1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年二月七日(火曜日)
午後八時二分開議
出席委員
委員長 大村 襄治君
理事 小泉純一郎君 理事 野田 毅君
理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君
理事 佐藤 観樹君 理事 坂口 力君
愛知 和男君 井上 裕君
宇野 宗佑君 大石 千八君
後藤田正晴君 佐野 嘉吉君
林 大幹君 原田 憲君
本名 武君 三原 朝雄君
村上 茂利君 森 美秀君
山崎武三郎君 山中 貞則君
池端 清一君 川口 大助君
沢田 広君 只松 祐治君
貝沼 治郎君 宮地 正介君
高橋 高望君 荒木 宏君
永原 稔君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 村山 達雄君
出席政府委員
大蔵政務次官 稲村 利幸君
大蔵省主計局次
長 山口 光秀君
大蔵省主税局長 大倉 眞隆君
国税庁次長 谷口 昇君
国税庁調査査察
部長 藤仲 貞一君
委員外の出席者
会計検査院事務
総局第一局長 前田 泰男君
大蔵委員会調査
室長 葉林 勇樹君
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委員の異動
一月二十八日
辞任 補欠選任
森山 欽司君 本名 武君
荒木 宏君 不破 哲三君
二月一日
辞任 補欠選任
井出一太郎君 坂本三十次君
不破 哲三君 荒木 宏君
同月七日
辞任 補欠選任
池田 行彦君 井上 裕君
小平 忠君 高橋 高望君
同日
辞任 補欠選任
井上 裕君 池田 行彦君
高橋 高望君 小平 忠君
―――――――――――――
一月三十日
付加価値税の導入反対に関する請願(津川武一
君紹介)(第三八六号)
不公平税制の是正等に関する請願(田中美智子
君紹介)(第三九三号)
国鉄共済組合長期財政の負担軽減措置に関する
請願(河村勝君紹介)(第三九四号)
同(米沢隆君紹介)(第四五八号)
同(西村章三君紹介)(第四七五号)
同(吉田之久君紹介)(第四七六号)
同(渡辺武三君紹介)(第四七七号)
一般消費税の新設反対に関する請願(中野寛成
君紹介)(第三九五号)
事業主報酬制度の恒久化及び簡素合理化に関す
る請願外一件(瀬戸山三男君紹介)(第四五七
号)
宅地買いかえに伴う税の軽減措置に関する請願
(谷口是巨君紹介)(第四六八号)
中古住宅取得に伴う税の軽減措置に関する請願
(谷口是巨君紹介)(第第四六九号)
土地譲渡益重課制度の一部改正に関する請願(
谷口是巨君紹介)(第四七〇号)
個人の土地建物譲渡所得の区分に関する請願(
谷口是巨君紹介)(第四七一号)
個人の土地建物長期譲渡所得課税に関する請願
(谷口是巨君紹介)(第四七二号)
公立高校用地確保のための国有地払い下げに関
する請願(池田克也君紹介)(第四七三号)
生命保険料の所得控除引き上げ等に関する請願
(岡田利春君紹介)(第四七四号)
二月四日
事業主報酬制度の恒久化及び簡素合理化に関す
る請願外十五件(羽田野忠文君紹介)(第五三
七号)
同(天野光晴君紹介)(第五六四号)
国鉄共済組合長期財政の負担軽減措置に関する
請願(大内啓伍君紹介)(第五三八号)
同(中野寛成君紹介)(第五三九号)
宅地買いかえに伴う税の軽減措置に関する請願
(中川秀直君紹介)(第五六五号)
同(枝村要作君紹介)(第五九五号)
同(小宮武喜君紹介)(第五九六号)
同(受田新吉君紹介)(第六八七号)
中古住宅取得に伴う税の軽減措置に関する請願
(中川秀直君紹介)(第五六六号)
同(枝村要作君紹介)(第五九七号)
同(小宮武喜君紹介)(第五九八号)
同(受田新吉君紹介)(第六八八号)
土地譲渡益重課制度の一部改正に関する請願(
中川秀直君紹介)(第五六七号)
同(枝村要作君紹介)(第五九九号)
同(小宮武喜君紹介)(第六〇〇号)
個人の土地建物譲渡所得の区分に関する請願(
中川秀直君紹介)(第五六八号)
同(枝村要作君紹介)(第六〇一号)
同(小宮武喜君紹介)(第六〇二号)
同(受田新吉君紹介)(第六八九号)
個人の土地建物長期譲渡所得課税に関する請願
(中川秀直君紹介)(第五六九号)
同(枝村要作君紹介)(第六〇三号)
同(小宮武喜君紹介)(第六〇四号)
同(受田新吉君紹介)(第六九〇号)
生命保険料の所得控除引き上げ等に関する請願
(新盛辰雄君紹介)(第六〇五号)
不公平税制の是正等に関する請願外一件(加藤
万吉君紹介)(第六七八号)
同(西岡武夫君紹介)(第六七九号)
同月七日
宅地買いかえに伴う税の軽減措置に関する請願
(飯田忠雄君紹介)(第六九二号)
中古住宅取得に伴う税の軽減措置に関する請願
(飯田忠雄君紹介)(第六九三号)
個人の土地建物譲渡所得の区分に関する請願(
飯田忠雄君紹介)(第六九四号)
一般消費税の新設反対に関する請願(石井一君
紹介)(第六九五号)
不公平税制の是正等に関する請願(伊藤茂君紹
介)(第六九六号)
同外一件(加藤万吉君紹介)(第六九七号)
同外二件(佐藤観樹君紹介)(第六九八号)
同(沢田広君紹介)(第六九九号)
同外一件(島田琢郎君紹介)(第七〇〇号)
同外四件(多賀谷真稔君紹介)(第七〇一号)
同外四件(高田富之君紹介)(第七〇二号)
同(玉置一徳君紹介)(第七〇三号)
同外九件(中村茂君紹介)(第七〇四号)
同(野口幸一君紹介)(第七〇五号)
同(平林剛君紹介)(第七〇六号)
同外二件(山口鶴男君紹介)(第七〇七号)
同(安藤巖君紹介)(第七三四号)
同外一件(阿部未喜男君紹介)(第七三五号)
同(荒木宏君紹介)(第七三六号)
同(浦井洋君紹介)(第七三七号)
同外三件(小川仁一君紹介)(第七三八号)
同外三件(大出俊君紹介)(第七三九号)
同外三件(大島弘君紹介)(第七四〇号)
同外一件(加藤清二君紹介)(第七四一号)
同(川本敏美君紹介)(第七四二号)
同(木原実君紹介)(第七四三号)
同(工藤晃君(共)紹介)(第七四四号)
同(小林政子君紹介)(第七四五号)
同(後藤茂君紹介)(第七四六号)
同(沢田広君紹介)(第七四七号)
同(柴田睦夫君紹介)(第七四八号)
同外一件(島本虎三君紹介)(第七四九号)
同外三件(清水勇君紹介)(第七五〇号)
同(瀬崎博義君紹介)(第七五一号)
同(瀬長亀次郎君紹介)(第七五二号)
同(田中美智子君紹介)(第七五三号)
同外一件(竹内猛君紹介)(第七五四号)
同外四件(武部文君紹介)(第七五五号)
同(津川武一君紹介)(第七五六号)
同(寺前巖君紹介)(第七五七号)
同(栂野泰二君紹介)(第七五八号)
同(中村茂君紹介)(第七五九号)
同(中村重光君紹介)(第七六〇号)
同(東中光雄君紹介)(第七六一号)
同外一件(広瀬秀吉君紹介)(第七六二号)
同(不破哲三君紹介)(第七六三号)
同(藤原ひろ子君紹介)(第七六四号)
同(伏屋修治君紹介)(第七六五号)
同(正森成二君紹介)(第七六六号)
同(松本善明君紹介)(第七六七号)
同外十一件(松本七郎君紹介)(第七六八号)
同(三谷秀治君紹介)(第七六九号)
同外三件(水田稔君紹介)(第七七〇号)
同(安田純治君紹介)(第七七一号)
同(山口鶴男君紹介)(第七七二号)
同外十五件(山田芳治君紹介)(第七七三号)
同(山原健二郎君紹介)(第七七四号)
同(吉田之久君紹介)(第七七五号)
同外三件(渡辺三郎君紹介)(第七七六号)
同外一件(渡辺芳男君紹介)(第七七七号)
同外二件(安島友義君紹介)(第八一一号)
同外二件(安宅常彦君紹介)(第八一二号)
同(青山丘君紹介)(第八一三号)
同外一件(伊賀定盛君紹介)(第八一四号)
同(伊藤茂君紹介)(第八一五号)
同外二件(川崎寛治君紹介)(第八一六号)
同(木原実君紹介)(第八一七号)
同外一件(久保三郎君紹介)(第八一八号)
同外二件(斉藤正男君紹介)(第八一九号)
同(坂本恭一君紹介)(第八二〇号)
同外二件(島本虎三君紹介)(第八二一号)
同外二件(鈴木強君紹介)(第八二二号)
同外二件(田邊誠君紹介)(第八二三号)
同外五件(高沢寅男君紹介)(第八二四号)
同(中井洽君紹介)(第八二五号)
同(中西積介君紹介)(第八二六号)
同(成田知巳君紹介)(第八二七号)
同(野口幸一君紹介)(第八二八号)
同外二件(長谷川正三君紹介)(第八二九号)
同(平林剛君紹介)(第八三〇号)
同外三件(藤田高敏君紹介)(第八三一号)
同(松本七郎君紹介)(第八三二号)
同外一件(美濃政市君紹介)(第八三三号)
同外三件(武藤山治君紹介)(第八三四号)
同外六件(村山喜一君紹介)(第八三五号)
同(森井忠良君紹介)(第八三六号)
同(矢山有作君紹介)(第八三七号)
同外三件(山口耻目君紹介)(第八三八号)
同外九件(山田芳治君紹介)(第八三九号)
同外四件(山本政弘君紹介)(第八四〇号)
同(横山利秋君紹介)(第八四一号)
同外一件(渡辺芳男君紹介)(第八四二号)
農林省農業技術研究所跡地の利用に関する請願
(濱野清吾君紹介)(第七三三号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
二月六日
昭和五十三年度税制改正に関する陳情書外一件
(第一六号)
貸金業の規制措置強化に関する陳情書
(第一七号)
事業主報酬制度の恒久化及び簡素合理化に関す
る陳情書外一件
(
第一八号)
舞台芸術の入場税撤廃に関する陳情書
(第一九号)
一般消費税の新設反対等に関する陳情書外七件
(第二〇
号)
付加価値税の新設反対に関する陳情書外一件
(第二一号)
身体障害者に対するたばこ小売人指定基準の改
善に関する陳情書(第二二号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
決算調整資会に関する法律案(内閣提出第一
号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/0
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001・大村襄治
○大村委員長 これより会議を開きます。
決算調整資金に関する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川口大助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/1
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002・川口大助
○川口委員 大臣と初めて相まみえるわけでありますが、大臣のお心のほどをまず承知したいと思いますので、坊大蔵大臣にかわりまして村山大蔵大臣が起用されたわけでありますが、そのことにつきまして大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、まずお伺いしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/2
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003・村山達雄
○村山国務大臣 坊前大臣は私の大先輩でございまして、かねがね御指導を賜っておるわけでございます。その後を汚しまして、はからずもこの職を与えられたわけでございますが、ひとつ先輩にならいまして、この難局でございますけれども、何とか微力を尽くしてできる限りのことをやってまいりたい、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/3
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004・川口大助
○川口委員 せっかくの御精進をお願い申し上げたいわけでありますが、いろいろお話ありますように、今日ほどわが国財政の困難な事態に直面しておることはないと思うのでありまして、財政運営の真価が問われる時期に入っておる、こう思うのであります。
私は前に坊大蔵大臣にも申し上げましたが、一つの企業で言いますと、いわば四割近い借金を抱えた企業でありまして、いわばそこの管財人のようなものだ、したがって、財政を立て直すためには相当の決意が必要なんだ、こういうふうなことを申し上げてまいったわけでありますが、この点につきましてひとつ大臣の御所見を承りたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/4
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005・村山達雄
○村山国務大臣 財政は言うまでもなく、いわば政治を数字にあらわしたものだと言えると私は思うのでございます。その歳入歳出ともやはりその国の政治を端的にあらわしておるもの、したがって、国民の要請がそこにあらわれておると思うのでございます。しかし、国民経済をこの世界の中で維持していくのはなかなかむずかしいわけでございまして、財政に与えられた使命としましては、通常、資源の適正配分であるとか、あるいは景気調整機能であるとか、あるいは所得再配分機能というようなものが言われております。
最近、日本の経済を見ますときに、石油ショック以後、確かに成長率ではまずまずというところでございますけれども、中身をよく見てみますとなかなか容易ではない。本来、いまのような市場経済と申しますか、これはミクロが中心にならなければならぬことは当然でございます。にもかかわらず、あらゆる経済指標あるいは企業の収益を見ておりますと、なかなかそうは相まいらぬ、こういうわけで、今度は国内的あるいは対外的な経済の諸均衡を図るべく、いわば思い切って短期間に日本の民間経済を回復したい、こういう願いを込めまして、今度は臨時異例の措置をとったわけでございます。
しかしその結果として、公債依存率は三二%と申しますけれども、前倒しがございますから実質は三七%になる、これは容易ならぬことでございます。一種の非常措置を講じた結果そうなるわけでございます。今後はこの手段によりまして、民間経済その他日本の経済を軌道に乗せることができれば、やがては健全化という問題が最大の課題になってくるであろうと思うのでございます。そうでなければ、それは最後にはやはり民間経済に逆に反映いたしまして、その足を引っ張ることになりかねないことは当然でございます。そういう意味でわれわれは今後、財政健全化にこの次はいよいよ取りかからなければいかぬな、こういう感じを深くしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/5
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006・川口大助
○川口委員 いま大臣から財政の及ぼす影響、効果というものについてお話がありましたが、今回の決算調整資金とのかかわり合いの上で財政の健全化という問題について私はお尋ねしたいわけであります。
大臣のおっしゃる財政の健全化ということはどういうことを意味するわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/6
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007・村山達雄
○村山国務大臣 私は率直に申しまして、財政というものは内容的に申しますれば、財政主導型というようなことは長く続くものではないであろうという基本認識に立っているわけでございまして、やはり民間経済が主体になりまして経済を引っ張っていく、財政は、まあ望ましい姿としてはせいぜい景気刺激型とかあるいは抑制型ということによりましてそこの間を調整していくのが、私は本来の姿であろうと思うのでございます。
この段階でそんな抽象的なことを言ってもしようがないから、それなら具体的に何を目標にするか。これは言うまでもなく、赤字国債、特例債を早くやめるということを第一の目標に置きたいのでございます。少なくともことしの実質依存率は二四%程度になると思います。形式では一八・三%でございますが、これをこれ以上広げないということを第一の目標にして、それで何年かかかりまして、財政収支試算を先般予算委員会に出させていただいたのでございますが、あれは計画ではなくて試算ではございますけれども、できれば五十七年度ぐらいまでには脱却したい、こういう願いを込めておるわけでございます。とりあえずはその辺から手がけてまいりたい、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/7
