1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和五十三年三月二十三日(木曜日)
午前十時二十四分開会
—————————————
委員の異動
三月二日
辞任 補欠選任
竹内 潔君 浅野 拡君
堀江 正夫君 亀長 友義君
小巻 敏雄君 小笠原貞子君
三月六日
辞任 補欠選任
真鍋 賢二君 林田悠紀夫君
三月十五日
委員林田悠紀夫君は公職選挙法第九十条によ
り退職者となった。
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 和田 静夫君
理 事
佐々木 満君
安恒 良一君
小平 芳平君
委 員
浅野 拡君
石本 茂君
遠藤 政夫君
亀長 友義君
斎藤 十朗君
福島 茂夫君
森下 泰君
高杉 廸忠君
広田 幸一君
渡部 通子君
小笠原貞子君
柄谷 道一君
下村 泰君
国務大臣
労 働 大 臣 藤井 勝志君
政府委員
厚生省医務局長 佐分利輝彦君
厚生省社会局長 上村 一君
農林大臣官房予
算課長 田中 宏尚君
運輸大臣官房会
計課長 西村 英一君
労働大臣官房審
議官 関 英夫君
労働省労政局長 北川 俊夫君
労働省労働基準
局長 桑原 敬一君
労働省職業安定
局長 細野 正君
労働省職業安定
局失業対策部長 細見 元君
自治大臣官房審
議官 石原 信雄君
事務局側
常任委員会専門
員 今藤 省三君
説明員
行政管理庁行政
管理局管理官 百崎 英君
大蔵省銀行局調
査課長 関 要君
厚生省年金局企
画課長 山本 純男君
資源エネルギー
庁石炭部計画課
長 向阪 浩君
労働大臣官房参
事官 鹿野 茂君
労働省労働基準
局監督課長 小粥 義朗君
労働省職業安定
局雇用政策課長 白井晋太郎君
労働省職業安定
局雇用保険課長 望月 三郎君
建設省計画局労
働資材対策室長 楢崎 泰道君
—————————————
本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
(派遣委員の報告)
(労働行政の基本施策に関する件)
○労働組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○理事の辞任及び補欠選任の件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/0
-
001・和田静夫
○委員長(和田静夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る三月二日、竹内潔君、堀江正夫君及び小巻敏雄君が委員を辞任され、その補欠として浅野拡君、亀長友義君及び小笠原貞子君が選任されました。
また、去る六日、真鍋賢二君が委員を辞任され、その補欠として林田悠紀夫君が選任されました。
なお、林田悠紀夫君は、去る十五日公職選挙法第九十条により退職者となりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/1
-
002・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 御報告いたします。
懸案となっておりました医療保険制度に関する調査の方法につきましては、理事会において検討を重ねました結果、このたび、医療保険制度、年金制度等社会保障制度の基本問題に関し委員全員による協議が望ましいとの結論に達し、このため、社会労働委員打合会としてその開会を図ることに各派の御意見の一致を見た次第であります。社会労働委員打合会は原則として委員会定例日外に開会することとし、議題の選定その他同打合会の運営に関しましては、委員長及び理事に御一任いただきたいと存じます。
以上御報告申し上げ、委員各位の御了承と御協力をお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/2
-
003・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 労働問題に関する調査を議題といたします。
これより派遣委員の報告を行います。委員長より報告いたします。
去る二月二十三日から二十五日までの三日間、片山理事、小平理事、真鍋委員、森下委員、高杉委員、安恒委員、安武委員、柄谷委員、下村委員と私和田及び現地参加の渡部委員は、構造不況産業における雇用等の諸問題及び当面の労働行政の実施状況等について実情調査を行うため、大阪府と兵庫県を視察いたしました。
調査は、両府県における雇用、労働需給及び失業の実態と労働行政の現況説明を聴取するとともに、ことに構造不況産業に関連して、造船業、鉄鋼業、平電炉業及び繊維業の各経営者並びに関係労働組合の代表から意見、要望を聴取したほか、これらの工場及び関連施設を視察してまいりました。
以下、調査の概要について御報告申し上げます。
まず、大阪府における雇用、失業の現況について申し上げます。長期にわたる不況を反映して、各企業においては雇用の拡大にはなお消極的な姿勢が強く、府下の労働需給関係は、五十年以降三年連続して求職者数が求人数を上回るという状況にあり、就職難からくる求職者の滞留が続いております。
これを五十二年四月から本年一月までの指数で見ると、有効求人倍率は〇・四六倍と前年同期の〇・六三倍を〇・一七も下回っております。このため、本年一月の月間有効求職者数は、九万八千六百七人の多きに上り、また、雇用保険を受給している月間の実人員は、昨年十二月で五万四千九百三十八人と前年同月比で一七・九%増と過去最高となっております。さらに、製造業の常用雇用指数は、五十年を一〇〇として昨年十一月現在で九〇・八と全国の九四・六を下回るなど、府下の雇用、失業情勢は一段と厳しさを増しております。
また、兵庫県におきましては、公共投資か着実に増勢を続け建設業及び関連業界への波及効果も逐次本格化しているなど明るい面が出始めているものの、鉄綱等の輸出が円高、米国の輸入規制などを反映して減勢を示しているほか、内需も依然として盛り上がりを欠いていること等により、全体としての最終需要はきわめて低い伸びにとどまっております。
このような動向を反映して、本年一月の有効求人倍率は、統計史上の最低記録を示した昨年十二月の〇・三一倍をわずかに上回る〇・三二倍にとどまるという厳しい就職難か続いております。このため月間有効求職者数は六万二千人に増加しており、このうち四十五歳以上が二人に一人、五十歳以上が三人に一人という比率で、特に中高年齢者に就職難が偏っているとのことであります。
なお、雇用保険受給者数は三万六千人、また、製造業の常用雇用指数は、昨年十一月現在で八九・八と大阪府を下回っております。
これを構造不況産業について見ますと、阪神工業地帯における構造不況産業のウエートは高く、大阪府では昨年十二月現在で、製造業事業所総数約七万事業所、同従業員総数約九十八万人となっておりますが、前年比で六百九十一事業所、二万一千三十二人が減少しており、このうち、いわゆる構造不況産業と言われるものは、事業所数で二二・四%、従業員数で一九・七%に及んでおります。ことに、繊維業、鉄鋼業、造船業等におきましては、操業短縮等に伴う雇用調整により、これらの従業者数はなお減少傾向を続けているとのことであります。
このような状況において、大手住宅メーカーの永大産業が二月二十一日事実上倒産したことにより、関連小会社、下請中小企業の連鎖倒産、雇用不安など、各方面への影響が懸念されており、現在、鋭意その対策に当たっているとのことでありました。
大阪府におきましては、臨時雇用対策本部を設置し、雇用安定資金制度、雇用保険法及び特定不況業種離職者臨時措置法等を積極的に活用し、失業の防止、就職者の生活の安定と再就職の促進を強化しているところであります。
また、兵庫県におきましては、関係産業界、労働組合、学者及び県関係部長をもって構成する産業雇用政策会議において、新しい経済環境の中で、当面する産業、雇用問題の具体的な解決策の策定を進めているところであります。
離職者多発地域における雇用機会の増大を図るため、国と地方公共団体か協力して離職者の救済措置と取り組む必要があると感じた次第であります。
次に、本年一月から実施されました特定不況業種離職者臨時措置法の適用状況について申し上げます。
本法による再就職援助計画書提出件数は大阪府六十二件、兵庫県三十一件となっており、その援助計画対象者総数はそれぞれ千八百七十六人と千五十八人、職業紹介対象者数は千四百三十六人と七百七十八人となっておりますか、求職手帳発給者数は現在認定作業中の者が多く八十八件と十八件にすぎません。また、これらのほとんどの者が十二月一日にさかのぼることとした経過措置による適用者であり、その大多数は中小企業で占められているとのことであります。なお、関係組合から求職手帳の発給促進について要望がありました。
次に、雇用対策上、重要な問題となっている中高年齢者の再就職及び職業訓練について触れたいと思います。
今回の調査におきましても、両府県における中高年齢者の雇用状況は厳しく、大阪府においては十月時点での有効求人数は過去三年間一〇%から一二%程度となっております。また、高齢者についての雇用率の達成状況は、昨年六月現在で、全国の五六・三%に対し、兵庫県は六〇・五%と高く、大阪府は逆に四七%と低く、このうち、大企業は八五・二%の未達成となっております。
大阪府は、主要安定所及び主要ターミナルに高齢者職業相談室を設け、積極的運用を図ることとしておりますが、両府県ばかりでなく、全国的に中高年齢者の離職者が増大し、滞留していることから、国として総合的かつ積極的な中高年齢者の対策を考える必要があると感じた次第であります。
さらに、中高年齢者に対する職業訓練につきましては、大阪府では園芸科、ビル管理科などの増設のほか短期間の経営実務科の実施を、また、兵庫県では造船業関連離職者に対する特別の訓練などを行っておりますか、その就職は容易でないとのことであります。
今国会に職業訓練法の改正案か提出されておりますが、技能労働力を初め需要に応ずる労働力を確保するよう考えるべきであります。
なお、大阪府から職業訓練生の指導水準の維持向上のため、指導員定数を大幅に増加すること、また、職業訓練修了生に技能に見合った国家資格を付与することなどについて要望がありました。
また、両府県から景気回復のための諸施策を積極的に推進し、雇用機会を拡大されたいとの要望がなされたほか、大阪府からあいりん地区の日雇い労働者の職業訓練、福利厚生事業への国の助成について、また、兵庫県から構造不況業種離職者に対する臨時職業訓練実施のための国の助成等について、それぞれ要望がありました。
次に、私どもが視察いたしました構造不況産業における経営並びに雇用管理等の実情について申し上げます。
現在、造船業界は、世界的なタンカー等の過剰船腹、円高による影響等により、操業度は大幅かつ急激に低下しており、倒産あるいは企業閉鎖など惨たんたる状況にあります。
川崎重工業株式会社神戸工場におきましても、運輸省の操業調整措置によるガイドラインすら確保しがたい実情となっており、本年度の操業度は、最盛時であった四十九年度の六四%程度に減少することか予想されているとのことであります。
このため、船舶部門の五十年度末従業員一万四十五人を現在までに千三百六十二人削減し、他部門への配転、いすず自動車への出向、外国出張等を行っておりますが、今後予想される多数の過剰人員の吸収は困難となっているとのことであります。
同席の労働組合側からも、会社の合理化、配転等を雇用の確保と労働条件の維持を条件に受け入れてきたが、限度もあるので、仕事量の確保について特段の配慮をされたいとの要望がありました。なお、労使双方から、造船対策に関し、仕事量の確保のため、スクラップ・アンド・ビルドによる国内船建造方式の検討、官公庁船の発注量の飛躍的増大及び造船業に対する債務保証基金制度の創設、適用等について早急に実施されたいとの要望がなされました。
この後、キャンセルされた二万トンクラスのコンテナ船や十五万トンクラス用のドックで一万トンクラスの造船を行っている作業現場など、厳しい造船不況を目の当たりに見たのでありますか、大手以下の多数の中小造船企業、下請関連企業では、事態はさらに深刻となっていることから、早急に過当競争の排除と産業規制、造船及び関連産業の需要の創出と拡大、雇用保障等の対策を考える必要があると強く感じた次第であります。
次に、合同製鉄尼崎製造所は、平電炉業界における中堅企業でありますが、四十八年の石油ショック以後の不況により数次の操業短縮、雇用調整あるいは会社合併などにより、従業員数は、石油ショック前の千三百人から現在わずかに八十七人に減少しております。
なお、当製造所は、五十五年に閉鎖し、新設する姫路工場へ吸収合併させる方針とのことでありました。
この工場では、十六万平方メートルの広い敷地内で稼働工場敷地は二〇%に縮小されており、休止した四十五トン電炉二基や赤さびた在庫の丸棒か置かれておりましたが、在庫最高期四万六千トンが最近の市場価格の動向等により二万トンに減少し、三月以降の動きに期待しているとのことでありました。
ここでは、特定不況産業安定臨時措置法案の早期成立、平電炉業の基盤の強化等について国として配慮されたい旨の要望かありました。
次に、国光製鋼株式会社は小型棒鋼を主に生産している平電炉の中堅企業でありますか、長引く需要不振と価格の低迷により、その生産高は四十八年の最盛期に比し六〇%程度に低下しており、また、四十九年末以降、本年一月まで連続三十八ヵ月間経常赤字が続いているとのことであります。
この会社も数次にわたり操業短縮及び雇用調整を実施し、従業員は四十五年の五百四十四人から三百三十八人に減少しておりますが、特に注目されたのは、五十二年九月の百五人の退職者の追跡調査であります。現在までに五十七人か再就職しておりますが、未就職者は四十八人で、その年齢別内訳は、三十歳未満三名、三十歳以上四十五歳未満二十三人、四十五歳以上五十五歳未満二十二人となっております。また、この未就職者の雇用保険の支給期限は本年五月までとなっております。これらの者は、特定不況業種離職者臨時措置法の適用の対象ともなっていない実情を考慮し、期間延長などの措置について特別に配慮されたいとの要望がありました。
また、雇用調整給付金等の支給に関し、指定業種である平電炉業については、中小企業として取り扱い得るよう弾力的に運用されたいとの要望がなされました。
最後に、泉州織物工業協同組合及び泉州織物構造改善工業組合について申し上げます。
両組合は約二千の綿スフ合繊織布企業か加盟する組織であり、泉州の地場産業として地域経済に大きな役割りを果たしてきたものであります。しかし、深刻な長期不況によって工場閉鎖、倒産、企業の縮小が相次ぎ、従業員数はピーク時の一万四千人から現在六千九百人に減少しております。このような状況の中で、各企業は集約化の努力とはうらはらに零細化の傾向をたどり、すでに八五%か織機台数が五十台以下の零細企業となっているとのことであります。
本年度においても、百数業者が廃業に追い込まれておりますが、その要因は、若年従業員の恒常的採用難による企業活動の減退、設備・運転資金の調達難、金利負担のしわ寄せ、低関税による発展途上国からの輸入急増と円高による輸出の減退であります。これに対し、この業界は最善の自主努力を行っているが、国としても早急に抜本的な施策の樹立、実現について特段の配慮をされたいとの強い要望かありました。
このほか、雇用問題に関するものとして、中小企業に対する若年従業員の雇用確保のための奨励制度の創設、中小零細業者の労災保険に特別加入できる範囲の拡大、雇用保険法の適用についての弾力的な運営と取り扱いの簡素化等について要望か行われております。
最後に、今回の調査を通じて感じた点について一言申し上げたいと思います。
長期不況下における雇用・失業情勢は厳しく、ことに構造不況産業における雇用等の諸問題は深刻となっております。このような状況から、雇用の問題は今日最大の政治課題となっているのであります。雇用の安定は、何といっても経済の回復によるほかありませんが、雇用対策の面におきましては、第一に、失業の防止。第二に、離職者に対する措置と再就職の促進。第三に雇用の創出、拡大の三つの対策が総合的かつ適切に行われる必要があります。現在の厳しい雇用・失業情勢に対応し、今後積極的に失業の予防と離職者の円滑な再就職の促進に努めてまいりたいと存ずる次第であります。
以上で報告を終わりますが、両府県及び関係企業並びに関係労働組合から提出されました要望事項等の会議録の末尾掲載方を御了承いただきたいと存じます。
これをもって派遣委員の報告は終了いたします。
なお、ただいまの報告中に要望いたしました資料の会議録掲載につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/3
-
004・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/4
-
005・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 次に、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/5
-
006・安恒良一
○安恒良一君 いまも私どもの調査報告の中にありましたように、長期不況下における雇用・失業情勢というのは、いろんな努力を政府は政府なり、民間は民間なりにされているようでありますが、私は今日厳しい状況になっていると思います。そこで、きょうは、雇用問題に問題の焦点をしぼって、大臣以下、関係各省に御質問をしたいと思います。
まず第一に、予算委員会等でもいろいろ大臣の見解を表明されておりますが、今日の一番新しい雇用・失業状況について御報告をお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/6
-
007・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) ただいま、現地視察をしていただきました詳細な御報告、心から感謝を申し上げます。
御指摘のとおり、非常に厳しい雇用情勢でございまして、現在私たちの手元にわかっておるのは昭和五十三年一月現在でありまして、完全失業者百二十六万人、失業率は二・四%、季節調整いたしまして二・〇五%、有効求人倍率、これは〇・五二倍、これはわれわれがこの有効求人倍率の調査をいたしました当時からの最低の線でございまして、しかもこの一−三月は季節的な要因もございまして一層三月末厳しい雇用情勢になるんではないか、こういうふうな認識を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/7
-
008・安恒良一
○安恒良一君 私は、雇用の安定は、何といっても、四年間連続の不況状態を脱して経済の回復にあるというふうに思っていますが、問題は、その経済の回復はわが国の場合には内需の拡大によって経済を回復しなきゃならぬ、こう思うんであります。福田内閣は内需の拡大を主として公共投資を行うことによって求められていますが、この問題について私どもは公共投資一本やりでは今日の不況を克服できない。やはり目の前に春闘も控えておりますが、やはり物価上昇等に見合って労働者の実質生活を向上せしめる適切な賃金の引き上げ、さらに、残念ながら、五野党が提出をいたしました減税法案についてはわずか三千億しかできない、こういうことに経過的になっておりますが、私は、やはり大幅な減税、そして減税の恩典にも浴せない底辺層の人々に対する年金等を中心とする社会保障、社会福祉、これと雇用が公共事業、こういう三つのことが相まって行われなければ内需の拡大はできないと思いますが、いまこのことを労働大臣と論争しょうとは思いません。予算委員会の中で百もやりましたが。ところが、どうも私は労働大臣にお願いしておかなきゃならぬことは、公共事業一点張りに政府の政策があるように聞こえますし、しかも、その中身が十分詰まってないと思います。これらについてはこれから大臣初め関係各省に中身を詰めていきたいと思います。
そこで、私は当面の雇用対策だけにしぼりますと、第一は失業の防止、第二は離職者に対する措置と再就職の促進、第三番目には何といっても積極的な雇用の創出、拡大と、この三つがないと問題が解決ができないと思いますが、この点については大臣は御異存がないところだろうと思います。
そこで、まず少し現状を正確に把握する意味で、次のことについて質問をしたいと思います。
特定不況業種離職者臨時措置法並びに国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法が成立を見ました。私どもの大阪その他における調査等から見ましても、せっかく法律が適用できたのですか、どうも適用状況に問題があるように思いますから、以下のことについて質問をいたします。
再就職援助計画の提出の件数、同計画対象者の数、特に二のうちにいま申し上げました同計画対象者数のうちの失業予防者、いわゆる配転とか出向者等の数。
それから第四番目といたしまして、職業紹介対象者数及び再就職者の数、それから求職手帳発給数及び各給付金の支給状況、これを全国的な資料と都道府県別の資料並びに中身を説明をしていただきたいと思います。資料かございましたらいただいて、一々読み上げられるのは大変ですから特徴的なところを御説明をお願いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/8
-
009・鹿野茂
○説明員(鹿野茂君) ただいま御質問ございました特定不況業種離職者臨時措置法並びに国際協定の締結等に伴う漁業離職者臨時措置法に基づきます離職者対策の状況について二月末現在で御説明させていただきたいと思うわけでございます。
まず、特定不況業種離職者臨時措置法に基づく対策の状況でございますが、まず再就職援助計画の提出件数、これはすべて全国的な状況でございますが、二月末現在で千四百七十一件になっております。そのうち認定まで至りました件数は千四百十六件でございます。この認定計画にかかわります対象労働者の数でございますが、二万六千八百二十九人になっております。この二万六千八百二十九人のうち、配置転換者数として計画されましたのが千九百八十四人でございます。また、出向予定者数として計画されましたのが千八百九十七人でございます。したがいまして、企業の計画の中で離職をさせなければならない、すなわち職業紹介の対象にしなければならないという数にいたしておりますのが二万二千九百四十八人でございます。なお、この企業の中で離職あるいは職業紹介のあっせん対象者数といたします二万二千九百四十八人のうち、どのぐらい企業としてあっせんさせたかについては、残念ながらいまのところ把握いたしておりません。この二万二千九百四十八人のうちで安定所に求職の申し込みをし、そして手帳の発給の申請をいたしました数は四千六百四十二人でございます。そのうち十分の審査が整いまして発給に至りました件数は三千三百三十三人でございます。また、この手帳の発給を受けた方々で就職まで至りました方々は二月末現在で二百五十四人になっておるわけでございます。
次に、国際協定の締結等に伴う漁業離職者臨時措置法に基づく状況でございますが、まず、手帳の発給件数は、これはすべて公共職業安定所、すなわち陸上部門に就職いたしたいという方々の数だけでございますが、二月末現在で発給いたしました件数は三十四人になっております。そのうち就職いたしました件数は三人になっておるわけでございます。
なお、この状況について若干補足して説明させていただきますと、この認定に至りました千四百十六の事業所のうちで、すなわち、業種指定三十二業種の中の業種事業所として認定に至りました事業所数が千二百三件でございます。その関連の下請事業所として認定いたしました事業所は二百十三件になっておるわけでございます。また、計画の中身といたしまして、いわゆる計画の態様といたしまして、義務づけられておるものあるいは任意に計画を提出するものとあるわけでございますが、計画を義務づけられているものの事業所の件数が百五十件でございます。したがいまして、ほとんど千二百六十六事業所か任意にこの計画を提出した事業所になっておるわけでございます。
この特徴、また産業別の状況でございますが、残念ながら二月末現在で産業別状況を詳細に把握しておりませんが、一月末現在における状況からこの産業別の状況を推定いたしますと、造船関係の事業所が四四・九%になっております。それから繊維関係の事業所の割合が三四・二%を占めているところでございます。
以上、全国的な状況について簡単に御説明を申し上げまして、次に都道府県別の状況について申し上げますと、この再就職援助計画申請件数で最も多い都道府県が広島県になっております。広島県が認定件数で二百五十事業所になっておるわけでございます。そのほか大阪府の百十六事業所、それから愛媛県の百九事業所という形で、先ほど産業別状況で御説明申し上げましたように、造船関係産業の多い都道府県が都道府県別の状況では多くなっているような状況でございます。
なお、詳細等は資料として提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/9
-
010・安恒良一
○安恒良一君 資料をきのうから要求しておきましたから、私のところには資料を出してください。その資料を見ながらお聞きします。
次に、これも現状把握のためにお聞きしたいんですか、中高年齢等の雇用促進に関する特別措置法に基づく特定地域の指定に関する状況についてお聞きをしたいのでありますが、特定地域におけるいわゆる中高年齢失業者数の吸収率、それから達成状況。
それから第二番目には、これを行うための公共事業の内容についてどうなっているか、このことについて吸収率と達成状況は指定地域別にひとつこうなっていると、このことも一々読み上げるのが大変でしたら資料を提出していただいて、特徴的なところについて御説明を願えば結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/10
-
011・細見元
○政府委員(細見元君) 御承知のように、公共事業にかかわります失業者吸収率の制度は、中高年齢法に基づきまして公共事業に使用される労働者について一定の割合以上の失業者を雇い入れることを事業主体または工事の施行主体に対して義務づける制度でございまして、現在、先生お話のございました中高年齢法とそれからいま一つ沖繩振興開発特別措置法の二つの法律に基づいて定められておりまして、中高年齢法に基づきますものは無技能労働者の四〇%、沖繩振興開発特別措置法に基づきますものにつきましては、無技能労働者のうち六〇%を吸収すべきものということに定められているわけでございます。現在、特定地域として指定いたしておりますのは、全国で十二の道県、六十四の安定所の管轄区域でございまして、そのほかに沖繩県が県全体として定められておるわけでございます。五十二年の四月から十二月までの間に、これらの地域におきまして、まず吸収率達成のための前提といたしまして、事業主体または施行主体に事業開始前に当該事業に使用すべき労働者の数を職種別に公共職業安定所に通知させるという施行通知書の制度がございまして、まず、この施行通知書の提出件数は約三千九百件でございます。それから、これに基づきまして安定所から紹介された失業者の雇い入れ数は延べ人員で約十四万八千人となっております。県別には、県が限られておりますけれども、たとえば福岡の場合でございますと、通知書提出件数が千七百八十件、これによりまして雇い入れました失業者の延べ数か二万一千人。それから、鹿児島県でございますと五百十一件、二万三千人。沖繩県でございますと六百五十六件、四万六千人というようなことになっておりまして、必ずしも公共職業安定所を通じて中高年齢の失業者または一般の失業者を雇い入れました実績は十二月までのところではそう大きな数には上っておりません。
それから、いま一つお尋ねのございました公共事業の事業の内容につきましては、中高年法または沖繩臨時措置法で申しております公共事業とは、国みずから、または国の負担金を受けまして、あるいは国庫の補助によりまして地方公共団体等が計画実施する公共的な建設または復旧の事業ということになっておりまして、これらの公共事業のうち具体的に失業者吸収率の適用となっております事業といたしましては、河川、砂防、農業、山林、水産、道路、港湾、都市計画、水道、住宅、官庁営繕、文教施設、厚生施設の十三の事業種目となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/11
-
012・安恒良一
○安恒良一君 私かお聞きしたことを的確にお答えになってないんですが、指定地域別の吸収率達成状況について、ひとつ一覧表を欲しいということを言っている。いま、あなたは必ずしも十分でないと、こう言われたんですが、それではわかりません。これは大臣にも後から聞かなきゃなりませんから、きのうからもこれは資料要求をしておきましたから、いわゆる指定地域別の吸収達成率について——ただ、それを全部ここで機械的に読み上げられたんじゃ時間かかりますから、一覧表をもらって、いわゆる特徴的なことをしていただきたいと、こういうことをお願いしているんです。質問に的確に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/12
-
013・細見元
○政府委員(細見元君) 先ほども申し上げましたように、現在の中高年法または沖繩振興開発特別措置法に基づきます失業者吸収率の制度は、特定地域において行われます公共事業のうち、その使用する労働者のうち無技能労働者について四〇%の中高年齢失業者または六〇%——沖繩でございますけれども、一般の失業者を雇い入れるようにという制度でございますけれども……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/13
-
014・安恒良一
○安恒良一君 その達成率を聞いているんだよ。わかっているんだ、そんなことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/14
-
015・細見元
○政府委員(細見元君) はい。これにつきましては、一つは手持ち労働者という制度がございまして、この四〇%なり六〇%の中から事業主体がほぼ常用労働者に近い形で雇用しておるような臨時労働者あるいはその事業主体が工事を開始いたします場合にはほとんど必ず使用するといったような手持ち労働者を除外して差し支えないということ、あるいは公共職業安定所の紹介で四〇%なり六〇%の失業者を吸収できない場合には事業主が直接雇い入れることかできるというような制度がございますので、労働省といたしましては、従来先生のお尋ねのような形で達成率達成状況がどうだというような調査はいたしておりませんので、大変残念でございますが先生の御質問に的確にお答え申し上げることができないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/15
-
016・安恒良一
○安恒良一君 資料がないということですが、しかし達成率は必ずしも十分でないということは前段に言われたわけですね。これはひとつ、きょうはもう資料がないということですから大臣にお願いをしておきたいんですが、私は後からこれは論点を展開をしていきますが、中高年齢者の失業者が一番深刻なのですよね。そういう意味で、早急にひとつ、地域指定はされているわけですから、六十四地域なんですから、そこにおける吸収率達成状況について、ぜひひとつ御調査を願いたい。ぜひ御調査をひとつお願いしたい。そして、そういう資料がないと具体的な私は対策は立たないと思うんですね。ですから、その点について大臣どうですか、いまの点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/16
-
017・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のように、これからの雇用政策の中心課題は中高年齢層の雇用対策でございます。したがいまして、御指摘の資料につきましては、できるだけ早くひとつ御要請にこたえた調査をいたしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/17
-
018・細見元
○政府委員(細見元君) ただいま大臣からも発言がございましたように、今後公共事業に係ります失業者吸収率の制度は、雇用の促進のために大変大事な役割りを果たすものと考えますので、今後の吸収状況につきまして何らかの形で、先生お尋ねのような結果が判明するような定期的な調査なり何なりをひとつ考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/18
-
019・安恒良一
○安恒良一君 第三番目は、特定不況業種離職者臨時措置法について、それと同じく国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法についてお尋ねしますが、いま、六十四の指定地域以外の地域が最近指定されたというふうに聞いておりますが、指定の個所及び指定の時期、それから公共事業の内容、新規事業を実施するとすればその事業の内容、こういうものについて御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/19
-
020・細見元
○政府委員(細見元君) ただいまお尋ねのございましたのは、特定不況業種離職者臨時措置法に基づく指定地域の問題であろうかと思いますけれども、この法律に基づきます指定地域につきましては、当面、造船不況等によりまして雇用失業情勢が深刻な地域のうちから、北海道の室蘭公共職業安定所の管内、広島県の尾道公共職業安定所の管内、愛媛県の今治公共職業安定所の管内、長崎県の長崎及び佐世保公共職業安定所の管内の五地域を選定いたしまして、二十日に官報に告示をいたしまして四月一日からこの失業者吸収率制度を適用することといたしております。
