1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年五月二十五日(木曜日)
午前十時三十二分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 金井 元彦君
理 事
夏目 忠雄君
望月 邦夫君
神谷信之助君
委 員
衛藤征士郎君
金丸 三郎君
鈴木 正一君
鍋島 直紹君
成相 善十君
小山 一平君
佐藤 三吾君
阿部 憲一君
上林繁次郎君
向井 長年君
前島英三郎君
国務大臣
自 治 大 臣 加藤 武徳君
政府委員
自治省行政局公
務員部長 塩田 章君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 保君
説明員
総理府恩給局恩
給問題審議室長 手塚 康夫君
大蔵省主計局共
済課長 山崎 登君
自治省行政局公
務員部福利課長 桑名 靖典君
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本日の会議に付した案件
○昭和四十二年度以後における地方公務員等共済
組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一
部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・金井元彦
○委員長(金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/1
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002・佐藤三吾
○佐藤三吾君 五十三年度の改正で七%プラス一千三百円の引き上げがなされておりますが、これは私どもとして一定の評価をしております。ただ、最近のように春闘の賃上げが物価に追いつかない、こういう状態が昨年、本年、さらにまた来年含めていろいろ予測されておるわけですけれども、本来賃金というのは御存じのとおりに生活給が基本に置かれておるわけですし、その生活給の基本というのは、やっぱり物価問題を抜きにしては守られないわけです。ところが、物価の方が賃金を追い越すというような異常な状態の中で、いわゆる賃金を指標に置いておる恩給の改正ですね、またそれに伴う年金の改善という、こういった事態になっておるわけですけれども、この問題について来年度以降の展望を含めてひとつ冒頭でございますけれども大臣の所見をお伺いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/2
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003・加藤武徳
○国務大臣(加藤武徳君) 御承知のように公務員の給与は、国家公務員につきましては人事院の勧告に基づいて給与が取り運ばれておる、また地方公務員につきましては、国家公務員と権衡をした形において給与が支給される、かようなたてまえであることは御承知のとおりでございます。そこで、人事院の給与改定の勧告は民間をベースにいたしておるのでございまして、民間の諸調査に基づいて勧告がなされておる。それを基本に公務員の給与が体系づけられておる、かようなことでございます。佐藤議員のただいまの御指摘は、物価の上昇との関連においての御質問でございました。物価上昇と賃金の給与改定が均衡を失しました場合には生活に大いなる脅威が生じてくると、かようなことでございましたが、しかし幸い物価も安定いたしましてそう大きな値上がりはない現況下におきましては、公務員の給与がもっと高いことが公務員といたしましても期待をいたすところでございましょうけれども、私はその間にそう大きな開きが生じておる現状ではない、かように判断をいたしております。
なお、退職をいたしました方々に対しまする共済等の長期給付につきましても、毎年公務員の給与額の引き上げに対応いたします形においてその額が決定を見ておるのでございまして、いま御審議いただいておりますものは、昨年の給与改定に伴いまする公務員の給与のベースがアップをいたしましたそれとの均衡を保つ姿においてなされておる、かようなことでございます。がしかし、恩給なり年金を受給しておられまする方々からしばしば上がっております声は、なるほど六月から五月になり四月になって、そして今日では四月改定、かようなことにはなっておるけれども、しかしそれは一年おくれではないか、かような議論がありますことも承知をいたしておるのでございますけれども、しかし共済の長期給付の性格上現時点においてはやむを得ないものと、かような判断をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/3
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004・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いま大臣が物価の問題は安定化しておるというお話でございましたが、昨年を例にとりますと、物価と賃金というのは御存じのとおり開きが出ておりまして、それを基礎にして今度の改定が行われる、こういう実態になっておるわけです。いま一年おくれの問題も出されましたけれども、この問題を含めて恩給局の方の考え方をひとつお聞きしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/4
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005・手塚康夫
○説明員(手塚康夫君) 私どもの方、恩給年額の調整というのは実は一番大きな課題として従来問題になってきたものでございます。先生も御存じのように、大昔は給与にそのままスライドできる、乗っている方式をとっていたわけですが、給与制度の変更あるいは社会情勢の変化等もございまして、それから離れてしばらくは指標を求めてさまよった感じはございます。四十三年に恩給審議会の答申もございまして、そのころから審議会方式というようなものに切りかえ、その場合にはどちらかと言えば物価中心に考えているわけでございますが、四十八年に至りまして、公務員給与がやはり総合的な指標ではないか、物価もいわば含めた総合指標として使っていくべきではないか、それと、かつては公務員給与にそのまま乗っかっていた、この点を勘案いたしまして、四十八年からは完全に現職公務員給与を指標とするということになったわけでございます。これもさらにいろいろな問題がございまして、実は五十一年からは、その単なる平均ではなくて、傾向まで反映するという、回帰分析方式と称しておりますが、そういったものも取り入れて、現在五十三年度になりますがそういうことで来ているわけでございます。
したがって、われわれといたしますと公務員給与は総合指標としてとり得るものだと実は考えておりまして、ここ数年確かに現象的に物価の方が上回るというような事態、このことを私どもとしては関心は持っているところでございます。ただ過去の分をトータルいたしましても、実は物価のトータルよりは公務員給与トータル、すなわち恩給でやってきておりますトータルの方がはるかに高いわけです。したがって、単年度で見て公務員給与の方が物価を下回るから、それじゃ物価の方に変えようというようなことはやはりふさわしくない、特に指標を求めてずいぶん歴史を持ってきたわけですから、現在の指標をさらに追い求めていくのが適当ではないかというふうに考えております。
一年おくれの問題も、四十八年に公務員給与そのものをとるということになりましたので、そうなりますと、現職と比べて完全に一年有余差があるじゃないかという点がはっきりしてまいったわけでございます。これにつきましては、幸い四十九年に国会の方からの御提案がございまして、従来の十月からようやく一月前進ができ、その後政府提案により一月ずつ前進し、昨年はさらに減税問題も絡んで、ようやく当面の四月実施が実現できたわけでございます。これは減税というものに絡んでおりましたので、これが果たしてそのままいくかどうかという問題もございましたが、今年度成立しました恩給法案、これでは、やはり続けて四月ということがまた実現を見たわけでございます。われわれとしては、やはり一年おくれという問題、もう少し検討していかなきゃいけないとは思っておりますが、当面この四月実施の定着を図り、あと技術的にも検討を加えながら、指標との関係も考慮しながら、この一年おくれの問題研究をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/5
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006・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いま御指摘のように一年おくれという問題が、四月にはなりましたけれども、完全に一年おくれというのが残っておるわけですね。これは公務員の給与の場合には御存じのとおりにさかのぼって差額支給という、そういう措置で、若干の金利やその他の問題あろうけれども、一応補てんされるという仕組みになっておりますが、この恩給、年金の場合にはこの措置がとられてないわけですね。それらについてどういうふうに考えておるかということが一つと、もう一つは、やはりいわゆる一年おくれでスライドしていくという、こういう一つの仕組みにはなっておりますけれども、完全にこれが制度化されたものじゃない、立法化されたものじゃない、こういった点についてどういうようなお考えであるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/6
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007・手塚康夫
○説明員(手塚康夫君) 一年おくれの問題をどういうふうに説明したらおわかりいただけるか……実は先ほど申し上げましたような経緯からいきましても、四十八年度までは公務員給与そのものを指標としてきたわけではございません。四十八年から公務員給与を指標とするようになったわけですが、実は恩給の改善は四十九年、せいぜい五十年あたりまではべースアップがもっぱらの中心でございまして、恩給の改善と称すると、ベースアップの問題であったわけでございます。しかし、五十一年以降は、実はベースアップ以外にも、多々改善をやっているわけでございます。したがって物価との関係で申しますと、実は平均的にはベースアップだけならともかくも、全体の改善を見ますと物価をはるかに上回った改善をやっている。したがって、私は内部での再配分をやってるんだというふうに実は理解をしている面もございます。ですから、実は一年おくれの問題も、ベースアップだけということになれば、これは端的に出てくる問題だと思いますが、実はここ数年、その他の改善ができる、その他の改善に実は力を注ぐということをやっておりますので、そういう意味では、その他の改善でより必要な層に必要な改善ができるならば、その方が優先するんではないかという考えも実は持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/7
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008・佐藤三吾
○佐藤三吾君 具体的に、その他の改善というのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/8
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009・手塚康夫
○説明員(手塚康夫君) たとえば今年度でございますと公務扶助料、戦没者の遺族に対する扶助料ですね、これは通常の七%のアップではなくて、さらに上回った特段の改善を行うといったようなことをやっているわけです。傷病恩給についてもそうですし、それから従来低く抑えられてきております加算恩給についての改善、こういったものを行っているわけでございます。それから、ちなみに申し上げますと、今回の改善はベースアップによるものだけで見ますと平均七%でございます。ただ、全体で見ますと実は一六%の改善になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/9
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010・佐藤三吾
○佐藤三吾君 法制化の問題はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/10
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011・手塚康夫
○説明員(手塚康夫君) 失礼いたしました。法制化と申しますのは、われわれはスライド制と申しておりますが、これが一体どういう点にポイントがあるかというのが、実はわれわれも考えてみますと幾つかあるわけでございます。受給者サイドからも法制化の要望は確かにございます。ただ、それを聞いてみますと、いまのような指標が実は混乱しているときがございまして、実はベースアップが見送られてしまうというような時期がかつて相当期間あったわけでございます。それに対する危惧として法制化、スライド制ということが出ているという感じもいたします。ただ、それにつきましては四十八年以降、公務員給与に移り変わり、五十一年以降はさらに、それもその傾向まで反映させる方式をとって、これにつきましては実は財政当局との話し合いもきわめてスムーズにいくようになってきているという意味で、実質的なスライド制と申しますか、それはかなり安定したものになってきているのではないかというふうに考えております。
ただ、これを法律を出さないで変えるというような欧米でも何か例はあるようでございますが、そういった意味のスライド制ということになりますと、実は実施時期の問題なんかももう少し検討してからでないと、とてもそういうものには移り変われないのではないか。それから技術的にも実は回帰分析といったようなむずかしい方式をとっているものですから、これを条文で書き込めるのかという疑問も実は持っております。そういう意味で検討は進めていかなきゃいけないと思うのですが、必要性は私はかなり薄くなっているのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/11
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012・佐藤三吾
○佐藤三吾君 必要性が薄くなったのじゃなくて、これはひとつぜひ、非常に強い要求もあるわけですから、実施時期の問題も含めて検討してもらう、こういうことをこの機会に要望しておきたいと思いますが。
そこで、いま実施時期の問題が出されたんですが、いま年四回ですか、支給期が。これも非常に各界の中から、今日の年金の実態から見ても、できればひとつ毎月支給にしてもらいたい、こういう強い要望があるわけです。実際、事務当局としてこの問題ができないのかどうなのかということで、私も私なりにいろいろ調査をしてみたんですが、直接扱っておるところを見ると、毎月となると転勤その他とか退職後の住所の変更とか、そういう実態から見て困難な問題はあるけれども、やろうと思えば大体二カ月に一回ぐらいは、隔月支給ぐらいはできないことはないという意見もあるわけです。そういう問題がどこに隘路があるのか、ここら辺が、事務上の問題で二カ月に一遍ぐらいだったらできるということになるなら、一体どこに問題があるのか、こういった点についてひとつ御見解を承りたいと同時に、私は外国の例は余りよく知らないんですけれども、主要各国の中で一体どういう実態があるのか、こういった問題を含めてお聞きしておきたいと思います。これは恩給局と自治省の方から、あわせてひとつお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/12
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013・手塚康夫
○説明員(手塚康夫君) これは恩給と年金でも状況が違うと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/13
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014・佐藤三吾
○佐藤三吾君 ちょっといいですか、その中にちょっと関連して通算年金は年二回になっていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/14
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015・手塚康夫
○説明員(手塚康夫君) これは共済の方の問題ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/15
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016・佐藤三吾
○佐藤三吾君 ええ。この問題を含めてお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/16
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017・手塚康夫
○説明員(手塚康夫君) 恩給と共済では状況も違いますので、恩給サイドに立っての問題点を申し上げたいと思います。これは一つには恩給は実はまだ二百五十万人の受給者がおり、毎年の改善で、その証書も毎年書きかえるという大変な業務量を抱えているわけなんですが、実はそういうことで手書きをやっておりまして、まだコンピューター化、電算化できておりません。そういう意味でも実は支給回数をふやすということについては事務的な条件がまだ整っていないという点が一点ございます。
それからもう一点は、実は恩給局は裁定庁でございまして、支給は郵政省がやっているわけでございまして、もちろん恩給費のうち、事務費として六十億以上のものをとり、これを郵政省に回して仕事をお願いしているわけでございますが、したがってこれは郵政省の方の体制ができるかどうかという問題があるわけでございます。そういう面では実はこれは他省のことで私ども云々できることではございませんが、やはり現在の四回をたとえば年六回にするということになりますと、単純計算でいっても実は五割増しの作業が入ってくる。それから郵政省自体、窓口、恩給の事務だけでやっているわけではございませんで、ほかの年金その他の業務とかみ合わせて窓口業務を考えているということで、いろいろそういう意味の難点があるというふうに聞いているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/17
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018・塩田章
○政府委員(塩田章君) 共済の方でございますが、いまお話しのように四回でやっておるわけでございます。で、これは四回でなけりゃならぬとか、あるいはもうつまり隔月支給にやってやれるじゃないかというような点はございまして、私どももできる限り回数をふやしたいという気持ちはあるわけでございますけれども、どういうところに理由があるかといいますと、いまお話のございました事務量の問題、これは確かに一つございます。それから事務量に伴いまして、当然のことですが財政的な問題もございます。そういうこともございますけれども、端的に申し上げまして、現在四回ということで、各共済全部共通したやり方で、言うなれば安定した形でずっとやってきておるというところで、いまこれを何回にふやすとか、そのふやすことに伴いまして事務量をどうさばいていくかというふうなことで、なかなか踏み切れないでおるということが実態であろうと思います。したがいまして、私どもこの問題は御要望も強いので、何とか改善していきたいという気持ちで検討はしていきたいと思っておりますけれども、もちろん地方共済だけでやるというわけにはまいらぬということもひとつ御理解をいただきたい。したがいまして、そういった各共済の仲間でこの問題を検討していきたいというふうに思っております。
で、通算年金のことでございますけれども、通算年金、これは御指摘のとおり年二回でございます。これは一つには、非常に金額が少なくて何回も分けるほどの金額でなかったということも一つはございますが、一つは、御承知のように通算でございますから、各組合から、各共済から、要するに事務的に言いますと、一つの共済から出すのと違いまして、大変な手間がかかるという問題も一つはございます。そういうようなことで、通算年金の場合は普通の年金よりも数倍の手間がかかるという問題も一つございまして、現在のところ年二回という形になっております。これもあわせて検討はしてまいりたいというふうに思っております。
なお、外国の制度のことをお尋ねございましたが、福利課長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/18
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019・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 外国の年金の支給期月の問題でございますけれども、大分古い文献を翻訳したものでございまして、かつその直訳したものでございますので、十分その真意がはっきりしない点もございますが、文官恩給並びに軍人恩給についての文献の翻訳資料によりますと、アメリカでは毎月支給でございます。それからドイツ連邦共和国、西ドイツでは毎月でございます。フランスでは四半期ごとに支給すると、こういうふうになっております。スウェーデンは毎月でございます。それからイギリスにおきましては、本人の申告によって四半期に一遍か、あるいは毎月か、あるいは週ごとか、いずれか本人の申告によってどちらかを選択できるということになっているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/19
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020・佐藤三吾
