1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年四月二十六日(水曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 中尾 栄一君
理事 片岡 清一君 理事 羽田 孜君
理事 林 義郎君 理事 山崎平八郎君
理事 竹内 猛君 理事 馬場 昇君
理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君
江藤 隆美君 加藤 紘一君
金子 岩三君 久野 忠治君
熊谷 義雄君 倉成 正君
國場 幸昌君 佐藤 隆君
玉沢徳一郎君 福島 譲二君
堀之内久男君 森 清君
森田 欽二君 小川 国彦君
角屋堅次郎君 島田 琢郎君
新盛 辰雄君 野坂 浩賢君
芳賀 貢君 日野 市朗君
武田 一夫君 吉浦 忠治君
神田 厚君 津川 武一君
菊池福治郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 中川 一郎君
出席政府委員
農林政務次官 今井 勇君
農林大臣官房長 松本 作衞君
農林省農林経済
局長 今村 宣夫君
農林省構造改善
局長 大場 敏彦君
委員外の出席者
厚生省年金局企
画課長 山本 純男君
参 考 人
(農業者年金基
金理事長) 中野 和仁君
参 考 人
(農林漁業団体
職員共済組合理
事長) 吉田 和雄君
農林水産委員会
調査室長 尾崎 毅君
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委員の異動
四月二十六日
辞任 補欠選任
野村 光雄君 正木 良明君
津川 武一君 寺前 巖君
同日
辞任 補欠選任
正木 良明君 野村 光雄君
寺前 巖君 津川 武一君
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四月二十五日
農畜産物輸入自由化等の問題に関する請願(葉
梨信行君紹介)(第三三五四号)
同(中山利生君紹介)(第三三六五号)
韓国漁船の操業規制並びに外国漁船による被害
救済等に関する請願(川田正則君紹介)(第三
四一五号)
国民のための国有林経営に関する請願(北山愛
郎君紹介)(第三四一六号)
米の新生産調整反対及び農業政策の転換に関す
る請願(北山愛郎君紹介)(第三四一七号)
中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願(竹内
猛君紹介)(第三四一八号)
同(平林剛君紹介)(第三四一九号)
同外一件(武藤山治君紹介)(第三四六二号)
同(八百板正君紹介)(第三四六三号)
米の生産調整反対及び地域農業の振興等に関す
る請願(瀬野栄次郎君紹介)(第三四六一号)
林業振興に関する決議の早期実施に関する請願
(渡部行雄君紹介)(第三五四八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
閣提出第五八号)
昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員
共済組合からの年金の額の改定に関する法律等
の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/0
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001・中尾栄一
○中尾委員長 これより会議を開きます。
農業者年金基金法の一部を改正する法律案及び昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。
両案について参考人から意見を聴取することといたします。
本日御出席の参考人は、農業者年金基金理事長中野和仁君、農林漁業団体職員共済組合理事長吉田和雄君の方々であります。
この際、参考人に申し上げます。
参考人には、御多忙中にもかかわらず委員会に御出席を賜りましたこと、まことにありがとうございます。両案につきまして、参考人のそれぞれのお立場から忌輝ない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
なお、議事の都合上、まず御意見を一人十五分、中野参考人、吉田参考人の順序でお述べをいただき、その後、委員から質疑がございますので、これにお答えいただくことにいたしたいと存じます。
それでは、中野参考人にお願いいたします。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/1
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002・中野和仁
○中野参考人 農業者年金基金理事長の中野でございます。
私どもの立場は、農業者年金制度の業務を的確かつ円滑に運営をするという立場にあるわけでございますが、そういう観点から、この制度の現状あるいは問題点等申し上げたいと思います。
農業者年金基金制度は、発足をいたしましてことし八年目でございます。一言で申し上げますと、業務はおおむね順調に進んでまいっておりまして、われわれの見方からいたしますと、農村に定着をしつつあるというふうに考えております。
若干現状を申し上げますと、農業者年金に対する加入の状況でございますが、百十三万をちょっと割ったところでございまして、最近は大体この線を維持しておるわけでございます。その中で当然加入者が約八十八万。われわれの方の当初調べました加入予定者からいたしますと八七%の加入率ということになっております。それから、そのほか後継者等の任意加入者がございますが、これが二十四万人ということでございまして、加入率はなかなかつかみにくいわけでございますが、約四六%というふうにわれわれ把握しておるわけでございます。
そして、この八年間、この制度でございますので保険料をいただくわけでございますが、すでに五十二年度末で千三百三十六億円の保険料の徴収がございます。保険料の収納率は九八%ということで、大部分農協の口座引き落としになっておりますので、そういう事態になっております。
かつ、前々回の制度改正で前納制度が認められまして、前納の奨励をいたしました結果、五十一万人の農家の方が前納されまして、約四七%に達しております。
この制度の本命であります経営移譲年金の支給の状況を申し上げますと、経営移譲年金は昭和五十一年から始まったわけでございまして、二年余を経ておりますが、その間経営移譲年金の給付の申請がございました件数は約六万でございます。すでに裁定をいたしまして年金を支給しておりますのが約五万七百ということになっております。その中で、後継者に対します経営移譲が九三%でございまして、その後継者の平均年齢は三十・八歳ということになっておるわけでございます。
それから前々回の制度改正によりまして、後継者移譲につきましても、所有権の移転ではなくて使用収益権の設定もよろしいということになったこともありましたし、それから給付額が上がったということもございまして、このように当初の見込みよりもかなりふえて移譲が行われておるということでございます。
それからなお、使用収益権の設定によります経営移譲が最近では全体の六割近くを占めておるということになっております。
また、この制度におきましては、年金の支給にあわせまして被保険者のために農地の買い入れ、売り渡し、あるいは被保険者が離農者から農地を買うための融資ということをやっておるわけでございますが、農地の買い入れにつきましては、制度発足以来五十一億円、売り渡しが四十一億円、融資は百六十六億円ということになっております。なおこれは、農地の買い入れ、売り渡しにつきましては北海道がほとんど大部分でございます。融資につきましては、最近は大体北海道と内地が半々というふうになってきております。
それからまた、この制度におきましては、法律ができました際に、すでに五十五歳を超えておる方に対しまして離農給付金が支給される制度がございますが、それが発足以来一万六千八百件、金額にいたしまして八十一億円の支給をしておるところでございます。
こういうふうに運営をしてまいりまして、現在の年金資産というものはこの三月で二千二百八十九億円ということになって、順調にふえておるわけでございます。
以上が現状でございますが、われわれこの制度を運営しておりまして気づきましたことを若干次に申し上げてみたいと思います。
その一つは、この年金制度に対する加入の問題でございます。この中で一番問題になりますのは、若い人の加入が非常に少ないということでございます。特に後継者の加入が少ないというふうになっております。年齢的に見ましても、四十歳以下でこの制度に入っておる方が、全体の百十三万近い中での二・五%でございます。後継者の加入を今後積極的にやらなければならないというふうに思われるわけでございます。
それから、加入の問題につきまして二番目に気づきますことは、地域差が非常にあるということでございます。農業地帯といいましょうか、北海道、東北、北陸あるいは九州というところの多くの県は、当然加入者はおおむね九〇%以上入っておるということになっておるわけでございますが、大都市圏を中心にしました都市近郊の県では、それが六割とか七割とかいうふうな状況になっておるわけでございまして、かなり地域差がございます。
それから、もうすでに経営移譲年金をいただいておる、後継者が経営主になっておるわけでございますが、その人で国民年金に入っておりながらこの農業者年金には入らないという方が非常に多いわけでございまして、われわれの方の調査によりますと、昨年では、国民年金に入っておりながら農業者年金にまだ入っていない後継者、現在の経営主でありますが、これが八割以上あるわけでございまして、われわれは、こういう方はおやじさんが年金をもらっておるわけでございますから、後継者はぜひ入ってほしいというふうにいま指導をしておるところでございます。
それから、その次の加入についての問題は、現在まで運営しておりますところ、ついうっかり保険料を払い損なった、そのために時効にかかってしまって、これから納めてももう年金をいただく資格がないという方がまだかなりあるわけでございます。それからまた、当初からこの制度についての理解が、ずいぶんいろいろ趣旨の徹底を図ったつもりでございますけれども、まだその徹底が足りない面もございましたでしょうし、あるいは本人がいやだといった場合もありまして、まだ未加入の方もあるわけでございまして、先ほど申し上げました当然加入者の全国の加入率が八七%でございますから、残りの一三%はあるということでございますので、これを何とかしなければならない。と申しますのは、われわれ実務をやっておりましても、よく末端の農協あるいは農業委員会から何とかならないかということをいろいろ言ってこられるわけでございます。
以上が加入の問題でございます。
次が経営移譲の問題でございます。
先ほど申し上げましたように、当初は、おやじさんが息子さんに土地の名義を変えてまで経営を六十になったら譲るというのはなかなか容易じゃないんじゃないかということが言われておりましたし、そういうこともありまして、当初の予算上の見込みでは四割ぐらいが経営移譲するのではないかというふうに考えられておったわけでございますが、この二年余の実績を見ますと、すでに五割を超えております。もう少しいくのではないかというふうに思っておるわけでございますが、ここで一つ問題になりますのは、使用収益権の設定によって経営移譲が行われるということになりますと、所有権を移すよりはある意味では安易になるわけでございまして、経営を移譲した以上は、農協の組合員の名前も変えるとか、あるいは米の売り渡しの名義は子供になるとか、あるいは税金も息子の名前で納めるというような指導をしておりますけれども、実質的な経営移譲が本当に行われて若返りが図られるということがこれからの非常に大事な問題だと考えておるわけでございます。
それからもう一つの問題は、業務運営体制の問題でございます。御承知のように、この利度は末端におきましては農協と農業委員会に業務を委託しております。これが全国に何千とあるわけでございまして、やはりどうしても熱心なところ、余り熱心でないところが出てまいるわけでございますので、われわれとしましては、絶えず農協あるいは農業委員会の幹部の方々の御理解を得ると同時に、担当者の交代をなるべく避けていただいて、この仕事に精通してほしいということで話をしておるわけでございますが、やはり農協あるいは農業委員会によりましては保険料の取り忘れ等々問題を生ずる場合もあるということが問題であるわけでございます。
以上が、われわれ運営上気のつきました問題でございますが、先ほど申し上げましたように、加入の問題といたしまして、保険料の掛け忘れの方、あるいは未加入の方につきまして、今回制度改正が行われるということで、私たちも非常にこれに期待しておるわけでございますので、今度の改正案をぜひ早期に成立させていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思うわけでございます。これが成立いたしました暁におきましては、われわれとしましては、未納者のリストを作成し、また未加入者につきましては洗い直しをいたしまして、本当に落ちこぼれのないように万全を期したいと考えておるわけでございます。
それからなお、私たち現地に参りましてもそうでございますが、また国会におかれましてもかつてから附帯決議がございまして、老齢年金の問題とかあるいは婦人の加入の問題あるいは遺族年金の問題等々、問題がまだあるようでございます。この点につきましては幸い農林省におきましてただいま研究会を開いて、それをどう取り扱うかということを研究されておるようでありますので、われわれとしましてはその結論が速やかに出ますよう期待をしているところでございます。
以上、簡単でござますが、農業者年金制度の現状、問題点等々申し上げまして、私の意見開陳にさせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/2
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003・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 どうもありがとうございました。
次に、吉田参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/3
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004・吉田和雄
○吉田参考人 まず最初に、私どもの農林年金につきましてはいままで先生方から一方ならぬお世話をいただきましたことにつきまして、厚くお礼を申し上げます。
それでは、指摘がございました今度の改正法案と、これに関連いたしまして、農林年金制度を取り巻く情勢、それから展望並びに問題点につきまして、所感の一端を述べさせていただきたいと思います。
第一に、今回の改正法案は、先日農林省より御説明がありましたように、国家公務員共済組合その他の共済組合の改善と横並びの内容でありまして、公的年金制度として当然の改正であると考えております。すなわち、公務員の給与の上昇率に合わせまして、農林年金も年金の額を引き上げるとともに、年金の最低保障額を引き上げるほか、遺族年金の寡婦加算額につきましても引き上げを図るという内容でございます。
また、以上のような年金の改善にあわせまして、掛金と給付の計算のもとになります標準給与の上限の三十六万円を三十八万円に、下限の六万二千円を六万六千円に引き上げることになっておりまして、これも、私どもと最もよく似ております私学共済と共通の改善となっております。
農林年金は、先生方が御存じのとおり、同じ地域で同じような仕事をしております市町村職員のつくっております共済組合と同様な制度を設けて、農林漁業団体に勤めております役職員の身分の安定をさせようということで、先生方のお力を得ましてつくられたものであります。
おかげさまをもちまして、数度にわたり制度の改善をしていただきまして、今日ではこれらの公務員の共済組合と、給付の条件につきましてはほとんど遜色のないものになっております。したがいまして、今後はこれらの共済組合と同様な改善をしていただきたいというふうに考えております。今回の改正法案も、この趣旨に沿ったものと承知しておりますので、十分な御審議をいただくことはもちろんでございますけれども、あわせましてできる限り早目に成立さしていただきますようにお願いする次第でございます。
次に、農林年金制度を取り巻く情勢でありますが、先生方もすでに御承知のように、高齢化社会の急速な到来に対応いたしまして、今後年金制度をどのように仕組むべきかということにつきまして、昨年の暮れに政府の各審議機関なり諮問機関から、相次いで建議なり意見書が出されておるのであります。これらの建議、意見につきましては、後ほど農林年金の性格、特徴を述べました後で触れたいというふうに考えております。
農林年金の沿革あるいは特色ということについて、もう御承知かと思いますが、あえて申しますと、農林年金制度は、全農林漁業団体の役職員がその身分安定のために総力を挙げてその設立を切望いたしまして、当時国民年金制度について政府内部で検討が進められていたこともありまして、厚生年金から分離、独立するということにつきましてはかなりの反対意見もあり、学識者あるいはマスコミ等の反対世論が発表されておったのでありますが、役職員の熱意は非常にかたくて、国会議員の先生の方々にもそれが反映をいたしまして、一方ならぬお力添えもありまして、ようやく法案提出となりまして、成立をしたいきさつがございます。
そして、今日では二十年目を迎えておりますが、七万人に及ぶ年金受給者がもうすでに発生をしております。農林年金があるがために、農林漁業団体に奉職していたことを感謝し、年金改定のたびごとに幾多の年金者から感謝の手紙をいただいておる実情でございます。
一方、こうした先輩の姿を見たり聞いたりいたしまして、現職の役職員もこの制度の育成発展を心から望んでおりまして、今日では完全にこの農林年金の制度は職域に定着をしておるのでございます。それは、農林年金制度には、共済組合という職域年金であるために大きな特徴があると考えております。
その特徴の一端に触れますと、第一には給付条件が他の共済組合と同様に手厚くなっておるということであります。
第二には、積立金の運用が公的年金という性格から幾分かの限定はございますけれども、ほとんど自主的に運用ができる仕組みになっておりまして、たとえば福祉事業等につきましても大幅な積立金の還元をいたしておるということであります。
第三には、積立金の自主運用と関連いたしまして、いま申し上げましたように福祉事業がかなり行われておりまして、保養所の経営はもちろんのこと、役職員の住宅取得のための資金の貸し付け、あるいは団体が必要とする看護婦等の宿舎あるいは事務所を設立するための資金の融資等をしておりまして、職員、団体両方から非常に感謝をされておるという状況であります。
以上、大ざっぱに農林年金の特色を申し上げましたが、こうした各種の事業が団体や役職員から制度に対する信頼を得られるもとになっておりまして、今日この制度が発展したのだというふうに考えております。もちろん、こうした制度の充実には国会の諸先生方の御尽力のたまものでありまして、感謝にたえません。ともあれ、こうした特徴を持った制度でありますので、今後もこの制度の育成発展を心から私どもは望んでおります。
そこで、政府の審議会等の意見あるいは建議等でございますが、御承知のように、これは国民皆年金、格差解消というような名のもとに出されておるわけでございまして、その点では結構でございますけれども、中身を見ますと、国庫補助の問題や給付の条件はもちろんでありますけれども、年金の全体あるいは部分的な統合等が示唆をされております。
私どもがそこで心配いたしておりますのは、私どもの農林年金は、他の共済年金と同じことでございますが、政策年金として独立法で成立をしておるものでございまして、そのゆえをもちまして先ほど申し上げましたような特色があるわけでございますが、全部これをローラーでならしてしまいますと、その特色が失われるのではないかということを実は懸念をいたしております。したがいまして、これらの意見なり建議なりがどういうふうにこれから具体化されていくかというようなことにつきまして注目をしておりますが、いまのところ、これが一体どうなるのか皆目見当がつきませんので、私どもとしてはこれに注目しながら慎重に対処をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
次に、問題点でございますけれども、私どもといたしましては、制度内容はおかげさまをもちまして制度設立以来の目標を達成することがほとんどできております。したがいまして、今後は共済制度共通の改善に立ちおくれのないような御配慮をいただきたいと願っております。
問題は、農林年金だけでなくて他の制度とも共通でございますけれども、実は財政の問題でございます。給付水準は毎年スライドによりまして引き上げられていくわけでございますが、要するに、掛金を主体にいたします収入の方がなかなかいまのままでは追いついていけないというようなところに問題があろうかと思います。そこで、先生方の御尽力によりましてせっかく出ましたこのかなり高い給付の水準を、今後安定的に維持するためには一体どうしたらいいのかという課題が最大のものでございます。いままで制度内容の改善と国庫助成の増額に力点を置いた要請を、全国農協中央会が中心となって進めてまいりまして、諸先生方の御尽力によって今日の水準まで到達させていただいたのでございますけれども、今後はこの給付水準を確実に永続的に続けられるというところに力点を置きまして、そのための合意を、私どもの構成しております団体役職員の各位から合意を取りつけまして、安定性のある制度を確立するという方向に、相互扶助ということで皆で協力し合わなければならないということを考えております。
こういうことで、この点につきましては、すでに昨秋、農林省、全国農協中央会等中央機関とも十分協議をいたしまして、特に農林省から特別に御尽力をいただきまして、傘下の団体、組合員のコンセンサスを得るために、最重点事業といたしまして職域の連絡協調の緊密化ということをことしは推進をするということにいたしております。
これはどういうことかといいますと、御承知のように農林年金には一万三千にも及ぶ団体が参加をしておりまして、大別いたしましても団体の種類は十五に及んでおります。しかも各地に分散をしておるという状況であります。したがいまして、制度の安定的な運営につきましての理解と合意を得ると言いましても、なかなか地域も非常に広うございますし業種も多いということで、一朝一夕には事が運ばないという状況であります。そういうことでございますので、系統組織にもお願いをいたしまして、制度の仕組みや現状等について正しい理解を持っていただく、それとともに共済組合の基本理念であります相互扶助の原点に立ち戻っていただくということ、この二つを重点にいたしまして、これから積極的な内部学習活動をいたしたいと考えておる次第でございます。
以上、御指摘がありました改正法案に対する所感と制度を取り巻く情勢等について述べさせていただきましたが、農林年金といたしましても、将来の年金財政の問題等につきましてはただいま申し上げたような方向で取り組んでおりますので、今後とも本制度の充実につきまして一層の御尽力を賜りますようお願い申し上げまして、終わらせていただきたいと思います。御清聴くださいましてありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/4
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005・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 どうもありがとうございました。
以上で参考人の意見の開陳は終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/5
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006・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/6
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007・野坂浩賢
○野坂委員 両理事長には御多忙なところわれわれのためにおいでをいただきまして、貴重な御意見をちょうだいをいたしました。ただ、自民党の皆さんが出席が少ないことを非常に残念に思っておりますが、この際両理事長に、審議に当たってぜひ参考にしたい、そういう意味で若干の質問を申し上げたいと思います。与えられた時間は非常に短い時間でありますから、要点を簡明率直に述べていただきたい、こう思っております。
農業者年金の中野理事長にお尋ねをいたしますが、いまお話をいただきました中に加入問題、経営移譲、今後の課題、そういう点がありました。加入問題につきましては特に若い人の加入が少ないということが強調されておりました。お話がありましたように、四十五歳から四十九歳までの加入率というのは二三・六であり、五十歳から五十四歳が二五・六、五十五歳以上が二一・三と、大半はこのあたりに集約をされておるというのが実情でありまして、いまもお話がありましたように若い世代、たとえば二十歳から二十四歳というのは〇・二%の構成比率になっておる、こういうのが今日の農業者年金の加入状況であります。
お話がありましたように、国民年金には入っておるけれども農業者年金に入っていない人が約八割もある。そういう点についてはどのような努力がされたのかという点ですね。去年は百十六万四千人、ことしは百十三万二千人と、当初有資格者は二百二十万あって百六十五万人は必ず入れるという農林省からの答弁があったものでありますが、現状減少しておるというのが実情でありますが、これに対する見解、将来の方向についてお尋ねをしたい、これが一点であります。
それから時間があったらお尋ねをしますけれども、特に強調しておきたいのは、経営移譲年金と老齢年金との関係についてお尋ねをします。
二十年の保険料が納付済みになって七十四歳まで給付を受けた人たちを例に挙げますと、経営移譲年金をおもらいになっておる方々は、六十歳から六十四歳までで約三百四十一万三千二百八十円受給できるわけであります。六十五歳から七十四歳までは六十八万二千六百五十六円。六十五歳から七十四歳の農業者老齢年金の受給総額は百七十万六千六百四十円、合計すると五百八十万余円になります。そして経営移譲しなかった人たちの老齢年金は六十五歳から七十四歳までで約百七十万であります。五百八十万対百七十万というと、老齢年金だけを受給される方は少ないわけでありますから、計数で言えば三・四対一、こういうことになります。政策年金でありますから、経営移譲する人たちは入ってくるかもしれないけれども、後継者の問題等もあってなかなか経営移譲が困難である、こういう方々は入ってこないということになるのじゃなかろうか。言うなれば老齢年金は自分の積み立てた金に五・五%程度の銀行並みの利子をつけてそれでもらうということであればそう意味がないということになって、加入に足踏みをするという結果になるのではなかろうかと思うのであります。それについてはどういう御見解か。言うなれば老齢年金の六百五十円というものを引き上げていかなければ魅力はないという結果になると思いますが、この点の御見解はどうなのかということをお尋ねします。
さらに農業の持つ経営形態の性格でありますね。これについては、御主人が農業をしておるけれども、きょうは自治会の総会だとか、いやきょうは何の会議だとか、こう言って出かけてまいられます。経営の主体というのは奥さんがやられる。この奥さんが、他の企業に見られないあるいは仕事には見られないように御努力をなさるわけでありますが、この奥さんに対する報酬といいますか、それに対応するものはほとんどない。
〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
他の年金にはすべて遺族年金というものがついておりますが、農業者年金には遺族年金がない、こういう事態であります。あなたは、こういう私がいま申し上げておる問題については速やかに結論が出ることを期待するというお言葉でございましたが、どのような期待をしておるか。遺族年金創設ということは私たちは当然やらなければならない大きな課題だと考えておりますが、それについての理事長の御見解を承っておきたいと思うのであります。
次は、吉田理事長にお尋ねをいたします。
今回の改正で、いまお話がありましたように、標準給与の下限及び上限の引き上げがございました。六万二千円から下限の場合は六万六千円ということになりましたが、よく調査をされておると思いますけれども、この六万六千円にならない人たちが全体の一%、約四千人おるというのが実態であります。言うなれば、給与が低いということを端的に物語っておるわけでありますが、そういう意味から、現在の掛金率というのは千分の九十八でありますから、折半をすると四十九ということになります。この公的年金の中で、国鉄の場合は千分の百二十四でありますが、これに次いで第二番目であります。厚生年金等は九十一であり、あるいは国公は九十三であり、地方公務員は九十四である。こういうことを考え合わせてみますと、相当掛金の負担率というものは多い、こういうふうに思うのであります。給料は、他の年金と比べて一番安いところにある。この実態から、掛金率というのは、この辺が限界ではないかということをよく私たちはこの委員会で議論をいたしますが、これについて、限度ではないかと私は考えておりますが、その点はどうなのかということであります。
御案内のように、いま年金制度の基本構想懇談会の中間報告等も出ておりますが、これを見ますと、長期的に相当程度の費用負担の上昇が避けられず、国民の負担能力という面から問題がある、こういうふうに問題を投げかけておりますし、たくさん問題があります。また、財政努力の範囲を超えるものが一部含まれているだけに、その財政運営は困難であるということも懇談会の中で述べられておるわけであります。
それで、次に質問をしますのは、いまもお話がありましたように、財政問題について掛金率の千分の九十八というものに至る間で、整理資源率というものは六一・三一、それだけを占めております。そういう比率を占めておるわけですが、その金額といいますか、不足責任準備金というのは、現時点でどの程度あるのかということが一点と、すべてにかかってき、完全積立方式を五十年から修正積立方式に改めたわけでありまして、修正率は七七・五でありますけれども、そのよって来るところには整理資源率というものが非常なウエートを占めてくる。これについては掛金の負担能力の限界、そういうものを考えてくる場合に、国庫の補助金というものが非常に大きな課題になってくると思うのでありますが、それについての見解はどのようにお考えになっておるのかということを、それぞれの理事長にお尋ねをしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/7
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008・中野和仁
○中野参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの第一点の加入の問題でございます。御指摘のように若い人が非常に入っていない。これは二十年掛ければ資格が出るわけでございますから、二十あるいは二十四、五になってすぐ入るのはなかなか考えるということがあろうかと思いますけれども、よけい長い期間入れば年金がたくさん出るということでございます。われわれといたしましては、毎年のように若い人が入るようないろいろな手を打っておるわけでございます。たとえば、ことしの二月にも後継者向けに約六十万部のパンフレットを刷りまして、これを各町村、農協に全部配りまして、個別訪問するなりあるいは部落座談会等でそれを配ってでも入れてほしいということでやっておる一つの例がございますが、実は昨年それをやりました結果、一昨年に比べまして昨年は約一万三千三百人という後継者が入っていただいたわけでございます。それからまた、前回の制度改正で、三十五歳以下の若い方については保険料の割引制度ができたわけでございます。この一年間で二万二千人がその制度に乗ってきたということでございますので、われわれといたしましては、今後とも、今度の法律改正のときにまた各村いろいろ洗い直しをやるわけでございますから、それに合わせまして、若い人の加入を督励いたしたいというふうに考えております。
それから第二番目の、老齢年金と経営移譲年金と差があるという御指摘、まさにそのとおりでございまして、この制度は本来農業者の老後の生活安定と同時に、農政上の要請といいましょうか、経営の若返りあるいは経営規模の拡大ということを図るということで、経営移譲者につきまして、六十歳以上の方については厚生年金並みの年金が出るというふうに仕組まれているわけでございます。いわば老齢年金の方はそういう政策を実現した残りの部分になっておるわけでございます。したがいまして、御指摘のような差があるわけでございます。
これを縮める、こういう御指摘かと思います。その場合に、政策年金によりまして経営移譲を促進するということが損なわれるような引き上げ方はいけないのではないかというふうに私は思います。
それからもう一つは、老齢年金を引き上げるということは、これは保険料なりあるいは国庫負担等との関連も出てきますし、また、六十五歳から国民年金が出るわけでございます。それとの関連をどう考えるか、いろいろな問題があろうかと思いますが、私といたしましては、政策年金であるという性格を崩さない範囲で何か知恵があればというふうに思うわけでございます。
それから三番目の、遺族年金の問題でございます。これにつきましては、絶えず、せっかく年金をもらったのに不幸にして一回いただいただけで亡くなった、これは掛け捨てになるのじゃないか等々の話がございまして、気持ちとしては、遺族年金か何かあればいいかなというふうにも一面思うわけでございますが、この制度は、本来経営移譲をするという、いわば保険の事故に対して給付があるということで、この制度としては完結をしておるというふうに仕組みはなっておるわけでございます。しかし、最初に先生の御指摘のような問題もございますので、そこをどう考えるかということになろうかと思いますが、この場合も、やはり夫が亡くなりますと主婦には国民年金から多くの場合母子年金あるいは寡婦年金が出るということもございまして、老後の保障はあるいは六十以上になればそういうことはあり得るということとの関連もございますので、どういうふうに考えたらいいか非常に迷うわけでございますが、これも何か知恵がないかなという気がいたします。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/8
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009・吉田和雄
○吉田参考人 掛金率は現在は限界ではないかというお尋ねでございますが、確かに農林年金の場合、掛金は高うございますけれども、先ほど所感で述べましたように、給付の条件につきましては他の共済組合と遜色はございません。ただ、他の共済組合と比較をいたしまして、給付の額と申しますか、水準と申しますか、それが低いのは、結局農林漁業団体に勤めております役職員の給与が安いということに主として原因をしておるというふうに私どもは見ております。この点につきましては、私ども農林年金としては直接の当事者ではございませんので、何とも言えませんけれども、念願といたしましては、もっと農林漁業がしっかりしてきて、それをお世話する農林漁業団体が経営的に充実すれば給付はもっと高くなるのではないかというふうに考えております。
それから、掛金が高いではないかということでございますが、母体であります厚生年金よりも給付条件ははるかにいいわけでございますので、掛金は高くなるのが当然でございます。しかも、掛金の千分の九十八というのは限界ではないかということでございますけれども、御承知のようにどこの年金でも財政上の問題は最大の悩みになっておりまして、将来掛金を上げるということを公表しておるところも実はあるというような状況でございます。それで一概には言えませんけれども、現在の千分の九十八は、年々ベースアップもあることでありますし絶対的な限界ではないというふうに私どもは考えております。
それから、不足責任準備金はどの程度持っておるのかという御質問でございますけれども、正確な資料をいまちょっと持ってきておりませんので記憶で申し上げますが、約一兆三千億ということであります。
さらに、その整理資源率に対しまして国の補助はどう考えておるのかというお言葉でございますが、整理資源率に対する国の補助というのは、理屈から申しましても、現在の仕組みから申しましても、実は国が特別な補助をするという仕組みになっていないのでございます。したがいまして、これにつきましては非常に困難なことであるというふうに考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/9
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010・野坂浩賢
○野坂委員 時間がありませんから簡単に申し上げます。
中野理事長に再度お尋ねしますが、国民年金との併用の問題を絡めてお話しになったのですが、老齢年金と移譲年金による老齢年金ですね、十五年間と十年間というかっこうでありますが、非常に違いがありますね。それは認めていただきました。何か知恵はないかな、あるいは遺族年金も何か知恵はないかなということでありますけれども、遺族年金創設という点についてはやるべきだとお考えなのかどうなのか。
それから老齢年金の六百五十円問題は、私は引き上げるべきだと考えておりますが、やはり魅力ある年金、佐藤総理が当時言われたように、いわゆる農業者にも年金をと、そういう意味の老齢年金でありますから、移譲年金と比べて老齢年金は余りにも格差があり過ぎるのではないか。それについて私どもはやはり引き上げるべきだと考えておりますが、知恵がないかということは、引き上げるということが前提になって考えなければならぬとお考えであろうか、その点を端的に……。
それから吉田さんにお尋ねをいたしますが、整理資源率、責任準備金、あるいは国庫補助を引いた残りの不足責任準備金、こういう点は関連があるわけですが、仕組みとして、いまの状態でこれから運営するに当たって、国庫補助金というのは百分の十八です。過去四回、私たちはこれでは将来、運営に非常に問題を残すから百分の二十以上に、せめて厚生年金並みにということで政府に対して要請をしてまいりましたし、皆さん方の要望もあったわけでありますが、これについて国庫補助金を引き上げるべし、こういうふうに私どもは考え、また政府もそれに対応しようとしておるというふうに情勢としては把握をしておりますが、この百分の十八を百分の二十以上に引き上げる点についてはどのような御見解でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/10
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011・中野和仁
○中野参考人 老齢年金と経営移譲年金との差の問題、それから遺族年金との問題について、私何か知恵がないかなということを申し上げましたのは、そのこと自体をとれば老齢年金も上がった方がよろしい、あるいは遺族もあった方がいい、これは給付がよくなるわけですからよろしいわけです。しかし、先ほど申し上げましたように、繰り返しませんけれども、政策年金として経営移譲を進めるという観点、あるいは国民年金制度との関連がいろいろあると思いますので、そういうこととの関連を考えた上で何か前向きの結論が出ればよろしいのではないかというふうに申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/11
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012・吉田和雄
○吉田参考人 農林年金の国庫補助率を引き上げるということにつきましては、御承知のように、農林漁業団体特に全中を中心に従来ずっと運動を続けておるところでございまして、この国庫補助率を高めるということは年金財政の改善にも寄与することでございますので、私個人としては先生方のお気持ちを非常に感謝をいたしておりますが、この点につきましては、私は政府関係特殊機関の長であるという立場でございますので、具体的に意見を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/12
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013・野坂浩賢
○野坂委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/13
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014・中尾栄一
○中尾委員長 瀬野栄次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/14
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015・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農業者年金並びに農林年金、いわゆる年金二法の審議に先立ち、中野理事長及び吉田理事長から参考人として貴重な陳述をいただき、ありがたく承りました。本法の審議に当たり、さらに参考にいたしたいので、両理事長に数点ずつお伺いいたします。
まず、農業者年金基金理事長の中野和仁参考人にお伺いいたします。
農業者年金の加入者は少ないようでありますが、もっと加入促進のためのPRをやるべきではないかと思うわけであります。特に若い人の加入を促進するべきではないかと考えておりますけれども、どう考えて対処しておられるか、まずお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/15
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016・中野和仁
○中野参考人 先ほど野坂先生の御質問にもございましたのでお答え申し上げましたが、まさに御指摘のとおりでございまして、この制度が健全に運営されるためにも若い方に入っていただかなければなりませんので、われわれといたしましては毎年あらゆる努力をして若い人を入れるということでやっておるわけでございます。ことしはまた、今度の法律改正と関連をさせまして、同時に若い人にも入っていただくために部落座談会あるいは戸別訪問等々も末満の農協あるいは農業委員会にやっていただく。それからまた、そのために各県段階の農協中央会、県農業会議という両団体にもこの趣旨を徹底させまして、若い人に入っていただくためにやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/16
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017・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農業者年金制度の末端における業務体制を整備すべきではないかという問題でございますけれども、すなわち農協、農業委員会の体制が弱いという指摘があるわけです。これについては理事長はどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/17
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018・中野和仁
