1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年四月十三日(木曜日)
午前十時二十七分開会
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委員の異動
四月十三日
辞任 補欠選任
植木 光教君 竹内 潔君
中山 太郎君 斎藤 十朗君
長谷川 信君 遠藤 政夫君
市川 正一君 沓脱タケ子君
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出席者は左のとおり。
委員長 楠 正俊君
理 事
大谷藤之助君
福岡日出麿君
対馬 孝且君
安武 洋子君
委 員
岩崎 純三君
遠藤 政夫君
斎藤 十朗君
下条進一郎君
竹内 潔君
中村 啓一君
真鍋 賢二君
大塚 喬君
小柳 勇君
浜本 万三君
森下 昭司君
馬場 富君
沓脱タケ子君
藤井 恒男君
柿沢 弘治君
衆議院議員
修正案提出者 岡田 哲児君
国務大臣
通商産業大臣 河本 敏夫君
政府委員
内閣法制局第四
部長 別府 正夫君
通商産業政務次
官 平井 卓志君
通商産業大臣官
房長 宮本 四郎君
通商産業大臣官
房審議官 島田 春樹君
通商産業省産業
政策局長 濃野 滋君
特許庁長官 熊谷 善二君
特許庁特許技監 城下 武文君
特許庁総務部長 勝谷 保君
特許庁審査第一
部長 小林 慶基君
事務局側
常任委員会専門
員 町田 正利君
説明員
特許庁審判部長 松家 健一君
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本日の会議に付した案件
○特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○特定不況産業安定臨時措置法案(内閣提出、衆
議院送付)
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001・楠正俊
○委員長(楠正俊君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律案を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/1
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002・浜本万三
○浜本万三君 その前に、運営の問題につきましてちょっと御意見を申し上げたいと思うんですが、今回の特許法の改正というのは国際的な、制度的に言えば画期的な問題を審議することにぼくはなると思うんであります。話を聞いてみますと、慎重に審議をした上でこの法案の最終的な可否を決めるということが非常に重要だと思うんですが、理事会のいろいろな御折衝の結果、わずか一日で法案を議了するということにつきましては、将来に対して大きな悪例を残すことになるのではないかと思います。
しかも特許の申請に当たりまして、審査をする職員の方と政府側の考え方というものが全く対立をしておる事情も聞くわけでございます。そうなりますと、国民としては重要な権利を審査してもらう、その審査官がこの手続について大きな異論を唱えておるということは、これ重大な問題だと思うんですね。
そういう立場から申しましても、私は相当これは慎重に審議をして、この法案の問題点を明らかにしなければならないというふうに思っておるんですが、今後、こういうふうな運営になりますと重大な悪例を残すことになると思いますので、これを先例としない、そういうことを明らかにしていただいた上で審議に入っていただきたいということを希望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/2
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003・楠正俊
○委員長(楠正俊君) 了解いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/3
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004・対馬孝且
○対馬孝且君 本法案に対するこれから質疑をするわけでありますが、これはかなりたくさんの課題がありますので、いまも要望ございましたけれども、長官ね、ひとつそのものに対して、質問に対してやっぱりびしっと明快に、ただ詭弁を弄するんじゃなくて、あなたが実際に使っている労働組合の中から相当の不満があるんだから、中小企業の中でも相当な問題がありますからね、その点はやっぱり明快に解明をする、同時に問題点があればそこを積極的に解決していく、こういう姿勢でひとつ答弁をするよう、強く冒頭申し上げておきます。
それではまず最初に、本法案の施行の期日につきましてお伺いしますが、つまり、PCT条約がすでに国会で三月三十一日承認をされました。そこで、わが国が国際事務局へ批准書を寄託してから三月目に効力を生ずると、こうなっておるわけです。
そこで、この法案の施行期日が「条約が日本国についての効力を生ずる日」とされているが、この施行日はいつごろが予定をされるのかということが一つ。
それから二つ目は、この法案の成立の後、批准書の寄託、条約、法律の発効、国際出願の受け付け開始、こういうふうに至るまでの一連の手続の段取りについて、政府の構想をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/4
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005・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 私ども、施行日を条約発効の日、つまり十月の一日を業務開始の日と考えておりまして、さかのぼりまして三カ月前、つまり七月の一日に批准書を寄託いたしまして、それまでの間に必要な政省令を準備をいたしまして、この十月一日の業務開始に間に合うように、いま鋭意準備を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/5
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006・対馬孝且
○対馬孝且君 そういういまの日程になっているのは、当然そういうことになっているわけですから……。
この総会の審議案件は一体何ですか、これが一つ。
それから、国際調査機関に選定される国は、大体どういう国が予想されるんでしょうか、これが二つ目。
それから、総会に臨むわが国の基本方針は一体どういうことなのか。この三点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/6
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007・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 今週の月曜日から第一回のPCT同盟総会が開かれておるわけでございますが、この総会の案件の第一は、この条約の柱になります国際調査機関並びに国際予備審査機関に、どこの国の特許庁を選定するかという問題が第一でございます。第二は、このPCT同盟の業務開始日をいつにするかという問題でございます。第三番目は、その他今後の運営に対します諸規程の制定と、こういうものでございます。
私どもはこの総会におきまして、まだ条約に加盟をいたしておりませんので、オブザーバーの資格ではございますが、将来国会で御承認を賜りましてこの条約に加盟した暁は、この国際調査機関及び国際予備審査機関に選定されることを期待すると、こういうことで総会に臨んでおるわけでございます。
私どものこの総会に対します方針は、何と申しましても、日本特許庁は世界の特許大国の中のきわめて大きな分野を占めておるわけでございますので、ぜひともこの選定をしていただくということを第一義にいたしておるわけでございます。
予定されます国際調査機関等につきましては、アメリカ、イギリス、ソ連、それからヨーロッパ特許庁、スウェーデン、それとオーストリア、それに日本、恐らく七カ国程度になるんではないかというふうに想定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/7
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008・対馬孝且
○対馬孝且君 それで、これはあなたがずいぶん、この十四日の会議に出席をするためにということを強調されておりましたが、いまあなたも認めておるように、これは現段階ではまだオブザーバーでしょう、率直に申し上げて。これは内閣の署名、それから天皇の詔書、あるいは発効という段階に至ってないわけだ。しょせんこれはここで決まったとしても、これは委員会の議決であって、本会議の議決でもないわけでしょう、正式に申し上げて。だから、気持ちの上ではわかるがね、やっぱり正論の手続としては現段階ではオブザーバーである、こういうことは間違いない事実であるので、そういう点はこれは私ははっきりしておかなきゃいかぬと思います。何かあたかも全部、批准をされて、そしてすぐ加盟をして、そこですぐ発言権を与えられると、そういうしろものでないということだけは明確なんで、その点、再確認の意味から確認しておきたいと思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/8
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009・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 御指摘のとおり、日本はオブザーバーでございます。オブザーバーは、会議場では発言は当然できるわけでございますが、ボートになった場合の点だけが資格がないということで、他はメンバーと同様の扱いでございます。
なお、このオブザーバーとして参加することにつきまして、しかもこの国際調査機関及び国際予備審査機関として名のりを上げるということにつきまして、日本の国会で御審議を現在賜っているという状況につきましては、すでに国際事務局に連絡を十分いたしておりまして、そういう状況で条件づきということで総会で御選定をいただくと、こういうことにつきましては、国際事務局の了解を得ているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/9
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010・対馬孝且
○対馬孝且君 そのことをあなたも確認してるからいいんだが、何かもうすでに加盟国並みの扱いという、加盟国即そういう条件にあるというような惑わした言動がたまたま見受けられるんで、国会の正式機関でそういう誤解を、というよりも、そういう偽りのあるようなことを言ってもらっては困るんで、その点、正式な手続というのはまだ済んでいないということだけこれ明確にいままた確認しましたから、あれしておきます。そこで、わが国の特許・実用新案の出願件数が、私もデータここに持ってるんですが、昭和五十一年度で三十四万件ありましたね。これ、間違いがあれば御指摘願っていいんだが。アメリカ、西ドイツ、それぞれ約十万件に対しまして非常に多くなっていますね、率直に言って。また、商標登録の出願件数も、わが国の場合約十二万件、アメリカが三万七千、西ドイツが一万九千。こういうふうに比べてまいりますと、わが国の出願件数というのは諸外国に比較いたしましてこのように多くなっている理由というのは、一体どういうふうに政府側は判断しておるか、この点をお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/10
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011・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 今日までのわが国の経済発展の原動力は技術開発にあるわけでございまして、私は、この出願件数の多いことは、日本の国民の技術開発に対する意欲が非常に旺盛であるというふうに考えるべきだろうと思います。
で、なお若干補足いたしますと、この中にはいわゆる防衛出願と申しますか、他の企業に特許を取られたくないと、特許になるかどうかは必ずしも自信はないが、ともかく出願しておこうというような意味での、防衛出願というものも若干入っておる、これはわが国企業の過当競争体質という面から、ある程度そういう面はあろうかと思いますが、基本的には冒頭申し上げましたように、日本の国民、企業のバイタリティーがその基礎であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/11
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012・対馬孝且
○対馬孝且君 まああなたはそういうふうに、いまそういう発明に対する意欲、技術的な日本国民の民族的な高まりと。これをやっぱり、少なくてもPCTに加盟する限りは、そういうものが生かされなきやならぬわけだ。生かすというよりも、むしろそれを発明の保護という観点で、どうしたらこれを積極的に発明保護をしていくか、こういう立場に立つのがこの加盟する意義、目的であると思うんですがね、その点お認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/12
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013・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 御指摘のとおりだと思います。補足させていただきますと、今回のPCT加盟になりました暁は、日本の法人企業、個人の外国向け出願が容易になるわけでございますので、私ども、これからの国際社会に生きる日本の企業、国民としましては、このPCTの加盟の効果を十分に享受できるものと信じて御審議をお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/13
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014・対馬孝且
○対馬孝且君 次に、わが国の外国に対する特許出願件数、外国からわが国に対する出願件数、それぞれどういう実態になっておりますか説明願います、簡潔でいいですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/14
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015・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 日本からの外国向けの出願件数でございますが、昭和五十年で約二万五千件でございます。それから日本への特許の出願件数は約二万四千件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/15
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016・対馬孝且
○対馬孝且君 そういう実態の中で、わが国の外国に対する出願件数というのは国内出願の大体二割程度と、こういう数字になりますが、これは正確に私申し上げますと、日本から外国への内訳言いますと、アメリカが八千五百件、西独が四千三百、イギリスが三千六百、それからフランスとかオランダ等、外国から日本の場合は、アメリカが一万一千件、西独が四千七百、イギリスが千九百、その他、私の資料によると大体こういう数字になっておるんですが、したがって国内の出願に比べまして大体件数が二割と、こういう点では非常に低いのではないか。こういう水準にあるということについてどういうふうに考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/16
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017・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 御指摘のとおり、外国の場合、たとえばアメリカの場合は国内に出願するよりは外国に出願しておる件数の方が多いという実態にございますのに対して、日本はいま御指摘のとおり大体二割前後のものが外国に出願されているわけでございます。これはしかしながら、除々に外国への出願の比率が高まってまいっております。この辺のことは、たとえばアメリカと日本を比較いたしますと、昭和四十年ごろは日本からアメリカへいった出願は、たしか私の記憶では二千五百件ぐらいだったかと思います。現在約一万件近くになっておりますが、アメリカから日本に参りますものは、一万件でほぼ横ばいで今日に参っておるわけでございます。逐次日本からの出願が、特に先進国にふえておるという実態がございます。私ども、これから日本の技術水準の向上に伴いまして、やはり海外向けの出願というのは今後ともふえていく、そういう意味でこのPCT条約加盟は大変大きな意味を持つものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/17
