1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年四月十二日(水曜日)
午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 松本 七郎君
理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君
理事 左藤 恵君 理事 志賀 節君
理事 鈴木 強君 理事 米田 東吾君
理事 田中 昭二君 理事 小宮 武喜君
井上 裕君 伊藤宗一郎君
亀岡 高夫君 倉石 忠雄君
中島 衛君 灘尾 弘吉君
原田昇左右君 廣瀬 正雄君
堀之内久男君 森山 欽司君
渡辺 秀央君 阿部未喜男君
島本 虎三君 野口 幸一君
大野 潔君 鳥居 一雄君
青山 丘君 東中 光雄君
依田 実君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 服部 安司君
出席政府委員
大蔵省理財局次
長 副島 有年君
郵政政務次官 宮崎 茂一君
郵政大臣官房長 河野 弘君
郵政省貯金局長 高仲 優君
郵政省簡易保険
局長 佐藤 昭一君
郵政省人事局長 守住 有信君
郵政省経理局長 浅尾 宏君
委員外の出席者
参 考 人
(簡易保険郵便
年金福祉事業団
理事長) 竹下 一記君
逓信委員会調査
室長 芦田 茂男君
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委員の異動
四月十二日
辞任 補欠選任
倉石 忠雄君 井上 裕君
椎名悦三郎君 中島 衛君
長谷川四郎君 谷川 寛三君
藤原ひろ子君 東中 光雄君
同日
辞任 補欠選任
井上 裕君 倉石 忠雄君
谷川 寛三君 長谷川四郎君
中島 衛君 椎名悦三郎君
東中 光雄君 藤原ひろ子君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関
する法律及び資金運用部資金法の一部を改正す
る法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四
三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/0
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001・松本七郎
○松本委員長 これより会議を開きます。
簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律及び資金運用部資金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、本日、簡易保険郵便年金福祉事業団理事長竹下一記君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/1
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002・松本七郎
○松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/2
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003・松本七郎
○松本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/3
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004・鈴木強
○鈴木(強)委員 私は、議題になりました法案について若干の質疑をいたしたいと存じますが、その前に差し迫った問題がございますので、ちょっと大臣に御所見を承っておきたいと存じます。
それは郵便貯金の金利をどうするかという問題でございますが、大臣は三月三十日に郵政審議会に対して諮問をされているようでございますが、その後仄聞しますと、四月六日の審議会におきましても結論が出ないで今日に至っているようでございます。しかも、内容を拝見しますと、かつてない、利率を示さないでの諮問ということでございまして、この辺に大臣の本委員会における預貯金に対するお考え方が出ておると思いまして、大臣の御心中、御苦労に対しては感謝をいたします。
そこで、民貯の方が十七日から利率を引き下げることになっておりますので、それとの関係でどういうふうになりますか、審議会の運営等についても、その見通しが私たちはわかりませんので、概略で結構でございますから、いままでの郵政審議会におけるこの問題に対する審議の模様と、次期はいつ開かれますか、それを簡単にここで教えてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/4
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005・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
先生の御指摘のように、すでに郵政審議会は去る三月三十日及び四月の六日の二回にわたって行われております。この間、その二回とも大変御熱心に御討議をいただいておるのでございますが、その議論をきわめて概括的に申し上げるということになりますと、いわば家計の立場から利率引き下げは望ましくないという議論、あるいは全体の日本経済の立場からこれは忍ぶべきてはないかとする議論、あるいは少額の個人貯蓄に対しては格別の保護を与えるべきであるというような議論、また、それらを十分検討すべきであるという議論等が大変熱心に行われた次第でございます。
二回目、四月六日の議事の終わりに当たりまして、この際外部から参考人を招致して一般の意見を聞いたらいかがかという議論が出まして、議長はその意見を取りまとめて、次回には参考人の意見を聴取するということになりまして、明十三日は主として参考人の意見を聞くということになっております。
なお、前二回を通じまして、郵政省側に対し具体的な利率を提示すべきではないかという議論が非常に強く行われたところでございます。三回目が明日でございますが、それから後については、これは審議会の決めることでございますので、十三日を待たなければ決定いたさないわけでございますが、先生の御指摘のように、民間金融機関の金利は四月十七日に下げることが決定いたしておる事情にございますので、それらの点も頭に置きながら審議会としては議事を進めるものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/5
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006・鈴木強
○鈴木(強)委員 一応民貯の方がそういうことになっておりますが、これはあくまでも郵政大臣の権限でお決めになるわけですから、そのことによって本来の審議会の審議が曲げられるようなことがあってはいけませんので、恐らく、大臣も、そんなことのないように、この運営について御意見等も審議会の会長にお述べになっていると思います。
そこで、十三日は参考人を呼んで意見を聞くということで、それで恐らく終わりになると思います。いまお話しのありましたように、少なくとも郵政省は預貯金金利についての下げ幅を示さないことと、それから例の「ゆうゆうローン」の貸付金に対する金利も示しておらない。ただ、御承知のように、老齢年金等の受給者を対象とするいわゆる福祉定期郵便貯金の利率については、これを据え置きにするということで、取り扱い期間は六カ月間延長する。これは一般の銀行と同じ措置だと思います。
したがって、審議会の方としても、郵政大臣の、国民大衆の預貯金であり、零細な国民の預貯金である、したがって一年間に三回も利子を引き下げられるということは忍びないという気持ちをあなたがこの委員会でもよく披瀝されておるわけですから、そういう気持ちが出ていると思いますが、大臣は最後まで郵政省としての意見を出さず、審議会の審議にゆだねていくのかどうなのか、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/6
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007・服部安司
○服部国務大臣 最後まで出さないというわけには審議会の性格から言ってもなかなかむずかしい問題だと思います。
さて、先ほどからいろいろと御指摘がございますが、郵政審議会とは、大体大臣が諮問の内容を示して御検討をいただき、答申を得るのがたてまえであることは御案内のとおりでありますが、鈴木先生の御指摘のとおりに、年間三度の利下げというところに、庶民大衆のささやかな金利を目的とする郵貯の姿から言って、私はあえてこういう方法をとったわけであります。これは部内でもいろいろと論議をされまして、また、正直申し上げて、郵政審議会の方の一部の方からも大変厳しい意見も直接私にありました。しかし、私は、これは審議会のあり方から言ってわからないことでもありません。むしろ私の方が変則的な行き方をしたかもしれません。
しかし、事はさように重要な内容を持つ、庶民大衆にきわめて苦しい思いをさせるということでありますから、私は広く各界の意見を聞きたいということを前面に押し立てて、先月三十日も本月の六日も参考人招致ということが私の願いでありました。郵政審議会にも各界各層から選ばれておりますし、一面いろいろと批判も受けておりますが、しかし、各界各層の意見を代表する意見と、今度は参考人に来ていただいた意見をあわせてお伺いして判断をしたいと、私はかように考えて、いまそういった手続をとっていることを御理解願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/7
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008・鈴木強
○鈴木(強)委員 業界の新聞紙の報道をちょっと拝見してみますと、やはり、反対する側の意見というものは本当に切実なものがございます。たとえば高仲局長が説明をして審議に入ると、ある委員は、「不況だからと、すぐ預貯金金利の引下げをやるというのは無策だ。思い切って減税するとか老人福祉年金を大幅にふやすなどの方策を考えたらどうか。政府の景気浮揚策の効果は疑問だ」と言い、それからまた、「去年の五月の利下げによる目減り額は四百十三億円、九月は百六十六億円ときいているが、こんどまた利下げをやるとすれば、いったいどのくらいの目減りになるのか。預金者の立場をもっと考えてもらいたい」というような意見だとか、あるいは、「一方的な利下げはひどい。主婦を失望させるような政治は良くない。そういう薄情な政治だと、ますます自衛のため財布のヒモは固くなり、消費に向かうどころか貯蓄に回すことになる」といったような批判もかなりあったようでございます。もちろん一方では賛成的な立場に立った人の意見として、「九月の利下げのとき現在高は三十四兆円。それが半年で三兆円もふえ、いま現在高は三十七兆円と、民間金融機関より伸びが良い。利下げして減るどころか、ふえている。また郵貯利用による脱税問題が報道されたが、郵便貯金はすべてが庶民の零細貯金ではない」というような意見もございますが、私は、前段の御意見というのは非常に大事な意見だと思います。
私はその審議会に行って意見を述べることはできませんので、大臣も局長も、従来ここでわれわれに誓っていただいた気持ちを忘れないで、郵便貯金法の十二条の精神をしっかりと胸に秘めてぜひ今後対処していただきたいと思います。
ある段階に一つの案を出さなければならぬだろうという大臣のお考えですが、もちろん大臣の所信があるわけですから、一般的に大蔵省が決めた〇・七五引き下げての三・五〇というものに必ずしもあなたは全部支配されることはないのでありますから、その辺はしかと心得てやっていただけると思いますが、最後まで引き下げしないという方針で大臣も進んでいただきたいと思います。
そこで、もう一つ伺いたいのですが、私はきのうの毎日新聞をちょっと拝見しましたら、退職金の預金は千五百万円までは利子を非課税にするという記事が大きく載っております。これをちょっと読んでみますと、どうも郵政審議会における預貯金金利の引き下げ問題との見合いで出されたような気もするわけですが、どうなんでございましょうか。
大臣、きのうの閣議後の記者会見でのお話で、「預貯金の目減りを最小限にするため、退職金を預金する場合は千五百万円までその利子を非課税としたい」という発言があります。これはもちろん現行のマル優制度の三百万円の限度を退職金に限って千五百万までアップするという新しい構想だと思いますが、そこで、これは郵便貯金だけでなくて、一般の場合にも当然考えられなければならないことなんでございましょうが、大臣がこういう新しい構想をお持ちになることは非常に結構でありまして、私は賛成いたしますが、ただ、これが郵便貯金の金利との関係で出てくるということになりますとちょっとこれは問題がありますので、そこら辺の大臣の本当の気持ちをこの際伺いたいと思ってこの問題を取り上げました。どうぞ聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/8
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009・服部安司
○服部国務大臣 本月の十七日からの民間金融機関の利下げの決定は御案内のとおりであります。先ほど来郵政審議会の今日までの経過について御説明申し上げましたが、郵政省もある程度の方向づけをせねばならない時期に来たことも、これはもう御理解をいただけると思うのであります。
たまたま昨日の新聞に、私が考えているところの退職金に限って千五百万円まで非課税にするべきであるという記事が出ましたが、これはもうすでに大蔵省とも事務的に何回も、事務次官と局長で話し合いさせているわけであります。きのうきょう起きた問題ではございません。ただ、新聞の取り上げたのがたまたまきのうであったから、金利の引き下げに関連性があるのかというように理解されることもやむを得ないと思いますが、全く無関係だとは私は申しませんが、この目減りを何とか少しでも防ぐ方法を考えたい。特に、給与所得者のふところに入る前にいわゆる税法で天引きをされる立場に立って考えると、これはもう全く税法に定められたとおりの税額が差し引かれてしまうわけです。だからといって、他の人は脱税をやっているというのでは決してないのですよ。しかし、苦労して得た金だから一遍ぐらいは入れてやりたいと思っても、税法でちゃんと払わされているのです。こういった方々は長い間まじめに適確に税を納めているわけですから、せめて退職時ぐらいは千五百万円くらいは——私は、将来は平均千五百万円ぐらいになるだろうと考えていまから千五百万円ぐらいはどうだということをやっています。
だから、直接関連を持たす意思はありませんが、こういうふうに少しでも目減りを減らす方途を講じていくこともこの時代に私に与えられた任務ではなかろうかと考えて、全く無関係とは言いませんが、そういうところから出た構想でありますが、しかし、きのうおとといに始まったことではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/9
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010・鈴木強
○鈴木(強)委員 わかりました。結構なことでございます。
それで、いまたしか一千万円までは税制上は退職手当は無税になっていると思いますが、そのもらったものを千五百万円まで郵便貯金にする場合には利子課税はしないというわけですが、これは非常に長い間それぞれの社会に奉仕して、そしていただくお金でございますから、それを郵便貯金にしてくれるという方に対してこういう優遇の道を開くということはまことに適切なことだ、非常にいいアイデアだと私は思います。
