1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年六月一日(木曜日)
午前十時十三分開会
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委員の異動
五月三十一日
辞任 補欠選任
藤井 裕久君 藤井 丙午君
六月一日
辞任 補欠選任
藤井 丙午君 熊谷 弘君
内藤誉三郎君 降矢 敬義君
宮之原貞光君 大塚 喬君
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出席者は左のとおり。
委員長 吉田 実君
理 事
世耕 政隆君
粕谷 照美君
小巻 敏雄君
委 員
岩上 二郎君
熊谷 弘君
山東 昭子君
高橋 誉冨君
二木 謙吾君
降矢 敬義君
増田 盛君
大塚 喬君
勝又 武一君
久保 亘君
松前 達郎君
柏原 ヤス君
田渕 哲也君
有田 一寿君
国務大臣
文 部 大 臣 砂田 重民君
政府委員
文部大臣官房長 宮地 貫一君
文部省初等中等
教育局長 諸澤 正道君
文部省大学局長 佐野文一郎君
文部省管理局長 三角 哲生君
事務局側
常任委員会専門
員 瀧 嘉衛君
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本日の会議に付した案件
○国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法
の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/0
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001・吉田実
○委員長(吉田実君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。昨五月三十一日、藤井裕久君が委員を辞任され、その補欠として藤井丙午君が選任されました。
また本日、藤井丙午君が委員を辞任され、その補欠として熊谷弘君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/1
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002・吉田実
○委員長(吉田実君) 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/2
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003・粕谷照美
○粕谷照美君 最初に、養護教員の養成計画についてお伺いいたします。
昭和四十七年の七月に教養審建議がありまして、その中に「その職務の特殊性やその養成確保について特別の事情があることなどを考慮し、今後さらに検討をすすめる必要がある。」と、こういった養護教員の養成計画に触れております。養護教員については、特別の事情を考慮するというのは一体何であったのか。それから、「今後さらに検討をすすめる」と、こうなっておりますけれども、その後六年間に、養護教員の養成計画についての検討及び現実の養成というものはどのような形で行われたでしょうか。大学局長にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/3
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004・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 養護教諭の養成につきましては、御案内のように、その重要性かつ緊急性にかんがみまして、国立養護教諭養成所を設置をするというような措置をとってきているわけでございますが、やはり養護教諭の養成は、四年制の大学においてこれを充実した内容を持って実施をすべきであるというのが、まさに養成についての特殊な事情として、教養審の御指摘になったところであろうと思います。そういった御指摘を受けまして、四十年から四十四年度までの間に、九大学に付置をしてまいりました養護教諭養成所について、逐次四年制大学に転換をする、その課程に転換をするという方針のもとに転換を進めてきている、五十三年度をもってこの四年制への転換が終了をするという状況にあるということでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/4
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005・吉田実
○委員長(吉田実君) この際、委員の異動について御報告いたします。
ただいま内藤誉三郎君が委員を辞任され、その補欠として降矢敬義君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/5
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006・粕谷照美
○粕谷照美君 五十三年度をもちまして、養護教員の養成計画は終了するといま局長は非常に重要なことをおっしゃいました。それでは一年間に養護教員というのは、どのくらい必要だ、この必要度というのはどのくらいになっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/6
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007・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) ただいま申し上げましたのは、五十三年度をもって養護教諭養成所の四年制課程への転換が終了をしたと申し上げているわけでございまして、養護教諭養成の問題が五十三年度をもって終わったなどとはもとより考えていないわけでございます。五十二年の三月に大学あるいは養成機関を卒業した者で、養護教諭の免許状を取得した者の数は約五千人でございます。このうち五十二年度当初、六月一日までに養護教諭として採用された者の数は、約四割の千九百名でございます。過年度の採用者が五百人ございますし、また養護助教諭として採用された者が百人程度ございますので、これを加えますと、五十二年度当初の養護教諭の、あるいは養護助教諭の採用者数は、二千五百という状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/7
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008・粕谷照美
○粕谷照美君 そうしますと、五千人がみんな受験をして、二千五百人しか採用されなかったということになりますから、あとの人たちは入ることができなかったということになるのですか。よくその辺がわからなかったのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/8
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009・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) いま申し上げましたのは、養成機関を卒業して免許状を取得した者の数が五千ということを申し上げたわけで、この五千名がすべて各県の採用試験を受験をしているかどうか、この受験者数については私どもは承知をいたしておりません。いずれにしましても年度当初、養護教諭あるいは助教諭として採用された者の数が二千五百名ということでございますので、現在の免許状取得者と養護教諭に採用された者の数の状況から申しますと、量的な養成数の対応は、一応需要に沿って対応できる状況にあると考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/9
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010・粕谷照美
○粕谷照美君 需要に沿って対応できる状況にあるということは、この国・公立でもって需要に対応できるという状況なのでしょうか、私学なども含めてそういう状況になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/10
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011・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) いま申し上げました五千名という数は、これは国・公立だけではなくて、全体の大学なり、あるいは短大なり、指定養成機関で免許状を取得した者の数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/11
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012・粕谷照美
○粕谷照美君 需要に間に合うと言いながら、それではなぜ百人もの養護助教諭が入っているのでしょうか。その辺はどのように分析をされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/12
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013・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) やはりそれぞれの県で採用される場合の実態、実際の状況というものが、必ずしも養成の量的なものと対応していない面がある、そういう実際の事情というものによるものとしか、私どもは考えようはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/13
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014・粕谷照美
○粕谷照美君 私もそういうふうに考えております。
いま手元に持っておりますのは、新潟大学教育学部養護教諭養成課程設置案とこういいまして、ぜひ新潟大学にも養護教諭の養成課程を設置したいという考え方の書類になっているわけですが、現実に新潟の養護教員はどこで養成をしますかと言いますと、県立の公衆衛生看護学校になっているわけです。この公立の公衆衛生看護学校というのは、もともと養護教員をつくりましょうというものでありませんから、保健婦などのところに行きたいとか、養護教員なんかになりますと、僻地にも行かなきゃなりませんので、なかなか希望者がないわけです。それで足りませんから、福島県あたりの人たちを一生懸命になって連れてきまして、ぜひ新潟に就職をしてもらいたいと、こういう状況になっていて、非常に足りないという実態があるのに、大体国立においての転換は終わりだと、こういうことになりますと、もう各大学でこういう養成課程をつくることができないというふうに考えてよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/14
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015・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 五十三年度の概算要求に際しまして、養護教諭養成課程の設置要求があった大学が五大学でございます。そのうちの二つは養成所からの転換を図る弘前と岡山でございますが、それ以外に御指摘の新潟大学を含めまして、三つの大学から養成課程を設置をしたいという御要求がございます。
先ほどお答え申し上げましたように、五十三年度をもって、養成所の養成課程への転換は終了をしたわけでございますけれども、御指摘のように、養護教諭の養成というものをさらに充実をさせていく、あるいは地域的な状況に対応するということを考えますと、養護教員の養成課程をこれをもって設置終了というわけにはまいらない。やはりこれは大学側の御構想なり、全体の教員養成大学学部の整備の状況というものも考えながら、慎重に進めるべきことではございますけれども、やはり各大学の御要求等を十分に承りながら、対応していかなければならないことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/15
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016・粕谷照美
○粕谷照美君 そうしますと、来年度も考えると、こういうふうに理解をしてよろしいかと、こう思いますが、とにかく養護学校も一生懸命につくって、すべての子供たちの就学する権利を保障しましょうという、文部省のこのすばらしい考え方、これに対応するためにも、私は養護教員の養成という問題が非常になおざりにされているのではないだろうかという気持ちがしてなりません。大臣にこの養護教員養成についてのお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/16
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017・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 大学局長もお答えをいたしましたけれども、四年制への転換が五十三年度で一応終了したわけでございます。しかし、養護教員というものの重要性、これからの需給もまた変わってくるものがあるかもしれません。ですから、すべて養護教員の養成のための努力が終わったというわけではないと考えます。今後の養護教諭の養成課程の設置につきましては、養護教諭の資質向上という観点も含めまして、これからの需給状況や、大学側の御要請も現に五十三年度予算編成の段階であったわけでございますから、大学側の事情等も勘案をして、十分検討をしてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/17
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018・粕谷照美
○粕谷照美君 では次に、歯科医の養成についてお伺いをします。
六月四日は虫歯デーなんてこう言いますけれども、非常に最近乳児の虫歯というものが問題になっております。その歯科医の養成は、私学も含めていま大体どんな状況になっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/18
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019・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) わが国の歯科医師数は、五十二年度末現在で人口十万人当たり四十三・二人ということになっております。これは国際的に見ましても、なお他の先進国に比べますと低い数字でございますし、全体として歯科医師の数は、今日の段階では不足の状況にあるということが言えようと思います。しかしながら、私立の歯科大学の設置、あるいは四十八年度の医科大学等設置調査会の歯学部会の報告に基づいた国立の歯学部の設置、そういったことを進めました結果、現在の歯学部の定員を前提として考えますと、昭和六十年を待たないで、人口十万人当たり五十人という歯科医師の養成は達成をされるわけでございます。当面歯科医師の養成につきましては人口十万人当たり五十人ということを目標としていたわけでございますけれども、この数をはるかに超える養成が現在の入学定員——現在は国、公、私合わせまして二十七学部三千百六十名の入学定員がございますが、これをもって達成をされるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/19
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020・粕谷照美
○粕谷照美君 そうしますと、これは厚生省の考え方になるわけですが、これでもうお医者さんは十分だというふうに考えているのでしょうか。
私は、歯科医養成についての国の責任というものは非常に問題があると考えます。先日のわが党の久保委員の質問にもありましたように、とにかく多額の寄付金、多額の授業料、こういうものを払わなければ歯科に入れない、医科大に入れない、こういう実態がある中で、やっぱり国立の中にも、もっと歯学部、あるいは歯科大といういうものをつくっていく必要があるのではないか、こう考えるわけです。
今回でもって、すべての県に医科大学ができ上がりました。もう無医大県というのはなくなったわけですけれども、国立学校において歯学部、これがない県というのはあと幾つぐらいありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/20
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021・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 国立だけと申しますと、国立は九学部しかございませんので、先ほど申し上げましたように、国、公、私を通じて見ますと、いわゆる歯科大学のない県というのは二十八ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/21
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022・粕谷照美
○粕谷照美君 私が伺ったのは、国立の大学に歯学部を持たないのは幾つあるか。つまり国立の無歯学部というんですか、それは幾つあるかと聞いているわけです、四十七のうち。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/22
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023・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 現在国立大学八十七ございますので、歯学部があるのは九学部だけでございますから、残余のものはないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/23
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024・粕谷照美
○粕谷照美君 そうすると、四十七県のうち九県しか歯学部を持っていない。国ではそれだけしか歯医者をつくることに対して一生懸命でないという実態が出ているんではないんでしょうか、その辺大臣いかがお考えですか。ほかの公立、あるいは私立の大学に任しておけばいいと、こういうふうにお考えになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/24
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025・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 公立、私学で充足をしてくれるからそれに任しておけばいいというような安易な気持ちでいるわけではございません。やはり、医師が人口十万人について百五十人、歯科医師が人口十万人について五十名、そういう一応の目安というものがございますものですから、それを充足させるために、国立大学における歯学をまたふやしてきたわけでございます。その結果今日の状況は、昭和六十年を待たずに、当面の目標であります人口十万人に対する五十人というのが、予定をしておりました六十年を待たずに充足される、そういう数字が出ているわけでございますから、そして、確かに国立としては歯学部のない大学がたくさんございますし、また歯科を持っております大学のない県も二十八もあるわけでございますけれども、必ずしも一県に一つなければならないということではなくて、国立の歯学部を充実してまいります段階でも、一つの県にあります国立大学の歯学部卒業生が、その近辺県というものをカバーができるようなことで計画立てをしてやってまいる。ですから、あと残されているとすれば、県ごとのばらつきに手抜かりはないかということをやはりこれから十分見きわめまして、一応マクロ的に見ます十万人に対する五十名という歯科医師確保の目安はついておりますけれども、地域的なバランスというものをもう一遍考えてみなきゃならない。そうしてまた、それをカバーをしなきゃならないとするならば、国立に歯学部を置くという方針でやっていきたい、かように考えるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/25
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026・粕谷照美
○粕谷照美君 先ほどから申し上げましたように、ほとんどこの歯学部あるいは歯科大学というものが私立に頼っている。そうしてもう莫大な入学金、授業料、これを払わなければなれないわけですから、お金のない人は歯医者になるということができないわけですね。そういう実態があると思います。そうしてまた、虫歯を持つ人たち、あるいは入れ歯をしなければならない人たちにとってみますと、いま六十年を待たずして十分に医者はできますと、こう言われますけれども、いまのような実態の中で本当にそうなんだろうか、私たちが三時間も四時間も待たせられて十五分間の治療で帰ってくるような状況が、それでは解消されるんだろうか、こう考えますと、やっぱりなかなかそういう実態にはないだろうという不安もあるわけです。私はもう少し国民の要望にこたえた歯科医の養成というものを考えてもらいたい、こういう要望をいたしまして、今後の努力をお願いいたします。
それでは、次に移りますけれども、教育実習の面で伺います。付属学校のあり方をめぐっては、昨年の国会の中で私もやりましたけれども、ずいぶん論議がありました。そうしてまた、世論もこの付属学校のあり方について非常に高まってきていたと思います。そして、四十四年の教養審建議ですが、あれがあってから九年間、大変な改革が進んだんではないだろうか。私は本年のこの付属の入学の状況などを新聞紙上で拝見いたしましてそう考えますけれども、大学当局としてはどのように把握をしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/26
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027・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のような四十四年の教養審建議を実現をしますように、関係大学に対して鋭意指導をいたしてまいりました。大学側もこれに対応いたしまして、昨年夏に教員養成大学学部で構成されております日本教員大学協会に特別の委員会を設けまして、具体的な改善の指針をお取りまとめになり、それについて各大学に指導をされ、各大学も努力をされたわけでございます。
その結果、五十三年度の入学者選抜について見ますと、付属の幼稚園の四十七園と、小学校七十一校につきましては、応募倍率の非常に低い数校を除いて、すべて抽せん制を取り入れるということになりました。さらに、東京所在の付属の中学校では、できるだけ受験者の集中を避けるという趣旨から、申し合わせを行って入学試験日を統一をしたり、あるいは高等学校につきましても、十七校ございますが、このうち問題の少ない職業高校の四校、それから外部からの募集を行わない三校を除きます普通高校十校について、改善状況を見てまいりますと、東京の二校——従前の東京教育大学の付属でございますが、この二校を加えまして、三校が抽せん制を取り入れるということを実施をしておりますし、また従来から県立高校と試験日を統一をしていた愛知教育大学の付属高校のほかに、東京所在の四校も試験日を統一をしたり、あるいは大阪の一校では試験日を府下の私立高校に合わせる、あるいは東京の一校では第一次選抜を調査書に基づいて行う、そのような改善を講じているところでございます。これは従来の付属高校の取り組み方を考えますと、教育大学協会の御努力もあって、かなり付属高校が積極的に選抜の改善に取り組んでくれたということを示していると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/27
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028・粕谷照美
○粕谷照美君 私もそのように考えておりますが、ところでこの付属学校は、今回の国会の論議、あるいは文部省の考え方などを通じてみましてもわかるんですが、教育実習期間を延長していきたいという、その延長にこたられるような数になっておりますでしょうか。地域ぐるみで協力校を依頼するということが言われておりますが、やっぱりそれでは足りないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/28
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029・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 現在の状況は付属学校のみをもってしては、教育実習に完全に対応することはできない。もちろん付属学校における教育実習の受け入れの期間というのは、公立の学校に比べてははるかに長い期間受け入れておりますけれども、なお付属学校のみをもってしては、教育実習に完全に対応するというわけにはいかないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/29
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030・粕谷照美
○粕谷照美君 対応するわけにはいかないから、今度は普通の公立学校にも協力をお願いすると、こういうことになろうかと思いますが、その教育実習期間の延長をめぐりまして、中教審の教育問題小委員会ではずいぶん論議が重ねられているようであります。そして、これはつい先日の五月の十七日だったと思いますけれども、受け手側ですね、小・中・高等学校の校長協会の代表を呼びまして、何とかこの辺についての協力ができるものかどうなのか、実態はどうかというようなことを聞いておりますし、さらに送り手の国・公・私立大学側からも、その点についての意見なども聞いているようであります。そしてつい先日は、もう一つの受け手側であります日教組、日高教左派、右派、あるいは新教連、この組合側の代表を呼びまして、教育実習延長についてどうだろうかということを意見を求めているようであります。私はこれは教員の労働条件に関係することでありますから、当然労働代表というものは呼んでその意見を聞き、納得を受けながら生徒たちを送り出していかなければならない。これは大変いいことだというふうに考えておりますが、それに対してどのようなことを言っているかと言いますと、日教組も、日高教も、新教連もみんなやっぱり教育実習は重視しなければならない、延長することについては賛成だという旨の意見を出しているということが、新聞紙上に報道をされております。それで、そのときに協力校は付属と違いまして、教育条件がやっぱり違っているわけですから、当然実習生を受け入れるに当たっては、教育条件の整備を図るべきだと、こういうことを申し出ているわけですけれども、付属と一般公立学校というのは、教育条件はずいぶん違うものでしょうか。大学局長としてはどんな把握をしていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/30
