1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年四月十九日(水曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 大村 襄治君
理事 小泉純一郎君 理事 野田 毅君
理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君
理事 佐藤 観樹君 理事 塚田 庄平君
理事 坂口 力君 理事 永末 英一君
愛知 和男君 池田 行彦君
小渕 恵三君 大石 千八君
後藤田正晴君 佐野 嘉吉君
坂本三十次君 中村 直君
林 大幹君 原田 憲君
本名 武君 水平 豊彦君
村上 茂利君 森 美秀君
山崎武三郎君 山中 貞則君
池端 清一君 大島 弘君
川口 大助君 沢田 広君
只松 祐治君 山田 耻目君
貝沼 次郎君 二見 伸明君
宮地 正介君 高橋 高望君
荒木 宏君 永原 稔君
出席国務大臣
内閣総理大臣 福田 赳夫君
大 蔵 大 臣 村山 達雄君
出席政府委員
経済企画庁調整
局審議官 澤野 潤君
外務省アジア局
次長 三宅 和助君
外務省経済協力
局長 武藤 利昭君
大蔵大臣官房日
本専売公社監理
官 大槻 章雄君
大蔵大臣官房審
議官 米里 恕君
大蔵省主計局次
長 山口 光秀君
大蔵省理財局長 田中 敬君
大蔵省証券局長 山内 宏君
大蔵省銀行局長 徳田 博美君
大蔵省国際金融
局長 且 弘昌君
国税庁次長 谷口 昇君
建設大臣官房会
計課長 加瀬 正蔵君
委員外の出席者
厚生大臣官房国
際課長 金田 伸二君
日本専売公社総
裁 泉 美之松君
大蔵委員会調査
室長 葉林 勇樹君
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委員の異動
四月十九日
辞任 補欠選任
宇野 宗佑君 中村 直君
高鳥 修君 水平 豊彦君
同日
辞任 補欠選任
中村 直君 宇野 宗佑君
水平 豊彦君 高鳥 修君
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本日の会議に付した案件
昭和五十三年度における財政処理のための公債
の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法
律案(内閣提出第三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/0
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001・大村襄治
○大村委員長 これより会議を開きます。
昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/1
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002・沢田広
○沢田委員 最初に、きょう春闘が行われているわけでありますが、先般の予算委員会等を通じましても、現在の七%成長の中で雇用者の賃金をどの程度に置くか、いわゆる個人消費の一一・九%の上昇というものを得るためにはどの程度必要かという議論がなされました。経済企画庁の計算では、その当時の円相場を二百四十五円で試算をされたわけであります。今日二百二十円台に入っておりますから、それだけ試算の中身は変わってくると思うのでありますが、当時の答弁として、雇用者の基準内賃金あるいは基準外賃金を含めてみても最低八%程度でなければ、そのはね返りとして個人消費にその影響度は出てこない、こういうおおむねの方向だったと思うのであります。
もちろんこれは試算でありますから、政府の答弁だとは思っておりません。また、これは労使の交渉によるものでありますから、政府が介入しないという答弁も出ることも予期はいたしております。しかし、この七%成長というものが国際的にもあるいは国内的にも一つの筋道であり、約束であるということであるとすれば、現在のようなコストダウン的な政策といいますか、いわゆる使用者側の態度というものは政府の方針と背馳をする、背いている、あるいは違った方針をとっている、こういうことにもなりかねないと思うのでありますが、大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておられるか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/2
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003・村山達雄
○村山国務大臣 経済成長七%の見通しの一種の計算過程におきまして、個人消費、名目で一一・九でございましたか、そういった数字をはじいていることは承知しているわけでございます。これはしかし、政府の方針というよりも、もちろんこの問題は労使の間で決まる問題でございますから、一つの見通しだろうと思うのでございます。いま春闘でベアの関係が労使間で行われておるわけでございます。
経済見通しではたしか、雇用の増を一・五ぐらい見ておりますから、名目で言いますと、それを引いたものあるいは割ったもので一人当たりの名目賃金の上昇率を見ておったと思います。経済企画庁の説明によりますと、大体雇用者の所定内賃金、つまりベースアップによる分は全体で三〇%ぐらい見ておる、こういうことでございます。したがって、七割程度はむしろ所定外賃金であるとか、あるいは個人事業者あるいは個人の財産所得、それで見ているということになるわけでございます。
そこで確かに、今後どういうふうに最終的に決まるかわかりませんけれども、もし政府が見ておるベアよりも低いということに仮に決まったといたしますれば、それは見通しに対して一つのマイナス要素であろうと考えます。しかし同時に、プラスの面もあることは当然でございまして、消費性向を一方において見ているわけでございますが、オイルショック以前は、可処分所得を分母にいたしますと、消費性向は大体八〇ぐらいというのが普通でございましたが、最近は七五まで下がっておる。その五%ダウンした理由として経済企画庁がやはり述べていることは、同時にそれは物価不安の問題あるいは雇用不安の問題が大きく消費性向を下げている原因である。今年度の消費性向につきましても、見通しは、ある種のものを七六ぐらい見ておりましたか、それぐらいだと思うのでございますが、もし今度の春闘を通じまして、そのベースアップの率が見通しよりも下がるということは、計算に比べてマイナスではありますけれども、いま言ったような理由で他方において、それはまた見通し以上に、物価の情勢は御承知のとおりでございますが、物価を下げる要素にもなるかもしれませんし、あるいは雇用不安を解消する要素になるかもしれません。
そういったことを考えますと、あわせ全部総合いたしまして、今後雇用の増加もございますけれども、一一・九ができるかできないかということは春闘だけではなかなか判断のできない問題ではないだろうか、相殺する要素も十分考えられるという、いまそんな感じを持って見守っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/3
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004・沢田広
○沢田委員 消費者物価の上昇率六・八と押さえているわけであまりすから、公務員を例にとりましても、当然それだけの生活水準の低下が出るわけであります。
ですから、これからは簡単に質問をしてまいりますけれども、人事院がどう対処するかは別といたしまして、要するに消費者物価が六・八%、だから、政府が考えている計画がもしみんなちぐはぐになっていくとすれば——これは一つの例で、いま言った反対現象も出るかもしれぬが、予想どおりにはいかないんだ、もし国民が政府のやることについてすべてそういうふうに疑心暗鬼になっていったらば、政治の信頼感というものはなくなってしまうんじゃないですか。これは一つの例を私、挙げたのですが、それに続いて六・八%消費者物価が上がるんだ、これだけは上がるようになるだろう、七%成長に対比してそうならざるを得ないだろう、そういう一つの——これだけのエリートが集まって一生懸命になって徹夜をしいしいがんばってつくったものが、どっちにも裏表に見られる、こういう条件では、国民は信頼を持って政府に対応して生活をどういうふうにしていったらいいかということは、少なくともできなくなるんじゃないでしょうか。その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/4
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005・村山達雄
○村山国務大臣 これは経済見通しというものの受けとめ方の問題であると思うのでございます。これだけの世界経済の中で、しかも自由体制でやっている日本でございますから、もとよりいろいろの数字上の誤差があり得ることは当然のことだと思うのでございます。ただ、大筋においてどうなるかというところがやはり最後のポイントではなかろうかと思っているわけでございまして、数字のとおり経済が動くなどとはだれも考えていないであろう、ある傾向値、ある方向というものを見通しておるものであろう、私はこう思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/5
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006・沢田広
○沢田委員 これだけにこだわっていられないのでありますが、ある程度の誤差はあると言うが、東海道線に乗るのに東北線に乗っていたのでは、これは誤差とは言えないのですね、筋違いということになるわけです。ですから、いままでの答弁で、かもしれない、かもしれないということでいろいろ反対の言葉を言われておりましたけれども、結果的に七%成長しなければならないという必要の条件と目標を設定しているわけですね。だから、これは幾つも目標があるわけじゃない。確かに外貨の黒字減らしももちろんありますけれども、少なくとも七%成長するために必要な要件というものを、政府は主導しながらそれを達成するようにしていく義務といいますか、社会的な責任というものを持っているんだと思うのです。そういう意味においての責任はお持ちになっておられるわけでしょう。その点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/6
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007・村山達雄
○村山国務大臣 自由主義経済、自由体制を基本にいたしておりますから、やはり見通しというものは一つの好ましい国民経済の姿、その可能性の中でそれを求めておるわけでございまして、その中での行動というものをもちろん期待しているわけだろうと思うのでございます。しかし、一つ一つの経済見通しのアイテムについて申し上げますれば、もとより春闘について、それがある見通しを持ったからといって、これを労使の間に介入できるという性質のものでないことも御承知のとおりでございます。ですから、その数字そのものの中で政府がどこまで主導権をとり得るかどうかという問題には、それぞれの問題についておのずから主導権をとり得るという範囲の中に非常に幅のある、あるいは差異のある事柄であろうと思っているのでございます。たとえば政府の緊急輸入という問題になりますれば、これはまさに政府マターの問題であろう、こういうふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/7
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008・沢田広
○沢田委員 政府の言うことが、それぞれ使用者にあうんの呼吸でといいますか、伝達できない組織構造にはなってないだろうと思うのですね。とにかく営利企業への天下りだけを考えてみましても、昭和五十年で、延べでいきますと百七十六件、そのうち大蔵は四十七人ですね。昭和五十一年は百五十九件で大蔵は四十四人も出ているわけです。昭和五十二年にはまたさらにふえまして百九十八人となって、大蔵は四十九人、その間、五十年で通産が十三、そして十五、また五十二年では十八とウナギ登りに上っているんですよ。言うならばこれをずっと並べて営利企業への天下り、大蔵官僚あるいは通産官僚、農林官僚、運輸官僚、こういう官僚の天下った人たち、まあ皆さんにしてみればOBでしょうが、そういう人たちが日本の経済の支配体制の中の主要な地位を占めている。そういう条件の中で、いま言われたように、資本主義経済であるから、ある意味においての自由競争という条件はあり得るんだから、政府の七%成長ということも主導はできない——できないか、できにくいという意味ですか、そういう言葉にはなってこないだろうと思う。言うならば、融通的な指導体制というものは可能になっている、あるいは可能であるからこそそういうものの基盤というものがあるんだろうと思うのであります。
これだけで時間がとれないので残念なのでありますけれども、どうも若干食い違いがあるようなんです。政府の言う七%成長というものに対して、業界も協力をしてもらう、あるいは労働者にも協力をしてもらう、あるいは中小企業にも協力をしてもらう、そのことがいま第一に求められている要件であろう。そのために必要な賃上げというものは、当然必要なものとして起きてこなければならぬのじゃなかろうか。抑圧をすることによって、いわゆる七%成長には逆なデメリットとして出てくる、こういうことについては、大蔵大臣と若干見解が違うようでありますけれども、どうもその現象の方が濃い、こういうふうに私は思いますので、いままでの考え方と違って、私はこれは意見だけにしておきます。これはもう違うようですから。ただ、こういう天下りの現象が現実に出ている、これは後からの問題にまだ関連しますけれども、そういうことによって、意思の疎通ができないということにはならないと思います。
それからもう一つは、自由主義経済であれば、労働と資本の対立というものは、これは当然起こってくるわけであります。でありますから、労働と資本という対立の中において、それぞれの自由の団結権と争議権というものが、これまた自由主義経済の中では確立されてなければならぬ、この前提は否定されないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/8
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009・村山達雄
○村山国務大臣 最後の労働と資本との問題でございますが、もとより利害の反する面もございますし、また利害の共通する面もあると思うのでございますが、御承知のように現行では、それぞれの対立の問題につき、労働者側の利益に資する意味で、その団結権、あるいは場合によりましてはスト権、そういったものが現行法制のもとで認められていることはもう御承知のとおりでございまして、それがやはり有効に機能することは、国民経済全体としてチェック・アンド・バランス、機能を十分果たしていくものであろう、このように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/9
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010・沢田広
○沢田委員 専売納付金の問題は、後で同僚の議員が主体的に質問をいたしますが、私は一項だけ聞いておきたいと思うのであります。
これは明治四十二年からでありますから、昭和十九年に至るまでに国鉄が一般会計に繰り入れた金額は大体四十六億であります。そしてこれを一万倍にしますと、四十六兆円国鉄は一般会計に繰り入れてきたと今日の価格にすればなるわけであります。今回専売の納付金が出されることになりましたし、また、きょうの報道によれば民営移管だなんということも出ておりますけれども、その専売納付金が公労法上の、予算上は別として、資金上支障を生ずるということにならないかどうか。労使のいわゆる自由な交渉権を、この納付制度によって阻害を起こす——介入しないと政府はいま言ったばかりでありますけれども、労使の自主性を阻害するということにならないか。現在の法律では、予算上、資金上支障がある場合は、国会の議決が必要である、こういうことになっております。そうすると、必ずこれは労使の自主性を阻害するということになるわけでありますが、その解釈としてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/10
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011・大槻章雄
○大槻政府委員 特別納付金は、先生御案内のように、過去の利益の蓄積である利益積立金を取り崩すことによりまして、五十三年度末に納付するものでございますが、その資金手当てといたしましては、同額を資金運用部資金で措置することになっておりまして、五十三年度の歳入歳出予算の執行に直接影響を与えるものではございません。したがいまして今回の措置は、公労法十六条にいう予算上、資金上可能か否かの判断に影響を与えるものとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/11
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012・沢田広
○沢田委員 そういう答弁を期待しているのではない。これは将来の展望を構えて私は言っているわけなんです。だから、国鉄は明治四十二年から昭和十九年まで、今日の金額にすれば四十六兆円も一般会計に繰り入れた。しかし、今日国鉄が赤字であるとすれば、それは資金上だめじゃないか、こういう経営者側の言葉となって返ってくる。五十三年度には支障がないことは私にもわかりますよ。将来の計画なり展望に立って見ていった場合に、それが原因になって資金上支障があるという言葉にならないかどうか。それは資金上の支障にならないという言葉であれば、それで了解していってもいいのであります。そのときに金がありませんよという答弁になったのでは、この国鉄の例と同じになるじゃありませんか。五十三年度だけは支障がないからなんて、そんな子供だましみたいなことは聞きたいと思っているわけじゃない。五十三年度だけが間に合うぐらいのことは、数字を見ればわかっているのですよ。そんなことを聞いているわけじゃない。将来に対しての責任が持てるか、こういうことを言っているわけですから、その意味で、わざわざ自分から出てきたのだから、ちゃんと答えなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/12
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013・山口光秀
○山口(光)政府委員 予算上、資金上可能であるか、不可能であるかということでございますが、予算上というのは、まさにその年度の予算でございますから、これは国会が授権した予算の範囲内であるかどうかということでございまして、その年々で判断することになろうかと思います。
それから、資金上の問題をいまお取り上げになっているのではないかと思いますが、資金上というのは、予算総則で、つまり予算で授権されました借入金の範囲内で実際に借り入れをしようとした場合に、何らかの事情で借入金ができないといったようなケースを指しているわけでございまして、専売公社の場合には、まずそういうケースはないのじゃないかというふうに思います。ですから、先ほど監理官がお答えいたしましたように、今回の特別納付金によってこの予算上、資金上という問題に、ことしも影響はないと思いますし、将来も影響はないのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/13
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014・沢田広
○沢田委員 私は、法解釈のたてまえで言っているわけであります。国鉄の例を挙げたのはそういうことなんでありまして、そのときに納付していくことは、その当時の現況としてやむを得なかったのかもしれません、あるいは当然そういうふうにすることが情勢上仕方がなかったのかもしれません。しかし、現在の法律は、いま言ったように、予算上、資金上で当事者能力が縛られている。今回納付をすることによって、当事者能力に制限を加えることになるのではないか。現状では差し支えないかもしれない、あるいはまたそのときの解釈では、向こう二、三年の間支障がないかもしれない。しかし、明治何年からの納付金制度が、今日国鉄財政にこれだけとにかく資金上支障を来していることは間違いない。そういう長期展望に立ったときに、この納付金が、現在の時点だけでとらえることでなしに、法律解釈として資金上影響を与えるという結果が出てくるのじゃないか。その点を明確にしてほしいということをいま言っているわけですね。
これはだから、貸したとか借りたとかいうことになれば、政府が今度はまた逆に公共企業体の方へ返すということもあり得るわけですね。そこで、もしそういう事態が起きたときには、法律を守りますから、資金上支障を与えるということはいたしません、こう答えておいてもらえば、これはそのときの法律で一番有効性があるわけです。その点だけの解釈をはっきりさせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/14
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015・山口光秀
○山口(光)政府委員 予算上というのがまず問題になるんだろうと思うのです。ところが、毎年予算を組みます場合には、専売公社なら専売公社に対しまして、ほかの公社と同じような給与総額の決め方をいたしますから、その意味では能力を国会は与えることになるのじゃないかと思うのです。その予算を組むときには、過去のいろいろな事情に基づきます資金事情その他も考えた上で、その年の予算を組むわけでございますから、おのずと反映されているので、その反映された中ですでに予算上権能が与えられるということになるわけでございますから、いま御指摘の御心配はないのじゃないか。
問題は、それじゃ資金上の問題かと申しますと、資金上は、借入権限が与えられているのに借り入れできないような事情というふうにお考えいただいたらいいと思いますので、いまの御心配のケースとはまたこれ違うのじゃないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/15
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016・沢田広
○沢田委員 時間が制約されているので、自民党の理事がすぐまた委員長席に駆けつけられたのじゃ困りますから、先へ行きますが、とにかく法解釈上、公共企業体は予算上は問題ないのですよ。資金上支障があった場合に当事者能力に影響するというのが、現行法です。納付金を納めて自分のところで穴をあけることが、将来法規上の資金上の制約条件となるのかならないのか、この点が解釈としてどう違いがあるのですか、イエスかノーかでこれはお答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/16
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017・山口光秀
○山口(光)政府委員 資金上不可能な場合とは、三公社について言えば、予算総則で決められた借入金の限度額の範囲内において、公社が借入金をしようとする場合に、何らかの事情により借入金ができないような場合をいうと解しておりますので、いまの御心配の点は当たらないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/17
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018・沢田広
○沢田委員 この問題だけに時間をとったのではしようがないですから、国債の問題に入ります。どうも若干の違いはあるようでありますが、支障ないというふうに理解をしていきましょう。
国債というのは、国民から借金をするということになるわけであります。借金というのは、使いようによれば、薬にもなるけれども、また毒にもなる。いまの国債の状況というものは毒性が少し強くなってきている、まあこれは私たちの見方であります。これはいわゆる個人の家庭でも同じでありますけれども、ある限度の借金というものは、使用目的が明確である場合は非常に有効な場合もある。しかしまた、それが多過ぎて、その借金をしている者の苦労を知らないで、従来のような放蕩なりギャンブルなりそういうものにつぎ込んでいる亭主がいるとすれば、これは借金をしたってどうにもならなくなりますね。
きのうもレクチュアの中で話が出た。私が言ったことでありますが、大蔵の方で国債をこれだけ苦労をしながら発行しようとしても、使う側の気持ちというものは、大蔵は金を都合してくれるのであって、使う方は全然そんなことはとんちゃくない、こういうのがいまの各省の姿勢じゃありませんか。大蔵大臣、それをどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/18
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019・村山達雄
○村山国務大臣 国債が確かに、いまの民間の資金需要との関係からいたしまして非常に多量に出ておる、特にその面は四条国債の問題でございます。しかし、特例国債がもう多額のものを出さざるを得ない、これがやはり一番大きな問題であろうと思っているのでございまして、その意味でわれわれは、特例公債を減らし、できるだけ早い機会にまずこれから脱却するということが一番大事だと思っておるわけでございます。そのために、経常経費につきましては相当思い切って節減をさせていただきまして、特に必要な方面に重点的に充てることにいたしているわけでございます。そういう意味では、今年度の予算編成に当たりましても、各省の理解を求めながら予算編成をいたしたのでございます。今後ともわれわれはこの線で、経常経費についてはますます本当に節減合理化をし、そしてまた、その中での優先順位というものをしっかり見定めていく必要がある、その意味で各省のより一層の協力を求めていく必要があろう、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/19
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020・沢田広
○沢田委員 私はいま一般論を言っているのじゃなくて、各省が予算請求をしてきて、とにかく歳入は大蔵省だけが責任を持つのだ、こういう姿勢の中で、いま言っているようなことが実際に実行できると思いますか。国債を消化するための苦労というものが各省に伝達されないで、そういうものの効果が上がると思いますか。いわゆるわれわれ一般の勤労者の苦しみを知らないで、その苦しみが皆さんにわかるか——皆さんにと言うと失礼になるかもしれませんが、そういう言葉と同じなんですね。やはり汗を流す者でなければ、汗の苦しみなり苦痛というものはわからない、こういうことと同じように、大蔵省の歳入の苦労というものは各省に本当にそこまで浸透しているのでしょうか、その点自信を持ってお答えをいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/20
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021・山口光秀
○山口(光)政府委員 たとえば五十三年度予算の編成のことを振り返って考えてみますと、昨年七月の末に概算要求の方針についての閣議決定をお願いしたわけでございますけれども、その際にもいわゆる概算要求のシーリングというものについて、要求自身非常に厳しい線で抑えていただくということをお願いし、それが閣議で了承され、各省もそれに従って要求したわけでございます。
そのほか、予算の編成の作業の中でも、各省幹部に財政事情をよく説明する催しなどをやりまして、その趣旨の徹底を図ったところでございますので、私どもとしては、各省よく協力していただいたという気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/21
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022・沢田広
○沢田委員 政府の答弁は、少しも反省なくして、ぬけぬけとそういう言葉が出てくる。われわれにも欠陥がなくはないのです。あるいは仕事の上でいろいろと間違いを起こす場合もあり得るのです。もっと率直に是正、反省というような点については認めながら、さらにそれに対していわゆる好意ある叱声というものを国民の中にも期待をしながら——私たち全然完全無欠でパーフェクトであります。こういう言い方が国民を納得させると思いますか。われわれにも努力の足らないところがあります。欠陥もあります。しかしこうだからこうだという姿勢が、福田総理を初めとしてすべて欠けていると私は思う。もっと素直にこれは国債などというような問題に当たってもらわなければ、国民の理解というものは得られないのじゃないか。
いまの答弁も、全然間違いありません。それじゃ私は、この前の質問で、三月末に全部工事は完了いたしますかと言ったら、工事は完了いたします。これは建設も呼んでいますが、建設だけを責める意味じゃありませんけれども、終わっていますか、現実に終わってないでしょう。五月末だって危ないぐらいですね。しかも、さらに四月に向けて、前倒しに全部五十三年度の予算を早期発注をしろ、下の地方団体その他は技術屋もいないし設計屋もいない、全部外注に出してでもこの四月中に発注しろ、こう言って指示しているじゃありませんか。そのことがどれだけ経費のむだをつくり、あと九月以降補正予算を組むつもりかどうかわからぬけれども、その間の空白というものはどうするのですか。何も仕事をしないでいるという状態が起こってしまうのじゃないですか。そういう通達を出しておきながら、そうして三月までには終わりますなんということをぬけぬけと言っていたけれども、絶対終わってないでしょう。
やはりそういう事実を反省しながら答えてもらわないと、何かここで時間かせぎに終わればそれで済むのだ、権力者は常にそういう姿勢であるという形では済まされないのじゃないか。そういうふうに謙虚な立場でひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/22
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023・村山達雄
○村山国務大臣 われわれは財政当局でございますし、ほかの実体官庁の方はそれぞれまた任務を持っております。率直に言って、私たちが理解しているほど、いまの財政の危機を同じような深さで認識しているかどうか、それは本当にわかりません。やはり自分の本務の方がどうしても詳しいということは免れぬところだろうと思うのでございます。そういう意味で各省に対しましては、財政の苦しい事情などをしょっちゅう申し上げまして、政府としてはやはり統一ある方針をとっているところでございます。したがって、概算要求の段階に当たりましても、またその執行に当たりましても、経費のむだがないように、要求段階から執行段階まで、財政当局としてはいろいろお願いいたしているところでございます。しかし、今後ますます財政の問題が重要性を増してまいりますので、さらに各省の認識を一層深めるようにわれわれも努力し、また協力を求めてまいりたい、こういうのが実情であろうと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/23
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024・沢田広
○沢田委員 ぼくも事実を挙げて言ったのですから、建設省ひとつ、うそであるか本当であるか、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/24
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025・加瀬正蔵
○加瀬政府委員 まず、私どもの要求の姿勢についての御指摘かと思うのでございますが、要求に当たりましては私どもは、各種の中期計画あるいは五十年代前期経済計画、こういったものとの整合性を保ちながら、少なくとも建設資材関係の需給関係に配意しながら、地域住民の御要望にこたえるべく要求をしているわけでございまして、その際に、先ほど大蔵省から御答弁ございましたように、七月段階で会計課長会議、官房長会議、あるいはその上の閣議の段階で決められました節度を守りながら要求しておるつもりでございます。
それから、事業の消化のことが第二番目の御指摘かと思いますが、消化に当たりましては、たとえばことしの場合やはり一%強あるいは二%弱の繰り越しは出るかもしれませんが、これは例年に比べますとかなりいい成績であろうかと考えております。公共事業施行の段階でいろいろ繰り越しが出るのは例年のことで、ある程度はやむを得ないという理解はしておりますが、繰り越し、不用等の出ることがないように今後も心を引き締めて事業を執行したいと考えております。
それから三番目に、今年度の事業の促進のために四月に発注すべく督励しておるという御指摘でございますが、政府全体で七三%の契約を上期にするという方針に準拠いたしまして、私どもとしても直轄事業、補助事業、公団事業を通じまして、上期になるべく高い契約率を上げるべく努力しておるわけでございますが、全部の契約を四月にしろと言っているわけではございませんで、事業のなるべく早い執行が望ましいという態度での御協力をお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/25
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026・沢田広
○沢田委員 協力を仰ごうと命令しようと、言葉は上あごと下あごなんでございますから、結果は同じだと思いますから、それは肯定されたとして次へ行きます。
大蔵大臣、公債は、昭和四十年に出されたときには、昭和四十年度限りの臨時特例とするということで政府は言っておるわけです。それから四十三年度までは絶対に公債は発行しない、こう言っていたわけです。あるいはまた今度は、四十一年度以降に発行することがあり得るというようになった。それからその次には、四十年度内に赤字国債を発行することは辞さない、こういうことになったわけです。当時は田中大蔵大臣だったわけでありますが、きのうの委員会でもうそつきということで大分議論があったようでありますけれども、この昭和四十年の速記録だけを見ましても、これはずいぶんうそをついているな、こういうことになるわけなんでありまして、赤字国債には二種類あることはわかりますから、その二種類が性格が違うものでありますから、その違う立場で議論しなければいかぬ。それを、一括してこの赤字国債の場で論ずるということは、若干妥当性を欠くのではないかという気がするのですが、大蔵大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/26
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027・村山達雄
○村山国務大臣 私の意味の取り違いであったらお許しいただきたいと思いますが、昭和四十年度のときの赤字国債は、いわば四条債の対象経費の範囲内で出したわけでございますので、実際はあのときは建設国債でも出し得るのではないかという議論もあったわけでございますが、当初予算におきまして建設国債を出していませんが、あの当時はミクロが非常に不況でございまして税収が減った、そのために臨時異例の措置として多額の追加公債を発行する関係でありましたので、あえて対象経費があるということを無視いたしまして、特例公債という形をとらせていただいたのでございます。
まあそれは幸いにいたしまして、その後そのようなことはなかったのでございますが、五十年度は御承知のようなことで、経済の見通しが非常に狂ってしまって、そして恐らく二兆円から三兆円以上の税収の減がありまして、その分を補てんするだけでは足りないで、同時に、価格抑制政策から景気対策に移らざるを得ないということで、補正予算の段階では、税収の減収にかわる赤字公債と景気対策上の四条公債を同時に発行せざるを得ない、こういう事態に追い込まれたわけでございまして、その後引き続きその経済情勢は変わっていない、延長線上に今日まだある、かように私、理解しているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/27
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028・沢田広
○沢田委員 これからは簡単に質問しますから、簡単にお答えいただきたいと思います。
一括して取り扱うことが妥当でないのではないかという私の質問ですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/28
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029・村山達雄
○村山国務大臣 いま申し上げたような差において、別に議論することも可能であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/29
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030・沢田広
○沢田委員 別に議論をするということじゃなくて、扱いを区分するべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/30
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031・村山達雄
○村山国務大臣 前の特例公債は対象経費の範囲内であった、だから言いますならば、実質的には建設公債とも理解できる、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/31
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032・沢田広
○沢田委員 今日ではどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/32
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033・村山達雄
○村山国務大臣 完全な赤字国債であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/33
