1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和五十三年三月二十八日(火曜日)
午後二時一分開会
—————————————
委員の異動
三月二十八日
辞任 補欠選任
村田 秀三君 大塚 喬君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 塚田十一郎君
理 事
林 ゆう君
原 文兵衛君
片岡 勝治君
井上 計君
委 員
岡田 広君
源田 実君
竹内 潔君
林 寛子君
堀江 正夫君
大塚 喬君
野田 哲君
山崎 昇君
和泉 照雄君
黒柳 明君
山中 郁子君
森田 重郎君
国務大臣
法 務 大 臣 瀬戸山三男君
国 務 大 臣
(環境庁長官) 山田 久就君
政府委員
環境庁長官官房
長 金子 太郎君
環境庁企画調整
局長 信澤 清君
環境庁大気保全
局長 橋本 道夫君
環境庁水質保全
局長 二瓶 博君
法務大臣官房長 前田 宏君
法務省矯正局長 石原 一彦君
法務省入国管理
局長 吉田 長雄君
事務局側
常任委員会専門
員 首藤 俊彦君
—————————————
本日の会議に付した案件
○環境庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/0
-
001・塚田十一郎
○委員長(塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告をいたします。
本日、村田秀三君が委員を辞任され、その補欠として大塚喬君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/1
-
002・塚田十一郎
○委員長(塚田十一郎君) 環境庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/2
-
003・塚田十一郎
○委員長(塚田十一郎君) 御異議ないと認めます。これより討論に入ります。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
環境庁設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/3
-
004・塚田十一郎
○委員長(塚田十一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、山田環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。山田環境庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/4
-
005・山田久就
○国務大臣(山田久就君) 環境庁設置法の一部を改正する法律案につきましては、慎重御審議の上、ただいま御可決をいただき、まことにありがとうございました。私といたしましても、本委員会における御審議の内容を十分尊重いたし、一層の努力を重ねてまいる所存でございます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/5
-
006・塚田十一郎
○委員長(塚田十一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/6
-
007・塚田十一郎
○委員長(塚田十一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/7
-
008・塚田十一郎
○委員長(塚田十一郎君) 法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。瀬戸山法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/8
-
009・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案による改正点の第一は、那覇市所在の沖繩刑務所を施設の老朽化が著しい等の事情から沖繩県島尻郡知念村に移転することに伴い、その位置の表示を改めようとするものであります。
改正点の第二は、東京都渋谷区所在の東京医療少年院を施設の老朽化が著しい等の事情から神奈川県相模原市に移転することに伴い、その名称及び位置の表示を改めるとともに、同市所在の神奈川少年院を廃止しようとするものであります。
改正点の第三は、岩国空港の状況の変化等に伴い、広島入国管理事務所の管轄区域とされている山口県岩国市を山口県の行政区画に合わせて下関入国管理事務所の管轄に改めようとするものであります。
改正点の第四は、新東京国際空港の供用開始と同時に現在東京国際空港を管轄する羽田入国管理事務所は廃止されることとなっておりますが、同空港はその後においても引き続き国際空港として使用されることとなっておりますので、同空港における出入国審査事務を処理するため、新たに東京入国管理事務所羽田空港出張所を設置することとし、また、出入国者の増加等に対処するため、東京都西多摩都瑞穂町に東京入国管理事務所横田出張所を、豊橋市に名古屋入国管理事務所豊橋港出張所を、岩国市に下関入国管理事務所岩国港出張所をそれぞれ設置し、一方、出入国者の減少等に伴い、東京入国管理事務所立川出張所、広島入国管理事務所岩国空港出張所及び那覇入国管理事務所名護出張所をそれぞれ廃止しようとするものであります。
改正点の第五は、市町村の廃置分合に伴い、広島少年院、沖繩少年院、沖繩女子学園及び那覇入国管理事務所嘉手納出張所の位置の表示をそれぞれ改める等所要の整理をしようとするものであります。
