1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年四月五日(水曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 中尾 栄一君
理事 片岡 清一君 理事 羽田 孜君
理事 林 義郎君 理事 山崎平八郎君
理事 竹内 猛君 理事 馬場 昇君
理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君
加藤 紘一君 熊谷 義雄君
倉成 正君 國場 幸昌君
羽田野忠文君 福島 譲二君
堀之内久男君 森 清君
森田 欽二君 角屋堅次郎君
柴田 健治君 島田 琢郎君
新盛 辰雄君 野坂 浩賢君
芳賀 貢君 武田 一夫君
吉浦 忠治君 神田 厚君
津川 武一君 菊池福治郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 中川 一郎君
出席政府委員
農林大臣官房長 松本 作衞君
林野庁長官 藍原 義邦君
林野庁林政部長 石川 弘君
委員外の出席者
林野庁指導部長 須藤 徹男君
通商産業省貿易
局農水産課長 篠浦 光君
建設省住宅局住
宅計画課長 鴨沢 康夫君
農林漁業金融公
庫総裁 武田 誠三君
農林水産委員会
調査室長 尾崎 毅君
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本日の会議に付した案件
森林組合法案(内閣提出第四八号)
国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置
法案(芳賀貢君外十三名提出、衆法第三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/0
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001・中尾栄一
○中尾委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、森林組合法案及び芳賀貢君外十三名提出、国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置法案の両案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/1
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002・角屋堅次郎
○角屋委員 かねて森林組合法の単独立法の制定については、強い附帯決議もしくは四十九年の森林法審議の際には附則二条ということで、国会でも注文をつけてまいりました森林組合法案が単独立法として提案されてきたわけでありますし、同時に、林興決議の第一項に基づいてわが党から、国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置法案を、芳賀さんを提案者として、われわれも提案者の一員として提出をしておるわけでありまして、本日から相並行して審議がなされる、こういうことになっておるわけでございます。ただ、わが党提出の法案については、私自身も提案者でありますので、きょうは政府提出の森林組合法案、これを中心に大綱的な立場から、主として大臣に御答弁を願う、専門的なことについては政府委員から御答弁を願うということで、質疑を展開してまいりたいというふうに思っております。
きょうは武田農林漁業金融公庫総裁にも、これは森林組合法の問題について林野庁内に設けられた検討会の座長を務められたということもありまして、審議の過程で必要な場合に武田さんからも忌憚のない御意見をいただければ大変幸いだというふうに思っております。
冒頭に申し上げましたように、森林組合法の単独立法は、直接的には昭和四十三年の森林法の法改正のときに本委員会で私が附帯決議の提案者になりまして、森林組合の単独法の制定問題について検討をすべきであるという附帯決議の注文を各党一致のもとにつけたのが直接の契機でありましたし、その後、先ほども申しました四十九年の制度改正に当たりまして、附則の第二条のところで、「政府は、森林組合の組織及び機能について検討を加え、その結果に基づいて法制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。」こういう附則第二条をつけ加えたことによって、当然政府としては法制的な検討を国会から要請される、それを受けて対応しなければならぬ。そこで林野庁内に検討会を設け、武田さんが座長になって五十一年の六月から五十二年の十二月までいろいろ検討されて答申が出て、林野庁はそれを受け、政府自身もそういう検討結果も踏まえ今回森林組合法案を提案されたわけでございます。
私はこの機会に、まず森林組合制度の歴史的な変遷、これを顧みながらこれからの森林組合制度はいかにあるべきかという今後の問題にやはり触れていかなければならぬと思うわけであります。
申し上げるまでもなく、明治三十年に森林法が初めて制定されたわけでございますが、この際に政府案の中には林業組合に関する規定というものを設けて提案したわけでありますけれども、これは国会の審議の過程で削除されることになりました。したがって、森林組合制度が法制的に初めて発足をしたのは御案内のとおり明治四十年の森林法のときでございます。このときに法制的根拠のある団体として森林組合がスタートしたわけでございますけれども、この当時の森林組合の性格は、今日のような協同組合的性格というものに至らざる段階でありまして、森林組合の種類も施業、造林、土工、保護といったような四つの種類の一また二以上の組み合わせによって組合が運営される、しかも、これは任意設立で強制加入の体制をとるということで、明治四十年に森林組合が発足をしたわけでございます。
その後昭和十四年に森林法の大改正があり、また戦後に入りまして昭和二十五年二月に占領軍総司令部の森林制度に対するステートメント、こういったものを受けて昭和二十六年に森林法の改正がなされ、その中で森林組合制度についても所要の改正が行われる。そしてそれからしばらく相当の期間抜本的な森林組合制度の改造はなされなかったわけでありますが、四十九年の国会で森林法の改正が抜本的にはなされて、いわゆる従来の「森林所有者の経済的社会的地位の向上」ということが、「森林施業の合理化及び森林生産力の増進」と並ぶ森林組合及び連合会の第一義的目的ということに相なって今日に及んでおるわけでございます。
若干触れましたけれども、この明治四十年以降、戦前、戦中、戦後を通じて森林組合の制度というものがいま言ったような形で改正をされてまいりましたが、この機会に、森林組合制度の歴史的変遷というものについて政府の方からも御説明を願っておきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/2
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003・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合の変遷につきましては、いま先生からるる御説明ございましたけれども、私どものとらえ方につきまして御説明申し上げておきたいと思います。
森林組合につきましては、明治四十年に制度が創設されまして、その当時の森林組合につきましては、国土の保全なり森林の施業なりあるいは森林の保護というものを協同して行うということが目的となっておりまして、強制加入の制度であるということが非常な特徴になっておりまして、これはあくまでも森林の保続培養を図るという政策を促進する役割りを果たすものであったというふうにわれわれ理解いたしております。
こういうような森林組合が、昭和十四年には森林法の改正がございまして、ちょうど戦時中に入るという時期でございますし、戦時経済体制の進展に伴いまして、森林法の中に制度化されました施業案制度の担い手といたしましての役割りを課せられたということでございますし、設立強制の道が開かれまして、統制経済の一端を担う半官半民的な性格を強めてきたわけでございますけれども、一方では資金の貸し付けあるいは販売事業というような経済事業の実施も同時に認められてきたわけでございます。
その後戦争が終わりまして、いまお話がございましたように総司令部のステートメント等々ございまして、その経緯を経まして昭和二十六年の森林法の全面改正というものが行われたわけでございますけれども、森林組合はいままでのような強制加入的な制度ではございませんで、新しく組合員の加入脱退の自由ということ、それから議決権の平等あるいは設立強制の廃止等の協同組合原理に立脚いたしました制度に衣がえされたわけでございます。そして広く経済事業を行えるようになったわけでございますが、森林組合の目的は森林施業の合理化と森林生産力の増進という資源政策的な立場を相変わらずその当時も第一義として持っておったわけでございます。そして昭和三十九年に御存じのように森林基本法が制定されまして、森林組合は基本法にうたわれております林業の発展と林業従事者の地位の向上に資する団体というふうに位置づけられたわけでございます。これに従いまして、昭和四十九年に森林法の改正がございましたけれども、その改正のときに、森林組合の目的といたしましては、いま先生も御指摘になりましたように、森林所有者の経済的社会的地位の向上というものが森林施業の合理化及び森林生産力の増進といったものと並列的に規定されるようになりまして、事業範囲の拡大なり管理運営体制の改善なりが行われたわけでございます。しかしながら、森林組合は森林法の中にあることから、やはり同森林法の第一条にございますような目的で、森林の保続培養と森林生産力の増進というものに努める組織としての位置づけが強調されているという状況でございました。
今回、森林組合を森林組合法として単独立法として御審議願うことにしたわけでございますが、いま先生御指摘のように、ただいま申し上げました四十九年の改正のときに附則二条でうたわれたものに従いまして、林野庁としても、十分検討会等を開き、検討いたしまして、森林法から分離し、森林組合法をその根拠法とすることによりまして、森林組合は協同組合的性格と公益的性格をひとしく有する団体となるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/3
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004・角屋堅次郎
○角屋委員 明治四十年以来、森林法の中に森林組合法的なもの、いわゆる森林組合制度が含まれておったわけでありますが、今度はそこから単独立法としてスタートする。そうしますと、第一次産業における農業の場合、農業協同組合法によって農業協同組合制度というものは早くから現実に動いておる。また漁業の関係においては、水産業協同組合法によって漁業組合制度というものが早くからスタートしておる。おくればせながら森林法の寄居状態から新しく協同組合的な性格を持つ森林組合としてスタートをする。そこで、議論として、農業協同組合制度あるいは漁業協同組合制度というものと同じ第一次産業である今回の森林組合制度というものに、産業の違いももちろんありまするけれども、協同組織として、あるいは森林組合でいえば公益的機能も担っておるわけでありますが、農協、漁協と森林組合ではどの点がどういうふうに違うというふうに農林省特に林野庁としては考えておられるか、その点について説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/4
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005・石川弘
○石川政府委員 三つの組合があるわけでございますが、まず、目的はいずれも、森林組合の場合は、森林の所有者の協同組織の発達によりましてその社会的地位の向上あるいは森林の保続培養、生産力の増進といったことを図るということになっておりますが、これは、事業の中身で申しますと、森林組合の場合は、必須事業といたしまして、森林の生産力の維持増進ということのために必要な森林経営の指導なりあるいは施業といったものをやるということが入っておることによって、農業協同組合あるいは水産業の協同組合のように事業がすべて任意制になっているものとの違い、これが目的にも若干あらわれておるかと思います。
それから事業の面で申し上げますと、これは後ほど御議論になろうかと思いますが、農業協同組合なり漁業協同組合につきましては貯金または定期積金の受け入れといった信用事業を認めておりますが、森林組合は、現段階では信用事業を入れていないということが明らかな違いかと思います。
それから組合員の資格でございますが、先ほど目的のところでも申し上げましたように、森林組合員の正組合員資格は、森林所有者たる個人及び法人でございまして、森林を持っているということが要件でございます。農業協同組合あるいは水産業協同組合、これは特に漁業協同組合でございますが、この正組合員資格は、農民あるいは漁民といういわゆる業種によって規定をいたしておるわけでございます。
そのほか違いといたしまして、たとえば員外利用でございますが、森林組合につきましては、森林組合の正組合員の事業利用分量と同分量、したがって二分の一の員外利用を認めておりますけれども、このことは、漁業協同組合も実は二分の一でございますが、農業協同組合につきましては、原則として五分の一という形で、員外利用がかなり制限をされております。それから森林組合につきましては、この員外利用に、国とかあるいは地方公共団体が員内の利用を制限しない範囲内で利用が認められているというのが特徴かと思います。
それから、次に生産組合関係でございますが、生産森林組合につきましては、二分の一以上の常時従事義務というのがございます。これに当たります農業の農事組合法人につきましては、御承知のように法律上の規定はございませんが、解釈上全員常時従事義務があると解されております。漁業の生産組合につきましては、三分の二の常時従事義務というところが違いかと思います。
それから、その次に生産組合等の連合会加入資格でございますが、生産森林組合につきましては連合会の会員になることができることといたしております。漁業生産組合につきましても同様に漁業協同組合連合会の会員たる資格がございますが、農事組合法人につきましては連合会加入資格がございません。
それから連合会段階の違いでございますが、森林組合連合会につきましては共済事業の兼営ができるという規定をいたしておりますが、農業協同組合の場合は、御承知のとおりこれは兼営禁止でございます。なお、水産業の協同組合につきましては、いわゆる共済会が行うというような形になっております。
それから中央会、これは、御承知のように農業協同組合組織にはいわゆる指導団体としての中央会組織がございます。
以上まとめて申し上げますと、やはり基本といたしましては、農民あるいは漁民を正組合員にいたします農業あるいは漁業の協同組合と、森林所有者を正組合員といたします森林組合の違いがこのような形にあらわれているかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/5
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006・角屋堅次郎
○角屋委員 細かく言えば、農業協同組合、漁業協同組合あるいは森林組合、仕事の関係が違うわけですけれども、たとえば林業の場合で言えば、所有形態で、国有林野事業という国有林がある、あるいは公有林がある、そして私有林がある。こういった森林面積の三分の一というものは国有林野事業である。あるいはそれなりの公有林もある。そしてまた私有林がある。しかも、森林の公益的機能からいって、相当な比重の保安林というふうなものを、現に保安林を指定をし、そして保安林制度が実施されておるわけですけれども、林業という立場からいくと、相当な面積、国有林の場合でもそうでありますし、民有林の場合もそうでありますけれども、そういう保安林制度、いわば国土の保全であるとかあるいは水源の涵養であるとか、あるいはまた自然環境の保全、形成、こういったような公益的機能をやはり森林資源自身が持っておる。そういう立場からする林業上の制約というのが御承知のようにある。農業の場合で言えば、もちろんいろいろな経営の形態はありますけれども、大体個別経営もしくは協業というふうなことでやられるわけであって、特別に国が農業の面で国営農場を持つというふうな形ではないわけで、そういった点が違いますし、また漁業の面で言えば、沿岸があり、沖合いがあり、遠洋があり、零細な中小漁業からいわゆる資本漁業と言われるような形態のものが御承知のようにあるわけでございます。これは仕事が違うわけですけれども、そういった面をいろいろ見てまいりますと、林業の面では、特に民有林を主体にして、森林所有者を中心に森林組合をつくる。現実に国有林の場合でも、歴史的な経過があって、いわゆる歴史的所産として全国の国有林の分布というものがある。だから、本来国有林というのはどういうところが国有林であるべきなのか、あるいは公有林はどういうところが公有林であるべきなのか、私有林というのは一体どういうところが私有林であるべきかという、理論上から所有形態が分かれたのではなしに、北海道とか東北とかというところに国有林が非常に比重として多いというように、やはりそういった国有林野事業あるいは民有林といったことも含めて考えてくると、全国の森林組合と一口に言っても、置かれておる条件というのがいろいろ違っておるという面もあるわけです。また林業政策上では、保安林制度というものの関連において一つの制約条件を持っておるというふうなこともあって、したがって、新しく門出をする森林組合、しかも今日のわが国林業をめぐる国際的、国内的条件というものはきわめて厳しい、このときに門出をする。後ほどだんだん同僚議員も触れて論議を展開されると思いますけれども、果たして、こういう厳しい林業情勢の中で力強く門出するのにふさわしい森林組合法として政府が用意されたのかどうかということを考えてくると、これは率直に言って、温かみのある内容も含んでスタートしたというふうにはなかなか受けとめがたい点がある。その辺のところは森林組合法を単独立法として提案されるに当たって、農林大臣はどういう姿勢でこれを出されたのか、少しくお考えをまず承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/6
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007・中川一郎
○中川国務大臣 角屋委員御指摘のとおり、林業を取り巻く情勢が非常に厳しいのでありますし、また林業の実態を見ますと、森林所有者が生産活動を行います場合に、個別に実施することはきわめて困難であって、幅広い対応をしなければならない。
一方、御指摘のように、近年とみに森林の持つ機能が、国土の保全、水源の涵養あるいは環境保全等、森林の有する機能を多角的に充実いたさなければならないということが非常に国民的に要請が強まっております。このような情勢の中で、森林組合は、従来からも森林所有者の協同組織体として生産から流通に至るまでの一貫した事業を推進し、それなりの機能を果たし、特に国土の保全等公的部面も果たしてまいりましたが、これに対する期待が非常に大きくなってきた、このような情勢に対処いたしまして、今度は単に森林法のみならず林業基本法その他森林、林業の関係の制度、政策と全体的な調和を図りつつ、広範な対応を図られるよう明確化するとともに、必須事業となっております員外利用制限の緩和、それに目玉としては共済事業に係る規程を整備する等の改善を加えまして、さらに、御指摘のように、地域地域によりまして森林経営が非常に、国有林あり、道有林あり、県有林あり、市町村有林あり、いろいろありますので、地域の実態に即応した森林、林業の担い手としての役割りへの制度的対応等を図るように今度改正をお願いいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/7
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008・角屋堅次郎
○角屋委員 きょう来ていただきました森林組合制度等検討会の座長を務められた武田さんは、ちょっと調べてみましたら、森林組合課というのが林野庁の中にできて、初代の森林組合課長をやられたというふうに聞いておるわけですが、参考までに調べてみましたら、従来の森林組合の指導監督に当たってきた行政部課として、最初の明治三十八年代には山林局の経営課、四十一年代には地方課、大正十三年代には公私有林課、昭和五年代には林政課、昭和二十二年代には林野局の林政課、二十四年代には林野庁の経済課、そして二十八年の四月一日に林野庁の森林組合課、初代課長が武田さんであったというふうに承っておるわけですが、今度のこの森林組合制度等検討会というのは五十一年の六月から五十二年十二月五日まで真剣に議論されて、それに基づいて検討会報告書というのを出されておるわけです。ここにも書いてありますが、「森林組合の基本的性格と単独法化の是非」というのが後の方にありますし、また前段のところでは「森林、林業の現状と森林組合の役割」から、「施設森林組合の組織及び機能の改善」、「生産森林組合の組織及び機能のあり方」、そして先ほど言った「森林組合の基本的性格と単独法化の是非」ということで報告書が出されておるわけですけれども、簡潔に、この検討に当たっていろいろ論議になった点あるいは苦労した点、こういった点を概括的に武田さんから御説明を伺っておきたいと思うのです。
仄聞によりますと、武田さん自身は初代の森林組合課長ということもあって、森林法の中に歴史的、伝統的に森林組合があったのを単独法に制定をするということについては相当ちゅうちょがあったというふうにも聞いておるわけですけれども、これはまあ個人的なことでありますが、そして同時に、この森林組合というものがいわゆる農業協同組合、漁業協同組合と同じような森林協同組合というふうな協同組合的な性格を強めるということにも批判的であったというふうにも聞いているわけです。そういった問題も含めて、検討今の状況についてポイントになるところをひとつ御説明を願っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/8
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009・武田誠三
○武田説明員 きわめて広範な御質問で、一言で簡単に要約して上手にお答えできるかどうかわかりませんけれども、御質問の線に沿いまして二、三お答えをいたしたいと思います。
一番初めに、私が森林組合課長として初代であったというお話でありますが、これは記憶のお間違いかと思います。私は経済課長として最初の課長でございます。私が経済課長のときに現在の森林法の改正を事実上命ぜられましたので、いまの森林組合ができます当時から何がしかのお手伝いをしてきたということでございます。
御質問の線と飛び飛びになると思いますけれども、森林組合制度につきましては、御承知のように四十八年でしたか改正がございましたが、そのときにも非公式の検討会がございました。そのときから大きな問題としては、一つは単独法化の問題、それから信用事業をどうするかという問題、それからもう一つは、今回入っておりますが共済制度の問題でございますとか、大きな問題が二つ、三つ常に絡んできておったわけであります。
今回の森林組合制度についての検討に当たりましても、一つの問題はやはり単独法化の問題でございます。これについて、私は私なりの個人的な見解というものもございますけれども、委員会といたしましてこの問題の取り扱いについては、やはり各委員からいろいろな御意見が出ております。しかしながら、一つの団体制度として、かつまた森林組合が今後健全にかつ大きく育っていくということのために、やはりこの際としては単独法化することが適当ではなかろうかというのが大方の意見であったと思います。その際に、先ほど大臣あるいは林野庁長官あるいはまた林政部長からもいろいろお話がございましたけれども、森林組合というものの一つの特徴というのが、これは角屋先生最初のお話にもございましたように、当初の立法過程を通じましていわゆる強制加入の組合として森林の保続培養ということがずっと貫かれた一つの目的としてきておるわけであります。二十六年の森林法改正の際にも、その点といわゆる経済行為その他協同組合的な諸事業との関連を一体どういうふうに調和をしたらいいかということが一つの大きな問題であったわけであります。当時の司令部の方針もございましたし、団体民主化というようなこともございまして、強制加入の団体ということのもとにいろいろな経済関連の諸事業を行うということについてはきわめて否定的である、これは司令部だけの考え方でなく全体としてそういう空気であったように思うのであります。そこで、一方で公益的な目的、森林の維持培養といったようなことを貫きながら、同時に森林所有者の協同の経済事業といいますか、経済的な行為その他ができるようにということで、いまのような森林組合の形がとられたというふうに心得ておるわけであります。
その場合に、森林組合としての特徴の一つは、やはり森林ということが中核になっておることだというふうに思います。したがいまして、森林所有者が、ある地域の森林組合の組合員としてはそこに森林を持っている人ということで構成されておるわけであります。そこで、ある地域における森林の保続培養ということが、それが完全に行われるようにというような意味合いがそこに強く出ておると思います。したがいまして、森林所有者の中には大きな方も小さな方もいろいろあるわけでありますけれども、すべて組合員になり得るということを前提にして二十六年の立法はなされておったと思っております。
そういうことを貫いていくためには森林法の中に森林組合の規定が包括された方がむしろいいではないかという意見が一つあるわけであります。それと同時に、今日までの間に森林組合が行います各種の事業の範囲が広げられてまいりました。同時にまた、森林所有者の経済的な地位、社会的な地位の向上のための事業が、今回の共済事業等でもそうでございますが、漸次森林組合の事業として大きく根づいてきたということがありまして、両方の観点を取り入れて、単独法として、両方の目的を持ったもとに成立をしていく組合ということで、今回の単独法化が結構であろうということに検討会としては結論をいたしたわけであります。
それから共済事業の問題については、これは小委員会を設けましていろいろ検討していただいて、まず今回のお役所の方から御提案になっているような形でこれを正式に認めていったらいいであろうということであったわけであります。
それから信用事業の問題につきましては、これはやはり検討会としても大きな問題であったわけでありますけれども、現在森林組合の全体としての実力の問題が一つございます。それから農業協同組合系統機関との問の、貯金を吸収いたしますための対象となる人たちがおおむね農林漁業者として重複しておるということがもう一つございます。それからまた、金融事業というものを行ってまいりますために、いろいろな実力ということの中にも入るかもしれませんけれども、人員の拡充の問題でございますとか、いろいろな、もし森林組合にそれを認めた場合にほかの関連との間においていろいろなむずかしい問題がたくさん出てまいります。そういうものをこの段階で一挙に整理をしてイエス、ノーを決めるのには、どうもまだまだ検討する時間的な余裕もないし、また環境的にもまだ十分熟してないのではなかろうかということに各委員の御意見も一致をいたしまして、これについてはいましばらくの間林野庁を中心にして検討を深めてほしいという大体の結論になったわけであります。
大体以上のようなことが趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/9
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010・角屋堅次郎
○角屋委員 結局、いま武田さんが重点的に取り上げられた中に、森林組合の信用事業の付与をどうするか、それからいわゆる森林の災害問題についての共済事業の問題を単独立法の中でどう取り扱うかといったような問題が、検討会の報告としていま御説明がございました。そういうこともございますので、森林組合の信用事業という問題から、今度は政府側でありますけれども入りたいと思います。
私は、森林組合の信用事業については、可及的速やかにこれを付与するという姿勢で農林省自身も準備をすべきだというふうに考えております。御案内のとおり、農業協同組合の場合は農業協同組合法の第十条によって信用事業ができる、あるいは漁業協同組合の場合も同じく昭和二十二年に水産業協同組合法の第十一条によって信用事業ができるということで、協同組織である農業協同組合あるいは漁業協同組合は戦後いち早く信用事業が発足をいたしました。農業協同組合の場合で言えば、昭和五十年度末で農協貯金残高は十五兆二千九百九十五億という額に達しておるわけでありまして、これは制度発足時の二十三年度はわずかに六百四十九億、あの当時としては金に値打ちがありましたが、それが農協貯金残高として十五兆円を超えるという段階に来ておるわけでございまして、信用事業を行う単位農協も昭和五十年度末で四千八百三、あるいは信連数も四十七、そういう系統の金を農業面に活用するという意味で、昭和三十六年には農業近代化資金助成法に基づいて農業近代化資金というものがすでに制度としてできておるわけでありますし、これは五十三年度に融資枠四千五百億ということで活用されておるわけであります。漁業協同組合の場合も昭和二十二年に信用事業が認められるということで制度発足をして、今日沿岸地区の出資漁協というところで五十年度末に貯金残高六千二百九十億、これは二十八年の数字で申しますと二十九億でありまして、貯金事業を行う出資漁協数も五十年で千六百八十四、信漁連も五十年で三十五、こういった形で農業協同組合の場合、漁業協同組合の場合は戦後いち早くそれぞれ信用事業の付与がなされまして、そしてこれが農業サイド、漁業サイドで系統プロパーの問題として活用される、あるいは制度金融的な性格を若干持った農業近代化資金あるいは漁業近代化資金というものも農業、漁業で活用されるということに相なっておるわけであります。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
林業は、わが国の国土の七割を占め、そして国有林野事業、民有林野事業に分かれますけれども、これはやはり重要な使命を持って、しかも、これからは単独立法の門出ということで、森林組合自身も協同組合的な性格にふさわしい諸事業をやっていかなければならぬ、これは方向としては否定できないと思う。したがって、当面の段階、実力はどうだとか体制はどうであるかということは、もちろん議論としては実態としてあろうと私は思います。しかし、可及的速やかに森林組合にも信用事業を付与するということで、私の見解からいくならば、少なくとも三年ぐらいの範囲内で準備を完了するというふうなつもりで体制を整備すべきではないかと思うわけでありますけれども、農林大臣としては、森林組合の信用事業の付与という問題について基本的にどういう考え方を持っておられるのか、これをひとつ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/10
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011・中川一郎
○中川国務大臣 森林組合が信用事業をやりたい、そしてまたそのことが森林組合を強化するという意味において非常に重要なポイントであり、強い要請のあったことも、われわれ現地でもずいぶん要請がありましたので承知いたしております。そこで、先ほど武田総裁から御答弁がありましたように、今回の改正に当たります検討会においてもこの点を十分議論をしていただいたわけでございますが、結論としては、現段階においてはまだ踏み切れないということになり、政府としても見送った次第でございます。現在踏み切れないには踏み切れないだけの理由も、先ほど武田総裁から御説明があったとおりでございまして、特に最近は、金融事業というのは非常に厳しい情勢である、銀行においても大変だという時代でございますから、こういったまだ未発達の、しかも体質的にもいろいろ問題のある森林組合でございますので、なかなかむずかしいと存じます。しかし、これが将来林業近代化資金というようなものの原資になるわけでございますから、これが制度化するように前向きで努力はいたしてみたいと思いますが、三年以内と年限をつけられましても、責任が持てるかどうか、鋭意まじめに努力をして、この制度が取り入れられるように工夫を続けてまいりたい、この程度でございますが、私といたしましても、前々から信用事業というものが大事だということは十分認識しておることも申し添える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/11
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012・角屋堅次郎
○角屋委員 林野庁の長官に、これからの問題として、検討会では、今後林野庁において調査検討を進めることが必要である、こういう結びで、信用事業の問題を書いておるわけです。これは、林野庁が直接担当官庁ということですけれども、森林組合の信用事業に限らないわけで、この問題は今後の宿題ということになるわけですが、こういった点についてはどういう方向でこれからやられるつもりであるか。行政担当の方としてどう考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/12
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013・藍原義邦
○藍原政府委員 信用事業の問題につきましては、いま武田総裁なり農林大臣からるる御説明がございましたとおりでございますし、私どもも、検討会の結果、林野庁におきまして今後検討を進めろという御指示をいただいております。したがいまして、私どもといたしましても、その御趣旨に従いまして、今後森林組合に信用事業を与えることがいいのか悪いのか、またどういうところに問題点があるのか、内部的な要因あるいは外部的な要因、そういうものをすべて検討していこうという姿勢で専門家に集まっていただきまして、林野庁の中で鋭意検討を進めていく予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/13
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014・角屋堅次郎
○角屋委員 これは、森林組合法の単独立法の場合も、ドアをあけたら単独法をちゃんと持って出なければならぬというふうに附則第二条でくくったわけですね。あれは前に漁業災害補償法のときにも附則で、検討条項ということで、私責任を持っておる当時にやったことなんですけれども、同じ手法で、附則第二条でやったわけですが、検討検討と言っておって、大臣も三年と言われてもと言っておりましたけれども、これはいつまでも検討でよろしいというわけにいかぬ。だから、これはこれからの準備体制を見なければなりませんけれども、やはり先ほど来、特に時間の少ないところ、農業協同組合、漁業協同組合の点に触れて、同じく単独法としてスタートする森林組合については、嫁入り道具がこれとこれをこれがなくてはいかぬといううちのやはり重要なのがまだ持っていけないという状態でスタートするという感じがあるんですね。これは大臣も前向きに検討すると言うけれども、林野庁の長官は、信用事業を付与するのがいいのか悪いのかとまだ言っておる。基本的方向としては付与するという前提に立ってやるべきだと思うのですが、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/14
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015・中川一郎
○中川国務大臣 前向きでやることは長官も変わりはないと思うのでございますが、先ほど申し上げたように、農業協同組合との関係、信用事業との関係、あるいは収入が臨時的であり、しかもばらばらであるというような実態や、あるいはこの複雑な金融のネットワークに乗り切れるか、あるいは現在の協同組合の力をもってして信用事業を普遍的にできるかというようなことがありますから、前向きとは申せ、三年以内にはやるんだとかいう前提で踏み切るわけにはまだ残念ながらいかない。ただ、組合合併助成法ですか、これも先般通していただきましたので、合併も促進をする、そして広域的な力強い森林組合というものが育っていく等の全体のことをにらんで最終判断をいたしませんと、せっかくの御指摘ではございますけれども、やるんだという前提で、何年以内に仕組みを考えるというところまでは残念ながらいきかねるわけでございますが、重要性も認識しておりますし、仕組みその他についても、何かうまい方法がないか、活路を求めるための最善の努力をしたいということで御了承いただきたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/15
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016・角屋堅次郎
○角屋委員 いまの中川農林大臣や林野庁の長官の御答弁からいきますと、三年以内に法律の改正を通じて森林組合に信用事業を付与するかどうかという点は、ちょっとまだ見通しがはっきりしないという感じがしますけれども、それは、いつまでも延ばすということではなしに、これは検討会でも、今後林野庁において調査検討を進めるということを言っておるわけですから、積極的な姿勢で臨んでもらいたいということを強く注文しておきます。
同時に、森林組合が信用事業を付与されるためには、だんだんそういうことになれていくということも必要なわけですね。時間の関係もあって、農林漁業金融公庫総裁の立場にある武田さんの方に、森林組合をめぐる資金循環の実態というのを、全森連とか県森連とか森林組合、林家等、これが農林公庫あるいは農林中金あるいは農協や銀行その他の金融機関とのかかわり合いにおいて、森林組合をめぐる資金循環がどういうふうになっているかということについては、私自身資料を持っておりますけれども、そういった中で、農林漁業金融公庫の林業面の制度金融、これは造林資金が相当のウエートを占めるというふうに思いますけれども、こういった農林漁業金融公庫の資金の貸付業務ぐらいは森林組合の方に委任をして実施をさせる、こういったようなことは、農林経済局の直接担当部局もあるわけですけれども、農林省として、森林組合が信用事業をやっていく、そのための第一歩として、とりあえず現段階において農林漁業金融公庫の資金の貸付業務ぐらいは委任を受けて森林組合が実施することができるというふうにすべきではないか、こう思うわけですけれども、こういった点については、農林漁業金融公庫としては、農林省さえそれはオーケーすれば結構でございますということであろうと思いますが、いかがですか、武田さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/16
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017・武田誠三
○武田説明員 私どもの業務の委託につきましては、現在の公庫法のたしか十九条だったと思いますが、それで農林中央金庫その他金融機関に対して委託することができるということに規定されておりまして、そういう点から、どうもいまの森林組合ないし森林組合連合会に私どもの業務を委託をする、いわゆる委託貸しの道を開くということは非常に困難な状態でございます。これの公権的な解釈はもちろん役所でやっていただくわけでありますが、現在までの私の聞いております限りの解釈としては、その金融機関の中に森林の組合を入れるわけにはいかないというのが公的な見解になっているようでありますので、その点がまず第一に制度上の障害になっているということでございます。
それからあと、現実にその障害がなくなったときにどうかということにつきましては、それぞれの連合会なり何なりの能力といったものを見た上で個別に判断をしていくよりいたし方がなかろうかというように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/17
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018・角屋堅次郎
○角屋委員 この問題については、農林漁業金融公庫の業務方法書との関連で、そういう道が見出せるかどうかという意見も必ずしもなくはないわけでありますけれども、いま武田さんの言われたようなそういう制約条件というのはもちろんかかわっておると思います。
この際、今度は政府側ですけれども、先ほど大臣も言葉としては言われましたが、農業近代化資金、漁業近代化資金と同じような趣旨において、この信用事業の付与の問題に関連をして、やはり林業近代化資金の創設といったような問題も関連をして検討を進めてもらいたいと思うし、いま言った農林漁業金融公庫の貸付業務ぐらいは、委任を受けて森林組合が実施できるように、いわば信用事業を付与していく力をつけていくという立場からも、農林中金の関係なり、農林漁業金融公庫の関係等については、農業協同組合や漁業協同組合が取り扱っておるような形のものを、できるだけ力をつけさせるためにも森林組合に付与する、そういった改正についても、成案を得られれば適当な段階でそういうものを出してくるという積極性が私は必要であるというふうに思うのですが、その点どういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/18
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019・藍原義邦
○藍原政府委員 いま総裁の方から制度的なお話がございましたが、実態といたしましては、公庫から長期の資金を借り入れました場合には、県の連合会を通じまして流しております。実態的にはそういう形になっておりますし、また林業といたしましては、先生十分御存じのとおり、林業改善資金というものを数年前設定いたしまして、そういう形で、名前は近代化資金ではございませんけれども、改善資金という形の中で、これからの林業のいろいろな問題について対応すべき融資制度というものを考えております。
そういうことで、私どもといたしましても、森林組合がさらにこれから強化されるためにも、いろいろな方途を考えなければいけないというふうに思っておりますし、いま先生がおっしゃいましたようなことも含めまして、今後、森林組合がこういう信用事業に関連いたしますいろいろな金融的な問題にどう対処していくのかということにつきましては、引き続き十分検討はしてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/19
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020・角屋堅次郎
○角屋委員 林業改善資金が現実にあることは私自身も知っておるわけでありますけれども、やはり林業の性格から見て、林業近代化資金という場合は長期性を持たせる、あるいは金利についてもなるべく低い金利でという前提に立たなければ、国有林野事業だって、政府自身が特別措置法を出す、社会党自身も再建整備の特別措置法を出す、林業に関する問題では国有林は別であって、民有林については置かれておる条件はそれほど厳しくないというものではなしに、やはり林業をめぐる情勢というのは、国有林であれ民有林であれ非常に厳しい条件に置かれておるし、これは相当の期間続くということですから、森林組合自身の問題についても、こういった金融面についても厳しい情勢下においてどう対応していくのか、あるいは森林組合自身について、田舎へ行けば農協や漁協と肩を並べて一緒に近くにおるわけですけれども、そういう面で、いつになっても、一方の方はちゃんと信用事業は付与されておる、一方の方はそういうものは付与されてないという形が続くこと自身は、これはやはり新しい門出に当たって、なるべく早い機会に信用部門を付与します。そのためのいわば訓練というわけで、力をつけるためにもかくかくしかじかのものはいずれその前にでもやらせます。こういった姿勢がなければならぬというふうに私は思うのです。これを強く求めておきます。
次に、武田さんも指摘されました「組合員の行う林業に関する共済に関する施設」というふうな形で、それぞれ関係条項の中で、森林組合あるいは同連合会あるいはそれに対する政府の監督指導あるいは共済規程といったような形で、第九条第二項第十一号、第十九条、第二十条、第二十一条、第二十二条といったような関連で新しく組合の行う共済事業について法的根拠を与えたわけです。
そこで、この問題で若干お聞きしたいと思うのですけれども、御案内のとおり、全森連共済あるいは国営の保険、民営の保険の現在は三本立てになっておるわけでありまして、この三本立てを、いわば現状を肯定して、全森連の共済について、今度の単独法制定の際に法的根拠を与えるということにしたわけです。これは現状肯定の上に立つ限りは必要な措置だというふうに思います。
そこで、現実に全森連共済、これは昭和三十一年から福利厚生事業で開始をされたものでありますし、それから国営保険については昭和十二年から開始をされておるわけであります。民営保険は民営としてやられてきたわけでありますが、いまのところ、全森連共済、国営保険、この二つは保険の対象を人工林を中心にして、国営保険の場合は人工林、あるいは全森連共済の場合には人工林と特約で伐倒木ということでやられるわけですけれども、このなわ張りは一応ある程度仕分けがされておるように見えますが、一方で国営保険があり、一方で全森連共済が従来からも行われておって現実に行われている、これに法的根拠を与えられる。この全森連共済と国営保険の将来展望は、政府としてはどういうふうに考えておられるか、農林省としてはどういうふうに考えておられるか。団体側から言えば、国営保険を全森連共済の方にいただいて、そして異常な災害のときには農業災害補償法に基づく農済あるいは漁業災害補償法に基づく漁済のように、政府が再保険をするというような形をとってもらえれば、団体自身でやれるというふうな意見も聞くわけであります。
民営保険はともかくとして、全森連共済あるいは国営保険、現状については述べませんけれども、これの将来の方向については、これは県等もずいぶんいろいろ団体側と折衝され、また武田さんのところでも検討されたことなんですけれども、今後の方向として、当面どう考えておられるのか、それをお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/20
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021・藍原義邦
○藍原政府委員 いま先生御指摘のように、ただいま三本立てで運営されておるのが実態でございます。一つが一般の民間によります民営の保険でございますし、一つが森林組合がやっております共済事業でございますし、一つが国営でございます。
民間がやっております保険につきましては、これは火災だけが対象になっておりまして、主として加入者も会社有林が中心になっております。それから森林組合がやっております共済事業は、契約面積の大体七〇%ぐらいがいわゆる三齢級、十年生以上の森林が中心になっておりまして、国営保険の場合には約八〇%が一、二齢級、すなわち十年生までという形に大体実態としてはなっておる次第でございます。こういう実態になっておるということは、やはり若齢の森林の方が事故率が高いということ、そういうことでいろいろ危険負担も多いということでございますし、私どもも、そういう形で現在三本でやっておるのがいいのか悪いのか、非常に問題もございます。さらには森林火災共済事業が進展してまいりまして、行政管理庁の方からもいろいろ指摘も受けております。そういうこともございまして、国営保険とこの森林組合がやります共済事業とのあり方につきましては、大きな課題として私ども受けとめておりまして、そういう観点から、総合的な問題の一環として検討を続けてまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/21
