1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年四月二十七日(木曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 中尾 栄一君
理事 片岡 清一君 理事 羽田 孜君
理事 林 義郎君 理事 山崎平八郎君
理事 竹内 猛君 理事 馬場 昇君
理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君
石橋 一弥君 江藤 隆美君
加藤 紘一君 金子 岩三君
熊谷 義雄君 倉成 正君
國場 幸昌君 佐藤 隆君
玉沢徳一郎君 羽田野忠文君
原田昇左右君 福島 譲二君
堀之内久男君 森 清君
森田 欽二君 渡辺 秀央君
小川 国彦君 角屋堅次郎君
柴田 健治君 渋沢 利久君
島田 琢郎君 新盛 辰雄君
野坂 浩賢君 芳賀 貢君
日野 市朗君 武田 一夫君
野村 光雄君 吉浦 忠治君
神田 厚君 津川 武一君
菊池福治郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 中川 一郎君
出席政府委員
厚生省年金局長 木暮 保成君
農林政務次官 今井 勇君
農林大臣官房長 松本 作衞君
農林省農林経済
局長 今村 宣夫君
農林省構造改善
局長 大場 敏彦君
農林省農蚕園芸
局長 野崎 博之君
林野庁長官 藍原 義邦君
委員外の出席者
議 員 芳賀 貢君
農林省構造改善
局農政部就業改
善課長 川合 淳二君
農林水産委員会
調査室長 尾崎 毅君
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委員の異動
四月二十七日
辞任 補欠選任
金子 岩三君 原田昇左右君
久野 忠治君 石橋 一弥君
平泉 渉君 渡辺 秀央君
松沢 俊昭君 渋沢 利久君
同日
辞任 補欠選任
石橋 一弥君 久野 忠治君
原田昇左右君 金子 岩三君
渡辺 秀央君 平泉 渉君
渋沢 利久君 松沢 俊昭君
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四月二十六日
水産庁に釣り人課新設に関する請願(青山丘君
紹介)(第三五五九号)
同外二件(新井彬之君紹介)(第三五六〇号)
同外四件(池田克也君紹介)(第三五六一号)
同(受田新吉君紹介)(第三五六二号)
同(大内啓伍君紹介)(第三五六三号)
同(大成正雄君紹介)(第三五六四号)
同(春日一幸君紹介)(第三五六五号)
同(河村勝君紹介)(第三五六六号)
同(神田厚君紹介)(第三五六七号)
同(菊池福治郎君紹介)(第三五六八号)
同外二件(北側義一君紹介)(第三五六九号)
同(小平忠君紹介)(第三五七〇号)
同(小宮武喜君紹介)(第三五七一号)
同外二件(古寺宏君紹介)(第三五七二号)
同外二件(瀬野栄次郎君紹介)(第三五七三
号)
同外二件(谷口是巨君紹介)(第三五七四
号)
同外二件(長谷雄幸久君紹介)(第三五七五
号)
同外一件(薮仲義彦君紹介)(第三五七六号)
同(佐々木良作君紹介)(第三六四九号)
同(高橋高望君紹介)(第三六五〇号)
同(竹本孫一君紹介)(第三六五一号)
同(中井洽君紹介)(第三六五二号)
同(福田篤泰君紹介)(第三六五三号)
同(玉置一徳君紹介)(第三七一一号)
同(塚本三郎君紹介)(第三七一二号)
同(中野寛成君紹介)(第三七一三号)
同(山本悌二郎君紹介)(第三七一四号)
米の生産調整に関する請願(小沢辰男君紹介)
(第三六六六号)
中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願(有島
重武君紹介)(第三七一〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
閣提出第五八号)
昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員
共済組合からの年金の額の改定に関する法律等
の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)
国有林野事業改善特別措置法案(内閣提出第一
九号)
国有林野事業再建整備特別措置法案(芳賀貢君
外十二名提出、衆法第二号)
農産種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/0
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001・中尾栄一
○中尾委員長 これより会議を開きます。
農業者年金基金法の一部を改正する法律案及び昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/1
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002・竹内猛
○竹内(猛)委員 農業者年金と農林年金の二法の改正に対して質問をいたします。
まず第一に、農業者年金基金の問題について御質問しますが、きのうの中野参考人、理事長の話によると、当然加入の百六十五万の中で、五十二年の末までに百十三万人という加入であって、五十二万がまだ未加入である。この未加入であるということについて、この理由についてはどういうことが問題かということをまずお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/2
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003・大場敏彦
○大場政府委員 百六十五万人という目標をかつて立てたわけでありますが、それについていま御指摘がありましたように、百十三万人余りという加入で、残念ながら加入率が七割程度ということであります。未加入の理由いろいろあるわけでありますが、かつて調べたところ、いろいろ、たとえばいずれ農業をやめるからとか、あるいは農業の将来に不安を持っているからとか、保険料を納めるのがむずかしいとか、年金額が低いとか、経営移譲の要件がむずかしい、そういうような年金制度に対する不満も一部ありました。またしかし、年金に入る必要も感じないという者もかなり存在する。それから、年金がよくわからないから、こういうような内容もかなりあった。その他も含めまして かなりの部分が年金そのものに対する理解、そういうものがどうも十分ではないということから類推いたしますと、やはりこの制度が非常にむずかしい制度、わかりにくい制度であるということも手伝って、またPR不足ということもありまして、どうも末端の方に受け取り方が十分になっていないんじゃないか。そういった点がどうも加入が十分にいっていない理由ではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/3
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004・竹内猛
○竹内(猛)委員 末端が理解しにくい、わかりにくいということもさることながら、それならば昭和四十九年に百十五万四千人が加盟しておりましたものが、五十二年の末には百十三万四千人と二万人加入者が脱退している、減っているということは、理解をして入ったけれども、脱退をする、やめざるを得ないということは、一体どういうところに原因があるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/4
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005・大場敏彦
○大場政府委員 加入者をある時点でつかまえますと、当然移動があるわけであります。それは、新規加入と、それからいまお話がありましたように脱退する者との差し引き関係で増減というかっこうで出てくる、こういうことでございます。昨年の歩みを見てみますと、加入者は、五十一年度には約四万人新しく加入してきた者があった。逆に脱退者が七万一千人余りあったということで、減ったということがあります。それから五十二年度について見ますと、五十二年度の四月から十二月まで、年度途中でありますが、加入者は五十一年度の四万人に対しまして四万八千人ということで、加入はふえてきているというような状態であります。一方、同じ五十二年の四月から十二月の脱退、死亡者というものを見ますと四万六千人ということで、四万八千人入って四万六千人が脱退、死亡した、こういった関係で、差し引き二千人しかこの間にふえていない。こういった差し引きの関係で、加入者についての変動が出てくる、こういった状況であります。
そこで脱退と死亡者、こういう関係は、これがかなり出ているわけでありますが、これは必ずしも年金に魅力を感じないから脱退するということではなくて、大きく分けて六十歳に達したために当然脱退する者と、それから死亡した者が当然ある、あるいは従来農業にかなり打ち込んでやっておった方が、安定兼業に移行して、むしろ国民年金から脱退して被用者年金である厚生年金の方に移行する、そういった方々が脱退の原因になっている、こういつたことで脱退が発生しているというような状況にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/5
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006・竹内猛
○竹内(猛)委員 どうもきのうからも質問が集中しているように、この農業者年金というものは政策年金であって魅力がない、こういうところがみんなが喜んで年金に参加をしない大きな理由ではないか。たとえて言えば、保険料は、期間が三年以上の場合には脱退及び死亡に一時金が出されるが、掛け捨てになる点があり、他の年金に比べて劣っているからではないかという点が指摘されて、掛け捨てだからいやだ。この間も私は農村に行ってこの問題についてどうなんだと聞いたら、やはりやめるということで若い者が脱退をする、こういう声の方が強い。この点は率直に受け取られるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/6
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007・大場敏彦
○大場政府委員 先ほどちょっと脱退の御質問がありましたが、ちょっと補足して御答弁申し上げておきますと、全国的に脱退の理由を見ますと、先ほど申し上げました厚生年金、被用者年金への移行による脱退と、死亡と、六十歳到達による脱退と三つに分かれるわけでありますが、五十一年度で見ますと、全国計では、六十歳に達したために脱退する当然脱退が七割を占めて、次いで安定兼業移行に伴って被用者年金へ移行する者が二割、死亡が一割、こういった状況であります。
それから、いま御指摘のありました当然加入者については、自分がみずから脱退するというわけにはいかないわけで、自分の意思による脱退ということは法的には許容されていない、こういう状況であります。
それから魅力が乏しいということについては、いろいろな議論があるわけで、一つは年金額が低いとか、あるいは経営移譲しなければ年金が出ない、要件が煩わしいとか、いろいろな御議論がありますが、年金額が低いのは、いま実際に年金額をもらっている人はせいぜい五年から六年くらい程度の人でありますから、保険料の納付期間において年金額は上昇していく、こういう関係から、低いのはやむを得ない。標準的な加入期間があれば、かなり厚生年金に近くなるような形で支給されるわけでありますから、決して低い水準ではないだろうというふうに思っておるわけであります。
経営移譲という要件は、これば死ななければむずかしいということもありますけれども、これは五十一年度改正で緩和されて、後継者移譲が非常にやりやすくなった、こういつたこともありますので、魅力が乏しいというようなことについての理由はだんだん理解していただけるのではないかと思っております。
それから掛け捨てになるということにつきましては、これは経営移譲をすれば当然支給されますし、経営移譲しない場合においても、老齢年金というのは、掛け捨て防止のために六十五歳以降から支給される、こういつたことになっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/7
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008・竹内猛
○竹内(猛)委員 農家の場合はいろいろな年金がある。農業者を対象とした国民年金もある。その中の選択をするわけで、結局損か得かということが基準になる。だから、この年金に入っていることが非常に安心でいい、よりいいということでなければ、その選択もなかなかしにくいことになるだろう。だからそういう意味では、しばしば改正はしてきたけれども、なおこの年金制度に問題があるということだけは認めてもらわなければいけないと思うのですよ。現状でいいなどということになったのでは非常に困る。もう一度局長どうです。そういう点について、なおまだ修正なり、改める余地があると考えますか、それともそうじやないと思うのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/8
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009・大場敏彦
○大場政府委員 私は、現行制度が万全であるというつもりは毛頭ございません。いろいろなご指摘がありますし、今後検討しなければならぬ課題もあることは十分認識しておりますから、そういうつもりでお答え申し上げている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/9
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010・竹内猛
○竹内(猛)委員 今回の法改正の二つ目の焦点であるところの、昭和五十一年七月前の被保険者期間のうち、改正法施行前に保険料を納めてない期間がある者については、昭和五十三年七月以降一年六カ月の間に限り、その期間の保険料一カ月三千六百円を納めることにより救済の措置が講ぜられた、このことはいいことだと思うんですね。この場合、正規の保険料を納付した場合と特例の保険料の納付との間に一対四の格差がある。どうしてこんなに格差をつくったのかということの理由について御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/10
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011・大場敏彦
○大場政府委員 過去において年金を納めなかったために時効が発生した者を救済するという措置をお願いしているわけでありますが、ことしの七月以降一年半の間に保険料月額三千六百円を納めてほしい、こういうお願いをしているわけであります。この三千六百円というのは、現行の保険料月額に対しまして一割程度高くなっている。現行というのは五十二年、五十三年それから五十四年というぐあいに年度別に保険料が決まっているわけでありますが、五十四年一月以降の保険料が月額三千二百九十円ということになっているわけであります。それの一割程度の増加ということで三千六百円という数字をはじいているわけであります。なお、これは国民年金にも同様な時効救済の措置をとっておりますので、同様に、現行の保険料のうち、最高のものについてさらにその一割増しのところを時効救済の者についての保険料として採用しているということとバランスをとったということがあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/11
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012・竹内猛
○竹内(猛)委員 この問題については、よほど説明しないと末端の理解ばしにくいものになると思いますが、どう説明されるかという問題と関連して、きのうも年金の理事長が言っていたけれども、農業者年金の末端の取り扱いは農協と農業委員会にゆだねてある。したがって、非常にむずかしい、わかりにくい事務手続や、趣旨の徹底が十分に行われないわけで、この末端事務に対してどのように整理されるかという問題があると思うんですね。いろいろなパンフレットは出るけれども、パンフレットを読んだだけでは理解ができない。隣近所に聞いてみると、やはり魅力がないあるいは掛け捨てになる、非常にむずかしい、こういうようなことで、加入者が足踏みするという問題の説得、説明をするための末端機関をどう整理されるかということについてお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/12
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013・大場敏彦
○大場政府委員 前段の時効救済の三千六百円の問題でありますが、時効救済ということは一種の特例であって、保険料というのに、先生よく御存じのとおり、決められた期間内に決められた保険料をきちんと払っていただく、そうしないと、いつ保険料を払ってもいいや、いりでも時効救済があるから保険料はそのときになって待って払ってもいいや、こういうことがあっては、保険の仕組みというものは混乱してしまいますから、やはりあくまで特例である。それからきちんと払っている者とのバランスということも考えなければならない。そういう意味で、普通の人が三千二百九十円のところをバランスをとって三千六百円というふうな措置をとったわけであります。
参考までに、三千六百円、いままで五年経過しているわけですが、今回五年分一回も納めてなかったという方々が、時効救済制度を活用して五年分を一遍に納めてしまうということによって経営移譲年金の支給要件が発生する、こういうことがあるわけであります。具体的に申し上げますと、大正五年一月生まれの方、これは施行日に六十二・五歳ということになるわけでありますが、今回、過去において三千六百円を一回も納めてなかった方々が、五年分を納めるということになりますと、二十一万六千円納めればいいということになるわけであります。そうしますと、二十一万六千円納めれば六十二歳半から六十五歳の間に経営移譲年金が八十八万七千円もらえる、それからさらに六十五歳以上は老齢年金も加わってくるということでありまして、その人が仮に七十六歳まで生きたということでありますと、百八十万円いまの給付水準を前提にすればもらえる。二十一万六千円納めれば百八十万七十六歳までの間にもらえる、こういった計算になるわけでありますから、決して三千六百円という月額を納めることは不利なことではなくて、むしろ有利である。年金財政上はまた別な議論が出てくるかもしれませんが、そういうようなことであります。そういったところをよく末端に御理解願って、時効になっている方々の加入を促進いたしたいというふうに思っているわけであります。
それから末端の活動の問題でありますが、確かに農協あるいは農業委員会系統に、加入の促進だとか趣旨の徹底についての業務委託はしてもらっておりますが、まだどうも必ずしも十分ではない。これば加入の状況とか経営移譲とかそういった状況は、地区によって非常にばらつきがある。これば年金の理事長も申し上げておったと思いますけれども、地区によってばらつきがあるし、また団体によっても非常にでこぼこがある、こういったことでございますので、私どもとしては、一般的には団体、そういった農業委員会あるいは農協系統に対する委託手数料の増額を逐年図ってきておりますし、五十三年度予算においてもその実現をしておりますが、そういう努力をする一方、やはり問題地区あるいは問題の団体、そういったところを拾い上げて、重点的に現地の指導監査を強化していく、そういった形で、年金基金を督励し、末端活動をさらに強化して、いろいろ農民の方々の御理解を深める、そういうことについて加入の促進をいたしたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/13
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014・竹内猛
○竹内(猛)委員 これは局長のお答えですが、やはり末端の事務処理、整理というものを系統的に一元的にやれるような努力をしないと、これば非常にむずかしいから、せっかくいいと思ったものでも理解がしにくいから入りにくいという形になるから、この辺はしっかり指導してほしいと思うのです。この点については今井政務次官、ひとつお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/14
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015・今井勇
○今井政府委員 この問題は昨日からもいろいろ御議論になりまして、事務当局からも答弁いたしておりますが、やはり農協の末端組織の強化というものを通じまして、周知徹底方を図ると同時に、積極的な運営をやっていこう、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/15
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016・竹内猛
○竹内(猛)委員 それでさらにお尋ねしますが、本救済措置によってどの程度の救済ができるか、そうした場合の財政的な措置というものはどういうことになるのか、それをどうされるか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/16
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017・大場敏彦
○大場政府委員 いま時効になっているという者が約七十万人ぐらいあります。全体の資格を持っている者が約百七十万人、そのうち加入している者は百十三万人であります。丸くして百十万人、資格を持っていながら加入していない者が約六十万人、こういう状況で、そのほかにかつては資格を持っておったけれども時効になってしまったために資格がなくなっていった者が大体七十万人、その中には今回の時効救済で対象になり得る者はかなり多くあります。ただ、任意加入の人たちは時効救済の対象にしておりませんから、七十万人のうち約四十万人が当然加入という方々で、これは時効救済の対象になり得る人である。ですから、私どもとしては、そういうような加入を促進しなければならないというような、マーケットと言ってはおかしいわけですが、四十万人という大きなマーケットがあるわけですから、それをできるだけ年金の財政の健全化という意味からもこっちの中に入っていただいて、加入を促進していきたい。加入したために財政負担がふえるとか、あるいは年金の給付が窮屈になるとか、そういった問題は、いま年金基金には相当の給付額というものは積立金として留保されておりますから、いま千数百億あるわけでありますから、それに伴って財政が直ちに窮屈になるというようなことではない。そういった給付財源というものは十分用意ししてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/17
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018・竹内猛
○竹内(猛)委員 いまの積立金の問題ですが、農業者年金以外の年金に関しては、積立方式と賦課方式というものの修正で、われわれが要求している賦課方式にだんだん変わりつつあるという方向にあるのに、農業者年金ば完全積立方式をとらざるを得ない。この根拠になっているのは、実際、二十歳から三十九歳までの加入者が一三・三%、四十歳から四十九歳までが三九・八%、五十歳以上が四六・九%というように若い者が非常に少ない、年寄りが多いというこの構成であれば、将来が思いやられる。したがって、こればわれわれが常に要求する賦課方式がとりにくい状態になっていて、そして完全積立方式をやらざるを得ないという状態になってしまっている。ここは大事なところなんですよ。さあ、これをどういうふうにされるかという問題なんです。この状況はどうですか。これは中身の問題なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/18
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019・大場敏彦
○大場政府委員 農業者年金そのものの制度発足のときから、いま先生がおっしゃった、他の年金等に比べて高齢者の加入割合が全体の中では高い、それから受給者と加入者との関係で、一人の者で多くの者を養わなければならない、いわば後代負担が多くなるというようなパターンというものが予測されて、そういうようなことも考慮に入れながら財政計算というものはされている。そういう意味で、完全積立方式ということをわれわれとしては堅持してまいっておりますし、今後もしていきたいと思うわけでありますが、それにつきましても、いまお話のありました若い層の加入率が低い。六十万人資格を持っていながら入っていない者があるということを先ほどお答えいたしましたが、その中に、若い人は四十歳未満の者が約四十万人おりますが、残念ながら若い層の加入がどうもはかばかしくない。そこに一つの大きな問題があると思います。
それで、私どもといたしましては、やはり若い層に加入をしていただくということが最大の課題であろう。これはいま御雄飛のありましたように、年金財政の健全化ということからも当然でありますし、また、若い層に加入していただいて、そういった方々に将来の後継者になっていただくという意味で経営上促進する、そういうような構造政策の意味からも、やはり若い人に入っていただくことが必要ではないかと思います。
