1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和五十三年五月十二日(金曜日)
午前十時五十六分開議
出席委員
委員長 菅波 茂君
理事 石橋 一弥君 理事 唐沢俊二郎君
理事 藤波 孝生君 理事 渡部 恒三君
理事 木島喜兵衞君 理事 嶋崎 譲君
理事 有島 重武君 理事 曽祢 益君
石川 要三君 久保田円次君
小島 静馬君 玉生 孝久君
塚原 俊平君 長谷川 峻君
水平 豊彦君 伊賀 定盛君
小川 仁一君 千葉千代世君
中西 積介君 長谷川正三君
鍛冶 清君 伏屋 修治君
中野 寛成君 山原健二郎君
西岡 武夫君
出席国務大臣
文 部 大 臣 砂田 重民君
出席政府委員
文部大臣官房長 宮地 貫一君
文部省初等中等
教育局長 諸澤 正道君
文部省社会教育
局長 望月哲太郎君
文化庁長官 犬丸 直君
委員外の出席者
議 員 小川 仁一君
参議院議員 粕谷 照美君
参議院議員 久保 亘君
環境庁長官官房
参事官 日下部甲太郎君
文部大臣官房審
議官 鈴木 勲君
厚生省環境衛生
局指導課長 林 崇君
文教委員会調査
室長 大中臣信令君
—————————————
委員の異動
五月十二日
辞任 補欠選任
湯山 勇君 伊賀 定盛君
同日
辞任 補欠選任
伊賀 定盛君 湯山 勇君
—————————————
五月十一日
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
の標準に関する法律の一部を改正する法律案(
小川仁一君外七名提出、衆法第二七号)
公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数
の標準等に関する法律の一部を改正する法律案
(小川仁一君外七名提出、衆法第二八号)
公立の障害児教育諸学校の学級編制及び教職員
定数の標準等に関する法律案(小川仁一君外七
名提出、衆法第二九号)
同月十日
公立高校新増設のための国庫補助制度拡充等に
関する請願(受田新吉君紹介)(第四三〇九
号)
同(武田一夫君紹介)(第四三一〇号)
同(西田八郎君紹介)(第四三一一号)
同(小川国彦君紹介)(第四三六四号)
同(川本敏美君紹介)(第四三六五号)
同(久保等君紹介)(第四三六六号)
同(小林進君紹介)(第四三六七号)
同外一件(森井忠良君紹介)(第四三六八号)
同(工藤晃君(共)紹介)(第四三九九号)
同(瀬崎博義君紹介)(第四四〇〇号)
同(寺前巖君紹介)(第四四〇一号)
同(西田八郎君紹介)(第四四〇二号)
同(不破哲三君紹介)(第四四〇三号)
同(藤原ひろ子君紹介)(第四四〇四号)
同(松本善明君紹介)(第四四〇五号)
同(安田純治君紹介)(第四四〇六号)
同(山原健二郎君紹介)(第四四〇七号)
同(山本悌二郎君紹介)(第四四〇八号)
私学に対する助成増額等に関する請願(唐沢俊
二郎君紹介)(第四三一二号)
私学に対する国庫助成増額に関する請願(北側
義一君紹介)(第四三一三号)
同(石田幸四郎君紹介)(第四三四七号)
教育職員免許関係法令の改正に関する請願(米
沢隆君紹介)(第四三一四号)
同(石野久男君紹介)(第四三六九号)
同(曽祢益君紹介)(第四四一二号)
珠算教育指導者の資質向上に関する請願(加藤
常太郎君紹介)(第四三七九号)
同(宇都宮徳馬君紹介)(第四四〇九号)
同(神田厚君紹介)(第四四一〇号)
同(安田純治君紹介)(第四四一一号)
オリンピック記念青少年総合センターの存続等
に関する請願(飯田忠雄君紹介)(第四三八二
号)
同(山原健二郎君紹介)(第四四一四号)
私学の学費値上げ抑制及び教育・研究条件の充
実等に関する請願(山原健二郎君紹介)(第四
四一三号)
同月十一日
オリンピック記念青少年総合センターの存続等
に関する請願外六件(池田克也君紹介)(第四
五九五号)
同外三件(小川新一郎君紹介)(第四五九六
号)
同外一件(小川仁一君紹介)(第四五九七号)
同(大出俊君紹介)(第四五九八号)
同外四件(長田武士君紹介)(第四五九九号)
同(岡本富夫君紹介)(第四六〇〇号)
同(権藤恒夫君紹介)(第四六〇一号)
同(田中昭二君紹介)(第四六〇二号)
同外三件(中川嘉美君紹介)(第四六〇三号)
同外二件(古川雅司君紹介)(第四六〇四号)
同外一件(宮井泰良君紹介)(第四六〇五号)
珠算教育指導者の資質向上に関する請願(浅井
美幸君紹介)(第四六〇六号)
同(亀岡高夫君紹介)(第四六〇七号)
同(鯨岡兵輔君紹介)(第四六〇八号)
同(坂本三十次君紹介)(第四六〇九号)
同(濱野清吾君紹介)(第四六一〇号)
公立高校新増設のための国庫補助制度拡充等に
関する請願(池田克也君紹介)(第四六一一
号)
同外二十四件(小川仁一君紹介)(第四六一二
号)
同(大橋敏雄君紹介)(第四六一三号)
同(金子みつ君紹介)(第四六一四号)
同(小林政子君紹介)(第四六一五号)
同(権藤恒夫君紹介)(第四六一六号)
同外一件(坂井弘一君紹介)(第四六一七号)
同(田中昭二君紹介)(第四六一八号)
同(中川嘉美君紹介)(第四六一九号)
同(西田八郎君紹介)(第四六二〇号)
同外二件(吉浦忠治君紹介)(第四六二一号)
脊髄損傷者の学校教育改善に関する請願(近江
巳記夫君紹介)(第四六二二号)
同(野村光雄君紹介)(第四六二三号)
同外二件(林義郎君紹介)(第四六二四号)
同(古井喜實君紹介)(第四六二五号)
同(北山愛郎君紹介)(第四六二六号)
私学に対する国庫助成増額に関する請願(池田
克也君紹介)(第四六二七号)
同(河村勝君紹介)(第四六二八号)
同外一件(北側義一君紹介)(第四六二九号)
同外九件(権藤恒夫君紹介)(第四六三〇号)
私学助成に関する請願(荒木宏君紹介)(第四
六三一号)
国立大学病院に精神障害児の治療教育・研究施
設等設置に関する請願(小川仁一君紹介)(第
四六三二号)
同(松本善明君紹介)(第四六三三号)
同(山原健二郎君紹介)(第四六三四号)
教育職員免許関係法令の改正に関する請願(唐
沢俊二郎君紹介)(第四六三五号)
私学に対する公費助成増額等に関する請願(山
原健二郎君紹介)(第四六三六号)
私学の学費値上げ抑制及び父母負担軽減等に関
する請願(山原健二郎君紹介)(第四六三七
号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
小委員会設置に関する件
女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の
確保に関する法律の一部を改正する法律案(参
議院提出、第八十二回国会参法第一号)
オリンピック記念青少年総合センターの解散に
関する法律案(内閣提出第六七号)
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
の標準に関する法律の一部を改正する法律案(
小川仁一君外七名提出、衆法第二七号)
公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数
の標準等に関する法律の一部を改正する法律案
(小川仁一君外七名提出、衆法第二八号)
公立の障害児教育諸学校の学級編制及び教職員
定数の標準等に関する法律案(小川仁一君外七
名提出、衆法第二九号)
文教行政の基本施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/0
-
001・菅波茂
○菅波委員長 これより会議を開きます。
参議院提出、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案、内閣提出、オリンピック記念青少年総合センターの解散に関する法律案、小川仁一君外七名提出、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案及び公立の障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準等に関する法律案、以上の各案を一括して議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。まず、参議院議員粕谷照美君。
—————————————
女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/1
-
002・粕谷照美
○粕谷参議院議員 ただいま議題となりました女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
学校教育がその目的を達成するためには、児童、生徒に対する指導活動のほか、財務・管理・環境整備や子供の安全福祉にかかわる活動が一体として機能しなければなりません。そのため、学校内に教諭のほか養護教諭、栄養職員、寮母等いろいろな職種が法律に基づいて配置されております。事務職員につきましても、学校教育法第二十八条に原則として置かなければならないと定められておるのであります。現在、学校事務職員が担当している職務には、まず一般的な事務として文書・統計・給与・経理事務などがあり、また、直接子供にかかわる事務としては、教材教具、施設設備及び就学奨励などの事務、さらには地域の父母にかかわるPTA諸活動への援助など、きわめて多方面にわたっております。
さらに、これらの複雑多様な学校事務を適正に行うためには学校教育の理念、教育内容、教育行政の仕組み及び子供の学習環境の把握など学校教育に関する深い知識、教養が要請されており、一般行政事務とは別の意味での専門性を持たなければならないのであります。