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008・川口大助
○川口委員 私は、ただいまの大臣の見解というのはまことに浅いと思うのであります。問題のとらまえ方が浅いと思うのであります。
大変失礼な例を申し上げるわけでありますが、にきびが出たというわけで、原因を探求しないでにきびだけいじってまいりますと、めんちょうという大変な命取りの病気になる場合があるのでありまして、胃が悪いのかあるいは何か体の中に体毒があるのか、そういうものをよく検討しないで、出た現象だけの手当てではなかなか治らぬというふうに私は思うのであります。
今回の赤字公債につきましても、それはいろいろな原因があるわけであります。しかし、財政制度審議会の建議の中にも、七ページの(3)というところにこんなふうに書かれてあります。「全体としては、既定経費のすべてについて制度、慣行にまで遡った徹底的な見直しを行い、」「もって、財政の節度を維持することとすべきである。」特に一部の施策や経費、そういうものを例外扱いするような態度はもう許されない時代になったというふうに強調しておるわけであります。したがって、赤字公債をなくするということは、財政のそういう徹底的な洗い直し、見直しというふうなものに配慮しなければ、大臣の言われる赤字公債の発行を解消するというまでには至らぬと思うのでありますが、その考え方につきまして、この建議でも言っておることに対して、どういうふうに御理解をなさっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/8
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009・村山達雄
○村山国務大臣 おっしゃる点、同感でございます。別の言葉で言ったわけでございますが、四十年から今日までの歳入、歳出の増加の年率を見ておりますと、普通歳入の大宗でございます租税収入が年率九%ぐらい、ところが歳出の方は一九%で伸びているのでございます。これでは赤字になるのは当然なのでございます。その手段といたしましては、当然のことながら、今度の財政収支試算でもお示ししているように、やはり相当歳出も節減しなければならぬ、それも根本から洗い直さなければ無理であろうということは、恐らく収支試算のところで示されているととろでございます。また、いまの日本の負担というものが、諸外国に比べまして一般的に低い水準にあることも当然でございますので、私はこの両々相まって、やはり収支の均衡を図っていかなければならない。そのためには、相当苦しいであろうけれども、ここのところはしんぼうして、歳出もある程度根元から見直して、歳入という点もやはり負担すべきものは負担していただくということでなければ、健全財政ということは貫けないだろうという点は全く同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/9
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010・川口大助
○川口委員 そこで、いまのような御説明は去年も聞いたんですよ。しかしさっぱり実効が上がらぬ。全然努力しないかというと本年度も補助金などにつきまして約千四百億ぐらいの削減をしましたから、全然努力しないとは言わぬ。しかし、これは根本的なものにメスが入っていない。話としてはわかるのですが、五十三年度予算もすでに編成が終わっておるわけでありますけれども、一体いつからその大臣のお考えを実施されるのか。先ほども言いましたが、大体前大臣も任期一年足らずでもう解任になっておりますし、大臣だってそんなに長い期間じゃないと思うのですよ。だから、考えてばかりおったってなかなか実現できなければ何にもならぬわけでありますから、その考えを一体いつ実際の事務の上になされようとするのか、その辺をいま一度お尋ねしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/10
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011・村山達雄
○村山国務大臣 財政政策はその状況によって判断しなければならぬことは当然だろうと思うわけでございます。ことしは残念ながら、財政の健全化ということを後に残しまして、財政が健全化するその素地、培養、民間経済の回復という問題にまず重点を置いたわけでございます。私はできれば来年あたりから、もう本格的な財政健全化に臨みたいという願いをいま持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/11
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012・川口大助
○川口委員 ということは、今回の予算案は景気刺激に重点を置いてその他のものはまあ一応見合わせた、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/12
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013・村山達雄
○村山国務大臣 予算の形を見てもおわかりになりますように、景気刺激などというものでなくて、全く財政主導型の経済を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/13
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014・川口大助
○川口委員 そうすると、五十三年度の予算編成の考え方ですが、私ども地方でありますが、大体予算編成の体験を持っておるわけです。歳入に見合った歳出を組むのか、あるいはまた歳出に見合った歳入を考えるのか、あるいはまた、一つの日本経済の規模を想定して、その規模を達成するための歳出、それに見合った歳入、そういうかっこうになるのか、今回はどの方法をおとりになったかお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/14
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015・村山達雄
○村山国務大臣 その問題は古くから論じられている古典的な問題でもあるわけでございますが、私は両方にらんでやるべきだと思うのでございます。
なお、つけ加えて申しますが、ことしは景気刺激を財政主導型ということで公共投資を中心に置きましたけれども、同時に財政健全化と申しますか、そういった一つの萌芽もつくろうということで、御案内のようにことしは投資部門とそれから経常部門に分けて、そして経常部門はできるだけ圧縮いたしたのでございます。官庁経費等は、物価が上がり人件費が上がっておりますが、ほとんど前年の横ばいであるとか、あるいは補助金にいたしましても、今度は例年の大体二倍ぐらい整理いたしまして、千四百億ぐらい整理しております。したがって、経常部門の伸びは去年よりも少なくて一七・四%というふうに切り込んでおるわけでございまして、何分にも公共投資の方がさっき申しましたようなことで非常に大型になりましたので、全体としてはかなり大規模のものになった、こういうことでございまして、ことしも健全化に全然配意しないということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/15
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016・川口大助
○川口委員 そうなるとちょっと話がわからなくなるわけでありまして、健全化に努力するということは去年もこの席でいろいろおっしゃったわけです。人はかわりましたけれども、大蔵省の方針としては変わらぬわけですね。したがって、健全化を見ながらこういうふうな措置をしたというのであればある程度理解ができますが、当初の御答弁は、とにかく今回は景気を上げるため、景気を回復するために財政主導に力を入れたんだ、場合によっては財政の健全化の方はこっちに置いたんだ、こういうお話がありましたから、それでは一体経費を——いま言うとおり、投資経費というものをずいぶん大幅に拡大をしましたから、それに伴って場合によっては歳入の欠陥もあり得るかもしらぬということを予想しながら歳出面をふやしたんだ、投資経費をふやしたんだ、こういうふうに理解をするわけでありますが、そういうことで結構ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/16
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017・村山達雄
○村山国務大臣 もう一遍正確に申し上げますと、一番大きなねらいは景気浮揚でございます。しかし同時に、財政当局でございますから、財政の健全化を全然無視したわけではないので、その点も極力配意いたしました、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/17
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018・川口大助
○川口委員 私はそのためには、やはり一つの財政節度というふうなものを——これは大臣も、ここに書いてありますが、財政節度を守っていくんだ、こういうふうにおっしゃっておるわけです。今回のいろいろな措置を見ますと、果たして本当に健全財政というものあるいは財政節度というものを考えているのかどうか疑わしい点があるわけであります。
たとえて言えば、公債の発行でありますが、本年度当初におきましては三〇%以内に抑えるんだ、しかも九月の補正におきましても二九・九%にしたんだ、こういう説明にもかかわらず、これは十五カ月予算という関係もあるでしょうが、結果的には今年度の公債というのは三四%になっておるわけです。これは決して財政の節度を守ったとは私は言いがたいと思うのでありますし、いま一つは、やはりこれまた歳入の補てんのために、五十四年五月中に収納される税収をその区分を変えまして前年度分に繰り入れた、これも必ずしも財政の節度を守ったというものではないと思うのであります。この点につきましてはどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/18
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019・村山達雄
○村山国務大臣 先ほども申しましたように、急速に民間経済の回復を願っておりますから、全体としては歳出規模がふえ、そしてまた普通収入が入りませんから、いかに経常部門を圧縮いたしましても、結果において公債依存度が大きくなった、その意味でことしは、それだけで見ますと、その数字だけを見ますと、まだ財政健全化はこれからだと言われればおっしゃるとおりでございます。ただ、考え方としましては、今後経常部門と投資部門を分けていこう、そして経常部門を極力圧縮していく、行く先はその経常部門を賄うような赤字公債をなくしたい、そういう願いを込めて今度は経常部門と投資部門を分けておりますので、その辺はひとつ御理解をいただきたいと思います。
第二番目の問題でございまして、来年の三月末に租税債権が発生して、いままでは四月中に収納したもの、これがその年度の歳入になるのでございますが、今度は出納整理期間の終わりまで、つまり五月分のものまで当該年度の歳入にさしていただくようにいま御提案いたしておるのでございますが、これは一つには何と申しましても、地方財政の関係を考えているからでございまして、そうでございませんと、地方財政が賄えないくらい国、地方を通じまして財政が非常に困難であるということ。大体五千八百億くらいそれによりましてほぼ回るはずでございます。その結果は、地方の財投の方に大きく響くわけでございまして、そして乏しい財投資金を挙げて景気対策に使おうといたしますと、その五千八百億というものが物を言うわけでございまして、地方財政の方にも財投資金を思い切って使いたい。
もう一つのねらいは、ずいぶん今度は公共債を国におきましても地方におきましても思い切って出さざるを得なかった。全体で恐らく二十兆を超えると思うわけでございます。この消化にもおのずから限度があるわけでございますので、そういった拡大政策をとりながらも消化が円滑にいくようにといういろいろの思いを込めまして、今度は最後の手でございます。年度内に納税義務が発生し、出納整理期間中に収納したものでございますから、これ以上延びることはないわけでございますが、最後のいわば租税収納を使わしていただいた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/19
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020・川口大助
○川口委員 前段が大分長くなりましたが、結局私の申し上げたいことは、一つ一つの事柄を見れば、いま大臣がおっしゃるようにそれぞれの理由があって、それぞれの理屈があってこれはなされたことと思うのであります。しかしながら、国全体の財政を健全化するというその問題は、相当の勇気と、場合によっては蛮勇と思われるぐらいの英断をもってこれに対処しなければ、ずるずると深みにはまっていくようなかっこうになって、財政破綻というものはいよいよ厳しくなるのだ、であるから、ひとつそういう点を十分配慮していただきたいということを言いたいために少し前段が長くなった、こういうことでありますから、ひとつ御理解をいただきたいと思うのであります。
さて、決算調整資金に関する問題でありますが、これは御説明にもありましたとおり、二千億の資金を一般会計に準備して、そうして歳入不足の際にこれで補おう、こういうことですが、二千億を資金にしたという二千億の根拠は一体何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/20
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021・村山達雄
○村山国務大臣 政府委員から答弁をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/21
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022・山口光秀
○山口(光)政府委員 二千億というのは、この制度発足に当たりまして、いわば元金と申しますか、ファンドとしてどの程度が適当であるというめどのつけ方であろうかと思うのですが、過去の事例から見まして税収規模の一%程度というのが一つのめどではないかということで、二千億を補正予算に計上さしていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/22
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023・川口大助
○川口委員 一つの元金というお話でありますが、一体総額幾ら資金として準備しようとするおつもりですか。二千億が元金ならば総額でどのぐらい準備なさるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/23
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024・山口光秀
○山口(光)政府委員 決算調整資金としてはまさに二千億ということでございます。ただ、税収不足という事態、これはなかなか予測しがたい面がございます。今度の法律の附則でも国債整理基金とのつながりを考慮しておりますので、その面の第二線準備も用意しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/24