そこで、若い人々の加入がどうもはかばかしくないという理由は、これは個々の事情がいろいろおありであろうとは思いますが、また先生は別の御議論がおありかと思いますけれども、一般の通性として、将来の老後のことは若いうちはなかなか考えないということもありますし、あるいは二十年間納めればいいわけでありますから、何もいますぐあわてて入る必要はないや、まあ四十歳になるまでに入ればいいやというような観念は、現実の問題としてばあると私は思っております。そういうようなことに対しては、長期間掛けることによって実際に受ける給付水準を高める、こういう認識を持っていただく。どうも年金制度そのものが身近なものとして意識されていないというような点がありますので、これは屡次御指摘になっておりますようなPR不足とか、われわれの趣旨徹底の不十分ということにも起因するわけでありますから、今後の戦略的な課題としては、そういった六十万人未加入者がいる、そのうち四十万人が若い層であるというところに今後の加入の活動の重点を集中していく必要があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/19
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020・竹内猛
○竹内(猛)委員 これは後の問題とも関連をするけれども、この年金の目的というものが、規模拡大、近代化、それから若返りというところにあったわけでしょう。これは当時の政府の提案のときの趣旨なんです。そのとき、社会党としてはこういうことではなくて、農民に年金をということで、政策的なものではなしにやった。この出発の根本にこういうことにならざるを得ない運命があるんだよ。この法律そのものが重荷をしょっているわけだ。この重荷をおろさない限りこれは問題にならないと私は思うのですが、どうですか今井政務次官。この年金というものが、若い者が少なくて年寄りが多いために、先に細っていって、まあ槍ヶ岳のような、富士山のようなものになってしまってすそ野が広がらない。これではどうしても完全積立方式にせざるを得ないという形になる。これを何とかしていかなければ、他の年金と比べてまことに見劣りがしてくるんじゃないかと思うのですが、この辺は、政務次官としてはどういうふうにお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/20
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021・今井勇
○今井政府委員 いまの、修正方式をとるか完全積立方式をとるか云々の問題につきましては、局長が答弁したとおりで、いまのこの制度を維持するためにはこれがベストであると私は思います。
それで、この制度創設のそもそもの話が先生から出ておりますが、これは当時の記録を読みましても、いろいろ議論をされておりますことは私も承知いたしておりますが、少なくとも本制度が本院の意思として決まりました以上は、それに従いまして法の運営をすることは、これは当然の政府の責務だと私は思います。
そこで、この制度そのものについていろいろ議論をしていただきますことはもちろん大事なことでありますし、法の運営の中でもろもろの議論の要約を具現をする努力をすること、これもまた同然であろうと思います。したがいまして、決議を承っております遺族年金の問題あるいは婦人の加入の問題等々たくさんございます。そういった問題はできるだけの努力をしていこうという考えでございますが、法そのものの精神についての御議論には、政府にこれをいま直ちに変えろ、こういうふうにおっしゃいましても、いささか無理ではなかろうかと申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/21
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022・竹内猛
○竹内(猛)委員 私はいますぐ変えろと言うわけではないけれども、そういう点について問題があるということを指摘をするにとどめます。
続いて、この問題ばきのうからも言われているしわれわれもかねてから主張をしてきたことですが、婦人の問題と遺族の問題です。実際、現在農業を経営している者は女が七割いるということは、これはだれでもが認めているところです。にもかかわらず、ごの婦人が加入できない、また後を受けることもできない。そして主人が亡くなった場合には結局一時金でおしまいになってしまう。憲法においては個人の人権が尊重され、民法においても個人の権利がちゃんと認められている。年金においては別な取り扱いをする。これはある意味においては日本の農業経営の実態からきたものかもしれませんが、しかし、経営は家族がやっているわけではなくて、その中において働いている個人個人の協力が必要であるから、この基本的人権から見ても、農業経営の実情から見ても、これは非常に不合理じゃないのかという点について、どういうように理解をされており、これからどのようにこれに対応されようとしているのかという点について、これはきのうも説明がありましたが、もう一度私の質問に対して市答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/22
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023・今井勇
○今井政府委員 これは先生御案内のとおり、憲法で保障されているものを否定しているつもりはさらさらありません。農家の婦人の場合でございましても、現実に農地等の権利名義に基づいて耕作をしている農業者、すなわち、一般的には経営主の立場におられる方々は当然加入できるわけでありますし、昨日からも答弁しておりますとおり、現に五万数千人の婦人の方々が加入をしておられるわけであります。
しかしながら、いま議論されていますのは一般的な問題であろうと思うわけであります。お説のとおり、近年の農業従事者というのは、その大半を婦人の労働に負うことはもちろん現実でございます。また、農家の主婦の老後の保障の問題というのが今後の農政上の大きな問題であるということも、私どもも認識いたしておるわけであります。
そこで、この制度の中でそういった相矛盾する問題をどう解決するかというので、ただいま制度研究会というものをつくりまして、この問題を真っ先に取り上げて、いま勉強してもらっておるところでございます。何らかの形でひとつ御決意の趣旨が生かせるような方途はなかろうかと思って知恵をしぼっておるのでございまして、ひとつそのようなことを御理解を賜りたいと存じます。この問題は、遺族年金の問題も同様の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/23
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024・竹内猛
○竹内(猛)委員 この問題は、日本の農業にとってきわめて重要な問題でありますから、早急に結論が出るように努力を願いたいということを要請したいと思います。
そこで、この問題との関連ではありませんが、別な問題として、これば党の方からも特に修正案まで出す決意をしたのは、五十六年一月から農業者老齢年金が支給を開始されますが、これは経営移譲した者としなかった者との間に三・四対一という大きな差がついている。政策年金の性格からいって、協力した者としない者との間に差がつくのはあたりまえではないか、こういうようなペナルティーみたいなものが考えられるとするならばこれは問題だと思うし、やはり規模拡大と若返りという本法案の二つのねらいというものを政策的に実施をするというような立場からしてみても、やはりこれは早急にいまの点を、三・四対一なんということではなくて、大きく改正をして受給額を高めていくようなことが必要だと思うけれども、これに対してどのように考えられるか。これは今井政務次官の方からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/24
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025・今井勇
○今井政府委員 これまた先生十分御存じの上で御質問されておりますので、私もそれを踏まえて御答弁申し上げたいと思います。
制度の仕組み上、経営移譲した者としない者との間である程度の差が出ることはやむを得ないこと、だと思います。
そこで、その差がひどいじゃないかという話でございますが、こればやはり制度の根幹にもかかわる問題であります。したがいまして、制度そのものをいまいろいろ研究しております研究会の場で、これはやはり練っていただく必要があろうと思うわけでありまして、どのくらいの差異が許容できるものかということを含めてひとつ勉強をさしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/25
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026・竹内猛
○竹内(猛)委員 今度は農業者年金の問題と水田利用再編事業の問題との関連で、地方に幾つかの問題が起きておりますので、その点をお尋ねします。
まず、農業経営を移譲することによって、その農地を一筆でも減らすと年金の支給が停止される、こういう指示がある市では行われております。そうすると、移譲して、それが生産調整によって、わが茨城県の場合には一〇%の調整ですから、一〇%以上しなければならない、やめなければならない、こういうことになると年金が停止されてしまう、これは大変問題だと思うのですけれども、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/26
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027・大場敏彦
○大場政府委員 経営移譲と管理転作との関係でありますが、具体的な例で申しますと、親が子に農地を経営移譲した。その場合に、所有権の移転というようなケースによる場合は、これは第三者の場合も同様でありますけれども、それを管理転作ということで他人に出しても、それは年金との抵触、親の年金受給権が停止されるということにはなりません。ただ、五十一年改正で入りました使用収益権の設定による移転、こういうようなケースの場合には、たとえば子供が使用し、親から借りた土地をさらに一部他人に使用収益権を設定して管理転作に出す、こういった場合には親の受給権に影響が出てくる。あるいは、親自身が管理転作に出すという意味で、子から、一たん貸したものをまた親に返して、そしてそれを管理転作に出すということになりますと、やはり親の受給権に影響が出てきて、親の年金の受給権というのは停止する、こういったことになるわけであります。
この趣旨は、やはり使用収益権の設定による経営移譲というものを認めた趣旨ということと関係するわけでありまして、結局は、その使用収益権の設定を受けた者は自分でやはり耕作するのだ、そういうことが経営移譲の本旨であるということから、それと違ったような形で経営移譲せられた農地が使われるということになりますと、法のないしは制度の予定したものと異なってくるということから、そういった取り扱いになるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/27
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028・竹内猛
○竹内(猛)委員 この問題はいま各地区で、各地区というか私が歩いたところでは、農業委員会から一つの通達というかメモというものが出て、これはかなり問題になっていることなんです。それで、六十歳前に経営移譲をした、そうして今度その移譲された者が農協に管理転作をして、農協がそれを保全するならばそれはいいですよ、ところが農協が今度第三者にそれをやる場合には、そこに経営権が移っていくわけでしょう。そうなると、それはやはり国の方針から言えば農地法との関連が出てくるわけでしょう。だから、政策で、次官通達で出したものが、農地法という法律との関係からいけば、それは農地法の方が上位にあるのは決まっているわけなんで、そういうことについての特例というものをやたらつくっていったら、末端は大混乱をしてしまって、この年金制度だってなお混乱をする。そういう混乱がいま起こりつつあるということを把握していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/28
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029・大場敏彦
○大場政府委員 いろいろなお尋ねなり反応が末端の方から私どもの方にも届いております。また、その中には、どうも理解が十分でないということに伴うものもありますから、それは親切に一々お答えする必要があるということで、そういう対応はとっております。
いま御指摘になりました経営移譲を受けた農地を他に貸すことによって管理転作をするという場合に、その親の年金受給権との関係で停止とかそういう問題が出てくる。これはやはり年金制度の経営移譲の本来的なねらい、つまり細分化防止とか経営の若返り、やはり原則として、経営移譲を受けた農家はその経営移譲を受けた農地はみずから使用収益するというところに基本原則があるわけでありますから、それをまたまとめて親は子に譲って、子はまとめてそれを耕すというところに意味があるわけでありますから、それをまた他人に貸すあるいは分割するということになりますと、やはり年金の本来の趣旨と経営移譲というものとどうしても矛盾が出てくるから、そこはそういうような形でない形で対応をしていただく、こういうことだろうと思うのです。
具体的には、農協に管理転作という形で出す場合には、いま先生御指摘のありました保全管理という態様にとどまっている限りは、使用収益権の設定ということではございませんからそういった問題は発生しておりません。単に保全管理しているだけであります。ですから、単に自分でどうしても耕作できないという場合には、管理転作というかっこうで、使用収益権を設定せずに、むしろ作業委託、他人の方に作業を委託する、経営権ば自分が握っておいて作業委託するという形で対応する、そういうかっこうでやれば既存の制度との抵触、そういったものは回避し得ると思います。
それから、水田の総合利用の問題と農地法とかあるいは年金法との関係、これは当然農地法の枠内でいろいろな許可だとかいうものがケースによっては要るものもあります。農地法の制限というものを受けなければならないものもあるし、場合によっては例外的に許容されているものがありますから、そういった枠内で管理転作等の仕事は行う、これは当然であるわけで、特に両者が矛盾しているというようなことはないのじゃないか。やはり法なり制度と適応するような形で弾力的に管理転作というもので対応していただく、こういうような展開を私どもとしてば期待しているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/29
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030・竹内猛
○竹内(猛)委員 大変細かくてむずかしい問題ですから、時間の関係があってこれ以上このことについては触れません。
次に行きますが、それでは今度は税金の関係です。
生前に一括贈与を行った場合、贈与税の納税猶予の適用を受けられるが、今回の制度によって農地を減らした場合に、減らした分が二〇%未満の場合にはその分だけ、二〇%以上の場合は猶予税額の全額を納付しなければならないという形になっていて、これは直接年金とは関係はないけれども、いまの水田総合利用との関係では当然出てくるわけで、この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/30
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031・大場敏彦
○大場政府委員 農地の生前一括贈与の場合に、こればいまお話のありましたように増与税の納税猶予という特例が開かれておるわけでありますが、それを、一括贈与された農地を自分で耕作しないで他人に貸す、管理転作に出すということになりますと、その部分が二〇%を超える場合には全部について納税猶予の特例が外される、こういったことは現実問題としてそういうことでございます。これば、納税猶予の課税の特例をしているという趣旨は、一括して細分化を防止するという意味で、やはり親が子に農地を贈与する、子もまとめた形でそれを自分でみずから耕作する、そういう場合に課税するのはやはりおかしい、こういう観点から納税猶予制度ができているわけでありますから、それと違ったような形で農地の使われ方がされるという場合には、やはり納税猶予制度の適用から外されるということはやむを得ないことじゃないかというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/31
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032・竹内猛
○竹内(猛)委員 この点も、いまの所有者の意思いかんにかかわらず、農地だから水田にやっても畑にやってもいいわけですけれども、仮に水田が調整されて、それが次に転用が効かなくてどうしてもだれかに渡さなければならないという場合には、いま起こり得ることでありますからね、これは。そういう点も考慮しなければならないので、私はこれ以上この議論はしません。
それから小作地は原則として第三者に貸し付けばできないことになっている。これば当然ですね。そこで、小作をかなりやっている農家が生産調整を受けて、それで農協への保全管理だけでなくて農協に委託をした、そうしたら農協はこれを他のものに耕作をさせるという形になったときに、これは当然地主との関係が起こってくるが、地主はこれについてそうなればもう貸さない、貸借権を消滅させる、こういう形になる。せっかく現在農業をやっている者が水田の総合利用のために耕作権を失うということは、これはやはり問題じゃないか、こう思うわけですけれども、この辺はどうですか。これはやむを得ないと思っているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/32
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033・大場敏彦
○大場政府委員 小作地をまた他人に小作に出すということは、御承知のとおり農地法に触れるわけでありますから、そういったことは一般原則として許容されていない。そこで管理転作というようなケースになるわけでありますが、小作を、いろいろな事情で自分で転作ができない。管理転作に出して対応するほかないという場合には、これは農地法の特例が開かれているいわゆる農用地利用増進事業というような形で対応していただく、そうすれば管理転作という形で対応できるということがあります。ただこの場合にも、法的な問題とは別に、やはり小作関係でありますから、あとにいろいろ紛争が起きないような形で事前に土地所有者との間の意見を調整しておくということば、スムーズに行われるために必要なことだろう、そういう指導を私どもはしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/33
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034・竹内猛
○竹内(猛)委員 まだ問題はありますが、農業者年金についてばこれで質問を終わって、今度は農林年金に関して質問します。
きのう農林年金の吉田理事長にも参考人として来てもらい、そして、この年金の中で一番重要な部面は、農林年金の国庫補助について現在の百分の十八を百分の二十にするということについての意見を聴取いたしました。このことについて、その後で中川農林大臣は、これは前向きに努力する、こういうぐあいに答弁をしております。これは野坂委員の質問に対してのことであります。私たちば、この問題は、前々から本委員会において附帯決議として続けてきたことであって、全国の農業団体の従事者のきわめて切実な要望でもあるわけですから、附帯決議が何年続いても実施しないならば、当然法改正をしてその中に加えていくべきだということで、修正を本委員会に出しておりますが、これは後で皆さんの御同意をいただきたいわけですけれども、このことについて事務当局はこれからどういうような努力をされますか。そのことについてひとつお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/34
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035・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 農林省といたしましては、国庫補助率の引き上げあるいは財源調整費の増額に関しましては、予算編成の際にその増額を要求いたしまして、できるだけの努力を傾けてきたつもりでございます。しかし、御存じのように、年金制度につきましてはいろいろ均衡問題等もございましてこれをなかなか実現するに至らないことはまことに残念でございますが、今後ともこの問題については真剣に努力を重ねてまいりたいと考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/35
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036・竹内猛
○竹内(猛)委員 きのう吉田理事長が、われわれのところに年金の関係者からきわめて切実な要求がありそれに対しての質問に対して、きわめてあいまいな答弁をされている。このことについて、農林省の当局が少しプレッシャーをかけたんじゃないか、こういうことが漏れているのだけれども、そういう事実があるかないか、あったとしたらけしからぬことだと思うのですけれども、年金の理事長にプレッシャーを加えるなんということはけしからぬ話だと思う。これはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/36
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037・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 そのようなことは全くございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/37
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038・竹内猛
○竹内(猛)委員 もしそういうことがあったとしたら許せないことですね。そういうことについて自由に物を言わせてもらいたい。その団体の末端の五十万近い労働者から切実な要求が毎年毎年続いておる、要請も来る、はがきも来る。そういうことで、皆さん知っておるはずだ。そういうことについて、しかも本委員会でも何遍となしに決議をしながら実行されていないという状態の中で、その問題についていろいろな工作をするということがもしあったとしたら、これは許せないことだと思うから、この点については、強く私はここで記録にとどめながらあれしておきます。
続いてお伺いしますが、私は、いつも農林年金の質問をするときに、その対象となる職員の問題についていろいろ質問しているのですが、その中でも最も数の多いのば、現在一万三千四百四十一団体中の六千百七十九組合、四十五万九千四百五十二人の組合員の中で三十八万六千百七十四人、約八〇%を占めている農業協同組合の社会的な役割りと性格について質問をしてまいりました。これに対して農林省は、省内に制度研究会というものをつくって鋭意検討を加えるということを当時の、もうすでにやめてしまったが農林経済局長である、いまの顧問の内村経済局長のころにこれは出発したものでありますが、これはその後どうなっているのか、そしてどういう結論が出たのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/38
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039・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 農協制度問題研究会におきましては、農村及び農業等、農協をめぐります諸情勢の変化に対応して、農協制度の基本ばどうあるべきか、また農協の事業運営及び組織につきまして考慮すべき点は何であるかということを検討課題として、検討を願ったところでございますが、その報告の要点を申し上げますと’いろいろの農業事情が高度成長過程において大きな変貌を遂げた状況のもとで、農協もまた、いろいろ準組合員の増大でありますとか、事業内容の多様化でありますとか、事業量の拡大、あるいは信用共済事業のウエートの増大、あるいは財務内容の悪化というふうな諸問題が出てきておるわけでございます。このような情勢はある程度やむを得ないものがあるとしつつも、農協が事業面に対する組合員の要請に十分対応していない。経営のみの観点から事業拡大に走るのは農協制度の本旨をたがえるものであるということで、今後は高度成長過程での行き過ぎを是正すると同時に、農業の生産力の増強と組合員の生活条件の改善が従来以上に要請されていることにかんがみまして、地域の農業の果たす役割りに応じた農協の事業のあり方を見直して、農業により密接した事業分野の充実強化を図る必要があるということを指摘をしておるわけでございます。
