1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年四月十一日(火曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 中尾 栄一君
理事 片岡 清一君 理事 羽田 孜君
理事 林 義郎君 理事 山崎平八郎君
理事 竹内 猛君 理事 馬場 昇君
理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君
加藤 紘一君 鹿野 道彦君
金子 岩三君 熊谷 義雄君
倉成 正君 國場 幸昌君
佐藤 隆君 玉沢徳一郎君
平泉 渉君 福島 譲二君
堀之内久男君 森 清君
森田 欽二君 小川 国彦君
角屋堅次郎君 柴田 健治君
新盛 辰雄君 野坂 浩賢君
芳賀 貢君 日野 市朗君
松沢 俊昭君 武田 一夫君
野村 光雄君 吉浦 忠治君
神田 厚君 津川 武一君
甘利 正君 菊池福治郎君
出席国務大臣
農林大臣臨時代
理 安倍晋太郎君
出席政府委員
農林政務次官 今井 勇君
農林大臣官房長 松本 作衞君
農林省農林経済
局長 今村 宣夫君
農林省構造改善
局長 大場 敏彦君
林野庁長官 藍原 義邦君
林野庁林政部長 石川 弘君
委員外の出席者
農林省畜産局自
給飼料課長 山田 績君
林野庁林政部森
林組合課長 山田喜一郎君
林野庁指導部長 須藤 徹男君
労働省労働基準
局補償課長 原 敏治君
労働省労働基準
局安全衛生部労
働衛生課長 林部 弘君
農林水産委員会
調査室長 尾崎 毅君
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委員の異動
四月十一日
辞任 補欠選任
汀藤 隆美君 鹿野 道彦君
菊池福治郎君 甘利 正君
同日
辞任 補欠選任
鹿野 道彦君 江藤 隆美君
甘利 正君 菊池福治郎君
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四月十日
米の新生産調整反対及び農業政策の転換に関す
る請願(小川仁一君紹介)(第二八七二号)
国民のための国有林経営に関する請願(岡田利
春君紹介)(第二八七三号)
同(川口大助君紹介)(第二八七四号)
同(沢田広君紹介)(第二八七五号)
同(西宮弘君紹介)(第二八七六号)
同(芳賀貢君紹介)(第二八七七号)
同(渡部行雄君紹介)(第二八七八号)
同(渡辺三郎君紹介)(第二八七九号)
同(金子みつ君紹介)(第二九九五号)
同(美濃政市君紹介)(第二九九六号)
中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願外四件
(田川誠一君紹介)(第二九〇一号)
昭和五十三年度肉畜価格の引き上げ等に関する
請願(椎名悦三郎君紹介)(第二九九二号)
昭和五十三年度加工用原料乳保証価格の引き上
げ等に関する請願(椎名悦三郎君紹介)(第二
九九三号)
畑地に係る土地改良事業の国庫補助率引き上げ
に関する請願(椎名悦三郎君紹介)(第二九九
四号)
商社養鶏インテグレーション進出阻止に関する
請願(津川武一君紹介)(第二九九七号)
農畜産物輸入自由化等の問題に関する請願(芳
賀貢君紹介)(第二九九八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
森林組合法案(内閣提出第四八号)
国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置
法案(芳賀貢君外十三名提出、衆法第三号)
農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改
正する法律案(内閣提出第五〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/0
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001・中尾栄一
○中尾委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、森林組合法案及び芳賀貢君外十三名提出、国が行う民有林野の分収造林に関する特別措置法案の両案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/1
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002・柴田健治
○柴田(健)委員 委員長にまずお願いやら意見を申し上げておきたいのですが、一般質疑とは違って、法案審議の重要なときに、委員の出席をもう少し要請すべきではないか、こういうことを苦言を呈して意見を申し上げておきたい。
それから、大臣が訪ソされるので臨時代理が決まって、安倍官房長官が農林大臣兼務だということになった。しかし、ぜひ、法案審議日には大臣は原則として出席するというのが長い歴史の恒例でもあるので、どんなことがあっても、一時間でも二時間でも多く出席するというものを持たないと、ますます行政と立法府とのけじめがつかないようになる。その点はこれから明確にしてもらうように配慮してもらわないと、行政府の下に立法府がついていくような形になってはだめだと思うので、これも委員長にしかと申し伝えておきます。早急に大臣が出てくるように要請しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/2
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003・中尾栄一
○中尾委員長 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/3
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004・柴田健治
○柴田(健)委員 そこで、今度森林組合法が単独立法として発足することは、長年の懸案事項でもございましたが、まず手続論として、いままでは森林法の中に、第六章七十四条からずっと森林組合連合会の位置づけまであって、それを分離するのですから、まず森林法の改正を同時に出すべきじゃなかったかと私は思うのです。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
それを改正せずに、森林法は森林法でこのまま生きていく、森林組合法は森林組合法で今度単独立法で一人歩きをする、こういうことになるのですが、その点の取り扱いはどういう見解を持っておるのですか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/4
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005・石川弘
○石川政府委員 御承知のように、従来の森林法か、森林計画制度と保安林制度と森林組合制度の三つの柱ででき上がっていたわけでございますが、いま御指摘のように、森林組合制度につきまして今度森林組合法を単独立法化するわけでございます。その場合に、森林組合に関します章を落としまして、残りの森林法につきましては、従来のように計画制度なり、あるいは保安林制度を中核とした森林に関する一般法制として残すわけでございますので、森林法の附則の中でそのような改正ができるような形にいたしておりまして、したがいまして、特に森林法を単独で改正するという形はとっていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/5
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006・柴田健治
○柴田(健)委員 それでは森林法そのものが死んでしまうと私は言うのです。この三つの柱の一本が抜けるわけですから、要するに、森林計画と保安林行政、この二つをもう少し明確にしていくためにも、抜本的に森林法の改正はやるべきではないか、こういう考え方を持っておるのですが、これはあなたがいま答弁せられた方向でずっといかれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/6
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007・石川弘
○石川政府委員 森林組合に関しまず章が独立いたしておりまして、ちょうどその章を独立しまして外しますと、法体系としては、従来の森林法の中で、森林計画制度とかあるいは保安林制度というものを存続させた姿で十分整理ができるものでございますから、そういう手法をとっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/7
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008・柴田健治
○柴田(健)委員 いずれこの問題は後で申し上げるとしても、もう一つは、今度の森林組合法の中に「農林水産省」という名称を使っているのですが、われわれはこれにいささか抵抗をしておるわけですが、この農林水産省という名称は国会ではまだ承認されていない。承認されていないのにきょうこの法案を上げるとするならば、「農林水産省」という名称がこの法律ではそのまま生きていくということになる。ここにも矛盾を感じるのですが、この点については、当局みずから修正する意思はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/8
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009・石川弘
○石川政府委員 御承知のように、閣議決定をいたしました段階では、農林水産省の設置を内容といたします農林省設置法を、予算関係法案でございますので、実は先に提出をいたしておりました。したがいまして、そういう法案の審議の過程の中で、いま御指摘のように、農林省設置法につきましてはまだ審議が全く行われていないという段階でございますので、その間の調整を図る必要があろうかと思います。その場合に、「農林水産大臣」を「農林大臣」、あるいは「農林水産省令」を「農林省令」という形にする問題でございますけれども、これにつきましては、御承知のように農林省設置法も国会に提出をいたしておりますので、その間の調整を図ります場合に、農林省設置法の法案が後に可決され、この法案の方が先に可決されます場合には、過去におきまして、実は逓信省を郵政省と省名を変えました前例がございますけれども、そういう省名変更が行われるまでは「農林大臣」及び「農林省令」ということに読みかえる旨の規定を附則に置くという、その種の措置に従わなければならないのではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/9
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010・柴田健治
○柴田(健)委員 この問題はいずれ理事会で取り扱われるのだろうと思いますが、まず条文から入っていきたいのですが、「この法律は、森林所有者の協同組織の発達を促進することにより、森林所有者の経済的社会的地位の向上並びに森林の保続培養及び森林生産力の増進を図り、もって国民経済の発展に資することを目的とする。」これが第一条の目的です。これは前からの目的にもある。森林法の中でもこれはちゃんと書いてある。この文句はちゃんと位置づけてある。今度の単独立法の中でこれと同じことを書く、いままで書いておったのと同じなんですが、振り返ってみて、私から言わせると、もう少しこの文句を変えなきゃいかぬのじゃないかという気がするわけですね。前の森林法の中にあったありふれた文句をそのまま引き抜いて羅列をしたというだけであって、これはまことに権威のない形式論で、今度森林組合法を単独立法でつくったと鳴り物入りで宣伝するほどのこともないではないか。たとえば、国内産の木材の価値観を変えるとかいうような字句をなぜ入れなかったのか。ただありふれた森林法の字句を継承していく、これでは進歩も発展も前進もないじゃないかという気がするのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/10
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011・石川弘
○石川政府委員 従来の形式を申し上げますと、森林法の目的でございますが、これは御承知のように第一条でございますけれども、その中では「森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項及び森林所有者の協同組織の制度を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、もって」云々と、こうつないでいたわけでございます。したがいまして、この法律の中では、計画制度とか保安林制度といった森林に関する基本的制度と、それからもう一つ、森林所有者の協同組織の制度を定めるということを「目的」に書いておりまして、その一条の「目的」を受けまして、法律の「目的」というところではございませんで、七十四条の「組合の目的」というところで、「森林施業の合理化及び森林生産力の増進並びに森林所有者の経済的社会的地位の向上」という形をとったわけでございます。
〔山崎(平)委員長代理退席、羽田委員長代理着席〕
それで、今回の改正に当たりましては「組合の目的」という形からまず法律の「目的」といたしまして、先生御指摘のように、書いてあります文言につきましては同様でございますけれども、組合法の目的から申しますと、協同組織をつくり出すということでございますので、並列をさせておりますけれども、「森林所有者の経済的社会的地位の向上」を前に持ってまいりまして、それから、森林の持つ公益的機能に寄与するという面の「森林の保続培養及び森林生産力の増進」というところを順序を変えました形で組合法として「目的」を定めたわけでございます。
内容的に申しますと、森林組合が持っております組合活動を通じて組合員の地位向上を図るという問題と、それから、森林組合が森林の担い手としまして森林の生産力あるいは公益的機能を発揮する、この二つが組合の持っております目的でございますので、文言は同じではございますが、この二つを併記しまして「目的」とすれば十分ではなかろうかという考え方で、このような整理をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/11
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012・柴田健治
○柴田(健)委員 日本の林業が、制度的にはいろいろ立法措置の中である程度明確になっておる。ところが、現実の姿でわれわれが現場で考えた場合、また国内の国産材の価値観というものをいま見直さないと大変なことになるだろう。ただ外材と国産材とを同じような価値だというような見方をするところに、日本の森林資源の活用が十分なされていないんじゃないかという懸念をわれわれは持っておるわけです。外材で一番得はどこだ、利点はどこなのか。外材で一番の利点は何と何か。われわれは常に、外材の一番の利点は、製品としてでき上がった時分に、短期間ではあるけれどもきれいに見える、美しく見える。ただ美観論だ。美観論から言う見方。それからもう一つは仕事がしやすいという特典がある。仕事がしやすい。節がない。その他いいところはないじゃないか。あとはみんな悪いではないか。耐久力から見ても、そして防災上から見ても、そしてまた害虫の面から見ても、腐食率から言うと、外材の方がはるかに腐食率や虫のわく率が多い。ゴキブリやシロアリも起きる率が多い。われわれは常に防災上から見て外材の使用というものはとめるべきだという考えを持っている。あのくらいよく燃える素材はない。そしてゴキブリもよく発生をする。いいところと悪いところを比べると、日本の木材、杉、ヒノキ、クリ、松、全体を含めて建築用材として考えた場合にどこに遜色があるのか。ただ仕事がしにくい面があるだろう、節が多いから。ところが、年輪関係から見ると耐久力は四倍も五倍もある。そして日本のヒノキは年々光沢が出てくる。年数を追うたびに光沢が出てくる質を持っている。だから、外材と国産材との価値を、この辺でこの位置づけを変えないと、ただ損か得かで、資本の論理だけで、もうかりゃいいんだということで輸入商社に無制限に外材を輸入させるところに問題がある。
それから、国内のこの木材の価値観をどう変えていくか、国民にどう訴えていくか、みずから森林所有者が自信を持ってそういう運動を起こす必要がある。それが今日森林組合の弱さだ。そういう指導も何もしないところに農林省の不手際もあるのではないか。その価値観をどう変えるかというところを、森林所有者がみずから自分がつくり出す品物は絶対責任を持つ、そういう自信を持たせるということが必要ではないか。
〔羽田委員長代理退席、山崎(平)委員長代理着席〕
それがない限り、どんなに呼びかけをしたって外材との太刀打ちはできない。ただ価格論争だけで、価格問題だけで追い詰められてくるということはこれは必然的な道であります。問題は、質で勝負をしていく、そういう考え方、発想の転換をしないとだめではないですかと、われわれは今日まで長年それを言ってきた。林野庁も農林省も知らぬ顔をしておる。森林組合の団体でさえ、森林所有者でさえ、何も知らない。なぜこういう欠陥、矛盾が起きるのか。この点について、政務次官、あなた、きょう大臣だから、はっきり答弁してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/12
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013・今井勇
○今井政府委員 ただいまの御意見は、単に木材だけではないと私は思います。戦後日本の国民か衣食住すべてにわたって、どちらかといいますと経済性を追求する、それから日本の古来のよさというものを没却をする。国のものは、少なくも主食というものは、どこの国でも自分の国で取れたものを食べるのがあたりまえなんです。日本だけでございます。外国のものを主食のものの一部に充てているという国は。そういう国だと思います。そういう意味で、先生のお説、日本の国の政治家として、国民にありのままを訴える、日本のよさを訴えるということはまことにそのとおりでございまして、そういう意味の努力が、林野庁としても私は及ばずながらやっておると思っておりますが、なお足らざるところがあるならばこれを補いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/13
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014・柴田健治
○柴田(健)委員 日本はだんだん狂ってくることは、舶来主義で消費経済をあおって、消費の美徳論からこういうことに矛盾が出てきたと思うのですが、何としても舶来を謳歌するということはよくない。ただ日本で純国産は、人間と水と土地ぐらいで、あとはもうほとんど、着るものから食べるものから何もかにも全部、衣食住全部ほとんど舶来が入ってくるということは、民族的にとっても一つの悲劇だと私は思う。日本は狂うておる。政務次官、昔は米を食うて薬を飲むというのが大体常識だった。いまは薬を食うて米を飲むような時代になった。あべこべなんだ。この点も農林省の重大な責任だと思うのです。米の消費額が少なくて、薬の消費額の方が多いなんという国は、世界で日本だけじゃないか。そんなばかなことを知らずに——知ってやっておるんだから、なお、たちが悪いと思う、政府・自民党の者は。みんな賢い人がおるんだから知っておるはずだと思う。まあそういうことは余談として、私は、まず第一条にそういう価値観の問題を明確にすべきではないかということを申し上げたかったんですが、いまの答弁では十分とは言えません。
それから第二条、この「森林所有者」という定義なんですが、「森林所有者」というのは、どこまでが森林所有者ですか。あくまでも個人が対象か、団体が対象か、ちょっとそれを具体的に説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/14
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015・石川弘
○石川政府委員 森林法二条に森林の定義がございますが、「権原に基き森林の土地の上に木竹を所有し、及び育成することができる者」といっておりますので、所有権でございますとか、あるいは地上権でございますとか、賃借権とか、そういう権原を持ちまして森林の土地の上にあります立木を所有しあるいは育成することができる権能を有する者を森林所有者と言っております。もちろん個人及び法人を含むわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/15
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016・柴田健治
○柴田(健)委員 土地の上に立木があるものは全部森林だ、それを持っておる者は個人と言わず団体と言わず全部森林所有者、こういうわけですね。それならたとえば財産区がある、それから特定の業者、商社が買っているとか、不動産業者が買っておるとか、町村有林から県有林から国有林から、所有権をせんさくしていくといろいろ多種多様にあるんですね。不動産業者が買うておるとか製紙会社が買うておるとか、それは製紙会社なんかは自分の使用目的がはっきりしていますから大体わかる。その他商社が財産運用上買っておるとかいろいろある。単に地上に立木がある、それはもう全部森林だとみなす、それを持っておる者は森林所有者だと位置づけをする。それなら森林組合で賦課金を取るには個人が対象か面積が対象かという論議になってくる。その点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/16
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017・石川弘
○石川政府委員 一人一票原則で動かしておりますので、人の頭数で賦課するということは十分あり得るわけでございますけれども、それは能力といたしまして、面積が大きいからよけい取るとか取らないとかという形に必ずしもならない場合もあります。それから面積によって賦課する場合も当然あると思います。それから先生おっしゃいました出資金でございますか……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/17
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018・柴田健治
○柴田(健)委員 賦課金です。森林組合の出資金というものは固定資本の方へ入っていってしまうのですから。森林組合には、一つの組織母体なんですから、年間の通常経費人件費やなんかは当然必要なんだから、賦課金はぜひ組合費として徴収しなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/18
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019・石川弘
○石川政府委員 賦課金の場合につきましては、事業の利用の程度に応じて定めるというのが通常の姿でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/19
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020・柴田健治
○柴田(健)委員 漁業協同組合でも農業協同組合でもそうなんですが、ただ人頭割りの賦課金というのを、それだけをやっている組合はないのですよ。耕地面積それから家畜頭数、それらを総合的に勘案して基準が出て賦課金を徴収しておる。森林組合だけが人頭割りにして賦課金を取る。面積が大きい小さいは別だという。そんなばかな組織論がどこにあるのですか。そんな森林所有者の位置づけをすると、後の条項の中で負担金だとか賦課金だとかいう問題で大きく論議が分かれて、末端は混乱いたしますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/20
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021・石川弘
○石川政府委員 先ほど出資金と間違えまして人頭割りのことを申し上げましたが、賦課金につきましては御承知のように均等割り、これは要するに頭数でございますが、面積割りが主体でございます。そのほかに事業量割りあるいは出資金割りといったような方法がとられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/21
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022・柴田健治
○柴田(健)委員 第二条のところの「森林所有者」というのは、個人も団体も全部所有者として位置づけをして、地域全体の責任、社会的責任を負わせる、こういう位置づけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/22
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023・石川弘
○石川政府委員 組合は、加入しました組合員という形で位置づけられるのでございますから、組合に加入しておれば当然組合員としての責任は負わなければいけないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/23
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024・柴田健治
○柴田(健)委員 第三条の「組合の名称」なんですが、なぜ森林協同組合というように「協同」という名前をつけなかったのでしょう。ちょっと疑問があるのです。この前、瀬野委員が質問しておられましたけれども、第一条で「協同組織」という言葉を使ったら、第三条の名称でも森林協同組合と使ってもいいじゃないか。その次の第五条の法人との関連で多少考えられる点がありますけれども、私は、森林協同組合という名称に直したらどうかという気がするのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/24
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025・石川弘
○石川政府委員 協同組織には違いございませんけれども、協同組合という言葉を使っておりますのは、通例中小規模の事業者の相互組織というのが、たとえば農業協同組合、水産業協同組合、中小企業等協同組合の大体のしきたりでございます。森林組合の場合は、御承知のように地方公共団体を含めました森林所有者一般を組合員に包含することを前提といたしておりますので、そういう面からはいわゆる協同組織ではございますけれども、協同組合という言葉を使うのは法制上問題があるのではなかろうか。したがいまして、協同組織であることは組合という言葉の中に包含されるわけでございますが、他の協同組合という形を使いませんで、若干伝統的な称号でございますが森林組合という表現を使っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/25
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026・柴田健治
○柴田(健)委員 これは民有林がその対象なんですから、日本の民有林の個人個人の持ち分、平均面積はどのくらいになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/26
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027・石川弘
○石川政府委員 私有林の面積が千四百万ヘクタールかと思います。それを二百五十五万林家が持っておるわけでございますから、大体六ヘクタールぐらいになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/27
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028・柴田健治
○柴田(健)委員 石川部長の頭脳のコンピューターで概算説明なんですが、この面積と所得面、要するに経済効率の回転率から見ると、一戸平均の山の収益性はどの程度あるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/28
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029・石川弘
○石川政府委員 三十二万円ぐらいが五ヘクタール以上林家の平均値だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/29
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030・柴田健治
○柴田(健)委員 正直言って、あんたの方は基本的なものを十分つかんでない弱さがある。山というものは長年月かかる。教育と一緒なんです。この前私は石川部長に言うたのですが、造林の経費はどうなるかとお尋ねしたら、計算しておりません、こう言われたけれども、山に取り組む人は常にそのことを念頭に置いておかなければだめですよ、こう私は常日ごろ申し上げておる。
それから問題は、農地の場合の面積、農業協同組合の、たとえばいままでの法の精神から言えば、農業従事者で年間六十日以上稼働日数を持った者とか、三反歩以上とかいろいろ基準はありますけれども、収益性から見ると、山の面積、この協同という言葉がつかないほど単位が大きいとは思えない。日本の場合は、林家の戸数から言う所有面積の、大山持ちと言われるのは何百町歩、何千町歩でしょう。それは各県にそう数がたくさんいない。本当に零細な林家が多い。それらの力を結集する、英知を結集する、資本を結集して新しい山づくりをしていこうとする、そういう組織形態のものにして育てていこうとするなら、もう少しこの協同組織の理念というものを十分認識させていかなければならぬのじゃないか。協同組織という言葉は使っていくけれども理念がない。ただ森林組合という名称にしてしまう。末端では協同組織の理念が死んでしまう。第一条には「協同組織」と書いてある。第三条ではそれが死んでしまう。協同組織の理念を植えつけない限り森林組合というものは発展しないではないか。本当に零細規模の林家が多い。それを協同組織にして力を合わせていく。やはり確固たる理念を植えつけるということが法の一番基本にならなければならぬと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/30
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031・藍原義邦
○藍原政府委員 いま林政部長から、今回御審議いただいております法案についての考え方を御説明申し上げたわけでございます。いま先生がおっしゃいましたように、森林組合につきましては当然協同組合的な性格を十分持たせながら、なおかつその目的にございます組合員の福利厚生を図る、社会的地位の向上を図ると同時に、また、森林組合そのものは組合員に奉仕するということになっておりますし、そういうものを通じまして公益的機能を発揮するような森林の管理、維持、経営をしていくということ、これがあわせましてまた組合員の福利厚生なり社会的地位の向上にもつながるとわれわれ考えております。先生がおっしゃいましたような協同組織の理念をさらに徹底せよというお話でございますが、私どもも、こういう考え方で森林組合を維持、運営してまいりますれば、当然その中で組合員の意識というものは向上してまいるというふうに考えております。また、ただいまそういう零細な森林所有者が共同して施業が行えるような方途を森林計画制度の中にも取り入れまして、それを積極的に進める、そういうことになりますれば、その担い手といいますか、それを実行してまいりますのは、当然また森林組合がそれをやっていかなければいけないという形にもなりますし、そういう面で、今回単独法としてこの森林組合法が制定されますれば、当然、いま先生がおっしゃいましたような形でそういう理念というものは十分今後組合員の中にも入ってまいると思いますし、また、私どももそういう考え方で指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/31
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032・柴田健治
○柴田(健)委員 私は、これから一番大事なのは人材養成だ。いままで人材養成がおろそかになっていたとは思えないけれども、十分とは言えなかった。だから、役職員の養成についても、はたまた山林の林業後継者育成についても、やはり基本的な理念がないと、人材養成をやっておるとは言えない。その面から見て、どこか基本というものがなければならない。その法の体系の中でばらばらの考え方が出てくるということになれば、これは本当に人材養成の基本が崩れるじゃないか、私はそういう心配をしておるからお尋ね申し上げておるのです。これは十分踏まえて、これからの人材養成については、そういう協同組織の理念というものを明確に位置づけをして人材養成に努力してもらいたい、そういう決意があるかどうかお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/32
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033・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、私どもも、森林組合の性格としては、いま先生がおっしゃいましたような協同組合的な性格は当然持っておりますし、また持たせて今後とも森林組合の指導をしてまいりたいと考えておりますし、森林組合なり森林所有者の人の養成という問題につきましても、この法案の精神に基づいて、私どもも今後十分指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/33
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034・柴田健治
○柴田(健)委員 それから、こういう法の体系であやふやなことをすると、国がまた逃げる。国がみずから法律をつくったらそれに責任を持たなければならない。また、その末端で運用する組織人員も責任を持って運用していくということが当然のことなんですね。ところが、こういうあやふやなことをすると、国がまた都合のいいときだけは口は出すが金を出さぬということになる。金も思い切って出すくらいな農林省の姿勢が欲しいと思って申し上げた。
そういうことで、第五条のところで「組合は、法人とする。」と簡単に書いてある。これは前の森林法の中にもこう書いてある。これが公益法人かどうかという問題。ただ法人ではわからない。それから第四条では「営利を目的としてその事業を行ってはならない。」こうなっている。金もうけは一切してはなりませんよ、こう位置づけをしておいて、第五条では単なる法人、こう位置づけている。ここがわれわれにはいささか矛盾を感じるところなんですが、この点はどうですか。私は、あくまでも「公益」という字を入れるべきだ。組合は公益法人として位置づけをすべきじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/34
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035・石川弘
○石川政府委員 森林組合は、森林組合法に基づきまして設立をされますいわゆる特別の法人でございますが、先生御指摘の公益法人、これは民法上の公益法人でございますれば、いわゆる森林組合が営利を目的としないということは、御承知のように、組合の活動を行いまして外部的には利益を上げましても、それは結局内部的に組合員の利益のためにする行為でございまして、したがいまして、営利を目的としない法人と申しましても、いわゆる外部に向かいましてある種の経済活動まで抑えている趣旨ではございません。しかも、片一方で森林組合が森林の保続培養といった面での公益的な目的を持った活動をいたしますけれども、それをもって民法上の公益法人と直ちに言うわけにはまいりませんで、「法人とする。」ということによりまして、森林組合法に基づいて設立されます特別の法人ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/35
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036・柴田健治
○柴田(健)委員 土地改良組合の方は公益法人として位置づけしたですね。だから、土地改良法で公益法人として位置づけをして、それで都市付近では、部外者から協力金だとか負担金だとか、たとえば農地転用をして面積が減ってきて残された組合員が負担が過重になるというたら、負担の軽減を図るために農民以外の者からでも協力金がもらえるような道が開けた。われわれはちょっとどうかなと思う面もありますけれども、やはりそういう道か運用されている。土地改良の方は公益法人と言いながらいろいろな金を徴収できるようにした。たとえば、森林組合が施業計画を立ててこれから山を育てよう、つくっていこう、こういう計画があるのに、真ん中をぽつんと不動産業者が持っておったために引き抜かれてしまった、そうするとその全体計画が崩れてしまう。崩れたら組合員に与える影響は大きい。その場合の損失補てんなり負担というものをそういう不動産業者にさせる。組合の事業計画に変更を与えないというような場合が考えられる。それに公益法人としておいた方が協力金が取れる。ただ法人なら取れない。そういう面が出てくる可能性があります。だから、営利を目的としないという四条で位置づけをする限りは、五条のところも明確にしておいた方がいいんじゃないか。いまの答弁を聞くと、幅を広く考えているのです。営利は目的としないけれども、いろいろな組合員の福利施設のためだとか利益のためには幅を持たしていく、その点はよくわかるのだけれども、対外的な面で私は疑問を持つからお尋ね申し上げるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/36
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037・石川弘
○石川政府委員 土地改良区も、御承知のように土地改良法に基づく特別の法人でございます。法十三条も「土地改良区は、法人とする。」という書き方をいたしております。先生御指摘の土地改良区がその他利用者にも各種の経費賦課ができるという論理は、むしろ、土地改良区が御承知のように関係者の三分の二の同意をとりますと、農用地造成事業は違いますけれども、強制設立かできます。したがいまして、本人の意思にかかわりなく関係地区を入れて土地改良区がつくられるという、その点が、御承知のように加入、脱退の自由、設立の自由といういわゆる組合法制と基本的に違うところではなかろうかと思います。
森林組合の場合、いま先生御指摘の経費の賦課の問題でございますが、あくまで法の体系が加入、脱退を自由としておりますから、非組合員につきまして、員外利用いたします場合に、員外利用いたします事業の利益を受けますそういう限度に応じまして必要な利用料とかいろいろなものを取ることは合意の上でできるわけでございまして、そういう意味で員内と員外を区別しませんで、員外につきましても、員外利用したことについての形では取ることができるのではなかろうかと思います。したがいまして、それはあくまで強制の姿で、たとえば、土地改良区の御指摘のような場合でございますと、本人はそういう土地改良事業に参画することを当初は拒んでおりましても、土地改良区を強制的に設立いたしまして、ある程度取れるとかあるいは経費の賦課ができるということとは若干様相を異にしますけれども、員外の場合に、利用いたしまして、その利用に関して正当な利用料等を徴収することを妨げているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/37
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038・柴田健治
○柴田(健)委員 次に第九条なんですが、「事業の種類」、たくさん事業ができるようになっておるのですが、九条の四号「病害虫の防除その他組合員の森林の保護に関する施設」とある。これは森林法の中にも同じことが書いてある。ただ、病害虫の防除その他組合員の森林の保護だから、病害虫、たとえば松くい虫、これらについていままでもそういう法律でやってきた。今度は単独立法ですから病害虫の防除対策をどういう形でやらせるのか。森林法の中では「防火」という言葉があった。今度は森林組合には防火、防災は関係ないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/38
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039・石川弘
○石川政府委員 森林の保護に関する施設につきまして、病害虫の防除ということを例示的に出しましたのは、それが事業の内容として一番多いということでございます。それから「防火線の設置」というのを削りましたけれども、これはそれをしなくてよくなったということではございませんで、防火線の設置といいますのは実際の事業として非常に少のうございまして、森林の保護に関する施設の例示としては必ずしも適当ではないのではなかろうかということで削除いたしておりますけれども、当然事業としては読めるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/39
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040・柴田健治
○柴田(健)委員 たとえば防火、防災で森林組合か自分の森林を守るためには、防火線の設置ではなしに、これから山に防火水槽をどうつくっていくかということも考えなければならぬ。防火水槽はもう全然森林組合の任務ではない。それでは国が直接やるのか。それで森林のABCとランクをつけて、当然この森林は国なり県が総力を挙げて守らなければならぬ森林地帯における防災施設、地域の市町村なり森林組合が守らなければならぬ山についての防災施設、いろいろ任務が分かれると思うのですが、森林組合はそういう防災施設については何もしないでもいいのか。そういう法律の条項がないと、今度は国が補助を出すことができないではないか。それは森林組合の任務ではないからやめなさい、補助はつけませんぞと、こうなる。やはり立法の中でそういう防災施設も、森林保護、第一条の目的にちゃんと書いてある。それはもういろいろな災害がある。風害もあれば雪害もあるし、火災もあればいろいろな災害がある。片一方ではこの保険制度をこれからどう充実していくかという問題もある。そのように防災施設は森林組合から、前の森林法には書いてあるのに今度は外した。どういう考えを持っておるのか。山を守るためには何が必要かということを林野庁はまず考えなければならぬのじゃないですか。その点を外すというのはおかしいのですよ。これはどうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/40
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041・石川弘
○石川政府委員 先ほども御説明いたしましたように、その種の防災活動を森林組合の仕事から外したのではございませんで、ただ表現いたします場合に、やはり事業として非常に現実に行われ、かつなじんでいるようなものを例示に挙げるというのが通常の姿でございます。その場合に、防火線の設置ということが森林組合の行います事業として非常に事例が乏しかったということがございますので例示から外したわけではございますけれども、事業の内容としては当然そういうこともやっていただいて結構なわけでございますし、むしろそういうことを進めるべきだとも考えておりますので、法の施行の段階でそういう誤解がないように十分注意してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/41
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042・柴田健治
○柴田(健)委員 これは自分の山をみずから守るという立場から言うと、はっきり位置づけをした方がいいのじゃないか。森林計画、施業計画、いろいろな計画の中でどういう方法で守っていくかを。そういう考えだから、おとといからの愛媛の山火事、岡山の玉野の山火事と、何ぼでも山が燃えるんじゃないですか。もう少し山の防災上のことを真剣に考えて、防災施設に国がどんどん補助をつけていく。類焼拡大を防ぐようなそういう施設に、森林所有者にも任務を持たせるが、県も国もそれに対して補助をつけていく。そういうことをこの立法措置の中で明確にしておかないと、大体日本の官僚というものは文書に書いてあれば守るけれども、書いてないものは守らぬのが癖じゃないですか。農林省の石川さんが未来永久ずっと林野庁長官を何十年やるんならいいけれども、それはなれるかどうかは知りませんけれども、大蔵省というところはわけがわからぬですよ。大蔵省というものは、ちゃんと法律に書いてあれば補助をつけるけれども、それ以外はつけない。ここであなたが何ぼ答弁したって、われわれは信用できない。そういう施設はこれから大事じゃないんですか。所有者はもちろん、国ももっと国民の目を山に向けさせるというんなら、あらゆる施設についてもっと力を入れるべきではないかと思うのですが、次官いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/42
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043・今井勇
○今井政府委員 先生のおっしゃいますように、山を守る防災、火災から守ることは当然大事なことだと思います。したがって、現実に私の知っている範囲内でも、全国の幾つかの町村に森林所有者が中核となったそういう防災、消防の団体がありますことは、先生御案内のとおりでありますし、また林野庁も、若干ではございますが、そういったものに対して助成をいたしております。
そこで、いまの条文の話は、多分私の知っている範囲内では、いまの四条の中で十分読めるのだというふうに理解をいたしております。したがって、林野庁としては、いまよりさらに一層そういう面についての努力をすることはあるにせよ、後退をしてやらないのだというつもりはさらさらございません。先生のいまの御議論を踏まえまして、なお一層予算の獲得等について前向きの姿勢をとってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/43
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044・柴田健治
○柴田(健)委員 四条じゃないんですよ、次官。九条の四号と言っておるんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/44
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045・今井勇
○今井政府委員 大変失礼いたしました。九条でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/45
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046・柴田健治
○柴田(健)委員 それで、森林法の中にはちゃんと書いてあるのを今度なぜ消したのかと言うのです。「防火、防災、病害虫」となぜ入れなかったのか。この点は手落ちであったということを認めたらどうですか。何ぼ言葉でやりますと言うたって信用できないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/46
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047・石川弘
