1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年四月二十六日(水曜日)
午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 松本 七郎君
理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君
理事 志賀 節君 理事 鈴木 強君
理事 米田 東吾君 理事 田中 昭二君
理事 小宮 武喜君
亀岡 高夫君 長谷川四郎君
原田昇左右君 堀之内久男君
森山 欽司君 渡辺 秀央君
阿部未喜男君 島本 虎三君
野口 幸一君 古川 喜一君
大野 潔君 鳥居 一雄君
青山 丘君 藤原ひろ子君
依田 実君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 服部 安司君
出席政府委員
内閣法制局第二
部長 味村 治君
大蔵大臣官房審
議官 渡辺 喜一君
郵政政務次官 宮崎 茂一君
郵政大臣官房長 河野 弘君
郵政大臣官房電
気通信監理官 江上 貞利君
郵政省郵務局長 神山 文男君
郵政省貯金局長 高仲 優君
郵政省簡易保険
局長 佐藤 昭一君
委員外の出席者
議 員 米田 東吾君
大蔵省銀行局総
務課長 石川 周君
大蔵省銀行局特
別金融課長 藤田 恒郎君
文部省大学局学
生課長 石井 久夫君
厚生省児童家庭
局母子福祉課長 川崎 幸雄君
郵政省人事局審
議官 大友 昭雄君
日本電信電話公
社総裁 秋草 篤二君
日本電信電話公
社総務理事 山本 正司君
日本電信電話公
社職員局長 坂部 政夫君
国民金融公庫理
事 村瀬 光夫君
逓信委員会調査
室長 芦田 茂男君
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委員の異動
四月二十六日
辞任 補欠選任
鳥居 一雄君 玉城 栄一君
同日
辞任 補欠選任
玉城 栄一君 鳥居 一雄君
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四月二十一日
郵便貯金法の一部を改正する法律案(鈴木強君
外五名提出、衆法第二〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六一号)
郵便貯金法の一部を改正する法律案(鈴木強君
外五名提出、衆法第二〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/0
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001・松本七郎
○松本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の郵便貯金法の一部を改正する法律案及び鈴木強君外五名提出の郵便貯金法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
この際、鈴木強君外五名提出の郵便貯金法の一部を改正する法律案について、提出者より提案理由の説明を求めます。米田東吾君。
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郵便貯金法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/1
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002・米田東吾
○米田議員 私は、提案者を代表いたしまして、郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
今日の郵便貯金制度は、その窓口であります郵便局と地域との密接な関係に端的に示されておりますように、庶民と密着し、国民生活の安定に重要な役割りを担っております。さらに、そこで集められます国民の貯金は国の政策遂行の主要な資金源ともなっております。郵便貯金に対します施策は、わが国の国民生活安定のための政策の中で一つのかなめであると申して過言ではありません。
したがいまして、今日の経済情勢におきましては、過去の運用の実態につきまして幅広い見地からの見直しを行い、真に国民生活に役立つものにするために幾つかの改善を実施することが必要であります。しかるに、ここ数年来、経済の不況を理由として貯金利息の引き下げが相次ぎ、零細な生活の蓄えの目減りを一層促進させている実態にあります。
こうした事情におきましては、郵便貯蓄者に対する還元制度を一層強化することがきわめて重要であり、まず生活の必要に密着したローン制度の拡充がなされなければなりません。
ここに提案いたしました改正案は、最近一般家庭で高校や大学などの入学費の負担が増大している一方、今日の育英奨学資金制度が不十分であるために進学者を有する家計を大きく圧迫している現状に着目し、郵便貯金積立者に、その子弟の入学時に必要な資金として百万円程度を簡易な手続により貸し付けることを郵便貯金制度の一部として実施し、当面の教育費負担増の緩和に資することをねらいとしたものであります。さらに、郵便貯金自主運用につきましても一定の前進を図るものであります。
以下、改正案の主な内容と制度の概要を申し上げます。
第一に、新たに進学積立郵便貯金制度を設け、一定の金額を一定期間毎月一回預入する制度を導入しております。
第二に、郵政大臣は、進学積立郵便貯金者またはその親族に対して、貯金を担保に進学のために必要な資金を預入金の二倍を限度として貸し付けることができることとしております。
第三に、担保とされた進学積立貯金の払い戻しがなされた場合は貸し付けの弁済に充当させること、進学積立郵便貯金がその据え置き期間の経過後三年を経過したときは通常郵便貯金となるなど、所要の規定を定めております。
そのほか、一の預金者に対する貸付金総額の制限額を引き上げることについて、あわせて改正を行っております。
なお、この制度が一般家庭の負担の軽減を図るものでありますことからして、貸付金の利子は極力引き下げられるべきであり、その返済についても、主として入学者が卒業後みずから返済できるよう担え置き期間を三年とし 返済期間を四年とするなど、貯金者の利益の増進を図る立場からの運用を期待するものであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でございます。
何とぞ、十分御審議の上御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/2
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003・松本七郎
○松本委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/3
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004・松本七郎
○松本委員長 これより両法律案について質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部未喜男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/4
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005・阿部未喜男
○阿部(未)委員 いま提案されております郵便貯金法の一部を改正する法律案について質問を行いたいと思いますが、法案の内容に入る前にちょっと大臣にお伺いしておきたいのですけれども、大臣、郵便貯金法の十二条の解釈などは要りませんから、私の申し上げることに対して端的にお答えをいただきたいと思います。
非常に残念なことですけれども、大臣は去る三月三十日に郵政審議会に対して郵便貯金の利子改定について諮問をなさいまして、その答申を受けてきのう、四月二十五日から郵便貯金の利子が大幅に引き下げられました。
この郵政審議会の審議の内容について私はお伺いしたいのですが、郵政審議会の審議の過程を簡単に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/5
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006・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
郵政審議会におきましては、前後四回にわたりまして審議を行った次第でございます。そのうち一回は参考人の意見聴取ということでございます。実体的な審議は三回でございますが、大変熱心な討議が行われました。賛否両論いろいろ出ましたが、最終的には、この際利子の引き下げを行うことは現下の経済情勢に照らしてやむを得ないということで、その旨の答申をいただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/6
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007・阿部未喜男
○阿部(未)委員 郵政審議会の答申についても私は拝見しておりますし、いまの局長さんの御答弁も四回にわたって審議会が開かれたという趣旨でございますけれども、私の見る限りでは、郵政審議会から郵政当局に対して当局の案を出せという要請があって、当局のその金利引き下げの案が提起されたのは四月十八日でございます。郵政当局のその金利引き下げの案を見て決定したのが同じ四月十八日でございます。してみると、郵政当局の郵政省案が提起されてから決定されるまでには一回しかなかった。わずか一日で決まっておる。これは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/7
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008・高仲優
○高仲政府委員 具体的な利率案を提出いたしましてから答申をいただくまでは同じ日でございますから、すなわち一回でございますが、その前の二回にわたる議論につきましても、利子問題一般について大変御熱心な討議をいただいておりますので、利子引き下げに関連いたします審議といたしましては合計三回あったと理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/8
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009・阿部未喜男
○阿部(未)委員 それでは郵政省が郵政省案を出して決定されるまでには一回であったことは間違いない。郵政審議会が郵便貯金の利子についてそれまで三回にわたって、参考人の招致も交えて議論されたことはもちろん私は承知しております。
そこで、郵政審議会のあり方にも問題があるが、いつも大臣のおっしゃる郵便貯金法の十二条についてまず疑義を持つわけでございます。これは大臣がいつもおっしゃるように、その一つの大きな目的は国民大衆の利益の増進ということです。もう一つは一般の金融機関の預金の利率に配意をするということです。この二つがあるわけですが、ところで、今日までの経緯を見ますと、後者の一般金融機関の利率に配意をするという点は重点的に考えられておりますけれども、一項目の国民大衆の利益を増進させるという点に一体どれだけの配意が払われたであろうか。
私が疑問を持つのは、郵政省の案が仮に出ると、それは一般の金融機関の利率を横目で見て出してきたものだろうと思われるわけです。そうすると全然引き下げをしてはならないという意見もあった、一般金融機関の利子の引き下げと同じような引き下げをすべきであるという郵政省の試案が出た、その中でゼロか全部かという考え方ではなくて、たとえばその一部においては一般金融機関よりも金利引き下げの幅を縮めるとか、そういう配慮が郵政審議会に与えられておる仕事ではないのか。ところが、いろいろ論議してきたけれども、郵政省案が出たらその日のうちに決まってしまった。
そうすると勘ぐって考えれば、前の三回は、一回に決めるのはぐあいが悪いから国民の手前何回かそういう形をつくって、実際は四回目に一遍に決めるということであったのではないかという勘ぐりさえ生まれてくるのですけれども、この審議を通じて郵政省案についてどういう議論が行われたのか、御承知ならばお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/9
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010・高仲優
○高仲政府委員 先ほど申し上げましたように、第一回目、第二回目はいずれも長時間にわたって郵便貯金の金利のあり方というものについて議論をいただいておったわけでございます。
第四回目に具体案を提出いたしたわけでございますが、これに対しましては、先生がおっしゃいますように、確かに理論的にはオールオアナッシングあるいは中間という議論は成り立ち得るわけでございますが、前二回の実体的な審議を受けまして、結果といたしまして、審議会の大勢といたしましては、希望条件を付して省案はやむを得ないものと認めるという答申をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/10
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011・阿部未喜男
○阿部(未)委員 この答申によりますと、「多数の意見として」と出ていますね。「その結果、多数の意見として、「諮問の内容どおり改定することはやむを得ない措置である。」という結論に達したので」となっています。そこでこの審議会が全会一致ではなく、少なくとも意見が分かれおったということはこの答申の中から察知することができます。これは恐らく数をとったわけではないと思いますので、何人が反対で何人が賛成かはわかりませんが、そうなってくると、この多数とは一体どういう内容があるのだろうかということについて私は疑問を持つわけです。
これは大臣にお伺いしなければわかりませんけれども、先般、三月十七日の新聞ですけれども、「“なれ合い審議・お手盛り答申”の批判回避へ」という新聞記事がございます。かねて私どもも指摘をしてまいりましたけれども、この郵政審議会の中では、たとえば経済企画庁の事務次官とか内閣法制局の次長とか、大蔵の事務次官とか通産の事務次官とか、政府を代弁する者がたくさん入っておるわけですが、そういう人たちは、政府の郵便貯金に対する方針が一応決まれば当然それに賛成する立場にある方々です。そういう人たちをもってする郵政審議会の答申が多数であったからといって、審議会本来の任務である国民の意見を代弁したということになるであろうか。これは大臣みずからもおっしゃっておりますが、このいまの郵政審議会の委員の選任に問題があると思うが、この点について大臣はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/11
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012・服部安司
○服部国務大臣 確かに御指摘の問題は、良識ある方でありますから実態はそうではないと思いますが、ある側から見ればそういった批判も当然あり得ることと考えますので、近く、私は、この行政機関から推薦されてきております大蔵、経企、法制、通産の四名の委員はやめていただく用意をいたしております。
その時期はいっかという再質問がまたあるかと思いますから早く答えておきますが、手続などが要りますので、きわめて早い時期と御理解いただくならば結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/12
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013・阿部未喜男
○阿部(未)委員 少なくともこの国会中ぐらいにはそれができると理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/13
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014・服部安司
○服部国務大臣 そのようにしたい気持ちはいっぱいですが、ぼくは事務屋ではないので、いまいろいろと関係機関とも連絡をとりつつ進めておりますので、はっきりと今国会会期中とはちょっと言い切れませんが、先ほど申し上げたとおりに可及的速やかにということで御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/14
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015・阿部未喜男
○阿部(未)委員 私がお伺いしたのは、新聞によると四月の終わりか五月の初めにはと出ておるから、五月の初めなら国会の会期中で間に合うなと考えたのですが、大臣の意思は可及的速やかということですから、大体わかりました。
そこで、その中で、特にこの後任には労働界、婦人、言論機関などの代表を充てたいというお含みがあるようですが、これもそう理解してようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/15
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016・服部安司
○服部国務大臣 私は減員をしたい。だから、ちょっと数字の記憶がないが、数が多いので、その減員の対象としては各省から来ている事務次官にまずやめていただく。さらに更迭と言いましょうか、任期満了。いろいろな事情がある方々もあると考えておりますので、とにもかくにもこの郵政審議会の審議をお願いする内容は国民と非常に深い関係を持つことばかりでありますので、できればそういった方法をとりたいと思っております。
ただ、その新聞の記事は私の記者会見でも何でもない取材でして、御承知のとおり、その新聞は朝日だけでしたか、一紙だけ書かれたわけですが、そういった細やかな詰めまではなかったと思うのです。ちょうど私も郵便貯金の利下げで大変悩んでいたときでして、たまたま私の部屋に来て、どうもおれも困った、こういうふうにやらねばならないと言ったことがそういう記事にうまくつくられたわけでして、その点もあわせて御理解を願っておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/16
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017・阿部未喜男
○阿部(未)委員 新聞記事がどうであろうと、大臣御自身のお考えは一つは減員ですわね。それから任期満了に伴っておやめになる方がある。その場合に補充も必要になってくる場合がありましょう。どの程度の減員かわかりませんが、その補充をされる場合の考え方として、この新聞記事にあるようなお考えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/17
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018・服部安司
○服部国務大臣 私のことですから、どなたがごらんいただいてもなるほど公平な選考であると御理解できるように努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/18
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019・阿部未喜男
○阿部(未)委員 郵政審議会について、特に人事の問題が非常に大きいウエートを占めておると思いますので、ひとつせっかくの大臣のお骨折りを私は期待いたしております。
ところで、引き続いてですが、さっき申し上げたように、四月の十八日に「郵貯一第二九号」によって「郵便貯金の利率等の改定案」を郵政省が審議会に提示されております。郵政当局は郵便貯金の利子をこのように引き下げるべきであるという資料もお出しになってお考えをお示しになったわけですが、これは何を基準にしてこのように引き下げるべきであるというお考えをお持ちになったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/19
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020・高仲優
○高仲政府委員 郵便貯金法第十二条との関連を十分考えまして、省内の意見をまとめて出したのが諮問の姿に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/20
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021・阿部未喜男
○阿部(未)委員 繰り返しますが、先ほど申し上げました郵便貯金法十二条の前段の国民大衆の利益を増進するということの趣旨ですが、この引き下げの中のどの辺にその配慮が払われておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/21
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022・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
結果といたしましては全般的な民間金融機関の金利の引き下げに大体似通った姿になっておりますが、この結論を出すまでの間におきましてはいろいろな点を考えたのでございます。しかしながら、現下の大変窮迫しておる経済状態、また、当面の経済政策に示されました政府の方針といった各般の問題を総合的に考えました結果が諮問案の姿と相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/22
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023・阿部未喜男
○阿部(未)委員 いろいろ考えたと言われても、実質的に内容が伴わなければ預金者の保護には全然ならないと私は思うんです。預金者の保護にならないような議論を幾らおやりこなっても何ら効果がないので、金利の引き下げに当たっては、前段についてはかくかくの配意がありました、後段についてはこういうふうに考えました、よってかかる結論をもって諮問にこたえましたと、そういうふうな筋道がやはり大事だと私は思うんです。いろいろな議論がありましたと、ただそれだけでは国民は納得ができません。
したがって、十二条の前段の国民大衆の利益を守るという点ではこういう措置をとったんですよ、後段の方の一般の金融機関の利率を配意するという点ではこういう措置をとりました、したがってこれでひとつ御納得をいただきたいというのが国民の零細なお金を預かっておる郵政当局の国民に示す姿ではなかったんでしょうか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/23
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024・高仲優
○高仲政府委員 考え方といたしましてはまさに先生の御指摘の点がございます。しかしながら、先ほど申し上げましたような現下の情勢に照らしましていろいろ検討いたしましたが、この際におきましては金利の利幅の問題で差を設けることがきわめて困難な実情にあるという立場から諮問案の姿に相なったわけでございますが、全く配意がなかったかということになりますと、これはわずかの問題ではございますが、私どもとしてでき得る点は考えた次第でございます。
たとえば一つの例を申し上げますと、現在まで、定額郵便貯金については長く置くほど有利であるという点から、短期間の預入の部分につきましては民間金融機関に比べて不利であった。これはたとえば六ヵ月の定期預金と、定額貯金を六ヵ月預け入れた場合とを比べました場合には明白に差がついておったわけでございますが、この際短期的な資金の余裕を、お預けになる方々の便利というものを考えまして、六ヵ月定期預金というものを新設いたしました。
大変わずかな問題ではあろうかと存じますが、私どもとして考えた点はあるかというお尋ねでございますので、一つの例として申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/24
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025・阿部未喜男
○阿部(未)委員 郵便貯金と民間の貯金の違いは、いまいみじくも局長がおっしゃったように、二年以上の長期にわたる場合に初めて郵便貯金の妙味が生まれてくるのであって、二年以内しか預けない方々は郵便貯金よりも銀行貯金の方が大分利子が高いんですよ。それは何といったってはっきりわかっておる。その一番妙味のないところへもってきて幾らか配慮いたしましたと言っても、それは郵便貯金を利用しておるところの、郵便貯金が本当に国民大衆のものだと考えておる国民大衆の皆さんから見ると大した妙味にはならないのであって、これもまた、四回審議をして本当は一回で決まったのと同じように、内容としては全く意味のないものだというふうに私は考えますが、せっかく局長も努力したとおっしゃるのですから、努力がなかったと言えば言い過ぎになりましょうけれども、その努力をなさるのならば、郵便貯金の最も妙味が生かされる定額の中でやるべきではなかったのか。
これは今後もあるわけですし、今回は済んだことですからそのことに私は特にこだわってはおりませんけれども、これから十二条の前段の精神を生かすとすれば、郵便貯金の最も妙味のあるところ、魅力のあるところを生かしていくような努力が払われてしかるべきではないか。この点だけは特に申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/25
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026・高仲優
○高仲政府委員 先生の御指摘のように、定額郵便貯金が郵便貯金の主力商品であることは間違いございません。
この点につきましても非常に小さいものでございますが、たとえば一年半以上になった場合に民間よりは有利になるという、その線を崩さないために一般の定期性預金については〇・七五下げと相なっておりますが、定額貯金につきましては二年以上のところは〇・七〇下げということで、従来の定額貯金の有利性というものは温存する措置をわずかではございますがとっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/26
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027・阿部未喜男
○阿部(未)委員 もう余り議論するつもりはありませんけれども 二年以上の定額を預ける人は大体三年以上預ける方であって、二年未満の人は早く言えば民間に行く方なんです。したがって、二年から三年の間で〇・〇五%の差をつけましたと言っても、これも大したことにはならないと私は思うんです。二年以上預ける人は大体三年以上預ける方だと考えて間違いありません。二年未満の方は銀行に行く人だと見るのが貯金を運営される局長さんの立場だと思いますけれども、これは議論するつもりはございません。
大体これは前段の貯金利息の問題で質問したのですけれども、大臣、いつも言われる十二条の前段の精神を特に生かしてもらわなければ困る。いつも後段だけが先に出てくる。一般の金融機関の利率について配意するというところだけがいつも前面に出てきて、国民大衆の利益を守るという前段の、法の中心をなす精神がいつも踏みにじられておる。この点については郵政当局にも配慮を願うし、また、郵政審議会の構成等についてもせっかく努力をいただくことをお願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
次にお伺いしたいのは、法案提出の手続について私は非常に疑問を持つわけですが、いただいております郵便貯金法の一部を改正する法律案の十三ページによりますと、同法の第七条第一項中に六号を加え、「国民金融公庫法第十八条第一項又は沖繩振興開発金融公庫法第十九条第一項第二号の規定による進学資金の小口貸付けを受け、」云々ということになっています。私がこれから国民金融公庫法と言うときにはこれを指すというふうに理解をしていただきたいが、このようになっておりますが、私が調査したところ、国民金融公庫法十八条一項に小口貸し付けなどという制度はないのでございます。これを受けてと書いてあるけれども、受ける本体がないのに、一体何を受けてこの法律ができるのか。
そこで、まず、国民金融公庫法十八条の一項について、小口貸し付けという制度がどこにあるのか私はお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/27
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028・高仲優
○高仲政府委員 小口貸し付けというお尋ねでございますが、国民金融公庫法の方にあるのでございますが、国民金融公庫法の第十八条一項中「生業資金の小口貸付」を「生業資金及び進学資金の小口貸付け」に改め、同条第二項中「生業資金の小口貸付」を「生業資金の小口貸付け」に云々とございまして、従来の国民金融公庫法では「生業資金の小口貸付」という言葉があったわけでございますが、それを「生業資金及び進学資金の小口貸付け」と改めることになっておりまして、「小口貸付」の内訳に「進学資金」というものが入ったと私は理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/28
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029・阿部未喜男
○阿部(未)委員 私が言葉足らずであったのですが、わかっておったのだろうと思いますけれども、「進学資金」というのはいつごろ入ったのですか。国民金融公庫法の中に、「小口貸付」の中に「進学資金」というのはいつ入ったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/29
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030・高仲優
○高仲政府委員 私ども郵政側からお答えするのが正しいのかどうかということになりますと郵便貯金法との関連でございますが、これは国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案が現在国会に提案されており この改正案が通りますといま申し上げたような形に相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/30
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031・阿部未喜男
○阿部(未)委員 私の知る限りでは、その法律案はいま確かに政府から提案をされている。しかし、大蔵委員会ではまだ審査に入っておりません。そうすると、できるものかできないものかわからない法律なんです。できるかできないかわからない法律を受けて貯金法の改正が行われる。そんなばかなことが法手続上一体あるのだろうか。私はそれが疑問なんです。
貯金局長、これはあなたではなく政府全体の責任ですが、立法府を無視して、こういう法律を出してあるのだからと言って、まだ審議もされていない法律を受けてこうしますとは一体何ごとですか。立法府を侮辱しておるのですか。どうですか。法制局かどこか、どこでもいいからできるところで答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/31
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032・味村治
○味村政府委員 郵便貯金法の一部を改正する法律案と国民金融公庫法の一部を改正する法律案で、国民金融公庫の方は進学資金の小口貸し付けという制度をつくるわけでございます。それから郵便貯金法の改正の方は進学積立郵便貯金という制度をつくるわけでございまして、かなり関連があるわけでございます。
したがいまして、立案の段階におきまして両法案を一本にすべきかどうかも検討をいたしたわけでございますが、国民金融公庫の方は進学資金の小口貸し付けという制度の創設、それから進学積立郵便貯金をしている人に対する進学資金の小口貸し付けについて郵政省にある程度国民金融公庫の事務を委託する、こういう二つの制度でございます。
そういたしますと、進学資金の小口貸し付けという制度自体は郵便貯金法と関係がない。進学積立郵便貯金の方は、進学積立郵便貯金を積み立てられた方が国民金融公庫から進学資金の小口貸し付けを受けられるという制度でございますのでかなりの関係があるわけでございますが、政府といたしましては、両法律を国会に別々に提出いたしまして両法律が成立いたしますれば目的を達することができると考えまして、別々に提案を申し上げたわけでございます。
なお、この際に申し上げておきますが、こういうふうに関連する法案は一本で出すことが望ましいかどうかということでございますけれども、その関連の度合いが非常にまちまちでございます。密接に関連している法案でございますと必ず一本にいたす。しかし、関連の度合いがかなり薄いときには、国会におかれましてもそれぞれの委員会もあることでございますのである程度分けて御提案申し上げるということもやらしていただいている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/32
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033・阿部未喜男
○阿部(未)委員 どうもこれは私はわからないのですけれども、手続上一体どうなるのですか。
おたくの方の気持ちはわかりますよ。両方通してもらって法律が効力を発するようにするという気持ちはわかりますけれども、審議をするわれわれの立場からすれば、まだ審査もしていない法律案を受けてこの法律をつくりますと言っても、もとがないのに一体何で枝だけが出てくるのか。その辺が私はどうしてもわからないのです。政府としては、国会の良識を信じていずれも通してもらえるものという理解のもとに恐らくお出しになったのではあろうけれども、よしんばそうであったとしても、どこか同じところで議論をするという形をとらなければ、もし片っ方の法律ができなかったということになったらどうするのか。こっちで郵便貯金法ができて国民の皆さんが進学のための貯金をなさるが、向こうの大蔵委員会の方で国民金融公庫の法案がつぶれた、貯金はしたが貸し付けばできないという事態が絶対にないとは言い切れない。そういう事態が絶対にないと言うならば、あなた方は初めから立法府をなめ切ってこれは通るものだという前提でお出しになっている、国会の審議権を無視してお出しになっていると言わざるを得ないのですよ。
その辺の手続は一体どういうものなんでしょうか。わかりやすく説明してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/33
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034・味村治
○味村政府委員 先ほど若干申し落としましたが、この貯金法の改正の中には五十万円に貸し付けの限度を拡張するという部分もございます。この限りでは国民金融公庫法の改正と関連がないわけでございます。したがいまして、それぞれ独立に改正が行われることも可能なわけであろうかと思います。
お尋ねの進学積立貯金の関係でございますが、これは確かに仰せのように国民金融公庫法の改正が行われませんと、せっかく積立貯金をなさいましても国民金融公庫から資金の貸し付けが受けられない事態が生じ得るということがあろうかと存じます。しかし、一方では、仮に国民金融公庫法の改正が若干おくれましても、これは進学積み立てでございますから、あらかじめ積立貯金をしておきませんとこの進学資金の貸し付けを受けられないわけでございますから、仮に国民金融公庫法の改正が若干おくれました場合にも、あらかじめ進学積立貯金の制度をつくっておくということの意味もないではないというふうに考えておるわけでございます。
なお、その際にどういうふうに御審議になられるかということは、これは国会の問題でございますので私の方から申し上げることは差し控えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/34
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035・阿部未喜男
○阿部(未)委員 その答弁には非常に無理があるのです。おくれても通るとあなたはおっしゃるのでしょう。おくれても通るということは、あなたはどこに確信があっておっしゃるのですか。通るか通らないかは国会が決める問題でしょう。あなたのいまのお話では、おくれても通るのだからあらかじめ貯金をしておってもよろしいと言うのだが、これは国会の審議権を無視したやり方だと私は言いたいのですよ。そうでしょう。あなたはおくれても通るのだという前提を持っておるが、廃案にならないということがどこに保証があるのですか。それを廃案にならないのだとあなたが言い切るならば、あなたのお考えは、われわれ立法府を無視して行政だけで何でもやれるというお考えにつながるのです。
だから、私が知りたいのは、こういう法案が二つ出てくるときに、これに一体どういう相関関係を持たせてわれわれが理解して審議をすればいいのだろうかということで、そこのところをもうちょっとわかりやすく、それはこうなりますよということを知らせてもらいたいのです。
いままでもこういう例がないわけではありません。いままでもたくさんこういう例があることを私はよく知っていますけれども、私が一般的に考えてみて、どう見ても、まだ審査にも入っていない法律を受けてこの法律をつくると言われてみても、それじゃ向こうが廃案になったらどうなるのだろうか。現に御承知でしょう。予算が通った、これは予算関連法案ですからということで持ってきても国会で通らない法律はたくさんあるのですよ。予算が通っているからこっちも通らなければ困るという気持ちはわかっても、現実の問題としては、予算は通ったが予算関連法案が通らないという事実はたくさんあるはずなんですよ。そのときに予算の場合は執行できないのですけれども、こういう国民大衆に直接関連をする預金をしなさいというような問題をばらばらに持ってきて一体どうなるのだろうか。そういうことが私はわからないのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/35
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036・味村治
○味村政府委員 私は必ず通るという前提で申し上げたわけではございません。仮に時期がおくれてもということを申し上げましたのは、仮に時期がおくれて通った場合でもというだけのことでございまして、必ず通るという前提で申し上げたわけではございません。
これは先生のおっしゃるように非常にむずかしい問題でございますけれども、国民金融公庫法の改正が成立しないということがはっきりいたしますと、せっかく進学資金の積み立てをしていただいてもその貸し付けができないわけでございますから、恐らく応募する方もいないでございましょうし、郵政省としてもそれのお取り扱いということはなかなかむずかしいのではあるまいかというようには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/36
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037・阿部未喜男
○阿部(未)委員 むずかしい、むずかしくないじゃないのです。私が一番聞きたいところは、どういう関係になるのだろうかということを聞きたいのですよ。向こうの法律がないのに、その法律を受けてこういう法律をつくりますという提案をされておるわけでしょう。受けるもとがないのにこっちを出して来られると一体どういう関係になるのだろうか。それがわからないのですよ。これは種がないのに芽が出たようなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/37
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038・味村治
○味村政府委員 政府といたしましては、この両改正法案を同時に御提出申し上げまして、この間の関連あることでございますので、その間のお取り扱いは国会の方でお願い申し上げるというつもりでございます。
法律論として、仮に片方の郵便貯金法が成立してこちらの方の国民金融公庫法の改正が成立しないということになるとどうなるかということでございますが、これは進学積立郵便貯金の定義がございます。国民金融公庫法十八条一項の規定による進学資金の小口貸し付けを受け、かつ必要な資金を貯蓄する目的で預け入れるということでございまして、この両方の目的があるわけでございます。