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025・川口大助
○川口委員 いつかの御説明で、二千億が足りない場合は国債整理基金から繰り入れて翌年それを返済するのだとありましたが、私ども聞いておるのは、ではこの二千億というのは、これから当分の間元金として、仮にことし不足があって二千億全部充当したという場合には、来年また二千億というふうな考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/25
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026・山口光秀
○山口(光)政府委員 最初資金制度を創設いたしますに際しまして、先ほど申し上げましたように、いわばファンドとして二千億をお願いしたということでございまして、もし二千億を全部使ったとかあるいは一部使ったとかという事態に際しまして、今度その資金をどの程度復元するかあるいは拡充するかという点になりますと、それはいま特例公債を発行しているような事態でございますので、そのときの財政状況その他いろいろ総合的に勘案しまして、その時点での判断をさしていただくのが適当ではないか、それはまたその判断につきましては、予算をもちまして国会の御判断を仰ぎたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/26
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027・川口大助
○川口委員 何か説明がよく理解できないのですが、先ほどの説明では、元金として二千億準備するのだ。しかし来年になるとどうなるかわからぬ、こういうお話なんですね。そうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/27
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028・山口光秀
○山口(光)政府委員 ちょっと説明が悪いかもしれませんが、元金と申しますか、最初のファンドとしての見当のつけ方として、一応税収の一%程度の二千億ということを考えたわけでございますので、それじゃそれがあれば決算調整資金としてはいつも対応できるのかと言われれば、そういうわけでもないわけです。むしろそういう決算調整資金と、それから第二線準備であります国債整理基金といったようなものを総合的に運用するということで対応したいということでございますので、常に決算調整資金をどの程度積んでいなければいかぬということではないのではないか、それはそのときの情勢で判断し、国会にお諮りしたらいいのじゃないかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/28
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029・川口大助
○川口委員 どうも私がのみ込みが悪いのかよくわからぬのですが、とにかく歳入欠陥の際に、歳入が不足した際に、それを補てんするための何かの基金を置こうということでしょう。この数はたまたま二千億にした、これはわかります。しかし、その二千億で足りない場合はどうするかというと、国債整理基金から借りよう、こういうことでしょう。
お伺いしますが、それじゃ国債整理基金というのはいま一体幾らほどあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/29
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030・山口光秀
○山口(光)政府委員 これは、いまの国債整理基金と申しますか、減債基金制度の実情によってだんだん変わってくるわけでございますけれども、五十二年末で申しますと約九千億の金がある。もしも国債整理基金の方で、たとえば買い入れ消却といったようなことをやらないで、五十三年度予算に計上いたしましたような国債償還財源の繰り入れということをやってまいりますと、五十三年度末では一兆三千億近くになるというふうに、だんだんここのところしばらくはふえていく感じでなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/30
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031・川口大助
○川口委員 ですから、その歳入に不足ができたときは、ことしはとりあえず二千億使うんだ、二千億以上の不足があれば国債整理基金から借りるんだ。その国債整理基金にはいま約九千億の金がある、こういうことなんでしょう。そうすると、二千億の資金というのは来年はどうなるかわからぬということでしょう。来年は来年になってみなければ資金を置くか置かないかわからぬというわけでしょう。それはそのときになってから相談しましょう、こう言っているわけですね。そうすると、どうもわからなくなるのは、何のためにことし資金を設けるのか。結局二千億置こうが百億置こうが、不足なときは国債整理基金から借りて翌年返済するわけですから、その辺のところの使い分けがどうしてもぼくはわからぬのであります。
これは恐らく財政制度審議会の報告等に基づいて皆さんお考えになったと思うのでありますが、これによりますと、これは七ページの(3)にありますが、特例公債による決算上の不足を補てんする構想を言っているわけです。しかしこれは本質的には好ましくない、財政運営の安易化を招くおそれがある、こう言っているわけです。しかし一番最後にいっては、ことしの場合は何とも金がないから特例公債の増発によらざるを得ない、こう言っているわけですが、この二千億の財源といっても、この財源は何ですか、ことし設けようとする二千億の資金の財源は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/31
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032・山口光秀
○山口(光)政府委員 補正の財源でございますから、特例公債であると申し上げざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/32
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033・川口大助
○川口委員 そうでしょう。ですから、この制度審議会も、基本的には赤字公債そのものを積んだりするようなかっこうはうまくない、これは財政運営の安易化に対し決してよい効果を及ぼさない、こう言っているわけです。しかし手持ちがないからやむを得ない、こう言っている。それはどうしてやむを得ないかといえば、仮に今年度歳入不足が出た場合にやむを得ない、こう言っているわけです。
しかし一方においては、先ほどから何回もお話あるとおり、この二千億で足りない場合は、つまり国債整理基金によって充当して翌年返済するんだという制度がここにできますると、何も無理して二千億の資金をここに設ける必要がないんじゃないんですか、その辺の道理がどうも理解できないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/33
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034・山口光秀
○山口(光)政府委員 やはりその制度をつくりまして資金ということを設けるという場合に、大変俗な言い方でございますけれども、たとえば財布を人に上げる場合に元金を幾らか入れて上げるというような感じも、大変俗な言い方としてはあろうかと思うのですが、制度というものをつくる場合に、ただそのお金を入れないでつくるということではいかがであろうか。やはりそこは大変むずかしいめどのつけようであろうかとは思いますけれども、一応合理的なめどで元金、ファンドを入れていくのがあるべき姿じゃなかろうかということで、補正予算を計上さしていただいたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/34
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035・川口大助
○川口委員 だから私は、ことし二千億の資金を設けたならば来年もある程度の資金を設けますかと伺ったところが、それは来年になってみなければわからぬ、こうおっしゃるのでしょう。そうすると財布はどうなるのですか。
私は余り記憶はありませんが、たしか昭和三十三年に経済基盤強化資金というものを設けたことがあるのですよ。その資金はいま幾らあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/35
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036・山口光秀
○山口(光)政府委員 最初に経済基盤強化資金の方から申し上げますが、そういう資金をつくりましたが、その金は、資金を取り崩して歳入に受け入れて使ったわけでございまして、経済基盤強化資金の残額はないと思います。
それから、どうも多少説明の仕方が悪いのかとも思いますが、仮にことしその二千億の資金を全部使った場合に、来年度以降復元するのかしないのかというお話でございますけれども、それは復元しないと申し上げているのではなくて、そのときの財政状況その他総合的な判断で考えていっていいんじゃないかというふうに申し上げているわけでございます。たとえば先ほどもお話がございましたように、二千億で足りなかった、もっと要ったのだ、それは国債整理基金から借りましたという事態もあるわけでございまして、それを返さなければいかぬという財政需要もまた別に出てくるかもしれないわけでございます。そのときの財政状況、それからいろいろな財源事情、それから財政需要の状況、やはり総合勘案して金額については考えていった方がいいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/36
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037・川口大助
○川口委員 ということは、五十三年の決算も、あるいは五十四年の決算も場合によっては歳入不足があるかもしれないですよ。今回なぜこういう資金を設けたかというと、歳入不足ができた場合は処置がない。地方の場合は、繰り上げ充用等の措置がある。これは市町村や知事に専決処分の権限があるから、それは地方自治にはできるのだ。あるいはまた財政調整資金というものがあるから、その積立金があるからできるのだ。しかし国の場合はそういうものがないから、不足のときの処置がないから資金を設けるという説明なんでしょう。それを来年になると、何か国債整理基金もあるから、そこから回した分を返した分がどうのこうのと言っても、それは何らの説明にならぬじゃないですか。歳入不足のときにどうするかということで提案なさっているわけですから、その辺のところがどうものみ込みのできないような御説明ですので、もう一度ひとつ明確に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/37
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038・村山達雄
○村山国務大臣 いま山口次長から言ったことなんでございますが、よく考えてみますと、収入の租税の見積もりでございますから、理論としては、多く見積もり過ぎる場合もあるし、それから少なく見過ぎる場合もあるわけでございます。ですから本来から申しますと、現在、剰余金が出ますと、その二分の一は国債整理基金に繰り入れろ、こう書いてあるわけでございます。だから、いまのような状態を考えてみますと、それならば、当然今度できました決算調整資金に繰り入れるのが、少なくとも向こうに繰り入れた残額ぐらいはこっちに入れるのがあたりまえじゃないか、そういう意味で今度のやつはつくってあるわけでございます。
しかし現実の問題として、それならことし剰余金が見込める状態にあるかという現実の問題で言いますと、なかなかそうはいきかねますので、ことしは元金として二千億入れさしていただきます。来年以降、いま川口さんは、あれがまたなくなったらどうするんだ、こういうお話でストレートに来たものですから、いやそれは本当を言いますと、多くなる場合も少なくなる場合もありまして、絶えず足りないとは限らぬわけでございますので、制度としては、やはり剰余金が出たときには、そのかわりに、国債整理基金に入れなくちゃならぬ最低限が決まっておりますから、その残りの分はこちらに入れさせていただきますというのが、この制度の第一段にできているわけでございます。
それでストレートに、足りない場合は、こう言われたものでございますから、その場合にはこの附則に書いてありますように、第二段として国債整理基金。これはなぜかというと、剰余金を入れているわけでございますから、そしてその入れた残りは今度こちらの決算調整資金に入れようという制度がございますので、一番関係の深い国の特別会計でございますので、一時お借りしてその翌年度にお返ししましょう。その返す財源は何によるか。われわれは、今後財政の健全化を図ってまいるわけでございますから、いまのところ考えられるのは、歳出を削るか、あるいは何とかして一般に負担増を求めることによって、そしてどちらかによってその財源を生み出したいというのが、実は財政健全化の方向であるわけでございます。
ことし元金を入れるというのは、少なくとも今年度に関してはどうも剰余金なんというものではなさそうだ、こういうことでこの元金を入れさしているわけでございまして、制度としてはプラス、マイナスはあり得る、こういうことで、そこの制度問の調整はつけてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/38
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039・川口大助
○川口委員 制度としてつくるということになったわけは、つまり歳入の不足の場合を考えてやっておるわけですが、歳入の見通しというのは、いま言ったとおり予想がつかない。——ぼくはある程度予想がつくものだと思うのですよ。つくから予算編成ができるんであって、全然つかない場合は予算編成はできないわけですよ。ただおっしゃることは、予測はつくけれども幾らかの幅がある、その幅の際にマイナスが心配だ、だから設ける、こうおっしゃるわけでしょう。そうすると、それは常にある、いつの時代にもある不安なんです。それを、ことしはあれだけれども来年は事情によってという説明では、これは納得できないんじゃないですか。時間の関係もありますから、簡潔に答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/39
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040・村山達雄
○村山国務大臣 一般的な確率で言えば、多く誤差が出てくるのはある程度当然だと思いますけれども、プラスもあるしマイナスもあるというのが一般論じゃないか。ことしはどうもプラスの方向には出そうにない、こういうことでやらしていただいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/40
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041・川口大助
○川口委員 だから、ことしの話は一応わかったから、来年はどうだと言うと、それは来年にならなければわからぬと言うから私はお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/41
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042・山口光秀