○佐藤三吾君 まあいま聞きますと、自治省の方はこれは年金と恩給と直接かかわりはないわけですね、支給期は。そういうことで共済間で検討してもらうということにいま御答弁いただいたのですが、お聞きしますと、やっぱり外国の主要な実態見ましても、イギリスの申告制を含めて、毎月というのがこれは常識になってきつつあると、こういう問題でございますから、これはひとつ役所言葉に言う単なる検討とか、善処とかということじゃなくて、本気でひとつ次の段階までにこれを共済間で整理をしていただく。そして可能な限り毎月支給に近づける方向でやってもらうということでよろしいですね。
で、そういうことで次の問題に移りますが、具体的な問題の一つとして、退職年金の老齢加算の問題ですが、今回改善されようとしておりますけれども、特に対象期間が旧年金の制度の適用期間に限られておる。そのためにこの加算の恩恵が受けられない、こういう該当者が職員の方でおられるわけです。しかし、先般の改正でこういう方々にも廃疾年金や遺族年金ではこの制限が解かれて、全職員期間を通じて恩恵を受けると、こういう措置もとられて、言うならばこの問題だけが一つ片手落ちに、差別ということはないけれども、恩恵漏れになっておると。これは強い該当者の方々から要求されて、できればひとつこの全制度の適用ができるように職員期間を含めて、老齢者優遇のこの趣旨に沿うような制度改正の要望が強いわけです。これは衆議院段階でも取り上げられて、大臣の方でも検討をするというような回答をいただいておると聞いておるんですけれども、この問題についてひとつどういう考え方を持っておるのか。同時にまあ検討するとしても、言うならば早急にひとつ検討して改善措置をとるという意味を含めておるのかどうなのか、そこいらの問題について御答弁いただきたいし、この問題に限ってひとつ大臣の方からもあわせてお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/20
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021・塩田章
○政府委員(塩田章君) いまもお話がございましたように、老齢加算の中で廃疾年金と遺族年金についての取り扱いと、一般の老齢加算の取り扱いが違うと、対象期間の算入の仕方が違うという御指摘がございました。これはそのとおりでございますが、これは経緯をいまさら申し上げるまでもございませんけれども、むしろ老齢者の中でもさらに廃疾年金あるいは遺族年金の受給者に対して、当時の生活の実態を踏まえまして緊急に優遇する措置が必要であるということから、老齢者の中でも廃疾年金と遺族年金の方についての優遇措置がとられたわけでございます。したがいまして、結果から見ますと、残りの一般の老齢年金の方が、まあいまお話しのような不利益な形で残っておるという形になっておるわけでございます。これはもちろん地方共済だけでございませんで、恩給に準じまして各共済共通した制度でございますので、これも私どもの方だけでできる問題ではございませんが、そういった御指摘もいろんな機会にいただいておりまして、関係者からも強く要望されておりますので、そういった問題の問題意識は私ども十分持っております。
ただ、いま最後に早急に具体的な検討案があるのかという趣旨のお尋ねでございましたが、いま私どもこれをどうするというふうな具体案を持っておるわけではございません。ただ、いま申し上げましたように、関係者からしばしば御要望もいただいておりますので、そういった点を御要望を含めまして、関係共済間あるいは恩給等の関係におきまして検討をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/21
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022・加藤武徳
○国務大臣(加藤武徳君) ただいま公務員部長から答弁をいたしたとおりでございますけれども、退職年金の老齢加算の対象となる期間につきましては、廃疾年金や遺族年金といまだ異なることになっておるのでありますけれども、これからの方向といたしましては、できるだけ退職年金の老齢加算の対象となる期間のことにつきまして鋭意検討いたしたいと、単なる検討であってはならぬし、前向きに解決をする方向での検討でなければならぬという、かような佐藤委員の御指摘でございましたが、私どももさような問題意識のもとに検討してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/22
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023・佐藤三吾
○佐藤三吾君 大臣の答弁で前向きに検討していただくということですから、これは非常に長い切実な要求でもございますから、早急に結論が出るようにぜひひとつお願いしておきたいと思います。
それから、これも長い問題でございますのは、各年度の中で改正のたびに強く要求されてきておる十五年年金制度ですね、その創設を強くやられてきておったんですが、これは検討、検討ということで今日まできておりますけれども、一体どうなったのかお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/23
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024・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 御指摘がございましたいわゆる十五年年金でございますけれども、現在の公的年金制度における年金の受給資格というものは、特殊な場合を除きましてすべて二十年——国民年金は二十五年でございますけれども、すべて二十年以上でございまして、制度的に統一をされているわけでございます。したがいまして、地方公務員共済制度におきましてのみ受給資格期間の特例を設けて、短い年金年限を設けるということにつきましては、他の公的年金制度との均衡から見て問題がありますし、また、そういたしますれば、組合員の掛金の増高も招くことになりまして、現段階におきましてはなかなか実施することが困難と考えているわけでございます。
なお、昭和五十年の法改正の際に、四十歳以上の組合員期間を十五年以上持っている人につきまして、いわゆる官用法人、地方公共団体と直接関係のございます官用法人において特定の事務に従事していた期間を年金の受給資格の基礎期間にする取り扱いをいたしているわけでございますけれども、一般的に中高年齢で公務員に就職した方々につきましては、昭和三十六年国民皆年金制度ができました以降においては、何らかの公的年金に加入していることが考えられるわけでございまして、そういうところから、御指摘の十五年年金の創設ということは、通算年金制度において解決すべき問題であろうかと考えるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、現在他の公的年金制度並びに通算年金制度の動向等を踏まえましてこれに対処してまいりたいと、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/24
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025・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いまお話しございました五十年度改正の特定事務従事者の受給資格の特例が講じられましたですね。そのために、逆な意味で地方公共団体の直雇用のいわゆる非常勤の臨時職員、この取り扱いが均衡上大変不利な状況になっておる、こういう問題があるんですが、この点についても、非常に関係者の方々としては、十五年年金とあわせて、その、言うならばかわる措置として五十年改正をやられて、しかも五十年改正の中で救済されると思ったところが漏れちゃった、こういうことで強い要求が出されておるわけですね。この問題について一体どう考えるのかお聞きしておきたいというのが一つ。
もう一つは、特定事務従事者の特例が、いわゆる三十七年の制度改正ですね、年金の、ここを一つのポイントに押えておるわけですね。そのために、たとえば沖繩県のいわゆる当該該当者が、四十七年に復帰する、こういう復帰と時間的なずれも含めて、これが完全に漏れておるという現象が起こっておるわけです。こういった問題について一体どういうふうに措置されるのか、この問題を含めてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/25
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026・塩田章
○政府委員(塩田章君) 先ほどのお尋ねの際に福利課長がお答え申し上げましたように、十五年年金に対する基本的な考え方としては、通算年金制度の創設によって一応の解決はなされておるというつもりでおるわけでございますが、それに関連しまして、いまお話の出ました五十年改正の特定事務従事者のような改正をして、それに準じた形の人でその改正にあずからなかった人がおるではないかという問題も実は私どもかねがね承っております。で、これはそれぞれのいきさつ、そのときのいきさつで、あの時点では特定事務従事者という形で把握したわけでございますけれども、これに準じたといいますか、同じような事情にある場合に、さらに検討していかなくちゃいけないケースもあり得るだろうというふうには考えております。したがいまして、個々のケースをさらによく検討しまして、同じ扱いをすべきものかどうか、あるいは他に救済の方法があるのかどうか、そういうふうなことはさらに検討してまいりたいと思っております。
それから沖繩の関係でございますけれども、沖繩の関係につきましては福利課長から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/26
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027・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 特定事務従事者の資格要件の付与の改正をいたしました際に、沖繩における取り扱いにつきましては、沖繩の共済年金の取り扱いを本土並みと同一にするという基本的な考え方から、いわゆる施行日というのを復帰の日とせずに、本土の共済制度の施行日でございます三十七年十二月一日にいたしたわけでございまして、それは沖繩の置かれている立場を考えまして、沖繩と本土との格差をなくすという趣旨からそう取り扱ったものでございます。しかし佐藤委員の御指摘のように、沖繩には現在復帰前に、公務員退職年金法が四十一年に施行され、さらに公立学校の職員につきましては四十四年から共済法ができ、その他の一般公務員等共済法が四十五年に施行されまして、ほぼ本土並みの制度ができて四十七年の復帰を迎えたわけでございます。したがって、いま御指摘のございましたその基準日と申しますか、その基準になります施行期日を三十七年に設定いたしましても、公務員等年金法ができました四十一年との間はごくわずかでございまして、その間の差というのは余り生じないのではないかという感じがいたすわけでございます。ただ、沖繩における雇用条件の違いというのが当然あるわけでございまして、佐藤委員も御承知のように、この特例、十五年の特定事務従事者の年金制度を設けました趣旨が、いわゆる地方公共団体で雇用できないたとえばPTAで雇用しておった学校給食調理員のような方々を救済するための措置でございまして、本土におきましては三十七年当時すでに地方財政の状況も相当基盤が固まってまいりまして、そういう雇用条件の雇用形態は少なくなったわけでございますが、沖繩における雇用の実態がもしそういうものがございますれば、検討していかなければならない問題でございまして、したがいまして沖繩の実態を現在調査をいたしておりませんので、そういう実態を調査をいたしまして、その実態の動向によりまして、どのような取り扱いをするのが適切であるのか結論を得たいと、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/27
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028・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いまお話もありましたように、沖繩というのはどうもやっぱり県民性もあるかもしれませんけれども、非常におおようなところがあって、言うなら五十年改正という趣旨がなかなか徹底してない向きがある。これは本人たちが悪いという意味じゃなくて、行政機関そのものの伝達がうまくいってない。こういうこともございまして、残された部分が私はあるんじゃないかと思うんです。
それとまた一つは、それまで占領下という特殊条件があって、雇用形態についても、何というんですか、特殊的なものを持っておると思いますし、そういうところだけに、私はやっぱり救済措置についてはできるだけひとつ差別のないように、同時にまた、本土的感覚じゃなくて、現地の感覚に立ってひとつ処理してもらうということで検討いただきたいし、早急に処理していただきたい、こういうことで受け取っておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
同時にまた、先ほどいわゆる特定事務従事者のできたときに漏れたいわゆる直雇用の措置については、早急に前向きに検討していただくということでございますから、そのようにやってもらいたいと思いますが、そういう受けとめ方でよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/28
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029・塩田章
○政府委員(塩田章君) そのように検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/29
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030・佐藤三吾
○佐藤三吾君 これは大臣よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/30
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031・加藤武徳
○国務大臣(加藤武徳君) 沖繩は長い間占領下に置かれており、復帰後まだそう長い年月を経過しておらないわけであります。そこで、占領下におきまする雇用形態は、本土とは異なりましたいろいろの形態があったであろうことが想像されるのでありますから、いま課長が答弁いたしましたように、その実態調査がまだ十分できておらぬ、かようなことでございますから、早急に実態調査をいたしまして対処してまいらなければならぬと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/31
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032・佐藤三吾
○佐藤三吾君 前段の方はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/32
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033・加藤武徳
○国務大臣(加藤武徳君) 前段の問題につきましても、先ほど公務員部長が検討いたしてまいりたいと、かように答弁いたしましたとおりでございまして、検討いたしてまいるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/33
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034・佐藤三吾
○佐藤三吾君 ひとつ、そういった切実な問題ですから、先ほどの問題も含めてぜひお願いしておきたいと思います。
そこで、次に遺族年金について御質問したいと思うんですが、御存じのとおりに年金——恩給にしてもそうでありますが、基本給が基礎になってますね。で、基本給となると、大体普通一般の給与から見ると七割ぐらい。ところが、おやじさんが亡くなった瞬間にそれのまた半額になっちゃう、こういう実態になっておるわけです。これはたしか私の記憶が間違いなければ、ILOでも取り上げられて、最低が六割だったと思いますが、こういう国際的にもひとつの最低基準を示しておられると思うんです。問題は、これまでずいぶん引き上げの要求がなされてきたんですが——大蔵省いますか、大蔵省の答弁など聞きますと、どうもこれやっぱり大蔵省が抑えておる部分もあるんじゃないかと思うんですけれども、いや、日本の場合には付加給というんですか、そっちの方で加えておるから実質は六割を超えるんだとかいう、こういう論理を展開していままでなされてきました。しかし、もしそういうことが事実ならその点も聞きたいと思うんですが、むしろ二分の一を六割なり七割に上げると、こういう措置が一番わかりやすいし、受給者の方から見ると最も望んでいる点じゃないかと思うんです。私どももこの問題についてずっといままで要求してきた過程で、たしか三年ぐらい前だったと思いますが、田中さんが厚生大臣やっているころには、最低七割ぐらいは何としても実現しなきゃならぬと、こういう御意向も承ったこともあるんです。こういった経緯を含んだ問題でありますが、これについて一体今回も解明されていないんですけれども、どういう考え方を持っているのか、大蔵省の御見解を承りたいと思っております。
それから、あわせて自治省の方の御見解もお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/34
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035・山崎登
○説明員(山崎登君) 先生御指摘の遺族年金の支給率につきましては、確かにいろいろと御要望のあることは承知しているわけでございます。しかしながら、実は遺族年金につきましては、たとえば、国民年金の妻の任意の加入の制度の機能というものとも関連いたしまして、遺族の範囲につきましてそれぞれ制度間の調整というような点も必要になることと思います。またもちろん共済制度、保険数理に基づきましてやっているわけでございますので、相当多額の財源率を要するというようなこともございます。したがいまして、この支給率五〇%というのは、各公的年金共通の問題として現在検討しているわけでございますけれども、しかしながら、確かに遺族の置かれている状態をかんがみまして、最低保障の引き上げとか、あるいは高齢者あるいは有子の妻という人たちに寡婦加算等の支給額を増額しつつそういう点をカバーしている段階にあるわけでございます。実際にまあこれいろいろな例をとりますと、五十三年六月で実は最低保障スライド政令で一本になりますんで、その後の計算でいきますと、最低保障でいきますと、退職年金が六十一万八千百円でございます。遺族年金が四十九万八千百円です。そのほか寡婦加算など二子を有する場合という仮定を置きますと、これが全体で五十七万円余りになりまして、大体九二%くらいになります。私ども一般的な、五十二年度の一人当たり平均退職年金額、大体百二十万くらいありますが、そういった人たちが遺族年金半分でございますので六十万円ぐらいが、そのほかに寡婦加算がつきますと大体七十五万ぐらいになりまして、おおむね六〇%ぐらいの台になる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/35
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036・塩田章
○政府委員(塩田章君) 数字的なことはいま大蔵省の方からお答えがあったとおりでございますから省略さしていただきますが、そもそも考え方として二人の家族で一人亡くなった場合に遺族だからというんで、いわゆる五割になるという考え方がそもそもいいかどうかという議論はこれは確かにあると思います。したがいまして、それを上げるべきでないかという議論があるわけでございますが、少なくとも、いまの時点で各共済すべてずっとそういう形で財源率の計算もその他もすべてやってきております。
そこで、この五割がいいかどうかという議論は確かにあって、六割か七割かわかりませんが上げるべきだという場合に、単に数字の問題というよりも、共済制度の現在の成り立ちといいますか、基本にかかわる問題にもなってくるわけでございまして、したがいまして、現在のところ寡婦加算という形で実質的には六割なり七割なり、いま大蔵省からお話がございましたような措置をとることによりまして、まあ救済するといいますか、この問題の解決に当たってきたというのが現在までの実態でございます。お話のございましたように、そういうことであるなら、いっそのこと七割に上げたらいいじゃないかという点も確かにあるわけでございまして、私どももこの点は常に共済間の場では検討課題として出しておりまして、今後とも検討してまいりたいと思っておりますが、現状におきましてはいま申し上げたとおり、加算という形で実際の解決を図ってきたということでございまして、五割そのものを上げるということになりますと、いろんな角度からも、先ほど大蔵省からお答えがありましたようないろんな角度からの検討を要しますということで、いま直ちには実現がなかなかむずかしいんではないかというふうに考えておるわけでありますが、いずれにしましても、非常に要望の強い問題でございまして、ぜひとも今後とも検討を続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/36
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037・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いろんな角度から問題があるというお話なんですけれども、ぼくは恩給の方にまたこれよみがえっていくんじゃないかと思うんです。恩給との関連が一番強いんじゃないかと思うんですが、先ほども自治省回答ございましたように、それからお話しあったように、やはりいろいろ加算していくなら一本化してすっきりした方が、常識的に考えてもいいと思うし、また、それが実態に合うと思うんですよ。そういう問題を含めてひとつ恩給局の方の考え方も聞きたいと思います。
