1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年三月二十八日(火曜日)
午後零時七分開議
出席委員
委員長 川崎 寛治君
理事 天野 光晴君 理事 有馬 元治君
理事 高鳥 修君 理事 矢山 有作君
理事 湯山 勇君 理事 渡辺 朗君
越智 伊平君 斉藤滋与史君
谷 洋一君 谷川 寛三君
中島 衛君 中村 直君
原田昇左右君 村上 茂利君
森 清君 山崎武三郎君
渡辺 秀央君 伊藤 茂君
佐藤 敬治君 渋沢 利久君
新盛 辰雄君 瀬野栄次郎君
古川 雅司君 津川 武一君
山原健二郎君 永原 稔君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(国土庁長官) 櫻内 義雄君
出席政府委員
国土庁長官官房
長 河野 正三君
国土庁長官官房
審議官 四柳 修君
農林大臣官房審
議官 角道 謙一君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 宍倉 宗夫君
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委員の異動
三月二十八日
辞任 補欠選任
池端 清一君 新盛 辰雄君
同日
辞任 補欠選任
新盛 辰雄君 池端 清一君
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本日の会議に付した案件
活動火山周辺地域における避難施設等の整備等
に関する法律等の一部を改正する法律案起草の
件
小委員長からの報告聴取
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404339X00719780328/0
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001・川崎寛治
○川崎委員長 これより会議を開きます。
災害対策に関する件について調査を進めます。
この際、活動火山周辺地域における災害対策について、災害対策の基本問題に関する小委員長から、小委員会の調査の経過並びに結果につきまして報告したい旨の申し出がありますので、これを許します。有馬元治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404339X00719780328/1
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002・有馬元治
○有馬委員 活動火山の周辺地域における災害対策につきまして、調査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
活動火山周辺地域における災害対策につきましては、去る第七十一回国会において、当委員会から提案されたいわゆる活動火山法が成立し、同地域に対する災害対策の端緒が開かれたのであります。
現行の活動火山法は、火山爆発により著しく被害を受け、または受けるおそれがあると認められる地域に対し、まず、人命や身体の安全という基本的な対策といたしまして、避難施設を整備すること並びに最も自然的条件に依存し、火山の影響を受けやすい農作物につきまして、被害防除のための防災営農施設を整備することを主な内容とするものでありまして、現在、同法によりこれらの施設の整備が進められているところであります。活動火山法の取りまとめに御尽力されました諸先輩の努力と識見に対し、深く敬意を表したいと存じます。
しかしながら、昨年八月の有珠山の噴火及びその後の引き続く地盤変動や桜島の継続する降灰あるいは吾妻山系の一切経山の噴火に伴う水質汚濁等にも見られますように、活動火山周辺地域の被害は複雑多岐なものとなっており、地域住民の生活や事業の経営にも甚大な影響を受ける事態に至っております。
これらの被害の実態につきましては、昨年七月桜島に、また八月有珠山に当委員会から多数の委員が派遣され、現地をつぶさに視察してまいりました。また、小委員会におきましても、昨年十月被災地の代表の方々に御出席をいただき、現地の生の声や要望を聴取するとともに政府側ともその対応について協議を重ねました。
これらのさまざまな調査を通じまして、被害の実情に対処するには現行の活動火山法では不十分であるとの結論に達し、同法のみならず現行の関係法令や行政措置の見直しを検討することといたしました。この検討の結果、多数の改善すべき事項が指摘されたのでありますが、これらを踏まえ、昨年十一月、当委員会並びに本院において決議がなされたことは、すでに委員各位の御承知のところであります。
決議の各事項は、とりあえず昭和五十三年度予算で措置することを求めると同時に、立法の必要なものは今国会で措置することとされ、そのとりまとめを小委員会で行うこととされたのであります。
小委員会は、去る一月二十一日に設置されて以来、以上の経過や決議の趣旨を踏まえ、関係法令の改正問題に精力的に取り組み、鋭意検討を続けるとともに、この間、学識経験者である大学の先生に参考人として出席を求め、意見を聞くなどして協議を重ねた結果、お手元に配付の活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案の草案を取りまとめ、これを本日の小委員会において、小委員会案とすることに決定いたしました。
以下、本案の趣旨及び内容について御説明申し上げます。
