1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年五月二十五日(木曜日)
午前十時二十二分開議
出席委員
委員長 岡本 富夫君
理事 小沢 一郎君 理事 大石 千八君
理事 小宮山重四郎君 理事 佐々木義武君
理事 中村 弘海君 理事 石野 久男君
理事 貝沼 次郎君 理事 小宮 武喜君
伊藤宗一郎君 玉沢徳一郎君
原田昇左右君 与謝野 馨君
安島 友義君 上坂 昇君
田畑政一郎君 瀬崎 博義君
中馬 弘毅君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 熊谷太三郎君
出席政府委員
科学技術庁長官
官房長 半澤 治雄君
科学技術庁原子
力局長 山野 正登君
科学技術庁原子
力安全局長 牧村 信之君
科学技術庁原子
力安全局次長 佐藤 兼二君
資源エネルギー
庁次長 大永 勇作君
資源エネルギー
庁長官官房審議
官 武田 康君
委員外の出席者
外務省国際連合
局外務参事官 矢田部厚彦君
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五月二十五日
理事中村弘海君同日理事辞任につき、その補欠
として小宮山重四郎君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
参考人出頭要求に関する件
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
四二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/0
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001・岡本富夫
○岡本委員長 これより会議を開きます。
まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事中村弘海君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/1
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002・岡本富夫
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
次に、理事の補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/2
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003・岡本富夫
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に小宮山重四郎君を指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/3
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004・岡本富夫
○岡本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
来る三十一日、科学技術振興対策に関する件、特に原子力発電に関する問題調査のため、また来る六月一日、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/4
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005・岡本富夫
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/5
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006・岡本富夫
○岡本委員長 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出があります。順次これを許します。安島友義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/6
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007・安島友義
○安島委員 わが国のエネルギー政策は一貫してアメリカに依存してまいったわけであります。昭和三十五年から石炭から石油へと、そして四十八年の石油ショックで日本の自主的な開発というものの急務をようやく政府も認識した。いずれにしましても、これまで資源有限という認識については必ずしもわが国の場合は十分だとは言えない。したがって、最近になっていろいろな手を次々と打っているわけですけれども、これからそういう政策を進めようとする場合に、いろいろな諸条件、前提要件が不整備のままで次々といろいろな提案がされてきているわけでございますが、特に私は、アメリカの政策に大きく影響を受けるという観点から、これまでも取り上げられてまいりましたが、この法案にはどうしてもアメリカの核エネルギー政策というもののかかわりがございますので、まずその点についてお伺いしたいと思います。
御承知のように、昨年の四月七日、カーター大統領はプルトニウムの商業的再処理の無期延期など、七項目の核エネルギー政策を公表した。さらに議会に教書を送って、この教書の中でもこれを確認いたしまして、さらに、アメリカの政策を海外諸国に協力してもらうためにはそれに必要な措置をとる、いわゆる濃縮ウランの供給等を保証するというようなことを発表したわけでありますが、いずれにしましても、このアメリカの原子力政策について非常に大きな影響を受けるわけですが、まず第一点として、表向き核拡散防止ということを理由に挙げておりますけれども、このアメリカの政策の背景には、これまでの核戦略、すなわち米ソを頂点とした核独占優位の体制を保持するために、要するにアメリカ、ソ連以外の諸国にどんどん核が拡散する、広がっていくということを防止しようとする。わが国の平和政策、平和主義という立場からすれば、これは考え方としては理解できるけれども、みずからの核武装というものを保持したままで他国にこういう政策をいわば押しつけるというような、核拡散防止ということを表向きに出しながらも非常にエゴ的な考え方が出ておるように思いますが、この問題について、表向きの核拡散防止というものよりも、もっと深く根差したアメリカの戦略的意図、背景があるというふうに考えておりますが、この点について、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/7
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008・矢田部厚彦
○矢田部説明員 ただいまの点につきましては、御指摘のとおり、アメリカは近年の原子力平和利用の進展に伴いまして核拡散の危険がふえておるという現状認識に基づきまして、またさらに、特に一九七四年春のインドの核実験というような事実を踏まえまして、核拡散の危険を防止するためにはプルトニウムの管理、さらには再処理を無期延期するというような政策を打ち出してきたわけでございます。しかしながら、ただいま御指摘の、これがアメリカによる核技術の独占を意図したものである、こういう点につきましては、御承知のとおりアメリカ自身が再処理及びプルトニウム再利用というものを国内の政策といたしましても無期延期しておるというようなことから申しまして、核技術の独占を図っておるものであるという批判は当たらないのではないかと思います。およそ技術というものはやはり国際的に非常に流れやすいものでございまして、そういうことについてはアメリカ自身がよく認識しておる、それをとめようと思ってもなかなかとめられるものでないということはアメリカ自身よくわかっている点ではないか、このように認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/8
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009・安島友義
○安島委員 歴代自民党政府が最も頼りにしているアメリカでさえ日本が近い将来核武装、核戦力を保有するであろうという不安を感じていると外電はしばしば伝えてきている。ましてや日本の近隣諸国においては、今日日本の工業大国としてのいわばそういう国力からして、技術力、いろいろなものを含めまして、そういう不安を感じているということは疑いのないところだと思うのです。日本がしばしば核は将来にわたって保有しない、いわゆる核武装はしないということを言明しても、そういう海外の不安、いつかは持つであろうという考え方というものは根強く残っている。当のアメリカでさえもそういう考えに立っている。この原因はどこにあるとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/9
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010・矢田部厚彦
○矢田部説明員 核兵器の開発のためには高い技術水準と強固な産業基盤といったようなものが必要であることは申すまでもないかと存じます。したがいまして、わが国のような高度な技術とそれから強い産業基盤を持った国が核兵器を開発するという能力を持っておるということは、外国の目から見ました場合、これは容易に想像し得る点であろうかと存じます。したがいまして、私どもといたしましては、機会あるごとに、わが国が堅持しておりますところの非核三原則、平和憲法、そういったことにつきましてできる限りこれを声を大きく国際社会に向かって叫んでおるわけでございまして、このような日本の実力にもかかわらず核兵器を開発するような意図はないということについての世界的な認識を深める努力をいたしております。しかしながら、それにもかかわらずただいま御指摘のような推測が往々にして行われるということはこれもまた事実でございますので、そのようなことが今後少しでも少なくなりますように私どもといたしましては一層の努力をいたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/10
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011・安島友義
○安島委員 幾ら日本が口で、日本は平和主義に徹するのだ、絶対に核戦力は保有しないと強調しても、現実にその脅威というものが存在する限りはなかなか不安のようなものは解けないだろうと思うのです。たとえば再処理を進めればプルトニウムの量はどんどんふえていくということだけは確実であるわけです。現在運転中のものだけでも再処理により発生するプルトニウムの量は長崎県に投下された原爆百個分に相当する。政府が計画しているようないわゆる原子力発電計画がいまの計画どおりに達成されると仮定しますと、昭和六十年にはさらにこの約五倍くらいですから、それを軍事転用すれば五百個の原爆、六十五年にはその八倍のプルトニウムが発生するということになるわけです。したがいまして、アメリカを初めとする諸外国、特に日本の周辺の国々の、日本の現在の国力や工業技術力からして、近い将来日本が、そういうことを言明しているけれども、結局核武装するのではないかという疑い、これはいつまでたっても消え去らない。これをなくすためには、いまもお話がございましたが、具体的に経済、外交政策の中でその日本の立場というものをもっと鮮明にする必要があるのではないか。しかし、今日までのいわゆる高度成長に支えられたわが国の経済政策というものが、真に民生安定あるいは平和主義に徹して海外諸国との友好連帯を深めるのだ、したがって絶対に核保有をすることはないのだということを証明するような道を必ずしも歩んできているとは思いませんが、特に外務省としての外交方針、外交政策という中で、海外諸国のそういう不安というものから考えて、これまでの日本の進めてきた政策というものは理解されているというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/11
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012・矢田部厚彦
○矢田部説明員 ただいまの点につきましては、新聞報道その他におきましていまだに日本はいずれ核武装するであろうというような推測が後を絶たないということは残念ながら事実であるかと思います。そのために私どもといたしましても今後とも政府として努力する覚悟でございますが、しかし、このことは実は日本の国というものに対する全体的なイメージの問題ということに非常につながりがあろうかと存じます。したがいまして、これは日本国民全体といたしましてやはり十分考えていかなければならないことではないかと存じます。政府といたしましては、これまで、たとえば国際原子力機関の査察、保障措置と申しますか、これを自発的に受諾いたしました最初の国でございます。その後、わが国の原子力平和利用計画が全く平和に徹したものであるということについて国際的に疑いの余地を残すことがないよう、国際原子力機関その他と密接に協力しておるわけでございます。さらには核兵器不拡散条約を批准いたしまして、そのことによりまして日本としては核兵器国とはならないという決意は国際的に十分法律的にも宣明してある、このように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/12
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013・安島友義
○安島委員 福田総理は国会答弁でしばしばわが国は核を持とうとすればいまでも持てる能力があると言明しているわけです。平和主義に徹するわが国の基本姿勢というものを強調しているつもりでしょうが、いま私が申し上げましたような冷厳な国際環境下にあって、その真意が理解されるよりもますます他国から誤解を受けているのではないか、このように私は思うわけです。一国の総理の言明についてどうこうと言うのは問題があろうかと思いますけれども、また所管大臣の立場としてもむずかしい問題だと思いますが、私がいま不安に感じているようなことについて長官としてはどういう御見解でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/13
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014・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 いろいろお話を承ったところでございますが、いま御質問やら御答弁の中にございましたように、諸外国が、日本がこのように原子力の平和利用に徹しているという事実についてはまだ十分な認識が欠けている点がある、このように私も思っているわけでございます。
と申しますことは、現実に日本を訪れた人の話をちょっと聞いたことがありますが、現実に来てみて、日本が原子力といえばほとんどエネルギー問題に集中してやっている、この現実の姿は、自分たちが想像していたよりははるかに違っている状態であって、いまお話にありましたように、日本はやはり核兵器といった問題に相当の関心を持って原子力を開発しているのではないかと思っていたその予想と全然違った、こういうことを漏らされたことを聞いたことがあるわけでありまして、要するに、日本がこの点で相当の誤解を受けているということはあり得ると考えるわけでございます。したがって、いま外務省からの答弁にもありましたように、極力そういう誤解を受けることを避けるようないろいろの措置を進めてまいらねばならぬ、このように考えているわけであります。
その方法としましては、やはり何よりも日本の現状を具体的にいわばPRいたしまして、そしてこの現実に即して認識をひとつ十分固めていただくという方向に向かって具体的な努力をしてまいらねばならぬ、このように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/14
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015・安島友義
○安島委員 いま国連では軍縮の特別総会が開催されているわけです。当然わが国の立場としては、国会決議を受けて、いま申し上げましたような立場から、わが国の考え方というものを訴える、こう思うのです。特に私は、アメリカ、ソ連を初めとする核保有国に対しては、日本の立場を鮮明にし、いずれかの国に偏るようなことではなくて、すべての核兵器保有国に対して、その絶滅——まあ段階的には核軍縮から始まるわけですけれども、それを強調すべきであり、機会あるごとにこういうわが国の立場を鮮明にすべきではないかと思いますが、今度の総会にはどういう態度で臨むのですか、簡潔にちょっとお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/15
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016・矢田部厚彦
○矢田部説明員 昨日からニューヨークで開始されました第一回国連軍縮特別総会、これは、軍縮に対する世界的な盛り上がりをつくるための重要な機会である、このように考えまして、わが国といたしましては、わが国独自の立場からこの総会に取り組む方針でございます。特に、国会の御決議を受けまして、その御趣旨を拳々服膺しつつ、核軍縮問題に対処する方針でございます。
御承知のように、軍縮問題の中ではやはりこの核軍縮という問題が最も緊急かつ重大な問題であるということは、これは申すまでもないところでございまして、わが国の基本的な立場といたしましては、世界で唯一の直接原爆の被害をこうむったという経験から、核兵器を完全にこの地上から消し去るための核軍縮への努力ということを大いに訴えたいと存じます。
特に、その第一歩といたしまして、核実験の全面的停止、これの実現のためにわが国といたしましては最大の努力をいたしたい。それから、米ソ間で行われております戦略核兵器の制限交渉、これを一日も早く妥結させること、これにつきましても米ソ両国に対して強く訴えたい。このようなことを踏まえまして、一歩一歩全面核軍縮の実現ということに向かっての措置を積み重ねていきたい、こういうことを主張するつもりでございます。
このようなわが国の主張の背景といたしましては、先ほど来申しましたとおり、核兵器というものは、これが一たん使われればいかに恐ろしいものであるかということについての認識をわが国の立場からもう一度世界に向かって訴える、こういう姿勢で臨むことにいたしております。
それから、核軍縮以外の問題につきましては、たとえば核兵器と同様に非常に恐ろしい効力を持っております化学兵器の禁止の問題、これは日本といたしまして従来イニシアチブをとってきた点でございますので、その兵器の禁止条約の実現についてもこの機会にさらに訴えてまいりたいと存じます。
それから、軍備の国際間の移転と申しますか、武器の輸出と申しますか、そういった面でも、ただいまは非常に無統制な状況で行われておるという状態を一刻も早く停止させるために、早急に国連を中心とする調査を始めようということを提唱いたしております。
それから、このような措置が進むに伴いまして軍事費が節約されるということになりますれば、このように節約された資源を開発途上国の開発のために使用するという問題につきましても積極的に協力していきたい、概略以上のような方針で臨むことといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/16
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017・安島友義
○安島委員 昨年九月の第三次日米交渉で、前の宇野科学技術庁長官とスミス米代表との間で再処理問題について合意に達したわけですが、これは外交案件ですから、当然外務省がいろいろとそういう場をつくり、いろいろ打ち合わせをしながら、日本の代表団の中でもどこがどうだというわけでもないと思いますけれども、後々質問のかかわりがございますので、この問題の主体的な責任と権限は科学技術庁ですか、外務省ですか、通産省ですか、その辺をまず明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/17
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018・山野正登
○山野政府委員 先般の原子力再処理に伴います日米交渉につきましては、これは外務省、通産省ともども、私ども三省庁協力して当たったわけでございますが、これは原子力平和利用のための日米協力協定に基づく協議でございますので、そういう外交案件として考えた場合には、当然正面に立つのは外務省でございますが、事柄の内容からいたしまして、外務省、通産省、科学技術庁、三省庁で協力体の組織をつくりまして事に当たったというのがその真相でございまして、内容的には科学技術庁が責任を持っておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/18
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019・安島友義
○安島委員 これはその合意に達した内容から判断しまして、暫定的な取り決めあるいは合意文書という性格のものと考えますが、いかがですか。
〔委員長退席、大石委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/19
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020・山野正登
○山野政府委員 日米協定に言うこの共同決定と申しますのは、特にどの期間の再処理について決定するといったふうな時期についての特定はないわけでございますので、そのときの両当事国の話し合いによりまして今回のように二年間の運転に限っての合意もあり得ることでございますし、あるいはそれよりさらに長期の期間についての合意というのももちろんあり得るわけでございます。これを長期ないしは半永久的な合意といったふうなものに比較いたしますれば、今回の合意というのは二年間の運転に限っておるわけでございますから、そういう意味で、先生がおっしゃいます暫定という意味がそういうふうな期間を切るという意味でございますれば、まさに暫定というふうなことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/20
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021・安島友義
○安島委員 そうすると、この問題に関しては二年後に再び話し合いをするということになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/21
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022・山野正登
○山野政府委員 ただいま合意を見ておりますのは二年間、九十九トンの再処理ということでございますので、これに引き続きまして行う再処理につきましては、当然別途の共同決定が必要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/22
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023・安島友義
○安島委員 この再処理に関しては、研究炉を対象とするものであって商業用の再処理まで含まれていないと解釈すべきだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/23
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024・山野正登
○山野政府委員 動燃事業団の東海の再処理工場自体はいわゆる商業規模の再処理工場ではございませんで、いわば実証プラントとも言うべきものでございますけれども、ここで再処理を行います使用済み燃料と申しますのは、これは研究炉から出てまいりますもののみならず、主として商業用の原子力発電所から出てまいります使用済み燃料を対象として再処理を行うということでございます。したがいまして、再処理の作業そのものは実証のための作業という性格がきわめて強いのでございますが、対象は商業発電所の使用済み燃料である、こういうふうな仕分けになろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/24
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025・安島友義
○安島委員 ちょっといまの答弁にはひっかかりますが、アメリカはこの際の交渉で、カーター声明、議会に送った教書など、当然日本側代表団にもアメリカの立場を強調したと思うのです。すなわち、ウラン・プルトニウムサイクルを中止するということを内外にはっきり宣明している。また、その代替としてウラン・トリウムサイクルの採用を図り、その実現に最大の努力をする、日本もこの方針に協力してくれ、こういうことをこの交渉では主張しているはずだと思うのです。
それで、アメリカ自体の商業用の再処理そのものも、いわば無期延期というか凍結したままの状態になっておるような状況の中で、日本の商業用の再処理をこの合意文書では暫定的であろうとも認めたという解釈にはちょっと納得しがたいのですが、それは間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/25
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026・山野正登
○山野政府委員 まずアメリカの立場でございますが、お説のように商業規模の再処理というものと高速増殖炉の開発、この二つを期限を定めず延期するという政策をカーター大統領がとっておるというのはそのとおりでございまして、そういう背景で先般の日米交渉が行われたことは事実ではございますが、かと言って、わが国にこのウラン・プルトニウムサイクルでございます再処理をやってはいけないということを申したわけではございませんで、わが国が試験的な再処理を行うに当たりまして核の不拡散という観点から問題はないかというのが、主として米国のスタンドポイントであったと思うのでございます。
いまの商業再処理について云々という点でございますが、これは私が先ほど申し上げましたように、現在東海で行っておりますものはいわゆる商業規模の再処理ではない、技術を実証するための再処理工場であるという点は先ほど申し上げたとおりでございまして、米国もそのような理解に基づいて先般の日米共同決定をいたしておるわけでございます。ただ、先ほど私が申しましたのは、この実証のために行う再処理の対象の使用済み燃料といたしましては、普通の原子力発電所から出てまいります使用済み燃料を用いてそのような実証再処理を行うということを申し上げたわけでございまして、再処理事業といたしましてはあくまでも実証プラントということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/26
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027・安島友義
○安島委員 大事なことですからもう一度確認しますが、アメリカ側の理解は、いまの動燃事業団の行っている再処理というのは当然将来のわが国の自主開発、いわば商業ベースに乗せようとする別の段階の研究開発——そういう意味では商業と結びついているということはわかるが、アメリカ側の理解は、現在段階では研究開発の段階である、そういう認識に立ってこの二年間という期間を暫定的に定めて認めたと理解すべきではないかと思うのですが、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/27
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028・山野正登
○山野政府委員 今回の日米共同決定はあくまでも東海工場を対象にしたものでございますから、東海工場が実証プラントであるということはこれまた紛れもない事実でございますので、実証プラントにおける再処理というものを対象として米側は共同決定に応じたということ、これは間違いないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/28
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029・安島友義
○安島委員 先ほどちょっと触れました、ウラン・プルトニウムサイクルを中止してその代替としてウラン・トリウムサイクルの採用を図るということですが、この交渉後そんなに期間が経過しておりませんから、性急にその後どうなっているかということはまだ時間的に問題があると思いますが、言い出したアメリカの方ではこの研究開発は一体いまどういう段階になっているのですか。それから、日本の場合もそういう研究開発には協力を要請されたと思いますが、日本の場合のそういり研究開発というものの現状はどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/29
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030・山野正登
○山野政府委員 トリウムサイクルについての研究開発につきましては、さきの日米再処理交渉の際の話題にはなっておりませんで、これは別途に昨年五月の先進国首脳会議におきまして初めて提唱されました国際核燃料サイクル評価の中で、このトリウムサイクルを含めまして現在のウラン・プルトニウムサイクルにかわる新しい核燃料サイクルについての検討ということで、その中の検討課題に入っておるわけでございます。これには当然に米国も日本も参加いたしておりますので、そういう意味で今後のウラン・プルトニウムに代替する新しいトリウムサイクルについての検討というものを、いろいろ両国共同して行っておるのはそういう意味においては事実でございます。
それで、現在このトリウムサイクルにつきましては、まだまだ、現在のウラン・プルトニウムサイクルに比べますと、きわめて初期的な段階にあるわけでございまして、恐らくこれが実用技術として確立されるまでにはまだ二十年、三十年といったオーダーの年月が必要かと考えますけれども、アメリカにおきましても、将来の原子炉としましていわゆる高速増殖炉に加えまして、このトリウムを使いました高温ガス炉とかあるいは溶融塩炉といったものについての研究も進めておりまして、またこの高温ガス炉、溶融塩炉の研究の一環としまして、そのためのトリウム燃料の確保とかあるいは再処理といったものについての研究が進められておるという状況でございます。
わが国におきましても、このトリウムサイクルにつきましては、将来できるだけ燃料の多様化を図る意味からも大事な問題でございますので、原子力研究所におきまして高温ガス炉の研究の一環といたしましてトリウム燃料についての研究を進めております。これについては恐らく今後必要に応じて、米国を初め諸外国との研究といったことも必要になろうかと思いますが、ただいま現在のところ直ちにこのトリウムサイクルについての具体的な協力案件といったものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/30
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031・安島友義
○安島委員 私は、アメリカ自身もこの実用化がそんなに近い将来実現するということは思っていない、そういうことは百も承知で、とにかくプルトニウムを利用するような炉、あるいはプルトニウムそのものが再処理によって抽出されないような技術の開発というきわめてむずかしい問題のようなものをアメリカが提案しているという背景が、先ほどから言いましたように、そういうことをしても、いま日本側が理解しているような、多面的に核燃料の広範な利用を図るのだというような認識では、アメリカ側の真意はそういうものではないのではないかという意味で聞いたわけなんです。それだけアメリカ側のこの問題に対する異常な決意のようなものがうかがわれると私は認識しているのです。が、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/31
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032・山野正登
○山野政府委員 原子力の平和利用を進めるに当たりまして、いま論点とされております核不拡散の強化というのはもちろんわが国にとりましても非常に大事な問題でございまして、従来の再処理技術におきましても、技術的にはいまの単体抽出法にかえまして、混合抽出法の研究を進めるといったこともわが国は鋭意進めておるわけでございますし、またそういう観点から、先ほど申し上げましたトリウムサイクルというものをながめました場合に、たとえば溶融塩炉は、現在使われております軽水型発電炉に比べまして、核不拡散という観点からははるかに有利であろうということもこれまた事実であろうかと思いますので、もちろんそういう意味での意義も大きいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/32
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033・安島友義
○安島委員 もう終わったかと思いますが、五月十五日から外務省で開かれた国際核燃料サイクル、INFCEと呼ばれますが、この核燃料サイクル評価第四作業部会で、新聞の報道によりますと、いま提案されております日本の再処理に関する建設計画がこの会議の場で提出されたというように聞いているわけですけれども、これに対するアメリカ、それから日本といわば共通の利害関係にあるイギリス、フランス等の諸国の反応はどうだったのか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/33
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034・山野正登
○山野政府委員 今回行われましたINFCEの東京会議におきましては、主として将来検討の対象となります商業規模の再処理工場について、いかなるモデルでこれを検討しようかというモデルの設定というのが非常に大きな課題だったわけでございまして、将来の再処理工場の経済性とか核不拡散性といったふうなものの検討のためのモデル設定という命題があったわけでございますが、このために西独、日本等がモデル案を、たたき台としまして資料を提出したわけでございます。わが国もそういう意味で一つの資料を提出いたしましたけれども、今回は会議日数も非常に限られておりまして、これは当日の席上で配付されたにとどまりまして、内容の検討は次期、恐らく九月と思いますが、次期の会合まで持ち越されたということでございまして、わが方の提出しました資料について特段のコメントはなかったというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/34
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035・安島友義
○安島委員 前後しますけれども、五月の十二日から十六日にかけて、電力業界が新設した海外再処理契約委員会が、使用済み核燃料の再処理をイギリスやフランスに委託するについて、原子力協定によってアメリカの事前の同意がなければならない、アメリカの意思が非常に固いということで、そのためにスミス米国代表と交渉をした、こう報じているのですが、これについてはどういう結果になったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/35
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036・山野正登
○山野政府委員 今回電力業界の方々が訪米いたしましたのは、御指摘のように英仏への再処理委託につきまして、その内容を米側の関係者によく話をしまして理解を得たいという趣旨で訪米されたものと聞いております。
これは、現在の日米協定によりまして、日本で海外に再処理を委託した場合には、それが米国オリジンの濃縮ウランである場合には移転についての米国の事前同意が要るということになっておりますので、将来この委託契約を実行しますために、英仏等に使用済み燃料を出します場合には米国の同意が要るわけでございますので、そのための事前の説明として訪米して、いろいろ関係筋に説明したということでございます。
従来、この輸送許可についての米国の立場と申しますのは、包括的にイエス、ノーという返事を出すといったふうなことはいたしておりませんで、一回ごとの輸送に際してケース・バイ・ケースにその必要性を判断して同意を与えるという方式をとっておりますので、今回説明に参りましたものの輸送の始まる時期はまだかなり先でございまして、いまの時点で米側がこれについてイエス、ノーと言い得る立場にはないと考えておりますので、これはいずれ将来、実際に輸送をいたします時点で米側の同意を求めなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/36
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037・安島友義
○安島委員 船積みのたびごとに事前の同意を得るということは私も承知しているわけですが、今回電力会社と東海原研の分を合わせて五十トンの再処理をイギリスに委託するということで事前の同意を得ようとしたところが、アメリカはこの研究、いわゆる東海の原研用の十トン分は認めるけれども、四十トンの方は認めがたいという意向だということがかなり詳しく、これは新聞報道に数度にわたって報道されているわけですけれども、いまのように楽観的な見通しで心配はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/37
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038・山野正登
○山野政府委員 ただいま米側が認めたとおっしゃいますのは、原研ではなく原子力発電、原電であろうかと存じますが、私どもはこの米側のケース・バイ・ケースの事前同意というものを必ずしもすべて楽観的に見ておるわけではございませんで、これは昨年の日米交渉におきましてもそうでございましたが、十分に日本のエネルギー事情、またわが国の原子力平和利用の基本姿勢といったふうなものを先方に説明し、先方の理解を得ながら現在まで参っておるわけでございますので、今後におきましてもそのような米側の理解を十分に得るという姿勢で臨む限りにおきましては、米側もわが国のエネルギー事情というものを十分に理解して、必要な事前同意はくれるものというふうに考えておるわけでございまして、手をこまねいて自動的に出るというふうにはもちろん考えていないものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/38
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039・安島友義
○安島委員 この米側の事前同意を得るというような話し合いというか、折衝というか、交渉なのか、その性格は別としても、それはどこが主体でこれまで行われてきたのですか。その船積みごとの同意を得るという話し合いは、どこが主体で行われてきたのですか。
〔大石委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/39
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040・山野正登
○山野政府委員 窓口としては外務省でございますが、実態としましては私どもと通産省とが共同でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/40
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041・安島友義
○安島委員 昨年のカーター声明以来、状況はちょっと変わってきたのではないか。だから、これまでのケースが、包括的に再処理を認める認めないというふうなことではなくて、その都度事前に同意を得るようなやり方をしてきたということはこれまでの経過としては理解できますが、今後はやはりその都度ということに変わりがないとしても、今回のいわゆる再処理の海外委託に関するアメリカ側の出方というものが、これからの海外への委託に大きく影響を与えるという認識に立つべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/41