同時にまたもう一つこれと関連する問題で、先ほど大蔵省の方から答弁ございましたように、大蔵の答弁を聞きますと大体最低七十五万ぐらい、いろいろ加えると七十五万ぐらいは支給できる、こういうお話なんです。ところが、被扶養者の所得の問題で七十万限度ということではじかれることになっていますね。こういった問題とも関連すると思うんですが、これもやはり四十九年にこの七十万というのを置かれているわけですけれども、もうそろそろ実態から見ても引き上げを検討する時期に来ておるし、非常にそのことが実質価値の低下とあわしてその該当者、特にこれはお年寄りが多いんですけれども、恩給もしくは年金の受給そのものが被扶養者の基準にはじかれるというようなことは、これは私はゆゆしい問題だと思うんで、こういう問題についてもあわしてどういう御見解なのか、ひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/37
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038・手塚康夫
○説明員(手塚康夫君) 後段の問題は私どもの方からちょっとお答えしにくいので、前段の問題、お答えいたしたいと思います。
先生の御指摘のように、確かに本人、夫婦二人で年金生活を送っている、それが一人になった場合に二分の一でいいかという、その二分の一の根拠はと問われますと、確かに大正九年以来恩給法はやってきているというのがかつて言われていたことでございまして、恩給の責任になってくるわけでございますが、恩給局自体もそれが必ずしも妥当ではないと、一般論として申しますならば、公務員給与の場合、対現職者の場合には公務員給与の体系、職務の責任などに応じて体系はできているわけでございます。ただ、それが退職しましたらより平準化が図られてしかるべきではないか、それはさらに遺族になったらより平準化が図られていいんではないかと、私どもそういうふうに考えているわけでございます。
そのように考えますと、実は少なくも恩給につきましては、遺族のところまでいってもまだかなり上と下差があるわけでございます。その差がある場合に五割というものをもし六割給付、七割給付に改めるとすれば、それはむしろ上の方がよりたくさんもらえる形になるわけでございます。ですから、むしろ平準化を図るという意味では、そういう五割給付を六割給付、七割給付に変えるんでない方がベターではないか。先生も先ほど多少御評価いただきましたけれども、五十一年から増額の方法を変えています。これは結局従来率でやっていましたのを分析しまして率と額、結局額が効果を持ちまして上薄下厚という結果をもたらしてくるわけでございます。同じような発想を遺族給付には取り入れるか、むしろ率で改善するんではなくて、定額的な措置をとる方がより下の方には有利に働く、こういう機能を持っているわけでございます。これは扶助料の中身としてこの定額を入れればよかったんですが、まあ対象もILO条約等も考慮して寡婦に限定したために寡婦加算という別途の手当的な色彩をちょっと持っていますけれども、基本的な考え方としてはそういう定額加算によってより必要な層に有利に働くようにというその扶助料の給付水準の改善、これに現在は向かっているわけです。
それからもう一つの方法としては、大蔵省も言っていましたように、より低い人については最低保障を二分の一ではなくて引き上げる。実はこの三年間その二つの手法をもっぱら使って扶助料の給付水準の改善を図っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/38
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039・山崎登
○説明員(山崎登君) 実は被扶養者の認定、いわゆる七十万円が低いではないかという御指摘でございますが、実はこの被扶養者につきましては、主として組合員の収入により生計を維持ということが条件になっておりまして、その生計維持要件といたしまして、私どもは一つは、一般職の給与法に関する法律に規定しておりますところの扶養親族の認定の例というものが一つあるわけでございます。
もう一つは、所得税法に規定するところの控除対象の配偶者に係る取り扱い、こういうもの二つを参酌いたしまして現在七十万というものが決められておるわけでございます。したがって、実は共済法上大分前から言いますと、被扶養者の認定は従来新法施行三十四年以降昭和四十六年までは実は給与法上の親族の限度額によっていたわけでございます。ところが、所得税法とある程度差がございますので、その時点で四十六年の十月におきまして所得税法の金額をとって被扶養者の認定の例にしておるわけでございます。現在所得税法が七十万円でございますので、それをとって現実に四十九年以降七十万円を一つの所得の限界ということでございまして、これは私どもだけではなくて、社会保険全体に通ずる一つの所得の限度になっておりますので、もちろんそういう御指摘がございますけれども、現在のところ所得税法その他の公的年金との絡みも考えまして妥当な線ではなかろうか、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/39
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040・佐藤三吾
○佐藤三吾君 ああ言えばこう言うということなんですが、私がさっき聞いたのは、あなたがおっしゃるように、率じゃなくて定額にして、そうしてできるだけ在勤当時の給与の格差を年金の中で縮めていく、同時にまた亡くなった後の扶助料についてはもっと縮めていく、こういう趣旨の説明があったんですが、それは私は結構だと思うんですよ。そのことを否定しているわけじゃない。ですから、それは七割という、八割といっても、いずれにしてもその率をそういうふうに変えていけばあなたの言う趣旨はかなえるわけですね。ところが、寡婦加算であるとか、最低——最低保障は一つのものでしょうけれども、いろいろそういうものをつけて六割でございますとか、大体ILOの一つの目安になっておりますとか、こういう考え方に問題がありはしないか、むしろこの機会にひとつそういった点をすっきりさせて、そうして遺族の人が大体どんなことがあっても最低限食っていけるという、こういった保障をどうしていくか、こういう観点でこの問題をとらえることはできないのか、こういう私は主張をしておるわけです。
ですから、田中厚生大臣当時七割はぜひ実現しなけりゃいかぬ、こういうことを言ってすでにもう三年たって、いまのあなたの答弁聞いていると、そういう考えは全然ございませんというような趣旨だし、そういう意味合いでは私は非常に遺憾に思うんですよ。ですから、いまあなたが言った公平にできるだけ最低保障を上げていくということについては異論はございません。ただ、問題はそのやり方が、枝葉をつけてやるのではなくてまとめてやったらどうか、こういった点についてどこら辺に隘路があるのか、問題があるのか、こういった点をひとつ説明いただきたいと思うんです。
同時にまた、七十万の認定付与の限度が所得税から来ておるという言い方もされるんですがね、私はそういうこと聞いておるわけじゃなくて、七十万の限度そのものがもう実態にそぐわないんじゃないか。ですから、いまの先ほどあなたがおっしゃった言い方から見ましても、大体七十五万程度は最低出てくるんだというような説明ございましたけれども、もういずれにしましても、この機会に大幅に認定基準を引き上げていく、こういう時期に来ているんじゃないか。その時期の問題を含んで御回答いただきたいということを言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/40
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041・手塚康夫
○説明員(手塚康夫君) 先生おっしゃるように確かに給付水準を引き上げるのに率の改善というのはわかりやすい面がございます。ただわれわれが考えましたのは、たとえば恩給ではまだ、これは短期の軍人さんの場合になりますけれども、普通恩給最低保障でも三十万という方がございます。この方が亡くなりますと奥さんには十五万ということになるわけです。片や、たとえば三百万もらっている方が亡くなるとその奥さんには百五十万上げると、いずれも二分の一という観点では確かにそれでいいのかどうかという批判もございます。たとえば六割給付ということにいたしますと、十五万の方は十八万ということで三万上がります。片や、百五十万の扶助料をもらっている方は百八十万ということで三十万上がるわけです。これはもし同じ財源を使ってやるとすれば、そういう形がいいのか、あるいは十五万を十八万じゃなくて五万積み上げて二十万にする、そのかわり百五十万の人も百五十五万ということでいくという方法もあり得るわけです。これは絶対いくとは申しません。現在の恩給の内部の情勢等いろいろ考えまして、現在ではその方法がよりふさわしいということで、その方向で推し進めておるわけでございます。
したがって、最低保障のところで見ますと、最低保障を単に二分の一ではなくて、特別のかさ上げも行っておりますし、それからいま言ったように寡婦加算の増額も行っているということで、いま例を挙げましたような一番低いところですと実は七割いっているわけです。ただ、そこだけで私ども七割とまだ胸を張りたくない、もっと上げていきたい。したがって、下の方はもっと八割にいってもいいじゃないかというふうに考えているわけです。ただその場合に、上の方も八割でいいのかというと実は疑問を感じている。したがって、現状では率よりも定額の改善を推し進めていきたい、そういうふうに考えているということをお話しした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/41
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042・山崎登
○説明員(山崎登君) 先ほどの遺族の数字自体先生、私言ったんですが、七十五万というのは一つの仮定のもとに言ったわけでございますが、実際に平均値は実は五十一年度末で五十八万ぐらいが全体の平均でございまして、ある百二十万の人をとって、寡婦加算を寡婦と二子がいた場合にはどうなるかという御説明をしたわけでございます。その点は現実には五十八万程度が平均値でございます。また、将来どうなるのかということでいきますと、主として生計維持関係でございますので、やはり所得税あるいは一般職の給与法上の扶養親族、そういった二つの尺度から考えていかなければならないかと思っております。
現在、一般職の給与法上の給与受給親族の限度額は六十九万円になっております。そういうものを参酌いたしまして、今後給与法上が上がれば当然考えていかなければならないと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/42
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043・佐藤三吾
○佐藤三吾君 私もそれは十分承知をした上で、たまたまあなたが七十五万という数字を使ったからそれをとらえたのですが、しかし、いま時期の問題として検討しなければならぬという情勢のお話もございましたから、いろいろ議論すればこれはもう尽きない議論になると思いますけれども、ぜひひとつこの問題については七十万というのはもう実情に合わないという実態ですね。これを寡婦加算というのは逆に言うなら遺族の場合には必ずつくわけですから、そういう問題等含めてこれはひとつ早急に検討してもらいたいということをこの機会に申し上げておきたいと思うんです。
それから恩給局の先ほどの主張については基本的には私も一致をするわけです。高い高給者の場合と低給者の場合、その実態を何とか是正していかなければならぬということについては決して反するものじゃないんですよ。しかし、だからといって現状がいいというものでは私ないと思うんです。あなたのさっきおっしゃったとおりだと思うんですね。ですから、これもやはりもとは何かといえば食えない年金というのですか、その実態から出発しておるわけですから、もしいまあなたがおっしゃったような趣旨で恩給局が考えておるなら、むしろ最低保障をうんと上げて、それがいまの現在の生活の中で実態として食えると、こういった措置を置いておって、たとえば二分の一の問題の処理をするとか、そういうものがとられていけば、私はこういう問題が強い要望となっては出てこないと思うんですね。しかし、現実は寡婦加算にしても、それから最低保障にしても現実の生活上食っていけるものじゃない。そういうところに基本的な問題があるようですから、この問題もまああなたは七〇%にとどまらず八〇%もいいというような言い方をなさって、大変私も要求八〇%ですからね、そういう意味ではいいと思うんですが、できるだけひとついま私どもが主張しておるような切実な要求にこたえて処理していくと、こういう観点でひとつ検討してもらいたいと思うんですが、そういうことでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/43
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044・手塚康夫
○説明員(手塚康夫君) 方向として、先生大体私話しましたこと御同意いただきましたので、私どもももちろんその五割といったものも変えるということ将来あり得るかと思います。ただ、恩給の現状ではそれよりまず定額的な改善それから最低保障の改善を行っていかなければいけないというふうに考えております。最低保障の改善、これは最低保障自体は共済年金などとともに行われるということでようやく追いついてきた段階でございますが、その中の遺族の給付率というものは、もう一つ恩給局として問題持っているわけでございます。その改善をここ二年間強気でやってきておるわけですが、先生の御趣旨も体し、さらにそういった点も推進してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/44
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045・佐藤三吾
○佐藤三吾君 それから大蔵省何ですね、七十万の被扶養者の限度額でなかなか厳格にしておるんですけれども、公的年金や恩給の受給者に対する課税の面ですね、これいま七十八万ですか、これはひとつむしろ、先ほどからも恩給局の方の回答の中にもございましたように、まさにいま実態としては食えない年金というか、厳しい状態にあることは先ほども議論があったとおりですが、この課税は一体受給者の中からとらなければならぬのかどうなのかですね、この問題は、これぐらいはひとつ対象から外すということについてはどういう見解を持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/45
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046・山崎登
○説明員(山崎登君) 税の問題、実は私の所管でございませんので詳しいことがここで述べられるかどうかちょっと問題でございますけれども、実は公的年金の給付におきまして、廃疾年金とか遺族年金につきましては非課税になっているわけでございまして、実は退職あるいは老齢年金というものについては一般的な給与所得として課税されている現状でございます。御指摘のように年間の老齢者控除七十八万円とか、いろいろ控除いたしまして実際に老人夫婦の場合に二百十九万円ぐらいまでは所得税の課税はされないように現在なっているようでございます。またこの点につきましては、本来所得税というものにつきましては、年金すべてのものにつきまして課税するのが従来のたてまえでございますけれども、廃疾年金とか遺族年金という方々につきましては特別に課税をしないというのが実情でございまして、この点につきましては諸外国の例におきましても年金については全部課税しているということが通例になっているようでございます。私、所管でございませんのでこれ以上の答弁もなかなかむずかしいと思います。実情はこういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/46
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047・佐藤三吾
○佐藤三吾君 二百十九万という、所管でないからこれ以上追及しませんけれども、二百十九万の内訳も聞きたいと思っておったんですけれども、私が調べたのではいろいろな、一番つく人が二百十五万ですね。そういった点もございますが、同時に諸外国の場合にこれはつくという、ここで諸外国を持ち出すということは、それは対比をしてみて、一体日本の恩給や年金というのが、諸外国の国民生活の実態から見てどう対応しているのか、そこを抜きにして税金だけ諸外国の云々と言うことは、私はそれは少し論弁じゃないかと思うんです。あなたが専門でないからこれ以上追及しませんけれども、しかしいずれにしても、公的年金や恩給の受給者の皆さんに、言うならば、何というんですか、生涯日本の工業、産業その他含めて営々として働いてきて、しかも掛金は年金の場合には半額は積み立てですからね。そういうことまでやってきて、それに課税をしていくという措置は、これは私はやっぱり人道上というか、そういった趣旨から見ても廃止をすべきだと、そういうふうに思うんです。ですから、そういった意味でこの問題についてあなたが所管でなければやむを得ませんが、今後ひとつ大蔵の中で検討してもらいたいと思います。何かありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/47
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048・山崎登
○説明員(山崎登君) いま本人の掛金だということで、確かに年金につきましてはいわゆる保険に基づきまして本人が掛金をして年金が支給されるわけでございますが、実は本人が掛金を拠出する際におきましては、社会保険料控除ということでその段階で実は税が課税されていないわけでございまして、したがって年金の際に課税するというたてまえをとっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/48
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049・佐藤三吾
○佐藤三吾君 言い方もいろいろあると思うけれども、まあいいでしょう、あなたは専門でないんだからその問題についてはまた別の機会にしましょう。
いずれにしましても先ほどからるる大蔵省の見解を聞きましたけれども、どうもここら辺の各省の意見を聞いてみると、行き着くところは大蔵省の財布のひもなり、そこが制御装置になっているようですから、ぜひひとつ私の意見を含めて検討してもらって、特に七十万の問題については早急に再検討いただくということを強く要請しておきたいと思います。
時間がございませんがもう一つ、これは大蔵省になるんですかね、聞きたいと思うのは、公的負担の改善の問題について、いま地方公務員の場合には一五%ですかね。これは厚生年金や農林手金と対比しましても格差がございますし、まあ同じ年金制度の一環としてある中で、こういう官民格差じゃありませんけれども逆な意味の格差があるということについても問題だと思うし、この改善についてどういう見解を持っておるのか。
それから同時にまた自治省にもお伺いしたいと思うんですが、地方公務員の年金の場合にはこれは交付税の中に入れておるわけですね。交付税というのはこれは地方の一般財源と見ると、一体国の負担ということが言えるのかどうなのか。こういう問題も疑問もあると思うんです。ましていわんや、何というのですか、交付税というのは基準財政需要額に基づいてやるわけですから必ずしも、一五%以下のところだってあり得るわけですね。そういったところに対してとか、不交付団体もあるわけです。そこら辺に不平等の問題が起こっておるんじゃないかと思うんで、この問題についてどういう見解なのかお聞きしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/49
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050・山崎登
○説明員(山崎登君) 現在、公的年金制度に対する公的負担の割合につきましては、地方あるいは国共済等は一五%ということになっておりまして、他の制度に比較いたしまして確かに低率になっていることは御指摘のとおりであります。社会保険に対する国庫負担のあり方についてはいろいろ種々議論のあるところでございますけれども、国庫負担につきましては、保険料だけでいきますと社会的に要求される最低限度の生活を保障するようなことができないような場合、あるいは被保険者の範囲が実は低所得者にまで及ぶような場合、その他事故が被保険者や事業主だけに費用を負担させることが必ずしも適当でないような場合、そういった合理的な理由がある場合に限られておるわけでございまして、これも社会保障制度あるいは社会保険全般にわたる緊急度というか緊要度と申しますか、そういったものに応じまして決められるべきだと考えている次第でございます。現在各制度ごとに公的負担が差があるのは、そういった合理的なものを加味いたしながら、また私ども共済年金につきましては、実は官民格差論、カラーも出ておりますけれども、厚生年金等に比較いたしまして支給開始年齢等におきまして給付水準に差があるわけでございまして、そういったことも含めてこの公的負担の割合につきましては全体として不均衡にならないように実は配慮しているところでございまして、現実に国あるいは地方の共済が現在他の制度に比べまして低過ぎるというふうには現時点では考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/50
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051・塩田章
○政府委員(塩田章君) 私どもの方のお尋ねは、交付税でなくて国庫補助で見るべきではないかという御趣旨だと思うんですが、御承知のように現在は交付税でやっております。これは事業主としての負担のほかに、公経済の主体としての負担だという意味で当該団体では公経済の主体としての百分の十五を見る、それを交付税で見るという形をとっているわけでございます。これは昭和三十七年に現行制度に移行しました際にずいぶん議論をいたしました。結論は現在のような形になりまして、その際交付税の方でもその分を増額するという形で問題を解決して現在に至っておるわけでございまして、現在のところ、これを直ちに国庫補助にという考えはいまのところ持っておらないわけでございます。
不交付団体につきましては、これはもう交付税上の現在の仕組み上当然出てくる問題でございまして、これもいま不交付団体別にというわけにはちょっとまいらないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/51
