1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年四月十一日(火曜日)
午前十時一分開会
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委員の異動
三月二十八日
辞任 補欠選任
上田耕一郎君 山中 郁子君
三月二十九日
辞任 補欠選任
山中 郁子君 上田耕一郎君
四月四日
辞任 補欠選任
上田耕一郎君 山中 郁子君
四月五日
辞任 補欠選任
山中 郁子君 上田耕一郎君
四月十一日
辞任 補欠選任
降矢 敬義君 堀江 正夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 安永 英雄君
理 事
古賀雷四郎君
坂野 重信君
土屋 義彦君
赤桐 操君
委 員
遠藤 要君
中村 太郎君
中村 禎二君
堀内 俊夫君
堀江 正夫君
増岡 康治君
藤田 進君
太田 淳夫君
桑名 義治君
二宮 文造君
上田耕一郎君
栗林 卓司君
国務大臣
建 設 大 臣 櫻内 義雄君
政府委員
国土庁土地局長 山岡 一男君
大蔵政務次官 井上 吉夫君
運輸省航空局長 高橋 寿夫君
建設大臣官房長 粟屋 敏信君
建設省計画局長 大富 宏君
建設省都市局長 小林 幸雄君
建設省住宅局長 救仁郷 斉君
事務局側
常任委員会専門
員 森 一衞君
説明員
大蔵省銀行局保
険部保険第二課
長 森田 一君
参考人
住宅金融公庫総
裁 大津留 温君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○住宅金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/0
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001・安永英雄
○委員長(安永英雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
住宅金融公庫法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、住宅金融公庫の役職員を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/1
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002・安永英雄
○委員長(安永英雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/2
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003・安永英雄
○委員長(安永英雄君) 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。櫻内建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/3
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004・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
住宅金融公庫は、昭和二十五年設立以来、国民大衆の住宅建設に必要な資金等を融通することにより、国民の住生活の安定と社会福祉の増進に寄与してまいったところでありますが、現下の経済情勢にかんがみ、国民大衆の持ち家取得を容易ならしめ、住宅の建設の促進に資することが急務と考えられます。
この法律案は、以上のような観点から、住宅金融公庫の個人住宅貸し付け等について貸付条件の改善を図るため、住宅金融公庫法に所要の改正を行おうとするものであります。
次に、その要旨を申し上げます。
まず第一に、個人住宅建設資金、災害復興住宅建設資金等につきまして、貸付金の償還期間を、木造等の住宅については従来十八年以内であったものを二十五年以内に、簡易耐火構造の住宅については従来二十五年以内であったものを三十年以内に、それぞれ延長することといたしております。
第二に、昭和五十三年度内に申し込みの行われる個人住宅建設資金に係る貸付金及び住宅改良資金等に係る貸付金のうち、みずから居住することを目的とする者に対する貸付金につきまして、一年以内の据え置き期間を設けることができることといたしております。
第三に、償還期間の延長に伴い、北海道防寒住宅建設等促進法について所要の改正を行うことといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
なお、政府は原案につきまして、この法律は「昭和五十三年四月一日」から施行することとしておりましたが、衆議院において「公布の日」から施行することに修正議決されました。
以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/4
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005・安永英雄
○委員長(安永英雄君) これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/5
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006・赤桐操
○赤桐操君 まず、私は、今回のこの住宅金融公庫法の一部改正に当たっての法案をめぐりまして、若干以下のような御質問を申し上げたいと思います。
公定歩合の引き下げが行われたわけでありますが、大蔵省の資金運用部資金についても当然これはいろいろの影響が出てくると思うのであります。住宅金融公庫あるいはまた年金事業団等々、この資金運用部とのかかわり合いのあるものがたくさんあるわけでありますが、当然それぞれの金利も引き下げられてしかるべきであろうと考えます。住宅金融公庫がその中の一番基本的なものになると思いますが、今日まで大蔵省との折衝関係、あるいは改定の率、実施の期日等をめぐりまして折衝が持たれておったとするならば、それらについての見通しを明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/6
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007・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 住宅金融公庫の貸付金利につきましては、先般の経済対策閣僚会議におきまして引き下げるという方向で決定されております。ただ、引き下げ幅、時期等につきましては、資金運用部資金の金利との関連でございます。資金運用部資金の大宗を占めます郵便貯金の預金金利につきましてまだ決定を見ておりません。したがいまして、私どもも大蔵省と現在折衝をしておりますが、そういった郵便貯金の預金金利の動向、それから、それに伴います資金運用部資金の金利の引き下げというようなことにつきまして、そういったことを考えながら大蔵省と詰めてまいりたいと考えております。ただ、大蔵省と一応原則的に私ども詰めておりますのは、実施時期につきましては、仮に資金運用部資金の引き下げの決定がずれ込んだ、四月募集よりもずれ込んだといたしましても、四月募集から適用して金利を下げるという方向で了解を得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/7
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008・赤桐操
○赤桐操君 そうすると、この引き下げについてはかなり具体的に進んでおるわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/8
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009・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) そういったことで、引き下げ幅につきましてはまだ流動的でございますが、実施の方法、時期、それから四月からの金融公庫の募集から適用するというようなことについては原則的に了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/9
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010・赤桐操
○赤桐操君 大体の幅は見当つきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/10
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011・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 幅につきましては、私ども郵便貯金金利の動向あるいは運用部資金の全体の動向から見まして、見当と申しますか、まだはっきりしたことはわかりませんが、四十八年、四十九年の例から見まして、少なくとも〇・三%程度は下げられるのじゃないだろうかというような判断をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/11
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012・赤桐操
○赤桐操君 次に、貸し付けの限度額の問題でありますが、今回も大分考慮をされておるわけでありますが、率直に言って、これはこの程度のものであっても、私は住宅の入手ということは一般のサラリーマンにとってはかなり大変であろうと思うのであります。率直に申し上げて、私も予算委員会でもしばしば申し上げておりましたが、自己資金というのは、現在の一般的サラリーマンの限界というものはいいところ二百万から三百万ほどであろう。それ以上多額なものを求めても私は無理だと思うのですね。そして昨年暮れ建設省の試算が出されておりますが、いろいろと近郊における例を一つのモデルとして考えられておるようでありますが、大体二千万から二千二百万、これが大体一戸当たりの相場になっておるようでありますが、私もそのくらいになるだろうと思うんですね。ところが、自己資金として二百万から三百万程度が限界であるとするならば、やはり千九百万から二千万程度のものがどこかから融資しなければこれはまとまらないわけであります。金融公庫からもちろんいままで融資されておったものを土台として使ってきたことは事実でありましょうが、しかし、そのほかからいろいろと借りておることは事実なんでありまして、一元的に借財を一本化するという状態の中での返済ではなかったと思うんですね。これはサラリーマンにとって大変なことだろうと思うんです。銀行ローン等を使えば相当の大幅なものになるわけでありますし、金利等も高いものでありますので、そうした面からするならば、やはりこの際千九百万から二千万相当のものぐらい、これについて何らかの対策をとるべきではないかと、こういうように思うんですが、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/12
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013・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 御指摘のとおり、特に東京、大阪等の大都市周辺におきまして、一般的なサラリーマンの方が土地つきの一戸建て住宅を取得されるということは、やはり価格が二千万程度になろうかと思いますので非常にむずかしい問題ではないかというように考えております。ただ、大都市におきまして、マンションにつきましては価格も大体千五百万前後、五十二年度のマンションの融資の平均では大体千三百五十万というようなことになっておりまして、その程度でございますと、公庫融資、民間ローン等を合わせまして、約一年分の年収分を自己資金というような想定をいたしますと、千三百五十万のマンションでございますと大体年収で三百万程度、千五百万でございますと、年収で三百五十万程度の方々が所得の二五%の負担で取得ができるんじゃないかというように考えております。
御指摘のように、住宅金融公庫の貸付限度額、これはもっと引き上げたいという希望は私どもも持っているところでございます。しかし、五十三年度におきましては、個人の木造住宅につきまして大都市地域で四百五十万から五百万円、マンション購入につきましては六百五十万から七百五十万円というような引き上げをいたしたところでございます。ただ、住宅金融公庫に対します原資の財投資金につきましては、財投資金が五十三年度におきまして、財投計画が平均で一八・七%伸びておりますが、これを大幅に上回ります四五%というような伸びを確保いたしましたし、五十三年度におきます財投資金全体の伸びの中で三〇%を住宅金融公庫に回したというようなことから、相当な努力をしたということは御理解いただきたいというように考えております。なおまた、今後ともそういったいわゆる利用者の負担軽減といった意味で、こういった限度額を引き上げる努力はいたしてまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/13
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014・赤桐操
○赤桐操君 土地代についても今度は大分考慮をされておるんでありますが、やっぱり土地代がかなり問題があると思うんですね。それで、これをもうちょっと大幅な増額ができないのかという声も、かなり今回の問題をめぐって批判が出ておるんでありますが、こういう点については将来の考え方は何かございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/14
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015・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 最近の情勢を見ますと、住宅金融公庫の融資というものがいわゆる建物の融資とそれから土地の融資とがございます。現在、本当に国民の方々が一番困っておられるというのは、むしろ土地も持ってない、土地も上物も一緒に買わなきゃならないという方々が一番お困りになっているんじゃないかというような感じをしております。したがいまして、個人の方でもうすでに持ち家を持っていて古くなったから建てかえるという方と、土地も持ってないで、これから土地と一緒に家を持ちたいという方々では相当負担に差があることは事実でございます。そういうことをにらみ合わせますと、今回土地融資につきまして枠を広げると同時に、金額も若干ふやしていただいたわけでございますが、これからはどちらかというと、やっぱりそういった土地も建物も一緒に入手される方々、こういう方々に対してもっと今後手厚いいろんな施策を講じていかなければならないんじゃないかというような考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/15
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016・赤桐操
○赤桐操君 土地と建物の関係ですけれども、これはひとついろいろと行政当局でも考えていただいているだろうと思いますが、土地と建物の償還期限を必ずしも一つにしておかなくてもよいのではないか、そういう考え方に発想の転換をして具体的な検討をするということはできないものかどうか。たとえば木造などの場合には、建物は確かに二十五年が限界だと思いますね、これは。しかし、土地については、これは二十五年でなくてもいいわけですね。この倍あったって差し支えないと思うんですよ。親子二代で返済していったって差し支えないわけであります。どだい土地が自分のものでなければならないという理由も余り将来は関係がなくなってくるんじゃないか、また、そういう時代にしていかなきゃならないんじゃないかというように私は福祉という観点から住宅問題を取り組んで考えているんですけれどもね。これを一つの何といいますか、今回も景気対策のてこにはしておりますけれども、そういう資本主義社会の土地を含めた売買の物件として考えれば、これはいろいろのことも考えられてくるわけでありますけれども、福祉への発想の転換が土台となってくるならば、私は必ずしも土地というものがその人一代で自分のものにならなくたっていいのではないか。むしろどっかが、国なら国が持っている土地へ、上物だけ自分たちが一つの権利としてこれを獲得して建てていく方がきわめて気楽な立場にあるのではないか、一般的サラリーマンの置かれている立場というものは、そういうものではないかと私は考えるんですがね。
そういう点からするならば、直ちに土地を公共有化するなんということはこれは考えることじゃありませんが、土地を分離して長年にわたった返済方式というものを考える。これについては国が一つの代がえをやって、何かの方法をひとつここに措置をしていくということになるならば、比較的返済金額にしても少なくて済むし、私はやっぱり一戸建て住宅にいたしましても、家賃にいたしましても、今日の支払い能力というものについてはサラリーマンには限界があると思うんですね、どちらにしても。これはやはり自分の収入の中の三〇%も三五%も払うなんてことは不可能です、これは。また、そういう生活は健全な生活だとは考えられない。したがって、当然もうこれは、私ども社会党は一〇%と主張しておりますけれども、それはまあともかくといたしまして、多少のそれは現実に合わせるといたしましても、余りにもそれは私は大きなものになり過ぎているんじゃないか。そのために悲劇も発生している。そういう土地政策なりあるいは住宅政策というものは国自体として転換をしていくべき時期に来ているんじゃないかという観点に立つならば、一つの具体的な手法として考えられるのは、建物と土地を分離する。土地はもうこれは正直言って不滅のものでありますから、それに対する対策を別途立てればよい、こういうように分離して考えるということはできないものかどうか。この点について御検討いただいているかどうかわかりませんが、お考えがありましたら伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/16
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017・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 先生の、土地と建物を分離して、土地については償還期間をもっと長くしたらどうかというような御意見でございます。これは私どももこれから住宅問題を議論します場合に、やはり土地の問題ということが一番の焦点になってくるんじゃないかと。上物につきましては、ぜいたくを言わなければ大体一千万円程度で相当な水準の家ができます。これは平均的なサラリーマンにとってはそう負担ではない。ですけど、やっぱり一番負担になるのは土地だという基本的な認識は私どもも同様に持っております。そういった中で、先生のいま御提案の土地は切り離して考えたらいいじゃないかというような御意見、あるいは公的ないわゆる借地方式と申しますか、そういったものを検討したらどうか、いろんな御意見がございます。私どももそういう御意見につきましては十分前向きに検討してみたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/17
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018・赤桐操
○赤桐操君 土地というものに対してそういうように考え方が漸次変わってくるようなふうに社会全体がなってくると、これは私は土地を争って買うなんということもなくなってくると思うんですね。実際考えられないような土地の騰貴というものもこれはもう出てこなくなるということになるだろうと思うので、これはぜひひとつ、いま私が申し上げたのがいいかどうかわかりませんが、一つの案として考えていただくべきだろうというように思いますので、これはよろしく願いたいと思います。
それから、この中でもう一つ問題になるのは、据え置き期間というのが今度出ておるわけですね。これは一つのやはり試みだろうと思います。家を建てたときの一年間くらいは大変苦しい状態に置かれておると思いますので大変結構な内容だと思いますが、しかし、われわれ経験をした過去の例から考えてみると、やっぱり一年ではちょっと無理じゃないでしょうかね。私は最低やはり三年ないし五年くらいは見てもらうべきじゃないだろうか、こう思うんです。その間、据え置き期間が長くなればなるほど結果的には後にしわ寄せがいくことになって、かなり高いツケが回ってくることになりますので、その点については別途何らかの金利等に対する手当ても、一つの助成なり何らかのかっこうで見られていくべきだろうと思いますが、ともかくそういう何かのもう一歩実情に合ったものにこれは改定する必要があるように思うんですが、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/18
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019・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 今回、一年間の据え置き期間を設けましたのは、そういった基本的な住宅政策上の問題と申しますよりも、やはり景気対策上の問題ということから臨時的な措置としてとったものでございます。おっしゃるように、住宅政策上の目的からいたしますと、一年間ということはこれはもっと長い方がいいんじゃないかというように考えます。したがいまして、こういった据え置き期間の問題、あるいは後年度に支払いが累増していくようないわゆる後期逓増方式とかいろんな考え方がございます。これはいま先生も御指摘になりましたように、全体の支払い額はふえるということでございますが、それにしてもやはり平均的なサラリーマンの方が支払いやすいようにというようなことではいろんな考え方ができるんではないかというように考えます。こういった点も今後私ども真剣にやはり取り組んでいかなければならない問題だというように認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/19
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020・赤桐操
○赤桐操君 次に、優良宅地の場合ですね。これは一般のミニ開発とか関連公共その他何も考えないで適当に建てていくというそういう建設とは違うわけでありまして、こういう優良宅地に建設されていくようなそういう住宅、こういうものについて私はやはり少し考えるべき時期に来ているように思うんです。それで、土地代の約半分は、優良宅地の場合には関連公共公益費になっていることは、これはもうしばしば私たちも申し上げてきているとおりであります。都市計画法あるいは各自治体の指導要綱、こういうものに基づいて大変厳しい行政指導の中でこれらの優良宅地というものはつくり上げられていく。そうすると、その結果にはこれはもう関連公共公益費が半分くらい占めてしまう、こういうことになってきている。しかも小さいものよりは大きくなるに従ってこの部分が大きくなってくるということは、言いかえてみれば関連公共公益費を個人負担としてその比重が高められていく、こういうことになってきていると思うんですね。これを建設省の昨年暮れの試算、これに当てはめてみまするというと、大体私はあの内容で見ますると、土地代が千二、三百万円ぐらいになっておると思います。
そうすると、その大体半分ぐらいが——仮に二千二百万程度の一戸建てで一千万が上物とするというと、土地は千二百万になる、この大体半分がまず優良宅地の場合には関連公共になってくると思うんです。そうすると、これは五百万くらいのものになると思うんですね。これは私は大変な社会問題じゃないかと思うんです。予算委員会では村山大蔵大臣は、金融公庫の融資つき住宅は一戸に対して二十一万円見ている、この点を銘記してもらいたいと、こう言われているんですけれども、それのはるか倍率の違う負担を個人がするという結果になってきておるのではないか。こういう状態をいつまでも放置していくということは私はやはり許されないと思うんですね。これがわずかなときにはまだいい、それから土地代が上昇していくときには吸収されるからよろしいんですけれども、ここまで来るというと、これは私はちょっと問題を放置していく筋合いではなくなってきているように思います。
したがって、一つの何か方法はないかと私は思っておるんですが、これは民間等からもそういう意見が出ておるし、学者などからも意見が私のところへ出されておりますが、たとえば電話債のようなものにこれを置きかえることはできないか。そしてこれは国なり地方自治体なりが——まあ地方自治体は私は無理だと思いますけれども、国がこれに対するところの全額負担ができれば結構でありますが、全額負担ができないとするならば、せめて三分の二ぐらいはこれに対して負担をするというたてまえをとっていく、その部分だけを電話債のようなものに振りかえる。もちろんこれは金融公庫が主体でやる場合においては金融公庫債になるでしょうけれども、それはどんなふうにやるかわかりませんが、とにかく電話を引く場合において、資金が足りないからということで一時加入者に電話債を買ってもらって、その資金を出してもらって電電公社の場合には行っておりますが、この種の手法をここに求めて、国が将来にこれを返済をしていくという方法はとれないのかどうなのか、こういうことについてはどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/20
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021・大富宏
○政府委員(大富宏君) お述べになりましたとおり、確かに現在の優良宅地の仕上がり価格の中に関連公共公益施設の負担費が相当の部分を占めている、しかも開発の規模が大きければ大きいほどその比率が高まっていく、これも事実でございます。これはやはりわが国の社会資本整備が余りに未熟であるがために、どうしても先行的に住宅宅地事業の部分については公的負担をする以前にやはり開発者にそれを負担させる、これがどうも実態のようでございます。そこで、自来建設省におきましても、関公施設についてはこれは地方財政との関連も非常に強いわけでございますけれども、なるべく最終的な需要者の負担にしわ寄せされないようにいままで補助率をアップするなりあるいは立てかえ施行を拡充するなりというような施策をずっととりまして、五十三年度におきましても新たにこの従来の補助枠に加えまして三百億という別枠の施策もとったわけでございます。しかし、それにいたしましてもまだまだ私ども不十分だと思います。
そこで、御提案のような電話債券みたいな話、あるいは不動産協会あたりからもそれと類似の発想も出ております。今後はやはり宅地供給といいましても居住環境の整った優良な宅地ということであれば、やはりそういった公益施設、公共施設の整った宅地をわれわれやっぱり供給していかなきゃいかぬ。それには非常に負担が重くかかり、しかも最終需要者の負担率をオーバーするようなものになるし、こういう非常に重要な問題も含むものでございますので、私どももいま御提案のような問題も含めまして十分検討いたしていきたいと思っております。しかし、とりあえずは、やはり一番重要な問題は本来補助すべきものが補助されないで開発者の負担になっているところに問題があるわけでございますので、なるべく補助採択をどんどんやっていくということに精力を注ぐべきではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/21
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022・赤桐操
○赤桐操君 こういう意見なんかもあるんですが、これは私は余り賛意を表せられないんですよ。地方自治体の方に縁故債のようなものを出してもらって、それを業界が負担するという意見もあるんです、これは具体的に私は話し合っておりますけれども。これは結果的には、とどのつまりは地方自治体が賄うことになるんですね。これは私はやはり無理だと思うんです、こういうやり方は。ですから、そういう実情に今日地方自治体がないわけですから私はその考え方はまずい、あくまでもこれは国が背負っていくという基本姿勢がない限りはこの問題の解決は進んでいかないだろうと、このように思うんです。
いま計画局長のお話では、そういう形に持っていくということを一遍にするということはなかなか困難であるけれども、とりあえず、できるところから助成をすべきものは助成するという方針で努力したいという積極的な意欲が示されたわけでありますが、これは私も大変結構だと思うんでありますが、どうなんでしょうかね、資金運用部資金ももう六十兆円になっておるんですね、今日。きょうは大蔵省は来ておりませんが、少なくとも、まさしくこれは庶民大衆の金ですよ、この金は。この金が一〇〇%庶民大衆に還元されている状況には今日ありません。実際問題として大体半分ぐらいだろうと思うんです。かなり私は、まだ庶民大衆のもとに還元する余地はこの資金運用部資金の中にあると思うんです。大蔵大臣はないと、こう言っておりますが、私はそんなことはないと思う。それで、電話債とかそういったようなものに類似したようなものを直ちに発行するということが困難であり、それがいまこれからの検討の課題だとするならば、それまでの間、段階的に資金運用部資金によってこれを代がえをしていく。たとえば地方自治体の地方財政全体の中の不足額について、これを今回の五十三年度予算の中では資金運用部資金によってある程度賄われております。これは別な意味における国の借金だと思いますけれども、こうした形をある意味においては便法処置としてとることはできないのか、また、建設省としても本格的にこれは大蔵省と折衝すべき問題ではないのか、こういうように私は思うんです。それで、長年にわたる一つの代替行為がここで行われることになるならば、これは国の立場としてもこれらに対するところの予算措置を長期にわたってしていくことができるであろう。こういうように私は考えるんですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/22
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023・大富宏
○政府委員(大富宏君) 住宅宅地開発に関連するところの関連公共公益施設を一体どこが、だれが負担すべきかという問題、非常にむずかしい問題でございます。これは四十二年ごろの住宅宅地審議会の答申でも、市街地形成に必要となる根幹的な道路幹線なりあるいは下水幹線というものはこれは本来の管理者が負担をする。それの支線に当たるもの、団地内の人たちが享有するような機能の小さいものについては開発利益の帰属の関係でこれは開発者が負担すべきじゃないかというような答申も出てきているわけでございます。そこで、答申が述べておりますところの根幹的な都市施設についてまで、ややもすれば地方財政貧困という事情から開発者負担になっているのが実情なものですから、せめてそこの部分についてはどしどしその補助採択等も進めまして、本来管理者の持つべきようなものはひとつ極力地方財政負担の軽減を図る、最終需要者の負担も軽減するというような措置をとりたいということできているわけでございます。
それと、お述べになりました問題につきましては、地方公共団体の地方債に対する利子補給、これも四十九年ぐらいから利子補給その他の施策もやっているところでございます。それからさらに住宅金融公庫におきましても、宅造融資と合わせまして関連公共公益施設につきましても、これは六分五厘、低利で融資する対象にいたしております。それから開発銀行についてもその道を確保しておるわけでございます。しかし、従来ややもすると、こういう制度は整っておりますけれども、こういった関公についての金融公庫あるいは開発銀行の融資の道は開けておるにもかかわらず、とかく民間にはなかなか恩恵が与えられなかったという問題がございます。せっかくこういう制度があるわけでございますから、私ども民間にも大いにこういう面を利用していただく、お述べになりましたような負担が極力軽くなるような措置も今後努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/23
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024・赤桐操
○赤桐操君 どうでしょうか、そういったようなものについてこれからひとつ検討してもらうことにいたしまして、とりあえず当面の問題として、関連公共公益費の利子分だけでも国が負担したらいかがですか。たとえば、いま申し上げた一つの例で言えば、この三大都市圏周辺につくられる団地、これについては国の指導なりあるいは地方自治体の指導要綱に基づいて大変りっぱなものができ上がったと仮定いたしますね、またでき上がりつつあります。そうでないと、これは開発許可にならないから。そうすると、いま申し上げたように土地代の半分は大体関連公共公益費になるんですよ、半分ないしは半分近いものは。これは各県の自治体が明らかにしておる内容であります。その利子までが全部——もっと具体的に言えば採納されるものの分までが、やがて地方自治体に採納されるたとえば道路とか公園とか、そういったものの利子分までが全部受益者負担でしわ寄せされているのが現状じゃないですか。この利子分ぐらいはこれは国が負担したらどうかと思うのです、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/24
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025・大富宏
○政府委員(大富宏君) 御意見はよくわかるわけでございますが、私ども一挙にそこまでまいれないものですから、いま申し上げますように、地方公共団体が起こす起債については、ある程度これを利子補給の道を開いております。それから、いま私どもの方で御説明いたしましたけれども、金融公庫でもやはり関連公共公益施設に対する融資対象、しかもそれは据え置き期間を置きまして、それで金利も六分五厘という低利な道を開いているわけです。この辺をもう少し充実していくということが一番現実的な方策だろうと思いますけれども、御指摘もございますので、いろいろと私どもも検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/25
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026・赤桐操
○赤桐操君 端的に申し上げますと、関連公共公益費まで個人負担でやらせておる今日の中で、土地代についてはこの金融公庫融資つき住宅の中では余りだくさん出していないわけです。今度初めて枠が広がっておるわけであります。これはやはり土地に対して利子をもっと下げるとか、何らかの配慮がなされてしかるべきではないか、これでは余りにもひど過ぎやしないか、こういうことなんです、言わんとすることは。だから、きょうはあの手この手でいろいろ提案してみたんだけれども、いずれもなかなか困難だということであっては話にならないわけですよ、それでは話が前進しないのです。だから、それはやはり行政当局としても、具体的に私ども提案しておるわけですから、具体的に取り組んでみてもらって、これはひとり私の個人の考えじゃなくて、いろいろの声をまとめて申し上げているわけですから、こうしたものをひとついろいろ検討していただくということが必要だろうと思うのですね、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/26
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027・大富宏
○政府委員(大富宏君) 関連公共公益施設は本当に大変むずかしい問題でございまして、ちっとも検討しないということでなくて、私ども毎年毎年改善充実を図っているつもりでございまして、金融公庫につきましても、五十一年相当抜本的な関連公共公益施設についての融資の内容を拡充いたしております。それから個人に対する土地融資についても、先ほど住宅局長が答弁いたしましたように、これも逐年改善をいたしておるわけでございますので、今後ともひとつ前向きで検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/27
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028・赤桐操
○赤桐操君 次に、中古住宅の問題で伺いたいと思うのであります。
昭和四十七年から八年ごろまでは、大体、中古住宅の需給関係については大変活発に行われておった。しかし、四十九年以降これが大分調子が狂ってきておる。その後におけるところの需給状態、あるいはまた変わってきたいろいろな理由があると思いますが、そうしたものについて考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/28
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029・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 中古住宅につきまして、こういった流通面につきまして残念ながら私ども確固としたデータを持っておりません。いろいろな統計からこれを類推するというようなやり方しか現在できません。それをいろいろ類推してみますと、四十八、九年あたりで大体十万戸ちょっとぐらいの流通があったんじゃないかというように考えております。ところが最近、やはりこういった低成長時代に入ったせいかもしれませんが、昔ならすぐ古い住宅はもうぶっ壊しちゃうというような傾向がございましたが、最近はやはりそれを生かして中古住宅として流通さして新しい住宅を求めるというような傾向が非常に強まっておりまして、私ども最近の状態では恐らく二十万戸を超しているんじゃないかというような感じがいたしております。こういった傾向につきましては、住宅政策上も新築住宅のフローだけを追っかけるんでなくて、いま国民が持っております住宅資産のストックをどうやって活用するかという点で非常に重要な意味を持っているというように考えております。第三期住宅建設五カ年計画におきましても、その基礎にはやはりそういった既存ストックの活用ということが非常に強くうたわれておりまして、今後、住宅政策の中で、新築住宅と並んで中古住宅という問題の重要性は非常に高まってくるのだろうというように私どもも認識しております。そういったことで、私どももこの中古の住宅に対する政府施策のあり方等につきましては、今後本当に真剣に考えていかなければならない問題であるというように認識しております。私ども、できるだけそういったデータをそろえ、流通段階でのどういう問題があるのか、そういったこともよく調査いたしまして今後施策の柱にしてまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/29
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030・赤桐操
○赤桐操君 いま局長の御答弁でも、これからは新築住宅だけではなくていろいろストックの段階に入ってくるのでこれに対する対策を考えなきゃならぬと、こう言われておるわけでありますが、やはりこの流通問題を含めた管理体制といいますかね、こうしたものにこれから本格的に取り組まないというと、管理面に対するその行政指導というものがなされていかないというといろいろの問題を引き起こすのではないだろうか、こういうように実は私は考えております。
それで、特にこの中古住宅は新規住宅に比べてほとんど施策が行われていないように思うんです。具体的に申し上げると、たとえば税制の面などでは、新しい住宅については大変いろいろな措置がいま配慮されてきているわけですね。しかし、古い住宅についてはまずないんですな、これは。それで、ちょっと比較いたしましても、たとえば新築住宅、土地つきで大体二千万ないし二千二百万くらいのものがいま標準になってきているようでありますが、これで計算をいたしますると、一つのモデルをつくって計算してみたんでありますが、敷地面積が百八十五平米、それから建物の床面積が九十平方メートル、総額で二千百万円、土地、建物つきであります。これが新築住宅の場合でまいりまするというと、取得時に要する税金は三十四万四千円でございますね。ところが、中古住宅、これを三年ないし四年たったものと仮定するというと、これは建物が大体半値くらいに下がってまいりますね。これで大体評価してもらうというと、総額で二千百万円のものは大体千七百万くらいにダウンするであろう、こういうように相場がつけられているようであります。これは一般の見方であります。この中古住宅千七百万円のものを入手しようといたしまするというと、税金は全部で六十八万円かかるんですよ、この場合においては。これは大体倍なんですね、税金がかかるのは。ところが、求める側にしてみると、中古であろうと新築であろうと同じなんですよ、入る方にしてみれば。何で古いものを買ってどうしてこんなにまで税金を取られるのか、こういう実は不満が相当出てきているわけですね。これが率直な私はいまの中古住宅をめぐる問題点だと思うんですけれどもね。要するに、中古住宅というものは新規住宅に比べて税制面ではほとんど考慮をされていない。これでは一体、需要者にとってみれば、古い新しいはともかく、どちらも自分自身が入るということになれば変わりはないわけであって、一月の家として考えたときには、住宅として考えたときには、大変これは不公平な取り扱いではないか、こういうようになってきているんですが、この点はどういうようにお考えになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/30
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031・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 従来の住宅の減税、いろんな不動産取得税、固定資産税、登録免許税その他がございますが、そういった住宅減税の考え方は、やはり過去におきまして住宅が足りないということで、住宅のストックをふやすという政策のもとに新築の住宅に対していろんな手当てをしてきたということが事実でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、こういった中古住宅の住宅政策上の位置づけというものが従来それほど明確でなかったということが、やはりこういった新築住宅と中古住宅に対する住宅の減税の差に出てきているのではないかというように考えております。これは、先ほど申し上げましたように、私どももこれからは中古住宅というものが住宅政策の中で非常に大きなウエートを占めてくるというように考えておりますし、こういった御指摘の税金につきまして私どもも試算してみますと、大体そのようでございます。したがいまして、私ども今後、まず住宅政策の中でこの中古住宅のあり方というものをかっちり確立いたしますと同時に、やはりそういった不公平のあるような点につきましては、中古住宅につきましても住宅減税の措置を検討いたしまして関係当局に要望してまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/31
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032・赤桐操
○赤桐操君 これは、特に最近、まあ住宅局長もいつか答弁なされていたと思いますが、木造の一戸建て住宅よりも三大都市圏等においてはマンションの方が非常によく求められている、需給状態はマンションに動いてきているということをいつか明らかにされたと思いますね。事実、私はもう世代の交代もだんだん出てきていると思うんですね。公団住宅で育った人たちも、いま自分たちが新しい世帯を持つに至って、ああしたいわゆる集合住宅生活というものについては小さいときからなれている、こういう世代がこれからふえていくだろうと思うんですね。これはやがていわゆるマンション時代へこの三大都市圏等では漸次移行されていく時代に入ってきているんじゃないだろうかというように私は実は考えるんです。だから、必ずしも私は一戸建て住宅というものをもう求めている時代じゃないんじゃないか。
一戸建て住宅、一戸建て住宅ということでいつまでも考えているのは、どうも政府やあるいは実際にいままで、何というか、そういう仕事をやってきた人たちの頭だけであって、本当に国民の皆さんの、特に三大都市圏等のそうした集合住宅の中で育った人たち、成長をした方々ですね、こういう方々というものは、もう大きくそういう段階を離れてきているんじゃないだろうかというような感じがするんです。ですから、マンションに入る人たちというのはみんな若いんですよ、これは。だから、金額も安くなければこれはいけない。われわれもマンションの生活をたまにしますと、これは非常に快適で合理的で経費もかからないしいい、こういうことが明らかにされてきています。日本のように土地が非常にない、こういうわが国のような現状の中では、こうした状況は助長しなければならないと思うんですね。そうすると、これは中高層ビルででき上がるそういう一つ一つの家でありますから、当然集合住宅というものは足し増しはできません、建築増はやれませんですから。これはそれを必要とする家族の方にお譲りをして自分はより大きなところへ動いていくというそういう一つの流通体制というものが出てくると思うんですね。これはその都度税金がこんなにたくさんかかったんじゃやりきれないわけでありまして、中古住宅といっても、そういう時代に入ってくるということになれば、なおこれは真剣に取り組んでもらわなければならないだろう。こういうふうに実は考えまして、この中古住宅の問題について提起をするわけですが、これをひとつ御検討を願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/32
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033・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 私どもも、こういったマンションの需要というものにつきまして、いろいろ調査を従来からいたしてきております。先生御指摘のように、三大都市圏におきましては年々やはりマンションでいいという方の比率がふえてきております。特に私どもやはり注目しておりますのは、公的な賃貸住宅あるいは社宅、これはまあ大体集合住宅でございますが、そういうものにお住まいになっている方が、マンションでいいとおっしゃる方の比率が非常に最近高まってきているということも事実でございます。そういった意味で、マンションにつきましては先生もいま御指摘ございましたように、やはり増築あるいは改築等が個人の力でできませんので、ライフサイクルに見合いましてやはり移っていくというような形の傾向はこれ以上にまた強まってくるだろうというように考えております。そういった意味からも、この中古マンションの流通の問題、あるいはそれをどう活用し、それに対して政府がどういうような援助をしていくかという問題はこれから重要な課題だというふうに認識しておりますので、努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/33
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034・赤桐操
○赤桐操君 最近、中古住宅の需給関係をめぐりましていろいろ業界がもめているようでありますけれども、これは一体どんな事情であるのか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/34
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035・大富宏
○政府委員(大富宏君) 御指摘の問題は、三井不動産販売株式会社と全宅連との分野調整法に絡む問題だろうと思いますので、現在の段階について御説明申し上げたいと思います。
三井不動産販売株式会社、五十二年の四月ごろ神奈川県で四店舗、東京都で一店舗を実施しておりましたところの専属特約代理店制度、これを本年の四月一日から拡充するという計画を持っておったわけでございますが、これに対しまして全国宅地建物取引業協会連合会、これは四十三年に設立されました社団法人でございますが、全国九万業者のうち七万業者が会員になっておるわけでございますが、この全宅連から、この三井不動産の計画というのは中小宅建業者の事業機会を奪うおそれがあるということで、分野調整法に基づきまして昨年の十月二十七日に調査の申し出があったわけでございます。