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042・山野正登
○山野政府委員 わが国の海外への再処理委託ということにつきましては、昨年も東海の再処理工場の共同決定をするに際しましての日米協議におきまして、単に東海工場における再処理事業のみならず、長期的にわが国はこの再処理というものをどういう路線で考えておるかということを十分に米側に説明いたしましたが、その中で、今般成約を見ましたイギリスあるいはフランスへの委託といったふうな問題も当然に説明したわけでございまして、機会あるごとに、米側にわれわれはこういうふうに説明をいたしておるわけでございまして、日米間で事前の同意を得るということでございますから、アメリカの本件に対する姿勢というのが非常に大きくこれに影響を与えるということはお説のとおりでございますが、かといって、それによってわが国の原子力平和利用が不当に損なわれないようにという配慮は私どもも十分にいたしますし、米側も理解を示してくれるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/42
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043・安島友義
○安島委員 わが国がこれからいわゆる再処理の自主開発を進めるには、アメリカのいま言いましたような同意を得るか、あるいは濃縮ウランの供給をアメリカ以外の国から購入するという以外に道はないと思うのですが、その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/43
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044・山野正登
○山野政府委員 アメリカ自体、少なくとも現在の時点におきまして従来方式の再処理というものを全面的に認めないという政策をとっているわけではございませんので、基本的には、先ほど来申し上げているようなことでアメリカとは折衝してまいりたいと思いますが、それとはまた別途に、これは米国から濃縮ウランを輸入しておるということに基づくものでございますので、わが国におきましても自主的な濃縮技術を確立しまして、国内に濃縮ウランの供給源を求めるようにしようという努力も鋭意進めておりますし、また、昭和五十五年から十年間にわたりましては、ヨーロッパ・ユーロディフからも濃縮ウランの購入というふうなことも決めておるわけでございますので、そのような自主的な供給源を含めまして、この濃縮ウランの供給の多様化を進めるといったふうなこともあわせて行っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/44
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045・安島友義
○安島委員 いま世界じゅうで動いている原子力発電事業で使用している濃縮ウランの量は一体どの程度の量ですか。さらに、この主な供給国はどことどこですか。
日本の場合には、この濃縮ウランはアメリカ以外にどこからどの程度の量、割合ですね、購入しているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/45
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046・山野正登
○山野政府委員 世界で現在動いておる原子力発電所の所要濃縮ウランの量というのは、ただいま手元に資料がございませんので、至急に調べまして御報告申し上げますが、濃縮ウランの供給源としましては、最も大きいのはアメリカ、ソ連という国だろうと存じます。これに加えまして、先ほど申し上げましたように、わが国はヨーロッパ・ユーロディフから十年間にわたりまして、年間千トンSWUのものを購入しようと思っておるわけでございまして、この工場が近々のうちに動き出すといったふうな状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/46
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047・安島友義
○安島委員 アメリカ以外の国から供給を受けた場合には拘束を受けるのか受けないのか、どうなんですか。再処理に関するアメリカの同意を得るという拘束を受けるのか受けないのかと聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/47
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048・山野正登
○山野政府委員 これは交渉事でございますので、ソ連等から輸入を考えるといったふうな場合に、先方が、まあ仮定の問題でございますが、どのような条件を付してくるかというのは何とも申し上げかねるわけでございますが、そのあたりもあわせ調べまして後ほど御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/48
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049・安島友義
○安島委員 私が聞いているのは、アメリカから購入する濃縮ウランの場合は、これは当然アメリカ側の事前同意を得なければならないということははっきりしているのだが、これはそれだけの協定でなくて、いろいろな協定の関連から、仮にソ連から購入をしたとしても、再処理に関しては拘束を受けるのか受けないのかと聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/49
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050・山野正登
○山野政府委員 現在縛られておりますのは、日米協定によりまして米国原産の濃縮ウランについてアメリカの事前同意が要るということでございますので、ソ連から購入すると仮定しました場合には、もちろんこの協定の枠外でございますし、それから、現在、日ソ間にそのような事前同意といったふうなことを内容とした協定はないわけでございますので、いまのままであればそのようなことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/50
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051・安島友義
○安島委員 ソ連から購入しようとする場合に、これは当然わが国の自主判断でたてまえ上はできるわけですけれども、そうは言っても、これまでの長い日米関係からして、それは全く日本の自主的、独自的な判断でソ連等から濃縮ウランを購入するということができるのかどうか。やはりある程度はアメリカの了解を得るということになるのか、その点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/51
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052・矢田部厚彦
○矢田部説明員 ただいまの問題につきましては、現行の日米協定上は何らそのような義務を負っておりません。先ほど御質問のございました、第三国から日本が濃縮サービスを受けた場合、その使用済み燃料を再処理することにつきまして米国の同意が要るかという点につきましても、現行協定上はそのような必要はございません。
しかしながら、一点つけ加えさせていただきますと、最近の米国の新核不拡散法でございますが、これによりますと、将来は、アメリカから購入された原子炉を動かした結果出てきた使用済み燃料は、その原料がたとえアメリカ以外の国からの燃料であっても、それについて米国の規制権を確保しなければならないという法律が最近通っておりますので、将来の問題といたしましては別問題であろうか、このように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/52
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053・安島友義
○安島委員 再度前に戻りますが、新聞で報道するところによりますと、昨日は、さらに六十五年度分までイギリス、フランスとの再処理に関する契約ができたということを報道しているわけですが、私が質問しているのは、その前の報道で、これは五十八年度分までの二千七百トンの再処理委託契約をすでに結んでいるわけですが、その契約に基づいて、その都度使用済み核燃料を船積みして海外に輸送しているわけですが、報道によりますと、これはいつできたのかわかりませんが、昨年度分なのかどうかわかりませんが、約五十トンの英国向け輸送についてアメリカは、関西電力と東京電力の使用済み核燃料の海外再処理委託については認めないという方針で、今後の原発計画に多大の影響がありそうだという報道をしているわけです。
そこで、再度確認しますが、この報道の根拠といいますか、どの程度科技庁としてはタッチしているのか。さらにこの詰めの交渉はいつごろ、どのような形で行われるのかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/53
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054・山野正登
○山野政府委員 海外再処理につきまして、過去の契約分と申しますのは、約千五百トンばかりございまして、これに加えまして、昨年の九月にさらにフランスに対しまして千六百トン、それから昨日、さらにイギリスに対しまして千六百トン、合計三千二百トンの追加契約をしたということでございます。
過去の再処理既契約分につきましての輸送の承認についての現状でございますが、現在のところ、日本原子力発電株式会社の敦賀炉の八・一トン、それから東京電力の福島一号の二十四・三トン、それから関西電力の高浜一号の十三・四トンといったふうなものが、今年の夏以降輸送が必要となってまいるわけでございますが、これにつきまして、現在のところ、原電分だけについてはすでに米側の了解が取りつけられておりますので、残る二つにつきまして、今後米側と折衝していかなければならない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/54
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055・安島友義
○安島委員 百万キロワットの原子力発電所から年間三十トンの使用済み核燃料が発生する、これは皆様の方から出した文章によりますと、そういうことになっている。そうしますと、現在、年間約三百トンちょっと切れる程度ですが、三百トンぐらい。昭和六十年には九百トンから千トンというものが発生することになる。日本の原子力への依存度が年々これからどんどん高まる。そうなると、いまはイギリスやフランスに委託しているけれども、やはり向こうも国内の需要も当然ふえていくだろうし、自主的な開発を急がなければならないというのが今度の法案の背景の一つの根拠になっているわけですが、たとえ建設に着手しても、かなりの期間がかかる。その問はやはりどうしても海外に委託せざるを得ないわけです。
〔委員長退席、佐々木(義)委員長代理着席〕
これに対して、アメリカがもし同意をしないという場合はどういうことになるのですか。それとも、同意はしてくれるはずだという前提に立っているのですか。その辺、今後の計画にも非常にかかわりがある問題なので、どういうふうに判断されているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/55
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056・山野正登
○山野政府委員 まず、全体の需給関係をマクロで申し上げますと、これまでに海外委託契約をいたしましたものと、それから動燃事業団の東海再処理工場の再処理量、これだけを合算しますと、大体一九九〇年ぐらいまでのわが国の使用済み燃料の再処理需要を賄い得るだけのものはすでに確保済みでございますので、お説のとおり、これから国内における第二再処理工場の建設に鋭意着手しまして、一九九〇年ごろから運転開始に入りたいというのが私どもの考え方でございます。したがいまして、それまでの間は、現在いたしております海外委託契約というものが円滑に履行される必要があるわけでございまして、その間、お説のように、海外に移転するに際してましは、米側の同意が要るわけでございます。仮定の問題といたしまして、もし米側がこの移転に同意しないといったふうな場合には、原子力発電所の使用済み燃料のポンドがいっぱいになりまして、原子力発電所の運転を停止せざるを得ないといったふうなことも理論的にはあり得るわけでございますが、米側は従来、ケース・バイ・ケースで必要性を判断して事前同意を与えますという、このケース・バイ・ケース、判断の基準と申しますのは、まさにそれによって原子力発電所の運転に支障があるかないかというのも一つの大きな判断の基準であろうかと思いますので、従来私どもが続けております説明、また今後いたします説明によりまして、その辺は米側は十分に理解をしてくれまして、わが国の原子力発電所が、そういう米側の移転の事前同意によりまして、大きな支障を受けるといったふうなことにはならないだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/56
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057・安島友義
○安島委員 プルトニウムを燃料とする高速増殖炉の実用化はいつごろを目安としておるのか、これは若干計画どおりにいかないことはあり得ますから、そのことについて私はどうこう言うわけじゃないので、実用化をいつごろというふうに見られておるのか。それから、言葉は適切でありませんが、それまでのつなぎ的な、つまりプルトニウムの有効な利用を図る新型転換炉と言われているもの、これもそんなに短い期間で実用化ができると思えないのですが、これらの実際に稼働するころをいつごろというように見ておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/57
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058・山野正登
○山野政府委員 まず高速増殖炉でございますが、昨年の春に実験炉「常陽」が臨界に達したわけでございますが、私どもはこの実験炉の建設の実績並びにその後、今後における運転の経験というふうなものをベースにしまして、できれば五十年代の末、五十九年か六十年ぐらいまでに高速増殖炉の原型炉というものを建設してまいりたいと考えております。こういったふうな実験炉、原型炉に続きまして、さらに実証炉、実用炉と続くわけでございますが、この実用化のタイミングとしましては大体一九九〇年代の半ばごろを目標にしたい、遅くとも今世紀いっぱいには実用化に持ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
それから、新型転換炉の位置づけでございますが、将来の発電炉の炉型の体系としましては、現在のところはただいまの軽水炉に引き続きまして高速増殖炉にすぐにつなげていくというのを基本路線に考えておるわけでございますが、先ほど申し上げました高速増殖炉の実用化の時期の遅延といったふうな場合、あるいはこれまで進めてまいりました新型転換炉の原型炉の運転の実績といったふうなもの、こういったふうなものをあわせ考えまして、もし中間炉として新型転換炉を実用化する必要があるということが判断された場合には、大体この判断の時期と申しますのは五十年代の半ばごろには判断しなければならないと考えておりますが、必要であると判断された場合には、大体一九八五年ぐらいまでに実証炉の建設を進めまして、実用化を図っていきたいというふうに考えております。
〔佐々木(義)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/58
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059・安島友義
○安島委員 偶然の一致なんでしょうけれども、そうするとちょうど日本の再処理の自主開発にはいま着工しても十年ぐらいかかる、それから一方、新型転換炉とかあるいは高速増殖炉の実用化を目指して、これからいろいろ研究、実験というものを積み重ねていくまでの期間と一致しているしいうことは、結局いまの科技庁あるいは通産省の計画というものは総合的に十年後を目指しているということですか。いろいろな日本の、いわゆる原子炉にしても、いわゆる再処理の自主開発にしても、大体十年後には日本が余り海外に依存しないでやれる体制をつぐろうという計画ですか。それは偶然の一致ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/59
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060・山野正登
○山野政府委員 自主技術の開発という観点から申し上げますと、先生御承知のとおり、わが国の原子力発電というものは米国からの導入原子炉、導入軽水炉によって始まったわけでございますが、現在の時点におきましては、この導入型の原子炉につきましても、加圧水型、沸騰水型、両方とも九〇%以上の国産化率をすでに達成いたしておるわけでございますが、さらにこれに加えまして安全性の向上とかあるいは信頼性の向上のための研究というものを官民挙げて行っておるわけでございますし、また関係の省におかれましては、標準型の軽水炉の開発といったふうなものも鋭意指導しておられるわけでございまして、そういう意味でこの軽水炉についての自主性を基盤とした新しい炉といったふうなものは、これから早急に実用化されていくと考えております。
それから、そのような軽水炉の経験並びに経緯といったふうなものを参考にしながら進めておりますのが新型転換炉とかあるいは高速増殖炉の開発でございまして、新型転換炉におきましては、先ほど私一九八五年ぐらいには実証炉というふうな表現をいたしましたので、十年足らずのうちに実証炉といったふうな運びになるわけでございますが、高速増殖炉につきましては十年というのはいささか無理でございまして、一九九〇年代の半ば、一九九五年から二〇〇〇年ぐらいまでの間というあたりの実用化というものを目標にいたしておりますし、また、燃料サイクルのうちの再処理技術につきましては一九九〇年、したがって高速増殖炉よりも五年から十年ばかり早い時期をいまのところ目標に選んでいるわけでございます。こういうふうな巨大技術の実用化には相当な長年月を要するという意味からしまして、わが国が原子力の開発利用を始めて鋭意この自主技術による実用化というものを目指しておるわけでございますが、そのゴールは大体一九九〇年あたり、あるいは二〇〇〇年あたりを目標としておるといったふうなことは、これは偶然の一致と申しますよりも、これまでの官民を挙げての努力の結果そういうふうなことになったということであろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/60
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061・安島友義
○安島委員 プルトニウムを軍事目的に転用する考えは毛頭ないし、日本はそんな余裕はないと強調しても、私がこの問題を聞いたのは、実際に再処理によって発生するプルトニウムをすぐ商業炉に利用するというような技術はまだ実用化の段階に至っていない、いわばそれに到達する期間は、再処理によって、毎年毎年プルトニウムの量はどんどんふえていくということになるわけですね。そのよしあしは別としても、再処理によって取り出したプルトニウムをすぐ炉に使う状態ならば、日本が核武装するなどということは、具体的にそんなことはないという証明になるわけだけれども、しばらくはプルトニウムは利用しないままに貯蔵されるような状態になる。一部使用されたとしても、大部分は、日本の原子力発電計画が軌道に乗れば乗るほど、再処理によってプルトニウムの量はどんどんふえていく。そのこと自体に対して、アメリカのいわゆる核戦略というか、エネルギー政策の背景というものの中に、表には出ていないけれども、日本を初めとして、これはフランスでも、あらゆる国に対して非常に大きな脅威と不安を感じている。だから、このプルトニウムというものが取り出せないようにするような技術の開発とか、それを何としても使わせないようにここ当分はやはり関係諸国に対してはアメリカの影響力を行使しようという考えではないかという点で先ほどからいろいろな諸問題を取り上げているわけです。この点についてどんなふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/61
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062・山野正登
○山野政府委員 まず、わが国におきますプルトニウムの需給バランスでございますが、これは私記憶で申し上げますので、もし数字が間違っておりますれば後ほど訂正いたしますが、大体一九八五年ぐらいまでを頭に置きますと、生成されますプルトニウムが大体十二トンばかり、それから研究開発に利用されますものが九トンばかりということでございまして、ほぼそれまでは需給はそれほど大きな差はないわけでございます。それ以降は、先ほども御説明いたしました高速増殖炉あるいは場合によりましては新型転換炉といったふうなものの実用期を迎えるわけでございますが、その間にありまして、さらに一九八五年ぐらいの実証試験を目指しております軽水炉へのプルトニウム利用といったふうな問題もあるわけでございまして、非常にウラン資源に乏しいわが国でございますので、できるだけ有効に、燃料を死蔵しないように十分にこれを活用するようにやってまいりたいというふうに考えております。
それからこの需給は、もちろんその計算のように差し引きゼロというふうにうまくいくわけじゃございませんので、当然に余剰も一時的にはあるでしょうし、またある意味では備蓄も必要かと思いますけれども、そういったふうなものにつきまして、先生御指摘のように、プルトニウムを単体で取り出さない、いわゆる従来のウラン・プルトニウムサイクルでまいりますと混合抽出法といったふうなものについての技術開発というものもわが国は鋭意進めておりますし、それからこのウラン・プルトニウムサイクルにかわる別のサイクル、先ほども話題となりましたトリウムサイクルといったふうなものにつきましても、国際核燃料サイクル評価の場でいろいろ検討されておるわけでございまして、今後ともそういうふうな技術開発面におきましても、御指摘のような核不拡散上もっともっと有利な方向に持っていかなければならないという認識は私ども持っておるわけでございまして、そういう努力を続けてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/62
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063・安島友義
○安島委員 この問題に対して最後に外務省にお伺いしたいと思うのですが、私はアメリカのあの考え方というのはそう楽観できるものではない。再処理に関しては、アメリカ自体が商業ベースというか民間のそういう事業というものを凍結しているというようなかなり厳しい政策を打ち出している。したがって、世界的な情勢が今後どういうふうに動いていくかによっても影響はあると思うのですが、日本の活路を見出すのは、日本と同じような立場にあるイギリスやフランスと同盟を結んでアメリカ側にこの問題に関する譲歩を迫らなければ、日本とアメリカとのいわゆる対等の交渉関係だけでは、たとえばこの五十トンの船積みの問題が仮に解決されたとしても、次々に今後問題が出てくるおそれがあるというふうに判断しておりますが、外務省としてはどういうふうな見通しを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/63
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064・矢田部厚彦
○矢田部説明員 再処理プルトニウム経済といったような問題につきましてのアメリカの政策態度が非常に厳しいものであるということにつきましては、私ども全くそのとおりだと存じております。したがいまして、私どもといたしましては、日本の特殊事情と申しますか、資源に乏しい、白前のエネルギー源に非常に乏しい国、しかも非常に大きな産業の規模を持っており、非常に大きな人口を抱えておる、こういう国の特殊事情をアメリカによく理解してもらうということがやはり決め手の一つであろうと存じます。そのような意味におきましては、御指摘がございましたように、ヨーロッパ諸国といったようなものは日本とほぼ共通した問題を抱えておりますわけで、そのような意味におきまして、これら各国とも十分協議しつつ、アメリカと今後話し合いを行っていきたい、このように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/64
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065・安島友義
○安島委員 これまでにわが党委員がこの委員会で指摘してきましたように、安全確保のための技術や管理運用上の問題、それから、廃棄物処理方法の未解決など非常に問題が多い現状からして、再処理の民間委託という問題は、私が申し上げましたようないまの国際環境でいろいろ障害になっているような問題とあわせていわば説得力がない現状じゃないか。必要性は十分承知しているけれども、どうもその辺何か腰だめ的な方針なり提案のような印象が強いわけであります。資源に乏しいわが国が、近い将来予測される、というよりももうすでに始まっているわけですが、エネルギー危機に対応した総合的な対策というものを強化しなければならないということは十分理解できるのですが、その前提となる基本的な考え方は、これから何年後には現在のエネルギーの需要がこれだけふえるからこうしなければならないというよりも、本当に日本が資源に乏しい国で将来のエネルギー問題に対してはよその国よりももっと真剣に考えねばならないというのならば、これから五年先にはこれだけふえるからというようなことよりも、現在のエネルギーそのものを、あらゆる困難に耐えながらいわばもっと省エネルギーということを前提としてこそ初めて、まだまだいろいろな諸問題があるかもしれないけれども、そういう現状からしてやむを得ないという理解が生まれるのではないかと私は思うのです。そういう点について、この省エネルギー政策という問題に対するこれまでの政府の態度というのは、火がついてからいろいろな施策をどんどん提案してきたということであって、日本の置かれている現状を十分認識した政策をとってきていないと思うのですが、この点に対して、通産省の方来ておられると思いますので、通産省から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/65
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066・大永勇作
○大永政府委員 省エネルギーにつきましては、全く先生御指摘のとおりで、現在におきます最も重要なエネルギー政策の一つであろうというふうに考えております。現在内閣に省エネルギー・省資源対策推進会議というのがございまして、そこでの議論をもとにいたしまして財政面あるいは税制面等におきましていろいろな手を打っているわけでございますが、特に今回この国会にエネルギーの使用の合理化に関する法律ということで省エネルギーに関しますいわば基本法とでも言うべきものを提出いたしたわけでございまして、今後これをベースにいたしまして省エネルギーについての財政、税制、金融上の助成策を大幅に強化いたしまして推進してまいりたいと思います。ただ省エネルギーと申しましても、昭和六十年度に大体一〇・八%の省エネルギーを達成しようという目標でございますが、やはり持続的な経済成長ということが雇用の前提にもなりますので、これを達成しようといたしますと、一〇・八%の省エネルギーをやりましてもなおかつ昭和六十年には現在の一・七倍のエネルギーが必要であるということでございます。しかるに先生御承知のように、石油の輸入につきましては、それほど大幅な増大は見込めないわけでございますから、代替エネルギーである原子力、LNG、石炭といったようなものを総合的に推進してまいらなければ所期の需要には到達しないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/66
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067・安島友義
○安島委員 時間が迫ってきましたので次の問題に進みますが、科技庁、通産省はこの説明書の中で使用済み核燃料の再利用の必要性を強調しているわけです。さらにもう一つの理由として、使用済み核燃料を長期間、大量に貯蔵することは、わが国の地理的条件からして困難だ、こう述べているわけであります。私はこの問題を非常に重視しているわけなんですが、使用済み核燃料はどこにどのような方法で貯蔵しているのか。それから、これは一時的貯蔵方法か、恒久的にも耐えられるような貯蔵をしているのかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/67
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068・山野正登
○山野政府委員 現在は原子力発電所に付設されております使用済み燃料の貯蔵ポンドに貯蔵されておるわけでございまして、これはあくまでも再処理を待つ問の一時的な貯蔵でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/68
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069・安島友義
○安島委員 そうすると、現在においては、先ほどから質問しております海外への再処理委託がスムーズに進行しないということになると、どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/69
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070・山野正登
○山野政府委員 これは仮定の議論ではございますが、再処理が一切できないということになりますと、使用済み燃料のポンドがいっぱいになるわけでございますので、原子炉の運転を停止せざるを得ないということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/70
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071・安島友義
○安島委員 それから廃棄物と言いましても、私たち専門外の者にはよくわからないいろいろな廃棄物が出てくるわけですけれども、国際的にはこれまでも海底に沈めるというような方法あるいは地下深く掘って、そこに将来ともにその安全を確保するような方法等、いろいろ研究開発が進んでいるわけですが、どこの国でも試験的にいろいろなことをやっているけれども、実際に海の底に沈めたということはいまだ聞いていないし、それから陸上においても完全な貯蔵方法というものがまだ決まっていない段階だというふうに伺っているわけですが、日本の場合はこれの安全な管理というか、要するに廃棄物の処分方法というものがいつごろを目安として——これはまだ再度利用するものですから廃棄物とは言えませんけれども、いわば一般に言われている、これからどんどん原子力発電の計画が軌道に乗るとすれば、そこから生ずる廃棄物というものはどんどんふえてくるわけですから、この方のいわゆる処理方法というものが早急に解決されないというと、非常に大きな問題を今後に残すことになると思うのですが、これの研究開発というのはどういう状態になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/71
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072・牧村信之
○牧村政府委員 原子力施設から出てまいります放射性廃棄物にはいろいろな種類があるわけでございますが、まず原子力発電所のような施設から出てまいります廃棄物について申し上げますと、まず気体状のものがございまして、これは放射能レベルがきわめて低い状態で、法令の定める基準値以下にして環境に放出しておる。それからもう一点、液体状のもので放射能レベルがきわめて低いものにつきましても、基準値以下にして海洋に放出しているのが現状でございます。それからそれ以外の中レベルであるとか固体状のものであるとかいうようなものにつきましては、環境に放出することなく処理をいたしまして、液体状のものにつきましては濃縮して固化をする、固体状のものにつきましては減容して容器に入れて、当面原子力発電所の敷地内に安全に保管するということでございます。この低レベルの放射性固体廃棄物につきましては、先生御指摘のように大洋に投棄する、それと同じに陸地内で処分する、この二つの方法が計画されておるわけでございます。
この計画につきましては、原子力委員会で種々御検討いただきまして、現在はその計画の実施に当たりましての細目を鋭意検討しておるわけでございますが、考え方といたしまして、試験的な海洋処分につきましては、昭和五十四年度ごろから約三年間にかけて試験的海洋処分を実施したいというふうに考えておりまして、現在、原子力委員会の専門部会におきましてその考え方に対する安全評価を進めているところでございます。そのほか、すでに関係機関におきまして、投下いたします固化体の容器の安全性、あるいは試験サイトに投棄いたしましたときの環境への影響等につきましての海洋調査、あるいは試験実施時におきます測定の方法というようなものを現在並行して研究を進めている段階でございます。
今後は、安全審査の終了を待ちまして漁業団体等との打ち合わせ等を終えまして、可能であれば五十四年ごろから審査をしたい。その際、この海洋処分というものは国際的にもいろいろなかかわりを持つものでございますので、われわれNEAと言っておりますが、OECDの下部機関でございますけれども、国際原子力機関、ここに海洋投棄に当たりましての世界的な監視機構がすでに設置されておりまして、欧米諸国におきましては、低レベルの固体廃棄物の海洋投棄に当たっての監視的な役割りをしておりますが、われわれとしても、そういうようなNEAの経験等も踏まえ、またそれの監視機構の中に入りまして海洋投棄を進めていきたいというふうに考えております。それから、低レベルのもう一方の処分方法といたしまして陸地処分というのが考えられておりまして、これにつきましても現在研究開発中でございますけれども、昭和六十年代の初めごろまでには海洋投棄と同様に投棄試験を行いまして、その安全性を確認した上で逐次実用化に入ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
それから、再処理から発生いたします非常に高いレベルの廃棄物につきましては、現在研究開発を進めておりますが、当面は、液体状で出てくるものにつきましてはタンクの中に収納して、工学的に十分安全を確認された容器の中で保管する、それから固体状のものにつきましても、それぞれ遮蔽等を十分に行って保管するという方針で進めております。ただ、この再処理施設から出てまいります高レベルの廃棄物につきましても、比較的量は少ないわけでございますが、将来を考えますと、施設内に保管するというだけでは不十分でございますので、これは液体につきましては固体状に固化する。現在、通常ヨーロッパ等で研究開発が進められておりますのは、ガラス状に固化をいたしまして、その上で、ある期間、一時的に保管いたしました上で深層の地層の中に永久廃棄するというようなことでありまして、これらにつきましては日本も若干研究開発がおくれておるわけでございますが、今後十年以上の歳月があるわけでございますので、その間に強力に研究を進めて、安全性を確認しながらそういう処分方法をとってまいりたいというふうに考えておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/72
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073・安島友義
○安島委員 第二工場と一応呼称されている今後民間に委託しようとする新会社の性格ですが、これは動燃とどこに相違点があるのですか。それをまずお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/73
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074・山野正登
○山野政府委員 動燃事業団は申すまでもなく法律に基づく特殊法人でございますが、今後予定されております第二再処理工場は電力会社等を中心に関係業界が協力してこれを建設することになろうかと思うのでございまして、いわゆる株式会社になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/74
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075・安島友義
○安島委員 通常理解されるのは、これからの第二工場と言われているところは商業ベースによる再処理事業、それ以外のところは扱う物が物だけにすべて全く動燃と同様な監督、指導、規制を受けると思うわけです。そうすると、この計画している処理能力と現在の動燃のいわゆる再処理の能力等からすると、今後この民間ベースの再処理事業というものが日本の再処理の中核体になるというように理解するわけですが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/75
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076・山野正登
○山野政府委員 動燃の再処理工場はあくまでも技術を実証するための工場でございまして、将来の再処理需要を賄うための工場というのは第二再処理工場に期待いたしておるわけでございますから、お説のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/76
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077・安島友義
○安島委員 将来の動燃というのは、その場合にどういう位置づけに置かれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/77
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078・山野正登
○山野政府委員 動燃事業団と申しますのは新型の動力炉とかあるいは核燃料サイクル各般にわたりましての技術の研究開発がその任務でございますので、新しい技術を開発しこれが実用化に至れば実用分野にバトンタッチし、また次の技術開発を図るということでございまして、再処理について申し上げますれば、現在の単体抽出法の技術を実証し確立しました後は、たとえば混合抽出法についての研究開発を進めるといったふうなことが動燃事業団の役割りであろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/78
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079・安島友義
○安島委員 再処理事業に関して、いわゆる動燃と新会社との競合関係というような問題は生じないというふうに理解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/79
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080・山野正登