以上のように、学校事務は、教員の教育活動と相まって学校運営を有機的、一体的に進めるためにきわめて重要な役割りを果たしていると言わなければなりません。
しかるに、去る第四十六回国会における本法の一部改正によって女子の実習助手が法の適用対象に加えられ、国立及び公立の小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園に勤務する女子教育職員のすべてが、この法律の適用を受けるに至りました。にもかかわらず、学校教育の現場に勤務する教職員のうち、学校事務職員のみが本法の適用の対象外に置かれることになりました。
したがいまして、たとえば女子の学校事務職員が一人のみという学校で、本人が出産のための休暇に入った場合、その仕事はすべて教員に肩がわりされることになります。ところが、教員は、元来そのような事務にふなれなため、病院あるいは自宅で休んでいる学校事務職員のまくら元へ仕事のことでいろいろと聞きにいくこととなり、本人は事実上安心して産休を完全にとれない状態であります。
また、教員が学校事務を分担させられることにより、教育活動に手不足が生じ、教育の正常な実施が阻害されているのであります。
また、一部の県では、学校事務職員が産休をとった場合、学校内の事情に通じている当該学校の教員を学校事務に当たらせ、その結果、学級担任、または教科担当の穴埋めには、産休補助教員を充てるという措置をとっているのであります。
このようなやり方は、いずれも学校事務職員に対する産休補助職員制度が認められていないため生じた苦肉の策であり、これでは専門的な学校事務の遂行に円滑を欠くばかりか、子供の教育にも支障を来し、学校内に二重の不正常な事態を引き起こすものであり、看過できない問題であると思います。
ところで、学校事務職員の男女別割合を見ますと、女子事務職員の占める割合は、幼稚園で八六%、小学校で六九%、中学校で六〇%、高等学校で四〇%、特殊教育諸学校で三九%という高率であり、国・公立のこれらの学校に勤務する女子事務職員の総数は約三万一千名に達しております。これら多数の事務職員は、さきに申しましたように、その出産に際して代替職員の臨時任用制度がないために、その大半が労働基準法で保障された産前六週間、産後六週間の休暇もとりにくい状況であります。
このような不合理な実情を改め、かつ母体及び生児の保護と教育の正常な実施を確保するために、多くの県または市町村においては、それぞれ独自な形で代替事務職員を置くことを認めざるを得なくなってきているというのが今日の実態であります。これは、当然速やかに国の制度として確立すべきであると考え、ここに本改正案を提出した次第であります。
次に、改正の内容としては、第一に、法第二条第二項に新たに「事務職員」を加えております。これによって、女子の事務職員の出産の場合も補助職員の任用が可能になります。
第二に、法の題名及び本則中の「女子教育職員」を「女子教職員」に改め、「補助教育職員」を「補助教職員」に改めております。これは、従前、本法の適用対象とされていた者が、教育に直接的に携わる「教育職員」に限られていたのに対して、今回、学校事務職員を加えるために、その字句を教育職員と学校事務職員を含む「教職員」に改めるものであります。
なお、この法律は、実施のための準備期間の必要性を考慮して、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することといたしております。
本法律案は、去る第四十八回国会に提出されて以来、十数回にわたって提案、審議され、今回全会一致をもって参議院で可決されたものであります。
以上の経緯にかんがみ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/2
-
003・菅波茂
○菅波委員長 次に、砂田文部大臣。
—————————————
オリンピック記念青少年総合センターの解散に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/3
-
004・砂田重民
○砂田国務大臣 このたび、政府から提出いたしましたオリンピック記念青少年総合センターの解散に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
オリンピック記念青少年総合センターは、昭和三十九年に開催されたオリンピック東京大会を記念し、この大会の選手村の施設を青少年のための宿泊研修施設として管理運営するために、オリンピック記念青少年総合センター法により、昭和四十年に特殊法人として設立され、自乗、その施設を青少年の研修活動のために提供するほか、一般の利用にも供してまいりました。
しかるに、近年の社会構造の急激な変化に伴い、青少年の学習要求は多様化、高度化し、これに対応してオリンピック記念青少年総合センターにおける青少年のための研修機能を一層充実強化することが必要とされるようになりました。
また、わが国の青少年教育の一層の振興を図るため、全国的な観点から、青少年教育指導者に対する研修、青少年教育に関する施設及び団体の連携の促進、青少年教育に関する調査研究等を行う中核的な機関の設置が強く要請されております。
このような状況を勘案し、かつ特殊法人の整理合理化の要請にこたえるため、オリンピック記念青少年総合センターを解散し、新たに文部省の付属機関として国立オリンピック記念青少年総合センターを設置することとし、この法律案を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、特殊法人オリンピック記念青少年総合センターは、この法律の施行の時において解散するものとし、その資産及び債務は、その時において国が承継することといたしております。
第二に、新たに設置する国立オリンピック記念青少年総合センターは、青少年及び青少年教育指導者その他の青少年教育関係者に対する研修を通じ、並びに青少年教育に関する施設及び団体との連絡及び協力並びに青少年教育に関する専門的な調査研究を行うことにより、健全な青少年の育成及び青少年教育の振興を図るための機関とすることといたしております。
第三に、オリンピック記念青少年総合センターの解散に伴う所要の規定の整備を行うとともに、必要な経過措置を定めることといたしております。
なお、この法律は、昭和五十四年四月一日から施行することといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/4
-
005・菅波茂
○菅波委員長 次に、小川仁一君。
—————————————
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案
公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案
公立の障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準等に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/5
-
006・小川仁一
○小川(仁)議員 「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案」、「公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案」及び「公立の障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準等に関する法律案」の提案理由を申し上げます。
ただいま議題となりました日本社会党及び日本共産党・革新共同の共同提案に係る三つの法律案につきまして、その提案の理由と内容の概要を便宜一括して御説明申し上げます。
まず、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法が制定されたのは昭和三十三年でありますが、その後数次にわたり一定の改善が行われてきました。しかし、なお、子供に行き届いた教育を保障する視点からして不十分な点が多々見られます。
すなわち、いま、子供の学力の低下、塾通い、非行の増加など、いわゆる教育の荒廃が叫ばれておりますが、その要因の一つは何といっても一学級当たりの児童・生徒数が多過ぎるところにあり、諸外国に比べてもきわめて劣悪なものとなっています。それだけに、学級規模を縮小し、行き届いた教育を保障することが重要であると言わなければなりません。また、現行法に基づく教員の配当基準は、学校規模によって一定の配当率が定められていますが、この配当率の算定基礎になっている週当たり担当授業時数は、小学校は二十六時間、中学校は二十四時間となっています。一時間の授業に対して少なくとも一時間の教材研究が必要であるといわれており、企画、準備、整理の時間が保障されねばなりません。また、落ちこぼれの克服や非行の防止にももっと時間がとれるようにしなければなりません。
さらに、養護教員及び学校事務職員については、五十三年度約七五%弱の配置率となっており、五学級以下の小規模校には未配置となっています。学校規模に応じた複数配置基準の改善も必要でありますが、特に学校規模の大小にかかわらず、子供が学校にいる限り、その生命と健康は尊重され、また、学校事務の円滑な遂行は重視されなければなりません。
以上の理由により、現行法を抜本的に改正して義務教育水準の維持向上に資するため、本案を提出した次第であります。
本案の内容につきましては、すでにお手元に配付されております法律案をもって説明にかえさせていただきます。