これを受けまして、建設省では五十二年の十二月二十七日にその調査の結果を全宅連あてに通知いたしたわけでございますが、調査の内容というのは、神奈川県、千葉県、埼玉県の各県に合計十店舗の専属特約代理店、これをフランチャイズ店とこう言っているわけでございますが、これを設置する計画となっておるわけでございます。この専属特約代理店と言いますのは、三井不動産株式会社が地元の宅建業者と共同いたしまして新たに不動産仲介の会社を設立いたしまして、三井側がその資本金の三五%を出資するということになりますが、この三井側と新会社が専属特約代理店契約を結びまして、新会社が行う仲介業務というのはすべてこの三井の代理人というかっこうで、三井の名前で行うというのが特徴でございます。
この計画に対しまして、全宅連が、こういった計画を実施されますと中小宅建業者の経営の安定に著しい悪影響があるということで、ことしの三月一日付をもちまして分野調整法に基づきます調整の申し出を行ってまいったわけでございます。建設省ではこの調整の申し出を受理いたしたわけでございますけれども、この記載事項の中で、この計画、三井側がこういう計画を実施いたしますと、中小宅建業者の経営の安定に著しい悪影響を及ぼすということだけれども、一体どのような悪影響を及ぼすのかという点について明確な説明が余りないということでございましたので、目下この疎明を全宅連に求めているところでございます。
一方、この当事者でありますところの三井不動産販売株式会社と全宅連、これは分野調整法にもそういう趣旨が書いてあるわけでございますけれども、当事者間で自主的に解決するというのが一番ようございます。そこで、現在まで二回にわたりまして両当事者が話し合いを行っております。この話し合いの結果、三井不動産販売株式会社は、計画では四月一日からこのフランチャイズ店を拡大するという計画であったわけでございますけれども、これを三カ月間延期いたす。三カ月延期いたしまして、引き続いて両当事者間で話し合いを持ちましょうということになっているわけでございます。建設省といたしましては、この両当事者間の自主的な解決への努力というものを尊重いたしまして、当面その推移を見守っている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/35
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036・赤桐操
○赤桐操君 これは、建設省としてはどんなふうに指導をする考えですか、最終的には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/36
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037・大富宏
○政府委員(大富宏君) まず第一点は、いま述べましたように、三月一日に出されました分野調整法に基づく調整の申し出の内容が明確でないというので、目下全宅連に明確なひとつ資料をもう一回出し直していただきたいということをやっておる一方、両当事者間で話し合いに入っています。三井側といたしましても四月一日に実施するという拡大計画を三カ月延期した。極力ひとつ両当事者間で自主的に解決するということが私どもは一番大事だと思っております。その帰趨につきましても、三井不動産販売株式会社が契約する地元中小宅建業者も全宅連の会員でございまして、そういう事情もございまして、十分両当事者が話し合いを進めればおのずから解決の道はつくだろうと思ってはおりますけれども、少なくとも三カ月を延期している間の両当事者の話し合いがまとまらなければ、その段階におきまして建設省も間に入って十分な指導をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/37
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038・赤桐操
○赤桐操君 先ほど来、中古住宅問題がこれからの新しい施策の対象に国としても考えなきゃならない、こういう時代に入っているやさきの問題でありまするから、これに対しては、いまのこういう状態を放置するということではもはや許されなくなってきているように思うんです。それで、民間におけるこうした不動産関係の業界にだけこの中古住宅問題を任しておくということではなくて、国自体が一つの考え方を打ち出すべき時期に来ているように私は考える。
そこで、この対策として、各県にも、それぞれ自治体関係にはいわゆる開発部であるとか、あるいはまた供給公社であるとか、こうした公的機関があるわけでありまして、当然それぞれのところでかなりいろいろと販売もしてきておるわけですね、供給もしておるし、それらに対する管理だって当然やらなきゃならぬ時期に来ているわけでありますから、そういうところに新しいひとつ公的な相談の場所をつくるようにして、これがたとえば金が必要だと言えば金に対するあっせんをするとか、民間業者だけに任せるということでなくて、こうした公的機関がある程度これに対する具体的な対策をとるべき時期に来ているように私は思うんですけれども、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/38
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039・大富宏
○政府委員(大富宏君) 御指摘のとおり、大変重要な課題だと私ども認識いたしております。現在、不動産業者は九万あるわけでございますけれども、大臣が認可している業者は千八百業者ぐらい、あともう全部が知事管理の不動産業者でございます。そこで、民間ばっかりに任せておくということじゃございませんで、先ほど来御質疑がありましたように、不動産流通市場、これをどう管理していくかということが非常に重要な問題でございますけれども、なかなかわが国におきましては未熟の流通分野でもございますので、たとえば情報処理が非常に体系的になってない問題とか、あるいは仲介契約という問題も内容が非常に不明確であるとか、あるいはさらに中古物件を評価する鑑定方式等もまだ未熟であるとか、非常にむずかしい問題があるわけでございまして、私ども建設省といたしましても、昨年の七月から業界団体を交えましてこういった基本的な問題の研究会を開きまして実態の把握、さらには基本的な問題の解明等を勉強いたしているところでございますが、この究明を急ぐとともに、御指摘のように末端に、都道府県段階におきましても、中小と大手の問題もさることながら、集合住宅に伴ういわゆるマンションの管理の問題、非常にいろいろなトラブルも起きているわけでございますので、極力ひとつ各都道府県におきましても窓口を設けまして、消費者保護という観点もございますので大いに体系的にこれの相談に乗る、それから解決に当たるということについては指導いたしておりますけれども、本省も、都道府県とも今後有機的ないろいろの連絡会を持ちながら、勉強も進めながら、こういう体制を整えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/39
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040・赤桐操
○赤桐操君 次に、住宅金融公庫の特約火災保険契約について伺いたいと思っております。
特約会社名、契約高、件数、こうしたものについて御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/40
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041・大津留温
○参考人(大津留温君) 住宅金融公庫は、債権の保全策の一つといたしまして特約火災保険を結んでいただくことに債務者の方にお願いしております。五十一年度末におきます契約高でございますが、二百八十五万七千件で契約高は十一兆六千億余になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/41
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042・赤桐操
○赤桐操君 特約会社は何社ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/42
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043・大津留温
○参考人(大津留温君) この特約保険の相手方は、損保二十社で共同でこれを引き受けていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/43
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044・赤桐操
○赤桐操君 今日までの経過はともかくといたしまして、わが国の相互共済事業というものも大変長年にわたった実績を踏まえまして今日大変な実は社会的な大きな比重を持つに至っていると思うんです。具体的に申し上げれば、労働者共済生活協同組合、さらにまた農業共済、全国水産共済、こうした各種分野にわたる共済制度が、共済組合が大きくそれぞれの組合の努力によって築き上げられてまいりました。これが今日の段階になりますと、たとえば全国の労働者共済生活協同組合連合会等の例で申し上げるならば、創立二十年を超えております。そして会員は百万人に及んでおる。こういう状態でありまして、その実績も大変なものとなってきておるわけでありますが、この際これらの共済組合も、保険の方もともに契約できるように改善を図るべきではないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/44
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045・大津留温
○参考人(大津留温君) 公庫がこういう特約火災保険を採用しておりますのは、債権の保全という観点でございますので、火災そのほか風水害等によります融資建物が消滅したような場合、これを保険金によって債権を保全するということをやっているわけでございます。そこで、そういう趣旨からいたしまして、この保険の担保する範囲ですね、火災だけでなく風水害、雪害あるいは地震、津波というような災害に対しましてどの程度まで担保できるか、また、その引き受け主体の経済的な財政的な基盤が確実かどうか、また、これを利用するお客さんの立場から言いまして、保険料その他負担が軽いかどうかというようなことが問題になってくると思います。そういう観点から、従来は損保二十社が共同でやります特約保険ということに限っておったわけでございますけれども、ただいまお示しの労働共済、農業共済等々の火災共済制度も相当充実してまいっておりますので、これらをどういう形で取り入れるべきかどうか、そういうことをいまいろいろ前向きに検討しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/45
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046・赤桐操
○赤桐操君 金融公庫として、もちろんこれは、これら二十社と大体相対するような力がなくてはならないということについては私もよくわかりますが、私はこれらのところは恐らく全国的に見ても労働者のこの共済組合などは群を抜いているのではないかと思うんですね。その担保力、事業内容、すべて今日この段階へ来る以上は少なくとも金融公庫が求める担保能力を十分に持つものであるというように私どもは考えるわけです。
それで、具体的にあとこれをどうするかという問題に入らなきゃならぬでしょうけれども、これは金融公庫の業務方法書を変えればできるわけでしょう。したがって、金融公庫自体がこれらの共済団体を対象として踏み切るという決意さえ固めれば、これはそうむずかしい問題でないと私は考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/46
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047・大津留温
○参考人(大津留温君) 労災なり農業共済を保険の対象に取り入れるかどうかにつきまして、別段法律的な問題があるというようなことではございません。おっしゃるように公庫の方針の問題ですが、先ほどから申し上げておるように、債権保全という観点から、いまの特約に比べて十分遜色ないといいますか、対等の担保が確保されるかどうかということが問題でございまして、その辺につきましていま全国労災の連合会の方からもいろいろ資料をちょうだいいたしまして検討を進めているという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/47
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048・赤桐操
○赤桐操君 そうすると、いずれにしても前向きで検討して、適当であるという判断さえつくならば踏み切ると、こういうように理解してよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/48
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049・大津留温
○参考人(大津留温君) ただいませっかくいろいろ検討しておりますので、その結果によりまして判断いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/49
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050・赤桐操
○赤桐操君 次に、公示価格の問題について少し伺いたいと思うんです。
造成宅地並びに宅地見込み地の公示価格というのは、どういうようにして決められていくものであるか。この点、まずひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/50
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051・山岡一男
○政府委員(山岡一男君) 造成地の価格でございますけれども、これは素地の標準的な取得原価に加えまして、宅地の造成等のための本工事費、それから付帯工事費、その他の工事費、それから公共公益施設にかかわる負担、それから販売費及び一般管理費、それから適正利益等を加算して求めるというのが原則でございます。造成地とか埋立地等の適正な価格の算定に当たりましては、一般の不動産鑑定の場合、取引事例による方法、それから収益還元による方法、それから原価による方法がございますけれども、ただいま申し上げましたような造成地価格等につきましては、どちらかと申しますと、そういう造成原価的な考え方が非常に尊重されるということで決定されるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/51
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052・赤桐操
○赤桐操君 宅地の価格と素地の価格が大変最近小さくなってきておるように思うんですがね、この点についてはどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/52
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053・山岡一男
○政府委員(山岡一男君) 都市近郊の造成地等につきまして、通常、学校それから上下水道等の公共公益施設を含む大規模な造成を必要といたします。したがいまして、造成後の価格とそれから素地価格につきましては、先ほど申し上げましたような差がございまして、造成費用等に対応した価格差があるというのが通常であろうかと思っております。しかしながら、いま先生おっしゃいましたとおり、開発地の周辺等につきましては、実際の取引におきまして素地価格が造成地の価格と余り変わらないというような取引がなされているのも一部見受けられるのは事実でございます。その場合、開発地の周辺の土地が開発地のために設けられました公共公益施設の整備による利益を受けるということから、当該素地を開発する場合には造成費用が軽減される場合がございます。そういう場合には当然のことながらいまの公示価格の中には織り込まれてまいります。しかしながら、開発地の価格を不当に反映しまして、いわゆる呼び値と申しておりますけれども、不当に反映をいたしまして高いつけ値がなされる場合もあるわけでございます。これは国土利用計画法等によります届け出制度の対象になるものにつきましては、そういうものについて十分な価格指導が行えると思っておりますけれども、その下の方の一般取引におきましては、そのようなものがあるわけでございます。
ただ、この場合、地価公示価格はどうしておるのかということになりますと、先ほど申し上げましたように、開発地の整備により自主的に効用が増しておるというようなところにつきましては、素地でございましても、ある程度その経済価値として含ましめるというふうになっております。しかしながら、先ほど後の方で申し上げました効用増を伴わない、隣が幾らだったからここもそうだろうというふうなつけ値につきましては考慮しないというたてまえで地価公示価格は決定されておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/53
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054・赤桐操
○赤桐操君 宅地価格でありますけれども、これは道路から上下排水、学校、公園のそういった公共負担の分が全部入っているわけですよね、宅地の造成原価の中には。先ほども私申し上げてきたんですけれども、りっぱな優良宅地になればなるほどその比率が大体上がっていく。関連公共公益費が半分も占めてしまうと、こういう状況になってくる。
それで、一体この関連公共施設というのはどういうものかと言えば、具体的に言えば、まず大きな比重を持っておるのは道路でしょう。上下排水だと思うのですね。こういうものは少なくともやがてその優良宅地、優良団地等においては採納されることになる、地方自治体に。まあ言うなれば原価主義でいろいろと計算をされる、あるいは比較対照方式でやられる、幾つかの方法があるようでありますが、結局私は、こういう道路から上下排水から学校、公園というようなものまで受益者負担でかぶせられて、それがその土地価格の中に入っていく。売買のときはそれは当然行われるでありましょうけれども、この公示価格の中にこれが基礎となるということは不合理ではないのか、これは当然外されるべきものではないか。もっと端的に言えば、Aというそのところが開発されて、これがりっぱな宅地になったと。ところが、すぐ隣の土地が、宅地でないのにもう大体余り違わない公示価格が出てきている、ないしは半分以上の価格になっているというのは全国の例を見ても決して少なくないんですね、私の手元にもありますが。これはやはりこういった道路とか上下排水のようなこういう公共公益等の各種の施設費を全部含めたものを公示価格の基礎に押さえているからではないだろうか。そしてそういうものをやはり本来なれば引くべきではないかというように思うのですが、この点はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/54
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055・山岡一男
○政府委員(山岡一男君) 現在の公示価格は、標準地の近傍類地におきまして数多くの実際の取引がございます。そういうものの中から特殊な事情のものを除いた、先ほど申し上げました取引事例によって見る方法、それから土地の収益から算定される価格、造成原価、名要素を織り込むわけでございます。その場合の造成原価の中に相当な関連公共公益施設が入っておるじゃないかというのが先生のお話かと思います。
現在の地価公示価格につきましては、先ほど申し上げましたように、標準地の近傍類地の取引の実例というものも相当参考にするということになっておりまして、通常のものの中に現在含まっておるということであれば反映させざるを得ない。実際問題としまして、意識的にそいつを除くというようなことで、まあ標準価格を、標準地の価格を公示いたしますと、やはりある程度のリズムが入ったことになります。そうではなくして、やはり通常の取引、行われているものを反映さしておく。それがさらにいろいろな施策が講じられまして、まさにそういうものは関連公共公益施設は公的なものが十分負担をするようになった、したがってその分だけ造成原価は少なくて済むというようなことになりますと、それが反映をして標準価格も下がってくるというふうなことでございまして、いわば地価公示の価格はそういう施策の後追いになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/55
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056・赤桐操
○赤桐操君 どうもよくわからないんですけれどもね。不動産鑑定士がこれは全国的に鑑定するわけでしょう。それで、各県でもこれはやっているようですね。それは具体的にどんなふうに進められるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/56
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057・山岡一男
○政府委員(山岡一男君) 地価の発表には二通りございまして、一つは国が行います、土地鑑定委員会が行います地価の公示でございます。これは全国で一万六千地点を超えております。それから都道府県知事が行うものがございます。これは国が行います一万六千地点の地価公示と均衡をとりながら、やはり不動産鑑定士を使いまして、地方公共団体が行う地価調査と申しております。これは二万六千地点を超えております。したがいまして、全国を、地価公示の二万六千以上の地点とそれから調査地点とで四万数千に及ぶネットワークをつくっておるというのが現状でございます。そういうものを調べます際には、たとえば地価公示を例として申しますと、都市計画区域内の標準地の選定をいたします。その場合の標準地というのは、やはり中庸程度のところを選ぶということでございまして、通常の取引の参考として取り扱いやすいところというのを選ぶわけでございます。
そういたしまして、二人以上の不動産鑑定士または不動産鑑定士補が評価をいたします。その鑑定士等の鑑定評価に当たりましては、全国の地域ごとに鑑定士等によって構成されております分科会というのがございます。現在でございますと百八十二分科会に分かれております。そういう皆さんが地価情報の相互提供、意見交換等をいたします。したがいまして、そういうふうなたとえば新しく地下鉄ができる、これは地価に反映するものかどうかというようなことにつきましての議論を尽くした上で、標準地ごとにそれぞれの自分の責任におきまして具体的な鑑定評価を行います。その二人の不動産鑑定士等の鑑定結果に開差があったという場合にはこれを調整することになります。微差の場合にはやはり余り問題はございませんけれども、〇・五ぐらい開きがございますと、もう一回鑑定委員の分科会構成員の中から選びました第三者鑑定というので鑑定を行うことにいたしております。その結果を持ち寄りまして、全国から集まったものを国土庁に置かれております土地鑑定委員会が最終的に審査をなさいまして、正常価格を判定されるというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/57
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058・赤桐操
○赤桐操君 率直に申し上げて、宅地になっているところの原価というものはわかると思うんです。わかっていると思うんですが、しかし、不動産鑑定をなさる方々にはわからないと思うんですよ、これは公開されておりませんから。いまそういう状況の中で鑑定されているんだろうと思う。いま、お話によりますというと、原価方式、比較方式、収益方式の三つでやるんだと、こう言われるんですけれども、実際には原価方式というのは余り用いられていないんじゃないですか。結局、比較、収益の二つの方式が主体になってやっているということによって、宅地見込みのそういう見込み地などにおいてもこれは非常に素地が高くなってくる、こういうことになってくるように思うんですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/58
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059・山岡一男
○政府委員(山岡一男君) たとえば、五十三年一月一日の地価公示の例を申し上げますと、評価員が全部で千六百九十八名が参加をいたしております。その際に、厳密にそれぞれの地点につきまして調べました事例で申しますと、取引事例では七万四千件ぐらいを調べております。それから造成事例につきましては七百十三件を調べております。この七百十三件というので、えらい少ないように見えると思いますけれども、これはまだ宅地見込み地についての標準地の数が少ないということでございまして、数に見合いまして、それぞれの造成事例等の調べをしておるということでございます。全体を通じて見ますと、大体収益事例、造成事例、取引事例等について見ますと、千六百九十八名の評価員の方々が全部につきまして四十七・四事例の収集をしたということになっております。その中では、平均で申し上げましたけれども、先生おっしゃいますように、造成原価の事例は七百十三を調べておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/59
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060・赤桐操
○赤桐操君 私は重ねていろいろ伺うのですけれども、要するに私が伺いたいと思うことは、素地価格と、宅地になってでき上がっているものとが開きがないというのは不思議だと思っているんです。これは開きがあって当然じゃないのか。宅地になっているものは関連公共が全部入っているわけですからね、売買価格の中には。しかし、土地の有効宅地面積の本当の値段は何だと言ったら、私はそういうものが入らないものが本当の値段ではないのか。関連公共公益費というものは本来は社会的に負担さるべきものだ。それがいまの段階においては受益者負担というわが国の方式によって、やむを得ず受益者が負担をしているというだけのことであって、本質的にはそういうものが算入さるべきものではない。これは当然取り除かれるべきものではないのか。そうしてその価格の中で、公示価格というものは原価方式、あるいはまた比較方式、収益方式、いろいろ用いなければならぬでしょうが、決定をされていく。そうなれば、その隣の、近所の宅地についても当然私はそういうものが基準になりますから、いまよりはもっと下がってくるはずだと思うのですね。ある意味においては、これは土地の価格を高めているのではないか。特に三大都市圏等の土地の値上がりの原因が、いささかこの辺にもあるのではないかというように実は考えるのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/60
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061・山岡一男
○政府委員(山岡一男君) 再三申し上げますとおり、公示価格につきましては、いわゆる売り手でも買い手でもないような客観的な交換価値を示すものということで実は考えております。したがいまして、ときどき地価公示価格がいわば最低価段になるんじゃないかというふうな御批判をいただいておるわけでございますが、その中には先生おっしゃいますように、現在のところでは、そういう造成宅地につきましては負担金等も中に入っております。したがいまして、そういうふうなお話が出るのであろうと思っておりますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、やはり現実の取引事例に着目をしてやるというのが地価公示のスタイルでございますので、他の施策等によりましてそういうものが除却されるのが通常になったという場合に、通常の価格としてそういうものが減っていくということであろうかと思います。
ただ、現在の公示価格につきましては、いろいろな効用ございますけれども、一つは、一般の土地取引に対しまして信頼度の高い指標を提供するということになっております。これは地価公示法の第一条の二に書いてございます。これにつきましては、一般の取引をなさる方は地価公示の価格を指標とするように努めなければならないという努力義務になっております。そのほか公共用地の取得価格、それから収用委員会の補償金の算定、それから国土利用計画法におきます土地取引の届け出制におきます規制等につきましても、これを規準とするというふうに書いてございます。
その場合の規準という意味が非常に問題でございます。元来、普通の基礎の基を使いました「基準」というのがございまして、そういうものを基準として考えるという場合には、一つのメルクマールといたしまして、その前後を考える。おおむねそのあたりに落ちつくように事を考えるというのが従来の基準でございます。ところが、地価公示法で決めております「規準」と申しますのは、規準の規の字が違っておりまして、いわゆる「規」という字を使っております。特に地価公示法でも一条設けておりまして、「公示価格を規準とすることの意義」というのを書いております。これは、いわば標準地というのは、そういう中庸的なところの一般の標準価格である。それと、当該取引をなさるところの土地の値段とを、その土地の種類、品質、それから広さ、それから環境等々から検討をして、その示された地価水準と均衡を保つことが「規準とする」という意味だというふうに書いてございます。したがいまして、地価公示価格よりも高いものもあり、安いものもあるというのが一番望ましい状況であるわけでございます。たとえば標準地よりも駅に近いところ、それについては若干高いというのは当然でございます。それから、標準地につきましては余り角地というのはございませんけれども、角地はさらに高い。それから、接しておる道路が広ければもっと高いというようなことでございまして、必ずしも標準地の価格で取引なさいという趣旨ではなくて、標準地との間にそういう説明がつけられる、均衡がとれる値段で取引をしていただくというのが地価公示価格の上趣旨であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/61
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062・赤桐操
○赤桐操君 私は原価主義というものをこの際やはり重視すべきだと思うのです、地価公示については。ということは、これからだんだん関連公共公益施設費等が社会的に負担されていく傾向にならざるを得ないと思うのです、今日の段階では。かつてのインフレ時代である、あるいはまた高度経済成長時代であるならば、それはそのまま価格の中に吸収をされて取引の中で処理されていったと思いますが、これから現在の低成長を安定成長にさらに切りかえていくんだという政府の方針、また、そうした方針に基づく体制をつくらなければならぬこれからの状態の中では、少なくとも私は関連公共公益施設費等については社会的に負担をしていく傾向をとらざるを得ないと思うんですよ。そうなってくるというと、これはやっぱり当然この宅地の、価格というものについては原価の公開ということが問題になってくると思うんです。もちろんこれはいま今日の日本の社会の中では許されることではないと思いますけれども、少なくとも監督官庁程度には原価を届け出する、もうけは幾らありました、内容はどうなっておりますと、こういうことを出す。不動産鑑定士はこれに対して、自分の資格においてきちんとした原価を確認することができる、こういう一つの権限を与えて、原価方式というものと比較方式と収益方式というものを、三本立ての意義を確立すべき、だと思うんですよ。そうなれば、いま申し上げてきたようなそうしたものについては当然抜かなきゃならぬことになるわけであるし、公示価格というものは必然的に私は落ちつくところへ落ちついてくるだろうと思うんです。三大都市圏においては特にこの点も考えるべき時期に来ていると思うんですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/62
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063・山岡一男
○政府委員(山岡一男君) 土地鑑定委員会が鑑定評価に当たりまして留意すべき事項というものの建議を出しておられます。その中に、先生おっしゃいますとおり、造成地それから宅地見込み地、地目転換を伴う土地等についてのいろんな鑑定の仕方が書いてございますけれども、特に付近の宅地の価格から造成に要する費用を控除するという方法で原価法を考えるべきだというような提案がなされております。例を申しますと、たとえば造成地があって、その隣に素地があるというような場合でございます。これは造成後に想定される宅地の価格というのを取引事例比較法によります求めなさい、その後、その価格から通常の造成費等を控除しなさい、さらに当該宅地見込み地が市街化される見込みの程度に応じて減価修正——減価というのは値を減らすという修正でございます、減価修正をして対象地の価格を求める。こういう方法で原価法を適用したらどうかという提案がございまして、そういう方法によって、そういう素地価格等については一番中心的な鑑定をなしておるという実情だろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/63
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064・赤桐操
○赤桐操君 これで終わりにいたしたいと思いますが、いろいろと不動産鑑定士の皆さん方の中でもこの問題はかなりの問題になっていると私は聞いてます。同時にまた、国土庁が、不動産鑑定士との関係もいろいろと批判が出ておるようであります。こういうことについては、公示価格をめぐるいろいろのこれからの行政指導については格段のひとつ配慮が必要であろうとこう考えますので、このことをひとつ申し上げて終わりたいと思います。
最後に一つ。住宅基本法の制定ないしは政策の体系化ということについては、住宅政策全体の中で喫緊の課題だと私は考えておりますが、現在の金融公庫の資金の貸付区分、これは非常に複雑化してきていると思うんですね。最初のころはこんなにやかましくなかったと思うんですが、ちょっと見ただけではわからないんですよ、これは。これは、どうですか、もう少し私どもは、大臣答弁でも明らかになっておりまするように、住宅基本法についてもこの秋あたりから具体的に着手する時期が来そうでありますけれども、この辺でひとつ総合的な体系化への地ならしとして、いささか複雑多岐にわたり過ぎておりまするこの公庫の資金貸し付けの問題について、ある程度整理をしてもっと簡素化するということについては、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/64
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065・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 確かに、現在の公庫法とそれから公庫法の政令を見ましても非常にわかりにくい形になっております。ただ、少なくとも個人の方が住宅の資金をお借りいただくという形は、私どもそう複雑になっていないというように考えております。ただ問題は、やはり住宅金融公庫が昔からだんだんやってまいりまして、たとえば地すべり関連だとか、あるいは災害だとか、あるいはそういったいろんな特別な方に対して特別な貸し付けをして差し上げるというようなことから、個人につきましても大分いろんな特例的な形が積み上がってきていることは事実でございます。また、それはそういった本当に困っておられる方々に優遇して差し上げるという意味からそれなりの意味を持っていると私ども考えております。したがいまして、確かに各個の中で見直してみますと、整理統合してもいいようなやつもないことはございませんが、少なくとも私は個人の住宅貸し付けについてはそうおかしなところはないんじゃないか。ただ、私どもが反省しておりますのは、法律、政令と非常に複雑な体系になっております。一般の国民の方に非常にわかりづらいという点はございます。この点につきましては、むしろ法律、政令の組み立て方は離れて、一般の国民の方にわかりやすい体系的なPR資料、そういったものを整備することが必要ではないかというように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/65
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066・赤桐操
○赤桐操君 金融公庫関係の問題を一応終わりまして、次に都市計画法を中心として、いささか当面する諸問題を伺いたいと思います。
都市計画法というのはどういう目的で立法化されたものであるか、まずひとつその辺から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/66
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067・小林幸雄
○政府委員(小林幸雄君) 都市計画は「健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定める」ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/67
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068・赤桐操
○赤桐操君 続いて伺いたいと思うのですが、都市計画をするということはどういうことなのか、都市計画の理念はどういうことになっているのか、この点もひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/68
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069・小林幸雄
○政府委員(小林幸雄君) 基本理念はただいま申し上げたようなことでございますが、この基本理念のもとに、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るための市街化区域及び市街化調整区域、次に住居地域、商業地域等の地域地区、また街路、公園、下水道等の都市施設、さらに土地区画整理事業等の市街地開発事業等、これらのものに関する都市計画を定め、その整備を進めるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/69
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070・赤桐操
○赤桐操君 この目的と理念というのは、結局は憲法二十五条、さらにまた憲法二十九条のこの基本的なものから発していると思いますが、これはよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/70
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071・小林幸雄
○政府委員(小林幸雄君) 御指摘のとおり、「健康で文化的な」生活、それからまた二十九条の二項で「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」ということを受けまして、先ほど申し上げましたような適正な制限のもとに合理的な土地利用を図るということを定めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/71
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072・赤桐操
○赤桐操君 私は、この都市計画法の理念と、それからいま問題となっておりまする特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案、この理念とは遺憾ながら相入れないものだと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/72
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073・小林幸雄
○政府委員(小林幸雄君) 特定空港のような公共施設におきましては、通常その周辺に市街地が形成されまして市街化が促進されるというのが一般の例でございます。しかしながら、特定空港の周辺地域におきましては相当の騒音公害が生ずる。したがって、そういう地域におきまして市街化が形成されるということは、この市街地というものは決して健全なものとは言えない。都市計画法で定めるところの健康で文化的な市街地の形成という点から申しまして、これはこの理念にかなわないものであるということになろうかと思います。したがいまして、その地域につきまして都市計画法上の地域地区制を定めまして一定の制限を行うということは、憲法の趣旨から見ましてもこれは異論がないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/73
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074・赤桐操
○赤桐操君 大分苦しいような御答弁で、よくわかりますが、そうだと思うんですよ。どだい無理なんです、これは。
それで、この法案が都市計画の手続を準用するということについては、私は基本的に大きな問題があると思うんです。都市計画法による土地の利用規制というものは、これは市民生活の相互依存関係を基礎としているんです、これは。申し上げるまでもありません。市民が相互の権利を調整しながら総体として最適な土地利用の形態を実現しよう、こういう意図のもとに行われるものだと思うんですね。だから、その土地利用に伴うところの規制というものが出てくるわけです。要するに、この規制を受けても、受けた人たちは全部がよくなるということなんです、これは。これは今日学界でも定説になっていると思うんですが。そしてこの場合の土地利用規制については、健康で文化的な市民生活を保障するものでなければならない。いやしくも国民の財産権を傷つけるようなもので本来あるべきものではないんだと、こういうことになっていると思うんです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/74
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075・小林幸雄
○政府委員(小林幸雄君) 都市計画が、そこに生活する市民の意向を受けましてつくられるという点におきましては御指摘のとおりでございます。都市計画法におきましては、必要があれば公聴会、また計画を縦覧、公示しまして意見書の提出を求める等々の措置が規定してございまして、その限りにおきましては、御指摘の点はそのとおりだと思います。
ただ、すべての財産権についてこれを損なうことがないとおっしゃいます点につきましては、先ほど申し上げましたように、適正かつ合理的な土地利用を図るためには、適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきであるということを二条でうたっておるわけでございまして、たとえば一種住専地域を例にとりましても、ここでは土地の使用権が相当制限されるわけでございます。そこで店舗をやりたい、こう言っても、これはできない。あるいは十メーター以上の建物、これを建てようと思ってもこれはできないというわけでございまして、これはその程度の制限というものは憲法で言うところの受忍の範囲内ということで、都市計画法もこれを受けて二条で基本理念を定めておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/75
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076・赤桐操
○赤桐操君 私は、この都市計画法によるところの土地利用の規制については、これは財産権を損なうものでないと思うんですよ、本質的に。これは利益を受けるのはその住民自身なんですから。ある特定の人だけが自己主張をすれば人の財産もこれは傷つけることになるし、さらにまた自分が同じ立場になるわけですから、それを土地利用規制によって総体的に全体がよくなるような形をとるわけですから、これはそのための規制であって、そこにいる住民自体がその利益を享受するんです。これが都市計画法に基づくところの理念じゃないんですか。そしてまた、具体的にいままでおやりになってきたところの都市計画法に基づく仕事であったんではないかと、私はそう思うんですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/76
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077・小林幸雄
○政府委員(小林幸雄君) そこにおける市民が受益するというその範囲でございますけれども、いわゆる土地の合理的な利用、健全な市街地の形成、こういう点からいたしますと、都市計画区域全体におきましてそれぞれの地域地区制を定めまして、全体として最も合理的な土地形成、健全で文化的な都市生活が享受できるということを目的として、さまざまの地域地区制によりまして制限を加えるわけでありますから、したがいまして、全体としての市街地としまして、都市としまして、これはまさに市民全体がその結果を享受するということには相なろうかと思いますが、個々の地域地区につきましては、これはやはり個別的に見ましたならば、あるいは財産権に内在すると思われる制約を受けるということもこれは出てくることはやむを得ないと思います。すべて同じようにというわけにはこれはまいらない。全体としての合理的な土地利用、また都市全体としての健全な都市生活、都市環境、こういう観点から個々の権利者の財産に対する制約というものは、これはまたやむを得ない点が出てくるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/77
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078・赤桐操
○赤桐操君 結局、この都市計画法による開発が行われていく場合においては、この第一条にも出ていますけれども、公共の福祉の増進が結果的に図られているんですよ。そういう状態でなければこれはならぬわけなんです。また、そういう状態に今日までつくり上げてきていると思うんです、この都市計画法の働きというものは。私はそういうように考えております。また、そうだと思うんですが、大臣はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/78
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079・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 私は、特定空港そのものが公共上必要なそういう時代趨勢にあると思います。そしてその周辺の地域につきまして都市計画法に基づくような制限が行われる場合に、なるほど、その地域の人があるいは利益を受けない場合があるかもしれませんが、しかし、それは頻度のことだと思うんですね。いまも広く多くの人々が航空による交通の至便の利益を受けておるわけで、いつでもその利益が受けられる。その場合に、その周辺の地域が最も都市としての健全な発展と秩序ある整備の上にある種の制限が設けられるということは、他の都市計画法によるいろいろな制限の場合と私はそう相違するものでないという理解に立っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/79
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080・赤桐操