○中野参考人 農協、農業委員会の体制が弱いという御指摘がございましたが、私たち見ておりますと、大部分は非常によくやっていただいておりますが一部弱いところがございます。そこで、その体制の強化といたしましては、やはり十分な予算をつけてあげることでございます。われわれ年々努力をいたしておりまして、農業委員会には四億七千万円、それから農協には十三億円委託費をとっております。去年より一割以上ふやしたわけでございます。まずこれの確保をしなければならない。
それからもう一つは、やはり専任職員でございませんのでよく職員がかわられる。せっかくのみ込んだ方が一年、二年ですぐかわってしまうのはなかなか困るわけでございますが、組合長なり町村長にお願いしまして、習熟した後しばらくは置いてほしいということも整備の一つの大事なことではないか。
それから、あわせまして、われわれは毎年、新任者が多いものですから、各県単位で新任者の研修会を開いております。そういうことでできるだけ整備に努めたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/18
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019・瀬野栄次郎
○瀬野委員 六十五歳以降支給される老齢年金の額は低いわけでありますが、これについては当然引き上げるべきである、かように思うわけであります。それとまたこれが加入の促進につながるのではないか、かようにわれわれは毎年思うわけですけれども、この点についてはどういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/19
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020・中野和仁
○中野参考人 先ほども御質問があってお答え申し上げたわけでございますが、老齢年金の額が上がるということ自体は結構なことではないかというふうに私は思いますが、ただ、この制度が政策年金で経営移譲の促進をやるという観点がそれによって弱められるということはまた非常に困るわけでございまして、それからまた国民年金との関連もどういうふうに考えるかということで詰めていかなければならない問題ではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/20
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021・瀬野栄次郎
○瀬野委員 私たちが農村を歩きますと、御婦人の加入の要望が大変強いわけでございますけれども、理事長としてはこれら御婦人の加入に対する希望に対してどうおこたえになるのか、その点いまどういうふうに対処しておられるか、これまた御参考までにお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/21
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022・中野和仁
○中野参考人 私も、婦人を入れろという話は農村に参りますとよく聞くわけでございますが、これはよく考えてみますと、いろいろなケースがあるわけでございます。
一つは、兼業農家でだんなさんは厚生年金その他に入っておる、それの奥さんが実質的に経営をやっておる、しかし名義はだんなさんにあるという場合があるわけです。これについては、だんなさんがその名義を妻の方に、所有権なり使用収益権を移せばこれは現在でも加入できるわけです。
それからもう一つの場合は、専業農家で主人と主婦が一緒に働いている、これをどうするかという問題でございます。この問題になりますと、経営移譲年金と結びつくのかどうかという問題をひとつ検討しなければならぬではないか。いやそういうことではなくて、婦人も働いているんだから、従事者としてこの年金制度に仕組めということになりますと、ただいまの現行制度とは別に農業従事者の制度というようなことになってこようかと思うのです。そういうふうになりますと、またいろいろ検討しなければならない問題があると同時に、他の業種、他の零細企業等を見ますと、主人が働いて奥さんも一緒に働いているのを一体どうするかというところまで、農業の場合だけ特別そういうことをするのだということはなかなかむずかしいかという気もいたします。
いろいろなケースがありますので、これはそのケースに従って詰めていくべき問題だというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/22
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023・瀬野栄次郎
○瀬野委員 中野参考人にもう一点お伺いしておきます。
積立金がかなりあるようでありますが、これを農村または農業の振興のために還元するというように何らかの方策を考えたらどうかと私たちかねがね思っているのですけれども、理事長としてはこの点についてはどう考えておられるか、この点もこの機会に参考までにお聞かせいただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/23
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024・中野和仁
○中野参考人 御指摘のとおりでございまして、農家の保険料が主たる積立金になっておるわけでございますから、農村に還元をすることは必要であると私思います。そのために、被保険者の農地の売買あるいは被保険者が農地を買う場合の融資、これは日本で一番有利な原則三分、三十年ということで融資をすでにやっておりまして、先ほども若干実績を申し上げましたが、かなり伸びてきておるわけでございます。現在の積立金の中の一割近くはそれに使っております。
それからまた、農林債券を優先的に買うということで、農家の保険料から支払いを差し引いたものは、原則として農林債券の購入に充てておりまして、現在八百九十八億円の農林債券を買って保有をしておるということも一種の農村還元ではないか。
それからもう一つは、法律に福祉の増進のための施設をつくるべきだということが書いてございます。これは残念ながらまだ実施をしておりません。農村の福祉のためにどういうことをやるかということを現在基金の方で学識経験者にお集まり願って研究会を開いてやっておるわけでございまして、今年じゅうぐらいには結論を出したい、その結論によりましてどういうふうにやっていくかということを考えたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/24
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025・瀬野栄次郎
○瀬野委員 ただいま中野理事長からいろいろ答弁いただきましたが、ひとつせっかくただいま答弁のとおり努力をしていただきますようにお願いをしておきます。
時間の関係で、次に農林漁業団体職員共済組合理事長吉田和雄参考人に端的にお伺いしますが、まず第一点は、農林年金の財政基盤は他制度に比較しまして弱体であると考えます。理事長としては今後の農林年金の財政問題にどう対処するのか、その対処方針をお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/25
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026・吉田和雄
○吉田参考人 農林年金の財政上から見ました不安度と申しますか、不安度は、各種年金の中では不安の程度はまだ低い方であります。しかしながら、御指摘のとおり将来を考えますと、あと十数年たちますと、ちょうどいま国鉄共済が当面しておりますような状況にどうもなりかねないというようなことで実は懸念をいたしております。それにつきまして、農林省、全国農協中央会等とも昨年来いろいろと、将来に向かってまず当面として何をしたらいいかということを協議いたしたわけでございますが、結局、先ほど所感で申し上げましたように、農林年金は非常に広範な地域に多種多様の農林漁業団体がありまして、それが加入をしておるということで、従来は年金に任せておいたらいいというような一つの気風が実はございまして、年金当局の方でも余り積極的に年金の運営の内容、特に財政の内容につきましては積極的PRをやってなかったわけでございますけれども、そういうことでは今後の財政問題等運営の問題につきましてやはりコンセンサスが得られないということがはっきりいたしましたので、当面といたしましては、財政問題を中心としまして、いま農林年金は一体どうなっておるのか、将来の展望としてどういうことが考えられどういう問題があるのかというようなことにつきまして、構成員である、特に団体の指導者の人たちにそういう現状、展望、問題点をしっかりひとつ知ってもらう。それがありませんと、いきなりいま具体的な対策を出しましても、中で判断ができなくて混乱をするのみでありますし、また、年金は横並びの関係がございますので、農林年金独自で具体案をいま出すような時期ではちょっとないのでございます。そういうことでございますので、まず年金の内容をよく知ってもらうということと、先ほど申しましたように、どうも団体の数がふえ、若い組合員の数がふえるにつれまして、設立当初の非常に熱い気持ちでありました相互扶助の理念というのが全く薄れてしまってきておりますので、ひとつこれを掘り起こしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/26
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027・瀬野栄次郎
○瀬野委員 社会保障制度審議会等において、将来の年金問題について各種の提言がなされているようでありますが、農林年金の将来のあり方について、これらの提言に対する考え方を含め、理事長としてはどう対処しておられるか、簡潔で結構ですから、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/27
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028・吉田和雄
○吉田参考人 先ほど申し上げたとおりでございまして、社会保障制度審議会のいわゆる基本年金と、その上に積み立てられる二階建ての保険システムによるものという構想でございますが、それが一体実際にどういうふうに当てはめられるのか、まだそういう点につきましてはかいもくはっきりしていないということでございますので、現在のところ、これにつきましては、私どもも見当がつきかねるということで、これに対してどうこう意見を言うことは差し控えております。
ただ、心配いたしておりますことは、農林年金のみならず、ほかの共済年金でもそうでありますけれども、これは政策年金として国会で独立の立法として成立したものでございますので、たとえば厚生年金と農林年金を比べますと、給付条件等につきましては格差があるのが当然でございまして、ないのがおかしいわけでございます。それは農林年金のすぐれた特色ということになっておりますが、そういうものが無に帰するようなことになると大変であるという懸念を実は持っておるということでございまして、ただいまのところはどうなるか、海のものとなるか山のものとなるかわからないのでございますので、その動きを注目しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/28
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029・瀬野栄次郎
○瀬野委員 従来から当委員会において、国庫補助率の引き上げ、財源調整費の増額を再三決議しておるところでございますけれども、農林年金の実施機関の長として、理事長はこの問題についてどう考えているか。理事長としてはなかなかこれについては言及できないというようなことのようでありますが、この点について、私、参考のために再度お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/29
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030・吉田和雄
○吉田参考人 先ほど申し上げたとおりでございまして、国庫補助率を引き上げていただくという先生方のお気持ちは非常にありがたく感じております。しかしながら、この件につきましては、政府関係機関であります農林年金の理事長という立場をどうか御推察を願いまして、具体的な意見を申し述べることは控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/30
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031・瀬野栄次郎
○瀬野委員 両理事長には大変貴重な参考意見、どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/31
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032・中尾栄一
○中尾委員長 神田厚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/32
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033・神田厚
○神田委員 両理事長には大変お忙しいところ、貴重な御意見をありがとうございます。
農業者年金及び農林年金の問題につきまして、若干質問させていただきたいと思うのでありますが、まず最初に、農業者年金基金理事長の中野さんにお尋ねをいたしたいと思います。
先ほど来から問題になっておりましたけれども、要するに農業者年金の問題は加入促進の問題というのが非常に大きな問題になっているわけであります。若い人、あるいは地域差、さらには後継者の加入が非常に少ない。この原因は一体どういうところにあるというふうに率直にお考えになっているのか、まずその点をひとつお聞きしたいと思うのであります。
さらに、限られた時間で十分間でございますので、要点だけ御質問申し上げますが、老齢年金の水準の引き上げ、それから主婦などの農業専従者の加入の問題、それから遺族年金の創設、いずれも先ほど話題になりましたけれども、これらにつきまして具体的に農林省の中で検討が進められているというような状況ではありますが、理事長といたしましては、農業者年金側といたしましては、どういう考え方をお持ちになっているのか、先ほど来の御答弁を聞いておりましても、いろいろと御遠慮申し上げているようなところがあるようでありますけれども、その辺のところを御要望があれば率直にお聞かせをいただきたい、こういうふうに思うのであります。
さらに、この給付の問題と関連いたしますと、いわゆる加入者の保険料の負担と国庫助成との関係、この辺の問題につきましてはどういうふうに考えておられるのか、いわゆる政策年金としての位置づけというものから考えますと、いわゆる保険料の負担と国庫助成の問題というのはかなり明確な見解が出されるんではないかというふうに思うのでありますけれども、その点についてはいかがお考えですか。この三点につきまして御質問申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/33
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034・中野和仁
○中野参考人 加入がなかなか進まない原因でございますが、これは私一言で申し上げますと、日本の農業の現状といいましょうか、いま行われている構造が基本的には原因にあるかと思います。と申しますのは、第二種兼業農家が三分の二以上占めてきておるようなことでございますので、どうも農業よりも外の産業が中心になるという方が非常に多い。それから都市近郊におきましては、もう農業に魅力はないので資産として土地を持っておる、なかなか三十年、四十年先まで農業をやっているとは思ってないという方もあろうかというふうに思います。ただ、農業地帯になりますとそうではございませんで、先ほどからも申し上げておりますように、加入促進の努力によりましてまだまだ入る方があるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
それから二番目の、国会の附帯決議にもございます三つの問題でございますが、先ほど私も、そのこと自体、その制度があれば非常に結構ですけれども、いろいろな問題があるということを申し上げたわけでございます。制度として仕組みます上におきましては、やはり経営移譲年金、経営の若返り、あるいは経営規模の拡大が促進されるという観点を外すようなやり方はどうかというふうな気がしますけれども、その範囲内におきましていろいろ工夫をしてみて、できますれば、そういうふうになっていけばよろしいんではないかというふうに思っておるわけでございます。
それから給付と保険料、国庫負担との関係でございますが、この制度が政策年金と言われますために、他の年金制度に比べまして非常に厚い国庫負担に現在すでになっておるわけでございます。保険料に対しまして七分の三の補助があり、それから給付時に原則として三分の一の補助があるわけでございます。したがいまして、これ以上ふやせということは、一面ではなかなか言いにくい問題があるわけでございますが、農家の保険料の負担状況等から見まして、将来の問題としてはまたお考えいただく時期が来るのではないかというふうに考えます。特に経営移譲率が非常にふえておりますので、それは今度の財政再計算に非常にはね返ってまいりますので、その際にどうするのかということはその時期に検討さるべき問題だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/34
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035・神田厚
○神田委員 次に、農林漁業団体職員共済組合の吉田理事長に御質問申し上げます。
理事長は、きょうお話がありましたような形で、この年金の問題につきましてその発想の転換をしなければならない、こういうような主張をなさっているようであります。これは理事長が「農林年金」にお書きになったものでありますけれども、「農林年金をめぐる内外の情勢からみて、今後は、容易ならぬ事態に遭遇することが予測されるからである。すなわち外側からは、国民皆年金、格差解消など美名のもとに、」「農林年金の政策年金としての特色ないしは既得権が、ホゴにされるおそれなしとせず、内側では、制度改善やインフレによって、ふくれ上がる給付などの支出に対する、掛金を主体とする収入のアンバランス性が高まり、このまま推移すると近い将来、財政が立ち行かなくなることが、明らかになったからである。そこで、発想の転換とは、従来、給付の高さや、福祉の大きさを追いかけることに重点を置いてきた行き方を、今後は、給付や福祉が永続性をもって、確実に行なわれるよう、財政の健全化を進めることに重点を置くことである。」こう言いまして、先ほどから御主張なさっております職域の連絡協議会、これを充実させていけ、こういうような主張になっているわけでございます。
ここでひとつこのことに関連しまして、このいわゆる発想の転換という中で、財政の健全化というのを具体的にはどういう方向でお進めになるのか、つまりいわゆる掛金を高くしていくような形でこれをやっていくのかどうか、その辺の、給付や福祉が永続性を持って確実に行われるということについての御見解をひとつお聞かせいただきたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/35
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036・吉田和雄
○吉田参考人 先ほどの所感で申し上げましたように、当初私どもが目標としました、給付につきましては国家公務員共済に追いつけというのはほぼ達成をいたしております。それから福祉の方も、これは欲を言えば切りがございませんけれども、かなり手厚く行われておりまして、福祉で一番お金の要るのは住宅貸し付けでございますけれども、これは積立金の一四%近くを実は五分八厘という率で住宅貸し付けに振り向けております。そういうことでございまして、厚生年金の二%に比べますと格段の相違がございます。ですから、かなり福祉は厚いということを御理解を願いたいと思います。
ただ、たとえば福祉一つ取り上げてみましても、福祉に向けます積み立て資産の法令上の枠は二〇%ということになっております。いまのような状態で貸していきますと、あと数年たちますと二〇%の枠を突破してしまって、それから後は貸付額を大幅にダウンするか、それとも中止せざるを得ないというようなことでございます。したがいまして、そこの「主張」で書いてございますように、給付の高さや福祉の厚さをいままでは追いかけておってそれでよかったのでございますけれども、これからは確実に給付が行われる、福祉が永続的に行われるというところに重点を置いていかないと、先ほど御質問がございましたように、やはり負担というのは限度がございますから、限度を超えてもしこの給付なり福祉なりが続けられないということになったらこれまた大変なことになってしまうものですから、それで発想の転換を求めておるわけでございます。
ただ、先ほども申しましたように、具体策をいま打ち出す時期ではないというふうに私どもは考えております。なぜかと申しますと、私どもの再計算期は三年後でございまして、まだ時間的な余裕がかなりございますし、もう一つは、兄貴分でございます国家公務員共済が私どもより半年先に再計算期が到来をいたします。そうすると、そこは一体どういうものを打ち出してくるかというのをよく見きわめてやる、また、先ほど御質問ございました年金制度全体の改革案がどういうふうに動くかというようなことも見きわめてやりませんと、年金は御承知のように独自でできる部分というのははなはだ限られておりまして、横並びの関係がかなり影響が多いわけでございますので、いまそういうものを打ち出す時期でなくて、むしろ、先ほど瀬野先生から御質問ございましたのに答えましたように、いまは年金の内容を傘下の団体なり組合員によく知ってもらう、正しく理解してもらう、そしてそういう打ち出す時期におきまして打ち出したものがコンセンサスが得られるようにしていこうということで、職域の連絡協調ということをことし、来年、二カ年ぐらいしっかりやっていこうということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/36
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037・神田厚
○神田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/37
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038・中尾栄一
○中尾委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。
この際、午後一時より再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十七分休憩
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午後一時十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/38
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039・中尾栄一
○中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。日野市朗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/39
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040・日野市朗
○日野委員 最初に農業者年金について若干質問をいたしておきます。
私は、大臣が見えましたならば後刻また大臣にも質問するということを前提にして私の方の質問もいたしますし、事務当局もそのようなおつもりで答弁をいただきたいと思うのであります。今度農業者年金のための改正の法案が出ているわけでありますが、どうも、私らも、農業者年金に入ったらいいのかどうかという農民の方々からのいろいろな質問を受けますと、すばっと割り切ってお入りなさいという答弁がなかなか出てこないのですね。どうも今度の改正案では、幾つかの点について非常に考慮を払われている点は私も高い評価をしたいと思うのでありますが、まずこの制度そのものについて根本的な問題が若干あるのではないかというふうに思います。
それで、農林省としては、この制度について、いろいろな財政事情や何かがあろうかと思うのですが、まず財政問題なんかを改善していくためにも、これはできるだけ多くの農業者に加入してもらわなければいけないという事情があろうかと思います。
〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
それでまず、農林省でつかんでおられる実態として被保険者数はどうなんでしょう、横ばいなんだろうか、漸減というふうに評価すべきなのか、そこいらはちょっとむずかしいと思うのですが、農林省としてはどのようにこれを理解しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/40
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041・大場敏彦
○大場政府委員 現在の加入状況でございますが、大体百十三万人というようなことでございます。あと、資格を持っておりながら加入していない、そういう者は約六十万人おりますから、全体の加入者を含めて有資格者は百七十万人。そういうことに比べますれば、百十三万人ということで、加入率はまだ十分ではない、かように思っております。
今後新しい加入がどうなるか、それから脱退がどうなるか、こういった関係で将来の被保険者数がどうなるか、こういった見通しでございますが、ロングランに見ればやはり農業従事者数というものが減少の傾向にあるというのは否定できないわけでございまして、そういう意味で被保険者というものが漸減していくという傾向にある、これはそういうふうに予想せざるを得ない。元来そういう意味で、この農業者年金というのは、制度創設当時からそういうパターンというものは頭に置きながら財政設計というものがされている、こういうふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/41
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042・日野市朗
○日野委員 これは政策年金ということから漸減するのはやむを得ないというお話でありますけれども、もっとこの加入率を上げるという努力は当然必要だろうと思います。
それからもっと深刻に考えなければいけないのは、年の若い層に非常に加入者が少ない、こういう実態をどのようにごらんになっておられますか、その原因はどこにあるというふうにごらんになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/42
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043・大場敏彦
○大場政府委員 御指摘のとおり、加入率を上げなければならない、これはわれわれの大きな課題であるということで従来から努力し、今後も努力しなければならないことだと思いますが、現在加入していない者の年齢別構成を見ますと、資格を持っておりながら加入していない者が約六十万人おるということを申し上げましたが、その中で三十五歳未満の者は約四十万人、七割とまでいかないにしてもかなりの部分を占めている。こういった若年が非常に多い、ヤングが非常に加入してないということは御指摘のとおりであります。これは将来の年金のすそ野を広げる、こういう意味でも、年金財政の健全化という意味でも、こういった若い層の加入ということは非常に必要でありますし、また経営移譲を促進する、こういう意味でも、こういった若い層に積極的に入っていただくということが、この政策、制度の本来的な目指すところ、まさにそこにねらいがあるわけでありますから、そういったところの加入を促進するということはわれわれの最大の課題であるというふうに認識しております。
そこで、私どもの考え方といたしましては、一つは、残念ながらどうも若い層の加入が十分ではないという現実を踏まえて対策をとらなければならないわけであります。若い方々が入っていない理由をいろいろ考えてみますと、たとえば、若い間は、これは人間の一般的な通性でありますけれども、どうも老後のことをなかなか考えない、こういったこともありますし、それから農業者年金の場合には二十年間掛ければいいということでございますから、そうあわてることはないや、四十歳になるときに入ればいいじゃないか、こういうような考え方もあると思います。それから非常に若い二十代ということになりますと、自分の将来の農業設計、そういったものについての目標が決まっていない、こういった点もあろうと思うわけであります。そういう意味で、われわれはやはり若い方々にもう少し積極的な働きかけをする必要があるだろう。それからもう一つ若い層の方々でなかなか年金についての理解が足りない理由は、支給を開始して二年でございますから、年金の支給そのものの日が浅いということも手伝って、またいま保険料を受け取っている方々がせいぜい五年ぐらいしか保険料を納付していない方々でございますから、当然保険給付水準は低いわけであります。そういう意味で、農業者年金というものはその程度の低いものかというふうに誤解されてしまう、そういう点もあります。そういう意味で、農業者年金に引っ張ってくる力がまだどうも十分に完全に働いていない。それから若いうちに入って保険料を長期間納めればそれだけ多く年金を手にすることができる、こういったことについての若い方々の理解を十分にわれわれがさせていない、そういう意味でPR不足ということがあるんじゃないか、かように思うわけであります。そういうようなことも考えながら、私どもといたしましては、若い層を中心としていろいろ本制度のPRを進める、年金を身近なものとして受け取っていない方々に対して、いろいろな制度の仕組みというものをもう少しわれわれは努力してお知らせするということも必要でありますし、また一方、制度面におきましては、五十一年度に、後継者の経営移譲要件の緩和、そういったことで経営移譲しやすくしたというようなこともありますし、あるいは若年の後継者につきましては、保険料の軽減措置を図ったり、そういった措置も講じておるわけであります。それから今後、そういった特例措置等を通じ、またそういった措置の徹底を通じて、若い層の未加入者の方々の加入を促進していきたい、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/43
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044・日野市朗
○日野委員 時間が限られておりますので、できるだけ答弁は簡明にひとつお願いいたしたいと思います。
今度は時効救済、これなんかは、そういった意味から、加入者をふやすという面、また農民を実際に年金の恩恵に浴させるという点からお考えになったことだろうと思いますし、これは非常に結構なことだというふうに思うのですが、これは時効救済のために掛金が一カ月三千六百円というふうになっておりますね。この三千六百円というふうに計算をされた根拠、これをひとつお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/44
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045・大場敏彦
○大場政府委員 三千六百円の根拠は、現行保険料の一番高いということでございますが、五十四年一月以降の保険料が、月額で申しますと三千二百九十円ということになっておりますが、それの約一割増しということで、三千六百円ということに決めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/45
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046・日野市朗
○日野委員 一応の根拠を示していただいたのですが、これはいままで掛けなかったのだからしようがないではないかという考え方があるだろうと思うのですね。ただ、こういう高額の掛金をするということになりますと、これは経営を移譲することができる者にとってはある程度のメリットはあるように思いますけれども、それができないという層にとっては、これは余りメリットがないということから、救済に応じない、こういう救済措置をとってもそれに乗ってこないという心配があろうかと思うのですが、その点どのようにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/46
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047・大場敏彦
○大場政府委員 これは三千六百円の水準が高いか低いか、こういう御議論ではなくて、むしろ本年金制度そのものの御議論だろうと思うわけで、この制度は、経営移譲による経営の若返りあるいは規模拡大ということを通じて、農業の構造改善を図る、そういったこと、それから経営移譲した後の老後保障をする、そういったことでこの年金が仕組まれているわけでありますから、経営移譲した者と、経営移譲しない者との間に、ある差ができるのは、これは制度の仕組みとして前提とせざるを得ないのではないか、そういうふうに考えている次第であります。
〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/47
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048・日野市朗
○日野委員 そうすると、ある程度いわゆる逆選択が行われてもしようがないというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/48
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049・大場敏彦
○大場政府委員 逆選択といいますか、結果として、経営移譲した者と経営移譲しなかった者というものに差がある、同じでありますればこの制度そのものの意味というものは非常に薄くなってしまうという意味で、差があるのはしようがないじゃないか、こういうふうに申し上げたわけであります。時効救済の意味は、過去においていろいろな事情で、本人の事情によるものもありますし、あるいは機関等のPR等の不足あるいは手続のふなれということで、知らない間に、あるいは知っていてもですが、掛金を納めなかったために時効になってしまった。それがために、さて年金給付が始まったけれども自分はもらえない、こういうようなことが間々現実に起きておるわけでありますから、それを救済するという当院の御決議もありましたし、そういうような救済するという意味でこの時効救済制度をとっている。保険設計からすれば、果たしてこれが純理論からすればいいかどうか、こういう御議論はありますけれども、現実にかなりの人々が時効によって年金給付を受けられない、そういう恩典を受けられないという現実があるので、やはりそれを救済する必要があるのじゃないかという判断でお願いしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/49
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050・日野市朗
○日野委員 私が聞いているのは、逆選択を農林省としては真っ正面から肯定するのかどうかという問題なんですよ。つまり、いろんな事情がありまして経営移譲ができないという人々がかなりいるわけですね。そういう人たちは、この一カ月三千六百円を払ってこの制度に加入することに余りメリットは感じないのじゃないかというふうに思うのですが、そういう事態を農林省としては真っ正面から是認するのかどうか、そこの姿勢をちょっと伺っておきたい、こういう質問です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/50
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051・大場敏彦
○大場政府委員 私のとり方がどうもあれで失礼いたしましたが、やはりそれは、この制度の本来のねらいは経営移譲を促進するということにあるわけでありますから、経営移譲がなかなかむずかしいという事情はありますが、政府の政策、それから本人の御努力ということもかみ合わせて経営移譲というものを促進して、経営移譲年金の支給を受けていただく、こういった形で対応していただくということじゃないかと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/51
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052・日野市朗
○日野委員 そういうふうに割り切っていいのでしょうかね。これはいろんな沿革があったことは私もよく存じておりますけれども、最初は、この制度の出発点として、かけ声としては農民にも恩給をというようなかけ声であったわけですね。一つの刺激を与えたのは農民にも恩給をということなんですよ。多くの農民は、やはり農民の恩給ということを念頭に置きながらこの制度を考えたに違いないし、この制度を促進する者も、だれもこれは経営移譲というような政策課題が大きく取り入れられるというふうには思ってもいなかったようにも私も思えるのです。ところが、いまのあなたのお話によると、これは真っ向から経営移譲を促進するのだ、こういう姿勢でお答えになっているように見られる。それで貫き通していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/52
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053・大場敏彦
○大場政府委員 どうもお言葉を返すようで恐縮ですが、制度本来の趣旨はやはり経営移譲というところに大きな力点があるということは、これはそういうことじゃないかと思うのです。しかし、今回時効にかかっている者を救済して、入った方がいいですよ、お入りなさい、こういうふうに私どもが考えている趣旨は、経営移譲した者はもちろん有利でありますけれども、経営移譲しない者でも、入らない場合よりも、それは平均的な余命があればということをもちろん前提にするわけでありますけれども、やはり入った方が、現実に払う保険料と、現実にこれから給付される給付額、それとの関係でははるかに加入した者は有利だということは、これは経営移譲しようがしまいが、両方にも言えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/53
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054・日野市朗
○日野委員 私も、午前中からの答弁を聞いていると、これは政策年金としての性格をかなり前面に押し出して、非常に強めてきている答弁のように思いますが、この点は後刻大臣に根本的な姿勢を伺いたいと思います。
この時効救済で、いままで入らなかった人というのもいろいろ理由があるだろうと思うのですね。いま例に挙げられたPRの不足だとか、出先の農協あたりのいろんな対応の不十分というようなことは確かにあるだろうと思うのです。ちゃんとこういう制度があるよと一たん言ったのだから、そういう説明をしたのだから、入らなければ入らない方が悪いというような考え方では、これは少なくとも農民を対象とする本制度としては不十分ではなかろうかというふうに思うのです。これは、農村なんかにいろんなことを説明するには、微に入り細をうがって説明をする、繰り返して繰り返して説明をするというような懇切丁寧な態度が私はかなり必要じゃないかと思うのです。その点いかがでしょう。いままでそういう努力が尽くされてきたというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/54
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055・大場敏彦
○大場政府委員 入らなかったから悪い、だからその人は年金を受ける資格がないんだよというかっこうで突き放すというつもりはもちろんございません。そういう意味でありますから、これはもちろん本人の責任もあるわけだし、それからわれわれのPRが足りなかったという点もあるわけでありますが、時効救済を受けたいという希望の方がかなりいらっしゃるわけであります。そういう方々には、純粋の保険理論からすればいろいろな議論があるわけです。過去にさかのぼって加入を認めるということがあるわけです。しかし、そこは一つまたいで救済すべきであろう、こういう措置をとろうとしているわけであります。
それからわれわれは、確かに加入率が十分ではないという判断といいますかそういう反省をしているわけでありますが、これはもちろん農民等の受け取り方が不十分である、こういうことだけではなしに、農業者年金基金あるいはわれわれを含めてそういった者に対する説得あるいはPRの努力というものが十分ではない、こういう御批判は率直に受けざるを得ない。そういうために努力はするつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/55
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056・日野市朗
○日野委員 PRの不十分というのは、何といってもいままでこの制度の中で覆いがたい欠陥であったろう、運用上の欠陥であるかもしれませんが、そういうふうに私は考えざるを得ないのです。時効救済がなされますよということを今後十分にPRしていかないと、現実の制度の趣旨にそぐわないようになってしまいはしないかということを私は恐れるわけです。それでどのような対策、PRの方法を指導されるおつもりか伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/56
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057・大場敏彦
○大場政府委員 これは絶対時効救済だけの話ではないだろうと思うのです。先生の御趣旨もそういう意味だろうと思うので、年金制度全般についてのPRの努力が足りないという御批判だと思うのであります。そういう意味で、私ども当然この時効救済にかかる方々の加入を促進するということは、先ほど申し上げましたように農業者年金の加入率全体を上げるということにもつながるわけでありますから、全体の加入促進運動の中でこういったこともあわせて重点項目としてやっていきたいと思っております。農業者年金の業務は、農協とかあるいは農業委員会系統でやってもらっていますけれども、いろいろ問題地区等を点検して、問題のある地区につきましては、現地の指導を重点的にやるとか、あるいは監査指導を強化するとか、あるいは業務受託機関等の担当者会議を開催して業務処理方式の改善を図るとか、多方面的な努力をしていきたい。それから時効救済の点につきましては、法律案の御審議をいただいて制度が成立すれば、早速にでも具体的なPRについては着手したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/57
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058・日野市朗