○山口(光)政府委員 私の説明不足と申しますか、舌足らずで議論がちょっと紛糾しておりまして、大変恐縮に存じますが、復元しないと申し上げているのではないわけでございまして、復元はしなければいかぬと思います。思うのですが、それを金額を何ぼにしたらいいかというような点になりますと、これはそのときの相談と申しますか、そのときの事態の判断ではなかろうかということを申し上げているわけでありまして、そういうふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/42
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043・川口大助
○川口委員 ちょっと時間が気にかかって……。
いま山口さんは、ことしの二千億の根拠は何かと言ったら、税収の一%だとはっきりおっしゃったのですよ。だから二千億だと言っておるのですよ。しかし、私の試算から言うと、今回の第二次補正で約八千六十億、これを減額補正をいたしました。残りは約五兆四千億の見当です。いわゆる税収として入ってくる残の見込みが五兆四千億ですよ。ですから、五兆四千億の差よりないのです。ですから皆さんは、ことしは二十兆円の一%を見たけれども、来年はわからぬとおっしゃるから、来年だって税収全体の一%を見たっていいじゃないか、こう答えられれば、ぼくはあるいは納得したかもしれないけれども、その辺がまごまごしておるのですよ。
次に進みますが、ことし二千億というのは、先ほど言ったとおり、仮に一千億より積まなくても、百億より積まなくても、どうせ整理基金が九千億あるわけですから、この国債整理基金から持っていくつもりになれば、千億持っていこうが五千億持っていこうが、理屈は同じなんですよ。そうすると、ことしは一銭の金でもしんぼうして、一銭の金でも景気浮揚に使おうとおっしゃっているわけですよ。しかも赤字公債はできるだけ詰めようと言っているわけですよ。そうしたら、二千億は赤字公債の財源である、なぜあえてそういうむだなことをなさるのか、どうも理解に苦しむわけです。この点をいま一度明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/43
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044・山口光秀
○山口(光)政府委員 最初に、税収の一%をストレートに積むんだということではございませんで、一番最初に元金を入れるというときに、何かめどをつくらなければいかぬだろうということでございますので、そのめどは、過去の事例も見まして一%程度がいいところではないか、これをめどとしてということで入れたわけでございます。
確かにこれは赤字公債を財源にしていると言わざるを得ないわけでございますが、この制度を五十二年度からつくることにつきまして、私どもとしては緊急性を感じておりますので、いわばこういう財政状況のもとでありますので、赤字公債と申しますか特例公債に依存せざるを得ないわけでございますけれども、まことに残念ではございますが、やむを得ざる措置ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/44
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045・川口大助
○川口委員 緊急性は別におきまして、ぼくの言っている国債整理基金からなぜ全額できないかという説明はさっぱりないのですよ。その点はどうですか。二千億だけはいま言ったとおり、積み立てが必要なんだ、不足の場合はそこから持ってくる、こう言うけれども、どうせ持ってきて返すなら、来年やっても同じじゃないかと聞いているわけですよ。お答えが何もないわけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/45
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046・山口光秀
○山口(光)政府委員 国債整理基金という第二線準備があることは、先ほど来申し上げたとおりでございますが、これはあくまで第二線準備というふうに考えておるわけでございます。でき得べくんば、それは決算調整資金という第一線準備でできるのが一番望ましいわけでございますが、いまのような特例公債に依存しているような財政状況でございますので、いわば当分の間の措置としてそういう便法、第二線準備としての便法をとらしていただきたいということでやっておりますので、最初から第二線準備を前提にしまして頼り切って、それで制度をしくのはいかがかというふうに思ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/46
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047・川口大助
○川口委員 大臣に聞きますが、つまりことしは緊急な事態だと総理は言っている。とにかく七%の景気浮揚をしなければどうにもならぬのだ、こう言っているわけですよ。その際に、当面ことし、もしもどうしても歳入不足が予想されるならば、国債整理基金から回す、こういう法律だけつくっておけば、二千億助かるのですよ。なぜその二千億をむだにするかということを聞いているわけです。それのお答えがないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/47
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048・村山達雄
○村山国務大臣 本来から申しますと、先ほど言ったように、税収の見積もりには理論としてもプラス、マイナスはあるわけでありますから、剰余金から入れるのがこの制度としては一番いい制度だろうと私は思うわけでございます。それがいわば制度論としては一番いいわけでございますけれども、剰余金はすでにもう使い果たしているわけでございます。そういう意味で元金を使わしていただきたい。あくまでも国債整理基金から借りるということは、制度としては私は第二線準備というか、第三線準備といいますか、制度としては私は仮のことであろう、こう思っておるのでございます。本来ならば当然剰余金が出たときにその中から入れる、そうでなければ予算繰り入れをする、これがやはり私は本体ではないかと思います。
そこで、ことしはいま申しましたように剰余金が見積もられませんので、赤字公債で出していただいたわけでございますけれども、その意味で言えば確かにおっしゃるように、それだけ大きな金利を払ってやるわけでございますけれども、これは新しい制度をつくるものとしてお考えいただきたい、さように思っておるわけでございます。
逆に申し上げれば、いやその分だけは資金をつくるための赤字だ、制度としては、こうお考えになっていただいてもいいかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/48
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049・川口大助
○川口委員 だから、それならそれのように来年度もこれだけ資金として残しますというお答えがあればわかるわけですよ。ところが、来年度は来年にならなければわからない。ですから話がどうもややこしくなっちゃうのですね。さっぱり明確じゃないのですよ。
そして、これはやはりある程度剰余金のある時代、これはやはり結構だと思うのですよ。しかし、かつて大蔵省では、あなたは関係ないかもしれませんが、その黒字の時代につくった基盤強化資金だって翌年みんな使っちゃっているんですよ。制度だけ残したけれども金はゼロにしているのですよ。そういう方針のないことをやっておるから、今回私は確認をしているわけですよ。この資金は来年どうなりますか、こう言っているわけです。
それから、時間がないのでどうもいろいろ予定したこと聞きかねるわけですが、その二千億という根拠。これは一つの資金でもいいでしょう。しかし私は、ことしは大臣おっしゃるとおり、十五カ月分の予算を組んだわけです。ですから、法律としては三月三十一日で一つの決算というものがあるでしょう、しかし事業としては十五カ月分の事業を見ているわけです。ところが、私がいろいろ皆さんからお調べをいただいたところによりますと、大体五十年度におきましても予算の決算不用額というものが千九百五十七億ある。五十一年度に当たりましても不用額が二千二百六億ある。さらに五十二年度の推計でありますが、これはいま補正をやったばかりでありますから果たしてどうなるかわかりませんが、仮にその前二年度の例をとってみましても、大体私の計算では決算不用額が二千六百四十一億出るというかっこうになるわけです。そうしますと、おっしゃるような歳入不足というものを来さないのですよ。ですから、ことしは来さないわけですから、二千億というものを当面、ことしは緊急の事態ですから、国債基金の方から充当して、仮に歳入不足があれば埋めますよ、これだけは議会で認めてください、いずれ恒久的な制度につきましては追って考えます。これでもいいはずなんですよ。それをことししゃにむにこの金のないときに、二千億あります。ありますというようなことでやらなければならないという真意は、どうしても私には理解ができないのです。もう一度ひとつこの点お答えをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/49
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050・山口光秀
○山口(光)政府委員 不用額のお尋ねでございますけれども、確かに毎年不用額が決算上出るということは、これは経験に徴しましてそういうことでございまして、最近では〇・九%程度の不用額が発生しております。ただ、五十二年度もそういうことで発生するかと申しますと、これはまだとてもわからないわけでございまして、何ぼになるかわからない。それから、決算上の不足額と申しますのは、そういう歳出面での不用額といったようなものも考えました——考えましたと申しますか、計算いたしまして、なおかつ足らない事態というのがあり得るわけでございます。それは税収を中心といたします歳入の収入不足という事態が片方であり得るわけでございまして、その規模がどの程度になるかというのはなかなか予測しがたい、過去の経験からいたしましてもなかなか予測しがたい面があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/50
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051・川口大助
○川口委員 その都度何とか言いわけをしておりますが、決算不用額、それでも結構ですよ。ところが公共事業の進捗率、消化率をいま見ますと、十二月末で七八・九%になっているわけです。今回補正しました分を含めて一体年度内の消化ができるのかというふうに担当者に伺ったところ、契約はできる、こう言っているわけです。契約ができるということと決算が金によって支払われるということは違うんです。しかも今回は例年と違って十五カ月間の予算だ、こう言っているわけです。十五カ月間通しで見るんだ、切れ目のない予算だ、こう言っているわけです。そういう観点から立つと、変な話でありますが、仮に二千億の歳入欠陥ぐらいは当然運用の面で処理できるような内容だと私は思うのです。そうでしょう。財政をやった人ならすぐわかるのです。こんなことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/51
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052・山口光秀
○山口(光)政府委員 公共事業の執行の問題との関係でございますけれども、まあ十五カ月予算という構想をもとに五十二年度の予算にも第二次補正予算で公共事業を追加したわけでございます。これが完全に年度内に現金まで執行し終わるかという点につきましては、必ずしもすべてそう行くとは限らないわけでございますが、切れ目のない執行を図っていくという趣旨でございますから、それを不用に立てて整理するということはしないことになろうかと思うのです。そうすると、当然のことでございますけれども、繰り越しという整理をせざるを得ないということになろうかと思うわけでございます。
繰り越しの場合には、いわば五十二年度予算から五十三年度予算に歳出権も繰り越しますが、財源も繰り越すということをやっておりますので、その点から財源はできてくるということにはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/52
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053・川口大助
○川口委員 ちょうどそれは語るに落ちたということなんですよ。というのは、確かに財源を持って繰り越されるわけです。場合によっては明許繰り越しもするわけです。財源を持って明許繰り越しする。したがって、三月三十一日の決算にはそれは出てこないわけです。出てこないから決算が可能なんですよ。しかもそのために特例公債発行についても、五月三十一日までの間に発行を認めるとあるのでしょう。これはどういうことかというと、三十一日までのそういうふうな全体のバランスを考えて発行額の限度内において発行させよう、つまりゆとりを持たせておるのはそのためなんでしょう。特例法第三条で決めておるわけですよ。でありますから、そこにも決算のできる仕組みというのはちゃんとあるわけですよ。
ですから、どういう面から考えましても、今回この二千億の、まあそれは公債かもしらぬけれども、現金を寄せて、そうしてこの不景気をいまなくしようと言っておるさなかに、財源がないというさなかに二千億をここでとっておくという考え方は、先ほども申しましたが、財政の健全化なりあるいはまた財政が主導型だと言っておる大臣のお答えとは、これは相反する行為じゃないだろうか、こんなふうに思うわけですがね、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/53
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054・山口光秀
○山口(光)政府委員 大臣のお答えの前に一言申し上げたいと思いますが、決算上の不足額をどういう段階でとらえるかという問題があろうかと思います。私どもは財政法四十一条段階の不足額、つまりそれは歳入総額と歳出総額との差でございますが、単純な差でございます。それでとらえるべきではなくて、財政法六条段階の決算不足額というところで考えていくべきではないか。六条段階と申しますのは、単純なるあるいは形式的な決算不足額ではございませんで、それから翌年度へ繰り越さなければならない財源というものを操作する、つまり翌年度に迷惑をかけないかっこうで操作をいたしまして、赤字額、不足額を決めていく。逆に申しますと、剰余金の計算が実はそういう二段構えの計算になっておりまして、現在、六条剰余金と申しますか、六条段階での剰余金を計算いたしまして、それをめどにたとえば国債整理基金への繰り入れをやっていくといったようなことをやっているわけでございまして、そのマイナスの剰余金という観点から、まさに六条段階の決算不足額ということを考えておるのをちょっとつけ加えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/54
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055・村山達雄
○村山国務大臣 いま山口君が答えたことでございますが、なおつけ加えて言わせていただきますと、一つは、今度十五カ月予算と申しますが、これは考え方でございまして、要するに今度の円高不況、デフレギャップ等がございますので、切れ目のない公共投資をやるという意味で、それはただ会計年度はございますから、ちょうどことしの三月までの分とそれからことしの四月以降来年の三月までの分を分けたわけでございまして、会計年度としてはもちろん切れることは当然でございます。その今年度の補正分、第二次補正、たしか三千六百億くらい国費でございます。全体の事業規模で約一兆三千億でございますが、これの完全消化はもちろんわれわれは万全を期してやっていきたいということは当然でございます。