この両方の目的がありますから、進学資金の小口貸し付けに関します国民金融公庫法の改正がまだ審議中で成立するかどうかわからないが、しかし国民の方では恐らく成立するであろうと期待してこの貯金をするということも、それは国民の方の考えであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/38
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039・阿部未喜男
○阿部(未)委員 どうも議論がかみ合わないのですが、それじゃ私から申し上げますが、間違いがあれば訂正してくださいよ。
大体これはこういう二つの法律に分けて違う委員会で審議をするわけですからそういう疑問が出てきます。もしこれが一つの委員会で議論をされるということであれば、受ける方としてはこの矛盾はもうちょっと軽く感ずるわけですね。ああこれが通ればこうなるな、こっちとこれはこういう関係があるなということが、手続が正しいかどうかは別にして、一つの委員会の中ならば大体理解ができる。それにもかかわらずこの貯金法を逓信委員会の方に付託をされた——これは国会の関係ですよ。国会の関係で付託をされた、そして別の法案を出したということは、それだけ専門的な委員会を重視して、これはやはり逓信委員会で議論すべき性格のものだろうということで、そういう矛盾はありながらも関連する法案として国会が良識的な判断をしてくれるだろうと、そういう意味で二つの法案をお出しになったのではないかと私は理解しておるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/39
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040・味村治
○味村政府委員 それはもちろんおっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/40
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041・阿部未喜男
○阿部(未)委員 私の方はそう理解する以外に理解の仕方がないのです。しかし、確かに非常にむずかしい問題で、両方通らなければ効力が出てこない、運用ができないというものであることは間違いがない。にもかかわらず法案を二つにした。二つにすれば国会の委員会中心主義の性格上この法案が委員会では分かれるだろう。これも大体想定のできることでございます。そこで、そういうように委員会を重視して、それぞれの専門のところで議論をしていただくために二つに分けたということであるならば、その次の問題があるのです。
国民金融公庫法の一部改正の中に「郵便法の一部改正」というのが入っておるのです。郵便法というのはそもそも郵政大臣が所管をしておる法律でございますから、この「郵便法の一部改正」も郵便貯金法の一部改正法案と同じように別の法律案として逓信委員会に付議すべきもので、国会としてはそういう手続をとるべきだと思うのです。ところが、この「郵便法の一部改正」は何と国民金融公庫法の一部改正法案の附則の中に入っておるのですよ。それは便利はいいでしょう。政府としては一本でいくから便利はいいでしょうが、委員会を重んじ、専門的なところでの議論を重んじて二つの法案を出したとするならば、なぜ郵便法の改正を別の法案として、郵便法の一部改正として、一本の改正法案として出さないのか。これを国民金融公庫法の一部改正にくっつけて郵便法の改正をするとは余りにもルーズなやり方ではないか。余りにも身勝手過ぎるではないか。特に最近出てくる法律は、何々及びとか何々並びにとかということにしたり、あるいは附則で手軽に一本でさっと済ましてしまおうという風潮が多いように私は感ずるのです。
これは政府全体の姿勢ですが、貯金法が切り離せたものをなぜ郵便法が切り離せないのか、その辺を明確にしてもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/41
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042・味村治
○味村政府委員 一つの法律を改正いたしますと、それに付随いたしましていろいろ法律を改正しなければならないという例がしばしば起こるわけでございます。この場合には、大体その改正いたします法律の附則でもって改正をするということで、その上で提案を申し上げるというやり方になっております。
先ほど申し上げましたように、その二つの法律の改正の間の関連性というものにもいろいろ程度がございますが、非常に密接なものから、かなり関連性の薄いものから、いろいろ程度がございますので、その程度に応じまして一本にしたり、まあ場合によっては一本にできるものも二本にするということもするわけでございます。
この郵便法の改正は、これは国民金融公庫法でもって進学資金の小口貸し付けの事務を郵政省にある程度委託するということに伴います付随的な事柄でございます。その事務についての郵便料を無料にするということでございますから、そういう付随的な事柄でございますので、この部分は国民金融公庫法の改正法の附則にしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/42
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043・阿部未喜男
○阿部(未)委員 関連が薄いとか深いとかおっしゃいますけれども、国民金融公庫法の一部改正と一番深い関係を持っておるのは、郵便貯金法の一部改正が一番深い関係を持っておると私は思いますよ。郵便法の改正は国民金融公庫法の改正とそれほど深い関係はないはずでございます。郵便法を改正して、この扱う郵便を無料としなければならないのかどうかということは、本来ならばその専門的な逓信委員会で議論すべき筋のものだというふうに私は考えます。
あなたの方は、それは国会がどうお分けになるかは勝手ですとおっしゃるかもわかりませんが、それならば、なぜ一番関連の深い貯金法は国民金融公庫法から抜き出して別の法案にし、本来専属的な郵便法の改正を何で向こうにくっつけるのかですよ。その辺はどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/43
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044・味村治
○味村政府委員 先ほども申し上げましたように、郵便貯金法の改正は、五十万円の貸付限度を広げるということと、それからこの進学積立貯金制度の創設ということの二つでございますし、国民金融公庫法の方は、進学資金の小口貸し付けという制度と、それから進学積立貯金をした人に対します小口進学資金の貸し付けを郵政省に委託するということの二つの内容でございまして、そのうちの一つずつがお互いに関連するわけでございますが、相互に無関係なものもございますので、ある程度密接性が薄いのではないかというふうに判断いたしまして二つにしたわけでございます。
一方の郵便料金の無料化というものは、これは国民金融公庫法の改正でもって小口資金の貸し付けを一部郵政省に委託するということに伴う、これがなければその無料化ということはあり得ないということでございますので、その意味で非常に密接だということで、これは国民金融公庫法の改正で附則で処置したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/44
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045・阿部未喜男
○阿部(未)委員 では、こう聞きましょう。郵便法の一部改正を国民金融公庫法の一部改正から切り離して、別の法案にして出したらどういう不都合が生じますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/45
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046・味村治
○味村政府委員 仮に郵便法の改正が先に通りまして、そして国民金融公庫法の一部改正が通りませんというような場合には、結局空振りと申しますか、そういうことになるわけでございます。
そういう意味で、逆に、国民金融公庫法の改正法が通りまして郵便法の改正が通りませんと一部無料にすべきものが無料にならないということで、郵政省が事務的に困ると申しますか、そういう事態が生ずるということでございまして、両法は関連性が非常に密接であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/46
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047・阿部未喜男
○阿部(未)委員 関連性が密接であるなしじゃないのです。関連が密接であっても、郵便法の一部改正を単独の法案としてお出しになることにどれだけの不都合がありますか。
あなたはいま空振りになるとおっしゃったが、空振りになっても構わないじゃないですか。あなたがおっしゃるように、もし将来この制度ができたときに、その郵便法の一部改正は生きてくるのですから、さっき私が申し上げましたように、国民金融公庫法の改正ができないで貯金法の改正だけやったときの空振りに比べれば、そのくらいの空振りは少しも構わないですよ。郵便法でもしこういう法律ができたときにはこれは無料にしますよということを決めておいて、こっちが通らなかったら空振りになるから困りますというような理屈は成り立ちませんよ。さっきの空振りを認めておって今度の空振りは認められませんなんていう、そんな勝手な解釈は成り立ちませんよ。
だから、私が言うのはわかるでしょう。郵便法の一部改正を単独の法案として出すことにいかほどの支障があるのですか。そのように出されない理由は何なのですか。これを答えてくださいと言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/47
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048・味村治
○味村政府委員 繰り返しになって恐縮でございますが、これは国民金融公庫法の改正に付随するものであるということでございまして、それ自体独立の改正というほどのものでもございませんし、国民金融公庫法の改正が行われませんというと意味がないようなものでございますので、従来の扱いもこのような改正は附則でお願いを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/48
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049・阿部未喜男
○阿部(未)委員 あなた方の解釈では、この制度、つまり、国民金融公庫法の一部が改正されて進学の小口貸し付けを郵政省に委託すれば、郵政省は当然これに関連する郵便を無料で出さなければならないという大前提に立っておるようでございますけれども、「郵便法の一部改正」の、この無料郵便の規定は法定事項ですよ。いかなるものを無料郵便にするかということは法定されておるのですよ。おわかりでしょう。そういう重大な無料郵便なんです。
なぜかといいますと、郵便というものは本来利用者が料金によって負担しておるのです。だから、それを無料郵便にするかどうかは、この一つだけをとってみればそれほど大きくないかもわからないが、しかし、無料郵便とするかどうかということには郵便法の基本的な法定事項という精神があるはずですよ。それを抜き出して勝手に国民金融公庫法の一部改正にくっつけて関連がありますからと言う。関連があると言うのなら、貯金法の改正の方がより関連は深い。そうするとあなたはゆうゆうローンの関係がある、五十万に引き上げる関係があるから別にしましたと言うでしょうが、それなら五十万の引き上げだけを別にして、進学小口融資の方は国民金融公庫法にくっつければいいじゃないですか。関連があるといえば皆関連があるのです。これを変えることによって貯金法に関連がありますといえば、貯金法に皆関連があるのです。
およそ国の法律で何かに関連をくっつけようと思えば、ほとんど関連は出てくるのですよ。だから私は逆に聞いておるのです。なぜ郵便法の改正という法定事項を単独の法案としてお出しになれないのか、どういう不都合があるのか、それだけをお伺いしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/49
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050・味村治
○味村政府委員 国民金融公庫法の改正によりまして進学資金の小口貸し付けを郵政省に委託するということが前提になりまして、その上で、その事務に必要な郵便を無料にするかどうかということが問題になるわけでございますので、そういう意味で附則にしてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/50
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051・阿部未喜男
○阿部(未)委員 私がさっき申し上げた前提をお忘れになっておるのですが、国会が委員会中心主義をとっておるから、それぞれの法案についてはなるべく専門のところで議論をすることがより好ましいことだ、恐らくそういう意味で貯金法の改正を国民金融公庫法の一部改正から分けてこっちにお出しになったのでしょうと、そこまで私は申し上げておるのですよ。
それほど委員会中心主義というものに理解を持っていただくならば、郵便法の一部改正の、何を無料郵便にするかということは郵政事業にとっては重要な課題なんですよ。あなた方は簡単に無料としなければならないのだという前提に立っておるけれども、法定事項であるということは、国会において何を無料郵便とするかということを決めることなんですよ。それを一部改正の附則でもって簡単にやってのけようという考え方はあなた方には御都合がいいかもわからぬけれども、国会の審議の場から見るとこれは大変迷惑な話です。
だから、なぜ郵便法の一部改正を単独の法案としてお出しにならないのか、お出しになれない理由を具体的に聞かせてください。出した方が便利がいいということじゃないのですよ。単独でお出しになれない理由を聞かせてください。どういう不都合があるのか、それを答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/51
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052・味村治
○味村政府委員 一つの法律を改正いたしますと必ず制度的に他の法律の改正が必要な場合と、それから両方の法律を一緒に改正する方がベターだけれども関連性がいろいろな程度があるという場合と、いろいろございますので、そのように郵便法の改正を別に提案申し上げまして、それぞれにつきまして御審議をいただきました場合に、それぞれ別個の成立になりますというと、先ほど申し上げましたような法律的に整理されていない状態というものがやはり生まれることになりますので、その意味で附則で御提案申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/52
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053・阿部未喜男
○阿部(未)委員 どうもあなたの御答弁では全然わかりませんがね。たとえ大蔵委員会の審議を通じてでも、国民金融公庫法の一部改正の附則で郵便法が改正をされれば、これは郵政法そのものが変わるのでしょう。それは間違いないわけだ。郵便法そのものが変わってくる。逓信委員会で議論されてこれが無料郵便であるということに規定されようと、やはり郵便法が変わるのであって、ほかに変わるところはないはずなんです。附則を受けて郵便法は変わるはずなんです。あなたのおっしゃるのは詭弁じゃないですか。
私はいろいろ法案を扱っていますが、たとえば年金なんかの場合はどうですか。恩給法の一部を改正する法律から、国家公務員共済組合法の一部を改正する法律から、公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律から、全部ずっと出ていますよ。あれがもし関連があるとおっしゃるならば、恩給法等の一部を改正する法律案ということでばらっと一遍にいかれるはずです。なぜあれをあんなに分けるのですか、四つも五つもに分けているでしょう。あなた方の都合の悪いときにはたくさん分けて出しておって、都合のいいときには一本にまとめて関連がございますとかと言って、それで恩給法の改正と国家公務員共済組合法の改正と関連がないのかあるのか。これは全部一連の関連があるはずでしょう。関連があるから一本にしますというなら、なぜあれが一本にならないのですか。あなた方の都合だけで法律を分けていると私は言いたいのです。
だから、委員会中心主義というふうに理解ができるのならば、郵便法の一部改正は当然一つの法案として提起をすれば、それをどこに付託するかはそれぞれ専門的な委員会に付託されるでありましょう。私が仄聞したところでは、ばらばらに出すとあっちでも審議するこっちでも審議するということで大変なので、なるべくなら一本にまとめて出しておいた方がやりやすいという話を聞いたのですが、われわれはそれほど非常識じゃありませんよ。この法律とこの法律には関係がある、これを通すとすればこれも通さなければならぬというくらいな良識は持っていますよ。それをあなた方の都合のいいように、これはここで一本で附則か何かでやった方がやりいいからまとめて出せとか、これはなるたけあっちこっちの委員会で分けておいた方が、野党が通さなければならぬためにほかの法案を先に通してくれるだろうから、そういうときにはなるべく分けて出せとか、これではまるで勝手主義じゃありませんか。
私が前段で申し上げたように、委員会中心主義でいくのだというようにお考えになるならばその点をもう少し真剣に考えていただきたい。そして、それぞれの法案はなるべくそれぞれ単独でお出しになれば、その関連については立法府の方でちゃんと判断をします。これとこれは関係があるから一括審議をしょうか、これとこれは関連があるから連合審査をしようか、そういう方法がちゃんと国会法で決められておるのですから、そのくらいの良識はわれわれにありますから、あなた方の御都合だけで法案の提出の手段が勝手にばらばらになっては困る。それを私は申し上げたいのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/53
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054・味村治
○味村政府委員 私どもも、二つ以上の法律案を一本にするというときには、片方の法律ともう一つの法律の改正が非常に密接な関連を持っているという場合に限りまして、それに応じてそのように一本にいたしまして御提案申し上げているつもりでございます。私どもが恣意的に分けたりくっつけたりということをやっているというふうには決して考えておりません。
先ほど恩給法の例を申されたわけでございますが、恩給法とそれから国家公務員共済組合法とはそれぞれ理念がございますので別々に分けて提出を申し上げてあるということであろうかと思います。
私どもといたしましては、一つの法律を改正いたしますとそれに伴いましてある法律を改正する必要があるとか、あるいはある法律を改正した方がその主たる法律の改正の運用上非常に適当であるというようなものはこういうふうにするとか、そういう全体の姿を国会で御判断いただくために附則としてお願いを申し上げているという例が多いわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/54
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055・阿部未喜男
○阿部(未)委員 やはり、あなたの主張は委員会中心主義ではなくて、あくまでも国会は一本で、政府は一本だからという御趣旨のように受け取れるのです。
私はそうではなくて、この貯金法を別に出してきたのはやはり委員会中心主義というお考えなんだろうというふうに理解をしていままで議論をしてきたわけです。しかし、いまの御答弁でそうではありませんということになってくると私は言い分があります。それでは逓信委員会としてはもとのない法律の審議はできませんということになりますよ。それでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/55
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056・味村治
○味村政府委員 私の申し上げているのは決してそんなことではございませんで、論理的にそういう場合があるということを申し上げたわけでございます。
法律の改正には主従がございますから、ある法律が改正されます場合に、それを主たる法律の改正といたしますと、それに付随してどうしても必然的に改正しなければならぬとか、あるいは必然的な改正とまでは言わなくても、主たる法律の改正の目的を達成するためには運営上こういうふうにした方がいいとか、そういうものもあるわけでございます。そういう付随的な改正というものがあるわけでございまして、本件の場合の郵便法の改正もそのような意味合いでございまして、国会の委員会の御所管をどうこうというつもりは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/56
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057・阿部未喜男
○阿部(未)委員 ですから、私はもう一遍繰り返して申し上げますが、委員会中心主義で議論をするということになるならば、大蔵委員会でこの郵便物を無料にするのがいいのか悪いのかという議論ができるわけはないのです。おたくの頭には当然無料にしなければならないという先入観があるからそんな法律の出し方をするのです。しかし、われわれの立場から見ると、これは一体無料郵便にすべきなのかどうかという前段があるはずですよ。それなら専門的な逓信委員会において審議ができるような法案の提出手続をとるべきではないのか、そういう手続をとることにいかほどの支障があるのか、これを私は言うのです。
あなた方はこれは無料になるんだからここへ入れておかなければ困るんだとおっしゃるけれども、無料にすることが妥当なのかどうかということは専門的な逓信委員会の議論に待つ方が正しい。委員会中心主義ならば、それを分けて郵便法の一部改正ということでこっちにお出しになってくれば、われわれも良識がありますからこれは関連するということはわかるわけですから、要すれば一括審議で処理をします。そこまでわれわれが考えた上で申し上げておるのですけれども、おたくの方では一本の方が便利がいいとかであらかじめこうなる。
大体、法案を出されたときには、これが通ったようなお気持ちでこういう法律ができますのでこういう法律ができますというようなことを言うが、できるかできぬかということは立法府の決めることです。あなた方のつくってもらいたいという気持ちはわかりますけれども、できるかできぬかは立法府の決めることであるのに、できるんだという前提に立って物事を判断されておる。
ですから、私はもう一遍繰り返して言いますが、委員会中心といいますか、専門的な議論が必要であるという立場に立つならば、いまの郵便法の例がいい例ですが、これは一つの法律案として提起されるべきだ。これからなるべくそういうふうな扱いにしたいと素直に答えられないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/57
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058・味村治
○味村政府委員 先ほど申し上げましたように、法律を改正いたしまして一つの制度をつくるという場合には、その主たる法律の改正だけではございませんで、それに付随いたします改正も全部お目にかけた上で御審査をいただき、そして全体として一つの制度として充足するわけでございますので、それを全体としてお目にかけるという意味で従来から、一本と申しますか、主たる法律の改正に伴います附則という形で御提案を申し上げているわけでございまして、委員会の御審議をないがしろにするとか、そういうつもりでは決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/58
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059・阿部未喜男
○阿部(未)委員 それではこう言いましょう。こういう法案の出し方をされると立法府の方では非常に審議をしにくいので、立法府の方が審議しやすいような法案の出し方に変えてもらえませんか。これならどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/59
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060・味村治
○味村政府委員 これは御審議をいただきますのは国会でございますので私の方からとやかく申し上げるわけではございませんが、私どもは、一つの制度のために主たる法律を改正いたしますときに、それに伴いまして別の法律の改正が必要だという場合には、これで一つの制度として御審査をいただくという方が便利ではあるまいかという観点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/60
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061・阿部未喜男
○阿部(未)委員 あなたも国会の運営は十分御承知でしよう。国会の運営を十分御承知の上で、なるほど理屈の上では国会が責任を負って審議するのだから、どういう法案の出し方をしようとおまえたちは勝手に分けて審議をしろという言い方かもわかりません。
しかし、実際に国会の運営をごらんになっておったらわかるように、では、大蔵委員会でのこの郵便を無料とすべきか無料とすべきでないかというような議論が、今日までの審議の経過から考えて妥当かどうかですよ。この郵便を無料とするかどうかということについては、やはり逓信委員会が責任を持って議論すべき問題であるはずなんですよ。にもかかわらず、あなたが関連があるときはこうやるのだとおっしゃるならば、確かに関連がございますので、もとの法律ができ上がってから審議しましょう。国民金融公庫法の一部改正という法律ができ上がったら、それを受けてこの法案の審議をいたしましょう。
それまでは、もとの法案のない審議は私はできませんから……。(「理事会、理事会」と呼び、その他発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/61
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062・松本七郎
○松本委員長 暫時休憩いたします。
午前十一時四十二分休憩
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午後零時二十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/62
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063・松本七郎
○松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。阿部未喜男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/63
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064・阿部未喜男
○阿部(未)委員 先ほど来申し上げておりますように、私の主張は、立法府の方で審議しやすいように委員会中心主義の法律の提案をこれから特に留意していただくということで、これは政府に特に要請をしたい点で、何でもかんでも関連であるとか、及びであるとか、並びにであるとか、附則であるとか、そういうようなことで処理をするのはなるべく慎んでもらいたいという主張でございますが、これについて責任者の方から答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/64
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065・服部安司
○服部国務大臣 われわれが御提案を申し上げて国会の場で御審議いただくためには、最もよい条件のもとで、審議していただきやすい方法をとるのが務めであると考えております。
今後はそういった立場を堅持いたしまして十分慎重に取り扱いたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/65
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066・阿部未喜男
○阿部(未)委員 それでは、この問題についてはまだ多くの疑念があるということだけを申し上げて、私の主張については一応大臣の方においても御理解をいただいたようでございますから、次の質問に移ります。
昨年の郵便貯金の利子引き下げに当たって、郵政審議会はその答申の中で進学資金貸し付けの制度を創設するようにという強い要望が付されておりました。大臣はそれを受けまして、昨年の十二月には進学資金の問題での郵政省案というものをおつくりになった。特にその中では、貸付制度についてとか、また、この無用論に対しては必要であるということを強調されてきております。本当を言うと郵政省が自前で審議会の答申を受けてつくるはずだった郵政省の進学ローンはどうなったのかと私は聞きたいのですが、恐らく、今度のこの郵便貯金法の一部改正がそれにかわるものでございますという御答弁が出てくるだろうと思います。
時間の関係がありますから先に進めますが、しかしこれは異質なものであるということを私は申し上げておきたいのです。郵政省が郵政審議会の答申を受けて一応おつくりになった案は、郵政省が独自で預金者のお金を預金者に還元するという意味での進学ローンであったはずで、今回のこの郵便貯金法の改正は申し上げるまでもなく国民金融公庫の代理業務を扱うということにすぎないわけですから、したがって、さしあたり郵政省が国民金融公庫の代理店になることは私は否定はしません。それが国民のためにいささかでもプラスであるならばそれは否定はしませんけれども、しかし、本来郵政省が考えてきて、われわれが主張し、郵政審議会が答申をした内容と今回の郵便貯金法の改正は異質なものである。よってわが党が、郵政省が自前でやるべき、あるべき姿の進学ローンの法案を出しておるということについて理解をいただいて、この点についての議論は避けます。
その次に参りたいと思いますが、郵政大臣は新しく設けられるこの郵便貯金法六十三条の二の規定によって預金者に貸し付けのあっせんを行うということになっております。六十三条の二は「適格預金者のあっせん」となっていますが、この「適格預金者のあっせん」とは一体何だろうかということを私は考えてみたのです。預金者として適格なのか、貸し付けを受けるのに適格なのか、大臣はどういう推薦を行われることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/66
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067・高仲優
○高仲政府委員 「適格預金者」という言葉についての御質問であろうかと思いますが、私どもが考えておりますのは、まず所定の進学積立貯金をちゃんと履行した人であって、子弟が入学するという当初目的とする事実が完成した者というふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/67
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068・阿部未喜男
○阿部(未)委員 そこで、郵政大臣は法定されたこの条文の中で責任を持ってあっせんをされるわけです。ところが、郵政大臣があっせんをされても、これは向こうの金融公庫の方では恐らく業務方法書か何かに入るのじゃないかと思うのですけれども、事前審査をするということになっているわけです。
法定された事項によって大臣が適格な方であるということであっせんをされるのに、公庫の方ではこれを審査をして不適格であるといって落とされたら、あっせんされた大臣の立場は一体どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/68
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069・服部安司
○服部国務大臣 この制度をつくるについて大蔵当局と折衝を重ねた経過から考えまして、そのようなことは絶対ないと私は確信を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/69
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070・阿部未喜男
○阿部(未)委員 国民金融公庫の方にお聞しますが、いまの問題ですけれども、恐らく国民金融公庫の方では事前審査というものを行って、事前審査を行った結果適格者であるならば合格の通知を本人に出し、本人はその合格通知を持って初めて郵便局の窓口でこの種の融資か受けられる。とすると、いま大臣がおっしゃったように、法定されて大臣があっせんした者を事前審査をされて落とすことがあるのかないのか。もしも落とされるとするなら重大な問題ですが、たてまえ上事前審査という言葉がある限り、大臣があっせんした者は全部そのまま無条件に通るという理屈は理論上は成り立たないと私は思うのですが、その辺はどうお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/70
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071・渡辺喜一
○渡辺(喜)政府委員 大蔵省の方からお答えいたします。
国民金融公庫はあくまでも金融機関でございますから、そういう意味で、たてまえといたしましては金融判断を必要とするわけでございます。
ただ、ただいま郵政大臣からも申し上げましたように、本件につきましては、国民公庫の窓口に案件が出てくるまでにすでに長い期間にわたって貯金の積み立てということが行われておるわけでございますから、そういう意味で一般的に申しまして金融的に貸す資格が十分あるということが一般的であろう、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/71
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072・阿部未喜男
○阿部(未)委員 私は一般論で言っているのではないのです。それは常識で考えても、長期間にわたって貯金をして、この人は大体間違いがなかろうということであっせんされるわけですから、一般論としてはその人は大体貸し付けを受けられるだろうということはわかるのです。
しかし、私が言いたいのは、大臣が適格あっせんをするということは法定の事項です。法律で定められて大臣があっせんした者を金融公庫が不適格者だといって落とすことができるだろうか。事前審査という制度があるわけですから、たてまえとしては落とされるはずなんですが、そういうあり方が正しいのかどうかですよ。
一国の国務大臣の権威にかけても、この人は適格者でございますと推薦した者が金融公庫の事前審査で落とされましたなんということになったら、これは大変問題になるだろうという気が私はするのですが、大臣、その辺はどうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/72
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073・服部安司
○服部国務大臣 ただいま大蔵省の審議官がお答えされましたが、そういうことはあり得ないという裏づけは、この進学ローン創設の趣旨は、定められた期間郵便貯金をせられることと、もう一つの条件は高校なり大学に入るといういわゆる証明ですね。合格通知とか、またそれにかわるべきものが提示されて、国民金融公庫がどうしてこれを拒否することが事実上できるでありましょうか。
大学を志願する者の父兄または高校を志願する者の父兄は一応こういつたことを予定して貯金を始めているわけです。そこで、この進学ローンはそういった方々に対する一つの法律制度でありますから、事前審査というのは、たとえばこの人たちがそういった所要書類を提示できる時点に、郵便局の窓口で利用者便利のために受け付けもするかわりに貸し付けもできるという方途をとっているわけですから、そういうことはあり得ないということは私ははっきりと申し上げておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/73
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074・阿部未喜男
○阿部(未)委員 私は、一国の国務大臣の権威にかけてもそうあってほしいと思うのです。
しかし、いまいみじくも大蔵省から説明がありましたように、たてまえはそうなっていないのです。郵便局の方では申し込みを受理することになっておるのです。受理というのは一体何だろうかということを私は考えてみたのですが、これはあくまで受付ということにほかならない。何も審査権はない。審査権はないが、受理したものを郵政大臣のあっせんをつけて公庫に送る。公庫は金融という立場から事前審査を行います。これはいま大蔵省も言ったか、金融の立場から当然やるだろうとぼくは思うのです。そのときに大臣のあっせんと金融公庫の事前審査との間に絶対に食い違いがありませんという保証はどこにもないのですよ。それがないとなれば、事前審査という事項がある限り落とされることがあり得る。たてまえ上はこれはあり得るはずなんですよ。しかし、大臣はあり得ないと言う。
これは一般論としてはないだろうということが言えるとしても、もしそれでは拒否された場合にどうなるか。事前審査は金融公庫がやるのです。大臣は受理してあっせんするだけであって、事前審査は金融公庫がやる。金融公庫が金融機関の立場からだめでございますと言って落とすことはあり得る。できぬものなら事前審査は要らないのです。金融公庫が郵政大臣のあっせんしたものをなぜ事前審査をするのか、事前審査をする必要はない、そうなるはずなんですよ。ところがちゃんと事前審査をするということになっておるのです。
そうすると、必ずしも大臣が信用されておらないわけです。おれはこれは適格者だとあっせんしたけれども金融公庫の方で事前審査した結果だめになった、だから決定権はあくまでも金融公庫が持っている、大臣は単にあっせんするだけだという、そういう法のたてまえになるのですが、この法のたてまえの解釈に間違いがないかどうか、専門家の方にちょっとお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/74
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075・渡辺喜一
○渡辺(喜)政府委員 法の立て方といいますか、考え方、たてまえはまさに先生のおっしゃるとおりでございます。
郵政大臣からのあっせんというのは、所定の積み立てを完了しておるものであるということと、明らかにこれは入学に関連したものだということでございまして、そのあっせんを受けた上で、たてまえといたしましては、当然国民公庫は金融当局者でございますのでこれに対して金融判断をする、こういうことに相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/75
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076・阿部未喜男
○阿部(未)委員 大臣、そうなるのですよ。大臣のお考えどおりにいくならば事前審査なんか要らないということにならなければおかしいのですが、事前審査があるのです。大臣は単にあっせんするだけだ。形の上ではそうなるのです。それがいいものだろうかどうだろうかということを私は疑問に思うわけです。もしものことがあったときには、これは一国の国務大臣の信頼にかかわる問題である。国を信頼して貯金をして、この貯金を見合いにしてといいますか、証拠にして進学資金を借りたいというときに、大臣があなたは適格者ですからお借りなさいと言ってあっせんをしてあげたが、向こうの金融公庫の方で事前審査した結果、いや不適格でございますと削られたということにたてまえからいくとなるのですが、私は非常に疑問を持ちます。