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034・沢田広
○沢田委員 この中で、国債整理基金特別会計への繰り入れが、建設国債もあるいはその他の国債も含めて千分の十六、六十年という一つの耐用年数を基準にして繰り入れていることに矛盾は感じませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/34
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035・村山達雄
○村山国務大臣 赤字公債からはできるだけ早く脱却するという基本方針をとっておりますので、減債基金として総合的な減債基金を組んだ方が、私はその方がベターではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、問題は、特例債から脱却できるかどうか、むしろそこにポイントはかかっておると思うのでございまして、その限りにおいて矛盾は感じていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/35
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036・沢田広
○沢田委員 じゃ現在、去年なりことしなり千分の十六入れていることについてはどう考えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/36
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037・村山達雄
○村山国務大臣 減債基金制度というのは総合的に運用していった方が効率が高い、私はこう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/37
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038・沢田広
○沢田委員 どうしてもがえんじないようでありますが、じゃ、建設国債の中における出資金、貸付金、これも性格的にいろいろ問題があるだろうと思うのです。全部六十年の耐用年数という見方が必ずしもいいかどうかという疑問がある。短年で償還されるものもあり得るだろうと思うのです。そういう立場から見て、この整理基金会計へ千分の十六で一括納めていくということは、何もかにも一緒くたにしてしまっておる、おじやにしてしまっておるというかっこうじゃないですか。もう少し性格的に分類していくという筋道、しかもこの中でも、住宅なんかの場合、鉄筋の場合もあるだろうし木造の場合もある。道路の場合、簡易舗装もあれば高速道路もある。あるいは治山治水にしても、ダムもあればあるいはほかのものもある。さらに、災害復旧とか農業基盤なんかについて見れば、それは長期的な三十四、五年の護岸工事もあれば、暗渠工事もある、あるいは六十年の長期工事もあるというふうに、同じ建設公債の中においても、事業種別に大蔵省が査定している耐用年数表を見ても全部違ってきておる。しかも、一般の短年のものもあわせて千分の十六にするということは、私が指摘したような何もかにも一緒くたにした、総合性という言葉で表現できる言葉じゃないのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/38
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039・村山達雄
○村山国務大臣 これは意見が違うかもしれませんけれども、制度全体としては、一々対象ごとに区分いたしましてそれぞれの率を定めるというよりも、問題は、全体を見通して概括的にどれくらいの耐用年数でやるかということで減債基金を組んだ方が、制度としては効率的だと私は思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/39
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040・沢田広
○沢田委員 どうも時間がなくなりそうですか、それならば、何も六十年でなくて、三十年とか二十年とか、いわゆる短年の償却率というものを適用して、そして返す財源というものを蓄積するというのが、財政運営をやる者の立場じゃないですか。それを、とにかく相手が国民だから文句を言わないからということで、今年度の借金も、あるいは永久施設の問題も、あるいは三十年の耐用年数のものも一緒くたにして、六十年の長期に返済計画を立てるということは、これはむちゃくちゃと言われても仕方がないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/40
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041・村山達雄
○村山国務大臣 永久である土地を含めてやっておるのでございまして、土地については仮計算で百年という計算をいたしておるのでございます。そういうことから申しますと、耐用年数というものは概括的にやっておることはやむを得ない。それはむしろ答えの方を見まして、総合的に一体何年くらいが妥当であるという答えを出して、それで繰り入れ率を決めようという制度でございまして、問題は、繰り入れ率を幾らにすることが適当であるかという、最後に答えにかかるわけでございますので、一々その資産の種類ごとに決めるということには私はどうも賛成いたしかねるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/41
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042・沢田広
○沢田委員 いま国債が四十何兆かに及ぶようになってきて、いまの答弁ではとにかく一緒くたにして物を考えていく、こういうことのようですから、そういう基盤で私も質問していきたいと思います。
これだけ国債が、地方債その他を入れて九十五兆円から百兆円になろうとしておる赤字を今日、日本全体として持っておるわけですね。これが国民に与える不安というものがあると思いますか、ないと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/42
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043・村山達雄
○村山国務大臣 国民の皆様方は、やはり御心配じゃないかなという気はいたしておるのでございます。特に、これが一体いつまで続くのだ、赤字国債のようなものがいつまで続くのだ、こういうことについてはやはり不安は持っておられる方が多いのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/43
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044・沢田広
○沢田委員 その不安の中身というものは、どういうふうに理解をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/44
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045・村山達雄
○村山国務大臣 若い人たちにとっては、いつかはおれのところにツケが回ってくるんじゃないか、こういう御心配もあるかと思います。また、そんなに長い話でなくても、もし民間の資金需要が出たときには一体どのようなことになるのか、インフレーションのようなことになるかならぬか、こういう点を御心配しているのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/45
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046・沢田広
○沢田委員 いま言われた不安は、国民に不安がないのだ、これはこれだけ出ているのだけれども、不安はないのだというふうに、どういうふうに説明を——これは長くされては困るのですが、簡単にお隣の大工さんにも八百屋さんにもわかるように、不安はないのだということをどういうふうに説明したらいいでしょう、教えてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/46
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047・村山達雄
○村山国務大臣 第一の問題の、後代に負担を乗せるのじゃないかということにつきましては、いやそうじゃないので、財政収支試算に示しておりますように、現代の世代が負担をいたしまして早く健全財政に戻りたい、こういうことでひとつ御共鳴をいただきたいということで不安の第一を解消いたしたいと思っておるわけでございますし、第二の問題につきましては、そのようなことにならないように十分、これは早く申しますれば、民間投資がどんどん出てまいりますれば、それは当然のことでございますけれども、公共投資をいまのように進める必要性はなくなるわけでございましょうから、具体的にはそのときそのときの情勢によって細かい配慮は必要でございまして、大づかみに言いましては、過熱に潜在成長力を超えて、公共投資もあるいは民間の設備投資もやるようなことはいたしません、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/47
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048・沢田広
○沢田委員 それじゃちっとも納得しないだろうと思うのですが、その次のインフレに対する抑止政策といいますか、抑止力といいますか、これはどのように——これも簡単に、インフレには絶対させないというふうに言い切れるものがあるのかどうか、その点お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/48
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049・村山達雄
○村山国務大臣 非常にむずかしい問題でございますが、いま申し上げましたのは、需要インフレの話をしたわけでございまして、需要インフレは、そのようなことで起こすようなことはいたしません。
コストインフレについても、十分注意しているところでございまして、現在そういうおそれはないわけでございます。
また、過剰流動性の問題につきましても、われわれはいま配意しているところでございまして、現在は御案内のようなマネーサプライの状況でございますので、心配はありませんし、今後ともそれらの問題について十分気をつけてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/49
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050・沢田広
○沢田委員 現在一番心配をされることは、やはりインフレへの懸念である。そして、いま国民がどういう心理状況になっておるかということを、これは提言をするわけですが、やはり投機に走っているという傾向が強いというふうな見方はできませんか。これはやはり過剰流動性、この間も参考人が来られてやりました株高の問題、あるいは金の売買、あるいはマンションの売買、こういうような方向を考えても、やはり過剰の流動性を持った条件、これは西欧諸国においても、現在のインフレを抑制するための政策として、いわゆるマネーサプライといいますか、M3までを含めてそこまでコントロールする。こういうことをしないと、やはりインフレの危険性を持つ、こういうような所説が多いわけであります。現在の日本はそういう点について全然考えてないようでありますが、いまややや過剰の資金というものがいろいろな投機になってあらわれてきているという傾向については、どう認識されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/50
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051・村山達雄
○村山国務大臣 マネーサプライの状況はもう御承知のとおりでございまして、M2でいま一一を割るぐらいのところでございますから、その意味で過剰流動性はないわけでございます。投機があるかないか。一般的に言って、私はまだ投機は全然起きていないと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/51
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052・沢田広
○沢田委員 その触れなかったのは、一つは株へ流れているということですね。これは低金利政策の反対現象として、これだって恐らく最後は損をするのでしょうけれども、とにかく株高になるという現況に照らして、この株に流れていること。そして、大体この近辺に二千七百六十戸のマンションが建ったそうであります。現状は二千戸売れたそうであります。七六%だそうであります。これはどこで何がどういうふうに売れたかということを検討してみれば、やはりこれも一つの投資ですね。それから、私はデパートで聞いて歩いた限りの判断でありますが、いま金が一キロ当たり百三十三万円ですか、ついこの間は百四十四万円ですか、とにかくやはり毎日毎日のように売れていっている。これもやはり投機ですね。あるいは骨とう品にある程度の金が流れているということ、これも一つの投機ですよ。土地はもう魅力がないという方向が今日そういうものに流れているという現象を大蔵大臣は知らないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/52
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053・村山達雄
○村山国務大臣 投機というものあるいはインフレというものをどういうふうに観念するかという問題だろうと思いますけれども、消費者物価は世界でもいま非常に低位にあるわけでございますし、今後もその危険のところは、いまのところでは感じられないわけでございます。しかし、物価が何ほどか上がっていることは事実でございます。したがいましてそういう意味で、財産価値の保全という意味で物を買うということ、これはあり得ることだと思います。しかし金といえども、ひところを考えますと、いま恐らく一オンス百八十ドルくらいだろうと思いますが、ついこの間までは百ドルでございましたし、その前は百九十ドルでございましたから、大丈夫だと思っても、そのもの自身がやはり相場が変わってくるわけでございますので、それぞれの見込みによってそれぞれ保全措置を講じておる、これはいつでもあり得ることだと思っておるわけでございます。
株につきましては、どちらかと申しますれば、やはりしさいに見ますと、ダウ全体で上がっておりますけれども、その中で選択買いが行われておるわけでございます。私たちが心配をしておりますのは、将来株がいまよりも下がる場合がある。その場合に、情報が少ない個人が結局損をするようなことがないようにという意味で、特に信用取引につきましては、その点は投機に走らないように、それぞれの措置をとっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/53
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054・沢田広
○沢田委員 最後になりますから問題点をしぼっていきますが、これは昭和五十一年度の状況で、五十二年度の資料はいただきつつありますが、全国銀行勘定の中で国債が、持っておる比率でいきますと、五十一年度だけで二十二兆円、地方債は三兆、国債が七兆、社債が七兆で株式が三兆、こういうかっこうになっております。それから、それ以外の預貯金と債券の状況を見ると、農協十七兆、漁協七千億、生命が十四兆、資金運用部で四十九兆、その他で三百十兆、郵便で十九兆、これは若干古い年次でございますが、二十四兆、こういう形になっておりますが、この国債のシンジケートで割り当てた場合の受け入れ側が固定化されているものと、それからさらにそれが市中に出回るものと、これはどういう基準で制約を与えているのか、どういう指導をしているのか、その点お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/54
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055・田中敬
○田中(敬)政府委員 市中金融機関の国債の引き受けは、シ団で引き受けシェアというものを当初決めまして、たとえば都市銀行が何十何%、地方銀行が幾ら、信託が幾らというふうに決めております。一たんこれを引き受けました市中金融機関が保有する国債につきましては、市中金融機関の判断でその資金ポジション等によりまして、私どもはその流動化を禁止しておりませんので、市中金融機関が必要に応じてこれを金融機関外に売却するということはあり得ることでございまして、昨年の場合でございますと、銀行が売却をした金額が約四千億近くというような形で流動化いたしております。今後もそういう状況はあろうかと思います。
現在の状況でございますと、証券会社を通じます個人消化というものが、国債全発行高の残高ベースで見ますと、おおむね二〇%近くになっております。残りの八十数%というものが、先ほど申しましたような各金融機関それぞれのところに保有をされているというのが現状でございまして、これらの保有率がどういうふうに変わっていくかということは、今後の金融情勢、あるいは個人が国債にどれほど選好を示してくれるかというようなことによって変わろうかと思っております。確定的なことは予見できないというような状況であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/55
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056・沢田広
○沢田委員 さっきの大蔵大臣の答弁は、マネーサプライ十四兆というようなお答えだったようですが、私の聞き違いかどうか、それは数字が違うだろうと思っております。これはM2だけでとらえてみましても、昭和三十五年が十兆円、五十一年百四十二兆円、十四倍という結果がいま出てきておりますね。これは昭和五十二年度になりますとさらにふえていく。
いま言った国債の市中流通化の割合をどの程度としておられるか。それから、私がさっき質問したのは、国債の消化割り当てをされたところが、国債、地方債、縁故債を含めてですが、動かせないものと動かせるものとあるのかないのか、それは自由に動かせるということに今日では指導しているのかどうか、その点ひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/56
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057・田中敬
○田中(敬)政府委員 市中金融機関が持っております公共債といたしましては、国債、地方債、そして公社公団債、あるいは縁故債等がございますけれども、これらにつきましては、動かしてはいけないということは私どもは申しておりません。ただ希望といたしまして、市中金融機関が引受手数料を払って引き受けた国債が、引き受けたら直ちにどこかに売られるというようなことでございますと、引受手数料との関係もございますので、引き受けたものをすぐ売るということは心情的には遠慮してほしいという感じのことは申してはおりますけれども、それとて絶対いけないということは申しておりませんので、保有します公共債につきまして、この部分は流動化さしてはいけない、あるいはこの部分はよろしいという区別はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/57
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058・沢田広
○沢田委員 時間がだんだん迫ってきましたが、いわゆるマネーサプライの抑止力をいろいろこれから言おうと思っていたことの事実もあるのですけれども、とにかくコントロールをしていくシステムをとらなければ、要するにいま言ったように、すぐとか何とかという表現は抽象的なんですね。すぐは、いつまでのすぐなのかわからぬような答弁なんで、これも相手にしていたらしょうがないから次へ行ってしまうのですけれども、じゃ、一年なら一年は絶対にいけないとかあるいは半年なら半年はいけないとか、そういうブレーキをかけるとか、あるいは第三者への流通にある程度の制約をつけるとか、そういうことをしなければ、このマネーサプライがだんだん大きくなっていくということだけは否定できないだろう。それは大蔵大臣は景気だと見ているかもしれませんが、逆に言えば、一方にはインフレの危険性をより一層増大するということにもなるわけです。その点、時間がなくなったのでちょっとはしょった形になりましたけれども、いわゆるマネーサプライのコントロールということは、これからの政治の中に生かしていかなければならぬのじゃないかということについてひとつ見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/58
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059・田中敬
○田中(敬)政府委員 沢田委員がおっしゃいます。国債が流動化したらマネーサプライがふえるかどうかという問題でございますけれども、国債が流動化してもマネーサプライはふえない。たとえばその流動化さした国債を購入する者が、日銀から信用を受けて買うというようなことになりますと、それは日銀の信用増ということでマネーサプライの増加になりますが、片方で売り、片方で買うということは相互の移動でございまして、ここではマネーサプライの増は起きないというふうに私どもは認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/59
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060・沢田広
○沢田委員 だから中間を省略したというのです。現在行われている方法というのは、そこにある債券の名義を借りて証券会社がそれで株を買う、あるいはそれによって高利貸しへ金が回ってくる、こういうことが現実に行われているから、一つの債券というものをそこに保有をしていきながらマネーサプライがふえていっている現象を起こしているわけですよ。高利貸しへ行けば一割五分で回っているのですよ。債券で買っていれば七分何厘にしか動かせない。それで、その名義貸しをして、そして市中銀行に行くなり、それを高利貸しに貸すなり、高利貸しはこれを手形割引に使うなり、そういう形になって、いわゆる国債なり債券というものが一つのマネーサプライをふやしていっているという現象につながっているわけです。これはわれわれも高利貸しから話を聞いてきているのです。あるいは貸している会社も知っているのです。あるいは公共団体ですらそういうものを出しているわけです。名義を貸して、それは保証書を出して、それが一つの借りた金を、今度一割五分で回している。そして三%なり四%、まあ賛助会費という名称であるかどうか別として、利益に入れないでそのままとにかく会社へ返している。やはりそういう事実がマネーサプライを、いまのサラ金なりそういうような状況の中ではどんどんふやしている現象をつくっていることは否定できないだろうと思うのです。そういう事実は御存じないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/60
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061・田中敬
○田中(敬)政府委員 おっしゃるような事実があることは存じておりますけれども、それとて、そういうことでできた金が銀行に預金として預けられた場合にはこれが日銀預け金になるとかあるいは日銀の借り入れ減につながるということで、そのこと自体によってマネーサプライの増が直ちに現象として現在起きているというふうには認識いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/61
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062・沢田広
○沢田委員 見解の差はあるようですが、その事実はお認めになられました。その事実があるとすれば、それが広範に広がっていくことはそれにつながることでしょう。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/62
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063・田中敬
○田中(敬)政府委員 いわゆる公共債、債券の流動性、流通ということは、一面においては非常に望ましいことでございまして、片方においては安定的に保有される方が望ましいという管理の見方もございますが、しかし、それを保有する人の経済活動にじゃまになっては困るということで、その流動性も保持をしなければならないということでございますので、いまのようなことがあったといたしましても、国債の流動性をここで抑止するというような必要はないだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/63
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064・沢田広
○沢田委員 国債の流動性というよりも、私が言っているのは、ある程度マネーサプライに対する計画的な調整、こういうものが必要ではないかというのを結論にしているわけですよ。私の言ったような例がだんだんこれから起きていけば、いや応なしにそれは起きてくることになるわけです。また、さっき言った国民感情としての投資意欲というものが増大していけば、高度成長の夢が忘れられないのですから、そういう傾向を引き起こしていくことは間違いない。また、現実にそういうことが——これは犯罪ではないんでしょう。それは役員会にかけなければ背任罪が成立するでしょうけれども、しかしいずれにしても、そういう形によって高利貸しなりその他の手に回っていっている資金源になっていることだけは間違いない。そういう形になって収奪されていく者は、また中小企業であるし、一般の正常な国民になってくる。そういう状況の中で、ある程度マネーサプライをコントロールしていく、どこにコントロールの歯どめをかけるかは別として、ある程度コントロールをかけていくという体制をとらないと、インフレへの危険性ということは予防できないんじゃないか、こういうふうに思いますが、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/64
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065・村山達雄
○村山国務大臣 一般にマネーサプライの基準といたしましては、大体名目成長率を超した場合が危ないといわれるわけでございます。
先ほど、ちょっとお聞き取り違いだったかもしれませんが、私が現在対前年同期比一一%弱である、こう申し上げたわけでございます。したがいまして、過剰流動性の問題はいま出ていないであろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
この問題は、考えてみますと、名目成長でございますから、実質成長と総合デフレーターで大体決まるわけでございます。問題は、マネーサプライはそれとしまして、名目成長率というんでございますが、その名目成長率の中でデフレーターが大きくなるという要素が非常に危険な要素であることは当然でございます。その意味で、物価騰貴が起きないようにわれわれはあらゆる面で考えているわけでございまして、これは両方相関関係にあるわけでございますが、マネーサプライの面から非常な危険がいま起きておるというふうには考えていない理由もまたそこにあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/65
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066・沢田広
○沢田委員 時間が来たようですから、最後に続けて言ってしまいますが、わが国としてM3を出してこれから判断の材料にしていく意向はないかどうかということが一つ。
それから、運営の目標としていま量と金利という二つがあるわけですが、量に対する規制というか、そういうものについて配慮をしていく段階に来つつある。金利は下がるだけ下げたということで、まだ下がる余地はあるわけでしょうが、とにかく量的なものを規制せざるを得ないのじゃないか。
それから、適正なM2、M3というものを考えていく場合の一つのモデルがひとつ考えられると思うのであります。いま大蔵大臣が言っているような抽象的なことじゃなくて、M2、M3のモデルというものについて、ある一定の基準を、中期経済計画であるにせよ、一応国民に示していくということが必要ではないのかということをひとつぜひお考えをいただきたい。これはFMPというようなものもあるし、あるいはRTDというようなものもあるようでありますから、それぞれどのものをとるかは別といたしまして、とにかくM2、M3というものに対して、国民的な理解、そして抑止力が必要なのかどうかという判断も国民の中に求めるということが必要になるのじゃないかと思うのであります。
それから次に、国債の発行条件についていろいろこの間も希望が出されておりました。これについてどう考えているのかということもお答えをいただきたい。
最後に、「国債管理全面見直し」ということできよう新聞に出ておりました。いままで私たちの先輩、同僚がずっときょうまでやってきたその終わりの日になって、討論採決になる段階になって、「国債管理全面見直し」というような報道がされている。真偽のほどはわかりません。真偽をまずただしてから、それでは大蔵委員会を少しばかにしているというか、これは全然別な立場から審議をしなければならなくなるのじゃないかと思うのでありますが、その点の見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/66
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067・村山達雄
○村山国務大臣 第二、第三の発行条件の多様化あるいは国債管理政策については、政府委員から答弁させますが、第一のマネーサプライについて規制する必要が近づいているのじゃないか、M3を取り入れたらどうか、こういうお話でございます。
すでに日銀では、M3を入れたものも試算していることは御承知のとおりでございます。しかしM3を入れましてもM2を入れましても、いずれも問題は、やはりその増加率に最大のポイントがあるわけでございますので、M3を入れたものを計算することも十分それなりの意味があるとわれわれは考えているわけでございまして、両方でやはりいろいろ検討してまいるということは必要であろうと思っているのでございます。
それから、マネーサプライの方からコントロールする段階かどうかということについては、いまのところその必要性はない。むしろ資金需要というものは実体経済の方から出てくるわけでございます。家計と企業との相関関係から出てくる受け身の問題、基本的には受け身になってくる。それが非常に行き過ぎであった場合にやはり金融手段が発動していく。現在のところは、実体経済の関係からいって行き過ぎであるとは考えていない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/67
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068・田中敬
○田中(敬)政府委員 国債の発行条件につきましては、御承知のとおりに、その金融情勢に応じまして過去数回改定をしてまいりましたし、市場実勢に合うようにということで毎月発行の都度検討いたしておりまして、今後とも一層市場実勢に合うような形で弾力化を進めてまいりたいと存じております。
それから、新聞にけさ報道されました件につきましては、私もこちらに参ります前に担当局の証券局にも確認をいたしましたが、大蔵省として正式にあそこに書かれているようなことを申した事実は全然ございません。事実があるといたしますれば、新聞にも報道されておりますように、五月の中旬に証券取引審議会を開いて、公社債市場の問題等についていろいろ御検討いただくという方向だけ決めたのでございまして、その第一回の総会におきまして、今後検討すべき中味はそこで御議論をされた上で決めるということでございまして、書かれております内容というのは単なる推測であろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/68
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069・沢田広
○沢田委員 国債の消化及び国債の発行については、国民の納得が得られるあるいは国民に理解を得られる条件は、まだいまの答弁では熟していない、はなはだ遺憾である。また、質問に対してもその点の解明が十分できなかったことを非常に残念であるということを申し添えて、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/69
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070・大村襄治
○大村委員長 池端清一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/70
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071・池端清一
○池端委員 私は、日本専売公社の特別納付金の納付に関連をして、幾つかの問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。
まず、現行の専売納付金制度についてでありますが、この問題についてはかねてからいろいろな議論がございました。本委員会におきましても、昭和五十年のたばこの定価改定の際にもいろいろ議論があったわけであります。その結果、五十年四月二十四日の大蔵委員会においては、専売納付金制度について抜本的な検討を深める、こういう附帯決議も付された、こういう経過があるわけであります。
自来三年間を経過しておるわけでありますが、この抜本的な検討について今日どういう状況になっておるのか、政府並びに専売公社当局の双方からその経過についてお尋ねをしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/71
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072・大槻章雄
○大槻政府委員 専売納付金制度でございますが、先生御案内のように、公社法の第四十三条の十三の第一項に、専売納付金の額というのは、固定資産、無形資産及びたな卸し資産の合計額が増加したときは、純利益から公社の内部留保を引いたものが納付金であるということで、その算式によって計算されることになっておるわけでございますが、この算式におきましては、納付金の額と公社の内部留保の額を幾らにするかについては、従来はそのときどきの国の財政事情及び専売公社の資金事情を勘案しつつ決定されてきたわけでございますが、しかし、このような方式でまいります場合には財政収入が不安定になるだけではなく、専売公社の経営責任も不明確になる、こういう問題が顕在化したわけでございます。
このため、御案内のように、四十三年七月の税制調査会等の答申におきまして、専売納付金制度にかえて消費税制度を採用することが望ましいとされたわけでございますが、関係方面の十分な理解と納得が得られず、この採用は見送ったわけでございます。このため、消費税制度の目的を実質的に達成するために、四十六年五月に大蔵省と専売公社との間で覚書を取り交わして、四十六年度以降専売公社が国庫に納付する専売納付金の計算に当たっては、一定の算式で算定される第一種納付金と第二種納付金の合計額を目安とするということになったわけでございます。
この措置によりまして、財政収入の安定的確保と専売公社の企業責任の明確化を図ることができたわけでございますが、これはあくまでも大蔵省と専売公社との間の覚書でございまして、いわば行政協定にすぎないので、この際消費税制度の導入等によってこれをはっきりさせるべきであるという御意見があるということは、私ども十分承知しているところでございます。しかしながらこの問題は、たばこの定価の決定方式や公社の経営形態のあり方とも密接に結びつく問題でございますこと、また、現在御案内のように、公共企業体等基本問題会議におきまして検討が進められておるところでございまして、大蔵省としては今後慎重に検討すべき問題であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/72
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073・泉美之松
○泉説明員 お答えいたします。
専売納付金制度につきましては、先ほど監理官からお答え申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、現行の専売納付金制度におきましては、たばこに消費税がかかることは明らかなのでありますが、その税相当分が明らかにされておらないということが第一点。第二点は、たばこの製造販売によって出てまいります利益の中に、公社の企業利益相当分と税相当分とがあるわけでございますが、専売納付金制度におきましてはそれが明確にされておらないということ。第三点は、利益があった場合に納付する形になっておりますために、財政収入が安定しない、こういうことに理解いたしておるのでありまして、そういう問題点の解消をするために、現行専売納付金制度について抜本的な検討を加えようということが、先般の定価改定の際、附帯決議として国会で議決されておりますが、私どもはそれを受けまして、総裁の諮問機関といたしまして、たばこ事業調査会というのを設けまして、学識者の方にお集まり願いまして、専売納付金制度、価格法定制度、葉たばこの価格の問題等々につきまして御審議をお願いいたしておるところでございます。
なお、先ほど監理官からも申し上げましたが、専売公社の経営形態を論議されております公共企業体等基本問題会議におかれましても、やはり専売納付金の問題を取り上げられて、それについて検討を加えておられるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/73
