1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十三年四月二十一日(金曜日)
午前十時三分開議
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○議事日程 第十七号
昭和五十三年四月二十一日
午前十時開議
第一 日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人
引渡しに関する条約の締結について承認を求
めるの件(衆議院送付)
第二 科学技術庁設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
第三 著作権法の一部を改正する法律案(内閣
提出)
第四 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改
正する法律案(内閣提出)
第五 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第六 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第七 刑事補償法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
第八 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
第九 各種手数料等の改定に関する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
第一〇 森林組合法案(内閣提出、衆議院送
付)
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○本日の会議に付した案件
一、昭和五十三年度における財政処理のための
公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関
する法律案(趣旨説明)
一、日程第一より第一〇まで
一、国家公務員等の任命に関する件
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/0
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001・安井謙
○議長(安井謙君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/1
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002・安井謙
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。村山大蔵大臣。
〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/2
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003・村山達雄
○国務大臣(村山達雄君) 昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
最近の厳しい内外経済情勢にかんがみますと、当面の経済運営の基本は、物価の安定に配意しつつ、内需中心の景気回復を図り、国民生活の安定を確保するとともに、対外均衡の回復に努めることにあると考えられます。また、わが国財政は、昭和五十年度以降、特例公債を含む大量の公債に依存する異常な状況にあり、このような事態からできるだけ速やかに脱却し、財政の健全化を図ることが重要な課題となっております。このような状況にかんがみ、昭和五十三年度予算は、財政の節度維持にも配意しつつ、民需の動向を踏まえ、内需の振興のため財政が主導的な役割りを果たす必要があるとの基本的な考え方に立って、臨時異例の財政運営を行うこととし、編成いたしました。
ところで、昭和五十三年度においては、歳入面では酒税及び有価証券取引税の税率の引き上げを行うとともに、新たに石油税を創設する等の措置を講ずることとし、さらに、税収の伸び悩みを補い、財源の確保を図るとともに、地方財政対策等にも資するため、昭和五十三年度内に納税義務が成立し昭和五十四年五月中に収納される税収について、年度所属区分を変更して、これを昭和五十三年度所属の歳入として受け入れることとしておりますが、なお十分な租税収入を期待できない状況にあります。
他方、歳出面では、投資的経費と経常的経費とに分けて検討し、投資的経費については、国民生活充実の基盤となる社会資本の整備を一層推進するとともに、景気の回復を早めるため積極的に規模の拡大を図ることとする反面、経常的経費については、財政節度の維持に努める見地から、極力その規模を抑制することといたしましたが、特に緊要な施策については、社会経済情勢に相応して、重点的にその充実を図ることとしたところであります。
このような歳入歳出両面の状況にかんがみ、昭和五十二年度においては、財政法の規定により発行する公債のほかに特例公債の発行によらざるを得ず、また、日本専売公社から通常の専売納付金のほかに特別の納付金を受け入れる必要があると考えるものであります。
このため、昭和五十三年度において、同年度の特例措置として特例公債を発行できることとするとともに、日本専売公社は特別の納付金を納付しなければならないこととする法律案を提案するものであります。
しかし、このような措置はあくまでも特例的な措置であり、特例公債に依存する財政からできるだけ速やかに脱却することが財政運営の要諦であることは申すまでもありません。政府といたしましては、財政の健全化を図るため全力を尽くす決意であります。
以上、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案の趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/3
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004・安井謙
○議長(安井謙君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。竹田四郎君。
〔竹田四郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/4
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005・竹田四郎
○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案になりました財政特例法案及び専売納付金特例法案について、総理以下関係大臣に質問いたします。
七%成長、六十億ドルという国際的な課題を負った本年度予算は、きわめて不健全な大型となり、建設国債六兆五百億円、特例国債四兆九千三百五十億円、合計十兆九千八百五十億円を発行するもので、三〇%の壁を破り、形式的には三二%、実質的には三七%の国債依存度となりました。公共事業費は三四%の伸びとなりました。
第一点は、個人消費、減税等についてであります。
一般会計、財投合わせて公共投資は本年二十六兆円にもなりますが、果たして経済目標を達成できるか、きわめて疑わしいのであります。昨年度においても大型投資を計画したが、消化し切れず、成長率は六・八%を五・三%に、経常収支も二回も見直しをいたしましたが、百四十一億ドルの黒字になり、円高は高進し、景気は全く落ち込んでしまいました。本年度も同様でありましょう。民間設備投資はもちろん、住宅投資、在庫積み増しにも大きな期待を持ち得ません。頼みの綱は、国民総支出の六割弱を占める個人消費支出で、その伸びいかんにかかっていると言えましょう。
政府は、雇用所得の伸びが一人当たり九・五%、べースアップ分は八%弱ぐらいに見ていたようでありますが、十四日時点における主要企業の賃上げ回答を見ますと、平均六%で、政府の見通しを二%も下回っている状況であります。公労協への回答も、臨時給与等を含めて三・八%、ベア分はわずかに一・六%で、物価上昇率を大幅に下回っております。予算には公共企業体については七・二%を計上しながら、鉄鋼回答に右へならえをしているのは全く許せません。政府は、景気回復のために、公共企業体や可能な企業に対し上積みさせるように積極的に指導すべきであると思いますが、労働大臣、経企庁長官の所感をお伺いいたします。
もしこれができないというならば、預金金利の引き下げによって相殺されてしまった三千億の所得減税を一兆円以上にし、年金等の増額も四百億円の三倍以上に引き上げるべきであると考えます。これに必要な資金は、国債整理基金の積立金を緊急避難的に使えると思うのであります。
なお、補正予算を早急に提案せよという要求が各方面から出ておりますが、これに対していつごろどうするのか、あわせて、総理、大蔵大臣の御答弁をいただきたいと思います。
第二は、国債の区分についてであります。
特例債であれ、建設債であれ、赤字国債であることには本質的に全く変わりがないのであります。しかし、政府は、建設債はいい国債、特例債は悪い国債と考えているようであります。予算においても、財政収支試算表においても、経常、投資の二部門に大別し、建設国債は伸ばしていくが、特例債は経常経費の歳出額に対する依存度を本年度の二四%以下にこれから抑制していくと言っております。公共事業はハードウエアを提供するもので景気浮揚に役立つものだという考え方は高度成長時代のものであり、国民も今日物離れの傾向にあります。真に国民生活を安定していく上では、政府は、ソフトウエア、すなわち社会福祉や教育等にもっと力点を入れるべきであると考えます。政府は、いたずらに国債の区分にこだわらず、新しい視点に立って対処すべきであると考えますが、お伺いをいたします。
第三は、福田総理は国民の貯蓄率は高い方がいいと常に言っております。権力の最高機関におられる者の発言としては、全く理解ができないのであります。
今日、景気回復のために、個人消費を拡大すべきであります。私も個人個人が貯蓄に努力することまで否定するものではありませんが、今日の段階では、貯蓄率を高めることは経常収支黒字を増大することであり、景気回復をおくらせ、財政赤字をふやすことになり、国債発行を拡大することになると思いますが、総理は、貯蓄を多くして、国債の個人消化に寄与させ、保有割合の改善でも図ろうとするつもりなのか、あるいは、一般論としての貯蓄を高めるというのであるか、お伺いをいたしたいと思います。先進国並みの貯蓄率で不安を国民に感じさせない体制をつくることが一国の総理の喫緊の任務であり、個人消化とは別個の問題であると思いますが、いかがでしょうか。
第四点は、財政危機自体の解決についてであります。
政府は、景気回復、経済安定化の過程で財政再建をし、特例国債に依存しない財政に復帰しようとしているようであります。しかし、現実は政府の思惑ほど甘いものではなく、大蔵省は昭和五十七年度に特例債依存をゼロにするとしておりますが、増税にしても経費の節減によっても、これは大きな摩擦を乗り越えなければなりません。福田内閣の指導力、政治力ではこれを克服することはできず、安易な国債発行に落ち込まざるを得ないと思います。
特例債脱却の第一の手段に政府は大増税を考えておりますが、それは財政収支試算Cケースを強調していることでも明らかであります。日本の租税負担率の低さを喧伝しておるのでありますが、欧米諸国では、租税負担率が高いにしても、社会資本ストックも大きく、ソフトウエアとしての社会保障等も充実しており、わが国のように、所得の四分の一も天引き貯蓄をし自分で社会保障をする国とはおのずから異なるのであります。また、負担率は低くても、税の不公平がある限り、重税感は免れません。増税よりも不公平の是正が先決であります。是正についても政府の微温的な態度では、ケースCなどの増税は及びもつきません。まず、政府は大胆率直に不公平是正の確固たる態度と計画を国民に示すべきであります。
その第二として、政府は断固として経費削減の行政改革ができるかどうか。国会でも久しく要求をしている政府関係機関の整理統合、天下り官僚の渡り歩きが一歩も改善されていないではありませんか。
この二つが先行せずして、税や税外の負担を国民に求めることは強権行使以外に民主的にやることは不可能であり、結局は財政危機を深めることになるだろうと思いますが、いかがでしょうか。
第五点は、国債発行の歯どめについてであります。