もちろん、事前審査の方は法定事項じゃございませんから手続上の問題はいろいろありましょうけれども、少なくともたてまえはそうなっておる。そうすると、私は郵政大臣がお気の毒なんですが、どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/76
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077・服部安司
○服部国務大臣 同情をされたようですが、私は余り素直に受けたくない同情で、たてまえはそうでありましょうけれども、現実にそういうことはあり得ない。
というのは、これは信頼の問題なんですね。私の大臣折衝の過程でいろいろとやりとりがありますが、適格者を私が推薦申し上げて、政府部内でその適格者を、しかも長きにわたって積み上げた適格者を、合格通知の来た適格者を拒否する理由がどこにあるのでしょうか。その点は信頼の問題だ、絶対にそういうことはあり得ない、かように私は考えておる次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/77
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078・阿部未喜男
○阿部(未)委員 それならば業務方法書になるか何になるかわかりませんが、金融公庫の方でも事前審査というような字句を削っておく方が適当ではないか。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/78
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079・服部安司
○服部国務大臣 それは私がこの法律改正をお願いする事前の折衝での了解事項でありまして、それこそ金融機関のたてまえから言って、そういったことを削除することはむしろ問題があると考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/79
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080・阿部未喜男
○阿部(未)委員 大臣と私の間なら金の貸し借りをしても余り心配はないかもわかりませんが、郵便局の窓口というのは全国に何方とあるわけですから、必ずしも大臣のおっしゃるとおりにうまく運営されるかどうか疑問を持ちます。もし問題が起きたときには大変なことになるということだけはよく両方とも考えておってください。
次に、大臣、あなたは大変なことをおっしゃいましたので、これからが問題ですが、これは保証人をつけることになっておるのですね。この保証人の制度ほど国民を愚弄したものはないと私は思うのですよ。国民金隔公庫の場合は少し性格が違います。違いますけれども、銀行などでもそうですか、銀行は自分が利益を得るために特定の個人に融資するわけです。これは利益を目的としているんですよ。特定の個人はそのお金を借りて利子を払うことで契約をするわけです。ところが、もしあなたが払えない場合には第三者がこのお金を払うという保証をしなさいということになるわけです。人間というのはっき合いがありますから、頼まれればなかなか断りにくい。そのために保証人になって、いわゆる人的な担保を入れられて泣いておる人間はいまの世の中にものすごいですよ。私が知っておる限りでもものすごいです。
ちょっと余談になりますが、たとえば農協とそれから金融をやるもので信用保証協会がありますね。信用保証協会とはそもそも保証することを目的につくられた法人なんですよ。農業協同組合というのは、農民が集まってお互いに助け合おうという組織なんですよ。ところが、農協が金を貸すときに、あなたは保証人をつけなさいということになるわけですね。そうすると、Aの人に金を貸すのにBの人が保証人になり、Bに金を貸すときはAを保証人にするわけですよ。そのどっちかから取るわけですから農協は損をしない。ましてや保証協会に至っては、保証することを目的としてつくられておる協会が一定額以上融資するときには人的な担保を提供しなさい、保証人を立てなさいと言って、自分のところは損をしないようにちゃんと仕組んである、銀行の場合だって、利益を得ることを目的として商売しておるのに第三者を保証人に立てさせる。相手の弱みにつけ込んで、金が欲しいということにつけ込んでこれをやらせておる。そうすると、皆払う意思があるから借りたんでしょうけれども、本人が支払いができないときには善良な第三者が泣かされておるというのがいま社会の悲劇になっておるわけです。
したがって、少なくともこの郵便貯金を何年間かおやりになって適格者だと認められる方々に、進学の融資をしますから保証人を連れてきなさいということだけはやめてください。これは大臣の責任じゃない。大蔵か公庫か、どっちかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/80
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081・渡辺喜一
○渡辺(喜)政府委員 民間の金融機関の場合は商売でやっておるというお話でございますけれども、私どもといたしましては、これは一般の預金、大衆の預金を預ってそれを運営しておるという意味で、預金者の保護という観点から、単にもうければいいという商売をやったんでは困るという線で指導をいたしておるわけでございます。
本件につきましても、国民金融公庫の融資します資金というのは、やはり、郵便貯金者であるとかその他一般大衆の大切な金を運営しておるわけでございまして、そういう意味で償還の確保ということについてはできるだけの手だてを尽くすべきである、こういうことに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/81
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082・阿部未喜男
○阿部(未)委員 私が言うのは、できるだけの手だてを尽くすなというのじゃないのですよ。もしもの場合に特定の個人に負担をさせるか全体が負担をするかという問題なんですよ。そうでしょう。銀行預金者を、あなたは国のために何とかかんとかといま言ったが、もしも貸し倒れが出たときには銀行預金をしておる者全体が一緒に保証し合えばいいじゃないですか。なぜ特定の個人に保証させなければならないのですか。ましてや国がやることの事業は、もしも貸し倒れが出た場合には全体で保証し合えばいいじゃないですか。そうしたらわずかな金で済むものを、特定の個人を保証人にするから特定の個人は莫大な負担を負わなければならないという結果になってくる。それならば利用する者全体の責任で——国がと言ったところで、どうせ国民全体の財産なんですよ。これは特定のあなたが金を出すわけではないのだからね。国民全体、利用する者全体で責任を持ち合えばわずかで済むものを、特定の人間を保証人にするから特定の人間が莫大な負担をかぶって自殺するようなことをしなければならない。
この国がやる制度は、率先して、特定の個人を保証人にとるというようなことだけはやめていただきたいということですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/82
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083・渡辺喜一
○渡辺(喜)政府委員 特定の個人を犠牲にするというお話でございますけれども、これは合意の上で保証人になっていただくわけでございまして、そういう意味で、国が特定の個人に対して保証人になれということでは決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/83
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084・阿部未喜男
○阿部(未)委員 君、そんな勝手な答弁をしなさんな。民間の同じ進学ローンは全部保証人は要らないじゃないか。民間の進学ローンに保証人が要らないというのは、その分利子が高くなっておる。これは全体で保証し合っていることと違うか。民間の進学ローンは全体が保証し合うのに、国の進学ローンが全体で保証し合えない理由は一体どこにあるのだ。勝手なことを言うな、君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/84
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085・渡辺喜一
○渡辺(喜)政府委員 民間の場合には保証会社みたいなものがありまして、それに対して付保するというふうなことをやっておるわけでございます。国民公庫の進学ローンにつきましてもそういう一般的な付保機関みたいなものは検討はいたしておるわけでございます。ただ、実際に制度を実施いたしてみまして、どの程度の規模の応募があるかとか、どの程度の金額の資金が出るかとか、そういう実績も見た上でございませんと、そういう付保機関をつくるということもなかなかむずかしいわけでございます。
そういう意味で、たとえばおっしゃるような適当な保証人がなかなかむずかしいというようなケースにつきまして、そういうものを拾えるような一般的な付保機関の検討は続けてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/85
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086・阿部未喜男
○阿部(未)委員 ぼくは逆なんですよ。付保機関をつくるかつくらぬかは別にして、初めから保証人なんかとるべきじゃないと言うんですよ。民間の金融機関でさえ、いま申し上げたように全体で保証するという体系をとっておるわけでしょう。そのかわりに金利が幾らか高いが、それだけでそんな膨大な高い金利になるとはぼくは思いませんよ。あれはもうけるために金利が高いことはわかっていますがね。まあ、国の場合はそうじやございません。
それは率直に言いますが、金融公庫としてはそうじやございませんけれども、しかし、それならばそこでたとえば〇・一%金利が仮に高くなったとしても、それでもって特定の個人を保証人にせぬで済むのならばそういう方法をとるべきなんです。なるほど納得の上です。保証人というのは納得の上で判を押しておるのですから、だから泣く泣く払わなければならないのですよ。しかし、頼まれて人間が断るというのは、それは大変なことなんです。そういう人情の機微をあなたはわかりませんか。
早い話が、もしも知った人から、私の子供が今度学校に行くんだが、郵便局に行って金を借りなければならぬのだが済まぬけど保証人になってくれと言われて、いやですと言えますか。言えないんですよ。言えないけれども、もしも払えないときには、これは全体が保証してやるか、特定のその保証人に保証させるのかとなれば、特定の個人を保証人にとるというやり方はやめてください。どうせ金が足らなくなれば国で負担しなければならない問題なんですからね。
このほかにもあるんですよ。保証人をとらずにやっておるのはいろいろあるわけですから、わずか最高五十四万しか貸さないお金に何で保証人をとらなければならないか。この保証人制度だけはここではっきりやめると言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/86
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087・服部安司
○服部国務大臣 御指摘の問題は、私もこの交渉過程で、何かの機関をつくりたい、また特定の保証人に大きな負担をかけて非劇を招くことがあっては大変だということを考えましたが、しかも、貸し与える金額は現在の状態から見まして大したことはない。しかし、いま審議官が申し上げたとおりに、どの程度の利用者があるか、金額は御指摘のように五十四万ですから、正直言って大した利用はないんじゃないか——こういったことを所管大臣が言ってはあれですが、当初の私たちの考え方とかなり違った方向ででき上がったものですから非常に憂慮もしているわけであります。
そこで、いま審議官が申し上げたとおりに、まず発足させていただいて、その実績を見きわめてひとつ何とか考えてみょうということですが、しかし、簡単に保証機関といってもこれはかなりな経費を要するわけですから、利用者が限られた少数であるのにそういったものを早々につくって、これまたやめるというわけにはまいりませんので、初めてのケースであるだけにわれわれも慎重に取り扱わざるを得ないという事情も御理解いただきたいと思います。
そこで、この保証人設定について御指摘がありましたが、私も同様な感じを持ちました。しかし、いろいろ考えあぐんだ末ですが、人間は借りたものは返さねばならないという責任を持ってもらう。これは責任は精神的に非常に苦しいとおっしゃればそのとおりでありますが、まず、借りて利用した人がその責任をとってもらう、しかし、そのためにはやはり保証人をお願いしてもらうことにおいてなお一層の責任感を利用者が持っていただく、そういう点で、その過程において、その状況の推移によってそういった手当てをいたしたい、かように考えていたことも御理解を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/87
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088・阿部未喜男
○阿部(未)委員 これはまるで逆なんですよ。やってみて貸し倒れがたくさん出てどうにもならないから保証人が要るんだという考え方なら、まだ私は理解ができます。しかし、現に民間の同じ進学ローンが保証人なしで貸し出されるのに、郵政大臣があっせんできる人間に保証人をつけるとは何事ですか。あなたがあっせんするんでしょう。郵政大臣があっせんできる人間に保証人をつけるとは何事ですか。だから、ぼくは、それならあなたが保証人になりなさいと言うんですよ。どうしても要るというならば郵政大臣が保証人になっておあげなさい、しかし それはちょっと暴論になりましょう。
私は何も特別な保証機関をつけろと言うんじゃないんですよ。たとえば金利を〇・一%高くすることによってそのことが可能になるのかならぬのか。ならないならばあるいは〇・二になるかもわからない。それは運営の中で出てくる数字になるはずですが、初めからどろぼう扱いにして貸し倒れになるだろうということを前提にして保証人を必ずつけなさいなんで、そういうばかな話がありますか。
ですから、保証人制度だけはまずやめるということについてはどうですか。これは大蔵でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/88
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089・渡辺喜一
○渡辺(喜)政府委員 金融機関にとりましては、債権の管理確保ということはある意味では至上の問題でございまして、そういう意味で、何らかの意味で債権確保の手段を講じておく必要がやはりあるわけでございます。
保証人をやめるという場合には、それにかわる何らかの手だてというものが必要でございまして、そういうものが現在ございませんので、先ほども申し上げましたように、目下鋭意一般的な付保機関みたいなものの検討をいたしておるわけでございますが、そういう意味で現在直ちに保証人をやめるということは申し上げかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/89
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090・阿部未喜男
○阿部(未)委員 いま直ちにじゃなくていいんですが、これは貸し付けが行われるまでには相当の期間があるはずなんですよ。
もう一つ、あなたは付保機関、付保機関とおっしゃるけれども、民間も進学ローンは保証人がないじゃありませんか。その理由は、付保機関というものもただで付保機関があるんじゃないんだから、お互いが金を出し合っておるのです。どこから金を出すかというと、それはみんな貸し出しを受ける人たちの利子の中で補っておるんですよ。だから私は事を分けて、たとえば七・一%の利子ではそれが無理ならば七・二%ならできるのではないかと言っておるんですよ。付保機関をつくらぬでもそれで運営ができるはずなんだから、特定の個人を保証人にとるということだけはやめてください。まだ期間がありますから、その方向で検討しますとおっしゃってくれればそれでいいわけでしょう。
それを、まだ二年も先に貸し出しをしようかというものをさしむきできませんと言うのはおかしいです。さしむき検討しますというなら話がわかるけれども、二年先に貸し出そうというのにさしむきできませんというばかな答弁がありますか。やる気がないからそういう答弁をしておるんでしょう。やる気があったら、ここで、それは検討に値します。直ちにやってみましょうと言えるはずですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/90
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091・服部安司
○服部国務大臣 われわれは堅実主義で、一応発足させていただいて、利用者の動向を見てと考えたわけでありますが、御指摘のこともわからないことはございませんので、また、実施期間までかなりの日月もありますので、ひとついろいろと検討をしてみたいと考えておりますのでよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/91
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092・阿部未喜男
○阿部(未)委員 その問題はそれで大臣にお預けをしておきますが、特に私が申し上げた趣旨は御理解をいただいて、特定の個人だけに負担がかかるようなシステムだけはやめていただいて、そのかわり、どうせ運営していく上でお金が要るわけですから、利子がたとえば〇・一%高くなったとしても、それは全体で保証し合うということでやむを得ぬだろうという気がしますので、それが最善のものかどうかについてはそれはまたいろいろ問題がありましょうから、事前の調査をいろいろおやりになる必要があると思います。
最後にお伺いしたいのですが、郵政省は早く言えば国民金融公庫代理店という看板をお出しになるわけでございます。国民金融公庫代理店という看板を出すかどうかは知りませんが、これはどういう契約になるんですか。たとえば一件当たりどの程度の経費が要るんですか。
ちなみに今度の金利の引き下げの結果ですけれども、財投の方から回ってくるお金が六%として、国民金融公庫はこれを七・一%ぐらいで貸し付けをしたいという。この間一・一%のさやがある。これが事務費というようなものになるのだと思うのですが、当然その中には郵便局の窓口において行う業務も含まれておるわけですから、郵便局の窓口において行う業務については、委託手数料という言葉が妥当かどうかは別にして、そういうものはどういうふうにお約束なさっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/92
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093・服部安司
○服部国務大臣 手数料の問題はいま当局と折衝の過程であります。思いつきになるかもしれませんが、そういった問題も含めて、先ほどの問題と絡ませて検討してまいりたいと思っております。
正直に申し上げまして、利用者サービスについては三百六十五日取り扱うものではありませんので、大体二月中旬から三月いっぱいで終わる業務ですから、こういった立場で事情を踏まえて、先ほどの御指摘の特定の方の大きな負担という問題いわゆるどのような制度に持っていくかということもあわせてひとつ考えてみたい。これは思いつきですが、そのように考えております。
実は、けさも、この取扱手数料についてどういう方法でいくかという幹部との相談の過程で、利用者サービスという点についてある程度郵政当局が犠牲を払うべきである、三百六十五日取り扱う筋合いのものではないということで、先ほど御指摘の保証人の問題と絡ませてこれも考える必要があるなと私は考えておりますことを御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/93
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094・阿部未喜男
○阿部(未)委員 委託をされるといえども、郵政事業は特別会計です。独立採算制の会計なんです。独立採算制の会計が、先ほど来議論になったように郵便も無料で扱わなければならないなど、いろいろな問題が出てくると思います。そこに人手も要るわけですから、値段を決めずに物を買うというのは、郵政省は金がありますから気前がいいのは構いませんが、私どもの立場からすると、幾ら手数料をもらうのかもわからぬのにやりましょうということを先に決めるわけですから、どうもちょっと納得がいきかねる。この程度のことをしてもらわなければ郵政省は採算上困りますという——現に国民金融公庫たって一・一%の間での予算をもらってこの事務を実行するわけでしょう。執行者になるわけでしょう。それなら郵政省も当然何%かをもらって、あるいは一件につき何ぼかをもらうことによってこの事務の委託を受けるのが筋であって、委託は受けましょう、しかし委託をされる手数料は何ぼかまだわかりませんなどということを前提にしてこの法律を通しなさいと言われると、私は本当を言うとちょっと疑問があります。
まあ、お役所同士のことでしょうから、特に大蔵省の方にもお願いをし、国民金融公庫の方にもお願いしておきますが、郵政省といえども独立採算制をとっておる企業というような官庁でございますから、余り無理がないように、両者の間で十分な話し合いで決めていただきたい。
いずれまた次の機会に、先ほどの保証人の問題なり手数料の問題なりについては改めて質問いたします。
本日の私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/94
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095・松本七郎
○松本委員長 午後二時から本委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後一時四分休憩
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午後二時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/95
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096・松本七郎
○松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。米田東吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/96
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097・米田東吾
○米田委員 法案に関連いたしまして、今回の郵政審議会の答申に関連した若干の質問を最初にさせていただきたいと思います。
今度郵政審議会が招集されまして、郵便貯金の利子の引き下げの問題を中心にいたしまして議論がございました。四月十八日付をもちまして大臣あてに答申が出ておるわけでありますが、かつて本委員会におきましても、大臣は、今度の郵政審議会の諮問に当たりまして、大臣みずから一定の数字を示して、それについて諮問をいただくという態度は郵便貯金の利子の特殊な関係を考慮するととれない、すでに過去約一年弱の段階で二回の利子の引き下げが行われておる、郵便貯金の利用者に対して大変な目減りを与えておるということも申されまして、今回に当たっては数字のお示しはできないのだ、白紙なんだ、十分意見を聞くのだという趣旨の御答弁もなさっておるわけであります。
ところが、大臣は、同じく四月十八日に一定の数字を示しまして、そしてそれについてイエスかノーかという答申を受けるという態度に変わったわけであります。
私はこの間の事情がわかりません。大臣の基本的な姿勢に変化があったのか、それから郵便貯金の利用者に対する目減り対策等について、何か大臣としての一つの対案を持たれたのか、どういうことで大臣の姿勢が一貫しなかったのか、私はまず最初にそのことをお聞きしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/97
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098・服部安司
○服部国務大臣 このたびの公定歩合の引き下げに連動いたしまして一般金融機関の金利の引き下げが発議されて、同時に大蔵大臣から私に郵便貯金の金利引き下げの要請のあったことは御案内のとおりであります。私はそれを受けて、御承知のとおり、郵便貯金法第十二条に示されておりますとおりに、国民大衆の利益の増進を図るという前段の趣旨を——後段には一般金融機関の金利を踏まえてということがありますが、私は所管大臣といたしましては、預貯金者の目減りを憂慮いたしまして下げたくないという態度をとるのは当然であります。
御指摘どおりに一年以内にもうすでに二回引き下げられ、今度は年内に三度の引き下げということでありますから、異例とも言われるように私は白紙で諮問をいたしましたが、なぜ白紙で諮問したかと申しますと、郵便貯金法十二条の前段、後段の趣旨をどちらも切って捨てるわけにまいりません。気持ちとしては前段を重視したいのですが、そういう悩み、迷いの中で広く各界各層から選ばれた委員諸先生の意見をまずお聞かせいただいて、大体まとまる方向の意見で——答申を求めるわけでありますから、いつまでも白紙というわけにはまいりません。したがって、答申を求める案をつくるための準備行程といたしましてああいった措置をとったわけでございます。
四回の審議会を持っていただき、そのうち一回は参考人の意見を聞き、これも各界各層の方々にお集りをいただいていろいろと御討議をいただいたわけでありますが、その上でまとまった意向として、正直申し上げてああいった民間金融機関に右へならえのような状態の答申を求めました。
結果論でありますが、自分の意思とは全く方向の違った結果に相なりまして取り巻く環境の非常な厳しさを身にしみるとともに、まことに遺憾な結果であったと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/98
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099・米田東吾
○米田委員 大臣、いまの御答弁によりますれば、この答申の答えは大臣の意思に沿っていない結果になったという御答弁のように私にはとれたのですが、そういうことで理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/99
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100・服部安司
○服部国務大臣 先ほども申し上げたとおりに、私は郵便貯金法第十二条の前段を最後まで死守したい気持ちであったわけですが、取り巻く環境の厳しさと申しましょうか、また、四回にわたる参考人の意見聴取も含めての審議会を通じてああいった答申を求めたわけであります。
したがって、もう一度念を入れますが、所管大臣としては、全く自分の意に沿った結果を出さなかったことはまことに遺憾でありました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/100
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101・米田東吾
○米田委員 わかりました。所管大臣であり、同時に福田内閣の国務大臣であるという立場も持っていらっしゃるわけであります。したがいまして、所管大臣としての責任と立場からいきまして今回の答申は必ずしも意に沿っていないし、また、郵政省が数字を示したことも事志に違ったけれども、そうせざるを得なかったという趣旨の御答弁だと思うわけで、それはそれなりに大臣の心情もわからないわけではないのであります。
しかし、そこで私は大臣にがんばっていただきたかったのはいま申されました郵便貯金法第十二条の前段についてですが、そしてそれは同時に郵便貯金法の第一条に戻って、きちっとした郵便貯金の性格といいますか、そういうものが規定されておるわけでありますが、主管大臣として、この第一条と第十二条の前段に準拠して最後まで終始した姿勢をどうしてとってもらえなかったのか。結果として大臣がそういう答弁をされましても、国民の目に映るものは、白紙で一応は臨んだけれども、それは一つの予定の行動であって、結局は国務大臣としての大臣は何らかの数字を示して郵便貯金を連動させたのだ、そしてそれは国民に対する一つの宣伝効果というか、そういうようなものが作用した後味の悪い郵政省あるいは大臣の態度になったのではないかと、こういう批判があるだろうと私は思うのでありますけれども、それに対してただいまの大臣の答弁では私は納得できない。
もう一つは、所管大臣の郵政大臣としては、零細な国民の貯金、財産を預かり、そして全面的にこれを管理するという法第二条の精神からいきましても、私は終始その立場を堅持してもらいたかったし、またそれが所管大臣として当然のことじゃなかったかと繰り返して私は指摘をしたいわけなのであります。その姿勢がないと、いま日本の経済は福田総理が言われるような暗いトンネルから抜け出して明るいしゃばに出るという情勢がない状況でございますので、今後さらに四度、五度と景気対策の一環としてこれが連動せざるを得ないというようなことになりはせぬか。郵便貯金法の精神が死んでしまうのではないか。このときに大臣は断固としてこの郵便貯金法の第一条と第十二条の前段の立場を堅持されて、預金者の利益を守ってもらいたい。
要するに、それこそ零細な国民の財産の擁護の側に大臣から立ってもらうということが郵便貯金の事業そのもののためにもいま必要なんじゃないかという感じを実は私は持つのでありますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/101
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102・服部安司
○服部国務大臣 もちろん私も米田先生と同様な考えに立ってまいったつもりでありますし、また、現在はこういつた苦しい立場に立ちましたが、今後の郵務行政運営については当然その姿勢で臨まねばならないと考えております。
先ほどの国民の批判、白紙で審議を求めたということについては私は甘んじて受ける決意であります。しかし、私がそんなに上手に利口に世渡りできる性格でもないことは、きわめて短い期間ではありますが、この委員会その他の会合を通じても御理解願っていると思うのであります。私は本当にその間苦慮しました。これはもう天地神明に誓って申し上げられます。
重ねて申し上げますが、余りにも厳しい取り巻く環境で自分の意のごとくの結果を出すことができなかったことは、先ほども申し上げたように非常に遺憾でございました。しかし、今後私がこの立場にある間は、当然御指摘のとおりの姿勢で、重大な決意のもとに進めていかねばならない。またぞろこういうことを招くことはもう耐えられない気持ちでありますから、今後は極力そのようなことのないように努力を積んでまいりたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/102
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103・米田東吾
○米田委員 くどいようでありますけれども、大臣のただいまの答弁に関連して、私からも強くそのことをお願いしておきたいと思うのであります。
大体、ここ三回程度の郵政審議会の答申を見ましても、本来郵便貯金は公定歩合を初めとする市中の金利の引き下げに連動すべきものでないということで、ずっと一貫してそういう姿勢がとられておるのであります。しかし、大臣がおっしゃるように、経済の現状を考えてこの程度はやむを得ないだろうということで、要するに妥協的な答申で出ておるわけなんでありますけれども、今後のことを考えますと、このような状態でいきますと、大臣が何と心強い答弁をされましてもそれは歯どめにならぬと私は思う。したがって、今度歯どめにするためには何が一番適当なものであるか、所管大臣として十分に考えていただきたいし、郵政審議会あるいは貯金の利用者、そしてこの逓信委員会の意向もそうだと私は思うのであります。
大臣、大変強い言葉でありますけれども、腹を切ってもこの歯どめになって郵便貯金の連動を抑えるというくらいの決意を固めていただかないと、大臣が幾ら答弁されましてもなかなかそうはいかないのではないかという気が率直に言っていたします。大臣に軽々に腹を切れなんということを私の真意として申し上げるつもりはありませんけれども、私はやはり何らかの歯どめが必要なんじゃないかということを思うがゆえに申し上げたわけなんであります。答弁は要りませんからこれを一つ申し上げて……答弁がありますか。では答弁していただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/103
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104・服部安司
○服部国務大臣 まことに重大な御発言で、腹を切ることには人後に落ちないつもりでやっているわけでありますが、しかし、腹を切っただけで事おさまれりという内容の問題ではありません。
ただ、ここで米田先生に一つ御理解を願っておきたいことは、三十七兆三千億という零細な貯金の金にいたしましても、郵政省で預っている金で、これはやはり財政金融に大変大きな影響力を持つわけでございます。私も就任直後のことでありましたからなかなか経験も浅く、ああいったような非常にとまどった状態のもとでいろいろと取り組んだわけでありますが、いま静かに振り返ってみますと、私は郵政審議会に答申を求める過程で考えましたが、この三十七兆三千億という金は、庶民の零細な金の集積であっても、この影響力というものは日本の経済運営にやはり大変なウエートを占めているわけであります。この事実もやはり無視することはできないという、先ほど大変温かいお言葉でございましたが、私は郵政大臣で片や福田内閣の国務大臣という立場で、いままでは郵政大臣は経済閣僚ではなかったのが今度は経済対策閣僚会議にも入れられていろいろな会議に出ていろいろ意見を聞いたり吐いたりしているわけですが、そういう点が最終的に私の心が揺らいだ一つの要因でもあったと思うわけであります。
そこで、この両方を考えますと、先ほど御指摘のとおりに、もうきわめて早い時期に四たびこういう事態が起きたら大変なことになってくる。だから、公定歩合が下がる、それに連動する、また連動を要請されるといった全体の金利体系について、むしろここでもっとぴしっとしたものを考える時期ではなかろうかと思うのです。実は、こういつたことも別に省内で協議したわけでもございませんし、これをテーマにいろいろとディスカッションをやったわけでもございませんが、私なりにこういったことも考えているわけでございます。そういう立場も御理解をいただいて、よい方向づけがあったならば適当な機会にまた御教授を願いたいと思います。
事さように苦しんでいるということは、壁頭に御指摘の問題を私も私なりにやはり真剣に考えているわけでありまして、これは今度は絶対やらないということを誓えと申し入れられて、答弁は要らないとおっしゃっられても、そういった問題がちらっと頭をかすめたものでありますから、あえてお許しを得て申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/104
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105・米田東吾
○米田委員 大臣のお気持ちは私も十分わかっているつもりでございます。ただ、現在の三十七兆七千億は、それは確かにいま郵便貯金の占める総トータルがそうなっておることは私も承知いたしておるわけでありますが、しかし、預金者の立場からいたしますとそれは余り関係がないのです。自分の通帳に積んであるもので、たとえば不時の出費に備えるとか、あるいは老後に備えるとか、子供の教育費にするとか、結婚資金にするとか、そのことが実は郵便貯金なんでありまして、三十七兆七千億とは実は見ないわけであります。そういう点からいきまして、大臣と私とその部分については見解の相違が出てくると思いますけれども、私は、預金者の立場に立った大臣として期待にこたえていただけるように強く要望したいということでございます。
それから今回の答申を見ますと、六カ月ものといいますか、六カ月期間の定期郵便貯金が新設されておるようでございますけれども、これは諮問にもあったようでございますが、この考え方はどういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/105
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106・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
定額貯金につきましては、長く置けば置くほど有利ということでいままでやっておりました。したがいまして短い期間、たとえば六カ月という期間をとりまして民間と比べた場合には民間預金利率に比べて低かったわけでございますが、このたび年間三度にも及ぶ利下げが行われるにつきまして、利用者の方々の短期の定期性預金につきましても、郵便局に預けたがゆえに見劣りがするということであっては申しわけないということで、いささか問題は小さいかもしれませんが、この辺につきまして民間と全く同じ商品をつくることを考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/106
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107・米田東吾
○米田委員 局長はいま定額貯金で六カ月ものという答弁のようでございましたが、もともと定額貯金は六ヵ月からスタートするのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/107
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108・高仲優
○高仲政府委員 先生の仰せのとおり、定額貯金につきましては、必要拘束期間は六ヵ月まででございまして、以後長く置けば置くほど有利になる、六ヵ月以降はいつでもおろせるというたてまえでございました。したがいまして、六ヵ月ものにつきまして、あるいは期間の短いものにつきましては、民間に比較いたしまして低きに抑えられておったわけでございます。
一年ものにつきましては、一年定期預金というのが郵便貯金にもございまして、民間と同じでございましたが、六ヵ月ものというのはいままでなかったのでございます。
実際の定額預金の預入状況を見ましても、六ヵ月から一年の間でおろされる方もある程度あるという事実に着目いたしまして、これらの方々にいささかでも有利にということを考えて右の措置をとった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/108
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109・米田東吾
○米田委員 あわせて、答申の中身についてこの際大臣の見解をお聞きしておきたいのであります。
この答申の本文の中に、この際郵便貯金法に定める預金者保護の原点に立ち返って基本的な検討を行うことから始めるべきであるとか、あるいは預金者の利益を守るためには郵便貯金の利率は据え置くべきであるとか、こういうような意見が表明されたように書かれておるわけであります。これは少数意見だと思いますが、これにこたえてといいますか、これに含まれるのでしょうか、あるいはこれにかわるべきものとして、以下三つにわたって具体的な意見が出ておるわけでありますが、この中で、「現行金融制度の見直しを行い、預貯金を個人の貯蓄性預金と営業性預金とに区別し、個人の貯蓄の金利は直接金利政策の影響を受けないようにするなどの検討をすべきである。」ということの一つの提起がございます。これなんかは現状の情勢に照らしてみますと非常に当を得た一つの提起であるようにも私は思うのでありますが、これについて大臣の見解はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/109