○山野政府委員 これは競合関係と申しますよりも、むしろ技術の面につきましては協力関係がなくてはいけないというふうに考えるわけでございまして、将来第二再処理工場をつくります際には動燃事業団が建設あるいは運転の過程におきまして集積しました技術というものを十分に民間において活用して第二再処理工場をつくる必要がありますし、今後とも新しい技術開発が動燃で行われました場合にはこれを実用面にうまく技術移転を図る必要があるわけでございまして、そういう意味では再処理事業についての競合関係はございませんで、むしろ技術面での協力関係というものが必要ではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/80
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081・安島友義
○安島委員 再処理事業については、先般の参考人からの意見聴取のときでも、非常に急いでいる。それなりの理由は理解できるのですけれども、政府としてはこの法案が成立した場合にはいつごろを目安に用地買収を行おうとするのか。それから、余り詳しいことは聞けないと思うのですが、日本を東西に分けますと西の方ですか東の方ですか、どちら側にこの工場をつくる御計画ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/81
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082・山野正登
○山野政府委員 第二再処理工場につきましては、これは完全に民間の事業として行われるわけでございまして、昭和四十九年以来産業界に濃縮・再処理準備会という準備組織をつくりまして、その組織が中心になりましていろいろな準備を進めてまいったわけでございますが、その中で建設予定地についての各種の調査といったふうなものもやっております。しかしながら、現時点におきましては立地の選定作業というものはまだそれほど進んでおりませんで、御質問の東地区か西地区かといったところまではまだ煮詰まっていないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/82
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083・安島友義
○安島委員 急いでいるわりにはゆっくりしているのですね。この電力会社のほかに民間企業の協力体制としてはどういうことが考えられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/83
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084・山野正登
○山野政府委員 再処理技術と申しますのは非常に広範な技術が必要なわけでございまして、電力会社以外に協力する業界としましては、たとえば化学工業界でございますとかあるいは電機メーカーであるとか、そういったようなところが協力者としてあり得るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/84
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085・安島友義
○安島委員 政府側の態度はこの法案を成立させれば後は電力会社等が適宜にやるだろうというような感じにどうも受け取れる。先ほどから指摘しております厳しい国際環境の中で日本の将来のエネルギー政策として確固たる方針を打ち出さなければならない。いろいろな困難な問題というものを政府自体が解決しながら国民に十分理解を得るような形でどう一歩ずつ進んでいくかという、そういう事態に当面していると思うわけです。そういうつもりじゃないのでしょうが、聞いている方では私そういうふうに聞ける。たとえば法案が成立したという前提に立った場合には、新会社設立というものに関しては、政府いわゆる科技庁、通産省、どこがこのいろいろな問題の指導というか、こういう問題に当たるのか、その点を明確にしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/85
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086・山野正登
○山野政府委員 私どもこの第二再処理工場につきましては、法案さえ処理しておけば後はほっておくという姿勢ではもちろんございませんで、対外的には昨年の日米交渉におきましてもこの第二再処理工場というのは非常に重要な議題として取り上げまして、米側の理解を求めておるわけでございますし、その際に現在行っておる準備作業あるいはこの法案についても触れたわけでございます。そういうふうな努力をして対外的にも理解を求めておることでございますし、また国内的にもあらゆる機会を通じましてエネルギー政策の中の原子力の位置づけあるいはさらに原子力平和利用を進めるに当たっての燃料サイクル、特にそのかなめである再処理の重要性、必要性といったふうなものは十分に普及啓発活動をしているつもりでございます。
それからただいま御審議をいただいておりますこの法案が成立いたしますれば、この法律に基づきまして再処理事業を行う者を指定するわけでございますが、これはこの法律に基づきまして科学技術庁が行いますし、また、将来にわたっての安全管理、安全の確保といったふうなこともこの法律の運用によりまして科学技術庁が当たりますが、一方また、通産省も、産業政策上このような産業の育成という面からもタッチされるかと思います。官民挙げて協力しながら、第二再処理工場あるいはさらにそれに続く再処理工場というものが円滑に成長し、進み得るようやっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/86
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087・安島友義
○安島委員 電力会社等は、政府の立場よりもっと現実的な立場に立って非常に近い将来に起こるであろう電力の危機にどう対処しなければならないかという点で、これはいろいろなことをすぐにでもやらなければならない立場、停電になったからと言って政府が批判されるというよりも、電力会社は何をやっているのかというのが一般の国民の世論だと思うのですよ。ですから、本来はエネルギー問題に対する全責任は挙げて政府のこれまでの、やはり先ほどからも申し上げておりますように、エネルギー政策というもの、経済政策と言った方がいいのですが、アメリカに余りにも偏り過ぎて、そういう依存の中でずっと進んできて、そしてあの石油ショックで、これはえらいことになったということから、本格的にいわばいろいろな問題に手をかけてきたというのであって、本来この問題に対しては一切政府の責任のはずなわけですね。ですから、この新会社の性格が、電力会社を中心として行われるにしても、これは安全管理の問題、それから未解決の諸問題がある現状においては、すべてこれが軌道に乗るまでの間は政府の責任である。それは外務省も、対外交渉の場ではいろいろな問題で外務省の責任はあるだろうけれども、所轄官庁としては、やはり最もこれからのエネルギーの具体的な実用化という問題に関連した核燃料ということになれば、これは通商産業省が一番大きな責任を持つことになるであろうし、安全管理とか、いろいろなこれからの具体的な再処理事業と結びつくような安全を確保しながら新型炉の開発とか、そういう問題に対しては、それぞれまた科技庁あるいは所属の研究機関、そういうものが相互分担するわけですが、これは挙げて政府側の責任であって、法案がもし通れば後は民間の第二工場だというような考えは毛頭ないと思いますけれども、その点はやはりこの際政府がすべてこの問題に対して責任を持つのだということを明確にしておきたいと思うのです。
最後に、大臣の御見解を伺いたいと思いますが、いまから建設に着工しても、約十年の長い年月を要すると科技庁は説明している。先ほどから質問しておりますけれども、アメリカの核エネルギー政策というものに対しては私は私なりの批判を持っておりますが、そのことは別として、政府の態度には、いま建設に着工しても十年の年月を要する、その間には世の中も変わるだろう的な腰だめ的な考え方のようなものがちらちらと答弁の中で出てくる。そういうことで巨額の金を投資し、そうして、いろいろなまだまだ国民には十分理解を得ていると思われないようなことをこれから進めるわけですから、先ほども、日米再処理交渉に関する今後の見通しという問題についても、やや楽観的な見通しを持っているような見解に承りましたが、こういうことを責任もってやるという以上は、やはり日本の自主独立の立場でその方針というものを確固不動のものとしなければならない。ですから、もしアメリカ側がどういうような出方に出てくるかというのを、そのときそのときの時点でもって、右に行ったり左に行ったりするような考え方でこういう問題を提案されたのでは、国民にとっては非常に迷惑なわけです。そういう点で、最後に長官のこの問題に対する御見解をお伺いして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/87
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088・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 いろいろお尋ねがございましたが、エネルギー問題あるいは安全の確保の問題、これはすべて政府の責任であるということに関しましては、御意見のとおり、われわれもそう思っております。
したがって、この法律によって新会社ができたならば、すべて新会社にいろいろなことを任せるというようなことではないわけでありまして、対外関係あるいは安全の確保あるいはなお技術その他の点に問題がありはしないか、すべての問題にわたりまして、十分政府が責任を持ってこの会社の指導育成、また運営に当たるべきである、このように考えております。
それから、アメリカが核不拡散の立場からいろいろむずかしい問題を投げかけているが、これに対して科学技術庁はわりあいに楽観的な観測のように思われるという御意見であったかと思いますが、これはそういうふうにとられるといたしますと、趣旨が十分表明されていないわけでありまして、私どもは、アメリカとしましては必ずしもそういう核使用国を、原子力の安全、平和利用を進めている国をアメリカがことさらに圧迫するという考えからではないと思っておりますが、やはり核不拡散を世界的に貫こうといたしますと、いろいろなそういう規制を考えてくるということはやむを得ないことかとも思いますし、この問題は今後ますます厳しく取り扱われ、それが原子力平和利用を考えております諸国、特に日本等に対しまして非常に厳しい態度があらわれてくる、つまり言いかえれば、その面の圧迫が一層倍加するであろうということは当然覚悟しなければならぬと思っているわけであります。
そこで、今後の対策の問題でありますが、いろいろな見通しを申し上げました際に、現在までもいろいろの困難な問題はありましたが、それなりに対処してまいりましたので、さっき申しましたような、非常に加重するであろう困難を覚悟しながら、従来の経験も生かして、そうして、日本がどこまでも核不拡散政策に協力する、具体的に言えば、日本としては当面原子力平和利用を進めなければ、これは日本の死活問題であるという考え方を根底に置きまして、そういう理解を深めますとともに、この取り扱いについてはいろいろな面で決してこれが核拡散につながるようなことではないということを具体的に証明しますなり、説明しますなりして処理してまいらねばならぬ非常にむずかしい問題が今後横たわっていると思いますが、しかしむずかしい問題に負けていては日本はおのずから自滅するよりほかに道がないわけでありますから、あえてむずかしい問題に取り組んで、ひとつ今後の原子力の平和利用を進めてまいらねばならぬと考えるわけであります。決していやしくも楽観というような気持ちではありませんが、しかし、十分そういう困難な問題に対処することを覚悟しながら、また一面、これがわが国の死活問題であるという考え方から、ひとつ万全を期して進んでまいりたい。御意見のありましたことは十分私どもも了承いたしまして善処いたしたいと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/88
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089・安島友義
○安島委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/89
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090・岡本富夫
○岡本委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二十一分休憩
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午後一時三十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/90
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091・岡本富夫
○岡本委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑を続行いたします。上坂昇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/91
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092・上坂昇
○上坂委員 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部改正案を中心にして質問いたしますが、初めにちょっとお伺いいたしますのは、科学技術庁あるいは通産省が言っているエネルギーということは一体何を指すものか。エネルギーについてひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/92
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093・山野正登
○山野政府委員 エネルギーと申しますのは、一般的に申しまして、石油、石炭、天燃ガスあるいはウラン、水力といった自然界の物質、あるいはその物質の状態の変化によって熱、動力、光等として利用されるもの、あるいはその源となるものを指すというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/93
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094・上坂昇
○上坂委員 いまエネルギーについての説明がありましたが、その中でエネルギーの源になるものを指すというお話でありますから、たくさん挙げられると思いますが、エネルギー源で一番大量に現在消費されているのは、もちろん石油であろうと思いますが、わが国の石油の産業別の使用量についてどういうふうになっているか、最近ので結構ですから、お示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/94
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095・大永勇作
○大永政府委員 昭和五十二年度の石油製品の用途別の内需の量でございますが、自動車用につきましては、揮発油、軽油合わせまして全体の約二一%、石油化学用のナフサが約一二%、民生用の灯油が約八%、電力用の重油が約一九%、鉱工準用の重油が約二三%というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/95
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096・上坂昇
○上坂委員 この中で、ガソリンあるいは灯油というものは、やはりエネルギーになるというふうに考えていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/96
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097・大永勇作
○大永政府委員 ガソリンも灯油も、燃焼いたしまして熱を出すものでございますから、エネルギー源であるというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/97
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098・上坂昇
○上坂委員 いわゆる鉱工業用の重油あるいは化学産業に使うナフサ、これらはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/98
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099・大永勇作
○大永政府委員 鉱工業用の重油も、これは熱を出すものでございますので、当然エネルギー源でございます。ナフサについては、一部は燃料として石油化学の中で燃焼用に使いますが、他は原料として使うものでございますので、これは非エネルギーとしての用途であるというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/99
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100・上坂昇
○上坂委員 そこで、石油を節約するあるいはエネルギーを節約するという場合、どこに重心を置くのかという問題がありますが、これはどれを対象にして石油の節約を図っていくのか、そこをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/100
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101・大永勇作
○大永政府委員 現在国会にエネルギーの使用の合理化に関する法律案を提案させていただいておるわけでございますが、エネルギーの消費の節減につきましては、産業用、民生用、輸送用等々、すべての分野にわたりまして行う必要があろうかと存じますが、産業用につきましては、鉄鋼あるいは化学、そういった諸産業におきますエネルギー原単位の節減、それから住宅等の民生用につきましては断熱材の使用等によります熱のロスの減少、さらに輸送につきましては、たとえばガソリン等につきましては自動車等におきます燃費の改善、そういったことを通しましてエネルギーの使用の節減を図っていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/101
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102・上坂昇
○上坂委員 将来国民の生活を維持していく場合、この石油の産業別使用量というものはどのように変化すると予想されておられるか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/102
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103・大永勇作
○大永政府委員 これはオイルショック前と比べまして現在すでにかなりの変化が出ておるわけでございますが、いわゆるガソリンとか民生用の灯油といったようなもののウエートは生活水準の向上とともに上がってまいっております。それから産業用の需要が相対的には落ちておるわけでございます。それから電力につきましては、原子力あるいは石炭等いわゆる代替燃料への転換がございますが、全体としての需要がかなり伸びますので、電力用の重油については横ばい程度の状況、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/103
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104・上坂昇
○上坂委員 電力用については横ばいだというお話ですが、何かエネルギーの節約という場合、エネルギーにかわるものとしての代替エネルギーとして原子力発電所だけが取り上げられているような印象があるわけです。口ではなるほど石炭とか何かと言うのですが、実際問題として、では石炭はどうなのかというと外国に頼るしかないというような状況でありまして、日本にある石炭もつぶしてしまうというような状況の中で、果たしてそれだけ石炭にウエートを置いているのかどうかということになりますと、非常に疑問であるというのがわが国の燃料の政策だろう、こういうふうに言わざるを得ないのです。そういう感じがしますが、そうではないというふうにお答えいただけるのかどうか、そこのところをお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/104
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105・大永勇作
○大永政府委員 電力の源といたしましての石油の節減ということを考えます場合に、代替のエネルギー源といたしましては原子力が最有力なものでございますが、そのほかにも石炭とかLNGにつきましてはできるだけこれのウエートの増大を図っていきたいということでございまして、LNG、石炭ともに極力その増強策を講じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/105
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106・上坂昇
○上坂委員 原子力を使っていわゆる電源のエネルギーをどれだけ節約できるのかということを計算しているならば教えてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/106
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107・大永勇作
○大永政府委員 百万キロワットの原子力発電所、これを仮に重油の燃焼発電所ということにいたしますと、年間に約百三十万ないし百四十万キロリッターの油を要するわけでございます。現在八百八十万キロワットの原子力発電所が稼働いたしておりまするし、なお建設中のものがございまするが、昭和六十年度には先生御承知のように三千三百万キロワットの発電所の稼働を予定しておるわけでございます。現在動いているもの、それから建設中のものを合わせますと約千八百万キロワット程度でございますので、これから着工するものが千五百万キロワットでございます。これが仮に原子力発電でなくて油をたく発電所になったといたしますと、約二千万キロリッターの重油が必要になるということになろうかと思います。これを精製いたしますには、原油としては約その倍でございますから、四千万キロリッターの原油が必要である、こういうことになろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/107
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108・上坂昇
○上坂委員 百万キロワット級の原発の建設にどのくらいいわゆるエネルギーが必要なのか、計算したことがあれば教えてもらいたいと思うのです。その場合のエネルギーというのは石油ではないかというふうに思うのですが、石油に換算するとどんなふうになるのか、それから百万キロワット級の原発の出すいわゆる放射性廃棄物の処理にどのくらいのエネルギーが必要か、これをやはり石油でお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/108
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109・山野正登
○山野政府委員 当庁が昭和五十一年に行いました委託調査によりますと、百万キロワットの原子力発電所建設に要するエネルギーとしまして、原油換算で約二十五万キロリットル、それから低レベルの廃棄物の処理、処分に要するエネルギーとしまして、三十年間の運転分としまして原油換算で約〇・七万キロリッターという数字が出ております。
ただ、従来このようなエネルギー収支と申しますのは手法が確立されておるわけでもございませんし、前提の置き方でいろいろ変わるものでございますので、一つの試算にすぎない数字ではございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/109
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110・上坂昇
○上坂委員 いま動いておるのは大体八百万キロワット、いま建設中になりますと千五百万キロワットですか、そうしますと、二十五万キロリッターに千五百万キロワットを掛けた数字で単純に計算して構わないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/110
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111・山野正登
○山野政府委員 建設に要するエネルギーの総和というのは、そのような計算でよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/111
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112・上坂昇
○上坂委員 先ほども六十年ですか、三千三百万キロワットの問題が出ましたが、七二年の長期計画で原発の規模は八五年度で六千万キロワットとなっていたわけですが、七五年の総合エネルギー調査会の見通しでは四千九百万キロワット、これが七七年六月に修正をされて、対策現状維持ケースで二千六百万キロワット、対策促進ケースで三千三百万キロワット、こういうことになったわけでありますが、この三千三百万キロワットの原子力発電所をつくることになると、昭和六十年度でどのくらい費用がかかるのか、見積もっていれば発表をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/112
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113・武田康
○武田政府委員 お答え申し上げます。
費用というのもいろいろな費用がございますけれども、先生の御質問が建設費というふうに受け取らしていただきましてお答えさせていただきますと、昨年、総合エネルギー調査会におきまして、三千三百万キロワットという目標設定とあわせましてこれから六十年までにかけてどのくらいのお金が要るかというような一応の試算をいたしております。
実はこの試算は、建設費の単価いわば資材の価格がどうなるか、人件費がどうなるか、あるいは金利水準がどうなるかというようなことでいろいろ変わる数字でございますけれども、それらにつきましていろいろ前提を仮定しての数字でございますが、昨年そういう仮定のもとでいたしました試算によりますと、昭和五十一年度から昭和六十年度までの十年間に原子力発電所の建設のための所要資金として約六・六兆円という数字が試算の結果として出ております。これは昭和六十年度、三千三百万キロワットに見合う数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/113
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114・上坂昇
○上坂委員 十年間で六兆六千億、こういうことですね。
そこでもう一つお伺いしたいのは、原油が値上がりをしていきますと原子力の方が相対的に安くなる、こういうふうに言われておるわけでありますが、これについて説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/114
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115・武田康
○武田政府委員 お答え申し上げます。発電のコストは、非常に大ざっぱに言いまして二つの部分に分かれます。一つは、設備の償却であるとか、建設費にかかる金利であるとか、そういうような資本的なコスト、または設備に伴うコスト、もう一つは、運転に伴いまして燃料を消費するというようなコストでございます。
それで、石油火力の場合には、御承知のとおり原子力発電よりも建設費は安いのでございますけれども、一方、燃料代は高いというようなことでございまして、燃料代のウエートが石油火力の場合にたとえば七割とかそんなような比率でございまして、原子力の場合には、原子力のウランを燃やすことに伴います燃料代が二割とか三割とかこういうような数字でございます。
したがいまして、石油の値段が上がりますと、石油火力の総合コストは七割、八割のものが、油の値段に比例でございますので、相対的に上がるわけでございます。
一方、油の値段が上がった場合に原子力がどうなるかでございますが、これは一般の物価を通しまして、たとえば建設費が上がるとか、あるいは人件費が上がるとか、または材料費が上がるというような間接的影響しかございません。したがいまして、原子力の発電のコストというのはいわば横ばいであるということでございますので、油の値段が上がれば、相対的に原子力に有利に働くということであろうかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/115
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116・上坂昇
○上坂委員 発電コストの方は確かに下がってくるというふうに言われるわけでありますが、いまの状況でいきますと、石油カルテルがあるように、ウランの国際カルテルなんかも存在しておりますし、いまの状況では、むしろ原油価格の上昇率をウランの上昇率の方が上回っているのではないかというふうに考えられるわけでありますが、その辺についても御説明いただきたいと思います。
それから、原発が続いていけばウランの埋蔵量というものも当然減ってくるわけであります。プルトニウムの問題を別に置いておきますと、ウランの埋蔵量にも限りがあるわけでありますから、原発がどんどんふくれていけば、ウランの値段というものは当然上がってくると見なければならぬのじゃないか。そういう点で、果たして石油と原子力と比較して、原子力が絶対的に安い、安く仕上がるというふうなことが一体言えるのかどうか。この辺のところがちょっとわれわれには理解ができない点でありまして、御説明をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/116
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117・武田康
○武田政府委員 まず、ウランの値段の上昇でございますけれども、昭和四十五、六年ごろ、あるいは六、七年ごろには、たしかポンド当たり六ドルとか八ドルとかいう数字でございました。現在が四十ドルを超すような状況でございますので、この六、七年の間に五倍から六倍前後になっております。
一方、油の方は、石油ショック以前は、バレルたとえば二ドルとかそういう前後から現在十二ドル、十三ドルでございますので、六倍程度、ある意味で、この六、七年のタームをとりますと似たような上昇でございまして、油だけが値段が上がって、ウランは値段が上がらないというようなものではございませんで、先生御指摘のとおりでございます。
一方、ウランの埋蔵量につきましては、現在探査活動が世界各国で行われておりますので、ここでその頭打ちというか、歯どめといいますか見当というのが一〇〇%ついているとは思われませんけれども、一般論といたしましては、ウランの埋蔵量に限界が見えてきますと価格が上昇するという傾向は、あるいは否定できないかと思います。
それで、そういうことも仮定いたしまして、仮にの話でございますけれども、原子力発電が石油発電に比べまして絶対的に安いかどうかという点でございますが、これは同じ電気を出すものでございますので、相対比較の問題でございまして、どちらが絶対的という断定をするのは非常にむずかしいかと思います。しかし、ここ数年の傾向で考えてみますと、石油ショック以前におきましては、いろいろな試算もございましたけれども、原子力発電というのは将来を見越して石油火力に十分太刀打ちできる、あるいは石油火力に比べ安くなるというようなことで、いわば経済的に競合し得るというようなレベルであったかと思われます。
きょう現在は、いろいろな試算がございまして、これも仮定が伴いますけれども、たとえば石油火力の値段が、五十一年度完成というような標準ものを考えまして、十円を少し超す、十一円、十二円というような試算に対しまして、原子力発電の方は十円を割って、たとえば九円とかあるいはもうちょっと少ない数字というように、二割か三割ぐらい石油火力に比べまして安い試算ができておりまして、これは現在建設中というようなもので、これから四、五年先に完成するものというのを頭に描きましても、これもやはり仮定の計算でございますが、やはり二割、三割低いというようなかっこうの試算があるわけでございます。
それで、実は燃料代、たとえばウランと石油の値上がりの度合いが全く同じといたしましても、先ほど御説明申し上げましたように、原子力発電における燃料代のウエートが少ない、一方、設備代の方は機械、工作等々の費用でございますので、エネルギーの価格に比べて値段の上がり方が現在のところ一般的には少ないということでございますので、そういった意味でも原子力が当分の間あるいはこれから考え得る十年、二十年あるいは三十年という期間を想定いたしまして、油に比べて不利になるというような感覚はちょっと持てないのではないか。むしろとんとんなり有利という状態が続き得るのではないかというのが現在の推定といいますか、考え方、見方でございます。
なお、もちろんウランの埋蔵量にも限界があることでございますので、先ほどプルトニウムの問題は別に置いてというお話でございましたけれども、当然ウラン・プルトニウムサイクルということを前提に原子力計画を考えなければいけないもの、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/117
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118・上坂昇
○上坂委員 日本原子力発電所の売電単価、それから東京都の火力発電所、水力発電所、水力の場合には多摩川、火力の場合にはこれは東京都の清掃工場でありますが、これに比較しますと、東海原発の場合には、いわゆる七〇%の設備の利用率ですと九円六十四銭という計算値が出ています。それから六〇%の利用率ですと十円八十四銭、敦賀原発の場合には、七〇%の利用率で六円三十九銭、六〇%の場合には七円四十四銭、これは七七年度ですが、七六年度を見ますと、六〇%で七円十八銭、こういう数字が出ているわけです。東京都の多摩川水力発電所の場合には、これは七六年の三月から七七年の三月、七八年の三月三十一日まで二年間、五円五十五銭で出しているわけであります。こういう資料があるわけでありますが、そんなに違わないのではないかと思うのです。
したがって、設備利用率が計画どおりいくということになればコストはかなり有利だ、しかし利用率が悪いと決して有利なものではない、こういうことが言えるのではないかと思うのですが、その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/118
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119・武田康
○武田政府委員 お答えいたす前に、先ほどちょっと間違った数字を申し上げましたので……。火力、原子力の比較でございますが、ちょっと私錯覚を起こしておりまして、先ほど五十一年度の試算で火力が十一、二円、原子力が九円と申し上げましたが、火力が九円前後でございまして、原子力は六円前後というような試算があるということでございます。
さて、いまの試算でも一応稼働率の仮定をいたしております。先生御指摘のように、稼働率がいいと設備費の方が安くなりますので安上がりであり、稼働率が悪いと確かに高くなるわけでございます。そういう点で先ほど、現在試算し、または数年先で試算をしても、石油火力に比べ原子力が二、三割安いという勘定が出るということを申し上げましたが、これはいずれも、たとえば七〇%稼働というようなかなりいい稼働率を仮定に置いての数字の比較でございまして、たとえば原子力発電の稼働率が五〇あるいは四〇%であって、一方石油の方が七〇%であるというような差をつけた比較をいたしますと、いわば大体とんとんというような勘定になるわけでございます。しかし、同時に石油の方につきましても稼働率を下げて勘定いたしますと、これはやはりなお原子力が少し有利というような数字が出てまいります。
ちなみに、石油火力といいますか、日本の火力発電所全体の総合稼働率というのは、五〇%あるいはそれをちょっと切っている、五〇%前後の数字でございまして、一方原子力発電の方は、実はもくろみとしては六〇%台であったわけでございますが、昨年度の実績は四一、二%、本年の推定は五五%をちょっと上回るというようなくらいの感じのものでございます。したがいまして、五十三年度に頭に描かれる稼働率を前提にいたしますと、原子力の方が有利というような計算は変わらないかと思います。
なお、先ほど特定の発電所についての数字のお話がございましたけれども、それぞれその発電所ができましたときが違うものでございますし、それから一方水力の場合にはもっぱら固定費だけというようなかっこうでございますので、個別の発電所ごとに比較するというのはなかなかむずかしいことでございます。したがって、私どもいつも標準的な発電所で標準的な運転状態のときにどうかというような比較をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/119
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120・上坂昇
○上坂委員 火力のいわゆる平均の設備利用率というのですか、これは五〇%程度だということでありますが、この原因は一体どこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/120
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121・武田康
○武田政府委員 お答え申し上げます。
ちょっと説明不足だったかと思いますけれども、火力発電所は日本の中にたくさんございます。したがって、新しいものから古いものまでたくさんあるわけでございまして、総合いたしますと、設備の容量といたしましては、夏のピークに応じ得るような設備を持っていなければいけないわけでございます。一方、電気を出す量といいますのは、たとえば夜中はお使いにならない方が多いわけでございますし、それからちょうどいまごろの季節でございますと夏よりは少ないというようなこともございまして、設備としていわば遊んでいる状態というのがございます。そういう状態も含めまして全部集めますと、そんなような数字、五〇%というような数字が出てまいるわけでございます。
なお、同じ火力でも一番新しく入れた一番能率のいい機械というのは、一般論としてはできるだけ動かすということでございまして、たとえば初年度は七割とか、そういったような稼働を目標として考える。原子力の場合も同様でございまして、原子力は火力よりも燃料費が安いものでございますので、目標としてはそういう稼働率を考えるというようなことでございまして、したがいまして、いろいろな意味の経済比較を行いますときに、運転当初における目標とする稼働率、たとえば七割というようなのを算定の基礎に置いて比較をいたしているわけでございます。しかし、全体として考えますと、火力全体でも、日本全体の火力が五〇%前後というような稼働になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/121
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122・上坂昇
