1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年二月十四日(火曜日)
午後零時三十分開会
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委員の異動
十二月二十二日
辞任 補欠選任
秋山 長造君 久保 亘君
一月十二日
辞任 補欠選任
宮之原貞光君 野口 忠夫君
一月十三日
辞任 補欠選任
野口 忠夫君 宮之原貞光君
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出席者は左のとおり。
委員長 吉田 実君
理 事
後藤 正夫君
粕谷 照美君
小巻 敏雄君
委 員
山東 昭子君
内藤誉三郎君
長谷川 信君
増田 盛君
勝又 武一君
久保 亘君
松前 達郎君
宮之原貞光君
柏原 ヤス君
白木義一郎君
田渕 哲也君
有田 一寿君
国務大臣
文 部 大 臣 砂田 重民君
政府委員
文部政務次官 近藤 鉄雄君
文部大臣官房長 宮地 貫一君
文部大臣官房会
計課長 西崎 清久君
文部省大学局長 佐野文一郎君
文部省学術国際
局長 井内慶次郎君
文部省社会教育
局長 望月哲太郎君
文部省体育局長 柳川 覺治君
文部省管理局長 三角 哲生君
文化庁長官 犬丸 直君
事務局側
常任委員会専門
員 瀧 嘉衛君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○教育、文化及び学術に関する調査
(文教行政の基本施策に関する件)
(昭和五十三年度文部省関係予算に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X00219780214/0
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001・吉田実
○委員長(吉田実君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨年十二月二十二日、秋山長造君が委員を辞任され、その補欠として久保亘君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X00219780214/1
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002・吉田実
○委員長(吉田実君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、理事が一名欠員になっておりますので、ただいまからその補欠選任を行います。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X00219780214/2
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003・吉田実
○委員長(吉田実君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に粕谷照美君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X00219780214/3
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004・吉田実
○委員長(吉田実君) 次に、教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。
文教行政の基本施策について、文部大臣から所信を聴取いたします。砂田文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X00219780214/4
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005・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 第八十四回国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たり、所信の一端を申し述べます。
教育・学術・文化は、永遠に変わることのない国政の基本であります。今日、わが国は、景気、雇用等経済面で大きな課題を抱えておりますが、このような困難を乗り越え、世界各国との協調のもとに、将来にわたって発展を続ける、活力に富んだ国家社会を築いていくためには、人と人との心のつながりを大切にし、国民の能力の開発と文化の向上を図っていくことが肝要であります。
私は、個人の創意と自主性及び社会連帯感を重視し、世界の平和と繁栄に貢献し得る知・徳・体の均衡のとれた情操豊かな日本人の育成を文教行政の基調として、広く国民の理解と協力のもとに、その刷新充実に専心努力を重ねてまいる所存であります。
以下、当面する文教行政の諸問題について申し述べます。
第一は、初等・中等教育の改善充実についてであります。