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052・佐藤三吾
○佐藤三吾君 公経済の負担という言い方をされるんですが、そういう観点に立った、たとえば地方公営企業など、こういうところは地方公営企業の会計の中で負担しておるということ自体に矛盾がありはしないか。むしろ国庫でこれを負担するという、そのときの、三十七年のときのやりとりの中身がどういう中身かよく私も存じておりませんけれども、国庫で負担するということならすきっとするわけですね。それは交付団体だろうと不交付団体だろうとすきっといくわけですね。そこ辺のいきさつを含めてどういう考えなのか、これはおたくだけでいいですか、大蔵省は要らぬ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/52
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053・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 制度発足のときの経緯はどうだったかというお尋ねでございますので、その点に関して申し上げますと、三十七年十二月にこの制度ができましたときに公的負担部分、いわゆる当時は百分の十でございましたが、その公的負担部分が国庫が負担すべきであるという議論もあったことは事実でございます。しかしながら、地方自治をたてまえとしております地方公共団体が公経済の主体としての社会保険の推進の一翼を担うという立場にあり、また、公経済の主体の中における共済組合に対する公的負担という点を考慮すれば、その年金給付に要する費用の一部を地方公共団体が負担することは合理性を欠くとは言えないという考え方でこういうふうになったわけでございます。国家公務員の共済組合制度が三十四年に発足をいたしまして、その当時地方公務員共済組合制度についてもできるだけ早く国家公務員共済組合と同時に出発するように準備を進めていたわけでございますけれども、この公的負担の負担方法をめぐりまして、財政当局との話し合いがつかずに三年おくれて三十七年に発足をした経緯があるわけでございます。そのときの決着の方法といたしまして、初年度における所要額が大体十五億だと推定をいたしまして、当時の十五億というのは、国税三税の〇・一%に相当するものだという考え方から、交付税率を〇・一%増額すると同時に、当時の地方財政上の措置として三十二年から設けられておりました臨時地方交付税の〇・三%を臨時のものではなくて恒久的なものとすることにより、合わせて〇・四%この制度発足のときに増額をすることによって解決を見た経緯がございます。そういう経緯のもとに公経済の主体としての地方自治体がその公的負担を持っているということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/53
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054・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いやいや、その次は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/54
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055・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 公営企業の分につきましては、御指摘のように、確かに公営企業会計で持っているわけでございますけれども、やはり公営企業自体が地方公共団体が公共の福祉増進という立場から公営企業を設置している企業でございまして、その事業に関する限り公経済の主体としての地位にあることには異論がないところでございます。したがって、その職員に対する関係においても公経済の主体としての責めを負うべきものでございまして、公的負担部分について公営企業会計が支出することについては実際的であり、国の三公社、国鉄、電電、専売等の三公社における取り扱いも同様の措置をとっているわけでございます。しかしながら、いわゆる公的負担部分につきまして、使用者負担分と異なりまして、国あるいは地方公共団体の当該制度に対する責任の所在を明確にするという趣旨から、公経済の主体である地方公共団体が負担しているものでございまして、地方公営企業会計においてもその負担を求めることのよしあしについては、今後公企体の共済組合制度との関連もございますので、十分検討を進めてまいりたいというつもりでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/55
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056・佐藤三吾
○佐藤三吾君 まあ論理的に言うと国が持てば一番すっきりするんだけれども、しかし、公経済の主体という言い方になると、地方公営企業の会計の中でのこれまた矛盾が出てくる。それはひとつ検討しようということですからぜひひとつ検討してもらいたいと思いますが、私はやはりこういった問題も、大蔵省は給付水準の差とか、そういろ点を見て色の方も均衡がとれたんだと、こういう言い方をしおったですけれども、これは私は若干論弁というか、そういうものじゃないと思う。やはり収入の面は、公的負担の分は公的負担としてきちっとして、給付の面で問題があるなら、それはひとつ給付の面でこの格差をなくしていくと、格差があるとするならばですよ。こういった点が常道であろうと思うので、そういう意味ではそこら辺に問題の帰結を求めずにひとつ検討してもらいたいし、それから、自治省の方でも、公経済の主体ということを言うならば、ここはひとつやっぱりそれなりに矛盾をなくする検討はきちっとしてもらわぬといかぬのじゃないかと思うのです。この件についてひとつ大臣の見解もあわせてお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/56
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057・加藤武徳
○国務大臣(加藤武徳君) 現在の百分の十五の公経済の負担がよろしいかどうかの議論は、いまるる説明がございましたように、発足以来いろいろ議論を経まして今日を迎えておると、かようなことでございます。ことに、公営企業の場合は果たして公的負担の対象、いわゆる公経済の主体となり得るかどうか、かような議論もありますことも承知をいたしておるのでございますけれども、しかし、現行制度を大きく改正いたしますにはいろいろの問題点等もあろうかと思うのでございますし、いま十分検討いたすと、かような答弁がございましたが、そのとおりに今後なおエネルギッシュに検討はいたしてまいらなければならぬと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/57
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058・佐藤三吾
○佐藤三吾君 最後にひとつお聞きしたいと思うのですが、産休補助要員というのが制度化しましたですね、法律で。この産休補助要員が制度化されたんですが、これはいま年金、恩給共に適用の対象になっていないんですよ、通算を含めて。この問題についてどういう措置を考えておるのか。恩給局でも、恩給の方は一おたくの方ですか、ひとつお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/58
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059・塩田章
○政府委員(塩田章君) お話の産休補助要員につきましては現在共済組合の対象にはなっておりません。他の年金につきましてはそれぞれ何らかの年金に入っておられると思いますけれども、共済組合につきましては対象になっておりません。その理由は、共済組合の場合は継続した雇用関係ということで組合員資格を認めますので、産休職員の場合は、その点で先生よく御存じのように、勤務する期間が、用件が終わればまた職員でなくなる、また必要に応じて代替職員として勤務すると、こういう形でございますから、雇用関係が継続的でございません。そういう意味で、現在のところ共済組合に入れるには適当でないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/59
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060・佐藤三吾
○佐藤三吾君 確かに雇用が継続というか、切れていますから、いまのたてまえから見るとなじまぬ点があると思うんですが、しかし、各自治体の任意でなくて法律的にも制度化してきちっとしたわけですから、恐らく各地の実態を見ると産休補助要員として固定されて、そして産休のことごとに特定の個人が継続して就職しておると、補助要員としての役割りを果たしておると、こういう実態もあるわけですから、これはひとついまの制度になじまないなら制度の中でどこか救済の方法があるのか、こういった問題についてひとつぜひ検討してもらいたいと思うんです。これはきょうここで即答を求めるというふうには考えておりませんけれども、今後ともひとつこういった検討をぜひお願いしておきたいと思います。
先ほどから幾つか問題点について検討事項のお約束をいただいたわけですが、特に大臣、大臣の答弁もいただきましたけれども、退職年金の老齢加算の問題であるとか、それから、先ほど申し上げました十五年年金の創設に伴ういわゆる落ちこぼれですね、雇用というために、こういった問題。それから沖繩のいわゆる占領下という特殊事情のために救済がおくれていった問題、こういった問題は切実であると同時に緊急を要する問題です。そういう意味で、ひとつ前向きの検討というものをもう一歩進めて、大臣の責任で運用上できる問題についてはこの機会に処理すると、制度上の問題については次期の機会に提案すると、法改正に踏み切ると、こういったことについて特に要請しておきたいと思いますし、御見解もお受けして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/60
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061・加藤武徳
○国務大臣(加藤武徳君) 年金制度につきましては、改正をいたしますごとに制度上前進を遂げておりますけれども、しかし、まだこれでは不十分だと、かように思える点も多いのでございますから、今後も制度の改正につきましては絶えざる努力を続けていかなければならぬと、かように思いますのと、それから現行制度上で運用いかんによりましては、何といいますか、制度の足らざるところを補い得まするようなこともあろうかと思うのでございますから、さような面につきましても格段の努力と工夫をいたしてまいりたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/61
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062・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時五分まで休憩いたします。
午後零時四分休憩
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午後一時十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/62
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063・金井元彦
○委員長(金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/63
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064・阿部憲一
○阿部憲一君 今回の地方公務員の年金制度、年金の改正につきまして、この改正案の内容を見ますと、いわゆる給与スライド、それから年金の最低保障額の引き上げ、それからもう一つは若干の新規施策としての老齢者加算の手直しなどが見られる程度の、いわば小幅の改正内容となっておりますが、しかし昨年の暮れには年金制度基本構想懇談会のこの中間意見、それから社会保障制度審議会の勧告、それから皆年金下の新年金体系が相次いで出されまして、今後のわが国の年金制度の動向を左右する道標となるのではないかとされておりますが、このような情勢を踏まえまして、地方公務員等の年金を考えますると、今後は今回のような手直し的な改正では済まなくなると、このように考えられますが、共済年金グループとしてすでに出されておりまする意見、それから勧告等を踏まえまして、共済年金のあり方など今後の対応策を協議していく必要があるのではないかと思うのですが、現状はどのようになっておりまするかお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/64
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065・塩田章
○政府委員(塩田章君) 今回の改正が小幅にとどまっておることは先ほど御指摘のあったとおりでございまして、その背景にいま御指摘のございましたような大きな大改正問題が控えておるということでございます。そのまた背景と申しますか動機となりましたことは、御承知のようにわが国全体が大きく老齢化社会に移行していくというのがバックにございまして、現在の各年金通じましていまの年金制度をどこまで維持できるかという大問題がございますので、それを動機といたしまして、いま御指摘のような二つの中間意見あるいは勧告が相次いで出されて、しかも基本的には同じような基本年金あるいは基礎年金構想といったものが打ち出されておるわけでございます。これが今後どういうような検討過程に入っていくかまだ定かではございませんけれども、私ども五つの共済組合といたしましてもやはり最大の関心を持つべき事項でございまして、早速この三月にも私ども関係者、国家公務員、それから公企体、それから私ども三者の会合を持ちまして、この問題だけではございませんけれども、将来の検討を開始する必要があるということで、会合第一回目を持ったような次第でございまして、今後ともそういった問題、十分な関心を持って対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/65
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066・阿部憲一
○阿部憲一君 いまの会合ではどのようなことが話し合われるのか。たとえば昨年論議されました官民格差それから官官格差と申しましょうか、あるいはまた年金の一本化への対応策などについて具体的に話し合われる議題が決められているのではないかと、このように思いますけれども、その辺いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/66
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067・塩田章
○政府委員(塩田章君) 実は三月の末に開きまして、どういうことを具体的にテーマとして取り上げていくかということを、各委員の方々フリートーキングいただきまして、結局集まった各先生方がどういう問題を持って、認識しておられるか、それを出し合おうではないか。それを出し合った上で、まとめて具体的な検討項目を決めていこうということで、一たん解散いたしまして、五月の連休明けまでに各先生方から意見を持ち寄っていただいております。それを地方共済の方は私どもの方でまとめて、いま大蔵省の方に出しておりますけれども、三つのそれぞれのグループから出たものをまとめておる段階でございまして、それでもう一遍開きまして、その中からどの項目を取り上げていくかというふうに進んでいくんだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/67
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068・阿部憲一
○阿部憲一君 そのようないろいろな課題が出ておりますけれども、自治省とされましてはこの考えている課題、特にどんなことを具体的に考えておられるのか伺いたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/68
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069・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 基本的な事項といたしましては、地方公務員の年金制度の性格あるいは公的年金制度における地方公務員制度と申しますか、公務員の共済制度の位置づけの問題、それから財政方式のあり方がいろいろ問題になっておりますが、積み立て方式がいいのか、賦課方式がいいのか、あるいは国庫負担のあり方をどうすべきかというような問題を含めた財政方式の問題。それから年額改定のあり方の問題といたしまして、給与のスライドがいいのか、あるいは消費者物価指数によるスライドがいいのか、あるいはスライドの法制化がいいのかというような年金額改定の問題。
それから年金の給付の一般的な事項といたしましては、最低保障額のあり方の問題あるいは先ほど阿部委員が言われましたような支給開始年齢の格差の問題、それから減額退職年金の減額率のあり方の問題等、それから退職一時金制度のあり方、それから遺族年金についての支給率あるいは遺族の範囲の問題、そういう問題を問題点として認識をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/69
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070・阿部憲一
○阿部憲一君 この現状から見まして、いまの国家公務員共済ですか、それから地方公務員の共済組合、それから公共企業体職員共済ですか、この三者による協議は確かに必要でございまするし、結構なことだと思いまするけれども、各共済にある共済審議会との関係はどのようになってくるのか、いわゆる屋上屋を架するというような感じもしますし、また逆にそのことから審議会そのものの空洞化というふうなことも招くことになりはしないかとも心配されますが、その辺いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/70
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071・塩田章
○政府委員(塩田章君) 各共済組合の設けております審議会、これは当然地方共済の場合は自治大臣の諮問機関として機能していただかなきゃなりませんし、その点について何らの変更を加えるつもりではもちろんございません。御承知のように公企体の方は審議会がないわけでございます。三者集まるといいましても、ですから一応各あります審議会とは関係なしに、いま福利課長が申しましたような観点を、しかも、それも共通な観点を議題にして勉強していこうじゃないかということでございまして、基本的に国家公務員共済にあります審議会にしましても、私どもの審議会にしましても、従前の機能に何ら変更を加えるつもりではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/71
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072・阿部憲一
○阿部憲一君 そうすると、この三者による協議会というのはまだはっきり構想が決まっておるわけじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/72
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073・塩田章
○政府委員(塩田章君) これは全く任意に私ども関係者が寄り寄り集まりまして第一回目の会合を持ったということでございまして、一回目の会合はすでに持っておりますからないわけじゃない、発足はしておるわけですけれども、制度的なものではもちろんございませんで、全く任意に集まっておるという性格のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/73
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074・阿部憲一
○阿部憲一君 そうすると、この協議会そのものもまだ協議会というほどの具体化したものじゃなくて、任意の懇談会みたいなものでございますね。これに対して当局ではどんなふうにお考えになるというか期待しておりますか、この協議会そのものを。本当の具体的な協議会に発展さしていくのか、それとも大したものじゃないから、いままで一回、二回と開かれたような懇談会式なものでもいいとか、こんなふうにもお考えですか、そこら辺の御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/74
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075・塩田章
○政府委員(塩田章君) ただいまの時点でこれを将来どういう形に持っていくかということについて明確な案を持っているわけじゃございませんで、むしろとにかくああいう二つの大きな答申も出たし、官民格差のこともいろいろあったし、この際お互いに集まって意見を交換しようじゃないかということでスタートしたというのが実情でございます。ただ、そうは申しましても、地方共済の場合も地方共済の現在の審議会の委員の中から出ていただいておりますし、国家公務員の方もそうでございます。公企体の方は審議会ございませんから、別な形で出ておられますが、いずれにしましても、こういったこの道のそうそうたる方がお集まりいただいておりますので、形はともかくとしまして、中身は非常に私ども期待していい御議論がいただけるんじゃないかというふうに、そういう期待はいたしておりますけれども、それをいまお話しのようにどういう形に持っていくかと、何らかの制度的なものにするかということは、今後やってみまして逐次そういったものをあわせて考えていきたいと、いまの時点では当面いまの懇談会の形で進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/75