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110・服部安司
○服部国務大臣 私は当然この答申の趣旨を尊重いたしますし、また、先ほども少し触れたとおりに、何かの体系の確立が必要であることを痛感いたしました。
公定歩合引き下げにすぐに連動要請をするのは、これは過去の歴史をひもといても必ずそのとおりになっているわけですから、私は、もうこの辺でひとつ考えたいのはこのことであると御理解いただければ大変ありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/110
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111・米田東吾
○米田委員 それからもう一つ、「金利の引下げの影響をもっとも強く受けるのは、老後の生活を貯蓄に依存している人々であり、このような預金者に対して、例えば退職金の一部について利子非課税として預入できるようにするとか、あるいは一定の金額を限って金利を優遇する等の政策的配慮を行うべきである。」となっているが、この点につきましては、かねて大臣の一つの見解として、退職者に対する優遇策として退職金の利子の非課税制度を導入したらどうかというような提起がございましたが、いま読みましたこの項については大臣の見解と一致しているように思うのでありますが、これを受けて大臣としては、この問題についてさらにどう対処されようとしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/111
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112・服部安司
○服部国務大臣 これは私もかねてこの場でも意思表示をいたし、皆様方の御理解を得る努力は払ってきたつもりでありますが、これは大蔵当局との折衝事項でありますので、今後時間の許す限り当然努力を積み重ねてよい結果を得たいと私は考えております。
その理由は、期せずしてこういつた金利引き下げと時期を一にしましたが、私がかねがね考えていることは、長きにわたっておのおのの職域を通じて国家社会に大きな貢献のあった方々がある時点で退職をされるということは、これは常識的に考えてそれから先の老後ということに当然なるわけでありますが、この時点で一つの老後設計があると思うのですね。それがこういったようにやられるとかなり大きな狂いが生ずる。国家社会に長い間貢献のあったこういうとうとい方に大きな打撃を与えるということは正しい政治の姿ではない。したがって、そういう老後の生活の糧にされる退職金ですから、当然非課税にして保護をせねばならないと考えている次第でありまして、この問題も今後大いに推進してまいりたい、諸先生方の御協力をお願い申し上げたい、かように私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/112
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113・米田東吾
○米田委員 いまの問題でございますが、大臣構想が出ましてから世論も分かれておるようでありますけれども、大体は大臣構想を支持されておるようで、マスコミの動向なんかを見ましても、あるいは投書欄を見ましてもそういうことがうかがい知れると思うのです。
ただ、大蔵省の方は大分頭にきておるように私は聞いておりますが、今回の答申にも重要な部分としてこれが指摘をされて触れられておりますし、これは本当に促進されるべきじゃないか、せめてまず郵便貯金の側で先鞭をつけて、退職者等に対するサービスをやるべきじゃないかというふうに私は思いますが、その気概と準備があるかどうか、もう一度お聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/113
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114・服部安司
○服部国務大臣 御指摘どおり、大蔵当局はいろいろな手段を講じてかなり強い難色を示しておられます。これは財政当局としての立場から言えばやむを得ないだろうと思うのでありますが、正直申し上げて、給与所得者は長い間まじめに税法で定められたとおりの納税の義務を果たしてこられた方々ばかりであります。だからどうと言うのではありませんが、こういう立場も御理解をいただいて、先ほど申し上げたとおりに厳しい条件のもとではかなり難行だと思いますが、この時点で老後生活を安定していただくために努力すべきであると私は思います。また大蔵当局にも、そういった財政金融のことばかりを考えないでときにはこういつたすばらしいことも考えてもらいたいということを、国会が終わればひとつきわめて精力的に交渉を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/114
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115・米田東吾
○米田委員 事務当局としては、いまこの問題について検討の段階ですか。何か具体的に準備あるいは折衝等の段階を迎えておりますか。それとも、何か政治的な障害が出てなかなか手がつかぬという状態になっておりますか。事務当局としてはどうなんでしょうか。ちょっと聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/115
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116・高仲優
○高仲政府委員 事務当局といたしましては、大臣の意を受けましてこれを実現すべく大いに努力するつもりでございますが、まだ主として内部的な検討の段階にとどまっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/116
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117・米田東吾
○米田委員 それからもう一つ、これも蛇足のようでありますけれどもこの機会に聞いておきますが、三番目についておる意見として、今回は「金利の引下げはやむを得ないとしても、再び物価が上昇するときは、遅滞なく利率を引き上げるべきである。」と言っていますが、これはいままでの二回にわたる答申にもあったようでございますけれども、これについての大臣の御決意はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/117
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118・服部安司
○服部国務大臣 私は当然そういった事態の一日も早からんことを祈っている一人でありますし、また、物価の上昇ということはさておいて、景気の回復ということも、経済の安定で適正な利率に是正されるわけでありますし、私はかねがねそういったことを考えていたのでいまほっと考えたのですが、やはり、昭和三十二年から約十年の間にかなり変動があるわけでございまして、もちろん物価の上昇等いろいろな影響によってそういった手当てをせねばならないということは、答申にもありますとおりに、これは純然たるささやかな金利を目的の預金者の立場に立って推進したいと私は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/118
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119・米田東吾
○米田委員 最後にもう一点、この答申に関連して決意を聞いておきたいのでありますけれども、答申に当たって要望事項が三点つけられておるわけでありますが、この中の第二点に、「郵便貯金の総額制限額を引き上げることによって、預金者の利益を図る必要がある。なお、この際、老齢者については特に配慮を加えること。」ということがあります。
この総額制限額の引き上げという要望の点はやはり検討に値する時期に来ているのではないかというふうに私は思うのでありますが、大臣の御見解はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/119
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120・服部安司
○服部国務大臣 私も全く同感でございます。また、そういった方向で進むべきであると考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/120
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121・米田東吾
○米田委員 今度の国会ではそれに類する法案の準備はないようでありますが、とにかく現在の三百万円ではいろいろな面で現状に合わない状態になっているということは大臣も十分卸理砕いただいていると思うのであります。したがって、この総額につきましては相当郵政当局としても検討をされて、ある程度の具体的なものもお持ちの時期ではないかというような気もします。
それから、あわせて最近国税庁当局から郵便貯金の脱税の問題が大分指摘をされておりますが、これなんかを見ましても、この総額制限の引き上げという関係がある意味では一つのよい意味での対策にもなろうかと思うのであります。現状に合わないような額で抑えられておるものでありますからついああいうふうな結果にもなりかねない。私はそれを是認するわけではもちろんありませんけれども、そういうような観点からいたしましても、早い機会にこの総額制限の引き上げという問題は法律的にも政治的にも決断をしなければならないという状況だろうと思いますが、これについてはいまどんなおつもりを持っていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/121
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122・服部安司
○服部国務大臣 制限額の引き上げについては米田先生と全く同感でありますと申し上げましたが、本年度もすでに五百万と、二百万の増額を大蔵当局に要求いたしました。残念ながらこれが実らないで査定は三百万に落ちついたわけでありますが、われわれはまず五十三年度において実現できなかったことはまことに遺憾でありますが、今後もこの考え方を貫いてまいる決意でございます。
なお、先ほどちょっと答弁漏れをいたしましたが、老齢福祉年金等の受給者を対象とするいわゆる福祉的郵便貯金の利率については、これを据え置きにしたことは御案内のとおりでありまして、今後もこういった面に力をいたしまして、なるべく多くの福祉対象者に温かい手を差し伸べる努力を払ってまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/122
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123・米田東吾
○米田委員 これは貯金局長にちょっと答えてもらいたいのですが、要するに郵便貯金の目減りと言われるものですが、一般的にそういうふうに簡単に私どもは言っているのでありますけれども、今度の郵便貯金の金利の引き下げも合わせまして三回続きました中で、これが金額的に数字の上で具体的にどの程度の目減りが実際に出ていると皆さんの方では推算をしていらっしゃるのか、数字がありましたら答えていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/123
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124・高仲優
○高仲政府委員 既往三回の利下げによる支払い利子の預金者の方の収得の減少額でございますが、五十二年五月に行いました利下げの五十二年度中における減少額が四百十三億二千万円、それから同じく九月の利下げに伴う五十二年度中の減少額が百六十六億四千万円という計算になっております。今回の利下げは、これは今年度中の減少額でございますが、五百七億円と推算いたしております。
先生も御案内のとおり、通常貯金等については直ちに元金から引き下げの効果が及ぶわけでございますが、定額積み立て等については利下げの日以降新規預入のものに新利率が適用される、従来のものは契約の継続期間中は従来の利率が維持されるという関係で、総額とはちょっと結びつかない形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/124
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125・米田東吾
○米田委員 わかりました。そうすると、今回の三回の利下げによりまして少なくとも一千億を超えた目減りといいますか、預金者にとっては不利益がもたらされているというふうに見えるわけでありますが、このことにつきましては当局の方も慎重に検討していただいて、これに対する何らかの別な意味での預金者サービスというものを政策的にも検討される必要があるのじゃないかという気もいたしますので、ひとつ検討しておいていただきたいと思います。
次に、今回の法案の関係について御質問をいたしますが、まず、大臣、午前中の質問でもきわめて明らかにされておるわけでありますけれども、郵政省が当初考えた進学ローンと今度法案として出されておりますものとは全く似ても似つかぬものでありまして、預金者の立場からいたしましてもこれについてはやはり問題があるように見られると私は思いますし、また、郵政省を含めて郵便貯金を支えてきた職員の立場からいたしましても、中途半ぱな、いわば国民金融公庫の窓口だけのローンを扱うようなこういう制度でいいのかという疑問や反発も当然出てくるように私は思うのであります。
どうしてこうならざるを得なかったのか、これは前大臣から引き継がれている問題でもございますし、この問題についての環境といいますか、大蔵省を含めた環境というものは相当よかったのじゃないかというふうに私は見ておりましたし、また、私ども社会党としてもそういう観点で今日まで協力してきたわけであります。特に、今度の予算折衝の段階での復活の面では、この郵便局の創設される郵便積立貯金の進学貸し付けにつきましてはわが党としても政審を挙げて取り上げまして、皆さんと一緒に進めてきたわけであります。しかし、今度法案として出されたものを見ますと、これは全くいかものになって出てきたわけでどうしても納得ができないわけであります。
したがって私は大蔵大臣の出席要求をしているのでありますが、まだ実現できませんけれども、郵政大臣として、どうしてこうなったのか、いままでの郵政省が考えていた当初案と今度提案されております内容と特にどこがどう違うのか。そういう点も明らかにしていただいて、経過を説明していただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/125
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126・服部安司
○服部国務大臣 こういった構想が発表されて与野党一体の形で御推進いただいた経緯から考えますと、こういった進学ローン創設についての関係者に対して私はまことに忍びがたきものを感じているわけであります。一言で言うならば私の力の足らなかった点だとみずから反省をいたしております。
ただ、あえてお許しを得て申し上げますと、私は、予算編成のいわゆる時間的な制約、また成立のための最終予算閣議などのタイミングなどと合わせてずいぶんがんばったのでありますが、ちょっと弱気の出たのは、利用者、国民の立場になりますと——むしろこれは多岐にわたる窓口ができて、それなりの効果が上がったのです。当初は郵便局の窓口一本でこの創設の構想を立てたわけでありますが、大蔵当局が対案を持ち出して銀行も立ち上がるし、農協とかありとあらゆる金融機関も名のりを上げる。これは法律規制はないからどんどん自分の思いどおりに実行に移せる。そこに最終的には国民金融公庫という機関があらわれてこういうことに相なったわけですが、私は、利用される国民の立場に立てばという、この弱気がこういう結果につながったと思うのでありますが、先ほど申し上げたとおり、私の力不足という一言に尽きると思ってこの機会に深く反省いたしておりますことを申し上げて、御理解を得たいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/126
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127・米田東吾
○米田委員 大臣からあっさりそう言われてしまうと後がちょっと言葉が続かないのですが、そうじやなしに、郵政当局や歴代の大臣がお考えになった立場というものは、あくまでも郵便貯金を利用する利用者の立場に立って、国の貯金であるがゆえにせめてこの程度のことはできるし、またしたいということでこれはスタートされたのであろうと私は思うのであります。
進学の関係で、最近の父兄の財政上あるいは生活上にいろいろな深刻な負担なり事情が出ているわけでありまして、見るに耐えかねて、郵便貯金を利用していただく方であるならば、すでにゆうゆうローンもあるわけでありますし貸付制度もあるわけでありますから、この際もう一歩進めて、せめて進学という目的に沿った貸付制度を持った貯金というものをつくろうということだろうと思うのでありますが、私はその初心を断固として推進していただきたかったわけであります。途中になりますと政治的な問題が出てくるし、つい政治的な決着をする、結局は中途半端な妥協になってしまうということになると思うのですね。そういうことが果たしていいのかどうか、そういう点ではやはり問題を投げかけておるのじゃないかというように私は思っておるわけであります。
特に、郵便貯金の場合はすでに貸し付けのゆうゆうローンがあるわけでありますから、目的に沿った貯金制度であるこの進学ローンがなぜ郵政省に任されないのか、同じ政府の機関の中で郵政省はそれだけ信用がないのか、信頼がないのかということになるのですが、しかし、これはないとは言えないと思うのです。ないならば何で貯金という金集めをやらせるのかということにもなるわけです。だから、そこらあたりは事務当局を含めて理を詰めていただいて、郵便貯金のサービス精神を曲げないで断固として貫いていただきたかったわけなんでありますけれども、結果としてはこういうことになったわけであります。
そこで私は聞きたいのでありますけれども、大臣、率直に言ってこういう状態で制度を創設してこの法案を認めた方がいいのでしょうか。私はむしろ逆じゃないかと思うのです。それなら環境が整備されるまで郵政省はやらぬ、中途半端なものについてはやらぬ、そのかわり大臣も答弁されているように市場には民間ベースでもう出ておるわけだから、国の機関であるということで国民金融公庫がやる必要は何もないということで、環境が整備されるまで見送った方がよかったんじゃないですか。
現に大臣も午前中の御答弁では、果たして利用者があるんだろうかということについて一抹の危惧も持っていらっしゃるような答弁もされておるわけでありますが、そういうことからいきまして、ある意味では実際問題としてこれはメリットというものは非常に弱まっている。これでいきますと、委託される郵便局の側、要するに郵政省の側といいますか、あるいは職員の側といいますか、そこにただ非常な負担のしわ寄せがされるといいますか、労働の面でも仕事の面でもあるいは経費の面でもそこに負担がしわ寄せされるということになってきているだけなんであります。私はそんなような気もするわけでありまして、余りメリットがないんじゃないかということなんですけれども、この点については大臣と見解が違いましょうか。御答弁いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/127
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128・服部安司
○服部国務大臣 きわめて厳しい御指摘で、どのように答弁すればよいかと非常に迷っていますが、このように御理解をいただけないものでしょうか。
郵政省の立場から考えると先生の御指摘のとおりだ、全く異論を差しはさむ余地はないと私は思うのでありますが、ただ、利用される方には郵便局の窓口だけで十二分に用を達していただけるようにということがせめてもの救いで、私は最終的に大臣と取り決めたわけでありますが、当初はあて名も国民金融公庫か何かであったが、私はそれはだめだというわけでがんばって、その所在地の郵便局長あてに申し込みを受付できる配慮を了解してもらって、そこで今度は郵便局の窓口でまとめて、早いうちに国民金融公庫に提示いたしまして、事前審査という名のもとで諸手続をとる。それが郵便局に返ってきて、この間は何も利用者に関係ないわけですから、今度は窓口でそれを証明する書類が完備していて提出されるとその場でお渡しするというように私は詰めたわけですから、立場上の問題から言ったらいろいろ問題はありますが、どうぞひとつ広く国民、利用者側の立場に立ってこの法案の御承認をお願いいたしたいと思います。
時代もだんだん変わってまいりますことでありましょうから、そのうちに逐次改善を加えつつ、最終的には理想のものに仕上げていくべきではないかと、現段階ではそのように考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/128
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129・米田東吾
○米田委員 大臣がおっしゃるように、確かに利用者の立場からすれば国民金融公庫まで足を運ばぬでもいいわけでありますから、貸し付けの申し込みをしてあとは郵便局でいろいろ手順をしてくれて、そしてよろしい資格があるということになれば公庫に送って審査を受けて、貸し出しはまた郵便局の窓口ということになるわけであります。
大臣のおっしゃることもわからないわけではありませんけれども、ただ、私はそこで指摘したいのですが、利用者の立場からすると、郵便局で即決してもらえないわけですね。わかりました、貸しますよ、何月幾日に取りに来てくださいということ、これがもらえないわけです。預かりましょう、大体いいようです。私のところではどうにもならぬのですから国民金融公庫へ送ります。私のところはあっせんして、よろしいとなればいずれあなたの方に通知が行きますということで、ちょうどくつの底からかゆいところをかいているようなものであります。窓口までは来て、あるいは貯金の外務員に頼んで説明を聞いて、事情がわかってそして貸し付け申し込みをして、資格も持っている、貯金もしているということになっておるにもかかわらず、なお、待ってくださいよ、これは最終的には金融公庫へ行って、そこで審査を受けて、そして貸せるか貸せないかあなたのところへ返事が返ってきますよという、この手ぬるさ、これは郵便局に対する信用にもかかわってきますよ。
これは利用者の立場からしますと大変時間がかかるわけでありますし、打てば響くという貸し付けの制度になっていないわけであります。そういう点ではこれは利用者には大変不満を与えるだろうと私は思うのであります。したがって、これは基本的に大臣の言っていることについて私はわからないわけじゃないのでありますけれども、利用者の立場からすればそういうなまぬるさを感ずるし、かゆいところに手が届かないような制度だということだけは大臣に承知しておいてもらわなければならぬと私は思います。
なお、この場合に、郵政職員といいますか、郵便局の側あるいは申し込みを受けた外務員の側はどういう役割りを果たすことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/129
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130・服部安司
○服部国務大臣 法体系の立場からいけばたてまえは御指摘のとおりだと思うのですが、私はそこまで申し上げていいかどうか迷っていたんですが、実質はそうではないと思うのです。もう郵便局長でほとんど決められるような内容のものであり、きわめて単純な貸し出し様式じゃなかろうかと思うのです。
ということは、二年間に定められた方法で貯金をされて、今度は高校、大学に行く。これはもう予定が決まっているわけですから事前に手続をされる。ここで詐欺行為でも起きない限りは、はっきり言って国民金融公庫は拒否することができないのです。もし拒否したら大問題で、そんなことをされたら今度は私は黙って下がらない。こんなものは形式論だと思う。これはちょっと言い過ぎかもしれませんが、これはもうほとんど窓口事務で処理てきるという確信を私は持ったから——これは折衝の内容はちょっとあれですが、私はそういう確信を持ったからよかろうということに相なったわけですから、杞憂されているような深刻な問題ではないと私は受けとめておるのですが、どうぞその点も御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/130
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131・高仲優
○高仲政府委員 申し込みがあった際の貸し付けの問題でございますが、審査は大臣が申し上げましたようにいわば形式的なものであって、要件を満たしておるということ——要件というのは所定の預金契約に照らしてそのとおり預金していただいておるということですが、それから入学という事実が成就しておるということ、これがございますればほとんど自動的に貸し付けるということを私どもといたしましては考えておるのでございまして、国民の利便ということから考えました場合、貸し付けの主体が国民金融公庫となったことによって利用者の方々に迷惑ないし御損をかけるということは別段ないものと確信いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/131
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132・米田東吾
○米田委員 私の認識があるいは足りないのか知りませんけれども、この制度でいきますと、まず貸付限度の五十四万は国民金融公庫から借りるわけですね。向こうの準備しておる資金の中から借りるわけですね。それからなお、預金者が希望すれば、郵政省に積み立ててある分についても、五十四万を限度として、それ以内なら借りられるということですね。そうでしょう。
そうだとすれば、郵便貯金から払い戻すのはまさに郵政省限りで処理できますけれども、国民金融公庫から来るところの五十四万という金は向こうの裁量になるわけでありますから、私の記憶では、国民金融公庫とか中小企業金融公庫とかいうような政府系の三つの金融機関では四半期ごとに枠が割り当てられるから、したがってよくあることですけれども、あなたの方は審査をしたら適格だけれども残念ながら枠がないのだ、この次の四半期まで待ってもらわなければならぬというようなことが間々あるのですよ。政府系の三つの金融機関の状態というものは、そういうことが多い。しかし、この郵便貯金についての貸し出しの分だけは別枠で、国民金融公庫はちゃんと用意をしていて、いわばいつでもトンネル式に出してあげるということになっているならいいですよ。そうでなかったら、やはり資格の面で、郵便局で適格だということで上がってくればくどい審査はしなくても——貸し付ける資金の面ではそういう事情が出てきはせぬかということが私の認識ではあるわけなんです。
したがって、そういう面から言って、わかりました、おまえさんはもうすぐ間違いなく貸し出しができますから、大体一週間ぐらいで金融公庫から返ってきまずから一週間後のいついつに来てくださいと即決で申込者に答えができるはずはないと私は思う。やはり、通知が来て、いついつに郵便局へ行って受け取りなさいということになってくるだろうと思うのですね。そういうことで私は実は懸念しているわけですが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/132
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133・服部安司
○服部国務大臣 米田先生も御承知のとおりに、これは予定者ですから、たとえば高校、大学に入る目的を持った人に事前に借り入れの申し込みをやっていただき、今度はそれを郵便窓口で適否の選択をいたしまして、この人はこういつた経過をたどって当然借りる資格があるのだという認定をするわけですが、それを国民金融公庫に持ち込むわけで、たてまえは国民金融公庫は決定権を持っていることになっております。だから、貸し出しをするまでに高校、大学の入学予定者が決まっているわけですから、ここで枠をする。
だから、私が責任において申しますが、所定の手続を経て借り入れ申し込みをされているのに、また欠陥がないのに枠でこれを押さえ込むということは断じて許せません。そういうことは今日突然起こったことではないわけでありますから、十二分に皆さん方にも御審議をいただいておりますし、この制度についても十二分に話し合っているわけですし、それがための適格条件とはこれこれであるというのを、そこへ持ってきて、いや枠がないから半分だめだとかいうことはこれは私は、私の責任において、いかに相手が大蔵省であっても絶対許せません。
もとをただせばわれわれが集めた金を、御指摘どおりにこれをわざわざ向こうへ持っていって、ぐるりと回ってまた返ってくるわけですから、なぜそんなめんどうくさいことをやるんだと国民は笑っている方もいるでありましょう。しかし、金融体系のもとにおいてはということでこういうややこしい結果を招いたわけでありますから、われわれは御懸念の点は内容に全く万全の措置をしてまいりたいと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/133
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134・米田東吾
○米田委員 大臣の御答弁ではっきりしたのでありますが、そこまで詰まっておるのであればもう何をか言わんやでございます。ただ、私はいままでの政府系の三つの金融機関の運用を見ますと、十分資格があっても、もううちの店では四半期ごとの割り当ての原資がありません、予算がありません、だから増額をしてもらうか、次の四半期まで待つかしなければ貸せないんです。と、そういうことが特に国民金融公庫でも中小企業金融公庫でも多いのですよ。それと同じようにやられたんじゃ大変だという心配があったからお聞きしたんですが、では、そういうことはないわけですね。わかりました。
高仲局長、そういう心配が絶対にないように、事務当局としてもこの制度が開かれればそれぞれの郵便局に十分な指導をしておいてもらいたいが、よろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/134
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135・高仲優
○高仲政府委員 大臣がお答え申し上げましたとおり、枠のゆえんをもって貸し出しが行われないということは全然ないと確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/135
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136・米田東吾
○米田委員 はい、わかりました。そのようにお願いします。
文部省は来ておいででしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/136
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137・松本七郎
○松本委員長 来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/137
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138・米田東吾
○米田委員 ひとつお聞かせいただきたいのでありますが、いわゆる民間の進学ローンですが、これはいまどんな状況にあるかということなんです。
都市銀行あるいは信用組合、農協、労働金庫等いろいろ民間の金融機関ですでにこれはもう創設されているようでありますけれども、現状はどういう状態か、中身も若干含めまして聞かせていただきたいし、それからもう一つ聞きたいのは、こういう進学ローンといいますか、こういう制度が市場で相当満たされておるというふうに見ていらっしゃるかどうか。郵便局の窓口でこういう制度が開かれるということについて、もうそういう状態でなくて十分満たされておるんだというお感じかどうか、これをあわせて聞きたい。
また、もう一つは、大体今度の制度の場合は貸し付け五十四万で、貯金の方で払い戻し五十四万で、百八万ですね。この程度で言うところの授業料あるいは進学に必要な関係の費用の充足になるかどうかということと、それからもう一つは、こういう制度ができたことによって逆に授業料の引き上げ等にこれが逆用される危険はないかどうかということです。
この三つについてお聞かせをいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/138
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139・石井久夫
○石井説明員 第一点でございますが、現在教育ローンの実態がどのようになっているかという御質問でございますが、これは私どもは都市銀行において行われるものはその大綱については承知しておりますが、それがどれだけのものが教育ローンの融資を受けているかというような実態につきましては、まことに申しわけないのですが掌握しておりません。
それから、第二点目は、現在郵政省でお考えになっておりますことが一般の借りる側から見た場合にどの程度効果を満たすことになるかという御質問であろうかと思いますが、この点でございますが、私立大学について申し上げますと、現在、私立大学の五十三年度の授業料が、これは文科系、理科系医師系を含めました平均でございますが、約二十八万八千円、それから入学料が約十五万八千円、施設設備費が約十三万七千円、合わせまして五十三年度の納付金が約五十八万四千円という数字が出ているようでございます。したがいまして、こういう数字等から拝見する限り、現在審議されておりますこの金額というものにつきましては、私立大学等に子弟を入学させたいと思う父兄の要望におおむねこたえられるんじゃないかというふうに考えられるわけでございます。
それから、第三点の、このことがすなわち私立大学等あるいは国立に関連するのかもわかりませんけれども、授業料の引き上げということに関連して逆作用するのじゃないかという御懸念でございますが、国立大学につきましては私ども大学局の方で授業料の額は決定して、もちろんこれは予算上の審議を経た上でしているわけでございまして、五十三年度は国立大学の授業料は年額十四万四千円ということになっておりまして、御案内のとおり、対前年度に対しまして約五割のアップをしてことしの授業料が決定を見ているわけでございます。国立大学の授業料につきましては、現在、一つは私立大学の授業料と比べましてまだ二分の一ということで安いんじゃないかという批判もあります。そういう面からする批判といいますか、そういう指摘もありますが、私どもは、国立大学に入る学生の立場に立って考えた場合に、こういう金額につきましては今後ともやはりできるだけ引き上げをしない方向で努力すべきだというふうに考えております。
それから、私立大学に関しましては、これは私学の高校等も含めましてでございますけれども、授業料につきましては、第一義的にはそういう私学を経営いたします学校法人かその額は決定すべきもので、そのどの辺に決めるかということも第一義的にはやはり学校法人の問題であろうかと思うわけでございます。
ただ、文部省といたしましては、これは管理局というところのセクションになるわけでございますが、私立大学等に対しましては経常費補助金、それから私立高等学校等に対しましてやはり経常費の助成補助を行っているわけでございますし、こういうものの拡充を通じまして私立学校の経営改善に役立ち、そういうことの間接的な効果といたしまして私立学校等に学ぶ者の学生の負担の軽減を図りたい。これは直接には父兄の負担になろうかと思いますが、そういう負担の軽減を図りたいということでございます。
また、私どもは、これとあわせまして私立の大学、高等学校の学生生徒につきましては負担の軽減を図るということで、御案内いただいておりますとおり日本育英会を通じまして育英奨学事業を行っておりますし、また、四十九年度からは特に私立大学における学生の負担の軽減ということから、私立大学において学校側が入学している学生に対して奨学事業を実施しているとか、あるいは入学一時金の分納制度をやっている場合には、その分納制度につきまして日本私学振興財団を通じまして長期融資の制度を始めているということでございまして、そういう制度の拡充に努めたいと考えております。
そういうこと等を通じまして私学の教育条件の改善を図り、また、私学の充実とあわせまして学生の負担の軽減ということに努力しているわけでございまして、今後ともこういう制度が拡充することはもちろん大事だと思っておりますし、また、御検討されておりますこういう学資ローンも非常に結構なことだと考えるわけでございますが、こういうことが行われたために私立大学等の授業料の引き上げにつながっていくということがあってはならないと考えるわけで、私どもはいろいろな施策を通じてそういうことが起こらないように今後とも努力すべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/139
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140・米田東吾
○米田委員 借り受け人の資格について、これも文部省からちょっと見解だけでも聞かせていただきたいと思っておりますけれども、貸し付けを受ける資格要件は高校、高専、短大、大学などの進学者となっているわけなんであります。この「など」というのが説明を聞かないとちょっとわからぬのでありますけれども、言うところの各種学校、これは法人格のものもあるだろうしそうでないものもあると思うのですけれども、各種学校等は一体この「など」の中には含まれているのか。「など」の意味は何かということなんですが、これは郵政省としていままで折衝してきた段階でどういうふうに理解をしておるのか。
それから、文部省としても、この「など」という言葉の中に各種学校が当然入り得る、入っていると見ていらっしゃるかどうか、これをひとつ両方からお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/140
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141・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
国民金融公庫法の一部改正法律案におきまして、先生の御指摘のように「学校教育法による高等学校、高等専門学校又は大学その他これらに準ずる教育施設」となっておりまして、「その他これらに準ずる教育施設」の内容につきましては政令によって定めることとなっております。
私どもとして理解いたしておりますのは、この政令には盲学校、ろう学校、養護学校の高等部が定められるものと考えておりますが、先生がおっしゃいます専修学校及び各種学校につきましては、これを含めますと余りに広範に広がり過ぎると考えられるのでございます。
いまのところ、私どもとしては、これはまた大蔵当局としても同じことであろうと思いますが、各種学校のすべてに至るまでこれを含めるということは考えておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/141
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142・石井久夫
○石井説明員 これは郵政省で御検討なさっていただいていることでございますので私どもがコメントすることはなかなかむずかしいわけでございますけれども、ただ、現在、日本育英会の奨学制度といいますものは、ただいま局長さんから御説明があった範囲の学校に日本育英会の奨学金を貸与しておりまして、各種学校は含めておりません。多分それも同じ理由に基づくものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/142
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143・米田東吾
○米田委員 貯金局長にお聞きいたしますが、この制度が扱われる郵便局には簡易郵便局は含まれないように私は聞いているのですけれども、事実かどうか。