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074・池端清一
○池端委員 ただいまもお答えがありましたが、現在の専売納付金算定の仕組みは、第一種納付金と第二種納付金の合計額を目安にするという、いわゆる覚書方式といいますか、行政機関同士の行政協定によっておるわけであります。しかもこの第一種納付金というのは、消費税見合いであるという御説明もあるわけであります。そういう消費税見合いという実質的な税金部分を決定しているのに、これを国会審議にゆだねることなしに行政機関同士で決めるというやり方は、きわめて非民主的な措置ではないかというふうに思うわけです。
それからもう一つ、いま総裁からもお話がありましたように、税金相当部分が明確になっていない等々の問題点がありまして、やはりこれの速やかな是正ということが今日急務ではないだろうか、こう思うわけであります。したがって私としては、現行の覚書方式というものは廃止をしていく。そして税負担分を明確化するとともに、国の納付金と地方たばこ消費税の合理的な配分を図る、こういう観点から、率直にひとつ国会審議の場に問題を提起をして、国会でいろいろ議論をする、こういうことが重要ではないか、こういうふうに思っておるわけでありますが、この点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/74
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075・大槻章雄
○大槻政府委員 第一点は、行政協定のお話であったわけでございますが、確かに覚書という方式によりまして、第一種納付金及び第二種納付金の合計額をもって専売納付金とする、しかし、それぞれの方式は一つの目安ということになっておるわけでございまして、法律的にはあくまでも先生御案内のように、公社法第四十三条の十三というところで規定されておるわけでございまして、先ほど私が御説明申し上げたとおりでございます。
〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕
それから、地方たばこ消費税との関係がございましたが、確かに地方たばこ消費税は一定の税率でもって納付されるということになっておるわけでございまして、しかもそれが先取りというかっこうになっておりまして、最近は、地方たばこ消費税の方が専売納付金の額を上回るというようなことに相なっておるわけでございまして、専売制度というものが国の制度ということで行われているたてまえから見ましたときにいかがなものかということで、あるいはこれは検討すべき問題であろうと思うわけでございまして、過去においてもそういう議論があったわけでございます。
いずれにいたしましても、そういうような問題は、先ほど申し上げましたように、公共企業体等基本問題会議の制度論の中でいろいろ御審議をいただいておるところもございまして、その答申が出た暁にはい私どももそれを踏まえまして慎重に検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/75
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076・池端清一
○池端委員 先ほども触れられておりましたし、それから、専売公社が五十二年の二月に出されました昭和五十一年度から昭和五十五年度までの中期経営計画によりますと、自主責任経営体制の基盤を確立するためということで、消費税制度の導入、こういうことの検討を進めておられるようであります。
私は、この専売納付金制度の改善即消費税制度の導入ということについては、これは賛意を表しかねるものでございますが、これは後でも触れますように、消費税制度の導入というものは、経営形態のところで述べますが、民営移管を誘発する、そういう内容の問題であるというふうにも思いますし、あるいはこの消費税制度を導入することによって、消費者にはたばこの値上げを、耕作農家には葉たばこの買い上げ価格の抑制を、小売店には販売促進の押しつけ、そして労働者には賃金や労働条件の切り下げ、こういうようないろいろな問題がはね返ってくるということは明らかだと思うわけであります。
そこで、公社の方針は先ほどお話がありましたが、大蔵省として、このたばこ消費税の導入というものを本当に積極的に推進するお考えがあるのかどうか、ひとつ大臣の率直な見解を承りたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/76
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077・村山達雄
○村山国務大臣 現在、公共企業体の経営形態の問題が論じられているわけでございまして、それがわりと近いうちに結論が出そうだということでございますので、それができましてからいろいろ考えたいと思っているのでございます。
たばこ消費税の導入につきましては、おっしゃるようにメリット、デメリットが両方あるわけでございまして、いま池端委員は、むしろデメリットの方をおっしゃったわけでございます。しかしまた、その経営形態を民営にするか、そのままにするかということを別にいたしまして、たばこ消費税にいたしますメリットも実はまた考えられるのでございます。現在の納付金というものを考えてみますと、たばこ消費税の関係もございまして、一体国民が幾ら負担しているのか、実は普通の人はなかなかわからぬのでございます。その点が非常にマイナス面ではなかろうかと思っているのでございます。
それから、もう一つ考えますと、いまのたばこ専売制度という仕組みの中で考えますと、いわば公共料金部分というものと、いわば実質的な消費税部分というものが混在して入っているわけでございます。原料価格、人件費、これは程度の差こそあれ、年々上がっていることはもう免れないところでございます。しかし、専売納付金というものを主として実質的に消費税だという観点に立ちますと、どうしてもそれはしょっちゅうやるというわけにまいりませんので、ある期間を置いてやるわけでございます。実はそのときにその間、改正から改正までの間行われております原料の値上がり分、コストの値上がり分、それも一挙に解決するというやり方になっているわけでございます。だから分離することのあれは、税でございますと恐らく何年かに一回ということでございまして、コストの上昇分とかそういったものを入れて改正することは当然ないわけでございます。したがって、税は全く財政事情によりまして必要な何年かに一回、こういうことで御審議を願うことになりましょうし、公共料金の方はそれに反しまして、やはりある程度上がってまいりますればコストの問題でございますから、それはそれなりに公共部分の改定はもっと頻度、回数が少し多くなりまして、その都度やはり国民の納得を得ていく、こういうことになるだろうと思います。
あわせて、現在の実際上の税部分というものを考えますと、地方税の方はたばこ消費税という形でやっておるわけでございます。これは、コストアップがあろうがなかろうが関係ないのでございまして、そのときの価格並びに消費数量で決まっているのでございます。国の方の財政収入になります実質上の消費税と観念いたしますか、その税相当部分というものは、コストの上がりによる分、それは消費税を含めての話でございますが、それらの分を全部かぶってしまう。そういう税源配分の仕方が果たして適当であるかどうかという問題もあわせ検討さるべき問題であろう。
実はこれは民営になろうが民営になるまいが、理論としては私は問題はあると思っているのでございますけれども、何しろ民営問題をすぐ目の前に控えているわけでございますので、議論を余り混乱させてはいかぬわけでございますので、いま静かにお待ちしておる、こういうところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/77
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078・池端清一
○池端委員 経営形態の問題はまた後で触れますからそのときに譲ることにいたしまして、消費税制度の導入の問題について私がデメリットを強調した、こういうふうに大臣言われたわけでありますが、これは私だけでなしに公社自身の資料にもいろいろ出ているわけであります。たとえば消費税制度の導入は、消費者、関係集団等国民生活にも幅広く影響するところから、その実現には相当の困難性が存在することも事実であるというようなことも公社自体がお認めになっている、そういう大変な内容を持った制度なわけであります。私はしたがって、こういう制度の導入ではなしに、現在の納付金制度を改善しなければならないということでは一致しておるわけでありますから、それを短絡的にこの制度の導入ということにしないで、むしろ税負担分を明確にする、税相当部分を明確にする、そしてその姿を国民の前にはっきり明らかにする、こういう方向での改善ということが今日重要ではなかろうか、こう思うわけであります。重ねてその点についてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/78
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079・村山達雄
○村山国務大臣 私が申し上げましたのは、現行の納付金制度とそれから消費税を導入したときの話を申し上げたわけでございます。現行の納付金制度に工夫を加えることによりましてそのデメリットが解消できるかどうか、この問題も十分考えていく必要はある。もう何が何でも消費税制度などと言っているわけではございません。その問題は、やはり広い視野で今後検討を重ねていく必要がある。かなりむずかしい問題だとは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/79
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080・池端清一
○池端委員 この消費税導入の問題は、私どもとしては反対でありますので、そういう立場から改めてこの議論は詰めてまいりたい、このように考えております。
次に、この特別納付金の今回の納付の問題についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、今度の法案によりますと、公社は、五十三年度限りの措置として、通常の納付金のほかに積立金のうち千五百六十九億円を特別納付金として納付しなければならない、こういうことになっておるわけであります。このことによって結果的には公社の借入金がふえることになるわけで、五十三年度末の借入金は、この千五百六十九億円も含めて六千六百二十億円を抱える、こういうことになるわけでありますが、利息の支払いその他によって専売公社の経営に大変な支障を来すことになるのじゃないかと思いますが、その点はいかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/80
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081・大槻章雄
○大槻政府委員 現在法案を御審議いただいておるわけでございますが、利益積立金を取り崩して特別納付金を納付するためには、借入金に依存せざるを得ないわけでございますが、その分だけ金利の負担が増加するおそれがあるではないかということでございますが、それは事実でございます。
しかしながら、今回の措置に伴う借り入れは、五十四年三月三十一日に資金運用部資金で手当てをすることとしておりますし、その後も、国庫余裕金があるときはその振りかえ使用を行って金利負担の増を極力抑えたいと考えておる次第でございます。また今後は、国の財政事情を勘案しながら、利益積立金の回復に資するためにできるだけ内部留保の充実も可能となるよう配意してまいりたいと考えておる次第でございます。したがいまして、今回の利益積立金の取り崩しによって、専売公社の経営に直ちに支障が生ずるとは考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/81
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082・池端清一
○池端委員 国庫余裕金等の使用によって措置をするので、公社の経営に何らの支障を来すものではない、こういう御答弁であったということを確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/82
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083・泉美之松
○泉説明員 お答え申し上げます。
今回の納付特例による千五百六十九億円を特別納付金として納めますと、これは先ほど監理官からお話がありましたように、預金部資金で賄っていくわけでありますが、国庫余裕金である程度振りかえられるといたしましても、お話がございましたように、五十四年三月末の借入金は六千億を上回るものでありますから、その全部を国庫余裕金で賄うことはとうていできません。したがって、預金部資金でございますと六分五厘でございますから、千五百六十九億円ということは年に百一億円余り、約百二億円近い金利負担を伴う問題でありまして、公社の経営に何ら支障がないというわけにはまいらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/83
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084・池端清一
○池端委員 どうも大蔵省と専売公社のいまの答弁は明らかに食い違っておりますので、これはどういうふうに理解したらよろしいのですか、監理官、どうぞもう一回。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/84
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085・大槻章雄
○大槻政府委員 私が申し上げたことと総裁が御説明なさったこととは、基本的には違ってないと私は思います。
この特別納付金は五十三年度末、すなわち五十四年三月三十一日に資金運用部資金を借りて納めるわけでございますが、五十三年度中には金利の負担は発生いたしません。しからば、五十四年度以降どうなるかということでございますが、これはできるだけ無利子の国庫余裕金を利用できる範囲内において借りていきたいということでございまして、それは全部が全部国庫余裕金ですべて泳げるかどうかという点については疑問がございますが、極力そういうことで利子負担の増がないようにまいりたいということでございまして、私どもとしては、このことによって直ちに大きな影響があるというふうには考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/85
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086・池端清一
○池端委員 いま監理官から答弁がありましたが、先ほどの総裁の答弁とやはり違うと私は思うのであります。その点明確に、これはもう公社に対しては迷惑をかけないのだ、そういうことを、大臣からはっきりした責任ある御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/86
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087・村山達雄
○村山国務大臣 この納付金は五十三年度末で納付するわけでございます。したがいまして、その金利負担の問題が出てくるのは、五十四年度で出てくるわけでございます。
監理官が答えたのは、恐らく五十三年度を中心に答えたと思うのでございます。総裁がお答えになったのは、五十四年度でございまして、五十四年度については、総裁がお答えになった問題があるわけでございますから、その問題は十分考えながら、やはりその資金繰りに困らないように今後の専売公社の益金の内部留保の充実をどのようにやっていくか、それが五十四年度にこの問題に関連して与えられた問題になるだろう、こういうことを考えて、いまからそういう問題があるということを頭に入れているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/87
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088・池端清一
○池端委員 そこで、今回の借入金の増、それから内部留保の減少ということによって私どもは最も危惧をするのは、このことを理由にするところのたばこの値上げ、定価改定、こういうものに結びついてくるのではないか、それに連動するのではないかということを私ども大変心配をするわけであります。
そこで、今回の措置がたばこの値上げ、定価改定に連動するものでないとはっきりここでお約束できるかどうか、その点について確認をいたした
いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/88
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089・村山達雄
○村山国務大臣 少なくとも今度の問題で値上げには直接関係はございません。
ただ問題は、専売納付金の納付率がどんどん下がっているわけでございます。五十年でございましたか、一遍値上げさせていただきまして、益金率が大体六〇ぐらいまでいったのでございます。これは公社の利益を含めまして。今度は特別納付金を入れないところで益金率は五五まで下がっております。それから、消費税並びに納付金を入れました納付率は五十一年五三・一から五三・六とほとんど変っておりません。これはたばこ消費税の関係が響いております。ところが、専売納付金の納付率になりますと、五十年の値上げの際に三三・五まで上がりましたのが二五・六でございます。ですから、これは財政収入としては大きな期待をしているところでございますけれども、この納付率がどんどん下がっているというところ、これを財政事情と勘案いたしましてどのようにしたらいいかはやはり問題点がある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/89
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090・池端清一
○池端委員 私がいまお尋ねをしている問題は、この納付率の低下云々という問題ではなくて、少なくともこの借入金の増によって経営が圧迫をされ、それによって定価改定というふうに、三段論法式に連動するものではないでしょうねということを確認のためにお尋ねをしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/90
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091・村山達雄
○村山国務大臣 もう一遍お答えいたします。
その点は、関係いたさせません。また、いたすつもりもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/91
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092・池端清一
○池端委員 公社、職員一丸となっての今日までの努力の結果、いわば企業努力の結果こういう積立金ができておるわけであります。いかにこの財政事情が厳しくとも、臨時異例の措置とはいえ、千五百六十九億円もの特別納付金を納付させるということは、職員の皆さん方の勤労意欲、生産意欲をもそぐ結果になりはしないか、こういうことを私は心配するわけであります。したがって、今後この特別納付金、貸し借りの勘定ではないとおっしゃっておりますけれども、やはり何らかの形で還元をするといいますか、言葉が適切ではありませんが、いわゆる回復措置を講ずる、この分については国が責任を持つ、そういうことをお考えになっていらっしゃるかいらっしゃらないか、その点について大臣のお考えを聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/92
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093・村山達雄
○村山国務大臣 これはいま考えておりますのは、最後は納付金とそれから公社の収益との関係におきまして十分考慮していかなければいけない問題であろう、今度の納付金の分は。ただ、その時期をいつにするかという問題になりますと、ただでさえどんどん納付率は減っているわけでございますので、実際問題としては、値上げの機会でもないとなかなかその調整がつかないのではなかろうか。値上げそのものは、今度の特別納付金とは関係いたさないということは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、この納付金を除いた納付率がどんどん下がっているという状況を考えますと、やはり財政事情によりましてある程度の値上げを考えざるを得ないときが来るのじゃないか。その場合の国庫納付金とそれから公社の益金の間の配分の関係で、納付金の方が少し遠慮して、そして公社の内部留保を厚くするという配意が必要ではないか、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/93
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094・池端清一
○池端委員 時期はいつか明確には言えないけれども、何らかの形で回復措置を講じたい、いわゆる内部留保を厚くするというような方法等で考えていきたい、こういうふうに確認をしたいと思うのであります。
次に、あえて念を押しておきたいのでありますが、この特別納付金はあくまでも昭和五十三年度限りのものである、臨時異例の措置であって、今後このような措置は二度ととらないということが確認できるかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/94
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095・村山達雄
○村山国務大臣 全く臨時異例の措置でございまして、同じような状況のもとでこのようなことをやるつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/95
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096・池端清一
○池端委員 それでは次に、専売公社の経営形態の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。
実は、本日の各紙にも載っておるわけでありますが、公共企業体等基本問題会議の経営形態懇談会専売公社部会は、昨日の会議で、たばこの民営化、民間移行、たばこ専売事業は数社に分割をして民営化を図っていく、塩の専売事業は当分の間現状を維持して、将来は民営化を検討する、こういう起草委員会のまとめが討議をされて、大筋で了承された、こういうようなニュースが載っておるわけであります。
このような民営化の方向、あるいは競争原理を導入するという意味からの企業分割の方向について、まず大蔵大臣にお尋ねをしたいのでありますが、これについて大蔵大臣はどのようなお考えをお持ちになっておるか、その所信をお伺いをしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/96
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097・村山達雄
○村山国務大臣 まだ最終的な答申が出ていない、そしてまた、その理由もまだ私、寡聞にして見ていないのでございますので、その結論並びに理由を見た上で篤と考えたいと思っておるところでございます。
ただ一言、これがどういうことになっておりますか、民営にした場合のプラス面は競争原理が働くということでございますが、一方において私たちが、少し旧聞に属しますが、規模の利益が非常に働いておったのでございますが、その点がどうなるであろうかという点をやはり考えていかざるを得ない。いまいろいろ心の中に浮かんでいることを率直に申し上げているわけでございますが、いずれにいたしましても、答申が出ましてから篤と検討いたしたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/97
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098・池端清一
○池端委員 答申を見てから今後篤と考えていきたい、こういうことでありますが、先ほどの御答弁の中で、言葉じりをとらえるわけではありませんけれども、大臣は、民営化が目前に控えている、こういう段階だという御答弁があったわけです。民営化が目前に控えているということは、もうそういうレールに乗って民営化がなされる、こういう前提ですね。そういう御答弁でありますと、大臣は民営化について賛成のお考えをお持ちなのか、こういうふうにも勘ぐりたくなるわけでありますが、この点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/98
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099・村山達雄
○村山国務大臣 もしそういうふうに答えておったら、これは誤りでございまして、民営化の問題について基本問題会議の結論が近く出されそうだと聞いております。こういう意味で申し上げたのでございまして、民営化の問題が近くそうなる、こういった意味ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/99
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100・池端清一
○池端委員 最終答申が出ていないからということで慎重な態度もわかりますけれども、しかし、専売公社の監督官庁としての大蔵大臣、大蔵省として、やはりもっと明確な態度を持っていいのではないか、こう思うのです。
そこで大臣、私はそれでは、答申の問題については触れませんけれども、一般論として、いま世上、公社の民営化ということがいろいろ言われております。企業分割が言われております。この一般論として言われている問題について、大臣としてはどういうふうにお考えになっておられるか、それをひとつお尋ねをしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/100
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101・村山達雄
○村山国務大臣 ですから、答申並びに理由をはっきり見ないとなかなか申し上げられないのでございますが、一般にわれわれも新聞で見、あるいは折に触れて監理官、公社あたりから聞いている話でございますと、主として競争原理の問題から民営論が言われているように思いますし、それから一方におきまして、そのときに規模の利益が一体どうなるのか。私は、規模の利益によりまして、税金を除いた部分、税抜きで非常に安く消費者にたばこを提供しておるという事実があるのじゃないか、その点を考えているわけでございまして、やはり物事にはすべてメリットとデメリットがあるわけでございますから、それらのものを総合判断した上で大蔵省としての意見をまとめたい、かように思っておると言っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/101
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102・池端清一
○池端委員 どうもいまの歯切れの悪い答弁、しかもお答えの中身からちらちら出てくるのは、やはり現在のたばこ事業に対する認識が大臣は非常に欠如しておる、こういうふうに私は言わざるを得ないと思うのですよ。率直に申し上げます。
そこで、この問題は、当事者であります専売公社の総裁にひとつお尋ねしたいと思うのでありますが、言うまでもなく、わが国のたばこ事業というのは、今日まで専売制度、公社制度によって運営されてまいりました。私は、その果たしてきた意義と役割りは非常に大きいと思うのであります。すなわち、財政収入の確保の面から考えてみましても、あるいはまた、販売費等のコスト増加を回避をした、こういう面、さらには、今日いろいろ健康上の問題が言われておりますが、そういう社会的要請に対する責任のある処理の問題、あるいは国内の葉たばこ生産における農政上の役割り、こういう問題から、私はその役割りは大きかったと思うのであります。
しかし、これを民営化するということになりますと、大変な問題が出てくるのではないか。今日、申し上げるまでもなく、国際たばこ資本によって世界的な市場支配が進行しておる。そういう段階で民営移管、企業分割ということになれば、国際競争にとうてい打ちかつことができないということは、もう明々白々の事実ではないか。また、販売コストの増加等によって、国民経済に与える損失もまた大きいと言わなければならないと思います。さらに、十二万戸の葉たばこ耕作者は、このことによって壊滅的な打撃を受ける。さらに、四万人の専売労働者、二十五万店の小売業者、一説には民営移管ということになれば百万店の小売業者が出るのじゃないかというようなことさえ言われておりますが、あるいはまた、数千人のたばこ関連産業職員、これらの方々に対してはかり知れない甚大な影響を与えると思いますし、また、地域経済に与える影響というものも無視できないと思うのであります。
そういうような観点から考えてみますると、民営化というのは全く机上の空論である、こういうふうに言わざるを得ないと思うのであります。私は、現行制度を基本的に維持する、もちろん改善を必要とする点もありますが、しかし基本的には現行制度を維持していく、こういう態度を貫いていくべきである、こう思いますが、総裁のこの問題に対する具体的な御意見をひとつお聞かせ願いたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/102
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103・泉美之松
○泉説明員 お答えいたします。
専売公社のたばこ事業を民営化するかどうかということは、政府並びに国会において御決定になることでございまして、専売公社としてどうこうすることのできない問題でございますが、しかし、現在専売権の行使を委託されておりまする専売公社の総裁として申し上げることをお許しいただきたいのでありますが、私どもは、昨年の十一月一日に公共企業体等基本問題会議に公社の意見の開陳を求められました。そのときに申し上げたのでありますが、公社といたしましては、基本的に現行専売制度、公社制度を維持しながら、時代に適応した所要の改善を図っていくことが適当であるというふうに申し上げたのでありまして、その理由につきましては、池端委員がおっしゃったような点につけ加えることはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/103
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104・池端清一
○池端委員 総裁からそういうお話もございましたので、大臣もその辺を十分踏まえられまして、今後この問題が大きな問題として出てまいりますので、ひとつ前向きの姿勢で対処をしていただきたいということを特に要請申し上げておきます。
最後になりましたが、価格の法定制度の緩和という問題を、これは公社も出しておるようであります。この点についてはどうも同意しかねる問題でありますが、いろいろな資料を見ますと、公社は、定価の改定については、適時適切に行い得るよう現行価格法定制度の緩和を図ることがぜひとも必要である、こういうことを言われているわけであります。
すでに御案内のように、わが国のたばこ喫煙者は三千四百万人と言われておりますね。嗜好品ではありますけれども、ある意味では生活必需品。きょうの毎日新聞によっても、総裁は一日六十本もたばこを吸われるヘビースモーカーだという記事も出ております。大臣も非常にたばこをお好きのようでありますね。そういうふうに考えてみますと、単に財政物資だ、これは酒税のところでもいろいろ出ましたけれども、財政物資だという観点で受けとめるのではなくて、やはりある意味では生活必需品なんだという立場から、この価格というものを考えていかなければならないと思うのであります。したがって、国民的な合意の上で改定がなされなければなりません。ですから、消費者の負担であるとか経済情勢その他税負担率などを総合的に考慮し適正な価格にしなければならない、それから、定価の改定に当たっては国民各層の意見を十分聞き入れる、そういうための価格等検討委員会といったような委員会を設けて、その基準等について十分意見の反映を願う、そしてあくまでも国会審議を経た上で決定すべきであると私どもは思うわけでありますが、この価格法定制度の緩和を打ち出した公社の真の意図、それから、いま私が申し上げましたことについての公社の考え方、そういうものがございましたらお答え願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/104
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105・泉美之松
○泉説明員 お答えいたします。
私どもが価格法定制度の緩和化と申し上げておりますのは、先ほどお話のありましたように、現行専売納付金制度を改善いたしまして、消費税相当分を明確にするという措置がとられるならば、これは一般の間接税と同じように税相当分が明確なのですから、それが明確にされた以上は、その価格について、現在のような製造たばこ定価法のように、一級、二級、三級と区別して、その最高価格を制限しておき、それを直すときには国会の御審議をいただかなければならないという形でなくても、製造たばこの定価はこういう原則によって決定する、その原則の中身は、コストにプラス小売人手数料プラス消費税相当分プラス専売公社の社内留保という形、これはたとえばでございますが、そういう形式で決める、その決めるについては、いまお話のありましたような製造たばこ価格審議会というようなものを設けて、その審議会で御決定になったものについて、大蔵大臣の御承認をいただいて、公社が告示して行うということであればいいのではないか、審議会が御決定になったものについて、さらに国会の御審議を煩わすのは必要ないのではないかと考えておるのでございます。
ただ、いまお話のございましたように、たばこの価格というものは、三千四百六十万人と考えられます愛煙家の方に大変大きな影響の及ぶ問題でございます。したがって、この法定制の緩和をどのようにするのがいいのかということにつきましては、なお十分考究しなければならない点があろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/105
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106・池端清一
○池端委員 先ほど来から出ております消費税制度の導入の問題といい、価格法定制度の緩和の問題といい、私は、それを公社が強調すればするほど、民営移管というものを誘発することになりかねない、こう思うのですよ。それだけを警告しておきます。そういうことでやるならば、何も公社制度でやらなくたっていいじゃないか、こういう議論が当然のこととして出てくるわけであります。
国会審議を煩わす必要はないのではないかと言っておりますけれども、その真意は、一々国会にかけてやるなんというこういうしちめんどうくさいことはやめてしまいたい、簡単に定価改定が行われるような仕組みにしたいというねらいがあるのではないか、私はこういうふうに思うわけであります。いやしくも法定制度の緩和というような安易な方法をとるべきではない、このように重ねて申し上げたいと思うのでありますが、総裁どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/106
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107・泉美之松
○泉説明員 お答えいたします。
お話しのように、たばこに対して消費税相当の税がかかっておることは確実なのでありますけれども、それをたばこ消費税という形にするのか。そうすると、おっしゃるようにいろいろな問題がございますので、それを考えると、いまの納付金率を法定化する、しかも、いまの覚書方式のように、総定価の五〇%といったような形でなしに、銘柄群別に、第一級のものについては何%といったように銘柄ごとに税率を異にしたような納付金率法をつくるというのも一つの考え方でございます。
私どもとしましては、外国のフランスとかオーストリア、イタリア等の例を見ますと、専売制度とたばこ消費税制度というのを両方設けておりまして、必ずしもたばこ消費税があるから専売制度は成り立たないというふうには考えておりませんけれども、ただ、昭和四十三年にたばこ消費税についての検討がされたときに、関係者の方々の御理解を得ることができませんで流れてしまったという経緯を考えますと、一概にたばこ消費税一本やりでいくのはいかがかという考えもございます。これらにつきまして、現在たばこ専売事業調査会におきまして御検討をお願いしておるところでございます。
また、価格法定制度の弾力化ということは、いま申し上げましたような納付金の改善と結びついておることでございまして、財政収入の安定を図るといっても、その定価改定がなかなか行われないということになりますと、せっかく納付金率を仮に決めたといたしましても、公社は赤字の中から納付しなければならないということになりましては、公社の経営が長持ちをいたしませんので、やはり公社が納付金を納めた後赤字にならないようにするには、定価改定を認めていただかないといけないと思うのであります。そういうふうにやるためにどういう仕組みがいいかということになろうかと思うのでありまして、そういう観点から、今後なお検討すべきものというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/107
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108・池端清一
○池端委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/108
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109・綿貫民輔