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076・阿部憲一
○阿部憲一君 いまの懇談会ですか、新聞の報道によりますと、このように各共済組合の関係者が会議といいましょうか、懇談会を持つようになった背景としては、官民格差に対する批判、いま言われましたように、それから今後の財源難が予想されることなどを挙げておりますが、ところで、この地方公務員の各共済組合の長期給付の将来の財源というものはどのようになるのか、まずお尋ねしたいと思います。
それからまた、この前の昭和四十九年十二月の財源率の再計算のときに、国家公務員共済では修正率による保険料率の引き上げ緩和が行われました。後代に財源負担を回しているけれども、地方公務員共済ではどのようにしているのかお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/76
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077・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 地方公務員共済組合の長期給付の将来の見通しでございますが、五十一年決算におきます収入額が一兆一千九百億に対しまして、支出額が五千五百億でございまして、差し引き六千三百億の資産増となっているわけでございます。しかしながら責任準備金の積立額は過去十五年間で四兆ほどになっているわけでございますけれども、その責任準備金の積立額につきましては、毎年度年金額の改定が行われております関係上、相当の不足金を来しているわけでございます。四十九年に実施されました長期給付の財源率の再計算の際に、国家公務員共済組合において八割の割り落としをしたと、こういう御指摘でございますが、これは国家公務員共済組合が行いました所要財源率の計算方法といたしまして、平準保険料方式によるものといたしたわけでございます。その際、国家公務員共済組合の場合には、その前の四十八年のときに厚生年金保険がやりました方式等を参酌いたしまして、八割の調整率を掛けたわけでございます。しかし地方公務員の場合には、現実に各共済組合におきまして、この平準保険料の計算を行うに必要な不足金補てん財源率の算出の基礎になる資料が制度発足後未成熟な状態にございまして、資料の収集が整備されておらなかったために、現実には従来の算定方式、すなわち数理的保険料方式によって再計算を実施いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/77
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078・阿部憲一
○阿部憲一君 財源の積み立て不足があるといま聞きましたが、完全積立方式で計算した場合に対しまして現在の積立額、これは何割程度になりますですか。それからまた、この不足額を今後どのように手当てしていくか、財源見通しはどのようになっているのか、あわせて御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/78
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079・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 四十八年末現在の数値しか出ておりませんけれども、現在の積立金の不足額が一兆七千九百六十六億になっております。この一兆七千億の不足積立金につきまして完全積み立てをした場合の不足額がどれぐらいかという御指摘でございますけれども、責任準備金の額自体の計算がまだ行われておりませんので、不足額がどの程度あるかは割合としてお示し申し上げるわけにはいかないわけでございますけれども、いま申し上げました一兆七千九百億の不足金を財源率に換算いたしますと、千分の二十七・一に相当するわけでございます。
これらの不足金の処理をどうするかという今後の問題でございますけれども、阿部委員も御案内のとおり、再計算が五年に一度行われますので、次回の計算期、すなわち五十四年の十二月に行います再計算の際に総合保険料方式によりまして計算をし、さらに各年度ごとの収支の見通しも同時に出しまして、その際検討をいたす予定にしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/79
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080・阿部憲一
○阿部憲一君 すると、お見通しとしてはどうなんですか、大体この積立額というのはどのくらいのものになるか、来年の。わかりませんか、そういうことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/80
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081・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 先ほども申し上げましたように、資料の整備がまだ未成熟のためにできていなかったために、前回は平準保健料方式の計算が完全にできなかったわけでございます。したがいまして次回の五十四年度のときにきちっとしたものを出すように鋭意資料を収集中でございまして、その際にはどのぐらい、完全積立方式にした場合にはどうなるのかという数字が出るわけでございます。すなわち総合保険料方式と申しますのは、従来の数理的保険料方式と違いまして、数理的保険料方式というのは、まあ一定の保険集団の仮定の将来の収支見通しを出すのが数理的保険料でございますけれども、来年行います総合保険料方式による再計算は、現在いる組合員の過去の経歴を全部洗いざらいに出しまして、そして現在支給者あるいは年金受給者あるいは通算退職年金の待期者等、将来の加入者についてまでも現在の本俸並びに施行法によって計算した場合に将来年金給付がどのように行われていくか、それを年金現価に置き直した場合にどうなるかという、現在の実態に即した計算をすることにいたしておりますので、次回の五十四年十二月の計算期には、いま御指摘の完全積み立てをした場合の額というのが出るのではなかろうかという感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/81
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082・阿部憲一
○阿部憲一君 そうすると、いまのお話、来年の何月ごろになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/82
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083・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 前回やりましたのが四十九年の十二月を基準として計算いたしておりまして、法律によりまして、少なくとも五年に一度は計算をしようと、こうなっておりますので、次回は五十四年の十二月を基準にいたすことを予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/83
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084・阿部憲一
○阿部憲一君 最近では地方公共団体によって給与の引き上げ率が人事院の勧告による引き上げ率よりも低い団体があると思いますが、この場合に仮定俸給が現職の給与よりも高くなるということが生じないかどうか、この辺のところを伺いたいと思いますし、また退職年次による格差という問題が生じてこないかどうか、この辺の御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/84
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085・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 御指摘のように地方公共団体の給与というのは、地方公共団体千差万別でございまして、給与の改定の改定率自体が各団体によって差異がございます。したがいまして、今回御審議をいただいております年金額の改定につきましても、国家公務員の五十二年度における人事院勧告の増額傾向を分析した結果に基づいて改定をいたすことにいたしておりまして、その改定率を一つの指標として使っているわけでございます。阿部委員がいま御指摘になりましたように、各地方公共団体ばらばらでございますので、本来であれば当該退職をする前に勤務しておった地方団体の改定率によって改定するというのも一つの案かもしれませんけれども、三千幾つの地方団体ごとに年金の額の改定率を出すということも至難なことでございますし、現在は国家公務員の改定率を使っておりますので、そういう御指摘の格差は生じようかと思いますけれども、方法としてそれしかないと、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/85
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086・阿部憲一
○阿部憲一君 もう少し何というか、公平といいましょうか、きめの細かい何か対策はないもんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/86
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087・塩田章
○政府委員(塩田章君) いまも福利課長がお答えいたしましたように、三千幾らの団体がございますもんですから、仮にこれを別々にやるとなりますとなかなか容易ではございませんし、それがまた実態に合うのかどうかもまた別の意味の議論もあろうかと思います。実際は国家公務員の共済あるいは恩給その他すべていま国家公務員のべースアップにスライドしているという形をとっておりますが、いろいろ理屈はあるかもしれませんが、現実の施策としましてはこれによるのがいまの時点では一番よろしいんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/87
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088・阿部憲一
○阿部憲一君 次に、最低保障についてお伺いしたいんですが、今回六十五歳以上の者で最短年金年限以上の場合の退職年金の最低保障額が六十二万二千円に引き上げられるようでございますが、これは厚生年金の算定方式によって年金年限二十年で三万円の標準報酬の場合をとってきて算定された額になっております。
そこでお伺いしたいのは、何ゆえにこのような厚生年金の方式を算定根拠に、共済年金の最低保障の制度として取り入れたのか、そのいきさつですか、経緯についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/88
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089・塩田章
○政府委員(塩田章君) 御承知のように厚生年金の方はいわゆる定額部分と報酬比例部分とございまして、定額部分を六〇%、報酬比例部分は四〇%ということでやっておりますが、地方公務員の場合どういう方式をとるかと考えます場合に、一つの考え方としまして、共済組合の支給する年金の給付水準につきまして、少なくとも厚生年金の給付水準を下回らないようにいたしたいということが一つ考えられるわけでございます。そういう観点からしますと、厚生年金の定額部分とそれから報酬比例部分と分けたやり方に対しまして、共済年金はその全部が給料に比例する方式をとっておりますから、場合によりましたら給料の低い人は厚生年金よりも低いという、場合によっては著しく低いということも起こり得るわけでございます。というのは、厚生年金は六〇%定額にしておりますから、厚生年金の方の低い人は非常に底上げされているといいますか、定額になっている部分だけ有利になるわけです。それが地方公務員の場合それをやりませんと、全部給料に比例しますと著しく低いということも起こり得るわけでございますので、低い人の最低を保障するという意味では、厚生年金の方式を取り入れた方がいいんではないかということでやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/89
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090・阿部憲一
○阿部憲一君 そうすると高い方の人に対してはどういうふうなかっこうになるわけですか。いま低い人を非常にカバーするためにやったようなことですけれども、そこらの基準といいましょうか、どうなっておりますか、お伺いしたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/90
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091・塩田章
○政府委員(塩田章君) 上限につきましてはことしまで、五十二年までは三十六万円、いまお願いしているのでいきますと三十八万円という上限がつくられますので、この点はいずれにしましてもそれ以上の人は幾らあっても三十八万円ということで抑えられますので、その点はそれでよろしいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/91
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092・阿部憲一
○阿部憲一君 公平じゃないけれどもそれでやむを得ないということですね。
いま私お伺いしましたのは、算定根拠の三万円ですが、厚生年金の標準報酬の最低額となっているわけですが、そのまま取り入れたのでは、公務員の職務の特殊性というものが反映されていないということになるのではないかと思われますが、この最低保障額を再検討する必要があるかというふうにも考えられますが、この辺のところ御説明願いたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/92
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093・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) いまお話しのように、最低保障額の算定の基礎に用います定額部分と報酬比例部分の、その報酬比例部分の額は御指摘のように標準報酬月額の最下限三万円を使っていることは御指摘のとおりでございます。ただ最低保障額の算定に、いま公務員部長が御説明申し上げましたような考え方から厚生年金のルールによる最低保障額を算定いたしているわけでございますけれども、御承知のように退職年金の算定方法には二通りございまして、一つは、いわゆる基本ルールというのがございます。それは退職前一年間の平均給料に在職年数に応じた支給率を乗じて算定をしたのが基本ルールでございます。もう一つ通算年金ルールと言われている算定方式がございまして、これは四十八年に厚生年金保険が大幅に引き上げになりましたときに、低額の給与を受けている職員の、いわゆる低額給与者の年金が、厚生年金よりも下回る結果になったのに対応いたしましてつくられた制度でございまして、厚生年金保険における計算ルールによって置き直した場合の計算額と、先ほど申し上げました基本ルールによって計算した額とのいずれか高い額をとることにいたしているわけでございます。したがいまして、公務員の場合に最低保障額に係るものにつきましては、確かに標準報酬の最下限の三万円を使っているわけでございますけれども、一般的には標準報酬がというか、退職前一年間の給料が三万円ということはあり得ないわけでございまして、退職年金の受給者が退職時の、退職前一年間の給料をとります場合に、基本ルールによる計算よりも通算年金ルールによる計算の方が高い場合にはそちらをとるわけでございまして、そういう意味におきまして、最低保障の算定の基礎には三万円を使っておりますけれども、実際の通算年金ルールによる計算をいたします場合には、退職前一年間の平均給与を基礎にいたしまして報酬比例部分の計算をいたすことになっておりますので、三万円との差は出てまいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/93
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094・阿部憲一
○阿部憲一君 そうしますと結局あれですか、公務員の特殊性というものはいま多少加味されているというふうに了解していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/94
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095・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) ただいま申し上げましたように、給与のとり方につきまして、厚生年金保険におきましては全保険者期間の平均をとることにいたしておるのに対しまして、公務員共済制度におきましては、退職前一年間の平均給与をとっているというところに、公務員の特殊性と申しますか、給与の実態が年金にも反映している、こう理解いたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/95
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096・阿部憲一
○阿部憲一君 次に、老齢者加算についてお伺いしたいんですが、従前は八十歳と七十歳とに区分されて、加算の特例措置がなされておりました。それを今回の改正で七十歳以上のものに一本化され、最短年金年限を超える年数によって給料の年額の三百分の一、あるいは三百分の二の加算がなされるということになっておりますが、老齢者加算をする理由を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/96
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097・塩田章
○政府委員(塩田章君) 老齢者加算の制度は、四十九年の恩給制度の改正に準じまして、長期間公務員として勤務し、老齢となったという方に対する優遇措置ということで、趣旨はそういう趣旨で創設されたものでございます。その改正の経過を見ますと、四十九年の創設当時はすべて七十歳以上につきまして加算率が三百分の一ということでスタートしたわけでございますが、その後翌年の五十年の改正におきまして、等しく七十歳以上といいましても、そのうちで八十歳以上の方につきましてなお一段と優遇した方がいいではないかということで、八十歳以上の方には十年という限度はつけておりますけれども、三百分の二という加算率を加えて優遇を図ったわけでございます。五十一年の改正におきましては、そのとき残されたといいますか、七十歳以上の方につきまして五年という限度をつけまして三百分の二ということで八十歳以上とのバランスをとるという改正をしたわけでございますが、今回再び七十歳以上は全部一律にしまして、十三年という限度で三百分の二という改正をいまお願いしておるわけでございます。これはそういった経過を見ますと、七十歳以上についてスタートしまして、さらにその中で八十歳以上を優遇するという形がとられて、そしてまた今回七十歳以上を一律にするということで、そういった経過はあるわけでございますが、基本的な思想としましては、逐次全体を改善するといいますか、引き上げてきておるということでございますので、今回七十歳以上、八十歳以上も含めまして、そういう意味では非常に改善といいますか、そういう方向で改正方をお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/97
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098・阿部憲一
○阿部憲一君 そうすると、いわゆる八十歳以上の人ですか、恩典といいましょうか、消えてしまったわけですが、それは全体を引き上げるために犠牲にした、こういうふうに解釈していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/98
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099・塩田章
○政府委員(塩田章君) 犠牲にしたというわけじゃなくて、八十歳以上の方もよくなっておるわけでございます。ランクづけがなくなったということでございますけれども、八十歳の方も従前の、去年までのよりはよくなっておる。七十歳以上の人が全体に引き上がった中で、八十歳以上の方も決して従前のままとか、あるいは悪くなったということではございませんので、そういう意味では犠牲になったということではないと、全体がよくなったというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/99
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100・阿部憲一
○阿部憲一君 この加算の特例は、恩給、年金条例職員期間などの合算によってそれを超える場合のみに適用するようになっておりますね。先ほどの答弁からすれば、適用期間も含めて加算の特例の適用ができるようにする必要があるのではないかと思うんですけれども、特例措置の適用範囲の拡大など図られませんかどうか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/100
