1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年四月二十七日(木曜日)
午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 松本 七郎君
理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君
理事 左藤 恵君 理事 志賀 節君
理事 鈴木 強君 理事 米田 東吾君
理事 田中 昭二君 理事 小宮 武喜君
伊藤宗一郎君 亀岡 高夫君
倉石 忠雄君 灘尾 弘吉君
長谷川四郎君 原田昇左右君
廣瀬 正雄君 堀之内久男君
森山 欽司君 渡辺 秀央君
阿部未喜男君 島本 虎三君
野口 幸一君 古川 喜一君
大野 潔君 鳥居 一雄君
春田 重昭君 青山 丘君
藤原ひろ子君 依田 実君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 村山 達雄君
郵 政 大 臣 服部 安司君
出席政府委員
内閣法制局第二
部長 味村 治君
大蔵大臣官房審
議官 米里 恕君
大蔵大臣官房審
議官 渡辺 喜一君
郵政政務次官 宮崎 茂一君
郵政大臣官房長 河野 弘君
郵政省貯金局長 高仲 優君
委員外の出席者
大蔵省理財局資
金第一課長 森 卓也君
大蔵省銀行局総
務課長 石川 周君
文部省大学局学
生課長 石井 久夫君
国民金融公庫理
事 村瀬 光夫君
逓信委員会調査
室長 芦田 茂男君
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委員の異動
四月二十七日
辞任 補欠選任
竹内 勝彦君 春田 重昭君
同日
辞任 補欠選任
春田 重昭君 竹内勝 彦君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六一号)
郵便貯金法の一部を改正する法律案(鈴木強君
外五名提出、衆法第二〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/0
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001・松本七郎
○松本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の郵便貯金法の一部を改正する法律案及び鈴木強君外五名提出の郵便貯金法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/1
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002・鈴木強
○鈴木(強)委員 最初に、重ね重ね各委員から質疑がございましたのでかなり私は理解をしておりますけれども、もう一度念のために郵政大臣にお伺いをしておきたいのは郵便貯金金利の引き下げの問題です。
大臣の御苦心はよくわかりました。しかし、結論としては〇・四八%ないし〇・七五%の引き下げが今月の二十五日から実施されることになりましたが、このために預金者の損失は実に二千億を超えるのでございまして、全体的な不況の中で公定歩合等によって利益を受ける方々はいざ知らず、そういう公定歩合の引き下げによって何らの恩恵も浴さない零細な預金者がこのような大きな打撃を受けることはまことに遺憾のきわみでございます。郵便貯金の金利の問題についてはいま再検討の時期に来ていると私は思いますし、大臣もそのような趣旨をおっしゃっております。この金利問題については、預金者の利益を守るという立場で私たちも意見を出しておりますから、これらの意見を参考にして、今後の課題として、その方針をぜひ貫いていただきたいと思います。
そこで、一つ明らかにしておきたいのは、大臣の御提案になっておりますところの、退職金に対しては千五百万円までは利子を非課税にするという点でございますが、私も前回賛成だと申しましたが、いまでもその点は変わっておりません。だが、しかし、その後私は選挙区などをずっと回ってみますと、これだけでは案外反発を受けるわけですね。ですから、何とか全体の預金者が利益を得るような方法はないだろうか、そのためには何といっても預金の現在の最高限度額を引き上げてほしい、いま三百万でこれがマル優になっているが、これを五百万なりにとりあえずしていただいてマル優扱いにすれば全体の預金者がそれだけの利益を公平に分かち得る、千五百万も退職手当をもらうような人たちにのみ非課税にするということはちょっと納得いかぬ、農民や中小企業者は退職金なんかもらえないと、こういうような意見も実はございましたので、大臣のおっしゃっている趣旨も必ずしも退職手当だけではないと私は思います。ですからその点は皆さんの意見をもう一度私は委員会の場で大臣にも申し上げて、大臣の率直な意見も伺っておきますよと私は約束もしてきているのでございますが、その点を大臣からひとつはっきりとお答えをいただきたいと思います。
それから、今度の決定の際に、たしか福祉年金受給者については六ヵ月に限って——六ヵ月でしたか、三ヵ月でしたか、現状で引き下げをしないということがございますが、多くの人たちから、そういう弱者に対しては六ヵ月でなくてもう少し長期にわたって引き下げをしないで現状でいくということができないだろうかというような意見も聞いておるわけでございます。これは福祉の問題ですから郵政当局だけがそういう特別な措置をするということはなかなかむずかしいことかもしれませんが、やはり、無拠出年金をもらって細々ながら貯金をしておるおじいちゃんやおばあちゃんもおりますね。そのほか、要するにボーダーラインのところにおる方々もいろいろな節約をして貯金をしているというような人たちもおるわけですから、そういう人たちの範囲を拡大して、もう少し先まで長期にわたって利子の引き下げをしないでほしかったというような点もあるわけですね。
これは今後の際の参考にしておいていただいて、民間の貯金との比較もありますからむずかしい点もあることは私もよく知っておりますけれども、郵便貯金者の利益のために、そういう点は今後の課題としてぜひ御検討をいただきたいと私は思います。
この二点についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/2
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003・服部安司
○服部国務大臣 公定歩合引き下げに連動しての金利引き下げの御指摘でございましたが、まことに私も遺憾に存じておるところでございます。しかし、大勢からながめてなかなか厳しい環境のもとで抗し切れずにあのような措置を講ぜねばならなかった苦しい立場も御理解いただいて、大変ありがたく存じております。
さらに、退職金を千五百万までマル優扱いにと私が申しまして、その理由として、長きにわたっておのおのの職域を通じて国家、社会に多大の貢献のあった方々の老後の保障といいましょうか、そういう方々に心の安定を持っていただくと申しましょうか、こういったことを申し上げていろいろと各界からの反響もございました。ただいま鈴木先化から、それでは一部の方にのみ特権を与えることにならないかというお話がございましたが、確かにその点は私も強く感じております。しかし、全体にマル優の引き上げを図って普遍的にその喜びを分かち合うべきではないかという御意見もまたきわめて妥当な意見だと私は考えますので、今後この種の問題もあわせていろいろと御相談を申し上げ、御指導を受けてまいりたいと考えているところでありますが、やはり、大蔵省との折衝事項でありますから、その過程でいろいろな御意見もありましょうし、またきわめてむずかしい内容でもありますので、御指摘の御意見を十二分にそんたくしつつ今後この種の問題と取り組んでまいりたいと考えております。
次に、福祉定期郵便貯金の六ヵ月の延長をいま少し考えるべきではないかという点も、国から年金をいただかなかったならば生活できないというきわめてお気の毒な方々ですから十二分に配慮するのは当然の義務だと心得ておりますが、当面とりあえず六カ月ということであのような措置をとりました。しかし、このように激動する現代の経済情勢下においては、十二分にその実態を見きわめつつ、時代に即応した弾力的な措置を今後も講じてまいりたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/3
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004・鈴木強
○鈴木(強)委員 大臣から前向きのお答えをいただきましたので、ぜひそれを実行に移していただきたいことを重ねてお願いをいたします。
なお、おっしゃるように確かに一般の民間銀行との関連もあるでしょう。したがって大蔵省当局の深い理解を得ることも大事だと思いますから、われわれもまたできるだけの努力をしてまいりたいと思いますが、大臣といたしましても大蔵関係とも接触を深めていただいて、できるだけ早い機会に実現できますようにお願いしておきます。
それから、次に、提案されておる政府提案の郵便貯金法の一部改正でございますが、私は提案された内容を拝見しまして感じたことは、一つは、小宮山郵政大臣がこの委員会でぶち上げた問題でございますから、当時、私は、選挙対策法案にならないように、言い出したからにはぜひやってほしいということを強く要請しました。大臣も決して選挙対策法案ではないとおっしゃいました。われわれはそれを信頼して積極的に協力と支援をしてきたつもりでございますが、ところが、この内容を見ますと、大分その方向が違っております。私はこういう新しい進学積立預金制度をつくることについては大賛成ですからぜひこれは早くやりたかったが、だが問題は内容でございまして、この内容では遺憾ながら当初われわれが考えておったものとはまるっきり違うのでありまして、不満がうんと強いわけです。
したがって私たち社会党ではただいま並行的に御審議いただいております議員立法での提案をしておるわけでございますが、率直に言ってその内容は、前の小宮山郵政大臣がお示しになった発想と構想についてはわれわれは全面的に賛成でありますから、それが実現できなかったためにわれわれはあえて議員立法で提案をして御審議をいただきたいということで提案しているわけですよ。もちろんわれわれの案も決して完全なものではございません。将来に向かってさらに内容を拡充強化していかなければなりませんが、とりあえず新しい制度ができるわけでありますから、スタートがやはり大事でございますので、内容は不十分な点もあるかもしれませんが——郵政省が小宮山郵政大臣の御発想に基づいて御計画になられました内容等もおおよそ私たちはここで聞いたのです。それならいい、よしみんなで協力しようということで張り切ってきたわけでありますが、その内容が全く主客転倒をし、まさに郵政省が金融公庫のあっせん所をやるというようなもので、これでは代貸しですよ。成り下がってしまったじゃないですか。
少なくとも一国の郵政大臣がここで御発言になられて、われわれもそれに賛同して期待しておったものがこういう形に変ずるということは、これは前の小宮山郵政大臣の公約違反ですよ。そういうことに対して、郵政大臣は後からお引き継ぎになったのでございますから、それからまた質疑を通じて大臣が御苦労をいただいたことも私はよくわかりましたが、しかし、苦労したが結論的にこうだったということでは納得できないわけであります。やはりこれは約束ですよ。われわれから言い出したわけではないのですよ。新聞にいろいろ発表になり、われわれがこれを取り上げてここで大臣と直接質疑応答をやりまして、その結果われわれもよろしいと考えたから断固やっていただきたいということで支援をし、その内容が今度の国会に提案されるものと強く期待しておったのでございますけれども、それが裏切られたのです。私は非常に残念です。きのうも田中先生ですかの御質疑があったときに、せっかくつくる制度だから最初が大事たんだ、なぜもう少しわれわれの期待するようなものができ上がらなかったのかという質問がありましたが、これを非常に残念に思うわけです。
経過は私はよくわかっておりますから、私たちが出している案はベストであるかどうかは知りませんが、ベターであることだけは間違いない。これは政府案よりもよっぽどいいですよ。恐らく自民党の先生方も心の中ではわれわれの案に対して賛同してくれると私は確信しております。ですから、郵政大臣が大蔵大臣に負けたのかどうかは知りませんが、大臣として、われわれの提案しておりますこの内容について、何とか今後早い機会に実現できるようにやっていただきたい。とりあえずこういう形でスタートするとしても、われわれがいま願っており、国民が願っておる内容改善ということについて大臣も責任を持って早い機会にやってほしいと私は心から願うのです。
これについて大臣の前向きの御答弁がいただけるかどうか。これは大蔵との折衝もありますからむずかしいことでしょうけれども、われわれ逓信委員会に属する者は与野党を乗り越えてそういう気持ちであることは間違いないと信ずるがゆえに、私はあえて大臣に決意を促すわけですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/4
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005・服部安司
○服部国務大臣 私の力の至らざることで前任者の小宮山郵政大臣の方針、施策が大きく変更されたことについてはまことに遺憾に存じております。
しかし、あえてこの機会に言わせていただくならば、私は鈴木先生にはっきり申し上げますが、この制度については非常に悩み苦しんだのですが、こういったあり方であればできればやりたくない。この種の内容であればもうやるべきではない。しかし、あのときの状況からいって、私が就任早々にそういうことを言おうものなら大変な騒ぎになったことでしょう。そこで私なりに一生懸命に考えて、せめて少しでもよりよい内容にということで、これは与野党挙げて先生方に大臣室にわざわざお運びいただいてしっかりやれという激励をいただいたほどですから、私は先生方の御意向をおろそかに扱った気持ちはゆめゆめないわけなんですが、残念ながらこういう結果になりました。
大体、こういうことを打ち上げることはもっと慎重であるべきだと思うのです。ぼくは決して前任者を云々するんじゃありませんよ。これは前任者だって勝手に決めたのじゃないのですから、事務当局の人たちといろいろあったんだろうと思うのですよ。私なら事務当局の言うことは聞かないですね。第一、内容もさることながら、当時の計画は何ですか。庶民にできないような原案でしょう。たとえばあのまま通っても、私が途中で感じたことは、なるほど大きく内容は曲げられるけれども、せめて積み立て期間を一年でも二年でも長くして、返還期間を据え置きを一年置いて長くするということの方が先決だということだった。それはメンツのこともありましょうが、しかし、服部という男はメンツとかいうことに余りこだわらぬ男で、よかろう、もうこの辺で決断しないといけないというわけで、せめてものあれで大蔵当局に御無理を申し上げて、そこまで大臣が言うならのみ込もうということでできたのが、あの原案と積立期間、返還期間がかなり変わってできたわけです。
そういう状態で、きのうも田中先生に御指摘を受けて申し上げたのですが、まずこれでスタートさせてください。その後できる限り関係機関とも密接な連絡をとりながら、よりよい内容に変更していくべきでしょう。あの状態で金を借りられる人なら、あれだけの無理ができる家庭であれば、これは余り無理をせぬでも学校へやれますよ。これはきのうの田中先生の御指摘はそのとおりだと思うのです。けれども、そのとおりですとそのときに言ってはまた問題だから、きょう改めてお許しを得て発言をするのです。だから、私には鈴木先生のただいまの御意向は十二分に強く響くわけなんです。
社会党が御提案された対策については、きのう私の大先輩の長老の加藤先生を初め皆で拍手されて、聞いている私も大変りっぱな内容であるということは思いましたが、さりとてまた振りかえていくというわけにもまいりませんので、今後はできるだけその案に近づくように私は必死の努力を払いたいと考えておりますので、何とぞこの点は御理解を願っておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/5
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006・鈴木強
○鈴木(強)委員 非常に率直な大臣の御心境を承りまして、わかりました。もうこれ以上言うのは酷ですから私は申し上げませんが、要は今後の実現にあるわけですから、さらに御努力をお願いしたいし、われわれもまた全面的に御協力をしたいと思っております。そこで、具体的な内容に入る前にちょっと参考に聞きたいわけですが、わが国は世界でも一位とか二位とか言われるくらい貯金を多くしている国だと聞いておりますが、民間金融機関の預貯金残高は、ごく最近のところでどのくらいになっておりますか。たとえば信託、信用金庫、信用組合、銀行、相互銀行別に、もし大蔵省の方で把握しておりましたら教えてください。
それから、きょうは農協関係はこれだけですからお呼びしなかったのですが、農協の方はどのくらいの預貯金残高がございますか。一番最近のところで、今日日本の民間金融機関の預貯金残高が総体的に幾らあるか、これをお知らぜいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/6
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007・石川周
○石川説明員 最近の全体的な統計は五十二年十二月末現在でまとまっておりますが、それを申し上げますと、都市銀行六十四兆九千八百五十億円、地方銀行四十二兆八千八百九十億円、信託銀行四兆五千二百二十億円、長期信用銀行二兆八千四百三十億円、以上四種類の金融機関を合わせまして全国銀行と呼んでおりますが、合わせますと百十五兆二千三百九十億円でございます。
全国銀行のほかに、相互銀行二十兆八百十億円、信用金庫二十四兆八千三百八十億円、信用組合一兆九千七百二十億円、労働金庫六兆二千九百九十億円、農協二十兆二百六十億円、漁協九千百十億円、以上民間金融機関全部を合わせまして百八十九兆三千六百六十億円でございます。
その時点におきます郵便貯金が三十五兆七千六百四十億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/7
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008・鈴木強
○鈴木(強)委員 ありがとうございました。五十二年十二月末の預金残高が大体わかりました。百八十九兆、約百九十兆ですね。
それで、この資料を拝見しますと、昨年十月現在のものでございますが大体三十四兆くらいです。郵政省の方は現在三十七兆と言われているのですが、十月現在以降の資料でわかっている点がありましたら種類別に、たとえば通常郵便貯金とか積立郵便貯金というふうにわかりましたら、わかる限度で結構ですから、現在高がどのくらいになっているか教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/8
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009・高仲優
○高仲政府委員 郵便貯金の種類別内訳につきまして、最新の計数として把握いたしておりますのは五十三年一月末現在の数字でございますが、総額現在高が三十六兆九千四百五十二億円で、内訳を申し上げますと、通常貯金四兆六千九百四十三億円、積立貯金五千二百四億円、定額貯金三十一兆三千七百八十一億円、定期貯金三千四十九億円、住宅積立貯金四百七十五億円、以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/9
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010・鈴木強
○鈴木(強)委員 貯金局長、財形的郵便貯金は定期郵便貯金の中に入っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/10
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011・高仲優
○高仲政府委員 財形は定額郵便貯金の中に合わせて計算してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/11
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012・鈴木強
○鈴木(強)委員 財形定額貯金だけは幾らになるかわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/12
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013・高仲優
○高仲政府委員 ただいま手元に数字は持っておらないのでございますが、早速調べます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/13
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014・鈴木強
○鈴木(強)委員 では、後でひとつお願いします。
そこで、大蔵省の方にお伺いしますが、五十三年度の財投計画の中で国債の取得額というのはどうなっておりますか。五十二年度に比べてどの程度購入額がふえておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/14
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015・森卓也
○森説明員 五十二年度は資金運用部では一兆円の国債を引き受けましたが、五十三年度は財投計画編成に当たりまして国債は引き受けないということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/15
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016・鈴木強
○鈴木(強)委員 それはどういう理由でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/16
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017・森卓也
○森説明員 財投編成に当たりまして非常に多くの資金需要があったわけでございますが、それに対しまして、そちらにこたえるために国債につきましては市中の方で消化をしていただくということで市中金融機関の方にお願いをして、そういう線で話がまとまったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/17
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018・鈴木強
○鈴木(強)委員 民間にかなり資金がだぶついているからということですね。
それで、現在まで財投が国債を取得している最高額は、短期と長期で何ぼになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/18
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019・森卓也
○森説明員 資金運用部で現在引き受けております長期の運用としての国債は、三月末で約四兆、三兆九千六百三十九億でございます。
それから、長期国債を短期的に引き受けておりますのが九千六百三十七億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/19
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020・鈴木強
○鈴木(強)委員 短期の方は九千六百三十七億ですか。数字が違いませんか。年度末の現在高ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/20
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021・森卓也
○森説明員 ただいま申し上げましたのは三月末の数字でございます。したがいまして、長期国債は三月末で長期運用と短期運用を合わせまして四兆九千二百七十六億保有いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/21
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022・鈴木強