そこで、この具体的なことについては今後それぞれ大蔵省その他ともお打ち合わせになりましてお進めになると思いますが、整備されたら大体いつごろからやろうとなさっておりますか。その心組みがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/10
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011・服部安司
○服部国務大臣 私で決められるものなら、もう即刻したいのですが、これも残念ながら法改正、大蔵省との折衝ということがあります。これから法案の整備とかいろいろな都合や準備もありますから、できれば来年度くらいから実施すべきではないかと思っておりますが、もちろんこのことも今度の郵政審議会に最終的には諮っておきたいと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/11
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012・鈴木強
○鈴木(強)委員 ぜひ早期に実現できるように、さらに御奮闘をお願いします。
それでは法案に入りますが、いままで多くの同僚議員が質疑をいたしておりますので大体尽きておるように思いますが、念のために二、三の点で御意見を承っておきたいと思います。
私は今度の法案の内容を拝見しましたが、従来この逓信委員会で運用利回り等の問題についてもう少しく配慮をしていただきたいという意見もございまして、その趣旨に沿って郵政、大蔵当局がいろいろ御協議の上、利回りについて今回改正をされて、さらに利子の支払い期日等についても二回にしていただいたとか、一歩前進の面がございますからこの点は高く評価をし、関係の皆さんの御協力に感謝をいたしますが、きょうここで私はもう一度総体的に伺っておきたいのは、やはり余裕金の問題でございます。簡保の余裕金は本来積立金と同一のものであるという考え方から、余裕金の直接運用ということを強く主張してまいっておりますし、制度の改正も附帯決議等で行われておりますが、この点については残念ですけれども今回は触れておらないわけでありまして、これは私は非常に不満です。この根本問題が解決しない限り簡保年金の積立金問題の解決にはならぬわけであります。そういう意味できょうは大蔵省からももう一度来ていただきました。
そこで、私は、質疑をなさっておる方々に対する大蔵、郵政当局のお答えも聞いておりましたが、たまたま「かんぽ資金」という冊子の一九七八年三月号に、この問題について一つの論文が載っております。論文というか、積立金運用計画について載っておりますが、その中に私は非常になるほどと思った部面がございます。ちょっとそれを参考のために読み上げてみますが、昭和五十三年度の簡保資金の運用計画をお決めになるときに、当然余裕金の運用改善の問題についても大臣に御苦労をいただいたようにお話があったことは事実だと思いますが、しかし、それが実を結ばなかったということですから、そこで、余裕金というものの性格と積立金の性格というものをもう一度はっきりしておく必要があると私は思います。
そこで、その面について、この中には、「簡保の余裕金は資金運用部に預託する以外に運用できませんのでその運用利回りは効率的に運用したとしても現在の金利水準のもとでは、五・七%程度にすぎず財投基準金利である六・五%にもはるかに及びませんし、また余裕金の額も年度末には一兆円を超え、簡保資金総額の二〇%近くを占めており、したがって資金全体の運用利回りに大きなマイナス要因となっています。」となっています。これはそのとおりです。そして、「余裕金と積立金の区分は会計経理上の区分ですが、簡保の余裕金は他の特別会計の余裕金と異なり、「余裕のある金」「当分使い途のない金」というのでなく将来の保険金、分配金等の支払いに備えて当初から運用することが予定されている資金です。この点では積立金と全く同じ性質の資金といえます。したがって、運用方法において余裕金と積立金とを区別する理由はなく、余裕金も積立金と同様な運用ができるよう制度の改善を図る必要があるわけです。制度改善が図られると、長期資金としての運用が当年度から可能になり、財投に計上できる簡保資金の額が増加し、地方公共団体への融資額も当然に増加するなど長期資金の需要増に応えることが可能になるわけです。」と、まさにわが意を得たりというような意見がございまして、非常に感銘したのです。
こういう考え方は郵政省全体の考え方でございましょうか。大臣、ちょっと答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/12
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013・服部安司
○服部国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/13
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014・鈴木強
○鈴木(強)委員 そこで、大蔵省にお伺いしますが、理財局次長、この考え方、つまり、いま私が読み上げましたような余裕金と積立金との性格はここに述べられたようなものだとあなたはお感じになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/14
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015・副島有年
○副島政府委員 お答えいたします。
実質的な資金の性格という点では先生のおっしゃった点があると思いますけれども、現行の法体系上は、しばしば御説明を申し上げておりますように、積立金と余裕金とは取り扱い方が異っております。
それで、現在の法体系あるいは資金運用制度全体の体系のもとにおいてこの余裕金を特別扱いにするということは、制度全体の仕組みからいって大変むずかしいという点は森課長から御説明したとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/15
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016・鈴木強
○鈴木(強)委員 それはあなたのおっしゃるとおりだと思います。理念は、私がいま申し上げ、郵政大臣がそのとおりだとお答えになったことを是認されておりますけれども、ただ、現行の制度の上から言えばそうなっておらないということでございますね。ですから、その点はわかりました。あなたに、理財局次長として、現行の制度以外のはみ出たことを言えといっても無理だと思いますが、私はそのことはよくわかっておるのです。
そこで、昨年の簡易生命保険法の一部を改正する法律案のときにもこれは十分御承知だろうと思いますし、郵政省とお詰めになる際にも念頭に置かれてやったと思いますけれども、もう一度私はあなたにこの点に対するお考え方を聞いて、今後の問題でございますから、最善の努力をしてほしいという気持ちを込めて理財局次長さんに意見を求めるわけです。
それは本委員会でも、この国会を通じまして十数人の委員が立って質疑をいたしておりまして、すべてここに論点がしぼられておるわけでございまして、この委員会にとりましてはそれほどきわめて重要な当面の課題になっておるということをぜひ認識しておいていただきたいと思います。したがって、これはいま始まったことではなくて、長い年限の中でこの問題は繰り返し繰り返し取り上げられてきた問題でございます。
そこで、ずっと附帯決議がついておりますが、一番近い機会ですと、昨年の第八十回国会におきまして簡易生命保険法の一部を改正する法律案を可決成立させる際に附帯決議がついておりまして、それを見ますと、「簡易保険余裕金は、本来積立金と同一のものであるので、積立金として直接運用できるよう制度の改正を検討し、もって加入者の利益の向上に資すること。」という項がございますが、そこに至るまでの過程におきまして、大蔵省がいま運用されている運用の利回りと、実際に郵政省が直接運用しております積立金の利回りを見ますと、そこにかなりの差が出ておるわけでございますね。たとえば郵政の場合ですと七・一五ぐらいの率に回っておりますね。ことしはよくわかりませんけれども、恐らく五十二年もそうでしょう。五十一年度は七・一五になっていると思いますが、ですから、これがあなたの方で七・一六とか七・一七とかうまいぐあいに回ってくるならまだわかるのですけれども、やはりこれは郵政の方がうまいのですよ。効率的な運用をしているわけですからね。そういう意味では、性格が同じであればお任せいただいたらどうかというちょっと後退した意見ですけれども、そんな気持ちもあるわけです。
だから、現実に加入者の利益を守るのが郵政の立場でございましょうし、そういう意味において少額の簡易保険というものが生まれてきている歴史があるわけですし、この附帯決議は、政府当局に真剣に考えていただいて、早く解決していただくようにと願って、党派を乗り越えて各党一致でやっていることでございますから、過去のいろいろな歴史も私たちも知っておりますけれども、この附帯決議が実現できるように、従来より以上にさらに前向きに検討していただきたいという強い願いを持って私はあなたにお尋ねするわけですけれども、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/16
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017・副島有年
○副島政府委員 お答えいたします。
繰り返しての御説明になるかもしれませんけれども、現行の資金運用部制度の統合運用の制度というものにはそれなりのメリットがございまして、現在の制度が定着してすでに二十数年たってきたわけでございまして、言ってみますれば、特別会計の積立金、余裕金というような国の制度や信用を通じて集まった資金は財政金融政策との整合性を図るという点が第一点、それから効率的な行政機構によって一本に運営するということ、それから第三番目に安定的に公共的な運用が行われるということ、これが国の財政制度上最も望ましいという考え方のもとに運用部の制度ができ上がったのではないかと私は思うのです。
その第三点の安定的公共的な運用をやるという制約がございますので、先ほど先生がおっしゃいましたように、この運用だけを考えていけばかなりもっと高利に運用ができるわけでございますけれども、かたがた、地方公共団体あるいは住宅金融公庫等はかなり低利に資金を運用するという使命を帯びております関係もございまして、言ってみますれば、なるべく高利に運用していきたいというものと、できるだけ公共のために低利に運用していきたいという、その接点の上にある資金制度でございます。
特に、この制度を変えてみたらいいではないかというお話でございますけれども、現在のような財政が非常に問題を抱えている今日、こういう制度の基本を守るということはむしろ非常に必要なことではないかというように私どもは考えております。ただ、先生がおっしゃったように、簡保余裕金は他の特別会計の余裕金と性格を異にするから分離運用すべきであるという主張は私もよく存じておりますが、ただそういう議論は、たとえば国民年金あるいは厚生年金からも強く出されております。したがいまして、大蔵省といたしましては、この統合運用の原則を一遍崩しますと、もともとこの運用制度ができた趣旨というものが崩れるという基本的な問題がございますので、この統合運用の基本的な枠組みの中で簡保資金をどうやって優遇するかということにいままで大変頭を悩ませてきたわけでございます。
御承知のように、従来から簡保の余裕金については特利を付してきたわけでございますが、今度は、先生が先ほどおっしゃいました当委員会の附帯決議の趣旨を体しまして、さらに一歩踏み込みまして、法律改正をいたしまして余裕金の運用利回りの向上を図ることとしたわけでございまして、率直に申し上げて、現行の財政制度の基本の枠内を守るという原則のもとで簡保の余裕金を優遇する。正直申しまして、ぎりぎりの妥協点というものを郵政当局と長いこと論議をして到達した結論でございますので、その点御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/17
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018・鈴木強
○鈴木(強)委員 次長、これは御理解をしてくださいと言っても理解できないです。全く相反する意見でございますからね。
そこで、伺っておりますと、最初に私が「かんぽ資金」という冊子に出ております理念についてお尋ねしたときに、それはわかっておるとおっしゃった。いまも仮定の中ではそういう御発言もございましたが、根本的に簡易保険の設立の趣旨について理解をされておらないように私は思いますよ。
この簡保は非常に長い歴史がございます。ちょっと概括的に見ましても、簡保資金の運用というのは大正八年の八月から始められておるのですが、当時はもちろん運用全般について逓信省が自主運営をしておったわけです。ところが、第二次世界戦争になりまして、昭和十八年に、戦時中の臨時措置として、契約者貸し付けと地方公共団体貸し付けを除いたすべての資金は大蔵省の預金部に預入しなければならないということになりましたね。戦争が終わりました後、昭和二十年に臨時措置は一応終わりましたが、その後、昭和二十一年の一月に、また引き続いて、契約者貸し付けを除き全額大蔵省預金部に再び入れなさいという、占領下のマッカーサーの指令によって再び大蔵の方にこの運用が行ったわけですね。しかし、それに対しては絶対納得できないというわけで、長い間いろいろ御協議をいただいて、御承知のように現行法律が昭和二十七年の六月にでき上がりまして、これによって簡保年金の積立金の運用は郵政省に任されたという、こういう歴史があるわけですよね。
昭和二十八年の四月に郵政省に七年ぶりで運用権が戻ってきて今日に至っておるわけでございますから、そういう歴史的な経過を考えましても、やはり、零細な庶民大衆の福祉のために設立された簡易保険の成立の趣旨というものがよく理解されておらないではないでしょうか。これは国民年金にしても、すべての問題について言えると思いますけれども、庶民大衆から預かった金ですから、いかにして安全、有利、確実に庶民大衆に還元できるかという、この辺にすべてを置いて財政当局はおやりにならなければうそですよ。安全、有利、確実に運用して七・一四%という利子収入を現実に得ているいまの郵政省の運用の仕方ですね。それは、国家全体の問題として、公共的あるいは安全性とかいう一般通念としては私もわかります。しかし、少なくともそういう問題にすべてをしわ寄せをしていくということはいけないことであって、その性格にかんがみ、一歩でも二歩でも前進する体制をつくっていかなければならないでしょう。次長さんのお考え方は現行法にあくまでもとらわれた御発言でございまして、そうなりますと、政治的にある程度の御判断のできる大臣なり、そういう方でないとわれわれは質問をしてもむだになるわけです。
私は一つあなたにお願いしたいのですが、この附帯決議の趣旨をあなたは知っていますね。この制度を変えなさい。変えてくれと言うのです。この附帯決議の趣旨は尊重するんでしょう。尊重するならば、将来に向かって事務当局もこの運用権については検討を加え——それはいつできるか、私もここであなたにいつやってくださいと言ったところで、これは無理です。それは私もわかっております。ですから、大臣にもこの旨をよくお伝えくださいまして、あなたとしても、理財局の次長さんですからかなりの権限を持っておられる方でございますから、課長さんとも相談をされて、そして一歩でも二歩でも前進するような附帯決議に対する前向きの検討をここで約してもらわなければ、われわれは何のために何日間も何日間もここでやってきたんですか。大変言葉が荒くなって済みませんけれども、これは全加入者の立場に立ち、民族のことを考えて、私たちの願いとして述べているわけでございますから、これは私の意見ではないのです。ここにおる与野党一致しての意見でございますから、このことをぜひと私はあなたに強くお願いしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/18