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022・角屋堅次郎
○角屋委員 いまもお話しのようなことで、この三保険の契約保有状況というものを見てみますと、昭和五十一年の場合、全森連共済では面積にして八十六万九百三十六ヘクタール、全森連共済の金額としては二千五百三十億程度、国営保険の場合は面積にして百三十八万八千九百五十二ヘクタール、金額にして三千三百六十五億、こういった形でありますし、民営保険の場合は、同じく五十一年で金額にして二千百九十二億、こういうことで、この面積合計をいたしますと、人工林約八百万ヘクタールを超えておるわけですが、三保険のカバー率というのは大体三割ということになるわけです。
いずれにしても、いまこれからの問題については、今後全森連共済、国営保険の問題については考えたい、それは現段階ではそういうことだと思います。しかし、たとえば噴火に対して森林災害の問題をどうするか、これはいまの三保険ではそういう形のものを入れてない、あるいはこういった森林災害に対する新しい要請というものが林業家の方からある場合に、林業災害としてそれをどう受けとめるかといった問題も含めて、全森連共済が森林組合法によって法的根拠を与えられた機会に、新しい気持ちでこの二保険の今後の方向をどうするかということについて前向きな検討と適切な措置をとるようにぜひしてもらいたいというふうに希望いたしておきます。
森林組合、従来の施設組合が作業班を持って、いわゆる受託によるところの森林の施業または経営等を担当してやってまいったわけでありますけれども、この森林組合作業班の状況を見ますと、大体六割近くが作業班の設置をし、約五万を超える作業班の従業員を持っているわけですけれども、最近は横ばいの傾向でありますし、また老齢化の傾向もありますし、この森林組合の作業班について、やはりこれは仕事を恒常的に与えなければならぬという問題、そういう点についての工夫はどうしているのか。あるいは社会保障制度として、一般的な労働者の問でだんだんに改善をしてきておるわけですけれども、どういう水準にあるのか、まだ制度的に残された問題は何か。たとえば退職金等の問題については、これはことしから予算をとって三年間でとりあえずスタートができる準備をしようということをやっておられるわけですが、それらの問題についてひとつ御答弁を願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/22
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023・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合が今後発展していくためには、やはり森林組合が行います森林に関連いたしますいろいろな事業が今後とも伸びていく必要があろうと思いますし、やはり森林組合が行います事業の中心は、この作業班がこれを行いまして、地域の森林経営の中核として動いていくということが将来とも必要であろうというふうに考えております。
作業班の実態は、いま先生が御指摘になりましたように昭和五十年度末現在で約五万七千人となっております。そして作業員の七割近くが森林組合員またはその家族で占められております。こういうような作業班でございまして、みずから経営する農林業の傍らに、短期的に森林組合の作業班員として就労する者が多いというのがこの特徴であろうというように考えております。
こういう作業班でございまして、確かに社会保障的ないろいろな制度に対しましては、私どもも鋭意その加入等々に努力するような推進をしてまいりましたけれども、現在年間の就労状況を見ますと、九十日未満の者が約三割程度を占めるというような実態でございまして、就労が必ずしも通年的でないということはございます。そういう観点から、労働者を対象にいたしました社会保障制度への加入というものが、労災保険を除きましては非常に低位にあるというのが実態でございます。しかしながら、制度的に見ますと、医療及び年金につきましては、国民健康保険あるいは農林年金または国民年金ということで対応することが可能になっておりますし、また失業保険につきましては、五十年四月に雇用保険法が改正になりまして、林業につきましても当然適用ということになりまして、制度上の基本的な問題は、退職金制度を除きましてはほぼ私どもは解消されているのではなかろうかというふうに考えております。
そこで退職金につきましては、一般の中小企業の退職金共済制度がございますけれども、これは林業にも任意適用という形で適用されることにはなっております。ただし、特定の事業主に常雇いとして一年間大体通年して雇用される労働者を対象にしております関係上、先ほど申し上げましたように、林業労働というのが、その就業の実態が季節的あるいは間断的であるというような問題から、非常に適用が困難な実情にあるというのが実態でございます。そこで、私どもといたしましては、林業の就労の実態に適応いたしました中小企業退職金共済法に基づきます特例的退職金共済制度の創設をできるだけ早く実現するべきではなかろうかということで、五十三年度から新たにこれに対応する施策を実施することにいたしております。
森林組合の作業班員の社会保障制度への加入につきましては、森林組合の育成強化を図る一方、林業労務改善推進員というのがございますけれども、この指導等を通じまして、先ほど来申し上げましたような非常に加入率の低いものもございますので、一層推進してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/23
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024・角屋堅次郎
○角屋委員 この林業労働者は、国有林の場合でも民有林の場合でもそうですけれども、今後必要な林業労働力を確保するということはなかなか困難になってくる。現実に木材生産の比重の高い、山村振興法等で対象になっておるようなところは、実際は、面積としては相当半数近いウエートを占めておるけれども、人口比率から言えば数%にすぎないといったような、数字は挙げませんけれども、そういう実態になってくるわけですね、総人口からいけば。だから私は、この林業労働者というものをやはりきちっと近代的労働者として確保していくという立場からいけば、港湾労働者に港湾労働法があるように、林業労働者にも林業労働法というふうなものの制定を前向きに考えて、そしてやはり林業従事者の労働条件とかあるいは福祉の向上というものを進めるべきではないかというふうに思うのです。今度の森林組合法の中でも、たとえば第九条の「森林組合」の中で、第二項の十二号のところで新たに「組合員の林業労働に係る安全及び衛生に関する施設」ということで、これは後ほどまた同僚議員からもそういった条項についてはさらに質問が展開されると思いますけれども、そういったことも含めて、やはり林業労働者の近代的労働者としての条件を整備する、そのためには林業労働法というものも政府自身でも前向きに検討すべきではないかというふうに思いますが、その点について大臣いかがですか。
〔山崎(平)委員長代理退席、片岡委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/24
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025・藍原義邦
○藍原政府委員 林業労働につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、一応森林組合の作業班としてつかまえました場合には五万人強の作業班員がおりますし、それが最近の状況を見ますと、大体その数字で固定しているような実態でございますが、また林業に従事する人間はどうかということを調べますと、大体二十二万人、全国に統計では出ておりまして、ここ数年さほどその数字も異動はいたしておりません。しかしながら、やはりその林業労働の内容を見ますと、質的な問題としては非常に高齢化の傾向にもございますし、新規参入者の参入が非常に少ないというような実態もございます。こういう林業労働を取り巻きます情勢は非常に厳しい問題もございますので、私どもといたしましても、林業労働の対策としては非常に、これにつきましてはやはり適切な施策を講ずることが必要であろうということは十分考えておる次第でございます。
ただ、いま先生が御指摘になりましたような林業労働法という問題になりますと、やはり林業労働の特殊性が非常にございます。したがいまして、なかなかその辺につきましてはむずかしい問題もあるというふうにわれわれ理解いたしておりますが、特に林業労働の特殊性といたしましては、森林所有規模が非常に零細であるということ、あるいは作業が非常に季節的で制約的であるというようなこと、また先ほども申し上げましたけれども、農業等の兼業労働力に依存する割合がきわめて高いというような問題、こういうようないろいろな形態の労働者がおりまして、さらにこれが全国的には非常に散在しておるというような問題もございます。そういう観点から、これを法律によりまして一元的な体制に展開していくということは、その基盤が必ずしも私は十分ではないんではなかろうかというふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/25
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026・角屋堅次郎
○角屋委員 三、四時間もあればですけれども、時間が二時間に限られておりますので、広範な問題に詳細に触れることはできませんが、やはり今日林業をめぐる情勢が厳しいということの条件の中には、国内の森林資源の積極的な培養といいますか、そういうものがやはり忘れられて、安易な外材依存主義、しかもこれは、外材を取り扱うのは商社の恣意によってやられる、外材がいわば日本の木材需要の中にがっちりとビルドインされるというところに、基本的に問題があるというふうに私は思うのです。やはり外材輸入の増大ということが国内の森林資源の荒廃、そのまた荒廃を通じて外材輸入の増大という悪循環といったようなことに今日なっておると私は思うのです。
そこで、まず冒頭にお伺いしたいのは、御案内のとおり、森林法に基づいて森林資源に関する基本計画というようなものがずっとやられてきたわけですが、さらに林業基本法が御承知のように昭和三十九年に法律第百六十一号でできましてから、同法の第十条第二項の規定に基づいていわゆる「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」というものが立てられるわけでありますけれども、これが昭和四十八年二月十六日付で昭和四十一年四月五日付の総理府本府公表のものを改定したわけでございます。この昭和四十八年二月十六日付の「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」というものを、用材の総需要量の見通しと実績、あるいは国産材供給量の見通しと実績、あるいは外材供給量の見通しと実績というものを見てまいりますと、現状においてはある程度やはり乖離が生じてきておるというふうに思うのです。こういった乖離の問題については、やはり実態を今後低成長下において展望しながら、現実に将来展望として合うように改定をするということも含めて、どう考えておられるのか、その辺のところをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/26
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027・藍原義邦
○藍原政府委員 森林資源に関します基本計画あるいは需給の長期見通しにつきましては、ただいま先生御指摘になりましたように、林業基本法ができまして以来これをやっておるわけでございまして、昭和四十八年の二月に閣議決定を見たものが現在考え方としてわれわれの指針になっておるわけでございますが、御存じのように、基本計画は、指向いたします森林資源の状態あるいはこれに至るまでの十年ごとの森林資源の状態を五十年間にわたりまして定めまして、また長期見通しは林産物の需給を十年後及び二十年後について見通したものでございます。御案内のように、四十八年当時はまだわが国の経済も伸展いたしておりまして、現在の経済あるいは社会情勢と比べますと非常に大きな違いがございます。したがいまして、そういう時点に、その時点の政府の考え方なり施策なりを基礎にいたしまして長期の見通しというものをつくったわけでございますが、その後森林、林業を取り巻く内外の環境も非常に大きく変化いたしております。それから木材の需要なり価格も非常に低迷いたしておりまして、林業コストの増大あるいは林業の生産活動の停滞などが非常に厳しい局面に現在来ております。そこで、先生がただいま御指摘になりましたように、この基本計画あるいは長期の見通しと実績の間には確かに乖離が生じておることは事実でございます。
具体的に申し上げますと、昭和五十一年におきます用材の総生産量の実績は、この時点に対応いたします長期見通しの推計値に比較いたしますと約一三%落ち込んでおります。それから国産材の供給量につきましても実績は約二五%の落ち込みになっております。また人工林の面積でございますけれども、これは昭和五十一年度現在で最終目標の約七一%、九百三十八万ヘクタールに達しておりますけれども、これも五十一年度に対応いたします基本計画の推計値の約九二%、前二者に比べますと非常に高うございますけれども、やはりある程度低い水準になっております。
このような乖離が生じた主な原因でございますけれども、いま申し上げましたように、わが国の経済成長のあり方がある意味で変わってきたという非常に大きな問題がございますし、ことに四十八年をピークとして停滞し、その後いわゆる安定成長に移行したというような形で、この変動に影響されるものが非常に多いというふうに考えます。
ただ、これらの計画につきましては、林木の生育期間が非常に長いという問題がございます。したがいまして、そういう特性にかんがみて、きわめて長期の観点からこの計画も策定されておりまして、また一方では、森林、林業の諸施策に関します基本的な指針としての性格もこの計画は持っておるわけでございます。そういうことから考えまして、この計画につきましては、ただ短期の変動がいろいろあったからというので実績と対比するだけでは必ずしも十分ではない。そういう比較も非常に必要ではございますけれども、ただ単にそういう比較をするだけではなくて、やはり今後日本の経済の推移の方向を十分見ながら、広く各界の意見を聞きながら所要の検討を進めていく必要があろうというふうに考えておりまして、私どももそういう観点から、いろいろな関係者の御意見を聞きながら必要な検討は進めていく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/27
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028・角屋堅次郎
○角屋委員 建設省から来ていただいておると思うのですけれども、けさの新聞にも出ておりましたように、ことしは公共事業を景気刺激の一つの決め手のように政府は言いながら、しかも、そういう中で住宅建設に相当ウエートを置いてやろう。現実には去年の公団住宅あるいは公営住宅はなかなか目標にいかない。またことしの場合も、景気刺激の重点項目として住宅建設を取り上げるけれども、これは果たしてそれなりの影響、力を持つのかという点にも不安がある。きょうは森林組合法の議論でありますけれども、森林組合法で出てくる材木そのものは住宅にもやはり使われていく。その場合に、大都会等においてはプレハブ式のもの、あるいはいわゆる在来工法というのじゃなしに他のやり方でやられていって、輸入材がそういう面に相当振り向けられる。地方に参りますと、在来工法で建てるところももちろんありますけれども、建築関係については外材比率というものがだんだん増大をしていく。これは農林大臣も国務大臣として関係があるし、建設省との関係では、輸入がどんどんふえていくということで国内の林業は荒廃をしていく、その中でまた輸入材がふえるという悪循環を断ち切らなければならない。したがって、長期見通しのこともありますけれども、そういった点では、輸入問題については商社の恣意に任せるのではなしに、農林省が中心になって、責任ある関係団体との間で、いわゆる需給調整等を中心にした協議会というふうなところで十分適切な対応ができるというふうなことも考えていかなければならぬじゃないかと思いますが、それは農林省関係の問題で、建設省にお聞きをしたいのは、いま言ったように、公営住宅、公団住宅はここ数年目標どおりいかない、今度は決め手の一つとして住宅建設ということを言っているけれども、これもうまくいくかどうか、そういった問題について、建設省としては今後どういうふうな対応をしていくのかという点について御答弁を願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/28
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029・鴨沢康夫
○鴨沢説明員 住宅計画課長でございます。
ただいま御指摘の住宅建設計画が今後うまくいく見通しであるかどうかというお尋ねでございますが、私ども、現在、昭和五十一年度を初年度とする第三期住宅建設五カ年計画を実施をいたしております。現在のこの計画の進捗状況は、五十三年度の予算を計画に入れまして、三年度で六一・九%程度の達成率となる見込みでございます。したがいまして、第一期、第二期と比べまして三年目における進捗率もむしろ従来よりも上回っておるという現況でございます。したがいまして、総戸数についてはそういう点では心配をいたすような状態ではないと考えております。
ただ、御指摘のように、最近大都市を中心といたしまして、その中身としての公営住宅、公団住宅というものが建ちにくくなっているというのは事実でございます。そこで、これらの問題に対しましては、たとえば関連公共施設の補助金を五十三年度から創設するとか、それ以外にもいろいろ団地建設の促進を図るような手を着々打ってまいっております。そういう方法によって公営住宅あるいは公団住宅の戸数は何とか確保したいというふうに考えておりますが、計画全体としては、先ほど申し上げましたように達成の見込みは十分可能なところであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/29
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030・角屋堅次郎
○角屋委員 あと二十分ばかりになりましたので、相当まだ基本的な問題でお尋ねすることを予定しておりましたが、数項目法案関連の方に入っていきたいと思います。
これは四十九年度改正のときに相当な改正をやったわけですが、なおかつ今度の森林組合法案の中で、従来の森林法と対比をした場合に、法第六条第一項の規定、第七条の規定を初め、新旧の比較表でたくさんの改正部分があるわけですけれども、その重要なものについて、理由は要りませんから簡潔に説明を願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/30
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031・石川弘
○石川政府委員 主だったものだけを取り上げて御説明いたします。
今度の法六条一項でございますが、これは独禁法の適用除外規定でございます。従前「商業又はサービス業を主たる事業とするものについては二十人」とございますのを「小売業又はサービス業を主たる事業とするものにあっては、五十人」ということに改めております。
七条でございますが、事業利用分量配当等の課税の特例について規定を新設をいたしております。
八条でございますが、登記に関する規定を法文上削除いたして、政令委任をいたしております。
九条一項四号でございますが、病害虫の防除その他組合員の森林の保護に関する施設を必須事業にいたしております。
九条二項十一号あるいは法十九条から法二十二条、それから百一条一項十三号、百九条一項の準用を新設いたしておりまして、これは林業に関する共済事業関係の明文化規定でございます。
法九条二項十二号、百一条一項十四号でございますが、これは組合員の林業労働に係る安全及び衛生に関する施設を新設したことに関する規定でございます。
法九条九項でございますが、これは必須事業の員外利用の制限を緩和しております。
法十条でございますが、森林組合が信託事業を行いますときに信託規程を定めなければならないということにいたしております。
法二十七条一項でございますが、組合員資格を森林所有者たる個人と法人とに分離して規定をいたしております。
法六十一条一項でございますが、森林組合の総会の議決事項として連合会の設立、加入、脱退等に関する事項を追加をいたしております。
法七十九条でございますが、行政庁が組合の設立を認可しない場合といたしまして、「事業の目的を達成することが著しく困難であると認められるとき。」ということを追加いたしております。
それから、法九十三条第二項第一号でございますが、生産森林組合の事業として食用きのこの生産というのを追加いたしております。
法九十四条でございますが、生産組合の組合員たる資格を「組合の地区内に住所を有する個人で林業を行うもの又はこれに従事するもの」と改めております。
法九十五条第一項でございますが、生産森林組合の組合員の事業の常時従事義務を緩和いたしまして、二分の一といたしております。
それから法百条第二項でございますが、生産森林組合に総代会の規定を準用することといたしております。
法百一条でございますが、森林組合連合会の事業として監査事業を新設いたしております。
法百十一条第三項と百十二条でございますが、共済事業を行う森林組合等に対する随時検査、行政庁の監督上の命令等の規定を新設いたしております。
それから、法百十一条第四項でございますが、生産森林組合に対します常例検査の規定を廃止いたしております。
法百十三条第三項、第四項でございますが、信託規程等の承認の取り消しの規定を新設いたしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/31
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032・角屋堅次郎
○角屋委員 いま、旧来の森林法の中における森林組合制度の関係と新法として出しております森林組合法との関係の対比で、主な改正点ということについて説明がございました。時間の関係もありますので、そういった中で数点だけお伺いをしておきたいというふうに思います。
森林組合については、従来は施設組合あるいは生産組合という区分がありましたけれども、今度森林組合と生産森林組合というふうに二区分になったわけでございますが、今度の森林組合の組合員のところを見ますると、第二十七条第一項第二号というところに、「組合員たる資格」の中で、「生産森林組合その他の森林所有者たる法人」ということで、生産森林組合が森林組合の組合員になるということを明記したわけですね。今度は生産森林組合の方を見てまいりますると、生産森林組合の場合に総代会等を新設する等の問題もございますが、要するに、生産森林組合自身が連合会を持てるというふうな形を考えておられるのかどうかという点で疑問があるのと、本来、森林組合の中の組合員に生産森林組合が入るわけでございますが、それがまた生産森林組合自身でも連合会を持つということになりますと、将来の森林組合全体の運営の中で問題が生じないのかどうか、そういう方面の指導はどういうふうにやっていかれようとしておるのか。これは、本法の附則を見てまいりますと、附則第四条のところで、「この法律の施行の際現に存する連合会であって生産森林組合連合会という名称を使用しているものについては、第三条第一項に規定する要件を満たすものとみなす。」という形で、連合会というものは認められていく。これは、経過措置としてこうなるわけですけれども、従来ですと生産組合もありましたけれども、今後の方向として、そういう指導方針として森林組合の方の連合会、それから生産組合も連合会というふうな形のものを並行して考えていくのかどうか。こうなりますと、森林組合全体の運営の中では将来問題が生じないか。しかも、生産森林組合については、今度新たに農林中金の点についても法改正を通じて出資ができるという形を加えたわけですね。その辺のところの指導というのはこれからどうやっていかれるつもりなのか、明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/32
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033・石川弘
○石川政府委員 御指摘のように、組織の性格から申し上げますと、まさしく生産森林組合はいわゆる生産を主体といたします組合でございまして、その上部の段階として、従来でありますと施設組合、今度の改正でございますと森林組合がある。その森林組合を中核といたしまして、連合会が県段階あるいは国段階に形成されていくというのが常道であろうかと思っております。
私ども、現在考えておりますのは、今後の行政指導といたしまして、生産森林組合につきましては極力森林組合に加入をしていただく、その森林組合が連合会を組織し、あるいは全国連を組織していくという姿を望んでいるわけでございますが、先生いま御指摘のように、現段階では生産森林組合が組織します連合会が存在をいたしております。これはただ一つでございますが、現存しておりますので、その現存しておりますものは現に存在いたしておりますものとして存在させざるを得ないということで附則等の規定があるわけでございます。
それからもう一つ、それではなぜ生産森林組合がいきなり連合会に入る道を現在も開いているかということでございますが、これは、実は、市町村等の段階で森林組合が存在いたしませんで、その下部組織としての生産森林組合だけが存在しておりますものが約百六十ぐらいございます。そういう地域につきまして森林組合を指導によって設立していきますれば、その森林組合に加入させ、連合会直接加入ということをしなくてもいいわけでございますが、直ちにそういうことは不可能でございますので、道といたしましては生産森林組合を連合会に加入させる道を開いておりますが、今後の指導方針といたしましては、先ほどから申し上げておりますように、生産組合は、第一義的には森林組合に加入し、その森林組合が連合会に加入していくという方向で行政指導をいたしてまいりたいと考えております。
〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/33
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034・角屋堅次郎
○角屋委員 役員の兼職禁止の問題ですけれども、これは従来、森林組合の場合は、監事については兼職禁止の規定が明定されておったわけですね。今度は理事について監事または使用人になることができないという禁止規定があるわけです。これは法のたてまえ上は、やはり森林組合がこれからスタートしていく場合に、従来は監事だけでしたけれども、筋道を立てていこうという考え方に基づいて理事についてもそういう形をとったのだろうと思う。ところが、現実は、森林組合というのは労務班のいわばリーダー的な者、あるいは労務班の中で熱心に仕事をしておるような者が一部理事の中に入るという形があるようですね。今度は規定できちっとこう厳しくなるのは、筋道としてはわかるけれども大変困ったことだという声を、率直に言って聞くわけです。この点については、経過措置の中では、御案内のとおり、附則第七条のところで、前段は読まずに中段から読みますと、「この法律の施行の際現に森林組合、生産森林組合又は連合会の使用人と兼ねている理事については、この法律の施行の日から起算して六月間は、適用しない。」六カ月は待ってやるという形に第七条で書いておるわけですけれども、筋道としてはわかるけれども大変困ったことだ、率直に言って、第一線の森林組合のそういう実態がございます。これはまあこれとして、第九条のところでは、今度は「この法律の施行の際現に在任する連合会の理事については、その任期が満了するまでの問は、第百五条本文の規定にかかわらず、なお旧森林法第百五十六条本文の規定の例による。」こちらの方はその任期が満了するまでという形でいっておる。それで、一方の方の理事の点については、「この法律の施行の日から起算して六月間は、適用しない。」六カ月は待ってやるということになっておるわけですけれども、この辺のところは筋論と実際論という面で現実にどういうところまでを考慮したらいいのか、私自身も的確な判断というものを明確に持っておるわけではありませんけれども、実態から見て困ったことだ。従来は監事だけだったけれども、理事にもきちっとしてきた。筋道としてはわかるけれども、困ったことだという声を聞くわけですが、その辺のところは、これはこうして出しておられるわけですけれども、どういうふうに考えておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/34
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035・石川弘
○石川政府委員 御指摘のとおりでございまして、筋論といたしまして、やはり理事と使用人の関係を峻別をいたしますためにこのような規定を設けたわけでございますが、いま御指摘のように、森林組合の場合に熱心な理事の方が労務班員として事業をなさっている、仕事をなさっているという関係がございます。そこで私どもといたしましては、今後の方針といたしまして、労務班員として働いていただきます場合に、これを使用人としての報酬ではなくて理事の報酬として払っていただくように、理事活動の報酬として払っていただくように指導をするということが一点でございます。それからもう一点は、作業班として労務を提供いたします場合に、いわゆる理事の権限を行使しない、理事として活動をしないということなどを規約に明定をいたします。このことによりまして労災保険等が適用されることが可能となるわけでございますが、以上のようなことをよく指導いたしまして、従来のような活動をしていただくことが可能なように指導をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/35
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036・角屋堅次郎
○角屋委員 だんだん結びをしなければならぬ段階になりましたが、今回の森林組合法案に基づいて森林組合が新しい気持ちでスタートする。何か嫁入り道具がまだきちっとそろってないという実感を私自身は持っておる。森林組合の単独立法制定を検討せよ、附則で。玄関を出たら、必ず森林組合法の単独立法を持たなければ玄関を出られぬという形で、農協、漁協と対比をして、第一次産業のいわば林業面を持つ組合としてスタートができるように、その点では何もかもそろっているという感じを持ってない。
私、きょうは全部はできませんから、若干のポイントについて議論をしてまいりましたが、そこで、森林法で明治四十年以来そこに寄居しておったわけですけれども、単独立法として森林組合がスタートする場合は、当然、従来もそうでありますけれどもいわゆる森林法がある、一方には林業基本法が新しく制定された。このいずれもから、森林組合はやはり担当すべき仕事については担当して、森林組合としての仕事をやっていかなければならぬ、こういうことになるわけですね。だから、そういった点で、森林組合法というものが新しくスタートするに当たって、森林法との関係、林業基本法との関係、こういった点についてはどういう方向で指導されていかれるのか、基本的な考え方をひとつ御答弁願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/36
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037・藍原義邦
○藍原政府委員 先ほど来先生からも御指摘があり、また大臣その他から答弁いたしておりますけれども、森林組合につきましては、いま先生御指摘になりましたように森林法の中から抜け出しまして、森林組合法という形で新しく取り出し、単独法として今度は根拠法規になるわけでございますけれども、私どもの考えといたしましては、やはり日本の林業なり林政というものを考えてまいりますと、森林の保続培養を主たる目的といたします森林法を中心としての保安林の整備臨時措置法だとか、あるいは森林病害虫等の防除法だとか、そういう森林法を中心にいたしました一つのグループが法律としてはございます。それからもう一つは、林業の発展と林業従事者の地位の向上を中心といたしました林業基本法を中心といたしまして、入会林野の近代化法だとかあるいは林業改善資金助成法、こういう関連法がございまして、大きく分けますとこの二つのグループに分かれて林政というものは推進されているというふうにわれわれは理解いたしております。
今回私どもが御討議願っております森林組合法案は、その目的規定におきまして、第一条に書きましたように、一方では林業基本法の目的といたします森林所有者の地位の向上を図るということがございますし、他方では森林法の目的といたします森林の保続培養、生産力の増進を図るということと、両面を並列して法律にも明記しておるわけでございまして、今回の森林組合制度はこれらの二法を踏まえました制度で、森林組合としてもこの二法を踏まえて今後とも森林組合が発展成長していくというふうに私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/37
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038・角屋堅次郎
○角屋委員 最後に大臣にお伺いをして質問を結びたいと思うのですけれども、林業基本法及び森林法と新しく発足していく森林組合法との関係ということについて、いま林野庁長官からも御答弁ございましたが、いわゆる農業協同組合、漁業協同組合と、単独法としてすべり出します森林組合法という場合の森林組合の仕事という場合に、いわゆる公益的機能というものは非常に重い任務として森林組合にはかぶさっておる。
林野庁はかつて緑の効用というふうなことで、昭和四十七年でしたか、とにかく十二兆円近くの緑の効用というのを森林がもたらしておる。いまの時価に換算すれば二十兆円を超えると思うけれども、いずれにしても、そういう保安林等を含めて国土の保全あるいは水資源の涵養、自然環境の保全、形成といったような公益的任務を持っておるし、それをまた森林組合というのは今後ともに一つの重要な仕事としてやっていかなければならぬ。これは農業をやっていく場合、漁業をやっていく場合と違った一つの重みを森林組合は持っておる。それだけの緑の効用があるというのなら、まだ滑り出す前に、私は、森林組合の実態というところに入ってさらに分析し、議論したいと思ったのですけれども、これは時間の関係上、同僚議員にまたやっていただけると思いますが、実際森林組合というのは、農協、漁協から比べれば、政府が積極的なサポートをやらないと力強くスタートするというわけにいかないと思うんですね。そういう意味で、第百十七条の「組合に対する助言、指導等」「国及び都道府県は、組合に対して、その行う事業を通じ、森林の有する公益的機能の維持増進が図られるように、その健全な運営と発達について助言及び指導を行う等必要な配慮をするものとする。」こういうふうに従来の文章をそのまま踏襲したわけです。ここでもやはり「森林の有する公益的機能の維持増進が図られるように、」という点を強調しておる。森林組合はこれを受けなければならぬということになっておる。それから第百十八条の「国の補助」のところでは、「国は、都道府県に対し、政令で定めるところにより、都道府県知事が行う第百十一条の規定による検査に要する経費の一部を補助する。」この程度なんです。「国の補助」と言って大きく書いてありますけれども、この程度なんです。私は、やはり新しい門出のところには幾つかの国の補助というものがここに加わって、そうしてスタートする、はずみもできる、林業をめぐる情勢はきわめて厳しい、それに耐えてやはり林業をやっていく、そういう森林組合のバックアップというものが政治的にいけば必要である、そういう情勢であると思うのだが、後の方になると、竜頭蛇尾というのはこのことだと思う。私はそういう点で、もちろん林業構造改善なりあるいは間伐に対する問題なり、あるいは新しく出てまいります監査士制度の問題なり、あるいは私が議論をしてまいりました森林組合、同連合会等の担当事業、そういうものに対するいろいろな行政指導なり援助ということ、これまた重要なことだと思うのですけれども、もっとやはり森林組合プロパーに対する積極的なバックアップの姿勢というのが、これから相当な期間林業をめぐる厳しい情勢が続くだけに、国有林についても政府は改善特別措置法を出そうとしておる、これは二十年間を展望して、十年間とにかくこういうことをやろうと考えているのだということを提案をしておる。わが党の場合には、国有林野事業の再建整備特別措置法の形において、二十年間に政府よりもっと厚みのある再建整備の特別措置法を出しておる。民有林関係、森林組合関係については竜頭蛇尾のごとく従来どおりということで果たしていいのかどうかという点に、率直に言って私は不満を持つわけであります。緑の効用ということを政府が認め、またそれが非常に重要だということを言うなら、こういう厳しい情勢の中で積極的なそういうものを速やかにひとつ打ち出してもらいたいと私は思う。
最後に大臣のこれからの基本的な考え方と抱負というものを承って、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/38
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039・中川一郎
○中川国務大臣 角屋委員御指摘のとおりでございまして、まさに日本の林業は、国有林を含めましていろいろな問題を持っており、林業自体の再建を図らなければならないと同時に、林業の持つ公益的機能すなわち緑の問題を含めまして大事でございます。その一環として森林組合というものを独立させる、独立した法律によってこれを運営していくということでございますので、組合の健全な発達を図るのみならず、林業構造改善やあるいは間伐等々国の助成措置も、ことしもかなり前向きではありますが、一遍になかなかできない面も予算でございますのでありますが、こうして新しく誕生いたしますことを契機といたしまして、国有林に改善を加えると同時に、より以上の気持ちを持って、森林組合法の誕生を契機として、万般にわたって最善を尽くすということを申し上げまして、私の決意といたし、御了承をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/39
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040・角屋堅次郎
○角屋委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/40
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041・中尾栄一
○中尾委員長 この際、午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時三十三分休憩
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午後一時三十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/41
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042・中尾栄一
○中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。島田琢郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/42
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043・島田琢郎
○島田委員 本法案につきましては、すでに私の方から質問の要旨について大臣の手元にも差し上げてございますから、おおよそこの順序で進めてまいりたいと思います。
まず第一点でありますけれども、私ども、四十九年の森林法の改正に当たっても、法案の一部改正で森林組合の独立を促進すべきである、こういう点について国会においての議論をしてまいりました立場から言いますと、本法案がようやく一人立ちの時期を迎えたというのはまことに御同慶でありますが、ただ、いよいよ出発に当たりまして中身を検討してまいりますと、幾つかのやはりしっかりした議論をしておかなくてはならぬ点にも気がつくのでありますが、その第一の点は、森林組合のあるべき姿、こういうものについてまだ必ずしも組合関係者との間に煮詰まっていない部分があるような、そんな感じがするのであります。したがって、午前中角屋委員からも同様趣旨の質問がなされておりますので、重複する面があるかもしれませんが、もう一度私はこれに対して大臣の正確な見解を伺いたいと思うのであります。
それは全森連、つまり全国森林組合連合会が一九六五年に森林組合制度の改正について大変貴重な提言をいたしております。その後引き続いて林業協同組合法なるものを提案してまいりました。今回の法の中で、おおよそこの目的は、全森連が言っておりますような目的と同じものがうたわれているのでありますけれども、重ねて私はお伺いをしておきたいのは、この点しっかりしておきませんと、森林組合というものが、協同組合的な性格ともう一つは公益的な機能とあわせ持つ、こういう、従来の農業協同組合法や漁業協同組合法等に見られない性格を一面持っているわけでありまして、その点は、森林組合の関係者の考え方というのはまことにすかっとしているわけでありますけれども、今回出されましたものは、そういう折衷的な考え方が目的に盛られているというふうにうかがい知れるのでありますが、重ねて申し上げてみますと、全森連の制度改正に当たっての大事な柱になっておりますものは、林業者の協同組織の発達を促進し、林業生産力の増進と林業者の経済的社会的地位の向上を図る、これが主目的であります。あわせて、国土の高度利用と国民経済の発展に資する、こういう考え方が主従の関係で明らかにされているのであります。協同組合的発想から言えば、まさに全森連のいう組合制度の改正の考え方は正しいのでありますが、しかし、今日的な長い歴史の中における森林組合の果たしてきた役割りとか、これから果たさなければならない役割り等考えてまいりますときに、その点については、考え方がきちっと整理されておりませんとその道を踏み誤る、こういうことにもなりかねないわけでございます。しかし、政府の今度出されました法案では、確かに森林組合関係者の意見というものを十分盛り込んだというふうになっておりますけれども、しかし、従来非常に長い間森林組合の制度についての考え方というものは、われわれが国会でかなりしつこく論議をいたしました中で、われわれの主張を繰り返してまいりました中でも、政府はかなり固執して、この目的にありますような考え方というものについては鮮明にされなかったという経過が一つあるのであります。それが、五年前の法改正に当たっての国会の考え方が出てきたということを理由にして、今度の法案でころっと変わったような感じになっておりますのは、果たして本物かどうかというのをやはり少し疑いたい気持ちがあるのであります。
私は、四十九年のときにもこの点をかなりしつこく議論をいたしました。当時の農林大臣も、私の考え方にやや同調しながらも、現行置かれている森林組合制度についてはそこまで踏み切るのはどうか、こういうふうに難色を示されて、なかなかこれに肯定をされなかったという経過があるので、私はやはりその点、中川農林大臣に正確にこの考え方について、目的にうたっております考え方というのは間違っていないのでしょうかということを念を押しておきたい、こう思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/43
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044・中川一郎
○中川国務大臣 森林組合法を独立させるということについてはいろいろな議論を重ねまして、また、問題も今後に残しておるものもありますけれども、現在においては目的は間違っておらない、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/44
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045・島田琢郎
○島田委員 大臣のおっしゃることを信じて、私はこれからもう少し問題を発展させてまいりたい、こう思うのであります。
そこで、そういうふうに目的をうたってまいりますと、やはり森林組合というのは明治から非常に長い歴史がございますだけに、一つの型にはまった体質とそれから現状肯定の姿というものは払拭し切れないという面があるわけでありますけれども、それと、いま法が志向しようとするこういう考え方との間には、やはりどうしても幾つかの面でギャップと隔たりがある、こんな感じが一つするのであります。この辺の隔たりというものをどういうふうに整理をすればいいのかという点について考え方を整理しなければならぬということが一つありますけれども、その考え方についてはいま大臣から正確に、これはまさに目的に沿った森林組合として今後発展させていくのだ、こういうふうにおっしゃっているのでありますけれども、しかし、さすれば、組合設立の条件とか、あるいはこれからあわせ備えていかなければならない幾つかの事業目的とか、こういったものを考えてまいりますと、どうもそれが目的どおりに進んでいくのにはいささか体質的にそぐわない面が出てくるような気がいたします。
一つは、この間成立をさせました合併助成法との関係でありますけれども、合併助成法と本法におきます整合性、こういう点について私は一つの疑義を持つのであります。たとえば組合設立の条件という点で考えますと、十人以上の発起人ということがうたわれておりますが、十人以上の発起人ということは、つまり十人以上集まれば組合を設立することができるのだというふうになるわけでありまして、そうすると、合併助成法では助成金を出して大型組合をつくるということを片方で行政的に指導しているわけでありますが、片方ではできた組合は小さくてもいいのだ、こういうことになりますと、せっかくの合併助成法というものが新しい組合設立に当たってどうも矛盾した感じになってしまいます。ですから、この辺のところは、合併助成法というのはきのうきょうできたものではなくて、何回も延長しながらこれをやっているわけですから、そのいわゆる経過的なものはわかるのでありますけれども、それがこれから、未組織町村とでも言うのでしょうか、そういう未組織な地域においてやはり組合を積極的につくっていかなければならぬという場面もありますから、その場合、合併助成法で言うような大型なものだけを考えていたらいつまでたっても組合ができないという悩みがあることは私もわかるのですけれども、どうもこの辺、組合の設立の条件一つ考えてみても、二つの法律の間の整合性というものについて釈然としないものが残る、こんな点が一つございます。こういう点なんかを基本的にはどういうふうに考えていけばいいのか、政府側の見解を求めたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/45