なお、第一の改正点については、公布の日から起算して一年を超えない範囲内で政令で定める日から、その他については本年四月一日から、それぞれ施行することといたしております。
以上が法務省設置法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/9
-
010・塚田十一郎
○委員長(塚田十一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/10
-
011・片岡勝治
○片岡勝治君 今回の法務省設置法の一部を改正する法律案の内容につきましては、幾つかの要素がございます。きょう私は矯正施設の問題について二、三お伺いをしたいと思うわけです。
今回の法律改正の内容を見ますと、沖繩の刑務所を移転をするということ、また、東京にありました東京医療少年院を神奈川の相模原に移す、こういうことでありまして、これに関連してお伺いをいたしたいと思います。
沖繩の移転につきましても、その理由は、老朽化が著しい、あるいは私の調べたところによりますと、周辺地区の市街化によりまして必ずしもいままでの場所が適当とは思われない、こういうような理由からこれを移転するということになっておるようであります。また、第二番目の東京医療少年院の神奈川県相模原に移転をする理由につきましても、昭和二十四年開設以来、木造の建築物であって大変老朽が激しい、あるいはまた周辺の宅地化、過密化が進んでおって、これまた必ずしも適当な場所ではないということで神奈川の方に移るということになったようであります。
そこで、この矯正施設につきまして、建物の性質上、なかなか老朽になっても特に移転をする場合に大変むずかしい問題がいろいろあるわけであります。そこで、まず第一にお伺いしたいのは、老朽等が大変激しい、そこでどうしても改築する必要があるというような矯正施設というものが一体どの程度あるのか、これをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/11
-
012・石原一彦
○政府委員(石原一彦君) 矯正の現場施設は合計で三百五庁でございますが、このうち施設が老朽化いたしまして建築を必要とすると私どもが考えております庁は約百十庁でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/12
-
013・片岡勝治
○片岡勝治君 三百五のうち百十ということになりますと、三分の一ということでありますから、これは相当老朽施設になっておる、その改築というものが大変緊急な課題になっているということをこの数字が示していると思うわけであります。
それから、別な角度でもう一点お伺いしたいのは、刑務所等矯正施設について、先ほどもちょっと触れましたように、人口の急増あるいは市街化、過密化、あるいはその付近の建物の高層化等によって、あるいはまた、都市計画あるいは都市改造等の自治体等の要請によって移転要請が各所で出てきていると思うわけであります。私の神奈川県にもあるわけでありますが、矯正施設の中で、現在、地域住民からあるいは自治体の方から、できれば移転をしてもらいたい、こういうような要請を受けている施設というものがどのくらいあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/13
-
014・石原一彦
○政府委員(石原一彦君) ただいまお尋ねのように、地方公共団体の長あるいは議会あるいは住民の方々から移転要請が現在ございます庁数は約五十庁でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/14
-
015・片岡勝治
○片岡勝治君 いま質問いたしました老朽の数、これの性質別、たとえば刑務所が幾つ、特にその固有名詞がわかれば大変ありがたいんですけれども、そういう資料をもしあれば御提示願いたいと思うんです。老朽は、たとえば刑務所はこことここ、少年院はこことこことここだ、あるいは移転要請を受けている刑務所はこことここ、移転要請を受けている少年院はかくかくしかじかのところである、そういうようなまとめられた資料というものはあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/15
-
016・石原一彦
○政府委員(石原一彦君) 一応私の方で用意はいたしてございます。しかしながら、矯正施設は御承知のとおり職員もそこで勤務し、非行少年あるいは受刑者等が入っておりますので、余り老朽化ということを表に出しますことは、かえって地域住民に御迷惑をかけ、あるいは御不安を与えるということにもなりますし、収容者に対する影響もございますので、もしお差し支えなければ別途先生のところにお届けするということでお許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/16
-
017・片岡勝治