次に、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
戦後、新制高等学校の発足に当たって制定された高等学校設置基準が公布されて以来三十年を経過していますが、この基準を下回る学級編制、教職員配置が依然として行われているところに、わが国高等学校教育が当面する最大の問題があります。
今日、高校進学率が三九%を超える状況の中で、いま、生徒の学力低下、受験地獄、非行の増加などいわゆる教育の荒廃が叫ばれ、高等学校教育のあり方について根本的な検討が求められているのであります。
そこで、現行法の問題点を若干指摘したいと思います。
第一に、学級編制の標準を全日制の課程は四十五人、定時制の課程は四十人としている点であります。国際的な趨勢では、一学級当たり三十人前後の標準となっており、改善の必要があります。
第二に、教職員定数算定の基礎を生徒数に置いている点であります。義務教育諸学校はもとより、高等専門学校でも学科以外に学級数を基礎にして算定しており、この際、学級数を算定の基礎とする方式を採用すべきであります。
第三に、職業教育を主とする学科が、その小学科の数によって教職員定数の算定が補正され、そのため高等学校教育の多様化が一層推進される結果となっています。また、職業関係学科は、学級を班別に編成して、実習指導を行っているのが実情であることにかんがみ、小学科補正をやめ、実験実習補正による教職員定数の算定方式に改めることが適切と考えるのであります。
第四に、現行定数法による定員は校長、教諭等の五職種に限られていますが、栄養職員、調理員、用務員等高等学校に必要な職員はすべて定数法に位置づけるべきであると考えます。
以上の理由により、高等学校教育水準の一層の向上を図るため、本案を提出した次第であります。
本案の内容につきましては、すでにお手元に配付されております法律案をもって説明にかえさせていただきます。
最後に、公立の障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準等に関する法律案について申し上げます。
障害児教育諸学校においては、幼稚部、小・中学部及び高等部を併置する学校が多く、これにより、各部の相互の緊密な連絡のもとで、総合的な一貫した教育が行われ、教育上大きな効果を上げているところであります。
特に、障害児教育においては、早期教育の必要性が高く、幼稚部における教育の重要性を考えれば、その一層の充実を図るため、同部についても早急に学級編制及び教職員の定数の標準を定める必要があります。
また、昭和五十四年度より、養護学校教育の義務制の実施に伴い、障害児教育の水準の維持向上を図るため、これら諸学校の教職員について抜本的な増員配置等が必要となっています。
しかし、現行の定数法においては、公立の障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準について、小・中学部にあっては、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律で、高等部にあっては、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律により別々に規定されており、幼稚部については、その規定が未制定の現状であります。
ついては、障害児教育諸学校に関し、幼稚部から高等部に至るまでの各部の学級編制及び教職員の定数の標準について改善充実を行うとともに、総合的に一貫した障害児教育を推進し、教育水準の維持向上を図ることを目的とした新しい単独の法律として、本案を提出するものであります。
本案の内容につきましては、すでにお手元に配付されております法律案をもって説明にかえさせていただきます。
なお、これら三法案は、いずれも昭和五十四年四月一日から施行することとしておりますが、五年間の年次計画により実施いたすこととしておりますので、必要な経過措置を定めております。
以上が、三法案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いを申し上げます。
なお、提案説明に当たりまして、今日の高等学校進学率が三九%と申し上げましたが、それは九三%の誤りであったことをつけ加えさせていただきます。
以上で終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/6
-
007・菅波茂
○菅波委員長 これにて各案の提案理由の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/7
-
008・菅波茂
○菅波委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。
先刻の理事会協議により、
小委員十六名より成る放送教育に関する小委員会
及び
小委員十一名より成る教職員定数等に関する小委員会を設置することとし、両小委員及び両小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/8
-
009・菅波茂
○菅波委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
両小委員及び両小委員長は追って公報をもってお知らせいたします。
なお、小委員及び小委員長の辞任の許可並びに補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/9
-
010・菅波茂
○菅波委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/10
-
011・菅波茂
○菅波委員長 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。玉生孝久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/11
-
012・玉生孝久
○玉生委員 ある意味ではあらゆる段階で教育というものが空洞化をしておる。学生は学ぼうとする意思を破壊されて、何ら学ぶ喜びを与えられておりません。そして、学んで何かを身につけるのではなくて、就職のパスポートのために、それのみのために学ぶというのがいまの学生の姿であると思います。学校教育を通じまして悪い平等主義が蔓延しているのではないか。皆がひとしく一般教養として共通の教育内容を修得することが必要であって、そうしてまたそれが可能だという全人教育の幻想があるのじゃないでしょうか。私はある場合には競争意識というものが必要であると考えます。運動部の学生を見てみますと、段級によって帽子に線を入れてみずからの力を誇示しているではありませんか。学校の中で競争体制をなくせということで近ごろ盛んにキャンペーンが行われているように感じるわけでありますが、これはかえって教育の意欲を減退させるのではないか、こういうふうに思うわけであります。競争を一切なくしてしまった学校生活なんというものは堕落者が激増するだけであります。駆けっこの速い生徒は自分が一等だと信じていればいいし、絵がうまければ、そろばんが上だと言えば、それはそれで社会のために役立つことである。掃除ができるということも一つの競争の勝者じゃありませんか。何でもいいからほかの人よりも自分がまさっているというものを自分が持っていること、そういう意識がなければ私はいまの社会では生きてはいけないと思うわけであります。ですから、フェアな競争原理を認めてそれを実行する社会にしていく。それは社会に出たらいやおうなしに振りかかってくる命題であるからであります。
そこでこの際、難問奇問に属する質問になるかもしれませんけれども、競争意識についてどういうふうにお考えになるか、大臣の所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/12
-
013・砂田重民
○砂田国務大臣 非常にむずかしい、微妙な問題が含まれていると思います。学習の面などにおきまして児童、生徒に過度の競争意識を持たせることは、私は教育上好ましくないと思います。ですけれども、やはり児童、生徒というものはそれぞれの個性があり、それぞれの能力を持っているわけでございますから、そのそれぞれの児童、生徒が持っております個性や能力を伸ばす上で相互に競い合うこともまた大切な、必要なことであると考えます。ですから、一口に児童、生徒と申しましても、心身の発達段階によってその競争意識を持たせるということの受けとめ方もまた態様が違うわけでございますから、やはりこれは学校の現場、現場での先生方のそこに工夫が払われていくものであって、こういう競争意識を持たせるべきだとかこういうものは過度であるということを一律に決めてかかるべき筋合いのものではないと思うのです。やはり、そういう生徒たちが持っております個々の能力、個々の個性というものは大切に伸ばさなければりませんから、その意味での相互に競い合うことは、やはり現場の先生方の工夫によってまたなければならない、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/13
-
014・玉生孝久