○石川政府委員 実は法案を整理いたします際に、各条文の表現の仕方につきましては、二十六年につくりましたときの言葉と、現段階で特に独立した一法をつくります場合とでは、森林法にあったものをそのまま持ってくるというだけの作業では決して済みませんものでございますから、若干そういう文言等をいろいろと内部であるいは法制局等と打ち合わせたわけでございますが、たとえばの例でございますけれども、九条の一項一号では「組合員のためにする森林の経営に関する指導」ということになっておりますが、これも従来の七十九条では、「組合員のための森林経営案の作成その他の森林の経営に関する指導、」という表現を使っておりました。ところがその「森林経営案」という言葉は、実は言葉といたしましては二十六年の森林法制定当時はかなりよく言われた言葉でございますが、現実に現段階で、経営案をつくるということが組合員の指導の代表格かどうかというような議論になりますと、「経営案の作成」という形では、指導というものを例示します場合の代表たり得ないのではないかというようなことでこれを落としておりましたり、これも、いま先生御指摘の防火の対策をやらないということではございませんで、たまたま例示が「防火線の設置」という非常に具体的な表現をとっております。御承知のようにこれは、防火対策のいろいろなものの中の一つの手法であります防火線をつくるかつくらぬかという非常に具体例を出しておりまして、そのあたりが法案を整理をしていきます段階で、防火線をつくるかつくらないかというようなことが具体的事例として挙がるのはいささか例として狭いのではなかろうかというようなこともございまして、要するに問題は「森林の保護に関する施設」でございますから、そういうものの中で最も広範かつ一般的な例示を挙げたらよかろうということで、「病害虫の防除」というものを一般的例示として挙げたわけでございます。
しかし中身といたしましては、先ほどから申し上げておりますように、たとえば先生御指摘の防火のためのため池をつくるということも、これは補助事業の一端としてやっておりましたり、御承知の森林火災防備のための施設助成につきましても、五十三年度に約九千万も予算を出しているわけでございますので、決してその種の活動をないがしろにしたり、あるいは今後後退させるという意図ではございません。たまたまありますものが抜けたということで、それが後退と見られては非常にまずいわけでございますので、私どもといたしましては、この法文を施行していきます段階におきまして、先生がいま御指摘のような問題を十分頭に置きまして、そのような防災活動が後退することがないように、むしろ前進するように一生懸命指導をしていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/47
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048・柴田健治
○柴田(健)委員 二、三日前から焼けている愛媛、岡山の何百町歩という山火事ですね。ああいう山林の大火災が過去に何回となく起きて、その都度林野庁は、恐らく専門的に火災の発生の原因究明なりその消火活動あるいは防火活動の面から見て、反省会というか検討を加えられて、万一この地域に火災が起きたら、地域防災計画の中でどういう活動をさせるか、どういう出動体制をとるか、そして山にはどういう施設をつくるべきか。道路をつくるという場合においても、ただ仕事がしやすいとか工事費が安く上がるからという道路新設でなくして、常に防災的な立場で林道の新設も考えなきゃならぬだろう、そういう反省を今日まで常時してこられておると思うのですよね。検討してきたそういう結果から見れば、この条文に何と何を入れなきゃならぬかというくらいのことはわかるはずだと私は思う。ただ石川部長のいまの答弁のような、それは森林を守る保護施設とこう書いてあるから、それで皆包含するんだというような説明では、われわれは納得できない。皆さんは山を守る機関だから、あらゆる災害から山を守るにはどういう方法で守っていくかという基本的なものを見出すためには、現場で関係者が寄って、いままで何回となくそういう反省会を持って、検討を加え反省せられておると思う。その上に立って考えた場合には、こういう字句ではいけないんじゃないか。どうですか長官、もう一遍説明を。これをもう部長だけじゃだめだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/48
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049・藍原義邦
○藍原政府委員 森林火災に対しましては、十分PRをし、普及宣伝をし、そして火災が減少するような努力をしなければいけないというふうに私どもも十分考えておりますし、また、森林を管理、維持する面で、森林火災等に対します心構えなり予防なりがきわめて重要であることは、先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもも従前からその努力はしてまいりましたが、ただいま林政部長から御説明申し上げましたように、今回の森林組合法の中では事例としては挙げませんでしたけれども、「森林の保護」という形の中で——一般的に森林保護としますと、病虫害も入りますし、防災も入りますし、いろいろなものが入ってくるわけでございますけれども、その中で私ども十分認識いたしておりますし、そういう考え方で、また誤解を招かないように十分徹底指導をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/49
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050・柴田健治
○柴田(健)委員 あなたの方は余り勉強していないから論争していってもだめだから次に移りたいのですが、第九条、今度は二項の第三ですね。「組合員の生産する林産物及び林産物以外の森林の産物の運搬、加工、保管又は販売」、こういう事業ができるようになっているのですが、この運搬と加工というのは広義に解釈すればいろいろあるわけですが、個々の単位組合、森林組合が単位組合でトラックを持つということは、この維持管理になかなか経費がかかるから、経費節減そして組合員の利益をいささかでも守っていこうとするならば、たとえばブロック別に運搬業務だけ一つ別に切り離して、ほかの団体の出資じゃなくて、単位組合が十か二十か参加して運搬業務を専門にやるという場合には、これは運輸省との関係があるのですが、こういう事業ができるのかできないのか。そういうやり方ができるのかできないのか。ただ個々の組合が運搬だけをする業務か。共同出資で運搬業ができるのかどうか。
それからもう一つ加工。加工は、ワラビやゼンマイやいろいろある、それらを特殊林産物としてこの備蓄なり、商品価値として、ただ生のままで出すというのでなしにいささかでも加工をやる、その加工処理施設に対して国なり県がどれだけ援助できるのか。そういう加工というのはそこまで拡大解釈していいのかどうか。加工というのはどういうものを加工と言うのか。ただ木材を削って出すのも加工だけれども、これはもう林産物なんですから、山にできるものをどういうふうに加工するか。これはいまの時点でもそうですか、将来を考えて雇用問題というものを考えなければならぬ。それから、山を相手に雇用拡大を考えるのはやはり森林組合の任務ではないか。そういう立場から言うと、運搬業務も加工業務ももっと思い切って融資、補助、そういうものをどういうものならやれるんだという解釈というか、そういう説明を願いたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/50
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051・石川弘
○石川政府委員 最初御指摘の、数組合が集まりまして物だけを運送する事業をやれるかというお話でございますが、これは御承知のとおり、組合につきましては、一項の必須事業とあわせて任意事業を行うたてまえでございますから、運送事業だけを独立する組合というのは森林組合法上は認められないという姿になろうかと思います。それから、その場合に道路運送法等の適用を受けるのは当然でございます。
それから二番目の加工でございますか、これは現にいろいろやっておりまして、単に袋詰めする程度の簡易なものから、あるいはそれをある程度、御承知のいろいろな塩蔵とか、あるいはつけもの加工とか、あるいはびん詰めとか、物によってはかん詰めとか、そういう形まで加工するようなものも当然この加工に入ります。助成といたしましては、林業構造改善事業の中でも、それから五十三年度からかなり広範に認めております特用林産の事業につきましても、この種の加工についてもある種の援助ができるような道を開いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/51
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052・柴田健治
○柴田(健)委員 次に、「林道の設置その他共同利用に関する施設」、これと、最後に四項の方で、「組合は、正当な理由がないのに、組合員以外の者が林道を利用することを拒んではならない。」ここがひっかかるのです。林道というものもいろいろ種類がある。これは政治家の拡大解釈か、いいかげんなことで林道の予算をとって、でき上がってみたら、いつの間にやら市町村道になってみたり、観光道路になってみたり、いろいろある。ところが、どういうものを林道と言うのか。それを森林組合に新設を認めさす。ただ造林、植林をやる管理道と言われるのが林道なのか、作業道というのが林道なのか、観光道路も含めたようなものを林道と言うのか。残念なことに日本に林道法がない。だから、林道法がないために交付税の中の基準財政需要額の算定もまことに話にならぬ。市町村は迷惑しておる。だから、林道法という法律があれば、道路法に準じて基準財政需要額のこの単位費用もある程度認められる。いま普通の市町村道の二分の一以下だ。ところが、林道ぐらい金のかかる道路はない。新設も金がかかるが、後の維持管理も金がかかる。だから、林道というものはどういうものを今度は指しているのですか。この法律の中ではどういうものを位置づけをする、まずそれを説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/52
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053・須藤徹男
○須藤説明員 お答えいたします。
ただいま先生から御指摘のとおり、林道についての法制上の定義はないわけでございますけれども、林道とは、一般的に森林の内外に通じ主に森林の管理、経営のための必要な交通を目的として
つくられている半永久的施設のことであるというふうに理解をしておるのでございます。
林道の現実の利用状況は、林産物の搬出等、森林の管理、経営のみならず、地域住民の一般交通の用にも供されておるというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/53
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054・柴田健治
○柴田(健)委員 この林道というものは、たとえば山村でやるもの、林業構造でやるもの、いろいろある。名前はいろいろあるのですか、林道ということについてはいろいろ幅員もほぼ同じようなものだ。だから、森林組合で任務を持たしていく林道の設置というのは、それなら町村はどうなんだ。町村がやる。山振法では森林組合はやってないでしょう。あれは町村がやっているのですよ。それらの兼ね合いはどうなんだ。これから山振でやるものも、森林組合と協議をし、森林組合に委託をしてやらせるのか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/54
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055・須藤徹男
○須藤説明員 林道の開設、改良等は、御承知のとおり、現在都道府県、市町村、森林組合等が施行主体となって実施しておりますか、その実施状況でございますが、五十二年を例にとりますと、施行主体別実施状況でございますが、都道府県が五四・七%、市町村が四二・六%、森林組合が二・七%ということで、森林組合の実施は非常に少ないわけでございますが、まずその施行主体は、その団体の有する費用負担力とかあるいは組織陣容、事業の実施の緊要性等を勘案して弾力的に決定されておる。その決定された結果が、いま申し上げたような実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/55
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056・柴田健治
○柴田(健)委員 ただ「組合は、正当な理由がないのに、組合員以外の者が林道を利用することを拒んではならない。」森林所有者組合員がみずから金を出してあるいは金を借りて林道をつける。ほかの者が勝手にそれを使う。組合員が自分の財産としている山を荒らしに来る者がある。何しに来るかといったら、山の石を庭石に使う。また、いま緑をふやせというので造園業がはやって、自 分のところの庭木をふやすために山へ入って木を盗むというのがあり得る。それか自動車に乗ってきて掘って持って帰るというように、林道を山を荒らすというような形で利用される可能性がある。森林組合としては自分がつくった道を自分で管理する責任を持っておるのに、石を運んだり立木を運んだりして山を荒らす。そういう場合にそれを拒んではならないということになれば、自由自在に通らせなければならない。そのかわり通すには利用料を取りますよと言っても、拒んではならないんだから利用料を払わぬでもいいわけです。通る権利がある。道路法に準じて、道がある限りは交通を妨げてはならぬという位置づけなら、利用料も取れぬじゃないか。われわれは利用料を取るべきだという判断に立っている。山を荒らしに入る者は当然道路の利用料を払うべきだ。ところが拒んではならないということになれば利用料を払わぬでもいいということになる。片一方では利用料を取れる道も残されている。この点の解釈はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/56
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057・須藤徹男
○須藤説明員 ただいま先生がおっしゃるとおり、林道は原則として員外者の利用を制限することが禁止されております。したがって、林道の利用区域内に森林を有するいわゆる非組合員ばかりではなく、いまお話しの例にございました森林を持ってない者等にも広く開放されておるのが実態でございます。
いま利用料が徴収できないというようなお話がございましたけれども、これはその都度利用者から利用料として利用の程度に応じて徴収することができるということになっております。したがいまして、森林組合は組合員ばかりでなく員外者からも利用料を徴収することができることになっております。これは現行森林法の第七十九条五項本文あるいは今回の森林組合法案の九条の第五項本文ということに解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/57
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058・柴田健治
○柴田(健)委員 片一方は森林法でいこうとし片一方は森林組合法でいこうというのだが、この項はおかしい。利用料を取れる道を残しておきながら、林道の利用を拒んではならないということになれば、へ理屈を言う者がたくさんおるのであります。利用料を出しなさいと言っても、何を言うているんだ、利用料を出す必要ない、道路は天下の大道だから通る権利がある、法律で「拒んではならない。」と書いてあるじゃないか、こうなった場合にどう説明をしたらいいのかということだ。森林組合の当事者としては困る。利用料が取れる道がある。ところが片一方は「拒んではならない。」と書いてある。そのときに森林組合の山を管理する担当の役職員がその人にどういう説明をするのか、その点を明確に答弁をしてもらわないと、われわれが末端で説明できない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/58
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059・石川弘
○石川政府委員 四十九年の改正からこれと同じ形になっておりまして、「組合は、正当な理由がないのに、組合員以外の者が林道を利用することを拒んではならない。」という四項がございますけれども、五項に、「前項の場合において利用料の納付その他の条件を付することを妨げない。」といっているわけでございますから、正当な理由がなければ拒んではいけませんけれども、その場合に利用料はちゃんと納付した上で使ってくださいということは、法令上当然認められておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/59
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060・柴田健治
○柴田(健)委員 前条の方か優位性があるのですね。「拒んではならない。」という字句を消したらいいと思うのです。なぜこんなものをわざわざ入れるのか。これは消したらいいのですよ。
それから、林道開発で林道をつけることによっていろいろな災害がふえているのですよ、事例から言うと。林道をつけていろいろな者を山に入れたら、たばこの吸いがらを捨てたりいろいろなことで被害が多いのですよ。それだけ林道をつくる者に管理責任があるし、入る者にも責任があるわけですね。その点を考えたら、この「拒んではならない。」という字句は消すべきだ。もう少し厳しさがなければならぬ。山の管理者にはもう少し権限を持たせるべきだ。森林組合に権限を持たせるべきだ。そうしないと、第五項があるんだから大丈夫と言うのはおかしい。この点もう少し明確に言うてもらっておかぬと、道をつけることによって山に被害が多い。被害を防止する立場から言うても、こんな字句は要らぬじゃないか。もっと管理者に権限を持たせるべきです。平等主義から言うと一般の住民も通すべきだけれども、これは特定のものを守るわけですからね。道路法でいう道路、県でいえば隣の県と結んでいる道は何人も通るのを拒んではならないけれども、林道というのは目的がはっきりしておる。そういう面から見ると、森林組合にもっと権限を持たせなければいかぬじゃないか、こういう気がするのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/60
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061・藍原義邦
○藍原政府委員 現在、日本の林道はまだ基盤整備が非常におくれておりまして、今後さらに林道を積極的に開設することに努力しなければいけないと私どもも思っております。こういうことによりまして、日本の森林行政はさらに基盤が固まり推進されると考えておりますが、林道につきましては、いま先生御指摘のとおり、これはもっぱら林業に使うものでもございますけれども、また、先生御存じのような山村の実態、さらには最近森林の公益的機能といういろいろな問題から、森林に入り込みます一般の方々もふえてまいっております。そういう観点から、私どもといたしましても、もっぱら林業に使うものではございますけれども、その辺の公共的な性格の利用の仕方、あるいは一般の方々の通行のための利用というものも拒めないというふうに考えております。四項には「拒んではならない。」と書いてございますけれども、先生御指摘のように逆にそのためにいろいろな問題が起きておることも事実でございます。そういう点で、今度条件を付することができることにいたしておりますし、その辺は一例を挙げますと、森林組合で林道のための相互組合的なものをつくりまして林道の維持管理を含めいまのような問題にも十分対応しておるところもございます。現場ではそういう事例があることも私ども認識いたしておりますし、林道につきましては、それが林業に十分利用されると同時に、いろいろな面でいま申し上げましたような活用がされる場合もございます。そのために、いろいろな災害が起きないような対応というものは、当然現地でいろいろやっていただかなければいけないとは思っておりますが、それだからといって、「拒んではならない。」という条項を完全に落とすことはまた非常に問題があろうと考えておりますので、いま先生がおっしゃいましたように、事故ができるだけ起きないよう、いろいろの面での森林の保護なりPRなり、そういうものに積極的に努力をいたしまして、林道が有効に利用できるような方法をとってまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/61
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062・柴田健治
○柴田(健)委員 たとえば森林公園をつくるとかいうような、国民の健康に関してレクリエーションの場というような場合にはいろいろ考え方が違ってくると思いますけれども、本当に森林資源を守るという立場でつくられていく林道については、よほどこれは厳重にしないとだめだ、正確に言って、こういうわれわれの気持ちなんですよ。
それから、同じ林道でも、それぞれ森林組合は定款ができるのですから、農林省は模範定款でもつくって示して、こういう方法でやりなさい、そういうものを示すのか。示さずに、個々の地域における森林組合の定款は自主的につくらしていくのか。これはどちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/62
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063・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、地域によりましてはいろいろな林道の相互組合的なものをつくっておるところもございます。その地域によりましてその林道の利用の仕方がいろいろあると思います。したがいまして、これは一律に定款で決めるということよりも、それぞれの森林組合の実情に即して自主的にやっていただく方がいいんではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/63
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064・柴田健治
○柴田(健)委員 この点については、十分指導は誤りのないようにやってもらいたいという気がいたします。
それから事業の種類はたくさんできるようになっていますが、特にわれわれが関心を持っているのは、組合員の林業労働に関しての安全施設、福利施設、こういうものには最重点的に考えなければならぬということです。日本の場合は、山がおくれてきた、林業行政がおくれてきた最大の理由は、山から人がだんだん離れてしまった。今度山へ人をどう向けるかということを考えなければいかぬ。山から離れていたために日本の林業がおくれてきた。国土の七二%もある、そして、気象条件も温暖で、もう少し手入れをすればこうまで外材を入れなくても、日本のこの林地、森林から資源がもっと効率的に供給できる体制ができたではないかという気かするわけです。問題は、山に人が行かないわけです。その欠陥を今度は直していかなければいけない。直すためには、林業労働者に対してどういう抜本的な処置を講ずるのか。ただ単に森林組合だけに任務を持たせるのではなくして、国、県がどれだけやるのかということが重要な課題だと思うのです。たとえば労働三法をどう適用していくのか、退職制度をどうつくっていくのかという展望のある労働政策を立てなければならぬと思うのですね。そういう展望があるのかないのか、林野庁、ひとつ考え方を明らかにしてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/64
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065・藍原義邦
○藍原政府委員 山をよくするためには、先生御指摘のように、山に人が住み、そして林業なり森林の維持管理というものに意欲をもっていただく必要があろうと思います。そういう意味で、人の養成と申しますか、担い手の確保といいますか、そういう問題については、私ども今後とも積極的に対応しなければいけないというふうに考えております。そういう意味から、従前から構造改善事業をやりましたり、あるいは山村の所得の向上のために、入会林野等への高度利用の促進というようなこともやっております。また山村の集落基盤の整備という形で、新しくそういう事業にも取り組んでおりますし、それからさらには、林業従事者の養成、確保に直接関連いたします施設について、林業の実態に見合った退職金制度の適用促進事業というものに新しく取り組もうという姿勢も持っております。そういうもろもろのことをわれわれ考えておりますし、確かに林業労働者は、現在いろいろな社会保障制度の中に加入率は低いというふうにわれわれも認識いたしておりまして、そういうものにつきましては、森林組合の中にパトロール等々設けて、積極的にそういう条件の改善に努力するよう指導いたしておりますし、今後私どもといたしましても、森林組合がこの中心になりまして、山村の労働力が確保できるような施策について十分対応し、またそういう努力をしていただくような指導をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/65
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066・柴田健治
○柴田(健)委員 この法律ができる機会に林業労働者の処遇改善、要するに労働力の確保という面から見て、専門的に林業労働者の問題だけに焦点をしぼって、森林計画その他で森林審議会というものがあるのですけれども、それ以外に、専門的にそういう林業労働者の確保について、処遇改善を含めて委員会を設置する考えはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/66
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067・藍原義邦
○藍原政府委員 林業行政につきましては、先生十分御存じのように、林政審議会かございますし、また森林法では中央森林審議会なり、それぞれの地域に森林審議会がございますが、私どもといたしましては、そういうものの中で十分いま先生のおっしゃいましたような問題については対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/67
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068・柴田健治
○柴田(健)委員 国も県も審議会制度があるのだけれども、形式的に終わっている可能性が強いのです。だから、林業労働者の問題だけに焦点をしぼって、あらゆる専門家を入れて専門的に検討して、早急に結論を出すということをやった方がいいじゃないかという考えがあるから、皆さんにお尋ねを申し上げているわけであります。これからの林業労働者の社会的位置づけというものもあわせて考えないと、ただわれわれかいろいろな林業問題の質疑の中で論議を聞いておると林業労働者というのはすぐできるように安易な考えを持っておる。たとえば、松くい虫の防除問題でも、空中散布よりか伐採駆除をやりなさいと簡単に言われていますが、そう山の作業というものは簡単にできるものではない。人間という動物はバランスがとれて持久力があるのであって、山の作業というものはバランスを常に崩しての作業であります。体重が右足にかかるか左足にかかるか、どちらにしてもバランスを崩しての作業です。それだけ林業労働者というものは普通の労働者——町に失業者があふれておるから、それを引っ張ってきて伐採駆除をやらしたらいいじゃないかという論理をよう言われる人がある。だから、ただ単なる山の作業、林業労働者というものはそう簡単に作業ができるものじゃない。そういうように簡単に物を考える。水のたまっておるところには魚がいるから、ちょっとは沿岸か水質汚濁になってもいいじゃないか。土地があるところは何でもつくれるから、たんぼをつぶして、山をちょっと開墾すれば何でもつくれるというように物事を安易に考えている。そういう安易に考えているから、土地がだんだん荒れたり山か荒れたりいろいろするわけです。林業労働者というものがいかに苦しい作業かということをもっとみんなが知らなければいけないのではないか。それがわからないから、林業労働者というものがだんだん減っていく、そういう立場から申し上げれば、もう少し真剣味があってほしい。長官、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/68
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069・藍原義邦
○藍原政府委員 山の仕事が非常に厳しいし、いま先生がおっしゃいましたバランスを崩して仕事をするという山の状態であること、私も若いころ山に入りましてその辺は十分認識しておるつもりでございます。そういう意味から、私どもも決して安易に考えておるわけではございませんで、できますものを徐々に積み上げていって、林業労働者の定着化、あるいはその社会的地位の向上、福利厚生の向上というような問題をとらまえて、着実に私どもとしても努力してまいりたいというふうに考えておりますし、いまいろいろな意味で林業が非常に厳しい時期に立っております。こういう林業の厳しさをわれわれも踏まえまして、日本のこれからの林業をさらに発展させるためにも、やはり人が中心になるということは十分認識いたしておりますし、先ほど申し上げましたような施策を、さらに今後充実いたしまして努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/69
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070・柴田健治
○柴田(健)委員 特に、この条文でこれだけ明確に——前の森林法にも書いてあったのですが、それは守られていない。今度は新しい立法措置として、森林組合法として出発するのですから、それだけいままでより変わったもの、文案は同じであっても、より変わった方向でこれから前進させていかなければならぬ。そうしないと新しい立法措置をした価値がないと私は思う。いままで森林法の中に入れておったのを今度は分離したんだから、それでいいじゃないかという安易な考えでは森林組合も育たない、組織強化も、組合員の社会的経済的地位の向上もあり得ない。それから全体の発想の転換をこの際すべきじゃないかと思う。そういう立場で申し上げておるわけで、やはり林業労働者、それから人材養成、そういうものを怠らないようにやってもらいたい、こう思うわけです。
時間が刻々参りますから、やれば一日かかるのですけれども遠慮申し上げて、二十八条の出資額なんですが、生産森林組合を含めて一組合員の出資額は大体どの程度か。
〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
いまは、全国的に調べてみると出資額が非常に低い。出資額が多い少ないは別と言いますけれども、やはり出資額がある程度ないと、組合員の自覚というものか欠ける。出資額の適正な額は幾らか、一口幾らなら適正なのか、そういう基準の考え方があれば示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/70
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071・石川弘
○石川政府委員 現在、組合を平均しますと大体五百五十万前後でございますが、合併助成法の際にも申し上げましたけれども、とりあえず一つの目標といたしましては、払い込み済みの出資額で一千万円見当はぜひ積み立てたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/71
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072・柴田健治
○柴田(健)委員 行政指導でそういうものは理解させて出資させていく、こういうことを定款の条文に明記させるのか、そういう指導をするのか。せずにほったらかしにするのか。ただこの委員会で答弁したきりで、あとは何もしないのかするのかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/72
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073・石川弘
○石川政府委員 ただいま申し上げました一千万円は、合併を助成いたします場合の認可の基準でございまして、これは御承知のとおり政令で書くわけでございますけれども、その他一般の組合につきましては、行政指導という形で出資の増強ということをやっていきたいと思っております。もちろん、この森林組合法を施行いたしますときに、施行のための行政指導をいたすわけでございますが、そういう際にも、この出資の増強については十分指導するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/73
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074・柴田健治
○柴田(健)委員 それは行政指導でやると言われるのだから理解いたします。
三十一条の議決権や選挙権の問題なんですが、日本の農村か民主化しない最大の原因は、公職選挙法の適用をしない選挙が多い。農業協同組合しかり、いろいろな農業団体の選挙、役員選挙をするのですか、公職選挙法をなぜ適用しないのか。公職選挙法を適用する制度にした方が——農村は、一杯飲まして食わして、おい今度はおれを森林組合の理事にしてくれなんてやると、いいものにはならない。物や金を持っておる者が役員に選ばれるという弊害が起きる。いまの農業協同組合がいい例です。いまいろいろな事件を起こし、いろいろな問題を起こしておるのは農協が多い。なぜかと言うと、役員が公職選挙法によって選ばれてない弊害がある。たとえば町村会議員の選挙は公職選挙法適用だ。農協や森林組合に公職選挙法を適用しないから、そこで飲ませて食わせて、この次は頼むでとやる。町会議員は公職選挙法適用だから、飲ませたり食わせたりできないけれども、農協なり森林組合の役員の選挙なら、飲ませて食わせても物を配ってもいいのだ、こういうことで、農村の民主化がだんだんおくれてくる。そういう立場から物を申し上げると、今度の森林組合役員の選挙、この選挙権の行使については公職選挙法を適用すべきじゃないか、こういう気がするのですが、どうですか。これは次官に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/74
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075・石川弘
○石川政府委員 御承知のように、公職選挙法はまさしく公職を選挙するための法律でございまして、衆議院とか参議院とか市町村、その議員、長でございます。森林組合は森林所有者の協同組織ということでございまして、協同の組織の中でだれを選ぶかというのは、いわゆる公的機関としての公職を選ぶのとは若干趣を異にするのだろうと思います。私は決して、飲み食いとかそういうことをして選挙をしていいと申し上げているのではなくて、そういう自主的な協同組織が自分の代表者たる理事長を選ぶ場合にどういう形が適当かという議論は別途ございますけれども、公職選挙法をストレートに引いてくることは不適当ではなかろうか。御承知の農業委員会あるいは海区漁業調整委員会に公職選挙法を引っ張っておりますけれども、これはあくまで委員会指示とかそういうことができます行政機関、公的機関という位置づけでございますので、私どもとすれば、他の組合法制等と同様に公職選挙法を引かないで選挙をする。その選挙の仕方についてより公正なものをするということに関しては、決して御意見に逆らうわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/75
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076・柴田健治
○柴田(健)委員 われわれは、いかなる選挙も原則として公職選挙法を適用すべきだ、こういう考え方に立ってお尋ね申し上げた。だから、いまのような選出の方法をやると、本当に山に対して責任を持つような、よし、おれが役員になってやってやろうというような熱意の者がだんだん後退して、名誉欲の強い、権力欲の強い者が出て、ただおれは森林組合の組合長であり、専務であるというだけで終わってしまう可能性がある。だから、公職選挙法を適用すべきだという考え方でお尋ね申し上げたのですから、そういう弊害のないように、優秀な役員が選出できるような指導を強めてもらわないと困る。
次は三十三条なんですが、「組合は、定款で定めるところにより、組合員に対し過怠金を課することができる。」この過怠金というのは、ちょうど米の生産調整でペナルティーという言葉で大分論議をしたのですが、不公平是正ですね。過怠金というものは不公平是正の発想から生まれた。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
たとえば山の共同作業。出る者は出るし全然出ない者は出ないから、よそへ行ってもうけて山の作業をしないから、おまえのところは過怠金を出しなさいよということで、過怠金制度というものは長い歴史から生まれておる。過怠金を取る、法的にそういう処置をするぐらいなら、組合員に対してもう少し法的に優遇措置を考えていく。なぜ過怠金制度が生まれたかというと、山の作業というものは賃金が安いのですよ。安いから、よそで働いても過怠金を出した方が得だというのです。これは、山の労務賃金というか作業賃金が安いから、過怠金という言葉が生まれたのです。依然としてこの過怠金という言葉を使っているが、これは安い賃金で働かせようという発想から生まれた言葉なんです。なぜこんな言葉をつけるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/76
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077・石川弘
○石川政府委員 三十二条に関します過怠金でございますけれども、現在、模範定款例では、「出資又は賦課金の払込を怠ったときは」過怠金を課すということを定めておりまして、現実にも、こういう出資あるいは賦課金を払い込むべき日に払い込まない場合、正規に払い込みました者との差額が不公平になりますものでございますから、その間を過怠金を徴収するという形が一般でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/77
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078・柴田健治
○柴田(健)委員 それなら、出資についてはそういう過怠金という言葉は使わぬ方がいいですよ。それなら延滞金でいいですよ。過怠金という言葉はおかしいじゃないですか。出資の期限がおくれる場合は延滞金でいいのですよ。そういうごまかそうという答弁をしてはだめですよ、あなた。過怠金という言葉は、組合活動をすれば賃金が安いから、過怠金を出してもよそへ行って働く方が得だという、賃金が安いから生まれた歴史的な言葉なんですよ。あなたはもっと歴史的なことをよく知って説明しなければだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/78
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079・石川弘
○石川政府委員 経費の賦課等を人頭でやりましたような非常に古い時代に、御承知のように、金を払うかあるいは人手で手伝ってくれるかというようなときにそういう言葉が使われていることも事実でございますけれども、現在私どもが過怠金と申しておりますものは、そういう人的な形で物を賦課してそれを何するという場合ではございませんで、まさしくそういう金銭的な出資とか賦課金に対してやっているわけでございます。このことにつきましては、農協法も水協法も全く同様の「過怠金」という言葉を使っておりますので、私どももその例にならっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/79
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080・柴田健治
○柴田(健)委員 他意はないので見習うたと、こう言われれば罪、汚れもないわけですけれども、もう少し石川さん勉強してもらいたい。われわれは過怠金なんていうこういう古い言葉は正直に言って使いたくないのですよ。やはり近代国家として成長していくんなら適当な言葉を使うべきであって、過怠金なんていうのは、農村で古い社会の中からずっと伝わってきておるのですよ。過怠金というのは、先ほども申し上げたようなそういう歴史の中から生まれているんだから、やはり山の作業というものは賃金を安く抑えるんだなあということになる。そういう発想では困るから申し上げておるのですから、これは行政指導の中で十分考えてもらいたい、こう思います。
それから四十七条、「役員の兼職禁止」なんですが、役員と使用人、この点は先般の審議の中でも瀬野議員から言われておりましたが、常勤と非常勤という形、それから、たとえば請負作業と森林組合の直営の場合、これはいろいろ作業というか仕方があると思うのですが、この常勤の場合の組合長だとか専務、これは常勤であるところもあるし、そうでないところもあるわけですけれども、常勤と非常勤の役員、そして直営の場合と請負の場合、そういう場合に役員と使用人という、この「使用人」という言葉が私にはひっかかるのですが、これはどうしてもとれないものかどうか。公職選挙法も適用しないような森林組合が何で役員と使用人という言葉を使って分離しなきゃならぬか、どうも一貫性がないような気が私はするのですが、どうですか、この点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/80
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081・石川弘
○石川政府委員 まず兼職を禁じました理由でございますけれども、これはよく御承知のように、使用者と被使用者、使います者と使われます者の立場を原則的には明確にしておくということが組合の事務処理のために必要と考えておりまして、他の農協なり水産業協同組合と同様に兼職を禁止するという形にしたわけでございます。
それで御指摘の、特に森林組合の労務班の場合に、いわゆる理事の立場にいる方が労務班員であるという場合が、非常に少数例ではございますが、あったわけでございます。これは先生の御指摘の、たとえば直営と請負というその請負の場合でございますと、組合の理事者が請負作業へ入るということはあり得ませんから、問題は、組合が直接やります直営の場合に、組合の理事者が実は作業班員であるという場合にはこの兼職禁止規定にひっかかるのではないかという問題があるわけでございます。そこで、現に先頭となって働いていらっしゃるそういう方に十分活躍していただくという事態は決して望ましくないことではないわけでございますから、この間の調整をいたしますために、前回にも申し上げましたように、その場合、理事者としての権限を行使しない旨を規定上明確にするとか、賃金はいわゆる使用人給ではなくて理事者給で支払うという形で何とかその間の関係を整理をしていきたいと考えているわけでございます。
それから、常勤か非常勤かというお問いでございますが、これは、常勤も非常勤も理事でございます場合はいずれにしても入ると考えております。といいますのは、要するに理事会の意を決します場合には、非常勤の人も含めまして理事会の意見を決するわけでございますから、その場合に、非常勤であるからといって理事者権能を有していないわけではございませんので、非常勤の方も一応理事者として考えていくというのが私どもの考え方でございます。しかしこの場合も、もちろん労務班の班員たる場合には、先ほど言いましたような手法で、兼職禁止の規定に実質当たらないような形の運用を指導してまいる考え方でございます。
それから「使用人」という言葉についての御指摘でございますが、法令用語でございますので、私ども他の立法例等をいろいろと見たわけでございますけれども、御承知のように基本的立法でございます商法の中とか、あるいは農業、水産業関係の協同組合法規、それから最近の比較的新しい立法令等も見ておりますけれども、やはり「使用人」という法律用語を使っておりますので、この点につきましては十分考えてみたわけでございますけれども、一般の法律用語の例にならったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/81
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082・柴田健治
○柴田(健)委員 林野庁は頭の切りかえがされてないということを事実証明されたように思うし、古い法律をそのまま踏襲していくようなやり方なんで、われわれは余り感心しないのですが、時間が参りましたから、今度は造林関係で少しお尋しておきたいと思うのです。
いま造林の国の補助、これは非補助もあるし、補助のもあるのですが、杉、ヒノキ、松、いろいろ種類があるわけですが、たとえば補助率はいま一ヘクタールどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/82
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083・須藤徹男
○須藤説明員 お答えいたします。
ただいま標準補助率は、国が十分の三、県が十分の一、合計十分の四でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/83
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084・柴田健治
○柴田(健)委員 国の補助率は低いし、実際は造林をやろうと思えば相当金がかかるわけですが、いま山に投資をしようとする林家の投資意欲というものがだんだん減退しておる。われわれが個々に、君のところの山はもう少し投資したらどうかと聞いても、もう損だからやらぬ、こう言うのです。損か得かが、人間は欲望のかたまりだから損得論が先に出るのはやむを得ないとしても、山に対してもう少し国が目を開かないとだめではないかという気がするわけですが、皆さんは山に非常に長い間経験をせられて、作業のしやすいところとしにくいところ、それは相当の単価が、コストが違うわけですが、いま日本の場合は残されておるところは、どちらかといえば急傾斜地帯というか、勾配のきつい作業のしにくいところが多く残っているのです。そうすると、どうしても造林経費というものが相当高くかかることは決まっておるわけです。そういうところに造林しなさい、いまの基準で、補助でやりましょうと言ったって、なかなかそれは飛びつかない。補助率を大幅に上げるか、国が思い切って地上権を設定して分収造林やるか、どちらかの道を選ばなければならぬ。国か思い切って分収造林に踏み切るか補助率をうんと上げてやらせるか、どちらを選ぶのが一番いいのか、長官、ひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/84
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085・藍原義邦