○日野委員 PRについて着手したい、こういうふうにおっしゃっておられるのですが、問題はいかに具体的にやるかということだと思いますね。これは周知のところでありますけれども、実際にこれの窓口になるのは農協でございまして、農協はこの業務をどのように消化していくかということについては実に苦慮していると思うのです。いまさら申し上げるまでもないですけれども。どうでしょう、どの程度農協が専属的な担当者を置いているか、掌握しておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/58
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059・大場敏彦
○大場政府委員 専属的という形では置いているかどうかは疑問だと思いますが、ほかの仕事と兼ねあわせてこの年金業務を農協等で受託してやっていただいている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/59
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060・日野市朗
○日野委員 何をおっしゃったのかよくわからぬのですけれども、私、ちょっと調べてみたところでは、この業務に専属的に職員を配置している農協というのは非常に少ないのですね。私がちょっと調べた農協では、二名の専属的な職員を置いていましたが、これは非常に優良な農協だということで県から表影を受けた農協で、そこでは農業者年金の業務に専属的に職員を充てるために支出している金はどの程度あるか聞いてみましたら、大体年間五百万からの金を出しているわけですね。この農協は加入農家が千五百戸であって、都市型の農協ですから、財政的にもかなりゆとりがあるのでこういうことができるけれども、それ以外のところですとこんなことはできないんじゃないかというふうに思うのです。そうすると、これに対する助成等がかなり必要になってくるというふうにお思いになりませんか。それなくしては、このPRを一生懸命やるとおっしゃるけれども、口では言っても内実を伴わないものになってこないかと思うのですが、どんなふうに掌握しておられるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/60
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061・大場敏彦
○大場政府委員 個々の農協によってもちろん事情は違うと思いますけれども、この年金のために専任の職員を一人にせよあるいは複数人にせよ、具体的に設置する、これだけやってもらうということでありますれば、これはかなりその農協にとっても財政負担になるし、膨大な金がかかるだろうと思うのです。それを政府で全額見るということも、現実問題としては財政問題として非常に困難が出てくるわけです。それは私どもも、農協あるいは農業委員会に農業者年金基金を通じて仕事をお願いしているわけでありますから、そういった意味での予算の充実ということはしなければなりませんが、必ず専任職員一人を置くための人件費ということになりますと、これはなかなか容易じゃない。われわれは今後努力はしていかなければならないにしても、現実的に積み重ね——少ないという御批判はあるにしても、農協、農業委員会等に対して委託費を農業者年金基金から出しているわけですが、そういった委託費等の増額を地道に積み重ねて要求して拡大していく、こういった方向をとるのが現実的じゃないかと判断しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/61
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062・日野市朗
○日野委員 地道に積み重ねていくというふうにおっしゃっていますけれども、加入者数をどんどん上げていこうという努力を裏打ちするものは、そういった農協等に対する委託費の引き上げであるとかそういったものが現実の裏打ちになるということはお認めになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/62
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063・大場敏彦
○大場政府委員 具体的には末端の農協あるいは農業委員会等でお仕事をしてもらっているわけでありますから、それに対する活動費を増額しなければならないという御指摘は、私はそのとおりだと思います。ただ、具体的に専任職員を設置するというところまでの予算をつけるのは非常な困難を伴う。ましてや人件費とかそういったことになりますと、これは何も年金だけの話ではございませんで、予算のルール上いろいろむずかしい問題があるわけでありますから、これはそう簡単な事柄ではない。しかし、事業を委託しているわけでありますから、その委託に伴う経費の充実、増加ということは御指摘のとおりわれわれは努力していかなければならないし、不十分であるという御批判は当然おありだろうと思いますけれども、年々そういう努力はしているつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/63
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064・日野市朗
○日野委員 これは担当者の熱意にもかかわることであろうと思いますし、農協の熱意なんかにもかかわることだろうというふうに私も思いますが、現実にはこの事務量というのはかなり膨大なものがあるわけですね。そのために、農家の方から加入したいという積極的な申し出があればそれは受理するけれども、そうでなければ、積極的にPRして加入戸数をふやそうとか、加入農家数をふやそうという積極的な努力に結びついていないという現実があるということは、農林省としてもお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/64
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065・大場敏彦
○大場政府委員 一つは、農協等のそういった人員あるいは活動等の手不足ということも、あるいは現実に実際問題としては農協等によってあると思います。そういったところはわれわれも今後いろいろ増強し補強していかなければならぬと思いますけれども、片一方では、年金手続が権利移動ということをつかまえます関係上、非常に繁雑にわたるという点もありますので、もちろん権利移動ですから、的確な把握をしなければならないということは当然としながらも、簡素化できるところは簡素化するという形で、事務量を片っ方においては節約しながら、片っ方においては人的な面での活動の増強というものは同時に図っていく必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/65
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066・日野市朗
○日野委員 いま事務量の簡素化というような話も出ましたが、現在の事務量をどのように簡素化していくかということについての検討、これはやっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/66
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067・大場敏彦
○大場政府委員 先ほど申し上げましたように、現場の指導監査というような活動を、年金あるいは受託をお願している農業委員会あるいは農協の系統の活動の一つの重点として、それぞれの年金業務の実施に伴う問題点というものを拾い上げて、それを一々つぶしていく、そういった形で対応しているわけであります。
事務量が非常に煩雑で多い、こういったことにつきましては、いろいろ私ども、いま申し上げましたように、年金が適格な経営移譲を年金給付の要件の一つとしているということでありますから、権利の設定、移転というようなことをトレースするという関係で、どうしても繁雑にならざるを得ないという面があるわけでございますが、それを合理化する、もっとコンピューターとかそういったものを使って合理化する——現在も使っておりますが、そういった努力は、農業者年金基金を通して現在でも検討しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/67
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068・日野市朗
○日野委員 ここで一応時間が参りましたので、あとは大臣が出席してから質問を継続したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/68
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069・中尾栄一
○中尾委員長 島田琢郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/69
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070・島田琢郎
○島田委員 いま日野委員からも、農業者年金というのは、どうも皆さんから聞かれると、そうだそうだ、こんないい年金はないからひとつ入れ、こう言って、私たちも宣伝ができる、そういう年金ではないという点については私も全く同感なんです。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
実は農業者年金制度をつくれということで、私ども町村におりました段階でも、東京に幾度かこの制度をつくってもらう運動にやってまいりましたときにも、私たちはいまのような経営移譲年金といったような政策年金じゃなくて、四十年、五十年野良で働いて腰が曲がるほど苦労した、こういう人たちに対して、本当に御苦労さんでしたという意味の温かい気持ちがあらわれたそういう年金にしなければだめだ、こういう主張をしてまいりました者から言えば、何とか制度のすべり出し後早い機会に、私どもが言っているような方向に軌道修正させて、本当に年金らしい年金にしたい、こういうふうに考えて、国会でも幾度か議論をしているのでありますが、先ほど局長がかたくなに、これは政策年金でございます。こう言って一歩も前進あるいは軌道の方向を変えようとしない。これはこの年金そのものに対して無理解というか、法律を守る番人としては見上げた官僚でありますけれども、しかし、温かさという点になってくると、実に冷たい局長、こういうことになるのではないか。
そこで、私は、もう一つ年金としての大事な部分が欠落しているという点を指摘をして、ぜひ前段で日野委員が、政策年金ではなくて、本当に老齢年金として、わが党が四十五年にこの法案が出ましたときに対案として出した老齢年金として、名実ともに衣がえがされていく、こういう方向で、私どももかたくなな局長の態度をぜひひとつ改めてもらうという方向でも努力せにゃならぬなと改めて決意を持っているわけです。
そこで、もう一つの点、私ども非常に、末端の農家の皆さんがおっしゃっていることでそうだと思うのは、農業者は、夫婦に限らず、後継者の息子がおり息子の嫁さんがおれば、どこにも出かけるじゃありません、それは余力があって、あるいは経営の規模が小さくて、やむを得ず兼業の形式をとらざるを得ない農家もありますけれども、しかし、農業と名のつく限りにおいて専業形態をとっている農家については、かあちゃんも息子も嫁さんも、みんな働き場所は野良であります。農場なんであります。そこが職場なんです。そこに一生涯かけているのです。専業農家においてはみんな一つ場所で生きているわけですし、他に職業を求めるというようなことはありません。ですから、働きの場所といい、働き方といい、一生かけて働く量といい、年齢の差はあっても、その量的なものにそんな大きな差はないのです。むしろ極端に言えば、農家の主婦という立場でいる人たちの方が、厳密に言えばうんと濃密的に働いているかもしれません。ところが社会的には何らこれが認められていない。かく申す私も、専業農家の一人ですが、こうやっているうちも、うちじゃかあちゃんが一生懸命働いているのだから、私も余り大きな口がたたけないわけでありますけれども、しかし、この点は深刻に考えてみる必要があるのじゃないだろうか。農業の近代化だとかあるいはこの法律で言っているところの目的の中には、農地保有の合理化だとか、こういうようなことをいろいろ言っておりますけれども、しかし、そういう前近代的な状態をそのままにしておいて、何が農業の近代化と言えるのでしょうか、私はそういうふうにも思うのです。
そうしてまた、兼業農家に至っては、まさに経営の実態というのは、奥さんがよそに出て他に収入を求めているという率よりも、農業経営主と言われているおやじさんの方が、農業以外に職を持っている人の方が多いのではないか。それなのに農業者年金制度の中で認められているのは、このよそに出かせぎしているおやじさんであって、農業を守ってうちで一生懸命かせいでいるかあちゃんにはその権利がないという、これはこの農業者年金制度の重大な欠陥ではないでしょうか。私は、これは直すべきだ、こういうふうに思うのです。
なるべく日野委員の質問と重複しないという方向で話題を進めてまいりますが、この点についてはどうお考えになっていますか。これもいまに始まった議論じゃなくて、毎回行われている議論なんであります。どの程度検討なされて、将来に向けてどういう一つの見通しを持っておられるのか、農業専従主婦と言われる人たちの身分をどのように農業者年金制度の中では将来考えていこうとされているのか、この際お考えを聞かしてもらいたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/70
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071・今井勇
○今井政府委員 この問題は、先生おっしゃいますとおり、古くて新しい問題でございます。お気持ちとしては、先生の御趣旨は、農業者年金が政策年金の姿から老後保障の年金にだんだん変わっていくべきだという基本的な考え方がおありの御質問だと理解をいたしております。
御案内のとおり、この制度は、農民にも年金をということで、国民年金とあわせていこうじゃないかという形で発足いたしましたから、やはり制度そのものの仕組みには、何か政策的な意義、目的を持たせなければならないというのは当然であろうと思うわけです。したがって、その仕組みを変えない限りは、その基本的な根本思想というものを変えない限りは、それが具現されにくいということも先生よくおわかりであろうと思います。いまの婦人の問題等についてもしばしばこの委員会で議論になり、また、いろいろ質疑がありましたこともよく存じております。そういうことで、ただいま制度研究会をつくりまして、学識経験者を入れまして、月に一度ぐらいの割合で鋭意勉強をいたしておりますが、やはりこの根幹の思想をどう時代の要請に合わせていくかということに尽きると思います。したがって、この制度が、この加入対象者が単なる農業従事者ではなくて、権利名義を有する経営主及び将来経営主たる後継者としておりますのは、農業経営の近代化及び農地保有の合理化を目的とするということから出ているわけでありまして、したがいまして、いまの研究会などの検討をまたなければ、にわかに結論の出ないものであろう、このように思っております。
そこで、この制度研究会の皆さん方の御研究をなるべく早く促進をしていただいて、一つの方向が出ることを期待いたしておりますが、いまのところは非常に困難な問題だというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/71
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072・島田琢郎
○島田委員 困難な問題だというのはどの点にあるのか、前段の長い説明の中に含まれているのかもしれませんけれども、それじゃ、この制度研究会では、こういう問題について話題になっているのでしょうか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/72
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073・大場敏彦
○大場政府委員 農家の妻の方々の加入の問題は、本委員会でもどの先生からも御指摘になって、強く実施を御主張なさった点であります。そのほか遺族年金とか、あるいは老齢年金とか、いろいろな問題も同時にあわせて御指摘されているわけでありますが、そういったもろもろの問題を含めまして、農業年金制度研究会というものを昨年の十月でありましたか、発足して、専門部会をつくりまして、ことしの三月、四月と二回専門部会をやっております。いろいろの問題を同時にあわせて審議はしておりますけれども、やはり個々の問題を具体的に解決していった方が近道であろう、こういう研究会の判断で、この三月、四月には、いま御指摘になっていらっしゃいます農家の婦人の加入問題をどうするか、それから、先生よく御存じのとおり、これは同時に遺族年金をどうするかという問題とも絡む問題ですから、この二つをまず手がけて議論しようじゃないかということで、三月、四月にフリーディスカッションをしていただいて研究願っている、こういうような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/73
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074・島田琢郎
○島田委員 遺族年金の問題にもいま触れようと思っておりましたが、遺族年金の制度さえもないのですから。いま経営主が不幸な状態になりますれば、もうこの年金制度というのは切れちゃって、残った遺族にも当たらぬ、こういう実に血も涙もない冷たい制度になっているわけでありますから、まだ発足して間もないというような説明ですけれども、こういう問題については、主要な議題として制度研究会でも鋭意結論を出してもらうための促進方を行政的にもやっていくべきだ、こう思っていますし、また、兼業農家で、私がさっき言ったような状態になっている実態把握というのは、局の段階で、役所の段階でされていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/74
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075・大場敏彦
○大場政府委員 主婦の問題は、兼業農家の妻の方々と、専業農家の方々によって対応が必ずしも同じではないのではないかという気もするわけです。
兼業農家の場合には、経営名義人、農地の地権者が外に働きに行っていて、むしろ被用者年金、厚生年金に入っている、こういう方々が比較的多いのではないか。そういう場合には、むしろ、これはやや技術的な対応の仕方でありますけれども、妻の方は、その夫の方から所有権の移転とまでいかなくても使用収益権の設定を受ける、俗に言えば借りる、そういう形式をとれば、妻は当然農民年金に堂々と加入できるということでございます。そういった形で対応することも技術的には一つあるわけでございます。
専業農家の方の場合には、これはまた別の違った対応が出てくるわけで、やはり制度の根本的な問題と絡む問題でありますから、より突っ込んだ議論が必要じゃないかと思うわけであります。
しかし、いずれにいたしましても、いま農家の妻の方々は五万三千人ぐらい入っておられます。この実態は、率直に申し上げまして、われわれ必ずしも十分に把握しているというふうには申し上げられません。未亡人の方々が農地の名義人になって入っていらっしゃる方もいらっしゃるでしょうし、あるいは、私が先ほど申し上げました、夫が外に働きに行って妻の方が名義人になっている、夫から借りたようなかっこうで、そういう手続をとって借りたようなかっこうになっている、そういったような方もいらっしゃると思うわけでありますけれども、その辺の内訳がどうなっているか、これからそれを一生懸命詰めなければならない問題でございますが、十分に把握し切っているとは思いません。至急調査をして把握いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/75
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076・島田琢郎
○島田委員 ですから、制度研究会でこの結論を出してくださることを望んでいますと言ったって、こういう基礎的な検討願う材料さえそろってないのなら、これは早う結論を出していただくように思っていますだけであって、これはだめなんですね、ですから、こういう資料なども積極的に出して——いまのは、加入者の奥さんの立場で年金に加入している数が五万三千人という報告でありますから、日本農業全体の八六%は兼業農家といわれているわけですから、奥さんが実質的に畑で仕事をして、もう名目だけではない、実質経営主になっている人は何人いるか、こういう点なども正確に実態把握をして、それを制度研究会に反映して、やはり積極的に議論をしていただく、結論を求めていくための行政上の手だてをしっかりおやりいただきたい、このことをひとつ重ねて要求をしておきたいと思います。
それから、いま、制度的な問題がお話にありましたけれども、支給要件で農地法に基づく権利名義の移転というような問題がひっかかってくる、こういうことがあるようでございますから、そのためには経営移譲の判定基準——これは経営移譲の場合のことでありますけれども、特例措置というようなこともやらないと、これはなかなか、いま私が言ったような奥さんを加入せしめるというような点についてもネックが出てくる、こういうこともあるのかもしれません。これもひとつ大いに検討願いたい。この点についてはどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/76
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077・大場敏彦
○大場政府委員 妻が加入するということになりますれば、当然いまの年金の支給要件、経営移譲要件、そういったものとの絡みというものはやはり詰めなければなりませんし、いまのままを前提にして単に妻を加入させるということだけでは不十分であると思います。かなりいろいろな点についての手直しといいますか、特例といいますか、そういったものが、加入を前提にすれば出てくると思います。妻が具体的に農業に従事している、そういう判定をどうするかという問題、それから、経営移譲と妻との関係はどうするかという問題、いろいろそういった問題があることは御指摘のとおりで、そういったこともあわせて妻の加入問題は解決していかないとできないことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/77
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078・島田琢郎
○島田委員 私はむずかしい問題にするためにいまのようなことを申し上げたのではなくて、つまり、私どもは農民年金法というのを出しました。社会党の年金法というのももう一回ひとつ見てみてください。私は非常にいい法律だと思う。ああいう精神と、いまできている現行の制度とが整合性を求めることが不可能だと私は思ってない。かなり現行制度の中でそれができるというふうにも思っていますから、そういう意味で問題になる点を一つ申し上げたのであります。
さて、あとは大臣がお見えになってからに譲りまして、残された時間内で農林年金に関してお尋ねをしていきたい。
農林年金も五つほど問題を出してございますが、そのうち二番と三番は大臣が来てから聞きたいと思います。あとは今村さんに聞きます。
賃金スライド制、この制度は、国家公務員年金、他の年金とも大体横並びにして、そういう点で公正な、できるだけ公平な取り扱いをと、こういうねらいを持っているようでありますから、賃金スライド制という問題について私はいちゃもんをつけるというつもりはないのですけれども、ここのところ賃金上昇率よりもやはり物価の方が高い水準で推移をしている。またこの先も相当そういう傾向があるんではないか。だから、ことしの春闘も厳しい、しかし物価は容赦なく上がっていく、こういうことでありますから、この点の目減りといいますか、このリスクをやはり軽減していくという考え方が年金の中に含まれていかなければ、私は年金制度としては不親切だという感じを強く持っている一人なんですね。したがって、私は、物価スライド制をとるべきだという主張をいままでしてきた一人です。これは私見ということもございますけれども、これについては事務当局はどういうふうに理解をされておられるのか、これが一つであります。順次聞きたいと思いますが、まず最初にこの点だけお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/78
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079・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 確かに御指摘のように、最近におきます賃金と物価上昇の推移を見てみますと、四十九年ぐらいまでは圧倒的に給与水準の上昇が高いんですが、五十年、五十一年になりますと物価の方が高いというような状況になっています。これは五十二年度はどういうふうになりますかちょっとわかりませんが、御存じのように、農林年金につきましては、国家公務員の平均給与改善率を参酌して改定してきておりますが、これはお話しのように、共済制度におきまして国家公務員共済が給付内容等の面で基準的な位置づけにあるということで、国家公務員の給与改善という人事院が行います政府に対する勧告の率を指標にすることが、世代間の公平、均衡を保つ上で最も適切であるというふうに考えられておるんだろうと思います。本年度の物価上昇はどういうふうになるかわかりませんが、四十四年以降一貫して公務員給与スライドによっておりますので、いずれか高い方をそのときどきによって指標にするというわけにはまいらないのではないかというふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/79
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080・島田琢郎
○島田委員 なお足りない分は後ほど大臣がお見えになってからに譲りまして、四番目はちょっと飛ばしまして、五番目の遺族年金についてちょっと……。
厚生省にちょっと聞きたいのですけれども、この農林年金制度そのものは農林省の所管にかかわるものでありますが、この中に遺族年金というのがありますね。この遺族年金制度は、諸外国の比較で日本のレベルというのはどの辺にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/80
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081・山本純男
○山本説明員 年金の水準を国際的に比べるというのはなかなかむずかしいのでございますけれども、一つは制度の立て方の上での違いというものもございますし、実際の支給されている年金の金額の水準でのバランス、いろいろあろうかと思いますが、立て方の点で申し上げますと、日本の場合には、これは共済組合、厚生年金ともに共通いたしまして遺族年金の水準は老齢年金の約半分というものが基準になっております。二分の一でございます。それに対しまして外国の例を見ますと、大きく言いまして二通りあるようでございまして、一つは、やはり日本の年金なんかがその模範を求めたのが御承知のとおりドイツでございますけれども、ドイツ、フランスというような大陸糸の国では大体日本と同じように半分ということであったのでございますが、最近ドイツあたりではこれを六割に修正したというようないきさつもございます。それ以外の北欧系とか英米系の国では、これは基本的な立て方が夫の年金、妻の年金という立て方をしておりまして、夫と妻それぞれの取り分のほか世帯の取り分というような考えで構成いたしますものですから、そのうち夫が亡くなった未亡人の場合には世帯にかかわる部分と本人の部分とが手元に残るというようなことで、結果としては六割六分とか七割五分とか、そういったような立て方になっておる国が北欧、英米系の国でございます。
金額の上で申しますと、これはドイツと日本というのが一番高い国でございまして、現在日本が、厚生年金で言いますと四万円ほどでございますし、共済組合はもうちょっと高いかと思います。ドイツがもうちょっと高い水準にいっておりまして、そのほかの国は金額の上では日本よりはやや低目の国が多いようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/81
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082・島田琢郎
○島田委員 これはILO百二号の条約で最低保障額というのが決められておりますね。どういうふうに決められておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/82
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083・山本純男
○山本説明員 ILOの百二号条約では、社会保障に関しまして、その条約のある部門を批准いたしました以上、守るべき給付の要件と給付の水準をそれぞれ定めているわけでございまして、両方は何がし関連を持って決められておるわけでございますが、大ざっぱに申しますと、遺族年金の場合には、子供が二人ある寡婦の場合に従前の賃金の三割を確保しなさいということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/83
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084・島田琢郎
○島田委員 わが国は残念ながらこのILO百二号条約の批准をしておりませんね。その点については、厚生省は、この批准の見通しとか将来の持っていき方とか、そういうことをどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/84
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085・山本純男
○山本説明員 条約そのものは昨年の国会で批准をしていただいたわけでございますが、御指摘の点は、遺族に関する部門がまだ条約の義務を受け入れることにいたしていないという点かと存じます。
この点はなぜそうなっておるかと申しますと、いま現在の厚生年金の遺族年金の実際の水準というものは、熟練勢子労働者を旋盤工の賃金で見ました場合に、五十二年度で一万四千円強でございますが、大体その三割は確保しているわけでございます。支給要件の面では当然条約の基準に合致しておりますので、これを批准することができるではないかという意見もあるわけでございますが、ただ遺族年金の構成が、これも御承知のところでございますが、老齢年金の二分の一に子供がある場合の加給年金というものが加わりまして、さらに寡婦加算という定額の加算金が乗りまして、それで水準として到達しているということでございます。そういたしますと、寡婦加算といいますのは定額でございますので、賃金その他は年々変動いたします。そういたしますと、いま現在合致しているというものが恒常的に合致しておるかどうか、必ずしも十分はっきりいたさない。そこでかねてから、遺族年金についてはそういう定額の加算ではなくて、もう少し定率的な考えに改めるべきではないかという御指摘もあるわけでございまして、そういう問題について現在政府としては検討中の段階なものですから、それでその部門についてはまだ条約の義務を受諾することにいたしていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/85
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086・島田琢郎
○島田委員 遺族年金についても制度の改善というのは逐次図られてきているわけでありますけれども、これは横並びといったような問題も、いま厚生省から出されておりますようなものがありますから、一概にはいかぬのかもしれませんけれども、たとえば農林年金でもまだこの面については大いに改善しなければならない余地が残されていることの一つの証拠であるというふうに私は指摘をしておきたいのであります。
まだ少し時間がありますが、四番目に戻りまして、時間が来ましたら次に譲りますが、福祉事業についてですね。現在保健施設というのがどれぐらいありますか。それに対して今後もっとふやしていくという考えなどはないんですか。また、現在ある施設の改善計画なんというのはどういうふうにお考えになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/86
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087・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 農林年金が行います福祉事業にはいろいろございますが、中でも一つは保養宿泊施設でございまして、これは全国各地に十二の保養宿泊施設と一つの学生会館を持っております。それから保健施設につきましては、昭和三十七年度から事業が開始されましたけれども、現在長野県のリハビリテーションセンターが開設されておるところでございます。
今後どういうふうにするかということでございますが、これらの福祉施設は、御存じのとおり積立金の一部を借り入れることによって事業を行っておるわけでございますが、これはやはり一つは長期に固定化するという問題もございます。したがいまして、これらの点につきましては十分諸般の情勢を検討しながら今後考えていきたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/87
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088・島田琢郎
○島田委員 いま長野県にありますその施設はリハビリですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/88
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089・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 長野県の鹿教湯温泉にございますリハビリテーションセンターでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/89
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090・島田琢郎
○島田委員 これは特定の職業病ということに限定されているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/90
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091・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 脳卒中が主体だというふうに聞いています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/91
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092・島田琢郎
○島田委員 時間が来ましたから、またこの続きは大臣がお見えになってから続けさせていただくことにして、ここで一たん打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/92
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093・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 武田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/93
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094・武田一夫
○武田委員 私は、明日ときょう分けまして、農業者年金法の一部改正並びに農林漁業団体職員共済組合の年金等の問題について、基本的な大綱的なものをまずお尋ね申し上げたい、こう思うわけであります。
この農業者年金制度というのは、農業の経営移譲及び老齢について必要な年金の給付を行う、そのことによって、まず一つは農業経営の近代化、さらに農地保有の合理化に寄与する、さらに農業者の老後の生活の安定並びに福祉の向上に資する、こういうことで昭和四十六年一月に発足した、こういうわけでございますが、七年目を迎えました。そこで七年間の経緯をたどってみて、果たしていまそこに述べられましたような経営の一種の若返りというようなものがその後順調に行われているものかどうか、効果が出ているものかどうか。あるいはまた、経営規模の拡大というものを主張しておりますが、この結果確かに経営規模の拡大というのは進んでいるものかどうか。さらに三番目には、農業経営の近代化、こういうことを言っていますが、具体的にはどういうことを指して、その近代化というのは順調に進んでいるものかどうか。そして四番目に、老後の生活の安定、福祉の向上ということを唱えておりますが、この点農家の満足のいく状態が築かれているものかどうか。まずこの四点について、できれば数字を示してもらえるものは示して、このような結果この年金はかくかく成果が上がっているとか、あるいは残念ながら上がらないとかというものがはっきりとわかるように説明をしていただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/94
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095・大場敏彦
○大場政府委員 年金制度は、いま御指摘になりましたように発足後七年、それから経営移譲年金の開始後二年ということで、そういう意味で、この制度の政策効果そのものを的確にこの段階で見定めるというのには、率直に申し上げますればもう少し時間が欲しいということでございますけれども、しかし二年間の歩みを振り返ってみましても、経営移譲年金の受給者四万一千人ぐらいであります。後継者移譲は約三万八千、それから第三者移譲が三千ということで、後継者移譲が圧倒的に多いということは事実でございますが、いずれにいたしましても、この後継者移譲を通じての経営者の若返り、それから第三者移譲を通じての経営規模の拡大というものは、それはそれなりに効果をおさめている、こういうふうに判断していいと思うわけであります。
経営移譲でありますが、初め私どもが見込んでおりましたよりも、これは年金の財政上からすればまた別の問題が出てきているわけでありますけれども、経営の移譲率というものはかなり高く出てきている。現在経営移譲年金の支給を受けている者は大正五年ないしは六年の方々でございますが、六十五歳に至らなくても相当の経営移譲率というものが出てきているわけであります。大正五年の方の例をとりますと、六十歳から六十一歳代というところまでの経営移譲率を見ますと五一・八%というところで、かなりの高い経営移譲率というものが出てきている。そういうことでありますので、六十五歳になるまでにどれだけの経営移譲が進むかどうか、これはにわかに予断はできませんが、予想したよりも高い移譲率で進むのじゃないかという測定はできるのじゃないかと思うわけであります。そういう意味で、かなりの経営の若返りには寄与しつつあるのじゃないか。もちろんいままでが十分だという意味で申し上げているわけではありませんが、それなりの意味はあるのじゃないかと思うわけであります。
それから経営規模拡大の点につきましては、いま申し上げましたように、後継者移譲に比べまして第三者移譲が少ないわけでありますが、それはそれなりに、移譲を受けました農家につきましては、内地で申しますと八百三十七戸、北海道で言いますと百三十六戸ということであります。大体千戸程度ということでありまして、内地の場合には、取得前が平均一・三ヘクタールという経営規模でありましたものが取得後一・八ヘクタールということになりますし、また北海道では、取得前平均九・四ヘクタールのものが取得後には十二・六ヘクタールというぐあいに規模拡大はしている。全体としての数はもちろん少のうございますけれども、第三者移譲という具体的な案件に即して、経営規模拡大の効果というものは認めることができるのじゃないかというふうに思います。したがいまして、経営移譲年金はその支給がスタートしたばかりでありますから、今後支給件数が増加するにつれまして、経営規模拡大ないしは農業経営の若返り、そういった政策効果は逐次発掘してくる、こういうふうに思うわけであります。
それから経営の近代化、こういうことでございますが、経営の近代化ということになりますと、とりもなおさず経営者の若返りというもの自身経営の近代化でもありますし、経営規模の拡大に伴う資本装備の高度化、そういったことも当然経営の近代化につながる、こういうことであるわけで、それなりの効果は逐次発揮されていくものと私ども考えているわけであります。
それから老後の保障の問題でありますが、この農業年金を通じての老後保障ということは、移譲をした後、経営移譲を促進して農政上の課題を果たす、そして経営移譲をした者の老後の生活保障を国民年金に付加して農業年金が果たすのだ、こういう意味でやっているわけでありますが、現在までのところ、いま申し上げましたように経営移譲年金が六十歳から始まる、経営移譲年金が始まったばかりであります。そういう意味で、六十五歳以降の問題はまだ今後の課題であるということと、それからもう一つは、絶対額がどうかということになりますと、いま大正五年、大正六年の方々の支給が始まったわけでありますが、そういった方々の支給水準というものは、率直に申し上げまして高くはございません。本来年金というのは、先生御承知のとおり、保険料納付期間に比例して給付水準が高まっていくのはあたりまえの話でありますが、元来二十年間納めていなければいけないものを五年で納めるというような方々に特例措置を開いている関係で、年金水準というものは決して高いとは申し上げませんが、しかし、いま申し上げているレベルは厚生年金と比べて決して遜色はない。それは同じ年次で比較すればという前提でありますが、絶対的水準としては保険料を掛けている期間が短いというために少ないわけでありますが、レベルそのものを比較する場合には、厚生年金に近いそういうようなレベルは十分果たしている、こういうように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/95
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096・武田一夫
○武田委員 いまるる説明をいただきましたが、私はまだこれからいろいろと質問をいたしますけれども、農家の期待を十分に担うだけの内容に至ってない、そういうことは否めない事実であるわけでございます。加入の現状というのを見てみると、これは前にも質問があったとおりでございますが、七年を迎えて現在どのような状況かというと、加入者が百十三万五千二百八十九人、当然加入が八十九万六千二百九十人、任意加入が二十三万八千九百九十九人、この中に後継者が二十万八千百九十七人という数字は出ております。