今年度予算編成では、三〇%という歯どめを捨て去って、経常部門に対する特例債依存度という歯どめをつくりました。これも結局は人工的、恣意的なものであって、ソフトウエアに重点を移さなければならない今日の段階においては、歯どめとしては効かなくなってしまうことは明らかであります。むしろ、発行条件、利回り等を弾力化、自由化し、市場の論理、自動的な歯どめに任せて、強制割り当て消化、低利を強要する御用金調達をやめるべきであります。新聞報道によれば、国債価格の乱高下を防止すると称し、低利率、高価格維持のため、政府・日銀がディーラーを新設し、売買業務を行わせるとともに、コントロールを強化しようとする計画があるようだが、いかがでしょうか。このような強制介入のあり方は、金融秩序を乱し、正常な国債市場育成の妨害になると思いますが、政府の対応方針を示されたい。
第六に、今日のような条件のもとに大量発行を続ければ金融環境を悪化させ、民間に金融需要が出てくれば、あるいは金利が高くなってくれば、流動性の過剰を引き起こし、インフレの危機を招く。しかし、政府はそれをひそかにあるいは望んでいるのではないか、そして、償還の負担軽減を望んでいるようにさえ思われるのでありますけれども、いかがでしょうか。
政府は、もっと工夫をこらし、発行額の減量を図るとともに、国債の多様化をし、三年とか七年とか十五年期限のものをつくって、個人消化を強化し、新規債だけでなく、個人が既発債も買えるようにするとともに、大量取引とは別個に、小口取引市場もつくって、自由に換金できるよう、個人消化対策を明示すべきであると思いますが、いかがでしょうか。銀行の窓口販売が問題になっておりますが、これは一体どのように考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
第七に、わが党は中期財政計画の策定を要求し、予算委員会において私はそれを質問し、大蔵大臣はその検討を約束したわけでありますが、それは現在どういうふうな状態になっているか、お示しをいただきたいと思います。
最後に、専売公社の特別納付金についてお尋ねをいたします。
専売公社は、原料葉の熟成に長い時間を要し、したがって、資金の多くを長期借入金に依存しておりますが、今回の措置により、経営を圧迫し、設備の更新に遅延を生じたり、たばこ定価の引き上げを早めたり、従業員の給与を抑制する心配が出てくるのではないかと思いますが、この点をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/5
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006・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。
五十三年度予算で問題になりました三千億所得税減税、また四百億円の福祉年金の増額問題をどういうふうに処置するかと、こういうお話でございますが、私は、政府が提案いたしました予算案、これがベストだと、なるべくこれでいってもらいたい、こういうふうに思っておりました。ところが、自由民主党で各党と相談をする、その中で、ただいま申し上げましたような案が固まってきたと。そこで、私といたしましては、関係委員会でこれらの構想をどういうふうに具体化するか、それを見て対処すると、このような考えでございます。大幅な減税をしたらどうだと、こういう、もっと大幅にという御指摘でございますが、これは、るる申し上げている。財源さえあればそれはいいのですが、そういう状態ではない、限られた財源だと。そういう中では、公共事業、これをやった方がよかろうというので、減税に回す財源はございません。
それから竹田さんが、私が貯蓄は高い方がいいのだと、高いことを歓迎するというふうに言ったが、それは問題だと、こういうようなお話です。しかし、私は、私が言ったこと、貯蓄は歓迎すべきことだと、こういうこと、これは間違っておらぬと思うのです。一部の人は、日本では諸外国よりは貯蓄が高い、それはどういう意味かと言いますと、日本では老後の保障なんかがしっかりしてない、あるいは教育なんかに金がかかる、そういうことで貯蓄ということが日本では問題になってくると、こういうことだというふうに説明しますが、わが国の社会保障体系というものはそんな貧弱なものじゃありません。もう国際社会におきましても遜色のない、そういうところまで来ている。まして、教育の問題になりますると、これは大変進んでいるんですよ。これはもう世界一の教育水準であると申しても過言でない、そういうようなことであります。そういうようなことではありまするけれども、老後になったら総平均的水準よりはもっといい暮らしをしたいなというのは、これは人情であります。あるいは平均的教育水準よりは高い水準の教育を子孫に与えたい、これも私は人情だと思う。そういうようなことも含めまして貯蓄をするということは、私はこれは麗しい風潮じゃないか、そのように思うのであります。
まあ、その日その日収入がふところに入る、それで、まあ卑俗な言葉でありますが、食って抜けてしまうと、こういうような人生は、私はこれはさびしい人生だと思うんですよ。そうじゃない、遠いかなたに目標を、灯台を見詰めながらその目標を達成する、そのためにその一日一日を汗水たらして働く、そして得たところの収入の一部をその目標に到達するために蓄えておく、これは私は非常に活力のある人生ではあるまいか、そのように思うのであります。そういう貯蓄の精神、そういうものがあってこそ私は日本国に前進がある、このような考えでありまして、決して、飲んで食べて遊んでしまう、そういう人生からはいい日本社会は出てこない、そのように考えるのであります。
自余の問題につきましては、関係大臣からお答え申し上げます。(拍手)
〔国務大臣村山達雄岩登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/6
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007・村山達雄
○国務大臣(村山達雄君) 七%成長をやるためにには補正予算を編成しなくちゃいかぬのじゃないかという御指摘でございますが、私たちは、今度の予算並びに金利政策で七%の達成はできると考えておりますので、補正予算のことは、いま考えておりません。
それから、経常投資部門を分けることによって社会保障制度を軽視しているんじゃないか——そんなことはございません。ケースC、D、E、全部ごらんになりましても、公共投資の伸び、あるいはその他の経費の伸びよりも振替部門の伸びが最大に伸びていることで御理解賜りたいわけでございまして、最も重視しているところでございます。ただ、事柄の性質上、経常経費部門の赤字というようなものは、消化ができるできないにかかわらず早く脱却すべきであるということは、私は財政の常識であると考えておるのでございます。
それから、財政危機の根本的対策はどうかということでございますが、これはもう何遍も申し上げておりますように、まず、その不正常な赤字国債の依存から脱却する、これが先決であると思うのでございます。そのためには、今後、歳出につきまして従来以上に優先度をはっきりさせるということ、それから同時にまた、それだけではとてもできませんので、ある程度の負担増はやむを得ないものと思っております。
いま竹田さん御指摘の不公平税制の是正、それから行政改革が前提となるべきである、これは私も同感でございまして、これは鋭意進めてまいりたいと思っているのでございます。
それから、国債の歯どめ策については一体どうするか——ただいまのところと同じことでございます。赤字公債からまず縮減し、これから脱却していくことによりまして、この国債の発行の歯どめを図りたいと思っております。
国債発行条件の弾力化を図れ、特に個人消化、あるいは、そのために多様化を図れ——これはもう全く同感でございまして、私たちは、いまその点で一生懸命努めているのでございます。
銀行の窓口販売の問題でございます。この問題は、いま銀行の方からその種の要望があることはよく承知しております。しかし、これに対しましては慎重に対処いたしたいと存じております。
それから、新聞で、日銀、大蔵省が直接公債の売買業務をやるんではないか——これは全く誤報でございまして、そんなことはあり得るはずがございません。
それから国債の大量発行とインフレの関係でございますけれども、非常に無事にいま消化しております。日銀の引き受けによって発行するわけではございません。したがいまして、現在のところ過剰流動性は出ておりませんで、M2は大体一一%以内でおさまりているということを御理解賜りたいのでございます。
それから、中期財政計画の策定はいつか——できるだけ早い機会に、むずかしいことでございますが、提出できるように今後とも勉強してまいりたいと思います。
それから、専売納付金の今度の措置は、公社の経営を圧迫し、ひいてはいろんな給与などにも影響を及ぼすんじゃないかと、こういうことでございますが、これはそうはなりません。五十三年度末までに運用部から借りまして、それで一時立てかえ、納めているのでございます。それで、国庫余裕金がありますと、五十四年度はそれで繰りかえ使用を認めることにしております。
なお、今後機会を見まして、この取り崩しました益金についてはできるだけ早く回復し、そして公社の方の内部留保が厚くなるように今後考えてまいりたいと思っております。したがって、このことによりまして直接悪影響はないものと考えております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣藤井勝志君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/7
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008・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 御案内のように、大変厳しい経済環境のもとで、目下いわゆる春闘が行われておるわけでございます。政府といたしましては、思い切った財政運営、公共事業中心にこれを予算化いたしまして、いよいよ実行に移っているわけでございますが、そういうことによって景気をまず回復するということが、これが雇用安定の大前提であると、このように考えるわけでございますが、それに加えて、物価の安定ということを、これを政策の中心に置かなければならぬ。実は、けさも経済対策閣僚会議が開かれまして、八時からやりまして、円高による物価安定政策、こういったことで具体的なもう一歩詰めた政策の決定を見たわけでございますが、私は、特に円高のメリットを消費者に還元するように一層具体的な方向への努力を願いたいと、こういった提言をいたしたわけでございます。
ところで、やはり賃金というものは労使のいわゆる自主的な決定によって解決をしてもらうということが、これが基本であることは申し上げるまでもございません。私は、そのような面において賃金決定の問題に介入すべきではないと、また、する考えもございません、このようにお答えするわけでございます。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/8
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009・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 賃金の決定につきましての政府の態度に関しましては、ただいま労働大臣がお答えになられましたとおりと考えております。
そこで、消費の動向でございますが、昨年の暮れ近くまで余りいい指数が出ませんで心配をいたしておりました。一月と、一昨日発表になりました二月の指標は、かなり改善をいたしてまいりました。ただ、消費はいずれにしても一番後になると思われますし、ただいまの指標がそのまま今後真っすぐに上がっていくものかどうか、なお、もう少し見ておりませんといけないと思いますが、ただいまとしては順調な、私どもの予想しておりましたようなところに行きかかっているように考えております。今後、予算を迅速に執行いたしますことと、幸いにして物価が安定をしておりますので、施策に誤りなきを期しまして、まず、見通しどおりの国民消費を実現したいと考えております。ただいまとしては、まあまあ予想いたしましたような傾向を示しておると判断をしております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/9
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010・安井謙
○議長(安井謙君) 塩出啓典君。
〔塩出啓典君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/10
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011・塩出啓典
