1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年五月二十六日(金曜日)
午前十時七分開会
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委員の異動
五月十三日
辞任 補欠選任
片山 正英君 玉置 和郎君
五月二十六日
辞任 補欠選任
熊谷 弘君 成相 善十君
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出席者は左のとおり。
委員長 藤原 房雄君
理 事
源田 実君
望月 邦夫君
松前 達郎君
塩出 啓典君
佐藤 昭夫君
委 員
亀井 久興君
中山 太郎君
永野 嚴雄君
成相 善十君
安田 隆明君
山崎 竜男君
小柳 勇君
吉田 正雄君
中村 利次君
柿沢 弘治君
国務大臣
通商産業大臣 河本 敏夫君
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 熊谷太三郎君
政府委員
科学技術政務次
官 上條 勝久君
科学技術庁長官
官房長 半澤 治雄君
科学技術庁原子
力局長 山野 正登君
科学技術庁原子
力安全局長 牧村 信之君
科学技術庁原子
力安全局次長 佐藤 兼二君
資源エネルギー
庁次長 大永 勇作君
資源エネルギー
庁長官官房審議
官 武田 康君
事務局側
常任委員会専門
員 町田 正利君
説明員
運輸省船舶局首
席船舶検査官 赤岩 昭滋君
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本日の会議に付した案件
○原子力基本法等の一部を改正する法律案(第八
十回国会内閣提出、第八十四回国会衆議院送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/0
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001・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る十三日、片山正英君が委員を辞任され、その補欠として玉置和郎君が選任されました。
本日、熊谷弘君が委員を辞任され、その補欠として成相善十君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/1
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002・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) 原子力基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/2
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003・小柳勇
○小柳勇君 きょうは、エネルギー政策とその中における原子力の位置づけ、それから二番目に原子力政策と米国の原子力政策及び日米原子力協定、第三が原子力の開発計画について、四番目にこの法案に対する、いろいろ問題がありますので、その法案の問題点、それから原子力発電所の運転状態について、それから六番目に、政府並びに委員会が一生懸命に努力しておりますけれども、なお国民的な合意がなかなか得にくい、そういう問題について、最後に、原子力船「むつ」の取り扱い及び今後の原子力船、したがって原子力船開発事業団の今後の問題についてということを質問いたします。
少し問題が多うございますので、三時間あるそうでありますから、あるいは残るかもしれませんが、残った分はまた次の機会にやらしてもらいますが、原子力船「むつ」の扱いと原子力船事業団の問題は午後にやります。これは原子力船事業団の根本的な問題を論議したいので、運輸省の方は、もしおられたら、午前は大した問題はないと思いますから、お帰りになって、少し根本的に、原子力船事業団は、もうしばらくこれは要らぬのではないかという気がいたしまして、そういう問題をお一人で答弁できたらそれでいいですけれども、もしも大臣との相談でもあれば、退席して結構です。
以上の問題を要点だけ質問してまいりますから、要点だけ答弁をしてください。
まず第一は、エネルギーのこれからの需給暫定見通しの中における原子力エネルギーの位置づけであります。この問題について、エネルギー庁の方から、昨年六月の需給部会の数字は一応ここに持っておりますけれども、なおこれに対するいろいろ意見もありましょうから、そういう御意見を拝聴いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/3
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004・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) 昨年、総合エネルギー調査会におきまして、昭和六十年度におきますエネルギーの需給につきましての暫定見通しを行ったわけでございますが、これは二つのケースがございまして、現状維持ケース、現在の政策を継続していった場合、それから対策促進ケースということで、諸般の促進対策をとった場合と、二つのケースがございますが、この対策促進ケースの方で見ますと省エネルギー前のエネルギー需要は、昭和五十年度が三・九億キロリッターに対しまして七・四億キロリッターになるということでございます。それに対しまして、一〇・八%の節約をいたしまして、省エネルギー後の需要としましては六・六億キロリッターということでございますので、昭和五十年度の三・九億キロリッターに対しますると約一・七倍の需要になるということでございます。これを石油、原子力、LNG、石炭、水力等々で賄っていくわけでございますが、原子力につきましては、三千三百万キロワットということで、総エネルギー需要の七・四%を占めるというふうに見通しを立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/4
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005・小柳勇
○小柳勇君 これは昨年つくられたのですけれども、六十年度から六十五年度までの見通しがあります。いま、この見通しを実現できるだろうと思っておる者は学者の中にも評論家の中にもおらぬように思います。特に、今回原子力基本法というのが改正されて、安全委員会などで相当のチェックがなされるであろうが、この長期エネルギー需給暫定見通しに対して、そのままこれが通ると見ておられるのかどうか、もう一回お聞きして、その後、私の意見を申しましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/5
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006・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) 原子力発電所につきましては、すでに稼働中のもの、それから建設中のもの、建設準備中のものと、いろいろございますが、これらを合計いたしますと約二千四百万キロワットということでございますので、この暫定見通しにおきます三千三百万キロワットの稼働を昭和六十年度において実現いたしますためには、これから昭和六十年度までに間に合うように、なお九百万キロワットの原子力発電所の建設に着工しなければならないということでございまして、確かに先生御指摘のように、これは現在の情勢下におきましてはなかなか大変なことであるということはわれわれも十分認めておるところでございますが、諸般の立地対策、もちろん安全対策を前提としての立地対策でございますが——を推進いたしますことによりまして、何とかこの三千三百万キロワットを達成したいというのが現在のわれわれの気持ちでございます。
電力会社におきましても、長期電力の需給計画というものを立てておるわけでございますが、これも数字的にはおおむね昭和六十年度におきまして三千三百万キロワットの目標ということでほぼ一致をしておるというような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/6
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007・小柳勇
○小柳勇君 午後、通産大臣が見えたら、これからの産業構造の計画の中にいまあなたがおっしゃったこのエネルギーの需給暫定見通しを織り込んでまいるのかどうか聞きますけれども、原子力以外のエネルギーについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/7
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008・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) 原子力以外の代替エネルギーとしまして一番大きいのはLNGとそれから海外の石炭でございます。それから全体として、代替エネルギーという意味でなくて、一番大きいのはもちろん石油でございます。
この石油につきましては、昭和六十年度四億三千二百万キロリッターというものを考えておるわけでございますが、これはおおむね一日の量にしますと七百万バーレル・一日当たりということでございますけれども、これが一つは確保できるかどうかということが大きな問題でございますが、IEA、国際エネルギー機関等におきまして、将来のIEA加盟参加国のエネルギー需給を見通します場合にも、おおむね日本の輸入量についてはいま申し上げました七百万バーレルというふうなことは前提として計画をつくっておるというふうなこともございまするし、おおむねこの七百万バーレルの確保は可能ではなかろうかというふうに考えております。
それからLNGは、昭和六十年度におきまして三千万トン考えておるわけでございますが、この三千万トンのLNGにつきましては、現在、すでに御承知のように、アラスカ、ブルネイあるいはアブダビ、それからインドネシア等々におきまして計画が進捗いたしておりまするし、今後も豪州のプロジェクトでございますとかあるいはイランのプロジェクトでございますとか、幾つかのプロジェクトが計画中でございますので、これもほぼ達成可能ではないかというふうに考えております。
それから一般炭でございますが、これは海外からの一般炭の輸入を昭和六十年度に千六百万トンということに計画をいたしておりまして、これをこなしますためには、国内に石炭火力を建設していかなければならないということで、先生詳しく御承知のように、九州の松島でございますとか、松浦でございますとか、いろいろ石炭火力の建設計画を立ててまいっておるわけでございますが、もちろんこれに既存の計画だけでは足りないわけでございまして、今後石炭火力をさらにふやすべく、最近この石炭火力の問題につきましての懇談会というものを設置いたしまして、電力業界、石炭業界等と一緒になりまして検討をいたしておる次第でございまして、これに絡みます公害対策あるいは灰捨て場の問題等々につきましてのめどが立ちますれば、これもかなり有望ではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/8
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009・小柳勇
○小柳勇君 海外石炭の中で、たとえば中国からの輸入炭とか、その問題が一つ。それから国内炭で、最近国内炭の見直しということで石炭業界などが猛運動をやっていますが、中国の石炭もこれからもう少しふえると思います。私どもも昨年話し合ってきましたけれども、その中国炭の輸入増やあるいは国内炭の見直しなど、問題を二つに分けて御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/9
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010・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) 海外の輸入炭につきましては幾つかのソースを考えておるわけでございますが、先生御指摘のように、中国とそれから豪州、オーストラリアが主要なものになろうというふうに考えております。
中国につきましては、主として電源開発株式会社が中心になりまして中国の方と交渉をいたしておりまして、おおむね所要の数量につきましての目標が立てられたというふうに聞いておるところでございます。
豪州につきましては、ブレアソールの開発でございますとか、非常に大きな計画も一方におきましてあるわけでございますが、現在ではそういった非常に大きな開発計画というのは、まだ国内の方にそれを受け入れるだけの石炭火力が存在いたしませんので、むしろ既存の山を中心にして買うということでやっておるわけでございますが、年間にいたしまして数百万トン程度の石炭というものは既存の山からでも確保できるのではないかというふうに考えております。
それから国内炭でございますが、国内の石炭全体は現在二千万トンを維持することを目標にやっておるわけでございますが、諸般の事情で千八百万トン台というのが現実に生産しておる姿でございますが、この約半量は、先生御承知のように、電力を中心にいたします一般炭でございます。
最近の需給の状況を見ますと、電力の需要につきましてはほぼ当初の目標どおりの引き取りが順調に行われている。これは北海道につきましても、それから揚げ地の火力におきましても順調に引き取りが行われておるという状況でございますが、暖房炭等の需要が予想外に落ち込んだような影響もありまして、一般炭の山元在庫がふえて、現在その引き取りに困っておるというのが実情でございますが、われわれといたしましては、二千万トンという目標があるわけでございますので、それに沿いまして、国内炭の需要確保については、電力を含めまして万全を期していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/10
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011・小柳勇
○小柳勇君 六十年度は国内石炭二千万トンですが、六十五年度も二千万トンの見通しになっています。いま、そうすると、もう政府としては、国内炭の見直しというのか、増炭計画については全然検討していない、現状維持ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/11
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012・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) 現在におきましては二千万トンということをベースに考えておるわけでございますが、しかし全然それでは新規の開発の計画について考えてないかと申せば、必ずしもそうではないわけでございまして、北海道におきましても二、三の地域におきまして新しく石炭を開発したらどうかというふうな計画がいま現実にはあることはあるわけでございますが、ただ、これにつきましては公害の問題、それから漁業との調整問題、その他いろんなむずかしい問題もございますので、急に結論を出すことはなかなか困難でございますので、今後とも長期的な課題として研究をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/12
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013・小柳勇
○小柳勇君 漁業との調整というのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/13
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014・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) 広い意味での公害の一種になろうかと思いますが、サケ・マスの川との関係等々があるように聞いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/14
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015・小柳勇
○小柳勇君 可採炭量については相当問題があると思うけれども、埋蔵量七億トンと、こう言っておるわけで、いま一生懸命に石炭協会や炭鉱労働者諸君が陳情をしています。可採炭量あるいは保安などを考えますと、私も十分自信はございませんけれども、いまこれから、まああとずっと論議していきますけれども、原子力について一生懸命にいま科技庁長官もがんばってこれからやられると思うけれども、諸外国、先進諸国もそうだし、わが国でも少なくとも十年ぐらいは原子力発電によってエネルギーを増産するという増加体制は困難ではないかという見解です。
いま私、ここに学者の書いた表を持っていますけれども、いまあなたが見解を述べられたのは促進対策、各エネルギーの促進対策をやった上のケース。現状維持のケースでは、いまおっしゃったようなことは出てこないのです。
いま、原子力基本法を改正をして安全委員会をつくりますと、そのことは、いわゆる促進するための安全委員会であれば、これは意味ないですしね、いま原子力委員会があるんですから。これは原子力委員会があるけれども、規制と促進と両面はいきませんから安全委員会をつくるというのが主張ですね、今度のこの委員会の大きな目的ですね。安全委員会をつくった以上は、いままでのような促進ケースでエネルギー対策を考えるわけにいかぬのじゃないかと思うわけですよ。これはアメリカもそうです。二年前に、ちょうどいま日本がやっているようなことをやったんですから、規制と促進と両方分けて委員会をつくったわけです。後でこれは質問いたしますよ、これは科技庁に質問いたしますけれども、したがって、私は、この現状維持、まあそれよりも少しは促進しなきゃなりません。あと、今度は省エネルギーの法案も出るようでありますから、エネルギーを節約するということ、これも一つあります。
しかし、いまあなたがおっしゃったような数字を、私もこれずっと、予算委員会以来ずっと一年ぐらい検討してきた上でのいま質問をやっているわけなんですけれども、そういう意味から、それではもう一回質問しますけれども、昭和六十五年の対策促進ケースにおけるこの需給見通しについては自信がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/15
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016・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) 昭和六十五年につきましては、総エネルギー需要七・九二億キロリッターということでございまして、そのうちで、石油は余りふやすわけにまいりませんので、六十年の四億三千万キロリッターが六十五年におきましては四億五千万キロリッターということで、わずかな増にとどまることといたしまして、原子力につきましては六千万キロワット、それからLNGにつきましては四千四百万トン、それから一般炭の輸入につきましては四千万トンという数字を見込んでおるわけでございますが、これは現在考えております政策以上にさらに強力な促進策を講じないと、なかなか進まない面も確かにあろうかと存ずるわけでございます。今後五年あるいは十年の間にどういう対策がとられるか、それからまた国民全体のエネルギー問題に対するいわゆるパブリックアクセプタンスと言っておりますが、そういう御理解がどの程度得られるかということによってこの成否は決まってくるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/16
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017・小柳勇
○小柳勇君 今度はこちらの方に、長官には後で質問いたしますが、原子力安全局長に質問しましょう。
いまの質問のとおり、このエネルギー需給見通しというのは、対策促進ケースでいまエネルギー庁は御答弁になっています。対策促進のケースと、それから対策現状維持のケースとでは、相当のカーブの開きがあるわけです。昭和六十五年になりますと相当開くと思いますね。いま原子力基本法を、安全委員会をつくる、原子力委員会のほかに安全委員会をつくるということは、これは促進ではなくて規制ですね。まず、その原則を聞いておきましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/17
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018・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 今回の原子力安全委員会を設置していただきたいという法律の修正をお願いしております一番の理由は、従来原子力委員会は開発の促進と安全の規制の、その両方の事務を所掌し、それを有機的に結合させるという線でやってきたわけでございます。そのようなやり方に対して、総理府に設けられました原子力行政に関する懇談会におきましても、開発面にウエートをかけ過ぎてきたきらいがあるのではなかろうかという外部の批判があることをお認めになられまして、そこで現在の原子力委員会を二分いたしまして、原子力の安全規制にかかわる事項につきましては安全委員会に所掌せしめるということにした案をお出しになったわけでございます。今回、行政庁としてもいろいろ検討した結果、この答申に基づきまして、現在のような案を御提出し御審議をいただいておるわけでございます。したがいまして、この安全委員会というものは、安全確保につきましての業務につきまして、機能的に原子力委員会とは全く独立して、その所掌もはっきり分けられてつくられるわけでございます。したがいまして、私どもの考えとしては、原子力の開発というのは、原則として、いままでもそうでございますけれども、安全を確保しつつ進めるというのが基本的な考え方でございますので、この基本的な考え方を、さらに原子力安全委員会の設置によりまして、各行政庁が行います原子力行政が、開発と安全確保ということが必ず前提となって、あるいはバランスをちゃんととって進められるということを考えておる次第でございます。したがいまして、われわれとしては、そのような、一層厳密に安全の確保を図るという安全委員会の方針のもとに、国民の信頼とか理解を得まして原子力開発が進められるというような事態に持っていきたいということを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/18
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019・小柳勇
○小柳勇君 このいまの原子力安全局長が、今度この法案改正になりました後、安全局長になられるんでしょう。長官、いまの安全局長が、この法案が通りました後また安全局長になられるんですか、ちょっとお聞きしておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/19
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020・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) 大変むずかしいお尋ねでございまして、恐縮でございますが、大体安全委員会ができますと、いまの原子力安全局がその安全委員会の事務局になる、こういうことは大体考えているところでありますが、ただ、人事だけは、ここで果たしてその後どうなるかこうなるか、確実なことは申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/20
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021・小柳勇
○小柳勇君 確実ではないですけれども、この原子力安全局というのは、安全委員会の事務局になるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/21
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022・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) そのとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/22
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023・小柳勇
○小柳勇君 わかりました。
いまの安全局長の答弁では、ちょっと事務局としては非常に心細いですね。いま原子力基本法を改正しようとするのは、促進、促進でいっては国民が納得しない、この際、安全委員会をつくってダブルチェックをやりながら、安心して原子力発電所の建設ができるように、国民の合意も得なきゃならぬという意味も法案改正の中には含まれているでしょう。そうするならば、促進か規制かと言われたら、安全局長は規制ですと御答弁あるのが当然だと思って質問したところが、どうも調和とか何とか、はっきりおっしゃらぬが、もう一遍、じゃ答弁を求めましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/23
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024・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) この法律の提案の目的の中にもありますように、原子力の開発は、先生おっしゃいますように、国民の理解と協力を得て円滑に進めることが原子力の開発をするに当たって非常に重要である、そのためには安全の規制を十分に行うという趣旨で、安全委員会が設置されると私は解釈しております。したがいまして、開発をわざわざブレーキするためにつくったものではない。私は、現在の科学技術の水準を踏まえて、安全に規制して開発を進めるべきであるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/24
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025・小柳勇
○小柳勇君 これはアメリカのフォード財団で言っている研究報告なんですけれども、アメリカで安全委員会をつくりましたのは、規制だとちゃんと書いているんですよ、アメリカの方ではね。私は、安全局長がそんな答弁じゃ、いま原子力基本法を改正をする意味がないんじゃないかと思うんですよ。いままでは、まだ科技庁長官のもとにありますから、これは後でまた——私質問通告しておりますけれども、安全委員会事務局の重大性というものを、それじゃ長官から聞いておきましょうかね。この基本法を改正している大きな目的は、いままでは促進しなければならなかった、エネルギーが足らないから、石油は輸入だし、石炭はもう衰微するし、日本のエネルギーを考えたら、原子力発電というものをうんと促進しなければならなかったのです。ところが非常に地元で反対があります。国民も不安です。だからもう一歩ダブルチェックしながら、安全ですよということで、しかも安心する体制をつくるためにこの法改正をするのでしょう。そうしましたら、安全委員会というのは規制じゃないかと思うのです。その点どうでしょうかね、長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/25
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026・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) これまた大変むずかしい御質問でございますので、適切な御答弁ができるかどうかわかりませんが、規制か促進かと言われれば、これは安全局長もいろんな説明はしておりますが、結論としましては、やはり安全に対する規制であると、このように考えます。ただこの際、つけ加えて申し上げますと、安全を規制して国民の方に御納得していただくことが結局大局的な促進につながるということもありますので、安全か規制かと問われれば規制であるというお答えはもちろん当然でありますが、ただ大局的には、やはり国民の方に安心していただく、地元の方に安心していただいて、そして着実に進めていくと、こういうことにもなりますので、その点もあわせてお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/26
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027・小柳勇
○小柳勇君 それでは今度は原子力局長に質問いたしますが、五十年度の原子力は六百六十二万キロワットですね。この需給見通しの表によりますと、五十年度の実績は六百六十二万キロワットなんです。過去五年間に原子力発電というのは何%前進していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/27
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028・山野正登
○政府委員(山野正登君) ただいまが約八百八十万でございますので、大体それと比べまして、五十年から現在までの間に三割程度の伸びというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/28
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029・小柳勇
○小柳勇君 そういたしますと、六十年度から六十五年度、五カ年間に倍に原子力発電が前進するようになっています。この点について、エネルギー庁の次長、どういう御見解ですか。いま原子力局では、五十三年でいま八百八十万ですから、約三割前進する。ところが暫定需給見通しでは、三千万キロワットのものが六千万キロワットに見通しができていますね。可能でしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/29
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030・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) 先ほどもちょっとお答え申し上げましたわけでございますが、先生も御承知のように、最近各地におきます原子力発電所の設置に対しまして、いろいろ地元の反対等々があるわけでございます。こういったような状態が続きますれば、確かに先生御指摘のように、五年間に二千七百万キロワットの設置をするということは、年間にいたしますと五百万ないし六百万のベースでございますのでなかなか大変だと思いますが、われわれといたしましては、先ほども申し上げた次第でございますが、いかにしたら原子力に対します国民各位の御理解が得られるかどうかというパブリックアクセプタンスの問題に取り組んでおるわけでございまして、そういった国民的な合意が原子力につきまして形成されるならば、そういうことを前提にいたしますならば決して過大な数字ではない、資金の問題あるいは土地の問題等々から見ての過大な数字ではないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/30
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031・小柳勇
○小柳勇君 いままで論議しているように、これは対策促進ケースなんですよ、両方とも。ところが、今度原子力基本法を改正されて、促進よりも規制、促進と規制の調和でもいいですよ。安全局長が調和とおっしゃるから調和でもいいけれども、促進と規制の調和をしなければならぬ。いままでないんですから、安全委員会というのは。ないのに三割しか過去数年間のうち前進していませんね。これからだってなお前進するわけにいかぬでしょう、急速度に。しかも諸外国でも、欧州でも米国でも原子力発電に対する不安、各国ともそうでしょう。もう足踏みでしょう。ここに資料が全部あります。持ってきていますよ。アメリカのこれだって十年間は不安との闘いだと書いています。絶対伸びないと書いていますよ、原子力発電は。にもかかわらず六十五年度六千万キロワットを……。じゃ、これを産業構造の基礎にしてエネルギー庁は——後で通産大臣に私答弁を求めますけれども、これはあなた方はエネルギー庁として責任を持ってこれから日本の産業構造の基礎にこの数字を使いますか使いませんか、答弁を求めましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/31
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032・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) 安全問題でございますが、われわれは原子力の開発を進めるに当たりましては、安全問題というのはもうこれは不可欠の前提であるというふうに考えておるわけでございます。今般、安全委員会が設置されることになりますると、この安全問題に対する国民の信頼というものもより強くなってくるんじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味におきましては、この安全政策の推進というのは、開発につきましての国民的な合意を取りつける一つの前提ではないかというふうにむしろ考えておる次第でございまするので、国民各位の原子力の安全性に対する理解が深まれば、そうして、先ほど申し上げましたような形でエネルギー問題についての国民の理解が深まれば、原子力の開発というのはより進むのではないかというふうに考えておるわけでございます。エネルギーの面から見ますと、先ほど申し上げましたように六千万キロワットというのを対策促進ケースの昭和六十五年度の見通しにしておるわけでございますが、現在、産業構造全体につきましての昭和六十五年度を目標年度にした計画はまだできてないわけでございます。しかしながら、そういうものが策定されることに相なりますれば、われわれといたしましてはこの数字をベースにして、エネルギー問題の重要性につきましてそういった審議の中に取り込まれるように持ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/32
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033・小柳勇
○小柳勇君 重ねて念を押しておきますけれども、いま学者、評論家の諸君もそうだけれども、この需給見通しの対策促進ケースで前進するであろうと言っている人は一人もいないんですよ。ほとんどないんです。一人もと言うと失礼ですけれども、ほとんどないんですよ。産業構造の基礎としてこれをお出しになるでしょうが、そういうものがやっぱり日本の産業構造を混乱せしめるんじゃないでしょうかね。もっとじみちに考えて、そして省エネルギー法案などに取り組んで、たとえば六%よりも一〇%節約というようなものにもっと大きくウエートを置いて取り組んでいかなければエネルギー庁は失敗しはせぬかと思うんだけれども。エネルギー庁としての合意でしょうか、いま次長がおっしゃったのは。もう一遍聞いておきましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/33
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034・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) エネルギー庁といたしましては、現在のこの見通しは昨年につくりましたいわゆる暫定見通しでございますので、ことしの七、八月ごろにはこれを最終的なものにすべく現在審議を進めておるわけでございますが、この原子力の数字につきましては三千三百万キロワットあるいは昭和六十五年度におきます六千万キロワットという数字を変えようというふうな議論は内部では出ておらない次第でございまして、そういう意味ではエネルギー庁といたしましての統一した考え方であるというふうに御理解いただいて結構かと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/34
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035・小柳勇
○小柳勇君 原子力局長に質問いたしますが、原子力委員会の中ではそのような議論はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/35
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036・山野正登
○政府委員(山野正登君) 原子力委員会は、御承知のように原子力の平和利用の重要事項につきまして企画、審議、決定する任務を持っているわけでございまして、その中の一環としまして、将来の原子力発電規模の目標値の設定というのも重要な任務と考えております。で、ただいまのところ、原子力平和利用の長期計画というのがございますが、現在のものは昭和四十七年に策定されたものでございますので、ただいまその改定作業に着手いたしておりますが、その改定作業の中で、御指摘のような開発目標というものについての御審議というのも行われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/36
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037・小柳勇
○小柳勇君 その改定した案、最終結論はいつごろ出るんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/37
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038・山野正登
○政府委員(山野正登君) 本年の夏を目標といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/38
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039・小柳勇
○小柳勇君 後の日本の原子力開発の問題のときにも質問いたしますけれども、少なくとも原子力エネルギーの利用につきましては原子力委員会及び原子力安全委員会というものが計画立案などやるべきである、もとよりそれはエネルギー庁も責任がありますから、その提案はされる必要がありましょうが、原子力委員会の方でこの需給見通しの見直しといいましょうか、根本的にこれから五年なり十年先の原子力エネルギーの発電能力というものについても今度の八月のその答申で出ましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/39
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040・山野正登
○政府委員(山野正登君) 私ども原子力委員会の事務局といたしまして、お説の目標設定のための種々の作業を現在しておる段階でございまして、ことしの夏までには原子力委員会としての目標の設定というのは行われると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/40
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041・小柳勇
○小柳勇君 わかりました。
エネルギーの問題だけでもしようがありませんが、いずれにしましても、いま私どもがこの数年日本の産業構造の転換なりを論議しますときには、経済計画を見ます。経済計画の基礎にありますのはエネルギーでございましてね、もう御存じのとおりです。エネルギーの方がぐらつきますというと、産業計画がぐらついて、それがいまの不景気の大きな原因じゃないかと思うわけですよ。産業構造のはっきりしたものが、見通しがあってエネルギーがちゃんとこれでカーブを引いたように前進をして、そうしますと、それに見合う産業構造をつくっていかれる、そのためにそれを見て投資していく。いまはもうエネルギーの見通しが不安定、産業構造の見通しが不安定、だから投資ができない、それが不況である、そういうふうに私どもは理解しているわけですね。