そこで、まずこの加入者百十三万五千二百八十九人、これは最終的にどのくらい見込んでいるのか、現在加入有資格者というのはどのくらいいるものか、まずその数をひとつ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/96
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097・大場敏彦
○大場政府委員 丸い数字で申し上げますが、すでに加入している者が百十万人余いるということであります。それから、資格を持っておりながらいまだ加入していないという者が約六十万人、合わせて加入資格を持っている者ひっくるめまして百七十万人いる、こういうような状態であります。
私ども、この制度が発足し、設計をいたしましたときには、これも昨年来いろいろ御批判をいただいているわけでありますが、百六十五万人というような加入目標というものを、最高のピークのときにはそうなるという形でつくったわけでありますが、それに対しまして百十三万程度ということで七割弱になっている、こういうようなことで、決して高い加入率ではないというふうに思っているわけであります。
今後どうするか、どういう目標を立てるかということでございますが、私ども、できるだけ百六十五万というものに接近するような努力はしていかなければならないだろう。そのためには、ただいま申し上げました有資格者でありながら加入してない六十万人、その中でもことにヤングが多いわけでありまして、そうしたヤングは四十万人ぐらいいるわけであります。そういった者を重点的にするということと、もう一つは、やはり資格がすでになくなっているという方々がかなり多いわけであります。その中で時効完成に伴って資格を失っているという方が七十万以上いらっしゃいますから、そういった方々にも手を広げて、百十万をできるだけ百六十五万の方に接近させて、その目標を達成するための加入のための努力をいろいろしていく必要があるだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/97
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098・武田一夫
○武田委員 後継者の実態はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/98
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099・大場敏彦
○大場政府委員 後継者というと、三十五歳未満という形で一応切ってみますと、三十五歳未満の有資格者で加入しておりません者はただいま申し上げましたように約四十万人、こういうようなことでございます。そのうち後継者がどれだけあるかということは、ちょっとその四十万人との比較においては把握できません。それから参考までに、三十五歳未満で加入している者はこの四十万に対しまして約六万人であります。そのうち後継者が約四万人、こういったことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/99
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100・武田一夫
○武田委員 そういうような実態からいきまして、先ほども指摘ありましたように、若い人を中心とした加入の推進というもの、これは非常に急を要するのではないか、こういうふうに思います。
ところで、私は現場の方々に、この話が今度われわれの委員会の方であるのだけれどもと言って話を聞きますと、どうも説明が非常にあいまいなんです。聞いてみますと、いろんな人から聞けば聞くほど私の方が混乱してくる。勉強したのがどうもうそのような感じがするような指導というものがなされているのです。これは問題だと思う。それで恨みを言われるわけですね。ことしからもらえると思っていたのが三年延ばすとかなんとか言われる。いろいろ事情を聞いてみますと、それは間違っているわけですね。そういうような実態から言いまして、先ほどPR不足だとかいろんなことを言っていましたけれども、そういう若い人やあるいは年寄りの方々も含めまして、この内容の説明というものが十分なされていないというのは非常に不安です。今回の改正で特例納付の実施がございますね。それで、一年六カ月の間にこういう方々が加入するような措置を考えるわけです。しかし、現実いまのような状態であれば、果たしてどの程度の効果が上がるか私は非常に疑わしいわけです。ですから、こういう点よく実態を調査した上で、果たしてこれを啓蒙する立場の方々が内容をよく理解して、農家の方々が本当に理解ができて加入ができるようなそういう体制というものができているものかどうか、私は非常に不安です。正確にこの制度的なものを理解しているという方は、私が会った人の中では少なかったのです。その点、今後がっちり手を打っていただきたい、これは要望しておきます。
この一年六カ月の間に保険料を月三千六百円納めるという問題ですが、これは今後もこういうことがあったらこういう措置をやるのかという問題はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/100
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101・大場敏彦
○大場政府委員 保険料の時効救済、特例納付ということでございますが、これはやはり例外だろうと思うのです。これはいささか説教めいたことで恐縮でありますけれども、やはり年金というのは保険料をきちんと決められた期間に納める、そして受給資格が発生するということで、これがたてまえでありますから、納めようが納めまいがそれは関係ない、好きなときに納めろということでありますれば、年金という設計は根本から狂ってしまうということでありますから、これはやはりそうちょいちょいやるというものではない。やはりこれは特例という形でやる。ただ、いま申し上げてお願いしておりますのは、いま先生がいろいろ御指摘になりましたように、われわれのPR不足にもよりまして、一方それから農家の方々の理解不足という点もあるかもしれませんが、少なくとも客観点にはそういった事情でどうも十分に理解されていない、そういうことで実際問題としては時効になってしまった、いまから納めたくてももう間に合わない、年金ももらえない、そういう方々が現実に多くいらっしゃる以上、やはりそういった方々を救済するのが妥当であろう、そういう判断をしたわけであります。これがしょっちゅう起こりますれば、保険料はしょっちゅうきちんと納めなくてもいずれまとめて納めればいいのだということになってしまって、それはやはり制度としては混乱に陥るわけでありますから、やはり特例だろうというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/101
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102・武田一夫
○武田委員 そうしますと、そのことをきちっと農家の方々には指導しなくてはいけませんね。若い人の話の中に、さっきも出ましたけれども、年とってから掛けたっていいんだとか、あるいは掛ける必要がないのだとか、あるいは親にそんなの入る必要がないとかと、かなりそそのかされるところもあるらしいですよ。どうせこういう特例措置というのはまたやるよ、選挙が近づくとやるからななんて言っているのですからね。そういうことがちょこちょこやられると、恐らく財政の問題においてもかなり苦労するだけでなく、掛ける方にしても、たとえば今回は三千六百円ですから、それが五十三年一月から十二月だと二千八百七十円で済んでいるのが三千六百円、五十四年一月以降でも三千二百九十円が三千六百円と高いわけですから、これはやはりその点よく説明をした上で対策を講じなければいけないでしょう。その体制は大丈夫ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/102
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103・大場敏彦
○大場政府委員 これを御可決願えれば、ことしの七月から来年いっぱい、つまり一年半の間にこれは納めてもらわなければならないわけでありますから、かなりそれは趣旨徹底を図らなければいけない、それは御指摘のとおりだと思います。年金等特例としまして、具体的にそういった時効にかかっていて希望があるという者を掘り起こしていま洗い直しをさせておりますから、それはちょうど先ほど申しました加入率を上げるということのためにも、この時効にかかっている者を救済することによってそれを年金の方に加入させるということが一つの大事な要素でありますから、そういった努力は懸命にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/103
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104・武田一夫
○武田委員 ところで、この三千六百円、やはり高いなという感じを持っているのです。当局に言わせれば、いままで払わなかった分、そういうミスはそちらの責任だ、まじめに払ってきた人との差をつけるためにはやはりこのくらいの少しの加算は当然だ、こうおっしゃるでしょうが、局長、親子四人で国民年金とそれから農業者年金を掛けまして、年間どのくらい金が必要だと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/104
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105・大場敏彦
○大場政府委員 いまちょっと計算をしていますからあれですが、そこで三千六百円が高いではないか、こういう御指摘でございますが、参考までに、納めた保険料と年金額というものの比較で高い安い、こういった議論ができるわけでありますが、納めるということで一例を申し上げますと、たとえば現実に受給権が発生している大正五年の人を申し上げます。これはことし六十二・五歳になっているわけでありますが、そのときに、これは一回も納めていないそういう方々が過去にさかのぼって今回全部納めるということになりますれば、五年分を一遍に納める、三千六百円、そうすると二十一万六千円になるわけであります。そういった方々が六十歳から六十五歳の間に経営移譲をするということになりますと、八十八万七千円もらえる。二十一万六千円払って、平均で申し上げますが、二年半経営移譲年金をもらうということでありますれば八十八万七千円もらう。二年半というのは大正五年生まれの方がことしの七月には六十二・五歳になっていますから、六十五歳になるまでに二年半、こういう意味であります。それから六十五歳以上、普通の寿命で七十六歳まで生きるということで想定をいたしますれば四十万円もらえる、それから農業者老齢年金が五十万円もらえる、合わせて百八十万円ぐらいもらえるということになるわけであります。ですから、二十一万六千円納めて、七十六歳まで生きれば百八十万の給付がもらえる、もちろん経営移譲してという前提が立つわけでありますが。そういう状況でありますから、三千六百円という月額の保険料というものは決して高いものではないだろうというふうに判断しておるのでございます。ただこれは、同時にまた、そういう設計がいいかどうか、年金財政の健全化ということからすればまた別の議論が出てくるということも承知しております。
それから、いまお尋ねのありました四人分で、年間約二十三万円でございます。これはラフな計算でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/105
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106・武田一夫
○武田委員 かなりの金額を納めなくちゃならぬわけですね。それをわかってもらえばいいです。
時間が来ましたので、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/106
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107・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 神田厚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/107
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108・神田厚
○神田委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案、さらに農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、この二つについて御質問を申し上げたいと思います。
最初に、午前中も基金あるいは農林年金の両理事長さんをお呼びいたしまして、意見を聞きながら御質問を申し上げたわけでありますが、この後、大臣に対しまして質問をする予定になっておりまして、非常に限られた十五分の時間でございますので、農林年金の問題につきまして御質問申し上げたいと思います。
まず最初に、この農林年金の問題は、毎年指摘されておりますように、年金財政の健全化をどういうふうにして確立していくかということが非常に大きな問題になっているわけであります。農業者年金の場合もそうでありますけれども、農林年金につきましてもその先行きが非常に不安視されている。そういう中から社会保障制度審議会の答申が繰り返し述べておりますように、農林年金は「その構造からみて財政基盤に問題があり、将来の財政について確たる見通しをたて、これに応ずる計画を策定することが必要である。」こういうことを繰り返し繰り返し答申されているわけであります。これはいわゆる年金の将来の展望につながる問題でありますけれども、この点につきまして、この社会保障制度審議会の答申が述べております財政基盤の確立、将来の財政の問題につきまして政府のお考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/108
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109・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 農林年金につきましては、掛金率を決定する場合の基礎となります財源率につきまして、原則として五年目ごとに研究会を農林年金に設置いたしまして、専門家の立場からいろいろの審議を行いまして新しい計算基礎をもとに再計算を行っておるところでございます。
第三回の再計算は昭和四十九年度末を基準として行ったものでありますが、その所要財源率は、第二回の計算に対しまして年金受給者の増加、それから年々の制度改正等によりまして千分の九十九・五二から千分の百三十三・五九と大幅に増加をいたしたわけでございますが、御存じの修正積み立て方式をとりまして二二・五%を後送りにいたしまして、そして掛金率は千分の二の小幅な引き上げにとどめまして千分の九十八にしたという経緯がございます。
御指摘のように、今後一体どうなるのかという問題でございますが、人口は老齢化をいたしまするし、年金制度の成熟化と言っておりますが、成熟化がますます進展をいたします。そういう中で年金の給付も急速な増大を続けるものというふうに思われますが、仮に現行と同等の給付水準を維持するといたしましても、このままで推移いたしますれば後世代の負担に後送りされましたものを含めまして将来大幅な掛金の引き上げをせざるを得なくなるということが予想されるわけでございます。したがいまして、世代間の公平を保つ見地からも、次期の再計算期に向かいまして十分な検討を必要とするというふうに考えております。
次期再計算の予定時期までは現在の掛金率でいくわけでございますが、御指摘のように専門家の意見におきましても、財政の健全性の検証を毎年実施するよう指摘されておるところでございまして、農林年金に対し常にその検証を行わさせまして財政問題を把握するように指導したいと考えております。また、農林年金におきましては、農林漁業団体等その役職員に財政問題の理解等を得るために、ことしから職域の連絡協調の緊密化ということの事業を重点事項の一つとして実施をしている状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/109
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110・神田厚
○神田委員 これから後の問題といたしまして検討するということでありますけれども、掛金の引き上げというものでこれが賄えるかどうかというのは非常にむずかしい問題であります。つまり、考え方はいろいろありますけれども、一つにはこれがいわゆる政策年金として位置づけられているのかどうか。もしそういうふうなことであるならば、そこでこれから先の問題についてはどういうふうな考え方を持っているのか、この点につきまして御質問申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/110
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111・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 農林年金ももとより社会保障の一環でございますから、その意味におきましては政策年金でございます。したがいまして、これに対する将来の問題をどうするかという問題は、先ほど申し上げましたように、世代間の均衡をどのように考えていくか、それからこれとの関連も持ちながら掛金率を一体どういうふうに処理をしてまいるか、それからまた、掛金率が上がります要素としましては内容の改善という問題がございましょうし、同時にまた、いまの国庫補助でいいのかどうかという問題もございます。したがいまして、次期計算期の五十五年を控えまして、私たちはこういう問題につきまして、年金はもとよりでございますが、今後鋭意検討をいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/111
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112・神田厚
○神田委員 次に、今度の問題で毎年論議になります問題でございますが、いわゆる将来の問題につきましては、大臣が来ましたときに、社会保障制度審議会あたりが年金制度全般についていわゆる皆年金化の年金体系というような問題を建議しているようでありまして、こういう問題と絡めまして御質問させていただきたいと思うのであります。
今年度の改正に当たりまして二、三御質問をしたいと思います。
まず最初に、前からいろいろお話しになっておりますが、既裁定年金の改定については、公務員給与の引き上げに対応した自動スライド制の導入をすべきである、こういうようなことが昨年の附帯決議にも出ているわけであります。これはいろいろ論議があるところでありますけれども、この問題につきましてはどういうふうな形で対処をするお考えでありますか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/112
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113・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 農林年金の年金改定につきまして自動スライド制を導入することにつきましては、一つは自動スライドの基準を何にするかということについて年金制度全般としてなお論議の存するところでございます。また第二番目には、財政問題についても十分な検討が必要であるというふうないろいろな問題がございますので、これにつきましては今後とも共済制度共通の問題として関係各省とも協議しつつ、私たちも検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/113
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114・神田厚
○神田委員 次に、これも毎年問題になります新法、旧法の格差是正の問題について御質問申し上げます。
この問題につきましても、いろいろ部分的な改善がされているようであります。特に最低保障額などの問題で、遺族年金の問題につきまして、なお今回は扶養加算や寡婦加算制度などが導入されまして改善されてきているわけでありますけれども、支給率の問題につきまして、まだまだ不十分である、こういうふうな問題もあるわけであります。この点につきましてどのようなお考えをお持ちになっておりますか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/114
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115・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 新法、旧法の格差是正の問題はいつも問題になるところでございますが、これにつきましては、一つは共済制度共通の原則といたしまして、年金額の算定はその給付事由が生じた時点によるという原則がございまして、その意味で旧法年金に対しまして制度的に新法水準を保障するということはきわめてむずかしい状況にございます。
それからまた、農林年金は御存じのとおり共済年金グループに入っておりますので、共済年金グループの中から農林年金だけ抜き出して、これに有利な取り扱いをするということもまた困難でございます。
もう一つ、恩給受給者につきまして見ますると、文官恩給で十六万人、軍人恩給で二百三十四万人おるというふうな状況で、その給付財源をどうするかという問題もあわせてございますので、この問題は一挙に解決することはきわめてむずかしい状況にございますが、それぞれの最低保障額につきましては逐年これを引き上げて改善を図っておるという実情にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/115
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116・神田厚
○神田委員 年々かなり進んでいることは評価するにやぶさかではありませんが、先ほども問題になっておりました遺族年金を、もう少し給付水準等を改善すべきではないか、こういうような要望もあるわけであります。この辺につきましては、今後この制度をどういうふうに持っていくかという制度の運用の基本的な問題と関連することでありますけれども、その点につきましてはどういうふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/116
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117・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 現在、遺族年金の支給率は、御存じのとおり各年金制度共通で、原則的に退職年金額の五〇%ということに相なっております。この支給率の引き上げにつきましては、各年金制度共通の事項として、関係各省とも協議しつつ慎重に検討していくことが必要な問題であるというふうに考えております。遺族年金につきましては、従来から恩給制度に準じて絶対最低保障額を毎年引き上げるといたしますとともに、遺族年金の例の寡婦加算、扶養加算制度をつくりましてその改善に努めておるところでございますが、五十三年度改正におきましては、絶対最低保障額を昨年度に準じまして四月から引き上げますと同時に、六十歳以上である者または子を持った寡婦につきましては、これをさらに六月から、私たちは二段ばねと言っておりますが、六月からさらに引き上げて、また寡婦加算についても六月から年金年額一万二千円の増額ということで、逐年その改善を図っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/117
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118・神田厚
○神田委員 次に、この農林年金の一番もとでありますが、農林年金が非常に多種多様な団体で構成されている、そのために、先ほどもお話がありましたように、職域を中心としたものを協議会等を通じていろいろなさっている。その給与体系も一様でありませんし、標準給与制が採用されているわけですね。そういう中で、農林年金組合の標準給与の平均額というのは、最近少しずつ上がっておりますけれども、ほかの制度のものと比べると全体的に相当低い。これはやはり農林漁業団体に働いている職員の給与の実態がそうであるという問題の指摘があるわけであります。これは昨年の附帯決議の中でも言及されている問題でありますけれども、その辺のところが一体どういうふうなことになっているのか、その実態をお示しいただいて、それについての御見解を述べていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/118
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119・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 農林年金の標準給与でございますが、御指摘のように若干厚生年金、私学共済に比べて劣っておりますが、これは平均組合員期間でありますとか平均年齢でありますとか、そういう要素も働いておることであろうと思います。また、農林漁業団体の職員の大部分を占めます単位団体は、所在地の大部分が農山漁村にあるということで、地域による賃金格差があることも事実でございます。県連や全国連になりますと、他産業の平均給与に比較して遜色がないわけでございますが、単位団体になりますと、やはりそういう地域間の格差というものがあるように思います。しかし、臨時給与その他を含めますと、給与水準の比較としてはまあいいところへいっておるのではないかと私は思いますけれども、さらに今後とも給与改善問題につきましては、私たちといたしましても、また農林漁業団体のそれぞれの全国段階の団体といたしましても、その給与の適正化その他につきまして十分指導をしていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/119
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120・神田厚
○神田委員 今回これで質問を終わりますが、またこの後農林大臣、さらにあすまた質問が予定されておりますので、残された分について御質問させていただきたいと思っております。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/120
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121・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 吉浦忠治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/121
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122・吉浦忠治
○吉浦委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。
現今の情勢を見てまいりますと、不況の長期化と構造的な雇用不安、失業の増大、それに加えて異常なまでの物価高であります。不況によるこうした影響は、就職難、人員整理、失業は高年齢者、身体障害者、中高年婦人にひときわ強くのしかかっているのが現状でございます。物価の値上がりは老人、身体障害者、母子家庭に対し特に強烈な打撃を与えているのが現状でありまして、高度経済成長における繁栄の恵みは遠く、しかも低成長不況時におけるしわ寄せは真っ先に訪れるのが老人や身体障害者、母子家庭などでございます。ここで福祉の重要性がクローズアップされるわけでありますが、充実を言うならば、こうした不況時こそその必要性が高いわけであります。
過日私は、千葉県の農林年金受給者連盟の方々のアンケートをいただきました。これによりますと、年金は日常の生活費にどの程度充てられているかという一たくさんの調査ではないので確実な結果は出ているかどうかわかりませんが、回答をいただいた受給者の六五%が年金を日常生活に充てているという回答が出ております。
〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
一部を充てている方を含めますと九一・三%になっております。いわゆる受給者のほとんどが年金の大切さを感じているのが現状であります。また、生活費は何によっていますかというアンケートに対して、年金のみでは生活維持はできないわけでありますけれども、現状ではできないわけですが、年金プラス子供の収入によって生活をしているというふうに答えた方が二四・五%、年金プラス自分の収入という方が一八・六%という現状でありまして、中には年金のみで生活を維持しているという方が一〇・二%見られるわけです。こういうわけで、年金の重要性というものをひしひしと私感じておるわけでございまして、そういう点から最初に農林年金につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
農林年金は私学共済とそもそも厚生年金に属していたわけでありますけれども、昭和二十八年に私学共済が年金制度の組合化という方向の道を選ばれまして、昭和三十四年に農林年金もまた同じ組合化の道を選んでおるわけであります。なぜ厚生年金から独立分離したか、それは当時の厚生年金の給付水準が低いことから、同一市町村の役場の職員やあるいは学校教員と同等の給付水準というふうなものを求めて、農林漁業団体の皆さんが力を合わせて農林年金制度の創設に立ち上がったものと思います。ところが、最近は厚生年金水準もかなり改善されてまいりまして、その優劣が再び論じられるように思えますが、この点はどうかということをお尋ねいたしたいわけでございます。
具体的に申しますと、退職年金等の支給額を比較してみても、公的年金の中で最も低いように思えるわけであります。この原因は一体どこにあるのか。そこで三つに分けまして、第一に厚生年金と比較して述べていただきたい。第二には、他の年金と比較してその額を述べてもらいたい。第三には、最も低いという原因は一体どこにあるのか、この三点についてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/122
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123・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 農林年金につきましては、制度発足以来種々の制度改善を行ってきたところでございますが、同時に厚生年金につきましても、お話しのように既裁定の標準報酬の町評価を行います等一給付の改善を行っておるところでございます。両年金とも制度改正を実施してきておりますが、現在におきます両年金について比較をいたしてみますと、年金額の算定の基礎となります給与について、厚生年金は全加入期間の平均給与を採用いたしておるわけでございます。給与というのは毎年上がってまいりますので、農林年金の方は退職時前の一年間の平均給与を採用しておるわけでございます。それから年金の支給開始年齢も、厚生年金が六十歳であるのに対しまして農林年金は五十五歳となっておるわけでございます。
両年金の具体的な給付水準を比較してみますと、五十一年度の新規の発生者の退職年金について見ますれば、組合員の期間は両年金ともほぼ同様でございますが、年金額におきましては、農林年金が九十七万八百四十三円であるのに対しまして厚生年金は八十三万九百九十五円ということで、農林年金が約十四万円上回っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/123
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124・吉浦忠治
○吉浦委員 今回の法改正によりますと、これはすべて恩給、国家公務員共済の改善に合わせて改正されたというふうに政府は説明をしておりますが、この改正方式は定着したものと判断してよろしいかどうかが第一点。もしも定着したとするならば、国家公務員共済が年金額の改定を行った場合には、これに準じて政令で自動改正を行う道は開けないものかどうか、この点をお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/124
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125・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 御指摘のとおり、本年度も恩給、国家公務員共済の改善に準じまして、国家公務員給与の引き上げ率を基礎といたしまして年金額の改定を行っているところでございまして、その意味で、法律による年金額の改定は現在では一応定着したものとなっているものと考えております。しかし、現在では一応は国家公務員給与の引き上げ率による年金額の改定が定着したものとなっているとはいえ、法律上、農林年金の額の改定を国家公務員給与の引き上げ率を基礎として行うことを規定をいたしまして、これに基づきまして政令で自動的に改定を行うということにつきましては、一つは、自動スライドの基準を何にするかについては年金制度全般としてなお論議のあるどころでございまするし、また第二には、財政問題についての検討が必要である等々のいろいろな問題がございまして、十分の検討を必要とすると考えられます。したがいまして、今後とも共済制度共通の問題として、関係各省とも協議しつつ十分検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/125
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126・吉浦忠治
○吉浦委員 この改定法は大変複雑でありまして、法律を読んでも私どもには少しもわかりません。これは、平均標準給与を今年の改定で言えば七%プラス千三百円増額することによってその者の年金額を改定する、複雑な方法をとっていることにも原因があるのではないかというふうに思います。なぜ年金額を国家公務員のベースアップに合わせて引き上げる方法がとれないのか、この点をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/126
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127・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 現在、農林年金と各共済組合制度におきます年金額の改定は、改定前の年金額の算定の基礎となっている平均標準給与に改定率を乗じた額を新たな平均標準給与とみなしまして、退職当時の法の規定を適用して年金額を再計算するという仕組みをとっております。このように、平均標準給与の引き上げによりまして年金額を改定するという方法をとっておりますのは、当初の年金額の算定そのものが平均標準給与を基礎として定められているということによるものでございます。年金額そのものを国家公務員の給与上昇率で引き上げるという方式も一つの考え方ではあろうかと思いますが、この問題につきましては、一つは、四十九年度新たに導入いたしましたいわゆる通年方式によります年金額の計算は、定額部分と報酬比例部分に分けて行うことになっておりますが、この場合の定額部分につきましては、御存じのように厚生年金に準じて物価スライドによって引き上げ、報酬比例部分につきましては国家公務員の給与上昇率によって引き上げることになっておるわけでございますので、この方式そのものの根本的検討が必要になるという問題がございます。したがいまして、今後共済制度共通の問題として十分検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/127
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128・吉浦忠治
○吉浦委員 先ほども同僚議員から質問がございましたけれども、厚生年金には新法と旧法の格差はないと言われておりますが、農林年金には、昭和三十九年十月を境にして、その給付に大きな格差があるとされているわけです。しかも、旧法の新法への切りかえが国家公務員共済、地方公務員共済、私立学校職員共済よりもかなりおくれておりますし、そのために、今日でも他に比べますと低額年金者が多いと聞いております。どうして新法への切りかえがおくれたのか、また、旧法年金者を救済するために、旧法を削除して新法年金を適用すべきではないかというふうに考えます。特に、最低保障額の区別があるのは早急に撤廃すべきだというふうに考えますが、この点についてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/128
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129・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 御指摘のように、農林年金におきましては新法への切りかえが、国家公務員共済より六年三カ月、それから地方公務員共済より一年十カ月おくれまして、共済グループでは最も遅く切りかえられたわけでございますが、これは、新法へ切りかえますると掛金の大幅な引き上げが必要であるということから、政府、農林漁業団体等関係者によります十分な検討が必要であるということに原因があったと思われます。結局、最終的には四十年五月の厚生年金の給付改善との横並びを待ちまして、昭和三十九年十月に新法への切りかえが行われたということでございます。
そこで、新法、旧法の区分を廃止すべきではないかというお尋ねでございますが、これにつきましては、一つば共済制度共通の原則といたしまして、年金額の算定はその給付事由が生じた時点によるべきものであるという原則がございまして、その意味で、旧法年金に対しまして制度的に新法年金を保障するということはきわめて困難な事情にございます。また、農林年金は共済年金グループに入っておりますので、そこから農林年金のみを取り出して有利な扱いをするということもまた困難な事情にあるわけでございます。
なお、旧法期間と新法期間をあわせ持っております現在の大部分の組合員は、更新組合員と呼んでいまして、これは三十万人ぐらいおりますが、これらの者につきましても、年金額の算定をします場合には、原則として旧法期間は旧法、新法期間は新法で算定することになっておりまして、新旧の区分の撤廃というのは、この問題も含めまして、共済制度全体の基本的仕組みに影響する問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。
旧法につきまして新法の最低保障を適用すべきではないかというお尋ねでございますが、いわゆる新法の最低保障額は、各共済制度共通に、公的年金の中核でありまする厚生年金の最低額との均衡から設けられた措置でございまして、三十九年十月以降の年金者に適用しまして、旧法年金者には適用していないというのが各共済制度共通の事項でございます。で、旧法につきましては絶対最低保障額がございますが、旧法の絶対最低保障額は六十五歳以上の者については厚生年金の水準を基準としておりますけれども、これが恩給との均衡上から設けられておりますので、その対象となります年金者の年齢あるいは組合員期間の長短によって区分せざるを得ないので、これら未満のものは、新法の最低保障額に比べまして、退職年金は六十五歳未満の者で約二五%の違いがございます。しかし、これらにつきましては、共済年金制度共通の原則として、先ほど申しました給付事由が生じた時点における制度によるべきであるという原則に基づいておりますので、これを制度的に新法水準を保障することはなかなかむずかしいことでございますが、今後とも絶対最低保障額の引き上げに努めることによりまして、旧法年金者の最低水準の改善を図っていくというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/129
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130・吉浦忠治
○吉浦委員 次に、遺族年金の点でお尋ねいたしますが、遺族年金の改善では、寡婦加算の制度の導入や六十歳以上者及び子供のいる妻については二段ばねの改善が加えられておりますので、見るべきものは少しはございますが、問題はその支給率が退職年金の二分の一という点を是正しなければ根本的な解決にはならないんじゃないか、この二分の一の是正ということが先決ではないかというふうに考えますが、この点についてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/130
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131・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 御指摘のように、現在、遺族年金の支給率は、各年金制度共通いたしまして、原則的に退職年金額の五〇%に相なっております。この支給率の引き上げを図ることは、内容の充実を図る意味から御指摘のように非常に重要な事項だと思いますが、各年金制度共通の問題として、関係各省とも協議しながら慎重に検討していく必要があるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/131
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132・吉浦忠治
○吉浦委員 前にも私は遺族年金のことで御要望申し上げましたので細かくは申し上げませんけれども、根本的な解決策というものは、毎年懸案になっておりますので、検討をしていただきたいと思うわけでございます。
続きまして、農林年金組合員の給与の実態についてお尋ねをいたしますが、農林年金組合員の標準給与の平均額は、昭和五十一年度末で十二万五千百四十円となっており、その額は最近のベースアップでかなり上昇しているものの、他の制度と比較すると依然として低いわけであります。低額年金の解消を図り、老後保障をより充実させるためにも、職員の給与等の待遇改善を図っていく必要があるのではないかと思います。農林漁業団体の職員の給与実態を明確にしていただいて、この問題に対してどのような御指導をなさるつもりなのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/132
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133・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 農林漁業団体の給与改善の問題でございますが、これらの団体は自主的な団体でございますから、まず第一は、各団体の自主的な努力にまつべきものであるというふうに基本的には考えられますけれども、農林省としましても、農協合併の推進でありますとか、農協の役職員の研修に対する助成でありますとか、農協検査を通じましての農協経営の改善合理化を図りながら経営基盤の強化を図ってまいっているところでございまして、このことがひいては給与改善にも資しておるというふうに考えておるところでございます。
