます専門部会にその任務を与えまして、そこで学識経験者を中心といたしまして、科学技術庁の原子力安全局が事務局になりまして、一体となってその基準づくりをしておるわけでございますが、安全委員会ができました後もそのファンクションを大幅に、人数等を大幅にふやせるような予算措置もとれましたので、専門部会の数等も大幅にふやしまして、それぞれの必要なことにつきまして、基準、指針その他の技術的な問題につきまして検討を進め、それを原子力安全委員会に上げまして、安全委員会の議を経て決定していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/113
-
114・貝沼次郎
○貝沼委員 原子力安全委員会の方で決めるわけですね、原子力委員会の方じゃないですね。——わかりました。
それから、もう一点は、この安全委員会のもとに専門部会ですか、これがたくさんありまして、この表によりますとたしか百八十名くらいになると思いますが、そのうち常勤というのは何名になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/114
-
115・牧村信之
○牧村政府委員 現在の原子力委員会のもとの専門委員もそうでございますが、専門委員の方々はすべて非常勤の学識経験者をもって運用したいと考えております。したがいまして、原子力安全委員会の定員五名でございますが、そのうち四人の先生が常勤で一名の先生が非常勤という形で原子力安全委員会はセットされると思っておりますが、専門委員はすべて非常勤で行いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/115
-
116・貝沼次郎
○貝沼委員 百八十名中百七十六名まで非常勤なんですね。そうすると、これはもう偉大なるアルバイト集団ということになるわけですね。その事務局は科技庁の庶務を担当しておる場所になるわけですが、これが常ににらんでおるわけであります。そうすると、非常勤の人が多いということは、仕事が何となぐ片手間的と言っては申しわけないのだけれども、やはりそう見られる、あるいはアルバイト的と見られる。ところが、今回この安全委員会を設置したのは、要するに安全だ安全だと幾ら言っても、反対側はそんな言葉だけではわからない、手続上確かに安全であるということを証明せよという段階に来て、これだけの安全委員会をつくって手続上安全性を証明しようとしておるわけですね。それにもかかわらず非常勤か多い。もっとも、非常勤が多いことは大学の研究やその他が進んだり、お互いにいい面もあると聞いておりますけれども、そういう非常勤が余りにも多い、常勤が余りにも少ない、こういうようなことが非常に疑問視されているわけであります。したがって、常勤が四名だけというのは、私はちょっと少な過ぎるのじゃないかなという感じがあるわけであります。これは感想ですから、述べておきます。
それからもう一点、安全委員会が結局ダブルチェックをする場所なんですけれども、たとえば二十三条の基本設計段階、それから二十七条の詳細設計段階、それから二十八条の使用前検査、それから二十九条の定期検査、こういうふうなものがあるようでありますが、このうち安全委員会がチェックをするのはどの段階になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/116
-
117・牧村信之
○牧村政府委員 法律で定められておりますのは基本設計の安全審査でございます。したがいまして、設置許可を与える段階までの審査でございます。しかしながら、その後、先生がただいまおっしゃいましたような設工認以降運転等につきましては、現在も行っておりますけれども、安全委員会の設置法上の権限で通産省等が行います事柄につきましてこちらが積極的に意見を言い、また報告をさせて、それに対して結論を出すというような運営を、現在の原子力委員会もやっておるわけでございますが、同様にやってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/117
-
118・貝沼次郎
○貝沼委員 要するに、基本設計段階までなんですね。ところが、この二十七条の詳細設計段階というのは、これは計器類が本来作動するか否かというような問題も皆含まれているわけですね。たとえば原子炉であるとか、こういう総合科学、しかもこういう巨大なものになってまいりますと、人間が一々やるということはありませんで、ほとんど計器に頼っているわけですね。ところが、その計器が作動するかしないかということか安全性に大きくかかわってくる。ところが、安全委員会はそこはやらないんだということになりますと、そこは通産省でどうぞおやりくださいということなんでしょうけれども、これでは安全委員会というのは非常に頼りないという感じがするのですけれども、これはまずいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/118
-
119・牧村信之
○牧村政府委員 法律的には安全審査で行いますことは全く先生おっしゃるとおりでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、説明の仕方がまずかったのかとも思いますけれども、その辺は「むつ」問題等を反省いたしまして、現在におきましても原子力委員会の中に、特別の原子力発電事業部会というのを安全専門審査会の中に設置いたしまして、そこで安全審査以降の安全にかかわる重要事項につきまして通産省から報告をさせ、またそれを審議し意見を言う、また安全審査上出てまいりました詳細設計段階以降の問題点につきまして注文を通産省に出すというふうなことを運用でやっておるわけでございます。
それで、安全委員会ができますと、安全の規制にかかわる実施以外に、そういう広く見た安全確保の措置を権限に持たしていただいておりますので、安全委員会ができました後も、そういう点につきましてむしろいままでよりもより充実した方法で進めていきたい。これは先ほど先生の御指摘もございましたけれども、こういう先ほど申し上げました安全基準であるとか審査指針というようなものが何も基本設計だけの指針あるいは基準であってはいかぬわけでございまして、その後の段階の基準、指針につきましても安全委員会でできるだけ技術的な検討をお願いし、安全委員会で決定していただいて各省庁がそれを遵守して規制面の業務に携わらしていただき得るように努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/119
-
120・貝沼次郎
○貝沼委員 もう時間がなくなったようですが、要するにダブルチェックと言うけれども、これは余りダブってないということなんですね。