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101・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) ただいまお尋ねの点は、老齢者加算の対象期間について、恩給制度の適用を受けておったいわゆる恩給公務員期間、それから地方公共団体の退隠料条例の適用を受けておった退職年金条例期間、それから雇用人の昔の共済組合制度である旧長期組合員期間、これを対象にいたしまして退職年金の老齢加算についての制度が設けられているわけでございます。しかしながら、廃疾年金と遺族年金につきましては、その廃疾年金なり遺族年金を受ける受給者の生活の実態を勘案いたしまして、それ以外のいわゆる施行日前の制度の適用を受けなかった期間についても、その対象期間にしているわけでございます。御指摘のように、退職年金についても、老齢者加算が老齢者を優遇するという見地から設けられた趣旨からいたしまして、拡大する方向で将来検討はいたすべきものであるとは考えますが、創設の当初におきましては廃疾年金と遺族年金の受給者の実態を考慮いたしまして、退職年金の老齢加算と区別をして設けたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/101
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102・阿部憲一
○阿部憲一君 この年金改定の実施期日ですけれども、六月一日と四月一日とに分けられていますけれども、分けられている理由をお伺いしたいし、またどの時期に両者同時に実施できるようになるのか、お見通しを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/102
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103・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 年金額の、既裁定年金額の引き上げそのものについては、全員四月実施でございます。阿部委員がいま御指摘になりました六月と四月の区分は、最低保障額の引き上げの部分につきまして四月分から引き上げをいたします部分と、六月からさらに増額をして引き上げる部分があるわけでございます。それから老齢者加算等につきましては六月から実施をすることにいたしているわけでございます。御指摘のように四月と六月に分けましたのは、給与あるいは恩給の改定率等にスライドして改定をする部分につきましては四月から実施をすることにいたしておりまして、それから政策的に増額改定を図る部分、すなわちただいま御指摘のありましたような老齢者加算、こういう制度については六月から実施をしているわけでございまして、御指摘のように、許されるならば当然四月からやる方が好ましいわけでございますけれども、財政事情その他の事情がございまして、四月と六月に二つに分けて実施時期を区分しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/103
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104・阿部憲一
○阿部憲一君 そうすると、くどいようですけれども、当分の間は四月と六月と二つに分かれるわけですね、期日は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/104
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105・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 毎年の政策判断でございまして、ことしは四月と六月に分けたわけでございますけれども、来年度以降、この改正の実施時期が、いま御指摘のように二つに分かれるのか、あるいは一本化するのか、それは来年の問題でございますので、いまからは判断できない問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/105
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106・阿部憲一
○阿部憲一君 ただ、私いま質問したのは、事情はことしも来年も再来年も変わらぬだろうということから考えまして、恐らくそれじゃ当分続くのじゃないかということをお伺いしたわけですが、来年になってあるいは変わる可能性もあるということですね。わかりました。
次に、財源関係について伺いたいと思いますが、今回の改正で財源にどの程度の影響があるのか、お伺いしたいと思いまするし、また明年、財源の再計算ということのようですけれども、これはどのように掛金率が影響されるのか、あわせてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/106
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107・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 今回の御審議をいただいております年金額の改定につきまして、施行日前の期間については追加費用というかっこうで地方公共団体が負担するわけでございます。施行日後の期間については三者がそれぞれ負担することになっているわけでございまして、今回の改定に要する増加額の現行財源率に対する影響というのは千分の一・〇七七程度であると計算されております。
そこで、来年度の財政再計算の際にどうなるのかという御指摘でございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、従来の方式と基本的に考え方を同じにいたしまして、総合保険料方式による計算方法を行いまして、さらに各年度ごとの収支の見通し等も出しまして将来に対する財源不足を生じないような計算方法をとることにいたしております。したがって、その結果財源率がどのようになるかというのは、現時点においてはまだはっきり明確にお答え申し上げる時期ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/107
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108・阿部憲一
○阿部憲一君 ところで、例年、請願で年金に対する交付税を国庫負担に改めて大幅に引き上げるといった趣旨の意見が出されておりますが、自治省の福利課長をなさっていた佐野さんの書かれた「地方公務員退職年金制度詳解」、これによりますと、交付税率の引き上げにより地方の自主財源を増強することにより、長期給付に要する費用の一〇%及び事務費の全額を地方公共団体が負担することとして、それまでの国庫負担論争に終止符が打たれることになったのである。と、こういうふうに述べておられますけれども、現在公的負担分は一五%になっているものの、一方で年金受給者はふえて、年金額は増額されてきて所要財源がふえてきておる現状でございます。こうした中で、出発当初の交付税に代がえさせた国庫負担分の交付税に占める状況はどのような変遷をたどっているかお尋ねしたい。
それからまた、請願の趣旨のように一五%分の国庫負担として交付税の中から分離した方が交付税制度としても制度上すっきりするのではないかとも考えられますが、この辺についてのお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/108
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109・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 従来から公的負担分について交付税措置をしていることは、ただいま御指摘のとおりでございますが、その経緯につきましては、いま引用されましたとおり、三十七年十二月にこの制度ができましたときに、いわゆる国庫補助による負担をするように強く自治省としては要求をいたしたわけでございます。しかしながら、公経済の主体としての地方公共団体が負担することについて交付税措置をすればそれで足りるのではないかという議論もございまして、結局午前中にもお答え申し上げましたように、三年間国家公務員よりもおくれて地方公務員の共済制度が出発したわけでございます。その際のいきさつといたしまして、当時、長期給付に要する費用とそれから事務費の合計額が大体十五億と見込まれておりました。それが国税三税に対する割合が〇・一の比率であったわけでございます。三十二年ごろから地方財政の窮迫に伴いまして臨時交付税というかっこうで〇・三%の臨時交付税が支給されておりましたが、この共済制度を施行いたします三十七年に、ただいま申し上げました〇・一とそれから臨時交付として定められておりました臨時交付税率の〇・三を加えました〇・四を恒久化することによって、まあ公経済の主体である地方公共団体が負担するというかっこうで決着を見たわけでございます。
そこで、お尋ねの三十七年当時は、確かに十五億に相当するものとして〇・一%というように計算をされていたわけでございますが、その後の推移は、昭和五十年度におきましては、事務費とそれから長期給付に要する費用の負担割合が交付税の国税三税に対して〇・一八%、それから五十二年度におきましては〇・二四%でございまして、先ほど申し上げましたような〇・四%にはまだ達してない実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/109
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110・阿部憲一
○阿部憲一君 以上、若干の質問をしてまいりましたんですが、最後に自治大臣にちょっとお伺いしたいんですが、私が冒頭で述べましたように、この年金一本化の動きというのはいわゆる時の流れではないかと考えられますが、その中で、公務員の特殊性なり職務上の特別な拘束性というものをどのように年金に反映させるのかということが課題になると思いますが、この点にどのように大臣としては対応されるか、またどんな御見解をお持ちになっているかお伺いして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/110
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111・加藤武徳
○国務大臣(加藤武徳君) 昨年の十二月に大きな答申が二つ出まして、基本年金という表現と、基礎年金という表現にはニュアンスの若干の開きはございますけれども、全国民に対して一定額の年金を基本的に支給しなければならぬ、この考え方では両者共通であろうかと思います。そこで、この答申を軸にいたしましてこれから大きく年金制度が動いてまいりますことが予想されるのでありまして、そこで公務員並びに公共企業体の関係者が三者集まりまして懇談会を持っておりますことは、先ほど部長が答弁いたしたとおりでございます。まだ具体的にどういう方向でということは明確ではございませんけれども、しかし、この両構想を、答申なりあるいは建議を中心にして動くことだけは事実であろうと、かように考えます。その際、公務員共済のあり方でございますけれども、いまの年金制度はなるほど社会保険の制度でありますことは間違いがございませんが、しかし、公務員はまた公務員としての立場がありますわけでございますから、ですから、仮に基礎年金なり基本年金の制度が逐次具体化するに伴いまして、公務員は公務員の立場においてさような理念を基本にいたしながらどうなければならぬか、これを模索していかなければならぬ、かように考えております。
そこで、私どももこれからいろいろ研究してまいらなければなりませんけれども、しかし、共済組合の審議会もあることでございますから、審議会の御意見なんかも十分にお伺いをしながら新しい制度のあり方について検討いたしてまいる、かような根本の気持ちを持っているようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/111
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112・神谷信之助
○神谷信之助君 まず最初に、市町村共済の短期の財源率、特に掛金問題について、昨年もお尋ねしたわけですが、引き続いてお伺いしたいと思うんです。
市町村職員の共済あるいは健保の問題ですが、健保適用のところが四十七市、約三十八万おりますね。そのうち政令都市の関係を除きますと十七万。それに対して同じ市町村職員の共済組合の方が約八十九万。ところが、同じ市町村職員でありながら健保適用の方は平均千分の二十五・八ぐらいの掛金率。こちらの共済の方は平均千分の四十四・八というように掛金率で非常に大きな開きがある。この点についてどういう考えをお持ちか、まずその点からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/112
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113・塩田章
○政府委員(塩田章君) 等しく地方公務員でありながら健保に入っておる都市がございまして、その間にいま御指摘のような掛金に差があるということは御指摘のとおりでございます。この点につきましては、私ども、健保の方の指導方針としまして、基本的には、法定給付分についてはフィフティー・フィフティーであるべきだという指導が厚生省の方からなされておりまして、実際には、いま御指摘のような数字になっておりまして、その間にかなり、何と申しますか、実際の指導というか、実際の掛金との間にかなり差があるというのが実態であるということはよく認識しております。ただ、この点は、私どもやはり基本的に社会保険の考え方としましてそういった掛金もフィフティー・フィフティーの方向にいくべきであるということで考えておるわけでございますが、成立当初のいきさつ等ございまして、いまにわかに、何といいますか、改正、改善が図られなくて実態がかなり差があるということでございますけれども、まあ逐次市町村共済の、健康保険に入っている市町村の方も、その点は厚生省の基本的な指導の方向に動いていくんであろうというふうに考えております。したがいまして、私どものいまの時点でかなり大きな差があることは事実として承知いたしておりますけれども、これによって市町村共済の方を直ちにどうするということじゃなしに、健保に入っている方を本来の姿から言いまして改善されるべきではないかと。なかなか実際は早急にはいきませんけれども、気持ちとしてはそういう方向でいくべきであるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/113
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114・神谷信之助
○神谷信之助君 これはもう自治省の考え方は根本的にわれわれは納得できませんね。反対の方向ですね。われわれの方は事業者負担を七割、労働者負担を三割にせいと、諸外国でもそうなっておるじゃないかというのがわが党のみならず多くの野党は主張しているところですね。ところが、自治省の方は市町村健保の方はそういう状況が六割から七割の状況でありますから、だから掛金率は低いと、それがけしからぬので、共済の方に足並みをそろえようというのはこれはどうもわれわれとしては納得できない問題ですね。実際そういう方向で考えておられるんですか。福祉を優先し、そして働いている職員のそういう福利厚生条件というのを考え、それを高めていくと、できるだけ負担も、とりわけ今日の生活の条件ですから、それを何とか向上させる方向に進めていこうという方向じゃなしに、そうじゃなしに悪い方へ地ならしをすると、そういうのが自治省の方針なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/114
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115・塩田章
○政府委員(塩田章君) これは制度ができましたときにいきさつがあることでございますから、私ども現状をけしからぬことだというふうに思っておるわけでは決してございません。ございませんが、どういう方向にあるべきかということにつきましては、やはり社会保険でございますから、厚生省の方あるいは社会保障制度審議会の答申にもございましたように、基本的な考え方としてフィフティー・フィフティーであるべきだという考え方が出ておるわけでございまして、それは私どもは基本的な考え方として私どももそれを、何といいますか、納得しておるわけでございまして、それを直ちに変えるということじゃございませんで、やはり厚生省のそういった指導というのはそれでよろしいんではないかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/115
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116・神谷信之助
○神谷信之助君 ちょっともう一遍念のために聞きますが、厚生省の方針はそうだと、それは厚生省の方針としてまた厚生省と話をしなきゃいかぬ問題ですね。しかし市町村の健保組合はいままでの経過、既得権といいますか、実績がありますね。これはもうけしからぬといってフィフティー・フィフティーにせいという指導をするということではないか、いまの二回目の答弁はそう聞いたんですが、そう理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/116
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117・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 公務員が組織いたします健康保険組合制度の、健康保険組合の保険料率の負担割合について御指摘のように格差がございますが、それは健康保険組合の問題でございまして、厚生省が所管をいたしておりまして、健康保険組合の指導あるいは事業運営の基準等も厚生省が指導している事項でございます。したがいまして、公務員の福祉という立場から都市共済組合が、都市が持っている健康保険制度のあり方について関心を持つことは持っておりますけれども、それをどうこうしようというところまで考えているわけではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/117
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118・神谷信之助
○神谷信之助君 さらにそれは厚生省の所管ですから、自治省としてどうのこうの、関心はあるけれどもしようというものではないと、当然のことだと思いますが、逆に私はだから自治省の方としては、共済組合法の適用を受けているこちらの方の共済ですね、市町村共済の方、これの掛金率が、今日の医療費の増高等で高まってきているわけですね。財源率が千分の百を超えるところについては交付税で、特交で措置をするとか、そういうことで五十一年度からやっておられるわけです。これはできるだけそういうことで掛金率を引き上げ、これでは千分の五十になりますね。それ以上にはならないようにしようという点で、一定の歯どめを加えながら組合員の負担についての重圧を避けるということについては、この努力はこれからもするという、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/118
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119・塩田章
○政府委員(塩田章君) 御指摘のように五十一年からいまのような制度を、制度といいますか、措置をとったわけでございますが、五十一年当時はいわゆる臨時応急的措置ということでとりまして、その後の推移を見ておったわけでございますが、五十二年にもやはり同じような状況で三組合ほどございましたものですから、同じような措置をとっております。しかし、これは特別交付税で措置しておるもんでございますから、いわゆる、何といいますか、恒久的制度としてこういうものを打ち出すということではまだ踏み切れておるわけではございません。もし恒久的制度であれば、特別交付税でない形で措置する方がいいんじゃないかという議論も当然出てまいります。したがいまして、いまのところまだ五十一年、五十二年二カ年でございますから、ああいう形の応急措置としてとっておりますけれども、今後の事態をやはり見ながら、いかにいかなる措置をとっていった方がいいかということは考えていかなきゃいかぬ。その際に御指摘のように千分の五十というのはやはり一つのめどとして、それより高いということは、まあ何らかの措置を考えなきゃいかぬだろうということは申し上げられると思いますが、具体的にいまの形がそのまま維持されるというふうにはまだ固まっていないというふうに申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/119
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120・神谷信之助
○神谷信之助君 それじゃ、今度五十三年度は大体十組合ぐらいになるであろうというふうに聞いておりますが、五十三年度は少なくとも特交措置を考えておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/120
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121・塩田章
○政府委員(塩田章君) 一応十組合ばかりがいまの予算段階で想定されております。決算段階でどうなるかまだわかりませんが、五十三年度では、もし出るようであれば同じような措置を考えるべきであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/121
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122・神谷信之助
○神谷信之助君 そこで、もう一つ健康保険組合、健保の場合は上限を千分の四十にしていますね。それで昨年ちょっとお聞きをして、市町村健保の場合には千分の四十は市町村共済の方の組合員の平均値、給与その他から考えれば、それは千分の四十五になるから、いまの千分の五十を上限にして、それ以上は特交措置にしているんですけれども、これを千分の四十五にしてもらいたいという問題で、そういう計算をされている問題について去年質問したわけです。そうすると自治省の方の御意見は、地方公務員全体一本で考えない、それは市町村共済関係だけで見てもらうのはぐあいが悪いと、疑問があると、そういう点について。というのが主要な疑問点として出されておりました。