農業団体のそれぞれの全国段階の団体におきましては、指導機関としての立場から、給与等について適正化の指導を行っておりまして、全国中央会、都道府県農協中央会等は、給与規程の設定でありますとか、給与水準の調査とその結果資料の提供あるいはブロック研修会の開催等を通じまして、傘下団体の給与水準の改善整備に努めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/133
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134・吉浦忠治
○吉浦委員 農林年金の財政状況についてお尋ねをいたしますが、社会保障制度審議会の答申が繰り返し指摘しておりますように、農林年金は、その構造から見て財政基盤に問題があり、将来の財政について確たる見通しを立ててこれに応ずる計画を策定することが必要であるというふうに述べられております。このような事情から、農林年金はもとより当委員会でも審議やあるいは附帯決議を通して、給付費に要する国庫補助率を現行の百分の十八から百分の二十以上に引き上げるべきだ、また財源調整費補助についても、現行の予算額の大幅増額を強く要望してきたわけであります。この点につきまして、農林年金の財政問題について政府はどのように把握して、対処されようとしているのか、次の三つの点について明確にお答え願いたいと思います。
まず第一は、補助率を二〇%以上に大幅に引き上げるべきだということに対する考えはどうか。
第二番目に、都道府県補助の導入、これは衆議院の附帯決議等を踏まえまして検討されていると思いますが、この点についてはどのようにお考えか。
第三点は、将来の財政問題として、政府は農林年金の財政問題についてどのように把握し、この問題をどう対処されようとしておるのか、また、次の再計算期に向けてどのような善後策を講じられるのか。
以上三点を明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/134
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135・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 まず第一点の国庫補助率の問題でございますが、これにつきましては、農林省としましては国庫補助率の引き上げを行いたい、また、財源調整費の増額を図りたいということで予算編成の際におきましてできるだけの努力をしてきたつもりでございますけれども、各公的年金制度間におきます均衡問題もございまして、その実現を見るに至っておらないわけでございます。公的年金給付に対します国庫補助につきましては、各年金制度の仕組みでありますとか給付内容に応じて全体として均衡がとれることが大事であって、農林年金のみ国庫補助率を引き上げることはこの均衡を破るという意見がございまして、本年度も実現に至らなかったところでございますけれども、今後につきましては、他の制度との均衡をも踏まえつつさらに検討してまいりたいと考えておるところでございます。
第二の、私学共済に準じて都道府県補助の導入を図るべきではないかという御指摘でございますが、私学共済につきましての都道府県補助は、私立学校が公立教育の肩がわり的な役目を果たしているということに着目して行われておるわけでございまして、私学共済以外には、他の共済につきましてそういうことはないわけでございますが、私たちとしましては、そういう都道府県補助の導入ということを図りたいと考えております。本件につきましては、いろいろ関係官庁と相当のレベルまで協議をしたわけでございますが、この実現に至っておりません。なお今後、もろもろの事情を考慮しつつ検討を続けてまいりたいと考えておるところでございます。
第三番目に、今後の農林年金の財政問題についてどう対処するかというお話でございますが、農林年金の財政問題につきましては、今後非常にむずかしい問題を抱えておるところでございます。これは次期再計算の予定時期が昭和五十五年でございますけれども、この時期まではいまの掛金で対応していくことになりますが、財政の健全性の検証を毎年行いましてよく財政問題を把握すると同時に、農林年金におきましては、農林漁業団体とその役職員に財政問題の理解等を得るために、今年度から職域の連絡協調の緊密化の事業を行っておるところでございまして、私たちといたしましても、今後の農林年金の財政問題につきましては十分な検討を必要とするという心構えで対処をいたしておるところでございます。
〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/135
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136・吉浦忠治
○吉浦委員 続きまして、農業者年金基金法関係につきましてお尋ねをいたします。
農業者年金制度は、農家の強い要望に基づいて昭和四十六年に発足してから七年を経過したわけでございます。年金の受給者も、五十一年に支給が始まってから二年間ですでに四万人を超え、順調に進んでいることはまことに喜ばしいことであります。私も地元でいろいろ声を聞きまして、経営移譲年金をもらっている人は一様に喜んでいらっしゃいます。制度の改正も今回で四度目でありますが、こうした形で逐次内容が改善充実をされていることは、一層農家の年金として定着するものであり、その限りにおいては、今回の改正については特に異論はないわけでございます。ただ、このような形で年金をもらっている人にとって望ましい年金となる姿を見るにつけても、一方ではまたこの恩恵に浴していない人にこの制度の内容を知らしめ、加入を進めていくことが一番重要なことではないかと考えます。こうした観点から、いままでの制度の運営の状況等を含めまして、数点にわたって質問をいたしたいと思います。
まず第一に、同僚の武田議員からも御質問がございましたが、加入者の状況についてでございます。この年金制度で、将来の健全な運営を図る上において最も心配されているのは、年金の加入率が低いことでございます。現在の加入者はどの程度であるのか、また加入目標はどの程度と見込んでおられるのか、目標との関係で加入率がどの程度となっているか、未加入者はどのくらいおられるのか、その未加入者の未加入の理由は何か、こうした未加入者を多数放置しておくということが好ましくないわけでございますけれども、今後どのように加入を進めていこうとしておるのか、以上について、現状と今後の方策についてお伺いをしたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/136
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137・大場敏彦
○大場政府委員 まず、加入の状況でございますが、五十二年十二月末で百十三万余りというところでございますが、これは加入目標との関係で見ますと、四十九年度の制度改正の際に百六十五万人と見込んだわけでありますから、七〇%程度で、三割以上の未加入者が残っている、こういった状況でございます。有資格者がどの程度残っておるか、こういうことでございますが、加入者を含めた有資格者は全体で約百七十万程度というふうに見込まれております。したがいまして、資格があってまだ加入してないという者はおよそ六十万程度ではないかと思っているわけであります。
こういった未加入者の事情、いろいろな事情があるわけでありますし、われわれの調査でも理由を把握しておりますけれども、やはり制度を十分に理解してない。中にはいろいろ、保険料を納めるのが困難だとか、あるいは年金額が低いとか、そういった御批判で入らない人もあるにはありますけれども、かなりの部分がどうも制度そのものを理解していないという点があるので、こういった点について今後努力をする必要があるのではないか、かように思っております。
そこで、未加入者の問題については、従来からたびたび、給付水準の引き上げの問題だとか、あるいは経営移譲要件の緩和という形で条件が改善はされてきておりますが、そういう意味で五十一年度の四万人に対しまして五十二年度は十二月までに約四万八千人という形で、新規加入は、これは決して十分という意味で申し上げているわけじゃありませんが、ふえてきているということは言えるわけであります。
一方、脱退の関係で、全体の現実の受給者というものはそれほどはふえていないということはありますけれども、新規加入者はふえてきている、こういったことがあるわけであります。今後ともこういった傾向を促進するということで努力を払わなければならないわけでありますけれども、いま御審議いただいております時効救済、保険料納付の特例措置、そういったことを徹底するということに一つの重点がありますし、それから、ことに若い層の加入が少ないということも御指摘をいただいておるわけでありますから、そういった層に対しましては、五十一年度の改正で導入されました保険料の軽減措置というものがあるわけでありますから、そういったものの一層の徹底をしたい、こういうことによって未加入者の加入を促進していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/137
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138・吉浦忠治
○吉浦委員 いま局長が触れられたその若年加入者の構成割合が非常に低いことが非常に問題だと思いますが、このような原因は一体どこにあるのかをお尋ねをいたしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/138
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139・大場敏彦
○大場政府委員 資格を持っております人で入っていない人が約六十万人、そのうちに三十五歳未満の者が四十万人ということで、若い人の加入が非常に低いということでございますが、これはいろんな事情はあろうかと思いますけれども、結局人間一般の通性として、若いうちにはどうも老後のことを考えないという傾向がある。それから、二十年納めればいいということでありますから、何もいまあわてて入らなくたって、四十歳になるまでに入ればいいじゃないか、こういうような傾向もないわけではない。それから、やはり年金というのはよけい掛ければ掛けるだけそれだけ先に行って給付水準というものは高まってくるのだ、そういったことに対する、年金制度そのものに対する理解というものが果たして十分であるかどうか、そういった点につきましても問題が残っているというようなことであります。
要するに、年金制度そのものを身近な問題として必ずしも意識してないという点がありますので、先ほど申し上げました若い人たちの保険料の軽減措置等の徹底を通じてそういった者の加入を促進していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/139
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140・吉浦忠治
○吉浦委員 これも前々から問題になっていることですが、兼業農家ではほとんどがその担い手が主婦でございます。主婦が農業生産の上で重要な役割りを果たしておりますが、年金の加入の道を開くべきではないかということが指摘されております。この制度が加入の道を開きますと、この制度それ自体が安定するわけでございますけれども、この点について再度お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/140
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141・大場敏彦
○大場政府委員 制度論を申し上げて恐縮でありますけれども、この制度は一般的な老後保障を目的とする国民年金だけでは到達されないいわゆる農政上の課題を解決するんだ、解決に資するんだ、こういったことで設計されている年金でありますから、経営移譲というものにどうしても主眼を置いている。経営移譲というものに主眼を置きますと、当然地権者というものを対象にするわけで、農地の権利移動ということが一つの保険事故ということになるわけでありますから、そういう意味では、土地の名義人ということが問題になる。つまり経営主体、経営主ということが加入の対象になるということになるわけであります。
そういう意味で、実際の経営においては、いま御指摘になっておりますように主婦の方々、妻の方々が家族経営の中でかなり大きなウエートを占めて農業を営んでおられる、こういうことと権利移動ということとの間でどうもつながりがないということで、その他妻だけじゃなしに、農業従事者も含めてそういう者は対象にしていない。やはり農業経営主というものを対象にしている、そういった仕組みから、直ちにいまの妻の加入というものはできない、こういったことになっているわけであります。
しかし、先ほどもお答えいたしましたけれども、たとえば兼業農家の妻の場合には、夫がよそへ勤めていて、これは被用者年金である厚生年金を受けておられる。それで、実際妻が働いて農業をやっているという方の場合には、一種の手段、技術的な対応でありますけれども、農地の名義人を妻に変える。何も所有権を移転しなくてもいいわけであります。夫から妻が借りたというかっこうでもいいわけでありますから、そういったかっこうにすれば、これは堂々と農業年金の加入資格を得るわけでありまして、現実に妻の、決して多い数字じゃございません、少ない数字でありますけれども、五万三千人という農家の妻の加入というものもあるわけであります。ただ、これは専業農家の妻ということになりますと、そういうふうに簡単にはちょっといかないという問題がありまして、経営移譲との関係をどうするか、それから農家の妻の方々が農業に従事しているということをどうとらえるかとか、いろいろむずかしい問題があるわけであります。こういった問題をどうやって解決するかといったことが今後の課題だろうと思います。
そこで、おっしゃるとおり、私どもも心情的には妻の方々が一生懸命働いている、農業を支えている実態とそれから制度との調和をどうするかというふうに非常にむずかしい問題がありますので、今後の検討課題であるということでありますが、当委員会でもこの問題につきましては昨年御決議をいただいている、こういう経緯もありますので、検討会の一番早く手をつけるべき課題としていま御検討願っている、この三月、四月、農業年金制度検討会というものの専門部会を開いたわけでありますが、その中でも妻の加入の問題をどうするかということをまず一番手始めに御討議願っている、こういった状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/141
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142・吉浦忠治
○吉浦委員 次に、いまの未加入の理由にも関連いたしますが、末端の業務運営体制の整備についてお伺いをいたします。
私が幾つかの町村を歩きまして知り得たことでありますけれども、どうも町村によって加入の状況にかなりのアンバランスがあることがわかりました。聞くところによりますと、実際の末端での業務は、農業者年金基金との委託契約によって農協と農業委員会が進めていることがわかりました。特に農協の場合は主として保険料の収納の事務を行っており、しかも女子職員が担当していることが多かったわけであります。そして、農協によってはこの保険料の収納も専任でやっているのではなくて、農協本来の業務の片手間にやっている現状でございます。こういう状態だから、加入の促進などに手が回らないというのが現状だろうと思います。また一方、組合長など理事者側と会いますと、この制度についてよく知らない方が多いわけです。そこで、未加入の人が制度について知らされないまま放置されている現状だと思います。
このアンバランスを生じているのは、こうした執行体制の不備な農協があることによるのではないかというふうに思います。とするならば、今後末端の業務執行体制をどのように整備していくつもりか。特に加入促進との関連で具体的にどのような措置をとるのか、その指導方針というものを明確にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/142
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143・大場敏彦
○大場政府委員 年金基金が業務を行っているわけでありますが、その業務のかなりの部分の末端業務というものは農業協同組合あるいは農業委員会に委託して進めている。それから、加入の促進につきましても農業委員会、農業協同組合系統にお願いして進めている、こういったことであります。
年金基金といたしましては、そういった業務を委託する機関の事務が円滑に行われるよう委託手数料も逐年引き上げる、こういった努力は一方においてしておりますが、いま御指摘になりましたように、職員の資質が十分でない、職員自身がどうもわかっていないというような場面もときには見受けられるわけでありますから、そういった職員自身の資質の向上ということ、年金制度というのはどういたしましてもわかりにくい制度であることには変わりないわけでありますから、そういう意味での職員自身の研修というか、知識をふやす、強めるというところに一つの重点があるんじゃないかと思うわけであります。
それから、これもまたいま御指摘になりましたが、地域によって非常にアンバランスがある、あるいは団体によって非常にばらつきがある、こういったことでありますから、そういったばらつきの中でも非常に悪いところ、たとえば加入率が悪いところとか、あるいは保険料の徴収状況が悪いとか、あるいは経営移譲というものが主眼であるわけですが、その点に非常に問題があるといったところを重点的に拾い上げて、そういったところを重点的に現地指導する、そういった体制を進めておるわけであります。今後そういった方向をさらに進めていきたい。
それから、これは農業者年金基金、農協、農業委員会、そういうところだけではなしに、一方やはり県庁そのもののお力も借りる必要があるだろう。県の農協中央会あるいは農業会議、そういったものの参加というものもあわせて県の段階あるいは町村の段階で、町村の場合には市町村とそれから農業委員会、農協、そういったものの推進協議会みたいなものも設置して、加入の促進だとか趣旨の徹底ということを、そういった現場の直接指導とあわせてやっていく必要がある、そういう方向で指導活動を進めていきたいというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/143
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144・吉浦忠治
○吉浦委員 いま局長の御答弁のとおりでございまして、千葉県においても調べてみますとビリから数えた方が早かったわけでございますが、少し手を入れますとその普及率がぐっと高まるというふうに、力を入れるか入れないかによって大きな相違が出てきているわけです。したがいまして、この委員会では去年もこういう質疑を行いましたし、また一年たって質疑という、そのときだけの検討でなくて、何かその啓蒙週間なり啓蒙月間なりを御検討なさって、そして、しかるべくその指導体制なり執行部の責任あたりを明確にして、まだ相当な未加入があるわけでありまして、それがどの程度まで指導によって可能かという線を農林省の方で検討していただきたいと思うわけでございます。これを要望いたしまして、次に進みます。
後継者の救済についてでありますが、今回の措置は末端の執行体制の不備等による制度の趣旨の不徹底を直すという意味も含まれていると考えておりますが、であるとするならば未加入の当然加入資格者について時効にかかった保険料の納付を認め、年金がもらえるようにするというこの恩典を広げて、農村になお多く存在している高齢の後継者、土地の権利を持っていない四十歳以上の後継者についても、いまから加入して年金に結びつくような措置はできないかどうかということでございます。できる限り多くの人が年金の受給に結びつくことが望ましいと思うのですが、ぜひそうしていただきたい、私はこのように希望を申し上げるわけであります。なお、これについて何か方法があるのかどうか、どのように考えておられるか、当局の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/144
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145・大場敏彦
○大場政府委員 この加入資格者を分類すれば、御存じのとおり、当然加入と任意加入というふうに分かれるわけで、過去にさかのぼって時効になっている者を救済するという制度の対象とするときには任意加入の者は外すということは、これは制度の仕組み上ある程度やむを得ないことではないかと思っているわけでございます。
なぜかと申しますと、これは任意加入である後継者も含めての話でありますけれども、結局任意加入の場合には自分が加入しますという加入者の意思をもって加入の要件としているわけでありますから、それで加入資格が発生して加入したということになるわけであります。過去にさかのぼって、過去の時点においてその人が加入の意思があったかどうかということまで類推して判断するということは実際問題としてむずかしい。やはり加入してなかった者は、その時点において加入の意思がなかったということで割り切らざるを得ないのじゃないか。任意加入の後継者もそういうことだろうと思うわけでございます。
それから後継者の場合には、もう一つの要件として親から引き継いだということが要件になるわけでありますが、子供が複数いたという場合には、その中のこの人というような特定ということがその当時においてされていなければならないわけでありますが、その辺のところの認定といいますか、把握ができるのかどうかというようないろいろ制度上の難点があるので、当然加入はそういった問題はないわけでございますから、やはり当然加入ということに限定せざるを得ない。
ただ、任意加入の方でも、現実には保険料を納めてなくても、その当時において私は年金に加入しますよという意思表示があった方は、その当時において加入の意思があったかどうかということをとやかく周りがせんさくする必要は一切ないわけでありますから、その人ははっきり加入しているものということで、それは何も当然加入の方と区分する必要はない。そういった方々が仮に保険料を納めていなくて時効に会っても、それはこの時効救済の対象として当然加入の人と無差別的に救済をする、こういった制度になっているということだろうと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/145
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146・吉浦忠治
○吉浦委員 前の質問と重複いたしますけれども、去る五十一年の改正において、若年の後継者の加入促進を図る措置として、いわゆる特定後継者について保険料の三割軽減を図る措置を講ぜられたわけであります。この点について一定の評価は与えられておりますものの、これが実施の段階においては、逆に農業後継者の間に不公平をもたらしているとの批判もあるわけです。すなわち、現在の仕組みにおいては、保険料の割引の対象とする者を三十五歳未満の後継者加入をした者だけに限定し、三十五歳未満でも、みずから農業経営者となっている者は対象としていないこと、次に、さらに後継者加入といえども、一定の経営面積を有しない者は割引の対象にしないことといった不合理な面があります。これに対して強い不満が出ておるわけであります。特に、面積要件を保険料軽減の基準とすることについては、国が一定規模以下の農家は切り捨てるといった、いわゆる選別政策につながるのではないかというふうに思います。また、このことは、こうした農家に該当する農業後継者の生産意欲を減退させるのではないかと思いますが、政府はこの点について早急に改善する必要があるのではないかと考えますが、この点についてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/146
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147・大場敏彦
○大場政府委員 五十一年度の制度改正で、三十五歳未満の後継者についての保険料の軽減措置、逆に言えば国庫負担の増額措置を実現したわけでありますけれども、その要件として四つあった。三十五歳未満であるということと、それから親と子がペアで加入しておるということと、それから親の経営規模が県の平均規模以上であるというようなことがあるわけであります。そういったこと等の条件につきましては、これは考え方といたしましては、そういった後継者というものが将来の農業生産の中核的な担い手である、そういうようなものを養成して、そういった者に経営移譲を促進していく、そういったところに制度実施のねらいがあったということですから、そういった要件を付加したということでございます。
しかし、実際問題として、いま御指摘の問題もありますから、現実には、たとえば面積要件にいたしましても、集約的な農業経営の場合には、そういった面積要件から適用除外する、除外例を設ける、こういったこともありますし、それから親と子がペアで加入していなければいけないという要件につきましては、措置実施の際、親が高齢のために実際問題として年金に入れない、こういったケースがあり得るわけですが、そういった場合には、親の加入ということを要件とはしないという等の緩和措置を講じているわけであります。
そういう意味で、私どもの判断では、三十五歳未満の方々が、この条件が非常にきついということのために入れない、その恩典に浴し得ないということには必ずしもなっていないのではないかという判断をしておりますが、なお、実態をよくまた改めて調べてみまして、本当にそのために入れないというような方々が多くあるということでありますれば、なおいろいろ検討はしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/147
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148・吉浦忠治
○吉浦委員 本年金制度において、最も不合理な点として指摘されておりますのは、経営移譲をした者としなかった者の年金受給額に著しい格差があることだと思いますが、本来、年金の持つ性格は、老後の保障に対し、何人にも平等な措置を講ずるのが前提であるわけであります。この法律がねらいとする経営移譲の促進といったものに、加入者の拠出制による年金制度を結びつけるのはおかしいのではないかというふうに思いますが、この点についてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/148
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149・大場敏彦
○大場政府委員 この制度は、御存じのとおり、経営移譲を年金の支給要件といたしまして、そして経営移譲後の老後の生活を安定する、経営移譲しない方々にも年齢要件による年金の給付、支給をするということで、老後生活の安定ということはねらっているわけであります。そういう意味で、それをさらに国の負担だけに頼るということは、いろいろ他の年金制度もあるわけでありますから、そういったものとのバランスを考えて、全部国費負担ということについては余りにも問題が多過ぎるのじゃないだろうかというふうに思っております。
しかし、いま御指摘のありましたように、確かに農民年金というものは政策年金でありますから、国が相当の配慮をするということは当然のことでありまして、それは厚生年金あるいは国民年金と比べまして、やはりかなりの高率負担はしているというふうに私ども思っておりますし、五十一年度改正の際に、若い後継者に対する保険料の軽減措置等も講じているということでございますので、そういった国庫負担の方向を充実していくということは、一つの努力目標として私たち、やらなければならないと思いますが、全額国庫負担ということになりますと、これはかなり問題が出てくるのじゃないかというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/149
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150・吉浦忠治
○吉浦委員 最後に、厚生省お見えになっておりますか。——厚生省にお尋ねして終わりたいと思いますが、この年金政策のあり方というものを総括的に見てまいりますと、現在の多元的な公的年金制度というのは、将来は体系的に整理をされていくことは理の当然だと私は考えております。第一点はこの点について。
第二番目は、これに関して被用者年金を中心に統合していく考え方と、被用者と非被用者との二本立てとする考え方と、二本立てとしながらも、共通部分の一元化を図るという考え方がありますが、この点についてお答え願いたい。
第三番目、そこで問題点でありますが、政府が考えておられますところの年金基本構想懇談会というのがございますが、これは各界の先生方の御意見を聞いて、昨年の秋ごろに中間的におまとめになるということを聞いておりましたが、どの程度進んでおりますか、お聞かせを願いたい。
第四番目には、将来における老齢人口の趨勢というものを展望いたしまして、ピークになりました老齢人口と生産年齢人口の比率をどのようにお考えなのか。
また、最後に、後代の負担を含めた財源の見通しといたしまして、国民所得に占める年金の割合はどれくらいまでが可能だと厚生省はお考えなのか。
以上の点をお答え願って、終わりにさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/150
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151・山本純男
○山本説明員 まず第一の年金制度の統合に関する問題でございますが、すべての年金を全国民的に統合いたしますということは、公平の観点からは大変望ましいことだという御意見は多々ございますけれども、また一方では、全国民と申しましても、全国民の中にはいろいろな立場、いま現在の立場もございますれば、また若いときから、年金ですと御老人でございますが、老齢になるまでの長い人生の間のいろいろな経歴をお持ちの方、多様な方がおいでになるわけでございまして、これを全部また形の上で画一的にそろえることが本当に公平かどうかといいますと、そこはまたいろいろ御意見もある、こういうことでございまして、私ども、お伺いいたしておりますところでも、必ずしも何でも一本にしてしまうのがベストかどうかという点にはいろいろ異論があるということも聞いておるわけでございます。
その中でまた、サラリーマンとサラリーマンでない方という二つの階層を考えますと、やはり若い間の生活の実態も違いますれば、また、老後の生活の実態というものにもおのずと差があるという御意見もあるわけでございまして、現在の制度は、大きく言いますと、サラリーマンの関係では厚生年金と五つの共済組合、さまざまではございますけれども、やや似通ったところが多くある。それに対しましてサラリーマンでない方の国民年金はまたちょっと違う立て方の年金になっておる。これが現状でございますが、それにはまたいろいろと公平の問題でございますとか、生涯の中には両方の経歴をあわせ持つ方も多々おいでになりますので、そういう方についての調整の問題とかいろいろむずかしい問題があり、いずれにしても大変むずかしいというのがいまの現状かと思っております。
そういうところから、ただいまも御指摘ございましたように、全体として一元化することは望ましいにしても多々問題がございますので、ある基礎的な部分というような一部分についてだけでも一元化したらいかがかという御意見もあることは十分承知いたしておるところでございます。
いずれにいたしましても、いま現に八つの年金制度がここにでき上がって、短いものでも十七年、長いものになりますと数十年という歴史を持って現存しているわけでございますから、たとえ一部分なりともこれを取り壊しますということは容易ならぬことでございますので、そういういろいろな御意見を踏まえながら、これから先どういうふうに持っていくのが一番よろしいかということを検討しているのがいまの段階でございます。
そういうことで、飛びますけれども、年金制度基本構想懇談会の審議の状況というものを昨年もこの委員会で途中経過を御紹介いたしたわけでございますが、その後昨年の十二月に、中間的な意見を取りまとめました意見書をまとめていただきました。そこでは、ちょうどいま先生から御指摘のありましたような諸問題について、いろいろと現状の分析からどういう点に不都合な点があるかという問題点の洗い出しを主としてやっていただきました上で、当面近い将来に解決を図ることが必要な懸案事項というものをまた幾つか御指摘いただきました。さらに、最後のところでは、そういう諸問題について今後さらに詰めを行いまして最終的な結論を得たいということをまた報告書の中で述べられております。
もう一つの人口の老齢化と国民所得の点は、数字でお答え申し上げます。
現在、老齢者というのも区分がいろいろあるのでございますが、六十五歳以上人口というものをとりますと、現在、全人口の八%の台に乗ったところでございまして、八%と九%の間ぐらい、昭和五十五年が七・九一%でございまして、昭和六十年には八・八八%になると見通されておりますので、いま八%の中ほどぐらいではないかと思われます。これが今後昭和七十五年、と申しますとちょうど二十世紀の終わりでございますが、その時点では一四・二六%というふうに非常に大きな増大を示しますし、さらにその後の二十年ないし二十五年の間にさらに四%ほどこれが増大いたしまして、一八%台、二〇%足らずのところまで比率が高まるであろうというのが現在の見通しでございます。
これが十五−六十四歳の年齢層に比べてどのくらいの比率になるかといいますと、ちょっと手元にその比率がないのでございますが、昭和五十五年の数字で言いますと六十八分の八でございますから八・五分の一という割合かと思います。これが昭和七十五年というところでは六十六分の十四・何がしでございますから、四・何分の一、五分の一よりも少し多いぐらいであろうと思います。二〇二五年、二十一世紀の四半世紀がたった時点で申し上ますと六十二・五分の十八でございますから、ここでは三分の一と四分の一の間という非常に高い比率になってくる、そういう見通しになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/151
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152・吉浦忠治
○吉浦委員 時間が参りましたので終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/152
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153・片岡清一
○片岡委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
午後三時五十五分休憩
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午後四時四十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/153
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154・中尾栄一
○中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。日野市朗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/154
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155・日野市朗
○日野委員 大臣がお見えになりましたので、大臣に、これは古くて新しい問題ですが、大事な点について伺っておきたいと思います。
きょうも大臣がお見えになる前に、構造改善局長さんにいろいろ御質問申し上げたわけなんですが、この農業者年金基金法のそもそもの性格について、これは政策年金であって、経営移譲、ここのところに非常にウエートを置く立場を、大分、局長さんは貫かれたように思うのですね。これは何もいまさら申し上げるまでもないですけれども、農民の恩給というような考え方が農民の間にかなり広く浸透しているわけです。われわれもそういう形でいろいろ物も言ってまいったわけですし、社会党の対案というものもそういう立場で貫かれていたわけなんですが、この農業者年金基金法の第一条、そもそもの目的を読んでみますと、これは経営移譲のこともさることながら、「老齢について必要な年金等の給付の事業を行う」ということ、それから「農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上」というようなことをきちんとうたっておりまして、これはやはり政策年金であって、経営移譲を促進して、「農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与する」というようなことも目的には入っておりますが、それが一面的にとらえられるべきではないというように私は考えているわけなんですが、大臣のこれについてのお考えはいかがなものかと思います。この農業者年金制度については、やはり福祉の点から、農業者が年をとったら年金を受けられるんだという一応安心感に立ったような側面を非常に強調して、制度の沿革上から考えていくべきものであるというふうに私は思うのですが、どうでしょう、ことしの農林省の考え方は、従来より経営の近代化とか農地保有の合理化ということにかなり大きく傾いてきたものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/155
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156・中川一郎
○中川国務大臣 私どももこの農業者年金の制度をつくりました際に参画いたしておりますが、確かに農業経営者の老後保障というものも大事であるということには間違いありませんけれども、やはり政策年金としての意味は、経営移譲を円満に行って、農業の若返りとか近代化とか合理化とか、こういうものを積極的に取り入れていく、あわせて農業者の老後保障を見ていくという一体のものであって、単純にそういうものがなしに老後だけを見るならば国民年金で十分というわけでありませんけれども、これでまあまあ一般国民並みの年金の仕組みはあるということで、両者を密着させてともどもによくなるというところにこの政策年金の意味があるもの、こう承知いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/156
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157・日野市朗
○日野委員 いまの大臣の答弁を聞いていささか安心をしたような感じがするのですが、まさか農業者の生活を非常に大事に考えておられる中川農林大臣の時代に、この制度に対する考え方が大きく変わったというようなことがないように、ひとつこれからもいろいろと御尽力を賜りたいというふうに思っているところなんであります。
それで、私先ほどもいろいろ質問した中で、局長さんの答弁では若干気になる点が幾つかございますので、その点を質問していきたいと思います。
それは、先ほど時効救済の問題につきまして、一カ月三千六百円ということの根拠もいろいろ伺いました。そして、これは少し高過ぎるのじゃないかなという感想も実は述べたわけであります。それに関係いたしまして、出先の農協や何かがこの制度に十分対応できるような基盤を持っていない。つまり、この農業者年金に対応するような人員の配置をやるだけの財政的な基礎なんかについてもかなり不十分なように思うのですが、この年金が十分機能していくためには、窓口になっている農協がまずこの制度に十分に対応できるようなPRをしていくということ、それから農民のかゆいところに手が届くという言い方になりますと、それは少しオーバーだと言われるかもしれませんが、そのくらいまでしなければ、この農業者年金というものが十分に日本の農村に定着をしていくということがちょっとむずかしいのではなかろうかなというふうに思います。
それで、この事務の委託をやっているわけですが、この委託費の値上げというようなことについて、これからも十分に取り組んでいく、これをアップするような取り組みを進めるということをひとつお約束をいただきたいというふうに大臣にお願いしたいのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/157
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158・中川一郎
○中川国務大臣 農協にお願いいたしておりますので、農協のPRその他仕事をする上に支障がないように、委託費等努力してまいりましたが、今後もさらに努力して支障のないようにしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/158
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159・日野市朗
○日野委員 先ほど局長さんがお答えになった中で、私はこんなふうな質問をしたのです。現在の被保険者数の推移を見ますと、どうも横ばいというよりはむしろ漸減している傾向があるのではないかというふうに私は思うわけですね。この年金制度の財政状態を見ても、私はこの財政状態は決して健全な方向には進んでいないというふうに思うのですね。もっと加入者をふやすということ、それから喜んで加入ができるような状態をつくり上げていくこと、こういうことがまずその財政状態を健全化していくという方向からも望ましいことではないかというふうに私考えるのですが、先ほど私のこういう質問に対して、局長さんは、漸減するのはこの制度の性格上やむを得ないんだ、こういうようなお答えをしておられるわけなんですが、私は、これはちょっと考えてみると、ゆゆしい問題じゃないかと思います。これはまだ加入していない農業者というのはかなりの数おるわけでありますし、それから若年の農業者、これの加入状況も非常に少ないという、こういった現状を踏まえて考えてみますと、漸減していくというのはやむを得ない方向だ、制度の本旨からいってそういうふうになるのだというお答えをいただいたのですが、これは私、非常に遺憾だと思うんですがね。これは大臣、どう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/159
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160・大場敏彦
○大場政府委員 私のお答えがちょっとまずかったのかもしれません。いまから漸減していくということを申し上げているわけではなくて、全体的なパターンとして農業就業人口が減少していくという場合には、ある一定の段階に立って、そこにはピークになるでしょうし、それからの被保険者数というのはやはり減っていくというパターンというものは想定しておかないといけないだろう、そういう意味で、この農業者年金の設計というものは財政計算をされている、こういうことを申し上げたわけでございます。
そこで、現在百十三万人前後というものが加入しておりますが、それからさらに減っていくという意味を申し上げているわけではないので、かつて四十九年の制度をつくったときに、財政計算をしたときには、百六十五万人という目標をつくったわけですが、それは昭和五十二年というようなことを一応想定して設計したわけでありますが、それからさらにぐんぐん上っていく、こういう設計をしているというわけじゃありません。ある一定のピークになったらそれは下がっていくというパターンは、どうしても一応想定しておかなければいけないだろう。しかし、いまの百十三万というのはピークで、それから下がっていくということを申し上げているわけではなくて、それからさらに、いま御指摘になりましたように、未加入者というものを加入の方向へ持っていくという努力は積極的にしていく、それが財政の健全化ということの非常に大きな近道でありますから、そういう努力はしていく必要があるということが私の真意であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/160