本案は、最近における火山の爆発や、これに伴う多量の降灰その他の火山現象による被害の実情にかんがみ、活動火山法の一部を改正するとともに災害対策基本法、気象業務法、森林国営保険法等の一部を改正することといたしております。
まず、活動火山法の一部改正につきまして申し上げます。
その第一は、題名及び目的の改正であります。
御承知のように現行の活動火山法は、避難施設並びに防災営農施設の整備をその主な内容といたしておりますが、後ほど申し上げますように、新たに防災林業経営施設等の整備、降灰除去事業の実施、教育施設等に係る降灰防除のための施設の整備、火山の周辺地域における警戒避難体制の整備等の特別の措置を講じ、活動火山周辺地域における災害対策を充実することといたしておりますので、題名を活動火山対策特別措置法に改めることとし、目的についてもそれに適合するよう改めることといたしております。
その第二は、防災林業経営施設等の整備であります。
現在、避難施設緊急整備地域またはその周辺地域で、火山の爆発によって生ずる農作物の被害が、農業経営に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる地域の農作物につきましては、その被害を防除するため必要な施設の整備等に関する計画を都道府県知事が定め、その計画に基づく事業経費の一部について国庫補助する等の措置が講じられておりますが、今回の改正によりまして、林産物及び養殖中の水産動植物または水産物につきましても同様の措置を講じ、被害を防除するため必要な施設の整備を促進することといたしております。
その第三は、降灰除去事業の推進であります。
国は、火山の爆発に伴い、年間を通じて一定量の降灰があった道路で、一定のものに係る降灰または一定量の降灰があった市町村の区域内の下水道、都市排水路もしくは公園で、一定のもの、もしくは宅地に係る降灰につきまして、市町村が行うこれらの降灰の除去事業に要する費用について、政令で定めるところにより、その三分の二以内を補助することができるものとするとともに、市町村が必要とする経費につきましても、起債の特別措置を講じ、降灰除去事業を推進することといたしております。なお宅地に係る降灰につきましては、市町村長が指定した場所に集積されたものに限ることといたしております。
第四は、降灰防除地域の指定及び降灰防除のための施設の整備あるいは資金の融通に関する措置であります。
内閣総理大臣は、火山の爆発に伴う降灰により住民の日常生活に著しい支障を生じ、または生ずるおそれがある地域で、当該支障を防止し、または軽減するための施設等を整備する必要がある地域を降灰防除地域として指定することといたしております。
この降灰防除地域の指定が行われますと、同地域内の教育施設または社会福祉施設について、降灰防除のための施設で一定のものの整備を行う地方公共団体その他の者に対しましては、政令で定めるところによりその費用の三分の二以内を国庫補助することができるものとし、また、病院等の医療施設について、降灰防除のための施設で一定のものの整備を行う者、あるいは降灰防除のため事業経営上の施設または設備を整備しようとする中小企業者に対しましては、国及び地方公共団体は、これに必要な長期かつ低利の資金の融通が円滑に行われるように、必要な措置を講ずるよう努めるものとすることとしております。
第五は、治山治水事業の推進であります。
国及び地方公共団体は、避難施設緊急整備地域及びその周辺地域において、降灰、土石流等による災害を防止するため、治山治水事業の推進に努めなければならないものといたしております。
第六は、火山の爆発に伴う河川の水質汚濁の防止等であります。
国及び地方公共団体は、火山の爆発に伴い河川の水質汚濁が著しくなり、人の健康または農林漁業等に被害が生ずるおそれがある事態が生じたときは、速やかに汚濁を防止または軽減するための措置を講ずるよう努めなければならないものとしております。
第七は、火山現象による自然環境の汚染が人の健康等に及ぼす影響の調査等についてであります。
国及び地方公共団体は、火山現象による自然環境の汚染が人の健康または生活環境に及ぼす影響の調査及び研究を推進し、その成果の普及に努めるとともに、地方公共団体は、その成果に基づき、保健指導を行うよう努めることとしております。
第八は、火山現象の研究観測体制の整備、警戒避難体制の整備及び情報の伝達等であります。
国は、火山現象の予知に資する科学技術の振興を図るため必要な研究開発を推進し、その成果の普及に努めなければならないとするとともに、火山現象により住民等の生命及び身体に被害が生じまたは生ずるおそれがある地域をその区域とする都道府県の都道府県防災会議またはその協議会は、火山対策に関する関係機関相互の連絡を図るとともに、火山現象に関する調査研究を促進するよう努めなければならないものといたしております。
また、都道府県防災会議またはその協議会及び市町村防災会議またはその協議会は、地域防災計画において火山現象による災害を防止するために必要な警戒避難体制に関する事項を定めなければならないことといたしております。
さらに、国に火山現象に関する情報の通報を義務づけるとともに、通報を受けた場合の都道府県知事及び市町村長の対応についての規定を設けることといたしております。
第九は、財政上の措置についての適切な配慮であります。
国は、この法律に特別の定めのあるもののほか、この法律に基づく施策を実施するため必要があると認めるときは、地方公共団体に対し、財政上の措置について適切な配慮をするものといたしております。
次に、災害対策基本法、気象業務法、森林国営保険法等の一部改正について申し上げます。