対象になります公共事業の内容につきましては、先ほど申し上げました中高年法あるいは沖繩開発臨時措置法に基づきます公共事業の事業種目として指定いたしております十三の内容と同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/20
-
021・安恒良一
○安恒良一君 いま言われたような地域ですから、公共事業の内容はもうわかっていますか、何かさらに、そういうところにおきましては、たとえば私らの実態調査の中でも、兵庫における造船問題等について委員長から報告ありました。私は新規事業を何か実施をしないとなかなか簡単にこういう問題は解決できないと思うんですが、そこで第三点目に新規事業を実施するとすればその事業内容は何だと聞いたんですが、これは大臣、お尋ねいたしますが、新規事業は全くないわけですか。いわゆる地域の指定だけをされたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/21
-
022・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) とりあえず緊急対策としてただいま御報告いたしましたような地域指定をいたしたわけでございますが、それと同時に、雇用の創出のためには仕事を新しくつくり出すという、これをいろいろいま工夫をいたしておりまして、実は近々経済対策閣僚会議とあわせて雇用問題閣僚懇談会も開いていただきまして、その場でいろいろ新しい事業について検討をいたしたい、とりあえずいま検討したいと考えております例を申し上げますと、造船関係が一番重要でございますから、かつて五十二年度には行われましたか、解撤事業——中古船を解体をして、ばらして、その鉄材を粗鋼の原料にするという解撤業。それから、これは財政との関係がございますからいますぐというわけにはまいりませんでしょうか、やはり新しく船をつくるという、スクラップ・アンド・ビルド方式と同時に、私は、二百海里時代を迎え、巡視艇あたりは相当まだ船艇の増加を必要とすると思うのでありまして、そういった問題とか、あるいは洋上空港、こういうような問題についてもひとつ専門的な検討を願おう。また同時に、海洋開発に対するいろいろな施設、いろいろそういうことを検討をしてもらいまして、財政措置と相まって雇用の創出に対応したいと、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/22
-
023・安恒良一
○安恒良一君 私はやはり、いまいろいろの資料をお聞きをした限りにおいて、何といっても国としての雇用創出の拡大の具体策が非常に重要なことだと思うんです。それと同時に、地方公共団体における雇用創出の具体策というものがないと、今日の深刻な不況状況は解決ができないと思います。なぜかというと、いま大臣からお聞きをしましたようなことはすでに予算委員会の議事録の中で宮澤経企庁長官は、今回の五兆二千億に及ぶ公共投資、並びに、地方、自治体、地方公共団体がこれに付加して行います公共投資の中で、計量モデルとしての計算だと思いますが、一五、六万の雇用創出ということまでは言われるわけです。しかしそれは、中身が本当に地域からもしくは業種別に積み上げられているかどうかということがないと、この点は問題がやはり解決をしないわけです。
ですから、あと各省別に聞きますが、その聞くことをより正確にするために、私はやはり、不況の多発地域であります北九州市の実情について少しお聞きをして、そのことをまず御認識を願った上で各省にお答えをしていただいた方がいわゆる空論にならないと思いますから、北九州市の問題についてちょっとお聞きを一、二点したいと思います。
四十八年以降の変化というのが一番重要でありますから、まず北九州市の工業生産と労働者数、それと、これは工業生産といってもたくさんありますから、全体、それから何といっても代表的なのは鉄鋼、それから非鉄金属、それから金属製品、それから機械器具、化学、それから石油石炭、代表的な産業というものはそういうものだと思いますが、そういう問題。それから製造事業所数と労働者の数がどういう関係になっているか。それから、同じく、倒産関係か北九州市においてはどのような件数並びに金額になっているか。こういう点について把握をしておられましたならば、そのことについてひとつ御報告をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/23
-
024・白井晋太郎
○説明員(白井晋太郎君) お答えいたします。
いまお手元に資料をお渡し申し上げましたが、北九州市とおっしゃいましたけれども、北九州市だけをとらえるのが困難でございまして、福岡県についていま先生が御質問なさった点でお答え申し上げますと、まず鉱工業生産量と労働者数の推移について申し上げますと、福岡県の鉱工業生産指数は昭和四十五年を一〇〇といたしますと四十八年が一一六・五、四十九年が一一〇・四、五十年が九四・六と減少しておりましたが、五十一年に若干回復いたしまして一〇三・六ということになっております。−それから、労働者数を把握する資料がなかったわけでございますが、これを雇用保険の被保険者数で見ますと、各年度末で四十八年が九十万一千人、四十九年が九十一万七千人、五十年に減少しまして九十一万二千人、五十一年に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/24
-
025・安恒良一
○安恒良一君 ちょっと、福岡県全体と北九州市の場合には非常に特徴が違っているんです。だから、私はやはり福岡県全体のことをお聞きをしているわけじゃないんですから、それを読み上げられていたずらに時間とられても意味がありませんから、御把握がなければやむを得ません、それじゃ私の方から少しあれをしながらお聞きをしていきたいと思いますから。というのは、福岡県全体と北九州市では大分状況が違っておりますから、ですからそれじゃ私の方から。
私の方の調査によりますと、まず工業生産と労働者数を見ますと、四十八年を一〇〇としまして五一年の工業の生産指数を見ますと、率直に申し上げて四十八年に対して五十一年は全体では一六%の減少になっております。あと主要なことで見ますと、たとえば鉄鋼が一四%の減少になっている。それから化学が一七・六と、こういうふうになっているわけですね。ところが、製造所の事業所数を見ますと、四十六年か二千三百六十五事業所数だったのが四十九年まで減少いたしまして、五十年からまたふえている。五十年が二千八百十九ヵ所、五十一年が二千七百三ヵ所と、こういうふうに事業所数はふえている。一方、労働者数はどうなっているかというと、やはりこれは四十八年が十二万三千四百九人が五十一年が十一万二千二百二十六人というふうに減っている、こういう状況です。これは何を物語っているかというと、生産は停滞をしている、ところが事業所数はふえている、これは率直なことを申し上げますと、中小零細の企業が増加をしているというふうに思うわけなんですね。だから、そういう現象がまずあるということか北九州市の特徴だと思うんです。
それから、倒産件数についてもやはり北九州市は調べなかったんですか。というのは、私はできれば、北九州市という政令都市でもありますから、かなりこういうものは資料が完備していると思いまして、ぜひそれを調べておってくれと、こういうことを申し上げているんですか、どうもあなたの方で福岡県全体で言われますと議論がかみ合わないんですよ。どうしてこれは北九州市に御照会されなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/25
-
026・白井晋太郎
○説明員(白井晋太郎君) 北九州市という御質問だったのかもわかりませんか、私のお聞きしましたのは福岡県というふうにお聞きしておりまして、失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/26
-
027・安恒良一
○安恒良一君 そんなことはありません。きのう質問取りにお見えになったときに私は北九州市だと言ったら、質問取りに来られた方か、いや困ったな、最大限やってみますと、こういうことだったんですよ。何で福岡県って、そんなことを言った覚えはありません。それは訂正してください。そうでないと、これからあんたのところから質問を取りに来たときにはもう質問は教えませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/27
-
028・白井晋太郎
○説明員(白井晋太郎君) 北九州市が取れませんで、失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/28
-
029・安恒良一
○安恒良一君 そうするとあれですか、これから幾らお聞きをしても北九州市のことは一切わからぬわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/29
-
030・白井晋太郎
○説明員(白井晋太郎君) 北九州市のことははっきり申し上げてわかりません。ただ、一番最後の資料で北九州市と福岡の安定所の求人倍率その他につきましては分けて取ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/30
-
031・安恒良一
○安恒良一君 それじゃ大臣、このことについてもお願いしておかなきゃならぬのは、私は労働省の方が事前に質問を取りにお見えになったときに、北九州市というのは非常に雇用問題で特徴があると、こういうことだからぜひこういう北九州市の、いま私が名前を読み上げましたような工業生産と労働者の数であるとか製造事業所と労働者の推移、倒産件数の増大の問題、それから地域産業の停滞の状況の問題、それからいわゆる産業構造の特徴的な問題、それから人口の推移、それから労働市場等々をぜひひとつ調査をお願いをしたいと、こう思います。でないと、きょうはこれは保留します。これで私はかなり論争をしようと思ったわけでありますか、そのことはいまここでやりとりしてもできませんから、ぜひ、この前も政務次官を頂点にして佐世保とか長崎なんかは労働省みずからが実態調査をされているということを聞いていますから、早急に一遍北九州市の状況について実態調査を労働省としてやってもらいたい。そして、この次の委員会のときにはいま私か申し上げているようなことについて、大臣並びに関係局長並びに関係審議官等から御答弁ができるようにしていただきたいと思いますが、その点どうですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/31
-
032・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) ただいま御指摘の調査並びに資料の作成につきましては、御期待にこたえて努力をいたします。
ただ一つ、お願いといいますか、御了解を得ておきたいことは、恐らくきのう御質問の要旨をいただいて、時間的にきょうの場に北九州市という区域を限定した資料が調製できなかったと、こういうことではないかと思うんでありまして、ひとつわれわれとしては御指摘の点を極力正確を期して資料調製いたしますけれども、ひとつ委員の方におかれても、できるだけ時間の余裕をお与えいただければなおさら結構であると、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/32
-
033・安恒良一
○安恒良一君 だからきょうと私は言ってないんですよね。委員の方にと言われましても、質問を取りにお見えになるのがきのうなんですから、ほかの委員会も一生懸命みんなやっているわけですから、そういう点で。だから私が言っていることは、そういう特徴的な地域の調査をぜひやって、生きた調査をして。それはなぜかというと、いわゆる私は特徴的なところを一つだけ申し上げておきますと、北九州重工業地帯というのは建設が非常に明治、大正の古い時代ですから、どちらかというともうスクラップ化しているわけなんです。ですから、そういう状況が多分に見られまして、なかなかビルドというのがないんです。そういう場合における雇用問題をどうするかということは、ただ平均的に考えただけではできないわけであります。たとえば、いわゆる素材型産業から加工型高付加価値の産業へというふうにいま労働省は指導されていると、通産省も指導されている。ところが、問題は北九州市にそういう実態があるのかどうかということを調査しなければ、幾ら空論で、総論としては素材型産業から加工型高付加価値産業へというふうに産業転換を行い、そして労働者の雇用を拡大をしていくといっても、いろいろのネックか北九州市の場合にあるわけであります。そういう問題を少し私はやっぱり掘り下げて当委員会としては議論をしておかないと、労働省並びに関係各省が雇用創出をお考えになってもやや机上の空論になってはいけないと、こう思いましたので、北九州市という日本の三大重工業地帯とかつて言われておったんですから、その特徴について私は、まあ労働省としても雇用問題を議論する場合には、私が資料を要望するしないにかかわらずに、当然そういう調査がされておってしかるべきだとぼくは思うわけだ。いま大臣はきのう聞いたから間に合わぬと、こう言われました。それはなるほどきのう言いました。しかし私は、大臣の所信表明の中で雇用問題が重要だということになれば、少なくともわが国の三大重工業地帯と言われるところに、しかも失業多発地帯ということについて、労働省は事前のやはり調査かされて、そして委員会等において議論がされる際には綿密な答えができるような御準備はあってしかるべきだというふうに私は考えます。しかし、それかまあ時間的なことで間に合わぬということならば、もうすでにそれは調査があったというふうに思いますか、調査はしておられるわけですね。ただ、私の質問したのがきのうだから、きょうは間に合わぬと、こういうふうに承っていいんですか。大臣どうですか、そこは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/33
-
034・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 御趣旨の点よく了解をいたします。実はとりあえず造船地帯を中心に失業多発地帯という前提のもとに調査をいたしたわけでございますけれども、御指摘の地域、まさに非常に日本の工業地帯としても中核的な場所でございますし、できるだけひとつ生きた本当の実態に即した資料を調製いたしまして、そしてせっかく雇用対策を進めるに当たりまして、実態に沿わないような推進の仕方をしたんでは恩があだになるというようなことにもなりますから、御趣旨の点を十分踏まえて早急に実態の調査をいたしたい、そして資料を調製したいと、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/34
-
035・安恒良一
○安恒良一君 はい、わかりました。それじゃ、まあ質問をした時期が遅いとか早いということでなくて、現在では実態調査をされてない、だからできるだけ早急にやっていただくと、こういうことだというふうにここを承っておきます。
それでは、きょうはこれは、北九州市問題は次回に、そういうできるだけ早く調査をやっていただくことにいたしまして、今度は雇用創出について、きょうは各省にお出ましを願っておりますから、それぞれ各省にお聞きをしたいと思いますが、まず私は、国としての雇用創出の拡大のための具体策をどういうふうにお持ちなのかということであります。前からも申し上げましたように、総論としましては五兆二千億に及ぶ国家の公共投資、それから地方公共団体におけるやはりこれに見合った公共投資という中で雇用創出をされると、こういうふうに聞いておりますが、まず私は労働大臣にお聞きをしたいんでありますが、たとえば経企庁長官がわが党の書記長の質問で十五、六万の雇用創出ということを予算委員会で言われていますが、その中身について十五、六万というその概括的なことでなくて、たとえば労働省か中心官長として、農林省関係ではこういう状況だとか、運用省関係ではこういう状況だと、経企庁関係はこうだと、こういうふうに各省別にそういういわゆる雇用の創出についての具体案、それからある程度の人数、そういうものの積み上げをされたのかどうか。それからいま一つは、やはり何といっても大きいのは地方公共団体における雇用創出だと思いますか、これについても私はこの手元に五十三年度地方財政計画というのを持っています。これは国家財政に見合って地方財政がどのように施行されていくのか。それで、この中でも一つの大きなウエートといたしまして公共投資という問題か大きくこれは載っているわけですが、こういう場合についてやはり私は具体的には都道府県別にこれを積み上げをしていかないと、計量的に十五万とか十六万などということを出しても実際は意味がないと思うんです。そういうような、少なくとも労働大臣でありますから、経企庁長官が十五万とか十六万とお答えになるときには、それらの中身を把握した上で私はお答えになっていると思うんです。ですから、それらの問題についてまず何と言っても主管官庁である労働大臣の方で、いま私が申し上げた国としての雇用創出の中身の問題、それから地方公共団体による雇用創出のための中身、具体策について考え方を聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/35
-
036・細野正
○政府委員(細野正君) ただいまの先生からのお話ございました公共事業の労働者の吸収力についての、経済企画庁長官が御答弁になりました数字でございますが、これはもう先生も御案内のように、各事業所管官庁におかれて過去の平均的なデータ等をもとにしてマクロ的に計算されたものでございまして、したがいまして、いま先生かおっしゃいましたような具体的な裏づけを持った積み上がった数字というものは、これは予算成立後に、たとえば各都道府県からそれぞれどの場所でどういう事業をやるというふうな申請が出てまいりまして、そういうものをそれぞれの事業所の所管官庁のところでそれについての認定をされた上で決定をしていくと、こういう性質のものでございますので、したがいまして、お尋ねのような積み上がった数字というものは現在のところはまだないと、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/36
-
037・安恒良一
○安恒良一君 まだ予算か成立をしてないから最終的な金額決定ができないと、こう言われればそれまでです。しかし、私はいまも大臣が言われましたし、また、所信表明でも言われましたように、非常に緊急な状態だと。しかも、十五ヵ月予算を組んで、前倒しで十五ヵ月予算は執行されているわけですね。そのときに、ただ単に、マクロ的に物事を見て、これだけの雇用があるんだということでは国民は理解ができないと思うんですね、御承知のように十五ヵ月予算、公共投資についてはいわゆる前倒しでやると、こういうことなんですから。なるほど、五十三年度予算決定はいま参議院で議論しています。そういう場合にそれができてから、それから今度は都道府県の計画を見てそしてやるということになると、その決定は非常におくれてしまうんじゃないでしょうか。だから、私はいまの段階において少なくとも主管庁としての労働省は、ある程度そういう問題を、ただ単にマクロ的に計量、計数的に物事を見るんではなくして、具体的に、少なくともたとえば農林省関係が非常に雇用創出が大きいとすれば農林省にはどういう問題をやってもらいたいと。これは公共事業だけではありません、全体としての雇用創出についても。たとえば、運輸省についてはどういうふうに雇用創出をしてもらいたいという考えが労働省にあってしかるべきです。そして、それが各省に示され、各省は各省なりに労働省の要望を受けて、これはこれから各省全部いまから聞くんですから、実は労働省からのこういう要望についてわが省はこういうふうにこたえていくんだということがなければ。そういうものもないんですか。そういうものがないで、いわゆる具体的にまず予算の決定を待って、そして地方公共体が決めて、それから積み上げをするなどと、そんなことじゃお粗末そのものだと思うんです。そういうことで、私は労働行政というのは、とても雇用問題というのを国民はあなたたちにそんなお粗末だったら任しておかれぬと思うんです。そこらの点は大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/37
-
038・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) お考えの趣旨は私も一つの見識として十分理解かできます。ただ、現在の日本の雇用政策の仕組み、政治の仕組みというのが、かつて終戦後、経済安定本部というのが、これがやはりこの雇用と結びつけて事業を施行すると。そして、すべて安定本部にオーケーをとってこの事業か施行されたというそういう仕組みであれば、お説のような労働省か中心に具体的な事業の積み上げを踏まえて雇用者の数なり失業者の実態というものをこれを把握できると思うのでありますか、現在はやはりそのような仕組みでなくてやはり全体の経済の回復、不況の脱出ということをこれを前提にいたしまして、そうして個別的にとりあえず雇用安定政策として必要な去年発足しました雇用安定資金制度、それから先般施行されました離職者法による対策と、こういうもので推進をいたしまして、そして最終的にはことしの五十三年度末においては雇用者数が五十五万人ふえるであろうと。そして、失業者は五十二年百十五万人であったものか百十万人、五万人少なくなると、こういう見通しのもとに対策を進めておると、こういう現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/38
-
039・安恒良一
○安恒良一君 論議が全然かみ合ってませんね。ますます大変失礼なことですが、お粗末と申し上げざるを得ない。それはなぜかと言うと、今日のわが国における雇用拡大のためには景気回復以外にはない。これはお互いが意見が一致をしているところです。そこで、景気回復についてどうするかということが予算委員会の中心議論になったときに、私ども野党側として、社会党としましては大きく四つの柱を立てて政府に迫った。
その一つは、いまも議論になってます公共事業等を中心とする政府並びに地方自治体の財政支出における景気回復。
第二番目の問題は、私は国内需要喚起の重要な要素としての賃上げ。減税。
それから、社会福祉、社会保障等の内容充実。
この四つの柱を立てて論戦をやっているわけであります。
ところが、この残りの三つの柱についてはどうも福田総理以下関係大臣は消極的なんです。たとえば、一つの例を言うならば、五野党一致して一兆円減税ということについて、残念ながら三千億と言う。年金を中心とする福祉、社会保障の引き上げについてもせいぜい三、四百億ということになって、賃上げはこれから労使自主的に決められること。ですから、主として政府の今日の経済拡大ということについては、政府並びに地方自治体の財政投資によってやろうというのが福田内閣の一貫した方針なんです。そのことのいい悪いは別にしまして。それはなぜかと言うと、御承知のように民間の設備投資が急速に今年ふえるという傾向にありません。これも予算委員会の論議を幾ら見ても電力関係を除いては民間の設備投資はない。そこで、福田総理以下経済閣僚が一致をして言われていることは、政府の財政支出並びにこれに伴う地方公共団体の財政支出というものがわが国における景気回復の大きな役割りを果たし、そしてそれが雇用創出をするということを一貫をして答弁をされている。そういうことになるならば、いまの今度は労働大臣の御答弁では全くお粗末ということ。それはなぜかと、そういうことになれば中心官庁である労働省としては、そういう政府の財政支出が使われるに当たって、雇用創出について労働省としての一つのやはり方針があってしかるべき。それは労働省だけではできないので、関係各省の協力を得なければならないのに、だから私は関係各省をきょう呼んであるんですか、まず私がいま聞いていることは、労働省として関係各省に対して雇用を創出をし、拡大をするためにこういうことをぜひ協力してもらいたいということを申し入れられているならば、その項目、中身を明らかにしてもらいたい。こういうことを言っているわけです。そうしたらいま大臣の答弁は、すでに成立いたしました二つの法律をもってその結果論はいわゆる年度末にこうこうこうなるでは、それは社労委員会における雇用問題を中心に議論する委員会としては余りにも平面的な物事の見方と言いますか、結果だけであって中身がない。きょうはやはり社労委員会なんですから、予算委員会と違って、少し中身をやはり掘り下げるという意味から、ぜひ労働省として関係各省に対して、雇用拡大のためにいわゆるどういう方針を打ち出されて御協力を求められているのか、なけりゃない、あるならある、あるとすればどういう中身なのかということについて、ぜひひとつ説明をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/39
-
040・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) われわれとしては、日本の経済実質七%の成長率という、この達成にまず全力を傾注をする、そしてそれが差し引かれないように物価の安定には絶えず配慮していく。それによって景気の回復、不況の脱出という、これがまず雇用問題解決の大前提であると、このように考えるわけでございまして、そのようなことがスムーズに実現されるならば、過去の雇用の状況から考えましても、とりあえずわれわれとしては、雇用安定資金制度の活用あるいはまた特定不況業種離職者臨時措置法等々の運用によりましてこれがやっていけると。同時に、新たに中高年齢層の雇用対策として、あるいはまた新しく受け入れる中高離職者に対しては、事業主にこれが助成をしていくと、こういうふうな施策を総合的に推進することによって問題が解決する、問題は前進するであろうと。まず何よりも一番基本は不況の脱出であり、そのためには積極的な大型予算が公共事業を中心に組まれておると、この予算の成立を見て実施を図ってやっていこうと、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/40
-
041・安恒良一
○安恒良一君 労働大臣、そんなことはもう何回も聞いてわかっている。そういうことを聞いているんじゃないんですよ。いわゆる、いまのわが国の政治の課題というのは二つあるんだと。一つは何としても四年連続の不況をどう克服するか。それと同時に、雇用問題というのは、これは福田総理を初めあなたも所信表明の中で言われているように、雇用問題というのは非常に重要な政治の課題だということなんですよね。その場合に、じゃ雇用問題を解決する一つの問題としては、何としても景気回復を図らなきゃならぬ。そのことについて私は何も否定していない。問題は景気の回復の仕方について、自民党や、あなたたちと私たち野党との間に考え方の相違がある。しかし、そのことをいまここで議論をしようとはしていない。そこで、景気を回復する最大のものは何かというと、いまの場合には、もう民間の設備投資ということは事実上大して期待ができない。これより以上輸出をふやして、さらにそれをてことして景気回復もできないと、こういうことになっているわけなんです。これはお互いに認識の一致しているところです。あと何かというと、内需の拡大だ。内需の拡大の中で意見の食い違いが出ている。しかし、そのことはおきましょうとぼくは言っている。そのことをおきまして、それならば、いま政府が言われているところの積極大型予算を組んで、しかも十五ヵ月予算、前倒し予算を組んで、そして景気を回復すると同時に、それはいまの雇用状況を一挙には解決できない。一挙には解決できないけれども、雇用もこのことによって安定の方向にいくと、こう言われているから、わかりましたと。それならば、そういう方向について労働省として方針がないとおっしゃるならやむを得ない。労働省として、雇用創出について、各省に対して、実はこういう点で協力してもらいたい。たとえば、運輸省なら運輸省の場合に、いわゆる第三次産業、サービス業、輸送業、観光業なら観光業について、こういうふうな雇用はふえないものだろうかどうだろうか、農業なら農業の場合に、農林省に対して、林業関係についてさらにこういう雇用の創出はできないだろうかと、こういうことの、そういうことも労働省としては全然御相談したことはないんですか、あるんですか、それだけ聞かしてください。なけりゃないでやむを得ません、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/41
-
042・細野正
○政府委員(細野正君) 労働省か今回の不況の中で、雇用の維持拡大ということを図っていかなけりゃならない。そのために政府部内でどういうことを発言し、あるいは要請をしているかと、こういうお尋ねでございますが、まず基本的には、先ほどから大臣も申しましたように、全体としての経済の回復ということが主眼でございますから、したがいまして、七%成長のような比較的高い成長を維持してもらうということについて、労働省としてもその実現に努力をしてきたわけであります。さらに、公共事業につきましては、いまお尋ねのように、あくまでもこれは景気回復というところに主眼があるわけでございますから、したがいまして、景気を回復するための、先ほど申しました七%成長というものの主導力としてこれを私どもが期待をしておりますと同時に、雇用そのものの吸収という面も当然重視してまいらなければなりませんので、したがいまして、私どもは公共事業を実施する場合に、その大部分というものが国の補助によって、都道府県においてあるいは地方公共団体において行われるのが公共事業の実態でございますから、したがいまして、各都道府県あるいは公共事業の実施主体等において、地域の失業情勢というようなものを配慮した計画を出してきた場合に、それについて各事業所管官庁が十分考慮をお願いしたいということをかねがねお願いをしておるわけでありまして、そのことは公共事業実施推進本部における大蔵大臣の御発言、その他の中にも明らかにあらわれているわけであります。さらには先ほど、これも大臣からお話ございましたけれども、特定の地域、たとえば造船地域等につきましては、造船の事業の不振ということが大きく地域の雇用失業情勢に、あるいはひいては市町村全体の住民問題自体にまでなる懸念もございますので、したがいまして、近く経済対策閣僚会議にあわせまして、雇用閣僚会議をお願いいたしまして、そこで造船業の事業拡大問題についても要請をしてまいりたいと、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/42
-
043・安恒良一
○安恒良一君 どうもあれですがね。私は、そこで前段言ったように、雇用対策の面は何があるかというと、一つは失業防止、二つ目には離職者に対する措置と再就職の促進、そして三番目には積極的な雇用の創出と拡大なんですよ。労働省は、この三つを私はやる省だと思う。特に第三番目には、労働省だけではいかないから、関係各省の御協力を得るなり地方自治体の協力を得てやるのが私は労働省の任務だと思う。しかし、あなたたちの話を聞いていると、二つの法律が出た、これはやっぱり失業防止もしくは離職者に対する措置と再就職、特定のですね、それを何か一生懸命やっておって、あとは七%が達成できれば、経済が拡大するから何とかなるだろうと。それじゃ第三番目の、いわゆる雇用拡大創出ということについての配慮が余りにも労働省はなさ過ぎるのではないですか。ただ、造船なら造船はやりますと、こう言って、そういう、あくまでもあなたたちは、どうも見ていると、失業の防止と、もしくは離職者に対する措置と再就職だけのことを考えておられて、意欲的に今日恒常的に百数十万と言われている失業者問題について、雇用を拡大をしていくということについて何ら方針がない。たとえば一つの例を挙げると、労働省みずからの雇用の拡大の問題として私が聞いているのに、一つもお答えになりませんけれども、たとえば定年制の延長の問題であるとか、さらに時間短縮の問題の指導であるとか、こういうことをこれは労働省の方針として、やはり雇用拡大の一つの方針ではないですか。そういうようなことを労働省は労働省として持ち、さらに各省に対していろんな協力を私は求められてしかるべきだと思いますが、幾ら聞いてもそんなことがないというのは、全く私はお粗末だと思う。しかし、幾らこのことで論争してもやむを得ません。労働省が全省にそういうことをやっておられなければやむを得ませんから、省別にひとつ聞いていきますから、答えてください。
まず、大元であります労働省自体として、今度はですね、他の省じゃなくて労働省自体としての雇用拡大、雇用の創出についてどういう方針をお持ちなのか、またどういうふうに現在実行されているのか、この点についてお聞かせを願いたい。今度は労働省だけの問題にしぼりましたから、どうぞ。大臣、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/43
-