○赤桐操君 いま、いろいろと私も申し上げてきたんでありますが、都市計画法の趣旨というもの、そしてその働いてきた内容というものは、これは都市計画法が実施される地域の住民の皆さん方相互間が権利の調整をやりながら総体的に利益を享受する、そういう状態をつくり上げていくことであったと思うんです。しかし、いわゆる特定空港周辺の騒音規制からくるところのこの法案については、土地利用規制が市民相互の権利調整によるものではないんですよ、これはきのうも論議されましたけれども。騒音を空港みずからの領域の中で消化をしていくということではないんであって、いわゆるそのはみ出してしまっておるこの騒音状態、これはいま私たちは欠陥空港と申しておるわけでありますが、この欠陥状態にある空港、この対策をどうするかということで、いわばびほう策として強権的にこの法案を押しつけようとしているわけだと私は考えますね。そうだとするというと、これはそこの住民の相互間のお互いの持ち合いでつくっていくというそういう状態の中から福祉の増進を図ることはできないんであって、この空港の存在によって、さらにまたこの空港の規制による、本法案の規制によりまして著しく私はその人たちの福祉は逆に阻害されてくると、こういうように思うんですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/80
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081・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 私は、時代の進展に伴う新しい必要性が全体的に見て起きてきておるのではないかと。この特定空港の指定というものは、そういう点から必要があるところに行われるのであって、そしてその地域におけるそれでは都市の健全な発展と秩序ある整備をどうするかということを考える場合、今回の規制が必要ではないかと、こういうことでそれを国権の最高機関の御意思を問うておるわけですね。まあこういうことで必要であるからこの法律をお願いしようと、こういうことなので、私はいまの物の考え方の順序からして適当なものであると理解をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/81
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082・赤桐操
○赤桐操君 大臣、そうおっしゃいますが、成田の周辺でこの法案によるところの網をかぶせられた地域では、まさしく私はだれ一人ここに存在する住民は利益を享受する者はいないと思うんですよ。都市計画法というのは、先ほど来論議してきているとおり、お互いのそれぞれの権利のぶつかり合いを調整しながら、よりよい発展、福祉の増進のためにこの法律は稼働していると思うんですね。そしてまた、そこにはその住民自体が利益を全部享受していくことになると思うんですよ。しかし、この空港の設定とこの法律の施行によっては、そこにいるところの住民にはだれ一人利益を享受する者はないんじゃないですか。都市計画法の趣旨とは反するんではないかと思うんですね。都市計画法というものは本来そういう趣旨でできているものではない。都市計画法は住民に対するところの保護の法規ですよ。これはそうでなくて制限の法規ですよ。そういう点からするならば、都市計画法の名のもとにこうした法律の施行が行われていくということについては、これはいささか矛盾しているのではないかと思いますが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/82
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083・小林幸雄
○政府委員(小林幸雄君) 先ほども申し上げたところでございますが、都市計画法は第一条におきまして、「都市計画の内容」「都市計画制限」云々、「その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」というふうに言っておるわけでございます。また、これも繰り返しになりますが、二条におきましては、「農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定める」というふうに言っておるわけでございます。
したがいまして、特定空港のごとき公共施設が存在することによりまして、必然的にその周辺における土地利用にさまざまな影響を及ぼすわけであります。これはプラスの面もございますし、また騒音公害等によるマイナス面もございます。その全体を見まして、それぞれの関連で最も調和のとれた都市計画、都市形成を図るということは、広く区域内の市民のために最も健康で文化的な都市生活を享受せしめるように配慮するという都市計画法の理念から見まして、これは全く妥当なものである。したがって、特に騒音の著しい地域におきましてこういうところに不良、劣悪な市街地が建設されるというふうなことは、いま申し上げましたような理念あるいは目的からしまして厳にこれは避けなきゃならぬ。これまた申し上げたような諸手続に従いまして、市民の意向をも反映しながらそれぞれの地域の特性に応じました地域地区制を設けまして、全体として調和のある都市を形成していくということであろうかと思いますので、これは都市計画法の理念に照らしましても、特定空港の法案にこの手法を取り入れましたことは、おっしゃるように間違っているとか妥当じゃないというふうには全く考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/83
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084・赤桐操
○赤桐操君 この中にある「適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図らるべき」だということは、公共の福祉の増進に寄与するものでなきゃならぬのですよ。そしてそれを受けるものは住民ですよ。ところが、飛行場ができても、ここに住む住民は、騒音の公害とこれに伴うところのいろんな被害が発生するけれども、プラスはないんじゃないですか。何が一体利益として享受できるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/84
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085・小林幸雄
○政府委員(小林幸雄君) これは、具体的にどういう利益があるかという御質問でありますが、飛行場のそばでは確かに騒音公害が出てまいりますが、やはりその近傍の成田の町、その他相当の人間が移動するわけでございます。これはいわゆる都市的活動の一部としまして相当の影響が出てくる。商業機能その他につきましても、これは特定の公共施設に関連する一般的に見られる都市的な活動というものの反映としまして地域的な受益というものがゼロであるというふうには考えられません。ただ、もちろんプラスばかりではない、マイナスもある。これは一般的にこの種のものができますと、鉄道の駅であれ、高速道路のインターであれ、公共施設ができますと必ずプラス、マイナス両方の面が出てまいりますので、その辺をにらみまして最も合理的、適正な土地利用が図られるようにしていくということが都市計画の大事な基点じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/85
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086・赤桐操
○赤桐操君 これは大変あなたは無理な説明をされていると思うんですよ。現実に都市計画法の趣旨というものはそういうものじゃないし、やってきた内容もそうではなかったはずだ。
それで、具体的な問題に入るわけですけれども、ここに働いている、いま対象になっているあの地域全体がどういうようになっているかということは、これからの論議の中で出てくると思いますが、たとえば農業を営んでいる人は、そこの地域は自分の生活圏ですよ。これがそこにいられなくなるという状態になれば、決してそれは利益を享受することにならないでしょう。都市計画法というものはそういうものではないはずなんだ。そこに居住する市民の相互の権益を調整しながら全体が幸せになるそういう町づくりをする、これが都市計画の趣旨であるとするならば、そこにいられなくなってくるということはこれはあり得ないわけでしょう。あるいはまた、そこで農業を経営できなくなるということは、これは都市計画法、公共の福祉の増進ではないでしょう、私はそういうように思う。これがメリット、デメリットということで考えられたときに、どれ一つをとってみてもこれほどのマイナスはないと思うんですけれども、利益を享受する市民は一人もいませんよ、ここには。全部これはマイナスですよ。こういう状態になる。そういうことを都市計画法の中に一部改正をして挿入しようとしているんじゃないですか。都市計画法の第一条、第二条による基本的な目的、理念に反することをいま挿入しようとしているんだ、これは。都市計画法という名のもとにそういうことをすべきではないと私は考える。これは私は天下の悪法だと思う。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/86
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087・小林幸雄
○政府委員(小林幸雄君) この特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案でございますが、この法案の「目的」には、「航空機の騒音により生ずる障害を防止し、あわせて適正かつ合理的な土地利用を図る」ということをこの案には書いてあるわけでございますが、この空港周辺における健全な町づくりを実現するということは、先ほど引用しました都市計画法の目的でありますところの「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、」という点に照らしましても、これは全くその趣旨にかなったものであるというふうに考えられます。また、このことは、すなわち現在の市民のみならず、将来にわたりまして、こういう不健全な市街地に市民生活が営まれることをいまのうちから未然に防止しておく、こういうことでもありまして、いずれにいたしましても、都市計画の目的にまさに適合したものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/87
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088・赤桐操
○赤桐操君 それは非常に私は詭弁だと思うんですよ。どれ一つとっても、この都市計画法の趣旨に基づいて利益を享受する者はだれもいない、この地域には。全部騒音やこれに伴うところの被害ばかりだ。こうなってくるというと、私はまさしく都市計画法という美名に隠れて強権によるところの追い出し政策ないしは都市づくり、こういうことになると思うんです。こういうやり方というものは、少なくとも都市局長としても私は納得してこういう発言をされるとは思わない、率直に申し上げて。あなた自身も大きな矛盾を感じていると思う。都市計画法というものは私が説明するまでもないと思うんです、あなた自身が一番よく知っているところ。この趣旨に反することですよ、これはどう考えてみても。現場へ行ってごらんなさい、これから。七十五ホン、八十、九十、こういう騒音地域に全部かぶせられる。その地域に健全なる町づくりができますか。そこに住んでいた人たちが、よりよい幸せをつくり上げるためのお互いの努力をいかにやってみても、この半永久的に動かない飛行場の周辺というものはこれによって全く決定的な打撃を与えられるんじゃないですか。ここに住民が求めるような幸せな都市づくりというものができるでしょうか。私は住民が求めない幸せな都市づくりというのはあり得ないと思うんですよ。健全な都市づくりというのは、住民が喜んでそこに参加をするそういう都市づくりでなければならないと思うんです。それが、おまえさんたちにはこういう実はいいメリットがあるんだとこう言いながら、いかに抽象的な議論を振り回してもこれは通るものではないと思うんです。この点について、私は昼の時間が来たようでありますから午前のあれを打ち切りたいと思いますが、以上ひとつ私の考え方を申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/88
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089・安永英雄
○委員長(安永英雄君) 本案に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩をいたします。
午後零時四分休憩
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午後一時四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/89
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090・安永英雄
○委員長(安永英雄君) ただいまから建設委員会を再会いたします。
休憩前に引き続き、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/90
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091・赤桐操
○赤桐操君 航空局長にお伺いいたしますが、現行の航空機騒音防止法によって、一種、二種、三種と区分されておりますが、ここに大体当てはまる戸数というのは何戸ぐらいございますか、おわかりでしたら御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/91
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092・高橋寿夫
○政府委員(高橋寿夫君) 成田の空港に現行の騒音防止法を当てはめてみた場合に、いわゆる第一種地域と申します八十五WECPNL以上、この地域の面積が約二千六百ヘクタールございまして、その中にあります民家は約八百戸というふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/92
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093・赤桐操
○赤桐操君 今度の法案によるところの騒音の防止区域というのは、一種、二種、三種と合わせてどんなふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/93
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094・高橋寿夫
○政府委員(高橋寿夫君) この法案の防止地区あるいは特別防止地区をどのぐらいの広さにするかということにつきましては、これから仕事をするわけでございますけれども、いまの私どもの推定では、この法律案によります特別地域というやつですね、八十WECPNL以上になると思われる特別地域、これがちょうど現行のさっき申し上げました八十五WECPNL以上の現一種区域、つまり二千六百ヘクタール、これに相当すると思います。これは成田の場合でございますと、大体滑走路の端から長手の方向に八キロメートルぐらいと思われます。さらに、その外側に七十五WECPNL以上の防止地区ができるわけでございますが、これもごく大ざっぱでございますが、その八キロメートルの外側にさらに四キロメートルぐらいになるんじゃないかと、こんなふうに想定されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/94
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095・赤桐操
○赤桐操君 そうすると、今度の法案で適用されるこの地域についても、やっぱり戸数にしては大体先ほどの戸数ぐらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/95
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096・高橋寿夫
○政府委員(高橋寿夫君) 大体そのように考えて結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/96
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097・赤桐操
○赤桐操君 私は、あの周辺の人たちから聞いている話では、大体二千ぐらいあると聞いておるんですけれども、お話の様子では半分ぐらいしかないように伺えますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/97
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098・高橋寿夫
○政府委員(高橋寿夫君) 失礼いたしました。二千六百ヘクタールで約八百戸と申しましたのは、いわゆる特別地区、建設禁止を受ける地区でございまして、その外側ですね、さらにこの両側に四キロ広げるとさらにふえます。これについては正確に私つかんでおりませんけれども、あるいは先生お示しの二千戸ぐらいという戸数になるかもしれないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/98
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099・赤桐操
○赤桐操君 五年ごとに見直して十年先を明らかにすることになっていますけれども、大体十年後はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/99
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100・高橋寿夫
○政府委員(高橋寿夫君) この法案が法律になりまして施行されますと、特別地域の中では原則として建築を禁止していくわけでございますから、もちろん例外的に建てられるものを除きまして原則的禁止でございますので、この中の戸数は余りふえないと思います。しかしながら、外側の防止地区の方は建築禁止をいたしませんから、これはふえてくることが考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/100
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101・赤桐操
○赤桐操君 それからさらに、十年後になってくるというと、もっと騒音地区が拡大されるんじゃないですか。十年を待たずに昭和六十年次でさえも二・五倍ということが言われているわけです。恐らく国際空港としてこれがフルに活動するということになってくれば、いまは燃料の問題であるとか夜間におけるところの飛行制限とかいろいろな問題があって、百五十便以上の増便が当面は不可能のようでありますけれども、これがさらに十年後になる——十年を待たずに一応その段階を超えるというと、二・五倍からさらに三倍、四倍と発展するように思うんですけれども、そうなってきたときには騒音コンターはもっと延びるんじゃないですか。そうすると、いま想定されていない地域は全部そのコンターの中に含まれる、こういうことになるように思うんですが、その場合の想定はどんなふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/101
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102・高橋寿夫
○政府委員(高橋寿夫君) 十年後にどういう発着回数になり、また、どんな飛行機が飛ぶかということにつきましては、いろいろの推定ができるわけでございますけれども、発着回数につきましても、もちろん現在、一年間に約五万五千回という発着回数が、恐らく年に——成田については燃料の制約がありますから三年間はむずかしいのですけれども、仮に三年たった場合には、年率で一〇%ぐらいの率で伸びることは考えられると思います。そういたしましても、たとえば十年たったら二倍にも三倍にもなるというふうにはふえないと思います。それからもう一つ大事な要素は、やはり航空機自体の大型化率、つまり輸送需要の割りには、飛行回数はその割りにはふえなくなると思います、大型化いたしますから。それからもう一つは飛行機自体のエンジンの改良でございまして、いま世界の航空技術者、特に民間航空技術者の最大の問題は、いかにしてエネルギー消費の少ない、そして騒音の少ないエンジンをつくるかということが主眼でございまして、ここ五年、十年たちますと、もちろん飛行機でございますから音はゼロになりませんけれども、かなりの度合いでエンジンの技術的改良が進むと思います。したがいまして、現在のままのエンジン、現在のままの機種構成でそのまま回数がふえていく、したがって対象地域がどんどんどんどんエスカレートしていくということにはならないと思います。しかしながら、どのぐらいになるかという点につきましては、いまここで正確にどうなるというお答えは、まだいろいろ仮定条件がありましてお答えできませんけれども、どんどんどんどんふえていってしまうということには必ずしもならないと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/102
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103・赤桐操
○赤桐操君 いずれにしても、この法律ができ上がりまするというと、現在の一種地域あたりまではこれは大変な規制地域に入ってくることは間違いないわけでありまして、相当の規制を受ける対象戸数がそこに確定をされてくると思うんですね。大体私どもの推定では二千前後であろうと、こう見ているわけです。将来は恐らくこの倍ぐらいに伸びていくだろう。こういうことになりまするというと、地元周辺の人たちというものは、まさしくこれは大変な問題になると、こういうように受けとるわけです。
そこで、私は伺いたいと思うんですが、法案第八条の中の二項に示されておる土地ですね。それから八条の一項に出ております「用益の制限のため当該土地の利用に著しい支障をきたす」この「当該土地」というのはどういうのを指すのか、伺いたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/103
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104・高橋寿夫
○政府委員(高橋寿夫君) この「当該土地」と申しますのは、特別地域の中で新しく建物を建てることが原則的に禁止されるその土地でございます。したがいまして、条文でまいりますと、第五条の第二項で、特別地域内においては建築をしてはいけないと、こういう土地でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/104
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105・赤桐操
○赤桐操君 これは具体的に言うと宅地ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/105
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106・高橋寿夫
○政府委員(高橋寿夫君) いろんな土地がございます。ただ、農地の場合には、そこのところで農業をおやりになることにつきましては、格別音がありましても支障がないと思いますから、農地の場合には恐らく買い取り請求は出てこないかもしれない。もちろん請求があればわれわれも理由によりまして応ずるわけでありますけれども、宅地の場合には、やはり音がうるさくてとても住みづらい、あるいは人に売ろうと思っても、買った方も家が建てられない。こうなる場合にはやはり用益制限が著しく発生すると、こう考えることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/106
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107・赤桐操
○赤桐操君 いずれにしても、これは宅地なり山林、農地等が、それぞれこの二つの条項に該当すると思うのでありますけれども、それらはいずれにしても「予算の範囲内」、「時価による」と、こういうようになっているんですね。一方は「時価による」、一方は「予算の範囲内」、こういうぐあいになっているようですね。この理由はどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/107
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108・高橋寿夫
○政府委員(高橋寿夫君) いまの御指摘の「時価」と「予算の範囲内」につきましては、ちょっと法文に即して御説明を申し上げたいと存じますが、いまの第八条の二項にございます時価による買い入れ、この規定はいま御説明申し上げましたような五条二項からきているわけでありまして、つまりそこの土地には家を建ててはならない、こういう用益制限がかかりますので、そういう用益制限の裏側といたしまして時価で買い取るということでございますから、予算の範囲内ということをつけずに時価で買い取るというふうにしたわけでございます。「予算の範囲内」と書いてございますのは、次の第九条の問題でございまして、第九条の第一項で、現に住んでいる人が——もう別にそこに住んでもこの法律上構わないのですけれども、住んでいらっしゃる方が、もううるさいからほかへかわろうとおっしゃる場合、その建物を移転する、あるいは第二項で、その移転なさる底地を持っていてもしようがないからこれをひとつ買ってくれと、こういう場合、この二つの場合につきましては「予算の範囲内」ということが書いてございます。これは理屈の問題でございますが、前の第八条の方は、用益制限という一つの強制がかかって、その裏でございますから、予算の範囲内という制限がなくて時価で買い入れるといたしたわけでございますけれども、九条の方は、別に追い出しではなくて、住んでも構わないのですけれども、その方の自発的な御意思でもう引っ越したいとおっしゃる場合に損失補償をしようということでございますので、予算の範囲内という形を理屈の上でつけました。これは現行の騒音防止法で移転補償しております場合も同じような表現になっておりまして、大阪空港等でやっているわけでありますけれども、現実の問題としてはやはり時価で買い取りませんと移転をしていただけないということで、この実行は時価でやってますが、法律論として、そういう「予算の範囲内」という言葉がついたというところの違いが出てきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/108
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109・赤桐操
○赤桐操君 まあ時価といたしましても、これは大体近傍類地の価格によってやるんだという説明がなされておるようでありますが、大体騒音地域というのは、これは全部近傍類地ということは騒音地域になると思うのです。そういうところの時価ということになれば、ちょっとやはり補償に匹敵するどうも精神が足りないのじゃないかと。たとえば、ごみ焼き場だとか、いろいろといやがられる施設がたくさんございますけれども、そういうところは当然その存在によって大変地価がダウンしてくる。その分だけは当然見るということがこの地価のそういう場合の補償の大体行政の事例じゃないかと思うのですけれども、その場合に近傍類地の価格をもってすれば、これは騒音地域の価格になってしまうわけなんです。その価格でもらってみたところで、ほかに移っていって、騒音地域でない地域のいい土地を買うということにはならなくなると思うのですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/109
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110・高橋寿夫
○政府委員(高橋寿夫君) 時価の算定の方法でございますけれども、当然手続的には土地鑑定士でしたかの鑑定によりまして時価を決めることになると思いますけれども、御承知のように、いまの騒音防止の区域も先生御承知のように滑走路の方向に向かって縦に長い区域になっております。しかしながら、滑走路の横の方には騒音区域はほとんど広がってないということからもおわかりになりますように、滑走路の横の方向には音が余り及ばないというところから、騒音によりまする地価の低下ということは余りないと思うのです。したがいまして、近傍類地という場合に、できるだけこの滑走路の横の方向に近傍類地を探しまして、幾つかのものを平均いたしまして、できるだけこの実行といたしましては高い時価が出るように実行をしていきたい。こういうことで現に大阪空港等でも目いっぱいの評価をいたしておりますし、成田の場合につきましては空港公団を指導いたしまして、できるだけそういうことをいたしまして、地元のいま住んでいらっしゃる方に対する利益が損なわれないような配慮はしなきゃならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/110
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111・赤桐操
○赤桐操君 第一期工事の中でもうすでに相当立ち退きをして、いろいろ苦労をしている地権者がたくさんございます。それから第二期工事がいま始まるんじゃないかということで戦々恐々としている地権者もいる。こういう実情の中でまた再びその周辺におけるところの地権者が、自分の意思ではなくて飛行場というものが来たために、とても自分の生活が従来のように営めなくなった、こういうことで追い出されていかなきゃならぬ段階になってくると思うんです。私は、正当な補償ということがこれは憲法で裏づけられているわけでありまするけれども、これは一体国民の立場からしたならば、いままで第一期工事の中で行われてきたような土地を物件として扱われるようなものではなくて、本来生活権としての保障がそこに裏づけられていかなきゃならないだろうと思うんです。この考え方が残念ながらこの法案の中には貫かれていない、こういうように私は感ずるわけであります。
騒音防止特別地区内の居住者に対する補償については、そういう意味合いからするならば完璧な生活の再建でなきゃならないと思うんです。しかし、残念ながら一般の公共用地の取得なんかについても、これはしばしば生活再建を中心にしていろいろ対策がとられ、規定もなされているわけでありますけれども、それともこれは違うように思う。結局、この法案のねらいというのは、いままで住んでいる、まあ恐らく戸数はやがて二千が三千になるだろうし、四千になると思いますが、この人たちがだんだんと実は追い出されていく。この人たちに対する保護の法規ではなくて、この人たちを追い出すための法規である。こういうように結果的になると思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/111
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112・高橋寿夫
○政府委員(高橋寿夫君) この法案で特別地域として非常に騒音の著しいところにつきましては、現行騒音防止法の第一種地域とほぼ同じ二千六百ヘクタール、中にいる方は八百軒と申し上げましたけれども、その外側の地域につきましては、この内側の地域ほど、何と申しますか、生活するのに際しまして音というものがもう生活に耐えないほどの音になる地域ではないと思っております。もちろん音はするわけでございますけれども、移転をしなければとてもたまらないほどのそういった地域ではないと思います。現在でも第一種地域の外側のところにたくさん人が住んでいらっしゃいますが、こういった方々も恐らく移転をなさる方はないだろうと思うんであります。現行騒音防止法によりましても、移転補償の要るような地域と申しますのは、さっき申し上げた八百軒というものがある地域よりも、もっともっと狭い範囲の中の居住者につきましては移転補償があるわけでございまして、二千六百ヘクタール、現行騒音防止法第一種地域の中の方というのは民家防音工事をいまやっている地域でございまして、移転補償をもらって外に出ていくという対象地域は二千六百の中のさらに九百八十ヘクタールというところで、ぐっと狭くなります。したがいまして、いま先生御心配のように、どんどんその対象地域が広がって追い出される人の数がエスカレートするということは私は起こらないと思うんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/112
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113・赤桐操
○赤桐操君 これはどだい、私は先般来指摘してきているんですけれども、起業地の選定に大きな誤りがあったと思うんです。この辺のところで千ヘクタールぐらいのものをつくって、それでさらに防音規制の法律をつくれば騒音問題については事足れりと考えるところに大きな誤りがあるんです。外国の例から見ても、これはもう申し上げるまでもありませんが、少なくともシャルルドゴールの場合においても、あるいはまたアメリカのダラス・フォートワース空港においても、ミラベル空港においてもそれぞれみんな自分の領域の中に騒音問題は全部包み込んでおるんです。これは私が申し上げなくても航空局長よく御存じだろうと思うんです。それで、成田空港の問題が発生した当時、一斉にこれらのところはスタートを切っているんです。同じ時期なんです、これはみんな。それで、これは全部自分のところの領域の中に包み込むというそういう見通しの中でスタートを切っているわけです。また、それで完成しているわけです。だから、どだい千ヘクタールぐらいのところでもって今日の国際空港をつくろうということがそもそも誤りなんだ、これは。だから、その周りにいろいろの規制区域をつくらなければこれはならなくなってくる。規制区域をつくってみてもそれは完全な騒音問題の解消にはならない。結局、またそれがだんだんと騒音コンターの図式によっては広がっていくわけです。そういう状態がこれからの展望であるということになるというと、この成田空港についてはやはり立地条件そのものに私は誤りがあったと思うんです。この不完全な、全くこの問題だけはどうにもならない私は問題になってきてしまっておると思いますね、これは。地域住民に対しては、いかに都市計画法をもってしたって、これはとてもじゃないけれども、都市計画法の期するところの——そういう精神では、その地域におけるところの都市計画というものは成り立たないわけだし、住民は、その都市計画法の趣旨とは反対に、自分たちが全部やがて出ていかなければ都市計画法が指向するようなそういう町づくりというものはこれはでき上がらないんですから、他に求めることになる。こんなばかな話は私はないと思うんですね。
それで、言うなれば、私はもう本当に公共性全体から見ていってもこれは成り立たない空港だろうと思うんですよ。ここに私はこの事業認定そのものに大きな誤りがあったと、こういうように指摘せざるを得ないんです。前回の建設委員会においても建設大臣に私はアクセスの問題を中心にしてこのことについて指摘を申し上げた。今回、騒音問題について申し上げるわけでありますが、いずれにしても、この空港について、近代的な国際社会の常識に大体匹敵するようなそういう空港にこれを仕上げることは不可能でしょう、どう考えてみても。これは空港の敷地そのもの、領域そのものにもう限界があるんです、これは。わが国において内陸空港というものについては不可能だということをわれわれが主張したのはここにあるわけなんです。恐らくこれからは成田空港問題はどのようにやってみても、私は住民の生活を保障し、そしてまた公共の福祉に反するようなことのないような空港として運営することは不可能だろうと思いますが、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/113
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114・高橋寿夫
○政府委員(高橋寿夫君) 内陸空港の持っております困難性というものにつきましては、私もやはり一つの見解を持っております。また、千ヘクタールでは狭過ぎるんじゃないかという点につきましても、もちろんこの空港の敷地が千ヘクタールでございましても、その周辺にその二倍も三倍もする土地が取得できればそれはベターであると思います。しかしながら、この空港の場所が決まった当時のいきさつを伺いましても、当初二千五百ヘクタールぐらい計画をしていたのが、だんだん縮まって千ヘクタールになったということも聞きますが、それはやはり土地取得の困難性ということがあったためにやむを得ず狭くなったということではないかと思います。これは外国の例を見るにつけましても、私は大変外国がうらやましいわけでございますけれども、アメリカはもちろん用地が広大で、土地自体が広大でございますけれども、ヨーロッパにつきましても山や谷が少ないために意外とわが国に比べると可住地面積が広い。したがって、都市の周辺でもかなり居住形態は粗放でございます。パリのドゴール空港、あれだけ大きな空港でございますが、パリの都心からたしか四十キロかそこらでございます。成田より近いわけであります。それで、ドゴール空港をつくるためにたしか立ち退きをした農家が六軒とか七軒とかという数でありまして、そういうフランスのような先進国でも、花の都パリの四十キロ外側にもう六軒ぐらいしか人が住んでいない。こういうところはまことにうらやましいわけでございまして、わが国の場合には非常にそういった意味で空港立地がむずかしい条件がございます。
しかしながら、空港は、都市から離れますと離れただけアクセスの問題が起こってまいりまして、そこに一つの矛盾が起こるわけであります。まあ先生方の御指摘の、東京湾にというお話もあるわけでありますけれども、これまた東京湾の中に羽田と成田と両方飲み込めるような大きな空港をつくることになりますと、現在の東京港の機能をかなり削減をしてかからなければならないという問題もございまして、私ども問題意識としては持っておりますが、現実の話といたしましてなかなか思うようにいきません。そこで、結局、成田の千ヘクタールの用地に空港をつくり、そしてその周辺をできるだけいろいろの手立てを講じまして騒音地区になることから守っていくということしかないわけでございまして、現在住んでいらっしゃる方に対しましては現行の騒音防止法でお守りをする、新しく住宅地になることは今回の法律案でこれを防いでいく、こういう方法でやっていきたいと思うんであります。私どもこれらの方法が決してベストだと思っておりません。しかしながら、現実にはセカンドベストでございますが、現実問題としてはセカンドベストしかないということが現実でございまして、私どもはこの現実をやはり冷ややかに認識いたしまして、その上に立ってできるだけのことをしていきたい、こういうことで今後も考えていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/114
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115・赤桐操
○赤桐操君 大体まとめたいと思います。終わりにしたいと思いますが、仮にこうしたいわゆる空港建設自体に公益上の必要性があって、そこにはいささかの疑義がないと仮定いたしましても環境破壊を容認するという論拠に私はならぬと思うんですよ、これは。環境破壊を起こさない限りにおいて空港の公共性というものは認められていくべきものだと思う。これは大阪裁判がその一つの筋を明らかにしていると思うんですね。したがって、これを換言して申し上げるならば、空港の公共性というものは空港だけを切り離して論ずることはできない。その総合的ないわゆる騒音対策がとられているのか、公害対策がどのように配慮されているのか、一体化されているのか、こうした総合性の中からこれは律せられていくべきものだと思うんです。そういう意味からするならば、明らかにこれはもう公共性を整えていないと思うんですね、この空港は、残念ながら。セカンドベストと言われておりますけれども、そういうベストというのがあるかどうか私は知りませんが、最近運輸大臣も完全と不完全の間なんということを言い出してきておるし、航空局長もセカンドベストなんて言っておるわけなんで、ちょっと私もいろいろと理解に苦しみながら討論に参画しているんですが、要するにこれだけの市民の財産権を制限するに足るだけの要件として、公共性なりあるいは補償の正当性というものはこの場合に認めることはできないんじゃないだろうかと、こういうように私は考えるわけです。したがって、憲法に相反するところのこれは大きな問題になってきている、本法案はまさしく憲法違反の法案であると、このように私は考えるんです。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/115
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116・桑名義治
○桑名義治君 今回のこの法改正の問題につきましての論議の前に、まず住宅全般にわたりまして総括的にお尋ねしておきたいと思います。
五十三年度の予算は、公共投資拡大を主軸としたいわゆる景気浮揚ということに重点が置かれて編成をされているわけでございますが、その目玉というのは前々から言われておりますように、大型のプロジェクト事業あるいは住宅建設であると、このように言われているわけですが、しかし、住宅予算の配分を見ますと、いわゆる公団住宅の建設にしましても公営住宅の建設にしましても非常に減少をしているわけでございます。そして個人の持ち家推進、すなわち住宅金融公庫の融資住宅に大きなウエートが置かれておると、こういうふうに見られるわけでございます。しかし、本来住宅行政の焦点というものは、いわゆる低所得勤労者階層に健全な住宅の供給をするというところに重点が置かれなければならない。こういうふうに考えるわけでございますが、現在のような低成長経済のもとで、住宅建設とは無縁の多くの世帯が老朽アパート生活を重ねているというのが実態でございます。こういった実態に備えて住宅行政というのは当然行っていかなければならない、こういうふうに思うわけでございます。また、約三百万世帯の方々が劣悪な住宅に住んでいるというふうに言われているわけでございますが、そういった立場を踏まえて今回の果たして予算が組まれたのであろうかという大きな疑問があるわけでありますが、この住宅行政に対する基本的な方向性について御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/116
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117・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 住宅政策がいわゆる衣食住としてわれわれ生活上の大きな要素であるということは言うまでもないと思うのであります。それで、住宅の現状からしますと、量的には確保されておる、むしろ統計的にいうと相当数余剰ができてきておる状況にあると思うのです。しかし、いま御指摘のように劣悪の条件の中に住居を構えている者が多い、これは認めなきゃならないと思うのですね。
そこで、いま政府のとっておる住宅政策の基本としては、当面の住宅五カ年計画がございますが、昭和六十年を目途にして、低所得者層の皆さん方には三DK住宅が皆等しく確保のできるように、あるいは中堅所得の方と申しましょうか、それらの方については三LDKの住宅を確保しよう、いずれもこれは夫婦子供二人の標準世帯を中心に考えておるわけでございますが、そういうことで一応大きな方針は持っておるわけであります。現状におきまして、公営、公団について五十三年度戸数が減っているじゃないかと御批判を受けておるわけでありますが、これは最近における経済社会情勢の反映で、公団におきましても空き家を三万九千戸持ち、公営の方におきましてもある程度の空き家を持っておるというようなことから、五十三年度におきましては今までどおりの規格の住宅ということでいってはなかなかニーズにこたえられない、また空き家も持っておる。そこで、空き家の解消を図りながらやっていくという上においてはどの程度の戸数がよかろうかということが、公営で一万戸減った、公団で二万戸減ったというような御批判を受けておるのだと思いますが、これはいまの情勢上むしろ戸数を減らしながら、公団の場合で言えば空き家を改善してこれを供給していくというようなことで、公団住宅を求める方々にはちょうどそれに応ぜられるんじゃないか。また、公営の方についても、公団の方が余ればこれを活用したらどうかという御所見も伺っておりますから、五十三年度としてはむしろ持ち家政策に対する強い要望が需要者層にあると、こういうふうに見て、今回の住宅金融公庫法の改正によりまして貸付限度額の拡大とか、あるいは償還について緩和をするとか、あるいは五十三年度においては据え置きにしようとか、また税制も考えるというようなことで、それらを総合してこの持ち家政策について積極的な方針をとったと、こういうことでございます。概略申し上げると、いまのようなことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/117
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118・桑名義治
○桑名義治君 大臣の御説明もわからないことはないわけでございます。現実に大臣の口からも説明がありましたけれども、公団の三万九千の部屋があいている、あるいは公営住宅についても空き家がまだ多く存在をしておると。実際に公団、公営住宅のいわゆる改良をやりながら一応今年度は対処していきたいというようなお考えのようでございますけれども、しかし基本的に、やはり政府の住宅政策というものは、先ほどから申し上げておりますように低所得勤労者階層に健全な良好ないわゆる住宅を供給をするというところに重点が置かれていかなければならない、こういうふうに思うわけでございますが、いずれにしましても、その方向への努力がやはり数字の上からも予算の上からもあらわれていかなければならないと、こういうふうに考えるわけでございますが、この点について今回はこうだったと、しかし、実際に今後の問題としてどういう方向で進んでいくかということがやっぱり重大な問題だろうと思うんですが、その点についてはどのようにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/118
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119・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 何もかも一緒くたに申し上げておるので御理解をしていただけなかったと思うんでありますが、今後の目標としては、先ほど昭和六十年を大体の見当にして、平均的な世帯が確保することが望ましい平均居住水準、これは三LDKと申し上げたのでありますが、それを達成をしたい。また、昭和六十年を目途にすべての世帯が確保すべき最低居住水準、これを先ほど三DKと申し上げたのでございますが、これを確保するように計画目標を進めていこうというのが今後の施策でございます。御質問からいうと、その場合公営とか公団とかそういうものをもっと十分確保すべきじゃないかという御趣旨と受けとめたわけでありますが、低所得者層に対して公営住宅をもっと供給のできるようにする、あるいは中堅所得者層に対して公団住宅を提供するようにする、これは私は申し上げるまでもないことだと思うんです。ただ、先ほども申し上げたように、社会経済情勢の変化によってそういう提供するものがどの程度がいいのかということを考え直すべきときが来ておるとは思うんでありますが、それには財政負担のこともございます。それこれを勘案しながら引き続き公営住宅、公団住宅についても十分配慮をすることは言うまでもないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/119
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120・桑名義治
○桑名義治君 先ほどの大臣の御答弁の中で、公団のいわゆる空き家住宅については公営で利用したらどうかという意見も一部にあるというようなお話でございますが、この点につきましては一部の新聞でも報道されておりました。実際に公団の未入居あるいは空き家住宅、これを地方公共団体に売却して公営住宅として使用する構想があると、こういうふうな報道でございますけれども、この話はどの程度進んでいるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/120