ただその場合、いまあり得る問題として六条段階でどうなるか、こういう話は理論の問題として言ったわけでございますけれども、その場合は、もともとこの決算調整資金というものは、いわば単年度制度、現在の財政法の単年度制度を堅持する、あるいはそれを補完するためにどうするか、こういう観点で出ておりますから、来年度の歳出権あるいは来年度の財源に影響を及ぼさないという意味で、その繰り越した分は剰余金には入れませんという意味で、六条段階の剰余金とこう申し上げたわけでございます。ですから、この制度を持つことによりまして、現行の単年度主義というものがいわば制度として一つの完結を見るのではなかろうか、あるいは補完する制度になるのではなかろうか、こういう意味でつくっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/55
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056・川口大助
○川口委員 時間がありませんので、あと同僚議員の沢田議員から継続してやってもらいますが、最後に一つだけ。
つまり、単年度主義を貫くということは、一つの決算の形式を整えればいいわけでしょう。そのためには、何も二千億置かなくても、ここに国債整理基金というものがあるから、それで形式的なもののつじつまを合わせればいいのではないか、ぼくはこう言っているわけです。それは例年ならいざ知らず、ことしは緊急の事態だとおっしゃって、一銭の金も欲しいとおっしゃっているその時期だから、ぼくはこういうお尋ねをしておるのだということですので、それに対していま一度お答えいただきまして、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/56
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057・村山達雄
○村山国務大臣 さきのお話は、こちらで第二線準備として考えておる国債整理基金から借りたらどうかというお話だろうと思うのでございますが、制度として考えてみますと、余る場合もあるし足りない場合もあるのだから、やはり単年度主義を貫くためにはほかから借りるのではなくて、一般会計に属する資金を、ちょうど剰余金について処理があると同じように、足りない場合をも考えておく、そして経済が平年度化した場合には、むしろ予算繰り入れよりも剰余金で繰り入れする、これが私は本格的なものであろうと思うのでございますが、ことしは残念ながらそういうことになりませんので元金を入れさせていただきたい、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/57
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058・川口大助
○川口委員 よくわかりません。時間があればぼくはもっと聞きたいのですが、どうも言っておることがあっちへ行ったりこっちへ行ったり、さっぱり——私だけではないでしょう。皆さんだって理解したかどうかわからぬですね。どうも説明はわかりかねるのです。そういうことですが、時間になりましたから終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/58
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059・大村襄治
○大村委員長 沢田広君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/59
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060・沢田広
○沢田委員 大臣を初め同僚議員も大変夜遅くまでおつき合いをいただいておりまして、恐縮に存ずる次第であります。いましばらくおつき合いをいただきまして、特に大臣は朝から委員会へ出ておったのですから、大変御苦労なさったと思いまして、心から敬意を表する次第であります。
さて、きょう出されている提案の法律案は、発想としては事務当局が考えてやりやすい方法でこの年度をやっていきたいと願ったのか、これは区分けはできないと言うかもしれませんが、政府の方針としてそういう制度をつくることが望ましいということで考えられたのか、その点だけ先にお聞かせいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/60
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061・村山達雄
○村山国務大臣 この問題は、かねてから財政制度審議会でずっと御検討いただいておったわけでございまして、単年度主義というものを貫く場合に、やはり制度として不足ではないかということでございます。ことしこの二次補正でもってお願いを申し上げるというのは、特にことしはその危険が大きいから、特にこの機会に設けさせていただきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/61
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062・沢田広
○沢田委員 簡単に質問しますから簡単にお答えいただきたいのですが、ずっと以下続けていきます。
補正予算との関係、補正予算を編成する権限を持っている政府としては、この資金とのあれをどういうふうに考えておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/62
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063・村山達雄
○村山国務大臣 もとより、補正予算のときには、将来に向かって必要な歳出、それから見込まれる租税収入を見るわけでございますけれども、しかし実際問題としまして、不足を生ずるかどうかということは、年度間際あるいは年度経過後に出たときには、いまの単年度主義ではどうにもならぬわけでございますので、そういう意味でこれを設けさせていただいたわけでございます。補正のときには、もちろん補正の段階でできるだけ正確に見込むのは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/63
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064・沢田広
○沢田委員 政府としては、必要によって補正予算も組むこともできれば、必要によってこの調整資金を使うこともできる、その両方を使いこなしていきたい、こういうことが本音だ、こういうことですか、イエスかノーで答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/64
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065・村山達雄
○村山国務大臣 そうではございませんので、補正のいとまがないときに歳入不足を生じた場合に対処するためでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/65
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066・沢田広
○沢田委員 そうするとこの調整資金は、政府が担っている、財政法で持つ補正予算を編成する権限があり、同時に、補正をし、国会の審議にゆだねる時間がある限りにおいてはこの資金を使うものではなくて、当然補正予算によって国会の審議を求める。そのいとまがないというときだけに限ってこの調整資金を使うのだ、こういうことに性格づけてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/66
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067・山口光秀
○山口(光)政府委員 補正予算を組むいとまがあれば、まさに補正予算を組んで国会の御審議をお願いするということでございますけれども、補正予算を仮に組みましても、たとえばことしなんかはそういう例でございますが、組みましても、なおかつまたそれが狂うということもあるわけでございます。その場合にはこの資金によるということもあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/67
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068・沢田広
○沢田委員 いわゆる法律の体系として政府が二刀流で、宮本武蔵じゃないが、一方では予算の編成権を持っております。一方では調整資金を使う権利を持っております。それは適当にどっちでもいいのですということではないでしょう。だから、それにはおのずから相互に限界があるはずである。その限界をこの法律の中に明記しないということは、言うならば二刀流を使っていこうということじゃないですか。最悪の場合はその両方をも使い得るということじゃないですか。もし提案をしていくならば、少なくとも国会の審議権というものを尊重するとするならば、いわゆるこの補正予算を審査し得る期限までは少なくとも補正予算で国会の審議を願う、そして国会の審議のいとまがないということであって最悪の場合調整資金を使わざるを得ない。それならそのような法律案を出したらいいじゃないですか。どうしてそれを不特定多数に、いわゆる二刀流で法律案を出すのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/68
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069・村山達雄
○村山国務大臣 いまおっしゃったので初めてわかりましたが、趣旨はおっしゃるとおりでございます。いとまがあればそれは補正予算で組むのは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/69
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070・沢田広
○沢田委員 そうすると、その法律案をそういうふうに政府の方で修正していただけますか。もしないとすると法体系上、それはいまの解釈だけでは、従来の判例からいきますと、これはいろいろ議論があるところでありますが、ここの回答だけで法律の解釈を規定するというわけには従来いかなかった判例もあるわけであります。でありますから、政府がもしそのいとまがないときだけに限って使うのだということであれば、それは法文上明確にすべきだと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/70
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071・山口光秀
○山口(光)政府委員 政府と国会との間のことでございますから判例というわけではないかと思いますが、いま大蔵大臣からも御答弁申し上げましたようなことが財政運営の常道でありますし、それからいままさに御答弁いただいたわけでございますので、そういうことで運用はさせていただきたい。これはまた同時に、財政処理の問題でございますから、国会で常に御監督いただいていることでございます。そういう政府のあり方というものは常に国会の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/71
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072・沢田広
○沢田委員 いいですよ。これは政府と国会との関係で、法体系の問題としていま議論をしているのですから、いわゆるいま言ったように、いとまがないときに限ってこの決算調整資金というものが使われるのだ、こういう限界性があるのだということを政府の権限としてゆだねる、これを国会が決めるわけですから、その辺の解釈は、適当に両方重複するということはあり得ない。編成権があるのですから編成できる限りにおいては編成をする、そして編成できない場合についてだけ決算調整資金を使う、これは少なくともその解釈を統一していただきたいと思いますし、これは法体系の問題として非常に問題がありますので、自後この点は委員長も確認をしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/72
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073・村山達雄
○村山国務大臣 これは提案理由の説明のところで通常、いかなるときいかなる目的でやるかということは書くわけでございまして、別にこういうことを普通法律には余り書かないと私は思っております。提案理由を説明するときにその点は明確にしていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/73
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074・沢田広
○沢田委員 提案理由の説明が法律にはならないのですよ。これはいろいろの解釈もありますが、法律ではない。いまここでやりとりした問題は将来に問題を残していきますけれども、いまの点は確認をして次に進ませていただきたいと思います。
現在の歳入欠陥となるものは何と判断をされているのか。何を大体どの程度と考えているのか。これはいわゆる一%とかなんとかという議論じゃありません。現在のきょうもらったこの十二月末の租税収入の中でひとつ具体的に言っていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/74
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075・大倉眞隆
○大倉政府委員 ただいまの御質問の御趣旨が、補正予算で八千六十億租税収入を減額いたしておりますが、それ以上さらにふえるかもしれない要素は何か、そういう御趣旨と受け取ってよろしゅうございますか。——ということでございますと、十二月までしかわかっておらない、今後あと一月、二月、三月、四月分の税収でどれくらいの誤差があり得るだろうかという問題になるわけでありますが、一番流動的なのは大きく申して二つございまして、一月分以後に入ってまいります法人税収と三月の確定申告によります申告所得税の税収がございまして、かなりの誤差があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/75
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076・沢田広
○沢田委員 現在までの不況、不況ということで、不況だけがいま政治の大きな課題になっていて、その一方の好況になっている業種もあるわけです。確かに不況によって失業者が出、倒産が出ている、これは政治上の大変大切なことでありますから、そのことはそのこととして議論をしなければならない。しかし同時にまた一方では、その不況の陰に隠れて大きく利益を得ている業界もなくはないわけであります。それの伸長率というものはどのように考えておられるのか。たとえば円高によって為替益でもうけている業界もたくさんあるわけであります。そういうものの法人税の伸びというものも相当大きく期待できることだと思いますし、きのうの日経の経済指標を見ましても、五十一年度より五十二年度、どんどん伸びている業界もそれぞれあるわけです。それはどの程度に把握をされているのかということをお伺いしたい。
同時に、前年度の赤字繰り越しをした企業はどのくらいあって、どの程度の繰り越しが企業の赤字繰り越しとして今年度にしわ寄せをされているのか、その点もあわせてお聞かせをいただきたい。