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031・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 基本的には、私は付属学校の場合も、公立の学校の場合も、教育条件というのはそう差はないと考えております。もちろん付属学校の場合には、公立学校と違って学部の教育研究に協力をするということ、あるいは教育実習を受け入れるというような、特別の付属学校としての任務がございますから、それに応じた付属学校の整備ということは考えなければならないことではございますけれども、現在の状況は、付属と公立の間にそう著しい差はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/31
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032・粕谷照美
○粕谷照美君 著しい差はないんじゃなくて、ずいぶんあるんですよね。その辺のところも含めまして、本当に受け入れられる条件を整えられるかどうかということが、私は今後の課題になってくるだろうと思います。と申しますのは、昨年も質問したんですけれども、ここにありますのは神奈川県の湘南教職員組合が、横浜国立大学の教育学部の部長に対して、あるいは小・中学校長に対して、われわれのところでいつもいつも教育実習生を受け入れているけれども、大学当局はもう当然のこととして、まことに過酷なことを言っていると、われわれの言うことに対しては少しも誠意を持ってこたえてないではないかというこの文章のやりとりがあるわけです。そういうことも含めまして、今後どうでしょう、地域の協力校に対しては十分組合側とも話し合いをするようにということを指導されるお考えはあるでしょうか、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/32
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033・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 御指摘のように、中教審で各方面の御意見を伺って、御勉強いただいておりますように、私も承っているわけでございます。中教審答申をお待ちをするわけでありますけれども、やはり教育実習を充実させていくということは大切なことでございますから、それが可能になるように、協力校についてどういう措置を講じていくか、中教審答申を受けました後、私どもとしてはそのことは十分に検討しなきゃならない重要な課題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/33
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034・粕谷照美
○粕谷照美君 私が伺いましたのは、教師の労働条件そのものに関連をする部分が非常に大きいから、教員組合の代表、教師たちの代表とも十分に話し合うということが必要ではないか、そのようなことを指導するお気持ちがあるかどうか、ということは、もう校長さん、市教委に話をつければそれでいいと、こういう考え方を持っているかどうかということを逆にお伺いをしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/34
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035・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 当然学校現場の教員の皆さんの御意見を十分お聞きすることは必要なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/35
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036・粕谷照美
○粕谷照美君 それでは、この教育実習の問題についてはそれで終わりまして、時間がありませんからあと現職教職員の研修機会の保障についてお伺いをいたします。
私どもは、現職の教職員が給与を受けながら教育研修の機会を与えられると、こういうことについてはもう心から賛成をしているわけです。しかし、そのことはすべての教職員に対して公正に保障されるものでなければならないと、こう考えますから、今回の教員大学構想はその保障がないという点で反対をする、これからも十分に審議をしていかなければならないという立場に立って、いままでずっと討論を続けてきております。それでお伺いするわけですが、学校種別に教師の平均的授業時間数というものがあると思いますが、事前通告をしておりませんでしたので、こういう細かい資料についてはすぐ御答弁いただけるかどうかわかりませんが、わかりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/36
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037・諸澤正道
○政府委員(諸澤正道君) 現在の標準法をつくりますときに想定しましたのは、いまから十年前になりますけれども、小学校二十六、中学校二十四、高等学校十八時間ということでございましたが、四十九年だかの実態調査では高等学校が十五、中学校が十八時間、小学校が二十三時間というぐらいの数字になっておったかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/37
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038・粕谷照美
○粕谷照美君 平均してですから、授業を持たない、たとえば学校の中にもぐっていて指導主事かなんかをやっていらっしゃる方とか、校長や、教頭も含めての数字ですから、二十三時間とか、十八時間というのは、実質的にクラスを担任している先生から言えば、どこからそんな数字が出るんだろうかと思うような私は数字だと思います。けれども、機械的にそのような数字で計算をしてみますと、これは調査室からいただいたんですけれども、小学校で平均して十九・九時間、中学校で十六・七時間、高等学校で十四・三時間に対して、大学は七・五時間なんですね。また、そういう数字を計算してみますと、学校種別の教員一人当たりの児童、生徒、学生数は一体どのくらいかといいますと、小学校で二十五、中学校で二十、高等学校で十九、大学が十九という数字になっております。これはクラスを担当しない先生も含めての割り算ですから、私などまさに四十五人持っておりましたので、どうしてこういう数字が出るんだろうかと不思議でなりませんけれども、でもやっぱり小学校の先生というのは、非常に大ぜいの子供たちを持たされている、持たなければならないという現実があろうかというふうに考えます。
それでは学校種別のこの平均の給与はどうだろうか、小学校で十四万円、中学校が十三万九千円ということは、これは若い先生が多いのでしょうか、高等学校が十四万一千円、大学が国立で十五万六千九百円ですから十五万七千円ぐらいになりますね。小、中、高まあ大体同じ学歴でこう考えてみますと、こういう数字は正しいんだろうかどうなんだろうか、平均というものは、統計というものは何かおかしいものがあるんではないんだろうかということが考えられるくらい、大した違いがないんですね。現実には大学の先生の給与体系、それから高等学校の給与、小・中学校の給与と三本立てになっていて、その間に歴然とした格差があるわけですね。だから教員の給与というものは、やっぱり小学校の先生をもっと大事にしてもらいたいという気持ちがいたします。
それでは、今度は事務職員は一体どのくらいいるかというと、一人の事務職員が持つ数字は、小学校が四百六十人、中学校が三百五十五人、高等学校が百六十七人、それに対して大学なんというのは三十一人の学生に対して一人の事務職員と、こんな大きな差があるわけですよね。なぜこうやって義務制というものが非常に労働条件が悪いんでしょう、教育条件が悪いんでしょう。大臣、こういうことをいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/38
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039・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 最後にお尋ねの事務職員の数、小学校などはまだ七五%しかいっていない、やはりこれはもう可及的速やかに一〇〇%まで充実をして、教育条件を整えていかなきゃならない私どもの責務だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/39
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040・粕谷照美
○粕谷照美君 こういうふうに大変な教育条件が整っていないから、先生方は文部省が言うように、本当に一時間の授業をやるためには、一時間の事前準備と、その後始末が必要なんだということを言われていても、なかなか忙しくて十分な授業準備ができないわけです。それに加えて、落ちこぼれがあるのは先生の責任だ、先生の責任だと言って、本当にもう大変な状況に陥っているわけですので、ぜひとも一クラス当たり四十五人なんというのはやめていただきまして、もっともっと欧米諸国並みの、一クラス当たり最高はもう三十人にするとか、三十五人にするとかいうことについての努力というものをお願いをしたいと思いますし、さらにこの人数だけじゃだめなんで、一週間の受け持ち時間は、小学校の先生の最高は二十時間だと、中学校の先生は最高十八時間で終わりなさいと、あとはちゃんと事前の準備と、後始末をやりなさいというようなことを考えてもいい時代に来ているのではないか、私どもはそういうふうに考えていままでやってまいりました。
それで、今回のこの教員大学の研修の問題ですけれども、すべての先生方にその研修の条件を与えられるための、一体どれだけの条件があるだろうかと私は計算してみました。義務教育関係の教員の数が七十万人としまして、上越教員大学と兵庫教員大学でもって四百人ですね。これを割りますと千七百五十人に一人の方が行ける条件というものが出てくる。逆に考えてみますと、千七百五十年たたないと自分の番が回ってこないという、こういう計算にもなるわけで、きわめてきわめて少ない教師が、その大学院に入る条件が許されるという意味では、非常に足りないわけなんですね。それで、衆議院の方でもよく言っていますけれども、無医大県が解消されたように、すべての教員養成の大学、あるいは教育学部、こういうところに大学院を保障していくと、そうなっていきますと、四十七都道府県にたとえば二百人ずつ入れていけば、一年間に九千四百人、一万人近い教員の研修の場所というものは確保されるんではないかということが言われておりましたけども、こういう発想というものは文部省としては全然やらないものでしょうか、局長いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/40
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041・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 既設の教員養成大学学部につきましては、戦後の大学創設以降、あるいは創設当時の事情もございまして、教員組織等の整備が十分でない、そういったことから、大学院の設置がおくれているわけでございます。すでに、今年度愛知教育大学について、修士課程の設置ということをお願いをしているわけでございますし、さらに、大学院の改革調査費をもって、教育系の大学における修士の課程の設置ということについても、積極的に取り組もうということを考えているわけでございます。各大学の構想がどのように固まってくるのか、それぞれの大学における教育研究条件の整備というのが、どのように今後進められていくのかにかかわることではございますけれども、文部省としては、財政当局初め関係省庁の御理解を得ながら、逐次計画的に既設の教員養成大学学部について、修士の課程の設置を進めていきたい、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/41
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042・粕谷照美
○粕谷照美君 そういうことがなかなかできないから、今回のこの教員大学をつくったということになっていたのではないでしょうか。こういうような、上越教員大学のような大学を今後つくっていくことと、既設の教員養成の大学、あるいは教育学部に大学院を置くということとは、どちらが重点をもって今後行われていくのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/42
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043・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 教員大学につきましては、現在お願いをいたしております二大学のほかに、鳴門について創設準備を進めるということを考えておりますが、それ以後のものにつきましては、従来再三お答えを申しておりますように、ブロックごとに教員大学をつくっていくというような考え方をとっておりません。今後の教員大学の整備の状況、あるいは既設の教員養成系の大学における大学院の整備の状況、そういったものを見ながら、慎重に対応していかなければならないことであるというように考えているわけでございます。教員大学と既設の大学の修士課程の整備を、どちらを重点に置くかということではなくて、再三これまたお答えを申しておりますように、文部省としては、両方について力を入れて、両者が相まって現職教員の研修の場の確保ということに資していくように、そういう方針のもとで今後とも努力をしていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/43
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044・粕谷照美
○粕谷照美君 そうすると、まだまだこういう教員大学をつくっていくというお考えがあるというように受けとられます。そうではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/44
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045・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 教養審のお考えの中には、ブロックごとにつくるという御指摘があったわけでございますが、私たちは逐次ブロックごとに教員大学をつくっていくという考え方を現在は持っておりません。まずお願いをしている二大学と、創設準備中の一大学を十分なものにつくっていく、その後どのように対応するかについては、これらの三大学の整備の状況、あるいは既設の大学の修士課程の整備の状況、そういったものを十分に勘案をしながら慎重に考えていく、どんどんつくっていくという考え方を持ってはいないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/45
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046・粕谷照美
○粕谷照美君 そういたしますと、やっぱりこの三つについてもうやるという計画を立てているけれども、その次にはやっぱり既設のものに重点が置かれるというような御答弁に聞こえましたけれどもどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/46
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047・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 既設の教員養成大学の修士課程というのは、現在は東京学芸と大阪教育にしかございませんし、それに愛知教育の修士課程が加わるわけでございますが、それ以外の大学には修士の課程がないわけでございます。これについてこれまで再三御指摘を賜っておりますように、修士課程の整備を図っていくということは、現職教員の研さんの場を確保するということ、あるいはそれぞれの大学における教員養成のあり方を充実して、修士の課程まで進学をしていく者を含めての教員養成のあり方の検討というようなことも考えていかなければならないわけでございますから、今後、いま申し上げましたように、既設の大学における修士の課程の設置ということについて、私どもは各大学の御検討を十分に承りながら、積極的に対応していくということはもちろん考えているわけでございます。これは教員大学に重点を置くか、既設の大学に重点を置くかということよりも、両者を通じて教員大学の創設の趣旨、あるいは教員養成の大学の整備、そういったものを相まって進めていくということを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/47
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048・粕谷照美
○粕谷照美君 教員大学ができたことによっても、刺激を受けて、各既設の大学がやっぱり修士課程を設けなければならないという機運が盛り上がってきているわけですから、ぜひそこのところにウエートを置いていただきたいと私どもは考えます。ということは、たった二百人の学校の中に、一体私は婦人教師が何人くらい行くんだろうかということを心配するからです。それも大学を卒業して、そうして三年くらいたってといいますと、大体が結婚をしているという年齢になりますね。そうすると、なかなか子育ての時代というのは、大学なんか行ける条件がないわけですし、行くときには一体どのような宿舎などが保障されていくのかなどということも含めますけれども、時間がありませんから、これで打ち切りますけれども、やっぱり婦人教師は、それでも自分の県内にそういう条件が整うのであれば、あるいは通学できるかもしれない、こういう期待感が現実のものとなって出てくるというふうに考えますから、ぜひそのことも合わせ考えまして、既設の大学院の整備について、格段の努力をお願いいたしまして、大臣の決意をお伺いして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/48
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049・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 教員の資質向上を図るために、また、教員みずからがより研さんの機会を持ちたいという非常に強い意欲を持っておられる、それにこたえますために、私どもはできるだけの努力を当然しなければなりません。それは今回の法案審議をお願いいたしております教員大学が、やはり重要な意味を持っていると信じます。しかし、これで終わるわけではございません。大学局長もお答えをいたしましたように、既存の大学の大学院創設も含めての充実を、やはり両々相まって図っていくことによって、教員の資質向上に役立てたい、かように考えるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/49
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050・久保亘
○久保亘君 私は社会党のこの法案に対する質問としては、最後になろうかと思いますから、一番最初に文部大臣に法案の提出のあり方について御意見を伺っておきたいと思うのであります。
今度いま審議に供されておりますこの案件は、二つの法の改正を一緒にしたものであります。しかも、その内容は、全く性格の異なるものを、同じ法律の中身の改正であるからという理由でもって、一括して提出されております。このことは審議をいたします私どもの立場からすると、大変不都合なものなのであります。特に、文部省が政策的に打ち出される新しい構想については、分離提案をして、十分な審議に供すべきものだと考えるのであります。特に、新構想の教員大学の問題とか、あるいは放送教育開発センターの問題であるとか、こういう問題は、すでに年次計画で進められてきた医学部の新設の問題などとは別途の法案として提出されなければならない、私はこう思うんであります。こういうものを一くくりにして、この審議に供するということは、国会の審議をできるだけ簡略に済ませて、文部省の政策を意図どおりに進めようというあなた方の方の含みがある、こういうふうに解せられても仕方がないと思うのでありますが、この問題について大臣の見解と、今後この種の問題について、私がいま申し上げたような立場に立っていただけるかどうか、その点を最初にお伺いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/50
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051・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 国立学校設置法は、国立大学を初めといたします国立学校の設置とともに、その組織等に関します基本的事項について、統一的に定めることを目的とした法律でございます。私どもはこのような現行法制の体系から考えまして、同じ国立大学の設置及び組織等に関する問題として、教員大学と他の国立大学学部、大学院の新設等を一括をして、当法の一部改正として提出するのが適切であると考えたわけでございます。
今後も一つ一つの法律の目的といたしますことを十分踏まえまして、慎重に検討をしながら、その法律の目的遂行に支障のないように、御審議いただけるような考え方でやってまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/51
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052・久保亘
○久保亘君 文部省として、これらの問題を分離提案をするという御意思がないということになれば、法案を受け取る側の国会の立場として、私どもはその審議の方法を検討し直さなければならないと思うんであります。特に、政府側が別に年次計画で進んでおる異議のないものを含めることによって、いろいろ意見の分かれているものを一緒に提案をすれば、この意見のある内容のものについても、審議の日程等がおのずから制約される。そういうことを配慮に入れて進められておる気配も、私どもはこの審議の過程において感ずることがあるんであります。たとえば、この法案を早く通してもらわなければ、この法案の施行年月日との関係からぐあいの悪い点があるというような話を聞くのであります。そういう点からいたしますと、私はやっぱりこれらの問題については、分離提案か、さもなければ分離審議を必要とするだろう、こう考えております。この問題については、大臣がいまここで、政府側が他の案件についても現在行っておりますこの方式を、文教の問題だけいまあなたがここでそう言われることは非常にむずかしいと思うんですが、私が言っていることが理解いただけますでしょうか。そして、私の言っているそういう意見が、非常に合理的な側面を持つということについては、どういうふうにお考えになりますか。そういうふうにお考えになりませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/52
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053・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 御指摘のように、文部大臣として国会に政府が提出します法案、一般的なお答えは大変むずかしいわけでございますけれども、いま御発言になりました御趣旨は、私に理解のできることでございます。私もまたそっち側に座るわけでありますから、やはり国会議員として御発言の御趣旨は理解のできることでございます。
この法案につきましては、いままでの審議の過程でもお答えをいたしてまいりましたけれども、教員大学の組織、基本的な事項は、現行法に基づいた大学でございますとお答えをいたしてまいったわけでございます。
そういう意味から、やはり国立学校設置法の中に、他の国立大学の問題と同時に提案をするべきもの 一括して同法の一部改正として提出するのが適切であると考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/53
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054・久保亘
○久保亘君 時間が限られておりますから、この問題についてはいずれまた私どもは法案を受けとめる側の、審議する側の国会の立場で適切な検討をしてまいりたいと考えております。
次に、この教員大学の設置に関しては、大学設置審議会とはどういう関係になっておりますでしょうか。教員大学についても、学校教育法の六十条に基づいて、また大学の設置等の認可の申請手続等に関する規則等に基づいて、必要な設置審議会に対する措置がとられなければならないと考えるのであります。特に、私立大学等については、設置の前年にこの手続を取らせて、設置審議会の議を経るはずでありますが、この教員大学については、大学設置審議会に対する諮問はどのようになるものか、お知らせをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/54
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055・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 大学設置審議会は、大学の設置認可に関する事項を所掌いたします。大学の設置認可については、御指摘のように設置審議会に諮問をするわけでございます。国立大学の設置は、これは認可を要することではございません。したがって、法律上大学設置審議会に諮問をすべき事柄ではないわけでございますが、しかし、事の性質上、私立大学、公立大学の場合と同じように、国立大学につきましても、大学設置審議会の意見を伺うという手続を従来からとってまいっております。実質的には諮問と同様に設置審議会の御検討をお願いをするわけでございます。
現在、国立大学の設置につきましては、各方面の御意見等も伺い、あるいはこれまでの実際の経験等を踏まえまして、国会で法律を御審議をいただき、そして大学を創設をする。しかし、学生の受け入れまでには十分な期間を置いて大学の施設、設備を整え、あるいは教員組織を十分に整備をした上で、学生の円滑な受け入れということを考えていく。そういうたてまえをとっております。したがいまして、私立大学の場合のように、設置に先立って教員組織等について、大学設置審議会の御審査を賜るという運びには、筋道からしてまいらないわけでございます。
