1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十五年三月六日(木曜日)
午前十時十一分開会
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委員の異動
十二月二十一日
辞任 補欠選任
橋本 敦君 立木 洋君
十二月二十二日
辞任 補欠選任
赤桐 操君 宮之原貞光君
立木 洋君 橋本 敦君
三月三日
辞任 補欠選任
長田 裕二君 二木 謙吾君
園田 清充君 大鷹 淑子君
長谷川 信君 源田 実君
三月六日
辞任 補欠選任
源田 実君 長谷川 信君
宮本 顕治君 佐藤 昭夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 峯山 昭範君
理 事
上田 稔君
大石 武一君
寺田 熊雄君
委 員
小林 国司君
永野 嚴雄君
長谷川 信君
八木 一郎君
佐藤 昭夫君
橋本 敦君
国務大臣
法 務 大 臣 倉石 忠雄君
政府委員
法務大臣官房長 筧 榮一君
法務大臣官房会
計課長 石山 陽君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局経理局長 草場 良八君
事務局側
常任委員会専門
員 奥村 俊光君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(法務行政の基本方針に関する件)
(昭和五十五年度法務省及び裁判所関係予算に
関する件)
(派遣委員の報告)
○民法第七百五十条の改正に関する請願(第四六
号外二九件)
○法務局、更生保護官署及び入国管理官署職員の
大幅増員に関する請願(第七三九号外五件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/0
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001・峯山昭範
○委員長(峯山昭範君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る十二月二十二日、赤桐操君が委員を辞任され、その補欠として宮之原貞光君が選任されました。
また、去る三日、長田裕二君及び園田清充君が委員を辞任され、その補欠として二木謙吾君及び大鷹淑子君が選任されました。
また、本日、宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/1
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002・峯山昭範
○委員長(峯山昭範君) 永野嚴雄君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/2
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003・峯山昭範
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
ただいまの理事の辞任に伴い、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/3
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004・峯山昭範
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に大石武一君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/4
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005・峯山昭範
○委員長(峯山昭範君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
法務行政の基本方針について、倉石法務大臣からその所信を聴取いたします。倉石法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/5
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006・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 委員各位には、平素から法務行政の適切な運営につき、格別の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。
この機会に法務行政に関する所信の一端を申し述べ、委員各位の深い御理解と格別の御協力を賜りたいと存じます。
私は、昨年十一月法務大臣に就任いたしまして以来、所管行政の各般を見てまいりましたが、今日、内外の諸情勢がきわめて厳しいこの時期におきまして、わが国の国民生活が安定いたしております大きな原因の一つは、その基盤とも言うべき法秩序が揺るぎなく維持され、国民の権利がよく保全されていることにあると痛感いたしております。私は、この法秩序の維持と国民の権利の保全という法務行政の使命の達成のために、今後とも全力を傾注いたし、国民の信頼と期待にこたえるよう、誠心誠意、その職責を尽くしてまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