それから、もう少し細かいことをお尋ねすればもうちょっとはっきりするわけですが、たとえばダブルチェックのその内容なんですけれども、主務官庁が審査をしたことを安全委員会がまた再びやるということではどうもないようですね。たとえば、それは出力が変わったとかあるいは炉の型が変わったとか、新しい個所については安全委員会が一々やるようでありますけれども、そうでないところ、細かいところまで一々やらない。安全委員会はむしろ基本設計段階であって、そして後はその主務官庁がやったものを尊重するということがどうもあるようであります。もしそうであるとするならば、私は、ダブルチェック、ダブルチェックと言うけれども、これは果たしてダブルチェックなのかなという感じがいたします。したがって、もしそういうことはないというならば、その答弁をいただきたいと思います。
時間がありませんから結論だけ私、申し上げますけれども、細々したことを聞く時間はありませんが、こういった面から考えてくると、やはり今回つくる諮問委員会というのは、いままでから見ればそれは安全の面でいいのかもしれませんか、しかしながら非常に弱いものである、各省にまたがって、案外大きく宣伝されたわりには弱いような感じかする。その辺の細かい詰めがちょっと足りない法案ではないかという感じがいたします。わが党は、本来ならこれは行政委員会にすべきであるという考え方を持っておるわけでありますけれども、いまこうしてちょっと議論してみましても、まだまだ細かい点について心配な点があると思います。御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/120
-
121・牧村信之
○牧村政府委員 ダブルチェックにつきまして、私どもの従来からの説明があるいは不十分であったかと思いますけれども、決して従来と異なったところだけをダブルチェックするということではございませんので、ダブルチェックにつきましては、行政庁が行いました審査全般につきまして、改めて審査をし直す、ダブルチェックを行うという考え方でおります。ただ、どういう点に重点が置かれるであろうかということを考えましたときに、これは原子力安全委員会の任務といたしまして、国民の安全の確保を図るということに注目いたしまして、それが第一の、一番大事なことでございますので、その辺から、どういうことに重点を置くかということは、これから安全委員会ができた後に御検討いただくことではございますけれども、現在私ども事務局が考えておりますのは、そういうような国民に与える放射線の影響をなくするということが最も大事なことでございます。したがいまして、ダブルチェックの物の考え方に安全委員会がどうお答えを出していただくかは、まだこれからの問題ではございますけれども、当然ある一つの重点があろうかと思います。また、技術的には、従来、審査しましたと全く同型の炉を審査する場合には、それは比較的短時間に済むわけでございます。それから、新しい技術的な試みを施した原子炉については、その新しい技術がどう安全上大丈夫かということは、重点的にやることは当然必要であろうかと思います。しかしながら、これらを総合して、安全委員会ができましたときに、真っ先の仕事として十分検討いただきまして、決して、行政庁がすでに行っておるから簡単なものでいいんだというような考え方で行われるものではないと私ども確信しておりますし、最も効率的に行う方法を御検討いただき、それを実施に移していきたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/121
-
122・貝沼次郎
○貝沼委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/122
-
123・岡本富夫
○岡本委員長 貝沼次郎君の質疑は終了しました。
次に、瀬崎博義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/123
-
124・瀬崎博義
○瀬崎委員 今回の原子力基本法等改正案は、政府の説明によりますと、原子力行政懇談会の答申を忠実に具体化したものである、立法化したものであるということなんですが、そもそもこの改正案に対する責任は、一体政府にあるのか、行政懇にあると考えているのか、まず大臣のお考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/124
-
125・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 行政懇の意見をよく踏まえまして立法したわけでございますが、責任はもちろんわれわれ政府にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/125
-
126・瀬崎博義
○瀬崎委員 ということは、当然政府が責任の持てるものとして独自の検討はそれなりにやられた、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/126
-
127・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/127
-
128・瀬崎博義
○瀬崎委員 「むつ」問題を契機にいたしまして、いわゆる行政改革論議が非常に世論の注目の的になってきた。それで、その重要な焦点になったのが原子力委員会でありまして、その責任とかあり方というものが問われてきたわけであります。当事者である井上原子力委員長代理もいろいろな場所でいろいろ御意見を発表されておるわけであります。たしか五十年の四月二十二日の第三回目だったと思いますが、原子力行政懇談会でも参考人として御出席なさって御意見を述べていらっしゃいますね。井上さんにお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/128
-
129・井上五郎
○井上説明員 私、通称有沢委員会と申しますか、御指摘の委員会に出席をいたしまして、原子力委員としての意見を述べております。日にちをはっきり記憶いたしておりませんけれども、確かに述べております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/129
-
130・瀬崎博義
○瀬崎委員 そのときの井上先生の御発言を見ますと、「原子力の開発は安全確保をはなれてはありえず、安全確保もたえず研究開発を進めその成果を十分にとりいれて行わなければならないことなど、その両者の関係は、実際上は切りはなしえない。従って、仮りに二つの委員会を分離するとしても、両者の関係をどのように関係づけるなど問題も多く、各省庁のいわば上に立ち、内閣総理大臣を直接補佐する立場にある原子力委員会を二分することは必ずしも当を得ないという見解もある。このような理由に加え、委員会の二分の際には、人員、予算などが一つの場合より相当多くなることはさけえないところから、今日直ちにその対応が可能かどうかも問題となろう。」という指摘もされております。「当委員会」——原子力委員会内の「意見としては、以上のように、委員会の二分については両論があり、単なる二分に対してはむしろ慎重論が有力である。」これが行政懇での御意見と拝察いたします。この意見は、井上さんは首尾一貫していらっしゃるように思うんですね。