○鈴木(強)委員 それから、地方公共団体への支出、割り当てがありますね。これは主にどういうふうに使われるものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/22
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023・森卓也
○森説明員 地方公共団体に対します貸し付けは、公営公庫とか学校建設とか、地方道の建設の地方の負担分等に充てられておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/23
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024・鈴木強
○鈴木(強)委員 それで、この地方公共団体への貸し出しの面は、計画上は五十二年度から見て五十三年度は何%ぐらいふえているものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/24
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025・森卓也
○森説明員 資金運用部に関して申し上げますと、地方公共団体に対しましては、五十二年度は一兆四千三百四十億でございましたが、五十三年度財投計画では一兆九千七百四十五億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/25
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026・鈴木強
○鈴木(強)委員 それで、特別法人とか政府関係機関が金融債を取得しているようですが、「その他」というのがございますね。どういうところに「その他」は使っているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/26
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027・森卓也
○森説明員 ちょっと手元に内訳を細かく持っておりませんが、電源開発等の特殊会社に対するものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/27
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028・鈴木強
○鈴木(強)委員 それでは恐縮ですが、金融債の取得先と、それから「その他」の内容についてはどういうものか、後ほどで結構ですから資料として御提出をお願いしたいと思います。その点はいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/28
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029・森卓也
○森説明員 早速調べまして御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/29
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030・鈴木強
○鈴木(強)委員 それで、郵便貯金の積立金の中から財投の中に入っているのは恐らく五十数%、六〇%に近いと思うのでございますけれども、こういう中からいま議題になっております進学ローンを郵政省が自主的に運営したいという話が恐らくあったと私は思いますが、郵便貯金は郵政省がいろいろと大変苦労をされながら零細な方々の貯金を預かっているわけでして、それを有利、安全、確実に運用いたしまして、できるだけ預金者に利益を還元するというのが郵便貯金そのものの趣旨だと私は思うのですね。ですから、五六、七%を占める預金の中からこの際せめてその程度のものを割愛して、その分だけは郵政省が自主運営できるような道がどうして開けなかったのだろうかという疑問を私は持つわけであります。
大蔵省は国家財政全体の立場からいろいろと頭を使っておられるわけですから、われわれもその総合的な調整ということはわかりますけれども、本人も含めましてささやかなものである零細者、そういう零細者が子弟の進学のために積み立てようとする資金ぐらいはせめて自主的な運営ができなかったのだろうかという不満を私は強く持っておるのです。
きょうは幸い大蔵大臣もいらっしゃるようでございますから、今後の問題についていろいろと御意見を承れるように皆が考えておりますが、大臣は政治的な立場でお考えになるでございましょうが、問題は、あなたは課長でしょう。課長というのは一番重要な立場だと私は思いますよ。ですから、課長自身がその点を理解していただいて、郵便貯金という特殊な預金でございますから、多少なりとも違った方法を考えていただいたっていいのじゃないかと私は思うのです。
極端に言えば、この前の委員会で問題になりました簡易保険の余裕金自体もおかしいじゃないかと私は思うのです。これは年度によって多くなったり少なくなったりするものと違いまして、多くなっても少なくならない余裕金の性格から言っても、積立金と同じに扱っていいではないかということはあなたには何回かここで申し上げたわけです。幸い利息の面で多少見ていただいたわけでございますけれども、根本的に解決されておらない。
だから、こういう面において多少の配慮くらいはなぜできないのでしょうか。われわれから見ると本当に血も涙もないものだと言うと大変言い過ぎかもしれませんけれども、そういう気すらするのですが、課長、将来に向かって何とか一考すべき大事なポイントではないでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/30
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031・石川周
○石川説明員 お答え申し上げます。
進学ローンのあり方がいかにあるべきかという問題につきましては、郵政省のお立場も十分承った上で、政策金融はいかにあるべきかという財政の立場からのいろいろな問題も十分御理解いただきまして、現在のような案を政府の考え方といたしまして調整させていただいたものでございます。
ささやかなというお雷葉ではございますが、巨額の政策金融のすべてが実はささやかなものの積み上げでございまして、一つ一つ慎重な吟味がなされなければならないと思いますし、やはり新しい制度として、財政としての立場からの筋を通させていただきたい、その中で郵政省のお立場をできるだけくんだものにさせていただきたいという考えから現在のような案にさせていただいたわけでございます。
どうぞよろしく御了承をいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/31
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032・鈴木強
○鈴木(強)委員 前段は高飛車に出て、最後に若干傾聴すべき意見が出てきたわけであるが、あなたの立場として一応私はわかりますが、民間の預貯金と郵便貯金のよって来るゆえんをよく御理解いただければと思うのだが、問題は、あなたが最後に言われたところの、郵便貯金の特性にかんがみ、大きな枠の中にあっても多少なりとも郵政の意見に沿ってやっていった、そしてこういうものができてきたのだという、そこのところなんです。ですから、その辺の大きな枠の中では、あなたの意見は現在の意見としてはわかりますが、ただ、若干なりともその中で——郵便貯金は三十七兆の預金残高がありますが、そういうものが国家全体の利益のために、民族のために使われていくということはわれわれもよくわかっているわけです。
本来はできればそれもこっちの方で運用させたらよかろうと私は思っておりますが、それはいまおくといたしまして、とりあえずの措置として、こういう新しい制度ができたわけでございますから、その際に——これはそう大した額ではないと思いますよ。あなたは五十四万の貸し付けをどのくらい予想されているかわかりませんが、大した額ではない。だから、せめてそのくらいのものは、一々郵政省の窓口へ行って申し込みをして、今度は郵政省が国民金融公庫へ書類を送って、そこで審査をして、そして許可されたものをまた窓口でもって扱ってやるというまだるっこしいことではなくて、窓口へ行ったらその場で借りられるような方法についてもう一段と配慮をしていただきたかったということを私は申し上げているのです。いま法案が提案されているわけですから、今回はとりあえずこれでいくとしても、将来に向かってそういう点について斬新的な配慮をしてほしい。これはあなたに対する私のささやかな願いです。
これは国民の立場から私は言っているわけだから、そういう点について考慮を今後とも重ねてほしいということなんですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/32
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033・石川周
○石川説明員 いろいろな角度からの考え方があろうかと存じますが、私は、郵便貯金者の立場に立って見ますと、郵便局の窓口で貯金をし、申し込みをし、ローンを受け付けられる、借り入れることができるという、その点の実態は郵政省の最初のお話とほとんど変わっていないのではないかと思っております。財政の筋を通しながら郵政省のお考えもできるだけ十分取り入れさせていただいたと私が申し上げているゆえんはそこでございまして、郵便局の窓口で国民としては同じようなメリットが得られるというような実態になっていると考えております。
窓口の中の、広い意味での政府の中の仕組み、いろいろなやり方というのは、これは郵便貯金だけでなく、財政全体、政策ローンのあり方というものの全体の中で調整させていただいたというものでございまして、国民の立場から見れば、郵便貯金者の立場から見れば郵便局の窓口でいろいろなことが全部手続が終わるということ、これは郵政省の御希望に沿って設計させていただいたと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/33
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034・鈴木強
○鈴木(強)委員 あなたに言ってもだめだからもうやめますが、あなたは事務当局だからそのくらいのことしか恐らく言えないでしょうが、問題は、ぼくらの考え方とは全然認識が違うんだ。だから、これはいまここで論議をしておっても結論は出やせぬ。これは長い時間をかけてもわれわれの主張を理解していただくように、私はあなたともいろいろ話をしたいと思いますけれども、出発点が全然違うんですよ。考え方が根本的に違うんです。これはちょっと問題ですよ。だから、いずれこれは改めてやることにいたします。
それから、文部省においでをいただいておりますが、現存育英資金の貸付制度というものがございますが、この実態は大まかにどういうふうになっておりましょうか。時間もありませんので概略だけ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/34
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035・石井久夫
○石井説明員 わが国の育英奨学事業の実態でございますが、日本育英会を中心にいたしまして、地方公共団体とか育英奨学法人等によって行われておるわけでございますが、こういう育英奨学難業を行っております団体等が全部で二千六百ぐらいあるわけでございます。そのうち、日本育英会の貸し付けにつきましては、昭和五十三年度で貸付人員が三十四万三千人、それから貸与総額が六百十三億三千四百万円になるものというふうに考えております。
ちなみに、日本育英会のこういう割合ですが、事業規模に対しまして、人員から見ますと約六割、それから事業額から見ますと約八割、すなわち、いまの日本で行われております育英奨学事業の金額から見ますと約八割が日本育英会によって行われているものというふうに見られるわけでございます。
学校別にちょっと概数を御紹介させていただきますと、日本育英会が貸与しております人数が、高校が九万三千八百五十一人、大学が二十一万三千三百四十七人、それから大学院が二万三千八百十人、高等専門学校が一万二千百七十人、合わせまして三十四万三千百七十八人ということになっております。
そのほかに、先ほど申し上げました地方公共団体とか民間団体等が行っております育英奨学事業によりまして貸与を受けている者が、これはちょっと数字が古くて恐縮なんですが、五十年の十一月現在で十九万三千三百十七名というふうになっております。
以上、概況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/35
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036・鈴木強
○鈴木(強)委員 それで、いまお述べになりました高等学校、大学、短大、高等専門学校別に、もしわかれば教えていただきたいのですが、現在の学生の数はどの程度おりますでしょうか。そして、そのうちでいまお述べになった合計三十四万人の人たちが育英資金の貸し付けを受けているのですが、総体から見まして、パーセンテージとしてどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/36
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037・石井久夫
○石井説明員 高校の学生数が四百三十万で、これは日本育英会だけでございますが、貸与割合、貸与率は二・一%というふうになっております。それから大学が百六十万、貸与率が一〇%、それから短大が三十六万、貸与率が三・八%、それから高専が四万七千、貸与率が二五%というような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/37
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038・鈴木強
○鈴木(強)委員 大変恐縮ですが、時間がありませんので、一人当たりの貸付金額と返済期間、利率等を資料で出していただくことにしまして、特にここでお伺いしておきたいのは各種学校です。
先般法律改正になりましてある程度整理されておりますが、この各種学校の中で、専修学校を含めて、育英資金の貸し付けの対象になっておるものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/38
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039・石井久夫
○石井説明員 まず、貸与月額の方から申し上げますが、高等学校、国公立が月額六千円……(鈴木(強)委員「それは後で資料で出していただくからいいです」と呼ぶ)
そうすると、各種学校でございますが、日本育英会におきましては、各種学校とか専修学校につきましては現在貸与の対象にいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/39
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040・鈴木強
○鈴木(強)委員 通信教育はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/40
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041・石井久夫
○石井説明員 通信教育は貸与の対象になっております。金額は四万六千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/41
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042・鈴木強
○鈴木(強)委員 その通信教育は、どことどことどこの通信教育が対象になって、四万六千円をどのくらいの人が借りているか。それは後で資料で出していただきたいと思います。
そこで、これは郵政省と大蔵省の関係になると思いますが、貸し付けの対象となる進学校の範囲でございますが、いまもちょっと出ておりましたが、「学校教育法による高等学校、高等専門学校又は大学その他これらに準ずる教育施設として政令で定めるものに進学すること」となっておりますが、これは大蔵省の政令でお決めになるんでしょう。そこで、いま問題になるのは各種学校ですが、通信教育の場合には育英資金の方は貸付対象になっておりますが、専修学校その他、たとえば修業年限二年くらいの学校も対象になっておらないようですが、この法案を提案するに際して大蔵省としては、金融公庫の業務方法書というのを大蔵大臣が認可していくわけで、恐らくその中で決められることだと思うのです。
いずれにしても、政令の改正ですからこれはどうなりますか。いまどういうものを予定していますか。専修学校、各種学校は入らないですか。通信教育は入らないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/42
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043・石川周
○石川説明員 高等学校、大学その他これらに準ずる教育施設の範囲でございますが、大学には短大、大学院などを含むことは当然でございますけれども、これらに準ずる教育施設の中には、たとえば盲学校、聾学校の高等部というところとか水産大学校といったようなものもございます。いまそういったところを予定しておりますが、予備校とか各種学校は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/43
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044・鈴木強
○鈴木(強)委員 考えておりませんというのは、どういうわけで考えておらないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/44
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045・石川周
○石川説明員 どこで線を切るかの問題がございますが、限られた財政資金をできるだけ効率的に使うためにはある線で限らざるを得ない。そこの線をいま申し上げたようなところで区切らせていただいたということでございまして、先生の御指摘のように実行状況を見ながらこれを拡大していくということが絶無かというと、それは将来あり得ない話ではないと思いますが、少なくともこの案を立てました現在ではそのように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/45
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046・鈴木強
○鈴木(強)委員 専修学校あるいは各種学校になるかもしれませんが、修業年限が二年くらいのものはどのくらいありますか。これは大蔵省、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/46
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047・石川周
○石川説明員 計数をつかんでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/47
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048・鈴木強
○鈴木(強)委員 それでは文部省からちょっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/48
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049・石井久夫
○石井説明員 これは専修学校の課程でございますが、専門課程の修業年限が一年から二年課程が二千九百七十四、二年から三年が六百六十六、三年が三十五ということで、大部分が一年から二年までの課程というふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/49
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050・鈴木強
○鈴木(強)委員 大蔵省の石川総務課長さん、あなたは実態を把握していないとおっしゃるが、そこが問題なんですよ。郵便貯金を積み立てた人に対して特別の貸し付けをするこのローンというのは、言うならば郵便貯金をする人あるいはその親族の方でございますから、確かに一つの枠の問題があるでしょう。だけれども、働きながら専修学校に行くとかあるいは各種学校に行くという人たちがおるわけですから、その実態が一体どうなっていて、しからばどのくらいの人たちがこのローンを利用するかという想定を当然されて枠の問題になってくると思うのです。借りる借りないは個人の自由なんですよ。ですから、こういう進学ローンをつくって、それに見合って貸し付けをする制度はやはり平等につくっておくべきだと私は思うのですよ。
各種学校を全部やるということは大変ですけれども、一年から二年が二千九百七十四校、二年から三年が六百六十六校、三年以上が三十五校あるわけですから、もし一年から二年の二千九百七十四ができないとすれば、とりあえず三十五校の三年以上をやるとか、あるいは六百六十六校の二年から三年以上を三十五校を含めてやるとか、そういう御配慮をいただいておくことが大事ではなかったんでしょうか。
これは政令でございますから、あなたも言われましたようにもう少し実態を御調査になりまして——こういう専修学校でも夜学なんかに行っている人たちもあるでしょうし、何とかこういうものを借りたい、進学ローンを借りたいという人たちもおるわけですし、全体の資金枠も恐らく関連が来ると思いますから、それらもにらみながら門戸だけは開放していただくように、範囲を拡大していくようにしなければいけないが、せめて二年以上くらいのところはとりあえず入らないか、あるいは三年以上のところは入らないか、三十五校の中にどのくらいの学生がおるかというような内容その他も調べなければいけませんでしょうから、そういう実態調査をおやりになって、その節考慮していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/50
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051・石川周
○石川説明員 よく検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/51
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052・鈴木強
○鈴木(強)委員 郵政省の方も、郵便貯金の進学ローンの積み立てをする場合に、各種学校に入るか大学に入るか区分けして、あなたは各種学校ですからだめですよというふうになるでしょう。そういう点もございますから、いまの点は一つの問題点だと私は思います。
郵政省も恐らく研究されたと思いますが、もししていなかったら、文部省にもきょう来ていただいておりますので、約三千五、六百になりますか、具体的に専修学校、専門学校を含めたそういう実態を十分調査されて、できるだけ範囲を拡大するような御配慮を大蔵大臣とも御相談の上でやってほしいと思いますが、大臣から一言お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/52
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053・服部安司
○服部国務大臣 大蔵省と緊密な連携をとりつつ、できれば実態に即した措置を講じたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/53
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054・鈴木強
○鈴木(強)委員 それから、きのうもそれぞれの委員からお尋ねがありましたが、郵便局が窓口で取り次ぐわけですが、ローンの申し込みがあったときに受け付けをしますね。それが公庫の方へ行きまして、そこで書類調査をしてよろしいということになったときに初めて貸し付けができるシステムですね。郵政省設置法も改正になるようですが、委託業務として公庫の仕事を今度は郵政省がやることになるわけですね。ですから、これは政府間の信頼問題だと思うのです。