○玉生委員 いまの競争意識というものは、悪い意味では盛んに行われておりますね。入試、これは過度の競争意識であります。それから、いい学校に入れて、いいところへ就職するという、そういうところに集中した競争意識が盛んになって、本当の意味での競争意識、フェアな競争というものについてよく考えることよりも、人さえだめにすればおれが上がれる、おれが入っていけるというふうな考え方が近ごろ盛んになっているような気がしてしようがないわけです。運動選手ですと、学校あたりはどっちかというと後押しをして、今度選抜で優勝した野球部の生徒にはいろいろな意味で温かい目を向ける、どっちかといいますとそういうふうな方向が出ておるのに、逆に言いますと、文部大臣、ひとつお伺いしますけれども、憲法に書いてあります。これは「その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と、いまおっしゃったとおりでありますが、その能力に応じて教育を受ける権利があるのなら、たとえば、落ちこぼれの逆で、英才はどういう扱いを受けておるか。いわゆる落ちこぼれの逆で、傑出した、オールラウンドに知的能力を持った子供、音楽、芸術、スポーツ、舞踊、そういった特別の素質を持った子供に対しては、いまの教育のやり方はその成長をとめておるような気さえ私はいたします。
つい先日、十五歳で司法第一次試験に合格した鹿児島県の子供のことがいろいろな意味で話題になっておりましたが、この子供はどういう教育を受けておったか。その全部のやり方を私は肯定するわけじゃありませんけれども、少なくとも父親がつきっきりで、学校にやらないで勉強させた結果だと言われておるわけです。私は、いまの学校教育において英才児が正当な教育的配慮が与えられていないということを逆に指摘したいと思います。学校教育が均等化すればするほど、やはりおくれておる子供は自分のおくれを取り戻したいということを強く望むでありましょうし、伸びる可能性を持つ子供はもっと伸びたいと願うのは当然であります。傑出した能力を持つ子供が平等の名前のもとにどうも押し込められておるような感じがする、そういう学力の均一化は私はいけないと思うわけでありまして、能力に即応した機会均等の環境が与えられることが阻害されてはいけないと思います。競争原理を認めて、しかも機会均等の理念として実現する学校教育でなくてはならないと思いますが、現在の教育界の現状から大臣の所見をひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/14
-
015・砂田重民
○砂田国務大臣 玉生委員、具体の例として十五歳の少年が司法試験に通ったことをおっしゃいましたが、私は、非常に優秀な、司法第一次試験を取れるような学力が十五歳の少年に備わった、備えさせるような教育をした、人間的な価値というものをそれだけで判断していいかどうか、このことは私は答えられないという気持ちがいたします。やはり、教育というものの目的はもう少し幅の広いものであるべきだと考えるからでございます。しかし、すべての国民は、「その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」という憲法二十六条の規定、このことはやはり、学校教育は児童、生徒の能力、適性に応じて、一層その能力、適性を伸ばしていくことを考える、こういうことだと思うものですから、最近の教育課程の改善におきましても、その趣旨を踏まえまして教育内容の改善が行われたところでございます。学校においても、これも玉生委員御指摘のあったことでございますが、個人の能力、適性等に応じて、学習の進度のおくれがちな子供たちを追いつかせるようにすることは非常に大事なことでありますのと同時に、同じ程度の大事さをもって、学習が非常に進んだ子供、学習の進度の早い児童、生徒に対しては、やはりその進み方をより伸ばしてあげる、そういう適切な措置がとられることは憲法にいうところの本当の趣旨である、このように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/15
-
016・玉生孝久
○玉生委員 いま大臣の御説明、ごもっともだと思うわけであります。
そこで、戦前に、小学校の五年から中学校に入れました、旧制でありますが、中学の四年からは高等学校へ、まあナンバースクールは全部そういうふうに進路を短縮しておるわけでありますが、伸びる子供はどんどん伸ばしてやるという考え方でいくならば、そういう制度だって認められてもいいじゃないか、そういうふうに私は考えるわけであります。この点は、いまの小学校、中学校はどっちかといいますと、ある年齢まではその学校の枠の中でおるのが当然だ。学問ばかりでない、いろいろな社会的環境とか社会常識とか、ある程度いろいろなものをその年齢で決めておりますね。この年齢までおらなくては中学校に行けない、高等学校に行けないという仕組みになって、大学は違うのですね。そういうふうになっておりますが、いわゆる飛び級といいますか、小学校を卒業しないで、全部の課程を終えないででも中学校に行ける、中学校から一年短縮をして高等学校に行くという道は開けないものでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/16
-
017・砂田重民
○砂田国務大臣 率直にお答えをいたしますけれども、まずお答えしておきたいと思いますことは、そういう新しい制度を開きますことば将来の非常に重要な検討課題の一つであろうと考えます。それは、永井文部大臣が提唱なさいました四頭立ての馬車というものがやっと軌道に乗って動き出したばかり、その中の学歴偏重社会の打破も、窓は開けたと思いますけれども、こんなになったと取り立てて言うほどの成果もまだ上げているわけではございません。共通一次入試も来年度から始まるわけでございます。非常に重要な困難な問題と取り組んで、これがやっと走り出したばかり。そういたしますと、学習指導要領というものを改定いたしましたけれども、教科書は、小学校五十五年、中学校は五十六年、それまでの移行措置をどう定着させていくか。先生方の創意工夫にまたなければなりませんし、御努力を願わなければなりません。その先生方の資質をどう高めていくか。第四次の教員の定数改善が五十三年度で終わりました。しかし、五十七年まで百数十万人の児童、生徒がこれから特に過密県に集中してふえていく、そのための施設づくりを財政的にどうこなしていくか、それの裏づけになる先生方の定員というものをどう確保していくか、これらの重要問題が実はまだ残念ながら山積をいたしているわけでございます。しかし、その次のことをもうこれから考えていかなければならないことでございます。いわば一九八〇年代を目指しての文教行政くちどうあるかということの国民の皆様方の御意見を承る、そういう広く御意見をいただくための材料提供を一度しなければならないんではないか。その中で、玉生議員の御提案になりましたことも一つの将来の研究課題である、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/17
-
018・玉生孝久
○玉生委員 私は、いまの文部大臣の御説明、よくわかるわけでありますが、たとえば日本の国には資源がありません。日本の資源は、やはりりっぱに教育された子供たちが次の世代を背負っていくと思います。そういう中で、特に科学技術の進歩は一日もゆるがせにできない問題であります。たとえば外国の例をとりますと、中国、ソ連あたりでは英才発掘競争というものまで始めて、どこかに秀才がいないかということをかね太鼓で探し出して、そういう人に特別な教育をして科学者をつくるとか、いろいろな面での努力をいたしているわけでございます。もどかしい感じがするのは私ばかりではないと思うわけであります。そこで、外国の方では英才教育についてどういうようなことがあるか、御存じでありましたらひとつ教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/18
-
019・鈴木勲
○鈴木説明員 諸外国の英才教育の概要でございますが、アメリカのように学校体系が単線型をとっておりますところと、あるいはイギリス、フランス、ドイツのように学校体系そのものが複線型をとっておりますところと、いま先生がお述べになりましたソ連のような社会主義の国と、いろいろ違うわけでございますが、アメリカにおきましては、一つの学校にいろいろな能力を持つ子供が混在しておりますので、学級編制のあり方といたしまして、能力別の学級編制をとりましたり、あるいは教科の進度に応じましてグループ編制をするとか、あるいは教育内容についての研究が非常に進んでおりまして、そういうグループ編制なり教育課程の改善という形で英才児の教育に対応しているというのが実態でございます。
それからヨーロッパにおきましては、従来から学校体系そのものが複線型になっておりまして、イギリスにおきましては御承知のようなパブリックスクールという学校がございますし、そのほかに私立のプレパレートリースクールというふうなものがございますし、公立ではグラマースクールというのがございまして、この三つが大体従来のイギリスの英才教育をやっていたわけでございます。それは、それぞれの学校の中で子供の才能、適性、進度に応じまして教育方法をいろいろ工夫をするというふうな形態でやってまいったわけでございます。ただ、この従来の英才教育につきましては、現在の労働党政権のもとで公立中等学校の総合制化というものが進められておりまして、現在八割ほどこの総合制化が進められておるわけでございますが、総合制の学校におきましては従来のような英才児教育が十分でないということが非常な心配をされまして、昨年の八月でございますけれども、イギリスの教育科学省から英才児の教育の改善措置に関する検討報告書というのが出されております。その中で、現在の総合制教育における英才教育が十分でないという指摘がなされております。