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046・石川弘
○石川政府委員 御指摘のように、せっかく組合を合併させまして強力な組合をつくっていくということを片方でやっておるわけでございますから、十人の方が設立の発起人となりまして手を挙げてこられました場合に、ただそれを事業の能力があるかどうかということと無関係に設立をさせますことは大変問題があろうかと思います。御承知のように、今回提出いたしております森林組合法の中には、設立の認可をいたします条件といたしまして、事業を行うに必要な経営的基礎を有することということを基準に新しく加えております。そういうことをも運用の際考えまして、組合として十分活動ができるものが生まれてくるように指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/46
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047・島田琢郎
○島田委員 問題は四番目に移りまして大変失礼をいたしましたが、たとえばそういう問題点が一つ指摘されるということの例を申し上げたのでありまして、後ほど正確に伺おうと思っていたのであります。
いまの現状とあるべき姿の隔たりをどう考えるのかという点で、一番目の大臣のいまの御見解に対してももう少し、事務的な立場で結構であります。長官の見解でよろしいのでありますけれども、本来、国際的な視野から言いますと、森林組合というものの発展の経過というのは、幾つかのタイプがありますけれども、大まかに分けますと、われわれが従来言ってまいりましたのはドイツ型というのとアメリカ型というのと二つあるわけであります。
ドイツ型というのがつまりわれわれが言う協同組合らしいかっこうでありまして、国の保護とか規制とか、まあ規制も一緒に入るのでありますけれども、国の保護が積極的に加えられる、そして積極的にこの組織を育成するという立場で行政が責任を持っているというタイプであります。これは三つに分かれておりまして、ウエイトゲンシュタインの造林法というのが初めて出てまいりました。その後で森林保護法というのが出てきた、そしてまたあわせて森林警察法が出てきましたから、こういう点では、日本の森林組合が似ているという立場をとるのではございませんけれども、かつて国有林で剣を下げて司法権を持っていた時代とよく似たような経過がこの中にあるのですね。つまり、こういうふうに見てまいりますと、ドイツ型というのは物的土地組合という性格が強い。そのためには設立に当たってもかなり強制権を持っている。したがって、強制設立をさせるということになりますと、加入に対しても一定の強制的ないわゆる役割りがそこに出てくる、こういう性質のものでありまして、オーストリアとかイタリアとかスペインなんかがこのドイツ型の森林組合の形をとっている。
それからアメリカ型というのは、いわゆる経済事業を中心にいたしまして特に販売事業なんかに力を入れている、資本主義経済体制下における林業生産のあり方といったものを追求するというタイプであります。これには伐採林業とか経済共同の利益をあわせて組合自体が享受することができるという仕組みでございます。そうすると、いま申し上げただけでもずいぶん違いますね。ドイツ型とアメリカ型ではずいぶん違うのであります。
従来の日本の森林組合の沿革というものを見てまいりますと、あるときはドイツ型に移行しながら、あるときにはまたアメリカ型に戻っていく。その間GHQが介在をするなんというような歴史的経過がありまして、ようやく今度両方あわせ持ったような森林組合というものが設立されようとしている、こういうことでございます。しかし、あわせ持ったといいましても、この辺のところをどういうふうにするのかというのは、既存の農業協同組合とか——とりわけ農業協同組合であります。漁業協同組合は直接的には余り関係がないのでありますけれども、一番関係が深いのは農業協同組合、つまり山村振興の立場で果たす役割りの大きいのは農業協同組合であり森林組合であるという立場でございます。そしてまた組合員が両方にまたがっている。つまり二つの性格を持っている。私もそうであります。農業協同組合員であると同時に地元では森林組合の組合員であるという立場に立っているのでありますが、そうしますと、この組合員自体もいまのドイツ型かアメリカ型かというタイプに区分けさせられていく。私という組合員は一人なんでありますけれども、持っている組合員としての義務とか権利とかいうものは二つあわせ持ったようなかっこうになっていくのであります。私は、アメリカ型、ドイツ型なんというそんなことを改めてここで持ち出す必要はないのでありますけれども、わりあいにこういう点について疎んぜられている傾向があるのじゃないか。そこがこれからの日本の協同組合というものを育てていく上で、後ほど議論したいと思っておるのですけれども、森林組合のあるべき姿というものにやはり一つの大きな問題点が含まれているように思うのです。
いまの私の意見に対して、長官いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/47
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048・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま先生から非常にうんちくのあるいろいろのお話を伺ったわけでございますけれども、先生御存じのとおり、日本の林政と申しますか、そういうものの流れにつきましては、午前中角屋先生にお答え申し上げましたけれども、やはり日本の林政というものを見てまいりますと、ある意味では学問的に理論的にドイツの林政というものをいろいろな意味で取り入れたという経緯がございます。その後戦争等々がありまして、アメリカからのいろいろな思想も入ってきたということだろうと思いますけれども、日本の森林というものを見てまいりますと、やはり日本は日本なりの森林の育て方があり、また国民経済と結びつきがある、また森林組合も当然そういう形で日本の林政なり林業と結びついていかなければいけないというふうに私は考えております。御存じのとおり、森林組合は農業組合と違いまして、森林所有者が中心になりまして森林組合を構成しておるという形、これはやはりそこに森林組合としての大きな特徴があるであろうというふうに私は考えます。
そういう観点から、先ほど大臣からもお話ございましたように、今回御審議願っております法案に盛られております第一条の考え方、これはやはり森林組合のこれからの目的として大きく掲げていかなければいけない目的であろうし、また日本の森林組合として、先生がドイツ型、アメリカ型とおっしゃいましたけれども、やはり日本型といいますか、そういう形で日本は日本なりの森林組合をこれから育てていく必要があろうと思いますし、私どももまたそういう林政をしていかなければいけないというふうに考えておりますし、そういう意味から、森林組合の目的といいますか、使命といいますか、そういうものは一条に書かれている両輪、二つの目的がございますけれども、これをじっくり踏まえてこれから森林組合というのはやはり発展していくべきであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/48
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049・島田琢郎
○島田委員 長官のお答えで私は結構だと思うのですが、ただもう少し詰めておきますと、アメリカ型だドイツ型だと言ったって、日本には日本の森林組合のあり方を探求していく、こういう立場に立つのだということについては私はそれで結構だと思うのです。ただ、忘れてならないこの基本の原理というやつが一つありますからね。
たとえば、アメリカ型の森林組合といいますか、こういうものについては、三大原則をこれ踏み外していないのですね。これは一つは加入脱退の自由であります。さっき、ドイツ型の中では非常に強制権を持っていると言いましたが、これは加入脱退がきわめて自由であります。それから、組合員である限り百町歩の山持ちも一町歩の山持ちも平等の権利が保障されるというのが、これがそうであります。それからもう一つは、組合自体が経済事業をかなり重く見ている。ここが、後でまた私議論したいと思っているのですけれども、なかなか森林組合が成り立っていく条件として、この経済事業というやつがどうなるかというのが非常に大きな問題だと思うのです。
私は、先般京都の郡部に入りまして森林組合の実態に触れてまいったのでありますが、やはりどの森林組合に行っても大変困っているのは、とても経済事業と言ったっていまのままの経済事業では組合が成り立つような経済事業というのはできない。たとえば、一億売っても五%ならたった五百万だ、人を雇うこともできぬ、こう言っておりましたが、まさにこの点は森林組合の持つ経済事業の悩みではないか。それが、いまの木材の低迷とか、そういうものと非常に関係が深いことは申すまでもないのですけれども、しかし、原則的なことを言えばそういう困難さを一面持っている。ですから、アメリカ型の森林組合を志向しようとしても、なかなか三大原理というのがそのまま押し通すということができないというような悩みも一つございます。ですから、そういう点考えますと、いま日本型の森林組合をつくっていくんだ、こう長官がおっしゃるのであれば、ここのところは、やはりこの原理からどういうふうに日本型のものを探求していこうとお考えになっているのかというのが、大事な課題だと思うのですよ。具体的にはこういう設問をあなたに差し上げておりませんから、何か突然聞かれてもわからぬとこうなるかもしれませんが、あなたが私の聞こうとしなかった日本型森林組合、こうおっしゃるから、それならひとつ聞いておかなくちゃなるまい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/49
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050・藍原義邦
○藍原政府委員 いま先生がおっしゃいましたアメリカ型と申しますか、森林組合の三本の筋の中に、加入脱退の自由、あるいは権利の平等という問題、さらには経済問題という三点おっしゃいましたけれども、ただいま私どもが御審議いただいております森林組合法の考え方につきましても、この加入脱退の自由あるいは平等の問題、これは同じようにうたっておりますが、先生御指摘のようにこの経済問題のあり方が論議かもしれません。
ただそこで私が日本型と申し上げましたのは、やはり森林組合法の第一条にうたっておりますように、森林組合については当然組合員の社会的地位の向上という問題とあわせまして、森林の持つ資源の維持培養あるいは生産力の増強増進という問題、これらを両方兼ね持つのだということ、そのために第九条に森林組合が「行うものとする。」という形で、俗に言う必須事業、こういうものを掲げておるわけでございます。こういうものを、やはり森林組合が鋭意やっていただくことによって、森林組合というものは、当然その中から経済事業というものも一部出てまいりますと思いますし、さらにはその他いろいろな問題もありますけれども、基本的な考え方はそういう形でこの第九条の一項が出ておりますし、そういう意味から私は日本的と申し上げたわけでございますし、ただ、いま森林組合が抱えている大きな問題の中に、先生御存じのとおりいま日本の森林がまだ完全な育成された、完成された森林になっておりません。御存じのように、樹齢、林齢が二十年以下のものが大体七〇%以上あるという形、そういうかっこうで、まだ森林が完全に仕立て上がってないというところに確かに大きな問題があるのかもしれませんけれども、森林がきちんと今後鋭意育成されて、俗に言う一つの法正林というような形になれば、当然そういう形にも生まれてまいりますし、そういう意味で、今後やはりそういう方向に向かって私どもは努力すべきではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/50
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051・島田琢郎
○島田委員 いま事業のことにお触れになりましたから、私はもう少し、いまの三大原理という点で、日本型森林組合のあるべき姿というのについてはいろいろの意見が分かれるところでありましょうから、そこのところは余り厳しく追及する考えはございませんが、ただ長官、農協と漁業協同組合と、組合法によります組合というのは、われわれの地域社会では大体農、林、漁、今度はこの三つが柱になっていくわけでありますが、たとえば農業協同組合、漁業協同組合におきます事業のあり方というのはいささか趣を異にしておりまして、すべてこれ選択性というかっこうになっているのであります。今度の森林組合では実は必須事業と選択事業と二つに分かれている。必須項目では、経営の指導と委託と信託ということが柱になっている。それから選択につきましては、購買、販売、加工、利用事業、こういったメニューが並んでいるのでありますけれども、こういう中から選択されるというふうに、農業協同組合と比べても大変違う部面を持っているのですね。
それから、さっきの平等の権利というこういう面で行きますと、これは違いますよ。長官がいまおっしゃっているように山持ちについては、つまり森林所有者はこれは正組合員であります。しかし、持ってない林業従事者はこれは准組合員であります。当然准組合員については選挙権、議決権はございません、こうなっておる。ところが、農協や漁協は違うのですね。全部有資格者であります。これは違うのですよ。ですから、そういう点ではどういうふうにこれから森林組合というものをつくっていくか、その場合は日本型森林組合という方向で行きたい、こういう目標をお立てになったので、それは私は了解いたしますが、少なくとも長官がおっしゃる日本の森林組合のあるべき姿というものは、もう少し整理、精査をする要件を幾つか持っているのではないか。ですから、私は、それが具備されなければこの法律の発効をとめるとかなんと言うのじゃありませんよ。滑り出してからもこういう問題点が幾つかあることを十分ひとつ頭に置かれて、やはり改善の方向をたどってもらわないといけないのではないか。そうしないとなかなか森林組合は育たない。そういう立地の条件がやはり乏しいのではないかというふうに私は心配をしているのです。ですから、そういうことも頭に置かれてこれからの森林組合の育成に当たっていただきたい、こう思うから、ちょっと私はくどいようでしたけれども、森林組合はかくあるべきだという私なりの考え方をお示しして、ここのところで政府の考え方と私の間にも、余り大きなギャップはないにしても多少の考え方の隔たりがありますね。その点はやはりこれから直してもらわなければいけないのじゃないでしょうか、こういうことを申し上げたのでございます。
さて、そんなお話をしておりますると、一つから問題の四つまでこれ終わったのでありますが、三つ目に、さすれば具体的なことを言いますと、森林組合というのは一体どういうモデルを、森林組合のあるべき姿というと少し大げさになりますけれども、日本の森林組合も、非常にりっぱな森林組合から、町長さんが組合長を兼ねているような、机も一つか二つあるきりのようなこんな組合まで、ずいぶんたくさんタイプがございますね。あえてタイプと申し上げればいろんなタイプがあるのです。つまり体をなしているもの、なしていないもの、なしているものではすばらしい世界の国際的な水準を抜くかと思われるようなりっぱな組合も現存している。こんなに差のあるというのは、農業協同組合にもありませんし、漁業協同組合にもありません。恐らく組合と名のつくものにはこんなに差のあるような組合が同居しているなんというのは、そういうことは森林組合をおいてほかには余りないのじゃないでしょうか。
そういたしますと、森林組合法として単独立法でこれから進められていくとしたら、政府のいわゆる目標といいますか、イメージに描いている森林組合というのは、一体どんなものをお考えになっているのでしょうか。法を並べていけば、こんな組合だというのがこれはわかるのですけれども、しかしそれにしたって、先ほど言ったように、事業の選択性があり、いろいろその地域においての特性があって、やった方がいいものとやらぬ方がいいものといろいろあるのでありますから、なかなかこれはむずかしいのであります。
私はここで、たとえば静岡県の竜山森林組合の例を引き合いに出すのでありますが、私ちょっとこれを調べさしていただいて、一つの表にまとめてみましたら、大変な組合なのであります。大変な組合ということはりっぱだということであります。こういうりっぱな森林組合が日本の中にあるということについて、私は大変意を強くしているのであります。中身について精細に貸借対照表まで調べるといったようなことまではできませんでしたけれども、概括的に見ますと、まことにりっぱな森林組合というふうに思います。こういう森林組合は、近いのですから、国会のわれわれが一度見に行ってもいいのではないか、こんなふうに思っているくらいで、委員長、ひとつ後ほど理事会で御検討いただいて、許されれば現地の調査をさせてもらいたいものだ、こう思っているのでございますが、これを見ますと、施設、資本装備の内容にいたしましても非常にむだがない。それから労務管理についても非常によくでき上がっている。何よりも作業員の配置が非常にうまくでき上がっている。これはまさに模範とすべきものではないかと思うのです。こんな森林組合を全国につくるということは大変なことでありますけれども、こういう一つの例を引いて考えますと、当面森林組合をつくっていくとしたら、いま一体どういうふうなところに目安を置いてやっていったらいいかなということが長官の頭にはおありだと思うのです。もちろん森林組合合併助成法の中であるべき姿というものはそれぞれ議論もされてまいりましたし、これはきわめて初歩的な質問で恐縮なのでございますけれども、あなたならどんな組合を頭に置かれて森林組合単独立法としての滑り出しに当たってお考えになっていらっしゃるか。一つこうした森林組合の例を申し上げたのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/51
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052・藍原義邦
○藍原政府委員 具体的な問題はまた林政部長からでも答えてもらいますけれども、いま先生がおっしゃいましたように、竜山森林組合は確かに日本でも有数な森林組合でございます。全国を見ますと、確かにまだ弱体な森林組合が約七百くらいあるとわれわれも理解いたしております。二千余ございます森林組合が必ずしも全部が強固な森林組合として現在活動しているわけでもございませんし、また、地域的にも非常に狭い管轄区域を管理、運営しておる森林組合もございます。したがいまして、先般御審議いただいた合併助成法というものをさらに五年間延長いたしまして、森林組合の合併を進め、森林組合の基盤を強くしょうというのがわれわれの考え方でございますし、また直ちに、そういう弱小と申しますか、規模の小さいあるいは活動が十分でない森林組合を、いま先生御指摘の竜山森林組合のようにすぐに誘導することができるかどうかということになりますと、これはまた非常にむずかしい問題があろうと思います。したがいまして、今回御審議いただくこの森林組合法をもとにいたしまして、これから着実にそれぞれの森林組合が強固な運営ができるような基盤をつくり、そしてまた、それぞれの地域の森林が日本の国民の期待にこたえられるような森林に育っていくという形で森林組合の運営ができるようにしてまいりたいというように、私ども考えておるわけでございまして、具体的にどこの森林組合、どの程度の森林組合ということになりますと、この前合併助成法のときにも御説明申し上げましたけれども、数字で申し上げますと、規模で言えば一千万ヘクタール、あるいは払い込み済みの出資金で言えば四千万円以上、常勤職員であれば七人以上というような規模で合併を促進したいというように考えておりますので、私どもとしては、標準とすればこの辺を目安に考えていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/52
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053・島田琢郎
○島田委員 それで問題の四番目というのが出てきたわけでありますが、先ほど申し上げましたからこれは重複してお尋ねはいたしません。
ただ、いま一つの目安になるものをお示しになったのであります。数字的に見てまいりますと、さきおととしの統計だから少し古いのでありますけれども、後ほどこれもちょっと議論したいと思っていましたが、労務班の組織されている組合数というものが統計的に出ているのであります。これは全国で千四百十四組合に労務班がつくられていて、その組織率は六六・一%だ、必ずしも一〇〇%行っておらぬのですね。それから作業員の数でありますけれども、これが五万七千人ということであります。正確に言うと五万六千九百二十一人、一組合平均で言いますと四十・三人ということであります。これは造林を消化するに当たって、あるいはそのほかの山の仕事を消化していくに当たって、労務班の作業員の人数というものは非常に関連がございますから、後ほど申し上げたいと思っていたのでありますが、いまのそういうあるべき森林組合の姿から言いますと、果たしてこれでいいのだろうかという懸念も一つあるのです。ですからこういう点なんかも、具体的には将来どれぐらいの作業員を配置するのだ、つまり労務班の組織をしていくのだというような点なんかもはっきりさせておく必要があると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/53
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054・藍原義邦
○藍原政府委員 作業班につきましては、いま先生御指摘のように七〇%弱程度の結成、また人数につきましては五万六千人程度という形になっておりまして、私どもも必ずしもこれで十分というふうには考えておりません。今後やはり森林組合がその地域の中核的担い手としてそれぞれの地域の森林を管理、運営していくということになりますれば、それぞれその地域の実情に合いました組織を持たなければいけないだろうと考えておりますし、作業班につきましても、それぞれの地域の実態に即して今後充実、拡充していく必要があろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/54
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055・島田琢郎
○島田委員 そもそも森林組合は——農業協同組合とか漁業協同組合にもそれぞれ形態は同じようなものがあるのでありますけれども、わりあいに農協、漁協というのははっきりしているのです。単協つまり単位農業協同組合の下には農事組合法人という生産法人が一つありまして、これは明らかに生産活動としてその地域における農事全般にわたる仕事の一つの推進役を果たしておりますね。そういう点で言いますと、森林組合にも生産森林組合というものがあって、その生産森林組合が農業協同組合の農事組合法人と同じ性格のものと考えていいかどうかになりますと、そういう関係というのはちょっと違うように思うのです。そこのところが私どもにはどうもちょっとわかりづらい点でありまして、施設組合と生産組合とに分けていくのですと言って分けて書けば非常にはっきりしているのですけれども、実際の運用に当たって、人数だって、生産森林組合と施設森林組合の規模の比較を言えば、必ずしも判別がつかぬという状態だってありますね。それから連合会で言えば、農業協同組合というのは、県単位で言えば、大体県単位の農協組織、つまり連合会がありますね。森林組合の場合も大体そういう傾向になっていくのだと私は思うのですが、広域組合の推進、つまり合併助成法によります推進を図っていく場合には、必ずしも県単位を目指しているとは思えない。この辺のところは行政の立場からはどういうふうに考えておられるのか。こういうことはつまり組織的な機能の上で大変整理を要する部面だと思うのです。いかがでございましょうか。これは林政部長で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/55
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056・石川弘
○石川政府委員 まず生産森林組合のことについて申し上げますが、御承知のように生産森林組合は、発生的には入会山を分界するとかあるいは市町村の持ち山を分界するというような形で発生しておりまして、いわゆる森林を出資いたしまして事業を行う、要するに生産者の立場でございますが、いま御指摘の農事組合法人等の規模よりも大きいものがかなりあるわけでございます。したがいまして、いま先生おっしゃいましたように、施設組合と余り変わらないような規模のものがありましたり、数も二千というので、たまたまほぼ同じ数があるわけでありますが、あくまでも、たてまえは生産森林組合は林業を行う事業体でございます。そういうことをはっきりいたしますために、今回の改正で、従来森林組合の中を二分しておりましたものを、生産森林組合につきまして一章設けまして、いわゆる生産者としての立場をはっきりさせたわけでございます。したがいまして、原則的には生産森林組合が森林組合に加入をし、そういう森林組合の正組合員として位置づけるという姿にしたいと考えているわけでございます。午前中にも申し上げましたように、たとえば連合会加入の場合には、たまたま市町村の段階に森林組合を持っていないものがございますので、連合会直接加入も可能にいたしておりますけれども、指導理念としては、森林組合に属するという形に今後指導をしていきたいと思っております。
その次に、連合会についての御質問がございましたけれども、先日御審議いただきました合併助成法で広域合併を進めることも私ども予定いたしておりますが、その審議の際にも申し上げましたように、目標として、現在二千を若干超える組合があるのを、千五百程度にまで合併させていきたいということを申し上げておるわけでございます。三千三百ばかり市町村がございますので、その合併が済みました段階におきましても二、三町村に一組合程度のものになろうかと思います。したがいまして、組合合併をいたしますたてまえからも、広域合併の結果がたとえば県単位に及ぶというようなことは全く考えておりません。
連合会につきましては、原則的に、こういう県の大きさが行政との関連等におきましても望ましい姿と考えておりまして、そういう意味では、あくまで森林組合、その上部組織としての連合会、さらにその上部組織としての全国連というような、農業協同組合と比較的同じような姿で組織化することを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/56
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057・島田琢郎
○島田委員 先ほど角屋委員が最後にだめ押しのように大臣に見解を求めておられたのでありますけれども、いまのこういう組織を想定していく場合でも、私が気になりますのは、単に合併助成をやっているからいいということではもちろんございませんし、それで森林組合がひとり立ちしていけるというようなことにはならないのじゃないかということです。さっきの竜山のようなりっぱな森林組合は別でありますけれども、いま部長がおっしゃっているように、二、三カ町村をまとめて単位組合をつくっていくのだということにいたしましても、これは国がてこ入れをやられないとなかなかうまく進まない。合併助成法だけに任せておけば組合は自然に歩いていける、こういう状況にないと私は思うのです。ですから、金の面でも指導の面でも相当てこ入れが必要だ。つまり物心両面にわたって指導が要るのではないか、こう考えますが、その前に未組織町村の組織化をどういうふうにしてやっていくのか。こういう広域的な立場に立った森林行政というものが求められているときでありますから、町村に林業行政の欠落ということは許されぬことであります。現実には休眠組合と言われるような、睡眠組合とも言われるような、眠りこけている森林組合があるということも含めまして、やはり未組織町村の組織化ということは容易ならざることであります。せっかく名目はつくったけれども、これもまた居眠り組合になってしまったらつくった意味がないということにもなります。ですから、これは合併助成法で論議し尽くされている点でありますけれども、今度は森林組合法というきちっとした法律ができ上がるのでありますから、そういう中で落ちこぼれのない森林行政を進めていかなければならない、そのためにも、森林組合の組織化という点については行政が相当長期にわたって力をかしていかなければならない、こういうふうに私は考えているのですが、この対策はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/57
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058・石川弘
○石川政府委員 御指摘のように、現在約百六十の市町村につきまして、その地区をカバーする森林組合がない状態でございます。こういうことは、第一義的には、その市町村において根っことなる林業が発展をしていない、たとえば旧薪炭林の管理程度で、りっぱな林業生産活動が行われていないということがその原因かと思いますので、基本的に申しますと、やはりそういう市町村で林業生産活動を活発化するための施策が肝要かと思います。造林なり林道なりあるいは林業構造改善事業というものを、たまたま組合がございませんので、市町村等を通じてその地域に投入していくことが第一義的に必要かと思います。
そのような形をとりまして、その市町村における林業生産活動が活発化してまいります段階で、先ほど申しました新しい設立を指導していくとか、あるいはそういう場合に弱体の可能性が非常に多うございますから、周囲にございます森林組合の地域を拡張するとか、そういう方法を行政糟導いたしてまいりまして、現在百六十をちょっと割ると思いますが、そういう地域の組合への加入が極力できますように、強力な行政指導をしていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/58
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059・島田琢郎
○島田委員 既存の組合の場合も言えることなのでありますが、私、冒頭でちょっと触れたのですけれども、森林組合と農業協同組合、組合は二つ、事務所は二つでありますが、入っている組合員は一つ。私は、地元に帰りますと、農業協同組合の組合員であり、森林組合の組合員でございます。いま森林組合を独立させていくにしても、農民は二つに入っていかなければいけませんが、いまのわれわれの経済力という面からいきますと、これはやはりどちらかにウエートの選択をしなければならない。両方に入っているとしても、こっちの方に重きを置いておいて、そっちの方は従にしてというかっこうにならざるを得ない。これは常識的には農業協同組合の方にウエートを高く持ちます。毎日の仕事、生活がいままで長い間そこに結びついてきましたし、そういうことがもう日常化しているわけであります。またやっている事業の範囲も違うわけであります。森林組合の方はあくまで従であります。組合員がそういう姿勢だと、組合が育っていかないという側面が出てまいります。組合員が熱心に組合に参加するということになりますと、その組合は活気を帯び、伸びていくのでありますが、両方に力を半分ずつ注いで組合員としての義務を果たせといったって、これはなかなかそうはいきません。たまさか農業協同組合が弱くて森林組合がうんと強いと、選択になって、おれは森林組合に入っている方が得だからこっちに入っていたい、こうなるのでありますが、加入、脱退は任意でありまして、強制されるものではありませんから、森林組合の場合はどうしても、こっちに入っているとそっちの方はどうも屋上屋というか負担が重なるので、二つ入っているのはとても大変なことだから、そっちの方はやめておくわ、こうなってまいりますと、組合員の数が減ってきて、組合が存立し得なくなるという問題にもぶち当たってくるのです。そこのところは行政でカバーしなければならない、この点が大事だ、そういう意味をこの中に込めて私は申し上げているのであります。
大臣、お考えとしてはいかがですか。これはやはり政治的な立場での判断もずいぶん必要だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/59
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060・藍原義邦
○藍原政府委員 御指摘のように、日本は、山村だけのところもございますけれども、農山村と称せられる、農業と林業とが一体になってその地域の産業振興を果たしておる地域が非常に多いと思います。そういうところでは、いま先生御指摘のような両方の組合に入られる方が非常に多いわけでございますけれども、森林組合なりその地域の林業が活発化するためには、まず第一義的には組合の役職員が活発に活動をすることが大事であろうと私は思います。そういう意味から、ただいま役職員の研修等々を進めながら、役職員がその地域の森林組合が活発化するような努力をするということに対して、林野庁といたしましても、前向きの姿勢で取り組んでおりますし、今後そういうことを中心にいたしまして、森林組合の発達なり活発な運営というものを図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/60
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061・島田琢郎
○島田委員 私は長官の教科書みたいなお話を聞いても納得ができないのです。私の言ったような現実問題が起こってくるんですから。だから、きちっと金でめんどう見るというなら見るといったような姿勢が出てまいりませんと、なかなか行政指導だけ言っても通らぬのではないか。
そこで、お金の問題はちょっとおきますが、行政的な指導、いわゆる林業の経営上の指導、こういったものの点で私はちょっと心配が残りますが、その前に森林法は言うまでもなく資源政策立法の色彩が濃い。その中から森林組合というのが今度は独立をしていくわけです。分家をしたのであります。残された森林法というのは一体どういう性格に変わっていくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/61
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062・石川弘
○石川政府委員 森林法で従来三本の柱と申しておりましたのは、森林の保続培養のための森林計画制度、それから保安林と林地開発規制のような森林の開発あるいは森林の持ちます公益的機能の維持、それからもう一つ森林生産の担い手としての森林組合制度、この三つを柱とすると説明してきたわけでございます。
今回の改正で、担い手としての森林組合につきましては独立立法いたすわけでございますから、森林の保続培養、生産力の維持増強という面の森林計画制度と、それから保安林、林地開発規制という森林の持ちます公益的機能の確保、この二つを主力とします立法となるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/62
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063・島田琢郎
○島田委員 そうなりますと、文字どおり林業の経営指導に当たってまいりました林業普及制度というものはどういうふうになっていくのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/63
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064・石川弘
○石川政府委員 普及員の制度は従来から森林法の範疇の中にございます。したがいまして、林業の生産力の維持培養をします場合の必要な指導とか普及をいたします者として、従来のように森林法の体系の中に存在するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/64
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065・島田琢郎
○島田委員 その場合の森林組合との関係ではうまくいきますか。林業指導員とその比較で申し上げるのはちょっと正確さを欠くかもしれませんが、よく似たような制度でありますが、農業改良普及員という制度がございます。これは地方自治体が分担をしているのでありますが、農業改良普及員制度というのは大変抜本的に改正がなされました。私どもはこれは合理化であるとして現地では体を張って反対したのでありますけれども、しかし残念ながら合理化されてしまいました。ところが、その途端に農家との結びつきは全く希薄になったばかりか、私は現在の姿を見ていますと、その有機性はゼロに等しいと思っている。私の言ったとおりになったと思っているんですよ。そうしますと、これもまたそういう心配が出てくるんではないか。そこのところで森林組合と林業普及員との有機的ないわゆる連携、これはよほど行政上しっかりしたお考えに立って進めてまいらないと、これが遊んでしまう、意味をなさなくなってしまう。そして、単なる資源政策の推進の役割りを果たしていくということで上意下達の機関に終わってしまうという懸念がなきにしもあらずだ、こんなふうに考えるのは私の思い過ごしでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/65
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066・石川弘
○石川政府委員 ただいま先生御指摘の農業改良普及員の問題は、多分、改良普及所の広域合併等によりまして現地から駐在を引き上げたのではなかろうかという御指摘かと思います。あの事態では、要するに農業部門のいろいろな専門化の問題がございまして、いろいろと農業者の求めております要請が非常に専門化してまいります。したがいまして、現地で特定の業務だけをやるというわけにはいきませんで、比較的広域的に専門の職員を配置するという観点から広域の普及所というのをつくったと記憶いたしておりますけれども、いま御指摘の森林法の中から森林組合を抜きます問題としましても、森林組合は、依然として森林組合法の目的の中にも掲げておりますように、組合員の社会的地位の向上のほかに、森林の保続培養といった森林法の中にありましたときにも持っております目的を持っております。そういう意味で、森林組合はあくまでも林業基本法と森林法と両方踏まえた制度として位置づけているわけでございます。改良普及員につきましても、林業の場合、現地で対応すべき問題が非常に多うございまして、実は行政指導といたしましても、たとえば森林組合の広域合併をいたします際に、その広域合併を進めて現地の林業活動がうまくいくように改良普及員をその森林組合に常駐させるというようなことをいたしておる県もございます。したがいまして、御指摘のようにこのような形にいたしましたから、たとえば改良普及員が組合の指導から手を抜くとか、そういうことは決してないように行政指導をしていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/66
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067・島田琢郎
○島田委員 それから森林法の法体系にかかわる問題の一つでもございますが、民有林、国有林、公有林を通して非常に私どもが問題にしてまいりましたのは、たとえば大事な公益性といったようなものをカバーしていく上で必要な造林事業の進みぐあい、これが非常に心配なんであります。たまたま三月三十一日に第五次の全国森林計画が発表になりまして、向こう十五年間の計画があなたのところから発表になっていますね。これを見ますと、非常に造林が落ち込んでいるということを私は指摘をしてきたのでありますけれども、非常に心配だと思うのですよ。そうでなくても、この林業白書で造林が年々落ち込んでいく実態というのが端的に表になって報告されている。このことの原因についていろいろ述べておりまして、だから造林をどうしなければならぬというところまでこの白書が積極的に触れていないのはきわめて遺憾なことであります。しかし、四十六年以降の造林の落ち込みは一目にして瞭然でありますね。こういう状態の中で、森林資源を根っこにして、国内の木材の業界に及ぼす影響、あるいは国民の生活にとって大事な住宅政策にいたしましても、そういうものとが密接に絡み合っていく性質のものでありますから、住宅の建てぐあいが少なくなったからといって山の木とは関係ないというものではございませんね。非常に大事なものであります。しかも、われわれの農業と違いまして、春に種をまいて秋にとれるという性質のものではありません。百年の大計という言葉がそのまま森林に当てはまるものであります。公表されましたこの森林計画を見てまいりますと、伐採量が減るということを言っていますが、それはこういう状況の中でありますから仕方がないでしょう。ところが、それを埋め合わせていく造林事業が、逆に伐採量が昨年に比べてことしはふえますね。相対的には私どもの言っているものから比べますと七割くらいにしかなっておりませんけれども、しかし、先ほどお出しになった全国森林計画を見ます限りにおいては伐採量は今後十五年間にふえていくという見方であります。ところが伐採量がふえたらその分造林がふえていかなければならないのに、造林はいままでの計画よりも減らすというのですね。これは私は非常に心配なんですよ。どうしてそういう計画になるのだろうか。この分厚い、農林大臣の名前で出されました官報の中で比較をしてみました。そうしますと、そういう矛盾した計画をこれからお進めになろうとしているという点を私は非常に危惧をしているのでありますが、これはいかなる理由によってこういう計画になっているのですか。数字を挙げてお話ししなくてもおわかりいただけると思うのであります。しかも、これも林野庁が意識調査をされましたね。連年やっておるのでありますが、造林に対する国民の皆さんの意識というのは大変率直にして簡明であります。したい、するつもりだと言っている人は四一%います。造林をしたいのだけれどもいまのところできないと言っているのが三三%。これは意欲十分でありますが、いろいろな理由があるようであります。その理由は後ほど述べます。それから拡大造林に対する意向も非常に高くて、七四%意識としては持っています。ところが、いま申し上げました、やりたいのだけれどもなかなか問題があり、意欲がありながらできないということをおっしゃっている人の理由を調べてみますと、まず人手が足りない、これが二四%であります。お金が足りなくてできないというのが一六%あります。土地その他の権利関係が複雑で造林するのにもめんどうくさくてできないというのが一四%あります。主要な道路から遠いという理由が一三%あります。その他が一五%ほどありますね。このいずれもが造林を否定しているのではございません。いわゆるこういうネックが解消されるなら一生懸命造林せなければいかぬという意識を明確に出しているのであります。それにもかかわらず造林が落ち込んでいくというのはおかしい。と思っていたら、今度の計画で、十五年間に造林をおやりになる計画はさらに下回る。しかも、それは伐採量が少しふえるのですけれども、ふえた分を埋め合わせるどころか、それを逆に造林計画では減らしていくというのは、これは私どもが国会で、あらゆる困難を排除し乗り越えて造林をやっていかなければ国家百年の大計を誤ると言ってきた主張を、林野庁はどうお考えになっておったのか、その真意を疑うものなんであります。いかがなんですか。
〔委員長退席、羽田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/67
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068・須藤徹男
○須藤説明員 今回の全国森林計画におきまして、先生ただいま御指摘のとおり伐採量が増加いたしまして造林量が減少しておりますが、伐採量は、現計画に対しまして一〇七%、人工造林につきまして九六%という数字になっておるわけでございます。その理由を申し上げますと、伐採量の増につきましては、いままで拡大造林の計画をする場合に、未立木地、つまり原野、散生地、農廃地などに対します造林の割合が高かった関係上、伐採を伴わない造林ができたわけでございます。御承知のとおり民有林におきましてはすでに要造林面積の七〇%が人工林化いたしておりますし、そういうことでこの未立木地の造林がほとんど済んでおります。しかも、いま申し上げましたように、拡大造林を今計画期間中に完了するというような方針のもとに計画をいたしましたので、拡大造林そのものの計画量は現行の計画よりも減少したのでございますが、減少したにもかかわらず、未立木地の造林が減少しましたり、逆に伐採を伴う天然林の伐採量が増大した、そのために、先ほど申し上げました一〇七%の伐採量の増ということに相なっておるのでございます。
それから一方、造林面積が減少いたしておりますのは、先ほども申し上げましたが、拡大造林の減少のほかに再造林面積の減少があるわけでございます。伐採量の計算におきましては、先生も御承知のとおり、国有林では保続表方式で伐採量を計算いたしております。民有林では減反率方式、つまり、伐採性向をもとにいたしました方式により、最近の伐採性向をもとにいたしました計算をいたしておるわけでございまして、そういう関係で造林面積が減少しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/68
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069・島田琢郎
○島田委員 いろいろ理由は、それはあなたがおっしゃるようなものはあるのでしょうけれども、私がなぜ国民の意識調査というものを長々と披露したかというと、そういう中で問題を克服できる面が行政の側にあるということを私は指摘したかったからなんです。そういうことを乗り越えられなければ、いまあなたのおっしゃっているようなことになりますよ。それでは日本の山はだめになっちゃうから、私どもは、もっと積極的に造林をやるべきだ。できなければ、わが党が提案している国営分収造林法だってこれは通ればやれるじゃないですか。そういう道路から離れてとても民間では手の及ばないところにも造林をやっていくというようなことを国有林の立場でやればこれはできるのじゃないでしょうか。こういう点で、あわせて今国会に提案をしているのであります。
そこで、どうしたって視点を造林という面で向けていくとすれば外せないのは、里山の造林ということであります。これは私は、大臣の所信表明に関してここでも同じことを言いまして、長官からお答えを願ったのでありますが、農家の持っております里山、薪炭備林——薪炭林といいますか、薪炭備林と言うのには余りにお粗末でありますけれども、薪炭林は幾らあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/69
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070・須藤徹男