まず、災害対策基本法につきましては、火山噴火の災害としての位置づけを明確にするため、噴火を災害として明記するとともに、その他の規定の整備を行うことといたしております。
気象業務法につきましては、火山現象に関する観測網を確立し、及び維持すること等を気象庁長官の任務とするため、また森林国営保険法につきましては噴火を森林国営保険事故の対象とするため、それぞれ必要な規定の整備を行うことといたしております。
その他、国土庁設置法について所要の規定の整備を行うことといたしております。
なお、この法律は、公布の日から施行し、改正後の活動火山対策特別措置法の規定は、昭和五十三年度分の予算に係る国の補助金から適用することといたしております。また森林国営保険法改正に伴う経過措置として、この法律の施行の際、現に存する森林国営保険契約についても、保険事故に噴火を加えるための規定を設けることといたしております。
以上であります。
この際、お手元に配付の活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案の草案を委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決定されるようお願いいたす次第であります。
委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
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活動火山周辺地域における避難施設等の整備等
に関する法律等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404339X00719780328/2
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003・川崎寛治
○川崎委員長 これにて小委員長からの報告は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404339X00719780328/3
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004・川崎寛治
○川崎委員長 次に、活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本草案の趣旨、内容につきましては、ただいま小委員長の報告にありましたので、説明を省略いたします。
本草案について、御発言はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404339X00719780328/4
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005・川崎寛治
○川崎委員長 御発言もありませんので、この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見があればお述べ願いたいと存じます。国土庁長官櫻内義雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404339X00719780328/5
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006・櫻内義雄
○櫻内国務大臣 衆議院規則第四十八条の二の規定に基づく内閣の意見を申し上げます。
活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案については、政府としてはやむを得ないものと考えます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404339X00719780328/6
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007・川崎寛治
○川崎委員長 お諮りいたします。
活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案起草の件につきましては、ただいまの小委員長からの報告にありましたお手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404339X00719780328/7
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008・川崎寛治
○川崎委員長 起立総員。よって、さよう決定いたしました。(拍手)
なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404339X00719780328/8
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009・川崎寛治
○川崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
小委員長並びに小委員各位には、まことに御苦労さまでございました。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十四分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404339X00719780328/9
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