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018・対馬孝且
○対馬孝且君 そういう見解だと、私は次の点に矛盾が生じているんじゃないか。あなたの言うそういう考え方に対して次に申し上げたいことは、技術貿易のおくれということが、どうしてそれが出てきておるんだろうということを具体的にちょっと申し上げますが、わが国の技術貿易の国際収支を見ますと、昭和五十一年度だけについて見ますと、対価の受取額は一億七千三百万ドルですよ。逆に支払い額は八億四千六百万ドル、大体二〇%にすぎないんですね。だから、この対価の受取額は一億七千万ドル、支払い分は八億四千六百万ドルと、こういう結果から見ていきますと、私は結果的には、技術貿易の収支、これは内訳言いますと、アメリカが九・五、フランスが一・三、イギリスが一・一、こう比べてみますとわが国の場合は大体〇・二%、非常に極端に低い状況になっているわけです。
いまあなたは、四十年度以降かなり技術的な高まりを見せていると言っているけれども、現実はこういう結果じゃないですか。これはある意味では発展途上国並みであると、こう言っても過言ではないんじゃないかと、こういうふうに考えますが、この点どう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/18
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019・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 御指摘の数字はそのとおりでございますが、これは過去の高度成長期におきまして、日本が外国から技術導入をいたしましたものに対するロイアルティーの支払いが今日まで継続している部分が相当ございますので、いま御指摘のとおり支払いの方が八億ドル、それから受け取りの方が二億ドル弱、こういう数字になっておるわけでございますが、このパターンは昭和四十七年からパターン変化が私あると思います。現在までの受け取り、支払いを新規分とそれから継続分に分けて分析をしてみますと、新規分の、その年に新規に輸出した技術輸出あるいは技術輸入というものだけを見ますと、昭和四十六年までは日本側が依然として支払い超過でございましたが、四十七年からは日本の輸出超過になっておるわけでございます。この傾向は四十八年、四十九年、五十年と引き続いてなっておりまして、私はこの辺のところは、日本の国際競争力の強化がこの面でも反映してきているものというふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/19
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020・対馬孝且
○対馬孝且君 私の言いたいのは、GNP二位だというようなことを言いながら、かなり貿易が伸びていると、これはお認めになっているという。貿易は伸びているが技術の方はおくれているんじゃないかと、こういった関係についてどう見ているかということを言っているわけですよ。あなたがさっきおっしゃったように、四十年以降高度経済成長期にだんだん入ってきたんだから、それとタイアップして日本の技術も対外的に伸びていっているという、こういうあなたの説明なんだが、結果として、これ見ると、どんなこと言ったって、五十一年度誤りであれば別だよ、私が言った数字が間違いでないとすれば結果は逆になっているんじゃないですかということを言っているんですよ、私は。そういう意味では技術のおくれでないかというんだ。貿易は伸びているけれども技術面ではかえっておくれているんじゃないのか。その結果が、数字はごまかしできないんだから、数字にあらわれたものは支払い額が八億ドルで受取額が一億ドルだと、これじゃちょっと話が違うんじゃないか。こういう受けとめ方について、特許庁長官としてどう受けとめているんだ、こう聞いているんですよ。はっきり答えないとだめだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/20
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021・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) いまお手元の数字は日銀調査の数字だと思いますが、実は内容につきまして、契約ごとに新規分、継続分と区分けしたデータは日銀統計には出ておりません。したがいまして、私が申し上げましたのは、内容を分析する意味で、総理府統計局の資料で科学技術研究調査報告というのが出ておりますが、これによりますと、日本の技術輸出と技術輸入につきましてそれぞれ新規、継続を区分けした統計が掲上されております。その数字で先ほど私が申し上げたんですが、具体的な数字を申し上げてみたいと思います。
昭和四十六年におきましては、新規分の輸出は百十一億円でございます。それに対しまして新規の支払いが百五十六億円ということになっておりますから、マイナスが約四十億円ぐらいの支払いの超過でございます。ところが四十七年になりますと、新規の受け取りが百八十二億、支払いが百四十四億、四十億のプラスになっておるわけでございます。四十八年も同様でございまして、受け取りが二百四十七億に対しまして支払いが百九十五億ということでございます。これはいずれも新規分。四十九年は受け取りが二百一億に対しまして支払いが百四十六億でございます。五十年は受け取りが百八十八億に対して支払いが百三十三億。いずれも新規分だけをとりますと、こういうふうに受け取りが多くなってまいっておるわけでございます。全体として支払い超過になっておりますのは、従来からの継続分のロイアルティー支払いが基礎にございますので、その部分がふえておるということで、なお、全体としては赤字ではございますが、新規のものだけを考えますと日本の技術輸出の方が輸入を上回っておると、支払い面ではそのような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/21
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022・対馬孝且
○対馬孝且君 これ、主要国における技術貿易の推移というのがあるんですが、これはこの数字かでたらめになっているんだよ。日本の場合はドル換算でいきますと、五十一年度が支払いが八億四千六百万ドル、それから受け取りの方が一億七千三百万ドルになっているんだよ。そうして、いまあなたがそういう説明——新規とかいろんなこと言ったって、結果は相対的な問題だから私は聞いているんだけれども、アメリカの場合は逆に四十二億八千五百方ドル、支払いの方が四億五千八百万ドル、受け取りの方が圧倒的に多いわけだ。イギリスの場合は大体四億六千五百万ドルの四億一千三百万ドル。そうすると、大体これずっと見ていくと、日本の場合が一番あれですよ、あんたそんなこと言うけれども、受取額が一億七千三百万ドル、支払いの方がこれは五倍ぐらいになっているわけだ。こういうデータを別な——この資料がでたらめだと言えば別だよ。
ところが、結果的にこれを見ると、私の言いたいのは、それは貿易が拡大しているのに対して技術というものは結果的には技術の進歩というのは停滞をしておるのじゃないのかと。それがこの支払い額証明でもって明らかでないのかと。そういう点をあなたが高度経済成長期によって上がっていっていると、こう言っているが、技術の実態というのはそういうようになっていないんじゃないのかということを私は言っているわけですよ、このことで。その実態をお認めになるのかどうかと私は聞いているんです。だから、認めるなら認めるでいいんですよ。何も総合的に新規がどうだとか何がどうかつて、技術貿易の推移に対する私は実態的に、こういう実態の流れというものを一体お認めになるのかどうかということを流れを聞いているんだけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/22
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023・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 流れとしては、過去におきまして、日本は欧米諸国からの技術導入によりまして追いつくという努力が行われてくる過程で支払いが非常に多くなっていった時期がございましたが、今日の傾向としましては、先ほど申しましたように、これからは技術輸出の増大というような形でパターン変化が、傾向の変化があるんではないかと、こういうふうに私は考えておるわけでございます。確かに先生御指摘のとおり、絶対額で既応の部分を含めて計算いたしますと、他国に比しまして日本の技術輸出はまだまだウエートが低いという事実にあることは御指摘のとおりだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/23
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024・対馬孝且
○対馬孝且君 それだけ認めればいいんだよ。よけいなことを言わないでいいんだ、そういう実態だということを素直に認めるか認めないかということを聞いているんだから。
次に、私は日本特許情報センターの育成についてちょっとお伺いしますが、PCT加盟に伴う国際化の動向に対応いたしまして、この特許出願の質の向上を図るというためには、特許の情報の整備、情報提供の充実を進めることがますます重要であるということで、これは衆参の附帯決議の中についていますね、具体的に。したがって、第一点はどういうことかといいますと、日本特許情報センターの拡充強化について、いま申し上げましたように衆参で何回か、実は決議をされています。これに対しまして、政府としてこのセンターの育成強化に対しましてどういう対策をとってきたのか、これが第一点。それから第二点目は、このセンターの収支状況がどうなっているか。またこれに加えて今後の見通しがどういうふうになるのか。三点目、この情報センターが実際に中小企業がどれだけ利用されているか。次の問題は、PCT加盟に伴い同センターの格段の強化が必要ということは当然先ほど強調しておりますから、その点のこれからの対策の力点をどういうふうに考えているかと、この四点まずお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/24
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025・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 日本特許情報センターは、私ども特許情報に関します中核的な機関ということで、今後とも大いにこれ育成強化していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。現在このセンターにおきましては、電算機を用いました情報の検索と良質な抄訳の提供を行いまして、サービスを拡充をいたしてまいっております。五十三年度におきましては、大型の電算機をさらに入れましてその処理能力を高め、データの蓄積を多くしてまいる考えでございます。さらにはINPADOCという国際的な情報機関との間の提携を強化するということで、外国からの特許情報につきましてもこれを取り込みまして、サービスとして提供するということを考えております。また、最近におきまして、日本の公開公報を英訳をいたしまして、いわゆる抄録と申しておりますが、これを外国に向け発行をいたしておるわけでございますが、これは非常に高く評価されております。今後さらに、PCTに加盟いたしますれば、PCT国際出願関係の翻訳文の抄訳、抄録につきましても、これを発行することを考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
なお、通産局また発明協会等、各地域産業のニーズをこれらの機関に吸収いたしまして、
〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕
特定の事業分野に対しますサービスというものを拡充してまいりたいと、さように考えております。
なお、収支の状況等につきましては総務部長から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/25
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026・勝谷保
○政府委員(勝谷保君) JAPATICの収支状況についてお答えいたします。
先生御指摘のように国会の附帯決議をいただきまして、四十六年に設立いたしまして以来、四十六年の規模が約三億七千万でございましたのが、五十三年度の予算規模は十六億、五十二年度もほぼ十六億に近い予算規模になっておりますが、その間収支状況は年によって違いますが、毎年五千万ないし一億程度の赤字が計上されてまいりましたが、五十二年度におきましては、おかげを持ちまして収支は黒字に転じております。なお、人員につきましても、四十六年の四十一人から五十二年には約六十名と、急速とは申せませんけれども、確実な拡大テンポで拡充強化を図っている状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/26
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027・対馬孝且
○対馬孝且君 中小企業のはどうです。中小企業の利用、中小企業がどのように利用されているかということについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/27
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028・勝谷保
○政府委員(勝谷保君) なお中小企業がどのようにJAPATICのサービスを利用しているかにつきまして、定量的に把握しておりませんけれども、大ざっぱに申し上げますと、利用は主として大企業の方に偏っているという実情でございます。したがいまして、今後は中小企業にもこれを活用する方向を考えなければならないということで、五十三年度の予算から、ある程度そういう方向の政策を検討しているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/28
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029・対馬孝且
○対馬孝且君 いま、なぜこれを聞くかと言うと、中小企業はこの情報センターの情報提供をほとんど受けてないと言うんだね、実態的には。だからいま、この決議からいきますと、まだ、いままで何をやっておったかとぼくは言いたいのは、これを見ますと七十五国会参議院商工委員会で五十年三月二十七日の決議、これでいきますと、日本特許情報センターは、新規性調査機関としての機能を十分に果たし得る状況にないので強化拡充体制をとるようにということになっておるでしょう、これで。特に中小企業問題というのは非常にこれはアピールしているわけだ。ぼくは現実に聞いてみたんだけれども、おたくの庁舎の働いている職員の方々に。ほとんどないと言うんだよ、これ。いまあなたもお認めになったけれども、大企業だけで。これじゃ情報センターの役割りというのは一体何があるんだと。私が言いたいのは、これから発明、パテントというのは中小企業のこういった低成長時代における中で、技術革新だけでなくて、そういう発明の機会を大いに保護していただいて、中小企業をどう今日の経済情勢の中で保護していくかと、守っていくかという役割りが一つの大きなこれぼくは目的と思うんだよ。現実にこういうものが生かされていないと、ほとんど、いまもあなたが言ったとおり。大企業がほとんどだと、これではぼくは決議は何回したって、決議は絵にかいたようなもので、これは意味がなくなると思うんだよ。国会決議なんだから、もう少しやっぱりこれを、中小企業の体制強化のために今後積極的に、ひとつ具体的にどういう点に力を置いて体制強化をしていくのか、これをぜひ中小企業の皆さん聞いてくれと言うから、ちょっとお伺いしますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/29
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030・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 特許情報センターの仕事の中で、いま先生御指摘の点は大変私どもも重要な点だというふうに考えております。
先ほど私が御説明しました中で、発明協会というのはこれは全国に支部を持っておるわけでございますが、ここでいろいろ中小企業の方々の発明奨励等に対する相談にあずかっておるわけでございます。また、地方通産局におきましても、そこら辺の中小企業の方々の御相談に応じているわけでございますが、私はこの発明協会とそれから特許情報センターとの間の業務提携が実現をいたしまして、この四月からはっきりした形で業務提携が行われておりまして、発明協会が全国の支部を通じて、それぞれ地方の中小企業の方々あるいは地方の産業のニーズというものを吸収いたしまして、それに合ったような情報を提供をすると、こういうようなことを、これから大いにやってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。御指摘の点は十分に今後配慮してまいりたいと考えております。
〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/30
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031・対馬孝且
○対馬孝且君 長官、ひとつ個々の努力について、私はやっぱり中小企業の方に最重点をかけて、そちらの方に、情報センターがそのためにあるんだというくらいの決意を持ってこれは対処してもらいたいと思いますよ。これは特に申し上げておきます。
そこで、私はこの今回のPCT条約に加盟するに際して、中小企業に一体どういう利点があるんだということがどうも納得がいかないんだ。ぼくはこの間も中小企業団体の方々に来てもらって、いろいろ意見交換しましたよ。率直に言うんだけれども、外国の出願の容易化ということが目的にされているんですけれども、どうもやっぱりこれは大企業が、特に一部の巨大な多国籍企業には有利であっても、国内を市場とする大部分の中小企業にとってはほとんどメリットがないんじゃないかと、私に言わせれば。
それはどういうことかというと、外国出願に伴う複雑、非常に難解、手続等も非常に複雑であると、このPCTに加盟することによって。それと使用料負担が非常にこれかかってくる。後で申し上げますが。中小企業が容易に対応できるような、逆にPCTに加盟することにおける中小企業の恩恵というのは一体ないんじゃないかと、こういう率直な意見があるんだが、この点どういうふうにその具体的なケースがあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/31
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032・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 国内の出願の場合に、中小企業または町の発明家の方々のウエートは大体五割でございますが、外国へ向けた日本人の出願の場合に、中小企業あるいは町の発明家と申しますか、そういった方々のウェートは、これは推定でございますが約二割程度と考えております。確かに外国向けのウェートが低いわけでございます。外国向けの出願の中で、中小企業等の方々の占めるウエートが低いことがそういう実態になっておるわけでございます。
その原因の一つは、いま先生もお触れになりましたが、外国向けの出願というのは、やはり語学の問題あるいは手続が非常にめんどうだというようなことから、ついついやはり外国出願が少なくなっておるんだろうというふうに思うわけです。そういう意味では、今回のPCT条約におきまして手続の統一がなされまして、一つの出願で多数国に出願ができる。こういうことは、しかもこれが日本語によって行われるということになるわけでございますので、中小企業あるいは町の発明家といった方々はこれを利用しやすいということは言えると思います。アメリカがこの条約批准に際しまして、大統領が議会に送られたメッセージの中に、このPCT条約の加盟というのは、特に中小企業あるいは町の発明家といった方々にメリットがあると考えるということをメッセージの中にも書いているわけでございますが、私は今回のPCT加盟によりましてこの面のメリットは大変大きなものがあると思います。
それからもう一つは、この条約の中でのメリットの一つでございますが、特許庁が国際調査機関といたしまして国際調査報告をつくりますと、その中で、すでにその出願について先行文献があるということがわかります。そういった場合は、むだな外国への出願が取りやめになりますことによって、経費が節減されるということもございます。中小企業の方々にもその点は大変プラスになるであろうというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/32
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033・対馬孝且
○対馬孝且君 まあ、あなたそう言うけどもね、現実にこれ後から出てくる百八十四条の四の四項の問題ですがね、これでいきますと結果的には中小企業はかえってこれはあれですよ、費用は負担する、異議の申し立てするときに中小企業が具体論としてできるかどうかというね、まあ後からこれから具体的に申し上げますけども、私はどうもそこらあたりが、ただむしろ加盟したことにおいて中小企業がはみ出される、かえって多国籍企業の方が優先保護されて、日本の国内の中小企業の方が虐げられるというか、むしろ恵まれない状態に置かれる。これがそのPCTに加盟するメリットというのは一体あるのか、いまあなたお答えになっているけれども、それは現実にこういう問題一体どういうふうに考えるかということを具体的にちょっと聞いていきたいんですがね。国際出願の原文と翻訳文との関係についてちょっとお伺いしますよ。
この法案の一番の問題点は何かといいますと、わが国を指定国とする国際出願についての原文と翻訳文との関係が取り上げられているわけですよ。そこで提出された翻訳文と原文が内容的に一致している場合は、これは問題ない。一致しない場合が問題なんですが、これでいくと、結果的にはこれは異議の申し立てをしない限りこれは取り上げられないということになるわけだ、この問題は。これじゃ全く問題があるんじゃないか。したがって、原文に記載されているけども翻訳文に記載がなかったという部分についての効果は一体どうなるんだと、これ一点お伺いしますよ。
それから二つ目は、次に原文に記載されてはいないけれども、逆に翻訳文に記載されていたと、こういう事項があった場合にその法律効果は一体どうなるんだと、この二つをちょっと聞きたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/33
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034・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) この条約によります原文と翻訳文の考え方でございますが、非常に明確になっておりますのは、まずは一義的には原文がベースになるわけですが、その後、翻訳文の提出を待って審査が行われるということになっております。それで、いま先生御指摘のように、原文に書いてあることが翻訳文に書いてなかったという場合には、その書いてない部分につきましては国際出願がなかったものとみなされると、つまりそれは権利を放棄したということになるわけでございます。
それから原文を上回った部分について翻訳文がなされておるという場合には、その上回った部分につきましては、これを実質的に無効にすることができると、こういうのがこの条約の立て方でございます。
で、特許庁といたしましては、いま御提出しております法案の中で、基本的には特許というものはその国の言語で設定をされるわけでございます。そういうことから、国内の手続は翻訳文によってもう進めるということにいたしております。で、第三者特に他人の権利との関係におきまして問題があるという場合に限りまして、原文と翻訳文を照合いたしまして、原文と翻訳文の双方に記載されている事項、これがこの国際出願のいわゆる本体であると、こういう考え方で処理をすることにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/34
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035・対馬孝且
○対馬孝且君 いや、結論だけ聞けばいいんだよ。私言っているのは、原文に記載されてはいるけども、翻訳文に記載がなかった場合についての効果が一体どうあるんだと、出願の効果がどうなっているんだと聞いているんだから、これでいくと百八十四条の四の四項によれば何の効果も生じないということになるんだ。そのことを答えればいいんだよ。間違いないでしょう。何の効果も生じないでしょう。前段の方は。
後段の方は、原文には記載されてはいないけれども、翻訳文に記載された事項についてはその法律効果については正規の出願とみなされると、これは百八十四条の六によってそういうことになると、この理解はどうなるんだと私は聞いている。そのことをいいか悪いかと聞いている。間違いなら間違いと言ってくれよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/35
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036・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 第一の、原文にはあるが翻訳文にはないという部分につきましては、それは取り下げとみなされますので、なかったことになるわけでございます。
それから第二の問題は、原文にはないけれども、翻訳文だけにあるという部分につきましては、これ審査は翻訳をべースとして処理してまいりますので、公告後の異議の申し立てがない場合は、これはそのまま特許になるというような場合もあり得るわけでございます。それから、異議の申し立てがない限りはこれは拒絶はできないこういう立て方にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/36
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037・対馬孝且
○対馬孝且君 長官ね、言葉の魔術みたいなこと言っちゃだめだよ、そんなこと言って。はっきり言って後段の場合は正規の特許出願とみなされるということでしょう。出願とみなされるということでしょう、これ。異議の申し立てがあるとかないとかいって、これは後からの法律の問題だから私申し上げますよ。そういうことを端的に聞いているので、言葉の言い回しをしてごまかそうとしたってだめだ、そんなきれいな言葉を利用して。はっきりぼくはみなされるか、みなされないかと端的に聞いているのだから、みなされるのならみなされると。
それから、前段の方は、このことについては効力が生じるか生じないか、こう聞いているのだから、効果が生じないなら生じないとはっきり言えばいいんだよ。それをわかったようなわからないようなことを言うから問題が起きるんだ、どうなんだと聞いているんだ、この扱いについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/37
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038・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 第二のケースは翻訳文をベースにいたしますので、この翻訳文というのは、これは日本の特許法上の出願書類ということにみなされるわけでございます。ただ、日本の翻訳文はみなされますが、日本の出願書類とみなされますけれども、この翻訳文によっていかなる場合もすべて処理するというわけではないということを先ほど申し上げたわけでございます。他人との間の権利が問題になった場合においては、一定の調整措置をとるということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/38
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039・対馬孝且
○対馬孝且君 それであなた、いかなることというのが余分なことであって、これから申し上げることになるのだけれども、さっき言った二つですよ、私が言ったのは。
そのことについて次に申し上げますよ。翻訳のチェックの異議を待つという審査制のあり方について、私は今回一番問題の焦点ではないかと、こう見ているわけですよ、ここが問題点だと。どういうことかと言ったら、原文には記載されていない事項であっても、本来国際出願としての特許請求がなされていない事項、それから、翻訳文の提出の際に追加されたとしても、わが国の出願の場合は何の効果も生じないということで考えるのが一つの筋じゃないかと、こう思うわけですよ。
そこで、原文と翻訳文の不一致が、両者を対比した場合に初めて発見されるわけでしょう。原文と翻訳文とはどこが違っているということが初めてわかるわけだ。その初めて発見したときの審査官ばこれに対してチェックしたり、あるいはここをこういうふうに直した方がいいんじゃないかというふうなことが、結果的には今日の段階ではできなくなっているんじゃないか、できないように制限してしまったのじゃないかと、それは、法律の百八十四条の十四による異議の申し立てがなければあとは認めないというわけだから、そうなれば審査官の審査権限それ自体を放棄させる、あるいは制約するという、放棄させてしまうというこういうやり方は、これは諸外国にもぼくが調べた限り例はないし、それ自体がやっぱり根本的に、あなたは中小企業が何とかなると言っているが、私は逆に中小企業を守っていかない結果になると。これ問題は二つあるんですよ。
一つばみずからの審査権限を放棄するということ、逆にこれがチェック制ができない、あるいは手直しができない。たとえば、瑕疵状態で欠陥がある、傷があるということをわかっておってもそれを審査官が手直しもできないのだということになったらこれはどういうことなんだ、あなた。せっかく条約に加盟して国内法はつくったが、国内法は逆に審査官を権限放棄さして、それで中小企業の発明の機会を何とか向上さしてやろう、保護してやろうというときに逆に生かしていかない、ここに私は今回の改正点の一番の問題があるんじゃないか、この点どう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/39
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040・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) まずこういった原文と翻訳文の不一致というケースがどれだけあるかということでございますが、私どもはきわめてレアケースだと考えております。なぜならば、この翻訳文というのは非常に厳密につくりませんと瑕疵ある出願になりますので、後で第三者からこれを取り消されるケースが非常に多いわけでございます。間違った翻訳文を出した場合に、出願人が非常に不利をこうむるというのが特許の場合の常識でございます。とりわけ今回のPCT条約は多国間の取り決めでございます。同時に、したがいまして、多種類の言語を使うわけでございますので、常に各国がこれを翻訳文についての問題に当たるわけですが、たてまえとしては原文と翻訳文は一致すべきものという前提に立ちまして、この条約は成り立っておるわけでございます。
私どももこういったケースは非常にレアケースだとは思いますが、先生御指摘のように、理論的にはあり得るわけでございまして、その場合の措置といたしまして考えましたのが、まず第一は、原文と翻訳文を先生御指摘のようにチェックを常にいたしまして、それが正確なものであるかどうかということを全件チェックということになった場合と、それからその場合には、審査の実態としましては原文中心のやり方にならざるを得ない。いつの段階でも原文と照合しながら進むわけでございますので、原文中心主義になるわけでございますが、このような原文中心主義で常に照合をしなければならないということを決めている各国の法制は、明定されているものは各国にはございません。確かに先生御指摘のように、いわゆる公告後の異議の申し出を待ってのみ拒絶ができる、こういうふうにしている国も、法律で明らかにしている国もございません。
つまり、この辺は各国の運用の問題として任されている問題でございますが、私が冒頭申しましたように、当初から原文と翻訳文を照合する、こういうことになった場合には、現実にはこれを処理することは不可能でございます。全件につきましてこれを処理することは不可能でございまして、もともとレアケースというケースでございますので、そこまでする必要は私どもはない。私どもの判断としましては、翻訳文をベースにしまして審査を行って、公告後の異議の申し立てを待ってこれを救済するというのが最も適当な措置であるというふうに考えておるわけでございます。たまたま仮に瑕疵あるケースがあった場合に、第三者との関係において異議の申し立て、あるいは無効の審利というような手続を通じましてこの瑕疵ある部分が是正される、こういう措置で十分この問題は対処できるであろうというように考えております。
最後に一言申し上げたいんですが、私どもとしましては、審査は翻訳文によって行うわけでございまして、いわゆる審査主義の放棄であるとか、そういったふうには毛頭考えておりません。従来どおり審査をきちんと行うということでございます。