私とすれば、郵政省がちゃんと法律で定めた窓口として機能させているわけでありますから、簡易郵便局にも取り扱いをさせて、手近に、しかも山村僻地にこれが行き渡るような配慮をすべきではないかと思っておりますが、この点についてはどういう御見解でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/143
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144・高仲優
○高仲政府委員 簡易郵便局は先生の御承知のとおり一人の事務量を基準にしてやっております。それ以内のものということになっておりまして、現在すでに相当程度の事務が行われております。
しかも、この進学積立貯金及びそれに関連する事務手続は、単純なるいままでの事務に比べまして少しく複雑でございますので、私どもといたしましては、さしむき簡易郵便局にはこれを行わせるのは適当ではないのではないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/144
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145・米田東吾
○米田委員 これは議論はしません。
次に、大臣にお聞きしておきたいのでありますが、最近特に貯金の関係では、これまた脱税その他犯罪の面で指弾を受けているわけであります。大臣は大分厳しくこの対策について部内指導を強めていらっしゃるようにも聞いておりますが、いずれにいたしましても、脱税を郵便局が幇助するような、あるいは郵政職員が幇助するようなことは何としても許されないと思うし、断固としてこれは排除していかなければならない問題だと私は思うのでございます。
一連の脱税問題あるいは犯罪対策等について、この際郵便貯金の威信を回復するためにも大臣はどのような措置や対策を考えていらっしゃるのか、大臣の姿勢とあわせて最後に一言聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/145
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146・服部安司
○服部国務大臣 かって、大阪国税局管内ですか、京都の郵便局でそういった問題があったように報道されまして、私は早速貯金局長に命じてその実態の調査をさせました。あわせて大蔵大臣に、同じ政府部内で何の連絡もなしにああいった情報を新聞社に提供するということは全く遺憾にたえない、正すべきは当然正すわけであるからなぜ事前連絡をしなかったかということを申し入れたところ、大蔵大臣は、三日間余裕をくれ、すぐに実態を調べてお答え申し上げるということで三日後の会談を約束しまして、三日後にあのような事実は全くないという回答がありました。そして、あわせて今後のこういった問題の処理についての打ち合わせをいたしました。と申しますのは、万が一にもこういった事態が発生した場合には、調査に行く相手局長に調査内容の実態を必ず事前に報告をし打ち合わせをして調査に協力を願うという方針の確立をお約束いたしました。
きわめて一部の、一つの新聞にああいう発表がありましたが、現在に至るもその実態をつかむことはできておりません。ということは、それはないという大蔵当局の言明でありますので、この点御理解を願いたいと思います。
しかし、御指摘のとおりにそういった問題は、新聞関連は事実そうであっても他にまだあるわけであります。言うならば、私は、各局または担当者に、名寄せの強化を図るとかして、脱税幇助まがいのことは断じてやってはならない、無理なことはやめてくれ、ともかく無理な募集は厳に慎むべきであって、国営事業の権威を失墜するがごときことは許されない、あくまでも国民から信頼される郵政業務でなくてはならないということを強く指示いたしております。一部の不心得者のために多数の職員が同一視されるようなことがあってはならないという強い指示をいたしまして、最近では大体そういった方向に安定しつつあると理解いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/146
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147・米田東吾
○米田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/147
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148・松本七郎
○松本委員長 田中昭二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/148
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149・田中昭二
○田中(昭)委員 まず、最初に、大臣に教育ということについてお尋ねをしてみたいと思います。
将来のこの日本を担っていく青少年の教育というものについて、基本的にどのように大臣はお考えになっているのか。未来を持つ青少年の教育というものについては国家に重大なる責任があると私は思いますが、大臣のお考えを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/149
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150・服部安司
○服部国務大臣 次代を背負ってりっぱな国づくりをしていただくためには、まず教育の充実を図らねばなりません。それは国家社会の責任においてこの確立を図るべきであると考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/150
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151・田中昭二
○田中(昭)委員 日本の将来の重大な役目を果たす教育については、いま大臣がお述べになったことは間違いないことと思いますが、そういう教育というものに対する国家の一つの使命の遂行といいますか、教育環境の整備といいますか、そういうことについてはどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/151
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152・服部安司
○服部国務大臣 教育環境の整備ということになりますとちょっと私の所管外のような気がいたしますが、ただ、成人した日本人の一人という立場から考えると、最も恵まれた環境のもとですべての子弟が等しく勉学に励む場をつくるべきであると、私はかように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/152
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153・田中昭二
○田中(昭)委員 その国民のすべての有能なる子弟が教育を受ける場合に、現状では大変な金がかかるということで、このたびのいわゆる進学ローンというものが国民の強い要望もあって制度化したと私は思うわけですが、問題は、そういう背景のもとでのこの新しい制度の内容そのものでございます。その制度といいますか、そういうものが教育というものに大きなる手助けとなるならばやはりりっぱなものをつくらなければならない、それが国をあずかる指導者の責任であろう、このように私は思うわけであります。
そこで、今度提案になりました郵便貯金の積み立てによるいわゆる教育ローンでございますが、これはいままでも議論されましたように、郵政省がこの問題を考え、制度の発足を進めたわけでございますが、この教育費用の融資を受けるための決定権といいますか、そういうものが郵政大臣にはないようでございますが、大臣、これでいいのでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/153
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154・服部安司
○服部国務大臣 先ほど来各先生方に私の力の不足ということも披瀝いたしました。深く反省はいたしておりますと申し上げておりますとおりで、これでりっぱな制度であるとは決して私は考えておりません。
しかし、そのときの事態から考えて万やむを得ないという結論に相なったわけでございまして、先ほど来の米田先生との論議の中で田中先生もお聞きいただいておりましたので、何とぞ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/154
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155・田中昭二
○田中(昭)委員 細かい内容の点について入ってまいります。
まず、最初に、積立期間が一年から三年ということになっておりますが、高校、大学に進学しようとする希望を持っておる各家庭では、その以前に早くから目標を立てておると思うわけです。そういう人たちにはこの制度がやはり有効に働かなければならない。ですから、早くから高校、大学への進学を希望しておるその人たちに利用してもらいたいということもこの制度の一つの目的であろうと思います。
そういうことから考えますと、この積立期間が三年以内というのはちょっと短過ぎるのではないか、せめてこの二倍の長さの六年ぐらいにしてやるのが最適ではなかろうかと思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/155
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156・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
先生の御指摘のように、子弟の入学という事実は突如として降ってわくわけではなくて、あらかじめ想定されるわけでございますが、従来の姿でございますと、その想定される時期に向けてすべて家計の中から必要な額を工面しておったということでございますが、最近の入学関係経費の増高に対して便宜を計らうためにそれを半分でとどめ、残りの半分は御融通いたすということで、家計に与える衝撃をやわらげるという趣旨からこの制度は立てたものでございます。
理想論から申しますれば確かに先生おっしゃるような点もあろうかと思いますが、こうした点から私どもといたしましては、三年、つまり中学に入学したときにすぐに高校入学に備える、あるいは高校に入学してその時点から大学入学に備えるということは、大体の計画的な積み立てという点から見ても実情に即するものではなかろうかと考えてそのように取り計らった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/156
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157・田中昭二
○田中(昭)委員 これは返済期間との関係も出てくるわけですが、いま局長から御答弁をいただいたような、そういう標準的な人ももちろんおられるでしょうが、しかし、庶民の中には本当にもう食うのが精いっぱいだという人がいるわけです。たとえば具体的に言えば母子家庭というような環境の方ですが、そういう方の子供で本当に進学の希望を持っておるというような人は、この積み立ての期間と同時に積み立ての金額というものも考えてやらなければならないんではなかろうかと思うのです。
三年間といいましても、食うか食わないかでやっている人が仮に月一万円の積立貯金をしてみても、三年間で三十六万円でしょう。それでは高校から大学まで行くというそういう人の入学の際に必要な金も——そういう人こそ細かく積み立てていってでも進学に備えようという気持ちがあると私は思うのですが、大臣、そういう庶民のぎりぎりの人たちがこの制度を利用するということについてどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/157
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158・服部安司
○服部国務大臣 端的に申し上げますとそういった実態にふさわしくない制度であった。こういうことを所管大臣が申し上げることは大変なことですが、これはもう私の性格だから……。
私は大蔵当局と折衝いたしまして、これで原案より長くしたわけなんです。私は田中先生と同様に、これはもう六年でも十年でも十二年でも長いほどいいと思うのです。先ほどうちの局長が答えたとおり、これは突然起きる問題じゃなくて、いつという予定のコースなんですが、しかし、なかなかそうはうまくはかどらないで、やっとの思いで三年、返済は在学期間一年据え置きというように持ってまいりました。
私はこの制度をつくって、良心的に非常に苦しんでいます。先ほども話がありましたが、果たしてどれだけの利用者があるか、高校へ三年間行くために一生懸命三年間貯金して借りて、また今度は三年間で返す、それじゃこの子は大学に行けないということになるのですね。そういうことは現実問題としてさらに続けられる問題じゃありませんよ。言うならばいいかっこうのものをつくったというだけにすぎないので、本当に利用する方のために私は非常に深刻に悩んでいます。
しかし、いまここまでたどり、この新しい制度の創設に意義があると自分で自分を慰めながら、時間をかけてこの改善を先生方の協力をいただいて図っていって、本当の進学ローンの意義ある内容に仕上げてまいりたいというのが私のせめてもの念願であるというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/158
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159・田中昭二
○田中(昭)委員 大臣が大変御努力をなされ、心配をされた面は私もわかるのですが、それだからといって、端的に言えば内容が余りよくなくてもやるのだということはちょっとどうかと私は思うのですね。やはり法律でございますから、その前に郵政省かこういう考え方をしたと——すく後には、民間等においてはもうその制度が始まっておりますね。そうしますと、制度が発足することによって利用できるような人は、この制度が確定していく前に民間等においてももう利用されておるということも考えられる。
そうすると、郵便貯金が零細な庶民から集まった貯金であるならば、郵便貯金法の定めるところによってみても、その目的とするところにおいても、いま大臣が言われたように積立期間も長くした方がいいというお考えであれば、そういう考えでりっぱな制度としてもう一遍出し直すか何かしなければいけないのじゃないかという気持ちも私はするのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/159
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160・服部安司
○服部国務大臣 田中先生、本当は私の性格から言うとそのとおりですと言いたいのですよ。もう一遍一から皆さん方に御努力願いたいと言いたい気持ちなんですが、先ほども申し上げたとおりはなはだ勝手な言い分ですが、このたびは創設することに意義があるということで、劈頭の御指摘のとおりに、次代を背負う子弟であり、国の宝であるすべての子弟に十二分なよい環境のもとに教育の場を与えるというわれわれの責任から言ったらおおよそ縁遠い実態であるということも私は十分理解をいたしております。
しかし、いろいろと検討の結果先生方の御協力もいただいて、その当初の考え方よりか何ぼか前進したことはもう事実でございますし、また、金利の問題についても、一般市中銀行よりかかなり低位にあることも御理解をいただいていると思うのでありまして、まずこの法案を御理解をいただいて成立させていただいて、また内容の改善に取り組むことも一つの手段ではなかろうかと、かように考えますのでどうぞ御協力を賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/160
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161・田中昭二
○田中(昭)委員 大臣の方から金利という話も出ましたが、金利の問題については後で大蔵大臣にも御出席をいただいてお尋ねする時間が与えられておりますが、その積立期間の問題とか、それから積立金の一回一万円以上四万円以内とかいうような問題は、これは与野党ともにここで一応合意ができる問題だと私は思うのですよ。そうであるならば、そんな法律の根本的な問題にまでかかわるわけではありませんから、ただ制度のわずかな修正なり手直しでできるわけですから、そういうことでなければこの法案の結了を見ることはできないんじゃないかということを私は申し上げておきます。
その次に、いまの金利の問題に入りますが、金利は一応預ける金利と貸し出す金利とありましょうが、まず預ける金利です。今度金利の引き下げがさらに行われたわけでございますが、この進学積立貯金では当初二年超で三・四八%ですか、三分四厘八毛、二年以下で三分二厘四毛というふうになっておったと思いますが、これは今度の金利改定でどのように変わりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/161
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162・高仲優
○高仲政府委員 当初の予定といたしましては先生がおっしゃられたとおりの数字でございます。今般の金利の引き下げは原則として〇・七五下げということになっておりますが、私どもの予定といたしましては〇・六〇下げで、一年以上二年以内のものは二・六四%、二年を超え三年以内のものは二・八八%、すなわち一般の積立貯金よりは若干低位のところに抑えたという形にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/162
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163・田中昭二
○田中(昭)委員 いまお聞きしますと、二年超のもので二・八八%、二年以下のもので二・六四%ということでございますが、やはり、こういう零細な預金をして出費に備えようという性質のものでございますから、預金したものには金利の引き下げによって引き下げるというようなことは貯金法の命ずるところではなかろうと思います。引き下げてはならないと思います。
参考のために聞いておきますが、この利子が住宅積み立ての定額の六ヵ月のものより低い金利になっておりますが、これはどういう理由ですか。それと、そうであればこの積立期間に応じて定額並みの金利にできないのかどうか。その点をお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/163
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164・高仲優
○高仲政府委員 この進学積立貯金の金利につきましては、一般の積立貯金の金利との関係を考えて決めたわけでございます。たとえば二年を超え三年以内のものが二・八八%と申し上げましたが、積立貯金は二年でございますが、これが三%でございまして、〇・一一%の差を設けたものでございます。
なお、進学積立貯金を行ったが借り入れなかったという場合につきましては、二年のものにつきましてはちょうど一般の積立貯金と同じ三%の金利ということをいま考えておる次第でございます。
二年未満のものはそれより若干低く、二年を超えるものは一般の積立貯金より若干高く、こういうことで一般の積立貯金との均衡ということを考えて設定しょうとしておる次第でございます。
定額貯金の金利との均衡という問題でございますが、その点につきましては、類似の商品であるところの積立貯金の方を私どもは頭に置いて考えたものでこのように予定いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/164
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165・田中昭二
○田中(昭)委員 次に、これは大蔵省からでもいいのですが、先ほども言いましたように、貸付期間が据え置き期間も含めて四年ということでございますが、こういう融資を受けるというのは親族はもちろん本人に返済させるというのがやはり原則ではなかろうかと私は思います。そういうことを考えれば、本人が大学を卒業してからも、一定期間の据え置きを置きながら返済をさせるという制度にすべきであろうと思うのです。そうすれば、卒業後三年というのはちょっと短いのではないかと思いますが、本人に返済させるということであればもう少し返済期間を延ばすのが妥当ではないでしょうか。これはいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/165
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166・藤田恒郎
○藤田説明員 この進学ローンの返済期間の問題でございますけれども、御指摘のように、本人返済という形になれば、大学を卒業した後に本人が返済能力を持つまでの間ということになりますので、長期にわたるということは当然であろうかと思います。
しかし、私どもがこの制度を考えましたのは、子弟が進学いたしましたときに一時的に両親なり親族なりに多大な負担がかかるので、その負担を軽減して差し上げようではないかというのが今回の進学資金貸付制度の趣旨でございます。したがいまして、われわれとしては、そういう一時的な負担を軽減するという観点から申しますと、在学中、すなわち四年の間くらいには返済をしていただいてもいいのではないかというふうに考えているわけでございます。また、御承知のように貸付限度額も五十万ないし五十四万という形で、そう巨額なものではございませんし、四年間の返済期間というのは必ずしも負担にはならないのではないかというふうに考えております。
そういうふうに考えました場合でも、もちろん返済期間は長ければ長いほど借り入れの負担軽減という意味においては非常に役立つと思いますけれども、同時に、この資金は郵便貯金を原資といたします資金運用部の資金でございますので、われわれはこれをなるべく回転させて効率的に運用すべき立場にも置かれておるわけでございます。そういったもろもろの点を考えて現在の期間を設定したわけでございますので、その点は御了承いただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/166
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167・田中昭二
○田中(昭)委員 了承できないから聞いておるわけですが、了承しろということですが、財政資金云々とか言うのですけれども、郵便貯金はその借りた分だけは前もって積み立てておるわけでしょう。それは回転していくんだから、そんな理屈は成り立たぬですよ。
大臣、この制度は余りよくないと思っておられるのにまた聞くのは何ですけれども、先ほどの教育に対する大臣の基本的なお考えから見れば、それがどんなに入学のときの一時金であろうとも、それはもちろん両親もですけれども、親族もですけれども、本人にも返させるという意味においては確かに長い方がいい。そして、その期限がどうというよりも、本人に返させるのがいいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/167
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168・服部安司
○服部国務大臣 これは一時的な出費の苦しみを軽減するという立場からスタートしたとなれば、またこれは話がおのずから変わってくるわけでして、田中先生のように、この大切なわれわれの祖国を将来背負って立つ子供によい教育の場を与えるという立場から考えると、これはまたおのずから答えが変わって出てくるわけであります。
私が先ほどから申し上げているとおり、両方をうまく生かすための立場をとって考えましても、これは決していい内容のものではありません。ただ、初めからりっぱなものをつくり上げて広く国民に御満足がいただけるようなものはなかなかできませんが、一時的な出資の軽減と、また、学問の機会均等という立場ですべての子弟によい勉学の場を提供するという趣旨にも生かせるように、今後は精力的に意欲的に内容の改善を図る努力を払っていうことにも意義があるんじゃないでしょうかとお願いを申し上げておりますとおりでございまして、完璧なものをつくることも大変いいことでありますが、このしゃばというところはなかなかむずかしいところでございまして理想どおりにはまいらない。われわれは苦しみも悩みもあるわけでございまして、この点もできれば御理解をいただき、今後皆さま方とともによりよい内容のものを仕上げることに力点を置いていただくならば大変ありがたいことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/168
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169・田中昭二
○田中(昭)委員 今度は融資するときの貸付金利ですが、これは大体七・六%ですか、そういうふうに聞いておりますが、今度幾らぐらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/169
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170・藤田恒郎
○藤田説明員 金利につきましては、七・六%というのは去る三月までの金利でございまして、先般の長期金利の引き下げに伴いまして、現在では七・一%ということになっております。
したがいまして、現行の金利水準で申し上げますと、この進学ローンに適用されます金利は七・一%ということになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/170
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171・田中昭二
○田中(昭)委員 大臣、これはすべては大蔵省サイドで動いておるということですね。先ほど私は預金の方はこの積立貯金ぐらいは下げるなという趣旨で言ったが、ところが、局長の方からは預金の方は〇・六%下げました、今度は貸し付けの方は〇・五%しか下げませんというふうに何でも大蔵省サイドばかりです。そういうことでは世の中は成り立たないのですよ。教育はできないですよ。何でも金の上積みさえできればいいというようなものの考え方に政治家はなってはならないと私は思うのです。それは朝から指摘されておるとおりです。
大臣、これは制度が悪いにしても、そういうときはより悪くするのではなくてよりょくしてもらわなければ困る。そういう意味において、教育の費用なんというのは国家がやるとすれば本当は無利子、無担保でやってもいいと思うのですが、どうでしょうか。今度制度が発足したから、いますぐできなくとも、この次には無利子で貸し付けるということはできないですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/171
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172・服部安司
○服部国務大臣 私もそうやりたいですね。郵政大臣はりっぱだ、すばらしい政策を樹立したと言われたいのですが、なかなかそううまくまいらないところを非常に残念に思っております。
ただ、こんなことを言ってはまたおしかりを受けるかもしれませんけれども、これはこれなりに育てていって、育英資金の整備拡充こそわれわれ政治家が真剣に取り組むべき問題だということを最近私は特に痛感いたしておりまして、郵政省所管で何かこういつたことを思い切ってやることはないかと私は模索いたしております。
そこで、田中先生、先ほど来の御指摘のとおりに、われわれ政治家はすばらしい国づくりのためにはりっぱな教育をつけなければならないという立場をお互いが理解できているわけでありますから、まずこれをお通しいただいて、また違った立場で、グループ活動でもいいからお互いがそういう問題に取り組んで大いにやりたいと思っていますので、このたびお願い申し上げましたこの法案の成立にどうぞ御協力を賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/172
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173・田中昭二
○田中(昭)委員 文部省にお聞きしますけれども、先ほど私はこの教育ローンが貧困者並びに母子家庭等においては利用できないのじゃないかと申し上げたわけで、その気持ちは大臣にもわかってもらったのですが、いま文部省で母子福祉貸し付けという名前で行っております修学資金の貸し付けはどういう内容で何年ぐらいの償還で、利子を取っておるのか取っておらないのか、そういう面をお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/173
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174・石井久夫
○石井説明員 ただいま先生から母子福祉資金の修学資金のことでお尋ねがありましたけれども、これは厚生省の所管でございますが、私の方の関係で申し上げますと……(田中(昭)委員「それは厚生省の関係ですか」と呼ぶ)はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/174
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175・田中昭二
○田中(昭)委員 では、厚生省からその点を答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/175
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176・川崎幸雄
○川崎説明員 母子福祉資金の関係でお答え申し上げます。
ただいまの御質問にございました母子家庭の経済的自立その他の目的で設けております母子福祉資金貸付制度の中に修学という制度がございますが、現在、高等学校の場合は限度額月額七千円、大学の場合月額一万四千円、償還期限は二十年、利子は無利子というような内容で、その中身は日本育英会の育英資金に準じた内容でございます。
ただいま申し上げました限度額につきましては、育英会の育英資金に準じまして、本年度におきまして改善すべく現在検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/176
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177・田中昭二
○田中(昭)委員 いまの御説明のように月に七千円、特別の場合は九千円、大学も特別の場合に一万七千円。これは相当な金額で、年間二十万円以上の金額になるわけですが、こういうものを二十年間無利子で出している。先ほど私は、貯金の場合は〇・六%下げて貸す方はなぜ〇・五%しか下げないのかと言ったわけですけれども、そういうこととこういう施策とは同じ政府のやることにおいて全然整合性がないじゃないですか。
大蔵省は、貯金の方は〇・六%下げたような状況のもとで、貸付利子はどういう理由で〇・五%しか下げないのですか。まず、それを説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/177
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178・藤田恒郎
○藤田説明員 お答え申し上げます。
貸付金利の点につきましては、われわれには公庫の金利体系あるいは民間の金利水準といったものを勘案して決めるということを考えておるわけでございます。したがいまして、当然のことながら、預金金利が下がらない場合であっても一般の金利水準が下がれば公庫の貸付金利も下げるということになるわけでございます。事実、私どもの調べている限りでも預金金利水準は下がっているわけでございまして、たまたま今回の金利改定をとりますと、長期金利の水準の改定幅が預金金利の改定幅よりも小さかったということは事実でございますが、一般的に見ますと預金金利以上の長期金利の引き下げを行っておるわけでございます。
預金金利は確かに貸し付けの原資になるものでございますけれども、貸付金利の方はそのときどきの資金需給、金融情勢によって決まるわけでございますので、これは国民金融公庫の貸付金利でございますから、預金金利水準よりもむしろ貸付金利水準の動きに応じて決まっていくべきものではないかと私どもは考えておるわけでございます。
したがいまして、今回たまたま先生の御指摘のようなことにはなっておりますけれども、今後ともにそうなるかと申しますと、必ずしもそうはならないんじゃないかというふうに私は思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/178
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179・田中昭二
○田中(昭)委員 そういうことでは私はちょっと納得ができません。
次に移りますが、午前中の阿部委員の質問で、郵便貯金積み立ての教育ローンの保証人の問題が出ておりましたが、まず、国金が融資します小口融資は保証人は要るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/179
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180・藤田恒郎
○藤田説明員 保証人を一名つけていただくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/180
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181・田中昭二
○田中(昭)委員 そうしますと、先ほどのやりとりでは今後は保証人は要らない方向で検討するというお話でしたが、国金の融資についてもそのように考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/181
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182・藤田恒郎
○藤田説明員 たとえば住宅公庫その他のケースについて申し上げますと、保証人を立てるかわりに保証機関を設けまして、その保証機関の保証で足りるという仕組みをつくっているところもございます。したがいまして、私どもとしては、午前中も御答弁申し上げましたように、この公庫の貸し付けの運営あるいはまた運営に至るまでの今後の検討期間におきまして、そういった保証機関のようなものが可能かどうか、また必要かどうかという点について現在でも検討中でございますけれども、引き続き検討してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/182
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183・田中昭二
○田中(昭)委員 大蔵省は郵政大臣がきょう答弁したことを素直に聞いてくれればいいのです。午前中の議論を聞いていても私は思ったのですが、いまごろ五十万円ぐらいの進学のための一時金を借り入れするのに保証人をとるなんというのは、それこそ本当におかしなものだと思うのですよ。
そこで、大臣としてはこの問題についてはとらない方向で検討するという御答弁があったと思うのですが、これは郵便貯金を半額積み立てるのですから、そういう人にまた保証人を求めるなんということは、私はいま母子家庭の問題に触れましたけれども、それじゃ母子家庭の場合に本人が借りてお母さんが保証人になってもいいという解釈をするのか。それとも第三者の保証人は要らないというようにするのか。これはもう一回大臣から、郵便貯金の融資については保証人は要らないんだと明確に御答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/183
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184・服部安司
○服部国務大臣 私が朝の阿部先生の御指摘に答えたのは、当然保証人のない貸し付けはしたい、しかし原資は郵便貯金であって、この貯金者を守る義務もわれわれにはある、言うならば借りたものは返さねばならないという責任を持ってもらうことがまず大切だ、こういうことであります。
しかし現実に余りにもそぐわないではないかと申されますと私もその気になりますが、しからばそのままで保証人なしで結構だと言えるかというと、田中先生、これはまたそうは言えないわけでして、やはりそれにかわる何かの制度を考えねばならない。しかし、そのくだりで、この利用者が果たしてどの程度あるかという点で私はいま非常に危惧いたしております。民間金融機関を見ましても、件数、貸付金額から言っても大したことはないのですねしかし これはあの制度発足の年でありますから一律にこれはということも早計であることもわかりますが、全民間金融機関であれだけの金額であれだけの件数であれば、この国金を通じて貸し付けを始める郵政省の窓口で扱う進学ローンの件数から言ったら、別途保証会社的なものをつくることもこれまた大変な問題がある。私はこの点を危惧するわけでございます。
そこで、阿部先生には確かにこのように答えたと思うのでありますが、まずこれで発足させてください。それとあわせて、もちろんいまから準備に入りますが、どういうものがいいか、どういう機構をつくるかということは大蔵当局とも国金ともあわせて協議を進めていく用意はいたしておりますが、しかし、発足してその実態をつかんで、その実態にふさわしい制度を考えねばならない。言うならば、まず一時的な出費の負担を軽減してすべての子弟に教育の場を広く提供するためのこの制度であって、田中先生、また新しくできてくる制度にはおのずから変わりが起きてくるわけなんです。政府が一般財源から利子補給をするとか、また経費をある程度負担するとかいうことも考えねばならない場合があるかもしれません。そういうことを検討するために実態をつかむ必要がありますのでしばらく時間をかしてくださいと、このように答えたと私は記憶いたじますが、どうぞこの点も御理解を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/184
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185・田中昭二
○田中(昭)委員 それは朝の答弁から少し後退しているように私は受け取るのです。ほかの民間金融機関も保証人は要らない、国金の方も最初は要らないというような感じで私は聞いておったわけです。借りる額と同じ額を積み立てているのですから、積み立てた人は当然払えるといいますか、払っていこうという意思はあるのだから、そういう人に社会の混乱を起こすような第三者の保証人は要らないじゃないかというのが阿部委員の質問だったと思うのです。それに対して何回もやりとりがあって、事務当局のお答えではそういう保証人は要りますというのだから、それではだめだということで、あなたとのこそこそ話の上で、郵便貯金については保証人はやめる方向で検討しますというように私は聞いたのですが、私の間違いでしたかね。それではその辺はよく議事録を調べてもう一遍問題にしたいと思います。そして質問時間制限もありますからあとに譲ります。
そこで、今度はゆうゆうローンの限度額引き上げでございますが、これはもう三十万から五十万というのが現在の情勢の中では当然だろうと思います。しかし、これもまた、いまのような、最初に十万円のゆうゆうローンをつくったときと同じような半年間の返済期間というようなことじゃ実態に合わないと私は思うのですね。利用者のことを考えれば、これも期間の延長と分割返済等が当然であろうと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/185
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186・高仲優
○高仲政府委員 先生も御案内のとおり、もともとこのゆうゆうローンというのは、短期の金の必要に際して、長く置けば置くほど有利になる定額貯金を中途でおろすなりあるいは据え置き期間中におろすなりして不利益をこうむらないように、預金が継続できるようにという趣旨でつくったものでございまして、御案内のとおり、貸し付けの利子も、定額貯金を担保にした場合でございますが、定額貯金に付してある利子にプラス〇・二五%という利子でございまして、長く借りるということならばむしろおろす方が便利になるという面もございます。