その点について私はさらにちょっとお伺いしたいんですけれども、地共済の方は、五十二年度の財源率が千分の八十一・二だったのが今年度は千分の九十・五というところですね。それに対して市町村共済が救済をされるところが千分の百になりますからね、財源率が。こういうことになるわけでしょう、これに該当するというのは。この点でも同じではないですね。だから当面市町村共済が、とりわけ市町村の職員の給与自身も全体として低いわけですし、それから賃金水準の高いところは、政令都市その他の県庁所在地なんかは健保組合をやっていますから、そういうところはどっと抜けておるわけですからね。ですから、そういう点も考慮をするならば、これはひとつ私は考える必要があるというふうに思うんです。去年御指摘にあったそういう点とか、税務職員とか、いろいろ手当の問題とか、それから調整手当とか、そういった点もう一遍再計算をしてもらいました。してもらいますと、大体千分の四十五・八三が、健保の千分の四十に該当するという計算が出てきているんです、自治省の方御存じかどうか知りませんが。そういう市町村共済自身の掛金率がどんどん、それぞれの単位ごとですね、給与の方はぱらつきがありますからそういう状況が起こってくると。そういうことよりは、地方公務員全体の水準を公平にするという上で、私考え方としては平均給与といいますか、その辺を一つ基準にした方法があるんじゃないかと思うんです。たとえば具体的に申し上げますと、市町村共済組合の平均給与で見ますと、最低が石川県で組合員一人平均十二万八千四百九十三円、最高が山口県で十六万九千六百二円で約四万の差になっています。全国平均は十四万九千八百三十二円。これは五十三年一月の調査です。ですから、全国平均より低いところで財源率の高いところと、こういうところに負担の軽減を考えるというようにしたらどうかというように思うんですね。たとえば石川県は財源率が百五ですね。それから全国平均給与とすれば九十に下がっておる。全国平均給与と対比してやりますとちょうど九十ですね。ですから掛金率を九十の二分の一で四十五ということで負担金率百五から四十五引いた六十、そのうち六十から二分の百五を引きました七・五ですね、これを国庫補助対象にするとかしてやると、そういうことでばらつきを少しでも改善をする方法ですね、これ一例ですから。
こういうのをひとつ考えてもらうことが、とりわけいま特に市町村財政が窮迫をしているし、そういう財政力の弱いところの賃金水準というのは不況が高まる中でなかなかそうはいきませんしね、その中でそう掛金率をふやすわけにもいかぬと。しかもそれは都市近郊ですと若い職員が多いですけれども、比較的平均年齢も高くなってきていますから。そういった状況なんかを考えれば、そういう、何といいますか、財源率が高くてしかも平均給与全国平均よりも低いようなところ、それらに対する救済措置として千分の四十五を基準にして、その差額を考えてみるというような方法も一つの手段ではないかというように思うんですね。また、千分の百を超えたところを特交で措置をして制度化をしているわけではないとおっしゃるわけです、これは。もし制度化をするということで考えられる場合は、ひとつそういうことも含めてあるいは特交措置をする場合にもそういうことを含めて検討する必要があるんじゃないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/122
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123・塩田章
○政府委員(塩田章君) いま細かい数字を挙げて一つの御提案もあったわけでございますが、先ほどお答えしましたように、少なくともいまの時点では私どもは五十一年からいわゆる臨時的措置としてとったということでございまして、これを今後どういうふうに持っていくのか、もちろん基本的には医療制度の改正と非常に結びつく問題でございますから、その辺等もにらみながら今後の方向は考えていかにゃいかぬ。またことしの、あるいはここ一年後の推移を見まして、その特交措置が必要なところがどんどん出てくるというふうな状況になるのかどうか、その辺をよくにらみながらいまの措置の今後のあり方を考えていかにゃいかぬと思っております。その際にはもし何らかの措置をとる、制度的にとる必要があるということになった場合に、いまお話しのようなことももちろんそれは検討の対象には入れるべきであろう。つまり平均をとったり、あるいは高いところを見まして個別的なものを反映させるといったようなこともある程度考えるのかどうかというようなことも含めまして当然検討の対象にしなきゃいかぬと思いますけれども、いまの時点ではまだ私ども全く臨時的措置であるということでなおしばらく様子を見ていきたいと、こういうふうに考えておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/123
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124・神谷信之助
○神谷信之助君 大臣にちょっとお願いしておきたいと思うのですけれども、大臣は岡山の知事の経験もありますから市町村の状況はよく御存じだと思いますので、いま特にそういう農村県それから過疎県といいますかね、そういうところの市町村の共済は財政的にも大変な状況になってくるし、各県民にも負担がかかってくる。職員の賃金は全国から比べても低いというところが多いわけですね。ですから全国、たとえば大都市のそういうところの職員と比べても非常に不公平が出てくるという状況もあります。だから根本的な解決というのは、私ども毎年申し上げておりますけれども、使用者負担、事業者負担というのを七割にして、労働者は三割にするという問題を含めていろいろな提案をしておるわけですけれども、当面の措置としていま千分の百以上になると特交で措置をするという措置をやられている、財源率がですね。だから財源率が千分の九十を超えればそういう措置をするとか、あるいは平均給与との対比をして、そして平均給与よりも低いところで財源率の高いところというのに対する特別措置をするというような方法とか、千分の百をさらに拡大をする方向で少しでも前進をさせる方向で検討をしてもらいたいというのが私どもの願い、あるいは市町村共済自身もそのことを要望して運動しておるわけですけれども、この辺についてのひとつ見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/124
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125・加藤武徳
○国務大臣(加藤武徳君) 地方公務員として同じように勤務しておりながら、医療給付につきましての不公平が生じておりますことは、いま御指摘のとおりでございます。不公平の大きいものは、いまも御指摘がございましたように、地方公務員共済の短期給付の中において医療給付を受けております者と、そうではなくて健康保険組合方式をとっておりまする市町村との間には、掛金の上限につきまして、いまも話がありましたように千分の五十と千分の四十と、かようなへんぱといいますか、不公平がございまして、これをどうするかが大きな問題点ではございますけれども、さっきも答弁がありましたように、なかなかにわかに不公平を是正いたしますことが困難な状況でございます。
それから同じ地方公務員共済の短期給付を受けておる中におきましても、先ほど医療給付の金額の御指摘がございました。地方によりまして非常な差があるのでございますし、なおかつそれは各地域に医療機関が均等に配置されておらない、このことも大きな影響があるのでございまして、いろいろの矛盾点があろうかと思うのでございます。
ことに先ほどの掛金の上限の問題につきましては、千分の百を超えます部分につきましては交付税におきまして処置をいたしておりますけれども、その千分の百という限界がいいのかどうか、これもいろいろ議論のあるところでございますから、さようなことを包括をいたしながらこれからもよく検討を加えてまいらなければならぬ、かように考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/125
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126・神谷信之助
○神谷信之助君 では次の問題に移りますが、これは午前中にも議論がありました被扶養者の認定基準に関する問題であります。
御承知のように四十九年の四月に年額七十万円ということになって以来今日までそのまま据え置きになってきております。一方、これ遺族年金の最低保障額がずっと引き上げられていってますから、去年が六十万が七十二万になり、ことしは四月から七十七万、六月から八十五万二千ですかに引き上げられるというのがいま議論しておるところですね。そのために、たとえば京都市の市町村共済で調べてみたんですが、五十二年でお年寄りがこれもらっていて、共済の資格をなくすると、被扶養者の資格がなくなるというのが二百五十九人です。うち年金が七十万を超えるためというのが百六十三人。超えている中身を見ますと、七十万から七十五万というところで九十一人ですね。ですから、たとえば七十万から七十五万、この辺のところが非常に五十二年当時は多いわけですね。今度は四月から七十七万、六月からまた八十二万二千円になりますから、これずっとだめになっちゃうわけでしょう。そうすると、今度はその母親なら母親は国保に移らなきゃいかぬわけですね。こういうことになるわけです。そうしますと、国保の方から言えば、収入の少ない人が入ってくるわけですから、それから有病率の高い人が入ってきますから、国保の財政自身にとってもますます厳しくなる。共済の側から言えば、その面では助かるということになるかもしれませんけれども、そういう問題が起こる。しかし、組合員自身にとっては、共済組合の掛金自身もどんどん高くなってきている上に、家族が国保に加入するといいますと、それで保険料の負担、それから医療費の三割負担ですか、これらがかかってきて、さらに著しくなっていく。市町村共済に入っていますと、それに応じて家族の負担分については、互助組織なり何なりで一定部分を措置するということもやったりしていますけれども、そういうことができないという状況も出てくるというような、いろいろな問題が出てきて、より大きな負担がかかってきているんですね。四十九年の四月ですから、その後に例の石油ショック、狂乱物価、インフレがだっと来たわけですから、それきりとまっているというのは、これはもう実態に合わない、これは午前中も指摘があったわけです。大蔵省を中心に午前中は議論がありましたけれども、自治省自身はその点についてどういうお考えをお持ちか、これをまずお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/126
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127・塩田章
○政府委員(塩田章君) 先ほども議論のあった問題でございますけれども、基本的に被扶養者として認定されるためには、主として組合員の収入により生計を維持しているということが一つの基本線としてございます。これは御案内のとおりでございますが。したがいまして、そこで、主として組合員の収入によって生計を維持している範囲をどこに置くかという問題に尽きるわけでございますが、その場合に、何にリンクさせるといいますか、何をにらんで決めるかということで、現在のところ所得税法の七十万というものを使っておるということは先ほどからの御議論にあったとおりでございます。これは私は、考え方として一つの考え方であろうと思っております。まあ、これでなきゃならぬということも同時にないかと思いますけれども、さりとてそれでは何にするかということになった場合に、これが一つの考え方であることは間違いないと思うんです。ただその場合に、いまもお話がございましたように、四十九年以来動いてないというんですか、変わってないというところに問題がございまして、いろいろ御指摘があろうかと思うわけでございます。したがいまして、その四十九年以来変わっていないという点は、私どもも一つの問題点として、これを何とか引き上げを図りたいという気持ちは持っておりますが、所得税法にリンクさせるというのは一つの考え方だというふうに思っておりますので、この辺は関係省庁ございますので、よく相談をしながらやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/127
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128・神谷信之助
○神谷信之助君 これは大臣、共済組合法の施行令では、自治大臣が決めることになっておりますね。「主として組合員の収入により生計を維持することの認定に関しては、」「自治大臣の定めるところによる。」配偶者の取り扱いその他は。それで、もちろんこれはいまもありましたように、所得税法とリンクしていますから、だから自治大臣の権限だといって、勝手に上げるわけにはいかぬということはわかりますが、「取扱いを参酌し、」ですからね、そのまるごとではないと思います。しかしいずれにしても、いま部長もお答えになりましたように、四十九年以来とまっているというのは一つの問題点だと思います。
それからもう一つは、扶養手当の支給対象の収入限度額、これが初めはいまのやっとリンクしていましたけれども、所得税にかわって、差がありましたが、これもいま六十九万になってきていますね、扶養手当の支給対象収入限度額ですか、これは五十三年一月一日からは六十九万ということ。ですから、それも近づいてきていますね。ですからこの辺も考慮して、そして実際にまたこの市町村共済だけではなしに地共済もそうですが、年とった両親の、お父さんの方が亡くなって、お母さんを抱えて生活をしているところで、年金が来たらもらえぬ、扶養家族の対象にならぬというのは、実際にはこれは子供としては生計を維持していく上で大変な負担になってくるわけですから、その辺の実情も十分考えてもらって、自治大臣だけでできませんから、大蔵大臣その他と協議をしてもらって、来年度にはひとつ何とか改善をされるように努力をしてもらいたいと思うんですが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/128
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129・加藤武徳
○国務大臣(加藤武徳君) 被扶養者としての扱いをどの程度にするかはまさに政策問題であろう、かように考えます。そこで四十九年の時点におきましては、まあ七十万円所得があればというような考え方で線が引かれたと、かように判断をいたしておるのでございまして、なるほどおっしゃいますように、この限度を決定いたしますのは自治大臣となっておりますけれども、関係省と関係を持ちまして、絶えず相互の連絡をとりながら処理がされておる、かようなことでございますので、自治省のみの考え方でなかなか決定しがたい要素ではございますけれども、しかしもう昭和四十九年から数年経過いたしておるのでございますから、七十万円というこの線は、なるほど所得税法との関係もございますけれども、所得税法だってやはり改正すべき機運があろうかとも思うのでございますから、これとの関連も持たせながら、今後検討いたしまして、なるべく早い機会に改定をいたすべきだと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/129
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130・神谷信之助
○神谷信之助君 政管健保の方なんかもこの点厳重にしているのかどうかというので、厚生省へちょっと聞いてみたんですが、厚生省の方は五十二年の四月六日付で保険課長からそれぞれの各県の健康保険主管課長に文書を出して、厳格にやりなさいということを書きながら、五項で「被扶養者の認定をめぐって、関係者間に問題が生じている場合には、」「関係者の意見を聴き適宜必要な指導を行うものとすること。」という一項を入れて、具体的には弾力的運用をやっておりますという話をしているんですよ。きょうは時間がなかったので厚生省は呼ばなかったんですけれども、厚生省の方からはそういう話がありました。
先ほど京都の例で、去年の例ですが、七十から七十五万のところに九十一人該当して、結局被扶養者の資格を外されると、こうなったんですね。こっちの方はわりあい厳しくきちっとやっているみたいな感じですね。それでもかまわない人もあるでしょうし、それで大変困る人もあるでしょうし、それこそやっぱり実情に応じて、そういう具体的な実際のなにによってやっていくという方法は当然考える必要があるんじゃないかというように思うのです。ことしはもうこれ以上に上がってきますからなんですけれども、もう少しその辺のところの弾力的な運用という点も考える必要があるんじゃないかと思いますが、その辺いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/130
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131・塩田章
○政府委員(塩田章君) 厚生省のおっしゃっていることが具体的にどういう内容をしているのかよく存じておりませんけれども、こういう線を決めまして、決めた後で、いわゆる弾力的運用ということで、言うなれば悪く言えばルーズになってはこれまた困ると思うのです。そこの辺は非常にむずかしいところでございまして、いま大臣からもお答え申し上げましたように、七十万円そのものが実情に合うかどうかという判断は大いにしていきたいと思いますが、いわゆるルーズになってもいいという意味で弾力的運用ということはちょっと私ども申し上げるわけにはまいりませんので、そこら辺はひとつ御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/131
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132・神谷信之助
○神谷信之助君 突然言っておるわけだから、いますぐ何でしょうから、厚生省に聞いてもらったらいいんですが、そういう被扶養者の認定をめぐって問題が生じている場合には、申し立てによって被保険者の勤務する事業所の所在地の都道府県保険課長がそういう関係者の意見を聞いて適宜必要な指導を行うものとすること。だから頭からだめですとびしゃっと切るということだけではありませんということを含めてやっておりますと、それは実際上そういうことをやってもう大変だというところがありますから、そういう状況を踏まえておりますという話なんです。これはだから厚生省に一遍聞いてもらってひとつ——いまもう当面七十万ですから、これ上がった場合でも、今度実際に運用する場合にそういう点もひとつ十分弾力的にやっていけるように——ルーズにせいということじゃありませんよ。こういうようにお願いしたいと思います。
それからその次に、長期の問題に移りますが、新法ができる以前に雇いだった人がその後、新法ができる前に、あるいはその後に吏員になるという場合に一時金もらいましたね、あのとき。それが今度は、実際に退職した場合の年金をもらう場合に一時金が控除されるという状況になっております。
もう時間がありませんから具体的に言いますが、たとえばその一時金を、二万二千八百四十四円ですか、二十五年の九月十五日に二万二千八百四十四円受け取った人が、現段階で控除される額というのが十三万六千八百五十円なんですね。そういうことになって、この人の場合ですと五倍ぐらい、まあ物価はその当時から言うと上がっておると言えばそれまでですけれども、物すごく控除されるという状態が続いているんですね。そういう問題がありまして、そういう制度をやられたときにはそれなりの理屈があったと思いますけれども、現段階では一体それはちょっと不合理な面もあるんじゃないかというように思うんです。それで恩給法の方ではこれは定額になっておって、そうして十五回に払うのか、何かそういう話も聞いているんですが、その辺いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/132
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133・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) ただいま御指摘のありました雇いであって吏員になった者について、雇いの期間に受けた一時金を吏員になってその退職年金から控除するかどうかという問題は、その共済制度に乗り移る前の旧制度におきましては、雇いの期間と吏員の期間とは通算関係がなかった別建ての制度でございますので、調整規定は全然ないわけでございます。ただ、いま委員が御指摘になりましたように、新制度になりましてからそういう調整規定が入ったわけでございます。そこで、いまお尋ねの恩給制度における既給一時金の控除の方法でございますが、一時恩給の算定の基礎になりました給料月額、やめたときの一時恩給の基礎になっております給料月額、その二分の一を出しまして、それから一時恩給の基礎になっている在職年数、これは何年という年数でございますが、それに二月を掛けます。二月という二を掛けまして、そうして再就職するまでの間の年月数、これを控除いたします。これはどういう趣旨かと申しますと、一時恩給の額というものが一月分で二月の生活の資料になるという考え方から、一月を二月に換算して控除の額を決めるという考え方にできているものと私どもは理解しておるわけでございます。それで、再就職するまでの期間を引きましたのを、先ほど申し上げました一時恩給の基礎になっている給料の二分の一に掛けまして、その十五分の一を恩給の中から控除することにいたしております。その十五分の一というのは、恩給の平均在職受給年限が十五年だという考え方に基づいているものと理解しているわけでございます。
それから旧共済年金におきましては、退職年金の基礎になるべき給料日額、これに退職一時金の算定に用いた日数がございます。その日数の十五分の一を乗じたものを退職年金の額から控除することにいたしております。それから新共済制度におきましては、退職一時金の基礎期間一年について給料の百分の一・四の額を退職年金から控除することにいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/133