それで、予算委員会でも何度かにわたってそういう論議をしてまいりました。したがって、エネルギー庁は責任の庁でありますし、また原子力委員会は大もとの学識経験者でありますから、現在の日本国民の不安感を安定さして、安心してこれから五年なり十年なり原子力発電できるエネルギーの量は一体どのくらいかということは、早急に定めていただかなきゃならぬ問題です。それを基礎にして、原子力が基礎じゃありませんでしょうけれども、それも大きな基礎になって、石炭エネルギー、石油エネルギー、あるいは水力、あるいはLPG、LNGというようなことでエネルギーが決まってまいると思います。原子力以外の問題については余り不安感というのはございません。したがって、いま一番国民的な不安のあるエネルギーというのは、原子力のいわゆる危険性と、それからもし石油が輸入できない場合はどうかと。何らかの事情で、あるいは中東の戦争もありましょうし、何らかの事情で石油が輸入できない場合は一体どうなるであろうかと、そういう不安、あとの不安は余りエネルギーの不安というものはもうないんじゃないかと思いますが、その不安感に対してエネルギー庁としてはどういうような対応をされますか。このエネルギーの問題の最後の質問として、エネルギー庁に質問しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/41
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042・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) 先生がいま御指摘になりました石油、これは何といいましてもエネルギーの中では昭和六十年度におきましてウエートが一番大きいわけでございますので、それが政治的な、あるいは戦争その他の事態によりまして供給中断になりましたならば、これは全体の計画が狂うというだけではなくて、国民生活全体に対しまして致命的な打撃を与えるということは、先般の石油ショックの事例に徴して明らかでございます。これに対しましては、やはり石油の備蓄ということを中心に、平素の準備をしておく必要があろうかと存ずるわけでございまして、民間ベースで九十日、さらに、現在国会で御審議をいただいておりますが、石油公団によりまして約一千万キロリッター、約十日分の備蓄の積み増しということにつきまして現在鋭意努力をいたしておるところでございます。
石油に比べますと、原子力につきましては、一たん炉の中で、燃料を入れますと、二年ないし三年ぐらいはそのまま燃え続けるわけでございますので、備蓄的な効果というのもまた原子力についてはある次第でございます。しかし、これにつきましてはこの建設問題が一番重要でございまして、先ほども申し上げましたが、やはり原子力の開発につきましての国民の合意が得られなければなかなかこれは順調に進まないわけでございますので、今後とも国民合意の得られるような原子力政策というものを中心にいたしまして努力をしてまいりたい、こういうふうに存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/42
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043・小柳勇
○小柳勇君 それでは、第二の部門の原子力政策と米国の原子力政策並びに日米原子力協定について質問いたします。
まず第一は、いまのアメリカの原子力政策、軽水炉による原子力発電の推進とプルトニウムの利用延期を骨子にするアメリカの国内原子力政策とわが国のプルトニウム再処理工場設置など、こういう関係。で、アメリカの原子力政策と今後のわが国の原子力政策との関係はどうなりましょうか、どういうふうに発展しましょうか、質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/43
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044・山野正登
○政府委員(山野正登君) 米国の原子力政策とわが国の原子力政策の基本的な相違と申しますのは、もともと原子力平和利用を進めるに当たりましては、先ほど来問題になっております安全の確保ということに加えまして、核の不拡散といういま一つの問題があるわけでございますので、これらの調和を図る必要があるということでございますが、現在カーター大統領が打ち出しております政策と申しますのは、その原子力平和利用と核不拡散強化という二つの問題につきまして、どちらかと言えば核不拡散強化という側面からいろいろな新政策を打ち出しておるということでございます。で、先生の御指摘のような、この軽水炉利用につきましても、当面はこの核燃料につきまして使用済み燃料の商業的な再処理というものは期限を定めず延期するとか、あるいは再処理の結果出てまいりますプルトニウムを利用するための高速増殖炉の開発というものもスローダウンをするといったふうな政策を打ち出しておるわけでございます。
これに対しましてわが国の原子力政策というのは、もちろん基本的に核の不拡散という問題を否定するわけではなく、むしろこれについては賛成でございまして、やはり平和利用を進める前提としては核の不拡散というものを考えなければならないという点においては米国と変わりませんけれども、しかし、それによってわが国の原子力の平和利用というものが損なわれてはならないという立場でございまして、御指摘の軽水炉につきましても、わが国は国内にほとんどウラン資源というものがないわけでございますので、これを最大限に有効活用するためには、従来考えておりましたようにやはり使用済み燃料は再処理をいたしまして、このプルトニウムを利用する。また、そのための新型動力炉の開発というものも進めていかなければならないという立場でございまして、日米間、基本的にそれほど大きな差はございませんが、どちらにポイントを置くかということにつきまして若干の差があるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/44
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045・小柳勇
○小柳勇君 局長は三月の二十四日の科技特でこんな答弁をしておられます。「濃縮の事前同意並びに高濃縮ウラン及びプルトニウムの貯蔵施設についての事前同意につきましては、これは新しい問題でございまして、恐らく将来米国がわが国に協定改定の申し入れをしてくることになるであろうと考えておりますが、その時点で国益を損なわない方向で対処してまいるというふうなことになろうかと存じます。」こう書いてございます。こういう問題については、その後米国との関係はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/45
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046・山野正登
○政府委員(山野正登君) 本年の四月の二十四日、二十五日に米国の政府担当者が日本に参りまして、核不拡散法につきまして非公式な説明会を持っております。これはもちろん交渉といったふうなものではございませんで、単なる説明会であったわけでございまして、御指摘のような濃縮あるいは高濃縮ウランあるいはプルトニウムの貯蔵施設に関する問題についてそれほど突っ込んだ話はなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/46
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047・小柳勇
○小柳勇君 で、その日の日経でこう書いているんですよ。米国がウラン濃縮規制を要求するかもしれない。日米原子力交渉でウラン濃縮規制を要求するかもしれないということを新聞が書いておるんでありますが、「日本に対し日米原子力協定の強化を要求するというもの。米代表団はこの中で、日本が人形峠に建設中のウラン濃縮パイロットプラントの商業化にクレームをつけることもあり得る。この場合、ウラン濃縮技術の国産化を図る日本の政策と、米政府の思惑とが真っ向から衝突することは避けられず、」云々と書いてございます。こういう問題についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/47
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048・山野正登
○政府委員(山野正登君) 濃縮の問題につきましては、今回の核不拡散法におきましては新しく米側との協議が必要になるということは当然考え得るわけでございまして、その点については今後の日米間の協議にまたなければならないわけでございますが、ただいまのところ私どもが岡山県の人形峠に建設を進めておりますパイロットプラントにつきましては、米側は何ら意思表示をしていないわけでございます。つまり反対という立場での意思表示というものは従来一度もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/48
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049・小柳勇
○小柳勇君 その後五月十四日のまた新聞ではこういうことを書いているんです。「核燃料サイクル確立急ぐ 技術開発早め「原子力先進国」めざす豪・欧州と積極協力」というような見出しですが、この中で「東海村再処理工場に続き処理規模を拡大した第二再処理工場の建設を進めるとともに、濃縮技術について豪州、欧州と協力し核燃料サイクルの確立を急ぐ ウランの国内備蓄や豪州、ニジェールなどとのウラン共同開発を促進、安定供給体制を整える」というようなことも新聞報道いたしておりますが、この問題はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/49
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050・山野正登
○政府委員(山野正登君) その新聞報道自体の内容については私一々覚えておりませんけれども、核燃料サイクルを確立することが現在の原子力利用の推進につきまして急務であるという点は全くそのとおりでございまして、現在の原子力政策の非常に大きな柱の一つになっておるわけでございます。いま問題にされております濃縮につきましても、現在建設中のパイロットプラントに引き続きまして、できるだけ早い機会に実証プラントを建設し、昭和六十年代には国内に濃縮の実用工場を建設したいというふうに考えておりますし、またダウンストリームのかなめでございます再処理施設につきましても、動燃事業団の東海再処理施設の現在試運転中でございますが、この施設を使いまして技術の実証ができました上は、おおよそ一九九〇年ごろを目標にしまして実用規模の再処理工場を国内に建設したい、そういったふうな諸問題を含めまして、できるだけ国内に核燃料サイクルを確立したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/50
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051・小柳勇
○小柳勇君 人形峠のプラントの建設に対しては、もう完全に了解はしてあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/51
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052・山野正登
○政府委員(山野正登君) この人形峠のパイロットプラントの建設について日米合意というのは、これは義務づけられておりませんで、私ども日米間非常に密接な関係にございますので、わが国の原子力施策というものは機会あるごとに先方とも情報交換をいたしておりますが、それは単なる情報交換でございまして、われわれが濃縮のパイロットプラントをつくるについて米側の事前の同意を求めるといったふうな性格ではもちろんないわけでございまして、当然のことながら先方も反対をするといったふうな立場にはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/52
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053・小柳勇
○小柳勇君 再処理並びに廃棄物処理についてアメリカが反対するだけではなくて、日本での国内世論として、再処理工場の建設なり、あるいはもちろん廃棄物処理には、大変でございますけれども、そのような問題が、危険性も安全性も十分国民の合意が得られていないと私は考えるのですけれども、この問題についてはどういうふうにとらえていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/53
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054・山野正登
○政府委員(山野正登君) 再処理、廃棄物の処理、処分というものも、先ほど申し上げました核燃料サイクルの確立という観点からもちろんきわめて重要でございまして、これらを進めるにつきましては、何もこの部分だけではございません、全体がそうでございますけれども、安全の確保というのがもちろん大前提でございますので、安全の確保を図りながら再処理あるいは廃棄物処理、処分といったふうなものについての必要施策を進めていくということだと思うのでございます。その際、国民一般にまだまだこれらについて、安全性についての漠然たる不安といったふうなものから、十分なコンセンサスがないという点は、そういう点も確かにあろうかと存じますので、私どもあらゆる機会を通じまして、これらの必要性とかあるいは安全性といったふうなものにつきまして十分説明を尽くしておるわけでございますが、今後ともできるだけ幅広い理解と協力をいただきながら進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/54
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055・小柳勇
○小柳勇君 一つは、ウランを購入することについて豪州の方に——少し話が伝わっておるのですが、豪州からウランを購入するという話についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/55
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056・山野正登
○政府委員(山野正登君) ただいまわが国は長期契約等によりましておおよそ十五万トン程度の天然ウランを確保しておるわけでございますが、その中に七千トンないし九千トンばかり豪州産の物が含まれております。豪州は御承知のとおり非常に有望なウラン産出国でございますので、将来ともわが国のウラン供給源として非常に重要な地域だと考えておるわけでございまして、現在も動燃事業団が現地において探鉱調査活動をしておるという状況でございますので、同国というものを非常に重要な供給源として考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/56
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057・小柳勇
○小柳勇君 再処理の事前同意の問題については、アメリカとしては、日本の動きといいましょうか、日本の考えについては全面的に支持しているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/57
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058・山野正登
○政府委員(山野正登君) わが国の再処理事業につきまして米側が見解を示しておりますのは、昨年の日米原子力交渉の結果できました日米共同決定並びにその際の日米共同声明に表明されておるところでございますが、米側といたしましては、わが国のエネルギー事情、またその中における原子力の位置づけといったふうなものにつきまして十分な理解を示しまして、確かに日本においては再処理事業というものは必要であるというふうに判断しました結果、東海の施設の運転について合意をしたわけでございまして、米側はわが方のそのような必要性については十分な理解を持っておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/58
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059・小柳勇
○小柳勇君 これも五月十二日の新聞です。「米国はわが国の英国、フランスへの使用済み核燃料の再処理委託についてわが国の事前合意の要求には応じられないとの意向を決めた。」、この問題についてはどうなりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/59
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060・山野正登
○政府委員(山野正登君) ただいま、国内において再処理の自給ができますまでの間は使用済み核燃料の大部分は海外において再処理を委託するという政策をとっておるわけでございます。その際、海外で再処理をします際に、わが国から使用済み核燃料を第三国に移転するに際しましては、日米協定に基づきまして米側の事前同意が必要なわけでございます。御指摘の問題はその件だと存じますが、この米側の事前同意と申しますのは、船積みの一件ごとに米側に求めておるわけでございまして、実は一昨日も新しく英国に対しまして再処理の委託契約を結んだわけでございますが、これらについて実際の使用済み燃料の輸送が始まりますのは大体一九八二年ごろでございますので、その輸送の始まる時点におきまして一件ごとに米側の了解を求めるというふうなことになろうかと存じます。現在の時点で包括的に先方の了解を求めるとか、あるいはそれについて先方がイエス・ノーの返事をするといったふうなことはなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/60
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061・小柳勇
○小柳勇君 米国の核不拡散法の成立が濃縮並びに高濃縮ウラン、プルトニウムの貯蔵施設についての事前同意が新たな問題となっておる、また現在日米原子力協定にうたわれておる再処理の事前同意についても、その同意がなかなか得られなくなるという問題が今後起こるのではないかと思いますけれども、この日米原子力協定の事前同意の問題で、どういうふうな見通しですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/61
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062・山野正登
○政府委員(山野正登君) 一つは、現在この核の不拡散と原子力平和利用の両立する道を求めようということで、世界の四十カ国の国々並びに四つの国際機関が集まりまして国際核燃料サイクル評価という作業をいたしておるわけでございますが、その中におきましてこの再処理問題というものを今後どういうふうに考えていったらよろしいかといったふうな検討が行われておりますので、この結論は参加国を拘束するものではございませんけれども、この結論というものは当然に各国の原子力政策というものに重大な影響を及ぼすということは間違いないわけでございますので、これらの活動を通じまして参加国、参加国際機関のある程度のコンセンサス、またその中におきまして日米間の意見の調整といったふうなものも図られようかと考えております。で、東海の再処理工場につきましては、現在のところ二年間の運転についての合意が行われておるだけでございますので、引き続き三年目以降の運転につきましては新しく別途に日米交渉を行う必要があるわけでございますが、私どもは、昨年の経験にかんがみまして、わが国の再処理についての考え方、特に核不拡散政策を絡めての考え方というものを十分に米側に説明をいたしますならば、従来同様に米側は理解を示してくれるものというふうに予想いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/62
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063・小柳勇
○小柳勇君 再処理の問題を一つとりましても、日本の原子力政策というものが米国の原力子政策に追随しておるではないかと。米国がいやだと言えばもちろん再処理もできない。二カ年間オーケーして、あとはまたやっていかなければなりませんが、米国が再処理について慎重に扱っている大きな原因は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/63
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064・山野正登
○政府委員(山野正登君) 再処理の結果プルトニウムが出てまいるわけでございますが、このプルトニウムというものが核不拡散上きわめて重要な物質であるという点に着目いたしまして、米側は商業ベースでの再処理事業というものについてきわめて慎重な考えをとっているわけでございます。これは、わが国としましてもプルトニウムの管理という問題はきわめて重要な問題と考えておるのは全く米国と同様でございまして、これにつきましては、先ほど申し上げました国際核燃料サイクル評価の中でも非常に重要な問題として取り扱われておりますし、今後わが国の原子力政策を進める上におきましても特段の力を入れてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/64
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065・小柳勇
○小柳勇君 アメリカとの関係はいま日米原子力協定で話をやっていますが、発展途上国と日本との関係ですね。日米と協議しておりますが、今度は日本と発展途上国、そのいわゆる第三国は日本と同じような立場でこれから原子力の平和利用についても大きく動いていくでありましょうが、日本は第三国に対する話し合いはやっておるのかやっていないのか。もう日本さえ再処理工場をつくっていけば一応とりあえずいいんだと、そういうことであるのか、あるいは第三国の方とも話し合いながら、いまアメリカを中心とする原子力を持てる、持てるといいましょうか、主導権を持っている国との交渉をしようとしておるのか、そういう外交的な問題はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/65
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066・山野正登
○政府委員(山野正登君) 原子力問題につきましての発展途上国との関係というのは二つあろうかと思いますが、一つは、ウラン資源の保有国として発展途上国というのは非常に重要な位置を占めている国があるわけでございまして、こういう国国とは友好を保ちながら、わが国が現地に参りまして先方と協力して、あるいは単独で、いわゆる開発輸入のための探鉱調査といったふうな活動を続けておりますわけでございまして、そういう意味におきましてきわめて重要な一面を持っております。
それからいま一つは、先ほど申し上げました核燃料サイクル評価という計画には発展途上国もたくさん参加いたしておるわけでございまして、その場におきまして、欧米先進諸国ともどもに原子力平和利用の問題あるいは核不拡散強化の問題というふうな諸問題につきまして共同で作業を進めておるわけでございまして、そういう局面において協力をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/66
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067・小柳勇
○小柳勇君 アメリカの原子力政策の基本に、発展途上国その他、もちろん日本でもそうでありますが、原子力兵器にこれを使わせない、原子力を使わせないという大きな配慮があるとわれわれは承っております。日本の原子力の平和利用について、科技庁なりあるいは原子力委員会はどういう歯どめを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/67
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068・山野正登
○政府委員(山野正登君) 先生御承知のように、原子力基本法に、わが国の原子力利用は平和の目的に限るということが明記されておるわけでございまして、すべてわが国の原子力利用活動というものはこれで律せられて行われておるわけでございます。また、非核三原則という最高の方針というものも確立されておるわけでございまして、わが国がゆめゆめこの原子力というものを軍事目的に使うということはあり得ないと考えておるわけでございますが、また実施法的にも、現在の原子炉等規制法におきまして、規制の「許可の基準」の中に「平和の目的」というのがまず第一項に挙げられておるわけでございまして、お説のような危険というのは全くないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/68
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069・小柳勇
○小柳勇君 直接参議院の委員会、本会議の答弁でありませんが、いまの防衛庁長官の発言で、防衛の範囲で原子力利用も可能であるような見解が新聞報道されました。まだ直接私も聞いてこなかったんだが、インドが原子力平和利用から三年にして原子力兵器を持ったということがアメリカの原子力政策を大きく変えたと聞いています。わが国における科技庁なりあるいは原子力委員会、これからできる原子力安全委員会が、原子力の平和利用から原子力兵器への移転に対して、文書かあるいは機構か組織か、いわゆる歯どめのあるものがはっきりすれば、米国との原子力協定の交渉にも非常に大きな重みを持つんではないか、外面的に説明できるものがあればですね、そういうものが日本にはあるのかないのか。ないとすれば考えがあるのか、ないのか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/69
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070・山野正登
○政府委員(山野正登君) 先ほど申し上げましたように、原子力基本法の二条に、わが国の「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、」ということがうたわれておるわけでございますし、また、わが国の原子力利用を進めるに当たりまして、最高の方針というのは原子力委員会が企画、立案、決定しておるわけでございますが、その場におきましても、まず着眼点というのはこの点でございます。それから特殊法人等において原子力利用を進めておるわけでございますが、その設置法の中にもそのようなことが書かれておりますわけでございまして、そういった原子力委員会といったふうな機構なりあるいは法制といったふうなことによって担保されておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/70
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071・小柳勇
○小柳勇君 そういたしますと、防衛庁長官の発言は原子力基本法違反だと、そう受け取っていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/71
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072・山野正登
○政府委員(山野正登君) 私はただいま一般論を申し上げているわけでございまして、防衛庁長官の御発言の内容というのは存じ上げておりませんので、その点についてのコメントというものは申し上げるわけにはまいらぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/72
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073・小柳勇
○小柳勇君 それじゃ長官どうでしょうか。速記録を取って、もしも正確に、防衛の範囲では原子力兵器をつくっていいんだということがもし速記録にあれば、これは原子力基本法違反だと、そういうふうに判定できますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/73
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074・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) ただいま局長からお答えいたしましたように、私どももその内容を十分つまびらかにしておりませんので、ここでお答えはできませんが、そういう速記録を拝見いたしましてまたわれわれとしての考えを改めて申し上げたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/74
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075・小柳勇
○小柳勇君 速記録を私持ってくればよかったんですけれども、それを持ってきませんでしたが、新聞報道ですから、またこれは後日問題にしなきゃなりません。ただ、一番恐れられておりますのが、核燃料再処理によりましてこれが簡単に核兵器に利用できるということ、そのことがこの日米原子力協定の事前同意などをつくっておるとわれわれは理解しているわけです。したがって、それに対抗する歯どめのそれはもちろん原子力基本法にはあります。今度できるたとえば安全委員会などに、そういう歯どめになる、たとえば査察とかあるいは現場調査とか、あるいは資料提出とか、いわゆる軍事目的に利用するおそれのあるときは報告を求めたり査察したりする、そういうような安全委員会の任務を与えるとか、あるいは、それは今度の法案あるいは今後の運営規則の中で入れようと考えられておるのか、お聞きいたしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/75
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076・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 今回御審議いただいております安全委員会が発足いたしますと、原子力の、核燃料並びに原子炉に関する規制を担当するわけでございますが、この中におきまして、安全委員会並びに原子力委員会両方の権限、同じ権限でございますが、資料の提出を求めることができることが提案されておりまして、安全委員会といたしましては、規制業務一般の必要な資料の提出が求められるようになっております。また、規制法におきましては、すでに昨年秋、NPTに関係いたしまして、わが国がNPTに参画いたしまして、それに伴いましてIAEAの国際的な査察を受けるための国内法の改正が行われたわけでございます。その中におきまして、核の拡散を防止するための日本独自の査察制度並びにIAEAが行う査察を受け入れるための制度に必要な修正がすでに行われておりまして、先生ただいまおっしゃいますような点につきましては、法規制面で十分担保されておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/76
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077・小柳勇
○小柳勇君 日本学術会議原子力特別委員会の代表幹事の中島篤之助さんという方が、ある雑誌の座談会でこんなことを述べておられるんです。
「学術会議はもう三年ほど前にSALTに関連して「平和研究の推進について」という勧告を実は出している。そのなかでは、たとえばスウェーデンは平和研究所を持っていて、そこが世界で一番、核兵器がどうなっているかということについてのレポートを総合的にまとめて出していますね。日本には平和憲法があるし、原子力三原則がある。それで平和利用を担保しているんだと原子力委員会はいっているが、日本は平和研究所を持っているか。少なくとも原子力委員会が平和研究のためのスタッフをもち、核兵器の状態がどうなっていて、それが平和利用とどうからんでいるかというぐらいの研究は、当然、なされているべきだった。」と言っておられるわけだ。
この問題については、科学技術庁長官、どうでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/77
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078・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) いろいろその問題についての御質問と答弁がございましたが、いまお話に出ておりますように、あるいは原子炉等規制法でありますとか、あるいは非核三原則でありますとか、こういう非常に権威のある国としての方針決定や、あるいは法律等、これにまさる担保ということはあり得ないわけでありまして、ただ、細かく言ってくれば、そういう大原則はあるが、果たして個々の場合においてこの原則が貫かれているかどうかという点が問題になろうかと思うわけであります。そして特に必要なことは、日本としてプルトニウムならプルトニウムを、まさかこれを軍事目的に転用するなどということはとうてい考えられないことでありますが、ただ、特に現在、核不拡散を非常に強力に主張しておりますアメリカと日本、しかも残念ながら日本は、技術の面から言いましても、あるいは施設の面から言いましても、アメリカと比べて立ちおくれているわけでありますし、それからウラン等の資源につきましても、アメリカが豊富にウランを持っておるのに比べまして、日本はほとんどないといったような状況でありまして、そういう核不拡散のたてまえを強く主張しますアメリカが日本に何かといろいろな問題を持ちかけてくる、そして事ごとに平和利用推進の、何といいますか、日本に対する足かせ的な、そういうふうな作用を及ぼしてくるということはきわめて残念に思っておるわけでありますが、そういう問題の一つとしまして、いま言ったようなこの大原則をさらに何かで担保しようということが必要になってくる、対アメリカとの関係におきまして特にそういう点が必要になってくるかと思うわけであります。
したがって、いま直接に直ちにそういう平和研究所のようなものをつくってそういうことまでに進むということは申し上げられませんが、しかし、こういう大原則があるのにもかかわらず、なおかつこれを実際的に軍事目的に転用されない何らかの有力な足かせが——足かせと言うと適当じゃありませんが、何かチェック機関が必要であるということが考えられてまいりましたならば、それに応じた手段もまた考えなければならぬと、このように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/78
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079・小柳勇
○小柳勇君 私はこれ、進んだとか進まないとかという問題じゃないと思います。いま私どもはこの原子力基本法の改正案を論議しておりますが、衆議院では安全委員会の権限について論議をして、付帯条件などをつけてがっちりしてまいりました。この参議院の任務は、これからの核の平和利用について、逆に言えば兵器にしない、その保障をどうするかということが私、この参議院の科技特の委員会の任務だと思う。それがはっきりしなければ、私はこの法案は今度の国会で通すべきじゃないと思う。もうちょっと日本がこれから十年、二十年たちまして、再処理工場ができて、次に今度は発展途上国などに、いまのちょうどアメリカと日本のような立場になったときも考えておかなければならぬと思うんです。たとえばインドは平和利用ということで地下核実験をやっております。七四年に核実験をやったが、あれは全部平和利用の中でできている、何の条約にも違反していないと書いている。平和利用だということです。日本の憲法は武力を放棄している。しかも原子力基本法は平和利用だと書いている。しかし、その平和利用で核実験をやった、核兵器の実験をインドはやっているというんです。だからカーター政権があわてて、再処理工場許さぬでしょう。したがって、安全委員会の中にその平和利用、いわゆる兵器に使わない査察、そういう特殊部門をつくって、安全委員会というのが憲法及び原子力基本法二条による平和利用を保障する、それが私は大きなこれからの安全委員会の任務でなければならぬと思うんです。その保障がなければ、この国会でこの法律改正を通すべきでないと思う。安全局長と長官の見解を聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/79
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080・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 原子力委員会が、ただいまの原子力委員会が平和利用を担保するための非常に強い権限を私ども持っておると思いますが、今回この安全委員会が分離いたしますと、平和利用を担保するところの問題点につきましては、主として原子力委員会が担当することになるかと思いますが、それに伴います規制政策につきましては、その方針を受けまして科学技術庁が安全局の方で推進しておるわけでございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、日本がNPT——核不拡散条約に昨年加盟いたしまして、その加盟の条件としてはわが国は核爆発装置等を開発しないということが条件でございます。平和の目的のみに原子力の開発をするということを条約に参加することによってそれを世界に表明したわけでございますが、現在原子力安全局に保障措置課というのが設置されておりまして、その核不拡散条約に基づきますIAEAのセーフガードと申しますか、保障措置の受け入れのための課がございまして、そこで核不拡散の観点からの保障措置の国内の実施を行っております。なお、この実施に当たりましては、通産省等の職員の方々の御協力を得つつ、すべての各原子力施設にこの保障措置の実施を行っておるのが現在の段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/80
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081・小柳勇
○小柳勇君 現在の段階というような説明を受けているんじゃありません。そんな課があったって日本の原子力の平和利用についての大きな国策に対して歯どめなどというのは私はできないと思う。したがって、今回できるこの安全委員会の任務の中に、あるいはいま安全局長はそれは原子力委員会だとおっしゃった。それでは原子力局長から聞きますが、そのような歯どめを、たとえば中島さんが言っているように、いままでにもうそのための平和研究所を、「平和研究のためのスタッフをもち、核兵器の状態がどうなっていて、それが平和利用とどうからんでいるかというぐらいの研究は、当然、なされているべきだった。」と言っておられる。そのようなものをこの委員会の中に何らかの形で設置して、査察なりあるいは報告徴収なり、常に憲法と原子力基本法の精神に沿って行動できる、実際、国民、国を守り得る、憲法に沿い得る、そういう組織がつくれないものであろうか、お聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/81
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082・山野正登