○藍原政府委員 造林の補助率の基準につきましては、いま指導部長から御説明申し上げましたけれども、造林事業につきましては、それぞれの立地条件あるいはあり方等々でいろいろ違いがございますので、補助率とは別に査定係数というものを設けておりまして、この査定係数によりまして、高いものについては七〇%近い補助率になるような査定係数がかかるようなものもございます。したがいまして、私どもといたしましては、これからの造林の推進に当たりまして、いま先生がおっしゃいましたように、非常に造林しにくいところあるいは基盤整備がおくれているところ、こういうところが残っているわけでございまして、それらの点については、私どもとしても十分対応していく必要があろうと思っておりますが、今後の造林の進め方については、それぞれの地域の実態がございますので、やはり造林の現在ございます補助、さらにはこれを保育にまでも進めたわけでございますが、こういうものをさらに積極的に進めると同時に、あわせまして分収造林、県でやっております公団造林、あるいは水源林の公社造林等々と併用して、今後とも推進していく必要があるんじゃなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/85
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086・柴田健治
○柴田(健)委員 われわれは、いま、やりやすいところは大体造林が終わっている、それから作業のしにくいところばかりが大体残っている、そこには思い切って国が分収造林に踏み切っていくか、それとも補助率をうんと上げて、そして、補助造林であろうと非補助造林であろうと、融資制度の金利の問題、償還期限の問題、これをどう変えるかということを考えないと、いまの現行制度では、あなたが何ぼ笛やかね、太鼓をたたいて造林しなさいと言っても、正直なところ伸びないと私は思うのです。それから非補助であろうと補助造林であろうと、金利を三分五厘に全部一律にする、それで償還年限は全部原則として四十年以上にする、こういうことを早くしないと、造林は伸びないと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/86
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087・藍原義邦
○藍原政府委員 いま造林が進まない原因は、いま先生がおっしゃいましたような問題とあわせて、やはり現在では伐採いたしましてその跡に造林しないという地域はほとんどないと私ども思っております。ただ、現在地上に生えております前生木が非常に売りにくい、こういう点から、なかなか造林が進まないというのも一つの造林が進まない原因であろうというふうにわれわれ考えておりまして、そういう面から、造林を推進するためには、先生がおっしゃいましたように、これからの造林意欲を盛り立てる方途も考える必要があろうと思いますけれども、あわせまして前生樹が伐採されないという大きな原因がございます。そういう意味から、先ほど申し上げましたような基盤整備の充実等々を図りながら、そういう地域の生産性のコストを下げるというような問題から、その前生木の売り払いができるような方途も考えていく必要があろうと思いますが、造林そのものの問題について考えますと、現在行われております補助あるいは融資制度というものは、ほかの制度に比べれば比較的高額の補助でもございますし、また融資につきましては一番利率の低い融資制度になっておりますし、償還期限も長いという形で非常に長期な体制をとっておるわけでございまして、この問題について将来検討すべき問題が起こるかもしれませんが、現時点では、私ども、いまございます制度をさらに積極的に強力に推進することによりまして、造林の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/87
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088・柴田健治
○柴田(健)委員 こういう法律をつくった機会に何かが変わらなければならないと思うのですけれども、何にも変わらないのですね。たとえば金利を下げる、たとえば融資の償還年限を大幅に伸ばす、何かが変わってこそ、初めて立法措置の価値がある。ただ森林法から引き抜いてこうこうです。これでは、日本の森林行政は発展しないと私は思う。
それから、いま伐採をして木材が売れない。間伐材も売れない。売れない理由は何か。売れない理由は、価値観の相違、そしてまた輸入材、これを無制限に無秩序に輸入する、そういう調整もやらない、そういうところに国産材の市場の面がだんだん淘汰されてくるということで、山持ちには、もう切っても売れないから、山に投資しよらぬ。昔は不景気になれば山に投資しておったです。不景気になれば、救農土木事業と合わして救農の山林事業として植林がふえてきた。昔はそうであった。われわれの若い時分にはそれでやってきた。山へ行って働いてきた。それがやはり何年か先には国民経済に大きな寄与をしてきた。それでささやかな作業賃金でももらって、ある程度雇用問題も解決し、生活安定も図ってきた。だから、不景気になれば山に投資する意欲が出てこなければならない。それが出てこない原因は何か。昔と違って出てこない原因は何かと言うと、輸入問題その他で外圧に森林所有者がいま苦しめられておる。それらも、今度の立法措置ではこういう方法で処置します。こういうものがないと、新しい立法措置をしたところで効果がないと私は思うのですが、もう時間が参りました。いずれまた機会を改めて、日本の林業をどう発展させるか。もっと国民が山に目を向ける。山へ荒らしに行くのではなしに、守るために山に目をどう向けさせるか、もっと根本的にこれは論争を深める必要がある。そのためには、基本は人材養成であり、試験研究機関の強化であり、国産材の活用の方法をもっと研究させていく。外材を原料にして試験研究をやるというのでなしに、国産材でどういう研究をして活用の拡大を図っていくか、そういう問題を含めてもっともっと論争もし、そして新しい制度改正もやるというようにしむけていかないと、日本の林業というものは発展しないということを付言して、私の持ち時間を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/88
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089・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 この際、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時五十一分休憩
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午後二時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/89
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090・中尾栄一
○中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/90
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091・芳賀貢
○芳賀委員 最初に、政府提案の法案の中に随所に「農林水産大臣」あるいは「農林水産省令」なる字句があるわけでございますが、これは当委員会において本法案を処理する場合には、必ずこの取り扱いは処置しなければ、これは法案の採決、成立ができないものですから、この点については当然、内閣提出でありますからして、提出者である内閣を代表した国務大臣等から、その処置についてどうしたいというような発言がなければ、この点については質疑をすることはできない性格のものであります。だから、この際、前座と言っては失礼ですが、たとえば長官から、政府としておおよそこういう考えであるとかいうことを述べることができれば発言をしてもらって、その後で農林大臣臨時代理の安倍官房長官が出席することになっておりますので、そのときまた正式な見解を聞くことにしたいと思うので、これに対していまこう考えているという点があれば言ってもらってもいいし、いや後でそれは申し上げるということであればそれでもよろしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/91
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092・藍原義邦
○藍原政府委員 今回御審議願っております森林組合法案の中に、「農林水産大臣」及び「農林水産省令」というものが規定してございますのは、この法案を国会に提出いたします以前に、すでに農林省の設置法の一部改正なる法案が国会に提出されておりまして、その法案とのにらみによりましてこの法案の中にはそういう文書で私ども規定したわけでございます。これにつきましては、過去にもそういう例かあったやにわれわれ聞いておりますけれども、当然この「農林大臣」及び「農林省令」にこれを法律の中で書き改めるのではなくて、「農林大臣」及び「農林省令」と読みかえる旨の規定をこれは附則に置くことが適当ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/92
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093・芳賀貢
○芳賀委員 それでは政府においてそういう手続を早急にやるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/93
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094・藍原義邦
○藍原政府委員 もしそういう事態になれば、これは当然国会でやっていただくことになろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/94
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095・芳賀貢
○芳賀委員 なぜ国会がやらなければならぬのですか。法案を出したのは内閣でしょう。内閣提出の法案の中に、審議を行ってたまたま本日順調にいけばこれは委員会採決をしなければならぬ。政府提案の法案の字句の中に実態に合わない個所があるわけだから、これは何も委員会が発議して修正等行うべき問題ではないんですよね。これは長官でも、後ろに座っている石川部長にしても素人とは言えぬでしょう。まさかそこへ座っておって、素人でございますからというわけにいかぬと思うのですよ。だから、それについてこれはほおかぶりで通すわけにいかぬでしょう。だからそれらの手続が速やかに行われないと、この委員会で上げてやりたいと思ってもそれはできないということになるわけです。強いて追及するわけではないが、当然これは、提出は内閣提出ですから、提出者である——まさか総理でなくてもいいですけれども、提出者である担当大臣等が出席をして、その真意を述べて、経過はわかっておるわけだから、農林省設置法なるものがもう二月早々国会に提出されたことはわれわれも十分念頭にあるわけです。その点を、いまでなくてもいいですよ、大臣が来てからでもいいが、全然考えがなくて、いや委員会のおまえさんたち適当にやってくれなんというわけにいかぬですよ、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/95
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096・石川弘
○石川政府委員 提出いたしました経緯につきましてはただいま申し上げたとおりでございますけれども、きょう通していただくという段階で設置法との関係の調整がついていないわけでございますから、こちらの方からそういう形にお願いしたいということをお願い申し上げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/96
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097・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、森林法の中から森林組合に関係する部分というものを独立させて森林組合法が提出されたわけでございますが、新しい森林組合法の法案で言うと第九条になるわけですが、ここに「事業の種類」が、前段には必須事業として第九条第一項の一号から第五号まで、後段の任意事業としては第九条第二項で第一号から第十六号まで列挙されておるわけでございますが、ここで明らかにしてもらいたいのは、森林組合ないしは生産森林組合が行う事業の範囲をなぜ必須事業と任意事業にことさらに区分しなければならぬかという、その理由なるものを明確にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/97
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098・石川弘
○石川政府委員 森林組合につきましては、先生よく御承知のとおり、従来から森林を所有します者を組合員として構成をいたしておりまして、そういう意味では、その持ちます森林を適正に管理をするということか森林組合の本来的な事業であるという位置づけで昭和二十六年以来立法されたわけでございます。したがいまして、そこにおきましては、いわゆる森林を適正に管理をする事業といいますものを森林組合が本来的に行わねばならないものという意味で、通常、必須事業と呼んで現在まで至っておるわけでございます。
先生いま御指摘のように、他の協同組合法制につきましては、自主的に組合法規の中で経済事業その他を中心といたしましていろいろな事業ができるという規定をいたしておりまして、そういういわゆる本来的な事業あるいは必須事業と呼ばれるものとその他事業との間に特別の区分けをいたしておりません。
今回、私どもこの法案をつくります場合にも、やはり構成員といたしまして森林の所有者を中心に構成をするということ、それからその事業の目的の中に、その森林を適正に管理をしていくという任務と、組合員の社会的地位の向上のための各種の経済的事業等を行う、この二つの柱で森林組合を構成しておりますので、従来からの経緯ということも考えまして、この森林を経営するという事業を一号に立て、これを必ず事業の一部として持つという現在の体制、すなわち森林組合が持っておりますある種の公益的機能と申しますか、そういう任務は今後とも継続すべきものと考えてこのような組み立て方にいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/98
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099・芳賀貢
○芳賀委員 この条文はいま初めてこういう形態になってきたわけじゃないですよね。いままでの森林法の中にこういう区分が行われておるのだが、今度独立させるわけだから、ただ森林法から森林組合関係の個所を抜き出して独立させればいいというわけじゃないのだから、独立の機会に独立法としての法体系というものを整然と整備するということが非常に大事なわけです。相当苦労の跡は私も認めるわけですが、この事業の範囲についてことさら区分する必要はないと思うのですよ。
たとえば新法の第九条第一項第二号の事業ですが、「組合員の委託を受けて行う森林の施業又は経営」、これか必須事業になっておるわけですね。しかし、この事業を行う場合は、前提として組合員の委託を受けなければこの「施業又は経営」は行うことはできないわけです。委託がないということになれば、法律では必須事業とうたっても、何もこれは絶対あるいは必ずやるということにならぬじゃないですか。こういう主体性のない事業をことさら必須事業として掲げておる。
それから第一号の事業にしても、「組合員のためにする森林の経営に関する指導」、こんなものは、森林組合が公益法人であるということになれば、必須事業だろうが任意事業だろうが当然これはやるべき事業じゃないですか。
それから第三号にしても、「組合員の所有する森林の経営を目的とする信託の引受け」。農協法においても農地信託の事業をやれることになっておるが、実態的になかなかその信託の委託がないのですね。そういうことを考えた場合、この引き受けすべき組合員からの信託が行われないということになれば、これも必須事業にしておいても事業はできない。そういう前提条件つきのものだけを必須事業にしているというのが非常に奇異に感ぜられるわけですよ。
そしてまた、後段の任意事業ですね。これこれの「事業の全部又は一部を行うことかできる。」これは農協法とか漁協法等においては事業の範囲ということでこういう表現を使っておるのですが、この任意事業と法案でうたっておる中の、たとえば「組合員の行う林業に必要な資金の貸付け」「組合員の行う林業に必要な物資の供給」「組合員の生産する林産物及び林産物以外の森林の産物の運搬、加工、保管又は販売」、こういうものは、この前段の事業にもう当然不可欠に付随する事業ということになるのですね。これを別々に分けるということは事業運営上も非常に支障が生ずると思うわけなんです。
そういう点はやはり提案の際に、法案整理の際に十分に検討して——何も誇張して農協あるいは漁業協同組合と森林組合は違う、公益事業の担い手としてそこに一段格式が上なんだというような意識があるとすれば、これは非常に問題になると思うわけですので、その点なぜこだわらなければならぬかという点ですね。仕切りを取ればこれは問題がなくなるわけですからね。特別の言い分があれば、ここで述べておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/99
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100・石川弘
○石川政府委員 先ほどのお答えにも若干その歴史的経過があると申し上げましたけれども、第一には、やはり構成員を、いわゆる農協あるいは水産業協同組合のように農業者、まあ農民とか漁民という色彩ではなくて、森林所有者ということで構成しましたことから、森林所有者がつくります組合は、森林の経営に関して何らかの仕事をしなければいけないんだというような理念が、この森林法の中あるいは今度の森林組合法の中でも、他の協同組合法規と若干違った形になっているのではなかろうかと思います。
〔委員長退席、林(義)委員長代理着席〕
すなわち、任意事業のみに規定をいたします場合に、たとえばいまお願いしております法案の九条の一項のいわゆる必須事業という事業を全くやらなくても、協同組合という形では十分法制化できるわけでございますけれども、この立て方で申し上げますと、森林の経営に関する事業を何かやはりやるというところに、森林組合のいわゆる協同組合と若干異なる面を持たせるというような形になっております。
実は、この条文の整理につきましても、御指摘がありましたようにいろいろと私どもも、こういう分け方ということはある意味では森林組合の本質にかかわることでございますから、相当検討もいたしました。たとえば、現在の条文におきましても、いまの森林法の条文で申しますと七十九条の二項の六号、いわゆる任意事業に該当しておりました森林の保護に関する施設の規定を、今回は、やはり森林に対して何らかの適正管理をやっていくということがいわゆる必須事業の中身だということであれば、そういう森林の保護に関する施設はむしろ必須事業的に読むべきではなかろうかということで、これは任意事業から必須事業に移すといったような形で条文の検討はいたしたわけでございます。先生の御指摘のように、全くこれを同列と申しますか、事柄の重要さにおいて一項と二項が軽重があるわけではございませんけれども、要は一項の事業については何か一つはやることによって、森林組合が純粋の経済事業だけではなくて、こういう森林の適正な管理の仕事をしているのだというところに、他の中小企業等の協同組合等と違った、これは別に先生がいまおっしゃられたように、何か高いという意味ではございませんけれども、やはり林地の所有者がつくっている組合という意味での特色を持たせる。そのことは、単に現状における説明だけではございませんで、かつての森林組合の長い歴史の中でもそういう管理運営をしてきたという現実を踏まえましても、そういう扱い方が適切ではなかろうかということで整理をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/100
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101・芳賀貢
○芳賀委員 つまり、前段は事業を「行うものとする。」後段は「行うことができる。」農協法の場合は全部「行うことができる。」で結構行っているわけです。同じ農林省の中で異なった意見はないと思いますが、農林漁業団体等の行う事業の表現等についてはやはり統一の必要があると思うのですよ。
そこで、きょうは今村経済局長の出席を求めておるので、局長から発言してもらいたいのですけれども、この森林組合法の前段の規定は——農協法の規定には「行うことかできる。」の中に全部入っているのですよ。そういう実例を見ても、何も境界を置く必要はないと思う。これは取っ払ってどれだけ実害ができるかという問題もあるわけです。これは経済局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/101
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102・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 御質問の点でございますが、ただいま林政部長からお答えを申し上げましたように、それぞれの法律体系の組立て方のもとにおきましての特殊性といいますか、考え方がございまして、森林組合法の場合におきましては、森林所有者というところに着目した形での構成がなされておるわけでございまして、それだからといって、特にこれが上とかなんとかという規定の仕方をしたものではないというふうに考えられるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/102
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103・芳賀貢
○芳賀委員 どうも今村局長、ふだんより歯切れが悪いじゃないですか。従来は森林法の中に森林組合が入っておったでしょう。だから、森林法には当然民有林も含めた森林計画とかあるいは地域森林計画とか施業計画とか、森林法に基づいて森林所有者に対する国としての方針というものを示してそれに協力をさせる。それが自己所有の森林であっても、国家目的あるいはまた公益の方向に向かって努力をしなければならぬというためには、必須事業というのが何らかの作用をした時代もあったと思うが、今度は独立したわけですから、
一応森林法と森林組合法というものはもう別個の法律であるというふうな認識に立たないと、これから適正な運営ができないと思うのですね。その点を指摘しておきたいと思います。
それからもう一つ、事業を行う場合の大事な点が整理されていないのですね。これは昭和四十九年の改正の際、旧法の第八十五条の二に、組合がみずから行う森林の経営という規定が新しく入ったわけですね。これを行う場合は、全組合員の三分の二の文書による同意を得て、そして森林組合自身が森林の経営を行うことができるという大事な規定が四十九年の改正で実現しておるわけです。こういう規定は今回の場合もわざわざ以前のまま、今度は新法第二十六条に残っておりますが、こういうような事業については、当然第九条の条文整理の場合にこれを取り上げる必要があったのじゃないかと思うのですよ。まあ法律のどこかにあればいいじゃないかというような弁解があるとは思いますけれども、これはこれからの森林組合の事業遂行上非常に大事な点だと思うのですよ。これは長官としてどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/103
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104・藍原義邦
○藍原政府委員 いま先生御指摘になりましたように、新しく提案いたしております組合法におきましても、二十六条に森林経営事業としてうたっておるわけでございまして、基本的に、森林組合そのものが組合員にその事業を通じまして奉仕するというのが森林組合の主たる精神になっておりますが、そういう考え方から見ましても、私どもとしては、この九条に掲げてございます仕事と二十六条に掲げております仕事とは、やはり本来的に性格が違うのではなかろうか。二十六条に掲げておりますのは、どちらかと言えば、森林組合自身が自分で山を経営するという形になりますので、組合員のためというよりも森林組合自身の問題という形になりますし、それから九条に掲げてございますのは、それを通じまして森林組合員に対しての奉仕をするなり、森林組合員に対する利益と申しますか、森林組合自身のものではなくて、組合員に対する奉仕という物の考え方から行われる事業であるというふうにわれわれ考えております。二十六条の方は、先ほど申し上げましたような形で、これは組合そのものの事業であるという考え方に立ちますと、やはりその辺の性格というものは分けて規定しておくべきではなかろうかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/104
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105・芳賀貢
○芳賀委員 長官、それはおかしいじゃないですか。どうして第二十六条が性格か違うわけですか。いま言われた森林組合のためにこれを行うのだというのはどういうわけですか。では、森林組合とは何ぞやということになるでしょう。組合員資格を持った個人の組合員あるいは組合員資格を持った法人が加入して形成されておるのが森林組合あるいは生産森林組合でしょう。これが法人格を持っておるわけでしょう。しかも、この法人である森林組合は非営利法人である。営利を追求してはならぬ。組合事業を通じて、組合あるいは連合会は会員のための奉仕者としての事業をしなければならぬということが書いてあるのじゃないですか。組合自身の利益のためにやれなどということはどこにも書いてないですよ。そうじゃないですか。そういうことを聞いておるのじゃないですよ。これもやはり事業でしょう。必要があって、わざわざ組合員の三分の二以上の書面による同意を得て初めてこれが行えるわけですから、勝手にやるわけにはいかぬということでしょう、理事会の議決だけでは。そして「森林の保続培養及び森林生産力の増進を期するためにはその組合が自ら経営することが相当と認められる森林で、その組合の地区内にあるもの及びこれに併せて経営することを相当とするその組合の地区外にあるものにつき、森林の経営(委託又は信託を受けて行うものを除く。)及びこれに附帯する事業を行うことができる。」しかも二十六条第二項には、「出資組合の行う前項の事業に常時従事する者の三分の一以上は、その組合の組合員又は組合員と同一の世帯に属する者でなければならない。」これが、今後森林組合がいわゆる森林法の担い手として新しい分野を開拓して、将来に向かって進まなければならぬという期待というものがむしろここにあると私は思うのですね。これは本人が委託しなくてもいいのですよ、組合としてこれは必要であると認めた場合、それが地区外であっても地区内であっても包んで森林の経営というのは行うわけですから。それが違うというのはおかしいじゃないですか。組合のためにやるんだ、第九条は組合員のためにやるんだ、こんなものは議論のイロハだと私は思いますけれどもね。特に何か強調するような根拠があれば聞かしてもらいたいと思いますよ。なぜこれが組合のためにやるのかということ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/105
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106・藍原義邦
○藍原政府委員 いまの私の説明がちょっと足りない点もあったかと思いますが、まず、御存じのように、森林組合とすれば、俗に申します必須事業、これが森林組合としては本来的な仕事として実行していかなければならないわけでございますけれども、最近の山のいろいろな状況を見ておりますと、やはり過疎化の問題だとかいろいろな問題がございまして、山の管理というものがある意味では粗放化する傾向にもございます。そういう点を考えて、今後、委託された事業というものを森林組合が当然やっていかなければいけないというふうに考えております。一方、こうした場合に経営意欲がないという方が非常にある場合もあるわけでございまして、そういう場合には、やはり組合がそういう方にかわりまして自分で経営をして適正な山の管理をやっていくということ、これはやはり森林組合の事業の補完という形で森林組合が行う性格のものであるというふうにわれわれ考えておりまして、あくまでも本来的には、先生がおっしゃいましたような九条にある仕事を森林組合としてはやっていく。そしてまたいま申し上げましたようないろいろな森林の管理の状況がございますから、そういう中で、やはり森林組合の仕事の補完として二十六条のような仕事もやっていくというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/106
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107・芳賀貢
○芳賀委員 昭和四十九年の改正の場合は、これは藍原長官、そのとき長官でないでしょう。当時の政府の説明はいまのあなたの説明と全然違うのですよ。前の法律にこれが実現した場合は、整然とした理由を述べて、われわれも議論してこの法律の改正に応じたわけです。今度これが改正になっているのじゃないですよ、前のまま続いてきているんだから。続いてきているものを今度載せておいて、その前の説明とか基本的な理由が違うんだと言うのはおかしいじゃないですか。これは部内の意見をまとめて一番精通している者からはっきりしてもらいたいと思うのです。これは林野庁だってうやむやにはしておけないでしょう。これはうやむやではこれから運営できないでしょう。いや、どなたでもいいですよ、わかっている者から言ってもらえば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/107
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108・山田喜一郎
○山田(喜)説明員 ただいまの先生の御指摘の点でございますが、私どもこの改正案を起案する際におきまして、昭和四十九年におきます先生のいろいろな事業につきましての御指摘の点、十分に反省もいたし、またその上で検討をいたしたわけでございます。先ほど長官なりあるいは林政部長などから御説明申し上げましたように、森林組合の事業につきまして、いわば組合員の事業、森林の事業というものを前提といたしまして、それに奉仕するという形で森林組合の事業というものを考えておるわけでございます。
そういうことから申しますと、この森林経営の自営の事業というものは、いわばその性格がどちらかといいますと生産森林組合的な傾向に近いような事業でございまして、その事業を通じまして組合員の事業に奉仕するという点から申しますと、やや異例のものに属するのではないか。当時の先生の御指摘では、たしか水産庁所管の水協法で漁業協同組合でございますが、似たような規定がありまして、それを木に竹を接いだようなことをするのはおかしいではないかというような御指摘がございましたが、私どもそういう点も十分検討いたしまして、これは森林組合の本来の仕事というよりはむしろ、先ほど長官がちょっと御説明いたしましたが、最近の山の情勢等を考えまして、補完的にこれを認めることが適当であるという形で当時改正がされたように私どもは理解をしております。またそういうことで、今回もその思想と申しますか、考え方と申しますか、変わりはない、またそういう場合に整理するのが適切であろうというような考え方に基づきまして今回御提案したような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/108
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109・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、四十九年からですからもう三年経過しておるので、具体的にこの条文に基づいてこれに該当する事業というものがどの程度行われたのか、その概要について資料を基礎にして説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/109
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110・山田喜一郎
○山田(喜)説明員 四十九年に改正されまして森林経営自営の事業が認められたわけでございますが、トータルでございますが、四十九年度実施した組合か六十三組合、それから面積が約三千三百ヘクタールになっております。それから五十年度でございますが、組合数で約百三十、面積で約八千ヘクタールというような状態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/110
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111・芳賀貢
○芳賀委員 そうすると、こういうような事業の実施形態でやっているのですか。常時従事者の規制もあるでしょうけれども、どういうような仕組みでどういうような種類の事業を行ったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/111
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112・山田喜一郎
○山田(喜)説明員 経営方法別にというような御趣旨のお尋ねかと思いますが、一つは、みずから所有する森林、組合が所有する森林でございますが、それにつきましてみずから経営を行うという事業が一つの形態としてございます。これは組合数で申しまして、昭和四十九年度に二十三組合ございまして、面積が約千百ヘクタールほどになっております。それから五十年度でございますが、組合数が五十四組合ほどございまして、面積が千七百二十六、大体千七百ヘクタールほどになっております。それから、組合が造林者あるいは造林者と費用負担者という立場をとりまして、いわゆる分収造林の形をとっておりますものが、四十九年度の数字でございますが、組合数で五十、それから面積で約千八百ヘクタール。このほかに五十年度に約百組合、それから面積で約五千七百ヘクタールほどございます。大体そんなような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/112
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113・芳賀貢
○芳賀委員 次に、これは任意事業に位置づけされておるのですが、「組合員の行う林業に必要な資金の貸付け」、現在森林組合はいわゆる信用事業なるものを行っていないわけですが、必要な資金の貸し付けを行う場合、必要額の資金の確保ということについて、これはどういう実態になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/113
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114・石川弘
○石川政府委員 現段階では員内に貸してまいります資金の非常に多くの部分はいわゆる政策融資でございます。したがいまして、農林漁業金融公庫資金というものが造林等を中心に大変多うございまして、これを転貸する形を使っております。それから系統原資でございます農林中金原資でこれを員内に流していく場合も多うございます。量では必ずしも多くございませんが、もう少し下の段階から、たとえば典型的に申しますと農協等からの資金を受けまして、これを転貸している事例もございます。それから、これは自己資金が大変少のうございまして、御承知のように、払い込み済みの出資額なり各種の積立金が農協等に比べて大変小そうございますから、いわゆるそういう意味の自己原資というものは少ないわけでございますが、そういうものも若干活用しているのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/114
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115・芳賀貢
○芳賀委員 組合経営をやる場合、資金面においては全く他給資金だけで運営しているということは非常に無理があるわけですね。しかし、自給資金を確保するということになれば、肝心の信用事業、組合員からの貯金の預け入れか法律上も行われないわけだから、実態的にもまだ時期尚早というような意見が多いわけですから、そうなれば自給資金の造成と言っても限界があるわけです。これを怠るわけにはいかぬでしょう。そういう場合にはどういう方法でいわゆる自給資金、自己資金の造成に努めるかという問題です。それからあとは制度資金を導入して、ほとんどが転貸というような形になるわけですから、これだけに依存した組合運営ということになれば、場合によってはトンネル機関みたいなことにもなってしまうわけですから、この点は、任意事業ということで書いてはあるけれども、非常に大事な点ですから、今後の改善の方向とかあるいは指導をどうやるかとか、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/115
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116・石川弘
○石川政府委員 自己資金の造成につきましては、まず出資をふやすことが第一の手段であろうかと思います。これは、御承知のように、現段階で森林組合平均しますと五百五十万程度でございますけれども、これも、合併の基準等で申し上げましたように、自己資金を造成いたしまして、合併組合の場合一千万の払い込み済み出資金を認可条件といたしますように出資を造成するのが一つだと思います。それから組合自身が事業活動をいたしましてその事業活動の中で、これは事業活動でどんどん益を上げてというわけにはまいりませんけれども、少しでも留保ができるようにするということが必要かと思っております。一つは、御承知の林業構造改善事業とか、あるいは特用林産という各種の事業を森林組合に行わしておりますが、こういう事業活動の中で得ましたものを積み立てるというような形での自己資金造成が可能かと考えております。さらに、森林組合の場合各種の森林の受託施業その他のことを事業内容といたしますが、この種の受託事業というようなものを拡充強化しまして、このようなものの中からも、これは若干ではございますが、その種の自己資金の確保の道が開けるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/116
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117・芳賀貢
○芳賀委員 大事な点は、事業を経営するためには運転資金というのが要るわけです。造林資金とか、あるいは構造改善の近代化資金とか、あるいは先年通りました林業の近代化資金とか、そういうものは制度資金として大体必要額は導入されると思うが、実際に物資の供給であるとか、あるいは林産物等の販売事業をやる場合であっても、あるいは環境緑化木の規定による事業を行うというような場合も、相当量の運営資金、運転資金が必要なわけですね。これを一体どこに求めるか、確保するかという点が大事なわけなんです。こういう道をちゃんと講じてやれば、まだ弱小の森林組合といえども相当活発な活動ができるじゃないかと思うのです。
そこで、これは一つの提案にもなりますが、全国的に見て、現在森林組合の組合員のほとんど九〇%は地域の農業協同組合の正組合員としての加入者であり、また資格者だということはもう判明しておるわけです。森林組合の組合員の場合も、所有面積から言うと、全国で二百六十万林家のうち九〇%が所有面積五ヘクタール以下でしょう。また一ヘクタール以下の所有林家が全体の五〇%を占めているわけです。そうなると、森林組合の組合員は林業だけで自立した生活とか、あるいは林業の経営はほとんどできないのです。そういう条件に置かれていないから。また農協の場合も、全国的に見ると、専業農家、農業だけで自立できる農家の割合は全国平均では一一%程度ですね。第一種とか第二種とか兼業の種類はいろいろありますけれども、農協の組合員の大部分も農業だけでは自立できない、ほとんど兼業に依存しておる。林家の組合員の場合もそうです。農協と森林組合と人格は違いますよ。しかしその構成員はほとんど共通の組合員ですから、そういう場合、最近は農協の場合も自己資金が相当増加しておるのですよ。農協によっては、資金の効率運用のために相当無理をして問題を起こしているようなところもあるわけだ。こういう場合同一地域の農山村において、農協あるいは森林組合の相互協力というものを今後行う道を開拓すべきだと思うのです。これについてはどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/117
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118・石川弘
○石川政府委員 ただいま先生御指摘のように、農協の組合員と森林組合の組合員というのは実は重複関係が大変多いわけでございます。法律のたてまえからいたしましても、農協法の中で、十二条の一項五号でございますけれども、「地区内に住所を有する農民が主たる構成員となっている団体で協同組織のもとに当該構成員の共同の利益を増進することを目的とするもの」云々とございまして、森林組合は当然この種のものに該当するものが多いわけでございます。
そういうことから、私ども、そういう農協に加入するというような姿等を通じまして、農協の原資を森林組合の短期の原資として使うのは妥当かと思っておりますし、現に、五十年の統計を見ましても、いわゆる施設組合の事業運転資金、約二百億ばかりございますが、その中で、いわゆる中金あるいは中金を通じまして連合会等から転貸しますものが半分ちょっと超えるぐらいでございますけれども、農協から資金を受け入れておりますものが約四分の一ぐらい現にございます。その他の金融機関から金を入れているというようなこともございますけれども、そういう同種同根と申しますか、同じような基礎の中で同じような組合の中から原資がつくられるという場合も十分あり得るわけでございますので、そういう形での組合への資金の供給というようなことにつきまして、今後ともそれを進めるというような考え方でやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/118
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119・芳賀貢
○芳賀委員 現在の農協法においても、たとえば同一地域の地方公共団体あるいは土地改良区にしても、森林組合もそうですか、公益法人に対しては、その法人が農協から見て員外であっても、これは貸し出しの道は法律上開かれておるのですよ。しかし、森林組合の場合は、特に生産森林組合の場合は、生産森林組合として法人格で農協の正組合員に加入することのできる資格条件を備えた組合員もこれは相当あると思うのですが、そういう点は具体的に検討してあるのですか。大体こういうことになっておるとか、実績としてこうなっておるとか、それがあれば示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/119
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120・石川弘
○石川政府委員 全部を調べておりませんが、いま御指摘のような生産組合が、農業協同組合の准組合員でございますが、加入している事例がございます。私どもが調べましたのでは、岩手県の黒石生産森林組合が水沢市農協に加入しているというような事例もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/120
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121・芳賀貢
○芳賀委員 だから森林組合は、同一地域の農協に対して、あるいは正組合員として、あるいは准組合員として加入できる。加入しておるということになれば、これは自分の組合の資金を活用するのですから、別に遠慮も要らぬわけです。そういう点が、こういう方法があるとか、これができるのだということが指導面を通じて徹底すれば、これは単に森林組合として有利だというだけではないのです。地域の農山村において、お互いに組合間において相互協力、相互利用ができるわけですからね。
さらに、生産組合の関係は、これは当然資格が出ると思うのですよ。まず、農協法の場合は農事組合法人の規定があって、これは法人格を取得したものは全部農協の正組合員になっておるわけです。それから、今度の法律によっても、生産森林組合は、いわゆる森林組合の組合員資格の中の個人及び法人——この法人とあるものは生産森林組合を言っておると思うのですよ。こういうものをはっきり書いておけばいいのですけれども、「個人」「法人」としかこの法案には書いてない。そうなると、農協法による農事組合法人も、たとえば農業の経営とあわせて行う林業の経営という、こういう法人の事業規定が一つあるのです。こういうのは当然農業と林業を兼営するというのは、これが農業生産法人の事業目的になるわけだから、これは当然農協の組合員でもあると同時に、これは森林組合に対しても法人として加入できると私は考えておるわけです。それから森林組合法の方にも、第九十三条二項二号には、生産森林組合の規定ですが、「森林を利用して行う農業」という、この事業目的が一つあるわけです。これらは林業と農業をあわせて経営する生産法人ですから、当然森林組合の正組合員になると同時に、農協に対しても、これは法人として正組合員としての加入の資格があるというふうに判断されるわけですが、これはどう考えていますか。これは経済局長も来ているから、その方からも答弁してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/121
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122・石川弘
○石川政府委員 いま御指摘の点でございますが、農業、林業と申しましても、実は非常に、何と申しますか、そういう山村で行います農林業の場合は境界がはっきりいたしておりませんで、今度こういうことを書きましたのも、たとえば生産組合で、いままで林業に付帯してと申しますか、たとえばキノコ生産をします場合に林地を使ってやっていますものは従来も読めましたけれども、たとえば林地を離れましてやるとキノコ生産が読めない。しかし、林業生産活動と申しますか、そこで組合員が働くためにはぜひ必要だということで、そういうものを、農業として林業に伴うようなものも事業として認めたわけでございます。
そういう形で、相互が農林業一体として動きやすい形を考えておりますので、いま先生おっしゃいましたように、生産森林組合につきまして、森林組合に加入できますのはもちろん、農協の場合は、これは准組合員ではございますが、加入の道が開かれているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/122
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123・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 先生御存じのとおり、農業協同組合法上の組合員の資格は、一つは「農民」でございますし、第二は「農事組合法人並びに農業の経営一これとあわせて行なう林業の経営を含む。)」という形に相なっております。したがいまして、林業とあわせて農業を営むといいますか、農業とあわせて林業を営むという場合のケースを考えてみますと、これは農協法上の正組合員の資格を有するわけでございますから、農協に加入をいただいて、お話しのように相互利用を行っていくことが適当であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/123
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124・芳賀貢