それで、五十四万円という郵便貯金の担保があるわけですが、この点は三十万円の方もあるのですが、たとえば三十万円なら三十万円積み立てて、五十四万円にならないけれどもその人は進学ローンを申し込めるのかどうなのか。貯金局長、ちょっと明らかにしてもらいたいのです。
いずれにしても五十四万円というものが担保資金としてあるわけですから、その五十四万円を公庫の方では貸すわけですから、きのうも保証人のことがありましたけれども、もし三十万円のときに借りられるということであれば、あとの二十四万円については確かに問題ですよ。貸したからには確実に返してもらわなければ困るから、そういう意味において、貸し借りのことですから、その方法というものはちゃんとしておくべきだと私は思うのです。それはきのう総務課長さんが言われたような組織をつくってやることも一つの方法でしょうが、いずれにしてもそれはそれとしていただいて、郵政省に委託した以上は、郵便局の窓口で申し込んだらもちろん手続的には書類が向こうへ行くようなことになるかもしれませんけれども、実態としてはもうそこでばんと貸し付けてやれるという実行ができなければいけないと思うのですが、その辺は時間がかかるのですか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/54
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055・高仲優
○高仲政府委員 まず、三十万円を積み立てた場合ですが、あらかじめ三十万円を約して三十万円を積み立てた場合は三十万円以内でお貸しするということでございます。
それから、国民金融公庫に対する手続でございますが、あらかじめ予備審査というものを受けておきまして、入学の証明書を御持参いただければ、その場で直ちにお貸し申し上げるようにいたす所存でございます。
なお、先ほど財形郵便貯金の金額につきましてちょっと数字を持っておりませんでしたが、二百三億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/55
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056・鈴木強
○鈴木(強)委員 これは石川さん、いま貯金局長が言われたようでいいですね。実態としては申し込んだらすぐその場で貸し付けができるというふうに理解していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/56
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057・石川周
○石川説明員 いま貯金局長から御説明がございましたように、予備審査といいますか、事前にできるだけのことをいたしまして、入学の事実を証することがあったときにはすぐに資金交付ができるように万全の準備をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/57
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058・鈴木強
○鈴木(強)委員 予備審査というか、予備調査というのは具体的に言えばそれはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/58
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059・石川周
○石川説明員 貯金の額がどのくらいあるか、あるいは借入金額はおよそどのくらい欲しいのか、そういったものの書類をあらかじめ整えておいていただいて、それから事前審査のいろいろなチェックリストが必要かと思いますが、そういったものがどういうふうに該当しているかといったようなことをあらかじめ郵便局の窓口に御提出しておいていただく。そして合格通知がありましてから資金を実際に学校に払い込むまでの時間は非常に短いと思いますので、そのときには即座に資金交付ができるように、最後の合格という事実でさっとお金がお渡しできるようにしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/59
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060・鈴木強
○鈴木(強)委員 その点はわかりました。ぜひスムーズにやっていただくようにお願いをしておきます。
それから、郵政の方で据え置き期間とか預入期間あるいは預入金額といったものは政令なり省令でお決めになるようですが、実態によって、たとえば高校に入れば三年でございますから、本当は三年間くらい据え置いてやって、自分が職についたら働いて自分の力で返すというふうなことも一つの妙味じゃないでしょうか。ですから、そういう点を含めて返済期間等の問題も御検討いただくようにお願いをしておきたいと思っております。
それから、もう一つは、私は五十一年度ないし五十二年度の会計検査院の検査報告というのを拝見しましたが、ここでは時間がないから私は具体的なことは申しませんが、相模大野の問題と同じようなことが——同じようなことと言うとちょっと語弊がありますが、いずれにしても職員の不正行為によって国に迷惑をかけたという事件があり、一部は弁償しておりますが、弁償しておらない額がかなりございます。戦後三十年間にはかなりのそういった事件があることを私は知っておるわけでございますが、ここでは一々その点は申しません。しかし、少なくともこの郵便貯金の中でそういう不正行為が起きるというようなことは断じてあってはいけないわけですし、郵政事業全般の中にあって綱紀の粛正をやり、そして逓信人としての誇りを持ってわれわれ国民のためによりよいサービスをしていただくということを私は心から願っておるわけです。
この新しい制度ができるに際しまして、以上述べましたように、当初われわれの考えておりましたような線に参りませんことは私はまことに残念です。しかし、制度そのものは非常に結構ですから、スタートするとしても今後大いに内容の改革をしていただくように先ほども私は大臣にお願いしましたが、郵便貯金は零細な預金者のものでありますから、そこに思いをしていただきまして、今後とも能率を向上し、むだを省いて一銭たりとも預金者のために還元できるような方策をぜひつくっていただくと同時に、この制度についても大変ややこしいやり方になりまして、要員の措置とか、どのくらいの扱いがあるかとか、そういうことを私はきょうここで聞く時間はございませんでしたけれども、少なくともその業務が円滑に進みますような配慮を体制の中につくっていただくことを心からお願いをして、私はこれで終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/60
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061・松本七郎
○松本委員長 青山丘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/61
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062・青山丘
○青山委員 私は、昨年五月以来の郵便貯金の金利引き下げをずっと見てまいりまして、零細な国民の貯蓄が庶民の財産形成に役立ってきた過去の経緯にかんがみると、国家の経済政策、国家の財政の中で大きな影響を受けて、その庶民の財産が削られつつきたことは大変残念だと思っているわけです。本来の郵便貯金の目的というものがいま大分変わってきているのかどうかとさえ考えさせられるわけです。ところが、考えてみても、国の福祉政策そのものがまだまだ不十分でありますし、国民大衆は生活を守るために貯金をしていかなければならない。むしろそういう弱みにつけ込んでといいますか、そこまで言ってしまってはいけないかもしれませんが、国の法律によってがんじがらめになって国民の財産が目減りしていく姿をわれわれは放置できないという気持ちになってきております。
本来郵便貯金というものはどういう目的のために設立されたのかすらわれわれは疑いを持たざるを得ないのですが、今回の金利引き下げに関しましての郵政大臣の御見解をまず伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/62
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063・服部安司
○服部国務大臣 公定歩合引き下げに連動いたしまして一般金融機関の金利の引き下げの発議があって、あわせて大蔵大臣から私に利下げの協力方の要請のあったことは御案内のとおりでございます。
いまの青山先生の御指摘のとおりに、国民大衆の利益の増進を図るためのものであることは郵便貯金法第十二条二項に明記されており、当然私は所管大臣としてこの法定の趣旨に沿って努力を払ったわけでありますが、御案内のとおりにきわめて厳しい経済情勢下にあって、私を取り巻く環境も厳しく、いろいろと努力をいたしましたが、結果的には一般金融機関に右へならえをせねばならない羽目になったわけであります。
先ほどから、郵便貯金とはその目的は一体何だという御指摘でありますが、それに関連いたしまして郵便貯金の金利のあり方についても真剣に再検討する時期が来たのではなかろうかと私は思っております。ということば、すでに三十七兆三千億という膨大な額に達したわけでありまして、民間金融機関の上位五大銀行の預金と匹敵またはそれを上回る状態でありますから、私は、願わくば郵便貯金の特色を生かしながら−過去の実績と歴史を見ましても、法律で十二条の二項にあのようにはっきりと明記されていても、これを守られていないところに所管大臣として大きな疑問を持つ傍ら、こういう問題も郵便貯金のあり方を加味した金利のあり方というものをはっきりする時期が来た、できればそういうように考えるべきではないかと私は考えております。
また、その目減りを一体どのようにして償うのかという御指摘でありますが、経済の再建、いわゆる不況の克服を図って国民生活の安定を図るところにもこれは直接預金とは関連はありませんけれども、かなり大きな償いにつながってくるものと私は理解いたしまして、先ほど申し上げたとおりにきわめて厳しい経済情勢下にあって、経済不況の克服と雇用の安定のためにやむを得ない措置でありましたと申し上げましたこともこのような理由でございますので、われわれは打って一丸となって経済安定のための諸施策を強力に推し進めてこの効果を上げることがこういった金利引き下げにかかる預金目減りをされた預貯金者に報いる道であると、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/63
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064・青山丘
○青山委員 今回の改正案に先立ちまして、金利引き下げについて少し触れさせていただきたいと思いますが、昭和四十九年九月には定額貯金の最高三年もので八%の利子でありましたものが、五十年十一月に一%下げられ七%に、五十二年五月にさらに一%下げられ六%に、五十二年九月には〇・五%で五・五%に、そして今回〇・七五%で四・七五%になったわけですが、戦後たしか六回ですか、引き下げられましたが、そのうちの三回までがこの一年間に下げられてきているわけです。それによって公定歩合がどんどん下げられてきた。それに影響を受けて、連動してとは申しませんが、実質は今回の場合なんかは連動していると申し上げていいくらいなんですが、関連して引き下げられてきたわけなんですが、その預金者の目減り部分は一体どれぐらいだとつかんでおられるのかということです。
すなわち、国の経済政策によって影響を受けている国民大衆の財産の目減り部分についてですが、こんなにまで経済が冷え込んできたのは政治の責任です。私はたびたび言ってきましたが、これは政治の責任です。金利を下げることによって景気を回復させていきたいという、その努力については私も評価していますし、また、総理を初めとする皆さんのことしは公共投資を中心として何とか国内の景気を回復していきたいという意欲もわかりますが、しかし、それは政治のなさねばならない努力の当然な課題であって、金利引き下げによって貸出金利は下げられていきますが、貸出金利の利益を受けておらないところの、ただ貯金するだけの貯金者にとっては還元されるものが何らない、ただ単に財産が目減りしていくだけだ、こういうふうに私は受けとめているわけですが、目減りしてきた分についてはどのような計算をされておられるのか、まずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/64
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065・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
四十九年以降ということでございますが、五十年十一月の利下げの分についてまず申し上げますと、五十年度中に百三十九億円の利子の減少ということになります。これは五十年度中でございます。
五十一年度中にもその影響はずっと及ぶわけでございまして、五十一年度中でこの影響は七百九十八億円に相なると計算しております。
五十二年になりますと、五十二年五月の利下げの影響が五十二年度中に四百十三億円、それから五十二年九月の利下げの影響が五十二年度中に百六十六億円、これにプラス先ほど申し上げました五十年十一月の利下げの影響が五十二年度中にも及ぶわけでございますから、その分を計算いたしますと一千四百十余億円ということに相なります。
五十三年の今回の利下げによる五十三年度中の影響は五百七億円と計算いたしております。
概略以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/65
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066・青山丘
○青山委員 国民の総トータルにしますと大変な額になってくるわけですね。このしわ寄せを受けているのが国民大衆であるということになってくるわけで、経済環境をよくしてほしいということは当然ですし、私自身もそれは願っていることなんですが、国民大衆がそのしわ寄せを受けるのは私はどうしても納得できない。そういう意味で、こんなに多くの財産が国の経済政策で減っていったと考えても過言ではない。事実そのとおりです。全く残念です。
それに比べて、それを償うだけの具体的な方策というものがはっきり申し上げてなかったのではないか。これはなかなかむずかしい問題だと思いますし、徐々にまた触れさせていただきますけれども、零細な庶民は金利をどんなに下げていってもちゃんと郵便貯金に預けていく。それは老後の心配があるとか、幾つかの問題がある。たとえば不時の出費がいつあるか知れないし、あるいは病気にいつなるかわからないというような問題があります。だから貯金せざるを得ないのです。それでやむを得ず貯金しているわけです。そういう立場を考えますと、利率が下げられることによって目減りする部分は覚悟しながらも、なおそれにかわる施策をしなくてもちやんと預けてくるというような感覚がどこかにあるのじゃないか。三十七兆円と言えば膨大な金額になってきて、恐らく世界で最高の貯金高の貯金機関だとおっしゃるかもしれませんが、さりとてそれじゃ貯金しなくていいかといえば、国民は貯金せざるを得ないのですね。
そういうような立場から見ますと、一体預金者保護というものがないがしろにされているのじゃないかと申し上げると、それはそんなことばないとおっしゃるかもしませんが、そんなことはないとおっしゃるなら、その理由を聞かせていただきたいと思うのです。ぜひひとつ御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/66
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067・高仲優
○高仲政府委員 貯金の金利の引き下げというのは、先生の御指摘のように、預金者の立場から見ますれば得べかりし利益がそれだけ減るということはまさに仰せのとおりでございます。しかしながら、最近においてしばしば利子の引き下げが行われたということにつきましては、現下の非常に困難な経済情勢に対処するための政府の基本方針としてこれが行われたわけでございまして、その目的とするところは全般的な景気の回復ということでございます。雇用の促進と申しますか、失業者がふえないように、さらに潜在失業者が顕在化することを防ぐようにという努力の一環として行われたわけでございますので、預金者の立場から見ますればまさしくそれだけ減少てございますが、全般的な経済の立て直しということができますれば、当然それによる利益というものは間接的には回ってくるわけであります。
これは非常に複雑な経済のメカニズムの中の一つの部分でございますので、全般的な評価の問題となりますと私はこれを申し上げる立場にはございませんが、私の理解いたしておりますところでは、直接的不利益はもちろんございます。個人預金者としては、個人的な借財は全体として見た場合に少のうございますから借入金の利子の引き下げをもって相償うというわけにはまいらないと思いますが、全般的な経済情勢の好転化に伴う利益というものはあまねく受ける性格のものであり、全般的な立場からやむを得ずこのような措置がとられたものと理解いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/67
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068・青山丘
○青山委員 経済環境がよくなってくればそういうことも言えると思うのですが、ただ、経済環境はだんだん悪くなってきています。それをしなければもっと悪くなっていたかもしれないとおっしゃるんでしょうけれども……。
そこで、景気浮揚政策の一環として公定歩合が下げられ、また郵便貯金金利が下げられてきたわけですが、具体的にはそれではどの程度それが役立ってきたと受けとめておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/68
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069・高仲優
○高仲政府委員 貯金局長という立場からいたしましては全部の状況について言及し得る能力を持っておらないわけでございますが、最近における状況を見ますれば、物価も逐次鎮静化に向かっており、景気の曙光もやや見えてきておるということは、間接的には金利の引き下げを初めとする経済各般の政策の効果が功を奏してきたのではないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/69
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070・青山丘
○青山委員 物価は確かに少しずつ下がって来ています。上昇率が下がってきていますが、それはスタートは何しろ狂乱物価というところからスタートしたわけですから下がってこなければどうかしておるし、これはもう当然だと思うのです。
ところが、失業者数を見てまいりますと、四十九年度八十万人、五十年度百四万人、五十一年度百六万人、五十二年度が百十三万人で、五十二年度の場合は四月から五、六、七、八というふうに順に各月を見てまいりますと、百六万人、百九万人、百十一万人、百五万人、百六万人、百五万人、百万人、百三万人、それから十二月には百十一万人、今年に入って一月には百二十六万人、二月には百三十六万人、三月には百四十万人と失業者数はふえているのです。具体的に経済政策の中で効果が上がったというふうには結果として出ていないんですね。
それから企業の倒産件数で見ましても、これは四十九年中ですが一万一千六百八十一件、五十年が一万二千六百六件、五十一年が一万五千六百四十一件、五十二年が一万八千四百七十一件と、年を追うごとに倒産件数もやはりふえているのです。
確かに昨年は公定歩合が三回下げられ、今年を入れて四回ですか、下げられてきましたから、それなりの効果は出てこなければ困ると思うのですが、そこで、郵政大臣、失業者数、企業倒産件数を見てみると、その効果というものは数字上余り見当たらないと思うのですが、これは一般庶民に対して直接生活を脅かす数字なんです。そういう意味で、このような状態が続いていく中で、公定歩合の引き下げによる預貯金金利引き下げの効果というものはある程度薄いと私は見ておるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/70
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071・服部安司
○服部国務大臣 金利引き下げは、すなわち景気対策の一環として、公定歩合引き下げにかかわる連動措置であります。これが公定歩合の引き下げをやったから景気政策に直接顕著に大きな効果を即座にあらわすということは、これはなかなか判定がむずかしいと思うわけであります。御承知のとおりに、政府は、いわゆる公共事業の推進、民間投資の促進のための金利等の引き下げ、公定歩合すなわち雇用対策の推進、構造不況業種の対策、中小企業対策の推進、対外取引円滑化等七項目の措置を福田内閣のもとで推し進めているわけでございますが、金利引き下げによる効果はと仰せられても、このような結果が出ましたということはなかなか無理でありますが、しかし、こういった景気浮揚策を推し進める上においての一つの手段としては当然やらねばならないことであるということは青山先生も御理解いただけると思うのであります。
われわれはこれも含めて、いま申し上げた七つの項目をいま必死で推進いたしておりますことは御案内のとおりで、関係閣僚もどんどん現地に出て督励をしなさいとかいろいろと手を打っております。この効果が三月後に出るのか来月出るのか、これはわれわれは必ず出るものと大きな期待をしながら推し進めているわけでありますから、この効果が徐々に上がりつつあるときに雇用の安定化も図られましょうし、その他のもろもろの問題の処理もついてきますと、一般国民に対する好影響ももたらすことに相なるわけでありますから、国全体の経済政策の一環であるために御理解を賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/71
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072・青山丘
○青山委員 大蔵省にお尋ねしますが、公定歩合の引き下げ、預貯金金利引き下げの目的の一つに貸付金利の連動引き下げがあるわけですが、四十九年以来の個人向けローンの一般銀行の金利引き下げを見てみますと、これは都市銀行のある銀行ですが、四十九年十月当時九・四八%でありました住宅ローンが、これは十年ものですが、五十三年四月には、つまり今月ですが、これが七・六二%と引き下げられております。ある程度金利は下げられておるわけです。個人向けの貸出金利も下げられておる。ところが、国の個人向けローン、いわゆる住宅金融公庫の貸し付けローン、国民金融公庫の恩給担保貸し付けローン等は、公定歩合が九%のときもそのまま現在の五・五%と六・〇%です。住宅ローンが五・五%で恩給担保貸し付けは六・〇%です。引き下げられておらないんですね。それはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/72
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073・石川周
○石川説明員 政策金融の中の金利体系にはいろいろなものがございますが、いまご指摘になりました住宅公庫のローン、恩給担保のローンというようなものは、実は金利水準のどんなに高いときでもできるだけ低く、したがって上げもしなければ下げもしない、長い目で見てできるだけ低位にとどめておこうと、そういう発想で設定された金利でございます。
ほかの金利はもろもろの金利体系が動きますときに動きます。特に政府機関でありますと、原資でございます郵便貯金の金利が上がる、下がる、それに伴って資金運用部の金利が上がる、下がるということで、それに伴って公庫の原資がコストが上がったり下がったりいたします。それに応じて金利を上げ下げしてまいりますが、先生の御指摘の個人ローンはそうしたことに関係なしに低位にとどめておきたいという考え方で、むしろ低位にとどめている、上がるときに上げないということで考えられている金利でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/73