○須藤説明員 今後約三百万ヘクタール程度が人工林化されていくというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/70
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071・島田琢郎
○島田委員 いや、薪炭林がそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/71
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072・須藤徹男
○須藤説明員 いわゆる薪炭林と限定いたしますとなかなか正確な数字が出てこないわけでございますが、いままでの調査結果を積算いたしますと約四百万ヘクタールということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/72
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073・島田琢郎
○島田委員 それは造林可能でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/73
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074・須藤徹男
○須藤説明員 いま申し上げました四百万ヘクタールのうち約三百万ヘクタールが造林可能であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/74
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075・島田琢郎
○島田委員 これを早速やらなければいかぬじゃないでしょうか。森林組合の労務班のいまの構成の状態でこれらを消化できるかどうかという点が一つありますけれども、そこでさっきの労務班の話にもう一回戻っていくのですけれども、こういう造林を、いろいろな数字のやりくりがあって伐採量はふえるのだけれども、造林はもろもろのネックと厳しい条件を持っているのでいままでみたいなスーペでは進められない、こう言っておられるけれども、そうではなくて、やっぱりこういう点に目を向けて当面里山造林というのにも一生懸命力を入れていかなければいかぬじゃないか、こう思うのです。
労務班の問題の前にもう一つ、最近山に対する保育の手抜きという問題が非常に深刻に心配されるのであります。きょうは民有林の問題だけ触れておきましょう。民有林は国有林と違って大変手入れも行き届いている。一般的には、山を比べてみますと、とても山の比較では比較になりません。民有林はりっぱだ。りっぱな山は大体国有林でないと思えば間違いないくらい差が出ているのです。ところが、その民有林にも、やっぱり国有林のそういう施業方針といいますかそういうものがだんだんだんだん影響してまいりまして、手抜きするという傾向が強まっているということを、これも同じ白書で指摘をしております。白書をちょっと抜粋いたしました数字を並べてみますと、保育というのは、私からいまさら教科書みたいなことを申し上げる必要はありませんけれども、健全な優良な森林を造成して、森林の有する多角的機能の充実向上を図っていくためには不可欠の要件であります。これは林野庁が指導方針の中に述べている言葉であります。そして林業属地基本調査によりますと、実際の数字の上では、四十年から五十年の十年間比較で言いますと、人工造林面積というのは六百五十一万ヘクタールと、十年間に一割ふえたという数字になっているのであります。ところが、山に対して保育をしている、こういう状態の山が年々減っているということを次の統計数字は述べているのであります。ヘクタール当たりの投下労働量というのを見ますと、杉というのは保育をすればするほど価値が上がるという端的な樹種でありますけれども、四十年にはヘクタール当たり百七十四人工、保育のために労働量を投下した。ところが、五十年には三十人近く減って百四十七人工しか保育のために杉林に労働は投下いたしませんでした。これだけ減ってきているのです。これだけ人手を減らしたということは、保育が手抜きになったということの証拠でしょう。さらに林業経営意識調査によりますと、下刈りやつる切りや除伐はやりたい、やらなきゃいけないと答えている人が九〇%おります。ところが、理由があってできないと答えている人がまた五〇%いるんですね。この理由には幾つかありまして、手が足りないというのがやはり五〇%います。それから、造林のときと同じように、お金が足りなくてやれない、予算がないのでできないというのが三割おります。しかも困ったことには、造林の面でひとつ見てみますと、造林事業の実績を比較してみますと、個人は大変多くて四六%保育に対して力を入れている。協業体や会社はそれぞれ六%でありますが、大事な森林組合が三五%しかこの面に役割りを果たしていない。これは後ほど述べる労務班作業体系にもかかわりのある問題だと思うのです。こんなふうに数字が出ているのです。これは私が捏造したのではありませんよ。林業白書に述べているのです。精細に読んでまいりますと、これは一冊読むのに小説を読むのと違ってずいぶん時間がかかるのですけれども、読んでまいりますと、小説どころでない、大変興味ある事実が幾つかこの中に示されている。いま言いました造林と保育の問題だけ考えても、そのように日本林業の、山づくりを目指す者の反省しなければならぬ点を白書自身が告白をしているのであります。それなるがゆえに白書と言うのでありましょうけれども、私は、これは大事な問題ではないかと思うのです。ここが森林組合をこれからどう持っていくかのまたもう一つの大きな視点になるんだと思うのです。
この事実に対して、大臣どういうふうにお感じになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/75
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076・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま先生から白書に基づきますデータによりまして、日本の民有林のいろいろな造林の実態、御説明があったわけでございますが、御指摘になりましたように、確かに現在置かれております民有林が保育等に重点を置いていかなければいけないという実態にありながら、必ずしも十分に保育が行われておらないということは、先生の御指摘のとおりでございます。
私どもも、先ほど里山の造林の問題もございましたけれども、造林につきましては、全国国民合わせまして約千三百万ヘクタールを造林しようという目標を立てまして、現時点では九百三十万ヘクタール造林地ができております。一応造林地として植えつけなりが終わったものが九百三十万ヘクタールございまして、目標に対しまして七〇%に一応達したということ、これはある意味では、相当現在まで造林が、年々減少はしておりますものの、目標には比較的達しておるというふうにわれわれ考えております。ただ、これから大事なことは、この達しました造林地をいかにいい造林地にするかということ、したがいまして、保育が重点であろうというふうに考えております。そういう意味で、これからの造林施策も、新しい造林地をふやすこととあわせまして、さらにそれ以上に保育に重点を置くべきであろうというふうにわれわれも考えております。
そういう面から、数年前、昭和五十年度から、いままで造林だけに国から補助が出ておりましたけれども、一定の条件を満たすところにつきましては、こういう下刈りあるいは除伐、それに伴います除間伐的なもの、二十年生までについては国からも補助を出してやってもらおうという姿勢をとったわけでございます。さらに本年度の予算におきましても、それらの条件等々については一部緩和も考えておりますし、そういう意味から、今後私どもとしても、十分保育に重点を置いた造林施策というものに今後は志向していく必要があろうと考えておりますし、また、そういう方面で今後日本の森林をよくしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/76
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077・島田琢郎
○島田委員 長官、その言葉を忘れないでいてください。これは大変重要な問題ですからね。
そこでちょっと飛ばしていただいて、質問の十一と十二をこの際お聞きしたいと思います。
林業改善資金が昨年から制度化されまして、現地ではこれが大変喜ばれている資金でございます。もちろん山の改良ばかりではありませんで、チェーンソーの買いかえとか、あるいは間伐材の有効利用のための促進等で、農業改良資金から言いますと十分の一程度で、まだまだ貧弱な金額でありますけれども、しかし、これは大変大きな役割りを果たしているという点で、私はこの制度を評価している一人であります。せっかくですから、こういう中でもいまのような保育が積極的にできるような資金制度を加味していくということはできないのかどうか。それからこの一年間の資金の運用の状況というのは一体どうなっているのでしょうか。それからさらに、保育といったようなものと直接のかかわりではありませんけれども、実は北海道でカラマツの伐期に入った場合の利用に対して、大変いまから心配されている向きがありますが、きょうはカラマツはおいておきます。
同じように優良樹種として奨励されましたイタリアポプラ、それからもう一つ厄介なものがございます。それはストローブであります。問題の十二に書いてありますが、ストローブマツ、これは大臣おわかりですね。これはいま北海道で大問題になっているのですよ。イタリアポプラも問題でありましたが、ストローブは、これは困った問題であります。いまになってこの松の利用がつかないというのです。何も使いようがないというのです。ところがすでにもう植えて、こんなになっていますよ。将来幾ら植えておいたってこの松の有効利用——有効利用はおろか、利用の方途さえつかないというものであれば、これは土地のむだ使いというものでありますから、早ういまから切ってでも、燃やすなり何なりして再造林でもしなければ、もったいないじゃないか。北海道ではこれが約三万ヘクタールあるはずでありますが、林野庁にこの具体的なことを調査方を依頼しておりますが、その内容、指導部長わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/77
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078・須藤徹男
○須藤説明員 イタリアポプラの造林につきましては、かつて早生樹種であるということに着目いたしまして、農耕地のあぜ道を中心に植栽された経緯がございますが、その面積は非常に少ないということでございまして、造林としての実績は林野庁としては明確に把握してないということでございます。
ストローブマツにつきましては、これは先生御承知のとおり、昭和三十年代北海道において造林地の大宗を占めていましたカラマツに例の先枯れ病が大量発生を見たということがございまして、カラマツにかわる更新樹種としてストローブマツを採用した経緯がございます。このストローブマツは、当時東京大学の北海道演習林等で造林実績がございまして、優秀な成績を見ていたのでございまして、そういう演習林の実績を見た結果導入を行ったもののようでございます。
この樹種は、枝の分岐が非常に多くて雪害に多少の弱点を持つこと、及び立地による成長差の大きいこと等のために、植栽適否の指導に当たっては慎重に行ったということでございますが、先ほど申し上げましたように、その植裁地の多くがカラマツの先枯れ病の被害地であったということでございまして、必ずしも適地とは言えない個所に植栽が行われたということもありまして、現在は成長良好と言えない場合が多く生じておるのでございます。
実績でございますが、これは五十一年度末の造林現況でございますが、北海道のストローブは、国有林におきましては約一万三千四百ヘクタール、道有林が六百四十六ヘクタール、民有林が一万一千七百三ヘクタール、合計で二万五千七百ヘクタール程度ということになっております。
ただ、問題になっておりますめは、いまの先生御指摘の利用上の問題ももちろんございますけれども、特に北海道東部にストローブマツの発疹さび病という被害林分が発生しておる事実がございます。この発疹さび病といいますのは、ストローブマツ等五葉松に出る松の病気でございまして、実は、このストローブマツほか五葉松の発疹さび病に関する研究というのを指定研究といたしまして、昭和四十八年から五十年、林業試験場北海道支場におきまして行っておるのでございますが、病原菌の起源がハイマツにあるということを確認しておりますけれども、引き続き、この病原菌の系統学的研究やら、分布、生態、発病機構、防疫対策等の研究を推進しておるのでございます。残念ながら、いまのところ完全な防疫体制がないということでございまして、引き続き北海道庁におきましても、ストローブマツの人工林を対象にいたしまして、その成長と土壌、風、雪病害等の関係について調査を行っておるのでございます。とにかく、こういう病気の面につきましても大変な問題であるというふうに認識をいたしておりまして、現在調査を進めておる段階でございます。
〔羽田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/78
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079・島田琢郎
○島田委員 大臣、お開きでしょうか。われわれの北海道で、一つは病気の問題でいま大変心配されておる。それから、カラマツの代替ということで植えられたこのストローブマツは、カラマツ以上に利用のめどが立たぬ。植えておいたって一銭にもならぬという木をこれから植えておかなければならぬということになったら大変でありますから、これは早急に結論を出して、この方法についてやはり明確に指導していかなければいかぬと思うのですよ。三万ヘクタールと言いましたが、いまお開きすると二万五千七百ヘクタール、やや私の想定しております数字に近いものでありまして、正確に統計に載ってきていないものも入れて、おおよそ三万ヘクタールあるというふうに一口で言えるだけ北海道ではストローブマツというのが植えられているのであります。確かに常緑樹でありますし、非常に活着もいいし、イタリアポプラと同じようにトドマツの半分くらいの年数で太っていきますし、これが利用されればこんないいものはないのでありますが、残念ながら、これはいまのところ切って燃やす以外に方法がないと言われておるのであります。これはもう大変な政治問題になるのではないかと思うのです。
ただいま指導部長のお話ですと、実態調査に手をつけている、実態調査をしているところだ、こう言いますが、これは早急に結論を出していただかなければならぬと思うのです。私は、何かパルプにでもならぬのだろうか、パルプの材にでも使う方法がないだろうか、これはひとつ林野庁の立場で、この用途開発について積極的に研究を願いたい。私は、パルプにぐらいはなるはずだと思うのです。こんな太い木をいまから切って山で火を燃やしたら、日本国じゅう火事みたいな現象になってしまいまして、大変なことになってしまうのですが、大臣、この点について、即刻調査と具体的な対応について林野庁の責任でおやりいただきたいということについてお考えを示していただきたいのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/79
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080・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま指導部長から御説明申し上げましたように、北海道につきましては造林というものの技術の導入をされたのが非常に新しいという問題がございます。したがいまして、いま先生が御指摘になりましたようなイタリアポプラだとかあるいはストローブマツだとか、こういう問題につきましては、必ずしも立地条件の適したところに植えられなかったという問題もございまして、いろいろな問題が発生しておるわけございますが、先生御指摘のように、やはり植えた木でございますから、これを有効に利用し、また、その地域の森林、林業に有効に活用されるように、私ども技術的に早急に検討し、対応を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/80
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081・島田琢郎
○島田委員 私は、指導の誤りもあるんではないかということで、問題が明らかになってくる過程では、これは政治的責任さえもそこに派生しかねないというふうに思っているのです。どうかひとつ真剣にこの問題については対応してもらいたい、こう思います。
それから、森林組合の問題につきましては、まだこの後相当時間をかけて同僚議員がこの法案に対する質疑を展開するわけでございますから、私は少し角度を変えましてお聞きします。
何といってもいま心配されておりますのは、一連の山づくりにも、いま申し上げましたような幾つかの問題点を持っている。これは指導部長も率直にその点は認めてもらわなければ困るのでありまして、造林あるいは保育の手抜き、こういったものを改善しながら、長官がいまおっしゃったように、保育については今後ひとつ十分力を入れていきたいというこの答弁を私はそのまま受けとめて、きょうは質問をこれで終えておきます。
それと非常に関連がありますのが、何といっても木材界のいまの状況であります。これをそのままに放置しておいては、山で幾ら木をつくっていってもいかぬのでありまして、それは全部一体的な、しかも有機的な、そういう効果が発揮されて初めて森林の公益性、こういうことになるのであります。
それで、私は、第一の点は、通産省そのものにはなかなか答えづらいところがあるようでありまして、主としてこれは所管は農林省でありますから、農林省の考え方を聞きながら、通産省やあるいは建設省の意見も聞きたいのでありますけれども、私は、これも同じように、先般農林大臣の所信表明に対します質問の中で、幾つか問題点を並べて大臣の見解を伺ってまいりました。これは非常に詰めの足りなかった部面でありますから、きょうは少し詰めさせていただきたい、考え方をもう少し詳しく述べさしてもらおう、そうでありませんと、誤解が生じてはいけないと思うのであります。
業界にも、それから学術的な研究の世界にも、木材の好不況という問題については、その要因の分析に当たって明確に違った二つの意見が存在している。これは大変重要な点であります。その対立する二つの意見というのは何かと言いますと、徹底的に不況産業として見るべきだという意見と、いやそうじゃない、これは木材界の持っている体質的な——構造的な不況産業という体質ではなくて、行政的な一つの指導とかてこ入れとかというものが意外にこの世界に功を奏してない部分があって、つまりそれは学者風に言えば未成熟という言葉で表現されているのでありますが、業界の体質の未成熟性というものがこの木材界の不振を招いているという説と二つあるのであります。私は、どっちの意見にも一つの理屈があって、にわかにこれに判断を下し得ないでいる一人なんですけれども、大事な指導官庁である林野庁としては、この辺の二つの考え方に対しては、どちらが正しいと考えておられるのですか。それが明確になってきませんと業界に対する対策、対応策が出てこないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/81
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082・藍原義邦
○藍原政府委員 いま先生から構造的なものでおるのか未成熟であるのかというような御指摘がございました。私ども、木材業界につきましてはどちらだというふうに決めつけておるわけではございませんけれども、基本的な物の考え方を見ますと、いま木材界がどうしてこういう状況になっておるかということを見ますと、一つには経済基調が大きく変わったということ、それに伴いまして住宅着工の減少がございまして木材需要が大きく減退したという問題がございます。それから二番目には、やはり生産コストが非常に上昇してまいりまして、なかなかその辺では販売価格等々と引き合わないという問題も出ております。それから三番目といたしまして、非木質系の住宅の資材の進出、あるいは非木質の建築、こういうものが増加いたしておりまして、代替品が非常に出てまいったということ、こういう問題がございます。
それからもう一方、大きな問題でございますけれども、ただいま六五%を外材に依存いたしておりますけれども、原木の輸出国におきましては丸太の輸出規制の動きも出ております。こういう中で、今後良質な原木を安定的に確保するのに非常に困難になってくるというような問題もございます。
こういうものを考えてみますと、こういう因子の中には、ただいま俗に構造不況と言われておる因子、こういうものの因子で不況になっておる木材界、そういうものがやはり因子としてあるのじゃなかろうかと考えておりますし、ことに合板製造業につきましては、この点は構造不況と言えるのじゃなかろうかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/82
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083・島田琢郎
○島田委員 そこで、何といっても木材の需給で忘れてならぬのは、住宅政策のあり方で、これが木材の需要と供給の面で非常に大きなウエートと問題を持っているわけであります。
建設省に私は伺いたいのでありますけれども、新全総なりあるいは各地域の総合開発計画などでも積み上がってきているのでありますが、本年の、つまり昭和五十二年度の住宅建設は何戸だったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/83
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084・鴨沢康夫
○鴨沢説明員 五十二年度につきましては、まだ最終の統計が上がってきておりませんので見通しということになりますが、一応いわゆる着工統計ベースで見ますと、全体で約百五十五万戸弱ぐらいではなかろうかと見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/84
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085・島田琢郎
○島田委員 新全総ではどういう計画目標ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/85
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086・鴨沢康夫
○鴨沢説明員 住宅に関しましては三全総との調整ももちろんいたしておりますが、直接には私ども住宅建設五カ年計画に従って仕事をいたしておりますので、それの計画との関連で御説明申し上げたいと思います。
現在行っております第三次の住宅建設五カ年計画は、五十一年度から五十五年度までの計画でございます。この計画におきましては、公的援助を要するものと民間自力で建設するものを含めまして、この五カ年間に八百六十万戸の新規の建設を要するというふうに考えております。これは年次割りには計画という数字はございませんので、五カ年間の数字でございますから、進捗率で申し上げますと、五十三年度予算の成立を見ましたのでこれを加算しまして三年度の進捗率で見ますと、大体六〇%をちょっと切る程度の進捗率になると見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/86
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087・島田琢郎
○島田委員 単純計算でいきますと年に大体百七十万戸、こういうことですか。いまのお話で、年次計画と言っても毎年固定して考えていくというやり方ではないということでありますが、計算をいたしますと、五年間で八百六十万戸建てるということでありますから、そうすればそういう計算になるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/87
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088・鴨沢康夫
○鴨沢説明員 先ほどお断り申し上げましたように、先ほど申し上げました数字はいわゆる着工統計ベースの数字でございます。それで、実は五カ年計画の基礎にいたしております八百六十万の基礎になっております数字は、この着工統計の数字と少し異なる要素を加味しております。たとえば着工統計というのは、建築基準法上に言います着工届が提出されたものをそのまま生で毎月上げてくる。それが一応、たとえば着工届が何らかの事情でなされないとかそういうふうな漏れというものがございます。そういうものをいろいろスポット調査等をいたしまして、どのくらいの漏れ率があるかというふうなことがわれわれにわかっておりますので、五カ年計画の計算をいたします場合にはそれらの漏れを勘案した数字で着工統計ベースを直して算定をいたしております。
ちなみに、いまの百五十五万戸というものを五カ年計画の八百六十万戸を計算しましたと同じ基礎でやりますと、百六十六万戸程度に相なります。この点、通常は着工統計ベースでいろいろ論じておりますので、便宜上着工統計の数字を申し上げましたけれども、五カ年計画に関連しては実はそういう技術的な問題があるということを御承知おき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/88
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089・島田琢郎
○島田委員 そうですか。私はそういう話は初めて聞きました。計算の仕方というのはなかなか魔術みたいなところがあるのだなという気もしないではないのです。しかし、四十八年の百九十万戸というものをベースにするということはもはや現時点では不可能だという判断があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/89
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090・鴨沢康夫
○鴨沢説明員 ただいまの数字もやはり着工統計ベースの話でございますから、便宜上着工統計べースでお話をさせていただきますが、私ども、現在のところ、百八十万というふうな状態が恒常的にずっと続いていくということはかなりむずかしいのじゃないだろうか。ただ、問題といたしましては、御存じの石油ショックの後で四十九年度に大幅に落ち込んでおります。それで五十一年度、五十二年度はそれが回復してまいっておる過程でございます。したがいまして、今後の見通しにつきましてはこれは軽々には申せませんけれども、私どもがはじきました需要ではその程度の戸数、八百六十万程度の戸数が必要だということを考えておりますし、またその可能性はまだ十分にあるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/90
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091・島田琢郎
○島田委員 そこで課長、それの基礎になっていますのは、ツーバイフォーだとかハウス55とかいった住宅工法を基礎にして八百六十万戸という計画をお立てになっているということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/91
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092・鴨沢康夫
○鴨沢説明員 構造、特に木造であるか非木造であるかというふうな性質の差、これは実はそのときの国民の皆様方の需要の状態等によりますので、必ずしも初めから構造的にどういうものを想定して建てるというふうなことは五カ年計画上は予定はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/92
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093・島田琢郎
○島田委員 しかし、その工法というものが、木造でいくのか軽ブロック以上でいくのかといったような差、そういう計画目標も大きく差が出てきますし、木造でやると言っても在来工法のような木材をたくさん使う、こんな細っこい丸太じゃなくて昔の太い角材を使っていくとか、それによっていろいろ木材の需要量というものが変わってくるんです。近代化工法と言われるようなツーバイフォーだとかハウス55といったようなやり方をしてくるとではずいぶん差が出てくると思うのです。ですから、八百六十万戸を五カ年間で建てるという計画があっても、そこに必要とする木材の石数といいますか量というものはずいぶん違ってくるのです。そこで私は、一体何を基礎にしてこの住宅計画を立てていくのか、ここのところを建設省にちょっと確かめておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/93
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094・鴨沢康夫
○鴨沢説明員 ツーバイフォーと申しますのは一種の木造でございまして、先ほど申し上げましたように木造であるか非木造であるかという観点での基礎づけはいたしてございます。それでやりますと、五カ年計画の資材を、これは公的ないわば発表資料というふうな性質のものではございませんで、実際に日本経済とマッチしていけるかというチェックの一つでございますが、一応資材の計算はいたしてございます。その資材の計算では、五カ年間三期の間に、大体合板まで含めて製材の需要量は一億五千万立米というふうに想定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/94
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095・島田琢郎
○島田委員 そうすると、建設省のいまのお話から言いますと、四十八、九年の木材の好況時代をもう一遍夢見るということは恒常的には大変危険である、しかし、そういう現象があるとき出てくるという可能性がないとも言えない、大変微妙な見通しを述べておられるわけでありますが、私は大いにここを期待したいのです。そうでないと、木材界のいまのような状態が長く続いていったら、それこそ不況業種の代表四業種に加わってしまうような状態に追い込みかねない、こういう心配があるのです。
それともう一つ、長官、いまの木材界の状態というものは、そういう点をひとつ認識しておりませんと、決定的にだめな産業なのか、構造的に不況でどうもだめなのか、スクラップ・アンド・ビルドでいけるのかスクラップ・アンド・スクラップなのか、設備が過剰だからだめなんだということになるのか、そうじゃなくて、いまのような状態で住宅政策なりそのほかの木材の政策、行政というものがきちっと整合性あるものになってくると決して心配ないんだ、こういうふうに見るべきなのか、ここのところは大変大きく分かれてくると思うのです。林野庁はどういう見方をしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/95
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096・藍原義邦
○藍原政府委員 いま建設省の方から住宅政策についての御説明がございましたけれども、いまの木材需要を見ますと、やはり木材の需要変動を一番大きく左右しておりますのは住宅建設でございます。したがいまして、私どもといたしましても、今後の住宅建設が安定的、計画的に実行されまして木材の需要が安定されることを一番期待しておるわけでありまして、そういう意味から申しまして、これからの林業あるいは林産業等々の振興は、一にかかってこの辺のあり方にあるというふうに考えております。
そういう観点ともう一点、日本の木材が、先ほども申し上げましたけれども、外材六五%という事態になっております。したがいまして、今後、日本の木材需要に見合った外材輸入というものを安定的、計画的に入れることが、やはりある意味での日本の木材産業の今後の発展に非常に大きく影響するというふうに考えております。
そういういろいろな問題もございますけれども、そういうことを考え、さらに日本の国民自体が木造住宅に住みたいという強い希望を持っておるというデータも出ております。そういう意味から、私どもは木材産業を、これは製材業、合板業ともでございますけれども、ある一定の規模をもちまして整理され、あるいは構造改善をされ、さらには知識集約的な構造改善をしていくということを今後推進してまいりますれば、今後の木材界についても決して暗いものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/96
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097・島田琢郎
○島田委員 私は、輸入材が六五%に達しているという長官の御説明を受けまして、そこは非常に心配でこの前もここで話したことがあると思うのですが、それが最近は、丸太から製品あるいは半製品、こういった輸入に木材がかわりつつあって非常に心配な状態があるということで、一層国内の木材界を不安に陥れているわけであります。
そこで、せっかくおいでいただいています通産省、円高がこういう状態で続いてまいりますと、外材の輸入が一層促進されていくという傾向に常識的にはなってくるわけですね。しかし、これは一定の節度を持ってもらわないと、国内における円高の影響をそのままストレートに持ち込んでまいりますと、まだ結論は出ておらないのですが、いまの長官のお話の中でも、私が尋ねている点で明快な御判断がないようでありますが、私は、そういうことを一つ考えてみるだけでも、輸入の問題に対しては大変神経質にならざるを得ない。輸入は通産省が所管でございますから、こういうものの影響がどういうふうに出てくるのか、これはいろいろな説明を課長はお持ちのようでありますけれども、時間が余りありませんから、簡単にひとつ見解を述べてもらいたい。
もう一つは、六〇%なり六五%、七〇%とどんどん外材依存率が高まっていく、こういう状態をこのままに放置することはいかがなものかという心配を私は一面持っています。やがて外材に席巻されていく、国内の造林もはかばかしくいかぬわ、国内の事業のための国産材の活用は思うに任せない、こうなってまいりますと、どんどん三全総で住宅政策は進められていってしまって木材はないわとなったら、外国から輸入するということに当然なってしまわざるを得ない。しかし、いまやみくもに入れるということになりますとこれは大変だ。やはり節度を持った輸入ということにならなければいけないのじゃないか。私は、外材輸入の一元化という問題を研究してみる必要があるという立場に立っている一人であります。通産省に言わせれば、自由化品目をいまごろ何を言うかということになるのでありましょうが、私はそれぐらいの気構えでこの外材の問題を波打ち際で何かやらないと大変なことになってしまうという危機感を持っているのです。
通産省を代表して御見解を述べてほしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/97
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098・篠浦光
○篠浦説明員 まず初めの円高で外材の輸入がどうなるかというお話でございますが、一般論といたしましては、円高が続きますと円に換算した輸入価格が下がるということでございまして、それだけ輸入が行われやすくなるということは言えると思います。ただ、木材の輸入がどうなるかという問題は、基本的には木材に対する需要、さらにその背景にあります国内の景気の動向、これがどうなるかというのに大きくかかっておるということでございます。
ちょっと具体的に申し上げますと、昨年の九月ごろから円高が始まっていまに続いておるわけでございますが、昨年の九月ごろから、こちらの外材の輸入量を見ますと、量的にも低下傾向にございます。それから、前年の同じ月と比べましても減っておる。これは景気回復がはかばかしくないということで需要が低迷しておったということでございまして、円高になれば必ず輸入がふえるということにはならない一つの実例だと思うわけでございます。
それからまた、需要が仮に強くなりますと、海外の輸出業者の方も、一つは円高の問題もございますし、輸出価格を引き上げるというような可能性もないとは言えないと思うわけでございます。そういったことで、円高で外材の輸入がどのくらいふえるかというのはなかなか一概には申し上げられない。したがって、一般論どおりにふえるというふうには申し上げられないわけでございますが、一応ふえる可能性はあるということは考えておく必要があるだろうというふうに思っております。
それから、二番目の、外材の輸入につきまして一元化をしたらどうかという御質問でございますが、先生御存じのとおり、わが国は非常に資源が乏しいということで、自由貿易体制をとって経済の発展に努めなければいかぬという、置かれておる条件、それからまた、現在、貿易を一層自由化しよう、あるいは関税を引き下げようとかいった交渉がガットの場で行われておる、それからまた、わが国の国際収支が非常に国際的にも問題になっておるといったような事情がございまして、これを一元化するというのはきわめてむずかしいというふうに考えております。
ただ、先生いろいろお話しになりましたように、木材輸入の動向というものが、国内の林業なりあるいは林産業に対して与える影響が非常に大きいということはおっしゃるとおりでございますので、需要に見合った秩序のある輸入が行われるというように、林野庁当局と協力しながら関係の業界を指導してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/98
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099・島田琢郎
○島田委員 そういう一つの国内的な改善策、業界の体質改善なども含めながら、いま中小企業近代化促進法との関連の中で構造改善事業というのが業界に対して行われている。まだ全域、各般にわたるものではありませんし、かなりテスト的なにおいが強いのでございますが、しかし、その持っております事業そのものについてのいい面、悪い面というのはそれぞれあるようであります。
この目的とするものについては二、三点あるようでありますが、一つは設備の近代化、これがスクラップ・アンド・ビルドという形をとるものと、スクラップ・アンド・スクラップというような問題もこの中に含めているようであります。第二の点は、問題になっております輸入材の規制、特に米製材、アメリカから来る製材をどう規制していくのか。それから三つは、何といっても流通の近代化、機能的にしなければならぬ、こういう点であります。しかし、先ほどから住宅政策についていろいろ政府の見解を承ってきたのでありますが、そのいわゆる政策といいますか、行政の整合性という点についても、私は、もう少しこれは検討の要があるというふうにいま感じとっています。
時間が余りなくなってきましたから、最後のお話に入らしていただかなければならぬのでありますが、きょうのやりとりでもまだきちっとしていない点がありますけれども、私はいろいろと考えてまいりますと、不況業種というふうに決めつけてしまうということはどうなのかという気がするのであります。幸い特定不況産業安定臨時措置法案がきのう委員会を通りましたが、われわれは基本的に幾つかの問題を持っていますから、内閣法そのものには賛成できかねるのでありますけれども、修正を幾つかやりまして、これは恐らくあす衆議院を通るというかっこうになるだろうと思う。この不況業種の中に、いま合板が取りざたされておりますが、製材まで追い込んでしまうということについては、まだ私は非常にためらいがありまして、その点については反対であります。ですから、もっと行政に責任を持ってやってもらわなければならないということについては、どうも問題を詰めてまいりますと、やはり業界の未成熟性という問題に軍配を上げざるを得ないのではないかという感じが私は一つします。それは何といっても、国産材産地の場合におきます原木集荷機構の未整備という問題がまず一つあると思うのですよ。山元製材と、港湾で主として外材をつぶしている工場の二つに分かれておりますけれども、国産材産地で言いますれば、原木集荷機構の未整備というのは、やはり早急に手をつけなければならない点ではないか。それから、外材の場合におきましては、製品の販売機構に手を入れなければならない。これがまだまだ未整備である。
まだまだ問題はありますけれども、この二つの点だけ掲げてみましても、業界体質の整備、つまり今度は未成熟な部門にスポットライトを当てた、そういうソフトウエアの部分に力を入れた構造改善事業が行われていかなければならないという課題がいま出てきていると私は思うのです。ですから、私は、そういう意味で、せっかくの制度がもっと前進し、改善されていかなければならないというふうに思うのです。ただ、業界は、残念ながらこの構造改善事業そのものにもとても乗り切れない。それほど体質的に疲弊し切っているという人も抱えています。その人たちをどうするのか、ぶった切るのか、救済していくのかという選択の問題がここにあります。ですから、そういう者を抱えながら構造改善事業をどういうふうに持っていくのかという点では、どうかひとつ十分の御検討を願いたいと思うのです。
私は、いま国内的、国際的問題について二、三点の問題点を指摘いたしました。私のこの考え方は間違っているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/99
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100・石川弘
○石川政府委員 先生御指摘になりましたように、日本の林産業関係を見ますと、確かに原木の集荷の未整備あるいは製品の販売機構の未整備、こういうものがあることは私どもも認識いたしております。したがいまして、こういうものとあわせまして、ただいま合板業界につきましては構造改善を進めておりますし、また一部、一二%程度の設備の調整をしていこうということで、合板業界が一体になりましてその準備を図り、その準備に取りかかり、そしてまたその進行を図っておるわけでございますが、製材業界につきましては、先生御存じのとおり、全国的にいろいろな規模のものがございます。全国に二万余の製材業があるわけでございまして、こういうものについての一本にいたしましたいろいろな対応というのはなかなかむずかしい問題がございます。したがいまして、現在、八県におきまして近促法によります構造改善を進めておりますけれども、私どもも、こういう方面に向かって製材業は近代化していく必要があろうというふうに考えておりますし、今後ともこの面については十分対応してまいりたいと考えております。
さらに、おっしゃいました原木の集荷あるいは製品の販売のいろいろな流通機構の問題についても、今後、鋭意検討を進めてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/100
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101・島田琢郎
○島田委員 私はきょうはずいぶん具体的に提案をしているのでありますが、長官はまさに性格そのものでまじめに教科書のごとくお答えをいただいていて、きょうはさっぱり実がなくて、二時間もやったのにがっかりしているのでございます。私ども、あなたのそのまじめな性格から、まじめにやろうとする姿勢は買うのでありますが、まじめだけではいま通らないのですね、思い切ったことをやらないと。
その点では大臣、思い切ったことをやってもらいたいという期待があるのですけれども、大臣も近ごろの答弁はまことに優等生的でありまして、どうもさっぱり、どこかぼろを出したらというような答弁はなさらなのいでありますけれども、いまの業界の問題はこのままでほっておかれないというのは、大臣、いまの議論からおわかりいただけたと思うのです。山の問題、そして、いまの木材界の置かれている状態から、当面の問題として構造改善事業というのは、こういう有効な手段をさらに一層、文字どおり改善事業というこの制度を改善いたしまして有効適切な手を着実に打ってもらいたい、こんなふうに思っているのですが、最後にまとめてお答えをいただきます。
長官、さっき私が尋ねたことで一つ落ちているのがあるのです。二、三分ありますから、ちょっとお答え願いたいのですが、もしお答えをされる時間がないとすれば、資料でお示しを願いたいのです。林業改善資金の運用の状態、これはむしろ資料で出してもらった方がいいかもしれませんね。ですから、そういうふうにしていただきましょうか。これについての改善の方途、額をもっと上げていくとか、それから、さっき私が言ったようなものも将来検討するとか、こういったことができるかどうか、これをひとつお答え願いたいと思うのです。
さて、以上申し上げました中で、問題のほんの一角に触れたのみでございました。しかし、山の問題といい、それから組織の問題といい、業界の置かれている状態といい、どれをとってみても、まさに荒海、荒波であります。こういう中で、長い問の懸案でありました森林組合が今後独立し、そして独歩を続けていくわけであります。私は、やはりもう一回大臣に決意のほどを含めて伺っておきたいのでありますが、せっかくの独立法としてこれからいくわけでありますから、この荒海、荒波をどう乗り切っていくかというのは、まさに行政がこの組合を育てる姿勢に立つか立たないかの点にあると私は思うのです。もちろん、ひとり立ちしてりっぱに大道闊歩できるような組合に育ってもらいたい、こういう願いを私どもは強く持っていますが、それもなかなか一律にはいかないという脆弱体質を抱え込んでいるわけでありますから、その点について十分なる、行政指導だけではなくて、お金の面でもめんどうを見ていく、こういう姿勢をこの際この法案の審議に当たって明確にされることをぜひ私は要請したいのであります。そして、船出いたします森林組合丸が堂々とひとり立ちして、既存の農業協同組合や漁業協同組合と一緒になって組織がつくり上げられていくように私は心から願っている一人なんです。最後に、大臣の決意を込めた見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/101
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102・石川弘
○石川政府委員 先ほど説明を落としましたので、改善資金のことにつきまして申し上げておきます。
改善資金につきましては、先生の御質問は、保育にまで改善資金を使ったらいいのではないかという御質問であったかと思いますが、御承知のように、現段階では保育はどちらかと申しますと造林の範疇に入っておるものでございますから、造林の助成制度を手厚くするというところで対応しております。
融資の制度になりますと、どうしても償還という問題が起こってまいりますので、御承知の間伐の段階から改善資金の対象にいたしておりまして、間伐につきましては全体でことし二十二億ばかりの金が間伐のための改善資金として使われるようになっております。