044・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 御質問の趣旨が、あるいは正確につかめていないかもわかりませんが、すでにいまいろいろお答えをいたしたことで、おおむねわれわれが考えておること、私が考えておることを申し述べたつもりでありますが、労働省として各省にいろいろの注文をするという、こういうことは、私はやはり日本経済全体の歯車の中で景気の回復をしていき、それが農林省関係であるとか通産省関係であるとか、あるいは厚生省関係であるとか、それぞれの職場が雇用の問題にかかわり合ってくると、こういうふうに考えるわけでございまして、こちらから農林省の方へどうしてくれ、建設省の方へこうしてくれということを、まあ建設省の場合はこの失業者吸収率制度という制度によって、これから積み上げてこられるわけでございますけれども、したがって、われわれとして打つ手は、先ほどもちょっと触れましたように、たとえば新しい雇用政策として中高年齢者を雇い入れる事業主に対して助成制度を創設をいたしまして、これは民間の活力を生かして、ともどもに雇用の創出を図っていこうと、こういうことでありますし、特に現在の雇用問題というのが産業構造の転換という、こういう面から大きく影響を受けておるわけでございますから、これからの雇用政策というのは、やはり職業訓練、こういったものと結びついて、これからの時代が求める人の訓練と、こういうことも配慮しなきゃならぬというふうにいま考えておりまして、後ほどまた御審議願う職業訓練法の改正ということは、そういう趣旨を踏まえて提案をするわけでございまして、私はまさにいまいわゆる高度成長から安定成長の軌道にスムーズに移りかわる、しかも、その中身が質的に変わってくると、こういうときでありますから、まさに模索しておる時代であると。したがって、いろいろ現在の自由経済体制を前提としたわれわれの雇用政策というのは、一応現在のところ一つの方向に向かって努力しておると、こういうふうなことを御理解いただきたいと、このように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/44
-
045・安恒良一
○安恒良一君 何回も言いますように、もう全体の問題はなかなか労働省むずかしいようですから、問題をいま労働省にしぼってますから、その角度でお答えを願いたい。経済七%成長すれば解決するなどという話はもう百遍聞いたって、それは具体的な問題じゃないんですから、それはわかってるわけですから、もう私は残念ながら労働省が他の省に対して建設省以外にはやってないということ、わかりましたから、それは非常に失望も持ちますが、いまは労働省に問題をしぼってますから、どうか大臣のお答えもひとつ労働省の。
そこで、いま大臣が労働省として雇用をやはり創出していく中の一つの重要なことについて触れられました。私はさっきから言っておりますように、素材型産業から高加工型高付加価値産業へと転換をしていかなきゃなりませんから、それがためには労働者の技術をそれに高めていかなけりゃならぬと思います。ですから、その意味で今回法律改正を出されているという点について、これはまあいずれ改めてその法案の中身のときに議論する。しかし、それだけで労働省の場合いいんだろうかということについてお聞きをしたいんですが、実はいまわが国は、アメリカやヨーロッパ、EC諸国との間に貿易不均衡問題が出てますね、貿易不均衡問題。その場合、往々にして各国はいわゆる保護貿易主義に走ってはいけないと思うわけであります。そこで、過日、アメリカのAFL・CIOの代表が来たときのやりとりを見ましても、必ずしもアメリカの労働者やECの労働者というのは保護貿易主義を望んでるというふうにはわれわれは考えてません。しかし、いわゆる公正な競争といいますか、公正な労働基準、これはやるべきじゃないかということを強く相手側は言ってる。私はもっともなことだと思う。
そこで、私は労働大臣にぜひ聞きたいんですが、雇用の積極的な拡大、創出から言いましても、週休二日制の完全な実施という問題。しかし、これも一遍にできないということで、当委員会でもしばしば議論をされておりますが、たとえば、まず金融機関について週休二日制をやる、それから公務員等についても、地方公務員を含めて週休二日制をやる、そのことは雇用の創出になると思う。実は前石田労働大臣に私が当委員会で質問しましたら、金融機関の週休二日制とか、それからいろいろ雇用率の達成の問題とか、こういう問題については大臣みずから積極的に金融機関の代表と話し合いをしたいと、こういう石田労働大臣の意欲的な答弁をいただいたことを私は知ってるわけですが、そういう、労働省がまずやれる問題としてひとつ私は週休二日制、これも全体一遍にやればいいんですが、なかなかそれかできなければ、とりあえず可能性のある業種があるわけなんで、そういうところに実際的に実行していくことが一つの雇用をつくり出すことに私はなると思いますが、そういう問題であるとか、さらに、大臣は触れられませんでしたが、中高年齢層のいわゆる雇用不安、これは大きい問題だと。定年延長を労働省みずからは指導されてると言うんだが、逆に民間企業においては定年短縮の提案がいろいろ出されてる。こういう問題について労働省がやっぱりどう指導していくのか等々、私は労働省みずからが御努力をされれば雇用拡大に、一般論的に景気が七%成長すればそれで日本の経済は立ち直るし、雇用問題も何とかなるなどという、そんな一般論議をやるんじゃなくて、具体的に労働省みずからとして指導性を持ってやればやれることがあるし、しかも、いま、そのことは貿易問題において公正労働基準という角度においていろいろ問題があるときに、所管大臣としては少なくともそういうことについてやっぱり意欲的に指導していくと、こういうことかあってしかるべきで、また、そんなことのお答えか聞けるだろうと思って期待をして聞いたんですけどね、全然大臣は触れられないし、補佐してる官僚の皆さん方も知らぬ顔の半兵衛決め込んで、一つもそういうことで、そういう点はどうなんですか。私は労働省みずからとして、労働省が行政努力をされ、協力要請をされれば、そのことによって雇用がふえる問題としていままで各労働大臣が挙げられてることの一つは時間短縮、定年の延長ですね。時間短縮、定年の延長についての労働省はかなり意欲的な御発言等もありましたし、私はきょうは、実はこういう問題について、こういうふうにその後なってるんだと、金融機関の問題については前労働大臣はそういうことで、こういうふうになってるんだ、それから、いま労働省自体は雇用延長を指導してる、現実にこういう雇用短縮等の問題については少なくともこうしてもらいたいという指導をしてるんだとか、そういういわゆる労働省としての二つの角度から——わが国がいま大きい二つの角度から、一つは雇用問題の解決をしなきゃならぬ、一つは貿易不均衡という問題もありまして、そういう問題等いろんなことを考えると、それぐらいの積極的な施策というものは労働省みずからとしてあってしかるべきだと思いますが、そういう点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/45
-
046・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 労働時間短縮、週休二日制の問題、これはもうわれわれとしても積極的にこの推進を図りたいと、すでにしばしば予算委員会でも述べてきたわけでございまして、これは私が先ほどからの答弁の中でこれに言及いたしませんでしたのは、われわれは当面の非常に深刻な不況対策としての決め手としてすぐ役立つとは考えておりません。ただ、中長期に考えまして、やはり御指摘のごとくこの国際摩擦の要因として日本人の働き過ぎということがしばしば言われております。まあ外の要因のみならず、やはり経済が高度成長から安定成長への軌道ヘスムーズに移り変わるという場合には、やはり従来のような仕事量ではなかなかやっていけない、結局仕事をお互いが分かち合うという、こういう面からいたしましても御指摘の点はぜひ推進をしなきゃならぬ。したがって、もうすでにわれわれは具体的に、とりあえず銀行あたりを中心にこれが実施されるように、週休二日制が完全実施されるような方向を現在事務的に相談を進めておるわけでございますが、ただ銀行の場合、御承知のごとく銀行法がございまして、やはり法律に、これは相当戦前の古い法律でございますから、銀行の場合は週一日しか休んではならないと、一日以上の休みはとってはいけないということが法律で決まっておるわけでございますから、この銀行法の改正というこの問題がまたほかとの関係において相当事務的に簡単にいかないというような現実もございますが、まあ何とかしてひとつ銀行の週休二日制ぐらいを突破口にして、そして日本の全体の産業が少なくとも欧米先進国並みに、賃金の方はある程度改善されましたけれども、労働時間の面がやはり国際的にも問題になっておりますし、国内的にも仕事を分け合うという面から言って必要でありますから、これは大いに推進をしなきゃならないと、このように考えております。
それから、定年制の問題、これはむしろ時間短縮とは別の次元の話でありますけれども、やはり中高年齢者の雇用問題としては、当面六十歳を目標に定年制の実施が行われるように、この問題についてはやはり従来の日本特有の労働賃金、雇用制度というこの問題の解決ができませんとなかなかむずかしい問題でございますけれども、逐次定年廷長の奨励制度を設けまして、そして労使の話し合い、終身雇用制であるとか退職金制度であるとか、こういったものはやはり労使間で自主的に話し合いをしていただいて、そして定年廷長がスムーズに行われるような行政指導を推進をしていきたいと、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/46
-
047・安恒良一
○安恒良一君 いまちょっと労働大臣の御発言の中で気になる点が一つあったんですが、いわゆる週休二日制の実施や労働時間の短縮は、当面の雇用安定にはすぐ役立たないと、主としていわゆる貿易問題における公正労働の基準からと言われましたか、私はそんなことないと思うんですね。週休二日制や時間短縮が行われればそれはイコールじゃありません、全部が全部同じ相関関係とは思いませんが、私はかなりのやはり雇用量の増大になると思うんです。
そこで、私は重ねて次の点を労働省に聞きたいんですが、雇用創出につながる週休二日制、労働時間短縮の具体的なプログラムをお持ちですか。そのプログラムがあったらここでひとつ具体的に明らかにしてもらいたい。これが一つです。
それから第二番目には、いまおっしゃいましたように、当面金融機関からやろうと、こういう労働大臣、これは前労働大臣から言われているんですが、そこで私は、もうこれも古くて新しい話といいますか、新しくて古い話といいますか、もう何回も各国会の中で議論をされている。そこで、私はむしろもう今国会で銀行法の十八条について削除する。いまおっしゃったところは銀行法の十八条なんです。このことについてそうすれば、金融機関の週休二日制というものの道は開けてくるわけです。すでにこれはもう労使でも何回も金融機関においては議論をされているし、それから銀行法の削除についてももうこの国会じゃなくて、前の前の国会でも、何回も労働省なり大蔵省に対して委員会の中の論争が議論をされているわけなんです。そして、その場合にいつも前向きに検討するということでずっと今日まで来ているんですが、どうでしょうか、大臣。これは大蔵省もお見えになってますから、両方から答えてもらいたいんですが、銀行法の十八条について今国会において削除して、とりあえず金融機関の完全週休二日制の道を開くと、こういうことと、前段の具体的なプログラム。これはいいことだ、いいことだ、奨励奨励だけじゃだめなんですよ。やはり、労働省としては具体的なプログラムを持たないと、私はなかなかそう簡単に週休二日制や労働時間短縮というものは進まない。一般論では困りますから、そういう具体的なプログラムについて、二つの点について聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/47
-
048・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) ちょっと私先ほどの答弁、私の真意が言葉足らず、十分お伝えできなかった気もいたしますから、当面時間短縮かすぐ雇用と結びつかないという、これはやはり時間短縮というのは企業のコストと結びつくと、そうすると、これをいきなり現在の不況の状態で強引に進めるということになると、零細中小企業というものが非常に困る。あるいは倒産と、こういうことによって雇用の創出を図ろうとしたのかむしろ逆に雇用がなくなってくるというような、こういうことが考えられますから、そこら辺を十分配慮しながら前進をしていくと、こういう意味で、とりあえずの急いだ雇用対策としては他の部面を中心に考えて、中長期的な大きな課題として時間短縮の問題をとらえたいと、こういう意味でございます。
それから、いまの時間短縮のスケジュールの問題でありますが、これはいろいろいま検討をいたしております。同時にまた、銀行法の十八条改正の問題については調査会が設けられて検討をしておる最中でございまして、この問題の詳細につきましては、せっかく大蔵省が見えておりますから、その方面からの答弁にひとつ譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/48
-
049・安恒良一
○安恒良一君 それじゃ大蔵来てないそうですから、後で呼んでください。私の持ち時間の中でそこを聞きますから。
それでは、労働省はこれぐらいにしまして、次は農林省お見えになっていると思いますが、農林省のいま私が言いましたことは、私は農林省というのは、やはり雇用拡大には非常に重要な役割りを持ってもらわなければならぬ仕事だと思いますから、農林省自体の雇用拡大、創出についてどういう計画を持たれているのか、また実行状況がどうあるのかと、この点についてちょっと御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/49
-
050・田中宏尚
○政府委員(田中宏尚君) 農林省関係の公共事業につきましては、どの程度雇用創出効果があるかというものをその積み重ねで計算するということ、いろいろむずかしい点はございますけれども、従来の労務比率というものを参考にいたしまして計算いたしますと、農林省関係の公共事業全体で、五十三年度、現在御審議願ってます予算で、延べ就労で約八千百万人目が全体として見込まれているわけでございます。これは五十二年度の実績見込みに比較いたしますと約一千万人目増加となっておりまして、これを通常年間二百六十四日働くということで仮定いたしますと、新しくといいますか、前年に比べましてふえると考えられます就労人口というものは、約三万七千人というふうに積算しているわけでございます。先生御承知のとおり、農林省関係の公共事業というものは全国の農山漁村で相当広く行われておりまして、それぞれの地域での雇用について下支え的な効果というものはそれなりに上げているわけでございますけれども、ここのところの不況ということに着目いたしまして、できるだけその五十三年度の事業費の配分等に当たりましては、失業多発地帯の都道府県からの事業申請というものに重点的に配慮した形で予算の配分をいたしたいということで、側面から雇用対策にできるだけ資するような心持ちで運営したいと思っているわけでございますけれども、具体的には現在国会で御審議中でございますので、まだ県別にどういう配分にはもちろんなっておりませんが、事あるごとにその都道府県なりあるいは農林省の場合には地方農政局というのがございまして、ここで予算の配分等実施面を大部分担当しておりますので、そういう地方農政局の担当等につきまして、そういう配慮を十分するようにという事前の指導というものをやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/50
-
051・安恒良一
○安恒良一君 どうも、これもまたあと各省も同じことになると思いますが、予算が審議中であると、このことはよくわかるわけですね。たとえば、それならば逆に聞きますと、この予算が今月か来月の初め決まったらすぐやれるのかどうかということになると、私はやっぱり事前の準備がないとできないと思うんですね。だから、少なくとも私はこれだけ雇用問題なり景気回復問題が議論されている以上、最終的な細かい詰めば予算が決まった後、いわゆる都道府県なりといろんなところやられると思いますけれども、少なくとも今日農林省なら農林省の、いま言われたような予算を積算されるに当たっては、たとえば失業多発地帯であるとか、それから農林省の場合でありますと、出かせぎ地帯であるとかこういうところについて、やはりなかなか今日では出かせぎに都会に出て来ても仕事がなくなっていると、そうすればもとの農村地帯において雇用創出していくなどという、私は大まかなアウトラインがあってしかるべきだと、そういうものがあった中で予算というのが積算をされ、ただし最終的な詰めばこれは各省とも共通に予算か決まった後で、地域ということになると思いますから、どうかいま言われたような——三万七千人などというこの数字はわかりましたけれども、やはりある程度私が知りたいのは、農林省としてやはり重点的にこういう地域に、仕事の中身は大体こういう中身なんだと、そして、それに大体これぐらいの人間が吸収できるんだと、こういうことをひとつ御説明を願いたい。ただ単純に、八千百万人目ですか、これが去年に比べて一千万人目ふえているからこれぐらいということだけでは、やはりもう計量的な、モデル的な計算にしかすぎないわけですよね。それでは私は国民安心できないと思うんです。ですから、私は余り時間がありませんから細かくはなかなかできないと思いますが、そういう角度でひとつこれからは答えてもらいたい、各省。できるだけそういういま申し上げたような、農林省的なやり方ではなくして、ですから農林省も時間が余りありませんから、簡単にもしも私が申し上げたようなことが積算をされておるならば、あくまでもこれは最終的決定でなくて結構なんですから、アウトライン的にでも失業多発地帯における、特に農村地帯における問題等についてどうやっぱり考えているのかということについてあれば聞かしてもらいたいし、いまなければないということで結構ですから、その点答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/51
-
052・田中宏尚
○政府委員(田中宏尚君) 農林省の事業は、御承知のとおり土地改良でございますとか造林でございますとか、それぞれその地域に張りついての必要性ということで本来予算が計上されているわけでございますけれども、ただそういう中でも雇用に及ぼす効果というのが大きゅうございますし、それからただいま先生から御指摘ありましたように、農林省自体の抱えている問題としてその出かせぎという問題もございますんで、そういう点につきまして予算の配分でどう傾斜配分していくかということがその実行面として一番問題になるわけでございまして、この点につきましては、先ほども御説明いたしましたように失業多発地帯の県からの申請というものを重点的に配慮するというような、予算の配分に当たっての配慮ということで進んでまいりたいと思っておりますし、それから現在予算の審議中ではございますけれども、いろいろできるだけ年度を明けましたら早期に公共事業を実施したいということで、事前にそういう心づもりでヒアリング等に当たっているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/52
-
053・安恒良一
○安恒良一君 これより以上またこれもやりますと時間がなくなりますから、私は、たとえば建設なら建設予算の場合には、いまはこの発注と同時に四〇%なら四〇%払うと、こういうことで予算の前倒しがされて行われておるわけですね。私はそれは時宜に適した方法だと思うんですよ。ですから、私は何かどうも皆さんの意見を聞いていると、予算が決まって、それからヒアリングが行われないと何か話せないというところがどうしてもぼくはわからないわけです。私はアウトラインでいいと、こういうことを言っているわけですね。たとえば、極端なことを言うと四月三日に予算が上がったと、突然四月五日から作業に入れるわけじゃないんですよ、こんなものは。そうでしょう。四月五日から作業に入って、それから一から出直しておったらいつごろ終わるかわからないです。そんなことじゃ福田総理がしゃべっていることと全然あなたたちのやっている事務はまる反対のことになるんだから、そういうはずはないはず。予算が決まると同時にそれは直ちに発動できると、発動できるということで、いわゆる前倒し前倒しという議論があるわけなんですから、だからその限りにおいてはかなり私は作業が進んでいる。ただし、最終決定はどうしてもお役所の性格として予算が決まらぬという、これはあなたたちの立場はわからぬわけではない。しかし、私は最終決定のことを言っているわけじゃないんですから。まあ、農林省はそれぐらいにしておきましょう。いずれにしても、この問題は今後とも引き続いて私は関係委員会の中であれをしていきまずから、どうかこの次のときには少し中身を具体的に話せるようにしていただきたいと思う。
次に建設省お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/53
-
054・楢崎泰道
○説明員(楢崎泰道君) 建設省の所管公共事業は治水、道路、海岸、住宅いろいろあるわけでございますが、それらに必要な直接の労働力需要というものを各事業ごとに工事費の百万円当たりの投入労働者の延べ人数という形で算定、推計をいたしております。それによりますと、五十三年度は前年度に比べまして約九%増の千五百万人目の増が見込まれる。これを先ほど農林省の方から御答弁ありましたように一人年間二百六十四日就労するとして単純に人員換算をいたしますれば約五万人に相当すると、こういうことでございます。
その各事業ごとの内訳につきましては、治水事業につきましては五十三年度は約二千八百万人目、道路整備につきましては約六千百万人目、住宅対策につきましては約四千五百万人目、下水道につきましては約三千三百万人目、海岸、公園につきましては約三百万人目、災害につきましては約千二百万人目、合計で約一億八千百万人目ということでございまして、五十二年度の実績見通しとの差を計算いたしましたのが約千五百万人目、それを単純に換算したものが約五万人と、こういうような情勢になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/54
-
055・安恒良一
○安恒良一君 まあ、これも後から詳しい資料を私はぜひもらいたい。いまちょっと言われましたが、わかりかねます。それと同時に、どうも御本人もお答えになっているように、単純に割ればこれだけだというその単純にか困るわけなんですよ、私たちとしては。単純に割っただけで何か機械的に人がふえるようなことでは困りますから、少なくとも私は、たとえば建設省にお聞きをしたいんですが、これも有名な話になって、笑い話になっているんですが、建設省が復活予算をしたときに事務次官が一に労働、二に河川、三、四がなくて五に下水道と、こういう不謹慎な発言をしたとかしないとかということか当時新聞に書かれているのを見ました、私は本人がされたかどうか知りませんけど。そうしますと、たとえばいまあなたが言われました道の整備費が一兆六千億組まれていますね。それから下水道が七千億組まれてます。私は道を整備することも雇用創出につながると思いますけれども、私は、やはり建設省がやられる場合のこういう問題については、全国にある程度まんべんとなくやられるというところに一つの重点を置かれるということも、一つの雇用創出なり新しい仕事をつくり出すことになるんじゃないだろうかと。たとえば、同じ公共事業費の中で本四架橋をやるとか東北新幹線と、こういう問題は、たとえば宮城県なら宮城県における労働者不足という問題がこう地域的には出ている。しかし、全国的には、一方においてはたくさんの人が余っているというときになると、どうしても同じ建設省が担当される場合でも私たちは国民の日常生活全体に関するもの、たとえば下水道の場合にわが国の普及率というのはまだ二〇%なんですね、実は二〇%。経済大国、大国と言っておきながら、ヨーロッパに行ったりアメリカに行ったらとっても恥ずかしくてそんな話はできないこれは状況ですね。そういう場合において、やはり建設省のやられるところの雇用創出ということには、国民の生活基盤、たとえば学校の問題とか、保育所の問題とか、これはまあ各省後から聞こうと思ってはおりましたが、そういう問題点に、日常生活につながって、しかもかなり全国的に不足をしている。こういう問題で学校とか、保育所は建設省の所管事項じゃありませんから後から所管官庁に聞きますが、まあ、建設省としては一つのやはり組み立てられる場合に、下水のことなんかについてそういう同じ公共事業費を使うにしても、できるだけこれを全国的に公共事業費が国民の生活基盤に密着しながら使われると。そして、それが雇用増大につながると。こういう配慮はされたのか、されてないのか。まあ、たまたま事務次官の復活折衝の重点がどうも道、道ということに置かれているように、当時新聞を見てつくづく情ない話だなあと思いましたものですから、そういう点について聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/55
-
056・楢崎泰道
○説明員(楢崎泰道君) 先生御指摘のように、公共事業はそのときどきの社会の必要性、それから地域の必要性ということに密着して行われているわけでございまして、まあ、当面の社会資本の整備水準が欧米に比べて低いということから、その地域の社会資本の整備状況、あるいはその地域におきますニーズ、それから地方の財政、それからそれらを総合的に踏まえた各公共事業の種別ごとの長期計画、そういったものに基づいて実施されておるわけでございます。当面の経済情勢にかんがみまして公共事業に課せられた当面の課題が、景気の回復と雇用の安定にあるということでございますので、その公共事業費の地域配分ということにつきましても、地域の特殊性等を十分考慮して地方公共団体とも密接な緊密な連絡をとって対処すると、こういう方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/56
-
057・安恒良一
○安恒良一君 これも議論かみ合いませんから、そのままにあれしておきたいと思います。後でまたあれします。
それじゃ、次は運輸省どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/57
-
058・西村英一
○政府委員(西村英一君) どうも先ほど来のやりとりを伺っておりまして、また先生のおしかりをいただくようなことになるわけでございますけれども、運輸省所管の公共事業と申しますと、海岸、港湾、空港、災害復旧関係、そのほかに国鉄、鉄道建設公団等の鉄道工事費がございます。これらにつきまして、まあ、マクロ的に推計した数字で申し上げますと、来年度の労働需要量の見通しは延べ就労人日数で申し上げまして四千七百八十三万七千人目、五十二年度に対しまして約百六十六万二千人目という増加になるわけでございます。これを先ほども御説明がありましたように、一人年間二百六十四日ということで単純に換算させていただきますと全体で六千二百九十五人の増ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/58
-
059・安恒良一
○安恒良一君 これも同じやりとりをしておったんじゃ時間がありませんから、私は、運輸省、公共事業のことだけに限られたのですが、やはりどうも私は労働省と運輸省との間に、たとえばいま私は必ずしも第三次産業だけにいわゆる失業者を吸収することをいいことだとは思いませんけれども、かなり運輸省の所管にかかわる第三次産業の雇用増大などということが考えられると思うのですが、そういうような問題について何か運輸省は方針はお持ちじゃないんですか。いま言われたのは、運輸省所管に係る公共事業におけるいわば単純な計算なんですね。しかし、雇用創出というのは公共事業だけでやるわけじゃないんですから、それが中心である。だから、私は各省全部来てもらっているんですから。そういう数字を単純に割ったやつを計算するんだったら、きょう答弁してもらわなくても資料を持っていらっしゃいと言えばそれで済むことですが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/59
-
060・西村英一
○政府委員(西村英一君) 運輸省の来年度予算を見ますと、海上保安庁の新海洋秩序対応体制の整備ということで前年度予算の約二・四倍、金額にいたしますと二百六十二億というほどの金額になりますが、こういうことでかなり巡視船艇の整備を大幅にやるようにいたしております。これは結果的には造船不況対策の一助になるわけでございます。
そのほか細かに申し上げますればいろいろございますが、たとえば、地方交通の維持確保ということで地方バスとか中小民鉄とか離島航路対策にも予算を確保いたしておりますし、造船不況対策そのものにつきましても、これが財政投融資でございますけれども輸出船についての輸銀融資の確保を図るような予算を獲得いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/60
-
061・安恒良一
○安恒良一君 それでは、次に自治省にお聞きをしたいのですが、二つございます。
私は、自治省の指導のもとにおける雇用拡大、創出だけでなくてこれは逆に今度は雇用問題の三つのテーマがありまして、いわゆる防止等々を含め、これに果たす役割りは非常に大きいと思いますが、一つの方向といたしましていわゆる兵庫県における実情を委員長から報告されました。いわゆる労働団体、経営団体、それから県自体が学識経験者等も含めて雇用対策委員会の設置がされて、そこでいろいろ有効的な議論がされている。これは実態調査で明らかになっていますが、そういう雇用対策委員会の設置の有無について、どれぐらいの都道府県なり市町村においてそういうものができているのか。こういうことについて自治省としてのお考えを聞かしていただきたい。それからまた、数字の問題でもあります。これが一つ。
それから、いま一つは、やはり雇用拡大に私は一つは中央からの公共投資、それに付加した各地方自治体、地方公共団体の公共投資によって雇用が大きく創出されることになると思いますが、これらの問題についてもいやまだ予算が決まってないからということだろうと思いますけれども、私はやはり一応国家予算並びに五十三年度地方財政計画というものがこれは出ているわけでありますから、これらの見合いの中でどのぐらいやはり雇用が創出されるのか。特に福祉行政としまして、たとえば私は国民の非常な要求として保育所の不足の問題であるとか、病院の問題であるとか、地域サービスの不足であるとか、またこれは文部省の所管ともかかわりますが教育行政の不足の問題であるとか、こういう問題で非常に国民はこれらについて要望を持ってますし、そして、この面はわが国の景気回復にも、内需の拡大という意味から言っても、景気回復にも役立つと同時に、雇用創出にも私は役立つと思いますが、こういうような問題点について自治省としての考え方を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/61
-
062・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 初めにお尋ねになりました、兵庫県で雇用対策委員会のようなものを設置しておられるということでありますが、この種の雇用問題に対処するための機構、組織についてどのようなものがあるか、計数的な調査はいたしておりませんので承知いたしておりません。ただ、各自治体それぞれの地域の状況に応じていろいろな対応をしておる状況は断片的には聞いております。
それから、国の予算とも対応いたしまして、地方公共団体が雇用創出の面で果たす役割りが非常に大きいという点で、幾つかの例を先生御指摘になられましたけれども、私どもも、国の予算が雇用創出を目指して非常に大型に組まれましても、この予算が完全に執行されなければ意味がない、効果が上がらない。しかも、国の予算の非常に大きな部分は地方公共団体の予算を通して実行に移される、こういう状況を考えまして、昨年末、事務次官名をもちまして、五十三年度の地方予算の編成に当たりましては最近の経済情勢も踏まえてできるだけ積極的に予算を計上してほしい、当初予算からこれを計上してほしいという要請をいたしました。と申しますのが、各自治体におかれまして新しい年度の予算編成作業が本格化しますのが例年一月から二月初めでございますので、そのときをとらえて、国の予算の考え方、特徴なども添えて、できるだけ国の予算の考え方に沿った積極的な予算編成をしていただくように要請いたしました。
その状況でありますが、現在各自治体におきましては、この二月末から三月にかけて当初予算の審議のための議会が開かれております。ここに提出されております予算、都道府県だけについてはその状況を把握しておりますが、これによりますと、たとえば普通建設事業、災害復旧を除きました普通建設事業のうちの補助事業、国庫補助負担金を受けて行います補助事業の場合でありますと、前年度当初対比で三二・五%の増の予算が組まれております。ちなみに、前年度の当初予算の場合は、その前の年に比べて二〇・五の伸びであったわけでありますから、非常に大きな増になっております。
それから、地方の単独事業について申し上げますと、前年度当初対比で四三・四%の伸びの予算が計上されております。これにつきましても、前年度当初予算の場合ですと一九・三%の伸びでございましたから、これまた前年度よりも伸び率で倍以上の予算が計上されている。
市町村の状況はまだ把握しておりませんけれども、都道府県の地方課などの話を総合いたしますと、おおむね都道府県に準ずる形で予算編成作業が行われたと承知をいたしております。