といいますのも、その後、今度は五十年六月十一日の本委員会で御答弁なさっているのですが、原子力委員会の最大公約的見解という前置きをされまして、「原子力委員会という機関が推進と規制というものを分けるということには、若干の疑問を持っております。」「原子力というものそれ自体は、安全ということを前提にしなければ推進も何もあり得ないのでありまして、いやしくも原子力というものをやる以上は、安全というものが前提なのであります。それで、安全のない原子力の開発というものは、それ自体ナンセンスと申しますか、あり得ないことなんでありまして、言いかえますれば、原子力を推進するということは安全が伴うからこそできるわけで、それを二つに分けるということは、必ずしも意味があるとは考えません。」こう断言していらっしゃる。その井上さんのお立場から、今回の改正案をごらんになって、こういう法案は意味がない、余り効果はない、こういうお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/130
-
131・井上五郎
○井上説明員 ただいま御指摘の二回の私の発言には、いずれも、ごらんをいただきますと、私は個人として、あるいは当委員会に参考人としてお招きにあずかっておりません。政府側の説明員として参っておりますので、したがいまして私は、井上個人というよりは、原子力委員を代表して委員会内の意見を申し上げた記憶でございます。したがいまして、委員会の中には慎重論もあり、あるいは即行論と申しますか、分離論もあった。しかしながら、委員会内といたしましては、当時、仮に分離するにしても、原子力の開発と推進ということには相互に関連すると申しますか、ただいま御指摘のように、安全というものの確立の上でなければ原子力の推進は成り立ち得ないという前提におきまして、ただいまのような慎重論と申しますか、分離することが行政的に必要である、あるいは国民のコンセンサスを得る上において必要であれば、あえて反対するものではないけれども、仮にそうするのであるならば、その安全と推進というものの関連を十分考えなければならないという意味の発言をした記憶がございます。したかいまして、今回のような政府原案につきましては、原子力委員会の立場といたしましては賛成いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/131
-
132・瀬崎博義
○瀬崎委員 どうも聞いておって何かつじつまが合わないような話なんですか、なおその行政懇での井上委員長代理の御発言の他の部分に、こういうところもあります。「現在の原子力委員会の安全に関する権能の範囲の拡大である。現在の制度では、原子炉等規制法により内閣総理大臣から諮問される基本設計段階の安全審査については明確であるが、安全管理を一貫してチェックする制度となっていない。」「委員会の権能の範囲を明確に拡大し、基本設計段階の安全審査以降の段階についても一貫してチェックすることが必要であろう。」こういうふうに御主張なさっているのですね。これが原子力委員会を代表する御意見であるのか井上さん個人の御意見であるのかは存じません。しかし、明確におっしゃっています。
こういう立場から見るならば、今回の法改正は果たしてこの御意見に沿っているのか、それとも、基本設計段階、安全審査以降の段階にはチェックが及ばない旧態依然とした状態のものになっているのか、その点はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/132
-
133・井上五郎
○井上説明員 今回の改正法案では、その点について当時若干ながら私どもが考えておった懸念はそういう改正によって実現し得る、言いかえますと、原子力委員会の所掌事項のうちで当時問題になりましたのは、一つは、原子力委員会が原子力政策の推進を計画的に図らなければならないという任務があると同時にその安全を確保しなければならないということは、若干相反する任務を持っておるのではないかということで分離論が出ましたと同時に、安全を確保するためには許認可の段階から将来の運転の最後までを見なければならないじゃないかという一貫性の問題があったと思います。したかいまして、その当時と申しますか、今日の体制におきまして許可の段階において原子力委員会が関係しておる部分あるいは長い原子力発電炉の運転につきまして、主として通産省の事項になっております問題との間に若干一貫性が欠けるのではないかという懸念があった点は、今度の改正によって首尾一貫したものになり得る、こういうふうに考えます。したがいまして、私が当時述べました趣旨はこの法改正によって貫徹と申しますか、実現し得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/133
-
134・瀬崎博義
○瀬崎委員 全く木に竹を接いだようなお話じゃないですか。行政懇での先生の御発言は、原子力委員会の権能の範囲を拡大して基本設計段階以後の安全審査にも及ぶようにしろ、こういうふうに御主張なさっているのでしょう。今回の場合は通産省がその基本設計までの安全審査を行うようになったのですから、全く別の問題ではないか、これは全く結びつかないと思うのですよ。
さらに、こういうお話もこの行政懇でなさっているでしょう。というのは、行政懇が参考人として御出席なさっているいろいろな方々の意見をくみとって結論を出しているかどうかをわれわれは明らかにしたいからなんですが、事務局強化の問題にも触れていらっしゃいますね。「原子力委員会は昭和四十四年にも事務局強化の必要性を主張したものであるが、委員会独自の事務局強化という点では殆んど前進がみられない。むしろ、現在事務局である科学技術庁当局の一般業務の繁忙の結果、委員会事務局としての機能はむしろ低下しているのが実情である。原子力委員会が、委員会としての独自性をたかめ、一般から期待されている原子力問題の最高審議決定機関としての責務を果たし、また安全確保の見地からも各省庁の行政を十分把握し、いわば、安全確保の「番人」としての使命を全うするためには、前述の安全審査の事務局だけでなく、事務局全体について一般の行政部局とは別個の体制をとって、人員、予算の思い切った増強が必要であると考え、今後この方向で努力することとしたい。」こうおっしゃっているのです。今度の一応分離された原子力安全委員会の事務局体制は、このときの先生の御主張と合致しているのですか、違った方向をとっているのですか、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/134
-
135・井上五郎
○井上説明員 私の答弁が木に竹を接いだようだとおっしゃるのでありますが、私は木が育ったんだと思っております。ちっとも首尾一貫しないことはないのだと私は考えておるのでございます。つまり、安全審査体制をいかように強化するかという手段が、当時原子力委員会を強化するのがいいか行政機関を強化するのがいいかというのは議論か確かにございました。申すまでもなく、原子力委員会というのは行政委員会ではございません。したがいまして、実際所管官庁である通産省なりあるいは科学技術庁のそうした機関を強化すると同時に、委員会の中に安全委員会の機能を強化して、言うなればダブルチェックをしてこの問題についてより高く、またよりよい安全確保をしようという趣旨でございまして、当時委員会の中には、委員会の強化によってこれが実現するという考え方と、それだけでは「むつ」以来起こりましたいろいろな世論にこたえ得ないであろうという議論がございました。それを有沢委員会の答申においてまとめられたことは決して当時委員会が主張したことと相反するものとは考えておりません。