同時にまた、今後の組織及び事業運営につきまして、農協の特性を失わぬように配慮しながら、十分その組織及び事業運営の適正化を図るべきであるというのが結論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/39
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040・竹内猛
○竹内(猛)委員 私は、農協が自主的で民主的でしかも農民に愛され信頼される農協になるということを願う者の一人として、現在も報告があったように、各地を回ってみると、農協ば生産の指導をやるよりも農村における大型の商社になってしまったんではないか、あるいはお金を集めてそれを貸して金利を取るために非常に努力をしている、こういうようなことがしばしば聞かれます。これでは農協の本来の使命から外れたものではないか、こういうことで、大変農協に対して地方が不信を持ちつつあって離れているという傾向もある。そのためにいろいろな事業をしながら失敗をしている。後でちょっと問題を出しますが、こういう農協のあり方に対して、農林省の指導としては、こんなに多くの職員もいらっしゃるのですから、指導としてはどの程度の指導をされているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/40
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041・今井勇
○今井政府委員 私も農協のあり方については疑義を持っておる者の一人でございます。それでその原因等について考えてみますと、やはり最近の経済の変化に伴いまして、兼業化が進んでおったり、それから生活様式が変わっておったり、また農村地域が混住社会になっていくというようなことからして、どうしてもスーパーなどによる生活用品購売、信用共済等、農業の部門でない部門、そういったものの比重が高まっていることも原因の一つであろうとは思います。しかし、いま先生御指摘のとおり、農協というのは農民あっての農協でありますから、その本来の目的というものに、これば原点に立ち返らなければならぬと思います。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
そこでやはり農林省としては、このような気持ちから、五十一年度から農協を事業実施主体といたします地域農業の生産組織化推進事業というようなものを助成をしておりまして、五十三年度においても新規二百組合、継続二百組合に対して事業を実施いたしておりますし、また五十三年度から例の水田利用再編対策の一環として、農協によります管理転作というようなものも一つ考えております。農協が営農指導それから生産農民のための農協に立ち返るような努力を農林省も続けてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/41
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042・竹内猛
○竹内(猛)委員 これはぜひ、農協に対しては愛情を持った形で生産の指導をして、農業、土に結びついた農協になるように——もちろん、それは都市型の農協もあるし混合農協もあるし農村地帯の農協もあります。私は三つの類型に分かれると思うけれども、しかもそこに働いておる職員、農業協同組合あるいは漁業組合さらに土地改良区とかそういうところの人たちば、非常に数が多いんですが給与が非常に安い。これも私が指摘をしてきました。それがだんだん向上はしているものの、依然としてその同じ地域の学校の事務職員とかあるいは市町村の役場の職員に比べてみるとまだ見劣りがする。そういう見劣りがするために、この年金の制度が、制度としてはよくなったとしても、それに適用される土台が低いから結局最終的なもらいが小さい、こういうことになるんだから、やはり基礎を底上げをしなくちゃだめだ。こういう点については局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/42
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043・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 確かに最近におきましては、農協職員の給与面においても相当程度の改善が見られておるように考えられます。市町村の職員との俸給比較でいきますと、大体一万円ぐらい月額で違うわけですが、年齢が四年ぐらい違いますから、ボーナスの一・四カ月ぐらいの違いを考慮いたしますれば、大体私どもとしてはほぼいいところへ来ておるんではないかと思いますが、やはり農協の地域によりましては地域間格差が相当あるというところもございます。また、御指摘のように、土地改良区などになりますと月額が相当低いということもございまして、制度が改善されても土台が低いからなかなか年金額が水準として低いではないかという御指摘はごもっともでございまして、私たちとしましては、農協経営の改善指導等を通じましてその給与の改善に資するように、また全国団体といたしましては給与につきましての指導を行いますようにいたしまして、全体的な給与の向上についてはさらに今後努力を重ねてまいりたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/43
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044・竹内猛
○竹内(猛)委員 時間がありませんから、最後に私は、もう一点農協の問題に関連をして質疑をしたいと思います。
それは、農協が取り扱っている金融面を中心とした不正貸し付けが依然として絶えないということなんです。これも前々から指摘をしてきたところでありますが、四十九年には五十八件それから五十年には八十件、そしてまた最近も盛んにこれはふえております。新聞などを見ると、非常に見るにたえないようなこういう不正がある。たとえば五十二年十二月八日の新聞を見ますと、大阪の南池田農協では、メリヤス業者を中心とする三業者に対して、無担保で農協の全預金の三分の一に近い九億円の金が不正融資されたという報道があります。あるいはまた本年の二月二十二日の、同じ大阪の藤井寺農協においては、五十億の預金の中の四分の一、十四億の金が大手土建業者を中心として無担保で、貸し出しをされているという。こういうふうに農協が、本来農民の金を集めて土建業者やあるいはメリヤス業者というような全く農業と無関係の形の者に、その預金の中の三分の一、四分の一というようなものを貸し出すという、こういうことば許されないことだと思うのですよ。これが絶えないという。まだほかにもあります。私の茨城県にも江戸崎の農協を初め日立、それからその前には笠間、その他たくさんありました。この傾向をどう阻止し変えていくのか。しかも、それをやっている者が、金融の課長補佐であるとか一つの事務職員がこれをやって、組合長が気が
ついたときにはもうどうにもならなくなってしまった。ここに農協に対するもう一つの不信がある。この不信を取り除かない限り、農協は本当に致命的な問題になってしまうだろう。私がこういう質問をするのは、農協が本来の農協精神に立ち返って、そして土に返って農民の農協になってもらいたい、そのことを願うがゆえにこの問題を質問するのだから、誤解のないために正確に私の気持ちを述べながら、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/44
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045・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 組合は組合員の負託にこたえまして適正にその業務を執行すべき職責があると思います。しかし、御指摘のように、不正事件の起きております案件を見ますと、どうしてこういう不正事件が起きたのであろうかということを疑問に思うほど、不適確なる状況のもとにおいて管理がなされておるということを痛感するわけでございます。
私は、基本的には、農協の業務を執行すべき役職員が真に組合員の負託にこたえていくというところに基本的な姿勢があるべきだと思いますが、同時に、農協の組織体制等が農協を取り巻く諸情勢の変化に十分対応し得るように整備されていないという面もあると思います。したがいまして、今後農協の組織体制、農協の経営、事業運営体制の整備ということがやはり最も重要な問題であるというふうに考えております。農林省といたしましても、このような状況に対応しまして、信用事業を中心として農協の事業に対します指導監督体制を整備するために、かねてから都道府県知事に対しまして、土地関連融資の抑制でありますとか、あるいは貸し出し審査体制、内部監査体制の整備等、貸し出しの適正化につきましていろいろ指導いたしておるところでございますが、同時に、検査につきましても、通常の常例検査のほかに特別検査を実施して、検査の充実強化を図りますと同時に、新たに農業協同組合経営改善特別指導事業というのを起こしまして、これは検査ではございませんが、経営全体につきましての調査といいますか、監査といいますか、そういうことを行いまして、経営改善を行うにはどうしたらいいかということをいろいろ指示をすることによって経営改善を図っていきたい。同時にまた、農協系統内部といたしましても、中央会その他を通じまして、先ほど申し上げました執行体制の整備強化につきまして、十分留意して指導してまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/45
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046・竹内猛
○竹内(猛)委員 最後に私は意見を述べて、要請をして終わりますが、いま農業者年金と農林年金の問題について質問をしてきたわけですが、農業者年金の問題は農業に従事する人間の問題であります。その人間をどう取り扱うかというきわめて大事な問題であるわけです。これに対して遺族年金、婦人の加入、そういうような道を開いて、若い者もすべてが魅力を持って入れるようにするためには、これは抜本的な改正をしなければならないということを主張してきました。また、農林年金の問題に関しては、特に農協を中心として農業関係諸団体に働く者はきわめて劣悪な労働条件のもとに重い任務を背負っていると思います。そういう人々は、やはり本当に農業を背負っていく一つの大きな重要な役割りをいわゆる経営の面あるいは仕事の面でしているのですから、これを魅力のあるようにするためには、日本の農業がやはり本当に魅力のあるものでなければならぬということなんです。そのために農業の長期展望というものと毎年毎年の計画を明確にしていくということがきわめて大事だ、こういうふうに考える。
そこで最後に、私のところに茨城県新治郡玉里村という農協があります。この農協は合併をしません。三月三十一日で農協合併促進法は期限が切れたけれども、いまだに小さな村に農協が二つあります。その農協は二百四十名の組合員であります。二十四名以上の職員がおります。しかもそこの預金というものは、県の中では上から何番目、恐らく二、三番だと思いますが、それぐらいの預金を持っている。しかも、ここの農協はきわめて緻密な生産指導をして、プラスアルファという営農方式を立ててきておる。恐らくこれは模範的な農協だと私は思う。こういう農協も中にはあるのですから、合併を促進しなくても、二百四十戸の農家で、やはり農民がこれを信頼し、愛し、そしてそこの職員が喜んで農協の事業に努力をするというところもあるのですから、そういう農協もひとつ参考にして大いにがんばってほしいということを要請して、私は質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/46
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047・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 武田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/47
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048・武田一夫
○武田委員 私は、昨日に続きまして、農業者年金基金法の一部を改正する法律案並びに昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について、多少内容的なものを含めまして掘り下げた質問をしてみたいと思います。昨日は、基本的な問題につきまして政務次官等に伺いまして、政府のお考えの一端をお聞きしたわけでありますが、この農業者年金制度というのは、農業経営主とその後継者を対象とした年金制度であるということを考えますと、やはり安心して農業に従事できるというような体制がどうしても欠かせない要件でございます。それだけに、こうした制度が内容の一層充実することが農業に励む方々の大きな支えでもあるということを考えますときに、私は、この内容を一層掘り下げた充実したものにしていかなければならない、こう決意しておるわけでございます。
そこで、まず、経営の若返りという点に目を向けてみたいと思います。昨日も話しましたが、被保険者数が全体で百十三万四千人、その中で二十歳から、三十四歳までの加入者数が五万九千九百三十八人、全体の五・三%である。非常に少ない。しかも、四十歳以上が九十三万人と、八六・七%ということを考えますと、この若い方の啓蒙というのが非常に大事であると私は思います。しかもまた、農業者年金制度の柱と言っておる経営移譲年金の問題につきましても、受給権者の経営移譲の実態を見てみますと四万七百八十三人、そのうち直接自分の息子あるいは娘等に譲ったのがほとんどですが、三万七千九百二十九人、こうなっています。これは、聞くところによりますと九万八千人を対象者として考えているということを考えますと、四万という数字ば五割にも満たない、四割ちょっとの数字である。こういうことを考えますと、いずれにしましても、若い方々に対する手の打ち方といいますか啓蒙は非常に弱いと思うのでありますが、こうした実態を見た上で、どういうところにその原因があり、どこを解決していくことによってこういう方々を一層この年金制度に加入させ、さらに農業経営の若返りを進めていくことができるとお考えか、まずその点をお聞きしたいと思います。
〔山崎(平)委員長代理退席、片岡委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/48
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049・大場敏彦
○大場政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、資格がありながら加入していない者に若い層が多い。六十万人ぐらい資格者がいる中で幾らも入っていない。その中で三十五歳未満の方が四十万人いる。こういうことで、若年層の加入率がことに悪い、こういったところに一つの問題があるということば御指摘のとおりだろうと思います。
それから、二番目に御指摘になりました経営移譲年金の支給状況が必ずしもよくないという御指摘でございましたが、私どもの現在の考え方では、経営移譲ばかなり進んでいるのじゃないかと判断しております。現在、大正五年生まれないしは大正六年生まれの方が経営移譲で年金の支給を開始されている、こういう状況でございますが、大正五年生まれの方の例をとってみますと、大体六十歳から六十一歳というような時点で考えますと、六十一歳ですでに五一・八%、約五二%に近い経営移譲率が出てきております。これが六十二歳でさらにどの程度ふえ、それから六十三歳、六十四歳ということで残っておりますから、経営移譲する年限まで、六十五歳未満の段階でかなりの経営移譲率ということになってくるのではないか。私どもが当初設計をいたしておりましたときには、経営移譲率はたしか四〇%程度のところを一応見込んでおりましたが、それよりかなりオーバーした形で経営移譲が進んでいくと判断しております。これは財政問題をどうするかという議論がまた別に出てくるわけでありますけれども、経営移譲はかなり進んでいるというぐあいに私どもとしては判断をしているわけであります。
さりながら、若い層の加入を進めていく必要性は、まさに御指摘のとおりでございます。若い層は年金というもの、年金に限らず保険もそうでありますけれども、なかなか身近に感じにくいということがあるわけでございますけれども、今後そういう方々に対して、年金というものを身近に感じてもらうための努力をする必要があるだろう。そのために末端の農協あるいは農業委員会系統においてもう少しPRを徹底させる、私どもも県の行政機関あるいは市町村、そういったものの力をかりて徹底させるというような多方面的な努力はする必要があると思います。また制度改善も、これは国会で御審議願って認めていただきました五十一年から、そういった若年層、特定後継者に対する保険料の割引制度ということで、たしか一般のものより三〇%程度軽減する、そのために国庫負担率を五割程度に引き上げる、こういった措置も一方に講じておりますので、そういった措置をさらに徹底させること等もあわせて若年層の加入という問題を進めていきたい。これは単に年金財政の健全化ということだけではございません。それの意味も大きくあるわけでありますが、同時に、年金制度本来の趣旨からして、そういった若い方々に入っていただいて、早く日本の農業の将来を担っていただく、早く経営移譲を促進する、こういった構造政策の観点からも必要なことだろうと思うので、全般について加入促進の努力はしなければなりませんが、そういった若い方々のところに戦略を置いて進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/49
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050・武田一夫
○武田委員 わが国の農業生産の維持、発展を考え、農業生産の中核的な担い手である若い後継者の育成、確保というのは大事な要件であります。そういう点で、若年層の加入促進のためにも、もっと心のこもった温かいきめ細かな施策が必要だと私は思います。
いま特定後継者の話が出てきましたのでその点についてお尋ねしますが、特定後継者の保険料につきましては軽減措置がある。これは喜ばれているわけでありますけれども、ただ問題なのは、この特定後継者の条件といいますか資格が厳しいという声が聞かれております。ある県の話ですが、一万人ぐらいいる後継者の中で、この要件をきちっとやられると一割くらいしか加入できないという実態のところもあるのだそうです。お聞きすればわかると思いますが、そこには三十五歳未満の年齢制限とか後継者指定者から後継者として指定された者としてこういう条件が必要だとか、三つ四つ条件があるわけですが、現在特定後継者の加入数というのはどのくらいなんですか。それから百六十五万年金加入者の時点でどのくらい特定後継者の見込みをしているのかという点を、まず最初に数の上でお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/50
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051・大場敏彦
○大場政府委員 特定後継者の加入の数でありますが、二万三千人ということであります。それからなお、特定後継者ということでございますから三十五歳未満ということでありますが、三十五歳未満で加入している者は約六万人、そのうち後継者は四万人、そのうち特定後継者、保険料割引を受けている者が二万三千人、こういうような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/51
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052・武田一夫
○武田委員 今後いろいろ啓蒙していくときに、どのくらいまで特定後継者を加入させることができる、しなければならないという目標といいますか、めどはあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/52
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053・大場敏彦
○大場政府委員 特定のめどというものはいま直ちにつくってはおりませんが、いま御答弁申し上げましたように、少なくとも四万人というものは三十五歳未満の後継者として存在しているということがあるわけでありますから、そういった方々の中で実際に特定後継者の割引を受けているのは二万三千人ということでありますから、そういった方々については適格者でありながら制度をよく知らないという面がありますので、よく周知徹底を図れば、みすみすその恩典を見逃すということはもったいないわけでありますから、それをまず第一の接近目標として広げていきたい、その後また次の展開を考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/53
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054・武田一夫
○武田委員 三十五歳未満の後継者、これは大事な人材でありますので、願わくは、こういう方々で農業に従事している者は、この特定後継者に与えられている三分の一の軽減措置をすべてに与える方向でいくところに、この年金の一つの意義というものが見出されるのじゃないかという考えもあるのですが、この考えはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/54
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055・大場敏彦
○大場政府委員 三十五歳未満の特定後継者を保険料の軽減措置の対象にした意味は、結局これからの日本の農業生産の中核的担い手になってもらいたい、そういう方々を対象にして、そういう方々にねらいを定めてといいますか、政策目標にして加入をしていただく、そうすることによって将来担い手としてきちんと育ってもらうという意味で保険料の割引の対象にしているということでございますので、若年層一般の方々の加入はもちろん奨励しなければなりませんが、そういったところに重点を置いて軽減措置を図ったという制度の趣旨がありますので、若いから全部ということまでこの制度を広げることは当面考えておりません。
ただ、冒頭に御指摘がありましたように、特定後継者にはいろいろ資格要件があるわけでありますが、私どもの認識は、非常に限定されてしまうという御指摘がありましたけれども、それほどむずかしい要件だというぐあいには認識しておりません。
たとえば、後継者の要件でおやじさんの面積が県の平均以上の規模がなければならないという要件がありますが、これは労働集約的な場合にはもちろん例外がありますし、それから親と子と両方で入っていなければならないという要件がありますけれども、親が高齢者のために制度実施の当時に入っておることができないという場合にはもちろん親が入っていなくてもいい、こういう例外もありますから、制度としてはかなり弾力的に運用し得るものであると判断しております。
ですから、私どもの認識としては、三十五歳未満の後継者がいてどうしても農業者年金に割引の恩典を受けて入りたいという希望者がいらっしゃる場合に、それほどその制度がじゃましているというふうには認識しておりません。しかし、現実にどうしても非常にじゃまになってしょうがないという御批判がありますれば、それば改めてよく判断して検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/55
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056・武田一夫
○武田委員 たとえばおやじさんが農協の職員をやっている、ところが息子は一生懸命中心になって農業をやっている、こういうのが最近あります。それから、おやじさんが早く亡くなったために二十代ですでに経営主になってやっている青年がかなりいます。こういう場合はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/56
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057・大場敏彦
○大場政府委員 そういういま御引例になった方々ば、後継者というよりもむしろ現実には若い経営主ということでございますから、五十アール以上あれば当然加入でありますし、三十アール以上あれば任意加入の要件がありますから、そういう方々は積極的に入っていただきたい、かように思っております。ですから、それはもうすでに後継者というような域を脱して、自分みずから農業の経営主体になっていらっしゃる方ではないかなと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/57