そういう制度発足のときからの本旨に照らしまして、借入期間については六カ月という線をそのまま踏襲いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/186
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187・田中昭二
○田中(昭)委員 次に、先ほどもちょっと出ておりましたが、総額制限額の問題ですね。三百万の問題です。これは今回の金利引き下げの審議会においても引き上げるべきであるという要望があったように聞いております。これはまた聞くたびに大臣の答弁が後退するようじゃいけませんから確認の意味で申し上げておきますが、先ほど五百万ということでありましたが、私は、五百万の制限額引き上げは当然次の提案時期には実施できるという、こういう強い大臣の御決意と確信のほどを聞いておきたいのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/187
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188・服部安司
○服部国務大臣 田中先生も御承知のとおりに、五十三年度の予算編成時にも五百万円の限度額引き上げを強く要望いたしました。これは御案内のとおりであります。しかし、大蔵省の査定で三百万に据え置きということに相なったわけでありますが、郵政審議会の答申にもございますし、私は当然答申の趣旨を尊重せねばならない立場でありますから、五十三年度は残念ながら実現を見ることはできませんでしたが、当然今後も精力的に大蔵省に働きかけて、理解を得て、きわめて早い時期に実現するべく最善の努力を払いたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/188
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189・田中昭二
○田中(昭)委員 この制限額と今度の新しい進学ローンを目的にした積立金の額は、これは制限額総枠の別枠というふうな取り扱いをするのですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/189
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190・高仲優
○高仲政府委員 この点は内枠と考えております。すなわち、三百万円すでに預金があるということでございましたならば、特に非常に特殊な学校に入るという場合は別といたしまして、一般の高校、大学等の入学について特に借り入れを行うまでのことはないのではないかという考えから一応内枠として考えておるのでございますが、大臣がお答えになりましたように、総額制限の問題は総額制限の問題として、別途大臣の意を体して実現方に今後努力してまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/190
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191・田中昭二
○田中(昭)委員 大臣、これは当然別枠として努力してもらわぬと、内枠で努力するのだったらいまより悪くなるわけです。三百万も貯金する人は教育費の融資なんか要らぬじゃないかという、そういう議論も成り立ちますけれども、それはそれで別として、現在三百万円の制限枠があるのですから、それの内枠ということになれば、それこそ二百五十万ですかに下がるわけですからね。そういうことのないようにこれはひとつ別枠としてやってもらいたいが、この法律が施行されて実際に適用になるのは先でございましょうから、そのときまでには制限額の方を上げるのか、別枠として考えるのか、どちらの方向でいかれるのか、そのお見通しがあればお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/191
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192・服部安司
○服部国務大臣 十分勉強してみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/192
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193・田中昭二
○田中(昭)委員 勉強というのはどちらの方向で勉強なさるのですか。別枠として見る方向で勉強なさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/193
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194・服部安司
○服部国務大臣 ゆめゆめ利用者が不利に陥らないようにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/194
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195・田中昭二
○田中(昭)委員 郵便貯金者に一番打撃を与えるこの金利の引き下げのことについては最後になったわけですが、一年間に三回も金利を下げるという問題がここで大きく論じられて大変な議論もされたわけですけれども、現実にはけさほどから議論があったように一昨日から郵便貯金の金利が下がったということですが、いままでは金利が下がるときは、いわゆる駆け込み預金といいますか、そういうことで郵便局の窓口は大変混乱したが、ところが今度は、聞くところによりますと、二十四日、最後の日には郵便局の窓口は閑散としておったというふうに聞いております。そういうふうに報道もなされておりましたが、この実態はどういうふうになっているか、わかっておりますか。おおよそのことでも結構ですから言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/195
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196・高仲優
○高仲政府委員 私どもは、日々の業務の取り扱いにつきまして、その速報値を持っておるわけでございますが、この利下げ前しばらくの間の状況を見ておりましても、従前のような急激な定額郵便貯金等の伸びというものは今回は余り目立っておりません。ただ、平常月に比べて若干はふえておりますが、いわゆる従前のような形にはなっておらないと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/196
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197・田中昭二
○田中(昭)委員 過去には、金利が下がる前の日には郵便局への駆け込み預金で大変な大混乱だった。ところが、いまの説明のとおり今度は平常と変わらなかったということですが、この理由はどういうことだと大臣はお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/197
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198・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
私といたしましても、五月、九月のときに比べまして低目に出ておるのはいかなる理由か、今後よく分析しなければならないと考えておるのでございますが、数字的に申し上げますと、昨年の四月一日から四月二十五日までの純増加は三千三百億、対前年一一四%でございます。それに比べまして五十三年四月一日から二十五日までの対前年同期の伸びが五千百四十四億、一五六%、対前年五六%は伸びておるのでございます。
これがただいまの経済状況から見まして妥当なる数字なのか、あるいは前回と比べまして一五六というのは少ないのではございますが、原因はどこにあるのか、実はまだその分析が済んでおるわけではございません。
ただいま事実の数字、速報値だけをつかんで、これから検討いたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/198
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199・田中昭二
○田中(昭)委員 大臣、これは恐ろしくて言えないんじゃないかと思うのですよ。そんな貯金を何十年と扱っている郵政省の幹部の人が、過去二回、三回のときは物すごい駆け込み預金があったのに今度はほとんど通常と変わらない状態だったというようなことが、仮に数字的にわからなくても、直感的にもどういうことだというぐらいのひらめきがないとちょっとおかしいと私は思うのですよ。
高仲局長は郵便貯金で何年飯を食っておるか知らぬけれども、郵政省の貯金関係の仕事をやっている人であればわかることだと思うが、これはわれわれ素人から見ても、明らかに郵便貯金に対する国民のしっぺ返しですよ。郵便貯金が勝手に引き出されていったり、三億円も四億円も郵便局長がだまし取ったりするようなことに対する国民の仕返しですよ。貯金金利は勝手に下げていく。
先ほどから私が言うように、郵便貯金法十二条前段の趣旨なんかは全然無視されている。これは法律を変えた方方いいんじゃないてすか、どうですか、大臣。これは素人であれば、事務的なことでは何ぼ数字を洗ってみてもその理由はわからないと思うんですが、私はいまそのきっかけを申し上げましたが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/199
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200・服部安司
○服部国務大臣 こういうように片や公定歩合引き下げで連動金利引き下げを発議する。今度は大蔵大臣が郵政大臣に協力方要請がある。過去の歴史をひもとくと全部そのとおりになっているんですね。私は、この金利体系を真剣に再検討する時期が来たんじゃなかろうかと思います。郵便貯金の実態、あり方、いわゆる一般金融機関の預貯金をされる方々の実態、こういうものを見直す時期が来たと私は思います。そうでないと国営事業であるこの郵便貯金業務並びに保険業務でも、これは国民の信頼をつなぐことはなかなか容易ではない。
いまの先生の御指摘のとおりに、国民の信頼失墜がこういう現象になったと言われても私は返す言葉がないと思うのです。ただ、三十七兆三千億という上位五行のトータル預金高よりもやや多いということも、たとえ零細な貯金の蓄積といえどもこれまた大変な問題だと私は思いますので、いましからばどうするかという考えはございませんが、先生が御指摘になったので、本当にこれは金利体系のあり方というものを真剣に見直さなければならない時期に来たと思います。こういうこともまたわれわれ国会議員としての今後の一つの論議すべき問題だと考えます。
ただ、御指摘のとおりに国民の信頼を失墜いたしましたことは当面多々あるわけでございまして、今後は信頼回復のために全職員が一丸となって必死の努力を払いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/200
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201・田中昭二
○田中(昭)委員 いまの大臣の御発言みたいなことは政府部内で真剣に検討してもらいたい。こういう実情のときにこそ、国の財政といいますか、いつも問題になります財投資金の問題についても大蔵省に本当に文句を言ってちゃんと対処しなければいけないと私は思うのです。
いまの問題に関連して一、二指摘しておきますが、まず、郵便貯金特別会計の収支状況ですね。これの四十九年度から五十一年度ですかの決算が出ていると思うが、この収支状況をひとつ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/201
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202・高仲優
○高仲政府委員 郵便貯金特別会計の収支じりでございますが、単年度で見まして、昭和四十八年度決算までは黒字でございます。ところが、四十九年度決算から以降赤字をずっと継続してまいったのでございますが、五十三年度予算につきましては、先生も御案内のとおり、先般九月の貯金利子引き下げの際に、定額貯金の最高支払い利子と預金部から申し受ける利子と利ざや一%という、従来安定的な収支状況を続けておうたときの利ざやを回復いたしたせいでございますか、単年度八十六億円の赤字、いわば収支ほぼとんとんに相なっております。
今後この傾向が続きますれば五十三年度はほぼ収支とんとん、五十四年度以降は黒字になるのではないかと考えておりますが、何分四十九年度決算以降の赤字の累積がございまして、五十三年度予算におきましては二千九百十一億円の赤字ということになってまいります。
したがいまして、累積赤字がなくなるまでにはまだ若干の時間が必要であろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/202
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203・田中昭二
○田中(昭)委員 大臣、聞いておってください。いまの御答弁は私の聞いたこととちょっと違うのです。郵便貯金の特別会計は一応四十八年度までは大体二百億くらいの黒字をずっと続けてきたというのです。四十八年度が百四十四億、その前の年は約二百五十億、ずっとそういうことで来たわけです。ところが四十九年度は六百二十億の赤字、五十年度は九百四十六億ですから約一千億、五十一年度が千八百九十七億ですから約千九百億です。ですから、私が問題にしたいのは、この四十九年度の六百億、五十年度の一千億、五十一年度の一千九百億という赤字ですが、これを大臣はまた頭に入れておいてくださいよ。
この特別会計の収入と、支出になっております郵便局が預金に払うもの、ここでは定額預金の最高利率と資金運用部からもらう預託利率の幅、これは利ざやと呼んでおきますか、その利ざやは昭和四十八年の六月まではずっと〇・七から一%くらいあったわけです。一応の払い出しの金利と大蔵省からもらう金利の差が約一%くらいあったわけです。ですから黒字が出ておったわけです。ところが四十八年の七月からその利ざやがなくなってしまったのです。預金利子も預託利率も幅がなくなってしまった。ですから四十八年度はその期間が約九カ月間です。そして先ほど言ったように百四十億の黒字が出ておったわけです。四十九年度はまるまる一年間利ざやはなかった。なかった段階で六百二十億の赤字が出たのです。五十年は半年間利ざやはなかった。あとの半年間は利ざやがあったわけです。約一%くらい今度は出てきたわけですね。ところが、この五十年度はさらに利ざやの全然なかったときの六百二十億よりも、その一・五倍、九百四十億も赤字になった。ここに一つ問題がある。これは別に議論しなければいけないと思いますけれども、さらに五十年の十一月以降はずっと利ざやが一%くらいあるにもかかわらず、五十一年度は千九百億円の赤字である。
問題はこの特別会計の支出の中の支払い利子と人件費だろうと思いますが、この辺について、特別会計なるがために、どういう内容になっておるか、いまのような疑問を私は抱かざるを得ない。預託利率と払い出し金利の差がないときにはとんとんでいっておったものが、預託利率と払い出し金利の差があるときになお赤字が出るというようなことは私は納得できないが、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/203
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204・高仲優
○高仲政府委員 利ざやの点につきましては、その時期等は先生のおっしゃるとおりでございます。しかしながら、利ざやが出たのになぜ直ちに効果を発揮できないかと申しますと、これは二つ原因があると思います。
ます 第一点は これは先生も御案内のとおりでございますが、郵便貯金の利子を下げても定額貯金は——これは主力商品でございますが、これにつきましてはその日以降新規預入のものに限って低い新しい金利で支払う。しかしながら、従来の定額貯金については、存続する限りそのままの利子をずっと支払ってまいるわけでございます。したがいまして、某月某日〇・五%切り下げと言っても、それが直ちに三十何兆円にぴたりとすべて適用されるものではございません。新陳代謝が進むに従いましてその利ざやが出るという点がまず第一の点でございます。
第二の点として申し上げますのは、定額貯金が先生も御案内のとおり支払い金利が一番高い商品でございます。したがって人気があるわけでございますが、定額貯金の全預金中に占める占率が昭和四十六年におきましては七二・九七%、約七三%、これが五十二年十二月末におきましては八四・八五%、約八五%、金利選好の進行に伴いまして金利の高い方にお客様の関心が集まっておる。したがって、仮に同じ金利を適用いたしておりましても、総体の金利に付すべき支払い利子は上がっていくという傾向がございます。
以上の二点が主たる理由でございまして、利下げの影響あるいは預金部から申し受ける金利との利ざやの拡大というものが直ちには反映いたさないということに相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/204
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205・田中昭二
○田中(昭)委員 私はちょっとまだ納得できませんが、この問題はまた別に議論したいと思います。
もう一つ指摘しておきますが、今度の金利の引き下げで郵便貯金の方は定額が一年以上の場合が幾ら利下げになったか、それから積立貯金の場合は幾らか、通常貯金の場合は幾らかということ。
それから、これは銀行局の方にお尋ねしますが、定期一年の場合の下げ幅は何ぼか、定期積み金の場合は幾らか、普通預金の場合は幾らか、それぞれお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/205
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206・高仲優
○高仲政府委員 定額郵便貯金の利率の下げ幅についてのお尋ねでございますが、六ヵ月以上のものが〇・七五%でございます。以下一年以上、一年六カ月以上、すべて〇・七五%の下げ、二年以上のものにつきましては〇・七〇%の下げ、三年以上のものは〇・七五%の下げ、以上のように相なっております。
なお、積立郵便貯金につきましては〇・七二%の下げと相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/206
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207・石川周
○石川説明員 民間金融機関におきます定期預金一年ものでございますが、改定前は年利五・二五%、改定後は四・五〇%、引き下げ幅〇・七五%であります。
定期積み金につきましては、改定前は年利三・四%、改定後は二・七%、下げ幅〇・七%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/207
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208・田中昭二
○田中(昭)委員 局長、私の聞いたことを全部答弁しなければだめですよ。中途半ぱではいけませんよ。けれども、必要なものは言われたけれども、この審議が大変だからといって答弁があいまいにならないようにしてください。私は通常貯金も言ったはずですよ。
大臣、今度の金利引き下げでも、民間の金利と連動連動とよく言われますけれども、私は連動しない方がいいと思う。過去にもそういうことをやっておるんですね。たとえば積立貯金にしましても、郵便局の積立貯金は下げ幅が〇・七二%、民間の同じ定期積み金は〇・七%、これは逆じゃないですか。過去には民間の定期預金が一%下げても郵便貯金はその半分とかその七割とか、一%下げるときは〇・七とか〇・五とか、そういう下げ方をしておったのです。ところがここ一、二回、いまここに極端にあらわれているように、逆に民間の金利引き下げよりもよけいに金利を引き下げなければならぬということは郵便法の定めるところとは全く逆なのですが、これはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/208
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209・高仲優
○高仲政府委員 大変技術的な問題を申し上げて恐縮でございますが、積立貯金の金利につきましては月別の計算をやっております関係上、十二で割り切れる利率であることをいままで慣習的にやってまいったわけでございます。これは事務上の利便のためでございますが、そうした観点から〇・七二という数字が出たわけでございます。
なお、先ほどお答えを忘れましてまことに申しわけございませんでしたが、通常貯金につきましては〇・四八%という数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/209
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210・田中昭二
○田中(昭)委員 こういう下げ幅の〇・〇二の差があるからどうだと私は言っているのではなくて、問題は、一年間に金利を下げたために零細庶民が目減りで一千億も損をしているという話ですよ。民間金融機関は逆に金もうけでやっているのですが、郵便貯金はそんな質じゃないでしょう。ですから、極端な言い方ですけれども、よその金融機関が一千億損するときでも郵便貯金の方は半分か何かにとどめろというのが私の趣旨なんですよ。それが全然逆で、貯金をさせるときにはやれ税金がかかりませんとかやれ国の貯金ですよとかいうことで集めておいて、金利を下げるときには一般の民間金融機関よりも引き下げをよけいにするということはけしからぬと思いますが、大臣、最後に反省も込めて、今後の郵便貯金の将来に向かっての基礎をひとつきちっとお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/210
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211・服部安司
○服部国務大臣 先ほどからたびたび申し上げておりますとおりに、所管大臣としては、国民大衆の利益の増進を図るという郵便貯金法十二条の前段を大いに活用したい心でいっぱいで、微力ではありますがいろいろと努力をしてみました。しかし、後段の一般金融機関の利率というくだりになりますと、三十七兆三千億という庶民大衆の零細な金の蓄積であることはわかりますが、それは影響を持つことがなかなか大である。私を取り巻く環境がきわめて厳しく、まことに遺憾ではありましたがあの措置をとらざるを得なかったということであります。
そこで、先ほども申し上げたとおりに、ここにもはっきりと金利体系を確立する必要が迫られております。ああいったりっぱな条文があっても前段を大いに生かすことがなかなか困難であるということは、過去の歴史がはっきり物語っております。いやそうじゃない、過去に一般市中金利よりも有利の場合があったということは、これは御承知のとおりに郵便貯金の伸びというものは大変すさまじい勢いで伸びたわけでありまして、郵便貯金の占める力がもっと低額のときにはそういった配慮もかなりできたのではなかろうかと思うわけでございますが、上位五行の預金高より多いという現実もこれまたなかなか厳しいわけでありまして、今後はできる限り預金者保護の立場を堅持するという心には私はみじんも変わりはないわけでありますので、私の力の限り努力を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/211
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212・田中昭二
○田中(昭)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/212
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213・松本七郎
○松本委員長 小宮武喜君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/213
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214・小宮武喜
○小宮委員 大臣、今度の進学ローンの性格づけについてはどのように考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/214
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215・服部安司
○服部国務大臣 小宮先生、私はきわめて頭の悪い男ですから、もうちょっと答弁ができるように、できれば具体的に御指示を願えないものでしょうか。
性格づけとおっしゃっても、つけようと思えばいろいろとどのようにもっけられる問題でありますから、いま一度よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/215
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216・小宮武喜
○小宮委員 今度の郵便貯金法の一部改正法律案の説明の中で進学積立郵便貯金制度を新設することになりましたけれども、これはただ郵便貯金預金者の利益を増進するためというように言われておりますけれども、かねてから言われておるように、郵便貯金というものは本来庶民の零細な貯金だと私は思うのです。そういう意味から見れば、低所得者層に対する配慮というものがこの進学ローンの中には当然生まれてこなければならないはずだと私は考えるのですが、この中にはどうしてもそういう配慮が欠けておるというふうに私は理解するわけです。
そういう意味で、この進学ローンというのはただ預金者の利益を増進するというだけではなくて、やはり、低所得者層に対する進学ローン制度であるべきだというように私は考えるのですが、その性格を大体どういうふうに考えますかということを言っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/216
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217・服部安司
○服部国務大臣 正直申し上げて、低所得者層には余りありがたくない内容であるとはお願いしている私自身が痛感いたしておりまして、朝から阿部先生初め田中先生にも謝りっぱなしでございます。
ただ、そういう内容のものではありますが、この制度を創設するところに意義があると御理解をいただいてよろしくお願いを申し上げますと、かように申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/217
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218・小宮武喜
○小宮委員 今度の進学ローンについて、たとえば交通遺児家庭とか母子家庭の方々からいろいろな要望が来ておりますが、そういう立場からは低所得者層に対する配慮が欠けておるというふうに私は感ずるのです。
交通遺児の問題を例にとってみますと、御承知のように進学率が高校では全国平均が九三%に比べて七〇%台、大学で全国平均が三八%に比べて二〇%台になっているわけです。交通遺児だけでも全国で十二万人いるわけですが、そのうちの九〇%、ほとんどが父親を失った母子家庭の低所得者層なんです。その所得だって月収が大体八万円くらいなんです。そのためにこういった交通遺児とかあるいは母子家庭の遺児たちは大学進学はあきらめて就職したり、あるいは高校進学をあきらめて就職したり、そういう例が非常にふえておるのです。だから、この制度そのものをせっかく国がつくるならば、一般の銀行と違って国がつくるもので、しかも郵便貯金は零細な庶民の一番頼りにしておるところですから、そういうような人たちに対する配慮というものが基本的になされなければならないというように私は考えるのです。
そういう意味で、母子家庭の方々からいろいろな要望も出ておるわけですが、いまの貸し付けの現状を見れば、高校、大学とも在学期間に一年間の据え置きがありますけれども、結局高校であれば三年間の中で一年据え置いて二年間で払わなければいかぬ。あるいは大学だったら一年据え置いて三年で払いなさいということなんですよ。
母子家庭の方々は生活するのにいっぱいなんです。したがって、そういうような子供さんたちが進学する場合に、普通であれば銀行なんかで進学ローンができたとしても、これは担保能力とか返済能力でなかなか貸してもらえない。そういう立場から今度の郵便貯金による進学ローンに非常に期待をしておったところが、できた中身は絵に描いたもちと同じだということを言われておるのですよ。だから、貸付期間の問題にしたって、普通の育英資金だとかなんとかは卒業してから半年くらい据え置いて支払いを開始するわけですが、この場合は在学中に払ってしまえ、一年間据え置いてあとは二年間で払ってしまいなさいよ、あるいは三年間で払ってしまいなさいよという制度なのですね。こういう制度が果たして本当に低所得者層の進学ローンとしての性格を持っておるのだろうかという疑問を私は持つのです。
だから、私はいろいろな意見をいっぱい持っておるわけですけれども、少なくともここに法律案として出た以上、修正とか何とかという問題もまたありますけれども、そういうことについても当初この制度を考える場合に考えなかったのかどうか、どうして在学中に払ってしまいなさいという制度になったのか、その点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/218
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219・服部安司
○服部国務大臣 これは先ほど申し上げたとおりに、決して庶民大衆のための進学ローンではありませんと私は謙虚に認めたわけですが、ただ、創設に意義があるという点を御理解くださいと申し上げて、これからどんどん改善を加えて先生方とともによりよいものに仕上げてまいりたいという意欲に燃えておりますと先ほども田中先生に答えたわけであります。それはそうでしょう。高校に入るのに金を借りて、三年間で一年据え置いてあと二年でこれを返済すると、その子は絶対大学にいけませんよ。七年も八年もそんな苦しいことに耐えられるような人間はまず少ないですね。だから私は率直に言いますが、これは余り大した内容のものではありません。しかし、先ほど申し上げたとおりにこれでやっと期間延長を始めたわけですから、原案は一年から二年であったのをやっとこれを引き上げて据え置き一年をつけ加えてこうやって、先生方から何たるものをつくるのだという御指摘をまだ受けるほどであります。
大蔵当局の御答弁では、一時的な出費の軽減を図るという趣旨でこれを進めたとおっしゃいます。われわれは国家に多大の貢献のあるいわゆる零細預貯金者へのサービス行為だ、金融じゃないという点を力説いたしましたが、結局双方の言い分が歩み寄って、私の力の足らざるところでこういう形に相なりましたが、これで御理解いただいて、この創設にひとつ御協力ください。後はわれわれ国会議員が一丸となってもっとすばらしい内容のものに仕上げていって、時間はかかるけれども国民の期待にこたえたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/219
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220・小宮武喜
○小宮委員 大臣の努力は私も高く評価しておるのですよ。しかしながら、いま大臣は制度を設けたことに意議があるということを言われておりますけれども、一たん制度を設けて法律となってしまったら、官僚の頭のかたい連中にとっては改正ということはなかなか並み大低の問題じゃないですよ。それは大臣が後までもずっと郵政大臣をやってもらえばいいけれども、大臣がかわったらまたどうなるかわからぬ。
それにしても、ここで私は大胆な提言をして修正なんかを言っても混乱させるばかりですから言いませんけれども、意見として言わせてもらいますが、この貸し付けの問題にしたって、普通の一般のものは本人に貸し付けるわけですね。本人に貸し付けて、本人が卒業後五年間なら五年間で払うという制度なんですね。しかし、これはあくまで親族に貸し付けて親族が責任を持って払うという制度になっていますから、これはわれわれが考えておるような進学ローン制度とは若干異質のものになっているわけですけれども、それにしても金利の問題はどうですか。こういうような零細な人たちに積立預金をやらせて、貸し付けるわけですが、それが七・六%の金利というのは高過ぎやしませんか。
先ほどから申し上げますように、交通遺児の家庭であるとかあるいは母子家庭の方々が七・六%の金利を払うということは並み大低の問題ではありませんよ。だから、せっかく努力をするならば、金利の問題にしても、七・六%というのはもっと何とかならないものか。これだけは金利の引き下げをせずに高い金利をつけておるわけです。ほかのものは金利をどんどん引き下げて、これだけは下げずにやっておるけれども、大臣、この問題についてはどうして七・六%の高利の金利をつけるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/220
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221・服部安司
○服部国務大臣 金利の引き下げで、七・一%でスタートする予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/221
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222・小宮武喜
○小宮委員 余りやると時間がなくなりますからこれはその辺でおくとして、それからもう一つは貸し付けの対象がですが、先ほど申し上げましたように、進学者本人ではなくて、これは返済能力のある親族になっているわけですね。そうするとそういう母子家庭では母親が借りることになると思いますけれども、その母親に銀行が認めるような担保能力などがあるはずがないのです。それは特に財産がある者は別ですが、そういう貧しい寡婦の方々が保証人になってくれと言ったって保証人になる人はいませんよ。そういう問題をどうしますか。
もしいま申し込みをして、そして拒否する場合の条件というのはどうなっておりますか。たとえば借り入れを申し入れて、もちろんそれは預金はするわけですけれども、そういう場合に断る場合の条件というのはどうなりますか。無条件で全部貸しはせぬでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/222
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223・藤田恒郎
○藤田説明員 進学資金貸し付けについての先生の御意見は私どもも大変ごもっともだと思って拝聴いたしましたが、ただ、私どもは、この制度を考えましたのは、あくまでも金融として考えたわけでございます。先生のおっしゃる点は金融で解決できる問題であるかどうかということだと思いますが、それは非常にむずかしい問題で、大臣もおっしゃっておりましたように、われわれの今後の検討課題であろうかと思います。
したがって、われわれはあくまでも金融としてやっております以上、郵便貯金を安全確実に運営するということで、運用部資金から資金を預かりまして、その資金を進学資金として貸し付けるという仕事をやるわけでございますから、審査に当たりましては、返済が確実であるかどうかということで、本人の返済能力、財産、年齢といったものを十分チェックして融資するということに当然なると思います。現在の制度ではそういうことにならざるを得ないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/223
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224・小宮武喜
○小宮委員 こういうような交通遺児、母子家庭の人たちを見ると、母子家庭だって全国に六十万からあり、遺児だって百五十万からおるわけですよ。こういうような人たちに教育の機会均等を与えるという立場から考えると、ただ貧しいとか金があるとかないとかいうような貧富の格差だけによって教育の機会均等を破られるということになれば、これは本当に大きな問題点ですよ。せっかく国が取り扱うこういうような制度については、一般の銀行が扱うような進学ローンの制度でなくて、やはりそこには温かい配慮があってしかるべきだと私は考えるのですよ。
しかしながら、せっかくの法案を最終の詰めになってきたときに私がいろいろと修正とかなんとかを出すとまた混乱しますから、最終的には賛成でやりますけれども、しかし、問題は多分にこの中に含まれておるわけです。
それで、もう一つは、高校進学者と大学進学者に対する貸付限度額を五十四万円という同一にしておりますけれども、これはどういう根拠なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/224
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225・高仲優
○高仲政府委員 私どもが五十四万円という限度額を設けましたのは、調査によりますと、東京の私立大学に入学する者で下宿あるいは寮の生活をする場合の、入学に直接関連して必要とする経費が約百万円であるという資料に基づきまして、自分で積み立てた分と借り入れる分を合わせて百八万円という枠を設定しておけば一応常識的には間に合うということを考えたわけでございます。
その時点におきましても高校の進学に当たっては一般的にそれほど金は要らないわけでございますが、一応頭の金額を決めておきまして、入学に要する経費は高校、大学ほぼそれぞれ見当がつくわけでございますから、その実情に応じて積み立ての契約をしていただくということが一番実情にかなう。したがいまして、高校の場合は幾らが限度、大学の場合は幾らが限度という形には決めずに、頭は一本にしておいたというのが実際の話でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/225
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226・小宮武喜
○小宮委員 先ほども申し上げましたように、高校進学の場合はこういう制度があった方がベターではありますけれども、高校の進学率というのは全国で大体九三%を超えておる。また、進学するにしても高校の場合は自宅通学でもあるし、さほどに五十四万円の限度額いっぱいに借りなくてもやっていけるのじゃないか。しかし、それでは、限度いっぱい借りてくれということは言っておりませんから三十万なら三十万でいいですよということにもなるかもしれぬけれども、大学進学の場合は先ほど言われたように百万円ぐらいかかるということです。それに大都市の生活は、東京の大学に入れば生活費だって毎月最低七、八万は要るわけですね。それは全部をこれで見ろということではありませんけれども、そういう意味では大学と高校の貸し付けの限度額を同一にするということはどんなものだろうかと思うのです。
私の意見を言わせてもらえば、むしろ高校の場合は仮に三十万ぐらいに下げてでも、大学の場合はいま言うように百万ぐらいにしたらどうかということを考えるのですよ。それをなぜ同一にしたのかなというところで、いまの答弁は限度額を抑えた方がいいだろうという話ですけれども、実態というものはそうじゃないんです。高校と大学は違うんだから、それをなぜこういうふうにしたのかということをもっと明確に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/226
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227・高仲優
○高仲政府委員 高校入学の場合は、先生もおっしゃいましたように、確かに百万円はかかっておらないのが実情でございます。しかしながら、私は育英会の貸与の数字あるいは申し出の数字を見たのでございますが、高校在学者であっても育英会の育英資金の貸与を受けておるという者が現に存在するわけでございます。そうした方々は入学時においてもなかなか家計不如意であるという実態も当然あろうかということで幅を広げて考えたわけでございます。