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121・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 衆参両院の予算委員会を通じまして、そういった御意見、御提案がございました。私どもも大臣と御相談申し上げまして、そういったことができるんならこれは国民のためになるという判断のもとで、そういった可能性についていろいろ検討をしております。一つは、公営住宅法上そういった国庫補助ができるかどうかという法制的な検討が一つございます。それからもう一つは、そういったことで地方公共団体がそういったことを希望されるかどうかという問題がございました。そういったことを現在両面あわせて検討をいたしている段階でございますが、地方公共団体の方につきましては、わりに積極的に各公共団体とも受け入れたいという御意見がございました。したがって、現実に住宅公団の持っている住宅につきまして、個別にこれを公共団体と調整して、そしてどの程度可能性があるかということを検討していただいております。ただ、公営住宅というのはこれは当然所得の低い方々でございますので、一般の中堅勤労者みたいに、ある団地に何百戸とか何千戸とかいうようなそういった地域的な需要がございません。したがって、公団の現在抱えております三万九千戸の空き家の大部分がそういうようなことになるということは、これは立地条件等からしましてそう期待はできませんが、ただ、そういった低所得者の方々に少しでもそういったものを利用できればという観点から鋭意検討を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/121
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122・桑名義治
○桑名義治君 未入居あるいは空き家住宅というものの原因というものが高い、遠い、狭いと、この三つの悪い条件が重なっているためにいわゆる空き家になっているというのが実態であるわけですが、仮に地方公共団体がこれを購入をしたとしても、公営住宅として経営するということにしましてもこの三つの条件は変わらないと思うんですよ。これを公営住宅にすれば解決するんじゃないかという論理が私にはどうしても理解できないんですが、そこら辺はどういうふうに理解すりゃいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/122
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123・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 公営住宅として利用します場合には、現在の公営住宅に対して第一種公営住宅では二分の一、それから第二種公営住宅につきましては三分の二の国庫補助をいたしております。したがいまして、仮に公団の空き家をたとえばある公共団体がお買いになるという場合には、当然私どもとしては一般のいままでの公営住宅と同様に二分の一ないし三分の二の国庫補助を差し上げて、したがって、その残りでもって家賃算定いたすということに相なりますので、現在の公団の住宅よりは家賃はずっと下がるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/123
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124・桑名義治
○桑名義治君 この構想については、大臣としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/124
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125・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 私は、ただいま局長がお答え申し上げましたように、国会で問題になりまして以来、これは結構なことであると。したがって、具体的に千葉県とかあるいは愛知県とか、茨城県もそうであったかと思いますが、話を進めたらどうかということで推進をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/125
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126・桑名義治
○桑名義治君 今度はちょっと観点を変えたいと思いますが、住宅建設が先ほども申し上げましたように今回は景気対策のエースとして一応位置づけられているわけでございますが、五十三年度の政府施策は八十万二千五百戸の建設と大きく伸びているわけでございます。で、景気刺激に大きな影響を持ついわゆる民間資金建設住宅をどの程度想定をされておられるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/126
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127・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 民間資金住宅という分類でございますが、これは政府施策住宅がただいま御指摘になりましたような八十万戸ということに相なっております。ただ、そういった観点からその残りのあれがどうかということでございますが、私どもとしては大体百万戸程度の民間資金による住宅が建設されるんじゃないだろうかというように考えております。ただ、それでは合計百八十万戸かと申しますと、実はそういった政府の八十万戸の中には中古住宅の購入だとかそういった新設住宅でない部分も含まれておりますので、そういった面を含めますと、大体年間百七十万戸ぐらいになるんじゃないかというふうに考えております。ただ、もう一つお断り申し上げないといけませんのは、百七十万戸でございますが、最近百六十万戸というふうな言葉を私どもも使っております。これは着工統計の上での数字が大体百六十万戸というようなお話を申し上げておりますので、着工統計では当然漏れが数%ございます。そういったものを含めまして考えますと、大体実質的には百七十万戸ぐらいの建設ペースになるんじゃないかというふうな考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/127
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128・桑名義治
○桑名義治君 今回の目的のように、いわゆる内需喚起にどの程度影響を持っているかということなんですが、勤労所得の伸び悩み、あるいは依然として地価は上がり続けているわけでございますが、それに伴って建設資材の値上がり等もいろいろとうわさをされております。そういった中で計画どおり景気浮揚に寄与できるだろうかと、こういうふうな一部に懸念もあるわけでございますが、この点についてはどのようにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/128
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129・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 御指摘の低成長下における所得の伸びの低下、そういったことから私どももこういった住宅建設が景気浮揚のお手伝いをするということに対しまして、やはり単なるそういった公庫における貸付額の増大とかいうことだけでなくて、やはり住宅が持ちやすい環境をつくらなければならないということでいろいろ考えまして、たとえば、ただいまお願いしております住宅金融公庫の償還期間の延長だとか、あるいは貸付限度額の増大だとか、あるいは住宅減税だとか、そういった各種にわたりまして私ども住宅が持ちやすい環境をつくるということに力を入れたつもりでございます。したがいまして、私どもは現在のような経済情勢に突発事故が起こらない限り計画どおりの住宅建設は可能だというように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/129
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130・桑名義治
○桑名義治君 今回の改正法に基づいて少し質問をしていきたいと思います。
住宅金融公庫法の今回の改正で、個人住宅資金等について償還期間が延長されたということについては大変に喜ばしいことではありますが、最近の持ち家は公庫、民間を含めいわゆる金融依存度が非常に高くなっていることは事実であります。月の返済負担は大変なものであるというのがいまの新しく家を建てる方の実感ではなかろうかと思うのですが、公庫の貸付利率は五・五%でありますけれども、公定歩合もこのたび引き下げられておりますので貸付利率を引き下げるつもりがあるかどうか。もし引き下げが行われるとするならば、どの程度一応予定をしておられるのか。決定をなさっておられれば御発言を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/130
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131・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 民間の住宅ローンにつきましては、すでに都市銀行等におきまして七・九二%から〇・三%引き下げまして、四月から七・六二%ということに大体決まっております。公庫の金利につきましては、これは先般の経済対策閣僚会議で引き下げるという決定はいただいております。ただ、現在公庫の金利は、当然これは運用部資金の金利と並行して考えなければならない問題でございまして、その運用部資金の原資の大宗を占めます郵便貯金の預金金利がこれがまだ現在決定しておりません。したがいまして、現在のところ利下げ幅につきましてどうなるかということは私どももまだ決定的なことは申し上げられないわけでございますが、先ほどもお答えいたしましたように、今度四月下旬には住宅金融公庫の第一回の募集をやりたいというように考えておりますが、もしそういった財投金利等の金利の引き下げが仮におくれた場合でも、さかのぼってでも四月の第一回の募集分から引き下げをやるのだということで大蔵省と了解に達しております。引き下げる幅につきましては、これはまだそういった郵便貯金の預金金利等の関連がございまして、私どももまだ正確には伺っていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/131
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132・桑名義治
○桑名義治君 郵便貯金の金利の問題が解決しなければ、引き下げ幅についてはこれはまだわからないということでございますが、いずれにしましても、これは遡及するというふうなお話でございました。こういうふうに理解をしていいですね。
次に、先ほども論議になっておりますが、いわゆる融資額の拡大の問題でございます。住宅ローンの返済負担が非常に大きいという実情があるわけですが、公庫の利用者調査によってもこの問題はあらわれていると思うわけでございます。調査によれば、五十二年度、建築工事費八百七十五万に対し借入金は六百二十四万である。しかし、このうちに公庫資金は三百七十三万円で工事費の四二・六%、あるいは返済負担から見ると一カ月四万七千円、月収に対する率は一八・三%、負担率が二五%を超えるものも二三・四%もいる、こういうふうな事柄が数字の上からあらわれているわけですが、いわゆる融資限度は五十二年度の場合、最高で四百五十万円、五十三年度五百万円になるわけですが、この融資率としてはどの程度に平均的にはなるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/132
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133・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 私どももこういった住宅金融公庫の融資率をできるだけ引き上げたいという希望を持っております。昭和四十六年度で大体三〇%でございましたが、これを逐年改善してまいりまして、五十年に昨年までの四百五十万になりましたときに四六・八%まで上がっております。五十年以降四百五十万を据え置きしておりましたので、御指摘のように五十二年度では四二・六%というように下がってまいりました。したがいまして、今回五十三年度で五百万に引き上げるということでございまして、私どもは五十三年度の建築費の動向がどうなるか、これはまだ未確定でございますが、私どもは少なくとも五十年の四六・八%程度までなるんじゃないかというような考えでおります。また、引き続きこれは引き上げるべく努力したいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/133
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134・桑名義治
○桑名義治君 実際に法の上からいきますと、融資率は八〇%以内というふうに限度が抑えられているわけです。そういったいわゆる法の精神の立場から考えますと、四十六年に三〇%、五十年で四六・八%、五十三年度は五百万になりましたが、しかし、五十年度の四六・八%程度になるのではないかという予想でございます。そうすると、この限度、いわゆる融資率から考えますと前進がないということになるわけですね。これはやっぱりこういう低成長時代に入りましてそして住宅を確保していくという立場から考えた場合には、どうしても頭の金額の五百万という一つの限度額で抑えるよりも、抑えることはもちろん予算の問題等いろいろありましょうが、しかし、融資率が八〇%と法でうたい上げている以上は、これに接近するような最大な努力をしていくことが住宅を建てることを希望しておられる国民の皆さん方にとってはそのニーズに合ったいわゆる方向ではなかろうか、こういうふうに思うわけですが、この点についてはどういうふうに今後努力をなさろうとお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/134
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135・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 実質の融資率につきまして、先生御指摘のように法律で八〇%以内ということでございます。したがいまして、それに近づけるべく財政的な努力をすることはこれはもう当然のことだと考えております。ただ、これからどういうふうに国民の期待にこたえていくかという問題を考えた場合に、午前中もお答えしましたが、土地をすでに持っていて家を古くなったから建てかえられるケースと、それから土地を持ってないで、土地も建物も一緒にお求めにならなければならないという方々と、これは相当負担が違ってくると思います。したがって、そういうものを勘案しながら、やはり重点的に何をしなけりゃならないかというような方向で検討すべきではないかというように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/135
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136・桑名義治
○桑名義治君 今回はいわゆるその無抽せんの部分とそれから融資枠の拡大という部分と、こういったことで住宅金融公庫に対する期待は大変に大きいわけでございます。そこで、政府としては今年度はいわゆる住宅建設が大いに促進されるであろうというふうに予想をされているわけでございますが、一部では、本来ならば自己資金やあるいは民間ローンだけで住宅を建てよう、こういうふうに予定をしておられた方々が、今回のこういった無抽せんだとか融資枠の拡大だとか、あるいは利率の問題等いろいろ勘案をしまして、住宅金融公庫の融資に大きな魅力を感じながら一斉にそういった層が申し込みの方に流れ込んできたとするならば、全体の枠として皆さん方が予想されているような促進はできないんではないか。こういうような論をいろいろな雑誌やあるいは報道機関でも報道をされているわけでございますが、この点についてはどういうふうな予想を立てておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/136
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137・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) まあ一部にそういう心配をなさる向きもございますし、私どももそれが皆無だというふうには考えておりません。ただ、これはちょっと資料としては古いわけでございますが、五十年の十一月に住宅金融公庫で申込者に対しましてアンケートをした例がございました。それによりますと、公庫融資に当たらなかった場合にどうするつもりだったかというアンケートに対しまして、約二〇%の方が、外れたら自己資金あるいは民間ローンだけで建てるつもりだったとおっしゃる方が約二〇%でございます。残りの八〇%の方々はやはり次回まで待つつもりだったというようなお話でございました。それと、最近住宅金融公庫に申し込んでおられる方々の所得階層がずっととみに低い層にシフトしてきております。こういったことを考えますと、全然民間からのシフトがないということは申し上げられませんが、相当部分はやはりそういった民間資金では建てられない方にお申し込みいただけるんじゃないかというように考えております。なおまた、そういった仮に民間資金からのシフトがあったといたしましても、一般の国民の方々が住宅をお建てになる場合には、自分のいろんな資金計画とあわせて、ぎりぎりの資金計画をお立てになります。したがいまして、私どももよく経験するわけでございますが、当初では百平米の住宅を建てたいということで計画され、設計し、見積もり、そして自己資金と償還等を計算されて、どうしてもあとちょっと足りない、だからこれは九十平米でがまんしようかというような方々が非常に多うございます。そういう方々が有利な公庫資金を借り入れることによって、もとのそれじゃ百平米建てられるじゃないかというようなことになる。まあこれも戸数としては伸びないかもしれませんが、そういった実質的な住宅投資という面からは、やはりそういった面からも寄与があるんではないかというように私ども考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/137
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138・桑名義治
○桑名義治君 いまの局長の御答弁の中で、五十年十一月のアンケートによれば、もし抽せんに当たらなければもう家を見合わすというのが、建設を見合わすというのが八〇%ですか、二〇%は民間の融資で、ローンでやるというお話だったから大丈夫だという一つの論拠になっているようでございますが、五十年度のいわゆる経済情勢とそれから現在における経済情勢というものは非常に変わっているわけですね。今回の賃金の交渉の妥結を見ましても非常に低いというような実情にあるわけでございますし、あるいは倒産が相次いでいる、将来に対する生活不安というものが非常に蔓延をしているというそのような現在の段階と五十年度を比較するということは私は無理じゃないかというふうに考えるわけですし、それから今回の申し込みの層を見ますと、所得の非常に低い層が申し込みをたくさんしていらっしゃるというお話でございますが、この問題をひとつ考えてみましても、低い方が申し込まれる、そうすると抽せんに当たらなければ一切次まで待つという、こういう方向に走るということは当然考えられるわけですね。そういうふうに考えてまいりますと、むしろ先ほど申し上げましたような危惧が当たるんじゃないかというような気がするわけでございますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/138
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139・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 確かに、御指摘のとおり、五十年十一月のアンケートと今回とではいろんな経済情勢が違っております。五十年のときは抽せん制でございますので、まあ申し込んでおけというような方もおられたかもしれません。今回の場合には先着順で行けば必ず当たるんだということでございますので、そういった面での違いもございます。したがって、私どももこの五十年の調査をうのみにして、こうだからということまでは申し上げているつもりではございません。ただ、先生御指摘の低い所得の階層の方にシフトしている、それからさらに所得の伸びが最近非常に落ちている。こういうことはむしろやはり公庫に当たらなければ家が建てられない方、こういう方が最近非常に住宅建設される場合に多いんじゃないか。ですから、そういった意味からはむしろ私どもは、何といいますか、民間資金で建てられるはずだったのに公庫にシフトしてくるという傾向は前よりも少ないんじゃないかというような感じを持っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/139
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140・桑名義治
○桑名義治君 いままで、融資——抽せんの時代ですが、抽せんで当たって、そしてどの程度——一〇〇%ですね、いわゆる住宅が建設されていますか、それとも何%かの落ち込みがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/140
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141・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) これは抽せんの時代もそうでございますが、ことしの一月あたりでも恐らくそうなると思います。大体従来の経験からいたしまして、申し込まれまして、そしていろんな手続へ入られてから計画を結局中断される方が約一〇%ぐらい、これはもう従来からずうっとそうでございますが、大体それぐらいございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/141
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142・桑名義治
○桑名義治君 そうしますと、現在のいわゆる経済情勢あるいは今回の申し込みの方々は低所得者の方が多い。そうすると、そういう危険率というものは非常に高まってくるんじゃないかというような気がするわけですが、その点はどういうふうに見込まれていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/142
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143・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 私どももそういう点は若干心配はしております。まあしかし、従来の経験からいたしまして、大体一〇%ちょっとぐらいのところで最大でもおさまるんではないかというような考えを持っております。と申しますのは、従来、抽せんの時代でございますと、まあいつかは当たるかもしれないから当たるまでとにかく申し込んでおこうというような方もございました。ところが、今回の場合にはとにかく行って、早ければ先着順で当たるんだということでございますので、従来に比べるとむしろ真剣に資金計画をお立てになってから申し込まれるというような方々が多いんじゃないか。そういった面を考えますと、そういったいわゆる辞退率と申しますか、それは従来とそう違わないんじゃないかというような考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/143
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144・桑名義治
○桑名義治君 いずれにしましても、今回の住宅建設の占める役割りというものは非常に重大な役割りを持っているわけですから、一〇〇%の達成が私としても望ましいわけですけれども、しかし、そういう悪条件が非常にあるということを踏まえながらやっぱり今後の問題を考えていかなきゃならないのじゃないか。こういった危惧の上に立ってこの質問をしたわけでございますが、そこで、住宅改良資金貸し付けの利用状況についてお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/144
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145・大津留温
○参考人(大津留温君) 本年度の住宅改良資金の利用状況でございますが、申し込みをされた方が六万四千七百十七戸でございます。これに対しまして二月末の状況ですが、契約に至ったのが四万一千百三十四戸、三月末までにはおよそこれが五万戸になるんじゃないかと思いますが、まだ正確な数字は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/145
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146・桑名義治
○桑名義治君 この住宅改良資金の貸し付けについては、これはやっぱり一〇〇%の消化をやっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/146
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147・大津留温
○参考人(大津留温君) 五十二年度の計画は五万四千戸でございましたので、四千戸ばかり不足しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/147
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148・桑名義治
○桑名義治君 住宅改良資金の貸し付けについて、この枠を今後拡大をしていく必要があるというふうにお考えになっていらっしゃいますか、それとも従前どおりの枠でこれはよかろうというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/148
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149・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 私どもも、先ほど申し上げました既存ストックをどうやっていくかということは非常にこれは重要な問題だと考えております。一つは、先ほどの中古住宅の流通の問題がございます。もう一つは、こういった既存のストックの住宅を増築したりして水準を上げていくという問題もございます。したがいまして、私どもこういった問題、重要な問題であるので今後とも拡充したいと考えておりますが、残念ながら現在改良資金、前は非常に申し込みが多かったわけでございますが、最近非常にこれが減ってきております。この原因が那辺にあるのか、私どももちょっと理解に苦しんでいるところでございますが、まあ現在の貸付金額は百四十万円ということでございます。これが低過ぎるのかあるいはどうか、国民の皆さんの御要望というのがどういう形になっているのかちょっと理解できませんが、できるだけそういったことも調査いたしまして、こういった形のものも力を入れていかなければならないんではないかというような考えは持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/149
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150・桑名義治
○桑名義治君 この種の貸付金については、いま御答弁がございましたように、いわゆる中古住宅の流通というものが非常に盛んになってくると、それと同時にやっぱり住みかえといいますか、買いかえといいますか、そういう傾向が非常に強くなってきておるという立場を勘案をしていきますと、これは当然いまから先重要ないわゆる貸付制度の一環として伸びてくるんじゃないか、こういうふうに考えております。
そこで、先ほどから論議にも上がっておったわけでございますが、いわゆる土地融資の問題でございます。今回新たに融資対象になる優良宅地とは具体的にはどういう宅地を指して言うのか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/150
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151・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 今回、従来のいわゆる特別貸し付けのほかに、一定の優良宅地につきまして建物と一緒に土地費もお貸しするというようなことにしたわけでございます。ただこの場合、これを無制限に土地つきで融資いたしますと、スプロールあるいはミニ開発の助長というような悪い影響も出ますので、一定の優良宅地というようにしぼって考えたわけでございます。その内容は、具体的には開発許可を受けた百四十平米以上の宅地ということで考えたいというように考えております。ただ、開発許可の要らないいわゆる線引き区域外の土地につきましては、租税特別措置法の減税を受けるために優良宅地の認定を都道府県知事がやっております。これは内容の審査条件としては、開発許可の条件と同じような審査をやっておりますので、開発許可の要らないところではそういった優良宅地の知事の認定を受けた百四十平米以上の土地ということにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/151
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152・桑名義治
○桑名義治君 そこで、貸付対象戸数が五万戸、限度額が三百五十万円ということでございます。午前中からの論議の中でもいろいろと言われておるわけでございますが、家を建てるよりも土地を買うことが大変だ、こう言われておる中で、現在、限度額が三百五十万円でどの程度充足することができるかということになってくると、私非常に疑問視するわけですよ。果たして三百五十万円が実情に合った金額であろうか、こう考えますと、たとえば九州の、私は北九州ですが、小倉の繁華街からちょっと外れているわけですが、坪二十万円ですよ。そこらに家を建てるとしても、これ限度額が三百五十万円ですからちょっと家は建ちませんわね。そういういろいろなことを勘案しまして、三百五十万円というのはこれは実情に合わないと、こういうふうに考えるわけでございますが、これはアップするいわゆる計画はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/152
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153・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) これは、五十三年度におきまして限られた財政資金の中であれもこれもやりたいということでございます。まず、私どもは先ほど御説明いたしましたように、やはり一番困っておられる方は土地も建物も一緒にお買いになる方だという観点から、こういった土地つきの融資をこれから拡充していかなければならない。これはもちろんこういった個人の方が土地を買って家を建てる場合もそうでございますし、あるいは分譲住宅等のもの、これは当然土地も一緒にお貸しするわけでございますが、そういった面をむしろ今後政策の重点に置いて拡充しなけりゃならないというふうに考えております。御指摘のように、私どもこの三百五十万で土地の融資が十分だというような理解はしておりませんし、今後そういったことを中心にやはり公庫融資の拡充をしていかなければならないだろう、また、その努力をすべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/153
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154・桑名義治
○桑名義治君 この土地の貸し付けの問題について、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/154
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155・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 今度の三百五十万円は、先ほど局長の方から条件つきであることは御説明を申し上げたわけですが、その条件が整っておれば過去二年さかのぼってよろしいと、こういうことにしておりますから、まあある程度の土地は確保した、さあ建てたいというときに、いろいろ準備をされている方にこの三百五十万というものが有効に働く気がいたします。もちろん先ほどからこれでは額が少ないじゃないかということにつきましては、私もそれを認めるものでございますが、今回、従来の土地に対する貸し付けから言うと比較的三百五十万というのは伸びがよかったもんですから、急には五百万とかなんとかまでは伸ばせられないなということで、次善の策として、これでもしかし効果は出るんじゃないかと、こういうふうに受けとめておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/155
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156・桑名義治
○桑名義治君 確かに、もう少し建てたいという人にとってはこれは大きな効果を及ぼすとも思いますが、いずれにしても、常識的に、それぞれ家を建てたい、あるいは家が不足している、こういった方々は地代の高いところに住んでいる。いわゆる東京都を中心にした衛星都市だとか、あるいはまた大阪を中心にしたこういう大都市周辺地域に家の供給が不足しているわけですから、したがって、そういった立場を勘案をしますと、限度額の三百五十万というのは非常に低いんじゃなかろうかと、こういうふうに思うわけでございます。これは再度御検討を願い、さらに限度額のアップについての御努力を願いたいと思います。
そこで、次に、貸し付けについて所得制限等を行うことを検討しているという事柄がよく言われておるわけでございますが、この点の経過はどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/156
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157・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 昭和五十一年の公庫法の改正によりまして、規模が比較的大きい住宅を建設される方あるいは所得が比較的多い方に対しまして財投金利によります融資の道を開きました。そして五分五厘は——五分五厘と申しますか、そういった政策金利によります現行での五分五厘でございますが、それはむしろそれ以外の方に重点的に振り向けたいという法律改正がなされたわけでございます。そこで、規模が比較的大きい住宅というものにつきましては、政令で百二十平米以上百五十平米までの住宅につきましてそういった指定をいたしまして、現在もそういった大きな家をお建てになる方に対しましては財投金利でお貸ししているというようなことでございます。一方、法律改正していただきましたときに、こういった所得が比較的高い方には財投金利で、それ以外の方に五分五厘でというような御趣旨でございまして、私どももいろいろ検討を重ねてきております。したがいまして、所得制限という言葉が、もう住宅金融公庫がお金をお貸ししないんだということでなくて、そういった財投金利と五分五厘との仕分けをどの辺でするかという問題で検討がされているわけでございます。
ただ、実務的に考えますと、こういった所得制限、所得でもっていわゆる財投金利と五分五厘の境目をつけるということは、これは実務的には非常にむずかしい問題がございます。と申しますのは、一つは、そういった所得というだけで住宅を取得する場合の難易度というものが判定できるのかどうかという問題、これは一つは資産という問題がございます。これは諸外国等でいろんなそういった所得のことを考えます場合に資産というものをやはり検討の中に入れて考えておりまして、ところが、日本の場合にはそういった個人の資産というものがこれは全然捕捉できないという状態の中で、単純にフローの所得だけでそういった住宅を取得される場合のお困りの程度というものを判断していいかどうかという問題もございます。それから、そういった現在の所得そのものが日本の場合に完全に捕捉されているかどうかというような公平論の問題もございます。そういった問題をいろいろ検討してまいってきております。したがいまして、私どもはやっぱり法律改正していただいたわけでございますので、いずれか何か解決策を見出さなきゃならないということでいろいろ検討を進めたわけでございますが、五十三年度におきましてはこういった財行政の中でございます。これはもうそういった中で一戸でもたくさん家をお建ていただきたいということでございますので、五十三年度におきましてはいわゆるそういった所得制限につきましては見送るということにいたしているわけでございますが、この点につきましては引き続き検討を続けさしていただきたいというように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/157
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158・桑名義治
○桑名義治君 次に、据え置き期間についてお聞きをしておきたいと思いますが、今回の法改正におきまして据え置き期間の制度ができたわけでございます。ただし、五十三年度に申し込みを受けたものはというふうに限ってあるわけでございますが、五十四年度以降においてはこの据え置き期間というものはなくなるという意味なんですか、それとも永続するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/158
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159・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 今回の元金の一年据え置きにつきましては、これは主として景気対策といったような形での観点から行っているわけでございまして、現在のところ五十三年度限りということで法律改正をお願いしているところでございます。五十四年度以降につきましては、したがって、現在の段階ではそのような据え置き措置をとるということは考えておりません。
ただ、これは将来の問題でございますが、住宅政策上いろんなそういった据え置き等も考えるべきではないかという御意見もございました。この場合は、むしろ住宅政策上で考えますと、一年の据え置きなんというのでなくて、住宅政策の上から考えますと、もっと置かなければこれは意味がないと考えます。したがいまして、将来やらないということではございませんが、将来やる場合には、当然これは住宅政策上やるということでございますので、いまの一年間ということでなくて、もっと別な観点から考えなければならないんじゃないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/159
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160・桑名義治
○桑名義治君 今回の法改正のこの部分は、要するにことしで打ち切りと。しかし、この据え置き期間というものは、いまも御説明がございましたが、いわゆる長期にわたる据え置きでなければ意味がない、こういう方向性を一応示されたわけですが、せっかくこういう据え置き期間という制度がこの法の上で示されたわけですから、これが一年で終わることになるならば、五十四年度からはこれにかわるべき半恒久的な措置をとるべきではなかろうかと、こういうふうに考えるわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/160
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161・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 住宅政策上考えますと、当然、先ほども話題になりました償還の逓増方式だとか、あるいはそれにかわるいろいろな方策もございます。あるいは据え置き期間を置くのも一つの方向でございます。そういったことを総合的に考えまして、どういう方法がいいのか、これは住宅政策の上からはいろいろ検討をしなければならないというように考えております。したがって、これは五十三年度はとりあえずこういう形にいたしましたが、五十四年度以降につきましては改めて総合的な検討をさせていただきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/161
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162・桑名義治
○桑名義治君 でき得るならば、五十四年度はこれにかわるべき制度がまた法の上でびしっとうたわれるというそういう方向でいわゆる作業をなさる方が最もベターではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございますので、これは要望にとどめておきたいと思います。
次に、借り入れの簡素化についてお尋ねをしておきたいと思うんですが、公的資金については公庫資金でも種別が複雑であるわけですが、借り受け希望者にとって非常に理解しにくいこういう一面を持っているわけです。したがいまして、これを簡略化して理解しやすいようにすべきではないかという声があるわけですが、この点はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/162
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163・大津留温
○参考人(大津留温君) 公庫を御利用いただく方々にできるだけわかりやすく、かつ手続も簡単にするということは、私どもも絶えず考えまして改善に努めているつもりでございますが、公庫の貸付種別は非常にたくさんございますけれどもや個人の方が持ち家をお建てになるためにお借りになるというケース、あるいは分譲住宅をお求めになるためにお借りになるケースというのは限られていますから、その最も一般的な制度につきましては申込案内等でわかりやすく解説しているつもりです。
それから、手続につきましても、できるだけ添付の資料なども少なく、簡単にするように努めてはおりますけれども、やはり融資でございますから償還能力を判定するに足る最小限度の資料、それからどういうものをお建てになるのかという建物の概要がわかる最小限度の資料はまあちょうだいしないと判定ができませんから、そういう最小限度のものにとどめるように努めておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/163
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164・桑名義治
○桑名義治君 これは極力簡略化の方向へ努力を続けていただきたいと思います。
それから、厚生年金の還元融資あるいは雇用促進事業団の融資、その他公的資金融資がたくさんあるわけでございますが、利用者にとって窓口が余りに多過ぎるというふうな声があるわけです。そのため大変に不便でもある。したがって、住宅行政から見ましても、行政の一元化という点で現在のシステムはむしろ不適当ではないか、こういうふうに言われているわけでございます。この点については五十年の八月の住宅宅地審議会でも指摘があり、一元化、統合の方向に向かうべきではないかと、こういうふうに思っているわけでございますが、この点の作業はどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/164
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165・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 政府の中の公的なそういった住宅融資につきまして、それぞれ雇用促進事業団あるいは厚生年金の還元融資等いろいろな制度がございます。これはそれぞれそういった目的を持ってやっているわけでございまして、それなりの意味を持っているわけでございます。ただ、御指摘のように、国民の方が非常に理解しにくいいろいろな複雑な形になっているという御指摘でございます。これは住宅宅地審議会の答申を受けるまでもなく、私どももその点につきましては従来から非常に気を使っているところでございます。したがいまして、現在のところ少なくとも個人の方が自分の家を建てたいから金を貸してくれといってお申し出になる場合には、これは全部住宅金融公庫の窓口に統合してございます。したがいまして、厚生年金の還元融資にしましても、あるいは郵便貯金の積立者に対する融資にいたしましても、個人の方が住宅金融をお借りになりたい場合にはすべて住宅金融公庫の窓口で全体を総合してお貸しするというようなシステムをとっております。ただ、事業者融資と申しまして、いわゆる事業者の方がお金を借りて、そしてその雇用者の方に転貸融資をされる、こういうものは厚生年金の事業団なり雇用促進事業団というところで窓口を開いておりますが、少なくとも個人の方がそういった厚生年金還元融資等をお受けになる場合には公庫の窓口で一本化しているということでございます。こういう点につきましてまだPR不足の面もございますので、そういう点につきましては十分国民の皆さんに理解していただくようPRしてまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/165
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166・桑名義治
○桑名義治君 PRだけではなかなか困難だと思うんですよね。やっぱり実態がそういうふうに簡略化されているということでなければ意味がないと思うんですが、しかし、この問題は各省にまたがり、またそれぞれの立場で意味があると確かに思うわけでございますけれども、やはりそれを乗り越えてさらに一元化の方向へ向かうことがなお一層ベターであろう。こういうふうに考えるわけですが、各省にまたがる問題でもございますので、ここのところは大臣の御意見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/166
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167・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどから御所見を承っておるわけで、確かに借り手からすれば御意見のような工夫をこらすべきではないかと思いますが、各省にまたがっておるだけに私がここで独断に結論的なことを申し上げにくいと思うんでありますが、御趣旨につきましては十分今後の施策の上に反映をさしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/167
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168・桑名義治
○桑名義治君 午前中にもちょっと論議になっておったわけですが、中古のマンションの問題についてお尋ねしておきたいと思います。
直接の法改正ではありませんけれども、五十三年度から中古マンション融資については対象を六階以上から三階以上のものに拡大をしております。中古マンションの融資は住宅数が世帯数を上回ったことを前提に五十一年度から開始をしているわけでございますが、その貸し付けのいわゆる実績はどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/168
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169・大津留温
○参考人(大津留温君) 実績ははなはだよろしくございませんで、五十一年度は申し込みが百六十七戸、貸し付けの契約に至りましたのが百四十二戸でございます。五十二年度は申し込みが七百二戸で、十二月末の貸付契約に至りました数が四百三十戸、こういう数字です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/169