○片岡勝治君 われわれがこの委員会で資料をいただいたとしても、それを故意に振りまいて不安に陥れるような、そういうことを私どもはする考えは毛頭ないわけでありますが、しかし御心配の向きがあればそういうことをやって結構だと思うんです。しかし、恐らく職員や中にいる人が一番よく知っていると思うんですよ。私は雨漏りのしている刑務所だって知っているわけですからね、あなたの方でそういうことをお隠しになったところで、そこに勤めておる職員あるいはそこに入っておられておる受刑者の方がだれよりも知っておりますよ、そんなことは。ですから、その資料を流した、われわれに与えたということで不穏な空気が出るとは私は思いませんね。もしも出ればとっくに出ているのじゃないですか。雨漏りの中で生活をしている人たち、しかし皆さんはそういうところで一生懸命に働いているし、また受刑者の皆さんもそういうところで努力をしておる。そういうところで、そういうことを考えればわれわれ国会でも十分そういった問題を取り上げるし、また皆さん方もそうした問題についてもっと私は真剣に取り組んでいく、そういう行政姿勢を出した方がよほど安心感を与えるのじゃないですか、この点ちょっと見解が違うようなんでお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/17
-
018・石原一彦
○政府委員(石原一彦君) 私どもといたしましても、老朽施設の実態を明らかにいたしまして、改築等について御支援を賜りたいところでございます。したがいまして、これを提出するに決してやぶさかではございません。私の申し上げた点は、先生がすでにおっしゃいましたように、公表されますと不測の心配等を与えるということでございまして、その御配慮があるということを十分拝聴いたしましたので、後日、資料を用意いたしまして御提出申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/18
-
019・片岡勝治
○片岡勝治君 私たちも、あなた方の心配にならぬような、そういう資料の使い方については十分配慮したいと思うわけであります。
さて、この移転の要請でありますけれども、私も一つの考え方を持っております。刑務所だからといって少年院だからといって、ただそれだけで困った施設だ、いやな施設だ、だから忌みきらってどいてもらうんだという、そういう考え方に対して私はくみしません。ちょうど、人間の体が悪ければ病院に入って治す。言ってみれば、ここに入っている受刑者の人たちは心の病気でありますから、あるいは罪のあがないということで、とにかく人間として再起すべく、職員の方も一生懸命働いておるし、受刑者の方々もそうした人間の回生といいますか、生まれ変わる、そういう再起のためにがんばっている施設でありますから、私たち国民としては、温かい目で見てやるべきそういう施設だろうと思うわけであります。したがって私は、刑務所だからどけ、そういうものは来ちゃいけないというようなことだけの単純な考え方は私たち国民としては困った考え方だろうと思います。いま移転要請は必ずしもそういうことではないと思います、ほとんど。しかし、もしそういうことであれば、私たちはもっと温かい目で見守ってやらなければならない施設だろうと思うわけであります。ただ、私がよく知っている横浜の刑務所等につきましても、その昔は野っ原のど真ん中にあった。むしろ地域住民の方で、何といいますか、ぜひこっちへ来てくれと誘致運動を行ってまでこの刑務所がつくられたという、そういう経過のところでありますが、しかし今日では全く情勢は一変をいたしております。その近辺はまさは都市化し、過密化し、あるいはそれを上からながめられる丘陵地帯も開発されて、ちょうど盆地の中のような刑務所になっておる。騒音も激しいし、空気もよくない。そういうところでありますれば、これは私は必ずしも適当な地域ではない思うとわけであります。今回の沖繩の施設についてもそうでありましょうし、また東京の東京医療少年院も、何か調査によりますと、そうした環境の大きな変化が一つの移転の重要な要素になっておると思うわけです。したがって、そうした市街化地域あるいは過密地域にあるようなところは、できるだけもっと環境のいい静かなところで、先ほど申し上げましたように、それぞれ受刑者も勉強もし、修養もし、また体も鍛える、そういう環境の中でやっていくのが一番いいだろうと思うわけであります。したがって、いま出されております五十カ所の移転要請も、私はつぶさにわかりません、今後資料を見て勉強させていただきますけれども、その多くは、恐らく環境の大きな変化、そういう理由が第一だろうと思うわけであります。やっぱりこれには行政の側でもある程度こたえていく、自治体の要請に対し、地域住民の要請に対してこれを受け入れていくという姿勢が必要であろう。それは、いま申し上げました受刑者の教育の場所としてもっと適当な場所を選んでいくという前向きの矯正姿勢でもあると思うわけです。
そこで、先ほどお答えのあった老朽等で改築の必要があるのが百十カ所あるということでありますから、これは膨大な数でありますね。これに対する何といいますか、改築の将来展望といいますか、計画といいますか、そういうものがあるのかどうか。それからもう一つは、移転要請を五十カ所で受けているということでありますけれども、これに対して一体法務省としてはどういう行政の姿勢をもって対応しているのか、この点お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/19
-