○綿貫委員長代理 貝沼次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/109
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110・貝沼次郎
○貝沼委員 昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案、これについて質問いたします。
〔綿貫委員長代理退席、保岡委員長代理着席〕
この要綱に従って私はやりたいと思いますが、専売納付金の納付のことで初めにお伺いしたいと思います。
そこで、ただいまもいろいろ議論があったようでありますが、私ちょっと中座しておりましたので、よく聞き取れなかったのでありますが、今回のこの特例ということですね、たとえば特例国債、特例納付金というふうに、特例という言葉が非常に政府はお好きなようでありますけれども、この特例というのはどういうことを意味するのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/110
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111・山口光秀
○山口(光)政府委員 通常のやり方でやれない場合、特別なやり方をお願いするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/111
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112・貝沼次郎
○貝沼委員 それでよろしいのですか。私はそうじゃないと思いますね。
もちろん、通常ではやれない。通常ではやれないものを何でもやる場合特例になるのかというと、そうではありませんね。したがってこの場合、特例という言葉を使ったのは、どうしてもそういうものを使わなければならない背景というものがあって、どうしても必要であるからこれが出てきていると思うのですね。したがって、ただ特例という言葉をつけたら何でも勝手な法案が出せるのかというと、そうではありませんで、やはりそこに対する説明というものがなければならぬと私は思うわけであります。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/112
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113・山口光秀
○山口(光)政府委員 おっしゃるとおりであろうかと思います。
特例公債につきましては、五十年以来お願いしておりますが、財政法四条の規定によりまして、公債は建設公債に限るというのが原則でありますのを、ただいまのような財政事情でございますので、まげてこういう特例公債を、建設公債でない公債の発行をお許しいただきたいということでお願いしているものでございますし、それから、専売公社の納付金につきましては、先ほど来議論が出ておりますが、納付金の計算の仕方というのはおのずからルールがあるわけでございますが、今回は、内部留保の一部を取り崩して納めていただきたい、これも、財政がこういう状況にございますので特別にお願いしたい、それをお許しいただきたいということでお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/113
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114・貝沼次郎
○貝沼委員 そうすると、この特例という言葉は、現在の経済情勢のもとにこういったことが出てきたのであって、今後こういう特例という名のもとにいろいろな法律が出てくるということはまずないというふうに考えてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/114
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115・山口光秀
○山口(光)政府委員 私どもといたしましては、現在のような財政状況から一日も早く脱却いたしたいということでございますので、特例措置をお願いしなくてもいい財政状況に早く立ち戻れることを希望しております。
しかし、たとえば特例公債という点になりますと、これは試算ではございますけれども、財政収支試算でお示ししてありますように、ことしだけお願いすれば済むかというと、そういう見通しではございません。もうしばらくお願いしなければいかぬかと思いますが、それはまたそのときお願いするということになろうかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/115
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116・貝沼次郎
○貝沼委員 そういたしますと、特例というのは少なくとも一年単位で考えるものである、その制度は何年にもわたって考えるということはない、少なくともその予算の年度の一年内において通用する言葉である、こういうふうでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/116
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117・山口光秀
○山口(光)政府委員 そうではないと思います。数年間の特例をお認めいただくということもあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/117
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118・貝沼次郎
○貝沼委員 それで今回、この専売公社の特別納付金でありますが、通常の専売納付金のほか、積立金のうち一千五百六十九億円に相当する金額を五十四年三月三十一日までに国庫に納付しなければならない、こうなっております。
これは専売公社にちょっとお尋ねしたいのでありますが、この積立金というのは具体的にどういうものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/118
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119・泉美之松
○泉説明員 御承知のように、専売公社の資産といたしましては、固定資産、無形資産及びたな卸し資産があるわけでございますが、葉たばこが最も多いわけでありますけれども、そのたな卸し資産のうち葉たばこは、購入した後二年間貯蔵しておかなければならないという特殊な性格を持っております。普通の商品でございますと、流動資産につきましては流動負債で賄えばいいわけでありますけれども、公社のように二年間も貯蔵しなければならないものにつきましては、できるだけ長期な資金でそれを賄っていくことが望ましい、そういう意味で、私どもといたしましては、固定資産、無形資産及びたな卸し資産の増加額のうち相当のものを内部留保で賄っていきたい。したがって、内部留保とそういう資産とが対応しておるわけでございます。それで、内部留保で足らないものにつきましては、借入金によってそれを賄っていくという形になっておるわけでございます。
いまの内部留保につきましては、そういう形で年々積み立てたものが約六千億程度あるわけでありまして、そのうち千五百六十九億を今回、国の財政が窮迫しておるために、それを特別納付金として納付してもらいたい、こういう御要求があって、それに応ずることにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/119
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120・貝沼次郎
○貝沼委員 主計局にお尋ねしますが、いまのお話のように、専売公社の資産というのは、日本専売公社法の三十二条でいろいろ決められております。それで、具体的ないまの説明によりますと、あるものは葉たばこであったり、またあるものは固定資産であったり、あるいは無形資産ですね、たとえば利用権とかこういったもので、これは実際のお金ではないわけですね。お金そのものはない。これを、この文章のとおりに、積立金のうち千五百六十九億円に相当する金額を納めなさいと、こういうふうに言われたら、これを売っ払っちゃって納めるのでしょうかね。それで、これは売ることもできないわけですね、専売公社というのは専売品でありますから、売ることもできない。それを中途半端な金額で納めろと言うわけでありますから、金額でないものを納めるとなると、どこかから借りて納めるということになるのですね。
こういう考え方は果たしていいのかどうか私は疑問があるわけでありますが、大蔵省としては金額を要求しておるわけですか、それとも売ってでも、資産を削ってでも納めろということをおっしゃっているわけですか。
〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/120
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121・山口光秀
○山口(光)政府委員 主計局からという御注文でございますから私、御説明申し上げますが、資産として固定資産もありますればたな卸し資産もある、その他の資産もあるということでございますが、それに見合って、それを支えているお金と申しますか、積立金という負債項目があるわけでございまして、それをもしも納付金というかっこうで納付しようといたしますと、自己資金を吐き出して他人からの借入金で置きかえるということが必要になってくるわけでありまして、今回の場合も結局そういう操作をすることになるわけでございます。でございますから、千五百六十九億円国に納付するということになりますと、その分だけ借入金をよけいしなければいけない。ですから、具体的に申しますれば、専売公社は資金運用部からその千五百六十九億円を借りてきて、それで政府に納付するということになるわけでございます。
あと経理の上では、負債項目でございます積立金がその分だけ減額される、それは帳簿の上の話でございますが、そういうかっこうで整理されることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/121
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122・貝沼次郎
○貝沼委員 それはわかるのです。わかりますが、現実の問題としてお金がないのです。要するに土地であるとか葉っぱであるとかそういうものはあるわけですけれども、それをたとえば別の法律で、特別納付金というような名前になるかどうか知りませんが、政府が納付させることがあり得るという意味の条文でもほかにあるなら、あるいはそれだけの用意をしておるかもしれません。ところが、積立金という名前にはなっておりますけれども、実際はそういう資産なんですね。したがってこれを、そんなことはそっちの方でやればいいことであって、こっちは金をよこせばいいのだという強硬な姿勢で政府が臨むというなら、またそれもそれまで。しかしそこには、いまお話がありましたように、どうしてもよそから金を借りてこなければできない事情があるわけですね。これはほかの開銀や輸銀とちょっと違う事情があると私は思うわけであります。この辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/122
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123・山口光秀
○山口(光)政府委員 おっしゃるように、若干違うような面もあるわけでございますけれども、開銀や輸銀はそれではそのお金はどうなっているかと申しますと、遊んでいるわけではないので、やはり貸し付けに回っているわけでございます。それではその貸し付けを回収して政府に納めたのか、この前第一次補正でお願いしましたようなケースを申し上げているわけでございますが、そうではなくて、その分は結局借入金がふえるかっこうになって、それで政府に納付金として納めるということになったわけでございますから、その私が申し上げております側面に限って申しますれば同じことではないか。要するに、資産の部に物が載っているかあるいは貸付金が載っているかという違いはございます。しかし、実際に納付金を納めます場合には、いずれも資産はそのままにしておいて借入金をして納めていただく、経理の帳簿の上では積立金の整理になるということではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/123
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124・貝沼次郎
○貝沼委員 同じだと言うわけですけれども、私はちょっと違うだろうと思うのですよ。大筋においては同じかもしれません。しかしながら、換金性という面から考えますと、たとえば準備金の場合はちゃんと回転させているでしょう。それは換金性はかなりあり得る問題ですね。ところが専売公社の方は、たとえばたばこの葉っぱをお金にかえようという場合、どこへ売ってきたらいいわけですか、ないわけでしょう。どこかの国へ売る以外はないわけですね。しかもその売買についてはちゃんと決められておるわけであります。そういう換金性という面から考えると、これはいささか違う点がある。
そうすると、その条件の違いによって、大蔵省としても何らかの手心は考えていいのではないか、こういう感じがするのでいま質問しておるわけです。が、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/124
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125・山口光秀
○山口(光)政府委員 おっしゃいますように、違いが全然ないとは申し上げてないわけでございまして、違いがあるわけでございます。五十二年度の第一次補正の際に開銀、輸銀等に、貸倒準備金の率の改定をお願いして特別の納付金を納めてもらったわけでございますけれども、その際に専売公社までお願いできなかったのは、まさにおっしゃるようなそういう点があったからだったと思うわけでございます。しかし、五十三年度予算編成に当たりまして、財政事情も非常に苦しかったものでございますから、まさに臨時異例の措置として専売公社に協力をお願いいたしまして、今回御提案申し上げているようなやり方で御協力をいただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/125
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126・貝沼次郎
○貝沼委員 そういうことから、専売公社の場合は同じように借りてくるにしても、たとえば単なる資金運用部からということだけでなしに、やはり利息がつかないような種類のものを相当割り当てるとか、そういった検討が必要ではないかと私は思いますが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/126
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127・山口光秀
○山口(光)政府委員 おっしゃる配慮が必要だと思います。こういう措置をお願いいたしましたにつきましては、公社の経営に支障を生じないように私どももおこたえしなければならないのは当然でございまして、従来からそうでございますが、年度を渡りますときには、資金運用部の借り入れで年度を渡るわけでございますが、年度の中ではできるだけ国庫余裕金を使うことによって、これは利子がかかりませんので、そういうことによって対処していきたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/127
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128・貝沼次郎
○貝沼委員 それで、三月三十一日までというふうになっておりまして、翌日は四月一日になるわけであります。これは一日だけで操作をするわけですね。要するに、三月三十一日までに国庫に納付しなければならないというのは、三月三十一日の一日だけであれば資金運用部から融通してもらっても利息がつかないとか、そういう考え方が別にあるのですか。三月三十一日というのは、どういう意味でこれを使っているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/128
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129・大槻章雄
○大槻政府委員 特別納付金は五十三年度末、すなわち五十四年三月三十一日に資金運用部から年度越しの短期運用ということで、これは公社サイドから言いますと長期の借入金になるわけでございますが、それを借りて国に納める。この五十三年度ということで見ますと、資金運用部の利息は、よく両入りとか片落ちとかという言葉を言うわけでありますが、借りたときではなくて返すときの日がカウントされるわけでございますので、細かい話になって恐縮でございますが、五十三年度としては利息がつかないということでございます。五十四年度にいつ、先ほどからお話の出ておりますように国庫余裕金でもって年度越しの資金運用部資金を返すかということは、そのときの国庫余裕金の事情によって決まってくるわけでございまして、いまここでどうこうという確たることを申し上げることはできないわけでございますが、先生のお話がございましたように、なるべく無利子のお金でということで、それが活用できるように努力してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/129
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130・貝沼次郎
○貝沼委員 先ほどの同僚委員の質問でもこの部分が出ておるようでありますが、そのときの答弁では、これは年度を越えた場合ですが、国庫余裕金で若干振りかえられるということのようであります。この若干ということ、いま努めて多くの利息のつかないいわゆる国庫余裕金というものを振り向けたいという意思であったと思いますが、大体これはどれぐらいを考えていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/130
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131・大槻章雄
○大槻政府委員 お答えいたします。先ほど申し上げましたように、五十四年三月三十一日に借りたものが、月をまたがりまして四月一日以降、五十四年度に入るわけでございまして、その段階において国庫余裕金の使用といいますか活用といいますか、それがどういう状態になるかということは、いまの段階では確たることは申し上げかねるわけでございますが、先ほど来先生からお話のございますように、そこはなるべく国庫余裕金の使用ができるように考えていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/131
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132・貝沼次郎
○貝沼委員 そのことは私の方からも強く要望しておきたいと思います。
それから、こういう特別納付金というものが唐突に私は出てきたと思うのですが、こういうのが出てくる土壌というものは法的にあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/132
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133・山口光秀
○山口(光)政府委員 御質問に的確にお答えできるかどうかわかりませんが、通常のやり方あるいは制度でございますとこういうことは考えられないわけでございますので、特例の措置として法律で御提案申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/133
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134・貝沼次郎
○貝沼委員 結局たとえばいまのように、専売公社に対して特別納付金を納めなさい、専売公社は現実のお金がありません、そこで今度は借りてそれを納める、こういうかっこうですね。それで、振り返って考えてみると、何のことはない、これは財政当局がどこかから借りてきたのと何ら変わりないのですね。ただ、手続上の問題はありますけれども、利息を納めるわけですから借金をしたことには変わりはない。こういうことを考えると、国債の総額というものを幾らかでも少なくしようという立場からやったとしか思えないのですね。ところが、金額にして一千五百億というような金額のためにこういうややこしいことをしてまで、大騒ぎをしてまでやらなければならないのか、これをやったことがどれほど意味があるのかという感じですね。それは、あらゆるものを全部かき集めて最大の努力をしているのだということはわかりますよ。だから、そのことはわかるけれども、そのわりに大したことではないのではないか、国債発行額から見ればもう五十歩百歩ではないか、どうしてことさらこういうことをしなければならないのか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/134
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135・山口光秀
○山口(光)政府委員 こういう財政状況でございますから、大量の国債に依存しなければならない。財政当局といたしましては、歳入歳出の両面にわたりましてあらゆる努力をしていかなければならないわけでございまして、国会でもいろいろ御議論がございました。公債発行に頼る前に政府関係機関の準備金、積立金等を洗い直してはどうかという御議論もありましたし、そういう点も踏まえまして専売公社に協力をお願いしたわけでございます。
確かに千五百億余りでございますから、国債依存度にいたしましてもそう大きな数字が動くわけでもございません。しかし私どもは、その国債依存度をドレッシングするためにそういうことをやったわけではございませんで、たとえば五月税収の取り込みという措置につきましても同じことでございまして、実質的にすでに公債依存度が三七%になっているんだという現実を率直に国民にもお話し申し上げているところでございます。
それから、若干蛇足になりますが、この措置は借入金とはやはり違うわけでございまして、返すことをはっきり約束しているわけではございません。一つは、今後におきまして公社の内部留保を手厚くすることに私どもも協力申し上げるという意味において、だんだんと復元の方向に向かっていくでありましょうけれども、いっこういうかっこうではっきり返すんだということを申し上げているわけではございませんので、その意味で、借入金とは言えないかと思いますし、それから利子もつかないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/135
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136・貝沼次郎
○貝沼委員 借入金と言っているわけじゃないのです。要するに専売公社から国庫に納付いたしますと、専売公社自体が借金をしなければならぬということなんですね。したがって、それ全体から見れば結局は借金じゃありませんかということを言っているわけであります。
それで、専売公社の経営というものを考えると、当然その分は圧迫を受けるわけでありますが、これについては、いま次長から、何らかの力をかしていきたいみたいな意味の答弁があったと思います。
そこで、専売公社にお尋ねいたしますが、これだけの特別納付金を納めた場合、専売公社の経営上受ける圧迫というものはどれぐらいのものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/136
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137・泉美之松
○泉説明員 お答えいたします。
今回特例納付金で千五百六十九億円をお納めするわけでありますが、これはいまのところ五十四年の三月三十一日に納めればいいということになっておりますから、五十三年度中は影響がございません。五十四年度になりますと、その借り入れを預金部資金からするわけでありますが、預金部資金からでございますと利子がつきます。先ほど監理官から申し上げましたように、それを国庫余裕金に振りかえていただくと利子がつかない。したがって、幾ら国庫余裕金に振りかえてもらえるか、また、年度中ずっと国庫余裕金に振りかえてもらえるのかどうか、そういったようないろいろな事情によって、その金利負担がどの程度になるかは明らかでないわけでありますが、仮に一年間全額預金部資金を借りますと、その金利が六分五厘である限りは、百一億円をちょっと上回った百二億円近い金利になります。国庫余裕金で賄われる期間だけその金利がかかりませんので、相なるべくはできるだけ国庫余裕金で賄っていただいて、その金利負担百一億円余りがかからないようになれば、公社の経営には影響がないということになってまいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/137
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138・貝沼次郎
○貝沼委員 専売公社の経営その他につきましては、大蔵大臣が監督権を持っておるわけであります。したがって、ただいまの総裁の答弁をお聞きになりまして、大蔵大臣はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/138
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139・村山達雄
○村山国務大臣 今度国の一般会計の財政事情からとは言いながら、特別の負担をお願いするわけでございますので、五十四年度におきます国庫余裕資金等について、できるだけ公社の方に振りかえ使用ができますように配慮いたすとともに、将来機会がありまして、納付金とそれから公社の内部留保の問題を同時に考えるときには、内部留保にできるだけ手厚く考えてまいりたい、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/139
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140・貝沼次郎
○貝沼委員 専売公社の総裁にお尋ねいたしますが、先ほど同僚議員の質問のときに、たばこ消費税的な考え方、それと納付金とのかかわり合いについて幾らかお話があったかに承ったのでありますが、たしか総裁はいろいろな書物でも考え方を披瀝なさっておるようにも私、思うのでありますが、現在総裁が考えておられる、今後こういうあり方がよろしいというような考えがありましたら、ここで御開陳願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/140
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141・泉美之松
○泉説明員 お答えいたします。
専売制度あるいは専売納付金制度といったような事柄は、政府、最終的には立法府において御決定になることは先ほども申し上げたとおりでございます。ただ、専売権を委任を受けまして専売事業を担当いたしております者として、いろいろどういうふうに考えておるかという御質問に対してお答えいたしますと、法律にもありますように、専売公社は専売事業の健全にして能率的な実施を目的として設立されておるわけでございまして、たばこ事業と塩事業の二つを営んでおりますけれども、たばこ事業におきましては、品質のよいたばこをできるだけ安い適正な価格で安定的に消費者に供給することを通じまして、国及び地方財政に寄与するということになっております。また、塩事業におきましては、塩の需給と価格の安定を通じて国民生活に資することによって、今日まで国民の負託にこたえる努力を続けてまいっておるわけでございます。
しかしながら今日、公社事業の大宗を占めておりますたばこ事業を取り巻く環境は、需要が低滞する、あるいは喫煙に対しまして健康問題の見地から社会的な規制が高まる、あるいは外国からは市場を開放すべきで、非関税障壁を撤廃せよ、こういったようないろいろな厳しい問題が起きてまいっておるのでありまして、私どもといたしましては、こうした状況の中におきまして、わが国のたばこ産業の維持発展を図り、財政収入の安定的確保を期するためには、公社として基本的に現行専売制度、公社制度を維持しながら、時代に適応した所要の改善を図ることが必要ではないかというふうに考えておるのであります。
その改善の点につきましては、先ほども申し上げましたように、現行の専売納付金制度におきましては、消費税相当の税金がかかっておることは確かなのでありますが、その分が明確になっておらない。また、納付金として一括されまして、企業利益分と税金相当分とが分かれておらない。しかも、地方消費税の方は損金として扱われますために、それを差し引いた後の純益から専売納付金を納付しますと、コストが上昇いたしますと納付金が減ってまいるということになって、財政収入としての安定性がない、こういったような問題点がございます。
そこで制度改善といたしましては、何とかして消費者の方に、たばこにかかっておる税金相当分は幾らですよということをはっきりさせることによって、定価改定の際に消費者の方が納得していただけるような方法を講ずる必要があるというふうに思っておるのでありまして、そのやり方を消費税という形でやるか、あるいは納付金率法定というやり方でやるか、これは二つのやり方がありまして、それぞれにメリット、デメリットがあるわけでございますが、それらの点につきまして今後なお検討していきたいと思っておるわけでありまして、先ほどお答えいたしましたように、総裁の諮問機関といたしましてたばこ事業調査会というのを設けまして、そこでその審議、検討をお願いしておるところでございます。
そういうふうにたばこの価格の中に含まれる税金相当分がはっきりいたしますと、いまのような製造たばこの定価法でなくて、もっと変わった形の製造たばこの定価法というものによって、たばこの価格決定について現在より弾力化を図ることができるのではないか。またそういうことが、いままでは利益の中から納めればよかったわけでありますけれども、今後利益がなくても納めなければならないという形の制度になっていくわけでありますから、そうなれば、利益がなくても税金かあるいは納付金か、いずれかの形で納めた場合に公社が赤字になっては困りますので、公社が赤字にならない程度に定価改定ができるような弾力的な措置がお願いできないものだろうかというふうに考えておるところでございます。
なお、これに関連いたしましては、たばこの生産費の六〇%は葉たばこが占めておるわけでありますが、その葉たばこが現在、国産葉たばこは国際価格からかなり割り高になっておる点がございまして、この点は耕作者の方の御協力を得まして、できるだけ労働時間を短くし、生産性を上げて、その割り高の点を解消していただくと同時に、最近品質が劣化してまいっておりまして、国際商品でありますから外国品に比べて著しく品質が劣化するということは、これを製造たばこにいたします公社として大変困りますので、それらの点につきましても耕作者の方の御理解を得まして、品質改善に努めていきたい、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/141
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142・貝沼次郎
○貝沼委員 たばこを吸う人が、私は吸いませんけれども、自分がいま吸っておるたばこの何%が税金の部分であり、何%が納付金に回っているというようなことが、全然わからずにおるというのは、やはりこれはうまくないですね。そういうようなことは当然直していかなければならないだろうと私は思います。
それから、耕作者の立場からよく言われることは、日本の専売公社というのはこれからもずっと続くのだろうか、続かないのだろうかということであります。いまもお話がありましたけれども、国内の葉たばこの値段、それから輸入葉たばこの値段というものを比べてみますと、国内の方が高いということでありますから、きょうの新聞記事などに出ておるような民営化というような話が出てまいりますと、どうしても動揺するわけであります。民営化をすれば安い葉たばこをどんどん買うようになるだろう、そうすれば国内の葉たばこ耕作というものは成り立たない、結局やめなければならないというようなことになってまいりますので、この民営化ということに対して非常に神経をとがらしておるわけでありますが、民営化には行かないのだ、そういうことは考えておるのかどうか。私は、民営化に行くべきではないといま考えておりますけれども、この辺に対して総裁の考え方がおありでしたら述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/142
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143・泉美之松
○泉説明員 繰り返し申し上げておりますように、専売制度を存続するかどうかということは、政府及び最終的には立法府で御決定になることでございますが、あえて私の意見として申し上げますと、これは昨年、公共企業体等基本問題会議におきまして申し上げましたように、公社といたしましては、現在の専売制度及び公社制度を基本的には存続しつつ、もちろんこの制度にも時代の動きに応じて改正をしていくべき点がいろいろございますので、そういった点につきましては改善していくべきでありましょうけれども、基本的には現行専売制度及び公社制度を存続していくべきものだというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/143
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144・貝沼次郎
○貝沼委員 それから、大蔵省にお尋ねいたしますが、聞くところによりますと、大蔵省は五十三年度の財源対策として公社に対して、五十三年度におけるたばこの値上げ、それから利益積立金の取り崩しという二項目を要請した、結果的には値上げの方は今年度はしないことになったというふうないきさつがあったようでありますが、これは事実でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/144
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145・大槻章雄
○大槻政府委員 お答えいたします。
たばこの値上げを五十三年度において行うかどうかということでいろいろ検討したことも事実でございます。それから、利益積立金の一部取り崩しということについては、先ほど来いろいろと御審議いただいているとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/145
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146・貝沼次郎
○貝沼委員 この値上げを要請したという理由は、そのときはどういうことがついておりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/146
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147・大槻章雄
○大槻政府委員 お答えいたします。
たばこは酒と並んで財政物資でございますが、納付金制度というものをとっております場合には、物価とか所得の変動に応じて負担率が低下していくという関係にあるわけでございますので、税制調査会の昨年十月の中期答申におきましても、随時見直しをしていくべきであるというような答申がなされておるわけでございます。それからまた現実に、先ほど来もいろいろ御論議がありますように、益金率も低下の傾向にあるわけでございますので、私どもとしては、税調の答申の線も踏まえながら、その見直しをやったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/147
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148・貝沼次郎
○貝沼委員 たばこの値上げをしなければならないような状況になっておったということですね。そして反面、特別納付金で積立金から金を取る、こういうことですね。私は、その底に流れておる考え方は、むしろ特別納付金などでもってこれを納付させるので、そのかわりたばこの値上げを押しつけたのではないかという感じがするわけでありますが、これは勘ぐり過ぎですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/148
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149・大槻章雄
○大槻政府委員 内部的には、先ほど来いろいろ御説明いたしましたように検討したわけでございますが、五十三年度につきましては、たばこの値上げは御案内のように実施しないということにしたわけでございます。しかしながら、五十三年度の苦しい財源事情に対処するために、ただいま法案を御審議いただいておりますように、利益積立金の一部取り崩しということで、政府関係機関の一員として専売公社にも協力をすることをお願いしたという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/149
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150・貝沼次郎
○貝沼委員 専売公社の方は、このたばこの値上げということについて、してもよろしいという考えがあるのですか、それともやらなくてもよろしいという考えがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/150
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151・泉美之松
○泉説明員 お答えいたします。