中小企業等との関連におきまして、特に先生御指摘ございましたが、それでは、審査官がたまたま気がついたときどうするかという問題につきまして、これを法律の義務として法律化することは審査の実態に即さないと申しますか、審査の公平性を欠くことが担保できない、こういう判断で私どもはとり得ないと考えておるわけでございます。ただ、行政運用といたしましてたまたま知り得たものにつきましては、中小企業の方々、あるいは一般公報等に対して原文との不一致の部分があると、それに対して特許庁としてはたとえば出願者に対して釈明を求めるという措置をいたしまして、その記録を一般に閲覧させる、また公開を、公報の中でその事実を掲載すると、こういう措置で行政運用としては十分カバーできるんではないかと、こういうふうに考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/40
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041・対馬孝且
○対馬孝且君 これはね、レアケースの場合——日本で考えられないと、こんなことをおっしゃっているんだけれども、私は根本問題が問題だって言うんですよ。これは審査権を最初から放棄するような法律改正、国内法を宣言することは間違いじゃないか。国際的にもあなたがないと言っているわけだ、わが国だけだってあなたは言っているわけでしょう。国際的にぼくもちょっと調べてみたんだけれども、これはオランダの例でもスウェーデンの例でもずっと事情聴取しましたけれどもありませんよ、こんなのはあなた。むしろ逆に翻訳文と原文との系統的な照合あるいは系統的に照合しないまででも、審査官が疑いがあるという場合は職権でやっぱり出願人に対して補正の措置を講じていると。こういう実態がほとんどじゃないですか、この翻訳のチェックの実態というのは。これはあなたはっきり申し上げてオランダもそうだし、スウェーデンもそうだし、オーストラリア、西ドイツ、イギリスの例がある。これはアメリカの場合は、これはまあPCTのルーツの原則の国ですから、これを見たって同じじゃないですか。
あなた、運用だってごまかしているんだけれども、問題はやっぱり大事なところはそこだと思うんだよ。なぜ審査官の……現在やっているならば別だよ。あなた方ずいぶん何か七九国あるからそんな簡単にできないとか、語学力を持っているとかいないとか、そんなことをときどきおっしゃっているけれども、現実に現在これが間違いであれば指摘してもらってもいいけれども、従来からこの優先権証明チェックしたものについては現在実務でも約三万件あるというんだ、ぼくが聞いたのは。これは間違いですか、これはおたくの特許庁から聞いたんですよ。現在の体制でこの審査官による優先権証明チェックを実際に実務として扱ったものは三万件ありますと、こういう実態があることに対して、最初から審査権のチェックあるいはそういうものに対して権限を剥奪してしまうと、これは全く私は納得できないね、こういう問題については。これはどういうふうにお考えになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/41
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042・勝谷保
○政府委員(勝谷保君) 先生お手元の特許庁の資料と申されますのは、実は二年前に調査団を編成いたしまして、先進諸国を回りましたとき、諸先進国はいまだ国内の法律を明定していませんでしたので、将来こういうことが考えられるというアンケートを持って帰ったものが恐らくその資料ではないかと思います。その後私ども資料を集めましたところ、アメリカでは七五年の十一月に法律ができております。このアメリカのものを見ますならば、これも英語で翻訳文を提出しなさいということが出ておりますが、これは先ほどのような問題が生じたときは裁判段階で処理しろという法定になっております。さらに西ドイツを見ますならば、西ドイツも具体的にドイツ語で翻訳文を提出しなさいということになっております。さらにイギリスを見ますならば、イギリス人の場合も簡単でございますけれども、一条だけ設けて翻訳文等々の規定が設けてあります。それらをすべて私ども見てみたんでございますが、国際出願の翻訳文の取り扱いに関しまして明文の規定を置いておりません。日本のように非常に精緻な特許法体系になっておりませんので、細かく決めておりませんのが実情でございます。
さらに細かく申し上げますと、翻訳文の法的位置づけにつきましては明文の規定を置いていないということと、審査官は原文で審査すべきであるということの明文の規定も置いてありません。さらに審査官は原文と翻訳文との照合をすべきであるという明文の規定も置いていません。いずれも実態的にやっているというのが実情ではないかと思いますが、わが国のように明定する場合にはどちらにするかということを決めざるを得ないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/42
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043・対馬孝且
○対馬孝且君 だから、異議の申し立てをする以外のものは審査官としてはチェックあるいは手直し、それをしてはならないということを最初からあなた決めてかかるというのがおかしいじゃないか、法律的に。しかも実態的には現在やっているというんだ。ぼくはやっていないことを言っているんじゃないんだよ。優先権として審査官が扱っているというわけだ。現実にまた処理しているというのでしょう。処理していることに対して、PCTに加盟をすることによって審査権限が縮小されたり、あるいは権限放棄されたり、制約条件を加えられるということは、これは国際条約に加盟することにおいての逆に私は問題点が生じているんじゃないのかと。それは各国で慣習を、別にうたってはないが運用の問題として扱われたけれども、日本のように明記したところもないでしょうと言うのだ、私は。ないとすれば、現在優先権として審査官が扱っているとすれば、そのことをむしろ生かしていくということがやはりこの加盟したことに対する目的意識から言って当然そうあらねばならないんじゃないか、その点がぼくはわからないと言うのだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/43
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044・勝谷保
○政府委員(勝谷保君) 先ほどの点補足さしていただきますが、諸外国ではそういうふうに明定をいたしている実態はないわけでございます。わが国の特許法は、三十五年以来四十五年の改正等とも含めまして国会で精緻な特許法の体系をお決めいただきました。したがいまして、このたびの改正をするに当たりましても精緻なその体系に対応して、明文を設けないでよしなに行えというような書き方ができませんものですから、こういうふうに明定をいたしたいということでございまして、ただ長官先ほど申しましたように、必ず見ろという法的義務づけをするのには実態が適していないということでございます。たまたま気がついたときはやる体制にしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/44
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045・城下武文
○政府委員(城下武文君) ただいまの先生の御質問の中で優先権主張の点について御質問ございましたので、その点について御説明申し上げたいと思います。
優先権主張のいま先生の御質問の点でございますけれども、これはパリ同盟条約という条約がございまして、その中でつまり第一国、たとえば例をアメリカ人にとりますと、アメリカ人がアメリカにある出願をいたしまして、その出願に基づいて一年以内に日本に出願したケースを考えてみます。そうした場合にそのアメリカ人が、アメリカの出願に基づきましていわゆる優先権を主張して日本に出願いたしました場合におきまして、たとえば去年の四月十三日にアメリカに出願いたしまして、ことしの四月十三日に日本に出願した場合、この一年間に起きたほかの事実、たとえばほかの第三者がある研究発表したとか、あるいはある特許出願をしたと。そういった事実に基づいて、この発明がそのアメリカ人が日本における権利を取れなくなるようなことはない。日本においても権利を取れるようにしようではないか。そういった趣旨でございます。
したがいまして、優先権の場合にはその比較と申しますのは、つまりアメリカで言った、アメリカで出した、アメリカへ出願した発明というものと、日本へ出願した発明との比較をいたしました場合に、日本への出願が、アメリカの出願のものの中に含まれているかどうかということを単にチェックいたしますと同時に、それと同時にもう一つの問題点は、もし優先権主張をチェックいたしましてもその出願を拒絶するわけでございません。ただ単にその優先権主張を認められずに日本の四月十三日の出願だけしか生きないと。つまりたとえば、ことしの一月一日にある事実が発生があったと仮定いたしますと、その事実に基づいては日本出願が、つまり四月十三日に日本に出したアメリカ人の出願がアウトになってしまうという、こういったことになるという、そういうことを決めたものでございます。したがいまして、そういう点につきましては今度のPCTの翻訳チェックの問題とは本質的に違う点があろうかと考えております。
それから、先ほど先生が年間三万件になっておるじゃないかというこういう御指摘でございますけれども、実はこれ昨年一年間で特許庁におきまして外国出願を扱っておる全部の処理件数が約一万五千件でございます。その中で大体半分が許されております。半分は拒絶になっております。約半分でございます。その中でいま申し上げましたように、約一年の間において発生した事実だけについての問題が問題でございますので、特許庁内のプラクティスにおきましては、その一年間に発生した問題点があった場合だけ調べることにしております。したがいまして、そういう事実からいたしますと、そういった調べた、もちろん私ども何百何十件調べたということにつきましては、総計はとっておりませんけれども、推定といたしましては数百件のオーダーと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/45
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046・対馬孝且
○対馬孝且君 問題のポイントをちょっと——さっきから言っているように、この点をわれわれもわからぬ、わからぬというよりも納得できないというのはどういうことかというと、さっき言ったことですよ。やっぱり審査権限というものは、現行の体制の中でも、審査官がチェックして手直しをして、そして予備的であれをやることができるんじゃないのかと、現実に。それを何で、異議の申し立てをしなければ審査官はチェックもできなければ、手直しもできなければ、あるいは指導もできないと。こういうことを、最初から審査官の権限というものを取ってしまうというやり方は——何のために国際条約に加盟してそんなことをしなけりゃならぬのか、そこがわからないと言うんだよ、ぼくは。その理由がわからないと言うんだ。
この前長官の話聞いたら、いや、審査官の中に語学が七カ国語できる者がいるとかいないとか、レアケースだとか、いろんなことを言うけれども、少なくとも法律というのはどういう条件に置かれようと公平の原則でなければならないんじゃないかと。レアケースであるとかないとかは別として、あることが、こういうことの場合でも、最低保障としてこれは守られるということが法律をつくる目的でしょう。それをあたかも運用の問題でごまかすとか、運用をすれば何とかなるんだとかいうものじゃないんじゃないか。私の言いたいことは、公平の原則ではないんじゃないかと言いたいんだ、そのことについて。
そのことをどうして最初から——語学ができるとかできないとか、これは人間を侮辱したことだよ、おれに言わせれば。国際的に加盟することに対して、語学ができるとかできないなんて、審査官をね、人権冒涜だよ。国際法上、そんなことを言うと、国際条約に加盟すべきじゃない、おれに言わせりゃ、日本国として。そういうことはこれは理屈にならぬでしょう。なぜそういうことの制約条件をつけなきやならないのか、それからなぜそういうことをやらなきやならないのかということが納得できないというんだ、私が言っているのは。公平の原則から言ってそういうことが認められるのかということをぼくは聞いているんだよ、法律の立て方として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/46
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047・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 現在の、現行法におきましては当然出願は日本語でなされておりまして、それを審査する、それに当たって外国文献等につきまして先行文献があるかどうかを調べるという審査をやっておるわけで、これはもちろん国内のものもやっておりますが、外国文献等いろいろチェックをいたしております。
その場合に、いきなり外国文献に入るよりは、いわゆる二次文献サーチ方式と申しまして、日本語に翻訳されましたものを中心に探すことが多いわけでございますが、おおむね世界公知事実につきましては、調べるというたてまえで現在審査しているわけでございます。しかし、これは日本語の出願についてやっているわけでございます。
今回のPCT出願というのは、いわゆる原文と翻訳文という問題が新たに発生したわけでございます。そこで、この場合の措置としまして、考え方としては三つの方法があると思います。法律の問題としましてこれをどう区分けするかという問題でございます。第一は、原文と翻訳文が合致しているかどうかを、法律でこれをチェックする方法が第一でございます。それから第二の方法は、翻訳文を国内における出願としてしまう、つまり原文はその段階において消えてしまうと申しますか、そういうチェックはしなくて、翻訳文をいわゆる正規の出願として本体とかかわりなくしてしまうというやり方があろうと思います。
まず第一の問題でございますが、これは冒頭にも申しましたように、原文と翻訳文をこれをチェックするということは、たとえば一件当たり、外国の明細書というのは相当分厚いものでございまして、これらの明細書を全部読んで原文と翻訳文をチェックするというようなことを、これ法律の義務として審査官に強制するということは、これは非常に大きな問題が出てくると私は判断しております。
なぜならば、これによる事務の渋滞という問題は、一つは国内の従来からもございました滞貨の処理と申しますか、処理期間を短縮してまいりましたのが、逆にそのことによって処理期間が長引くとか、あるいは日本に向けたPCT出願といったものが処理がずっとおくれまして、結果として外国の側から見ますと、日本向け出願をPCTでやりますと処理がおくれるということによりましてPCT加盟の効果が少ない、こういう問題になる。
私どもは、もし仮に全件チェックを法律で義務づけた場合に、現在の審査官をべースに考えまして、恐らく三けた以上の人員が必要であると。しかもこの人員は単なる人数じゃございません。経験の豊かな、しかも技術がよく理解されており、また語学力に通じておる、そういった審査官が必要になってくると思います。これは五年や十年ではなかなか育成できない問題でございまして、そこまでのことをやる必要は私どもはないと判断しておるわけでございます。また、そのことを各国ともやっておる国はどこもございません。こういった全件チェックをやっている国はどこもございません。冒頭申しましたように、こういった原文と翻訳文と不一致が出るというケースはレアケースでございます。そのための措置として、このようなことをやっている国はないというのがまず実態でございます。
第二の問題は、翻訳文を法的に原文と全く照合しないとした場合は、これは条約違反になりまして、できないわけでございます。そこで、私どもがいま御提案申し上げておりますのは、先ほど申しましたように、翻訳文をベースに国内の手続は全部進めるわけでございます。審査の過程で審査官に義務として原文と翻訳文をチェックしなけりゃならないケースというものを決めたのは、異議の申し立てがあった場合に限っているわけでございます。
そこで、その審査の過程において、義務でなくてたまたまわかった場合はどうするかにつきましては、先ほど申しましたようにこれは公報その他にこれを掲載して、関係者の注意を喚起するという措置で十分であるというふうに考えておるわけでございまして、たまたまわかったものによって、国民の権利を拒絶するというような行政処分を行うことになりますと、これはたまたまわかった場合とわからない場合のアンバランスが出てまいります。したがいまして、法律上はこれは画一的な制度として処理することが必要でございますので、全件チェックするかあるいはいわゆる異議申し立てを待って処理するか、いずれかを選択せざるを得ない。この案では異議の申し立てを待ってやるというのが法律上の義務として、その場合は審査官が原文と翻訳文を必ず照合しなければならないということにいたしたわけでございます。審査中は翻訳文でいくということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/47
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048・対馬孝且