これらの予算、公共事業の場合につきましては、各省庁で組まれた予算の方向、方針などを地方団体なりに把握して、国の予算が成立し、各団体別の配分が行われましたならば直ちに執行に入れるような体制に入っていると承知しております。公共事業の執行等のための推進機構も非常に多くの団体でつくられております。私どもは、このような予算が次に確実に執行していただかなきゃいけない、そのためにはどうしても財政的な裏づけが必要である、こういうことで、現在国会で御審議をお願いしておりますが、地方交付税法の関係では、一兆七千億円の特例増額をお願いしております。また、地方債につきましては、公共事業に対する起債充当率の引き上げなどを内容としまして、一兆三千五百億円の特例地方債を同じく地方債計画で予定いたしております。
また、これらの交付税の配分あるいは地方債の許可につきましては、新年度におきまして関係法律が成立いたしましたならば、できるだけ早く各自治体にこれが配分されるように、そのための準備作業を進めている状況でございます。
それから、公共事業以外の各種の、教育とか社会福祉、その他のいろいろな地方行政につきましても、ただいま申し上げましたように、その裏打ちとなる地方財源を確保することによりまして、これらの事業が円滑に進められると、このことがまた雇用面にいい影響をもたらすものと考えまして、必要な財源の確保に努力をいたしておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/62
-
063・安恒良一
○安恒良一君 対策委員会の設置の有無を自治省が把握されてないのは残念ですが、やはりこれは雇用安定なりそれから失業防止なり雇用創出に非常に重要な性格を持っていると思いますが、労働省はこの点をどういうふうに把握されていますか。少なくとも主管庁ですからこれぐらいのことは、どのくらいの都道府県において対策委員会が設けられている、また都道府県だけじゃなくて、場合によれば政令都市もありますし市町村もありますから、これぐらいのことは把握をされていると思いますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/63
-
064・細野正
○政府委員(細野正君) 各都道府県におきまして、労働主管部を中心にしながらも県の首脳部をキャップにしまして、それで関係の産業あるいは公共事業等の主管の部局を含めまして、いわゆる臨時雇用対策本部という形で雇用の総合的な対策を練っている、こういう仕組みをやっておりますところは、現在私どもが把握しているところでは、都道府県別には四十一県でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/64
-
065・安恒良一
○安恒良一君 政令都市等、都道府県だけじゃなくて大きいやはり政令都市等も非常に重要だと思いますが、そういう政令都市とか市町村段階にも私はつくられていると、こう聞いていますが、それは把握されていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/65
-
066・細野正
○政府委員(細野正君) 各安定所単位で雇用対策協議会等を設置して各市町村等の御協力を得ながら対策を総合的に進めるという仕組みがございますが、これは各安定所にほとんど全部できております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/66
-
067・安恒良一
○安恒良一君 それじゃ、どうかひとついま申し上げたように、安定所単位というのもわかりますが、私はやはり大きい政令都市等についてとか、それから人口がある一定以上の大きい市等において、それは安定所単位になる場合もない場合もありますね、これは。ですから、ぜひこの点はひとつ早急に一遍、これまたどのような対策委員会かできているのかということ、それからどのような機能を持っているのか、若干違いもあると思いますから、そういうことをぜひひとつ調査をしていただくようにお願いをしておきます。そして、資料をいただきたいと、その点については思います。調査していただけるかどうか、後からお答えを願いたいと思います。
それから、自治省について、これもまあこれより以上なかなか論争しても、各官庁と同じでありますが、たとえば自治省がつくられました地方財政計画、五十三年度、これを拝見しますと、公共事業費の内訳ということで、トータルで見ますと、国家補助負担額は三兆九千幾らと、こういうふうに出ておりますし、それから地方負担額がそれに見合って出されまして、合計で六兆五千二百二十五億ですか、こういうふうにずっと数字が挙げられているわけです。ですから、六兆五千億以上のお金が一応この地方財政計画書では組まれていますから、私は相当の大きな金額だと思います。
ですから、これからくる雇用がどういうふうに出るのかというのは、私はやはり各都道府県市町村別の積み上げがないと、金目と仕事量だけでこの人数を割り出すという点は、これはある程度簡単にできるわけですね。しかし、なかなか、どの省もお答えになっているように、いわゆる単純に計算すればと、こういうお答えになるわけです。ところが、雇用という問題は単純な計算だけでは困るわけなんです。現実にどういうふうに雇用がふえていくかというのは、単純な計算だけでは困りますから、特に自治省の場合には非常にウエートが高いわけですから、できるだけ早くヒヤリング等をやられて、雇用創出についての案をぜひひとつ示してほしいと、こういうことも重ねて自治省に要望しておきます。
そこで、もう時間が大分なくなりましたから、銀行局の調査課長がお見えになったということですから、いまさき、あなたがおいでにならないときに私が質問しましたことは、雇用創出の意味からも、それから公正な貿易の、いま不均衡問題で公正貿易と言われる観点から言っても、週休二日、時間短縮はわが国はきわめて必要だ。これはECやアメリカからも指摘をされている。そういう中で、特にもうこの国会で、何回も何回も金融機関の週休二日制の実施についてどうかということを労働大臣に質問しましたところ、所管庁は大蔵省であるということでありますので、お見えを願いました。私がお聞きしておきたいことは、もうこの問題は、この国会でも何回も関係委員会でいろいろ議論されていますから、銀行法十八条について、今国会においてこれを削除する、そして、金融機関の完全週休二日制の道をまず開く、こういうことはどうだろうかということについて、いわゆる大蔵省の銀行局としてはどういうふうに作業が進んでいるのか。それから、私が言ったことが受け入れられるならそれで結構だし、そうでなければ具体的なプログラムはどうなっているのか。これは何回も何回も検討中じゃ困るわけです、前向きにと。その答弁はもう百回も——私は当選して新しいんですが、先輩の議員諸君が何回も聞いていますから、私自身も当選して半年ぐらいの間に何回か聞いていますから、そういう点について、ひとつ考え方を明らかにしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/67
-
068・関要
○説明員(関要君) お答え申し上げます。
ただいまの金融機関の週休二日制問題につきましては、私ども最近、金融制度調査会で普通銀行のあり方ということを御審議願っているわけでございますが、その中の一つのテーマといたしまして、銀行の取引あるいはサービス業のどういう問題があるかということを昨年の秋に御審議を願ったわけでございます。その結果、金融制度調査会といたしましては、一応その問題についての中間的な整理を終わった段階でございます。その過程におきまして、中間的な整理とただいま申し上げましたのは、実は普通銀行のあり方ということは非常に広範な問題でございまして、幾つかのサブテーマを設けて順次これを御審議願うというやり方をやっておりますが、やはり全部出そろったところで相互の関連を見直して、これを最終的な結論に持っていかなけりゃならないということで、部分、部分の議論が終わった段階では、それは中間的な整理であると、こういうやり方できているわけでございます。したがいまして、これは何も週休二日制だけの問題でなくて、すべての問題についてそういうやり方でやってまいったわけでございます。ところで、この週休二日制問題、特に土曜日に金融機関の店舗を閉めるという意味の週休二日制問題につきましては、これは先生御指摘の銀行法十八条の問題と絡むわけでございます。そこで、その銀行法十八条の問題についても当然御議論いただいたわけでございますが、現在の中間的な整理段階の考え方といたしましては、現時点におきましては銀行が土曜日に店を閉めるという意味における週休二日制をやるには、いまだ条件が熟していないという結論でございます。ただし、いずれにせよ、この問題は、いずれかのときにはこれは考えなければいけないと。その場合に、現在の銀行法十八条というのは非常に厳格な規定になっているので、その十八条については、いずれかの時期に弾力的な規定に改める必要があるのではないかというのが、議員の先生方の大方の意見でございます。ただ、その時期につきましては、現在のところ、ただいま申し上げましたように条件が熟していないということもありまして、今後予定されている審議が全部終わった段階におきまして、調査会としての最終答申を求めるその時期において、ほかのものと一緒に最終的な結論を出した方がいいだろう。したがいまして、銀行法の改正につきましても、その時点において考えたらいいであろうというのが調査会における御議論でございました。ただし、この週休二日制の問題につきましては、先生御指摘のように、大変国民の皆様の関心の強い問題でございます。今後の経済的、社会的な情勢の変化等によりまして、調査会全体の議論が済む前に何か措置をとらなければならないという事態も起こるかもしれませんので、そういった場合については、全体の審議と切り離して検討すること、その時期において、その必要があるかどうかということを改めて判断して、そういうことも考えてみたいと、こういう御意見になっておるわけでございます。大蔵省といたしましても、そういった調査会の御議論を参考にいたしまして、今後十分検討していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/68
-
069・安恒良一
○安恒良一君 この問題も機が熟してないとか何とか抽象的でわかりかねますが、もう私の質問時間も余りありませんから、改めてまたこの問題だけで、いずれ掘り下げて少し聞きたいと思います。
きょうは少し、いまの調査課長の御説明では理解しがたい点がありますから、保留をしておきます。
最後に、それじゃ今度は厚生省に聞きたいのですか、これももうざっくばらんに少し中身−実は参議院の予算委員会の総括質問の中で、目黒委員と佐分利さんとの間にやはりやりとりがありました。これは八木さんも関係しているのですが、私は厚生省の中における雇用増大、これもいろいろあると思います。たとえば、保育所の問題等も関係がありますし、いろいろあると思いますが、一つの問題といたしまして、目黒委員と佐分利さんの間のやりとりは、患者か五十人のベッドがある。その中で約一割が重症と、大体ぼくは平均的な見方をしていると思うのです。その場合、特二類で、二・五人に一人。そうして二・八を完全にやっていくと、こういう状況の中で、どれだけ人が必要かということについて、目黒委員が質問しましたところ、これに対して佐分利さんの方から、まあ、この仮定で計算すると、法律の基準から言いますと、特二類ですから二十人おればいいんだと。しかし、重症患者がおって、絶えず観察が必要だと、こういうふうに考えてくると、総体で三十八人が必要になるという計算に一応なりますと、こういうことを実は佐分利さんが答えているわけですね。そういう意味から言いますと、やはり私は厚生省関係の雇用創出、それと同時に、これは雇用創出だけではありませんし、国会で非常に大きな論議になった付き添いの撤廃ということ、いわゆる基準看護を完全に実施すると、こういう保険局長通達、たとえば五十三年一月二十八日に保険局長は通達を出していますが、それは実行していく上から言っても、私は二つの角度から、このことはきわめて重要だと思うのですが、そういう意味のことについて、いわゆるこれは一つの例です。厚生省の中で具体的な例として一番わかりやすい例で、私はたまたま基準看護という問題を挙げたのですが、いわゆる国民に対する社会保障、福祉のサービス面における雇用を大きくつくり出していくと、これもきわめて国民が今日要望しているところだと思いますが、こういう問題について、厚生省はどのようにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/69
-
070・佐分利輝彦
○政府委員(佐分利輝彦君) 結論から申しますと、人口の老齢化等も進んでまいりますので、これからますます医療機関とか福祉施設の数の増、職員の増ということは必要になってくると考えております。
当面の問題でございますけれども、明年度の予算案では、まず直轄の国立病院・療養所では、千三百七十人の増員を予定しております。また、都道府県とか日赤、厚生連、済生会その他看護学院の場合には財団等もございますが、そういったものに対する補助金で試算をしてみますと、その関係の職員の増は千百五十人程度であろうと考えております。ただ、過去の実績から医科、歯科の病院、診療所の職員がどういうふうにふえてきたかということを分析してみますと、過去十年間で毎年平均五万人強の雇用増になっているわけでございます。そのような実勢も踏まえ、ただいま先生から御指摘もございましたように、二十一世紀に向かって健康と福祉のサービスの充実を図るというような意味から各種保健医療、福祉担当職員の増加を図っていくということは必要であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/70
-
071・安恒良一
○安恒良一君 それじゃもう最後になりますが、厚生省には、いま国立並びに主として公的なところを言われたんですが、基準看護問題というのはまた改めて厚生日にこのことは議論しますが、今日非常に重要な問題ですから、これは人員増、減という問題以上にやはり重要です。そして、そのことは結果的には人員か、いま言われたように医療関係労働者がふえていくことになりますから、積極的な、いわゆる付き添いの要らない看護ということが実施できるようにひとつ御努力を願いたいと思います。
そこで私は、最終的に労働大臣に御要望を申し上げて所見を承りたいと思いますが、きょうはこれだけの時間をかけてやりましたが、私は、総論的には雇用安定が非常に重要だということはお互いが認識をいたしております。ところが、それを具体的にどう安定をさせるかということになると、第一は失業の防止、第二は離職者に対する措置と再就職の促進、第三番目には雇用の創出、拡大、この三つの総合対策がないとだめだと思うんです。ところが、いま各省とやりとりをしました限りにおいて、どうも親元の労働省自体が雇用の創出、拡大について、私から言わせるとやや意欲が十分でない。それはどういうことかと言うと、私のやりとりの中で積極的に労働省からこうしてほしいということが各省に御注文がいってない、こう思います。ですから、それ等が反映いたしまして、各省とやりとりしましてもいわばマクロ的な、もしくは計量的な計算だけであり、それだけでは私は生きた雇用対策にはならぬと思います。そういう意味で、どうかこの三点について一段とひとつ労働大臣を中心に雇用安定のための御努力をお願いをしたい。特に、間もなく国家予算も来月、四月の早々には決まることでありますので、速やかにやはりこの雇用の創出と拡大ということについて各省との間に詰めてもらいたい、そしてやはり国民の前にそういうことを明らかにしてもらいたい。そのことによって、国民か安心感を持たなければ、おとといでしたか、読売新聞社の世論調査によりますと、国民の四十数%が雇用不安を訴えている。読売新聞社の調査がきのうかおととい発表されましたが、四十数%の国民が今日雇用不安におののいているというのが読売新聞社の調査にもあったことでありますから、そういう点について一段とひとつ御努力をお願いしたいと思いますが、労働大臣いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/71
-
072・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘の問題、私も全く同感でございます。特に、現在の雇用情勢というのは産業構造の変化と密接不可離でありますから、現在の経済情勢の認識の上に各省と密接な連絡をとって雇用拡大に努めるということと同時に、私は、現在労働省の諮問機関であります雇用政策研究調査会の専門家の意見も十二分に聞きまして、今後の雇用政策の推進、雇用創出の政策推進に努力をいたしたい、全力を尽くしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/72
-
073・安恒良一
○安恒良一君 それから、実は企画庁にもお聞きしたいと思ってお見え願っておったんですが、もう時間がございませんから、企画庁の方には特に御要望だけ申し上げておきたいと思いますが、まあ企画庁長官のいわゆる計量的な答弁はよく承知しています。しかし、どうしても、いま私は労働大臣に強く要望し、労働大臣もその方向にやっていただけると思いますが、それを横につなぐためには、私はやっぱり企画庁自体の労働省に対する協力というものが、雇用創出の問題についてはいろいろ要ると思いまして、実は企画庁にお聞きをしたかったんですが、もう一時でほかの委員先生に昼食も食べさせないで人道上の問題でもありますから、これで終わりたいと思いますから、どうかいま労働大臣が言われましたことの達成が可能になるように、ぜひ企画庁の側面における御協力を御出席の方を通して大臣にお願いをしておきたいと思います。
以上で終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/73
-
074・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十五分再開することとし、休憩いたします。
午後零時五十六分休憩
—————・—————
午後二時四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/74
-
075・和田静夫
○委員長(和田静夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
午前に引き続き労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/75
-
076・小平芳平
○小平芳平君 労働大臣の所信表明でも第一に挙げておりますのが雇用情勢の深刻さ、またこの雇用問題の解決ということを第一に挙げております。当委員会も委員長からけさほど報告がありましたように、関西地区で造船業、鉄鋼業、平電炉業、繊維業というふうな不況産業の現地調査をして参りました。こうした現実に対しまして、非常にきょう午前中の答弁を伺っておりますと、本当に深刻な不況、雇用情勢というものに取り組んでいこうとしていらっしゃるのかどうかというふうにすら言いたくなるような御答弁が多かったように、私はお聞きしておりました。
最初に伺いますことは、ちょっと午前中とダブりますけれども、もう一度はっきりしておいていただきたいこと、それは現在の失業情勢はどうなっているかということをお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/76
-
077・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 最近の景気の回復がはかばかしくございませず、一層円高そのほかの情勢も加わわりまして、大変厳しい雇用情勢でございまして、ことしの一月現在完全失業者百二十六万人という、こういった状態でございますが、失業率にいたしまして二・〇五%、それから求人倍率において〇・五二というこういう状態でございますが、この三月現在は例年の季節要因もございまして、去年の実績を踏まえて、大体見通しをわれわれとしては百三十万人台になるであろうと、場合によっては百四十万人に迫るのではないかと、このように心配をいたしておるわけでございまして、これを五十三年度全体から考えますと、雇用者数は約五十五万人は増加する。そして、失業者は現在百十五万人になっておりますが、百十万人台に約五万人減少すると、こういう見通しを立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/77
-
078・小平芳平
○小平芳平君 そこのところがちょっとはっきりしないわけですが、百四十万人にもなるであろうと予想されるということ、これは三月にですね。新聞によっては百五十万人にもなるかもしれないと、こういうように報道されております。それが百十五万人と百十万人というのはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/78
-
079・細野正
○政府委員(細野正君) ただいま大臣から申し上げました百二十六万人という数字は、これは本年の一月の数字でございまして、それで百十万というふうに申し上げましたのは、年度の平均の見込みでございます。と申しますのは、御案内のように、一−三という月は毎年季節的要因によって失業者のふえる月でございまして、そういう意味で一−三が百二十六万というふうな、これは一月でございますが、そういう数字でございましても、年度平均としては百十五万というふうに見ておるわけでありまして、それか来年度においては年度平均として五万人減の百十万程度になるであろう、こういうふうに政府全体として見込んでいると、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/79
-
080・小平芳平
○小平芳平君 そこで、この一−三は毎年失業者がふえるという、そういうところからどういう対策をとってきたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/80
-
081・細野正
○政府委員(細野正君) 一−三がふえますのは主として季節的要因であり、なかんずく季節労務者等が積雪寒冷地帯を中心にしましてそこで失業が多発をする。そういう状況でございますので、積雪寒冷地におきます季節労務者等につきましての通年雇用なり、通年労働なりというふうなことについての施策とあわせまして、各種の訓練、講習等に対する助成等のいろんな施策を講じまして、万全を期しているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/81
-
082・小平芳平
○小平芳平君 万全になっていないわけでしょう。たとえば、これは先日の委員会でも指摘いたしたんですが、東京都がやっている特別求人、あるいは特記事項というようなことで、こうした十二月、一月、二月に都としては対処しようということでありますが、そういう具体的なことを答弁していただきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/82
-
083・細見元
○政府委員(細見元君) ただいま先生からお尋ねのございました東京都の特別求人の制度は、主として山谷地区の日雇い労働者を対象にいたしまして、東京都の清掃局、港湾局、建設局等の所管いたしております清掃、除草等の事業を、山谷の求人状況が特に悪化した時期に労働局が取りまとめまして集中的に発注していく制度でございまして、確かに山谷の状況を見ますと、先生お尋ねのようにことしの一月、二月は大変悪化した時期でございまして、東京都といたしましても、これらの事業を集中的に発注して切り抜けていただいたわけでございますけれども、おかげさまで三月に入りまして山谷の求人状況も改善いたしてまいりまして、特に三月の十五、十六、十七の三日間につきましては、あぶれなし、失業保険の受給者なし、満杯の紹介ができるというような状況に、三月に入ってようやく改善してまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/83
-
084・小平芳平
○小平芳平君 その特別求人については、いま御説明のあったようなことを前回の委員会で私が指摘をし、また質問した点でありますが、私がいま、労働省はこうした特別求人、これはまあ山谷地区ですか、——それじゃちょっと観点を変えて、山谷地区、それから大阪のあいりん地区につきましても、委員長の報告にもありましたように、大阪府からの要請としまして、あいりん地区について、日雇い労働者の職業訓練、福利厚生事業への国の助成を要望しておられますが、そういう点について労働省としてはどういうふうに対策をとってこられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/84
-
085・細見元
○政府委員(細見元君) 先生お尋ねのございました山谷地区、あいりん地区におきましては、労働福祉関係の対策を総合的に推進いたしますために、山谷地区には山谷労働センター、あいりん地区にはあいりん総合センター等を建設いたしまして、職業の紹介、福祉、簡易宿泊等の便を図っておるわけでございます。山谷労働センターにつきましては、都が独自に建設をされたものでございますけれども、あいりん総合センターにつきましては、国、雇用促進事業団大阪府がそれぞれ費用を分担して建設いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/85
-
086・小平芳平
○小平芳平君 それから、求人に対しては国はどう関与してますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/86
-
087・細見元
○政府委員(細見元君) 求人につきましては、常用化の促進に努めますことはもちろんでございますけれども、特に、先ほど申し上げましたような求人が窮迫いたしました時期には、たとえば東京都の場合でございますと、先般来、東京都の労働局職業安定部長が中心になりまして、関係の都の課長あるいは関係の安定所の幹部職員によりまして、特別求人開拓班を編成いたしまして、主要な発注の元締めでございます東京建設業協会、東京都中小企業建設業協会、東京建設躯体工業協同組合等を訪問いたしますと同時に、これらの主要な加盟企業でございます大手二十四の建設関係各社を個別に訪問をいたしまして、求人について、特に依頼を申し上げました結果、三月にある程度の改善を見てきたものであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/87
-
088・小平芳平
○小平芳平君 私たちが公明党としまして山谷地区へ行きまして、あそこの玉姫出張所でいろいろお話を伺ったりしましたのは一月二十七日でありましたが、この段階ではきわめて深刻な状況であり、求人と言えばほとんど、先ほど来申し上げる、都の特別求人が大部分を占めているというような状況でありました。こうした季節的な関係はもうあらかじめわかるわけですから、円高の推移は将来はわからないにしましても、そういう季節的な変動については速やかに対処できるような国の施策がきわめて必要であろうと考えます。
それから、労働省では昨年九月に臨時雇用対策本部を設けられましたようですが、各都道府県のことについて質問が午前中ありましたが、労働省の方の対策本部はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/88
-
089・細野正
○政府委員(細野正君) お尋ねございました本省の臨時雇用対策本部でございますが、これはもう御承知のように、労働事務次官を長としまして、関係の局長がメンバーになりまして、いまお話のございましたような厳しい雇用・失業情勢に対処しまして、全省的な体制で雇用対策を進めてまいりたい、こういうことで昨年九月五日に設置されたわけでございます。
現在まで六回開催しておりまして、その主な活動について申し上げますと、第一回の昨年の九月五日には緊急雇用対策というものを決定いたしまして、その主な中身としましては、雇用安定資金制度の発足、それから高年齢者雇用率制度の積極的活用等によります失業の予防を進めてまいりたいということが一つ。それから二番目には、徹底した求人開拓を全国的にやろうじゃないかということ、それから、公共事業に就労機会を確保していこうというふうなことによりまして、あるいは雇用保険の活用によりまして再就職の促進と生活の安定を図ってまいりたい。それから三番目には、訓練を機動的に実施していこうじゃないかと、こういうふうな中身を中心とする雇用対策を決定をいたし、その後それを推進してまいったわけでございます。
しかし、先ほどお話ございましたように、急激な円高という問題に遭遇いたしまして、そのために不況感がさらに高まったということと、それからもう一方におきましては、新たに特定不況業種離職者臨時措置法が施行になりまして、それのスタートを切らなきゃいかぬというふうなことによりまして、ただいま申し上げました緊急雇用対策、昨年九月のものを発展的に解消いたしまして、本年の一月二十日に臨時雇用対策本部を開きまして、新たに円高不況下の緊急雇用対策ということで、以下申し上げるような内容のものを決定したわけでございます。その第一番は、先ほど来御議論ございましたように、今後の雇用の創出あるいは雇用の機会の拡大という問題を含めまして、今後の雇用政策のあり方について、現在ございます雇用対策基本計画に新たにつけ加えるべきものがどういうものがあるだろうかというふうなことの検討をするという意味で、雇用政策調査研究会を再開いたしたわけでございます。それから二番目には、高年齢者の失業者につきまして個別延長という制度をとっておりますが、これが本年一月末で切れるわけでございまして、それを延長しようということを決定いたしております。それからさらに、新年度から中高年齢者を採用する事業主に対しまして、賃金についての助成をしようじゃないかという制度を新たに設けたわけでございます。それからなお、職業訓練法の改正を含めます職業訓練の新展開をしてまいりたいというふうな五つの柱を主要なものといたします新しい緊急雇用対策を決定したというふうなことが大体活動の主なものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/89
-
090・小平芳平
○小平芳平君 その立てる柱は大変結構なんですが、要はその中身次第ということであろうと思いますが、午前中の質疑の内容は繰り返すわけにはまいりませんけれども、とにかくそれでは雇用を新しくつくり出すということ、あるいは、午前中に労働大臣の御答弁でも、労働時間短縮、週休二日制、これなどは労働省が一番積極的にある時期は推進していたと思うんですが、先ほどの御答弁から見ると、何かずいぶん後退しちゃったみたいにも感ずるんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/90
-
091・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 雇用を新しくつくり出すという、これはぜひ力を入れなきゃならぬ目標でございまして、そのために、ただいま政府委員が答弁いたしましたような、一月の二十日新しい雇用緊急対策を策定をいたしまして、それには、特に中高年齢者を雇い入れる事業主に対して新たに助成をしていく、中小企業にしては三分の二の賃金の助成をしていく、こういう配慮をいたしますし、ことしの予算関係、全体約一兆五千億円というのは、雇用政策全般にこれを予算措置として充当しているわけでございますが、それに、やはりこれからの雇用政策というのは、職業訓練によってこれから求められる職種に向かって、特に中高年齢層の再就職のための訓練を充実していく、こういうことに重点を置くわけでございますが、それと同時に、私もけさ方こちらから積極的に御答弁申し上げることをついいたしません関係から、いかにも時間短縮に対して消極的な構えであるというような印象をお受けいただいたとすれば、これはこちらの説明足らずでございまして、たまたま、私が労働大臣に就任いたしました早々、十一月の末でございますが、公労使三者構成の中央労働基準審議会の建議を私はいただきまして、「労働時間対策の進め方について」という、この建議の中に週休二日制あるいは有給休暇の完全実施等々時間短縮に対する建議がございまして、これからはやはり、経済がかつての高度成長と違ってまいりましたから、どうしても仕事を分かち合うという、こういうきわめて、何と申しますか、消極的な雇用対策ではございますけれども、やむを得ない。そういう面から言っても時間短縮は雇用政策の大切な柱である。いわんや、これが国際協調の妨げになり、いわゆる日本人の働き過ぎということが、これが国際摩擦にもつながっており、これがひいては円高にも結びつくということになれば、これはひとつ具体的に計画を立ててこれが実行に移る。ただこの場合に、労働基準法の改正とかそういった法制によってやるということは、これは企業の実態が違いますから、やはり行政指導によってこれを逐次産業別、地域別も配慮しながら推進していこうということで、事務方に指令をいたしまして現在スケジュールを立てておると、こういう状況でございまして、過去においてもこの必要性は認識されましたけれども、われわれのこの時代に当たってはやはり雇用の別の面の場をみんなで分かち合うという、こういう配慮から時間短縮を推進しなきゃならぬと、このように考えております。ただ、時節がいま不況のどん底でございますから、やはりこの時間短縮という問題が企業のコストと直接結びつく関係から、これは慎重に企業の実態に即して推進していくということが必要ではないか。その場合に、やはり一つの目安は銀行関係がまず突破口に時間短縮の職場として検討すべきであると、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/91