それから、最後に御指摘になりました安全委員会の審査組織を強化しなければならない、これは当時はまだできておりませんでしたけれども、原子力局のほかに原子力安全局というものが成立をいたしまして、その点で行政機関として一歩前進したものと思いますけれども、もし原子力安全委員会というものができますれば、予算面におきましても安全審査の人員の整備、増強、その他こういう問題につきましてはさらに強化をされるべきものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/135
-
136・瀬崎博義
○瀬崎委員 少なくともこのときお述べになっている意見では、一般の行政部局とは別個の体制をとるべきだと明確におっしゃっていますから、そういう点での改善は全然進んでいないと私は見なければならないと思うのですよ。
それから、あわせて、このときの井上先生のお話の大体一貫した流れは、「問題の実効ある解決を図るためには解決の方策を直ちに機構のあり方に求める考え方には問題があり、」こういうことであり、たとえばいま幾つかの改正を示唆されていますが、そういうものについて「法律改正がのぞましいが、改正を行わないでも実施不可能ではないと考える。」こうもおっしゃっておるわけですから、そういう点ではきわめて現状維持的なお考えが支配的ではなかったかと思うのです。
私が言いたいのは、決して共産党自身が井上先生の御意見を支持しているのではないのですが、この原子力行政懇談会が各界の権威者を招いていろいろ意見を聞いたとはいうけれども、それを本当に民主的に検討し、民主的に処理されたかどうか、ここが問題なのでいろいろこういう問題をお尋ねしているわけです。少なくとも、今日の原子力行政の中では最も中心的な存在である井上さんをわざわざ招いて意見を聞いたにかかわらずその意見を全く無視しているということになるならば、この行政懇のあり方は問題だということになるでしょう。いかがでしょう、やはりこのときの御主張というのは、何も現状を大きく変える必要はない、こういうお考えが前提になっておったのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/136
-
137・井上五郎
○井上説明員 私は、行政懇と申しますか、有沢懇に参りましたときにも、ただいま申しましたことの繰り返しになりますけれども、原子力委員会の言うなれば最大公約数的意見を申し述べて、その結果か、先生は何か現状維持的な空気が強かったんじゃないかという御指摘のようでございます。しかしながら、当時「むつ」問題が起こりました後の世論と申しますか、各界の御意見を徴されまして有沢委員会が最終答申をなさった中には、当時原子力委員会の考えておりました多くの意見は取り上げられておるものと考えております。たとえば安全委員会につきましても、安全委員会が行政機関であるのかあるいは三条機関であるのか八条機関であるのか、いろいろ御議論があったのでありまするが、原子力基本法において非常に大きな柱として言われておりますとおり、民主、自主、公開という観点からいいまして原子力安全委員会もまたそうした意味の諮問委員会ではある、しかしながらその意見は政府か尊重しなければならないという、言うなれば非常に重要な八条機関であるという意味におきまして、私どもは十分われわれの意見が取り入れられたものと考えております。
もう一言つけ加えて申しますならば、原子力委員会はそうしたいろいろな意見をまとめまして、政府がこの原案を出しますときに、昨年の二月の中旬だったと記憶いたしておりますが、この法案について原子力委員会は賛成であるという意見を発表しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/137
-
138・瀬崎博義
○瀬崎委員 結局、いまの井上さんのお答えそのものが示しておるように、明らかに当初行政懇に招かれてお述べになった見解というものは、まず一つの特徴は、現在の原子力委員会の安全審査機能、今日の改正案でいえば安全委員会に当たりますが、その権限を拡大して基本設計段階以後の安全審査もできるようにしろ、これが一つ。それから、事務局を強化すべきであって、そのためには一般行政機構とは独立した事務局をつくるべきであるという御意見があったこと。それから、何も機構改革だけが万能じゃない。したがって法改正できるものはしたらいいけれども、何も法改正できなくても手は打てる。大体大きく言えばこの三点に集約されておったと思う。したがって、もし後にそうでない、いまの法案に賛成の態度を表明されたとすれば、これは原子力委員会の態度を変えられたんだな、こう言わざるを得ないと私は思うのですね。なぜ変わっていかれたのか、きょうは時間の関係もありますから、また後日に譲りたいと思います。
次に、先ほど大臣は、行政懇の答申は尊重したが、もちろん法案の責任は政府にあるのであって、政府独自の検討はやった、こういうお話です。じゃ、その政府の検討が一体どうであったのか、この点をひとつ尋ねてみたいと思うのです。
ずいぶんといろいろな提案、提言が各界各人によってなされました。科技庁もずいぶんとこれは検討されたと思うのです。原子力法令制度審議室というのですか、こういうものをたしか四十九年だったか八年だったか、そのころにつくられたと思いますが、ここは主としてどういうことを任務にしたところなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/138
-
139・半澤治雄
○半澤政府委員 ちょっと古い記憶でございますので、正確を欠くかもしれませんが、「むつ」問題等が起きる以前からでございますね、科学審議官に特命として科学技術庁が抱えております法令全般を一遍見直して洗ってみたらどうか、たしか四十九年の春だったと思いますが、そういう室を審議官のもとにつくりまして検討を始めたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/139
-
140・瀬崎博義
○瀬崎委員 そこでいまの原子力行政の法令とか体制等についても検討はされていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/140
-
141・半澤治雄
○半澤政府委員 一応の勉強は済ませまして、その後において原子力行政懇談会等の動きもございましたものですから、それを事務的にお世話する、事務的に受けるという形で存続した経緯がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/141
-
142・瀬崎博義
○瀬崎委員 科技庁としては、百家争鳴と言ってもいいぐらいいろんな意見が出た問題について、これを検討する場合、大きく分けてテーマをおおむねどのように整理分類されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/142