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058・武田一夫
○武田委員 そちらはそう言うけれども、われわれは若いということで、日本の農業の後継者として生きているのだ、おやじが亡くなったから後継者ということではなくて、日本の農業の後継者という観点からの後継者だ、こういう理論はどうなんですか。そういうところを余り考えてくれないのではないか。不幸にしておやじが亡くなった、それでおれがやっているのだ、おやじが生きていればおれは、というような条件がいろいろある人の中で、一生懸命中心的な若い方々のそういう存在というのがいまかなり出てきています。
わが宮城県、東北なんかを見ていますと、これから大体二、三町のたんぼではどうしようもないわけです。そのために、いまおやじさんは農業をしているけれども、息子は大体役所に勤めるとか会社に勤めるとかで厚生年金等に入っているのが多いわけです。この人たちは間違いなく定年までやめません。そうすると、その子供も同じようなやり方で、会社勤めをしながら女房とその嫁とにさせるような事態はどんどんあちこちに広がっているわけです。おいおいそういうのが中心になって農業をやらなければならないときが来たときに、この年金はどうなんだと考えますと——また、そういうのが出てくると特定後継者なんていなくなりますね。出ているのは、北海道の六町とか七町やっているところ、あるいは東北でもほんのわずか一握りの五町か四町、まあ四町でもだめだというので大体五町かそのくらいの農家しかこういう恩恵を受けられないという事態が私は必ず来ると思うのです。そういうことも考えた上で、この特定後継者の問題、これはまた経営移譲の問題にも関係してくるわけですが、条件の問題についてももっと実情をよく調査した上で検討していってもらいたい。私はこれを要望しておきます。
歩いてみますと、三町、四町クラスの息子なんかはいまみんな働いていますよ。親子で専業でやっているなんというのは宮城県の中でも本当に数が少ないものですよ。たまには実態を調べられて状況をよく把握した上で、実態に合わないようなところばある程度緩和するという方向で行ってもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/58
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059・大場敏彦
○大場政府委員 私ども何も制度を固定的に永久に固めてしまって硬直的な運用をするつもりはありません。若い後継者にはできるだけ入っていただいて、先生のおっしゃるようにあすの農業を担っていただきたいわけでありますから、実情に沿わないところがありますればもちろん是正するにやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/59
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060・武田一夫
○武田委員 次に、経営移譲年金は現在年間三十五万四千六百五十八円ですか、としますと、経営を移譲して、安心して老後の生活をするのには何としても私は少ないと思うのですね。正直言いまして、同じ職業としまして農家に退職金制度がないのは私は残念だと思っているのです。ボーナスもないのも非常にお気の毒だと思っています。どんな小さな会社であれ、動きますと退職金やボーナスが多少出るわけです。そのとき、農家の人たちの悲哀は相当なものです。一度そのときに行ってごらんになると相当深刻なことがわかります。その深刻さは若い連中が農業を忌避する一つの理由にもなっているようです。ですから、経営移譲年金などは、安心して経営を息子に譲って、老後はこれと国民年金でやれるんだ、そういう目安のあるものにしてほしいと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/60
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061・大場敏彦
○大場政府委員 現在の経営移譲年金の平均支給額でございますが、いま御指摘になりましたように月額で二万九千六百八十四円、年額で三十五万六千円余りでございます。これは確かに給付水準としては率直に言って低うございます。しかし、これは、残念ながら給付を受けている方々が五年ないし六年程度しか保険料を払っていないということから来るわけで、当然の話で、保険料を払う期間が長くなれば支給水準が高まってくる、これは保険設計上あたりまえの話ですけれども、そういう事情があるわけであります。
ですから、たとえば厚生年金なんかでは、二十八年加入というものを一つの標準的なものとしていろいろ例に引き出される場合が多いわけでありますけれども、経営移譲年金を二十八年納めておった場合には、今度のスライド改定した後の水準で、月額八万五千六百円余り、年額百二万円ということでありまして、厚生年金に近くなっていく、こういうような状態であります。これは経営移譲年金だけの数字でございます。そういう意味で、五年だけしか納めていない、あるいは六年だけしか納めていない、現在走り出したばかりであるということで、支給水準が絶対額として低いというのは御指摘のとおりでございますが、そういうような事情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/61
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062・武田一夫
○武田委員 走り出して加速度を増してもらうような心がけでいっているのだろうと思いますけれども、その加速度も農業という性格からいって、私は、厚生年金よりもちょっと上にいく程度のものは考えてほしいのです。これは考えていただけるとおもうのですがね。
そこで、年金をもらうときに本人の請求が必要だということですね。これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/62
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063・大場敏彦
○大場政府委員 おっしゃるとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/63
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064・武田一夫
○武田委員 そのときやはり本人もそうしたものを気をつけているわけでもないわけですから、そういうことを忘れるようなことがあったらどういうことになるわけですか、受給できるときを忘れていたという場合は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/64
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065・大場敏彦
○大場政府委員 経営移譲したということによって経営移譲年金というものは受給資格が発生するわけでありますから、現実に土地の名義を息子さんに譲ったという行為があれば、それはたまたま本人が請求をするのを忘れたということがあっても、その請求権がなくなるということにはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/65
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066・武田一夫
○武田委員 次に、農業者老齢年金、この点について質問します。
これは、六十年、それから七十五年にはそれぞれどのくらいの受給者が出てくる予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/66
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067・大場敏彦
○大場政府委員 ちょっと計算させていただきたいと思います。暫時時間をいただき、後ほど御答弁させていただきたいと思います。五十六年の数字は約九万人程度というふうに想定しておりますが、その先のことはちょっといま計算させております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/67
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068・武田一夫
○武田委員 それじゃ調べてください。ただ、質問を進める都合上、六十年には、お聞きしたところによると二十四万二千人なんだそうです。あと七十五年は調べておいてください。
ところで、経営移譲年金の受給者というのは六十年にはどのくらいになりますか、六十年の経営移譲年金の受給者。——大変ならこれ言いましょう。十九万八千人になるんだそうです。そういうデータはちゃんと持っていた方がいいと思うのです。いつでもわかるように。申しわけないけれども、これ大事な数ですから。六十年の農業者老齢年金の受給者二十四万二千、これは聞いたんだから間違いないと思うのですね。それから経営移譲年金の受給者が十九万八千人、こうなるわけです。要するに、これからどんどん農業者老齢年金の支給を受ける方がふえてくるということなんですが、そうしますと、この方々は六十五歳からもらう資格が出るわけですが、現実のやり方でいくと余りメリットがないというのが不評の一つなんです。というのは、経営移譲年金をもらっていく方と比べまして、同じ年限を計算したときにかなりの差が出てくる。何か三倍以上も、経営移譲した人の方が同じ保険料を払っていても返ってくるのが大きい、こういうようなデータも出されているようですが、やはり今後どんどんこうした年金を支給される方々が出てくるときに、農民に恩給をというそういう一つの大きな命題があるとするならば、やはり経営移譲できない人のような場合なんか、ことのほかやはり老齢者年金の支給額というのが関心の的です。こういう意味で、こういう方々を特に救済するという意味において、私はこの農業者老齢年金というものの金額の問題というのを考えなければならないと思うのです。
それで政府としまして、この老齢年金について、今後どのように農家の方々の老後の保障ということに結びつけていくかという問題、今後この年金を魅力あるものにしていく、そういう観点から、政府の考え方をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/68
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069・大場敏彦
○大場政府委員 御存じのとおり、この農業者年金は、一般的な老後保障を目的としている国民年金というものに乗っかって、その付加年金的な性格を持って、国民年金では満たされない農政上の課題、構造政策的なものを進めようというところにねらいがあるわけで、そういう意味で経営移譲というものを促進する、経営移譲後の老後保障を厚生年金並みのレベルに引き上げよう、こういった形で老後保障を図っているわけであります。そういう意味で、六十五歳以降と六十歳から六十四歳、六十五歳未満の者ということで段階が分かれるわけでありまして、六十五歳より未満の者には、経営移譲した者には経営移譲年金を支給する。その場合には国民年金はまだ発動されておりませんから、経営移譲年金だけです。それから六十五歳より後には、経営移譲年金の一部、十分の一になって、そして老齢年金が付加されて、根っこに国民年金の給付が始まる、こういった形で、あわせて厚生年金並みの給付水準を確保しよう、こういったことになっているわけです。
そこで、いまお話しになりましたように、経営移譲を受けた者と受けなかった者との差がある、こういう御指摘がございますが、確かに六十歳と六十四歳の間を加えると、その間には経営移譲した者しか経営移譲年金はもらえませんから、差はかなり開きます。しかし、国民年金の支給が始まる、一般的な老後保障が始まる六十五歳以上で比べますと、経営移譲した者と経営移譲を受けなかった者との比較ばそれほどの差異はない。大体七割ぐらい、経営移譲をしなかった者は経営移譲をした者の給付水準に比べて約七割ぐらい、こういったことであります。よく議論されます六十歳から六十五歳未満の間、それを加えますと差はもちろんもっと開きますが、そういったことであります。
そこで、老齢年金をどうやってどう位置するかという話は、これはいろいろ農業者年金の仕組みをどうするかということと実は絡みます問題で、この制度と、かなり根幹の問題と実はあわせて議論しなければならない、こういうたこともありますので、にわかに結論は出しがたいというふうに思っているわけであります。また、実際老齢年金が支給開始されるのは昭和五十六年からでありますから、その間に期間もありますので、農業者年金制度研究会というものも設置して昨年の末以来検討願っているわけでありますが、その中の検討課題の重要な一つとしてこの問題についても検討願って、どういうふうにこの問題を取り扱っていくか、それに従って結論を出していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/69
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070・武田一夫
○武田委員 ひとつ期待にこたえられるような結論を出していただきたい。というのは、やはり最近後継者がいないということで非常に苦労なさっている御家庭もありますし、あるいは相続上の問題で移譲をしないとか、先ほど言ったように、農協の役員などをやっておりますと、役員をやめるとその一つの場所から投げられるというんですね、仕事そのものをやってないと。だから外れられない、そういう肩書きを大事にするものですから。そのため息子が苦労している。おやじ早く死ねと言うわけにいかない。これはそのとおりですよ。ですから、そういういろいろ経営移譲できないような人たちがどんどんどんどん出てきているというような実態もよく把握した上で、やはりこういう方々にメリットのあるような年金の改善というのを私はお願いしたい、これは要望しておきます。五十六年の一月支給開始までに、そういう者をひっくるめて老齢年金の額が本当に好ましい方向に引き上げられるように私は期待しているわけでありますが、その点よろしくお願いします。
そこで、もらうのはいいのだけれども、払う方というのがやはり心配です。ただもらうわけではありませんから、保険料というのがこれは問題になってくるわけです。それでやはり保険料の引き上げは当然予想されます。しかしながら、農家の実情等よく勘案した上でやはり保険料の引き上げという問題にも取り組んでほしい、こう思うわけでありますが、どのような内容で今後保険料というのが引き上げを行われるのかというような、一つのアウトラインといいますか、基本的なものはやはり示しておくべきじゃないか。これは大事なことではないかと思うのです。一つの基本料率といいますか、そういうようなものはちゃんとあるんでしょうか。スライド等によってそのとき年金がふえると同じように、何かそこで農家の方々が安心できないような要素があると大変なものですから、農家の人がこの程度の保険料であればやむを得ないという一つの基本ラインを示しておく方がいいんじゃないかと私は思うのですが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/70
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071・大場敏彦
○大場政府委員 結局保険の財政設計というのは、農家からいただく保険料、それから国庫負担というような収入の問題、それから給付水準ということ、人数の点ではどの程度将来にわたって加入者があって、給付者がどの程度になるだろうか、そういうもののロングランにわたる見通しをつくって収支のバランスをとる、そういった計算の中で保険料水準は決まっていく、当然こういうことであるわけでございます。
法律でもそうなっておりますが、私どもは五年ごとに財政再計算で見直しながら、将来のそういったことを見ながら保険料の水準を決めていくということで、農業者年金の場合には、保険料の決め方については、各年金制度によっていろいろ違いがあるわけですけれども、毎年毎年の給付額と保険料とを調和させるということではなくて、保険料収入あるいは国庫負担というかっこうで入ってきたものは将来の給付財源として留保しておく、後代に過剰な負担をかけてはいけない、積み立て不足になってはいけない、こういった形で、完全積立方式という考え方でいま財政運営をしていく、その中で保険料水準を決めていく、こういうことであります。
具体的には、五年ごとの財政再計算の際に見直していく。この前の財政再計算が五十二年の初めでありましたから、ルールからいきますと五年先の五十七年にもう一回見直しの時期が来る。しかし、もう一つの要素といたしましては、いま御審議をお願いしております給付水準のスライドアップの問題もあるわけです。これは、いまもらう人は過去にすでに保険料を納めてしまった人ですから、そういった人たちから過去にさかのぼって保険料を納めてもらいたいという追求はできないわけです。過去にさかのほらないわけです。それは将来の子供とか孫とかいった方々の負担にならざるを得ない。積み立て不足になる。そういった将来の保険料が担わなければならない部分があるということもあわせて、五年ごとに財政再計算をしていく、あるいはその前に財政再計算をする必要が出てくるかもしれませんが、ルールから言えば五十七年、場合によってはその前に財政再計算をして保険料水準を決めていく、こういつたことで対応していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/71
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072・武田一夫
○武田委員 若い人なんかの中には、いま局長から話があったように、われわれの方にたくさん負担がかかってくると大変だというような素朴な心配もあります。だからそういう点で、そういうようにならないように加入の促進と同時に、国としてもある程度は、この程度のものは国庫補助として助成しながら補っていくんだという、そういうようなものを明確に、五年でも結構ですが、今後きちっとやっていくような方向での加入促進というのが必要だ。こういう一つの安心できるものがあれば、加入促進する方も楽でないかと私は思うわけなので、いまその話を取り上げたわけです。
それは答弁はいいとしまして、次に婦人の方に入っていくのですが、国際婦人年というのが始まりましたが、ことしば何年目に入ったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/72
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073・大場敏彦
○大場政府委員 申しわけございません、何年目だか記憶しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/73
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074・武田一夫
○武田委員 余り関心がないんじゃないか。これは怒られると思うのです。三年目だそうですかね。三年間、婦人の地位の向上ということで農業における婦人の地位というのはどうなっておるかというのは関心持たなくちゃいけない、こう思うわけです。特に婦人の農業に占める位置というのは相当大きなものがあるわけです。夫を送り出して家庭を守りながら仕事をしている。これは奥さん方の御苦労のたまものであって、もし万が一御婦人方が農業ストライキをやったら食糧は確保できないのではないかというくらい深刻な問題です。労働力としても農業を支えている大きな力です。こういう方々に、国としてはもちろん、農林省として特段の何か御配慮をしているのか、その点あったらちょっと聞かせてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/74
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075・今井勇
○今井政府委員 農林省で婦人の問題についての具体策といいますとたくさんありますが、たとえばことしから農村婦人の家というものに対する助成を実は始めております。これは農村の婦人の方々がいろいろミーティングするときに、自分の城が欲しい、自分のやかたが欲しいという御希望も非常に強うございまして、これを全国的なものとしようじゃないか、そこでお互いの情報交換をしたり悩みを打ち明けたり、また農作業の打ち合わせをしようということが実はあるわけであります。これは一つの例でありますが、そのほか農林省では、たとえばもうすでに広く行われておりますが、台所の革命なども農村婦人にとって大変喜ばれておる施策の一つであろうと思いますし、その他労働条件の改善等についていろいろ施策を講じておると思います。しかしながら、それでは万全かと言われますと、必ずしも万全とは言いがたいものがありますので、今後とも努力をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/75
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076・武田一夫
○武田委員 家をつくってもらったり台所がよくなるのは結構なんですが、そこでどうしても金の出入りがあるわけです。金がなければかせがなくちゃいけない。台所をりっぱにしたくても金がなければしょうがないということでして、そういうことを考えると、農村の婦人の声を聞いてあげる必要があるんじゃないか。農村の婦人の方々は、おやじさんが亡くなった後どうなんだというと、遺族年金はどうしてくれるんだという問題が出てくるはずです。われわれにも老齢年金に加入させてほしい、そういう声も出てきますね。われわれも農業の支えとして今日までやってきたんだし、大体人口の推移、年齢の推移から見て、どうもおやじさんの方が先にあの世へ行ってしまうけれども、われわれは後始末していかなければいけない、そういう寿命の関係等も考えますと、いずれにしても農家における婦人の力というのは相当高く評価して、そうした声を率直に聞き入れた上で、農業を支える一つの大きな力としての存在価値を認めてあげることが国際婦人年におけるわが日本のとる大きな問題ではないか、私ばこういうふうに思うわけですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/76
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077・今井勇
○今井政府委員 これは先生のお説のとおりであります。ただ、先生御案内のように、現在の仕組みというのが、農業の経営主すなわち現実に名義を持っている人間でなければならないあるいはその後継者でなければならないという資格要件がありますために問題があるわけであります。したがって、婦人でありましても、そういった資格要件を持っておられる方はすでに五万数千名加入をされておるわけであります。しかしながら、一般の農業従事者という立場からの婦人の問題は解決されておりません。しかしながら先生おっしゃるように、農村の担い手として重要な方々でありますから、そこで、遺族年金を含めて婦人の問題を真っ先に取り上げようということで、現在研究会で取り上げて、毎月一遍くらいのペースで研究をいたしております。先生のおっしゃるような形で何とかこの制度が具現できないものか、鋭意検討させておりますので、さようにひとつ御承知おきを賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/77
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078・武田一夫
○武田委員 いま三十代の農村青年の中で、嫁が来ないという深刻なのが歩けば歩くほど出てくるわけですよ。二十五、六あたりで婚期を逸するとどうも思わしくないというような傾向がありまして、両親はもちろん本人たちもこれは非常に大きな問題です。各地では嫁探しなど一生懸命やっているようですが、農村におけるそうした婦人の地位というか立場がもっと向上していって、そして主婦として農業で働く場所としての立場を与えられたとしても、そういう条件や環境があればいいんだというものを早急につくる必要があるのじゃないか。あちこちで仲人さんなんかを駆り出してやっていても、なかなか効果が上がらない。嫁が来る農業というものをつくったときに、日本の農業は万全の体制に入るのじゃないか、私はこういうふうに思うわけで、この点もひとつ心の中に含めておいて、十分に御婦人を大事にしてあげる、そういう行き方をお願いしたい。これは要望しておきます。
時間が来ましたので最後に二つお願いしますが、簡単に御答弁いただければありがたいと思います。
この年金制度が毎年のように複雑化してまいりまして、その仕事をやる職員の方々が苦労しているようです。それで、この間もちょっと聞きましたら、何か手続の種類だけでも七十種類の様式があるんだというところがありまして、これは大変御苦労なさっています。それでこうした業務の合理化、事務の簡素化並びにそこで働く方々の待遇の問題できれば、こうした年金の充実というものを考えたときに、専従的な職員の設置を考えるときではないかと私は思ったわけですが、その点についてどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/78