○芳賀委員 この点はおおよそ明確になったわけですから、特に重要な、必要な資金確保ですね。一部には早く信用事業を行えるようにそれを付与せいということもありますが、なかなか、これは政府として考えても、これはすぐ法律に書いてそのままやれるわけじゃないですから、それまでの間は、こういう農協と森林組合、あるいは漁協と森林組合というような、同一地域社会における相互の協力が十分に進められるように十分な指導をすべきであるというふうに思います。
次に、共済事業は法律上相当明確になってきておるわけですが、この際関連のある問題として、まず第一に森林国営保険法、これは昭和十二年に制定されまして、昭和三十六年の改正が最終改正であったと思います。私も三十六年の法改正のときには審議に携わったわけでございますが、その後時代の変化もありまして、ここ数年間農林省の中においてもこの国営保険法の改正作業というのを相当精力的に進めてきたと思うのです。われわれの承知している範囲では、今国会に改正法案を提出できるというような予定になっておったが、案に相違して提出されていないわけですね。これは何らかの事情があると思うのですよ。おおよそもう準備ができておって提出が見送られておるのか、また、作業過程で問題があってこれが解明されなければその法案の提出ができないのか、そういう障害になる、あるいは問題になっておる点はどういうものかとか、そういう点について率直な説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/124
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125・石川弘
○石川政府委員 先生御承知のとおり、森林災害補償制度全体の問題としまして、過去にも何度か改正の機運、それから改正のための作業等を進めたわけでございます。四十九年の森林法改正の際にも実はそういうことがございまして、その時点で一度この国営保険と今度できます森林組合の共済制度の調整を図るという非常に困難な作業をした経験がございますが、その時点では、どちらかと申しますと、森林組合の共済制度をまず第一義的に森林組合が元請となって全面的にやったらどうか、国営保険の方はむしろ後ろへ下がると申しますか、異常危険部分について再保険等のような姿で組み立てられないかという一つの素案で、各森林組合あるいは国営保険事業体との間の調整を図るようなある種の検討が進んだわけでございますが、その時点ではそのような形での調整がなかなか困難で、四十九年度の際には見送られたわけでございます。
困難でありました理由はいろいろございますけれども、やはりいまになって考えてみますと、森林組合共済自身がいわゆる正規の共済事業ではございませんで、まだ法制上もいわゆる福利厚生事業の範疇の中で組み立てられていたことやら、あるいは国営保険と森林組合共済との事業の仕方についてなかなか末端で十分な理解、調整がついてなかったというような事情があったやに聞いております。実はその後国営保険につきましても、保険事故の範囲をもっと広げるべきではないか、たとえば野兎、野鼠等についても対象とすべきではないかというようなこともございますし、その後かなりの保険事故等が続きまして、国営保険につきましてもやはりもう少し財政的な負担というようなものも必要ではないかということで検討いたしておりました。それと同時に、現在御審議いただいております森林組合の共済事業を正規の共済事業として組み立てるという作業をいたしておりまして、この場合におきましても、森林国営保険の事業と今回制度化されます森林組合共済事業との間の分野調整を図るべきであるという前提で、これは御承知のように、制度の検討会の中でもその分野調整という意見が交わされまして、ある種の結論を得まして、そういうような考え方で整理をしたらということで内々検討したわけでございます。この考え方は、むしろ先ほど申しました組合と国営保険の間を、縦と申しますか、一義的な元請と異常部分についての再保険という書き方ではございませんで、森林の態様から一、二齢級という若齢林分につきまして国営保険が、それからいわゆる三齢級以上の林分につきまして共済が受け持つというのを主たる案とする調整案でございましたけれども、実はこれはいろいろと詰めてまいりますと問題がございまして、非常に危険負担の多い部分だけを抜き出した自主共済というもののあり方に非常に問題があったり、あるいは国営がそういうものを引き受けます場合に、どうしても相当の掛金負担が要るわけでございますから、他の、たとえば農業災害補償制度等に見られますように、国庫負担というようなことを考えてみますと、どうもいまのような加入といいますか、要するに自由な形ではございませんで、一種の強制をかけましたような制度の共済に仕組んでいかざるを得ない。そういうことを考えました場合に、ある齢級以下がそういう強制が必要で、ある齢級以上が全く自由な共済という説明もなかなかしづらいということで、実はかなり制度的に練ったつもりではございましたけれども、制度を検討しているうちに、いま申し上げました過去の調整案とは違った形での調整ではございましたけれども、やはりなかなか調整が不能の事態になったわけでございます。したがいまして、私どもとしては、過去に二回そういう別途の方向で両者の調整を図りながら実はうまい結論を見出せなかったわけでございますので、今度の私どもの考え方としましては、まず今度の法改正をお願いしている形で、森林組合の共済事業を正規の事業としましてこれを発展させていく、これを発展させながら国営保険事業につきましてその間の調整を図ってまいりますけれども、過去二回におきましてそういう検討の経過を経ながら成案を得ることができませんでしたのは、どちらかといいますと事業体としての両保険事業の調整ということにかかずらわったといいますか、そこに主力を置きまして、森林所有者が真にどのような条件のもとで最も保険を求めているかという点に抜かりがあったのではなかろうかというような反省も加えておりまして、そのようなことを中心にしましてさらに鋭意検討を進めまして、将来的にはこの両者の制度の調整を図るべきだということでさらに検討を進めさしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/125
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126・芳賀貢
○芳賀委員 この点は、まず第一に、森林国営保険については現行の形態でこれをさらに存続させるかという点、これをたとえば農業災害補償法というような農業あるいは漁業、林業の災害に対して国家がその補償に任ずる、これは全部ということになればなおいいわけですけれども、そういう方へこれを発展させるという意図があるかないかという点ですね。
それからもう一つは、この法案にうたわれておる森林組合の行う共済事業、これは農協の事業として行う共済事業ですね。連合会段階は共済農業協同組合連合会が専門に共済事業を行っておるのですが、これは国の再保険もないし、保険料の国庫負担もなくて、これは全く任意共済でやっておるわけです。比較すると、森林組合共済は農協の行っている共済事業と大体性格というものは同じだと思うのですよ。共済対象は違うのですよ、これは森林ですからね。農協の方は、生命共済とか建物共済とかあるいは自動車損害共済とか、そういう対象の事業種目は違うが、共済事業の性格というものは大体同様のものだというふうに考えるのです。これについても、現在は単純な組合共済であるが、将来は、特に森林組合が公益的な機能を発揮するということを大きく宣伝しておるわけだから、公益的な機能を発揮する組合が行う共済ということになれば、やはり森林の損害に対する共済についてもその事故の一部を国が負担するとか、何らかの助成をするとか、そういうことが伴わなければならぬわけですね。だから、将来展望としては、まず第一に、現在の森林国営保険というものをどういう方向に進めるか、それから森林組合が行う共済事業を今後どういうふうに発展させるかという点について、この際明確にしておいてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/126
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127・石川弘
○石川政府委員 いまの性格で申しますと、まさしく今度森林組合が行います共済事業や農協の共済事業に類似する形に位置づけてございます。将来の問題として、たとえば国営保険は農災的な形に行くのかどうかというお問いでございますが、これは先ほど申し上げましたとおり、たとえば元請の段階から出ていくというようなことを制度に仕組みますと、国営保険がそうなるのか、森林組合共済がそう変化するのかはわかりませんけれども、そういう意味で、もし農災型にこの制度を組みかえていくということになりますと、国営がそうなるのが正しいのか、それとも森林組合共済がそう転化すると申し上げるのが正しいのかどうかわかりませんが、そういうのが一つの姿でございまして、かつての成案がございましたように、国自身は、どちらかというと、そういう自主的共済に第一線を任せました場合はむしろ再保険等、後ろに引くというのが一つの考え方だと思います。
〔林(義)委員長代理退席、山崎(平)委員長代理着席〕
ただ、そういうものに向かっていると実はまだ申し上げられませんのは、そこまで割り切っているわけではございませんで、考え方としてそういう組み立て方が一つあり得るという意味で申し上げたわけでございます。
それから、いま行います森林組合の共済が将来たとえば農災的なものに転化するかどうかというお問いでございますが、これも実はいま申し上げたことと同じことになるわけでございますが、そういう共済的な組み立て方と申しますか、共済的な組み立て方の場合はいずれもそういう事業体か任意の組合と別個につくられているというのが現況でございます。そういう別個のものを森林組合の場合にもつくり得るかどうかというところに実はかつての調整の難点があったわけでございますが、そういう共済的な事業も従来どおりの事業体の中に含み得るように組み立てられるかどうかも今後の検討の問題点でございますが、いま申し上げましたいろいろな姿を考えながら、両者の調整ということを検討していきたいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/127
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128・芳賀貢
○芳賀委員 政府としては、森林国営保険については二齢級、十年生以下の幼齢林を国営保険の引き受け対象にする、そういう行政的な扱いをしたいというわけでしょう。現行の国営保険法にそういう区分というのはないのですからね。別表第一号、第二号にちゃんと明らかになっておるわけだから、それを念頭に森林組合の共済事業というものを描いて、共済事業の方は危険度の少ないものを対象にするというようなことだと思うのですが、こういう大事な制度をただ単に行政的な手かげんだけでこれから永続的にやっていくというのは問題があると思うのです。だから、国営保険についても、改正を国会に提出するならいつごろまでにするとか、これはもうあきらめたとか、そういう点をこの際明確にした方がいいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/128
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129・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま林野庁で考えております考え方につきましては、いま林政部長が御説明申し上げたとおりでございますが、そのために五十三年度からその調査のための経費も考えまして、林野庁としてはこの問題については前向きで真剣に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/129
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130・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 武田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/130
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131・武田一夫
○武田委員 私は、森林組合法につきまして、その内容の充実を図るために先週もいろいろと質問いたしましたが、きょうはさらに、日本の林業の振興発展のために、先週に続きまして二、三質問いたします。
まず、この間外材の問題を取り上げたわけでありますが、この外材輸入の問題について二、三の質問をいたしますので、どうかひとつ確信のある答えをお願いしたいと思います。
最近、外材の輸入が非常に多過ぎて国産材が圧迫されているということは、この間もお話ししましたし、政府としても認めているわけでありますけれども、国産材が圧迫されるということで、林業界においては、これは商社や外材を扱う木材業者任せのそういう実態がわれわれを苦しめておるのだ、政府はもっと積極的に介入をして、言うなれば輸入の窓口を一つにしぼる、すなわち輸入の一元化といいますか、そういう方向というものを考える必要が当然あるはずだ、こういう強硬な意見が出ておるわけであります。一方、商社や扱い業者の方々からは、われわれは努力をする、そして自主的に調整するから、こういう発言や話が出ております。そういう中にあって林野庁としては、その両方の間に立って対策をどういうふうにするかという矢面に立たされておるわけでございますが、この両者間の調整といいますか、問題の始末をどのようにしようとしているのか、まずその点からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/131
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132・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいまの日本におきます木材の需要環境を見ますと、いま先生が御指摘になりましたように、外材が六五%を占めておりますし、また需給関係を見ますと、非常に緩和基調にあるということは事実でございます。そのために日本の林業関係あるいは林産業界等々が必ずしも順調に経営維持ができていないということも事実でございます。一方、先ほど来御論議がありましたように、これから日本の林業なり林産業等を振興するためには、やはり日本の森林を仕立て、そして国民の期待にこたえて木材を生産するということがこれまた非常に必要なことでございます。
ただ、日本の現在の森林の賦存状況を見ますと、どうしてもここ当分の間相当量を外材に依存しませんと国民の需要にこたえ得ないという実態でもございます。そういう観点から、外材につきましてはかなり以前から自由化されておるという経緯があるわけでございまして、最近ではそれに加えまして、ガット等の国際的ないろいろの場におきます貿易拡大の要請というものもございます。また一方では、産地国におきまして、丸太輸出よりも製品輸出という形の動き、あるいは丸太の輸出を規制するという動きもございます。こういう内外のいろいろな状況を考えてみますと、いま先生がおっしゃいましたように、それをある意味で強制的に一元化するということは、非常にむずかしい問題もございますし、また逆に適当ではないのじゃなかろうかと考えております。
一方、林野庁では従前から、先生も御存じのとおり、需給関係の協議会等を開きまして、その場でいろいろな需給の見通しを立てるなり、あるいは関係方面にそれぞれの指導をするなりやってまいりましたけれども、最近の木材の価格なり需給の変動が非常に短期的な変動も多いということから、私どもといたしましては、さらにこの需給のあり方というものをもっと短期的な点から把握いたしました需給計画というものをつくりまして、こういうものをもとにし、あるいは在庫量につきましても的確な把握をするというようなことをいたしまして、今後その拡充を図るということにおきまして行政的な指導を強めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/132
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133・武田一夫
○武田委員 この問題は過去にもありまして、言うならば、林野庁の方に言わせれば、火山の噴火のようなたとえを取り上げているような気がしてなりません。ある雑誌、新聞等を見ますと、ちょうど今回はそうした問題が噴火したのだというような言葉で言っているところを見ると、何かその辺の浅間山が噴火した、またそのうちにおさまるのじゃないか、有珠山のように爆発して大きな被害がないから、これはそのままにしておけというような感じのことを林野庁の担当官が雑誌等に書いているのをちらっと読みまして、これは問題の所在をきちっと認識した上での的確な手を打つということをなおざりにしてきているのではないか。今回ももし何らかのチャンスでこうしたものが立ち消えになればそのままいってしまうのではないか、そういう感じがしてならないわけです。ですから、この一元化というのは果たしてできるものかできないものか、また商社等の言う自主調整というものが可能なものかどうかというような観点から、今後の国産材の活用、そういう面での日本の林業を守るということにはやはりもっと積極的に取り組んでいかなければいけない。いままでそうした姿勢がなかったために、こうした問題が発生するたびごとに、各関係者が非常な悩みと苦しみを受けるわけですから、そういう点では、ひとつ強烈なる反省と今後の対策を要求しておきたいと私は思います。
いま製品材のお話が出てきましたので、この問題をちょっと聞きたいと思うのですが、特に米材、アメリカから入ってくる材木の問題が、これは非常に問題の一つになっているわけです。非常に米材が多い。それがいま長官が言われたように丸太でなくて、最近は製品として入ってきている。これはアメリカだけの問題ではなくて、東南アジア等々においてもそうした傾向が強いようでございますから、今後これはかなりまた大きな問題となってくるのではないか。この米材の製品が、昨年の場合上半期に集中豪雨的に輸入された、これが一つの大きな問題を醸し出した、こう言われております。たとえば昨年の四月の米材の製品輸入というのは二十五万三千立方メートル、これは前年同月比の四〇%強の輸入でございます。また、この一月から四月累計を見ますと、九十六万五千ということで、これも前年同期の五〇%かなりのふくらみで輸入されておる。これは商社等の思惑輸入ではないか、すなわち市況か好転すると見込んだための思惑輸入というのがこうした事態を招いたのだ、こう言われてもしようがない。こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/133
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134・藍原義邦
○藍原政府委員 アメリカ材の製品の輸入量の問題でございますが、確かに先生御指摘になりましたように、五十二年の上半期にはやはり景気回復への期待感等がございまして輸入量がふえたということは事実でございます。
ただ、ここで一つ私ども考えなければいけないと思っておりますのは、木材の輸入といいますのが、アメリカからということになれば、ある程度の期間がございます。したがいまして、従来から需給計画というものを立てまして、一応年間の計画は見込んでおったわけでございますけれども、やはりその辺が、先の見方といいますか、そういうものをさらにもう少し短期な見方でいろいろ物を見るという、またそういう見方ができるようないろいろな統計資料的なものからの判断をするということ、これが必要かというふうに考えまして、先ほど申し上げましたような短期のいろいろな需給というものを今後考えていこうという姿勢に立っておるわけでございますが、昨年の上半期はそういう状況で米材の製品の輸入が前年に比しまして増加したことは事実でございますけれども、秋になりましてこれが減少の方に転じまして、年間を通じました実績では前年並みとなっておるというふうにわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/134
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135・武田一夫
○武田委員 それで、そうした上半期のアンバランスが、要するに需要に対する輸入量が大きかったというのが原因だということは明らかなわけです。ですから、一昨年の新住宅戸数が百五十二万四千一尺それが昨年は百五十万八千戸と一万六千戸減っている。こうした需給関係というものも、やはり見通しの甘さというか、対応の甘さがあったのじゃないか。新住宅の建設戸数は減っている。それに木材が入ってきた。そうした問題が、結局こうした混乱を巻き起こすことになったということは重大なことです。ですから、資料不足あるいはまたそうした対策の不足というのは否めない。この点の反省の上に立った今後の当局の的確な取り組み方というのは当然要求されるわけでありますから、今後のそうしたあり方に対してどう取り組んでいくか、その点を簡単にひとつ述べていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/135
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136・藍原義邦
○藍原政府委員 木材の需要の大宗をなしますものが住宅建設でございますし、やはり木材の需給というものが木造住宅の建設量のいかんによりまして左右されることは先生御指摘のとおりでございますし、そういう意味から、私どもといたしましても、木造住宅の建設量というものを、できるだけ関係方面とも十分打ち合わせをしながら、的確に把握していきたいというふうに考えておる次第でございますし、そういう意味から、先ほど申し上げましたような年間の需給計画と合わせまして、できるだけ短期の需給計画というものも的確なものにし、需給に大幅な狂いがないような計画を今後立て、それによりまして関係方面を指導していくということを、現在真剣に検討しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/136
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137・武田一夫
○武田委員 これはやはり林野庁が毎年出している国産材と外材とを区分したいわゆる木材需給見通し、これはことしはやはりこれだけ国産材が出るのだという見通しは保証のきちっととれたような見通しでなければならない。これは十分に心にとめていただきたい。あくまでも見通しである、その見通しが外的要因によって外れたということで、業者の方々、関係者が苦労するということは許されない問題でございますから、その点私は十分に注意していただきたいし、今後のそうした需給見通しのあり方については、保証づきの権威のあるものにしていく、それくらいの決意で取り組んでほしい、こう思います。
ところで、いま出てきた製品にしての問題ですが、完成品として製品が入ってきますと、未完成の丸太の大体倍近くになるという勘定だそうですか、こういうふうなやり方で今後製品材があちこちから入ってくるとなると、またこれは大変なことだと思うのです。いまどういうふうなこれに対する対策というものを検討されているか、そのことをひとつ話していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/137
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138・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま製材品が入ってまいりますのは主としてアメリカ、カナダでございますが、そのほかの国からも一部は入ってまいりますけれども、大半はアメリカ、カナダでございます。いまの時点で私ども考えてみておりますと、ここ当分の間、たとえば東南アジアあるいはソ連材が、製材品がよけい入るというような事態は現時点ではないであろうというふうにわれわれ考えております。したがいまして、製材品のいろいろな問題についての検討というものは、主として米材、いわゆるカナダあるいはアメリカの材が中心になろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/138
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139・武田一夫
○武田委員 その点は、混乱の起きないように十分に対策を講じて手を打っていただきたいと思いまして、次の質問に移ります。
間伐の問題、これは大事な問題であります。しかしながら、これはおろそかにされてきたことも間違いありません。というのは、最近の間伐の実態というものを見てみますと、非常にこれは問題を抱えておりまして、四十六年から五十年の五カ年間、間伐を要する面積の二割ぐらいしか間伐が実施されていないというのは御承知のとおりであります。それでどうして間伐ができなかったかという理由がいろいろ白書等にも出ておりますが、林道が悪くて採算が合わないんだ、これが一番多くて三五%、買い手がないか一七%、それから間伐してくれる人がいないが一一%、さらに資金がないが五%などというような理由を林業家は挙げているわけでありますが、こうした五年間の厳しいそういう間伐の実態に対して、国としてはいままでどのような対策を講じてきたのか、その努力の実証というものをまず簡単に話していただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/139
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140・藍原義邦
○藍原政府委員 戦後植えました森林が、約二十年近くたちまして、いま先生御指摘のように間伐をしなければいけない林分がふえてまいったのが現在の実態でございます。それに対しまして、間伐につきましてはいま先生が御指摘になりましたようないろいろな理由からなかなか進展がしにくいという問題もこれまた事実でございます。したがいまして、林野庁におきましても数年前から間伐の進展のためにいろいろな対策を講じておりますけれども、数個の実例を申し上げますと、たとえば生産基盤を整備いたしましてコストを引き下げる、あるいは作業の容易さということのために間伐林道というものも現在助成いたしておりますし、それから間伐材の安定流通促進のためのパイロット事業というものも現在実行しております。それから、間伐促進特別対策事業というものを五十三年度からこれまた構造改善事業の終了地域においてやることにいたしておりますし、さらには間伐材流通加工需要開発促進事業というものを従前からやっておりまして、間伐材の利用の高度化あるいは製品の展示ということを進めておる次第でございます。また、木材技術センターというものを昨年設置いたしまして、関係方面の建設省等とも十分連絡をとりながら、これからの木材の開発あるいは利用、普及、こういう方面にも積極的に取り組んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/140
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141・武田一夫
○武田委員 私は、間伐に対する指導といいますか、それが非常に弱いというか、そういうようなものを感ずるわけです。やはり育林の基本というか基軸となるものは間伐の作業だと思うわけです。ですから、その重要性というものに対して、果たして各県あるいは各組合等によるいろいろな担当のそういう方々、指導の立場にある方々、どういうふうに認識して当たっているか。というのは、ある県で聞いた話ですが、間伐指導に行った県の職員が、間伐の指導を要請されたときに指導しようにも間伐というのがどういうものか知らないと言って非常に困ったという笑い話のような本当の話があるというのでございます。これはやはり間伐に対する一つの問題点を提起しているのではないかと思います。ですから、こうしたものが一つの県ではあるけれども出ておるということ自体、林野行政全体の一つの、氷山の一角の大事な問題としてとらえていかなければならないと思うのでありまして、今後もっとそういう指導の面に手を入れていかなければならないと思います。大体間伐の伐採技術といいますか、これが非常に幼稚であり拙劣であるためにコスト高になっているんだとか、あるいは間伐材の販売の面が拙劣なためにこうした問題を非常に大きくしているとか、こういうふうにも言われておりますので、今後、当局としてはこうした問題の改善、さらに間伐材の用途の開発に力を入れるべきだと私は思うわけですが、この点に対してどのように取り組んでいるか、その面、答弁していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/141
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142・藍原義邦
○藍原政府委員 間伐材の利用につきましては、先ほど先生も御指摘になりましたように、戦前は足場丸太とかくい丸太だとか、加工しなくても利用できるいろいろな方途はあったわけでございますが、戦後そういうものが代替品にかわっておるということで、その辺の販路も非常に狭くなったということは事実でございます。やはりこれから間伐材が相当国内で出るということになりますれば、私どももその間伐材の利用については、その利用方法についてさらに新しいいろいろな利用法を考えなければいけないということで、先ほど申し上げました日本住宅・木材技術センターにおきまして、それらの今後の新しい利用の仕方、技術の開発等々を積極的に進めております。またそういう間伐材のいろいろな利用方法について、各県あるいは各地方で研究あるいは利用の考え方をしておられるものにつきまして、全国的にそういうものを集め、さらにまた逆にそれを全国的にPRするというような形で今後とも推し進める努力を現在いたしております。
それから一方間伐のあり方、やり方、その他の技術指導の問題でございますけれども、これにつきましても、昭和五十二年に国の助成のもとに各都道府県におきまして間伐の技術指針というものを作成するように指導いたしております。そういう技術指針を、それぞれの地域の林分に合いました間伐のあり方というものを、普及員等々が中心になりまして、その趣旨に基づいて今後とも積極的な地域におきます間伐のあり方の指導等に当たっていくような指導をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/142
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143・武田一夫
○武田委員 いままで農家の方々、農業に携わっている方々は、政府のやり方をすればもうかるんだなんという皮肉を言っている人が多いわけでありますから、林野庁の指導よろしきを得て、そうしたいままでの汚名を挽回する上での真剣な取り組みを期待して、林野行政の中にあるそういう努力が実るような方向での検討、努力を私はお願いするわけでございます。
時間の関係で次に移りますが、木材関連産業、特に中小零細企業の多い木材チップ業界、これもまた非常に大変な現実でございます。不況から来る操業短縮、あるいはまた経営の深刻化等によって本当に各地ではいろいろと問題が出てくるわけであります。林野庁としてもいろいろの対策を講じているようでございますが、この間恐らく林野庁としましては、この事態に対しまして、木材チップ製造業の中小企業信用保険法に基づく倒産関連業種の指定についての折衝、さらにまた政府系金融機関による緊急融資を進める等の手を打ったと思います。これはどういうふうな実態としていま動いておるか、それをお話ししていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/143
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144・藍原義邦
○藍原政府委員 いま先生御指摘になりましたように、五十三年の一月一日から一応五十三年の三月三十一日までという形で指定期間を指定しておりますけれども、まだその実態につきましては私ども十分把握しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/144
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145・武田一夫
○武田委員 よく実態をつかんで、どうなっているのかというぐらいは、その動きはつかまないと、後で結論はうまくいっていませんでしたとかということではまずいんじゃないでしょうか。
それからまた、都道府県に対して木材チップ製造業の指導、助成を要請したということも聞いておりますが、これは各県の動きなども、それじゃまだ余りつかんでいないということになるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/145
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146・藍原義邦
○藍原政府委員 いま御指摘の問題は、先般文書で要請をいたしましたので、できるだけ早くその実態をつかんでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/146
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147・武田一夫
○武田委員 ある地方でこれに従って動いているわけですが、ある県の実態を申し上げますと、確かに手は打っているんだけれども、ほんの一部分しか打てない。大体チップ業者、いわゆるそれだけの専業業者、それに製材とチップと兼業しているもの、合わせますと約百三十くらいの会社があるけれども、専業のチップ業者六社だけは、いろいろと共同受注するとかというような体制で大手の系列の製紙会社等に交渉するための力をつける、そういう動きをするとかというふうにやっていますが、最も大変な、多くの百二十くらいのそうしたいわゆる弱小な方々に対しては手は打たれていないという現実ですから、これはよく指導監督した上で進めていってほしいと思います。これは答弁は要りません。そういう実態をよくつかまえた上での手を打たないと、これは後でまたいろいろな問題が出てきたときに大騒ぎしたのでは始まらない、こういうことで、私は要望しておきます。
次に、林業にとって欠かせないのは林道網の計画的整備ということだと私は思うわけでありますが、現状はどういうふうな状態であるか。林業振興のための条件の一つでありますから、林道の整備を進めるためこれはいろいろと手を打っているようです。これがないと作業効果がうまくない。先ほどもありましたように、林道が十分に整備されていないから間伐もうまく進まないというのがトップにありましたから、ここをやはり私は問題にしておかなければならないと思います。林道の延長というのは、林道基本法に基づく森林資源に関する基本計画、これは四十八年二月十六日に閣議決定でありますが、それによって動いているのだと思いますが、これは順調にいっているものでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/147
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148・須藤徹男
○須藤説明員 お答えいたします。
ただいま先生お話ございましたように、森林資源に関する基本計画では、これは四十八年の二月の閣議決定でございますが、昭和九十年度までに総延長二十六万七千キロメートルを整備することになっておりますが、この整備目標に対しまして、昭和五十二年度末現在の実行量は九万五千キロメートルでございます。また、この森林法に基づきまして、昭和五十三年、ことしの三月に策定しました全国森林計画におきましては、五十三年度以降十五カ年計画で十三万八千キロメートルを整備することになっておりまして、五十三年度においては対前年度比一四一%の予算を予定しておりまして、今後とも積極的に対処していくという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/148
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149・武田一夫
○武田委員 いろいろ林業の中に問題があるわけですから、特に重点的に、こういういろいろ仕事をやっている方々から、早く林道の計画的な整備を進めて仕事が効率的にできるようにという、そういう強い要望の中で、いま二十六万七千キロメートルですか、これは十三年後に達成する目標だと、ずいぶん悠長だなと私は思っているわけです。そんな悠長なことで果たしていいものか、もっとスピードを上げなければならないのではないか。それは、いろいろと環境の保全の問題等によって工法の困難な、そのために単価が非常に高くなっている等々の条件は私も知っておりますけれども、しかし、なおかつ、そういう条件があるにしても、こうした気長な行き方の中で果たして本当に期待できるような——道路は確かに通ったけれども林業は滅んでいったというようなことは、これは考えるなと言っても無理じゃないか、こういうふうに思うわけでございます。そういう点で、こんな悠長なことをしないで、やはり少し集中的な整備計画を進めるべきだと私は思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/149
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150・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま指導部長から御説明申し上げましたように、林道については、必ずしも計画に対しまして十分な進捗を示していないことは事実でございますが、本年度の予算におきましても、対前年度比一四〇を超える予算を計上いたしまして、積極的な姿勢をとり、林道の推進を図ろうというふうに考えておりますし、今後ともこの姿勢で対応しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/150
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151・武田一夫
○武田委員 よろしくお願いします。
次の問題に移ります。農業では地域農業ということが重要視されておりますから、私は、林業においても同様ではないか、こういうふうに思いますけれども、地域林業ということについて政府はどのように考えて、どう取り組んでいるかということを簡単にひとつ説明してもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/151
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152・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま先生がおっしゃいました地域林業と申しますのが、ちょっと定義がはっきり、私も先生と同じかどうかはわかりませんけれども、御存じのように、林業も、森林がだんだん造成されまして、民有林、国有林合わせますと、全国に約一千万ヘクタール弱の造林地ができ上がったわけでございますか、しかしながら、逆にまだ造林が進んでおらない地域もございます。それから、すでに造林がし終わりあるいは保育もし終わった地域もございます。そういうふうに、林業の進展度合いがそれぞれの地域によって大分違ってきております。したがいまして、それぞれの地域に合ったこれからの林業の指導の仕方、あるいは都道府県における指導の仕方が必要であろうということと同時に、もう一点、地域林業という考え方の中に、やはり森林組合等を中心にいたしましたその地域の林業というものを、生産から流通までというような考え方をとりまして、いろいろな意味で一体化されたものを形成していく、そして一つの販路もつくり上げていくというようなこと、これらもこれから考えなければいけない問題だろうと思いますが、そういう部分的にとらえた地域の問題と、日本全体をとらえた林業の現在におきます進展度合いの差における林業のあり方の問題、これらの行政指導の問題、両方あろうと思いますけれども、これらにつきましても、それぞれの実態を十分把握いたしまして対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/152
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153・武田一夫
○武田委員 林業というのは、盛んなところはどちらかと言えば過疎地帯という、いまの日本のそういう代表的な地域がたくさんあるわけでありますけれども、その地域の経済とのかかわり合いの上での山林というか、林野行政というものをやはり考えなければいけない、これは当然だと思うわけです。ですから、その地域の人々に利益が還元されるような方向でやっていく、経済の一つの柱としてやはり山林経営が進められていく、これが理想的ではないか、こういうふうに思うわけでありますので、そういう意味からの地域林業というようなものを私は重要視をしているわけでありますが、そういうことを考えますと、そこで働く人の問題等々含めまして、やはりこれからの林業というものをもう一度見直していかなくてはいけないのじゃないか。
たとえば、かつて岩手県のある地域であった話ですが、公社、公団造林でこれは大々的に造林したところがあるわけですが、金も相当つぎ込んだ。そのとき、地域住民だけでは足りないために、労働力を各地からそこに集中的に集めた。それで、あっという間に短期間で造林を始めてしまった。ところが、仕事がなくなって、各地から来た人は帰っていった。地元で残った人は、その木が成長するまで何も仕事がなくてどうしようもなかった。そういうような話が現実にあるわけですから、今後はそういうような一つの事例というものをとらえて、地域内のそういう労働力等の問題、仕事を進めるに当たっても、やはり十分な計画の中で林業というものを推進していくということが、これも地域というものを大事にするという立場から必要でないかということを私は考えているわけですが、そういう点、これは参考の意見としてひとつ聞いてほしい、こういうふうに思うわけです。
それから、これは市町村との関係をやはり重要視しなくてはならないと思うわけです。ですから、どちらかというと、いままでは国、県とか森林組合という毛色が強かったというのは否めない事実ですから、市町村不在の林業という、これはオーバーかもしれないけれども、そういう色彩が強かった。ですから、これからはやはり地域振興という、過疎問題ということも兼ね合わせまして、林業というものが市町村の行政の中での重要な位置にあるんだということを認識すべきであるし、また当然認識はしていると思いますけれども、そうした意味で、国としましても、そうした市町村の林業行政というものにもつと積極的に取り組む姿勢というものをやはり指導監督するといいますか、そういうようなことを国としても考えなくてはいけないのじゃないか、こう思いますが、市町村と、これから森林組合との関係、国との関係という、そういう関係性を私は非常に重要視しているわけですが、その点、市町村の行政の存在について林野庁としても相当やはり重要視されているんではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/153
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154・藍原義邦
○藍原政府委員 これからの林政の進め方に対する御提言だと思いますが、林野庁におきましても従前から林業あるいは森林に関しますいろいろな施策の展開に当たりましては、地方の公共団体と協調しながら森林組合が推進の主体になりまして進めているのが実態でございましたけれども、先生御指摘のように、やはり市町村が林政の推進の上できわめて重要な役割りを今後とも果たしていくであろうというふうに考えております。そういう意味から、ただいま林野庁におきましては、中核林業振興地域育成特別対策事業というのを市町村を中心に進めておりますし、また入会林野等の高度利用促進対策事業あるいは林業集落基盤総合整備事業、さらには小規模山地の災害対策事業、こういうものは市町村が中心に進められる事業でございますけれども、そのほか山村の高齢者林業園の設置推進事業というようなものを進めておりまして、これらは市町村が推進の母体になりまして展開されていく事業であろうというふうに考えております。今後これからの日本の林業を進めるに当たりまして、やはり森林組合が一つの推進の中核体にもなりますけれども、あわせまして市町村におきますこういう林政推進の拡充といいますか、体制の強化、こういうものを図るべく、林野庁といたしましても鋭意努力しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/154
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155・武田一夫
○武田委員 時間が来ましたので、最後に一問。
林業振興の基本ともなるものはやはり人間でございますから、後継者、いわゆる経営者は若い者がどうも山の方に魅力を感じないということで、非常に後継者の問題で悩んでおります。また労働力を確保するということでも悩んでおるわけでありますが、特に林業に従事する優秀な後継者を長期的にかつ安定的に確保するということは、これは国の施策の中の中心として位置づけなければならない、こう思います。
そこで、国としてもそうした努力をなさっていると思うのでございますが、次の三点から具体的な答弁を聞きたいと思うのであります。学校教育の充実。それから山村青年教育といいますか、その充実の面でどうなっているか。それから林業技術実習指導施設の整備等の問題はどうなっているか。この三点について、具体的な例を挙げられれば挙げて答弁していただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/155
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156・藍原義邦
○藍原政府委員 仕事を進めるに当たりまして何よりも人が大事であることは、先生の御指摘をまつまでもございませんし、また林業にとりましても、特にこの面は私どもとしても今後努力を払わなければいけない最大の面であろうというふうに考えております。そういう意味から、現在林野庁では、後継者の問題として後継者対策をるる進めておりますけれども、その二、三の例を申し上げますと、これは全部主として五十三年からの予定にいたしておりますけれども、都道府県を単位といたします推進会議を設置いたしまして後継者対策をやっていこう、あるいは林業経営者の中から指導林家というものを認定いたしましてその活動の助長をしていこうということ、さらには林業コンテスト、林業青年交流活動、こういうことを行いまして市町村段階におきます各種の行事の実施に助成をしていこうということ、また林業後継者のグループ活動を推進するための活動拠点施設の整備をしていこうということ、それから山村の児童を対象にいたします林業教材の配付、こんなことを五十三年度から新たにやっていこうというふうに考えております。いま先生から御指摘ございました、以前からやっております実習指導施設等につきましても、五十三年度もさらにその助成を推進しておる次等でございますけれども、そういういま申し上げましたいろいろなものを通じまして、技術の向上とあわせまして林業従事者なり後継者の育成に今後とも努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/156
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157・武田一夫
○武田委員 最後に、林業後継者育成制度資金というものは充実させる必要があると思いますが、その充実の方向というのはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/157
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158・藍原義邦
○藍原政府委員 いま先生の御指摘のものは林業改善資金の中に入っておりますけれども、その枠の拡大についても今後とも積極的に努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/158