-
143・半澤治雄
○半澤政府委員 そのときのいろんな諸条件がございますですね。今度の場合、たとえば行政懇談会でああいう答申が出ましたということが一つの条件として出てまいりますと、それを一つ踏まえまして、当庁で関係します関係諸法、基本法、設置法あるいは規制法等の、その懇談会の意見等とそれらの法律の現在における問題点というものをそういう意味ではそういう形でテーマづける、テーマ別にやっていくということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/143
-
144・瀬崎博義
○瀬崎委員 原子力関係法令制度の検討状況について、こういう文書を科技庁で出していますね。これではそのテーマを三つに分けているわけですね。大まかに言えばという注釈はついていますけれども、一が、原子力行政の責任体制が明確でないこと、二が、規制と推進が同一組織で扱われているため、推進のために安全が犠牲にされているのではないかとの疑念を与えていること、それから三が、原子力行政の中核たる原子力委員会が弱体であることの三点に集約される、こうしているわけです。こういうそれぞれのテーマに対してすべてを満足する原子力行政体制はあり得ないのであって、行政体制を論議する場合、どの要請にどの程度の評価を与えるべきかを第一歩とすべきである。果たしてこの三つのテーマのどの点にウエートを置かれたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/144
-
145・半澤治雄
○半澤政府委員 ただいま先生が言われました資料でございますけれども、これは科学技術庁が公にしている資料ではないと私は思うのです。つまり、法令制度審議室において部内の検討過程におきましてその室員が、あるいは室の責任者がまとめたものであろうと私は推察いたします。
どの点についてウエートをかけたかというお話でございますけれども、たとえば原子力懇談会が始まりました当時、科学技術庁としては原子力行政体制における問題点として何を考えておるかというようなことで問題点の整理を要請されたこともございまして、そういう際に、いま御指摘がございましたような勉強結果を踏まえまして科学技術庁として考えております問題点を整理するという、そういう作業に役立てたということはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/145
-
146・瀬崎博義
○瀬崎委員 恐らくこれは、この表題からしても、検討状況について、ですから、いま言われたようにだれか個人の意見というんではなくて、いろいろ検討している状況の客観的なまとめみたいなものだろうと思うのですね。
〔委員長退席、石野委員長代理着席〕
したがって、逆に言えば、大体これで当時のいわゆる政府部内、科技庁部内の論議の傾向というものは私は読み取れると思うのです。
そこで一応お聞きしたいんですが、行政の責任体制が不明確であるということと、それから行政の一貫性ということを科技庁は同一視したのですか、それとも、これは異なる問題だと考えて事を進めていったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/146
-
147・半澤治雄
○半澤政府委員 先生御指摘の資料は何段階かでいろいろ整理してございますね、その過程だと思います。私、先ほど申し上げましたように、有沢行政懇談会から科学技術庁が作業として要請されまして、何が問題点かということで要請されましたときには、原子力委員会が果たすべき役割りを明確にすべきではないかとか、原子力委員会の機能の強化のためにはどのようにしたらよいかとか、安全規制の体制上の問題はどうかとかといった問題を整理されておりまして、行政の責任体制と規制の一貫化というものを同一視したわけでは決してございませんで、行政責任の明確化の中の一つの態様として、たとえば一貫化の問題をとらえるというようなことはあったかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/147
-
148・瀬崎博義
○瀬崎委員 事実、この検討のまとめの中にもそういうふうに書かれているわけですね、本来別個のものだと。たとえば発電炉の場合、科技庁と通産とどっちの責任分野かわからぬような問題があるとすれば、その場合は科学技術庁長官と通産大臣が責任を負えばよいはずである、責任問題がこれで解決するんだ、こういうことなんですね。しかしながら、このような答えで納得されるのであれば、何も原子力行政懇談会までつくってあれこれ論議する必要もないのである。結局は、本来別の問題ではあるけれども、責任の主体の明確化というよりは、一元的体制をつくる形で逆に責任の明確化を迫られる、こういうような形になっているので、いやおうなしに一貫化の問題を前面に出さざるを得ない、大体いまこういうような論理になっているのですね。科学技術庁の考え方は大体そういう流れだったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/148
-
149・半澤治雄
○半澤政府委員 言いわけするようでございますけれども、私、当の責任者でございませんでしたから、正確なところは判断しかねるわけでございますけれども、問題を明らかにするためにいろいろな観点から問題をとらえるということを審議室で行いまして、その一つの過程としてそういうことがあったのだろうというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/149
-
150・瀬崎博義
○瀬崎委員 問題は、結局どういうふうな検討内容が最終的にこの法案に結びついていったのか、こういうことがわれわれ国会審議にとって重要なんでしょう。だから、そういう点では検討の過程というものをリアルに私は出してほしいと思うのですね。そういう形で、いわゆる行政の一貫化ということを検討せざるを得なくなったということで、もし検討するとすれば二通りあるというふうにまとめていますね。一つは行政庁レベルで一貫性を確保する。一つは諮問機関レベルで一貫性を確保する。それぞれにいろいろな検討を加えたとしているわけなんですが、行政庁レベルでの一貫性をとらなかった理由は、結局のところはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/150
-
151・半澤治雄
○半澤政府委員 私どもは、この法律の改正作業を行います際に、先ほども申し上げましたように、原子力行政懇談会でいろいろ議論されて出されました結論というものを一つの条件として、前置してやっておるわけでございまして、そういう意味では、行政懇談会で出されました検討結果を一応了承しまして、それを踏まえて法律改正作業を行うとすればどうなるかという、言うならば技術的な検討をやってみるということをやっておるわけでございまして、そういう意味では、今回御審議をお願いしておりますような過程で一貫化が行われることが至当であるというように考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/151