それから西ドイツ、フランス等におきましては、従来から学校体系による英才教育が行われているわけでございます。しかし、これはかなり問題があるということで検討がされておりますけれども、英才児のためのいろいろな配慮については従前同様行われているようでございます。
ソ連でございますが、ソ連では一九六〇年代から英才児のための寄宿制の数学物理特別学校というのが、これは先ほど先生が御指摘になりましたようなそのための学校でございますけれども、現在七百校ほど設置されておりまして、その選抜には全国のコンクールをするというふうなことでございまして、物理、数学、英語等にほとんどの授業の時間が割かれていると聞いております。小学校の低学年から成績優秀な者に対しまして、外国語、音楽、バレエ、美術等の特にすぐれた才能を持つ子供に対します課外教育等も充実していると承知しております。
大体以上が実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/19
-
020・玉生孝久
○玉生委員 よくわかりました。ひとつ、遠い将来の検討課題とせずに、こういったものを含めまして、いわば学習指導要領が高等学校の方も御発表になるはずでございますので、御留意をいただきたいと思うわけでございます。
次に問題をかえまして、かわいらしい話で恐れ入りますが、つい先般は野鳥保護の週間がございました。私は、日本アルプスで細々と生き延びております天然記念物のライチョウの保護についてお伺いいたしたいわけであります。
氷河期から生き続けまして、生きた化石と呼ばれますライチョウは山のシンボルであります。ライチョウの増減は自然破壊のバロメーターであるというふうにも言われております。最近、自然保護が見直されておるとは言いましても、民間団体の行動によって初めて重い腰を上げる行政側の姿勢には不満があるのでありますが、あえてライチョウの保護についてお伺いいたします。
全国で約三千羽おると推定されておりますライチョウは北アルプスに生息しておると言われますが、その生息数、生態系もはっきりしていないのが現状であります。絶滅の方向をたどりつつあるとすれば、その保護には万全の策を講ずべきでありまして、生態調査は保護策の基礎となるものでありますが、それがなかなかないわけであります。現在、二分の一国庫補助のもとに環境調査を含めた生態調査が行われておりますが、いずれも夏山だけのものでありまして、冬山ではその実態がほとんど把握されておらない状態であります。
この問題についてはまとめて御質問いたしますけれども、厳冬期におけるライチョウの生態調査につきましては行政の側においては全く行われていなかったのでありますが、本年二月、富山県では民間団体が県民からカンパを募りまして、そして冬山の危険を冒しながら調査を行った実例がございます。県はこれに職員二名を派遣して共催というかっこうをつけたわけでありますが、いずれにしても私は民間主導型であったと言わざるを得ないわけであります。民間の調査に便乗するだけではなくて、その保護行政というものをだれがどういうふうに進めるかということを、やはり国と県とがもっと話し合われて進めていかれるのが本来じゃないかというのが第一点。
二点目には、人が登り、そして車がどんどん通うようになりますと、開発行為による環境汚染から発生する微生物学的汚染調査、いわゆるライチョウの病理学的調査事業、それからナチュラリスト、いわゆる自然解説員等による自然保護の普及啓蒙事業等にも国庫補助の枠を与えて、地方と一体となった保護政策を進めていただきたい、こういうふうに思うのでありますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/20
-
021・犬丸直
○犬丸(直)政府委員 先生御指摘のように、ライチョウは氷河期の遺存動物ということで大変貴重な生物でございます。それで、日本としても代表的な高山鳥でございまして、すでに大正十二年に天然記念物に指定されております。そして昭和三十年におきましては特別天然記念物ということで指定されております。それで文部省、また文化庁ができましてからは文化庁がその保護育成のためにいろいろ手を打ってきたわけでございます。大体具体的な手を打ち始めたのが約十年前、文化庁が発足間もなくのころでございまして、昭和四十年代以来約十カ年にわたりまして地元の富山県及び大町市に補助金を交付いたしまして、基礎調査と、それから人工ふ化とか、あるいは特別のケージをつくりましてそこで育成するとか、そういう措置をずっと講じてまいりました。四十九年までの間に通算いたしますと約二千三百万円の金が使れておりまして、その約半額を国が補助いたしております。それから大町市に対しましては同じく千七百万円というようなお金が使われておりまして、そのうちの半額は国から補助いたしております。
そういうような状況で推移してまいっているのでございますが、昭和四十九年に環境庁ができましてから、環境庁のお仕事とわれわれの文化庁の方の天然記念物としての保護育成事業行政というものとがいろいろ関連を生じてまいりまして、両者の間でお話し合いをいたしまして、いろいろなものの中で特に特殊鳥類ということで、非常に絶滅に瀕しておるこの大事な鳥類につきましては一応一括して環境庁の方でやっていただく、そしてわれわれは協力する、そういう形にしたわけでございます。したがいまして、その後の情勢につきましては、いま御質問のございましたような点につきましては私ども直接やっておりませんので、きょうは環境庁の方からお見えでございますからそちらの方からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/21
-
022・日下部甲太郎
○日下部説明員 お答え申し上げます。
ただいま御指摘のライチョウの生態調査に関する問題でございますが、第一点、夏だけではなくて冬も調査すべきであるという御指摘でございます。これにつきましては、ただいま文部省の方から御説明ありましたように、現在、昭和五十年度以来は環境庁の方で文化庁のやっておられました行政を引き継ぎましてやってございます。現在まで富山県当局がいろいろライチョウの生態調査をしておられまして、それにつきまして環境庁も二分の一の補助金を出してまいっております。ただ、現在までは御指摘のようにこの調査は夏に限られております。しかしながら、夏の調査につきましては、だんだんとライチョウの生態につきましても明らかになりつつあるわけでございますが、何といっても冬の調査はまだしてございません。今後ライチョウの適正なる保護対策を講じていきますためには、やはり冬におけるライチョウの生息なり生態調査というものもやっておく必要があろう、それによりましてライチョウそのものの生活誌と申しますか、総体的にこれを把握していくという必要もあろうかと思っております。富山県といたしましては今後、先ほども御指摘がございましたように、民間の専門の方のお話も承って冬の調査もいたしたいというふうに考えているようでございますので、環境庁といたしましてもこの富山県の考え方に協力してまいりたいと考えております。
それから第二点の、ライチョウの生息地でありますたとえば立山の室堂付近には、現在いわゆるアルペンルートと申しまして自動車道路あるいはケーブルカー等が整備されてまいりまして、年間にしますと七十万人以上もの一般観光客が入ってきております。また残雪期におきましてはスキーをしている。そういたしますと、残雪期のスキー時期でございますと、ちょうどライチョウが産卵をしてひなをかえそうという大事なときでございます。これらの観光客の入り込みによりましてライチョウの生息に影響があるということが考えられておりますので、そういった面からもライチョウの病理学的な調査も必要でございますし、一方また、入ってまいります観光客に対して、きちっとしたマナーで、ライチョウを脅かさないようなマナーでもって立山を鑑賞をしていただくという必要もございます。これらにつきましても従来から富山県がいろいろ調査なりあるいは保護対策をしておりまして、これにつきましても環境庁といたしまして補助をしてまいっております。今後富山県となおよく協議いたしまして、これらのライチョウの保護に必要な調査なり対策というものにつきまして積極的に御協力を申し上げていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/22
-
023・玉生孝久
○玉生委員 ライチョウの保護につきましてはより一層の意を用いていただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。
次に、公共事業の積極化に伴いまして、埋蔵文化財の調査保存についてお伺いいたします。
ことしの目玉は、景気浮揚の名のもとに対前年比一三四・五%の公共事業の伸びが目玉であります。地方公共団体においてもおおむね全面受け入れを表明して積極的に協力を整えておりますし、また第一・四半期に前倒しで七二%という話も聞くわけでありますが、公共事業の積極化に伴いまして大量の開発が行われますと、それによって起きて、いつもこれが邪魔をしているのじゃないかという感じで埋蔵文化財に関する問題が立ちはだかるわけでございます。京都においてもこの間、地下鉄を掘っておりますけれども、至るところで千二百年の歴史がそれを阻んでおるというふうなことがあるわけであります。こういった問題の後に、まだまだこれから新幹線、高速道路等、相当大幅な予算のてこ入れを受けてふえてくる可能性がある問題があるわけでありますが、それに対応できるかどうかということが盛んに心配されておるわけであります。