続いてもう一つですが、この二千億は時間の関係でそういう形をとりましたが、地方交付税に対する影響はどうなるのか。租税という形で言われておりますけれども、ここで文書で租税及び印紙収入、こういう名称がこの中には入っているわけですが、片一方では租税等、こういうことになっていますね。その辺の言葉の法律解釈は別といたしまして、とりあえず地方交付税の三税の減少というものと、この二千億の赤字の充当は結果的には三税に属する部分が大きい、こういうことになるわけですから、当然地方交付税のはね返りはこの決算調整資金の中にも見込まれなければならない。そうでないと論旨が一貫しないというふうに考えられますが、その点をあわせてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/76
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077・大倉眞隆
○大倉政府委員 第一点は非常にむずかしい御質問でございまして、おっしゃいますように、確かに好況の業種があり、また同じ業種の中でも、比較的収益の順調なものと非常に苦しんでおられる企業と、いわゆる跛行現象というのは非常にくっきりしておる最近でございます。
私ども税収見積もりの段階では、率直に申し上げてマクロ的な経済見通しに乗って作業いたしておりまして、業種別に収益見通しを積み上げるということは従来からいたしておりません。結果的に見ますと、おっしゃいますように、たとえば九月決算の内容分析がそろそろでき始めておりますが、全体としての伸び率が非常に低いのに、つまり前年比で一〇〇%を切っておりますのに、結果的に一〇〇%より上に全体としては出ておる。なぜかと言うと、証券業の収益が非常によかったというふうなことで全体が組み上がっておるというのは御指摘のとおりでございます。
ただ、もう一つの問題として御指摘がありました、いわゆる円高差益でこれからかなり収益が出てくるものもあり得るのではないか、私もそのように思います。ただ、これは予算委員会でも総理大臣がしばしばお答えになっておりますように、やはり業種ごとに実際それが収益に反映するタイムラグというのはかなりばらばらでございまして、御指摘のように石油精製とか電力とかいうところはわりあい早目にそういう収益回復が出てまいりますけれども、一般の製造業とか最終小売業とかになりますと、まだまだかなりこれからそれぞれの価格がどうなるかということにも影響されますし、もう少し時間がたってみないと、いまにわかに大胆な推測をするわけにもまいらないということで、しょせん、時間の関係でかいつまんで申し上げますと、全体としてのマクロ的な見通しで推計をしていく以外にちょっといまのところ方法がないという状態でございます。
第二点の繰り越し欠損でございますが、申しわけございませんが、突然のお尋ねでいま手元に持っておりませんので、至急調べまして時間内にお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/77
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078・山口光秀
○山口(光)政府委員 地方交付税の点でございますが、地方交付税は、国税三税の予算上の収入見込額三二%ということで一応計上しておりますので、決算上三税収入が落ちました場合には後年度において調整することになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/78
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079・沢田広
○沢田委員 後年度というのは、五十三年の場合は五十四年度においてその二千億に見合う部分の三二%を考慮する——たとえば二千億であった場合ですよ。それが一千億であった場合は一千億に見合ったものを措置する、こういうふうに理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/79
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080・山口光秀
○山口(光)政府委員 調整は、翌々年度までに調整することになっていると思います。したがいまして、補正予算で調整する場合もございますし、翌年度、その次の年の当初予算で調整する場合もあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/80
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081・沢田広
○沢田委員 角度を変えまして、さっき同僚の川口委員からも述べられましたけれども、この程度の金を無理に歳入の不足に備えるということの必要はないのではないか、二刀流のことも言いましたが、そういう見解が多いわけですね。それでさっきの答弁は、法律上はそうなっていないけれども、一応補正予算を組まない場合の最悪の場合についてだけこの資金を利用するのだ、こういう答弁であったのでありますが、会計検査院の方にもおいでをいただいておりますのはそういうことなので、現在の財政法によると、四十六条だと思いましたが、大蔵大臣はそれぞれその歳出に計画を立てて予算の執行状況を把握し、そしてその予算の執行状況に対して干渉もする、こういう権限を持っているわけですね。ですから、その年度、年度の途中の執行状況というものは大蔵大臣として把握してやっているわけであります。
一方、把握の程度が漏れた場合がたくさんある。それを会計検査院の報告書に基づいて若干私が挙げてみたものだけでも、さっき川口委員も挙げていましたけれども、二千二百五十六億が挙がっていたということが一つ出てまいります。
それから、中央競馬会なんというところからの納付金にいたしましても、その中にも千六百四十万、金額は小さいですが、電光板ユニットか何かでいいかげんな工事をやっていたというのも出てきておったようであります。
それから、一番むだが多いと思うのは「むつ」ですね。いつまであれを泳がせておくつもりかわかりませんけれども、あれは金がどんどんかかっていっているわけですね。あれは金を食っている「むつ」ですよ。どうにもならないでしょう。ああいうものも会計検査院から指摘をされているわけですね。これは大蔵大臣の管轄ではないにしても、財政事情が厳しいときにあれを泳がしたりつないでおいたり、年じゅう引っ張って歩いている。死んだ鯨を引っ張っているみたいなものですよ。とにかくそういうことで二百億以上もむだにしている。
それから、きのうのテレビに出ていた成田空港、あれにかかわる経費なんというものは、これはえらい費用ですね。いままでの決算報告でも二千億以上とにかくかかって、しかも今日、三月三十一日開港もできないでいる、こういう状況で、これにかかるむだといいますか、むだという表現が適切であるかどうかは別としても、相当無理な強行突破をやって、それだけ抵抗を多くして、それだけよけいに金を食っている。
それから道路公団が、この前の決算でも四十三億、まあインチキと言うかどうかわからぬけれども、そういう金を使っている。住宅公団は、何と驚くなかれ三千三百五十五億ぐらい、宅地に購入した分が二千四百七十億で、全然使えない面積が合計千五百八十六万平米、しかもまた、つくったけれども全然使わないものが十三団地の九千八百七十戸、これで五百二十四億。その前の方が九百七十一億。全然使えない土地を千五百八十六万平米も抱えて、それが何にもならないで眠っている。
どうですか、大蔵大臣、二千億、二千億と言って、こんな無理な法律をつくってまで歳入を補てんしなければならないというこの整合性が果たしてありますか。その点は会計検査院からも御意見を伺いたいし、大蔵大臣からもお伺いをいたしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/81
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082・前田泰男
○前田会計検査院説明員 ただいま御指摘のございました金額、先生のおっしゃるとおりなのでございますけれども、ただ、この二千億の繰り入れという観点からいたしますと、たとえば「むつ」などのケースになりますと、金額はかなり出ておるわけでございますが、すでに使ってしまった金でございまして、これを何とかしなければ全然死に金になるぞということを会計検査院は言っておるわけでございます。したがいまして、金額はかなりございますが、全部節減の対象に直ちになるであろうというわけにはちょっとまいらない。ただ、われわれ自身が申し上げたいのは、大体、会計検査院が不当事項として挙げあるいは処置要求をする、あるいはわれわれの言葉で申しますと特記事項、「むつ」なんかそれでございますが、この場合には必ず将来にわたっての是正効果ということをお願いしておるわけでございます。したがいまして、われわれの言うとおりにしていただければかなりの金額は浮くであろう、そのようにわれわれは確信しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/82
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083・沢田広
○沢田委員 ちょっと落としましたからもう一つ申し上げますが、とにかく五百七億から八百億ぐらい輸入飼料で金を使っている。それからカドミウム米なんというと、〇・四から一PPmで、これは大きいのですね。一万九千百七十五トン、五十億だ。いままでに八万二千七百九十三トン、保管料が十億かかっている。それから金利が二十四億かかっている。そして売り出すときには一トン一万九千四百円、のり代にしかならない。選挙運動のビラ張りののりですね、それに一割にしかならない金で売っている。こういうことをやっていて、それで二千億が欲しいという論拠はどうしても出てこないのですが、ひとつ答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/83
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084・村山達雄
○村山国務大臣 いま会計検査院からお話がありましたいわゆる特掲事項につきましては、われわれもまことに残念に思っておるわけでございまして、鋭意その改善に努めているところでございます。しかし、それが直ちに財源にならないということは、いま会計検査院の方からも申したとおりでございます。
また、予算の中にむだがあるじゃないかという御指摘でございますが、われわれが予算を組むときには、ベストだ、最も必要だと思われる予算を組みまして、そして国会の御審議をお願いしているところでございます。結果において、何しろこれだけ膨大なことでございますので、いろいろ御指摘を受けながらまた次にベストの予算を組んでまいるというのが実情でございまして、それだからといって、それを削ってすぐ財源になるという性質のものではなかろう、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/84
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085・沢田広
○沢田委員 言葉じりでじゃないのですよ、やはり姿勢の問題だと思うのです。私がいまここで挙げていることは、「むつ」をこれからぶっ壊してしまってスクラップにするというわけにもいかぬかもしれぬ。しかし、その前提に問題があったのじゃなかろうか。住宅公団にしてみても、予算を何でも消化するということで、何でもめちゃくちゃに不動産屋の言いなりになって買っていった結果がこういうことになったのではないでしょうか。それはそれぞれの原因があるわけです。そのときの政治姿勢という問題がいま問われている。そういうところをチェックしないと、いわゆる高度成長のときの情性でこれからの運営を、予算執行をやっていったのでは、その二千億どころか、とても出てくるわけじゃなかろう。しかし、発想を転換すれば、こういうむだが多いのですから、それは何とかなるはずじゃなかろうか。そういう発想の転換がいま求められているという意味で、私はわざわざ実態を、事実を示した、こういうふうに受け取っていただいて、膨大な予算の中だから、大ぜいいる中だから罪人はいっぱいいるんだ、どろぼうもいっぱいいるんだという、そういう論でこれを片づけられたのではちょっと困ると思うのです。やはりそのぐらい細心な注意が、大蔵大臣の職務上担っている任務であると受けとめていただかなければならぬのではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/85
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086・村山達雄
○村山国務大臣 精神としては全くそのとおりでございまして、予算編成のときには、むだがないように、最も効率的に組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/86
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087・大倉眞隆
○大倉政府委員 先ほどのお尋ねの中の欠損でございますが、五十一年度の税務統計の速報によりますと、五十一年度中の欠損法人が全体の四割六分でございまして、欠損金額が三兆六千六百二十億、それでこの期中に、前期からの繰り越し欠損もございますので、この期間に欠損として控除をいたしました金額が七千三百四十億ございまして、翌期以降に繰り越しになりますものが七兆四千三百八十億ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/87
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088・沢田広
○沢田委員 これは赤字繰り越しとして大蔵省……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/88
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089・大倉眞隆
○大倉政府委員 今後に残るものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/89
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090・沢田広
○沢田委員 残るものですね。
一般では、一期、二期、三期に分かれて、それぞれ前納の納税をいたしますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/90
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091・大倉眞隆
○大倉政府委員 申告所得ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/91
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092・沢田広
○沢田委員 申告では、青色であっても、一期、二期に前納しますね。その前納の実績はどうなっているかということ。もしわからなければ後でいいです。
それから、円高差益の追跡調査を、これは宮澤企画庁長官は十一月の二十九日に公約されているわけです。ですから、当然円高差益の追跡調査の結果、どの程度差益が出て、そして還元されるされないは別問題として、どの程度の利益を得たか。大蔵大臣も予算委員会ではいろいろ数字を言っていたようだと思うのですが、それは石油だけについて言われたのだと思うので、いわゆる円高差益全般についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/92
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093・大倉眞隆