そのことについては、大学設置審議会に十分に御説明をし、御了解を得まして、法案を提出するに先立ちまして、こういう趣旨の大学について、国立学校設置法をもって設置をする。そのために必要な法案を国会に提出をするということについての御了解をいただき、またそれに必要な創設費の概算要求をするということについても御了解をいただきます。そして、大学が、法案が成立することによって、創設をされるということになりますと、それに応じて、設置審議会の方で御検討を賜るわけでございます。
医科大学の場合であれば、今年度創設されるものは、五十五年に学生を受け入れますので、まず設置審議会において、講座の編成のあり方等を、その大学の基本的な構想についての御審議なり、あるいはそれに続く教員組織の御審査をいただくわけでございます。
教員大学の場合につきましても、同じように法案提出について、設置審議会の御了解を得てございます。これが成立をいたしますと、この大学の教員組織につきまして、学生受け入れに先立って、十分な御審査を賜る。そして設置審議会の資格審査を経た者について、教員組織を整えていく。そういう段取りになるわけでございます。
なお、昨日設置審議会の総会がございまして、いま申し上げましたような形で、国立大学の創設というのは進めるということについて重ねて御説明を申し上げ、今後法案が成立した場合には、医科大学、教員大学についての御審査をお進めいただくということをお願いを申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/55
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056・久保亘
○久保亘君 法的には、国立大学の場合には設置審議会の議を経ることはないが、従来やっぱり国立大学の設置についても、大学設置審議会に実質的には諮問をやってきた、こういうことなんでありますが、昨日総会開かれたというふうに聞くんですが、これは法案を出される前に、大学設置審議会にそういうあなたがさっき説明されたような手続は全部済んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/56
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057・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 法案を提出するに先立っての設置審議会の御審査というのは、具体的な教員組織についての教員の資格審査等を行えるような状況にないわけでございます。国立大学の教員組織につきましては、学生の受け入れ時期というものを考えて、財政当局と協議を進め、それぞれの年度における予算をもって教員の定数を決め、それに応じて教官を公募をし、編成をしていく、いわゆる年次計画によって整備をするたてまえをとります。したがって、もちろん具体に就任をする教官というのは、すべて大学設置審議会の審査を経て就任をされるということになりますけれども、法案提出に先立って、それらの教員組織についての全部の審査をお願いをするというわけにいかないわけでございます。これは私立大学の場合と国立大学の場合と違う。これは教員大学に限らずに、一般の医科大学等を設置をする場合についても同様でございます。従来のように——従来というか、かなり前のように、大学をつくる際に、設置法でお願いをする、そして四月一日をもって大学を創設し、直ちに学生を受け入れるという体制をとる場合には、私立大学の場合と同じように、法案提出に先立って、教員組織等についても御審査を賜るということが、年次計画ということはもちろんありますけれども、一部についてあるわけでございますけれども、現在はそういう体制をとらないということは先ほど申し上げたとおりでございます。学生受け入れの時期がかなりずれますので、よって法案提出に先立っては、それぞれの医科大学なり、教員大学なりの構想というものについて設置審議会に御説明をし、法案提出についての御了解をまず得ておく。実質的な御審査は、法案が成立をし、教員組織を構成する段階で逐時設置審議会の御審査を賜るということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/57
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058・久保亘
○久保亘君 私立大学についてはそういうことになっておらぬので、開設前年の六月三十日までに、大学院の場合には十一月三十日までに、教官組織から全部そろえて提出しなければ開設できない。国立大学については、いまのあなたの話を聞きますと、要するにつくっておいて、そして学生を入れる直前になって、大学設置審議会の審査を受ければそれでいいんだ、こういうことで、既成事実で進んでいくわけです。私立大学にはそういうやり方は認められておらないわけです。このことは私は一つ問題があると思う。しかし、それにしても、教員大学の設置について、大学設置審議会に了承を求めた上で、この法案を提出したと言われたんですが、大学設置審議会に了承を求められたのはいつでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/58
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059・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) ことしの一月の設置審議会におきまして、法案提出についての御了承は得ておりますが、それに先立っても、常任委員会等において概算要求をするということについての御説明を申し上げ、その御了解を得るという手続は踏んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/59
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060・久保亘
○久保亘君 これは、教員大学の設置というのは私立大学にもある種の影響を及ぼすし、全国の教員養成大学及びその学部に非常に大きな影響を持ってくるものなのでありますから、法案の提出に先立って、ことしの一月に慣行に従って了承を受けたと言われるのでありますが、一月というのはもうこの法案ができ上がって、国会もすでに審議に入って、もう法案は提出するばかりになってから、形式的に、教員大学つくるからそれじゃこれ設置審議会にも一応報告しておくぞというようなやり方でおやりになったとしか思えぬのであります。
だから、私立大学に対して、大学設置基準に基づいて厳しい審査が開設に先立って前年に行われるのに、国立大学の場合には、国がやるんだからということで、そういうふうな進め方をされるということについては、私、一つ疑問が残ります。
まあしかし、その問題については、すでにこれがもう法案となってここへ出てきて審議をしているんですから、これ以上私はこの問題で申し上げませんけれども、少なくとも私立大学の開設に当たっての大学設置審議会の非常に厳しい審査、それからいまは私立学校の新増設について、私学助成との関係もあって制約がかかっておりますね。そういう中で、この種の大学の新設について、大学設置審議会との関係が非常におろそかにされているのではないか、この点については問題があると私は思います。
それから、今度開設しようとする教員大学というのは、名は体をあらわすと言いますが、従来の教育大学とどういうふうに違うのか、それから学校教育学部というのは、従来の教育学部と、教員養成の学部としての教育学部とどう違うからこれを学校教育学部としたのか、教育大学とどこが違うから教員大学とすることにしたのか。これはかなり確信を持っておやりになったことだと思いますから、その名前が違ってきたゆえんのものを説明をしていただきたいと思うんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/60
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061・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 教員大学の場合には、法案をもってお願いをいたしておりますように、まずその設置の仕方におきまして、本年の十月に学校教育学部を持つ大学として設置をされますけれども、実際の学生の受け入れは、大学院から兵庫の場合には先に受け入れるというような方法をとります。これは従前の大学の設置のあり方とはかなり異なる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/61
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062・久保亘
○久保亘君 局長、時間がないから、私の聞いたことにストレートに答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/62
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063・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 教員大学という名称を用いましたのは、そういったことを通じまして、教員のために大学院における研さんの機会というものを開く。三百人の入学定員のうちの二百名を現職教員のために門を開くということを考え、教員のための、教員の現職教育と申しますか、大学院における研さんということについて、十分に意を用いてつくっていく大学でございます。そういったことから、教員のための大学であるという趣旨を名称の上でもできるだけ明らかにしようとしたものでございます。
学部の場合には、御指摘のように教員養成大学の場合は教育学部ということで行われております。しかし、今年度の広島大学の教育学部、これは教育学の研究、教育研究と、教員養成のものとが従来混在をしていたわけでございますが、これを整理をいたしまして、実践的な教育研究を行って、教員養成をやる学部は学校教育学部という名前をもって、教育学部と別の名前を準備をしたわけでございます。考え方としては、教員大学の場合も、同じように実践的な教育研究というものを重視をして、充実した教員養成を行っていくという趣旨を学部の上でも明らかにしようということで学校教育学部という名称を用いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/63
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064・久保亘
○久保亘君 大学というのは、そこで研究をする学問の対象をその大学の大体名前として持ってきたのが従来の考え方だったと思うんですが、これからは、そうすると入ってくる者がだれかということによって、だれが来るための大学というようなことで、名称をつける大学をおつくりになるわけですね。そして、いまのこの学校教育学部という名称の由来についてお話がございましたが、もしその教員を養成していく、将来の実践的な教育の場に立つ者の教育を行う学部だから学校教育学部、教育学の本来の研究をするものを今度教育学部とするということならば、全国の教員養成の学部は、全部将来学校教育学部と変更されるものと理解していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/64
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065・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 既設の大学あるいは学部において、現在置かれております教育学部の名称を学校教育学部と変更するということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/65
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066・久保亘
○久保亘君 そうすると、非常におかしいんじゃないですか。国立大学に関して、同じ目的を持った学部が、学校教育学部と呼ばれたり、教育学部と呼ばれたりするということになりはしませんか。しかも、広島大学の場合には、教育学部が現存したものをわざわざ学校教育学部と教育学部に分離される。教員養成の方を学校教育学部と呼ぶと言われるのですか。それなら同じように、全国の大学で学校教員養成のための学部は統一されなければ非常にわかりにくくなっていくんじゃありませんか。当然そういうような学部を設置されるということになれば、将来あなた方は法律や政令を改正されて、学校教育学士とか学校教育学修士とかいうのをおつくりになるんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/66
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067・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 確かに御指摘のように、現在教育学部という名称を用いているものの中には、東京学芸大学以下教員養成に当たっている学部と、それから、東京大学等の六大学に置かれております教員養成を主とはしないけれども、教育学の研究を行う学部、いずれも教育学部という名称を用いております。しかし、既設の教員養成系の大学につきましても、現在の教育学部という名称で、その名称を継続をしていくということでよろしいと考えております。もちろん大学側がどうしても大学の意思として、学校教育学部に変えたいということをお考えになる場合には、その大学のお考えを十分に伺わなければなりませんけれども、大学側が現在の教育学部の名称でいくというお考えをおとりになる限りにおいては、それで対応できると思います。
なお、修士の名称については教育学修士でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/67
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068・久保亘
○久保亘君 修士や学士の呼称については、大体修めた専攻の学部の名前に対応するような形、あるいは専門の学科に対応するような形で、修士や学士の呼称というのを文部省は定められている。従来の教育宇部、特にあなたがいま言われたように、元帝大と称しておったところの教育学部と、いまつくろうとしている学校教育学部とは、明らかに性格が違うのだと言われている。それをひっくるめて教育学士、教育学修士と呼ぶわけですね。その点は将来ともそのままで行きたいと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/68
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069・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 現在の東京学芸大学等の教員養成に当たっている大学における教育学部の学士号、あるいは東京学芸大学における修士号等についての考え方と同じ考え方をとるということで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/69
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070・久保亘
○久保亘君 余り深く教員大学をつくることについて、あなた方は詳細いろいろやっておらぬのじゃないですか。ただとにかく文部省の目的にかなうような教員の研修の大学院を何とかつくろうと。そういうことで、結果が先にあって、それにいろいろと後から理屈をつけてきた。それで非常にあっちこっちぎくしゃくして無理がいっぱい出てきている、こういうことじゃないかと私は思います。
それから、愛知教育大学というのは、これは教員養成の大学なのですか、そうではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/70
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071・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 教員養成の大学でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/71
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072・久保亘
○久保亘君 それでは愛知教育大学はなぜ大学院をつくるに当たって、ここは教育学研究科ということにされたのですか。教員大学の方は教員養成の大学だからというので大学院は学校教育研究科になっているんです。愛知教育大学の方も教員養成大学なのに、こっちの方は教育学研究科であり、学校の名称は教員大学にならずに愛知教育大学になっている。そういう点はどういうふうにお考えになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/72
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073・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 愛知教育大学の場合には、御指摘のような教育学研究科を設けるということでお願いをしているわけでございます。愛知教育大学において従来からこの研究科についての構想が検討され、そしてそれによって修士の課程の設置ということを進めるということになったわけでございます。
愛知教育大学における御検討の結果、大学としては教育学研究科ということで、従前の学芸大学、あるいは大阪教育大学と同じような考え方で、この研究科をおつくりになるというお考えでございます。それを受けて教育学の研究科をつくって、名称についても教育学研究科をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/73
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074・久保亘
○久保亘君 そうすると、愛知教育大学の大学院というのは、これは東京大学や京都大学にある教育学研究科と同じものをおつくりになるんですね。そうしないとわからぬようになるんですよ。従来の大体教員養成の学部には、あなた方は教官が足らぬからというようないろいろ理屈をつけて、従来大学院をつくらなかった。なかなかつくってくれなかった。もう限られたところに修士課程のものがぽつぽつあるだけです。そういうことでやっておいて、今度まとめてめんどう見ようというので、教員大学をつくって、そこに大学院をつくって、それで教育委員会からお墨つきをもらった者をそこに入れていくというやり方になってくるんだけれども、ところが今度、一方では、同じ教員養成の大学である愛知教育大学には、その名称は昔の教育学研究科と称する東京大学や京都大学と同じような名称の大学院をつくるが、中身は、ここの大学院というのは教員大学の大学院とほぼ同じものなんですよということになるんです。
それじゃ、あなた方は一体何を考えてこの国立学校の名称とかいうものを考えているのか。その場その場で、とにかくいまはこれはこういうふうに名前を変えた方がいいぞととか、大体学校の先生を養成するのに、学校教育学部などというわざわざ「学校」をつけて、学校教育という狭い範囲に限定をした教育をするということは時代逆行ですよ。こういうような名称を大体持ってくることがおかしい。教育学部というもので通すならば通せばいいんですよ。それをわざわざ何か違った大学をつくったようにしたいものだから学校教育学部というのをつくった。広島大学の教育学部についていろいろ大学の先生たちの間にも意見があって、昔の師範学校から広島大学の総合大学の中に入ってきた教育学の部分もあれば、高等師範の流れをくむものもあれば、文理大の流れをくむものもある。そういうものが一緒におってはどうもぐあいが悪いから、小・中学校の先生をつくる方はひとつ分けて、学校教育学部にしよう、そんな発想はだめなんです。学校の先生というのは、学校教育学部というような教員養成機関から育つべきではない。やはりこれはずっと広い範囲、社会教育も、家庭教育も、すべての部分にわたって知識を修得をするものでなければならぬ。内容はそうなっておりますとあなたは言うでしょう。内容がそうなっておるならば、学校教育学部などという名前はつけない方がいいんです。そうすると、文部省のやっている国立大学のいろいろな名前のつけ方なんかにしても一貫性が一つもないじゃありませんか。こういう点についてはあなた方は非常に矛盾があるとお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/74
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075・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 教員大学の大学院の場合には、研究科の名称について、大学院が主として現職の教員を入学させる、そして学校教育の実践にかかる諸科学の研究を推進をする。初等、中等教員としての資質、能力の向上を図る、そういった趣旨をできるだけ研究科の名称においても明らかにしたい。それで、学校教育研究科という名称をとったわけでございます。もちろん大学の名称あるいは学部の名称をつけることについては、十分に慎重でなければならないと考えておりますし、そのときそのときの考え方で、無原則に名前をつけていいものだとは決して考えておりませんけれども、この教員大学の場合には現職教員のための大学として設けていくというその主眼を、できるだけ名称の上でも明らかにしようということで、特にこういう名前を考えたということを御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/75
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076・久保亘
○久保亘君 首尾一貫しないんです。同じ教員養成のための大学院、愛知の教育大学の大学院だって、これは学校の先生を目指す者のために、その養成のために修士課程の大学院としてつくられる。それが一方は教育学研究科、一方は学校教育研究科、どこが違うんですかと言えば、一方はいわゆる教育学の研究の大学院だからだとさっきは言われた。ところが、そうすると愛知教育大学の大学院の名前はふさわしくなくなるんじゃないですかと言うと、今度はそれを何か大学側がそれを望むからと、こう言われる。そんなことで学校教育学部という新しい学部をつくっていくということは、私は非常に文部省としては考え方が不統一だし、混乱をしているんじゃないかと思うんです。
それから、先ほど大学設置審議会のことをお聞きしましたけれども、教員大学の設置によって、既存の教員養成学部、いままでどちらかというと文部省からはいろいろな面で教官の充足についても、研究費についても、施設、設備についても、かなり全体の国立大学の中で見れば冷たく扱われてきた教員養成の学部が、この教員大学の設置によって、きわめて影響を受けることになりはしないでしょうか。私が聞きましたところでは、三つの教員大学が大学院を設けてつくられるということになれば、ここに教官陣容だけでも数百名の専任の教官が配置されなければならぬ。しかも、ここへ年次的に行くんじゃなくて、大学院から出発する大学もあれば、いろいろな形でかなり急激につくられてくる大学であります。しかも、大学院にかつて例がない、一学部について一年に三百人も大学院の学生を入れる大学なんてのはいままであんまり全国に例がない。そういう大学をおつくりになるということになれば、ここに専任の大学院の教師としての資格を持った者を結集させなければならぬ。そのことは既存の国立大学だけではなくて、私立大学も含めて、その分野にあるすぐれた教師たちをここに引き抜いて集めるという以外に方法がない。そのことはいままでも冷たくあしらわれてきて、あなたが言われたように、大学院をつくるには教官組織が整備されておらぬというほどの教員養成の全国の学部や大学に、さらに教官組織の整備という意味で、むずかしい問題を引き起こしてくるのではないか、こういう点について文部省はいろいろと御検討になったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/76
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077・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、教員大学の大学院の整備という場合に、非常に大事なのは、教官組織の整備でございます。完成時においては、二百名を超える教官を一つの大学で必要とすることになると思います。この教官をどのようにして確保していくかということについては、現在創設準備室においていろいろと御検討を進められております。しかし、現在国・公・私立大学の教官は非常に多数に上っております。また、教員養成大学の教官につきましても、逐年私どもは整備を進めてきておりますし、その層はようやくにして厚くなってきている。そういうことがあるから、既設の教員養成系の大学についても、逐次修士の設置を進めていこうということを方針としてとれる段階にきているわけでございます。教員大学の教官については、それぞれ専門に応じまして各大学、これは教員養成大学だけではなくて、広く国・公・私立の大学から募集をするということに相なります。もちろん既存の教員養成大学学部からも、御協力を賜る場合はあると思いますけれども、そのことによって、特定の大学の教員組織というものが弱体化する、そういったことのないようには十分に気をつけてまいりますし、また、そういった配慮をしながら教員大学の教官というものを確保をし、充実をしていくということは、十分可能であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/77
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078・久保亘