○政府委員(山野正登君) 先ほども申し上げました原子力基本法で、いま一つ公開の原則というものもうたわれておるわけでございますが、これは原子力平和利用の研究の成果につきましてこれを公開するという原則でございますが、これはまさに先生がいま御指摘になっておられます平和利用を担保するというのが非常に大きな目的になっておるわけでございまして、原子力委員会の活動を含めまして、あらゆるわが国の原子力活動というのはすべてそういう平和利用という点を最も重点的に志向しながら進められておるというわけでございます。お説のように、平和研究所をつくって核兵器の調査も進めなければ原子力の平和利用を進めるということは担保できないではないかという点につきましては、私ども平和利用を進めるに当たりまして、核兵器の調査をしなくとも平和利用を進めることは可能であると考えておるわけでございまして、先生の平和研究所なるものの構想をまた何かの機会にいずれ詳しく拝聴いたしまして検討はいたしますが、きょうだだいまは特に核兵器の調査等をしなくとも平和利用は推進し得るという立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/82
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083・小柳勇
○小柳勇君 まあ弁明を聞きましたけれども、少なくとも中島さんは日本学術会議原子力特別委員会の代表幹事です。その権威者がこれだけ言っておられるんですから。私どもよりももっと原子力に関して知った人が、その危険性あるいは平和利用についてあるいは原子爆弾の危険性について非常にわかった方が言っておられることですから取り上げているわけでして、私は今度の国会、この参議院の科技特の任務はそこだと思っておるんです、本当は。したがってその問題はあとまた理事会でも諮ってもらいましてこの問題だけで時間つぶすわけにまいりません。したがってこの問題、一応保留しておきますよ。これだけはっきり雑誌に言っておられるんですから、私もこれを取り上げたいと思ったわけです。そういうことでこの問題は後で理事会の方で検討してもらいましょう。
そこで、あと原子力開発計画についてそれじゃ質問しますが、まず原子力開発計画というものは、責任を持って国が明確なエネルギー計画を策定して、その推進の中で、エネルギーの中で原子力の位置づけをやる、これはさっき私、冒頭に質問いたしましたけれども、したがって、これから原子力開発利用計画は、通産大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会の原子力部会基本政策小委員会が発表した中間報告とか、その他原子力開発計画など、ほかにもありますが、わが国の原子力開発の計画はどういうところでこれからやってまいるか。原子力開発計画の一番基礎になる委員会なりあるいは機構、それからそのものの持つ権威、そういうものについての答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/83
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084・山野正登
○政府委員(山野正登君) わが国におきます原子力の開発利用を進めるにつきましては、これを計画的に進めるということが非常に重要でございまして、そういう意味合いにおきまして、原子力委員会は原子力の開発利用の長期計画というものを従来ともつくっておりまして、この原子力の開発利用長期計画に基づいてすべての原子力平和利用活動というものは行われておるわけでございます。御承知のとおり、原子力委員会というものはそもそもは諮問機関ではございますけれども、諮問を待たず自分で企画し、自分で方針を決定できる非常に強力な委員会でございまして、実質的にはこの機関が、この組織がわが国の原子力平和利用の基本方針を決めておるというふうに考えております。この長期計画のもとに各種の基本計画という実施計画がつくられておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/84
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085・小柳勇
○小柳勇君 それでは、昭和六十年度三千三百万キロワットという原子力発電の開発規模は、総合エネルギー調査会原子力部会基本政策小委員会中間報告で示されておる数字でありますが、これに対して原子力委員会は妥当であるという見解を述べたことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/85
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086・山野正登
○政府委員(山野正登君) 原子力委員会としましては、御指摘の総合エネルギー調査会の原子力部会基本政策小委員会の中間見通しの数値についてコメントをしたことはないのでございますけれども、私ども原子力委員会の事務局といたしまして、原子力の発電計画につきまして電力会社等から徴収をしましたところ、五十二年度の電調審上程分あるいは五十四年度の電調審上程分といったふうなものをいろいろ頭に置きながら算定をいたしてみますと、大体三千三百万キロワットといったふうな数字は、今後努力をすれば達成可能であろうといったふうな作業はいたしております。今後原子力委員会が先ほども申し上げました長期計画の改定作業をするに当たりましては、これは原子力開発利用というのは科学技術政策あるいは通商産業政策、外交政策、非常に幅広い各行政庁の政策に深いかかわり合いを持つものでございますので、当然のことながら、この基本政策小委員会の中間報告といったふうなものも十分に参考にされながら作業を進めていかれるというふうに考えておりまして、きょうただいまは三千三百万キロワットという目標値について正式のコメントは出しておりませんが、いずれこの夏に最終結論を出すときには、この三千三百万キロワットというものとの整合というものも考えながら結論をお出しになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/86
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087・小柳勇
○小柳勇君 原子力委員会には、スタッフ、事務局には、日本のエネルギーの中における原子力エネルギーの位置づけ及び現在の日本の国力なり国民の合意のもとで、どのくらい原子力発電できるかという、その調査、立案、計画する能力はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/87
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088・山野正登
○政府委員(山野正登君) これは、原子力局におきまして、スタッフは限られたスタッフではございますけれども、私ども原子力委員会の傘下の各種専門部会といったふうなものも活用しながら、いま御指摘の目標設定のための作業というのは進めておりますし、また進め得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/88
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089・小柳勇
○小柳勇君 エネルギー庁の次長に質問しますけれども、いまと同じ問題ですけれども、おたくの方では、たとえば原子力委員会の計算を待たなくても、独自でその原子力エネルギーの開発計画なり将来計画できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/89
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090・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) 通産省におきましては、原子力全体を所掌しているわけではございませんが、電力事業につきましての所掌をいたしておりますので、電源開発全体につきまして、将来の見通しを立てて政策の基礎にするということが必要でございますので、総合エネルギー調査会の意見を伺って目標なり見通しを設定しておるということでございますけれども、原子力につきまして原子力委員会での長期需給が決定されれば、それに基づきまして御相談してこの開発計画の方を修正するということも十分あり得ることであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/90
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091・小柳勇
○小柳勇君 そこで、この原子力委員会設置法第四条では、「委員会は、原子力利用に関する政策に関する事項について必要があると認めるときは、内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告することができる。」と規定されております。ところで、原子力開発利用長期計画の中で、「現時点においては、昭和五十五年度における原子力発電の開発規模を約三千二百万キロワットと見込むことは、妥当であると考える。」と述べられておりますが、総合エネルギー調査会原子力部会基本政策小委員会中間報告で「昭和六十年度三千三百万キロワットとすることが望ましい。」とされたことは、原子力開発利用長期計画の内容を修正するものであり、この点に関して原子力委員会は、三千三百万キロワットという原子力開発規模の妥当性を通産大臣に勧告すべきではなかったのか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/91
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092・山野正登
○政府委員(山野正登君) ただいま原子力委員会のつくっております長期計画に従いますれば、これは昭和四十七年に策定したものでございまして、かなり古いのでございますが、昭和五十五年の目標値を三千二百万キロワットというふうにいたしておるわけでございまして、残念ながらこの目標値の達成というのは立地難等から困難なわけでございまして、昭和五十五年のこの目標値並びに昭和六十年度の目標値といったふうなものを含めまして現在検討中でございまして、原子力委員会としていま直ちに三千三百万キロワットの妥当性について意見を出して、これを関係大臣に勧告するといったふうなことはまだ考えておりません。いずれこの夏に終了いたします作業の結果を待ちまして、これを内閣総理大臣に御報告するといったふうなことになろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/92
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093・小柳勇
○小柳勇君 そこで、今度はエネルギー庁次長に質問するんですけどね、総合エネルギー調査会は、総合エネルギー調査会設置法に基づき、「通商産業大臣の諮問に応じて、エネルギーの安定的かつ合理的な供給の確保に関する総合的かつ長期的な施策に関する重要事項を調査審議する。」とあるが、原子力の開発について計画を立案することができるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/93
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094・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) 総合エネルギー調査会と申しますのは通産大臣の諮問機関でございまして、エネルギーに関します総合的、長期的な施策に関します重要事項を調査審議するということがその任務でございます。そこで、この総合エネルギー調査会で定められましたこのエネルギーの需給に関する数字というのは、やはりこれは諮問機関としてのエネルギー調査会の数字でございますので、これは政府の計画ということの性格を持っておるものではないわけでございます。しかしながら、通産省といたしましては、諮問機関の方でそういう数字を決められればそれを参考として行政を進めると、こういう立場であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/94
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095・小柳勇
○小柳勇君 そういたしますと、今回の原子力基本法などの改正案によって、通産省は原子炉の設置許可から運転管理に至るまで一貫して安全行政を行うことになるが、自分でつくった原子力開発計画に基づいて原子炉の設置許可などを行うことになれば原子力発電の開発はエスカレートすることになるんではないか、自分で計画をつくっておいて自分で設置許可するんだから、という不安についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/95
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096・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) これは、実は電源開発につきましては、原子力だけでございませんで、水力とか火力とか全体を含めまして各省庁に関連する事項が非常に多いものでございますから、電源開発調整審議会というのが内閣総理大臣の諮問機関としてございまして、そこで電源開発の基本計画というものを審議していただきまして、内閣総理大臣が電源開発基本計画というものを定めることになっておるわけでございまして、現在のところは昨年定められました昭和五十九年度までの目標が一応できておるということになっておるわけでございまして、正式な政府の計画としてはこの電源開発基本計画をベースにして開発が推進される、こういう性質のものである、エネルギー調査会の見通しというのは、もう少し長期の見通しにつきまして審議会としての見通しを述べたものである、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/96
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097・小柳勇
○小柳勇君 今後の問題はどうですか、いま五十九年までは計画があるようですけれども。原子力委員会の方、今度のは権限が強化されたとは考えていいかどうかわかりませんけど、いま原子力局長は、原子力開発については計画し、立案し、将来の見通しも計画する力があるとおっしゃっているが、どこかに一元化して、原子炉の設置許可するところが今度は計画の推進をするんでは、ちょっとそれはおかしいんじゃないかという気もするんですが、その点は原子力局と話し合われたことありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/97
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098・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) いま申し上げました電源開発調整審議会の仕事は、役所としては、まあ内閣総理大臣でございますが、事務としては経済企画庁がこれを行っておるわけでございまして、電源開発の地点を定め、あるいは先ほど申し上げましたような基本計画を定める場合には、経済企画庁が取りまとめ役になりまして調整審議会の意見を聞いて内閣総理大臣がこれを決めて告示するというふうなことになっておるわけでございまして、そういった形で電源開発調整審議会をパスしました地点につきましていわゆる安全審査が行われるということになるわけでございますので、政府としての全体の整合性というものは十分保たれておるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/98
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099・小柳勇
○小柳勇君 では、具体的に質問していきますよ。この長期エネルギー需給暫定見通し、六十年度、六十五年度見通しがありますね。これは八月ごろに一応確定するようですけれども、この確定の責任はどちらが持ちますか、この原子力の面で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/99
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100・大永勇作
○政府委員(大永勇作君) これは先ほども申し上げましたが、通産大臣の諮問機関でございます総合エネルギー調査会が調査審議の結果として取りまとめるものでございまして、いわゆる政府としての計画ではないわけでございますので、われわれといたしましては、そういった諮問機関たる総合エネルギー調査会の見通しにつきましては、これを参考として行政を進める、こういう立場であるということで御了解いただきたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/100
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101・小柳勇
○小柳勇君 原子力局長、その原子力委員会で計画立案してこの原子力の需給見通しなど立てますね、立てなきゃなりません、それによって設置しますから。いま総合エネルギー調査会はこれは政府の機関じゃないとおっしゃる。これは諮問機関ですからそうでしょう。おたくの方の原子力委員会というのは、これは法律によって設置した政府の機関ですからね。原子力委員会専門部会と言うでしょう。そうしますと、当然総合エネルギー部会からもあるいはいろいろ相談はあるでしょうけれども、これからの行政庁間の事務上のこの手続はどうなりましょうか、ちょっと話しておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/101
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102・山野正登
○政府委員(山野正登君) 原子力委員会が原子力平和利用全体についての長期計画を定めるわけでございますが、その中の一環として原子力発電の目標値についても恐らく長期計画の中に示すようになろうかと思いますが、これは原子力委員会の決定でございまして、原子力委員会が決定しました後は、これを内閣総理大臣に報告する。内閣総理大臣はこの原子力委員会の決定は十分尊重するというたてまえになっているわけでございますから、それ以降はこの原子力委員会の方針を各行政機関が尊重して、科学技術庁は原子力の研究開発についてこの基本方針を尊重して実際の施策を講じていきますし、また資源エネルギー庁におかれましては、エネルギー政策の遂行に当たってこの決定というものを尊重されるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/102
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103・小柳勇
○小柳勇君 この問題については、あとまた具体的にはその場になりますと、八月ごろになりますと問題出ましょうから、保留して次に進みましょう。
次の問題は、原子力開発利用長期計画を改定するために五十二年の五月に原子力委員会に長期計画専門部会が設置され、約一年間の審議期間をもって改定に関する事項の調査審議が行われておるが、「昭和五十二年度原子力開発利用基本計画」の中で述べられておる改定の理由として、「原子力発電所の建設計画の遅れ、各種研究開発プロジェクトの進捗の遅れ、研究開発及びその成果の実用化のための所要資金の増大、国際情勢の変化など、」を挙げられておりますが、どれが改定の理由として一番大きなものと考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/103
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104・山野正登
○政府委員(山野正登君) 大きく分けまして二つあろうかと思うのでございますが、一つは原子力の平和利用に伴う国際情勢の変化でございまして、原子力の平和利用を進めるに当たりましては国際的な絡みが非常に多いわけでございますが、昨今、特に核拡散の強化という問題がクローズアップされまして、平和利用と不拡散政策との調和ということについても、国際的にいろいろな場で各国協力していろいろな努力が行われておるわけでございますが、こういったふうなものを当然わが国の原子力平和利用の長期計画の中に盛り込む必要があるということ、これがまあ第一点でございます。これは単に原子力発電所の立地推進といったふうな問題にとどまりませんで、核燃料サイクルの確立といったふうな問題につきましては格段のかかわり合いを持ってまいるわけでございます。
それから第二の理由というのが、御指摘のように、原子力発電所の立地難等による建設のおくれでございますとか、あるいは各種の研究開発プロジェクトが前回策定しました四十七年時点に比べましてかなり進展してまいりまして、この研究開発の進展に伴います計画の見直し、その中には御指摘のように、研究開発のおくれに伴いますスケジュールの見直しといったふうなものもあろうかと存じますが、いま申し上げました二つが原子力開発利用を改定するに当たりまして一番大きな要因となっておるわけでございます。もともと過去をさかのぼってみますと、昭和四十二年、昭和四十七年というふうに五年目ごとに長期計画は改定いたしておりまして、大体五十二、三年ごろが次の改定時期というタイミングの問題もあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/104
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105・小柳勇
○小柳勇君 そこで、原子力委員会が、いままで総合エネルギー調査会などの諮問機関的な役割りを果たしてまいりましたが、原子力局長のさっきのお話のようにスタッフもそろっておられるようでありますから、原子力長期見通しなどについては、エネルギーの面から、全体の日本の国のエネルギー需給状態などの中における原子力の計画は、原子力委員会が責任を持って自主的にやるべきであると考えますが、将来についてどうですか、原子力局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/105
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106・山野正登
○政府委員(山野正登君) 原子力委員会はあくまでも原子力の研究開発利用についての問題を所掌いたしておるわけでございまして、エネルギー政策全体につきましてはその所掌の外でございますし、またそういう目的で設置、人選等も行われておりませんし事務局も形成されていないわけでございますので、原子力委員会におきましてエネルギー全般にわたりましての需給といった問題を取り扱うということは不適当かと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/106
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107・小柳勇
○小柳勇君 それでは少しまた変わりましたけれども、結局は日本の総合エネルギーの中における原子力エネルギーの位置づけなりあるいは需給見通しなりのいわゆる日本の産業構造の中における原子力エネルギーは、通産大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会が主たる計画機関であると、こうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/107
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108・山野正登
○政府委員(山野正登君) 原子力委員会としましても、当然エネルギー全体の中における原子力の位置づけといったふうな問題につきましては、意見なり見解というものはお持ちになってもよろしいし、またお持ちになっておると思いますが、かといって、それによって自分で原子力以外の分野も含めたエネルギー政策全体あるいはエネルギー全体の需給関係といったふうなものを決めるという立場にはないわけでございますので、その面はあくまでもほかの機関が所掌して行われるべきであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/108
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109・小柳勇
○小柳勇君 正確な数字が出ればいいんですから余り固執しません。法案に対する問題点は最後に回しまして、あと原子力発電所の故障の問題について質問いたしまして休ませてもらいたいと思います。
原子力施設の事故、故障、昭和五十二年四月一日以降の実態表を私はもらっております。わが国の原子力発電所の時間稼働率及び設備利用率及び主なる事故、故障の発生などについての御説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/109
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110・武田康
○政府委員(武田康君) 原子力発電所の稼働率でございますけれども、昨昭和五十二年度一年間の平均でまいりますと、全部の発電所の平均でまいりますと、時間稼働率にいたしまして四七%、それから設備利用率にいたしまして四二%程度の数字でございます。それでこれは過去でも一番低い方の数字でございましたが、ことしにつきましては、予測でございますけれども、時間稼働率で六〇を超し、利用率で五五を超すというふうに予測しているところでございます。
それから主な事故、故障でございますけれども、実は事故、故障もつかまえ方によりましていろいろ重さの考え方がございますけれども、現在いろいろ手直しをしなければいけないあるいはわりに最近話題になった例で幾つか申し上げますと、一つは沸騰水型の原子炉につきましては、制御棒の駆動水戻りノズル、ここにひびがございまして、これが見つかったものでございますからそれを除去し、また戻り水の流路を変更するというような手直しを各発電所いたしまして、これはもうほぼ終了しているのが現状でございます。
それから同じく沸騰水型でございますが、ライザー管などの応力腐食割れ、まあ配管のひびとでも言ったらいいわけでございますが、そういったようなものが幾つか起こっております。これにつきましては材料なり、そこの部分の環境あるいは応力というようなものを総合してこれが起こったということでございまして、それぞれその手直し、取りかえ等々をやりまして対策がかなり進行しておりまして、一部の発電所ではまだ残っております。
一方、加圧水型では、一番典型的なのが蒸気発生器の細管、たくさんの細管がございますけれども、ここで水処理で古い方式を使っておりました場所につきまして特に多いんでございますが、漏洩、一次系から二次糸に水が漏れてしまうと、こういうようなことが——まあ穴があいてと言ったらいいんでございますが、起こっておりまして、これは水の中に入っております燐酸ソーダの影響ということで、水処理のやり方を変える、あるいは従来あったものを洗ってきれいにするというような措置をほぼとり終わっている、まだ一部残っておりますが、というようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/110
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111・小柳勇
○小柳勇君 火力発電所の稼働率に対して原子力発電所の稼働率はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/111
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112・武田康
○政府委員(武田康君) 原子力の稼働率、平均で申し上げますと先ほど申し上げたとおりでございますが、昨年のケースでは一番成績の悪いものは一年動かなかったというものもございまして、一割以下のものが二台か三台ございました。一方成績のいい方は七〇%、八〇%という稼働を示した例がございます。
一方、火力発電所はこれ百幾つもあるものでございますので簡単に言えませんけれども、全体の総合平均——ちょっと正確な数字持ち合わしておりませんが、全体の総合平均では五〇%前後の数字を毎年続けております。もちろん非常に新鋭のいい発電所で故障のない場合には、年間八〇%近い稼働を示しているケースがあるはずでございますし、一方古いもの等につきましては、年間の稼働率ということでいきますと非常に低い数字になっておりまして、平均値がそんなものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/112
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113・小柳勇
○小柳勇君 経済比較など、なおたくさんございますけれども、もう一問は、原子力発電所における技術陣の配置ですね。日本の原子力技術者、主任技術者の試験受けて各原発にあるいは会社に配置してあるでしょうが、それはこの間の参考人の公述の中に、原子力委員会あるいは安全委員会の人の問題が強く言われました。私はそれと同時にこれからの原子力エネルギーの確保は主任技術者など、いわゆる技術陣の技術によるところ非常に大きいと思います。したがって現在の日本の原子力発電の主任技術者の試験あるいはその技術陣の配置状態についての御説明を受けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/113
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114・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のように、原子力発電所に原子炉の主任技術者を置くことを法令で定めておりますが、そのために科学技術庁におきまして原子炉主任技術者の試験を行っておるわけでございます。で、三十三年より行いまして現在までに十九回実施しておりますが、三百四十二人の主任技術者の合格者がございます。そのほかに、この制度が発足しました当時にすでに主任技術者と同等の知識、経験があるとして試験を行わずに資格を、免状を交付された者が十五名ございます。したがいまして、現在三百五十七名の主任技術者の資格を持った人がいるわけでございます。で、この中で先生おっしゃいますように、原子炉を設置しております各機関にこのうち二百二十六名の方が在職しておられまして、原子炉の運転等に携わっておられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/114
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115・小柳勇
○小柳勇君 原子炉の安全性などでもう少しありますが午後にやりまして、現在まで原子力委員会が安全性についても責任持ってこられた、また各原子力発電所を持つ会社も、及び現場の原子力発電所の方でも主任技術者など一生懸命にこの安全に取り組んでこられた。にもかかわりませず、日本の国民は原子力発電所に対して非常に不安を持っています。先般の伊方原発訴訟にもありました。あれは、訴訟は全面的に住民が敗訴いたしました。が、山口県の町長選挙では原発反対の町長が勝利した。
で、現在の世論調査をここに私は持っていますけれども、原子力発電が必要であるという世論は四三%ぐらいあるようです。原子力発電について必要性は認めるけれども、自分の地域に原子力発電所ができるのは反対だという人が七四%ぐらいあります。これは一体どうしてであろうかと、もうわが党は政策審議会でもずいぶん論議してまいりました、一体何が原因であろうかと。ただ、このアメリカの本にも、あるいは外国のいろいろ資料にも、いまから十年間は原子力発電は不安なエネルギーとして位置づけされなければならぬ、その不安を除去するために研究体制をもっと確立しなきゃならぬと言われる。いま日本の国民が自分の地域に原発ができるのは反対だという、それは一体どういうところに一番大きくあるととっておられるのか、これは長官からお聞きしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/115
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116・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) それはいろいろの点があると思いますが、どれが一番その大きな原因かと言われますと、ここで順番を決めて、これが第一でこれが第二ということはちょっと申し上げかねるかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/116
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117・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
午後零時九分休憩
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午後一時六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/117
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118・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、原子力基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/118
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119・小柳勇
○小柳勇君 冒頭に原子力船「むつ」の問題及び原子力船開発事業団の問題について質問いたします。
まず第一は、原子力船「むつ」の修理港候補地選定の現状と問題点について質問しますが、佐世保港が候補地として地元との折衝が進められておるが、最近の状況はどうなっておるのか、科技庁長官に質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/119
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120・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) いろいろ具体的な日にち等を含みました経緯につきましては、もし御必要があれば政府委員から御答弁することにいたしまして、ごく簡単に経緯を申し上げたいと思います。
御承知のように、政府が佐世保港に修理を要請しまして以来、昨年四月の現状におきましては、佐世保市はその受け入れを決議されたわけでございますが、長崎県とされましては、現状の燃料棒が装荷してあるままの状態では困るので、これを抜いた上でなら入港、修理を認めるという決議をされていたわけであります。
〔委員長退席、理事塩出啓典君着席〕
ところが、そういう決議でございますので、政府といたしましては、一応そういうものがどこかで燃料棒が抜き得るかどうか、また抜いた燃料棒をどうするかどうかということについて、いろいろそのほかの問題もありますが、検討いたしました結果そういうことは困難でございますので、重ねて長崎県の知事に対しまして、何か佐世保で修理が実現する方法を考えてもらいたいということをお願いしたわけでございますが、その結果、いろいろ取り上げられましたいわゆる核封印という方式なら検討していいというお話でございましたので、その核封印の内容につきましていろいろお考えを具体的に承りまして、それを政府といたしまして、長崎県知事のお話のとおり、そういういわゆる核封印のままで入港、再修理が可能であるかどうかということを検討いたしました上でございますが、その結果、多少の日にちもかかるし、あるいは作業上も困難はあるが、それで所期の目的は達成いただけるという判断のもとに、今月の十三日に長崎県知事と佐世保市長に私どもがお目にかかりまして、いわゆる長崎県知事の御提唱になりましたいわゆる核封印式に従って修理をお願いしたいという、いわゆる再要請をして今日に至っているわけであります。
それから、あとの事実につきましては、大体月末ごろ、あるいは来月の初めにかけましてそれぞれの県議会あるいは市議会を招集されまして、県なり市なりとしての態度を決めていただくことになりますので、それをいま期待してお待ちしているという現状でございます。
なお細かい点等がございましたら、またお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/120
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121・小柳勇
○小柳勇君 予算委員会でもあるいは運輸委員会でも再々問題にしたのでありますが、青森県のむつ市で漁業組合との合意書は四十九年十一月一日から撤去することになっておる。また、早急に新しい港をつくるということも再々政府は声明していたのでありますが、今日までついにこれが実現できなかった。しかも今回、佐世保重工業の救済との関係が重大な要素として論じられております。純粋な科学的な諸般の安全条件が確立されて、そして原子力船「むつ」としてこれを修理しなければならぬのに、そのようなものは横の方に置きながら、佐世保重工業を救済するということの引きかえに佐世保を修理港とすることについては、いまの科学の世の中では納得できないわけです。余りにも政治的過ぎるといいましょうか、問題の扱い方があいまい過ぎると思いますが、この点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/121
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122・山野正登
○政府委員(山野正登君) もともとこの原子力船「むつ」の遮蔽改修・総点検問題というのは、佐世保重工の再建問題が起こるはるか以前の昭和五十一年の初めに政府から長崎県知事並びに佐世保市長に受け入れについての協力の要請をいたしたものでございまして、本来、佐世保重工の再建問題とは何ら関係なく政府の施策として進められておったわけでございまして、最近になりまして佐世保重工の再建問題というのは非常にまあ重要な問題として浮かび上がっております。私どもはこの佐世保重工というのがぜひ再建されることを熱望するものでございますが、「むつ」問題とからげてどうするこうするといったふうなことを従来考えてもいませんし、また今後もそのように考えるつもりはない、こういう立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/122
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123・小柳勇
○小柳勇君 まず、寄港するには安全性に対する地元住民の完全な納得が得られることが必要である。それから港湾施設を初め、立地条件が修理港として適切であること。また、佐世保重工が「むつ」の修理技術に対して十分対応できること。また四つ目には「むつ」の寄港に伴う関係漁業者との補償を初め、安全性について納得が得られる。このような、言うならば条件が完全に満たされて地元の住民が反対しないところでなければ修理港としても無理ではないかと思うが、福田総理みずからが一造船所の救済ということで圧力をかけられたとも新聞には書いてある。このような政治的な取り扱いというものがどうも納得、合点がいかないわけです。原子力船の「むつ」の修理というものと佐世保重工の救済というものと、しかも、それは技術的な配慮より、むしろ政治的な配慮と、そういうものが納得できないのですが、総理のことも書いてあります。一体これで具体的に修理港として受け入れて、どのくらいの予算が佐世保に修理代として入るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/123