○塩出啓典君 私は、公明党を代表して、ただいま提案されました昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案について、総理並びに大蔵大臣に質問をいたします。
本法案は、通称財政特例法と呼ばれているように、均衡財政を原則とするわが国の財政運営から見るならば、きわめて異例な内容であると言わなければなりません。しかも、この異例の措置とも言うべきいわゆる赤字国債の発行は、四年間連続して行われ、しかも年々増加の一途をたどり、今後の見通しもはっきりせず、国民はひとしく今後の行方に大きな危惧の念を抱いているのであります。
わが国の財政が今日このような事態になったことは、確かに石油ショックという要因もありましたが、今日の不健全財政は、安易に国債に頼った四十年度以来の政府自民党の財政運営に原因があります。特に、四十年代に国債発行をやめようと思えばやめられたにもかかわらず、当時の福田大蔵大臣の国債火種論によって国債を安易に発行し、財政膨張と不健全財政体質をつくり上げた財政政策の誤りが今日の事態をより深刻にさせていることは、ひとしく万人の認めるところであります。また、高度経済成長政策による過剰な設備投資が今日の低稼働率と過剰設備を招き、また、値上がりによる金もうけを意図して行われた土地の買い占めが、いまとなってこれら大資本の経営基盤を危うくし、その結果、家計の赤字、企業の赤字。国の赤字を招いたことは、もはや明瞭であります。そして、いま、中小企業の倒産、失業者の増大、一年の間に三回も行われた預貯金金利の低下など、すべて庶民大衆の犠牲のもとに金融資本や大企業の救済が行われようとしておるのであります。さらに、福田総理は、「全治三年」の公約をほごにしたばかりか、昨年は「梅雨明けごろ」とか、九月には「二兆円補正で決定打」と言いながら、景気の見通しを誤り、その対策は後手と小出しの連続で、このことが円高を招き、景気を停滞させ、ひいては財政を悪化させるに至ったのであります。しかるに、福田総理、あなたは、このような事態を招きながら、一片の反省の言葉も聞けないのはまことに遺憾であります。謙虚にその誤りを認め、反省するところから、新しい日本建設の道も開けてくると思うのでありますが、総理の見解を承っておきたい。
次に、中・長期的な財政計画の問題でありますが、政府の思いつきとも思われる財政収支試算は一年ごとに大幅に改定され、財政の公債依存率三〇%を死守すると宣言した総理の舌の根も乾かぬうちに、実質三七%にまで後退しました。いま必要なことは、長期的展望に立ち、高度成長時代の脆弱な体質になれたわが国の産業、財政等にメスを入れ、新しい時代に適応した日本を一日も早く築くことであります。そのためには、確固たる長期ビジョンと、それに至る具体的なプロセスが必要であります。しかし、現下の福田内閣は、まさに漂流に任せ、その財政政策は行き当たりばったりの思いつきとしか思われないのであります。わが党は、一昨年、福祉中期計画、いわゆるトータルプランを発表し、政府にその実現を迫ったのでありますが、一顧だにしようとしなかったことは、まことに遺憾であります。政府が責任を持って実行し、国民の合意の得られる中期的財政経済計画を速やかに作成すべきであると思うが、先ほどの答弁でも、早くつくるとのお答えでございますが、本気でつくるつもりがあるのかどうか、つくるとすればいつまでにつくるのか、総理の決意を伺っておきたいと思います。
政府の行き当たりばったりの姿勢のあらわれは、五十三年度末累計四十三兆円にもなろうとしている国債の償還計画がはっきりとしていないことでも明らかであります。一個人の家計の場合に当てはめて考えてみても、返済のめどすら立たない借金をすることは、まさに後代に対する無責任な姿勢と言わざるを得ません。
さきに政府が特例公債の償還について提出した「国債整理基金の資金繰り状況についての仮定計算」なるものも、「予算繰入れ等が可能かどうか等の検証は行っていない。」と注釈が書かれているありさまであります。このような姿勢で巨額の国債発行をしようという政府の態度は、もはや当事者能力を失ったものと言わざるを得ません。償還計画、償還財源の具体的な見通しについて、大蔵大臣の明確な答弁を求めます。
次に、国債管理の問題でありますが、国債は四十年以降、政府の資金運用部による引き受けのほか、銀行、生命保険、信託などの金融機関、それに証券会社などで構成する引き受けシンジケート団によって一括引き受けされてきたのであります。これは、大蔵省によるがんじがらめの金融政策、固定化された金利政策、さらに国債消化を容易にするための低金利政策、また、発行後一年で日銀が国債を買い取る実質的な日銀引き受け方式という、財政当局に都合のいい御用金調達が行われてきました。しかし、政府の財政収支試算でも、五十七年度まで毎年度十数兆円の国債発行が不可避の現状では、今日までの国債発行方式では処理し切れないと思うがどうか。どう対処するのか。さらに、たとえ押しつけ消化をしても、景気が上向き、民間資金需要が出てきた場合、民間向け資金不足の危険、また、国債を安易に日銀に買い取らせるこれまでのやり方は結局インフレにつながると思うが、今後の国債管理、運営の方針を総理にお伺いしたい。
さきに、証券取引審議会基本問題委員会が「望ましい公社債市場のあり方に関する報告書」をまとめ、種々の指摘をしております。大蔵省としては、これを受けて具体的な改善の方向を明示し、実践していかなければ報告書の意義はありません。どういうプロセスで、どれから実践していくのか、大蔵大臣の見解を求めます。総理がすでに答弁しているように、国債の発行額をできるだけ抑えることは当然でありますが、さきの報告書が指摘している点、たとえば銀行の反対で進まない国債の多様化の問題とどう取り組むのか、大蔵大臣の方針をお伺いします。
また、近く公社債市場の育成の問題について証券取引審議会で本格的検討をされるとのことであるが、その内容について政府の方針をお伺いいたします。
また、問題となっている銀行の窓口販売の問題につきましても、証券業界は、銀行の国債窓口販売を認めることは既発債の売買を認めることになり、証券業界への銀行の進出となるとして強く反発をしておりますが、政府は実施の方向で検討されるのかどうか、お伺いをいたします。
次に、専売納付金の納付の特例についてでありますが、この特例によって、専売公社の今後の運営に問題はないか、また、たばこ価格の値上げに連動されるのではないかと懸念しておりますが、大蔵大臣の所見を伺いたい。
最後に、当面する問題についてお伺いしたい。
特に経常収支の問題については、昨年度はわが国政府は完全に見通しを誤り、国際的にも主要国から批判をされました。今年度は経常収支六十億ドルの目標でありますが、今年一−三月の輸出状況を見るときに、むしろいままで以上の輸出増加であり、このままでは昨年と同じように、六十億ドルの目標を大きく外れ、さらに円高ドル安を招き、国際的にも非難をされるおそれがあります。また、そのためにも内需の拡大が強く要望されておりますが、公共事業関連に明るさがあるものの、予想外に低い賃金べースアップの状況などから見て、内需拡大は厳しいものがあります。経常収支六十億ドルの達成、七%実質経済成長達成の見通しと今後の対策について、総理にお伺いをしたい。特に円高差益の国民への還元については、政府としても積極的に取り組み、公共料金の上に円高差益を還元させるように努力するとのことでありましたが、具体的にはどうするのか、お伺いをして、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/11
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012・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
戦後、公債財政は私が昭和四十年大蔵大臣をしておったときに始めた、その責任は重大であるという御指摘でありますが、確かに、私は、大蔵大臣として初めて四十年に財政に公債を取り入れる、戦後初めてだったわけであります。私はいま考えてみて、これは誤ったこととは思っておりません。公債は、財政運営のための非常に有効な手段であります。これを使わないでおくことが、また私は間違っておるというくらいに思うわけであります。ただ、これをやるためには、節度といいますか、よほど財政運営に厳しい態度をもって臨まなければならぬ。つまり、公債はこれを国家財政の財源として使うけれども、好況時には公債は余り使わない、これを縮減をする、不況時には公債を出して、需要が不足するんですから、これを国が創造をすると、この構え、これを崩さずにやっていきますれば、これはもう公債というのは非常に私は有効な財政運営の手段である、そのように思うのであります。
今日、公債がとにかく大変発行されるようになった。私はこの状態自体は憂えておるわけでございまするけれども、しかし、いま経済が非常に萎縮しておる、この経済を一体どうやって立て直すかということを考えるときに、民間の需要を誘発するという、そういうことは簡単にはいかぬ。設備過剰であるからそうであります。そうなると政府が需要を創造するほかはない。そうすれば政府の財政を拡大するほかはないわけでございまするけれども、それには増税というわけにいきませんから、どうしても公債を発行するということになる。大変多額な公債を発行しておるわけでございまするけれども、もし、公債財政というものを全然やらないでずっと来て、そうして石油ショックがあって財政が窮屈になって公債を発行するというようなことになったら、これはそのときは大変私は混乱が起こっただろうと思うのです。四十年から公債をじわじわと出しておった。そして公債財政というものに日本の社会というものが慣熟しておった。そこへ石油ショックが来た。で、公債を増発するという手段をとることが、安全にとることができたわけでありまして、決して私は四十年に公債を発行したという手法が誤っておったというふうには感じておりません。ただ、とにかく実質三七%の依存度の公債財政だと、こういうようなことになりますると、これは、この状態を長続きさせるわけにはいきませんから、この状態はもう速やかに脱却するような最善の努力をしなけりゃならぬと、そのように考えておるわけであります。
また、この議場でもう何回も聞くんですが、私が全治三カ年と言って、それが大変なエラーであったというようなお話でございまするけれども、これはくどいようですが、お間違いがあっちゃ困りまするから繰り返して申し上げまするけれども、景気というのは、大体一年の不況、まあ一年半、二年の好況と、そういう景気、不景気の波を循環してずっとやってきたわけであります。そこへ石油ショックというものが起こった。そのとき私は、このショックによる日本の景気への影響というものは、これは常のごとく一年の不況というような状態で片づくものじゃありませんよ、これは時間も長くかかるんですよということを申し上げるために、全治三年、相当かかるということを言ったんです。大胆な三年説でございまするけれども、しかし、三年間にどうなったか。四十九年、第一年には物価はもう消費者物価で二七%だ、卸売物価で三六%だ、ああいう狂乱の状態でありましたが、もう全くこの三年目の五十一年度には鎮静に入ったじゃありませんか。成長も、マイナス成長だったのが五・七%成長になったじゃありませんか。また、国際収支百三十億ドルの大赤字が五十七億ドルの黒字というふうになったじゃありませんか。大体三年で日本経済の骨格というものは立ち直りができたんです。私は間違ったことを言っているわけじゃない。このことをはっきり申し上げさしていただきたいのであります。
今後の経済財政を長期的に展望せよという御所見、これは私はそのように思うのです。でありまするから、今度は経済につきましても中期の試算をする、それを前提にいたしまして財政はまた中期の試算をするということをいたしたんですが、しかし、これで十分だというふうには思っておりません。非常にむずかしいことでありまするけれども、また皆さんの御協力を得まして、もう少しその中身を充実をいたしたい、このように考えておるわけであります。
それから、ことしの経済成長率七%、これ、実現の可能性はどうかというお話でございますが、日本の経済観測所なんかでは、これはむずかしいんじゃないかというような見方をするところが多うございます。多うございますけれども、私は、大体七%実現というこの路線を日本経済は歩んでおると、このように見ております。大体そのような指標が逐次あらわれてくると、このように考えておるわけでございます。そういうふうに思います。思いまするけれども、経済は生き物ですから、七%成長路線、これに狂いが出てくるというようなことが観測されるという、そういう際におきましては、その時点におきましてどうやったらいいかということを考え、追加的な措置を考えるということにやぶさかではないのであります。これから毎月毎月慎重に経済の推移をながめておりまして、そして七%成長路線に狂いがあるという際には、機敏に、また大胆に政策を展開して、七%成長を実現をいたしたいと、このように考えております。