それからもう一つは、いまの埋蔵文化財というのは、掘るまでは国も県も市町村も少しずつお手伝いして一緒にやろうじゃないかということになっておりますけれども、掘った後のものに対しては、その維持管理やいろいろな費用がかかるのはおまえたちがやってそれを有効に使え。一応掘り出すまではめんどうを見るけれども、掘り出した後はおまえたちが独自でやれというふうになってはかなわないわけです。そうしますと、今度もし思わぬところで発掘されても隠してしまうようなことがあったり、それを届け出ないで調査もしないというふうに安易に流れるというおそれさえあるわけであります。そういった問題についてはどういうふうにお考えになっておるかということもこの際承っておきたいと思いますし、市町村財政によってはそういったものを保存して利用するだけの力がないところがありますから、そういう面についてもどういうふうにお考えになっておるかということもお聞かせ願いたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/23
-
024・犬丸直
○犬丸(直)政府委員 御指摘のございましたように、公共事業の促進に伴いまして各地におきまして埋蔵文化財が発見されておるわけでございます。私ども文化庁の立場からいたしますれば、かけがえのない過去の文化の遺産でございますので、何とかしてこれは保存したい、そしてまた今後の文化発展のために活用してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。もちろん、公共事業促進の立場からすればそれが阻害になっておるというようなお考えもあろうかと思いますけれども、私ども、その公共事業促進という要請と文化財保存という要請とを何とか両立させたい、大変むずかしい課題ではございますけれども、そういう方向で努力しているわけでございます。
それで、そういう公共事業と埋蔵文化財との関係におきまして、一番うまくと申しますか、両者が両立するには、早い時期に、公共事業のたとえば道路をつくるというようなときに、計画の段階において事前に遺跡の分布というものがわかっておりますれば計画の際にできるだけそこを避けて通るというようなことができるわけでございます。それでまず第一にできるだけ事前にわからぬものだろうかということで、四十五年以来、全国の遺跡分布地図というものをつくっております。これはかなりのお金を使いまして遺跡の分布を調べております。それから同時に、わかった遺跡につきましては、どこにはこういう遺跡がございますよということの遺跡周知費という予算も五十一年以来計上いたしまして、一市町村一枚の台帳、地図のようなものをつくりまして、できるだけ事前に、どこに何があるのだ、どこにどういうものがあるかということを周知いたしまして、計画の段階からそういうものは避けられるようなことをしております。さらに五十二年度からは重要遺跡の特別調査費というようなことで、そういうような措置によりまして、まず第一段階といたしましてできるだけ事前に避けられるようにするということに努めております。
ただ、これは限界がございまして、地下のことでございますのでなかなか手にとるようにはわかりません。ある程度の見当はつきましても、いざ実際に計画を立ててみますと予想外に重要な遺跡が見つかるというようなことが間々起こります。そういうことになりますと、急遽そこの現地におきまして発掘調査を実施し、そしてできる限り、あるところまで進行した段階でありますけれども、避けるとかあるいは上を通るというようなことができないかどうかということを相談をしてまいるわけでございます。そういうことを最近は頻繁にあちこちで繰り返しておるわけでございます。
それで、そういう事前調査をするためにはやはり体制を整備しなければならない、御指摘のとおりでございまして、大変私どもまだ十分対応し切れない面もございまして、大いに努力しているわけでございますが、いろいろな面でそういう直接的な対応の対策は講じております。まず第一がやはりその人でございます。そういう遺跡の発掘調査と申しますものは、かなり専門的な知識を要します。ただ土を掘ればいいというのではございませんので、非常に綿密に薄皮をはぐように土をはいでまいりまして、その土の色等によってその遺跡がわかるわけでございますから、そして同時に、出てきたものはその場ですぐに写真を撮って記録に保存する。それで出てきたものの扱いも、これはうっかりすると壊れてしまう、それを慎重に扱う。綿密な記録とその扱い、そういうようなことで、大変慎重な専門的な知識経験を要します。それで、そういう人の絶対量が実はこれはなかなか不足しているのじゃないかということで、そういう専門家の養成ということがまず第一の非常に大事な課題でございまして、私ども、昭和四十九年度に奈良国立文化財研究所に埋蔵文化財センターというのをつくりまして、そこでいろいろな、各県の教育委員会の職員の方たちとかその他現場でそういう埋蔵文化財の調査に当たる方たちの研修等を実施いたしまして、できるだけそういう人材を、その能力のある人を育てるということに努力いたしております。もちろんこれはまだ不十分でございますので、大いに今後とも拡充に努力してまいりたいと思っております。
それから二番目に、そういう人の絶対量を確保すると同時に、具体的に個々の市町村で、教育委員会の事務局におきましてそういう専門家をたくさん雇っていただくということでございます。これにつきましては財政的な問題も絡んでまいります。それで私ども、交付税措置でもって、交付税の積算におきましてそういう地方公共団体の職員の積算をしていただくように、自治省とも相談をし、努力いたしてまいっております。
それからもう一つは、そういう文化財調査、それから先生の御指摘にございましたその後の利用、活用ということも含めまして、自治体においてそういう組織を強化するということが大事でございます。それで、地方埋蔵文化財調査センターというものを各自治体でおつくりになるように、それに対する補助金を私どもの方から差し上げましてそういったものをつくっていただく。それで、そこで職員の養成、それからそこに職員を備えていただくと同時に、先生御指摘の自後の活用につきましても、そういったところが中心になって発掘後の維持活用等につきましてもやっていただく。そういうセンターをつくることを国庫補助をもって推進していくというような事業もいたしております。
そういうようなことで、現在、昭和四十九年度と比べますと、昭和四十九年度には地方公共団体に現実におられる専門職員の数、埋蔵文化財関係の専門職員の数が五百二十七人でございました。それが五十二年度には千二百人ということでかなりの増加を見ておりますけれども、まだまだこれは足りない状況でございますので、今後とも努力してまいりたいと思いますし、それから埋蔵文化財調査センターの設置につきましてもこれからさらに努力を重ねてまいりたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/24
-
025・玉生孝久
○玉生委員 いま御答弁を聞きましたけれども、埋蔵文化財保存センターですか、そのことにつきましては地方交付税の中に入っておると言われましても、それが実際下まで届かない。計算の中には入っておりましても、現実には生かされていないというケースが非常に多いのですね。そういう点、御存じですか。だからそういうふうなことは末端まで流して、ある程度やれというふうな強いプッシュがありませんと単独の補助をつけないのですよ、県や市町村は。そういったものをもう少し強力に押していただくようにお願いをいたしまして、私、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/25
-
026・菅波茂
○菅波委員長 石川要三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/26
-
027・石川要三
○石川委員 私は、青少年の非行化ということと、並びに教育の環境、こういったような関係で二、三お尋ねをし、特に大臣の率直な見解、これをお聞きしたいわけであります。
そこで、日本の教育をこれからますますよくするためには、現在のいろんな教育の内容、実態というもの、これを積み重ねて前進させることが一つと、それからもう一つは、教育に非常に阻害になるような取り巻く教育環境、こういったようなものの是正ということはこれは当然表裏一体に必要なことではないかと、まず前提を持つわけであります。そこで、特に現在の青少年の非行化ということを見ますと、教育環境というものが高度社会の中において非常にゆがめられた、そういった悪い環境、これがたくさんあるわけであります。これが年々歳々ますますエスカレートされていく傾向にあります。したがって、これをできるだけやはり政治の中で処理をしていくということが当然必要ではないかと思います。その教育環境を悪化させている幾つかの要素がございますけれども、その中で特に私は目に余るものを二つばかり取り上げてお尋ねしたいわけであります。