高校入学の際は正味五十万円でいいということならば、二十五万円を積み立てる契約をしていただいて二十五万円を限度として借り入れる。この枠は以内でございますから、適宜できるというふうに考えております。
なお、大学の場合も確かに学校によりあるいは学科によっては非常に高いのがあることは実情は承知しておりますけれども、こうしたものを無制限に考えるということではなくて、これはむしろ一部、特殊な部分でございます。私どもが考えます場合は、ごく一般的な平均的なものを考えるべきではなかろうかと思うわけで、また、入学した後におきましては、審査というような問題も多少あろうかと思いますが、育英資金の受給ということも可能でございます。
私どもは、既往のすでにできておる制度に屋上屋を重ねるということではなく、入学した後においては育英資金の制度があるということで、たとえば母子家庭等においてはそれぞれの補助的な施策が行われておるという点から、一般論といたしまして家計に与えるインパクトを軽くすることを目的といたしましてこの制度を考えたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/227
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228・小宮武喜
○小宮委員 この制度で入学金の全部を賄うということじゃなくて、一部の負担を補てんするという立場は確かにわかるような気もしますけれども、育英会あたりの問題がいまちょっと出ましたけれども、育英会あたりは奨学金を本人に貸して、卒業後半年据え置きであと無利子で三十年間の割賦払いになっていますね。だから、都合のいいときは育英資金のことを言っておるけれども、こういう返還については育英資金の方がよっぽどいいわけです。
それはそれとしましても、限度額を五十四万だ、二十四万の場合はそれ以下で申し込みをしたらいいという論法なら、それでは限度額をもっと上げてもいいじゃないか。百万円ぐらいに上げたっていいじゃないか。大学とか高校とか言わぬでもいいわけです。借りたい人は三十万必要だったら三十万借りればいいし、五十万借りるんだったら五十万でいいんですから、そういう意味での限度額を言うなら、もっと限度額は引き上げたっていいのじゃないかというふうに私は考えるんですよ。
それから、もう一つは、ゆうゆうローンの貸付限度額も今度は三十万から五十万に引き上げるわけですけれども、進学のためにゆうゆうローンを利用されておられる方々がどれぐらいおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/228
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229・高仲優
○高仲政府委員 私はそれに関します適確な資料を承知しておりませんが、一時の出費に充てるためには大変便利な制度でございますから、そうした目的にも当然相当程度現に利用されておるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/229
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230・小宮武喜
○小宮委員 こちらはすでに預金しておるわけだから、そういう意味ではこれだって三十万を五十万としなくたって、進学費に使うんだったらもっと百万ぐらいに上げたっていいのじゃないかという気がするんですよ。
これは郵貯の婦人モニターの第二回アンケート調査結果が出ておりますけれども、ゆうゆうローンの最高額について、五十万円ぐらいがよいという者が四一・四%、次いで百万円ぐらいがよいという者が二七・八%、三十万ぐらいでよいという者が一八・九%、百万円以上がよいという人が五・五%になっておるわけです。したがって、百万円以上というのが全体の三三・三%で、やはり三分の一は必要としておるわけですね。
〔委員長退席、鈴木(強)委員長代理着席〕
そうであれば、これを必要としている人を抑える必要はないので、限度額を決めることだって、そういう百万円あったらいいとか百万円以上がいいという人が三分の一おるとすれば、限度額だったらやはり百万円ぐらいにしても、必要によって五十万円借りる人もおろうし、三十万借りる人もおろうし、それをわざわざ五十四万円とか五十万円にするということが私はよくわからない。それは実際の大学進学の場合も、私立大学で見れば全国平均大体五十九万円ぐらいになっておるようですから、そういうところから来たんだろうと思いますが、しかしながら、もっと全部が利用できるような制度にしておいた方がいいのじゃないか。平均とかなんとか言うのじゃなくて、制度をつくる場合にはむしろもっとみんなが利用できるような、少なくとも八〇%か九〇%が利用できるような制度にしておいた方がいいのじゃないかという感じがしますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/230
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231・高仲優
○高仲政府委員 進学資金の貸し付けについてまず申し上げますが、これはもともと進学のために要する経費でございますから、大変細かい微に入り細にわたった支出についてこれを調査するというわけではございませんが、入学金であるとか授業料であるとか施設費であるとか、あるいは受験のための旅費、宿泊料である等々、おおむね常識的な線で出していただくということに相なろうかと思います。そうした場合から考えますと、総体の経費として現在私どもが持っておる数字といたしましては約百万円ということになっておりますので、百八万円という金が都合がつくということであれば、まずもって入学時に支障はないのではないかと考えてそのようにいたしたわけでございます。
それから、ゆうゆうローンでございますが、これはもともと定額貯金等定期性預金を担保としてお貸し申すものでございまして、長期間にわたって借り入れるということでございますから、預金をおろしていただいた方がむしろ有利になる、中途で定額貯金等をおろす、またすぐ工面がついて返すということであれば、不利にならないようにするということが本旨でございますから、余り金高を大きくしてしまいますと今度は返済のときに困る、あるいは借入期間が長くなるということは結果といたしまして預金者の方にむしろ損を与えるかもしれないという点から、先ほど先生もおっしゃられました利用者の意向調査等も考えまして、一番要望の強い点をねらって五十万円に枠を上げるということを考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/231
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232・小宮武喜
○小宮委員 モニター調査によれば、ゆうゆうローンの利用の理由について、第一に耐久消費財の購入と答えた者が二八・三%、続いて生活費と答えた者が二二・三%、冠婚葬祭費が一四・九%、レジャー費用が一三・五%、病気が四・六%ということになっておりますけれども、これに入学費とか教育費というものが頭を出しておらぬのはどういうことでしょうか。利用されていないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/232
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233・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
私が考えますのに、生計費と称しておる中に含まれておるのではないかと考えております。非常に細かく定義を打って行った調査ではございませんので、概括的に分けて生計費の中に分類されているものと私は考えております。この内容は詳しくいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/233
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234・小宮武喜
○小宮委員 この制度が大蔵省等の反対に遭って妥協の産物として生まれたことはわかりますけれども、当初郵政省が考えておった進学ローン構想というのは大体どういうものでございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/234
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235・高仲優
○高仲政府委員 当初郵政省として考えておりました案の骨子を申し上げますと、進学積立郵便貯金をやっていただき、この積立額を担保として積立額の二倍を融資するというものでございます。
それを考えましたのは、家計に対する一時的な強い出費を月賦で返済するような形でなし崩しにするということ、それから入学後におけるものは育英会とか、社会政策的なものは母子家庭に対するものはそのものとしてそれぞれあるわけでございまして、入学についてはたまたまいままで施策がなされていなくて、しかも一時の出費で家計が非常に困窮するという実態が生じておりますので、これを救済することを目的として考えたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/235
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236・小宮武喜
○小宮委員 大臣は先ごろ、退職金を貯金する場合、千五百万円まではその利子について非課税にしたいという考え方を表明しているわけですが、これは私も賛成ですけれども、その見通しはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/236
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237・服部安司
○服部国務大臣 退職金というのは、公務員を含めて一般サラリーマンが大変長い間それぞれの職域を通じて国家社会に多大の貢献のあった方々に対するものですね。この退職金が老後の生活資金に充てられるケースも非常に多いわけです。
その老後設計を大きく崩すことにつながるのは金利の引き下げでありまして、長きにわたって国家社会に多大の貢献のあった方々の老後の安定を期するために千五百万円まで利子課税をしないようにする、それが老後の安定につながることである、こういった構想を打ち出しまして、これから本格的に大蔵省に事情説明を申し上げて御理解を得て実現を図りたいと思っております。
なぜ千五百万円という金額を打ち出したのかということになりますが、私が民間の調査機関でいろいろと調べてみたところ、大体千五、六百万円が現在の退職金の平均額ではなかろうかと答えを得たから千五百万円という数字を出したわけであります。
しかし、本格的に取り組む場合には労働省その他いろいろな機関とも緊密な連携をとって、的確な資料に基づいてやって参りたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/237
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238・小宮武喜
○小宮委員 これは中央労働委員会が調査した結果でも、民間三百二社のモデル退職金を調べてみたところ、大卒三十二年勤続で千八百万円ぐらい、中卒で四十一年ぐらい勤めて大体一千二百万円です。だから、額としては妥当なところではなかろうかと思います。
一般庶民の零細な預貯金である郵貯の利息が公定歩合の引き下げに連動して相次いで引き下げられる。物価上昇による預貯金の目減りを少しでも補う措置としてできる限りの配慮をするのが当然だと思うので、その意味でこの構想に私は賛成するわけですが、かって四十七年八月の金利引き下げのときはいまのゆうゆうローンが生まれてきたわけです。また、昨年四月の金利引き下げのときにはいま提案されている進学ローンが生まれてきた。したがって、今回の金利の引き下げに当たっても、見返りとして退職金の利子の非課税構想をぜひとも実現してもらいたいと私は思うのです。
さらに、大臣に強く要望したいことは、いま物価高とインフレが加わって、しかもたび重なる金利引き下げによって預貯金の目減りに苦しんでおる人たち、せっかく苦労して蓄えた老後の生活資金が目減りで将来どうなるかということで非常に不安がっておられる方々そういう人たちのためにも、現行のマル優の限度額三百万を何らかの条件をつけてでもいいから増額してほしいというのが老人の方々の意見としては非常に強いわけです。
千五百万円の退職金の利子の非課税構想は退職者だけの問題であっても、もうすでに退職金を郵貯に預けておる、それが目減りしていくということに対して、われわれの方にも不公平にならないように三百万のマル優の限度額を少しでも、何らかの条件をつけてでも結構だから何とか上げてもらえぬかということが非常に訴えられておるわけですけれども、これについてはいかがでしょうか。大臣、ここでひとつ実施いたします。実現させますとお答え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/238
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239・服部安司
○服部国務大臣 先ほど申しました退職金の金利非課税の問題は、貯金金利の引き下げの見返りという考えがたまたま時期的に一致しただけであって、私はそういうさびしい心ではなくて、堂々と実現するために努力したいと考えておりますので、この点は御理解を願っておきます。
それから、三百万円の限度額を五百万円に上げてほしいという強い要望があるがおまえはどうかという御指摘でありますが、これはもうすでに五十三年度の予算折衝の段階で、国会審議を通じて強い御要望もございましたので要求いたしました。残念ながら実現を見ることはできなかったわけでありますが、私は、この問題は引き続いて大蔵当局に十二分に御説明申し上げて、理解を得るように努力をしたい、できれば速やかに、早い時期に実現を図りたいという強い意欲に燃えているわけでございます。
しかし、何さま相手があることでございますからいろいろと問題もあろうかと思いますが、先生方の理解と協力を得て大いに推し進めてまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/239
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240・小宮武喜
○小宮委員 それから、五十二年度における郵便貯金の総増加額が七兆一千五百四十八億、対前年度比で一二二%の伸びとなっております。また、目標額も六兆二千億に対して一一五%の増の実績となっているわけですが、この郵貯の取扱数量が普通局、特定局、簡易局の別に見ればどうなっておるか、その点をお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/240
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241・高仲優
○高仲政府委員 郵便貯金の伸びの局種別内訳でございますが、ただいまわかっております局種別の新しい数字が実は五十一年度の計数でございます。
これについて申し上げたいと存じますが、普通局は一兆二百六十六億円の増、局種別で全体の占率が二四・一%でございます。対前年の伸びが一〇三・七%、これが普通局でございます。特定局につきましては、増加額が三兆一千三百十八億円で、占率が七三・五%となっております。対前年比は一一一・九%でございます。簡易局につきましては、増加額が一千二十八億円、全体の伸びた額に対する占率が二・四%、対前年比は一一四・三%となっておりまして、特定局が金額的には郵便貯金の伸びの主力を示しておる事実がはっきりと出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/241
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242・小宮武喜
○小宮委員 また、簡保の新規契約募集の件数で四百三十三万件、保険金額で六兆八千億と、それぞれ対前年度比で一〇二・五%、一一五・九%の増加実績となっておりますけれども、この簡保の取扱量についても、普通局、特定局、簡易局の制度別にはどうなっておるか、これは御参考までにお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/242
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243・佐藤昭一
○佐藤(昭)政府委員 お答えいたします。
私どもの方にいまあります局種別の数字でございますが、五十一年度の数字でよろしゅうございますか。(小宮委員「結構です」と呼ぶ)
五十一年度で見ますと、簡易保険の新規契約高は、普通局におきましては、件数が二百九十四万一千件、保険金額四兆二百七十五億円でございまして、前年に対する伸び率は件数で三・四%増、保険金額におきまして四・一%増となっております。また、特定局におきましては、件数が百二十七万九千件、保険金額一兆八千六百七十四億円でございまして、対前年に対する伸び率は件数で〇・七%の減、保険金額で五・一%の増となっております。
簡易局におきます新規契約の保険金額でございますが、これは従来から特定局分に含めて集計しておりますので単独で把握しておりませんけれども、件数の方は把握しておりまして、六千三百五十三件でございます。
また、御参考までに申し上げますが、保険料額では三千九百九十九万円でございまして、対前年に対する伸び率は件数で二七・五%の増、保険料額におきましては四〇・三%の増となっております。
したがいまして、保険金額相互間の比較はいたしかねますが、この普通局、特定局、簡易郵便局の新規契約の件数で比較いたしますと、普通局が六九・六八%、特定局が三〇・一七%、簡易局が〇・一五%という構成になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/243
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244・小宮武喜
○小宮委員 ただいまの答弁にもありましたように、郵便貯金にせよあるいは簡易保険にせよ、目標達成に当たってはそれぞれが非常に努力をしておることは対前年度の比でもわかるわけです。
そこで、私はこの前も質問をいたしましたけれども、この前は時間がないために中途で終わりましたが、こういうように簡保の受託者に対して非常に重要な責任を与えられておるわけですけれども、受託者も一生懸命努力しておるにもかかわらず、取扱手数料が非常に低いということでいろいろ苦情も聞くわけでございます。そういう点で、簡易局の受託者に対する待遇改善を早急に検討してもらいたいと思いますけれども、どうでしょうか。
この前大臣はひとつ勉強させてくださいと言っておりましたけれども、どういうふうに勉強したかということは言いませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/244
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245・神山文男
○神山政府委員 お答えいたします。
御承知のように、簡易郵便局は委託契約に基づきまして仕事をしていただいておるということでございまして、その報酬としては、委託事務の取扱量に応じまして手数料を支払うことといたしておりますが、これも一般の物価、賃金の動向にかんがみまして年々所要の改定には努力してまいっておりまして、今後ともそういう考え方で処していきたいと考えております。
〔鈴木(強)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/245
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246・小宮武喜
○小宮委員 特に、簡易局は比較的不便な地方にあるわけです。不便な地方にあって、地方の住民の利便を図るために設けられているわけですね。
しかしながら、収入といえば郵便貯金の出し入れの手数料だとか書留速達の手数料だけですから、その意味では当局は簡易局は片手間の仕事でやれるんじゃないかというような考え方を持っておられるかもしれませんけれども、ここで幾らに上げますと言えと、そこまでは私も無理して言いませんが、その基本額とか取扱加算額についても、五十三年度は無理としても、来年度の予算あたりでは十分検討してくれるということを約束してください。大臣、所見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/246
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247・服部安司
○服部国務大臣 前回の委員会でも御指摘のあった問題でありまして、私が新米大臣ですから、ひとつ勉強の時間を与えてくださいと言ってお許しを得たわけで、きわめて時間が少ないわけですが、私なりに機会をとらえて実態を知るために努力しました。
五十三年度でもかなりの思い切った手数料の改革をする準備はいたしております。しかし、私の調べた範囲ではそんなにひどく悪いとは理解できないのですね。これは郵政省と簡易局長さんとの契約行為であって、まあ努力のいかんによるが、先生の御指摘のとおり地域社会の事情もいろいろ相違があろうと思います。
私は平均的なあれでやっていますが、しかし、かなり郵政事業に御協力いただいている実績は認めておりますので、十二分に配意をするべきであるという省内の最後の結論でございまして、先ほどの局長の説明どおりに、物価、人件費の動向も十二分に見きわめつつやってまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/247
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248・小宮武喜
○小宮委員 それから、局舎の無償提供制度についても、幾ら簡易郵便局法で無償制度になっているとはいえ、また、それを承知で委託を引き受けたということであっても、国が業務を委託する以上、世間の常識として、多い少ないの問題はあるにしても、ただで使うということはどうでしょうか。
だから、金の多い少ないの問題じゃないと私は思うのですよ。そういう意味で、名前を局舎料とするかどうするかは別として、お礼でもいいし迷惑料でもいいから、何らかの形で措置を講ずるべきではないのかということを私は考えますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/248
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249・神山文男
○神山政府委員 簡易郵便局の手数料の中には、地方特定局の実情等も勘案しまして局舎料相当分を含めて計算しておるという実態でございまして、これは全国的な調査の結果でございますが、実態を調べて、一局当たり大体五坪の分を積算してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/249
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250・小宮武喜
○小宮委員 それは含めてやっておると言えば含めてやったというふうにわれわれも聞く以外にないのですが、具体的にはこれはこうだこれはこうだという区別はないわけですから、ただ含めてありますというなら、具体的にどう含めてあるのか、いまの基本額の中でどれだけ含まってあるのかということまで十分突っ込んでやらなければいけない。それならただ答弁として言われるだけの話で、これはこうですこれはこうですというようなことも受託者の方に十分言わなければ、受託者の方はそういうようなことはわからぬですよ。
それをここで余り大きく取り上げて云々ということは時間がございませんから私はやめますけれども、また、受託者が退職される場合に、その協力の度合いあるいは受託期間等を勘案して退職手当だとかなんとかというものを——名前は慰労金でも構わぬし、どうでもいいが、そういうようなものも考えてもいいんじゃないか、それぐらいやっても罰は当たらぬのじゃないかと私は思うのです。あるいは賞与の問題にしても、たとえば日雇いの人たちにしたって何日分かはあるわけですから、そういうことも考えてやった方が受託者はますます自覚と責任を感じて、またやる気を本当に起こすんじゃないかということも私は考えます。
もう一つ、この人たちから非常に要望されておるのは、簡易郵便局法第六条の問題に関連して取扱業務の範囲を拡大してもらいたいということです。特にこれは地域の不便なところに簡易郵便局はあるわけですから、たとえば電話料の取り扱いの問題とか、あるいは厚生年金だとか老人福祉年金とかいうようなものぐらいは取り扱わせてもいいのじゃないか。特に不便な地域があるわけですから、老人の方々などはそういう簡易局ではもらえないし、特定局または普通局までわざわざ来るということはかなりの距離もあるし時間もかかるのだから、それくらいのことは考えてやってもいいんじゃないかと私は思いますので、その点についての御見解だけを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/250
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251・神山文男
○神山政府委員 受託者の処遇改善につきましては、先ほど大臣からも申し上げましたように、今後とも手数料の改定ということで対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/251
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252・小宮武喜
○小宮委員 最近私のところに切手売りさばき人から手紙が来ておりますが、その手紙の一部を紹介しますと、「私の店では一昨年年賀はがきを一万七千枚売り上げ、昨年は二万六千枚売り上げました。そして昨年は他の切手の売り上げを合わせると九十六万円も売り上げたにもかかわらず、手数料は二万五千五百円でありました。これでは仕入れの金をそのまま郵便局の定額貯金に預けた方がよほど得であります。」と、こういうことが書いてある。また、「私たちは切手を売るにしても切手を前金で仕入れなければならぬ。年賀はがきを仕入れる場合でも、金が足りなければ金融機関や他人から借りなければならない。一番安い国民金融公庫から借りても年八分九厘の金利がかかるわけです。それも売れば売るほど手数料は安くなるということで、最近では、いまの制度では地域住民にある程度の不便はかかっても無理してまで売る必要はないのではないかということも息子とも話し合っております。」というように非常に切々たる手紙も来ておるわけですが、この人たちの言うことも私は理解できると思うのですよ。
大した手数料の恩恵もない。それはただそれだけやっているのではなく、ほかにも商売をやっておるのだからそれでいいじゃないかというような考え方も成り立つかも知れませんけれども、国が業務を委託する以上は他人のふんどしで相撲を取るようなことでは困ります。この人たちは日曜日も祭日も家族ぐるみでやっておらにゃいつ買いに来るかわからぬのですから、そういう意味で、最近、売りさばき人の中でも、何の恩典もなくてばからしいからやめようじゃないかという人さえ出ておるということまで言われております。そして、「私たちはどんな犠牲を払ってもやはりこの売りさばきを続けていきたいと思います。しかしながら、われわれが本当にやるものに対してもう少し何らかの措置をひとつ考えてもらえぬものでしょうか。」という訴えなんです。
そういう意味で、たとえばたばこの例がよく言われるわけです。これは売り上げの一割ですけれども、私はそのとおりたばこと同額ということまでは言いませんけれども、国営事業として、やはり、売り上げたら売り上げたに見合うものが入ってくるのでなければおかしい。多く売り上げれば売り上げるほど手数料が下がってくるということでは困りますので、そういう制度について国としても検討する用意がないかどうか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/252
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253・神山文男
○神山政府委員 売りさばき所が郵便局のない場所で郵便事業の円滑な遂行に非常に役に立っていただいておるということは私どもも十分認識しておるところでございまして、その売りさばき手数料につきましても所要の経費というものは算定して措置しているつもりでございますが、なお、御指摘のありました点については今後とも引き続き十分検討はしてまいりたいと存じます。
ただ、手数料の点について、郵便貯金の金利との比較の点で若干御指摘がありましたけれども、ただいまの手数料は段階によって違いますが、たとえば十万円で買い受けていただく場合、これは一カ月で回転できる程度の買い受けをしていただくということでございますが、そうしますと売り切れればまた新しく十万円で切手を買っていただく。一年間回転して、毎月回転して利用していただける。そういたしますと十万円で月額が八千六百円でございますから、月に八・六%でございまして、これを十二回繰り返しますと年額で十万三千二百円で、一〇三%ほどになるということでございまして、郵便貯金の金利と比較してということは何かの誤解ではないかと考えまして、念のために申し添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/253
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254・小宮武喜
○小宮委員 この人たちが比較の対象にしておるのは、やはり郵政省の職員のいろいろな面との比較がされておるわけです。しかし、ぼくはそこまでは言いません。その人たちに比べて自分たちは余りにも安過ぎるじゃないかと——それは郵政当局もいろいろ努力されておることは理解しますよ。現行制度では売り上げが全然なかった場合でも一千円保証されておりますね。しかしながらこれを引き上げてくれと言う人もおるし あるいは全然売らなかった人と一万円売った人と同額だというのもまたおかしいんじゃないかという声もあるわけですから、そういう矛盾を何とか改善していくようにしてもらうと同時に、保証金の引き上げだとかあるいは改善だとか、あるいは売れば売るほど本人たちもそれだけ手数料がふえるというような制度に改善してもらいたいということを要望します。
それから、また、私はいろいろ聞くのですけれども、売りさばき人として長年郵政業務に協力された方々、売りさばきを三十年も四十年もした人あたりに対しては、ときにはこれらの人々を呼んで、地方の局長あたりが出席して御苦労を慰労したりしてお互いの意思の疎通を図ることが大事じゃないかと私は思います。私は退職金までやれとは言わぬですが、感謝をするような機会でも持ってお互いの意思の疎通を図ればいろいろなこういうふうな問題も起きてこないのじゃないかというふうに考えますが、そういうような制度もぜひ検討してもらいたい。これは要望しておきます。
それから、いよいよ春闘も非常に山場になってきたわけですけれども、十四日もしくは十八日、十九日、あるいは二十五日以降のものは一部全逓の方々はストライキを中止しましたけれども、このストの問題について、第一波の統一スト、第二波の統一スト等に参加した職員は、たとえば郵政省あるいは電電公社には何名おられますか。いわゆる違法ストに参加した人ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/254
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255・大友昭雄
○大友説明員 お答え申し上げます。
十四日、十八日の違法ストに郵政省で参加いたしました者は、十四日につきましては下関と鹿児島の地方貯金局でございまして、両局で合計四百十八名ということでございます。これは管理者を除きまして、当日出勤を要する職員の七五%ということに当たるわけでございます。
十八日につきましては、秋田の地方貯金局と札幌の地方簡易保険局ということでございます。両局での参加者は二百八十二名で、同じく管理者を除いた当日の勤務を要する職員の七三%ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/255
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256・坂部政夫
○坂部説明員 電電公社でございますが、十四日から本二十六日までに全電通が実施いたしましたストライキに参加した職員は約十五万三千三百名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/256
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257・小宮武喜
○小宮委員 最後に、この違法ストに参加した者に対する処分の問題ですが、これに対して郵政省、電電公社はどういう態度で臨むのか、この点を最後にお伺いして私の質問を終わります。両方から答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/257
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258・秋草篤二
○秋草説明員 今度の春闘で国民の皆様、加入者の皆様に大変御迷惑をかけまして大変に遺憾に思っております。まことに申しわけございません。
この処分につきましては、まず十分な徹底的な調査をしまして数を決め、それの量定も決めまして厳正に処置したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/258
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259・服部安司
○服部国務大臣 二十五日からのストライキにつきましては、未然に違法な事態が回避されましたことは御承知のとおりでありまして、十四日、十八日に実施された違法ストライキにつきましては、まことに遺憾でありますが、この違法ストライキに関しましても従来からの考え方に立って厳正に対処していく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/259
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260・小宮武喜
○小宮委員 今後の動向を見守って、きょうの質問は一応これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/260
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261・松本七郎
○松本委員長 藤原ひろ子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/261
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262・藤原ひろ子
○藤原委員 大変遅くまで御苦労さんでございます。
今回提案されました郵便貯金法の一部改正案の審議に関連いたしまして、私は、郵政大臣の姿勢のあり方の問題としまして、昨日実施されました郵便貯金の金利利下げの問題について幾つかお尋ねをしていきたいと思います。
福田内閣が発足しまして一年数カ月を経過いたしましたが、この間政府は預貯金金利を三度にわたって引き下げを行っております。過去を振り返ってみましても、一年間に三度も預貯金金利を引き下げられたというような例はほかにないわけてございます今回の金利引き下げは五年来のスタグフレーションと円高危機に苦しむ国民生活に新たな打撃を与えるものと言わざるを得ないと思います。
郵政大臣として、現在でも困難な事態に直面しております国民生活にさらに犠牲を強いる郵便貯金の金利引き下げを行われたということについてどのような責任を感じておられるのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/262
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263・服部安司
○服部国務大臣 円高ドル安に伴う不況克服のためとはいえ、ささやかな金利を得ることを目的にされている貯金者の金利引き下げをせねばならないことはまことに遺憾であると考えております。
しかし、国の経済政策上やむを得ない措置でございまして、私は零細な預貯金者に対してまことに済まない気持ちでいりばいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/263
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264・藤原ひろ子
○藤原委員 郵便貯金につきましては、郵便貯金法の第一条によりまして、「この法律は、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」というふうに規定されております。
そこで、郵政省にお聞きをいたしますが、昨年五月二十一日以前の郵便貯金の金利と比較をして、今回の金利引き下げに伴う利子の損失は幾らになりますか。つまり、預金者が受け取る利子の損失額は五十二年度と五十三年度の二年間で幾らになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/264
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265・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
まず、五十二年度中の利子の損失額と申しますか、利下げを行ったために得べかりし利子が得られなかった部分でございますが、五月利下げの分で四百十三億二千万円、九月利下げの分で百六十六億四千万円、五十二年度中に合わせまして五百七十九億六千万円のいわば利子の受け取りが少なくなっておるわけでございます。
今度はこれを五十三年度中に引き伸ばして五月、九月のものを考えますと、それぞれを合わせまして約千六百四十五億円程度になるのではないかと考えております。
また、今般の利下げに伴います分が今年度内五百七億円程度に相なろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/265
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266・藤原ひろ子
○藤原委員 五月の利下げ分が四百十三億二千万円ですか。そしていま言われたのは九月の利下げと今回の利下げの合計ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/266
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267・高仲優
○高仲政府委員 御理解いただくためにもう一回申し上げますと、五十二年度中の利子の減った分が、五月利下げに伴うものが約四百十三億円、九月利下げに伴う分が約百六十六億円、締めてこの五月、九月の利下げで五十二年度中に利子が減少した額が五百七十九億六千万円と申し上げました。
これは五十二年度中でございますから、この引き下げの影響というものは五十三年度中にも引き続き五月、九月期のものが影響するわけでございます。これを引き続いて一年間、五十三年度いっぱいを計算いたしますと、五月、九月の引き継ぎ分で約千六百四十五億円と考えられる。このほかに今回の利下げの分として五十三年度中に五百七億円が加わる。このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/267
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268・藤原ひろ子
○藤原委員 ちょっと委員長にお許しを得てこれを配ります。
いまのは単純に二年間の分を計算して足された分だけですか。その表を見ていただいたらいいと思うのですけれども、五十三年度の損失額というのは、今回の利下げによる五百七億と、それから前回二回にわたって引き下げた分、通常貯金の〇・九六%の引き下げ分というのはこれにプラスされるはずだというふうに思うのですね。したがって、五十三年度はここにありますように九百四十七億円で、つまり、五十三年度だけで一千億の損失になるというふうに思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/268