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074・青山丘
○青山委員 そんな片手落ちなことがありますか。国民の財産を形成するという意味で貯金制度ができて大衆の貯金を吸い上げておいて、そいつを使うのは大蔵省でしょう。大蔵省だけじゃないけれども、それで個人向け貸し付けについてこれは低位にとどめておくというのですが、金利が高いときにも五・五%であって、それから恩給担保貸し付けは六%で、周囲が下がってきたからというので、今度は郵便貯金の貸し付けをおたくの方は受けるわけですから、金利をこちらも下げてくれといって押しつけておいて、大衆に貸すときはそのままにとどめるなんて勝手なことがありますか。これは周囲の金利がずっと下がっているのですから当然下げるべきですよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/74
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075・石川周
○石川説明員 下がるときに下げますと、やはり上がるときに上げなければなりませんが、ただいま申し上げましたように、このローンはかなり高い時代でありましても五・五%あるいは六%という形に低く設定されておりました。
ただ、全体といたしまして、今回の金利体系の中で政府関係機関の特利体系全般がまだ動いておりません、これは御承知のとおりだと思います。郵便貯金金利が下がりまして、それを受けてこれから資金運用部の金利が下がるかどうか、これは多分下がると思いますが、その審議会が開かれて議論をされて下がっていく、そしてコストが下がったところで各政府関係機関の特利体系がどのように設定されるかという段階をやがて迎えると思います。その姿を見て改めて御議論いただければと思っておりますが、ただ、特利体系の中にもいろいろな性格がございまして、御指摘の二つのものは、いま申し上げましたように、高いときも低位にとどめてきたという経緯があるということはひとつお含みおきいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/75
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076・青山丘
○青山委員 高いときにも低位なんですね。したがって、低利のときはなおさら低位にしていただかないとやはり金が市中に——郵便貯金の金利が下げられるのは、ある意味では市場に金が出回らなければいけない。つまり、貯蓄超過を何とか解消したいという意図とも受けとめて、それなりにわれわれは理解しているつもりなんです。
そういう意味で、住宅ローンというのは景気回復の政策としては一つのかなめの役割りを果たしていくわけで、周囲の金利がどんどん下がってきておるにもかかわらず、その金利がそのままとどまるというのはやはり納得がいきません。そういう意味で、このような状況の中で五・五%については妥当性がない。そこまで言っては言い過ぎかもしれませんが、この五・五%あるいは恩給担保貸し付けローンの六%というのは決して安くない、高いという感覚になるのです。
国の経済政策を云々されるならばこの辺も配慮しなければ絶対に片手落ちだと私は言わざるを得ませんが、くどいようですがいま一度御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/76
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077・石川周
○石川説明員 先生の御指摘はまことにごもっともな点が含まれていると思います。ただ、政策金融は、特に住宅ローンなどの五・五というような低いところになりますと、その逆ざや分はやはり税金でカバーしなければならないものでございまして、実は、銀行行政、政策ローンをあずかるものとしては先生の御指摘のような方向でできるだけのことをしたいというふうに念じており、また努力をいたしておりますけれども、財政をあずかる立場からいたしますと限界がある。その矛盾をどこでどういうふうに調和させていくかということの努力を続けているわけでございまして、五・五%をさらに下げるということになりますと、やはり苦しい財政事情ということも勘案しなければなりません。
その辺のところでいろいろな議論があるということをお含みおきいただければありがたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/77
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078・青山丘
○青山委員 私どもは国の財政の中で借金比率、公債比率がある程度上がっておることを理解しているのです。むしろ、ある程度公債比率が上がっても景気を回復しなきゃいけないと思っているのです。そういうふうに理解しているにもかかわらず、こういうところでブレーキをかけておいては、やはり政策のコンビネーションにおいて片手落ちの部分があるのではないかと思うのです。これはぜひ前向きに検討していただきたいと思うのですが、御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/78
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079・石川周
○石川説明員 これからなお特利体系の議論が展開されるわけでございまして、各省間の調整が進みますので、その中で先生のただいまの御指摘も十分念頭に置きながら進めさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/79
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080・青山丘
○青山委員 わかりました。ひとつぜひお願いします。
今回提出されました改正案は当初郵政省が考えられた案と異なって、郵便貯金が進学積立貯金を創設して、それに対して国民金融公庫から資金貸し付けを受けるということになっておりますが、郵政省が当初考えられた貸し付け案と今回提出されました案と若干違うようですが、それは内容はどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/80
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081・高仲優
○高仲政府委員 郵政省といたしまして当初考えておりましたのは、これは政府案ではございませんで、いわば郵政省構想といったものと御理解いただきたいのでございますが、進学積立貯金という貯金をあらかじめやっていただくことは同じでございます。
当初考えておりましたのは、その預金を担保として倍額を貸すという構想でございます。すなわち、郵政省がみずから行うという考え方でございます。これは利用者の立場から見ますと実際は変わらないわけでございますが、これが国民金融公庫を通じて行うという形に変わったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/81
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082・青山丘
○青山委員 大蔵省にお尋ねしますけれど、資金運用の一元化ということから郵政省が直接に貸付業務をすることができないというふうに言っておられるのだろうと思うのですが、今回の教育ローンの貸付総額というのは大した額じゃないと思うのです。まあせいぜい二百億円程度で、郵便貯金の原資から見ると非常に小さいものだと思うのです。もちろん、郵便貯金全額ということになってきますと、それは郵便貯金の貸付業務の能力というか、ここにも問題があるかもしれませんし、国家資金の統一運用ということからも理解するわけですが、今回の貸付総額が非常に少額で小さいものだということから見ますと、この程度は郵政省が直接貸し付けを行ってもいいと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/82
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083・石川周
○石川説明員 二百億という数字は、見方によりましょうが、私どもはかなりの金額だというふうに考えておりますが、金額の大きさの評価はさておきまして、制度のあり方といたしましてはやはり政策金融のあり方でございますので、その角度からの問題も十分くみ取っていただきたいと思います。
現在の政府資金の統合運用の原則と、それから融資というものについてのいろいろな専門機関を設けて専門にやっているという分業体制、そういうものを尊重して、その上でできるだけ郵政省の御要望の趣旨に合ったものに設計していきたいと考えて現在ご提案申し上げているような仕組みにさせていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/83
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084・青山丘
○青山委員 先ほどの郵政省の見解では、実際は郵便局の窓口で貸し付けるんだ、実際は外部的にはそれで変わりないんだとおっしゃるわけですが、しかし、これはもう以前から質疑の中で出たことなんでしょうが、今回の法改正で、これは郵政省が貸すんじゃなくてわざわざ国民金融公庫から借り入れるのだ、そのあっせんの窓口に立つだけだということについては、率直に言って、国民の立場から見ればどうしてもこれは疑問です。われわれが郵便局に貯金する、積み立てる、それを担保として、郵便局に貯金したものをその範囲内において国民金融公庫から借りるということですが、政府は行政の簡素化と言って、行政改革なんてことを福田総理は金看板のように言っておられるのですが、これではかえって複雑化じゃないですか。たてまえばかりが表に立って、実際にこれを利用する国民の立場に立ってみますとおかしいじゃないかというのがわれわれの率直な気持ちです。
確かに、かつて郵政大臣が進学ローンを打ち上げられてから市中銀行でどっと進学ローンの実施をされてきました。そのことはそのまま私は評価します。ところが、いざ郵便局の窓口でさあ実施しようと思ったら、当初考えられた方向と全然違ってきた。これはおかしいじゃないですか。これは郵政省とも大蔵省ともずいぶん論議されてきたことですが、大蔵省、行政の効率化という面ではどうですか。資金運用の一元化についてはおっしゃるとおりかもしれませんが、行政の簡素化という面ではかえって複雑になってきて、近代化ではなくて後退ではないですか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/84
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085・石川周
○石川説明員 財政資金の統合運用というのは、行政簡素化という面もあると思います。それぞれの各機関、政府の各機関、各特別会計それぞれが別個に動き出しますと行政は全体として混乱する、効率的でない、こういうふうに思われます。やはり、財政資金の統合運用ということが国全体としてみますと最も簡素化、効率的な運用になっているというふうに考えております。
また、本県それ自身をとらえてみましても、新しく制度といたしまして融資業務を行うといった場合に、既存の融資の組織をそのまま使うということのほうが行政簡素化の趣旨に沿うと思います。小なりとはいえ新しい制度を——私どもはこらは小なりとは思いませんが、かなりのものを全国的な組織でやる場合に、しかも素直に申し上げまして個人ローンに政策金融で乗り出すというのはかなり未知の分野でございまして、いろいろとこれからも手続的な面で新しい問題にぶつかり、それに応じて体制を考えなければ成らないような問題がいくつか出てくると思います。将来の債権確保というような問題もございます。それを郵政省、郵便局の中にそういった体制を新しく作ることのほうがかえって国全体としては重複であり、現在専門にある機関を使ったほうが行政簡素化の趣旨に合う、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/85
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086・青山丘
○青山委員 私は層思いません。確かに、専門に取扱ってきた機関を利用したほうが効率的であるという考えがあるかもしれませんが、もとで郵政省に利用させると言うことになれば、郵便局の窓口のほうが国民金融公庫よりもうんと多いわけです。窓口としては多いし、郵政省そのものが資金の貸付ができればまた預金者に対する保護ということになるわけで、行政の簡素化ということではわざわざ国民金融公庫を使うことが決して簡素化にはならない。もっと前の段階で、国民金融公庫という一つの期間を得ないでそのまま郵政省に貸出業務をさせることのほうがどれだけ効率的であるかわかりません。その辺のご見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/86
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087・石川周
○石川説明員 同じ事の繰り返しに成ろうかと存じますが、融資に伴う、信用共与に伴ういろいろな自体、これから先予想されるもろもろの問題につきまして、専門の金融機関が体制ができているわけでございますから、政府全体といたしましては、資金を吸収する部門と資金を運用する部門の専門家の分業体制の線に沿って考えていくということが行政簡素化の趣旨に合うのではないかと、このように私どもといたしましては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/87
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088・青山丘
○青山委員 郵便貯金を資金を吸収する機関だと思っておられるのですが、これはちょっと重大だと思うのです。
郵政省は大蔵省の手足ですか。郵政大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/88
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089・服部安司
○服部国務大臣 決してそうではありません。国全体の機構の中で分業的に役割りを演じてよりよい効果を上げるという立場から、決して大蔵省の隷属機関ではないと私は思います。
これはまた私によけいなことを言うなということになるかもしれませんが、大体、こういうことを考えたところに大きな問題があると先ほどから申し上げたとおりなんで、皆様方からいろいろと御批判を受けている点については、こういうものをスタートした以上甘んじて受けねばならないと私は覚悟はしておりますが、もう少し慎重であるべきであった。だから、先ほども鈴木先生の御質問にもお答えしたのですが、こういったことを考えねばならなかったというのは、昨年の二度にわたる金利の引き下げに関連して郵政当局が考えた案だろうと思いますが、こういうことを繰り返しているところに国の行政そのものに一つの疑問を私は持つのです。もっとすっきりした体系のもとに行政をとらなければならない。
したがって、私は、おのおのの分担する行政について今後国全体の一つの見直しをやって、すっきりした体系のもとでみんなが懸命の努力を払って、よい国づくりに寄与するというふうに持っていきたいものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/89
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090・青山丘
○青山委員 大蔵省当局から見ますと、郵政省というのは資金吸収機関だと考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/90
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091・石川周
○石川説明員 郵便貯金法第一条にございますように、国民の零細な貯蓄を預かる機関というふうに理解しておりまして、それを金融のある角度から資金吸収という表現を用いましたけれども、郵便貯金法の一条にあるその機関であることは間違いございません。
誤解がございましたら、おわび申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/91
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092・青山丘
○青山委員 郵政省があっせん窓口になって貸し付けられないという条件、国民金融公庫からノーと言われるような条件は具体的にはどんなことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/92
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093・高仲優
○高仲政府委員 郵政省として理解しておる点を申し上げますと、所定の積み立てをきちんと履行し、それから法に定める学校に入学したという事実がございますれば、それをあっせんした場合、これは全部融資されるものと考えております。
したがって、できない場合というのは、所定の約定どおりの積立貯金を履行しなかった場合と、それから所定の学校に入学できなかったという場合で、これは融資できない。また、親族または本人の積み立てということになっておりますが、その資格要件に欠陥があった場合には融資できない場合もある。そうした場合には当然のことながらあっせんをしないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/93
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094・青山丘
○青山委員 国民金融公庫の方はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/94
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095・石川周
○石川説明員 国民金融公庫は、融資を行う者のたてまえといたしましては、やはり、金融判断を加え、返済能力に問題があるということになりますれば融資ができないということがあることは、これはいたし方がないところだと存じますし、その返済能力がないとか、あるいはいま貯金局長から御説明のありました適格要件に該当しないというようなことがもし仮に郵政大臣からのごあっせんの後に発見されれば、これは御無理かと思いますけれども、多くの場合はそのあっせんの前にそうしたものがチェックされ、わかると思います。
事実問題といたしましては、そうした過程を経てごあっせんをいただく融資につきましては必ず融資が行われる。ただ、たてまえといたしましては、やはり金融判断がございますので、論理的な問題といたしましては、あっせんの後にそうしたものが判明するという事態も絶無ではないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/95
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096・青山丘
○青山委員 そうすると、郵政大臣のあっせん応対してノーと答えることがあり得ますね。
これは私の質問は大分後の方ですから、どうせ前に答弁されてきたことばかりかもしれませんが、これは郵政大臣のあっせんによって貸し付けを受けるというふうに理解しなければならぬのですが、郵政省に対して貸し付けを受けるだけの要件を整えながら、なお実際には国民金融公庫から父親が運転資金なり設備投資資金を借りていた、しかもそれが返済猶予を受けている最中であるとかというような問題が出てこないとは限りません。したがって、今度は、積み立ててきた者にとってはそれでもなおノーだ、だめだと言われる場合もあり得ますね。その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/96
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097・石川周
○石川説明員 いま御指摘のございました点は、あっせんの前のいろいろな審査、事前のチエックで恐らくわかると思います。そのような場合にはあっぜんは行われないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/97
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098・青山丘
○青山委員 郵政省、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/98
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099・高仲優
○高仲政府委員 先ほど申し上げましたとおり、私といたしましては、所定の積み立てを行い、所定の入学を行ったということで、しかも法に定める適格要件を備えておれば、これをあっせんした場合に拒否されるということはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/99
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100・青山丘
○青山委員 やはりそこが問題なんですね。だから、国民金融公庫からこの進学貸し付けを受けるということ自体にもう最初から無理があるわけですね。この上は、郵便局に対して要件を備えた積み立てができたときに、もし貸し付けを受けることができなかったというような例が具体的に出てきたら、これは重大な問題になってきます。担当委員会としても、この問題をそのまま放置した形で結論を出すことはむずかしくなってきます。郵政省と大蔵省との見解がそのまま平行線をたどっておったら、それによって被害を受けるのは国民大衆です。セクショナリズムといいますか、なわ張り争いだと世間では言われます。新聞ではそう言われています。
こういうことがあってはいけないと思うのですが、具体的に国民に被害を及ぼさないという気持ちでおられるかどうか、大蔵省の御見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/100
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101・服部安司
○服部国務大臣 先ほど来の御指摘の件ですが、郵政省があっせんし、国民金融公庫が事前審査をし、その過程において適格条件がそろえば当然貸し出しを実施いたしますと貯金局長が申し上げましたが、青山先生、ちょっとここで御理解を願いたいのは、郵便貯金を定められた期間することの、その申し込みをするときに、やはり窓口で十二分にそういった制度の内容を御説明する義務があるわけですね。その義務を怠って、貯金を一年なり二年されて、今度はいよいよ所要の手続をとる段階でこういう問題が起きれば、これは御指摘のように大変な問題だと思いますが、事務手続上十二分に配慮をすれば事前にそういった問題は排除できると私は理解をいたしております。
先ほど来局長が答えているのは、順調に定められた規約にのっとってきた場合のことを想定して答えたものと私は理解をいたします。そこで、その点は十二分に取り扱いについて配慮いたしたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/101
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102・青山丘
○青山委員 郵政省は当初の契約どおり積み立ててもらえば、そして大学に入学してもらえば、あるいは高校の合格通知があれば、と、こういうことでしょう。
そのほかに、国民金融公庫から事前に返済能力がこの家庭にはありませんと言ってくるというようなことになってくれば、郵便局の窓口でノーと言うことがあり得ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/102
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103・服部安司