なお、経常収支の見通しにつきましてのお話でございますが、これは七%成長よりは少しむずかしい問題であります。しかし、国際社会もこの問題は非常に着目をしておる。また、わが国といたしましても、この周辺の数字を結果として実現をするということは、わが国の国際社会に対する責任であると、このように考えますので、その実現に向かって全力を尽くしておるのでありまして、まあ私は、非常にこの実現を悲観視する向きもありまするけれども、あるいは多少のずれはあるかもしらぬ、あるかもしれませんけれども、大方この目標は実現できるし、また実現をしたいと、こういうふうに考えておるのでありまして、輸出は、とにかくドル安円高、この影響をもろにかぶってくるであろう、それからさらに、具体的な主要輸出品につきましても、自動車の輸出、これはその数量を前年の水準以下に抑える、そういう行政指導をいたしたいと思っております。テレビにつきましては、その主要市場であるところのアメリカとの間に数量の規制をしておることは御承知のとおりであります。また、船舶につきましては大変需要が減ってきたので、これも減っていくと。あるいは鉄鋼につきましても、トリガープライス、これが動き出しますので、これも減っていく。そういうようなことで、輸出はかなり様相が変わってくると思うのでありますが、輸入につきましては、緊急輸入、これをいろいろ考えております。これを実現いたしまして、まあ何とかして国際社会に対する責任だけは尽くしたいと、これが私の考えでございます。(拍手)
〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/12
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013・村山達雄
○国務大臣(村山達雄君) お答え申し上げます。
国債償還財源がきわめて不安定じゃないかというお話でございます。やはり財源問題を考えるときには、まず赤字国債から脱却するということが結局一番先決問題だと思うのでございます。それを第一に考えております。それから、それで済みましたら——現在償還財源は定率繰り入れ、それから予算繰り入れその他ございますが、特例債から脱却した後におきましては、予算繰り入れも検討してみたいと、このように考えておるところでございます。
それから、国債の多様化、あるいは公社債市場の育成、国債の管理政策、あわせて御答弁さしていただきます。
多様化につきましては全く同感でございまして、去年も多様化を図ったわけでございますが、ことしも具体的にいま構想を練りつつあって、ニーズにこたえてまいりたいと思っております。
公社債市場の育成の問題でございますが、これは、発行市場の問題と、流通市場の問題と、それから流通市場の実勢を発行市場に反映させると、この三つの問題がございまして、それぞれ手を打っているところでございます。今後もそのようにやっていきたい。それが私は結局国債管理政策の基本になると思っているのでございます。
インフレの心配はないか——いまのところ全然心配ございません。ただ、将来民間の資金需要が出たときに、財政がいまのような形でありますと、そのときにインフレの危険が出てくるであろうということは御指摘のとおりでございます。その意味で、早く赤字国債を消しておくこと、そしてまた、そのときには適宜の金融政策をとっていく。このようにいたしまして、将来に対する備えをいまから考えておく必要があると考えております。
国債の窓口販売につきましては、先ほどお答えしましたように、慎重に考えてまいりたい。
それから、専売納付金が公社の経営に心配ないか——これは、先ほどお答え申しましたように、心配ございません。
以上でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/13
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014・安井謙
○議長(安井謙君) 渡辺武君。
〔渡辺武君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/14
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015・渡辺武
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
政府は、特例公債と名づけながら、昭和五十年度からすでに四年間も赤字公債の発行を続けようとし、赤字公債を事実上恒常的なものとしております。また、公債依存度はすでに五十一年度約三〇%、五十二年度三四%という状態に加えて、今年度は実に三七・八%という深刻な状態となっております。欧米諸国が、現在の経済危機の中で公債依存度を、アメリカ一〇・七%、イギリス一四・二%、西ドイツ一二・三%などにとどめていることに比較するならば、わが国の財政破綻がきわめて異常であり、深刻であることは明らかであります。
総理、あなたがその手で行っているこのような財政運営は、戦後、わが国の財政の基本を定めた財政法の健全財政主義を真っ向から踏みにじるものではありませんか。特に、財政法第四条が、赤字公債の乱発による戦費の調達と、それによる戦後の大インフレの悪夢を再び繰り返さないために、赤字公債の発行を認めていないことはよく知られております。特例公債の名目をつけながら赤字公債の発行を恒常化することは、財政法第四条を踏みにじるものであり、財政破綻を一層激しくするものと言わなければなりません。総理の責任ある答弁を求めます。
総理は、不況を打開するためにはやむを得ない措置だなどと述べております。しかし、五十三年度予算は、高速自動車道路や本四架橋など、事業費の九割以上が大企業に発注される大企業優遇の大型公共事業中心の予算であり、今日の経済危機を打開できるものではありません。このことは、この予算が五十二年度第二次補正予算と合わせた十五カ月予算としてすでに執行中であるにもかかわらず、経常収支の黒字は百四十一億ドルと異常な状態となり、円は二百二十円を割るまでに急騰し、中小企業の倒産や労働者の失業は増加の一途をたどっていることを見ただけでも明白であります。
わが党は、かねてから、賃金の引き上げ、大幅減税や福祉の充実などによって国民の所得をふやすこと、また、公共投資の重点を住宅や学校の建設など生活密着型公共事業に移すこと、これらによって、国民生活の擁護と不況、円高などの経済危機の打開を統一的に進めることが現在とるべき最良の政策であることを強調してまいりました。そして、その財源は、不公正税制の是正と、P3C、F15など不急不要の経費を削減し、また、大型公共事業の一部を生活密着型公共事業に振りかえるなどして賄い、赤字公債は出すべきではないことを主張してまいりました。政府は、いまこそその方向に政策を転換すべきではありませんか。総理の見解を求めます。
ところで、私は、政府の引き続く公債乱発政策が一体だれの利益になっているかを明らかにしないわけにはいきません。政府は、五十三年度、十兆九千八百五十億円もの公債を都市銀行その他の金融機関や証券会社の引き受けで発行いたしますが、これらの大企業は、それだけで実に六百五十九億円もの発行手数料を手に入れることができるのであります。その上に、これらの大企業は六・一%の金利、すなわち総額六千七百八十八億円もの金利を公債保有高に応じて分け取りすることができるのであります。公債の発行残高は五十三年度末四十三兆円、五十七年度末には百兆円前後と予想されております。この莫大な公債が、現在、資本の過剰に苦しむ巨大銀行その他に有利な投資市場を提供するものであることは明らかではありませんか。また、このことが金融資本と政府との癒着を一層深めるものとなると思いますが、どうでしょうか。
その反面、政府は、公債発行を円滑に進める条件として公定歩合の引き下げを進め、その犠牲を預貯金金利の引き下げという形で国民に背負わしております。昨年からことしにかけて、国民の金利収入減少分は、政府の計算でも実に六千百億円に上っております。それにもかかわらず、郵政審議会は先ごろ郵便貯金金利の引き下げをまたまた答申いたしました。絶対に容認することはできません。郵政大臣はこの答申を受け入れるべきではないと思うが、明確な答弁を求めます。
また、政府がさきに発表した財政収支試算は、政府の公債乱発政策が国民の将来に何をもたらすかを明白に示しております。まず、政府は、五十七年度までに赤字公債の発行をやめるなどと称して、一般消費税の導入などによる四年間二十六兆七千億円にも及ぶ大増税や福祉切り詰めの方向を示し、他方では、巨大銀行などに支払う公債費や大型公共事業中心の投資的経費を急増させようとしております。これでは、財政の再建どころか、財政運営の基本であるべき所得の再配分と国民福祉擁護に逆行するものであり、財政民主主義に根本から反するものではありませんか。特に、一般消費税など最悪の大衆課税による大増税と福祉切り詰めは、国民の生活を著しく圧迫し、経済危機の打開を一段と困難にすることは、大衆消費の沈滞が不況の克服を困難としている現在の事態を見ただけで明白であります。政府は、租税特別措置に代表される不公平税制を徹底的に改めること、特に各種引当金、受取配当益金不算入、配当控除など、法人税、所得税の本法で行われている大企業、大資産家優遇措置の是正を重点的に行い、財源問題の民主的な解決を図り、不要な経費は削って、福祉を充実させる方向で財政の再建を進めるべきではありませんか。
最後に、総理に伺います。
昭和四十年、戦後最初に赤字公債の発行に踏み切った方はあなたです。また、昭和五十年度以来、赤字公債を含む公債の乱発に次ぐ乱発を重ね、今日の財政大破綻を生み出した者もあなたです。あなたは、この放漫財政による日本経済の高度成長を持ち出して言いわけにしております。しかし、国民を犠牲にした大企業の高度成長こそ、今日の経済危機と財政破綻を生み出した根本の原因ではありませんか。私のこの質問を、公債性悪説などとすりかえた答弁をしないで、真剣に責任を明らかにすべきであります。
また、今日の事態は、自民党の政策が全く破綻したこと、経済政策の根本的転換が避けられないことを明白に示しております。総理は、いまこそ大企業中心の高度成長型経済政策を、国民生活優先の経済政策に根本的に転換する意図はございませんか。また、その方向を内容とした中期的な経済計画と財政計画を示すべきではありませんか。明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/15
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016・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十年に、私が大蔵大臣のとき、公債を戦後初めて発行することにした、それが今日に災いを持ってきておると、こういうようなことで、私の責任を問うというお話でございますが、このことにつきましては、先ほど私は私の見解をるる申し上げましたので、お答えを省略させていただきます。
今日の財政は、御指摘のように本当に異常な状態でございます。しかし、御指摘のように、特例公債のもとに赤字公債を発行しておるんだ、財政法に違反をしておることをやっておるんだというようなお話でございますが、異例、異常な財政運営であることは、これは間違いはございませんけれども、そこで、そういう異例な財政運営を行わざるを得ない、そういうようなことで、いま特例債の発行ということにつきまして御審議をお願いしておるわけでありまして、法律に違反するというような、そういう措置をとっておるわけじゃございません。いまこのような状態の中で、一体それじゃ他にどういう方法があるかと言いますれば、この以外に方法はないんじゃないでしょうか。やっぱりこの際は特例公債を発行する、また建設公債も発行する、そうして需要を喚起して景気を正常化する、それによって財政収入も確保される、そこで財政も健全化への方向を見出し得る、このように考えますので、ぜひとも御賛同のほどをお願い申し上げます。
それから、大企業中心の経済政策を自民党政府がずっととってきた、これが今日の破綻であると、こういうような御指摘でございますが、これは間違った見解である。私はそういう見解はとりません。わが国は資源の乏しい国である。それが今日のような状態になったゆえんのものは何かと言いますれば、やっぱり国民の力、これを結集する、そうして能率よく経済運営ができるような体制をつくり上げた、そこにあると思うのです。ですから、私は、その能率のよい経済体制の一つとしてやっぱり大企業というものが存在をする、そうして生産性の高い企業運営をして、そして外国との競争に打ち勝つ、そのもとにおいて中小企業も小企業も栄えていく、こういう形がとられてきた。私は決してこの形が悪かったというふうには考えませんし、今後もこの形が必要であると、このように考えておるのであります。ただ、御指摘のように、高度成長時代から安定減速経済時代に入るんですから、やっぱり産業中心の体制から国民生活中心の社会体制、そういうところへの転換ということは必要だと思うのです。しかし、それにいたしましても、大企業が悪であり、これを批判する、非難をするという立場はとるべからざるところである、このように考えるのであります。