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124・山野正登
○政府委員(山野正登君) 現地におきます——これは修理港として受け入れてもらった上での話でございますが、遮蔽の改修、それからまた総点検の結果発見されました修理個所についての修理といったふうなことを行うわけでございまして、まだ機器についての総点検等も行っていない現状でございますので、どういう修理個所が出てくるかということも明確でないわけでございまして、いまの時点で修理費用がどの程度になるかということを明確に申し上げるわけにはまいりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/124
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125・小柳勇
○小柳勇君 それでは佐世保重工の救済という名前だけ大きく出まして、救済にならないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/125
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126・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) 私の申し上げますことで足りぬところがありましたら、また補足させますが、重ねてこの佐世保重工業の救済と「むつ」問題との絡みがあるような御意見のように拝承いたしましたが、ちょうど同じような時期にぶつかりましたので、そういうふうな誤解といいますか、誤解と申し上げては失礼ですが、そういうふうな御印象を与えている点があるかと存じます。この問題につきましては、率直に言いまして科学技術庁といたしましては、佐世保市長から、こういうこの「むつ」問題の条件ということは別に切り離して、私ども何とかしてひとつこれが救済できるような道を政府として考えてほしいというお話があったことは事実でございます。また、どうしてそういうふうにお見えになったかといいますと、数回佐世保市長に佐世保港での修理をお願いしておりましたそういう経緯もありまして、大変その意味でお近づきになっておりましたので、私のところにそういう意味もあって来られたことと思うわけであります。しかし、この問題はきわめて重要な問題でありまして、一科学技術庁をもってして、そういうことに、わかりました、どうしますということは言えない問題でありますから、せっかくの申し出でございますので、私から運輸大臣にも、所管の大臣でありますからお願いをしましたし、またある機会に、ひとつできるだけめんどうを見てあげていただきたいということをお願いしたことは事実であります。しかし、この問題に関する接触はそれだけでありまして、佐世保重工業が「むつ」を受け入れていただく条件だからというようなことを、もちろんそれ以外の場所でも、それ以外の機会にも言ったことはありませんし、それからそういうことは考えてないわけであります。
ところで、これも大変私の「むつ」問題に対する発言が思わざるところに波紋が出ることがありますので、大分言葉を選んで申し上げるつもりでございますが、どうかひとつ誤解が生まれないようにお聞き取りいただければ大変ありがたい幸せでございます。と申しますことは、実は数日前に新聞記者の諸君が、この佐世保重工がこういういま再建できるかできないかという段階において、佐世保港修理を要請するという態度を続けるのは早急過ぎないか、もう少し帰趨を見きわめた上でそういう態度を進めるべきじゃないかというお話がございましたので、まあいろいろの関係もありますから、そういうことが無関係とは言いませんが、しかし政府としては初めから、いま局長からも申し上げましたとおり、佐世保重工業に修理してもらいたいということを打ち出しているわけではなくして、佐世保港での修理をお願いしたいということを筋としては言ってきておるわけでございます。で、この筋はいまも変わらないわけでございまして、これは万一の場合でございますが、佐世保重工というものが存在をはっきり確認しなくても、この御要請をすることは別に筋としては間違っていない。もちろん佐世保重工としましては、あの問題は非常に大きな問題でありますから、あるいは造船不況対策という見地からも、あるいは雇用対策という面からも、あるいは大きな地域経済に及ぼす影響という点から言いましても大きな問題でもありますし、私どもも筋としては佐世保港に修理をお願いする。それを初めから受諾されております佐世保港としましては、この佐世保重工を考慮に置いてのお話であるということも考えますから、そういういろいろな点から考えまして、私どもは切に佐世保重工の再建が軌道に乗りますことを願っているわけでありますが、筋としましては、必ずしも佐世保重工の存在を前提にしなければその要請はすべきでないというふうには考えていないと、これは筋でございます。でございますから、そういう意味におきまして、佐世保港は修理のためにはいろいろな条件を備えていると考えているわけであります。ただ、地元のものの納得でありますとか、あるいは漁連関係のいろいろな対応でありますとか、そういうことにつきましては、これは政府が直接そういうことに当たるわけにはいきませんので、佐世保市なり、あるいは長崎県なりにお願いしておりますのは、そういう情勢をいずれよく見きわめられてその態度をお決めいただくものと、こういうふうに思っているわけでございますから、そういう結果御同意が得られれば、一応、住民の方々や漁連の方々も御納得得られるかどうかは別としまして、そういう線、それに近い線にまとまるといいますか、落ちつくものと思いまして、県なり市当局なりを御信頼いたしまして、その御決定に従うという態度でございますので、その点を十分御留意いただければ幸いと考えるわけであります。
重ねて申しますが、佐世保港はいま、特定の造船所の存在とは別にしまして、現在修理をお願いしますのには最も的確な場所であるということに変わりはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/126
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127・小柳勇
○小柳勇君 いま長官のお話では、佐世保重工の再建にかかわりなく、佐世保の港に修理港として適当であるから、ここで修理をしたいと。で、県も市も了承していると……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/127
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128・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) いや、了承すれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/128
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129・小柳勇
○小柳勇君 ああそうですか、まだ了承していない。
新聞の情報によりますと、佐世保市は核つき修理、県の方は核抜き修理——原子炉封印方式をとってということでありますが、いつごろ決まりますか。その県や市のオーケーになるのはいつごろの見通しでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/129
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130・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) 大体、確定したことは申し上げられませんが、県議会は今月末から来月初めにかけて御招集になる由でございますし、それから佐世保市も大体われわれが想像しておりましたように、きょう新聞を見ますと、来月の一日から市会をお聞きになるというような御様子でございますから、それで態度が決まれば引き続いて御返事があるものと。ですから、来月早々にどちらにしても一応の御回答があるものというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/130
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131・小柳勇
○小柳勇君 運輸省の首席船舶検査官いらっしゃるけども、この「むつ」の修理、原子炉の方は封印して入るようでありますが、何年ぐらい、しかも、どのくらいの費用がかかるような予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/131
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132・赤岩昭滋
○説明員(赤岩昭滋君) 原子炉の分についての修理につきましては、ただいま科学技術庁の方から御答弁があったかと思いますが、船体関係の修理につきましては、現在「むつ」は御承知のように製造検査、それから第一回の定期検査の段階にあるわけでございまして、ただ「むつ」は長い期間むつ市に係留されているということもございますので、佐世保に持ってまいりまして修理ということになりますと、ドックに入れまして船底を洗うとかその他船体の各部についての点検・整備を行うというふうなことになろうかと思います。それは原子炉の分の点検・改修の期間に全部できるというふうに考えているわけでございます。
それから費用につきましては、これは船をドックに入れて点検してみませんと、どの程度修理・整備が必要かという点については、まだわからないというところだけを申し上げたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/132
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133・小柳勇
○小柳勇君 原子力局長に質問しますけども、原子炉を封印して入るようでありますが、その原子炉はどういうふうになるのか。私どもは国会で報告受けましたのは、原子力船「むつ」は船体の故障ではなくて、原子炉の方の放射能が多過ぎて使用できないんだと、だから船体から原子炉を封印しちゃって、もしこれを取り去ることができれば、後はその他の船に使えるわけですが、その原子炉はどういうふうに処理されるか。なお、その故障ができました原因はどういうふうに把握しておられるか、二点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/133
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134・山野正登
○政府委員(山野正登君) 原子炉封印という言葉でございますが、これは県当局がそういう言葉を使われただけでございまして、私ども言葉としては余り妥当な言葉でないと考えておるわけでございますが、その内容としましては、修理をするに当たりまして原子炉の圧力容器の上蓋を、従来は上蓋をとって修理をするということにしておりましたが、上蓋をとらないままでその遮蔽の改修をするということと、それから修理港におります間、原子炉の運転モードスイッチと申しますものと、それから制御棒駆動盤のかぎとこの二つを県知事にお預けしまして管理保管してもらうと、この二つのことを指して現地の知事が原子炉封印といったふうな表現をされておるわけでございまして、もともと原子炉というものは修理港に回航しますときにも、また修理港における修理・総点検の期間も運転するつもりは全然ないわけでございまして、そういう意味で私どもは冷態停止に保つと言っておりますけれども、原子炉は修理に参りますとき並びに修理期間中冷態停止に保ち、しかも遮蔽の改修は上蓋をあけず行い、その間運転のためのかぎは県知事に預ける、こういったふうな状況になるというふうに考えております。
〔理事塩出啓典君退席、委員長着席〕
それから「むつ」がどういったふうなことで四十九年のあのような放射線漏れを起こしたかということでございますが、これは「むつ」の開発自身はわが国自主技術でやろうという非常に野心的な計画であったわけでございますけれども、舶用炉並びにその遮蔽といったふうなことにつきましては、全く当時未経験の分野でございまして、必ずしも的確な見通しを行い得なかった、そのために放射線漏れという不測の事態を招いたと考えておるわけでございまして、当時いろいろ原子力開発利用そのものが草創期にございまして必要な技術者、必要な技術データといったようなものが不足ぎみにあったせいはございますけれども、しかしながら、開発に当たりましては、事業団とかあるいは実際に船の建造、原子炉の製造に当たりましたメーカー、そういったふうな方々並びにこれを監督した政府、そのおのおのにおいて十分な注意等が足りなかったという点は深く反省をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/134
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135・小柳勇
○小柳勇君 今日まであれだけの損害を起こし一隻の原子力船が廃船になるのですが、責任をだれもとったという話を聞かぬのですが、何かどこかに責任をとったという形跡がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/135
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136・山野正登
○政府委員(山野正登君) この放射線漏れを起こしました後、いわゆる大山委員会という委員会を内閣につくりまして、原子力船「むつ」の放射線漏れの問題につきまして、どういう原因でこういう事態になったか、また今後どうしたらよろしいかといったふうなことにつきましていろいろ御検討願ったわけでございますし、またそれに引き続きまして、今回審議を煩わしておりますこの基本法等の改正の基礎になりました原子力行政の懇談会というものもこの「むつ」問題に発足の根源を持つわけでございまして、これらの委員会を通じましていろいろ明確にされました点につきまして私どもは改革強化のいろいろな諸施策を行っておるわけでございます。たとえば、原子力船事業団につきましては、その後五十年の春には理事者の総入れかえを行いましたし、また、従来ともすれば事業団が技術的にも対外依存的でございまして、事業団内に技術の蓄積をするといった機能も非常に乏しかったわけでございますが、この辺を改めますために技術陣容を格段に強化するといったことをやっております。また行政レベルにおきましては、原子力船「むつ」の放射線漏れを起こした当時は原子力関係におきましては科学技術庁に原子力局一局があったのでございますが、その後原子力安全局というものも独立させるといったこともしたわけでございまして、そういうふうに、開発を進めます体制、またその関連の行政体制といったものをできるだけ「むつ」の教訓を生かしながら改善するという方向において、関係者は十分責任を感じその責任を果たしていこうとしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/136
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137・小柳勇
○小柳勇君 きれいごとですよ。あれだけのもう費用をかけて、もちろん試験時期ですからそのような結果も推測されますけれども、聞くところによれば陸上で原子炉の試験がなかった、したがってあの事故が起こったという。いろいろ原因はありましょう、専門屋は専門屋なりに意見はありましょうけれども、今日までしかも修理港も見出せないようなぶざまですね。行政の責任者も、かえって局をふやしたとか、もちろんその過ちを正すために組織を強化したということは大きな責任のとり方かもしれません。たとえばこれから安全委員会ができます。安全委員会ができましても、たとえば原子力発電所で重大なそういうミスが発生しないとは限らないです。放射線漏れの原子力発電所が発生しないとは限らない。その場合でも今回のように、それじゃ、安全局の上にほかにもう一つ局をつくりましたとそれだけでは責任をとったとは言えないでしょう。もしも今後こういうような放射線漏れなどという事故が発生いたしましても、同じような答弁をなさいますか。お聞きしておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/137
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138・山野正登
○政府委員(山野正登君) 私は、組織を強化すればそれで責任をとったことになるということを申し上げておるわけではないわけでございまして、「むつ」の問題につきましてはそのような施策を講じてまいったということでございます。今後「むつ」につきまして再び何らかの開発途上におけるトラブルというものが発生しないということはもちろん断言できないわけでございまして、これは研究開発でございますので、できるだけそのようなことはないことは望ましいのでございますが、やはり若干の試行錯誤といったふうなものはやむを得ないと考えております。しかし、「むつ」の放射線漏れのような非常に貴重な教訓もあったことでございますので、単に開発途上の試行錯誤といったふうな美名に隠れるということをしないで、できるだけそのようなことがないように万全の注意を払って開発を進めていく、このような覚悟でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/138
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139・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) いろいろ御発言がありまして大体局長から御答弁したとおりでございますが、いろいろな御見解の中には、十分その御見解を踏まえて今後対処しなければならぬという点も私としては認めておりますので、今後は、そういう御意見も踏まえた本当に十分御納得がいけるような覚悟をしながら今後の修理問題ないしその先の問題を進めていかねばならぬということを申し添えておく次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/139
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140・小柳勇
○小柳勇君 いま一つ技術的な問題ですけれども、「むつ」の原子炉の設置許可は付帯陸上施設とあわせて許可されておると承っておりますが、そうしますと、「むつ」の母港としての大湊港の機能停止の状況から見れば「むつ」の原子炉設置の許可は取り消すべきではないか、言うならば、二つ、陸上施設と船の原子炉と一緒に設置許可をしてあるので、その設置許可というのはもうすでに無効になっておるのではない。これに対する見解を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/140
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141・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のとおり、原子力船「むつ」につきましては、むつにございます陸上付帯施設とあわせて、規制法の許可基準に適合しておるということで許可がされておるわけでございます。そこで、先ほどからのお話にございますように、放射線漏れというように、許可後事前に予測し得なかった不可抗力等の事由によりまして、現在原子力船「むつ」は原子炉を起動しないという冷態停止の状態に置くことでむつの岩壁に停泊しておるわけでございます。で、放射線漏れを起こしましていろいろなことからこういう状態にございますのは、「むつ」の他の定係港を設置するというような地元の要請等もございまして、陸上付帯施設の一部の機能を一時的に停止しておるわけでございます。したがって、その状態が続く限りは原子力船「むつ」は原子炉を起動したり原子炉を動かすというようなことのない冷態停止の状態に置くという条件つきで、五十四年まで陸上付帯施設の一部の機能が停止しても問題ないと考えてそういう変更の許可を与えているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/141
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142・小柳勇
○小柳勇君 この問題の最後ですけれども、漁連の方も母港化せぬという条件つきで意向がまとまりつつあるようでありますし、また労働組合の団体である県総評は「むつ」の修理港、母港化することに反対であるという決議をしておるようであります。このような地元の団体あるいは市民との合意なくしては佐世保を修理港とすることは無理だと思うんですけれども、さっきの長官のお話もありましたように、市民の合意を得てということでありますが、そのように確認しておいてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/142
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143・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) 地元のいろいろな御意見、御要諸等につきましては、政府で直接これをいろいろ確かめるということは適当じゃありませんので、久保知事並びに辻市長、地元の両責任者の御見解といいますか、また県議会、市議会の御見解といいますか、地元の皆様の御意見を拝して、そうしてそういう御意向に沿いたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/143
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144・小柳勇
○小柳勇君 次に、原子力船の開発計画について質問いたしますが、原子力船開発事業団もそうでありますが、今日までの原子力船の開発というのが運輸省、科学技術庁並びに原子力委員会など、この三者で共管しているような印象——印象じゃありません実際そうでありますが、この三本立てというのが責任の所在も明らかでないし、また完全なる運営といいましょうか、推進に力が弱まっておるのではないか、そういうような気がいたしますが、この原子力船開発計画について科技庁なら科技庁に一本化する、まあこれは試験段階でありますから当然科技庁でありましょうが、一本化して責任を持つと、こういう体制をお考えになったことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/144
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145・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) 先ほど局長からもお答えいたしましたが、いろいろこの「むつ」問題につきまして反省するということを政府は言い続けてきているわけでありますが、その内容の一つといたしまして、そういう問題が起きましたときに責任が科学技術庁とそれから運輸省といずれにあるかよくわからない、つまり責任が明確でない、したがってそういう責任を一元化すべきだと、こういうことが反省と言われております内容の一つであるかと思っておるわけであります。それから、現在御審議をお願いしておりますこの法案は、そういう直接には「むつ」問題の反省の結果生まれたと言ってもいいかと思うわけでございますが、それによりまして責任の明確化、一元化ということを基本とする内容を持ったこの法案ができた、この法案の素案ができたということに承知しているわけであります。したがいまして、幸いに皆様の御理解を得ましてこの法案が成立いたしますならば、当然「むつ」は研究段階の原子力船といたしまして科学技術庁におきまして一元的に責任を持ってその開発に当たっていくと、こういうことに相なるかと思うわけであります。そして、一応研究段階を離れて実用化に供し得るという段階に達しましたならば、これは所管が運輸省に移され、自後の原子力船はすべて運輸省において管理されるということになろうかと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/145
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146・小柳勇
○小柳勇君 運輸省の方ではどうお考えになりますか。この新聞では、「むつ」を海洋観測船にして原子力船開発事業団は研究所にする、そういうことまで新聞では発表をしてあります。したがって、この原子力船開発事業団の原子力船の開発計画、それから原子力船開発事業団に対する今後の取り扱い、それから「むつ」をどうするか、この三点についての御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/146
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147・赤岩昭滋
○説明員(赤岩昭滋君) 原子力船の開発につきましては、これは造船、海運というような運輸省での政策の観点だけではなくて、最近におきますとエネルギー問題というような問題の観点からも検討していかにゃいかぬということになろうかと思います。諸外国におきましても原子力船の開発というものを積極的にやっておるわけでございます。わが国といたしましても世界有数の造船、海運国ということでございますので、今後とも国際的な動向に留意しながら先進国におくれをとらないようにこの開発に積極的に取り組んでいきたい、その段階でもちろん安全性の確保ということは当然のことでございまして、そういう点も十分念頭に入れながら進めていきたいと思っておるわけであります。
それで、事業団につきましては、原子力船の開発利用という観点から科学技術庁において検討をお願いしておりますし、それから運輸省におきましては造船、海運の立場というようなことで、両者一体になって事業団の監督と指導をやってきたわけでございます。今後ともこの方向で進めていくというふうに考えておるわけであります。それで、原子力船の建造あるいは運航技術というものの蓄積も今後の原子力船の開発のためにぜひとも必要でございますので、「むつ」の建造、運航を進めることによりまして事業団を中心にそれを進めていきたいというふうに考えておるわけでございますが、事業団の今後のあり方につきましては、さきの八十二国会におきます事業団法改正法案の御審議の経緯、あるいは法案改正の趣旨にのっとりまして、原子力船開発の長期的な展望に立って事業団の研究機関への移行ということについて、そのあり方、体制それから規模それから他のいろんな機関との関係等に配意しながら現在科学技術庁、運輸省等政府部内で鋭意検討を進めている段階でございます。
それから、「むつ」を将来どうするかということでございますが、まあ先ほど科学技術庁からもお話がありましたように、「むつ」は研究開発段階の原子炉を積んだ原子力船というふうになろうかと思いますので、その規制については、今後法案が成立いたしますと科学技術庁におきまして一貫して規制が行われるということになろうかと思います。研究、実験航海とも終わりましてからの「むつ」をどうするかの問題につきましては、まだ先のことでございますので、その段階で原子炉安全委員会等の御意見を承った上でその方向を決めていきたいというふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/147
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148・小柳勇
○小柳勇君 時間がありませんので、この問題で最後にしますが、現在科学技術庁、運輸省、日本原子力船開発事業団で構成する原子力船長期ビジョン検討会が長期的な原子力船開発のあり方を検討中と聞くが、一部新聞には、その報告書が近く出され、その内容は、原子力船「むつ」を海洋観測船として利用し、原子力船事業団を原子力船研究所に改組し第二原子力船の開発に当たらせるものと伝えられているが、報告書の提出時期、その内容の概要、提出された報告書の取り扱いなどについて御説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/148
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149・山野正登
○政府委員(山野正登君) まずお答え申し上げます前に、先ほどの御質問で大臣の答弁を若干補足さしていただきますが、この原子力船「むつ」についての所管の関係でございますが、私ども「むつ」の研究開発を推進するに当たりましては、原子力委員会の定めました方針、これは原子力第一船の基本計画というのがあるわけでございますが、原子力委員会のお決めになりました基本計画に従いまして、私どもと運輸省とが共同でその開発に当たっておるというのが実情でございます。これは、運輸省は造船、海運政策との関係から、私どもは原子力の平和利用全般との関連において、相互に協力しながら進めておるという現状でございまして、先ほど大臣が答弁申し上げたのは、規制という面に即しての答弁であるということを御了解いただきたいと思います。
それから、ただいま御質問の長期ビジョン検討会と申しますもの、これは、実は新聞がそういうふうな名前をつけて報道しておりましたけれども、局内にはそういったふうな名前の検討会はないのでございますが、関係者が集まりまして、部内でいろいろ勉強会を開いております。いわば、検討会というのはそういうふうな意味かと思いますが、そこでいろいろブレーンストーミングとしまして、いろいろな問題を自由に取り上げて議論しているようでございまして、特に一つの結論をまとめて出してどうするこうするといったふうなことでもないかと思いますし、もともと正式に設置した委員会でもないので、検討会でもないので、その報告書が出るといったふうなこともないわけでございますので、新聞報道は何かの間違いではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/149
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150・小柳勇
○小柳勇君 それでは、これからの原子力船開発事業についてはどういう構想をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/150
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151・山野正登
○政府委員(山野正登君) 今後の原子力船開発につきましては、実は、従来原子力委員会の中で、今後の原子力船開発のあり方について、原子力船開発懇談会を設けましていろいろ御審議いただいた経緯があるわけでございますが、ここにおきましては、ごく簡単に申し上げますれば、従来、わが国は、造船国、海運国として非常に重きをなしておるわけでございますが、そういう観点からも、またエネルギー政策の観点からも、引き続き来るべき原子力商船時代に備えて原子力船の開発を進めていくべきだと。その中におきまして、原子力船の第一船でございます「むつ」につきましても、これは大山委員会におきまして、所要の修理を行えば、当初予定いたしました開発目的というのは達成し得るというふうな評価をいただいておるわけでございますので、その線に沿って、この「むつ」の研究開発というものを続行すべきであるというふうな結論を出しております。
今後、この体制につきましても、先般、日本原子力船開発事業団法の改正法案を御審議いただいたときの審議の経過等から考えまして、現在の事業団というものは「むつ」の開発だけを担当しておるわけでございますが、この開発の機能に加えまして、舶用炉等の重要な機器につきまして、その研究もあわせ行う機関に衣がえをしていくべきであろうということでございまして、できるだけ早い機会にそのようなことを内容とした事業団法の改正法案を国会に提案申し上げるべく、現在いろいろと勉強をしておる、そういう段階でございまして、先ほどの検討会というのも、そのような活動の一環をとらえてそのような表現をされたのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/151
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152・小柳勇
○小柳勇君 まだ十分納得できませんが、同僚議員もおりまして、次の問題もあります。若干、一、二まだ心残りの問題がありますから、この「むつ」問題については、また他の委員に譲りたいと思います。
いずれにいたしましても、地元の皆さんが、普通は船が入ることに心配するはずはないわけですね、ドックもあいていますから、普通の船なら。原子炉さえなかったら、どうぞいらっしゃいと言って修理するのが当然でして、原子炉があるからいやだと言うんでしょう。きょう昼前、私最後の質問をいたしました。長官も、何で国民が原子力発電及び原子力船に不安感を持っているか、いろいろ問題があって順位はつけられぬとおっしゃいましたけれども、とにかくあの原子爆弾を被爆いたしました国民が、原子力というものは大変なものだと、その一点ではないかと思うわけですね。したがって、その原子炉、特に舶用炉についての審査の問題なども今後は重要でありましょう。
そこで、法案の問題でありますが、今回安全委員会ができます。原子力委員会と安全委員会が分離するということは、朝、冒頭に質問いたしましたように、いままで原子力エネルギーを推進してきたけれども、まだ国民は非常に不安であって、原子力発電所の地域の皆さんが反対する。この際は、安全委員会をつくって規制をして、そして安心してこれから原子力エネルギーが促進できるようにというのが法案改正の大きな目的ではないかと思うわけですが、もう一回安全局長からその意味を聞いておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/152
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153・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 原子力の開発を進めるに当たりまして、安全の確保というものは大前提であると私どもも考えておるわけでございます。こういうような意味におきまして、今般の法律改正におきまして安全委員会が発足いたしましたならば、この大前提をもちまして、安全委員会として安全規制の政策並びに個別の原子力施設の安全性の審査、これ、行政庁の行いましたダブルチェックを行うというふうに御説明申しておりますが、そういうことを十分に行いますとともに、安全委員会のもう一つの非常に大きな使命といたしまして、先生御指摘のとおり、住民の方々の、あるいは国民の方々の安全に対する御理解をいただくということが非常に大きな役割りでございますので、たとえば原子力発電所の建設に当たりましては、事前に公聴会制度を新たに設けて、住民の方々の意見をいただいて、それを審査に反映するというような新しい試みもすべての原子炉につきましてやっていきたいというふうな計画も立てております。そういうようなことをいたしまして、従来言われております開発面にウエートがかかり過ぎておるというふうな御批判にもこたえる、そういうことのないように万全の安全体制をしいていきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/153
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154・小柳勇
○小柳勇君 科学技術庁の中に原子力委員会と安全委員会ができるわけです。といたしますと、原子力委員会と安全委員会との力関係というものは、並行か、逆に安全委員会の方は本当の監査役程度になってしまうのじゃないか、それがこの間の衆議院の科技特における強化の意見じゃないかと思うわけですよ。安全委員会というものはもっと権限を強化しなければならぬ、原子力委員会が計画したものでもどんどんチェックできる、それには安全委員長が科学技術庁長官の部下であってはならぬと思うんですが、将来の構想についてはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/154
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155・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 安全委員会と原子力委員会の関係でございますけれども、確かに安全の規制政策に関することは安全委員会の専管として、業務として明定されておるわけでございます。したがいまして、原子力委員会が安全委員会の意見を全然無視して開発面の審議をするというようなことも考えられません。
また、個別の安全審査の案件につきましては、これははっきり安全委員会と原子力委員会の役割りが法律で明定されておりますので、ここにおきまして、どちらが上下という形になる事柄ではなくて、全く同等の権限を持って、はっきり仕分けされた権限で働くようになっておるわけでございますので、上下の関係等で、力がどちらかが弱くなるという形はなかろうかと思います。
それから事務局部門の体制につきましては、安全委員会ができますと、その事務局は、関係各省庁のもちろん省務の支援を受けつつ原子力安全局が総括し、実態的な事務局を仰せつかるわけでございますけれども、特に今回、安全委員会が所掌いたします各省庁が行いました一次の安全審査のダブルチェックをするというきわめて重要な仕事をすることになりますので、特にそういうダブルチェックの仕事、あるいは原子炉のいろいろな安全審査に必要な指針であるとか基準であるとか、こういうものの作成につきましては、安全局の中に原子力安全調査室というのを本年度予算でお認めいただいておりますので、新設いたしまして、これが安全委員会の専属的な事務局として安全委員会の活動を支援するという体制をとってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/155
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156・小柳勇
○小柳勇君 理事会でお決めになった時間が参りましたから質問をやめなきゃなりませんので、質問を通告いたしました委員会内の問題、たとえば顧問会の問題とか、審査会の問題など、この問題は行政の方で特に考えていただくように——もう質問する時間がございませんのできょうは質問を省略いたします。
最後に、私はこの原子力規制関係法令集をほとんどずっと全部読みました。そこで一番感じましたのは、たとえば原子炉の立地審査指針——どういう指針があるかと思ってずっと読んでみました。これには、たとえばこの広さの中に人口は幾らですよとかあります。ところが最終的な判断は、放射線が出ました後人体に与える影響、放射線の量、レム、それが一つの審査基準になっております。これは外国でもそうでありますから、日本だけほかの方法はできないと思います。外国でもやっぱりそうです。そこに私は原子力に対する不安というのが当分消えないと思うのです。なぜかなれば、たとえば原子力船はあれだけ「むつ」に金をかけてつくりました。そして海洋に出ていきました。それも安全だと思ったのが、始動したところが放射線がうんと出てストップしたわけですね。つくってしまってるわけです、船も、舶用炉も。原子力発電所をつくりまして、この審査基準としては距離とか——距離ありません。あるいは全体の敷地の広さも、その中に人口は幾らですと、その疎密度は書いてますけれども、全然そういうものを書いてないわけですね。ただ、放射線が出ました後影響する、できました後の放射線が出た後の影響について規制してあるのです。そのときは発電所はできているわけですね。そこのところに私はこれから十年不安がかかりますよと。それは放射線というものが人間に与える影響、それを、たとえば人間の個人がよろいを着てそれを防ぐことかできるならば、どんな発電所ができたって問題がないじゃないかと思うのです。人間の方では防ぐ方法がないわけですから、だからたとえば原子力発電所のへいができて、これからもう放射線はこれだけしか出ませんというものができたら、私はみんな安心するんじゃないかと思う。いまたとえば火力発電所の場合には、煙突から出ます排気量——窒素とか水酸化炭素の量で一応規制いたしますけれども、それと同じようなことで放射線の量で規制してあります、基準が。したがってその放射線というものが人体に与える影響というもの、これがひとつの不安。もう一つは、やっぱり原子爆弾というもの、あの爆弾の力、その力がちゃんと人間の頭の中にある。そのことを解決されなければ私は不安は去らないのではないかと思いますが、これはこれからの研究体制でありましょう。