○上坂委員 いろいろとり方はあると思うのですが、火力の場合には、かなりいままで主力をなしてきましたので、相当古い施設もあるだろうし、新しいものもあるだろうし、平均のとり方というのは非常にむずかしいと思うのですが、原子力の場合には、せいぜいここ七、八年、五、六年程度なわけですから、そんなに差のないものだ、それからいわゆる出力からいってもそんなに違わないものだと思うのです。火力の場合にはかなりいろいろ差がありまして、大きなものがあるし小さなものがあるし、最近の水力発電所の場合なんかでも大変能率のいい水力発電所ができている。それから、火力なんかでも非常に小さいのもあるし、大きいのもあるというような状況の中で、これは平均的な稼働率というものをとるのはなかなかむずかしいのじゃないかと私は思うわけでありますが、原子力の場合には、どうもいまの設備利用率からいくと、余りに少な過ぎるのじゃないかという感じがするわけです。何か二年か三年でだめになってしまうというような感じが非常に強いわけなんですね。この辺が国民としては非常に不安でありまして、安全性が確実であるというふうに言われていながら、しょっちゅうとまっているというようなところから、一体本当に安全なのか、本当にりっぱな設備なのかということが、どうもなかなか理解がしにくいというのが現状ではないかというふうに思うのです。
それからもう一つは、設備利用率が去年は四一%程度になってしまったわけでありますが、全く動かない発電所があるわけです。動かない発電所を七百億、一千億とかけてつくって、これが全然稼働しない、二年も稼働しないということでは、普通の会社ならたいていこれは倒産をしてしまうわけですね。ところが、それが倒産しないで悠々としてやっていられるということは、一体どういうことなのか。国民がみんなこれをかぶっているのではないかという感じがしてならないわけであります。そういう点で、どうも納得のいかないものが非常に多いのです。設備利用率がずっと低下をしてきますと、資本の規模が大きい原発ほど電力のコストというのは上昇をしていくのではないか、こういうふうに私は思うわけでありますが、ある数字によりますと、標準の設備利用度を経済レベルで七五%ぐらいに見て、それが二五%ぐらい低下をすると、発電コストは二五%以上も上昇するというふうな計算が行われているのを見たことがあります。こういうことになりますと、設備利用度というのは非常に重要な意味を持ってくる。そこに原子力の事故なり故障なりというものが非常に大きく問題になってくる。それからまた、定期検査があって、約三カ月近くも定期検査をするので、その間の設備利用率というのは非常に少ないのだという説がありますが、結局それだけの検査期間をかけなければ本当の安全度を確かめることができないし、運転を確実にすることができないということは、それだけ大きな問題を抱えている、こういうふうに考えざるを得ないわけですが、こういう考え方は間違っているのかどうか。間違っていたら御指摘をいただきたいと思うのですが、いまのような考え方についてのお考えをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/122
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123・武田康
○武田政府委員 お答え申し上げます。
昨年稼働率が四一、二%でございまして、そういう低い稼働率から、本当に安全なのか、あるいは二、三年したら壊れてしまうのではないか、また昨年の例では、三つぐらいの発電所で年間稼働率が一割以下というようなことで、中には一回も動かなかった発電所もあったわけでございます。そういったことも含めて、先生御指摘のような見方あるいは批判があるということは私ども承知しております。ただ、一年間動かなかったというのは、実は定期検査等々で発見いたしました故障といいますか、トラブルといいますか、あるいは手直しすべき場所、これの手直し作業に時間がかかったためでございまして、これが未来永劫そういう状態が続くのではございませんで、本年度すでに動き出しているところにつきましては、これから先目標としては七割でございますけれども、五十数%、六〇%を超すというような発電所として稼働してくれるものと期待されているわけでございますし、また昨年の実績でも七〇%を超すように稼働率を示したところがあったわけでございまして、これらも今後とも七〇をいつも超すというのはなかなかむずかしゅうございますけれども、六〇%台の稼働が期待されるわけでございます。
そういう意味で、むしろ定期検査あるいは手直しに時間をかけたというのは、将来のことも考えまして、その運転を再開した後トラブルが非常に少なく、あるいは事故も起こさず、ゼロということを頭に描くのはなかなかむずかしゅうございますが、そういう事故なり、故障なり、トラブルなりをできるだけ起こさないようにというような手入れの期間が慎重で長かったというふうに御理解いただきたいわけでございます。
それで、第二の利用率低下と電力コスト上昇との関係でございますが、先ほどの稼働率が七五から二五%に下がるとコストが二五%アップする、実はその試算私拝見していないので即断はできませんけれども、原子力発電の場合には固定費、資本費的な比率が七割とかそういう数字を占めておりますので、仮に稼働率がそこまで下がれば、二五%上昇あるいはもっとかもしれませんが、そういうような勘定ができるのは理解できることでございますし、そういう計算があり得るのだろうと思います。私どもの計算でも、先ほど申し上げましたように、七〇%稼働を前提の計算とそれを四〇%に下げますと二、三割は上がる勘定でございますので、確かにそういうことがあるわけでございます。そういう意味では、稼働率というのは適正な規模に維持しなければいけないわけでございまして、昭和五十二年度、昨年度におきますような平均低い稼働率というのはやはり決して望ましいことではないし、今後繰り返したくないことでございます。私どもの現在の推定では、本年度は稼働率、設備の利用率というような角度の稼働率で五五%を超すだろう、来年も同じようなことが続き得る、こういうふうに見ておりまして、いまの運転状況を見ますと多分それが達成できるのじゃないか、こう思っておるわけでございまして、将来長期には六〇%台の設備利用率、稼働率にならなければいけない、こういうふうに思っておるわけでございます。
なお、その定期検査、事故、故障の手直しは別にいたしまして、検査に三カ月も時間をかける、これは大きな事故、故障の手直しがなしでも、そのくらい三カ月ないし三、四カ月かけるというのは現在のプラクティスでございますが、これはそれだけ問題が大きいのだ、ある意味では先生の御指摘のとおりでございます。ただ、現在火力発電所でも、定期検査というのをやりますときには、やはり一カ月なり一カ月半、これは機械の大きさ等によっても違いますが、それだけの期間をかけているわけでございます。原子力発電所の場合には、一般に火力発電所よりも規模が大きい、火力も大きい規模ございますが、機械設備が複雑でございまして、かたがたその場所によりましては放射線下作業をしなければいけないということで、手間暇のかかるものでございます。そういった意味で、火力が過去数十年来のプラクティスの積み重ねで定期検査を現在一カ月なり一カ月半というくらいの標準でやっておりますが、そういった標準に対しまして、原子力の場合には三、四カ月かかるというのが標準でございます。何分火力、原子力共通でございますが、いろいろパーツを組み合わせたプラントでございまして、かたがたいずれも圧力、温度等々が時々刻々というと言い過ぎでございますけれども、変化するような水を扱っております。そういったプラント類というのは発電所に限りませず、石油精製などのプラントあるいは化学プラント等にもございますけれども、ある時期ごとに半月なり一カ月なり二、三カ月かけまして各部の点検をする、そういう点検をすることを前提にしてデザインをし、建設をし、運転をするということでございまして、もともとでき上がったら耐用年数の間ほったらかしにするというようなことでできているわけではございません。その点検の期間が原子力の場合に、現在大きな問題なしの場合でも三、四カ月というのは、確かにほかに比べて長いわけでございますが、そのこと自身がそれで非常に危なっかしいものであるとか、それから、これはとても引き合わないものであるということになるわけではございませんで、こういうプラクティスを前提にして、しかもなお発電の場合で言えば石油をたく火力と相当競合できる、あるいはきょう現在で言えば少し安上がりでもある、こういうようなことになっておりまして、そういう総合的に判断すべきものでございます。
ただ、一般の方から、余り長くかかりますと危ないのじゃないかというような危惧の念が起こるというのは、これはあり得ることでございまして、一概にけしからぬとか、間違っているとかいうわけにまいりませんけれども、その辺の事情を十分私どもももっとよく御説明するというようなことをしなければいけないというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/123
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124・上坂昇
○上坂委員 これはそちらの資料なんですが、設備利用率が七〇%を超えていた四十五年度は、これは二基しか動いていないのですね。五四%のときは五基、四十八年です。それから、ふえるに従ってどんどん低下をしてきているわけですね。それで、五十三年度の一月から三月までですと、一月が四八・九、二月が三五・二、三月で四六・三と、五〇%に届かない。こういう状況ですから、どうも考えてみると、ことしも五〇%に手の届くのはちょっと問がありそうな感じがしますね。
それはおきまして、こういうことが言えるのかどうかちょっとお聞きしたいのですが、原発の電力供給計画というのをたとえば四百万キロワットとした場合、最大設備利用率を八〇%にすれば四百万キロワットの電力供給計画の場合には百万キロワットで五基つくらなければならないわけですね。ところが、これがもしいわゆる利用率が五〇%に低下をすると八基の原発を建設しなければならなくなるのではないか、こんなふうに思うのです。
そこで、たとえば一基最近は二千七百億円なんというのもあるそうですが、二千億円とすれば、八〇%の場合には五基ですからこれは一兆円で済む。ところが、利用率が五〇%台ですとどうしても電力供給ができないから、八基つくることになりますとこれが一兆六千億かかる、こんな計算が立てられる、これは非常に単純でありますが。こういうことを考えながら、いわゆる四百万キロワットの電力供給の場合には何基つくるのだ、あるいは五基つくるのだ、六基つくるのだ、こういうような形になっていくのかどうか、その辺を御説明いただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/124
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125・武田康
○武田政府委員 いまの供給能力と稼働率の関係でございますが、実は現実の電力系統は原子力発電所なり火力発電所なり水力発電所なりそれらを全部組み合わせまして、きょう現在でいきますと原子力発電所のウエートというのはキロワットで一割以下、もうしばらくで一割を超すわけでございます。そういうきわめて小さなウエートでございます。そういう小さなウエートで設備をつくっていくという場合に、実はちょっと先生のおっしゃったような計算そのままにはならないわけでございます。と申しますのは、現在日本の電力系統約一億キロワットでございまして、毎年一千万キロワット足らずのものを新しくつくっていくというようなかっこうでございます。そうしますと、すでに動いている一億キロワットに一割以下のものが追加されていって、その一割以下の中の一部が原子力、こういうことになりますので、全体として既設のものを含めまして余裕を持っていればいいわけでございます。そういう意味ではちょっと先生のおっしゃったとおりの計算にはなりませんが、仮に現在何もないところに原子力だけで計画をつくろうというような勘定をいたしますと、利用率あるいは一番ピークのときに動いてくれる確率が五割でございますと、確かに先生のおっしゃったように一兆円余分に要るというような数字が勘定として出てまいりますので、その意味では先生のおっしゃるとおりでございます。
現実問題といたしましては、先ほど、現在原子力発電所の定期検査三、四カ月かかるということを申し上げまして、三、四カ月とめるだけでも年問の利用率は七〇%になってしまうわけでございますが、夏のピークのときにはなるべく避けるようにということで火力も原子力も定期検査をなるべくその時期を外すような措置をしております。しかし、発電所の数が多いものでございますから、真夏に修理をしているというようなケースもございますが、実際にはそういったような操作ができますので、実際の計算では、利用率が五〇%だといたしましても設備が倍は必要ではございません。ただ二割増しなり三割増しなりのものになろうかと思います。そういうことでございますので、定性的には更地の場合に先生おっしゃったような勘定ができるわけでございますが、しかし現実の場合にはその余分にかかるお金というのは、利用率が低くても先生の計算ほどにはならないというようなことでございます。
なお、きょう現在の日本の電力系統あるいはこれから五年先、十年先ぐらいまで考えますと、全体として夏に予備力を一割とかそのぐらい持っていればいいわけでございまして、そういったような意味では原子力発電所の稼働率が仮に五〇%になってしまっても、これは年間を通じての利用率でございますので、夏の間動いてくれれば、その分のデメリットというのは単に油を余分にたくデメリットだけであるというような勘定も成り立つわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/125
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126・上坂昇
○上坂委員 昨年の夏期のピーク時の供給予備率は全国合計で四・六%と言われているわけでありますが、大体供給予備率の場合には普通適正規模としては八%から一〇%、一割程度、こういうことだろうというお話です。昨年四・六%まで落ちた理由、その原因といいますか、そういうのは一体どこにあったのか。東電と関電の場合を見てみますと、原子力発電所で供給予備率を考えていたのがすっかり動かなくなってしまったものだからその分だけが低下をした、こういうふうに言われているわけですが、全体的なこうした原因というのはどこにあるのか、御説明をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/126
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127・武田康
○武田政府委員 昨年の実績としての供給予備率が結果的にどうなったかという数字がいま手元にございますけれども、これは後から見たものなんで、プランとしてはまた別でございますけれども、九電力合計で、五十二年八月でございますが供給予備力が一〇・八%ございました。ただ、昨年は夏わりに気温が高い時期が短かったというようなこともございますので、あるいはプランとしては——プランといいますか、夏の直前の見通しとしてはこの一〇・八より少なかったかとも思われます。それで、先生御指摘の原子力発電所がとまっていたために——確かに東電は原子力発電所があの時点では三台のうち二台、あるいは三台だったかもしれませんが、とまっておりましたので、数合わせとしては、そういうものが減って、しかし一方需要の方が予想よりも伸びなくてというようなことで、結果としましては東京電力も一一%の予備力があったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/127
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128・上坂昇
○上坂委員 四月十四日の新聞報道でありますが、「電力安定供給に〃危険信号〃」ということで通産省の調査というのが出ているわけですね。これを見ますと、「電力の供給余力は年々窮屈になり、五十九年度には三・五%の供給不足が生じることが明らかになった。」こう出ているわけです。内容を見ますと、「五十七年度以降は一部の電力会社で供給予備率がマイナスになるところが出てくるうえ、五十九年度には電力供給が全体で三・五%不足することになってしまう。この結果、場合によっては五十七年度にも需要ピーク時の供給削減といった“非常事態”が全国的な規模で起こる公算も出ている」こういうふうに出ております。これに対処するために、六十年度には石油火力のウエートを三五・八%にまで落として、その反面、石油火力の代替電源としてLNGを一七・六%、原子力を一八・二%にふやす、こういうことで対応していく、こう書いてあるわけでありますが、六十年度というと、原子力について言えばさっきの三千三百万キロワットになると思いますが、私の不安は、一八・二%に原子力をふやしていって、果たしてこれが対応できるのかどうか。どんどん年数がたちまして、六十年度になりますと、もうすでに設備をつくってから十五年くらいたつということになりますと、いまですら稼働率がどんどん落ちていくのにもつとひどい稼働率になってしまう。その場合に、一八・二%にしたところで、これはとても一八・二%の代替電源を加えるということは不可能ではないかという感じがするわけです。またこれを本当にやるとすれば大変な原子力発電所をつくらなければならないのだ、こういうふうに考えるわけですが、その辺についてひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/128
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129・武田康
○武田政府委員 まず最初の需給バランスでございますけれども、毎年電気事業者がつくります長期のプランでは、二つの仮定をした計算をいたします。第一の仮定は、現在までに電源開発調整審議会の議を経ましてこれをつくるという意思決定がなされている発電所のみがこれからつくられて、それ以外のものが一切できない、一方需要の方は伸びていく、こういう仮定の計算でございまして、そういたしますと、ある時期になりますと、需要が伸びて、設備はいまの工事中のものまででおしまいになるわけでございますので、当然足りなくなるわけでございます。そういう前提で勘定をいたしますと、先生から御指摘のございましたように、昭和五十九年度には、電気事業全部を足しまして、必要な需要といいますか夏のピークキロワットに比べまして供給力が三・五%足りないということになるわけでございまして、また五十七年度あたりから供給力が絶対量として足りないという会社が出てまいります。さらにそれ以前、五十五年ぐらいからは、会社によりましては適正な予備率を維持できないというところが出てくるわけでございます。電源開発計画といたしましてはそれでは困るものでございますので、これからそういった不足分を穴埋めし、かつ適正な予備力を持つに足るような開発計画を進めていかなければいけないということで、そういった候補になるべき発電所が今後電源開発調整審議会の議を経て開発地点として決定するように調べ、努力をする、こういうことになるわけでございます。その努力の一つのあらわれが、先ほど先生から御指摘のございました昭和六十年度に原子力のウエートを一八%にするというようなことでございまして、これは三千三百万キロワットに相当するわけでございます。石油のウエートを下げて原子力をというのは、むしろ石油の先行きあるいは全体としてのエネルギー資源といいますかエネルギー源の多様化という観点で、これは電力の場合にもそれをやらなければいけないわけでございまして、または電力が主軸になってそういう全体のエネルギーバランスが石油のウエートを軽くする、こういう方向に流れるわけでございまして、石油火力のウエートを下げて原子力なり石炭なりLNGというものを一生懸命やっていこう、そうは言いながら石油をゼロにするわけにはなかなかまいりませんで、結果として六十年度でもなお石油火力に三割五分くらいを依存しなければいけないというふうに考えられてつくられた数字でございます。原子力につきましては、原子力を一生懸命やるということで結果的に約三千三百万キロワット、全体の一八%になる、こういうことでございます。さて、一八%を占める原子力がこんなに稼働率が悪くては心配ではないかという御指摘でございますが、おっしゃるとおりでございまして、実は稼働率につきましては、現在までにいろいろ問題の出ているものにつきましては、大体手直しが終わり、一部残っておりますけれども、この一両年ぐらいで手直しがほぼ完了するかと思います。新しくできる発電所につきましては、そういった手直しのもとになるようなトラブルのもとができるだけないように、あるいはもし手直しが必要になった場合にわりに楽に手直しできるようにというような観点から改良標準化なども進めておりますし、現在までわかっておるようなそういう部分につきましてのフィードバックというのをいろいろやっておるわけでございます。ということでございますので、これから十年先の将来でございますと、原子力の稼働率というのは適正な水準を維持し得るというように考えておりまして、また、そうしないとバランス上も困る、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/129
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130・上坂昇
○上坂委員 そうしますと、一つは、電力会社は地域的な供給を持っておるわけでありますから、地域的に見て少しこれは危いな、足りないなと思われるところに対しては、結局優先的に設備の増設というものを認めていく、こういう立場をとらざるを得ないということなのかどうか、そこのところをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
それから、いまの六十年の促進ケースでいきますと、三千三百万キロワットでありますね。これは百万キロワットにしますと、さっきの単純な計算でいきますと三十三基になるのですね。八〇%稼働ですと四十一基建設をしなければならないことになる。ところがいまの一八・二のウエートを原子力に置くということになりますと、三千三百万キロワットを確保していかなければならない。そうしますと、設備利用率がよくなるという自信を持っておられるようでありますが、どうも私はその自信が持てないので、せいぜい五〇%ぐらいで続くだろう、こう思うのですが、その計算でいきますとこれが倍になりまして、六十六基ぐらい建てないとこれはもう計算ができない。電力供給が不足してしまう、こういう結果になってしまう。この狭い国土で六十六基また新しく建てられていくということはこれは大変な問題だし、立地条件から見てもなかなかむずかしい問題が続発するのではないか、こんなふうに考えざるを得ないわけでありますが、こういう考え方はできないのかどうか、その辺について御意見をいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/130
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131・武田康
○武田政府委員 地域的不足の問題から先にお答えさせていただきますけれども、先ほど申し上げましたように、電気事業九社を個別の地域で独立採算とでも言うのでしょうか、独立でバランスをとれという前提で勘定いたしますと、先ほどのように、会社によっては五十五年から適正保有率を割り、五十七年から赤字に——赤字というとおかしいのですが、不足になるわけでございます。もちろんまずはそれぞれ独立の会社でございますので、自力でその地域または自分の需要のあるところに送電線をつなげ得る範囲で努力すべきはもちろんでございまして、そういう意味では先生御指摘のように、そういう不足が真っ先に予想されるような場所ではまず優先して自分が努力をし、それから関係者もそれを応援する、これが当然のことでございます。ただきょう現在、将来に向かってもそうでございますが、日本の中は全部の地域が送電線でつながっております。したがいまして、仮に隣の会社に余裕があれば、あるいはお互いに足りなくても足りなさの程度が楽であれば融通を行うというようなことは、当然協力体制として考えるべきことかと思います。しかしそれがあるからといって当該会社がいわばのんびりして余り自分で努力しないということになりますと、これは全部を足しても足りなくなってしまうというようなことになりがちでございますので、融通があるからといって自分は努力しないというようなことではいけないわけでございまして、そこはそれぞれがしつかりやらなければいけないということであろうかと思います。
第二の三千三百万キロワットの目標で三十三基、これは百万キロワットといたしますとそうでございますが、現在のプランでは小さなものがすでに動いたりしておりますし、百万キロワットのものばかりこれからできるわけでもございませんので、三千三百万キロワット、四十基前後の数字になろうかと思います。これと稼働率の関係でございますけれども、私どものプランあるいは目標といたしましては、六十年度におきましても原子力発電所の稼働率は六五%前後というような目標でございまして、なおこれは年間の利用率でございますので、夏のピークのときには全部の発電所がとは言いませんけれども、四十台ぐらいございますと、三、四台−四、五台は手直しなり定検なりをしているかと思いますが、大部分が夏のピークに稼働するというような前提のプランでございます。それで、夏のピークに稼働して冬はお休みということでございますと、たとえばピークには十分役立ちながら年間の電力用としては五〇%の稼働しかしないという発電所も中にはあるかもしれません。しかし、そういうことで年間の利用率がそのままピーク供給の需給バランスに直接に影響するわけではございません。私どものプランは、全体として六五%ぐらいの稼働をし、夏の問はほとんどフルに近い状態で動く、こういうことでございます。その例の一番典型的なものは揚水発電所が、純揚水でございますけれども、昭和六十年度時点で二千万キロワット近くのものをつくりたいということで、これも全体のプランの中に織り込まれております。揚水発電所は御承知のとおりでございまして、年間の稼働率でいきますと、一割あるかないかということでございますので、利用率とそのピークバランスというものが必ずしも直接には影響しない、こういうことでございます。しかし、定性的には先生のおっしゃるような関連がございますので、私どもとしては稼働率というのを十分よく保てるような状態に今後ともアフターケアをしていかなければいけないということかと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/131
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132・上坂昇
○上坂委員 次に、ウラン資源の問題についてちょっとお伺いしますが、ウランの価格が先ほどもお話がありましたように非常に安いところから最近の値上がりはもう大変なものでありますが、昨年度は大体一ポンド四十一ドルを超していると思いますが、これからの予想は六十ドルくらいになるんではないかという予想を立てる人もおりますが、政府で立てておられるのはどのくらいの予想なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/132
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133・山野正登
○山野政府委員 天然ウランの価格の推移でございますが、アメリカのウラン取引仲介社でございますニューエクスコという会社の発表があるのでございますが、これによりますと、オイルショック前の昭和四十八年で酸化ウラン一ポンド当たり六ドル前後という数字がございますが、これが現在は先生おっしゃいますように四十一ドルを超えまして、大体一ポンド当たり四十三ドル前後ということになっております。今後の見通しでございますけれども、これは原子力開発計画の今後の予測いかんによるわけでございますが、的確な需給関係の予測というのは非常にむずかしいので、天然ウランの価格の予測ということも困難でありますが、石油ショックを境にしましたような急激な値上がりというのは今後はないのではないかというふうに考えます。ただ、一般的に言いまして、物価上昇による採掘コストの上昇ということは、これは次第にウランの賦存量がなくなっていくというふうな実態ともあわせまして、引き続き若干の上昇はあり得るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/133
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134・上坂昇
○上坂委員 急に五倍から六倍までこの数年間にウランの価格が値上がりした。この原因というのはいろいろあるだろうと思うのですが、一つにはウランの国際的なカルテルの動きがあったというふうに見られておるわけでありますが、現在この国際ウランカルテルについてはどういう推移になっているのか、御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/134
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135・武田康
○武田政府委員 ウランの値上がりの原因でございますけれども、石油危機以降世界的に資材、機材あるいは人件費というものが上昇いたしまして、これがコスト上昇の大きな要因の一つになっていると考えられるわけでございます。
それから、世界各国で原子力開発計画が進展しているわけでございますが、ウランの開発は探鉱から開発までに十年というリードタイムが必要でございます。そういった意味では急激に生産力を上げるというのも困難だ。したがいまして、当面需給が逼迫状況にあるということも価格上昇の一因かと考えられるわけでございます。
先ほどカルテルについてもお話がございましたけれども、石油危機の以前にウランの鉱石の値段が六ドルとか八ドルとか、そういうところで低迷していた時期がございますが、その時期に国際カルテルが存在していた、そういうようなことで、アメリカの下院において調査中というふうに私どもも聞いているわけでございます。私どもといたしましては、アメリカにおける事実の究明が行われているところでもございますし、一方関係国の一つでございますカナダ政府も自国の資源政策の観点から法律に基づく措置として行ったと発表しているところでもございますので、このような事態の推移を見て適宜対処をしてまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/135
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136・上坂昇
○上坂委員 いまのカルテルには主要天然ウランの産出国の二十九社、それにメジャーが参加している、こういうふうに言われているわけでありますが、八〇年までに市場分割を実施していくということを言っておるわけです。
〔委員長退席、小沢(一)委員長代理着席〕
そして重要なのは、カナダなり豪州などがわが国に対して、アメリカの新原子力政策の問題とこれを絡ませて、ウランの供給停止というものをてこにして、アメリカの原子力政策というのですか、そういうものを押しつけてきている、こういうふうにも言われているわけでありますが、日豪交渉あるいは日加交渉あるいは日米原子力協定のいろいろな問題、それから再処理をめぐる問題中でそういうことはなかったのかどうか、これをお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/136
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137・矢田部厚彦
○矢田部説明員 ただいま御指摘の点につきましては、米国の新核不拡散政策と申しますものは、プルトニウムというものが拡散することによって核兵器の拡散の危険がふえる、これを防止しなければならないということが発想となっておりますので、したがいまして、プルトニウムは利用しなくてもウランの資源は十分にあるのだ、あるいは濃縮のサービスの供給能力というものは十分にあるのだという議論が同時にございませんと、再処理をすべきでないといったような議論とは相矛盾することになるわけでございます。したがいまして、いままでのところ、少なくとも供給の方は制限するという動きは出ておらないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/137
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138・上坂昇
○上坂委員 国際ウランカルテルの問題については外務省としてはどの程度までこれをつかんでおられますか。内容的にはかなり深く調査をされておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/138
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139・矢田部厚彦
○矢田部説明員 先ほど通産省の方から御答弁がございましたように、米国政府等が調査中ということを私どもも承知しておりますが、それ以上のことは承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/139
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140・上坂昇
○上坂委員 そうですが。新聞なんかにはかなり詳しく出ているわけですが、外務省がつかんでいないのに新聞社の方がつかんでいるということになると、情報網は新聞社の方が確実であり発達しているというふうに見なければならないわけですが、これについては外務省としては特別に調べない、こういうことなんですか。いまアメリカのカルテルの取り扱いの問題で問題になっているところであるから、これには手をつけない方がいいだろう、こういうことなのかどうか、その辺、ちょっとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/140
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141・矢田部厚彦
○矢田部説明員 もちろんこの問題は日本にとりましても非常に関係のある点でございますので、米国の調査等が進みます段階におきましては、わが国といたしましても情報をとるというたようなことをいたしたいと思いますし、それに基づいて、必要があればもちろんわが方の主張を適宜先方に伝えていく、こういったようなことになろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/141
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142・上坂昇
○上坂委員 ウランの値段は大変な値上がりをしておりまして、せっかく原子力を一生懸命やっておられるということになっても、これはなかなか経済的に引き合わないような状況が出てくる場合には問題が出てくる。そしてその背景には必ず国際的なウランのカルテルがあるというのは大体通説になっていると思うのです。これがそのまま推移をいたしますと、ウランの手当てについてもなかなか容易でない事態ができてくるのではないかというふうに考えられるわけであります。
それからもう一つは、国際ウランカルテルというようなものがアメリカで取り上げられたからといって直ちに解消できるようなものでもないような気がするわけであります。そうしますと、かなり大きなウエートで私たちはこの問題を念頭に置いて原子力行政というものに対処をしていかなければならないのじゃないか、こういう感じがするわけでありますが、その辺は、いままでの答弁を聞きますと余り深い関心を持っていないような感じで、関心は持っているにしてもタッチしたくないような答弁なんですが、これは本音は一体どうなんですか。どこでお答えをいただいても結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/142
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143・山野正登
○山野政府委員 国際的なカルテルの有無のいかんにかかわりませず、私どもとしましては、現在必要な天然ウランと申しますのは主として長期契約によって確保いたしておるわけでございますけれども、従来このような長期契約をいたしておりますウラン資源国との友好関係というのはこの上とも進め、またさらにこれに加えまして、単なる長期契約のみならずわが国が進んで海外に進出いたしましてみずから探鉱開発を行う、いわゆる開発輸入というものの比重をふやしていくといったふうなことによりまして、たとえそのようなカルテルのような活動がございましても、できるだけわが国に対する影響を最小にするように努力していきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/143
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144・上坂昇
○上坂委員 これ以上のお答えが出ないようでありますから、次に移ります。
ウランの濃縮の問題ですが、アメリカのいわゆるDOEとのウラン濃縮の契約あるいは料金、そういうことについての内容を説明をしてもらいたいと思うのです。それからユーロディフとも最近契約を結んだように聞いておりますが、これについても契約の内容について概略ひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/144
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145・山野正登
○山野政府委員 ウラン濃縮につきます契約につきましては、現在のところ大体大まかに申し上げまして六千万キロワットの原子力発電所の稼働に必要な濃縮ウラン、大体西歴二〇〇〇年ないし二〇〇三年程度までのものを米国にいま委託契約をいたしておるわけでございますが、このウラン濃縮の役務価格は、昭和四十七年当時は一キログラム分離作業量当たり三十二ドルであったものでございますが、現在は一キログラム分離作業量当たり八十ドル前後といったふうな値動きを見せております。この価格上昇の傾向というのは、今後米国は新しい濃縮役務につきましては新しく新設する工場での生産量で賄いたいといったふうなことを言っておりますので、今後とも物価上昇に伴う若干のコスト上昇というのは覚悟せざるを得ないというふうに考えております。
それから一方、現在わが国はこのアメリカへの濃縮委託に加えまして、昭和五十五年から十年間にわたりまして発電規模にしまして大体九百万キロワット程度の発電量を賄うに足る濃縮ウランの役務契約というものをユーロディフと契約いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/145
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146・上坂昇
○上坂委員 この契約ですが、長期確定量の場合と要求量ですかの場合はどのぐらい違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/146
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147・山野正登
○山野政府委員 数字は後ほど、もし間違えておりましたら訂正させていただきますが、要求量方式によりますものが八十四ドル、それから長期の確定契約によりますものが七十九ドルというふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/147
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148・上坂昇
○上坂委員 この契約のやり方というのはユーロディフなんかの場合も大体同じなのかどうか、説明をいただきたいと思うのです。
そこで、これは契約期間というのが一体どのぐらいの期間この値段で契約できるのか、その辺についても御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/148
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149・山野正登
○山野政府委員 ユーロディフの方につきましてはこれはスライド制をとっておりまして、大体米国と同一水準でございますが、やや米国よりも高目といったふうなことになっております。それからアメリカの方はその都度先方が定めるといったふうなことになっております。米側が定めるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/149
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150・上坂昇
○上坂委員 よくわからなかったのですが、米側が定めるというのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/150