-
092・小平芳平
○小平芳平君 先ほどの御答弁のように、中小企業で週休二日制を実施したらこの不況下で倒産する、かえって失業者がふえる、そういう考えはいかにも何といいましょうか、まさか倒産するのを覚悟で週休二日制をやるとか、倒産するのが目に見えていて労働時間の短縮をやるとか、そういうわけでもないでしょう。
先ほどの御答弁で、三月の完全失業者は百四十万人にも上っているかもしれないという御答弁でございましたが、こうした失業なさっていらっしゃる方で雇用保険の受給を受けて、そうして受給期間が終わってしまった方、なおかつ就職がまだ全く目当てがついてないという方、そういうような方々がどのくらいいらっしゃるかということですね、そういう追跡調査をやっていらっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/92
-
093・細野正
○政府委員(細野正君) お尋ねございました雇用保険の支給期間を満了した方についての追跡調査でございますか、昨年八月に神奈川県で五十五歳以上の高年齢者について実施した調査がございますので、その結果を申し上げてみたいと思います。
支給終了の四ヵ月後の状態で調査をしているわけでございますが、全数が全部で四百六十九名でございますが、引退をした方が四五・五%に当たる二百十三名、それから再就職をされた方か七十九名で一六・八%、それから現在求職中の方は三七・七%の百七十七名という状況でございます。
なお、この調査によりまして再就職をされた方を時期別に見ますと、全体の再就職をされた方の中で支給終了後一月以内に就職したという方が三七%、それから支給終了後一ヵ月から二ヵ月の間で就職したという方が二七%。この二つ合わせますと、二ヵ月以内に約六四%、三分の二程度が就職しておられる、こういう状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/93
-
094・小平芳平
○小平芳平君 それは神奈川県が実施したのであって、労働省としてはやってないわけですか。労働省としては雇用保険の支給まではやるが、終わったら後は関係ないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/94
-
095・望月三郎
○説明員(望月三郎君) 労働省といたしましては、昨年の秋に全国的な規模で実施をしておりまして、現在集計中でございまして、きょう手元に間に合わなくてまことに恐縮しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/95
-
096・小平芳平
○小平芳平君 先ほどの派遣委員の委員長の報告の中にもありました国光製鋼、この国光製鋼の場合には五十二年九月、昨年の九月、百五人の方が退職なさった。その追跡調査の結果では、現在五十七人が再就職、四十八人が未就職ということで約半数弱の方が就職が決まってないということが報告されております。したがいまして、こうした実情というものもなるべく正確に把握していくことが必要であるというふうに考えます。
それから次に、永大産業の会社更生法適用申請から間もない時期に私たちが大阪を訪れたわけでありますが、この永大産業に関連いたしまして、同じように関連企業で和議申請あるいは会社更生法の適用申請、こうした件数はどのくらいになっておりますか。それじゃ私はその件数よりも質問したい点は、こういう点を質問したいわけです。
更生法適用を申請した永大産業の従業員に対しましては、当然二月分の賃金も三月分の賃金も支払われると思いますが、そう考えてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/96
-
097・桑原敬一
○政府委員(桑原敬一君) 永大産業の、それからまたその下の関連会社でございますが、給料日の支払い日は一律ではございませんけれども、二月の二十五日が永大産業の全体の給料日でございましたが、完全に支払われております。今度は三月二十五日になりますので間もなくでございますが、私どもも十分注意をして見ております。
それから、また下請関連につきましてもいまのところ賃金不払いの事実は聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/97
-
098・小平芳平
○小平芳平君 こういう点は労働省でも把握していらっしゃると思いますが、更生法適用申請した企業の従業員の賃金は、第一に確保されるわけですね。ところが、関連で、下請で、これは株式会社という名前のついているところもついてないところも含めて、下請で働いていらっしゃったような方々、しかも不渡りを出されてしまったわけですから、そうしますと、過去数ヵ月にわたる賃金分が不渡りになっちゃうということがあるわけです。たとえば、下請と言いましても、ほとんど自分の方で何かをつくり出して納めるのじゃなくて、向こうから、親企業からそういう資材を持ってきて加工して納めるというような場合は、ほとんど賃金分が大部分なんですが、そうしたものは不渡りとともに補償されなくなってしまうんですね。そういうような実態はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/98
-
099・桑原敬一
○政府委員(桑原敬一君) 永大産業の関連につきましては、私どもまだその事実はつかんでおりませんが、そういうことがないように私どもも期待をいたしたいと思います。
先生御指摘のように、会社更生法を受けた場合には、共益債権で更生決定手続開始前の六ヵ月の賃金とかあるいは退職金あるいは社内預金というのは確保されるということで、お話しのように連鎖倒産の企業に比べますとその心配は非常に少ないということでございますか、そういった意味で私どもは、所管ではございませんけれども、会社更生法の百十二条の二のいわゆるこういった連鎖倒産に関連して、こういった更生計画の認可前に管財人の申し立てまたは職権によっていろいろな、全部または一部の、お話しのような弁済を受けることによって賃金債権の確保ができるような措置も講ぜられておりますので、中小企業庁等と十分連絡をしてそういうことがないようにいたしたいと思っております。また、通産省関係の所管の法律でございますけれども、中小企業信用保険法とか中小企業倒産防止共済法というような法律がございまして、いろいろな保護規定がございますから、こういった法律を活用することによって御指摘のような不幸な事態にならないように、私ども努力していかなければならぬと思っております。万一そういう問題が起きて、通産ベースでできない場合に、私ども前々国会でございましたか、賃金不払いの立てかえ払い制度をつくっておりますので、万一の場合はこの制度で手当てをしていきたいと、こういうふうに考えておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/99
-
100・小平芳平
○小平芳平君 特に中小企業あるいはもっと零細企業と言った方がいいかもしれませんが、いま私が説明したようなケースがありますので、ひとつよく今後も検討していただきたい、研究していただきたいと思います。
それから、時間になりますので、これも今国会他の委員会で質問した事項なんですが、宮崎県の旧松尾鉱山の元従業員に対する診断サービス、これは結論が、いつ発表になりますか。もう前の委員会で詳しく申し上げましたから繰り返しませんから、聞くところによりますと、もう結論は出ているけれども、本人に通知がいってないというようなことも言われているんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/100
-
101・桑原敬一
○政府委員(桑原敬一君) この砒素の暴露による障害の問題につきまして、いろいろ私どもも調査をしてまいりましたが、問題が非常にむずかしい問題でございましたので、非常に時間がかかっております。私どもはごく近々にこの結果を出したい、それによって私どももいろいろな調査対象になられた方々に対して、場合によっては労災補償の申請をしていただくとか、いろいろな行政指導と申しますか、援助と申しますか、そういうことをやってまいりたい。近々に、ごく近々に結果を発表いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/101
-
102・小平芳平
○小平芳平君 ごく近々とはどういうことですか。そうして、段取りとしてはどういうふうになりましょうか。直接御本人にすべて通知が一斉にいくようになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/102
-
103・桑原敬一
○政府委員(桑原敬一君) 宮崎でやっております関係でございますので、具体的な日付は申し上げられませんけれども、私どもといたしましては一週間以内ぐらいにはぜひ発表いたしたい。具体的ないろいろな医者の診断に関係いたしますので、医者の方から御本人に御報告をする、こういう手続にいたしたいと、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/103
-
104・小笠原貞子
○小笠原貞子君 時間的制約もございますので、お伺いしたい問題を若干の問題にしぼってお伺いしたいと思います。
昨年も北炭の労働者の退職金問題につきまして質問をいたしまして、その後、いろいろ御検討、御配慮もいただきまして、五十一年度分の退職金については解決がついたということで喜んでおります。しかし、五十二年度分というのがまだ全く支払われるという現実のものになっていないということが一つの大きな問題になっているわけです。実は三月の十日に私夕張へ入りました。三月の十日と言いますと、もうこちらは春でございますけれども、夕張の山の中は大変深い雪でございました。昨年、退職金の問題を扱ったということで、皆非常に期待をして、そして夜遅くまで、炭鉱を離職された方、また現に働いている方、そして主婦の方たちがたくさんお集まりくださいまして、もう予定の時間を超えまして、もう十時過ぎまで噴き出すようないろいろな訴えが出されたわけでございます。
そこで、きょうもやっぱりこの問題についてもう一段と御検討、御配慮いただきたいという立場からお伺いするわけでございます。
退職金の払われていないという問題は離職者の問題ですけれども、また、現実に働いている労働者につきましては、緊急な山の状態だからということでいろいろと新しい合理化がかかってきているという深刻な問題か出されたということでございます。まず、通産省にお伺いしたいと思いますけれども、北炭については、いろいろ石炭振興政策に基づいて各種の補助金というものがいままでたくさん出されていたと思います。過去四年間に各種補助金など総額いたしますとどれくらいお出しになっていただいていたか、ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/104
-
105・向阪浩
○説明員(向阪浩君) ただいま御質問の点につきまして御説明申し上げます。
ちょっと五年間の数字をただいま持ってまいっておりません。便宜五十一年度と五十二年度の助成額について申し上げます。補助金等で申し上げますと、五十一年度三十二億二千万円、ちょっと端数がついておりますが、三十二億二千万円ちょっとでございます。それから、長期資金の貸し付けで申し上げますと、これは貸し付けベースで申し上げまして約二十八億円でございます。それから、五十年度の数字を申し上げますと、補助金で三十八億四千八百万円、それから、長期資金の貸付金で三十八億九千四百万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/105
-
106・小笠原貞子
○小笠原貞子君 いま、五十年、五十一年、五十二年ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/106
-
107・向阪浩
○説明員(向阪浩君) ただいま御説明申し上げたのは、五十一年度の数字と五十年度の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/107
-
108・小笠原貞子
○小笠原貞子君 五十一年と五十年、はいありがとうございました。
それで、私それに加えて、もう二年足しまして、過去四年間というものを、これ簡単な足し算でございますから足し算をいたしました。それは有価証券報告書で足し算したわけですけれども、いまおっしゃった分に二年分加わります。二百四十六億という計算が出てまいりました。これは有価証券から出したものでございますから、だれが計算してもそういう答えになろうかと思います。こういたしますと、四年間に二百四十六億というのは少ない額ではなくて、これは大変大きな額だと思います。これはエネルギー産業として大事だから出すべきところには出さなければならないというのは当然のことだと思いますけれども、やっぱり出す以上は、このお金か本当に石炭産業発展の道につながっているか、また、そこで働く労働者の立場も考慮されて出されているかという疑問が持たれるような会計のあり方であってはならないと、そういうふうに思うのは当然のことだろうと思うわけなんです。私もこれ、ちょっとずっと有価証券報告書というのを読ませていただいて、そして、今年度出されました七七年度、それから七六年、七五年とこれずっと見ていきまして、見るたんびにうわあ大変だと思いましたことは、北炭か三井銀行、三井商事、三井観光というような系列資本と申しましょうか、そこから長期融資というのが年々ふえているということでございます。具体的に七七年の有価証券報告書というので調べてみますと、三井物産で九十億、長期借り入れということになっております。利子は一〇・二五%になっておりました。それから、三井観光開発、これも長期借り入れでございますけれども、これも五十四億という多額の借り入れになっております。そして、利子を見ますと、これは実に一二・三%という非常に高い利子で北炭が借り入れられているということでございます。まあ借り入れの中で元利の大きな部分がたな上げされているというようなこともあろうかと思いますけれども、たな上げされてもいずれは返済しなければならないお金でございます。そうしますと、ここで問題なのは、ほかの会社とこうずっと借入先等調べてみますと、たとえば、ユーザーから借りているというのは、大変高い金利で借りているだろうというようなことが言われることがございますので、そのユーザーの方を調べましたら、新日本製鐵の場合も八%でございます。日本綱管の場合も八%東京瓦斯も八%というふうな額でございますね。そうすると、ここで飛び抜けて言えますことは、系列会社の三井物産、三井観光、特に三井観光と北炭との関係というのは非常に深い関係があるということは御承知だろうと思いますけれども、これが実に一二・三%、ユーザーから借りるのでも八%という中で一二・三%というと、五〇%以上高い利子で借りているということになるわけでございます。これはやっぱり非常に問題じゃないかと。通産省として補助金交付に当たっては細部の目的に出されたものについてこれはどう使われているかということの点検もされていると思うんですけれども、どんどんつぎ込んだはいいけれども、自分の系列会社に高い利子で、いわば自分の系列会社にうまい汁を、悪い言葉で言えば吸わせているような、そういう会計であれば、つぎ込んだことが本当に役に立っているとは言いがたいと思うわけです。この辺について私は疑問だというふうに思うのですけれども、その点通産省としてお出しになる立場としてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/108
-
109・向阪浩
○説明員(向阪浩君) ただいま御質問いただきました石炭企業に対する助成の問題でございます。石炭企業に対して行っております助成につきましては、石炭鉱業合理化臨時措置法及び石炭鉱業再建整備臨時措置法という二つの法律に基づきまして、一定の目的あるいは対象に対しまして法令に基づいて厳格に資金の交付を行っておるところでございます。
それから、金利の問題でございますが、これ必ずしも私金利の専門家でございませんので、的確に申し上げる能力ございませんが、保証、担保のあるなしですとか、あるいは借入金の契約の時点でありますとか、いろんなことで金利条件が多少の差があるんじゃなかろうかと存じております。もちろん、合理的な幅の中での話だろうと思いますけれども、多少の金利幅があるということはやむを得ないのではなかろうかと存ずるわけでございます。
なお、御質問の三井観光からの借入金についてでございますけれども、大体長期プライムレートで申し上げますと、一番高い時点での借入時期になっているような気がいたしますけれども、つぶさにはよく承知をしておりませんので、機会を見まして企業の方から事情聴取をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/109
-
110・小笠原貞子
○小笠原貞子君 これ大変私は時間をとって、もうちょっと専門的に分析をしていかなければならないと思うんです。御承知だろうと思いますけれども、北炭というのは大変な会社でございます。大変という意味はいろいろございまして、社長の萩原さんというのは本当に政商でいらっしゃる、なかなか腕の立つ方でございます。
北炭と三井観光の関係でございますね、これから御検討いただくときにぜひ考えていただきたい。三井観光のルーツは一体どこにあるのか、そうしてどこから生まれて、どういう経過で、いまや北炭なんかをしのぐ大きな勢力の財政力というふうな形になってきて、これは非常にたくさんの問題を抱えている会社だというのはもう定評のあるところでございます。そういう意味から、やっぱりいま見ただけでも多少の利子の高いという点もあろうかと思いますというお答えだったけれども、多少どころじゃない、八%対一丁三%なんというと、大変な問題だと思います。ここで結論をお出しいただけないと思いますけれども、やっぱり、北炭の中から観光部門を受け持っていた、それがもうかるからといって分離されて、そして三井観光というふうにのし上がってきた。つまり、北炭の中からもうかる分だけかどんどんどんどん大きくなってきたという点ですね。そのルーツと成長の過程というものも改めてこの段階で検討していただいて、いまの北炭というものか本当に出した金がきちっと使われるかどうかという判断の素材にもなると思いますので、そのことを御検討いただくことをお願いしたいと思います。この問題は、私も、また後引き続いてやろうと思いますので、要請だけ御検討いただきたいということを申し上げたいと思います。
それから、そういうような会社の中で非常に苦しんでいるのが労働者でございます。昨年、五十一年度分は申し上げましたように解決いたしましたけれども、昨年の五十二年度分については解決全然なっておりません。その当日お集まりいただきました水口保夫さんとおっしゃる方、五十五歳でございます。勤続年数が二十九年二ヵ月でございます。そして去年の七月三十一日に退職なさいまして、総額八百三十万円の退職金でございました。しかし、これが出されていない。息子か結婚するので東京へ行ったり来たりというようなことで大変借金をしている。いつもらえるかわからないという深刻な悩みが出されました。それからもう一人、下村という方でございましたが、この方は勤続年数四十年でございます。退職は去年の三月四日に退職なさいまして、一千六十万の退職金でございましたが、いま支払いを受けたのは四十五万円にしかすぎないわけでございます。こういう方々は、去年のときにも私申し上げましたけれども、働いていて賃金が何ぼかカットされてもある程度めどがつく生活ならいいんだけれども、退職するときにその退職金を当てにしての生活というものの計画をなさっているわけです。だから、子供が学校に行くとか、住宅を買うとか、それから家を建てるというようなことから、本当に入ると思っていたものが入らないというので、これは非常に困難をしていらっしゃるということはこの前申し上げた、そのとおりでございます。
そこで、労働大臣に私お伺いしたいわけですけれども、やっぱり会社に言わせますれば、非常に債務があって大変だとか何とかというようなことでございますけれども、それは個々の労働者にとっての言いわけにはならない。この点については、去年の十月二十七日の石田労働大臣も、事故があって経費がかかる、だからこれは労働者に対してがまんしてくれというような、そういう関係に立つものではないというふうにはっきり言明をされたわけですけれども、また、いま引き続いて去年の退職金の問題が残っておりますので、労働大臣としての御所見と、そしてどういうふうに措置をしていただけるかということについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/110
-
111・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) ただいま御指摘のとおり、昭和五十二年度の退職者の退職金の不払いが、昭和五十三年一月末現在で三百九十四人、金額にして約十八億五千万円と承知いたしております。この不払いは一刻も早く解消すべきであることは申すまでもございません。労働省といたしましては、北炭の本社に対して早期支払いをするように指導しておりまして、現地の労働基準監督機関においても、すでに三月の上旬に支払いの勧告をいたしたわけでございますが、それと同時に、支払い計画書を早急に提出してもらうように強く現在指導をしておるところでございまして、労働省としては、引き続き直接北炭の本社に対し早期に支払うよう強く行政指導してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/111
-
112・小笠原貞子
○小笠原貞子君 具体的に、本社に対していつごろその御指導をしていただけるんでしょうか。
そして、その御指導なさいます具体的な内容としては、何々を本社に申し入れるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/112
-
113・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) とりあえず、いま関係の労使を近々労働省へ呼びまして、両方の言い分を聞いた上で具体的な指示をまたいたしたい。当然、賃金不払いを解消するという前提のもとに具体的な指示をしたい、関係の労使を早急に労働省に呼びたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/113
-
114・小笠原貞子
○小笠原貞子君 関係の労使をお呼びになっていただくのは結構なんですけれども、退職金というのは金額も決まっておりますし、それで退職した年限も決まっておりますから、改めて退職者の方を呼ぶという必要もない。当然決まったものは払えという立場で本社におっしゃっていただくのが筋じゃないかと思うわけです。
それで、払えということをおっしゃいましても、いろいろ会社側としましては、事情もこうこうこうでございますというようなことになろうかと思いますけれども、いつごろ本社に対してそういうことをやってもらえるかということと、それからああだこうだというのじゃなくて、具体的な計画書、これをきちっと出してもらうということを出していただきたい。いままでの当たられた感触の中で、その計画書や五十二年度退職についてはどういうふうな感触をお持ちになっていらっしゃるか。その点について、担当の方で結構でございます、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/114
-
115・小粥義朗
○説明員(小粥義朗君) 昨年来の問題でございまして、私も北炭の本社へ行きまして、昨年末でございますが、担当の部長にも賃金不払いの解消について話しをしたわけでございます。当時の会社側の姿勢としては、仮に赤字があるから払えないというような問題ではないので、できるだけ努力をすると、こういうことでございました。しかし、一方で再建計画の見直しという問題もあるので、資金計画を立てるためにはその辺のめども持たないと具体的な計画は示せないということでございましたので、それではその見直しの方をできるだけ早くやってもらって、同時に、資金計画を立てた上で不払いの支払いの計画を具体的に詰めてもらうように要請もしてきたわけでございます。その後、正直に申し上げて、若干時間がかかっております。現地の監督署を通じてさらに、先ほど大臣がお答えいたしましたように、指導もし、勧告もしているわけでございますか、率直に言いまして会社で当初思っておりました再建計画の見直しが思惑どおりなかなか進んでいないように私ども感じ取っております。したがって、その見直し計画だけに依存をしているのではなかなかむずかしい問題があろうかと思いますので、そういう意味でさらに会社自体の見通しなりをもっと確かめたいと思っております。
同時に、再建計画の見直しについては、労使の協定も一応なされているというふうに承知いたしておりますので、その辺についての関係労働組合の方の考え方というものも伺った上で、会社に対して強力に指導したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/115
-
116・小笠原貞子
○小笠原貞子君 いろいろ御努力いただいていると思いますけれども、やっぱり、基本の問題は、この前も石田労働大臣がおっしゃっておりました「事故があって、それに経費がかかるということは、これは経営責任の問題でありまして、労働者の賃金債権というものとは関係がない。」というふうにはっきりおっしゃっていらっしゃるわけでございますから、会社の見直し計画が不十分であったというようなことでしわ寄せが労働者の方にいかれれば、これいつまでたっても労働者は立つ瀬がございませんので、その辺のところをしっかり踏まえて、御苦労でございますけれどもお願いしたいと思います。私もこの間、現地へ行きまして会社側と会って折衝いたしましたけれども、やっぱり金のないというのは強いですね。金がないんですなんて全然高姿勢でして、これじゃ現地の監督署にしっかりやれなんて言ったってだめ、やっぱりこれはもう労働省の立場で本社にきちっとやってもらうよりない。全然私も、ないのってあんなに強いかと思って感心してまいりましたので、その辺お含みの上、お願いをしたいと思います。早急にどの程度のめどでもらえるかということになれば、退職者の方もやっぱり精神的にも安心しますし、計画も立ちますので、重々その点のこと重ねてお願いをしたいと思います。
そういうところに、また先ほど申し上げましたように、これから再建するのに会社が大変なんだということで合理化案というのが、御承知だろうと思いますが、出されました。それで、これも大部分については、おっしゃいましたように、労働組合との話し合いもついたというふうに私も承ってまいりましたけれども、決してこれは労働組合も喜んで受けた合理化案ではないと思うんです。会社側が出しました緊急事態を克服しましょう、従業員家族各位というのか出ておりました。これを私も見てまいりました。職場規律、作業管理に関する事項というので六項目出ておりました。その中で、時間がございません、みんな申し上げるわけにはいきませんけれども、三番目に昼抜き残業の取り扱いというのがございました。これは、確認内容として、昼抜き残業は係員の指示により実施すると。運用に当たっては、保安上及び健康上の見地から二十分は休憩し、残業時間並びに賃金支払いは四十分を限度とすると、こういうふうになっているわけなんです。
そこで、まずお伺いしたいんだけれども、昼食時の昼休みというのは、当然労働基準法から言っても一時間というふうに言われていると思うんですけれども、これが中身で言えば二十分で食べてしまって、あとの四十分は、働いたら金を出すよと、つまり四十分を金で買うということになるわけでございますよね。また、ある意味では、労働者が働きたいから、働かして金くれという要求もあろうかと思いますけれども、やっぱり坑内での作業でございますよ。そして、たくさん来た奥さんの中から話聞きましたけれども、みんな胃がやっぱりやられているという方、たくさんあります。暑い中で水筒に氷水入れて、そしてがぶがぶ飲んでというような中で、二十分で食べてしまって、それですぐ金になるからといって仕事をするということが、労働者の健康という立場から考えて、これていいと——まあ、いいとはおっしゃらないと思うんですけれども、こういうことが決められて、これどういうふうに考えたらいいんだろうか、その辺の御見解を伺いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/116
-
117・小粥義朗
○説明員(小粥義朗君) 休憩時間につきましては、労働基準法上定めがございまして、先生御承知のとおりでございますが、労働時間が六時間を超える場合は少なくとも四十五分、八時間を超える場合は少なくとも六十分の休憩時間を与えるということになっております。したがって、昼休みとしては、通常の会社のやり方としては大体一時間というケースが多いわけでございますけれども、基準法上は昼休みという特別の定めをしておりませんから、法律に照らした場合は、たとえば労働時間六時間を超えるのであれば、四十五分の休憩を与えなきゃいけない。その四十五分が通常昼休みに与えられると、こういうかっこうになるわけでございます。したがって、四十五分の休憩時間、あるいは八時間を超える場合の六十分の休憩時間をまとめてとるかあるいは分割するか、これは自由でございますので、一概に昼休みが二十分しかないということは違法とは言えませんが、少なくとも昼休みを二十分に限定するのであれば、他の時間帯に残りの二十五分あるいは四十分という休憩を別途与えなければいけないわけです。その別途の休憩を与えないで昼休みの休憩だけで、二十分だけで終わるということでしたら、これは明らかに基準法違反になると思います。と同時に、労働者の健康にも好ましいことでないことはもちろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/117
-
118・小笠原貞子
○小笠原貞子君 私も、確かにお金がほしいから働きたいという気持ちもわかるけれども、やっぱり労働者の健康がまず守られなければならないとすると、こういうことで、とにかくやっぱり金につられますよね、生活が大変だから。だから、二十分でかき込んじゃって、暑い中で労働してということで、健康が守られなければ、地下産業に働く者が喜んで出炭を上げていくというような意欲にもつながらないと思いますので、この辺のところを私はちょっと見ていただきたいなと、どういうふうな実情になっているのかなということを頭に入れて考えていただきたいということをお願いしたいと思います。
それから、出勤向上対策に関する事項というのが、これまた九つございますんですけれども、その中にこういうのがあるんです。人事委員会の強化というので、こうこうこういうふうなことをしたときには罰則みたいな形で被処分者の氏名を繰り込み所に公示すると。つまり、繰り込み所に罪人だれだれというみたいな、協力しないというふうな形で名前を書き上げるというのもあるわけなんですね。私は、やっぱりこの炭鉱の問題というのは、一つは日本のエネルギー産業の立場から大事なものとして位置づけなければならないし、やっぱり貴重な石炭を本当に増産もしなければならないということから考えれば、労働者が自主的に意欲を持って働けるような、そういう対策を立てなければ本当の増産につながらないと思う。おまえはちょっと休みが長過ぎたからなんて名前を出して、そうして労働者が果たして気持ちよく働くかどうかといったら、逆の効果だと思う。これはまさに昔の張り札みたいな、懲罰的な役目しか果たさないというのも、これもどうかなあと、そう思いました。
それからもう一つ、福利関係諸経費の一部負担というのかございました。これも前二ヵ月の出勤率か下記基準未満の者から、福利関係諸経費の一部として月額三千五百円を徴収するというふうになっているわけです。いままでただだったのが、出勤率が基準に合わないからというので、これも罰則的に取られるということが、三千五百円というような形になってきているわけですけれども、これも別に基準法に違反しないと言われればそれまでのことだと思いますけれども、住宅の場合にもこういうふうなことが言われているわけなんです。住宅も出勤率が八三・五%以上の者はいままでどおり無料にすると。それが七五%以下の者だったら全額取ると。八三・五%以下の者は半額取ると。いままで炭鉱労働者の住宅というのはただでございましたね。これはプラスただでいいというのでなくって、賃金が低いというような点から、ただになっていたと思うのですけれども、いままでただだったのが、出勤率か八三・五%以下にしかならなかったら、これ半額取られるのだということに決められたわけなんです。そうしますと、これも向こうで問題になってみんなが言っていたんですけれども、この住宅というのは、市から会社が借りているという住宅がございます。その市にそうしたら会社は幾ら払っているかというのを平均いたしますと、いろいろなブロック住宅もありますし、アパート、木造というようなものもございますけれども、いまこれで出されたような基準で計算いたしますと、市から借りている家賃というのは六千円、つまり会社が市に払っている家賃は、平均すると六千円なんだけれども、この基準で会社が労働者から取り上げる罰則というのは一万二千円だというような、そういうふうな形も出てくるということなんですね。こういうのは本当にちょっとやり方汚いなあと言わざるを得ないのですね。先ほどから言ったように、本当にオーバーを脱がせるのに、北風かどんどん吹いてオーバーを脱ぐようになった方かいいのか、温かい太陽が当たって自然にオーバー脱ぐ方がいいかというたとえ話もございますけれども、やっぱり本当に労働者が自分の職場に誇りを持って、気持ちよく働くということが私は前提だと思うのだけれども、こういうように罰則みたいに張り紙をしたり、家賃をいままでただだったのを取り上げるぞというようなやり方というのは、私は好ましいと言えないのではないかというふうに見てきたわけですけれども、この点についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/118