○服部国務大臣 先ほど例をお挙げになって、現在国民金融公庫から借り入れて支払い猶予を受けている場合とはっきりと例示されての御質問でございましたから、金融という立場からいけば当然該当しませんと窓口で言わざるを得ないということでしたが、これは二年なり三年なり積みたててから起きると仰せのとおり大変な問題だと思いますが、いわゆる進学ローン郵便貯金というのははっきり別に種類があるわけですから、その時点でいろいろと調査をせねばならない。どういう目的で貯金をされますか、だれだれのうちの何男あるいは何女が今度大学に入るのでこういう貯金をし、進学ローンを利用したいと考えておりますという段階で、現在書式も決まっておりませんが、国民金融公庫で過去に借りられた経緯がございますかとか、また支払いは順調にいっていますかとか、こういった欄が当然いろいろとあり得ると思うのでありまして、その段階でチェックし、しからば次に来る問題は、そういった家庭の子弟あるいは子女は高等学校や大学教育を受けられないのかということに相なると思うのであります。
これは役所では無理だが国会議員としては当然考えなければならない問題でありますから、私は先ほど来、どうもこの制度についてはいろいろな問題点があるということを精力的に公開いたしておりますが、むしろはっきり言って、いわゆる大学教育を受けていただきたいというような状態の方には、育英資金の整備拡充とか、国の責任において必要な準備金を調えるということの方が、政策を立てて国民の立場に立って働くわれわれ国会議員としてはいい、当然その方に力を注ぐべきであると考えて、先ほど来私はいろいろな意見を申し上げているところであります。
しかし、そうでない層の家庭もかなりあるわけでありますから、これを利用し、少しでも一時的な出費の負担の軽減が図られて、家庭経済に大変な影響を持たない層の方々にも大いに利用していただいて——教育進学ローンと銘打って実施する以上は、片やこれに該当しない方をどうするかということをわれわれ国会議員の責任において考えねばならないと考えておりますから、先ほど来わかったようなわからないような、おしかりを受けるかもしれないような答弁をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/103
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104・青山丘
○青山委員 答弁をしておられる方がそうですから、私の方はもっと理解できないのです。
時間がないですからこの際郵政大臣の決意を伺っておきたいのですが、これは郵政大臣に開くのが妥当かどうかも疑問を感ずるのですが、ひとつ決意としてお聞かせいただきたいのですが、郵便局の窓口で条件を整えた場合、郵便局ではノーとは言わないという決意を大臣からお聞かせいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/104
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105・服部安司
○服部国務大臣 御熱心に御審議いただいた過程でいろいろと、質疑がございました。大蔵省は大蔵省の立場で、また郵政省は郵政省の立場で先生方といろいろ論議がありましたが、私は、適格であれば国民金融公庫は郵政大臣のあっせんする借入希望者にノーという答えは決して出ないと確信を持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/105
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106・青山丘
○青山委員 質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/106
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107・松本七郎
○松本委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後零時三十五分休憩
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午後二時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/107
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108・松本七郎
○松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。米田東吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/108
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109・米田東吾
○米田委員 私はきょうは大蔵大臣の出席を願っておりますので、いままで私の質問で保留しておきました分について大蔵大臣に逐次質問をしていきたいと思います。
第一に大臣にお聞きしておきたいのでありますけれども、大臣も御承知のとおり、ここ一年以内で、昨年の五月からこの四月まで三回にわたって郵便貯金は、あなたの要請もありまして利子の引き下げを行っておるわけであります。私ども絶えずこの委員会で議論いたしてまいりましたが、郵便貯金は、その法律の規定にありますようにもともと零細な国民の生活貯金である。これは何か商売をやるとかあるいはレジャーに行くとかいうような性質のものではなくて、全く暮らしに必要な蓄えとして、郵便貯金というものは郵政省を信頼して預けられておる貯金である。これが三回にわたって公定歩合の引き下げに連動するということで、あなたの要請もありまして郵便貯金の利子が下げられておるわけであります。
きのうの私の質問で郵政当局が明らかにいたしましたが、昨年の五月の引き下げによりましての目減りは四百十三億二千万円、さらに九月の目減りは百六十六億四千万円、今度の三回目の引き下げで、大体推定いたしまして五百億七千万円、合計いたしますと約一千八十億三千万円の目減りが明らかにされておるわけであります。これは言葉をかえますならば、せっかく郵便局を信用して自分の乏しい財産を預けても大丈夫だといって預けた預金者を裏切りまして、これだけの不利益といいますか、目減りを与えておるわけなんであります。一体これはだれの責任だと私ば言いたいのです。
福田内閣の経済閣僚として日本の経済の最も重要なかじとりをやっていらっしゃる大蔵大臣であるあなたは、この郵便貯金に出てまいりました目減りに対して一体どういうふうにお感じになっていらっしゃるか。あなたの責任であると私は申しておるわけでありますけれども、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、まずこのことからお聞きをしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/109
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110・村山達雄
○村山国務大臣 日本がいま置かれております一番重要な問題は何よりもやはり景気の回復であろう、そしてまたその景気の回復を通じまして、景気の回復によるところの利益が広く国民に均てんされていくということが最も重要であると私は思っているのでございます。そういう意味で、財政におきましても内需中心の非常に異例な予算を組ませていただきました。金利も御承知のように三・五%という史上最低の公定歩合にいたしまして、そして一般的な金利を引き下げまして、それによる経済効果が広く国民に均てんすることをこいねがっているわけでございます。
ただいまの目減り論は、恐らく、もし金利の引き下げがなかりせばどれだけの金利が入ったであろうか、金利の引き下げによってどれだけ得べかりしものが失われたであろうかという御計算だと思うのでございます。
もとより、郵便貯金は法律の目的に書いてありますように零細な方々の貯金で、これは大事にしなければならぬことは当然でございますが、ただ、米田委員も御承知のように、すでにお預けになっている分につきましては影響がないわけでございます。そういう意味で目減りと言うのが適当であるかどうか、私は言葉の問題だと思いますが、将来お預けになる方は今度下がった分だけは以前の人たちに比べては金利が少ないということでございますが、そのようにせざるを得なかったのは先ほど申し上げたような事情にあるわけでございまして、郵便貯金の預金者を含む一般国民に最後の利益が還元することを念願して、おるわけでございますので、どうかひとつ御理解を賜りまして、そして御協力を賜れれば非常にありがたいと、かように思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/110
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111・米田東吾
○米田委員 私は大臣の責任のお感じ方を実はお聞きしたかったわけでありますが、それには触れられなかったわけであります。そして、ただ目減りと言っても違う、すでに預けている預金者については影響がないんだ、これからの預金者に対しては利子が下がるわけだから影響が出てくるだけで、これは目減りと言うに値するかどうかという、むしろ逆の御答弁もあったわけでありますが、私は、国民の目に映っているのはやはり目減りだと思う。
郵便貯金はそれぞれ種類によりましてその利子が法定されておるわけでありますが、それが日本の経済の動向に連動して切り下げられる。こういう庶民の乏しい貯金、私はこれを生活貯金と言いましたけれども、乏しいそういうものに本来連動するはずがないのに、この貯金が一つの財投の資金に充当させておるということから、いま大臣が答弁されましたように経済政策の一環としてとらえられておりますだけに そういう連動による切り下げというものが出てくるのだろうと私は思う。しかし預金者にすればそれは別で、別のところで、財投の関係あるいは経済政策に向けて資金計画等については考えてもらいたい、経済とは関係なく、おれたちのわずかな貯金、要するにへそくりをしたこのわずかな貯金だけは、おれたちが考えているところの、当初約束した郵便局の利率によってやってもらいたい、少しでも還元されるように期待をして預金するわけだからこれはぜひ守ってくれ、と、こういうのが預金者の声でありますし、また郵便貯金は本来そういう趣旨で扱われておるものだと私は思っておるわけであります。
したがって私はその点については大臣の答弁はどうも納得できないわけでありますが、ただ強いて言えば、何だかんだ言っても郵便貯金だって財投資金なんだ、財投資金を郵便局に集めさせておるだけなんだという大田のお気持ちであれば、それはそれではっきり言っていただいて結構だと私は思います。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/111
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112・村山達雄
○村山国務大臣 郵便貯金が現在の財投原資の大宗をなしておることはもう米田委員のお説のとおりでございますが、こういう貴重な預金をいかにして国民に還元するかということ、それが実は財投の大きな問題でございまして、普通の金融機関ではとうてい貸し得ないそういう貴重な郵便貯金を運用部でもってお預かりいたしまして、そして普通の金融機関では当然できないそちらの有用な方面に回していただいておるので、その意味で、郵便貯金が現在の社会において非常に大きな役割りをなしておることに私は厚く感謝申し上げる次第でございます。
ただ、米田委員も御承知のとおり金融でございますので、今日の国民経済におきましてはおのずからお互いに関係があるわけでございます。したがいまして、個人の家庭がどんな金融資産を選好するかという問題があるわけでございまして、余り大きな傾斜をつけますとこれはなかなか大変なことに相なることは当然なことでこざます。
そういう意味で、私たちは、郵便というものの本来の性格、またそれが国家資金に非常に役立っておるということ、それからまた同時に国民経済の中に占める金融というものの役割り、こういったものを総合的に判断させていただきまして、そして日本の経済に何が大事かというときには、郵便貯金をやっておられる方々にもひとつごしんぼう願って御協力を賜りたい、こういう立場でお願いしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/112
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113・米田東吾
○米田委員 そこで大蔵大臣、これからの日本経済の動向について最も責任ある大蔵大臣でありますからひとつ所信を聞きたいのでありますが、というのは、現在の日本の深刻な経済情勢に対していろいろ政府の方で施策をされておりますけれども、依然として不況から立ち上がるという明るい徴候は出てきておらない。あの手この手を打ちましても日本の経済あるいは国民生活は上向きになっていかないのじゃないかという危惧を専門家もまた私どもも一般的に抱いておるわけであります。そういうこれからの見通しを持って考えますときに、さらにまた郵便貯金利子の引き下げが連動せざるを得ないようなあなたの方の公定歩合の引き下げとかあるいは金利の引き下げとか、そういうようなものがやはり出てくるのではないかという危惧を私は持っておるわけであります。率直に言って、これ以上やられては全くたまらぬというのが零細な国民の、預金者の声でございます。
したがって、そういう懸念があるのかないのか、経済のこれからの見通しを含めまして大臣の御感想を率直にお聞きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/113
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114・村山達雄
○村山国務大臣 今年度の経済の見通しでございますが、一般に世間で七%の成長は非常にむずかしいのじゃないかと言われ、中には不可能じゃないかということも言われ、また国際的にいろいろな機関がございますが、日本の七%はきわめて困難であると別の見通しをほとんどの機関が立てておることはよく承知しておるのでございます。しかし、率直に申し上げまして、予算編成をやっておった当時よりも最近はいろいろの明るい指標がだんだん出てきたと私たちは考えているわけでございます。生産、在庫、稼働率あるいは設備投資の将来の見通し、さらには企業収益の回復の見込みといったところに、予算編成当時とは違いまして、部分的ではありますけれどもそういう明るさが出ております。
それから、なお、円高の問題でございますけれども、これはメリット・デメリット両方あるわけでございます。いままではデメリットが非常に多く出たと私は思うのでございます。いわばデフレ効果的のマイナス面あるいは数量ベースで輸出が減るというデメリット面といったものが大体一巡しますと、今後は秋口以降はむしろコスト低減というメリットの効果が出てくるのではないかと思います。日本の産業構造を考えますと、御案内のようにほとんど大部分の原燃料を輸入しているわけでございます。したがって、それが効果にあらわれるまでには当然迂回生産をとりますから、秋口以降にそのメリットは出てくるであろうかと思います。すでに、その先行指標といたしまして卸売物価には出ておる。ですから、対前年比でマイナスになっておるのは、世界各国、先進国の中では恐らく日本だけであろうと思う。これは秋口以降出てくると思いますので、七%が不可能であるなどとはいま考えておりません。努力すれば何とかいけるのではないだろうかということで、予算も成立したばかりでございますので、せっかく御承認いただいた予算を着実に実行していきたい。また、金利を先ほど申し上げましたような理由で下げさせていただきまして、これも的確にその効果をねらってやはり国民に還元していくということをやりたいと思っています。
第二段の、これ以上金利を引き下げる見込みがあるかというお話でございますが、経済のことでございますから絶対という言葉は使いませんけれども、私のいまの見通しでは、これ以上金利を下げる必要もないし、またその可能性はない、このように私は現在思っているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/114
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115・米田東吾
○米田委員 大蔵大臣からのただいまの答弁でございますけれども、その限りでは私どももやや期待が持てるかなという気がしないでもありませんけれども、しかし、大臣、一面あなたの方の自由民主党の中でも、早急に臨時国会を開いて、成立したばかりでありますが五十三年度予算の補正予算を組んで、そして、外圧に対する対策ももちろんありましょうけれども、総体的には五十三年度予算が真に景気回復の実効が上がるような手直しをしなければならぬのじゃないかという声が出ているようであります。
大臣から七%は恐らく間違いないという自信のほどをいま示されましたけれども、世界に向けて約束されております日本のこの七%成長というものはやはり不安材料がたくさんある。これはもう少し政治主導でてこ入れをして支えをしなければ日本経済は立ち直れないし、七%成長もやはり空約束になってしまう。そういうようなことから、あなたの方の相当有力な政治家の方や、あるいは最近におきましては閣僚の中からもそういう声があるように私は新聞で見ておるわけであります。そういう状態を考えますときに、いま大臣から、これ以上もう金利を引き下げる必要性もないし、そういう可能性はないとはっきり答弁がありましたけれども、直ちにそれを信用することはできないのでありますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/115
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116・村山達雄
○村山国務大臣 政府のことはわれわれは大体同じ考えでおると思うのでございますけれども、党内の一部にやはりむずかしいのじゃないかという御意見があるやに新聞で実は伺っております。経済でございますので、同じ党だといってもなかなか全部が同じ考えであるとは限らぬと私は思うのでございまして、そのことはやむを得ないことであろうと思っているのでございます。
しかし、ただいま申し上げましたようなところからまだもう一つ申し上げますと、五十二年度の第四・四半期のQEペースで国民所得はどれだけ伸びているかということが実はわからぬのでございますが、これが恐らく五月末か六月初めにわかると思います。経済企画庁の見通しでは大体五%台に乗せることは大丈夫だ、五・一から五・三、どこまでいくかちょっと実績はわからない、こういうことでございます。仮に五・三までいったといたしますと、去年の平均の成長率に対して第四・四半期の伸び率はかなり高くなりますから、平均値に対して来年度はげたをはく関係になります。ですから、そういうことを考え、そしていま毎月発表されておりますもろもろの指標あるいは民間のいろいろな見通しも、経済成長そのものではございませんけれども、経済成長に関係のあるもろもろの需要項目についての個々の見通しがいまいい方に変わりつつあります。それと先ほど申しました円高によるメリットがこれから出るということを考えますと、大きく言って三つくらい考えまして、それから金利が下がることによる効果もこれからだろうと私は思っておるのでございまして、私は、七%が容易だなどとは決して申し上げません。きわめてむずかしい問題だとは思うのでございますけれども、不可能であるとは考えていないのでございます。
そういう意味で、せっかく皆様方から御承認をいただきましたこの予算で、いろいろな執行について御注意を賜りましたが、こういう点もしっかり踏まえまして着実に実行していき、あとはその施策を遂行していって、どのような経過をたどるであろうかということを絶えず注視してまいりたいと思っておるところでございます。したがいまして、私はいまのところ不可能とは考えておりませんので、党の一部とかいろいろなところで、だめだから早く補正予算を準備したらどうだとかいろいろのお声のあることは承知しておりますけれども、現在そういうことを考えていないのであります。
それから、それとは別に金融の方からいって、金利の引き下げによる手はこの辺が限界だと私は思っているわけでございます。そういう意味で先ほど申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/116
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117・米田東吾
○米田委員 いま大臣が最後におっしゃったところの、金利の面からいってこの程度が限界だということを私は注目したいと思っているわけでございます。
いずれにいたしましても、少なくとも郵便貯金ももうまさに限界でありますから、これ以上金利の引き下げというようなことがないように、本委員会は郵政大臣の所管事項について審議をする委員会でありますけれども、これは与野党を超えて一致して金利の面につきましては議論もしてまいりました。そしてこれ以上連動することのないように強く措置すべきだということで意見が一致しておるわけでありますので、大臣は十分配慮してただいまの答弁を守って、あのときは予測を誤りました、私はどうも甘く見ておりましたということがないように責任を持って善処してもらいたいと思っております。
次に、この郵便貯金の金利の引き下げにつきましては、これは郵政審議会の諮問を経なければならない手続になっているのは大蔵大臣も御承知のとおりであります。過去三回にわたって郵政審議会は、結論的に言えば郵政大臣の諮問を認めて引き下げを答申しておりますけれども、その中には血のにじむような内容の要望事項とか意見というものが実は付せられておるわけであります。私ども政治家としてこの郵政審議会の要望や意見について無関心ではおれないし、これまた何としても努力をして、実現に向けて党派を超えてやっていかなければならぬ。それは預金者の利益擁護のためである。郵政審議会もそういう観点で幾つかの提言をしているわけであります。
これにつきましてぜひ大蔵大臣からこの際聞いておきたい点があるのでありますが、時間がそうないので最も中心になります点を一つだけ聞いておきたいと思いますが、それはことしの四月十八日の郵政審議会の答申であります。これは結論的にはさっき申しましたように金利の引き下げはやむを得ないという答申でありますが、その中に、が事実上いま預金の利子に対しては非課税になっているのであります。
そういう面から申しますと、全体としてこれは税制調査会あるいは大蔵委員会において党派を問わず言われているわけでございまして、やはり、預金の利子に対しては税制上抜本的な方策を講ずべきである。その意味するところは総合課税制度を言われているのでございます。そういったことから考えますと、そことの整合性がどうなるのか、検討を要する問題ではないかと思います。第一に、総額制限を上げるということにつきましては検討を要する問題であろうと思います。
それから、退職金に対しての問題でございますが、老後の保障という問題ももとより大事な問題でございますが、御承知のように退職金に対するそのものの課税につきましてはいま一千万まで控除いたしまして、そしてその残りを二分の一にいたしまして、そしてほかの所得とは分離して課税いたしておるわけでございますから、退職所得そのものに対する税としては世界の中でも最も軽減されておる税制であろうと私は思っておるのでございます。
それの預金の問題でございますけれども、その預金の問題は、さっき申しましたような全体の非課税制度との関係あるいは高額預金に対して総合課税をすべきであるという、いまの税制に携わっている方々あるいは国会議員の方々の御意見がたくさんあるわけでございます。そういった点との整合性を今後十分考えていかなければならない、なかなかむずかしい問題である、かようにいま伺いまして感じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/117
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118・米田東吾
○米田委員 大臣とこれを議論すると、とてもじゃないが大変時間がかかってくるのでありますけれども、国の財政、金融をあずかっている大臣の言うことですから、大蔵大臣のおっしゃることについても私はわからぬわけではありませんが、ただ、問題は、郵便貯金をどう見るかということ、そこらあたりがポイントのように実は私は思うのであります。
あなたがいま御答弁されました非課税面とかあるいは全体の運用面等についてのことはわからぬわけでもありませんけれども、庶民に一番手っ取り早いのは郵便局の窓口です。それは国が保証しているわけであります。これは貯金法できちっと規定されておるわけであります。やはりそれが信用の柱であります。そして金利その他についてもそう変動がないし、十分守ってもらえるという信頼感があるわけであります。そういう郵便貯金であるがゆえに、退職者が自分の退職金を郵便局に預けた場合については、営々として働いて得たその報酬としての退職金については、老後の保障等も含めて、できるだけ無傷にその退職者に還元されるような制度が郵便貯金ならできるじゃないかということが郵政審議会の言いたい点だろうと私は思うのであります。