それから、中期的経済計画、中期的財政計画を示すべしというお話でございまするが、これはできる限り勉強いたしまして、むずかしいことではありまするけれども、なるべく早く御期待に沿えるようにいたしたいと、このように考えます。(拍手)
〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/16
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017・村山達雄
○国務大臣(村山達雄君) お答えいたします。
いま国債は金融機関が引き受けておって、金融機関の利益に奉仕しているんじゃないか——全く私は違うと考えているわけでございまして、御承知のように、家計がほとんど金融機関に貯蓄をしている状況でございます。間接金融が主になっているわけでございますから、勢い金融機関の協力を頼まなければ公債が消化できないという結果になるわけでございます。また、その利ざやにつきましては、いまの金融機関の資金コストでございますと、消化いたしましても逆ざやになるものも相当出てきておるということも御理解賜りたいのでございます。
次に、収支試算は福祉切り詰めではないか——そうではございません。これは、御案内のように、いまのこの赤字公債から早く脱却し、そして歳出を切り詰めつつ、七%税度、六%強の成長が可能であるかどうか、これの試算をいたしたのでございます。いずれのケースをとってみましても、振替支出が最大に伸びているということを御注目願いたいのでございます。
それから、負担の増加を求めるときに、まず不公平税制を改めるべきである——私は趣旨として全く賛成でございます。しかし、いま渡辺さんがおっしゃったような、引当金が不公平税制であるとか、あるいは二重課税の調整が、あれが不公平税制であるという御意見には賛成しかねるのでございます。
それから一般消費税の問題でございますが、これは、税制調査会で言っておりますように、今後負担の増加を求めるとした場合に、一般消費税問題は避けて通れない、早く具体案をつくって、さらに国民並びに国会の批判を仰いだ上で最終的な案を取りまとめるべきであると、こういうことでございますので、国会が済みましたらこの作業に取りかかりたいと思っているところでございます。
それから財政の健全化でございますが、これは何よりも早く、しばしば申し上げますように、赤字公債から早く脱却する、できるだけ今後少なくしていくということ、それから、歳出につきましてできるだけ優先度をはっきりさせる、こういうことが先決問題であろうと思っているところでございます。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣服部安司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/17
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018・服部安司
○国務大臣(服部安司君) 郵便貯金の利率につきましては、郵便貯金法第十二条において、預金者の利益の増進に考慮を払うとともに、あわせて民間金融機関の預金の利率についても配意しなければならないとされていることは御承知のとおりであります。私といたしましては、郵便貯金の金利は決して公定歩合操作と直接関連するものでないという基本的認識の上に立ちまして、預金者の利益を最大限に守らねばならないということで、諸情勢の推移を慎重に見守ってまいったところであります。しかしながら、民間金融機関の預金金利については、その引き下げが決定され、そうした状況の中で郵便貯金の利率をどうするか、預金者の立場を考えますと、非常に苦慮してきた次第であります。さりながら、郵便貯金の現在高が三十七兆三千億円と、わが国金融全体に大きな影響を及ぼしていることもまた事実でございます。
このような郵便貯金をめぐる情勢を勘案いたしまして、郵政審議会に郵便貯金の利率の改定について諮問しておりましたことは御案内のとおりであります。郵政審議会では、四回の会議を重ね、多様な観点から各般の意見が取り交わされ、慎重な審議がなされ、去る十八日、郵便貯金の利率を引き下げることはやむを得ないものと判断されるとの答申をいただいたところであります。
民間金融機関の預金金利の引き下げは去る十七日からすでに実施されておりまして、郵便貯金の利率をこのまま据え置くことによるわが国金融全体への影響、あるいは当面の景気浮揚対策、雇用問題等、わが国の経済運営全般に与える影響を考慮いたしますれば、私といたしましては、預金者の立場を考えますと、まことに忍びがたいものがありますが、郵政審議会からいただいた答申の趣旨を体し、この際、郵便貯金の利率を引き下げることも万やむを得ないものと判断し、利率の改定を行うことといたしたものであります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/18
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019・安井謙
○議長(安井謙君) 井上計君。
〔井上計君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/19
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020・井上計
○井上計君 私は、民社党を代表して、ただいま提案されました昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案について、総理並びに関係大臣に対し質問を行います。
〔議長退席、副議長着席〕
先般、わが民社党は、現在の不況の根本原因は需要面での伸び悩みにあり、また、先行き不安が経済成長を低下させるという基本認識に立って、五十三、五十四の両年度はまず不況克服のために緊急対策を実施すべき時期とし、五十五年度から五十七年度までの三カ年を安定的かつ持続的成長への移行期とする構想を発表いたしました。したがって、この立場から、本年度の七%成長達成のためには本案は速やかに成立さすべきと考え、賛成の立場をとるものであります。
しかし、この際、今後の財政運営の節度、国債の個人消化の方策並びにそれらに関連する諸問題等について、先ほど来御答弁がありましたけれども、明確ではない点もありますので、私からも改めてお尋ねをいたします。
その第一は、日本経済の持続的成長への戦略をどのように展開していくかということであります。
先般来、政府の発表した中期的な財政展望による財政収支試算によれば、五十七年度までは赤字財政からの脱却は不可能であると明示されております。しかも、この試算は、五十年代前期経済計画をもとにした暫定試算の数値を財政というフィルターを通してながめたものにしかすぎず、財政が主導すべき経済運営の方向は何一つ明らかにされておりません。その上、財政運営の歯どめとすべきものについては全く示されず、ただいたずらに増税を唱えるのみで、国民の不安をますます増大さすのみと言わざるを得ないのであります。福田総理の先ほどお答えの中にありましたが、戦後最初に赤字公債を発行した昭和四十年当時の大蔵大臣として、国債の導入については、景気調整の手段として重要な用具であり、これを火種として利用していくと主張されたようであります。私は、これが誤った政策であったとは思いません。しかし、四十年代の高度成長期を通じて、安易な財政運営を歴代内閣が行ってきたその結果は、今日の容易ならざる財政危機という大火に拡大をしてきたのであります。この火つけ役としての福田総理は、その責任上、特例公債の発行の歯どめを、いつ、いかなる方法に求めようとしておられるのか、この点についても、いま一度明らかにしていただきたいと思うのであります。
次は、国債の大量発行とインフレとの関係であります。
ここ数年、国債の大量発行は雪だるま式に拡大されております。これまで毎年巨額の国債発行が比較的順調に消化できたのは、高度成長期には日銀の買いオペによって金融機関の保有国債を大量に吸収してきたこと、最近では、幸か不幸か、デフレ基調のもとで民間資金の需要が極端に不振を続けているからであります。しかし、政府の最高の目標である不況からの脱却は、とりもなおさず、民間の資金需要を活発にすることにあります。仮に、政府の目標どおりこれが実現したとすると、そのときには、国債消化促進のための日銀買いオペが適正な成長通貨の量をはるかに超えて供給され、過剰流動性を財政、金融両面から助長することになって、公債インフレの発生は必至でありましょう。昨年九月以来日銀の円高に対する平衡介入は約百億ドル、すなわち二兆五千億円が、成長通貨に関係なく、市場に放出されております。これらは、すでに債券や株式の購入資金となり、史上空前の不況下における株式ブームとなってあらわれてきております。四十八、四十九両年の狂乱物価の前ぶれは紛れもなく異常な株価であったいきさつを思い起こす必要があると考えますが、このような事態について総理並びに大蔵大臣はどのように認識をしておられるのか、また、公債インフレを起こさないための方策について、どのような具体策を考えておられるのか、この点についても再度お尋ねをいたしたいのであります。
次に、国債の個人消化の促進について質問を行います。
個人消化の拡大を図ることが、公債インフレを回避し、国民の金融資産の健全な均衡を保つ上で不可欠の施策であることは当然でありましょう。ところが、わが国の国債の保有状況は、日銀及び金融機関のウエートが各国に比べて格段に大きく、個人保有が非常に小さいという特徴があります。この理由は、わが国では国債発行額の大部分を金融機関が御用金調達の形で引き受け、これを日銀が買いオペをしておるという状態からであります。とのことは、民間の資金需要が活発になればなるほどインフレの引き金となる危険をはらんでいると言えましょう。したがって、国債の大量発行下においては、従来のような国債引き受けの構造を改め、個人引き受けの拡大を図ることが緊急の課題であると考えるものであります。
政府は、個人消化促進のために、五十一年度から中期割引国債の発行に踏み切っております。しかし、これも一部の反対のために、五十一年度三千億円、五十二年度二千億円、五十三年度二千二百億円という、全く見せかけだけの少額にとどめられ、政府の個人消化促進の姿勢は事実上実行されておりません。しかも、中期割引債が発行されると直ちに売り切れてしまうという需要があるのにもかかわらず、発行額を全体の二%にとどめている真意は一体なぜかということであります。この際、政府は、中期割引債の発行を増額し、国債の個人消化を促進する方策を直ちに実行すべきであります。それは、個人消化こそインフレを回避する唯一の道であると同時に、個人が国債を保有することによって財政への関心を高め、さらにこのことが財政民主主義につながるものと考えますが、いかがでありましょうか。
そこで、私は、個人、特に一般大衆が国債を保有するためには、これを購入しやすい手段を提供する必要があると考えます。そのためには、具体的な方法として、個人向け国債の販売を、銀行窓口だけでなく、最大の店舗網を有する郵便局でも行うことを提言をいたします。
以上のような方法によって、国債保有の整備を図ることが必要だと考えますが、この提案について、大蔵大臣並びに郵政大臣の御見解を伺いたいと思うのであります。
最後に、私は、不況克服に苦闘を続けておる国民の神経を逆なでするような公労協の違法ストについて質問をいたします。
福田内閣は、昭和五十三年度の経済成長率七%達成に政治生命をかけて、国民もまた、これが達成されることが不況からの脱出と雇用不安解消の唯一の道であると考えて努力をしております。しかし、去る十八、十九の両日にわたって行われた公労協の違法ストによって国民のこうむった経済的な損害は、まことに大きなものがあります。ところが、公労協の諸君は、国民のこの怒りに目をつぶり、耳をふさぎ、全く反省の色も示さず、さらに二十五日より九十六時間の長期ストを決行すると準備をしております。不況と円高の二重の打撃を受けて倒産の危機に直面している中小企業者や、雇用不安をやわらげるためにはやむを得ず低額回答を受け入れたり、あるいは賃上げゼロにも涙をのんでいるという民間労働者の実態を無視し、親方日の丸意識をまる出しにした、しかも、法秩序をじゅうりんする違法ストを繰り返すということは、断じて許すべきではありません。(拍手)