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019・副島有年
○副島政府委員 さっき先生がおっしゃったように、今回のこの法律改正は、いろいろ御批判はあると思いますけれども、昨年の附帯決議の趣旨を体しまして、郵政当局と長い折衝の末到達いたしましたところの、私どもとしては考え得る最良の案だというふうに考えております。
何と申しましても、運用部の資金、運用部の制度というものは、過去二十五年日本経済に非常に大きな役割りを果たしてきておりますし、また、今後その役割りはふえることこそあれ、減ることはないと私どもは確信をしておるわけでございます。
この運用部の統合管理運用制度ができましてから二十六年になりますが、その間、先生の御指摘がありましたように、簡保の積立金については例外中の例外といたしまして、戦前の経緯もこれあり、分離運用が認められているわけでございますが、それ以外の余裕金につきましては、簡保の余裕金もそれなりの理由はあると思いますけれども、いろいろ各会計ごとになるべく高利に運用してほしいという要求もあり、また、それなりの理由のある資金もたくさんあると思います。ただ、これを一つ例外を認めますと、この運用部の統合管理運用制度の原則が崩れ、非常に大きな問題に到着するわけでございます。そういうことで、私どもとしては、現行の基本原則の枠内ででき得るぎりぎりの解決点というものを模索して今日になったというのが率直な印象でございます。
それから、その金利の運用の差でございますけれども、これは先生の御指摘のように、確かに数年前には余裕金の運用利回りと積立金の運用利回り、あるいは民保の利回りとの格差というものがかなりございました。ただ、今日現在においては、この民保との利回りの格差あるいは積立金と今回の法改正をしていただく場合の余裕金の利回り格差というものは非常に縮まってくるということも、これまた確かでございます。そういう意味で、一歩、二歩と前進をしているという点をぜひ御了承いただきたいというふうに考えております。
それから、それでは今後制度改正まで踏み切れるかというお話でございますけれども、これは非常に財政危機の折、こういう財政の基本原則を変えるということは大変大きな問題でございます。私どもとしては非常にむずかしい問題だということしか申し上げられないわけでございますけれども、先生の本日の御発言を体しまして今後とも勉強させていただきたいというふうに考えております。それから、上司にも先生の御趣旨はよくお伝えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/19
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020・鈴木強
○鈴木(強)委員 現段階における大蔵当局の御努力は、私も最初に申し上げましたように一歩前進であり、御労苦は多とするという感謝の気持ちをささげたわけでございますが、だだ、その基本問題が解決をしておりませんのできょうもとうやってまたおいでいただいたわけでございます。しかし、わかりました。大臣にもよくお伝えをいただいて、今後検討をしていただけるというふうに私は受け取りました。
そこで、これは大臣にお伺いする前にもう一つ理財局次長さんにお伺いしたいのですが、簡保預託金の一年ものの場合の利息が、従来は通常利子で固定が四・五%、それから特利が固定で一・五%ですから、合計六%は最低保証されておったわけですが、今回の場合には固定部分が五・九%になりまして、この面は一・四%のアップでございます。ただし、変動部分ということになっておりますこの〇・五%を合わせて五・九%になるわけです。
一方通常郵便貯金等の預託についての利率を見ますと、現行七年もので通常利子が固定で六%、それから特利変動は〇・五%となっております。ですから、これから比べると〇・一%差があるわけです。したがって、いま金利がまた非常に下げられようとしている時期でございますから、従来の特利と通常利子とを合わせて、これは固定でございますから、少なくとも六%は絶対に保証されておった。今度の場合には、変動部分というのが〇・五%あるわけですから、恐らくここを今度の金利の引き下げで手直ししてくると私は思うのです。
そうなると、仮に〇・五%の変動部分が全部なくなったとすると、五・九%になります。しかし、法律的には〇・一だけはどういう変動があっても見てやろうということで、したがって六%は保証されているわけてすから——とうもここのところまた四月十七日から下がる。これも恐らく手がついてくると思うのです。預託金の全体の運用基準というものが変わってくると思いますから、そうなれば、何だか現行六%が六・四%になって、あれ、よくやってくれたなというのは錯覚であって、いよいよ気がついてみたら、何のことはない、六%でもともとだというようなことになることは明らかなような気が私はするのです。
そうなった場合には、これはちっともありがたくないような気もするのです。むしろもう少し〇・一%くらい、固定部分について六・一%ですか、そのくらいのものが出てきておれば魅力があるのですけれども、どうもこういう時代が来たから、いままでいろいろできなかったけれども、ひとつ郵政省の意見も入れてやっておくか、しかしこれはいずれ変わるのじゃないかというような思惑が、これは私は大変失礼なことを言うようですけれども、何か感じられるのですよ。本当の意味においての六%のものが、特利と固定を含めて、どっちも固定ですから、五・九%になっておるんだから、私はこれはむしろおかしいという気持ちさえするのですよ。
これは私の勘違いのことか、思い過ごしか、間違いか、その点をぜひ次長から話してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/20
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021・副島有年
○副島政府委員 お答えいたします。
先ほど先生に申し上げましたように、私どもは誠意を持って、簡保の余裕金の利回りの向上ということで今回の法律改正をお願いしておるわけでございまして、裏の心は全くございません。
たまたま金利が現在底を打ってきておりますので、先生がおっしゃったように、現行制度においては〇・四%くらいのアップしかない。あるいは今回公定歩合が下がりまして、郵貯の預託金利が下がるとあるいはこの差が縮まるかもしれません。これは今後の審議会の動向いかんによりますけれども、かつて八%に運用部の預託金利がございましたときに、この簡保の余裕金利、預託金利は六%にとどめられていたわけでございます。そういう場合には、今回の制度であればこれが七・九に上がるわけでございます。
私どもとしては、金利の動向としては、現在金利は底を打っているというふうに考えております。したがいまして、今後、この制度によって余裕金というものは運用利回り上はかなり有利になっていくというふうに考えております。
それから、先生がおっしゃったように、ではなぜ同じにしないんだという御議論もあると思いますけれども、簡保の余裕金は、御承知のように翌年度積立金になって払い戻されるまでの間の期間、長くて約一年でございます。ただ、毎年度新たに余裕金が入ってまいりますので、言ってみますれば底だまり部分というものがかなり長期に運用されるということで、私どもとしては従来とも六%という優遇金利を付してきたわけでございまして、これが今回さらに優遇金利になるということでございますが、では七年ものの長期となぜ同じにしないんだということでございますけれども、七年ものの方は、御承知のように、約定期間七年といって、あくまでも最初から長期に預ける資金でございます。
そういう意味で、簡保以外の運用部資金の預託金利との均衡上の問題もございまして、全く同じにするわけにはいかない、〇・一%というきわめてわずかな差で今後運用をしていこうという結論になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/21
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022・鈴木強
○鈴木(強)委員 次長さん、そうしますと私の心配していることが危惧であって——たとえば民間の貯金が普通で〇・五%、定期が〇・七五%ですか、十七日から下がりますけれども、郵便貯金の方はどうなるかわかりませんが、仮に〇・五ないし〇・七五というものが引き下げられることになった場合、変動部分の〇・一はどんなことがあってもいいのですが、〇・四というものが怪しくなるということはあるでしょう。仮に〇・七五になったらどうなりますか。一般の郵便貯金の預託金利に全部右へならえしてやっているわけですか。民間の金利は全然考えないのですか。そこら辺はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/22
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023・副島有年
○副島政府委員 今回の公定歩合に関連しまして金利がどうなるかということは、いまこの段階で私は何とも申し上げようがないので御勘弁願いたいのですが、現在、運用部資金法によりますと、預託金利は六%に特利を付すということになっておりますので、現行法では運用部の七年ものの預託金利は六%以下には下げられないということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/23
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024・鈴木強
○鈴木(強)委員 ですから、単なる危惧ではなくて、実際にこれが目の前に来ているような気が私はするわけです。御利益が少ないですね。確かにいまの段階では、おい、上げてやったぞ、なるほどな、ところが、よく見ると何のことはない、固定の六%が五・九%まで下がっているじゃないか、変動部分というのは〇・五あるけれども、どうもこれもまた下がりそうだ、六%だけは法律の方でも保証してくれているけれども、それ以外は保証されていない、だから下手をすると、ちょっとたつと六%で何も妙味がないのじゃないか、いままでと同じだ、と、こういうことになると私は思うのです。
ですから、ちょっと思い過ごしかもしれませんけれども、この案を拝見しまして、固定部分を六%くらいにしていただいて、変動部分に対してたとえ〇・一%でも二%でももう少し思いやりのある配慮をしてもらえなかったのかなというふうなことを直観したわけでございます。ですから、そこはいまあなたに、基準金利の決まらないときですから——だけれども、それは間違いないですよ。これは必ず変わってくるのですから、そういう点もありますので、本質的な積立金への移行を考えていただかなければいつまでたっても前進にはならないと私は思います。
さきの次長さんのお考えは、私たちの意見も踏まえてやっていただけるということですからお願いします。大臣にもこの論議をあなたからぜひよく伝えておいてくださいませんか。
そこで、大臣、あなたに言うのは酷だと思いますけれども、あえて私がきょうもこの問題を取り上げましたのは、附帯決議もあるし、さらに一歩前進ではあるが、そういう危惧も一面にはあるので、したがってどうしても積立金への移行をしていただかない限りは根本的な解決にならないという気持ちで重ねて申し上げたわけでございます。したがって、郵便貯金の金利がどうなるかわかりませんが、これは大臣の従来の御所信でぜひ下げないでほしい、そういう考え方で進んでほしいと私も重ねてお願いしますが、この点については附帯決議がございますから、あなたも国務大臣として、大蔵大臣にもあるいは総理にも関係の閣僚にもより一層強い発言をしていただいて、そしてわれわれの願いがぜひ実現できるように今後とも最善の努力をしていただきたいと思いますので、御所信を簡潔に述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/24
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025・服部安司
○服部国務大臣 国会の附帯決議を尊重するのは当然私の務めでありまして、また、事業を預かる立場から、保険加入者に少しでも多くの配当ができるということは当然その立場において願うことでございますから、大蔵当局とも十二分に話し合って、できるだけ早い機会に附帯決議の趣旨が実現できるように努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/25
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026・鈴木強
○鈴木(強)委員 持ち時間が少ないものですから十分な質疑ができませんが、少し中間的にお聞きしたい点がありましたけれども、これを省略しまして郵政省の方にお伺いしますけれども、約九兆円を超すような積立金があると思います。そこへ毎年毎年余裕金が一兆五、六千億円くらい——これはいまお話しのように運用部の方で運用しているわけですが、そういった金を有利、安全、確実にお使いになる方針をお決めになって、そこで運用収入、利子収入というものを得て簡保を賄っているわけでございますが、いま申し上げたような運用利回りがある程度上がるとして——また上がっても、変動部分がありますから利率は自動的に下がるようになるかもしれません。
いずれにいたしましても、いま想定して五十三年度予算を立てていると思いますから、その場合に運用収入、利子収入が幾ら計上されているのですか。幾らと見込んでおるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/26
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027・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 お答えいたします。
五十三年度の簡易保険の積立金の額は九兆六千三百八十八億円でございます。それから、発生余裕金は一兆五千五百二十四億円を見込んでおります。したがいまして、五十三年度末におきます総資金量は十一兆一千九百十二億円になると見込んでいるわけでございます。
また、五十三年度におきます運用収入は、予算の段階の見込みでございますが、七千二百八十三億円を予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/27
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028・鈴木強
○鈴木(強)委員 それで、この七千二百八十三億円をどういうふうに加入者に還元しておるのでございますか。これをどういうふうに使って事業を運営し、加入者にサービスしようとするのでございますか。
これは要するに純利益と見ていいわけですね。この中からいろいろなものを差し引いて幾ら残るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/28
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029・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 資産の運用によります運用収入がずばり契約者の方に配当になるというわけではないわけでございまして、その一部を配当の方に回すということは当然私どもも考えていかなければならない。たとえて申しますならば、保険料の基礎の中におきますいわゆる予定利回りといったものとそれから実際の利回りの差、つまり利差益というような形で呼んでおりますけれども、そういった部分に相当するものにつきましては、配当というものにつきまして、その年度年度見込み決算をやりまして考えていくということでございますが、その他の部分につきましてはそれぞれの支出がございます。したがいまして、運用収入あるいは保険料収入といったものを合わせまして、これを一つの収入といたしまして、これに対応する事業運営上のもろもろの歳出に充てていかなければならない、こういうことでございます。