初等・中等教育は国民能力の基盤を培う重要な課題であります。その教育内容の改善につきましては、昨年小・中学校の学習指導要領の改定を行い、その実施に向けて諸般の準備を進めておりますが、本年は、高等学校の学習指導要領の改定を行い、小・中・高等学校を通じて一貫した教育内容を整備し、ゆとりのある、しかも充実した学校生活の中で基礎と基本を確実に身につけ、心身ともに健全な人間性豊かな国民の育成を期してまいります。こうした教育内容の改善を進め、その成果を高めるためにも、教職に人を得ることはきわめて重要なことであります。そのため、いわゆる人材確保法に基づく第三次の給与改善を引き続き進めるとともに、教職員定数の改善について、昭和四十九年度から進めてまいりました五ヵ年計画を計画どおり完成させてまいりたいと存じます。
教員の指導力の向上を図るためには、新規採用教員の研修及び教職経験者研修の拡充を図るなど現職教育に意を用いるとともに、既設の教員養成大学、学部の整備充実に努め、また、これと並行して現職教員に対し大学院における研さんの機会を提供し、あわせて初等教育教員の養成確保に資するための新しい大学を創設してまいりたいと考えております。
心身に障害を持つすべての子供たちが、適切な教育を受けられるよう、昭和五十四年度から養護学校の義務制が実施されますので、その諸準備に遺憾なきを期するとともに、障害児の実態に即した教育指導の充実を図ってまいります。幼稚園教育につきましても、入園を希望するすべての四、五歳児を就園させることを目標とする幼稚園教育振興計画を引き続き推進してまいります。
次に、児童・生徒の健康増進に努めるとともに、学校における安全教育、安全管理を十分徹底させて、学校事故の防止に努める一方、不幸にして事故が起きた場合の救済措置をより一層充実するため、日本学校安全会の災害共済給付の内容を大幅に改善してまいりたいと存じます。また、発育盛りの児童・生徒にとって重要な役割りを果たす学校給食につきましては、栄養基準の保持と魅力ある食事内容を目指しながら、米飯給食の普及拡大に努めるなど、引き続きその振興充実を図ってまいる所存であります。
さらに、公立の小・中・高等学校の施設につきましては、体育館、プール、給食施設を含め、その整備に一段の配慮と大幅な財政上の措置を講じておりますが、特に、老朽危険建物の改築には意を用い、また、生徒の急増により必要となる高等学校の新増設に対する国庫補助を充実し、児童・生徒急増市町村における小・中学校校舎の新増築事業に対する高率補助の継続等、急増対策についても特段の配慮を加えてまいりたいと存じます。
また、地域住民のスポーツ活動の場として学校体育施設を有効に活用できるよう配慮してまいります。
第二は、高等教育の整備充実についてであります。
高等教育につきましては、その質的水準の充実向上と地域的不均衡の是正に特に重点を置き、地方における大学の整備充実、大学院の拡充整備、公私立大学に対する助成の充実、育英奨学事業の充実等の諸施策を進めることにより、全国的に均衡のとれた高等教育の発展を期してまいります。また、大学教育の改善と大学開放の促進に資するため、放送教育開発センターを設置し、放送による大学教育の研究開発を進めるとともに、その活動を通じて、放送大学の創設準備を推進してまいりたいと考えております。
なお、社会的要請の強い医師等の養成を図るため、三医科大学の創設等を図ってまいります。
次に、重要な課題である大学入試の改善につきましては、昭和五十四年度の入学者選抜から、国立大学において共通第一次学力試験を取り入れた新しい入学者選抜方式が実施の運びとなりましたが、この新しい制度が国民の強い期待にこたえて十分な成果を上げるよう最善の努力を払ってまいります。
第三は、私学の振興についてであります。
私立学校は、学校教育の大きな部分を占め、しかもそれぞれ特色ある教育を行って、わが国の教育に多様な発展をもたらしてまいりました。このような私立学校の役割りの重要性にかんがみ、私立学校振興助成法の趣旨に沿って、私立大学等に対する経常費補助や、高等学校以下の私立学校に対する経常費助成を引き続き拡充してまいるとともに、私立学校の修学上の経済的負担を軽減するため、日本育英会の育英奨学事業等の拡充や、幼稚園就園奨励費補助の充実を図ってまいりたいと存じます。
特に、私立医科・歯科大学については、各大学の努力を促し、不明朗な入学時寄付金等の問題解決に努めているところでありますが、さらに、これらの問題の解決と経営の健全化に資するため、経常費補助を大幅に増額するとともに、各大学が実施する入学一時金の分割納入や、奨学金貸与事業を奨励してまいる所存であります。
また、専修学校は、国民の多様な教育需要と社会的要請に即応する教育機関として、その振興発展が期待されているところであり、その健全な発達を図るため十分配意してまいりたいと考えております。
第四は、社会教育、文化及び体育・スポーツの振興についてであります。