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170・桑名義治
○桑名義治君 六階から三階以上のものに拡大することによりまして、マンションの建設実態から見てどのようにいわゆる融資の需要拡大が見込めるというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/170
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171・大津留温
○参考人(大津留温君) いわゆるマンションで六階以上のものと五階から三階までのものの数はちょうど統計によりますと同じような数になっております。したがいまして、五十二年度と同じ調子でやれば五十二年度の倍は来るんじゃないかと思いますが、しかし、これはお示しのようにまだPR不足、あるいは私どももふなれの点がございますので、その点をいろいろ工夫改善いたしまして五十三年度は予定どおりの消化をしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/171
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172・桑名義治
○桑名義治君 次に、中古住宅の流通関係についてお尋ねをしておきたいと思いますが、この問題も午前中にちょっと論議になったわけですが、いわゆる居住水準というものは別にしまして、戸数が世帯を上回ったことによりまして、世帯構成、ライフサイクルあるいは所得の動向等により住宅の住みかえ需要というものが、欧米並みとはいかないまでも、増大の方向にあるということはこれは事実だと思います。
そこで、すでに大手デベロッパーによる高額の郊外住宅はほとんどの部分がいわゆる買いかえ需要である、こういうふうに言われておるわけでございますが、もとの住宅は中古住宅として流通に上ってくるわけでございます。住宅政策の上からもいわゆる既存住宅の有効活用ということが非常に重要なことであるわけでございます。午前中の論議の中でこれは双方ともにお互いに認め合ったわけでございますが、年間の流通量というものは把握はしておられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/172
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173・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 直接流通量を把握する手だてというのが非常に現在むずかしゅうございます。一つは、いわゆる宅地建物取引業を通じて、業界を通じて把握する手が一つあろうかと思います。ただ、それだけで全部がカバーできるかと申しますと、やはり直接の取引もございます。したがいまして、それのみでは全体が捕捉できないというように考えております。したがいまして、そういったことも行う一方、私どもちょうどことしが住宅統計調査あるいは住宅需要実態調査の調査年に当たっております。したがいまして、そういった中でそういった中古住宅の流通がどうなっているか、どれくらいの流通量があるかというようなことが的確につかめるような調査をいたしたいというように考えております。まあ現在のところでは昭和四十八年度の住宅統計調査からの類推によりますと、当時が大体十二、三万戸ではなかったかというような推測をしておりますが、最近ではいろんなデータから考えまして、年間二十万戸を超しているんじゃないかというような予想をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/173
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174・桑名義治
○桑名義治君 ところが、この中古住宅につきましては、新築の場合と比較をして非常に冷たく扱われているんじゃないかというふうに言われているわけです。税制の面につきましても、新築住宅については不動産取得税あるいは登録免許税、こういったところに軽減措置が行われているのに対しまして中古にはない。また、ことしから設けられる民間住宅ローン利用者に対する所得減税も新築に限られている。こういう実情でございますが、この問題については当然これは改善をすべきだ、こういうふうに思うわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/174
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175・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 従来、住宅減税につきましては、やはり住宅が足りないからという観点を重点に置きまして、新築住宅の増加ということを刺激する意味で新築住宅に限って減税措置を各種講じてきたところでございます。ただ、こういった住宅事情が相当変化してまいりました。むしろ居住水準の向上を新築住宅だけでなくて中古ストックの活用という面からも図っていかなければならない情勢になってきておりますので、私どもも、こういった中古住宅に対する減税も新築住宅と同様にやはり今後積極的に取り組んでいかなけりゃならない問題だというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/175
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176・桑名義治
○桑名義治君 この問題については、大蔵省との折衝は何度かやられたことがあるんですか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/176
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177・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 私どももこの問題につきましてはここ何年か税制改正要望としていろいろ折衝をしているところでございます。ただ、先ほど申し上げましたような時期をどうするかというような問題、あるいは徴税技術的な問題、いろんな問題がございます。あるいは、現在その中古市場そのものの流通そのものがまだ完全な体制に整っていない、いろんな技術的な問題がございます。したがいまして、残念ながらまだ日の目を見ておりませんが、そういった周辺条件もできるだけ私どもとしては整備しながら、早くこういった措置が実現できるように努力いたしたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/177
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178・桑名義治
○桑名義治君 この問題については、もう早急にやらなきゃならない問題だろうというふうに私たちは理解を深めておるわけですが、その点についての最大の努力をひとつお願いをしておきたいと思います。
また、この中古住宅の融資制度の問題でございますが、公庫においては、やっぱり中古マンションはあるわけですが、大都市地域に限られているし、一戸建てについては融資制度がない。これらに対しても積極的に公庫としても考えるべきではないかというふうに考えるわけですが、この点はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/178
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179・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 私ども、中古住宅につきましては、できれば全住宅についてやりたいと考えておりますが、ただ、木造の中古住宅につきましては、先生御承知かと思いますが、木造の中古住宅でございますと、中古住宅の値段といいますよりも、むしろ上物はほとんどゼロで、土地の取引というような形が実態でございます。したがいまして、私どもは、そういった戸建ての木造まで及ぼすには、また土地の投機的な面につながらないかとか、そういったらいろんな心配をする必要があろうかと思います。したがいまして、中古住宅の制度を開くに当たりましては、こういったマンションからだんだんだんだん改善してきております。したがいまして、私どももこの三階までのマンションだけでいいとは考えておりませんし、もっと今後次第に広げて、木造はいろんな問題がまだ残されていると思いますので、できれば耐火構造の一戸建ての住宅等にまでは少なくとも広げていったらどうかというような考えは持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/179
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180・桑名義治
○桑名義治君 これは、いわゆる投機につながるんではないかという御心配があるようでございますが、しかし、これは条件のつけ方によってこういうのは防げると思うんですよ。あるいは建てて何年までだとか、あるいは自分の住み家でなければならないとか、こういういろいろな条件のつけ方によって投機を防ぐことがきると思うんです。新築の家は買えないけれども中古ならばというそういう方々もたくさんいらっしゃるわけですから、午前中の論議にもありましたように、新しい家を買うのも古い家を買うのも、買う人にとっては家を買ったことに変わりはないんだということで、少しでもいわゆる負担を軽くするために中古でもうがまんしようと、こういった方々がたくさんいらっしゃるわけですから、したがって、ただ投機的に扱われるんじゃないかという御心配は、これは条件をつけることによって当然防げる問題ですから、したがって、この問題については早急にやはりこれは検討をし実施の方向へ進めていかなければならないと、こういうふうに考えるわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/180
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181・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 確かに技術的な問題として解決できる面もあろうかと思います。したがいまして、今後ともやはり既存住宅、ストックの活用という問題は非常に大きな問題でございますので努力いたしたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/181
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182・桑名義治
○桑名義治君 この中古住宅のいわゆる流通の問題と関連しまして、午前中にもちょっと論議になっておりましたが、三井不動産と全宅連との間に紛争が起こっておるというこの問題でございますが、この実態をもう一度御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/182
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183・大富宏
○政府委員(大富宏君) 三井不動産販売株式会社と全宅連との分野調整法にかかわる紛争事案についての御説明をいたしたいと思います。
三井不動産販売株式会社は、五十二年の四月来、神奈川県で四店舗、それから東京都で一店舗実施してまいりました専属特約代理店制度というのがございますが、これをことしの四月一日からさらに拡充するという計画があったわけでございます。そこで、全国宅地建物取引業協会連合会から、三井不動産販売会社のこの計画というのは中小宅建業者の事業機会を奪うおそれがあるということで、分野調整法に基づきまして昨年の十月二十七日付をもちまして建設省に調査の申し出がございました。
これを受けまして、建設省では十二月の二十七日に調査結果を全宅連あて通知したわけでございますが、その内容は、神奈川県、千葉県、埼玉県の各県に合計十店舗の専属特約代理店、これをフランチャイズ店と言っておりますが、設置いたす計画でございます。この専属特約代理店といいますのは、三井不動産販売株式会社が地元の宅建業者と共同いたしまして新たに不動産の仲介会社を設立するわけでございますが、その際に三井の方から三五%の出資をいたしまして、三井と新会社との間に専属の特約代理店契約を結ぶわけでございます。この契約を結んだ結果、新会社が行うところの仲介業務すべて三井の代理人として行動し、しかも三井の名において行うということでございます。
以上の計画に対しまして、全宅連では、この計画が実施されますと中小宅建業者の経営の安定に著しい悪影響があるということで、ことしの三月一日付をもちまして分野調整法に基づく調整の申し出を主務大臣である建設省に申し出を行ってきたわけでございます。建設省ではこの申し出を受理いたしたわけでございますけれども、申し出の内容につきまして、中小宅建業者の経営の安定に著しい悪影響があるということでございますけれども、その理由についてまだ不十分な点がございましたので、現在、その疎明について全宅連に求めているところでございます。
一方、この当事者でございます三井不動産販売株式会社と全宅連は、お互いに自主的解決を図りましょうということで、現在まですでに二回お互いの会合を持っております。その結果、三井不動産販売株式会社は四月一日からこのフランチャイズシステムによる事業拡大をするという予定でございましたけれども、三カ月間これを延期いたす。それで、その間にお互いに話し合いによりまして解決をしようということで目下自主努力をいたしておる段階でございます。建設省といたしましては、この両当事者間の自主的解決の努力というものを尊重いたしまして、その推移を現在見守っておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/183
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184・桑名義治
○桑名義治君 現在営業中の三井のフランチャイズ店はどの程度の取引高であるか、それから最近の月間取扱件数がどのくらいあるか、これは調べてございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/184
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185・大富宏
○政府委員(大富宏君) 横浜、川崎、藤沢、平塚、町田という五店舗でございます。これが五十二年の四月から五十三年二月までの実績でございますけれども、五百十六件、取り扱いの金額が八十九億三千万円、手数料収入が四億六千五百万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/185
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186・桑名義治
○桑名義治君 そこで、このまま三井不動産のこの計画がどんどんどんどん実績を上げていけば、それと符合するように大手の不動産会社にもこういった動きが起こってくるんじゃないかというふうに言われているわけです。ちなみに、この不動産関係のいろいろな報道を読んでみますと、もうすでにその動きが出ているわけです。そうなった場合に、既存の宅建業界の方々に大きな影響を及ぼしてくるということは、これは当然なことだろうと思うわけです。実際に今後こういった中小の業界の中で生き残っていくのは大手の系列下に入る以外にはなくなってしまう。こういうふうに一般的には考えられるわけでございますが、建設省としては今後どういうふうに対処をしていこうというふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/186
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187・大富宏
○政府委員(大富宏君) 第一点の、他の大手業者に波及するのではないかということでございますが、今回の分野調整法に係る調整の申し出の原因になりましたのは、三井不動産販売会社と地元の中小宅建業者との間で専属特約契約を結ぶというところに非常な特徴がございまして、他の大手業者の場合は代理店契約をやりまして、自社物件を中心に若干それに関連する他の物件も扱っていると思いますけれども、いまのところこういった専属特約という形式は見られないわけでございます。
それから第二点は、三井不動産がやっている専属特約の相手として選んでおります地元中小宅建業者、これがいま調整の申し出をやっておりますところの全宅連の有力な会員が相手になっているわけでございまして、その意味で私ども十分両当事者で話し合いを進めれば自主的解決の方策が見出せると思っているわけでございますが、その辺にこの三井不動産のやっているフランチャイズ方式、それから相手になっている宅建業者の会員、そういう特徴がございますので、私はこれがそう余りデメリットの方向で行くというようには考えておりませんけれども、やはり十分これは監視をする必要があろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/187
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188・桑名義治
○桑名義治君 先ほどの御説明の中に、店舗を拡大をする上において、本来ならば二月一日だったのを三カ月延期をするという話し合いが一応ついているというお話でございますが、私の手元にあるこの広告を見ますと、二月一日新設オープンということで広告を出し、現実にオープンしているんですね。そうすると、皆さんたちの前でせっかくのお話し合いをやりながら、すでにそれが守られていないというところにやっぱりその大きな問題があるんじゃないかというふうに考えるわけですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/188
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189・大富宏
○政府委員(大富宏君) ちょっと私の説明、誤解があったかと思いますが、事業拡大の時期は四月一日を予定をいたしております。四月一日というのを三カ月自主的に延ばしたということでございます。
それから第二点の、そう言っているけれども、もうすでにやっているじゃないかというお話でございますけれども、私どもの承知いたしておりますのは、大阪に開設した住宅センターかなんかのお話じゃないかと思いますが、私どもは、いま三井不動産販売株式会社の方が四月一日から事業を拡大するという話については、現在やっているとは承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/189
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190・桑名義治
○桑名義治君 いずれにしましても、いわゆる三井不動産販売の大阪住宅センターの営業開始は、五十二年の十二月二十三日に、先ほどの説明では、分野法に基づいて出された建設省の調査結果によりますと、ことしの十月の予定になっているということですが、実際はもう二月の一日にこれも開業しているというのが実情なんですね。そうなってくると、これは話し合いをやろうと思っても、つい話が壊れてしまうというのはだれでもうなずけることだと思うんですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/190
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191・大富宏
○政府委員(大富宏君) ちょっと説明不足でございましたが、大阪の場合の住宅センターというのは、広告だけは確かにやったようでございますが、まだ営業は開始してないそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/191
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192・桑名義治
○桑名義治君 この広告は、これはにせものだったというわけですね、実際に。どうですか、これ。これはせっかくこういうような広告は出したけれども、実際はやってないということは、これは実態ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/192
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193・大富宏
○政府委員(大富宏君) 御指摘のとおり、広告は確かにやりましたけれども、直ちにこれは名前もやめたと聞いております。
それともう一つは、住宅センターというのは大阪支店の流通機構の組織を移転した際のその組織の名称であって、いま私が申し上げるような分野調整法に係るフランチャイズ方式とは全然無縁のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/193
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194・桑名義治
○桑名義治君 いずれにしましても、この二月一日から営業しているというんですよ、現実に。そこにやっぱり双方でお話し合いをせっかくやるというふうになっておりながら、そういうように力の論理で押されるというところに不信感がさらに不信感を生み出すということになってくると思うんです。いずれにしましても、これはやっぱり建設省で何らかのいわゆる調停なら調停の仲介の労を強力にとっていく必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。それと同時に、こういった事態を踏まえながら今後考えていかなければならない問題は、午前中にもいろいろと論議が重ねられたわけでございますけれども、こういう強力な流通センターあるいは流通システムというものをやっぱりある程度確立する必要があるのじゃないかと、こういうふうに思うわけでございますが、その点についてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/194
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195・大富宏
○政府委員(大富宏君) 御指摘の第一点、私どもは、広告はしたけれどもまだ営業は開始してないと承知しておりますけれども、再度の御指摘でございますので、私どもさらに調査をして確認をいたしたいと思います。確認の結果、事実そういうような営業をやっているというならば、私どもも重大な姿勢で臨みたいと思います。
それから第二点の問題は、先ほどからも非常にるる審議されているところでございますけれども、今後やはり住みかえ需要が非常に増大をしていきますと、中古物件を中心とするところの流通市場の整備、これは非常に重要だと思います。これはなかなかむずかしい問題が多々ございます。一つは、やはりそういった情報システムがまだ確立されてない問題とか、仲介業者がどこまで責任を持ってこれにタッチすべきなのか。それから先ほどもちょっと議論がありましたけれども、中古物件の価格査定の方法とかあるいは消費者の保護対策は現在のままで十分かとかいういろいろな基本的な問題もございますので、建設省におきましても昨年七月ぐらいから研究会を開いて勉強をいたしておるところでございますけれども、こちらの勉強がまだ十分済まない段階で現実にはいろいろな問題がもうすでに起きておるわけでございますので、私どもも検討を急ぎつつ、業界の意見も聞きながら早急に御指摘のような問題に対処してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/195
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196・桑名義治
○桑名義治君 この問題でございますが、仮に三井側と全宅連の当事者との間の話し合いがつかなかったと、こういった場合に、建設省としてはいわゆる分野法による調整を考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/196
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197・大富宏
○政府委員(大富宏君) 現在は、両当事者の自主的な解決に依存しながらその推移を見守っている段階でございますけれども、正式に全宅連の方から疎明書が参って、なかなか両当事者間で話し合いがつかないとなりますと、分野調整法の正規の手続をとることになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/197
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198・桑名義治
○桑名義治君 今回のこのフランチャイズシステムの中身を見ますと、先ほどから説明がありましたように、確かに三井側が三五%、それから特約代理店が六五%の出資をしております。ところが、この利益配分になりますと逆転するんですね。利益が三井側が五五%で特約代理店が四五%と、こういうふうに利益配分は逆転をするというような姿になっておるわけです。こうなってまいりますと、やっぱり全宅連の皆さん方、いわゆる中小業者の方々がこういった系列下に入ることを拒むという一面もうかがうことができると思うんですよ。先ほどからちょっと申し上げておりますように、いわゆる力の論理で一つの業界が支配をされるということはこれは非常に好ましくない、こういうふうに思うわけでございますが、その点はどうでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/198
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199・大富宏
○政府委員(大富宏君) 私どもが承知いたしております手数料の分配の割合でございますけれども、三井側が四〇%、それから住販会社の方が六〇%という割合のように聞いております。いまお述べになりました点は、フランチャイズ方式というものとはちょっと違うのではないかと思っておりますが、私どもが調査した関係では、いま申し上げたような仕組みになっていると思います。まあやはり非常に全宅連、中小宅建業者サイドから、この辺も重要な問題だという意識でございましたら、これも当然やはり当事者間の話し合いにまつ問題だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/199
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200・桑名義治
○桑名義治君 いずれにしましても、この中古住宅の流通という問題は非常に今後重大な問題になってくることは当然だと思います。したがいまして、こういった意味で、いまから先いわゆる中小業者の近代化育成指導というものを図っていくべきだと、こういうふうに思うわけですが、何か素案でもよろしゅうございますが、ありましたら御提示願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/200
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201・大富宏
○政府委員(大富宏君) 御指摘のような問題に取り組むべく目下検討会を急いでいる段階でございまして、いろいろトラブルも起きておりますし、多くの問題をいま抱えておるものでございますから、早急に結論を出したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/201
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202・二宮文造
○二宮文造君 私は、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、午前中からの質疑、またいま同僚の桑名委員の質疑がございましたので、重複を避けて順次質問をしてまいりたいと思います。
まず最初、住宅局長にお伺いしたい。五十一年を初年度とする第三期住宅建設五カ年計画、これのうち公営住宅と公庫住宅と公団住宅につきまして、その概況と、それからその五十三年の計画を含めての進捗率、これをひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/202
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203・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 五カ年計画のべースでお答え申し上げますが、公営住宅につきましては、五十三年度までの計画を含めまして進捗率が四七・一%ということになっております。それから公団住宅につきましては、五十三年度までの計画で四〇・三%ということになっています。公庫住宅は五十三年度までを含めまして七一・八%という進捗率になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/203
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204・二宮文造
○二宮文造君 ちょっと私がはじいたのと違うんですが、公団住宅の場合、五十一年度の実績見込み、それから五十二年度のまあこれも実績の見込みもほぼ出るんじゃないかと思うんですが、それと五十三年の計画の四万戸、これを合わして四〇%にならぬのですが、ちょっと数字を細かく挙げていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/204
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205・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 五十一年度の見込みが五万戸、五十二年度が三万五千戸、五十三年度が四万戸で十二万五千戸ということになりまして、三十一万戸に対しまして四〇%ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/205
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206・二宮文造
○二宮文造君 ちょっと違うんじゃないでしょうか。五十一年ですね、最近の新聞報道によりますと、五十一年度は四万六千戸で四千戸はもう捨てたと、それはもう追いかけないんだという新聞報道で、四万六千戸で整理すれば三九%にしかなりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/206
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207・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 失礼いたしました。この資料はちょっと一月ぐらい前の資料でございましたので、おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/207
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208・二宮文造
○二宮文造君 なぜそういう質問をしたかと言いますと、住宅五カ年計画の公的資金による分がいわゆる住宅金融公庫の融資分に重点がかかってしまって、公営ないし公団は大幅に退却しているわけですね。ですから、これは五カ年計画をこのままやっても恐らく一〇〇%の達成はできぬでしょう、五十五年になりますと。ですから、私はやはりここで政府の方針というものを明確にするために、すでにこの第三期住宅建設五カ年計画は三年目に入っておりますけれども、こういう事態が三年越しはっきりしてきたんですから、ここで公的資金による部門の訂正ないし修正があってしかるべきではないだろうか、こういうふうに思うのですが、これは大臣どうでしょうか、このままでやっていきますか、これほど大幅に狂ってきて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/208
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209・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 住宅建設五カ年計画におきましては、財政の状況等によって弾力的に執行するというくだりがございます。ただいま先生御指摘のように、最近住宅建設五カ年計画の中の公的資金住宅全体にわたりましては計画どおり進んでおりますが、その中身が先生御指摘のように、公庫住宅と公営、公団等の直接供給住宅等の進捗率が大幅に狂ってきております。これにつきましては、公営住宅、公団住宅につきましていろんな障害が起こっていることも御承知かと思いますが、そういった障害を取り除いて極力建設に推進いたしたいと考えております。私もここで先生に、五十五年度までには一〇〇%できますということを申し上げる自信はございませんが、極力これを伸ばしたいというように考えております。したがいまして、現在のところそういった計画目標にできるだけ近づくような努力をいたしたいということで、この五カ年計画について現在のところ改定しようというような意思は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/209
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210・二宮文造
○二宮文造君 そんなに突き放すような答弁をしますと私の方も絡まざるを得ないんですがね。それじゃ公団がいま三九%ですね。じゃ、最終五十五年にどこまで精いっぱい努力するという目標があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/210
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211・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) できる限り努力してまいりたいと思っておりますが、ただいま申し上げましたように、これが一〇〇%できるということは、これはもう申し上げる自信もございませんし、できるだけそれに近づけるように努力いたしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/211
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212・二宮文造
○二宮文造君 五カ年計画というのは政府の住宅政策のポイントになるんです。したがって、住宅問題を扱うときにいつも問題になりますのは、低所得者あるいは中所得者、そういう方々がだんだんいま住宅から見放されてきている。よりどころは、やはり公営住宅であり公団住宅なんです。ところが、いろいろな隘路が出てきまして、三カ年連続、こういうふうに計画はつくったけれども、実績がはるかに遠いという状況ですね。ですから、これは政府の姿勢というものを示したものですから、いわばこれは重大な何といいますかね、政府の住宅政策の青写真です。青写真にこれほどの見込み違いが出てきたら急遽それは修正をして国民に提示する。また、修正をする、ないしそれを再確認をするという作業を通じて、政府の示した住宅政策のポイントが国民に明らかになる。三カ年目に至って三九%しか達成しないのに、そのままほおかむりして五十五年までやっていくという姿勢は私はやっぱり行政の姿勢としてはまずいんじゃないか、ここでやっぱり勇気を持って修正なさるべきじゃないでしょうか。それが結局住宅政策の政府の考え方というものをはっきりと国民に訴えることになるんじゃないでしょうか。そういう意味で私申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/212
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213・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほど住宅局長がお答え申し上げましたように、この五カ年計画がお示しをしておる数字どおりに遂行されることは私も好ましいことでもあるし、努力もしなけりゃならないと、こう思うのですね。ただ、御説明申し上げたように、この計画にはある程度弾力的に運営をする、こういう配慮をいたしておりますから、そこでいま三九%程度の公団の遂行率から直ちに全体計画をいじるかどうかと、こういうことにつきましては、なおこの目標に対して一〇〇%達成は困難ではあるが、しかし努力はしていこう、また計画も弾力的に遂行するということになっておるので、いま変えるのはどうかなということを申し上げたわけでございまして、たとえば、その努力のあらわれとしては、私どもも公営、公団分が非常におくれておる、停滞しておることをも認めて、そしてその原因除去のために住宅宅地関連公共施設がうまくいってないからこれをひとつ促進しようじゃないか、あるいは公営住宅についての敷地整備などが十分でないからそれも進めようじゃないかということでいませっかくいろんな努力をしつつ、少しでもその目的に近づけたいというそういう努力をいたしておるということをひとつ御了承いただきまして、最初からこの数字どおりできちっとやるということでなく立てておる計画である。そういう点から言うと、何だ、それじゃ大変無責任な計画だということになりますが、御質問の御趣旨にもありましたように、できる限り公営、公団には努力する。その努力についても、いま申し上げたようなことをしつつあるところでございますので、御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/213
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214・二宮文造
○二宮文造君 まあ大臣が急遽ピンチヒッターですか、立たれたので先へ進みたいと思いますが、私が言いたいのは、公営、公団がこういうふうに狂ってきたということに大きな影響があるというわけです。いわゆる中所得者あるいは低所得者の住宅がますます窮屈になってくる、そういう面から考えなければならないし、それで数字をいじることによって新たにまた政策目標というものも加味すべきではないかというものを含めて、いまの大臣の答弁の公共関連施設の問題だとか、あるいは公営住宅の場合の敷地の問題とか、そういうものについての積極的な施策が数字をいじることによって裏づけされるという意味を込めて、訂正されたらどうですかということを申し上げた。まあ角度は違いますけれども、言っていることは、大体方向性は似ているわけです。
さて、そこで住宅金融公庫の場合、今度たとえば償還期間を延長するとか、あるいは据え置きにするとか、限度額を引き上げるとか、あるいは税の控除があるとかいうようなことでさまざまな促進策というのがとられましたけれども、実情はやっぱり相当厳しいわけですね。その月々の償還額というのは非常に厳しい。私は住宅宅地審議会の五十年八月の答申のいわゆる持ち家償還金の負担限度は世帯収入の二五%、こういう答申がされていることに非常にこだわるわけですけれども、その二五%でも私は大変だと思う。しかし、それを限度として抑えているのは審議会の方も先を見越しているのだと思いますけれども、今度いろいろとられた促進策によって、たとえばマンションの場合、あるいは土地つき住宅の場合、あるいは住宅だけの場合、月間の返済負担額というのはそれぞれ試算をしていただいているわけですけれども、その試算額をちょっとここで教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/214
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215・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) まず、東京周辺を考えまして、土地つきの一戸建て住宅、これを仮に二千二百万といたしました場合に、土地を購入して住宅をお建てになる場合、今回とられました一連の措置でもちまして、一年目の償還が九万四千五百円、二年目が十二万五千五百円ということに相なります。それから、土地はもうすでに持っている、そこに一千万円の資金で住宅をお建てになる場合、一年目が三万五千六百円、二年目から四万七千九百円ということに相なります。それから、千七百万の資金で分譲住宅を購入した場合に、一年目が七万一千八百円、二年目が八万九千三百円というようになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/215
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216・二宮文造
○二宮文造君 いずれも金利が下がったものとして計算した数字をいま発表していただいたわけですね。民間ローンの貸付金利が七・六二、現行は七・九二ですね。これをすでにもう七・六二と見越していま発表していただいた、非常に親切な発表なんですが。ですけれども、それで見ましても、たとえば——いまマンションのお話がありましたか。マンションはなかったでしょう、千七百万。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/216
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217・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 千七百万円、ございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/217
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218・二宮文造
○二宮文造君 ありました……。そうしますと、こうなるんですね。仮にそれが二五%としますと、はじいてみますと、マンションの場合が、初年度の場合ですね、二十八万七千二百八十円、これが月収金額になりますね。それから二年目、三年目になりますと支払いが、改正後ですね、これはどの部分か、ちょっと私の試算が変わっているかもわかりませんが、二年目、三年目が三十五万七千二百二十円、これだけの月収がなければ二五%の負担には耐えられないわけです。それから、土地つきの場合が、初年度が月収が三十七万八千円、それから二年目、三年目が何と月収は五十万二千百八十四円、これだけなければ二五%の負担には耐えられない。さらに、今度は土地なしの場合ですね。これはわずかに楽になりまして初年度が十四万二千円、それから二年目、三年目が十九万一千円。こういう計算になってきますと、せっかくの促進策ではありますけれども、要するに土地の当てがなければまずまず持ち家は不可能だということがこの数字に出てくる。
特に、住宅金融公庫が昨年でしたか、先ほどどなたか例を引いておられましたけれども、調査をされた、いわゆる住宅金融公庫の融資の申し込みの平均年齢が三十七歳、それから平均月収が二十五万八千円。こういう方々を対象に考えてみますと、マンションだとか土地つき住宅だとかというのはまず不可能に近い。さあこれをこれからの政策努力でどういうふうに打開していこうとされるのか。要するに、土地がなければ家は建たないというふうな問題がこれからますます深刻になってこようかと思いますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/218
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219・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 先ほど例に引いてお答えいたしました土地つき住宅の二千二百万、それからマンションの場合の千七百万というのを、平均的な勤労者の方が自己資金一年分の貯金だけでお求めになるということは確かにこれは大変でございます。したがいまして、先生ただいま御指摘になりました住宅金融公庫の大体平均的な方の月収が二十五万程度でございます。それをもとに住宅金融公庫のいわゆるマンション購入の価格というものが、昨年の第一回のマンションの実績でございますと、千三百五十万円ということになっております。この場合、先ほどの例で引きました二五%の償還負担ということで計算いたしますと、ちょうど二十四万六千円ということで、公庫のいわゆる平均の月収の方と見合っているということでございます。東京で千三百五十万といいますと、確かに住宅として恐らく平均的には二DKあるいは三K程度のものではないかというふうに考えておりますが、そういったものが一般的に勤労者の方の手の届く範囲だということが言えるんではないかというように考えております。したがって、私どもは、それでもってよしというような言い方をするわけではございません。ただ、こういったことの実情を踏まえて、これから質の向上という住宅の政策の目的を達成するためには、やはり長期的には土地価格あるいは建築単価の安定ということを図りまして、そして勤労者の方がいまの千三百五十万円の二DKないし三Kでなくて、もっと三DKあるいは三LDKまで手が届けるようにしてまいりたいというように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/219
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220・二宮文造
○二宮文造君 確かに、勤労者階級の皆さん方の持ち家政策というものについては、これから非常にむずかしい問題が出てき、低成長になればなるほど月間償還額との関係でむずかしい問題になってこようと思います。
そこで、ちょっと先ほど桑名委員との間で、住宅金融公庫の金利、これが長期金利の引き下げとともに、間もなく、たとえば郵政審議会とかあるいは資金運用部資金の審議を経て、引き下げを予定し、しかも遡及して適用するという考えのように明らかにされましたが、その場合、いわゆる五・五%もの、それだけを対象にお考えになるのか。さらに六・五という政策金利もありますね、あちらの方まで広げるのか。また、たしか〇・三%の引き下げということが議論されているような話も聞いたんですが、この辺のところはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/220
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221・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 私ども、財投金利が引き下げられました場合には、そういった五・五%口でなくて、先生御指摘の政令金利まで原則的には全部下げたいというように考えております。先ほど〇・三%と申し上げましたのは、過去の四十八、九年の例等から考えますと、少なくともそこまではいくだろうというように考えている。まあこれは私の憶測でございますが、私どもの気持ちとしては〇・三でなくて、できればそれ以上も引き下げていただきたいというように考えておりますが、これは金利体系全般の問題でございますので私どもだけではできませんし、少なくとも私どもは〇・三は期待したいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/221
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222・二宮文造
○二宮文造君 それから、償還期限の延長で、特に木造住宅とそれから簡易耐火構造、これの償還期間が延長されましたが、それに限定されたそのねらいは一体どこにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/222
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223・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 今回、御指摘のように木造二十五年、簡易耐火構造を三十年と延長しまして、耐火構造の三十五年は一応据え置いた形になっております。