御指摘のようなこともございますので、検討いたしてみたいとは思っておりますけれども、非常に若齢の保育の場合は支出だけでございまして、収入がないということから、なかなかこの制度には乗りにくいのではないかと思いますが、補助制度その他等を組み合わせながら検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/102
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103・中川一郎
○中川国務大臣 御指摘のように、最近の林業生産段階から、また業界を含めまして非常に危機状態にある。昭和四十九年からの景気の停滞ということが拍車をかける原因になっておることは言うに及びません。したがいまして、この国会は林業国会と言われるぐらい、国有林につきましても改善対策の法案をお願いしておりますし、また森林法あるいは合併法等を出しましたのもそういった点に着目をしたところでございまして、なまぬるいところもあろうかと存じますが、農林省は挙げて、生産段階、そしてまた製材、合板業界は非常に厳しい状態にありますので、あらゆる方途を講じてこの事態を乗り切って、国民の期待にこたえたい。不満足な点もありますが、われわれは誠意を持って御期待にこたえたい、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/103
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104・島田琢郎
○島田委員 以上で、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/104
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105・中尾栄一
○中尾委員長 瀬野栄次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/105
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106・瀬野栄次郎
○瀬野委員 森林組合法案について農林大臣並びに林野庁長官に質問いたします。
〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
この法案は、森林法に包含されていた森林組合及び森林組合連合会に関する規定等を同法から分離独立させるとともに関係規定について所要の整備を図り、新たに森林組合制度の根拠法としようとするものであり、今後の森林組合のあり方というものが問題であるわけですが、森林法の目的である森林の保続培養と森林生産力の増進に努めるとともに、他方においては林業基本法の目的とする林業の発展と林業従事者の地位の向上を図るためのものであることが要請されるなど、二つの面が問われることは御承知のとおりでございます。現行森林法は全規定が二百二十七条でありまして、改正後の森林法は百九条となり、まさにさびしい森淋法となるわけでございます。この点が今日まで森林組合法の単独法化を妨げた、林野当局が踏み切れなかったところの一つの大きな要因にもなっておったことは否めない事実であります。今回本案提案に当たって、まことに結構なことでありますが、一方積年の念願であった森林組合法は百二十三条が新しく生まれたわけでございまして、百二十三条でございますからまさに一、二、三と、こういうように将来に向けて飛躍が望まれる規定となっているのもけだし偶然ではございません。よって、今世紀最後の団体法であり、こんな大きな団体法は今後まず生まれてこないと言われておる、歴史的な法案と言えるいわゆる重要法案でございます。
そこで、農林大臣に伺いますが、本法提案に当たり、いま冒頭に申し上げましたごとく、今後森林組合の役割りというものが大変重要になってまいりますけれども、農林大臣は、森林組合の役割りについてどういうように考えて本案提案に及ばれたか。当時われわれが審議したときは大臣でございませんでしたので、われわれはもう四十九年以来何回か審議して今日のこの単独法化を進めてまいりましたが、ここに改めて大臣の所信を承っておきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/106
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107・中川一郎
○中川国務大臣 先ほど来議論がありましたように、最近における森林、林業をめぐる情勢は非常に厳しい。その中にありまして森林組合は、地域林業の中核的な担い手として重要かつ広範な役割りを果たすことが期待されております。このため森林組合は、森林所有者の協同組織としてその経済的社会的地位の向上を図るとともに、時代の経済的社会的要請に即応して、いま御指摘ありましたように、森林の保続培養と森林生産力の増進にも積極的に役割りを果たしてまいりたい。かくて、多年の懸案でありました森林法の中から新しく独立をいたしまして、百二十三条、一、二、三という気持ちでこれから使命を果たしていきたい、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/107
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108・瀬野栄次郎
○瀬野委員 施設森林組合及び生産森林組合の現況について、この点は大臣からでも長官からでもお答えいただきたいと思うが、農林省の参考資料によれば、この資料は五十年度現在となっておりますのですでにもう二年が経過していますから、五十一年度末でも結構ですが、新しいデータがあればそのデータに基づいて、見込み、推定等加えまして一番新しい、林野庁が掌握している施設森林組合及び生産森林組合の現況を概略御報告いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/108
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109・石川弘
○石川政府委員 ただいま集計中でございますので、見込み数字でございます。したがいまして、集計の結果、変更があることをお許し願いたいと思います。
施設組合の数でございますが、五十一年度にはおおよそ二千七十になろうかと思います。それから、組合員の数でございますが、百七十八万人、これは五十一年度と五十二年度とほぼ同じであろうかと思います。組合の数が減っておりますので、一組合当たりの所属します組合員数は八百六十人、約三十人ばかり増加をするという数字になろうかと思います。
森林組合員が所有しております森林面積でございますが、一組合で申し上げますと、五十年度が五千四百五十一ヘクタールでございましたが、約二百ヘクタールの増加が見られまして、五千六百六十ヘクタールとなろうかと思います。
それから、地区内の森林所有者の組合加入率あるいは地区内の民有林の組合に対する加入率につきましては、ほぼ同様の数字が出てこようかと思っております。
それから、払い込み済みの出資金額でございますが、これは総額で申しますと、五十年度百十六億円でございましたが、五十一年度は百三十億円に増加をいたしまして、一組合平均で申し上げますと、五百四十六万円から六百二十九万円と、約八十三万円増加しようかと思っております。
作業班を有します組合の数は五十年度が千四百十四組合でございますが、五十一年度におきましては千三百八十組合となろうかと思います。所属人員数につきましては、同じく五万六千九百人程度でございまして、ほぼ同数になろうかと思っております。
それから、生産森林組合でございますが、調査を提出いたします組合数といたしまして、千七百六が五十年度でございますが、これが五十一年度では千九百二十にふえることとなっております。
組合員の数でございますが、五十年度が十八万三千人でございますのが、五十一年度は二十万六千人にふえることとなっております。一組合平均で申しますと、百七人という数字はほぼ変わっておりません。
それから、経営をいたします森林面積、五十年度二十万一千ヘクタールが五十一年度二十三万ヘクタールとなりまして、一組合平均で申しますと、百十八ヘクタールから百二十ヘクタールと微増をいたしております。
以上がその大要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/109
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110・瀬野栄次郎
○瀬野委員 細かいデータについては別途また資料でいただくことにして、一応後の審議に影響する関係もあってお伺いいたしました。
次に、森林組合法の単独法化に伴いまして、制度の特色についてお伺いするわけでございますが、農業協同組合及び漁業協同組合と相違する点について、整理して答弁をお願いしたいと思っております。もちろん、単独化することによりまして森林組合のメリットというものもあるわけでありますが、後々のためにも、ひとつ冒頭に明らかにしていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/110
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111・石川弘
○石川政府委員 まず、構成でございますが、基本的に違っておりますのは、森林組合の場合は森林を所有する者が正組合員でございます。それに対しまして、農協、漁協はいずれも農民、漁民という業種をもってとらえておるということが第一義的に違うわけでございます。そのあたりからいろいろと事業上も性格の相違が出てまいりまして、御承知のように、森林組合につきましては、今回の法制度におきましても、森林の経営の指導とか施業といった、いわゆる必須業務を持ちまして、その他資金の貸し付けといった任意事業を持つという形に法制度を整理してございまして、その点農協、漁協等につきましては、このような必須事業制をとっておりません。
それから、事業につきましては、大半の事業が重複をいたしますが、森林組合については現段階ではなお信用事業を認めていないということになろうかと思います。
員外利用につきましても若干差がございまして、御承知のように、森林組合の場合、組合員の事業分量と同量、したがいまして二分の一のいわゆる員外利用を認めることといたしておりますが、その点は漁業協同組合と同様でございますが、農業協同組合につきましては員外利用五分の一というような制限がかかっております。
それから、生産組合段階の相違を申し上げますと、林業の方の生産森林組合につきましては、いわゆる常時従事義務につきまして、二分の一以上の常時従事義務を課しておりますが、漁業の生産組合につきましては三分の二、農業の農事組合法人につきましては、法令上規定がございませんけれども、解釈上は全員が従事するという考え方をとっております。
それから、連合会に対する加入の仕方でございますが、生産森林組合と漁業の生産組合につきましては、連合会に直接加入の道がございますが、農事組合法人は農業協同組合連合会の会員となることができないという形をとっております。
それから、連合会段階でございますが、森林組合連合会につきましては、このたび正規の共済事業を行うということになっておりますが、これは共済事業の兼営が可能な法制になっておりますが、農業協同組合連合会につきましては兼営を禁止されておりますし、水産業協同組合におきましては、水産業協同組合共済会というものがこれを行うこととなっております。
そのほか、御承知のように、農業協同組合にはいわゆる中央会といった形の指導組織がございますが、森林組合及び漁業協同組合については、そのような制度を設けておりません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/111
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112・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣にお伺いしますが、森林組合が、森林の保続培養と森林生産力の増進という公益的性格と、森林所有者の経済的社会的地位の向上という協同組合的性格とをあわせ持つという基本的な性格は、単独法化に当たっても現行森林法の規定がそのまま受け継がれることになっておることは私もよく承知しておりますが、今回の単独法化に際し、より積極的に協同組合としての役割りを強調し、鮮明に打ち出すべきではなかったかと私はかねがねから考えておったわけであります。
すなわち、森林法においては、その第一条に、森林の保続培養と森林生産力の増進とを図るというすぐれた公共的な色彩の強い目的を達成する重要な担い手としての役割りを、森林施業の合理化及び森林生産力の増進とを通じて果たすべきであるということを組合の任務とすることによって、本来的には森林所有者の私的利益の増進を図るという協同組合としての森林組合の制度を同法の体系の中に位置づけることが可能になったわけでございまして、単独法化を契機として、さらに森林及び林業の担い手としての人的側面を重視すべきである、こういう声が各単位組合にあるわけでございまして、個々の森林所有者にも、また組合系統内部にもこういった声があることは十分御承知であろうと思っております。すなわち、森林法と林業基本法を等距離に関係を持つ組合で、いまも答弁がございましたように、農協、漁協とは一味違う特殊性を持つ組合であることは言うまでもないわけでございます。
森林組合の制度が森林法に初めて規定されたのは明治四十年、旧森林法の全面改正のときであって、これ以来法制的根拠のある団体として発足したわけであります。このとき以来、森林組合はすでに七十三年も経過しているのでありますが、いまだに森林組合という旧態依然たるこういった団体から脱していない。まことに残念至極であります。今回の単独法化に当たり、当然林業協同組合法とすべきではなかったか。何でこんなに遠慮したのか。その点、立法に当たり、どう農林省は検討してこられたのか。いわゆる森林組合法という法案でなくて、林業協同組合といったことで当然提案すべきではなかったか、将来のためにもこういったことをはっきりしておくべきである、私はかように思います。農林大臣の所信を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/112
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113・中川一郎
○中川国務大臣 そのことにつきましては林業関係者からも非常に強い要望のあったところではございますけれども、御承知のように、森林組合法は必須事業と選択事業とがございますが、協同組合法になりますと必須事業の方を義務づけしがたくなる、こういうことで、協同組合と、そしてまた公益性を持つ二面、その二面をともに成立させるのがまさに森林組合法であって、決して弱体化したものではない。
ただ、今回改正に当たりまして単独化法ができたことと、もう一つは共済事業が明確化したこと、もう一つ目玉でありました信用事業が農協組合等に比べて欠落をしておる、この点が残念ではありましたが、いまの実態では時期尚早であるというところからその点は欠けましたけれども、それ以外については業界の皆さんの御理解もいただいておるもの、こう思っておる次第であり、また瀬野委員の理解ある御認識といいますか、御理解をいただきたいものだと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/113
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114・瀬野栄次郎
○瀬野委員 後でいろいろ論議をするわけですけれども、信用事業が欠落しておると言うけれども、私は、この信用事業についても今回この法案の中に明記しておくべきであったと思っておるわけです。これは後ほどまた論議をいたします。
そこで、大臣は一応の答弁をなさいましたけれども、林業協同組合ということにすることが問題であるならば、大臣は必須事業があるし、また公益性を持っておるということをおっしゃる、それならば森林協同組合というようにしてよかったのじゃないか。林業協同組合が無理ならばせめて森林協同組合というようなことにでもしてやるべきであったと私は思うけれども、こういった点は本法提案に当たってどういうように検討して出されしたのか、再度お伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/114
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115・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合と他の農協あるいは漁協との違いにつきましては、先ほど林政部長の方から御説明申し上げたとおりでありますが、森林組合につきましては、いま大臣から御説明申しましたとおり、森林組合としての一つの大きな性格がございます。そういう性格から言いまして、農業協同組合やあるいは漁業協同組合のように純化するといたしますと、具体的に申しますと、いま申し上げましたような森林組合でございますから、中小規模の事業者の相互扶助のための組織であるという協同組合ということになりますと、地方公共団体や法人森林所有者を組合員として包含することがまずできなくなる、困難になるという問題もございます。それから、公有林等の占めるウエートの高い日本の森林所有形態のもとにおきましては、組合の組織運営に重大な影響が及ぶばかりでなくて、ひいては森林資源の維持培養という観点から見ましてもやはり問題があるのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
それから、いまも大臣お話ございましたけれども、必須事業という制度がございますのは、森林の持っております多角的な機能の総合発揮を目途とした地域の森林の適切な管理運営の確保という観点から設けられているものでございまして、これがまた森林、林業の特性、たとえば超長期性というような問題もございますけれども、これに即しまして森林組合の存在理由ということにもなるわけでございまして、小規模の事業者の事業活動の相互扶助を目的とする協同組合としての性格に純化した場合には、こういう問題につきましても法的根拠が非常に得がたくなりまして、森林資源の充実が国民的要請として非常に強まっております現今におきまして、これに逆行するような変更をするということもきわめて不適当と考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/115
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116・瀬野栄次郎
○瀬野委員 私の記憶では、明治二十五年ごろ農林省の要綱には森林協同組合として提案がなされて、明治二十六年の森林法改正のときの原案となって農林省の省議決定まで持ち込まれておる歴史があります。そのときの原案は農協、漁協と同じ内容であったが、ついに日の目を見なかったのも事実でございました。明治二十六年から今日まで八十六年にもなるわけです。もうここらで、単独法化する際、これを契機に、森林組合法でなくて、せめて森林協同組合、願わくは林業協同組合というふうに法案を検討して提出してしかるべきでなかったか。その努力が足りなかった、私はこういうふうに思うわけです。
農林大臣は、いまぼくが申し上げたことは御存じでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/116
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117・石川弘
○石川政府委員 先生おっしゃいましたように、協同組合として純化するかどうかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、森林組合の構成員をどのように考えるかということにかかるかと思います。
御承知のように、たとえば農業協同組合の場合、戦後の農地改革で土地を所有します農業者の大きさというものがほぼ一定をいたしておりまして、そういう中小模規の農業者の集団として農業協同組合が構成されておるわけでございますが、森林組合の場合は発生的にもそうでございますが、比較的大規模な森林所有者から、農業と兼業いたします小模規の森林所有者、さらに市町村有林を持っております地方公共団体をも含めまして組織をしてまいりました。そういう経過がございまして、先生も御指摘のとおりに……(瀬野委員「専門的なことはよくわかっておるから」と呼ぶ)そういうことで構成をいたしておりますので、この段階で、たとえば公有林の所有者とかあるいは大規模森林所有者を除外いたしました形での林業協同組合という形に純化するのは非常に困難であるということを考えまして、ここにございますような法案でお願いをしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/117
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118・瀬野栄次郎
○瀬野委員 藍原林野庁長官、先ほどぼくが質問したことについて、明治二十六年の森林法改正のときの原案となっておった農林省の省議決定まで持ち込まれた森林協同組合ということが日の目を見なかったという話をしたわけですが、知っていれば知っている、知らなければ知らない、そういうふうに答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/118
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119・中川一郎
○中川国務大臣 明治二十六年のことは残念ながら勉強しませんで失礼いたしましたが、御指摘をいただきましたので、これから一生懸命勉強してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/119
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120・瀬野栄次郎
○瀬野委員 林野庁長官、いまの件、あなたも同じく知りませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/120
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121・藍原義邦
○藍原政府委員 明治二十六年にそういう政府の考え方がございましたけれども、それが日の目を見なかったということは、私は知っておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/121
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122・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣、いま林野庁長官が言ったように、さすが長官はよく知っておったというが、その当時生まれていなくても昔の文献を見ればわかるわけで、勉強不足です。こう言わなければならぬ。
そこで、森林組合は育林と搬出をあわせ行う唯一の組織であります。これも御承知のとおりです。明治二十六年からだと、先ほど申しましたとおり八十六年も森林組合という名前で来ているわけです。今回の単独法化というのは、これはめったにないチャンスであります。先ほど申しましたように、今世紀最後の団体法として、いわば歴史に残る法案提出です。
これは中身については、昭和四十九年のあの大改正のときに、私も十三時間にわたって質疑をし、政府の姿勢をただして、今日の単独法化に対する附則二条の附帯決議をつけた経緯がありますから、そのことは十分そのとき審議してありますけれども、この法案の提案ということはそういう重要な意義を持ついわば歴史的な今回の本法提案になっておるわけであります。
そこで、今回の単独法化を契機にやらないと、これは林業協同組合にしても、または一歩譲って森林協同組合にしようと、これは千載一遇のチャンスを逃す、私はこういうことをしみじみと思うからであります。いま提案されてすぐにこれを修正するということにはまいらぬかもしれませんが、私は、こういう歴史的な法案の審議に当たって、将来のためにもこういったことを国会で論議し、歴史に残さなければ後輩に対して申しわけない、また子孫に対して申しわけない、かような意味で声を大にして、あえて冒頭こういったことを論議しておるわけでございます。
私は、このことについては、仄聞するところ、そういう考えも林野庁ではなかったわけではないけれども、林業協同組合または森林協同組合にすると、あたかも農協アレルギーに見られるように、圧力団体みたいに森林組合がなって、そして農林省がだんだん扱いにくくなる、また経済組織体になると、だんだんだんだん力が出てくると言うことを聞かなくなるという懸念もこれあり、そういったことから、農林省の内部また農林大臣、林野庁長官のスタッフの中に根強い反対が心の奥底にあるということを知っておいてもらいたい。
その辺については、林野庁長官また大臣でもいいが、どういうように理解していますか。その辺は絶対にそんなことはないとおっしゃるか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/122
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123・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合の基本的な考え方については、個人的にはいろいろな御意見なり考え方を持っておられる方があろうと思います。私どもも、先般の国会で附則で決められました森林組合のあり方について二年有余、鋭意、専門家の方々に集まっていただきまして検討し、専門家の御意見を十分聞いて、その専門家の御意見に従いまして、今回、森林組合の単独法を出したわけでございまして、その考え方については、一般の考え方、一般の専門家の御意見等々十分踏まえた上でこの森林組合法は提出し、御検討願っておる次第でございまして、そういう意味から、先生が御指摘のようないろいろな御意見を持つ方はあろうと思いますけれども、現時点における森林組合のあり方についての専門家の総体の御意見ということで、私どもは意見をいただき、それをもとにいたしまして今回の森林組合法案を提案いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/123
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124・瀬野栄次郎
○瀬野委員 藍原林野庁長官は学者はだで、こういう人ですから、農林大臣よくおわかりのとおり。農林大臣も北海道出身で、あれだけの大きな国有林を控えた、また林地を持った北海道を御存じであります。そういった意味から、農協にしても漁協にしても大臣もよく御存じのとおりでありまして、私は残念に思うことは、こういった単独法化をする際にこういったことを論議もなさったと思うけれども、あなたもその北海道から出てきて、そして大臣にもなられたこの機会に、こういったことで強力にひとつ論戦を張って、そして大改革するというような気持ちでやってもらいたかったと思うのですけれども、ちょっと不勉強のようで、何となく歯切れが悪い感じがしておりますけれども、これについては、いま申し上げたように、農林省の幹部の中にも、やはり先ほど言ったような農協アレルギーみたいなことになってはいけないというような懸念が、これは私はある人からじかに聞いておるわけでございまして、そういうのがやはりあるわけですから、そういうのをよく見破って、大所高所から将来のために勇気を出して提案をする、私はこういうことにしていただきたかったと思うのです。今回これを森林協同組合あるいは林業協同組合という名称にしなかったならば、そういうことにしなかったならば、当分また続く。これは一世紀続く。八十六年続いているのですから、あと十四年もすぐたってしまう、こういうことになりかねない。林業を守備分野としているわれわれとしてはまことに残念至極であったと思うのですが、大臣はどうですか、私のこの論議を聞いて、まことに残念至極と思われますか、どうですか、再度お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/124
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125・中川一郎
○中川国務大臣 御指摘のように、藍原長官は非常にまじめな方でございますが、幹部の中にでもあるいは林野庁の中にでも、農協アレルギーがあるから、将来始末が悪いことになるからやめた方がいいなんという理由で取り入れなかったというようなことは一切ないという話でございますので、瀬野議員、どこから入手されたのかわかりませんが、それも考えられないことでもないとは思いますけれども、成案を得る段階におきましては、そういったことで協同組合というものを採用しなかった、そういう法律にしなかったということはみじんもなかったということでございまして、現段階においては、一世紀続いても二世紀続いてもいいとは申しませんが、当座としてはこれが一番しかるべきことであり、これまた答弁がありましたように、専門家によって十分議論をしていただいて、現段階においてはこれが一番いいということでやったものであって、政治的に押し曲げて、もっと極端に言うならば、もっともっと前向きでやるべきものを後ろ向きにしたというようなことは、これまたいささかもないことをお答えいたしておく次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/125
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126・瀬野栄次郎
○瀬野委員 名は体をあらわすという言葉がありますが、やはり表題というのはまことに重要なものです。この一つの森林組合法という表題の中に、百二十三条、一、二、三と先ほど言いましたが、すべてが含まれるわけです。農林大臣中川一郎という名の中に頭からつま先まで全部が入る、こういうようなものでございまして、名は体をあらわす、重要なことであるがゆえに、将来のためにあえて私は時間を割いてこのことを申し上げましたが、大臣はここで、内部にそんな話があるとか、これはすぐ変えなければならぬとか、修正しますとかと言えないかもしれぬが、将来のためにこういったことを論議しておかなかったならば、いわゆる悔いを千載に残すということからも私はあえて申し上げるわけですけれども、本当に残念でならなかった、かように思っておるわけです。
私はこの日を待って、こういったことについてひとつ記録にもとどめておきたい、かようなことでいろいろ申し上げましたが、学者その他権威者の意見を聞いてやったからみじんも間違いないというような意味のことをおっしゃるけれども、それはちょっと言い過ぎです。オーバー過ぎますよ。大臣、勉強した方がいい。ちょっとその辺だけは力が入ってオーバー過ぎるが、学者の中でもいろいろ異論があるわけです。たくさんあるわけです。団体の中にもそんな意見を持った人がいっぱいおるのです。そういった意味で、私は、相当林野庁も折衝に当たっては論議されてこの結論を得られたということを知ってもおりますが、また聞いてもおりますが、そういったことで今後早い機会に、また何かの機会に、こういったことを逐次検討を積み重ねながら、いま私が言ったようなことで大きく飛躍できるように、一、二、三と飛躍できるようにひとつ御検討を重ねていただきたいということを強く要望いたして、次の問題に入りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/126
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127・中川一郎
○中川国務大臣 いまの御指摘は私の真意と若干違っておりますから、これは後世に残ることでございますからはっきりしておきますが、学者の中にいささかも意見はなかったとは申しておらないのであって、学者、専門家がやってくれたことの判断に対して政治的にいささかも後退するような押し曲げはしなかった、こういうことでございますので、議論の段階にいささかもそういう意見がなかったというようなことは言っておりません。それが不勉強だということになりますと、私も名誉のあることでございますから、あえて訂正をいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/127
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128・瀬野栄次郎
○瀬野委員 ただいまの訂正はしかと承りました。
次に、共済事業の問題でお伺いしますけれども、施設森林組合の行い得る任意事業の一つとして、組合員の福利厚生に関する施設が定められており、昭和三十一年からその一環として森林災害共済事業が行われてきたことは御高承のとおりであり、今回、森林組合及び同連合会の行うことができる林業に関する共済事業について、その根拠規定を明定するとともに、他の協同組合に準じた監督規定の整備等を行うこととしているが、森林災害共済事業が法制上明認されたことに伴う問題として、現在、災害によって生じた森林の損失の補償については、制度上、森林災害共済のほかに森林国営保険及び民営保険、この民営保険は言うまでもなく火災による損害のみが対象になっておることは御承知のとおりですが、この三者が併存している。特に森林災害共済、それから森林国営保険は対象森林の範囲、てん補対象災害の種類等、制度の内容がほとんど同一となって、保険、共済の募集だとか契約及び損害補てん等に関する末端事務がほとんど森林組合で取り扱われているために、単なる併存関係を超えて逆に競合状態が生じることになってくるわけでございます。
そこで、この加入の状況等を見ましても、五十三年の三月末現在で森林災害共済は七十五万ヘクタール、森林国営保険は百四十五万ヘクタール、民営保険は、これは推定でございますけれども十六万ヘクタールとなっておりまして、全部合わせても民有林の人工林面積の約三分の一にすぎない現状であります。また、それぞれが対象とする森林の上で森林災害共済は林齢が十一年以上、いわば安定した齢級となっておりますが、その占める割合は六六%。それに対して森林国営保険にあっては、林齢が十年未満のものが八七%と圧倒的に若齢林の占める率が多いことは御承知のとおりでございます。このため、被害発生率の大きい若齢林の加入が多い森林国営保険では、多額の支払い超過の発生となっておるわけでございます。
そこで、私は数点、本法のいわば目玉と言うべきこの共済保険についてお伺いするわけでございますが、まず今後の森林災害共済事業の運営においては、実績を持つ全森連が事業主体となって販売事業、購買事業等の実施とあわせて、別途の組織によらずに共済事業を実施することや、全国段階の連合会が元請機関となることについて、法制上差し支えはないのか、その点は問題はないか、まず、その点を簡明にひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/128
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129・石川弘
○石川政府委員 先ほど農協の場合、連合会段階の共済は兼営禁止ということを申し上げましたけれども、他の立法例を見ますと、たとえば中小企業等協同組合等におきます共済につきましても兼営を認めております。
森林組合の場合は、組織自体がこれを分離して行うほど大きなものではございませんし、現にいままで福利厚生事業の中でやってきておったわけでございますので、兼営の形で今後もやっていただくのは結構だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/129
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130・瀬野栄次郎
○瀬野委員 その点はわかりました。
それでは、森林組合系統組織は他の協同組合系統組織に比べて弱体であることは先ほどからいろいろ論議したとおりでございますけれども、全森連を事実上分割して新しい共済団体を設立するということが果たして可能かどうか、この点は本法提案に当たってどういうように検討されてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/130
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131・石川弘
○石川政府委員 現在の事業の実態を見ますと、当面私どもは現在の全国森林組合連合会が事業主体となって行うのが適当だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/131
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132・瀬野栄次郎
○瀬野委員 さらに、この森林国営保険が災害発生の危険率の高い若齢林を一手に引き受けていることによって、初めて森林災害共済事業の円滑な運営が維持され得ることはもう御承知のとおりでございます。この点、森林災害共済事業を今後とも組合系統にとどめた形のままでは、加入者である森林所有者みずからが共済掛金を出し合って共同準備財産を造成しておき、災害が発生した場合にはその共同準備財産をもって被災者に共済金を支払うという森林所有者の自主的な相互共済の原則に基づく森林災害共済制度の今後の運営については、いまの問題と関連して問題はないか。これはどういう認識に立っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/132
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133・石川弘
○石川政府委員 御承知のように、現在民営を除きまして主力は国営と森林組合の行っております共済でございますが、先生もいま御指摘のとおり、国営が一、二齢級の比較的被害発生の頻度の高いところを背負っておりまして、三齢級以上のところに主として森林組合の共済があるという形での一種の事業の安定というものがあるわけでございます。もちろん、森林の災害共済につきましては、たとえば、御承知のように、現在の風水雲あるいは火災というものに加えて野兎野鼠の被害を加えたらどうかとか、あるいはさらに掛金に対するある種の助成等も含めました制度の強化を図ったらどうかということがかねがね論議の対象となっておりまして、かつて四十九年の法改正の時点にも、一度この問題を詰めるべくいろいろ団体とも話し合いをしたわけでございます。
一つの考え方として、たとえば第一義的な共済事業を全面的に森林組合共済にゆだねて、国はその背後で再保険等を行ったらいいのではないかとか、あるいは今回の改正の際に論議になりましたように齢級で分離をいたしまして、一、二齢級を国営が処理し、あるいは三齢級以上を森林組合共済で分けるというように齢級配分をしたらどうかというようなさまざまな御意見があったわけでございますが、片方は、御承知のように、組合が行います自由な制度として組まれております。片方は、国が直接行う事業として組まれているというようなことがございまして、この間の調整が容易につかないというのが現状でございます。
しかしながら、私どもとしましては、今回このように福利厚生事業から正規の共済事業となりまして、森林組合共済事業につきましても正規の事業としての発展が今後も図れる。この場合、現在ありますような齢級別の国営との配分という問題は、ほぼこういう形でいくのが現段階においては望ましいと考えておりますが、そういう形がある程度安定します中で両者の制度をさらに調整するということを考えておりまして、そのために今後も検討を続けていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/133
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134・瀬野栄次郎
○瀬野委員 いま答弁があったように、森林災害共済事業と森林国営保険との交通整理といいますか、齢級別配分といったことを含めて調整するような話ですが、それはもうすでに案をつくってはっきりしておかないとこれは大変なことになってくると私は思うわけです。この調整は通達でやるのですか、何か別な方法を講じてやるのですか、いつごろをめどにその調整をするのですか。そんなことは準備した上で本法を提案になっておると思うが、もっと明確に物を言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/134
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135・石川弘
○石川政府委員 いま私が申し上げました調整といいますのは、具体的な両制度を円滑に進めてまいるという意味の調整はもちろんのことでございますが、さらに将来的な制度的検討も含めて調整を図らなければならないという意味で申し上げたわけでございます。
両者の守備分野の調整につきましては、森林組合あるいは国営保険の事業実施について、現在も、御承知のように、どちらかといいますと若齢林分につきまして国営保険がその主力となっております。それから、三齢級以上の林分につきまして森林組合連合会が主力となっておりますので、現在の業務分野というものをお互いに尊重しながらやっていくという考え方は徹底をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/135
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136・瀬野栄次郎
○瀬野委員 将来の制度的検討も含めてということは、たとえばあなたはどういうことを描いておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/136
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137・石川弘
○石川政府委員 いままで議論になりましたのは二通りございます。一つは、森林組合の共済事業を第一義的に全面的に行わせまして、異常危険部分につきまして国が再保険等の手法で組んだらどうかというのが一つの考え方でございます。その場合、議論になりますのは、現在の森林組合の行います共済事業は、いわゆる任意の共済事業でございまして、御承知のように、農業共済あるいは水協法のものは、いずれもある種の限定はしましても強制加入組織のものでございます。こことの調整が一とおり必要じゃなかろうかと思います。
それからもう一点は、先ほどちょっと申し上げましたように、齢級区分でたとえばお互いの分野を調整できぬかどうかという議論がございます。
この両方の議論には、実は一長一短がございまして、なかなか組合関係の方々との間でも意見の調整に難航したという経緯がございます。しかし、先ほど申し上げましたように、今回組合の行います共済事業が、何と申しますか、正規の共済事業として事業が発展してまいりますと、おのずとその事業分野というものも広がってまいりましょうし、その問の調整も、今度は、いままで二度ばかりそういう調整をしながらなかなか実現ができなかったわけでございますから、その問の問題点もさらに詰めますれば、将来二つの分野をさらに調整する可能性はあるものと考えておりますので、内容的に詰めまして、さらに前進をさせたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/137
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138・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣、いまお聞きになったように、あなたもときどき質問せぬと退屈でしょうからお聞きいたしますけれども、この共済事業は、今回の単独立法化に当たっては重要な役割りをなす柱でございますのでお聞きをしているわけですが、いま言ったように、これも森林災害共済事業と、それから森林国営保険との関係で、やはり並存する限りいろいろ問題が起きてくるわけです。それをうまく調整していただかなければなりませんが、いま石川林政部長答えておりましたように、二つの方法があるということで、将来の制度的検討も考える、さらに一長一短があって問題があるということですけれども、これはできるだけ早く検討していただかなければならぬ、こういうように思っておりますので、これは本法提案に当たってはある程度詰めておいていただきたいと思うのですけれども、ひとつその点については、十分監督指導していただきたいと思うが、大臣、御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/138
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139・中川一郎
○中川国務大臣 ただいま石川部長が答弁申し上げたとおりでございまして、民間のものもありますが、いまの御指摘は、森林組合が行います共済と国が行う保険、国の行うものは若齢の木を対象にする、共済は三齢級以上のものをする、こういうことでやっておりますが、その調整をうまく図ると同時に、両仕組みをどう今後一体のものとしてやっていくかということについて、要望もありますが、いま申し上げましたように、メリット・デメリットもありますから、いかなる方法がいいかということについては、真剣かつなるべく早くという姿勢で取り組んでいきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/139
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140・瀬野栄次郎
○瀬野委員 まことに結構な答弁です。よろしくひとつお願いします。
農林大臣にお伺いします。農林大臣、いま大分調子が出てきたようですから、次に法制の整備という問題でお伺いいたしますが、冒頭私が申し上げましたように、森林組合法の単独法化によりまして、現行森林法は全規定二百三十七条から改正後の森林法は百九条となったわけで、まさにさびしい法という意味の森淋法ということになったわけでございます。森林組合制度を分離した森林法は、森林計画制度及び保安林制度を中心とした国の森林資源政策の貫徹を図るための立法としての色合いが一層濃いものになってくることは否めない事実でございます。森林の公益的機能の維持もしくは発揮のための任務が強化されて、このために森林所有者に対する上からの強い指導が加えられるようになるということが考えられますが、これもまた困ったものでございますけれども、多少やむを得ない点もございます。
私はそこで、この森林組合という担い手を欠いた、いわゆる百九条というように細くなったところの森林法は、この森林法の中身を見ますと問題点がないというわけでもございません。そこで何となく、前にも言ったようにしっくりいかないような森林法になるわけです。いままでは二百三十七条もあったのが、今度はぐんと減ってきたわけですから、いわばさびしい森淋法、百九条に減ったわけです。
そこで、私は農林大臣に伺うわけですけれども、この際、森林法はこれを発展的に解消してたくする、そうして一つには森林計画法という法律と、二つには保安林法というような法律にして、この二法を制定して、森林法そのものをなくするということを検討すべきではないか。また、こういったことについても十分政府としても検討して、いろいろと大所高所からこれを調べてみる、また各界の意見も聞いて、いろいろな意見を聞いた上でこれを洗う、こういうようなことが必要ではないか、そういう姿勢を私は問うわけでございますが、大臣、この残された百九条の森林法、こういったものについては、このままでずっといつまでもいいというようにおっしゃるのか、何かそういったことを検討の用意があるのか、また、そういったことをいままでいろいろと頭に入れて折々検討を進めておられるのか、その点をこの機会に明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/140