五十三年度に定価改定を行うかどうかという問題につきましては昨年末問題が起きたわけでありますが、私どもといたしましては、五十年の定価改定の際に、国会での現在の専売納付金制度について抜本的な検討を加えるべきだという附帯決議もございますし、それについて現在検討中であってまだ成案を得ていないので、その成案を得ないまま定価改定を国会にお諮りすることは適当ではないのではないか。それからまた、たばこ市場は五十年の定改後需要が停滞しておりますので、そういったときに値上げを行うということは一層需要を減退させることになりはしないか。そういった点を考えまして、五十三年度の定価改定は適当ではないというふうに申し上げたのであります。
しかし、五十年に定価改定を行いました後、コストがだんだん上がってまいりまして、益金率もまた納付金率もだんだん下がっていく傾向にございます。五十四年がどのようになりますか、いまから予測はできませんけれども、年々下がっていく傾向からいたしますと、余り遠くない時期において定価改定をして、国及び地方財政に対する寄与の額を増加させる必要があろうと思っておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/151
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152・貝沼次郎
○貝沼委員 大蔵大臣は、五十四年度はこのたばこの値上げというものを公社に要請をするお考えはあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/152
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153・村山達雄
○村山国務大臣 まだ来年度の予算をどうするかというところまで考えが及んでおりませんので、はっきりお願いをするとかしないとかということをまだ決めておりません。ただ、いま総裁からもお答えがありましたように、納付金の率がどんどん下がっているわけでございます。一方、財政需要は、収支試算でお示し申し上げたように、あれだけやりましてもなかなかむずかしいということでございますので、その辺の事情をにらみ合わせまして来年度の財政需要を具体的に確定し、いろいろなほかの手だても考えながら、最後に総裁にまたお願いするかどうか決めようと思って、現在のところはまだ白紙でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/153
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154・貝沼次郎
○貝沼委員 政府の財政の都合ばかりでたばこの値上げをするということは、私は賛成ではありません。やはりそこには、もっと財源が本当に緊迫してくるのであればほかの方法を相当考えなければならないのじゃないかということを申し上げておきたいと思います。
それから、先ほどちょっと聞き忘れたことがありますので主計局にお尋ねしておきたいと思いますが、この特別納付金というのは、今年度だけで来年度からは考えなくてよろしいわけですね。この点だけ確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/154
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155・山口光秀
○山口(光)政府委員 ただいま御提案申し上げておりますのは、本年度限りの措置でございます。
〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/155
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156・貝沼次郎
○貝沼委員 それはわかっているのです。五十三年度と書いてありますから、それはわかっておりますが、場合によっては来年もあり得るというニュアンスのあるものかどうか、この辺を聞いておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/156
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157・山口光秀
○山口(光)政府委員 このようなかっこうで同じようなことをお願いするということは、ただいまのところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/157
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158・貝沼次郎
○貝沼委員 それから、国債のことで二、三、もうほとんど議論は出たと思いますので、簡単にお伺いしておきたいと思います。
財政危機とよく言われます。ところが、財政危機というものは具体的にどういうことを言うのかという定義がありません。大蔵大臣、どういうふうに考えたらよろしいのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/158
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159・村山達雄
○村山国務大臣 一つは、現在の財政事情がきわめて悪化しているということでございます。
第二番目に、このままいまのような歳入歳出の状況を続けてまいりますと、将来公債費の負担増その他を通じまして、恐らく必要とする施策への支出の重点配分が不可能になってきて、財政が求められておる使命にこたえ得ないであろうということが予見されるのでございます。
第三番目に、もしこのままいきまして、将来景気が回復し、民間の資金需要が出たときに、四条国債の方はわりと弾力性があると私は思うのでございますが、特例公債については、すべて法律の裏づけがあるわけでございまして、急速に落とすということは事実上非常にむずかしいわけでございます。この両方の経常需要とそれから民間の資金需要を全部満たそうといたしますれば、その問題は、財政を起因とするところのインフレにつながる危険性はきわめて大である、大づかみに申しまして、こういう三つの危険性を持っておると思うのでございまして、そういう意味で、いま財政危機の状態にあると包括して申し上げているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/159
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160・貝沼次郎
○貝沼委員 それから大臣、もう一点でございますが、こういう特例国債を出さなければならない状態になったということは、さまざまな理由があると思いますが、特に大きな理由としてどういうものが考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/160
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161・村山達雄
○村山国務大臣 一般的に申しますれば、歳入面で申しますと、歳入のいわ租税弾性値がこの低成長下で失われてしまったということでございます。それから歳出の面で申しますと、やはり依然として引き続き需要が強いのでございまして、今日まであらゆる努力をいたしたのでございますけれども、やはり歳入歳出の乖離というものが大きく響いてきておる。実体的に申しますれば、日本の経済はまだ非常に減速経済下であり、しかも構造不況を持っておるということでございまして、これに対処する財政というものはまた別の道を決意していかなければならぬのではないかと、こう考えておるところでございます。
〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/161
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162・貝沼次郎
○貝沼委員 私は、いままでの予算の編成方針、こういうものにもやはり問題があるんじゃないかというふうに考えるわけであります。そこで、いままでの増分主義を中心にしてきたやり方、こういうものをこれからも大蔵省は日本の予算編成の方針として貫いていくのか、それとも、たとえば先般カーター大統領はアメリカでゼロベース予算というようなことも言っておるようでありますし、また、今年の二月四日総理大臣が、毎年度の予算を根っこから見直していくという考え方に賛成というふうに国会答弁をしておりますので、これは恐らくゼロベース予算を意味しているのではないか、似たようなものではないかという感じがするわけであります。こういうような答弁を見てまいりますと、日本の予算編成の方針というものはいままでと変わった方針をとるのではないかという感じを受けるわけであります。この点はどういうふうに考えたらよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/162
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163・山口光秀
○山口(光)政府委員 従来のわが国の予算の編成のやり方は増分主義ではないかということをおっしゃっておられるのじゃないかと思いますが、また、そういうことを言う学者あるいは評論家もかなりいるわけでございますが、私ども予算編成の実務に携わっている者からいたしますと、はなはだ意外な感じでございまして、従来から、その増分主義と申しますか、その分だけ検討の対象にするということはやっていないわけでございまして、従来でも、全体と申しますか、根本から検討をし直して必要なものを計上するというやり方でやってまいりました。特に五十三年度予算編成に当たりましては、このような財政状況でございますので、既定の経費につきましても、制度の問題も含めまして、歳入歳出両面にわたって根元から洗い直そうじゃないかということで、そういう方向で検討をしたつもりでございます。
それから、ゼロベース予算の問題でございますが、他山の石といたしまして、私どもこれにつきましても勉強していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/163
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164・貝沼次郎
○貝沼委員 それは検討は、全部を対象に検討しておると思います。ただ、予算編成期の報道などを見ますと、今年度予算は各省何%増とか、そういうふうなのがぼかっと出て、そしてでき上がったものもまた大体それに似たものができておるということになりますと、結果的に、やはり増分主義じゃないかなというふうに受けとめられてもいたし方ないのではないか。また、いままで予算が減るということは、これはもう大変なことでありまして、非常に珍しいケースだろうと思うのです。したがっていま次長から、とにかくその都度その都度根本的に考え直していくんだというような話だったと思いますが、私も、やはり単なる増分的な考え方でやるのではなしに、そのときの経済効果あるいは経済政策に従って、思い切った対策を講じてもいいのじゃないかと、こう思うわけであります。ただ、予算には連続性の問題とかいろいろな問題点がありますから、その点は考慮しつつも、政府としては、少し思い切った、本当に効率のいい予算、こういうものをつくるべきではないかというふうに考えるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/164
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165・村山達雄
○村山国務大臣 その点は貝沼委員と全く同じ所見でございます。従来も一生懸命やってきたのでございますが、こういう危機の際でございますから、やはり今後思いを新たにいたしまして、まず歳出を、前より減らすということは実際はないでしょうけれども、やはり重点的の配分をし、そしてまた、増加率を適正な水準にとめていくということは何より大事であろう。それと同時に、試算にもお示ししていますように、国民の理解を得ながら一般的な負担の増加を何とかして求めまして、御理解を得て健全財政の道を開いていきたい、かように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/165
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166・貝沼次郎
○貝沼委員 時間がなくなりましたので、まとめて申し上げます。
一つは、本会議でも議論になりましたが、国債発行額の歯どめの問題。赤字国債発行額何%というふうに、総理大臣と大蔵大臣の数字が違っておりましたけれども、そういう歯どめを単なる数字だけでなく、数字の話なんかこれは余り意味ありませんから、こういう内容を持った歯どめを考えておるという歯どめの問題を答弁いただきたいと思います。
それから第二点目は、中期財政計画、これは大蔵大臣の「財政審を中心として鋭意勉強いたしまして、できるだけ早い機会に御希望に沿いたいと思います。」こういう答弁が出ておるわけでありますが、その後検討は進んでおるのかどうか、いつごろこれを出せるとお考えなのか、その見通しですね、これを伺っておきたいと思います。
それからもう一点、第三点目は、一般消費税云々という報道が流れておりまして、もうすぐにでも取りかかるような姿勢が出ておるわけであります。これは恐らく財政収支試算のケースC、これをやることに政府は踏み切ったのかどうか、踏み切る意思決定をしたのか、この辺のところが私ははっきりわからないわけでありますけれども、これを踏み切る意思決定を政府はしたと判断してよろしいかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/166
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167・村山達雄
○村山国務大臣 公債の歯どめにつきましては、とりあえずわれわれがいま目標にしておりますのは、特例債の依存度でございます。経常経費に対する依存度でございますが、今年度は二四%でございます。少なくともこれをどんどん縮減していきたいということを第一の目標にしております。それから中期的には、できるだけ早い機会に特例債依存から脱却したい、これを第二番目に考えているわけでございまして、試算ではございますが、五十七年度で脱却することができれば一番結構だということでございます。
それから、第二番目の御質問の財政計画でございますが、これは財政審の基本問題小委員会で前から問題になっておるところでございまして、今回の国会におきまして各委員から強い要望ないし御注文のあったところでございますので、われわれもこれに真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
すでに検討を始めたかどうかということでございますが、まだ国会中でございまして、残念ながら去年からの継続はまだやってないのでございますが、国会が終了いたしますと直ちにこの問題の検討を煩わしたいと思うのでございます。
いつ出せるか、いまのところ確たる時期を申し上げる段階にないのを遺憾といたしておりますが、できるだけ急ぎまして、皆さま方が検討に値するようなものを早く出したいものだ、このように考えておるところでございます。
それから、一般消費税と財政収支試算の関係でございますが、財政収支試算は、これは中期的な一つの試算でございまして、一般消費税の問題は、直接にはケースCとすぐ整合性を持って考えるという性質のものではございません。しかし現実の問題としまして、何らかの負担増を求めるといたしますと、税制調査会の答申にもありましたように、やはり一般消費税という問題は避けて通れない問題であるから、早く、抽象論だけでなくて、調査会みずからひとつ具体的な試案をつくって、そして国民にお示しし、各方面の反響、御批判を賜りながら最終案を固めるべきである、こういう御答申をいただいておるわけでございますので、この問題は、いずれにいたしましても国会が終了いたしましたら、調査会を開かしていただきまして、そのような方向で今後検討を進め、できれば、できるだけ早い実施を期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/167
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168・貝沼次郎
○貝沼委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/168
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169・大村襄治
○大村委員長 午後四時三十分に再開することとし、この際休憩いたします。
午後一時四十七分休憩
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午後四時三十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/169
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170・大村襄治
○大村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
午前に引き続き質疑を続行いたします。塚田庄平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/170
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171・塚田庄平
○塚田(庄)委員 久しぶりで総理に見解を承りたいのですが、まず最初は、五十三年度の全体的な経済の見通しについてお伺いいたしたいと思います。
たしか京都の選挙だったと思いますが、私の記憶に間違いなければ四月十五日京都で記者会見をやりまして、総理は、五月三日にアメリカへ行って首脳会議をやるわけなんですが、これに臨む態度といいますか、こういうことを主張したいということで、大体三つの点で態度を表明した、これは新聞記事ですが、その一つは、七%の成長率は必ず達成するということです。第二は、経常収支の大幅黒字、貿易黒字ですね、これを絶対に縮小するということ。第三点は、これは重要なんですが、七%達成のためには補正予算も辞さない、と言っては悪いですが、補正予算も組む用意がある、この三つの点について、第三点は五月三日のあれとは関係ないかもしれませんけれども、そういう決意を表明されたと思います。これは最近の日本の経済の状況について、相当容易ならぬものがあるという総理の決意も込めたものと私どもは受けとっております。
そこでまず、最近の経済情勢全体についての総理の認識といいますか、考え方を承りたいと思います。特に、五十三年度の予算編成に当たっては、輸出入価格は大体一ドル二百四十五円を前提にして、これを基礎として計算をしております。ところが、現在のレートは二百二十円を割る、最近また二百二十円台に逆戻りしてきているようなかっこうですけれども、いずれにせよ、二百二十円内外を低迷しておるということで、学者あたりの計算では、円が一ドル十円高くなった場合に、大体〇・四%程度のマイナス成長になる、こういう説もあります。したがって、いまの二百四十五円を前提とした予算の編成ですから、いまの状態では大体二十五円レートが上がって二百二十円になっておる。二十五円高くなっていきますと、十円で〇・四%ですから、二十五円では大体一%のマイナスということで、もうすでにこの辺から七%成長というのは達成不可能の状態に来ておる。算術計算をやりますと、これは六%になるわけです。一%下がりますから。
こういう状態の中で私どもは、これから先行きを考えましても、七%の成長というのは、これは公約であるか、あるいは総理の決意であるか、政府の方針であるかは別にいたしまして、非常に困難ではないか、こういうふうに考えておるのですが、一体総理は、この機に至って、改めて率直に国民に対して実際をさらけ出して協力を求める、こういうような考えのもとに、ひとつ腹蔵のない見解をお述べ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/171
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172・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 いま日本の置かれておる経済情勢について率直に見解を述べよ、こういうことでありますが、私は、石油ショック後、世界的に混乱時代に入っている、こういうふうに思います。そういう中でわが日本の経済は、大体混乱からの脱出に成功し、緩やかではあるけれども、経済は成長過程にある、そのように見ております。
しかし、石油ショック後の正常化ができたかというと、まだ完全にそういう状態じゃない。どこに問題があるかと言いますと、企業の操業度がまだ正常な水準まで来てない、つまり、日本経済全体としてながめてみるときに、デフレギャップが存在する、こういうことであります。それと同時に、石油ショックを中軸といたしまして、世界の経済環境が非常に変わってきた。そこで、そういうことを背景に構造不況業種というものが出てきておる。でありまするから、経済全体として望ましい水準まで、つまり、まだ需要が供給力を満たすに足るまで至っておらない、そういう一般的な経済事情、むずかしい点があると同時に、構造不況業種というものがあって、これがまた経済の前進を妨げておる、安定を妨げておる、そういうことを考えておるわけです。
そこで、どういうふうに対策をとるかということになりますれば、これは需要を創造する、公共事業を中心といたしまして需要創造政策をとっておる。それから、これと並行いたしまして、構造不況業種対策をとる。この二本立ての対策でやっていこう、こういう考えであります。
ことしは、成長にいたしまして七%成長という目標を立てたわけです。これは、この目標を立てた後でドルが再び弱化する、そういう現象が起こってきております。そういう状況が起こってきたその結果、経済の成長にマイナス的な影響を及ぼしておる、このように見ておりまするけれども、しかし、大体この七%成長へ向かって五十三年度の経済は動いていくのではないか。現に相当明るい指標もかなり出つつある、こういうような状態であります。
私は、本年度の経済運営に当たりましては、二つのことをにらんでやっていきます。七%成長はその一つである。もう一つは、六十億ドル程度の経常収支黒、黒字を六十億程度に持っていく。この二つをにらんでやっていく、こういう考え方であります。この二つの指標、目標が達成できないというような状態が出てくる、そういう際におきましては、その際に応じまして臨機応変の対策を機動的にとっていく、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/172
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173・塚田庄平
○塚田(庄)委員 いま総理から二つの点について、日本の経済の現在的な病理について話がありました。
その一つとして、内需が十分じゃないんだ、需要がなかなか起こらない、こういうことなんですが、需要を考えるときに、総理のよく言う公共事業等を起こして波及的な需要を喚起していくということと、それから、国民一人一人の消費能力といいますか、消費力を高めていく、こういう二つの道があって、総理は、いや、結果的に見るとむしろ前者の方が波及効果が多いんだ、こういうことなのですが、国際的に見ると、たとえばアメリカあたりでも、今度の予算ではたしか二百五十億ドルくらいの減税をやって国民の消費力を増大させる、こういう方策をとっていますね。
ところが、日本ではどうかといいますと、たしか五十三年度の個人消費の伸び率では一一・九%を見込んで予算が組まれております。税収の見込みを立てるに当たっては大体一一%の伸び、こういうことで今度の予算が組まれておる。予算の原点がここにある、こう考えるときに、ことしの春闘を初めとして、残念ながら、あえて残念と言うのですが、政府が七%あるいは定昇を入れて七・二%くらいの予算を組んでおるにもかかわらず、三・八%、六千円ちょっとといったような、まあまだ妥結したわけではないですから明確ではございませんが、政府はそういう回答でこの事態を切り抜けようとしております。
こういうことでは、日本の経済はますます冷え切っていくというふうにわれわれは考えておるのですが、この点についてどういうお考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/173
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174・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 消費購買力のかなりの部分が給料所得者の所得から出てくる、こういう側面はありますが、それは、一人一人の賃金の問題もあります。その賃金の高さも。しかし、働く人の数の問題もあるわけですね。賃金は、まあ政府が支払うものもありまするけれども、それを別にいたしますれば、民間企業が払うわけです。企業の支払い能力というものにも限界があるわけです。ですから、一人の人に非常に高い賃金を払ってしまう、そういうことになれば、雇用の数においてこれははみ出る、こういう問題も出てくるわけですから、国全体としてこれをながめるときには、この消費購買力、これは、一人一人の賃金の高さで決まる問題ではありません。賃金の高さ掛ける働く人の数でしょう。そういう関係になるわけでありますから、おっしゃるように、賃金が低いから消費購買力がそれだけ低いのだという議論にはならないです。
私は、全体としての消費購買力、これをつけるには一体どうするか、こういうことになると、そういうふうに一人一人の賃金もあるけれども、働く人がよけいにおる、こういうことをよく考えていかなければならぬだろう、このように思うのです。それから、仮に支払い能力を超えて企業が賃金を払うというようなことになれば、企業の賃金以外の支出能力、それが制限されざるを得ない、そういうことになります。その一番大きな問題は設備投資でしょう。設備投資がふるわなければ、日本の企業、経済が上昇過程に転ずるというようなわけにはいかない。
そういうようなことを考えますと、どうもいまお話を承って、少し視野が狭いところからごらんになっているような感じだなというような感じがしてなりませんということをお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/174
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175・塚田庄平
○塚田(庄)委員 総理、賃金を高くせいと総理に言ったって、これは労使の関係ですからね。私の言わんとするところは、大体平均六千百五十円、三・八、これでは七%という成長率、これは現実に達成できないのじゃないか。このままの状態でいってだんだんと低下していく、あるいは七%どまりになったとしても、そういう状態が一定の期間続けば七%はとうてい達成できない、そのことを総理、やはり認めなければならぬのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/175
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176・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 賃金は一人一人の水準が低くとも、雇用の量が多くなれば、賃金掛ける雇用の量、これが国民経済全体としての給与の総額でございまするから、別にあなたのおっしゃるような傾向になってくる、こういう状態じゃない、こういうふうに思います。要するに、公共事業を大いにやる。そこで物財の需要も起こる、また雇用の需要も起こってくる、そういうことになれば雇用者のふところは豊かになる、そこで消費にそれが回ってくる、こういう循環の過程を経まして日本の経済は上昇カーブに転じていく、このように私は展望いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/176
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177・塚田庄平
○塚田(庄)委員 時間もありませんので、私どもは当然、この七%成長はいまの情勢においては達成できないというふうに考えておりますので、これはひとつ参考的に……。
それから、よく総理は本会議あたりの答弁で、為替レートの問題について、実は円が高いんじゃないのだ、これはドルが安いのだ、だから問題は、ドルをどうしてくれるかということにあるのだということを常に強調しております。
今度のドル安については、私ども昨年の秋以来の一連の円高の原因等を考えるときに、昨年の秋は、円が強いという傾向は確かにあったのじゃないか。最近になりまして、ことしに入ってからどうもドルが破格的に安くなってきておる。したがって、昨年の秋からの全体的な為替の傾向を見ていますと、総括的には円が高くてドルが安いのだ。そもそもドルに原因があるのだというふうには断定できない、波状的な傾向をたどっているのじゃないかというふうに私は考えるのですけれども、この円とドルとの関係について、総理は一体基本的に、いまだに一方的にドルが安過ぎるのだ、問題はドルにあるのだ、こういう考え方を持っておるかどうか、もっとマクロ的に見て、この点についてのひとつ見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/177
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178・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 私は、いまの国際通貨不安、為替の動揺の本体はどこにあるか、こういうことになりますと、これはドルの価値問題、これが中核にある、このように考えているのです。円、ドルだけをとってみますれば、それにさらに円が強い、こういう要因、これもまた手伝っておる、こういうことなのです。そういう認識です。
ですから、為替が国際的に、世界的に安定する、これは非常にいま大事なところだろうと私は思うのです。それがないと大変なことになりそうだという予感がしてならないのですが、これを一体どうするかということになりますと、着目すべきところは、まずドルの安定の問題だ。つまり、円だけに対しましてドルが下落しているわけじゃないのです。これはヨーロッパのおおむねの通貨に対しましてドルが下落しているという、そのことは何であるかと言えば、世界的にドルの価値が減価しておる、こういうことに寄るわけなんでありまして、そういう認識の上に立ちまして、とにかくドルにしっかりしてもらわなければならぬ。しかし同時に、国際通貨不安に補助的というか、第二義的に不安要因を投げかけておるところの円の立場、これも是正しなければならぬ、このような見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/178
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179・塚田庄平
○塚田(庄)委員 ドルについては、円だけじゃないのだ、マルクもフランもすべて同じような傾向にあるのだということですが、一ドル二マルクというのは、ある程度それなりに安定しておるように私には見受けられます。この円に対するように、非常に浮動するというような事態は、少なくとも一ドル二マルクという線で、安定と言ってはなんですが、そういう線ができておる。一方においては、これは密約があるというような風説もありますけれども、しかし、そういう事態を見て、私は率直に言いますけれども、宮澤構想だとかあるいはローザ構想だとか、そういう構想が、こういう安定した状態、固定した安定じゃないけれども、これに似通ったそういう状態を少なくとも三カ国で構成したらどうかという、そういった説が出てくる基本的な原因もここにあると思うのです。
そういう議論は、時間もありませんのでいつまでもしておられませんが、それでは総理は、とにかくドル安原因説をとるならば、今度の五月三日からの首脳会議で、アメリカに対してドル防衛の措置を要求する考えがあるかないか、あるいはもしあるとすれば、どのような防衛措置を首相は求めていくのか、この辺について率直にひとつお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/179
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180・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 首脳会談でどんな話を具体的にやっていくのだというところを、ここで申し上げるわけにはまいりません。
しかし私は、アメリカとしてはドルの防衛、これには真剣であるべきだ、こういうことを常々考えておる。これは世界の基軸通貨ですから、基軸通貨国としての責任をアメリカとしては果たすべきである。そのためにいろいろ検討さるべき問題、これはアメリカでも言っております石油の輸入の問題、それからアメリカ自体のインフレの問題、こういう問題を指摘しておりますが、その指摘は妥当である、私はこのような考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/180
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181・塚田庄平
○塚田(庄)委員 時間もだんだんなくなってきますので、進みたいと思います。
そこで、こういう情勢に対処する国内的な対策なんですが、私は、やはりいまの情勢の中で輸出規制というものをぜひやらなければならぬ、こう考えております。これは強権的にやるかどうかは別にしましても、政府は、いまのところ行政指導の中で、ある程度輸出については自粛といいますかセーブをしているという状態でございますが、何せ黒字六十億ドルという目標の中で、もうすでに百四十一億ドルという膨大な黒字を抱えておるわけです。その六十億ドルに抑える政府の基本的な目標は、いまの百四十一億ドルの状態を見ますと、これまたちょっと不可能ではないか、今年じゅうに六十億ドルでとめるというのは不可能ではないか。
そこで率直に言って、それでは、いま百四十一億ドルというばか値が出ている、そういうあれを抑える具体的な道としては、いま言っているような行政指導的な緩やかな輸出抑制では間に合わないのではないか、だめなんじゃないか。そこで私は、もっと強力な輸出抑制をしなければならぬ、こう考えておりますが、総理はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/181
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182・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 お話しのように、六十億ドルの黒字に五十三年度経常収支をおさめる、これはもうなかなか容易なことじゃありません。しかし、これは国際社会に対するわが国の責任ある立場といたしましてどうしてもやらなければならぬことである、このように考えております。
それをやるには一体どうするか、こういうことになりますと、まずこれは輸出の面は一体どうだ、こういうことです。これは円為替が高くなってきた、その関係でかなり輸出の頭を打たれる、これは一般的にそういうふうに言われると思うのです。ただ、それがどの程度の額になるか、これはちょっと見当つきませんけれども、かなり気勢をそがれるだろう、このように見ております。
それから、わが国の輸出の大宗であるところの幾つかの品目は一体どういう動きになるだろうか。一番大きな自動車輸出、これにつきましては、さしあたり前年、昨年の十二月までの一年間の実績を見まして、そうしてそれ以上に輸出台数がならないようにひとつ行政指導をいたしていきたい、このように考えておるわけであります。それから、もう一つ大きな家電ですね、テレビなんかの、こういうものになりますと、昨年アメリカとの間に数量規制について協定をいたしましたから、その協定の線によりますと、これは相当の減少になるわけであります。それから鉄、これも大きな輸出品目でありますが、これは御承知のように、アメリカでトリガープライス方式が取り入れられる、こういうことになりましたので、これも数量的に、また金額的にかなりの減少になるもの、そういうふうに考えられるわけであります。また、わが国の船舶輸出、これはわが国の輸出として大きなウエートを占める。この船舶はどうかというと、海外からの受注がもうほとんどない、こういうような状態になりましたので、この輸出も激減をする、こういうことが考えられるわけであります。輸出の方は、それでかなり様相が変わってくる。
それから、輸入の方は一体どうかといいますと、これはいままだ輸入のストックがありますので、景気が上昇のカーブをたどっておるにかかわらず、はかばかしい輸入増加という傾向はあらわれませんけれども、いずれストックが底をつきまして、そして国の経済の発展が輸入にあらわれてくるという時期はやってくるだろうと思いまするけれども、しかしそれには時間がかかる。そこで私は、緊急輸入というかそういう問題を手がけなければならぬだろう、こういうふうに考えておるわけであります。これは、原油を緊急的に備蓄輸入をするとか、あるいはウランのサービス料を前払いするとか、あるいは非鉄のいろいろな金属を備蓄輸入をいたしますとか、いろいろ考えておりますが、この輸入の面におきましてもそういう角度の努力をしなければならぬだろう、このように考えております。
何しろわが国は、国際社会でアメリカに次いで大きな責任を持つ国でありますので、とにかく経常黒字、よく減らしたなと、国際社会からも評価されるような減らし方をしていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/182
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183・塚田庄平
○塚田(庄)委員 時間がございませんから、もうこの問題については答弁は要りません。
私は、数量規制だけじゃだめだと思うのですね。この際思い切った抜本的な輸出規制をしなければならぬ。その際、課徴金などという問題等も法律的にはいろいろな問題がありますけれども、これはやりようによっては合法的にやれる問題なんで、アメリカから課徴金を課せられて取られるよりは、日本で課徴金を課して、そして日本の財政に幾らかでも寄与するというような事態になって、しかも輸出が規制されるということであるならば、これは一石二鳥と言っちゃなんですが、そういう事態も考えられますので、この際思い切って、課徴金の問題を含めてひとつ輸出規制というものを抜本的に考えていただきたい、これが第一点の質問であります。