これは、理由は二つございまして、一つは、個人のいわゆる融資として三十五年というのが一つの限界ではないだろうか、常識的な限界ではないだろうかという意見が一つございます。もちろん西ドイツ等で見られますように、親子二代、三代にわたって百年のローンなんていうのもございますが、日本の現在のいわゆる子供に借金を残さないというふうな一般的な慣習からいたしますと、個人のローンの限界というのは三十五年程度じゃないだろうかという理由が一つございます。それからもう一つは、これは元利均等償還で計算いたしますと、十八年を二十五年にすればこれは非常に響きます。しかし、三十五年を仮に四十年にいたしましても、これは比例的にそれほど響かないという試算もございます。そういった二つの点を考慮しまして、いわゆる耐火構造につきましては三十五年をそのままいじらなかったという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/223
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224・二宮文造
○二宮文造君 私の覚え違いかもわかりませんが、北海道では耐火構造は五十年じゃなかったですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/224
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225・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 五十年を採用しておりますのは、住宅供給公社に対する賃貸住宅の融資が五十年ということになっております。これは当然そういった公社という永続性のあるあれでございますので、五十年という償還期間を設定させていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/225
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226・二宮文造
○二宮文造君 混乱しておりました。
それで、この問題が残っておりますね。けさほども、また桑名委員もちょっと指摘しましたけれども、例の税の控除の問題です。というのは、新築住宅の場合は住宅取得の控除制度だとか、登録税の軽減とか、不動産取得税の課税標準の特例とか、こういうものがありますね。ところが、既存住宅の購入の場合には適用されていない。その理由はるるお話がけさほどありました。ですけれども、しかし建設省は、既存住宅についても新規住宅と同じように、新築住宅の取得と同じようなやり方でこの税の軽減を図りたいということで予算編成の場合に大蔵省と折衝しましたね。ですから、説明は説明としてわかるわけです。しかし、建設省としては、この問題についてはまた今後も実現に努力をする姿勢にあるんだと私は思うんですが、その辺のところをもう一遍再確認の意味で質問しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/226
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227・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 先ほど申し上げましたように、こういった既存ストックの活用ということは非常に重要な問題でございます。したがいまして、私どももここ何年か続けてこういった問題を要求させていただいておりますが、今後ともこの実現方について建設省としては引き続き努力したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/227
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228・二宮文造
○二宮文造君 そこで、問題が変わってきますが、公庫融資の場合、融資保証の制度だとか、あるいは融資保険の制度だとか、そういうものがありますが、このあらましをちょっと御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/228
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229・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 住宅金融公庫が行っております融資保険がございます。これは、一般の方々が民間の住宅ローンをお借りになるという場合に、その債務の履行に対しまして、金融機関がお貸ししております債務の履行について保険を掛けるという制度でございます。
それからもう一つは、これは住宅金融公庫の仕事ではございませんが、住宅金融公庫の融資を受けられた個人の方、この方が住宅金融公庫のいわゆる国の財政資金の債務を担保するという趣旨から従来連帯保証人を立てていただいております。ただ、この連帯保証人というのが、なかなか個人につきましては最近非常に連帯保証人を頼みにくいといういろいろなあれもございましたので、住宅金融公庫のそういった連帯保証人のかわりになるようなことということで公庫住宅融資保証協会という財団法人を設立いたしまして、その保証協会が住宅金融公庫の融資に関しまして連帯保証人の役割りを果たしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/229
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230・二宮文造
○二宮文造君 ただ、民間ローンを借りやすくするためにいわゆる融資保険という制度を開いているという説明がございましたね。しかし、それは限度といいますか、予算の枠というのがあって、ごく一部ですよね、銀行ローンの。そうすると融資保険、いわゆる公庫で開いている融資保険を利用できない民間ローンを借りている方はどういうことになるんでしょうか。結局、公庫の融資保険に相当するようないわゆる別の民間の制度を使わなきゃならないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/230
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231・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) その住宅金融公庫の融資保険のほかに、民間の会社でいろんなローン保証保険とかいうような制度も開いております。最近ではいろんな金融機関あるいは消費者の動向として、公庫の融資保険よりもむしろそっちの方が伸びているというような、全体の傾向としてはそういう傾向がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/231
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232・二宮文造
○二宮文造君 公庫の融資保険の料率と、それから民間の場合とはどうですか、金額は。金額といいますか、料率ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/232
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233・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 細かい数字はいま探しておりますが、大まかに申し上げまして、公庫の保険の方が若干安いということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/233
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234・二宮文造
○二宮文造君 若干でしょうか。若干というのはいろいろ幅があるんですが、きわめて少ない金額を若干と言うんですが、私の聞いているのでは、相当に開いているという話を聞いているんですが、じゃ、これちょっと調べてください、これはあとの問題にも関係してまいりますので。
そこで、たとえば公庫から融資を受ける場合に、連帯保証人がない、その連帯保証人のない方については、最近は核家族のような状況になっておりますから、連帯保証人がない場合に、先ほどお話のあったいわゆる保証制度というものを開かれて、それを担当しているのが財団法人公庫住宅融資保証協会、こういうものだと聞いておりますが、もう時間がありませんから、この協会のいわゆる基本財産の調達の状況とか、それから本制度発足以来の保証料の変遷、あるいは保証件数、保証料の収入、そういうものをちょっとお知らせいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/234
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235・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 基本財産につきましては、設立に当たりまして住宅金融普及協会、これは財団法人でございますが、そこから一千七百万円。それから全国住宅供給公社等連合会から三百万円の出資を受けまして二千万円の基本財産で出発しております。その後、五十年四月に二億円、五十一年四月に三千万円を、これはこの協会の中から生み出しまして基本財産に繰り入れて、現在基本金が二億五千万ということになっております。
それから、設立以来の保証料の変遷でございますが、基本的な考え方は、この保証料につきましては変わっておりません。料率につきましては変わっておりません。ただ、四十九年度から元利均等方式に変わったと、そういうことで料率が変更されておりますが、基本的な考え方は変わっておりません。
それから、当然公庫の融資金額の増加に伴って、これも保証料は変わっているわけでございます。それから、今回償還期間が延長されます。したがいまして、償還期間の延長に伴って料率は変わっておりませんが、基本的な料率そのものは変わっていないということでございます。
それから、保証の件数でございますが、五十三年二月までの件数で、保証件数が九十五万件、それから保証の委託の契約高が三兆一千五百億、保証料の収入の累計が九十八億ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/235
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236・二宮文造
○二宮文造君 九十八億の保証料があったと。四十八、四十九、五十、五十一、五十二年の二月までに九十八億円の保証料の入金があった。それからまた、当初二千万円の基本金で発足をした協会が、その後生み出した利潤を繰り入れて二億五千万円になったと、基本財産がですね。こういう説明をちょうだいしました。それでは今度は、恐らく五十年からいわゆる代位弁済というものが起こったと思うのですが、四十八年に発足をしましてですね、代位弁済の件数と金額、これをひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/236
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237・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 代位弁済の件数と金額でございますが、昭和五十年度が三件、七百七十七万円。昭和五十一年度が二十件、四千九百八十三万円。五十二年度は三十九件、一億三千四百二万円でございます。累計で一億九千百六十一万円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/237
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238・二宮文造
○二宮文造君 すごくもうかりますね、すごく。よろしいですか、すでに五カ年間に九十八億円の保証料が入金になっている。しかも今日までにいわゆる代位弁済をやったその金額は一億九千万円、要するに基本財産に繰り込んだ金額よりも少ない金額しか代位弁済をしてないわけです。にもかかわらず、いまのような保証料率を継続する必要がありましょうか。少しこれはいわゆる公庫から融資を受けるという人たちの弱身につけ込んだ、いわば風が吹けばおけ屋がもうかるという式のこういう協会の運営ではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/238
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239・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 御指摘のように、ただいまのところはそういう数字になっております。しかし、この保証というのは、一番最初に、初年度に保証料を払い込みますと、あと十五年ないし二十五年、あるいは場合によったら三十年間ずっとそれを保証を続けるわけでございまして、したがいまして、まだ発足間もない間でございますからこういう二億程度の保証になっておりますが、これがどんどんどんどん累積していくということになるわけでございます。たとえば、仮に現在この業務をここでストップしたと仮定いたしますと、もうこれ以上収入は入ってまいりません。しかし、この準備金でもって今後十五年ないし二十五年、物によって違いますが、ずっと保証を続けていかなければならないという性格のものでございます。したがいまして、先生御指摘の、九十億も収入がありながら二億しかまだないじゃないかという御指摘は、ちょっと私どもそういうふうには考えられないというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/239
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240・二宮文造
○二宮文造君 住宅局長ね、住宅金融公庫の融資を受けて家を建てる人の気持ちというものを余りくまな過ぎますね。営々辛苦して手持ち資金をつくって、さらに公庫の窓口をたたいて、そうして建築費に足りない金額をそれでも借りて、その足らずを民間ローンから借りて、営々辛苦して建てた家ですよ。そう簡単に代位弁済の対象になるようなことになりましょうか。私が言いたいのは、先ほども指摘をしましたように毎月毎月の償還金額も家計に響く割合はきわめて大きい。さらに今度は、金額はわずかですよ、一件一件については。金額はわずかですけれども、それでも契約のときにこの保証制度を使うとするならば一万何がしという、あるいは二万近い金額を払わなければならない。家を建てたときにはいろいろと雑費がかかるものです。その雑費の一部と言ってしまえばそれだけですけれども、しかし対象が、そういう方々から吸い上げた金額が九十八億円となっているわけです。しかもいままでの分を振り返ってみれば代位弁済をしたのは一億九千万円になる。この数字を見れば、それは確かに将来にわたって危険負担をしなきゃならぬということはわかります。しかし、これだけの率で集めなきゃならないものかなというのは、どうも私は納得ができない。やはりこれは料率を下げてもよろしいんではないか。しかも先ほどちょっとお話がありましたが、途中で、料率は変えないけれども、元利均等ですか、何かその計算の方式を変えましたね。計算の方式を変えて、結局少し金額としてはアップしているでしょう。こういう実績が、契約件数あるいは保証料の収入に比べて代位弁済の件数や金額が少ないという状態の中で絶対額が上がっていくような改定の仕方というのは、まだそういう公庫借り入れの人たちの気持ちになじんでないのではないか、こう思うんです。
私は前に、全然違いますけれども、公共事業の保証会社の経理の問題、大津留さんなんか御存じであると思うんですが、やった。あの保証会社の場合も利潤が大き過ぎる。要するに、建設省の関係のこういう機関は、危険負担というものに名をかりて弱い者にやはり圧力といいますか、弱い者の負担が少しオーバーに過ぎるんじゃないだろうかという感じがするんですが、この点どうですか。重ねて御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/240
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241・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 先ほど計算方法が改まったということでございますが、これはもう先生御承知と思いますが、元金均等償還でございますと直線的に元金が減ってまいります。ところが、元利均等償還に直しますと、最初のうちは元金が余り減り方が少ないわけでございます。したがいまして、この保証は元金に対して通年でずっと二十年なら二十年保証する制度でございますので、元金の減り方が少ないということは、当然同じ計算上もそれは料金としては個当たりの料金がふえるということは御理解いただけるんじゃないかというように考えております。
それから、こういった保証料が大き過ぎるんではないか、料率もっと下げてもいいんじゃないかというようなお話でございますが、これは発足後非常にまだ短かい期間でございまして、料率につきまして、まだまだこういった料率でもって十分にいけるのかどうかというような見通しも全然立っておりません。最近の傾向を見ておりましても、当然こういった景気の状態を反映いたしますと同時に、そういった保証の金額も累積的にふえてきておりますので、そういった弁済をする件数、金額も幾何級数的にふえていることは事実でございます。そういった点をにらみ合わせまして、現在のところはこういった現在の料率でいくのが至当ではないかというように私どもは考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/241
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242・二宮文造
○二宮文造君 それじゃ、大蔵省の保険部の方がお見えいただいていると思うんですが、この公庫関係のいまありました保証協会の分についても私はそのような疑問を持って、少し料率が高過ぎるんじゃないか、保証の何というんですか、料率といいますか、保証金といいますか、払う分ですね、これが高過ぎるんではないかという指摘をしました。ところが、いただいた資料によりますと、民間保証機関の場合は保証協会とそれから民間の住宅ローン保証の保険、これとの料率の比較の表をここでつくっていただいているんですが、保証協会に比べて民間の住宅ローン保証の方は五・三二倍とか、一番高いところでは七・一三倍、二十五年で七百五十万円。七百五十万円で保証期間二十五年ということになりますと、保証協会の場合は二万三千円、それから住宅ローン保証保険の場合は十六万四千二十五円、七・一三倍、こういうふうな表をいまちょうだいをしております。その保証協会の方でさえも私は高いのではないかということを感じていま指摘をしたんですが、民間の場合、なぜ保証協会の七・一三倍のあれをとらなきゃならないのか、これもちょっと私は疑問なんですが、この点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/242
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243・森田一
○説明員(森田一君) ただいま先生が御指摘になられました点については、まことにもっともな点があるわけでございまして、私どもとしましても究明しなければならない点があると思っておりますが、以下に私どもの見解を述べさしていただきたいと思うのでございます。
損害保険の保険料率につきましては、絶えず見直しを行っておりまして、これを適正な水準に維持するように努めているところでございます。そしてこの住宅ローン保証保険というのは四十六年の十一月に発売されまして、まだ六年しかたっていないものでございますけれども、この保険期間というのは非常に長いものでございまして、最長が二十五年、平均が十八年と非常に長いために、現段階で、先ほど住宅局長も御答弁申し上げましたように、厳密な意味での料率が適正であるかどうかということの検証を行うことは困難な点がございまして、業界の方としてもこの時点で改めて料率の検証をやるということは考えておらなかったところでございます。しかしながら、国の住宅政策促進の観点からいたしまして、この際これまでの六年間の引き受けの実績に基づいて検証をすべきであるということで指導いたしまして、今後の経済環境の動向等によりまして事故率がどのように動くかというような予断を許さない点はございますけれども、引き下げの余地があると判断されましたので、五十二年の十二月に当該保険料率を平均五%引き下げたところでございます。
それから、いま先生が御指摘になられました、住宅ローン保証保険に比べて公庫の住宅融資保証協会の保証料が低いのは、いろいろ原因は考えられると思いますけれども、公庫の融資金額というのが民間の融資金額に比べて低額であるために返しやすいというような点があること。また、保証協会に係る融資物件につきましては、住宅公庫の場合には第一順位の抵当権設定が義務づけられておるというような理由が考えられる、この保険の場合よりも危険度が低いからであると思われるところでございます。しかし、先生の御指摘のございましたような事実は事実でございますので、今後とも事故発生率の低下等に応じまして、また経営の合理化を進めることによりまして保険料率の引き下げに最善の努力を払うように十分指導をしてまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/243
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244・二宮文造
○二宮文造君 あわせてお伺いしますが、私、自分がそういうことをやったことがないのでよくわかりませんけれども、巷間うわさというか、言われていることは、民間ローン、銀行からローンを借りたときは借り主は生命保険を掛ける。そうしますと、その生命保険も、世帯の中心者にもしものことがあっていわゆるローンの返済に事欠くようではいけないということで生命保険を掛ける。生命保険を掛けながらなおかつこの住宅ローン保証保険を掛けなければ民間ローンは借りられないんですか、どちらかでいいんですか。この点はどうなっているんですか、現状は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/244
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245・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 現在の一般的な住宅ローン、先ほど先生御指摘の最近七・六二になりましたが、これは保険料込みでございます。保険料が込みになっておりまして、その七・六二%の場合には当然生命保険にも入るということになります。それと、当然このローン保証保険に入るということでございます。ただ、この住宅ローン保証保険と生命保険の場合には、これは二重というよりはやっぱり性格が違います。先生御指摘のように生命保険の方は、もし仮にそういった一家の大黒柱の御主人に何か事故があった場合に、相続される方がその債務を自動的に引き継がれるということは大変でございますので、そういった意味を緩和する意味で生命保険という制度があるわけでございまして、ローン保証保険の場合とは性格が若干違うと思いますので、決してこれが二重になっているというような認識ではなくていいんじゃないかというように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/245
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246・二宮文造
○二宮文造君 意味は違うけれども、出るふところは一緒ですよね。私の言う意味をわかってくださいよ。毎月の返済額の家計に占めるウエートは非常に高い、まずそこから始まるわけです。ですから、持ち家をつくりたいという国民の皆さんの気持ちというものを考えれば、それに付随して出ていくような金は極力なしにしたい、少しでも家計負担というものを楽にしたいと。皆さん方の方はお役所仕事ですから、損害があったときに元が取れるようにしておきたいと、これは役所側のサイドです。私はあくまでもこういう時代ですから——それは意味は違いましょう、生命保険と保証保険とは違いましょう。違いましょうけれども、どちらにしてもローンの方は取りっぱぐれはないわけでしょう。第二順位の抵当か何かは知りませんけれども、抵当権は設定している。公庫が第一順位を設定している、あるいは民間の銀行が第二順位を設定している。第一順位と第二順位を合わせてみても、その時価よりは七掛けとかぐらいで押さえているわけですから取りっぱぐれはないわけです、いずれにしても。代位弁済をするにしても取りっぱぐれはない。にもかかわらず、安全性を二つも掛ける必要があるんだろうか。それだけ家計に負担をされるではないか。しかも料率が高い。こういうことで、私時間がありませんから、これは問題提起にとめておきまして、またやがて実態も御報告をいただくし、あるいは民間の場合も一体事故はどういうことになっているのか、果たしてこの料率で適正なのかどうか。いま答弁もございましたが、そういう鋭意検討していただくし、私はきょうは問題提起にとどめておきます。しかし、これは確かに屋上屋を重ねるような、そして家計に負担を加えているということがあるんではないかと心配しますので、大臣、この点はひとつ消費者保護といいますか、そういう人たちの立場に立って問題を御検討いただきたいと思うんですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/246
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247・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 従来のわれわれの行政面からする方針は、先ほど住宅局長から申し上げたとおりでありますが、私は先ほどから御所見を聞いておりまして、現在、民間の融資を受ける場合でも無担保、無保証制などを主張してきた立場から申しましても、実態を十分調査をいたしまして改善のでき得るものは改善したいなあという気持ちを私は持ったことを率直に申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/247
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248・二宮文造
○二宮文造君 大臣の今後の御健闘——検討と御健闘をお願いしたいと思います。
それから、あと時間がもうありませんので……。単身世帯についての配慮ですけれども、どうも単身世帯に対する融資、これが現行法ではございません。それから公団住宅は単身世帯に開放していますけれども、公営住宅あるいは公社の賃貸、それから分譲住宅は単身世帯は締め出されています。こういうことでこれからの核家族とか、それから単身世帯というものを考えてみますと、果たして現行のままでいいだろうかという感じがしますが、単身世帯に対する考え方というものをここで整理しておいていただきたいと思います、今後またどういうふうな方向に持っていかれるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/248
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249・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 先生御指摘のように、単身世帯の住宅問題、これもこれからの問題でございます。従来私ども戦後の住宅不足ということから、どうしてもやはり世帯向けの住宅が不足していたということから、それに重点を置いていろいろな政策の焦点を当ててきたことは事実でございます。ただ、先ほどから申し上げておりますように、住宅事情も社会情勢も非常な変化を遂げてきております。そういった中で、私どももこういった単身の方々、特に老人、寡婦等の中高年齢のいわゆる単身の方々の住宅問題というものがこれから重要なポイントになるということはわれわれも認識している次第でございます。そういった意味で、現在公団だけがそういった施策をやっておりまして、公庫、公営住宅につきましてはそういう道がございませんでしたが、現在私どももそういった老人、寡婦等の単身の方々の実態調査も行っておりますし、そういった結果を踏まえまして、今後とも前向きにそういった方々にどういった対応をしていくべきかということを検討してまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/249
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250・上田耕一郎
○上田耕一郎君 住宅金融公庫法の一部改正の法律案に関連して、幾つかの質問をしたいと思います。
ことしの予算でも住宅が目玉とされておりますけれども、景気対策としての住宅投資はありますけれども、住宅対策としての予算措置はとられていないのではないかという危惧を非常に強く感じます。われわれいままでも何回か持ち家主義偏重の傾向を指摘してまいりましたけれども、一層その傾向が強くなっていて、公共住宅の切り捨て、それから持ち家偏重ですね、それが非常に強くなっているように思うのです。今度たとえば公共住宅の建設戸数を前年度と比べましても、公営で九千戸減り、公団で二万戸減っておりますけれども、こういう傾向が進んでいって五カ年計画が達成できると考えておられるのかどうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/250
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251・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 先ほどもお答えいたしましたが、公営住宅につきまして、改良住宅を含めまして来年度予算では九千戸、それから公団住宅では二万戸の前年度対比の減になっております。これは前から何遍も御説明しておりますが、実際に公団、公爵住宅につきまして事業がなかなか進まないという実態でございます。公団住宅につきましては、五十二年度は六万戸の計画に対しまして三万五千戸を消化するにとどまっているということでございますし、公営住宅につきましても、八万五千戸の枠に対しまして七万戸ちょっとぐらいの実績に終わっていたということでございます。こういった事態を踏まえまして、私どもとしてはこういった促進の措置をむしろ基本に考えるべきではないかということで、住宅宅地関連公共施設整備促進事業ということで三百億の別枠の予算を住宅対策費の方に計上いたしました。そういった公団、公営等の計画的な団地建設が促進されるような配慮をいたしますとともに、公営住宅につきましては七万五千戸に減少はさせておりますが、そのほかに公営住宅用地の先行的な整備を図りますために二万戸分の公営住宅用地整備事業を計上いたしました。今後計画的な建設ができるようにという配慮をいたしたわけでございます。基本的には私ども現在の公営住宅あるいは公団住宅というもののストックがこれで十分だとは考えておりません。もっとこのストックをふやしていかなければならないというようなことを考えております。したがって、そういった現在隘路を打開しながら、今後そういったものを伸ばすべく最大限の努力をしてまいりたいというように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/251
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252・上田耕一郎
○上田耕一郎君 いまの御答弁で関連公共施設費の三百億のお話が出ましたけれども、これも私はやっぱり公共住宅に優先して使うべきだと思うのですが、公営住宅、公団住宅、民間への配分ですね、これはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/252
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253・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) これは、いわゆる趣旨から申し上げますと、従来そういった宅地開発あるいは住宅団地開発に対しまして、いろんな一般の公共事業でもそういった関連の国庫補助を行ってきていただいていたわけでございますが、これも全部十分というわけにはまいりませんでした。したがいまして、それに加えまして別枠で三百億を計上したわけでございます。これはいわゆる国庫補助対象となるべき施設、公共施設に対して国が予算の関係上出せなかったという趣旨でございます。したがいまして、私どもはこれを公共と民間にどういうようなシェアでということでなくて、むしろ必要なものに対してはつけていくんだということで、別に公共、民間の区別をするというような基本的な考え方は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/253
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254・上田耕一郎
○上田耕一郎君 それじゃ、もちろん民間にも出すわけですね。そういう困難を突破する一つとして、いまの三百億を計上したと言われましたが、来年度はさらに強化するということでこの措置を続け、しかも拡大してほしいと思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/254
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255・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 当然私どもも来年度以降こういった措置を強化すると同時に、従来の公共事業費の中でもこういった関連の事業に優先的に採択してもらうようにしたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/255
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256・上田耕一郎
○上田耕一郎君 公共住宅建設が減っているのは困難があるからだと言われるんですが、困難があるので持ち家の方ばかりふやすのでは、やっぱりやすきにつくことになると思うんですね。むしろその困難を解消されないで拡大してしまう。
たとえば、そういう姿勢の結果どういうことになっているか。五十二年度予算は列島改造予算とよく比べられますけれども、住宅戸数について公営改良、公団住宅と公庫住宅、このパーセントを比べてみますと、四十八年度予算では四〇・六%、公営改良、公団住宅が。五十三年度は何と一七・二%で半分以下に減っているわけですね。公庫住宅の方は五七・三%から七六・六%にふえる。公営改良、公団住宅が半分以下に減っているという事態は、これはいまのやっぱりやすきにつくという傾向がどういうところにいま進んでいるかということを非常にはっきり示している私は恐るべき数字だとさえ思います。さらに公共住宅の中でも分譲住宅がありますから、これは公的資金住宅のうち賃貸と持ち家の比率、これはどうなっているのか。これは五十二年度、五十三年度予算でこの比率についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/256
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257・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) ちょっといま数字持ち合わせておりませんので、すぐ調べまして御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/257
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258・上田耕一郎
○上田耕一郎君 これはお話ししておいたはずですけれども、じゃ、われわれの計算を言いますと、公営住宅が改良を含んで八万三千五百あります。公団住宅が一万戸で、そのほか特定の賃貸住宅が五千戸あるので一万五千戸。それから公庫住宅が賃貸が二万戸ですね。その他の中に賃貸が二万四千戸ありますので、全部で十四万二千五百戸。持ち家の方が約五十七万五千八百二十戸。つまり、大体八〇%対二〇%なんですね。だから、公的資金住宅のうち約五分の一しか賃貸住宅はない、こういう数字になっていると思うんです。だから、この数字は、ただ困難だ困難だと言うんじゃなくて、やっぱり政府自身が困難さを口実にして賃貸住宅よりも公庫住宅、持ち家と。公団住宅の中でも分譲という方向をやっぱり強化しているとしか思えないんですけれども、その点どういうお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/258
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259・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 大勢的に申し上げますと、最近の公団住宅の空き家の中でも、いわゆる賃貸住宅の方に空き家が非常に多いということ。これはもちろん遠、高、狭と言われるような原因がもちろんございます。したがいまして、私どもはそういった賃貸住宅の需要がないんだということではございませんが、そういった現在公団住宅に空き家が賃貸住宅を中心に非常にふえているということ。それから公営住宅につきましても、大都市周辺におきましてもちょっと立地条件が悪いというようなことでございますと、空き家が発生しているというようなことから、いままでみたいに安易に戸数を消化するというような態度でなくて、もっと国民が本当に要望しているような立地条件のところに確実に建設していくべきじゃないかということで、現在いろんな反省をしているわけでございます。そういった反省の意味も含めまして、またいろんな障害がございます。そういった障害を乗り越えてやはり建設を進めていかなけりゃならないということで、今回確かにこういったいわゆる貸し家の系統が、公庫融資等を中心とする持ち家に比べまして比率が落ちているということはこれは事実でございます。そういった意味で、今後ともそういった障害をなくしながらこういった賃貸住宅も拡充していかなけりゃならないというように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/259
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260・上田耕一郎
○上田耕一郎君 いまの答弁にありますように、私は政策の腰がしっかりしてないと思うんですね。非常にあいまいな答弁だと思うんですね。われわれもちろん今度の住宅金融公庫の貸出条件の改善、これはもちろん賛成です。もちろん家を建てられる人、建てたい人、建てられる資金を持っている人に国が援助を強化するということも賛成なんですけれども、全体としての国の住宅政策が、建てやすい住宅金融公庫だけふやしていく、公共住宅は減らしていく、公共賃貸住宅は特に減っていく。五分の一というような方向に減っていくのでは、これはやっぱり国の政策の基本が非常にふらついていると。ふらついているだけじゃなくて、やっぱり持ち家主義の方向に傾きつつある。政府の文書を読みますと、国民は持ち家を非常に志望しているといつも言われますけれども、これは逆に安い公共賃貸住宅が手に入らないから、やむを得ず持ち家しかないという方向に進んでいるんだと思うんです。
東京都が五十一年十月に実施した住宅に関する世論調査、これを見ますと、大都市ではもっと安い借家がたくさんあるべきだと言う人が八三%いるんですね。それから安く住める公共住宅がもっとあれば自分の家を無理してまで持とうと思わないという人が四九%、半分いるんですね。しかし、安く住める公共住宅がないから、特に社会保障が非常に低いし、やむを得ず無理に無理を重ねて家を持ちたいということになっているわけで、だから国民が持ち家を望んでいるから国も持ち家主義でいくんだというのは逆で、国が持ち家主義をとって公共賃貸住宅がうまくいかないから、やむを得ず国民も持ち家だということに追い込まれているという状況があると思うんですね。だから、われわれは、家を建てたい人に対しての税制その他での援助、これはやるけれども、自分で家を建てることのできない人のためにやっぱり公共賃貸住宅をもっともっと困難を突破して建てていくという国の基本姿勢が、これを固めることが非常に大事だと思うんですが、これは基本の問題にかかわりますので、大臣、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/260
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261・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 上田委員のお考えはお考えで、そういう考え方もできるかなと、こう思うんですけれども、私どもがいまとっておる政策は過去の実情を踏まえながら考えておる。これは同じ先ほどの資料で申し上げると、五十一、五十二、まあ五十三年は計画ですが、公的資金による持ち家と借家の場合が、借家が五十一年では三二.七%、五十二年では大体これ計画になっていますが、二七・八%ということになり、五十三年度は二四・六というようなふうになっておるんですが、これはやはり私は時代の傾向というものも反映しておらないというわけにはいかないと思うんです。というのは、御承知のように住宅金融公庫の低利資金の募集をすると、そこへ非常な殺到をしておるわけですね。この委員会でも私、何遍か申し上げたわけですが、一月の前倒しの公庫融資の場合でも、やはりもう一週間で応募数は満杯と、だから非常にこれはそういう希望があるという認定をしても、それを、いや、それは建設省間違っておるということで——そういう傾向はあると思うんですよ。
それで、五十三年度において、しからば公営や公団について私どもはそういう傾向にあるからもうそんなものはほったらいいんだと、こういうことじゃなく、公営や公団のものがどうしてうまくいかないのかということを検討して、用地の取得難であるとか、あるいは地方自治体に対するところの財政負担が多いとかいろいろ問題があるというようなことから、関連公共の——先ほどちょっとこれはおほめいただいたわけだ、関連公共の促進をしようとか敷地の整備についても努力しよう、それはやっておるんですわね。それで、しかも今度は公団の三万九千の残っているものについては、これは諸情勢を勘案して、これを二戸を一戸にするとか、分譲を希望するところには分譲にするとか、賃貸がいいところは賃貸にする。さらには公営の方に移せるものは移そうと、こういう努力はしておるんですから、その数字からいうと上田委員大変御不満で、やることもやっておらぬじゃないかということになりますが、私どもは時代の趨勢というものをにらみながら、またしかし、所要の公営、公団のものをやらなきゃならぬということについては鋭意努力すると、こういうことでやってきておるということを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/261
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262・上田耕一郎
○上田耕一郎君 時代の趨勢にもいろいろありまして、その趨勢で政府の政策に都合のいいところだけごらんになるんじゃなくて、やっぱり複雑な時代の趨勢全部をよく担当者として見ていただきたいと思うんです。
たとえば、東京都で住宅難がどういう趨勢にあるかという一つの大事な問題は、木賃アパートに住んでいる方々がどうやって自分の家を——その木賃アパートから逃げ出そうとしているかという問題があります。東京都のいわゆる木造賃貸アパートというのは、よくここでも問題になりますが、百万戸を超えているんですね。そのうち半分の五十万戸は設備共用です。トイレとかそれからキッチンですね、これが共用というのが五〇%、五十万戸ある。で、高くて、敷金を取られ、一時金を取られ、二年ごとに大体更新される、家賃は。それで、最近では大体二DKで四万円を超すというのが木賃アパートでは数字がもう出始めているんですね。しかもここに入っている人は、若くて、収入が低くて、家族の人数はまだ少ないと、そういう大変な人たちがこういうところに住んでいるわけですね。その人たちが何とかしてそこから抜け出したいけれども、公団住宅が例の遠、高、狭でなかなか大変だということになると、抜け出すためには結局自分で何とかして家を建てるか、買うか、建て売りをやらなきゃならぬということになりますね。ところが、じゃ東京都、首都圏で普通の人間が住めるに値する住宅をつくるのに一体どのぐらいかかるかと、建設省は大体どのぐらいだと考えておりますか、費用ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/262
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263・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) いわゆる最低二DKといたしまして、私ども東京周辺で考えますと、庭つきの一戸建てでございますと、まあミニ開発は別といたしましても、やっぱり二千万はかかるんじゃないかというように考えております。ただ、マンションでございますと、大体東京周辺でも千三百五十万から千五百万ぐらいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/263
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264・上田耕一郎
○上田耕一郎君 二千万円の家を手に入れられる人ですね、これは一体どういう階層に属するか。昭和五十年の住宅宅地審議会の答申、これを見ますと、たとえば第三分位で住宅費の負担率、月収のやっぱり二五%程度というように言われているわけですね。そうすると、月収の二五%程度で二千万円の家を建てて、そのローン返済に応ぜられる所得階層というのは第何分位に属するぐらいの人になるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/264
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265・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) まあ正確な計算は私ここに持っておりませんが、恐らく第四分位の上から第五分位に入る程度じゃないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/265
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266・上田耕一郎
○上田耕一郎君 住宅局からいただいた資料があります。これは二千二百万円の一戸建ての場合ですけども、これによりますと、年間負担額が百五十二万六千百七十円、それから今度のこの法律が通った場合、初年度九万六千六百三十八円、それから二年目以降が十二万七千百八十一円、これ、月ですよ。月に十二万をとにかく返さなければいかぬ。そうすると、これはまさに第五分位の上に入る——上というか第五分位ぎりぎりに入るんですね。だから、二千二百万円の家を買おうと思う人は、第四分位それから第五分位、ここら辺でなければ月収二五%以内に抑えられないということが住宅局から出た資料からでも明らかなんです。ところが、第五分位というと月収約四十万円近くになるわけですから、月収三十六、七万ということにならないと第五分位の四百四十五万にならぬわけですね。そうすると、国がやっぱり公的住宅その他考えたり、あるいは公庫融資その他でも特に考えなきゃならぬ、住宅政策の中心に考えなければいけない人は、自分でやっぱり家を建てられない人で、第三分位以下を特に考えなきゃならぬと思うんですね。
日本の勤労大衆はやっぱり第三分位の人が一番中間で多いし、第四分位、第五分位というのは非常に少ないわけですから、そうすると第三分位の人がいまのように追い詰められて、木賃アパートから脱出したいということで家を買ったり、建て売りを買ったりいろんなことをしますと、このごろいろいろ社会的にも大問題になっているローン残酷物語ということになるわけで、自殺する人やノイローゼになる人や、やむを得ずサラ金を借りるとかいうことになります。いままでの調査だと、やっぱり三〇%に達すると、住宅返済三〇%、月収の三〇%というのはとうてい無理だということで、それが実際にはもう四〇%からひどい場合には五〇%にもなるケースが多いわけです。だから、ことしはローンの返済不能も非常にふえていて、何と三千件、二百億円を超えるんじゃないかとも言われているわけですね。それで、こういうローン残酷物語というような状況が生まれるこの根源は、先ほど申しましたような、いまの住宅問題の趨勢が、大臣の言われる住宅金融公庫にただ殺到するんじゃないかということだけじゃなくて、百万戸の木賃アパートに住んでいる人たちが何とかしてやっぱりいい住宅を持ちたい、住みたいというところにあるわけなんですね。そういう点で金利問題、ローンの金利問題ということについていまのようなところに追い込まれていることを政府としてどう考えようとしているか、この点もお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/266