その中で、新しく入ってまいります保険料の部分、これに対応する保険契約の部分でございますが、それに対応する将来の保険金あるいは還付金等に充当するための準備金といったものの積み立てもそれぞれ保険数理に基づきまして計算してやっている、そういった考え方が基礎になりまして毎年度の予算を組み立てている、かように御理解願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/29
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030・鈴木強
○鈴木(強)委員 もうちょっとわかりやすく説明してもらえませんか。もちろん、簡易保険に入って契約する際に掛金を三万なり四万なり払いますから、その掛金の中には従業員の待遇、給料とか手当とかいった一般的な事業運営費が入っているでしょう。そういう保険数理の上に立って保険料、保険金が算定されているのですからね。
そこで私が聞きたいのは、掛金、保険料を集めて運用する金が十一兆一千九百十二億円あるわけですから、この金を高利に安全に運用して、言うなれば利潤をかせぐ金が七千二百八十三億円ですか、そういう意味に私は聞いたのですが、そうですね。そうすれば、この金を一体加入者にどういうふうに配分するのですかと聞いているのです。そこには簡易保険福祉事業団もございますね。そういうところにも配分されて、それが福祉事業団を通じて全加入者の利益のために使われる部分もあるでしょう。それからほかにいろいろあるでしょうから、この配当金を一体どういうふうに加入者に還元しているのですかと聞いているのです。もしここで数字がわからなければ、後で資料を出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/30
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031・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 私ども、先生の御趣旨に沿ってお答えしているつもりでございますが、ちょっと説明が悪かったと思います。
運用収入は確かに運用資金の運用によります利子収入でございまして、その資金が生んだ果実でございますが、保険料の計算の基礎の中にはあらかじめ運用予定利回りを含めて計算されております。したがいまして、そういった利回りも含んで将来の保険金を支払うべきそれぞれの保険契約の保険料が算定されているということでございまして、それは一部は事業費の方にも充てられる。いろいろと使途を見ているわけでございます。したがいまして、運用収入がずばりそのまま増配にみないってしまうわけではないわけでございます。
数字についてはちょっと細かく、また少し複雑になりますので、お言葉に甘えて省略させていただきますが、後ほどまた別途提出させていただきたいと思います。
簡易保険郵便年金福祉事業団に福祉施設を設置、運営させておりますが、それに対します出資金、交付金あるいは契約者への配当といったものも含めまして、運用利回りの向上によります収入の一部は全体として充てられていっている。ただ、そう申しますとまた若干誤解を招くかもしれませんが、事業団の出資金は、これは一つの出資でございまして、資産の運用という意味合いも会計上から見れば考えられると思いますが、事業団の交付金につきましては運用収入の一部を充てていると申せるか、あるいはいわゆる事業費の一部を充てていると申せるか、これは両面の性格があろうかと思いまして、一概に運用収入の方からずばり太いひもで結んで御説明するのがいいかどうかは若干議論のあるところだと思っております。したがいまして、鈴木先生の御要望になるようなすっきりとした御説明ができないことはまことに残念でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/31
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032・鈴木強
○鈴木(強)委員 まことに残念だなんて、そんな答えはないでしょう。これだけの利潤は、加入者の金をあなた方が運用してかせいでいる金だから、そのかせいだ金がどう配分されているかわかりませんなんていう、そんな無責任な答弁がありますか。いまできなければ後でもいいですよと私は断ってあるでしょう。だから、加入者が納得できる資料を私に示すと言うならわかるけれども、いまのあなたの説明では何ぼ聞いてもわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/32
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033・服部安司
○服部国務大臣 御指摘はしごくごもっともでありますから、御納得のいただけるような整理をいたしまして、適当な時期に御理解を得る努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/33
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034・鈴木強
○鈴木(強)委員 大臣がわざわざ立って御答弁いただいたので、そうさせていただきます。
そこで、もう一つ資料を要求しておきますが、疾病傷害特約つき五百万円の十年払い込みの終身保険に入った人で、保険料月額四万一千五百円、特約が三千五百円、合わせて四万五千円払っている満六十六歳の人を仮定すると、これは保険数理的にどういう根拠によってこの掛金をはじいたのか。これも後ほど資料で出してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/34
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035・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 ただいま御指示の資料につきましては、十分検討いたしまして後ほど提出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/35
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036・鈴木強
○鈴木(強)委員 それから、もう一つ。この点は私もよく郵政省にもお願いをしておったのですが、満期になりまして保険金を取らないで失効してしまったようなものがどのくらいあるものでございましょうか。
そして、取りに来ないのはどういう理由かわかりませんが、契約者に対して周到な連絡等をしていただいて、少なくともそれが満期になって契約者に保険金が行かないことがないように努力をされていると思いますが、最近の額でどのくらいございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/36
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037・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 時効が完成したために保険金が支払われていない契約が五十一年度では一万四千二百件、保険金額で一億二千六百万円となっております。
これは結果的な数字でございまして、時効完成のものが出ないように私どもとしては努力しているわけでございます。したがいまして、五十一年度につきましては現在一応集計できておりますが、その後のものについてはまだ見込みは立っておりませんし、これは結果的な数字というふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/37
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038・鈴木強
○鈴木(強)委員 無効になって収入金に入るのだと思いますけれども、こういう場合は契約者もわかるのでしょうね。行方不明でわからないのか。どういう理由なんですか。
そして、それに対して、もしわかれば懇切丁寧に契約者を追跡するとか、そういうことはどうやっておられるのか。あるいは郵便の窓口に、ことしはこれだけの件数がありますから心当たりの方はぜひ申し出てくださいとか、加入者への親切な周知はどういうふうにやられておるのですか。
これは郵便貯金の万もそうです。相当時効になるものがあるわけです。私は毎年聞いておるのですけれども、残念ながらこういう件数が出ておるわけでございますから、そういう周知についてもう少し親切にやったらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/38
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039・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 保険契約が満期になりますと、地方簡易保険局の万で、保険契約が満期になる前に電子計算機によりまして、支払い金額などをプリントしました保険金の受領証等用紙というものを作成いたしまして郵便局の方に送りまして、契約の受け持ち郵便局でこれを、満期の日が到来いたしましてから保険金の受け取りの方に対しまして支払い案内をした上で保険金の支払いをするということにしております。支払い案内をいたしましても支払い請求のない契約につきましては、適宜の時期に反復して支払い案内をするということにいたしております。
また、転居などによりまして保険金の受取人の方の居所が不明なものにつきましては、郵便局の方で郵便関係の方に問い合わせまして、そこでできるだけ転居先を探しましてまた御連絡をするということで支払いの促進に努めているという体制をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/39
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040・鈴木強
○鈴木(強)委員 どういうわけで時効になってしまったのか、そういう種別はいろいろあるでしょう。転居先不明とか、何回も出したけれども返事がないとか、支払いますよという通知を出しても、受け取ったらしいが来ないとか、いろいろあると思いますから、そういうものの一万四千二百件の件数の内訳とそれから金額を後で資料で出してください。
それから、告知義務違反による契約の解除というものがどのくらいあるか。これは基本契約の申し込みの当時、保険契約者または被保険者がいろいろ掲げた申し込み書の質問書に対して意見を述べておりますが、その中に、重大な過失によって事実を曲げるようなものがあった場合とか、真実でなかったとかということで契約を解除することになっておりますが、そういうものがどのくらいありますか。
それから、保険金の倍額支払いをした件数がどのくらいございますか。
それから、もう一つ、郵便規則によって郵便物を配達しなくてもいいところがありますね。そういうところに住んでいる方々の簡易保険の加入者の集金の方法は一体どういうようにしているのか。窓口に持ってきなさいと言っているのか。あるいはそういうところへも保険の方は足を運んでやっておられるのか。全国にそれがどのくらいありますか。
それから、もう一つは、募集手当というものがあると思いますが、これについてはどのように支払われているのか。
これらの点を資料で出していただきたい。お願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/40
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041・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 ただいま先生がおっしゃいました件、告知義務違反の関係、それから倍額支払いの関係、それから郵便の配達をしていないところというのは郵便規則八十五条の一項のところでございますが、それの保険集金の関係、それから募集手当の関係、こういった点につきまして後ほどまた資料を出させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/41
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042・鈴木強
○鈴木(強)委員 では、最後に簡易保険郵便年金福祉事業団の問題についてお尋ねをしたいと思います。
きょうは竹下理事長には大変お忙しい中をおいでいただきまして、ありがとうございました。
この事業団法ができましたのが昭和三十七年であったと思います。すでに十六年の年月が経過しておりますが、この間歴代理事長を初め事業団の各位が設立の趣旨にのっとり、その目的達成のために大変御努力をいただいておりますことについては加入者の一人として感謝をいたします。
いまお聞き取りのように、簡易保険というのは、簡易な方法によって零細な庶民大衆の福利を守ってやるという趣旨のものでございまして、一般の民間保険とはその性質を異にするものだと思います。そういう意味において、この法第一条にもありますように、本来こういう仕事は郵政省がおやりになるのが筋だと私はこの法律のときも申し上げましたが、しかし、事業団をつくってやった方が効率的、能率的、合理的な運営ができるということで発足をしたことも私は記憶しておるわけであります。したがって、十六年を経過した今日、国会審議の際にお述べになった郵政省のこの法制定当時の理念というものが今日本当に生かされておるかどうか、こういう判定をする時期にそろそろ来ていると私は思うのでございます。
ですから、事業団としては、少ない人員の中で全国的にいろいろな施設もたくさんお持ちになっておりますから御苦労が多いことと思いますが、おおよそその目的に沿って生々発展していると私は理解をするものの一人でありますが、まず、当事者である理事長から、発足以来十六年間の歴史を顧みて、法制定の目的に沿ってどういうようにいっておるのかということをお聞きしたいのと、そして、願わくはこういうふうな点が改善されればもっと運営がうまくいくのだというような御意見がもしおありでしたら、そういう点もお聞かせをいただきたいと思います。
それで、特にちょっと触れていただきたいのは、いまもお話がありましたように、出資金、交付金というものも毎年毎年出ておるようでございますが、現在出資金を含めて資本金はどのぐらいになっておるものか。会の組織的な人員等ももしお触れになれたら触れていただいて、最初に概括的な御意見を聞かせてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/42
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043・竹下一記
○竹下参考人 お尋ねに対しましてちょっと順序不同になるかと思いますが、事業団創設以来の郵政省からの出資金の総額は、五十三年度の、本年度の予算を入れまして六百七十一億円に達しております。