-
152・瀬崎博義
○瀬崎委員 話は逆だと思うのですよ。行政懇が全然何もないところでぽっと生まれてきたのではなくて、いろいろな意見が出ているところに行政懇というものが生まれてきたのだと思う。その中の一つとして、井上先生の先ほどの意見陳述でもちゃんと入っているわけでしょう。科技庁の意見というものを当然反映しているのであって、全く別であるとは考えられないし、現に独自に政府が検討もしているというのでしょう。その政府の独自の検討は一体どうであったのか、行政懇が果たしてそういうふうないろいろな意見をくみ取って結論を出しているのかどうかが問題なんですよ。行政懇を金科玉条にされるけれども、決して行政懇が今後の問題に責任を持つわけじゃない。もしこれでうまくいかなかったら、結局政府が責任を持つのだから、最終的には政府のこの態度というものをわれわれ問わざるを得ないわけです。
そういう意味で、科技庁として行政庁レベルの一貫性確保をとらなかったその理由は何か。たとえば行政庁で一貫化するとすれば、原子力規制庁のようなものの設置が考えられる、こういうものを総理府につくる案があるというふうなことが出ているのですね。こういう案はとれないと言っているわけなんです。その理由を政府に今日的に聞いているわけなんです。
〔石野委員長代理退席、委員長着席〕
これは別に官房長でなくても、担当の局長が答えればいい問題だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/152
-
153・牧村信之
○牧村政府委員 行政懇と対応して科学技術庁内でいろいろな議論をしたということももちろんありますし、行政懇の意見を踏まえて議論をして、最終的にはこういう案をお出ししておるわけでございます。
そこで、ただいま先生がおっしゃられたように、総理府の中に特別にそういうものを設けろというような案をとらなかった一つの大きな理由は、原子力の安全規制というものが、原子力発電というものを考えましたときに、ただ原子炉だけの規制で済むものではない。したがって、現在通産省が行っております規制体系そのものを、全部原子炉だけを持ってきまして、また科学技術庁の所掌しておるものもそれに加えましてつくりましたとしても、これは原子炉の安全確保だけの問題になりまして、発電体系から申しますと、非常にダブった機構が二つできてしまうということがございます。この辺を重視いたしまして、こういうようなことではかえって規制行政が繁雑になるもとになるということを配慮いたしまして、それよりも、むしろ通産省に一貫して規制を行わしめ、安全委員会を新設し、その安全規制の全体的な権限を強化して、それをチェックしていく、こういうシステムの方がより合理的であると判断いたしまして、現在御審議をお願いしておる一貫化並びに原子力安全委員会の設置をお願いしておるというふうに私、考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/153
-
154・瀬崎博義
○瀬崎委員 行政庁レベルでの分離は難点が多く採用できないと、この時点のまとめでも断言しているのですね。それから同時に、諮問機関レベルでの分離は、規制と推進の調和をいきなり閣議レベルへ上げてしまうことになり、これも採用できない、こういうふうに述べているわけですね。結局、何を採用するのだということについては、原子力委員会の中に開発委員会と規制委員会を設けることも一案である。また、二分する場合には、上部に、調節する諮問委員会、大原子力委員会を設けることは適当であろう。おもしろいことに、括弧して、実質的には同じであろうが、イメージアップのためには後者の方が適当である——結局こうなってくると、当時の科技庁の論議というのは、国民に対してどういいかっこうに映るかということが主眼点であって、実質から言えば何も変えなくてもいいのだ、こういうふうな論議か中心であったのではないかというふうな感じがするのです。その点は本気で科技庁が、当時、現在のこの原子力委員会の分離問題とかあるいは許認可権の通産省への移管問題を考えておったのかどうか、どうなんですか、この当時。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/154
-
155・半澤治雄
○半澤政府委員 その資料の正確な日付を私は存じておりませんけれども、たしか昭和四十九年(瀬崎委員「いや、五十年ですよ」と呼ぶ)少なくとも行政懇談会問題が起きる前に、(瀬崎委員「後です」と呼ぶ)前でしょう。スタートはそれよりずっと前です。
それで、先ほど申し上げましたように、科学審議官を長として一遍当庁所管の各法律の問題点を勉強してみなさいということでつくらしたものでございまして、その資料そのものは庁内でオーソライズしたわけでも何でもないのです。いろいろな勉強会の中で出た議論をそういう形で整理したものであろうと私は思いますけれども、それ自体が科学技術庁の考え方を示すものというふうにおとりいただくと非常に困るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/155
-
156・瀬崎博義
○瀬崎委員 困ろうと困るまいと、科技庁内でちゃんとこういう論議をしたことは事実なんですから、それを認めろというわけです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/156
-
157・半澤治雄
○半澤政府委員 非常に失礼な言い方を申し上げて恐縮でございますが、部内のある部分で、あるセクションで、全く外に発表することを考慮せずに行われたいろいろな議論があるのでございますけれども、その議論を取り上げて、それを庁内の議論として、それに関する見解を言えというのは少々御無理かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/157
-
158・瀬崎博義
○瀬崎委員 そういう事実があったかなかったかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/158
-
159・半澤治雄
○半澤政府委員 私、先ほど申し上げましたように、法令制度の審議をするために勉強をするための組織をつくったという事実はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/159
-
160・瀬崎博義
○瀬崎委員 大臣、やはりそういう勉強の過程がなければ、これは当然結論は出てこないわけでしょう。われわれはそういうふうなことを国会でも十分経過として見ておきたい。どういう勉強が科技庁内であったのか、そういうことがわからない限り法案に対するわれわれの態度というのはなかなか決めかねるわけでしょう。