一つは、通称言われておりますモーテルというようなもの、これについてまず実態をお尋ねしていきたいと思います。モーテルというのは、よくわからないのですけれども、わからないというとむずかしいのですけれども、国道など走っておりますと、たくさん奇妙なけばけばしい宣伝をしておるホテルですか、あるわけです。これがモーテルと言われておるのじゃないかと思うのですが、先般私の友人が子供を連れて連休でドライブしてたら、それが小学校の高学年の子供でございますが、こういう質問をされたというのですね。お父さん、どうして日本人は体が弱いのですか、こう言うのですね。そしたらおやじさん困っちゃって、なぜそんなことを質問するのだと言ったら、見てごらんなさい、一時休憩一時休憩といっぱいあるじゃないか、これほどいまの日本人は休まなければならないほどの要するに体力が弱っているのかという質問をされたというのですね。非常におやじさん困ってしまって、何と説明していいかわからないから適当にごまかしたというのですけれども、このような状態があるわけなんです。それからまた、あるお母さんがもっと小さい子供さんを連れて歩いておりましたら、お母さんおもしろい名前、お母さんと同じ名前のホテルがあるよと、こう言うのですね。よく見たら花子と書いてあったというのですね。これはまことに偶然でしたけれども、そういうふうに、子供は小さいうちからそういったようなものを、最初は非常に奇異の目をもって見詰めている。それがだんだん成長するに従っていろんな知識が入り、なるほどとうなずきながら非常に興味をそそられてくるのではないかと思うのです。
一体、モーテルというのはどういうところからできたのか。諸外国にこういうものがあると思うのですけれども、日本のモーテルとどこがどう違うのか。そして今日どういうふうになっておるのか、まずその点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/27
-
028・砂田重民
○砂田国務大臣 残念ながら、モーテルは文部大臣の所管事項ではないものでございますから、モーテルの発生原因等についてつまびらかにいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/28
-
029・石川要三
○石川委員 厚生省、関係の方いますか。その点、専門家の人に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/29
-
030・林崇
○林説明員 いま先生御質問のモーテルでございますけれども、現在モーテルとして定義上決まっておるものは、御案内だと思いますが、風俗営業取締法、これは警察庁所管の法律でございますけれども、そこの第四条の六でございますか、ここでモーテルの定義が決まっております。そういう形の中で、この法律を踏まえまして総理府令で定めてございます。この定義をちょっと申し上げますと、三つほどございまして、一つは「個室に接続する車庫の出入り口がとびら等によってしゃへいできるもの」それから「車庫の内部から個室に通ずる専用の人の出入口又は階段若しくは昇降機が設けられているもの」「個室と車庫とが専用の通路によって接続しているものにあっては、当該通路の内部が外部から見えないもの」こういうような形で四十七年に総理府令が出ておるわけでございます。これがいわゆるモーテルという形の定義になっておるわけでございますが、この規定に該当する営業としては、現在全国で約三軒というふうに聞いております。(石川委員「三軒ですか」と呼ぶ)いわゆるこの規定によるモーテルと定義されておるものは三軒、こういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/30
-
031・石川要三
○石川委員 どうも私、法律のことはよくわからないのですけれども、そうしますと、いまの説明によりますと、そういう何か車庫が個室につながるとかなんとか、いろいろとありまして、そういうものに合致しているものが日本には三軒しかない、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/31
-
032・林崇
○林説明員 いわゆる風営法の四条の六でいうところのモーテルというのは三軒でございます。先生のお話の中にございましたいわゆる一般のモーテルという形のものが実は存在するわけでございますけれども、これは現在旅館業法上そのモーテルという区分をつくっておりませんので、私の方といたしましてもいまのところ数としては把握していない、こういうのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/32
-
033・石川要三
○石川委員 はなはだ理解に苦しむ点があるのですが、そうしますと、ちょっと聞き取れなかったのですが、モーテルというのは、法律によりますと、そういう車庫が遮断されているとか、そこからまた特定の通路があって個室に入れるとか、そういうものがモーテル、こういうふうに言われたわけですね。それが三軒しかない、こういうわけですね。そうですね。私、実はこの質問をする前にやはりこの実態をつかまなければいけないと思って、選挙区の関係者の方に御案内をいただいて数軒見てまいりましたのですが、ほとんど車庫は大体もうカーテンがおりている。カーテンというのは、あれは遮蔽されているというふうに解釈できると思うのですが、そういうふうになっているようですが、そうすると三軒どころではない。選挙区だけでも大変な数になるのですが、そのことはどういうふうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/33
-
034・林崇
○林説明員 いまお尋ねの点につきましては、風営法に発しました総理府令という規定の定義上の問題でございますので、ちょっと私の方ではお答えいたしかねるということでございます。所管の方にお聞きいただければということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/34
-
035・石川要三
○石川委員 そうしますと、担当の方がいらっしゃらないのでこれ以上ちょっと追及できないのですけれども、いずれにしましても、現在のそういう通称言われるモーテルというものは、完全に車庫に車が入ると何かカーテンがばちっと閉まってだれの車だかわからない、こういうようなもので、そこから先は何か特別に部屋に入るような装置のものもあるし、そうでないものもあるようでございますが、ほとんど大体そんなような状態であります。そういう法律というのはいずれにしましても、このモーテルというものは、特に私の乏しい知識では、アメリカ大陸のような大きな国に行きますと、東から西、南から北に行くのにも大変な時間がかかる。そこで車を使う場合に途中で、要するに休憩をする、あるいは一泊するというようなときに使う、こういうホテルと私は思っておりますけれども、日本の場合は大分それが変形してきたわけです。恐らく、諸外国で発生したそういう本当のモーテルというものはさっき言ったように数軒しかないのではないかと思うのですが、今日もう何万とあるようなものはほとんどそうでない。目的が変形されたものですね。そういうふうにあなたも解釈をしていると思いますが、法律的なことは抜きにして、そういうふうに認識されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/35
-
036・林崇
○林説明員 いわゆる法律上のモーテルというものは三軒と申し上げたわけで、それ以外にいま御指摘の、いわゆる一般モーテルというものは多々あるということはもう十分承知をいたしておるわけでございます。これにつきましては旅館業法上の許可ということに係らしめておるわけでございます。従来、旅館業につきましては公衆衛生の見地からいろいろの規定をしてきたわけでございますが、その後法律を改正いたしまして、一応新たな、善良なる風俗が害されることのないように必要な規制を加えるというような旅館業法の改正を行ったわけでございます。具体的に内容を申し上げますと、一つは、営業者の資格要件を規定しているとか、あるいは営業の施設の設置場所の規制、いわゆる営業施設の設置場所が学校の敷地の周辺おおむね百メートル以内、こういうようなところにつきましては、清純な教育環境が著しく害されるおそれがないというようなことでないと許可を与えないという改正を行ってございます。それから善良なる風俗が害されるような物件等の備えつけを禁止、こういうようないろいろな形の中の風俗の面の規制というのを旅館業法で行えるようにしてきたわけでございます。それからその後も改正をいたしまして、設置場所の規制の追加というような形で、教育環境だけでなくて、学校以外のいわゆる児童福祉施設、そういうような形の規制も行ってきたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/36
-
037・石川要三
○石川委員 確かにいろいろと法律的な立場から見るとそのようなことで今日努力をされていることはよくわかります。しかし、実際問題として、普通、モーテルと言われるもの、日本語では旅荘なんというのもありますけれども、いずれにしましてもそういうものはもう明らかに特殊なホテルというか、特殊な場所であり、明らかにそこで性の交渉が行われているということはもう事実だと思うのです。そういう中からいろいろと犯罪が今日まで起こっております。これは年々、むしろ減りはしないでふえているような傾向ではないかと思うのですが、こういうような、だれが見ても、子供を連れて歩いたときにちょっと子供に親が質問されたらもう赤面するような、そういう状態がだんだん非常に顕著になってまいりました。もう今日、夜歩いてみれば、そういったような施設は全く二十四時間ぶっ通しで物すごくけばけばしいライトをつけて宣伝をしている。こういうようなモーテルについて、大変私は青少年に与える害悪というものははかり知れないものがあると思うのですね。そこで、これは関係の省がなかなかはっきりつかめない。いま厚生省の関係者に聞いても、少し行き過ぎるともうそこは私の方の関係ではないというふうになるし、どこでどういうふうにこれを追及していいか、ちょっとつかみにくいような点もございます。