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161・日野市朗
○日野委員 さっき、私の聞き方が悪かったのかどうか、漸減傾向ということについて、やむを得ないという投げやりの姿勢ではなくて、積極的に農業者、農業経営者をどんどんこれからも加入しやすいようにしていくという方向であることは間違いないですね。大臣にもひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/161
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162・中川一郎
○中川国務大臣 全くおっしゃるとおりでございまして、これは農家の皆さん方が全体的に入っていただくように、多くの人が入っていただくように、そのことがまた仕組み全体としてもよくなるということでございますので、多くの人に入っていただくようにしていくのは当然のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/162
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163・日野市朗
○日野委員 これはもちろんそのようにひとつこれからも進めていっていただきたいと思います。
特に、私、この年金の現状を見て、非常にゆゆしい問題だと思うのは、若年経営者、これが非常に少ないということが何とも心細い限りだというふうに思われてならないのであります。さっき局長さん、いろいろな理由をお挙げになりました。一々もっともとうなずけるところも多々ございます。ただ、もっともっと努力をすべき点もやはりあろうかというふうに思うので伺うわけでありますが、特に特定後継者に対する措置ですね、これについてはいろいろ考えなければいけない点があろうかと思います。時間も余りたっぷりあるわけではございませんので、少しはしょった質問になって恐縮なんですが、まず一つの措置として、若い人たちにも入ってもらう。そして、若い人たちの関心をも高めていくという方向から、農業者年金基金法の施行規則の附則第二条の別表なんかの要件をもっと緩和するような方向にぜひとも進めていただいて、もっと若い人が入りやすい、そして、若い人の関心をも喚起していくという方法なんかも考えられるのではないかというふうに思いますが、この施行規則の附則、この別表を改めてもっと要件緩和をするというようなことを考えておられるかどうか、伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/163
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164・中川一郎
○中川国務大臣 後継者、特に若年農村青年が入ることが望ましいことでございますので、そういった方々に対する特例といいますか、制度もあります。その制度等について緩和しろという御指摘だと思いますが、研究してみますが、やはりしっかりした農村青年という枠も外してはなりませんので、その辺は十分勘案して、御指摘の趣旨には沿ってまいりたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/164
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165・日野市朗
○日野委員 別表の話が出たついでに、一応の指摘を私なりにしてみたいと思うんですがね。私、宮城県ですが、宮城県では百二十アールが一つの基準とされているわけです。これは平均をとっての話であるというふうに思うのですが、現実に百二十アールで農業を、もちろんこれは専業農家としてやっていけるわけはございませんし、これにいろいろな形での副業というものを勘案しながらこれをやっているというのが現状で、そういう点を考えますと、この要件をもっと緩和していくということはぜひとも必要なことであるというふうに私も考えますので、ひとつそこいらは十分に考慮をしていただくだけではなくて、考慮してネガチブな結論を出すのではなくて、考慮して積極的に、前向きにひとつ結論を出していただくようにぜひともお願いしたいと思います。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/165
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166・大場敏彦
○大場政府委員 経営面積要件の話でございますが、これは一応県の平均ということで押さえている。ただし、いろいろ集約的農業の場合には、それだけで押さえ切れませんから、結局、投下労働時間ということで押さえて要件緩和しているということでございますし、また、いろいろペアの、親子で入っている、こういう条件もあります。そういったことも、どうしても高齢者で入れないというような場合には、必ずしも入っていなくてもいいというような緩和もしておりますから、私どもの考え方は、そういった措置を活用して、たとえばかなりの三十五歳未満の特定後継者というものは加入を阻害されるということにはなっていないのじゃないかというふうに判断しております。しかし、そのために、やはりどうしても入りたいという熱意がある方で入れないということになっては一つの問題点でありますから、よく実態を調べまして、点検いたしまして、邪魔であれば、その辺はよく判断して対応していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/166
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167・日野市朗
○日野委員 年金は、勢い経営移譲にウエートがかかっているということは、いろいろな沿革上、私はやむを得ないと思うのですが、ただ、余り経営移譲という点にウエートがかかり過ぎることによる弊害といいますか、農村におけるいろいろな社会問題が発生しているということについて、農林省はどの程度の認識を持っておられるか、ひとつ伺っておきたいのです。
たとえば、こんな問題にわれわれはよく直面するわけですね。いわゆる身上持ち、農家の財布持ちですね、経営の名義がかわるということによって、いままで経営者だった父親が、今度は逆に新しい経営者によって冷遇されるとか、それから子供たちの相続の問題が出てくるというようなことのために、なかなか経営移譲に踏み切れない農業経営者がかなりいるということについて、私は、かなりの問題があるのではないかというふうに思っているのです。これはおまえの非常に個人的な体験だというふうに指摘されるかもしれませんが、私もいろいろな身の上相談、法律相談なんかいままで受けてきた中では、現実にそういう問題が非常に数多いということをやはり身にしみて感ぜざるを得ないわけですね。それから、やはり経営を移譲するということになりますと、憲法上の平等原則とか、それから民法上の均分相続の原則とか、こういったものとかなり感覚的にはかけ離れたものになってしまうのではないか。もう民法などと言えば国の基本的な法律ですから、そことの整合性なんかについても問題があるのじゃないかと思うのです。
こういういろいろな農村で起きている問題、それについてどのように考えておられるか。そのようなことは一顧だに値しないというのか、ある程度考えるがやむを得ないというのか、今後ともそれは十分考えていかなければならないという立場をおとりになっておられるのか、これは特に老齢年金をもっとアップすべきではないかという考え方がずっと強いことは御承知のとおりですから、それとの関係でどう考えておられるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/167
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168・大場敏彦
○大場政府委員 農業者年金で経営移譲を促進するということの意味は、一つの大きな意味としては、やはり農地の細分化を防止する。やはり子供に一括して農地をまとまった期間内に譲り渡す、そういったところにねらいがあるわけで、これはもう釈迦に説法でありますけれども、そういうところにねらいがあるということで、われわれとしては、あるいは第三者に経営移譲して経営規模拡大の方向へ持っていく、これは日本農業の基本的な課題だろうと思うわけです。そういう意味で強調するということであります。
しかしながら、実際に農村の実態、家の実態というものを考えると、これはいま御指摘になりましたように、なかなかいろいろ複雑な問題がある、家庭の事情というものがあることは私どもよく理解しております。経営移譲して農業者年金をもらいたくても、たとえば養子であったために、その仲が非常にうまくいっている場合はいいわけですが、農地を譲り渡すことにはやはりちゅうちょするというようなケースだってあり得るわけで、そういった場合には、やはりいまの五十一年度の改正で、何も農地を所有権を設定しなくても、移転しなくても、使用収益権の設定でも、これは後継者でも、もちろん第三者でもいいわけですが、そういうことで経営移譲の要件は満たし得るというように緩和している、こういった措置もありますので、あるいは後継者がなかなか見つかりにくい、後継者難であるというような態様もありますが、これは農地保有合理化法人だとかあるいは農用地利用増進事業だとか、そういった手段を活用して対応する、そういったいろいろの対応の仕方があるわけで、一概にそうすぱっと割り切れる問題ではないということはよく存じておりますが、そういうような努力はやはり私どもとしてはしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/168
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169・日野市朗
○日野委員 ここのところはもっといろいろ突っ込んで聞きたかったところなんですが、どうも時間がなくなってまいりましたので、今度は農林年金の方をちょっと聞いておきたいと思います。
これもまた古くて新しい問題ではあるのですが、この農林年金の方も、年金の財政事情というのは、これは農業者年金ほど切迫した感じはないにしても、やはりかなり厳しいものがあるかと思います。特に現実に掛金をどのパーセンテージに抑えるかというようなことについては、周知のとおりいろいろな苦肉の策なんかも弄しているわけですが、この抜本的な改善ということになりますと、これはかなりむずかしい問題があると思うのです。要は、これはもう国庫補助率を現在の補助率からかなり大幅に引き上げなければ、ちょっとどうにもならぬのではないかというような感じがするわけでありますし、まずその点、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/169
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170・中川一郎
○中川国務大臣 御指摘のとおり、財政事情は非常に厳しいものがありますので、五十五年の見直しに向けて料率改定等健全化に努力してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/170
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171・日野市朗
○日野委員 この農林年金の場合、非常に特徴的なことは、やはり農林漁業関係団体の職員の給与が低いという点に非常に特徴的な点があるのではないかというふうに思うのですが、そういう低い給与からパーセンテージをどうはじき出しても、さらにその掛金をかけさせていくということもまた一考を要する点ではないかというふうに思うのですが、この掛金率をさらに大幅に引き上げていくというようなことが可能かどうかということになると、私はこれはかなり否定的に考えざるを得ないのではないかというふうに思うのですが、補助金率のアップということと考え合わせて、農林大臣、いかがでしょうか、さらにこの掛金率を大幅に上げていくということは可能かどうか、どのように見ておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/171
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172・中川一郎
○中川国務大臣 この問題はもう数年来の問題でございまして、私どもも農林大臣になる前から、またなりましてからも補助率のアップということをやってまいりまして、ことしも大臣折衝というところまでやったのでございますが、どうしても厚い壁がある。その壁は他の公的年金とのバランスの問題でございます。今後とも他の公的年金とのバランス等もにらみ合いながら最善の努力をしていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/172
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173・日野市朗
○日野委員 それは補助金率と同時に財源調整費の補助、こういうものも含めて、果敢にその厚い壁に取り組んでいただきたいというふうに考えますので、ひとつそこの点は強く要望をいたしておきたいと思います。
もう一つ、最低保障の問題ですが、これはことしもかなり努力をしておられるということはよくわかるのですが、六十歳以上の者または遺族である子がいる六十歳未満の妻にかかる遺族年金の最低保障、これについて二段ばねというようなことで非常に考えておられることはよくわかるのですが、私も何ともこれは若干苦肉の策のような感じがしてならないわけであります。言うまでもなくこれはILOの百二号条約の基準というのがやはりあるわけでございまして、これにできるだけ近づけようという努力をなすっておられる。この点はわかるのですが、苦肉の策を弄さずに、むしろストレートにこの基準を実現していくという努力が要請されているというふうにも考えるのですが、いかがなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/173
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174・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 新旧格差の解消を図るべきではないかということでございますが、この問題につきましては非常にそういう強い要望があるわけでございますが、問題がいろいろございまして、一つは、共済制度の共通の原則といたしまして、年金額の算定はその給付事由が生じた時点によるべきものであるという、共済制度を通じます原則がございまして、その意味で農林年金に対しまして新法水準を保障するということは、その点からもきわめて困難な実情にございます。
また、問題の第二は、農林年金は、御存じのとおり、共済年金グループの中に入っておりますから、農林年金のみを有利な取り扱いを図ることは非常に困難である。一つの例としましては、恩給受給者をとってみますと、文官恩給で十六万人おるわけでございます。軍人恩給が二百三十四万人おるということでございまして、その給付財源を国庫負担をいたしております恩給制度あるいは国家公務員共済、地方公務員共済等との関連等から見まして、これまたきわめて困難な実情にあるわけでございます。
なお、遺族年金の新旧格差問題で要請が非常に強うございます既裁定年金の最低保障の改善向上問題につきましては、旧法年金についての絶対最低保障額の引き上げに努めることによりまして旧法年金の最低水準の改善を従来も図ってまいりましたし、今後もその改善を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/174
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175・日野市朗
○日野委員 時間がなくなりましたので、最後に農林大臣に伺いたいのですが、これは附帯決議がもう毎度のようについておりまして、この附帯決議の中にも最低保障額の給付水準の引き上げ、特に遺族年金について早急の改善をということが、これはもう附帯決議に載っているわけなんです。この附帯決議がなされたとき、恐らく型どおりに農林大臣もその附帯決議の趣旨に沿うよう努力をいたしますと、こうお答えになったと思うのです。その努力をします。こういうお答えをなすっていると思いますから、この点についての努力をさらに一層進められるということについて、イエスの回答を伺っておきたいと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/175
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176・中川一郎
○中川国務大臣 この問題は全く大きな問題でございまして、ほかの年金との関係もあり、大変な問題ではありますが、検討してできるだけの努力はしてみたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/176
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177・日野市朗
○日野委員 私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/177
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178・中尾栄一
○中尾委員長 島田琢郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/178
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179・島田琢郎
○島田委員 大臣にお尋ねをしたい部分だけ残しておきましたので、主として大臣からひとつお答えをいただきたい、こう思っております。
先ほど農業者年金のことで日野委員からもお話が出されておりましたが、もう少し私も聞いておきたい、こう思うのです。やはり年金であります限り、財政的にも成り立つ最低の条件というものが、これは当然求められるわけでございます。そのためにはどうしても加入者が一定程度確保されなければいけないわけです。ところが、この年金が発足以来非常に加入者を募る上で大きなネックになりますのは、せっかく掛けた掛金が二十年かけてもらう段階になってさっぱりありがたくないような額で、一体入れと言われてもこれじゃ何の魅力もメリットもないじゃないか、もっとこれを直してもらいたい、こういう意見をたくさん私どもはいただいているわけです。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
また、私ども社会党は、御存じのとおり、この年金の発足の段階で、対策として年金は本来の老齢年金に主力を置いた、そういうものであるべきだ、こういう考え方を盛りました農民年金法というのを国会に出しまして、農林水産委員会でもこの両法案をめぐっていろいろ議論があったところであります。しかし、最終的には、やはり政策的なにおいの濃い年金になった。当初、佐藤総理が、農民にも恩給をといったようなことを言って非常に期待を持たせただけに、でき上がりました年金法というのが似ても似つかぬという点について厳しい批判があったわけでありますが、私どもはせっかく長い間農業者に年金をと、こう言ってきましたから、この際芽を摘むなんというようなことであってはいかぬし、年金制度というものを一つつくってその中で悪いところを改善していく、こういうことでいいではないかということで、わが党も提案の農民年金法を引っ込めて、一部修正して国会で成立を図った、こういうようなことであります。私どもはその以後も問題にしましたし、その際でもやはり意見の中で、年金の老齢年金部分についての支払いは、百八十円というのが原案でありましたものを一割上げまして二百円ということで、本委員会でもこれを修正して可決したというような経過もございます。
つまり、やはり問題であるという点は国会でもその後もずっと引き続き指摘をされている点でありますし、まだ現在これが支払いの段階に入っていないといえば、あわてることはないのではないかという意見も確かにそこにあるわけでありますけれども、私はそうではなくて、前段で申し上げたように、ピラミッド型にいまのすそ野が広がっていないというこの年金制度の欠陥というのは直していかなければならぬし、それから、もっと若い人たちに魅力を持ってこの年金制度に加入してもらう、年とった人に入ってもらうよりは若い人にやっぱりたくさん入ってもらう、こういうことでなければいけないということで、私どもはこの制度について、もうそろそろ私どもが長い間言ってきたいわゆる政策年金から老後保障にウエートをもう少し置いた年金制度に変えていくべきではないか、こういうふうなことを繰り返し主張してきたわけであります。
私はこの際、現行六百五十円というのは法律条項でありますからこれを法律的に直していくという手だてが必要なんでありまして、ぜひ少なくとも四対一のこういう状態を四対二くらいに直していくというふうなことにする必要があるんではないか、こういう考え方に立っているわけでありますが、事務当局の午前中のお答えの中では、この年金制度の意味するところというのをるる述べられて、この点についてはなかなかうんと言わない。これは法律を行政の立場で壊すなんということはできぬのでありますから、あとは最終的には大臣の政治的判断にかかってくる、こう私は思うのです。したがって、この点を大臣お見えになるまでペンディングにして、大臣お見えになったら政治的な判断をぜひひとつ伺いたい、こう思っておりましたが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/179
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180・中川一郎
○中川国務大臣 先ほども日野委員にお答え申し上げましたように、老後保障ということももちろん考えなければなりませんけれども、やはりこれは農業政策の一環として経営移譲、若返り、近代化、合理化、こういうものとあわせて成り立つところに非常に意味がある。ただ老後保障であるならば国民年金の制度改正、そういう中でやるべきものであって、それらが一体となってやるところに意味があるというところから事務当局もそういう答弁をしておるものと存じます。
しかし、せっかくの御指摘でもあり、また検討会もございますから、その点は今後の課題として勉強させていただく、このようにお願いしたいのであって、このたびの改正に当たってこれを改正して、修正をして出すということは私としても賛成しかねる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/180
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181・島田琢郎
○島田委員 しかし、これはもうそろそろ直してもいいんじゃありませんか。大体改正の中でもこの点が中心になって、過去三回以上にわたってこの制度の改善がなされてきているわけであります。したがって、附帯決議でもこの点については毎度述べられているわけでありますから、私はもうそんなに検討する、あるいは期間を置く、こういうことではないはずだ、もはやあとは政府当局の決断にかかっている、こういうふうに思っているんです。そうやって魅力ある年金にすることによって、若い人たちにも、こんなに直したし、こんなによくなったんだから、ひとつ老後保障というような面も今度は強化されたし、大いに参加をせよ、入ってくれ、こういうようなこともまた私どもも地域に帰って大いに宣伝もできる、こういうことであります。そうすることによってこの年金がさらに強化されていく、こういうことになると思いますので、六百五十円を倍の千三百円ぐらいに上げなくては私はとても魅力ある年金とは言えない、こういうふうに思っています。やっぱりだめですか、おやりになる考えは全くないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/181
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182・中川一郎
○中川国務大臣 老後保障の意味での老齢年金の現在の額についても、いわゆる厚生年金等とも比較してそれほど楽しみのないものではないのではないか、かなりいいものではないかと思います。思いますが、せっかくの御指摘でもありますから、何回も何回も検討、検討と言ってけしからぬというおしかりではございますが、もう少し、まだ支払いの時期も五十六年からでございますので、いましばらく研究さしていただいて判断したいと思いますが、今改正においてはぜひともひとつ原案でもって、しかも、ことしの改正が悪い改正をするのじゃなくて、昨年にならったいい改正をするわけでございますので、このたびは政府原案で御協力賜りたい。言われんとするところはよくわかりますので、十分意にとめておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/182
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183・島田琢郎
○島田委員 十分意見を踏まえてということでございますから、私はこれ以上強く申し上げないで、また別な方法で政府の決断を迫る以外方法がないのかもしれませんので、また同僚議員が後続いて質問に立ちますので、大臣のお考えをうかがい知る程度にしかなりませんでしたけれども、期待をして、私はこの程度で次の質問に移っていきたい、こう思います。
先ほど大場局長と、農家の主婦あるいは嫁さん、こういう人たちの加入について、これもひとつ制度的に加入の道を開いてもらいたい、こういうことをお話しましたが、これも事務当局ではそれ以上にお答えできませんということでございまして、これも言ってみれば大臣の政治判断という部分も非常にたくさんあるのではないか、こういうふうに思いますので、一言だけ。実情は大臣、もうすでに私がお話する以上によくおわかりですから、ぜひひとつこれも早期に実現できるような方向で検討していただきたい。直ちにやれ、こういうふうに私は言いたいところでありますけれども、これも若干の検討期間が要るんでありましょうから、今回の改正は、私ども、このことを意見として、要求ということでおさめておきますけれども、次の改正のときにはぜひこれを実現する、こういうことくらいはひとつ大臣の口から約束願いたい、そう思っているのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/183
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184・中川一郎
○中川国務大臣 この制度、仕組みが、申し上げるまでもなく、経営者ということになっておりますものですから、奥さんや嫁さんがその対象にはならない。しかし、嫁さんや奥さんが今日の農業に果たしております役割り、貢献度というようなもの、重要性というものを考えますと、心情的にも十分理解できますので、せっかくの御指摘でもありますし、私もかねがね考えておるところでもございますので、検討課題にせよということでございますが、制度改正の最重要課題として検討してみたい、こう思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/184
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185・島田琢郎
○島田委員 それでは、農業者年金の関係はこれで終わりまして、農林年金について二、三点、これも主として大臣にお考えを聞かしていただきたい、こう思います。
その一つは、けさほど来の議論の中でも非常に出ているのでありますが、今回の改正は新法の改正でありますが、本農林年金には旧法と新法というまことにどうも厄介くさいものがありまして、これが行政的にもまた財政の上でも非常に問題になっているわけでございます。何とかわかりやすくするという方法がないだろうかということが一つあります。
もう一つは、新法と旧法の格差というのは、これはかなり縮まってきたとは言いながら、まだ依然残っています。長い間、特に昔の農業協同組合あるいは系統の農協の連合会等で働く人たちやあるいはまた漁業団体、林業団体、こういうところで働いている人たちは、昔は他の民間の賃金体系の中でも比較して極端に低いと言われてまいりました。つまり、低賃金で非常に献身的にその道に一生懸命尽くしてきた人が多いわけです。つまり、その地域における農業を守ってきた、あるいは林業を守ってきた、また漁業の最先端でがんばってきた、こういう人たちばかりであります。それはまさに職に奉ずるという言葉がそっくりあてはまりそうな状態で御苦労された方々ばかりであります。そういう人たちがやめた後の年金というのは、やはり長い間御苦労をいただいたという温かい気持ちで何とか年金の中で見てあげることは当然だ、こういうふうに私は考えていますし、また、こういう人たちは、退職された後の暮らしにくい状態というものは、昔と比較にならぬほど物価高の環境の中でも、生活の向上とかあるいは学費が高くなったとかいろいろな点で生活に苦労を強いられてまいりました。最近ようやく物価の高値安定ということもありますけれども、安定をしてきたというような状態の中で、年金生活者の皆さん方はそれなりにまた新しい苦労を強いられているようでありますけれども、こういう点を考えますと、何か旧法と新法の格差を是正するという手だてがあるのではないか。実はそれならおまえの知恵があるかと言えば、私自身は、とても複雑で、私どもの頭で格差是正をと言っただけではわからないので、政治的判断で一律に扱え、これが私の提案でありますけれども、そうもまいらぬでありましょうから、事務当局は何とか知恵をめぐらして、格差是正というものができないのだろうかということを言ってきましたが、なかなかそれも局長の段階でやるということはむずかしいようでございます。大臣、いかがですか、この点についての知恵はおありにならぬのでしょうか。政治的判断で結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/185
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186・中川一郎
○中川国務大臣 これも年金制度の大きな問題点の柱の一つでございます。心情的にこれまたわかるのでございますけれども、何分にも農林年金単独でやるわけにはまいらない仕組みで、全体の横の並びの問題がありまして、他の年金との関連で、努力はしてみますけれども、他の年金全体でやりますと、これまた相当の負担になるわけでございますので、私自身も知恵がないのでございますが、これまた先ほどの問題と同じように、横の問題として、研究課題ではございますが、むずかしいので、御期待にこたえられるかどうかわかりませんが、財政当局やあるいは他の年金等々とも十分研究してみたいと思います。また、いい知恵がありましたならば、お知らせいただければありがたいことだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/186
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187・島田琢郎
○島田委員 大分不規則発言で、厳しく大臣の政治判断が求められているわけでありますが、次に野坂委員がこの点についてまた質問に立ちますので、私は次に進ましてもらいます。
その前に、ちょっとこれは事務当局にお尋ねをしておきます。
やはりこういう点で問題になりますのは、新法と旧法の格差是正という中でも問題になりますが、この年金制度そのものの大きな問題になる点は、こういう農林漁業団体で働いておられる人たちの賃金体系が、先ほど、昔はこんなだった、いま少しよくなったといっても、横並び、横並びと大臣いまおっしゃいましたけれども、横並びにしてみたらまだ格差がありますね。どれくらいの格差がありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/187
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188・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 農林年金の標準給与の問題を見ますと、これは厚生年金と比べまして大体一四%ぐらい違っております。私学共済は大体一九%違っておるわけですが、これは標準年金給与ということから考えますと、平均の組合員期間でありますとか、あるいはまた年齢とかその他に関係ございますので、いろいろな要素が組み合わさっておる、あるいはまた場合によりましては農業団体のうちの単位団体でございますれば、農山漁村でございますから地域格差ということもあると思います。実際の給与がどうなっておるかということを私たち調査をいたしましたが、同一所在地の市町村の職員の給与水準と比較してみますと、五十一年の一月分の本給では市町村の職員が一万円ほど高くなっております。これは地方公共団体の勤続年数が農協の職員よりも四年くらい高いということが一つの要素でございます。しかし同時に、臨時給与の支給割合を調べてみますと、国家公務員と地方公共団体も同様であるといたしますれば、総合農協の臨時給与が市町村と比較しまして一・四カ月分くらい多いということでございます。したがいまして、臨時給与を入れて考えますと、おおむね両者の間にはそれほど大きな格差はないのではないかというふうに見られるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/188
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189・島田琢郎
○島田委員 これは大変毎回議論になる点でありまして、その点を政府がやはり第一次産業の重要性を認識して政治的判断に基づいて不足な部分を差し入れする、こういう形をとっているわけであります。そういう意味からいいますと、不足財源処理対策として国庫補助一八%というのは低いから二〇%以上にすべきだ、こういう意見を私どもは述べているわけであります。しかし、今回も国庫補助は据え置きのまま提案されている、こういうことでありまして、これも国会においては、しばしば議論の焦点になってきたところであります。なぜ国庫補助一八%を最低二〇%にするということに難色を示されるのか、その辺のところはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/189
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190・中川一郎
○中川国務大臣 この問題も、先ほど日野委員にお答え申し上げましたとおり、農林年金受給者であります農業団体に働く皆さんのことも理解できますので、農林省としてはこれに対応したいということで大蔵省に財源調整を行うのでございますが、壁がある、その壁は何かというと、やはり他の公的年金とのバランスということで、今回も大臣折衝までいって大蔵省当局とやり合ったのでございますが、どうしても壁を破ることができないということでこのような提案になっておるわけでございます。今後とも他の年金との見合いにおいて、何とかこの壁が破られるように継続的に努力をしてまいりたいと存じます。
そういうわけで、今回の分はひとつ御容赦願いたいというか、御理解を願いたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/190
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191・島田琢郎
○島田委員 私は午前中の参考人の方の御意見を聞いておりましたら、農林漁業団体職員共済組合の理事長は口をもごもごして余りこの点について政府に強い要求をされるというお考えはないみたいだ。これは農林省が、そうでなくともかなりの補助金を出しているんだから余りよけいなことを言うなと言って圧力をかけているのじゃないかという気がするのですよ。どうですか、理事長はすくんでいますよ。言いたいことも言えない、農林省にお世話になっていますからねと言わんばかりであります。これはおかしいですね、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/191
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192・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 決してそういうことはございません。私たちはその国庫補助金の要求を大蔵省にいたしまして、ただいま大臣からも申し上げましたように努力をいたしておるところでございますが、なかなかこの壁を破ることはむずかしいわけでございます。
財政当局の言い分といいますと、一つは、国庫補助につきまして厚生年金は給付費の二〇%を出しておりまして、私の方は一八%でございますが、そのほかの財源調整費で一・七%を加えますといいところへいっておるじゃないかという問題が一つと、それから年金額の裁定の基礎になります給与につきまして、厚生年金は全加入期間の平均でございますけれども、共済制度は退職時前の一年間の平均で相当高くなっております。
それから、御存じのように、年金支給の開始年齢が片一方は六十歳で片一方は五十五歳であるというふうなことで、給与水準を比較してみますと、農林年金が一〇〇に対して厚生年金が八六であるというふうな点におきまして、全体として均衡をしておるんだというのが主張点でございまして、この点につきまして私たちは毎年努力を重ねておるところでございまして、決して農林年金当事者、当局に対しましてそういうふうなことを申しておるわけではないことを御了承賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/192
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193・島田琢郎
○島田委員 せっかく私どもは共済組合の理事長に国会に来ていただいて、そして大変これは財政的にいろいろ問題もあるし、いまのまま、これは千分の九十八ですか、これでいきますと、どうもいつか近いうちに大変な事態になるという心配もありますから、それで先ほどからお尋ねしているのです。局長は決して民間において差はないんだ、こう言っていますが、余分に働いているから金がほかに比べてもそんなに見劣りしないだけになっている、時間外もかせいでいるとか、こういうことでありますから、比較の仕方が違うのでありまして、まだまだ格差がある。こういう状態を埋めていくためにも、この制度を長くもたしていくためには国庫補助を最低でも二〇%にすべきだ、それはこの組合に加入している人たちは、地方ではもっと高い要求がありますよ。でも、私たちはそういう高い要求といっても、そうなかなかこの制度の上からいってむずかしい問題があるだろう、しかし、二割にするというのは、これは世論としては当然の要求でしょう、私どももそういうことでひとつ農林省、行政当局と一緒になって財政当局にもこの問題については今後も一生懸命働きかけてまいりましょう、こういう前向きの姿勢で取り組んできたのであります。肝心かなめの共済組合の理事長がそんな骨抜きの状態では、一体この先の財政をどうしようと思っているのか。ここに吉田さんいないが、むしろもう一回来てもらって私は聞きたいくらいであります。きょうは中野さんとお二人来ていただきました。中野さんは元農林事務次官ですけれども、思い切ったことをずばずばおっしゃって、こうあるべきだということの提言までしていった。こういうふうに、やはり取り組んでいる責任者もその姿勢に立ってくれなかったら、こんな理事長では話にならぬと私は思っているのですよ。だから、そうじゃなくて、あの人柄からいったら、これは今村さんあたりがきっと圧力をかけたに違いない、こう私は勘ぐって、そういうことが絶対ないように、ひとつやはり育てるという気持ちになっていただかなければいけない、こう思うのですよ。これもまだこの後質問者が相続いておりますから、長い懸案でありますし、ほかに例がないわけでもないんだから、ぜひこの際二〇%を実現するということで、前向きにお取り組みを願いたいと思うのですが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/193
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194・中川一郎
○中川国務大臣 まず最初に、今村局長が圧力を加えるようなことはまずまずなかろう。団体の方も毎年遠慮なく要求に来ておりますし、われわれもそれに対応したいということで、けしからぬと言ったことは一回もないのです。そうだなということで大蔵省にも折衝し、これは党内にも、わが党の中にも非常に強い理解者があって、われわれも党も、また団体も一緒になってやっておるところなんでございまして、ただ、横並びその他の問題でなかなか壁が破れないということでございますので、行動を起こすこと自体にブレーキをかけなければならない理由もありませんので、ひとつまた皆さんの御支援もいただきながら何とか努力してまいりたい、こう思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/194
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195・島田琢郎
○島田委員 私の質問をこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/195
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196・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 野坂浩賢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/196
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197・野坂浩賢
○野坂委員 二つの法案についてお尋ねをいたしますが、初めに、そこに座っていらっしゃいますので、農林年金の方を先にやりましょう。
中川農林大臣に一番初めにお尋ねをいたしますが、昨年の末、農林年金の国庫補助率を百分の二十にぜひしていただきたいという陳情で、部会長の芳賀さんを先頭にしてあなたのところに参りました。大臣折衝まで持ち上げておるから何とかして皆さんの期待にこたえていきたい、こういうお話をいただきました。大臣折衝でなぜ百分の二十ということがかち取れなかったのか、また、百分の二十に農林大臣はどのように努力をされたのか、その辺をお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/197
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198・中川一郎