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267・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 確かに、御指摘のように、東京周辺で平均的な勤労者が何にもほかの資産なしに二月建ての庭つき住宅を求めるということは、これは非常に数字的に不可能に近い状態でございます。したがって、やはり大都市ではいわゆるマンション的なものに殺到せざるを得ないわけでございまして、昨年の第一回のマンション購入の実績、公庫の実績では、購入価格が大体千三百五十万という平均になっております。これを収入の二五%という形で計算いたしますと、月収は二十四万六千円ということで、五十一年のいわゆる五分位階層で見ますと、大体二分位の中間というような方、二分位の真ん中ぐらいに当たる数字かと思います。したがいまして、現在平均的な勤労者が大体手に入れ得るいわゆる価格というと、いまの千三百五十万から千五百万程度になるんじゃないか。そしてまた、それは東京等の大都市ではもうマンションしかないという形で、最近はマンションが非常に建設も多くなっておりますし、また売れ行きも非常に多いというような状態になっているのはその辺にあるんじゃないかというように考えております。まあそういった形で、今後ともこういったもっと良質な質のいい住宅が買えるような施策、これは建築費の安定あるいは地価の安定を通じながら、そういった質の向上が図られるような方策を考えてまいりたいというように考えております。
それから、御指摘のいわゆる東京に百万戸の木賃アパートがございます。これはその中で設備共用的ないわゆる一室木賃、一部屋の木賃アパートが大部分でございます。これが恐らく現在では七十万から八十万ぐらいが一部屋ではないかというように考えておりますが、最近ではその一部屋のアパートのほとんど大部分は一人世帯に変わっております。一人部屋に昔のように二人以上の世帯が住んでいるというケースはほとんどなくなっております。これはまたことしの住宅統計調査ではっきり数学的に出るかと思いますが、そういう状態になっております。ただ、二部屋の木賃アパートでも、先ほど先生の御指摘のように家賃が高い、環境が悪いという形で、やはり賃貸住宅の需要というのがあることは事実でございまして、そういった施策も重点的に考えていかなければならないだろうというように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/267
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268・上田耕一郎
○上田耕一郎君 一体、政府は持ち家政策をどの所得階層を中心に進めているのですか、第何分位を中心に持ち家政策を進めているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/268
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269・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 昨年、総理府で行いました三大都市圏におきます住宅宅地に関する世論調査の結果を見ますと、現在そういった借家に住んでおられて新しく持ち家を持ちたいと言われる階層は、一番多いのが年収三百万円台でございます。その次に多いのが年収二百万円台でございます。したがいまして、私どもこれからの焦点はやはりそういったところに置かなければならないんじゃないかというように考えております。ちなみに、住宅金融公庫の個人住宅の申し込みをされている方、こういう方が大体月収たしか二十五万円程度だったと思いますので、大体その辺がやはり政策の焦点になろうかと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/269
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270・上田耕一郎
○上田耕一郎君 だから、おかしいと思うのですね。一番対象にしているのは三百万円くらいの方だと、その次が二百万だというのでしょう。そこの人のところは、大都市圏では、第三分位の人は土地を持っていなければ住宅公庫から借りて家を建てられないんですよ。土地もこれから買おうという場合には、先ほど申しましたように、局長答弁したように、二千万円かかるわけでしょう。そうすると第三分位では絶対返済できない。土地を持っている人以外には第三分位の人は対象にできないんですよね。そうすると、これは非常に都市圏では限られた方だと思う。だから、そういう第三分位を対象に本当に政策を進めるつもりなら、今度の住宅金融公庫法の改善、これは大事ですけれども、そちらに比重を置いて、持ち家が八割だというような住宅政策ではどうしても行き詰まる以外にないし、それ自体非常に矛盾していると思うんですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/270
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271・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 先ほども御答弁申し上げましたように、年収三百万円程度の方がやはり一戸建ての持ち家を持つということは数字的に東京等では無理だということでございまして、ただ、公庫の昨年のマンション購入の実績の千三百五十万、これならば十分三百万円程度の年収の方でも二五%の負担で取得できるということでございます。したがいまして、私どもはやはり大都市ではそういった三百万程度の収入の方が手に入るようなマンションというものを中心に考えざるを得ないんじゃないかというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/271
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272・上田耕一郎
○上田耕一郎君 ですから、やはり大都市圏で本当に住宅に困っている人のために、困難を突破して公共住宅、特に公共賃貸住宅をもっと建てられるような政策を一貫して体系的に追及していただきたい、そのことを私は強く指摘したいと思います。
さて、今回の住宅金融公庫の返済期限延長あるいは一年据え置き、これ自体は私どもはわずかながらでも改善であると思いますが、木造で五百万円借りた場合に十八年から二十五年に延びたかわりに、返済金利の総額はいただいた資料でも百三十二万円ふえるわけですね。もし本当に所得の低い人たちに借りやすいような善政を行おうというのだったら、金利も下げて返済総額がふえないようにできないだろうかと思いますけれども、どうでしょう。その際金利はどのくらい下げれば総額はふえないで済むということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/272
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273・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 私ども一般的な常識から申しますと、確かに償還期間を延ばせば総額の返済金額はふえることになります。しかし、金融の常識としまして、同じ金利でもって借りる場合、返済総額が多くなるような借り方というのはむしろ有利な借り方だというようなことを私ども考えております。ただ、そうは言いましても、やはり一般の国民の感情からいたしまして、そういった返済総額がふえるのはいやだというような方もおられると思います。したがいまして、今回の二十五年の延長に当たりまして、もう二十五年を一本でやるということでなくて、二十年もあり、十五年もあり、これはそういった公庫資金をお借りになる方の自由な選択で選んでいただこうというように考えている次第でございます。
それから、公庫の融資の金利を引き下げるべきではないかということでございまして、これにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、経済対策閣僚会議におきまして引き下げるという方針は決まっております。ただ、その引き下げ幅等につきましてはまだちょっと未定でございますが、引き下げるという方針は決まっておりまして、これを四月の募集から適用するという方針も決まっている次第でございます。返済総額を変わらないようにするために幾らの金利になるかということは、ちょっといま計算を持ち合わせておりませんので答弁を保留さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/273
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274・上田耕一郎
○上田耕一郎君 先ほど指摘しましたような住宅状況から、庶民の悩みにつけ込んでいろんな問題や事件も起きています。そのうちの一つに、私ども調べておりましたら、四月九日付の毎日新聞にも出たんですけれども、三和開発株式会社というところが、東京都の先生方、いままで被害者約百人ぐらい出ているんですけれども、こういう方々に、文字どおりもう住めもしないような住宅ですね、水道も入っていない、電気も入っていないというようなところの建て売り住宅を売りつけて非常な被害が起きているという事件が生まれておりますけれども、この事件、これは建設省、実情を調べたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/274
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275・大富宏
○政府委員(大富宏君) 御指摘になりました、四月九日、毎日新聞で報道された事案でございますけれども、三和開発株式会社、これは東京都に本社がありまして、資本金一億五千万円の会社でございますが、設立が四十二年に設立されました。建設大臣の免許業者です。この会社が茨城県の猿島郡の三和町を中心に四十六年ごろから住宅開発をやってきておるわけでございますが、この会社の特徴というのは、大規模な団地開発をするんじゃなくて、十区画から五十区画ぐらいの小規模開発をやっています。個所数で八十カ所ぐらいございますが、現在までに仕上げたものが宅地で約千区画、建て売り住宅で約三百戸の販売を行っております。
最近、御指摘のように、東京都に対しまして購入者の多数から苦情の申し出がございます。そこで、東京都が事情を聴取いたしたところ、その販売状況というのは、都内の公立学校あるいは公立病院を主に訪問販売をするわけでございますが、マイホームを求めている先生などに対しまして、資金づくりのための投資として三和開発株式会社の販売物件を購入することを勧めている。筑波研究学園都市の入り口にあって東北新幹線が近くを通るので数年で倍になりますよと、その段階で当社が転売または買い取りますよと、建て売り住宅も借り手が多いので借り受け人のあっせんもいたしますと、こういうようなことで、これはほとんど口約束でございますが、販売をいたしまして、その後約束を履行しないというところから購入者が苦情を申し入れているようでございます。
この苦情を受けまして、東京都におきましては、消費者保護の観点から、この三和開発株式会社に対しまして、販売時における約束につきまして誠意をもってその履行に努めるように現在強く指導を行っているところでございまして、まあこの会社も、今後はひとつ転売とか転貸しとか、そういったものを条件とした販売は行わない、四月からはすでに売っている既販売分の転売とか買い取りを担当する組織を増設いたしまして、積極的に苦情処理に対処するという姿勢を現在示しておるわけでございます。ただ、この会社が行っておるいわゆる宅地建物取引案件、よく事情を聞いてみますと、誇大広告とか、あるいは物件説明書の不交付とか、あるいは契約書の内容が不備とか、宅建業法上問題の多い内容でもございますので、東京都に引き続きひとつ実態を調査するようにこちらの方から言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/275
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276・上田耕一郎
○上田耕一郎君 ここには被害者の訴えやら、そのときの契約書その他もわれわれ持っておりますけれども、かなりインチキなところが多いわけですね。東京都も宅建業法違反の疑い濃厚と言われるし、いまの局長の説明でも非常に危ないところが多いわけです。ところが、その会社が、これは朝日新聞の四月五日ですけれども、ちゃんとこういう大きな広告をいまでも載せておりまして、「堅実経営の安定企業を選ぶ時代です」といって、営業部員三十五名募集とかいってやっているわけですね。こういうのを放置しておきますと、被害はさらに広がるんじゃないかと思うのですが、いまのお話ですと、会社側も何か措置をとると言ったようですけれども、被害者の救済措置ですね、これを本当に会社が責任をとるよう建設省としても指導すべきだと思いますし、それから中身が非常にあいまいだ。こういう今度の例なんというのは非常にまことにひどい例だと思いますので、たとえば免許取り消しを含む強い建設省としての措置、指導ですね、それが必要だと思いますけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/276
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277・大富宏
○政府委員(大富宏君) いま申し上げましたように、会社も東京都の指導を受けまして、いま言うようにクレームを承る窓口も増設しているようでございますし、今後非常に誤解を招くような販売方法は厳に戒めるというような姿勢でございます。何と言いましても会社でございますので、いま申し上げたような千区画、三百戸、もうすでに販売済みのものでございますので、極力ひとつ消費者が立ち行くような仕組みを現在の会社にやらせることが先決だと、このように理解しております。御指摘もございましたので、十分ひとつ東京都を指導しながら、消費者保護という観点から指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/277
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278・上田耕一郎
○上田耕一郎君 今後だけじゃなくて、いままでの被害者ですね。先生方、もう百名近い方が被害者の会、いるわけですけれども、この人に対して会社からちゃんと損害を補償するだけのそういう措置の指導もぜひとっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/278
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279・大富宏
○政府委員(大富宏君) 御指摘のとおり、その問題も含めまして十分指導いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/279
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280・上田耕一郎
○上田耕一郎君 次に、先ほど住宅局長の答弁の中にもありましたミニ開発ですね、言われましたけれども、これも首都圏あるいは関西などで非常に大きな問題になっておりますので、この問題をお聞きしたいと思います。
国土庁にお伺いしますけれども、住宅地の適正な最小面積、どのぐらいが適当とお考えになっておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/280
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281・山岡一男
○政府委員(山岡一男君) 全国平均で申しますと、現在、公庫融資の対象が大体二百平方メートルを超えております。地方によって差がございますけれども、できる限り大きい方がいいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/281
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282・上田耕一郎
○上田耕一郎君 ところが、現実は非常に厳しいわけで、東京都が調査しましたもので東京の土地一九七六年というものを見ますと、ミニ開発が非常にふえているわけです。なぜミニ開発がふえるかというと、きょうも問題になった関連公共施設費の負担ですね、これを大規模開発でやると非常に負担がかかり過ぎるというので、都心ならばあるいはその負担が余り要らない。もう下水もあるし、道路もある、学校もあるというので都心のミニ開発をねらって業者がどんどんそこへいま集中しているという状況があるわけです。
昭和五十一年に東京で土地を取得した者のうち、百平方メートル未満の所有者は区部で六〇%以上、多摩では四〇%以上ということになっております。板橋などでは百平方メートル以下がもう九〇%を超えているというような状況も生まれているわけです。それで、このミニ開発というのは大変な状況のもので、十坪ちょっとぐらいのところに六、七坪で総二階がずらっと建つという状況なんですが、個人が建てる場合には、こういう居住水準のものにでも住宅金融公庫は融資するという方針になっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/282
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283・大津留温
○参考人(大津留温君) 公庫の融資に当たりましては、建設基準というのを設けて一定の基準に合わないものは融資の対象にしないという方針でおりますが、個人が用意されました土地に融資を受けて住宅を建設されるという場合には、その宅地が危険性がないかどうかという基準で見ますけれども、面積につきましては最低幾ら以上という基準は設けておりません。
いま上田委員が御指摘になりましたミニ開発というのは、御指摘のように百五十坪ぐらいのところを八区画にも九区画にも分けて、そこに建てて建て売りをやるというので、個人が土地を買って、あるいは前から持っておった土地に融資を受けて家を建てるという場合にはちょっとミニ開発というのは当たらぬじゃないかと思います。したがいまして、この建て売りの場合は私の方の建設基準というので敷地について基準を設けております。これは大規模な宅地開発につきましては、冬至におきましても四時間の日照が確保されるような間隔を持たなければならないということで規定しております。それから小規模な開発による分譲住宅につきましては最低百平米以上という基準を設けておりますので、おっしゃるようなミニ開発に対して公庫が融資をし、これを助長しているということはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/283
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284・上田耕一郎
○上田耕一郎君 業者の場合には、ミニ開発は、ですから住宅金融公庫を使わないでもっぱら銀行その他の融資でやっているところが多いようですが、個人の場合には、確かに狭いけれども土地を持っている、そこで公庫融資を受けて小さな家を建てる、目いっぱいの。そういうことも認められるべきだろうと思うんですけれども、全体を考えますと、たとえば第三期住宅五カ年計画の平均居住水準で言うと、四人家族で三LDK、専用面積は八十六平方メーターというふうに言われているわけですね。だから、そういう点を考えると、やっぱりミニ住宅が個人でもどんどんできて、住宅金融公庫融資がそういうのにも回っていくというのはやはり一考を要する。だから、小さな住宅しか建てられない場合には、やはり私先ほど申しましたような公共住宅ですね、これに住んでいただくという方向に進めていくことが望ましいんじゃないかと思うんです。しかし、それは別としまして、いまの業者のミニ開発は、考えれば考えるほど、また実態を調べれば調べるほど大変な状況です。
私ども、今度板橋の例と練馬の例をちょっと調べてみたんですが、板橋の高島平一丁目の場合、せっかく区画整理をやって生まれた保留地一区画、これ六百七十五平方メートルなんですが、それを分けまして、私道を通して、ばっとこう建てているんですけれども、もう本当に軒と軒を接して、屋根と屋根がくっついている。建蔽率六〇%のところなんですが、文字どおり建蔽率はこれどうなっているんだろうと思うぐらいのびっしりした建て方です。一番多いのは、ここは坪十一.五坪、三十八平方メートルに二階建てで、建築面積六・七坪、総二階というんですね。つまり、十一・五坪のところに六・七坪、総二階、これがずらっと建ってしまうという状況で、行ってみますと、防災上も本当にもう大変で、これはどうなることだろうかと思うような状況です。
板橋区の場合には、こういうことが進むために指導基準をつくって、昨年の秋、一区画の宅地面積は六十平方メートル以上にするということにしました。この指導基準ができた後、建てられた同じ板橋の舟渡一丁目、ここもわれわれ見てまいりましたが、ここは指導基準のおかげで六十一平方メートル、その敷地に三十三から三十六平方メーターの二階建てが建っている。こうなると、狭いながらも庭もとれますし、家と家との距離もできているというので、この指導基準のおかげで、高島平一丁目のミニ開発と舟渡一丁目のミニ開発とを比べると、指導基準があるおかげで多少は町らしくなったということで、やっぱり効果があるということがよくわかるわけですね。だから、少なくともこの例から見ても、六十平方メートルというのはぎりぎりの最低基準じゃないかというように思われます。
それからもう一つ、練馬の豊玉北、ここも見てまいりましたが、これは日本経済新聞などでも取り上げられたところで、これも大変で、ここは一区画が私道込みで五十平方メートル、そこにアパートを建てまして、それがずらっと七棟並んでいる。近所でも日照の問題、通風の問題、火事の問題、プライバシー問題など大問題になって、区が業者を呼んで指導した。業者は区の指導を受けたんですけれども、そのおかげで建築がおくれて損害を受けたというので、いま裁判になっているんですね。そういう状況もあるわけですね。
政府は、このミニ開発問題、一体どう把握し、どういうふうにこの問題、指導しようとしておられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/284
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285・大富宏
○政府委員(大富宏君) ミニ開発というのは、確かに現在定義がないわけでございますが、御指摘、御引用をされました東京都の一九七六年のいわゆる土地白書、これによりますと、千平方メートル未満の団地を大部分の区画で百平方メートル未満に分割するものを大体ミニ開発と呼んでいるようでございます。このミニ開発の定義で特徴的なものは、いわゆる開発許可を要しないということでございまして、その結果、日照とか通風とかいう問題が出ておりますし、さらには、せっかく住宅は建てたけれども改造もできない、改造する余地もない、将来非常にスラム化が心配される問題でございます。
これに一体どのように対処するかという非常にむずかしい問題でございまして、私どもやはりミニ開発の行われる場所が既成市街地の密集市街地に行われる分野と、それから新市街化区域に行われるものと、両方考えられようかと思いますが、既成市街地に行われるミニ開発につきましては、基本的には、そういうぐあいに非常に居住環境の劣悪なところにつきましては、やはり再開発を進めるというよりほかはないだろうと思うわけでございます。御指摘になりましたように、ミニ開発といいましても、建築基準法上の確認はとった適法の住宅であれば、これを規制するというのはなかなかむずかしいわけで、練馬で行われているように、ある程度行政指導——これは行政指導でございますから強制権がないわけでございます。行政指導という限度でこれを誘導するよりほかはないわけで、基本的には建蔽率をいじるなりあるいは容積率をいじるなりという法的手段を講じつつ再開発を行っていくというやり方だろうと思います。
それから、新市街化区域につきましては、現在開発許可に至らしめているのが千平方メートル以上ということになっておりますけれども、これは都道府県の規則で三百平方メートルまで開発許可基準を下げる、規模を下げることができるわけでございます。ただ、執行体制等の関係もございまして、現在この千平方メートルの開発許可基準の規模を五百平方メートルまで下げた市町村というのは、八百十六市町村のうちのわずか四十一カ町村にしかすぎない。わずか五%です。それをさらに三百平方メートルまで下げたのは、全国で堺市一カ所だと、こういう状況でございます。いまミニ開発の問題がとやかく言われている段階でもございますので、まずはともかく都市計画法におけるところの開発許可の対象規模を五百平方メートル、さらには三百平方メートルまで極力きめ細かくひとつ指導をしていくということが第一だろうと思いますが、それにいたしましても一区画の最低敷地制限を開発許可でやるわけにはまいりません。
そこで、どうしてもいま申し上げるようにこのデメリット、ミニ開発がやはり資産価値というようなもののない、デメリットが非常にある問題でもございますし、個人にとってもそうでございますが、市町村にとっても将来は大変なクリアランスの費用をかけなければいかぬ問題でもございますので、新市街化区域につきましては極力ひとつ計画的な宅地開発に誘導していく。その際にやはり一番ネックになっておりますのは関公の問題でございましょうが、これについて大いに補助等をやりまして、負担が余り開発者にもまた最終需要者にもかからないような指導を行うということが肝要ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/285
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286・上田耕一郎
○上田耕一郎君 国土庁は、去年の六月にこのミニ開発問題について調査をいたしておりますけれども、どういう結果で、どういう措置をとろうとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/286
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287・山岡一男
○政府委員(山岡一男君) 昨年、五十二年の六月に調査をいたしておりますが、これは東京都と大阪府におきまして、東京都で三百件、大阪府で二百件、合計五百件を選んでおります。その際に、昭和五十年の七月一日から五十一年の八月の末日までに売り出されました第一種住居専用地域、それから第二種住居専用地域及び住居地域等の住居系の地域にあります建て売り住宅で開発面積が二千平方メートル未満、これは届け出制度では二千平方メートル以上は見ておりますので、以下を対象とした。それから一団地の区画数が四以上のもののうちから、私道敷地面積を含み一区画の面積が百平方メートル未満のものというものを抽出いたしまして、不動産鑑定士等がミニ開発業者の売り出しパンフレット等を基礎に、必要に応じまして関係者からの聞き取り等の方法により調査を行ったものでございます。
それによりますと、開発面積と平均区画面積でございますけれども、一区画当たりの有効宅地面積の平均が東京地区では六十八・七平方メートル、大阪地区では六十五・九平方メートルときわめて小さいということでございました。その上に、延べ床面積で東京地区では六十四・三平方メートル、大阪地区では六十八・三平方メートルの建物が建築されておりました。その結果、有効宅地面積当たりの容積率は、東京地区が一〇一.三%、大阪地区は一〇八・三彩に達しているということでございました。なお、同時に販売価格等につきましても聞き取りの方法で調査をしたわけでございますけれども、実際には上物も下物も込みで売っておるというのが普通の状況でございまして、販売価格の平均では東京地区が二千万円、大阪地区が約千五百九十万円ということでございました。大体そのような調査になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/287
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288・上田耕一郎
○上田耕一郎君 これが地価をも押し上げていることになっていると思います。いまの国土庁の調査でも、標準価格に比べて全体の平均で一五%高くなっているわけですね。
それから、日経新聞によると、国土庁の調べではこのミニ開発、建蔽率、容積率違反が平均四割あったと、こうありますが、そういう事実はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/288
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289・山岡一男
○政府委員(山岡一男君) 実はこの調査が行われましたとき、私、住宅局長でございました。当時それはゆゆしいことだということで東京都に確かめまして、その中の相当部分について調査をしていただいたわけでございます。そのときにはどうもおっしゃるような建築基準法違反はないという返事を当時いただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/289
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290・上田耕一郎
○上田耕一郎君 こういう状況について、やっぱり何とかしないといかぬ。もちろん百平方メートル以下のものは全部禁止だということにしますと、それこそやっぱり都心に家を持ちたい勤労者は逆立ちしても持てないということになりますので、考えなきゃなりませんけれども、やっぱり都市環境、生活環個を守るための最低の措置はどうしてもとらなければならないのではないかと、そう考えます。それで、先ほども申しましたように、自治体ではいろいろ工夫をして行政指導をしたり指導要綱をつくったりしていろいろ考えているわけです。
それから、東京都の都民要望に関する世論調査、これは去年の十月、都の都民生活局がやったものですけれども、ミニ開発についてはやむを得ないという人が二五%あるけれども、取り締まりを強化すべきだというのが三一・三%、新たに規制すべきだという人が三〇・四%あって、両者合わせると六一・七%、約六割の世論が、これはやむを得ない面も確かにあるだろうけれども何とかしなきゃならぬ、規制すべきだという声があるんですね。これは六割の世論が要求しているという点では、世論のコンセンサスが大都市の場合には成熟しつつあるという感じがします。そのために、われわれ調べてみますと、行政指導を実施しているところが特別区では四区ありまして、板橋、足立、練馬、世田谷、これは一番ミニ開発の進んでいるところですね。これはどうしてもやらなければならないので、板橋、足立、練馬、世田谷でいまやっております。それから三多摩でも九つの市、武蔵野、昭島、調布、小平、日野、保谷、東大和、清瀬、東久留米でこの行政指導をやったり、指導要綱をつくったりしてやっております。それから大阪府では、府下の四十四自治体のうち四十二自治体が開発指導要綱を持っておりますけれども、そのうち半数が宅地の最小面積を決めているんです。八尾市などは六十六平方メートル。ただし、多くのところでは百から百五十平方メートルを決めているというんですけれども、何らかの措置をとる必要があるんじゃないか。
救仁郷局長は、きのうの日経新聞の夕刊でこのミニ開発問題についても触れられて、何らかの措置をとる必要があるというように述べておられますし、それから国土庁の国土利用白書、この中にもミニ開発問題が取り上げられておって、小規模開発で環境の劣悪なものを防止する措置を講ずべきであろうと、こう述べられております。それから、かつては建築基準法で敷地から三十平方メートル控除する、控除した後に律蔽率を掛けるということがあったんだけれども、これはざる法だというので昭和四十五年に取っちゃったんですね。取ったおかげでかえってミニ開発がいま進んでいるという状況もあるわけですね。
そういう点を考えますと、一切やるべきでないということでなくて、三十平方メートル控除方式も含め何らかの法的措置をやっぱりとる必要があるんじゃないか。全国の自治体でも、建設省にお聞きしますと、全国の自治体では三百六十五自治体が宅地開発指導要綱を持っていると。内容は千差万別だそうですが、あるというわけなんで、ここはひとつ国がやはりいまの状況を見て、国民の生活環境を守るために、特に大都市地域の生活環境、住環境、それから防災問題も含めて、世論の動向それから自治体の動きを見て知恵を出すべきではないかと、そう考えておりますが、住宅局長と建設大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/290
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291・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 私どもも、建築基準法の中で最小敷地面積を規定すべきではないかといういろいろな御意見が建築審議会等でも出まして、いろいろ昔から検討しているところでございます。ただ、建築基準法は、新しく開発する宅地だけでなくて、先生も先ほどおっしゃいましたが、既存の宅地にも適用になります。現在、たとえば東京等を例にとって見てみますと、既存の住宅の宅地で百平米未満というのが、四十八年の住宅統計調査では東京都全体、三多摩も含めまして五二%が百平米米満ということになっております。区部だけを取り上げますと、恐らくこれは六〇%を越しているんじゃないかというような推定がされております。そういった状態の中で、たとえば最小敷地面積を建築基準法で決めまして既存の宅地についても規制をするということになりますと、これはもうちょっと事実問題としてむずかしい問題ではないかというふうに考えます。そういった意味で、やはり当面の施策としては、先ほど計画局長から申し上げましたように、開発許可でもって指導していくというような形が当面の策として必要ではないかというように考えております。私どもも東京都を通じまして、特に東京都等でそういった開発許可を三百平米ぐらいまでおろしたらどうかというようなことも言っておりますが、確かに先生が先ほど挙げられました練馬だとか板橋とか杉並等では早くそれをやりたいという希望を持っているようでございますが、ただ、三多摩それから二十三区全体の足並みがなかなかまだそろわないというのが実態のようでございまして、できるだけ私どもはそういった形で当面開発許可の対象を三百平米まで早くおろして、そして適切な指導を行えるようにすべきではないかというような考えでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/291
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292・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま住宅局長から、現行法でも開発許可の基準を下げることができる、そういうことをも考慮する所見を述べたわけでありますが、また、上田委員から先ほど来いろいろ御指摘で、地方自治体におきましても、あるいは東京都の場合でありますと、区などにおきましてミニ開発の現状から何らかの措置を講じようということで行政指導を行っておるということでありますので、せっかくことしは住宅問題について相当広範囲にいろいろ調査をしたいと思っておるときでもありますから、実態を十分把握いたしまして、できればこのような行政指導が好ましいというような建設省としての意思表示をしてみるか、その許可基準を引き下げることについての指導をするか、いろいろと考えなきゃならないと思いますが、もう一つ実態を十分把握いたしまして、近くそういう総合的な調査との関連におきましてミニ開発の批判にこたえたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/292
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293・上田耕一郎
○上田耕一郎君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/293
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294・栗林卓司
○栗林卓司君 住宅建設の状況について、まずお尋ねしたいと思いますけれども、昨今の新築住宅の状況を見て、いろいろ予算も含めて対策を講じてきたわけですけれども、大体想定どおり進んでいるとごらんになっているかどうか、お尋ねしたいと思います。
ちなみに、ことしの一月を見ますと、新設住宅着工戸数でいって対前年比で六・二%の減、それから五十二年で見ますと、その前の年に比べて一%の減、さらに大体民需が中心になります建設資材の需要見通しを見ますと、大体五十三年度の第一・四半期についてもやや需要の動意が見える程度ということで、これも余り大きな盛り上がりを観測はしていない。こういう状態に対してどういう御判断を持っておられるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/294
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295・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 先ほど来申し上げておりますが、私ども住宅建設につきましては決して新聞等で見られますような悲観的な見方をしておりません。その一つの理由でございますが、昨年のいわゆる住宅金融公庫を通じましての追加でございますが、これはいわゆる十万戸の追加を十月に行ったわけでございます。これが実際に十月は抽せんでございましたので、たしか抽せんが決まりましたのが十月の末だったと思います。したがいまして、それから設計審査をやりまして、そして着工に入るというのが幾ら早くてもやっぱり一月にずれ込むという形で、昨年の年度前半はそういった住宅金融公庫を通じての刺激策というのが住宅着工統計上はなかなか出てこないという状況でございます。しかし、年度後半になりまして、後半と申しますよりことしに入りまして、一月の状況は一これは一月はもう大体例年でございますが、大体そう伸びないのが通常でございます。二月のわれわれの概報では、大体二月は対前年比一〇%以上伸びるというような感じを持っております。三月も恐らく引き続き十万戸の十月の追加と、一月のいわゆる募集、これは抽せんではございませんでしたので非常に手続は早く済んでおります。そういった影響が出まして、恐らく三月あたりでは対前年比相当な伸びが示されるのではないかというような見通しを持っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/295
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296・栗林卓司
○栗林卓司君 これは計画局でおつくりになった資料だと思いますけれども、「主要建設資材の需要見通し 五十三年度第一・四半期分」を見ますと、先ほど申し上げたように民需依存型の木材とか鋼材、これについては今年度の第一・四半期についてもやや需要に動意が見られる程度となっているわけですけれども、いまのお話と絡めて、と申しますのは、住宅金融公庫についていろいろ枠をふやしたけれども、一般の民間ローンとの振りかわりじゃないかという議論も一部あったことはあったわけだし、いまおっしゃったような見通しで本当にいくんだろうかという不安があるんですが、重ねてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/296
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297・大富宏
○政府委員(大富宏君) 大体、この五十三年度、セメントにいたしましても、骨材その他の建設資材関係、それぞれ一二、三%ぐらい五十二年度に比べまして供給需要量があろうかと見ているわけでございます。御指摘のように、官公需依存型のセメントとかアスファルト等につきましては、生産、販売とも前年水準をかなり上回って、引き続いて堅調なことで推移いたしておるわけでございますが、木材とか鋼材、こういうのは民間企業依存型の資材でございます。ほぼこれは横ばい、こういうことになっているわけでございます。価格につきましても、セメント、生コン等の受注資材につきましては、昨年秋以降、採算価格回復に向けての値上がりが見られたわけでございますが、建設資材全体といたしましてはほぼ安定的に私どもは推移している、こう見ているわけでございます。
それぞれ各建設資材についての状況をちょっと御説明いたしますと、生コンクリートにつきましては、一立方メートル当たりでございますけれども、昨年七、八月が九千百円でございましたが、本年三月で現在一万一千二百円の値上がりになってございます。それから鉄筋につきましては、一トン当たり昨年七、八月で五万三千円だったものが、この三月では五万八千円、九・四%の上昇。アスファルトにつきましては、これも一トン当たりでございますが、昨年の七、八月が二万六千六百円でございますが、ことしの三月で全く横ばいで推移している状況でございます。いま申し上げますように、大体こういう建設資材、生産能力等についてはもうほぼマクロに見まして余裕があるわけでございますけれども、やはり公共事業の推移いかんによりましては、一時、時期あるいは地域的に限定しまして、多少問題が出る心配があるということで、現在各省庁とも十分連絡をとりつつ、その量及び価格両面につきまして、安定的にこれが推移するようにいま努力いたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/297
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298・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 住宅の立場からちょっと補足さしていただきますと、木材につきましては、これはもう住宅建設の主要資材でございます。ほとんど住宅が需要の大半を占めております。確かに最近の林野庁の統計を見ておりますと、昨年来、製造者段階でのいわゆる生産、出荷、これはずっと対前年比マイナスになっております。在庫はむしろふえているというような状態でございました。これは私ども確実な林野庁の資料を持っているわけではございませんが、昨年来、木材価格はいわゆる円高の影響を受けましてずっと下がりっ放しの状態になっておりました。したがいまして、現在のところ、昨年いっぱい、恐らく流通在庫がほとんど処分されたのではないかというような見通しを持っている。したがって、生産者段階におきまして、生産、出荷が伸び悩んでいるのではないかというような見通しを持っております。そういったことから、私ども木材につきましてまだ確かに若干動意が見られる程度、生産者段階ではそんな状態のようでございますが、流通在庫がほとんど私どもも整理されたのではないかというような感じを持っておりますので、恐らく四月以降またそういった生産者段階でも、生産、出荷ともふえてくるのではないかというような感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/298
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299・栗林卓司
○栗林卓司君 私がお尋ねしているのは、住宅建設はいま現在つかんでいる数字だとはかばかしくはないけれども、これから二月、三月、数字が出てくるに従って相当上向くであろうというお話でしたから、木材を中心にした需給予測を見ていくと、そこではそうなっていない。したがって、実際にはなかなか住宅は三月、四月、五月となってもはかばかしくはないんではないんですかと、この点が聞きたかったのですけれども、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/299
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300・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 林野庁が持っている資料あるいは林野庁の需給見通しも、いわゆる生産者段階でのそういった生産、出荷、在庫といったようなものを中心に物を考えております。したがいまして、流通在庫については全然的確な資料がございません。したがいまして、実際の末端における需要とそれから生産者段階との間に流通在庫というクッションがございます。したがいまして、そういった影響を考えなければならないということで、私どもはそういった流通在庫のクッションが——いままではほとんどクッションになって生産者段階まで及んでないというような判断をしておりますが、今後は恐らく影響が出るんじゃないかというような考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/300
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301・栗林卓司
○栗林卓司君 では、しばらくまた状況を見ながらお尋ねをすることになりますけども、ただ、いずれにしても住宅について力いっぱいの対策を打ちたいというところからいま御提案の据え置き期間一年を含めた法律案の御提案だと思うんですけども、これ、一年据え置きにしたことによってどの程度の——これは景気対策としてというお話があったわけですけども、どの程度の効果があると予想されているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/301
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302・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 先ほど来申し上げておりますように、一年据え置きということで住宅建設戸数がたとえば何%伸びるというようなそういった的確なものではないと私は考えておりました。一つは、そういった一年据え置きということでやはり国が住宅政策においていろんな手を使っているんだというそういった心理的な効果も一つございました。それ以上に私どもやはり考えておりますのは、住宅を建設する場合には、先ほども申し上げましたように、やはり住宅をお建てになる方はもうぎりぎりいっぱいの資金でいろいろ計画されるということでございます。したがいまして、たとえば先ほども申し上げましたが、百平米の住宅を建てたいんだけど九十五平米でしんぼうしようじゃないかというようなそういったことから、一平米でも二平米でも広い、質のいい住宅をお建ていただくという効果も期待できます。それからまた、住宅をお建てになった初年度はいろいろと物入りがございます。先ほど税金のお話もございましたが、そういったいろんな物入りがございます。したがいまして、その一番苦しい初年度においてそういった苦しい状態を何とか少しでもやわらげたいという効果もあるんではないか。また、それがはね返って、たとえばカーテンもかえたいんだけど、ソファーもかえたいんだけどちょっとしんぼうしようという方々が、それじゃ初年度だけは何とか楽になるならこの際カーテンやソファーも買いかえたらどうかというような、そういったことでの効果はあるんではないかと私どもは考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/302
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303・栗林卓司
○栗林卓司君 これ、一年据え置きにしまして効果があるとすると、ことし建ててもいいし来年建ててもいいという人が仮にいるとしたら、一年据え置きならことし建てようかということになるんだろうと思うんです。そうしますと、土地の手当てが終わっている、住宅金融公庫を除いて資金の手当ても終わっている、だけど着工時期だけが決まってない、その人が仮にいるとしたら、据え置き一年でも効果があると思うんだけど、まあ常識では考えられない。となると、おっしゃったように何ほどの効果があるかということになると、疑問であるということは正直なお答えだと思うんです。そうやってそれぞれの国民の人たちが土地の手当てをする、資金の手当てをする、何とか一日も早くと、こういう中で今年度だけ一年間据え置きになる。ということは、どうがんばったって来年じゃないと手当てができないから、来年しか家をつくる道がない人と、ことしたまたまつくる人を比べてみた場合に不公平だとお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/303