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134・神谷信之助
○神谷信之助君 それでこれがずっと続くわけでしょう、控除が。そうすると、一時金もらったときは、たとえば二万何がしだったのが、十三万何がし毎年続く、控除されると、こうなっていきますと死ぬまで続くと、こうなるでしょう。だから、この制度がつくられたときはそれなりの意義があったろうと思います。私もそのころ府の職員でしたから、あのころ二万、三万、五万、五、六万もらった人もありましたからね。当時の物価で言うたら大きかったですから、まあぼくらもらわぬし、あっちはもらうなあと思って、えらい損じゃというような気もありましたけれどもね。しかし、そのときはこんな状態になるということは余りようわからぬでもらっていますがね。理屈は理屈で通るかもしれぬけれども、あれからもうこれだけたってきますと、そういう実際に控除をされながらずっと続いている人が出ているんですね。だからたとえば方法としては恩給並みに定額を決めて、そうして、それらの十五分の一と言えば十五回払いになるわけですかね。それで切ってもらうようにするか、あるいはその一定の定額に利子、利息計算をして、そういうものをもらった全額の利息、インフレ、物価上昇分なり何なりの計算をし、あるいは利息計算もつけるならつけて、そしてそれについてやってもらうかとか、あるいはそのどちらかを選択をするかとかというような、一定のやっぱり現段階では手直しをせぬと大変なことにだんだんなっていくわけですね。給与の改定のたびにスライドしていきますから、これが。だからいままではそれほど響かなかったのが、いわゆるインフレの中での給与水準がずっと上がる速度が速くなったのに応じてこれは大きくなりますから、よけい目立ってきて大変なことになってきますよ。この辺はひとつ私はそういう点を含めて再検討してもらう必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/134
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135・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 既給一時金の控除につきましては、確かに御指摘のように、当時受けた一時金の額によりまして、人によりまして多額の年金からの控除を受けるという実態になっておることは事実でございます。しかしながら、既給一時金を調整するということは、年金の基礎期間を二重に見るという弊害を避けるために設けられた制度でございますし、かつ年金受給者間の均衡を図るという観点から設けられたわけでございまして、既給一時金を控除する方式を全然やめてしまうということは、保険の原則からいたしましてこれはなかなかむずかしい問題であろうかと思います。その場合に、神谷委員が御指摘になりましたように、もらった一時金の調整の方法といたしまして額で控除する方法とか、あるいは率で控除する方法とか、たとえばもらった額を一定の利子をつけて何年賦かで返す方法とかいうような方法については研究すべき課題であろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/135
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136・神谷信之助
○神谷信之助君 それじゃひとつ率よりも定額にして、それからその定額を基礎にして利息をつけるか、あるいは何回払いにするかというような方法を含めてひとつぜひ研究してもらいたいと思うんです。大分もうそのころの人がいまちょうど退職して五十、六十、七十ぐらいになってきて、しかもインフレに遭って、給与水準が上がるたびにがあっがあっとこうきましたからね。それが非常にいま響いてきておる問題になっていますから、お願いしておきたいと思うんです。
それからその次ですが、先ほどもちょっと話が出ておりましたが、長期の財源率の調査を来年の十二月になさるということでありますが、この見通しですが、特にこれによって財源率が相当先ほどの見通しでいくと上がるわけでしょう。その点まだやってみないとわからぬということになるかもしれませんが、いままでの決算状況なんかを見れば大体の推測はつくんじゃないかと思うんですが、この辺の見通しはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/136
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137・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 長期給付に要する費用につきましては、五年に一度見直すことになっておりまして、前回計算が四十九年十二月に行ったわけでございますから、ただいま御指摘がございましたように、五十四年の十二月に再計算を実施する予定にいたしておるわけでございます。
この再計算に当たりまして、従来から行っておりましたいわゆる数理的保険料率を算定いたします方法をとりますほか、国家公務員共済組合における取り扱いとの均衡を考えまして、今回は総合保険料方式並びに将来の収支見通しも推計をして出そうということにいたしたいと考えているわけでございます。したがいまして、従来の数理的保険料方式による、いわゆるモデルになる一定の保険集団による理論数理計算と違いまして、現在職者並びに年金受給者、それから通算年金の待期者等の過去の在職期間を全部洗いざらしにしまして、それをもとにいたしまして収支の見通しを計算いたすわけでございますので、従来よりもさらに実態に合ったものになるのではなかろうかという感じがいたすわけでございます。その場合に、五十四年に実際にやりました場合にどの程度になるかというお問い合わせでございますが、現在資料の収集をいたしておりまして、その計算方式のシステムの開発を進めている段階でございまして、どの程度に現行の財源率が変わるか、いまのところ見通しがついておらない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/137
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138・神谷信之助
○神谷信之助君 現在までの決算のところの収支の状況ではどうなんですか、長期の収支の状況では、いまの財源率で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/138
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139・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 五十一年度の決算状況について申し上げますと、収入が一兆一千九百十一億に対しまして、支出が五千五百十九億でございます。差し引き六千三百九十二億円が積み立てられているわけでございまして、過去の累積の積み立てを加算いたしますと、五十一年度末における正味の資産は四兆五百五十八億、こういう数字になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/139
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140・神谷信之助
○神谷信之助君 そうすると、長期の方は財源率の引き上げの心配はないというように見ていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/140
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141・桑名靖典
○説明員(桑名靖典君) 御案内のように、現在の積立金は昭和三十七年十二月以降の積立金でございまして、これから現在の既裁定年金者並びにこれから退職してまいりますものにつきましても、三十七年以前の過去の期間、いわゆる積み立てをしていない期間をもって退職しているものが大部分でございます。したがいまして、そういう過去の期間についての不足財源率というのがあるわけでございまして、今後、いま申し上げましたように、五十一年度の決算におきましては確かに収支黒字になっておりまして、積み立て正味資産も増加いたしておりますけれども、これがそのまま続くということではございませんし、年金受給者がふえ、また、収入の伸びもとまりますれば、当然資産というものは減少の傾向をたどる時期が来るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/141
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142・神谷信之助
○神谷信之助君 そうなりますと、やっぱり公的負担の引き上げが私はそういう意味からも非常に重要だと思うんですけれども、従来、毎年この問題は議論されておりますが、自治省としてはいまの百分の十五を少なくとも十八まで引き上げるというのが悲願であるということをいままでおっしゃっているんですね、きょうもそういうお話ですが。この点について見通しというのは、たとえば来年度にはやれそうだというような見通しとか、やっぱり年金の根本的な制度化の改革といいますか、その時期まで待たなければもうこれ以上だめだという見通しなのか、この辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/142
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143・塩田章
○政府委員(塩田章君) ただいまの問題五十三年度でどうだとかいうふうな段階ではございません。お答えできる段階じゃございません。むしろ後段の方の全体の公的年金のあるべき姿というものが大きく今後課題になってくると思いますが、その一環の中で共済年金もいかにあるべきかということの方がむしろ議論をされるんじゃないかというふうに思います。先ほど課長が答えましたように、来年再計算するわけでございますけども、その際は長期の見通しを実際にやってみたいと考えておりますが、いまもお答えしましたように、数字的に申し上げるわけにいきませんけれども、かなりやはり高い財源率になってくるんじゃないかというふうに想像されます。これはひとり共済年金のみならず、もう公的年金すべての共通な課題でございまして、そういう意味におきましては私どもいまの段階で地共済がどうのというような問題よりも、もっと大きな問題にやがてぶつかっていくであろうということで、それを公的年金全体のあり方の中で考えていくべきだと、ただ当面の課題としましての百分の十五を、それじゃ放置するのかということでは決してございませんで、その方面の努力ももちろん続けていきたいと思っておりますが、ただ来年にできるかというようなお尋ねでございますと、とてもそういった具体の案があるわけではございませんということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/143
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144・神谷信之助
○神谷信之助君 百分の十八を目指して奮闘はするが見通しは暗いということですね。しかし、いずれにしても五十四年の十二月の調査で財源率を相当引き上げざるを得ないような状況が起こるであろうと。したがって、公的年金制度全体の問題、恐らく共通しますから、そういう点で百分の十五を全体としてどう引き上げるかという問題が当然起こってくるであろうというように思います。この点大臣もそのときにはひとつよろしく、いまから関係のところと十分協議をしながらやってもらいたいというふうに思うんですが。
もう一つ私は、先ほどからも議論になりましたが、これはいつも議論になるわけですが、これまあ交付税で見ているということは、言うなればタコの足食いではないかという、国庫補助制度にする必要がある、国庫負担にする必要があるという点ですね。その点について先ほどからずっと答弁聞いていますと、いやもうそれは公的経済論に拮抗して、大体自治省としてはそれでそういう立場に立っているように聞こえたんですが、もう一度ちょっと確認します。そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/144
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145・塩田章
○政府委員(塩田章君) この点も先ほどからの答弁でお答えしましたように、自治省としては三十七年の決定以前にはいろいろ経過がございまして、その間でいろいろ意見を述べたわけでございますが、結局現在の形におさまっておりますのは、やはり基本的に地方自治であると、地方自治体として公的経済主体であるという観点で交付税上の措置はとりましたけれども、そういうことで現在の形に、当時話がつきまして現在に至っておるということで、その点私ども少なくともいまの時点では満足しておるというわけでもございませんけれども、一つの地方自治ということの観点からいきまして、一つの考え方であろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/145
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146・神谷信之助
○神谷信之助君 皆さんの先輩の柴田護さんが「自治の流れの中で」という本を出していますね。それでその当時のいきさつを書いています。「地方公務員の退職年金制度については、既に国家公務員については実施され、しかも、一般会計から繰入金もあることであり、それが、共済制度という一つの社会保険制度に対する国の責任を明らかにするという意味であるから、地方公務員の退職年金制度についても同様の措置をとるべきだとして自治省行政当局は頑張った」と、ところが大蔵省の方は「「公経済論」という理屈を」、理屈と書いてある、「理屈を引っぱり出して頑強に反対」をして、ついにやらなかったということですね。だからそのころタッチしておった柴田さん自身も自治省の方の考え方が正しいんで、どうもあれは変な理屈だと、それに屈服をしたということですからね。これから言うと、自治省としてはやっぱりあくまでも国庫負担制度にすべきだという立論は、
その後もやっぱり堅持をして大蔵と闘わなきゃならぬ問題ではないかと思うんですがね。ところがきょうの話をずっと聞いてますと、それはもう地方自治という点から屈服をいたしました、降参しましたという話に聞こえるんですが、これでは私は、しかし実際に社会保障制度を国が責任を持って進めるという点から言いましても、ちょっとおかしい話ですね。その辺はどうなんですか、やっぱり万歳しているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/146
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147・塩田章
○政府委員(塩田章君) 一つ考え方として言えば、地方自治ということもありますが、もう一つは、先ほど話に出ましたように、当時それを理由にして交付税の率を上げているということもございましたもんですから、両方にらんでひとつの解決をしたと、こういうことでございまして、いまの時点でこれを直ちにまた国庫負担にすべきであるというようなことになりますと、これはやはり先ほど来の全体の公的年金の大改正という問題にもまたつながっていく問題でございまして、そういった際には、これはいかにあるべきかもう一遍大いに議論せなきゃいかぬと思いますけれども、いまの時点でいまの制度を直ちにまた国庫負担にすべきであるということは、これはなかなか困難であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/147
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148・神谷信之助
○神谷信之助君 それじゃ、最後に大臣にお伺いしますが、いまのような話です。ですから、いずれにしても交付税率の引き上げ問題は地方行財政制度の根本的改革と相まって、地方交付税全体の引き上げの問題も議論にならなきゃならぬし、また実現せにゃいかぬ問題になっていってますね、現在の地方財政状況では。ですから交付税率の引き上げも当然出てきます。それから、公的年金制度、来年の十二月調査した結果ではこれどうするかという根本問題の議論もやらなきゃならぬだろうと。したがいまして、いまの公的負担の百分の十五の引き上げの問題と、それから交付税措置ではなしに国庫負担制度を導入するという問題、これはちょうどその時期に重なって大体出てくるでしょうから絶好のチャンスでもあるわけです。したがって、この点ひとつ正しく筋道を立てもとに戻すという意味からも自治大臣ひとつ責任を持ってがんばってもらいたいというふうに思うんですが、その見解、決意これを伺って終わりにしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/148
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149・加藤武徳
○国務大臣(加藤武徳君) いま御指摘がございましたように大蔵省筋と折衝をいたさなければならぬもろもろの問題が多うございまして、私といたしましても最大の努力をいたしたいと、かように考えておりますけれども、ただ国庫負担の点はかつて〇・四%の交付税率を引き上げておるようなことがわが方の泣きどころであろうかと思うのでありますけれども、しかし交付税率全体の問題につきましても努力をしてまいらなければならぬことでございますから、なおかつ先ほど来御指摘の長期給付に絡みまする公的負担の百分の十五の問題につきましても今後努力をいたしてまいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/149
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150・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/150
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151・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/151
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152・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
望月君から発言を求められておりますので、これを許します。望月君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/152
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153・望月邦夫
○望月邦夫君 私は、ただいま可決されました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、地方公務員共済制度の現状にかんがみ、次の諸点について善処すべきである。
一、年金の額の改定については、地方公務員の給与改定状況、物価の上昇等を勘案して措置し、地方公務員の退職後の生活の安定を図るとともに、その実施時期については、一年おくれとならないよう特段の配慮をすること。
二、退職年金等の最低保障額の引上げについては、生活の実態に即し、一層の引上げ措置を検討すること。
三、遺族年金の給付水準については、七〇%とするよう法律上の措置を講ずること。
四、長期給付に要する費用の公約負担については、厚生年金等公約年金における国の負担制度との均衡を回るため所要の措置を検討すること。
五、短期給付に要する費用の組合員負担については、健康保険等の諸制度との均衡を配慮し、上限等について適切な措置を講ずるこ、と。
六、被扶養者の認定基準については、年金の増額改定等の実情にかんがみ、その適正化を図ること。
七、年金からの既支給一時金控除は、その実態にかんがみ、方法等を検討すること。
右決議する。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/153
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154・金井元彦
○委員長(金井元彦君) ただいま望月君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/154
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155・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 全会一致と認めます。よって望月君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、加藤自治大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。加藤自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/155
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156・加藤武徳
○国務大臣(加藤武徳君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/156
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157・金井元彦
○委員長(金井元彦君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/157
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158・金井元彦
○委員長(金井元彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十八分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414720X01419780525/158
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