社会経済の進展に対応し、生涯を通じてすべての国民が生きがいのある心豊かな人生を築き得るようにするためには、国民が日常生活の中で、その多様な学習意欲を満たし、芸術・文化、スポーツに親しむことができるようにする必要があります。かかる観点から、学校、家庭、社会の連携を図りつつ、社会教育、文化、体育・スポーツに関する諸施策を多様な形で展開してまいる所存であります。
まず、社会教育の振興につきましては、公民館等社会教育施設の整備、指導者の養成、各種事業の奨励援助を柱にして、活力に富んだ生涯教育の環境づくりを推進してまいります。特に、来年度におきましては、宮城県に第四番目の国立少年自然の家を設置するほか、新たに県立総合社会教育施設や公立婦人教育会館の整備を進めるとともに、高齢者が長年にわたって蓄積した貴重な知識や技能を、社会教育における諸活動の指導に活用できるよう新たに助成措置を講じているところであります。
わが国は、古来、美しい風土に恵まれ、世界に誇る特色ある文化を形成し、発展させてまいりましたが、このよき伝統文化を継承しつつ新しい文化を創造していくようにすることが重要であると存じます。このため、特色ある芸術創造活動を奨励するとともに、広く芸術鑑賞の機会を得られるようにするなど、芸術・文化の普及振興のための諸事業の拡充を図ってまいりたいと存じます。特に、来年度においては、国立演芸資料館を開館するほか、第二国立劇場につきまして、用地の早期決定に努力するとともに、基本設計の準備を鋭意取り進めてまいる所存であります。文化財の保護の施策につきましても、由緒ある町並みの保存整備を図るなど、その保存、活用に遺憾なきを期してまいりたいと存じます。
体育・スポーツの振興につきましては、家庭、学校、地域における基礎体力づくりの推進を図るとともに、各種の体育・スポーツ施設の整備を拡充するほか、学校体育施設の開放、地域スポーツクラブの育成等の事業を推進してまいりたいと存じます。また、国際競技における選手の活躍を期待して、選手強化事業に対する補助等国際競技力の向上に努めてまいりたいと考えております。
最後に、学術の振興と教育・学術・文化の国際交流の推進についてであります。
物的資源に乏しいわが国においては、学術研究の振興を図り、知的資源を積極的に開発する必要があります。また、広く教育・学術・文化の国際交流を促進し、諸国民との心の触れ合いを深めていくことは、国際的な協調と連帯を強めていく上できわめて重要なことであります。
このため、学術研究の推進基盤である科学研究費を充実するとともに、研究所の整備等学術研究体制の充実を図り、独創的、先駆的な研究を守り立ててまいりたいと考えております。特に、先進諸国が競って力を注いでいる核融合など、新エネルギーの開発、宇宙・地球環境の解明やがん等の難病対策など、国民生活に深いかかわりを持つ重要な研究領域につきましては、重点的な配慮を加え、その推進に努力してまいりたいと存じます。
また、教育・学術・文化の国際交流につきましては、特に、わが国と密接な関係にあるアジア諸国との交流に重点を置いて、発展途上国との学術交流の推進、留学生事業の拡充などに意を用いてまいります。
今日、海外に在留する日本人子女は、急速に増加してきており、これら子女に対する教育の充実と、帰国後の受け入れ体制を整備することは、緊要な課題となっております。このため、海外の日本人学校にすぐれた教員を派遣できるよう、新たに国の交付金制度を設けるとともに、帰国子女の受け入れを目的とする私立高等学校の新設に対して特別の助成をするなど、海外子女教育の一層の充実を図ってまいりたいと存じます。
以上、文教行政の当面する諸問題について、所信の一端を申し述べましたが、わが国の教育・学術・文化の振興のため、文教委員各位の御協力と御支援を得て、微力ではありますが、全力を尽くして取り組んでまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X00219780214/5
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006・吉田実
○委員長(吉田実君) 引き続き、昭和五十三年度文部省関係予算について説明を聴取いたします。近藤文部政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X00219780214/6
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007・近藤鉄雄
○政府委員(近藤鉄雄君) 昭和五十三年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
まず、文部省所管の一般会計予算額は三兆六千百七十四億千六百万円、国立学校特別会計の予算額は一兆九百八十二億六千九百万円でありまして、その純計額は三兆八千八百四十三億九千六百万円となっております。
この純計額を昭和五十二年度の当初予算額と比較いたしますと、五千百八十一億千三百万円の増額となり、その増加率は一五・四%となっております。また、一般会計予算額の増加率は一五・二%であります。
以下、昭和五十三年度予算において取り上げました主要な事項について、御説明申し上げます。
第一は、初等・中等教育の充実に関する経費であります。