十六年前に事業団が創設いたされまして今日に至っておるのでございますが、その当時国が直接やっておりました施設は、加入者ホーム三カ所、診療所二十九カ所、計三十二カ所にすぎなかったのでございますが、今日、保養センターでありますとかレクリエーションセンター、会館等、そういうもの合わせますと、数において百十六カ所になっております。それから、その当時の年間の利用人員は三十二万人であったのに対しまして、五十一年度の集計によりますと四百九十万人でございますので、最近の五十二年度は五百万人に達しておるということでございまして、数においても飛躍的に福祉施設が増強されたと私は思うのでございます。これに対しましては、郵政本省がこの福祉施設を非常に重要なものと考えられまして資本を投下してくれた結果でございますし、また、加入者の御要望も非常に強いのでありまして、その加入者の御要望に対してこたえてきた結果であろうと私は思います。
私どもはこの施設をお預かりいたしまして運営に努力をいたしておるのでございますが、自分のことを申し上げるのは大変恐縮でございますけれども、これは郵政省の組織で郵政省が直営という形でやるということはやはり非常に無理があったろうと思います。事業団になりまして、これは民営ではございませんので、予算統制、給与統制、人事上の統制もかなりございますけれども、それにしましても、国が直接やっておったことに比べますとかなり弾力的、効率的な経営ができたと私は思うのでございます。
私どもは日常そういうことで努力しておりますが、満点のことをやっておるとは私は思いません。まだ相当お役所的な経営ぶりがあるんじゃないかということをみずから反省しておりますけれども、そういう点につきましては十分に自戒いたしまして、さらに能率的な、加入者の皆さんに喜ばれる経営に心がけたいと、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/43
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044・鈴木強
○鈴木(強)委員 飛躍的に施設がふえております。第一条の「目的」にも、「事業団は、簡易生命保険及び郵便年金の負う使命の達成に資するため、簡易生命保険及び郵便年金の加入者福祉施設の設置及び運営を適切かつ能率的に行うことを目的とする。」と書いてありますから、この福祉施設の設置と運営を適切にかつ能率的にやるのがおたくの使命でございます。そういう意味において、施設の数がわかりましたし、利用者の数もわかりましたが、しかし、果たしてその運営が適切能率的に行われているかどうか。この点はきょうは時間の関係で詳細な質疑ができませんが、たとえば保養センターとか加入者ホームとか、こういったものは少なくとも北は北海道から南は沖縄まで公平に設置されることが望ましいと思いますし、そういう方針でいまお進めになっていると思います。
そこで、加入者ホームでございますが、これは郵便年金の加入者も入れるのでございましたか。何カ所あるのですか。どのくらい収容されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/44
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045・竹下一記
○竹下参考人 郵便年金の年金を受けられる方、それと契約額三十五万円の簡易保険に入っておられる方が入所資格があるわけでございます。個所数は全国で十三カ所になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/45
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046・鈴木強
○鈴木(強)委員 何人ぐらい入っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/46
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047・竹下一記
○竹下参考人 長期と申しまして五年間入所できる人と、短期の利用の人と——短期といいますのは一月以内、一泊、二泊といった利用の方が多いのでございますが、それに分けて申し上げますと、長期の方が三百名くらいになろうかと思います。短期はちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/47
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048・鈴木強
○鈴木(強)委員 概数でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/48
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049・竹下一記
○竹下参考人 ちょっと数字を間違えました。長期の利用者は五百五十八名です。それから短期の利用者、つまり一晩、二晩の利用者は年間で三十四万人です。こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/49
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050・鈴木強
○鈴木(強)委員 それで、このうち年金を受給している者は長期の面で何人くらいございますか。わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/50
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051・竹下一記
○竹下参考人 当初はほとんど年金受給者であったようでございますが、簡易保険の加入者の方もお入りができるようになったという経緯がございます。その内訳についてはただいま数字を持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/51
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052・鈴木強
○鈴木(強)委員 それはまた後で資料を出してください。
それから、郵政省にちょっとお伺いしますが、郵便年金は制度発足当時はそれなりの意義があったと思うのですけれども、その後八つの年金もできまして、国全体としての年金制度の中で影が薄れてきた。したがって積極的な募集もしないし、件数も少なくなってきている。だから、簡易保険と郵便年金と書いてある法律でも、郵便年金の積み立てということについてはほとんど触れていたいが、積立金の運用の中にはあるはずだ。いま言ったように郵便年金にはメリットがあるのですから、まだ捨てがたいものがあると思う。何か郵政省は投げたようなかっこうで、年金額も二十四万円ずつ、それっきりでもって法律を変えようという意思も全然ない。ないならないでなくすようにすればいいんだけれども、何だかヘビの生殺しみたいなかっこうに放置されているように思うのですよ。
だから、大臣、これは一遍検討してもらって、こういうメリットもあるわけですから、もう少し基本方針をきめてやるならやるというようにしていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/52
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053・服部安司
○服部国務大臣 前回も御指摘がありましたので、局長以下関係者を集めて、この郵便年金について、過去の経緯また現在の法制の中で時代に即応しているかどうかもあわせて検討を加え、研究をし、私の考え方では、できればこの整備拡充を図って大いに実施の方向に持っていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/53
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054・鈴木強
○鈴木(強)委員 そういうふうなメリットを生かすとかなり入る人があると私も思うのですが、年金額はもう少し大きくなってもいいと思うのですよ。しかし、大臣の意見に賛成ですから、その方向で検討していただきたいと思います。
そこで、理事長さん、簡保の診療所というのは貴重な存在になっているのですよ。特に山村僻地に行きますとなかなか医者が住みついてくれない、したがって診療を受ける機会もないというときに、簡易保険の診療所が定期的に診断に回ってくれたりしているでしょう。そういうことをいまやっていますか。非常に喜ばれているのですね。ところが、これが全国的に見てどうも偏在しておるが、これはいまどことどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/54
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055・竹下一記
○竹下参考人 診療所は全国で二十九カ所あるのでございますが、昭和三十一年、三十二年、三十三年にかけましてその大部分のものができたわけでございます。その後診療所の設置をやめておるのです。それはどうしてかと申しますと、その当時の医療の形と大分様子が変わってきておりまして、いわゆる国民健康保険制度ですか、そういうものが普及いたしまして無医村の数がずっと落ちてきております。(「まだたくさんある」と呼ぶ者あり)まだ残っておりますけれども、その当時に比べると大分少なくなってきておる。それから、保険制度の普及によって医療の機会がふえてきておるということがございますのと、この診療所を設置することにつきましてのある抵抗もございますし、そういうことが絡みまして新しい設置を取りやめておるのでございます。
いま残っております二十九カ所につきましては最も効率的な運営ということを心がけまして、無医村地域にはスケジュールを組みまして、一年に何回か巡回診療もいたしまして、精いっぱいやっておるわけでございます。
ただ、当初の全国的に普及させようという意図が崩れたものですから、全国をながめまして、最も公平に置かれておるかということになりますと問題が残っておるわけです。将来ここにも置くべきだと思って計画を立てたのが取りやめになったわけですから、偏在しているんじゃないかと言われれば、そういう点は若干あると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/55
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056・鈴木強
○鈴木(強)委員 その点は理事長も率直にお認めになりました。私は、簡保の特性というものはいまの加入者ホームとかあるいは診療所だと思うのですね。私のところは山梨県ですけれども、あなたはああおっしゃるけれども、かなり無医村があるのです。そういうところは四キロ、八キロとパスに乗って遠くまで行かなければ診察もしていただけないというところがありまして、そういうところにたとえば保険診療車が行って診てくれるということになるとうんと喜ぶわけです。なるほど簡易保険に入ってよかったという切実感を感ずるのですね。
ですから、昭和三十何年でしたか、この問題が出たときにも私は廃止には反対したのです。ところが、医師会の意見もあったりいろいろあってやっているのですけれども、しかし、医師会が幾ら反対してみたってそういう山の中が残っていることは事実ですよ。そういうところに本当に手を差し伸べてやることはやはりいいことだと私は思うのですよ。しかし、どの程度の利用者があるかわかりませんが、入院するというところまでは施設はないのでしょう。ですから、そういう設備もある程度拡充しながら、簡易保険らしい診療所というものを、偏在しておるものをもう少し公平に設置するように格段の配意をしてもらいたいと思うのですよ。
これはあなたは理事長ですから、郵政省の方針で決められてしまえばどうにもならぬことですけれども、理事長としてもそういう発議をして大いにやってもらいたいと思うので、その点に対する理事長のお考え方を伺いたいことと、最後に、大臣には、こういう診療所の設置について、いま偏在しておりますから、これを公平に置くように、その点は大いに検討していただきたい。公平に配置して、加入者が全部公平にやれるようにしてもらいたい。
特に、郵便規則の八十五条のような地域ですが、ああいうところは僻地でありまして、郵便も持ってきてくれない。それから恐らく保険料も自分で持っていくということになると思うので、そういう点においてはいろいろな不公平を感じますね。だれも山の中に住みたくて住んでいるのじゃないのですよ。そういう山の中へ電話をつけ、そういうところへ手を差し伸べてやるのが公共事業の事業たるゆえんがあると私は思うのですね。ですから、できるところからそういうところに手を回してやるようなことを考えてやってもらいたい。そういう意味においてはこういうことも非常にいいことだと私は思いますから、ひとつ大臣からも、ぜひ設置して公平を期すようにしていただきたいと思うのですが、その点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/56
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057・竹下一記
○竹下参考人 まず、診療所の利用人員ですが、年間四十六万人、これは五十一年度の実績です。
それから、診療所の将来の持っていき方ですけれども、私どもは意欲はあるのですけれどもなかなか抵抗が強いことは事実でございまして、現在ある診療所を、老朽になりましたのでいまの場所からあるところへ移転するということにつきましても大騒動なんですね。それが一つございます。
それから、医者の確保ということは非常にむずかしいことで、これは経営の苦心として申し上げますが、そういうことがありましても何とかして医者を見つけてやっておりますけれども、非常にむずかしい実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/57
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058・服部安司
○服部国務大臣 まことに不勉強で、そういったことがあるということ自体きょう初めて知ったので、急ぎ資料をもらって見てみましたが、確かに御指摘のとおりこれは偏在していることは事実で、いま理事長が申し上げたとおりに、現代の医療機関で一番の悩みは医師と看護婦の確保です。しかし、それは理屈にならないので、ひとつ勉強させてください。
御要望にこたえるように、国民全体、利用者全体のために前向きで研究、検討をいたします。きわめて早い時期に結論を出し、御報告したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/58
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059・鈴木強
○鈴木(強)委員 では、これで終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/59
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060・松本七郎
○松本委員長 田中昭二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/60
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061・田中昭二
○田中(昭)委員 最初に、いま上程されております法案とはちょっとそれますけれども、郵政省にも大いに関係のございます困った事件が起こっております。いわゆる成田空港事件でございますが、そのことを最初に大臣にお伺いしたいと思います。
三月二十六日のあの空港乱入事件で、報道されるところによりますと百六十五人の逮捕者が出ておるようでございますが、このうち身元が確認された者の中に公務員が十四名もおる。さらに、その十四名の中に郵政省職員が残念ながら六人含まれておる。電電公社の職員が四人おる。合計しますと郵政省関係で十人を占めておるということでございます。しかも、管制塔に乱入した六人のうち二人が郵政職員であるということが報道されております。