そういう意味で大臣にお聞きしたいのですが、いまの官房長の話ですから同じく勉強会という言葉を使いましょう。その勉強会では、大体そういうふうに規制と推進を分けなくてもよいというふうな考え方がずっと出ているわけですね。しかし、国民に対するイメージアップのために規制と推進の関係を切り離さざるを得ないということになってくる。ここの文章でいきますと、不都合があっても規制と推進の分離をすべきか否かは政治判断の問題である、こうなっているのですね。だから、これは恐らく事務的な論議あるいは勉強会の論議では結論が出ないで、まさにここに書かれているように政治判断でこの分離が決まったのではないかと私は思うのですね。大臣は、この政治判断の根拠はどういうところにあったとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/160
-
161・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 大変むずかしい御議論で適当なお答えができるかどうかわかりませんけれども、判断と言いましても、技術的判断あるいは政治的判断というふうな言葉がいろいろ使われます。いまはっきり、これは技術的判断、政治的判断、そういうことに区別して考えられない、やはり総合的判断といったものがもとになると言わざるを得ないかと思うのですが、それもその段階、段階におきまして変わっていく性格がありますから、これをどういうことかと聞かれましても、いまちょっと即答はいたしかねます。まあ、当面私どもとしましては、主としてこういう行政懇の意見をもとにしましてこのような案を考えることが原子力行政を円滑に推進する上で最上のものである、こういう判断に立っているというお答えにならざるを得ないわけですが、それだけ一つお答えしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/161
-
162・瀬崎博義
○瀬崎委員 時間が来ているので、詳しく質問できないのは非常に残念であります。
この勉強会では、行政体制の変革によってすべてが解決するものではなく、急激な変革はかえって行政の混乱を招くことを認識しておく必要があろうという指摘も出ているのです。これは先ほどの井上委員長代理が四月二十二日の原子力行政懇談会でお述べになっているのとこれまたぴったりと一致するわけですね。だから、そういうふうに考えてくると、ごく一部の勉強会だ勉強会だと言われるけれども、やはり当時の原子力委員会、科学技術庁の主たる考え方は、そんなに機構いじりばかりやったって原子力行政なんて直るものじゃない、現在のものでもやれることはあるのだ、法律改正をしなくたって可能な部分はあるのだ、こういうふうな考えもあったのではないかと思うのですね。こういう点を素直にお認めになるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/162
-
163・牧村信之
○牧村政府委員 先ほどからも官房長が、この行政懇に対応していろいろな検討をし、その一部につきましては行政懇に事務的に問題点として提起したいというようなことで行い、先生のおっしゃるようなことがいろいろ議論されたのだろうと私は思います。しかしながら、こういうことは、法律の改正をするときには通常どこでも行われることでございまして、極端から極端な議論をしつつ集約していく、あるいは各省庁と協議して決めていくというような手順が当然必要なわけでございます。したがいまして、現在出しておりますこの法律案を大臣が最終的に御決断なさって所要の措置を講じてここにお出ししておるわけでございまして、われわれの見解としては、いまここに盛られておることが最終的な私どもの考えであるのは当然でございますし、またこの法律ができ上がって国会にお出しする前に途中でいろいろな議論を——確かに極端から極端まであるいはあるかもしれませんけれども、これは経過的なものであり、また内部的なものでございますので、それを一々問題にされるのは、私どもとしては余り適当なことではないというふうに思うわけでございます。しかも、これは一々私どもが現在の考え方において外部にそれを、この点はどうであったかというふうな説明を求められましても非常に困るわけでございまして、その辺は経過的なものであり、また内部的なものであるということを御了承くださいまして、ぜひ御了解をお願いしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/163
-
164・瀬崎博義
○瀬崎委員 もちろん、行政改革のみならず、どんな新しい法案あるいは法改正を出す場合でも、いろいろな検討が部内で行われ、その上に立って諮問委員会にもいろいろと意見を求める等の手続を踏まれるのは民主政治の基本だと私は思うのです。私はそのことをちっとも否定していない。むしろ私は、科技庁でそういう議論があったことを率直に明らかにしてほしいのだが、しないから、こちらからとりあえずのわれわれの資料でこういうことを検討しているじゃないかということを申し上げているのです。それがこの法案改正と曲がりなりにも結びつくものであるならばそうわれわれは奇異に思いません。ところが、先ほど言いましたように、このまとめでは、行政庁レベルで一貫性を確保する、こういう方針については断固とした否定を行っているわけですね。分離するとしても諮問機関レベルの分離である、こういう主張なんです。その否定した行政庁レベルの一貫性については、一つはこの原子力規制庁のようなものを総理府につくる案、もう一つの案として、原子炉の分野によって担当行政庁を分ける問題を提起していますね。ここで、たとえば研究炉は科技庁、実用炉は各省、つまり発電用は通産省、舶用は運輸省において一貫して処理する案もある。これも明確にこんなものは実行できっこないと否定しているわけです。否定しているのに、いまわれわれの目の前に出てきたのは、まさしくこの原子炉の分野によって担当省庁を分ける案でしょう。つまり、これは科技庁の法令室だけの勉強会であったのか何だか知らないけれども、とにかく一部の、厳然として存在する一部署が出した見解とは全く違っているわけです。
そこだけかと思っていると、先ほどの井上原子力委員長代理は盛んにいまは御否定になるけれども、当時の御発言のこの文章を忠実に読めば、大体似たり寄ったりのことをおっしゃっているわけです。そうなってくると、原子力行政懇の結論が一体どの流れから来たものかということにわれわれは疑問を持たざるを得ない。少なくとも科技庁部内であるとか、原子力委員会部内の論議の流れをくんだものではなさそうだ、こういう結論にしか私はなり得ないと思うのです。こういう点では科技庁の大臣としてはもう一遍振り返って、少しそこらの論議過程ももう一遍検討してみよう、これだけの大改革をやるのだからそのくらいの態度はあってしかるべきだと私は思う。
こういうところは私、余り揚げ足取りはしたくないけれども、この文章の中にはこういうところもありますよ。「規制と推進の分離について、このような発想は、世界的にも国内的にもファッション化している」というような言葉を使っているわけであります。だから、どうも科技庁の本心ではなさそうだ。まあ、一種の流行というようなとらえ方でしょうか。