もう時間がございませんが、第二点は財政対策で、総理が大蔵大臣の時代に残念ながら国債というのが始まったと記憶しております。昭和四十年十一月の臨時国会からだと思いますが、そのときには、財政制度審議会あたりでも相当強力な意見が出まして、これはもう絶対に野放図にならないように、また、減債制度については十分やるようにというようなあれが出ました。その次はたしか水田さんの大蔵大臣のときだと思いましたが、第二回の報告なんかもきつい意見が出ました。
そこで、一、二聞くのですが、総理は、この国債の消化についてはいろいろな問題、きのうからも議論しておりますが、国債消化の原則というのは一体どこにあるか。もっと言いますと、いま市中銀行に持たせて、そして一年たって買いオペをやる、こういうようなことで、個人消化というのは日本の場合は非常に低いです。恐らく国際的に見ましても、世界では一番個人消化は低いんじゃないか、こう思いますので、私は、国債の消化原則というのはやはり個人消化が原則だと思いますが、この点について、総理はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/183
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184・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 国債をたしか、戦後初めて財政に取り入れるということにいたしたのは、私が昭和四十年大蔵大臣をいたしたときであります。私は、国債というものは財政手段といたしまして非常に有力な手段である、こういうふうに考えておるわけであります。景気がいいときには国債は発行を縮減する、景気が悪いときには公債をもって需要を喚起する、こういうことで、景気調整上きわめて有力な手段である、このように考えております。ただ、それが節度を越えてやるということになると、これは大変な問題になります。国債政策を円滑に、有効に行使していくという上におきましては、財政の節度、この点に本当に真剣な配慮をするということが必要であろう、こういうふうに考えておるんです。
その節度という問題、これは発行額をどうするかという問題もありますが、いま御指摘の消化、この問題を十分考えなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、やはりいま御指摘のように、個人大衆が国債というものに親しみを持ち、これを消化するという傾向がだんだんと強くなるということは好ましい状態である、こういうふうに考えております。五十二年はたしか、全体の発行額の中で二割ちょっと超えた分が個人消化でございましたが、五十三年度はかなりそれが進むであろう、また進ませたい、そして国債の消化面におきましても節度というものを推し進めていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/184
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185・塚田庄平
○塚田(庄)委員 残念ながら、五十二年の統計が出ておりませんが、少なくとも五十一年まではずっと個人消化は低迷しておる。下がっておるときもあるし、上がっておるときもありますが、大体一一、二%を前後して歩いているということで、他の諸国と比較して、アメリカはたとえば三二%程度、それからイギリスは二七%、西ドイツマルクは大体二一%、フランスのごときは四二、三%までいっている、こういう状態に比較して非常に悪いんじゃないか、こう私は言っているわけなんです。
さて、公債というのは非常にそういう意味で便利なものといいますか、伸縮自在だ、こう言いますが、一たん国債を発行すると、ちょうど毒薬を飲んだようなもので、国債を償還するためにまた国債を発行するという、極端な例ですが、一たん発行するとこれはもうとめどもないということは、すでに四十四年からの数字がこれを示しておる。一般会計に占める発行国債の依存度を見ますと、四十四年から以降、一年ずつですが、五・九、四・二、これはちょっと下がっていますけれども、一二・四、一六・三、一二・〇、一一・三、二五・三、二九・四、三四・〇、そして三二%、こう累増しておるわけですね。だから、伸縮自在と言いますけれども、どこで一体引っ込んで、どこで一体出たかというと、そうではなくて、全体的な趨勢として全部ふえてきておる、こういうふうに考える。この点についての総理の意向と、実際これを一たん食べてしまった、この味を知り尽くした日本の財政の趨勢とは非常に相違があるんですが、この点についてどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/185
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186・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 四十年に戦後初めて公債発行ということをやった。そして四十一年、四十二年、相当の額の発行をしたんです。しかし、公債漸減政策というものをとりまして、そして四十三年、四十四年、四十五年と国債の発行率というものは非常に下がったはずです。そして四十五年のごときは、もう五%をかなり割り込む、このような状態になったわけです。無理をすれば、これはもうゼロにしてもいいぐらいな状態になったのです。私はそのとき、公債をゼロにしてはいかぬ、これは国家非常の事態がいつか起こるはずだ、そういう際に一挙に公債を発行するということになると、国民に非常な不安を与える、火種だけはひとつ残しておこうじゃないかと言って、公債火種論というので、公債は全減はしないという方針をとったわけです。(塚田(庄)委員「四十六年以降はどうですか」と呼ぶ)四十六年以降は、これが漸増してきた。大変残念なことをしたというふうに私は回顧しておりますが、とにかく努力をすれば四十年から四十五年の間に見られるような推移になり得るのですから、そこは財政の節度が非常に大事なのです。
四十六年以降は、他にいろいろ要因がありまして、国債依存度は少し上がるような情勢になりましたけれども、今日の状態は相当異例の事態でございまして、これを平時の財政運営の考え方をもって論ずるわけにはいくまいと私は思うのです。この異常な状態というものはまだしばらく続くと思いますけれども、しかし、長期的にはどうしても公債政策というものを今日のような異常な事態でないようにしなければならない、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/186
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187・塚田庄平
○塚田(庄)委員 第三番目には、中期財政計画についてお伺いしたいのですが、支出の方はいろいろ計画があります。私の調べたのでは大体十四項目ぐらいで、港湾とか空港とか道路とか、それぞれみんな五カ年計画を持って計画的に歳出を行っておるわけなのですが、歳入に関しては計画的なものはないわけですね、その場その場で決めていく。そうじゃなくて、やはり歳入についても、少なくとも中期くらいの計画がなければならないのじゃないか。そういう意味で、歳入についての中期計画の策定ということがいま急がれなければならぬと思いますが、総理はどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/187
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188・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 歳入のうち、大宗をなすものは何と申しましても税でございますが、税につきましては、中期税制答申というのがあることは御承知のとおりでございます。そういう中期的展望に立って税制はどうあるべきかということについては、この答申を参考といたしまして今後の処理に当たりたい、こういうふうに考えております。考えておりますが、中期答申に盛られました幾つかの新税あるいは既存の税の増減税というものにつきましてどういうふうに対処するかということは、これはそのときの経済情勢というものをよくながめまして、どういう行き方をするのが適当であるかということを判断しなければならぬのじゃないか、そのように考えておるわけなのです。
いかなる年にどういう税の改正をするかということをいまから予見いたしますと、いろいろ副作用もありますので、予見はしない方がよかろう。しかし将来、こういう財政状態になり、税はその負担の増高を求められておるという認識を国民は、持っていただきたい、こういうふうに考えますが、その状態のもとにおいていかなる税をいかなるタイミングにおいて現実化するかということは、その時点において判断をする、そのような考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/188
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189・塚田庄平
○塚田(庄)委員 時間がございませんので、あと一点だけお聞きしたいと思います。
歳出につきましても、いま言いましたとおり、公共事業、道路とか空港とか港とか、そういう面については十四ぐらい、五カ年計画第一次、第二次、第三次とそれぞれ長期の計画になっているものもあります。ただ、歳出面で福祉に関する計画、たとえば中央病院の整備に関する中期計画、福祉年金の充実についての計画、そういう福祉の面についての計画は残念ながらない、こういうことで、そういった面についてもやはり中期的な計画を立てると同時に、歳入についてもでき得る限り一つのめどを立てていくということでなければならない。たとえば去年の同じ公債の審議の中で、五十二年度においてはできるだけやらないようにする、そういうように努めるという附帯決議がついておるわけです。ところが、やらないようにする、減らすどころじゃないですね、ますますふえてきている。これは明らかに委員会における附帯決議あるいは本会議における附帯決議を全く無視したやり方なのです。こういうことであってはならぬと私は思うので、そういうことのないようなきっちりした計画で進まなければならぬと思います。
最後に、そういった問題等についての総理の見解を承って、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/189
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190・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 いま日本の経済は戦後最大のむずかしい時期に当面しておる、同時に、そういう背景の中で財政もまた本当に異例な運営をしなければならぬ、こういうような状態であります。その異例の運営を現実にしておるわけですが、その傷跡はかなり長期的に残っていくのだろうと思います。そういうことを認識しながら、事は短期的に解決できない、長期的な視野で対処しなければならぬ、このように考えますので、政府の方でもいろいろ勉強しておりますが、財政についてなるべく長期展望を持って、このむずかしい財政事情、これに誤りなきを期していかなければならぬと考えております。せっかく努力をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/190
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191・塚田庄平
○塚田(庄)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/191
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192・大村襄治
○大村委員長 村上茂利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/192
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193・村上茂利
○村上(茂)委員 ただいま塚田議員から、経済成長率七%が達成できるかどうかという観点から質問がございました。私は、別な角度から、円高に関連いたしまして、昨年の暮れ心配しておりましたよりも、現時点におきましては、年末に心配されておりましたような問題が逐次改善されまして、どうも先行きはだんだんと明るくなってきているのじゃないか、かような観点から御質問をしたいと思うのであります。
と申しますのは、円高が国民を非常に驚かした、あるいは経済界にショックを与えたのでございますけれども、その後の卸売物価指数あるいは消費者物価指数を見ますと、特に一、二月はぐうっと落ちついてまいりました。円高の間接的な影響というものはここにもあらわれておるのじゃなかろうか。円高の問題はドルの問題だとおっしゃいますけれども、結局、輸出をコントロールするとか、あるいは輸入を奨励するとか申しましても、アメリカは去年からかなりインフレーションが進行いたしておりまして、六%台と思っておったのが七%台を超えてしまった。たまりかねて四月十一日にカーター大統領はインフレ防止策を打ち出した。これは取るに足らぬものだ、大したものじゃない、かように申しておりますけれども、アメリカにおけるインフレーションの進行というものがどうしても買い気をそそって、日本あるいはヨーロッパから物を買うという傾向があることは否めないと思うのです。
カーター大統領はどういうふうに考えておるか知りませんが、少なくともインフレーションを抑えることがドル防衛のかなめだと考えておられるのじゃなかろうか。しかも、今度は中間選挙がありますから、やはりインフレ防止ということに相当力を注ぐのじゃなかろうか。そういう意味で、日本に対して七%経済成長を達成しろと言うのなら、アメリカさん、あなたの方もインフレーションの到達目標を示して少し抑えたらどうですか。そうなれば、わが国で輸出規制をしたりそんなことをせぬでも、おのずと輸出の速度というものは鈍化してまいります。かてて加えて、円高による影響もありまして、自然な経済法則の示すところに従いまして、輸出の伸びというのはとまってくる。私は、やはりドル防衛の一番基本は、アメリカのインフレーションを抑えることだ、かように思うわけでございます。
そういう意味で、先ほど塚田議員からもいろいろお話がございましたけれども、ようやくにして日本の円高も底入れ感がある程度出てきた。それは一方においてはアメリカのインフレーションの動きとも関連しておる。カーターがこれからどういう手を打つか、いろいろな問題と関連しておると思うのでございます。したがって、そういう長期的な展望に立ちまして、輸入を促進するとか輸出をコントロールするという問題も、そういう動きをよく観察なさって御処理願うことが適当じゃないかと思うわけでございます。その点について御意見を伺いたいのですけれども、事柄がデリケートでございますから、伺わないことにいたします。
ただ問題は、円高だ、大変だ大変だと言っておりましたが、よく足元を見てみたらそうでもないじゃないか。今後原材料あるいは燃料の輸入にいたしましても、三〇%程度ダウンするじゃないか、それはコストダウンにつながることでもあるわけであります。そうしてこれが、たまたま在庫率が高くて大変だ大変だと言っておったのですが、よく考えてみますと、ある程度の在庫を保有しながら急激な円高という現象があらわれてきた。在庫がある意味においては相対的な価値の増大にもなりましょう。ある面においては、従来企業経営が従来の円レートで計算しておったものが今度逆に低くなる、こういう関係も生じまして、よく考えてみたら、これはプラスの面もあるぞ、在庫もある程度あった方がよかったなということになるかもしれない。もし在庫が底入れして、がさっと新レートで入れかえた場合にどうなっただろうか、いろいろな問題もあると思うのでございます。
そういう意味で、この円高の問題が底入れ感が起きたと同時に、そういう円高の効用というものをじっくり見詰めた場合に、マイナスばかりじゃない、非常にプラスの面があるというような判断もできてきた。そこで年末に、七%達成できるかどうか、大変みんなの不安があった。それも、円高の影響によりまして、幾ら大型予算を編成したって、減殺されてしまうという心配をしたのでありますが、その後もう半年も経過いたしまして、そうでもない、こういうことになってまいりますと、年末に抱いたああいう不安というものが逐次好転する可能性も出てくるというふうに私は思うのでございます。
これは、実は前段では余り申し上げたくなかったのですが、たまたま塚田議員の質問がございましたものですから、円高について私の考えを述べた。悲観ばかりじゃないよ、大変明るいよ。そうして、円高ではありますが、非常にインフレーションが抑えられた。福田財政、福田総理の大成功であります。その上に立って大型予算を組み、それから公定歩合を大幅に引き下げまして、景気を回復しようとしているわけです。
ところが、円高の問題より私が心配なのは、公共襲業等を通じまして財政資金を散布しますけれども、片っ端から国債発行で吸い上げてしまう。そういうことで、これをマネーサプライの面から申しますと、適度の伸びを保持しませんと、どうもこれが、金はばらまいておるけれども、実際のマネーサプライの状況を見ますと、依然として去年、おととしのような低率だということじゃ困る。たとえば五十二年度につきましては、マネーサプライの伸び率を一一・一という平均数字を出しておる、これは日経新聞でございます。しかし、最近の傾向を見てまいりますと、四十九年のマネーサプライ、M2の伸び率が一一・五%、五十年度が一四・五%、五十一年度が一三・五%、こうなっておりますけれども、いまのマネーサプライの伸び率は低過ぎるのじゃなかろうか。一三%ないしは一四%ぐらいを志向して今後金融市場の操作ということを考える必要があるのじゃなかろうか。これはもう総理の方が御専門でございますけれども、今後の金融市場操作を見てまいりますときに、公債の発行というような大問題を抱えておりますから、それを操作しながら、いかにして適正なマネーサプライの伸び率を期待するか、ここが私はむしろ七%成長ができるかどうかのかなめじゃないか、こう思いますので、その点についてお答えを願いたいと存じます。簡単で結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/193
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194・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 いま景気政策と関連いたしまして、マネーサプライをもう少し拡大したらどうだろう、こういうようなお話ですが、成長経済下でございまするから、適度のマネーサプライが保障されるという状態、これはぜひともなければならぬわけですが、そのマネーサプライの増加率は那辺が適当であるかということは、やはりその時点時点の景気の動き、それから特に物価の動きと非常に関連のある問題なんです。物価が鎮静するというようなことになりますれば、マネーサプライの方はそう伸びぬでも、実質的に経済推進によけい役立っておる、こういうことになります。マネーサプライをよくしさえすればこれが景気に寄与する、そういうわけではない。むしろ経済の動きのしりがマネーサプライというところにきているという面の方が多いと思いますが、マネーサプライを故意に政策的に拡大するということになると、インフレを刺激するというようなことにもなりかねませんから、その辺は注意いたしますが、しかし、実際の経済活動はこういう状態にあるのに、それに対しましてマネーサプライが不足である、こういう事態は避けなければなりませんから、お話しの点は十分頭に置きまして、経済運営に当たっていきたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/194
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195・村上茂利
○村上(茂)委員 御説のように、この問題は経済現象の結果としてあらわれる姿ではございますけれども、御注意を願いたいということを申し上げた。注意をするという御答弁でございますので、これはここで打ち切りにいたします。
実は前回、総理に質問をいたしまして、わが国の異常に高い貯蓄率を前提にしまして、将来の総体の資金量の増大、それが、現在は国債を多額に発行しておりますから、貯蓄率が高いことは幸せなんで、総理もあの席では、貯蓄に励んでもらわなければならぬということを仰せになりました。現時点ではそうでございましょう。しかし、今後安定成長下におきまして、依然として高い貯蓄性向が保持されておるという場合に、過大な資金供給が行われないかという仮説を私は一つ立ててみたわけです。それには、貯蓄率が高いということは一面においては、税負担がちょっと軽過ぎるのじゃなかろうか、もっと貯蓄と税金の関連性というものを考えて措置する必要があるのじゃないかということを述べたわけでございますが、時間がなくて途中で打ち切りになりました。私の言わんとするところは、税と申しましても、たとえば社会保障税のようなものを新設いたしまして、老後が心配だから貯金するのだという心配にもこたえながら、ヨーロッパ諸国で採用いたしております社会保障税をもっと大胆に実施したらどうかということを御質問したかったのですが、時間切れだったのです。
そこで、社会保障税の問題でございますけれども、一つの例を申し上げたいと思います。
四十年から四十三年ごろにかけまして、当時労働省で保険料徴収一元化ということを検討いたしました。そして当時の失業保険と労災保険を労働保険という形で、保険料を取るときに徴収一元化をしたわけです。大変な議論がございましたけれども、徴収は一元化で労働保険料として取るが、失業保険勘定と労災保険勘定をおのおの設置いたしまして、従来どおりの給付あるいは福祉施設の運用を行う、こういうことにいたしましたので、別に役人の動揺もなかった。そのときに実は、厚生省でも一緒におやりになりませんか、場合によっては税務署で一本で取っていただけませんかという話を、内々事務的に連絡したことがございます。ところが、いろいろな事情がありまして、いや厚生省は加わらない、国税庁の方もとても人手が不足でできやしないというので、お断りになったのです。
しかし、将来の姿を考えましたときに、ヨーロッパ諸国ではやっておる制度なんであります。今後、給付の面におきましても、年金制度について基本年金を設けようとかいろいろな動きがございますけれども、その場合に、各種年金のアンバランスを調整しながら保険料徴収を考えました場合に、筋としては、ヨーロッパ諸国の社会保障税といったような形でまとめて取る。いずれにしても、現在保険料という形で個々に取られておりますけれども、社会保障税として取ることがどうであろうか。それを、フランスのように社会保障基金に入れるか、それは別です。これからの検討事項でございますけれども、社会保障税という形で相当な税負担をしていただくということは、目的がはっきりしているだけに、検討に値するのではなかろうかと私は思うわけであります。
私は、来年やれというような短兵急なことを申しておるのではございません。三年なら三年、五年なら五年をかけまして、消費税を取るとかそういうアプローチの仕方でなくて、さらに社会保障制度を充実するために、社会保障税を取るという目的を明らかにして、かなりの増税をお願いするということが可能ではなかろうかと思いますので、いまやりますとかどうとかいう御答弁は期待いたしておりませんが、検討に値するかどうか、その辺についての御感触を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/195
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196・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 将来わが国といたしますと、どうしても国民の税負担をふやさなければならぬ、こういうことになる、それは展望としてはそうならざるを得ない、私はこのように見ております。そういう際に、どういう形で税負担の増加を求めるかということが非常に重大な問題になってくるだろう、このように思います。
そういう際に、いま御指摘の社会保険税、社会保障税、こういうような名称、名目による負担の増加、これは私は、大変貴重な御示唆である、このように思うわけでありまして、まだいかなるタイミングでいかなる税をということは考えておりませんけれども、それを具体的に考えなければならぬ、そういう時期におきましては、御指摘の点は十分頭に置いて対処いたしてまいりたい、そのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/196
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197・村上茂利
○村上(茂)委員 最後に一問申し上げまして、質問を終わりにいたします。
総理は、日本の経済を安定成長という形でもっと落ちついた形に持っていきたいと申されております。ただ、企業経営の立場から申しますと、安定成長ではやっていけないような大きなネックがあるのじゃなかろうかと思うのであります。
それは、自己資本の比率が非常に少ないということを私は指摘をしてみたいのであります。この点については、昨日荒木議員も指摘されたのでございますが、その際大蔵大臣は、確かに日本の企業の自己資本率は低い、しかしこれは、たとえば直接企業が社債に頼ると申しましても、社債市場がまだ十分成熟していない、あるいは積立金制度の問題、あるいは減価償却の問題がありまして、こういう低い資本構成の形をとっておりますのはそれなりの理由があるという答弁でございました。
私は、その理由があることは理解できるのでありますが、今後、安定成長で六%、あるいは時によりましては五%という低い率で成長せざるを得ない、そのときに、日本の企業は対応できるかどうかということであります。
これが欧米諸国でございますと、四%や三%ぐらいでも結構やっているのでございますけれども、その秘密はどこにあるだろう。やはり自己資本が非常に多いことにある。これを裏返しますと、付加価値の費用配分を検討してみますと、日一本の場合は労務費用と金融費用の比率が非常に高いのであります。ここで数字を申し上げるのはなんでございますけれども、主要企業の付加価値額の構成を見ますると、昭和四十年代は人件費が大体四〇%でございましたが、だんだん増高してまいりました。そして五十一年度は五四・七、かなり人件費が高くなってまいりました。これはべースアップとそれから年功序列型賃金でございますからだんだん上がってきておるのでございますが、一方、金融費用の方も、昭和四十年代は大体
一七%前後だったのでございますが、最近はだんだん高くなりまして、五十年度が二二・四%、五十一年度は一九・七%、金融費用の比率もだんだん高くなってまいりました。そこで、俗にわかりやすく申しますと、ベースアップもしなければいかぬ、銀行に多額の元利も償還しなければいかぬという、人件費と金融費用の両方の重みがありますから、とても四%や五%の成長ではやっていけない。外国の場合は、金融費用の比率が低いから何とかしのげるという違いがあるのじゃなかろうかと私は理解をいたしている次第でございます。
そういう意味で、自己資本比率を高めるということは、付加価値額の中における金融費用を減らすことにもなりますので、ある程度低い経済成長の伸び率でも耐え得るという体質がそこに生まれてくるのじゃなかろうかと思うわけでございます。そういうことで、この点に関する御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/197
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198・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 企業の経営におきましては、私は、自己資本、これが中心か、あるいはせめて他人資本と半々ぐらいなところでいかぬと安定経営ができないのだろう、こういうふうには思います。まあできないと言うと語弊があるかもしらぬが、非常に安定経営というものはむずかしくなる、このように考えますが、いま日本の企業の実態は、そういうあるべき姿とはかけ離れた状態で他人資本に圧倒的な依存をしておる、こういうような状態です。
どうしてそういう状態が出てきたのかというと、これは高度成長時代の遺物だと思うのです。つまり、高度成長ということは設備投資をどんどんと急速に進める。本来ならそれを自己資本で賄う、こういう努力をすればいいのですが、それが努力いたしましても間に合わぬ、そして手っ取り早い借り入れ資本に依存をする、こういうようなことになり、それが積もり積もって今日のような状態になってしまった、こういうふうに考えられます。
この状態を直すのは容易なことじゃありませんけれども、経済は安定基調でなければなりませんが、企業もまた安定経営でなければならぬ。安定経営を目指すということになれば、やはり自己資本の充実ということは大変大事な課題になってくる、こういうふうに思いますので、これは企業の努力にまたなければなりませんけれども、政府の施策におきましてもそれに協力するようにいたしたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/198
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199・村上茂利
○村上(茂)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/199
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200・大村襄治
○大村委員長 坂口力君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/200
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201・坂口力
○坂口委員 総理、先ほどの大蔵委員会の理事会におきまして、三千億円の減税が与野党合意されたわけでございます。これは国民にとりまして、中身ははなはだ少のうございますけれども、喜んでもらえることの一つではないかと思うわけでございます。しかし、この受け取り方はいろいろでございましょうけれども、国民の多くは内金の一つだ、本番はこれから来るのではないかという大きな期待を持っている向きもあるのではないかと思います。総理が主張しておみえになります。%成長、これが達成できればそれはもう問題ないと思いますが、しかし、これがうまくいかない、円高の問題でございますとかいろいろあってこれがうまくいかないということになれば、減税の追加とまでは決して私、ここで総理から答弁をいただこうとは思いませんけれども、個人消費の拡大を含めた諸政策が必要になるのではないか、こう考えておりますが、まずその辺ひとつお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/201
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202・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 これからの経済の推移を見なければなりませんが、大体日本の経済は七%成長へ向かって着実に歩み始めておる、このように私は見ております。もしその歩みに狂いがくるというような事態がありますれば、その際は、そのときの経済情勢に応じまして臨機応変の措置をとってまいりたい、こういう基本的な考えでございます。その際に経済情勢から見てどういう手を打つか、こういうことは、そのときの経済情勢によって判断する問題でありまして、いまここで具体的にどういうことを考えているということをまだ申し上げる段階ではございませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/202
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203・坂口力
○坂口委員 七%成長、それから経常収支六十億ドルの黒字、この二つを総理は内外に約束になっているわけであります。これは七%成長だけとかあるいは経常収支六十億ドルの黒字だけというのであるならば、これは簡単だと言えばしかられるかもしれませんけれども、どちらかといえば達成されやすいと思うのですけれども、長い間の高度経済成長の中で培われてまいりました日本の経済環境あるいは産業構造、こういったものを考えましたときに、輸出中心の体質になっておりますから、七%成長ができるということになるとこの黒字幅はうんとふえる、あるいは黒字幅を抑えようとすると七%成長というものはまた抑えざるを得ない、どうもこの二つを実現するということは非常にむずかしいのではないか、こう私は考えて、総理どうされるおつもりかという、いささか素人ながら心配をするわけでございます。
この問題は、ここできょう私、時間が非常に短いものですから、詳しく聞く時間的余裕がございませんけれども、そういったところを踏まえて、その前にどうしても円高の問題というのをある程度解決しなければならない。総理は先日、これはドル安だ、こうおっしゃいましたけれども、いずれにいたしましても、レートの問題にある程度の決着をつけなければならないだろうと思います。
日銀総裁は、米国と西ドイツとの間のスワップ協定のことを取り上げまして、日本も米国との間にそういった協定を結ぶということが一つの有力な方法であるということを、あるときにある場所で講演をしておみえになるわけでございます。このことについて総理のお考えをひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/203
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204・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 わが国とアメリカとの間にはスワップ協定が現にあるのです。それを使うか使わないかということだけが問題でありまして、協定自体はアメリカとの間にはある。その上さらにアメリカとの間には、日本銀行の勘定においてニューヨーク連銀が為替相場の激変、それに対処いたしまして操作する、こういう制度もありますので、制度的にとやかくという問題はないと思うのです。
一番問題は何かというと、ドルの背景にあるアメリカ経済の国際収支、これが何といたしましても均衡というか、その方向へ向かって現実に事が動き出したことが確認されるということ、これが非常に大事だろうと思います。これに加えて、国際的という立場でなくて、アメリカと日本、円、ドルという関係におきましては、わが国の輸出黒字、経常黒字、これを是正するということが必要であります。これを直さないで小手先のことを幾らやりましても、なかなか問題の解決にはならないのじゃないか、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/204
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205・坂口力
○坂口委員 この経常収支に関係しまして、輸出あるいは輸入の問題と並んで大事なのは、海外援助の問題ではないかと思います。
海外援助につきましても、最近の新聞等を拝見いたしますと、政府もかなり積極的な姿勢を示しておみえになるわけでございますが、総理は昨年、特に東南アジアを訪問されました。私どもこの大蔵委員会のメンバーも、アジア開発銀行を見せていただくということで各党一名ずつ参加をさせていただきまして、総理が行かれた一週間ぐらいおくれて実は東南アジアをお邪魔させていただいたわけであります。総理と台湾の上あたりですれ違ったかと思います。
そこで、各東南アジアの国において総理がどういう発言をされて、どういう評価であったかということもいろいろお聞きをしたわけでございます。国内におきましてはいろいろ総理にお気に召さないことも申し上げておりますけれども、海外に行きまして、総理の評価というものが比較的高かったということに対しまして、やはりうれしく思ったわけでございます。その中で、いろいろ向こうからも聞いたわけでございますが、特にフィリピンでマルコス大統領が総理じきじきに話された話の中に、第二次大戦のときに戦った人たちの傷病者、その人たちが最近非常に年老いてきているので、この人たちのためにひとつ病院をつくってもらえないかという話が出たというようなお話も、実は人づてでございますけれどもお聞きをしたわけでございます。また、インドネシアに参りましたときにも、大使館の方から、医療援助についてのお申し出があったということを実は聞いたわけでございます。
そこで、東南アジアに対する医療援助というものについてお聞きをしたいわけでございますが、この問題をお聞きしようと思いましていろいろ調べておりますと、昭和四十一年ごろから東南アジア医療保健機構でございますか、こういう考え方がございまして、いままでに何回か会合を持たれ、その中で議論をされてきているわけでございますが、意見がうまくまとまらないということで今日を迎えている、こういう経緯もあることを実はお聞きをしたわけでございます。そこで、その昭和四十一年当時と現在を比べますと、諸外国の、特に東南アジア等の国情も大分違ってきていると思いますし、最近は医療という問題についても、非常に目を向けるという状態になってきているのではないかとも思うわけでございます。
このことについて総理にきょうお聞きをしたいわけでございますが、その前に、厚生省と外務省にお越しをいただいておりますので、厚生省から、現在日本の国に対してどういうことが望まれているのかということと、外務省から、東南アジア医療保健機構というものが立ち消えになった原因というものについて、簡単にで結構でございますので御説明をいただきたい。時間が余りありませんので、簡単に御説明をそれぞれいただいて、その後で総理のお考えをお聞きしたい、こういうふうに思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/205
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206・金田伸二
○金田説明員 どういうことがわが国に望まれているかということは、外務省さんの方からお答えするのが適当かと思いますが、私ども厚生省といたしましては、現在の東南アジア地域における保健ないしは医療の実情というものを考えますときに、これら地域に対して今後とも引き続き医療協力を充実していく必要性があるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/206
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207・武藤利昭