○対馬孝且君 あなたは、法律的には運用でそれを扱えばできるんだと。法律の立て方として私聞いているんだよ、法律の立て方として。あなたは現実を言うわけだ。法律と現実の食い違いをあなたは言っているわけだ。現実を肯定しちゃっているんですよ。その現実とは、これから語学のある者をふやさなければならぬとか人がどうだとか、これは後から申し上げるけれども、そういう現実の実態でPCTに加盟するということは、さっきも言ったように、少なくともこれからの低経済成長の中でお互いにやっぱり何とか発明の機会を与えて、保護してやって、できるだけそういう中小企業なり企業というものが、そういうものによって生き延びていかなければならぬというところに加盟した意義があるわけでしょう。そうさしていく、そういうものの機会を大いに与えてやる、そういう目的意識に向かっているとすれば、さっき言ったように、具体的にたとえば私なら私が発明をした、発明がある、特許も取りたいと。これが生かされれば——いまの円高不況の中でたとえば太刀打ちならぬと。これから全世界的に競合していくのに、特許を取れば何とかこの日本の円高の中、雑貨なら雑貨、繊維なら繊維でも生き延びていくことができるんだと、こういうことがあるとすれば、これをむしろそういう機会を保護して、どうしてそのパテントを取って与えるかということがぼくは最優先しなけりゃならぬと思うんだよ。
それをあなたは、現実的に翻訳文と原文との不一致のチェック制について実態的に、そういう人的な問題語学の問題、機能の問題としてそれはできないんだから、初めから法律でそういうことをしばっていくことはだめなんだと。これは間違いじゃないかという。ぼくは法律的にやっぱり正しく、公平の原則に従って、あらゆる機会に公平の原則でもってこれがパテントを、特許権が与えられるということがやっぱり基本に立たなきゃならぬというんですよ。その中でそれじゃ人は、機能をどうするのか、機構をどうふうに整備するのか、人的配置をどうするのか、あるいはこの受け入れ体制をどうするのか。私は後から申し上げますけれども、受け入れ体制もできないでこんなことに加盟するということ自体おかしいよ、ぼくに言わしたら。少なくとも、これは五十年の三月の当時のあなたの前の齋藤特許庁長官は、ぼくもここにおったけれども、ぼくも関連質問をちょっとやってますけれども、あのときちゃんとこういうPCTに加盟する受け入れ体制をとりましょうと言明してますよ、あんたの前の長官は。会議録ちょっと読めよ、本当に。それをいまになってから、加盟することにおいてこれが人的に、あるいは語学的に機構的にこれはできてないんだというのなら加盟やめなさいよ、そういう理屈にはならないぞと言うんだ、ぼくは。
法律の立て方としてやっぱりこういうものは基本的にあるべきだと。しかし、現実の実態はそうじゃないんだとあなたは言うんだよ。実態からそういうふうに持っていくためにどうしたらいいんだという話ならわかるけれども、いや現実はどうしようもないんだから、それじゃ法律的にはわかっても、書いてみたって矛盾なんだから、逆に法律違反を犯すことになるんだと、あなたに言わせればそういうことを言っている。それはちょっとPCTに加盟をするという、国際加盟するという意義、目的、そのこととぼくは反するんじゃないかと思うんですよ。いま私はなぜこういうことを言うかというと、中小企業の連中が言っておるからぼくは言うんだよ。どうもそこらあたりがあなたのその意見を聞いていると、私はどうも納得できないね、この問題について。
だから答えは簡単なんだけれども、これはもう時間が迫ってきているから、ぼくはポイントをしぼりたいのだけれども、やっぱり本法の百八十四条十四というものが異議の申し立てということがあそこにある限り、どんなことを言おうとチェックした審査官が手直しをしたり、あるいはそういうものに対して何とか保護してやろうじゃないかということが、結果的には目的が貫かれないのじゃないか。そういうパテントを取る方々に対しては、逆に私は、これはそういう機会を失っていると、そういう保護がなされないのじゃないかということを私は言っているのだから、その意味で答えは簡単なんで、ただし書きを削除すればいいじゃないか、私はこういう修正案を出しているわけでしょう。わが党はただし書きを削除すればいいんだと。
それにはさっきから何回も言うように二つある。それは審査権限をやっぱりきちっと、権利放棄をさせるべきじゃないんだと。法律の立て方から言ってもあのただし書きをつけることは逆に制約条件を加えられる。逆にまたパテントの機会が失われる、こういう観点から私はこれを主張しているわけですよ。その点ひとつもう一回はっきり答弁してもらいたいということと、それからもう一つ聞きますけれども、仮に異議の申し立てがない、その前に審査官が翻訳のミスを発見したと。さてどうすることもできないとすれば、これは明らかにあれでしょう。無効な事項について外人については不当な権利を与えることになるんじゃないですか。間違っておったとしても、外人に対しては出したものは通るのだから不当な権利を外人には与えられる。しかし、不当な権利が与えられて、特許権の両立という問題は一体どうなるんだと、私が聞きたいことは。特許権の両立というのは二つの権利を発生したという事態を招くようなことが起こっては、わが国の特許庁は国際的な権威を失墜するばかりじゃなくて、私は多国籍企業からなめられるという結果になると思うんだよ。そういう懸念が出てくるわけだ、これははっきり申し上げて。そういうことを含めて一体どうなんだと、具体的に聞きますよ、それじゃどうするんですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/48
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049・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 私が先ほど申し上げましたのは、法的に全面チェックをすることができないから、あるいはつまりそういった体制にないから、今回政府提案にしておりますようなやり方をとったというふうに御理解されたようでございますが、そういった趣旨ではございませんので、ちょっとその点補足さしていただきたいと思います。
もともと条約上は、先ほど申しましたように、翻訳文と原文というものは本来一致しておるという前提でつくられておるものでございまして、条約の四十六条におきまして、特許になった後でそれが問題になった場合の無効の規定等が書かれてあるだけでございます。その条約四十六条の註解というのがございまして、その註解によりますと、翻訳文だけで審査をすることができると、こういう条約の了解になっておるわけでございます。もちろん、しなければならないというふうには書いてございません。もともとこういったケースはめったに起きない。また、起きるはずがないという前提でつくられているものでございます。したがいまして、私ども工業所有権審議会等におきましても、いまの部分につきまして、先生御指摘のように、いわゆる瑕疵ある翻訳文が出てきて第三者に迷惑を与えるケース等につきましては、審議会等で何らこれが問題にされていないわけでございまして、実務上から見ますと、そういった瑕疵ある出願をするということは、その出願者本人が大変不利をこうむるわけでございます。瑕疵ある部分によって全体が取り消されるという危険性を常にはらんでいるわけでございまして、そういう意味で非常にレアケースだというふうに考えているわけでございます。
そのために法律上全件をチェックしなければならないとするとり方は、私どもはこれは法律上妥当ではない、また、現実的でもないということで取り上げていないわけでございまして、私どもの考えとしましては、審査官に対しまして適宜自分が気がついたときに拒絶の処分をする、行政処分をするということになりますと、たとえばある担当官は英語に非常に詳しい、ある担当官はドイツ語に詳しいというようなことかもしれませんが、この審査官によって審査の内容に差が出てまいります。そういったことを制度として認めるわけにはまいらないわけでございます。そこで、制度として必ず見なきゃならないケースというものを法律できちんと定めたわけでございまして、それが公告後の異議の申し立てがあった場合にはきちんと照合して、それによって拒絶処分をするなり処分決定をすると、こういうことを法律で定めておるわけでございます。
これが先生御指摘のように、異議の申し立てを待って初めて拒絶するという部分を削除するようにというのが先生の御趣旨のように承りましたが、もしそうなりますと、法律上は全件をチェックしなければならないことになるわけでございまして、これはもともと原文に返って、原文を中心とした審査にならざるを得ないわけでございますが、では諸外国がどうやっているかと申しますと、そういった原文と翻訳文を照合しておる、常に照合するということで法律上明定している国は、先ほども御説明しましたようにございません。私どもも判断としましては、そういうことはする必要がないというふうに考えておるわけでございまして、これが第一点でございます。
それから第二点は、先生御指摘のように、異議の申し立てがなかった場合には、それがそのまま特許になるでしょうと、他方にいわゆる瑕疵ある部分と申しますか、第三者が同じような権利を持っている場合が発生するのではないだろうか、つまり、ダブルパテントの可能性があるのではないか、こういう御指摘だろうと思います。それは確かに理論的にはないとは言えないと思います。しかしながら、瑕疵ある特許を持っておる人がこの権利を行使しようと思えば、直ちにこれは異議の申し立てあるいは無効審判の請求で消されてしまうわけでございます。これを行使しようと思った場合には必ず対抗措置をとられるわけでございます。同時に、それによって損害が発生した相手方は、無過失賠償責任を要求するでございましょう。それは受けなければなりません。また、将来にわたって常に無効審判の請求を受けるそういった危険な状態に置かれているわけでございまして、こういったものは実際には使えないことになるであろうというふうに思うわけでございます。したがって、実害はないというのが私どもの考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/49
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050・対馬孝且
○対馬孝且君 どうもやっぱりぼくはいまの説明聞いても納得できないけれども、これははっきり申し上げて。これは特許庁のアンケートをちょっと私読ましてもらったんですが、改正法の百八十四条の十四で原文と翻訳文との不一致に関し異議申し立てがあった場合に限るということについてどう思いますか、というアンケートとってますね。これを見ますと、この条文に反対するというのが三六・七%あるんですよ。それから、実務上やむを得ない面もあるが、法定化は望ましくないと答えたのがたしか四十六、七%あるんだ、八二%以上あるんです、これ。なぜ、こういう特許庁の実際実務に携わっている方のアンケートの答えが出るかということは、長官、大事なことはそこなんだよ、私の言った。そういう問題は、審査官の権限、それからチェック制、それは公平の原則に反するというんだ、ぼくの言いたいのは。それが逆に、さっきから何回も言うようだけども、あなたは諸外国にそういうこと義務づけがないと言うけど、日本のようにただし書きつけているところ、どこにありますか、反論しますけれども。日本のように異議の申し立て以外にないという、国際的に義務づけたところ、どこがありますか、あなたさっきないって言ったでしょう。
そういうことからいけば、私は次のことを言いたいんだが、結果的には多国籍企業の連中が、それじゃ全く外国人のパテントゆえに保護されて、日本のものが逆に保護されないと、こういう結果になるんじゃないですか、どうですか。具体的に言いますよ、それじゃ。巨大な多国籍企業を持つ各国の法制をよく研究してみましたけれども、恐らく彼ら多国籍企業というのは、こういうことば十分に検討していますから、どっかに抜け道がないかということを彼ら多国籍企業というのは、ロッキード事件が起きるぐらいだから、ありとあらゆることをやってますよ。その前にはっきり言って抜け道の穴というのが、いま私が言ったようにあるんじゃないですか。現に日本の国内法でつくっちゃうということになりませんか、先ほど言ったように。結果的に、チェックもできなければ、出てきたものをそのまま認めていくという審査制度になっておったら、外国人の多国籍企業の分だけはどんどんこれは認めていく、こっちから出るものは逆に厳しくやられると、こういうことになったんじゃ、これは私は全くこの法律を立てたことにおいて逆に多国籍企業を十分保護して、それで国内企業を逆に圧迫する、国内中小企業を圧迫するという結果になるんじゃないですか、どんなうまいこと言ったって。私は、そこの点から言ってもこれは問題があるんじゃないか。逆に、多国籍企業に悪用される機会をこの法律によってつくっている、国内法によってつくっている、私はこういう点、指摘したいね、はっきり申し上げて。
それからもう一つ申し上げます。もう一つの問題は、ここが大事なんだけれども、異議の申し立てを待って、かつ翻訳のチェックを行う制度が残されている、百八十四条の十四の括弧書きでありますが。異議の申し立ての趣旨が、本来審査官の事前チェックがあり、チェック漏れをしたものについて異議の申し立てによって補完をしていくというのが、これが常識だね、法律から言って。ところが、逆にこれは今回の法案の立て方からいけば、そういう異議の申し立てをすると。でなければそういうことが認められないということになれば、これは逆立ちしている。というふうに私が言いたいのは、中小企業あたりがもし異議の申し立てをしたいと。調査能力ありますか、これは資力がありますか、はっきり申し上げて。こういう状態が、異議の申し立てということは、逆にこれをうたったことによって、中小企業のそういうあれを全部オミットしてしまうと。逆に言うならば、全部除外してしまう。こういう結果になってしまっているんじゃないかということを一番やっぱりわれわれは心配するわけだ。現実またそうなるんだ、聞いてみたら。そこらあたりにやっぱり今日の問題がある。こういう点を含めて、どういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/50
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051・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 先生がしばしば御引用になります、多国籍企業がこれを利用するんではないかというお話でございますが、冒頭申し上げておりますように、現在外国人が日本向けの出願をいたします際は、たとえばドイツ語で、まあ本国で権利を持ってる、これを日本側に出願する場合に、まずそれを、ドイツ文を日本文に直しまして、で、日本語になりますが、それをさらに今度は別の人にドイツ文に直していただいて、もとのドイツ文と合ってるかどうかをチェックすると、こういうやり方をとっておるのが通例でございます。これはなぜそれほど厳密にやっておるかと申しますと、日本に出願して権利を取りたいと、それが大事なものであればあるほど、そこに瑕疵ある部分があった場合には本体まで全部無効にされるおそれがあるからでございます。私は、今回のようなケース、まあ不一致のケースというのは、重要な案件であればあるほど、厳密に不一致がないように出願者の方でチェックをして出願するというのが、まず前提として考えておいていいんではないかと思っておるわけでございます。
で、もし仮に、そういった瑕疵ある部分がそのまま特許されました場合に、それは行使しようと思えば直ちに先ほど申しましたように異議の申し立てあるいは無効審判で取り消されるという対抗措置がとられるわけでございますから、それは実際上は使えないことになるであろうというのが第一のお話でございます。
第二の、異議の申し立ての際に中小企業の方が費用の点で困るではないかという問題でございますが、異議の申し立ては、今回のケースは翻訳文と原文が合っているかどうかと、ある部分につき間違っておる点があるということでございます。これは、発見の中身についての議論よりは、原文と翻訳文のチェックでございますので、チェックそれ自身は比較的その部分につきましてはたやすくできる問題だと思います。したがいまして、私ども、発明協会等で紛争処理もいろいろやっておるわけでございますが、紛争処理機関が活動をやっておりますが、その実例等をもとに、発明協会とも今後の中小企業の方々に対してどういう措置ができるかということを相談しておるわけでございますが、翻訳問題についての相談は十分対処でき、費用も少ない、おおむね五万円以下の状態で相談に応ずるということができるであろうというふうに考えております。この異議の申し立てがございました場合は、これは審査官が内容についてチェックをいたしまして、これは法律的に義務としてチェックをして査定をするわけでございますので、後はその手続に従って処理されることになるわけでございますが、異議申し立てそれ自身は比較的手軽に処理できるというのが私どもの判断でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/51
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052・対馬孝且