○久保亘君 抽象的にそういう説明ならできるんです。だから、私が一番最初に、設置審議会との間の話はどうなっておりますかということをお聞きしたんです。大体設置審議会が私立大学の場合には、教官確保の見通しということを一番やかましくやられるはずです。だから、いま全国の大学から協力を求めてつくると言われているんですが、ちゃんと法律によって、大学の教官というのは一つの大学しか専任教官にはなれないんです。二つの大学の専任教官になることはできない。あとは兼任です。そうすると、専任の教官を目いっぱい引き抜いてきて、あと兼任の教官でやるということになれば、既存の大学が影響を受けないというようなことはありませんよ。それは、いままでだって、修士課程をつくってくれというのは、この教員養成の学部や、大学からはもう長年にわたっていろんな要求があったはずです。それはいつも教官組織がとてもそういう状況になっていないということで退けられてきたんです。いまになって、非常に層が厚くなっているから、教員大学三つつくったって、別に影響出ませんよと、そんな話にはなってこぬと思いますよ。現在、教員養成学部だけでなくて、全国のいま大学で、特に戦後新設された大学などには欠陥講座、欠陥学科がいっぱいあるでしょう。もし出せと言われるんなら私は山ほど積んで持ってきますよ。ちゃんと設置基準に決められた完成講座になっていない大学の講座というのは国立大学の中にいっぱいあるでしょう。そういう状況の中から引き抜いてくるんですから、欠陥講座や、欠陥学科を、さらに広げていくことになることは間違いない。だから、やっぱり大学設置基準等に照らしながら、設置審議会に対して、慎重にやっぱりいろんなことを検討してもらうということ、それから教官陣容についても、法案を提出してくるならば、来年じゅうにやればいいことだ。とにかく今度は、何が何でもこの設置を法律で決めさしておけば、あとはやるだけだというぐあいには私はいかぬと、こう思うんです。そういう点から言うと、むしろ私は、先ほども御意見がありましたように、この教員大学の大学院を、全国の中で三つと言われても、上越、それから社ですか、鳴門、こういう地域につくっていくということになれば、地域的に見てもかなり偏在するわけです。だから、むしろ全国にそういう既存の教員養成学部が求めている大学院を速やかにつくってやる努力をしながら、それともう一つは、文部省も奨励してやらせたでしょう、各県に教育研修センターというのをつくらせて、この教育研修センターに現職の教員を短期、長期の研修に来させていろいろやっているでしょう。今度は現職教員の研修の場として大学院を用意しましたということになれば、みんな大学院に行きたいと思うようになるでしょう。そのうちに、いまは何も給与や条件に各差をつけぬと言っておられるけれども、いずれそういうことがまた問題になってくるかもしれぬ。それならば、各県につくった教育研修センターの中でいろいろやっている、留学のような形でやっている人たちは一体どういうことになるのか。私は、むしろそういうところをブロックや、各県の教育学部と連携をとらせる中で研究科にしてやったり、そういう形をとることによって、多くの人たちが研修を受けられる機会と、その研修の成果がきちっと残っていくような、そういうようなことに文部省はもっと力を尽くすべきじゃなかったのか、こう思うんです。何か教育大学院というのをつくって、そこへ全国から集めてきて出張の形で、研修の形でそこで教育させれば、それが散らばっていって、全国の教師の資質が向上するだろうと、そういうような簡単なものではない。先ほども話がありましたように、何十万という教師の中で、わずかに三校合わせても、現職の教員が研修を受けられるのは、これは二年まで合わせても千二百名しかないんです。一年には六百名しかない。それよりも、もっと地方の国立大学の教員養成学部に、直ちに大学院ができなければ、研究科などをきちっとつくってやって、そうして教育研修センターなどとも連携をとらせながら、ここを一〇〇%生かしていく、こういうことにもっと私は文部省は力を注ぐべきではないのか、こういうふうに思うんです。そして、この大学院がつくれなくても、国立大学に対して、それぞれの地域において、もっと大学の研究の施設とか、講座を現職の教員に対して公開をしてやらせるような方法、こういうものに向かって文部省は努力をすべきなんであって、何か自分たちの直轄下における大学を一つつくればそれでうまくいくというものじゃないんじゃないでしょうか。もっと現職の教職員に与える研修の場というのは、幅広くいろいろなもの、特に各県につくられた国立大学の教員養成学部を中心とする各学部の講座や研究施設などを、一〇〇%現職の教員に利用させるという、そういう努力を、予算の面でも考えていくべきではないのか。こういう点について文部大臣どういうふうにお考えになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/78
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079・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 教員の資質の向上、また教員みずからが持っておられますところの、より高度の研さん機会を持ちたいという意欲、そういう期待、要請にこたえてまいりますのに、教員大学がその一つのお役に立つ重要な課題であることは、私どもは確信を持つものでありますけれども、教員大学の創設だけでそれが全部終わるとは毛頭考えておりません。たびたびお答えをいたしてまいりましたように、教員大学と既存の教員養成課程を持ちます大学の整備を、大学院を新たに設置するということも含めて、両々相まっての機会提供をしていかなけりゃならない。その既存の教員養成課程を持ちます大学の整備充実に、当然格段の努力を今後は尽くしていかなければならない、かように私どもは決心をしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/79
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080・久保亘
○久保亘君 私に与えられている時間があと非常に短くなりましたので、局長いまの教員大学の大学院と、学校の現職の教職員の研修の機会という問題についての私の質問を終わるに当たって、あなた方が教員大学という名称を付されたことについては、これは十分な理由があって、従来の教育大学や、従来の教育学部とは区別せらるべき理由がある。だから、文部省としては、教員大学として、学校教育学部として創設したいのである、こういう意思は非常に固いものなんですね、お聞きしておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/80
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081・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 先ほど来お答えをしましたような趣旨において、教員大学という名称、学校教育学部という名称が最も適切なものだという考え方に立って、御提案を申し上げているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/81
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082・久保亘
○久保亘君 それでは、今度は教員大学の入学に関する問題について少しお尋ねをいたしますが、この教員大学の大学院の入学資格について、学校教育法六十七条以外の条件を定める場合は、その法律上の根拠は何で定められるのか、この点をひとつ教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/82
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083・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 大学院への入学資格につきまして、学歴の面で現在法令が規定をしております学部卒業程度というものを超えた学歴を定めるということは、これはできないことでございます。大学院の入学資格におきましては、大学を卒業した者、あるいはそれと同程度の者と決められております。このことはこの大学院の場合でも同じことでございます。これに対しまして、各学校がそれぞれの学校の設置の目的、趣旨等に基づいて、学生の選抜に当たって試験を課して、それに合格したことを入学の要件とする。そういったことと、学歴上の資格以外に教育を受ける能力、あるいは適性等を入学の要件として付加する。これはもちろん教育の機会均等ということを考えなければなりませんけれども、それに反しない限りは可能でございます。法律上まさに可能なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/83
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084・久保亘
○久保亘君 法律上まさに可能だとあなたが言われるのは、この教員大学大学院の入学者のうち、三分の二を教職経験三年以上の者にするという判断、そういう制限がまさに可能である、こういうことをあなた言われるのだろうと思うのでありますけれども、それはあくまでも文部省が決めることはできない。これは大学の側が入学の一つの資格要件として決めるのであって、文部省が決めることのできるものではない、こう思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/84
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085・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) それは御指摘のとおりでございます。大学が学則をもって定めることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/85
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086・久保亘
○久保亘君 大学が教官の総意によって、大学院の入学資格の要項を決める場合には、あくまでも大学側が大学院の設置目的や、その教育の条件にふさわしく決めればよいのであって、文部省がこれを設置に当たって、このことをすでにもうはっきりした条件として提示することはできないんじゃないですか。だから、いまここへあなた方が三分の二は教職経験三年程度以上の者を入れるというのは、将来新設される教員大学の側において、そういうような入学の条件にしてもらいたいという文部省側の希望であって、それを決めるのは大学側だ、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/86
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087・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 最終的に決定をするのはもちろん御指摘のように大学でございます。しかし、この大学を創設するに当たっての基本的な考え方の一つにかかわることでございますし、その点については、創設準備室と十分に協議をいたしまして、創設準備室もまたこの考え方をとっているわけでございます。創設準備室が今後大学の具体的な構想をさらに詰めてまいりますけれども、その場合にもこの考え方を基本として、検討は進められていくわけでございますから、御指摘のように最終的には大学において現在お答えを申し上げているような方向に沿って、具体的な定めがなされると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/87
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088・久保亘
○久保亘君 今度は一方では既存の教員養成大学が大学院をつくって、その大学院に入学させる者は、現職の教員をたとえば半分入れるとか、そういうようなことを既存の大学が決めてくる場合には、文部省は、それは大学の意思に任せると、こういうことでよろしいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/88
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089・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) むしろ各大学でこれからつくられる修士の課程については、できるだけ現職教員を受け入れるという姿勢をとってほしいと思っております。なかなか現職の教員だけというわけにはまいりません。御指摘のように学部卒の者が進学希望を持っておりますから、それを受け入れていかなければなりませんし、そういうものとして既設の大学の修士の課程というのは、やはり構想されていくと思いますけれども、その場合に、各大学で現職教員のために積極的に門を開くということを考えていただくことは私どもの歓迎するところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/89
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090・久保亘
○久保亘君 それから、この教員大学の大学院を受験しようとする場合には、現職の教職員が受験する場合には、任命権者の同意書というのは、受験の資格に必要なんですか、入学に必要なんですか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/90
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091・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) これは現職の先生が長期にわたって勤務場所を離れて勉強されるわけですから、しかもそのことについて、給与を支給した形で勉強されるということになれば、服務の監督権者である市町村の教育委員会の側で、そういう状況を保障をするということを大学側としては確認をしておきたいということでございます。で、これはいわば入試の場合の手続として必要なことでございます。これは御質問の点からすれば、まさに受験に際してそういう状況が必要だということでございますが、しかし、お願いをしている趣旨は、まさに入学後そういう状況が保障されるということをお願いをしようということでございますから、いわば受験に際してそういう保障が市町村の教育委員会においてなされているということを確認をし、そしてその保障に基づいて入学後現職、現給のままで進学をしていただくということ、それをお願いをするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/91
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092・久保亘
○久保亘君 それでは、その受験に当たって同意が必要であるということになるならば、受験に当たって同意を与える場合の基準は何でお決めになりますか。これは恐らく任命権者である地教委とか、そういうところに基準は任すと、好きに計らえと言ったってできるもんじゃない。そうすると、恐らくあなたの方で一般的基準を示されて、その基準に合致した者を選別することはできないのか、その基準は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/92
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093・諸澤正道
○政府委員(諸澤正道君) 御指摘のように、同意を与えます場合に、どういう観点からこれを処理するかということで、公正にそれが処理されることを私どもも期待をするわけでございますから、そこで今回のような長期にわたる大学院への内地留学についての、いまの同意の問題を含めて適正な手続等のあり方をどうするかということは一つの課題でございます。そこで、現在県の教育長の集まりにおきましても、この問題については、十分な関心を持っておられますので、私どもとしましては、県のそれらの教育長の意見等も聞きながら、いまの同意の扱いも含めて、国において適正な手続のモデル規定のようなものをつくって、お示しする方がよろしいかどうかということを早急に検討したいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/93
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094・久保亘
○久保亘君 その場合に、私は任命権者のだれを行かせるかという選別の判断が入るような基準は問題だと思う。あくまでもその選別は大学側の行う公正適切な試験の結果に、もしこういうものをつくるとするならばよるべきであって、同意を与える基準というのは、客観的で、公開されて、だれもが納得のいく基準、たとえば教職経験三年とか、そういう基準で示されるべきであって、初めから教育委員会があれを行かしてやろうか、これを行かしてやろうかというようなことで、選別判断をするような、つまり入学試験につながっていくような基準というのは、これは同意の基準としてはふさわしくない、こう思うんですが、大臣いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/94
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095・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) いままでの都道府県教育委員会がみずから計画をいたしましたような研修、そこに長期研修に行くというような場合と全く今度は違うわけでございます。ですから、やはり本人の積極的な勉学の意欲を尊重するということがまず第一。そしてまた教員大学の設置に即して考えていただくということも必要なことでありますし、ただ、教育委員会が他の研修計画を持つわけでございますから、それとの事情等も、やはりこれは総合的に判断をするときの、県の各種各様あります研修の問題と、総合的な判断をやはり現実問題としてはしなければならないと思います。
ただ、冒頭に申し上げましたように、本人の勉学意思がまずスタートであるということを踏まえて、どういうふうな形で同意を与えるか、初中局長がお答えをいたしましたように、その趣旨を十二分に教育委員会が理解をしてくださった上でお考えくださるような指導を新たにすることにしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/95
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096・久保亘
○久保亘君 私が申し上げているのは、大学側の適正な入学試験によって選抜するということになっておるんだから、それならば、教育委員会が書類一次選考のような形をやってはいかぬと言うんです。これはやっぱり公正な、だれが見てもその基準に当てはまるものはだれでも受験できると、すべての教員に受験の機会が均等に与えられて、その結果によって、入学していく者に対しては最終的な同意が与えられる、こういうことでないと、教育委員会のところで書類による一次審査を行ったというような形になっては、私は、この教員大学は必ず悪い結果を残すだろう、こう思うんですが、そのことをいま大臣にお聞きしている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/96
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097・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 教育委員会が従来から持っておりましたような長期研修の場合と違うと申し上げましたのも、同じような趣旨のことを申し上げたつもりでございます。ですから、教育委員会が選抜をしたり、推薦をしたりするものではない、御本人の勉学意欲がまず第一に尊重されるべきだ、そのようにお答えをしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/97
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098・久保亘
○久保亘君 よくわかりました。
それでは、この場合には、入学試験の受験資格として任命権者の同意が必要であるけれども、それは客観的な一定の基準に達している者であれば、勉学の意欲を持って受験を希望すれば、同意書はすべての人に平等に与えられる、後は大学側が適切な試験に基づいて選抜し、その結果入学する者について、任命権者が今度はその入学の同意を与えると、こういう手順をとるものと理解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/98
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099・諸澤正道
○政府委員(諸澤正道君) おっしゃるように、個々の入学志願者を選別するというような形で、同意を与えるべきではさらさらないと思います。思いますが、ただ具体的に同意をその出願の際に持って来てくださいよというのは、合格したときにスムースに入学できるということを保証するためでございますから、先生がおっしゃる客観的に明白な基準、つまり勤務年数が三年というようなこともございましょうし、やはり大学院へ行く方は、先ほど来もう何度もお話が出ましたように、ごく数が限られますから、志願者が非常に多いという場合に、やはり所轄庁としてはどういうふうにそこを判断するのか、あるいは特定地域、特定教科に偏った場合はどうかとかということがございますので、そういうことも含めて同意を与えるということでありまして、そのことは繰り返すようでありますが、一人一人の人間について、この人は気に食わないから同意しないのだとか、そういうことではさらさらございませんけれども、だれが見ても、おっしゃるように、あの同意をしないのはこの場合やむを得ないというような、そういうやり方で私も同意がなされることを期待するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/99
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100・久保亘
○久保亘君 わかりました。
原則的には、意欲を持って受験を希望する者については、受験の同意が与えられる。そして、合格すれば、特別の事情がない限り、入学の同意が与えられる。そういうことで理解をいたしたいと思うのですが、もう一つ国立学校の教員もおるんですね。これは文部省がそれじゃ同意されることになるのかどうか。それから、私立学校の教職員であっても、私はこの機会は教職員に対して平等にやっぱり保障されなければいかぬと思う。私立学校の場合には、しかし、今度は雇用者の側が現職のままいくことについての保障を与えなければならぬという点において、国とは違って非常にむずかしい隘路があるわけです。このことは、たとえばその他の国立学校や公立学校の教職員に適用された法律であっても、私立学校の教職員にも拡大適用してもらいたいということがあってもできないものもいままであります。しかし、この研修の機会というのは、設置者がだれであろうと、教育を受ける側の子供たちは同じなんであるから、その教師たちに対しては、研修の機会というのは平等に保障されなければならぬ。そうなれば、私立の学校からこの教員大学の大学院に現職のまま行きたいと希望する者について、文部省として何らかの保障措置を検討されるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/100
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101・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) まず付属学校につきましては、同意はその所属する大学の学長が行い、また国立学校は当該大学学部の教育研究に協力をして、その教育実習に当たるものでございますから、公立学校とは異なる事情のあることは御指摘のとおりでございます。これらの諸事情を勘案いたしまして、大学において、公立学校の先生の場合と公正を欠くことのないように、適切に対応されるよう別途の指導をしてまいります。
次に私立学校のことでございますが、私立の学校については御指摘のような事情があるわけでございますけれども、やはり私立学校においても、現職の私立の学校の先生が大学院に進むとなれば、やはり私立学校においても代替教員が必要でございましょう。それはいま制度的にございます都道府県の経常費助成の対象にしてもらえるように、私どもは期待をいたしておりますし、またそのような連絡を関係機関ともとってまいります。都道府県が経常費助成の対象にそういう教員を充てて計算をいたしますときに、国が当然それに対しまして都道府県に補助をいたしますのもまた当然のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/101
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102・久保亘
○久保亘君 ただこの場合には、有給措置というのは、私立学校の場合には非常にむずかしい点がありますね。だからそういうことについて、たとえば直接そのための助成が制度上むずかしくても、経常費助成というのも一つの方法です。しかし、これは金額が決まっております。そのほかに、たとえば育英会の制度などが、特別にその部分について、公立との均衡を失しないというところまではいかなくても、現職の身分を私学側が保障するならば、それに対して何らかの経済的な援助を行う、こういうようなことについては検討は加えられるべきものだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/102
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103・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 私は、経常費助成のいまの制度が適切に運用されてまいりましたならば、私立学校においても、私立学校自身でやはり教師の研さん機会を提供するという熱意があることでございますから、うまく運営されていくんではないか、そのように期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/103
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104・久保亘
○久保亘君 それはわかりました。
それから今度は、小・中学校の先生には短期大学の卒業者がかなりおります。この人たちはいろいろな説明を聞きますと、一級免を所持すれば、この大学院に入れるということは、一級免を所持した場合には、文部省が学部卒業と同等の資格として認めるという前提に立つものだとこう思うんですが、それはそういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/104
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105・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘の、一級免を持っている者について、短大卒業者であっても、大学院に入学するについては、大学卒業と同じ程度と認めようという、そういう考え方は、四十九年の鰺坂調査会の報告の中で提案されているものでございます。現在の大学院の入学資格は、やはり大学を卒業した者、あるいはそれと同程度の者というようになっておりますから、直ちにその短大卒業者で一級免を持っているということで、全く問題なしに大学院の入学資格を認めていいかどうか、これは十分に検討しなければならないと思います。現行制度は必ずしもストレートにそれらの方々に大学院の入学資格を認めるというたてまえにはなっていないと思います。ただ鰺坂調査会の御提案のように、できるだけ大学院の修士課程において、社会に出ておられる方が、もう一度勉強されようとする機会を確保する、そういう趣旨からしても、大学院の入学資格については弾力化を図っていく、この考え方は大学設置審議会の答申の中でもすでに述べられていることでもございますし、そういった点を十分に考えて、今後各界の意見を伺いながら、できるだけ弾力化ができる方向で検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/105