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079・大場敏彦
○大場政府委員 経営移譲年金の給付要件としては、一つはやはりきちんと保険料を定められた期間に納めているということが必要でありますけれども、同時にもう一つは、やはり経営移譲したということがきっちり確認されるということが必要で、そこに特色があるわけです。権利の移転ということになりますと、やはり農地法の規定に従ってきちんとした形でされているかどうか、そういったことを農地一筆ごとにきちんきちんと農業委員会等で確認しなければならない、こういつたことがありますので、どうしても勢いほかの類似のものに比べますと手続がよけいかかるというような宿命的なものがある程度あると思うわけであります。しかし、そうは言いながらも、仕事に習熟するということとあわせて、できるだけ省略できるものは省略する、あるいはコンピューター等を使ってスピードアップするというような形で効率化というものは当然図っていかなければならないと思っております。
それから、そういった事務の効率化の問題とあわせて、加入促進ということも含めまして、末端での農協とか農業委員会等で仕事をお願いしているわけでありますけれども、そういった方々あるいはそういった組織の活動を増強するという意味で専従職員ということになりますと、これは膨大な財政負担になって、また人件費の補助ということになりますと、財政上最も抵抗が多い予算の種目でありますから、それは率直に申し上げて現実の問題としては非常にむずかしいわけでありますが、委託手数料等の引き上げは逐年堅実な形で積み上げて、できるだけ農協等の御要望にこたえたい。去年からことし、その前の年から去年というぐあいに増加はしてきておりますが、その増加をさらに続けたい。これは財政当局ともちろん折衝しなければなりませんが、そういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/79
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080・武田一夫
○武田委員 もう一つ、最後に伺います。
農業、漁業団体の職員の給与の問題、これは私は去年も指摘したのですが、農協、漁協いろいろあります。どうも漁協というものの体質かどうかわかりませんが、給料が非常に安くて苦労なさっている職員の方が多いようです。そこでそういう方々を何らかの形で救済しなくちゃいけないじゃないかと私ばいつも思うのです。農協の中でも力関係によってたくさん金があるところとないところのバランスもありまして苦労しているのですが、こういうところに働く職員の方々というのは農政を推進する一つの大きな役割りを持っている。ただ事務をとっていればいいとか仕事をしていればいいという問題ではない。言うなれば、その地域における農業、漁業をより振興、発展するための大きな役割りを担っている、それがここに働く職員の一つの使命でもあると私ば思うのです。しかしながら、そうした安い給料のためにそこには人材が集まってこないというきらいが十二分にあるし、これからも考えられるわけです。若い人が寄ってこない。仕方がなくてその辺の主婦をアルバイト的に使っているというところもある。それではいけないと私は思うのです。
そういう意味でこうした方々に——人並みでいいとその人たちは言っておりました。歌の文句じゃありませんが、人並みな暮らしがしたい。そういう声を反映していくだけの何らかの対策を私はお願いしたいと思うのです。そして優秀な人材を確保することによって、漁民、農民の中において力を合わせて農業、漁業の振興、発展のために寄与すべき職員をそこに確保したい、私はこういうふうに思うのですが、その点についての当局のお考えをひとつお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/80
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081・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 御指摘のとおり農業団体の職員の方々の処遇の改善ということはきわめて重要なことでございまして、その人材の確保を図りますと同時に、その組織の整備を図り優秀な人材を確保しますことが、同時に即事業の発展を期し得るところであろうかと思います。そういう意味合いにおきまして、私たちといたしましても、給与改善の問題は、各団体の自主的な努力にまつべきものとは考えられますが、農林省としても、農協合併の推進でございますとか、農協役職員の研修に対する助成でございますとか、あるいは農協検査等を通じまして、農協経営の改善、合理化を図りつつ経営基盤の強化を図ってまいるということで対処をいたしておるところでございます。これが同時に給与改善に資していくものと考えておるわけでございますが、同時に、農業団体のそれぞれの全国団体の段階におきましても、その指導機関としての立場から給与につきましての適正化の指導を行っているわけでございます。たとえば、全国農協中央会あるいは都道府県農協中央会等は、給与規程例の設定でございますとか、あるいは給与水準の調査、その結果、資料の提供あるいはブロック研修会等の開催を通じまして、傘下団体の給与水準の改善、整備に努めているところでございます。今後とも御趣旨のような線に沿ってできる限りの努力を続けていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/81
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082・武田一夫
○武田委員 このような方々が全国に相当数いるわけですから、ひとつ十分なる御配慮をいただいて、そして日本の農業、漁業というものが、農民あるいは漁民の立場からも、そういう方々と一番パイプの強い団体職員の方々と力を合わせて、りっぱな農業、漁業の振興や地域の発展に寄与できるような効果のある施策を、私は心からお願いして、ちょうど時間になったようですから、質問を終わります。
大変御苦労さまでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/82
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083・片岡清一
○片岡委員長代理 この際、午後四時より再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時四十分休憩
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午後四時三十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/83
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084・中尾栄一
○中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/84
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085・芳賀貢
○芳賀委員 最初に、農業者年金基金法について質問をいたします。
まず第一に、農業者年金については、これは農林省、厚生省の共管ということになっておるわけですが、最初に、農業者年金法が発足してからもう七年を経過するわけでございますから、この機会にこの農業者年金に対して公的年金としての制度上の位置づけを明確にする必要がある、その時期に来ているというふうに考えるわけでございます。この点について農林、厚生の両当局から見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/85
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086・大場敏彦
○大場政府委員 農業者年金は法施行七年を迎えて、支給開始二年になっているわけでありますが、公的年金とじての性格というものは非常にはっきりしている、一番大事な農業者の老後の保障ということと、それから経営移譲による農政上の課題というものば密接不可分である、こういう観点から、この農業者年金制度というものを創設して国民年金その他の公的年金の上に付加して制度を運営させていただいているわけでありますけれども、その政策効果に寄せる期待というものはますます大きくなっている。そういう意味で、農業者年金をめぐるほかの公的年金の動きはいろいろあるわけでありましょうが、やはり農業者年金の独自性といいますか、重要性というものはますますふえていくというふうに私ども認識しております。そういう意味で、公的年金の重要な一つとして国庫負担等につきましても他の年金に比べて高率の適用をさせていただいた、こういったふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/86
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087・木暮保成
○木暮政府委員 いま農林省からお答えがございました御意見に全く同じでございます。
農業者年金制度も法律に基づきましてできました国家的な制度でございまして、公的な年金であるわけでございますが、ただ通算年金通則法というような法律がございまして、その通算年金通則法の上で相互に通算をいたします年金を公的年金というようなことで定義をいたしているわけでございます。その中には入っておりませんけれども、法律に基づく公的な年金制度としまして重要な役割りを担っておるというふうに私ども思っておるわけでございまして、今後とも一層充実を図っていくべきものというふうに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/87
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088・芳賀貢
○芳賀委員 私の聞いているのは、公的な年金制度かどうかということじゃないですよ。制度上公的年金としての位置づけがもうなさるべきではないか。いま、厳密に言ったって、これは公的年金じゃないでしょう。変則な状態をいつまでも続けていくわけにいかないのですよ。いまのような年金の内容であれば、これはもう数年にしてやがて消滅するというような運命に逢着するわけですから、この辺で欠陥というものを十分に是正をして、公的年金としての条件をまずこの年金に与えなければならぬでしょう。条件が具備されなければこれは公的年金と言えないわけですから、そういう点について農林、厚生として、このまま放任状態でやっていって運命の尽きるのを待っているのか、この辺で七年間の経過を踏まえてきちっとした体制の強化をやる考えがあるか、この辺が大事だと思うのですね。後で農林大臣出席の際にまた尋ねますが、とにかく実際の担当は両局長がやっておるわけでしょう。だから、率直な意見をここで述べてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/88
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089・大場敏彦
○大場政府委員 私どもの考え方といたしましては、先生を前にしてあれですけれども、農業者年金というのは、一般的な老後保障を目指す国民年金だけでは到達できない目標というものを持っているわけで、そういう意味で国民年金に付加した独特の政策的な年金である、非常に重要な年金である、こういう認識を持っておりますから、あくまでやはり公的年金であるという認識で制度の充実を図っていく必要がある。根っこの国民年金等の今後の趨勢ということもいろいろにらみ合わせながら制度は運用していく必要がありますけれども、やはり農業者にとって大事な公的年金であるという認識で制度の改善なり運用については留意していく、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/89
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090・芳賀貢
○芳賀委員 それじゃ大場局長ば、農業者年金は国民年金と並列し得る年金だというふうに考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/90
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091・大場敏彦
○大場政府委員 国民年金と並立というふうに表現した方がいいのかわかりませんが、私どもの考え方としては、国民年金というものが基礎にあって、その上に付加給付的な形でこの農業者年金というものが位置づけられているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/91
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092・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、国民年金の付加的な年金ということになるではないですか。並列でわからなければ、比肩し得る年金ということにならぬでしょう。肩を並べる、そこをどう思っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/92
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093・大場敏彦
○大場政府委員 農業者年金そのもの自身独立して評価するということがいいかどうか、国民年金というものとそれに付加した農業者年金というものと両方合わせて、その効果といいますか、存在意義というものを考える必要があるのではないか。全然別個のものだということではもちろんございませんで、両者非常に関連し合いながらそれを総合した年金体系という形でこの農業者年金というものをつかまえていく必要があるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/93
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094・芳賀貢
○芳賀委員 この点は五十一年、さらにさかのぼって四十九年の本案の改正のときにも基本的な問題として議論をしておるわけですよ。どうも大場局長はこれを手がけて日が浅いのでしょう。経過をよく知っておらぬでしょう。問題点がどこにあるかということも残念ながらまだ未熟な点があると思うのです。ただ、大臣が来るまでは事務当局から聞くわけですから、一番わかる人でいいのですよ。だれだれでなければならぬということではないのですから、もう少し明快にしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/94
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095・大場敏彦
○大場政府委員 私は私なりに農林省の考え方を申し上げているつもりであります。別途独立の制度という意味ではもちろんございません。ただ、農業者というものが国民年金の加入者であるというところに着目して、しかし、それだけでは不十分である、こういう認識の上に農業者年金という制度を創設して、あわせて農業者の老後の福祉の安定ということとそれから農政上の課題を同時に解決していこう、こういうような制度であるというふうに認識をして、それは間違いではないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/95
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096・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、厚生省の方でもう少し専門的な点についてお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/96
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097・木暮保成
○木暮政府委員 いま農林省から御答弁がございました考え方に私どもも全く同じでございまして、国民年金制度が初めにできまして老後の保障等を分担いたしておったわけでございますが、農業者の場合には、老後の保障も国民年金だけではその特殊性に必ずしもマッチしておらない面があるというお話がございましたし、また農業の経営の近代化というような要素もあるということで農業者年金ができたわけでございます。両々相まちまして農業者の老後の保障と農業経営の近代化を目的としていく、こういうかみ合わせになっているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/97
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098・芳賀貢
○芳賀委員 どうもあやふやですね。先に相談してあやふやな答弁しているわけですか。
それでは、今後どうするかという考えがあれば述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/98
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099・大場敏彦
○大場政府委員 農業者年金をどう仕組むかということは、実は議論の分かれるところでありまして、過去においてもそういう経緯があったということも私承知しております。芳賀先生の年来の御主張としうことも私は私なりにいろいろ勉強させていただいておりますけれども、私どもの考え方といたしましては、今後国民年金というものの充実を一方においてやりながら、その上で国民年金の足りないところを農業者のために農業者年金を充実強化していく、こういう方向で、底の部分も強化し、それから上の付加部分である農業者年金も充実していく、こういった方向じゃないかと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/99
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100・芳賀貢
○芳賀委員 では、この問題は後回しにして、次に具体的な点をお尋ねしますが、まず農業者老齢年金の内容の改善についてはどう考えていますか。給付開始の時期は昭和五十六年の二月に老齢年金第一号が給付されることになっておるので、まだ若干の時間的余裕はあるが、改善の意思があればその期間の中で十分な改善措置を講ずる必要があると思うのですよ。それについてはどういう方針か、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/100
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101・今井勇
○今井政府委員 まず最初に、年金問題について非常に造詣の深い先生のいまの御質疑なので、私もそれなりに勉強させていただいておりますが、十分でない点はひとつ御容赦を賜りたいと思います。
いまの問題については、制度の仕組みの中で経営移譲した人としない人との差異はどの程度が妥当であるかといった問題に絡むと思います。そこで、その問題を改善するためには、やはり根っこの問題から検討しなければならないと思っております。したがって、いまおっしゃいますように、五十六年から開始されますので若干間もあるということもあわせまして、いま制度の問題を検討するための研究会、委員会というようなものを設けております。そこで専門の方々に集まっていただいて大体月一遍ぐらいのペースでやっておるわけでありますが、そこの議論を踏まえて、どの程度の差異までは許容されるのかといったものを一緒に勉強したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/101
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102・芳賀貢
○芳賀委員 内容改善ということになれば老齢年金の給付額を適正に仕上げるということに、それに付帯した問題はいろいろ出てきますけれども、眼目はそうなると思うのですよ。その場合、法文で言いますと第四十八条の老齢年金の計算の単価が現在ば六百五十円ということになっておるわけだが、この六百五十円に保険料納付済み期間の二十年の満額を乗じた額ということになるわけですから、これを改善する意思があるかどうか、改善に向かって検討しているかどうかということが一番中心になるわけです。何もやっていなければやっていないでも答弁だからしようがないが、努力しているのであれば、どういうふうに努力しているとか、どこまで作業が進んでいるとか、どの辺まで厚生省と相談してやっているとか、そういう点を率直に答えてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/102
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103・大場敏彦
○大場政府委員 老齢年金の取り扱いについては、制度上のいろいろな絡みがあって、いろいろ解決しなければならない問題がある、これは先生よく御存じで、詳しい先生に申し上げるつもりは毛頭ございませんが、そういう意味でいろいろ問題があるわけでありますけれども、一方において老齢年金を引き上げろ、それから老齢年金と経営移譲年金との格差といいますか、経営移譲をした者と経営移譲をしなかった者の格差が非常に大きいという御議論もあるわけで、もう少し農業者の老後の生活の安定ということに努力を注げという御議論が前々からありますし、去年の当委員会においてもあったわけであります。
そういう意味で、これをどうするかという話でありますけれども、これは実はかなり制度の根幹にかかわる問題でもありますし、私どもといたしましては、昨年の国会でもお答え申し上げておりますが、十月に農業者年金制度研究会というものを発足させまして、これば十数名から成っておりますが、そのほかに、老齢年金以外の問題もいろいろ問題は投げかけられているわけでありますが、そういう問題を含めて御研究、御検討願うということにして、さらにその中に専門部会というものをつくりまして、これもことしの三月、四月ということで二回くらい御審議を願っております。現在までのところ、老齢年金を初めとして全体の問題につきましてフリーディスカッションをやっていただいて、その後、全部を一遍に討議をするよりも個々の問題について逐次討議をしぼってやっていった方がいいだろう、こういうような接近方法をとっております。現在は、また別に先生御指摘になっていらっしゃる婦人の問題だとか、あるいは遺族年金の問題だとか、そういった問題からまず手がけて御討議願っておりますが、逐次そのほかの問題につきまして、つまり老齢年金を含むその他の問題につきましても御討議願って、解決できるものから解決していきたい、かようなことでいま作業しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/103
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104・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、経営移譲年金と老齢年金の格差がどうなっているのか、これは局長よくわかると思うのです。同じ二十年間保険料を払い込んで、一方は六十歳から給付開始でしょう、一方は六十五歳からだ。五年間のずれがあるけれども、このずれの期間の年金額の格差というのは大きいです。それはどういう格差になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/104
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105・大場敏彦
○大場政府委員 片方は、いま先生御指摘になりましたように、経営移譲をした者は六十歳から経営移譲年金の支給を受ける。しなかった者は、六十五歳から初めて、国民年金を含めて老齢年金がそれに付加されて支給を受ける、こういう形になっているわけで、その五年間は、入れるとかなりの格差が出ると思います。私どもある程度の格差が出るのはしようがない、というのは、普通でしたら国民年金で六十五歳から支給が始まるのに、この農業者年金は、御議論は当然おありだろうと思いますけれども、経営移譲をするためにそこだけ特別に早目にしているということもあります。六十五歳からの支給額について比較計算をしておりますが、経営移譲した者と経営移譲しなかった者との給付額の差というのは七割くらいということになっております。経営移譲した者が十に対して七ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/105
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106・芳賀貢
○芳賀委員 そういうことを聞いておるのではないのだよ。経営移譲年金を二十年保険料を納付して六十歳からもらう額というのは法律に書いてあるからわかるでしょう。その額と、老齢年金に二十年間掛金を納付済みで六十五歳からもらう、その額も法律に書いてあるでしょう。それを二つ比べた場合に、経営移譲が幾らで老齢年金が幾らだからその格差はどれだけある、こんなことは年金のイロハじゃないですか。格差がわからなければ比較の議論はできないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/106