○対馬孝且君 それじゃ聞きますけどね、どうなんですか、審査官の手でまあチェックした方が公正にやれる、あるいは、このチェックがふえたほどよいと思うんですけれども、こういう見解についてはあなた方はどう考えるか、審査官が非常にチェックする機会が多いと、そういうことがかえって非常に公正に扱われる、また、このチェックがフィルター的に多いほどよいという、こういうふうにわれわれ考えるんだけれど、この点あなた方はどういうふうに考えるのか、政府として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/52
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053・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 審査官が気がついたときにチェックをするというやり方を私どもは法律の制度としては取り入れないということを先ほど来申し上げておるわけでございます。それで、異議の申し立ての場合に限るというこの規定を削除した場合には、冒頭申しますように、全件について審査官がチェックをするということに法律上なるわけでございますが、この、だれがやった場合により公正かということにつきましては、これは審査官が一律にやるというような場合はそれはそれなりの公平さは担保できると思いますけれども、この全件チェックにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、法律の制度として取り上げることは私どもはできないというのが現在の判断でございます。なぜかと申しますと、現状ではそこまでのことをやる必要はないというのが私どもの判断だからでございます。で、たまたま審査官が気がついたときはどうするかは、これは法律の問題ではなくて、運用の問題であるというふうに考えておるわけでございまして、運用上それに対して情報提供等によりまして、このたまたま知り得たことにつきましては活用してまいりたいというのが私どもの考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/53
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054・対馬孝且
○対馬孝且君 あなたはこの間、衆議院のわが党の中村先生の質問にお答えられましてね、いまあなたが運用の問題だとおっしゃるから言うんだけれども、運用運用と、こう言うんだけどね、私が聞いてるのは、より審査官がチェックすることは公正の機会が保たれるんじゃないかと。すぐあなたは全部と、こう言うんだよ。全部であるとかないとかより、とにかく公正さを期すということは、審査官のチェックの機会が多かったらいいんじゃないですか、これ。どうしてだめなんですか、これが。あなたは運用と言うけれども、運用で逃げているんだよ。だから、運用をさせるというのであればなぜきちっとこれ法律にうたうことができないのかと、そこがポイントなんだよ、私の言う。あなたは運用、運用と言う。運用というのは、しょせんあなた行政的指導の限界というのはあるじゃないですか、そんなことを言ったって。だから私は、公正さを期す必要があるんだと、この問題については。公正さを期すために運用ではだめなんだと、やっぱり運用の問題でなくて法律的にこれをきちっと改正する必要がある、法律にうたう必要があると私は言っているんだよ。あなたは運用だ運用だと言うんだ。運用というのはしょせん限界があるんじゃないですかというんだ、私が言いたいのは。あなたは運用でやるって言ったわけでしょう、公正さを期するために運用でやりたいと、こう言っているんだ。それをなぜきちっと法律的にうたうことができないのかということがポイントなんだよ。これどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/54
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055・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 先ほど来たびたび申しておりますが、気がついたときに審査官が措置をするということは、私どもがむしろ制度として見た場合には、別のいわゆる恣意性と申しますか、恣意に流れると申しますか、どういう事情によるかわかりませんが、たまたま気がついたものについてだけは、この原文、翻訳の不一致を理由として拒絶査定をすると、こういう行政処分を行うという点が、そうでないものとの比較において公平さを欠く、審査が恣意に流れると、こういうことでとり得ないということを申し上げているわけでございまして、私が運用上できると申し上げておりますのは、これは行政処分じゃございません。それは異議の申し立てあるいは無効審判を請求して、その権利を取り消すための情報提供でございます。運用でできることはその限度においてしかできません。現在におきましても、公報をごらんになりますと、その公報に掲載しました案件の査定の経過が書かれております。この案件にはかくかくの先行文献を調べましたということが公報に掲載されております。それと同じように国民に対するサービスとして、不一致の部分がございますよということをそこに掲載をするということでこれを措置したいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/55
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056・対馬孝且
○対馬孝且君 この問題ずいぶんやりましたけれども、あなたの考え方は、私は少なくともPCT条約に加盟をすることにおける審査官の権利だけを言っているんじゃなくて、私はむしろ先ほど来言っているように、日本の今日の経済情勢の中で加盟をすることに意義があると思うならば、どうしたら発明の機会を与えて、そしてこれが国際的に認められて、そして企業が生き延びていくという、そういうわれわれの日本国民としてのつまり保護、優先的に扱われるというところに加盟する意義があるとあなた方は言うわけだよ。言うならば、やっぱり実態がなるようなことを法律改正しなければ意義ないじゃないかと、この点を私は基本に言っているわけですよ。それにしてはどうも審査官の権能というものを最初から放棄をさして、そして事前のチェックというものをさっぱり異議の申し立て以外は認められないと、こういう制約をすることにおいてそういう目的意識と違った結果に——法律改正になっているんじゃないのかという点についてずいぶんやりましたけれども、あなたは先ほど来そういうことを言っているでしょう。私はもういまだに長官の答弁を聞いて、これは納得できない、率直に申し上げて。これは私としては率直に申し上げるが、わが党としても何回も申し上げるようですが、このただし書きをこの際削除すべきであると、こういう見解を私はこの機会に明らかにしておきたいと、こういうふうに申し上げます。
そこで、あなたはこの受け入れ体制のことで先ほど言っていることがどうも納得できないから私は申し上げますが、先ほども申し上げたんだが、特許庁のPCT受け入れ体制のときに、五十年の当時の齋藤長官が国会のここでも答弁しているんですよ。これに加盟するために準備態勢が必要だと、そのための受け入れ体制をちゃんとつくりますと、こう言っているんだよ。これはわが党の竹田議員の質問に答えていますよ。これはどうなんですか、受け入れ体制は、いまの聞くと、加盟するということを選考していながら、内部の特許庁の体制はさっぱりできていない。あなたがどんなうまいこと言ったって現実はそうなってないというんだから。現実は七カ国語も語学できる者もいないし、その職員の配置をするために、あなたの答弁聞くと、十年もかかると、こう言っているわけだよ。それじゃこの条約に加盟する目的意識というのは、いまの段階で加盟していくというのはおかしいじゃないかという意見が出るのは当然じゃないですか。だから、この点どうなっているのですか。当時の長官はあなたにかわったからといって、いま私じゃないって逃げたって、そんなもの理屈でないよ、これは国会で附帯決議になってるんだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/56
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057・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) PCT加盟は私どもの悲願でございまして、今日まで種々準備を進めてきたところでございます。五十年に庁内的にPCT委員会を設置いたしまして、法律の問題あるいは実務上の問題、条約上の問題をこのPCT委員会におきまして約九十回ほど議論をいたしております。その結果はそれぞれ審査官にも流し、いろいろの意見を聞き、今日までまいっておるわけでございます。そういう過程で別途工業所有権審議会で御審議賜って、今日の法案の基礎となります答申も出していただいたわけでございます。
実務面におきましては、五十三年度におきまして特許協力条約室の設置が新設を認められております。で、海外から参ります出願につきまして、それからまた日本から外国に出るものにつきましては、このPCTの特別に設けました室におきまして処理する、いまその要員の訓練その他いろいろな実務上のシミュレーションテストを行っております。十月までの期間に十分業務の開始ができるように私どもとしては自信を持っていま準備を進めているわけでございます。各審査部等におきましては、このPCT加盟に備えましてそれぞれ準備を進めているわけでございまして、私は、先ほど来申し上げておりますように、いま政府原案で御審議を賜っておりますこの仕組みによりまして、PCT加盟は十分受け入れ体制は完了しているというふうに申し上げていいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/57
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058・対馬孝且
○対馬孝且君 それじゃ、具体的に聞きますけれども、次の四点について具体的にお答え願います。
あなたはPCT加盟の体制は整っている、完了していると、こうおっしゃるのだけれども、それだけの体制完了が整っているのに対して、どうしてさっきのことができないかという、私はいまだに非常に矛盾を感じておるのだけれども、あなたはいみじくも私に対して言ったことは、いや、どんなことを言ったって、これいまここ数年ではとても体制はとれません。やっぱり国際的な条約加盟の体制をとって世界七カ国に対応する審査機能というものを充実するためには、やっぱり相当の年数かかりますと、それから人員も補完しなければなりません、ただ人をふやすだけではないとあなたは言っているわけだ。それ相当なやっぱり機能あるいは体制がとれるような人的配置をしなければなりませんと、こうあなたも言ってるんだよ。体制が整っているならやればいいじゃないですか。体制整ってないからいま問題になってるんじゃないですか、結果的には。そういう点からいくと、この前の附帯決議——五十年三月の附帯決議を見ますと、このときもこれ議論されているんですが、たとえばPCT受け入れのための審査官、審判官、それから事務系職員の増員、こういった問題は具体的にどうなってるんですか、これが第一点。
第二点目は、このPCT受け入れに対応する特許庁の機構の新設、改組、こういった問題を含めて検討するということになってるんですけれども、これが一体どうなっているのか。
三点目、それからPCTに必要な特許の文献、図書等の資料整備、こういった面は一体どういうふうになっておるのか、これが三点目。
それから四点目、審査官、審判官の待遇改善、研究の強化というような問題で、これはもちろん附帯決議になっておりますが、こういった問題の具体的な待遇改善等を含めてどういうふうになっているのか、この四点についてひとつ具体的にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/58
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059・城下武文
○政府委員(城下武文君) それでは、いまの御質問に対しましてまず第三点の文献問題から先にお答え申し上げたいと思います。
いまの先生が御質問の御趣旨は、PCTに日本が加盟いたしまして、当然私どもといたしましては国際調査機関になることを予定しておりますが、その場合に国際調査ができるだけの文献を、文献整備と申しますか、そういう体制を日本がもう整えておるかどうかという、こういう御質問かと思います。実は、そのような文献につきましては、今後のPCT条約の中で三四・一という規則がございますが、その中で、どういうような文献をそろえろということが書いてございます。その規則はどういうことかと申しますと、世界の主な国々の特許文献を大分前にさかのぼりまして、約五十年前でございますけれども、一九二〇年でございます。いまから申しますと五十七、八年前でございますが、前々にさかのぼって全部そろえなさい、それを見ながら審査しなさいと、こういうことになっております。そういったような文献が日本にそろえられるかどうか、そろっているかどうかという、こういう御質問かと思います。
で、まず結論から先に申し上げますと、そういった国際調査を行う際に見る文献はいま申し上げたような文献でございますが、そういったような文献の整備は、すでに実質的には完了しております。それでなお、内容について詳しくちょっと御説明申し上げたいと思いますが、そういった文献の中には、当然のことでございますけれども日本の文献も入っております。日本のそういった、たとえば日本特許庁から発行されております日本特許公報であるとかその他の日本の文献でございますが、これはすでに日本の特許庁の審査官のファイルに現在全部組み入れられております。
それから問題は、外国の特許文献でございます。外国の特許文献は、これはすでに資料館におきましていわゆる原本と申しますかもとの文献、要するに外国の特許庁で発行されますもとの文献、これを原本と呼んでおります。もとの文献は外国の資料館においてすでに整備されておりますが、その中で一番利用頻度の高いものは、一番よく私ども特許庁内で使いますが、アメリカの明細書を一番使うわけでございますけれども、アメリカの明細書につきましては、特に、一九六二年でございますのでいまから十五年くらい前でございますが、そのものにつきましてはすでにこれは審査部の方の資料室一の方に整備してございます。したがって、すぐにも見れるようになっております。
それから問題は、そういったような外国の特許文献でございますとやはり非常に見づらいものでございますから、何とか見やすいような工夫をしようじゃないかということで、過去二回にわたりまして、四カ年計画ということで二次文献というものを整備いたしております。これも現在ほとんど完了しておりまして、現時点におきまして、いわゆる文献につきましてはその調査が十分できる状態になっております。
以上が文献に対する現在の整備状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/59
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060・勝谷保
○政府委員(勝谷保君) PCT加盟に対応いたします機構、定員、人材養成等についてお答えを申し上げますが、機構の整備につきましては、PCT加盟を含めまして国際化に対応いたしますために、四十八年度に実は国際問題担当調査官を設置いたしまして、この種の業務を担当させることにいたしました。そして翌年の四十九年度には、総務課に制度改正審議室を設置いたしまして、PCT等の国際条約批准に伴う国内法の改正につきまして調査、審議及び立案を担当させました。さらに五十年度にはPCT・TRT担当調査官を新たに設けまして、PCT加盟に伴い必要となります事務処理、審査及び資料管理の各体制の整備について検討をいたさしております。さらに五十二年度におきましては、出願第一課にPCT事務処理準備班を設置いたしまして、PCTの受理官庁業務を処理いたしますシステムにつきまして準備を進めさしております。そして五十三年度の予算におきましては、国際出願の処理業務を円滑に行いますために、特許協力条約室を十月一日から開設することにいたしております。
次に増員でございますが、諸外国に比べてその水準が低いことは御指摘のとおりでございますが、逐次国際的な水準に近づけますために、職員の増員は通産省の中でも最も精力的にふやしているものでございます。四十七年度から五十二年度までの間に特・実の審査官が百二十七名、事務系が百二十名ふえております。五十三年度予算でも特許庁全体で五十一名の増員を見ているところでございます。
なお、このような国際化に対応いたしましての海外派遣職員の増加を図っておりまして、中央機構でございますWIPOにも二名、ジェトロにおきましても二名、さらにPCTに加盟いたしますならば五十三年度におきましては念願でございましたジュネーブの特許アタッシェも日の目を見ることができますし、さらにWIPOにも新たに長期派遣が可能になるような予定でございます。さらに、全体として国際対応性を確保しますために、庁内の職員に対しての人材養成を図りますために、内部の研修、さらには外部の委託研修を実施いたしまして、語学等の充実に努めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/60