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106・久保亘
○久保亘君 それでは、短大卒業者で、教職にあって、意欲を持ちながら一生懸命やっている人に対して、現職のまま三年次へ編入する、教員大学の三年次に現職のまま編入する道は御検討になりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/106
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107・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) すでに大阪教育大学において、積極的にそういう措置をおとりいただいているわけでございます。大阪教育大学の場合には、国立の教員養成大学においては唯一の夜間の課程を持っておられるところでございますから、そういう対応が現実の問題としても可能になったということだと思います。一般的に申しまして、短大を卒業した方が、大学の学部に編入学されるということは、制度的にはもちろん道は開かれておりますが、実際問題としてはなかなかその道が開かれていない、そういう状況にございます。この点はできるだけ大学間の流動性を高めるという趣旨から申しましても、編入学の道を具体的に現実のものとするような方途を講ずることは望ましいことはもちろんでございますから、できるだけ各大学にそういう方法が講ぜられるようにお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/107
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108・久保亘
○久保亘君 いや、教員大学の大学院に対して、現職のまま大学院に入る道をいま開かれるわけです。そして、そのことは全国の他の大学の大学院に対しても拡大適用をしていくということで、あなた方の見解示されているわけですね。当然それを裏打ちするだけの教職員の定員や予算が国の責任で保障されていくものだと私どもは考えております。そういうものがなくて保障しますぞと言ったって、これはできないことなんですから、そうなると、小・中学校の先生で、大学の二年課程を修了しただけで先生をやられておる方はずいぶんたくさんあるんですよ。しかし、この人たちはいまの制度でいく以上は、その大学院の機会というのは永久に与えられない、それならば、私は教員大学の学部の方に現職のまま編入する機会を保障してやるということでなければ、すべての教職員に対して平等に機会が与えられるということになっていかないのじゃないか、こう思うんです。これはいまこの法案の中ですぐ考えられる問題ではないかもしれない。しかし教職員の現状をあなた方がよくごらんになるならば、特に僻地や離島などに配置をされて、短期大学を卒業して一生懸命やっている人たち、この人たちが何とかしてもう一遍勉強したいと思っている、こういう人たちに対して、大学院に行く機会というのはもうないんだから、直接は。それならば、それをつないでやる方法というものを、やっぱり、この大学院に現職在学ができる制度と同じように考えてやることが必要なんじゃないか、そのことを聞いているんです。
大阪教育大学で従来から現職の教員で夜間に行けますよと言ったって、それは大阪の市内におる人は勤めながらやっているでしょう。しかし、まるっきり学校を離れて、そういう機会というものを、今度の教員大学の大学院のような機会というものは、すべての人たちに一応の権利というか、機会として保障されているわけじゃないでしょう。私はそのことを言っているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/108
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109・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) これは、現在の段階で直ちにそういう道を開きますとまでははっきりお答えができません。しかし、重要な御指摘でございますので、各大学の意見も十分に聞かなければならないことでございますから、それを承りながら検討をします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/109
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110・久保亘
○久保亘君 これは各大学の意見を十分聞くことも必要でしょうけれども、大学側に決めてもらわぬでもいいんじゃないですか。そういう制度にすれば、本人が編入試験を受けて入っていくんだから、そのときにあなた方は現職のまま行けるような身分を保障しておりさえすれば、大学の方は何も困りませんよ。関係ないでしょう。大学側の意見も必要でしょうけれども、そういうことによってしか決められないという問題じゃないんじゃないですか。私は、いま大学局長が少し前の方を向いたような返事をされました。大臣は、まれに見る私はりっぱな文部大臣だと思っているんですよ。それでひとつそういう方向を、大臣はいままで事務当局のところではなかなか言えないことを、あなたはわりにはっきり言ってこられたので、そういう点で私はまれに見るりっぱな文部大臣だと言っているんです。それで、ぜひそういう方向を大臣としても御検討くださるというようなことにはまいりませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/110
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111・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) そんなにおほめいただくほどではないんです。ただ、短大卒で教壇に立っておられる方が、永久に大学院へ進むもう道がない、ふさがれているというままに置いておくべきではないと考えております。ですから文部省といたしましては、短大や高専卒の卒業者につきましても、適切な、実務経験等を評価するなどによって、入学資格をもう少し幅広く認められないか、こういうことを、各界の御意見も伺いながら、検討をしてまいりたいと考えております。
それからいまの、大学院ではなくて、学部のことでございますが、重要な御指摘でもございますし、現実に短大卒の方がこれだけの数、教壇で一生懸命働いておられることでございますから、大学局長が申しましたように、ひとつ検討をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/111
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112・久保亘
○久保亘君 時間が参りましたので、最後に、この教員大学は一応文部省としては鳴門教員大学の五十四年度開設になるんでしょう、多分ね。何年になるかしらぬが、鳴門教員大学の開設をもって、一応これは第一幕が終わりと、こういうふうにお聞きするんですが、そうすると、鹿児島県の鹿屋市に、やっぱり教員大学の設置調査ということが従来行われてきた。そうして、私どものところでも賛否両論いろいろありました。最終的にはこれまでの設置調査の結果、鹿屋市については、教員大学の設置対象からははずされることになったと私は見ているんであります。そして、本年度の予算では新高等教育機関設置調査費としてこれは肩がわりされました。だから鳴門をもって、一応文部省の教員大学構想は一段階を終えると、こういうことでありますから、新高等教育機関設置調査費に振りかえられたことともあわせて、鹿屋市は教員大学の設置対象地からははずされた、こういう理解をしてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/112
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113・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 鹿屋について、高等教育機関の設置を必要とする状況にあるということは私たちも十分に承知をしております。しかし、これまでの調査の過程におきまして、やはり教員大学ということだけで、鹿屋における高等教育機関を構想するということは適切でないものがある、そういうところから、今年度特別会計に事柄を移して、新高等教育機関の設置調査ということを進めることにしたわけでございます。したがって、教員大学の設置調査を進めるということではございませんから、鹿屋における教員大学を創設をするということだけでのこれまでの調査とは事柄が変わっているわけでございます。もっと幅の広い角度で、どういう高等教育機関を鹿屋に設置をするということが適切であるかということを鋭意検討したいと思います。事の性質からしますと、もちろんその高等教育機関の中に、教員大学がなくなっているわけではございません。新高等教育機関の中には各種の最も適切な大学ということを検討するわけではございますが、このような対応をしたということは、私たちが鹿屋において教員大学を創設をするということについては、かなり問題があるということを考えての結果であるとお受け取りいただいて結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/113
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114・久保亘
○久保亘君 鹿屋に教員大学を設置をすることについてはかなり問題があるということで、教員大学の設置構想を断念して、新高等教育機関設置調査に変えたと、こういうことなんでありますが、新高等教育機関というのは一体何なのか、新というのは鹿屋にまた新しい何か教員大学のような、何かまた新たないままでの先例のない大学をここにつくろうというのか、あるいは高等教育機関をここに新たにつくろう意味で新なのか、この新はどちらの新なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/114
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115・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) もちろん高等教育機関を新たにつくろうということでございますけれども、その高等教育機関を構想する際に、もちろん現地の御要請も承らなければなりませんけれども、いろいろと検討をする、そういうことでございます。したがって、そこへつくる高等教育機関をこういうものとするということを決め込んでいまいるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/115
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116・久保亘
○久保亘君 かつて文部省はそういうものをおやりになったことはありますか、何をつくるのか、どんな大学をつくるのかを決めずに、ここに何か高等教育機関を新たに一つつくりたいと、そういうことで設置調査費を組んで、進められたという前例がありますでしょうか。どんな大学をつくるか決めずにおいて、そしてとにかくここへ何か一つつくろうと言って、設置調査費を組むというのは、そんなことをおやりになった前例があれば教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/116
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117・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 新高等教育機関の設置調査ということで予算を組んだのは、これが初めてでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/117
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118・久保亘
○久保亘君 そんなにおかしな話はないんですから、新高等教育機関をここに設置するということで、高等教育機関を新たにつくるという意味で新だと、こう言われたんだから、それじゃここに一体どういうものをつくろうとするのか、大体のその考えとして、ここへ教員大学を発想しておったんだから、教育大学ではだめであるが、何かやっぱり教育にかかわる——大学は教育機関だからという意味での教育はだめですよ、そうじゃなくて、やっぱり教育にかかわる大学をここへつくろうという意味なのか、広い意味で、学校教育というようなんじゃなくて、そういう意味でここへ考えられるのか、それとももう地域に見合う、全くここへこの地域の要請する大学を、どういう産業があるからここへ何がよかろうというような意味で、その地域の求める大学をつくろうという意味なのか、文部省が一つのやっぱり構想を描きながら、こういうものをつくりたいということでおやりになるのか、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/118
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119・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) もちろん地域の御要請は承っていかなければなりませんけれども、いわゆるコミュニティーカレッジのような意味で、地域ときわめて密着をした高等教育機関をここに設置をしようとすることを考えているわけではございません。文部省の方で十分に調査検討をして、つくっていこうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/119
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120・久保亘
○久保亘君 すると、地域のいろんな産業とか、そういうものと密着した大学をつくろうという意味ではないと、こう言われるんなら、そんならそういう大学でない大学というのは何があるのか、それ文部省はそういうものをひとつやっぱり考えておらぬと、大学局長としても何かわからぬけれども、教員大学を外すと、地元には与党の偉い代議士もおられるからこれは大変だと、それで、まあ新高等教育機関設置というようなことで一時ここはしのいでというようなことだとすれば、文部省のこういう予算の組み方としてはきわめて問題があると思う。だから、そういうことではないと私は思うから、そんなら何を目指しているのか、この鹿屋市に何を目指そうとするのか、そのことをぜひひとつ教えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/120
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121・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 鹿屋に教員大学を設置をしようとすることを考えましたのも、やはり全国的な高等教育機関の配置、あるいは九州地区における配置、あるいは鹿児島県における配置ということを考えましても、大隅半島における高等教育機関の整備ということが必要であると考えたからでございます。もちろんこういう概算要求をするわけでございますから、とりあえずこういう形でしのいでおこうということではなくて、私の方としてはある方向を持って、そしてここに高等教育機関を設置しようということで、検討を始めているわけでございます。ただ、その高等教育機関の具体的な構想につきましては、なお検討中のことでございますので、ここでその具体的な内容、あるいはその基本的な考え方等については、まだ申し上げられる段階にないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/121
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122・久保亘
○久保亘君 私たちはあなた方が提出された予算を審議をしてきて、これはすでに議決をしているんだけれども、この予算を裏づけとしたこの法律を決めるに当たって、ここで申し上げることはできませんということじゃなくて、大体どういうものを構想しているのか、そのことは少し説明してもらわぬと困る。全然あなた方に言える筋合いじゃないと、私の方でずっと温めておいて、そしてそのうちあっと驚くようなのを出してみせるよという話では困るんで、やっぱり地域の意見も聞かなければならぬ。その大隅半島の地元に祝福される大学をこれから考えようということなら、大体こういうような方向の大学なんですよということぐらいは説明ができなければ、国会としてもこの設置調査費を認めたことは非常に私は問題になりはせぬかと心配になるぐらいなんですよ。だから、新高等教育機関設置というのは、大体こういう方向のものだということぐらいは、まあちょっとしゃべったらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/122
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123・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 先ほど広い意味で教育にかかわりがあるからという御指摘がございましたが、やはりつくろうとしている、現在大学局で構想をしているものは、広い意味で指導者の養成ということを考える、現在不足をしている指導者の養成ということに当たることのできる大学ということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/123
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124・久保亘
○久保亘君 指導者の養成ということになれば、やっぱり広い意味での教育的な立場に立つ人を養成しようという大学になりましょうからね。そうなると社会教育の面とか、社会福祉の面とか、いろんなのがありましょうが、そういうような非常に広義に解せられる社会的な指導者の養成とか、あるいは学校も含まれてくるかもしれぬが、そういう教育機関や、福祉機関など、こういうところを総合的に考えられる指導者の養成を目指す大学を考えていきたい、こういう意味に解していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/124
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125・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 具体的にどの分野ということまでを申し上げることはまだ現在構想の段階でございますので、差し控えさしていただきますが、いわゆる理工系の大学とか、あるいは法科の大学であるとか、経済の大学であるとか、そういったものではない意味における指導者の養成ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/125
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126・久保亘
○久保亘君 いやそれはわかりました。
いま言われたのを消しますと残るのは大体わかりますから、そういう意味での指導者養成の大学をここへつくるということになれば、また、教員大学と同じように、それこそ新構想の大学が生まれるわけですから、ひとつできるだけあなたの方でもなかなかそれを説明するとぐあいの悪いこともありましょうけれども、私もちょっとわかるのですが、しかし、できるだけ大学というのは地域からも、いろいろな立場の人たちからも祝福されて、なるほどこういう大学ならば、地元につくられることは大変望ましい、こういうことで合意と祝福の上にできるような大学を、ぜひ一度ぐらいは構想してもらいたい、こういうことをお願いをいたしておきます。
特に、今回の教員大学の設置構想に関連をして、従来教員大学をつくるということで予算を組んで使ってきたのですから、そうしてここは適切でない、この鹿屋市を教員大学の場所とすることは不適当であるということで、今回、今年度をもって外されて、新しい構想に入るのですから、そういう意味ではぜひひとつ大学局長のすぐれた発想を生かしてもらうように、心から期待をいたしておきます。
まだ教員大学への入学に当たっての身分の保証の問題とか、あるいは研修の場合には、その場合に必要な経費などがどういうふうに保障されていくのか、そういう問題についてもお聞きしたいことがありました。しかし、これはまだこの設置が最終的に決まったわけではありませんから、いずれこの大学が実際に動き始める段階では、細かく皆さんの方でも御検討いただかなければならぬ点があると思います。そのときまた私どもも意見を申し上げたいと思います。
以上で私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/126
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127・吉田実
○委員長(吉田実君) 本案に対する質疑は午前中は、この程度にとどめます。
午後一時四十分から再開することとし、休憩いたします。
午後零時二十七分休憩
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午後二時一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/127
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128・吉田実
○委員長(吉田実君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/128
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129・小巻敏雄
○小巻敏雄君 教員の現職のままで研修を行う点を今度の新大学で強化をしていくと、このことによって、教員の資質向上を図るというふうに言われるなら、この現職教員の資質向上というのは、これは現場教職員も国民も望むところであります。あわせて勤労青年や、社会人に対して、高等教育の機会を付与するために、放送大学を構想すると言われているのでありますが、勤労青年、社会人に対して高等教育の機会を付与すること自身は、今日の社会進歩とも相まって、国民の望むところであることは明らかであります。問題は、そういう社会要請、あるいは教育上の国民の諸要求にこたえて、具体的にどういう構想が出されるかというところから始まっておる。この点についてはいままでもるる審議してきたところであります。新構想教員大学においても、教職員全般の資質の向上を図るというよりは、どちらかといえば教職員全体はそのままにしておいて教職員を指導する教員をこしらえ上げて、その上積みのところを指導者養成として引き上げていこうとされる方向、ここのところに関心が、危惧の念が集中をしておるわけでありますが、同様なことが放送教育開発センター、放送大当量構想の中にも性格的にあらわれているのではなかろうかと、私はそう思うわけであります。わが党はもともと勤労青年、社会人に対して教育の機会を保障することと、その点では通信教育あるいは夜間大学、これを大都市を中心にして大きく整備をしていくこと、特にお金のかかる、あるいは負担の大きい私立大学よりは、国立大学あるいは公立大学において通信教育、夜間大学を大きく発展さしていくべきだという主張を年来からいたしておりましたが、これらのつり合いのとれた全体的な施策が講じられないままで、トップレベルの部分と申しますか、新構想の計画が出されていく、ここのところに問題の中心があると思うんです。去る五月九日に、当文教委員会で参考人の意見陳述を求めましたら、その中でるる述べられたところに従いながら、二、三今度の放送教育開発センターの問題についてお伺いをしたいと思います。
伊藤参考人は、放送大学を利用することについて三つのメリットといいますか、役割りを述べておられたわけであります。特に、一つは社会教育に対して大学が役割りを果たしていく、この社会教育の領域というようなものであり、二番目には、各大学の講義が公開をされていく、大学の公開という問題が述べられておったわけであります。各大学が放送を通じて講座を公開する、このことは非常に有益であり、必要なことだと思うわけですけれども、今度の構想ではそういう方向をとらずに、独立の大学として進められようとしておるわけであります。むしろ全国にある各大学が、それぞれ各県の国立大学が県内をエリアに持って、UHFのテレビもあれば、FMラジオ放送もあるわけでありますが、そういった方向で、それぞれの大学の個性を生かしながら、これを生かしていこうというようなことは考えられなかったのか、今後の構想としてはどうなるのか、そういうところからお伺いをしていきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/129
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130・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 各大学が放送を利用して大学教育の内容を広く公開をしていく、そのことはきわめて望ましい方向であると考えます。現在すでに東北大学あるいは広島大学と協力をしまして、放送を利用した公開講座の実施ということを進めておりますし、今年度はさらにそれを金沢大学においても実施をしようということで進めております。放送教育開発センターが発足をし、それが既設の国・公・私立の大学の関係の方々の御協力のもとに機能をするということになってまいりますと、そのセンターの活動を利用し、それを活用することによって、そうした各大学におけるそれぞれの大学の特色を生かした大学のエクステンションというのは、より推進されるということが期待されるわけでございます。ただ、やはりそれはそれぞれの大学において、大学教育の一部が開放されていくということなのであって、全体を通じて体系的な高等教育の機会というものを提供するという点においては、やはり欠けるところがあるわけでございます。放送大学の構想はそうした各大学におけるエクステンションの努力というものと矛盾するものでもございませんし、むしろそれと両立を十分にし得るものであり、逆にそれぞれの大学のそうしたエクステンションにいい効果を与えるものだと思いますけれども、同時に体系的な高等教育の機会というものを、広く社会人を含めて、いままで高等教育の機会に恵まれなかった方々に提供する、あるいは生涯教育的な意味での再教育の機会として、それを御活用いただくということにおいて積極的な意味を持つ、これはどちらを選ぶということではなくて、やはり放送大学という一つの独立通信制の大学をつくるメリットというのは十分にあると判断をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/130
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131・小巻敏雄