私は、この違法ストは、七%成長の努力を阻害し、不況克服にかなりの影響が出るものと考えますが、総理のお考えはいかがでありましょうか。
また、政府は、従来の弱腰の姿勢を直ちに改め、決然たる態度をとるべきであります。
民社党は、去る十四日、この公労協の違法ストの暴挙を制止するため積極的な対策を講じ、違法行為に対しては法律に基づいた的確な処分を実施し、法と秩序に対する国民的信頼を回復すべきであると、全国大会での決議をもって総理大臣に申し入れを行っておりますが(拍手)、総理並びに労働大臣は、このわが党の申し入れにどのように対処されたのか、あわせてお伺いをいたしたいのであります。
同時に、立法府である国会も、その責任を痛感して、この違法ストを直ちに制止するため、各党挙げて、公労協に対し警告をなすべきであると考えますが、総理としてはどのようにお考えになりましょうか、お伺いをいたします。(拍手)
また、去る三月二十五日、本院予算委員会における私の質問に対し、国鉄当局は、違法ストのみでなく、列車等の施設管理権を侵害しているビラ張り、落書き等に対し、厳重に警告し、処置すると確約されましたが、依然として落書き列車が運行されており、ある労働組合の幹部は、ストをやる以上当然だと発言をしているようでありますが、これらの不法行為に対し、行政監督の任にある運輸大臣はどのように考えておられるのか、断固たる処置を要望して、御所見を承りたいと思います。
以上の諸点について、総理並びに関係各大臣の明確なる答弁を期待し、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/20
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021・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
まず、公債発行の歯どめという問題についてでございますが、特例公債につきましては、五十三年度の特例公債の発行額は、実質公債依存度といたしまして二四%になるのであります。これを一つのめどといたしまして、逐次低減をするというふうにいたし、そうして、私どもの考え方といたしましては、五十七年度ぐらいには特例公債はなくすというようなことにできぬかなと、このように考え、歳入の面、歳出の面、両面にわたりまして鋭意努力をいたしたいと、このように考えております。
それからもう一つ、建設公債の方につきましては、これはそのときの景気情勢なり民間設備投資が旺盛になってきたと、こういうような際におきましては、これは建設公債は縮減をする、 つまり、公共事業はさほどやらぬでもいい状態に景気政策としてはなるわけでありますので、したがいまして、建設公債はその際は減らすと、このような考え方をかたくとってまいりまして、そして、建設公債といえども、これが発行が乱に流れない、このようにいたしたいと思います。
いずれにいたしましても、公債政策、これは使い方によっては非常によろしゅうございますが、使い方を誤りまするとこれは大変な弊害を醸し出すということになりますので、注意深く取り組んでまいる所存でございます。
井上さんは、いまのこのストライキ、つまり賃金闘争の状態に対しまして非常に憂えを含めていろいろ御所見が述べられ、また御質問がありました。その中で、七%経済成長、政府がこれを追求しておるが、このようなストライキが長期化するというようなことになると、これにも重大な影響があるんじゃないか、こういう御指摘でございますが、私は、今日のようなこのストライキの諸計画、これが長期化するというようなことになれば、わが国の経済の成長、発展には非常に大きな影響があると、このように考える次第でございます。いま思い起こすのでありますが、フランスで、ドゴール大統領、あのときゼネストが長期にわたってあったんです。あれがたしかGNPで五%マイナスの影響があったというようなことが言われましたが、私は、わが日本においていまの状態でそんなに大きな影響等が出るとはこれはゆめゆめ思いませんけれども、とにかく国民全体が景気の回復を念願し、政府も非常の手段を弄してまでとにかく景気の回復を求めておると、こういう際に、景気の回復を阻害するようなストライキ、これにつきましては、これはもう各党皆さんの御協力を得まして、そのようなことにならぬように心からお願いをいたしたい、かように存ずる次第でございます。(拍手)
〔国務大臣村山達雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/21
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022・村山達雄
○国務大臣(村山達雄君) お答えいたします。
国債の大量発行が、いまはいいけれども、民間の資金需要が出てきたときにインフレの危険がないか——おっしゃるとおりでございます。ただいま総理がお答えになったような趣旨において、そのようにならないように十分注意してまいりたいと思います。
それから、現在過剰流動性が発生しておるのじゃないか、株式が上がっておるのは一つのその証左ではないか、こういうお話でございます。株式市場は、確かにダウ五千円以上に上がっておりまして、かなり高いのでございます。まあ二つ私は原因があると思うのでございますが、一つは、何といっても円が上がっておるということは、それだけ国力、競争力は強いということを意味するわけでございます。それだけにやはり人気が出ておる。しかしまた、物色買いも行われまして、かなり選択は堅実のように思うのでございます。第二は、やはり金利が非常に、史上最低になりましたから、確定利付債券の方からそちらの方に資金が移っている向きもあると思うのでございます。しかし、いずれにしても、余りにも高くなりますと将来非常に危険でございますので、大蔵省といたしましては、先般、定期市場につきまして証拠金を引き上げ、また、掛け目を下げまして警告を発したところでございます。今後もそのように考えております。
過剰流動性は、先ほど申しましたように、いまのところは心配ないのでございますが、これも将来の問題として十分戒心してまいりたいと思っております。
国債の個人消化を積極的に考えよ——全く同感でございまして、非常に努力いたしました結果、機関投資家を含む個人消化は、五十一年には大体二二から一五ぐらいでございましたが、五十二年度では二三%ぐらい、それから五十三年度では約三〇%ぐらいいけるのではないかと思っておるのでございます。御指導に沿いまして、さらに一層の努力をいたしたいと思います。
銀行、郵便局でも扱わしたらどうか、この問題は慎重に考えてまいりたいと存じております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣服部安司君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/22
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023・服部安司
○国務大臣(服部安司君) 郵便局で国債を販売する件についてのお尋ねでありまするが、個人消化という点では私も全く同感でありまするが、現在は国債の個人消化はきわめて順調に行われているとのことであり、現在のところ、郵便局で国債の販売を行うことにつきまして関係機関から特段の要請を受けておりませんし、当面の問題としては考えていないところであります。
なお、今後情勢の推移によって郵便局窓口を利用する必要が生じました場合には、十分に検討すべき課題と考えております。(拍手)
〔国務大臣藤井勝志君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/23
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024・藤井勝志
○国務大臣(藤井勝志君) 去る十七日、公共企業体の当局は有額回答をいたしたわけでございます。その有額回答の内容につきましては、あるいは立場によっていろいろ御意見が分かれるところでございますが、私は、やはり現在の厳しい経済情勢を踏まえて、当局としてはできるだけの誠意ある回答をしたものと考えておるわけでございます。ただ問題は、やはり公共企業体の賃金決定の問題につきましては、やはりその地位の特殊性と職務の公共性という、こういう点から、法律において一切の争議行為は禁止されておることは御案内のとおりでございます。したがいまして、万一自主交渉が不調に終わった場合には、公労委に対して調停、仲裁のこの手続によって平和裏に解決する仕組みになっておるわけでございます。私は、そのような観点から、このルールを無視して、しかも違法のストをするということはぜひ避けてもらわなければならぬ。ちょうど十七日の午後、私は、いよいよ十八日から十九日、いわゆるスケジュール闘争に入られるという情報をつかみましたから、公労協関係の労働組合代表にお会いして、ぜひやめてもらいたいと、このように要請をしたわけでございますけれども、残念ながら、あのような結果になりました。私は、いずれまた計画されておるようなストに対しては、やはり現在の厳しい不況状況、先ほどから総理からもお話がございましたが、ぜひひとつそれを考えて、平和裏に解決をしてもらいたい、ルールに従って平和裏に賃金の決着がつくように心から期待をいたすわけでございまして、私も労働大臣という立場において許される限りの努力をいたしたい、このように考えておるわけでございます。(拍手)
〔国務大臣福永健司君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/24
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025・福永健司
○国務大臣(福永健司君) 多くの企業が不況にあえいでいる昨今のような厳しい経済情勢下に、関係労働組合はその置かれている立場をよく認識し、良識ある行動をとることを期待するものであります。
公共企業体等の職員については、言うまでもなく、法律によりストライキが禁止されているところであり、これに反して違法ストが強行される場合には、当然法に照らして厳正な態度で臨むべきであると考えております。
次に、車両に対する落書きやビラ張りのような行為はきわめて遺憾なことであり、是認できないところであります。国鉄当局は、当然適切な管理権を行使して、その防止に全力を尽くすとともに、これが強行された場合には適切かつ強力な措置を講ずべきであると考えており、今後ともそのような方向で国鉄を十分指導してまいりたいと存じます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/25
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026・加瀬完
○副議長(加瀬完君) これにて質疑は終了いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/26
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027・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 日程第一 日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外務委員長安孫子藤吉君。
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〔安孫子藤吉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/27
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028・安孫子藤吉
○安孫子藤吉君 ただいま議題となりました日米犯罪人引渡し条約につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
明治十九年に締結されました現行の日米犯罪人引き渡し条約は、引き渡しの対象となる犯罪が殺人、強盗など伝統的な犯罪に限定され、贈収賄、麻薬、ハイジャック等最近の事態に対応し得なくなったのであります。
この条約は、締結以来すでに九十年以上経過した現行条約を全面的に改正しようとするものでありまして、引き渡しの対象となる犯罪につきましては、「死刑又は無期若しくは長期一年を超える拘禁刑に処することとされている」犯罪と包括的に規定いたしますとともに、代表的な犯罪四十七種類を列挙しており、その他、一定の場合には国外犯を引き渡しの対象犯罪とすること、第三国で引き渡された者を自国経由で護送する権利を相手国に認めること等の改正を加えております。