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151・山野正登
○山野政府委員 その時点におきます米側の価格というものをコスト計算いたしまして、米側の官報に公示するという方式によって決めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/151
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152・上坂昇
○上坂委員 いまお話聞いたのは、六千万キロワットに見合ういわゆるウラン濃縮の料金であって、これは二〇〇〇年から二〇〇三年くらいのところを対象にしているということですが、その間はいま言った八十四ドルなら八十四ドル、七十九ドルなら七十九ドルでずっと続く、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/152
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153・山野正登
○山野政府委員 先ほど申し上げました八十四ドル並びに七十九ドルという数字は現在の価格でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/153
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154・上坂昇
○上坂委員 そこで今度は研究用の高濃縮ウランの供給問題でありますが、これについてはいままでの契約はウランの普通の濃縮の契約と似たようなものなのかどうか、内容的に御説明をいただきたいと思うのです。
それからもう一つは、この供給問題についてなかなかアメリカとの交渉が難航しているというふうに聞いているわけでありますが、その点についての内容も御説明をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/154
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155・山野正登
○山野政府委員 アメリカから購入いたしております高濃縮ウランと申しますのはわが国の研究炉用のものでございまして、現在高濃縮ウランを使っております研究炉というのは原研で三つ、京都大学で二つ、計五つあるわけでございまして、これらの年間の必要量と申しますのは約九十一キログラムでございます。これを燃料交換の都度必要に応じて米国から購入いたしておるわけでございますが、昨年この高濃縮ウランの輸出につきましてアメリカが新しい手順を発表したわけでございます。
もともとこの高濃縮ウランの輸出につきましては、現在の日米原子力協定におきましても、二〇%を超える濃縮ウランについては経済的、技術的な必要性を十分審査してその輸出を許可するといったふうな趣旨の条項があるわけですが、これにつきまして昨年さらにその手順をしさいに定めたということでございまして、引き続き同じような審査基準で審査をいたしまして、必要なものは輸出するといったふうな政策になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/155
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156・上坂昇
○上坂委員 これは問題的にはいまの御説明によりますと大して問題がないように思うのですが、報道によりますと、かなりいろいろな条件をつけているように出ているわけですね。たとえば二月一日には原研など四原子炉に対しては低濃縮へ転換要求も来ている。それから使用目的を審査をする、こういった非常に厳しい規制というものが押しつけられてきているというふうに考えるわけであります。それでいろいろな説明によりますと、わが国の原子力に対する自主研究にもこういうことでは支障を来すのではないか、こういうふうにすら言われておるわけでありますが、こうした危惧はないのかどうか、またこれについてはいまどういう交渉になっていて、見込みは一体どういうことなのか、その辺も含めて御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/156
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157・山野正登
○山野政府委員 高濃縮ウランの輸出につきまして従来米側の手順というものが必ずしも明確でなかったものが、昨年その手順が明確化されまして、たとえば十五キログラム以上のものにつきましては大統領が直接決裁するといったふうな細かい具体的なことが定められたわけでございます。その背景には、アメリカがこのような高濃縮ウランというものの輸出を核不拡散の見地からできるだけ制限してまいりたいという考えがもちろんあるわけでございまして、そういう意味におきまして、主として研究目的でございますが、もし低濃縮ウランで全く同じ目的を達成し得る場合には可能な限り、低濃縮ウランに切りかえてほしいといったふうなことは、これは米側は当然言うと思いますけれども、しかし逆に低濃縮ウランに切りかえては研究目的を達成し得ないようなものにつきましては、先ほど申し上げましたように技術的な理由があるわけでございますので、そのようなものは米側も引き続き供給をしてくれるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/157
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158・上坂昇
○上坂委員 いまの段階ではこの要求についても大きな支障は来さない、そういう自信がある、こういうふうに解釈してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/158
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159・山野正登
○山野政府委員 きょう現在そのような困難はまだ生じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/159
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160・上坂昇
○上坂委員 外務省の方にお伺いしますが、日米原子力協定の改定交渉でありますが、その現況と見通しについて御説明をいただきたいと思うのです。それから改定協定の内容と、それが日本に対して予想される影響、これについて御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/160
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161・矢田部厚彦
○矢田部説明員 本年四月十日に施行されましたアメリカの新核不拡散法によりますと、アメリカが現在各国と結んでおります原子力協力協定、これは新しい法律に合致するように再交渉をする必要がある、こういうことになっております。したがいまして、日米原子力協定につきましてもその範囲内での改定の必要があるわけでございまして、いずれそのための具体的な交渉に入るべきときが来るということは予想されておるわけでございますが、現在のところ具体的な交渉に入ったというような段階ではございません。したがいまして、将来日米原子力協定改定がどのような形で行われるか、さらにそれがわが国に対してどのような影響があるかということにつきましての予測を申し上げるのはやや時期尚早ではないかという気がいたしますが、一般的に申しまして現在の日米原子力協定に比べますとアメリカの側の核不拡散を確保するという観点からの規制が強められるという方向での交渉が行われる、こういうことはいまの時点でもある程度見通せるのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/161
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162・上坂昇
○上坂委員 そうしますと、この問東海村の再処理工場の問題についていろいろ交渉があったわけでありますが、そういう交渉が日米原子力協定の背景としてあるいは内容として起こってくる可能性も十分あるし、そういうものが骨子の一つになる、こういうふうに予想して差し支えないと見ていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/162
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163・矢田部厚彦
○矢田部説明員 昨年の東海再処理施設の運転に関する日米交渉は、先生御承知のとおり現行日米協定の八条C項に基づくものでございますので、これは将来の新協定と申しますか改定交渉とは直接には関係がないと申し上げていいのではないかと思います。しかしながら、再処理に対するアメリカの事前同意権の問題以外に周辺的ないろいろな問題があるわけでございますから、もう少し広い範囲での交渉という意味ではもちろん両者に関係が出てくることは考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/163
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164・上坂昇
○上坂委員 どうも答弁が歯切れが悪いのでこちらも困ってしまうのですが、すると日米原子力協定改定の交渉についてはまだ始まっていないし、内容的にもどこが焦点になるかわからないからいま話すことはできない、この程度の予想しかできない、こういうことですね。
そこで、時間が来ますから再処理の問題についてお伺いしますが、その前に一つだけお伺いしておきたいのは、五月十日にこの委員会で公明党の近江委員が取り上げている問題であります。
米国の下院政府活動委員会が核燃料に関しての勧告案を出しておるわけでありますが、この問題について政府委員の牧村さんがこういうふうに答えているのですね。「米下院におけるブルックス委員会が、原子力発電所の許可をこの廃棄物処理等が完全に保証され、安全な処分が保証されるまでは進めないという趣旨のあれかと存じますが、これにつきましては現在外務省等を通じましてこの詳細をとって、わが国への影響等につきまして、アメリカの考え方あるいはそれがどう日本に影響するかということにつきまして検討をいたしたい、かように考えております。」こうなっておる。検計した結果どういうふうになっているか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/164
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165・牧村信之
○牧村政府委員 その内容は来たようでございますが、私まだ十分つかんでおりませんが、この報告を米議会並びに米政府がどう取り扱うようになるかは政府並びに議会がこれから判断することになるというふうに承知しております。米議会の事務局では、この報告は議会としての決議とかリゾリューションというようなものではなくて、あるいは政府等に何らかの義務を課すものではなくて、いわば提言とも言うべき性質のものであるというふうに言っておるようでございます。
それからNRC関係者が、これはアメリカの規制当局でございますが、この問題についてどう言っておるかということにつきましても、同委員会を含めまして、議会で意見を求められました場合には、当然NRCの考え方を証言することになるだろうというふうに言っておりますが、少なくとも現段階においては、NRCとしてはこの報告に賛意を表していないようでございます。
なお、詳細につきましては、最近参りましたので科学技術庁内部においてもまだ十分検討を進めていないのが現段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/165
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166・上坂昇
○上坂委員 この問題は非常に重要な問題だと思います。これは五月三日に新聞で報道されておりまして、「下院勧告は「使用済み核燃料や原子力利用に伴う使用済み放射性機材、物質が続々増えているにもかかわらず、これらの物質を安全かつ恒久的に処分する技術がまだ確立されていない」と指摘。」「現在全米各地で運転中の発電用原子炉が今後三十−四十年で寿命が来るが、その場合、撤去と処分に一発電所当たり最高十億ドルの費用がかかると予想され、」大変な問題になる、ここまで勧告をして、発電所をつくらない方がいいということまで言っているわけでありますから、これは非常に重要な問題だと思うのです。したがって、これは十分検討されると同時に、外務省を通じて得た情報について内容をわれわれにも配付をしてもらいたいと思います。この点は委員長で取り扱っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/166
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167・牧村信之
○牧村政府委員 米議会の決定につきまして、できるだけ早くお手元にお届けしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/167
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168・上坂昇
○上坂委員 再処理の問題でありますが、再処理の第二工場の規模の問題が出ておりまして、現在の東海再処理工場の七倍程度ということであります。この再処理工場が建設されるとすれば、これは六十五年を目標にしているようでありますが、この時点でわが国にできる原子力発電所のものを大体これで賄うことができるという見通しに立ってこれらの計画を立てられるのかどうか、その点だけお伺いをいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/168
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169・山野正登
○山野政府委員 現在考えております第二再処理工場の規模というのは、日産五トン程度でございますので、三百日稼働にいたしますと大体年間千五百トン程度の処理能力があるわけでございます。発電容量で申しますと大体五千万キロワット程度の発電規模を一年間支えるに足る再処理量というふうに考えております。したがって、現在東海工場での処理量、それから海外へ委託しておりますもの、それに加えましてこの第二再処理工場があれば、一九九〇年ごろの再処理需要は賄い切れると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/169
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170・上坂昇
○上坂委員 そこで、この再処理の問題の結論でありますが、アメリカの厳しい姿勢というのは、簡単に言ってプルトニウムはやはり悪いものであるという結論だと私は思うのです。プルトニウムは使ってはいけないのだということだろうと思うのです。これは軍事転用ばかりではなくて、現存するところのいろいろな物質の中でプルトニウムぐらい悪いものはない、こういう観点に立って物事を考えていかなければならないのじゃないかと思うのです。
そこで、私は一番先にエネルギーとは何であるかということを質問したわけでありますが、エネルギーというのは結局、言ってみれば人間生活にとって欠くことのできないものあるいは人間生活をより豊かに発展させるために必要なものをつくり出す原動力となる、そういう物質的な価値をつくり出していくときに必要な動力なり熱源というものであろうと私は思っておるわけであります。ところが、プルトニウムは、一面、人間の生活を破壊し、人類を破滅に導くようなものである、あるいはまた、そのプルトニウムをつくる再処理工場なりこれからどんどんつくり出されていく原子力発電所そのものが、壊すことのできないように永久に子孫に対してマイナスの負担だけを負わせるようなものであるとするならば、これはやるべきではないと私は思うのです。どんなエネルギーであっても、そのエネルギーはマイナスに転化をしていくことになってしまうので、これはやるべきではない。そういう点をしっかりと身につけて考えていかないと、アメリカの新しいエネルギー政策いわゆる核政策に対しても対処することができないし、自信を持って外交問題に取り組んでいくことができないのではないかと私は思っておるわけでありますが、そこのところは、私がここで意見を言ったって、そんなことはないので、電気量が足りないのだから、とにかくつくらなければだめだという答えしか返ってこないと思うので、この辺は答えは要りません、ただ私の意見だけを述べておきます。
最後に、広報の問題についてお伺いをいたすわけでありますが、過日、科学技術庁は広報の募集を行ったわけであります。それに対して宣興社という会社が応募をしました。そして近代映画協会に発注して十六ミリのテレビ映画をつくらせることに契約をしたらしいのです。これは十二チャンネルに乗っかるわけだったのですが、脚本は新藤兼人氏でありまして、監督の神山征二郎という人が演出をすることになっているわけであります。これは私の郷里の吉野せいさんという人が書いた「洟をたらした神」という著作の映画化なのです。
概略申し上げますと、一月の下旬に新藤兼人さんが吉野さんのところを訪問いたしまして、そこで脚本の第一稿を見せたのです。ところが、とんでもないことが書いてあるわけであります。というのは、そのうちにいない長男、別なところにいる長男をいたことにして、しかもその長男は全然別の仕事をしているわけでありますが、これを原子力発電所の職員に仕立てて、そしてあたかも原子力発電所が非常にいいもので、いまの文明の世の中を救っていくものだというようなかっこうでのPRにしたわけであります。ところが、この「洟をたらした神」というのは全然そんな性格のものじゃないのです。
そこで私がお伺いをしたいのは、こういうものをやる場合には、そうした原作というものは、科学技術庁は一体目を通さないのかどうかということが第一点です。原子力発電所が載っかっておれば何でも全部PRに乗っけてしまって、これは契約一千五百万円でありますが、それを契約してしまう、こういうようなことをやっているのかどうか、その辺が問題なのです。これが第一点です。
そこで今度は、第一稿というか脚本を見てこれはおかしいということになって、原発なんかに勤めているはずがない、こうなったら、第二稿ではそれを火力発電所に変えてきたわけですね。ところが、原発が火力発電所になろうと、この吉野せいさんという人は吉野義也という農民詩人の奥さんでありまして、いわゆる御主人とともに土に生きてきた人でありまして、原発を謳歌するような人ではないのですね。したがって、この脚本そのものは吉野さんの人間性を全く描いていない。スポイルしている。これはだれが見てもそうだということで、これでは困るというのでクレームがついた。しかし、火力発電所に勤めたことにしてでき上がってしまったようであります。そこで科学技術庁はスポンサーから手を引いた。その辺のところがどうも明朗でないのです。いま近代映画協会の方も実は突如として手を引かれてしまったものだから大変困ってしまって、しようがないからいよいよつくらざるを得ないということでつくったわけですね。ところが、十二チャンネルに乗っからないのですよ。だから、これはますます大変なんですよ。そこで、いま自主上映に踏み切らざるを得ないというところまで影響が出ているのです。これは何か原子力というものを単に利用してPRに使うということだけで、著作権の問題もいわゆるこれを書いた人の精神も全然考慮に入れない、あるいは近代映画協会の方の経営も、そんなこともお構いなし、こういう残酷なやり方では非常にまずいのじゃないかと私は思うのですね。その点の実情はおわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/170
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171・山野正登
○山野政府委員 ただいまの点、大変大事な問題だと思いますので、担当局長をいま呼び入れまして御答弁申し上げますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/171
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172・上坂昇
○上坂委員 それじゃ、これは要望だけにとどめて私の質問を終わりますが、これは著作権の侵害になるので、ここのところをひとつ調べてもらいたいのですが、これは著作権法第二十条、同一性保持権というのがあるのです。著作者は内容の変更、切除、改変を受けない権利を有しているのです。それから同法の第六十条、これは著作者が存しなくなった後における人格的利益の保護、この問題を公衆に提供し、あるいは提示する者の守るべき義務としてあるわけです。これに違反をしている。というのは、吉野せいさんという人は昨年の十一月に亡くなられたのです。この辺のところを、予算の面からも問題があると思いますが、ひとつ十分調査をされて、また機会を見て質問をいたしますから、そのときには満足のいく答えをしていただくようにお願いをします。
私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/172
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173・小沢一郎
○小沢(一)委員長代理 次に、貝沼次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/173
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174・貝沼次郎
○貝沼委員 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案について質疑をいたします。もう何人もの委員の方からこの法律のバックグラウンドにつきましてはずいぶん議論が出ておりますので、私はむしろ法律について一つ一つ確認なり質問をしてまいりたい、こう思っております。そこで、今回のこの法律案は再処理の民営化ということが一つの山になっておりますが、この法律改正の目的というのは一体どこにあるのか、この点についてまずお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/174
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175・山野正登
○山野政府委員 わが国の原子力開発、利用の進取に伴いまして、原子力発電規模も年々増大してまいったわけでございまして、いよいよ原子力平和利用というものも本格化してきたわけでございますが、今後ともエネルギー政策上この原子力平和利用を進めてまいりますためには、どうしても国内に核燃料サイクルを確立する必要があるわけでございます。特にその中でもアップストリームの濃縮とダウンストリームの再処理というものは燃料サイクルのかなめとしてきわめて重要な問題でございます。そこで、政府といたしましても動燃事業団におきまして再処理のパイロットプラントをつくりまして現在技術の実証を進めておるわけでございますが、できるだけ早くこの技術を基礎にいたしまして国内に自主技術による再処理工場をつくりまして、国内にこの燃料サイクルのかなめとしての再処理事業というものを確立したいというふうに考えておるわけでございます。
そういう意味におきまして、現在の原子炉等規制法におきましては、再処理事業というのは動燃と原研事業団、両事業団のみに限られておるわけでございますが、これを民間にまで行い得るように広げまして、本格的な原子力平和利用時代に備えたい。ただ、これは単に再処理事業を行い得る者を広げるというにとどまりませんで、あわせてその際に安全確保上等、安全管理面での強化といったふうなものもあわせ図りたいというのがこの法改正の目的でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/175
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176・貝沼次郎
○貝沼委員 民営化とそれから第二再処理工場をつくるということだと思いますが、この両方考えた場合に、民営化ということに力がかかっておるのか、それとも現在の動燃の東海村の工場ではとても間に合わないので、第二再処理工場をつくることがもう一番大事な目的であるというふうに考えた方がいいのか、これはどっちの方にウエートがかかっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/176
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177・山野正登
○山野政府委員 民営化にウエートがあるか、あるいは供給力の増大にウエートがあるかという点でございますが、これは密接不可分に絡み合っている問題でございます。将来の再処理需要を賄いますためには、現在の東海工場の処理能力だけではもちろんこれは不足でございますので、商業規模のものをつくる必要がある。その商業規模のものを進めるに当たりまして、民営で行うかあるいは国営で行うかということになるわけでございますが、私どもは、わが国の電力事業というものが民営であるということからしまして、また、民間の活力を活用するという意味からしまして民営という道を選んだわけでございまして、そういう意味で、将来の再処理需要に備えるために実用規模の大きさの再処理工場をつくる必要がある。その実用規模の再処理工場をつくるに当たっては、これを民営で進める。この両方を合体しまして今回のような法改正になったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/177
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178・貝沼次郎
○貝沼委員 私企業が中心だからということで、民営という話が出てきておりますが、民営でなければならないという理由はほかにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/178
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179・山野正登
○山野政府委員 わが国におきましては、私企業体制というのが基本になっておるわけでございまして、私企業でどうしてもできない分野のみを政府がみずから行うという体制になっておるわけでございます。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、民営で行われております電力事業の一環としまして、そのシステムの中に組み込まれるべき再処理事業も民営で行うべきではないかというふうに考えるわけでございまして、できるだけ将来できます再処理工場というものを効率よく動かすためにも、その方が望ましいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/179
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180・貝沼次郎
○貝沼委員 くどいようでありますが、それでは国営でまずい点というのはどういう点ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/180
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181・山野正登
○山野政府委員 特に国営でまずい点というものを思い当たるわけではございませんが、むしろ民営で行うことによりまして、公益事業全体としての整合性を私企業がみずからの手で図っていくということ。また、先ほども申し上げましたように、民営企業の有利さという点で民間の活力を活用し、かつ効率性を高める、あるいは事業の採算性を高めるといったふうなことは、これは国営よりも民営の方がより望ましいのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/181
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182・貝沼次郎
○貝沼委員 私は、何も国営を主張しているわけじゃありませんが、この際民営化と言う以上は、これをはっきりしておかなければならないという立場からお尋ねをしておるわけであります。
それから、安全性の確保という立場から考えた場合には、国営と民営というのはどちらがやりやすいとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/182
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183・牧村信之
○牧村政府委員 原子力の施設の安全性確保を図っていく規則を考えました場合に、民営であろうと、あるいは国営あるいは事業団のような国に準ずる法人が行おうと、全く同じ立場でなければいけないと思いますので、そういう意味合いからは、どちらが行おうとも同じ立場でやらなくてはいけないし、また規制も行わなくてはいけないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/183
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184・貝沼次郎
○貝沼委員 それでは、たとえば技術の面でいろいろなノーハウの問題が出てくると思いますが、これが民営でやってまいりますと、出発時点ではなしに、その後においてたとえばほかの国の会社と技術面の提携とか、何かそういうものが起こった場合において、民営はやはり民営でありますから、そこに企業秘密という問題が当然起こってくるだろうと思うわけであります。国営であれば、国が直接それを見ていくわけでありますから、これは直接監督する立場からは問題はないわけでありますけれども、この辺の違いは将来起こってきませんか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/184
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185・牧村信之
○牧村政府委員 この問題につきましても、たとえば導入技術ということに着目した場合には、国が導入した場合におきましても、外国の、たとえば民間企業等から技術を導入した場合には、外国との約束において守らなくてはならない商業機密というものは当然あるわけでございます。それから、国営企業がみずから再処理工場の技術をつくり、開発したというような場合には、当然そこにおいて、先生おっしゃいますような、みずからつくったものに対する企業の秘密というものは、原子力の三原則によって、その成果は公開するということでございますので、そういう問題はないわけでございます。したがいまして、民間の再処理会社がみずから技術を開発して行われたものの中に商業機密が全く起こらないかということとの関係におきましては、確かに先生おっしゃいますよりな商業機密が介在する余地が多く含まれるとは思いますけれども、私どもの立場から申しますと、この再処理施設等の安全を確保する上での意味合いにおきましていろいろな審査等をいたしておりますけれども、ここにおきましては企業秘密であってもすべて提出させて安全審査をしておるというのが現実でございますので、今後安全規制の観点からの確保を図るという意味合いにおきましては、何ら差がないものとして十分規制を行っていけるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/185
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186・貝沼次郎
○貝沼委員 もう一点だけ確認しておきたいと思いますが、いまこの法律をつくらなければならない理由、いま急いでつくらなければならないその理由はどこにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/186
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187・山野正登
○山野政府委員 将来の再処理の需給を考えました場合に、現在は動燃のわずかな能力と海外委託によってしのいでおるわけでございまして、これで大体一九九〇年ぐらいまではしのげるわけでございますが、それ以降の手当てというものを早急にする必要があるわけでございます。それを先ほど申し上げましたように国内に自主的な工場をつくってやっていこうということでございます。再処理工場の建設には大体十三、四年かかるというふうに言われておりますので、一九九〇年に運転開始を目指すといたしますれば、さっそくきょうただいまから準備に着手する必要があるわけでございまして、これまでも産業界におきましては準備組織をつくりましていろいろ調査等を進めておりましたが、いよいよ会社をつくりましてこの第二再処理工場の建設に備えるといったような時点になったわけでございます。再処理の会社をつくるとなりますれば、現在原子炉等規制法によっては動燃と原研以外にはそのような事業というのは許されていないわけでございますので、法律に許されていないことについて準備を進めるというのはいかがなものかということは当然ありますし、また、準備を本格的に、かつ真剣に進めていくためには法的にも道を開いておく必要があるというふうに判断しまして、できるだけ早い御審議をお願い申し上げて、産業界におきましてこの法律が成立次第準備会社の設立ができるように御配慮いただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/187
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188・貝沼次郎
○貝沼委員 それでは法案の中に入りますが、再処理という言葉がしょっちゅう使われております。そこで、処理という言葉の定義というのは、これは決まっておりますか。決まっておるなら、どういう定義になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/188
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189・山野正登
○山野政府委員 原子炉等規制法の二条七号におきまして「「再処理」とは、原子炉に燃料として使用した核燃料物質その他原子核分裂をさせた核燃料物質から核燃料物質その他の有用物質を分離するために、使用済燃料を化学的方法により処理することをいう。」このような定義があるわけでございます。先生御承知のように、使用済み燃料の中には、生成しました放射性廃棄物以外にも再び燃料として使えますウランとかプルトニウムというものが含まれておるわけでございますので、放射性廃棄物とこのような有用に活用できる燃料資源とを分離して、使えるものは再利用を図る、これが再処理の目的でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/189
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190・貝沼次郎
○貝沼委員 この四十四条で「事業の指定等」が行われております。そこで、ただいまお話がありましたように、「動力炉・核燃料開発事業団及び日本原子力研究所以外の者で再処理の事業を行おうとするものは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の指定を受けなければならない。」とあって、次の第二項にその「指定を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。」こうなりておるわけですね。これはよくわかるわけです。それで「次の事項」というのがずっと次に書いてありまして、氏名とか名称、住所、これらは代表者でありますから問題はありません。第二番目の「再処理設備及びその附属施設を設置する工場又は事業所の名称及び所在地」これはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/190
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191・山野正登
○山野政府委員 「再処理設備及びその附属施設を設置する工場又は事業所の名称及び所在地」読んで字のとおりだと存じますが、この工場あるいは事業所の名前と所在地ということでございますが、恐れ入りますが、先生の御質問の真意をもう一度お聞かせいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/191
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192・貝沼次郎
○貝沼委員 指定を受けようとするのは、いま私が考えておりますのは、日本の電力会社、これですね。それでその再処理施設を設置をする工場、それから名前、その所在地、この工場の所在地というのは書けるんでしょうか、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/192
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193・山野正登
○山野政府委員 この再処理事業を行いますのは電力業者が直接行う場合もあるいはあり得るかもしれませんが、現在私どもが想定いたしておりますのは、電力事業者が中心になりまして、関連業界等の協力も得てつくられます再処理事業の新しい会社というものがこれに当たることになろうと思うのでございます。その会社が設立されまして立地を選定いたしまして、工場をつくる場所が決まればその事業所の名称並びに所在地というのが決まってくるわけでございまして、これはこれから準備会社をつくって準備を始めますけれども、事業所の名前とか所在地といったふうなものは準備を始めまして、恐らくは二、三年、あるいは三、四年間のうちに、このあたりのものは今後決められまして、その時点でこのような申請が出されるものと考えられますので、その時点におきましては設置する工場または事業所の名称及び所在地といったふうなものは確定していようかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/193
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194・貝沼次郎
○貝沼委員 そういうことなんですね。ですから、この法律はそれほど急ぐことはないと私は言っているわけであります。この法律ができても実際は三、四年先にこの指定の申請が出てくるわけであります。ところが、科学技術庁の説明の。パンフレットによりますと、会社の設立は一九七八年になっておるわけですね。ところが、いまの説明だと、ことしじゅうには再処理工場とかそういう指定を受けた会社というものは設立はされないことになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/194
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195・山野正登
○山野政府委員 お示しのスケジュールでございますように、法律が成立し次第再処理会社というものを設立しまして必要な準備作業に入りまして、事業の指定等申請しますのは二、三年先ではございますが、その問に用地取得等の必要な準備作業をするわけでございます。その準備作業をいたします際に、先ほども申し上げましたように法律上禁止されておることにつきまして用地の取得といったふうな準備作業をするというのは必ずしも適当でないわけでございますので、法律で将来行い得る道が開かれておるということを前提にして初めてこのような準備作業というものも行い得るわけでございますので、御指摘のように確かに申請を出しますのは数年先になるわけでございますが、それまでの準備を行いますためにも法律上その道が開かれていることが必要であるというのが私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/195
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196・貝沼次郎