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061・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) いま申し上げましたように、私どもとして最大の努力を払ってきたつもりでございますが、もとより体制の整備に万全を期すためにさらに引き続き努力をいたしたいと考えております。
ただ、一言先ほど私が申し上げましたことにつきまして申し上げたいのは、先生が先ほど来御指摘になっております全件チェックを前提として体制をつくるということは私どもは考えていないわけでございます。その必要がないと考えているからでございます。私どもは国際的にも認められております現在のシステムの上に立って、受け入れ体制の準備を図っておるわけでございまして、その準備状況はただいま申し上げたとおりでございますが、今後引き続きなお努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/61
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062・対馬孝且
○対馬孝且君 時間が参りましたのであれですが、まだたくさんあるけれども、いまあなたから答弁ありましたけれども、たとえば庁舎の面積だって、これは私資料持っておりますけれども、話にならないでしょう。審判官一人当たりの執務スペースはどんなふうになっているんですか、端的に言って。国際的にどうなっているか。日本が一番低いでしょう、話にならぬでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/62
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063・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 庁舎のスペースは、日本の場合が二万八千平米でございますが、アメリカは六万二千平米、西ドイツは三万七千平米でございます。各国に比べまして庁舎スペースが非常に低いことは私も遺憾に存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/63
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064・対馬孝且
○対馬孝且君 時間がないから、いま具体的に挙げようと思ったんだけれども、人的問題だってこれ話になりませんよ。ただ言葉ではあなたはずいぶん体制ができていますとかなんとか言っているが、いま庁舎一つ挙げたってこれだけのスペースの違いがあるんだよ。何にもできないんだよ。言葉で全部できたできたと言うけれども、何ができているんだ。この前も五十年にこの本商工委員会の一行で特許庁を見に行ったことがある、私も行ったけれども。その後何らあなた変わってないですよ。この間も私、一週間ばかり前に行ってきた。こういう問題だってたくさんあるんだよ。言葉では体制整備と、いま条約加盟のときだからそんなことを言っているけれども、端的に庁舎の問題一つ挙げたってこれだけの、国際的に一番低いんだ。人的問題もしかり、機能的な配置もあなた全部そうですよ。こういう中でやっぱり加盟はした限り、言葉だけの問題じゃなくて、本当に加盟をすることにおいてのメリット、それから体制、そうしてさっきから何回も言うように多国籍企業は優先をされて国内中小企業はそれが保護されないいその機会が与えられない、あるいは審査官の権能というものは全く法律的に放置される、こういうやり方についてはもう一回やっぱり見直して基本的に考えてみると。あなたは運用だ運用だと言うんだけれども、運用だけではこれは現実に救われないよ、はっきり申し上げて。そういう点でわれわれは修正すべきだと、こう言っているわけですよ。
いま一度この問題について、大臣にひとつ二点ほどお伺いします。
こういった体制整備について、これからも加盟をする限り担当の通産大臣としてどういう体制をとるかということが第一点。
第二点、先ほどから私申し上げました、少なくともそういった目的に向かってやるとするならば、審査官の権能は全部当然チェックその他を含めて与えられるべきであると。また、そうしなければこのパテントの保護が認められない、こういうことになるのであって、ああいうただし書き問題を含めて、ぼくは本当に運用の問題だけでなくて、これからの問題としても法律的にやっぱり検討を加えていく必要があるんではないかと、こう考えますがいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/64
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065・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 条約加盟問題それから条約加盟に伴う国内法の整備、これは過去数年間の特許行政の最大の課題でございまして、そのために先ほど来質疑応答がございましたような幾つかの準備を進めてまいりましたが、御指摘のようにこれで完璧かといいますと、まだまだしなければならぬ点が幾つか残っておると思います。特に庁舎の問題は、これは事務処理をスピーディにするために、ぜひ新しいものをつくる必要があろうと思っております。入れ物だけつくりましても能率は上がるというわけじゃありませんが、その第一条件だと心得まして、明後年中にはりっぱなものをつくり上げたい、そして能率的な運営をしていきたいと、このように準備をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/65
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066・馬場富
○馬場富君 最初に、長官は条約の関係で近日その関係会議に出席されると、こういうことを聞いておりますが、その日程と目的を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/66
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067・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 先ほども申し上げましたが、四月十日から十四日までジュネーブにおきまして、第一回PCT同盟総会が開かれておるわけでございます。私は国会の御審議を賜っておる現状でございますので、国会の状況がもし許すならば、この会議に出席をいたしたいと考えておるものでございます。
この会議の議題は、第一は日本にとって必要なものとしましては、日本特許庁を国際調査機関あるいは国際予備審査機関として選定をすることをこの総会で認めていただきたいと考えておるものでございます。これが、第一の問題。
第二の問題は、国際会議の議題としましては、いつから業務を開始するかということでございますが、恐らくこの六月一日から業務を開始することにこの総会で決定されるであろうと思います。日本としましては先ほど来申しておりますように、十月一日から受け付けを開始したい。四ヵ月のギャップはございますが、今年中に確実に実行でき得る体制になったということを私はその会議で、もし許すならば説明をしたいというふうに考えておるわけでございます。これが特許協力条約を過去十年間にわたって各国間で協調のもとでつくってまいりました日本の国際的な責務であるというふうに考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/67
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068・馬場富
○馬場富君 いま長官の説明によりますと、今回の国際会議の出席の場合に、やはり条約の日本での推進状況を説明したいと、こういう内容があると思うわけでございますが、これは大事な一つの目的であると、こう思うわけでございます。それが、特許庁においてPCTの加盟についてはいつごろから考えられたかということです。そういう点について非常に、これは先ほど来質問の中でもありますように、大きい意味を持った条約加盟であると、こういうようにわれわれは考えておるわけです。そういう点で、この法案の提出やこういうものがなぜ間際にこういうようなおくれた状況になって提案されたかと、こういう点にひとつ大きい私は疑問を持つわけです。この点をしかと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/68
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069・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) この数年来、このPCT条約がいつ発効するかということにつきまして、国際的な合意はもとよりなかったわけではございますが、当特許庁といたしましては五十三年中に発効するものと予想いたしまして、今日まで準備を進めてまいったわけでございます。一年前のいまごろは、まだ特許大国中この条約に入っておりますのはわずか西ドイツとアメリカ、二カ国でございました。その後、フランス、イギリス、スイス、ソ連という特許大国が続々加盟をしたわけでございますが、なぜこのように急テンポに手続が進んできたかということにつきまして私なりの解釈が、昨年のWIPO——これは国連の世界知的所有権機構と申しますが、これの所有権に関します専門委員会におきます実質上の年次総会がございまして、そこで各国の取り組み方につきましての前向きの姿勢がそれぞれうかがえたということによりまして、準備が急がれたということが一つあろうと思います。
それからもう一つは、やはりヨーロッパ特許条約が昨年の十月に発効いたしました。ヨーロッパ特許条約の発効も本年の六月一日、つまり先ほど申しましたようにこのPCTの業務開始の時期と同じ日にこれを活動するということが予定されました。こういった国際的な動きの中でこのPCTの発効期日が急がれたものと考えております。当初見込みからしますと、数ヵ月短縮された感じではございますが、私どもは過去数年間、この本国会で御審議賜って加盟をするということを目標にしてまいったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/69
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070・馬場富
○馬場富君 長官の説明もわかりますけれども、いままでやはり日本の国会の審議の中で、先ほどの質問の中にも出ていましたけれども、PCTについてのやはり論議がかなりなされておりますし、政府側もこれに対する積極的な加盟ということを表明しておるわけです。そういう点についていろいろな客観情勢はあったにしても、私はいまの国際会議の状況からいって、やはりこの点についてはおくれをとっておるというように私は非常に大きい疑問を持つわけです。この点だけどうですか、しっかりしてもらいたいと思うのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/70
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071・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 私もPCT同盟に基づきます業務開始が本年六月一日にかかわらず日本がこの十月一日、ギャップが出ておることにつきましては大変遺憾に存じておるわけでございまして、できることならば各国と歩調をそろえて実施をいたしたいと、かように考えておるものでございまして、この点、今後そういうことのないように十分配慮してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/71
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072・馬場富
○馬場富君 特にその点は、今回のこの委員会の審議に当たりましても非常に、もっともっと結局重要法案だけに審議期間をかけたいという意見が委員の中にもたくさんあったわけでございます。そういう点で、私は特にその点のやはり政府の手の打ち方の遅かったことについて、私は非常に責任を強く要望しておきます。
じゃ、次の質問に移ります。
このPCTとパリ条約とのひとつ関係性を説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/72
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073・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 従来はパリ同盟条約に基づきますルートで外国出願がなされたわけでございますが、このPCT条約に加盟いたしましても、出願者にとりましてどちらを選ぶかは出願者の自由な選択に任されておるわけでございます。他方を排除するものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/73
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074・馬場富
○馬場富君 それでは次に、このPCTが現在のこのような形にまとまった発端と経過について、説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/74
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075・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) このPCT同盟条約の発端は、一九六六年にアメリカが国際会議の場で提案をいたしまして、各国の特許庁が同じ案件につきまして重複してそれぞれ審査をしておるということのむだを何とか排除できないかと、こういう提案がなされまして、その後、先ほど申しましたWIPOにおきまして国際会議が持たれまして、この一九七〇年に国際会議の場で三十五カ国によって採択された、署名されたわけでございます。その間各国の間においてしばしば会議がございましたわけですが、今日までの約八年間の間それぞれの国はこの加盟に向けて、国内法の改正あるいはその他の準備を重ねてきたわけでございまして、日本もこれに向けて努力をいたしたわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/75
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076・馬場富
○馬場富君 この点につきまして特に強くみんなから言われておるのは、西欧諸国が対アメリカの作戦のそういう問題等があるために、この発端が非常に大きいんじゃないかと、こういう点があるわけですけれども、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/76
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077・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) そのような機運が当時あったことは確かだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/77
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078・馬場富
○馬場富君 じゃ次に、昨年EPCですね、ヨーロッパ特許条約の問題が結ばれましたが、これとPCTとの関係を説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/78
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079・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) このPCT条約加盟の国民等が出願をいたします際に、PCTルートで、さらにEPCを指定国にすると、こういうことが可能でございます。またもちろんこのPCTのルートを使わないで、直接EPCルートに出すということも可能でございまして、先ほど来御指摘の、従来までのパリルートと三本のルートがここでできるわけでございます。それぞれ出願したいと考えるそれぞれの相手国によりまして、そこは出願者が判断をするということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/79
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080・馬場富
○馬場富君 この条約の前文の中に、開発途上国の発明保護を促進し、開発途上国に技術情報提供を容易にすることが一つの目的であると、こういうふうに言われておるわけでございますが、これは具体的に条文にはどのように入れてますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/80