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304・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 先ほど来申し上げておりますように、住宅政策上考えますと、今後もこういった——ことし相当思い切った負担軽減措置をとったつもりでございますが、これを来年度以降まだまだ私どもとしましてはもっとこういった負担軽減措置をいろんな面で広げていかなきゃならない。そういった中で、やはりこういった据え置きの問題も含めて先ほど申し上げましたが、住宅政策上考えますと、一年ということでなくて考えなければなりませんし、あるいは据え置きでなくて、いわゆる逓増償還方式というような考え方も出てまいります。そういったことも総合的に考えまして、もう今年度で終わりだということでなく、やはり負担軽減措置については総合的な対策を来年度以降もやっぱりとっていかなけりゃならないんじゃないかというような考え方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/304
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305・栗林卓司
○栗林卓司君 すると、繰り返してお尋ねするようですけれども、期間据え置きということが続くかどうかは別にして、実質的にこの内容は来年度以降も存続をしながら発展的に生かしていくんだ、そう考えてよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/305
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306・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 方法はいろんな方法がございます。そういったものを含めて検討させていただきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/306
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307・栗林卓司
○栗林卓司君 くどいようですけど、一年というのは本当に困るんですよ。なぜ困るかというと、たとえば景気対策として一年据え置きにした。じゃ、来年の経済をどう思っているんだと聞かれたら答えなきゃいかぬわけです。じゃ、来年になってまた一年続けるのかというと、それは家をつくろうとなさっている方々を非常に混乱させる。だから、いろんな制度があるけどもじゃなくて、中身として一年据え置きが持っている軽減度、それは内容として踏まえながら来年以降も続けてまいりますと、そういう意味でおっしゃったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/307
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308・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 確かに、私どもこの一年に限ったのは、先生の御指摘のように、まあことし建ててもいいし来年建ててもいいという人は、できるだけことし早く建てていただきたいという気持ちがあったことはこれはもう事実でございます。ただ、先生御指摘のように、それでは住宅政策の本来の筋からはちょっと不公平ではないかという御指摘もこれは事実だと思います。まあそういったことを踏まえまして、住宅政策上からは、やはり来年度以降そういった据え置き期間の問題も含めて総合的な負担軽減措置というものを考えていかなければならないだろうというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/308
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309・栗林卓司
○栗林卓司君 それでは、土地の問題について若干お尋ねしたいんですけども、四月の一日に国土庁が公示価格を発表されました。おおむね安定基調だというコメントを添えながら発表されたと思います。お尋ねしたいのは、土地の価格がおおむね安定基調という、まあ実際調べた結果を見てそう思われたんでしょうけど、おかしいなと思いませんでしたか。宅地の供給はなかなかもってはかばかしくいかない。しかも公共事業重点で住宅建設を力いっぱいやるんだということになっている。需給関係から考えても土地の値段は上がってあたりまえ。だけど、調べてみたら安定基調だ。最初におかしいなとお考えになったんじゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/309
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310・山岡一男
○政府委員(山岡一男君) 四月一日に土地鑑定委員会の行いました地価公示でございますけれども、私どもが安定的基調という判断をいたしたわけでございますが、それは昭和四十七年には三〇・九%、昭和四十八年には三二・四%上昇いたしました。四十九年に総需要抑制等によりまして戦後初めて九・二%下落をいたしました。その後、五十年が〇・五%アップ、五十一年が一・五%アップ、五十二年が二・五%アップということでございました。もちろん中身を見ますと、地域別、地目別には若干の差はございますけれども、やはりそれらの過去の値上がり状況等から見ますと、おおむね安定的に推移しておるのじゃないかという判断をしたわけでございます。
それから、先生のお話のように、住宅もどんどんやる、公共事業もどんどんやるというムードが補正予算あたりからもう始まっております。それにもかかわらず、なぜ上がらないんだということでございますけれども、これも建設省御当局から御説明があったのではないかと思いますが、やはり最近におきます住宅の特に重点を置かれました、たとえば金融公庫融資というものを見ましてもこれはオールジャパンでございます。それと同時に、やはり過去の例並びに最近までの統計等によりますと、すでに住宅地の手当てをした方々というのがほとんどでございまして、当年度土地をお買いになる方は一五%程度というふうに聞いております。それからさらに、大型の公共事業の執行によります用地の先行取得の状況等をやはりこれも建設省あたりからお伺いいたしますと、年間の必要量に比べてすでに相当の先行取得量がある。したがって、当面直ちに土地の取引が活発になることはないというふうなのも現状のようでございます。したがいまして、それらを反映いたしまして、年間で見ますと二・五%程度のアップということにとどまったのだなというふうにわれわれ考えたわけでございます。もちろん全体の中では一一・何%上がったところもございます。それから五・何%下がったところもございます。調べてみますと一々理由があるようでございまして、平均としての二・五%アップというのは適正な公示ではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/310
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311・栗林卓司
○栗林卓司君 適正なというのは、お調べになって結果が二・何%になったんだからそうだという御判断でしょうけど、土地の先行取得にしても、これは毎年積み増しをしていかないとストックがなくなってしまうわけでありますし、宅地の供給について見ると、供給の増加傾向どころか減少傾向になって、一体これからどうするんだというのが実態だ。しかもそこの中で住宅が欲しいという意欲は依然として強い。で、住宅金融公庫にしても金利を含めて相当の改善をしてきた。それは需給関係から見て土地に反映されてしかるべきじゃないか。にもかかわらず、という御感触はお持ちにならなかったのでしょうか。伺う理由は、実勢と公示価格とこんなに違ってというのが今度ほど出たのは珍しい。その意味で、間違った調査をしたと私は申し上げているんではないんだけど、公示価格を調べる調査地点の選択も含めて本当は見直しをする必要があったのではないかという反省もあり得ると思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/311
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312・山岡一男
○政府委員(山岡一男君) おっしゃいますとおり、たとえば公共事業で先行取得をしておる用地がございます。これをことし使ってしまうと、また来年分を買っておかなきゃならないということになります。ただ、私ども伺っておりますところによりますと、公共事業の用地ストックは一年分ということじゃなくて、もう少しあるようでございます。さらにそれを買い増しする必要は当然ございます。ございますけれども、一番やはり地価に影響いたしますのは短期間に集中して取引が行われるということでございます。したがいまして、公共事業等の次年度以降の用地につきましては、平準化をしていただいて、年間を通じてお買いいただくというふうなことで十分なわけでございますから、そのための余り値上がりを想像することも要らぬことではないかというふうに私思ったわけでございます。
それからさらに、数年先におきまして確かに宅地が足らなくなりはしないかというおもんばかりはございます。現に開発許可なりその他土地区画整理の許可なり、そういうものにつきまして先細りの傾向にあるというのは事実でございます。数年先にそういうふうな心配が出てくるんじゃないかという気はいたしますが、これも正確な数字は、私が申し上げるのは適当でございませんけれども、土地区画整理の仮換地分の土地、だとか、公的及び民間宅地開発者の完成品の在庫だとか、それから個人の先行的な取得済みの用地だとかいうものも調べてみますと、相当数まだ保有されておるというような状況でございまして、まあそういうふうにどんどん進んでおるが、実勢と乖離しておるんじゃないかという点につきましては、そういうふうな事業に関しては余り心配はないということだと思います。
ただ、最近盛んに言われておりますように、先ほどもお話が出ておりましたけれども、ミニ開発等につきましてやはりわれわれ国土庁といたしましては、ミニ開発に対してのいろんな問題点がさっき建設省の方からお挙げになりましたけれども、そのほかにもう一点、国土庁として意識を持たなきゃなりませんのは地価の引き上げにならないかという点でございます。ただ、その点につきまして、やはりミニ開発の実態を調べますと、これは小区画の宅地でございますので宅地だけではとうてい売買にならない。したがいまして、全部建て売りということで売買がなされております。御案内のように、地価公示価格を示します場合の標準地の選定等につきましては、これはやはり中庸的なところ、通常の取引の規範となるようなところということで選ばれております。先生おっしゃいますように、こういうものにつきましては、ある程度時系列的に押さえる必要がございますので、一万六千数百地点の中には、そのほとんどがずっと後追いでございます。ただ、毎年度そういうふうなものの中で標準地として不適当だというものにつきましては、五%程度は毎年鑑定委員会の方で敷地の選定をやりまして場所を変えておるというのが実情でございます。そういう場合に、当然のことでございますけれども、正常な取引価格を告示をするということでございますのでた、だいまのところいろいろな取引事例を、今度の場合も一地点につき相当数調べておるわけでございますが、その中にはやはり異常なものがございます。
たとえば、従来からのいろんな取引の関係があって異常に安く売ったというものもございます。それからミニ開発のように上物も下物も一緒に売られてしまって、土地の価格が幾らなのかよくわからないというようなものもございます。そういうふうなものにつきまして、特異な事例は外しまして、その辺で通常行われます取引のものを一応の基礎といたしまして、そのほかにやはり収益還元法だとか原価法だとか、それぞれの地点に応じましていろんな手段をまぜまして鑑定をいたしておるというのが実情でございまして、私ども実際のミニ開発等の売買によりまして、特にまた国土法によります届け出制度をはみ出します二千平方メートル以下の取引におきまして、そういうふうな指標としろというふうに地価公示法に書いてありましても、若干逸脱するものがあることは事実でございます。しかしながら、逆に申しますと、そのためにこそよけいにそういうふうな正常価格の地価公示が重要じゃないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/312
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313・栗林卓司
○栗林卓司君 いまお話しのミニ開発というのは、ある意味で形を変えた土一地取引と考えても大きな間違いはないと思います。というのは、土地のままでは売れない、どうしてもそれは上屋をつけて建て売りのかっこうで、総ぐるみとして、買う人のまあどうにか無理して精いっぱいで買えるような価格に押し込みながら売っていくんだ、できることなら土地だけで売れりゃ一番簡単なんだけどもというのがミニ開発のそもそもの発達だった。これは土地取引のいわば変形だとすると、そこの中に、これは計算で推定するしかないんだけども、土地代見合い分が幾らかという、その取引に対して公示価格的な役割りをするものは現在ないんですけども、その点いま工夫されているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/313
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314・山岡一男
○政府委員(山岡一男君) 実はその辺大変むずかしい問題でございまして、研究会は持っております。研究会は持っておりますけれども、たとえば、当面のところそういうようなものにつきまして何かなきゃ困るなということで、五十二年に調査を行いましたときにも、ミニ開発建て売り住宅の宅地の場合と同様に、近隣の標準地または基準地からの土地の一般的な価格水準を土地鑑定の方法によって判定をするというようなことで一遍見ております。まあそういうふうなことが現在ではせいぜいのところでございますけれども、さらにそういうものについての検討は手法として考えていかなければならぬと、検討はいたしております。ただ、あくまでそういうふうな特殊な取引でございますので、正常価格を反映させる地価公示にそういうものを参考にするかどうかということとは別問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/314
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315・栗林卓司
○栗林卓司君 結局、建て売りということに対して、土地に公示価格が必要だったと同じような、ある基準になり得る値段が公表できるかどうかということでもあろうかと思いますけども、そこで、先ほども御議論がありましたミニ開発ですけども、まあ行政指導で当面取り組んでいくのが一番いいんではあるまいかという趣旨の御答弁もあったようですけども、ただ、考えてみると、個人がつくろうと公共がつくろうと住宅ストックであることは間違いない。そこに相当の資源配分を行ったことも事実だ。そうしていくと、最低どのぐらいの面積の上に大体こんな建物を建てろというところは行政指導なんだろうか、やはり法律事項にして明らかにしておかないといけないんではないだろうかと思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/315
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316・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) まあこれも非常にむずかしい問題でございまして、先ほど申し上げましたように実際の町の実態、まあ既存の、既成市街地の町の実態というのも、平たく申し上げますとミニ開発の集積と言ってもいいぐらいな状態でございます。そういった現実の状態を踏まえて、それを基準にして最低の基準をつくれということになりますと、恐らく五十平米とか六十平米とか、まあわれわれが考えております将来の都市を考えました場合には、とてもそんなものでは困るというような規制しかできない状態になるんじゃないか。また、一遍そういうたことを法律的にオーソライズすることは、逆にミニ開発業者がそれを盾にこれでいいんだというような、またマイナスの効果も出ることも考えなけりゃならないというような気もいたします。そういった意味でこれは非常にむずかしい問題でございますが、私ども、地域を限って何かできないか、たとえば普通の住居地域、あるいは商業地域、それと第一種住専、第二種住専、それぞれの地域において何かできないかというようなことも検討しておりますが、現在の地域制そのものが何といいますかマクロ的な地域制でございまして、非常にきめ細かい地域制になっておりません。したがいまして、どうしてもそういった、たとえば第一種住専と申しましても、その中にはやはりある程度ごじゃごじゃしたところから非常に大きなお屋敷町まで含んでおります。そういった中で、それの全体を総合してこれならいけるという基準がなかなか現実問題としてつくれないんじゃないかというような気がしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/316
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317・栗林卓司
○栗林卓司君 そうであればあるほど、やはり法律の面で最低基準はこうであるということを決めないと、それぞれ各地方自治体の判断に任せるというのではまずいんではないかと私は申し上げている。一つは、それは個人がつくろうと何をしようと、結局国民のストックであることは事実なんです。それがどこに問題になってくるかというと、後ほどお伺いする点でもありますけども、中古住宅の流通市場問題をどうするかというと、これはもうどんな家を好き勝手に建てていいということにはならない。身近の問題としては防災の問題もある。それやこれやを考えますと、法の不備とは言わないけど、それが国土利用計画法なのか、都市計画法なのか、ほかの法律かは別にしまして、何らかの法律的な基準をつくるべきだろうと思います。なぜそう言うかというと、やっぱり持ち家がどうこうという話があるとしても、自分の家を所有したいという実感はこれは相当に強い。しかも所有感がもたらす生活の安定感、これは無視ができない。ところが、この狭い日本でどうしてくれる。しかも湿気が多い。なかなかもって高層住宅ということになりますと、なかなか住み心地がよろしくない。というと、イギリスがそうであるように、やはり日本の国土に見合ったテラス住宅をわれわれは開発をしなきゃいかぬ。それがあればミニ開発と呼ばれないで済むんですよ。では、日本型のテラス住宅とは一体何なんだろうか。それも含めながら基準をつくっていく。これは行政指導の仕事じゃない。という意味で、法律事項にすることを前面に掲げながら、私はこの対策は検討すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/317
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318・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) ただいま先生、非常に重要な御指摘をなさったとわれわれは受けとめております。というのは、同じ敷地面積を一戸当たり使いましてテラスハウス式の住宅計画を立てますと、いまのミニ開発よりもずっと数段環境のすぐれた、防災的にもいいものができます。したがって、私ども一戸当たりの最小敷地面積が小さいんではなくて、むしろそういう計画が悪いんだというような判断をしております。これは先生の御指摘のように、われわれも、そういったいい意味での日本的ないわゆるテラスハウスと申しますか、平たく申しますと長屋建てでございますが、こういったものをやはり指導していかなきゃならないし、また消費者の方々にも、隣と壁を共有する、これじゃ資産価値としておれは不満だというようなことでなくて、むしろ環境問題から考えてそういう方がいいんだ、やはりそういったPRも十分していかなきゃならない。これには時間がかかると思いますが、私どもはやはりそういった面からのミニ開発対策も十分努力してまいらなければならないんじゃないかというような感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/318
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319・栗林卓司
○栗林卓司君 それが各党とも言っております住宅基本法の問題にもつながってくるわけでありまして、鋭意御研究を急いでいただきたいと思いますけども、そこで、ミニ開発に関連して先ほどの価格形成の問題、特に土地が高く相当有利な取引になっているという実態の問題ですけども、これは別な面で見ますと、大規模開発だと関連公共施設の費用がかかってくる。じゃ、千平米のところを十区画ぐらいに分けちゃって、道路は半分の行きどまりなんだ、よってもって安いんだということで済むんだろうか。やっぱり過密状態がそこで生まれることは事実なんだから、それまでにいろんな公共施設のストックがあるとしても、当然のこととして、もし大規模開発に関連公共施設の負担を求めるんならミニ開発にも求めるのが筋だ、それを求めて結果して価格形成を正当化する、これが一つのやり方。それからもう一つは、そういうミニ開発と競合するような状態を国みずからが、公的な団体がつくり出す。これは住宅公団の責任だと思います。もう一つは、先ほどの何らかの価格公示制度を求めながら民間のそれぞれ自主的な努力にゆだねるか、三つに一つぐらいを選択をしていかなきゃいかぬ。いずれにしても需要と供給でうまい取引があったということで見過ごすにしては余りにも不都合だ。この点はどうやって解決をされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/319
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320・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 御指摘のように、ミニ開発がやはりそういった形で建設されるという中にはいわゆる関連公共施設に対する負担、これが計画的ないい開発に対してミニ開発の方が負担がないという形で経済的に同じ条件の上に立ってない、これが一番基本的な問題ではないかというように考えております。そういった意味で、いわゆる宅地開発税という税制がございますが、これは少なくともミニ開発も大規模開発も同じ経済的な基盤の中で負担を求めようというような思想でつくられたはずでございますが、現実にはこれが全然機能していないという状態でございます。そういった問題も含めまして、先生御指摘のように、やはり同じ条件の中で競争して国民がどちらを選ぶか。同じ条件の中であればこれは環境のいい方を選ぶに決まっているのです。そういうような形でミニ開発対策を進めることが基本的な問題ではないかというように考えております。
それから、先ほど御指摘がございました、そういったいいモデルをつくるべきじゃないかということで、これに関しましては私どもも、まず公的な機関がそういったモデルをつくっていくということが国民に対するPRという意味からも非常に重要なことだと考えまして、公営住宅等では、東京ではございませんが、全国あちこちでそういったいい意味での高密度低層住宅団地というものも数カ所もうすでに実現しております。したがいまして、住宅公団でも最近、いわゆる都心でなくて郊外の団地におきましては、そういった庭つきの新しい住宅開発のモデルを早くつくってくれという形で、公団でもいま現在計画を進めさしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/320
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321・栗林卓司
○栗林卓司君 そこで、関連公共施設の問題、毎度の議論なんですが、ただ一つだけお尋ねしておきたい気がしますのは、住宅をつくると当然関連公共施設が要るんだ。そのことは間違いないんだけど、この関連公共施設というのは、何世代かに負担を分けていかなければいけないんだろうか。住宅の建設を担当したその世代が全額を持つんだろうか。それはその子供、孫まで含めた将来の世代負担を考えていいんではないんだろうか。ということは、その手のものは正しい意味で公債政策を活用すべきだ。それをきょうの負担に求めるから、今日のまるでまあどうしようもないことになってくる、私はこう思えて仕方がない。それを、じゃ国が公債を出すのか、地方債にするのか。地方債を出さしておいて利子補給するのかというのは二番目の問題でありまして、どっちにしても関連公共施設というのは、物はいまつくらなきゃいけないんだけど、その負担は何世代が持つべきか、この点はどうお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/321
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322・大富宏
○政府委員(大富宏君) いま議論になっております関公負担、結局は最終需要者にしわ寄せをされる関公負担が議論になっておるわけでございます。私どもはやはり関連公共公益施設というのは、原則としてはやはりそれぞれの管理者がすべきだと。問題は、やはり現在市街化区域を既成市街地と新市街地に分けた場合、既成市街地ですらまだ社会資本整備が行き届いていない。したがって、限られた公共投資も勢い既成市街地に集中される。ところが、片や新市街地の方には住宅宅地事業でまだ社会資本整備が整わない段階に盛んに団地開発がなされる。しかもそこででき上がるところの関公は地方財政負担に押しかかってくる。しかし、その負担に耐えるだけの公共投資がまいらない。そこで、やむを得ず現在は開発者に負担を求めるという実情だったわけです。
御案内のように、地価が上昇している段階では十分それも吸収できたんでございますけれども、地価が横ばいになったとたんに関公負担がえらい一つのネックになった、デベロッパーそのものが開発意欲を阻害するというところまで来た。それはしかし大変な問題であるということで、極力地方財政負担を軽減し、しかも最終需要者にしわ寄せされないように、本来持つべき者が持つようにしようというのが今回五十三年度初めてとられました別枠、これのほかにもいろいろ関公施策についてはやったわけでございますけれども、いままでも立てかえ施行制度の拡充とかいうことで、お述べになりましたように数世代というところまではまいりませんけれども、少なくとも地方公共団体が償還しやすいように据え置き期間を延ばしまして、それから金利負担も相当軽減する。それから一部には地方債の利子補給も国費でやり、さらに補助率もアップというようないろいろな施策をやってまいったわけでございまして、お述べになりました数世代という問題は、少なくとも本来持つべき関連公共公益施設の管理者がそれぞれ持つ、しかもそれについては地方公共団体が負担するのか、国がどの程度援助するかという問題で解決すれば、数世代の負担というところまでいかない段階で解決できるのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/322
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323・栗林卓司
○栗林卓司君 私がお尋ねしているのは、そういう公共施設をつくった場合に、その世代負担はどうあるべきかという物の考え方をお尋ねしているんです。その管理者が負担すべきだというのは、きょう現在おまえ負担しろと、こうなるんだけど、それでできりゃいいですよ。だけど、明治初頭わずか三千数百万人、いま一億一千万、やがて一億三千万までなろうという、それをその日その日に負担しろたってできるわけがない。というと、その間に当然人口がふえてくるといろんな公共施設をつくらなきゃいかぬ。それはその利益を享受するのはいまの親だけではなくて、やがては子供たち、孫たちになるわけですから、当然その負担というのは数世代にわたってしかるべきだ。ただ、きょう、あることが行われて、その利益を全面的にその親が享受するというんならその一世代で負担をしろと、問題はそういうことだと思う。物の考え方として、いろんなやりくりをなさってきたでしょうけど、ここのところはもう整理をして、この手のものは何世代かに長く負担を求めていく、これはきょう現在だと、こう整理をしていかないとどうにもならないんじゃないか。その意味で考え方としてお尋ねしたんですが、重ねて伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/323
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324・大富宏
○政府委員(大富宏君) 御指摘、十分理解できるわけでございます。いま直ちにこの瞬間において全部現在の世代が負担するということじゃなくて、私ども極力、いまちょっと例を引きましたけれども、金融公庫にも一部そういう制度を導入しているし、住宅公団等の公的機関についてもそうやっておりますけれども、十年据え置き、二十年償還というようなことで、償還期間も非常に延ばしている。全然問題違いますけれども、国債発行なんかも、やはり数世代にわたって、長期にわたってそれぞれ負担していくというやり方だろうと思います。お述べになりましたとおり、関公負担というのは非常に大きい数字でもございますので、やはり極力この負担を低減していく、それぞれの時代の者がそれぞれ分担をしていくという仕組みもやはり私は重大な検討課題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/324
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325・栗林卓司
○栗林卓司君 その意味で、公債政策は私は真剣に検討された方がいいと思います。十年据え置き、二十年なんて、もっと長くなるんですから、公債の場合は。ですから、その意味で世代負担を長く求めるものは公債を活用しながら、それで現在の金は金として活用しながらと、やっぱりそれがいまのミニ開発問題を根っこにおいて解決をしていく道なんじゃないか。長くなりますから別な機会に譲るとして、重ねて要望だけ申し上げておきます。
最後に、中古住宅についてお尋ねをするんですけども、この流通量が年間どのくらいあるかというのは、はっきりしたものはわかっていないようですが、おおむね一年二十万戸前後だろうと思います。新築住宅というのが大体年間で百五十万戸前後でしょうか。それとすると、二十万戸というのは決して少ない数字じゃない。この中古住宅の流通についてこれからどういう形で取り組んでいかれるのかが一点。
それから、恐らく試行錯誤という面でしょうけれども、住宅金融公庫で二千戸の中古住宅の枠をつくられたけど、これは今後どういう形で生かしていかれるのか、まず二点お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/325
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326・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 先ほどもお答え申し上げましたように、最近、中古住宅の市場というのがここ二、三年急激に大きくなっているような感じを私ども受けております。そういった既存住宅の活用という意味で、これは恐らく現在の二十万戸程度じゃなくて、もっと三十万戸、四十万戸近くいくことは、これはもう数年ならずしてそういう状態に来るんじゃないかというような判断をしております。そういった中で私どもがまずやらなければならないことは市場の整備でございます。これは中古住宅は非常に個別的な取引の対象でございまして、統一した相場というものがなかなかないという状態の中で、まずこういった市場を育成して、そして公平な価格取引ができるような形に持っていくことがまず第一だろうと思います。
それから第二点は、やはりそういった流通をスムーズにしますためにいろんな金融の問題、これは政府系の金融機関もございますし、あるいは民間の住宅ローンの問題もございます。そういった金融がスムーズにいくような仕組みをつくっていくということ。
それから第三点は、現在新築住宅にとられているようないろんな助成措置、これは政府系の金融の問題もございますし、あるいは税制の問題もございます。そういったものの整備を図ること。一応そういった三点を中心に今後対策を進めていかなけりゃならないんじゃないかというような感じを持っております。
それから、公庫住宅につきましても、そういった意味から現在二千戸の枠でいろいろ毎年試行錯誤的に条件を緩和しながらやってきております。私ども、なぜこれが伸びないのか、現在の市場の実態からしてもっと利用されていいんじゃないかというような感じを持っております。その都度、実態調査もしておりますが、もう少し私ども需要が来てもいいんじゃないかという感じを持っております。しかし、私どものどっか判断が甘いところがあるんじゃないかという反省もいたしております。まあそういったことを、実態調査を踏まえながら、住宅金融公庫のこの中古住宅の枠につきましても今後需要を掘り出しながら拡大してまいりたいというような感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/326
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327・栗林卓司
○栗林卓司君 後段の部分ですけれども、住宅金融公庫、二千戸の枠を換めたときの条件がついておりましたけれども、条件が大変厳しかった。なかなかその条件で見ていくと見合う物件というのがそうなくて、地上階数六階を仮に五階に下げただけでも相当ふえるとかという調査も最近はあるようですけれども、それを見ながら条件緩和を含めて、当然のこととして完全消化を図りながら、将来また必要であれば増枠を考えるということで理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/327
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328・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 来年度におきましても、条件を三階までというふうに引き下げまして、そういった条件緩和を図りながら枠を広げてまいりたいと、おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/328
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329・栗林卓司
○栗林卓司君 そこで、前段にお述べになりました対策ですけども、私もそう思いますけど、ただ、いつまでにそれを整備するか。実際に中古住宅が流通をしていく、そのときに価格がなかなか決めづらい、何をもって適正とするかも議論がある。とは言いながら、それが担保価値を形成していくということになると、その値段がどう動くかというのは経済政策から見て相当大きな問題にやがてなってくる。そうしますと、これからなかなかに浮き沈みのむずかしい経済運営をしていかなきゃいけないんだけど、そこの中で中古住宅の流通を金融面、制度面でどう整備をするかというのは相当急ぐ仕事じゃないかと思いますけども、おおむねめどとしては、どれぐらいのめどでいまの諸対策を考えておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/329
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330・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) まず、金融の面でございますが、この点につきましては、現在、民間の金融機関におきましてもこの問題につきまして相当積極的に取り組んでいただいていると考えております。専門会社は中古住宅の需要に対しまして、現在全体の中の三〇%程度が中古住宅の扱いになっているんじゃないかと考えております。また、都市銀行等におきましても、できるだけ私どももそういった中古住宅を対象にしていただきたいということでお願いをし、そしてそのためのいわゆる市場の整備ということも必要でございますので、そういったものも相まって民間の金融機関も中古住宅の融資に積極的に乗り出していただきたいというように考えている次第でございます。
いつまでということでございますが、これは一挙に解決するというよりも、むしろ逐年改善していくというような方向になろうかと思います。したがいまして、私どもそういった中古住宅の全体の流れ、住宅政策の中に位置づけられる数量的な姿というものは、先ほども御答弁申し上げましたように、ことしの住宅統計調査、住宅需要実態調査ではっきりつかもうというようなことで現在プログラムを組んでおりますが、そういった中で中古住宅の需要はこれぐらいの年間需要があるべきであって、それに対する全体の金融措置をどうするかというようなことも、今度の調査が終わって来年になりましたら若干全体像がつかめるんじゃないかというような考えでおりますので、そういったものを踏まえて逐年整備拡大を図ってまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/330
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331・栗林卓司
○栗林卓司君 中古住宅の金融対策というのは、中古といま言いましたけど、本当は新設住宅と中身は一つになるんです。新築住宅についての金融措置もかねていろいろ議論があったところでございますし、それやこれや含めながら鋭意対策を急いでいただきたいと思います。
最後に、一つだけお尋ねしたいのは、中古住宅の流通問題もそうなんですけど、住みかえというのをどういう角度で受けとめて今後の住宅政策に生かしていかれるか。というのは、ライフサイクルとの見合いでいろいろ議論があるところなんですけども、これから住みかえが多くなるだろう。そうなってくると、一つのライフサイクルの中でいろんな住宅を持つかもしれない。そのときどきで持ち家であるかもしれないけど、流通条件が整備されていれば持ち家でもいいわけですからね、住みかえというのは。それを考えていったときに、いまの公的住宅というのはそこのつなぎ手としてどうしてもある一定量必要なんじゃないか。だから、所得階層の低い者に対する公的住宅の供給という面が基本であることは間違いないけど、住みかえで自分のライフサイクルを組み立てていく中で公共住宅がどうしても不可欠になる、そういう整理をしながらお考えになっておられるのかどうか。いわば住みかえについてどう受けとめておられるかお尋ねしたい。関連して、公的住宅が昨今見るも無残な不振状況にあるんだけど、これをどう改善されるか。その点だけ最後にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/331
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332・救仁郷斉
○政府委員(救仁郷斉君) 現在の住宅事情を改善していくというためには、住みかえの問題というのは非常に重大な問題になってくるというように考えております。これはライフサイクルに従って、家族構成に応じて住みかえていくんだということでございます。ただ、私、そういった形のものはこれはもう恐らく今後も続くだろう、もっと頻繁に行われるだろうと。まあよく言われるんですが、アメリカ人は一生のうちに大体数回家を買いかえるというようなお話がございます。しかし、これがどんどん住みかえが行われればいいんだということでもないんじゃないか。というのは、いわゆる三全総の定住圏構想、これはちょっと飛躍かもしれませんが、そういったやはり自分のふるさと、自分のコミュニティーというものを確立するためには、余りそう頻繁に住みかえが行われたんではコミュニティーの形成上は若干問題があり得るんじゃないだろうか。そういった問題も踏まえながら、やはり住みかえという問題を考えていかなければならないんじゃないかというような考えでおります。
そういった中で、公的住宅の位置づけの中でやはりそれも考えるべきじゃないかというお言葉でございますが、私どもそういった当然低所得者の方々が次の段階に行かれるステップとしてのいわゆるつなぎの役目を公共住宅が果たすべきだということは当然でございます。しかし、単に中堅以上の方々が住みかえるためのいわゆる一時的なあれとして公共住宅の位置づけということはいまの日本の現状の中ではちょっとまだ早いんじゃないかというように考えております。現在、御承知のように、昭和四十八年の調査では約五・五%の空き家がこれは官民問わずあったわけでございます。世界的に申し上げましたように、こういった空き家というものが、大体数%の空き家がそういった住みかえのために必要だということでございまして、これは公的なものだけでなくて民間の空き家も含めまして、そういった需要には現在の段階では大体対応できるんじゃないかというような考えを持っております。
それから、最後のお尋ねでございます、現在の公共、公的住宅の空き家の処理対策の問題でございますが、これは先ほど来いろいろ申し上げておりますように、遠、高、狭というのがこれが原因でございます。で、遠と狭に対しましては、これは現在工事中のものもいわゆる規模増を図ったり、あるいはそういった交通機関の整備を図ったりして対策をとっておりまして、それから高の対策といたしましては、先般来、公団の既存の住宅の値上げの問題と一緒に新しい住宅の方を引き下げるというふうな対策をとりまして、そういった高の問題もあわせて解決して、できるだけ早く空き家の解消に努めたいというように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/332
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333・安永英雄
○委員長(安永英雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/333
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334・安永英雄
○委員長(安永英雄君) この際、委員の異動について御報告をいたします。
本日、降矢敬義君が委員を辞任され、その補欠として堀江正夫君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/334
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335・安永英雄
○委員長(安永英雄君) これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/335
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336・安永英雄
○委員長(安永英雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/336
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337・安永英雄
○委員長(安永英雄君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
この際、赤桐君から発言を求められておりますので、これを許します。赤桐君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/337
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338・赤桐操
○赤桐操君 私は、ただいま可決されました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案に対して、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
住宅金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、わが国の住宅及び居住環境の整備が大幅に立ち遅れている状況にかんがみ、国民すべてが良好な居住水準を享受し得るよう、住宅基本法の制定を促進するとともに、本法の施行にあたつては次の事項に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一、住宅建設における金融依存度の上昇傾向に対応し、公庫融資枠の確保に努めるとともに、金利、貸付限度額、据置期間、償還方法等貸付条件の改善、土地融資の拡大に努めること。
二、優良かつ低廉な宅地開発を促進するため、関連公共公益施設の整備について国の助成措置を強化するとともに、公庫の関連公共・利便施設の建設資金の貸付条件の改善に努めること。
三、いわゆるミニ開発が都市環境の保全上、災害防止等種々問題があることにかんがみ、その対策について検討すること。
四、既存住宅の有効活用に資するため、中古住宅について流通市場の整備、関係諸税の軽減に努めるとともに、公庫の融資については戸建て住宅も対象とするよう努めること。
五、現行公庫資金の貸付区分に検討を加え、簡素化を図るとともに、他の公的融資制度につても統合一元化する方向で検討すること。
六、公庫融資に伴う火災保険契約については、特約火災保険と同等の内容の他の保険、共済も契約できるよう改善に努めること。
七、民間住宅ローンについては、融資枠の確保、貸付条件並びに住宅ローン保証保険料の改善に適切な指導を行い、ローン利用者の負担軽減に配慮すること。
右決議する。
以上であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/338
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339・安永英雄
○委員長(安永英雄君) ただいま赤桐君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/339
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340・安永英雄
○委員長(安永英雄君) 全会一致と認めます。よって、赤桐君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し櫻内建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。櫻内建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/340
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341・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 本法案の御審議につきまして、当委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。
審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすように努めるとともに、ただいま全会一致をもって議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分尊重し、今後の運用に万全を期して、各位の御期待に沿うよう処する所存でございます。
ここに、本法案の審議を終わるに際し、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/341
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342・安永英雄
○委員長(安永英雄君) 本日はこれにて散会いたします。
午後六時一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414149X00519780411/342
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