-
119・小粥義朗
○説明員(小粥義朗君) 先生いまの御指摘のいろんなケース、私どもが報告を受けていますのと若干違う点もあるんでございますが、いずれにしましても、いわゆる制裁的な扱いということで、いろんな手立てがとられるようにも伺えるわけです。それは基準法上、たとえば就業規則の中に制裁措置をとるんであれば、その方法なり程度というものはちゃんと決めておかなければいけないというような点がございますから、そういうものが正規に就業規則としての所定の手続を踏んでつくられているものかどうか、これはまだ承知いたしておりませんので、そういう基準法上の問題があるのかないのか、これは至急に調査をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/119
-
120・小笠原貞子
○小笠原貞子君 行きまして、やっぱり一番みんながそれこそ怒っていたのは、いろいろこういうふうに会社が大変だと言って、一方的に労働者にいろいろと新しい合理化が出されていって、自分たちとしては、本当に気持ちよく働こうという意欲が出ないということなんですね。賃金をきちっと払っていてくれて言うならいいのだけれども、賃金は払わない、ベースアップの期末分もそのままだということをやっておいて、自分のやるべきことをやらないでおいて、それで会社が大変だという理屈だけでこういうふうな迫り方をしてくるというのは非常に、何というんですか、納得かできないということは、出炭意欲というものもなくすことにもなりますし、いろいろ私も聞いてみましたけれども、労使の協定ができたという中身があるわけなんです。確かに、そうなればやりにくいという点もあろうかと思いますけれども、やっぱり弱いです。もう山がつぶれたらどうするんだなんて言われれば、これは山がつぶれたら大変だということで、協定を結ばなければならなくなったというような事情もあろうと思いますから、そういう点も考えていただいて、一応いま申し上げましたような点も具体的に労働省の立場としてどういうふうに考えて、これから対処していったらいいか、実情などもまた聞いていただいて、もしも行き過ぎや何かあったりしたら、その点きちっと御指導をいただきたいというふうに思うわけです。
それから、期末手当というのがアップはされたという数字は出ても、これもまだ払ってもらってないと。それから、先ほどおっしゃったように、未払い賃金というのもございます。それから、定着奨励金というのもあるわけですけれども、こういう定着奨励金なんていうのも口約束だけに終わってしまうんじゃないか。何も、何年かたって必ず払ってもらうという保証もないということで、大変心配しておりました。
そういう意味から、期末手当、未払い賃金、特に定着奨励金——三年働けば出るというお金だと思います。こういうものが後払ってもらえるという保証があるのか心配しているとおり、後になったらそういうものは会社が大変だからだめなんだよということで、全く口約束だけで終わってしまうのかという点が一つの問題だと思いますので、この問題についてもどういうふうに保証して払ってもらえるものだというふうに労働者に言ったらいいんでしょう。私もいろいろ聞かれまして、それは労働省にお願いしてきましょうと言ったんですけれども、この問題についてどういうふうに考えて対処なさろうとしているか、その点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/120
-
121・小粥義朗
○説明員(小粥義朗君) 定着奨励金のことにつきましては、私はちょっと承知していなかったのでありますが、いま先生お話しの内容を伺っておりますと、たとえば定着奨励金の場合、ほんの一時的なものとしてこの際に限ってというような形で支給されるものなのか、それとも言うなら賃金の一種として支給条件等をたとえば協約あるいは就業規則でちゃんと決めて払われる性格のものなのか、その辺によってまた法律関係も変わってくるかと思いますが、仮にそういう賃金と見るべきものであれば、それかその支給条件どおり払われてないとすれば、これは賃金不払いという問題にもなりますので、それは実態を至急に調べたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/121
-
122・小笠原貞子
○小笠原貞子君 私もそこまで詳しく調べて、聞いてという時間がございませんでした。非常にみんなが心配していたのは、特に定着奨励金というのがもう口約束だけで終わりそうだということでございますので、いま御答弁いただきましたように、その問題、専門の立場でどういう性格のものであるのかということと、これはどういうふうに対処していくべきなのかということについて、その点も具体的にお調べいただいて、その結果御返事をいただきたいと思います。
いろいろ前に続いて同じようなことを申し上げましたけれども、実際お母さんたち見ていまして、私も本当にこれはもう何回も何回もまた後続けたいような気持ちでいっぱいになりました。賃金が十五日払いなのが今月は会社の都合でちょっとおくれますよと言って、十八日になるとか二十日になるとか、私たち含めてみなさんの感覚では給料か二日や三日おくれても大したことないじゃないかというふうな感覚でとらえていますと、実態入って見ますと、もう全く違うということを私は痛切に感じました。そして、あるお母さん言ってましたけれども、子供にキャンデーを買ってやったら、その子供がキャンデーしゃぶりながら、お母さん、これまだお金払ってないキャンデーだねって子供にそう言われたとき、本当に母親としてつらかったと言われたことが私の胸を打ちました。そして、奥さんたちか自分の夫を見ていると、食べて、寝て、現場へ行って坑内へ入って働いて、本当に人生って何なんだろうと、大事なエネルギー産業だと言われているけれども、本当に人生を考えさせられてしまうんだともう涙ぐんでいらっしゃいましたし、また、そういう家庭の中で子供を見て、本当に子供らしく、本も読んで、楽しく遊ばせてやりたいと、かわいく子供か元気で歌を歌うような、そういう子供の環境をつくってやりたいというふうにその生活の実態というものをはだで私は感じて、いろいろ折衝していただきたいと思うんです。そしてその方たちか、私らみたいにこんな苦労しているのに、まあ私の家でも会社に対して七十万から八十万の金貸しているようなもんだと、そしてこんなに先行き見通しがなくて苦しめられているということは、本当にもうお父ちゃんにしっかり働いてこいというふうに朝送り出すのがつらいんだと、こう言っていました。そういう意味から、先ほど申し上げましたけれども、やっぱり大事なエネルギー産業としての位置づけを考えてみて、ぜひ働く者の立場に立って善処していただきたいと思いますし、こういうことをやっている北炭という会社そのものが一体何なんだということに私は非常に怒りを感じました。先ほど通産省にもお願いいたしましたけれども、そういう会社の姿勢として、内容として、この点ももっとリアルに分析もしていただいて、何とか一日も早くこういう心配をなくすようにしたいと思いますので、ぜひ御検討をいただきたいと、そう思います。よろしくお願いをいたします。
最後に、時間になりましたので、いまのような問題が起きておりますが、大臣としてやっぱりこの石炭産業に働く労働者というものの実態をいまちょっと申し上げましたけれども、いまのやりとりの中でどういうふうにお考えになったでしょうか。私は特に強調したいのは、その労働者の家族や子供たちが非常に苦しみの中で耐えてがんばっているということもお考えいただいて、御所見を承って終わりにしたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/122
-
123・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) ただいま現場の実情を踏まえてきわめて詳細に、しかも愛情のあふれるお気持ちでの御質問、御要請を受けまして、われわれ労働省というのは、申し上げるまでもないことでありますが、労働者の生活の安定と福祉の向上ということがわれわれの使命でございます。そういう使命を踏まえて、当面する北炭の問題も誠心誠意処理していきたいと、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/123
-
124・小笠原貞子
○小笠原貞子君 よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/124
-
125・柄谷道一
○柄谷道一君 私は、三月二十日の予算委員会における一般質問で、雇用の現状と展望、昭和五十年代前期雇用指標の目標、雇用創出のための総合的研究機関の設置等について大臣にただしましたので、本日はそれを受けて、中高年齢者の雇用対策にしぼって質問をしたいと思います。
まず第一に、労働省が発表しております年齢別常用労働者の求人倍率を見ますと、昭和五十二年の平均求人倍率〇・五七に対しまして、四十五歳から四十九歳は〇・四二、五十歳から五十四歳は〇・三一、五十五歳から五十九歳は〇・一五、六十歳から六十四歳は〇・〇八、六十五歳以上は〇・〇三、雇用情勢は高年齢になればなるほどきわめて深刻であるという指標が示されております。特に、昭和五十一年に対比いたしましてこの情勢は一層悪化をいたしておりますし、ただいま申し上げました指数は全部男女平均でございますが、男子の場合は一層その指数は悪化しているということを物語っていると思います。そこで、労働大臣として、中高年齢者、特に高年齢者の雇用問題についてどのようにお考えか、まずお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/125
-
126・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のように中高年齢者の求人倍率は、非常に、さなきだに現在の雇用情勢の厳しい中で一段と深刻な数字を示しておるわけでございまして、やはりこれからの雇用政策の中心課題は中高年齢層の雇用政策だというふうに認識をいたしております。
そういう関係から、先ほどもちょっと触れましたように、今度新しい雇用政策として中高年齢者を雇い入れる事業主に対して助成をする新たな制度を発足いたしました。それと同時に、いわゆる高年齢者雇用率制度を軸といたしまして、そして定年延長の問題について逐次改善をしていかなければならぬ。現在、定年延長奨励金あるいは継続雇用奨励金制度がございますか、これも五十三年度には大幅な改善をいたしたわけでございまして、こういう奨励金制度を支えとして、われわれは当面六十歳——年金受給年齢か始まるその年に接着をするように定年制の延長をいたしたいと、このようなことを総合いたしまして、高年齢者の雇用対策を進めたい。同時にまた、特に高年齢者の雇用問題は、構造不況業種からやむなく離職され、あるいは就職口がなかなか見つからないと、こういう方々に対しては、いわゆる再就職を促進するための職業訓練を充実せなければならぬというので、今度いずれ御審議願う職業訓練法の改正と、こういうものを踏まえまして、時代の移り変わりに対応して厳しい雇用情勢のもとにおかれる中高年齢者の雇用対策に備えたいと、このように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/126
-
127・柄谷道一
○柄谷道一君 ただいま労働省としていろいろの施策を講ぜられていることは承知いたしております。しかし、五十一年の十月に中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法が改正施行されたわけでございますが、労働省が昨年十二月四日に発表した高齢者の雇用状況調査によりますと、五十五歳以上の高年齢者雇用の報告状況について、常用労働者のうちの高齢者は七十万人で、実雇用率は五・六%、雇用率未達成企業は五六・三%、しかも企業規模が大きくなるほど雇用率は低く、千人以上の規模では実雇用率は三・九%にしかすぎない云々という発表をされているわけでございます。このことは、この法律が予期した十分の成果を上げていないということを如実に物語るものではないかと思うわけでございます。中高年齢者雇用対策の一環として、この法律を雇用率の義務づけなど、さらに再改正をするための検討を行う用意ありや否や、以上をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/127
-
128・細野正
○政府委員(細野正君) ただいま先生御指摘がございましたように、昨年の六月一日現在における調査の結果は、確かに法定雇用率をかなり下回っている状況でございました。そういう意味でいろいろとおしかりがあったわけでございますが、しかし原因をいろいろ考えてみますと、やはり一つには雇用率の制度が発足してまだ日が浅いという問題がございまして、各事業主に対する理解が必ずしも十分でないという問題が一つございます。それから、折から大変厳しい雇用・失業情勢でございまして、高年齢者の雇用が十分進んでいないという問題もございます。さらには、ある程度定年延長というものは現在でも進んでいるというふうに考えておりますけれども、何といいましてもまだ五十五歳定年が五〇%は割っておりますけれども、定年年齢としては一番多い年齢層であるという点も、そういう意味では定年延長がまだ十分進んでいない、いろいろな原因が考えられるわけでございます。またその基本には、特に高年齢者を中心にして考えました場合に、日本の賃金体系あるいは退職金制度、そういう問題との絡みというものも大きく横たわっておるわけでありまして、そういう中で、いま申しましたようないろいろな諸条件を改善しながら、この雇用率の達成に向かって漸次進んでいくという考え方に立っておるわけでありまして、直ちに法改正というのはやや早計じゃないかなというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/128
-
129・柄谷道一
○柄谷道一君 私は、同時期に成立しました身障者雇用促進に関する特別措置法ですね、これは義務づけを行い、罰則まで設けているわけです。しかし、そこまでしてもなかなか実現が困難である。まして、この中高年雇用促進というための雇用率は、単にこれは目標であって、何らの規制というものが加えられていないわけでございます。大臣の御答弁がありましたように、これからの労働、特に雇用対策として最重点を置かなければならない中高年齢者の雇用促進という視点からすれば、私はこの法律というものは当然再度の、いま直ちにというわけではございませんが、洗い直しが行われてしかるべきであるという点を、時間の関係で指摘だけにこれはとどめておきたいと思います。
そこで、当委員会は、昨年の五月十二日定年延長の促進に関する決議を行っております。私は、昭和四十八年に労働省が決定して発表した第二次雇用対策基本計画では、五十二年に六十歳定年制を一般化することを目標にするということが計画に書かれているわけでございます。五十二年を過ぎましてもうすでに五十三年でございます。いま局長の申されましたように、五〇%を割ったというものの、なお五十五歳定年がわが国の数多くの企業にとられている定年制でございます。私は、この定年延長促進に関する決議が、その後今日まで約一年近く経過しておりますが、どの程度の効果を上げてきたのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/129
-
130・細野正
○政府委員(細野正君) 定年に関する調査そのものは、五十一年の雇用管理調査が一番新しい包括的な調査でございますので、ここ一年間の進捗状況というのは必ずしも私どもも正確に把握しているわけではございませんが、しかし、先ほど申しましたように、五十一年調査によって見ましても、たとえば四十三年ごろには五十五歳のものが六三・二%あったものが、先ほど申しましたように、四七・三というふうに初めて五割を割っているわけでありまして、四十九年と比べましても約五ポイントほど五十五歳定年というものは落ちておるわけであります。そういう意味で、五十年不況をはさみましても定年の延長というのは、非常に徐々ではありますけれども、進みつつあるというふうに考えられるわけであります。一方、六十歳を超える定年につきましては、四十三年のころにおいては二二%であったものが現在約三六%ということで、三割を超えるところまで現在来ているわけでありまして、ただ、不況になってからの状況で見ますと、不況になる前は五十五歳からいきなり六十歳ぐらいにぽんと飛んでいるところが多かったのでありますけれども、最近の不況の状況の中では、いま申しましたように、五七五歳は減ってきましたけれども、その減った分がどこへ行っているかというと、五十六とか、五十七とか五十八というふうに非常に小刻みの延長になってきているというふうな特徴がうかがえるわけであります。そういうことで、不況感の中で非常に延び方自体はやや落ちてはおりますけれども、しかし現在までの指標によりますところ、やはりステディーには定年というものは延びているのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでありまして、そういう意味で今後とも社会労働委員会の御決議の趣旨に沿って、定年延長問題に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/130
-
131・柄谷道一
○柄谷道一君 後ほどこのことに対してはまた触れますけれども、私は四十八年の第二次雇用対策基本計画が五十二年を目標にしておって、六十歳定年の一般化がまだ現在半分も達成されていないということは、そこに現在の行政指導をもってする定年延長では十分な実効というものを上げることかできないということを現実として物語るものであるという点だけは指摘しておきたい、こう思うわけです。
そこで、厚生省にお伺いをいたします。厚生省の人口問題研究所の推定によりますと、現在の六十歳以上の人口千三百五十三万人が昭和六十年には千七百二十六万、八十五年には三千二百六十二万人、人口に占める六十歳以上の人口比率も現在の一二%から一四・一%、さらに二三・六%、昭和八十五年には人口四人に一人は六十歳以上の老人になるということを推定しておるわけでございます。一方、厚生年金の成熟度も現在は四・三%程度でございますが、六十年には九・三%、八十五年には三三・九%、実に被保険者三人が一人の老人の年金を費用負担をしなければならぬという成熟度になることを物語っております。国民年金も一一・七%の現在が二〇・五%、さらに昭和八十五年には二四・八%と成熟度が高まる、このように推定されているわけでございます。昨年十二月の年金制度基本構想懇談会の中間意見も出ておりますけれども、高齢化社会の年金制度、特に年金受給開始年齢について厚生省は今後の方向としてどのようにお考えになっているのか、簡潔にお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/131
-
132・山本純男
○説明員(山本純男君) 御指摘の状況は予想されているわけでございまして、ただいま御質問にございました年金制度基本構想懇談会からもそういう状況を踏まえ、また高齢労働者の福祉をより一層向上を求めるという見地からも、雇用の促進なり定年制度の廷長という問題と年金制度が協調しながら高齢労働者の福祉を考える必要があるという御指摘をいただいておりまして、その際には年金の開始年齢というものを現在よりも引き上げていくことが必要であろうという御指摘をいただいております。そのほか、また社会保障制度審議会からも年金の開始年齢の引き上げという建議をまたいただいているところでございまして、私どもといたしましてはそういう御意見、建議というものをお受けいたしまして、これから先の望ましい年金のあり方を現在検討を始めているところでございますが、そういう御意見というものは率直に受けとめまして、これを尊重しながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/132
-
133・柄谷道一
○柄谷道一君 労働大臣、その雇用保障、すなわち定年年齢と老後の所得保障たる年金受給開始年齢とは不可分の関係にある。それはいま厚生省から述べられましたように、各種審議会のこぞって指摘いたしておるところでございます。また、昨年三月二十二日、労使、消費者、中立代表によって構成されております社会経済国民会議の提言の中にも、公的年金のあり方とその効果は高齢者、身障者の雇用保障、企業の年金及び退職金制度、自治体の高齢者、身障者の福祉施設及び福祉サービス、高齢者医療保障等の連携を持つものであり、これらの諸制度を有機的にかつ整合的に活用する必要がある。またさらに、厚生年金の場合には年金支給開始年齢までの高齢者雇用保障制と退職年齢の弾力的制度の確立が前提となる。このように述べられているわけでございます。各審議会、そしてこういう民間の機関こぞって定年年齢と年金受給開始年齢というものを接合させるべし、これは大きな国民世論でもあろうと思うわけです。ところが、いま局長がお答えになりましたように、五十二年に目標にしておった六十歳定年というのがまだ半分も未達である。しかも、経済情勢はきわめて深刻である。しかも、いま厚生省が述べられましたように、年金受給開始年齢は、その適否は追ってこの委員会で議論することとしても、基本問題懇談会の示唆する方向は開始年齢が上になってくる。これが現実ですね。労働大臣として老齢化社会の年金制度との関連において定年年齢というものについてどのようにお考えになっておるのかお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/133
-
134・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のように、私も年金の支給年次と定年制とはリンクするということがこれは私はぜひ必要であるというふうに同じ認識を持っております。しかるに、現在の状況は、まだ現在は年金が六十歳ということに一応なっておる。それにリンクしておらないと。これは私は一刻も早く解決をしなきゃならぬというふうに就任後考えておる大事な問題の一つでございまして、この問題につきましては従来の日本のいわゆる年功序列賃金制度、勤務年数に相応してずっと上がっていくという、自動的に上昇するということとか、あるいはまた退職金が同じように勤務年数に比例して自動的にずっと多くなるということではまあなかなかむずかしい問題だと。したがって、そういう賃金体系の根幹をやはり労使で何とかしてひとつ話し合いをつけてもらうと、こういうことを私は早急に積極的にひとつ行政指導をやって、環境づくりを急いで、そしていま厚生省からお話がございましたが、いずれ六十五歳ということに年金の支給年次が上がってくれば、それにひとつ対応できるような定年制の延長を考えると。ともかく、お互いの寿命が戦前から考えると二十年以上も延びたんですから、まだまだ五十歳代、六十歳の前半ぐらいは活力に満ちた人生を送られるお互いの時代になったわけでありますから、私は定年延長をとりあえずは現在目標として定められております六十歳ということに対して、積極的に私はこの道を開拓したい。法制化しなければなかなかできないではないかという御指摘も私はわからぬことはございません。ただ、先ほど申しましたような現在の賃金体系ということを考えると、やはり何とかしてひとつ労使に話し合いをして、いまのような賃金制度そのものをひとつ変えていって、率直な私は感じを申しますと、五十歳ぐらいからは横ばいになるような、こういった話し合いをひとつ労使間でつけていただく。そうなれば、私は定年延長ということがスムーズに前進するんではないかと、このように思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/134
-
135・柄谷道一
○柄谷道一君 私は、大臣、年金との関連ばかりでなくて、数字を申し上げましたように、あと三十年もたたないうちに、わが国人口の中の六十歳以上の人々が約二四%を占める。これは有効労働力の確保という視点からも、この定年というものはそうのんびりと構えておれない問題だろうと思うんですね。私は一体日本で五十五歳定年がどうして始まったんだろうかといろいろ調べてみましたら、明治三十五年に日本郵船で定年を五十五歳としたというのが初めである。または、当時の太政大臣官符で五十五歳から恩給を支給するようにしたのが始まりだと、このように言われているわけですね。それが大正時代になりまして、いま大臣も言われた年功賃金が一般化するに従って、これが逐次広範に実施されるようになった。戦争中労働力か不足しましたので、一時有名無実になったものが、戦後再び五十五歳定年ということが定着をしてきた、そういう歴史的経過をたどっていると思うんです。しかし、第二次世界大戦直前の昭和十一年の平均寿命は、男四十六・九二、女四十九・六三、男女とも五十歳に達しておりません。戦後、これが復活した昭和二十二年も、男五十・〇六、女五十三・九六、ここでやっと五十歳を超えた。それが昭和五十年には男七十一・六七、女性は七十六・九五。日本アクチァリー会の菱沼従尹さんは推定として、男子七十七・四歳、女子八十一・七歳まで延びていくであろう、こういう推定もされている。まさに定年が設けられたという背景が根本的に変わっているわけです。仮に、現在の余命年数でいきますと、五十五歳定年になりますと、あと十七年間生きるわけです。六歳下の婦人は、実に夫が定年退職してから二十八年間生きる。しかも、後半の十一年間は未亡人である。これが平均的日本人像なんですね。私は、年金の視点、さらに、いま申し上げましたようなもろもろの情勢というものを考えますと、なかなか行政指導では定年を延ばしていくということはむずかしい。そこで私は、ここに法制化という必要性が客観的にも現実的にも、いま必要な時期に到達しているのではないか。いま大臣の言われます、賃金体系その他の問題は、法制化をして、実施までの間に一定の暫定期間、猶予期間を置いて、その間に定年を延長するんだという、法制的にここまで延長するんだという前提のもとに、労使の積極的協議を促すという姿勢こそ適切ではないかと、こう思うんです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/135
-
136・細野正
○政府委員(細野正君) いま、先生のお話にもございましたように、定年を延長するためには、やはりそのネックとなっております賃金慣行もあれば、雇用慣行あるいは退職金のあり方、あるいは人事のあり方、その他いろんな問題と密接に結びついてるわけでありまして、したがいまして、そういう問題についての労使の話し合いが詰まって、コンセンサスが得られるということが、定年延長がスムーズに進む基本的前提ではないかというふうに考えているわけでありまして、御指摘のように、急がなきゃならない事情が一方にあることは確かなんでございますけれども、急がなきゃならない事情があればあるほど、いま申しました問題点についての労使の理解を得て、そこにコンセンサスの形成されることをまず急ぐというのが、私どもの基本的な考え方でございまして、そういう点を抜きにして、定年年齢だけを法律でもって強制するというのは、やはり問題が多過ぎるというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/136
-
137・柄谷道一
○柄谷道一君 それでは、外国の事例を一、二引いてみたいと思います。アメリカにおきましては、一九〇三年のコロラド法、一九三四年のルイジアナ法、一九三七年のマサチューセッツ法等の歴史的経過を経まして、一九六七年には、採用、解雇、賃金、雇用期間、労働条件、雇用上の特権に関し、四十五歳以上六十五歳未満の者に対し、年齢を理由とする差別を禁止する、いわば年齢差別禁止法というものが制定されております。またスウェーデンにおきましては、一九七四年七月一日から実施されておりますが、雇用保障法の中で予告期間について特段の配慮、特に四十五歳以上については六ヵ月以上の予告を要し、かつ裁判所の決定を無視した場合の補償として最高六十歳以上については四十八ヵ月の補償の義務を課す、さらに、人員過剰による一時解雇は勤続期間に基づいた先任権方式によるべしということが法制化されているわけでございます。時間の関係から私は省略しますが、西ドイツ、フランス等におきましても、いま各国とも当面している深刻な雇用情勢、特に中高年齢者の雇用不安というものを背景として実定法的な中高年齢者の保護といいますか、保障の立法がされております。これらについて労働大臣、どのように評価されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/137
-
138・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) ただいま御指摘がございましたアメリカの年齢によるこの雇用差別禁止法並びにスウェーデンの雇用保障法、御指摘のような内容でございまして、われわれも定年制延長に当たりまして、十分他山の石として参考にすべき法律制度であると思います。ただ、先ほどから申し述べておりますように、わが国独特の賃金制度の状況というこの基礎をどう考えるか、これはやはりアメリカあるいはスウェーデンとは事情が違っておるようでございますが、ただ御指摘のように、やはり法律制度でまず決まりをつけて、そこでいままでの賃金体系を直していったらどうかという、これは一つのアプローチの仕方として考えられないことはないと思いますけれども、現在われわれは賃金制度研究会の答えを踏まえて労使の話し合いを前提にしないともろもろの問題がやはりある、したがって、行政指導によって、しかもこの行政指導の推進の仕方を積極的にひとつこの際努力してみようと、こういうように考えておるわけでございます。
せっかくの外国の例を引用されての御発言でございますから、ひとつ私、就任いたしました者として、ひとつどういう運びがやはり問題の決着をつけるいい方法か、もう一回検討さしていただきたい。
現在の方針は、先ほどからるる申し述べましたような、やはり労使の話し合いというものが前提にならないと、なかなか周囲の環境がこれに対応しないと実現がむずかしいと、困難であると、こういうふうな面が強く念頭にあるわけでございますから、一遍研究会の学識経験者の意見のひとつ再確認もして検討さしていただきたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/138
-
139・柄谷道一
○柄谷道一君 諸外国の事例に比べまして、わが国には事定年、これはわが国独自の、独特の制度かもしれませんが、これを規制していくような実定法というものを欠いている、これはもう現実なんですね。しかも、政府の目標にかかわらず、六十歳定年を話し合いによって一般化していくということも目標から非常にずれているという、これも現実ですね。また、最近の減速経済下における企業の実態をながめてみますと、民間産業におきましては厳しい国際競争の中で減量経営ということが求められ、その減量経営ということの一番しわを受けているのはむしろ中高年齢者であるわけです。そこで、そこらの年齢層をねらい撃ちにした希望退職が募集せられたり、非組合員につきましては、会社側によって退職を求められる、こういう現象があらわれている。定年は延長されるどころか、実態的にはむしろ経済情勢の厳しさの中で、むしろ実質的定年というものは縮まっているのではないかと思われる傾向も各所にあらわれている、これか実態だろうと思います。しかも、冒頭私が指摘いたしましたように、一たん失職いたしますと、その有効求人倍率というのはきわめて低い、しかも、年金との関連もある。こういうことを考えますと、私は現在直ちに大臣が定年制の法制化に踏み切りますという答弁をされるのは大変むずかしいことはよく承知しますけれども、ぼくは藤井現大臣のやはり最大の勇断はこの定年制延長の法制化に私はかけられるべきではないかと、また、そういう時代に大臣になられたのではないかとすら思うわけでございます。
そこで、第二次基本計画が五十二年目標を設定されたわけですから、私は学識経験者の御意見聞くのも結構でございましょう。早急に私はその年次——いわゆる労使の自主努力によって当面、私は思想的には定年六十五歳であるべきだと思うんですが、当面六十歳定年というものの明確なめどをつけ、そのための労使間の協議を促進させ、その時期が経過して努力が足らない場合には、ある年度を区切ってその法制化を断行する、そういう強い大臣の姿勢がなければ効果を上げ得るものではないと、こう思うわけです。
再度、大臣の決断を求めまして、ちょうど時間でございますから私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/139
-