020・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) ただいま片岡さんから刑務所等の矯正施設について非常に御理解あるお話をいただきました。本当にありがとうございました。感謝を申し上げます。といいますのは、いまもお話が出ましたように、こういう刑務所等の矯正施設は、これはもう法治国家としては必要不可欠な施設であります。社会秩序を維持すると同時に、反面間違った行動をされた方々の責任を問いながら、さらに社会に復帰してもらうと、こういう大きな重要なねらいを持った施設でございます。でありますから、これはなければならない施設であるわけでございます。いまもお話がありましたように、こういう施設は、歴史が非常に古い施設が多うございます。したがって、先ほど説明を申し上げましたように、相当老朽しておるものが多くなっておる状況でございます。その設置の当時はやや市街地等から離れた比較的環境のよいところに設置してあったわけでありますが、社会の進展、発展といいますか、今日の段階では、周囲が住宅その他がふくそういたしまして、必ずしも現況では適当でないという状況もあるわけでございます。老朽の問題については収容者の収容状況から見ても、また施設に勤務する職員の立場から見ても、やはりこれをできるだけ早く改築、新しい施設にしなければならない、こういう考え方で進めておるわけでありますが、そこでまあ法務省といたしましては、原則としては従来の場所において改築をしたいと、こう考えておりますけれども、いまお話の出ましたように、状況が大きく変化しております。地元の都市計画その他、開発の問題もありますし、また環境から言いましても必ずしも適当でないと、こういう事態も相当起こっておるわけでございますから、地元の要望等には、ほかに適地があれば応じて、両々相まってよくなるようにしたいと、こういう考え方で進んでおるわけでございますが、いま片岡さんに私が感謝を申し上げましたのは、ところが実際はもう刑務所なんか来てもらっちゃ困るというので新しい場所の見つけ方に非常に困難をしておる、こういう実情でありまして、なかなか移転改築をしたいと思ってもほかに適地が見当たらない。見当たっても、今日の時世でございますから、そういうものは困るんだという地域住民の反対が相当起こってくる。そういう関係もありまして、早く改築をしたい、新しい施設に改めなきゃならないという計画を相当持っておるのでございますけれども、必ずしも意のごとくいかない、こういう状況にあることを御理解いただきまして、今後ともひとつ御支援をお願い申し上げたいと思います。その後のことは事務当局から御説明を申し上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/20
-
021・石原一彦
○政府委員(石原一彦君) 片岡委員の御質問、二点にわたりまして、後の点につきます基本的な方針につきましては、大臣からただいま御答弁があったとおりでございます。
で、現実の改築でございますが、第一は予算上の問題がございます。実は刑務所なり、少年院なり、最近は木造よりもコンクリート建てにいたします。かつまた、たとえば便所等も水洗にいたします。それから、逃亡その他の心配もございますので、官舎を付設しなければなりません。そういたしますと、一人の収容者あて大体七百万から七百五十万かかるのでございます。現に御審議いただいております沖繩の刑務所の費用は七百四十万近くになるのではないかと思いますが、一人の収容者あてそのぐらいの金がかかるわけでございます。したがいまして、予算上の措置が非常に重要でございますが、法務省全体の施設費が、ただいま御審議をいただいております予算案におきまして、たしか百二十五億と記憶しておりますが、増額には国会議員の方々の御支援等もありまして努めているところでございますが、かような国家財政の折から非常にむずかしい点がございます。しかしながら、できるだけ財政当局の御協力も得まして、たとえば五十二年から五十三年にかけましては、継続でいたしておるところが十一庁でございます。現在新規に改築等をなしておるところが六庁でございまして、決して数は多くないのではございますが、できるだけ改築等に努めたいというふうに思っているところでございます。
なお、単に収容者を入れておく庁舎のみならず、職員の宿舎も一つの問題点でございまして、これは矯正のある面ではいい伝統かと思いますが、庁舎が水洗になりましても、職員宿舎の方が水洗でないというようなところもございます。しかしながら、新しい処遇を行うに当たりまして、やはり職員の勤務条件等も考えなければなりませんので、庁舎あるいは寮舎、房舎のほかに、職員宿舎も含めまして今後とも改築につきましてわれわれとしても精いっぱいの努力をいたす所存でございますので、できるだけ御支援のほどをお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/21
-
022・片岡勝治
○片岡勝治君 大変、特に移転をする場合にむずかしいことは、私も理解できるわけでありますけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、神奈川県においては小田原の少年院と横浜刑務所、非常に老朽化が進み、まあ法務省自身も改築計画を持っているようでありますけれども、一方において移転の要請がある、運動がある、これは自治体の方からも出てきているわけであります。そういたしますと、一方においては老朽化がどんどんどんどん進む、しかし移転の方は依然として進まないということになれば、これはやっぱり大変施設の状況が悪化の一途をたどるわけであります。この点では、私は法務省も自治体ももっと積極的に、特に移転要請が出ている場所についてはもっと真剣に事態の緊急性という立場から積極的に取り組む必要があるのではないかと。確かに問題がむずかしいことはわかりますけれども、どうもお互いというか、自治体の方も、また法務省の方も、むずかしいからしようがない、しようがないということで、だんだんと日が延びてきているというような気がするわけであります。で、具体的にいま小田原と横浜刑務所の件を出しましたけれども、これも全国的な一つのいわば問題点を持っているモデルケースのような矯正施設だろうと思うわけであります。その経過が一体どうなっているのか最後にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/22