だから、これは大臣にもう少し突っ込んで聞きたいのでありますけれども、大変乱暴な質問でありますが、大臣、私も越後人でありますからひとつお許しをいただきたいと思うのですが、いま大臣が答弁されましたように、郵便貯金はたしか今日三十七兆円を超えるという実に膨大な原資になっておるわけでありますが、大臣もそうだが、大蔵省というところは本来これがふえればふえるほど郵便貯金というのは財投の原資ということ、それしか皆さんは見ていないのじゃないですか。郵便局は財投資金を集めるところ、つまりあなたは料理をする人で食べるのは私、大蔵大臣であり大蔵省である、私は食べる人、本当にそうなっているんじゃないかと私は思うのですよ。あなたももちろん大蔵省の御出身でありますが、そこにおいでの大蔵省の役人の皆さんはみんなそうじゃないかと私は思うのです。
私どもは預金者の立場に立って考えますときに、これは基本的に間違っていると実は言いたいのであります。郵政省は国の機関として庶民から零細な貯金を預かって、安全確実にそれを管理し保証してお払いをするという国の役所であって、単なる働きバチで財投資金を集めてくるというだけの出先のものではないというふうに私どもは見ておるのであります。
この点は、これから後で私が質問いたします今度の積立郵便貯金の貸し付け、要するに進学ローンにつきましても、私のこの危惧の念というものはなおさら強くなるわけであります。郵便局は積立貯金を募集して、条件に合うだけの募集さえしてくれればいいんだ、積立貯金を積んでもらうだけのことをやってくれればいいんだ、それが確実であって保証されておるとすれば、貸すのは大蔵省が判断し、審査して貸してあげますよ、そのかわり郵便局の窓口を通してあげましょうということで、貸し付けるということの一切の運用あるいは権限はしっかりと大蔵省が握っておる。郵政省はその辺の倒産に近い中小企業や個人企業じゃないのでありまして、確実に国民の皆さんの財産を預かっておる信用ある郵政省であり、そして郵便局なんです。だとすれば、国の機関である以上は、預かった貯金についての保証をしての貸し付けですから、本当はこれは当然郵政省に任せるべきだと私は思うのでありますけれども、それがとうとうできなかったわけでありますね。
そういう点から考えまして、郵便局というのは財投資金を料理するところ、集めるところでいいんだ、後はこっちで食べますよという思想というものが一貫して大蔵省にあるんじゃないかと私は思います。大臣もそういう御見解じゃないだろうかと思うのであります。大変厳しい質問をいたしますけれども、私は率直に言わせてもらったわけでありますが、御所信を聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/118
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119・村山達雄
○村山国務大臣 郵便貯金に関する法律は非常に沿革の古いものでございまして、これは私の考えでございますが、日本が本当に近代国家になってからいかにして先進国に追いついていくかという、いわばそのときの原資蓄積というものを考えるときに、やはりどうしても零細な預金に頼らざるを得ない。恐らくその辺に大きな発想があったと思うのでございます。
したがいまして、いわば預入限度という形でございますけれども、預金の利子に対しては世界に類例を見ない非課税という特権を持っているわけでございます。そしてまた郵便貯金が財投の原資の大宗をなしているという点で大きな役割りをなしておることは当然でございます。しかし、それを預かる立場といたしましては、これはあくまでも取りつけの心配は絶対にございませんから、安全かつ有利にそれを運用しなければならぬことは当然だと思うのでございます。
財投の資金にだけ回っておるじゃないかというところに力点を置いてのお話でございますけれども、金融というものは、金には色がないわけでございますので、そちらは財投という、普通の金融機関ではなし得ない——それじゃとても採算が合わないわけでございますから、そういった方面に回っていることは事実でございます。しかし、もしそうでなければ、民間資金需要にいろいろな企業の設備投資とかそういった関係が当然ありますけれども、これはそのかわりに普通の民間の金融機関が応じているわけでございます。その意味で、確かに金融的には一種の分業が行われておるわけでございますけれども、金に色目がありませんから、もし郵便貯金が財投の役割りを果たさなければほかの方で何らかやらなくちゃならぬし、工夫しなければならないのでございます。
そういう意味で、財投だけといっても、その意義は、いま米田さんは制限的に言われたような感じがいたしますが、やはり金融でございますから、それはそれとして大変な役割りをいただいておる。三十何兆という資金量を持っておる金融機関と申しますか、こういうものは恐らく世界にも類例のないほど大きな機能を果たしているわけでございまして、その役割りに対しましては、絶えず重大な国の制度の基礎をなしていると、このように私たちは思っておるのでございます。
ただ、先ほどちょっと触れましたけれども、集めるだけで貸し付けの方はどうだということですが、実はそこが非常に問題なのでございまして、郵便貯金法ができまして以来今日まで、もう私から言うまでもございませんけれども、国民経済は昔と違いましてお互いにほとんど一体をなしているわけでございます。そして国はまたほかの国と共存共栄あるいは競合しながらいまやっているわけでございますので、やはり、金融政策につきましてはできるだけ同じ方向で進むということが国にとって大事であろうと思うのでございます。
そこで、繰り返しになりますけれども、今度下げましたことによりまして、最終的には国民の利益に還元するようにということを一つ考えておるのでございます。
第二番目には、先ほど目減りとおっしゃいましたけれども、消費者物価を抑えていくことがやはり最大の問題であろうと思うわけで、これは郵便貯金に限りませんけれども、もし消費者物価が上がってまいりますと、さっき言った既契約の分——新規の契約の分ではなくて既契約の元本分に及ぶわけでございますので、その点をわれわれは一番警戒しているところでございます。
だから、あらゆる意味でインフレは抑えていかなくてはいかぬ。これはやはり貯蓄をしておる人、特に零細な貯蓄をしておる人の立場から考えますと、ほかに余り運用をおやりにならぬ方でございますから、それこそ国は責任を持ってインフレを防止する必要があるんじゃないか、そのように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/119
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120・米田東吾
○米田委員 私の質問した焦点についてとうとう大蔵大臣は感想を述べてくれなかったわけです。評価はして、いることについては答弁がございましたが、ただ、金融政策の主要なものが財投の運用であり、計画だと私は思うのでありまして、いま、私は、約三十七兆七千億というものを大蔵省が財投資金として一元的に運用することについて基本的に反対するということで、そういう乱暴な意見で質問しているわけじゃない。あなたがおっしゃるような近代資本主義国家としての財政政策、金融政策というものがやはり進歩してあるわけでありますから、そのことについては、日本のいまの政治を認めている以上は認めざるを得ないと私は思うのです。しかし、それでもなおかつ郵便貯金の零細な預金者にこたえる意味において、郵便局がその財投資金のもう少しのパーセントで、もっとパーセントを上げて預金者にこたえるくらいのことがなぜあなたの方でできないのか、そしてそれは郵便局が自前でやれるということがなぜ許されないのか、郵便局は一体国の役所じゃないのかどうか、この質問が私の中心点なんです。それが認められない。
やはり大蔵省が握っておらなければだめなんだ、国民金融公庫を通さなければ信用できないのだという思想というものは、あなたが何と答弁されましょうとあなた方にはある。郵便局は四の五の言わないで貯金を集めてくればいいんだ、大蔵省が安全確実に一元的にそれを運用して保証してやりますよ、そして経済全体にそれを及ぼしていけば預金者の方にも返っていくじゃないですかということ、これでは議論のすりかえであって答弁にはなっていないと私は思う。
その点を私は聞きたいのですよ。もう一遍答弁してください。大蔵大臣、率直に言うとこれは頭の切りかえをしてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/120
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121・村山達雄
○村山国務大臣 こういうことではなかろうかと思うのでございますが、もちろん郵便貯金は郵便貯金としての独自性を持っておりますけれども、御承知のように、いま郵便貯金は原則として与信業務をやらないたてまえになっているわけでございます。預入限度で、税の方から言えば一種の預金の利子非課税というものでございまして、それでもし与信業務をやるということになりましたら金融秩序に大変影響する問題であろうと、率直に申しましてそう思うわけでございます。
したがいまして、郵便貯金は安全かつ有利に運用するというところに最大の使命があるわけでございますので、三十七兆という大きな資金を持っているものがもし同じような与信業務をやるということになりますと、これは金融秩序に非常に影響すると思っているのでございます。したがいまして、今度の進学ローンにおきましても郵政省とも十分連絡をとりましたけれども、ちょうど中間を行った案でお願い申し上げたいということでございまして、この辺が現実的な解決の仕方ではなかろうかと思っておるのでございます。
昨年の貯蓄の増加を見ておりますと、郵便局の方は最近はちょっと落ちたかもしれませんが、暦年ベースで見ますと、私の記憶では残高で大体二四%ぐらいふえております。一般の金融機関は半分の一二%ぐらいでございますが、それにはそれなりの理由があったかもしれません。その理由は私は問いません。しかし、そういうことは現実の中で、そしてまた税がかからないという仕組みの中で、もし同じ与信業務をやるとすればこれは金融秩序に当然大きく触れてくる問題であることは言うまでもない。これは御理解いただけるだろうと思うのでございます。
そしてまた、すでにいま財投の金として使わせていただいておりますけれども、そういうものとして貸し付ける機関はすでにできているわけでございます。そういう意味で、私たちはあくまでも郵便局の持っておる実力あるいは預金者とのつながりというものは十分尊重しながら、しかし制度としては新しい制度で、半分ぐらい新しいだろうと私は思うのでございますが、そこはちょうどいいあたりのつながりではなかろうかと思うのです。これは実際問題としての私の感覚でございますが、まあこの辺が限度ではないかというのが私の偽らざる率直な感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/121
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122・米田東吾
○米田委員 大蔵大臣、郵便局はもともと貯金を預かる方であって貸す方ではなかったじゃないかといういまの御答弁なんですが、それは確かに郵便貯金法が制定されましてから法の規定によりましてそういうことになっておると私は承知しておりますが、ただ、四十七年以降からようやく郵便局も預かった預金を担保にして自前で貸せるという制度ができたわけであります。これは当時大蔵省も、いまのあなたの答弁と同じに、貸し付けの秩序が乱れるとかいろいろな事情があったようでありますけれども、要するにゆうゆうローンが認められた。
これはいま私は郵政省から資料をもらったのでありますけれども、五十二年度末でどういう実績を持っておるかと言いますと、件数にしてわずか二百九十三万四千件です。金額にいたしまして二千四百八億、約二千四百億であります。今度、進学ローンがもし仮に郵政省が自前でやれるということになった場合、大蔵省としてはどれくらいの資金があれば郵政省はやれると見ていらっしゃるんでしょうか。
今日の国民金融公庫法の改正、そして公庫が郵便局を通して貸し出すということについてのとりあえずのことしの資金の予算上考えていらっしゃるのは、私が聞いたところでは大体八百億程度あれば一般と一緒に賄い得るだろうということです。国民金融公庫がいま小口に貸しておるのとパーにいたしまして、郵便局の進学ローンについても八百億で賄い得るだろうということです。そうすると、この制度の開設によって運用される、必要とする資金というのはたかだか知れているんじゃないですか。それくらいの金を郵便局が自前で貸し付けて何で秩序が乱れるのでしょうか。現にゆうゆうローンが貸しておるんですけれども、乱れておりますか。乱れておらないじゃないですか。ほかに国の機関で郵政省以外に貸し付けている省や機関があることを私は知りません。民間は別であります。民間は商業、営業の立場に立っての企業でありますから別ですが、国が金融の面で窓口を開いておるのは郵便局だけなんです。これがそれをやって何で一体秩序が乱れるということになるのでありましょうか。そういうことからいきまして、大臣の答弁は理に合っていないんですね。
そうは言っても、これはいろいろ苦労して、郵政大臣と大蔵大臣がいろいろやり合って、真ん中ぐらいで折衷した妥協案だという政治的なことを言えば、それは私は率直に言って政治家としてはわからないわけじゃありません。やはり政治は妥協ですからわからないわけではありませんが、しかし、法律になり制度になってきますと、それだけでは割り切れない。ですから、郵政省が禁治産者でない限りは、この際この程度の金を郵政省が自前の貸付進学ローンとしてやることは進学者を持つ家庭には本当に喜ばれるわけでありますから、同時に郵便貯金というものはこれからもさらに信用を得て預金量はふえていくのですから、それはまたあなたの方の財投資金が豊かになっていくということになるのじゃないですか。逆に言えばそういうことですよ。これは決してマイナスではないと私は思うのでありますが、大臣、そういうことについてもう一回答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/122
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123・村山達雄
○村山国務大臣 私は、この問題は金額の問題ではないと思うのでございまして、やはり制度の問題であろうと思うのでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、いわばいろいろな特殊な地位を持っておる郵便局というものが与信業務をやるということ、特にもし信用創造をやったら、これは大変なことになるだろうと思うのでございます。
そういう面から申しますと、御案内のようにゆうゆうローンというのは預金を担保にしての、その範囲内でございます。ですから、それは与信業務といっても信用創造を伴わないのでございます。それでもやはり貸し付けということになりますとなかなかいろいろな問題がありますけれども、そういった意味で、ある限度を設ければまあいけるんじゃなかろうか。そこは現実の問題としては兼ね合いの問題でございます。
片方は税制上の特権を持っているわけでございます。それからまた、今度の進学ローンは、どちらかと申しますと、貸し付けの審査に対する機能というものはすでにほかの金融機関は持っておるわけでございますし、そしてまた郵便貯金をできないような人に対しても今度は国民公庫で貸そうという制度をあわせてやっているわけでございます。したがいまして、郵便局長さんが一番よく御存じであることはよくわかっておりますので、郵便局長さんのごあっせんによりまして一ただし、その審査事務あるいは焦げつきになったとかとうことの責任はやはり政府機関が負うべきであろう、貸し付けをやるからには、そういう貸し付けの方の審査の機能は当然そうであろう、このように思うのでございまして、そこは分業の関係でやっているのでございます。
ですから、われわれは、いまの郵便局の持っております大きな機能といったものを別に否定しているわけではございません。全体の国の制度としてその方がより効率的であり、その方が分業として適当ではないであろうかという観点に立つ。しかし、実際は郵便局長さんが一番親しみを持っておられる。預金者の方もやはり自分の住まいの近くの郵便局に行って借りることが一番実際的であろうというたてまえと、それから実際問題としてそれらのものを考えまして、普通の金融機関と郵便貯金というものが歴史的に持っておる機能というものと今日的な機能というものを現実的にどこで調和させるかという、それらの非常に複雑な問題がこの制度の中にあるのであろうと思うのでございまして、そういった意味で私はかなり現実的な解決の方法ではないかと、繰り返しで申しわけありませんが、かように思っているところでございます。(「郵政省は政府機関ではないのか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/123
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124・米田東吾
○米田委員 いまの大臣の答弁は真意かどうかわかりませんけれども、いま同僚議員からも指摘されておりますように、郵政省は審査を任せられる機関ではないという趣旨の御答弁がございました。大臣、それはそういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/124
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125・村山達雄
○村山国務大臣 審査をする機関がすでにあるということなのでございます。ですから、それはそれで新しい機関としないで、新たなるものを付加しないで、そしてすでにあるものを利用した方がベターではないか、これだけの話でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/125
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126・米田東吾
○米田委員 大臣、いまの答弁の中でもう一つ私は気になるのですが、いまの答弁によりますと、ゆうゆうローンは預金を担保にして、その枠の中で貸しておるのだからこれは本来別だということですが、しかし、進学ローンでいくと純然たる貸し付けのものが確かにあるわけですね。だから、これは秩序を乱すことになるし、むしろ国の機関が一元的に扱う趣旨からいって整合しないという答弁のようであります。
しかし、私はこの貯金法の改正の審議を通してわかったのでありますけれども、一定額がすでに積み立てられておれば、それが一つの担保になる。それから期間は大体三年間、この間に貸した分について積み立てを継続するわけですね。要するに別の言葉で言えば、積立額に見合うだけの限度でしか貸さないのです。ただ、それは継続していきますから、貸す時限においては残っているかもしれませんけれども、だから、これは純然たる預金を担保にしたという考え方と一致しておる。ただ、保証人をつけて、ちゃんと保証人をとるのですから、保証人をつけて先掛け、先払いをしてやるという趣旨じゃないのですか。だから、あなたのゆうゆうローンのことに対する答弁とこの進学ローンは全く同じだと私は思うのです。審査の機関の関係は議論しておりますと私の時間がなくなるからやめますけれども、そういうことじゃないですか。その点だけははっきりしてください。これは同じですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/126
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127・村山達雄
○村山国務大臣 私の理解では、ゆうゆうローンの方は現にある預金額を担保にして借ります。したがいまして、経済的に申しますと払い戻しと違わない。ほぼ同じです。
今度の進学ローンの方は、確かに貸付限度額は五十四万円またはその申し込みをした時点における預金額、積立額、そのどちらか低い方で貸しますという、貸付時においてはそれが働くわけでございます。しかし、その後借りた後に引き出すことを禁止しないと思うのでございます。したがいまして、その点ではゆうゆうローンとはかなり違う性質のものであろう、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/127
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128・米田東吾
○米田委員 それは違う。貯金局長がいるでしょう。答弁してください。
引き出しの場合はまず返済に充当させるようになっていませんか。大臣のいまの答弁は、いままでのこの法案の説明、質疑を通しまして間違っておると思うのです。
貯金局長、いまの大蔵大臣の答弁は、ゆうゆうローンは貯金をしたその額の中でそれを担保にして貸してある、ところが進学ローンは確かに貯金をしたことが一つの担保にはなるけれども、貸し出しをした後でその積立分を返済するときにはその預け人が取ってしまうから担保にならないと、こういう趣旨の答弁ですが、私は、あなたの説明や提案の趣旨やいままでの質疑を通しまして、払い戻しのときには貸し付けが残っておればまず返済に充当させるというのがあなたの方の扱いについての基本になっているという説明を受けておるのですけれども、間違っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/128
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129・高仲優
○高仲政府委員 お答え申し上げます。
ゆうゆうローンにつきましては、預入の金額以内の貸し付けでございます。預担貸しでございます。
進学積立貯金の関係について申し上げますと、当初郵政省で考えておりましたのは、預金を担保として、その額の二倍を貸し付けるということでございます。すなわち、担保の額を超過しているという、その超過の部分に着目いたしますれば、その部分はまさに新規の信用の創設に相なるわけでございます。
現在御提案申し上げております案は、積立貯金は積立貯金としてこれをおろす、それから貸付金は貸付金として貸す、こういう形になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/129
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130・米田東吾
○米田委員 そうしますと、私の理解しておるのは誤りのようですね。貯金の積み立てを預金者がおろす場合、現にまだ借りている進学の貸し付けが残っている場合は、そちらの方にまず返済させるようにあなたの方は指導するのだということは間違いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/130
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131・高仲優
○高仲政府委員 現在御提案申し上げております案におきましては、貯金は貯金、貸し付けは貸し付けということでございます。したがいまして、当初案におきましては、担保にして倍を貸す、したがって充当の問題が起これば、払い戻す前にこれを充当に充てるということが考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/131
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132・米田東吾
○米田委員 それはわかりました。私の記憶違いでした。
それにいたしましても、この程度の小口の貸し付けは、郵便貯金の利用者に郵便局が自前に貸せる制度を創設することは、金融貸し付けの秩序を乱すとか、あるいは郵便局の能力を超えてあなたの方の役所の関係で混乱が起きるとか、そういうことは少しもないと私は思うのです。したがって、今後この問題が仮に提案どおり可決されて発足をするといたしますと、これからの運用の段階で実績を見た上で、将来大蔵大臣はもう一遍制度を考えて、この程度なら郵政省が自前で貸せる、貸し付けられるという制度に切りかえた方がすっきりする、郵政事業のためにも利用者のためにも、あるいは国の財政金融の政策から言ってもそれは決して矛盾はしない、別に支障はないというふうになったときには、大臣、決断されますか。そのことを聞いて私は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/132