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107・大場敏彦
○大場政府委員 これは年限によっても違いますが、経営移譲しなかった者とした者との比較で、これはいま申し上げた六十歳からのも含めまして大体三・四対一、こういった金額になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/107
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108・芳賀貢
○芳賀委員 私の聞いたのは、年金額がどうなっておるか、金額ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/108
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109・大場敏彦
○大場政府委員 経営移譲した者は五百八十万、それから経営移譲しなかった者は百七十万、その比率が三・四対一ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/109
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110・芳賀貢
○芳賀委員 そうじやなくて、経営移譲年金をまずもらうときの金額があるでしょう。年金額あるいは給付額、二十年保険料を納付した者は六十歳になって幾らもらえるかということを法律にわざわざ書いてあるのじゃないですか。納付済み期間二十年で計算するんですね。老齢年金も同じ計算をした場合最初にもらう額が幾らということを法律にわざわざ書いてあるのじゃないですか。あなただって、やめれば公務員年金幾らもらえるということは大体わかるでしょう。自分のことだけわかるのでなくて、全国の農民あるいは年金加入者というのは、自分が六十歳あるいは六十五歳になった場合にこの制度によって幾ら年金を受けるごとができるかということに一番関心を持っておるのです。それを、肝心の年金の大将がわからぬじゃ困るじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/110
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111・大場敏彦
○大場政府委員 失礼いたしました。現在の給付水準で申しますと、仮にすでに二十年掛けたという前提で申し上げますと、六十歳から六十四歳の間に、経営移譲した者は経営移譲年金を受けるわけでありますが、月額五万二千円、それから六十五歳以降は、経営移譲した者を先に申し上げますと月額で六万一千二百円、それから経営移譲しない者の場合には五万六千円という月額でございます。いまの六十五歳以降の者は、そこに国民年金がありますから、その国民年金を足した額であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/111
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112・芳賀貢
○芳賀委員 農業者老齢年金の額……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/112
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113・大場敏彦
○大場政府委員 六十五歳以降の経営移譲年金は月額で五千二百円、それから農業者老齢年金は月額で一万三千円ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/113
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114・芳賀貢
○芳賀委員 だから、五万二千円と一万三千円でしょう。六十五歳になって老齢年金を受ける者は経営移譲年金の額の四分の一しか給付を受けられないということになるわけですから、こういう点は同じ農業者年金の制度の中における大きな格差ということになると思うのです。だから、こういう点について改善をする必要を認めて、どの程度熱心に作業とか検討をやっておるかということを先ほどから聞いておるわけです。これは大臣が来てからにしましょう。これもちゃんと大臣にメモを渡してくださいよ。
その次は、昨日来の同僚各委員の質問を聞いても、年金加入者がだんだん先細りになっていくわけでしょう。逆ピラミッドになるわけですから、こういう姿というのは本来の年金のあり方とは全く逆になるわけですね。だから、年金制度から見るといかにして後代者を確実に確保するかということが大事なわけですね。農業政策的に見れば、いかにして農業後継者を確保するかということと共通のことになると思うのです。これを解決するためにば、年金に加入できる、つまり加入資格者、加入範囲の拡大というものを鋭意進めなければ問題の解決ができないと思うのです。それを行わなければやがて年金制度というのは消滅するということになるのです。まさかそれを待っておるわけじゃないでしょう。だから、どうやったらならば年金加入の範囲を拡大できるか、これもたびたび委員会においても制度改正のたびに議論しておるところですが、その点についてはどのような検討をしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/114
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115・大場敏彦
○大場政府委員 資格がありながら加入していない中で、いま御指摘になりましたような若い層の加入していない、未加入の率が非常に高い、そういったところが非常に問題でありまして、そういう意味で今後の加入を広げて年金のすそ野を広くしていくということの戦略的な対象というのは、若い層だろうというふうに思うわけでございます。その若い層の加入の促進については五十一年の改正で、御存じのような形で保険料の割引といいますか、軽減措置、学割制度、国庫負担増額という措置が講じられておりますが、こういった措置をさらに徹底するというようなことと、まず若い人については制度が身近なものとして感じられていないといううらみがあるわけでありますから、そういった制度のPR、徹底ということもあわせて加入促進をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/115
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116・芳賀貢
○芳賀委員 私の聞いておるのはそうじやないですよ。現行制度の中で加入資格がある、ありながら加入しないというのが若年層に多いわけでしょう。これは政府の怠慢ですよ。どうしたならば、資格者に対して進んで加入してもらうようにするかという努力が全く欠けておるわけでしょう。
もう一つの根本的な原因というのは、この年金というのは若い世代の者に対して全然魅力がないのですよ。魅力がないから関心もない。だから、これは加入しない。この問題は、これば政府の怠慢に起因する点ですよ。
私の言っているのは、現在は、この制度から見ると、農業に従事しておりながら、専念しておりながら、加入資格が付与されておらない、そういう層がたくさんおるわけでしょう。たとえば、農地の所有者とか農業経営者に限定されて、その大事な所有者あるいは経営者の配偶者というのは加入の道が閉ざされておりますね。それが後継者に対してはもちろん任意加入の道はありますが、学割制度もありますが、その大事な後継者の嫁さんが加入資格がないわけでしょう。本当にだれが見ても中心的に農業に従事しておる、専念して経営に当たっておる、こうした数多くの農業者に対して年金加入の道を閉ざしているわけだから、そういう点に対してどうしたならば範囲が拡大をするか、どうしたならば年金制度の永続性の上に立って好ましい一定限の後代者を確保できるかということを度外視しては、年金制度の発展というのは、他のいかなる公的年金としてもそれは発展性がないと思うのですが、これは七年もたっておるわけだし、毎回問題になっておるわけだから、加入範囲の拡大という点については一体どう考えておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/116
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117・大場敏彦
○大場政府委員 この年金制度の仕組みが、経営移譲という観点で、促進ということでやっております関係上、加入資格者というのは、やはり農地の地権者、経営主体ということになっております関係上、妻を含めてあるいは後継者の妻も入れて農業従事者という形の者は加入資格になっていない、そういった点でいま御指摘のような問題があると思います。妻の問題は、実際に日本農業は家族経営という形で営まれて、実際的には妻の労働というのは非常に大きなウエートを占めている、また、心情的にも農家の主婦の方々の御苦労はわかりますが、そういった労働の関係と、労働に従事しておることとの関係と、いまの制度の地権主体を加入者にするということの突合関係をどうするかという問題が実は残っているわけであります。
妻の問題につきましては、兼業農家と専業農家とやや違うと思うのですが、兼業農家の妻の場合には、現実には夫が外に働きに出ていって、むしろ被用者年金等厚生年金に加入している、そういうケースが多いわけでありますから、そういう場合には妻がつまり夫から農地を借りる、使用収益権の設定をするという形で対応している例もあると思います。現に五万三千人という妻が入っているし、専業農家の妻の場合にはどうもそういう対応はできないので、いま申し上げましたようないろいろ制度の突合をどうするかということがありますので、今後の課題としてこれは残されている。そこで、私ども、たびたび研究会ということを引用して恐縮でありますが、先ほど申し上げました研究会を昨年十月に発足させまして、ことしの三月、四月、専門部会を二回やっておりますけれども、そのテーマは、まず妻の問題と、それから遺族年金というものが実は絡む問題でありますから、その二つをまず手始めに討議してもらっている、こういうような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/117
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118・芳賀貢
○芳賀委員 大場さんの奥さんは国民年金に任意加入しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/118
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119・大場敏彦
○大場政府委員 加入しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/119
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120・芳賀貢
○芳賀委員 あなたの奥さんが国民年金に任意加入しているでしょう。大事なわれわれ農業者の配偶者というのは農業者年金に加入したくてもできないのですからね。実態はおやじさんよりも一生懸命働いているのですよ。むしろ農業従事日数というのは、特に兼業農家の場合でも専業農家の場合でも、同一世帯で農業に従事している男女を分けてみると、女子の就業時間の方が長いでしょう。後ろにいる川合就業改善課長、どうですか。専念して中心的に農業に従事しておる者が、配偶者であることによって年金に加入できない、こういう変則なことはないでしょう。これをまず答弁してください。川合課長でもいいですよ。どっちがよけいかせいでいるかということ。それから先は農林大臣に質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/120
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121・大場敏彦
○大場政府委員 これは専業農家の場合とそれから兼業農家の場合とは違うと思います。多くの場合は兼業農家が多いと思いますが、明らかにそれは農家の妻の労働が圧倒的に多い、これは言えると思います。当然のことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/121
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122・芳賀貢
○芳賀委員 年金というのは数理計算が基礎になるわけだから、あやふやな抽象的な答弁でなくて、たとえば男女の従事日数がどうなっているか、それは課長でもいいですよ。就業改善課長という名前をわざわざつけた部門があるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/122
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123・川合淳二
○川合説明員 お答え申し上げます。
整理した時間といいますか、就業日数で整理した資料の手持ちがございませんので、基幹的農業従事者のうちの女子がどのくらいあるかということで御勘弁いただきたいと思いますが、五十年センサスで申しますと、二十歳から六十歳の女子、基幹的農業従事者でございますが、二百十万という数字がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/123
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124・芳賀貢
○芳賀委員 大臣にお尋ねしますが、いま農業者年金基金法の改正について質問をしておるわけです。いま取り上げておる問題は、農業年金に対rる加入範囲の拡大というものをどうするかという大事な議論をしておるわけですが、一つは、同じ農業従事者であっても、加入資格者である農地の所有者あるいは経営者あるいは後継者、これらの配偶者がいずれも大事な年金に加入の道が閉ざされておるわけですね。この点についてば抜本的な改善を行って、いやしくも日本の農業を支えて農業に専念して従事しておるという者に対しては男女の差別を設けない、やはり加入資格を付与して、そうして農業者年金制度が将来にわたって永続的に発展できるようにする必要があるという点について質疑をしておるのですが、大臣としてはどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/124
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125・中川一郎
○中川国務大臣 この仕組みは経営移譲ということが中心といいますか、老後保障ももちろんありますが、政策的に経営移譲ということになっておりますから、男であれ女であれ、奥さんであれだんなさんであれ、経営移譲ということであれば加入できるわけでございますが、経営移譲権のない奥さんというものについては加入できない仕組みになっておるわけでございます。しかし、奥さんの地位あるいは奥さんの農業に働きます重要な立場等を考えまして、これは最重点的にひとつ前向きに、勉強会というのですか、検討会の研究課題として鋭意進めておりまして、仕組みの中でどう扱うか、どういう考え方をもって加入できるようにするか、これは最善を尽くしてみたいと思いますので、今回の改正にはもちろん間に合いませんけれども、なるべく早い機会にそういう方向にいくように努力をしてみたい。そういう意味で勉強いたしておりますことを申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/125
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126・芳賀貢
○芳賀委員 大場局長、いま大臣の答弁聞いておったですか。大臣は最重点的に前向きにこれは検討してやると言っているのですよ。いいですか。何をやるかということは、言うまでもなく、私があなたに尋ねた農業従事者である各配偶者ですね、おやじさんの配偶者、後継者である息子の配偶者、これらの農業従事者を全面的に農業者年金の加入資格者として処遇するように最重点的に前向きに努力するというふうに大臣が言っておるわけだから、大臣は大体一年くらいで交代しますけれども、あなたはまだ寿命はあるでしょう。だから、やはりこういう大事な大臣の答弁というのは事務当局において、農林省、厚生省共管ですからね、積極的にやる意思を示してもらいたいと思うのですよ、あやふやでなくて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/126
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127・大場敏彦
○大場政府委員 先ほど御答弁いたしましたように、研究会で問題点を煮詰めてもらっているということでございますが、これはいろいろ困難な問題があるけれども、何とかいろいろ制度との突合とか調和をとれないものかなというかっこうで、どういう形でやったらそれができるかということを研究願っているわけでありますから、決して後ろ向きに問題を考えているわけじゃない、何とかやはり農家の妻に対する老後保障という問題を解決できないかなという方向で私どもも研究はしてもらっているし、するつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/127
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128・芳賀貢
○芳賀委員 次に大臣にお尋ねするのは、この農業者年金制度には遺族年金の制度がないわけですね。これがないことによって公的年金としての条件を欠いておるという、そういう原因もなしておるわけだ。だから、この際、これは思いつきで言っているんじゃないですよ。この年金法が四十五年に審議されたときから遺族年金制度がないのはおかしいじゃないか、もう七年経過しておるわけだから、この際農林大臣から、遺族年金制度の創設についてはどう考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/128
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129・中川一郎
○中川国務大臣 この問題も農業者年金の大きな目玉の課題ということをよく承知いたしておりますが、芳賀委員も御承知のように、この仕組みば国民年金との見合い、国民年金的なものを強化する、こういうことになっておりますので、厚生年金ではございますけれども、国民年金においてはその仕組みがないというので、横並び上、これをどう意味づけるというのですか、理由づけるといいますか、その辺が一番むずかしいところでございますけれども、これまたひとつ研究会等において何か風穴があかないかどうか、研究さしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/129
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130・芳賀貢
○芳賀委員 いま言われた国民年金制度にも遺族年金の制度はないのですよ。この農業者年金にも遺族年金の制度というものはないわけだから、一方にあるからそれでがまんしてくれというわけにいかないですよね。だから、遺族年金制度というものを速やかに検討して実現するというような方針を示してもらわぬと……。たとえば、経営移譲年金にしても、経営移譲年金へ参加しなかった単純な老齢年金の場合も、受給開始年齢の直前に死亡した場合には一時金制度というのがあるのですよ。ところが、ようやく年金を受ける年齢に到達して、まず第一号、ささやかな年金をもらった、その翌日ほっくり死亡したということになれば、これはもう一時金も全然ないし、遺族年金はもちろんない、ほとんど二十年間の掛け捨てというようなことになるわけですね。こういう点は遺族年金制度がないから解決の道というのはないのですよね。
そういう点を考えても、それからまた日本の家族経営の上に立って、夫婦で苦楽を共にして農業を守ってきておるわけだから、年金受給者のおやじさんの方が早く死んだ場合は、残った配偶者であるばあちゃんが老後の支えのために遺族年金を、たとえば各公的年金の遺族年金給付額が年金額の二分の一ではありますけれども、そういう道を速やかに開くということは、農業政策の関連で政策年金、政策年金ということをことさらに政府が宣伝しているわけですから、その程度のことは中川農林大臣としても実現できると思うのですよ。モスクワに行ってイシコフに押しまくられて泣きの涙で帰ってきたような、そういうむずかしい問題ではないんじゃないですか。(「泣きの涙とは何だ、そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)いや、涙を流しているのがテレビに映っておったじゃないか。事実を言っておるんじゃないか。不規則発言を注意しろよ、委員長。大臣の答弁を求めているんだ。国民はみんなテレビを見ているんだよ。(「じゃ、ソ連に行ってこいよ」と呼ぶ者あり)いつでも行ってきてやるよ、政権を渡せ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/130
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131・中川一郎
○中川国務大臣 この問題も国民年金との見合いで非常にむずかしい問題でございますが、農業における奥さんの立場というものもよく知っておりますから、十分勉強さしていただきたいと存じます。いまこれをやれと言われても、私、微力でございましてイエスとは言えないところでございますので、もう少し時間をかして検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/131
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132・芳賀貢
○芳賀委員 非常に率直な答弁ですから……。
次に、大臣が出席される前に老齢年金の年金額の引き上げをやるべきでないかということを取り上げておったわけですが、現在の老齢年金は、御承知のとおり、支給開始年齢が六十五歳からということになったわけですね。それまでに二十年間保険料を納付して、そして六十五歳になった場合に、現在の制度によると、月額にいたしまして一万三千円の年金が給付されることになるわけです。これより五年前に経営移譲年金というものが六十歳から給付されるわけでございますが、この場合も二十年間保険料を納付した場合には、月額五万二千円の年金が給付されるわけですね。そうすると、ちょうど四分の一の額ということになるわけです。六十五歳から年金額がふえるというなら話はわかるのですよ。そういう点が、資格がありながら若年層において特に年金加入者が少ないという大きな原因をなしておるわけですから、もちろん政府の税制負担も伴うわけでありますが、この際、この老齢年金なるものの内容を鋭意改善する必要がある。この点に対しては、農林大臣としてどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/132
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133・中川一郎
○中川国務大臣 この点も、経営移譲というのが政策的な年金の仕組みになっておりますから、単純に老齢年金をふやすということについてはにわかに賛成できませんが、これまたひとつ、せっかくの要請でもありますから、研究してみたいと存じます。
ただ、その場合、先ほどの妻の場合でも、あるいは遺族年金の場合でも国の負担は伴いますが、同時にまた掛金の問題もございますので、それらも総合的に判断しなければならない。
この三つがこの年金制度の一番目玉でございますので、三つの目玉について一生懸命勉強してみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/133
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134・芳賀貢
○芳賀委員 次に、農林年金法の改正に対して若干質問をいたします。
一つは、毎年、年金法の改正が行われておるわけでありますが、農林年金の財政事情が非常に悪化しておるわけでありますから、その打開の一助として、現在年金法第六十二条第一項には国の補助の規定が明定されておるわけですが、これが毎年の給付額の百分の十八ということになっておるわけですが、それを少なくとも百分の二十に引き上げる必要があるではないか。この点は政府におかれても、毎年毎年の政府の予算編成の場合において、農林省としてはもう最後は大臣折衝にまで持ち込んで百分の二十の引き上げに努力されておることはわれわれも承知しておるわけです。それが今日まで実現できない。したがって、委員会においても毎回改正案を議決した後の附帯決議にこの点を第一項に掲げておるわけなんです。政府がやるやると言っても実現しない、委員会が附帯決議を付して政府を督励しても、それでも実現できないということになると、これば何らかの、直ちに効き目のあるような方法で解決しなければならぬということになるわけですね。この点については、農林大臣としてはどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/134