○中川国務大臣 御承知のように、農林省としても百分の二十がしかるべきだというので、予算要求もそうなっておりますし、事務当局も努力をいたしました。解決いたしませんので、私としても大臣折衝までやって、できるだけやりたいと努力をいたしましたが、何分にも微力であるばかりでなく、厚い壁、すなわち他の公的年金とのバランスということで、どうしても財政当局がのまない。これをやりますと、他の公的年金がいろいろと問題を起こして、全体として大変なことになる、これだけはどうぞひとつ御勘弁を願いますということでございましたので、あきらめずに今後も努力しますということで、ことしは残念ながら目的を達することができなかった。私としてはそういう考え方を持っており、努力したことだけは御理解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/198
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199・野坂浩賢
○野坂委員 農林大臣の考え方としては、百分の二十にぜひ実現したい、こういう考え方ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/199
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200・中川一郎
○中川国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/200
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201・野坂浩賢
○野坂委員 それではお尋ねをしますが、今度の改正ですが、先ほども参考人の方にお尋ねをしたわけですけれども、下限を六万六千円ということにされましたですね。この標準報酬六万六千円以下の人は、正確に言って何人いらっしゃいますか。また、その取り扱いはどうしたらいいでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/201
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202・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 〇・八八%で、四千人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/202
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203・野坂浩賢
○野坂委員 そうすると、その方は安い給料で高い保険料を掛けるということになりますが、生活に非常に影響があることになりますが、それらの方はどういうふうに措置をしたらいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/203
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204・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 農林年金の掛金そのものにつきましては、いろいろ高い水準にあるというふうなことで問題でございますが、一つはやはり給付内容の逐年の改善というところに、掛金が高くなっている要因が相当部分あるのではないかというふうに私は思うわけでございます。したがいまして、先ほどの件につきましても、やはり金額が上がりますれば、若干の掛金の上がりということはやむを得ない点もあるのではないかというふうに考えておりますが、御指摘のその数字につきましては、後から御答弁申し上げます。——御指摘のように、標準給与の下限の引き上げにつきましては、掛金負担の増高がございますが、他方、給付の改善につながるということもございまして、低所得者に対しまして、その下限を上げますことが、一方的に不利益処分を課するということにはならないのではないかというふうに考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/204
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205・野坂浩賢
○野坂委員 若干意見があるところでありますね。非常に安い人が高く払うということであります。局長、この農林年金の職員の平均賃金というのは十二万五千円ですね。厚年の場合は十四万二千九百円、船員保険は十七万九千円、国家公務員は十五万二千円、地方公務員は十六万三千円、公共企業体の職員は十四万九千円、私立学校の職員は十四万八千円。あなたは先ほど勤続年数やあるいは年齢の問題もあるがとおっしゃいましたけれども、農林年金の水準に直しても一番低い。そして、すべての給付金やそういうものは常に横にらみでやるのだというふうにおっしゃいますけれども、この安い人たちが掛金率は国鉄に次いで二番目だということは、横にらみから考えてみてどうお思いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/205
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206・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 各公的年金制度の一人当たりの平均給与、標準給与は、先生いまおっしゃいましたように、農林漁業団体職員共済が十二万五千円で、厚生年金保険が十四万二千九百四十四円というふうに差がございます。これは私が先ほど申し上げましたように、一つは在職年数、それからもう一つは年齢、それからもう一つは地域的な問題というふうに思われます。
そういうふうに給与が低い者が高い掛金にあることはいかがなものであるか、それでいいのかというお話でございますが、これは私たちとしましても、公的年金制度における現行では、国鉄共済に次いで高い水準にあることは十分承知をいたしております。その理由は、農林年金制度が昭和三十四年に厚生年金から分離独立いたしまして以来、逐年にわたりまして給付内容等の相当大幅な改善等を行ってきたことによるものではないかと思われるわけでございます。
しかし、その掛金を定めます場合に、先生よく御存じのように、掛金負担の上で二二・五%を後世代の負担に後送りするとか、そのようないろいろな措置を講じまして、この掛金をできるだけ上げ幅を少なくしたという処理をいたしておるわけでございます。もとより十年間もこの掛金を据え置き同様としていること等を考慮すれば、農林年金の掛金率は、給与水準やこれを反映した財源率から見て必ずしも高いとは言えないのではないかと思いますけれども、今後人口の老齢化でありますとか、年金制度における加入組合員に対する年金受給者比率の増大がますます進展する中で、どういうふうにこの問題を取り扱っていくかということは、非常に重要な問題だと認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/206
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207・野坂浩賢
○野坂委員 法律を改正して、厚生年金から出発をして、それぞれ法律を変えてきた、だからやむを得ぬではないかという意見ですが、それなら国公の共済も、国鉄共済も、公共企業体共済も、農林年金はそれ以上のところに出ていないのですからね。それは横にらみだ、政策的年金と言いながらみんな横にらみですよ。どこにそういうふうにぬきんでておるところがあるか。ありませんよ。だから、そういう掛金だけは第二位だ、賃金は一番下だ、そういうことになれば千分の九十八というのは問題じゃないですかということを私は言っておるわけです。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/207
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208・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 そういうこともございまして、私たちとしましては掛金国庫補助を二〇%に上げたいということで財政当局に要求をいたしておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、厚生年金と比較をしてみますれば、給与のとり方でありますとか、あるいは給付資格の発生年齢でございますとか、その他の点について、制度改正の結果、ある程度の有利性を保っておるわけでございます。したがいまして、仮にその掛金の国庫補助を厚生年金まで上げるということになりますと、また厚生年金の農林年金におけるような受給資格年齢の引き下げの問題とかいろいろな問題が出てくるというふうなこともございまして、全体として均衡がとれているということの主張点をなかなか突き破ることができないというのが現実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/208
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209・野坂浩賢
○野坂委員 私は決して無理なことを言っていないのです。横にらみで掛金率を考えたらいいじゃないか、こう言っておるのですよ。これは高いじゃないかと言っておるのです。他の年金より高いですね。それだけを確認します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/209
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210・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 ほかの年金に比べて高い状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/210
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211・野坂浩賢
○野坂委員 高いのは、数理的保険料から国庫補助の相当分を引いて純数理的な保険料が出る、そして、整理資源率を足して所要財源率を出す、そして、修正率を掛けて掛金率を引き出すというかっこうになっておりますね、仕組みは。それで、整理資源率ですけれども、厚生年金から農林年金に変わった、いわゆる政策年金として出たそのときの整理資源率というのは一四・六五です。いまは御承知のように六一・三一ですが、この資源率というのは掛金の中に加えるというかっこうに仕組みはなっておるわけですけれども、それならば、これは事業主が負担をする、あるいは国が負担をする、こういうかっこうにそのときの話し合いではできておったのではないですか。そのまま引き継いでおるのではないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/211
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212・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 資源率でございますが、資源率につきましては一八%の国庫補助、それから財源調整助成を控除した後の整理資源を事業主、組合員が折半負担をするということで処理をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/212
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213・野坂浩賢
○野坂委員 それは掛金の場合は折半です。しかし、いま、後で答えていただければ結構ですが、負担率もそろそろ限度に来たし、他よりも高いということですから、年金全体をにらみ合わせて折半方式、五十五条ですか、この負担は折半とするのを、事業主負担七、労働者負担三という長年の要望ですから、それについては検討すべき時期に来ておるのではないか。春闘でも今回賃金は上がらぬですから、そういう状態からして、できるだけ経済成長七%にするためにもその負担割合というものはもう考える時期ではないかと思いますが、この点が一点と、それから、整理資源と関係がございますが、けさほども準備金を聞いたのですが、責任準備金ですね。言うなれば積立金です。その責任準備金と保有資産の差であらわされる不足責任準備金、これはこの事業年報を見ますと五十一年度末一兆三千六百十億円ですね。国の補助を引いた残りは一兆百九十億です。これは五十二年度現在は一体どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/213
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214・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 まず、最初のお話でございますが、先生よく御存じのとおり、農林年金は創設のときにおきまして厚生年金期間を農林年金期間とみなしまして将来給付を有利にすることにしたわけですが、その財源上におきまして、厚生年金から引き継いだ積立金で不足する部分を整理財源率といたしまして、厚生年金の折半負担に準じて掛金に反映されることということで処理をいたしてきたわけでございます。したがいまして、分離の際におきます初期過去勤務債務を特定して取り出しまして現段階において国がこれを負担するということはなかなかむずかしい状況にございます。公務員関係の共済組合は初期債務を事業主が負担しているわけでございますが、これは公務員共済組合の発足に当たりまして恩給を引き継いで代行するということになったための措置で、若干事情が違っておるわけでございます。
したがいまして、今後この問題をどうするのかということでございますが、一つは、この初期過去勤務債務の現在の状況をどういうふうにして改善といいますか、先ほど御指摘のようなことにして持っていかれるのかどうか、あるいはまた、五十五年を目指しましての掛金率の検討問題、その他もろもろの財政問題等もございまして、非常に困難な問題でございますが、そういうことの中において検討していくべきものであるかと思っております。
それから、五十一年度末の不足責任準備金は一兆三千六百十一億円でございまして、五十二年度末の見込み不足額は一兆五千九百億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/214
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215・野坂浩賢
○野坂委員 いわゆる不足責任準備金は一兆五千億に達しておる。掛金率は高いとお認めになったわけですね。そうすると、その整理資源率というものは来年また七〇に近いものが出てくるという可能性があります。勢い、いまも局長がお話しになりましたように、いわゆる国庫補助率を引き上げる以外にない、こういう結論になりますね。それでずっといきますとそれしかない。だから、百分の二十というものを何としても農林省はとらなければならなかった。過去十回、昭和四十四年以降この委員会では百分の二十以上にしなければならぬという附帯決議をしておるのです。それは農林省の努力が足らないということですか。知恵があるならば、やる方法があれば私に逆に教えていただきたい。どうすれば立法府としてわれわれがやるべきことがあるのか、その点についでどのようにお考えになっておるか、その知恵をおかりしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/215
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216・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 これはなかなかむずかしい問題でございまして、なかなか私が御答弁申し上げる知恵がないのでございますが、いろいろ問題点としては考えられるわけでございますが、いまこれをどういう方法によって突き破っていくかということの確たる案を持ち合わせないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/216
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217・野坂浩賢
○野坂委員 しかし、百分の二十にするために積極的に農林省としては努力をする、知恵はないけれども努力をするということでございますね。イエスかノーかだけで結構ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/217
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218・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/218
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219・野坂浩賢
○野坂委員 時間がありませんからそれだけ聞いて、次が退職年金等の最低保障額の引き上げについてお尋ねをします。
今回の改正で退職年金、障害年金、遺族年金等については五十三年の四月から引き上げる、そのほか遺族年金について最低保障額を昭和五十三年六月からさらに引き上げると、いわゆる二段飛びといいますか、二段ばねといいますか、そういう点については今村局長に心から敬意を表します。
ただ、厚生年金というものから出た理由は、よりよくしなければならぬという、だから悪いところは厚生年金並みにしなければならぬ、こういうふうに思いますね。厚生年金というのは旧法というのがない。わが方は新法になったのはたしか三十九年の十月からですから、そういうことになっておりますね。そうすると、今度二段ばねでやっていただいたのですけれども、一つの例を挙げると、退職年金は六十二万二千円にしていただいた、同じようにしていただいた。遺族年金の場合は三十三万七千九百円を四月にやって、六月に三十六万にする、こういう二段飛びですね。それから、厚生年金の場合は四十六万九千二百円というのが五十万二千百円ですね。だから、いわゆる厚生年金並み、厚生年金よりもいいという方向で出したんですから、これをやはり厚生年金並みにしなければならぬ、これは至上命令だと思いますね。これについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/219
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220・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 新旧区分は厚生年金にはないんであるから農林年金についても新旧区分を廃止すべきではないかというお尋ねかと存じますが、これにはいろいろの問題もございまして、一つは、共済制度共通の原則としまして、年金額の算定はその給付事由が生じた時点によるということが一つの原則的な扱いになっておりますし、それから共済グループの中において農林年金だけ取り出して、これを特に特別な扱いをするということは国共済その他の関係から見ましてもなかなかむずかしい問題があるわけでございます。
それから、旧法の絶対最低保障額につきましては、いろいろ恩給との問題等もございまして、それとの横並びということで、これにつきましての扱いが統一的になされておるというところが新旧問題としてもなかなか問題の存するところであるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/220
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221・野坂浩賢
○野坂委員 旧法適用者の遣族年金該当者は何名ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/221
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222・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 旧法の遺族年金該当者が千四百七十六人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/222
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223・野坂浩賢
○野坂委員 厚生年金並みにして金額の差は幾らですか。わずかでしょう、差ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/223
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224・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 厚生年金との差額を見まして、いまの人数から計算をいたしますと六千四百九十万円ぐらいになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/224
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225・野坂浩賢
○野坂委員 私はそうはならぬと思いますが、これから調査しますけれども、あなたの方に譲って六千万にしても、そう大したことないですね。それは、常に今村局長は、農林年金は政策年金であります。厚生年金より、よりよいです。やはり悪いところは直してもらわなければなりませんね。
そこで、私が聞きたいのは、昭和三十九年九月三十日まで有効であったこの旧法ですね。この法律を読んでみますと、第四十七条、「遺族年金の年額は、次の区分による額とする。」ということの四号にこういうことが書いてありますよ。「平均標準給与の日額の三日分に相当する金額を加算して得た額(その額が一万九千円に達しないときは、一万九千円)」とする。これは厚生年金が一万九千円だからそれに合わせたのですよ。だから、この思想は、最低、厚生年金に合わせますよということが当時の法律で定まっておるんじゃないですか。それならばやっぱりしてやった方がいいじゃないですか、いままでやらなかったのですから、新法に切りかえるまでに。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/225
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226・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 この問題を考えます場合に、一つは掛金の部分をどうするかという問題でございます。これは全額国が持っていく、こういうことにいたしますれば問題はないわけでございますが、仮に国が幾ら持つ、あるいはまた受給者が幾ら持つということになりますれば、それに見合った掛金負担という問題をどういうふうにしていくかという問題が一つございます。
それから、もう一つの問題は、これは何も私たちが考えることではないんでございますが、財政当局から見ますと、農林年金としての金額はそれほど大きくはないわけでございますけれども、これを行います場合としますれば国共済の例の恩給との問題をどうするかという非常にむずかしい問題がございまして、これには相当な巨額の金が要るというところが財政当局としてはいろいろ問題の存するところかと考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/226
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227・野坂浩賢
○野坂委員 しかし、たとえば農林年金が厚生年金から分かれたのが三十四年ですね。そして新法が三十九年ですね。公務員の場合は三十四年にはすでに新法になっておるわけですから、私学共済も三十七年にはなっておるわけですから、それよりも三十九年でおくれておるんならなぜそこまで返すようにしないのですか。できないということになれば格差是正をする。ほかの面での努力は見えますけれども、この点については、三十六万といっても一日千円ですから、それではいまの遺族が生きていけない。だから、それについては、金額も少ないし、政策年金であるし、そして出すということであるならば当然できるんじゃないですか。厚生年金よりよく、しかも法律でちゃんと四十七条にはそういう思想ですよということが書いてあるじゃないですか。なぜやらぬのですか。ほかよりも下がっておるんじゃないですか。下がっておるならば是正してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/227
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228・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 農林年金の新法への切りかえは国共済、地方公共済と比べましておくれておることは確かでございますが、その切りかえの時期がおくれたのは、これは何も言いわけがましいことではございませんけれども、あのときに切りかえますと相当掛金がふえるというようなこともあって、農業団体もちゅうちょし、私たちもいかがなものか、こういうふうなことで実はおくれたような経緯があるというふうに聞き及んでおります。これを取り返すぐらいなことは何でもないように思われるのですが、これには先ほど申し上げましたように、どういうふうに負担をし、どういうふうに掛金をとっていくかというふうなことになりますと、全額国庫負担でございますればそれは問題ございませんけれども、ただ単に掛金の問題だけでもございませんし、また同時に負担の問題もございますので、ここら辺は実際問題の処理としては、受給者全体のいろいろな御都合もございましょうし、決して言いわけをするわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたようないろいろな問題を抱えておるのが現実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/228
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229・野坂浩賢
○野坂委員 それは方法があると思いますね。たとえば、厚生年金から分かれた際のいわゆる初期債務を事業主負担に他はしておる。いろいろあって引き継いだんだからというような言いわけをされておりますけれども、そういう点、そして十年前に百分の二十、こういう国庫補助金があればこの整理資源率というものはぐっと低下しておるわけですね。そして、金額にして不足準備金が一兆五千億もある。しかも、遺族の年金はたった六千万円だ。これで追いつけるなら、やはりしてやらなければ。しかも、この法律には、そういう厚生年金とは変わりませんよ、そういうかっこうで一万九千円にするんですという、そういう思想、全部がそういう体制になっておるのに、これだけやらぬというのは問題だ。しかも、国家公務員の場合あるいは地方公務員の場合には三十四年に新法、私学共済の場合には三十七年だ、遅くとも。一番遅い。掛金の点もあったからやむを得ぬ、損をするのはあたりまえだというようなことでは、やはり農林省として、この年金者、特に遺族の年金の場合を引き上げるという意欲に欠けておるということに結果的になる、私はこう思いますよ。
それならば、どのようにして措置をするか。考えておる、考えておるだけではなしに、その旧法と新法の差を是正をするように今後やりますかということだけを聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/229
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230・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 厚生年金の水準をそこへ持ってきたわけでございまして、現在もそういう横並びのかっこうに相なっておるわけでございますが、先ほど御指摘のございましたような、そういう新旧格差の問題につきましては、私たちとしましてもこれについてどういう手段方法をもって解決できるか、全体としてこれを解決する問題はなかなかむずかしゅうございますが、仮にたとえば先ほどの、遅れた部分をどうして取り返すのかという問題もあわせましていろいろ検討いたしておりますが、現実問題の処理の仕方としてはなかなかむずかしい問題を抱えておるということを御了承願いたいと思う次第でございます。
〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/230
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231・野坂浩賢
○野坂委員 現実問題としてはむずかしい、しかし条件はすべて私の言うとおりだ、それは是認をするということですから、その格差是正については農林省としては全力を挙げるべきだ、こういうふうに思いますが、農林大臣はどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/231
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232・中川一郎
○中川国務大臣 新法と旧法との格差是正を画一的にやれと言われましても、先ほど答弁したとおり無理でございますが、厚生年金内の旧法と新法との格差と農林年金の旧法と新法の格差が大き過ぎるという御指摘のように先ほどから聞いておりますが、その分だけでも是正すべきである、厚生年金並みの格差にしろ、こういうことの御指摘だと思いますが、そう承知してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/232
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233・野坂浩賢
○野坂委員 ちょっと違うのです。時間がなくなって恐縮ですが、実は農林年金は厚生年金から出たわけですね。厚生年金というのは旧法というのはないですね、ずっと物価でスライドしてきますから。だから、出発をするときに厚生年金並みで、それ以上になるということで政策年金として出たのですね。そして、三十九年九月三十日までの法律を読んでみると、いわゆる遺族年金も厚生年金の遺族年金で最低はやりますよ。しかし、いまはこれも開いております。厚生年金よりも下回っております。そして、それについては厚生年金並みにしなければならぬじゃないですか、これは努力しますと今村局長はおっしゃっておるわけですね。だが、それについては現実的にむずかしい。しかし、わずかに千四百人、金額にして六千万ですからね、それならば幾らでもできるじゃないですか、こう言っておるわけですよ。どうなんですか、こういう意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/233
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234・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 確かに厚生年金は新旧格差がございませんが、農林年金と厚生年金との制度の中身をごらんいただきますと、国庫補助率では確かに差がございますけれども、あとの内容につきましては、私は農林年金の方がすぐれておるのではないかと思っております。
それから同時に、標準月額の問題につきましては、これは年金だけの問題ではございませんで、そのベースにはいろいろな実態問題がございますから、これは農林年金の職員の給与というものをどういうふうに改善していくかという問題につながる問題であろうかと思います。
そこで、新旧格差問題につきましては、これはずいぶん前から御指摘をいただいておりますし、私たちとしましてもその問題につきましてはいろいろ検討いたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、農林年金の新旧格差の人員とこの金額をとらえてみますと、それほど大した金額ではないわけでございますが、これが農林年金だけできるといいのでございますけれども、国共済、地共済にはね返ってくるということになりますと、これは相当大きな金額になるわけでございまして、この辺の横並びと財政負担問題というのがなかなか財政当局としては飛び越せない、したがって農林年金もそこのところを飛び越せないというのが全体の現実問題であろうかと思います。したがいまして、そういうふうな横並び問題を振り切りながら、農林年金だけ、たった六千万円だからそれを何とかせいというところのいい知恵が出るかどうかというところが、この制度の改善が図られるかどうかのポイントではなかろうかというふうに私は認識をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/234
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235・野坂浩賢
○野坂委員 私はちっとも無理なことは言っておりませんね。農林年金が厚生年金よりも劣っておるかというその中身は、そんなことは言っておりません。確かにそうです。あなたのおっしゃるとおり認めます。第一、受給資格にしても六十歳と五十五歳ですから、それはいいんですよ。それよりも、ただ一つ遺族年金を取り上げてみて、これはずいぶん下回っておるじゃないですか。金額にしては六千万、人間にして千四百人。一番初め出てきたときの法律は厚生年金並み、しかも新法というのに三十九年になった。非常に遅れております。よそは皆三十四年になっておるじゃないですか。だから、その旧法と新法を詰めるのはあたりまえじゃないですか。退職年金なんかはちゃんと詰まってきたじゃないですか。だから、二段ばねまでしたのですから、これ以後また詰めるように努力をしていただきたいというのは当然ではないですか。農林年金の遺族年金の受給者に成りかわって、あなたに特に要請をしておきます。横並び、横並びとおっしゃいますけれども、農林年金の遺族年金を見た場合は私の理論は正しいと思うかどうか、その辺です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/235
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236・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 私の申し上げておりますのは、厚生年金より劣っておるということは確かにそのとおりでございますが、同時にこれがまた恩給との問題がございますので、そこのところを解決いたしませんと物事の解決にならないということを申し上げておることもひとつ御了承を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/236
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237・野坂浩賢
○野坂委員 水かけ論ですから、またの機会に、あしたでも時間があればやらしていただきたいと思っておるのですが、農業者年金をやる時間がなくなりますから、しばらくおいて、そこにおっていただいて、後で時間があれば法律問題をやらしていただきます。
次に、農業者年金をお尋ねをします。
いままで議論をしていただいて、大変加入の努力をしたという話がありますが、去年よりも減っておりますね。去年、森整治さん、当時の構造改善局長は、一戸二戸歩いてPRして百六十五万人達成を声高らかにそこで言われたのですよ。ことしは、五十一年に比べて三万人減っておりますね。どの程度努力をされたのですか、戸別訪問をして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/237
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238・大場敏彦
○大場政府委員 加入の状況がいま御指摘になりましたように停滞しているということは非常に残念なことでございますが、いろいろ私の前任者の森局長が御答弁いたしましたように、去年が一つのチャンスであるというふうに私ども認識いたしまして、年金基金等を督励して加入努力をしたわけであります。
そのために、五十一年度加入者が四万人ということであったのに対しまして、これは新規加入でありますが、五十二年度は、十二月まで四万八千人というふうに加入を見たわけであります。しかしながら、一方において脱退者あるいは死亡者、こういったことが出るわけであります。その差し引きの関係で加入者がどうなっておるか、その増減ということが出てくるわけでありまして、五十一年度と五十二年度、これは四月から十二月までで比較いたしますと、五十一年度の加入者は四万人に対しまして、脱退、死亡者が七万一千人というようなこと、それから、五十二年の四月から十二月は、加入者は、四万人に対しまして、先ほど申し上げましたように四万八千五百人というふうにふえているわけでありますが、一方脱退及び死亡者というものが四万六千人出てきておる、そういったことでほとんど増減はない、残念ながらこういったことになっているわけであります。
いろいろどういう努力をしたかということでございますが、これは農協あるいは農業委員会、あるいは県の段階での推進体制、そういったものを整備しながら、個々の名簿をつくって、そういった未加入農家に対していろいろ督励をしたり、あるいは一般的なパンフレット、新聞等によるPR等をしたりして努力はして、あるいはことに五十二年度におきましては、加入率あるいは収納率の特に悪いような市町村に対して、基金自身が現地指導をする、そういった問題地区を点検してそういったところに重点的に指導監査をする、そういったことを実施してそれなりの効果は上がっているわけでありますが、先ほど申し上げましたように、一方において脱退、死亡者というものが出て、相殺勘定で加入者の数としては停滞しているというような現実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/238
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239・野坂浩賢
○野坂委員 努力をしたということですけれども、数字的には努力をされておりませんね。たとえば若い人、三十五歳以下の人でも、六万人は入っておるけれども、四十万人は入っていない、こういうことになっておるわけですね。この農業者年金法の三十条を見ても、届け出をしなければならぬわけですね。百一条では、一万円の過料の罰則規定まであるわけですね。だから、一軒一軒歩くと言ったのでしょう、あなたは引き継ぎありませんでしたか。ここで言うだけでなしに、実行しなければ効果は上がりません。四十万人残っておって、六万人しか入らなかったということは、効果が上がっていないという証拠じゃないですか、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/239
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240・大場敏彦
○大場政府委員 一軒一軒歩いてくらいのつもりで個別的なカードをつくって、そして督励するということを前局長も御答弁申し上げて、そういうつもりで年金基金等も対応したわけでありますが、残念ながらいろいろ手の回りかねるという点もありまして、思ったほどの効果というものは上がっていない。しかし、四万人が四万八千人にふえているという程度で、それでは効果がないじゃないかという御批判は御批判として承りますが、努力不足だと、決していまの努力で十分だというふうに考えておりませんが、努力が足りないというところは反省しながら、今後努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/240
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241・野坂浩賢
○野坂委員 それでは、PRなり農林省の指導趣旨が十分に生かされていなかったということになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/241
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242・大場敏彦
○大場政府委員 大いに改善しなければならない余地が多分にあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/242
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243・野坂浩賢
○野坂委員 今度は時効になりました方々の救済措置として、大正五年一月二日以降生まれた人は一遍に払うと給付を得られるということになっておりますね。そうすると、これは三千六百円ですね、先ほどもありましたけれども。三千六百円でお払いになるということになると二十一万六千円だし、いままでやってきた人たちは七百五十円のときと千六百五十円のときで五万五千八百円、ずいぶん違いますね。約四倍になりますね。PRもだめだった、十分趣旨徹底しなかったということを認めていて、銀行利子に罰則、中川農林大臣はペナルティーが得意ですから提案をされたんだろうと思うのですけれども、そういう意味で利息を四倍も取るというようなことは私は理解はできぬのですが、これは罰則ですか。三千六百円という積算の根拠というのは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/243
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244・大場敏彦
○大場政府委員 いまの現行保険料、これは御存じのとおり五十二年、五十三年、五十四年ということに決まっておりますが、五十四年以降月額三千二百九十円ということが決まっているわけで、現行の中で最高になっているわけであります。そのほぼ一割増のところをとって三千六百円というふうにしたわけであります。これはなお、国民年金等も同じように時効救済いたしておりますが、現行制度の中での最高の一割増のところをやはり時効救済する場合の保険料としている、そういうことと照応させているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/244
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245・野坂浩賢
○野坂委員 時間がありませんのでまことに申しわけないんですが、社会保障制度審議会というのがありまして、あなた方に建言しておりますね。この中で「本審議会は、すでに昭和四十五年並びに四十九年の二回の答申において、本制度の社会保障制度における年金としての在り方に疑念が残る旨を重ねて述べてきた。今日に至るもなおこれが払拭されていないことは、残念である。当然加入者への普及に徹底を欠いているのもそのためであろう。」云々と書いてありますが、これはどういう意味ですか。そして、どう対応されましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/245
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246・大場敏彦
○大場政府委員 そういう御指摘をいただいております。これはいろいろな議論があったわけでありまして、一つは、制度の仕組み方として年金支給や加入等について農民年金は一定の要件を付している、そういったことなんかが一種独特の制度であって、年金制度の仕組み方としてはなかなかなじみがたいという点だとか、あるいはかなり高率の国庫負担をしているということで、これは社会保障制度としての年金制度一般の問題としてはいろいろ議論が残るところじゃないか。そういう意味で、この年金制度の及ぼす影響も大きいので慎重にすべきだ、こういった点が一つはあろうかと思います。