まず、義務教育諸学校の教職員定数につきましては、児童・生徒数の増加に伴う教職員定数の増を見込むほか、昭和四十九年度を初年度とする第四次の教職員定数改善五ヵ年計画の最終年次に係る教職員定数の増、養護学校及び特殊学級の増設に伴う増等を合わせて、本年度に比べ、一万七千六百四十八人増の七十一万六百二十一人の教職員定数を計上しております。
次に、教員の現職教育の充実につきましては、教員の処遇の改善と相まって資質の向上を図るため、前年度に引き続き、小・中学校の新規採用教員の全員と、教職経験五年の小・中・高等学校の教員全員に対し、実践的な指導力の向上を図るための研修を実施することといたしております。なお、昭和五十三年度からは、新規採用教員の研修については、高等学校、特殊教育諸学校及び幼稚園の教員を、また、教職経験者研修については、特殊教育諸学校の教員を新たにその対象とするなど、研修の拡充に努めることといたしております。
幼児教育の普及充実につきましては、特に、私立幼稚園の保護者の経済的な負担の軽減を図るため、幼稚園就園奨励費補助につき、保育料等の減額免除の限度額の引き上げを図るとともに、引き続き、幼稚園の増設を計画的に進めることとし、施設整備の促進を図ることといたしております。
特殊教育の振興につきましては、前年度に引き続き、年次計画による養護学校及び特殊学級の増設を推進することとし、特に、昭和五十四年度からの養護学校の義務制実施に備えて、就学に万全を期するため、その準備活動を促進するとともに、重度・重複障害児のための訪問指導員及び介助職員の増員、特殊教育就学奨励費の拡充等を行うことといたしております。
また、学校給食の整備充実につきましては、米飯給食の導入を一層推進するため、米飯給食関係の施設・設備の整備を大幅に拡充することといたしております。
さらに、学校事故救済制度の改善充実につきましては、日本学校安全会の災害共済給付内容の大幅な改善を行うこととし、その財源については、新たに国庫補助を行うとともに、高等学校、幼稚園等の義務教育以外の学校の設置者も給付財源の一部を負担することとして、保護者の共済掛金の負担増なしで今回の改善を図ることといたしております。また、学校保健の改善充実につきましては、新たに健康増進相談事業を実施するとともに、積極的に歯科保健活動の推進を図るため、各都道府県にその推進校を設けることといたしております。
公立文教施設の整備につきましては、校舎等建物の新増改築事業について、事業量の増と補助単価の引き上げを図るとともに、児童・生徒急増市町村における小・中学校校舎の新増築事業に対する高率補助の継続、小・中学校校舎の補助基準面積の改善を行うほか、特に、老朽危険建物を早期に解消するため、事業量の大幅な拡大、改築補助対象基準の緩和を図ることといたしております。
また、生徒の急増により必要となる高等学校の新増設に対する国庫補助を充実するとともに、児童・生徒急増市町村の公立小・中学校用地取得費補助についても、事業量の拡大を図ることといたしております。
これらの施策に要する補助金として、四千二百九十億円を計上いたしております。
以上のほか、義務教育諸学校等における教材整備の推進、義務教育教科書購入価格の改定、要保護及び準要保護児童・生徒援助の強化等、各般の施策につきましても、所要の経費を計上いたしております。
第二は、高等教育の整備充実に関する経費であります。
高等教育改革の推進につきましては、まず、大学入学者選抜方法の改善を図るため、昭和五十四年度入学者の選抜から、国立及び公立の大学について、共通第一次学力試験を取り入れた新しい入学者選抜方法を実施することとしており、このため、大学入試センターの整備充実及び試験実施のための所要経費を計上し、円滑な改善措置を推進することといたしております。
また、新たに、放送教育開発センターを設置し、国・公・私立大学の連携協力のもとに、放送による大学教育の研究開発を進め、大学教育の改善と大学開放の促進に資するとともに、このセンターの活動を通じ、放送大学の創設準備の推進等を図ることといたしております。
さらに、大学院における現職教員の研さんの機会を確保するとともに、初等教育教員の養成に資するための新しい大学を、上越市及び兵庫県社町に創設するほか、鳴門市についてその創設準備を進めることとし、また、筑波大学について大学院研究科を増設する等、その整備を進めるとともに、技術科学大学についても、昭和五十三年度の学生受け入れに必要な所要の整備充実を図ることといたしております。
国立大学の整備充実につきましては、まず、医・歯学教育の拡充を図るため、福井、山梨、香川の三医科大学を創設するほか、琉球大学の医学部、岡山大学及び長崎大学の歯学部について、その創設準備をさらに進めることとしております。
また、筑波大学について医療技術短期大学部の設置を図るほか、医科大学等の附属病院についても、新設の医科大学等の附属病院の創設・創設準備とともに、既設附属病院の救急部の新設整備等、その充実を図ることといたしております。