そこで、全体として、こういうようなモーテルというものを野放しにしていくということは、これは教育環境を大変害しているというふうに私は思うのですけれども、まず大臣はモーテルというものを、もちろん御使用にはならないでしょうけれども、それを見たことなり、実際見ての御認識の程度をお伺いしたいし、そしてこのような野放しの状態に対して、青少年の健全育成というものの行政をつかさどる最高の責任者としての文部大臣としての御見解、これをひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/37
-
038・砂田重民
○砂田国務大臣 児童、生徒の非行の原因というのは非常に多種多様な要素が複雑に絡み合っております。しかし、御指摘のような環境の乱れも非常に大きな要因になっている事実を認めざるを得ません。モーテルについてのみお述べになりましたけれども、モーテルの問題も、ピンク映画の問題も、雑誌の問題も、テレビの低俗番組の問題も、いずれもこういう教育環境の乱れというものが児童、生徒の非行の原因になっているということは、非行が起こりましたときにその背景の調査をいたしますたびに出てくる問題でございます。いまモーテルのことについてお尋ねがございましたけれども、車で走ればすぐに目につく状態、いまのような野放し状態になって、しかもあのような看板が乱立しているような状態を放置しておいていただきたくない。ただ、私の所管事項ではございませんから、少なくともPTAなりあるいは社会教育団体等といままでもやってまいってきておることではありますけれども、PTAなりあるいは社会教育団体というものは、全国団体もありますけれども小さい範囲の地域社会でも活躍をしていただいていることでございますから、都道府県教育委員会、市町村教育委員会ぐるみで、学校の近くに少なくともモーテルがあるような状態はこれは排除をしていただかなければなりませんので、そのようなことを一緒になお一層努力をして取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/38
-
039・石川要三
○石川委員 確かに教育環境はそれだけではございません。さらにたくさんございますが、きょうは時間の関係もありますから、もう一点だけお伺いしたいと思います。
もう一つは、実は自動販売機で最近非常に安易に低俗な書籍が求められるようなシステムになっておりますが、これもまたモーテル以上の公害を発しておると思うのです。これも参考のために私はきのうその販売機のあるところに行って、どんなものがあるのか、それを買ってまいりましたが、もう本当に、見て赤面、口に出すのも恥ずかしい、むしろ常識ある人ではとてもじゃないが語れない、質問の中に入れられないような内容でございます。これが低廉にしてきわめて安易に自由に手に入るというこの状態ですね。これの取り締まりは私の対象ではないとか、いろいろと出てくると思うのです。しかし、これはもうだれの管轄であるとかないとかじゃなくして、日本の教育をもっとよくする、そして青少年の非行化を撲滅していくという考えに立つならば、当然これはそういう所管の問題などということではなくして、積極的にこれに取り組んで何とか対策を立てなければいけないのではないか、こういうような非常に怒りを感ずるわけでございますが、それに対して、それが対策が可能なのかどうか、またその意思、そこらを大臣なり、もし可能性があるならばそこらの行政的な面の責任ある方々の御見解、これを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/39
-
040・砂田重民
○砂田国務大臣 週刊誌の自動販売機につきましては、先ほどもちょっと触れましたPTAなりあるいは社会教育団体、これがそれぞれの自治会と非常に密接な連携があるわけでございますから、そういう活躍もありまして、各都道府県で青少年育成条例を制定をいたしましてこれの取り締まりをやってきてくださったわけでございます。これは三十八の県で青少年育成条例が制定をされまして、その中の十三の県でいま御指摘の雑誌の自動販売の規制をしていただいているわけでございます。まだ十三府県でございますから、なお一層都道府県教育委員会を通じたりあるいはPTA連合会を通じたりして、この青少年育成条例に基づいての雑誌の取り締まりをより多くの府県で取り上げてくださるようになお一層の努力をしてまいらなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/40
-
041・石川要三
○石川委員 モーテルといい、この自動販売機の問題といい、自由営業、それから言論の自由、こういうものとの関係を考えますと、なかなかむずかしい点が多々あるということは十分に私も存じております。しかしながら、もう今日の要するにモーテルといいあるいは自動販売機、これは教育環境の中の最たる二点を申し上げたのですけれども、こんな国は、私は諸外国においてもこれほど乱れているものはないと思うのです。こういうことを法的に取り締まることがなかなかむずかしいんだということはわかりますが、そうかといって、仕方がないんだ、ただこれに自省を何か期待するというだけではとてもこれはやっていけないと思う。ですから何か、これはもう青少年の問題、教育の問題としてぜひ大臣に、法的ないろんな技術的なことは私はわかりませんが、ひとつ最大のお力を示していただきたい。これは多くの善良な市民、特にそういったような青少年を抱えておるお母さん方の切実なる気持ちでございますので、ひとつ頭にとめて対処をいただきたい、かように要望を申し上げまして、私は質問を終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/41
-
042・菅波茂
○菅波委員長 これより、参議院提出、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案については、質疑の申し出がありませんので、これを省略することといたします。
この際、本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る修正案が、唐沢俊二郎君外五名より提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。唐沢俊二郎君。
—————————————
女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/42
-
043・唐沢俊二郎
○唐沢委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、ただいま議題となっております女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について御説明申し上げます。
案文につきましては、すでにお手元に配付されておりますので、朗読を省略させていただきます。
修正案の趣旨は、女子の学校栄養職員が出産する場合についても、女子教育職員の場合と同様に補助職員の臨時的任用を行うことにしようとするものであります。
何とぞ委員各位の御賛成をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/43
-
044・菅波茂
○菅波委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において意見があればこれを許します。砂田文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/44
-
045・砂田重民
○砂田国務大臣 ただいまの修正案につきましては、一般類似の職員との関連性から見まして困難であると考えられますので、政府としては賛成いたしかねます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/45
-
046・菅波茂
○菅波委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
まず、唐沢俊二郎君外五名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/46
-
047・菅波茂
○菅波委員長 起立総員。よって、唐沢俊二郎君外五名提出の修正案は可決いたしました。
次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/47
-
048・菅波茂
○菅波委員長 起立総員。よって、修正部分を除いた原案は可決し、本案は修正議決いたしました。
なお、ただいま修正議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/48
-
049・菅波茂
○菅波委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/49
-
050・菅波茂
○菅波委員長 次回は、来る十七日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十八分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108405077X02019780512/50
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。