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159・武田一夫
○武田委員 時間が来ましたので、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/159
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160・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 瀬野栄次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/160
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161・瀬野栄次郎
○瀬野委員 森林組合法案について、農林大臣臨時代理安倍官房長官並びに林野庁長官に質問いたします。
森林組合法案については、先週の四月五日当農林水産委員会で二時間余にわたって、農林大臣並びに林野庁長官に対し政府の見解をただしてきたところでございます。すなわち、森林組合法案は、現行森林法全規定二百三十七条から百二十三条が単独化として新しく生まれるのであり、今世紀最後の団体法であります。このような大きな団体法は今後まず生まれてこないと言われているわけで、歴史的な法案と言えるのであるから、本法に対し最後的に総括してさらに政府の見解を明らかにするものであります。
森林組合法はいよいよ本日、単独法として、一部修正、附帯決議をつけた上で当委員会で採決する運びとなる予定でありますが、いずれ形を整えて新しく出発することになるわけでございます。新しい森林組合法の出発の門出であり、本日の委員会でその審議を議了せんとするものでございますが、いわば今世紀最後の団体法の誕生でございます。ゆえに、誕生に当たって、その中身が重要であり問題であると言わねばなりません。すなわち、森林組合自体、中身の充実強化が課題であるからであります。しかるに、今日、わが国の森林及び林業は厳しい環境に置かれ、かつてない危機に遭遇しております。本第八十四国会を林業国会と名づけたゆえんも、けだしここにあります。木材需給の動向を見ても、年間一億立方メートルを超える国内需要に対し、国内材の供給率は三五%に低下し、不足の六五%を外材に依存する状況であり、しかも、世界の総輸出量の三〇%を輸入する日本は、世界第一の木材輸入国であると同時に資源不足国でもあります。かかる状況の中で、森林面積の三分の二を占める民有林は、外材主導型の需給体制と構造不況による木材価格の低落により、その林業生産活動は大幅に後退しております。すなわち、森林の果たす役割りは、国土保全、水資源の涵養、自然環境の保全、形成、国民の保健、休養などの公益的機能を確保し、木材その他の林産物を持続的に供給する等、国民生活の安定と福祉の向上を図る上できわめて重要なものがあるにもかかわらず、あらゆる悪条件に遭遇しながら逆の方向に向かっていることを指摘せざるを得ません。
このような状況の中で、森林組合の強化を図ることは、容易ならざるものがあると言わねばなりません。仏つくって魂入れずになっては重大事であります。すなわち、森林組合の単独化法をつくっただけで組合の強化が図られるというものではありません。本法成立に当たり、この単独法化を契機に、ぜひ森林組合自体の強化について国はさらにさらに一層の格段の配慮をすべきであります。文字どおり、森林組合が民有林の担い手として果たせる内容を推進せよと私は指摘いたしたいのであります。
このことについて林野庁長官はどう考えておられるか、その対処方針をまず具体的にお述べいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/161
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162・藍原義邦
○藍原政府委員 先日来御審議いただいております森林組合法案の中心でございますこの森林組合なるものは、先生御指摘をまつまでもなく、これからの日本の林業なり林政を引っ張っていく中核であるというふうにわれわれも考えております。したかいまして、今後これからの日本の林業あるいは林政というものを推進する場合に、森林組合が中心になりまして、日本各地のそれぞれの実態に合った林業を推進していただくということが何よりも必要かというように考えておる次第でございます。
したがいまして、従来もそういう考え方で対応してまいりましたけれども、新しくこれが独立した法律として、この根拠に基づきまして森林組合がこれからさらに発展するためにも、私ども五十三年度の予算におきましてもそれぞれの内容のものを盛り込んでおるわけでございますが、その一、二の例を申し上げますと、御審議いただきました項目にもございましたが、監査士等を置きまして、組合がさらに経営管理につきまして適切な指導ができるような対応をしていきたいということ、あるいは森林組合の合併助成法を御認可いただきましたけれども、この合併助成法に基づきまして森林組合の合併を促進いたしまして、都道府県におきます森林組合のさらに育成ができますような努力もしてまいりたいというふうに考えております。また、森林組合が行います受託経営等をより集団的あるいは計画的に行うために、その対象に非組合員を加えた受託経営促進対策事業の強化も図ってまいりたいと考えております。また、作業班の充実強化を図るために、高度の機械操作技術あるいは合理的な作業方法について、現地の実習、技術研修を行う森林組合の作業班強化対策事業、これも実施してまいりたいというように考えておりますし、また林業の就労の実態に対応できます退職金制度の創設を図りまして森林組合作業班等の育成強化に資するため、林業従事者中小企業退職金共済制度の適用促進対策事業について、これも五十三年度から助成することにいたしております。
具体的に数項目を申し上げましたけれども、こういう新しい施策と同時に従前からの施策もさらに強化いたしまして、先ほど冒頭申し上げましたような森林組合に今後とも育っていくような行政指導なり積極的な指導を今後ともやってまいりたいというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/162
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163・瀬野栄次郎
○瀬野委員 安倍農林大臣臨時代理が来るまでは今井政務次官に御答弁いただきますが、いまの私の冒頭るる申し上げた問題については、これはきわめて重要なことでありますし、林野庁長官からちょっとはしょっての答弁がございましたけれども、こういったことではなかなかおぼつかないわけですが、政務次官としては私のこの問いに対してどういうふうに対処していくという決意でおられるか、政務次官からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/163
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164・今井勇
○今井政府委員 具体的な項目については長官から答弁をいたしました。私は、これを要約すると人と物と組織であろうと思います。せっかくこれだけ皆さんに慎重な御審議を賜りまして、先生のお言葉をかりれば、今世紀最大、最後のとおっしゃいましたが、森林組合が法制度を整備して出直すわけでありますから、この際心を新たにしてひとつ森林の育成のために、またわが国林業の成長のために格段の努力をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/164
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165・瀬野栄次郎
○瀬野委員 藍原林野庁長官に重ねてお尋ねしますけれども、いま森林組合の中身の充実強化のために林野庁長官にどう対処するかということの具体的な問題を尋ねたわけでございますけれども、仏つくって魂入れずということを申し上げましたが、先ほどの答弁では実際これは魂が入らぬわけですね。この日本の六八%という林野を持っている国有林、民有林を抱えまして、こういった今世紀最大のまた最後のいわば団体法の誕生に当たって、強力な態勢でひとつ大蔵省にも予算獲得をすると同時に、森林組合の華々しい出発の門出にしてもらわなければいかぬ、こういう意味で申し上げておるわけでございますが、先ほどからおっしゃったように、五十三年度予算に監査士の問題、監査士を設置して適切な指導を行う、合併助成法によって促進をする、こうおっしゃいますけれども、こういった合併促進法についてもこの間から私るる申し上げましたごとく、実際にそのメリットというのがないので、なかなか合併促進と言っても促進がはかばかしくない。何としても林構センターあるいは林業センターというものをつくって、それに森林組合の事務所を併設して、そして組合員も喜んで合併促進に応ずるようなことを強力に予算化していただかなかったならば、なかなか容易ならざるものがあります。合併促進法によらなくても毎年五十、六十の組合の合併はできているわけですから、そういったことから考えても、もっと強力な指導体制を、また処置をしてもらわなければならぬ、かように指摘しておるわけであります。
受託経営促進の強化とか作業班の強化対策を行うとか、また中退共のこともちょっと触れられましたけれども、この中退共にしても五十三年度から三カ年、いよいよ実施をするということになりますけれども、実際に三年を経て四年目からどうなるか、大変憂慮いたしております。大蔵省に対してこの点は強力な交渉をなさって今回誕生したことは、私も大変敬意を表すると同時に喜んでおるわけでございまして、昨年来このことに若干触れて政府の見解をただしてまいりましたが、この問題についてもよほど強力にやらなかったならば、三年でこれは完全にまたなくなってしまうということも起こり得る可能性があるわけで、大変心配をいたしております。
そういったことで、いまいろいろ申されましたけれども、この際、合併助成法で促進をしていく、こうおっしゃったが、これについて具体的にさらにひとつ長官の決意を承りたいし、受託経営促進の強化ということについてはどういうふうに考えておられるか、また作業班の強化対策についてももっと具体的におっしゃっていただきたいし、中退共についてもいま申し上げたことを、改めてもう少し突っ込んだ具体的なことをひとつ答弁をしていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/165
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166・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま御説明申し上げました内容につきましてさらに具体的に申し上げますと、まず合併助成の問題でございますけれども、森林組合のこれからの助成のあり方について、ただいま私いろいろ、るる申し上げましたけれども、それを総合いたしまして、五十三年度どうなっているかということについて御説明申し上げておきたいと思います。
森林組合の助成につきましてはいろいろございますけれども、たとえば内容とすれば、検査指導あるいは受託経営促進対策さらには改善特別対策、これは作業班の強化でございますが、そういうもの、さらには広域協業体制の整備推進対策、こういうもの等々合わせまして、総額で一億三千六百万余の予算を五十三年度計上いたしております。さらにまた、そのほか間伐材の安定流通促進パイロット事業というのを森林組合を通じて推進しておりますけれども、これにつきましても、二億七千六百万の計上をいたしております。また、林業構造改善事業、これは森林組合が中心になるものでございますが、これにつきましては二百六億四千九百万という予算を計上いたしまして、さらに進めていきたいというふうに考えております。また、林業労働力対策事業につきましては、四億六千九百万の予算をもちまして、林業労働者の就業対策あるいは安全衛生対策を進めてまいりたいというふうに考えております。また、団地共同化事業につきましても、二億六千五百万の予算を計上いたしまして、団地共同化事業の推進を図ってまいりたい。それから、入会林野等の高度利用の促進対策事業につきましても、五億一千八百万余の予算を計上いたしまして、入会林野の高度化の推進あるいは高度制用の促進というものに対しましての対応をしてまいりたいということを考えております。
以上申し上げました森林組合に直接参ります助成もございますし、あるいは森林組合が中心になってやるものもございますけれども、こういうようなもろもろの予算を計上いたしまして、五十三年度につきましても森林組合を積極的な育成をし、今後森林組合が地域の中心になりまして、林業の推進母体になるような行政指導をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/166
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167・瀬野栄次郎
○瀬野委員 藍原林野庁長官がおっしゃったことは、われわれも予算書を見てよく承知しておりますし、いままで何回か審議をしてきましたので十分承知しておりますけれども、そういったこともさることながら、また、いまおっしゃったようなことはこれはもう当然のことでございまして、森林組合を育成強化していくためにはもっと森林組合が切実に悩んでいる問題、どういうことを悩んでいるかということをよくキャッチしておっしゃっていただかなければなりません。答弁なさって少し歯切れが悪かったが、もう少しよく検討をしていただかぬと困るわけです。
私、この森林組合の単独法の制定に当たって、森林組合を将来強化、指導していくためにもたくさんいろいろさしずめ問題がありますけれども、一つでもいいから本気になってひとつめんどうを見ていただきたい問題があるので、あえて申し上げますが、たとえば森林組合の運転資金の問題でございます。これは森林組合の運転資金というのは大変もう熱望の高い問題で、中金に対して単位組合の組合長も頭を下げたり、また県森連の会長も日参するようにお願いしたり、また全森連でも役員会を開いてこういった問題についてはもうたびたび何かこう検討をしてお願いをしているようでありますが、これがなかなか前進が見られない。中金側に言わせると、金利の高い金を預っているのだからなかなか金利は安くは貸されないということで、その一点張りで断っているような向きがあるわけです。全く見ててかわいそうなんです。息の長い林業であり、しかも、この運転資金にもう全森林連を初め単位組合に至るまで大変困っているわけです。こういったことを一つ解決してやっても、相当森林組合は勇気を出し、元気を出していくわけです。一つ一つ実施段階に移すことが大事である、こういう点で、私はこの森林組合の運転資金という問題についても、これは何とか安い金利の融資を考えてやる対策を講じてもらいたい。どうすればこういったことができるかということですね。他の制度、また農協、漁協たくさん融資制度がございますが、そういったものを検討して何とかひとつ森林組合も、そういった運転資金に心配ないような措置をしていただきたい、このことを申し上げたい。
また、利子補給などをどうすればできるのか、利子補給なんかもぜひ考えてもらいたい。そうして、具体的にきめの細かいめんどうを見てやることによって、森林組合は大きく前進をする。いろいろあるけれども、先ほどから長官おっしゃられることはあたりまえのことであって、当面具体的な問題としてはもう素朴な要求でありますけれども、こういった森林組合の運転資金という問題、これに対する金利の安い運転資金を、そしてできれば利子補給を考えてやる。そのためには、どういうふうに検討をしておられるか、また、どのような検討の用意があるのか、そういったことをこの法案の誕生に当たって、ひとつ森林組合強化育成のために、中身を充実するためにも、この点一点でもいいから強力な当局の考えを全国の森林組合の皆さんに披瀝していただきたい、かように思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/167
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168・藍原義邦
○藍原政府委員 森林組合に対する運転資金と申しますか、そういうものについての低利の資金を何か考えろ、あるいはその利子補給を考えろという先生のお話でございますが、御存じのとおり、制度資金というものは長期低利の融資を原則とするものでございますから、そちらの方面から運転資金ということは非常にこれは困難であろうというふうにわれわれも考えております。
現在、森林組合が必要といたします経営資金については、運転資金を含めまして、先生御存じだと思いますけれども、林業信用基金によります保証制度がございます。この保証制度を積極的な活用をすることによりまして、円滑な融資の確保を図っているというのが実態でございます。また、今後ともこの制度の充実強化を図っていきたいというふうに考えておりますが、ちなみに申し上げますと、林業信用基金にかかわります保証制度でございますけれども、これはたとえば素材生産あるいは製材のための資金の場合は八割保証でございますけれども、森林組合の場合は十割保証するということになっておりますし、そういう面で、ただいま森林組合の運転資金を含めました経営資金について、この積極的な円滑化を今後とも進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/168
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169・瀬野栄次郎
○瀬野委員 基金の保証制度による充実強化を図る、こういうことですけれども、資金枠としてはどのくらいを見ておられますか、それでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/169
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170・石川弘
○石川政府委員 現在、林業信用基金の出資が約十数億の段階になっていたかと思いますが、倍率十倍でございますけれども、これは御承知のように、森林組合と林産の組合とが一緒に入っておるものでございますので、森林組合の枠だけが幾らかはちょっと手元に数字がございませんので、いま調べましてお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/170
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171・瀬野栄次郎
○瀬野委員 今井政務次官、いまお聞きになったとおりでございまして、本法審議に当たりまして、林野関係はやはり農協、漁協と違ってずいぶんいろいろおくれているわけです。こういった制度資金の問題にしても金融の問題にしても、何と言ったって国会議員にもこれは罪があるのですけれども、どうしても審議がいままで十分なされていないという傾向にありがちでございましたので、われわれもいつも指摘してきたわけですが、そういった意味でも今回は法案にも四本かかってきますので、林業国会として大いに認識をしてもらおうということで、去年から声を大にして私ども叫んできているわけです。やはりこういった問題についても当局が即答できない、調べて報告する、そして明快な答えが出ないということ自体に、私は、やはり何となく金融制度、こういったものに対しておくれをとっている、また当局の認識も薄い、そういったのが結局中金に対する措置、指導に対しても、また末端の森林組合、県森連についても何となく力が入らないというところで、林業は下積み、下積みにされる傾向が強いわけでございます。
私はそういったところで残念でなりませんけれども、こういったことをよく踏まえて、今井政務次官もいわゆる農業、林業の県から出ておられるわけですから、よく御存じのとおりでありますし、農林委員会にも長く所属しておられたわけですから、林業の重要性はもう百も御承知のはずですが、そういったことをこういう公開の席でわれわれが論議している、このことをよく踏まえてよく反省していただいて、農林大臣、日ソ漁業交渉のためにソ連にきょう出向きましたけれども、訪ソをされましたけれども、どうかひとつ大臣にもよく話していただいて、強力に政務次官も大臣を補佐して、そして来年度予算も五月からまたいよいよ検討の段階に入ってくるわけでございますから、ひとつ強力な予算獲得、また、こういった森林組合の運転資金を初め、経営資金にしてもあらゆる金融制度にしても、農業、漁業におくれをとることなく充実強化をし、そして、国土の六八%を占めるこの林野に対して、国民のためにも強力な施策をしていくべきである、こういうふうに認識を新たにして、このような重要な法案の誕生に当たって、ひとつ今後検討していただきたい、また強力に推進を図ってもらいたい、こう思いますが、政務次官、いまの私と林野庁長官のやりとりを聞いて、どういうふうに感じられたか、あなたの率直な見解を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/171
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172・今井勇
○今井政府委員 大変熱のこもった、しかもわが国の林業を憂うる先生の御所論、全く同感でございます。おかげさまで、一次産業の中で最後まで単独法を持たなかった森林組合がやっとこれで持たしていただけるということでございます。これを契機になお一層心を引き締めて先生の御期待に沿いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/172
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173・瀬野栄次郎
○瀬野委員 ぜひともそのように農林省も対策を講じていただきたい、かように思います。
次に、共済事業について、再度林野庁長官にお伺いをいたします。
共済事業については、先週の四月五日にるる質問を申し上げてまいったところでございます。そこで、本日は端的にお伺いしてまいりますけれども、現在、森林災害共済事業は全森連及び森林組合の一事業として位置づけられて行われておることは御承知のとおりでございますが、将来、森林組合の系統による一元化を中心として運営されるようにぜひとも検討をしていただきたいということでございます。いまにわかにはなかなか問題もあって無理な点もございますけれども、森林組合も今回の単独法によって新しく誕生し、そして新しい門出をすることになります。内容も充実強化が図られるということになってくるわけでございますので、そういう考えで近い将来ぜひとも一元化を中心とした運営ということで御決定をいただくように、積極的にひとつ国の協力をお願いしたいと思うのですが、これに対して林野庁長官、お考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/173
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174・藍原義邦
○藍原政府委員 いま森林災害によります損失の補てんの問題につきましては、ただいま先生からお話がございましたが、森林組合がやります共済事業と国がやります事業とがございますか、基本的な考え方は、いま先生がおっしゃいましたように、森林所有者がその協同組織等を通じまして、自助努力によってこういうものは対処していくことが望ましいというふうに私ども考えております。ただ、御存じのとおり、森林は若いものから相当年齢のたった森林までございますけれども、どうしても若齢級の森林が災害を受けやすいという実態かございます。そういう点を考えますと、その辺のあり方というものについてはどういうあり方をしたら一番いいのか、また、それが今後の森林育成なりあるいは森林所有者にとってもいいのかということはさらに詰めなければいけない問題もあろうと私は思います。したがいまして、基本的な考え方につきましては、先生がおっしゃったように、自助努力によってそれぞれの森林所有者が森林組合を中心にして今後ともこれらの損失てん補の仕事を推進するということか望ましいかと思いますけれども、現在、いま申し上げましたようなことで、国でもこれを実行いたしておりますし、その辺のあり方につきましては、私どもも五十三年度予算を計上いたしまして、その調査研究をすることになっておりますし、この問題についても真剣に今後検討を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/174
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175・瀬野栄次郎
○瀬野委員 石川林政部長にお尋ねしますけれども、昭和四十八年にこの森林災害共済事業の問題について全森連との間でいろいろ検討か進められたわけですか、当時は全森連としてはまだ時期尚早であるということで、林野庁は相当乗り気であったやに聞いておりますけれども見送られたという経緯があるわけです。その点の経緯をひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/175
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176・石川弘
○石川政府委員 当時の事情を振り返ってみますと、一つは組合が任意の共済として森林災害制度を組んでいくというお話がございました。任意の制度で組んでいきます場合に、いわゆる農業共済とかあるいは水産の方の共済のような一種の強制的手法をもってやりますような、法制度にありますような国庫の援助というのが非常にしにくい。森林組合か任意の事業としてやってますのに国が援助するという形ではなくて、いわゆる農業災害補償事業のような一種の強制的手法に基づくもの、したがいまして団体が別途の団体をつくり出すというようなものを想定をしまして、そういうものの異常危険負担部分を国が再保険したらどうかというようなのが当時議論された案であったかと思います。
〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
その段階では、森林組合系統としては、そのような現にやっておられました福利厚生事業から若干強制力を伴いますようないわば森林災害共済組合とでも申しますか、そういうものを別途分離することは現実的ではないという面で非常に意見が分かれたように記憶をいたしております。したがいまして、その段階では、いわゆる組合が第一義的に元請をしまして、その背後を異常危険部分を国が再保険をするというような手法での調整は成功しなかったかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/176
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177・瀬野栄次郎
○瀬野委員 森林災害共済事業の例、いま石川林政部長から答弁ございましたが、いま御存じのように、この幼齢林の一、二齢級は国営保険で、また三齢級以上は全森連及び森林組合が行っているということでございまして、若齢級の被害総額が高いために赤字は免れないというのが現状でございます。そこで、いまにわかにというと、この四十八年度の経緯もあり、困難なところもあるわけですけれども、将来は何としてもそういう方向に持っていってもらいたい、かように思うわけです。
それで、一つには今回森林法から百二十三条が分離して森林組合法が単独法として誕生した。残った森林法は百九条ということになる。さらに、こういった森林災害共済事業がまた一元化で森林組合にこれを取られる、国は再保険だけだ、こうなりますと、だんだんこれまたさびしくなる、森淋法になる、こういうことで、なかなか皆さん方にも部内の論議がいろいろあろうと思います。われわれもまた役人をした経験があるので、役人の立場であればどうしても仕組みを守りたいという情熱がありますから、さもあらん、また、そうなくちゃならぬということもうかがい知れるところでありますか、どうしてもまただんだんさびしくなっていくということになると、これはまたいろいろな抵抗があるということも当然考えられます。
そこで私は、森林組合を育成強化するためには、国はいま言ったように積極的にこういった森林災害共済事業なんかもひとつ一元化していくという方向でやっていく、そして国としては一齢級または二齢級の若齢級の凍霜害または雪害、二分の一ぐらいが現在雪害というふうに言われておりますが、さらにはだんだん里山から奥地化してきますと、造林地も傾斜が急になってくる。そうしますと、いろいろ被害も多くなってきますし、一たん山火事等が起きれば、ついせんだっても四国で山火事が大分ありましたが、消火に不便を来すということも起きてきて、だんだん条件が悪くなってくる。こういった条件の悪いところを国が再保険として見てあげる、こういうことにして森林組合を育成する、こういう方向に行かなければなかなか育っていかない、私はこう思うわけです。そういう意味で、森林組合の将来のために、日本の林業を守るためにも、国は英断を持ってこういうことを思い切って、さびしくなってもやるべきだ、かように思うわけです。
四十八年のときのこともいろいろ私、検討してみましたが、たとえば百円の保険金が入ると、うち八十円が再保険ということになる。これを全部国が出してくれるというならばいいのですが、せめて半分でも、こう言いたいのですけれども、その八十円の半分どころか全部を組合員が払う、こういうことになりますと何にもメリットはない。自分の金で積み立てをして、自分で払うということになるわけですから、こういうのでは全森連としてもなかなかのまないわけです。八十円の再保険の中で四十円は森林組合または全森連が、残りの四十円は国が助成をするということになれば組合も乗ってくる、こう思うわけでございます。
いま国また全森連関係の共済事業を合わせても六千億程度でございますので、そのカバー率も約三割程度だということが言われております。いまにわかにはかなり無理というふうに思いますけれども、国が積極的に姿勢を示しながら、経済的にも効率の悪いこういった問題を解決する方向で助成をしていただく、こういうことになりますと、この問題も促進が図られて、森林組合の強化が図られると同時に事業の拡大にもつながる。そして国は、先ほど言いました凍霜害、一軍、あるいは火事による急傾斜地帯の被害、困難なところを再保険で見てあげる、こういう温かい配慮がなされなければならぬと思うわけです。
そういうことで、本法提案に当たりぜひとも国の明確なる方針を打ち出してもらいたいと私は思うのです。安倍農林大臣臨時代理もおいででございますので、お答えいただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/177
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178・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 いま途中で入ってきたものですから、質問の趣旨が十分理解できませんので、政務次官から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/178
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179・今井勇
○今井政府委員 先生の御所論の問題につきましては、先ほど長官からも答弁をいたさせましたが、他の農災制度等に比べて、あるいは漁災制度に比べて森林の災害の共済制度というものは、どちらかというとやや不十分であるということは先生のおっしゃるとおりでございます。これには歴史がございますので、直ちに、いますぐにということは非常に問題かございますが、五十三年度に予算を計上いたしまして、この抜本的な見通しをしようということでございます。したがいまして、国の再保険を含めてそのあり方等について鋭意研究をいたしたいと存じますので、さように御承知おきを賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/179
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180・瀬野栄次郎
○瀬野委員 今井政務次官の答弁によって一応了といたします。ぜひともそういう方向で積極的に検討していただくように、重ねて要求をいたしておきます。
次に、信用事業能力の付与の問題について再度質問をいたします。
この問題についても、四月五日当委員会で農林大臣並びに林野庁長官にお尋ねをしたところでございますが、森林組合が農協や漁協と同様に信用事業を行うことができることとするかどうかの問題は、森林組合制度の長年にわたる懸案事項となっておったわけでございまして、私も数回にわたり当委員会でその促進を図るために政府の見解をただしてきました。四月五日も農林大臣等に質問したわけでございますが、森林組合制度等検討会の報告によりますと、この問題については、一、林業をめぐる資金循環の問題、二、最近における経済不況を背景とした金融情勢の変化、三、オンライン化等の膨大な施設費及び運営費の負担の問題、四、既存金融機関相互の競争の激化及び関係金融機関との調整の問題、五、今後、森林組合に信用事業能力を付与する場合の基本的条件を整備するのに必要な具体的措置の問題等について、いろいろと報告がなされております。
そこで、信用事業については農協、漁協においても行っているところであり、当然林業においても必要な資金の円滑な流通を図るために信用事業について至急に検討の上実施を進めていただきたい、かように私は思うわけでございます。そういった意味でも森林組合制度等検討会において積極的に議題として提案の用意があるか、その点はどういうふうに考えておられるか、まずお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/180
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181・藍原義邦
○藍原政府委員 前回も先生に御説明申し上げたと思いますけれども、信用事業につきましては、森林組合の検討会におきましても、いま先生も御指摘されましたが、内部的な問題、外部的な問題、いろいろな問題点がある、そういう問題を今後林野庁で鋭意検討し、詰めることという結果をいただいております。したがいまして、林野庁におきましても、この問題につきましては、内部的な問題、外部的な問題、そういうものを含めまして早急に鋭意検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/181
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182・瀬野栄次郎
○瀬野委員 そこで、藍原林野庁長官、私は一つの提案をしたいわけですが、昨年も若干触れた経緯がございますけれども、まず信用事業問題については県森連にやらせる。もっとも、東京都みたいに必要のないところもございますので全部とは言いませんけれども、必要な県森連にやらせる。たとえば、熊本県球磨郡の球磨森林組合、和歌山県の竜神森林組合、静岡県の竜山森林組合など、挙げれば数多くありますが、こういった地域においては農協をしのぐような充実した森林組合があるし、積極的に運営をやっている組合がたくさんあります。こういう有力な森林組合には県森連の支部を置くというようにして信用事業をさせることを私は考えておるわけですが、そういったことについては当局は検討しておられるのか。そういうことでぜひとも進めてもらいたいと思うのです。
全部が全部となりますと、まだ合併途上にあるいわゆる睡眠組合もあれば、いろいろ問題のある組合もございますので、合併促進を五年間で強力に図ると同時に、充実した組合から逐次県森連の支部として信用事業をさせる、こういう方向で積極的にやってもらいたいと思う。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/182
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183・藍原義邦
○藍原政府委員 先ほど申し上げましたように、前回の検討会でもいま先生がおっしゃったような問題も検討はされております。問題点としては、先ほど申し上げましたような内部的あるいは外部的な問題点がいろいろあるわけでございまして、いまおっしゃいましたような一部の、現時点で非常に能力があると思われる県の森林組合連合会が信用事業を実施するということを考えました場合でも、やはり為替業務ということになりますと一つのネットワークが形成されなければいけないと思いますし、そういうことによってその組合に対してのサービスが向上されるというふうに考えます。また、系統組織によります効率的な資金の運用というものを考えますと、そういう面でも一つ、二つということであれば非常に問題があるであろうと考えまして、いま先生か御指摘になりました点も含めまして、今後私どもとしては十分検討を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/183
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184・瀬野栄次郎
○瀬野委員 安倍農林大臣臨時代理にお尋ねしますが、いま森林組合の重要な問題を審議しておるわけです。かつては安倍官房長官も農林大臣をしておられたわけですが、この森林組合の単独法化というのは、今世紀最後に残された歴史的ないわば唯一の団体法でございまして、きょう後ほど、一部修正、附帯決議をつけて、新たな装いで単独法としてここに生まれんとしておるわけでございます。そういった中で共済事業は、先ほど言いましたように、政府もよく検討して今後一元化に向かっていろいろ対策を講ずるということで御答弁いただきましたが、次に来る問題は重要な信用事業問題でございます。そういった意味で、いま林野庁長官にいろいろ質問してまいったわけでありますが、これについては安倍農林大臣臨時代理としても、ぜひともそういった方向で日本の林業を推進するために、また森林組合の育成強化のためにも強力に推進していただきたいと思うのですが、いまいろいろ聞いておられたので、大体その筋はおわかりだと思いますが、決意をひとつお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/184
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185・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 いまお話しの信用事業につきましては、なかなかこれを行うにしてもいろんな面で問題も多いわけでございますし、それを行うだけの規模等についても十分検討しなければならぬわけでありますが、せっかくの御質問でございますし、政府といたしましても真剣にひとつ検討してみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/185
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186・瀬野栄次郎
○瀬野委員 真剣にひとつ検討していただくようにお願いします。
次に、生産森林組合問題で総括的にお尋ねいたしておきたいと思います。
この問題も四月五日、農林大臣並びに林野庁長官にいろいろ質問してまいりましたが、さらに答弁を踏まえて具体的な問題を詰めてみたいと思います。
生産森林組合は、一経営体として育成し、その発展を図ることは当然でございますが、生産森林組合は高知県に一つ連合会がありますように、本法によりますと県の連合会がつくれることになります。高知県の場合はいまのところ問題はないと言われておりますけれども、将来県の連合会が二つできるとなると問題なきにしもあらずということか憂慮されるわけでございます。また、全森連のごとく将来全国生産森林組合連合会も創設することも規定でできるわけでございます。四月五日の当委員会における農林大臣、林野庁長官の答弁によりますと、少なくとも今後五千組合を目標にするとおっしゃいましたが、私はいまの規模また入会林野の近代化ということから考えてみますと、一万近い組合ができるんじゃないか、もう現在すでに施設森林組合をオーバーして組合が設置されております。その中身は小さいということは言うまでもございませんか、中には千人を超える組合員のところが六つ以上もあるわけでございますので、かなり大きな組合もあるというふうに認識せねばなりません。入会林野の近代化によって関係面積も今後大規模になることは当然予想されてまいります。そこで、将来施設森林組合と対立的になるとなれば、混乱状態になり、憂慮されることも当然この機会に私は検討しておかねばならぬ、かように思って質問をいたしておるわけです。対立的な混乱またそういったトラブルが起こったのでは将来に大変禍根を残すことになります。
この点当局はどのように対処し、見通しはどのように考えておられるか。安倍農林大臣臨時代理からでも結構でありますし、林野庁長官からでも結構でありますから、この点について明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/186
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187・藍原義邦
○藍原政府委員 生産森林組合は生産森林組合なりのそれぞれの目的もございますし、今後入会林野の近代化等々さらに進めてまいりますと、生産森林組合、先般お答え申し上げましたように、約五千くらいの組合ができるだろうというふうにわれわれ考えておりますが、今回ただいま御審議いただいております組合法の中でも、生産森林組合を森林組合の正組合員たる資格を有するということではっきり明定した次第でございます。
しかしながら、御存じのように、現在、森林組合連合会の会員になっておる生産森林組合が約四十ほどございます。これを強制的に脱退させるということは非常に困難であろうというふうにわれわれ考えておりますし、また市町村で森林組合の存在しないものが約百六十ございます。そういうところで生産森林組合があります場合にはどうしても森林組合連合会以外に系統利用をする道がないというところもございます。したがいまして、そういう理由によりまして森林組合連合会に加入しておる生産森林組合があるわけでございまして、現在の実態等を考えますと、これらを強制的に連合会から脱退させるということは非常にむずかしい問題だろうというふうに考えておりますが、系統組織におきます生産森林組合の位置づけにつきましては、先生がおっしゃいましたように、やはり将来混乱の生ずることのないように、地域の実情に即しまして今後とも行政指導をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/187
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188・瀬野栄次郎
○瀬野委員 行政指導だけでは弱いですから、あえてまたお伺いしますけれども、生産森林組合を施設森林組合の一組合員としての位置づけを明確にして指導上強く推進するということについては、なお長官から御答弁を求めたいわけであります。そうでないと将来勢力が分散するということになりかねない。形の上では本法によってその生産森林組合が下になっておりますけれども、指導を強化して、団体の分裂をしないようなことを考えておかなければならぬという意味で、その点は将来心配ないとか、指導を強化するとかいうことだけではどうも心配が残るわけでありますが、再度明確にその点ひとつ、勢力分裂がないかどうか、また、そういうことが起きた場合にはどういう歯どめがあるのか、その点についてもこの機会にはっきりしておかなければなりません。やはり初めよければ終わりよしということになるわけで、出発のときにあいまいもことしておくと将来に必ず問題を残すわけであります。その点、再度御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/188
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189・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいま申し上げましたように、森林組合のない市町村というのが約百六十ほどございます。したがいまして、そういうところにもし生産森林組合等ができました場合には、これはやはり森林組合がございませんから系統の利用というのがなかなかむずかしい、そういう場合には県の連合会に加入するという形になる場合があろうかと思いますけれども、今回の制度改正によりまして森林組合の正組合員としての資格をはっきり明定したわけでございますから、先生がおっしゃいましたような形で私どもは今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/189
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190・瀬野栄次郎
○瀬野委員 安倍農林大臣臨時代理、いまお聞きのとおり、これは大変将来に問題が残ると思って指摘しておるわけですが、入会林野を近代化するために整理をすれば、即これは生産森林組合になっていくわけであります。生産森林組合は自然発生的でなく、むしろわれわれが仄聞するところ、役所がつくらせる方向で進めている、こういうふうにも言われておるわけでございます。入会林野を整理しようとしても、近代化するために役所がつくるという方向で指導している、こういったこともうなずけるわけでございまして、あるからにはそういうことになっていくのは当然ですけれども、しかし将来県森連も、生産森林組合はできるんだし、全森連に匹敵する全国生産森林組合連合会というものができるということがこれはちゃんとあるわけでございますから、私はやはりここらできちんとしたものを位置づけてやっておかなければやはり将来に問題が起きてくる、こういうふうに思うわけです。
林野庁長官の答弁ではどうもはっきりしないところがあるのですが、たとえば農林中央金庫の会員として農協、漁協と肩を並べて中金の会員にも同格でなれるわけです。すなわち、既得権があるわけでございますから、法的には既得権の侵害はできませんので、結局そういった立場で中金の金融も当然受けられる、こういうことになるわけでございますから、そういう道が開いているわけですから、それはそれとして結構ですけれども、将来双頭のワシみたいになっては問題が起きるのではないか、また生産森林組合を私はつぶせというわけではございませんけれども、その点の配慮を十分このスタートに当たってやっておかなければ一いま森林組合は約二千二百ございますけれども、千五百に、今後五年間にいわゆる合併助成法によって縮小して充実していこう。しかも、全国の市町村の林野率七五%を見ましても、おおむね千四、五百ということが言われておりますので、それらから見ても、千四、五百に森林組合は充実強化して、そして合併をし、今後の森林組合の体制を強化していこうということになっておるわけでございます。そうすると、一方、この生産森林組合はすでにもう二千二百をオーバーし、近く五千が目標になっていく、私は一万近いものになるのじゃないかと見ておりますけれども、今後の採択面積を、林野庁は従来からもっと大きくして三十ヘクタールくらいを基準にしてということでございますから、五千内外に落ち着くということは一応うなずけるわけですが、そういったことで、いずれにしても現在のいわゆる施設森林組合よりも三倍以上になることはまず間違いない事実でございます。
そういったことから、こういうことについて大変将来をおもんぱかって、この際総括的に再度質問をいたしておるわけでございます。安倍農林大臣臨時代理からひとつ御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/190
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191・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 お答えをいたします。
いまいろいろと御心配をしていられるわけでありますけれども、この系統組織におけるところの生産森林組合の位置づけにつきましては、御心配のような混乱を生じない、そういうたてまえで地域の実情に即して行政指導を適切に行っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/191
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192・瀬野栄次郎