一番私どもが問題にするのは人体に対する影響と同時に、あとは、さっき問題にしました原子爆弾に使いやせぬかということですね。平和利用という原子力発電所が、その再処理した後今度は核実験ができるという問題、そういう問題を何かぴしゃっと歯どめしませんと、きっと人間は原子力発電所については抵抗する。現在そういう気がしてなりません。そういう問題についての研究費も少ないようです。ここに資料をいただきました。たとえば、もちろん自衛隊の費用を削れなんというきざなことは言いませんけれども、もう少し研究費用も出して、そんなものを早急に研究していただくということを——いま知恵がありませんが、そんなものの感じがいたします。
それで、安全委員会ができましたならば、くれぐれもその安全チェックの問題に十分な枠組みをされて国民が安心しますように——原子力発電について必要性は四三%の者が持っておる。ただし自分の地域に来るなというのが七二%いるということですね。そういう実態も把握してもらいたいと思います。
最後に、防衛問題の安全性の問題で防衛庁長官にこの次には来ていただきたいと思いますから、これは理事会でお諮りを願いたいと思います。
以上、私の意見だけ申し上げましたけれども時間が足りません。質問を終わります。もう答弁はよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/156
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157・塩出啓典
○塩出啓典君 それでは限られた時間でございますので二、三お尋ねをいたしますが、安全審査というものは慎重過ぎることはない、できるだけ慎重にやるべきである、私はそう思うのですが、科学技術庁の見解を承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/157
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158・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のとおり、安全審査は、広い意味の安全審査で申し上げますと、各段階において十分行わるべきものであろうと思います。
それからただいまの先生の御質問が基本設計の発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/158
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159・塩出啓典
○塩出啓典君 そこまで聞いていない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/159
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160・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 先生おっしゃるとおり慎重にやるべきものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/160
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161・塩出啓典
○塩出啓典君 そこで、ダブルチェック、ダブルチェックということをいまもお話がありましたし、科学技術庁からいただいた資料にもあるわけですが、ダブルチェックとはどういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/161
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162・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 行政懇談会におきましてダブルチェックという表現が使われております。これは規制の一貫化によりまして、それぞれの主管官庁が設置の許可をいたしますときに、主管官庁で行います一次の審査を——安全委員会並びに原子力委員会に設置につきまして諮問をしてまいりますが、安全委員会は安全性についての諮問並びにその設置者の技術的能力について判断を求められるわけでございますが、その際に、安全委員会の下部機関でございます安全専門審査会が行う審査をダブルチェックと、並びにその安全委員会が行いますチェックをダブルチェックというふうに呼んでおるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/162
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163・塩出啓典
○塩出啓典君 一次の審査は通産省あるいは運輸省あるいは科学技術庁、そうしてそれをさらに安全委員会あるいは安全委員会のもとにある炉安審、そういうものがダブルチェックをする、こういうことでございますね。この二つはどちらもこれは重要である、そしてそれぞれがやはり独立をした安全審査の能力がなければこのダブルチェックの意味はないと私は思うんですが、その点はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/163
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164・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 先生おっしゃいますとおり、各関係行政機関並びに安全委員会の傘下におきましてそれぞれこの安全審査をする能力がございますような体制をつくらなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/164
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165・塩出啓典
○塩出啓典君 先般当委員会に、いま議題となっております基本法について参考人の方にいろいろ御意見を承ったわけでございますが、その先生が、やはりダブルチェックというのはクロスチェックでなければならないと。私は余りよくわからないんですけれども、恐らく私が理解しているのは、やはり一つの審査がある、それをさらにダブルチェックをする、こういう場合には異なった観点からやはりチェックする、こういう意味じゃないかと思うんですね。だから、お金の計算をするのでも、一つ計算して、もう一回計算する場合はちょっと別な方法で計算するとか、そういうことがより正確を期すという意味じゃないかと思うんですが、そういう意味から見て、いまのこの法律が提案しておりますところのダブルチェックというものは十分であるのかどうか、私はちょっと疑問に思うわけですが、そういう点はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/165
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166・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 先生おっしゃいますように、安全委員会が行いますダブルチェックの中には、当然クロスチェックと先生ただいま御指摘ございましたような意味合いのものもあわせ持って行わねばならないと思っております。たとえば、当然設置者並びに行政庁の審査におきましていろいろな安全審査を、安全の評価をいたしてまいります。理論的な評価もあると思いますが、このようなものをそのまま安全委員会が説明を聞き見ているだけでは、何ら行政庁の審査と変わりないと言われるかとも思われます。したがいまして、重要な点につきましては、場合によりましては、安全委員会みずからその安全評価につきまして、別の数値あるいは別の計算式を用いて安全を確かめるというようなことが当然行われるものと考えております。すでに現在の安全審査におきましても、これら設置者から出ましたいろいろな安全に対する報告の中にございますものにつきまして、別の観点からのチェックを指示したり、あるいは原子力研究所に依頼して別の計算をやって、その両方の結果がどう出るかというようなことをやるとか、いろいろクロスチェック的なこともすでに行われておりますわけでございます。したがいまして、安全委員会ができましてからも、同じような考え方のもとにダブルチェックの成果を上がらせるように進めていくべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/166
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167・塩出啓典
○塩出啓典君 主管官庁にまる一次審査も、最終的には安全委員会が認めてくれるんだから、まあ適当にやっておきゃいいんじゃないかと、こういうことでは絶対相ならない。やっぱり一次審査もそれぞれ責任のある、そういう審査をしなければならないと思うんですが、これは間違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/167
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168・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のとおりであろうかと思います。特に今回の法改正は、それぞれの行政庁が安全規制に対してすべての責任を一貫した責任を持つことになるわけでございます。そのような重要な責任を負う行政庁が、何と申しますか余り十分でない審査を持ってきたということになりますと、これは安全委員会で指摘されるまでもなく、世間の不評と申しますか不信を買うもとであろうかと思います。したがいまして、私ども科学技術庁におきましても行政庁の安全審査をいたしますけれども、われわれの気持ちとしては、安全委員会に出したときには何にもクロスチェックなしでも通るぐらいのつもりで出さねばならない、こういう心構えが必要ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/168
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169・塩出啓典
○塩出啓典君 そこで、今度ダブルチェックの問題につきましては、基本設計を安全委員会がダブルチェックをする。もちろん詳細設計あるいは完成検査あるいは定期検査、そういうものについても安全委員会はいろいろ報告を求めることができるわけではありますけれども、基本設計と詳細設計以後の問題については、そこに差をつけておるわけなんですけれども、これはどうしてこういう差をつけるのか。詳細設計も同様に扱うべきではないか。原子力船「むつ」においての教訓から考えるならば、やはり基本設計と詳細設計というものを、そこに差をつける姿勢はよろしくないんではないかと思うわけでございますが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/169
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170・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 規制法に基づきまして基本設計の審査を行い、それによって設置の許可を行っておるわけでございます。で、設置の許可が行われた後、当然詳細設計、工事方法の認可等等の審査がそれぞれの主管官庁によって行われるわけでございます。その詳細設計以降の問題と申しますのは、基本設計の、それをさらに基本設計でつくられたフィロソフィーの詳細な確認行為であるわけでございます。したがいまして、それと、その問題がきわめて膨大な件数に上るということで、従来からもそうでございましたが、現在の原子力委員会の安全審査というのは基本設計のみにしておるわけでございます。今回の法改正におきましても、法律的には基本設計の安全審査について安全委員会が安全審査を行うことになっておりますけれども、詳細設計以降の問題につきましては、すでにこの法改正のもとになりました意見を出しました行政懇談会におきましても、重要なものは十分見る必要があるというような御意見もあったことにかんがみまして、現在、原子力委員会におきましても、安全専門審査会が、この点については後々の詳細設計以降の進展状況を見なくてはいけないというふうな指定をされたものにつきましては、すでに通産省等が行います詳細設計のチェックあるいは工事方法の認可という段階での調査の結果を報告を受け、またそれに対して意見を言う、こういうふうなシステムをつくっておるわけでございますが、今回の法改正におきましても、衆議院段階でのいろいろな御議論をいただきまして、一部の安全委員会の強化を図る修正におきまして、安全委員会が運営に当たりましては、この詳細設計以降の規制全般についても必要に応じ原子力安全委員会が調査、審議をするという趣旨におきまして、安全委員会が報告を徴収することができるというような一部修正等を入れまして、その重要なものについては引き続き調査、審議をできるような体制になったわけでございます。また、必要におきましては、審査会等安全委員会側が現地に実地に調査をするということも考えられておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/170
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171・塩出啓典
○塩出啓典君 ただいまのお話では、詳細設計ということになると非常に膨大な事務量であり、それをすべて原子力委員会あるいは今回法改正後であれば原子力安全委員会で行うことは事実上は無理だ。したがって、原子力安全委員会の委託を受ける炉安審が指摘をしたところのみに限って詳細設計についても目を通すようにしていきたいと、こう理解していいわけですね。簡単にやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/171
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172・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 先生おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/172
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173・塩出啓典
○塩出啓典君 だから、要は、一番最初に私が質問したように、安全審査は慎重であることがベターである、そういう観点から言えば基本設計、詳細設計あるいはこの完成前の検査、あるいは定期検査、そういうものについてもダブルチェックが望ましい、その方がベターだと。しかし、限られた人員の中でやっていかなくちゃいけませんし、審査もいつまでも五年も十年もかかっていいわけではない、ある一定の能率も考えていかなきゃならない。政治はどうしてもそこにおのずから妥協点を見出さざるを得ないわけで、その妥協点がいま政府が提案されておる内容であると、こう理解していいわけですね。それなら納得しないこともないわけなんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/173
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174・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 先生おっしゃいますように、この詳細設計以降の検査等は非常に件数が膨大でございます。先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、それらはすべて基本設計の詳細なものについての確認行為という形もあるわけでございます。そういうようなことを考えますと、本来安全委員会並びに原子炉安全専門審査会というのは高度の判断を行う立場にあろうかと思います。そのような膨大なものをすべて安全委員会の所掌に属さしめるということは、かえって安全委員会の運営に支障を来たすおそれがあるというふうなことも考えられるわけでございますので、先生御指摘のように、安全委員会が指定する特に重要なものについて詳細設計以降の案件につきましてもチェックしていくというような体制にしていきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/174
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175・塩出啓典
○塩出啓典君 そうしますと、詳細設計以降の問題について安全委員会がダブルチェックをする個所はどういうものを詳細設計以後も追跡すべきである、こういうルールはあるんですか。それはやっぱりケース・バイ・ケースできておるのか。その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/175
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176・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) ただいま先生のおっしゃられたルールというものははっきりしておるわけではございませんが、原子力発電、特に軽水炉につきましてはいろいろな経験がこれまでに積み重ねられておりますので、重点になりますことは、基本設計の中に新しい試みを入れたようなものにつきましては、これは十分詳細設計以降についてその結果を判断、確認しなくちゃいけない問題だと思います。また、基本設計の中で議論しておりますと、どうも完全にはわからない、詳細設計の結果を見ないとわからないものも中にはございます。そういうようなものにつきまして指定して、行政庁の行う審査の際に報告を求めてチェックをして、また意見を言うというようなシステムが考えられておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/176
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177・塩出啓典
○塩出啓典君 私は、やはりルールをつくっていくべきである。やはり一つの経験が次に生かされていかなければいけませんし、審査に当たる先生方も順次かわっていくわけですから、そういう意味で、そういうルールをつくるべきである。つくる用意があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/177
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178・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) ただいま私御説明申し上げましたが、先生の御指摘は、比較的細かいルールのようにお伺いいたしますが、安全専門審査会でこの問題の取り扱いについては一応の規定がございます。しかし、それをどういうものにはどう適用するかということは現在ございませんので、今後、先生の御指摘を踏まえまして、いろいろ検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/178
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179・塩出啓典
○塩出啓典君 第一回の原子力委員会ができましたときのメンバーには湯川さんとか有澤さんとかそういう方がいらっしゃったわけでありますが、有澤さんなどはその当時野党の推薦する学者として入った、このように私は理解をしているわけでありますが、そのとおりであったのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/179
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180・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 人事の問題でございますので、正式な推薦というふうな形であったかどうか、私よく存じ上げないわけでございますけれども、御意見としてそれをいただいて、当時の科学技術庁長官がそれを入れられ原案に盛って国会の御承認をいただいたというふうに私どもは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/180
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181・塩出啓典
○塩出啓典君 今度新しい原子力委員会あるいは原子力安全委員会ができて、そういう委員の方が選ばれるわけですが、これは国会が決めるわけなんですけれども、国会が決めると言っても、やはり科学技術庁長官がある程度原案を出すわけですが、そういうときに、やはり第一回の原子力委員会の委員が選ばれたように、野党の意見も聞いて、野党の推薦する学者も何名か加える。ぱっと決めて議運に書類が回ってきて各党どうかという、そういうようなことではなしに、野党もいろいろな党があるわけですけれども、もちろん野党間の合意も必要なわけですけれども、野党の推薦する学者も何名か加える。ひとつ野党さん、だれかいい学者がおれば推薦してくださいと、これぐらいの私は姿勢であるべきじゃないかと思うんですがね。やはり科学技術というものは、これはもうイデオロギーとは関係ないわけなんですから、やっぱりそういう意味から、私は熊谷科学技術庁長官としては英断をもってそのようにすべきだと思うんですが、そういう気持ちがあるかどうか、ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/181
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182・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) この件につきましては、たびたび御意見も承っておりますし、その都度お答えしているとおりであります。安全委員会の人選につきましては、非常に決まり切ったことではありますが、いろいろの観点が必要でございまして、そういう観点に基づいて大方の御信頼が得られるような人を選ばねばならぬと、一応候補として選ばねばならぬと、このように考えているわけであります。その際におきまして、いろいろの方面から御推薦も当然あることと存じますが、その際野党からの御意見がありましても、そういう点を、野党であるからどうとか、もちろんそんなことは考えずに御推薦も受け入れまして、そして十分ひとつ検討さしていただきたい。しかるべき理由によって決めてまいりますから、御推薦いただいた人が果たしてどうなのかこうなのか、これはただ野党だけじゃありません。いろいろな面から御推薦がありますので、そういう御推薦は非常に広い気持ちで受け入れまして、そして十分検討さしていただきたい、これだけは申し上げることができると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/182
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183・塩出啓典
○塩出啓典君 それから原子力委員会、安全委員会のもとで審査をする炉安審のメンバーは今回もふえるようでありますが、このメンバーの選定のあり方、これはこの前の委員会では、どうしても原子力安全局長が目を通して——これはもう原子力安全委員会というものが中立性を発揮するといっても、現実には科学技術庁のやはり選定になっちゃうわけでありますが、私は炉安審のメンバーの選定というものが非常に大事だと思うんです。いままで国民が安全に不信を持ったのは、やはり原子力委員会あるいはそのもとの炉安審のそういう安全だということに不信を持ったわけで、本当に信頼される安全委員会であり、また安全審査会でもなければいけないと思うわけでありますが、そういう点で、このメンバーを公平に選ぶためにも選定のルールを決めるべきではないか、それが一点。
それから、問題の原子力発電所を審査をするという場合には、その地元住民が推す学者を何名かこのメンバーに加える。地元住民と申しましてもいろんな住民の方がいらっしゃって合意のむずかしい問題であるならば、住民の代表であるその地域の市町村議会が推す学者も何名か加えるようなルールにしてはどうか、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/183
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184・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 炉安審のメンバーの選定に当たりましては、当然原子力安全委員会の御意見を承りつつ——内閣総理大臣の任命でございますので、科学技術庁がその大臣を補佐する事務局の立場から、安全委員会の意見を尊重しつつ選任してきておるわけでございます。今後もその方法でまいりたい、したがいまして、科学技術庁が勝手に決めるというふうなことではないということは言えるかと思います。
そこで先生の御指摘の、そういうような審査会の先生の決め方に当たってルールを定めたらどうかというお話でございますが、一つは、ただいま申し上げたのも、安全委員会の意見を聞き安全委員会の意見を尊重して決めていくというのが大原則ではございますが、そのほかにあらかじめ具体的なルールを定めて委員を任命するということは、人事の問題でもございますが、私どもの考え方では、この審査会は広く各専門分野からわが国の最優秀の学者あるいは学識経験者を委員にお願いするということを念願しておりますが、それを具体的にルールを決めてやっていくというのは、なかなかむずかしい段階にあるんじゃないかというふうに考えられる次第でございます。
それから第二の御指摘の、関係地方議会の推薦される先生を入れたならばどうかということでございますが、この安全専門審査会は、審査に当たりましていろいろ部会に分かれたりいたして審査をするわけでございますが、最終の決定は全体でするというようなこと、あるいはある時期におきますと非常に多くの発電炉の審査等を担当するというようなこともございます。そういうような関係で、なかなかその特定の炉の所在する市町村等の方からの推薦を入れるというのは、いまの段階でなかなかむずかしいんではないかというふうに考えるわけでございます。
なお、しかしながら、これは予算の関係もございますけれども、まあ比較的この審査会におきましても、東京在住の先生方が多いわけでございますが、私どもといたしましては、各地方にいらっしゃる先生方をできるだけふやしていきたいというようなことは考えておりますが、先生の御指摘の、特定の市町村の長の推薦する先生というものを入れるのはいまの段階でなかなかむずかしいんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
なお、私どもの考え方としては、地元の方々の御意見を聞くという観点であれば、現在、新しく発足する安全委員会におきましては二回に分けて公聴会、公開ヒヤリングをやることを考えておりまして、そういうような際に、十分地元の意見を取り入れて対処してまいるのがいまの段階においてはいいんではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/184
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185・塩出啓典
○塩出啓典君 じゃもう時間がありませんので質問を終わりますが、非常に、いまの御答弁には全くわれわれは納得できません。やはり原子力安全委員会のメンバーの選定、それとまた同じようにこの安全審査会のメンバーの選び方、そういうものは非常に大事でございますので、この点は今後検討してもらいたい。本当に地域の住民の人からも信頼される者でないと、科学技術庁から見て幾らりっぱな人であっても、やはり地域の方からも信頼される者でなければ意味はないと思うんです。そういう点を今後検討していくということを長官から答弁をいただいて終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/185
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186・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) いろいろな点につきまして御意見のありました御趣旨については、十分ひとつ慎重にまた今後検討いたしまして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/186
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187・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 後刻通産大臣に質問をいたしますので、それに先立ってまず通産省に若干の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。
前回の質問で、今度の法改正によれば、通産省における安全審査の体制が現行の原子力委員会のもとでの安全審査体制より後退をする姿となっているではないかという問題を、さまざまな側面から前回いろいろ指摘をしてきたつもりです。たとえば安全審査会と通産省の側の技術顧問会、片一方は法定で片一方は非法定。また人数から見ましても、現在原子力委員会のもとで基本設計の審査を担当しておる人数が専門審査委員三十名、それに協力をしておられる調査委員三十名。これに対して技術顧問会の方は基本設計審査を新たに行うということによる技術顧問会の増員をされるのは十八名にすぎないということであるわけですし、あるいはまた行政庁の科技庁の原子炉規制課、これが通産省の原子力発電安全第一課、ここと対比をしても明瞭だという問題とか、それから安全専門審査会なり技術顧問会、ここで御苦労を願う学識経験者の皆さん方の手当という点で見ましても倍からの手当の額の違いがある。こういう点は、やはり勢い学者を遇する道としてどうなんだということも指摘できるということをいろいろ挙げておったんですけれども、なおもう一つお尋ねをしますが、安全審査会なり技術顧問会なり、いろいろ仕事をなさる上での手当とは違った、会としてのいろんな活動費というものが当然予算上あると思うんですけれども、通産省、ちょっと事前にお聞きをしたところによりますと、通産省ですと現在三百万円ぐらい、これが法改正が行われますと四百万円ぐらいになるというふうにきのうお聞きをしたんですけれども、この数字でよろしいですか。
〔委員長退席、理事塩出啓典君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/187
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188・武田康
○政府委員(武田康君) 私どもの方では顧問の先生方いろいろお願いし、その設計の審査等々につきまして御意見を出していただき、同時にたとえば現地を見ていただくようなケースもございますし——現場でございますが、あるいは会議の費用等々がございます。そういう費用がございますけれども、先生方にお礼として出す手当を除きまして、いわば現場を見ていただくための旅費、それから会議費等といういわば活動費、これは五十二年度約二百九十万、そして五十三年度が三百六十万でございまして、大体二割ちょっとアップでございます。一方、手当の方につきましては、これは基本設計といいますか、規制法二十三条の関係の審査が……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/188
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189・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 手当の方はいいです、この前お聞きしましたから。
そうしますと、五十二年度二百九十万、法改正がもし行われれば三百六十万、基本設計を担当する新たな仕事に伴う当然新しい仕事が出てくる、それに見合うものとして七十万くらいの予算上の増額措置がやられておるということになっておると思うのですが、どうなんでしょう、片一方科技庁ですね、数字もらっているのですけれども、ちょっとこの複雑な集計になっているのでよくわからないのですけれども、いまの御質問をしている活動費という点で見ますと、現在原子力委員会のもとでの安全審査を審査会の方々が行っていただくための活動費の予算上の措置はどれくらいになっておりますか、おおよそでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/189
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190・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 先生のおっしゃいます活動費というものがはっきりわからない面もございますが、委員の方が会議に参画していただく旅費並びに委員手当で申し上げますと……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/190
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191・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 手当はいいです。いろいろな調査活動をやったり、あるいは必要な現地視察をしたり、こういうことがあるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/191
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192・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 平年度ベースで予算がわかりにくいのですが、五十一年度は、これは原子力委員会の活動におきますあれでございますが、委員等旅費あるいは諸謝金、庁費、こういうものを含めまして千五百万でございます。これに引きかえまして安全委員会が発足いたしました際には、委員等旅費といたしまして千六百万並びに諸謝金、庁費が五千七百万でございますが、この五千七百万といいますのは、予算上炉安審だけの経費として予算区分できておりませんので、安全委員会の全体の運営費とお考えいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/192
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193・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 どうも私が事前にいただいておる数字との違いがあるんですけれども、こういうことになるのじゃないですか。いわゆることしの五十三年度科技庁原子力関係予算概要というものを前に当局からいただいておるわけですけれども、その中のいわゆる安全審査のダブルチェック、こういう項目で五十二年度二千九百万、五十三年度六千万、こう組まれておるわけですから、ここから委員手当とかそういうものを引けば大体この活動費的なものが出てくる。だから、きちっと正確なところの数字はもう一遍ひとつ後日いただきたいと思いますけれども、たとえば五十二年度については委員手当千三百万ですね、それから委員等の旅費八百五十万。ですから、これ大体合わせても二千百万から二千二百万ぐらいということかと思いますが、それを二千九百万から引けば、大体七百万ないし八百万というのが安全審査会の活動費だということになるだろうというふうに私は思うんですが、そこの数字はまだ出していただいてありません。私が指摘をしたいのは、この対比でも、さっきの通産省の方の技術顧問会の、この手当等のけて、いろいろ仕事をなさる上での活動費、これが、新たに基本設計も担当するということで、どれだけ予算上ふえてくるかといいますと、数十万ですね。それが従来は十倍ぐらいの規模で原子力委員会のもとでの活動がやられていた。こういう点でも明らかな後退があるんじゃないかということを、私はあわせて指摘をしておきたいわけです。
ですから、この前の委員会以来、さまざまの側面から——どこの側面から見たって、通産省に基本設計、安全審査が移行をする、このことによって安全審査体制が強化をされますということは何一つない。どの点から見たって後退が起こっている。これが今度の法改正の趣旨、目的と一体沿うてるのかということについて、どうしても合点がいかないわけです。
それから次の問題ですけれども、さっき塩出さんが原子力委員ないしは安全審査委員の人選の問題に触れておられましたけれども、逆にお尋ねをしますが、通産省のもとでの技術顧問の方々はどういう人選方法をやっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/193
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194・武田康
○政府委員(武田康君) 私どもお願いしております技術顧問の方々には、従来から、審査なり検査なりに当たって、その必要な御意見を伺う。それも、私どもでは処理し切れない、あるいは御意見を伺わないとちょっと判断しかねる、または判断に迷うというような問題につきまして、専門的かつ高度な御意見を伺うという趣旨でお願いしておるわけでございまして、そういった趣旨と、それから安全確保の重要性ということから、高度な専門的知識をお持ちであり、かつ公正、中立的な判断を下していただけるような方と、そういうことで、原子力の安全に関係する各専門分野についていろいろ研究をされ、あるいは学問的に掘り下げておられる方をお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/194
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195・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 何も、そんな置いておる目的を聞いておるわけじゃないんです。原子力委員会の方は、さっきからのお話で、科技庁事務局が、原子力安全局が人選の素案をつくって原子力委員会に提示して、そこでも意見を求めながら最終的に総理任命と、こうなるというわけでしょう、原子力委員の場合には国会承認と、こうなっていくわけですけれども、通産省の技術顧問会の実際の人選の仕方はどうなんですか、ということを聞いている。逆に言えば、通産大臣の任命だけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/195
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196・武田康
○政府委員(武田康君) 私どもでお願いしております顧問は、通産省の行政といたしまして、こういう判断をするというときにいろいろお知恵をおかりするわけでございまして、したがいまして、役所として大臣からお願いすると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/196
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197・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 私は、現在の原子力委員会のもとでやられておる、先ほど来話が出ています専門委員の方々の人選のやり方、これが決していいと思っていないんです。思っていないんですけれども、それと比べても、なおかつ通産省のこの顧問会の人選のやり方というものは、まことに行政庁の判断一本だけでやっているというやり方ではないかということを指摘しているわけです。