○小巻敏雄君 答弁としてはきれいに整理をしてそのように言われるわけでありますけれども、いままでにすでに自主的な努力が存在をし、外国の例を見ても、通信教育の一環としてイギリスで実施をされるなど、積み上げも見られるわけであります。日本の場合にはしばしばこれら自主的に、多様に前進をしようとしておるときに、国家のプロジェクトとして、一つのものをぐっと押し出すことによって、大体従来からの自主的な努力が衰弱をして、そしてマンモス型の国営プロジェクトが全体の中に大きく出てくるというようなことを繰り返してきておるのではなかろうか。言われるような状況が理念であるとするなら、こういうマスメディアを利用して、そして広く国民にオープンをした大学を一方で国でつくっていくということとあわせながら、同時に同じ対象に向かって、いままで自主的に努力を積み上げてこられた領域に対して、この際にこれを踏み台にしながら、同時に大きな援助の手を差し伸べるということを並行的に行われないと、いま答弁されたようなものが生きてこないと思うんです。その一番具体的な問題は、私は通信教育であろうと思うわけです。それではいままで長年、ここに挙げられるように、勤労青少年、あるいは一般市民に対して、高等教育の機会を付与することが緊急に必要であると認めながら、国が通信大学を一切やってこなかったという問題を、このしおに、またひとつ一段階を期して前進をさせようというような考えを持っておられるのかどうか。一方では、私学任せの状況を今後も継続していかれるのか、このことをお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/131
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132・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 国立大学におきまして、通信教育を実施をするということについては、御指摘のとおり、これまで各大学においてそのような計画が立てられたということが、少なくとも文部省への概算要求の形ではございません。また、率直に申し上げまして、私たちも各大学に対して通信教育の開設を強く勧奨したということもないわけであります。
私たちは、放送大学の創設ということのための調査、あるいは準備に四十四年から取りかかっておりますので、放送大学のできるだけ早い実現ということに全力を尽くしてまいったわけでありますし、それによって国立大学における通信教育の実施という御要請に対して実質的にはこたえることができようと考えてまいったわけであります。各大学にどのような形で学科、学部を整備をしていくのか、あるいは通信制の教育を実現をするのかということは、やはり各大学の御構想に待つわけでございます。非常に実際の問題としては、今後においても各国立大学において、通信制の教育を実施をするということについては問題があろうと思います。そう各大学で通信制の教育を実施しようというような体制にはなかなかなってこないだろうと思います。それは各大学それぞれ既設の学部、学科の整備、あるいは大学院の整備等について、多くの課題を抱えていることでございます。いま直ちに国立大学について通信制の教育を実施をするというのは、これは困難であると考えますけれども、今後の研究課題としまして、各大学の御意見も伺いながら検討をしてまいりたい、そのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/132
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133・小巻敏雄
○小巻敏雄君 私は、検討してまいりたいという言葉は、やるというよりはやらない方向のウエートが強いように、いままでの経過から受け取らざるを得ないのでありますが、現在、こういういわば国から見放されたような状況で、私学が自分の責任で一生懸命になってやっておるわけですが、ここにどのぐらいの学生が在籍をし、そうしてどのくらいの卒業生をつくってきたのか、その点についての把握をお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/133
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134・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 大学、現在十二校、二十二学部ございますが、入学定員の合計は四万九千六百名でございます。短期大学は九校ございまして、十三の学科がございますが、入学定員は九千四百名でございます。在学生の数は、昭和五十二年度で、大学が八万八千三十三名、短期大学が同じく五十二年度で一万七千五百七十六名ということになっております。トータルで十万五千六百九名というのが現在の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/134
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135・小巻敏雄
○小巻敏雄君 現在在学しておる十万人が本当にこの課程を履修し、そうして学位を得るに至るというのは、ずいぶんとやっぱり続かなくて、歩減りをするわけです。私はこれに対して、この在学生の相当部分が実を上げるためには、大きな援助が必要だと思うわけですが、聞くところでは、いままで通信大学の卒業生は六万人を出していると、こういうふうに聞いておるわけです。しかし、まあこれらの大学はそれぞれ母体の大学がありますから、母体となるキャンバスがあり、各大学の特質を生かして、一定のそれは成果を上げてきたと、今度一体それじゃ独立大学ということになれば、どういうものになるのか。この点についてはこの基本構想の提案あるにもかかわらず、なかなかわかりにくい点があります。
私は、特に、引き続きこの通信教育の側の要望について、国がどうこたえられるのかお伺いをしていきたいと思うのですが、通信大学にいる学生諸君の中で、いまの状態では慶応大学なんかの通信大学は置いてありますけれども、これは形ばかりと言っちゃなんですが、教授の数も最低の姿であります。かなり大きな大学でも、年々講座の中身が中断をしたりいたしまして、単位を取得して本当に学位を取得しようとする通信大学の学生というのは、ずいぶんと苦労をしておるようです。スクーリングのために、いろいろな昼間の大学へ期限を区切って受講のために通い、かなりお金も払っておるわけですね。これを仕上げていくというのは容易なことではない。このことは、私大の通信教育を行う側ではよく知っておりますから、放送大学が電波を利用しながら、この通信大学の内容を補充をして、そうして今後の教育を進めたいということを強く希望をしておるわけです。むしろ今度の独占企業としての放送大学が電波を独占していくということは、通信大学に対しては有利な作用を及ぼすのではなくて、通信大学が電波を利用しようとする道を閉ざす方向に作用するのではなかろうか。その点については、通信大学に対しても電波利用の道を今後考えていかれるのか。こういう問題についても共同利用センターは、研究を行うものなのか、そうでないのかと、この点をお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/135
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136・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 通信制の大学、短期大学の数は、先ほどもお答え申し上げましたように、合計をすると二十一という数になるわけでございます。これらの大学、短期大学が、それぞれ個々に通信教育の方法の一つとして電波を利用する、そういうことになりますと、放送大学のために現在確保しているUHF、FMの波それぞれ一波でございます。放送時間は、これはおのずから限られてくるわけでございます。その中で確保される時間帯というのは、全部の大学の御要請に完全に対応できるような形ではもとよりとうていできないわけでございます。通信教育の側が、放送大学だけで電波を独占するのではなくて、通信教育でも利用をすることができるようにしてほしいという御要請をされていることは十分に承知をしておりますし、そのことについての放送大学の調査会、あるいは文部省との協議もこれまで幾たびか行っているわけでございます。結論的には、やはり放送大学の放送番組というものの制作それ自体に、通信教育の大学、短大の先生方を初め、広く既設の大学の先生方が参加をされ、そして共同利用に耐える番組をつくり、そして、それを放送することによって、それを各大学が活用するという方法が一つ考えられる。
それからまた、できるならば放送大学の確保をする時間帯の中で、技術的に可能な限りにおいて、その時間帯を通信教育の側の利用に供することを考える。これも何らかの形で通信教育の方々に共同利用の方法を考えていただかないと、ばらばらには二十一という数でございますから、利用が困難だということになろうと思います。しかし、いずれにしてもそういう形で、できるだけ電波というものの公共性ということにかんがみましても、既設の通信教育の充実ということにもそれが資するような形で考えていかなければならないことは、間違いないことでございますから、今後もこの点については、通信教育側の意見を十分に伺いながら、検討が具体的に進められていかなければならないと思います。その作業は、これは放送大学の創設準備という形で、一つは行われるわけでございますけれども、実質的な放送大学の創設準備はセンターが行っておりますので、そういう形でのセンターの検討が進むでございましょうし、またもう一つは、広く放送を利用した大学教育の効果的な実施のあり方というものが、センターの重要な研究開発の課題になりますから、そういう形でもセンターの事業として今後検討されていかなければならないことであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/136
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137・小巻敏雄
○小巻敏雄君 もう少し端的にお答えいただきたいと思うわけですが、要するに、現在放送大学が発足をして電波を使うと、これをどのように二十一ある共同利用に分与をしようかというふうに考えたら、やっぱり余裕がないというのが答えであって、それで今後の課題としては、その中からそれでも努力をして時間帯を割くことができるかどうかというのが一つ。
それからもう一つは、放送大学自身が行うプログラムを通信教育の方が共同利用できるように、その内容等について協議をすることが、今後の研究対象として残されておるだろうと、かような説明だったかと思うわけですが、私はこの際、ぜひとも今度の共同利用センターの中では、単独の放送大学をどのようにつくり上げるかということからもっと広げて、問題を全国の勤労青少年に対して通信教育、そして放送大学を合わせて、どのようにこのメディアを利用して、改めて新しい段階としての状況をつくることができるかというふうにながめていただきたい。この点では共同利用の問題と、それから時間帯設定の問題は、とにもかくにも研究をしたけれども実らなかったというようなことではなく、必ず成果を上げるように組み上げていくこと、それについては、この研究協議の機関の中に、通信大学の関係者を人的にもその場を保障をして、進めていかれるということが必要だろうと思うわけです。この通信教育協会の児玉会長は、この点センターというものは公私ともで利用するものだと思ってきたけれども、でき上がってみて、概要をながめると、とうていこれは放送教育センターなどというものではなくて、放送大学センターではないかという失望の色を隠さない意見陳述をやっておられたのを思い返すわけであります。いま言われた点、必ずこの点では一つの共同利用の成果を生み出すんだ。時間帯にしても必ずそこへ割くように努力をしていくという、この二つの点について再度確認を求めますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/137
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138・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) センターの運用の面につきましては、もちろんセンターの研究開発に参加されるスタッフとして、多数の客員教員の定数を用意をしておりますし、そういったところへは、私立の通信教育で苦労しておられる方々にもぜひ積極的に御参加を願いたいと私たちは考えます。また、センターの運営のための評議員会につきましても、これは国・公・私立の大学の学長その他の学識経験者を充てることになっておりますし、その中には当然通信教育を担当されている方々にも御参加をいただきたいと考えております。
そういう形で共同利用というものについて、センターの運営を含めて、もちろんそれを重点に置いて考えてまいりますし、また、いま御指摘の電波の中で、どの程度時間帯が確保できるかという点については、先ほども申し上げましたように、その利用について通信教育の側での共同利用の体制というものが、どのように整えることができるかということと関連をいたします。そのことを含めて、電波ができるだけ有効に利用できるように、これは積極的に検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/138
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139・小巻敏雄
○小巻敏雄君 放送大学で設置をされる学部というものは、非常に限られた学部が設けられることになる。理工系のように実験を要するものというのは対象になりがたいような点があるというのはだれしもわかるところでありますが、現在、私立大学でやっている通信教育ではどういう学部を設置しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/139
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140・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 文学部、経済学部、法学部あるいは家政学部、商学部、社会学部、人文学部このような学部でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/140
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141・小巻敏雄
○小巻敏雄君 これは理工系のものは設置の中で放送大学でも取り扱いにくいでしょうし、現在のところ通信制でもこれはなかなか実情が困難だ。これは一つは、モデル的にもどうしても、たとえば東京のようなところ、あるいは大阪のようなところには、国立でもってすべての学部をTI学部の数が非常に多いわけですから、この点は要請にこたえられる条件というのは、むしろ国立の大学、たとえば東大のようなところは適切な条件になるだろうと思いますね。夜間大学を設けるにしても、通信制大学を設けるにしても、学部の窓口ですね、その条件と、新しい専任教員を得るための障害の少なさ等から見て、そういうところをひとつこの際に踏み切って、国立で通信大学を設置をしていくというふうな構想をお持ちになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/141
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142・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 国立の通信制の学部を設けることの困難な点については、先ほどお答えを申し上げたとおりでございます。国立の大学で、放送大学も独立の通信制大学でございますが、それを設けて電波を活用していくということになると、放送法との関係でやはり困難な課題が出るわけでございます。私たちも一たんは国立大学をもって放送大学を設置をする、そしてその放送については、既設の放送事業者の時間帯をいわば買って、それで放送を実施をするということができないかということを考えたことがございますけれども、十分な時間帯を確保するという点、ことに、それを安定的に確保していくという点において問題が出てまいりますので、なかなか国立大学をもって放送を十分に使った通信制の大学というのを構想することが困難だということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/142
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143・小巻敏雄
○小巻敏雄君 私が言っているのは、放送大学を国立大学の中に設置してもらいたいということを言っておるのではないわけです。私学だけに任しておる通信大学の現状を強化するために、ひとつ国立大学、特に大学院を持ち、そして長い伝統を持っておる旧帝大などは適切であろうかと思いますけれども、こういうところにこの通信制大学を
ある時期に広島がこうたしか手をつけて、その後だめになったんじゃないかというふうに私は記憶しておりますけれども、新学制が発足した時期には、さまざまな討論と試みが各大学の中であったけれども、むしろ大学の努力不足というよりは、やっぱり文部行政のその点に対する貧困の結果、私学に任せて放置ということになった。この際にひとつ通信教育を国立に設けられる意思はないかと、こういう点をお伺いしておるわけなんです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/143
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144・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、文部省としては、より効果的な高等教育の機会の提供ということを考えて、放送大学のプロジェクトの推進に当たってきたわけでございます。各大学に通信制の教育を実施をすることについて、積極的な検討を期待をするということが、率直に申しまして先ほどお答え申し上げましたように、むずかしい状況にあるというのが実態であろうと思います。しかし、国立大学の通信制の教育の実施ということは、これはそれとして検討しなければならない課題でございますから、大学の意向を聞きながら研究課題として検討をしていくということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/144
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145・小巻敏雄
○小巻敏雄君 ここでも検討というのが出てくるのでありますけれども、大学に意向を聞くというのは、自然成長的に大学の中でより社会奉仕的な、より手なれない、困難の多いイバラな道の、こういうものをやっていこうということにならないのは、今日までの歴史が証明をしているのであって、ここで改めて政策として打ち出されて、私は引き続いてお伺いをしようと思っているのですが、夜間大学の飛躍的拡充とあわせて、大きく踏み切っていかれる必要があるだろう。いまの答弁で明らかなことは、大学の側に条件が整わなくて、通信教育が国立に設置をされることがなかったので、より効果的な方法として放送大学を国がやっていくのに踏み切ったというふうに言われるわけですから、国はやっぱりやっていこうという気がないわけです。あわせて、この点繰り返しても仕方がないから進みますが、夜間大学についても同様なことが言えるのではないか。夜間大学といえば、勤労青少年が働きながら、そうして自分の資質を向上させるために、学位を取得するために学ぶところであります。今度問題になっております上越、そして社の二つの教員大学も、これは勤労青年の一人であります、現職の教員ですね。卒業後三年程度というのは、まさに教育という場に身を置いた働く青年の現職教育の問題なんだと。こういう同じ状況に置かれる多くの人たちは、それではいままでどのように行われてきたのか。これに対して準備するべきものは夜間大学というものがあったはずなんですね。不十分ながら、私が居住をしておる大阪では、比較的進んだ方だと思うんです。大阪外国語大学の夜間部、それから大阪教育大学の夜間学部と、さらにもう一つ大阪市立大学の夜間学部と、国・公立で三つの夜間大学があります。勤労青年が集中する場所としての大都市にですね。しからば全国的にどれだけ配置されておるのかという報告を聞いてみると、非常にプアーな状況にあると言わざるを得ないのであります。現在、全国でどの程度のものが国・公立でもって措置をされているのか。特に教員養成の大学、現職教育を行うのに最も適切な場所として夜間大学が位置づけられるということは、先ほどの質問者の久保委員の方からもあったところですけれども、改めてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/145
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146・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 夜間学部を持っております国・公立の大学は、国立が九つ、公立が五つ、計十四でございます。国立はこのほかに二校、いわゆる昼夜開議の試みという形で、実質的には主として夜間において勉学をするコースを設けてるものが二つございます。それを入れますと国立が十一、公立が五つということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/146
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147・小巻敏雄
○小巻敏雄君 いま、現職の教員の資質を向上させるという社会的要請に応じて、この二つの教員大学を設置をしようとされておるわけであります。合計、二つの大学で四百人の修士が、今後開設をされますなら、年々現職のバチェラーが送り出されようとしておるわけです。私はそういうことを考えるなら、同時に、かなりの数の短大卒が小・中学校で現に授業に当たっている。その中の一部の人は非常に熱心に通信教育の学生になるなり、まあ幸いに身近なところに夜間大学がある場合には、ここに通学をして、そうして自分の責任で、まあ一人前以上の仕事のあるこの教育授業をやった上に、みずから資質の向上に励んでおるわけですが、これに対してどれだけの援助とそして受けざらとがつくられているか。一方では、これらの要請に対して、この際夜間大学を拡充をし、各地に設けて受けざらをつくっていくということと、先ほど久保君から出ておりましたように、あるいは現職のまま三年次以降教育課程の学部に編入を行って、そうして資質向上のために努力するというふうな受けざらが同時並行して発想をされる必要があるのではなかろうか、なぜ、教員の資質を向上するというときには、まずバチェラーの小学校の先生をつくるということの方が、短大出の人を速やかに学部卒相当の、バチェラーになる前に学士としての学力をつけさせるように援助するということが、なぜ発想されないのか。今後検討するというふうに言われましたけれども、何を検討されるのか、こういうことをひとつお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/147
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148・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 現在、国立の教員養成大学で夜間部を設けているのは、大阪教育大学だけでございます。全体として夜間の学部の充実ということについては、もちろんこれまで意を用いてきてるところでございますし、今年度の予算におきましても、神戸大学あるいは岡山大学の関係の夜間の学部の入学定員増等の措置もとっているところでございますし、先ほど申し上げましたように千葉大学、あるいは福島大学におきまして、主として夜間において勉学をするけれども、昼間の授業も聞けるようにするという、より履修の形態を弾力化するということで、昼夜開議制の試みも始めているわけでございます。
現在の二級の免許状をお持ちの方々がそれをさらに上級の免許状に進めるための方法としては、御案内のように認定講習であるとか、あるいは公開講座等の課程による機会の付与というようなことを進めているわけでございます。それらの施策というものをやはり総合的に進めていくということで、御指摘のような点にこたえていくということを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/148
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149・小巻敏雄
○小巻敏雄君 まあ神戸大学、岡山大学等の定員増、これは非常に重要なことだと思います。受けざらが広がってこなければ、そうしてそこのところへ手厚い条件ができなければ、条件のないところでむなしい努力をするということは、これは実りのないことですから、やっぱり現場教職員の学習意欲、あるいは研修意欲も阻害されがちになると。受けざらを大きく広げていくということは非常に重要なことだと。まあその点は神戸、岡山等の定員増というのは、これはまあ非常に結構なことであります。と同時に、各大学の先生方、各大学の責任者の人たちは、現実をじっと見ておると思うんですね。私は、最近のキャンパス移転に伴って、どのくらい夜間部の学生がつらい思いをしており、このことにいかに問題が配慮されていないかということを痛感する次第です。大阪の場合には、夜間の教育学部という、全国でただ一つのものを持っており、現に学んでおる学生の相当部分は現職の教員であり、大学の側でも、五年次のうちで二年次から短大卒を入学させて、月給をもらいながら、もし通学条件が合えば大学卒資格を取ることができるようにしております。
こういう問題が進められて、初めて、見合って、たとえば修士課程のことも現実の問題たり得るであろうと思うんですが、これが、最近、大阪外国語大学のキャンパス移転が行われたのであります。非常に大阪の都心部の、どこから通ってくるのにも便利な場所にありました。それが箕面の方に変わっておるわけです。こうなりますと学生の範囲が変わってくるんですね。従来から在学しておる者はそこへ行く、苦しくても通学を続けるでしょうけれども、非常に通学条件は劣悪になっております。今度、いま進行中である大阪教育大学の新しいキャンパス移転も、これは今日のところ、夜間大学の学生に対しては非常に大きなパニックになるような性質を持っておるわけです。こういう状況については、こういう勤労学生、もしくは現職教員の研修の条件をよくするためにという国民的な討論が行われておる中で、ぜひ一遍文部大臣もこの状況に目を投じられて、この中で、緊急に大臣が力を出して、よい解決を図れる道がないのかというのをひとつお調べいただきたいと思うんです。
この大阪教育大学では、短大出身を含めて、かなりの数の現職教員を現に教育をしておりますけれども、キャンパス移転によって、交通至便な天王寺から、大阪というよりは奈良県というような場所で、山間の地で、電車を降りておおよそ二キロを超える山道を夜歩いて通学をしなければならぬというようなことになれば、恐らく、現職教員の中で、この夜間学部によって現職教育を受けておった人たちは、今後は後続が断たれて、それで、昼間大学に入り損なった人が、それでも大学卒の資格をとろうという人に中身が後退してきて、現職教育としての機能が大きく衰退するというおそれがあるんじゃなかろうか、私はそういうふうに見るわけであります。