140・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のとおり、私も定年延長制度、六十歳をとりあえず目標にしたこの問題については何とかしてひとつ前進をして、できればひとついいきっかけをつくって私は任を全うしたいと、このように考えておるわけでございますが、先ほどもお話し申し上げたように、わが国特有の雇用賃金慣行というのがあります。これはやはり労使で話し合わないと、その問題をそっとしておいて片一方だけやる。こうなると、まあ、矛盾が起こるという、こういう点も考えますから、私はとりあえずは産業別の労使の話し合いの場を積極的につくる。これは行政指導によってすでに準備を進めておるわけでございまして、積極的にこの定年延長実現に向かって産業別の労使懇談会、労使の話し合いの場をつくってもらう。そうしてでき得れば目標年次を設定をして、そしてこの六十歳の定年延長は大体何年ぐらいには完成するということを、最も近い将来設定目標を置いて努力をいたしたいと、このように考えるわけでございますが、同時に、この法制化についても再度私は一遍研究会の意見も聞きたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/140
-
141・下村泰
○下村泰君 世の中に何か不幸だと言って、働けるだけの能力を持ち体力を持ちながら、働く場所のない、失業する、こんな私は不幸なことはないと思います。国という大きな組織のある以上、こういう人々を少なくすべきが政治の力ではないかと思います。
その問題で、現在日本の国内に起きておるこの失業問題なんですが、ある意味では沖繩に大変象徴的にあらわれていると言って過言ではないと思うのです。そういう意味で沖繩における雇用状態、失業対策について質問させていただきたいと思います。
労働力の調査結果を拝見しますと、沖繩が復帰の年の昭和四十七年には三・〇%であった失業率か、その後、年を追って悪化しております。四十八年が三・五%、四十九年か四・〇%、五十年が五・三%、五十一年六・三%、五十二年の五月には七・九%に達しております。全国平均の二%に比べますときわめて高い水準です。また、今日の落み込みが激しいと思いますけれども、この一体理由はどういうところにあるとお考えでしょうか。伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/141
-
142・細野正
○政府委員(細野正君) ただいま御指摘のように、沖繩の失業情勢非常に悪い状況でございまして、その原因として考えられますのは、やはり基本的には沖繩の中に目ぼしい産業がないというところにあるわけでございますが、同時に、沖繩の復帰に伴ういろいろな事情の問題とか、あるいは駐留軍関係の基地労務者が次第に縮小して解雇されているというふうな事情が重なりまして、さらには、なかなか本土に就職したがらないというふうな事情が重なって、いまも御指摘のようないろいろな悪い失業情勢にあるというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/142
-
143・下村泰
○下村泰君 いまのいわゆる県外からの求人率が大変高いんですけれども、沖繩県以外に定着しない。その理由は、どういうふうにつかんでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/143
-
144・細野正
○政府委員(細野正君) 言葉の問題とか風俗習慣とか、いろいろな原因があるようでございますが、それから同時に、沖繩県自体にも、その就職した人が戻ってきた場合に、ちょうど昔の日本の農村みたいにみんなで助け合って何とか生活ぐらいは支えるというふうなそういう状態もあって、したがいまして、本土へ再就職した方が比較的何と言いますか、簡単に戻ってしまう、いわゆるUターン現象があるというふうな事情もみなされるように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/144
-
145・下村泰
○下村泰君 それはそれとして、また後でいろいろとお伺いします。
公共職業安定所における求職者の状況を見ますと、完全失業者二万三千人おる。ところが一万八千人程度なんですね、職業安定所における求職者の数というのは。そうすると、労働力調査とは大変違っているのです。これら職安に登録してない方々、先ほど、いまお答えになったような方々もいると思いますけれども、この登録してない方々の一体求職活動というのはどういうふうになさっていらっしゃるのでしょうか。おわかりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/145
-
146・細野正
○政府委員(細野正君) 安定所の窓口においでにならない求職者の方については、必ずしも私どもも実態を正確に把握するわけにはいかないわけでございますか、しかし、一般的に本土でもそうでございますが、どこの国でも失業者が全部が全部安定所を通すわけではございませんで、自分で縁故を頼って求職活動をなさる方もあれば、いろいろな形で、たとえば店頭募集に応ずるというような形もあるわけでございまして、そういう意味で安定所の窓口に全部来ないということ自体が全部大きな問題であるかどうかという点は、それはそうはならないんじゃないかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/146
-
147・下村泰
○下村泰君 一月ですか、ことしの、沖繩開発庁がそういう状況も調査しましたね。それによりますると、沖繩本島の中南部の方の調査はわかったんだけれども、反対側はまるでつかみ切れなかったというのが報告されています。ですから、なかなかつかみ切れないのは無理もないと思う。
それから、ことしに入って、最近になりましてことに若干失業率が低下していると。サトウキビのキビ刈りのような季節的な労働需要、これがぼつぼつ出てきているんだそうですが、こういうふうに説明されております。けれども、キビ刈りのシーズンは一月から四月までなんだそうですな、あそこは。そうしますと、そういう労働需要というのは安定した労働力の吸収とはならないと思うのですが、こういうところどういうふうに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/147
-
148・細野正
○政府委員(細野正君) ただいま先生から御指摘ございましたように、失業情勢が数字的にやや最近好転しました原因の一つには、いまお話しのようにキビ刈りとか製糖関係という季節的なものに失業者が就労したというそういう面が確かにございます。しかし同時に、たとえば公共事業の拡大によりまして、従来に比べて公共事業の就労が非常に進んだとか、それから観光客がふえたことから第三次産業への就労がふえたというふうな、やや恒久的ないしは長期的な要因もございまして、全部一時的な要因であるわけではございませんが、しかし確かに一時的な要因もございますから、最近の事情の好転を必ずしも楽観はできないというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/148
-
149・下村泰
○下村泰君 いまも失業の理由を、基地の縮小ですとかあるいはUターン現象というふうにとらえていらっしゃるようですけれども、沖繩県の労働力の構成を正確に見るという点では、私はちょっと疑問を持ってます。沖繩県の男女別、年齢別の人口構成、四十五年と五十年の国勢調査で見てみますと、五十年の調査で一番ふくれているのが若い人口層ですね。十歳から十四歳、それからその上の十五歳から十九歳、それから二十歳から二十四歳、このあたりが最もこうふくれているわけです。これを全国と比較しますと、沖繩と五年ないし十年のずれがあると、こういうふうに識者は見ておるようです。不幸な戦争の最大の犠牲者の県であります。戦争の痛手も大きくまだ残っております。社会的安定期の訪れにずれのあったことは、これを見てもよくわかるわけであります。また、沖繩の方の新聞にも報道されておるんですけれども、これは琉球新報でございますけれども、琉球新報の一月の八日です。これなぞにも書かれておるんですけれども、学校を出て職を求めるべき時期に来ている人の層が非常に厚いということなんですね。単に基地に出ておるとか、あるいは本土の不景気でUターンだとか、そういう表面的な理由でないいわゆる構造的な要因がある。これはもう恐らくおわかりのことと思いますけれども、そういう人口の年齢別構成からくる構造的要因についてどのように認識し、対処なさるおつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/149
-
150・鹿野茂
○説明員(鹿野茂君) ただいま御指摘いただきましたように、沖繩県の特徴といたしまして、いま人口の年齢構成が非常にお若いという御指摘を受けたわけでございますが、このような現象は完全失業者の年齢構成にも一致するわけでございます。五十一年の労働力調査に基づきまして年齢別の完全失業者の構成を見ますと、完全失業者の中で十五歳から十九歳と非常に年齢の若い方の占める率が一五・四%でございます。全国平均では五・六%でございます。それから二十歳から二十四歳までの方が三〇・八%でございまして、全国平均では一六・七%であると。二十五歳から二十九歳までの方が沖繩県では一五・四%に対して、全国で一七・九%。この二十九歳以下だけを取り上げて見ましても、非常に年齢の若い完全失業者の方が多いわけでございます。したがいまして、私どもといたしましてはこの年齢の若い方々に対しましてはぜひとも将来に展望の持てる職業についていただきまして、しっかりとした将来性のある技能というものを身につけていただくと、こういうような姿勢が必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/150
-
151・下村泰
○下村泰君 いまおっしゃったようなこと、完全実施できればと思うんですけれども、年齢構成がちょうちん型になってますわね、どちらかといえば、日本の場合はね。ところが、ここはピラミッドですわな、若い方が末広がりなんです。いま言われたような対応策で果たして長期的な展望が見られるのかどうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/151
-
152・鹿野茂
○説明員(鹿野茂君) 基本的には、やはり沖繩県内におきまして産業を育成いたしまして、きちんとした雇用基盤を確立していくということが必要かと思うわけでございます。そういう中から、若い方々に対しましてしっかりした職業についていただくということが基本であろうかと思うわけでございます。ただ当面的には、何といいましても全国的なこういう不況の中で、沖繩県内におきましては雇用機会も非常に乏しくなっておるわけでございます。したがいまして、将来の沖繩県の産業の基幹労働力になっていただくためにも、ぜひ沖繩県の若い方々につきましては、もちろん学校教育におきまして、あるいは職業訓練におきましてしっかりした技能なりあるいは職業意識を身につけていただいた上で本土において就職していただいて、そういうような技能を身につけ、将来の沖繩産業の基幹労働力になっていただくというような考え方を私どとはとっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/152
-
153・下村泰
○下村泰君 そういうふうにこれから先進んでいけば、いま大きな失望感を抱くことはないと思いますけれども、ただ、やっぱり労働力の吸収する力というものが、社会資本の格差ですね、沖繩と本土との。復帰の時点で一人当たり換算で、本土一〇〇に対して四〇程度、毎年五%程度の格差の是正が進み六〇程度になろうかとは思うんですけれども、現在進められている振興開発計画をさらに早めるといった思い切った公共事業の拡大、目標の値を早く達成する、また同時に、次なるプロジェクトの構想、こういうこといろいろあると思います。私、この間沖繩へ参りまして、那覇、コザ、嘉手納、回ってまいりました。その主要幹線道路、いま盛んにやってます。これ私も見てまいりました。横へ入ると何も手を打ってないんです。その横へ入る道がそれじゃ要らない、不要というのはおかしゅうございますけれども、主要幹線に通じない道路かというと、そうじゃないんですね。主要幹線と主要幹線をつなぐ道路なんです。それが全然手をつけられてないんですね。果たして、いまここで皆様方かおっしゃっているようないわゆる公共事業というのが、果たして沖繩本島全般的に行われているのか、ああいう現実を見るとちょっと私は不思議な感を抱くんです。そして走ってみて、もちろんひどいところもあります。幹線道路でありながらひどいところもあります。ところが、そのわりにいま手をつけてなくて、こちらの方のいわゆる副線になる道路をやらなきゃいけないんじゃないかなと思うのにもかかわらず、これはまるで手をつけてないんです。こういう現状を把握していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/153
-
154・鹿野茂
○説明員(鹿野茂君) 私どもも沖繩県に訪問する機会はそうあるわけではございませんが、先生御指摘のとおり、社会投資面も含めまして沖繩県と本土との間に大きな格差があるということは私どもも十分認識いたしておるわけでございます。直接私どもの所管ではございませんが、そういう観点から、来年度におきます沖繩県の公共事業関係費については千三百五十億と、前年度に対比しまして三六%と大きな増額を予定いたしているというふうに私ども聞いておるところでございます。したがいまして、こういうような本土との格差是正を図りつつ、沖繩県における産業基盤が速やかに確立されることを労働省の立場からも期待をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/154
-
155・下村泰
○下村泰君 実は、ここに沖繩タイムスですか、こういう新聞があります。一月の十四日に発行された新聞です。朝刊ですけれども、これは。この見出しに——十三日ですからこの前の日ですね、開かれました沖繩協会主催の第二十三回沖繩振興開発研究会、ここへゲストスピーカーとして招かれました沖繩開発庁の井上事務次官という方がこういうことを言っていらっしゃるんですね。「沖繩の雇用問題は人口構成から構造的なもので、基地従業員の大量解雇やUターン現象で起こった一時的なものでない」「公共事業はカンフル注射にすぎず、漢方薬的な問題解決にならない。農業振興にも限度がある」、こういうふうにおっしゃっているわけです。そして、この方の言葉の中に、いまおっしゃいましたことも出ております。「五十三年度予算の開発庁公共事業関係費は、前年度より三六%も伸びた一千三百五十四億九千万円と計上されている。これによって失業者が吸収されるのは四、五千人だけで、約二万六千人いる完全失業者を全部は収容できない。」と、こういうふうに言い切ってます。で、その理由の一つに、沖繩の建設業界の機械装備率、これは日本で一番なんだそうですね。全国一で、したがって、労働力を吸収するにはそれだけ限度がある。そうすると、いままで皆様がお話ししてくださったことはこの一行でみんなぶっ飛んでいっちまうんですな。だからそちらで考えているようなことはこれじゃまるでできないということになるんです。そうして農業振興にしても農耕面積に限りがあり、大量の労働力を要する農業経営が興らない限り無理だ、こうも言っているわけです。そうすると、いまのお話、これ全部だめになりますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/155
-
156・細野正
○政府委員(細野正君) 冒頭申し上げましたように、沖繩の雇用問題が完全に片づくためには、やはり沖繩自体の中に雇用需要が起きるような経済振興というものがどうしても必要だということと、それからもう一つは、先ほども御指摘ございましたけれども、若い方についてはできるだけ移動の可能性があるわけですから、本土に就職していただいてそこで仕事を見つけていただく。実際問題としましても、若い人に対する求人というのは、私どもも本土の中から特別な優良求人というのを集めまして、沖繩で現地相談をやっておりまして、ですから安定所単位で見ますと、所によっては求人の方が求職を上回るぐらいの数があるという状況にすらなっているわけであります。したがいまして、もう一遍申し上げますと、まず基本的には、たとえば移動のむずかしい方々等を含めて考えれば、沖繩における産業開発というものはどうしてもそれがなければ私どもが申し上げておりますような雇用対策だけではとても解決がつかない。しかし、若い方についてはいま申し上げたようなことが今後の展望として考えられ、現にもういま進みつつあるわけでありまして、ですから今後、何といいますか、それが若い方がだんだん蓄積していって一層失業が広がるというようなことではなしに、若い方についてそういうふうに本土就職等を進めていきますれば、いわばストック自体かふえるということはなくなる。したがって、いままでできているストックについては、先ほど来申し上げているようなことでもって、少しずつでもそれを少なくしていくというふうなやり方を現在考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/156
-
157・下村泰
○下村泰君 事務次官の方が解決策として社会資本の格差を縮める上に努め、産業振興にもっと力を入れるべきだ。具体的には、伝統工芸や観光産業を重点的にすべきであると、これは明言していらっしゃいます。これはもうこれで結構です。いまおっしゃいましたとおり、ことし卒業なさる方、そして就職を希望する学生さん八千九百四十八人おるんです。ところが、求人総数が二万一千人おるんですよ。はるかに上回っておるんです。ところが、何と大学を卒業する方で県内就職希望が九六%あるんです。四%だけが県外ですわね。ですから問題は、それはもちろん先ほどからるるおっしゃいましたように、公共投資であるとかその他もこれは大変なことだと思います。本土へ来た就職者たちかUターンをしない方法ですわね。これは文部関係になりますわね。学校関係の方になると思います。だから、教育の段階でそういう観念というものを植えつけなければならないという必要があるんじゃないかと思います。それといま一つは、この受け入れ側ですな、本土の方の。この受け入れ体制を労働省の方としてもよほど指導しないといけないんじゃないかというような気もするんですよ。よく昔は、東北出身の方々か来まして、なまりを指摘されたりして、中には自殺した子供もいます。世をはかなんで悪の道に入った者もおります。こういう現象がいま沖繩に行われております。これはある程度やっぱり政府の責任だと思うんですよ、ぼくは。全部今度の戦争のしわ寄せはあちらへ持っていったのですからね。それまで向こうは星条旗だったのですから。その星条旗の下にいて急に四十七年にぽんと戻された。わずか六年しかたっていないのですよ。その六年の間に幾らこちらから本土へ勤めてくれ、勤めてくれと言っても、この長い間ほうり出されておいたやつが、すぐ来いと言ったってそうはなじめるものじゃないと思います。ですから、公共事業、これも大切なものだと私は思います。それから、いま言った郷土産業を興すのも、これも大切なことだと思います。それ以上にいま大切なのは、私は教育の問題じゃないかと思います。労働大臣、いかかでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/157
-
158・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のように、沖繩の雇用情勢の特徴として若い層が非常に多いということ、内地では、本土の方では若い層の雇用状況は比較的いいわけでありますから、やはり広域職業紹介によって本土の方へ就職を奨励した人が本土に定着できるような、やはりきめの細かい政策というものか私は非常に大切だということは御指摘のとおりだと思うのです。現在もすでに単身で赴任して、そして本土に二年しんぼうすれば六万円何かしの金をとりあえず貸すけれども、もらいっきりになる。世帯については十万円何がしでございましたか、そういうことで内地への就職の奨励をしておりますけれども、受け入れ側のこれが体制についていろいろ総合的な配慮をしていくということは、これは労働省だけではなかなかむずかしいわけでしょうが、沖繩開発庁がせっかく沖繩の問題の世話をする中心機関でありますから、沖繩開発庁ともよく連絡を密にいたしまして、そして若い人たちのUターン現象が起こらないようにやっていくということも、沖繩県の雇用対策としての一つの大切な柱である。しかし、先ほど御指摘かございましたが、きょう沖繩開発庁の直接関係者をお呼びいただいておけばはっきりしたと思いますけれども、事務次官の問題指摘というのも一つの考えではあろうと思いますけれども、やはり私は、私もかつて沖繩を、本土へ復帰する前と復帰した後と二度ほど訪ねたことがございますけれども、何と言ってもやはり沖繩の本土に産業を興していくという、これには水の問題もあるようでございまして、そういう問題から、やはり第三次産業としてはすでに観光面ではある程度伸びておりますから、沖繩に向く産業というものを進めていく、そして同時にいま御指摘の公共事業については、建設関係は機械化されたとは申しましても、今度も相当大幅な公共事業かあちらにもつくわけでございますから、沖繩は六〇%は失業者を吸収しなければならぬ制度になっておりますから、職業安定所の機関に活発に働いてもらって、総合的な雇用対策を進めていく、こういうことが必要ではないか、こういうふうに思います。御指摘の若い人たちに対する雇用対策は、本土の方への定着の問題についてきめの細かい対策をやっていくということをわれわれとしても検討さしていただきたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/158
-
159・下村泰
○下村泰君 沖繩の本島へ行ってつぶさに見てまいりますと、いかに沖繩というところは地べたの上にアメリカの、米軍基地か多過ぎるかということはよくわかります。そして、その基地に使っているところはすばらしい土地ばかりで、沖繩県民ははじかれたような場所に住んでいます。那覇の空港から那覇市内にある左側に、いまも不用の上陸用舟艇が広い土地の中に放置されております。ああいう使用していない基地、まるで役に立たないものを置いている、こういうところもこれからの問題として、今日の問題じゃございませんけれども、本来はああいうものをどんどん返還していただいて、少しでも労働力の吸収できるような産業を誘致するとかすれば、こういう問題は解決していくと思うんですけれども、いまのあの基地の面積からいけばなかなかこれはむずかしい問題じゃないかと思います。ごらんになって、そういう感はだれでも私は持つと思います。これはイデオロギーを超えて、一日本人としてあの沖繩の本島の中を見て歩けば、これでいいんだろうかということはだれもが感ずることだと思うんです。私は、いまやそういう観点に立って沖繩を見ていかなければならないときではないかというような気がするんです。それは、おまえのように政治の何もわからぬやつがよけいなことを言うなというようなお考えを持つ方かいらっしゃるかもわかりません。防衛とはそういうものではないんだとか、いろいろの問題もありましょう。けれども、一日本人としてあそこへ立った場合に、本当にこれでいいんであろうかと感ずるのは私一人ではないと思います。どうぞひとつそういう意味も含めまして、少しでも基地を縮小していって、そして沖繩の方々が楽しく明るく仕事のできるような状態をつくるべきが、私はこの国会というところにいらっしゃる方々のお務めじゃないかというふうな気がします。どうぞひとつ御検討の上お願いをしたいと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/159
-
160・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/160
-
161・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 次に、労働組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/161
-
162・安恒良一
○安恒良一君 戦後、新憲法のもとで労働者の団結権が保障されるようになって、ちょうど三十有余年を経過しました。わが国の日本の労働運動は著しい発展を見せて、いまや経済社会の中できわめて重要な役割りを担うようになっていると思います。労働組合法は労働基本権を具体的に保障することを目的とする法律でありますが、中でも不当労働行為制度は使用者の団結権侵害の行為を防止し、健全な労使関係の確立を図ろうとするものでありまして、労働組合運動の保護、助成に大きな役割りを果たしていると思います。しかしながら、労働組合法設定後三十余年を経過しました今日におきましても、なお使用者の団結権侵害の行為が後を絶たないことを私は大変遺憾に思いますが、このような状況の中では不当労働行為制度が十分に機能し、制度の本来の目的を実現することが今日何よりも重要であるというふうに考えます。こういう趣旨から、私は本法律の審議に当たりまして次の点について質問をすると同時に、大臣の明快なる御答弁をお願いをしたいと思います。
まず、実態を明らかにする意味で、間違っておれば間違っておると、そうでなければないということでお願いしたいんですか、中央労働委員会の不当労働行為事件の平均処理日数、私の手元の資料による調査によりますと、昭和四十六年五百五十八日から昭和五十一年は六百三十七日となっておる。それから、全労委における不当労働行為事件の平均処理日数、全国地労委のことですね、これは昭和三十九年から四十一年の平均処理日数が二百二十三日、昭和四十九年から昭和五十一年の平均処理日数が四百十日となっています。そして、いま問題になっております大阪の場合を見ますと、五十年の命令決定事件に要した処理日数が五百三十七日、これか五十一年には七百七十二日になっております。東京はちょっと手持ち資料がありませんから、東京の場合五十年と五十一年はそちらで答弁をしてもらいたいと思います。
それといま一つは、不当労働行為の中で公益委員が審査の中心に当たっていくわけでありますが、私の調査によりますと、大阪の場合公益委員の平均地労委に出席日数が百二十日、最高の人は百五十一日あるというふうに聞いています。東京なり中労委の場合の公益委員の平均出席日数が最高がどうなっているのか、まず処理状態を正確に把握する意味で、以上のことについてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/162
-
163・北川俊夫
○政府委員(北川俊夫君) いま先生が御指摘の中労委、それから東京地労委におきます不当労働行為の処理日数は御指摘のとおりでございます。それから、中労委におきます公益委員、労使委員の出席日数でございますけれども、これは調整が非常に多くなります春闘期間中というような例外なときも含めて申し上げますと、一番多いときには大体二十日を超える、ほとんど二十五日に近いような出勤日数というようなことになっております。
それから、東京、大阪につきましての平均的な委員の出席日数を申し上げますと、東京の場合には三十七年目三十九年か一〇・八でございます。それに対しまして、四十九年−五十一年が一一・二でございます。大阪の場合には三十七年−三十九年平均が七・二一に対して、四十九年−五十一年が一〇・六とこういうふうになっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/163
-
164・安恒良一
○安恒良一君 時間がありませんから、私が言ったことは中労委の不当労働行為事件の平均処理日数と、それから全労委の、全国地労委の処理日数を私は挙げて正確かどうかということを聞いたわけです。それから、大阪の場合には、私の手元には五十年の命令決定に至るまでの日数が五百三十七日かかった。それから、五十一年は七百七十二日かかったとこういうふうに手持ち資料持っていますから、東京の場合には命令決定の処理は五十年と五十一年はどのくらいかかったんだろうかと、こういうことを一つ聞いたわけですね。それから、大阪における公益委員の出席日数が大体一年間で百二十日、それから最高の人は百五十一日と聞いているわけです、大阪の場合。東京の場合手持ち持ちませんものですから。これは月平均で言われたからわかりましたから、東京の場合の命令決定の日数か五十年と五十一年はどのくらいか。というのは、全国のやつは手元に資料がありますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/164
-
165・関英夫
○政府委員(関英夫君) 東京地労委の場合の不当労働行為の審査の案件のうち、先生の御質問は和解取り下げを除いた命令決定だけの平均処理日数のお話しだと思います。それの五十年は六百七十日、五十一年は八百六十一日になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/165
-
166・安恒良一
○安恒良一君 以上、大臣お聞きのとおりに、まず不当労働行為というのは労働者の団結権の侵害なんですね。だから、非常に迅速にやらなきゃならないのですか、もちろん若干事件の複雑化というのもありますけれども、戦後三十数年たっておるのに、たとえば東京や大阪で命令を出すまでに五百日も六百日も七百日もかかっている、これは地労委ですよ。そして、さらにそれがまた今度は中労委に来るわけですから、そうすると中労委における平均処理日数か五十一年では六百三十一日かかっている。大体地労委だけで決まるやつもありますが、不服申し立てということで、かなりの件数は中労委に来るわけです。そうすると、合計いたしますと千数百日かかる、これが現状なんですね。これで果たして本当に団結権の侵害が保障されるのかと、こういうことにつきまして、私も労働委員を、中労委の委員を十年やりまして、審査の長期化について、迅速化ということについて、いろいろ中央労働委員は委員同士で議論をしたことがあるのでありますか、私は最近における審査の長期化の傾向にかんがみまして、制度の運用面で一層の工夫をこらす必要があるというふうに考えます。また、審査の手続のあり方にも検討を加えるなどして、審査の促進を図らなきゃならぬと思います。この点について大臣の所見並びに今後どのような努力をしようとお考えなのか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/166
-
167・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のとおり、非常に審議の進みぐあいが、件数が多くなり、大変滞留をしておると申しましょうか、これは労働委員会制度の目的が十分達せられていないという、こういううらみがございます。したがって、この制度を十二分に実現をするためには、審査の手続を含めまして今後前向きに積極的に検討をいたしたいと、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/167
-
168・安恒良一
○安恒良一君 それは一般論としてわかるんですが、私がお聞きしましたのは、審査の長期化の傾向にかんがみまして、どういう面を是正をしようとされるのかと、そういう点について、制度面の運用で一層工夫をこらすとか、審査の手続のあり方があるとか、いろいろあると思うんですよ。私自身も十年やっておりましてよく知っているんですが、労働省自体として、定員をふやすことも結構なんですが、そういうことについてどんなお考えをお持ちなのかと、こういうことを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/168
-
169・北川俊夫
○政府委員(北川俊夫君) いまの不当労働行為の審査のやり方が最初簡易、迅速ということを旨にしておりましたのに、方法がこの三十年の積み重ねの中で民事訴訟的に非常に手続が複雑になってきております。そういう関係で、手続の簡素化、それと、やはり民訴的に審問中心主義になっておりますけれども、これにつきましては、もっと調査に重点を置いて、いわゆる当事者主義から職権主義的な方向に審査の進め方をやはり考える必要があるんではないか、そういうふうに考えております。
さらに、最近は不服率が非常に高くなっておりまして、地労委の場合には約七割、中労委の場合には六割が再審ないしは行訴に持っていかれております。行訴の場合に、審級の省略の問題とか、あるいは労働委員会で認定をいたしました事実の裁判所の拘束というような法的な検討ということもこれは必要ではないかと思います。
そういうふうに、運営の面あるいは制度の面でそれぞれ改善の点が多いんではないかと思いますが、運用の面につきましては、中労委で過去四回にわたりまして中労委規則の改正をやっておりますので、これを尊重をして、全労委総会等の今後の御検討にまちたいと思っておりますけれども、労働省の立場としましては、たとえば行訴の審級省略の問題とか、あるいは実質証拠主義の採用というような点につきましては、労使関係法研究会におきまして、でき得れば一年ぐらいの間で結論を出すというようなことで、積極的な取り組みをいたしてみたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/169
-
170・安恒良一
○安恒良一君 それでは、審査促進については一層の御努力をぜひお願いをしておきたいと思います。
そこで、いま一つやはり重要なことは、審査を促進をするためには、ふえます業務量に見合って委員の人員をふやすこともきわめて重要だと思います。そのことか提案でありますか、ところか、この委員を補佐いたしまして業務の処理に実質上重要な役割りを果たしている事務局の充実強化か図られなければならないと思うんです。その意味で、この事務局員の増加状況について、四十六年から五十二年までの間に、中労委、東京都労委、大阪地労委等の人員がどうなっているのか、ひとつ御報告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/170