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141・中川一郎
○中川国務大臣 森林組合法が独立したことによって、あとが、森林法は森林法でもさびしい森淋法だと、こういう御指摘でございますが、そうではないと思うのでありまして、森林計画と保安林関係と、まさに森林行政の基幹をなす大事なきちっとしたものでございます。条数が少なくなったことによって、さびしくなるといいますか、条数が多いことをもって多とはしない、中身はりっぱなものだと思っております。ましてや、これを分けたらどうかということでございますが、一つの論だとは思いますけれども、森林計画と保安林計画は一体のものとしてやらなければなりませんので、分けることはむしろマイナスであって、これは一緒にしていくことによってさびしくならない、しっかりした法律であるということで、分けることはいまのところ考えておらないという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/141
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142・瀬野栄次郎
○瀬野委員 いまのところは考えておらぬということは、先々は考えるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/142
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143・藍原義邦
○藍原政府委員 世の中がどう変わるかわかりませんから、五十年、百年先のことはわかりませんけれども、いま大臣がお答えになりましたのは、現時点では考えておらないということだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/143
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144・瀬野栄次郎
○瀬野委員 林業はさすがに適正伐期齢級が来るまでは時間がかかるものだから、林野庁長官もやはり気の長いことを言われるが、なかなか森林組合法の名前も変えられぬということで、そればかりではないかもしれないけれども、ひとつこの機会に認識を新たにしていただくために、少し皮肉めいておりますけれども、あえて申し上げておきます。
いま申し上げた森林計画法と保安林法、これは名前はまたいろいろ検討しなければなりませんけれども、残された森林法というものは、百二十三条という森林組合法が別途単独法として成立するわけでございますから、いわば大手術をしたようなものですから、残ったものにちゃんと、後遺症が残らぬように十分手当てもして対策をとらなければならぬと思うのです。
〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
そういう意味で、それらを含めて、いわゆる傾聴に値する提案であるから、十分今後心にとどめて検討を進めます。こういうふうに言えばわれわれも納得するわけですが、こう言っておいてまた二、三年たったらすぐ法案提出、こういうことになりかねないわけですから、十分ひとつ私たちも今後督励してまいりますけれども、検討をしていただきたい、重ねて私はお願いをしておきます。
次に、信用事業能力の付与についてですけれども、これも私はたびたび七、八年前からこの問題は取り上げてまいっております。これはもうこの機会にぜひこの単独化法に当たって信用事業の問題を取り上げてもらいたかったわけでございますけれども、今回は除外されておりますけれども、森林組合が農協や漁協と同様に信用事業を行うことができることとするかどうかの問題は、森林組合制度の長年にわたる懸案事項とされてきたわけでございます。今後、森林組合に信用事業能力を付与する場合の基本的条件を整備するのに必要な具体的措置の問題等についてなお詳細に検討をする必要があるとして、今回も信用事業実施能力の付与は見送られたわけでございますけれども、今後、林野庁において各界の学識経験者の協力を得て調査検討を進められることは言うまでもないわけでございますけれども、一方において、数は少なくとも信用事業を行うにふさわしい要件を備え、かつみずから信用事業を行うことに強い意欲を持つ組合もあることは事実であります。単独法化を契機として組合が信用事業を行い得る旨の規定を整備し、法制上明らかに認めておくべきではなかったかと思うのでございますが、本法提案に当たりましてこの点はどういう経過からこのように見送られたのか、歴史的法案の審議に当たって、これはもう明らかにひとつ林野庁長官から説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/144
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145・藍原義邦
○藍原政府委員 いま先生御指摘になりましたように、森林組合法の中には信用事業を盛り込んでおりませんけれども、これは先ほど御説明申し上げました、この森林組合法を案として国会に提出いたします前二年間、私ども鋭意専門家の方々にお集まりいただきまして検討いたしまして、その結果森林組合が信用事業をやるにつきましては、現時点ではまだいろいろ検討すべき問題が多々残っておるという御意見が多数でございまして、私どももそういう意味から、今後、林野庁においてこの問題については積極的に検討を進めてまいることにしたわけでございますけれども、その理由と申しますか、問題点と申しますか、そういうものを一、二挙げてみますと、まず内部的な要因でございますけれども、内部的な問題といたしまして、森林組合の組合員は、先生御存じのとおり、その所有規模は非常に零細でございまして、そういうものが大部分の方が森林組合員として入っておられますが、また林業の長期性ということから現金収入が非常に断続的であるという問題もございます。その点は、他の組合の漁協あるいは農協のように間断なく収入があるというわけではございませんで、そういう意味から預金を経常的に集めるという問題、こういうことが非常に困難であるという林業をめぐります資金循環の特殊性があるということは言えるかと思います。
また、非常に経営基盤の弱小な森林組合が非常に多うございまして、これは今後努力して強力なものにしていかなければいけないわけでございますけれども、現在ではそういう弱小な組合が多いというもとにおきまして、信用事業を行うには必要な人員の確保あるいは施設の問題、こういう問題に伴います運営費の問題、こういうものを考えますとやはり負担が容易ではなかろうという問題もございます。
それから、その基盤が確立している一部の森林組合がございますけれども、そういうところでやらしたらどうだという御意見もございます。これにつきましては、現在、金融業そのものでもいろいろな大きな問題を抱えている時代でございますし、まして新しくこういうものを始めるということにいたしますと、為替業務を行うためのネットワークの形成、こういう問題にも非常に問題がございますし、林業の金融機関としては、そういう面から見ましても現在の森林組合の体制としては不十分な点もございます。
それから、森林組合員に対しますサービス上にも問題が出てくるのではなかろうかという点もございます。
今度は外部的な問題を考えますと、先ほども申し上げましたけれども、現在、利ざやの減少等、金融機関の採算の問題も非常に一般的な問題として言われておりますし、そういう状況の中でいかがかなという問題もございます。
それから、森林組合の組合員のおよそ九〇%の方々が農協の組合員と重複しておられます。こういうことで、他のそういう既存の金融機関との調整をどうやって図っていったらいいか、その辺もなかなかむずかしい問題があろうというふうに考えております。
しかしながら、こういう問題がございますけれども、私どもといたしましても学識経験者の方々の御協力を得まして、今後この問題につきましては鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/145
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146・瀬野栄次郎
○瀬野委員 藍原林野庁長官の説明を聞きましたが、質問したのでいろいろ細々と答弁されたのは結構ですけれども、それ一々聞いていると気が遠くなって、これは今世紀ではとても無理だなという気がしてくるわけでございまして、一つ実現の可能性が遠のいていくというような感じといいますか、印象を受けるわけでございますけれども、私はこの機会を失するならば将来見通しはもう立たなくなるのじゃないか、こういうような気もしまして、最大のチャンスである、こういうふうに思っておったわけでございます。
いろいろ問題点はおっしゃいましたけれども、しからば林野庁としては、実現の期待の可能性はある、こういうふうに言われるのですか、また、そういうふうに理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/146
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147・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合の方々、系統の方々がこの問題を非常に熱望しておられることは、私どもも十分伺っておりますし、理解いたしております。ただ、先ほど申し上げましたように、今回二年にわたりまして専門家の方々に御検討いただいた結果でも、いま申し上げましたような結果が出ておりまして、いますぐここで見込みがあるかどうかというふうな御質問を先生されましたけれども、やはりこの問題につきましては真剣にまた慎重に検討して対応しなければ、結論はなかなか出し得ないものではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/147
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148・瀬野栄次郎
○瀬野委員 林野庁長官は真剣に鋭意検討していくというその姿勢は結構だけれども、検討という言葉は、鋭意やるということなんかは、なかなか時間的に制約はないわけですから、いつまでかと言われると一年の場合もあれば二月の場合もある。場合によっては五年、十年先ということも、検討してできなかったということもあるわけですから、それじゃいかぬので、とにかく積極的に私はぜひひとつ検討会もやっていただきたいと思う。いままでは共済事業の問題を検討会でやってきましたけれども、引き続きひとつ検討会の方でもこの問題に取り組んでいただくということでお願いをすると同時に、三月二十二日採決しました森林組合合併助成法審議の際提案した、森林組合の事務所を林構センターに併設していく、これに対しても補助金を出す。またはそれができなければ林業センターというものでもつくるというようにして、組合員の人たちが喜んで過疎対策にも、またよりどころを設けて大いに今後奥地の開発に、また林業にいそしんでいくというようにしていただくということが望ましいわけです。
そういった意味で、私は、この問題についても鋭意検討ということですので、信用事業については積極的にひとつやっていただきたい、こう思う。まあむだかもしれませんけれども、林野庁長官はあと五年か十年か知らぬが何年間かかけて、少なくともいつごろまでには何とかこれは信用事業もやらせたいな、たとえば今度の合併助成法の期限が五年間でございますから、その後くらいには何とか信用事業をひとつやらせたいな、こういうようなことをあなたは全然絵に描いていませんか、それも見当つきませんか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/148
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149・藍原義邦
○藍原政府委員 先生からそういう御意見がありましたことを十分踏まえて、対応してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/149
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150・瀬野栄次郎
○瀬野委員 次に、戦後、造林は八百万ヘクタールの植林ができました。戦前は二百万ヘクタール、合わせて一千万ヘクタールという日本林業にとってかってない造林ができたわけですけれども、林野庁はこの人工林の一千万ヘクタールに対する樹種別蓄積を概略でも結構ですが、つかんでおられますか、お答えをいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/150
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151・須藤徹男
○須藤説明員 昭和五十一年三月三十一日現在の人工林の樹種別蓄積は次のとおりであります。
杉が約四億七千二百万立方メートル、約六〇%でございます。ヒノキが約一億五千七百万立方メートル、約二〇%、アカマツ、クロマツ、七千五百万立方メートル、約九%、カラマツが六千六百万立方メートル、約八%、その他針葉樹が約一千四百万立方メートル、二%、広葉樹が約一千万立方メートル、一%、合計約七億九千四百万立方メートルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/151
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152・瀬野栄次郎
○瀬野委員 森林組合が農協、漁協と異なる点は、先ほどもいろいろ政府側から答弁いただきましたが、その中でも私は最大異なる点は、林産事業すなわち素材生産、造林事業すなわち育林のこういった生産事業を行うことが重要な特徴で、このことが森林組合としては漁協、農協に誇り得るところの特徴と私は言えると思います。一方、農協は販売購買、信用、共済など、端的に言って物を買ったり金を動かす流通事業が中心と言えるわけでございます。漁協もおおむね同じことが言えます。
この点から言えば、森林組合は、農協と違い、生産中心ということで、先に一歩進んでおるということが言えるわけでございます。こういった点においては、森林組合はもっと胸を張って誇っていい、かように思うわけです。
そこで、いま申し上げましたように、人工林、戦前二百万ヘクタール、戦後八百万ヘクタール、計一千万ヘクタールとなっておりまして、その蓄積が七億九千四百万立米ということでいま御報告をいただきましたが、人工林の整備目標は昭和四十八年三月七日発表の「森林資源に関する基本計画」によりますと、民有林六十五年度、国有林は九十年度を目標に、将来目標として千三百十四万ヘクタールとなっております。現在一千万ヘクタールの人工造林を造成したことは、先ほど申し上げましたように、かつてないことであり、今後も整備目標に向かって拡大造林をやることも必要でございますが、私は当委員会で再三質問をし、現在の林業が、いわゆるきょうの間伐、あすの主伐、もう間伐が来れば、やがて主伐がやってくる。戦後植えたあの植林地が、また天皇陛下を毎年迎えて植樹祭をやっていたその造林の推進が、今日一千万ヘクタールになり、そして、いよいよ主伐の時期がもうあと数年でやってくる。外材になじんだわが国は、いま六五%を外材に依存し、三五%を国内材に依存しておりますが、だんだん国内材が主伐の時期に入っても、このままにして推移すれば外材依存のくせがとれずに、国内材の需要というのがなかなか日本の木材のよさが見出せないというまことに危険きわまる状態になりかねない、こういうふうに思うわけでございます。わが国の国民が約一億立米の年間需要となりますと、六千五百万立米が外材、三千五百万立米が国内材ということになりますが、この人工林の一千万ヘクタールが主伐の時期に入りますと、少なくとも五十年の輪伐期にしても、五十年のいわゆる伐採期を一応想定しても、年間二十万ヘクタールが切れる。いわば日本林業として見れば、一千万ヘクタールの造林の法正林ができたわけでありますから、二十万ヘクタールずつ毎年切っても、五十年後にはまた一千万ヘクタールがちゃんと育林できているという計算になるわけでございますので、少なくとも今後は一億立米の中で五〇%ないし五四、五%の国内材自給はもう遠からずやってくる、かように私は考えて、この委員会でもたびたび質問をして政府を督励してきたわけでございます。
そこで、主伐として今後いわゆる伐採をするということになってまいりますと、再造林の問題が起きてまいります。私は、急にカーブを切ってもなかなか転換できませんから、拡大造林ももちろん続けてはいくわけでありますが、むしろこういう機会に、すでに時代は再造林の方向に力点がぼつぼつ移っていく時代ではないか、かように指摘をするわけでございます。すなわち、伐採と伐跡地の再造林をどうセットして造林をするか、これらの問題はそのときになってはもう遅い。林業は息の長い仕事でありますから、当然林野庁としてもこういった問題を林政の重点として考えて対策を講じていかなければならぬ、こう思うのですが、後々の質問もございますので、まず、そのことに対する認識を農林大臣お答えをいただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/152
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153・中川一郎
○中川国務大臣 御指摘のとおり、一千万ヘクタールの拡大造林をやってまいりまして、現在は子の保育ということに力点を置いておるわけでございます。今後もさらに拡大造林をやってまいらなければなりませんが、再造林に対しても、現在、保安林等の制限林として行われている造林及び森林施業計画に基づいて行われます造林については補助の対象といたしておることは御承知のとおりでありまして、今後さらに森林施業計画の作成身推進することによりまして、再造林が円滑に実施されるように努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/153
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154・瀬野栄次郎
○瀬野委員 何となくぴんと来ない答弁であるけれども、重要な問題がたくさんございますので、一応記録にとどめることにして、いまの問題に関連して質問を続けてまいります。
人工林の伐採と再造林の問題をいま取り上げましたが、この二つがやはりセットしてできるのは、これは森林組合が唯一の団体であります。先ほど申しましたように、一千万ヘクタールの人工林だと五十年伐期としても年間二十万ヘクタールが切れる、こういう計算になるわけです。そうすると、もう五十年後にはまたそれが五十年生になるわけですから、いわゆる法正林的な考え方でいくとなれば、わが国の木材需要のいわば一億立米の半分、五千万立米は優に自給できるということになります。そして、先ほど申しましたように、いわゆる千三百十四万ヘクタールという将来目標が、昭和四十八年三月七日発表の「森林資源に関する基本計画」に示されておるわけですから、これに向かって拡大造林を進めていくということは当然うなずけることでありますが、しかし、そうばかり言ってもおれない。すでに一千万ヘクタールという日本林業にとってかつてない一つの大きな山を越した、こういうふうにも一応言えるわけです。そういった意味で、私は日本林業にとってかつてない経験である、かように申し上げたいわけであります。
そこで、今後は大面積の皆伐、大面積の一斉造林ではいかなくなってきます。今後は何としても密度の高い森林施業をしなければならぬと思います。すなわち、小面積の伐採、小面積の造林という集約的施業が大事になってくるというふうに私たちは考えておりますけれども、農林大臣はどういうふうにこの点は認識しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/154
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155・藍原義邦
○藍原政府委員 造林の問題につきましては先生の御指摘のとおりでございまして、私どもも一千万ヘクタールに近い九百四十万ヘクタールの造林地ができ上がったということは、これは国民の方々、森林組合を含めましてその努力には敬意を表する次第でございますけれども、今後そういう意味からもこの造林地をいい造林地にし、いま先生が御指摘になりましたように、今後これが日本国民の有効な木材資源として活用されるような森林に仕立てなければいけないというようには考えております。
そういう観点から考えまして、私どもといたしましてもいま大臣からお答えいただいたように、保育に重点を置き、なおかつ再造林に積極的に取り組むつもりでおりますが、今後の森林の伐採につきまして、いま先生が御指摘になりましたように、昔のような大面積皆伐、大面積造林ということではなくて、やはり現在森林の持ちます公益的の諸機能を十分発揮するような体制での森林施業、これに取り組まなければいけないというように考えております。
そういう面では、先生御指摘になりましたように、きめの細かい森林施業に今後取り組んで森林というものは育てていくべきだというふうに私どもも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/155
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156・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣、いまの点はどうですか、あなた北海道出身でありますが、同感でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/156
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157・中川一郎
○中川国務大臣 もうちょっと上向きに同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/157
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158・瀬野栄次郎
○瀬野委員 積極的な発言で結構でございます。
その積極的な発言のところでぜひ農林大臣にお伺いしたいわけでございますが、国有林の委託問題について私はぜひともこの機会にひとつ勇断を持ってお答えをいただきたい、また、ぜひとも大臣の見解を明らかにしていただきたいと思うのです。
端的に申しまして、国有林は全国的に偏ってもおりますが、場所によっては飛び地がぽつんぽつんとあるわけですね、国有林の飛び地。また、国有林で里山の民有林に近接しておる国有林があることも御承知のとおりですね。東北もそうだし、九州にもあります。北海道でもそうです。国有林を森林組合に経営委託することを検討していただきたいということを私は申し上げたいわけであります。現在、経営の委託でなくて、森林組合は部分的な立木処分、造林の請負の作業をしておることも事実でございます。部分的委託請負でなく、完全に経営を委託させていただきたいのです。何も国有林全部じゃありません。やはり場所によってはいろいろその条件もあるわけですが、全国的に見ますとかなり民有地の近くまで来ておる国有林もあれば、また飛び地のぽつんぽつんとある国有林もあります。
そういった国有林をなぜこういった委託をせよと申し上げるかと申しますと、国有林もいま赤字で大変なときであります。もう実情は百も承知ですから一々申しませんけれども、こういった困っておるときに能率の悪いところ、また採算的にも経営上もなかなか国有林としては無理をするというようなところがあるわけでございますから、そういったところは森林組合の要請によってこれを全面委託する、いまやっているような伐採、造林の一部でなくて全面委託する、こういったことを、伐採はいまここでどうと言いませんが、そういう方向で今後検討し、森林組合も単独法化によって大きく、今世紀最後の団体法案としてここに生まれ変わるわけですから、一、二、三と飛躍するわけですから、ぜひともひとつ英断を持ってそのようなことを十分検討して期待にこたえる、こういうように御答弁をいただきたいのですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/158
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159・中川一郎
○中川国務大臣 まさに前向きの御意見でございまして、国有林経営が非常に悪化している、こういう事態でもありますので、国有林を森林組合等に経営委託をするということは私も大賛成でございますし、いままでもやってきているようですが、そのやり方、仕組みについては、いろいろまた技術的なこともありますから林野庁より答弁をさせますが、私としては前向きにやりたい、こう思っておる次第でございます。
技術的なことは林野庁長官から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/159
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160・瀬野栄次郎
○瀬野委員 藍原林野庁長官が答弁する前にもう一つ私申し上げておくので、それを踏まえてひとつまとめて答弁をお願いしたいと思います。
これはあえてこういったことをくどくど申し上げるようですけれども、私はやはり今後の国有林、また森林組合の育成のためにもこういった提案をするわけですからひとつがまんして聞いていただきたいと思うが、明治三十年でしたか、一番最初の森林法ができたときに、そのときの素案はたしか明治二十九年にできた、こういうふうに記録に残っております。その素案によると林業組合という名前で入っておりました。この林業組合の組合員に国有林も入るように素案の中にはなっておったのであります。徳川の藩政時代には国は民有林を利用していたということが記録に明らかでございます。官有、民有の区分が明治二十年代、権力によってなされたと私は記憶しておりますが、国有林のいわゆる下げ戻し運動が起きて当時は大変巷間うるさい時期であったというふうに記録を読んだ記憶がございます。すなわち、いまは国有林かもしれませんが、昔は民間人が利用した山も多くあったわけでありますし、里山は森林組合に入ってよかったという考え方であったわけであります。
このようないわば明治二十九年来の成立過程から見ると、古いことを申し上げるようでありますが、いま境界問題いろいろたくさんございます。これはいずれまた私は別途この問題については当局に質問をいたしたいと思っておりますが、いまさら国有林を森林組合の組合員に入れようとは申しませんけれども、昔は民間が利用したのでありますから、少なくとも経営を委託するのは何らおかしくない、かように思うわけです。
大臣は前向きの答弁を言われましたし、いまから林野庁長官が補足説明をなさるようでありますが、こういったことを踏まえてぜひとも私は今後飛躍する森林組合のためにこういったことを勇断を持ってやってもらいたい、この席でひとつ林野庁長官の答弁を求めるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/160
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161・藍原義邦
○藍原政府委員 日本の林業を見ますと、ただいま大きく分けまして国有林と民有林と分かれた形で林業が経営されておりますけれども、やはりその地域地域によりまして民有林なり国有林なりが協力し合って仕事をする、あるいは森林というものはやはり流域単位に一体になっていろいろと施策を協調してやっていくという姿勢が必要かと思います。
そういう意味から、それぞれの地域の実態によりまして、いま先生のいろんな御指摘がございましたけれども、現在、国有林の中に制度で許されておりますいろいろな制度がございます。そういう制度の許される範囲内におきまして、森林組合の発展のために必要なものであれば私どもとしても積極的にその対応はしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/161
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162・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣初め林野庁長官から前向きの答弁がございましたが、どうかひとつその姿勢でぜひとも今後お願いをしたいと思います。公開の席で聞くとそういう決意ですけれども、数年前に当委員会で審議して採決いたしました国有林の活用法案等を見ましても、これが当時成立したときと違って、やはりわれわれが指摘したように、その後なかなか貸付料が高かったりいろいろ問題がございまして、この活用法案が不活用法案ということでなかなか利用できてないという実情もございまして、もっとひとつ国有林も姿勢を正していただきたい。そういうことにならぬように、きょうの大臣と林野庁長官の決意を各局長以下皆さん方で検討して、そして、ぜひともそういう方向で親しまれる国有林になるように、そして赤字解消の一助にもなり、そして、それが国益に大きくプラスになるような方向で、ひとつ弾力的な考えで進めていただきたい。法を曲げてまでやれとは申しませんから、十分最大限に活用できるようにお願いしたい。重ねてお願いをいたす次第であります。
次は、生産森林組合についての問題をお尋ねしたいと思っております。
生産森林組合制度は、昭和二十六年の改正森林法において、森林の経営、これは委託または信託を受けて行うものを除くわけですが、及びこれに付帯する事業を行う組織として創設されたものであります。共有林の経営状況及び規模拡大による森林経営のメリットにかんがみ、共有形態の森林について一つの責任ある経営主体を確立することによって、森林施業の合理化と森林生産力の増進を図るものであり、生産森林組合の事業の運営が、林業経営における間断性、経営基盤となる対象森林規模の狭小などの理由から、安定的、計画的に行いがたいという欠陥に対処するため、その事業の範囲にすでに緑化木の生産とか森林を利用して行う農業を取り入れたほか、今回新たに特用林産物の生産を取り入れることになったわけです。シメジとかエノキダケとか、いろいろなこういったものをやる。いわゆる植林だけではなかなか日銭が入らぬから、日銭をかせがしてあげよう、こういう配慮であるわけであります。
五十年度末現在における全組合の経営森林面積は約二十万ヘクタールにすぎないが、このうち、人工林面積は約八万八千ヘクタールとなっております。これは先ほどいろいろ御説明いただきましたとおりでございますが、今後、入会林野の整備の進展に伴いまして、これを契機に結成される生産組合が増大するのは火を見るよりも明らかでございます。
さてそこで、今後入会林の整備をするのが百万ヘクタール残っている、こういうふうに言われておるわけでございます。このことについて私もいろいろ調べてみましたが、一九六〇年農林業センサスのときに入会林等二百万ヘクタールとなっておりまして、そのうち五十万ヘクタールは自然解体でなくなり、残り百五十万ヘクタールは、昭和五十年度までに五十万ヘクタールを近代化しつつあり、現在この五十万ヘクタールは整備中でございまして、このうち二十万はすでに整備を終わり、残り三十万も問もなく済む予定であるように承っております。今後、入会林の整備をするのが百万ヘクタール残っている、このように内訳によってなっておるわけです。
したがって、この百万ヘクタールのうち五十万ヘクタールと現在ある二十万ヘクタール、そして現在整備中の二十万ヘクタールの六〇%が該当するとして約十万ヘクタール、合計八十万ヘクタールということになるやにも聞いておりますが、要するに、今後、入会林の整備をして近代化を図っていくとなりますと、いま生産森林組合が持っている二十万ヘクタールはいずれ八十万ヘクタールになる。端的に言えばこういう計算になるわけでございます。そうなりますと、二十万に対して八十万ですから、ちょうど四倍ですね。四倍ということは、すなわち現在、生産森林組合が、五十一年三月で組合数が二千二百七十四でございます。先ほど石川林政部長の説明でも余り大差はないということでございましたが、過去の実績から見ましても、いま毎年、生産森林組合は年間百五十から二百ぐらいずつ増加しております。そうしますと、四倍ということになりますと、二千二百七十四の組合に四を掛けて単純計算しても、近い将来約九千組合ぐらいになる計算になります。いまの二千二百に対して九千ぐらいになって、六千余りがふえる、こういう計算になりますが、生産組合の数及び経営対象森林面積の見通しについて政府はどのように考えているか。この生産森林組合というものは、まあ森林組合もあるわけだし、これに対していろいろ批判を加えることはどうかと思いますけれども、将来にわたっていろいろ問題が出てくるわけでございます。
そういったことから、私もいろいろ将来の検討のためにお聞きするわけでございますので、その点まず明らかにしていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/162
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163・藍原義邦
○藍原政府委員 生産森林組合につきましては、いま先生も御指摘になりましたように、入会林の近代化というものを中心にふえておりますけれども、現在の状況、いま先生がお話しになりましたように、今後、入会林の整備をしなければならない面積は約百万ヘクタールというふうにわれわれも押さえております。そういう意味から、今後この入会林の近代化を図るために生産森林組合がさらに増加してまいりますことは先生御指摘のとおりであろうというふうに考えておりますが、先生が御指摘になりましたように、約四倍にふえるだろうという先生の御推察でございますけれども、私どもは一応、いろいろなことを考えまして、従来からの設立経緯等々を加えて考えていきますと、大体二千六百組合ぐらいが今後ふえるのではなかろうか、したがいまして、合計いたしますと約五千組合ぐらいにはなるのじゃなかろうかというふうに想定いたしております。
なおまた、こういうことに関連いたしまして森林面積はおおよそ四十万ヘクタールぐらい管理経営する森林面積がふえまして、合計では大体六十六万ヘクタールぐらいになるのではなかろうかというふうに見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/163
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164・瀬野栄次郎
○瀬野委員 藍原林野庁長官、そうしますと、単純計算してもこれは九千ぐらいになるわけで、百万となれば二十万の五倍ですから一万組合以上になる、こういうように私は言いたいところですけれども、おおむね八十万ヘクタールぐらいであろう、こういうふうに分析しまして、四倍という数字で控え目に出したのですけれども、林野庁長官のおっしゃるようなことにはならぬのじゃないかと思うのです。中には千人以上の組合員を擁するものも全国的には六つあります。また、小さなのもありますけれども、そうなれば、今後この面積をたとえば三十ヘクタール以上平均的にまとまったものにするとか、五ヘクタールとか十ヘクタールとか小さいものは民間法人でやるとか、いろいろなことも多少セーブしないと、野放しということですと、やはりこれはどんどん指導していくわけですから、そうなってきますと、今度は日銭もかせげる、シメジでもエノキダケでもできるということになるわけでしょう、そうなってきますと、これはずいぶんふえてくると思うのですよ。一方では近代化をどんどん進めろというわけですから。私は、この生産森林組合は森林組合のいわば組合員でもあるので、今度の法律で、これは無理でありますけれども、何らかの方法でこの組合員、生産森林組合は事業を森林組合に委託して、そして、その生産森林組合のいわゆる作業労働者は施設森林組合の労務班の中に入って働く、こういうことができればよかったんじゃないかな、こういうような気もするけれども、そうなると今度は、いまやっている生産森林組合は、何言うか、瀬野は勝手なことを言うな、こういうことにもなりかねないのですが、この施設森林組合と生産森林組合と二つあるということ、これは必要によってできたわけですけれども、いろいろ問題が起きてくるということですね。将来の問題として心配をしております。実はこのことについては、あの座長である武田会長を呼んで私もいろいろ聞こうと思ったけれども、唐突でございましたからきょうは遠慮申し上げましたが、武田会長もずいぶんいろいろと、私と同じような意見を持っておられるようなこともしばしば仄聞しておるわけです。
そういったことで、将来の問題として十分農林大臣も林野庁長官も考えてもらわなければならぬという問題もありますが、そういったことはさておき、いずれにしても相当、年間百五十、二百とふえていくわけですから、こういった組合の数を、長官は今後二千六百ぐらいがふえるだろう、従来のものと今後ふえるものと合わせて五千組合ぐらいにする、そして大十六万ヘクタールぐらいと、こうおっしゃるならば、かなり採択面積その他についても検討しなければ五千組合におさまらぬと思うのですが、その点を抜いておっしゃっても、私は納得がいかない、こういうふうに申し上げるわけです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/164
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165・石川弘
○石川政府委員 ただいま長官が御説明しました積算を申し上げますと、実は百万ヘクタールの入会林全体をその対象として算定をいたしておりませんで、従来も、整備しました場合に森林組合によって利用されますのは、整備面積のうちの大体六割でございます。それからその次に、入会林の整備が実はなかなか実行面で困難でございまして、従来、整備の計画に対して実行いたしております率が大体六〇%を若干割っておるわけでございますけれども、私どもの仮定の計算としまして、今後指導強化してその面積の六五%ぐらいは実行したいという実行率が掛かっております。
それからもう一つは、先生の御指摘の、現在の規模よりも若干大きい規模、大体一生産組合当たり百五十ヘクタールぐらいの面積を持つものを想定いたしておりまして、そのような因子を掛け合わせますと、百万ヘクタールの入会林野の未整備地に対しまして大体一組合百五十ぐらいの組合が存立し得るとしますと、二千六百になる。掛け算で申しますと、百万ヘクタールにまず〇・六、これは入会林野を整備します場合に生産森林組合をつくるものの率を〇・六掛けて、さらに実行率としまして、先ほど申し上げました、整備計画を立てましても実行いたします場合にある程度、現在の実行率約五八%でございますけれども、これを若干上げて、六五を掛けております。それを百五十で割っておりますので二千六百という数字になっております。先生御指摘のようなことも十分あり得るわけでございますが、私どものいまの想定では、いま言ったみたいな実行率等を勘案しますと二千六百程度を想定してもいいのではなかろうかという、まああくまでも仮定の計算でございますが、そういう試算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/165
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166・瀬野栄次郎
○瀬野委員 仮定の積算ですけれども、私は、もっとふえていく、こういうふうに思いますが、それならばそれでひとつ十分な対策を講じていくようにしていただかないといかぬ、かように思います。公開の席で余り突っ込んだ話をすることもどうかと思いますが、そのさわりの部分だけ指摘しておきます。
次は、生産森林組合の問題に関連して、今回常例検査義務を廃止しておりますが、この廃止した理由を明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/166
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167・石川弘
○石川政府委員 生産森林組合は、先ほどから申し上げておりますように、みずから林業を行う事業体でございます。しかも、その組合員の二分の一が常時従事をいたします。したがいまして、非常に自主的な牽制が行われる、自分が自分で仕事をしているという事業体でございます。したがいまして、これを従来で申します施設組合、今回の森林組合と同等の監督をする必要がないのではなかろうかということから常例検査規定を廃止することといたしたわけでございます。この点につきましては農事組合法人等も同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/167
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168・瀬野栄次郎
○瀬野委員 これも指摘しておきたいと思いますが、もう法案が提出になっておるので、今後も注意してもらいたいと思ってあえてこの席で申し上げるわけですが、生産森林組合に対する常例検査の廃止で、この法律の条文を見ても、もうとにかくわからないのですね。私も、これでもう一日半も頭をひねって、やっと頭を整理しておったところが、きのうになってちょっと違うということがわかりまして、頭を切りかえるのにいま一晩かかったようなことになっておりますけれども、四条のところで、第一章、第五章及び第六章の組合は生産組合を含むとなっており、九条では、第二章の組合はいわゆる施設組合のみをいう。そして、九条三項では、出資組合とは出資施設組合をいう。九十三条では、第三章の組合は生産組合をいう、そして、最後に百十一条の四項は、第五章であるから組合は生産組合をも包含するが、出資組合は九条三項により出資施設組合である。こういうことで、あっち見たりこっち見たりしないとなかなか終着的な考えにまとまりがつかぬということになって、これはもう少し整理をすべきじゃなかったかなと思うのですが、いまさら言ったって困るけれども、本法に対しては五、六点修正をしてやりたいと思っておるので、後ほどじっくりまた話をして修正しようかと思っているのですけれども、こういったことになっておりますね。
いずれにしても最終的には常例検査というものを廃止する、こういうことなんですね。そうすると、私は生産森林組合のことをいろいろ政府の見解をただしてまいりましたが、この常時従事義務違反にならぬかということです。千人おる組合も六つあるわけですが、従来は三分の二だったのが今度は二分の一ということで、相当常時従事義務の人員を減らしたことも事実ですが、そんなことはとても考えられぬから減らしたのかと思うが、私は、それでも多いんじゃないかと思う。百人の組合で言えば五十人常時従事する義務があるわけですね。一千人だと、さっき言ったように五百人、果たしてこんなことは可能であるか。私は、これは明らかに森林法、定款違反になるんじゃないかと、こういうふうに思うのですが、絶対にたらない、こういうことでございますか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/168
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169・石川弘
○石川政府委員 一つ一つの組合を当たるわけにいきませんので的確なお答えにならぬかと思いますが、いままでの組合の事業に従事した者の数と組合員の総数というものをたとえば五十年度で見ますと、組合の事業に従事した者が十二万九千人でございまして、そのうち組合員が十一万五千人ということでございますから、その率は八九%ということで、三分の二以上を十分カバーしているわけでございます。これはあくまで総体の数でございますので、先生のおっしゃいますように、たとえば非常に大規模な組合等を想定しますと、一つ一つがその要件にぴったり該当していたかどうかということは実はなかなか確認しがたいことではございますが、総体の数字とすれば、従来でございますと十分組合員の三分の二が従事したと言えるのではなかろうかと思います。
今回この従事義務につきまして若干緩和をいたしますけれども、先ほどおっしゃいましたように、非常に規模の大きな組合につきましていろいろ御疑問があろうかと思いますが、私どもは、やはり組合員がみずから従事することによって経営をやっていくというところに生産森林組合の意義がございますので、それから他の事業協同組合あるいは農事組合法人等に比べますれば従事義務がむしろ緩和をされている組合でございますから、行政指導によりまして的確に従事するように指導をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/169
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170・瀬野栄次郎
○瀬野委員 時間が大分詰まってきたという連絡がありましたが、あと数点どうしても聞いておきたいことがありますので、答弁は簡潔に、はしょってお伺いしたいと思うのです。
今回の単独法化によって、御承知のように、森林組合は、もちろん従来と同じように、公益性があるということはしばしばおっしゃったとおりです。公益性があるというならば、農業委員会とか土地改良区のように、私は、人件費の助成をすべきじゃないか、こう思うのですが、これについてはどういうふうにお考えですか、長官お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/170
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171・石川弘
○石川政府委員 助成の体系といたしましていろいろございまして、御承知のように、農業委員会のように直接人件費を助成するような方策もあろうかと思います。ただ、協同組合と申しますか、協同組織のたてまえをとっておりますので、私どもの援助の方法としては、これは合併助成法のときにも申し上げましたが、第一義的には、施設を整備します場合、これは林構等で助成をいたしております。
それから、たとえば組合の事業でございましても、団地共同施業計画を立てさせるというような共同行為の事業面に着目しまして、そういう面での援助も実際現段階でもいたしておりますし、たとえば監査士等の問題につきまして、あるいは職員の研修といった事業面に着目しました助成は今後も強化をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/171
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172・瀬野栄次郎
○瀬野委員 いま答弁に出てきましたが、必須事業制をとってはいるものの、森林組合の経済団体としての性格は強いわけでございますから、人件費補助はきわめて困難であるような答弁でございますが、一部森林組合が事業主体となって行う事業において人件費、労賃の助成があることは承知しております。昭和四十九年、森林法第十八条による、すなわち団地共同森林施業計画とか造林補助事業等がそうでありますが、人件費の助成ができるならば、農協、漁協と同じく事業能力を持たせるというようなことはできなかったのか、何か矛盾があるわけですね。もう時間が迫っておるので詳しく申しませんが、その点はどういうふうに検討されましたか、記録に残しておきたいので、簡単にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/172