この成田空港の早期開港を国の施策として一貫してやってこられました現内閣の一員であります大臣でございますが、その大臣の所属の職員の中からこのような多数な逮捕者を出した。それが開港が遅れ、国際信義にももとるような一大事件に発展して、多大な不安と迷惑をかけておりますが、この事実に対しまして郵政省の最高責任者であります大臣のお考えはいかがなものでしょうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/61
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062・服部安司
○服部国務大臣 今回の成田空港事件で逮捕された者の中に私どもの郵便局の職員がいましたことはまことに残念なことであると同時に、非常に申しわけなく思っている次第であります。
犯罪を行った者につきましては、事実に即して速やかに厳正な措置をするとの方針のもとに、すでに事実が明確になりました郵便局員二名に対しましては懲戒免職処分を行いましたが、今後も事実関係の確認をできるだけ急ぎ、厳正に措置をする考えであります。
従来から、国民より負託された大切な事業を円滑に運営していくためには、法秩序の維持、職場規律の維持が第一であるとの観点から、常に各職場においてその指導の徹底を期し、特に暴力に対しては厳正な措置をとるように指導してまいる。たとえ一部の職場の、しかもほんの一部の職員とはいえ、いやしくもその指導に徹底を欠く点があったことについては全く弁解の余地はなく、率直に反省をいたしております。
私は、今回の悲しむべき事件に対しまして、国際的信用の失墜、また極左破壊活動分子による成田空港の管制塔の乱入に郵政職員が二人いたことは、これは全く平素の人事管理の面にも大きな問題があったと考えるのでございます。
私の知る範囲では、郵政省職員の中にかなりこういった分子のいることもある程度資料を得ておりますので、今後人事管理の面において、必ず職員の一人一人が法秩序を守り、明るい職場づくりをすることのために一層の努力を傾けて、国民から信頼を大きく失墜いたしましたことに対して一日も早く回復するように懸命の努力を払ってまいりたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/62
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063・田中昭二
○田中(昭)委員 いまの大臣の御答弁はそれなりにりっぱなことでございまして、特に、こういう暴力破壊の思想を持った者が郵政省の中にいたということについての反省はわかるわけでございます。そして、また、郵政省が国民の広い層に現場機関を持って国民から信頼されており、昔は郵便局の赤い自転車とかばんを下げてくる人には絶対の信頼があったが、そういう信頼もさらに裏切っていくような、不信感を持つような、そういう状態に対しましても特段の反省をするということでございますから、それはそれでいいわけですが、そのことが実際はなかなかむずかしい問題があろうと思います。大臣の御発言を受けて、役所が一体となってそういう国民の信頼をかち得るような努力をすることはやはり大変なことであろうが、そういうふうになっていかなければならないと思うわけであります。
そこで、もう一つ、このことにつきましてこの委員会でも、また他の委員会の集中審議等でもいろいろ聞いておりますと、何やら、昨日の国対委員長会談でもこれに対する立法措置というようなことが話に出ておるようでございますが、そういうことについてもう少し国務大臣としての大臣の御意見を聞きたいと思うのですが、その前に、成田空港はわが国の国際空港として、わが国の国民のみならず海外の多くの人が利用するわけでございますが、その空港の開港に当たって、開港の時期も一応決められたのですが、空港という国際的にも大事な問題を持っておりますところで、いろいろな人が関係する場所でございますけれども、そういうところが現実にこのような状態で安心して成田空港が利用されるだろうかという気持ちがあり、この事件の前からも私はそういうことを心配しておったわけでございます。この事件が起こりましてからさらにそのむずかしさを痛感したといいますか、不安が増長しておるというふうに私は思います。
そこで、とにかくその関係者が安心して成田空港を使えるということに今後ならなければならないが、ところが、聞くところによりますと、あるトップ企業の経営の指導者の方が、人命の尊重ということから考えれば、うちの企業の社員には成田空港が開港になってもそこから海外には行かせないという心境をお述べになったと聞いておりますが、まず、いわゆる日本国民全体としての成田空港に対するそういう不安といいますか、経営の指導者の人がそういうお感じを持っておられるということについては、大臣としてどのようにお考えになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/63
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064・服部安司
○服部国務大臣 五月二十日に、先般の閣議で、政府の責任において警備の完璧を期し開港することを内外に宣言いたしましたことは御案内のとおりであります。閣議の場においても、いまの先生の御指摘のような意見がかなり出ました。
しかし、最終的には先ほど申し上げたような結論に達したわけでありますが、これには条件がございます。まず、国際的に信頼を得るためには、いま御指摘の安全確保をやるということで、それについては、独立した空港警備警察の定員の増が政令の改正で決まりました。こういった面と、また関係各省、たとえばわが郵政省であれば、当面電波関係の安全確保のための協力をすること、このように各省に関係あるものは総力を挙げて安全を期するというような内容を盛り込んだ理由で決定をいたしました。
ただいま、あるトップ企業の社長が、うちの社員が外国に出張の場合にはあの空港を利用しないと言ったという御指摘ですが、私も、トップ企業でない普通の人でも、私の子供であっても、友人であってもそういうことを言うかもしれません。それほど非常に悪く、危険だという印象を与えたことはもう否めない事実でありまして、いわんや外国から見た場合に、これは大変な報道をされて、まるで成田で戦争が起きたような感を持っているだろうと思いますので、これをどのようにして安心して信頼をしていただいて御利用をいただくかという点については、先ほど御指摘のように、いま各党でいろいろと御協議いただいている立法措置にわれわれもかなりな期待をかけて、また、国会の論議を通じていろいろと完璧を期する方途が見出されることを期待いたしております。
そういう立場からいろいろと異論はありましたが、何としても政府の責任において安全確保の完璧を期して開港に踏み切ったのでありますから、警備当局はもちろん、ありとあらゆる機能を総動員いたしまして——再ひこのようなことがありますともう必ず外国が利用してくれないこともわかっておりますし、また、あれだけの莫大な国費を投資した今日、国民から大変な批判を受けることも、これもまた否めない事実でありますから、こういった点も考えて御期待にこたえられ得る体制のもとで開港に踏み切ったような次第でございますので、何とぞ御理解を賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/64
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065・田中昭二
○田中(昭)委員 ここで結論を急ぐこともどうかと思いますから一応お考えを聞いたわけでありますが、ちょっとひっかかりますことは、この空港を守るための立法の問題と、それからもう一つは、そういう破壊活動が起こることに対する、国民も含めての政府のとる政策が最高のものであったかどうか、手落ちがなかったかどうかというようなことがまだ少し心配が残るわけです。
私も空港のことについては素人ですからよくわかりませんが、先ほど私があるトップ企業の方の話をしましたが、大臣もまた国民を守るためのりっぱな指導者であるわけです。ですから、自分もそういう気持ちもするとおっしゃったんですが、そこが大事な問題であろうと私は思うわけです。
成田でこういう問題が起こる背景には、行政府としての成田地域住民との話し合いも運輸省はいままでやっていなかったというようなこともございますし、また、自然条件の中でも、あそこは気流の関係が大変悪くてパイロットが危ないと言っている。そういうこともこの事件の原因の奥深くには含めてあると私は思いますので、そういう点の環境を整備し、そして国民がこういう状況のもとではなるほど安心ができるという確信を持てるようにし、そういう中ではね上がりの分子がそういうことにならないような手を打っていかなければならないと思うわけでございます。
聞くところによりますと、この前は管制塔だったけれども、この次は給油タンクではないかというようなことを聞くわけです。これはゲリラですからどういうところを襲うかわからない。給油タンクを襲うと言ったら、そこは襲わないそうですけれども、給油タンクをやれば、これはもう航空管制をやった以上の被害、混乱が起こると思います。そういうことをここで余り言いますと、そこをねらわれては困りますから控えますが、私としましては、国民がみんな安心できる方向の施策について政府の落ち度があれば、これはやはり前向きに——前向きどころかりっぱに手を尽していかなければならないと思いますし、これは福田内閣の責任において、今度こういうことがあったら内閣総辞職をするぐらいの覚悟をして取り組んでもらわなければならない問題だと思いますので、大臣も閣僚の一員として、この問題については閣議等においてもその辺のことをよく手当てをしていただくようにお願いをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/65
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066・服部安司
○服部国務大臣 ただいまの御指摘は全く私は同感であります。こういった事件の背景というものについては、われわれは率直に非は非で認めねばならない。
御指摘の地域農民との話し合いも、確かに先般の閣議でも問題になりました。他省のことにくちばしを入れることはどうかと思いますが、福永運輸大臣はいま精力的に、遅まきながら地域農民との話し合いの場を持って活躍しているそうであります。
私は、政府全体に大きな手抜かりがあったと言ってもこれは言い過ぎではないと思う。そういった農民の考え方を十二分に聞かなかったという点について、逆に極左破壊活動分子に機に乗じられるすきをつくったということも謙虚に反省をいたしております。
事件に関連するどの面をとってみましても、もちろんすべて政府の責任において処理せねばならない問題ばかりでありますので、先ほど申し上げたとおりに、そういった面も十分踏まえて対処してまいるべきであると私は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/66
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067・田中昭二
○田中(昭)委員 次に、先ほどもちょっと話が出ましたが、郵便貯金の金利の引き下げに関連して、いまのここに上程されております法案とも関係のあることについてお伺いいたします。
政府がいままで高度経済成長一本やりで来たことがいま安定成長ということで見直しをされておりますけれども、その安定成長期に入って貯金の金利がこうやってどんどん引き下げられる。これまた政府の失敗であろうと言わざるを得ないわけでございます。こういう低金利時代に入りまして、預金者は生活防衛のために、わずかな預金金利でも引き下げについては本当に抵抗がありますし、また、郵便貯金は郵便貯金法で定めるとおり、いままで言われましたとおり零細な貯金でございますから、それについては特段の配慮をなされておることはわかります。
それに関連しまして、今月の初めでしたか、テレビ報道によりますと、生命保険会社の五十二年度の配当金が少し下がるんじゃないかというような報道がなされておったようでございます。これは先ほど鈴木委員からもちょっと触れられた問題でございますが、配当金を〇・二%から〇・四%くらいに下げるというような話が流れております。これはどうしてかと言いますと、いわゆる運用利回りが七・九から七・二くらいに下がるからだというふうに言われております。
そこで、先ほど申し上げましたように、簡易保険におきましてもこの影響を受けて剰余金の引き下げがあるんではなかろうか、その結果は保険料の引き上げになる、負担の増加になる、こういうことになりますが、こうなりますと加入者の利益は大変損なわれるわけであります。そういうことにはならないと思いますけれども、大臣としてはどのように簡易保険加入者に対する配慮をお考えになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/67
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068・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 簡易保険の場合でございますが、やはり、景気浮揚策の一環といたしましての最近の公定歩合初め各種の金利の引き下げというものがございまして、市中の金利というものは最近、昨年の二月以前に比べまして一・五ポイントないし二ポイント程度低くなってまいっております。したがって、簡易保険の資金の運用につきましても、債券などの有利部分の新規の利回りがやはり市中の金利の低下に伴って下がってまいりまして、また、あわせて財投の標準貸し付け利率につきましても、昨年の六月と十月と二回にわたって合わせて一ポイント引き下がっております。
〔委員長退席、鈴木(強)委員長代理着席〕
しかしながら、五十二年度におきます運用利回りにつきましては、金利の引き下げの時期が年度の途中でございました。それから、従来からのいわゆる高金利の時代の運用というものがストックとして残っているというようなこともございまして、五十二年度につきましては、大体五十一年度の運用利回りが七・一四%でございますが、同程度は維持できる見込みということになりまして、その結果、今回、新年度、四月から昨年度並みの配当、これは簡易保険の場合には上積み配当として、御承知のように配当はやはり積み立てておきまして、保険金あるいは還付金の支払いの際にお支払いするわけでございますが、そういう増配を実施したわけでございます。
先生の御指摘のように、これからの問題はどうなのかということでございますが、確かに、そういった新規の運用の利回りのものにつきましては低下傾向にあることは事実でございます。ただ、私どもといたしましては、今後とも運用利回りの向上につきましていろいろ工夫をしてまいりまして、できるだけ配当と配当利回りというものにつきましては努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/68
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069・田中昭二
○田中(昭)委員 五十二年度についてはそういう心配は要らないといういまのお話でございますが、簡易保険が五千万を超えるような加入者で、この生命保険は政府がやるということで、いわゆる郵政省がやっている生命保険でございますから、五十三年度もいまの運用利回りを相当勉強されて、それで十兆円からなる積立金もあるわけでございますから、そういう面ではこういうときこそ官営の生命保険としての特質をあらわしていかれることを私は強く要望するものでございます。