それから、もう一つは、私ども思うのに、これはたびたび御議論になっておりますが、農業者年金制度というのは国民年金ではなかなか処理し得ない、対応できない農政上の課題を解決するために、年金的手法をもって経営移譲の促進だとか、経営規模の拡大だとかということを目指しているわけでありますけれども、そういった年金的手法でそういう構造政策、そういうことの関係がなかなか一般にわかりにくい制度であるということは事実でありますが、やはり年金審議会の方々にも十分な理解が届いていない、そういった点がどうもあるんじゃないかというふうに私どもは理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/246
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247・野坂浩賢
○野坂委員 審議会というのは三回やっておるわけですね。それに対しては何の反応も農林省は示してないということですよ。対応していない。やりっ放しです。だから、先ほども同僚議員が言ったように、この趣旨は、農業者の年金として考えなければならぬ、そのためには六十五歳から受給する老齢年金というものも考えなければならぬという、ずっとそういうことになりますよね。
それで、中川農林大臣、これは多くを申し上げませんが、経営移譲されますと、七十四歳までにもらう金額というのは大体五百八十万円なんです。自分が経営移譲できない人たちは、百七十万円しかもらえないのです。ずいぶん違いますね。そういうことのために、いわゆる社会保障制度審議会が建言をし、提言をしておるように、この老齢年金というものはある程度上げなければメリットがない。言うなれば、自分の積立金に五分五厘の銀行利息を掛ける、この程度で早く死んだら損をするということになる。だから、百十三万人しか入ってこないのですよ。これが周知徹底すると、経営移譲するという者は入るけれども、老齢年金をもらうという者はもう入らないということになるのですよ。そういう点については手直しをしなければならぬ、やはりメリットがありますよと。こういうふうに思うのですが、その点はどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/247
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248・中川一郎
○中川国務大臣 その辺は、専門家の野坂先生の意見も非常に大事だとは思いますが、やはりこの仕組みは、老齢年金も大事にしなければいかぬが、経営移譲という政策年金であるということも十分頭に置いて考えなければならないのではないか。単に、経営移譲しないで、それと切り離して、ただ老齢年金のうまみがあるんだという仕組みでは、これはいささか法の趣旨とは違うのではないかと私は思うのですが、その点いかがでございましょう。七十三歳まで経営移譲しないでおって、そして老齢年金だけでいくんだ、これでは政策年金としての政策効果とは違った行き方の、違った望みを持った人であって、その辺の人のところにそれほど考えを及ぼさなければならないものかなという感じがするのでございますが、その辺、専門家の皆さんの意見もまた聞いてみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/248
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249・野坂浩賢
○野坂委員 大臣、私は経営移譲年金にけちをつけません。政策年金ですからこれで結構ですよ。しかし、年金という意味は、老齢年金という社会保障的な、そういう部面も考えていかなければならぬじゃないですかということです。たとえば、法の中に、五十アールは当然加入ですね。三十アールは任意加入ですね。入りなさい、入りなさいと言うのですよ。入りますよ。ところが、三十アール持って後継者に経営移譲しようとすると、これは農地法の三条二項五号によって、五十アールなければ譲れぬのですからね。後継者に譲ろうと思ってもできぬじゃないですか。そうすれば、もらえないじゃないですか。だから、老齢年金に入っておる人たちには、もっとメリットがあるように、年金らしい老齢年金に手直しをしたらどうですか、こういうことにならざるを得ないじゃないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/249
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250・大場敏彦
○大場政府委員 五十アールの問題と三十アールの問題、いま御指摘がありましたが、一つは、農地法上、農地の権利移動について、取得後の経営面積が五十アール以上なければ、農地法三条の許可を得られない、これは御指摘のとおりでございます。これはいろいろ片手間に農業をするのじゃなくて、将来とも農業をやっていく、あるいは細分化防止、だから一定の規模が必要であるというような観点からこういう原則が立てられて、これは原則的に確立しておくべき事柄だろうと思うわけであります。しかし、片一方において、経営移譲の大部分が後継者移譲であろうという判断に立って、あらかじめ移譲する人について、加入者を五十アールの人だけに限定すると、これまた別の問題が起きる。五十アール未満の規模であっても、やはり将来とも農業を継続して規模拡大していこうという志向を有する人がいるわけでありますから、そういった者を排除してしまうことにもなるわけであります。そういう意味で、五十アール未満であっても、三十アールの間であって一定の労働時間を有する農家については任意加入させる道を開いているというようなことでありますから、こういった方々の御努力を願って、原則はあくまで移譲時点までにそういった方々は農地法の最低の取得限度である五十アールまでの経営になっていただくといったことを想定しておるわけでございます。そういう意味で、移譲するまでにそういった任意加入の方々が五十アール以上になっているか、あるいは逆にその方々自身がむずかしい場合には、今度は譲り受ける相手方、別の人が、後継者が、移譲を受ければ五十アール以上となるといった状態になっていることが必要じゃないか、こういうぐあいに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/250
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251・野坂浩賢
○野坂委員 大場さん、あなたもそれなりに効果を発揮しておりますよとお話しになったのですが、後継者に譲っておるのは九三%ですね。これから確実に九五%になりますよ。自分の財産ですから、後継者に譲りたい。他にやって離農するというかっこうにはなかなかなりにくい。そういう意味で、この三十アールというようないわゆる任意加入者はこれから入らないようになりますよ。すそ野が広がらぬ。だから、この点については、老齢年金以外にもらえないですから、老齢年金というものを考えなければならぬということが一つ。
それから、遺族年金ですね、遺族年金の創設というのは、時間がないのでもう多くを言いません。農業経営というものは他の企業とは違うのですから、その点については何としても遺族年金は、岡安さんが担当のときは何とか検討して善処したいと、こうおっしゃった。しかし、その後二年たったわけですね。もう何とか処置をしてもらわなければならぬじゃないか、他は全部遺族年金があるわけですから。あなたが亡くなっても、奥さんは半分遺族年金をもらうわけですから。そうでしょう。奥さんが農林省に何の貢献をされたのですか。農業者の場合は、一緒に働いて、おやじよりよけい働くのですから、その人に何にもないということでは、余りにも問題が多過ぎるのじゃないか。しかも、主婦には加入させない、経営主でなければだめだ、こういうかっこうでがんじがらめにやって、働くだけ働けというかっこうですから問題がある。だから、遺族年金の創設は絶対にやってもらわなければならぬというふうに思いますが、どうですかということです。
それから、三十五歳以下の子の問題は、いわゆる面積の問題がありますね。それから、後継者でなければならぬ。この間も言ったのですけれども、母子家庭の者は他の人よりも条件が悪いのに、三十五歳になっても学割がない、これはやはり不見識だ。おやじが死んで、それは経営主だから仕方がない。貧乏になった者に追い打ちをかける、これが中川農政だとは思わぬですよ。政治というものにはもっと思いやりと潤いがなければならぬ。だから、その条件は緩和して、三十五歳以下は一律にやれというふうに私は提案をします。その点については、農林大臣でも大場さんでも結構ですから、思いやりのある、しかも農業を振興させる農業者年金という意味合いで、明快な御答弁をやってもらわなければ……。
時間が来ておりますから、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/251
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252・大場敏彦
○大場政府委員 遺族年金の問題につきましては、私から申し上げるまでもなく先生よく御存じで、国民年金との調整という問題が実はあるのです。それから、構造政策上との関連をどうするかという問題も実は議論すれば出てくるわけであります。それから一方、遺族年金をすれば当然保険料負担をどうするかという問題も実はあるわけでありますが、この問題は片一方においていろいろ議論されておられます婦人の加入の問題とも実は関連する問題でありますから、それとあわせて解決する必要があるといったことで、昨年来、農業者年金制度研究会というものをつくりまして、その中で専門部会をつくって検討していただいているわけであります。いろいろな懸案問題があるわけでありますが、それを一遍にやるよりは、個々具体的に大事なものからつぶしていこうという判断で、婦人の問題、農家の妻の加入の問題、それから、それと密接に関係する遺族年金をどうするか、こういう問題をまず取り上げて、それをどうやって解決していくか 取り扱っていくかということをいま御討議願っているわけでありますから、その作業を精力的に進めたいと思うわけであります。
それから二番目の、三十五歳未満の特定後継者の要件緩和、こういったことでございますが、私どもさらに実態把握に努めますけれども、現在の要件につきましては、先生御存じのとおり、緩和措置もあるわけです。面積要件にしても、あるいは親と子のペア要件にしても緩和措置はあるわけです。そういった措置を活用していただければ、三十五歳未満の入りたい方がいらっしゃってそれが入れないということはかなり回避できるのではないかと思います。しかし、入りたくてもそのためになかなか入れないという方がかなりいらっしゃるということであれば、私どもやはり考え直さなければならない。実態をよく判断して善処はしたい、今後の検討の課題にさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/252
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253・野坂浩賢
○野坂委員 時間が参りましたから、最後に中川農林大臣にお尋ねをします。
社会保障制度審議会から五十二年の十二月十九日に、内閣総理大臣福田赳夫氏に「皆年金化の新年金体系」という意味で建議がされております。厚生大臣の諮問機関である年金制度基本構想懇談会、これが中間意見を出しております。この中では、いわゆる基本年金とか基礎年金構想というかっこうで貫かれておりまして、大河内さんが出した社会保障制度審議会のは、その上に各企業が社会保険年金制度、こういうものをつくるというようなことが出されておりますね。いろいろ読んでみますと、最後に受給資格の問題があります。
私は、いろいろ問題があってこれから検討されるのですが、年金というものは、退職即年金でなければこれは生活が苦しい、早く切って年金まで間があるということでは困るわけですから、的に年金は、それぞれの企業にお勤めになっておってもどこにお勤めになっておっても、退職即年金、こういう姿が原則だと思いますが、どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/253
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254・中川一郎
○中川国務大臣 退職したら即年金というのも一つの考え方だと思いますが、やはり日本では六十五歳とかあるいは六十歳とかいうような一定の年齢までは働いていただく、こういうことも必要であって、二十歳で業を始めて、四十歳で退職して、それからは年金でもって生きていく、こういうのではちょっと、国民受けするというか、納得いただけると私は思うのですが、やはりある程度この年齢を引き下げよということになれば、これまた検討の課題ではありますが、退職イコール年金ということはいかがか、やはり年齢というものもそこに加味をしなければならぬ、こう私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/254
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255・野坂浩賢
○野坂委員 ちょっと私の質問の仕方が悪くて、大変迷惑をかけたと思うのですが、勝手に自己退職で、どうもここはいかぬから私は四十五歳でもうやめる、三十八歳でやめる、すぐ年金だ、こういうことを言っておるわけではない、定年に絡ませて言っておるわけです。だから、文字どおり定年いっぱいまで勤めたら、たとえば五十五とか六十まで勤めたら会社の都合なり企業の都合でやめるわけですから、そうしたらすぐに年金をもらうようにしてやらなければ、会社の都合なりでいわゆる定年になればすぐ、定年退職をしたら年金をもらうというのが年金の趣旨でなければならぬじゃないか、こういうふうに私は思って、いろいろな思惑でないのですから、素直に聞いていただいて、そのようなことはどうなのかということなわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/255
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256・中川一郎
○中川国務大臣 厚生年金も退職イコール年金ではなくして、六十という年齢制限があるということで、やはり六十ぐらいまでは皆さん働いていただきたい、こういうことでやっておるのだろうと思うので、農業者年金もそういったことからつり合いをとって年齢的な問題も加味している、こういうことだろうと思います。農業者年金……(野坂委員「一般論ですから」と呼ぶ)一般論としては、これをもう少し若くしろということはあっても、退職イコール年金ということはいかがか、これは全体の問題でございますから、研究はしてみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/256
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257・野坂浩賢
○野坂委員 もう時間が来ておりますから、この年金構想では六十五歳ということを言っておるんですよ、それでみんな一緒にしよう。そうすると、六十五歳まで働かなければならぬということになりますね。だから、六十歳が定年ということであれば、六十歳から始まらなければ困るのですよ。失業者が百三十六万人今日現在おるわけですから、そういうことを含めれば、そういう方向を、これは一般論です。農業者年金じゃないですから、それについてはどう思うかという点が一つ。
それから、今村さんもおいでですが、私はこの間あなたにもお聞きをしたのですが、この法律はむずかしいのです。何遍読んでもむずかしい。だから、これを簡素化する方法はありますから、簡素化する方法を提案したいと思いますが、二十分かかりますので、質問時間がありませんからもうだめなんです。その方向で御努力をいただきたい。これは農林大臣にもお願いをしておきたい。これははっきり申し上げて、今村さんもわからぬし、農林大臣もわからぬのですから、だから、それは簡素化をして、みんながわかるような法律に変えていただくように御努力をいただきたいということをお願いをしておきたいと思うのです。いいでしょうか、今村さん、いまの答弁は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/257
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258・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 確かにお話しのように、この法律は難解でございます。したがいまして、できる限りわかりやすいような形で法律が表現されることは望ましいと思いますので、いろいろその手段方法については、私たちも勉強をいたしますから、ぜひお教えを賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/258
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259・野坂浩賢
○野坂委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/259
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260・中尾栄一
○中尾委員長 神田厚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/260
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261・神田厚
○神田委員 先刻に引き続きまして、農業者年金基金法の一部を改正する法律案と昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について御質問を申し上げます。
大臣がお見えでありますので、先ほど農林年金につきまして若干の質問をしたのでありますけれども、その中で、特に一番大事なところで、さらに要望の最たるものは、年金の財政の健全化、こういう中で、一つは、この委員会でも何回も附帯決議を付され、あるいはいろいろと論議の中心になってまいりました給付費に対する国庫補助率を現行の百分の十八から百分の二十以上に、また財源調整費補助についても現行の予算額の大幅な増額を要求しているわけでありますけれども、この点につきまして大臣の方からひとつ御見解をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/261
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262・中川一郎
○中川国務大臣 この問題については、農林省としても、また私どもとしてもそういうふうにありたいということで、しばしば財政当局と議論を交わしておるのでございますが、何といってもこういうものは横並びというのが一番大事なところでございまして、一方が崩れると全体が崩れると言ったらおかしいのですが、広がっていく、一波が万波を呼ぶ、こういう仕組みで、何分にも言うべくしてでき得ない。これは歴代大臣もできなかったのでございますが、私も今年度予算編成に当たりまして最善を尽くしましたが、やはり壁は厚かった。しかし、今後ともわれわれとしても最善を尽くしてまた体当たりをしてみたい、こういう感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/262
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263・神田厚
○神田委員 さらに、年金制度の今後の問題といたしまして、年金制度の抜本改革案を検討しております年金制度基本構想懇談会、それから社会保障制度審議会、それぞれ中間意見、建議を取りまとめているわけであります。そして、これらの中で社会保障制度審議会は「皆年金下の新年金体系」こういうことで、昭和六十五年を目標に、年金税による基本年金の創設を基本として、現在の公的年金を国庫負担のない社会保険として位置づけ、基本年金の上積み年金に組みかえるなど、現行制度の大幅な再編を行う建議を行っております。これは、これから先の老齢化社会に対する社会保障のあり方についての建議に続くものでありまして、この農林年金をこれらの問題と関連いたしましてどういうふうに今後考えていったらいいのか、現在検討中であるというようなお話も多分あるでありましょうけれども、農林年金と深いかかわり合いを持ってくる問題でありますので、大臣の方から、これは審議会の意向でありますけれども、御見解をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/263
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264・中川一郎
○中川国務大臣 御指摘のように、いろいろと基本的な問題について御検討をいただいておるようでございます。これらに対しましては、他の年金の対応の仕方等も勘案いたしまして、農林年金がどう対応すべきがいいか、十分検討してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/264
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265・神田厚
○神田委員 これはまだこれから先の問題でありますので、いろいろと検討されなければならない問題であろうというふうに考えておりますが、その問題が提起されました段階でまた改めて御質問させていただきたい、こういうふうに考えております。
続きまして、農業者年金の問題につきまして御質問を申し上げます。
まず、農業者年金制度におきましては、改正案の審議の都度指摘されてまいりましたものは、年金への加入率が非常に低いということであります。これは午前中、参考人として来ていただきました理事長さんにおかれましても、非常に若年層の加入が低い、それから地域において加入者のばらつきがある、それからさらに経営移譲した者の後継者の問題について加入が非常に少ない状況がある、こういう点が指摘されているわけであります。昭和五十二年十二月末現在の加入者の実績は百十三万四千人、こういうことになっておりますが、政府が毎年度予算上措置している百六十五万人との差は大変大きいわけであります。この年金制度が五十アール以上の農業経営主に対しては当然加入制度をとっているにもかかわらず、こうした状況が続いていることは、もはや政府が従来から弁解してきたような年金の運用の問題ではなくて、制度自体に大きな欠陥がある、そういうふうに指摘せざるを得ないのであります。その最大の原因は、この制度の仕組みが経営移譲という政策年金としての性格を余りにも強く打ち出しているために、経営移譲した者と経営移譲をしなかった者、この両者の年金額が余りにも違い過ぎることによる、こういうふうに考えられるわけであります。
そこで第一に、本来年金というものの性格は、純粋に老後の生活を保障するものでありまして、大体年金を何に使うかというようなことを統計で見ますと、ほとんどが、やはり七〇%以上が生活費に年金を使っているのですね。そういうことを考えますと、やはり老後の生活を保障するというような形で年金というのは大体考えられている。同じ掛金を支払った者のうち一部の者のみが、その積立金などの中からいわば報奨金というような形で経営移譲年金を受け取るといったことば、平等を旨とすべき年金体系から言えば不合理ではないか、こういうふうに考えられるのでありますが、この点についていかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/265
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266・大場敏彦
○大場政府委員 これはいろいろ御議論があるわけでありますから、理屈はできるだけ避けたいと思いますが、この農業者年金というのは、一般的な老後保障というものは国民年金で果たそうとしておるわけで、それだけでは果たし得ない農政上の課題というものを仕組んで、国民年金の付加給付的なものとして農業者年金というものを仕組んでいる、こういったことでありますから、そういう意味で経営移譲の促進という構造政策というものとの関連を持たしている、こういうことであります。ただ、単に構造政策ということだけではなくて、そういった経営移譲をした者の老後の生活の安定ということを念頭に置きながら、それぞれの給付水準を決めている。また、老齢年金につきましても、掛け捨てであってはいけないので、それを防止する意味で、それから老齢年金ということだけではなくて、国民年金ということも基礎的にあるわけでありますから、これも含めて、それから経営移譲年金というものを総合して、六十歳から六十四歳までの間は経営移譲年金という形、それから六十五歳からはもろもろの年金を総合して厚生年金並みの給付水準を保とう、こういった設計でできているわけでありますから、その際にやはり全然経営移譲をしない者と経営移譲をした者には、やはり政策効果、政策目的ということからして差があるというのは当然のことで、やむを得ないことではないだろうかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/266
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267・神田厚
○神田委員 差があってやむを得ないというような形が続いているから、加入者がふえていかないという状況があるわけなんです。時間が限られておりますので議論をしておられませんけれども、それでは、仮に経営移譲の促進という立場に立つということでありますならば、私は現在のわが国の農業の状況、現状から見まして、経営移譲の促進というのはある意味ではしていかなければならないのかもしれない、こういう立場をとるわけであります。これは農業の経営の近代化や、あるいは農地保有の合理化、こういう問題から確かにそういう面がありますけれども、それでは国の政策、言いかえれば農政の基本的政策という形でもしこういうふうなものを進めていくならば、何も拠出制による年金という形をとらなくてもいいのではないか。そういう仕組みの中でとらえるのではなくて、全額国庫負担という形でこれを措置すべきであるというような考え方もあるわけでありますけれども、この点につきましてはどういうふうな御見解をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/267
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268・大場敏彦
○大場政府委員 確かに御指摘になりましたように、経営移譲というものは何も年金という制度だけで貫けるわけではありません。ほかの制度とそれぞれ補完しながらやっていく、こういうことだろうと思うわけであります。ただ、たびたびお答えを申し上げておりますように、やはりこの制度というのは、経営移譲というものを年金の支給要件として、そして経営移譲後の老後の生活の安定を図る、それから、あわせて経営移譲しない者につきましても六十五歳以降年金の支給を行うということでありまして、いずれにいたしましても、単なる構造政策だけではなくて、やはり老後の生活の安定ということにつながるものでありまして、それを国の負担だけでやるということは、やはり他の年金制度との関係もあって、必ずしも当を得ていない。ただ、政策年金でありますから、他の公的な年金制度よりも相当高率の国庫助成をしているということは事実であります。それから、ことに先ほど御指摘になりました若い層の加入促進という意味で、いわゆる学割制度ということで国庫負担を増加している。そういった措置もとっているわけでありますから、そういう意味で、農業者の負担の軽減には努力している。ただ、政策年金であるからこれを全額国庫負担、これは拠出的なかっこうでやるのは妥当ではないという御議論には、いろいろまだ問題があるのではないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/268
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269・神田厚
○神田委員 この問題はやはりいろいろ議論があると思うのですね。そういう意味では、全額国庫負担というのが非常にむずかしい状況であることについては、われわれとしても十二分に認識はしているわけであります。こういういろいろ認識はしておりますけれども、やはりどういうふうな形でこの年金を位置づけていくかという問題は、これはいずれ後の方でも御質問申し上げますけれども、非常に大事な形なんです。方向をどっちへ持っていくのかというのは、これから先の議論になってくるわけであります。
こういういろいろな問題を含めまして、社会保障制度、審議会が法律の改正の都度指摘しておりますように、本年度の改正に際しましても、社会保障制度審議会は「本審議会がしばしば指摘したように、社会保障制度としての年金と企図されている農業経営の近代化政策との関連について、なお疑念がはれない。」こういう答申をしているわけであります。これは一体どういうことを意味しているのか、ちょっとどういうふうにお感じになっているのか、明確に御見解をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/269
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270・大場敏彦
○大場政府委員 社会保障制度審議会等の場において、いまお話のありました御指摘があるわけです。それはいろいろな御議論があったと思うわけで、一つはやはりこの農業者年金というものが年金的手法を用いていわゆる構造政策を進める、そういったところにねらいがあるわけでありますが、そういったことから、当然やはり年金の加入者だとか、あるいは年金の支給要件ということで支給の場合に一定の要件というものをかぶせて、それはどうも一般の年金制度としてはなかなかなじみが薄い、あるいはかなりそのために、政策年金であるために高率の国庫負担をしている、そういったことで、なかなか社会保障制度としての年金制度として一種独特の性格を持っているという意味で、農業者年金自身が非常に難解な制度であるということも手伝いまして、必ずしも十分な御理解を得ていないという点も一つあると思います。
それからもう一つは、やはり冒頭に申し上げましたように、年金的手法をもって構造政策を進めるということなんですが、これがどうもわれわれの説明不足ということもあると思うのですが、その辺の関連がどういうぐあいに動いていくのか、制度発足してから七年がたっておりますが、実質的な意味で年金支給が始まったのはわずか二年で、しかも、その年金の水準が低いわけでありますから、本当の意味でその制度自身が動いていないという、効果を見定めるのにはまだ時間が早い、そういったことも手伝って、その辺のところの、何といいますか、コンセンサスが必ずしも十分にはできていない、そういったことがああいった表現で出ているのだろうというふうに私どもは理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/270
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271・神田厚
○神田委員 「農業経営の近代化政策との関連について」ということを特に明言しておるわけですね。ですから、それがいわゆる政策年金として位置づけていくのか、それとも社会保障という形で位置づけていくのか、これを選択しろとはっきりしていったらいいのじゃないか、こういうふうな形だろうと思うのですね。
こういう問題に関連しまして、政府は昨年のこの年金制度の質疑の中で、農業者年金についての基本的問題は、検討会を設けて討議してもらう、こういうふうに言ってきたわけであります。われわれもそのことを社会保障制度審議会の言葉を引用しながら話したわけでありますけれども、昨年十月に発足させました検討会に対し、どのようなことを検討課題として諮問して、現在どのような論議がそこで行われているのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/271
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272・大場敏彦
○大場政府委員 農業者年金制度につきましては、当委員会でもいろいろな御議論をいただいているわけであります。そういった御議論の中で、かなり制度の根本にわたるような事柄が多くある、それをどうやって解決するかということで研究会を発足して、そこで御議論願って結論を得たい、こういう御答弁を昨年度も申し上げたわけであります。
昨年の十月に、農業者年金制度研究会というものが発足をいたしまして、それからその後専門部会をつくりまして、この三月、四月と二回続けてやっております。その、研究会に私どもは御議論をお願いいたしたい、御討議をお願いいたしたいということを、何も制限的な形でお願いしておるわけじゃございません。当委員会で出ました、いろいろいま御指摘になっていらっしゃる老齢者年金の問題だとかあるいは妻の加入の問題だとか遺族年金の問題だとか、その他いろいろ問題が投げかけられているわけです。制度の根本的な。そういうようなことについて幅広く御議論願いたい。それから、そのほかに、農業者団体等から御意見があれば、それも一緒に反映させた形で御議論願いたい、こういった形で私どもは御研究をお願いしておる、こういうことでございます。
現在の討議状況でありますが、いろいろこうあるわけで、それぞれ皆関連し合っているわけでありますけれども、一わたり議論した後、現在はやはり妻の問題をどうするか、それと密接に関連する遺族年金を設置しろ、こういう御議論もあるわけです。その問題をどうするかというところをまず片づけるといいますか、議論の対象として検討を深めていこうじゃないかというのが現在の作業の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/272
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273・神田厚
○神田委員 それらの検討の中で、こういう問題に対する結論といいますか、いつごろまでにどういう方向性を出すのか、これはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/273
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274・大場敏彦
○大場政府委員 これは非常に困難な話なんです。というのは、御存じのとおり、農業者年金というのは国民年金の付加給付的な性格を持っておるという意味で、国民年金と切り離して制度の根本にわたる改善問題はなかなかしにくいということがあるわけですね。それから、給付水準としては厚生年金というものと並ぼう、こういう意欲を持っておるわけでありますから、厚生年金と、やはり全然別個な形で制度の根本を議論することはむずかしいということがあるわけでありますから、その辺の他の公的な年金の歩みということも考えなければならない。その制度の改善の内容だとかタイミングだとかということもあわせて考えなければなりません。しかし、そうは言っても、検討の過程においてこれはこういうかっこうで処理できるというものが出てまいりますれば、それはその時点で、全部が出そろわなくてもその時点で解決できるものから逐次日程にのせていく。やはりこれはちょっとこれ自身じゃなかなかむずかしいというものは、他の公的な年金制度との関連ということもこれは考え合わせながら検討していく、こういうことで対応していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/274
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275・神田厚
○神田委員 農業者年金のやはり持っている一つの特殊性というのがありますですね。そういう中から現在すでに検討に入っていると言われている妻の問題、さらには先ほどから議論があります遺族年金問題、こういう問題につきましては、ほかの年金との関係というよりも、むしろ農業者年金制度そのものの中での立ちおくれの部分があるわけでありまして、その点については、これはもう少し早目に前向きな結論を出していただきたい、こういうふうにお願いしたいのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/275
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276・大場敏彦
○大場政府委員 私ども、できるだけ結論作業は、研究会の方々にお願いし、急ぎたいと思いますが、しかし、これは理屈はもう申し上げませんが、ただ単に行政が決意すれば妻の問題は片づくとか、遺族年金の問題は片づくということではないわけで、かなりやはり年金制度の根本にかかわる議論であるだけに、他の年金とのバランスとか関連ということも考えてやっていかなければならぬ。もちろん、われわれはそういった問題の解決をことさらに延引するつもりは毛頭ございません。できるだけ検討を早めていただきたいということでお願いしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/276
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277・神田厚
○神田委員 次に、老齢者年金との関係で御質問申し上げます。
従来、農業者老齢年金と経営移譲年金の引き上げ幅、これは全く同率であったわけであります。われわれは年金の性格からして、先ほど来から言っていますように、老齢年金の引き上げ幅をより高くすべきである、こういうふうに指摘をしてまいりました。老齢年金の支給は五十六年一月から始まるわけでありますが、そのときまでにどのような措置を講ずるおつもりでありますか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/277
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278・大場敏彦
○大場政府委員 これは老齢年金だけという話ではないので、全体として農業者年金は六十歳から六十四歳までの間は経営移譲年金という形で厚年並みの給付を確保したい、それから六十五歳以上は経営移譲年金と老齢年金と基礎部分としての国民年金というものを合わせて厚年の給付水準を確保したい、こういったことでありますから、その中で従来バランスをとりながら、同じ比率で老齢年金、経営移譲年金を増加してきたわけであります。
その老齢年金の問題をどうするかという話も、実はこれもやはり制度の根本と関係する話でありますから、先ほど申し上げましたように、今後の検討課題として研究会等においての一つの重点項目として御検討願うということで予定しているわけでありますが、ただこのバランスをどうするかということは、余りにもバランスを外して老齢年金というものを引き上げるということになりますと、今度は逆に構造政策として経営移譲年金の政策効果というものは希薄になってしまう。そこで、農業者年金の独自性といいますか、存在理由というものもいろいろ批判の対象になるというようなこともありますので、そういった点をあわせて、負担の問題もございます。研究会で検討させていただきたい、こういうふうに思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/278
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279・神田厚
○神田委員 この問題はいずれにしろ五十六年一月から始まるわけですね。ですから、そのときまでに前進した形で結論を出していただきたいと思うのでありますが、そういう時期的なものもありますけれども、その辺のところはどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/279
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280・大場敏彦
○大場政府委員 いずれにいたしましても五十六年以降の話でありますから、それとの関係で、それまでに片づければいい話でありますから、そういうようなことで私どもは対応していきたい。ただ、六十五歳以上の問題になりますと、これは付加給付が当然あるわけですから、いまの国民年金よりも現実には給付水準は高くなっているわけです。そういう意味で、実は老後保障的な性格をどの程度重きを置くかということは、国民年金の付加給付としての農業者年金の性格にもかかわる問題ですから、しばらく検討の時間をかしていただきたい。単にさっと簡単に上げて済むというような事柄でも必ずしもないと思っておるわけでありますので、先ほど申しました検討会の検討課題に私どもとしてはお願いしているという状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/280
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281・神田厚
○神田委員 最後に、大臣にお聞きいたしますが、またあすも質問があるようでありますから、残りの問題はあすすることにしまして、ただいま検討会の中で、妻の問題、それから遺族年金の問題、老齢年金の引き上げの問題、こういう主要な問題について検討が加えられている、こういうことであります。私は、先ほど申しましたように、これらの問題は時期を待つまでもなく、早く結論を出して、そして農業者年金を農業者に本当に喜ばれる年金にしていき、それと同時に年金の基盤がきちんと強化されていくような、そういう形をとっていくべきであるというふうに考えるわけでありますけれども、大臣から御見解をお伺いいたしたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/281
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282・中川一郎
○中川国務大臣 先ほど来局長から御答弁申し上げておりますように、この仕組み全体について検討会を設けて、よりよいものにしたい。中でも妻、嫁というのですか、奥様方の問題、これは遺族年金を含めまして重要な課題でございます。また、老齢年金についてもこれまた重要な指摘事項でございます。ただ、これらは厚生年金あるいは国民年金との関連においてどう調整するか、これをいじるとまた国民年金あるいは厚生年金をいじるようなことになりましても、これまた政府部内の了解を得られないということで、武装をしっかりして、全体としての中でのあり方というものをきちんと説明がつくようにいたさないといけませんので、かなり時間もかかるとは思いますが、大切な問題でございますので、なるべく早く結果が得られますように私といたしましても督促をして御期待にこたえるようにしたい、こう思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/282
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283・神田厚
○神田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/283
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284・中尾栄一
○中尾委員長 次回は、明二十七日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X01919780426/284
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