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081・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) いま先生御指摘のように、この条約は手続の統一化というほかに、発展途上国に対する協力という趣旨が盛り込まれておりまして、一つはこの制度の新しい制度としましての国際予備審査制度、これは条文でいきますと、条約三十一条——第二章でございますが、この予備審査制度はそもそも発展途上国におきます審査官の不足、あるいは質の問題等々ございまして、いろいろ出願審査が公正に行われがたい点もあるという声もございますので、発展途上国の審査官がこれを利用し得るような形でこの予備審査レポートというのを活用してもらいたいと、こういう考え方で創設されたものでございます。
で、国際予備審査レポートというのは、その出願が新規性があるかあるいは進歩性があるか、あるいは産業上の利用可能性があるかといったことについての判断をそこに記載することになっておりまして、その判断を見て発展途上国の特許庁はそれを参考として処理をする、こういう意味で一つの発展途上国に対する効果を持っておると考えております。それからもう一つは、第四章に「技術的業務の提供」という章がございます。ここで書いておりますように、国際事務局が技術情報等を発展途上国に提供し、協力をすると、こういう考え方でできてるものでございまして、具体的には、いずれ計画は技術協力委員会等で、この同盟条約の中での技術協力委員会で具体的な計画が設定されるものと思いますけれども、中身はたとえば発展途上国に対します審査官の派遣あるいは特許情報の提供あるいは発展途上国におきます特許法制に対する協力と申しますか、立案協力といったようなことがその中身になろうかと考えております。また、発展途上国におきます審査官の研修を先進国の方でそれを受け入れるというようなこともその中身になろうかと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/81
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082・馬場富
○馬場富君 本条約と在来からのルートとの相違の主要点をちょっと説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/82
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083・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) まずは国際出願という新しい制度ができることによりまして、一つの出願で複数の国に対しまして出願ができる、かつそれが日本語で行えるという点が従来と非常に違っている点でございまして、従来はたとえば三ヵ国出願しようと思えばそれぞれの国の国語でそれぞれの様式、それぞれの手続で手続をしなきやならなかったわけでございますが、今回はたとえば日本人の場合には、日本特許庁に日本語で出願をいたしまして、希望する国を願書の中に指定を行えば、それでもってそれぞれ希望する指定国で受理された形になるわけでございまして、まず手続面での統一と、それから手続の容易化が行われるということが第一でございます。
第二は、国際調査ということがこの条約で記載されております。国際調査では、その出願にかかわります先行文献としてどういうものがあるかということを調査するわけでございまして、それをレポートの形でまとめて相手国の方にも送られるわけでございますが、出願者にもそれが送られることになっております。そうしますと、出願者はこのまま相手国に出願を継続いたしましても特許がとれない、こういう判断をいたします場合があろうと思います。その場合は、この国際調査のできた段階で出願を取り下げることによりまして、むだな経費を使わなくても済む、こういうことになるわけでございまして、経費の節減が行われるということになると思います。費用の問題等につきましては、従来ルートに比べまして国数が多数になる場合には明らかにPCTの方が有利であるという計算がございます。国数が少ない場合には、従来のパリルートを通じての出願で済むというケースが多かろう、それぞれ出願人のケースによって違うかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/83
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084・馬場富
○馬場富君 実は相違点の中で、いわゆる繰り延べの問題が出てきますね。そういう点についてのメリットはどのように考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/84
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085・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 従来パリルートにおきますと、優先権主張を伴う出願につきまして十二ヵ月以内に第二国へ出願すれば、その間に行われた出願に対しまして、出願によって不利な扱いを受けることはないということになっておるわけでございました。ところが今回は、翻訳文の提出が二十カ月となっておりますので、従来の十二ヵ月に対しまして八カ月延長されておると、この延長されました期間を活用いたしまして、出願者が引き続き出願を継続するかあるいはどうかということを判断する余裕ができると考えられますし、また翻訳に要する時間につきましても十分吟味することができると、こういうメリットがあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/85
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086・馬場富
○馬場富君 ここで先ほど来の論議の中で、ぼくは政府側の説明が非常に明確でないと、こう思うわけです。在来ルートとこのPCTとの関係の中で、在来からある各国のいわゆる特許に対する審査、この状況というのはそのまま継続されると、こういうものだと思うが、それはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/86
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087・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) この条約は手続のいわば方式の統一と申しますか、その限度でございますが、各国で審査する体制はそれぞれ各国に任されておるわけでございます。ただ、条約に加盟することに伴いまして、それぞれの従来の国内法にいわばつなぐための必要な規定というものは必要になる場合が多いわけでございます。日本の場合もいまそういった規定も盛り込んでおるわけでございますが、基本的には審査をどのような形でやっていくかということにつきましては、それぞれの国の判断で行うということがこの条約の基本的な考え方になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/87
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088・馬場富
○馬場富君 だから、いわゆる結局たとえばPCTルートのこの条文ができたとしても、結局はいままでの審査というのは国内法にのっとった審査の受け入れの中にこれが乗っかると、こう見ていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/88
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089・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 基本的にはそのとおりでございます。ただ、翻訳文と原文の照合という問題は、これは新しい問題でございますから、それについては新しい規定が必要になってまいりますが、基本的には国内の現行法のベースにそれを乗っけていくということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/89
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090・馬場富
○馬場富君 それでは、先ほど来のいろんな混線しておる問題の中で、私は一つお尋ねいたしますが、たとえいかなる国から出願を提案されたとしても、その審査国の、いわゆるその国の言葉によって、そしてその国のやはり法律に基づいて審査をするというふうにとってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/90
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091・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/91
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092・馬場富
○馬場富君 しからば、先ほど来いろんな論議されました百八十四条の十四の解釈の問題でございますけれども、これにいたしましても、原文と翻訳文の両者を審査の対象とするという、こういう考え方が一つと、それからもう一つは翻訳文のみを対象とする、そういうような問題が一つと、それからいま政府がとってみえるような、こういう原文と翻訳文との違いを拒絶する場合については、第三者のいわゆる異議申請に基づいてやると、こういう三つの型があらわれるということを先ほど長官はおっしゃいましたけれども、こういう立場でいきますと、結局その国がいわゆる審査する権限というものは、その国の言葉によって解釈して審査したというものが基準であって正確な資料であると、基準であると、こう見てよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/92
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093・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) その国の言葉で権利が付与されるわけでございますので、その国に翻訳されましたものが基礎になるということで私ども考えておるわけでございます。先ほど来言っておりますように、どのような国内法をつくるかはそれぞれの国の自主的な判断に任されているわけでございまして、いま先生がおっしゃいましたように、三つの方法があるうちをどれをとるかと、こういうことにつきましては各国がそれについて自主的に判断して決めるべきものと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/93
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094・馬場富
○馬場富君 じゃ、その例で各国の実情から推しまして、各国ともどの例を選んでおる方が多いか、この三つのうちの。御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/94
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095・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) 先ほど来御説明いたしておりますように、各国の実情につきまして私ども法律を取り寄せてチェックをいたしましたもので来ておりますものは、アメリカ、ドイツ、イギリスといった国でございますが、それぞれの国の法文の中でいま言ったケースについてどう取り扱うかを法律で明定している国はございません。これは一に運用に待たなければならないわけでございますが、この条約自身はもともと国際出願という国際的な多種の言語によって出願されたものを、各国がそれをどう受けとめるかということでございますので、必ず翻訳文の問題が出るわけでございます。で、翻訳文を基礎として各国は権利を付与するわけでございますので、この条約の基本的な考え方というのは、あるいは大きな流れというのは、この翻訳文をベースとして手続を進めていくということにならざるを得ないものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/95
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096・馬場富
○馬場富君 じゃはっきりしました。そういうふうにひとつ整理してきちっと説明してもらいたいと思う。
審査についてはその国のやはり結局条文によってきちっと審査すると、先ほど来からの説明を聞いていますと、いわゆる外国から出願されたものについては特別の法律で審査されて、この法律だけで、国内法によるいわゆる審査についてのことは、全然あなた方は説明なさっておらぬけれども、そうしていくと先ほどのような大きい疑問が起こってくるわけでございますよ。そういう点はやはりそういうふうにきちっと説明してもらわぬとみんなわかりにくいわけです。
それからもう一つ、じゃしからばその出願をしたと。そういう場合には、翻訳の関係につきましては、提出者のミスがあったとしたら、これは受け入れられる特許庁の責任じゃなくて、いわゆる翻訳にミスがあった場合には出願者の責任であると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/96
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097・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/97
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098・馬場富
○馬場富君 よくわかりました。
次に、それじゃそういった立場からいきますと、このPCTが発効された場合ですよ、こういう点が起こってくると思うんです。国際調査という問題がございます。そうした場合に、たとえば日本から諸外国に出す場合には日本の特許庁のお世話にならなきゃならぬと、こういう点で一つはここにそういう事務量がふえてくるという話でございます。
それからもう一つは、外国よりの出願がありました。そういう場合に対して、これは非常にこの制度ができたために、先ほど来長官の御説明のようにスムーズな事務手続になるから、これはいままでよりも量がふえると見なきゃならぬと、この点は。またふえて当然だと思います。こういう点がございます。こういう一つの問題点がここでやはり起こってくるわけでございます。だから非常に出願者についてはうれしいことでございますけれども、これを取り扱う特許庁や関係の事務機関については、一つはそれだけ複雑な量の多い事務量が来ると考えなきゃいかぬと思うんです。ここでそのためには、外国よりの出願等につきましては、たとえばいまの法律だけでいきましても、係官が気がついた問題もございますけれども、異議申し立て等があった場合については、こういうことでやはり特許庁の中にそういう各国の外国語の技術が非常に必要になってくるんじゃないか。こういう点でこういう関係の研修とかそういうことについての問題とあわせまして、こういういま私が申しました三点につきまして、この法律の受け入れとしては最低限必要な状況だと思います。これについてどのような予算とどのような体制で向かわれるか、ひとつ説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/98
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099・熊谷善二
○政府委員(熊谷善二君) ただいま御指摘の点、いずれもごもっともな御指摘でございまして、私ども、この受け入れのために毎年人員の面におきましては増員に努めてまいっておりまして、五十三年度におきましては五十一名の増員と、予算上そのようなことでお認めいただいておるわけでございます。今後とも必要に応じましてさらに——従来ほどではないかもしれませんが——必要な範囲におきましての増員には引き続き努力をいたしたいというふうに思っております。
なお、先生の御指摘になりました国際化に備えての研修等はもとより強化いたしたいと考えておりまして、五十三年度におきましては四千百万円の研修費を計上いたしております。これは四十九年度に対比いたしますと五割アップでございます。私は国際化に備えて職員の語学習得研修の意欲にも十分こたえていかなきゃならないというふうに考えております。
なお、その他御指摘の翻訳等の問題で庁内にいろいろな問題についての相談を受け持つことができるような何らかのプロジェクトチームあるいはグループといったことも設置することを考えてみたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414461X00719780413/99
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