以下、私が考えております当面の施策について要点を申し上げます。
まず第一は、法秩序の維持についてであります。
わが国における最近の犯罪情勢は、おおむね平穏に推移しつつあると認められますものの、内容的には、凶悪殺傷事犯、暴力団関係事犯、覚せい剤事犯等が依然として後を絶たないばかりでなく、大規模な金融関係事犯、公務員による不正事犯、いわゆる過激派分子による各種不法事犯等も多数発生を見ており、その趨勢には、引き続き警戒を要するものがあると存じます。
私は、これらの不法事犯に対処するため、関係諸機関との緊密な連絡協調のもとに、検察体制の整備充実に十全の意を用いて厳正な検察権の行使に遺憾なきを期し、もって、法秩序の維持になお
一層の努力を傾注する所存であります。
次に、立法関係についてでありますが、いわゆる航空機疑惑の再発防止対策の一環として、収賄罪の法定刑の引き上げ等を内容とする刑法の一部を改正する法律案を今国会に改めて提出したほか、国際犯罪に関する捜査共助法制の整備についても鋭意検討を進めております。
第二は、矯正及び更生保護行政の充実についてであります。
犯罪者及び非行少年の改善更生につきましては、刑務所、少年院等における施設内処遇と実社会における社会内処遇とを有機的に連携させることに努め、その効果を高めてまいる所存であります。
そのためには、まず施設内処遇の実態につき広く国民の理解を得るとともに、良識ある世論を摂取し、時代の要請にこたえ得る有効適切な処遇の実現に努め、他方、社会内処遇におきましては、保護観察官の処遇活動を一層充実させるとともに、保護司等の民間篤志家との協働態勢を強化し、犯罪者等の社会への受入態勢を十分整えるとともに、処遇方法を多様化し、有効適切な保護観察を行い、その改善更生の実を上げるよう努める所存であります。
なお、監獄法改正作業につきましては、目下、法制審議会において審議中であり、遠からず答申が得られるものと期待いたしておりますが、答申を得た後、所要の手続を経て、できる限り速やかに改正法案を国会に提出したいと考えております。
第三は、民事行政事務等の充実についてであります。
一般民事行政事務は、登記事務を初めとして量的に逐年増大し、また、質的にも複雑多様化の傾向にあります。これに対処するため、かねてから種々の方策を講じてきたところでありますが、今後とも人的物的両面における整備充実に努めるとともに、組織・機構の合理化、事務処理の能率化・省力化等に意を注ぎ、適正迅速な事務処理体制の確立を図り、国民の権利保全と行政サービスの向上に努めてまいる所存であります。
なお、民事関係の立法につきましては、配偶者の相続分の引き上げ等に関する民法の改正について、かねてから法制審議会において審議を行ってまいりましたが、去る二月二十五日その答申を得ることができましたので、速やかに関係法律案を提出して、審議をお願いいたしたいと考えております。
次に、人権擁護行政につきましては、国民の間に広く人権尊重の思想を普及させるため、地域社会に根差した人権擁護委員制度の充実を図り、さらに、各種の広報手段による啓発活動のほか、人権相談や具体的な人権侵犯事件の調査処理を通じて、国民の人権意識の一層の高揚に努めてまいる所存であり、いわゆる差別事象についても、関係各省庁等と緊密な連携をとりながら、今後とも積極的な啓発活動を続け、その根絶に寄与したいと考えております。
次に、訟務行政につきましては、国の利害に関係のある争訟事件は、最近の社会情勢を反映して、社会的、法律的に新たな問題を含む複雑困難なものが増加してきておりますので、今後とも一層事務処理体制の充実強化を図り、この種事件の適正円滑な処理に万全を期するよう努めてまいりたいと存じます。
最後に、出入国管理行政についてであります。
わが国主要空港における出入国者数は引き続き増加しておりますが、特に最近は、地方空港を利用する出帰国者の数が飛躍的に伸びております。また、在留外国人の活動範囲も次第に広範となり、出入国管理及び外国人の在留管理に関する業務はますます重要なものとなりつつあります。加えて、いわゆるインドシナ難民対策や難民の地位に関する条約に加入する動きとの関連において考慮すべき施策は、本行政の当面する課題となっております。
法務省といたしましては、これら諸情勢に対応して国際協調を図りつつ、今後ともわが国の出入国管理行政に課せられた使命の円滑、適正な運営に努めてまいる所存であります。
なお、法務省の施設につきましては、昨年に引き続いて整備を促進し、事務処理の適正化と職員の執務環境の改善を図りたいと考えております。
以上、法務行政の当面の施策について所信の一端を申し述べましたが、委員各位の御協力、御支援を得まして、重責を果たしたい所存でありますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/6
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007・峯山昭範
○委員長(峯山昭範君) 次に、昭和五十五年度法務省及び裁判所関係予算について説明を聴取いたします。石山法務大臣官房会計課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/7
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008・石山陽
○政府委員(石山陽君) 昭和五十五年度法務省所管予算の内容について、概要を御説明申し上げます。