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133・村山達雄
○村山国務大臣 率直に申し上げますと、非常にむずかしい問題でございます。しかし、米田委員の御主張でございますので、心にとめて将来とも検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/133
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134・米田東吾
○米田委員 では、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/134
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135・松本七郎
○松本委員長 田中昭二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/135
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136・田中昭二
○田中(昭)委員 大蔵大臣、お忙しい中を大変御苦労さんでございます。
いま米田委員の方から、郵便貯金法をもとにして逓信委員会で議論をしてきたこと等を考えて大所高所から話がありました。時間も制約されておりますから、私自身もまだ聞きたいこともございますけれども、その点については最後に時間があればお伺いすることにいたします。
最初にお聞きしたいことは、大臣も十分御存じのとおり、いまのわが国の状態の中では、特に教育に金がかかる、特に入学等においては多額な金がかかるということが背景に走りまして、昨年ですか、簡単に申し上げれば郵政省の方でこの進学ローンの構想を打ち出しました。私は、大変収入も少なくて生活にも大変な方々が特にそういう進学ローンを利用したいということではなかろうかと思います。これは当然のことでございます。
ところが、昨年郵政省が打ち出しました進学ローンの構想についても、この委員会でずっと郵政大臣を中心に議論してきますと、最初の郵政省が考えました進学ローンにおいても、その出発といいますか、その考え方といいますか、それにおいてもスタートからもう少し慎重にすべきであったという郵政大臣のお考えであるわけですが、大蔵大臣はこの進学ローンについてはどういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/136
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137・村山達雄
○村山国務大臣 郵政当局並びに関係者が進学ローンという構想を打ち出したことにつきましては、私は、基本的には社会のニーズが結局そこへいったのではなかろうかというふうに考えたのでございます。
したがいまして、その構想をいただきますとともに、現在の金融秩序をどういうふうに持っていくか、さらには郵便貯金すらできない人たちの進学ローンというものをどういうふうに考えるかということで、ある意味でこの発想については非常に社会的ニーズに応ずる発想であろうというふうに考えまして、以上の二点につきまして鋭意郵政当局と連絡いたしまして、ただいま御提案しているような案になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/137
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138・田中昭二
○田中(昭)委員 大臣、私の質問に対する御答弁が、焦点がちょっと抜けているように感ずるのです。
いまの大臣の御答弁は、郵便貯金もできないような人のためには国金の今度の進学ローンがあるのだということが一点でございましたね。ところが、今度の進学ローンは、郵政省が窓口になるものについても国金でやるものについても、進学ローンに困るような人が利用できないという実態があるのです。これはおわかりでしょうか。そうしう点をよくわかってもらいませんと次の質問ができないわけです。
たとえば具体的に申し上げますと、母子家庭で月に七、八万くらいの収入しかないで食っているような人が、その子弟が希望に燃えて教育を受けようというときに、現実にいまの進学ローンではだめだし、また、去年郵政省が打ち上げた進学ローンの構想でも借りられないのだ。ここにも評価が載っておりますが、特に大蔵省案の進学ローンなんというのは現実無視もはなはだしい。母子家庭には貸しませんというようなものです。これに類する声はたくさんあるわけです。この点について、大臣の理解を深める意味でもう一遍御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/138
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139・村山達雄
○村山国務大臣 私の思い違いであったらまた御訂正を願いたいと思うのでございますが、田中委員がおっしゃっているのは、今度の制度は保証人を一人立てていただきたいということで、国民金融公庫が郵便貯金のない人にも五十万円を限度にして貸せられることになっております。
その保証人が得られないという場合、これは金融でございますので、財投にいたしましても、郵便局から直接お貸しするにいたしましても、当然、やはり安全に必ず回収できるということが郵便貯金の方の、また財投の方の一つの問題でございますので、それで保証人ということを出しているのでございまして、その辺は金融というものの限界ではなかろうかと私は思っておるのでございます。
実際問題としては、郵便局長さんがごあっせんになるようなものであれば問題は実際にはないであろう。これは施行の結果を見なければわかりませんけれども、私はそう思っておるのでございます。ですから、その保証人が得られるかどうかということが一つのポイントではないであろうかと、そのように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/139
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140・田中昭二
○田中(昭)委員 大臣、多忙な中のために、大蔵委員会にも提案なさっておる国民金融公庫法の一部改正についても大臣はよくまだ勉強ができていないのか、それともこの進学ローンについての世間の声といいますか、要望といいますか、そういうものがまだよく認識できていないのじゃなかろうかと私は思うのですが、大臣も最初に断られましたが、保証人の問題もいまおっしゃったことももちろんございますけれども、保証人の問題もあるし、まだそのほかにも貸付金利の七・一%などというのは高過ぎるではないかという問題もある。
厚生省はこういう母子家庭等に対して就学資金の融資なんかをやっておりますが、大体年間二十万、大学四年間にすれば八十万ぐらいの金を無利子で、償還期限も二十年で援助しているのです。そういう実態があるものと比べて見れば、今度の国金法の一部改正で提案になっておりますものは五十万しか貸しませんけれども、それに対して無利子どころか七・一%の利率で、返済期間も大学で一年据え置きで四年で、そしてさらに保証人まで求める。そういうことでは母子家庭の人たちなんかでは利用できないじゃないかということなんです。そのことについてはいままでこの委員会でも議論をいたしてきました。
そして、昨年の年末からことしの初めにかけて、例のいま提案の法案ができた。郵便貯金をしていない人でも国金で貸しますよ、郵便貯金をしている人は郵便局で倍額貸しますよということだったが、ところがそれが、これは先ほど大臣もちょっと触れられましたが、とにかく大蔵省と郵政省の両方がちょうど真ん中辺をとったんだと言われますけれども、真ん中辺をとったことによって全然さらに条件が悪くなる。これは異質なものであって、これはもう役に立たないんだということまでけさまでここでずっと議論がなされたのですよ。それでとどのつまりは、まあしかしこういう新しい制度だから、新しい制度が発足することに意義があるのだというように郵政大臣は答えておるのです。うなずいておられますから大蔵大臣も同じだろうと思いますが……。
そうしますと、先ほど社会のニーズとおっしゃしましたが、そのニースに全部こたえることはてきないにしてみても、それを一番利用したいと思うそういう人たちに利用してもらうような道を一つでも二つでも開いていくのが妥当ではないかと私は思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/140
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141・村山達雄
○村山国務大臣 今度の進学ローンは、やはり財投原資の金融制度の中に乗っけていこうということで、その中で最も安い金利で、プライムレートと同じ七一にいたしたのでございます。その考え方は、金融の仕組みの中のぎりぎりいっぱいでやっていこうということでございます。それは、やはり、郵便貯金というものを考えてみますと、安全かつ確実に運用するという問題と、これが本来金融制度の仕組みの中でぎりぎりに考えたものでございます。したがいまして、いま田中さんがおっしゃったような、その金利負担が非常に重くてとても四年間には返せないというような母子家庭のようなものをやりますとあるいはこの制度には乗っかれないかもしれぬなというのはいまお話を聞いて私もわかりましたが、それはまた別途の制度で今後検討していく課題であるかもしれません。
そういう意味で、これはこれとしてひとつ御理解願いたいのでございます。おっしゃるようなケースが出ないとは私も申し上げかねますが、今度つくりました仕組みはそういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/141
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142・田中昭二
○田中(昭)委員 いま私がここで申し上げたことは初めて聞いたというようなことですが、いま初めて聞いてなるほどと思ったから、そういうことについては後の別な問題としてやっていきたいという御答弁のように私はとりました。
しかし、世間ではこういうふうに言っておりますよ。それは金利の問題だけじゃなくて、貸付期間の問題にしろ保証人の問題にしろ、国が補助をして、利子の補給までやって無利子でやっているところもあるのだから、そういうところをこのような大蔵省の原案のままでやるというようなことはもう絵にかいたモチみたいなものだ、それを承知でこの法案を国会で通すとするならばこれは大変なことだというようなことまで具体的に報道されておるのです。それで、せっかく制度をつくっていく以上は、その制度が実際に実効のあるものにしなければならないということを私は申し上げておるわけでありまして、その内容についてはよりベターなものをつくっていくべきではなかろうかと思うのです。
ここで一つ例を申し上げておきます。これは全逓の組合ですが、最近二千五百人について生活の実態調査をしました結果、六割の組合員が大体郵政省の基準賃金に当たる。まあ三十八・四歳だそうでございますが、そういういわゆる基準内賃金に当たる人たちが千五百人おる。この千五百人の人たちは年収大体二百四十五万円以下だそうです。二百四十五万円以下の人たちは、生活保護費の四人家族でございますから一・五倍の年収に当たる人たちで、こういう人たちが教育費の援助を一割近く受けているのです。こういう実態も十分御存じかと思いましたけれども私は申し上げたわけでございますが、何といいましても、いまの大臣の認識を新たにされたことを今後に生かさなければならないと私は思うのです。
郵政大臣からも、とにかくこの制度をつくってください、今後与野党みんなの力でよりよいものにつくっていきたいという御答弁もあったのでありますが、このことについては、金を貸す原資は先ほどから言われましたように財投資金として大蔵省が握っておるのですから、十分今後に向かって借りやすいような方向に持っていくということについての御決意を大蔵大臣から聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/142
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143・村山達雄
○村山国務大臣 ただいま申しましたように、今度の制度は金融制度の中でつくったわけでありまして、田中委員のおっしゃっているのはむしろ社会福祉政策的な観点を取り入れろという御趣旨かと思いますが、この制度をスタートさせていただきまして、そしていまおっしゃったようなことを十分念頭に置きまして、さらにその必要性について、またその必要がある場合の対応の仕方について特に検討してまいりたい、かように思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/143
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144・田中昭二
○田中(昭)委員 それから、また具体的な問題に入りますが、先ほどからお話も出ておりましたが、この郵便貯金の総額制限の拡大についてでございます。
何といいましても、この問題については大蔵省の了解が得られないということで、いわゆる現在の三百万は、五十二年度からこの逓信委員会においても郵政省の請願として、私たちも五十二年度のときにこの請願を見てそして推進したというふうに記憶しております。
そこで、このことにつきましても郵政大臣としては当然やるべきであるというような御答弁をいただいておるわけでございますけれども、先ほどの御答弁とまた一緒になるかと思いますが、別な観点からの大蔵大臣のこの問題に対するお考えを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/144
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145・村山達雄
○村山国務大臣 この預入限度なりあるいは非課税限度の問題というものは、国民経済的に見まして、全体の中でのその必要性を現実的に見ていく必要があろうと思うのでございます。また、同時に、田中さんの御専門でございますところの税の方の公、平という問題からも強く指摘されておるところでございます。
こういう両面をにらみまして、今後この問題にいかに対処するかということに対して検討を深めてまいりたいと、かように思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/145
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146・田中昭二
○田中(昭)委員 そういういろいろな問題がありますが、もう少し具体的に触れてもらいたいのです。
いわゆる郵便貯金の限度額が三百万になったのは四十八年であるわけです。その前の年の百五十万から倍の三百万になっているわけです。四十八年から五十二年までにおいても、郵便貯金者というか、預金者といいますか、そういう方たちの要望というものも経済の拡大に従って要望として出てきているのは当然であろうと思うのですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/146
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147・村山達雄
○村山国務大臣 二つの見方があるような気がいたします。
経済の拡大に伴って、かつての預入限度なり非課税限度をどうするかという問題を考えてみますと、四十八年と申しますと、恐らく所得税の二兆円減税をやった年でないかと思うのでございますが、当時は日本は高度成長でございまして、また大変なインフレが同時に来た年であるわけでございます。その当時から見ますと日本の経済は一変いたしまして、いまは御承知のような調整過程にあるわけでございます。
したがって、経済の拡大の問題とそういった問題、さらには税制の全体的な均衡という問題、あれやこれやといろいろなところに気を配りながら、やはり現実的な、また整合性を持った解決が必要ではないかと、そんな感じがいたすのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/147
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148・田中昭二
○田中(昭)委員 それはちょっと私は納得できないのです。
先ほどの議論とまた重なるわけでございますが、大臣は税制の問題がどうも一番頭にあるようでございますが、私たちも、いままでの政府の税制の中で、いわゆる資産課税というものについてはもう少し厳しくすべきであるということをずっと言ってきたわけですよ。しかし、それは郵便貯金者の限度額を引き上げられないという理由にはならない。先ほどマル優限度額九百万とか一千百万とかいうのが利用できるじゃないかというお話もありましたけれども、総合課税をできないのは政府の都合によってできないのですよ。私たちは政府に対して利子課税を強化すべきであるということを言ってきましたが、それは意味が違うのです。それをできないのは政府がいまの体制ではできないという説明をしてきたわけでしょう。それと郵便貯金の限度額引き上げということは、過去において四十年が百万、四十七年が百五十万、四十八年が三百万で、郵政省が五十二年に五百万にな庶民大衆のささやかな金利を目的とする貯金であるから、この辺もあわせて総合的に考えて検討したい、また、皆様方の御理解と御協力を得てこういった問題と取り組んでいきたい、と、このように申し上げたわけでございますので、どうぞこの点をあわせて御理解を願っておきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/148
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149・田中昭二
○田中(昭)委員 聞けば聞くほど何か答弁がだんだん後退するようなことでいかぬですが、きょうはせっかく大蔵大臣と郵政大臣がおそろいでございますし、それぞれの立場というものはあろうと思うのですよ。それは先般来郵政大臣から退職金を非課税にしたいという構想が打ち上がったが、それに対して立場の違う大蔵大臣からそういうことは知らぬのだ、できないんだという論争がなされる。そのほか特に財投資金に関連してのいろいろな問題、いわゆる郵便貯金の脱税等、こういう問題でいつも例年の行事みたいに議論が沸騰する。報道等にも大蔵省と郵政省の闘いだということでしょっちゅう時期を期して出てくる。
ですから、それぞれの立場でお述べになっていいと私は思うのですけれども、その結果が今度の進学ローンみたいに、郵政大臣みずからもこんなよくないものは私は不満だとおっしゃるようなものになって出てくる。両者のホットな闘いとか報道に書いてあります。けれども、そういうことによって、進学ローンを利用する国民の、何とかして子供を教育したいという願いと期待を裏切るようなことは許されないと私は思うのです。現実にそういう問題が実態としてあると私は言わざるを得ない。
一般の金融機関は三百万も進学ローンの融資をしてくれる。保証人も要らない。ところが、国の機関に預けた自分の預金を担保にして金を借りるのに、保証人は要るわ、金額は少ないわ、返済期間は短いわ、と、こういう結果になってくることについては、これは両大臣からはっきりした責任ある御答弁をいただかなければ私は納得しませんが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/149
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150・村山達雄
○村山国務大臣 同じようなことの繰り返しになって恐縮でございますが、今度はいわば金融制度の枠内でどのようにやっていくかということがまず一つのポイントでございまして、先ほどの母子家庭等のことについては、私たちの考えでは社会福祉政策的なものだろうと思うのでございますが、その観点は特には入れていなかったということばあらかじめ申し上げておきます。その必要性がありますれば、またその時点で考えさせていただきたいと思うのでございます。
それから、郵政省の当初案といま御提案しているものでございますが、先ほど私が申し上げましたように、郵政省の方の当初案というものはやはり社会的ニーズを踏まえて提案なされたのだろうと思うのでございます。それは私は高く評価いたしておるのでございます。ただ、物事は一元的なことからだけはいかないということはもう御案内のとおりでございまして、いろいろな角度からあらゆるそれぞれの要請があるわけでございますから、それぞれの要請の調和をどこに求めて現実的な案に組み立てていくかという、その結果が今度御提案いたしているようなものであるわけでございまして、私たちはそれによりましてなわ張り争いなどやっているつもりは全然ございません。少しでもいい制度にしたいという一心でございまして、その意味で郵政当局とも十分御連絡いたしましたが、まずはこういう制度で発足を認めていただきたいと思うわけであります。
自余の問題につきましては、施行の結果を見まして、また必要に応じて対応してまいりたいと考えておるのでございます。
それから、先ほど預入限度の引き上げの問題がございまして、郵政大臣からいまお答えがあったわけでございますが、非常に示唆に富んだ一つの考え方であろうと思うのでございますが、この問題もいろいろな国家的な要請があるわけでございます。大蔵省の要請とか通産省の要請とかいうことではございませんで、いろいろな角度からの要請があるわけでございますので、それらの要請がうまく整合性を持つような制度ができれば、これは検討に値するであろうし、その方向で今後とも十分検討してまいりたい、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/150
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151・田中昭二
○田中(昭)委員 一貫しましてのけさからの郵政当局の責任者である郵政大臣の御答弁と、それと大蔵大臣のいまの御答弁とを私なりに理解しようと思ってずっと努力をしておるのですけれども、やはり、一つのガードがありましてそれ以上の御答弁はいただけないようでございますが、その点については、いまこの委員会で提案になっております積立進学ローンが仮にできましても、そのもとになっております国金法の一部改正の方の法案ができなければ実行はできませんし、そういう面については時間的問題もございますから、そういう中で一歩でも前進する議論をし、直せるものならば直していかなければならない。こういうようなわけで、この問題については私はきょうは保留をしておきたいと思います。
そこで、もう一つ、せっかくの大蔵大臣の御出席でございますから聞いておきますが、せんだってから郵便貯金が脱税に利用されているということで、近畿地方で大阪の国税関係がおとり調査をしたという問題を、この委員会でもまた予算委員会でも私はお聞きしました。その経過も御存じのとおりでございますが、郵政大臣はその問題について確かめたところが、調査報告を受けた範囲内では事実無根であったという大蔵大臣からの報告があったということでございました。
しかし、事実無根というようなことについては、郵政大臣の御答弁も私は了解できなかったんですけれども、これは大蔵大臣どういう調査をなさったのか。何が事実無根なのか。郵政大臣は大蔵大臣から聞かれないことを言われたんじゃないと思いますから、それなりの事後処置もとられたということでございますけれども、どういうことが事実無根でございましたか。お聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/151
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152・村山達雄
○村山国務大臣 たしか、衆議院の予算委員会の分科会におきまして田中委員から同じ質問を受けたわけでございます。
当時、朝日新聞でございましたか、何か報道されまして、おとり調査と出ておりましたので、私は国税庁長官にその真偽をすぐ確かめろということでございました。そして国税庁長官から報告がございまして、そういう事実はございませんでしたという報告を受けておりましたので、田中委員にも申し上げ、また御心配なさっておられるであろう郵政大臣にも申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/152