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173・石川弘
○石川政府委員 御承知のように、事業面で信用事業以外の事業は全く共通でございます。したがって、先生おっしゃいますのは必須の指導事業ということかと思いますが、指導事業等につきましても、たとえば中央会等の監査事業みたいなもの、これも人件費という形よりも事業に対して援助をいたしておりまして、それと同様の意味で、私どもも、組合の方の事業で行政上必要なものについては援助をしていく。ただ、何と申しますか、純粋な人の設置費という観点ではなかなか援助はしにくいということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/173
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174・瀬野栄次郎
○瀬野委員 作業班のことについて一点触れておきますけれども、施設森林組合二千百三十九組合中、作業班を有する組合は千四百十四組合で、その結成率は六六%となっております。人員は五万六千九百二十一人で、一組合平均約四十名となっておりますが、各組合とも山林を持っている組合員は約七〇%で、残り三〇%は山を持たない非組合員になっております。そこで私は、作業班員が山林に定着するためには山を持たせることが最も大事なことで、山林を持たず、裸で賃金だけを得るのでは山林に愛着もないし定着もしない、かように思うわけであります。作業班の人たちに山林を少しでも持たせることが大事で、山の経営をしながら作業班に従事するようにすべきであります。土地まではむずかしいならば分収林でもよいと考えるわけですが、この点はどうかということをお尋ねするわけです。
ちなみに、作業班員の福利厚生林を見ますと、施設森林組合が作業班員の労働意欲の向上と定着化に資することを目的として、分収造林または借地造林方式により作業班員福利厚生林を設置するために行う面積調査、林地条件調査及び経営計画作成等の事業は、第二次林業構造改善事業で措置している。ちなみに申し上げると、四十八年度から五十一年度まで、個所数が十三、面積が六十七ヘクタール、事業費が七十二万一千円、十三カ所中二カ所が借地、十一カ所が分収造林となっております。
こういったことについても農林大臣も十分承知しておられると思うが、作業班員に山を持たせる。過疎対策にもまた山村の振興にも十分対処させる、このためにはぜひ個人有とか分収林を持たせてやるということで、温かい力強い前向きの積極的な施策をしてもらいたい、このように思うのですが、農林大臣いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/174
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175・藍原義邦
○藍原政府委員 先生御指摘のように、作業班と申しますのは、森林組合の中でもその施業を担う基本の母体でございますし、また、その地域の林業の中核的な担い手でもございます。
そういうことで、林野庁といたしましても、第二次構造改善事業の中に作業班の福利厚生林整備事業というものを設けましてその推進を図っておりますけれども、これは森林組合が、分収造林方式によりまして作業班の福利厚生への基盤としての森林造成という作業でございますし、今後ともこういう面につきましても積極的に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/175
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176・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣、いまの件を聞いておられたと思うが、ぜひひとつ積極的にやってもらいたいと思うが、決意をちょっと申し述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/176
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177・中川一郎
○中川国務大臣 林野庁長官が答弁したとおりでございますが、積極的に推進してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/177
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178・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣おっしゃったとおり、ぜひとも積極的にやってください。
最後に、一点だけお伺いしておきます。
第四十七条に「理事は、監事又は組合の使用人と、監事は、理事又は組合の使用人と、それぞれ兼ねてはならない。」という役員兼職禁止の問題がございます。作業班員は組合の使用人でございます。よって、理事にはなれないということになるわけですが、現在は作業員で理事もいるわけでございます。なれぬとはおかしいわけでございまして、静岡県等にもおられるわけです。労働者の代表、すなわち組合の民主的運営からも、現場の労働者代表を入れることが最も大事であり、意義が大きいわけでございます。今後、合併助成でどんどん進んでいく森林組合に対して、当然、作業班員であっても、いわゆる使用人であっても理事に入れるべきである、かように思うわけでございます。
これについて当局は、何か労働省とも了解をしているというようなことで、いわゆる給与は理事報酬として支払う、使用人とはみなさないということですが、法文上から見ればそんなことは一つもうかがえない。私はあぶり出しみたいに出てくるかと思って火にあぶってみたがやっぱり出てこない。
そういうわけですから、この点どういうふうに検討しておられるのか、作業班員、すなわちこれは森林組合の使用人ですから、これが今後理事になれないということは問題でありますので、その点をひとつ明確にお答えをしていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/178
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179・石川弘
○石川政府委員 現に作業班員でございまして組合の理事となっておられる方がいらっしゃいます。先生の御指摘のとおりの問題がございますので、作業班員として働きます場合には給与の支払いを理事者の給与として支払うということと、作業班員として行動いたしますときには理事権限を行使しないという二つのことを規約で明定をいたしまして御心配のないようにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/179
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180・瀬野栄次郎
○瀬野委員 いろいろ質問してまいりましたが、時間が参りましたので、以上で終わります。
残余の問題は来る四月十一日、当委員会で農林大臣を初め林野庁長官に改めて質問を続行することにして、重要な問題が大分残りまして残念でございますけれども、一応これでけりをつけて質問を終わることにいたします。
御協力ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/180
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181・中尾栄一
○中尾委員長 稲富稜人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/181
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182・稲富稜人
○稲富委員 私、今回提案されております森林組合法につきまして質問をいたしたいと思いますが、すでにけさからもう六時間以上にわたりまして同じ問題で質問が繰り返されておりますので、聞いておる方のわれわれさえも、実は何かいや気が差しているくらいなので、さぞかし、精力的な大臣もお疲れのようでございますので、私はひとつ要点を簡略に質問いたしましてこの問題を二、三ただしたい、かように思う次第でございます。
まず冒頭に大臣に承りたいと思いますことは、今回、私たちが多年要望いたしておりました森林法の中の森林組合が、ここに森林法より分離独立して新たに森林組合法の制定を見たのでありますが、この意義及びその効果を政府はいかに評価し、また、この単独法に対していかに期待をされておるのであるか、この点を承りたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/182
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183・中川一郎
○中川国務大臣 森林組合法を単独法とせよということは、国会からの御意見もありましたし、また林業を取り巻く情勢が非常に厳しくもございましたので、これに対応するという観点から、学識経験者等にも慎重に御検討いただきました結果、この際は単独法化すべきである、こういう結論を得ましたので、今回お願いをした次第でございます。
このことによりまして、森林組合が、森林所有者の協同組織として、その経済的社会的地位の向上を図るとともに、時代の経済的社会的要請に即応いたしまして、森林の保続培養と森林生産力の増進にも積極的に寄与することを期待いたして出したわけでございます。
このことによって、たとえば先ほどもありましたように、信用事業などもということで、もう少し前向きな点もつけ加えたかったのでありますが、学識経験者等からそこまでは現段階では踏み切れないということで、完全なものではございませんでしたが、まあまあこの事態においてはというところで御提案申し上げておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/183
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184・稲富稜人
○稲富委員 森林の持つ使命というものは、もちろん木材の供給ということは当然でありますけれども、さらに国土の保全、特に水資源の涵養というような国家的な全産業の源泉である、こういうような意味から森林の持つ使命というものは非常に重大である、かように考えておるわけであります。
ここに森林組合法が単独法としてできたということは、森林の持ちまする国家的な全産業の源泉をなすものであるというその重大な立場から、その使命達成に大きな役目を果たしていただきたい、こういうような期待、希望があって独立法としてここに制定されたものであるし、また、そういうような生かし方を将来すべきである、かように私は考えておるわけでございますが、これに対しまして政府はどういうようなお考えを持っていらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/184
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185・中川一郎
○中川国務大臣 全く御指摘のとおりでございまして、今日、森林を取り巻く情勢は、木材の需要の問題等から問題があるのみならず、そういった面からの対処も必要でございますが一国土の保全、特に水源の涵養あるいはまた環境の保全というような公益性、山を治めるのが政治であると言われるくらい国家の基本的な大事な事業でございます。それを受け持つ第一線の森林業者、そのまた森林組合の持つ使命は非常に大きいということで、大きくは根っこにそういうことを踏まえての森林組合法の単独法化であろう、こう思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/185
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186・稲富稜人
○稲富委員 いま大臣の言われたような意味において、今回の森林組合法が単独法として制定された意義をそこに見出したい、私たちもそういう期待を持っております。それがために私たちが特にここで希望したいと思いますことは、この森林組合がそれがために地域の林業振興に果たす役割りの重要性及びこれに対するわれわれの期待というものは非常に増大いたしておるというようなことにかんがみまして、今後、森林組合自身の体質の強化あるいは森林組合の拡充を図ることはきわめて重大であるし、また必要であると思うのであります。
政府は、こういうような認識の上に立って、今後、森林組合を中心とする森林事業のいろんな施策、こういうことに対して尽くさなければこれはできないではないか、私は、独立法として森林組合法が制定された理由もここにあると思うのでございますが、私と同じような考えで独立法となしたということを大臣もおっしゃっていますから、これに対する政府の具体策というものがあるならば、この機会に承りたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/186
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187・藍原義邦
○藍原政府委員 今回、森林組合法を提案し、国会で御審議いただくことにいたしました理由は、ただいま大臣から御説明申し上げたとおりでございます。これによりまして、森林組合の基本的性格の明確化あるいは地域の実態に即した林業の担い手としての広範な役割りへの制度的な対応、こういうものが図られるとわれわれは考えております。
こういう考え方をもとにいたしまして、森林組合の強化拡充につきましては従前からいろいろな拡充策を考えておりましたけれども、一、二の例を申し上げますると、森林組合及び森林組合連合会の業務及び会計につきましては検査役員に対する研修指導もやっておりますし、それから森林組合の広域協業あるいは広域合併の推進、また森林組合によります造林、伐採等の受託経営を増大させるために林家台帳、受託経営計画の作成、協議会の開催等の受託経営促進対策事業の推進、こういうものもやっております。
それからまた、森林組合の経営管理の近代化、組合活動の活発化を図るため森林組合経営改善特別対策事業の推進もしておりますし、また林業労働の就労条件の向上に関連いたしまして適切な助言指導を行います林業労務改善促進事業の推進もいたしております。
また、林業構造改善事業におきましては、近代的施設の導入なり協業の推進について助成をしておりますけれども、さらに五十三年度につきましては、新たに森林組合の健全な事業運営に資するために森林組合の連合会の中に森林組合監査士を置きまして森林組合等の経営管理につきまして適切な指導、教育を行う監査事業に対しましての実施、あるいは森林組合の合併を促進するための都道府県及び市町村段階におきます合併推進協議会を設置する森林組合育成指導事業の実施、あるいは森林組合の受託経営等によりまして受託経営をより集団的、計画的に行うため、その対象に非組合員を加えた受託経営促進対策事業の強化等々をやっておりますし、そういう形で五十三年度も考えておりますので、いま申し上げましたような精神をもとに森林組合の強化には今後とも積極的な対応を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/187
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188・稲富稜人
○稲富委員 ただいま長官より森林組合の今後の指導育成強化対策に対しましては具体的な計画があることは承ったのでございますけれども、これをやはり実際に起こす上においては相当な助成措置等もやらなければいかないのじゃないか。ただそういうような指導育成のみではなくして、場合によったら政府が森林組合に助成対策をやって、そして森林組合の強化対策をやる、そして地域の森林事業の発展のために森林組合を通じて大きな責任を持たせる、こういうこともやはりあわせて考えなくてはいけないと思うのでございます。
いま具体的なお話を承ったのでございますが、いろいろな指導に対してはいまおっしゃったようなことで結構でございますが、場合によったらそういうのは政府が助成対策等でもやってこれの推進をやる、こういうような考えもおありになるかどうか、この点も承りたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/188
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189・藍原義邦
○藍原政府委員 いま、一部省略いたしましたけれども、細かくるるいろいろな事業を御説明したわけでございますが、この中に、指導的なものに対する助成もございますが、さらには構造改善事業なりあるいはことしやろうといたしております作業班の退職金制度、こういうものもございます。こういうものに対しましてはそれなりの助成もすることにいたしておりますし、森林組合がやはり共同して事業を実行するようなものにつきましては、制度上考えられるものについては従前からも助成をいたしておりますし、今後どういう発展をしていくか、森林組合もいろいろこれからも仕事をすると思いますが、やはり森林組合のこれからの発展を助長するような形のもので森林組合として共同的に事業をするもの、あるいは森林組合自身が指導してまいりますいろいろな事業についての問題について、国として助成すべきものがあれば今後とも積極的な対応はしてまいりたいというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/189
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190・稲富稜人
○稲富委員 この問題につきましては、後ほどまたさらに改めて別な項においてお尋ねしたいと思うのでございます。
さらに、ここで念のため私承っておきたいことは、従来、森林組合が公益、公共的色合いの濃かった森林法から分離独立して、新たに森林組合法によって規定されることになったわけでございますが、この組合の基本性格はどう変わるのであるか、また協同組合的性格をさらに強めるという考え方はないのか、さらに公益的性格をあわせ持つという必要性をどう考えるか、こういう点についてひとつ念のためここで承っておきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/190
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191・藍原義邦
○藍原政府委員 いま御指摘になりましたように、森林組合が公益的な性格の強い森林法から分離独立いたしまして、森林組合の基本的な性格は、いままでも森林法の中にありましたものに加えまして、さらには組合員の社会的地位の向上というような協同組合的性格というものをあわせ持つ森林組合法を御審議いただいているわけでございますけれども、いま申し上げましたように、こういうふうに二つの大きな目的が並列的に規定されましたことによりまして、過去におきます森林法の中にありまして森林の保続培養と森林の生産力の増進のための組織としての位置づけというものは、いま申し上げましたように二つに分けたことによりまして決して弱まるものではなくて、さらに強調されたものというふうにわれわれは考えております。
それから、森林組合を今回森林法から抜きまして一つの森林組合法という中に根拠づけたことによりまして、森林組合は、先ほど申し上げましたけれども、やはり協同組合的性格と公益的性格を等しくあわせ持つ団体という性格はさらにはっきり強まったものになったというふうにわれわれ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/191
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192・稲富稜人
○稲富委員 私は先刻も申し上げましたように、常にこれは考えることでございますが、やはり森林というものは、森林に投資をするということは国のすべての産業投資の根幹である、こう申し上げましても差し支えないのじゃないかと思うのでございます。それほど森林というものは日本のすべての産業に対して最も重要性を持つものであるし、それほど公益的な立場にあるものである、かように考えます。
そういたしますと、森林行政のあり方というものは、国有林と民有林をともに総合林政という立場においてこれを推進する、こういうようなことによって森林の発展を期するということは、これは常に考えなければできない問題である、かように考えるわけでございます。これに対してはどういうような考え方を持っておられるか、この点を承りたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/192
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193・藍原義邦
○藍原政府委員 林業がその地域地域におきましてやはり流域的な管理なり、あるいはその地域の基本的な考え方が統一されて林業というものは経営されるべきだろうというふうにわれわれも考えております。そういう観点から見ますと、森林、林業というのは所有者別に経営されるべきではなくて、やはり基本的な考え方は一つの考え方に基づいてそれぞれの施業が行われるべきだろうというふうに考えております。そういう意味からも、森林計画制度というものがございまして、全国森林計画なり地域施業計画なり、あるいはそういうそれぞれの個々の施業計画というものが立てられまして、一つの全国森林計画に即した形で林業というものは推進されておるわけでございます。
いま先生が御指摘になりましたように、国有林、民有林をあわせて推進する必要があるというような地域につきましては、先生御指摘のとおり、森林組合は民有林におきます森林、林業の中核的な担い手として非常に重要な役割りを果たしているわけでございますから、そういう面から見ましても、その地域地域における実態に即して森林組合はそれぞれの施業を今後ともしていく、また、していかなければいけないものだというふうに考えております。
こういう意味から、森林組合は農業協同組合あるいは漁業協同組合と異なりまして、いわゆる協同組合に純化することはしないで、そこに協同組合的性格を付与しながら公共的な機能を果たす組合として、森林所有者を組合員とするという形で森林組合も形成されておりますし、適正な森林施業を行うためにやる事業を必須事業として認めておりますのもこれらの考え方に基づくものでございますし、こういう点で森林組合はその地域地域の実態によりまして国有林、民有林、いろいろ協調して今後とも森林の管理経営に当たらなければいけないところはあろうかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/193
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194・稲富稜人
○稲富委員 私の申し上げておりますのは、いまもちろん長官の御答弁の一部にもあったのでございますけれども、私は、森林の持ちます非常に国家的、公益的な使命から申し上げまして、森林行政というものは国有林と民有林を総合林政の中に置いて森林計画を樹立する、これを常に考えなくては、国有林は国有林である、民有林は民有林である、こういうようなことでは本当の総合林政というものは成り立たないのだ、私たちはこう考えておりますが、われわれの考え方が間違っておるならばお教え願いたいと思うのです。
私が言いますのは、その森林の持ちます公益的な立場、こういう点から考えるときには、民有林でありましても国有林でありましても総合林政という立場から森林の発展を期する、こういうことが最も必要じゃないか、こういう立場に立って森林政策というものを樹立しなければできないではないか、こういうようなことを私は申し上げておるわけでございますので、大臣もおられるが、その点はどう考えていらっしゃるか、これは日本の林業政策、森林政策、そしてまた森林行政の上から一番大きな問題でございますので、私はその点を念を押してお尋ねしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/194
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195・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま先生から総合林政というお言葉がございましたけれども、先ほど私が御説明いたしましたように、日本の森林の資源の培養あるいは生産力の増強、こういう問題を中心にして森林法というものがございまして、それに基づいて日本の森林全体の維持管理がなされなければならないというふうに考えておりますし、そのために森林計画制度というものがございまして、全国森林計画制度に基づいたそれぞれの地域の施業計画あるいは個々の施業計画が立てられるわけでございまして、そういう基本的な物の考え方につきましては一本でいかなければいけない。
しかしながら、国有林あるいは民有林というのはそれぞれその山の実態も違いますし、現在、現実に置かれておる事業のあり方その他も違っております。したがいまして、個々のいろいろの施策なり実行形態なり仕事のあり方なり仕立て方、こういうものは、それぞれ現在置かれております国有林は国有林の山の実態あるいは民有林は民有林の置かれておる山の実態なり、その地域のいろいろな実情があろうと思いますから、それぞれの立場で考えて実行されておるのが実態でございますし、基本的な物の考え方として森林計画制度で考え方は一本になっておるというようには考えますけれども、先生がおっしゃいましたような総合林政と申しますのは何を総合林政と言うのか、申しわけございませんが私も十分理解しかねますけれども、先ほど私が申し上げましたように、計画制度としての一本化というものは森林法の中でうたわれておりますし、それに基づいて国有林なり民有林を具体的に管理経営するということになりますと、それぞれの実態に即してそれぞれの立場で実行されておる、また、そうしていかなければいけないというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/195
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196・稲富稜人
○稲富委員 話を繰り返すようでありますが、私の言いますのは、何も国有林が民有林を侵せとか、民有林が国有林に食い込めとか、そういうことを私は言っているのじゃございません。おのおののその持ち前持ち前がありますから、そういうことに対してはその持ち前を生かした林業政策、森林政策は立てなければいけないと思う。しかしながら、国としての基本的な森林政策、森林行政をやるというようなことを考えたならば、総合的にこれはやはり大きな目で、民有林の持つ一つの特質、国有林の持つその特性、それを生かしながら日本の林業全体の発展を期する、こういう立場で森林政策というものは樹立すべきものだというのが私の言っていることでありますから、それで私は特にこの問題に対しては大臣から御答弁を願いたい、こういうことをお願いしたのもそこにあるわけでございます。国としての林業政策、森林政策、こういう点はおのおのの持ち前持ち前は生かしながらも、国としてはやはり森林の持つ重要性を生かした総合的な森林行政というものをやるべきじゃないか、こういうようなことを私は申し上げておるわけでございますから、それは何も国有林が民有林に食い込め、民有林は国有林に従えとか、そういうようなつもりで私は言っているのじゃございませんで、もっと大きな目で、大きな襟度を開いて林業対策というものは国としてやるべきである、こういうことを私は申し上げておるわけでございます。
これは林業行政の基本的な問題でございますので、これは特に大臣のお考えを承りたい、こう私は申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/196
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197・中川一郎
○中川国務大臣 まさに森林というものは全国的な視野で、しかも所有別、国有林とか民有林というような小さい観点から判断すべきではないと思います。これがまさに森林法による森林計画制度あるいは保安林制度というものを全国的にながめて、保安林のあり方、これは民有林、国有林を問わずいかにあるべきか、こういうことを樹立し、また森林計画においてはいかなる伐採、いかなる造林が、国有林、民有林を通じて全国的にどうあるべきかということを規定するのが森林法であろう。今度森林組合関係が抜けましたが、そういった政策的なものが残ったわけでございますので、この森林法の活用によって全国的な森林のあり方というものをさらに一層位置づけてまいり、御趣旨に沿いたい、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/197
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198・稲富稜人
○稲富委員 私の聞いている点に非常に的の外れたようなもので、私はもっと大局的な立場からお尋ねしているので、どうも私の聞いていることと答弁と食い違いながらきておりますけれども、それでは今後そういうような大局的な森林計画を樹立していく場合において、森林組合の位置づけあるいは役割り、こういうようなものはどういうようにするつもりでおられるか。これは先刻ちょっと話があったようでございますけれども、森林組合の森林振興に対して持つ役割り、位置づけ、こういうことに対して具体的にひとつ伺いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/198
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199・藍原義邦
○藍原政府委員 非常に申しわけございませんが、先生の御指摘の趣旨にあるいは沿うかどうかはわかりませんが、森林組合は、先ほども申し上げましたように、その地域地域の森林、林業を担う中核的な存在であろうと私は思います。そういう意味から、森林組合はやはりそういう中核的担い手という責任なり自覚を持って今後それぞれの立場でそれぞれの森林の管理経営をしていくだろうと思いますし、また、そういう考え方で私どももいろいろな行政施策をしていかなければいけないと考えております。そういう意味から、先生の御質問に直に答えたことになるかどうかは、申しわけございませんけれども、先生の御指摘はそういう意味から森林組合のそれぞれの地域における位置づけであろうというふうに考えて、そういうお答えを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/199
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200・稲富稜人
○稲富委員 私の言っておりますのは、大局から見た日本の森林政策というものを基本的に考えた場合は、民有林であっても国有林であっても日本の公益的な森林の使命を果たすものであるというその基本的な上に立って、民有林における森林組合というものはさらにどういう位置づけをしていくか、しかし、もとというものは国としての森林計画の一部である。こういう立場から、森林組合というものは民有林の一部の役割りをも果たさなければいけないじゃないか、こういうことを私は言っているんであって、私のいまの総合林政をやれというのは何も森林組合に限った問題ではないのです。もっと基本的な問題から森林というものは考えなくちゃいけないじゃないか、こういう意味で私は申し上げておるのでございますけれども、どうも答弁される方は森林組合というものに非常に頭があるものだから、その森林組合の範囲内で答弁なさろうとするから、私の質問しておることと答弁と食い違うというような感じがするのでございます。
その森林組合は森林組合として、その使命、役割りというものはひとつ置いておいて、まず大きな意味からも森林行政というものは、やはり民有林であっても国有林であっても、国家的な森林の持つ公益的使命を果たす上から、これはともに林政を樹立しなければいけない。そして、その中において民有林の持つ役割り、国有林の持つ役割り、こういうものはおのおの生かしていかなくちゃいけないのじゃないか、こういうことを私は申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/200
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201・藍原義邦
○藍原政府委員 私の答弁が非常に不十分で申しわけないと思いますけれども、先生御指摘のとおり、日本の森林行政には、大きく分けますと森林法と林業基本法がございます。そういう意味で、この大きな二つの流れはそれぞれ国有林、民有林を一体にした日本の森林、林政に対する指針でございますから、先生おっしゃいましたように、日本の林業なり林政は国有林、民有林という考え方ではなくて、一本にした大きな施策の中で体系づけられていくべきであろうというように私どもも考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/201
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202・稲富稜人
○稲富委員 ずいぶんむだな応答になりましたけれども、そういうような考え方を持って今後森林行政に対しては処していっていただきたい、私はこういうようなことを申し上げておるわけでございます。
さらに、これは先刻大臣からもお話がありましたが、今回の法の制定に当たって森林組合に信用事業の能力を付与しなかったという理由は、さっきも質問があったのでございますが、私、人の質問でわかりませんでしたが、その理由は何ゆえであるかということをひとつ承りたい。
それから、御承知のとおり、長い間関係者が信用事業に対しては要望しておった事項であるのでございます。そういう点から考えましても、今回単独立法化に際しましては、いま大臣が言われたように、直ちにこれを実施することができるかできないかは別として、法制上この問題はどうするかということを明確にやはり規定を設けておくべきではなかったか、かように私は考えるわけであります。この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/202
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203・藍原義邦
○藍原政府委員 先生御指摘になりましたように、森林組合に信用事業を付与するかどうかということは、林野庁で開きました検討会の中でも非常に論議になりまして、諸先生方の御意見は、やはり今後まだ検討すべき問題が多々あるから、林野庁において今後さらに検討を進めるようにという御指摘をいただいたわけでございます。
そういう御指摘に従いまして、林野庁としては、今後この問題につきまして、林野庁内部で真剣に検討していくつもりでございますが、さしずめなぜこれをこの法の中に盛らなかったのかという御指摘でございますが、大きく分けますと、内部的な要因と外部的な要因があろうかというふうに考えます。
内部的な要因といたしましては、先生御存じのように、森林組合の組合員はその所有規模が非常に零細なものが大部分でございます。また、林業は非常に長期性でございまして、そのために現金収入が非常に断続的であるという問題がございます。そういう点から見れば、漁業協同組合の組合員のように、間断なく収入があるというわけではございませんし、また預金を経常的に集めるということが非常に困難であるという問題もございます。こういうふうに林業につきましては、資金の循環に特殊性があるという問題が一つございます。
それから、経営基盤の弱小な森林組合が少なくないという現状でございます。そういう現状の中で、信用事業を行うに必要な人員の確保だとかあるいは施設の設置だとか、そういうものに伴います運営費あるいは施設費というものの負担がいまの時点ではなかなか容易ではなかろうという問題がございます。
それから、たとえ万一、経営基盤が非常に確立しているような森林組合がございますけれども、そういうもののごく一部の森林組合にこれをやらせたらどうかという御意見もございますが、そういう場合でも、そういう組合が信用事業を実施するといたしましても、為替業務を行うためのネットワークの形成が非常に困難であるとか、あるいは林業の金融機関としては内容的に不十分なものが非常に多々あるということと、同時に、組合員に対しますサービスというものも果たして十分できるかどうかという問題もございます。
また、外部的な要因という面から見ますと、最近におきます経済不況を背景といたしまして、金融機関にもそれぞれ採算の悪化という問題が起きております。
それから、森林組合の組合員のおよそ九〇%が農協の組合員と重複しておられるという問題がございます。そのために、農協その他の既存の関係金融機関との調整を十分しなければいけないという問題が残っております。
いま申し上げましたような外部的要因あるいは内部的要因というものがございますので、この辺の問題を今後さらに林野庁におきまして検討を進めて、今後のこの問題についての方向を出すように指示されておりますので、私どもとしてもそういうことで今後検討は進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/203
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204・稲富稜人
○稲富委員 この問題は林野庁においても今後検討する必要があるという長官の御答弁でございますが、検討された結果、それじゃ将来どのような条件整備がなされたならば実施されるというような目途がありますか。もしもここで承ることができますならば、ひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/204
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205・藍原義邦
○藍原政府委員 いまこういう問題点があるということを申し上げたわけでございまして、裏を返せばそういう問題点を今後どうやって解決できるかということを検討していかなければいけないだろうというように考えております。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
したがいまして、いまの時点で、いま申し上げましたような問題点がどうやれば解決できるのか、あるいはどうやったらさらにその問題点を解決するような方途が見出せるのか、その辺については今後検討してみなければわからない課題でございますので、いまこの場でどうすればいいかということははっきり申しかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/205
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206・稲富稜人
○稲富委員 その点はわかりました。じゃ、十分検討していただきたいと思います。
さらにお尋ねしたいと思いますことは、この法によりますと、今回森林組合連合会に新たに監査事業を認めるということになっておりますが、その理由はいかなる理由でございますか、この点承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/206
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207・石川弘
○石川政府委員 現在、森林組合の実態を見ますと、常勤の役職員が一名以下の組合が全体のおよそ三五%ございます。そういう意味ではなかなか執行体制が十分じゃないという批判もあるわけでございます。一方、事業活動も相当活発化しております組合もございまして、この種のものにつきましては事業量が相当ふえてまいっております。しかも、事業の内容も細分化されるというようなことになっておりまして、このような組合の事業を適正にいたしますために、これは外部からの行政庁の常例検査等もございますけれども、やはり組合が自主的にみずからこれを監査するということが第一義的に必要ではなかろうかと思っております。したがいまして、今回連合会に監査事業を認めまして、傘下の組合につきましての自主監査を進めるということを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/207
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208・稲富稜人
○稲富委員 さらに、森林災害共済事業の明文化に関連いたしまして少々承りたいと思います。
まず、森林災害損失てん補制度に対する基本的考え方を承りたいということと、森林災害共済事業の位置づけをどう考えておられるかということ、なお森林災害共済以外の共済事業については何を考えておられるかということ、さらにまた、こういう場合に農協系統等との調整、これは先刻もお話がありましたが、調整等についてはどうなっているかということもあわせて承りたい。さらに、この森林災害共済事業の拡充に対して政府はどのように対処しようとされるのか、また、これに対してはどのような助成措置を考えておられるのか承りたい。
最後でございます。さらに、近年におきまする森林災害の状況等もこの際承っておきたい。
まとめましてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/208
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209・石川弘
○石川政府委員 森林の損害補てん制度についての基本的な考え方でございますが、これは御承知のように、現在三つの補てん事業がございまして、国営の保険がございます。そのほか、従来は福利厚生事業でやっておりまして、今度の法制化のもとで正規の共済事業となります民有林の共済、もう一つ、損保会社がやっております火災共済の三つが現存するわけでございますけれども、私どもは、森林災害に対します損失のてん補制度につきましては、可能な限り森林所有者が自力で、自助努力でやっていただくということを望んでいるわけでございます。
したがいまして、今回の制度改正によりまして森林災害共済事業を行うということを大変評価いたしておるわけでございますけれども、御承知のように、この制度は全部の損害をてん補いたしますにはまだいろいろと問題がございます。たとえば、先ほど申しましたように、比較的災害の大きい若齢林分につきましては、まだまだ国営に負う分が多うございますので、今度この事業を正規の事業といたしまして、共済規程の認可その他によりまして共済契約者の保護を図りますと同時に事業を強くしてまいりまして、将来の問題として、先ほど申しました国営の保険等との事業調整をしながら全体としての森林災害補てん制度をさらに強化していく、その第一歩をこの制度改正でやりたいと考えているわけでございます。
その場合に、共済事業の位置づけはどのようなことかということでございますが、先ほど若干申し上げましたように、主として一、二齢級を中心とします若齢林分につきまして現在国が保険をいたしておりますが、三齢級以上についてのシェアは圧倒的に共済組合の共済事業が高うございますので、このあたりを中心にいたしまして事業をさらに健全に伸ばしていただくということを考えているわけでございます。
それから、その中で火災共済以外にどういう共済を考えているかという御質問でございますが、内容的にはまだ完全に詰めておりませんけれども、たとえば林業種苗の共済事業等はこれに該当するんではなかろうかと考えております。その場合に、農協の行います共済とどのように調節するかという問いでございますが、森林組合及び同連合会が行うことができます共済事業は林業に関するものということで限定をいたしております。したがいまして、農協の行う共済事業と競合はしない、また競合するようなことをこちらが認可をしていくということはないと考えております。
それから、共済事業に対して政府が援助すべきではないかということでございますが、これは御承知のように、農協が営んでおります自主的な共済事業あるいは漁協の場合の自主的な共済事業はいずれも政府の援助を受けませんでやっておるわけでございます。政府が援助いたしておりますのは、御承知の農業災害補償制度なりあるいは水産業の場合でも共済組合が行いますいわゆる漁業共済でございます。したがいまして、私どもといたしましては自主的におやりになりますものを援助していく、援助といいますのは掛金を助成するとかあるいは人件費を援助するといったような形ではございませんで、その自主的努力を助長しますために必要な範囲で、そういう自助努力と申しますか、系統を育てていくという意味のことは考えておりますけれども、直接的な掛金その他のものについて援助をすることは現段階では考えておりません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/209
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210・須藤徹男
○須藤説明員 最近の森林災害の現状でございますが、まず風水害、つまり森林の気象災害の発生状況でございますけれども、全国的に雪害、凍害が発生いたしました四十九年を除きまして一般に減少の傾向にございます。特に五十一年の被害面積は約一万四千ヘクタールということになっておりまして、前年よりも四一%減少いたしまして、三十四年以降では最小の被害面積ということに相なっております。
次に、森林火災でございますが、残念ながら入り込み者の増加に対応いたしまして漸増傾向にあるということでございます。
次に、森林病虫害等でございますが、御承知のマツクイムシによります松林の枯損被害が昭和四十六年ごろから急激に増加いたしまして、昭和五十年度には年間約百万立方メートルを超えるというような状況でございまして、南は沖繩県から北は宮城県まで全国三十六都府県に及んでおるのでございます。
なお、マツクイムシ以外の森林病虫害等の被害はおおむね横ばいないし減少の傾向にあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/210
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211・稲富稜人
○稲富委員 いろいろありますけれども、時間がありませんから、次の質問に移ります。
森林組合の作業班等について承りたいと思うのでございますが、まとめてお尋ねいたします。
まず、林業労務者の現状はどうであるかということが一つ。次に、その林業の担い手としての位置づけをどのように考えておられるか、林業の担い手の育成強化及び今後の担い手確保対策はどういうように考えておられるか。さらに、森林組合作業班の現状はどういう状態であるか。これは組合員の要望に十分こたえ得るような可能性があるとは思えないのでございますが、これの将来をどういうふうに見通しをつけられておるか、この点をあわせてお尋ねいたしたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/211
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212・藍原義邦
○藍原政府委員 まず初めに、林業労働力の現状の方から御説明申し上げたいと思います。