そこで、ひとつ長官にお尋ねをいたしたいと思いますし、それから通産省は、後刻、大臣が来られますので、そこでお尋ねをいたしたいと思いますが、本当に安全審査にとって非常に大事な仕事をしていただく学識経験者、たとえば安全審査会、技術顧問会、こういうものの人選の仕方について、現在日本の学者を総括的に代表をする組織として、私、日本学術会議があると思う。この日本学術会議のもとには原子力問題の特別委員会なんかもあるわけですし、公正、民主的に今日の日本の原子力に関する科学技術の英知を集める、そういう意味でやはり学術会議の御意見も十分聞いて人選を進めるという、こういう積極策をとられるべきではないかというふうに思いますが、
〔理事塩出啓典君退席、委員長着席〕
原子力委員会ないし安全委員会の関係の部分についてはまず熊谷長官、御意見どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/197
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198・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) いろいろ御発言がありました筋につきましては、十分考慮しなければならぬと考えております。先ほども申しましたように、いろいろの観点から、そういういろいろな点に十分合致されました方々を推薦することにいたしておるわけでありまして、その人選に当たりましては、特に特定の団体から意見を聞くということではなく、なるべく広い範囲の方々の御意見等を参酌しまして、各界の人材を考慮に入れ、なるべく多くの方々に御信頼の得られるような人を推薦いたします私の責任として考えてまいりたい、このように考えるわけでございまして、十分そういうふうな考え方で、いま、ある団体からどうこうということをここで明言するわけにはまいりませんが、あらゆるそういう権威のある人たちの中から選んでまいりたいということでありまして、そういう趣旨で進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/198
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199・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 広い観点から選びたいと言われておる、その抽象的な部分はいいんですけれども、長官、学術会議を特定の団体と言われましたね。特定の団体ですか。何か特定の考え方で集まっているという団体ではないでしょう。ちゃんと法律のもとで認められておる日本の学者の代表機関、そうして一人一人が選挙権を持って、投票という形によって学術会議の各級役員が選ばれておるという、こういう日本の学者をいま網羅的に代表し得る機関として言えば、いま日本で何がそういう学者の代表機関かと言えば、学術会議が一番ふさわしい位置にあるというふうに私は思うんですけれども、特定の団体だという言い方をされますと、私はちょっとそのいまの長官の表現にはこだわりますね。それは撤回をしてもらう必要があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/199
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200・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) 撤回でも何でもいたしますが、私が申し上げましたのは、何も学術会議を特定の団体というつもりで申し上げたのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/200
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201・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 いや、私はそう聞いたんですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/201
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202・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) したがって、学術会議を特定の団体と申し上げたということが適当でないということであれば撤回いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/202
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203・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 それでは再度お尋ねをいたしますけれども、私は、学術会議の性格というのは、いま申し上げておるように考えておるわけなんです、それで長官どうなんでしょうか、たとえば安全審査会、お願いをする委員の方々の選任に当たっては、何も学術会議の意見に一〇〇%従いなさいということを、機械的なことを言っているわけじゃないんですけれども、そういう学術会議の意見なんかも十分考慮に入れるという方向で、今後の人選についてはひとつ広く検討していただくという点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/203
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204・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) 重ねて申し上げますが、原子力安全委員会の委員の人選に当たりましては、その任務の重要性にかんがみまして、先ほども申しましたように、一般から——これも適当でないかもしれませんが、中立的と思われる方、しかも安全について専門的かつ大局的な見地から政策判断を行い得る人材を充てる必要があると考えているわけであります。したがって、どういう団体、こういう団体ということにとらわれず、聞くべき意見があれば広い襟度でいろいろな御意見をひとつ承りたい、このように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/204
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205・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 しつこいようですけれども、どの団体、どの団体ということにこだわらず、広く意見を求めていくんだということでありますから、学術会議の御意見も——だけというわけじゃない、学術会議の御意見も組み入れて、この種原子力についての広く英知を集めるという点でのこの種問題の人選については対処をしていくという点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/205
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206・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) ただいまも大臣が御説明したとおりでございますが、若干補足さしていただきますが、そのような安全委員会の人選に当たって、御意見があればそういう点は十分承って人選を進めてまいるというふうに大臣も申し上げていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/206
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207・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 通産省の方は後、大臣にこの問題お尋ねします。
それから通産省にもう一つお尋ねをいたしますが、きのう事務当局の方が来ておられたときにお尋ねをしておりますと、技術顧問会の名簿ですね、これは発表できませんというふうに言われているんですけれども、本当に発表できないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/207
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208・武田康
○政府委員(武田康君) 私どもお願いしております技術顧問は、性格的に申し上げますと、原子力発電所の審査、検査、私どもが行政庁として実施するに当たりまして、いろいろ技術上の諸問題につきまして御意見を聴取するという……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/208
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209・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 いや、いいですよ。発表できるのかできないのかと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/209
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210・武田康
○政府委員(武田康君) 私的諮問機関でございます。そういう顧問会の性格、それから各顧問の方方に率直な御意見を言っていただくというような観点から、実は顧問会の名簿の公表については従来からも差し控えさしていただいており、今後とも差し控えさしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/210
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211・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 科技庁の方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/211
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212・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 原子炉安全専門審査会の名簿につきましては、これは内閣総理大臣任命でございますし、当然従来とも公表してきておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/212
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213・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 調査委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/213
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214・牧村信之
○政府委員(牧村信之君) 調査委員についても何ら御報告するのは私ども差し支えないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/214
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215・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 そうしますと、同じ安全審査を担当する科技庁における、名簿公表の問題に限って言えば、科技庁のとられる方法と、通産省のとられる方法と重大な違いがある。これは単に違いがあるということだけじゃなくて、本当に国民に開かれた原子力行政を進めていくという上で、私は技術顧問会の名簿が公表できぬというのはどうしても納得できません。これは委員長、一遍、理事会でこの扱いについては協議をいただきたいと思います。
それから次に、原子炉の安全性研究の問題、この安全性研究をどう行政に生かすかという点で幾つかお尋ねをしたいんでありますが、一つは、今度基本設計審査が通産省へ移るということに伴って、何か通産省独自の研究機関を持たれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/215
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216・武田康
○政府委員(武田康君) 今度の一次審査の私どもへの移管に伴って、特に新たな研究機関を通産省内に設置するという考え方はきょう現在持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/216
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217・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 科技庁の方にもお尋ねをしますけれども、現在原子力研究所でさまざまな——資料もいただきましたけれども、大きく言って工学的安全研究、それからもう一つの柱として環境安全研究ということで、原研での研究活動がやられているわけですけれども、この工学的安全研究の内容としての反応度事故の研究とか、冷却材喪失事故の研究とか、この種研究は原子炉の種類としてはどの種類の原子炉を対象にしたものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/217
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218・山野正登
○政府委員(山野正登君) 軽水炉を対象に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/218
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219・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 そうしますと、今度の法改正の一つの理由づけに、いわゆる発電炉はこれは今日完成された原子炉になっている、技術的に。こういう理念が前提になってこれの安全審査、安全規制は開発官庁がそれぞれつかさどる、こういう法律の定義の仕方になってきておると思うのですが、通産省、どうなんでしょうか。現に原子力研究所で、たとえばさっきもありましたように冷却材喪失事故、ですから事故が起こったときに緊急冷却装置が思いどおり正確に動くかということも含めての研究ですね、これいまや国際的にもやられている。わが国の原子力研究所でもやられている。そういう研究をしなければならない現在の軽水炉については工学上の現在進行段階だと思うのです。そういう状況のもとで、軽水炉はもうこれは完成された実用炉だと、こういう断定ができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/219
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220・武田康
○政府委員(武田康君) 現在の軽水炉は確かにいろんな点で改良の余地がございます。その意味で、完成というのがもう手を加える余地がゼロであるというような御趣旨であれば、完成されたという言葉を使うのはやや問題であろうかと思います。ただ一般社会常識といたしまして、現に経済的にあるいは実用に供して一向差し支えなと、そういうような意味ではすでに完成された実用炉であると、こう言っていいかと思います。なお、原研等でいろいろ安全性、信頼性の実験等をなさっておられます。そういった実験結果の成果は、これは原子炉の設計そのものに使われる場合もございますし、原子炉の安全評価という、評価をよりよくすることに使われる場合もございますが、これらにつきましては、通産省としても原子力研究所の成果でも、これは一つりっぱな成果のわけでございますので、通産省の傘下にはございませんけれども、もちろん活用させていただくと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/220
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221・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 ただ、いま御答弁なさいましたけれども、あなたの御答弁の中でも触れられておるように、厳格な意味での完成された実用炉という、こういう段階まで今日来ているというふうには必ずしも言えませんというふうに言っておられるわけですけれども、そうしますとどうなんでしょう、今度の法改正の提案、この考え方の前提になっているこの種原子炉は開発官庁がつかさどるという、ここに矛盾は起こりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/221
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222・武田康
○政府委員(武田康君) 先ほどの私の御説明あるいは不足だったかと思いますけれども、完成されたというのが、全く手を加える余地がないというふうに解すればということで仮定で申し上げたわけでございます。私どもといたしましては、手を加える余地はあるけれども、実用炉かどうかという点であればすでに完成された実用炉と考えていいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/222
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223・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 もう時間ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/223
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224・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) これより河本通商産業大臣に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/224
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225・吉田正雄
○吉田正雄君 それでは、このたびの原子力基本法等の一部改正に関する法律案について通産大臣に若干の点御質問をしたいと思うんです。
この改正案の提案理由説明では、「原子力開発利用の推進に努めてきたところでありますが、必ずしも期待どおりの進展を見せていない状況にあります。」と述べて、「このような状況を打開し、今後とも原子力開発利用を円滑に推進していくためには、原子力に対する国民の信頼を確保し、国民の理解と協力を得るために、さらに万全の努力を払うことが必要であります。」と、従来の原子力行政のあり方について反省をいたしておるわけです。
そこで、国民の信頼を得られなかった最大の理由が何であるというふうに通産大臣はお考えになっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/225
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226・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 御案内のように、原子力発電の目標も昭和六十年六千万キロ、さらに四千九百万キロ、また三千三百万キロと、ここ三年ばかりの間に三回にわたって目標を縮小修正をいたしております。これはやはり立地問題が思うようにいかなかったということでございまして、立地問題がうまくいかなかったという最大の理由は、住民との間の対話が不十分であった、コンセンサスを得るに至らなかった地点が相当あったと、こういうことでございます。でありますので、さらにこの原子力の平和利用を進めます上におきまして一番大事なことは安全であるということ、安全性の確保の問題、環境の保全の問題、こういう問題につきましてさらに一段と通産省といたしましても努力が必要であると、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/226
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227・吉田正雄
○吉田正雄君 おっしゃったことは、言葉の上では当然だと思うんですね。この中でも、あるいは従来も反省をされてきた点として、開発が先行して安全性を軽視をしておるという、まあいま大臣は、平和利用を進める上で一番重要なことは、この安全性の確保ということとそれから環境問題だと、こういうふうにおっしゃっておるんですが、そういう点で安全性が軽視をされておる、軽視をされているというよりも、安全性の確認が前提であるという原子力平和利用のこの大原則というものがなおざりにされて、もっぱらエネルギー問題に籍口したりあるいは不況対策に名をかりたりして、しゃにむに原発というものを推進してきたという批判を国民が強く持っているわけですね。これは私はやはり最大の理由だろうと思うんです。
そういう点で、じゃ具体的に一体今後どのようにしてその国民の批判にこたえていくのか、何か具体的な考え方なり、あるいは特に通産に対する開発優先という、こういうものに対する大臣の所見というものをお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/227
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228・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 少し私の説明が不十分であったと思いますが、安全性の確保と環境の保全に対する通産省としてのPRが不十分であったと、こういうことだと思います。今後はその面でさらに一層徹底をさせていきまして、そして住民各位の理解を得たいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/228
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229・吉田正雄
○吉田正雄君 大臣はいまPR不足だというふうにおっしゃったんですけれども、私は通産省のPRが不足をしているという点でいま申し上げているんじゃないんです。PRが不足だったから国民の理解が得られなかったとか、あるいは協力が得られなかったということではなくて、基本的にやはり安全性というものが確保されない、確認をされない、そのことを指しておるわけです。また環境問題もしかりです。決して現状では安全性というものは正式に国民によって認知をされていない。この現状というものを一体通産省がどのように受けとめているのかという、この点がきわめて私は重要だろうと思うんです。これは後ほど、地域住民の意見をどう吸い上げるかという点についても大臣の考えもお聞きしたいと思うんですが、いずれにしても、そういう批判があるということを私は大臣として十分受けとめていっていただきたいと思うんです。
そこで、今回の法改正に触れてお聞きをしたいと思いますけれども、行政機関における安全規制行政の一貫化を確保し、その責任体制を明確にする必要があることにかんがみ、実用発電炉については通産大臣が一貫して原子炉の設置及び運転に関する規制を行うことになっているわけですね。
そこでお聞きしたいんですけれども、まず、通産省が安全審査規制というものとそれから設置許可の両方、つまり開発、推進という、こういう一見性格の相反するといいますか、そういうものを同時に行っていくということになるわけです。このことが逆に言うと従来国民の批判が強かったわけですね。開発が優先して安全性が軽視をされてきたということなんです。ところが今度の法改正によると、それをむしろ厳重に分離をしていくべきだという批判があるわけなんですね、そういう点でダブルチェックということが盛んに言われているんですけれども、ところがダブルチェックというよりも、むしろ一次的に通産が安全審査もし、さらには設置許可もしていくということになりますと、推進と規制というものを同一人格者が行う、そこには何か企業に偏った原子力行政ということが行われるんじゃないか、安全性というものが無視をされるんじゃないかという国民の不安、批判というものは、私はむしろこの法改正によって大きくなるんじゃないかというふうに思うんです。そういう点で、矛盾といいますか、そういうものについては大臣はどのようにお考えになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/229
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230・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 今度の法改正でいま御指摘の点が一番大事な点だと思いますが、そこで通産省といたしましても、原子力行政を進めます際に顧問会議というのがございますが、これを拡充をいたしまして、人員もほぼ倍近くにふやすつもりでおりますが、ここの意見を聞きながら安全性等の問題につきまして十分配慮をしながら進めますと同時に、いまお示しのダブルチェックの問題でありますが、安全委員会の御意見も十分聞いて万全を期していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/230
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231・吉田正雄
○吉田正雄君 先ほど来の質疑の中で、科学技術庁の方としては、科学技術庁の方の安全審査の分野といいますか守備範囲というのは、基本設計の分野というものが大体主である、詳細設計については特に必要がある場合やることもあるというふうな、その辺余りはっきりしてないんです。そうなりますと、今度法改正に伴う通産省の体制の中で、果たして詳細設計についての安全審査というのが一体どこまでやられるのか、私は非常に疑問だと思うんです。先ほどの科技庁の答弁では、そこまではとても手が回らないということも一つの私は何か理由であったと思うんです。そうなりますと、安全審査をまさに任務とする原子力安全委員会の原子炉安全審査会がそこまでのチェックというのがなかなか手も回らない、まあ政治は妥協であるというふうな質問のあれもありましたけれども、そういうことになりますと、むしろ安全審査会が本来のあるいは法改正の趣旨に基づく安全審査について手を抜く結果になるというふうに思うんです。そういう点でいまの、いまのと言うよりも今度の新しい体制の中で、本当に私は通産が基本設計から詳細設計あるいはその後の運転等全般にわたって、一体チェックできる体制があの機構、予定をされている機構やスタッフによって果たして行い得るのかどうなのか非常に心配なんです。その点は私は先ほどの科技庁の答弁についても、むしろ非常な不安を感じたわけです。そういう点で、その辺どのようにお考えになっているか。これは大臣ちょっとあれでしたら私は武田審議官でも結構だと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/231
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232・武田康
○政府委員(武田康君) 今度の法律改正が行われますと、基本設計につきましては一次審査が通産省に移るわけでございます。詳細設計以下運転までにつきましては、従来からも電気事業法に基づきまして通産省でやっていたわけでございます。したがいまして、その差額に相当いたします基本設計、規制法二十三条の関係でございますが、これをお引き受けすべく、体制として課の増設を図り要員の増強を図り、先ほど大臣からもお話しございましたが、顧問会の拡充を図るということでございまして、詳細設計につきましては従来どおりのことでございますので、これは私ども十分できると思っておりますし、一方、基本設計、第一次審査につきましても十分お引き受けし得る体制かと思っているわけでございます。
なおダブルチェックで、詳細設計段階以降になりますと、基本設計段階で重要なことと御指摘になったようなことその他につきまして、今後とも新しい体制の場合には安全委員会の方にいろいろ伺いを立てるということが起ころうかと思います。ただ、先ほど科技庁の方からもお話しございましたけれども、細かいことを一々、いわば時と場合によれば事務的になるようなことまで一々安全委員会に伺いを立てていたんでは、非常に大所高所から御判断いただく安全委員会の機能を時と場合によれば損なうおそれもあるというような感じがないでもございません。そういうような意味で、重要なことについて伺うというようなことを今後とも続けることになろうかと思います。したがいまして、安全委員会が手が回らないとかそういうことじゃございませんで、安全委員会にやっていただくようなことを安全委員会にいろいろ伺いを立てるということでございまして、行政部門として判断できる、そこだけで判断してもいいようなことにつきましては、詳細設計以降通産省だけで判断するということが起ころうかと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/232
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233・吉田正雄
○吉田正雄君 ダブルチェックの問題は、私が当初からいろいろ聞いてきておるんですが、科技庁の説明でも通産の説明でも、一面わかった気がして、またどうも考えてみるとよくわからない点があるんですよ。たとえば基本設計について考えてみても、ダブルチェックと言うんですけれども、全く同じ基準でチェックをするんだったら私はダブルチェックの必要はないと思うんです。やはりダブルチェックの必要性というのは、たとえば通産の場合ですと、どうしても開発に力がかかり過ぎる。そこでは企業の採算性というものもやっぱり考慮をしていかなきゃいかぬというふうなことで、ややもするとそういう弊に陥りやすい、その心配を科技庁が純粋に科学的な観点からチェックをしていく必要があるんだと、つまりそこでは安全性というものが今度は最優先をされる。そこにやはり私はチェックの視点の相違というものが当然出てきてしかるべきだし、そうでなきゃダブルチェックの意味がないと思うんですね。全く同じ基準で同じ視点で同じ評価のやり方でダブルチェックをやってみたって、そのことは同じ結果しか出ない。それは科技庁は単なる追認にすぎないと思うんですね。そういう点で、私はこのダブルチェックのあり方については、科技庁のいままでの答弁ですとどうも納得しかねる点があるんです。きょうは通産大臣に対する質問ですから、そういう疑問をいまだ解消していないということを十分考えて、次回その点についてまたお聞きをしたいと思いますから、その際御答弁をいただきたいと思うのです。
そこで大臣に続いてお尋ねをいたしますが、私は電源開発のあり方とそれから電気事業者に対する通産省の指導のあり方についてお聞きをいたしたいと思うんです。
まずは、エネルギー総合計画がしばしば、ただいま大臣もお答えになりましたように改定をしなければならなかったわけですけれども、電源開発が予定どおり進まなかった最大の理由ですね、これは先ほど安全性の問題とか立地問題、いろいろあったわけですけれども、そのほかにも私はいろいろ理由があると思うんです。
まず、大臣も御承知のように、実はこれは新潟における地元の新聞ですし、あるいは全国紙等でも報道されておりますけれども、電力会社による供応、贈収賄事件というものが報道されておるわけです。たとえば、先般中部電力の芦浜原発に絡んで町長や電力側に逮捕者が出たり、あるいはつい先般の新潟県の巻町の近くにあります東北電力の角海浜原発、通称巻原発と言っておりますけれども、ここでも町議二人と電力側二人が送検をされたということがあるわけです。地元の新聞も指摘をしておりますように、こういうことを言っているわけですね。エネルギー危機、不況対策を強調する余り、国も電力会社も原発建設が住民の理解と納得のないまま、しかもその安全性が正式に認知されたとは言えない段階で全国的に推進されておる、そして反対運動が続いておるんだ、こういうふうに言っておるわけです。で、巻の実態ちょっと申し上げますとこういうことなんですね。この前もこの委員会で質問したんですが、警察庁の方も、ただいま捜査段階である、送検した段階だからこれ以上詳しいことは言えないというふうなことだったんですが、新聞でこれだけ大きく報道されておりますように、相当詳しく報道されておるわけですよ。それから私のところにも地元の方からいろんな情報が入ってきております。
かいつまんでその状況を申し上げますというと、東北電力が盆暮れに議会の有力者にノリであるとかあるいはサケのかすづけ、こういうものを贈っておる。あるいは昼食時や夕食時に議員やあるいは自治体の幹部等に対して食事を出したりビールを出す。こういうものが儀礼上当然だというふうなことで今日まで行われてきておる。このことをまた東北電力の新潟支店の幹部が公言をいたしておるわけですね。これは儀礼上当然だ、こういうふうなことを言っているわけです。そしてさらに一般町民に対して一人三千円から四千円の会費で、福島原発視察に名をかりて会社持ち出しの観光旅行というものをバスを何台も連ねて行っているわけです。さらに見落としてならないことは、これももう公然の秘密ですけれども、推進派有力議員や幹部は数十万円の活動費を持っており活動しておる、こういう事実が指摘をされておるわけですね。したがって巻議会においては、の原発誘致に関する特別委員会では、安全性についてはほとんど論議もされず、誘致を形式上の論議の末多数決で決めておるわけです。そして議会は九十九億円という膨大な地域開発協力金というものを要求をしているわけですね。これに対して東北電力は、額はともかくとしても協力はする、要請に応ずるのが当然だということを言っておるわけです。これは私は大変なことだと思うんです。こういうことから、電源開発には従来から黒いうわさが常に流れておったし、その根底には政府や電力会社に、金で解決するという考えが非常に強いものがあるのではないか、また、従来もそういうことが指摘をされてきたわけです。特に私は許せないと思いますのは、ちょっと先ほども申し上げましたけれども、不況や財源難に悩む自治体の弱みにつけ込んで、金で強引に原発建設を推進する、そういうところから汚職というものが発生をしてくるだろうし、住民不在、あるいは原子力行政に対する国民の不信というものが私は生じてくると思うんです。
そういう点で、私は大臣にお聞きをしたいんですけれども、今回検察によってこれが摘発をされたわけですけれども、電力会社の幹部が、儀礼上当然だと。儀礼上当然であるなら検察の手は入らなかったわけですね。しかし、検察の手が入ったわけです。そういう点で、昔からよく言う李下の冠、瓜田のくつといいますけれども、やはりえりを正すべきそういう電力会社が、しかもきわめて微妙な時期にこういうことを儀礼上という、あるいは社会慣行上という理由でやるということは、これはもってのほかだと思うんです。そのことが私は国民の不信というものを起こしているやっぱり大きな理由だと思う。そういう点で、私はそのような電力会社の従来の慣行と称するものを是正をする指導というものが当然あるべきじゃないかと思うんですが、この点についての大臣の考え方をお聞かせ願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/233
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234・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 原子力発電を進めてまいります一番大きな大事な点は、やはり住民との話し合いを十分いたしまして、そしてその理解を得るということでなければならぬと思います。この点についてあせる余り、いまお述べになりましたような汚職、または汚職に近いような行為があるということは大変遺憾に思います。またそのようなことをやりますと、結局はおくれてしまう。やはり急がば回れでありまして、正攻法であくまで住民との間の話し合いを骨身を惜しまず精力的に進めていくということが一番大事な点であろうと考えております。誤解を受けるような点を二、三御指摘になりましたが、そういうことにつきましては、そういうことのないように十分電力会社を指導してまいりたいと存じます。ただ、電力会社が地元に対するある程度の協力をするということは、これは私はある程度は差し支えないのではないかと思います。ただ、その場合といえども、やはり経理処理、そういうものは公明正大にきちんとこの処理をしなけりゃならぬ。いやしくもそういうことによって誤解が生ずる、そういうことがあってはいかぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/234
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235・吉田正雄
○吉田正雄君 地元に対する電力会社なり政府の協力という点でも私は幾つかの点で指摘をして、やっぱりそのあり方というものが従前どおりのようなあり方でいいのかどうか、大臣の考えもお聞きをしたいと思うんです。
そこで、先ほども申し上げましたように、たとえばこの議会の方からは九十九億円という膨大な協力金の要請が電力会社に出されている。私はまた、この要請も若干問題があると思うんですね。若干というよりも、一体その要請が本当に妥当なものなのか、本当に町民の要求に基づく妥当なものであるかどうか疑問なんですけれども、それはさておいて、たとえば先般、これも新聞に報道されておるわけですけれども、敦賀市と高浜町に、電力会社やそれから動燃、原電などから十二億円もの協力金が支払われたわけですね。御承知のように関西電力の高浜3、4号機、これは三月末に電調審を通過をして、いま科技庁の安全審査にかかっているわけですね。まだ設置許可にはなっていないんです。この設置許可になっていない高浜の3、4号機の「新増設の協力をお願いしたことでもあり、会社としても地域振興に」尽くすというふうな名目ですでに金が支払われておる。原電はどういうことを言っているかというと、市の財政も苦しいことでありということで、協力の名のもとに財政援助をするのは当然だというふうなことも記者の取材に対して答えておるわけですね。「住民への見返りの方法として、今のところこれが最上では」ないか、こういうふうなことまで言っているわけです。いまだ設置許可もおりていない、現に安全審査にかかっておる最中に、こういうぐあいに多額の金が協力金として支払われておる。これに対して中川知事はどう言っておるかといいますと、「建設前のことなので後味の悪い思いだ」ということで、そういう金の出し方について暗に批判をしているわけですね。これは電源三法に基づく金なのか。この点は私は通産省に、きょうはいきなりですから資料もお持ちでないと思いますけれども、前にもちょっと申し上げましたが、電源開発、特に原子力発電に絡んで、いままでの電源三法に基づく各地域に対するいろんな交付金であるとか、そういう金というものが支払われておるわけですけれども、これを各発電所ごとに各自治体に対してどのようにこの金が支払われたかということを、この電源三法について資料として出していただきたいと思うんです。同じく科技庁についても、この前、動燃と原研の昨年度と本年度の予算案、これはいただきました。しかし、あんな予算案では詳細わかりません。なかなか予算というのはむずかしい内容を持っておるわけですから、編成をされた皆さんでないと、具体的、詳細な内容というのはよくわかりません。そういう点で、いま私が指摘している部分だけでも、一体どういうふうに動燃や原電がこの金を支払ったのか。一体どこから支払ったのか。この点について、今度また三十一日に委員会ありますから、それまでに資料というものを出していただきたいと思うんです。