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269・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
私が申し上げましたのは、五十二年度中の数字につきましては先生のお示しの数字と全く同じでございます。これが五十三年度に引き続いてどうなるかという数字でございますが、これは先生のお示しの数字でありますと九百四十七億円と書いてございますが、これがあるいはそれかと思いますが、これが私が申し上げました数字では千六百四十五億円ということで私どもは考えておるわけでございます。
そのほかに五百七億円が今般の利下げとして加わる、このように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/269
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270・藤原ひろ子
○藤原委員 つまり、国民が受け取る利子の損失だけでも、そういうふうに計算しますと莫大な金額になるわけですね。
郵政大臣は、法第一条の目的でうたわれておりますところの、先ほど申しましたところの確実な貯蓄の手段として郵便貯金が果たして成り立っているのかどうか、これで自信を持って国民に対して貯金の業務を行えると言えるのかどうか、そういう点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/270
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271・服部安司
○服部国務大臣 先ほども申し上げましたとおりに、零細な預貯金者を守るべき立場にありながら十二分に守り得なかったことはまことに遺憾であります。
日本の経済政策の一環として、公定歩合の引き下げによる連動で一般金融機関の金利の引き下げが発議されて、あわせて郵政大臣の私にも協力方の要請があったことは御案内のとおりでありますが、御承知のとおりに、三十七兆三千億という膨大な預貯金の額でありますからかなりな影響力を持つわけでありまして、御指摘のとおりに私も大変苦慮いたしましたが、国全体の経済運営のために涙をのんでこういった措置をとらざるを得なかったわけでございまして、決して庶民大衆から歓迎されるものではございませんが、今後はそういった立場を踏まえて、零細な預貯金者保護に必死の努力を払って信頼回復に努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/271
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272・藤原ひろ子
○藤原委員 それではお聞きをいたしますが、今年度の貯金の目標額はどれだけになるのでしょうか。その目標額は、昨年の目標額に比べてどれだけ上昇率を見込んでおられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/272
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273・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
五十二年度の予算上の目標額は六兆二千億円でございまして、五十三年度につきましては六兆七千億円を予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/273
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274・藤原ひろ子
○藤原委員 約八%の増だというふうに思うわけですけれども、そういたしますと、金利は下げておいて貯金額は昨年よりもよりふやしていこうということですから並みや大抵のことではないと思うわけですね。
一般的には金利引き下げが行われれば減るというのが常識だというふうに思いますけれども、それでは、この目標額をお立てになって実行していき、それを完全にやるために郵政省としてはどのような対策を立てておられるのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/274
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275・高仲優
○高仲政府委員 貯金の目標推進につきましては、国営の事業であるという品位と節度を十分守りながらやっていかなければならないということから、そのように指導いたしております。
また、目標額というものにつきましても、従前からいわゆる自主目標という形をとっておりまして、強制、押しつけにわたらないように十分配意いたしてきたところでございますが、最近におきましては、特に関係の組合の支部段階においても十分の説明を行うよう万全の措置を講じておりまして、いやしくも押しつけ、無理強い等にはならないように十分に配意いたしておりますし、また、今後ともその配意を続けていかなければならないと考えております。
なお、実績という点から申し上げますと、実は五十二年度の実績は七兆一千億円ほどには相なっておるのでございます。これは条件は違っておりますが、六兆二千億から六兆七千億という、一見非常に大きい伸びというお考えももちろんあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、この六兆七千億は何とか実現しなければならないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/275
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276・藤原ひろ子
○藤原委員 自主目標だとおっしゃるわけですけれども、強制にわたらないようにということですが、普通、郵便局に行きますと、局長さんの部屋には皆グラフで出しておりますね。それは一つの目標を示すものだ、自主目標だぞとはいいながら、やはり半強制的にならざるを得ないというふうな態勢があるのです。私も教員をしておりました経験かち言いましても、成績をグラフであらわすというふうなことになると、口では自主目標などと言いながら、現場ではいろいろさまざまな苦労がどうしてもやはり起こってくるわけで、実際に大変苦労しておられるわけです。
たとえば私が知っておりますことを一つ説明いたしますと、これは京都の中央郵便局の話ですけれども、五十一年度の目標額が五十二年の二月に入っても達成し切れない。そういうために困ったあげくに京都市に頼んで、京都市の収入役の名義で五億円の金額を一年定期で五十二年三月二十三日に預入してもらって、それでやっと一〇〇%の達成ができたということで大変苦労しておられるようですね。そしてまた五十二年度の目標が年度末になっても達成し切れないために、五十三年三月二十三日に、五億円一年定期のものが満期になるときに五億円のうちの四億円を再預入していただきたいというふうなお話もあるそうなんですね。これをすぐにこんなことはけしからぬじゃないかと言うのではなくて、現場ではこういう四苦八苦しておられる状態が起こっておりますよということを申し上げるために、これは苦労をしておられることの一つの例として私は申し上げているわけです。いまの話はたとえばの話で、一つの例ですが、大変な苦労があのグラフの陰にはあるというふうに私は見ているわけです。
郵政大臣はこれらのケースについてどう考えますか。八%増の上昇率、自主目標だぞと言いながら、額がもうちゃんと出ているわけですが、そういう点についてどうお考えになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/276
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277・服部安司
○服部国務大臣 零細な貯金者の金利は下げたくありませんと申し上げ続けていた私が、厳しい周囲の環境に押し切られて、金利引き下げを昨日から実施しているわけであります。
私は端的に申し上げて、たとえ目標額を割ってもそういう無理はさせないという方針を打ち立てて、今日まで関係機関を通じて末端にまで浸透するように指示をいたしております。ただ、グラフは無言の圧力だとおっしゃられれば私もそのように感じますが、しかし、一応の目標というものはある程度計画としてやはり立てねばなりません。
だから、これは即座にやめますとは私の立場で軽々に申されませんが、しかし、いわゆる無理な強制的な預貯金の募集を行わせないということははっきりと申し上げておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/277
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278・藤原ひろ子
○藤原委員 私は昨年の国会でもこの点について前の小宮山郵政大臣のときにも質問いたしましたのできょうばいたしませんですけれども、現場ではあのときにもずいぶん大変な状態が出ていたのです。たとえば局長さんが自分の私財を売って貯金しておられたというふうな事実があったわけですね。ですから、末端まで徹底してとおっしゃいますが、今日に至るまでその点が徹底していないわけですね。ですから、その徹底というのが、そういうグラフなどを隠せというふうな徹底ではなくて、この本当に大変なときに無理は要らないのだというふうな措置をどのようにされるのか。ここで徹底しておりますと言ったって現場へ行けば徹底していないというのが事実ですから、もう一遍その点をお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/278
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279・服部安司
○服部国務大臣 私が大臣に就任いたしましてからもうすでに二回地方局長を本省に招致いたしまして地方局長会議を開催いたしておりますし、また、担当部長会議も開いておりまして、そのときの意見交換の場で、先ほどもご指摘のあった脱税教唆、幇助というような問題も当時問題になりましたので、私は、そういう無理は絶対にやってはならない、いわゆる国営企業としての権威を保ちつつ、国民から愛され信頼されて利用される貯蓄機関ということでなるべく努力してもらいたいということを申しております。これは私が末端の郵便局員にまで一々指示して回るわけにはまいりませんが、地方局長を通じて末端郵便局長にこの意思が必ず届くようにやってもらいたいということを強く申し上げておるような措置でございます。
また、私はいろいろな機会に地方の郵便局長さんやら郵便局員の方々とも会うわけでありまして、今度は逆にそういった方々からいろいろなお話を聞いて、私と幹部とだけの話し合いで決めることなく、そういった方々の声を聞きながら、是正する点は強く是正を求め、また大いに参考にして、きわめて民主的な郵政行政をつかさどっていると考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/279
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280・藤原ひろ子
○藤原委員 私が挙げました例は、五十三年三月二十三日に五億円の一年定期が満期になるものですが、それで次の予約があるくらいやはり苦労しておられるということは確かですから、今後ともこの点を強く要望して、時間がありませんので先に進みたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
ここに私は毎日新聞に投書されている記事を持ってきたわけですが、これは「金利下げるなら物価凍結を」という趣旨の投書なんですね。「例え預金金利が三分ぐらいであっても(昭和初期に同じ一物価が上がらなければ安心して預金もでき、安心して老後のため、不時のための蓄えもできるが、現在のように、金利以上に物価が上昇するのでは、泣く泣く貯蓄するという状態である。」と言っておりますが、これは先ほどから同僚議員の方からも出ていたと思いますが、この声はまさに国民共通の願いだというふうに私は思うわけです。
そこで、大臣にお尋ねをしたいわけですけれども、大臣は福田内閣の国務大臣の一人として、預貯金金利よりも物価上昇率を低く抑える自信がおありなのかどうか。そういう上に立って、先ほどから遺憾であるとか大変国民に申しわけないとか、しかし仕方がなかったのだということを繰り返し繰り返しおっしゃっておられるわけですけれども、もう決まってしまってから幾ら謝っていただいても国民は日々の生活がよくなるわけじゃないわけですから、それよりも、積極姿勢として、いまこの投書にあるように物価上昇率を低く抑えるという積極策に出ていただきたいというふうに私は思うのですが、その自信のほどはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/280
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281・服部安司
○服部国務大臣 その国民の切なる要望にこたえるために私が再三おわび申し上げているような措置をとらざるを得なくなったわけでありまして、福田内閣においては、まず第一に、物価の安定ということを一義に掲げて国民の生活安定に取り組んでいるつもりでございます。
現在は、御承知のとおり、私も経済対策閣僚会議のメンバーに指定されて会議に参画いたしておりますが、円高差益の国民への還元についても過日閣議決定したことは御案内のとおりでございます。
また、まだ十二分に国民の期待にこたえられませんけれども、物価指数は五十三年一月には四・三、二月が四・二、三月がちょっと上がりまして四・八ということで、去年の一月に比べますと、去年は最高九・二までいっておりますが、急激には皆さま方の期待にこたえられなかった点は認めますが、鋭意努力いたしまして必ず成長率を七%に持っていき、景気浮揚を図りつつ物価の安定を図って、国民の期待にこたえるべく必死に努力を払っている段階でございますから、われわれはこの目的達成のためにいかなる努力も借しまないという悲壮な決意で取り組んでいることを申し上げて、御理解を得たいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/281
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282・藤原ひろ子
○藤原委員 数字の上ではいろいろ上がったり下がったりという状況ですが、たとえ下がっていても台所に要るものは日々上がっているというのが主婦の実感なんですね。そういった中で新聞の投書なんかは非常に具体的だと思うのです。先ほどの小宮先生の質問にもありましたが、ストをすればすぐに厳正に処置をするというだけで、なぜストをしなければならないのかということ抜きで調査して厳正処置というふうな状態になっているわけです。ですから、ストをせざるを得ないという状況などももっともっとそれこそよく調査していただかなければならないし、また、新聞にありますように、これは四月十八日の朝日新聞ですけれども、「零細預貯金のマル優拡大を」ということで切実に訴えております。これは内容はもう読みませんが、国民の方が要望は非常に切実だし、具体的だと思うわけです。
こういつた中でそれじゃマル優を引き上げるというふうなことを検討されるのかどうか。これは一般的に言っているのじゃなくて、また、もう済んだことを何遍も謝ったり弁解したりするのじゃなくて、こういう具体的な声をすぐ取り上げてどう応じていかれるのか、これが政府の責任でもあろうし、政治の姿であろうし、大臣のお仕事であろうと私は考えるわけですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/282
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283・服部安司
○服部国務大臣 マル優の拡大については、昭和五十三年度の予算折衝の段階で三百万円から五百万円に引き上げを要求したことは御案内のとおりであります。残念ながら三百万円ということで決定し、目的を達成することはできませんでしたが、これでいいとは私は決して考えておりません。
関係機関とも緊密な連絡をとりながら、このマル優拡大のために今後も努力を続けてまいる覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/283
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284・藤原ひろ子
○藤原委員 私は、目減りの分から見ていろいろな施策をとって当然じゃないかというふうに思うわけです。
国民の零細な預金を預かる郵政大臣として、郵便貯金の金利はいま下げる一方だけれども、これをもとへ戻すのはいつごろなのかというふうなめどなんかもおありなんでしょうか。いろいろな経済の企画の会議にも出席されておられるというふうな中で、どんどん金利は下がり物価は上がる、国民生活は購買力がなくなって大変な状態にある、そこでストもせんならぬという、こういう状態にあるわけですね。そこで、これはいつ戻るというふうに考えておられるのか。金利をここまで下げておりますが、ただ下げるだけではなくて、次はいつごろにはこのような展望がありますというふうなことをちょっと言っていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/284
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285・服部安司
○服部国務大臣 経済の安定が図られた時点で当然正常な公定歩合並びに金利の改定が行われるわけでありまして、先ほども申し上げたとおりに、いま政府が挙げて経済問題と取り組んでいるわけでございますから、少なくとも経済安定が一つの目標でありまして、これが三カ月後だ五カ月後だとはここではっきり申し上げるわけにはまいりませんが、一刻も早くそういった正常な金利体系の状態に持ち込みたいと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/285
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286・藤原ひろ子
○藤原委員 今回の預貯金金利引き下げの唯一の理由であります公定歩合と、これに伴う貸出金利の引き下げで潤うのは一体だれでしょうか。主として大企業であるわけですね。これまでも大企業向けの貸し出しは公定歩合と同率の引き下げが行われてきたわけですけれども、これによりましての資本金十億円以上の大企業だけでの〇・七五%の借入金利軽減は、長期的に見ますと年間三千億円もの増益をもたらすということになるわけです。昨年の五月の金利引き下げ以降、雇用の増大などの景気回復には何ら結びついていないということは明らかだというふうに思われます。福田内閣のこの金利政策というのは、預金者、国民の負担で大企業の利益を保障する以外の何ものでもないということが数字的にも今日の実態として事実としてあらわれているというふうに私は思うわけです。
わが党は、国民の零細な貯蓄を保証するために一定の限度内で税金面あるいは金利面での優遇を行うなど郵便貯金の拡充を図り、あわせて原資の民主的な運営を図ることをこれまでも提起してきたわけですけれども、この際この提起につきましてぜひとも一層検討していただきたいということを強く要望しまして、次の質問に移りたいと思うわけです。
いま郵政省が推し進めておられます郵便貯金のオンライン化の計画について私はお尋ねをしたいと思うのですが、いまこれによって職場の労働者にさまざまな波紋を投げかけております。
それで、オンライン計画というのは七カ年で千九百億円もの莫大な設備投資を行うというふうに言われているわけですけれども、このような莫大な投資をするメリットというのはどこにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/286
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287・高仲優
○高仲政府委員 メリットにつきましてごく簡単に申し上げますと、まず第一の問題は、経済社会情勢の変動に伴いまして預金をなさっておられる方々の御要望というものもきわめて多岐にわたっておりますが、最近におきまして、民間金融機関におきましては、給与の自動振りかえであるとか各種料金の自動振りかえの制度等、大変便利な制度を推進しております。郵便貯金につきましても、こうした預金者の利益を考えたサービスを実現できるような基礎をつくること、また、利子記入等、現在高につきましても現在は大変確認に手間取るということでございますけれども、オンライン・リアルタイムのサービスができるようにすること等、利用者の利便を図ることがまず第一でございます。
第二番目につきましては、従来の手作業スタイルから機械化を図ることによって、一般的に言いまして労務の軽減ということも考え得るのではないかということと、それから事故防止や従業員対策等も付随的な問題として考えられようかと考えております。
こうした点から、仰せのとおり約千九百億円を目下予定いたしておりますが、この金高によりましてオンライン化の推進を図っていきたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/287
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288・藤原ひろ子
○藤原委員 それでは具体的にお聞きをしていきたいと思います。
郵政省の計画では、東京、大阪を初めとして全国九カ所に計算センターを設置するという構想をお持ちのようですけれども、この計算センターに伴います事務センターはどのくらいな数になるのでしょうか。また、この設置場所は具体的にどこになるのか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/288
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289・高仲優
○高仲政府委員 計算センターにつきましては、先生がおっしゃいますように、全国九カ所を目下予定いたしております。東京、宇都宮、長野、名古屋、大阪、広島等々でございますが、事務センターについては、現段階においては横浜、甲府等四カ所を予定しております。
この点につきましては、現在における予定でございまして、進行に合わせて調整をしていく部分も出ようかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/289
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290・藤原ひろ子
○藤原委員 それでは、各郵政局にあります貯金の調査課は、これはオンライン化に伴いますとどのような機構に変わっていくんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/290
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291・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
オンライン化いたしますと、従来の証拠書のルートというものは当然のことながら若干変わってまいります。一見いたしますとすべてがラインに乗っかって磁気ドラムに入っていくから、調査課的な仕事あるいは後方事務と称します仕事の相当部分がなくなってしまうように思われるのでございますが、当然のことながら、預入の申込書であるとか払い出しの請求書であるとか、こういった証拠書は証拠書として、これは十分整理しておかなければならないたてまえでございます。また、そういったものが事故の発見等にもつながるわけでございまして、こうした仕事については、形は変わりますが相当程度存続するものと考えております。しかしながら、現在の調査課の仕事そのものがそのままの形で残るということは考えられません。
そうした点、今後どのようにこれを再編していくかという点については目下検討を進めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/291
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292・藤原ひろ子
○藤原委員 それでは次にお尋ねしますが、現在全国に二十八ヵ所あります地方貯金局はオンライン化によってもそのまま存続をされるのかどうか、それとも統廃合されていくのかどうか、統廃合される場合はどこの局がどのようになっていくのか、この点についても明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/292
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293・高仲優
○高仲政府委員 先生も御承知のとおり、地方貯金局というのは管理部門ではございません。利用者に直接対面しておるところの、いわば全くの現場機関でございます。そうした点からいたしまして、利用者に対するサービスという点から、その廃止、運営等は常に考えておるところでございますが、現在の地方貯金局の全国的な分布というものは地域的にいささか偏在しておるということもございます。しかしながら、オンライン化をすると、直接にお客様に対するサービスをする部面についてはオンライン・リアルタイムで非常に速やかな作業ができる、しかしながら、そのほかの事務についてはむしろ処理に時間的余裕ができるという点から、単なる地域的分布だけを考えなくてもできるのではないかということで、むしろ総体の事務量が一体どうなるかということがまずもって問題になるわけでございます。
このオンライン化につきましても、申しわけないことでございますが、現在すべて詰め切ってあるわけではございません。たとえば一例を申し上げますと、郵便振りかえの事務等につきまして、現在は手作業でございますから大変時間がかかっております。しかしながら、たとえば通信文というものがついておるため相当程度利用がございますが、これが仮にオンライン化されるということになりますと、利用の数量というものは飛躍的にふえるかもしれない。そうした事態に対処いたしまして、現時点における事務量という点からすべてを推算することは、基本的な変革が伴うものでございますから詰め切れない部分がございます。そうした点は実施の段階で調整しつつ進めていくという措置が当然必要に相なろうかと思います。
したがいまして、先生の御指摘の地方貯金局の統廃合の問題等につきましても、この計画の進行に伴って検討すべき要素が非常に多いのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/293
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294・藤原ひろ子
○藤原委員 この郵貯のオンライン化は、ことしの八月に東京計算センターと神奈川県下の郵便局とを結んでサービスを開始するという予定になっておるとお聞きをしているわけですが、それにもかかわらず、いま聞いておりますと、先行きどうなるかなかなかわからない、なってみぬとわからないというふうな状況の御答弁があるわけですね。郵貯のオンライン化というのは、先ほども申しましたように七カ年計画で、しかも一千九百億円もの莫大な設備投資をするわけですね。しかも、この資金は国民の零細な預金であります郵貯の剰余金で行われているという状態ですね。
そうしますと、郵政省のオンライン計画というのは一体どうなっているのか。なってみなければわからない、いまから手作業が機械化されるんだからということですけれども、それじゃ七ヵ年計画ですから年次計画などを立ててやっておられるのか、どういうふうにこの一千九百億円もの投資に対して責任を持たれるのか、お聞きしているとどうも不安なんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/294
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295・高仲優
○高仲政府委員 先生も御指摘のとおり、八月から神奈川県下の一部の局から実施いたしまして、逐次全国に推し広めていく計画と相なっております。
私が先ほど御説明申し上げましたのはいささか抽象的でございましたが、たとえば一つの例でございますが、キャッシュディスペンサーを一般の金融機関では設けております。これは顧客の利便のために大変必要なものだと思います。ところが、一般金融機関の状況を拝見いたしますと、キャッシュディスペンサーの利用が一般化するにつれて一件の預入、払い戻しの金額が減って、件数は非常にふえていくという傾向があるわけでございます。したがいまして、この点一つを考えましても、現在の貯金の預払い件数がこれこれであるということをもって、あるいは最近五カ年間の伸びがこうであるということのみをもって律するのにはいささか困難な点が伴う。また、まだ経験をしていない部分でございますので、想定はできますがそういったものの調整というものは事実上大変むずかしい要素があるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/295
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296・藤原ひろ子
○藤原委員 それで、いま申しました年次計画ですが、七カ年計画でやろうとおっしゃっておりますが、それはどうなっているのでしょうか。つまり、青写真ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/296
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297・高仲優
○高仲政府委員 年次計画のごく概要について申し上げますと、これは計算センター別に考えておりますが、東京計算センターが一番最初からやっておるわけでございまして、先生の御指摘の神奈川県というのも東京計算センターの仕事の一部分として始めるわけでございます。
東京計算センターは南関東一円を所掌するつもりでございますが、これが五十三年度から入っていく。それから字都宮に北関東地区の計算センターを設ける予定にしておりますが、これは昭和五十四年度から現場に端末機を導入していく。その次の段階は大阪でございまして、大阪計算センターは近畿一円を所掌する予定といたしておりますが、これも同じく昭和五十四年度から入っていく。名古屋計算センターは東海地方が受け持ち区域でございますが、同じく五十四年度から入っていく。以下、広島が五十五年度からで、これは中国、四国地方、長野が五十六年度、仙台が五十六年度、熊本が五十七年度、小樽が五十七年度、それぞれ計算センターができ上がりまして、その時期から現場への配備を始める、こういう形を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/297
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298・藤原ひろ子
○藤原委員 いまおっしゃいましたのは導入のスケジュールですね。そういうことでなくて、新しいことを莫大な投資をしてやろうというときには私はこういうふうに考えるのです。新しい制度を全国的に導入しょうという場合、まずどこかで試行してみて、そしてそれを検討して全国的に広げていくというのが一般的なやり方じゃないかというふうに私は思うわけですね。お聞きしてもそういうことがもう一つ出ずに、いま御答弁いただいたのが一覧表で、これはスケジュールだけで、言うならば予定は未定にして変更することしばしばありというようなスケジュールをいただいても一体どうなるのでしょうか。
いま申しましたようなモデルをつくって、そのモデルでやってみたらどうだったでしょうか。問題点、よい点、悪い点といろいろあるでしょうからね。入ってきた機械がどうだったか、それに対する人間はどうなるのかという問題ですね。そういうことが一般的なやり方じゃないのかなと私は思うのですけれども、そういうことはなさるのでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/298
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299・高仲優
○高仲政府委員 先生のおっしゃいますのは、一般的な方法論としては確かにそのように考えられると思いますが、郵便貯金は御承知のとおりどこでも預入できどこでもおろせるというたてまえから、本当の一部の地域だけを選定しました場合に、実はなかなか動態がつかみにくいという実情もございます。
そうした意味から、先生がおっしゃいますようにもちろん実地に当てはめて直すべきは直しながら進めていくのでございますが、人の移動の多い地域についてはなるべく早い時期に当てはめて、その実態を見ながら、調整を加えながら計画を進行させていくという方式をとって考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/299
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300・藤原ひろ子
○藤原委員 それでは、オンライン化に伴って国民サービス向上のためには確かにメリットは出てくるというふうに思うのですね。作業も早いですからね。
しかし、そこで一つ考えておかなければならないと思います点は、現に貯金業務に携わっている職員の方々は、自分たちの職場が将来どのようになるのかという不安をオンライン化導入について非常に強く持っておられると思うのですが、そういう点はただ国民へのサービスだということだけで終われない問題ではないか。そこで先ほどもこの貯金調査課はどうなるのですか、引き続き存続されるのですかというふうなこととか、地方貯金局というのはどうなるのですかとお聞きしたわけですが、相当部分なくされるであろう、形は変わるけれども存続はするけれども相当部分は合理化されるだろうという意味のことをおっしゃっているわけですね。ですから、形は残ろうが、そこの中にいる不安を持っている人たちは一体どうなるのかということが一向にわからないわけなんです。どうしてかというと、全体の構想とか細部にわたる提起が職員に対して行われていない。だから当然このような不安が起こってくるのだというふうに私は話を聞きながら感じたわけですね。
そこで、郵政省が発行しておられるこの小冊子ですけれども、「あなたと郵貯オンライン」というこの冊子の冒頭に郵政省貯金局が出しておられるのは、「この計画が円滑に達成できるか否かは、ひとえに事業に携わる職員一人一人の理解と努力のいかんにかかっています。」と、あなた方の双肩にあるのだという言い方をしながら、ずっと読ませていただきますと、必要性とか、オンライン計画はどうなるとか、業務とか、導入まではどうなるとか、作業及び機械化はどうだとか、どのような機械であるとか、使い方はどうであるとかいうようなことがあるわけですけれども、細部にわたって明らかにしていない。これでは職員の理解を求めるということは無理な話だなと思うのです。
こういう肝心の業務に携わる労働者、生きた人間がどういうことになるのかということを明快に示さない限り不安が消えない。機械化されて合理化されて仕事は早くなるが、それじゃ私たちは首を切られるのじゃないか、首を切られないにしても配転が起こるのじゃないかという不安が起こる。そのときにはどれくらいの者がどこへどう行くのだというようなことを抜きにして、五十三年は東京をやります。五十四年は宇都宮をやりますということだけですと不安はつのるばかりじゃないか。私は、これが国民へのメリットとしてあるからいいのだということにはならないと思うのです。それをあわせて進めていかれることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/300
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301・高仲優
○高仲政府委員 これは大変大きなプロジェクトでございます。そうした関係から職員の理解が非常に大切であるということは私も痛感いたしておるところでございまして、そうした点につきましては今後十分配意をしながらやっていかなければならないと考えております。
なお、減員というお話でございますが、現時点における事務量を前提として、仮に直ちに機械に置きかえたとすれば、これは確かに計算上減員は発生するものと私も考えております。しかしながら、御承知のとおり貯金事業は年々歳々伸びております。その上にこのオンラインが完成することによって新たなサービスを創設することもできるし、より便利になれば、当然のことながらそれだけお客様がお使いになる回数もふえるといった点から、この計画推進に伴いまして新規の仕事の創設は十分期待できると私は考えております。
こうした点につきましては、先生の御指摘のように職員に対してももちろん十分意思の疎通を図りまして、誤解等のないように取り計らっていかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/301
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302・藤原ひろ子
○藤原委員 最後に大臣にお尋ねしたいと思うのですが、いまの議論をずっと聞いていただいたと思うのですが、オンラインという機械化によりまして、郵政省はその見返りとしてほこ先を労働者に対する合理化に向けられてくるということは明らかだと私は思うわけです。そうじやなかったらそうじやないと言っていただいたら大変結構だと思うのですけれども、こういうことによって労働者は自分たちの職場が将来どのようになるかという不安を感じているわけです。これは想像じゃなくて事実です。
いま申しましたように、オンライン化計画の全貌を細部にわたるまでまず職員の前に明らかにして職員の理解を得て、そして職員の同意を得てから計画を進めていくことがいま一番大切だと思うのですが、これが逆さまになっているのですね。これがどんどん出るけれども、職員は不安を持ちながら形の上では知るという事態があると思うのです。この点はどうなるのか。労働者の増員計画なんということは一言も書いてないわけです。
そういう点について郵政大臣の所見を伺って、時間が参りますので終わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/302
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303・服部安司
○服部国務大臣 オンライン化の計画を私が説明を受けたときに、一番先に気にかかったのはいまの御指摘の職員の合理化に伴う措置でありまして、この点をただいま答弁いたしております貯金局長に私からただしましたら、決してそうじやない、七年の間の計画であるので、過去の実績を見てだんだんと郵貯の伸びに合わせていくと決してそういった無理をする必要はないという説明を受けたので私もほっと安心したような状態でございまして、そう軽々に職員の意思に反することができる時代でもありませんし、また、われわれは職員の心の安定を図ってこそ郵政行政の円滑な運営につながるという立場をとってまいっておりますので、どうぞその点は御安心を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/303
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304・藤原ひろ子
○藤原委員 最後に一言。
私は職員というのはその場で働いている人全部を含めて言っておりますので、正式採用をされた職員はもちろんのこと、非常勤のような人もいるでしょうし、臨時補充員のような人もおりますね。そういう人かとうなるかということも含めて——職員は守りますよ。しかし、臨補なんかをつくっておいて適当に回していくというふうなことでなく、現場を支えてくれているすべての人たち、たとえ日給制の人であろうとも六ヵ月雇用の人であろうとも、そういう人たちも含めて利益を図る、この不況とインフレの中で苦しむ労働者の生活がちょっとでも安心できるという状態をつくりたい、そのことを強く要望いたしまして終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01519780426/304
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305・松本七郎
○松本委員長 次回は、明二十七日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時四十七分散会
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