そういうふうな点で、果たしてこれはまじめな論議が行われた積み上げがこの法案改正になっているのかどうか、心ならずもこんな法案が出てきたという感じをわれわれは受けて仕方がない。だとすれば、われわれ国会議員も、出している政府がそんな態度なのに、われわれがこれに本当にまじめに乗っていけるかどうかという問題が起こるでしょう。そういう点では私は、こちらからでなしに、政府の方から一遍、検討経過、研究経過の資料を全部出していただいて、われわれ国会議員のまじめな審議ができるような舞台をつくっていただきたいと思うのですが、ぜひ大臣にお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/164
-
165・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 時間がございませんし、いろいろ詳細ななにも要りますから、簡単にお答え申し上げておきますが、お話の件はよく承りました。よく検討いたしまして、また善処いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/165
-
166・牧村信之
○牧村政府委員 大臣がいまお答えになられましたけれども、この法案の原案をつくる論議をする場合に、私は当時担当しておりませんけれども、いろいろな前提を置いて極端から極端までもあわせて議論しているはずでございます。したがいまして、いろいろな議論が出ているはずでございます。その反対の観点からの作業もあったはずでございます。そういうものを踏まえて役所としての結論を出したわけでございます。したがいまして、経過的な、内部的なものをここでさらけ出して御審議いただくのは私どもとしては決して適当なことではなくて、いま私どもがお出ししておるものの考え方を十分お聞き取りいただきまして、御審議を賜ればありがたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/166
-
167・瀬崎博義
○瀬崎委員 最後に、委員長に要望なんですが、後でまた理事会で、いろいろこういう検討資料がたくさんあったということなんですから、その資料を出してもらうようにお願いしたいと思いますので、よろしく取り計らいをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/167
-
168・岡本富夫
○岡本委員長 ただいまの件は、理事会に諮りまして善処いたしたいと思います。
瀬崎博義君の質疑は終了いたしました。
次に、中馬弘毅君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/168
-
169・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 本法案の審議は一年近く論議されてまいりました。そこで問題になっておりますのは、日本のいまの経済官庁に原子力の安全という問題を一部渡すことについての危惧が非常に大きかったと思うのです。そのことを十分おくみ取りいただいたことと思います。私は、きょうは特に質問はいたすつもりはございません。その中にあって意図をおくみ取りいただきたい。
私も第八十二国会でも質問しましたように、安全という問題には、いろいろな観点からの安全が考えられる。狭義の技術上の問題から環境上の問題、場合によっては住民に対する心理上の安全の問題もあろうかと思います。広義のテクノロジーの安全といったこともある。業界との一部癒着があるというふうにすら一般に言われておるいまの経済官庁のあり方、ここにも問題があろうかと思います。そういうことも踏まえて、科学技術庁としては自信をもってこの安全という問題に別個の観点で取り組んでいただきたいということが大きな点ではないかと思うのです。幾ら機構をつくりましても、運用の面でそれが図られておらなければ何にもならないことでございますから、特に運用の点についてこのことをこの間も御質問したような次第でございますが、そういうことをよく踏まえていただきましての進め方をしていただきたい、こういうふうに感ずる次第でございます。その点について、最後に安全局長と大臣の御所信をお伺いして、きょうの質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/169
-
170・牧村信之
○牧村政府委員 確かにいろいろ機構をつくりましても、それが魂が入らずにおれば実効が上がるわけではございませんし、ただいま先生がおっしゃいますように、現在の経済官庁がいろいろな不信感を持たれておるということも踏まえまして、これをぜひ改善していかなくちゃいかぬわけでございます。
この原子力の規制につきまして、主として通産省並びに運輸省が、一貫化の関係で規制の幅がいままでよりふえるわけでございますが、これにつきましてそれぞれの役所が体制を強化して万全を期していっていただきたいということは当然私どもも期待するわけでございます。しかしながら、私どもの立場といたしましては、主として規制の行政を行います規制法の総括の官庁としての科学技術庁の責任は非常に重大でございますので、今後関係省庁に、この規制の万全を期する体制を十分とってもらうようにお願いしてまいりたいと思います。
また、幸いこの規制体系に安全委員会というものを新たに設置していただくことをお願いしておるわけでございますので、これの自主的な事務担当官庁といたしまして、この辺につきまして、わが国の原子力の規制のあり方ということを含めまして関係各省庁を十分指導し、また指示できるような安全委員会の運営を図ってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/170
-
171・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 いま大体安全局長からお答え申し上げたとおりでございますが、先生の大変お含みがありまた御示唆に富んだ御発言に対して、私どもも十分理解をさせていただいてきたところでございます。
現在、原発の推進という問題は、エネルギー政策の上からもきわめて重要でありますことは申すまでもありませんが、これを進めてまいりますためには、何といっても安全第一でございますので、常にこの安全を最大の目標としながら、さらに不安がないような対策を進めてまいるということでございます。
なかなか絶対的に、これはという方法はないかもしれませんが、現在の段階ではこの法案をお認めいただきまして、この法案の成立を手がかりにいたしましてさらに一層安全性の確保、推進といった面に熱意を傾倒してまいらねばならぬ、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/171
-
172・中馬弘毅
○中馬(弘)委員 自信と責任をもって進められんことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/172
-
173・岡本富夫
○岡本委員長 中馬弘毅君の質疑は終了いたしました。
次回は、来る二十九日水曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X00519780323/173
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。