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153・田中昭二
○田中(昭)委員 それはそのとおりでしょう。しかし、それを善意に解釈しておとり調査ということはなかったということであって、郵便局で制限額超過をした貯金がなかったということじゃないのです。
ある脱税に郵便貯金が利用されておったという事実はあるんです。それをおとり調査はしていなかったということで、そういうことはありませんでしたという報告で、この公式の場でそういうことは何もなかったんだというような印象にとられては困るのです。
郵政大臣、郵便貯金の制限額超過件数というのは、年間何万件とあるわけでしょう。京都でも大阪でもなかったんじゃないんです。あったんですよ。ですから、先ほど言いましたように、三百万についていつまでも大蔵省はガードがかたくて制限額を上げないというところにも罪があるのです。
ですから、大蔵省もおかしいじゃないですか。制限額はいろいろな理屈をつけてあげませんと言う。そのために違法な貯金はさらにふえておるじゃないですか。四十八年の限度額を上げたときにはこの超過額は半分以下に減っておりますよ。五十二年度に五百万に引き上げておれば、何万件というこの制限額超過の預金者の違法者を出さなくてよかったんです。そうすると、大蔵省は制限額超過の違法者を製造したとも言えますよ。
郵便貯金の脱税についてはもう少し聞きたかったわけですけれども、これは後でまた郵政大臣ともよく議論をしてみたいと思いますが、いずれにしろ、この法案の期待しております利用者に十分こたえるような法案にいまからでもすべきであるということを強く申し上げて、私の質問を終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/153
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154・松本七郎
○松本委員長 藤原ひろ子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/154
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155・藤原ひろ子
○藤原委員 大蔵大臣にお尋ねをいたします。
国民金融公庫からの郵便貯金の預金者に対します貸付金の金利でございますが、現行の貸付基準の金利を適用するようにおっしゃっているのですが、そのとおりなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/155
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156・村山達雄
○村山国務大臣 今度は公定歩合の引き下げに伴いまして民間のプライムレートが引き下げられたわけでございます。また、運用部に対する預託金利も引き下げられるのでございます。
そこで、新しい基準金利ですが、いままで七・六%でございましたが、今度七・一%ということにいたしまして、プライムレートと同じ金利でこの進学ローンに対処したい、こういう案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/156
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157・藤原ひろ子
○藤原委員 高いように思いますが、なぜこのような高い金利を適用されるのでしょうか。趣旨から言いましていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/157
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158・村山達雄
○村山国務大臣 民間では大体いままで、ちょっと下がるかもしれませんが八・八八%くらいでございます。これはプライムレートでやっておりますので、そうすると、やはり政府金利の基準金利でございますので市中金利よりは大分安い金利になると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/158
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159・藤原ひろ子
○藤原委員 それでは、政府関係の金融機関の融資でこれより低いものはあるのでしょうか、ないのでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/159
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160・渡辺喜一
○渡辺(喜)政府委員 七・一といま大臣が申し上げましたのは基準の金利でございます。特定の政策目的に応じまして特利という制度がございまして、そういう特利につきましては基準金利より低いものはあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/160
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161・藤原ひろ子
○藤原委員 それでは、なぜそのような低い金利で貸し出しができるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/161
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162・渡辺喜一
○渡辺(喜)政府委員 特利の金利と申しますのは資金コストを割って貸し出しをするという制度でございまして、特別の政策目的というものを頭に置いて適用をいたしておるわけでございます。
本件進学ローンにつきましては、これはたとえば義務教育とか、そういうものではございませんで、高校、大学進学者を対象にしておるものでございます。したがいまして、資金コストを割ってそれに補給金をつけてまでやるというような政策目的を私どもは意識していないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/162
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163・藤原ひろ子
○藤原委員 低利で貸し出しができるのは、つまり、政府が出資するかあるいはまた利子補給をするという場合に初めてできるわけですね。たとえば輸出入銀行には昨年六百億円、ことしは二百五十億円の出資をしておりますし、住宅金融公庫には利子補給をしているわけです。だから低利で貸し出しができるわけですね。
仮に今回の進学ローンについて考えてみますれば、貸し出し予定額は二百億円と言われているのですが、これの年間利子は七%としましても十四億円になるわけです。これは政府の予算から見ればまことに微々たるものであるわけです。しかし、これを利用する側にとりましては大変な利子になるわけなのです。
先ほども引用されていたと思うのですけれども、朝日新聞で交通遺児育英会専務理事の玉井さんも「論壇」でおっしゃっていますし、きょうの朝日新聞の「天声人語」にも出ていますが、その中で、「母子家庭にとっては思っただけでも身のすくむような金利だという。無利子で二十年払いの育英奨学金におよばずとも、超低利に改めるべきだ。せっかく大学に合格しながら、進学をあきらめる交通遺児が少なくないという。いまの案では、たとえ低所得者向け進学ローンと銘打っても、多くの母子家庭は二の足をふむに違いない」というふうに書かれているわけですけれども、このとおりだと思うのです。先ほどから言われておりますように、つまりこれでは絵にかいたモチになってしまうし、それから、「教育の機会均等を、という意味では低所得者向けの進学ローンはひとつの前進だ。しかし、いまのままではまさに仏作って魂入れずではないか。」という表現もあるくらいです。私は全くこのとおりだと思う。十四億円というのは政府の側にとりましては微々たるもの、しかし、この不況とインフレに苦しむ一人一人の国民にとってはまさに膨大な金利になる、こういう関係になるわけです。
利率の引き下げ、貸付期間の延長ということを先ほどからみんな言われておりますけれども、利率を下げるということと貸付期間の延長を何としてもしなければならないというふうに私は思いますが、大蔵大臣は検討の用意はあるでしょうか、ないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/163
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164・村山達雄
○村山国務大臣 先ほど米田委員にも申し上げましたように、これは普通の金融システムの中で一応発足しようということでスタートさせていただきたいという案でございます。
いまおっしゃるような社会福祉的な問題につきましては、さらにこの実績を見まして必要に応じて検討してまいりたい、かように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/164
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165・藤原ひろ子
○藤原委員 そもそも普通の金融システムで発足したいというところに根本的な見解の相違といいますか、大蔵省の官僚性といいますか、そういうものが出ていると思うのです。
そういう中で、この委員会におきましても、また、いま一般から沸き起こっている世論におきましても、検討しなければならない、社会福祉的なそういう見地からやるべきだという声がこれだけあるというわけですから、必要があればやりましょうというのではなくて、もう必要になっているわけですから、ぜひとも直ちに検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/165
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166・村山達雄
○村山国務大臣 篤と御意見を承りまして、今後さらに検討を続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/166
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167・藤原ひろ子
○藤原委員 それでは強く御検討いただくことを要望いたしまして、お急ぎのようですから次へ進みたいと思います。
私は昨日郵政大臣に郵便貯蓄のマル優制度の限度額引き上げについて質問したわけなんですが、そのときに大臣の方からは、五十三年度予算で郵政省としてマル優限度額を三百万円から五百万円に引き上げてほしいという要求を出したけれども大蔵省に削除されたんだという御答弁をいただいたわけです。私が昨日の当委員会で指摘をいたしましたように、福田内閣が発足して以来一年数カ月たったわけですけれども、この間に三度も預貯金金利の引き下げを行っておられる。一年間で三度も引き下げるというような例は過去にはないことなんですね。このために郵便貯金をしております国民は、日々の目減りに加えまして利子の減少も合わせて大きな打撃を受けていることはもう国民周知の事実であると思うのです。
そういった中で、大蔵大臣として、つめに灯をともす思いで貯金をしているという零細な預金者である国民の生活を守るために、このマル優限度額の引き上げをどうしても検討していただきたいと思うのですが、その検討する用意があるのかどうか。つめに灯をともす思いということについては時間がありませんので一々蓄えませんけれども、そういう用意があるのかどうか。この点についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/167
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168・村山達雄
○村山国務大臣 先ほどもお答えしたのでございますが、現在の日本の平均家庭の金融資産は大体四百万円でございます。いまの郵便貯金その他普通のマル優あるいは国債といったところを見ますと、通常九百万円まではかからないのでございますので、いまその面から申し上げますと特に引き上げる必要があるかどうか、やはり疑問の残るところでございます。
しかし、この問題はいろいろな問題がございまして、金利の一元的な問題であるとか、さらにはいま各党が言っております税制、預金の利子の総合との関係、その他いろいろな関係がございます。そういったいろいろな要請がございますので、そういうものとあわせて将来検討させていただきたいと思います。
とりあえずのところは、私は、まずまず普通の家庭にとっては普通の預金は非課税になっているんじゃないか、かように思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/168
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169・藤原ひろ子
○藤原委員 同じ御答弁で、先ほども聞いたとおりしか進まないわけですけれども、それじゃ郵政大臣の認識と大蔵大臣の認識と国民の現状に対する認識が、そこらがまことに違うということを感ずるわけですが、それはどこからどういうふうに来るんでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/169
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170・村山達雄
○村山国務大臣 先ほど郵政大臣がおっしゃったことは、私にはそれなりによくわかるのでございます。
ただ、いま何がどういうふうに絡んでいるかというふうなことを申しますと、これまたなかなかやかましい問題でございますが、要するに、立場も違いますけれども、それ以上に一つの制度というものはいろいろな角度から——一つの要請からだけではなかなか決まらない。多元的な要請を一体どのように整合して、そしてそれが国民に納得していただけるかというところに最後は落ちつくのだろうと思うのでございます。そういう意味で、先ほどの郵政大臣のお話はお話として私は意義深く伺ったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/170
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171・藤原ひろ子
○藤原委員 いろいろな要請があることは私ども承知いたしておりますが、だれの立場に立って何のために行うのかということが一番大事じゃないでしょうか。いろいろな要請と言って、財界や大企業の要請というふうなところに頭がいくという立場に立たれるのか。立場の違いがあるとおっしゃいましたけれども、そういう立場の違いというのは大変困るわけで、特に国民がやっております零細な貯金は、合わせれば三十七兆七千億というふうな莫大なお金になるわけですが、それがいろいろな要請があるということで、今日のような大企業には投資がされて、しかも金利が低いというふうな状態を立場の違いというようなことでごまかされては非常に困ると思うわけです。
大臣はメキシコかどこかへおいでになるそうですので、これ以上は申し上げられる時間がないわけですけれども、切実な声をぜひもっともっと聞いていただいて、直ちに御検討をいただくようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/171
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172・村山達雄
○村山国務大臣 いろいろな角度からと申しますのは、大企業とかそんなことを言っているわけではございません。
そうではなくて、国民経済が全体として発展するために特に公平という関係もございます。税の公平という観点もございましょうし、あるいは貯蓄の増強という観点もございましょうし、それが最終的に国民の利益にずっと均てんしていくかどうか、そういういろいろな角度から総合的に検討すべき問題であろうと、こういうふうなつもりでお答え申し上げたのでございます。御理解いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/172
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173・藤原ひろ子
○藤原委員 もう終わろうと思いましたが、また御答弁がありましたので……。
日本輸出入銀行の投資しておられる五十社を見ても、莫大な貸し付けをやっているわけでしょう。そういうことを言っているわけで、いろいろな立場というのは大企業本位ではないとおっしゃるけれども、こういう事実に基づくとそうはいかない。だから、この進学ローンについてはぜひとも国民の立場にお立ちいただきたいということを強調して終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/173
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174・松本七郎
○松本委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後四時六分休憩
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午後四時五十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/174
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175・松本七郎
○松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
これにて、内閣提出の郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/175
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176・松本七郎
○松本委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
内閣提出の郵便貯金法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/176
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177・松本七郎
○松本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/177
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178・松本七郎
○松本委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、左藤恵君外五名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者より趣旨説明を求めます。左藤恵君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/178
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179・左藤恵
○左藤委員 私は、ただいま議題となりました法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
この法律の施行にあたり、政府は次の各項の実現につとむべきである。
一、郵便貯金の総額制限額を引き上げるようつとめること。
一、預金者貸付けの貸付限度額をさらに引き上げるようつとめること。
一、進学積立郵便貯金預金者の利便をはかるため、学校の範囲の拡大及び適正な貸付金利、長期割賦返済方法など貸付条件について、特段の配慮を行うこと。
一、郵便貯金預金者の利益の増進をはかるため、直接融資方式について検討するとともに、老齢者の貯金及び退職金について特別の優遇策を考慮すること。
以上のとおりであります。
本案は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・一革新共同及び新自由クラブの共同提案に係るものでありまして、案文は当委員会における質疑等を参酌して協議作成したものであります。
何とぞこの決議案に御賛同くださいますようお願いする次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/179
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180・松本七郎
○松本委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
本動議に対し、別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。
左藤恵君外五名提出の動議のとおり、本案に附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/180
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181・松本七郎
○松本委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、服部郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。服部郵政大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/181
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182・服部安司
○服部国務大臣 このたびは慎重な御審議をいただきまして、ただいま郵便貯金法の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを厚く御礼を申し上げます。
この委員会の審議を通じて賜りました御意見につきましては、今後の事業運営に当たり、十分配意してまいりたいと存じます。
さらに、ただいまの附帯決議につきましては、今後その趣旨を尊重してまいりたいと存じます。
長時間まことにありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/182
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183・松本七郎
○松本委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/183
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184・松本七郎
○松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/184
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185・松本七郎
○松本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
日本放送協会昭和五十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書の審査が終了するまで、随時参考人として日本放送協会当局の出席を求めることとし、また、逓信行政に関する件について、特に国際電信電話株式会社の事業について調査のため、来る五月十日水曜日、参考人として同株式会社から出席を求めることにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/185
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186・松本七郎
○松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/186
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187・松本七郎
○松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次回は、来る五月十日水曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108404816X01619780427/187
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