林業労働につきましては、先生御存じのように、総体とすれば、統計によりますと年間大体二十二万人ぐらいの林業従事者がいるという数字になっております。その中の労働者ということでございますが、まず、その賃金について見ますと、労働省の統計なり農林省のいろいろな統計によりましても、建設業の労働者の賃金とほぼ同水準に現在あるという調査結果が出ておりまして、これを農業の労賃と比較しますと、農業の労賃よりはかなり上回っておるという現状にございます。
それから、社会保障制度への加入状況でございますけれども、全国的なデータが不十分でございますのでその辺ははっきりした数字ではございませんけれども、就労状況が御存じのとおり季節的あるいは間断的であるという関係から、労災保険を除きまして総体的に加入については低位にございます。しかしながら、御存じのように、雇用保険法が林業にも当然適用になった関係で、この面につきましては加入者は急増しておるというのが実態でございます。そのほか徐々ではございますけれども、こういう社会保障的な問題につきましても改善が図られるというふうに判断いたしております。
こういう観点から、林野庁としては、林業労働者の就労条件の向上を図るために、また優秀な労働力を確保するため、基本的には林業事業体の経営基盤の確立が必要であると考えておりまして、従来から林業構造改善事業等によりまして生産基盤の拡充推進、資本装備の高度化を図ってきておる次第でございます。
それから、林業労働対策といたしましても、林業事業体に対しまして労務改善に関する適切な助言を与え、指導を行うような労務改善推進員の配置等を行いまして、林業労務改善促進事業の積極的な実施をやっておりますし、五十三年度からは林業労働者の実態に合った、中小企業退職金共済法によります林業退職金共済制度適用促進対策事業というものを新たに実施していこうというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/212
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213・稲富稜人
○稲富委員 現在、民有林で一番困る問題は、植林をやろうといたしましても林業労務者が不足しているということが大きな難点なんですね。これに対して、林業の担い手、労務者の育成強化等はおたくの方でやる、こういうことのようでございますが、これは単に育成強化ばかりではなく、私先刻申し上げました、せっかく森林組合法が独立法になったのならば、この森林組合法を本当に拡充強化するためにはこれに助成をして、そして林業労務者でも森林組合が確保できるような段階まで強化すれば、あるいは民有林の植林等ももっと進んでいくと思うのです。現在民有林の植林がなかなか進まない原因はここにあると思うのですよ。こういう点に対して、単に林業労務者の育成強化を図るというばかりではなくして、森林組合を強化拡充するということは、やはり林業の担い手であるそういう林業労務者までも森林組合が持ち得るような、こういう状態まで拡充強化しなければ、私は森林組合法を独立せしめた意義というものは非常に薄らいでくると思うのです。私、先刻どういう助成対策をやられるかということを申し上げましたのもこの点があるわけでございますが、こういうことに対してはひとつ一歩進んで、森林組合を単独化したこの機会に拡充強化するために、政府は、その森林の持ちます国家的、公益的な任務の重大性から考えて、これに対する思い切った対策をやられる必要があると私は思うのです。
これはどうも事務的な、長官ではなかなか言えないと思います。ひとつ大臣がそのくらいのことを思い切ってやってもらわなければいけないと思いますが、大臣、せっかく大臣になっているのだから、この際思い切ってそのくらいのことをやったらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/213
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214・中川一郎
○中川国務大臣 そういうことのためにまさに作業班というものがあるのであり、いままでもかなりの効果を上げてきたとは思いますが、この作業班がまだない組合もありますし、今後ともこの作業班を強化するということについては今度の森林法改正を契機にさらに一層力を入れて、林業労働者の確保といいますか、林業労務の万全を期して造林に支障のあるようなことのないように、これはもう本当に前向きでやってみたい、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/214
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215・稲富稜人
○稲富委員 これは大臣、せっかくつくって、独立法として森林組合を強化するということになって、ただ口で指導強化をやると言うばかりでは森林組合の強力なる力にはならないのです。森林組合が民間の組合員を指導していく、こういうような立場からしても、やはり財政的な一つの力というものは必要なんで、これに対して本当に金を出していく。国が森林事業に金を出すことは日本の産業に投資するのだ、こういうような考え方を持って差し支えないと私は思うのですよ。私が冒頭に申し上げたように、日本の森林こそはすべての産業の基礎なんです。源泉なんです。この源泉に金を使うことは日本の産業に投資をするということ、こういう考え方から言うならば、せっかくできたこの森林組合法に対しましても、これを強化拡充するためには政府は思い切った助成対策でもやってこれに対処する、こういうような考え方が必要である、こういうことを、農林大臣も大いに元気のあるところが多いから、前向きであるから、そういうつもりで前向きになってもらいたいということを、私は、これは特に大臣に申し上げておきたい、かように考えます。
さらにお尋ねしたいことは、今日、民有林における労働災害の発生状況、特に振動障害の状況について承ると同時に、これの災害防止に対していかなる考え方を持っておられるか、承りたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/215
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216・藍原義邦
○藍原政府委員 まず、民有林の災害状況をお話ししておきたいと思います。
林業労働災害は、死傷者の数が約一万三千人弱、五十一年度は前年度を若干上回っております。度数率につきましても二三・〇六と前年より上回る状況でございまして、やはり高い率であるということはわれわれといたしましても非常に残念であるというふうに考えております。
また、御指摘になりました振動障害でございますけれども、労働省におきまして業務上の疾病として認定し、療養中の方は、五十二年三月末現在で千四百四十八名となっております。これは前年に比べて五百四十七名の増でございまして、民有林においても増加の傾向にあるような気がいたします。
このような情勢に対処いたしまして、林野庁としては従来から積極的にこの予防対策というものに重点を置いております。したがいまして、民間林業の各作業現場を対象といたしました安全点検パトロールあるいはチェーンソーの操作時間を一日二時間以内にするための合理的な作業仕組みを現場の実態に即して策定し、これを普及する作業仕組み改善促進事業、こういうものもやっておりますし、それから振動の少ないチェーンソーへの買いかえのために林業改善資金の貸し付けというものもやっております。それから、チェーンソーの目立て等につきまして林業機械整備指導員を養成いたしましてチェーンソーの作業従事者に濃密な実施指導を行う機械整備巡回指導事業というものもやっておりますし、さらにはチェーンソー従事者に対しまして労働安全衛生規則に基づきます特別教育を行いましてチェーンソー使用手帳を交付することあるいはチェーンソー作業従事者の技能審査を行うことを内容といたしますチェーンソー作業従事者特別教育促進事業等、労働災害防止のための施策の拡充に努めてまいりましたし、今後もこの面につきましては努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/216
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217・稲富稜人
○稲富委員 もう最後になりましたが、さらにお尋ねしたいと思いますことは、木材の流通機構の合理化及び今後の国内材の安定価格対策、これは外材輸入の合理化対策とともに十分考えなければならない問題であるのであります。この点、国内材の価格の安定を図ることと、外材輸入というものを何とか合理化して抑制しなければ、国内におきます森林業者の植林意欲というものを失墜する、こういうようなことにも考えられますので、これに対しては十分なる対策を政府として考えなくてはいけないと思いますが、どういうような考え方を持っておられるか、その点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/217
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218・藍原義邦
○藍原政府委員 木材の需給の問題は、われわれとしても非常に重要な問題と考えております。ただいま日本の木材は、六五%は外材が入っております。したがいまして、今後外材はやはりある程度輸入せざるを得ないという事態ではございますし、日本の森林の賦存状況から見ましても、当分の間外材に依存していかなければ日本の木材需要は賄えないという実態でございます。しかしながら、やはりこの外材の秩序ある輸入がされなければ、日本の林業全体に問題がございます。したがいまして、私どもといたしましても、外材輸入につきましては秩序のある輸入ができますような方途を考えなければいけないというように思っております。そのために、現在の木材の需給計画、こういうものをさらにきめの細かい需給計画にいたしまして、これをもとにした秩序ある輸入ができるような方途を見出していきたいということで、現在鋭意検討を進め、また関係方面とこの辺について協議を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/218
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219・稲富稜人
○稲富委員 時間が来ましたので、最後にお尋ねします。
製材あるいは木工業などの林業関係の中小企業に対しましては、これが協同組合化を推進して、地域の森林組合との連携のもとに企業の安定的発展を図るため、木材の需給安定助成対策、こういうような方法を強化することが非常に必要ではないか、かように考えます。こういうことに対して、何か政府としての考えがあるならば承りたい。ないならば、こういうこともひとつ将来考えてもらいたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/219
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220・藍原義邦
○藍原政府委員 木材に関連いたします産業を大きく分けますと、製材関係と合板関係があろうと思います。
合板につきましては、ただいま構造改善を進め、その体質の強化を図るように指導しておるわけでございますが、御存じのように、製材業につきましては全国に二万三千の工場が散在しておりまして、とりわけ、先生御指摘のように、中小零細なものが非常に多うございます。したがいまして、こういうものを一つにまとめていろいろ物を考えるということも必要でございますけれども、この近代化や経営安定のためには、企業の集約化あるいは共同事業の推進を図る必要があるんであろうというふうに考えております。このため、一般製材業につきましては、中小企業の、いわゆる俗に言う近促法でございますが、中小企業近代化促進法に基づきます構造改善事業を実施いたしております。すでに八県ぐらいでやっております。
私どもも、今後さらにこういう構造改善を拡充していくと同時に共同事業を推進いたしまして、製材原木の供給、間伐材の加工処理等につきましても森林組合との連携なども密にしながら、こういう製材業界の体質の強化を図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/220
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221・稲富稜人
○稲富委員 いろいろお尋ねしたいことがありますけれども、時間が参りましたので、私の質問をこれで終わりますが、最後に、せっかくわれわれが多年要望をいたしてきておりました森林組合法が単独法としてここに制定されました。これを機会に、本当にこの森林組合というものが地域林業の発展のために十分その使命を果たし得るような、こういうような助成というか、指導というのか、あわせてひとつ積極的な国としての方策を立てて、そうして森林組合法を独立法としたその意義というものを強くこの際生かしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/221
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222・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。藍原林野庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/222
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223・藍原義邦
○藍原政府委員 非常に申しわけございませんけれども、午前中の角屋先生の御質問と島田先生の御質問に私が数字を間違えて答弁いたしましたので、恐縮でございますが、訂正させていただきたいと思います。
角屋先生の御質問の中で、私が森林基本法と申しましたのは林業基本法でございますので、訂正させていただきます。
それから、島田先生の御質問の中で、組合員の所有森林面積一千万ヘクタールと申し上げましたのは一万ヘクタールの間違いでございますし、また払い込み済みの出資金額四千万円と申し上げましたのは一千万円でございます。
非常に失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/223
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224・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 津川武一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/224
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225・津川武一
○津川委員 今度森林組合法を独立させる。これは森林組合の強化育成のためだと思います。稲富委員も、いまその育成強化に対して格段の農林省側、政府側の決意を要請したわけでございますが、育成強化のためにせっかく組合法を独立さしたので、これから森林組合の強化育成に対して政府の考えていること、具体的な政策などということを少し最初に聞かしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/225
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226・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合の強化策につきましては、従前から私どももいろいろ対応いたしております。特に今回森林組合法として森林法から取り出しましたのもその一つのあらわれでございますし、また具体的な事例を申し上げますと、主として森林組合が行いますいろいろな指導、研修、こういうものに対しまして国からも助成をいたしておりまして、具体的に申し上げますと森林組合の連合会がやります役員の研修、こういうものにも助成をいたしております。
それから、森林組合がやはり受託経営を増大させるために、いろいろ必要な計画の作成なり協議会がございますけれども、そういうものに対しても事業の推進を図るための対応をいたしております。
また、森林組合の経営管理の近代化あるいは組合活動の活発化を図るための森林組合の経営改善特別対策事業というものも推進いたしておりますし、さらには労働者の就労条件の向上に関しまして必要な指導を行います労務改善促進事業の推進もいたしております。
また、林業構造改善事業におきます近代的施設の導入なり協業の推進について助成をいたしております。
それから、五十三年度から新たに森林組合の健全な事業運営に資するために、森林組合の中に監査士を置きまして、森林組合の経営についての適切な指導、教育をするという面からの監査士に対する助成も考えておりますし、それから合併を促進するための都道府県に対します推進協議会に対する手当ても考えております。
さらには、森林組合の受託経営等をより集団的、計画的に行うため、対象に非組合員を加えた受託経営促進対策事業の強化を考えております。
また、森林組合作業班の充実強化を図るための高度の機械操作技術、合理的な作業方法についての現地実習、技術研修を行う森林組合作業班強化対策事業の実施も考えておりますし、また林業の就労実態に対応いたします退職金制度の創設を図りまして森林組合作業班等の育成強化に資するために、林業従事者中小企業退職金共済制度の適用促進対策事業というものについても助成することにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/226
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227・津川武一
○津川委員 この間、秋田県の北部の森林組合連合会、木材、製材、木工関係の調査をしてみました。また、青森県の県庁や森林組合の幾つかについても事情を聞いてみまして、そのとき、どうしてもやはり林業に対する意欲がわかない。秋田県に行ってみましたら、苗木を買ってくれないので、苗圃の苗を引っこ抜いて焼いてしまわなきゃならない、こういう状態も出ております。
そこで、関係者の一致した、私たちに対する政府に伝えてくれという要請は、外材が商社の手によってめちゃくちゃに輸入されているんじゃないか、ここのところを何とかしなければ、いま長官が申し述べた幾つかのことも問題解決の根本にならない。一体農林省は、商社と輸入について何か協議なんかされているのか、輸入について森林組合連合会などの意見を聞いているのか。いま、稲富委員に対して需給調整の計画を立てると言っていましたが、そこのところが端的に指摘されて、何かめちゃくちゃな輸入じゃないか、これを抑えていくことが、修正していくことが第一、こういうことです。
第二の問題は、需要が非常に減ってきた。住宅建てるにしてもこのごろ鉄筋、学校にしてもそういうことで、需要の減退が非常に森林組合を持っていく上について困る。結局、職員の俸給、待遇改善にも事を欠いているという状況でございます。この需要拡大についてやはり考えなきゃならない。これからはたくさん予算で五兆円、六兆円という公共事業をやりますが、この中でやはり木材のたくさん使われるような事業をやらなきゃならぬ、してくれ。秋田県では端的に、危険校舎を改築して新しいのをつくるときに、木材をうんと入れるようなかっこうのことを、県の方の木材関係の人たちに陳情しておりました。そのことを私たちも強く訴えられたわけであります。
これ、この問林野庁長官に、森林組合の合併助成法のときにお伺いしたのですが、きょうは大臣がせっかくおいでになっているから、外材のこういう何か商社のめちゃくちゃなという、彼らに言わせるとそういう輸入をどうしてチェックするのか、木材の需要をどんなにして喚起していくのか、二つ、大臣に直接答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/227
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228・中川一郎
○中川国務大臣 木材については、御承知のように、すでに自由化いたしておりますので、これを非自由化にするというようなことや、あるいはまた極端な輸入制限を加えるということは、今日の国際経済環境からいってできないことでありますけれども、木材需給対策中央協議会というものをつくって輸入の総枠について一つの計画を立て、そこには業界の人も入っておりますし、全体として乱輸入といいますか、めちゃくちゃな輸入がなされないような調整を行ってそういった点に対処したい、こういうことでやっておるわけでございます。まだ十分でない点もありますから、これを強化してまいりたいと思いますし、また一方、それよりはむしろもっとたくさん買えというアメリカを初めニュージー等々あるわけでございますが、これらに対しても慎重な扱いをして、木材生産業者あるいは製造業者に影響を与えないように苦慮いたしておるところでございます。
なお、木材の需要の喚起でございますが、これも林野庁としていろいろなセンター等をつくりまして、新規の需要や、あるいは建設省等にもお願いして、住宅等にも木材がなるべく使われるように、こういうようなことで、できるだけのこういった点についても苦労いたしておるところでございますが、今日、森林業者あるいは製材、木材業者の抱える悩みは御指摘のとおりでございますので、この上ともそういった面については最善を尽くしてみたい、こう思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/228
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229・津川武一
○津川委員 もう一つ、こういったときに問題になっているのは、間伐が思うようにできないという話です。間伐しても間伐材が売れない、そこでなかなか間伐ができないでいるわけで、間伐をやらないと本当の森林の育成にならない。こういうことで、間伐ができるように、間伐材の需要喚起、用途の研究、こういうことがかなり具体的に提起されたわけであります。したがって、この間伐をやるのにどうすればいいか。間伐材の販路というより利用、これを検討していただかなければならないというのでございます。それが一つ。
そこでもう一つ問題になったのは、五十三年三月三十一日の官報に載りました「全国森林計画の概要の公表について」の中で、伐採、造林、保育、林道の開設はやると言っているが、間伐について触れてないのは、何か間伐をやってもその処分に困るからやめたのか、それとも造林、保育の中に間伐が入っているのか、こういう疑問なんです。間伐はそういう点で造林もしくは保育上重要な柱になりますが、間伐の位置づけというものがこの計画の中で何か不明確になっている。一項目設けるべきじゃないかというふうな意見が出ているわけでございます。
この二点について答えていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/229
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230・藍原義邦
○藍原政府委員 いま先生御指摘になりましたけれども、日本の森林はただいま二十年生以下の森林が大体七割程度ございます。そういう中で、これからの林政の中心に間伐が大きな課題であることは私ども十分認識いたしております。そういう意味から、間伐につきましては従前からいろいろの施策をやっておりますけれども、たとえば一例を申し上げますと、間伐材等の未利用資源高度化利用事業ということで、間伐材の小径木を集成加工する場合に必要な機械、施設に対する助成でございますけれども、こういうものも対応いたしておりますし、それから間伐材等の利用製品展示会、こういうものをやっておりまして、これに対しまして助成を考えております。
それから、小径木を利用いたしました新工法住宅、こういうものを開発いたしまして、日本住宅の建設というものについてのいろいろの対応をいたしております。
それから、間伐材を含めました木材の需要開発の拠点となります日本住宅・木材技術センターというものを昨年設置いたしまして、ここにおきまして間伐材の需要開発コンクール等を実行いたしておりまして、間伐に対しては種々の施策を講じておりますし、さらに改善資金等におきましても、間伐の施設に必要な資金を無利子で貸し付けるという方途も考えております。
以上、こういうような形で、間伐につきましては積極的な対応をいたしておりますけれども、さらに先生御指摘になりましたように、全国森林計画で間伐が取り出されていないじゃないかということでございますが、間伐につきましては伐採量の中に含まれて入っております。そういう中で間伐というのがとらえられておりまして、施業に関する基本的事項というのがございまして、その中に間伐の適正実施の一項を加えることにいたしております。
そういう形で、間伐につきましても、前の全国森林計画にはいま申し上げました間伐の適正実施に関する字句はございませんでした。この字句を加えて、間伐についても今後前向きで対応する姿勢をとっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/230
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231・津川武一
○津川委員 間伐は、いろいろなことがあるけれども、結局は切ったものが売れるか売れないか、ここのところなんです。そこで、全国の各営林署の皆さんが間伐材を売るために非常に苦労されているので、林野庁としても間伐材の使途というものを特別研究して、チームなり対策をつくってやらなければならないかと思っております。このことを申し上げて、先に進んでいきます。
次は、森林組合の運営についてですが、民主的に運営していかなければならないかと思うのです。これで見ますと、六十五条で、二百人を超える場合は、定款で定めるところにより、総会ではなく、総代会を設けることができる、こういうふうになっております。現在、森林組合で総会でやっているところはどのくらい、総代会でやっているのはどのくらいになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/231
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232・石川弘
○石川政府委員 現在二百一人以上の組合員を持っております組合が千九百三十ございます。その中で九百九十一組合が総代会の運営をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/232
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233・津川武一
○津川委員 大体そんなところでしょう。二百人以上のとき、二百人、三百人、四百人、五百人、そこらあたりをなぜ総代会にすることができるようにしたのかという根拠です。私は、現在、生活協同組合で病院を運営しております。つくったときは百四十人、やがて千人、二千人、五千人、一万人となって、現在一万七千、私、自分でやっているときには、千人以下のときには総会の方がよかった。千人を超すとどうも会場とかいろいろな点で総代会にしなければならぬ、それで二千人を超したときに総代会にしました。それでいいと思うのだけれども、二百人、三百人、四百人のときには総会の方がどれほど民主的に運営されるか。執行部と森林組合員とは非常に密着すると思うのです。非常に運営が民主的にいく。こういう組合をわざわざ二百人以上というところに出したのは何が根拠なのか、不思議で仕方がないのです。組合の運営の民主化について、総意を発揮しての運営というものを林野庁は知らないんじゃないのか、あきらめたんじゃないのか、何だろうと言って不思議でしようがないのですが、二百人以上とした根拠をお知らせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/233
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234・石川弘
○石川政府委員 御指摘のように、どれくらいの組合員の数から総代会制度を設けたらいいかということは御議論のあろうところかと思います。いま御指摘の消費生活協同組合は法律上も千人以上ということになっております。その他の事例で、たとえば人数の多いのでは環境衛生協同組合で五百人以上というのがございますけれども、これらの組合の組合員は、いずれも都市部を中心とする組合でございまして、人数は多うございますが、わりと集中をして生活をしているような場合が多いわけでございます。
森林組合、これはいままでも二百人でございますし、たとえば水産業協同組合について二百人以上というものを総代会制を設けておりますのは、山とかあるいは海岸部とかいうことで、いろいろと組合員が散在をしているとか、あるいは組合員の総会等を実施しますような大規模な施設がなかなか見当たらないとか、そういう形で、人数が少なくても、少ないなら少ないなりに、なかなか全員を集めるということは困難な事情があるようなことがございまして、私どもも総代会制を設けることが、たとえば手続の簡素化みたいなことで、要するに手間が省けてその方がやりやすいということの利益だけを求めてやっているのでは決してございませんで、先ほど申しましたように、たとえば二百人を超えるものでもそういうことが可能なような場合には極力総会という手続を経る方がいいと思うのですが、ただ今回、生産森林組合についてもこの種の問題を考えましたのは、現実問題としてここ数年来、たとえば滋賀にございますある種の生産森林組合等につきましては、総会をいたしますために会場を三つ整えないと会合が開けない。会合を別な場所で三つやるというのは非常に異例なことでございますが、そういう非常に現実面での困難性もございまして、他の協同組合と同種のものと申しますか、そういう山の中とかあるいは過疎の地域において大勢の方々がなかなか一堂に会するということも困難だ、現実問題として総会が非常に開きにくい、そういうところに限りましてこの種の総代会による会の運営もやむを得ないのではないか。
ただ、御承知のように、総代制を設けましたからといって、一挙に非常に少ない方でやれるというわけじゃございませんで、これは先生よく御承知のように、六十五条の規定でも最低四分の一以上の総代をつくれということになっておりますから、そういう地域地域の実情に許される限り、極力、組合員の意思が反映されるような総代の選び方をしていただくというようなことで、総代会制を設けたことによって組合員との関係が希薄になることがないように指導をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/234
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235・津川武一
○津川委員 林政部長、本当に現実を見てごらんなさい。いまの言い分は冗談もおいてくれと言いたくなる。いまどんな山村に行っても小さな部落にさえ公民館がありますよ。僻地であれば、寒村であれば寒村であるほどセンターがありますよ。そこいらでは千人でも二千人でも集まれる、結婚式がやれるところができている。それはむちゃな認識ですよ。いまどき本当に山村を知っているのかということを言いたくなる。
そこで問題は、なぜこういうふうにやったのか。もう一つは、三十一条の五項で、代理人、委任状、これでやれないかという問題です。十分やれるのです。あえて二百人以上というのを総代会でいけるという規定を設けたのはなぜかということ。悪意に言うと、四百人いるところで、いま林政部長が言ったように、四分の一だから百人、これは総代を三十人集めて一人で五人の代理人をやっていく、そうすると四百人の中で三十人でやれるようになるのですよ。そういう道が、今度の二百人以上総代ということに開かれているわけだ。そして、三十人ぐらいでやってごらんなさい。総代の任期が三年だ。一般の組合員はこの森林組合に発言の場がなくなって、毎年三十人でやられる、こういうことが、意地悪くかかると、悪い人はいないと思うのだけれども、今度の法律でできますよ。そこで、もう少しこれは考えていかなければならぬ。考え方のいかんによっては、私たちこの点では修正もお願いをしなければならぬじゃないかとまで考えているわけです。農協は五百人ですよ。山村だから、農村だから、二百人集まりにくいと言ってもここのところはだめなんで、改めてこの運営の民主化について、できるだけ組合員の意が反映されるように運営する。
私のふるさとで、二市五町五村、これが一つの森林組合になります。端から端まで八十キロ。これを理事者がどうするのか、こういうことでは、これは総代会でなければならぬけれども、ここのところを一つの部落ごとに、その組合員がいるところごとに理事者が出ていっていろんな話し合いをやる、こういう道でなければ、今度は総代会にすると民主化が阻まれていきますので、もう一回この二百人に対する考え方と、こういうときの、組合を本当に組合員の総意のもとで運営する、そういう指導方針を聞かしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/235
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236・石川弘
○石川政府委員 私ども考えておりますのは、先生のおっしゃいますように、何か少数の人たちで勝手に運営をするというためにこういうことを考えたのでは決してございませんで、実は森林組合制度をどのように改正していくかというような組合関係者からの要望等の中でも、昭和三十九年ぐらいの段階から、比較的大規模な生産森林組合等につきましてこの総代会制の道を開いてくれという要望が非常に強うございました。これは決して先生がいまおっしゃいますような少数者支配というようなことではございませんで、現実の運営の立場から、施設森林組合について認められております総代会制度について、これを生産森林組合にも活用さしてもらいたいという切なる要望と私ども考えたわけでございます。この規模につきましても、従来古い段階では百人ぐらいから総代会制を認めておったわけでございますが、その後交通の便利もよくなるとか、そういうことも勘案して、二百人以上のところで総代会制ということを考えているわけでございます。この点につきましては、先生御承知のとおり、水産業協同組合法におきましても二百人をもって総代会を選出いたします限度といたしております。
御心配の点は、要するにこういう制度を悪用してと申しますか、そういう非民主的な運営をするのではないかという御懸念かと思いますが、私どもは今回の改正は決してそういうことではございませんで、組合員の意思と総代の意思が分かれるようなことがないように、総代の選出について、民主的な方法で総代を選ぶわけでございますから、そういうプロセスでいろんな議論をしていただく、たとえば先ほど先生、いわゆる代理権を行使するという形でも可能ではないかということがございましたけれども、そういう方法でございますと、事柄の当否、イエスかノーかというようなことは非常に簡単に委任はできるわけでございますけれども、各種の議論ということになりますれば、やはりそういう組合員の直接の意向を知っていらっしゃる総代がその場でその人たちの意見を代表して発言するというのがより民主的な手法だと私ども考えますので、そういう御心配の弊害が起きないように行政的な指導は極力やっていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/236
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237・津川武一
○津川委員 五百人以下のところではなるべく総代制をとらないように、総会制をやるようにひとつ政府も腹を決めて指導するように要請して、また次の問題に進めていきます。
第九条の員外利用ですが、私のところの病院は員内利用を中心にした協同組合であるわけです。ところが、たまたまそこの近くに来ておなかが痛くなった人を診てくれというときに、組合員に入れて診療するわけにはいかないから、員外利用があるし、森林組合も員外利用をやらなければならない、必要だと私は認めます。たとえば、森林組合でリクリエーションの場をつくったときに、修学旅行の子供たちがそこに入れないなどという、そういうばかな話はないので、いいと思いますが……。
そこで、第九条の九項、「定款で定めるところにより、国、地方公共団体その他農林水産省令で定める営利を目的としない法人」に員外利用をさせる、これはどういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/237
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238・石川弘
○石川政府委員 これは御承知のように、たとえば先ほどから御論議になっております森林組合労務班等がいろいろな施業をいたします場合に、たとえば国の場合国有林でございます。地方公共団体といいます場合は市町村有林等、それから農林省令で定める営利を目的としない法人といたしましては典型的に森林開発公団、この種の者の事業について、組合員のためにする事業を妨げない範囲でございますれば、たとえば造林の委託を受けて行うというようなことを認めている規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/238
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239・津川武一
○津川委員 その次の「組合員が森林所有者である森林と一体として整備することが必要であると認められる森林に係る森林所有者に同項に掲げる事業を、それぞれ利用させることができる。」こういうことですが、いまちょうど事業をやっていて、それを一緒にやればいい、そういう人がいるわけですね、外に出ておったとか、不在森林者であったり。この場合、員外利用でなく、その人にその利得を、こちらでやることがその人の得にもなるのだから、説明して組合員に入れるべきでありませんか。ここに員外利用を持ってきたところに問題があるんじゃないかと私は思うわけです。これは説明すると必ず入ってくれます。そうして、組合員にして、やっていくことに問題がある、多少反対する人もあるよ。そうすると説得にも時間がかかる。ここのところが森林組合の仕事として大事な大事な仕事なんです。えい、めんどうくさいから員外利用でやる、こういう形のものを理事者や執行部があえてこの項目でやるのじゃないかとぼくは思っているのです。本来は組合に入れてやるべきでありませんか。入らない人はまずあるまいと思いますが、この点の見解はどうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/239
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240・石川弘
○石川政府委員 そのような形で員内に入っていただきまして員内として活動していただくのは大変望ましいことでございますから、その種の努力を怠るわけではございません。したがいまして、私ども、森林組合の地区内の林地の所有者の方は極力森林組合に加入していただくようにかねがね組合にも活動願っているわけでございます。しかし、現実の問題といたしますと、約一〇%くらいの方はいわゆる不在村と申しますか、その地域にいらっしゃらない方が森林を持っていらっしゃるという一つの姿がございます。それともう一つ、森林の所有自身が非常に零細でございまして、その森林そのものとしての経営、林業経営的な観点では問題がある。しかし、片地としましては地区内に持っていらっしゃるという方が多いわけでございます。この人たちにもいろいろな形で、いま先生御指摘のように、組合員になってくれということを勧誘もし、努力もするわけでございますけれども、そういうことが、その時点ではまだ員内に入ってもらうというところまで決心はしかねている。しかし、せっかく一斉に造林をするとかあるいは一斉に枝打ちをするとかいうことであれば、ぜひお願いしたいというような形で協力をしてもらえるのであれば、それも周囲にあります組合員の仕事と一緒にやるという形で、そういう意味では非常に便利にと言うとおかしゅうございますが、非常に効率よくやってもらえるということで賛同してもらう。ただ、もしそれが員外利用制限という形で結果的にそういうことができなくなるということでございますと、いま五万数千の森林組合労務班というものを抱えております組合にとりましては、法制上それが制限となってできなくなるということになるわけでございます。
したがいまして、私ども決して員外のままに置いて今後ともどうこうしようというのじゃございませんで、そういうことをきっかけに森林組合の事業に協力していただいて、さらにその人たちが組合員になっていただくのはより望ましいわけでございますから、あくまでもそういうきっかけをつかむという形でこういう員外利用の制限緩和をして事業のメリットを現に受けてもらう、そのことによってさらに組合が組合員として説得することがより容易になる、そのような考え方でこのような規定を設けたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/240
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241・津川武一
○津川委員 これも実態を知っているのか、調べているのか、机上で仕事をしたのかという疑念が非常に多いのです。というのは、森林を植えるのに対して、員外でやるときにも、本人の承諾がなければそこに植えられないのですよ。それで、本人といえども荒らしておくということはまずないと思います。ここのところ、員外にあろうが員内にあろうが、本人の承諾が必要なんです。承諾してくれるのだったら組合員になれるわな。そこのところ、この項目で員外利用、私は時によって必要なことは認める場合もあるけれども、こういう形のものは組合の実態を知らない——員外でやってもいいが、組合に入らないという事例というものをつくっていくのがこの条文じゃないか。むしろ、この条文がなければ、本当に皆さんが頼んでいって、説得して組合員になっている、こういう状態じゃないかと思うわけでございます。承諾がなければ植えられないでしょう。その承諾のときに入れられないという、自信がないのか、そんなのを入れないでいる実態があるのか、そこらをもう一度答えていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/241
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242・石川弘
○石川政府委員 現在、小団地の森林が、その一つの小さなかたまりではなかなか造林が進まぬということがございまして、先生もよく御承知のとおり、団地共同施業計画というものをもちまして集団的な山づくりということを目指しているわけでございます。そういうことをいたします場合には、関係地区の林地の所有者の方々全体で共同して山をつくっていこうという計画を立てるわけでございます。そういう段階で、いま申し上げましたように、大半は組合員でございますから、組合員相互間で話し合いをしてその計画を立てていくわけでございますが、飛び地だとかあるいは不在村の森林がたまたま中に入っている、そういう形で、そういうところで造林をしていくことについては、たとえば連絡その他の中でそういうことは承知していただけるという形までは取りつけたとしましても、恒常的な組合員として組合活動に参画するまでにはまだ至っていない、しかし共同施業計画を立てたわけでございますから、森林の施業は組合に頼んでやってもらって結構です。私は大半の場合は、それは員外利用制限にひっかからないと思います。普通の場合、よほどのことがありませんと制限にひっかかりませんが、万が一法制上その制限にひっかかったことのゆえにその種のことは組合ができないということでございますと、組合の行いますせっかくの共同施業の事業がそこでストップするわけでございます。
したがいまして、私どもが考えておりますのは、これをもちまして、員外利用制限を設けて、むしろ不在村の方はそのままにしておくということじゃございませんで、そういうメリットのある仕事を受けていただくことによってさらに組合に参画してもらう可能性をつくる、また、そういう形に現実に運用するよう指導をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/242
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243・津川武一
○津川委員 そこで、員外利用をなるべく入ってもらうようにするわな。そこで、員外利用がどのくらいあれば、その組合の仕事が不健全として指導なり監査を受けるのですか。員外利用はどこでもやられていますね。どの程度まで認められるのかということです。したがって、実際上はこの項目がなくてもその施業、仕事ができると私は思います。この点の指導方針を聞かしていただきます。二五%以上員外の者がいたらだめだということになるのか、そんなに組合の仕事として多いはずがないから、この項目がなくても、員外利用ということがなくても仕事は一向差し支えない、支障ない、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/243
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244・石川弘
○石川政府委員 御承知のように、通常は組合員の事業分量と同量の範囲内といっておりますから、半分までということになっております。ただ、実態的に調べてみますと、たとえばこれは森林の構成の仕方によるわけでございますが、たとえば民有林について一斉に事業を行っておりまして、そういう事業が一段落いたします。御承知のように、林業の場合に植栽あるいは除間伐等の場合に仕事はございますけれども、たとえば間伐後成林の期間というものは、余り実は事業量がない時期が入ってくるわけでございます。全部が全部法正林のようにきちっと林齢が分布しておりますと、ずっと仕事があるわけでございますが、ある時期、員内の仕事が集中的にありまして、そのために森林組合労務班等を整えますけれども、一定の時期を経過いたしますと、むしろ員内の仕事の事業量が縮減するというのが現実問題としてございます。そういう場合に、周辺にございますたとえば市町村有林の仕事をどんどんやっていくことによって組合としても経営が安定するという場合がございますので、事例として数多いというものではございませんが、せっかく森林組合労務班等を組織しながら、員内の仕事だけではなかなか仕事ができぬという実例もございますので、そういうようなものの例に限りましてこういうような規定を適用していく必要があるのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/244
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245・津川武一
○津川委員 この項目は私はまだ納得していません。
少し質疑応答が細かくなって予定した質問の方を大分余しましたが、時間が来ましたので、きょうはこれで終わって、十一日にまた改めてお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/245
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246・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 次回は、明六日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X00919780405/246
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