○武藤政府委員 東南アジア医療保健機構につきましては、ただいま先生の方から御指摘がございましたとおり、昭和四十一年ごろから日本側といたしましても検討いたしまして、内々東南アジア諸国とも打ち合わせた上、昭和四十八年当時、東南アジア開発閣僚会議というものが開かれたわけでございますが、その場におきまして、日本側で協定の案というようなものも作成いたしましてこれを提示して、こういうものをつくったらどうかという提案を行ったわけでございますが、残念ながら東南アジア開発閣僚会議の加盟国の中で、もちろん積極的な国もあったわけでございますが、消極的でございまして、そういう機構ができるとしても自分の国は入らないというようなところもございまして、その協定が実現を見るには至らなかったということでございます。その後、インドシナ半島の情勢の激変などございまして、東南アジア医療保健機構に関する場となっておりました開発閣僚会議というものが開かれないまま現在に至っているということで、この機構を再度提案する機会がないまま現在に至ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/207
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208・坂口力
○坂口委員 外務省からの御報告の中で、なぜ進まなかったかという理由が述べられなかったわけでございますが、これは私の予想でございますけれども、日本が何か東南アジアを利用するとか、あるいはまたそのデータ等を集めていくとかというような、そういうふうにとられた向きはなかったか、あるいはまた、物を売り込もうとしているのではないかというふうなことにとられたのではないかとも考えられるわけでありまして、この真意が理解をされなかったのではないかという気もするわけでございます。
総理がマニラでも、心と心の触れ合いということを言われまして、このことが向こうでは高く評価をされていたわけでございますが、物と金に偏り過ぎている、その前に心と心の触れ合いが大事だと総理も言っておみえになるわけでありますけれども、この東南アジア医療保健機構の場合にも、何かその前に心と心の触れ合いというものがつくられていなかった、そのことが真意がなかなか受け入れられずに、立ち消えのような状態になったのではないか。しかし、東南アジア諸国も最近はそういうふうな、総理が行かれましても向こうから要求が出るような状態にいろいろ変わってきておりますしいたしますので、この海外援助という大きな眼目がございます今日、もう一度この問題を検討されてはどうであろうかということを感じまして、きょうはひとつお聞きしたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/208
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209・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 私もこの機構のことは覚えておりますが、たしか四十一年、私が当時大蔵大臣をしておるころです。AMHOというふうに俗称されるわけですが、この構想に対しまして、これは大変結構じゃないか、大蔵大臣として協力をする、こういうことをこの機構を推進しておりました議員諸公に申し上げたことを覚えております。
ところが、これが何年たっても実を結ばない。どうもそういう即効性のない事業に参加するのはどうかというようなことでしり込みをする国がかなりあったということだったというふうに承知しておりますが、しかし、AMHOという機構は、長年検討されまして下地もかなりできておる、そういう企図でございますので、こういう問題が素直に推進されるということは、アジア諸国のためにいいことだろう、このように私は思いますので、いませっかくのお話がありましたので、気がつきましたが、また話をする機会がありました場合に取り上げてみる、そのようにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/209
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210・坂口力
○坂口委員 そのほか、財団法人でございますが、日本国際医療団というのがございまして、ここが中心になって最近は医療援助等はおやりになっているわけでございます。この方法も一つこれはあろうかと思います。WHO等の世界的な機構もございますし、これと東南アジア医療保健機構との絡みということもございましょうから、これはどこにその論点を求めていくかということをいろいろ見きわめてやらなければならない問題ではなかろうかと思いますが、総理からも積極的な御発言をいただいたことでもございますので、海外援助の特に東南アジア等の問題の一つの目玉として、今後お取り上げをいただければというふうに思うわけでございます。
米国あるいはEC等が、日本の輸入が輸出に比べて少ないということを言っているわけでございますが、この米国やECだけではなしに、やがてはこのことが東南アジア等にも波及してくるのではないかとも考えるわけでございます。特にこの数年の統計等を見ましたときに、やはりこの東南アジア諸国の中におきましても、輸出が非常に多くて日本の輸入が非常に少ない国もかなりあるわけでありまして、この米国やECの叫び声というのはやがて東南アジアにも及んでくるのではないかと考えるわけであります。そういったことを考えましたときに、こうした援助というものを積極的に行っておくおかないということは、将来の大きな布石になるのではないかと考えているわけでございます。そういう意味で御提案を申し上げたわけでございます。
大蔵大臣からもぜひ一言お伺いをしておきたいと思いますが、こういうふうな問題が出ましたときに、財政的な面からぜひ積極的な御援助をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/210
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211・村山達雄
○村山国務大臣 わが国の経済がこのように大きくなりまして、その問題は、単に輸出入とか経常収支の問題ではなくて、国際援助問題が非常に大きな問題になっておることはもう御承知のとおりでございます。しかし、最近までを見ておりますと、その金額におきましてもあるいはその贈与の要素にいたしましても、まだまだ不十分だということを痛感しているわけでございます。特に、去年総理が訪問されましたASEAN諸国は、わが国とは最も深い関係にあるわけでございますので、そういう意味でわが国は、これから世界に貢献する意味で、特に最も関係の深い東南アジア方面にこの援助の力を差し伸べていく、これは日本のためにもまた世界のためにも、また贈与を受ける東南アジア諸国に対しても最も重要なことであろうと考えて、財政措置においてもその点は十分考えてまいりたい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/211
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212・坂口力
○坂口委員 それでは、あと一つだけお聞きをして終わりにしたいと思いますが、総理は、五月早々渡米されることになっていると聞いておりますが、いろいろむずかしい日米間の懸案というものをそこでいろいろお話し合いになるだろうと思いますが、その中で、これだけはぜひ話し合いをしてこの際に解決をしてきたい、こういうふうに思っておみえになる問題、一つだけで結構でございますので、ひとつこの際お話しいただける範囲でお話をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/212
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213・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 日米間で、私と大統領との問で話し合い、決着をつけなければならぬという、そういう種類の問題はございませんです。
私が大統領と会うその主たる目的は、世界が特に経済を中心といたしまして非常にむずかしい状態である、そういう際に、日米が世界のために何をなすべきかということを中心として論議をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/213
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214・坂口力
○坂口委員 その世界のために何をなすべきかというお話し合いというのは、それはよくわかるわけでございますが、世界のために何をなすべきかというその中身、もう一歩突っ込んだところは、どういうところをお話しになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/214
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215・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 何と申しましても、アメリカは世界の第一の経済大国である、わが国は第二の工業力を持っておる国である、そういう立場で、日米がどういう行動をとるかということで世界の経済社会の動きに非常に大きな関係があるのです。そういう認識のもとに、日米が世界経済に対しましてどういうふうに取り組むか、これが私とカーター大統領との会談の主たる部分になる、このように御承知願います。
もっとも、それだけというわけにはまいりません。特に、私どもはアジアに住んでおるわけですから、アジアに対して政治情勢をどう見るかというようなことにつきましても、意見の交換をする。また、中東情勢、これもわが国に大変な関係がある。この中東情勢につきましても、意見の交換をするとか、いろいろありますけれども、主たるところは、日米相協力いたしまして世界のために何をなすべきかというところにある、このように御承知願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/215
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216・坂口力
○坂口委員 時間が参りましたので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/216
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217・大村襄治
○大村委員長 永末英一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/217
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218・永末英一
○永末委員 円相場が二百三十円でとまるか、二百二十円でとまるかという、台が変わろうというときには非常な話題になるわけですね。そして、いまや二百二十円を上下している状態で少し続いております。輸出業者は、一体円相場というのはどうなるんだろう、これがどんどん円高になってくると、まさしく輸出に非常に困難を来す、つまり相場というのは安定をしてほしいと考える。しかし、為替相場というのは、要するに円に焦点を当てれば、円の売り買いで決まる、結果的に出てくるものであります。政府は、この円相場の安定のために何をなし得るのだろうか、何かしてくれないのだろうかという期待が、輸出業者の中にはあるわけであります。
そこで、総理大臣としては、円相場というのはどの辺が適当だとお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/218
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219・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 これはお答えするのがむずかしい問題でございます。私が円相場はどの辺が適当だ、こういうことを申し上げるということになりますと、かなり投機等に連なるいろいろな影響が出ます。
そういうことで、そういう円の相場観、こういうものに触れたお答えはできませんが、とにかく為替相場は、やはり基本的には、通貨を出しておるその国に対する国際的な評価、そういうことが一番奥にあると思います。そういう上に立ちまして、そのときどきの通貨の需給、これがどういうふうに動くかということによって値段が決まってくる、このように見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/219
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220・永末英一
○永末委員 あなたの内閣の前の大蔵大臣は、大蔵大臣としては、相場に乱高下があるときには、この乱高下を食いとめるためにやはり措置を考えるという旨のことを大蔵委員会で表明したことがございます。いまのお話では、なるほど総理大臣が具体的な円の相場について数字を言うことは、これはまさしくいかがでございましょう。ただ、政府が為替の安定のためには何をなすのか、何をなしておるのか、またなさねばならないかということはある。何にもなさないで、それは為替市場で決まることであるから見ておるだけだという立場なのか、あるいは安定のために何かをなさねばならぬと考えており、これだけはやれると考えておられるのか、その辺をひとつお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/220
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221・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 為替相場は、わが国の円ばかりの問題じゃないのです。これは相手があっての相場でございます。それで、これは高くなる、低くなる、こういう問題がありますけれども、一番大事なことは安定することである、そういうふうに思います。為替相場が安定するためには経済が安定しなければならぬ。
ですから、政府が何ができるかと言いますれば、これは世界諸国に呼びかけて、そうして国際社会における経済の動きが正常化する、安定する、こういうことに努力する、これが一番大事なことであろう、そういうふうに思います。
それからもう一つは、そういう努力の中におきまして、自国、つまりわが国におきましては、わが国の経済が他国の経済の妨げになるような状態にないような努力をする、つまり世界経済の安定のため責任を尽くすということだろう、こういうふうに思います。
それから、そういう国際、国内の努力をしながら、しかもそれが理想的な状態になるまでの間は為替が浮動する、そういうときには、乱高下に対しまして政府は、乱高下是正のための介入出動をする、こういうふうなことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/221
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222・永末英一
○永末委員 乱高下と言いましても、そのときはわずかな変動に対して政府が手を打たれるわけでございますが、しばらくたつと、十円も二十円も変わるわけですね。そのときにはまさにわずかな乱高下である。
そういう現象を見て、それでは、少し長期間の国際経済という目から見ると、望ましくない、この際何ほどかの幅を持った固定相場に返ったらどうだ、あるいはそれに対していろいろな案を考えるということはございますが、あなたは、そういう物の考え方には賛成ですか、反対ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/222
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223・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 私は常々申し上げているのです。私は本来、固定為替を支持しておる。しかし、固定制と言っても、いまの状態で固定制というわけにはなかなかいかぬだろう。
そうすると、中間的にどうするかという問題がありますが、そこで一つのターゲットを設けて、その中でなるべく為替が動いていくような努力をいたしましょうというような考え方ですね、ローザ構想とかなんとか言われますが、そういうたぐいの考え方は中間的にとられてしかるべきだ、こういうふうに思いますが、これとても、いまのようにアメリカがあれだけの国際収支の赤字を出しておる、わが日本は大変な黒字を出しておる、そういうような状態でまたターゲットゾーンの設定、これはとてもむずかしいことじゃないか。仮に設定いたしましても、これは投機の対象となるのみであって、それを維持していくということがなかなかできないのじゃないか、そのように考えます。
それで、いま今日この時点といたしますと、やはり国際的協力によりまして、為替相場の背景にあるところの各国間の経済の均衡を実現する、こういうことが求められておるのではあるまいか、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/223
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224・永末英一
○永末委員 いま各国間の経済の均衡というお話がございました。われわれも外国の政治家等と会いますと、真っ先に問題になるのが貿易収支なんですね。あなたは昨年の首脳会議で、経常収支七億ドルの赤でいきたいと言われ、その後政府としては、秋に六十五億ドルの経常収支の黒になると言い、年末には百億ドルの経常収支の黒になる。経常収支というのは、資本収支の恒常的なわが国にとりましての赤が入っておるのです。ところが、他国の人と話します場合には、経常収支なんという議論はなかなかよくわからない。貿易収支の均衡を図れ、こういう話が出てくる。
しかし、わが国としましては、油を買いつけるというので、実に二百億ドル以上、二百二十億ドルあるいは二百五十億ドル、これは払い超になっているわけですね。そうしますと、よその国と貿易収支の均衡をとっておったのでは、これはわれわれが全体としては赤字にならざるを得ない。つまり、国際経済の均衡といっても、わが国の場合、われわれがそれぞれ貿易収支においては出超になり、他国に対しては決して経済的打撃を与えるものではないんだということをわかってもらわぬことには、全体としては困るのでございますが、あなたがいろいろと外国の首脳と話をされる場合、経常収支ということが話になりますが、貿易収支においてはわれわれの出超、すなわち相手方の入超というものを認めさせるということでなくてはならぬのではないかと思いますが、この点についてどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/224
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225・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 私は、二国間の収支の関係、これは経常収支論もありますし、また貿易収支論もありますし、さらに基礎収支論、つまり経常収支のほか長期資本の出し入れを考慮して基礎収支論というものもありますが、大体基礎収支論が一番正しい議論ではあるまいか、そういうふうに考えておるのです。ただしかし、国によって経常収支を重視する国もある、貿易収支を重視する国もある、いろいろ立場、立場でそういう国がありまするけれども、理論的に言いますと、やはり経常収支というのでは少し狭過ぎるので、基礎収支論、これで事を論ずべきであろうか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/225
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226・永末英一
○永末委員 国全体としては基礎収支でいいと思いますが、たとえばECとわが国との関係にいたしましても、ECを構成している一国、一国とわれわれとの関係、その貿易収支はわずかなものであっても、EC全体になると百億ドルのあっちの赤だ、こういう話になるわけですね。そうして話題として出てくる、あるいは交渉の中に出てくるのは、ECの産物をもっと買えということになる。そうすると、なるほど議論としては、あなたは基礎収支だと思っておられても、実際話が出てくるのは貿易収支の話だし、アメリカだって、具体的にアメリカへ行って物を買おうという使節団を出して緊急輸入を考えざるを得ないということになりますと、やはり話は、全体としては基礎収支の考え方でいいと言われても、相手方はまさに貿易収支だけのことを考えている。話してみますと、ある国に至っては、何か貿易収支のわが国の方の黒字を、金を取られたように思っている国もあるわけですね。そういう国もあるので、そうすると、やはり貿易収支について、われわれの黒字というものの意味合いをわからさなければ、なかなか国際間のぎくしゃくとしたことは直らないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/226
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227・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 これはむずかしい問題なんですが、貿易収支だけで事を論ずべきじゃない、これまではわりあいにわかるのです。つまり、経常収支で論ずべきである。たとえばフランスと日本の問は、貿易で言えばわが日本が出超だ。しかし、旅行者がずいぶんフランスへ行きます。その旅行者があそこで、ホテルへ泊まりましたり、あるいはキャバレーへ行きましたり、ネクタイを買いましたりというので、金を落とします。それも日仏間の収支の中に勘定すべきである、これが経常収支になるわけですね。これまでは話はわかるのです。わかるのですが、さあ今度は、資本収支、仮にわが国がフランスに対しまして投資をした、その投資も勘定すべきじゃないかという議論になりますと、わかっておるんだろうと思いまするけれども、なかなかわかったような顔をしない、これがいま現状でございます。しかし理論的には、二国間の国際収支の関係は基礎収支、つまり長期資本の出し入れまで入れて議論をすべきものである、私はこのように考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/227
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228・永末英一
○永末委員 福田先生の学説を全部がわかるように御努力願いませんと、われわれがつき合う外国の政治家の議論というのは、きわめてむき出しであって、貿易収支の話ばかりしまして、われわれがそれを反撃するのにはなはだ苦労をすることがございます。御努力を願います。
さて、二月にこの部屋で予算が審議されておるころあなたの考えられた本年度の経済の見通しと、いまと変わっておりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/228
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229・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 経済の背景といたしまして、一つ変わったことが出てきておりますのは、あの当時見ておった円の相場がより高くなってきた、こういう状態があります。しかし、それが影響して私どもが見ておった経済の発展の速度というものに変化が出てきておるかというと、私は、大勢といたしましてはそう大きな変化は出てきておらぬ。まあ七%成長、この路線を日本経済は歩み始めておる、このように考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/229
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230・永末英一
○永末委員 七%成長でいきたいというあなたの願望がございますから、そのめがねを通してごらんになっていると歩み始めておるということになりましょうが、われわれから見ておりますと、円高によるデフレの圧力というものはやはり景気回復に非常な影響を及ぼしておると見ておるわけでございます。
したがって、そういう角度から申しますと、なるほど五十三年度当初予算は成立し、いまや執行の段階でございますけれども、これに対して景気の回復が遅いということならば、やはりある種の手段を講ぜざるを得ない、そういう御決心はいつごろされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/230
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231・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 毎月、毎月経済の歩みの実績がどういうふうなことになっておるかということは、注目してまいりたいと思うのです。そこで、今年度、五十三年度といたしまして七%成長路線がむずかしくなってきたな、こういうような観測をしなければならぬような時期になりますれば、また追加手段をとらなければならぬだろう、このように考えています。ですから、毎月、毎月見ておりますが、七%成長路線が十二月になってもまだ微動だもしないというような状態であれば、それは年内は対策はとらぬというようなことになりますが、もっと早くどうも怪しいなというような状態がありますれば、これはまたその時点において対策をとるということになりますので、いつまでで締めくくりをするかということは、まだこの時点では申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/231
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232・永末英一
○永末委員 これはよく一年を四つに分けまして、第一・四半期、第二・四半期というのですが、第一・四半期の大体の数字がわかるころがまあ七月でございますか、それによって方針を決められるとして、あなたのお見込みどおりの七%成長から遠ざかりつつあるということになりますと、八月に臨時国会開会と、こうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/232
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233・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 毎月、毎月注意深く経済の動きを見ていきたい、このように考えておりますが、まあ一カ月、二カ月で経済の十二カ月の動きが見通しできるということはむずかしいだろう、私はこういうふうに思います。やはり少なくとも夏ごろまでの動きは頭に置きませんと、対策をどうするかという結論が出てこないのじゃないか、そのような感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/233
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234・永末英一
○永末委員 せっかく厳重に事態の推移をお見守りください。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/234
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235・大村襄治
○大村委員長 荒木宏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/235
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236・荒木宏
○荒木委員 短い時間でございますので早速お尋ねいたしますが、為替差益の還元の問題は、もう本院でもまた国会全体としてもしばしば論じられてきたところでございますが、いままでの審議、あるいは総理も直接答えられた答弁を振り返ってみますと、為替相場が著しく変動した。電力について言いますと、一年半前に二百九十九円、約三百円で算定したのが、五十二年平均で二百五十八円ということになる。約一千億円の為替差益が出ている。しかし、ちょうどこの二年で料金の改定期が来ておって、その後人件費等の値上がりがあるので、仮に還元をするとしても金額がそう大きな金額にならないし、それから手数がかかるし、公共料金は安定的に推移することが望ましい、こういったような趣旨で、五十三年度据え置きというふうな処置をとった、こういった答弁が従来されておったように思うのです。しかし、それにもかかわらず、直接還元をすべしという声は私は日に日に高くなっておると思うのです。せっかくの政府の方針あるいは総理の答弁にかかわらず、やはり消費者、国民のこうした直接還元をすべしという声がちまたにも高い、あるいは各種論評にも引き続いて行われておる。
総理は、これをどういうふうにごらんになりましょうか。すでに国会で論議されて久しいものがありますが、やはり目に見える形で消費者に還元せよ、電力料金またしかりでありますが、それについての御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/236
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237・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 円高差益の還元は私はかなり進んでおる、こういうふうに見ておるわけです。卸売物価がとにかく前年比マイナス一・八だ、こういうようなことになってきておる。また、消費者物価の上昇が、あれだけの賃金上昇という中でとにかく四・五%の上昇にとどまる、このようなことになっておる。それは私は円高差益が物価面に還元されてきておる、このように見るわけです。
そういう中で公共料金を一体どうするか、こういうことがいま荒木さんの御質問だと思いますが、これは政策料金であり、かつ政府が認可して決める料金でありますから、自然な動きということにはなっておりませんけれども、さあどういうふうに政策的にその料金を円高に対して対応していくかということを考えまするときに、いままだそう為替相場が安定したというような状態じゃないのです。まだどういう傾向になるか、あるいは高くなるのかあるいは今度は逆転して安くなるのか、そのような見当もまだなかなかむずかしい時期である。そういうときといたしますと、ことしは、たとえば電力にいたしてもガスにいたしましても、料金値上げの年になっておる。そういう年ではありまするけれども、その料金値上げをいたさないということにし、さらに、いま実際かなり円高になっておる、そういう状態を踏んまえまして、来年におきましてもそういう体制を続けるというようなことにいたす。そうすると、円高によって円高でないよりも資金の余裕が出る。その余裕は、いま景気対策という問題がありますが、電力会社に設備投資として相当のものを求めておるわけでありますが、そういう方面にこれを使うということにする、現実的な行き方ではあるまいか、そのように考えておるわけであります。為替が見通しといたしまして、まあこの辺で定着をしたという段階においてどういう態度をとるべきか、これはその際考えるべき問題ですが、当面といたしますると、ただいま申し上げたような考え方の方が現実的ではあるまいか、そのような見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/237
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238・荒木宏
○荒木委員 大体、従来御説明になっておったのと同趣旨の答弁だと思います。しかし、為替相場がまだ見きわめがついていないということなんですけれども、確かにこれは一種の料金ではありますけれども、全く政策的に政府がフリーハンドで決めておるものではないわけですね。もちろん市場価格ではありませんで、公共料金ですから認可をしておるわけですが、これは行政処分によってなされるわけですから、同時に法律的な制約があるわけですね。為替相場の見きわめがつこうとつくまいと、法律上の要件に該当した場合には、これはそれに従った処置がなされなければならない。料金算定の基礎が適当であるかどうか、適当でないとすればそれがどの程度のものであるか、私はここのところで、単に見きわめがついていないという道行き論だとか、あるいは政策的に見てどうであるかというようなフリ一ハンド論だけでは解決し切れない制約を政府自身が負っているのじゃないか。ここに一つは、国民が幾ら総理が説明されても納得できないという、つまりそれだけの差益が現実に発生しておる。それは、政府が適当と考えるやり方、つまり企業内に留保しておいて、そのまま据え置きでいきますよ、設備投資に振り向けますよといったような、政府の手のうちにある金だというふうには見切っていないということなんでしょうね。私はそう思うのです。つまり、三百円で算定されたものが今日二百二十円になる、それを割り込む。これはだれが見ても、いまの時点で三百円のままが行政処分の基礎として続いておることは適当であると言い切れる人はないと思うのです。適当でないからこそ、それを前提にしたほかのいろいろな金融措置だとか行政措置が行われ、この半年ずいぶんいろいろな経過があったわけです。ですから私は、途中だからといって、変動幅がどんなに大きくなっても、それについて見きわめがつくまでは措置をしないという考え方が果たして適当なのかどうか、それから、三百円が二百円近くになっても、それでもなおかつ前の段階を維持しておくことが適当だというふうに言い切れるのかどうか、これをひとつ総理のお考えを伺いたいと思います。これが一点です。
時間が余りございませんから関連いたしまして、すでに五十二年で平均二百五十八円で計算いたしまして約一千億円。今度五十三年度は果たしてどうであろうか、こう見ますと、まだ確かに今後の推移は予断を許さぬ点がありますけれども、しかし仮に二百円−二百二十円、これで推移したとしますと、この五十二年度の一千億円の上にさらに一千億円上積みされるわけですね。五十二年度一千億円、五十三年度二千億円、九電力合計です。こういう姿になって、それでもなおかつそのまま横ばいということで果たして国民が納得するであろうか、こうした点が二つ目でございます。
それから、もう一つついでに伺いますが、三つ目は、これによって大変な被害を受けておる企業が少なくありません。そこは電力の提供を受けておるわけですが、その被害を受けているところは、たとえば円高の被害、構造不況、いろいろな点があります。ですから、そういった不公正格差の是正といいますか、そういう点からも還元を求める声というものはますます強くなっていく、直接公共料金についても還元を求める声が以上のような点から強くなっていくと私は思うのです。
法律的な点あるいは利益の蓄積の点、さらに激は不公正格差是正の点、こういった諸点を交えて、もう一度総理の御意見を伺っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/238
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239・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 第一の点ですが、これはこの際二つ行き方があるだろうと思うのですね。つまり、電力会社について言いますれば、電力料金の引き下げをする、これは円高ということで根拠があるわけですから、引き下げすることは可能だと思いますが、しかしまた春闘という問題がある。それで、恐らく賃上げは電力会社もあるのではないかと思う。そういうコスト増加要因があるわけです。またそれを考えると料金の改定をしなければならぬということにもなる。ですから、その都度その都度上げたり下げたりする、そういうことが果たしていいのか。とにかく一つの行き方としては、そういう行き方をする行き方もあるのですよ。
しかし、もう一つの行き方は、円高になってきた、料金は下げんとすれば下げられるような状態になってきたけれども、これは据え置きにしておいて、そして賃上げもありましょう、またその他のコスト増加の要因もありましょう、そういうようなものがありますが、それが円高によるメリットを食い尽くす、それまでは料金改定をもたせる、こういうような考え方をとることも私はできる、こういうふうに思うのです。私はその方が現実的なのではないか、そのように思います。
それから、第三のお話、つまり、何か円高による差益を国庫が徴収して、そしてこれを円高により被害を受けた、そういう損失をこうむったという方面に配分したらどうだ、こういうお話ですが、これは統制経済をやっているわけではありませんから、なかなかそういう細かい所作は困難である、私はこのように考えます。
それから、第二の点につきましては、御発言の趣旨がよくのみ込めませんでしたので、また教えていただきたい、このように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/239
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240・荒木宏
○荒木委員 時間が参りましたので、またの機会にしたいと思いますが、固定レートとそれから安い石油を前提にしておった時代の公共料金認可のあり方と、いまのようなフロートになって相場がどんどん変動する、こういった時代の料金認可のあり方というのは、やはりおのずから運用の仕方も違った面が出てくるのではないかというふうに私は思います。それから、若干質問の前提を取り違えられた点もあったかと思いますけれども、その点は、時間が参りましたので、またの機会にしたいと思います。
しかし私は、やはりこうした課題が直接国民の生活に触れる形であらわれないと、幾ら総理がおっしゃっても、それに対する納得は得られないと思いますし、ひいては政治に対する信頼という問題もありますので、そのことを重ねて指摘をしておいて、質疑は後日に譲りたいと思います。
これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/240
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241・大村襄治
○大村委員長 永原稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/241