委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知を願います。
昨二十日質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/28
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029・加瀬完
○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。
本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/29
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030・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/30
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031・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 日程第二 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員会理事原文兵衛君。
〔原文兵衛君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/31
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032・原文兵衛
○原文兵衛君 ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、筑波研究学園都市建設計画の線に沿い、科学技術庁の付属機関を筑波に移転するため、金属材料技術研究所の支所を所要の地に設けることができる旨の規定を加えるとともに、国立防災科学技術センターの所在地を東京都から茨城県に改めようとするものであります。
委員会におきましては、科学技術庁研究機関の筑波移転状況、科学技術研究行政のあり方、婦人研究者の地位向上問題、地震対策に関して、予知計画の進捗状況と自衛隊による政府要人救護計画等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/32
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033・加瀬完
○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/33
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034・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/34
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035・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 日程第三 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教委員長吉田実君。
〔吉田実君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/35
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036・吉田実
○吉田実君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、さきに本院で承認されました、許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約の実施に伴い、他の条約締約国のレコード製作者が製作したレコードを、無断複製またはそのレコードの輸入もしくは頒布から保護する措置を講じ、いわゆるレコードの海賊版に対する国際的な防止義務を果たそうとするものであります。
委員会におきましては、レコード海賊版横行の実態と排除策、録音・録画の普及に伴い、これが権利者に与える影響と対策、レコードライブラリーの新設、視覚障害者に対する著作物の録音利用の保障など各般にわたる問題につきまして熱心なる審議が行われました。
また、四月十三日には、日本レコード協会から参考人を招き、意見聴取を行いました。
これらの詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
質疑を終わり、討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、粕谷委員より、いわゆるローマ隣接権保護条約への速やかなる加入、商業用レコードの二次使用料の適正化、レコードに対する物品税非課税措置の検討などを内容とする各派共同の附帯決議案が提出され、これまた全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/36
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037・加瀬完
○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/37
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038・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/38
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039・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 日程第四 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。公害対策及び環境保全特別委員長田中寿美子君。
〔田中寿美子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/39
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040・田中寿美子
○田中寿美子君 ただいま議題となりました鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案につきまして、公害対策及び環境保全特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法律案は、国土の開発等に伴い鳥獣の生息環境及び狩猟の実態が大きく変貌していることに対応するため、鳥猟保護の充実、狩猟者資質の向上及び秩序ある狩猟の確保を図ろうとするものであります。
その主な内容は、まず第一に、特別保護区における撮影等のための立ち入りを許可制にし、規制を強化すること、第二に、特定の鳥猟の輸入に当たって、相手国に輸出証明の制度がある場合には、輸出証明書を添付させること、第三に、狩猟事故の発生を防止するため、狩猟免許については試験制度に改めること、第四に、狩猟と鳥獣保護との調整を図るため、狩猟者の登録制度を新設し、登録を行う者の数を制限できることとすること、第五に、狩猟解禁直後等における特定の地域での集中銃猟による危険を防止するため、制限区域を設けることができることとすること、第六に、秩序ある狩猟を確保するため、国及び地方公共団体以外の者も、環境庁長官の認可を受けて猟区を設定することができるものとすること等であります。
委員会におきましては、鳥獣保護行政の充実、日本カモシカ等の鳥獣による農林水産業に対する被害の防止、被害の補償、トキ、イリオモテヤマネコ等絶滅のおそれのある鳥獣の保護、渡り鳥の生息地の買い上げ、猟銃による事故発生の防止等の質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/40
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041・加瀬完
○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/41
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042・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/42
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043・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 日程第五 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案
日程第六 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長和田静夫君。
〔和田静夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/43
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044・和田静夫
○和田静夫君 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案外一件につきまして、社会労働委員会の審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案は、戦傷病者戦没者遺族等援護法のほか、関連する三法律を改正しようとするものであります。
その主な内容は、第一に、戦傷病者、戦没者遺族等に対する障害年金、遺族年金等の額を恩給法に準じて引き上げるとともに、支給範囲を拡大し、昭和十二年十一月三十日の閣議決定「満洲に対する青年移民送出に関する件」に基づいて実施された満州青年移民を準軍属として処遇すること、第二に、未帰還者留守家族に支給される留守家族手当の月額を、遺族年金の増額に準じて引き上げること、第三に、さきの満州青年移民のうち、軍事に関し業務上傷病にかかり、現に一定以上の障害がある者を戦傷病者として処遇すること、第四に、国債の最終償還を終えた戦没者の父母等に対し、さらに特別給付金を支給することなどであります。
委員会におきましては、戦傷病者戦没者遺族等に対する援護対象の範囲とその拡大、一般戦災者に対する実態調査と援護対策、日赤従軍看護婦に対する援護の検討などの諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、片山甚市委員より、本案に関し、施行期日についての修正案が提出されました。
討論はなく、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致で可決され、よって、本法律案は全会一致で修正議決すべきものと決しました。
なお、本法律案に対し、一般戦災者に対する実態調査、国民の生活水準の向上等に見合う援護水準の引き上げ、満洲開拓青年義勇隊開拓団についての実情調査、日赤従軍看護婦に対する救済措置の検討などを内容とする附帯決議を全会一致でつけることに決しました。
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次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案の内容は、駐留軍関係離職者の発生が今後も引き続き予想されるので、駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期限をさらに五年間延長しようとするものであります。
委員会におきましては、円高、ドル安情勢下における駐留軍関係従業員の雇用、労働条件、沖繩における雇用、失業対策、現行の離職者に対する援護措置の拡充などの諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、討論はなく、採決の結果、本法律案は全会一致で原案どおり可決すべきものと決しました。
なお、本法律案に対し、駐留軍関係従業員の雇用、労働条件の確保、業務の民間への下請切りかえ回避のための努力、中高年齢者の再就職促進のための援護措置の充実とその効果的運用、沖繩県離職者の雇用機会の確保等を内容とする附帯決議を全会一致でつけることに決しました。
以上報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/44