○貝沼委員 数年先ということですね。二、三年先か三、四年先かわかりませんが数年先。ところが、現在準備会社をつくるのでしょうけれども、その会社をつくること自体にしても、法律でないものはやるわけにいかない、だから法律が必要なんだと言いますが、動燃並びに原子力研究所、これはすでに認められてあるわけでありますから、その名前において、その名のもとに用地等を獲得することは法律には違反しないわけであります。第二再処理工場というのは必ず民間である、民営化であるという定義はどこにもないわけでありますから、いまの法律でも、準備すること自体は、これはやってはいけないということはないだろうと思いますが、これはいかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/196
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197・山野正登
○山野政府委員 第二再処理工場の敷地に充てられる場所、立地につきまして動燃事業団がその選定を進める、準備作業を進めるということが動燃事業団の業務の範囲に含まれ得るかどうか、これはちょっと検討しないと即答いたしかねますけれども、第二再処理工場の敷地の選定というものは、やはり将来その第二再処理工場を実際に建設し運転を行うものが自分で行うというのが最も望ましいというふうに考えておるわけでございまして、特に原研あるいは動燃事業団が立地を選定する方が特段に有利な面があれば、その点についてもまた検討の必要があろうかと存じますが、ただいま現在私どもはその方が有利であるというふうに考え得る点も特にないと存じますので、現在考えておりますように、将来この再処理事業を行う中心になります業界がこの準備に当たるのが最も望ましいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/197
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198・貝沼次郎
○貝沼委員 この場所につきましてもいろいろうわさが出ておりますけれども、やはりそう簡単には、いま局長がおっしゃるように場所が決まるのが二、三年とか三、四年とか、そうではないようですね。いまのところたとえばうわさに上っておりますのが——この法律が通ればの話ですよ。うわさに上っておりますのが北海道の奥尻島ですか、それから鹿児島県の徳之島。先般の委員会でもわが党の近江委員がこれを質問いたしましたが、こういうようなことはうわさの話でありまして、まだまだ海の物とも山の物ともなっていないわけであります。ただ、こういうような敷地問題は二、三年で、あるいは数年のうちに解決がつくという見通しなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/198
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199・山野正登
○山野政府委員 これまで立地の調査をいたしておりましたのは、濃縮・再処理準備会という準備組織があったわけでございまして、地図の上におきましてかなりの数の調査をこれまで進めてきたわけでございますが、実際の現地における現地調査といったふうなものはまだこれまで行っていないようでございます。
再処理施設の立地というのは、原子力発電所の立地も非常に難航する昨今でございますので、かなりむずかしい面もあろうかと思いますが、将来の再処理事業の重要性というものも考えて、できるだけ官民協力して特段の努力をして、いま申し上げておりますようなスケジュールに間に合うようにやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/199
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200・貝沼次郎
○貝沼委員 ついでですからちょっとお尋ねしておきますが、大体こういう再処理工場、再処理設備というようなものができる場所の条件、たとえば人口密集地との距離とか、あるいはその周辺の人口の分布であるとか、あるいはその敷地の広さであるとか、海までの距離であるとか、条件がいろいろあると思うのですが、その辺のところは科技庁としては考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/200
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201・山野正登
○山野政府委員 細かい点につきまして私まだ存じておりませんけれども、ごく大ざっぱに申し上げまして、大体敷地面積にいたしまして二百万坪程度、それから人の住んでおります住宅地域までの距離が大体二キロメートル程度、それから当然のことながら必要な電力あるいは水、それから海上輸送等もございましょうから、必要な陸揚げ設備といったふうなものも必要かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/201
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202・貝沼次郎
○貝沼委員 それはまた後で時間があればやります。
その次に、三番目は、「再処理を行う使用済燃料の種類及び再処理能力」、これは何回も答弁が出ておりますから、申し上げません。
それから四番目の「再処理施設の位置、構造及び設備並びに再処理の方法」こうなっております。この再処理の方法は、いつごろ決定されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/202
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203・牧村信之
○牧村政府委員 この時期につきましては、用地の取得の時期、それに見合った設計が行われると考えるべきであろうと思いますので、この設計作業というのがずっと書いてございますが、用地の取得が終わり、その用地に見合った設計をするわけでございますが、その設計の基本的な設計が済んだ時期に最終的に決定し、こういう申請が出てくるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/203
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204・貝沼次郎
○貝沼委員 それは逆なんじゃありませんか。基本的な方法が決定されなければ、設計はできないのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/204
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205・牧村信之
○牧村政府委員 おっしゃるとおり、当初基本的な設計をつくるわけでございますが、その会社が設立されてそういう作業をいたしますけれども、どこに用地が決まるかということとの関連で、一般的なプラントの設計はできたとしても、環境に及ぼす影響等を十分評価するに足る基本設計は、その時点ではでき得ないわけでございますので、その用地がどこになるというところで、その用地の環境上の問題との兼ね合いにおきまして基本設計をつくり、その上でその方針を決定して申請が出てくるというふうに考えられるわけでございます。その後、その基本設計の安全審査が済みますと、詳細設計を詰めていくわけでございますが、会社としては、恐らく準備は十分この設計段階においてもしておるものと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/205
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206・貝沼次郎
○貝沼委員 この再処理の方法というのは、たとえば単体抽出であるとか混合抽出であるとか、こういうことは入るのですか入らぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/206
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207・牧村信之
○牧村政府委員 当然入ってこなければならないものでございます。いま考えておりますのは、動燃事業団が行っております再処理の手法でございます湿式ピューレックス法を考えて、いろいろな準備を進めておるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/207
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208・貝沼次郎
○貝沼委員 この説明書にも「湿式ピューレックス法を予定(INFCEの結果によっては変更することもあります。)」こうなっているのですね。このINFCEの結果はいつ出てきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/208
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209・山野正登
○山野政府委員 現在INFCEは来年の十月を目標といたしまして、作業を進めておるわけでございます。いま考えておりますのは、湿式ピューレックス法というのは、東海の工場がこの方法によって運転しておるわけでございまして、単体抽出法も混合抽出法も、等しくこのピューレックス法ということはできるわけでございますが、当然INFCEの研究の成果とか、あるいは動燃の工場において行っております混合抽出法の研究の成果といったふうなものも取り入れまして、第二再処理工場には生かしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/209
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210・貝沼次郎
○貝沼委員 そういうことですから、これを申請書に書き込む時点というのはずいぶん先の話だということですね。全部これができ上がってからのことです。
さらに五番目、「再処理施設の工事計画」、これは計画ですからよろしいでしょう。
それから、「使用済燃料から分離された核燃料物質の処分の方法」、これは核燃料物質の処分ですからいろいろあるわけでございますが、ハイレベルからごく低レベルまであるそうでございますが、これら一つ一つについて廃棄物等はどのように処分するのか。これはいま方法は決定しておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/210
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211・牧村信之
○牧村政府委員 この廃棄物処分に対します基本的な考え方は、原子力委員会で検討いたしまして決定されております。
中身を若干申し上げますと、きわめて低レベルの廃棄物であります気体状の物、あるいは液体状の物は、希釈いたしまして環境に放出いたします。それから再処理工場から出てまいりますその他の廃棄物は、非常に高い、高レベルの廃棄物でございますが、これらのものは、液体の物につきましては安全に管理できるようにされた工学的に管理ができるタンクに貯蔵する。それから固体廃棄物は施設に当面保管するということを考えております。
それで、技術が確立した後で、恐らくこれから約二十年くらい先になると思いますが、実際の処分が行われるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/211
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212・貝沼次郎
○貝沼委員 いま局長の答弁ですと、再処理された後の廃棄物の処分の方法はすべて決定しておるというニュアンスだったと思いますが、本当にこれはすべて決まっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/212
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213・牧村信之
○牧村政府委員 私が申し上げましたのは、処分の方法の考え方が決定されておるということを申し上げましたので、少なくとも再処理工場が十年ないし十五年の間、処理をしました廃棄物を安全に敷地内に確保する技術は現在技術的にも確立されていると思います。しかしながら、先ほど確立されていないと申しましたのは、それを安全な状態に固化してたとえば地層の中に処分するという技術につきましてまだ確立されていない面があるわけでございますが、これもその技術の確立を待ってその安全性が確認されればそういう処分を行いたい、行うのだという方針につきまして、原子力委員会でそういう考え方が示されておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/213
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214・貝沼次郎
○貝沼委員 この法律で求めておるのは、考え方だけを求めておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/214
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215・牧村信之
○牧村政府委員 現在、規制法の改正をお願いしておりますが、そういう考え方でいろいろな措置がとられるときに十分な規制がし得ることを担保できるような法律の改正をお願いしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/215
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216・貝沼次郎
○貝沼委員 いやいやそうじゃなしに、いま申請書の内容を言っているわけですよ。申請書の内容に「核燃料物質の処分の方法」と書いてありますが、この「処分の方法」という言葉は考え方だけを書けばよろしいのですかと、こう言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/216
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217・牧村信之
○牧村政府委員 先生のおっしゃっておりますのは六号を御指摘ではなかろうかと思うのでございますが、これは再処理をされまして、その結果分離されたプルトニウムとか減損ウラン等の処分の方法について出してくるような規定でございます。むしろ第四号の「再処理の方法」の中に廃棄物をどういうふうに環境に捨てるあるいは貯蔵する、保管する、そういうようなことはこの第四号の計画の中に記載されてくる。したがいまして、最終処分につきましては当面、現在技術が確立されておりませんので、これはそれまで当然安全に保管するというようなことで申請が出されてくるものと考えられます。これはすでに動燃の再処理においても同様な措置をとっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/217
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218・貝沼次郎
○貝沼委員 したがって、これができ上がるのは一体いつごろになるのでしょうか。その見通しはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/218
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219・牧村信之
○牧村政府委員 先生の御指摘の意味があるいはちょっと違っておるかと思いますが、先ほどから原子力局長も答弁しておりますように、一九九〇年ごろに運開したいということで産業界の方で計画が進められておるわけでございます。したがいまして、その時点におきまして、先ほど申し上げました少なくとも廃棄物処理、保管ということにつきまして十分な形の施設ができ上がるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/219
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220・貝沼次郎
○貝沼委員 施設はわかるのです。施設はわかるのですがいまの、私が言った廃棄物の方は、どこにも書いてありませんのでどっちの方かなと思っておりましたが、むしろ第四号に入るという話でしたから、四号でも六号でも構わないのですが、要するにその廃棄物の処理の仕方が、現在の科学技術ではまだ決定的なものは出ていないということでありますから、それを全部書き込んで申請書を出すのには、一九九〇年までこれを研究しておればいいということではないわけですね。一九九〇年まで研究しておったら一九九〇年に申請書が出てくることになるわけでありますから。したがって、この申請書の中には単なる考え方のみを書くのではなく、その方法において確実なものが見つかった上で、こういう方法によって処理、処分をいたしますということで申請が出るのだと私は考えますので、それでその方法ができるのは一体いつごろなんですかということを尋ねているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/220
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221・牧村信之
○牧村政府委員 これは現在の技術水準から申しまして、再処理工場から出てまいります高レベルの廃棄物は保管という形で対処することになると思いますが、この技術につきましては、すでに動燃事業団におきましても同様の施設をつくり、現在それを用いられておるわけでございますので、そういう意味合いから言いますと、申請のときにそういう方式につきまして技術の中身を添付したものを申請書として出されてくるわけでございます。したがって、指定を受ける段階でそういう考え方が出てくると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/221
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222・貝沼次郎
○貝沼委員 そうすると高レベルは保管いたします。こういう考え方でもよろしいということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/222
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223・牧村信之
○牧村政府委員 現段階におきましてそう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/223
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224・貝沼次郎
○貝沼委員 現段階でそう考えておるということは、次の段階ではそう考えていないということですね。この第二再処理工場は一九九〇年以降、いつになるか私はわかりませんけれどもこの表でいきますとそうなります。ところがいま、その時点の議論をしているわけですよ。その時点の議論をしておるのに現在の考えだけですべてを判断してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/224
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225・牧村信之
○牧村政府委員 第二再処理工場が建設されますときの考え方は、高レベルの放射性廃棄物の処理は先ほども申し上げましたように当分の間保管するという形で出てくるはずでございます。先生のおっしゃいますその技術開発につきましては、また別途動燃事業団あるいは原子力研究所等でいろいろ研究されておりますが、これが実証試験等も済みまして実用化が進むのは、日本におきましては昭和七十五年ごろを目指して研究開発を進めようとしておるわけでございます。ここで確実な方法が実証され処分ができるという段階に、当然その処分の変更を来すわけでございますので、その際に変更許可を与えて、そういう処分を行わせるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/225
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226・貝沼次郎
○貝沼委員 まだそこまで技術はいっていないわけです。それにもかかわらずいまどうしてこんなに急がなければならないのですかということが、私は非常に疑問なわけであります。すぐにこれを指定することもできない、しかも、その指定する申請書の内容というのはこれから検討しなければならない部分が含まれておる、それにもかかわらずこの法律を早く通したい、その本当の意図というのは一体何なんだろうかということを私は聞きたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/226
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227・山野正登
○山野政府委員 先生御指摘のように、この一連の再処理技術の中には、いろいろと今後まだ技術開発を進めていく必要のあるものがあるわけでございますし、また再処理工場の本体につきましても、これはすでに二十年程度の歴史を持って、確立された技術と私ども思っておりますが、これについてもなおかつ改善の余地というのはもちろん多分にあるわけでございまして、そういう今後の技術開発の成果も織り込みながら、第二再処理工場というのはつくっていくわけでございます。
ただ、いま先生御指摘の高レベル廃棄物の処理、処分につきまして、おっしゃいますようにわが国を含めて諸外国におきましてもまだまだ研究開発の段階ではございますが、しかしこれは海のものとも山のものともわからないという段階ではございませんで、先進各国の考えております大きな管理体系といたしましては、高レベル廃液のタンク貯蔵から固化に処理し、工学貯蔵してこれを最終処分をするという一つの管理体系としまして、共通的にそういうふうな方向で考えておるわけでございますし、また、いま申し上げました体系の各段階につきまして、欧米諸国におきまして、早いところではすでに実証試験に入っておるところもあるわけでございます。わが国は残念ながら若干おくれまして、たとえば固化処理にしましても、まだまだ放射性廃棄物を使わないコールド試験の段階ではございますけれども、こういう諸外国の研究開発の実態等をにらみ合わせまして、十分に実用化のめどはあるという確信を持っておる。これは日本だけではございませんで、米国、フランス、西独等、すべてそうだと思うわけでございまして、そういう見通しのもとに、将来のエネルギー政策のために第二再処理工場をつくっていくというわけでございます。
〔小沢(一)委員長代理退席、委員長着席〕
もちろんあらゆる技術が確立されておることが最も望ましいことではございますけれども、しかしエネルギー政策上の必要性から、できるだけ早い機会に再処理工場をつくる必要があるという要請が一方にあり、また一方には、それに耐え得るだけの技術開発というものは十分に行い得るという見通しもあるわけでございますので、その両面の判断に立ちまして、私どもは第二再処理工場の建設準備をただいまから始めたいと考え、このような法案の審議をお願いしておる、このような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/227
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228・貝沼次郎
○貝沼委員 原子力発電所がある限り、原子力エネルギーを平和利用する限り、再処理というものは避けることはできません。しかしながら、いま私が指摘いたしましたように、この法律が通ったからといって、すぐ物すごい威力を発揮するものでもなければ、まだまだ研究しなければならない技術の範囲というのは相当ある。これを一つ一つ押していきますと、ちょっと急ぎ過ぎではありませんかという感じがしてくるわけであります。
それで先ほどの問題でありますが、これは五十一年十月八日の原子力委員会の「放射性廃棄物対策について」という文書でありますが、これによりますと、「高レベル放射性廃棄物対策の目標及び推進方策」というのが出ておりまして、「固化処理及び貯蔵については、試験施設の建設に係る期間を考慮し、今後十年程度のうちに実証試験を行うことを目標とする。また処分については、当面地層処分に重点をおき、我が国の社会的、地理的条件に見合った処分方法の調査研究を早急に進め、今後三−五年のうちに処分方法の方向付けを行うものとし、さらに昭和六十年代から実証試験を行うことを目標とする。」こうなっております。したがって、はっきり言えることは、このスケジュールからいきましても、そう簡単にできるものではないということですね。ところが、そのことがここでは要求されておるということであります。さらに、この廃棄物のことをもっと詳しく本当はやりたいのでありますが、きょうは時間があるかないかどうもはっきりしませんので……。
ある調査によりますと、この再処理施設から排出された高レベル放射性廃棄物、これは当初は液状のまま貯蔵される、そして排出後五ないし十年以内に固化される、その固化体は二十年ないし三十年間貯蔵される、その後は国の指定する場所に輸送され、さらに長期間保管または処分されるということのようであります。私は専門家ではありませんから、詳しいことは知りませんけれども。したがって、この高レベル放射性廃棄物の固化に関する業務は再処理事業の事業範囲に含めることという考えが出てくるようでありまして、この管理責任の一貫性ということ、安全上、経済上の問題などを考えてそういったことが出てくる。それで、高レベル放射性固化体の貯蔵については、国の責任のもとに実施をしなければならないのではないか、固化体の貯蔵は非常に長期にわたる管理責任を必要とするため、国の責任で事業化をすることが適切ではないのかという意見があるわけであります。現在、放射線障害防止の技術的基準に関する法律というのがあるわけでありますけれども、この場合は、これだけではとても賄い切れませんので、固化体貯蔵事業に関する新たな法律というものも制定する必要があるのではないか。要するに、この廃棄物の所有権は、たとえば民間の発電所から出てきたものであれば、あるいは民営の再処理工場から出てきたものであれば、当然それは民間に所有権があるわけでありますので、その所有権の関係等を考え、そしてそれの管理について責任を国が持つというふうになってまいりますと、やはりそこにきちっとした法律的な取り決めをしておく必要があるのではないか、こういう意見があるわけでありますが、この点、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/228
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229・牧村信之
○牧村政府委員 先生御指摘のように、原子力委員会で定めましたこの問題に対する考え方、先ほどお読み上げになったわけでございますが、高レベルの放射性廃棄物の処理、これは固化処理、それと、固化処理したものを一時貯蔵することにつきましては、当然再処理事業者をして行わしめますけれども、これを永久処分する場合あるいはこれにかわる貯蔵を永久的にする場合には、環境に与えます影響を考えますと、この管理が非常に長期にわたるわけでございますから、考え方として国が責任を負うという方針を打ち出しておるわけでございます。しかしながら、その実態上、研究開発ともいろいろ密接に関連があるわけでございますので、その具体的な方法あるいは方策につきましては、今後の研究開発の進展に応じて検討をするということを原子力委員会が言っておるわけでございます。私ども、当然その方針を受けていろいろな研究開発等を行っており、また、規制につきましても、その検討を待って、もし必要であれば、先生おっしゃいますような法律の改正も将来考えていかなければいけない問題だと考えております。
ただ、ちょっと申し上げさせていただきますと、先生も御指摘のように、この高レベルの廃棄物を固化するにいたしましても、五年ないし十年、多分十年ぐらいは冷却したものを固化する必要があろうかと思います。それをさらに何年か安全に貯蔵しておきまして、放射能レベルも非常に落ちたところで——落ちたと申しましても相当高いわけではございますけれども、発熱量等がそれほどなくなったところで永久処分あるいは永久貯蔵をしたいというふうな考え方でございますので、相当先のものになるわけでございます。しかしながら、この問題につきましては、現在、動燃事業団の再処理工場の廃棄物が出てきておりまして、この方針によっていろいろ研究開発を進めることといたしておりますので、第二再処理工場ができましてこの必要が起きるころには、十分その辺のめどが立つものと私どもは確信しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/229
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230・貝沼次郎
○貝沼委員 また時間があればこの発案物の問題はやりたいと思いますが、参考までに伺っておきたいと思います。
それは、言葉の意味でありますが、よく高レベル、中レベル、低レベル、極低レベル、こう分けて使われておるようでありますけれども、これは何を基準にしてこういうふうに分けるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/230
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231・牧村信之
○牧村政府委員 先生御指摘の廃棄物のレベルにつきましては、いろいろな区分が行われておることは事実でございます。IAEAにおきましても、一九六九年に一つの提案が出されておりますけれども、これはすべての場合に当てはまるわけではございませんで、原子力施設の中でも、たとえば原子力発電所と再処理の場合に必ずしも一様に適用できないということでございますけれども、現在私どもがいろいろな場合に使います考え方を御説明させていただきますと、高レベルの廃棄物というのは、主として再処理から出てくるものを考えておりまして、使用済み燃料の再処理によって出てくる非常に高い液体の廃液でございます。それと使用済み燃料を処理しますときに被覆管が当然処理されるわけでございますが、その被覆管が刻まれたくず、こういうものを高レベルと称しております。
それから中レベルの廃棄物でございますが、これは原子力発電所で発生する一部の使用済みのレジンというようなものがございます。これは比較的レベルの高い廃棄物でございます。それからもう一つは、再処理施設で発生する一部の濃縮廃液、これが中レベルに当たるものだと考えております。
それから低レベルは、主として原子力発電所からの大半の放射性廃棄物あるいは廃液であると思います。
それから、極低レベルの廃棄物といいますのは、汚染レベルがきわめて低いか、または実質的には汚染のほとんどないものであって、そのまま処分してもいいというようなものでございます。
したがいまして、これは法規に照らしてその辺のレベルが決められるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/231
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232・貝沼次郎
○貝沼委員 レベルというから放射線、放射能の関係で決めているのかと思うと、そうではなしに、大体いままでの歴史的なものとしてこれは決まっておるわけですね。したがって、中レベルのものと高レベルのものと、実際にどちらの方が強い放射線を出すか、どちらの方がこわい放射能となるかということは、一概には言えないということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/232
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233・牧村信之
○牧村政府委員 必ずしもそういうことではなくて、環境等に与えます影響は、極低レベルが一番少なくて、順次危険度が増していくというふうにお考えいただいた方がよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/233
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234・貝沼次郎
○貝沼委員 こういう分け方をすると、わかったようでわからない気がいたします。科学技術庁にしては余り科学的ではないという感じがするわけであります。
次に、「指定の基準等」というのがありまして、この指定をする場合の基準が四十四条の二に載っておるわけであります。それで、以下のものに認められない場合は指定はしてはならないとなっているわけですね。一、二、三、四と四つありまして、初めから三つ、三の半分まで、これが原子力委員会の関係となるわけですね。いわゆる「平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。」それから「原子力の開発及び利用の計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。」それから、三番目の「その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎があること。」ここが原子力委員会の関係だと思いますね。
それから、さらに安全委員会の方は、この三番目の「事業を適確に遂行するに足りる技術的能力」、四番目の「再処理施設の位置、構造及び設備が使用済燃料、使用済燃料から分離された物又はこれらによつて汚染された物による災害の防止上支障がないものであること。」これらの点で適合しておるかどうかを判断するわけですね、指定の基準でありますから。
そこで、まず初めの一、二、三について、原子力委員会の方の問題でありますが、平和の目的以外に利用されるおそれがあるかないかという点でありますが、これはつくる前は戦争のために使うなんと言う人は恐らくおらないだろうと私は思うのです。問題はできてからの問題が一番むずかしいわけでありますが、それは原子力委員会としてはどのようにして判断されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/234
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235・山野正登
○山野政府委員 先般お願いいたしました基本法等の改正におきまして原子力委員会は報告聴取等の条項を加えたわけでございますので、それによりましてこの平和目的の担保というものを監視していくということにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/235
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236・貝沼次郎
○貝沼委員 報告聴取といいましても、これは指定するときの基準なんです。指定をするときの基準でありますから、そのとき報告は当然受けておるわけであります。それで指定をするときの基準として「平和の目的以外に利用されるおそれがない」ということの判断をするためには、将来に向かっての判断がなされた上で判断が行われるわけであります。おそれがないというのですから。将来におそれがないということをここは言っておるわけですよ。それはどうして判断されるのですか、これは何を基準としてそういう結論が出てくるのですかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/236
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237・山野正登
○山野政府委員 先ほど私質問を若干取り違えまして、設置の基準の適用に際しての判断のみならずそれ以降はどうするかという御質問かと考えたわけでございますが、この基準を適用するに際しましては、施設の構造あるいは設備や再処理の方法、使用済み燃料の種類、分類された核燃料物質の処分方法、そういったふうなものを総合的に勘案して、果たしてこの施設は平和目的以外に利用されるおそれがあるかないかということを判断するということでございまして、もしその後におきまして疑念が生じた場合には、先ほど申し上げましたような報告聴取といったようなことをする、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/237
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238・貝沼次郎
○貝沼委員 局長は設備であるとかいろいろなことを頭に置いておられますけれども、設備とかそういうものは故意に動きません。だれかが運転しなければこれは動かないものです。したがって、これが思わぬ方向に、平和の目的以外に利用されるということは、とりもなおさずこれは人間がやるのです。機械がそのまま平和の目的以外のところにすっ飛んでいくわけはないのですから、とりもなおさずこれは人間のことを言っていると私は思うわけであります。それを扱う人、その会社の性格、そこに信頼が持てるかどうかという問題だと思います。ただ設備やその辺の問題ではないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/238
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239・山野正登
○山野政府委員 この経営主体というものについての判断というのもきわめて重要であるということはお説のとおりだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/239
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240・貝沼次郎
○貝沼委員 したがって、将来おそれがないということは、それではその人間を見る場合どうして判断なさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/240
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241・山野正登
○山野政府委員 これは一般論として御説明するのはきわめてむずかしい問題かと存じますので、再処理事業者から指定の申請が出ました暁においてケース・バイ・ケースに判断すべきものと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/241
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242・貝沼次郎
○貝沼委員 そうすると、いよいよ基準に合格をして指定された、そのうち順調に進んで再処理工場が運転を開始したという時点では、先ほど局長から答弁がありましたように、その都度報告をさせあるいは実態を見て監督をしていく、こういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/242
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243・山野正登
○山野政府委員 絶えず報告を聴取することもなかろうかと存じますが、必要に応じてそのようなこともいたしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/243
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244・貝沼次郎
○貝沼委員 それから第一項の二ですね。「その指定をすることによって原子力の開発及び利用の計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。」これも「おそれ」なんですけれども、遂行に支障を及ぼすおそれがあるかないか、こういうことなんでございますが、これに一番支障を及ぼすおそれがあるのは、わが国の原子力行政あるいは原子力開発及び利用の基本的な方針が変わることが一番問題なんですね。というのは、どういうところによって変わるかというと、先ほど同僚委員が質問しておりましたように、対外的な問題でこれは変わってまいります。特にアメリカとの関係において非常に大きな変動がこれはあると思います。たとえば先ほどの再処理の方法にいたしましても、単体抽出をやるのか混合抽出をやるのかという問題もあるでしょうし、あるいは現在使用済み燃料を英国に対して委託をしたものについてまでもアメリカはそれを渋る発言をしておるようでありますし、また、アメリカの国内ではいま再処理の延期とかいろいろな問題が出てきておりまして、その都度わが国は日米原子力協定によって非常に影響をこうむっておるわけであります。こういうような対米問題が非常に私は大きいと思うのですが、そういう点はこの項とは関係いたしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/244