○大倉政府委員 私ども承知いたしておりますところでは、企画庁長官がお答えになりました御趣旨は、円高による差益がいかにして価格に反映され、消費者に還元されるかということを追跡して調べてみたいという御趣旨のように承っておりましたが、さてそれを私どもの方で為替差益として一体幾ら出たのであろうかということになりますと、これはつかまえ方が非常にむずかしゅうございまして、なかなかぴたっと統計的には出てまいらないのではないかと思います。と申しますのは、要するに何を基準にした差益かというところが一番むずかしいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/93
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094・沢田広
○沢田委員 これは、少なくとも予算委員会その他でも答えておられることですから……。私も予算委員会、何回か傍聴しているけれども、大蔵委員会に来ると、大臣が並んでないせいか、大蔵大臣一人になってしまうと、どうも答弁が一次元下がりますね。どうもはなはだ遺憾だと思うのでありまして、速記録もいろいろ持ってきておりますけれども、予算委員会になると、与野党が逆転しているから、下手なことを言うととんでもないことになってしまうから、慎重に答弁するし、前向きに答弁する。大蔵委員会になると、与党の方が多いから、少しぐらい適当に落としても通るだろう、そういう姿勢がありありと見える。そういうことで、反省していただきたい。その点はぜひ反省していただきたいと思う。
会計検査院の方には、長くお引きとめしておくわけにはいきませんから、最後に質問をして終わりたいと思うのでありますが、先ほども述べたように、いろいろ挙げた例ばかりじゃないと思うのです。
会計検査院もまた反省するものはたくさんあるようでありまして、どろぼうがどろぼうを追いかけているようなことじゃ経済の再建はできないわけでありますから、その辺はえりを正していただいて、しかも大蔵大臣等にも時にはよく建言をして、やはり事前にこういう資金を必要としない態勢をとってもらいたかったと思うのでありまして、その辺から改めてひとつ御答弁をいただきたいと思うことが一つ。
もう一つは、これは両方からお伺いしますが、前倒し予算を執行をいたしまして、今年度の三月三十一日工事が竣工する率というものはどの程度と判断をされているのか。これも、正確にいきますと、空領収証を取って三月三十一日で領収して、そして決算しなければ、結果的にはこの前倒し事業ができないだろうと思うのです。いまの材料その他からいって。そして、結果的には三月三十一日できたようなことにして、結局五月三十一日の会計閉鎖期までに何とか仕事を終わらして、そして三十一日に金を払った、こういう形に仕事をしていってこの前倒しのあれをやっていくのではなかろうか。それは会計検査院としては正しいことだと見ていますか、それともそういうことはよくないことだと見ているのですか。それから、大蔵省としては、それは許されると見ているのですか、許されないと見ているのですか、その点ひとつ両方から見解をお伺いさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/94
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095・前田泰男
○前田会計検査院説明員 大分皆様に御心配をかけましたことをおわびいたします。
先ほど先生もおっしゃいましたとおり、歳入徴収の適正化を図りまして歳入徴収の増収を図る、それから経費の経済性というものを確保いたしまして経費を節減する、これは会計検査院の存在理由そのものでございますので、これからも一生懸命その点で努めていきたいと思います。
それからもう一つは、年度を越えてまだ工事が終わってないものがたくさんあるじゃないか、それはどのようにお考えかという御質問でございますけれども、おっしゃいますとおり、これは三月三十一日までに竣工しなければいけないはずでございますが、竣工してないものはわれわれから見ましても毎年かなりになります。ただ、日本の会計年度と申しますものが四月から始まって三月に終わる、実際問題、北国あたりでございますと、二月の半ばまでは工事ができないという一つの制約を持っております。東京あたりでも、本当を言いますと、やはり二月の末ぐらいまではコンクリート工事はできない。そういうようなことで、若干おくれるのはやむを得ないというような考え方がわれわれにもございまして、これはいいことだと思ってないわけでございますけれども、ある程度体制的にやむを得ない面があるのじゃないか、そのように考えまして、うるさく言わなかった場合もあるわけでございますけれども、しかし、予算がこのように巨額になってまいりまして、これがある程度構造的と申しますか、偶発的な理由でなしに体制的に発生するということになりますと、これはちょっとした問題と私は考えております。したがいましてこれはドルショックのときにも若干こういう現象が出たわけでございますけれども、われわれとしてもその点は注意深く見守っていきたい、そういうぐあいに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/95
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096・村山達雄
○村山国務大臣 今度の二次補正で、いわゆる十五カ月予算の構想のもとで公共事業を中心とする事業を組みました。これは、各省から消化可能な範囲でひとつできるだけ提出してもらいたいということでやっておりますので、われわれとしては、これは完全消化したいという気持ちでいまいっぱいでございます。もちろん予算は支出ベースで組んであるということは御承知のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/96
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097・沢田広
○沢田委員 そういうことを聞いているわけじゃないんです。私は、いまのところはこの決算の資金との関係で聞いておるわけです。いままでの地方公共団体の工事、国の工事、いずれも、三月三十一日でぴたっと上がっている工事なんというものは、現実には何割しかないですね。これは、法律的に言ったら私文書偽造か公文書偽造かどっちかになっているわけですが、やむを得ないなんて会計検査院も言っているくらいですから、三月三十一日に竣工したことにしておいて四月、五月に工事をやって、そして金を払う、こういうことが行われていることは認められるでしょう。三月三十一日全部工事終わったものにだけ支払っているという原則は守られておると保証しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/97
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098・山口光秀
○山口(光)政府委員 公共事業等の工事の契約は、当然終期が年度内であるということで契約してもらうわけでございますけれども、しかしながら、災害その他いろいろな事情によりまして、工事が予定どおり進捗しない、次年度にわたるということも見込まれますので、そういう場合には繰り越し等の手続をとる等適正な執行をやっていただきたいということで、かねがね事業執行官庁には申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/98
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099・沢田広
○沢田委員 まあこれ以上追い詰めてもかわいそうですから、事実を知っているだけにこれ以上答えさせることも酷かと思うのです。
ただ、そういうことで操作をしているという現実からいって、果たしていまのこの制度、単年度制度というものの中にこの決算調整資金などというものを入れるという効果というものがあるのかどうか、かえってそれはいま言ったようなことを起こさせるだけにしかすぎないのではないか。もっと極端に言えば、予算が余ったから何とか使ってくれ、そう言っている各省も多いでしょう。そういう条件も今日なくはないのです。来年度の予算が減ってはかなわぬ、だからこの余った分は、地元負担が当然あるわけですから、地元負担がしょい切れない場合は、何とかこれはこなしてもらわなければ困る、こう言って、いわゆる勧奨誘導をしながら仕事をしている事実もあるのは御承知でしょう。ですから、そういう点から言ってみて、これは果たしてこの調整資金を必要とするのかどうか、現実的な問題として私たちは疑問に思うのですね。それは若干、オーバーな支出も、とにかく景気だけを考えて何とか金を出したい、言うならば金をばらまきたいというようなことのこれは整理資金みたいなもので、花咲爺さんみたいなもので、金をばらまいていきたいという気持ちの発想にしかならないんじゃないかというふうな気がするわけであります。その点はひとつ見解を述べていただきたいと思います。
それからもう一つ、質問としては、公庫の出資金が前回若干問題になったと思うのですが、きょうも予算委員会でいろいろ輸出入銀行の問題が討論されておりましたけれども、この貸し付けとの関係からいって、もう少し整合性のあるように整理をすれば、この出資金も相当減ってくるのじゃなかろうか、そういうふうに思われるのですけれども、制度見直しということについてはどう考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/99
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100・山口光秀
○山口(光)政府委員 まず公共事業の執行のあり方とそれから決算不足額の計算の問題、あるいはそれへの影響の仕方の問題と思いますが、その点につきましては、先ほどちょっと川口委員に申し上げましたところでございますが、執行のあり方いかんにかかわらず、つまり当該年度に支出をし終わった場合でも、あるいは繰り越しになりました場合でも、ただいま考えております決算不足の計算の仕方の場合には結果として同じになるんではなかろうか。つまり六条段階での決算不足ということを考えておりますので、繰り越しの場合には財源も繰り越していくという考え方に立っておりますものですから、その年度に執行が終わっている場合も、それから繰り越された場合にも同じ結果になるんではなかろうかと思います。
それから、公庫等の出資の問題でございますが、公庫とかあるいは輸開銀の出資につきましては、それぞれ歴史的な沿革があって出資をしているところでございます。かつては、資金コストを薄める意味で、政府関係の金融機関につきましては出資が行われるのが一般的でございましたけれども、四十年代に入りまして一般会計が公債を出すようになりましてからその点は見直しまして、補給金で資金コストが薄められる、そういうやり方が可能であるという公庫につきましては補給金に切りかえておりますので、出資は特別の理由がある機関、たとえば輸銀でございますと、外国との関係から補給金を出すことには問題があるということで出資をいたしている、あるいは北東公庫のように債券の発行倍率との関係で出資が必要であるというように、それぞれ必要がある機関についてのみ出資をしておる状況でございまして、これは毎年度予算の編成に当たりまして、追加出資について検討いたしてまいりましたことはもちろんでございますが、五十三年度予算の編成に当たりましては、既存の制度につきましても根っこから見直そうということでそれぞれ検討させていただきましたけれども、その結果に基づきまして五十三年度予算に出資金を計上しておるという実情でございます。たとえば輸銀の出資などは従来に比べて相当程度減っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/100
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101・沢田広
○沢田委員 これは二千億の支出をしなければならぬ段階に当たって、従来の補助金の見直しということは政府も閣議で決めていることですね。ですから、またそれも現在の執行率その他を見て、実績を見て見直しをされながら、やはり詰めるものを詰めていくという努力を特に望んだわけですから、その点もひとつ考慮していただきたいと思うのです。でき得るならばこういう資金を使いたくない、これは財政上のたてまえだと思うので、その辺から言っているわけであります。さっき言われたのは、明許繰り越しのことで言われたと思うのですが、繰り越し事業のことであって、私はそういうことで聞いたわけじゃありません。
それから次に、予備費の問題なんですが、旧憲法の中にも第一予備費、第二予備費というものがありました。この予備費と調整資金との関係はどういう法律上のたてまえとして区分けをしていくのか、その点ひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/101
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102・山口光秀
○山口(光)政府委員 予備費は申すまでもなく、歳出面の措置でございまして、憲法、財政法に規定しておりますように「予見し難い予算の不足」、その予算は歳出予算でございますが、それに充てるために設けられているものでございまして、これに対しまして、ただいま御審議いただいております決算調整資金制度は、歳入面のいわば予備費というような感じでございまして、予見しがたい歳入不足などが原因になりまして決算上不足が生じた場合に、これを補っていくという制度でございまして、いわば歳出面での予備費、歳入面でのこの制度ということであろうかと思います。ただ、憲法その他法律上の地位としてはかなり違ったものであろうかと思いますが、歳入面、歳出面という点が一番大きい違いではなかろうかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/102
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103・沢田広
○沢田委員 そういうことであれば、いわゆるこの事態、これからの景気の見通しをどう見るか、日本の産業構造がどう転換されていくか、あるいは韓国や中国あるいは東南アジアからの追い落としというものに対応できる力をどう蓄えていくか、いわゆる日本の経済の足腰というものが強まっていく間はこの制度が必要になってくると考えておられるわけですか。それとも、当面今年度だけでこれを済ませて、そして歳入の見込みというものをもう少し的確にして、そして何もこういう資金を使わなくても、二刀流を使わなくても済むような予算編成というものをしていく気持ちはないのかどうか、その点ひとつお聞かせをいただいて、でき得るならば、この金額が来年度幾らになるかならないかという議論をしないでもいいように、来年度の予算編成ができる——能力をお持ちだと思うのですね。天下のエリートを集めた大蔵省が、このぐらいの試算が二月になっても見当がつきません、そんなことを言ったら、世の中の経営者なんというのはなお見当がつかなくなっちゃいますよ。大蔵省が二カ月先がやみであっては、商売をやっている人は、じゃこれから買っていいのか売っていいのかということで、これはやみみたいなものですね。ですから、もう少し財政主導型だ、政府主導型だと言う以上は、これは今年度はもう出されちゃっているから恥もかきたくないでしょうからそのままだとしても、たとえば一年でやめて、そして後は的確な指数に基づいて、こういうものを使わないで済む、そういう姿勢というものが望まれるのじゃないかと思うのですが、大蔵大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/103
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104・村山達雄
○村山国務大臣 おっしゃるように、相なるべくはこういう制度をつくらないで済めば、本当におっしゃるとおりでございます。われわれは、本予算に当たりましても補正予算に当たりましても、できるだけ歳入の的確な判断をすることは当然でございます。しかし、委員も御承知のように、何しろいまは世界経済が非常に不透明な時代でございまして、しかも国債依存度が非常に大きい、こういうことでございますので、残念ながらなかなか的確なことがわからないのでございます。事業があすはわからないという、それがちょうどそのままこちらに、税収見積もりに反映するわけでございまして、残念なことでございますけれども、ぜひ単年度主義というものを貫くためにこのたびはひとつつくらせていただきたい。しかし、われわれは的確な歳入見積もりの努力を怠らないということは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/104