教員養成につきましては、前述の上越、兵庫の両教員大学を創設するほか、引き続き、小学校教員、幼稚園教員、特殊教育教員及び養護教諭を養成する課程等の新設拡充を図るとともに、附属養護学校の新設等、その充実を図ることといたしております。
以上のほか、信州大学人文学部、島根大学文理学部、広島大学教育学部及び山口大学文理学部の改組等、地方における国立大学を中心に学部・学科・課程の整備充実を図って、大学学部及び短期大学部の学生入学定員を総数二千百四十人増員することとし、また、図書館大学の創設準備を引き続き行うことといたしております。
大学院の拡充整備につきましては、愛知教育大学及び富山医科薬科大学に、新たに大学院を設置するほか、研究科の新設・改組、専攻の新設・整備等により、七百人の入学定員増を行うことといたしております。
また、国立大学等の教育研究条件の整備を図るため、基準的経費の充実、施設・設備の整備に努めるととまに、必要な分野について教職員の増員を図ることといたしております。
なお、国立学校の授業料につきましては、諸般の情勢を総合的に勘案し、育英奨学事業の拡充措置等と一体化した配慮のもとに、五十三年度にこれを改定することといたしております。
育英奨学事業の拡充につきましては、まず、日本育英会の学資貸与について、高等学校から大学・大学院までの学生・生徒に対する貸与月額を増額するとともに、私立大学、私立短期大学及び高等学校並びに大学院の学生・生徒に係る貸与人員の増員を行うこととする等、その拡充を図り、このために必要な経費として、政府貸付金を五百十一億円計上し、返還金と合わせて、昭和五十一年度に対し百億円増の六百十三億円の資金で、学資貸与を行うことといたしております。
また、私立大学の奨学事業に対する資金援助につきましては、学校法人に対する資金の融資総枠を拡大するとともに、一人当り融資対象限度額を引き上げる等、その改善充実を図ることといたしております。
なお、公立の医科大学、看護大学等、公立大学の助成につきましても、引き続き、充実を図ることといたしております。
第三は、学術の振興に関する経費であります。
重要基礎研究につきましては、まず、エネルギー関連科学の推進、宇宙・地球環境の解明、生命現象の究明等、特定領域における研究を引き続き推進することといたしております。
また、わが国の学術の基礎を培い、科学者の独創的、先駆的研究を推進するための科学研究費につきましては、総額二百六十五億円を計上いたしております。特殊法人日本学術振興会への援助につきましては、従前の事業に対する補助に加えて、拠点大学方式等による発展途上国との学術国際交流事業の拡充及び特許、学術情報事業の推進を図るための経費を計上いたしております。
第四は、私学助成の拡充に関する経費であります。
まず、私立大学等の経常費補助につきましては、専任教職員給与費、教員経費、学生経費及び研究旅費等を拡充するほか、新たに図書館維持、設備費に対する補助を行うこととする等、医・歯学部対策を含めその充実を図り、昭和五十二年度に対して三百七十億円増の千九百七十五億円を計上いたしております。
また、私立高等学校の経常費助成拡充のための都道府県に対する補助につきましては、補助単価の引き上げのほか、過疎県の私立高等学校に対する特別補助等を含め、大幅な増額を図ることとし、昭和五十二年度に対して百四十億円増の四百四十億円を計上いたしております。
日本私学振興財団の貸付事業につきましては、政府出資金十五億円を計上するとともに、財政投融資資金からの借入金五百四十八億円を計上し、自己調達資金と合わせて昭和五十二年度に対して七十八億円増の七百十六億円の貸付額を予定いたしております。
私立学校教職員共済組合の補助につきましては、長期給付の改善を図るため、補助の拡大を行うことといたしております。
第五は、社会教育の振興に関する経費であります。
まず、公立の社会教育施設の整備につきましては、特に、公民館の大幅な館数増と単価の引き上げを行ったほか、新たに県立総合社会教育施設及び公立婦人教育会館を補助対象とすることとし、これらの施策に要する経費として、昭和五十二年度当初予算額に対して三十五億円増の百十一億円を計上いたしております。
社会教育事業の助成につきましては、従来からの事業の拡充を図るほか、新たに高齢者人材活用及び図書館活動についても補助を行うこととし、生涯教育事業の充実強化を図ることといたしております。社会教育活動のかなめとなる社会教育指導者の養成、確保につきましては、社会教育主事給与費の単価の引き上げと社会教育指導員の員数増を行い、指導者層の充実を図ることといたしております。
次に、国立の社会教育施設の整備につきましては、まず、国立婦人教育会館の機構、定員の充実と主催事業の拡充を図ることといたしております。また、計画的設置を進めております国立少年自然の家につきましては、宮城県花山村に国立として第四番目の少年自然の家を設置することとするほか、計画中の他のものにつきましても、引き続き所要の施設費、創設調査等の経費を計上いたしております。
第六は、体育・スポーツの振興に関する経費であります。