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245・山野正登
○山野政府委員 一般的に申しまして、わが国の原子力平和利用というものを計画的に進めてまいりますためには御指摘のように対米関係というのはきわめて密接な関係を持っておるわけでございまして、わが国は、アメリカの昨今の核不拡散強化という方向については賛成の意を表しておるわけでございますが、一方、原子力平和利用の推進というNPTにも認められております基本的な権利というものも主張していきたい立場にあるわけでございまして、確かに日本が米国に対して十分な理解を求める活動をしない限りわが国の原子力平和利用の計画的な遂行に対してアメリカの圧力というものが影響を与えてくるということは多分に考え得るわけでございます。この第二号で言っております原子力利用の計画的遂行への適合性の問題というのは、おっしゃいますようなアメリカに対する関係というものも頭に置きながら原子力利用全体の計画を整合性を持って進めていくためにはこの核燃料サイクルの中核にございます再処理というものはどうなければいかぬかということは当然あるわけでございまして、それを判断基準といたしまして、申請されたものが計画的遂行に適合するや否やという判断をするということでございまして、非常に広く大きく言えば先生御指摘のように米国の政策といったふうなものも影響をしてくるでございましょうし、小さくミクロに見ればそういう影響下で進められるわが国の原子力平和利用との整合性というふうなとらえ方もできようかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/245
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246・貝沼次郎
○貝沼委員 たとえばこの場合に、単体抽出の方法で計画を立てておる。ところが、その後アメリカあたりの決定やら、あるいはINFCEの結論寺でそういうものが変わってくる、世界情勢によって変わってくるという場合に、これは指定をしたときの基準と変わってくるわけですね。したがって、そういうような非常に変動する幅を持ったときに、将来のことを——これはもう「計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがない」という将来のことまで決定しておるわけでありますから、したがって私は聞いておるわけでありますが、そういうような場合にはどういう手段でこれを直すわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/246
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247・山野正登
○山野政府委員 単体抽出法で始めたものを混合抽出法に切りかえていくというのは多分にあり得るわけでございまして、これは同じ目的を達成いたしますのに、より核不拡散上有利な方法という意味で大いに歓迎すべきことでもあるかと思うわけでございますが、計画的に進めるということとこの単体抽出か混合抽出かということとは直接の関係はないのじゃないかというふうに考えるわけでございまして、計画的に進める中におきまして、現在は単体抽出法によっておりますけれども、技術開発が進めば、これを混合抽出法に切りかえていくことも可能になる、その可能になった時点で切りかえる、こういうふうに考えるべきじゃないかという気が私、いたします。それからいま一つ。申しわけございません、先ほどの答弁を訂正いたしておきます。第二再処理工場の立地の問題に関連いたしまして、先ほど人家までの最短距離は二キロメーターと申し上げましたが、これは施設の中心から工場敷地の境界まで約二キロメーターが望ましいといり意味でございますので、訂正申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/247
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248・貝沼次郎
○貝沼委員 それからもう一つ、原子力委員会の万は経理的基礎という言葉を言っておるわけであります。経理的基礎といいますと、これは十何年も先にでき上がるものについてこれからの経理状況すべてを指しておると思いますが、この間、要するに現在は世界経済が非常に変動しておりまして、ただその民営化をしようとする業者がそれをやるお金があるかないかというだけではないと思うのですね。この経理的基礎というのは、恐らくいろいろな採算の面もあわせての判断だろうと思うわけでありますが、こういうところまで原子力委員会のみで結論が出せるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/248
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249・山野正登
○山野政府委員 経理的基礎につきましては、御指摘のように採算のみならず、株主構成であるとかあるいは資金の調達方法等々もろもろの面から判断すると思うわけでございますが、原子力委員会は、今後新しく生まれます原子力委員会におきましても幅広い判断能力を持った方々でもって構成されておるわけでございますので、この経理的基礎というものも十分に判断する能力は持っておいでになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/249
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250・貝沼次郎
○貝沼委員 幅広いということでお尋ねしておきたいと思います。
これは当然のこととして、その再処理工場で再処理をし、そしてその燃料をさらに今度は転換工場で——転換工場をつくるのだろうと思いますが、転換をし、燃料に加工し、そしてまたそれを燃料として使用していくということをも含めて、それが採算がとれるものなのかどうか、この辺までも含めて経理的基礎という言葉があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/250
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251・山野正登
○山野政府委員 事業の区分としましては、恐らく再処理工場というのは転換までをやりまして、それから先の燃料加工というのは燃料加工業者という方にバトンタッチしていかれるべきものかと存じますが、その際に、燃料加工業者に売り渡すプルトニウム、ウラン等の価格、あるいは逆に電力会社から引き受けます再処理条件といったふうなものをその時点で細かく、しさいに検討するといったふうなことはあるいはしないかもしれないというふうに考えるわけでございますが、いずれにしましても、この再処理事業と申しますのは大きな発電体系の一環に組み込まれるわけでございまして、この再処理のコストというものは電力料金の中に最終的には入っていくわけでございます。従来私どもの考えております原子力発電の経済性についての検討というものを見ますと、このような再処理の原価構成に占める比率というのは、かなり低いものでございますので、再処理工場の運営を採算をとるために動かしたために、原子力発電が原価的にきわめて不利になるといったふうなことはあり得ない。再処理工場を採算ベースに乗せた運転というのは現在の発電体系の中では十分可能であるというふうに考えておりますが、そういったふうなことも原子力委員会が判断を行われる場合には判断の基礎になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/251
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252・貝沼次郎
○貝沼委員 採算ベースのことは直ちにはあるいは計算はしないかもしれないが、採算が合うことに確信はあるということだと思うのですね、いまの答弁は。しかし、採算が合うことに確信があるからこそやるということなんでしょうが、その採算が合うというのは現段階での話なんですね。これから先社会情勢が変わりまして、ことに先ほどお話がありましたように、ウランの値上がりの問題とかあるいはさまざまな要因が入ってまいりますと、本当に一九九〇年、十何年先にいま考えておるようなことが果たして可能かどうかというのは非常に疑問だと思うのですね。これは二年や三年先のことであればまあまあそれで、いま局長のおっしゃるようにしていけると私は思う。しかし、十何年先の話ですから、それをいや大丈夫だと思いますと言ったって、なかなかそう簡単にはいかないんじゃないかと思うのですね。いままで再処理の単価を見ましても、もう初め話が出たころから考えますと、だんだん値上がりしてきておるわけでありますから、やはり再処理の単価というのは、これから先いろいろな環境問題その他が起こってくるたびに、あるいは用地の取得の困難性とかそういうことが起こってくるたびに、この採算というのは厳しくなってくるだろうと思うのですね。そのために原子力発電の単価が高くなってまいりますと、相対的に他の発電コストというものは低くなってまいりますので、果たしてそこから先こういうものが成り立つのかどうかすらあるいは問題になるかもしれません、これは仮定の話でありますが。したがって、そういう状況をも踏まえて、これは非常に安いものででき上がっているものじゃありませんから、相当の経費をかけてやっておるものでありますから、その辺のところまで丹念に調査をする必要があるのではないか。さらに採算は合うはずだ合うはずだというだけでなく、こうこうこういうことできちっと合うのである、だからこういうことが言えるのだという資料は、これは科学技術庁としては当然出していいのではないかと思いますが、この点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/252
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253・山野正登
○山野政府委員 再処理事業というものが採算に合うか合わないかという問題でございますが、私はむしろわが国の原子力発電を進めていきますためには再処理事業を採算あらしめるようにしなければならないと思うわけでございます。これはどういうことかと言いますと、再処理を行うに要したコストにしかるべき利益を見まして採算を取らなければいかぬというふうに考えるわけでございまして、そういうふうなものものみ込んだ形で原子力発電体系全体としてのコストはどうであろうかという問題であろうかと思うのでございますけれども、確かに今後、社会情勢の変化によりましてウランの値上がりといったふうなものもあり得るわけでございます。石油ショックを境にしましてウラン価格というのは七倍程度になったわけでございますが、一方石油も大体同じ程度の値上がりをしておるわけでございまして、発電単価におきます燃料コストというのは原子力発電では大体二五%ないしは三〇%であり、石油火力におきましては六〇%ないし七〇%でございまして、燃料費がともどもに上がってまいりますれば、燃料コストの比率の小さい原子力発電が有利であるということは一般論として言えようかと思います。そういう意味で今後、石油火力に対する原子力発電の優位性というのはまさにウランと石油とがどの程度の比率で値上がりをしていくかということにかかっておると思うのでございます。これはウランと石油とがどの程度おのおの上がっていくかという見通しが非常にむずかしいわけでございますが、従来と同じようにほぼ同率の値上がりをしていくというふうな仮定に立てば、先ほど申し上げました理屈でまだまだ原子力発電の優位性というのは損なわれることがないというふうに考えるわけでございまして、そういう中におきまして再処理事業というものも採算に乗り得るというふうに考えるわけでございます。
それからいま申し上げました原子力発電のコスト面での優位性というものにつきましては、私どもの方にも若干の資料はございますが、より詳細な資料というのは関係省庁にもあろうかと存じますので、先生の求めに応じまして必要なものは提出するようにしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/253
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254・貝沼次郎
○貝沼委員 原子力委員会でやる仕事というのは、指定の基準と四十四条の二ということでさっとまとめてありますけれども、これは実は大変なことであって、わが国政府では本当に大変だろうと私は思うのですね。半年先の日本の景気がわかからないのですから、それが十何年先のことを考えるわけでありますから、本当に御苦労なことだろうと思うわけであります。その点で、この基準というのはそう簡単に満足するものはありませんよということですね。
それからその後、技術的能力並びに四番目の「使用済燃料から分離された物又はこれらによって汚染された物による災害の防止上支障がないものであること。」、これも言葉は簡単でございますが、なかなか大変なことであります。
そこで、技術的能力の問題でちょっとお尋ねいたしますが、米国に限らず世界の再処理工場がいまどれくらいあって、それで現在どういう状況になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/254
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255・山野正登
○山野政府委員 世界の状況でございますが、まず米国から申し上げますと、民間の再処理事業というのは四社ばかりございますが、現在のところこの四社ともいろいろな事情によりまして運転をされておりません。
それから英国でございますが、これは英国核燃料公社が再処理事業を行っておりまして、天然ウラン燃料につきましては現在運転中でございますけれども、濃縮ウラン燃料につきましては現在故障いたしておりまして、施設全体についての手直しを進めておるところでございます。
それからフランスでございますが、これはフランスの核燃料公社が再処理事業を行っておりまして、天然ウラン燃料につきましては現在操業中でございます。それから濃縮ウラン燃料につきましては二回のホット試験を実施いたしまして、現在、本年中に本格操業に入るべく準備中であるというふうに聞いております。
それから西ドイツでございますが、ケバ社が再処理工場を持っておりまして、これはパイロットプラントでございますが、現在運転中でございます。
世界の概況は大体以上のようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/255
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256・貝沼次郎
○貝沼委員 この再処理工場が、たとえば米国の場合四社とも動いていないとか、各国とも動いていないのが非常に多いわけでありますが、これはどういう理由によるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/256
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257・山野正登
○山野政府委員 アメリカのものにつきまして申し上げますと、ニュークリア・フュエル・サービス社のものにつきましては、これは一九六六年に操業開始をいたしておりますが、一九七二年までに六百三十トンのウランを再処理いたしたのでございますが、その後自然災害に対するプラントの構造の改良を行うべく操業を停止いたしまして、現在増設の許可申請を出しております。それから、増設に伴って提出しておったわけでございますが、この増設に伴う耐震設計に非常に大幅な変更が要るということで、その経費の高騰からこの拡張工事というのを断念したということでございます。
それからゼネラル・エレクトリック社が持っております再処理工場につきましては、これは半乾式法でございまして、いわゆるピューレックス法とは違う新しい技術を使ったものでございましたが、これは一九七四年にコールド試運転を開始いたしましたけれども、作動試験におきまして技術的な問題に遭遇しまして試運転を中止いたしまして、現在の設計のままでは運転が不可能でございますので、大幅な改造が要るということで、いまのところ計画全体を放棄するかどうかといったふうな状況に追い込まれております。
それからアライド・ゼネラル・ニュークリア・サービス社というのが同じく計画をいたしておりますが、これは一九七一年に着工しまして、コールド試験まではほぼ完了したのでございますが、その後GESMOの結果待ちということで運転許可の取得手続が凍結されておりましたが、核拡散防止政策によってさらに運転開始がおくれるというふうに考えられます。
米国におきます実例を申し上げますと、以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/257
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258・貝沼次郎
○貝沼委員 おのおのできたときからの歴史的な問題、その後の技術の革新という問題があるからそうなったということでしょうけれども、しかし技術というのはどんどん進んでいくわけでありまして、ことに再処理工場を一たんつくりますと、いまアメリカの例にあるように、そう簡単に増築だとか変更だとかができないのですね。むしろ新しいものをつくった方がいいわけですね。そういうようなことを考えますと、この技術的能力という問題、その技術の判断の基準といいますか、見通しといいますか、こういったことが安全委員会においてなされなければならないわけでありますが、大体安全委員会としてはこの技術の能力、十何年先の能力というものはどういうことで判断されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/258
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259・牧村信之
○牧村政府委員 この判断をいたします場合に、当然安全委員会におきまして判断基準というのを御議論いただくことになるわけでございますが、これは原子力発電におきましても同じでございますように、この判断時点におきましては必ずしもその完成した後の必要な人間がその時点にいなくてはいけないということではなかろうと思います。判断基準としては恐らく建設中にそういう技術能力があるかどうか、それから完成した後に安全に運転する人員等が十分確保できるような養成計画を持っておるかどうか、あるいは法令的に申し上げますと、それぞれ必要な主任技術者等が十分確保されておるかどうかあるいは確保される予定になっておるかというようなことを見ていくことに相なろうかと考えております。
そこで、この第二工場が建設を進めるようになります場合には、当然現在の東海で動いております再処理工場でいろいろな養成計画が立てられ、産業界の人もそれに参画していろいろな技術を修得するというような養成計画が立てられるものと考えられますが、それらの養成計画等を見ながらそこの再処理会社の組織、人員あるいは将来計画というようなものを十分審査いたしまして判断されることになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/259
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260・貝沼次郎
○貝沼委員 アメリカの工場が現在ストップしておるのは、要するにそういう時代とともに技術が変わったからストップしておるわけですね、簡単に言えば。そういうこととは違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/260
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261・山野正登
○山野政府委員 中には先ほど申し上げましたように、半乾式法といった野心的な新しい技術を使って困難に遭遇したところもございますし、またあるものは規模を拡大しようとしましてつまずいたところもある。いろいろ原因はあるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/261
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262・貝沼次郎
○貝沼委員 それで、現在の技術のレベルでこれを判断をしていくわけでありますが、いま安全局長の答弁でありますと、途中で技術革新が起こればまた変わっていくようなニュアンスの話であったと思いますが、もしそうだとするならば、この再処理工場建設、試運転、そして運転開始が一九九〇年ぐらいということは、それらをも含めてのこれはスケジュールになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/262
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263・牧村信之
○牧村政府委員 おっしゃいますように、現在日本で考えられております再処理のシステムがピューレックス法を用いるという前提でお話ししておるわけでございます。その観点におきまして一九九〇年ごろの運開を目指して、その建設中の組織あるいは必要な人員がそれぞれ確保するめどが立っておるあるいは技術者の養成計画が十分なされておるということを判断基準にされることとなると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/263
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264・貝沼次郎
○貝沼委員 それから四番目の「災害の防止上支障がないものであること。」この災害というのは当然人とのかかわり合いにおいての災害だと思いますが、たとえば環境汚染問題等はこれに含みますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/264
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265・牧村信之
○牧村政府委員 放射線による環境に及ぼす影響は当然含まれるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/265
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266・貝沼次郎
○貝沼委員 この環境汚染の問題もいまずいぶん騒がれておるわけでございますが、この環境汚染の問題については、わが国としてはもうこれでよろしいという結論は出ておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/266
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267・牧村信之
○牧村政府委員 再処理工場の環境に対する安全の確保のための基準につきましては、現在原子力委員会の下に設けております専門部会の方で、動燃再処理工場の実績を参考にしつつ外国における安全基準等をいろいろ調査をしておる段階でございます。この第二再処理工場が恐らく建設に向かっての申請が出てきます後数年先までには、それらの判断基準を十分完備するようにいたしたいということで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/267
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268・貝沼次郎
○貝沼委員 数年先ということは少なくとも十年まではかからない、こういうことでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/268
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269・牧村信之
○牧村政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、指定を受けたいという申請を受けたときに、基本設計についての安全審査をいたすわけでございますので、それまでに基準をつくり審査をするという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/269
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270・貝沼次郎
○貝沼委員 この環境汚染の問題、本当は相当やらなければならないのですが、いま時間がありませんので詳しいことは申し上げませんが、たとえば気体廃棄物、クリプトン85の問題であります。こういったものがたとえば動燃の試算によりますと、平均的な気象条件のもとで最大三十二ミリレムまで全身被曝を与えることになっておる。それから気象条件が偏った場合はこれよりも上回るわけであります。いずれにいたしましても、これは希釈しておるだけのことでありまして、実際問題出ていることに変わりはないわけであります。公害のときの煙突を高くするのと全く同じ原理でありますから、私はむしろこういうものは総量規制でもってきちっとしなければならぬだろうと考えるわけでありますが、この点についての局長の見解はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/270
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271・牧村信之
○牧村政府委員 現在の東海村におきます再処理工場におきまして、もちろん放出のレベルは法規以下にさせるようにするということになっております。また、放出量につきましても、詳しい数字は覚えておりませんが、ある期間でどのくらい以上出してはいけないという総量の規制もあわせかけておるわけでございます。この問題につきましては、現在のところ発生しますクリプトンはすべて環境に放出されておるわけでございますが、現在、動燃事業団におきましては、これを捕集する技術の試験、研究をすでに済ませておりまして、それの実証プラントの建設を本年度中に開始するような準備を進めております。したがいまして、第二再処理工場が計画されるまでにはその辺のデータも蓄積されてくるものと考えられますし、必要なそういうような低減化の努力は当然されるものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/271
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272・貝沼次郎
○貝沼委員 こういう気体の問題、それから液体の廃棄物の問題がありますね。液体の廃棄物も、東海再処理工場の放水口から海水に放出される放射性物質による内部被曝線量の推定値が、四十四年の再処理施設安全審査専門部会の試算、これは私も持っていますけれども、それから五十二年の核燃料安全専門審査会、それから原子力安全研究協会、こういうところからいろいろな試算が出ておりますが、実はこれの数字が違うのであります。
そこで、こういう被曝線量の計算というのは、その要素というか一つのファクター、そのファクターの値のとり方の違いによってずいぶん差が出てくるわけでありますけれども、私は、こういった問題もまだまだ検討する余地があるし、解決しておかなければならない点ではないかと考えておるわけでありますが、この点について当局の考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/272
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273・牧村信之
○牧村政府委員 先生御指摘のように、四十四年のときの原子力委員会の安全審査の結果の数字と今回の結果の数字とでは、半分に差が出てきております。これは四十四年の安全審査のときにも指摘されたことでございますが、海洋に放出される放射性廃棄物の海水中における挙動、こういうものにつきまして、当時データが非常に少なかったというようなこともございまして、いろいろな文献値をとりというようなことで、できるだけ安全サイドにとって被曝線量の評価をしたわけでございます。それで、その後、海産物の摂取の仕方あるいは濃縮係数等につきましても、現地の事情を十分海洋調査をする、あるいは近隣の方々の食物の摂取の状況等を調査するというような、具体的な研究計画の成果も織り込みまして再評価されたわけでございます。それと同時に、放出管の長さにつきましても、これはできるだけ環境への影響あるいは被曝線量を低下させるというようなことから、放出管を非常に長くして、約倍近くの長さにしたというような評価とも相まちましてこのような結果が出ておるわけでございます。
私どもといたしましては、これだけで済むものではございませんことは先生御指摘のとおりでございますので、動燃の再処理工場の実際のデータを今後も十分蓄積するということで、万全な安全評価ができるような資料を今後とも入手できるように試験研究を進めてまいりたいと思っておりますし、また放出につきましては、これをできるだけ低減するということでの必要な開発装置を据えつけて運転するというような努力を進めてまいり、被曝量をさらに低減するという努力を続けてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/273
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274・貝沼次郎
○貝沼委員 こういう環境調査、アセスメントというものがはっきりしないうちは、恐らく立地問題というのは進まないだろうと私は思います。したがって、この辺のところは、それまでには必ず全部やりますという話が先ほどからたくさん出ておりますが、なかなかそう簡単な問題ではなしに、本当に進めるのならばこういう問題は早く解決をしておかなければならないと思うのですよ。環境問題が解決しないのに幾ら立地を急ごうとしたって、まずこれはだめだと私は思うわけであります。そういう意味合いにおきまして、いま局長が答弁されましたように、この申請が出るまではということでありますけれども、そうゆっくりした話ではありませんということを申し上げておきたいと思います。これは詳しくはまた後日時間があればやるようにしたいと思います。
こういうように一つ一つ検討してまいりますと、要するに、第二再処理工場建設スケジュールということが書かれてありますけれども、大事なことはここには書かれていないということだろうと思うのですね。要するに、指定の基準とか、あるいは申請書に書かなければならないこと、これらに当然合格する内容のものがこのときまでに全部でき上がります。心配のないようにいたします。したがって、そのころこの指定の申請が出てまいりまして、それから審査をして、それから原子力委員会並びに安全委員会がこの基準に沿ってやり、そして結論としてはたとえば合格ということが出、それから具体的な再処理工場が建設をされて、そして工場をつくるなりいろいろのことが行われていく、こうなると思うのですね。したがって、業者の指定ということは実はかなり先のことであり、それからこの会社設立ということは指定された会社ではなく、これはむしろ全然別個の会社のことを恐らく意味するだろうと私は考えるわけでありますが、この点はどう考えたらよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/274
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275・山野正登
○山野政府委員 この法律が成立いたしましても、すぐに指定が行われるわけではございませんので、そういう意味におきまして、この法律が成立しました後できます会社というのは、いわば準備会社のようなものでございますので、それがそのまま指定会社というわけにはいかないかもしれませんが、主体としましては、その準備会社が将来成長して指定業者になるような運びになるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/275
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276・貝沼次郎
○貝沼委員 もう時間があと五分だそうですので急ぎますが、私、前もって言っておきたいと思いますけれども、実は全部質問することができません。したがって、次回また質問する時間をひとつお考え願いたいと思います。
そこで、ここで申し上げておきたいことは、要するに、実際に指定をするのはかなり先のことである。したがって、私は、何もいまこの法律を大急ぎでやらなければならぬという理屈はない、こう思うのです。いま原子力発電から出ている使用済み燃料が、もうプールがいっぱいになってどうしようもないんだ、だから何とかというせっぱ詰まった話もないことはありません。しかし、それはまた、緊急にプールをつくることだって考えられるわけであります。この再処理については、いまその方向すら非常に流動的なときであります。さらにそのつくろうとする場所すら見当がついておりません。指定するにしてもずいぶん後だと言われております。いま電事連の方ではたしか再処理会社設立事務室というものが設けられておるそうでありますが、まあいろいろ考えておるようであります。
したがって、このような法律を直接つくるよりも、むしろ私はそういう第二再処理工場がどうしても必要であるというならば、準備法あるいは推進法というようなワンステップを置いたものでいいのではないか、そして準備なら準備を進めていって、いよいよ再処理工場設立という段階はまた別に考えても何ら差し支えないのではないかという感じがいたします。したがって、そういう意味では、ちょっと時期が早いのではないか。早いという意味はいまからやらなくてもいいという意味ではなしに、それまでの準備がまだできていないではありませんか。何もかも技術ができ上がってから再処理をやるのだ、私はそんなことを別に言おうとは思っておりません。しかし、最低用意しなければならないものはございます。それすらいまできていないではないかということを指摘しておきたいのであります。
それからさらに、これは飛び飛びで申し上げますけれども、十何年先にこの工場が動き出す、稼働する。ところがいまこの法律ができますと、あとはもう自動的に十何年先にその工場が動き出すということになるわけであります。したがって、その途中においてはもう法律は一人歩きをしてしまうわけでありますから、その法律が通ればもうわれわれとして手を出すところがありません。そういう関係で十何年先のことをいまから約束するわけにはまいりません。
そこで、少なくともこの工場が実際に稼働するとき、このときには法律では使用前検査というのが決められておりますけれども、使用前検査は認可をしたときの設計及びその方法あるいは性能についての使用前検査でありますから、そういうものではなしに、やはりその時代に即し、そしてそのときの技術、あるいはいま各委員からいろいろ提起されておるようなさまざまな問題を一つ一つ解決しておるかどうか、またそのときに本当に稼働させてよろしいかどうか、この判断をこの法律に携わった者としてどうしてもしなければならぬと私は思うわけであります。
そういう意味合いから、立法府として目を光らせなければならぬと思いますが、そのために私は使用前検査も結構、しかしそれとは別に、いままで指摘してまいりましたさまざまな問題をどのようにしていつまでに解決するか、その解決をするスケジュールをきちっと出して確約をしてもらいたい。そしてそれをその都度当委員会に報告をしていただきたい。さらに使用前検査のほかにいよいよこれでもう百点でございますというときになったならば、いよいよ実際に稼働しようとするときには国会の承認なり同意を求めるべきであるということを私は強く主張しておきたいと思うわけでございます。
この点について、当局の考えがありましたら答弁を伺って、終わりといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/276
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277・牧村信之
○牧村政府委員 先生御指摘のように再処理施設を建設し、運転までにまず事業者の指定が行われ、ここで基本設計についての安全審査が行われ、それから設計工事方法を認可する作業があるわけでございます。そこで使用前検査というのを今回規制の強化ということで入れさせていただいております。従来はただ設計に基づいて工事が行われたかどうかを確認するわけでございますが、今度の使用前検査といいますのは、そのできましたものが性能を発揮できるかどうかということを確認するわけでございます。したがいまして、この基本設計あるいは詳細設計に基づいてつくられたものを試運転し、動燃と同じようにウランテストをし、それから実際の使用済み燃料を用いましてホットテストをする、こういう段階が当然あるわけでございまして、その状況を使用前検査をすることに相なろうかと思っております。
そこで、このような段階で、現在審議中の基本法の改正でも御指摘いただきましたように、原子力安全委員会としては、各工程の安全審査については十分報告を受け意見を出し、それを守らせるというダブルチェックのやり方につきましても明らかにしていただきましたので、それを十分考えていきたいと思っております。また、そのような段階での成果あるいは結果につきまして国会等に御報告を申し上げて、それを明らかにして国民の御理解等をいただくことはきわめて重要なことであろうかと思いますので、私どもといたしましても随時国会の御要求に応じて御説明、御報告を申し上げたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/277
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278・山野正登
○山野政府委員 先生が例示的に御提案になりました準備法に関連しまして一言申し上げておきたいと存じます。
御指摘のような準備法のようなものを経て進めるといった進め方もあるいはあろうかと存じますけれども、わが国の原子力平和利用の基本路線と申しますのは、かねて原子力委員会が原子力平和利用長期計画に明示的に示しておりますし、また私どもは、これはいまや官民のコンセンサスではないかと考えておるわけでございますが、非常に資源に乏しいわけでございますので、ウラン・プルトニウムサイクルによって原子力平和利用を進めていこうといたしておるわけでございます。そういう意味におきましては、わが国においては再処理事業は不可欠の非常に大切な行うべき命題でございます。そういう意味で今後の燃料サイクル全体を考えました場合には、一九九〇年ごろには国内に再処理会社をつくる必要があると考えるわけでございますので、その準備を始めるためには、現在法的に禁止されておりますままの状態では準備組織もなかなかつくりづろうございますし、また準備組織をつくりましても、仕事にも熱が入らぬということにもなりかねないわけでございますので、基本路線が明確に示されておる以上、法的にもその道を開いて、鋭意その方向を目指して努力をすべきではないかと私どもは考えるわけでございます。
そういう御趣旨をぜひ御理解いただきまして、この法案が一日も早く成立いたしますように御審議の促進方をお願い申し上げたい、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/278
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279・岡本富夫
○岡本委員長 瀬崎博義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/279
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280・瀬崎博義
○瀬崎委員 政府が民間企業に対して再処理事業の門戸を開くという大それた提案をする資格がおるのかないのか、こういうふうな点の一つの判断基準が「むつ」問題の解決だろうと思うのです。逆に言えば、「むつ」の問題を国民的な合意を得て正しく解決できもしないくせに再処理工場を民間にやらせるなどということはそもそも本末転倒だ。また、「むつ」をつくった三菱自身が責任を持とうとしないような現状から見て、いまの日本の原子力に関係のある民間企業に再処理などやらせたら大変だと私は思うのです。そういう意味で、現在、新たな問題を拡大してきた「むつ」の修理問題についてまずお尋ねをしておきたいと思います。