これもあって、いま大阪教育大学のキャンパス移転というのは非常にさまざまな問題で難関に逢着をいたしまして、計画は立てられたにもかかわらず事業がストップをしておる。昨年の夏段階で概算要求が文部省に対して提出をされない。ことしも期限が迫っておるにもかかわらず、同様な状況がなお解決されずに残っておるというふうに聞いておるわけです。この問題について、ひとつ局長、概略今日の状況の御説明をいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/149
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150・三角哲生
○政府委員(三角哲生君) ただいま御指摘になりました大阪教育大学の統合移転に関しまして、統合移転の施設面の進捗状況と申しますか、御説明申し上げます。
大阪教育大学におきましては、キャンパスと申しますか、敷地が分散をいたしておりますことと、それから、それぞれの敷地が今日の状況では狭隘でございますために、昭和四十年ごろから移転統合につきましての学内の検討が進められまして、四十八年七月に教授会の同意によりまして、大阪府柏原市旭ケ丘に移転統合することについて、大学として正式に決定が行われたわけでございます。
文部省といたしましては、この決定を受けまして、移転統合事業を推進することにしまして、五十年三月、先ほどの柏原地区に約六十六ヘクタールの土地購入費の予算措置を行いました。その上で、施設の整備につきましては、昭和五十一年度と五十二年度の両年度に構内道路及び敷地造成の一部の工事を完了いたしまして、昭和五十年度後半から建物の工事に着手するという予定と申しますか、段取りといたしておりましたが、現在のところまだ建物工事着工の段階に入っておらないわけでございます。
昭和五十三年度の概算要求におきまして、大阪教育大学の学内の事情によりまして、文部省への移転統合関連施設の概算要求がなかったことから、今年度については具体的な施設整備費の予算措置を行っておらず、いまのところ考えていないという状況でございますが、したがいまして、現状におきましては施設整備計画の実施の確定が困難な状況にございますので、明年度の同大学からの概算要求を聴取した上で、今後の方針を決めるということにいたしたいというふうに考えておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/150
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151・小巻敏雄
○小巻敏雄君 決定後の問題について、すでに工事が開始されておるのに概算要求が出なくて、そして文部省としても処理にもかなり困られたでしょうし、将来の問題が残っておって大変なことだと思うわけですが、こういうふうに問題をむずかしくしておる具体的な学内における困難な条件というのは一体どこにあるのか。文部省としては具体的にどういうふうに把握をしておられるのか。原因を明らかにしなければ解決することはできないわけであります。この点はどうなんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/151
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152・三角哲生
○政府委員(三角哲生君) 移転統合の進捗状況が先ほど申し上げましたようなぐあいになっております理由でございますが、現在大阪教育大学の事務局を通して聞きましたところによれば、学内の諸事情からいろいろな問題が錯綜しておるようでございますが、その一つとして、移転統合についてこの時点で反対と申しますか、移転統合に対する批判的な状況が存在しておるということがございます。
そのいわば反対の主なる理由といたしましては、先ほど先生御指摘の交通の問題が一つあるようでございます。近鉄大阪線の現在存在している駅の間に、より統合地に近接したところに新駅が設置できないかどうかといった問題が一つございます。それからもう一つは、新しく統合移転をいたしまして、建設する学校の建物の規模と申しますか、面積を、通常の基準以上の整備を要求するということで、こういった条件が満たされなければ移転には賛成しないし、移転すべきでないというような御意見が一部にあるというふうに承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/152
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153・小巻敏雄
○小巻敏雄君 私ここに「学園だより」という一つのプリントを持っておるわけです。新入生がことし入学しますと、常識どおりに事が運べば、これらの人たちは卒業するころには新しいキャンパスへ移行して、そこから卒業をするわけです。いま天王寺に入学をした学生は、実は柏原の方へ入学しておるわけでありますから、これに対して新入生に実情を伝えないわけにはいかない。学校当局が出しておるこれはプリントなんですね。ですから、学校を美しく描こうとするのが、これが学校としての人情であろうと思うんです。自分の学校はいい学校だと、先に楽しみがありますと書かないような大学はない。そういうふうに美しく描こうとしても、その結果書かざるを得ない問題は、敷地までの交通についてということなんですね。敷地は近鉄大阪線に接しており、最も近い駅は奈良県にある関屋駅です。これ、大阪教育大学であるのか、入り口から見ると、奈良教育大学になっておるのでありますが、鶴橋駅から関屋駅まで約三十五分かかり、そこから徒歩でもって、関屋−田尻線という国道を八百メートル歩き、踏切を渡り、国道百六十五線に沿って再び大阪側に五百メートル進み、敷地の東北進入路に達します。その進入路からさらにらせん状に高度をとりながら六百メートル進みますと、敷地の中心に出ます。これは最も美化して書かれたものでありますが、これ合計しても、二キロ何がしあるんですね。それは物すごい山道であります。梁山泊のようなところであります。こういう状況のところへもし移転をするなら、とりあえず夜間大学は、直下のところに新駅がつくられないなら、学生の構成なんというのはがらりと変わってしまうことが目に見えておるわけです。それで、ここで、歩いて二十五分はかかるでしょうと書いてあるわけですけれども、歩いては二十五分では行けないです、走らなければ。こういうような状況のものであります。こうなると初めからわかっておったことなのかもしれないけれども、少なくとも夜間の学部を抱えておる教授たちの中からは、統合慎重論、あるいは天王寺残置論と、さまざまな問題が出てくるのは当然なことなんです。私はここで言わんとするのは、いたずらにこういう問題をあげつらって、どこかに責任者を追及しようというようなことではないんです。こういう状況でどうしても進めなければならぬのなら、一定期間にどうすれば教学の条件を整えて、一日も早くこれを解決させることができるのかという問題であります。たとえばこれらの問題では、新駅がつくられるかつくられないかというのは大きな問題でありますけれども、この見通しが立たない限り、第二学部などは少なくとも移転計画からは当面外すべきではないか。夜間のものは天王寺に存置をするというようなことが考えられる必要があるのではなかろうか。同時に、移転の中でどうしても新駅問題は解決しなければならないものだと思いますけれども、これに対していままでの状況では、国が補助するようにはなっていないわけですね。財政難の中で、地元の柏原市というのと大阪府が援助をするよりほかはない。これに対して、何がしかの活路を見出すような国の援助と方向というのはないのか。
そういうことが行われなければ、小学校から修士になって学校へ帰るという、新しい学校は建設をされても、従来から学校の発意で、よそでは設けようともしていない夜間大学をこしらえて、学校の重点として教職員の現職教育に重きを置いて、鋭意草分けとして苦労してきたところが、移転の状況があれば、移転によって壊滅をさせられるという現実が現に目の前で、一方で教員養成大学がつくられる中で、一方で教員養成大学がつぶされていくのでありますから、国民の目で見てとうていこれは承服できることではない。活路に対してさまざまな方途があろうかと思うのですけれども、私はぜひその点について、大臣、ひとつみずから状況に目を投じられて、そして鋭意現地をも励まされて解決に努力をされたいと思うんです。
もう一つ敷地問題というのは、これは文部省の規則から言えば、校地面積の問題ですね、一一〇%の要求を大学がやっておるのを、一〇〇%以上は出せないという答弁をしておるところからもつれているのですけれども、私はひとつよくわかるように大学と話をしていただいて、当面一〇〇%で出発をしても、その達成しようという目標は年度を追ってできるものであるなら、私は必ず教授会の同意を得ることができるだろうと思うわけです。これらについては、ひとつ管理局長の御答弁をいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/153
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154・三角哲生
○政府委員(三角哲生君) 移転統合地の立地条件でございますが、これは、ただいま先生の御指摘のように、大阪市の中心から東南へ約二十キロメートルのところに位置しておりまして、現在の近鉄大阪線の河内国分駅、これは大阪市寄りのものでございますが、それと関屋駅のほぼ中間にございまして、両駅から徒歩でそれぞれ、まあ歩き方にもよりますが、約十二分ないし、河内国分駅からの場合には二十八分というような計算になっておるわけでございます。それでまた、これは国道第百六十五号線に沿った高台の丘陵地でございます。それで、これらの状況にかんがみまして、新しい駅の設置を図るという問題につきましては、それからもう一つの一一〇%整備という問題につきましても、いずれも先ほど御説明申し上げました大学が正式に移転統合を決定した時点では、必ずしも文部省側に対して移転統合をするための前提条件ということで、大学側は持っていたという事柄ではございませんのでありましたが、現在に至って、まあ駅の問題などにつきましては、移転統合の条件とはしておりませんが、大学といたしましては、移転統合することに伴いまして、解決を要する課題の一つであるということで、取り組んでおるということは承知しておりまして、大学としては、新しい駅を大学にできるだけ近い位置に設置するように関係方面に要請しておるわけでございますので、私どもはその進捗状況を大学からも逐次聞くことといたしまして、その際、その状況を聞きながら、いろいろな意味の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
それから、施設整備につきましての問題でございますが、大学の一部の意見といたしまして、現行の国立学校の建物必要面積基準の面積では不満であるということで、この基準面積のおよそ一〇%増といったようなものを要求をして、これを移転統合に絡めて解決すべき課題というふうにいたしておるようでございますが、私どもといたしましては、国立大学の建物につきましては、必要面積基準というものに基づきまして、そして、非常に大型の整備を要するものにつきましては、財政当局とも必要な協議も行いつつ実施しておるところでございます。それで、特殊な事情がある場合は別でございますが、そういった事情がもしない場合には、いわゆる通常の場合には、特定の大学についてのみそういった枠を外すことは、私ども事務の執行の立場からして不可能でございます。しかし、まあ大学がだんだんに移転統合いたしまして、さらに新しいいろいろな意味での整備を進めていきます、そういった場面場面においては、その整備として必要な事柄につきまして、十分吟味をし、検討をしてまいるということであろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/154
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155・小巻敏雄
○小巻敏雄君 ここで大臣にお願いをするわけですが、大臣のこの政治基盤になっておる兵庫県には社の大学が建設をされる、あわせて神戸大学も大学院が設置され発展をされていかなければならぬだろうと思うわけですね。やっぱり関西にとって、大阪としては三つの夜間大学を持つという、一つのすぐれた伝統を持っておるわけですが、その中の二つまでもが都心を離れて衰弱をしようとしておるような問題、とりわけ、私はもうあえてここで触れたくないのでありますけれども、昨年の概算要求が提示できずに学長が辞職するというような状況を生み出した背景には、新聞の報じるところによれば、学内で不適切と思われるような立地については多くの疑惑が残り、他に転用もできない場所だという非常に一つの原罪のようなものを背負っているわけです。これをいまからりっぱにやり上げていくためには、ほかの大学の移転よりもさらに特段の手厚い努力を傾注されなければ、十分なことはぼくはできないだろうというふうに思っております。初めに適地を求めたときには万博跡地が登場し、あるいは京阪沿線、京都と大阪の間の平地が登場をし、河内の国へ行ってもまだ低い台地である羽曳野というようなところが登場したのが、ある時期に不思議にこれが消えて、こういう梁山泊のような場所が、ゲリラをやるのにはいいかもしれませんけれども、いまから学園都市になるためにはかなりな投資と、近鉄もしくは自治体の大きな協力が必要である。学園都市と言ってもそばに来る他の大学などはありません、高等学校は一つぐらい来るかもしれませんけれども。こういう状況のところを夜間大学を含めて成長させようと思えば、これは踏み切りのときに非常に大きな努力が必要だと。私は二回ばかり現地視察もいたしましたけれども、これは現状では大変なものであります。私は、もしお暇がございましたら、ぜひ大阪に立ち寄られて、大臣、ひとつ現地をごらんになって、現場の先生方がむちゃを言っておられるのか。この問題が解決をされたら、それはまあ学生のためにしばらくの不便はがまんをして移転に賛成しようということになるのか。やっぱり際どいところでぼくはいま教授会は進んでおると思いますから、誠意のあるところをぜひ現地にも御披瀝いただいて、この問題の前進を図っていただきたいと思うわけです。いかがでしょう、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/155
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156・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 小巻委員、兵庫県ばかりよくなって大阪がさびれていくと言いますが、どうぞそうおとりになっていただきたくない。やはり大阪を中心にした衛星都市、広域な繁栄が続いているわけでございますから。
まあそのことはそのこととして、大阪教育大学の第二部の取り扱いの問題は、やはり大学におきます教育研究の基本的な問題というとらえ方をしなければなりませんし、大学の意思決定がやはり一番大事なことでございます。そういうことを踏まえまして、大学側の検討を十分に尊重をいたしまして、私もよく直接様子を聞きます。そして可能な限りのお手伝いをしながら対応してまいることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/156
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157・小巻敏雄
○小巻敏雄君 何分にも大学というところは自治の府でありますから、何事もそれは大学みずからが決定をして進めるわけです。他の大学においても、文部省としては、たとえば夜間大学の開設等をほかの大学でも積極的に進められることを望むというふうに局長は先ほどから答弁されておるわけです。他の大学だって、たとえば大阪教育大という夜間大学の設置については、先進的な部分をじっと見ておるのでありますから、他の大学が設置しようとする場合に、あれだけのむずかしい状況の中で、校舎の移転でもすれば、やっぱり夜間学部は二の次、三の次というような状況の取り扱いを受けて、やっぱり打開の道が十分に進まないという現実が先進地で進むなら、後は続かないと思うんですね。ぼくはこの際、勤労青年、あるいは現職教員研修のことが国民的に問題になっておるところですから、この際格段にお願いをするわけであります。
ちなみに申し上げますと、この「学園だより」の中にも非常に現職教育の問題と、夜間大学の問題には力を入れた記述が出ておりまして、この「移転後の大学はどのようなものでしょう」という紹介の中でも、開かれた大学を目指して、「特に勤労学生や現職教員のために夜間学部を拡充整備したいのです。」というようなことも記述をしておるわけです。
これをひとつ整備するとともに、この現在の短大出身の現職の方が、多くが通信教育の道を通じて、放送大学は果たして教員免許状というような領域で役割りを果たし得るか、これはむずかしいんじゃないかと思っておりますけれども、あるいは通信大学、夜間大学、これらの状況の中で、まず手厚く現職の教員の資質を向上させることができるように、受けざらを広げる点で、格段の努力をひとつお約束をいただきたいと思うわけです。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/157
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158・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 勤労青少年のための勉学の場をより一層充実して提供していく。また現職教員により一層高度の研さん機会を提供していく。きわめて重要な問題でありますことは小巻委員と同じ認識に立つのでございますから、せっかくの努力をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/158
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159・小巻敏雄
○小巻敏雄君 教育大学についてもう一つ奇異な点を感じるわけです。
いま高等学校の免許状について申しますと、修士課程を修了した者には一級免を与えるというのが、修士課程のこれは制度になっておる。ところが、東京、大阪の教育大学のみは、修士課程を出ても中学一級免許状と、高等学校の二級免許状を与えるにとどまっている。バチェラーであっても高校一級免状を与えないわけです。これは教育大学は高校教員免状について言いますと、一般大学の修士よりも一段学力が低いものとみなされるのかどうか。その点はどういうことなんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/159
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160・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) これは両大学を通じてのことでございますけれども、両大学の修士の課程というのは、義務教育の段階での教員というものを考えて、その方々がさらに高度の勉学を積まれるということを考えてつくられているものでございます。ここにおいて高等学校の一級免許状を付与するというような、そういう養成をするものとして、初めから両大学とも構想されていないと、そういうことなのであって、一般大学の修士の課程と比較をして、教員大学の修士の課程のレベルが低いからというようなことでは毛頭ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/160
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161・小巻敏雄
○小巻敏雄君 ところが、学部を出て専攻科というのに一年行くと、これは一級免をもらうようになっておるわけですね。これもまことに奇異なことであって、もともと高校教員の二級免相当の学力は、学部卒業段階で認定をされておるわけですね。ところがあと一年の専攻科と、それから二カ年の修士課程を比較をいたしまして、これが一級免を授与するに当たらないというのは、これはまことに常識的に納得しかねる話で、むしろ高校に採らせないように、高校を志望する者を修士課程の受験者からはじき出すために、教科内容よりも一つの行政上の目標から与えられた制限であるように感じるわけですけれども、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/161
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162・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 専攻科の場合には、御指摘のように、高等学校の教員養成ということを考えてカリキュラムを組んでおりますし、それに応じて免許状が出されるわけでございますが、両大学の修士の課程というのは、その設置の趣旨からして、先ほど申し上げたような形になっている。したがって、高等学校の免許状というものを出さない、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/162
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163・小巻敏雄
○小巻敏雄君 カリキュラムなり、課程なりのわずかな操作で、私はそういうことは、修士課程の中で大学がやりますなら、造作なく解決できる問題だと思うけれども、そういうことは文部省がさせないと、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/163
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164・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 文部省がさせないというよりも、先ほど来申し上げておりますように、この大学院は義務教育に関する教育研究に主点を置く。そして義務教育等の教員の資質、能力の向上を主眼としてつくる。そういうものとしてつくられたものでございます。で、高等学校の教育免許状を授与するための課程認定は受けていないし、また、これを受けたいという大学の意向もない、現在では聞いておりません。そのような状況にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/164
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165・小巻敏雄
○小巻敏雄君 私は大学の担当者、当事者に会いますと、学生の強い要請もあり、第一、不自然なそういう制限でありますから、二級と一級とはどれだけの違いがあるのか、それなら高校の二級免も与えないのかというと、義務教育教員養成を主眼とするところで高校の二級免を出しますし、現場に来られますと非常にりっぱな教員の方々もおるわけで、いま高等学校には、学大出の教員は理科を中心に多数進出をしておりますし、特に音楽、美術などになってきますれば、いま上野出て高校の教員になる人はちょっとありませんからね、大体学大畑で高校の教員の需要を満たしておるというのが現実であります。現にそういう状況だし、高等学校と前期中等教育と後期中等教育というのは、非常に内容的にもつながるものであります。これらの問題については、現地の状況も受けて、この不自然な状況については、ぜひ見直しをされる必要があるというふうに考えるのですけれども、見直しについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/165
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166・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 高校の教員の一級免許状の取得については、御案内のように、高校一級免の課程認定を受けている一般諸大学の大学院、国立でも六十二あるわけでございますし、あるいは専攻科であれば、国立で三十六ございます。これらにおいて、それぞれ専門教科に関する研究を深める、それによって一級免許状の取得ができるという、そういう体制になっているわけでございます。学芸大学なり、あるいは大阪教育大学の修士の課程というのは、もともとそういう制度ということを前提としながら、先ほど来申し上げておりますように、義務教育等の教員の資質、能力の向上ということを考えてつくられている修士の課程でございます。今後とも、もちろん大学側の意向を聞いてはまいりますけれども、文部省としては、現在の体制というものが不自然なものであるというようには考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/166
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167・小巻敏雄
○小巻敏雄君 もともと教員の養成は大学で行うとし、できる限りティーチャーズ・カレッジというような方式から、ユニバーシティーの方へ教員養成が動いているというのは世界の大勢でもありますし、一面では日本ばかりでなく、フランスなどを見ても、昔からの師範学校システムというのは、その跡を残しておることも事実であります。しかし、今日の段階で、大学院に改めて修士課程がようやく教育系の諸大学に置かれるようになった。このときに、またその領域においても、免許状の出し方で、一般大学では高校一級、教員養成大学では二級免、いずれにしても高校の教員になるわけなんですからね、そういうような状況、専攻科の一年であれば、これを取得できるというような状況は、修士課程の中で専攻科の問題をひとつ吸収するなり、現地には強い要求がございますし、多くの人々の目には、一般大学と教育大学の格差としてこれは映じておることは、これはもう間違いない事実でありますし、この点はぜひ現場の要求を聞きながら、この見直しについてお考えを願いたいと思うのです。ここまで聞かれたところで、大臣いかがでしょう、常識的に聞かれたところで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/167
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168・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) 各方面の御意見を十分伺って、検討させていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/168
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169・小巻敏雄
○小巻敏雄君 前回の委員会、それから本日重ねて午前中の審議の中でも同意の問題、くどいようでありますけれども、幾つかの問題がただされているわけであります。本日の午前中の答弁の中では、前回の私の質問と相まってかなり問題は整理をされたように思うのですけれども、念を押す意味でお伺いをしておきたいわけであります。