○瀬野委員 行政指導は行っていくとおっしゃるけれども、それだけでは事足りないと思うから、私はあえて申し上げたわけですが、安倍農林大臣臨時代理に聞いて、また林野庁長官に聞き直すことは失礼になるので、そこのところはあえて問いただしませんけれども、こういったことが大変問題になってきますので、将来の問題として林野庁側も十分踏まえて対処していただきたい、このことを重ねて要求いたしておきます。
森林組合連合会による監査業務についてお尋ねしておきます。
今回の改正により、森林組合連合会が行うことができる事業として新たに会員の監査に関する事業が追加されることになったわけでありますが、この事業は、組合の健全な事業運営に資するため、系統内において全国森林組合連合会は都道府県連合会を、また都道府県連合会は単位組合を、それぞれ経営管理等について適切な指導、教育等を行うことを主な目的といたしております。また、その一環として森林組合監査士制度を新設することといたしておられるわけであります。五十三年度予算においては監査士設置のための国庫助成一千三百六十一万円が森林組合検査指導費の一部として計上されておりまして、監査事業の実施に当たっては、連合会は監査の要領及び実施方法等を定めた監査規程を作成し、行政庁の承認を受けなければならないものとするとともに、別途省令で定める資格を有する者、資格試験合格者が監査士として監査に当たることとしております。
そこで、連合会みずからが単位組合とほとんど同種の事業を行いつつ、その単位組合の経営管理等について指導、教育を行うこととしている点でございますが、私は、全森連も単位組合も同じ事業をやっておるわけでございまして、よって、全森連が単位組合を監査するというのはどうかという批判を末端から連絡を受けておるわけです。
そういった点でお尋ねするわけですけれども、現在、農協関係においては、企画及び教育、指導の機能を分担する中央会が、行政庁が行う常例検査とは別に、事業として監査を行っております。これも国会で、予算委員会で、私、何回か政府の見解をただしたことがございますが、これらは本来、組合の内部監査として組合の監事が行う監査にかわるべきもの、またはその援助の意味を持つものであり、対象組合の同意に基づいて行われる受託的な内部的監査の性格を持つものであります。しかしながら、その機能は、実質上、中央会の指導事業の重要な前提となり、また、その裏づけとなり、また、行政庁の検査を補充する意味を持つことにもなるわけでございます。
そこで、森林組合系統には農協系統における中央会のような組織がないため、系統内の上部組織が下部組織を監査することにならざるを得ないわけでございますが、内部監査の性格は必ずしも農協系統のそれとは同一ではなく、監査というよりは経営管理等についての適切な指導、教育に力点が置かれているようであります。この点、監査士の行う監査、組合の監事が行う監査及び行政庁が行う検査——外部監査です。この相互関連、あえて指導、教育を主目的とする理由を、この機会にひとつ林野庁長官から明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/192
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193・石川弘
○石川政府委員 いま御指摘のように、農協中央会等は、独立機関といたしまして、そういう一般の業務と分離した仕事ができるわけでございますが、森林組合のいまの実態から申しますと、そのような形での分離独立は、事業の中身を見ましても不可能でございます。したがいまして、森林組合連合会の事業として位置づけたわけでございます。
御指摘の、まず監事による監査でございますが、御承知のように、監事は組合の経営の内容につきまして監査をいたしまして、部内の監査をいたしましたことを理事に対して責任を持って監査報告をするというたてまえでございます。
それに対しまして、今度設けます監査事業は、これはみずからが行うということではございませんで、系統の内部組織としまして、上部団体でございます全国連あるいは県連が、自分の組織の中の事業を指導、教育のたてまえから監査をしていくというたてまえをとってございます。
それから、もう一つの県あるいは国によります常例検査はあくまでも行政庁によります検査でございまして、いわゆる公権力の行使という形で行う検査事業でございます。
これらのものは、いずれもその組織を育てていくための、自主的、いわゆる監事によりますものは、まず第一義的に組合独自のものでございまして、それから今度の監査事業として行いますのは、系統全体の問題として自分の系統の事業を育てていくということでございます。行政庁の常例検査は、さらにそれを外部から、行政庁の公権力の行使をもって内容を正していくということでございますので、三つの関係を十分調整いたしまして、いわゆる監査あるいは検査の実が上がるように指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/193
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194・瀬野栄次郎
○瀬野委員 石川林政部長に再度お尋ねいたしますが、あなたのおっしゃるとおりであるならば、これは監査結果について秘密保持義務を何も課する必要はないじゃないかというような感じがするのだが、その点はどうかということと、組合の管理運営機能の充実の観点から、また農協、漁協と対比すれば、森林組合は、払い込み済みの出資金の額とか購買事業及び販売事業の取り扱い高等において比べものにならないほど少ないわけでございますから、監査士制度の創設というものが、十分その意図はわかるにしても、時期尚早ではないかという意見も出ておるわけです。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
農協、漁協とは異なった性格を有する森林組合固有の制度として、その役割りについて、私は、監査士を設けることは結構であり、推進をしてきた立場でありますけれども、そういう批判にこたえて、監査士が今後自信を持ってこの仕事に当たることができますように、この際、その立法の精神を明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/194
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195・石川弘
○石川政府委員 御指摘の秘密保持の問題でございますが、やはりこの種の業務を一つの責任ある地位として監査士を設けてやらせます場合に、これは各種の営業活動もやっております組合の内容を調べることでございますので、それをいわゆる監査の仕事以外に漏らすことによって、組合が行っております各種事業に障害を与えるとか、あるいは監査士みずからの地位にいろいろ問題を起こすことがあるわけでございますので、秘密保持の義務を課しているわけでございます。
それから、時期尚早ではないかという御指摘もございましたが、御承知のように、二つの面で監査士を早く置きたいと考えたわけでございます。
一つは、御承知のように、現在二千百弱の全国の組合がございますが、その中で大体三分の一程度のものは大変事業の執行体制が弱体でございまして、そういう意味で単に自主的な監事による監査のみならず、系統全体としてはやはりそういう弱体の事業体を育てていくという面があろうかと思います。
それからもう一面は、逆の言い方になろうかと思いますが、御承知のように、各種の経済事業なり、たとえば共済事業なり、そういう形で事業が相当伸展をいたしておりますし、また事業も細分化されているというようなこともございまして、やはり事業の内部を系統全体としてよく確かめておくというようなことも必要かと思います。
そういう非常に弱体な面を強化するという面と、ある意味では事業が相当複雑化しているという両面から考えました場合に、極力早い時点にこの監査士制度を設けたいと考えたわけでございますし、特にこの種の事業といいますものは、それなりの監査士が育ってまいりませんと実効が上がりませんので、この機会にぜひお願いしたいということで立法化を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/195
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196・瀬野栄次郎
○瀬野委員 森林組合と林業普及事業について、一点お尋ねしておきます。
森林組合は組合員のための森林経営の指導、森林施業計画の作成などのほか、林業に関する組合員の技術の向上及び組合事業に関する組合員の知識の向上を図るための教育並びに組合員に対する一般的情報の提供に関する事業を行うことになっております。時間がございませんので、はしょってお尋ねしますけれども、今度森林法が百九条になって小さくなったわけですが、森林組合法が単独化するとそういうことになりますけれども、組合と林業普及指導事業との関係を一層強化させていく必要がますます起きてくるわけでございます。
こういったことで、政府の同事業の充実に関する方針と、なお森林組合に関する規定を分離したことによりまして、森林法自体は資源政策立法としての性格を一層色濃くするものでありますから、その中にとどめ置かれる林業普及指導制度はきわめてソフトかつユニークな存在であるだけに、国の資源政策の推進の担い手として、いわば上から抑えつけるような命令的なことになったのでは、これは大変問題が起こるということになりますので、その辺はどういうふうに運用される考えであるか、この機会にひとつ簡潔にその考えを明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/196
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197・藍原義邦
○藍原政府委員 林業普及制度は、御指摘になりましたように、森林法の中に規定されまして、従来から林業の改良あるいは普及、知識の啓蒙ということに当たっておるわけでございますが、今回森林組合法が単独法として制定されました場合、林業の普及指導につきましても、従前どおり森林法の中の精神を体しまして、今後とも活発に推進をしていきたいというふうに考えておりますが、いま先生が御指摘されましたように、森林法の中に残るから資源培養的な性格が強くなって、さらにはそれが強制的になるのではなかろうかという御指摘がございましたけれども、林業の普及あるいは改良、指導という問題につきましては、私どもとしてはこれは広く実行していかなければいけない問題と思っております。したがいまして、当然森林法の精神を体しまして、森林資源の培養なり生産力の増強なり、そういうものに関連いたしました普及指導もやりますけれども、あわせまして、林業全般の問題としてそれぞれの普及指導というものも今後徹底してやっていく必要があろうというふうに考えております。
そういう意味から、森林組合のこれからの育成と普及事業のあり方はいままで以上に密接に関連を持たせまして今後とも対応し、指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/197
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198・瀬野栄次郎
○瀬野委員 安倍農林大臣臨時代理にお尋ねいたしますけれども、今回の森林組合法案に対して、農林省の省名が「農林水産省」に改められるまでの間は、第十五条第一項、第四十二条第三項及び第百十九条中「農林水産大臣」とあるのは、これは当然「農林大臣」とすべきであり、第九条第九項、第十条第二項、第十五条第二項、第十九条第二項、第二十条、第二十二条、第二十四条第二項、第百一条第八項及び第百二条第三項中「農林水産省令」とあるのは、これは「農林省令」として本法提案に当たっては提案すべきであった、当然修正をすべきものである、かように私は指摘をするわけですけれども、これに対して安倍農林大臣臨時代理はどういうお考えであるか、お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/198
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199・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 本法案におきまして、「農林水産大臣」等といたしましたのは、省名等を変更する農林省設置法の一部改正法案を先に実は閣議決定をいたしまして国会に提出いたしたわけでございます。このことと実は調整を図ったわけであります。しかし、農林省設置法の一部改正法案が成立をいたす前に本法案を御採決いただく場合には、附則で、農林省の省名が農林水産省に改められるまでの間は、農林水産大臣等を農林大臣等と読みかえる旨の規定を設けていただくべくお願いをしたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/199
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200・瀬野栄次郎
○瀬野委員 この点については、また当委員会の理事会でいろいろ検討して修正案を出す考えでおりますが、本法案提案に当たってこれは軽々に過ぎた、かように指摘をしておきます。
林野庁長官に、今世紀最後の最も大きな団体法となった森林組合法改正に当たり、この改正の趣旨の徹底を図るために、一問一答式の早わかり集みたいなものをつくって出すことを提案したいが、これについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/200
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201・藍原義邦
○藍原政府委員 私どもも法律をつくるだけではなくて、やはり実のある森林組合が今後育成されるように指導してまいりたいと考えておりますので、先生が御指摘されましたようなわかりやすいものをつくりまして、指導の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/201
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202・瀬野栄次郎
○瀬野委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/202
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203・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/203
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204・芳賀貢
○芳賀委員 安倍官房長官におかれては、中川農林大臣モスクワ出張中、臨時農林大臣として兼務をされることになりまして、まことに御苦労に考えております。
先週金曜日に当委員会において、中川農林大臣訪ソの目的である日ソの北西太平洋における漁業問題に対しての質疑を行ったわけでございますけれども、その際、非常に困難な事態の中で農林大臣が政府を代表して訪ソされるのであるからして、十分な国益を踏まえ、日ソの善隣友好を踏まえて努力すべきであるということを申しまして、その際、農林大臣が訪ソ中はさだめし適切な臨時代理が決定されると思うので、場合によってはあなたがおられるよりも順調に審議が進むかもしれぬと、やゆしたわけではありませんけれども、たまたま安倍さんが臨時農林大臣になられて意を強くしておる次第であります。それだけに質疑あるいは政府の方針というものは明快にしてもらいたいと思います。
第一の点は、先ほど私が事務当局に質問をした際に、今回の提案された森林組合法の法案の中に、随所に「農林水産大臣」あるいはまた「農林水産省令」なる字句があるわけでございますが、これは政府が提出者として国会に提出しました農林省設置法の成立を見ないまでの間は、このままの内容で、立法府としてこれを委員会においても成立させることができないことは大臣も御承知のとおりであります。ただ問題は、この種の取り扱いは決して政府提案の法案の中で委員会において修正すべき性質のものではないわけですね。これは提出者である内閣において、現状に立って、現行の農林省設置法に照らして、この点については現状に合致するように字句の訂正をするとか、当然これは内閣の責任において進んでその取り扱いというものを委員会に申し出をして、そうして委員会の審議の協力を求めるべきでないか。残念なことには、本日まで何らそうした意思表示というものが行われていないわけですが、いよいよきょうは質疑を終了した場合はこれは採決をするというところまで進行すると思いますので、この際、内閣としての責任のある方針を示してもらいたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/204
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205・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 実は、本法案は、閣議決定をいたす前に、農林省設置法の一部改正案を先に決定をいたしたわけでございます。そういうふうな関係もございまして、政府といたしましては本法案に農林水産大臣等というものをそれぞれ書いたわけでありますが、その後の国会の情勢から、農林省設置法の一部改正法案はまだ国会で審議が行われてない、提案はされましたけれども国会で審議が行われないという状況の中で本法案の審議が進み出して、いまお聞きすれば、採決もしていただく、こういう状況に相なったというふうに聞いておるわけでございますか、政府としては、そうした閣議決定の順序から本法案に農林水産大臣等というものを書いたわけでございますが、この段階になりますれば、ぜひとも附則を本委員会で修正をしていただきまして、採決される場合には、附則によりまして農林水産大臣等を農林大臣等と読みかえる規定をぜひとも委員会の方でつけ加えていただきたくお願いを申し上げたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/205
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206・芳賀貢
○芳賀委員 国会においてのこの種の問題の取り扱いの前例としては、まれにいま大臣の言われたようなこともあるわけですが、それが最善の手続であるというふうに私ども社会党としては考えていないわけです。提出者である内閣が立法府の中において法案の修正を行うということは当然できないですね。ただ、その場合には、法案の字句の訂正ということは当然これは提出者である内閣においてできるわけですから、謙虚に、素直に訂正するということであれば、それは絶対不可能ということはないのですよ。今回の場合は、農林省設置法の審議が政府の予定よりも遅延しておる。そして、その後に提出された農林省関係の政府提案の法案か順調に審議が進行しておるというそのずれから生じたことでありますから、われわれとしてもその点は善意に解釈しておるわけです。こういうことは一度行うとこれが前例になるわけですから、慣例となるわけですから、この際、安易にやるということになれば、まず自民党から出ている委員長や与党の理事諸君に話して、理事会においてこうやってくれ、いま大臣が読まれたようなことでやってくれという依頼や指示をすることはできると思いますが、しかし、まじめにこれを扱おうとすれば、早急に内閣においてこの関係の部分だけの字句の訂正をやるということが将来を考えても至当でないかというふうに党としても考えておるわけでして、この点は率直な話をしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/206
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207・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 いま芳賀委員の御指摘される問題につきましては、筋としてはよくわかるわけでございますし、政府としてもそういう立場をとることも考えなければならぬわけでありましょうか、この法案の審議とそれから農林省設置法の一部改正案の審議との間に、政府の当初予定しておりました予定との間に大きなずれが生じたわけで、その中で本法案の審議が進んで、きょう採決というふうな段階になったわけでございますから、この際は政府としては、農林省設置法の一部改正案というのはこれから御審議をいただいて、ぜひともひとつ可決成立をお願いを申し上げたいという基本的な考え方には変わってないわけでございまして、そういう中でこの法案が先行して採決ということになったわけでございますから、この際、委員長あるいは委員の皆さんにお願いをして、農林省設置法の一部改正案か成立するまでの間、附則でもってひとつ読みかえができるように委員会の御善処方をお願いしたいというのか政府の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/207
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208・芳賀貢
○芳賀委員 この設置法の改正が行われる前に両院を通すということになれば、その分だけ訂正すればいいのですからね。その後に設置法か通れば、既存の法律あるいは農林省の機構とか判こに至るまで——看板も書き直すでしょう、農林省の看板も出先の看板もですね。そうすると、同じ国会で、こっちが農林委員会で先に、森林組合法案をその部分を訂正して通したから、後で設置法が通ってもこれは改正できないというものじゃないでしょう。だから、こういう点は法制局か一体どういう考えを持っておるのか。恐らく、法制局というのは——内閣法制局でこれは立法作業したわけですからね、その立法作業をする法制局であっても、これは行政担当の政府と全く一体のようなものでしょう。極端な論を言う者は、三百代言的なこともやりかねぬじゃないかということを言うわけですからね。法制局長官にしても、それは訂正できませんなんというばかなことは言わぬと思うのですよ。自分で訂正する手間を省くために立法府にやらせるという、そういう考えというのは間違いですね。
とにかく、官房長官というのは国会との間のパイプ役でしょう。政府の番頭みたいなものですからね。だから、国会の議運なんかに出るとき、あなたが必ず出るわけですからね。この法案をまず本会議に上程するとか、これは大した法案でないから委員会に付託するとかいうことはあなたの所管になっているわけですからね。だから、戦後ただ一度しかない前例にこだわってそういうことを当委員会に負担させるということでなくて、やはり率直に、この際はこの字句を訂正しますということの方がいいのじゃないかと思うのですけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/208
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209・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 まあ、どちらの場合もでき得るし、また、あり得ると思っておるわけでありますが、政府といたしましては、農林省設置法の一部改正案を国会にいまかけておるわけでございまして、この農林省設置法の一部改正案をぜひとも審議をしていただいて、可決成立をしていただきたいというのか政府の基本的な考え方でございます。そういう段階において、本法案が先に採決されるということになったわけでございますから、政府といたしましては、この際は委員会の皆さんにお願いをいたしまして、ひとつ附則で「農林水産大臣」等を「農林大臣」等に、農林省設置法の一部改正案が成立するまでの間読みかえていただく、こういう措置を委員会にお願いをいたしまして、何としてもひとつ附則として措置をしていただきたいという政府の考えでございます。
いろいろと考え方もあると思いますし、どちらの場合も私はあり得るのではないかというふうに思うわけでありますが、この際は何とか附則で読みかえていただけるように委員会にお願いしたい、ただお願いをするだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/209
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210・芳賀貢
○芳賀委員 いずれにしてもこの「農林水産大臣」あるいは「農林水産省令」なるものをきちっと整理しないとこれは通らないわけですから、ここで方法論としての議論というのは私として明確に申し上げたわけですから、いままでそういう方法があるということを安倍大臣におかれてはあらかじめ考慮してここに来られたわけではないでしょう。農林委員会にやらせればいいわというぐらいで来たんじゃないかと思うのです。だから、改めて私から発言を行ったわけでありますから、この際内閣で十分再考して、そしてまた悔いのない方法でこれを取り扱うということにしてもらいたいと思います。
次に、先刻、事務的な問題とか法律の運用等の問題についてはおおよそ事務当局に質問して明白にしたわけでございますが、この際せっかくの機会ですから伺います。
当委員会において昭和四十六年に林業振興に関する決議を行っておるわけです。当時、もうすでに故人になった草野一郎平委員長が委員長提案という形で、これが全会一致で委員会の決議として議決されたわけでありまして、その際安倍大臣はちょうど与党の筆頭理事をやっておられたわけなんです。お互いによく相談をして、いま考えても、この六項目にわたる林業振興に関する決議の内容というものは今後の日本の林業の発展のために基本的な方向というものを示したものであるというふうに考えたわけです。この六項目の実現については、中には政府の行政努力あるいはまたこの委員会の努力等によって相当前進を見た問題もありますが、まだ重大な問題については解決されないというものが残っておるわけです。その中の一つとして造林政策の実現について、今日の民有林の林業全体の中における造林事業というものは年々後退をしておるわけです。
ですから、十分に森林資源を増大させるということになれば、まずその根拠をなす造林の拡大的な実行ということが非常に必要になるわけでございますが、幾多の障害があって、民有林の森林所有者だけの努力によってこれを期待することはなかなかできませんし、また担い手である森林組合、あるいは生産森林組合だけに期待を持つということも困難な事情に置かれておるわけでありまして、かつては公有林の官行造林制度がございましたが、これは昭和三十六年に政府提案によってこの制度が廃止されて今日に至っておるわけです。その後森林開発公団なるものが生まれまして、現在は林道の開設も行っておるわけでありますが、一部水源涵養林道等については森林公団が国の立場を代行する形で分収造林等を行っておるわけです。あるいはまた分収造林特別措置法に基づいて、都道府県においても造林公社の設立とか、あるいはまた森林公団もこの法律に基づき、あるいはまた森林組合自身も、造林形態としては毎年のように分収造林方式による造林の実施というものか拡大しておるわけです。方向として定着しておると言ってもこれは差し支えないと思うわけでございます。今度の森林組合法の内容におきましても、当然森林組合が、公団造林あるいは公社造林の契約当事者として二者契約あるいは三者契約の一角を担って行っておるわけですが、これが今度の法案の中においてもその根拠規定というものが明確になっていないわけです。ですから、この際、せっかく森林組合法を独立の法律にする機会でございますからして、森林組合が現在行い、かつ将来にわたって行わなければならぬ事業でありますから、分収造林に関する法律上の規定を明らかにしておく必要がある。
もう一つは、造林事業等を行う、あるいは森林組合として森林の経営を行うということになると、それは結局いまの森林組合の作業班組織を通じて事業が実際は行われておるわけでございますから、そうなると、その森林組合の行う事業を担当する作業班、この中には当然森林組合の組合員も法律の規定に基づいて保有しなければならぬわけでございますが、これらについても法律上は明確な根拠規定がないわけです。ですから、この点について、せっかくの審議の機会ですから、政府においてこの点はどうするというようなところを明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/210
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211・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 林業振興に関する決議につきまして、私も当時農林水産委員会の理事をいたしておりましてよく承知いたしておるわけでございます。その後政府といたしましては、この決議の趣旨にかんがみましていろいろと施策を講じてまいりまして、ある程度の前進は見たものという、かうに考えておるわけでございますが、そういう状況の中にあって、いま御指摘がございました分収造林を思い切って推進、拡大せよという、これは芳賀委員の年来からの御主張については私もよく承知しておるわけですが、この分収造林制度につきましては、この重要性も考えて、民有林における造林推進につきましては先ほど御指摘がございましたような林業あるいは造林公社あるいは森林開発公団等によるところの分収造林の推進を図ってきておるわけで、その成果も上がっておると考えております。少なくとも五十一年の末までには約六十六万ヘクタールが分収造林によって推進をされたわけでございますが、さらにいまお話しの国有林の事業者関係で分収造林を進めろ、こういうことで社会党から国営分収造林法案等も出ておることも承知しておるわけですが、この国営分収造林を推進するということは、現在の国有林野事業の経営状況から見ましてなかなか困難な面があるというふうに考えておるわけでございまして、そういう点で国有林野事業の組織等の活用によって民有林の造林を推進するということは、いろいろとこれまで検討を重ねてはおりますか、非常にむずかしいという状況のまま今日に至っておると理解をいたしておるわけでありますが、全体的には民有林の分収造林事業は公団、公社等によって相当大幅に推進されておることもまた事実であるということは御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/211
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212・芳賀貢
○芳賀委員 分収造林の制度については、まず土地所有者、それから造林のための費用負担者、それから実際に行う造林者、三者のそれぞれの参加による契約と、あるいはまた費用負担者と造林者が一体となって土地所有者との間に行う二者契約、二様の契約方式があるわけです。国の代行的な森林開発公団の行う分収造林の場合、公団はほとんど単なる費用負担者にすぎないわけですね。これに対して森林組合が造林者、そうしてまた民有林の水源保安林等の場合には土地所有者が提供するということになっておるわけですし、それから県等が行っておる公社造林の場合も、費用はほとんど国の造林資金とか補助金に依存して、そうして費用負担者の位置を維持して、そして造林者はおおむね森林組合ということになっておるわけです。
そうなると、将来を考えれば、民有林に対する分収造林等を行う場合は、造林者のおおよそは森林組合が受けざらとなって担当してもらわなければならぬということになると思うのですね。森林組合が行うということになれば、当然それは森林組合を形成する地元の組合員が可能な限り参加するということになれば、いまの雇用問題とか、不況時代における農村あるいは山村地域における雇用政策もその面から拡大できるという新しい利点も生ずるわけですね。
だから、すでに観念的に、森林開発公団が行う公団の分収造林の場合は抵抗がない、国が行う分収造林の場合においては抵抗かあるというような、そういう時代ではないと思うのですね。しかも、いま大臣が言われたとおり、国が直接分収造林を行おうとしても、労働力については、いまの林野庁の基幹労働力ではそんな余剰はないのですよ。労働力が不十分だから、現在行っておる国有林の事業についても、造林関係にしても、大体四割ないし五割は請負、下請作業でやっておるわけですから、国有林が保有する労働力をフルに活用するということになれば、現在の国有林が責任を持って行う事業に集中しても、まだ労働力が過剰になるということは絶対にないと思うのですね。
ただ、国が責任を持って分収造林を行うということになれば、これは国の施業責任はどこまでも回避することはできないわけです。だから、費用を負担をする。造林についても、現地の実情に対応して、この地域は森林組合が積極的に造林者として協力するということであれば、それは十分にやってもらうとか、つまり森林組合法を独立して制定する場合の造林の位置づけとして、分収造林等の基盤となる受けざらをこの際法律に規定しておく必要があるのじゃないかというのが私の質問の趣旨なんです。
国営分収造林の問題については、今回は森林組合法の審議と同時にこれを実現することは困難な事情でありますから、あとまだ政府提案の国有林野事業の改善特別措置法と、社会党からは国有林野事業の再建整備特別措置法を提出しておるわけですから、対象が民有林であっても事業主体は国であり、林野庁ということになるわけでありますから、今回はわが党提案の国営分収造林法案については、この後の改善措置法の審議の際に一括して審議をしてもらいたいと考えておるわけです。ですから、本日のところは、いろいろ問題はありますけれども、森林組合法の規定の中に、作業班の設置の根拠規定とか、森林組合が行う分収造林事業というものは、当然毎年度の総会に提出する事業計画とか実施する場合の理事会の議決というものは必要になるわけでございますから、そういう規定を設けておく必要があるのでないか。
今度の法案においても、まず新しく法律の中に共済規程を設けることになるわけですね。それから、監査士制度のための監査規程、従来も信託規程あるいは森林処分実施規程というそれぞれの規程かありまして、これは法律上このような内容の規程を設けなければならぬということが明定されておって、規程の決定については行政庁の許可を要することになっておるわけですからして、組合運営を健全にするためには、やはり重要な事業についてはその根拠をなす規定を整備しておく必要があるという点について、せっかくの御出席ですから大臣から明快にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/212
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213・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 いま御指摘がございましたが、いまさら私が申し上げる必要もございませんが、分収造林というのは一般には森林の経営に必要な土地、労働力及び費用を二人以上の者で分担をして、当事者が協力して行う態様の森林経営というふうに考えるわけであります。したがって、普通の形の森林経営とはかなり異なる面はありますが、これを法律的に見ると、森林の経営という中に含まれることは明らかでございますから、森林組合が分収造林契約の当事者となる場合の根拠規定というものは、森林経営自営の事業、これは現行の森林法第八十五条の二、森林組合法案の第二十六条で十分ではないか。根拠規定が不明確であるということでございますけれども、いま私が申し上げました規定によってこれははっきり根拠づけられるというふうに政府としては考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/213
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214・芳賀貢
○芳賀委員 いま大臣が発言された新法の二十六条の規定ですが、長官、これはいま安倍大臣の言ったような解釈でいいわけですか。よければいいとか、これがそうなんだということをはっきり言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/214
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215・藍原義邦
○藍原政府委員 いま大臣がお答えされたとおりというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/215
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216・芳賀貢
○芳賀委員 大臣の答えたとおりなんて、簡単過ぎるじゃないですか。あなたは先刻の私の質問に対して、この条文は組合員のために行う事業ではない、森林組合自身の利益のためにやるのだという答弁をされたでしょう。いま大臣の言われた趣旨はそれと違うのですよ。この分収造林事業というものは森林組合が行う林業経営の一環をなすものである、だから、この二十六条の規定というものが根拠をなす、これが分収造林事業の受けざらになる、そういうことを大臣は言われたわけですからね。そのとおりであるというならそう言えばいいのですけれども、余り簡単すぎるから——先刻の答弁と違うでしょう。これは違わなければ簡単でもいいのですよ。だから、念のためにもう一回はっきりして。大臣の言うとおりだということになれば、安倍さんの方が林野庁長官として適格者だということになるのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/216
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217・藍原義邦
○藍原政府委員 いま大臣がお答えになりました林業事業の一環としてということですが、私が森林組合のためとお答え申し上げましたのは、経営自営の森林経営という形で申し上げたわけでございまして、そういう意味で大臣のおっしゃったことと私の申し上げたことは同じであるというふうに申し上げたわけでございまして、経営自営の中にやはりこういう分収造林でやっていくスタイルというものは当然入ってまいるだろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/217
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218・芳賀貢
○芳賀委員 そうなれば、将来国営分収林制度が実現した場合、森林組合としてはこれが根拠規定になるということは言えますね、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/218
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219・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 石川林政部長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/219
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220・芳賀貢
○芳賀委員 木を植える人でなければだめだ。あなたは林政部長でしょう。これはだめだ。長官が木を植える責任者ですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/220
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221・石川弘
○石川政府委員 ちょっと法制上の仕組みだけ申し上げますが、国営分収という場合に、国がやりましても、森林組合が単に施業受託とかそういう場合はこれに入らないわけでございますが、契約当事者に入りまして経営責任の一端を担うような形の分収契約をいたしますれば、この二十六条が根拠規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/221
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222・芳賀貢
○芳賀委員 だから、国営分収造林の制度ができて二者契約、三者契約の場合、森林組合がその当事者のいずれかになるという場合は、その根拠はどこにあるかということになれば、この新法の二十六条ということになるでしょう。それを聞いているのですよね。
もう一回その点、それは木を植える責任者でなくてもいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/222
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223・藍原義邦
○藍原政府委員 いま林政部長がお答え申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/223
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224・芳賀貢
○芳賀委員 その次に大臣にお尋ねしたいのは、これも林業振興決議の中に含まれておるわけですが、最近国内の経済不況の関係もあり、あるいは国際間の貿易の面においては極度の円高が現出しておるわけでありまして、それらが内外の圧力となって、木材価格が非常に低迷しておるわけですね。価格面においても需給面においてもそういう不安定の状態が当分まだ持続すると思うのですよ。この場合、行政庁としてやはり同じ農林水産政策を農林省が担当しておるわけですから、木材価格、国産の木材、零細な全国の森林所有者である二百六十万の林家が営々として育成をして、そして林産物として市場に販売するような場合の価格の安定というものは非常に大事だと思うのですね。農産物あるいは水産物等に比較して林産物の価格の安定制度というのは非常におくれておるわけです。ですから、こういう点についても抜本的な制度を確立しないと、幾ら森林の公益性を強調して担い手論を展開しても、これが林家の経営とか経済とか所得に直結する状態が実現できなければ、いかに叫んでも実行至難ということになるわけですね。緊急にどうするということは用意がないかもしれませんが、これは非常に重要な点だと思うわけです。ですから、政府として、今後国産で生産される林産物、木材等の価格安定制度に対してどういう考えを持っているか、その点を述べてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/224
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225・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 木材は、その生産期間というのが非常に長いわけでありまして、そのために適正妥当な生産費を算定するということは、ほかの農産物と違いまして非常に困難であります。また、その価格につきましても、主として市場の需給関係で決まっておるという現状から見て、生産費というものをベースとして価格を形成させることは困難ではないかと考えます。したがって、この林道投資に対する助成とかあるいは素材生産部門に対する助成等、生産コストの低下に直接寄与する諸施策をこれまでも行ってきたわけでありますが、今後も充実することによって林業の再生産を確保していかなければならない、こういうふうに思うわけです。
さらにまた、先ほどからお話がございましたように、最近の木材を取り巻く情勢は非常に厳しいわけでありまして、価格は非常に低迷をいたしておるわけであります。この価格の低迷というのは、木材の需給の緩和に起因するという面もあるわけでございますから、供給面におきましては、国内の林業及び林産業の現状を踏まえながら、かつ需要に見合った秩序のある輸入が行われる必要があるというふうに考えておりまして、従来から木材需給協議会等の場におきまして年間の木材需給の見通しを策定するなどの施策を通じまして関係業界等に対しても指導を行っておるわけでございますが、しかし、これらの措置のみでは最近の木材需要の変動に対し、必ずしも十分であるというふうには考えておりません。国内林業、林産業に悪影響を与えないために、需要に見合った安定供給が図られるよう、より短期的な需給見通しの策定あるいは在庫情報を加えた情報機能の強化、これらに即した安定輸入のための関係業界への指導の徹底等を図って、木材の需給及び価格をより安定していく考えでございまして、そういう方向でこれまでのやり方等も変更をいたしまして、短期的な立場でやはり見通しを立てていくということを踏まえて、これからの木材の安定、木材の供給あるいは価格の安定等に努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/225
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226・芳賀貢
○芳賀委員 農産物の場合は、おおむね一年一作ですからね、ことしたとえば価格が不利であったとしても、来年にすぐ期待が持てるわけですね。だから、毎年毎年のその再生産の中においてその生産費とか所得の確保ができるわけですけれども、林業の場合は植林して五十年、六十年の経過の後に収穫をしてそこで販売をするわけですから、その販売の時期にたまたま極端な不況とか木材価格の低落という場面にぶつかると、次の再生産確保までにはまた五十年もかかる、孫の時代までかかるということになるわけですから、これは相当積極的に価格安定の制度というものを実現する必要があると思うのですよ。林野庁におかれても、このそれぞれの人工林の樹種に対して、その伐期齢ごとの生産費調査というのは克明にやっておるわけですからね。だから、おおよその生産費というものは、造林から、保育から、伐採に至るまでの経費というものは、これを物価修正すれば的確な数字が出るわけですから、そういうものを基礎にしてやはり木材価格のあるべき姿、安定制度というものを実現すべきだと思うわけですよ。
それからもう一つ、あわせていまの木材の需給状態を見ると、最近は数年前よりも年間の木材の消費量が相当減少しましたけれども、おおよそ年間一億立方メートルですね。このうちの三五%程度が国産材の供給、あとの六五%は挙げて外材に依存しておるという状態ですから、この点についても、同じ農林省が所管しておる畜産物の安定にしても、あるいはまた甘味類の砂糖の安定制度等についても、外国からの輸入価格あるいはそれを含めた国内の需給調整とか価格安定というものはそれぞれやっておるわけですが、この木材の場合は全然そうした整然たる秩序がないわけですね。この点については、林業振興決議の第六項目にこれはうたってあるわけでありますからして、こういう点についても国有林を中心とした農林省の林野庁の機構というものがあって、国有林野は特別会計制度で経営をしておるということになれば、この外材輸入についても、単に自由主義経済のもとだからそういうことはできないのだというような非常に低次元の弁解だけでなくて、それは国際的にもいろいろな困難は伴うと思いますが、やはりいままでの時期にこういう問題は解決すべきだったと思うのですよ。いまの時期にやるというのは、国際的にも非常にこれは困難ですけれどもね。しかし、これはやはりいずれ輸入木材の取り扱いについても、国がどこまでこれに関与して輸入の計画的な規制を行うとか、それから安い外材の価格の場合には国産材の価格安定のために価格調整をどうやるかとか、あるいは備蓄をどうやるかとか、こういう点はやはり何をおいても先行して実現すべき問題だと思うのですよ。これは、以前から安倍大臣は所見を述べられておるわけですからね。この際、法案の審議とあわして、この点についても明快な方針をぜひ示してもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/226
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227・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 いまお話がございましたように、木材というのは生産期間が非常に長い。そういうために、やはり生産費をはじき出すということは困難でありますし、木材の価格というのはやはり市場によって左右されるという面を持っておるわけでございますから、私は一番大事なことは、というように機構としては働いたのかもしれませんが、大変逆目と申しますか、そういう材価はむしろ低迷期に、必要以上にそこに集中して問題視されるという向きもないわけではございませんが、私どもその辺の運用には慎重を期さなければいかぬという立場をとっておりますので、今後とも備蓄機構の材の保管なりあるいはそれの売買というようなものについては慎重な態度で見てまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/227