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135・中川一郎
○中川国務大臣 この点につきましては、数年来の大きな課題で、農林省としては、あるいは自民党の心ある皆さん方も、二十がよかろう、こういうことで特に農林省は毎回予算要求をいたしておるところでございます。私も大臣になりまして、大蔵大臣との政治折衝というところまでいっておるわけでございますが、よく御承知のように、他の公的年金との関連で政府全体としてはなかなか踏み切れない、ほかのものとの関連を解決しないで、これだけでは解決し得ないということで、これまた御承知のように一・七七の調整費というものをつけまして、実質そうなるような努力もしておるところであります。しかし、はっきりと二十にすることがいいことでございますので、今後ともこの点については、財政当局を含めた政府全体の理解が得られるように私としても努力をいたしてみたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/135
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136・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、これば今村局長からでもいいですが、ことしの予算を基礎にして計算した場合、ことしは百分の十八で国庫補助をすることになっておるわけですが、これが二%増額されて百分の二十ということが実現した場合、これは二%の差ですけれども、この二%の差額の金額が幾ばくであるかということは、これは局長わかるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/136
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137・今村宣夫
○今村(宣)政府委員 国庫補助率を一八%から二〇%に修正をいたしました場合に、五十三年度予算で見ますと、給付費が五百八十三億円ぐらいといたしまして、大体十一億六千五百万円ぐらいに相なる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/137
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138・芳賀貢
○芳賀委員 大臣、これは額にしてはそう膨大な額ではないのですよ。だから、われわれとしては、本当に歴代農林大臣はやるやると言っておりながら、この程度のことができないのばおかしいじゃないかというように考えているのですよ。特に今度の中川農林大臣は、大蔵省に圧力をかけて予算をとるのは名人だということを自他ともに認めているわけだから、こういう点についても、やはり農林年金の年金財政が非常に窮迫しておることはもうお互いに承知の上ですから、この問題だけで年金財政を解決することはできないが、やはりこれば一つの要素として、政府としても農林年金制度の特殊性を十分に念頭に置いてこれは努力する必要があると思うのですよ。
もう一点は、農林年金制度の中におけるいわゆる旧法年金期間と新法期間との間において、特に年金の最低保障額あるいは絶対保障額の格差がいまだに解消されていないわけですよ。たとえば、退職年金、障害年金、それから遺族年金を対照しても、一番大事な遺族年金において新旧の格差が非常に多いわけですね。こういう点については、財政面から見ると非常に少ない額ですが、これも長年の懸案事項になっておるわけですから、この際抜本的に新旧の格差を解消するということについて努力をされるべきではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/138
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139・中川一郎
○中川国務大臣 最初の方の二〇%につきましては、御指摘のとおり、財源としては大きなものではありません。また、大きくはなくても、保険財政が非常に厳しいという中の一助になることだけは間違いありませんから、われわれも努力をいたしたのでありますが、これをいじくりますと、また横並びの問題で相当大騒ぎになるというところがあるものですから、小さい額ではありましても、私にしても手が届かないというわけでございます。
旧法と新法との差額の問題につきましても、これまた他の年金との全体としてのバランスの問題もあり、これらが改善するならば、またほかの年金の方でもこれを改善というので、なかなかむずかしいのでございますが、これまたできるだけひとつ努力をしてみたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/139
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140・芳賀貢
○芳賀委員 最後に一点尋ねますが、これは冒頭に政府委員に尋ねたのですが、現在の農業者基金法はまだ他の公的年金の仲間に入れないわけです。いわゆる公的年金としての位置づけがされていないのですよ。これは制定早々であればまた別でありますが、四十五年に法制定されて七年も経過しておるわけですから、この機会に一人前の、他の年金と比肩することのできる年金制度の内容に条件を十分整備して確立する必要があるという点を、これは農林、厚生の両担当局長にただしたわけですが、いずれもあやふやな答弁で、何を言っているのかわれわれにすらわからないのです。
ですから、最後の質問として、この際、農林大臣からこの点を明快にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/140
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141・中川一郎
○中川国務大臣 農業者年金は農業者年金単独で成り立ったものではありませんで、これは国民年金の上に、農業者なるがゆえに特別また経営移譲というものを配慮し、さらには老後保障というものも取り入れて、希望が持てるといいますか、豊かな最後が飾れるように、特に政策的に経営移譲というものを加味しながら、こういうことでございますので、これだけを公的年金として独立させるのには、それだけの力があるかどうか、その辺も考えてみなければなりませんが、せっかくの御趣旨でございますから検討はさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/141
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142・芳賀貢
○芳賀委員 全く期待に反した答弁ですが、時間の約束がありますので、また次の機会に十分議論を闘わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/142
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143・中尾栄一
○中尾委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/143
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144・中尾栄一
○中尾委員長 まず、農業者年金基金法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
この際、本案に対し、島田琢郎君外三名から修正案が提出されております。
修正案について、提出者から趣旨の説明を求めます。島田琢郎君。
—————————————
農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/144
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145・島田琢郎
○島田委員 私は、日本社会党を代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する修正案の要旨を御説明申し上げます。
修正案はお手元に配付いたしたとおりであります。
修正の趣旨は、農業者老齢年金の給付額を二倍に引き上げようとするものであり、具体的には、現行法において、その年金額が「六百五十円に保険料納付済月数を乗じて得た額」となっているのを、「千三百円に保険料納付済月数を乗じて得た額」に修正しようとするものであります。
以下、修正案を提案した理由を簡単に申し上げます。
本年金制度は経営移譲をした者に支給rる経営移譲年金と、経営移譲の有無にかかわらず支給する農業者老齢年金により構成されておりますが、このうち特に農業者老齢年金につきましては、制度発足以来、その支給額の大幅な引き上げにつき強い要請がされておりますことは各位の御承知のところであります。
かかる要請の背景は、第一に、やむを得ず六十五歳に達するまでに経営移譲できなかった者か、六十五歳以降に支給を受ける農業者老齢年金の額が、保険料に比し、必ずしもメリットがないといった問題、第二に、同じ保険料を納付したにもかかわらず、経営移譲した者と経営移譲しなかった者の年金受給額の格差が余りにも大き過ぎるといった問題に要約されるのであります。
こうした問題に対し、日本社会党においては、昭和四十五年の現行法の制定に際し、純粋に農民の老後の保障を図ることを目的とした農民年金法案を対案として提出した経緯があり、また、当農林水産委員会におきましても、法律の制定時における審議に際し、少額ではありますが、農業者老齢年金額の引き上げを行う委員会修正を行ったのを初め、その後の三回にわたる法律改正に際しましても、「農業者老齢年金については、速やかにその引き上げを図ること」を旨とした全会一致の附帯決議を付してまいりましたことは各位の御承知のところであります。
しかるに、その後政府ば、この農業者老齢年金の引き上げに対し、何らの特別な措置を講じていないのが実情でありまして、このことは農民の期待を裏切るばかりか、立法府の意思をも無視したものと言わざるを得ません。
このため、今回の修正は、農民の切なる要請にこたえ、国会が立法府としての責任を果たそうとする措置であり、これにより本制度の健全な運営を図ろうとするものであります。
何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/145
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146・中尾栄一
○中尾委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればお述べをいただきたいと存じます。中川農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/146
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147・中川一郎
○中川国務大臣 ただいま御提案のありました修正案につきましては、政府としては反対であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/147
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148・中尾栄一
○中尾委員長 修正案に対して別段御発言もないようでありますので、原案並びに修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより農業者年金基金法の一部を改正する法律案について採決いたします。
まず、島田琢郎君外三名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/148
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149・中尾栄一
○中尾委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/149
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150・中尾栄一
○中尾委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/150
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151・中尾栄一
○中尾委員長 この際、本案に対し、瀬野栄次郎君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。瀬野栄次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/151
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152・瀬野栄次郎
○瀬野委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本年金制度が国民食糧の生産の担い手としての使命を有する農業者の老後の保障と後継者の確保等に果たす役割の重要性にかんがみ、本制度を公的年金として位置づけ、制度の一層の整備充実が図られるよう左記事項の実現に努めるべきである。
記
一、農業者老令年金については、農業者の老後の安定的な生活が維持できるよう、年金支給が開始されるまでに、速やかに給付額の引き上げを図ること。
二、国庫助成については、農業者の保険料負担能力の実情並びに本制度の政策年金としての性格にかんがみ、更に引き上げを図るよう努めること。
三、最近における農業就業の動向にかんがみ、農業に専従する主婦及び後継者の配偶者等についても年金への加入の途を開くよう努めること。
四、農業のもつ家族経営体としての特性等を考慮し、遺族年金の創設を図るよう努めること。
五、本年金制度の健全な運営が図られるよう、年金未加入者に対する加入の促進について特段の措置を講ずること。
特に、保険料の軽減の対象となる特定後継者の要件については、その緩和に努めること。
右決議する。
以上の附帯決議案の内容につきましては、質疑の過程等を通して、すでに各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/152
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153・中尾栄一
○中尾委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本動議に対して、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/153
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154・中尾栄一
○中尾委員長 起立総員。よって、動議のごとく決しました。
この際、ただいまの附帯決議について政府より所信を求めます。中川農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/154
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155・中川一郎
○中川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力いたしてまいりたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/155
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156・中尾栄一
○中尾委員長 次に、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、議事を進めます。
この際、本案に対し、片岡清一君外三名から、自由民主党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブの共同提案に係る修正案並びに野坂浩賢君外三名提出の修正案が、それぞれ提出されております。
両修正案について、提出者から順次趣旨の説明を求めます。片岡清一君。
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昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/156
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157・片岡清一
○片岡委員 私は、自由民主党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表して、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。
修正案はお手元に配付したとおりであります。
修正案の内容は、本案の施行期日がすでに経過していることにかんがみ、これを公布の日に改めるとともに、本年四月一日から適用することとしている年金額の改定等については、これを本年四月一日に遡及して適用することとしようとするものであります。
以上が修正案の内容及び趣旨であります。
何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/157
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158・中尾栄一
○中尾委員長 野坂浩賢君。
—————————————
昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/158
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159・野坂浩賢
○野坂委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。
修正案はお手元に配布したとおりでありますが、技術的な法文も多く難解な文章となっておりますので、朗読は省略し、以下、主要な修正点について御説明申し上げます。
修正の第一点は、農林漁業団体職員共済組合の給付費に対する国の補助率を、現行の百分の十八から百分の二十に引き上げることとし、この改正規定については、昭和五十四年四月一日から適用しようとするものであります。
御承知のとおり、農林漁業団体職員共済組合の財政状況につきましては、昭和五十二年度末現在で約一兆五千億円の不足責任準備金が発生しており、しかも制度の成熟が他の制度よりも歩みが遅い等財政の先行きに不安があり、財政の健全化は本制度の最大の課題となっているところであります。
財政健全化の手段としては、従来、組合員の掛金負担の引き上げ、国の補助率の引き上げ、利差益の活用等があわせ用いられてきたところでありますが、昭和四十九年度末を基準とした財源率の再計算の結果では、結局は大幅な所要財源率の増高に対処するため、従来の財政方式に一部修正を加え、七七・五%の修正率を乗じたものを修正後の所要財源率として掛金率に反映させ、掛金率の増高を千分の二の引き上げにとどめる措置がとられたわけであります。
本制度は、経営基盤の弱い農林漁業団体及びそこで働く人々を対象とした制度であり、その待遇は必ずしも恵まれてはいませんが、その掛金率は国鉄共済に次ぐ高い水準にあり、これ以上組合員に負担を強いることには限界があると考えております。
このような状況を見てまいりますと、財政健全化を図るためには、国の補助率の引き上げを期待する以外に道はないのではないかと考えられるのであります。
また、本制度が厚生年金から分離独立したという創設の経緯もありまして、従来から厚生年金と同率の補助が要請され続け、本委員会でも、昭和四十四年以来、委員会の審議や全会一致の附帯決議を通じ、速やかに国庫補助率を二〇%以上に引き上げることを政府に求めてきたところであります。
しかるに、政府は、委員会の附帯決議を尊重するとしながらも、一向に解決するための努力に欠け、今日まで解決でき得なかったのであります。
私どもは、全会一致の委員会の決議が無視され続けた事実を踏まえ、しかも昨日から本日にかけての審議を通じても明らかにしましたように、農林大臣自身も百分の二十が必要であることをみずから肯定し、積極的に努力したとの表明もありました。
これらを踏まえて、立法府としては、みずからの権限の行使を行うのはきわめて当然のことと考えるわけでありまして、ここに農林漁業団体職員共済組合の給付費に対する国の補助率を二〇%に改める修正案を提出した次第であります。
修正の第二点は、政府案の施行期日がすでに経過していることにかんがみ、これを公布の日と改めるとともに、本年四月から適用することとしていた年金額の改定等については、これに支障を来たさないよう遡及適用する措置を定めようとするものであります。
以上が修正案の内容であります。
何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/159
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160・中尾栄一
○中尾委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。
この際、野坂浩賢君外三名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればお述べをいただきたいと存じます。中川農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/160
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161・中川一郎
○中川国務大臣 ただいま御提案のありました修正案のうち、国庫補助率の引き上げに係る部分につきましては、政府としては賛成しがたいところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/161
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162・中尾栄一
○中尾委員長 両修正案に対して別段御発言もないようでありますので、原案並びに両修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
まず、野坂浩賢君外三名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/162
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163・中尾栄一
○中尾委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、片岡清一君外三名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/163
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164・中尾栄一
○中尾委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/164
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165・中尾栄一
○中尾委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/165
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166・中尾栄一
○中尾委員長 この際、本案に対し、瀬野栄次郎君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。瀬野栄次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/166
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167・瀬野栄次郎
○瀬野委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本制度の健全な発展と運営を図るため、左記事項について検討を加え、その実現に努力すべきである。
記
一、本制度の財政基盤強化のため、給付費に対する国庫補助率を百分の二十以上に引き上げるとともに財源調整費補助の増額を図ること。
二、既裁定年金の改定については、公務員給与の引き上げに対応した自動スライド制の導入を検討すること。
三、退職年金等の最低保障額については、その給付水準の引き上げを図ること。特に、遺族年金については、その支給率の改善を含め早急に改善策を講ずること。
四、農林漁業団体職員の給与について実態を把握し、その待遇改善が図られるよう配慮すること。
右決議する。
以上の附帯決議案の内容につきましては、委員会の審議を通じ、委員各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/167