二十三日ですか、閣議後の記者会見で熊谷長官が、「政府は佐世保港でのむつ修理を目標にしているのであり、必ずしも佐世保重工による修理が必要と考えているわけではない」、このように発言されたことが新聞報道に出ているわけですね。それでは一体、佐世保港で佐世保重工以外と言えばどういうところを念頭に置いてこういう発言をされたのか、お伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/280
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281・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 私の二十三日の閣議後の記者会見ということでございますが、新聞にどう出ておりましたか正確には知りませんのでどういうことだったかわかりませんが、ただあのときの記者諸君のお尋ねでは、佐世保重工問題がはっきりしないのに佐世保重工で修理させるということができるかどうか、そういう問題を決められるかどうかというようなお尋ねであったかと思うわけであります。そこで私が申し上げましたのは、事実問題としてどうなるかということについてははっきり私も申し上げられませんということと、しかし、たてまえといいますか筋から言えば、私どもとしては佐世保港で修理していただくということを佐世保市なり長崎県に要請したわけでありまして、直接佐世保重工にやってもらいたいということをお願いしたわけでありませんから、筋としては直接関係はないのではないか。佐世保港がどうなるこうなるということは筋としては一応考えられないのじゃないか。しかし、事実問題としてはそれがどうなるかもう一度考えてみなければわかりません、そのとおりの言葉ではありませんが、そういう趣旨を申し上げたわけであります。
どこを考えているかということを言われますと、ここで公式にどこであるかここであるかということを申し上げる段階ではないと考えるわけであります。もっと率直に言いますと、たとえば最初は陸奥湾で修理するということが一応考えられたわけでありますが、陸奥湾には御承知のように造船所もなかったわけでございます。しかし、一たんは陸奥湾で修理ということもある段階では考えられたこともありますが、そのときにはまずそこで、その場所で修理するということは考えても、それではどの造船所なり、そういう機関で修理するかということはまだ考えていなかった段階。それとこれと同じではないかもしれませんが、そういう意味で、現実の問題となりますまでは、いよいよ佐世保港なら佐世保港で修理するということが幸いにも決まりますればその段階において決めてまいりたい、このように申し上げることが一番妥当じゃないかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/281
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282・瀬崎博義
○瀬崎委員 長官の発言では、結局、佐世保港に要請したのであって、佐世保重工に要請したのではない、こういうふうな発言と私は受け取ったのですが、記者会見もそういうつもりでおっしゃったといういまの説明なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/282
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283・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 それはちょっと微妙なところかと思いますが、やはり実質的には佐世保重工ということを念頭に置かれて佐世保市の方から修理を引き受けるというようなお話が出てきたものと考えますから、そういうふうに考えてまいりましたが、ただ、佐世保港がそうなれば決まらないのにどうなるかこうなる、こういう状態があるのになぜそういうことに関係しないので話を進めるのかということを言われるとすれば、筋としてはいま申したようなそういう筋でありますから、前にそういうお話——いまの佐世保港に修理をお願いするという、筋としてはそういう筋で考えていますというわけでありまして、やはりわれわれの気持ちでは、最初からこういう御希望のありました佐世保重工が何とか普通の状態でいていただいて、そこに修理をお願いしたいという気持ちは変わりはありません。しかし、どういう状態になっているかわからないのにそういうことを進めるのはどうだというお話があれば、筋としては別に間違っていないということを——間違っていないということを私はもう一度申し上げますが、筋としては佐世保港で修理するという筋になっておりますから、筋の違ったことをいま進めている意味ではない。しかし、心持ちでは、やはり佐世保重工が健全な状態になって、そこにお願いしたいということは変わりはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/283
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284・瀬崎博義
○瀬崎委員 これは宇野長官が本委員会でもこういう答弁をしていらっしゃるのですね。「佐世保に入れるにはSSKしかないわけですから、」こうおっしゃっているわけです。だから、したがって、佐世保港に要請する場合はSSK以外にないのだから、結局これをわざわざ分けて考えるということ、これはまた一つの詭弁にすぎなくなると思うのですね。こういうことが一国の科学技術行政を代表する長官の口から次々出るということは、ますますもって原子力行政を混乱させるばかりだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/284
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285・山野正登
○山野政府委員 長崎県と佐世保市に協力をお願いしておりますのは、佐世保港における修理ということで、それは大臣が答弁申し上げたのと同じでございますが、佐世保港で修理をいたしますに際しましては、前長官が申しましたように、佐世保重工の岸壁を活用するというのが、私どもは一番よろしいかと存じております。ただ、大臣がただいま申し上げておりますのは、その佐世保重工の施設を活用するにしましても、現在の時点では、修理の受注者をどうするか、契約形態をどうするかといったふうなことまでまだ決めておるわけではないので、そういう意味合いにおいて、佐世保重工業の再建問題とは直接のかかわりはない、こう言っておられるわけでございまして、これは実態としましては、当然深いかかわり合いがあるということもまた一方言われておるわけでございますから、そのあたりで御理解いただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/285
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286・岡本富夫
○岡本委員長 きょうは法案の審議ですから、できるだけ再処理の方を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/286
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287・瀬崎博義
○瀬崎委員 そこなんですね。といいますのは、再処理の問題というのは、先ほども貝沼先生が御質問のように、遠い将来の話をやっているわけですね。そのときに民間企業というものは、企業そのものの存続も必ずしも保証されていないし、企業そのものが自分のやったことに責任を持つかどうかということ自身も、これはわれわれから見てきわめて不安なんですよ。その一つの大きな実例がこの「むつ」問題に出ているので、そういう意味で私は質問をさせてもらっておりますので、委員長、ひとつ御了解を得たいと思うのです。
当然この遮蔽修理についても工事保証等が必要なはずだと思うのですね。宇野長官は、もう佐世保に入れるにはSSK以外ないのだからということをはっきりおっしゃって、これが契約対象であることは、倉本専務理事も当時国会で答弁しているわけです。その場合には、修理後の保証については求めるのですか、求めないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/287
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288・山野正登
○山野政府委員 先ほど申し上げましたように、契約の進め方、契約の内容につきましては今後決める問題でございまして、御指摘の工事保証、性能保証等につきましての条項というのも、これから決める話でございますから、私の予想では、一般的に申し上げまして、そのようなものは恐らく契約条項の中に書き込むことになるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/288
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289・瀬崎博義
○瀬崎委員 それじゃ、そういうことも含めた契約相手として、いまのSSK、佐世保重工の状況は、望ましい状況だと思っているのですか、望ましくない状況だと思っているのですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/289
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290・山野正登
○山野政府委員 いずれにしましても、契約を結びますとすれば、その受注者は、契約を忠実にかつ完全に履行していただきたいわけでございまして、そういう意味合いにおいて契約相手方を選定するわけでございますが、佐世保重工がその相手方としていまふさわしいかどうかということにつきましては、これはまさに契約の相手方が単数か複数か、あるいは契約の内容がどうなるかというふうなことにも密接に関連する話でもございますので、いま直ちに佐世保重工という固有名詞を挙げて、適、不適ということを申し上げるのは妥当を欠くかと存じますので、その点は御容赦をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/290
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291・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 先ほどちょっとお話のありました、前の長官からいろいろ佐世保重工についてお話があったということでございますが、それは現実にそのときの状態に応じて佐世保重工という言葉を出されたのだろうと私は思っております。現実の状態は、佐世保重工がそういう動揺した形にあるわけでございますから、そのときの現実の状態とは違うと思います。ただしかし、私どもとしましては、いろいろな見地からあわせ考えましても、佐世保重工が健全な状態になりまして、そこでお話を進めることができれば万全である、このように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/291
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292・瀬崎博義
○瀬崎委員 これは民間の再処理工場問題でも、対象となる企業の経理的基礎が重要判断の一つになることは、先ほどの貝沼先生への答弁にも出ておったわけであります。具体的にその「経理的基礎」を適用する場合、果たして政府がどういう態度をとるか、これが一つ試されると思うのです。今回の遮蔽の修理に当たっても、これが当然安全審査を伴う問題である以上、規制法二十四条にいうところの「経理的基礎」の条項は適用されると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/292
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293・牧村信之
○牧村政府委員 設置変更に伴います申請が当然出てくるものと考えておりますので、設置許可に当たりましての基準が準用されるわけでございます。したがいまして、法律的にはその設置の変更がいかなる様態のものであるかによって、その準用の仕方は違うと思いますが、先生おっしゃいますように、当然その面の慎重な配慮をしなければいけないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/293
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294・瀬崎博義
○瀬崎委員 そうしますと、先ほど来の長官の発言、それから原子力局長の発言からすると、佐世保港は利用するけれども、佐世保重工のドックは利用するけれども、必ずしも契約相手は佐世保重工にならないかもしれない、こういう含みのあるような発言だったわけですが、それはともかくとして、従来は佐世保港に頼る限りはSSKしかないという前提だったのですね。そういう前提で、いま牧村局長の言われた「経理的基礎」の準用でございますが、人員整理をした労働者に対してすらその退職金が払えないような状態にいま佐世保重工はあるわけでしょう。
〔委員長退席、佐々木(義)委員長代理着席〕
こういうふうな佐世保重工の状態は、いま準用すると言われた「経理的基礎」ありと政府は判断しているのですか、どうですか。また、社長の記者会見でも、毎日毎日が金繰りの綱渡りだということも言っていますね。また、株主問と銀行との折り合いもなかなかつかないというような経営状況ですね。こういう点で、その経理的基礎を政府はあると判断しているか、ないと判断しているか。こういうことは今後民間に再処理問題を拡大する場合のわれわれの判断に重要な影響を与えますので、明確に答弁していただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/294
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295・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 いまの時点におきましては、まだそういうことを申し上げる段階ではないと考えております。いろいろ、安全審査の問題、たとえば経理的基礎といったようなお話もございましたが、それは契約する段階において考えることでありまして、現在そういうことについて、まだ契約するというような具体的な段階にはありません。まだ修理港を引き受けるという御返事もいただいていない状態でありますから、そういう仮定の問題につきましては、ここでお答えすることはちょっと適当でないと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/295
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296・瀬崎博義
○瀬崎委員 いや、私はそういう意味で聞いたのじゃないのですよ。ここで少なくとも原子炉であるとかその附帯施設の建設に当たる企業の経理的基礎として、会社側の都合で人員整理をした労働者に対して退職金も払えないような、そういう状況の会社でもこの経理的基準にはパスする、合格だという判断を科技庁は持っておるのか、そういう会社は少なくも規制法が定めている経理的基準には合格しないという判断なのか、こういうことを一般的に聞いているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/296
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297・牧村信之
○牧村政府委員 先生の御質問ではございますけれども、今回の「むつ」の遮蔽工事の改修がまだいかなる形で申請が出てくるか、またその工事を行う契約がどういうことになるのか未確定でございますので、この段階におきまして御返事をするのは適当な時期ではないと私ども考えております。具体的に申請が出された後に、その内容を見て具体的に判断すべきことであろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/297
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298・瀬崎博義
○瀬崎委員 これは長官に聞いておきたいと思います。
少なくとも法律条項として原子炉設置の許可の基準の中に明確に経理的基礎があることを明記しているわけですね。この「経理的基礎」の具体的内容の一つとして、つまりやめさした労働者、従業員に対して退職金が払えない、その資金繰りもつかない、こういうふうな企業がこの法律で言う経理的基準に合格しているとみなしているのかどうか、このぐらいのことははっきりさしてもらわなくちゃ審議にならぬじゃないですか、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/298
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299・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 一般的な御設問としてお答えいたしますが、いろいろ経理的なそういう欠陥のある相手を対象として契約することはできないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/299
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300・瀬崎博義
○瀬崎委員 私はもちろん、決してSSKが行き詰まることを望んでいるものではありません。せんだっても現地佐世保、長崎にも行ってまいっております。しかし、SSKの真の経営者といえば日本鋼管などの大株主ばかり、銀行は第一勧銀などがついておるわけですね。だから、SSKの危機とは、決してこういう株主や経営者、銀行があすの生活にも困るというふうな事態で危機なんじゃなくて、むしろ、すでに従業員の約四分の一、千五百人が整理されているという現状、下請が半分ぐらいに減らされて、そこに働く労働者約三千人がこれまた失業の憂き目を見ている、こういうことが危機なんですから、明確にSSK救済の本旨というものを政府はちゃんとつかんでほしい。そういう労働者や市民の民生安定、生活安定、ここに焦点を当ててこの救済問題を考えていただいたらいいのであって、「むつ」を取引材料にしてSSKの救済を云々することは根本的に間違っているし、また本来「むつ」そのものの修理もそうあってはならないと思うのです。決してSSK救済の人質ではないと思うのです。この点だけは大臣、明確に確認しておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/300
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301・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 「むつ」問題のいろいろな条件と佐世保重工に対する政府の方針が必ずしも連係があるということではない、決して「むつ」を受け入れてもらうから佐世保重工を救済する、そういう因果関係を考えているわけではないということはたびたび申し上げているとおりであります。いま佐世保重工に対して、政府がいろいろな救済といいますか再建措置をとっておられるのは、やはり造船対策とか不況対策とかあるいは雇用対策の見地から、あるいは佐世保重工の浮沈が長崎県、つまり地域全体の大きな経済問題であるという、いろいろな点を考えて政府ができることならば軌道に乗せたいという考えでやっていることであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/301
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302・瀬崎博義
○瀬崎委員 この間の本委員会で牧村安全局長が、「原子力船の修理が終わり、定係港が見つかり、陸上附帯施設の機能がちゃんと整った上でなければ原子力船の出力上昇はできないと思いますし、そのような定係港の附帯施設につきましてはさらに改めて申請をとり、安全審査をするというふうな段取りになろうかと思います。」こう答弁されておりますね。明らかに出力上昇試験は現状のままではできない。
そこで、いわゆる定係港、原子力船の附帯施設全部を全く新しい地に建設しようとする場合、基本設計に要する期間は大体どれくらいかかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/302
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303・山野正登
○山野政府委員 新しい定係港につきましては、修理港問題決着後直ちに選定作業に入ろうと考えておりますが、その地理的条件等にも大きく左右されるものとは考えますが、一年程度ではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/303
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304・瀬崎博義
○瀬崎委員 それでは、その基本設計ができて安全審査に当然かけなければなりませんね、その安全審査の期間はどれくらいかかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/304
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305・牧村信之
○牧村政府委員 安全審査の期間をお尋ねでございますけれども、これは現在の「むつ」の定係港の審査の経験も持っておるわけでございます。したがいまして、それほど長くはかからないと思いますが、何カ月ぐらいというのはちょっと言えない問題ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/305
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306・瀬崎博義
○瀬崎委員 しかし、今度は原子力安全委員会になるかもしれませんが、月に何回開かれ、何回ぐらいかけなければいけないということで、大体のめどは立つはずだと思うのです。それが局長に立たないようでは局長は勤まらないと思いますが、めどを示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/306
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307・牧村信之
○牧村政府委員 これも仮定の議論でございますのでなんでございますけれども、現在のむつにございます定係港と同じ機能を持つようなものでございますので、環境に対する影響評価の期間が中心になろうと思いますので、申請を受けてから恐らく半年前後でなかろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/307
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308・瀬崎博義
○瀬崎委員 当然、その安全審査が済んでから実施設計、つまり詳細設計ということになろうと思うのですが、附帯施設の場合は、安全審査といいますか、これは科技庁の方になるかもしれませんか、そういうことは不必要なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/308
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309・牧村信之
○牧村政府委員 定係港の附帯施設につきましては、先ほども申し上げましたようにむつにおきます経験がございますので、基本設計の審査をいたしました後、それほど重要として、安全委員会から指摘されて行政庁が審査をしたものをダブルチェックするという項目は少なかろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/309
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310・瀬崎博義
○瀬崎委員 それでは、それはある程度無視するとして、実際に全く新天地に定係港を建設する場合の実際の建設期間はどれくらいかかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/310
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311・山野正登
○山野政府委員 先ほど先生の御質問の趣旨を十分に聞いていなくて申しわけないのですが、基本設計というのにも二つあると存じます。一つは新しい定係港の岸壁等を含めた広い意味であらゆる施設の基本設計、これに私は一年と申し上げたわけでありまして、安全審査に所要の基本設計に限定すればもっと短期間にできるかと存じます。
それから工事の方でございますが、これはまさに地理的な条件、その地形、地勢によって大きく左右されるわけでございますが、大湊におきます建設等を参考にいたしますと、やはり一年ないし二年ぐらいというのが常識ではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/311
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312・瀬崎博義
○瀬崎委員 そうしますと、多少答弁に狂いがあったようですが、大体基本設計に、やはり新しいところで岸壁も含めて設計すると一年近くかかる、安全審査に約半年かかる、建設に一年半くらいかかる、それだけで結局三年を超えてくるわけなんです。そういう意味では、修理をしてすぐ出力上昇試験にかかろうと思えば、現にいま母港の選定が終わっておっても間に合わない、こういうことになりますね。それがまだはっきりしていないということになりますと、さて「むつ」の修理は一応終了したけれども——政府の言う修理ですよ、終了したけれども、定係港の方はまだ完成していないという場合も十分あり得るわけなんですが、そのときは「むつ」は一体どうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/312
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313・山野正登
○山野政府委員 私どもは、できるだけ時間的なロスがないように、修理に入りましたら直ちに定係港の選定作業に入りまして、時間的空白を置かないように努力したいと考えますが、もし仮にそのような、先生御指摘のような事態が起きたと仮定した場合には、修理港から新しい建設中の定係港に行って出力上昇試験が開始し得る条件が整うのを待つというふうな事態になろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/313
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314・瀬崎博義
○瀬崎委員 実際問題として、いろいろ政府の原子力行政に対する不信の強い、全国的ではありましょうが、とりわけ長崎は強いですね。そこでは、現実に、計算すれば、いまのように修理終了の時点でなお定係港ができていない可能性の方が多いわけですね。そのとき「むつ」はどうなるのか、この不安は非常に強いものがありますが、結局考えられるケースは四つ出てくると私は思うのです。まさに大湊港でもない、佐世保港でもない、新しい地に母港の選定を行う場合、第二は大湊港の母港機能の回復を政府が要請する場合、第三は佐世保の母港化を要請する場合、第四はいま言われたように、その母港の新しい選定ができない場合、結局修理した状況のまま新定係港が決まるまで佐世保に居座る、こういうふうな四ケースについて、政府としてこのケースとこのケースは明らかに否定できる、こういうことは考えていないと言えるのはどれとどれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/314
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315・山野正登
○山野政府委員 私が申し上げましたのは、修理が終了しても新しい定係港が完成をしていないという場合は修理港に停泊しまして新しい定係港の完成を待つというのではなくて、建設中の新しい定係港に参りまして、そこで定係港の完成を待つというふうに申し上げたわけでございまして、先生のおっしゃる四番目のケースというのは考えておりません。
それから、大湊とかあるいは佐世保という具体的な名前は、これはいろいろな誤解等も招くおそれもありますので、その辺についてのコメントというのは御勘弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/315
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316・瀬崎博義
○瀬崎委員 そうすると、佐世保が母港にならないまま修理された状態で佐世保に居座るケースはこの際否定された、しかし大湊、佐世保の改めての母港化ということは否定できない、こういうことと理解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/316
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317・山野正登
○山野政府委員 母港の選定というのは、先ほど来申し上げておりますように、修理港問題が決着してから入りたいと思うわけでございまして、具体的にどこの港は対象内であるとかあるいは対象外であるとかといったふうなことは、いまの時点では申し上げることは御勘弁いただきたいということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/317
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318・瀬崎博義
○瀬崎委員 それと、もう一つ。とりわけ国民並びに長崎の県民の懸念する問題として聞いておきたいのは、去年の臨時国会で、事業団法の延長問題で結局実質三年で修正可決されているわけでしょう。これについては、宇野長官が、与党にも三年は修繕期間にしか当たりませんと言ってある、こういう答弁もされているわけであります。ところが、すでに半年たっちゃって、事業団の残る法定期限は二年半であります。だから、政府が修理期間を短縮するならいざ知らず、いまのままいけば、まさに修理期間中に事業団の期限切れの方が先にやってくる、こういうことは明白なんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/318
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319・山野正登
○山野政府委員 事業団法につきましては、本院での事業団法審議の過程の御議論あるいはその後の附帯決議等の御趣旨から考えまして、できるだけ早い機会に日本原子力船開発事業団というものを研究開発機関に移行をさせることが必要であると考えておるわけでございまして、私どもは、現在、鋭意その研究開発機関に移行させるための法案の準備を進めておるところでございまして、御指摘のように五十五年の十一月末には現在の事業団法は一応の期限を迎えるわけでございますが、できるだけ早い機会に新しい改正法案を出しまして、現在の「むつ」の修理、それに引き続く開発試験航海といったふうなものにつきましては、新しい研究開発機関としての組織のもとで引き続き進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/319
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320・瀬崎博義
○瀬崎委員 しかしそれは当然国会の審議をまたなければ、何ぼ政府が主観的に意図しても、ままならない話でしょう。もしまたそれがあくまで前提として考えられるとすれば、これは国会を軽視しているということになるわけですね。しかも、この間の審議の過程では、やはりこの年限が短縮されてきた背景に「むつ」を政府の既定方針どおり修理することが絡まっているわけですね。ここを政府が変えるというのなら話はまた別でしょうけれども、そういう点から見て、当然また相当難航が予想されますね。場合によっては、いま局長が答弁されたような方向では国会は承知しないかもしれない。そういうふうな事態が予想されるとすれば、本来、順序からいって、まず事業団の今後のあり方について改めて国民に信を問う、つまり国会の審議を経た上で、この修理を手がけるというのが私は順序ではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/320
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321・山野正登
○山野政府委員 まず「むつ」の今後の扱いにつきましては、四十九年の放射線漏れを起こしました後、いわゆる大山委員会という場におきまして、それまでの原子力行政並びに「むつ」開発についての反省点というのをいろいろ検討していただきました結果、「むつ」の開発というものについては、所要の改修を行うことによって当初予定した開発の目的は達成し得るという評価もあわせていただいておるわけでございまして、それによって政府は、原子力委員会におきまして、長期的な原子力船開発のあり方、その中における「むつ」の位置づけといったふうなものも改めて検討し、その結論を出した上で現在進めておるわけでございます。さきの事業団法の審議の過程におきましても——私先ほど附帯決議と申し上げましたが、修正案の趣旨説明の間違いでございますので訂正申し上げますが、そのときにも、「むつ」の開発を中断するという趣旨ではなくて、現在事業団といりものは「むつ」の開発のみを行っておるわけでございますが、これに加えて、あわせて重要な原子力船の舶用炉等を中心にしました各種機器の研究も行うべきであるという御趣旨を体して、事業団をそういうふうな方向に衣がえをしていこうと考えておるわけでございまして、もちろん私どもは、そうするためには国会で法案の御審議をいただくわけでございまして、決して国会を無視するつもりはございませんし、また「むつ」の開発というものも、先ほども申し上げましたような第三百機関の御検討を経てきておりますので、政府が独善的にひとりよがりで行っておるということでもないと存じますので、従来の方針に従いまして進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/321
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322・瀬崎博義
○瀬崎委員 大臣に伺いたいのですが、本当に素直に国会の審議に従ってというのであるならば、まず法律上の問題から言えば、「むつ」問題解決のためには定係港をちゃんと決める。これは法律上の満足な条件を備えた定係港を決めて、それから修理を手がける。
それからもう一つは、事業団を、たとえば政府の言い分によるとしてもの話ですが、修理、点検、運航計画に見合ったように存続するならするという手続を経た上で修理にかかるのが順当ではないかと私は思うのです。技術的な面から見ますと、やはり繰り返し山野局長が言っていらっしゃるように、上ぶたをつけたまま作業をやるのは大変むずかしい、作業性が悪い、外した方がいいにこしたことはないわけでしょう。
それからもう一つは、修理が終了する時点では、燃料棒などは十年以上経過するわけですから、当然こういうものの点検、圧力容器内部の点検などもした方がいいに決まっている。
それから、先ほど長官も言われましたように、やはり修理に当たる機関といいましょうか企業は、技術的能力、経営的基礎が十分であることが望ましいわけです。こういうふうな条件をまず十分整備して、私はやはり修理問題というものは手をつけるのならつけるべきではないかと思うのです。それが順序というものではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/322
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323・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 いろいろ瀬崎委員の言われることはそれなりに、筋としてはそういう筋も決して否定するものではありません。ただ、現実の情勢といたしまして、いろいろ不幸な出来事のためにせっかくの「むつ」が、その修理の必要を認められながら三年半近くも現状におきまして手をつけられずにいる状態であります。それから、一面から言いますと、むつ湾に対しましては、四者協定という協定がありまして、その協定を履行するために昨年の四月十四日であそこを退去しなければならぬという問題があるわけでございます。それらの現実的な情勢をかれこれ勘案いたしますと、何としてもこの機会に一日も早く「むつ」の修理に着手する。それから、いまお話のあった件については、これまたそういういろいろな法案の整備でありますとか、あるいは定係港の設定でありますとか、そういう問題も急いでやっていかねばならぬ。そういう現実の情勢といたしまして今日の私どものとっております進め方は万やむを得ないものと考えて、その方針で進んでいるようなわけであります。その点、十分御了承をいただきたいと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/323
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324・瀬崎博義
○瀬崎委員 これは「むつ」の問題と再処理工場の問題はよく似ていると思うのですよ。大体原子力船「むつ」の今後の問題とかあるいは再処理工場の今後の問題というのは、日本国民全体の利益、日本の将来及び科学的な見地というものを貫いて、国が責任を持って決定すべき問題だと思うのですね。これを科技庁の方は科技庁の方で、地元の事情を考慮してやるとか、あるいはまた長崎県知事の方は県知事で、県の経費でやるとか文学的表現でやるとか、こういうふうなことを言って政治的に決着をつけている。こういうふうなことは、将来必ず大きな禍根を残す。そういう意味では、この「むつ」問題についてはこの機会に、実際に修理に手を下そうか下すまいかというこういう局面を迎えておるわけですから、「むつ」に関与してきた科学者とか専門家の民主的な討議を政府がよく組織して——これは長崎県知事がかつて研究委員会というものを諮問機関としてつくりましたね、ああいう方式は私、一つの見本になると思うのですよ。そうして、その結論を尊重しながら、国会の審議も十分に行った上で、そうして国民に対して責任のある方針を国が出していく、こうすべきだと思うのです。そういうふうな「むつ」の解決の教訓を踏まえた上で、さらに大きな冒険である再処理工場の問題などは当然、私は、民間に門戸を開くかどうかは検討すべき問題ではなかろうかと思うのですね。最後にその点の長官の御見解を伺って、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/324
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325・熊谷太三郎
○熊谷国務大臣 いろいろ御意見の中で傾聴すべき点、また考えなければならぬ点は、今後とも十分ひとつ考えてまいるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/325
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326・佐々木義武
○佐々木(義)委員長代理 次回は、来る三十一日水曜日午前九時五十分理事会、十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108403913X01419780525/326
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