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228・神田厚
○神田委員 次に、備蓄に充てる製材、それから合板、これが外国産のものがかなり入って備蓄されている、こういうようなことでありますけれども、現在の日本の林業の状況を考えますと、備蓄に充てるものにつきましては国産材に限定をすべきではないか、こういうような考え方を持っているのでありますが、その点についていかかでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/228
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229・石川弘
○石川政府委員 四十八年の大暴騰のときの経験から申しますと、実は材価高騰時に国産材がなかなか出てまいらなかったという事態がございました。あのとき考えておりました考え方では、大量のものをある程度品ぞろえをしまして備蓄をするという場合には、やはりボリュームの面でも供給余力があるとか、あるいは品質か単純であるとかいうことで、外材に頼らざるを得ないという考え方をいたしておりましたので、実際の姿は米材の丸太で入りましたものを国産びきしましたものを製材については備蓄をいたしております。
それから、合板につきましては、御案内のように、原材料は北海道の特殊な合板以外はすべて南洋材でございますから、これを国内で加工したものを備蓄しておるわけでございます。
先生御指摘の国内の林業者の中には、たまたま材価が非常に低迷する時期にそういう形をしておりましたので、国産材というものをむしろ備蓄の対象にするのが適切ではなかろうかという御意見がありましたことも十分承知をいたしております。ただ、備蓄の性格からいたしまして、やはりある種のものを一挙に大量に出していこうといたしますと、なかなか国産材では十分でないという問題点がございます。ただ、いま私どもが考えておりますのは、外材しかやらないということについては備蓄機構としてももっと考えてみる必要があるのではないか、国産材のある種のものについてもそういうことが考え得るのではなかろうかということで、五十三年度の実行の面からの検討課題として国産材問題も検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/229
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230・神田厚
○神田委員 ただいま御答弁いただきましたが、やはりこの備蓄の問題では国産材のものを備蓄をしていくというような方向というものをもう少し強力に出していただきたい。大変低迷している現在の日本の林業を救っていくという中で、外材だけを備蓄機構の中にため込んでそれを使うというような方向性というものはやはり変えていかなければならないと考えるわけでありますが、その点ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
次に、関連いたしまして、先日来問題になっておりますけれども、最近における外材の輸入の状況、これかどういうふうになっておるのかお聞かせをいただきたいのであります。
外材の輸入につきましては、製材として入ってきているのか、あるいは丸太のまま輸入をしているのかというのも含めましてひとつ御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/230
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231・藍原義邦
○藍原政府委員 外材の輸入につきましては、五十二年の前半におきまして、木材の需要が、数次にわたります景気浮揚策が講じられたにもかかわらず相変わらず景気が回復しなかったという問題もございますし、また住宅建設も非常に伸び悩んだということがございまして、外材の輸入量は景気回復への期待感もあり、一時、年の前半には輸入量が増加いたしております。このために需給が非常に緩和いたしまして、在庫圧迫ということから木材の価格が低迷したという結果が出たわけであります。後半に入りましてやはり依然として景気の低迷が続きましたけれども、木材需要の回復が見られなかったということ、価格の低迷が続いたということもございまして、外材輸入が減少に転じまして、年間を通じて見ますと、その実績はほぼ前年並みになっております。
材質別に見ますと、米材が五十二年の一月から六月では前年の同期に比べまして二〇%以上の輸入増となっておりますけれども、その後輸入量が減少いたしまして、年間を通じましては大体前年度並みになっております。
それから、ソ連材は、年間を通じました量は、大体年間を通じて契約しておりますので、そういう面から前年比微増というような形で推移いたしております。
それから、ラワン材、南洋材につきましては、一月から六月までは前年比五%の増加になっておりますけれども、合板業界の不振もございまして、年間を通じては前年比微増という形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/231
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232・神田厚
○神田委員 丸太のままの輸入というのはどういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/232
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233・藍原義邦
○藍原政府委員 輸入量でございますけれども、御存じのとおり、現在南洋材は主として丸太が中心でございますし、それからソ連材もほとんどが丸太でございます。多いのが米材でございますけれども、米材につきましては製材比につきまして、たとえば五十二年を見ますと、五十二年の年平均では約八十五万立方入っております。これは五十一年の平均が八十五万五千でございますから、これに比べましても大体横並びという数字ではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/233
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234・神田厚
○神田委員 この問題につきましては、ガットなどでもかなり問題になっているはずですね。関税あるいは非関税障壁の軽減、こういうような問題の中で今後の木材貿易をめぐる国際的な状況というのはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/234
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235・藍原義邦
○藍原政府委員 ガットの中でも製材品の一部樹種によりましては関税が変わっているものもございますし、いろいろ問題はあろうかと思いますが、国際的な現在の推移を見ますと、今後東南アジア等々におきましても丸太輸出から製材輸出へと移行していきたいという機運も見えておりますし、またカナダは現在製材品を中心に輸出をしております。また、米国におきましても、丸太についてはアメリカの事情によりまして日本になかなかそう大量に丸太を輸出できない、製材品で輸出をしたいという動きもございます。したがいまして、国際的な観点から見ますと、これからの日本の木材輸入というものは、現在まだ丸太の方が多いわけでございますけれども、製材に移行するような傾向にあることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/235
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236・神田厚
○神田委員 昭和四十八年に政府が米材の輸入制限措置を講じましたね。いまお話を聞いていますと、現在相当米材が入っておりまして、それが日本の木材の価格の低迷の一つの原因にもなっているわけでありますけれども、これらにつきまして四十八年に輸入制限措置を講じましたが、現在の日本の木材業界のこういう現状を見まして、今後こうした措置を講ずる考え方がおありになりますかどうかお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/236
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237・石川弘
○石川政府委員 御承知のように、四十八年の米材輸入制限措置は、あの時代、四十七年から四十八年にかけまして日本も例の百九十万戸という住宅建設が急増した時期でございますが、実は米国も史上最高の住宅建設をやっております。双方の住宅建設が最高のところまで上がってまいりまして、木材の需要が大変急増いたしまして、アメリカにおける木材価格が非常に高騰したわけでございます。したがいまして、アメリカ政府としましては、むしろどちらかと申しますと自国における木材価格の安定、これは余り高くならないという意味での安定を図りますために、日本政府に対しまして木材の需要をある程度モデレートなものにしなければいかぬというようなことを言っておりましたし、もう一方、当時燃え盛っておりました米国における自然保護運動で、日本への木材の輸出で大変米国の木材が荒らされると言われるようなこともございました。日本ではどちらかと申しますとむしろある程度木材を確保したいという要請、アメリカは極端に輸入量を増加させるのは問木材の需給の安定を図っていくということではないか、こういうふうに考えるわけです。
そのためには輸入、いま外材の輸入等についてもこれを規制すべきではないかという御意見もあったわけでありますけれども、強制的に輸入を制限するということについてはいろいろ問題もあるわけで、特に最近はガット等の国際的な場における貿易拡大の要請とか、あるいは産地国からの製品輸入増大の要請等もありまして、外圧は非常に強いわけでありますが、しかし、やはり木材の需給を安定していくというためには、私は秩序のある輸入ということは必要ではないか。そういう点で、協議会等の場合において年間の木材需給の見通し等を策定をするなどの施策を通じまして、関係業界に指導も政府としてしてきたことでありますが、さらにこの指導というものは強化をしていかなければならない。そうして、いままでのいわば見通し等につきましても、いままでのやり方を変えて、短期的な需給の見通しの策定であるとか、あるいは在庫情報等というものを中心とする情報機能というものを強化して、これらに即した関係業界の指導方策等について検討もいたしておるわけでございまして、今日の非常に低迷をしている木材価格、それを受けて非常に生産者等が苦労しておられる状況等を踏まえて、私たちはやはり全体的にこれまでのあり方というものに検討を加えながら、輸入の面で秩序のある輸入への積極的な指導の強化、あるいは木材の需給の安定のための短期的な見通しの作成といったものを積極的にやっていく。同時に、木材の備蓄等につきましても、これまでも政府としてもその努力を重ねてまいっておりますが、さらに需給の安定、価格の安定を図っていくためには、そうした備蓄等についてもさらに積極的な姿勢で臨むべきじゃないかと考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/237
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238・芳賀貢
○芳賀委員 最後に一問だけお尋ねしますが、それは先刻事務当局に対しまして、現在の森林国営保険ですね、数年来これは改正の時期に来ておるわけですが、なかなかこの改正案を整備して国会提出に至ってないわけですね。その経過ないし事情等についても政府委員から説明を受けたわけですが、今度の森林法の中における組合が行う共済事業とこれは関連がある事業にもなっておるわけですからして、速やかに現行の森林国営保険法の内容というものに検討を加えて、成案を得てやはり国会に提出して、森林に対する災害の防止あるいは損害補てんのための国として行うべき施策というものを充実させる必要があるというふうに考えるわけですが、この点について安倍大臣からの明快な答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/238
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239・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 森林災害によるところの損失のてん補につきましては、可能な限りは森林所有者がその協同組織等を通ずる自助努力によって対処することが望ましいと思っております。しかし、森林のうちの災害の発生頻度が非常に高いもの、特に若齢林にかかわるところの気象災等につきましては、年次または地域による変動がきわめて大きいために自主的努力によって対処することにはもちろん限界があるものがあります。また、健全な森林資源を維持造成するという国の政策遂行の裏打ちとしても、森林災害によるところの損失のてん補につき国として一定の役割りを果たす必要があるとは思うわけです。
災害によるところの損失のてん補についての国の関与の方式としては、森林国営保険制度のように国が元請する方式のほかに、農業災害補償制度等他の農漁業保険共済制度に一般的に見られるように、農漁業者が組織する団体が元請を行い、このうち非常に危険が高い部門については国が再保険を引き受けるという再保険方式等があるわけでありますが、森林災害によるところの損失のてん補につきどのような方式によるべきかにつきましては、今後、過去の制度検討の経過等を踏まえながら、森林所有者等の意見をも十分に反映をさせまして、さらに十分検討してまいりたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/239
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240・芳賀貢
○芳賀委員 以上で、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/240
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241・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 神田厚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/241
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242・神田厚
○神田委員 先日に引き続きまして、森林組合法につきまして御質問を申し上げます。
最初に、木材の備蓄対策事業の実施状況、これは現在どういうふうな形で行われているのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/242
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243・藍原義邦
○藍原政府委員 木材備蓄につきましては、昭和四十九年度に、その前年等々に非常に木材の短期的な価格の上昇がございました。そういう短期的なギャップによります木材価格の高騰に対処するために、四十九年度から国の助成によりまして財団法人日本木材備蓄機構を設立いたしまして、木材備蓄対策事業を実施してまいっております。その基金は国及び木材関連業界からそれぞれ出しております。備蓄しております木材は当面製材でございますけれども、製材品につきましては柱とかあるいは母屋角とか土台とか、大体角材を中心にいたしております。建築用の構造材でございます。それからもう一方合板、これは建築用の普通合板、こういう二種類のものを備蓄いたしておりまして、昭和五十三年度の末には製材で大体十八万立方メートル、合板にいたしまして三百六十万枚の備蓄量を予定いたしております。
備蓄材は国内の製材業者等から買い入れまして、首都圏、中京圏近畿圏の三大都市圏におきましてこれを保管しております。そして、木材需要が逼迫し、価格が著しく高騰いたしましたとき、あるいは高騰するおそれのある場合、また災害の場合、こういうような異常時に放出することにしておりますけれども、その後現時点まではそういう状況がございませんでしたので、現在まだそういう方法、その実行には入っておりません。
また一方、情報事業といたしまして木材の需給及び価格に関する内外の情報を収集いたしまして、これを分析、検討の上関係業界に提供することにいたしております。
さらに、いま申し上げましたように、四十九年度以降、国の助成によりまして組織の拡充だとかあるいは倉庫の建設だとか、こういう実施体制の整備を進めておりますけれども、最近の木材需給というものを考えてみましたときに、木材備蓄のあり方につきましては、今後さらに私どもとしても検討し、その改善強化に努めていきたいというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/243
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244・神田厚
○神田委員 先日の質問で大きな問題につきましては御質問いたしましたものですから、きょうは少し細かい問題にわたりまして大変恐縮ですか、ひとつよろしくお願いをいたします。
ただいまの木材の備蓄の問題でありますけれども、現在ある備蓄機構というものが現実的には木材の価格の低迷に拍車をかけているのではないか、こういうような議論も一方にはあるわけでありますけれども、この備蓄機構と価格の問題というのはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/244
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245・石川弘
○石川政府委員 御指摘のように、大暴騰の後に実は備蓄の仕事を始めました。したがいまして、何よりも材をある程度持ちませんことにはこの事業は発足いたしませんので、四十九年からもっぱら材を買いましてこれを保管をするということで始めたわけでございますが、御指摘のように、四十八年から四十九年にかけまして住宅の建設は三割ダウンをするというようなこともございまして、その間輸入量等も調節はいたしておりますけれども、備蓄のように、明らかにそういう材価が高騰をしました場合に放出をするという前提の材がある程度積まれますことは、やはり業者の心理といたしまして、若干いままでと違った感触で市場を見るというようなことがあったかに聞いております。したがいまして、たとえば備蓄材を更新のために売買をするというような行為につきましても、それが心理的にいろいろと圧迫をするというようなことも聞いておりますので、最近の運用といたしましては、たとえば材価が最近非常に低迷ぎみに推移する中では更新のための売買もとめるというような形で、備蓄機構の運用につきましては慎重な上にも慎重を期しているわけでございます。
ある意味ではそういうことが木材の高騰を防ぐ題であるということで、その両方の間をとりまして、御承知のように、四十九年の七月から五十年の六月までの間に輸入総量のガイドラインとして約一千万立方というものを事前に米国に報告をいたしまして、その範囲内で秩序ある輸入をするというような立場でとられた措置でございます。
現段階で申し上げますと、むしろこの立場は若干変わっておりまして、日本のわれわれとしましては、木材というものをどちらかというと安定的に輸入する、その場合に、丸太を中心としたものを安定的に輸入したい。米国は、どちらかといいますと製材品を主に——主とは申しませんか、製材品のボリュームを上げながら、全体量としても輸出を伸ばしたいということでございまして、四十八年当時の事態とは若干趣を異にしておるわけでございますか、私どもは安定的に木材を入れる、需要以上に大きく輸入をさすとか、あるいは大暴騰しますような意味で輸入が極端に少ないということも困るわけでございますので、先ほどから申し上げましたように、各種の協議会等を通じまして短期の需給見通し等も立てまして対応をしていきたいというのが基本的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/245
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246・神田厚
○神田委員 そうしますと、現在の段階では輸入制限措置あるいはこれに類するようなものはとらない、こういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/246
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247・藍原義邦
○藍原政府委員 いま林政部長から御説明申し上げましたように、私どもは現時点で輸入制限というようなものは考えておりませんが、全般的に需給計画というものを短期的なものをつくりまして、その辺の調和の図れた安定的な輸入ができるような方途は考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/247
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248・神田厚
○神田委員 せっかくおられますから、政務次官にお伺いいたします。
木材の需給の安定と価格の問題につきまして、低迷した価格問題等も含めまして、政務次官はどのようなお考えをお持ちなのか、前向きな御答弁をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/248
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249・今井勇
○今井政府委員 先ほどから部長ないし長官が御答弁をいたしておりますが、この問題は基本的に二つの面があろうと思います。
一つは、木材を使っていただく、要するに需要を喚起することがまず重要な問題であります。なかんずく国産材、木造住宅でも日本の国内材を使うような、そういった需要喚起をまずどうしてもしなければいけません。このために政府としてはいろいろ手を講じておりますが、最終的には国民の皆さん方が、少々値は張るかもしれませんけれども国産材を使おうじゃないか、そういうふうなお気持ちをまず起こしていただくことをこいねがうわけでございます。
それから第二番目には、やはり先ほどから御議論があります輸入の問題を整然としたといいましょうか、適正な量に誘導をするということであろうと思います。だぶつきぎみの輸入をいたしますことは、市況を冷やすことであろうと思います。したがって、一年単位でありましたものを四半期ごとに需給計画を見直して、そして輸入をさせるというふうなこともいたしておることは先ほどからしばしば御答弁をいたしたとおりでございます。
この二つをかみ合わしていって、この際何とかして価格の安定、向上を図りたいというふうに基本的に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/249
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250・神田厚
○神田委員 木材の問題につきましては、なお議論のあるところでありますけれども、限られた時間でありますので、次に進ましていただきます。
次に、入会林野等の整備状況及び今後の対策についてお聞きをしたいのでありますけれども、この点につきまして御答弁をいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/250
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251・石川弘
○石川政府委員 入会林野の利用問題でございますが、御承知のように、四十一年に入会林野等近代化法ができまして、入会権等の所有権等の近代的権利への切りかえのために測量とか登記の問題とかいろいろなことを指導してまいりまして、現在約五十八万ヘクタールが近代化に着手しておりまして、そのうちの約三十二万ヘクタールにつきましては、いわゆる権利の移転等の近代化措置がとられたわけでございます。これは単に権利の整理ということだけにとどまりました場合には、そこに何と申しますか、新しい産業的な芽が何ら出ないわけでございますから、私どもといたしましては、さらに百万ヘクタールくらいのそういう入会林があるわけでございますので、既存のものも含めまして、入会林を権利の近代化をいたしますと同時に、そこを農林業のために活用するという事業の必要性を感じておりまして、五十二年度からは管理権関係の近代化のほかに、そこの土地を利用いたしまして農業なりあるいは林業にそれを活用していくための特別の助成事業を考えております。一地区約三千万円で、計画を含めまして三カ年で事業をやるというようなことも考えておりますが、このようなことを中心にいたしまして、さらに入会林野等を十分活用できるようにしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/251
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252・神田厚
○神田委員 入会林野等の高度利用促進対策、これは五十二年度からいろいろやられておりまして、五十四年度からの計画も聞きましたけれども、近代化のための高度利用の促進対策というのはどの程度進んでおるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/252
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253・石川弘
○石川政府委員 まだ五十二年から開始したばかりでございまして、全体で四十七地区を予定した予算を組みまして実行に努めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/253
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254・神田厚
○神田委員 次に、畜産振興との関係で、この活用の問題につきまして御質問を申し上げたいと思います。
構造改善局ですか、来られているかと思いますが、まず基本的には入会林野の活用の促進というものをもう少し図らなければならない、私はそういう考え方を持っておるわけです。飼料の問題やその他の問題にしましても、審議会の附帯決議などにそういう前向きなことが付されておるにもかかわらず、この活用が非常に少ない。一年間にわずか八百ヘクタールくらいしか、たとえば飼料の問題などでは活用されていない、こういう状況は非常にまずいと思うのです。この点、畜産振興のための入会林野の活用についてのお考え方を基本的にお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/254
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255・大場敏彦
○大場政府委員 これはあるいは畜産局の方から御答弁があった方がいいかもしれませんが、おっしゃるとおり、林野の問題とそれから畜産の問題と、畜産として利用しやすいところはまた同時に林野として非常に生産の高いところであるという意味で、その調整が現実にはなかなかむずかしい。
それからもう一つは、畜産として利用する場合に同時に林業経営として両立し得るかどうか、そういう面があるわけです。ことに、国土保全だとかあるいは森林経営、そういった面での問題もあるわけであります。ありますが、基本的には畜産的利用というものと林業的利用というものは両立し得る、メリット、デメリットを比較考量すればメリットの方が多い、私どもはかように思っております。林野の方の立場からしても、畜産というかっこうで利用してもらって、同時に労力補完という作用もありますし、畜産の方からすれば、林野を利用させてもらって飼料基盤の充実を図るということが基本的にはメリットであることは明らかでありますが、ただ具体的に、国有林あるいは公有林あるいは民有林を含めまして、権利調整というものはおっしゃるとおり非常にむずかしいわけで、その場合にいろいろ制度上の問題はあるわけであります。草地利用権の設定とか、そういった制度上の問題もありますが、そういった制度を活用しながら具体的な地域に即して地元でよく話し合いをしていただく。それから、地元で話し合いがつかないケースが往々国有林等であるわけでありますから、そういった場合には中央官庁の方に上げていただいて、私の局を含めまして畜産局あるいは林野庁で具体的な地域についていろいろ相談もしていかなければならない。いままでそれが十分であるかどうかということにつきましては、やはり今後努力をしなければならない余地が多分に残されている、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/255
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256・神田厚
○神田委員 局長は前畜産局長でありましたから、よく事情もおわかりでありましょうが、関連して、多少細かい問題で恐縮ですが、御質問を申し上げます。
昭和五十二年度から畜産局におきましては、国の補助融資事業として行う団体営の草地開発整備事業にかかわる林地放牧利用の事業、林間放牧の事業と言っておりますけれども、これを定めて、林野庁におきましては昨年十二月に「国有林野の活用に関する基本的事項の大臣公表」を改正して、畜産局が策定した林間放牧事業を国有林野の活用の対象事業とすることを制度化したわけであります。これは森林を林業経営との調和を図りつつ家畜の放牧に供するということでありますけれども、この取り扱いにつきまして畜産の側と林業の側とで多少意見の違ったところがあるということも仄聞しているわけでありますが、この件について具体的に御質問を申し上げたいと思うのであります。
第一番目に、基本的な考え方といたしまして、農業関係の国の補助融資等にかかわる事業は、農用地区域でしか行えないのかどうか、つまり例外的な措置というものはこの場合とり得ないのかどうかということについて、まずお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/256
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257・大場敏彦
○大場政府委員 農振地域及び農用地区域という制度のたてまえ上、いろいろ国の補助ないしは融資という助成手段につきましては、そういった地域に集中的、計画的に投入するということであります。ことに農振地域なかんずく農用地区域というところにそういう措置を講じているわけでありますけれども、原則として農業の助成というものはそこに投入するということであります。ただ、あくまで例外として、農用地区域あるいは農振地域の一体的な整備を図るために、やはり外の部分を取り込んでやった方がいい、やむを得ず取り込んだ方がいいという場合には、そういったところも取り込んで補助対象にするということはありますけれども、原則としては農振地域なかんずく農用地区域というところに重点的に投入する、そういった措置を講じております。もちろん、需給調整事業だとか価格安定事業だとか共済だとか、地域限定ができない助成事業については別でありますけれども、おおよその事業につきましては、御指摘のように、農用地区域あるいは農振地域というものに重点的に投入しているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/257
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258・神田厚
○神田委員 かつては例外的な措置として、そういうものをとったことが事例としてあったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/258
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259・大場敏彦
○大場政府委員 絶対的に農用地区域、農振地域でなければ助成対象にはしないということではありませんで、原則というものは、現実の運用としてはかなり厳しい運用をしております。農用地区域あるいは農振地域というものはかなり広範にとっておりますから、実際上はかなりの地域をカバーしているというふうに考えております。そういう意味で、原則というものは余りルーズには運用しておりません。もちろん例外というのはあり得るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/259
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260・神田厚
○神田委員 さらに具体的にお聞きしますが、林木生産を主として経営する林地を放牧のため利用する場合は、農用地区域に含めないと国の補助融資の対象とはならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/260
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261・大場敏彦
○大場政府委員 これは事業の種類によっても違うだろうと思うのです。たとえば、林地を混牧林として利用するというケースの場合には、当然放牧という形で利用するわけでありますから、林地に至る道路とか隔障物とか飲雑用水、そういった放牧施設が必要であるわけであります。そういうものは何も農用地区域でなくてもいい、農振地域であればいいということになっております。ただし、農振地域以外のところも含んでいる場合に、そういうものも農振地域として含めて一体的に整備した方がいいと判断をされる場合には、そういうものも取り込むという例外はもちろん設けてあります。
もう一つは、そういう単なる放牧ではなくて、その林地を開いて農用地として利用する場合、たとえば具体的に草地開発事業で開墾して利用する場合には、農用地区域であるということが必要であろうと思いますけれども、先生が御指摘になりましたのはそういうケースではございませんで、林業と畜産経営を両立させるという形での混牧林経営であると私は推量するわけでありますが、そういう場合には先ほど申し上げました放牧利用施設というものは補助の対象になり得る、こういうふうに考えております。
間違っておりましたら、畜産局の課長が来ておりますから答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/261
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262・神田厚
○神田委員 林木保護の観点から、森林の中の野草資源を活用しながらずっと放牧をしていくということになりますと、十年以上継続して放牧するということは現在の状況ではなかなかあり得ないというふうに考えております。したがって、農用地区域の指定というのはそういうことになりますと非常に合理的ではないと考えるのですが、その点はいかかでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/262
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263・大場敏彦
○大場政府委員 農用地区域の指定あるいは農振地域の指定基準というのは、かなり長い期間にわたってそこが農業として利用される、そういう見通しを持った広がりというものを指定するわけであります。そういう意味で、混牧林のところを農用地区域として指定する場合には、かなりの期間そこが混牧林として利用されるということを考えて指定するわけであります。地域によっては、混牧林としてそんなに長くは指定できないという林相とか実情があるわけでありますから、そういうものはもちろん農用地区域としての指定からは外す。しかし、相当長い期間混牧林として林業と畜産経営の調和がとり得るという見通しがあるものについては農用地区域として指定しておく、こういうことだろうと思うのです。
そこで、いま先生がおっしゃいましたのは、農用地区域ないしは農振地域として指定されなかった場合に助成対象から外れてしまうのではないだろうか、こういうお尋ねだろうと想像するわけでありますけれども、そういう場合には原則として、やはり助成対象になるのは農振地域であることを要します。ただし、農用地区域であることは必ずしも要しません。先ほど申し上げました放牧施設、飲雑用水をつくったり牧さくをつくったり道路を引っ張ったり、そういったものは農用地区域であることを要しません、農振地域であることは要しますけれども、そういう考え方であります。ただし、農振地域でなくても、農振地域と一体的に整備する必要があるという場合には、その外の区域も含めて補助対象とし得るわけでありますから、具体的に必要な場合にはそういう判断をしていった方がいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/263
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264・神田厚
○神田委員 大変むずかしい問題なのですけれども、農振地域への編入が最小限度必要だという場合、全体を農振地域にしてしまうという問題ですね。いわゆるべた張りということを言っておりますけれども、べた張り指定をしないで、施設を設置する空間部分だけにとめるべきではないかという意見もあるわけです。この辺はむずかしいところでありますけれども、林業を守るという立場から言えば、そういうべた張りというのは問題があるのではないかというふうな意見もありますけれども、その点についてはどういうお考えを持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/264
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265・大場敏彦
○大場政府委員 農振地域ないしは農用地区域の指定は、あくまでもゾーンというかっこうで一定の土地の広がりを前提にして指定するわけでありますから、やはり一体的にある一定の広がりを考えて指定する、こういうことだろうと思うのです。そういう意味で、ある小さい土地の再編というものを考えてそこを指定するということは、必ずしも制度そのものとなじむというふうには考えませんので、やはりある相当の広がりを対象にしていった方がいいだろう、こういうように考えます。
ただ、混牧林経営と畜産というものを両立させながら、一体的に林野を畜産的に利用していく、そういう場合の助成については、農振地域として指定されていない場合においても、それは一体的に農振地区として整備した方がいいかどうかということは、具体的な判断に即して対応していった方がいいのではないか、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/265
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266・神田厚
○神田委員 一方では放牧もしながら畜産を振興していかなければならない、食糧自給の問題もいろいろあります。また一方では、過度の放牧によって国土のいわゆる荒廃を招く、あるいはそういう意味では、林業の側ではそういう面も多少心配している面もある。この二つの観点から、国土保全上の問題でどういう程度の調整というものを考えたらいいのか。畜産の側と林野の側では、多少考え方が違うのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。局長と林野庁長官と両方から御答弁いただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/266
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267・山田績
○山田(績)説明員 いまのお話でございますが、大家畜の畜産の経営を今後発展させていくためには、どうしても粗飼料の基盤の確立ということが必要だ、草をつくらなければいかぬわけでございますが、このため既耕地とか未利用地というものを、低利用しているものをどんどん活用していく。現在八十三万ヘクタールくらいの土地でもって飼料作物をつくっておりますが、これを昭和六十年には百四十六万九千ヘクタールくらいまで伸ばしていかなければいけない。ところが、低利用地というものはなかなか開発適地が奥地化いたしてまいりまして、手に入りにくくなるということになりますと、今後はどうしても国土の大半を占める林地に入っていかなければならない。先生おっしゃるように、畜産の方から言えば、山をきれいにしまして、傾斜を修正しまして、そして機械の入るような草地にしていくということが利用の面から言えばこれは便利なわけです。しかし、山には山、森林には森林の水だとか、土壌の保全、特に火山灰土壌の日本の傾斜地を保全するという大切な木というものの使命がありますから、これを無視してしまって畜産が入っていったならば、長い目で見れば、そう畜産も存立しない、そういうようなまずい過去の事例も散見するわけであります。
でありますから、今後は林業との調和ということにおきましての草地畜産というものを山において確立していくということが一番大切だろうと思うわけであります。前の大場局長のときにも、そのために混牧林経営というような新しい予算をつくったのもそういうことでありまして、今後あらゆることにつきましてケース・バイ・ケース、林業との間の調和ということを、林業の方もまた最近非常に畜産のことを理解していただき、それについて関心を持っていただいておりますから、この両者が今後折あるごとに話しをしながら事業の円滑な推進をし、所期の目的を達成したらどうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/267
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268・藍原義邦
○藍原政府委員 いま畜産の方からお話があったわけでございますけれども、森林の立場から申し上げますと、先ほど来構造改善局長が御説明されましたが、これから狭い国土を有効に使うためには、農業なり林業なり畜産なりがいろいろな意味で協調していく必要が私もあるだろうと考えております。
それで、いま御指摘の、そういう場合に国土の保全等々の観点からどう見るかというお話でございますが、これは日本の国土が、それぞれ地域によりまして地質も違い、土壌も違い、あるいはその辺の降雨量も違っております。したがいまして、一概にはなかなか言えないと私も思います。
ただ、過去の一、二例で申し上げますと、たとえば保安林というものが指定されておりまして、保安林の中でもきわめて重要なものと、それに比べれば比較的度合いの低いものとございます。たとえば、傾斜で申しますと、二十五度以上というようなきついもの、それ以下のもの等々もございます。したがって、傾斜で言えば大体そういうようなもの以下のものを考えてみたい。またそれから、もし造林地の中に放牧されるような場合には、たとえば一・五メートルぐらいの樹高以下の低いものですと非常に樹木が被害を受ける度合いも多うございます。したがいまして、できるならばそれよりも高い樹高のものを対象にした地域においてやっていただきたい。その辺、それぞれのケース・バイ・ケースになろうかと思いますけれども、一、二の例を申し上げますと、そういう考え方になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/268
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269・神田厚
○神田委員 国有林で前に林間放牧についての実験事業を行いましたね。これは適正な実施基準を見出そう、こういう実験であったわけであります。この結果はどうであったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/269
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270・藍原義邦
○藍原政府委員 最終的な結果の取りまとめにつきましては五十三年度中にやる予定にいたしておりますけれども、現在までの実験結果でまとめたものを申し上げますと、たとえば林間の放牧可能日数は大体年間を通じました場合二百日くらいであろうというふうに考えておりますが、林地の草量、こういうもの等の条件から、一頭一年間飼育いたしますのに大体三ないし四ヘクタールの林地が必要でなかろうかということ、それから植生なり立地条件、主として傾斜でございますけれども、こういうものと植栽木の状況などから、いろいろの立地によりまして差がございますけれども、地ごしらえあるいは下刈りというような林業的な作業でございますが、こういうものの省力には効果があるというふうに結果が出ております。
それから、林間放牧によります造林木の被害でございますが、先ほど申し上げましたように、木の高さか高くなるに従いまして被害は減少しておりまして、大体一・五メートル以上になりますと被害はきわめて軽微になるという結果が出ております。
それから、林間放牧が森林土壌に及ぼす影響でございますけれども、やはり地表物の減少あるいは雨水の浸透能の低下、こういうものに影響を与えておりまして、特に牛道あるいは牛の休息地、こういうところで著しいという結果が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/270
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271・神田厚
○神田委員 そうしますと、結論的に言いますと、決定的な、完全な実施基準というのはまだはっきりとお持ちになれなかったわけですね。そういう中での林間放牧についての国有林野の活用というのは、やはりいろいろ問題も残しそうな感じでありますけれども、今後これについてどういうふうな対処をなさっていくのか、お聞かせいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/271
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272・藍原義邦
○藍原政府委員 いま申し上げましたように、最終的な細かい取りまとめは本年中にやる予定にいたしておりますけれども、基本的な考え方として、いま申し上げましたように、林業につきましても、一部の被害等々は出るにいたしましても、総体といたしまして省力化の効果はございますし、また林木の被害も少ないということで、林間放牧を、いま申し上げましたような適正な頭数の中でやっていただくのであれば、林業経営と畜産経営とが両立するであろうという大方の方向は出たわけでございます。したがいまして、先ほど先生おっしゃいましたように、国有林の活用の中の基本的な事項を改めまして昨年の暮れに出したわけでございますけれども、私どもといたしましても、今後国有林の中で、林業経営と調和を図りながら対応できる個所につきましては、混牧林等につきましても積極的な対応をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/272
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273・神田厚
○神田委員 いろいろ御質問申し上げましたが、構造改善の問題、いわゆる権利の問題ですね、細かいところにわたりまして林野の方の関係と多少調整を進めていただかなければならない問題がたくさんあると思うのですが、その辺のところを今後よく調整をしていただきたい、こういうふうなことをお願いいたしまして、時間も参りましたものですから、きょうはこれで質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/273