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168・中尾栄一
○中尾委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本動議に対して、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/168
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169・中尾栄一
○中尾委員長 起立総員。よって、動議のごとく決しました。
この際、ただいまの附帯決議について政府より所信を求めます。中川農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/169
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170・中川一郎
○中川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/170
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171・中尾栄一
○中尾委員長 なお、両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/171
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172・中尾栄一
○中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/172
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173・中尾栄一
○中尾委員長 内閣提出、国有林野事業改善特別措置法案及び芳賀貢君外十二名提出、国有林野事業再建整備特別措置法案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。中川農林大臣。
—————————————
国有林野事業改善特別措置法案
〔本号末尾に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/173
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174・中川一郎
○中川国務大臣 国有林野事業改善特別措置法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
国有林野事業は、昭和二十二年に特別会計を設置し、企業的に運営することとなって以来、国土の約二割を占める国有林野の管理経営を一体的に行い、今日に至っております。
この間、国有林野事業の運営に当たりましては、それぞれの時代における社会的経済的要請にこたえて、林産物の計画的持続的な供給、国土の保全等の公益的機能の発揮、地域振興への寄与等の使命の達成に努めてまいったところであります。
しかしながら、最近における国有林野事業の経営構造は、森林の有する公益的機能の維持や資源賦存状況から伐採量に限界があることに加えて、木材需給構造の変化等による材価の低迷、人件費を初めとする諸経費の増高等もあって、悪化傾向をたどっております。
このような国有林野事業の現状並びに国民経済及び国民生活におけるその使命の重要性にかんがみまして、長期的観点に立って、事業運営及び財務の改善を図り、国有林野事業の経営の健全性の確立を図ることとし、これに必要な特別措置を定めるため、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
まず第一に、改善計画の策定であります。農林水産大臣は、昭和七十二年度までに国有林野事業の収支の均衡を回復する等その経営の健全性を確立するために必要な基本的条件の整備を昭和六十二年度までに完了することを旨として、昭和五十三年度以降十年間を改善期間とし、この間における国有林野事業の改善計画を定め、これに従って国有林野事業を運営するものといたしております。
第二に、政府は、改善期間において、一般会計から、国有林野事業特別会計に所要の繰り入れを行うことができることといたしております。
このほか、改善期間における特別措置として、政府の国有林野事業に対する資金の貸し付けについての配慮、国有林野事業特別会計の利益処分の特例等に関する規定を設けることといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/174
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175・中尾栄一
○中尾委員長 引き続き補足説明を聴取いたします。藍原林野庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/175
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176・藍原義邦
○藍原政府委員 国有林野事業改善特別措置法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
本法律案を提案いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明におきまして申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
第一に、農林水産大臣が定める国有林野事業の改善計画におきましては、事業運営についての基本方針、事業運営の能率化に関する事項、経営管理の適正化に関する事項、収入の確保に関する事項等について定めることといたしております。
なお、農林水産大臣ば、改善計画を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議するとともに、林政審議会の意見を聞かなければならないことといたしております。
第二に、政府は、改善期間において、国有林野事業に係る事業施設費で改善計画の円滑な実施に必要なものとして政令で定めるものの一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、一般会計から国有林野事業特別会計の国有林野事業勘定に繰り入れることができることといたしております。
第三に、政府は、改善期間において、国有林野事業特別会計がその負担において行う借入金に係る資金の貸し付けについて、資金事情の許す限り、特別の配慮をするものといたしております。
第四に、国有林野事業勘定において、改善期間中の毎会計年度の損益計算上繰越損失を上回る利益を生じた場合には、その上回る額のすべてを利益積立金に組み入れて整理することといたしております。
第五に、昭和五十二年度末における国有林野事業勘定の特別積立金引当資金の使用残額については、改善期間において、予算の定めるところにより、国有林野事業に要する経費の財源に充てることができることといたしております。
最後に、この法律は、昭和五十三年四月一日から施行することといたしております。
以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/176
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177・中尾栄一
○中尾委員長 芳賀貢君。
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国有林野事業再建整備特別措置法案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/177
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178・芳賀貢
○芳賀議員 ただいま議題となりました国有林野事業再建整備特別措置法案につきまして、提出者を代表し、その提案の理由及び主要な内容について御説明申し上げます。
わが国の森林面積は、国土のおよそ六八%の二千五百万ヘクタールに及び、国有林野の面積はその三〇%の七百七十五万ヘクタールを占め、また森林資源の蓄積はおよそ八億立方メートルとなっております。
すなわち、国民共有の森林である国有林野の果たす役割りは、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全・形成、国民の保健休養などの公益的機能を確保し、木材その他の林産物を計画的に供給する等、国民生活の安定と福祉の向上を図る上できわめて重要なものがあります。
国有林野事業については、昭和二十二年に国有林野事業特別会計法が制定され、国営の企業として三十年の歩みを続け、今日に至っております。
国有林野事業は、奥地林の開発、人工造林の拡大、保安林の整備、林道の開設、治山事業の実施等、重要な使命を抱えながら、高度成長経済の流れに乗って、木材の生産量を急激に増強させ、森林の年成長量を大幅に上回る増伐・過伐を長期的に強行した結果として、国有林の生産保続体制の崩壊と森林資源の枯渇現象を惹起したのであります。
これに加えて、採算性偏重の大面積皆伐、環境破壊の林道工事、請負による造林作業など、いわゆる安上がりの手抜き事業が実施され、二百万ヘクタールの人工林面積の中で二割以上の不良造林地が生じたと目されているのであります。しかも、人工造林地の七割は林齢二十年未満の幼齢林で占められており、今後二十年間は森林資源の回復に主力を注ぐことが国有林野経営の重要な命題であります。
さらにまた、チェーンソー等の振動機械を導入して一斉に使用させたため、すでに三千名を超える林野庁の基幹作業職員が職業病である白ろう病に冒され、病苦の中から政府の行政責任をただし、療養設備の拡充整備が強く訴えられております。
一方、わが国の木材需給状況については、年間一億立方メートルを超える国内需要に対し、国産材の供給率ば三五%に低下し、不足の六五%を外材の輸入に依存するまさに外材主導型の需給構造へと移行し、特に近年の構造不況による木材需要の不振と木材価格の低迷は林業の採算性の悪化と生産活動の停滞を招き、いまやわが国林業は重大な危機に瀕しており、このまま推移するならば、ついには国土の荒廃という非常事態を迎えることが懸念されるのであります。
翻って、過ぐる昭和四十六年の第六十五国会において、衆議院農林水産委員会はわが国林業の危機打開のため「林業振興に関する決議」を全会一致をもって議決し、六項目にわたる決議の実現を政府に対し強く要求したところであります。これに対し、何ら積極的な施策を講ずることなく今日の危機を招いた政府の責任ば、国民の名において厳しく問われなければなりません。
かかる現状にかんがみ、国有林野事業の再建整備を促進するための特別の措置を講ずることにより、国有林野事業の健全な経営を確立し、もって国民経済及び国民生活におけるその使命を将来にわたり円滑に遂行させるため、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
第一は、基本方針に関する規定であります。
農林大臣は、昭和七十二年までに国有林野事業の健全な経営を確立することを旨として、昭和五十三年度以降二十年間における国有林野事業の再建整備に関する基本方針を作成し、閣議の決定を経てこれを公表することとし、また、その作成に当たっては、国有林野事業再建整備審議会の意見を聞かなければならないこととしております。
第二は、再建整備計画に関する規定であります。
農林大臣は、基本方針に即し、五年ごとに五年を一期とする国有林野事業の再建整備計画を定めなければならないこととし、この計画において、国有林野事業の運営の基本に関する事項、造林及び林道の開設、林業生産基盤の整備促進に関する事項、事業の実行方式及び事業形態に関する事項、労働力の確保及び労働安全に関する事項、並びに収入の確保に関する事項等について定めるものとしております。また、農林大臣は、この計画の作成または変更に際しては、国有林野事業再建整備審議会の意見を聞かなければならないこととしております。
第三は、一般会計から国有林野事業特別会計への繰り入れに関する規定であります。
政府は、この法律の目的を達成するため、再建整備期間において、予算の定めるところにより、次の事業等に必要な費用を一般会計から国有林野事業特別会計の事業勘定に繰り入れることとしております。すなわち、国有林野内の治山事業、保安林における造林事業、国有林野の所在地域の産業振興または住民福祉の向上に寄与することとなる林道の開設・改良の事業及び長期借入金等の支払い利子の一部等についてであります。
第四は、利益処分の特例に関する規定であります。
再建整備期間における特別措置として、国有林野事業特別会計の利益処分の特例等に関する規定を設けることとしております。
第五は、国会への報告に関する規定であります。
農林大臣は、毎年一回、国会に対し、再建整備計画の実施の状況を報告することとしております。
第六は、国有林野事業再建整備審議会に関する規定であります。
審議会は、この法律により定められた事項を処理するのほか、農林大臣の諮問に応じ、国有林野事業の再建整備に関する重要事項を調査審議するとともに、農林大臣に意見を述べることができるものとし、その委員は、国有林に関し学識経験のある者及び国有林野事業に従事する職員のうちから任命することとしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/178
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179・中尾栄一
○中尾委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/179
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180・中尾栄一
○中尾委員長 次に、農産種苗法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。中川農林大臣。
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農産種苗法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/180
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181・中川一郎
○中川国務大臣 農産種苗法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
農産種苗法は、種苗が農業生産にとって基礎的な生産資材であり、優良な種苗の流通を確保することがきわめて重要であることにかんがみ、保証種苗の表示の制度一優秀な新品種の種苗の名称登録の制度等により、種苗の品質の向上を期するとともに、育種の振興を図ることを目的として昭和二十二年に制定されたものであります。その後、対象農作物の変更等を内容とする若干の改正がなされ現在に至っておりますが、その間、種苗の検査、優秀な新品種の名称登録制度の運用等を通じてわが国の種苗の品質の向上と育種の振興に大きな役割りを果たしてまいりました。
近年、種苗の国際交流が盛んになるとともに、植物新品種の育成者の権利を保護するために国際的な協調体制を確立することの必要性が認識され、植物新品種の保護に関する国際条約が制定され、諸外国において植物新品種保護制度が次々と整備されるようになっておりますが、現在わが国においてこれら諸外国並みの植物新品種の保護制度が整備されていないため、種苗の海外との交流に支障を来しております。
また、国内的にも最近の農業情勢に即応した品種の育成の必要性が各作物を通じて痛感されているところであります。
また、種苗の流通につきましても、現行法では、発芽率等の一定事項の表示が義務づけられておりますが、近年の種苗流通の実情から、品質管理を徹底させることが関係者から強く望まれております。
政府といたしましては、このような課題を解決して品種の育成の振興と種苗の品質の向上を円滑に進めるために必要な措置を講ずることとし、この法律案を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
第一に、農林水産業の振興を図る観点から、植物の品種の育成者を保護するための登録の対象を、現行法の農作物の種苗から樹木、キノコ類や海草類を含めた農林水産植物の品種に拡大することといたしております。これに伴い、題名を種苗法に改めることといたしております。
第二に、品種の育成者の保護について、現行法では、優秀な新品種の種苗の名称を登録することとし、登録名称を使用して登録種苗を販売する場合には、登録を受けた者の許諾を要することとしておりますが、育成者の保護の徹底を期するため、近年における育成者保護についての国際的動向にもかんがみ、改正法では、品種そのものを登録することとし、登録品種の種苗の有償譲渡、有償譲渡の目的での生産、輸入等を業としてする場合にに 登録を受けた者の許諾を要することといたしております。
また、現行法による登録の有効期間は、三年以上十年以下で農業資材審議会が定める期間とされておりますが、改正法では、通常は十五年、果樹、樹木等の永年性植物は十八年に延長することといたしております。
第三は、種苗の流通の適正化をさらに推進するため、現行法による表示の規制に加え、新たに種苗自体の生産、調整、保管等の基準を定めて公表することとし、種苗業者等による自主的な種苗の品質の向上を促進することといたしております。
以上のほか、登録品種の種苗が二年以上適当に販売されていない場合における裁定の制度、従業者等が品種を育成した場合の使用者との関係等所要の規定を整備することといたしております。
以上が本法案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/181
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182・中尾栄一
○中尾委員長 引き続き、補足説明を聴取いたします。野崎農蚕園芸局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/182
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183・野崎博之
○野崎政府委員 農産種苗法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
この法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたところでありますが、若干補足して申し上げます。
現行農産種苗法は、種苗の名称登録制度等を通じ優秀な新品種の種苗の育成を促進するとともに流通種苗の品質の確保をねらいとして昭和二十二年に制定されたものであり、今日まで育種の振興等のためにその使命を十分に果たしてきたものと考えております。
しかしながら、現在わが国におきましては諸外国並みの植物新品種の保護制度が整備されていないため、海外から新品種の種苗を円滑に導入することが困難な状況にあるのみならず、相互主義の観点からわが国の新品種の育成者も諸外国において保護されていないという現状にあり、種苗の国際交流とこれを通ずる育種の振興に支障を来しているところであります。
また、国内的にも最近の農業情勢に即応した良質多収穫の新品種あるいは耐病性の強い品種の育成等育種の一層の振興を図る上で、新品種育成者を保護する制度の改善充実が強く望まれているところであります。
以下、法案の内容について順を追って御説明申し上げます。
まず第一に、目的及び定義規定についてでありますが、本法の対象が広く農林水産植物の種苗に拡大されることに伴いまして、題名を種苗法とするとともに、新たに目的規定を設けて、本法の目的を明らかにいたしております。
また、定義規定の関係につきましては、後に述べます品種登録制度に関連して、固定品種と交雑品種とをその植物体の類似性及び他の植物体との区別性の要件によりまして定義するとともに、品種とは、固定品種及び交雑品種を言うものといたしております。
なお、この場合、品種に係る重要な形質については、農業資材審議会の意見を聞いて定め、公示することとしております。
さらに、種苗及び指定種苗につきましても、あわせて規定の整備を行っております。
第二は、種苗の表示の規制等についてでありますが、種苗業者の届け出を簡素化するとともに、指定種苗について種苗業者等が遵守することが望ましい種苗の生産、保管等についての基準を定めて、自主的な種苗の品質管理を促進させることとしております。
第三は、今回の主要な改正事項である品種登録制度についてであります。
その一は、さきに述べましたように、対象植物の範囲を農林水産植物に拡大するとともに、その内容も品種自体を登録することとしておりますが、その出願は、品種を育成した者またはその承継人がすることとしております。この場合に、これらの者が二人以上あるときば、共同して出願することとしております。
その二は、従業者等が職務上育成した品種、すなわち職務育成品種についての使用者等との関係でありますが、職務発明の場合に準じまして規定を整備することといたしております。すなわち、従業者等は、使用者等が契約、勤務規則等により職務育成品種について品種登録の出願をし、または従業者等から品種登録者の名義の変更を受けたときは、対価の支払いを請求することができることとしております。その対価の額は、その職務育成品種により使用者等が受けるべき利益の額及びその品種の育成につき使用者等が貢献した程度を考慮して定められることといたしております。
その三は、品種登録の要件についてでありますが、育成された品種の植物体が出願の日前に業として譲渡されているとき、品種の名称がその品種に関し誤認または混同を生じるとき等には、品種登録を受けることができないことといたしております。
また、同一の品種については、最先の出願者が品種登録を受けることができることといたしております。
その四は、外国人に関する特例法であります。日本国内に住所等を有しない外国人は、その者の国が日本国民である育成者をその国の国民と同一の条件による保護を認める国である場合には、品種登録を受けることができることとして、相互主義の観点から外国人も保護することといたしております。
その五は、品種登録の審査についてでありますが、原則として現地調査または栽培試験を行って審査することとしております。
その六は、品種登録の有効期間でありますが、国際的な水準に合わせて一般的には十五年、永年性植物の場合は十八年として、保護期間を延長することといたしております。
その七は、登録の効力等についてでありますが、品種登録者以外の者は、品種登録者から許諾を得た場合を除き、業として、登録品種の種苗もしくは登録品種を親とする一代雑種の種子を有償で譲渡する等の行為、または登録品種の植物が種苗以外の切り花等の一部を利用しても容易に繁殖する植物である場合には、その切り花等の一部を繁殖させて得られる切り花や鉢物を有償で譲渡する行為をしてはならないこととして、保護の内容を充実させております。
この場合において、品種登録者または許諾を受けた者から譲渡された種苗を順次譲渡する場合等一定の場合には、許諾を要しないこととされており、また、農林漁家が農産物、林産物及び水産物を生産、販売したり、種苗を自家採取することは、当然、許諾の対象には含まれないこととなっております。
登録品種の名称につきましては、登録品種の種苗を業として販売する場合には当該登録品種の名称以外の名称を使用してはならないとするとともに、同一または類似の作物の他の品種の種苗を業として販売する場合には、その名称を使用してはならないこととしております。
なお、品種登録者の名義は、相続その他の一般承継による場合のほか特定承継による変更を認めることといたしております。
その八は、裁定、登録の取り消し等についてでありますが、登録品種の種苗が二年以上適当に生産、販売されていないとき、または公共の利益のため特に必要があるときは、品種登録者の許諾を得ることができない者がこれらの行為ができるようにする裁定の制度を新設することといたしております。
品種登録の取り消しにつきましては、登録品種の植物体の特性が変化したとき、所定の登録料が納付されていないとき等には、品種登録が取り消される旨の規定が設けられております。
なお、本法ば、公布の日から六カ月以内に施行することといたしております。
第四に、経過措置に関する規定でありますが、この法律の施行の際に、現行法による名称登録で有効期間が満了していないもの及び現行法による名称登録の出願がされているものについては、それぞれ、新法による品種登録及びその出願がされているものとみなすことといたしております。
以上のほか、品種登録に伴う出願料及び登録料並びに罰則の規定を整備することといたしております。
以上をもちまして、農産種苗法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/183
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184・中尾栄一
○中尾委員長 以上で趣旨の説明を終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時二十七分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405007X02019780427/184
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