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242・永原稔
○永原委員 特例債の脱却につきまして、もう一度総理にお尋ねをしたいと思います。
経済的な背景については、先ほど村上委員が非常に楽観的なお話をなさいましたけれども、私はマクロの立場とミクロの相違を言いたいのです。国民サイドに立ってこの状況を見ますときに、やはり不況は深刻に国民の気持ちの上に覆いかぶさっている、こういう現実がございます。
そういう中で、どういう方法で脱却をしようとするのか。行政改革もおやりになりましたけれども、これも思うようなチープガバメントを構成するようなところまではいっておりません。また、経常部門を削減するというような努力もされてはおりますけれども、これとて特例債を縮小するほど大きく削減するようなことはできないと思います。限界があると思います。また、ことしは税収の伸びもありませんけれども、新税ができました。石油新税ですが、これも目的的に使われていきますので、一般会計に果たす役割りというのは大きくない。わずかに酒税が千七百億余り、これだけ増税されても焼け石に水というような状況で、しかも、十三カ月の税収をあえて計上する、そして形式的には、経常部門の公債費依存度を、五十二年度の第二次補正まで入れますと、比較した場合に低くなっているという姿には打ち出していらっしゃいます。しかし、来年度この税収は十二カ月計算になりますので、経常部門の公債費依存度はことしより下がるとは思えません。
そういう中で先ほど、公債が悪いとは言わないんだ、ただ節度が必要だ、このようにおっしゃいました。一体公債をゼロにするのが節度があるということなのか、どこら辺までが節度があるということなのか、どういうお考えでお述べになっていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/242
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243・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 公債政策をやっていく上においては、いろいろ考えなければならぬところがありますが、一番考えなければならぬ問題は、これが消化可能という額を発行するにとどめる、こういうことだろうと思います。消化可能額を超えまして発行するということになりますれば、これこそインフレということになってくるわけでありまして、公債政策上いろいろ配慮しなければならぬ問題がありますが、これは何が何でも守り抜かなければならぬ一線である、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/243
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244・永原稔
○永原委員 消化可能額とおっしゃいますけれども、現在も順調に消化は進んでおります。そういうので、必ずしも納得はできないわけですが、先ほども再建のために展望としては増税が必要だ、具体的にはまだ考えてない、こうおっしゃいました。何か奥歯に物のはさまったような言い方なんですけれども、このまま一両年、三年間、五十七年に発行をゼロにするということでずっと続けていくような姿勢を続けていけば、やはり累は将来に出てくるわけです。何か果断な考え方が必要ではないかと思います。増税ということをなかなか総理は口になさいませんけれども、展望としてはそういうことを考えている、しかし時期が悪いと御判断になっていらっしゃるのか。本当の公債依存を脱却するための方策とすれば、やはり指導者としてはっきりした意思を表示すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/244
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245・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 やはり財政の前途を展望しますと、歳出面で相当の規制を加える必要があるだろう、こういうふうに思います。もっとも公共事業費等は、景気がよくなりますれば、景気対策としてとる公共事業、これは縮減できますから、景気がよくなってきた、その際におきましても惰性に流れて公共事業債を依然として発行するというようなことがあってはならぬと思います。それから、経常的経費につきましても、これはいままでのような経常経費の伸びということでなくて、真にやむを得ざる費用にこれをとどめるという、それこそ節度、これを持って臨まなければならぬだろう、このように考えます。
それにいたしましても、財政が均衡に向かって進むということはとてもできない、どうしても国民負担の増加、こういうことを考えなければならぬだろう、そのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/245
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246・永原稔
○永原委員 公共事業は建設公債ですから、これは弾力的に考えられていいと思いますけれども、問題は特例債にあるわけで、いまお考えを承りましたので、次に進みます。
実は国民サイドで物を見てまいりますと、福祉年金にしてもあるいは遺族年金にしても、そういう福祉関係の金が、実際の財源は相当程度赤字公債によって出されているのだというようなことは国民にはわからない、とにかく政府からいただいておるのだという気持ちでもらっておると思います。国家財政の苦しみというようなものが本当に国民には理解できていない。何か総理が国民に訴えるところがないからではないか、こう思うのです。
行政需要というのは拡大の一途をたどってまいります。いまのままだったらば、不況というのは相当長期にわたるだろうと私は考えますけれども、そういう中で、あえて過日成田事件に関連いたしまして、総理はただ声明文を出して事足れりとするのではなくて、本当に真情を吐露して国民へ語りかけるようにお言葉が欲しいということを申しました。私が野党ですし、一番最後の質問でしたので、比較的そっけない返事を総理はなさいましたけれども、国や国民を思う気持ちにおいては私どもは変わりないと思うのです。
そういう中で、国民の指導者として、総理大臣、やはり自分の気持ちを、真情を国民に訴えるというようなチャンスが必要ではないか。特に、政府は広報時間も持っていらっしゃる。そういう中で、いまお話の出ています円高の問題、こういう問題とか、あるいは不況の問題、漁業交渉、日中問題、さらに先ほど総理はアジアの問題とか中東の問題、こういうようにおっしゃいました。こういうものについて、かみしもをつけない総理の本当の気持を訴えるということが、国民の政治に対する信頼感をもたらすゆえんになると思うのです。そういうようなことについて、特に私は総理の姿勢を今後直していただくようにお願いしたい。一体これを受けてお立ちいただけるかどうか。本当に国民は、一国の指導者の動向というのに非常に大きな関心を持っておるわけです。こういう経済状況の中で、総理がいろいろおっしゃいますけれども、それは国民に語りかける言葉ではなくて、一国の責任者としてこういう国会においてお話になる話なものですから、そのままストレートで国民には伝わりません。本当に真情を吐露したようなお気持を伝える必要があると思いますけれども、そういうことについてのお気持ちを伺いたいと思
います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/246
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247・福田赳夫
○福田内閣総理大臣 私の施政の気持を国民になるべく素直に理解してもらうというために、いろいろ工夫をいたしておるのです。大変貴重な御助言だと思いますが、そのような気持ちでこの上とも努力をしてまいりたい、このように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/247
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248・永原稔
○永原委員 時間が参りましたので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/248
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249・大村襄治
○大村委員長 これにて本案に対する質疑は終了
いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/249
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250・大村襄治
○大村委員長 本案に対し、自由民主党、民社党及び新自由クラブを代表して、綿貫民輔君外二名より修正案が提出されております。
この際、提出者より趣旨の説明を求めます。綿貫民輔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/250
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251・綿貫民輔
○綿貫委員 ただいま議題となりました昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
御承知のとおり、この法律の施行期日は、原案では「昭和五十三年四月一日」と定められておりますが、申し上げるまでもなく、すでにその期日を経過いたしておりますので、本修正案は、施行期日を「公布の日」に改めることとしようとするものであります。
何とぞ御賛成下さいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/251
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252・大村襄治
○大村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/252
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253・大村襄治
○大村委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付します。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。保岡興治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/253
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254・保岡興治
○保岡委員 私は、自由民主党を代表し、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案並びに同法律案に対する修正案に賛成の意見を述べるものであります。
わが国経済は、緩やかな拡大基調を続けておりますが、総体としての景気回復の足取りはなお力強さを欠いており、雇用情勢も依然厳しいものとなっています。他方、経常収支は大幅な黒字基調を続けており、円相場の急騰によるデフレ効果も懸念される状況となっております。
このようなわが国経済を取り巻く厳しい内外情勢に対処し、景気の速やかな回復を図るため、政府におかれては、すでに成立を見た昭和五十三年度予算において、公共事業等の積極的な拡充を図る等思い切った財政運営を行うこととされており、過日、公共事業の上期契約率の目標をおおむね七三%程度と定め、その円滑な施行に万全を期せられているところであります。
私は、このような財政面における積極果敢な措置が、公定歩合を初めとする金利水準全般の引き下げ等金融面の措置と相まって、着実な景気の回復、雇用の拡大を確保し、経済の先行きに対する国民の不安感を払拭することと確信するものであります。
ところで、昭和五十三年度におきましては、歳入面では、酒税及び有価証券取引税の増収を図るとともに、新たに石油税を創設する等の措置が講ぜられ、さらに、財源の確保を図るとともに地方財政対策等にも資するため、昭和五十四年五月中に収納される税収について、年度所属区分を変更し、これを昭和五十三年度所属の歳入として受け入れることとされておりますが、なお十分な租税収入を確保できない状況にあり、他方、歳出面では、投資的経費と経常的経費に分けて検討し、投資的経費については、景気の回復を早めるため積極的に規模の拡大を図ることとする反面、経常的経費については、財政節度の維持に努める見地から、極力その規模を抑制することとされておりますが、特に緊要な施策については、社会経済情勢に相応して、重点的にその充実を図ることとされております。
このような歳入歳出両面の状況にかんがみ、政府におかれては、昭和五十三年度においても、引き続き特例公債の発行に依存せざるを得ず、また、日本専売公社から通常の専売納付金のほかに特別の納付金を受け入れる必要があるとしておりますが、私は、これに基本的に賛成の意を表明するものであります。
もとより、このような措置は、あくまで特例的な措置であって、特例公債に依存する財政からできるだけ速やかに脱却することが財政運営の要諦であることは申すまでもありません。そのため、立法府も行政府も一体となって努力をしなければならないことを、この際、私は改めて強調したいと思います。政府におかれては、今後従来以上に財政収支の改善に全力を尽くされるよう強く要請するものであります。
本法律案におきましては、第一に、特例公債の発行が、昭和五十三年度の租税収入の動向等にかんがみ、適正な行財政水準を維持し、もって国民生活と経済の安定に資するために行われるものである旨が明らかにされております。また、特例公債の発行額は予算で定める旨の規定その他所要の規定が設けられております。さらに、今回の特例公債は、期限までにこれを全額現金償還し、その借りかえは行わない旨が法律上明らかにされております。
第二、日本専売公社は、昭和五十三年度限りの措置として、通常の納付金のほか、積立金のうち千五百六十九億円を国庫に納付しなければならないこと等を規定しております。これらの規定は、いずれも事柄の性格に即した適切な立法であると考えます。
また、本法律案の施行期日である四月一日はすでに経過しておりますので、これを公布の日から施行することに改めようとする本法律案に対する修正案は、当然の措置と考えるものであります。
以上、私は、昭和五十三年度における特例公債の発行及び日本専売公社の特別納付金の納付が真に必要にしてやむを得ないものであると考えますとともに、わが国財政ができる限り早くこのような特例措置を必要としない状態に復帰できるよう関係者の協力を要請して、本法律案並びに修正案に対する賛成討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/254
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255・大村襄治
○大村委員長 大島弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/255
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256・大島弘
○大島委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案並びに同法案に対する修正案に対し、反対の意見を述べるものであります。
現下、わが国の経済は、三年有余にわたる戦後最長最大の不況に陥り、いまもって回復の展望をも見出し得ない状態であるばかりか、ますます深刻の度を深めております。国民生活は失業、倒産等深刻な危機感を迎えており、輸出依存の景気浮揚策は円高となってはね返り、国内産業は根本的な再編を迫られ、経済不況は一段と重大な局面に立ち至っているのであります。
このような事態をもたらしたことは、何と申しましても政府の大企業、独占資本優先の経済政策の矛盾によるものであり、富と所得の格差の拡大、寡占・独占体制の強大化、膨大な需給ギャップの存在など構造的要因によってもたらされたものでありますが、その上になおも政府は、賃上げの抑制、公共料金の引き上げ、所得税減税の回避、社会保障支出の抑制等々によって個人消費の停滞を引き起こし、不況が激化したことは明らかであります。
国内需要の低迷は輸出の増大をもたらし、経常収支も百四十億ドルの累積が見込まれ、海外から厳しい批判を受けるに至っているのであります。いまやわが国の経済政策は、内外両面にわたる大きな転換が必要であり、その要請が各般にわたり主張されているのであります。
このときに当たり、政府は、国民生活優先に立った経済政策の転換を考えず、依然として従来どおりの大企業向け大型プロジェクト促進の公共事業を軸にした景気刺激策に終始しているのであります。
他方、政府は、財政危機を口実に、社会保障費の圧縮、間接税の増徴など、個人消費の縮小策をとっていることが、ますます国民の生活を困難にしているのであります。
また、今日の政策の中心機能を果たすべき財政につきましても、その公債依存度は、連年にわたって諸外国にも例を見ない高率な水準を続けており、本年度はついに実質三七%台に達しているのであります。
政府は、産業基盤優先型の経済政策から生活基盤優先型の経済政策へ転換するとか、あるいは内外ともに悪名の高い租税特別措置法等による不公正税制を改正するとか、あるいは既定諸経費の抜本的な洗い直しをするとか、当然なすべきことをなさず、単に税の増収等によって埋めることができない部分を公債によって徴収することもやむを得ない、こういう態度には私たちは納得がいかないのであります。将来、このような政策を続けるならば、国民経済にはかり知れない悪影響を及ぼすおそれが強いのであります。特に、償還財源の裏づけを欠いた巨額の国債発行は、将来の財政負担を増加させ、財政破綻をもたらすことは必至であるということを言わざるを得ません。
また、専売納付金の納付の特例につきましては、この措置は、労使双方の経営意欲を減殺するものであり、また、他の政府関係機関の積立金の関連からも、このような措置には納得ができません。
以上申し上げまして、反対討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/256
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257・大村襄治
○大村委員長 宮地正介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/257
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258・宮地正介
○宮地委員 私は、公明党・国民会議を代表して、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案並びに同法案の修正案に対し、反対の討論を行うものであります。
その第一の理由は、政府の経済、財政運営の失政であります。
現在、わが国の経済は、相次ぐ失業、倒産を招き、きわめて憂うべき不況の状態が長期化し、国民生活を日々悪化させております。財政もまた年々悪化し、五十三年度には四兆九千三百五十億もの赤字国債の発行に追い込まれているのであります。
政府は、経済不況の原因が、円高など海外経済との調整問題にあるとみずからの責任を回避するばかりか、財政難についても、国債依存率が実質三七・八%であるのに、それを直視しようとせず、国の財政年度を一方的に変更させる国税収納金整理資金の一部改正で、国債依存率は三二%と糊塗しているのであります。
しかも、われわれを初め国民の多くが望んでいる経済の安定成長への移行や財政再建に欠かすことのできない中期的な経済財政計画については、いまだに具体策を明示していないのであり、その姿勢は無責任であると言わざるを得ないのであります。
第二は、政府が赤字国債の発行を避けるための努力を怠っていることであります。
政府は、赤字国債の発行に先立って、少なくとも行政改革、経費の節約、不公平税制の是正に全力を挙げて取り組むことは当然であります。
これらについては、われわれの要求ばかりでなく、政府内部でも具体的な検討や意見具申がなされております。たとえば行政改革では、福田総理みずからが昨年の二月に思い切って行うと発言し、経費の節約は、昨年の七月に財政制度審議会から、中期的な展望に立って、歳出の節減合理化、制度の改善等に着手することが要望されています。また、不公平税制の是正についても、政府の税制調査会が昨年の十月に、国民に一般的な増税を求める前に不公平税制の是正が優先すべきであると答申しております。
しかし、これらの具体的な施策は、行政改革が、総理の公約とも言うべき発言にもかかわらず、竜頭蛇尾に終わっているし、経費の節約も、例年のとおりうたい文句に終始し、特に目立ったものはありません。また、不公平税制の是正も、時限切れのものに対処しようとする程度であり、利子配当所得や法人税の各種引当金等の是正に本格的に取り組もうとする姿勢が見られないのであります。
これでは、赤字国債の発行が余りにも安易過ぎて、わが国の財政法の基本である均衡財政のたてまえを崩すものであり、反対せざるを得ないのであります。
第三は、赤字国債の大量発行が国民生活や経済活動にもたらす数々の影響、及び歯どめとしての対策が十分に措置されていないことであります。
赤字国債の大量発行は、政府でも指摘するように、財政の硬直化、後世代に対する税負担の大幅増加、インフレ要因、民間の資金需要の圧迫などの原因となることが明らかであります。
政府は、これらの問題が存在することを認めながら、赤字国債の発行後三年も経過しているのに、その財政金融政策上の対策を講じようとしていないのであります。さらに責められるべきは、その問題を盾にし、国民に大幅増税を迫っていることであります。
また、政府は、安易な国債発行に対し、みずからの手で歯どめをかける意味から、いわゆる国債管理政策を整備する必要があります。その一つとして、公社債市場の育成は早急に行うべきであります。特に、国債発行についても、シンジケート団の一括引き受けから市場の需給実勢に基づく発行条件の弾力化、投資家のニーズに応じた国債の多様化、国債の流動化等は対処すべきであります。
こうした大量の国債発行に関連する諸問題について、その対策を先に先にと延ばしている姿勢は、まさに言語道断であると言われてもやむを得ないものであります。
以上で私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/258
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259・大村襄治
○大村委員長 永末英一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/259
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260・永末英一
○永末委員 私は、民社党を代表いたしまして、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案に対し、賛成の討論を行います。
今回の特例公債は、大型特例公債四年目に入るのでございますが、もともとこれは自民党政府が、高度成長時代から低成長経済に移行する場合の妥当な政策をとるべきでございますのに、それをはなはだいろいろなことを考えて遅延をいたしたというために起きておる不況でございまして、そのために現在、民間自力回復力はきわめて弱いのでございます。
しかし、われわれの一番大きな課題は、いかにしてこの不況を克服するかということでございまして、私ども民社党といたしましては、五十三年度と五十四年度は財政の比重を重くいたしまして、そうして景気回復を何としてでもし遂げねばならぬと考えます。
もちろん、景気回復のためには、政府がいまとっております公共事業に重点を置くだけではなく、所得税減税、年金等の増額、住宅対策等の拡充等が必要でございまして、この使途につきましてははなはだ不十分であると言わなければなりませんが、しかしながら、ともかく公債依存率などというきわめて合理性の薄い率にひっかけられながら低迷しておりました枠を外して公債を発行するという態度に出たことは、評価をいたすものでございます。
しかしながら、この公債が多額になればなるほど国債の発行の多様化ということを考えねばなりません。
われわれは、こうやってまず、五十四年度まで多額の公債を発行しても景気回復を行い、そして五十五年度から七年度までにこれのアフターケアを行いつつ、六十一年度までには、行政改革を断行し、歳出を削減して、特例公債をゼロにいたす、このような中期経済計画を持ちつつ事態に対処すべきであると考えます。
このような観点から、この特例公債の発行につきましては、賛成をいたすものであります。
また、専売納付金の納付の特例に関する部分につきましては、すでに政府は、財源を求めながら、貴金属会計の廃止やあるいは輸銀等の積立金の取り崩し、さらには税収年度の延期、そしてまたこの専売納付金の積立金の特例による納付を考えております。言うならば、つじつま合わせの主計術の苦心惨たんの跡がうかがえるのでございます。
しかし、考えますと、専売公社の積立金も国民のものでございまして、専売公社の運営に支障がなければ、一般会計に移して財政の穴埋めをするのもやむを得ないものと考え、賛成をいたします。
修正案につきましては、施行期日の変更でございますので、当然のこととして賛成をいたします。
討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/260
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261・大村襄治
○大村委員長 荒木宏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/261
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262・荒木宏
○荒木委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案及び同法案に対する修正案に反対の態度を表明し、討論を行います。
第一に、本法案が財政破綻をさらに激しくする点であります。
政府は、昭和四十年以来、自然増収により財政にゆとりがあった時期にも公債に依存し、国民の批判に背いて放漫な財政運営をとり続けてまいりました。今日、低成長下において同じ財政路線のもとで大量の公債発行を続けていますが、そのことが財政の弾力性を奪い、硬直化を招き、財政危機を激しくすることは明らかであります。
本法案は、一般会計予算の三二%、実質三七・八%に上る史上空前の十兆九千八百五十億円の公債発行を予定しております。わが党は、政府がみずから定めた歯どめを踏みにじり、諸外国に例を見ないこのような大量国債の発行を常態化し、財政の破綻をさらに激しくする本法案には、承服することができないのであります。
第二は、本法案が国民生活向け支出の圧迫をもたらすという点であります。
五十三年度の国債費は、対前年度比三九・二%と急増し、三兆二千二百二十七億円に上り、社会保障関係費のほぼ半分、一般会計総額の九・四%にも及んでおります。さらに今後の国債費の急速な膨張は必至であり、これが不況下での生活擁護のための諸経費を圧迫するものとなることも明らかであります。
政府は、歳出を投資部門と経常部門に二分しつつ、本法案により大量国債を発行し、赤字国債の圧縮をてことして経常部門の歳出を抑制しようとしておりますが、憲法違反の自衛隊支出を大幅に増額する一方、生活関連歳出を圧迫するものとして、反対するものであります。
第三に、本法案が勤労国民に対する大増税の道に通ずることであります。
政府は、昭和五十七年度九十三兆六千億円以上の国債の発行残高を予定し、その償還をすべて国民に負担させようとしております。
大企業、大資産家向けの特権的な優遇税制をわが党提案のごとく是正すれば、財政再建への第一歩となるとともに、構造不況、円高不況の原因を除去することができます。しかるに政府は、過酷な大衆課税による国民犠牲の方向に進もうとしております。本法案はそれに道を開くものであり、とうてい承服できないところであります。
第四に、本法案がインフレの大きな危険をもたらすという点であります。
赤字国債はもとより、国債の連続大量発行がインフレの危険を促進させることは明らかであります。国債、地方債の残高は八十兆円にもなりますが、民間の資金需要が上昇すれば、その資金供与に日銀の関与は不可避であり、通貨供給の増加とインフレの大きな危険が現実化することは十分予想されるところであります。
政府は、本法案による大量の赤字国債の増発を景気浮揚のための必要施策としていますが、いま必要なことは、構造不況、円高不況と異常な財政危機をもたらした大企業本位の経済財政政策を国民本位に切りかえ、大量の赤字国債発行をやめ、直ちに財政の健全化と安定したつり合いのとれた成長に向けて経済財政政策を転換することであります。
日本専売公社の専売納付金の特別納付については、公社職員の労働条件、販売業者、消費者に負担転嫁を認めない前提のもとに賛成するものでありますが、これらを一括した本法案には、全体として反対の態度を表明し、討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/262
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263・大村襄治
○大村委員長 永原稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/263
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264・永原稔
○永原委員 私は、新自由クラブを代表して、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案について、その修正案と修正部分を除く原案に賛成の討論を行いたいと存じます。
われわれ新自由クラブは、一昨年以来、景気浮揚のために大型減税と公債発行による積極財政の展開を主張し、また、資金運用部の保有する国債を処理しても財源を確保し、減速経済の中における安定成長への道を開く政策の必要を訴えてまいりました。
しかし顧みて、政府の政策が中途半端であり、後手後手に回って果断に欠けるところがあったと批判せざるを得ません。かくて、オイルショックの痛手は遅々として回復せず、国民の心に、また企業家マインドに自己防衛のからに閉じこもる警戒心と消極さが浸透したことは否めないと思います。
しかも、打ち続く消費性向の停滞の中で、輸出依存率の高い産業はひたすら輸出に没頭し、輸入とのアンバランスの上に生じた貿易収支の大幅な黒字は、外圧を伴いつつ円高現象を招来し、それはとどまるところなく進んでおります。かくて、不況と円高、円高と不況の悪循環は断ち切られることなく続いております。
自由放任が自由主義思想や自由主義経済のすべてではないはずです。自由の名のもとに、輸出についても、円高メリットについても、輸入増加に伴う国内産業対策にしても、時が解決するという態度では、政治の基底を危うくいたします。国民に不信感をつのらせるばかりであります。
じんぜんと日を過ごせば、特例債の発行は累増するばかりとなります。一両年の施策のおくれは、長きにわたって累を将来に残します。政府はぜひ、低成長、減速経済のもとにおける安定成長路線への展望を明らかにすることによって将来の不安感を払拭するべく、積極的に取り組むことを期待してやみません。
われわれ新自由クラブは、そのための財源として、特例債の発行も、また専売納付金の特例もやむなしと考えます。
そして経済の安定と成長の上に雇用問題を解決し、不公正税制の是正を行い、思い切った歳出の削減、行政改革を行ってこそ、新たな税制について国民のコンセンサスを得る道が開けると思います。ぜひ政府のかたい決意のもとに善処を要望してやみません。
以上申し述べて、討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/264
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265・大村襄治
○大村委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/265
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266・大村襄治
○大村委員長 これより採決に入ります。
まず、綿貫民輔君外二名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/266
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267・大村襄治
○大村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/267
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268・大村襄治
○大村委員長 起立多数。よって、本案は修正議決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/268
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269・大村襄治
○大村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表して、野田毅君外四名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際、提出者より趣旨の説明を求めます。佐藤観樹君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/269
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270・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨を御説明申し上げます。
わが国財政は、昭和五十年度以降連続四カ年にわたって、特例公債を含む多額の公債金収入に依存することを余儀なくされており、特に昭和五十三年度の予算編成に当たりましては、景気の回復を図る見地から、財政の節度維持にも配意しつつ、内需の振興のため財政が積極的な役割りを果たす必要があるとして、あえて臨時異例の財政運営に踏み切ることとし、この結果、本年度予算におきましては、実質的な公債依存度が約三七%に達するという異常な状態となっております。
本附帯決議案は、このような状況に顧み、財政の健全化を図り、このような事態からできるだけ速やかに脱却するため、国債の大量発行に伴う財政金融上の諸問題の改善、見直し等の努力を引き続き重ねられるよう政府に要請するものでありまして、案文の朗読によって内容の説明にかえさせていただきます。
昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。
一、現下の不況克服に全力を挙げ、不況脱却後速やかに健全財政を回復するため、財政収支の改善に全力をつくすとともに、極力国債発行額を圧縮し、できる限り早期に特例公債依存の財政から脱却するよう努めること。
二、国債は将来の国民の負担となるので、償還財源の確保に努め、償還に支障のないようにすること。また、財政支出に当たつては不要不急経費を削減するとともに、補助金行政を洗い直すなど、引き続き行財政改革を進めること。
三、財源対策としては、負担の公平化に一層努力し、大胆な税制改革を行い、中長期にわたる基本的見直しを行うこと。
四、国債発行が地方債の発行並びに民間資金需要を圧迫することのないよう十分留意すること。
五、国債の個人消化を一層促進するとともに、国債の発行形態の多様化・発行条件の弾力化、公社債市場の整備拡充等、国債管理政策の確立に努めること。
六、専売特別納付金については、異例の措置であるので、今後安易にかかる措置をとることのないよう財政の健全化に努めること。
以上であります。
何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/270
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271・大村襄治
○大村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議のごとく附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/271
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272・大村襄治
○大村委員長 起立多数。よって、本動議のごとく決しました。
本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。村山大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/272
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273・村山達雄
○村山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分配意をいたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/273
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274・大村襄治
○大村委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/274
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275・大村襄治
○大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/275
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276・大村襄治
○大村委員長 次回は、来る二十六日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時十五分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404629X02619780419/276
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