-
171・北川俊夫
○政府委員(北川俊夫君) 中労委の事務局職員の定員の変遷でございますけれども、四十六年が定員八十四名でございました。その間に増員五名がございましたけれども、削減が七名ございまして、結果的に五十二年現在では八十二名ということで、この約六年間に二名の減員になっております。
それから、東京の場合には、四十六年が定員か五十六名でございますけれども、五十二年には五十五名と、一名の減になっております。大阪地労委の場合は、四十六年か四十四名に対して五十二年現状のまま四十四名と、こういうのが事務局の人員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/171
-
172・安恒良一
○安恒良一君 大臣、これでもおわかりのように、肝心の職員定数か中労委の場合も現実に減っている、それからいわゆる東京都労委の場合にも減っている。これではせっかく委員をふやしましても、いま大臣が迅速処理に当たりたいと言われておるのでありますが、なかなかそうはいかないと思うんです。そこで、私は事務局職員の経験豊富な有能な人材を確保するために職員の増員や適切な配置、それから処遇の改善などに一層努力をする必要があると思いますが、この点についてまず大臣から所見をお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/172
-
173・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のように、この不当労働行為の事件の処理というのは、やはり委員の役割りも大切でございますけれども、それを支える事務局の機構の充実、また同時に携わる人たちの処遇の改善という、これはやはり大切な要素でございます。
ただ従来、これは中労委の関係でございますけれども、労働省の職員の定数かずっと行政簡素化の計画に対応して毎年純減をしておるという、こういう残念な事情がいままで続いておりまして、昭和四十三年から五十二年までに純減約二千三百名という、こういう状態の中に私は先ほどの仕事量がふえておるのにかかわらず人が減ってきたという、こういう状態ではなかったかと思うのでございまして、幸いにも五十三年度予算編成に当たりまして行政管理庁、これを裏づける大蔵省の理解ある対応をしてもらいまして、ようやく純減をすることだけは一応歯どめができました。私はこれを機会に、現在の御指摘のような仕事量の運び方から見ますと、職員の充実、処遇の改善ということについては大いに今後努力しなければならないと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/173
-
174・安恒良一
○安恒良一君 労働省全体が減っているということはわかっておりますけれども、中労委並びに地労委における取り扱い事件が非常にふえているわけですね。しかも、複雑になっている。そういうときに、せっかく法律で委員をふやすということについて私は最終的に賛成するのでありますか、肝心の補佐する事務局員が減っているということでは、これはせっかく大臣かこの法律をお出しになった趣旨を半減してしまうと思います。そういう意味で、ぜひとも大臣も積極的な事務局員の増員について御努力を願いたいと思いますし、この点は後で大臣のお答えを願うと同時に、きょうは定員問題があるということでありますから行政管理庁にも来ていただいております。ひとつ行政管理庁も、いままでの一問一答をお聞きくださったと思いますから、こういうような重要な事件を扱い、しかも取り扱い件数かどんどんふえている、一方処理日数はどんどん逆にふえているというような中で、画一的に人員削減ということは私は間違いだと思う。そういう意味から、行政管理庁としても、このような取り扱い件数か急増している、処理日数が長くなっているところの事務局員の増員についてどう考えるかというのを、行政管理庁の立場からも考えを聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/174
-
175・百崎英
○説明員(百崎英君) 中央労働委員会が取り扱っております不当労働行為の再審査案件につきましては、先生御指摘のとおり件数も非常に累増しておりますし、また事案の内容も非常に複雑化しているということは私どもも十分承知しているところでございます。このために、五十三年度予算の査定におきましては、先ほどお話ございましたように、委員の定数の増加を認めたところでございますか、事務局の体制につきましては、これに先立ちまして五十二年度の定員の査定におきまして、一つは審査第一課と第二課の所掌事務の配分の合理化を図りますと同時に、審査官の一名の増員を認めたところでございます。確かに、不当労働行為の事案の処理の迅速化ということはきわめて重要なことでございますので、私どもも今後の定員の査定に当たりましては、先生の御意見十分参考にさせていただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/175
-
176・安恒良一
○安恒良一君 それでは終わりますか、どうか労働大臣並びに行政担当、行管の方もせっかく今回法律改正で委員をふやすことでありますので、事務局職員をふやすと、こういうことについて格段の御努力をお願いをしまして終わりたいと思います。よろしゅうございますね、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/176
-
177・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/177
-
178・小平芳平
○小平芳平君 同じく不当労働行為の処理状況についての問題点を質問したいのであります。
事件の係属日数の増大、ふえていったことはいま御答弁かありましたのでそれで結構ですか、ちょっと観点を変えまして、中労委、それから東京、大阪地労委におきまして、公益委員が一人当たり件数を何件手持ちをしているか、そういう状況について。同じく事務局も補佐する場合、大抵二人一組で班を構成して事件を担当しておりますか、この事務局の班、一班が手持ちしている不当労働行為の件数か平均何件になるか、そういう点についてお答えいただきたい。
〔委員長退席、安恒良一君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/178
-
179・関英夫
○政府委員(関英夫君) 一番最新の昭和五十一年の数字でお答え申し上げたいと思いますか、中央労働委員会におきましては、公益委員八人でございますので、一人当たりの不当労働公為件数は三十八件、公益委員一人当たり三十八件ということになります。それから、事務局職員は十の班で三十件を担当していると、こういうことになります。東京地労委におきましては、昭和五十一年、公益委員一人当たりの件数は三十八件、それから、地労委におきましては必ずしも班制をとっているとは限りませんので、職員一人当たりで申し上げますと職員一人当たり二十件担当と、こういうことになります。大阪地労委におきましては、公益委員一人当たり三十五件、それから、職員一人当たり十三件、こういう数になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/179
-
180・小平芳平
○小平芳平君 東京におきましてもやはり班を編成しまして、二人で一班を構成して担当しているということでありまして、いま御答弁のあった約倍ですね、四十二・三件となっております。その事件の中には、本当に長く係属したままで、ずっともう長い年月かかっているものもあるわけですが、しかし、審問をずっと続けていって、さて命令を、原案を事務局でつくろうと、もちろん委員が中心になって進められますけれども、実際文章、字を書くのは事務局が書記的な役割りをしますから、命令を、案文をつくっていく過程において二件、三件というものを一度にその人が命令の案文をつくっていかなくちゃいけないという、こういう事態が起きているわけですね。そうなりますと、人間の能力には限界がありますから、そうこちらの、きょうは午前中はこの命令を書いて、午後はこれを書いて、夜は次のものを書くというようなぐあいにそううまくできないわけですよね。ですから、非常に限界だということ。先ほどの行政管理庁は減らすのをやめたということで、何かえらく理解を示しているような言い方をされましたが、これから先、事件が減るならともかく、現状においても事務局体制の強化というものは、きわめて現状のままでももうパンクする寸前だということであります。そういう点は労政局長は一番よく御存じだと思いますので、どうするかということを、どういうふうな打開策があるかということをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/180
-
181・北川俊夫
○政府委員(北川俊夫君) 小平先生も中労委に対して大変お詳しくて、私以上でそういう御質問が出るのかと思いますが、私も中労委の事務局長をやっておりまして、本当にこの問題の解決には大変頭を痛めたわけでございまして、一班三十件といま審議官からお答え申しましたように、一つの班で三十件を抱えておりますと、これの審問をするのもございますし、それから命令の案文をつくるのもあるということで、本当に全部目が届かずに一件をどうして処理していくかということで頭がいっぱいになるという毎日でございます。私、そういうことで、中労委あるいは全労委会議等で審査促進のためのいろいろの申し合わせとか、あるいは調査をうんと充実して審問を少なくして、そして職権主義的に迅速に片づけるというような運営面の改善も必要かと思いますけれども、やはり制度的な面で、いまの初審から七割ないし六割が行政訴訟とか再審に持っていかれるという、そういういまの制度のあり方についての基本的な考え直し方というものが、この三十年たちましたところでやはり見直さなければならないんではないか、そういうことを痛感しておるわけでございまして、先ほども安恒先生にお答えしましたように、この機会に委員の増員が認められましたならば、さらに一層の事件の迅速化、処理の迅速化を図りますとともに、本省、労働省におきましては、制度につきましていかに本来の簡易、迅速に不当労働行為を処理して、労働者の救済に資するかという観点から制度の見直しをぜひしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/181
-
182・小平芳平
○小平芳平君 職員の定数は昭和四十五年から比較して二名減でありますか、中央労働委員会の場合。しかし、昭和四十五年をとるということ自体が何か余り根拠がないみたいな、かつては、現行の不当労働行為の審査か始まったのが昭和二十四年でありますが、かつてはとにかく百二十人くらいの定員だったかと思いますが、ですから、二名ふえたというのじゃなくて、はるかに事務局は縮小されている上に——その辺まてよろしゅうございますか、それで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/182
-
183・北川俊夫
○政府委員(北川俊夫君) 確かに、厚生省のもとで中労委が発足しましたときには、先生御指摘のように百二十名近い定数であったかと思いますけれども、第一次吉田内閣で行政整理かございました際に、大変大幅に減少をしたまま増加を見ておらない、それにかかわらず案件件数が非常にふえておるというのか事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/183
-
184・小平芳平
○小平芳平君 それで、この方も、労働省に長くおられて、中央労働委員会の事務局長もやっておられた松崎さん、松崎さんが、「私が中労委事務局長をやっておった三十二年から三十六年には、割合い多かったけれども、それでも、常時かかえていた件数は最高五五件、まあ平均すれば五〇件弱というところです。」というふうに、不当労働行為事件が、それが今日のような膨大な事件がかかってくるとは想像だにつかなかった、というふうに言っております。このこともよく労働省も御承知と思いますか、「労働委員会の回顧と展望」——三十年を回顧し展望するというような趣旨の座談会で松崎さん、それからかつて公益委員をやっておられた中島さん、これらの方が委員会制度そのものを根本的に問い直さなくてはいけない時期に来ているんだということを発言しておられます。具体的には審査と調整の機能を分離すべきであるというふうに二人とも非常にはっきりおっしゃっております。果たしてそういうことがいいか悪いか、私も決定的な意見を持っているわけではありませんが、そういう点を含めて労働省は検討なさる、検討なさっていらっしゃるのですか。それとも具体的にどういうところでこれは検討なさるのが妥当だとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/184
-
185・北川俊夫
○政府委員(北川俊夫君) いま先生御指摘のように、労働委員会制度につきまして準司法的機能と調整機能とを分離して、準司法的機能は、たとえば労働裁判所的なものに変えるというような考え方が今後のあり方として示唆されておることは事実でございます。これにつきましては、私の体験から見てやや疑問がございますけれども、いま、先ほど申し上げましたように、今後の制度的検討としては、そういう労働委員会の機構のあり方、そういうことも含めて御検討をお願いするつもりでおりますか、検討をお願いする機関としましては、労使関係法研究会——会長は実は先日お亡くなりになりました峯村先生でございましたけれども、今度四月の中旬に新しく会長をお選びをして、さらに新進気鋭の、こういう不当労働行為につきまして御体験もあり、かつ理論的にいろいろ御勉強をなさっている先生方を若干名加えまして、そこの場で一年程度の期間をめどにしまして御検討をお願いしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/185
-
186・小平芳平
○小平芳平君 事務局の充実が必要なことと、それから委員の定数がたとえ一名あるいは二名、公益委員が一名とか二名ふえることも、十人、十一人とか、九人とか、そこで一人か二人ふえるということは、率から言えば一割とか、そういう率になりますから、ある程度の効果は期待できるわけでありますが、しかし何せ安恒委員から先ほどお話もありましたような、御答弁がまた当局からありましたような状態では、委員のなり手がなくなりはしないかという点ですね。とにかく、一方では大学で教えながら、あるいは弁護士さんとして働きながら、しかも一週間のうち四日も五日も労働委員会へとられるということは、あるいは場合によっては徹夜もしなくちゃならないということは大変な重労働である。そして、一期やったらもう後は御免と、とてもこれじゃ本業がおろそかになってどうにもならないというふうにおっしゃる方が出てきますし、それから本当になっていただきたいという、労使の双方でなっていただきたいという委員がなかなかもう就任してくれなくなってしまうということが言われております。たとえば、東京地労委の委員の報酬ですね、これなどは上がってないですね、この何年か。そういう現状もあるわけでしょう、各都道府県ごとにやりますから。その辺の待遇も、労働省からどうこうというわけにいかないかもしれませんが、検討事項に入れなくちゃいけないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/186
-
187・北川俊夫
○政府委員(北川俊夫君) いま御指摘のように、制度の検討、それから従来中労委でいろいろ御苦心なさっております運用面の改善、それにやはり先ほどから何度も御指摘のように、委員を補佐する事務当局の充実ということは、ぜひ検討項目に加えたいと思います。
その場合に、事務当局の改善につきましては、先ほど担当管理官からお話がございましたように、専門官の意味で審査官というものが初めて認められましたので、そういう方向で職員が優遇をされるような方向にこれからも努力をいたしたいと思っております。
それからなお、委員の先生方につきましては、これも先生御指摘のとおりでございまして、適任者がおられましても、そんな忙しい仕事はなかなか引き受けられないということでお断わりになる先生が間々ございます。そういう先生方に、経済的な面だけでということもあれでございますけれども、やはりいまの報酬につきましても、その改善を図って、春闘で徹夜をしていただく、あるいは不当労働行為の和解で相当遅くまでお残り願って労使の説得をしていただくという、その御苦労に報いるように、一層財政当局にもお願いをして処遇の改善を図りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/187
-
188・小平芳平
○小平芳平君 それから、労働組合の資格審査ということは一体必要なのかどうか。この点は資格審査制度のできたときに大論争があったわけでありますか、そのままずっと今日まで続いております。仮に資格審査制度を廃止したからといって、公益委員の仕事が、あるいは担当事務局の仕事がぐっと減るかというと、そうでもない。そうでもないのだか、一体労働組合の資格審査なんということをいまやっていることにどういうメリットがるのか。これはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/188
-
189・北川俊夫
○政府委員(北川俊夫君) 労働組合の資格審査制度が、昭和二十四年の組合法ができまして以来、組合の自主性あるいは民主性を担保するという意味で、ある程度教育的効果を果たしてきたことは事実でございますが、いまの時点でその審査が形骸化しておるのではないかという批判が、実は全労委総会などで地方の労働委員の中からもそういう御批判がございます。ただ反面、一部にはやはりまだまだ教育効果として資格審査は必要なんではないか、また小平先生御指摘のように、たとえ廃止しても、それほど負担の軽減にはならないというような説もございますが、先ほど申し上げました労働省で行います制度検討の一つ、一環としまして、本筋ではございませんけれども、この制度の存否につきましてもあわせて御意見を伺えればと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/189
-
190・小平芳平
○小平芳平君 それから次に、船員の関係は船員中労委、船員地労委でこれは伝統的に扱っておりますが、ときどき船員だけ別扱いして運輸省でやるなんというのは全く意味がないではないかという意見もあるわけですが、こういう点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/190
-
191・北川俊夫
○政府委員(北川俊夫君) 船員行政につきましては、船員行政全体が運輸省所管になっておりまして、戦後長い歴史もございます。ただ、行政改革がいろいろ検討される場合に、やはり労働委員会あるいは労働行政として一元化すべきであるという声もあることは事実でございまして、現に臨時行政調査会でもその旨の御指摘がございますし、さらに大臣が御主宰の産業労働懇話会の中でも、労使委員からそういう意見か現に出たという経緯もございます。ただ、この問題は所管の運輸省とも十分話しまして、船員行政そのもののあり方とも関連をいたしますので、慎重に検討をさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/191
-
192・小平芳平
○小平芳平君 次に、労政局長にお尋ねするのはどうかと思いますが、労政局はどういう局かということですね。それは、確かに戦後間もないころ労働組合運動が全国的に展開しつつある、あるいは労働組合が結成される、あるいは不当労働行為が各地で起きる、そういうときの労政局と現在の労政局とは大分性格が変わるのが当然ではないかということを素人ながら考えるわけであります。それはいかかですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/192
-
193・北川俊夫
○政府委員(北川俊夫君) かつて賀来労政と言われた、いわゆる終戦直後の労政局か果たしておりました役割りは、やはり労働委員会とやや重複するかのように、紛争の仲介とか、あるいは労働教育的にいろいろ労働組合を指導をすると。これは労働組合か発足して間もない、歴史が浅いというような事情もありまして、そういうことが行政の面として非常に強かったわけでございます。いまや労働組合は非常に健全に育っておりますし、行政がそういうおせっかい的に中へ入っていろいろ手を差し伸べるような事態は、私たちももうなくなったと思っております。そういう意味で、労政局としましては、むしろ国政の面に労働組合がいろいろ発言をなさる、そういう意味で政府と労働組合とのパイプ役を果たす。さらには労使関係法の法規につきまして、たとえば不当労働行為制度のごとく、すでに制定以来三十年近い年月を経て、その再検討を要請されておるような面についての再検討を進めていくというようなことをやっておるわけでございます。さらに最近は、加えまして、労使関係という面を広げまして、労働問題が経済問題と密接不可分であるという観点から、労働経済的分野から、たとえば賃上げの問題あるいは労働条件の問題、労働運動とのつながり、そういうような分析を行う等の、従来の終戦直後の労政局とは業務内容を変えつつある、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/193
-
194・小平芳平
○小平芳平君 そのほか、労働大臣に最後に伺って終わりたいと思いますが、要するに、いま私かおしまいに三、四点問題を申し上げた点は、結局この労働省の行政が非常に時の経済情勢、社会情勢に対応する行政であるということだと思います。何かどっしり窓口で構えていれば自然に流れていくという、そういう機械的な分野よりも、終戦間もないころ、あるいは高度経済成長時代、あるいは現在の減速経済時代というふうに、その時々の経済情勢や社会情勢に敏感に応じていかなくてはならないのが労働省じゃないかというふうに思います。
〔委員長代理安恒良一君退席、委員長着席〕
したがいまして、労働委員の定数増加は私たちも賛成でありますが、定数増加に賛成するとともに、そうした基本的な制度のあり方、労働委員会あるいは労働省も含めた、絶えず基本的な制度のあり方が問われなくてはならない、こういうふうに考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/194
-
195・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘は、まさに私もそのとおりと考えます。やはり、労働行政を預かる労働省でございまして、やはりこれはその時、その時代の経済、社会と全くいわば表裏一体でございまして、経済の変化、特に昨今の日本を取り巻く内外の経済情勢は大変な大きな変革を遂げつつあるわけでございまして、そういうときにおきまして、やはり制度のまず原点に返り、時代に対応する労働行政の推進ができるような制度の改革は常時検討すべきである、それぞれの分野において専門の機関において、われわれは衆知を集めて対応したいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/195
-
196・小平芳平
○小平芳平君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/196
-
197・柄谷道一
○柄谷道一君 不当労働行為の事件の件数が最近非常に累増している、また事案の内容が複雑化して処理が著しく長期化している。このために委員の負担がきわめて過重になっている。これらの問題につきましては、いままでの質問で指摘されてきたところでございます。したがって、今回の改正法案がこの改善に役立つということは評価をいたします。
しかし、私は、不当労働行為制度の本来の趣旨は、簡易迅速な手続により使用者の団結権侵害行為を除去いたしまして、健全な労使関係を確立する、そこにあることは改めて申し上げるまでもないと思います。
しかし、昭和二十年代に平均百二十三日程度で処理されておりました不当労働行為が、昭和五十三年度では平均しますと六百五十二日、非常に長期を抱え、問題によっては二年近くかかっているということも現実であろう、こう思うわけです。
こうして考えますと、いままでも指摘されたところでございますけれども、単にこの委員を増員するだけでこの問題に対応することは不可能だと存じます。私は、現在の審査手続というものが余りにも裁判所の手続と同じような厳格なものになっている、また審査委員と労使当事者、さらに弁護士との日程調整かつかずに、そのために日を費している、こういう事例もしばしばあるというふうに理解いたしておるわけでございます。
したがって、私は、ただいままでの御答弁によって制度問題、審査の手続、その他を含めて抜本的な洗い直しが、労使関係法研究会にいわば諮問でございますか付託をして検討が進められているという点は理解したわけでございますけれども、私は、このような事態を考えますと、一年をめどにと局長は述べられたわけでございますか、私はまあことしの十二月末ぐらいを一応のめどにして、これだけの問題をいま抱えているわけですから、その促進を図るべきではないかと、こう思うことか一つと、それから労使関係法研究会というものが一応の結論が出ましても、これはもう労使関係に重要な影響をもたらすものでございますから、当然関係労使の意見聴取が行われてしかるべきだと、こう思うわけでございます。
以上、二点についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/197
-
198・北川俊夫
○政府委員(北川俊夫君) 実は四月の中旬、労使関係法研究会を若干増員等をいたしましてこの問題の御検討をお願いするわけでございます。その際に、いま柄谷先生から御指摘のように、でき得れば本年度中という御要望、強い御要望があったことも申し添えまして、なるべく早く結論を出していただくようにぜひこちらから審議の促進方をお願いをするつもりでおります。
それから、なおその労使関係法研究会で結論が出ましても、当該関係の労使には制度改善というものは非常に大きな影響を及ぼすものでございますので、当然十分その素案をもとに労働省原案をつくるに当たりましては労使の御意見をお聞きいたしまして、御納得をいただいた上で成案あるいは法案の形にまとめる、こういう努力をぜひいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/198
-
199・柄谷道一
○柄谷道一君 今回の改正法案により、中労委及び幾つかの地労委において委員の数がふえるわけでございます。そのふえた委員の任命の仕方、さらには普通の改選の際の委員の任命の仕方についてお伺いをいたします。
私は、労働委員会の委員は不当労働行為事件の審査、労働争議の調整などというきわめて重要な職務に携わるものであります。したがいまして、労使その他の関係者のやはり信頼が得られるように民主的な方法で任命がされるということは、これ当然のことであろう、こう思うわけでございます。特に、労働者側委員の任命につきましては、中労委は全国的でございますが、地労委におきましてはそれぞれの地域労働組合組織の実情を十分考慮して行われなければならない、こう思うわけです。特に中労委及び地労委は、その取り扱う分野が民間部門における労使紛争を取り扱う機関でございます。したがって、労働者側委員は当然に民間部門の労働組合組織の状況というものがもとへ据えられまして決められなければならないと考えるわけでございますが、労働大臣は中労委の委員の任命に当たられるわけでございますので、その所信をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/199
-
200・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のように、私もこの労働問題、その中心である労使関係というのは、これは人間関係であり、即信頼関係だと思います。そういう面から言いまして、今度の中労委の委員増加の人選に当たりましては、各労働団体の皆さん方の意見を十二分に聞きまして、円滑な話し合いの結論を得て任命をいたしたい、このように考えるわけでございまして、以上のような線でひとつ全力を尽くしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/200
-
201・柄谷道一
○柄谷道一君 事務局の拡充及び委員の処遇の改善につきましても質問をいたしたいと思ったところでございますが、すでに他の委員の質問を通じて労働省、大臣としての意見が把握できましたので、時間を余しますか、私の質問を終わります。
この点に対する特に善処を要望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/201
-
202・下村泰
○下村泰君 労働問題、私はそれほど詳しい方ではございませんので、いろいろと関係の皆様方からお教えを願いまして質問を全部用意したんでございますけれども、全委員の方々か皆御丁寧にお尋ねくださいましたので、聞くことが何もございません。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/202
-
203・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/203
-
204・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。
労働組合法の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/204
-
205・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、安恒君から発言を求められておりますので、これを許します。安恒君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/205
-
206・安恒良一
○安恒良一君 ただいま可決されました労働組合法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党、第二院クラブの共同提案による附帯決議案を提出したいと存じますので、御賛同をお願いいたします。
案文を朗読いたします。
労働組合法の一部を改正する法律案に対すふ附帯決議(案)
最近の労働委員会における審査事件等の増加、複雑化にかんがみ、審査手続のあり方の検討、審議の促進、円満な労使慣行の醸成について配意するとともに、労働委員会の委員の処遇改善、事務局の拡充強化について努力すべきである。
右決議する。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/206
-
207・和田静夫
○委員長(和田静夫君) ただいま安恒君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/207
-
208・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 全会一致と認めます。よって、安恒君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、藤井労働大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。藤井労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/208
-
209・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして善処してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/209
-
210・和田静夫
○委員長(和田静夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/210
-
211・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/211
-
212・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 理事辞任の件についてお諮りいたします。
片山甚市君から文書をもって都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/212
-
213・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/213
-
214・和田静夫
○委員長(和田静夫君) この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/214
-
215・和田静夫
○委員長(和田静夫君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に安恒良一君を指名いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時十九時散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414410X00519780323/215
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。