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105・沢田広
○沢田委員 これは本当に予算委員会では答弁しなかったようなことが出てきちゃったわけですけれども、結局そうすると、来年度もかいもくわからぬ。七%成長とかいろいろなことを言われてはいるけれども、世界の経済動向からいくともうさっぱり見当つかない。結果的には歳入も見当つかない。どうしてもだから、この予算調整資金というものの金額も見当つかない。見当つかない尽くしでやっていくようなことで、暗やみの盲のけんかみたいで、どこをぶんなぐっておるかわからぬ、こういうことになりそうなんですけれども、果たしてそれで今日の国民がそれぞれの稼業に専心できるという指導性というものはあるのでしょうか。それじゃ国民は、政府を信頼して、公共事業だ、公共事業だから、せっせと個人消費も上げろ、上げろと言ったって、今度はちっとも聞かなくなってしまうのじゃないですか。もう少し何か、これは一年限りでやめて、健全財政になります——健全財政にはちょっと遠いでしょうけれども、赤字国債償還を縮めていく方向をとにかくとりますという姿勢を示しながら、個人消費を一二%と見ているのですから、それを伸ばしてもらう方法を考える、こういうことに視点が置かれなければならないのじゃないかと思うのですね。より一層不安定要素を財政の中に入れるということは、それだけ不透明になっていく。いま大蔵大臣みずからが言ったように、財政そのものが不透明になる。そうすると、景気そのものが不透明になっていく、こういうことにつながりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/105
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106・村山達雄
○村山国務大臣 まあ経済成長率七%と、それからこれの税収見積もりの非常にむずかしさを言っている、その関連はどうか、全部が怪しいのじゃないか、こういうことでございますが、七%は、いろいろの試算をいたしまして、まず大丈夫であろう、こう見ているわけでございます。ここで挙げました二千億というのは、ちょうど七%で言いますと、〇・〇七%狂う。言ってみますと、成長率に直しますと、六・九三という数字にほぼ当たるのだろうと思うのでございます。われわれは七%、何とか全力を挙げてやっていきたいと思うのでございますけれども、何しろ、そういうことでなくて、財政は単年度主義でございますので、少しでも狂いがございますと、何らかのそこはつじつまを合わさなくちゃならぬという性質のものであって、非常に数字的な整合性が問われるわけでございますので、多少の狂いがあってもやはり決算ができるようにという意図でつくっているということを御理解願いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/106
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107・沢田広
○沢田委員 その不透明なもののままでなくて、私の言っていることは、ことしはある意味において、私ら余りこういうことは望ましくないという前提に立っているが、これは一年だけにして、そして二年目からはもう少し見込みをきちんとつけて、そしてこれは一年でよろしいという形にしていくことが国民の信頼にこたえていく道につながりやしないか。また私は見通しとしては、この金額がふえていくという見通しの方が強いと思うのですね、それでふえていけばふえていくほど、いわゆる財政の不安感というものを国民の中に助長するということになっていくわけですね。そうなっていけば、ますますそれは預金率が高くなったりしていって、結果的には景気の回復ができない。悪循環を続ける。だから、ある程度思い切って、これは一年の臨時措置である、そして来年からは歳入欠陥は起こしません、そして赤字に対しても真っ正面にぶつかって消化するなり、とにかく真っ正面にぶつかっていきます。こういう政治姿勢を政府が出すことによって、国民がやはり信頼を持っていく、たとえば納税の意欲というものも生まれてくるのじゃないかと思うのですけれども、あえてもう一回これを閣議にかけてでも——いますぐ回答はできないかもしれませんが、閣議にかけてでも、一年限りで今回の政治の危機を乗り越える、こういう意欲はないかどうか、お聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/107
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108・村山達雄
○村山国務大臣 歳入の見積もりにつきましては、できるだけ的確にわれわれの能力を全部発揮して過ちなきことを期したいという点は、最前お答えしたとおりでございます。ただ、いままでずっと見ておりますと、高度成長時代では、やはり見積もりがかなり誤っておりますが、いつでもそれは上位に誤っておるのでございます。いまのような経済、減速経済でございますけれども、これが安定してくれば、私はかなり的確なことはいけるのじゃないかと思うのでございます。何分にもまた世界は石油ショックから立ち上がれない。しかも減速経済というところでございますので、どちらかというと下方修正の危険がいまわりと多いのじゃないか、そういうふうに思っているわけでございます。
なお、全体の制度として考えますと、やはり私は制度としては剰余金が出たときに、ちょうど剰余金があるときにはその剰余金の処分が決まっておるわけでございますから、こちらに入れるというのは、やはり単年度主義を貫くために整合性を持っているものだ。繰り返しになりますけれども、ことしは残念ながら剰余金が見込めないので、予算繰り入れをぜひ認めていただきたい、こういうことでございまして、来年——ことし一年限りというつもりは私は実は持っていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/108
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109・沢田広
○沢田委員 それは要望しておいて、じゃもう一回最後に確認をしながら次に進みたいと思うのですが、そうすると、補正予算を組める時期と、どうしても間に合わなくて組めない時期との差というものは、二月末ぐらいと見てよろしいですか。二月末以降については決算調整資金を使わざるを得ない。三月末、国会開会中ですから、恐らく三月十五日なら十五日までは少なくとも補正予算が組める。三月十五日過ぎはもう決算調整資金を使わなければいけない。日付でいけると思うのですね、これは事務的なことですから。その点改めて、その日付はいつごろまでが補正予算でいつごろまでが決算調整資金なのか、ちょっと区分をお知らせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/109
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110・山口光秀
○山口(光)政府委員 補正予算の編成、それから補正予算の国会の審議にどの程度かかっているかという過去の経験を申し上げますと、これは補正の規模あるいは内容によりまして違うわけでございますが、補正の検討に入りましてから、政府部内で補正予算案がまとまり、国会に提出できるというのが大体二週間ないし三週間かかっているわけでございます。それから国会での御審議は、これもまた規模、内容によって違うわけでございますけれども、五日から一カ月ぐらいの間の違いがございます。でございますから、そういう点、年度内に補正予算は成立していなければいかぬわけでございますから、年度内ということからいまのような点を、その内容、規模に応じまして逆算的に考えていかざるを得ない。一概にいつということはちょっと申し上げかねるような状況にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/110
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111・沢田広
○沢田委員 この前も短かったことはあるのですけれども、今度の赤字国債からたとえば二千億なら二千億、三千億なら三千億入れるということでしょう、たとえば補正予算を組むとした場合には。それだけでしょう。内容は。歳出は別に変わるわけじゃないですね。歳入の租税収入の不足分を赤字国債で三千億入れるか二千億入れるかという補正予算の内容でしょう。それがそんなに時間がかかりますか。問題は、租税収入が足りないから赤字国債で三千億補てんします。こういう補正予算の内容でしょう、歳出が全然変わらないなら。そうでしょう、今度の内容は。それならそんなに日数はかからないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/111
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112・山口光秀
○山口(光)政府委員 政府部内で、たとえば歳入、税収の不足が見込まれてきた、それからその補正を組むかどうかということを検討し始めましてから印刷にかかって、それで印刷ができ上がって国会に出せるまでに大体二週間かかるわけでございます。たとえばいまおっしゃいましたような歳入、税収の不足という話だけといたしましても、先ほども話が出ておりましたように、交付税の取り扱いをどうするかというような点にも絡んでまいりますし、あるいは公債の償還計画をどうするかというような問題にも響いてくる話でございますので、時間がかかるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/112
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113・沢田広
○沢田委員 そうすると、ぎりぎりのところ二週間として十四日、それから審議期間を五日としても二十日、一つ切り上げてあげて二十日。そうすると、三月十日までは補正予算、三月十日以降は調整資金を使う、実務的にはそうなる、こういうふうに解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/113
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114・村山達雄
○村山国務大臣 いま山口次長の言ったのは、いままで補正にどれぐらいかかったか、政府の準備がどれくらいで、国会の審議がどうであったかということを申し上げたわけでございます。しかし、もとより本予算審議中であるわけでございます。したがって、皆さんが、これを出せば必ずその日のうちに通してくれるというような保証でもあればまた別でございますが、国会には各般の視野の広い人が大ぜいおりますから、なかなかむずかしい。各種の広範な議論が展開され、それがまた国民が全部聞いておること、御承知のとおりでございます。本予算を年度内に成立させたいということは、もとより政府の念願でございますので、この補正予算を出す時期としてはいつまでかということは、なかなか機械的にはいかないことは御存じのとおりだろうと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/114
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115・沢田広
○沢田委員 後退されちゃ困るので、さっき言ったように、二刀流は使わないとするならば、どこかで線を切らなけりゃならぬ。そのどこかの線を切るところを、ぎりぎりのところで詰めて、いわゆる決算の調整資金だけに限定をした補正予算だと仮定をするならばいつがリミットなのかということで、私はわざわざ若干の時間を見て、これだけの中身だったら、これは法律ができてしまえば後はそのままなのですけれども、若干の余裕を見て、二十日と見て三月十日までは国会の審議をする。これは後で党に帰りましてどうなるかわかりませんけれども、そう解釈できるけれどもどうなんだ。それが全然見当がつかないんだと言ったならば、政府は二刀流を使ってということになっちゃいますよ。間に合わないと思うから、それじゃこれは調整資金でやっちゃおう。だんだん調整資金が多くなっていったら、これは補正予算を組むより楽になりますからね、調整資金のところへたくさん置いておいて、言うなら一兆円も置いておけば、補正予算なんか、一兆円の予算を組まなくたって適当にやっていけちゃうのですから。そういうことでしょう。租税収入の見込みが少ないと思った、こういうことになっちゃう。思った、思ったんだけれども、後でよけい入っちゃった、そういうことで、補正予算を組まないでやっていけるという方法ができちゃうんでしょう。そういう不見識なことはやれないだろうと思う。やはりここで、どこまでが限度なんだということを公の席ではっきりしないと、いま言ったような二刀流を使える余裕を残してしまう。それは国会軽視につながるのじゃないか、こういうふうに思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/115
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116・村山達雄
○村山国務大臣 仮にこの決算調整資金の問題にいたしましても、もちろん国会の審議を得るわけでございますから、御心配のようにむやみやたらにこれをふくらますことができるかどうか。それは全部国会の承認を得るところでございますから、むやみやたらに膨張することはまずないということは、国会審議にかかっておるわけでございますから。仮に、この法案にもございますように、これを使ったという場合には、後で国会の承諾を得るということでございますから、その際十分な御批判をいただくこともこの制度の予定しているところでございます。
それから、冒頭お話しになりました時間的にいつまで——われわれは二刀流を使うつもりはございません、それははっきり申し上げておきましたが、それならばいつまでということを物理的に申せとおっしゃられましても、それはなかなか無理でございまして、そのときの国会情勢あるいは本予算がどのようなむずかしい問題を抱えているか、諸般の情勢を判断して決める以外にはないということでございまして、われわれが二刀流を任意に使うつもりがないという善意だけをひとつおくみ取りいただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/116
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117・沢田広
○沢田委員 それじゃこれで終わりますが、ちょっと信用できる発言ではないと思いますが、ただ二刀流を使わぬということだけは政府の名においてひとつ確認をしていただきまして、あとはまた後で詰めることにしまして、私の質問を終わりたいと存じます。どうも御苦労さまでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/117
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118・大村襄治
○大村委員長 次回は、明八日水曜日午後六時理事会、午後六時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後十時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X00219780207/118
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