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045・加瀬完
○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。
まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案の委員長報告は修正議決報告でございます。本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/45
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046・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって委員長報告のとおり修正議決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/46
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047・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/47
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048・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/48
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049・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 日程第七 刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長中尾辰義君。
〔中尾辰義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/49
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050・中尾辰義
○中尾辰義君 ただいま議題となりました刑事補償法の一部を改正する法律案について、法務委員会における審査の経過と結果を報告いたします。
本法案は、最近における経済事情にかんがみ、刑事補償法の規定による補償金の額の算定基準となる日額を引き上げようとするものであります。
委員会におきましては、少年事件と刑事補償、補償金の基準日額の妥当性及び非拘禁補償等について質疑が行われましたが、詳細については会議録に譲ります。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
以上御報告をいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/50
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051・加瀬完
○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/51
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052・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/52
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053・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 日程第八 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長金井元彦君。
〔金井元彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/53
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054・金井元彦
○金井元彦君 ただいま議題となりました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。
本法律案は、最近における猟銃または空気銃を使用する犯罪及び猟銃または空気銃に起因する事故増加の実情にかんがみ、新たに猟銃を所持しようとする者について猟銃の操作及び射撃の技能に関する技能検定を実施し、猟銃または空気銃の所持の許可の基準を整備し、並びに猟銃または空気銃の所持の許可の有効期間を短縮し、あわせて猟銃または空気銃の保管委託制度を新設すること等を主な内容とするものであります。
委員会におきましては、覚せい剤中毒患者の実情と、これらの者に猟銃等の所持の許可を与えないこととする理由、猟銃の射撃の技能検定と射撃教習の内容、警察行政としての規制の強化と基本的人権との関係等について質疑がありましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/54
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055・加瀬完
○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/55
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056・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/56
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057・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 日程第九 各種手数料等の改定に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長嶋崎均君。
—————————————
〔嶋崎均君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/57
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058・嶋崎均
○嶋崎均君 ただいま議題となりました各種手数料等の改定に関する法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
本案は、国の行政事務に係る手数料等のうち、経済事情の変化等に伴い、行政コスト、物価動向等の観点から見て、費用負担の適正化を図る必要があるものについて、一括してその引き上げを行おうとするものであります。
すなわち、不動産の鑑定評価に関する法律等三十七法律に規定されております二百二十二項目にわたる各種手数料の金額等について、所要の引き上げを行うこととしております。
委員会におきましては、手数料の性格、法的根拠、行政コストと手数料との関係、各省にわたる手数料の引き上げを今回一括して提案した理由、今後の手数料改定の方法等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終了し、討論なく、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本案に対し、政府は、各種手数料等について、費用負担の公正を期するため、適時に見直しを行うとともに、算定基準についても整合性を図るよう努力すべきである等の各派共同提案に係る附帯決議が付されました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/58
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059・加瀬完
○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/59
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060・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/60
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061・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 日程第一〇 森林組合法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長鈴木省吾君。
〔鈴木省吾君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/61
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062・鈴木省吾
○鈴木省吾君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
本法律案は、森林組合制度を森林法から分離独立させるとともに、あわせて森林災害共済事業の規定を明定し、森林施業の受託等組合の必須事業について員外利用制限を緩和し、連合会の事業に監査事業を加え、生産森林組合制度を改善する等の改正を行おうとするものであります。
委員会におきましては、自給率が三五%に減少した木材の需給の動向と見通し、外材の秩序ある輸入対策、老齢化し減少する林業従事者の福祉の向上と労働条件の改善、停滞を続ける伐採、造林、間伐等林業生産活動の振興などの林業全般に関する問題を初め、森林組合制度を単独法化する意義、弱小な組合が少なくない森林組合の振興策と役割り、森林災害共済事業の趣旨と国営保険との調整、信用事業が今回実現できなかった理由等が問題になりましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
続いて、各会派共同の附帯決議を全会一致をもって行いました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/62
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063・加瀬完
○副議長(加瀬完君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/63
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064・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/64
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065・加瀬完
○副議長(加瀬完君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
内閣から、行政監理委員会委員に市川誠君、稲葉秀三君、大槻文平君、林修三君、宮崎輝君、八木淳君を任命することについて本院の同意を求めてまいりました。
まず、市川誠君、八木淳君の任命について採決をいたします。
内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/65
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066・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/66
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067・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 次に、稲葉秀三君、大槻文平君、林修三君、宮崎輝君の任命について採決をいたします。
内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/67
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068・加瀬完
○副議長(加瀬完君) 過半数と認めます。よって、これに同意することに決しました。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/108415254X01719780421/68
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