-
023・石原一彦
○政府委員(石原一彦君) まず施設でございますが、耐用年数から申し上げますと、木造の場合は二十年でございます。ブロックの場合には三十年、鉄筋の場合には五十年という一応計算で、それを超えた場合には整備が必要だというふうにわれわれは考えております。で、片岡委員がおっしゃったように、移転要請もある、老朽化している、一方建つのが少ないということになりまして、特に東海地震その他地震対策が叫ばれておる折から、もし万一のことがありました場合には、職員並びに収容者に相当な損害を与えることに相なりますので、この点につきましては、まず十分に注意をいたしております。たとえば、できるだけの補強工事をするというところで急場をしのいでいるわけでございます。
で、お尋ねの横浜刑務所でございますが、横浜刑務所は昭和九年から十一年の間につくられたものでございまして、鉄筋五十年といたしましても間もなく耐用年数が来るのでございます。横浜につきましては、昭和四十四年ごろから、衆参両院でございますが、国会でも、また横浜の市長からも、住民の方々からも移転の御要請がございました。そこで、問題は横浜の現在地でございますが、先ほど片岡委員が詳細お述べになりましたように、われわれが見ましても矯正処遇を行うところとしては決して適当ではないというふうに考えられます。そしてまた、あの辺の区域は第二種専用住宅区域でございますか、ということに指定されておりまして、高い建物ができないということに相なっております。それでは、じゃ横浜市でどこか適当なところを探していただけるかというと、なかなか市内にもないのではないかということもございまして、片岡委員と党を同じにされる代議士の先生方にも御心配いただきましていろいろ御示唆をいただき、私も矯正局長になりましてから二年有半でございますが、すでに数回お会いいたしております。昨年は飛鳥田委員長が市長当時に私お伺いいたしまして、いわば土俵を役所と市の方におろして検討していこうではないかということで基本的な原則について一致を見ました。たまたま市長を御退任になるというような事態ができましたので、事務的に話が進んでいるとはいいながら、やや中断されているような形になっておりますが、われわれといたしましては、横浜市と緊密な連絡のもとに適地をまず探し、そしてそこに移れるかどうかということについて具体的な検討をいたしたいというふうに考えております。私どももできるだけな努力をいたしておりますが、役所が先に表に出ますと、すぐにむしろ旗が立つというような情勢というのが矯正施設、特に刑務所の移転でございますので、地方公共団体の御協力もいただきまして円滑な改築のための事務を進めていきたい、かように考えているところでございます。
それから、小田原少年院でございますが、小田原少年院そのものは昭和二十七年に発足いたしておりますが、建物の大半は木造でございまして、きわめて老朽化いたしておるのでございます。なお、小田原少年院につきましては、片岡委員はもうすでに御存じだろうと思いますが、隣に拘置支所がございまして、拘置支所をも一緒に移転するか、拘置支所は現在地に残すか、こういう問題がございます。それは別といたしまして、小田原の少年院並びに拘置支所のございますところは、新幹線と小田急線のちょうど交差するところにございまして、新幹線が走りますときにはきわめて振動が激しいのでございます。それから、先般の伊豆の地震の際には、院長室であったかと思いますが、壁でしたか床でしたかに棄損が生じたというようなことがございまして、できるだけ早期の改築をいたしたいというふうに思っているところでございます。ところが、この小田原の点につきましては、なかなか土地がございませんで、一方市街地再開発計画等がございまして現在地が支障になるということでございますが、内々話を進めておりまして、小田原市でもこのぐらいの土地ではどうかという適当な地を御提示なさる御用意があるやに承っておるのでございます。そこで、私どもといたしましては、まず移転の候補地の点につきまして、小田原市と緊密なる連絡をとりまして、そこに果たして少年院が移せるかどうか、また拘置支所も移していいかどうか、拘置支所を移した場合には裁判所、検察庁との交通において支障がないかということを具体的に検討をしたいと思っている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/23
-
024・片岡勝治
○片岡勝治君 一つの例として地元の問題を出して質問をしたわけでありますけれども、全国的には、いま言った二つの施設に類似するような状況のところも多々あると思います。冒頭申し上げましたように、どうぞ、特に老朽化の激しいところ、しかも都市の変化によって適地でなくなった、必ずしも適当な場所ではないというところにつきましては、どうぞ積極的に自治体と協力し合って、これが改善のために努力されることを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/24
-
025・塚田十一郎
○委員長(塚田十一郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108414889X00419780328/25
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。