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274・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 津川武一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/274
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275・津川武一
○津川委員 森林組合のことについて前回基本的なことをお尋ねしましたので、きょうは森林の関係で働く労働者の待遇改善などで若干質問してみます。
一つは、林業労働者の就労改善についてです。林野庁の「林業労働者就労形態近代化調査結果報告書」を見ますと、事業協同組合、共同請負事業体などの常雇いの比率は、それぞれ五一%、四一%となっております。これらの事業体の半分が国公有林野等の事業を行っており、このうち過半数の事業体は、その年間事業量の七割以上を国、県に依存しております。したがって、労働者の待遇改善に対して国はかなり責任がございます。
ここで問題になるのは、これら事業体が、就業規則や各種手当等の適用がきわめて少ないという事実でございます。就業規則の規定でいいますと、二五%よりありません。このうち請負事業体は一一%。週休日のあるのは九%、このうち請負事業のものは五%。有給休暇、これもどっちも四%。通勤手当一二%、そのうちで請負事業は五%。超勤手当が三二%、請負の場合は一一%。こういう状態であります。また、雇用関係を文書で決めている者もわずか一一%。事業所による健康診断が、この調査でやると九%でございます。出かせぎ者でも健康診断は半分からやっております。国や自治体がこの林業労働者を無権利の状態に置いて使っているとも言える状態であります。
働く労働者は、日本の林業を守るために、この状態から抜け出すことを、その改善を切に望んでおります。したかいまして、林野庁の林業労働者の就労改善に対しての方針を伺わしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/275
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276・藍原義邦
○藍原政府委員 いま先生が御指摘になりました林業労働者の就労形態近代化調査結果でございますけれども、この調査は、就労条件等の程度は総体的に低位にあると思われております個人営の事業体あるいは林家、共同請負事業体、こういう比較的零細な事業体を対象にして、これに就労する労働者について調査を行ったものでございまして、確かに先生がおっしゃいましたように、問題点が非常に多いというふうにわれわれも理解をいたしております。
私どもといたしましては、この調査結果を踏まえて、五十一年度からの林業労務の改善促進事業の実施にこれを反映させていこうということで、指導上の留意事項としてその活用を現在しておるところでございますが、林業労働者の労働改善のこれからの考え方、労働条件の改善策でございますが、やはり林業の場というものを労働者にとりまして魅力のあるものにするためには、賃金だとかあるいは社会保障の面、こういう面の充実ということがこれから必要であろうというふうに私どもも考えております。
それから、そういうものの前提といたしましては、当然基盤の整備が必要でございますから、そういう意味では、構造改善事業というものも従来から進めてまいりましたし、今後もこれを進めていく必要があろうというふうに考えております。
いま申し上げましたような基盤の整備なり、魅力のある場としての賃金あるいは社会保障の面でのできる限りの改善、こういうものを図るためにも、労務改善推進員というものを設けまして、それぞれの地域におきましてその実態を把握し、それの改善の推進を図る推進員を置いたわけでございますし、林業労働者が非常に社会制度面でおくれております一面の退職金制度の問題がございますが、こういう問題につきまして、五十三年度からは、中小企業の退職金制度に乗り移れるような方途を考えて、この三年間で対応しようということで開始することにいたしておるわけでございます。
今後とも林業労働者の労働条件の改善あるいは社会保障面での改善、こういうものにつきましては前向きで取り組んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/276
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277・津川武一
○津川委員 せっかく林野庁が「林業労働者就労形態近代化調査結果報告書」を出したのです。この調査が終わってから具体的に就労改善についてやったことをひとつ教えていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/277
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278・藍原義邦
○藍原政府委員 いま申し上げました労務改善推進対策事業、それから中退共の退職金、これらがこの調査が出ましてから私どもがやりました事業でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/278
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279・津川武一
○津川委員 次は、林業労働者の振動病でございます。
この委員会でも何回かこれは問題になりました。いま林業労働者にとって非常に重大な問題は、振動障害から労働者を守るということでございます。この振動障害、白ろう病と認定された患者を見ますと、国有林野が三千二百人、民有林で千四百四十八人、これは五十二年三月末現在となっております。これはチェーンソーの総数二十三万四千六百七十三台、これに比べると余りにも少ない。不思議と言わなければならない。これは被害が少ないのではなく、実態把握に問題があるのじゃないかと思います。長野県の保健所で、チェーンソーを使っておる五百九十七八を調べてみたら、正常者か七十六人、有症率が八七・三%、こういう結果も出ております。私は、全部がこういう結果だとは思いませんが、とにかく問題がチェーンソーの使用にありますので、一体どのくらいかかっておるのか、この全的な把握なしには対策が立たないと思います。
そこで、悉皆調査的なものをやったことがあるのか。悉皆調査して全労働者に当たってみなければ対策は出てこないと思います。この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/279
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280・林部弘
○林部説明員 先生のいま御指摘になりましたような悉皆調査というのは行ったことはございませんが、先ほど先生が数字でお示しになりました振動障害の発生状況としては、一応この振動障害というもののとらまえ方がなかなか医学的にむずかしい面もございますので、私どもの把握しております振動障害の発生状況というのは、現在のところ、労災保険における業務上の認定者の数をもって把握するということしか正確な把握が困難であるということで、先ほどおっしゃいましたようないわゆる悉皆調査というものはやっておりませんけれども、一応障害者としては、ただいま申しましたようないわゆる労災の業務上の認定ベースでの把握という形でとらえておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/280
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281・津川武一
○津川委員 労働省は特殊健康診断実施通達を出してやっていますね。それでどのくらい青森県でやられておるかというと、二百五十人、二百四十四人、二百人、これくらいしかやっていません。それでもいい。この検診の結果、どうなっているでしょう。どのくらい有症率がありましたか、知らせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/281
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282・林部弘
○林部説明員 実態につきましては、検診の自主的な形で健康診断を行ったものの報告ベースと、それから検診の徹底を図るということで委託巡回検診をやっておるものと二つのベースがございますが、自主的な健康診断の報告のベースによりますと、検診を実施いたしました者のうち有所見者というのが約二六%でございますし、それから委託巡回検診のベースで申しますと、何らかの異常を訴えている者は四一%。もちろん検診の実施率が十分ではございませんから、少なくとも検診の対象としてとらまえたベースではいま申し上げたような異常所見者というものが発見されておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/282
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283・津川武一
○津川委員 林野庁、自主検診では二五%問題が出ている。委託すると四十数%出てくるわけね。
そこで、なぜやられないかという問題です。国で検診の費用をやはり出さなければ、これは問題にならないわけです。実際の検診では、そういうための技術の問題費用の問題、こういう点でなかなかやれない。特に弱い事業所のところはもっとやれないのです。したがって、これを国で援助して、検診を弱いところでもやるような形が必要になってきます。この点はいかがでございますか。調べてみると、ここのところにかなり問題があるようです。こういう点で、やる前に実態としてはどこかの地域をひとつまとめて、その地域の悉皆調査をしてみるか、どこかでサンプリングでやってみて抽出してやってみるか、こういうことがまず必要だと思いますが、この点がどうかということ。それから、こういう検診に対して労働省なり林野庁なり援助してあげなければやれないと思います。
この二点を、林野庁でも労働省でもどちらでもよろしいですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/283
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284・藍原義邦
○藍原政府委員 振動障害の問題につきましては、私どもも非常に残念なこと、遺憾なことだと思っております。
国有林の方につきましては、先ほど先生がおっしゃいましたように、三千人余出ておりますけれども、いま積極的に組合とも話し合いをいたしまして、無振動のリモコンチェーンソーを導入すべく一応話し合いがつきまして、今後積極的に対応し、振動障害が今後発生しないように対応してまいりたいと考えておりますが、民有林の問題につきましては、ただいま労働省の方からもお話がございましたように、把握が必ずしも十分でない面もございます。
私どもといたしましても、今後この問題につきましては労働省とも十分打ち合わせをしながら対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/284
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285・津川武一
○津川委員 そこで、健康診断した結果、何らかの所見があった場合に、どう健康管理しているかという問題です。通達によれば、管理Bは第二次検診が必要でございます。管理Cは必要な療養を受けなければなりません。ところが、このBの人は二次検診が必ずしもやられていません。Cの人は必要な療養を必ずしも受けておりません。ここに問題があるわけです。Bの人は必ず健康診断を精密検査の二次検査を受けるように、Cの人は必ず療養を受けるように、制度的な保障がなければ、制度的な取りきめがなければなかなかやれないのでございます。これを制度化してきちんとやらせることが必要と思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/285
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286・林部弘
○林部説明員 検診を受けた後の問題でございますが、現在この検診につきましては、振動障害の重大性、あるいは予防のためになかなかこれという的確な手段がない、決め手がない、そういうような現状にかんがみまして、私ども通達によって検診を実施するように事業者に指導いたしているところでございますが、検診について申しますと、先ほど御指摘がございましたような点に関しましては、いわゆる委託検診方式で、費用の面で若干下支えができるような措置も講じておるというようなこともございますし、実際にそのほかのチェーンソーを具体的に使う場合の専門的な知識と申しますか、特別な知識を得るということによって振動障害の防止ということに資する意味での特別教育のようなものを事業者ベースで行っていただくといったようなことなどいろいろな形で、現在通達による施策でございますけれども、そういうようなことを従来から繰り返し指導するということで、できるだけ健康診断の受診自体をアップさせる、さらには異常があればさらに二次検診を受ける、現実に問題があればさらに治療の方へ回していくというような流れを少しでもよくしたいということで努力を重ねているという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/286
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287・津川武一
○津川委員 一次検診はそれでも国から半分補助が出る。二次検診は費用が全部本人負担なんです。これでは二次検診を受けられるはずがないのです。Cの人が療養すると、療養費は自己負担なんです。したがって、療養したくてもできない状態なんです。したがって、やはり検診料を補助してあげなければ二次検診は受けられないし、Cのときも療養せいと言ってもこれでは受けられないのです。この二点をぜひぜひ進めていただきたい。この方針はあると思いますが、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/287
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288・藍原義邦
○藍原政府委員 ただいまの問題は労働省の方から後ほどお答えいただくことにいたしたいと思いますけれども、林野庁におきましては予防の問題を中心に対応しておりますけれども、先般労働省、それから林野庁、それから厚生省等々が一体になりまして、これからの振動障害に対する予防、治療その他の問題について考え方をまとめ、ただいま県の方にそれぞれ指示をいたしております。これはそれぞれの県におきましてそういう協議会を設け、そしてネットワークをつくり、その中で予防なり治療なりいろいろな問題に対応していこう、県、民有林、業者一体になりましてそういうものをつくり上げようということで方針を決めまして、県に流しております。したがいまして、林野庁といたしましては、今後さらに予防の面につきましては積極的に対応してまいりたいというふうに考えておりますが、検診その他の問題については労働省の方からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/288
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289・林部弘
○林部説明員 私どもといたしましては、先ほど委託巡回方式の健康診断のいわゆる受診率のアップに努めているというふうに申し上げたわけでございますが、この方式は、事業主には負担がかかりますけれども、委託方式でございますから、先ほども申しましたように、ある程度私どもの方でも費用を持つという形で検診を進めているわけでございますので、実態といたしましては、この検診の受診率のアップに努めるということで、受診全体の改善ということに資するのではないかという考え方で、いままでもっぱらいかにして受診状況の改善を図るかということで、いろいろの施策を講じてきているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/289
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290・津川武一
○津川委員 政務次官、これほど振動病が問題になっているのに自主検診は二五%ですよ。委託の場合でも四〇%ちょっと。これはなぜ進まないか。そこで、一次検診よりももっと検診してもらわなければならないのは二次検診なんです。これに国の補助が出ていかないで患者負担なんです。療養しなければならぬ者は自分の費用でやらなければならぬ、ここに問題がある。百万遍指示通達で指導することも必要だけれども、それでは問題は解決されない。この二次検診を受けるときの、療養するときの本人負担をなくさなければ問題は解決できない。これが最後の最大の方針なんですが、この点は政務次官に政府の方針、腹がありますか。ないならないでいいですが、これが大事だと思うので重ねてお尋ねする次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/290
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291・藍原義邦
○藍原政府委員 いま先生御指摘になりましたけれども、先ほど労働省の方から御説明ございましたように、二次検診については事業主負担ということで——事業主は非常に零細だということでなかなか検診が受けられないという実態かと思います。検診の問題については主として労働省でやっていただいておりますし、私どもは振動障害の問題として、先ほど申し上げましたように、労働省、林野庁等々が一体になりまして協議会等をつくっておりますし、そういう場でも積極的に労働省にいろいろお願いし、協調しながら対応してまいりたいというふうに考えております。また、そういう問題については私どもの方にパトロールを置いておりますし、指導をする人間から積極的にそういう対応ができるような指導を今後とも推進してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/291
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292・津川武一
○津川委員 私の聞き違い、覚え違い、調査違いかな、二次検診の場合は検診料は事業主負担でなく本人負担でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/292
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293・林部弘
○林部説明員 先ほど私が申し上げました検診のシステムの中では、私どもの指導としては事業主に負担をしていただきたいという指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/293
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294・津川武一
○津川委員 労働省は速やかに、二次検診の費用はだれが負担をしているか調べてここへ出していただきたいと思うのです。労働者のかなりの部分が自分で負担をしています。そういうことをしないで、これは事業主が負担しているなどということだと検診が進まない。これはいかがです。すぐ調査してこの委員会に報告してくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/294
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295・林部弘
○林部説明員 調査をいたしまして、結果がまとまりましたら御報告申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/295
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296・津川武一
○津川委員 今井政務次官、この二次検診は本人負担だったらできないですよ。その結果を聞いて、ひとつ必要な処置をしていただかなければならないと思うわけです。こんな状態で事を進めていっているのが問題なんです。
振動病で次の問題は、病気をどう考えているかという問題です。振動病になりますと手が冷たくなる。それから脈搏がなかなか触れなくなる、寒くすると白くなる、疲れるとしびれる、気が荒くなる、これがいま皆さんが考えている振動病。だが、わかるでしょう、あのたったったったっと出てくるやつ、それに対して、木を切るときには木から抵抗があるわけ。われわれが押されたときに、それを守るだけならその力でいい。一つの力、これは十の力にしましょう。それを振動病の場合は、チェーンソーの場合、その力を押し返さなければならないから二十の力が要るわけ。もう一つのスピードの問題。自動車で十キロのときにかけられたのは余りけがしない。六十キロ、八十キロでは一ころなんだ。この振動を受ける力、受けるスピードが速い。振動病の場合はその三つのものか組み合わさって起きるのです。
この手に来たものを押し返して、倍の力で、速度を調節しながら受けるのはこの関節なんだ。だから、チェーンソーを使っている人を見てごらんなさい。ここの力の入りぐあい。そして、受けるのはここなんだ。したがって、チェーンソーで振動病が起きた患者さんの六割ないし八割はここに問題がある。振動病の場合はこの関節の障害を見ているかという問題なんです。労災として認定した場合に、これに対する必要な処置をしているか。見方が違えば結果が違ってくる、これが二つ目の問題。
三つ目の問題は、振動病の場合は何といってもあの騒音。私は人間の生理を少し勉強させていただいた者でございます。この中で、神経の作用と人間の心理というものを少し見てきた。それで言うと、われわれの五感で一番困るのは騒音なんだ。あの振動病の騒音なんだ。ここから何が出てくるか、脳波で受けると、感情を扱う中枢部に脳波の異常が出ています。したがって、不眠が出てくる、いらいらが出てくる、自律神経失調が出てくる、ぜんそくが出てくる、胃腸障害が出てくる、これが振動病の本質です。政府は腕だけ見ているが、振動病をどう見るか、この点を伺わせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/296
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297・藍原義邦
○藍原説明員 お答え申します。
白ろう病その他の振動病に関しましては、医学専門家の先生に集まっていただきまして私どもの方の認定の業務に関して参考の意見をそれぞれ出していただいておるところでございます。私ども、労災の認定に当たりましては、これらの専門家の先生の御意見に従って認定をしているところでございます。特にこの振動病に関しましては、件数も非常に多く上っておるところから、認定基準を専門家の先生の御検討を煩わしまして作成をいたしまして地方に示し、迅速な認定に尽くしているところでございます。
その認定基準の考え方で申し上げますと、振動病等は振動の暴露を直接受ける部位に症状ないし障害があらわれるというのが一般的だということでございまして、先生御指摘のとおり、関節等に大変な症状があらわれてまいります。しかし、これらの症状は、発病の初期の段階におきましてもまた病状が進行した段階におきましても、手指あるいは前腕等の末梢循環障害なりあるいは運動機能障害などが出てきておりまして、それが医学的な経験則からして認定の基準ととってよろしい、こういう考え方に基づきまして私どもの方は労災認定につきましてはやっておるところでございます。
先生御指摘の全身症状的なものが出てくるのではないかという点でございますが、確かに直接振動暴露を受ける以外の部位につきましても、若干の問題点等が指摘されておるところはございますか、医学的な定説とまではまだ至っていないというふうに私どもは聞いておるところでございます。
ただ、労災の補償の段階におきましては、具体的に申しますと、労災の請求者がそれぞれの症状を訴えてまいりました場合に、それが全身的な症状である場合も含めまして、私どもその請求を受け付けた場合には、これが業務との因果関係があるかどうかを個別的に判断をいたしまして、因果関係が認められる場合は、労災の認定ができるようにいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/297
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298・津川武一
○津川委員 政府の、労働省の考え方は非常に反労働者的だ。労働者に血も涙もないと言ってもよろしいと思います。
〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
学者の意見が必ずしも統一されていない、そういうことであれば、この次にこの委員会かどこかに参考人に来ていただいて、学界の論議をしてもよろしゅうございます。この間のスモン病判決は、ある学者がビールスによるからといってビールス説を出して、薬剤の全面的な責任を免除したでしょう。ウイルス学会がそれに対して、とんでもないと言っているわけなんです。そこで、裁判がどの医者の見解を採用したかという問題です。労働者の労働災害を、労働者の幸せを案ずるとすれば、労働者の立場に労働省が立たなければならない。一部反動的な学者がおって、その委員会で必ずしも意見が一致しなかったというものを持ってきて、いま全身障害を否定するつもりなのか。
もう一回聞きます。労働省の考え方、政府の考え方は、振動病というのは末端の手指の病気である、加えて関節がやられる、加えて全身症状があるものだという認識であるのかどうか。学者の意見はどうあろうが、学者の意見を聞いて、労働省が到達している結論を聞かしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/298
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299・藍原義邦
○原説明員 再度の御指摘でございますが、私ども、専門家の御意見に従いまして定めました認定基準では、現在のところは、振動障害は、振動を直接受けますところの部位に症状があらわれてくるのを前提にして認定をする、こういう形になっております。先ほど申しましたように、症状が発展した段階におきましても、その局所の部位におきますところの変化はやはりあるわけでございますので、この点については、その部分をとらえて認定をすることで認定の方の落ちはないのではないだろうかと私どもは存じておるところでございます。
なお、先ほど申しましたように、局所の範囲を超えまして、全身症状的に障害があらわれてきた場合につきましては、個別の判断で因果関係を検討いたしまして補償の対象になる場合がございますし、さらにまた、現に治療している人々等が自覚症状などを訴える場合がございます。これが自律神経やあるいは交感神経中枢に関係するようなものの訴えがある場合に、これに関連した薬剤を投与することは、治療の指針の中でも私ども認めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/299
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300・津川武一
○津川委員 労働省の基準監督局が発行しておる昭和五十一年六月の「振動障害の治療」の中に、局所のほかに、筋萎縮、末梢神経麻痺、ひじ関節等の骨変化、精神的不安定、神経症状、吐き気、目まい等があらわれるというふうに「その他の症状」として書いております。これは労働省が振動病というのは関節の病気である、全身の病気であるということを認めたという証拠でございますか。そう認めて対策を進めるべきだと私は思うわけです。いかがでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/300
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301・藍原義邦
○原説明員 お答えいたします。
先生御指摘の、振動障害の治療に関する私どもの方の作成しましたテキストの中に、症度分類がございます。御指摘のとおり、症度四につきましては、精神的不安定性や神経症様症状の問題点があらわれることを規定しておるわけでございますが、これは私ども自覚症状的なものを分類をしておるという形で認識をしておるところでございます。ではございますが、こういう訴えがございますこともございますし、関係もあるかと思いますので、投薬等につきましては、治療の過程におきましてこの関係の投薬を行うことは治療指針で認めていこう、こういう形にしていることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/301
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302・津川武一
○津川委員 労働省、冗談言っては困るよ。自覚症というのは何のことだ。ここには神経麻痺があると言っているのだよ。筋萎縮があると言っているのだよ。骨変化があると言っているのだよ。だから、ちゃんとそういう点で全身障害として認めていることになる。そうじゃないですか。筋萎縮だとか神経麻痺だとか骨の関節の変化がどうして自覚症状なんです。れっきとした全身症状があるので、私は、全身障害と認めて対策を講ずべきだと思いますが、いかがでございます。
この点の答弁を得て、もし不足があればまたやりますけれども、質問を終わりたいと思いますが、いかがでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/302
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303・藍原義邦
○原説明員 御指摘の症度四におきまして、筋萎縮あるいは骨変化等の規定がございます。ここのところは一般的な、客観的、器質的な変化等を含めたものが列記されておるわけでございますが、この全体の……(津川委員「全身障害と認めるか認めないかということだ。それを答えればいいんだよ」と呼ぶ)労災認定の中では、認定基準的に、具体列挙は現在の段階ではいたしておりませんが、先ほど申しましたように、申請がございました場合に、個別的にその因果関係は判断をいたすことといたしておりますので、その限りでは救われる場合があると私どもは存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/303
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304・津川武一
○津川委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/304
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305・中尾栄一
○中尾委員長 これにて内閣提出、森林組合法案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/305
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306・中尾栄一
○中尾委員長 この際、理事会における協議により、私の手元で起草いたしました本案に対する修正案を提出いたします。
—————————————
森林組合法案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/306
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307・中尾栄一
○中尾委員長 森林組合法案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
修正案はお手元に配付いたしましたとおりでございます。その案文の朗読は省略して、以下修正の趣旨を簡単に申し上げます。
目下、農林省の省名を農林水産省に変更することなどを内容とする農林省設置法の一部を改正する法律案が本院に提出されておりますが、同法律案の審議状況にかんがみまして、この際、農林省の省名が農林水産省に改められるまでの間は、本森林組合法案中に「農林水産大臣」とあるのは「農林大臣」と、また「農林水産省令」とあるのは「農林省令」と、それぞれ読みかえる旨の規定を本案の附則に追加するものとしたことであります。
以上が修正の趣旨及び内容であります。
何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/307
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308・中尾栄一
○中尾委員長 修正案に対して別段御発言もないようでありますので、原案並びに修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより森林組合法案について採決いたします。
まず、委員長提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/308
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309・中尾栄一
○中尾委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/309
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310・中尾栄一
○中尾委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/310
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311・中尾栄一
○中尾委員長 この際、本案に対し、柴田健治君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。柴田健治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/311
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312・柴田健治
○柴田(健)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、森林組合法案に対する附帯決議案について、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
森林組合法案に対する附帯決議(案)
森林の有する各種の機能に対する国民の要請が従来にもまして増大している一方、森林及び林業をめぐる諸条件が急速に悪化し、このため国内の林業活動は停滞の度を深め、森林資源の維持培養並びに国内林業の振興にとつて極めて憂慮すべき状況となつている。
よつて、この際政府は、森林組合制度の単独法化を契機として、森林組合が、このような状況の中で、地域における林業活動の中核的担い手として自らの体質を強化すると同時に、その充実した活動を通して課せられた役割を果たし得るよう左記事項について適切な措置を講ずべきである。
記
一、近年における木材需給の動向にかんがみ、国内森林資源の保続培養及び国産材の需要拡大のための措置を強化し、その活用についての試験研究の拡充等を図るとともに、的確な木材需給計画の樹立とこれに基づく外材の秩序ある輸入を図るなど木材需給の調整と木材価格の安定を図るための措置を講ずること。
二、林業従事者の経営意欲をたかめ、地域林業の発展に資するため、造林、林道等の生産基盤の整備に対する国の補助及び融資の一層の強化を図るとともに農山村の環境整備に配慮した林業構造改善、山村振興等の諸施策の拡充に努めること。
特に、分収造林の推進について必要な施策の強化を図ること。
三、間伐の重要性にかんがみ、森林組合が行う間伐材の搬出・集出荷及び販売の事業に必要な施設等に対する助成並びに間伐材の計画生産を円滑に行うための間伐材安定流通対策の充実に努めるとともに需要拡大のための援助措置を講ずること。
四、林業後継者の育成を図るため、地域社会との連けいを強化しつつ、指導体制の整備、後継者によるグループ活動の活発化、拠点となる施設の整備等の施策を充実すること。また、地域に即した林業技術の開発を図るため林業試験研究機関の強化拡充を図ること。
五、森林災害共済事業の明定に伴い、この事業の健全かつ安定的な経営と共済加入者の保護を図るため、共済運営団体の強化、共済への加入拡大その他必要な措置を講ずるとともに森林国営保険との調整に留意しつつ、更に事故対象の拡大を図るなど森林災害による損失の合理的てん補制度の整備について検討すること。
六、森林組合が林業活動の中核的担い手として造林、林産、販購買等の事業を実施し易い条件を整備し、また信用事業を行い得るための基本的条件の整備等について早急に検討を行うとともに森林組合等の活動に必要な資金については、制度金融はもとより農協等の系統資金の導入を図るほか、更にその円滑な確保について対処し得る方途について検討し、その実現に努めること。
七、森林組合の作業班の活動分野の拡大に伴い、その育成強化、作業班員に対する社会保障制度の拡充及び雇用の安定等労働条件の向上について格段の努力をするとともに班員の福利厚生施設の増強に努めること。また、林業労働災害及び振動障害等職業病の発生防止のため適切な措置を講ずること。
八、監査事業の実施に当たつては、森林組合の監事が行う自主監査、行政庁が実施する検査との相互補完に十分配慮し、地域の実態に即した森林組合の適切な活動の推進に努め、また、役職員の講習等を充実して、管理運営体制の強化を図ること。
九、入会林野等の整備の促進に努めるとともに、整備の終了した当該林野の高度利用を図るため、農林業を一体とした施策の拡充を図ること。
また、入会林野等の整備後の森林を基盤として設立される生産森林組合については、適正な経営面積の確保、円滑な事業運営等について森林組合との調和を図りながら指導に努めること。
十、森林組合及び生産森林組合が総代会制を採用する場合には、特に慎重を期し、全組合員の意思が十分に反映されるよう指導すること。
右決議する。
以上の附帯決議案の趣旨につきましては、すべて質疑の過程で十分論議されており、委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/312
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313・中尾栄一
○中尾委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本動議に対して、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
柴田健治君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/313
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314・中尾栄一
○中尾委員長 起立総員。よって、動議のごとく決しました。
この際、ただいまの附帯決議について政府より所信を求めます。安倍農林大臣臨時代理。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/314
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315・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいる所存でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/315
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316・中尾栄一
○中尾委員長 なお、本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/316
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317・中尾栄一
○中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/317
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318・中尾栄一
○中尾委員長 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。安倍農林大臣臨時代理。
—————————————
農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/318
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319・安倍晋太郎
○安倍国務大臣 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案につき、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
農業災害補償制度につきましては、制度創設以来、農業経営の安定のため多大の寄与をしてまいったことは御承知のとおりでありますが、最近における農業事情の変化に対応して、すでに本制度の対象とされている麦、果樹等以外の畑作物及び園芸施設について農業災害補償の制度を創設することが関係各方面から強く要請されております。
政府におきましては、このような事情にかんがみ、昭和四十九年度以降、畑作物共済及び園芸施設共済に関する臨時措置法に基づいて畑作物共済及び園芸施設共済の制度化のための試験を行ってきたのでありますが、その実績等を踏まえて、昭和五十四年度から恒久的な畑作物共済制度と園芸施設共済制度とを創設することとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
まず第一に、畑作物共済及び園芸施設共済の実施体制でありますが、農作物共済等の場合と同様に、農業共済組合または市町村の共済事業、農業共済組合連合会の保険事業及び政府の再保険事業により行うことといたしております。
第二に、畑作物共済の事業の内容であります。まず、対象は、バレイショ、大豆、小豆、インゲン、てん菜及びサトウキビ並びに政令で指定する農作物といたしております。次に、共済金は、気象災害、病虫害等による対象農作物の減収量が一定割合を超えた場合に、その超えた部分の数量に応じて支払うことといたしております。
第三に、園芸施設共済の事業の内容であります。まず、対象は、温室等の特定園芸施設とし、このほか、これにあわせて暖房施設等の付帯施設または施設内農作物も対象とすることができることといたしております。次に、共済金は、気象災害、火災等によりこれらの対象につき生じた損害の程度に応じて支払うことといたしております。
第四に、畑作物共済及び園芸施設共済の加入は、農業者の任意といたしておりますが、事業の安定的な運営ができるよう、農業共済組合等がその旨の議決をした場合には、関係農業者が加入義務を負うこととする道も開いております。
第五に、共済掛金の国庫負担でありますが、農家負担の軽減を図るため、畑作物共済については共済掛金の五分の三を、また、園芸施設共済については共済掛金の二分の一を国庫か負担することといたしております。
第六に、農業共済基金の業務範囲の拡大でありまして、基金は、畑作物共済及び園芸施設共済の共済金等の支払いの円滑化に資するため、必要な資金の融通等ができることといたしております。
なお、以上のほか、農業共済団体等の家畜診療施設の法的位置づけの明確化を行うとともに、所要の規定の整備を行うことといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/319
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320・中尾栄一
○中尾委員長 引き続き、補足説明を聴取いたします。今村農林経済局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/320
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321・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
この法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足させていただきます。
まず第一に、畑作物共済の共済関係につきましては、農業者が農作物の種類ごとに申し込みをし、組合等かこれを承諾することによって成立する仕組みといたしております。また、この承諾は、当該農業者が栽培するすべての対象農作物について申し込みがされている場合にすることといたしております。
第二に、畑作物共済の事業の内容につきましては、農作物の種類またはその品種等による区分ごとに、風水害等の気象災害、火災、病虫害及び鳥獣害による減収量が、バレイショ、てん菜、サトウキビ及び大豆にあっては二割を、小豆及びインゲンにあっては三割を超えた場合に、単位当たり共済金額に、その超えた部分の数量を乗じて得た金額を共済金として支払うことといたしております。
なお、共済金額につきましては、単位当たり共済金額に、バレイショ、てん菜、サトウキビ及び大豆にあっては基準収穫量の八割を、小豆及びインゲンにあっては同じく七割を乗じて得た金額とすることといたしております。
第三に、園芸施設共済の共済関係につきましては、農業者が温室等の特定園芸施設ごとに申し込みをし、組合等がこれを承諾することによって成立する仕組みといたしております。また、この承諾は、当該農業者が所有するすべての特定園芸施設について申し込みがされている場合にすることといたしております。
第四に、園芸施設共済の事業の内容につきましては、温室等の特定園芸施設及びこれにあわせて共済に付された暖房施設等の付帯施設または施設内農作物ごとに、風水害等の気象災害、火災、破裂、爆発等によって生じた損害の額に、共済金額の共済価額に対する割合を乗じて得た金額を共済金として支払うことといたしております。
なお、共済金額につきましては、共済価額の八割を超えない範囲内で、農業者が選択することといたしております。
第五に、畑作物共済及び園芸施設共済における責任の分担につきましては、組合等がその共済責任のうち一〇%を保有し、残りの九〇%を農業共済組合連合会が保険することといたしております。また、政府は、農業共済組合連合会の保険責任のうち、畑作物共済にあっては通常標準被害率を超える部分の九五%を、園芸施設共済にあっては主務大臣が定める一定の率を超える部分の九五%を再保険することといたしております。
なお、園芸施設共済における異常事故につきましては、組合等が負う共済責任の全額を農業共済組合連合会が保険し、政府がさらにその全額を再保険することといたしております。
第六に、畑作物共済及び園芸施設共済の共済掛金率につきましては、主務大臣が過去の被害率を基礎として定める率を下らない範囲内で組合等か定款等で定めることといたしております。
第七に、畑作物共済及び園芸施設共済についての政府の再保険事業の経理は、農業共済再保険特別会計において行うものとし、農業共済再保険特別会計法につきまして所要の規定の整備を行うことといたしております。
最後に、この法律の施行につきましては、準備期間を考慮して、昭和五十四年度からといたしております。
以上をもちまして、農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/321
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322・中尾栄一
○中尾委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
次回は、明十二日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時四十七分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01219780411/322
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