大臣のお考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/69
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070・服部安司
○服部国務大臣 関係者の努力で五十二年度は配当金を下げることなくできるということであります。
ただいま田中先生から五十三年度もという御意見でありますが、私は、国民に与える影響はまことに大きいという点を重視いたしまして、また、関係機関に思い切った経費の節減などを強く図って、この保険利用者の立場に立ってできるだけ有利になるように努力を続けたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/70
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071・田中昭二
○田中(昭)委員 次に、簡易保険の問題に入りますが、この法案に対してはすべていままで言い尽くされたようなことで、私も質問を用意しておりましたけれども、大体排除されましたから、細かい問題でございますが、簡易保険の団体払い込み制度についてまずお伺いしてみたいと思います。
この団体払い込み制度はそれなりの経過があるようでございますが、現在、払い込み団体の形態といいますか、そういうものがどういう形態別にあって、そして組数なり保険料がどのくらいあるのか、お知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/71
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072・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 払い込み団体の形態別で申し上げますと、まず、職域団体でございますが、これが団体の組数で六万三千組でございまして、この契約件数は三百四十万件となっております。表定保険料では九十二億円でございます。
それから地域団体でございますが、これは団体の組数が十七万二千組ございまして、件数は九十一万八千件、それから表定保険料で申しますと二百五十九億円でございます。
それから同業組合団体でございますが、これは四千組で二十八万件ございまして、表定保険料が十四億円でございます。
それから同趣同好団体でございますが、これは二万七千組でございまして、件数が四百三十七万件、表定保険料が二百七十九億円であります。
これはちょっと古うございますが、五十二年三月末現在の数字で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/72
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073・田中昭二
○田中(昭)委員 これは五十三年でわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/73
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074・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 まだ五十三年度末では集計できておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/74
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075・田中昭二
○田中(昭)委員 では、後でそれを直近のもので資料を出していただきたいと思います。
いま、形態別に、職域、地域、同業組合というふうに言われたわけですが、その最後に言われた同趣同好団体ですが、実は、この同趣同好団体が過去にいろいろと——保険料の集金手数料といいますか、そういうものもうまみがあって、問題を起こしたというように私は記憶をしておりますが、この同趣同好団体のそういうふうな保険料との関係は代表的にどういうふうな仕組みになっておるか、それを聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/75
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076・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 同趣同好団体でございますが、この同趣同好団体の分類でございますが、旅行団体、観劇団体、人間ドック団体、それからその他——これはリベート団体を含めましてその他でございますが、まあ大別してこの四つに分かれるというふうに私どもは整理をしております。
件数、組数等について申し上げますと……(田中(昭)委員「それはいいです」と呼ぶ)
この同趣同好団体の問題につきましては、従来から当委員会等におきましてもいろいろと御教示をいただきまして、その運営上の問題につきまして、昭和四十五年以来いろいろと払い込み団体の適正化を図ってまいってきております。
その払い込み団体の適正化につきましては、既存団体の整備改善をする、新規組成の場合の事前承認制を実施する、あわせまして簡易生命保険約款を改正して払い込み団体に対する規制を強化するなどの積極的な推進を行いまして、特にこの同趣同好団体につきましては、事故の未然防止を十分図りますために、一定の条件に該当するものの集金事務などを、郵政省の指導監督のもとにあります公益法人の簡易保険加入者協会の方に委託させるように指導しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/76
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077・田中昭二
○田中(昭)委員 ちょっと大臣聞いておってください。大臣も恐らく余まり御存じなかろうと思いますから聞いておるわけですが、私がいま質問しましたことに対してお答えが抜けておるわけですが、いまの話の中で、同趣同好団体の中にも旅行とか観劇とか人間ドックというものがあるし、それからそのほかにあるのはリベート団体だというのです。
そのリベート団体という言葉は正式じゃないと思いますが、そのリベート団体が問題をいろいろいままで起こした。だから、それはどういううまみがあってどういうことがあるからそういう問題を起こしたのか、固定した名称でなくていいですから、その代表的なリベート団体というのは大体どういうもので、それが大体どういうようにいままで運営されて、そこで問題が起こったからどうだったということを説明してくれとお願いしたわけですが、簡保局長、その辺をもう一度説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/77
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078・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 ただいま申し上げました同趣同好団体というものの中で、その中の一つの大きな分類として通称リベート団体と称するものがあるわけでございますが、これは御承知のように、この団体での払い込みを行います場合の割引額が保険料の七%という形でございますが、そのうちの集金手数料二%を除きました五%がそれぞれの団体の構成員である加入者に還元される。その還元される部分につきまして、現金あるいは品物の交付を目的といたしてこういった団体が組成されている。こういったものをいわゆるリベート団体というふうに言っているわけでございますが、運営の中で、その集金体制とかあるいは集金後の保険料の保管管理というような問題につきましていろいろと問題が起こった事例が出てまいりまして、そこで、こういったものにつきましては、今後その組成を規制する、新規の組成を認めないといったふうに従来から規制、指導してまいっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/78
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079・田中昭二
○田中(昭)委員 大臣、大体わかっていただいたと思いますが、もう少し簡単に言いますと、この団体は十五人以上の人を集めて保険料をまとめてちゃんと集金すれば、いま言ったように保険料の七%が返ってくる、そのうち五%は加入者に返し、二%は集金者の手数料だという、こういう簡単なことでございます。金額で言った万がわかると思いますが、仮に何十人かの団体の中から一人六、七万の保険料を取っていきましても、二十人かその辺の数字で一千万の保険料を集めてくるとしましても、いわゆる七十万が返ってくるわけです。そのうちの五十万は積み立てておきまして、何かの旅行とかそういうものに使うということでございますが、そういうことで四十八年でございましたか、東京で大変な不正が、これは保険料のほかにいろいろな問題もあったと思いますが、起こったわけでございます。
この同趣同好団体の保険にしましても、そういう問題が起こりましてから、いま局長から言われたようにリベート団体を規制して新規のやつはつくらないような方向でやっていると言うのですが、その前に郵政省は団体保険をずっと奨励してきた経過があるわけです。
それではちょっとお聞きしますが、いつごろからこの団体保険を始めて、最高どのくらいの組数があって、それがいつごろから規制を始めて、その規制の結果いまどういうふうにリベート団体は減ってきておるのか。その数からまず、大臣に教えてあげるという意味において言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/79
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080・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 リベート団体でございますが、こういった団体の組成というのは四十年代の前半の時期におきまして相当組成がされたというふうに把握しておりますが、ただいま先生からも御指摘がありましたようないろいろな問題もございまして、その後規制をし、現在は新規には組成をさせないという形でやってきておるわけでございます。
なお、そのリベート団体の改組ということ、あるいはまた解散という問題につきましても指導しているわけでございます。(田中(昭)委員「一番多かったときはどのくらいですか」と呼ぶ)
組数は全国で二万一千四百六十五組でございまして、件数で二百七十三万九千件、表定保険料で九十七億六千四百万円というのが、大体これは四十九年の三月に実態を把握したときの数字でございます。
その後の数字は最近のもので申し上げてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/80
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081・田中昭二
○田中(昭)委員 いや、いいです。
いまの局長の御説明によりますと、四十年ごろからどんどん組成を奨励してきて、四十九年に調べたときには二万一千くらいあったが、それが五十二年の三月末では八千八百くらいに減ったということなんですね。
問題は、私が現場に行きましていろいろな人から話を聞きますと、まあ二万一千でも二万でもいいのですが、とにかく郵政省が郵便局を通じて組成を奨励してきて、それにはちゃんと代表者なり集金人さんといういろいろな方たちがつながりがあるわけですね。その人たちは、その当時のいろいろな自分の実入りといいますか、一応いまの説明でいけば一千万のうちの二%の二十万円は集金人さんがいただくわけですから、極端に言うとそれをやめさせるということになりますと、その集金人さんは、一千万の保険料を取っておったその人は途端に二十万の保険手数料が減るわけですね。そういう問題が介在するわけです。ずっとふやしてきたものをある時点から減らしていくということになりますと、いまのように二万一千がここ五十二年で八千八百と、半分以上に減ったわけですからね。
そういう問題が一つあるということと、それからこの二万一千というのが全国的にどこに一番多かったかと言いますと東京なんですね。東京が一番数も多くて、そして大変な問題を起こしたのも東京です。その東京はそれじゃどうかといいますと、このリベート団体は先ほど言いますように去年の三月末で八千八百残っておりますが、東京郵政局管内ではこの八千八百の中の約四割、半分近いものが存在しているわけです。
そこで、その東京の一郵便局に行ってこの同趣同好団体の状態を聞いてみますと、その郵便局の管内では同趣同好団体を除いたものが九組ありまして、そしてリベート団体が五十五ですから、全体で六十四団体があって、そのうちの五十五、もう九〇%近いですが、それがリベート団体なんです。全国では二万一千から八千八百にずっと減ってきたけれども、八千八百の四割近くは東京であって、その東京がそういうように多いということを裏づける資料としまして、東京のある郵便局では六十四組団体がある中でリベート団体が五十五もある。そうしますと、とにかくこのリベート団体というのは、何かの不正というよりも、いままでの自分たちの実入りというものを考えれば余り規制してもらいたくない。現実に集金人さんはさっき言ったように二十万なら二十万の集金手数料が減るということになれば、これはやはり問題ですよ。けれども、いま言ったように東京ではそういうふうに、これは一郵便局ですから全部がそうだとは言いませんけれども、リベート団体は危険がある。こういうふうに言いながらも、この五十二年一年間でたった三組しかリベート団体の解消はなされていない。まだ依然として払い込み団体のうちリベート団体が約九〇%残っておる。
こういうことでは、リベート団体を規制していこうというこの目標はまずいいとしまして、その目標も大変地域的に偏っている。極端なことを言えば田舎の方では徹底的に規制がされて、東京のように大きなところは目が行き届かないのか何か知りませんが——それとまたもう一つは、先ほどの集金人さんの実入りの問題もありましょうし、そういうものがあって規制がはかばかしくいかないという状況があるわけなんです。ですから、その辺をよほど考えてといいますか、計画してといいますか、いわゆる一番最前線で働くところの、いままで一生懸命に郵便局の奨励によって同趣同好団体をつくってきたところの人たち、集金手数料としてわずかな金額をもらっているその人たちが実際におるが、それを何とか形で規制しなければならぬというところに無理が起こってくる。実際に無理が起こってきて問題になっておるところを私は知っているわけです。
そういうことを心配するわけでございますが、結局、このリベート団体の解消の仕方といいますか、それからそういう現場の集金人さん等に対しての指導はどのようになされておるのか、お考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/81
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082・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 ただいま、このリベート団体の解消の形とか、あるいは現在実在する団体の数のばらつきが地域的にあるのじゃないかというお話でございますが、御指摘のとおり、東京郵政局管内は、特にこういった現金あるいは品物等の交付のみを目的としたリベート団体が数多くあるわけでございますが、これはやはり東京管内では加入者のニードもございまして、四十年代前半から多数組成されたことによるというふうに見ているわけでございます。