先ほどの久保委員の質問の中でも答えられておるわけですが、同意書を出すに当たって、基本的には有資格者であれば、受験出願に対しては同意をしていくと、こういうふうにお聞きをしてよろしいのか。ただ合格した場合には、同意即出張命令と申しますが、内地留学を命じると、こういう形態になるわけでありますが、合格をした際の、それでは同意はどういう状況で行われるのか、モデル規程等についても検討すると言っておられるのですから、その点を再度お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/169
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170・諸澤正道
○政府委員(諸澤正道君) 午前中もお答え申し上げましたように、受験に際して、あらかじめ同意するというのは、合格した際に入学が円滑にいくようにという配慮でありますから、したがって、同意の段階で、言ってみれば、教育委員会の側における一人一人の志願者についての個別選考のようなことをやる趣旨ではないということは申し上げたわけであります。したがって、志望する人の自発的な研修意欲というものをできるだけ尊重するというたてまえからすれば、基本的にとおっしゃいましたが、本人の希望は皆認めて、同意をすべきではないかという御趣旨と思いますが、考え方としてはそうだと思いますが、しかし現実に志願をされる方は、二回において、現職の公務員としての教員でありますから、やはり教員としての活動全体というものを考えた場合に、当該県内における志願者の総数が、考えてみたらどれくらいになるであろうとか、あるいは特定の市町村、学校に集中するとか、そういうようなことがあれば、やはり服務監督者としては、個別のケースについて、あなたはひとつ来年にしてくれというようなこともあり得ることだろうと思うわけでありますから、したがって、基本的な考え方は、先ほど申し上げたとおりであるとしましても、やはり客観的に見て、この場合は、同意は来年待ちということもあり得てもしようがないじゃないかと、人が見て納得するような場合ですね、そういうことは私はあり得ると思いますが、そういう意味では、志願の取り扱いについて、言ってみれば適正な手続、基準等によって、この同意の問題も、客観的に見て公正に扱われるように、ひとつ今後も教育委員会と相談して、運営のことを考えてまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/170
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171・小巻敏雄
○小巻敏雄君 大体筋道としては、かなり懸念された点について前進をした答弁をされていると私は思うわけであります。県段階で、そういう把握が現在持たれておるかどうかは非常に疑問でありますので、その点については、モデルの規程なり、通知なりの中で、国会答弁で盛られた趣旨を、各県に対して明確にあらわされる必要がある。有資格者が受験希望をした場合には、具体的な、客観的な何がしかの事由がなければ、その受験意思を阻まれることはないということですね。ただ現実を考えてみますと、一つの矛盾があることは確かなんですね。県が規程を持てば、恐らく県では、本県は十人とか、五人とか、政府の補助金を出してくる代替教員の裏づけなどの数を見ながら、大体常識的な数字を持つでありましょうから、当然受験希望者というのが、その枠内であれば受験同意、即合格同意になるわけでありますけれども、もし受験に同意をした者が、落ちてくれればいいのに、全員合格などいたして、数が多過ぎたというようなことになりますと、矛盾が出てくるわけですね。一人も入らなかった場合には、泣きながらお金が残るというようなことになるでしょうけれども、こういう問題については、具体的にはつまり合格した段階で、受験の同意がすぐそのまま生きるのかどうか、この部分にはかなり懸念が残るわけですが、どうなんでしょうね、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/171
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172・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 入試の出願に際して同意書の添付を求めるというのは、ただいま初中局長からも申し上げましたように、合格した場合には現職、現給で修学できることの保証を得ておくということでございます。当然、同意を得て受験をし、合格をされた方は、大学院にお入りをいただくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/172
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173・小巻敏雄
○小巻敏雄君 まあ非常にりっぱな答弁をいただきましてありがとうございますので、ぜひ気が変わらないように、それが貫かれるように、ひとつ各県に対する御指導をお願いしたいと思うんです。
ここで続いて、もう一つ関連をしてお伺いをするわけですが、一般大学、もしくは既設教育大を受験せんとするとき、たとえば愛知には修士課程の大学ができましたから、名古屋市内の先生がひとつ力試しにというよりは、まあ上越もいいけれども、この愛知の修士課程を現職で受験をした、これに対する同意は校長が出すわけだというふうに私は考えておりますが、それはそうかどうか。それで、これが合格をした場合にはどういうふうに取り扱われるのか、これはどうでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/173
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174・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 既設の大学の募集要項等によって見ますと、確かに御指摘のように所属長の同意書の添付というような形で書かれているものが多いわけでございます。その運用の実際を尋ねてみますと、当方は所属長としては、学校の先生の場合には校長先生の同意書をもらっているというようなところがございます。これについても、事柄の性質としては、やはり出張——現職、現給のままで行かれる、あるいは現職のままで行かれるということであれば、それはやはり服務の監督権者である市町村の教育委員会の同意ということが法律的には最も妥当でございます。長期の研修についてその同意、その研修を命ずる権限が校長に委任されているような場合には、それは校長でもいいわけですけれども、実際にはそういうことはほとんどないでございましょうから、市町村の教育委員会の方が適切だと思います。ただ、学校側が校長ということで判断をされ、そしてその校長が同意書を与えるということについて、市町村の教育委員会との関係がどのようになっているのかということを、さらに大学側としても確認をしてほしいと思うわけでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/174
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175・吉田実
○委員長(吉田実君) この際、委員の異動について御報告いたします。
ただいま宮之原貞光君が委員を辞任され、その補欠として大塚喬君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/175
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176・小巻敏雄
○小巻敏雄君 実は、いまの答弁はすっきりしてると思うんですよ、整合性の点ではですね。しかし、衆議院で四月十二日ですか、答弁された中では、教員大学を受験する者に対しては市町村教育委員会の同意、「一般に、大学」という中には恐らく既設の教育大学も含まれていると思うんですけれども、教員大学以外の大学を受験する場合には「所属長の同意」だというふうな答弁になっておるわけですね。しかしながら、この参議院に送付されて以降の審議の中で、一般大学でもこれは受験し、みごとに入学をし、そして同意を得た場合には、現職、現給の教員として派遣する取り扱いの上で何ら差等はない、こう言われておりますし、いままでの説明でも、特に既成教育大学、東京、大阪、今度愛知を含める三つの大学の場合には、もともと現職教育を設置の趣旨としておったと、まあこういう点からして、いまこれらの修士課程の中で現職教育の実を上げてないのは、実は入学試験で入らないから現に在学していないんだと、みごとに入れば、これは上越に行こうが、社に行こうが、大阪教育大に行っても、あるいは東京で二つの外国語の試験を突破して入っていくなら、合格した段階では何らこれは新しい大学と既設の教育大学とには違いはないというふうに考えるんですが、したがって、ただいまの局長答弁のように、既設の教育大学もまた、所属長の同意とは言うけれども、大体新しい大学の取り扱いと同様な趣旨になるというお答えになったものだと確認をしますが、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/176
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177・佐野文一郎
○政府委員(佐野文一郎君) 事柄としては、先ほどからお答えを申し上げておりますように、市町村教育委員会の同意というのが筋でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/177
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178・小巻敏雄
○小巻敏雄君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/178
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179・吉田実
○委員長(吉田実君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。
粕谷君及び柏原君から委員長の手元にそれぞれ修正案が提出されております。両修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。
この際、粕谷君及び柏原君提出の両修正案を一括して議題といたします。
両修正案について、提出者から順次趣旨説明を聴取いたします。粕谷君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/179
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180・粕谷照美
○粕谷照美君 私は、日本社会党及び日本共産党を代表して、本案に対する修正案について御説明申し上げます。
修正案の案文は、すでにお手元に配付されておりますので、朗読を省略させていただきます。
修正案の内容は、原案中、上越教員大学及び兵庫教員大学の設置に係る部分を削除することであり、その理由は次のとおりであります。
今回の教員大学の設立については、その意義、役割り、受験希望教員に対する教育委員会の同意のあり方、既設の教育系大学、学部との関係など、多くの疑点があり、本委員会における審議においてもなお明らかにされておらないのであります。さらには、教員養成制度や現職教員の研修のあり方、また大学院のあり方を含めた大学制度全体に影響を及ぼしかねない重要な問題が含まれております。したがって、国民的なコンセンサスを得るべく、慎重な手続が必要であり、国会としては徹底した審議を行い、問題点の解明を行うことが、国民に対する責務であります。
しかしながら、信州大学の経済学部など、学部の増設や改組、愛知教育大学の大学院新設などは、学生募集などとの関係から、これ以上成立をおくらせることには問題があります。したがって、緊急性の乏しい教員大学の設立の是非等については、後日慎重に審議すべきであるとの趣旨で、原案から教員大学に関する部分を削除しようとするものであります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/180
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181・吉田実
○委員長(吉田実君) 柏原君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/181
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182・柏原ヤス
○柏原ヤス君 私は、自由民主党・自由国民会議、公明党、民社党及び新自由クラブを代表して、本案に対する四派共同提案による修正案について御説明申し上げます。
修正案の案文は、すでにお手元に配付されておりますので、朗読を省略させていただきます。
修正の趣旨は、上越教員大学及び兵庫教員大学の名称を、それぞれ上越教育大学及び兵庫教育大学に改めるものであり、その理由は次のとおりであります。
今回提案されております上越教員大学及び兵庫教員大学の名称は、必ずしも国民になじみがなく、むしろ教育大学という名称の方がより適当であると考えますので、両大学の名称をそれぞれ上越教育大学、兵庫教育大学に改めようとするものであります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/182
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183・吉田実
○委員長(吉田実君) 以上で両修正案の趣旨説明聴取は終わりました。
それでは、ただいまの両修正案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もないようでございますから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/183
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184・勝又武一
○勝又武一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、日本社会党、日本共産党共同提案の修正案に賛成をし、原案及び自、公、民、新自、四党共同提案の修正案に反対する討論を行います。
原案の内容は、大きく四つに分かれると考えます。その一つは、教員大学の創設、その二つは放送教育開発センターの設置、その三は医科大学の新設や大学の学部増設、改組などであり、その四は養護教員の養成制度にかかわるものであります。
まず、教員大学については、教員の養成制度や研修制度の現状、問題点の総合的な検討に基づいておらず、また、教育関係諸団体の十分な論議を行うなど、国民のコンセンサスを得るための努力がきわめて不十分であります。
さらに次のような問題点を指摘しなければならないと考えます。
その第一は、本教員大学をなぜつくらなければならないのかという積極的な理由を見出すことができません。また、既設の教育系大学学部の教育研究条件の改善と充実、大学院の増設等についての具体策がきわめて不明確であります。したがって、教員大学と既設の教育系大学学部との上下の関係ができたり、混乱が生ずることが懸念されることであります。
なお、一般大学における教員養成制度が果たしてきた役割りも、歴史的にみてきわめて大きいのであります。この一般大学の教職養成課程の充実、発展と、既設の教育系大学の条件整備こそが、教員大学の創設よりもまずもって優先されるべきだと考えます。
第二は、現職教員が大学院を受験するときに、教育委員会の同意が必要とされ、これは推薦と同様の機能を果たす心配があることであります。なおこれらの動きが教員の人事管理と結びつき、職場を暗くするおそれが強いと同時に、教員大学が学問研究の場ではなく、単なる研修機関に堕すおそれがあることであります。大学院修了者全般の給与、免許等については、将来の検討課題とされておりますが、有利に扱われることになりますと、研究に対して一定の方向を示すこととなり、本来の自主的な研究を阻害するとともに、教員の間に身分格差をもたらし、一層教育現場に対立抗争をもたらす懸念が強いのであります。
第三は、ほんの一握りの教員に、大学院での教育研究の機会が保障されるにすぎず、教員全体に学修の機会を確保するという視点が欠如しており、将来の具体策もまた明確にされるに至っていないのであります。全教職員の自主的な研究時間の保障と、そのための条件整備こそが最優先されるべきだと思います。
そのほか、教員大学の管理運営や、教育研究の中身、教官をどう確保するのか、どんな方法で入学試験を行うのか等々不明な点もまた多いのであります。これらの点については本委員会の質疑におきまして、しばしば申し述べてきたところでありますが、政府の答弁からは疑問が何一つ佛拭されなかったどころか、一層その問題点が浮き彫りにされ、教員養成制度の上でも、地方の教育行政の場でも、さらには学校教育の現場においても、混乱を来すであろうことがまことに憂慮されるところであります。
なお、医科大学の新設や、大学の学部の増設などについては異論もなく賛成であります。
また、放送教育開発センターの設置もきわめて重要でありますので、今後その運営を十分に見守るとともに、放送大学のあり方について論議を深めていかなければならないと考えております。
養護教員の養成制度については、養護教員の資質、待遇の向上と養護教員の配置を必置すること及びこれらを拡充する上からも、この制度の発展を期しまして賛成するものであります。
以上申し上げましたように、本改正案のうちで、教員の養成制度は、日本の教育の方向を決定する上で最大の課題でありますだけに、このように問題点の多い教員大学の部分については、とうてい賛成いたしかねるものであります。
また、たとえその名称を教育大学と修正したといたしましても、その内容、実質を変更できるものではないと考えております。
したがいまして、原案及び四党共同提案の修正案には反対をし、教員大学の部分を削除をいたしました日本社会党及び日本共産党共同提出の修正案に賛成をするものであります。
討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/184
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185・小巻敏雄
○小巻敏雄君 私は日本共産党を代表して、国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案の採決に当たり、日本社会党、日本共産党の提案に係る共同修正案に賛成し、政府原案に対して反対の討論を行います。
この法案には、私どもが賛成する部分と反対する部分があり、それが一括して採決されますので、それぞれについて態度を明らかにして討論をいたします。
まず第一に、信州大学経済学部など、学部の新設や改組、あるいは愛知教育大への大学院の新設などには賛成であります。
しかし、第二として、この法案には、ただいま共同修正案提案の際理由が述べられましたように、われわれがもっと徹底して審議を尽くし、広く教育関係者や研究者等の意見を反映すべきだと主張する新構想教員大学・大学院の設置も包含されているのであります。質疑の中で明らかになりましたように、新構想教員大学・大学院についてはまだ数多くの不明の部分や疑点が解明されておりません。特に戦後の大学の基本的な理念である大学の自治、学問の自由がどのように守られるかというような、重要な問題にかかわるものもあります。ことに入試に当たり、教育委員会の同意書添付の問題が、教育行政側の恣意的な選択にゆだねられないという保証も明確とは言えません。また、上級教師、エリート教師をつくるものだという従来からの批判に対しても、そうでないという歯どめが確固としたものになっておりません。さらに、現存の教員養成大学の充実は、関係者年来の悲願にも近い切実な要求であるにもかかわらず、これに対応する計画もなお存在しておらず、一層矛盾拡大の可能性もなしとしないのであります。
教員養成と現職教員の研修は、将来の日本の教育にとってきわめて重要かつ緊急な課題であり、わが党は、いささかもそれを軽視するものではなく、積極的に前進させなければならぬと考えておりますが、新構想は事が重要であるだけに、関係者の衆知を結集し、教育公務員特例法に定める研修の本旨にのっとって、適切な方針を打ち出すべきであるとの立場から、現状においては教員大学・大学院構想についてとうてい賛成することができず、反対をするものであります。
第三に、放送教育開発センターの設置についてでありますが、このセンターの目的が放送教育の内容、方法等の研究開発を行うとされ、研究目的そのものが狭く限定されています。これは、文部省によってこのセンターが放送大学の創設準備のための機関に位置づけられてきことに原因があると思われます。
わが党としては、国立大学共同利用機関が、放送教育の内容、方法について、研究開発をすることや、こうした研究の成果が放送大学の設立や、他の大学の教育に利用されることに対して反対するものではありませんが、将来設立される放送大学での研究、開発内容との関係が不明確なまま設立されることには問題なしとしないのであります。この点から、放送教育開発センターの設立に対しては、現段階では棄権の態度をとる考えであります。
なお、公明党提案の修正案については、その内容は教員大学の名称を、教育大学に変更するだけのものであり、原案の重要な問題点を何ら修正するものではないと考えますので、反対いたします。
以上の理由から、本法案には賛成すべき部分を持ちながらも、一括採択に当たっては総合して反対の立場をとるものであります。
したがって、日本社会党、日本共産党の共同修正案に賛成し、政府原案及び公明党の修正案について反対いたしまして、私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/185
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186・吉田実
○委員長(吉田実君) ほかに御発言もなければ、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
まず、粕谷君提出の修正案を問題に供します。粕谷君提出の修正案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/186
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187・吉田実
○委員長(吉田実君) 少数と認めます。よって、粕谷君提出の修正案は否決されました。
次に、柏原君提出の修正案を問題に供します。柏原君提出の修正案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/187
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188・吉田実
○委員長(吉田実君) 多数と認めます。よって、柏原君提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/188
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189・吉田実
○委員長(吉田実君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。山東君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/189
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190・山東昭子
○山東昭子君 私は、ただいま可決されました国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
今回新設の教育大学及び放送教育開発センターに関し、政府及び関係者は、左記の事項について特段の配慮を行うべきである。
一、本大学の大学院に現職教員が出願するにあたっては、適正な手続・基準に基づく公正な運用を図るとともに、入学者選抜は、現職教員を受け入れるにふさわしい適切な配慮の下に、大学が主体的に行うものとすること。
二、本大学の教員組織については、小・中・高等学校等において優れた教育実績をもつ者を含め、既設の教員養成大学・学部の教員組織の整備との関係に留意しつつ、広く優れた人材を求めるように努めること。
なお、本大学の運営にあたっては、他大学との単位互換、教員の交流等、研究教育の提携協力を積極的に進めるように配慮するとともに、学外有識者に意見を求めるにあたり、大学の自主的な運営を損うこととならないように配慮すること。
三、既設の教員養成大学・学部については、大学院を含め、整備充実の推進に努めること、また現職教員の研修については、本人の自主性を尊重しつつ、本大学の大学院のみならず、多様な研修の機会の確保に努めること。
四、放送教育開発センターについては、その運営にあたり、私立大学通信教育関係者等広く関係者の意見が反映できるように配慮するとともに、放送大学構想の調査研究・準備の推進に資するように留意すること。
右決議する。
以上でございます。委員各位の御賛同をお願いいたします。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/190
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191・吉田実
○委員長(吉田実君) ただいま山東君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/191
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192・吉田実
○委員長(吉田実君) 全会一致と認めます。よって、山東君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し砂田文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。砂田文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/192
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193・砂田重民
○国務大臣(砂田重民君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意しつつ慎重に配慮し、努力してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/193
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194・吉田実
○委員長(吉田実君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/194
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195・吉田実
○委員長(吉田実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415077X01419780601/195
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