ということで、通産大臣、地元の知事までが、そんな金の出し方というのはやっぱり問題があるんじゃないかという趣旨の、暗に批判をするような発言までしているわけですね。そういう点で、汚職はこれはもう論外ですけれども、やはり札束で顔をたたいている、有無を言わさず原発を推進していくのだという、こういう金力行政そのものが続く限り、本当の意味での住民サイドからの理解も協力も得られない。むしろ、そのことによってますます私は反対というものが強まっていくだろうと思うんです。そういう点で、このような電力会社の金の出し方、あるいは通産なりのいままで出してきた金の中にもやはり問題点が私はあったと思うんですが、過去のことを言ってもしようがないと思うのですが、これらのあるべき姿として大臣はどのようにお考えになっているのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/235
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236・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 原子力発電を地方に設置するような場合に限らず、いろんな企業が地方へ出ていきまして、そして工場をつくる、あるいは新しい企業体をつくる、こういう場合には、ある程度の地元に対するいろんな協力事業、こういうことも必要だと思います。しかしながら、そこにはおのずからやはり限度というものがございまして、だれが見ても少し行き過ぎだと、そういうことになってはいかぬと、こういう一つの限界というものもあろうと思います。でありますから、いやしくもそういう限界を越えて誤解を招くようなことのないように、協力事業にもおのずからやはり限度というものをわきまえて進めていくことが必要であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/236
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237・吉田正雄
○吉田正雄君 言葉の上ではそうなんですが、私は本当に厳正にこれはやっていただきたいと思うんです。私のところへ入っている情報では、もっといろんな情報があるんですけれども、私の方でも確証をつかんでおりません。したがってここでは申し上げることもできませんけれども、現地ではいろんなうわさが飛んでおりますし、それから具体的にどのように金が流れたというふうなことも言われているわけです。ですから社会儀礼上じゃ通らない。現地に協力をすると言っても、たとえば、いま東京電力の場合には柏崎で現に建設は始まっているんですけれども、東京電力の場合には議会の議員に金をばらまいたとか供応したという話はまだ聞いてないわけです。東北電力の場合には、まだ電調審にもあれは係るか係らぬかという段階でそういうことがもうすでに行われてきている、東北電力は行ってきたということで、東北電力のやり方について特に厳しい批判が出ているんですけれども、そういう点で、特に金に絡む問題ですから、本当に疑惑の生じない、あるいは札束でもって強行しておるという批判を招かないように、私は、とりわけ通産省として自身もえりを正してもらいたいと思いますし、電力会社に対しても適切な指導というものをぜひやっていただきたいと思うんですが、その点大臣よろしゅうございますですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/237
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238・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 繰り返して恐縮でありますが、地元に対する協力は私もある程度は必要だと思います。しかし、おのずから常識上限度があるわけでございまして、限度を越えて誤解を生ずると、そういうことのないように十分気をつけなければならぬと思いますが、そういう点につきましては行政指導をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/238
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239・吉田正雄
○吉田正雄君 その次に、これも大臣御存じのように、例の山口県の豊北町の原子力発電所建設に絡んで先般町長選挙が行われたわけです。先般、例の原子力船「むつ」の問題のときにも、むつ市長選挙をめぐって、たしか科技庁長官の方は、この「むつ」の問題をめぐって市長選が行われて、今度はいままでとは反対の立場の市長が勝利をしたから、何かそこで結論が出たようなニュアンスの発言もあったんですけれども、私は、今度のこの豊北町の町長選挙についてはむつ市長選と本質的に違っていると思うんです。むつ市長選の場合には保守・革新ということで戦われたわけです。確かにこの原子力船「むつ」の問題も絡んだと思うんですけれども、原子力船そのものをかけての市長選挙ではなかった。ところが、今度のこの豊北町長選挙というのは同じ保守なんですね。同じ保守ですから、いわゆる保守・革新というそういう対立ではなくて、本当に原子力発電そのものの賛否をかけた町長選挙であったわけです。で、その結果は御存じのように、当選をした藤井澄男さんが九千百二十票、そして次点の吉冨−さんが約その三分の一というふうな票数で、まさに原発建設反対の町長が圧倒的な勝利をおさめたわけなんですね。これほど明確に——私は原発建設をめぐっての是非を問うた選挙はこれが初めてだろうと思うんですね。そういう点で、各地域によっていろいろ事情が違うということがあるにしても、これほど明確に出た結果はないと思うんです。この点について、一体、通産大臣として——これは時間がありませんから科技庁長官の答弁結構なんですが、この批判と——新町長は絶対反対と言っているわけです、そういう新町長の批判と選挙結果というものを通産大臣はどのように受けとめておいでになるのか、また、その選挙結果に照らして通産省としては今後一体どのように対処をされるおつもりなのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/239
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240・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 原子力発電についての理解はいま全国的に見ました場合に私は大分進んできたと思うんです。中にはぜひ誘致をしたいと、こういう熱心なところも相当出てきておりますが、しかし中には、もうこんりんざいいやだと、こういうところもございます。そういうところに対しましては、やはり若干の時間をかけていろいろお願いをしなければならぬと思っております。しかし、無理にというわけにはまいりませんので、やはり十分な時間をかけて理解を得られるように絶えず努力をしていきたい、このように考えておりまして、万やむを得ずそういうところは後回しにいたしまして、そして現地で理解が得られて、ぜひ誘致をしたいと、こういうところから今後順次建設にかかっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/240
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241・吉田正雄
○吉田正雄君 本当に住民の、あるいは国民の信頼を確保してそして理解と協力を得るための努力、このことはこの改正案の中でもるる趣旨が述べてあるわけですけれども、これが単に言葉ではなくて、それが具体的に本当にどう実践をされていくのかということが、これからの原子力行政というものの不信というものを解消していく最大の道であり、それ以外にはないというふうに私は思っておるんです。
そこで、たとえば柏崎の場合でも巻の場合でもそうなんですけれども、きのうも実は柏崎を中心として新潟県からこの設置許可に対する異議申し立てに関連をして、約六十人近くの代表が科技庁の担当者と合っていろいろ要求や意見を述べていったところなんですけれども、この現地住民の意見を聞くということが本当にいままで行われてきたのかどうなのか、単に形式上公開ヒヤリングだとか公聴会だとかいうものを開いた、それは単に形式を整えるためのものであったということであってはこれはならないと思うんですね。いろんな意見があるわけです。賛成派の意見ばっかり聞いたってこれはしようがないんであって、何で現地住民が反対をするのか、反対をする人たちの一体意見は何なのか、どういう理由で反対をするのか、その反対意見というものを聞いて、じゃそれをどのようにして解消していくのか、このことが重要なんですね。ところが反対意見を聞かない。その結果がたとえば成田のような事態が出てきたと私は思うんですね。成田の問題だって、あの三月二十六日のようなああいう事件が起きなければ本当に政府は真剣に反省をしたのかどうか、私はいまだに疑問に思っているんですね。ああいう事態が起きなければどこまで真剣に反省をしただろうかどうだろうか。そのことが実は柏崎の問題でも今日までずうっと尾を引いてきて、現地住民は科技庁あるいは通産省の建設推進に対してますます強い不信の念を持っておるんですね。そういう点で、今度の法改正を契機にして科技庁の方から公開ヒヤリングの概要について考え方が述べられておるんですね。これは文字の上で述べてあるんですけれども、現実に一体これを推進しようとするのかどうなのか、その辺がさっぱりわからないというよりも、どうもその姿勢に欠けているんじゃないかという感じがするんです。そこで、特にこれから第一次的にこの電調審以前の段階で公開ヒヤリングが通産省の主管によって行われていく、また設置許可が出る段階で、また通産省の主管で同じく二回目の公開ヒヤリングが行われるということなんですが、そういう点で、本当に文字どおりこの法改正の趣旨に沿ってこれからの原子力行政というものを運用しようということになるならば、反対派の意見を聞くことに最大のむしろ私はこの公開ヒヤリングの目的があると思うんですね。賛成者の意見ばかり聞くんだったら聞く必要はないわけですよ。そういう点で、私は現地に赴いて本当に住民の意見、それはもちろん賛成者の意見も聞く必要がありますが、特に反対する人たちの意見に耳を傾けるという姿勢でなければいけないと思うんですね。ところが、どうもその点の認識が私は不十分だというよりも、形式的にそれを行おうと。だから、何かむずかしくなりそうなら、何か暴力的な事態が発生するんじゃないかというふうなことで、公開ヒヤリングをいろんな理屈をつけて避けていく、柏崎の場合にはまさにそうです。これは科技庁もいろんな言い分があるでしょうけれども、私も当時まだ新潟におって、それらの問題については十分承知をいたしておるんです。科技庁があの公開ヒヤリングを開かなかったという点については、私はこれは重大な瑕疵があると思うんですね。ですから異議申し立ても出て、今日まで尾を引いておるわけです。そういう点で、通産大臣に、公開ヒヤリングのあり方なり性格をどのように考えておいでになるのか、またその姿勢ですね、そういうものについてお聞きをしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/241
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242・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 原子力発電を進めてまいります一番のやはりキーポイントは、現地の住民の方々と十分な話し合いを労を惜しむことなく徹底的に進めていくことが私は一番の早道だと、このように思っております。先ほどもその趣旨のことを申し上げたわけでありますが、もちろんその場合は、賛成者だけではなく反対の方々の意見も十分聞く、こういうことがぜひ必要だと、この点については御意見と全く同じでございまして、公開ヒヤリングのあり方等につきましても、こういう点を十分踏まえまして検討してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/242
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243・吉田正雄
○吉田正雄君 原研が原子力の安全性に関する総合調査を行ったわけですね。これは委託をして行ったわけです。先ほど佐藤委員の方からも何か技術的な面に関して、ちょっとその辺のことを触れられたんじゃないかと思っておるんですけれども、私は科技庁なり通産省の中にもし次のような考え方があったとしたならば、これはきわめて重大だと思うんですね。それは何かといいますと、安全性というものに対する技術者の考え方と国民の考え方には違いがある。したがって、いままで国民に対するPRの中でもその辺のことを十分知らずにやってきたということは大きな欠陥であった。それは推進側としての反省点なんですけれども、そこの中には、安全はもう当然なんだ、いまさら確認する必要もない。住民が原子力というものについては非常にわかりずらいということがあるというふうな、そういう考え方があるんです。だから、いまさら安全性について住民がどうも不安だ、不安だと言っているのは理由がない、安全なんですよという考え方ですね、この中に、私は押しつけというものが出てくると思うんです。安全性についての考え方は、確かに技術者の考える安全性というものと住民の考える安全性というものには違いがあるでしょう。よく専門ばかという言葉がありますけれども、技術者の考えている安全性というものですべての安全性が包括をされるわけじゃない、包含されるわけじゃないわけですね。それはあくまでも技術的な分野にとどまるものです。そういう点で、安全性に対する違いがあればこそ、なおさら住民の意見というものを聞くことが必要なんです。ところが何かそこをネグって、当局の考えておるあるいは技術者の考えておる安全性というものを国民に押しつけることが国民に対する安全教育である、PRであるかのようなもし考え方に科技庁も通産もとらわれておるとするならば、そのような立場からの今後の公開ヒヤリングもこれまた何らの功を奏さない。むしろ逆効果になるであろうということを私は心配をするわけです。そういう点で私は、皆さんと違う立場で国民が、安全性というものを考えているならば、なぜその分野に入ってその努力をしないのかと思うんですね。その点についての大臣の考え方をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/243
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244・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど審議官が答弁をいたしましたように、軽水炉は実用炉としては完成されたものと考えておるけれども、しかしながら理想という面から考えれば、なお技術的にいろいろ工夫を加えていかなければならぬ点があると思うということを言いましたが、私も、そういう観点に立って話し合いをいたしますと同時に、たとえば住民の皆さんなども、なぜこの原子力発電は操業率が低いのか、あるいはまた故障がときどき起こるのか、こういうことについてもいろんなやはり素朴な御意見もあろうと思います。だから、いかなる点につきましても、もし住民の方々に疑問の点がありとするならば、そういう点につきましては十二分にあらゆる角度から私どもは話し合いをいたしまして、そうして安全性について十分なる理解を得るということがぜひ必要だと思っております。いま御指摘の点は十分心いたしまして進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/244
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245・吉田正雄
○吉田正雄君 それじゃ、もう一点だけ大臣にお聞きしますが、実はいま柏崎ではこの異議申し立てを行っているわけです。これは科技庁にというか、総理大臣に対して行っているのですね。その法上の手続問題は別にいたしまして、あるいはその法律に定められた正式な異議申し立てに伴う不服審査という意味での公開ヒヤリングでなくて、通産省としては、今度の法改正は行われるわけですから、その精神を生かして、科技庁とは別個に、すでに建設が許可されておりますから、そういう点で通産省に対しても、現地住民が意見をぜひ聞いてほしいという要請があったならば、通産省としては現地に出向いて、これはまた今後の皆さん方が行われる安全審査を進められる上にとってもきわめて私は重大な参考になろうと思うので、科技庁に対しては後刻聞きますが、通産としては、そのような現地住民の強い要望があるならば、それを受けて、法的にむずかしいことじゃなくて、形式的なことじゃなくて実質的にそういう意見というものを聞く、この考え方というか、そういう包容力といいますか、そういうものがおありかどうかお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/245
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246・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 実は私はその点について詳細承知いたしておりませんので、審議官の方からそれに対する考え方を申し述べます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/246
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247・武田康
○政府委員(武田康君) 私どもも従前から、法律上の立場なり何なりということは別にいたしまして、地元の方々、これは賛成の方であろうと反対の方であろうと、しかるべき人数の方がしかるべき時間に、これは相互にお打ち合わせをしなければいけないわけでございますけれども、いろいろお話し合いをしたいというのにはできるだけ受けることを考えてきているわけでございます。ただ、何分私どもも必ずしも十分たくさんの人間がいるわけでございませんので、したがいまして、そういう方々とお会いし、お話しする機会というのは、あるいは先生おっしゃるように不十分であったかもしれません。しかし私どもとしては、私どもとそういう方々との御相談の上、何度もそういう機会を持っておりまして、私自身も過去数年の間に、恐らく十回じゃきかないと思いますが、何十回か、非公式ではございますけれどもそういうお話し合いをしたことがございます。これは、中には賛成の方々もおられれば、中には反対の方方もおられますし、中立の方々もおられたわけでございます。特定の問題につきましてはやはり特定の時期に、相互に折り合うようなタイミングなり場所なりが決まりませんと実現しないわけでございますが、そういう気持ちを持っているということを過去の例から申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/247
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248・吉田正雄
○吉田正雄君 時間が参りましたので、まだお聞きしたいことはあるんですが、通産大臣に対してはこの程度に、また科技庁関係は次回、これらのものに関連しておりますから、次回までに今度は納得のいく答弁をしてください。もうその場逃れの答弁でなくて、現地住民が納得する、そういうひとつ誠意ある御回答を期待をして、きょうの質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/248
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249・塩出啓典
○塩出啓典君 それでは通産大臣にお尋ねいたしますが、いま議題となっておりますこの法律の改正によりまして、原子力発電所の基本設計の審査というものが、従来の科学技術庁サイドの原子力委員会から通産省にそれが移る、そしてそれをさらにダブルチェックを安全委員会がやっていくと、こういう体制になるわけでありますが、私は、そういう点では通産省としていままでよりもさらに大きな責任がかかってくるんではないかと、このように考えるわけであります。通産省におけるこの一次審査というものは、後、安全委員会の二回目の審査はあるけれども、科学技術庁におけるあるいは安全委員会の審査にまさるとも劣らないだけの慎重なやはり審査を通産省としても責任を持ってやっていただかなければいけないんではないかと、このように考えるわけでありますが、通産大臣の決意をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/249
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250・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 今回の法改正によりまして、通産省の責任は非常に重くなったと思います。この点を御指摘になったわけでございますが、そのために機構も強化をいたしました。それから顧問会議のメンバーなども、現在二十七名顧問がおられますが、約二十名増強するつもりでございます。そして御意見を十分聞きながらやりたいとも考えておりますが、同時にダブルチェック等につきましてももちろん十分な配慮をしていかなければならぬと考えております。この法改正を機会に、原子力行政につきまして万全を期していくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/250
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251・塩出啓典
○塩出啓典君 そういう点、安全委員会におけるやはり審査体制、そういうものと通産省の体制というものはいろんな点で必ずしも等しくはない、大分差があいているような感じがするわけでありますので、その点については、いま大臣がお話しになりましたように、顧問会も強化していくと、こういうお話でございますが、この際そういう安全審査の体制をさらに検討をして、待遇の面とかあるいはいろんなメンバーの町あるいは国民から見た信頼性の面、そういう点で今後とも安全委員会の審査にまさるとも劣らないぐらいの体制を目指して通産省としても努力をしていくと、こういう大臣の決意を伺いたいと思うわけであります。時間もありませんので、そういう決意があるかどうかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/251
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252・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) その点につきましては、御指摘のように非常に大事な点でございますから、いまお述べになりましたような方向で強化をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/252
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253・塩出啓典
○塩出啓典君 それから、今回のこのような体制になることにつきましての問題点の一つに、通産省というものと電力業界というものは非常に密接過ぎて公平な審査ができないんではないか、こういうような意見があるわけであります。もちろん通産省は電力業界とは常に密接な関係を保っていかなければならないことは当然で、何もけんかをしろということではございませんが、そういう点から、国民から見てどうも通産省の審査は業界寄りではないかと、こういうことになったんでは本改正案はその意図が十分生かされていかないのじゃないか、このように考えるわけでありますが、そういう点、通産省としてはそういう国民の不信を招かないように努力をしてもらわなければいけないと思うわけでありますが、そういう点で、通産大臣としては何か具体的にこういうようにやっていきたいとか、そういうような点があればお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/253
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254・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) いま御注意がありましたようなことがもし行われるとするならばこれはもう大変なことでございまして、通産省の原子力行政に対する信用は一遍に吹っ飛んでしまうわけでございますから、これはもう絶対にそういうことのないように、避けねばならぬと考えます。しからば、具体的に一体どうするのかということでございますが、その点につきましては審議官の方から答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/254
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255・武田康
○政府委員(武田康君) 私ども、詳細設計以降の段階、運転までにわたりまして安全規制を従来からやってきたところでございまして、その過程では、実態問題といたしましてもっぱら、電力の経済性等々というような観点と全く切り離して、いかに安全を確保するかということで実際上もやってまいったわけでございます。確かにいろいろ故障が起こったり事故が起こりましたり、あるいはトラブルで非常に長くとまっているというような現象が現に起こっておりまして、あるいはそういったことが安全をおろそかにするものでそうなったというような見方もあるのかとも思いますけれども、むしろ逆に、仮に業界が楽に動かしてくれというようなことを考えるとして、業界自身も安全をおろそかにすることはないと思いますけれども、それに私どもが話に乗るという現象が仮にあったといたしますと、もう少し私どもの検査は手軽に済ませるし、審査も手軽に済ませるし、むしろ発電所があんまりとまることもないというふうな現象が起こったはずでございまして、従来の例から見ましても、私どもとしてはむしろいかに安全を確保するかということでやってきたわけでございます。ただ、先生御指摘のような点も考え合わせますと、やはり今後につきまして、私どもも基本設計段階も受け持つわけでございますから、さらに一層心がけをよくする、というとおかしいのでございますが、厳格にやらなければいけないと思いますし、また、今度新たに新設されることになります安全委員会にもいろいろ御意見を承り、いろいろ教えていただくというようなことが加わりますので、その意味でも、私ども自身安全をおろそかにする気持ちは毛頭ございませんけれども、外からごらんになって、さらになるほどというようなことが、あるいは安全委員会のダブルチェック等を通しまして、まあよくわかっていただけるようになる、そういうようなことであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/255
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256・塩出啓典
○塩出啓典君 原子力委員会の場合は、原子力委員会のもとに原子炉安全審査会、そういうところが広く学者を集めて、それが安全を審査をし、それを原子力委員会がいろいろ判断をしていく、こういうような体制だったわけでありますが、今回この法改正に伴って通産省が基本設計の審査をするに当たって、ただいま通産大臣から技術顧問会を従来よりもさらに強化をしていく、こういうお話でございますが、これは前々から言われているように、炉安審のように法定化されていないわけであります。また、先ほど佐藤委員からも指摘があったように、名簿も公表されていない。炉安審の方は名簿は公表されておる。これは、いままでならばそれでもよかったんではないかと思うのでありますが、今回通産省の責任が重大になってきたという点から、やはり国民の信頼を得るためにも、少なくとも原子炉安全審査会のような体制にすべきではないか。少なくともやはり名簿の公表ぐらいはすべきであって、こういう人がやはり審査してくれるんだから国民は安心をするわけでありまして、どこのだれがやったかさっぱりわからない、国民の目の届かないところで決められたメンバーが審査をして、それを国民に信頼をしろと言っても、これは私はいけないんじゃないか。そういう点で、この法律改正を契機として、技術顧問会のあり方についても通産大臣として再度検討してもらいたい。これはメンバーの増強だけではなしに、いまの名簿の公表の問題、あるいは権威の問題、そういう点も検討してもらいたいと思うわけでありますが、通産大臣は検討する気持ちがあるかどうか、その点をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/256
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257・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 顧問会議の運営につきましては、この際十分検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/257
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258・塩出啓典
○塩出啓典君 それはもちろん私の言った方向に向かって検討すると、そのように理解していいわけですね。
それから、こういうメンバーの選定の点につきまして、これは科学技術庁の場合も通産省の場合も、非常に中立的な学者を選ぶ。中立というのが非常にむずかしいわけでありましてね。やはり中立というのはどうなのか。やっぱりある程度推進派の人も反対派の人も、いろんな立場の人があって、そして論議していく中に論議が深まって、そしてそこに一つの中立的な結論が出るわけですから、そういう意味で、このメンバーの選定に当たっては、ただ中間を行くような人ばかりというのではなしに、もうちょっと幅のある人選をすべきではないか、このように思うわけでありますが、その点御意見を承っておきます。簡単でいい、簡単で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/258
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259・武田康
○政府委員(武田康君) 顧問会のメンバーにつきましては、専門的な能力をお持ちの方で厳正な判断をしてくださるような方をお願いしたいと思っているわけでございます。先ほどのお話の中で、反対賛成、その間の論議が行われてというお話がございましたが、私どもといたしましては、そういうような議論はむしろ、行政懇の御意見の中にもございますけれども、公開シンポジウムというような制度がいま先生の御指摘のような場になるのではなかろうかと、こう理解しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/259
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260・塩出啓典
○塩出啓典君 それから、通産大臣にお尋ねいたしますが、原子力発電所の稼働率が非常に低い、しかも、これが年々向上していくんならいいわけですけれども、四十五年からだんだん下がりまして、五十年に最低になって、五十一年にちょっとよくなったら、五十二年はまた下がってきておる、こういうことはわれわれも非常に残念に思うわけでありますが、率直に通産大臣としてはどう認識されておるのか。私は、安全安全と言っても、幾ら口でPRしても国民は信頼をしない、やはり安全の実績を示していかなくちゃいけない。何も稼働率だけが安全のすべてのバロメーターではありませんけれども、やはり技術が確立をしてきたというそういう一つの証拠が当然この稼働率にもあらわれてくるわけでありまして、そういう意味から、稼働率が下がらないような、無理をして上げるんではなしに、慎重にやってなおかつ稼働率もどんどん上がっていくような、そういう態勢を早くつくるべきではないかと思うわけでありますが、その点の通産大臣の御意見を承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/260
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261・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 原子力発電の稼働率は大体七〇%を目標として建設をしておるわけでございますが、最近は非常に低い水準になっております。こういう低い水準が長く続きますと、これはやはり安全性の点について国民の皆さんの理解を得ることがなかなかむずかしくなると思います。でありますから、稼働率を上げるためにはよほど工夫と努力が必要でございますが、五十二年度の分につきましては若干の理由があったようでございますので、今後とも目標に近づけるようにもっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/261
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262・塩出啓典
○塩出啓典君 それから、エネルギー問題は非常に大きな問題で、昭和六十年三千三百万キロワットというエネルギー調査会の目標があるわけで、私たちもそういう目標に向かって努力をすることは必要だと思います。ただ、現在こういう稼働率がまだ低いという段階においては、三千三百万を達成しなければならないといって建設を急ぐのではなく、むしろ安全の技術の確立を図り、そして住民の合意を得られるようなこういう技術の確立というものが現段階においてはより急務ではないか。したがって私は、これからの当分の原子力発電所の建設というものは、いままでの結果をいろいろ分析をして、この部分をこういうように改良していく、あるいはさらにこう改良していく、こういう形で、ステップを一歩一歩積み上げていくようなこういう慎重な建設をすべきではないか、このように思うわけですけれども、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/262
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263・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 原子力発電の目標は、いまお話しのように昭和六十年が三千三百万キロ、六十五年を六千万キロと想定をしておりますが、しかし、たとえば稼働率が当初予定の半分だということになりますと、結局その半分しか実際は達成されなかったことにもなりますので、総合的にいろんな点を考慮しながら、特にいまいろいろ御注意がございましたが、そういう点を考慮しながら最も有効な対策というものを進めていくことが必要かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/263
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264・塩出啓典
○塩出啓典君 それからもう一点、先ほど吉田委員からもお話がありました協力金十二億円ですね。これは関西電力などが福井県において地方自治体に協力金の形で十二億円を出しておるわけであります。こういう点について、通産大臣としてどう考えるのか。と申しますのは、原子力発電所が建設をされる、ほかの自治体がなかなか受け入れるところもない、そういう受け入れるところには当然それなりの見返りもなければいけない、そのためにいろんな形で協力金を出すということはこれはいいと思うんでありますが、ただ、そこには一つのルールがなければいけないと思うわけであります。現在、法律によりまして、これは火力発電所の場合あるいは原発の場合は、地方自治体に正規の法定化されたそういうものもあるわけでありますが、それ以外の、ルール化されないものは、私としては余り好ましくないんじゃないか、本当に必要であるものならば福井県だけじゃなしにほかのところにも当然すべきでもあまりすし、できるだけ一つのルールに乗ったそういう協力をしていかないと、反対の強いところにはたくさん金を出すけれども、協力的なところには金を出さない、こういうようなことは、やはり原子力発電所の行政を曲げていく危険があるんではないか、私はそのように考えるわけですが、それについての見解を承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/264
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265・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 電力会社のみに限らず、いろんな企業が立地をいたします場合に、やはり何と申しましても地元の方々との意思の疎通が一番大事な点でございます。そういう意味におきまして、ある程度の地元に対する協力をしていくということは、これはもう当然のことだと私は思います。しかし余りめちゃくちゃなことをやりますと、かえって誤解も受けますし、やはりおのずから常識上の一定の限度というものがあろうかと思います。そこは関係者が良識を持って進められることを期待いたしまして、余り行き過ぎたというような場合には、これは注意をいたしまして、そういうことのないように指導をしてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/265
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266・塩出啓典
○塩出啓典君 最後に、環境アセスメントが、今度の国会も延長になりましたけれども、提案が見送られたようでありますが、やはり先ほどお話がありましたように、原子力発電所の建設、あるいは火力発電所にしても同じでありますが、立地問題が一番大きなネックになっておるわけであります。そういう点から、われわれとしては、当然行政とはある一定の間隔を持ったところが環境アセスメントをやっていく、こういうような意味から環境アセスメントの確立というものを強く望んでおるわけでありますが、今回いろんなことで提案には至りませんでしたけれども、やはり通産大臣としてもこれはぜひ必要である、時期尚早で今回は流れたにしても、こういう環境アセスメント等はぜひ必要であるという考えであるのかどうか、それを承って質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/266
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267・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほどもちょっと申し述べましたが、住民の方々の理解を得るためには、やはり安全性の問題と環境の問題だと思います。そういう意味で、通産省は、電力問題に限らずいろんな産業政策を進めてまいります上におきまして、環境対策というものを当然重視しなきゃならぬ、こういう基本方針で進めてきております。今回、環境アセスメント法は、政府部内の完全な理解が得られるのに若干時間がかかりまして間に合わなかったわけでございますが、私どもは一刻も早く政府部内の完全な理解が、合意が得られることを期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/267
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268・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 いまもお話が出ていますけれども、今度の法改正に基づく基本設計安全審査が通産省に移行をするということで、これを厳重にやらなくちゃならぬ。そのための通産省の体制上の強化を図ったというふうに言われていますけれども、私はそう見ないんです。で、この細かい内容はもう前回の委員会、またきょうもいろんな角度から触れておりますし、大臣に対する質問項目を通告をしていますから、もう報告をお聞きになっておることと思います。ですから逐一例を挙げませんけれども、まあ一例、顧問会の話が出てますから、その点だけに触れるとすれば、原子力委員会のもとでの法定の安全審査会三十名、非法定のそれに協力をする調査委員三十名、合計六十名、こういう体制が、今度通産省に基本設計審査が新たに加わるということで何人顧問会がふえるかと言えば、非法定十八人しかふえない。それからそれらの方々の手当という点で見れば、原子力委員会のこの場合のあれに比べて倍からの違いがある。調査活動なんかの活動費という点で見ると十倍からの違いがある。こういう状況で増強を図りましたというようなことは私は絶対言えないと思うんですよ。大臣、私は率直に、増強を図りたいという気持ちはあったけれども予算上の制約からできませんでしたというふうにお認めになるべきだと思うんですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/268