そこで、私どもの方といたしましては、このリベート団体の改組あるいは廃止という問題につきましては、やはり払い込み団体の組成の経緯がございますし、また、団体構成員の既得権の問題等もございますので、団体代表者及び団体構成員に対しまして現在やっております団体適正化の趣旨を十分に説明いたしまして、その御理解を得ながら努力をしているわけでございます。
なお、東京管内の同趣同好団体のうちのこの三銘柄以外の、主としてリベート団体が多いかと思いますが、こういった団体、これはその他団体と称しておりますが、その改組、廃止の状況というものは、管内全体で見ますと、五十年の三月が五千百六十九組、それから五十一年三月で見ますと四千十五組、それから五十二年三月で見ますと三千五百二十三組というふうに順次減少はしているわけでございます。したがって、そういった点では今後とも引き続いて努力するようにまた指導してまいりたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/82
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083・田中昭二
○田中(昭)委員 数字の魔術といいますか、マクロで見るのとミクロで見るのとの違いがありますが、ここでこうやって御答弁になるときは確かに数字が減っている。しかし、その数字の減り方はやはりずっと少なくなっているのですよ。最初は五千、四千、三千となっている。細かいことは言いませんけれども、問題は、いわゆる解消をすると言いながらも、その解消、規制をするためには根っこにはどういう問題があるかということに配慮しなければならない。ただ机上で計画を立ててぱあっとやれば必ず無理が出てくるということはわかっておるはずですから、そういうことでのリベート団体に対する規制の仕方、解消の仕方ということに問題があるということを私は指摘しておきます。
問題は、そういう規制ということと関連しまして、東京、大阪では団体払い込みの保険料の集金についてだけは例の加入者協会に任せておったという経緯があるわけです。ですから、東京、関西はそういうリベート団体を規制するという考えか以前からどうしてそういうことをやらせておったのか。また、東京と近畿は加入者協会に集金事務を委託した年数がそれぞれ違うと思いますが、いつからか。それはどういう意味でやったのか。そして、そのやることは加入者協会の事業としましてどこに基づいてやったのか。定款等はどこの決まりによってそういうことをやらせたのか。まず、それだけ答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/83
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084・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 ただいま御指摘の関東あるいは近畿の「旅行友の会」でございますが、これは近畿の方は四十五年から、それから関東の方は四十七年から、それぞれ加入者協会の方に集金の委託をやってきたわけでございます。
これを簡易保険加入者協会の方に委託をしましたのは、この加入者協会の目的とするところが、「簡易保険加入者の会の使命遂行に協力して加入者共同の利益と福祉の増進を図るとともに、簡易生命保険および郵便年金事業の普及発達に寄与することを目的とする。」団体であり、そういった目的で郵政大臣の認可を得て設立された財団法人、公益法人でございまして、こういった集金事務というようなことにつきましてこういった目的を持つ公益法人の協会に委託することが業務の運営の面できわめて能率的であり、また、より安全であるということで行ってきたというふうに私は理解をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/84
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085・田中昭二
○田中(昭)委員 大臣、リベート団体を規制し、解消するということの根っこにある問題をさっき私は申し上げましたが、大体おわかりいただいたと思うのですが、結局机上で計画したことを末端におろす場合には必ず無理があるということはわかるわけですから、そのことに対する大臣のお考え方をまず聞いて、そして時間がございませんから次へ進みますが、いまの問題でいきますと、いま言ったように関西については四十五年から、関東については四十七年から加入者協会に集金事務をやらせておったということなんです。
ところが、この「加入者協会寄附行為」の定款に相当するものを見てみますと、目的はいま言われたとおりですが、この協会はこういう事業をやるという決まりがあるわけですね。その決まりからいきますと、この「寄附行為」の改正は四十九年になされているわけですが、四十九年以前はどういうふうになっているかと言いますと、その事業は(1)、(2)、(3)、(4)、(5)とあり、あとは略しますが、(5)までにはそういう集金をやらせるというような事業は入っていないのです。最後の六番目に「その他この会の目的を達成するために必要な事業」となっていて、それでやらせておったという当局の説明です。しかし、その他の事項でやらせるなら、何も四十九年にこういう改正までして−−四十九年の改正では、七番目に、「簡易保険払込団体から委託された事務処理」を行うというふうにはっきりとつけ加わったわけです。ですから、これならば一応定款の上からはそのとおりの事業をやっておるということになるわけですけれども、どうもそういうところで無理をしてやらせているのではないか。
また、この加入者協会は東京に本部がありまして、ここにそういうことをやらせますと、今度は各地方には何か地方本部というのがありまして、また支部があって、そこにはそれぞれの人を配置しなければならない。それが現在、五十一年の通達でそういうことを正式に加入者協会にやらせることによって、全国的に大体八百人から九百人ぐらいの職員がそのために張りついておるわけですね。
そうしますと、この前もうちの鳥居委員が言っておりましたように、いままで加入者協会は出版事業と災害見舞いのことをやっておりまして、それがそれぞれ独立採算でやっておったわけですが、ところが、そういう大変な事業、いわゆる集金事務やまたいま申し上げたような事業をやるためにそういうように八百何十人の人を張りつけねばならない。そういう費用はどこから出るかというと、その二%からしか出るところがないわけです。そこにまた無理がある。結局は第一線の現場の集金にしわ寄せになる。こういうことがあるのですが、絶対に第一線には無理をさせないということに対しての最初に申し上げました私の質問の趣旨をどういうふうにお考えになるのか。
それから、加入者協会の問題については指摘だけにとどめておきますから、お感じをお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/85
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086・服部安司
○服部国務大臣 いろいろと御指摘の問題でありますが、省は省としての過去の経緯からいろいろ考えて、最近は加入者協会に委託させるように指導してきているという方向でありますが、御指摘のとおりに、こういった長年続いた業務というものは何の団体でもいろいろな問題もはらんできますが、一挙にやるところに大きな無理があると思います。
そこで、正直申し上げて、この御指摘の問題は全くいま初めて聞く問題でありまして内容もつまびらかではございませんが、御指摘を通じて感じたことは、無理をしてはならないということ、言うならば実態を無視した強制はいけないということを感じました。いま一つは、やはり国営でありますから、国営事業としての襟度も十分保たねばならないと思います。したがいまして、そういった面からひとつ検討させてもらいたいと思います。事務当局から移行する経緯、現状、将来目的などもまたじっくりとただして、せっかくの事実の例を挙げられての御質問でありますから、私も的確に処理したいと考えますので感じたままを申し上げて、しばらくの猶予をいただいて、私に十分の勉強の機会を与えていただきたくお願い申し上げます。しかし、じんぜん日は延ばしません。可及的速やかにまとまった意見を申し上げて御理解を得るように努力したい、改善の方向に持っていきたいと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/86
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087・田中昭二
○田中(昭)委員 せっかくお聞きするわけでございますが、大臣も細かいことについては詳しく御存じない点があったということでございますし、また機会も別にございましょうし、本当はもう少し質問を用意してきておりましたけれども、どうかひとつ簡保局の方も——私が先ほどから言いますように、簡易保険、生命保険自体が、先ほどもちょっと告知義務違反の問題が出ましたけれども、約款等を見ましても、いまのリベート団体についても、約款の五十三条等をひねくっていますが、わかりにくい。数理的にぴしゃっと計算された保険の本質というものの理解は私たちも簡単にできないところがあります。むずかしい。むずかしいことはそれでいいわけですけれども、それが加入者にいく場合に、また募集する場合に、一つの隠れみのといいますか、そういうことになっては大変なことであろうというように思いますから、きょうのところは私もそういう面でもう少し勉強しまして、大臣にも勉強してもらって、先の質問は次の機会に譲りたいと思います。
以上で終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/87
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088・鈴木強
○鈴木(強)委員長代理 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/88
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089・鈴木強
○鈴木(強)委員長代理 速記を起こしてください。
これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/89
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090・鈴木強
○鈴木(強)委員長代理 これより討論に入るのでございますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律及び資金運用部資金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/90
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091・鈴木強
○鈴木(強)委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/91
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092・鈴木強
○鈴木(強)委員長代理 ただいま議決いたしました本案に対し、左藤恵君外五名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者より趣旨説明を求めます。左藤恵君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/92
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093・左藤恵
○左藤委員 私は、ただいま議題となりました法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
〔鈴木(強)委員長代理退席、委員長着席〕
まず、案文を朗読いたします。
簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律及び資金運用部資金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、簡易保険及び郵便年金の余裕金を直接運用できるように制度の改善を検討するとともに、さらに積立金の運用範囲の拡大につとめ、加入者の利益の増進をはかるべきである。
以上のとおりであります。
本案は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係るものでありまして、案文は当委員会における質疑等を参酌して協議作成したものであります。
何とぞこの決議案に御賛同くださいますようお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/93
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094・松本七郎
○松本委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
本動議に対し別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。
左藤恵君外五名提出の動議のとおり、本案に附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/94
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095・松本七郎
○松本委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、服部郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。服部郵政大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/95
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096・服部安司
○服部国務大臣 このたびは慎重な御審議をいただきまして、ただいま簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律及び資金運用部資金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。
この委員会の審議を通じまして賜りました御意見につきましては、今後簡易生命保険事業を運営していく上で十分配意してまいりたいと存じます。
さらに、ただいまの附帯決議につきましては、今後その趣旨を尊重してまいりたいと存じます。
まことにありがとうございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/96
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097・松本七郎
○松本委員長 なお、ただいま議決いたしましみ本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/97
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098・松本七郎
○松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/98
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099・松本七郎
○松本委員長 次回は、明十三日木曜日、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01219780412/99
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