国民の体力づくりとスポーツの普及振興につきましては、まず、体育・スポーツ施設の整備を進めるため、体育館、運動場、水泳プール及び野外活動施設並びに学校開放施設について重点的に配意し、これらの施策に要する経費として、昭和五十三年度から公立文教施設整備費としての取り扱いをすることとした学校水泳プールを含め、百三十七億円を計上いたしております。また、スポーツ担当の社会教育主事の給与費補助について、人員の増と単価の引き上げを行い、指導者の養成確保について一層の充実を図ることといたしております。
さらに、体力づくり推進校の拡充を初め、家庭、地域における体力づくり推進事業の整備充実を図り、たくましい青少年の育成と、明るく活力ある地域社会の形成に資することといたしております。
以上のほか、国際競技における日本人の競技力の向上を図るため、日本体育協会への補助、国民体育大会及び学校体育大会の助成等、各般の施策につきましても、所要の経費を計上いたしております。
第七は、芸術文化の振興と文化財保護の充実に関する経費であります。
まず、芸術文化の振興につきましては、地方文化の振興を図るため、移動芸術祭の拡充、地方芸術文化活動費補助の充実、地方文化施設の整備の促進等、各般の施策につきまして、引き続き、所要の経費を計上し、一般国民の文化活動の促進を図ることといたしております。
また、芸術家の創作活動等の助成につきましても、新たに、芸術祭主催公演の地方開催、創作特別奨励を行うほか、芸術関係団体補助の増額等、所要の経費を計上し、その充実を図ることといたしております。
次に、文化財保護の充実につきましては、国宝、重要文化財等の保存修理、埋蔵文化財調査等の諸施策を充実するため、引き続き、所要の経費を計上するとともに、無形文化財、民俗文化財等の保護にも留意し、その助成を図ることといたしております。
また、文化財の公有化を促進するほか、文化財保存施設補助の増額等その整備を進めることといたしております。
国立の文化施設の整備につきましては、国立演芸資料館(仮称)を開館する運びとするとともに、国立歴史民俗博物館(仮称)の建設工事を進めるほか、第二国立劇場(仮称)については、基本設計準備等を行うに必要な経費を計上し、設立のため重要な一歩を踏み出すことといたしております。また、国立能楽堂(仮称)及び国立文楽劇場(仮称)についても、その設立準備を積極的に推進することといたしております。
第八は、教育、学術、文化の国際協力の推進に関する経費であります。
まず、東南アジア諸国との学術国際交流の推進について十分意を用いるほか、これら諸国からの留学生が中心となる留学生事業につきましては、新たに私費留学生からの国費留学生の採用、私費留学生に対する学習奨励費の支給など、特に、私費留学生施策を充実することといたしております。また、アジア諸国等発展途上国への協力を中心としたユネスコ事業活動を推進するとともに、国連大学への協力と第二十次南極地域観測を引き続き推進することといたしております。
次に、海外子女教育の推進につきましては、新たに公立学校から在外教育施設に派遣される教員に係る経費を交付金として交付し、教員確保の体制を確立するとともに、東京学芸大学に海外子女教育センターを設置し、海外子女教育の充実を図るほか、引き続き、帰国子女受け入れのための私立高等学校の設立について特別の助成を行うなど、帰国子女教育の拡充を図ることといたしております。
以上、昭和五十三年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X00219780214/7
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008・吉田実
○委員長(吉田実君) 以上をもちまして、文教行政の基本施策及び昭和五十三年度文部省関係予算についての説明聴取を終わります。
なお、本件に対する質疑は後日に行いたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X00219780214/8
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009・吉田実
○委員長(吉田実君) この際、お諮りいたします。
お手元に配付してあります昭和五十三年度文部省所管予算案概要補足説明につきましては、説明を省略し、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X00219780214/9
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010・吉田実
○委員長(吉田実君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。本日はこれにて散会いたします。
午後一時十分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X00219780214/10
4. 会議録のPDFを表示
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