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269・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) この点は相当私は増強されておると思います。機構も拡充しておりますし人もふえております。ですから増強したと、こう言っても言い過ぎではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/269
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270・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 えらい突っ張られますけれども、私、いま数字を挙げて言いましたでしょう。だからそれに対して、どこが増強になっておるんですか。法定、非法定、人数は減っている。手当は減っている。活動費は十倍違う。どこが増強になっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/270
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271・武田康
○政府委員(武田康君) 私ども、従来科技庁、原子力委員会でおやりになっている第一次審査を引き継ぐわけでございます。確かにいま先生のような勘定の仕方をされますと、人数が六十人から十八人ということでございますが、やや技術的になりますけれどもちょっと御説明をさせていただきますと、現在の安全審査会は私どもが引き継ぐ以外のこともやっておられます。私どもの方の顧問会、これは従来からの方にも同時に基本設計についても参画していただくつもりでございます。そういうような意味では、六十人のうちの全員の方が御参加なさったとは思いますけれども、ある割り掛けをしたものと、それから私どもの純増分に既存の方々のうちのある割り掛けをしたものというふうな数合わせになるわけでございまして、そういったような点で、手当が半分という、これは全く事実でございまして、私どもとしても非常に残念なんではございますけれども、私どもとしては十分お引き継ぎできるだけの自信ある体制を整えているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/271
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272・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 前回と同じ説明をされていますけれども、現に新しく仕事はふえるんでしょう。基本設計安全審査という新しい仕事がふえる、通産省としては。それに伴ってどれだけ人数がふえるかと、こう見ていけば、だから仕事は込みでやられるにしましてもですよ、新しい仕事がふえたということに伴うどれだけの人員増が行われるかと、ここで見ていったら明らかにそういう後退が起こっているというのは事実じゃありませんか。これはそれほど突っ張られるんでしたら、一遍私は理事会で……。三百代言ですよ、そういう言い方をいつまでも繰り返されるというのは。だから、なるほどこの現状は残念ながらそういうことになっているけれども、これから体制上の拡充を努めたいと思ってますというふうに素直になられる必要があると思うんですが、大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/272
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273・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 一応決まったことでございますから、この体制でスタートをいたしまして、なお運営上不十分であると、こういう点がございましたならば、その段階で補強するようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/273
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274・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 今後増強を図っていくんだということでありますが、そうしたらどうなんでしょうね、今後の原子力発電所の増設見通しですね、これに沿って今後通産省のサイドにおける安全審査体制の拡充のための中期計画的な構想のようなものはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/274
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275・武田康
○政府委員(武田康君) 今後、原子力発電所の増設、先ほどの三千三百万キロワット達成を前提にいたしますと、かなり審査あるいは検査の対象になるものがふえてまいるわけでございます。したがいまして、毎年毎年少なくとも要員の充実を図っていく必要があろうかと思います。ただ、具体的に何人というプランをきょう現在中期的に持っているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/275
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276・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 大臣にひとつ要望をいたしたいんですが、ことしの昭和五十三年度体制、これは不十分だと、今後増強を図っていきたいと、こう言われているんだけれども、その増強の具体的プランはとお尋ねをすると、それははっきりお答えが出ない。もちろん、予算措置を伴うことでありますから、ですから、あくまで腹案的構想ということかと思うんですけれども、これは通産省として、原子炉の安全審査について本当に熱心に考えておられるかどうかというところのあかしになるんです。だから、そういう意味で、ごく腹案的な青写真構想でいいですけれども、そういうものをひとつ次の委員会までに通産省として御提示を願いたいと思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/276
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277・武田康
○政府委員(武田康君) 私どもの実績といたしましては、過去五年間に、大体要員数で勘定いたしまして五割増しというような実績を持っております。で、今度の一貫化に伴いまして、それも勘定に入れますと、五年間に約倍増でございます。今後につきまして、はっきり何割増しとか何倍とかいうような数字を勘定するのは実は技術的に非常にむずかしい事情がございます。しかし、いままで過去数年の実績ということ、それ以上の努力を今後私どもとしてはしていきたいと、こういうようなことで御理解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/277
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278・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 ですから、そういうもので結構ですから、幾つかの仮定を置いた上で、こういう構想で現在腹案としては持っているんだというやつを、ごくメモ的なものでいいですから、ひとつ文書で出していただきたいと思います。
それから大臣質問の前段でお尋ねをしておったことですけれども、さっき塩出委員も触れられて、大臣の御答弁で私はまだちょっと納得しかねる点があるんですが、科技庁の方としては、安全審査会等の学識経験者を、これをどういうふうにして人選をしていくかという点については、できるだけ広範な学界の知恵もくみ取ると、こういう意味で学術会議の意見なんかもこれをくみ入れて人選をやっていくという先ほど答弁をいただいておるわけですけれども、通産省の技術顧問会の人選についても、やはりいまの日本の学者の代表的機関である学術会議の意見も聞くという、この点について大臣どうですか。——大臣答えてくださいよ、限られた時間での大臣質問をしているんですから。大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/278
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279・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) 武田審議官、簡単に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/279
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280・武田康
○政府委員(武田康君) 高度な専門的知識を有し、中立的な判断を下せるような方々を専門家としてお願いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/280
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281・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 学術会議の意見をくみ入れてと、こういう点どうですかと聞いているんですから、その点に答えてください。それはやりませんというんだったらやりませんと言いなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/281
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282・武田康
○政府委員(武田康君) 顧問の人選につきましては、いろんな方々からいろんな御意見を従来からもいただいております。そういったいろんな御意見というのはそしゃくいたしまして、これは行政官庁でございます通産省の判断として、判断を下す場合の御参考には従来からもさしていただいておるところでございますので、特定の名前の機関がどうこうということではございませんが、各方面の方々からの御意見というのは十分しんしゃくさしていただいているというのが従来からの実績でございますし、今後ともそういうことは御意見のある方から御意見を伺わせていただければ、これはどう判断するかというのは通産省の責任でございますけれども、判断の素材にはさしていただくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/282
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283・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 またあなた特定の団体という、そういう言い方をされましたけど、それはさっき熊谷長官がそういう言い方をされて、それは不穏当ですと。何か特定の学者グループですか、そうじゃないでしょう。日本の学者を代表する日本のいわば唯一の機関じゃないですか。だから、そういう言い方を撤回していただきたいんだけど、このことだけやっているとあれですから、通産大臣、通産省としてそういう日本の学者を広範に網羅をし、それを代表しておる最高の機関とも言うべき日本学術会議ですね、そういうところの意見も十分くみ入れて本当に強力な技術顧問団を編成をするというこの問題について、一遍持ち帰っていただいて、よく御検討願って、次回の委員会で御回答が願えるようにひとつ検討しておいていただきたいと思います。
それから顧問団の名簿公開の問題ですね。先ほどの大臣の御答弁では、運営についてよく検討しますという抽象的表現でされておるんですけれども、これについては、これも片や科技庁の方は、法定の安全審査会はもちろんのこと、非法定の調査委員についてもこれは総理大臣が任命をしておる、そういうメンバーでありますから、そんなものは隠す必要がない、当然公表しますと、こう言っていられるのに、なぜ通産省がそこを、いや公表できないんですということで突っ張っているのか。そこがもう私は理解できないんですけれども、ちょっとその点、大臣の判断。——大臣、ほかの人の答弁はいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/283
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284・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) この点につきましては、よく検討さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/284
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285・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 次回までに答えを出しておいてください。
もう時間がありませんので、もう一問だけお尋ねをいたしますが、今日までの原子力発電所の相次ぐ一連の事故が頻発をしているわけでありますけれども、そこから通産省として何を反省をされておるのか。もちろん、企業側の責任というのは、これは明確にある問題だと思いますけれども、たとえば、例のあの関電の美浜原発の燃料棒折損、この問題が四年間に近く隠されたままということで、その後の定期検査で発見されたという、これは一つの事例ですけれども、こういった点で、こういう問題を監督官庁である通産省が早期発見ができなかった体制上の欠陥は一体どこにあるのか。そして、この問題と今回の法改正提案とはどういう関連を持っているのかという点についてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/285
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286・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) この点につきましては、当事者である関西電力に対しまして厳重な注意をいたしました。これからはこういう事態は起こらぬと考えておりますが、十分監督には気をつけてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/286
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287・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 その問題と今回の法改正とはどういう関係があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/287
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288・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 今回の法改正を機会に通産省の責任というものは非常に重くなったと考えております。それだけこういう事態が起こらないように十分注意をしなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/288
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289・中村利次
○中村利次君 原子力基本法の一部改正によって、今度は通産省が基本設計の安全審査をやることになるわけでありますけれども、これは行政懇が意見をまとめて、政府がその意見を尊重して法改正案を出したということだと思います。原子力の安全性については、全くこれはもうけんけんがくがくの議論が続いておるわけでありまするので、私は、そういう意味から言っても、さきの科技庁の中に原子力安全局をおつくりになって、さらに行政懇の意見を尊重をして原子力委員会と原子力安全委員会に分離をした。私はこれがベストだと思いませんけれども、明らかにこれは前進であることは間違いがないと思う。そういう意味では評価をいたします。注文はいろいろありますけれども、何せ時間が非常に短いわけでありますから、原子力、これはまあ舶用炉であろうと発電炉であろうと、原子力の平和利用をなぜ進めなきゃならぬかということが、やっぱりこれはイロハのイだと思いますよ。何も反対が正しいか正しくないかは別。原子力の平和利用の必要がないんだったらね、やらなきゃいいんです、これは。
そこで、私はやっぱりエネルギーバランスが、エネルギー問題がどうなるのか、これはまあほとんどの国際機関が、あるいはOPEC等も、一九八〇年代の後半あたりは世界がエネルギー危機に襲われるということを言っておりますけれども、たまたま私は、去年の十二月に、日本の国会を構成する六政党の「エネルギー・原子力を考える」というパネル討論会をやったときに、エネルギーの見通しについては、ほぼこれは六つの政党は大差なく合意ができるものだという認識を持ちましたよ。ところが、このエネルギー危機が来るという前提になればそのエネルギー対策どうするのかということになると、これがまたてんでんばらばらというんでは、これは政府もやりにくかろうけれども、立法府としての責任も私はとれないような気がするんで、いままでもけんけんがくがくの議論をやってきたんですがね。そういう意味から、わが国の政府のエネルギーの問題の見通しとその対策ということになりますとエネ調のやっぱり暫定見通しということになると思いますがね。あれは、私は対策促進ケースというのはいままでも言ってきましたが、大変にこれはむずかしい。むずかしいけれども、何としても達成しなければならないんですがね。どうですか、やっぱりあの対策促進ケースを中心にして物を考えて、石炭、それから新エネルギー、地熱、LNG等をこう見てみますとね、それから省エネルギー、非常にむずかしいと思うんですがね。これはむずかしいと言っていたんじゃ政府の役割りは果たせないから、何とか達成できるという御答弁に決まっているんでしょうが、これは大臣くたびれていらっしゃるようですから、次長でも審議官でもいいですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/289
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290・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 昨年の八月に総合エネルギー調査会から中間答申をいただきまして、それが現在の政府のエネルギー政策の一応基礎となっております。その基本的な考え方は、当分の間エネルギーの中心は石油しかない、しかしながら、これを補強する意味におきまして、原子力とLNGと石炭と、この三つに重点を置いて当分の間は進めていくわけでございますが、中期的に考えますと、高速増殖炉の開発であるとか、あるいは石炭の液化ガス化、水素エネルギーあるいは太陽熱エネルギーの開発、これを中期的には進めてまいりました。さらに長期的には核融合、こういう構想のもとにいま総合エネルギー政策が進められておるわけでございますが、やはりこの中で大事な点は、相当な大量のエネルギーを使いますので、省エネルギー政策がきわめて大事でございます。
そこで、今回ようやく、長らく政府部内の調整をいたしておりましたが、最近案がまとまりまして、先般国会に法律案を提案をいたしまして、これから御審議をしていただくことになっておりますが、これがまあいわゆる促進ケースというものの背景をなす法律でございます。その中で、先ほど申し上げました石油を補強する意味でのエネルギーとして、原子力、LNG、それから石炭、この三つを挙げたわけでございますが、ただいまのところはおおむね順調に進んでおると思います。しかし、一番むずかしいのは原子力政策だと考えておりまして、このためにはどうしても、原子力の安全性、また環境の保全ということにつきまして住民の皆さん方の御理解をいただきまして、そして進めてまいりませんと計画が達成できませんので、先ほど来繰り返しましてこの点を通産省の考え方として申し上げておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/290
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291・中村利次
○中村利次君 私も、エネルギー政策は、軽水炉から高速増殖炉、二十一世紀に入ってもすぐというわけにはいかない、かなり先の核融合というぐあいにつないでいく以外にはない。それがすべてではもちろんないんで、それは、石油をどうやっぱりできるだけ多く長く確保をするか、あるいは石炭——日本の石炭なんかどんなに政府がてこ入れをしたって出炭量は減る一方ですから大した期待はできませんから、輸入炭、それも液化ガス化技術の開発と商業採算ベースに合うかどうかというものもすべて総合的に考えた石炭の利用をどうするか、それから、おっしゃる太陽熱、これもしかしまあ対策促進ケースを拝見しても、太陽熱の利用ができます、できますが、これは新エネルギー源としてはわずかなものです。潮力、風力あるいは地熱。地熱の百万キロも、これは昭和六十年になれば答えが出るけれども、非常にむずかしい。原子力の三千三百万キロも非常にむずかしい。しかし、これはすべてやらなきゃならぬ。省エネルギーの八千万キロリッター石油換算分もむずかしい。しかしやらなきゃなるぬと、こういうものを抱えているわけですからね。それは反対だ、これはいやだと言って用が足りるものじゃないんで、反対でいやでやらせないんだったら、しからばエネルギー源はどうするんだ、エネルギーバランスはどうするんだと言えば、まことにおかしな話で、石炭で、石炭火力でエネルギー対策にするというような、そういう意見ではまさにこれはもう支離滅裂でありますから、だからそういう意味では、LNGにしたって輸入に頼らなければなりませんけれども、昭和六十年三千万トンというのはきわめてこれはむずかしいと思う。
時間、何時まででしたか委員長、あと五分ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/291
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292・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) 五十五分までです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/292
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293・中村利次
○中村利次君 はい。
ですから、こういうものはしかし何としても、たとえば潮力、風力、核融合、石炭のガス化、液化その他の代替エネルギーというのは、これは昭和六十年という中期的には期待できないでしょう。ですから、やっぱり原子力の開発を安全性を前提として進めるというのは、まさにこれは国益に沿うものであり、そういう意味で国民の合意を取りつけられないようなら私はどうしようもないと思うんだが、しかし、残念ながら必ず原子力の立地点には反対反対の旗振りがいるんですよ。ですから、私は大臣に質問したいのは、公聴会につきまして、民主主義体制のもとで私は原子力の立地点で公聴会を開くのは当然だと思う。しかし、原子力委員会がこれをやってみて、これは衆参両院の科技特で公聴会をやれやれと言って、時の前田科学技術庁長官がやることに決めた。今度は要綱が気に入らないと言って、福島原子力のときに、これが一番目にやろうとしたところが、動員をして、動員をしてこいつを粉砕しようという、まさにこれは闘争騒ぎになった。しかし、これやりました。新潟では、いろいろな見方があるかもしれないけれども、知事から、これやっぱりどうも公聴会をそのままやるのは適当ではないという、そういう意見があって、原子力委員会としてもやめざるを得なくなった。これは私は、反対、賛成があるのは正々堂々とやればいいと思うんだが、場所によって——場所によってと言って、これ全国的にそういう傾向があると思うんですがね。先月、これ原子力じゃありません、火力地点で傷害ざたがあったんですよ。重軽傷十名。この発想は、私は成田の左翼、極左ゲリラとその発想は共通してるんじゃないかと思いますよ。重軽傷十名を出したから加害者は逮捕をされた。そうしたら、電力の攻撃に対してわれわれは正当防衛をやったんだと、それを逮捕するのは警察権力の弾圧であるという意味のことを言っているというんだな、これは。だから、そういう体制の中で公聴会をまともに開けるという認識は私は甘いなんてもんじゃない、むしろエネルギー対策を誤るものだと私は考えざるを得ないと思うんですがね。そういう意味で、公聴会一つを取り上げても、原子力行政を取り上げても、非常に国論というものは不統一です。そういうものにどう対処をしていかれるのか。御苦労なことで大変ですけれども、まあ事業者は罪人で通産省は事業者寄りであるという、そういう意見なんかに何も通産省が、何と言うのかな、おびえる必要はありませんよ。通産省は国民のために産業政策も含めてりっぱにやってくださいという意見を持っている者もたくさんいるわけですから、ですから公聴会というものに私は質問をしぼりましたが、こういうむずかしい体制の中で、大臣ひとつ、たとえば公聴会なんかはどういうぐあいにお考えになるか。私は、現状で何か紛争公聴会みたいなものをやるのには反対なんです。これだけをお伺いして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/293
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294・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 御指摘の点が二つあったと思いますが、一つは、原子力エネルギー政策をしっかり進めていけということでございますが、これは総合エネルギー政策にも明記しておりますように、わが国はエネルギーの分野で非常に不利な状態にございますので、一つだけの分野で問題を解決しようと思ってもなかなか大変でございますので、そこで、先ほど御説明をいたしましたように、石油を中心といたしまして、原子力とLNGと石炭と、この三つを中心として石油を補強していこうと、こういう考え方でございます。もちろん、その中において原子力エネルギー政策の占める比重というものは非常に大きいということは御指摘のとおりでございます。
それから第二点は、地元の方々との話し合いの進め方でございますが、やはり何と申しましても、地元の方の理解を得るということが問題を解決するただ一つの方法でございますので、この点につきましてはあらゆる方法を慎重に考えていかなければならぬと思いますが、その具体的な方法は地域地域によっておのずから違うと思います。地域地域の実情に応じた最もいい方法を考えながら対話を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/294
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295・柿澤弘治
○柿沢弘治君 今度の原子力基本法の改正が原子力の安全行政の一貫化のために、そして充実のために一歩前進であるということは指摘されているとおりだと思います。その点については評価をいたしますが、同時に、通産省の果たす役割り、責任が重くなってくるわけでございますので、その点について十分な認識の上で行政をしていく必要があろうと思います。その意味で、実用の原子炉、原子力発電所については、基本設計の審査だけではなくて、工事計画の認可、使用前検査、定期検査、いわゆる詳細設計後の安全規制も含めて十分な規制、審査をすることによって原子力の安全が確保されるものと考えます。その意味では、今回の基本法で原子力安全委員会の審査を受けるものは基本設計だけということになっておりますが、それ以降の部分についても十分に原子力安全委員会の意見を聞き、また、いまお話のあった顧問会議等の意見も取り入れながら万全の体制をとっていただきたいと思いますが、その点についての通産大臣の心構えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/295
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296・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) まず第一番に、今回の法改正は大改正であると考えております。したがいまして、この改正を機会に通産省の責任というものは非常に重くなったと考えております。この重い責任をどう果たしていくかということがこれからの課題でございますので、十分いろんな点も考えまして責任を果たしてまいりたいと考えております。
それから、ダブルチェックの問題でございますが、安全委員会の意見をよく聞いて進めるようにと、こういうお話でございますが、安全委員会の意見を聞かなければならない分野等につきましては十二分に御意見を聞きまして、その御意見を尊重してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/296
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297・柿澤弘治
○柿沢弘治君 通産省は、今度は、基本設計については原子炉等規制法の所管の大臣として認可をしていく、審査をしていく、詳細設計以降については原子炉等規制法の適用除外で電気事業法の主務大臣として規制をしていく、こういう二つの法体系、違った法体系の中で規制のまあ主務官庁になっているわけでございます。この点については前回も私が指摘をしたんですが、その違った法体系の中で、安全についての規制の態様もしくはレベルというものが違ってくるようでは、国民の信頼感といいますか、そういうものを確立することはできないだろう。その意味で、電気事業法の主務大臣としての規制も、当然原子力の安全の立場から、原子炉等規制法、原子力基本法等の精神にのっとって実施すべきだと思いますけれども、その点についての通産大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/297
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298・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 原子力政策を進めてまいります上で何がまあ一番大事かといいますと、それはやはり安全性の確保という点だと考えております。したがいまして、いついかなる場合でもこの点が原子力政策の基本であると、こういう点を十分心にとめまして政策を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/298
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299・柿澤弘治
○柿沢弘治君 まあ私も役人をやっておりましたから、どうしてもいろいろトラブルが起こったときに、臭いものにはふたといいますか、なるべくなら問題にならないで処理をできればと、こう考えるのは人情だと思います。しかし、原子力に関してはできるだけ公明正大に、公開の原則にのっとって、ミスがあればミスがあったということを公にしていくことが、長い目で見ての信頼性の向上のために必要だと思います。その意味で、事業法というのがどうしても電気事業を円滑に運営するという方向に運営の主体が置かれる。まあ安全の確保というものが二義的になりはしないかという心配をいたします。その意味で、これは、いままでの行政の姿勢としては、どうしても一般の公衆よりも、まあ生産者の立場といいますか、そうした立場の声が反映しがちでございましたので、そうした点については、ぜひ電気事業の長期的な発展のためにも、当面の短期的な電気事業者の利益の保護よりも、むしろ安全の確保ということが大切だという観点から運営をしていただきたい。その意味では、事業者寄り、生産者寄りという従来の行政の姿勢というものをやはり改めていくといいますか、そういう誤解を解くための努力をしていくということが何より大事だと思います。その意味で、いろいろなトラブルが起こった場合、思い切って公開をしていく、できるだけ安全委員会にも報告をし、国民の前にも公表をしていくということをお約束いただけるかどうか。それから、事業者寄りの運営でない本当の意味の一般国民の立場に立った運営をしていただけるかどうか、その点をお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/299
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300・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) これはまさに非常に大事な点でございまして、その心構えで進めてまいりませんと、やはり国民の皆さん方から理解を得ることは、これはもう不可能だと思います。御指摘の点は十分心をいたしまして、いやしくも事業者寄りと、こういう誤解を受けないように進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/300
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301・柿澤弘治
○柿沢弘治君 ぜひそうお願いをいたしたいと思います。そのためには、まあ私ども、原子力行政もしくは科学技術に携わる者も、ささいなトラブルで足を引っ張り合うような議論をしないで、それを前向きに是正していくにはどうしたらいいかという姿勢で取り組んでいく必要がある。これは自戒の言葉として、私どもも念頭に置かなければいけないというふうに思うわけでございます。
その問題に関連して、先ほども指摘されましたけれども、関西電力の美浜発電所の事故、これがいろいろな意味で通産省の原子力行政のあり方についての国民の疑惑を招くもとになっておると思いますが、この間も御説明がありましたけれども、現在調査中ということのようですが、その後の修理がどう進んで、いつ運転が再開されるのか、その辺についてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/301
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302・武田康
○政府委員(武田康君) 美浜につきましては、折損燃料棒片のうちの未確認のもの、これの調査あるいは回収作業というようなものの結果につきましての評価、それから安全性の確認といったような、いわば最終的な評価というようなものが、現在顧問の先生方の御意見も徴しながら進行中でございます。この結果を待ちまして、それから先、運転開始に至る手続、これは洗ったりするような作業も入りますので、調査が終わればすぐ運転再開ということでは必ずしもございませんが、そういったものの時期につきましては、ただいま申し上げましたその調査及び評価結果がまとまるのを待ちまして判断したいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/302
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303・柿澤弘治
○柿沢弘治君 あと何カ月ぐらいかかるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/303
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304・武田康
○政府委員(武田康君) ただいまのその評価の結果が出ますのは、いま最終段階に来ているような感じでございます。ただ、本件につきましては、従前からそうでございますけれども、私ども通産省としての判断が最終とは考えておりませんで、私どもなりの判断をいたしましたところで、やはり原子力委員会、あるいはその下の安全審査会になるかと思いますが、その御意見を十分承ってと、いわば先ほど来御議論の出ております詳細設計以降段階についてのダブルチェック、すでに実質上いまからやっていただいているようなものでございまして、そういうことで、きょう現在で言えば、原子力委員会の御意見を十分承った上で最終判断をしたいと、こういうことで、その手続もまだこれから先でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/304
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305・柿澤弘治
○柿沢弘治君 つまり、現在であれば原子力委員会、原子力安全委員会の発足後であれば原子力安全委員会のゴーサインを待って運転再開をするということを考えておられる、その手続が必要だというふうにお考えになっていらっしゃるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/305
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306・武田康
○政府委員(武田康君) おっしゃるとおりでございまして、ただ、原子力安全委員会発足と、私どもがその原子力委員会または安全委員会に伺うタイミングというのは、どちらが先になるかというのは断定的には申し上げかねますけれども、いま私どもとしては最終段階に近いところまで来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/306
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307・柿澤弘治
○柿沢弘治君 まあ原子力の安全問題では、基本設計についての安全審査もさることながら、もうたびたび繰り返しておりますように、その後の使用前の検査もしくは使用後の定期検査、運転上のトラブルというものが大きな問題になってまいりますし、そこでの事故原因の究明がまた基本設計にフィードバックされて安全性を高めるということになるわけでございますので、その点の連携をぜひ上手にといいますか、有効にやっていただきたいと思います。最後に科学技術庁長官にその点についてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/307
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308・熊谷太三郎
○国務大臣(熊谷太三郎君) 十分御趣旨に沿って処置したいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/308
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309・藤原房雄
○委員長(藤原房雄君) 他に御発言がなければ、本案についての質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
午後五時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108413913X01319780526/309
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