昭和五十五年度の予定経費要求額は、三千三百二億三千六十五万五千円でありまして、これを前年度予算額三千二百一億三千二十一万四千円と比較いたしますと、百一億四十四万一千円の増額となっております。
その内訳を大別いたしますと、人件費八十一億八千九百二万三千円の増、一般事務費三十四億六千六百三十五万五千円の増、施設費十五億五千四百九十三万七千円の減となっております。
まず、増員について申し上げますと、第一に、検察庁において検事五人、事務官九十人が増員となっております。その内容は、まず、特殊事件処理体制の充実強化を図るため、検事二人、事務官二十人が増員となっておりますほか、財政経済、公安労働、国際犯罪等の事件処理体制の充実強化及び公判審理の適正迅速化を図るため、合わせて検事三人、事務官七十人の増員となっております。
第二に、法務局において検事二人、事務官百五十七人が増員となっております。その内容は、まず、登記事務の適正迅速な処理を図るため事務官百四十六人が増員となっておりますほか、国の利害に関係のある争訟事件処理の充実を図るため検事二人、事務官八人、人権侵犯事件処理の充実を図るため事務官三人がそれぞれ増員となっております。
第三に、刑務所において保安体制の充実を図るため看守五十人、医療体制の充実を図るため看護士または看護婦十人が、それぞれ増員となっております。
第四に、非行青少年対策の充実強化を図るため、関係職員二十人が増員となっております。その内容は、少年鑑別所の観護体制の充実のための教官七人、保護観察所の直接処遇の強化等のための保護観察官十三人であります。
第五に、地方国管理官署において、出入国審査業務等の適正迅速化を図るため、入国審査官十四人、入国警備官三人が増員となっております。
第六に、破壊活動調査機能の充実強化を図るため、公安調査官十六人が増員となっております。
なお、前述の検事につきましては、沖繩における検事定員の恒常的欠員のうち七人を本土定員に振りかえたものであります。
増員の内容は以上のとおりでありますが、御承知のとおり昭和五十四年十月の閣議決定に基づく「昭和五十五年度以降の定員管理計画の実施について」による昭和五十五年度定員削減分として、三百六十六人が減員されることになりますので、差し引き六人の定員減となるわけであります。
次に、一般事務費につき、それぞれ前年度予算と比較しながら御説明申し上げますが、まず、全体としては、前年度に比較して旅費類が二千七十万一千円の減額、庁費類が二十三億四千四百四十七万三千円の増額、その他物件費が十一億四千二百五十八万三千円の増額となっております。
以下、主要事項ごとに御説明申し上げます。
第一に、法秩序の確保につきましては、関係組織の職員の人件費を含めて一千九百三億六千四百万円が計上され、前年度に比較して六十八億二千四百万円の増額となっております。
その増額分の内容について申し上げますと、まず、検察庁関係としては、二十八億六千五百万円が増額されておりますが、その中には、人件費のほか検察費二億三千八百万円及び財政経済事件等各種検察活動の充実強化を図るための経費二千四百万円が含まれております。
次に、矯正施設関係としては、三十一億九千六百万円が増額されておりますが、その中には、人件費のほか保安機能の充実経費五千四百万円及び矯正施設収容者の処遇改善経費十七億百万円が含まれております。
右の処遇改善経費の内容は、燃料費の高騰に要する経費五億二千五百万円、生活用備品、日用品、医療器具等の充実に要する経費七億四千五百万円並びに被収容者食糧費における主食、副食の単価改定等に要する経費三億五千二百万円であります。
次に、更生保護関係としては、三億二千四百万円が増額されておりますが、その中には、人件費のほか短期交通事件の処理及び保護観察体制の充実を図るための経費三千五百万円、保護司実費弁償金七千五百万円、更生保護委託費五千八百万円が含まれております。
次に、訟務関係としては、国の利害に関係のある争訟事件の処理経費として五千百万円が増額されております。
次に、公安調査庁関係としては、三億八千八百万円が増額されておりますが、その中には、人件費のほか調査活動の充実経費一億円が含まれております。
第二に、国民の権利保全の強化につきましては、まず、法務局における登記事務処理の適正化に要する経費として、関係職員の人件費を含めて五百三十三億七千百万円が計上され、前年度に比較して二十八億一千三百万円の増額となっております。
その増領分の主な内容は、登記諸費二千五百万円、全自動謄本作成機等事務能率機器の整備に要する経費二億五千九百万円、謄抄本作成事務の一部請負処理に要する経費二億五千四百万円、登記所備えつけ地図整備に要する経費二千四百万円等であります。
次に、人権擁護活動の充実に関する経費としては、二千七百万円が増額されております。その中には、人権侵犯事件調査の強化を図るための経費千三百万円、人権擁護委員実費弁償金千四百万円が含まれております。
第三に、非行青少年対策の充実強化につきましては、一部、法秩序の確保関係と重複しておりますが、関係職員の人件費並びに少年院等の収容関係諸費を含めて二百八十八億四千三百万円が計上され、前年度に比較して十一億五千四百万円の増額となっております。
そのうち、事務的経費の増額分の内容について申し上げますと、まず、検察庁関係としては、八千七百万円が増額されておりますが、これは検察活動に要する経費であります。
次に、少年院関係としては、一億七千万円が増額されておりますが、これは生活、教育備品の整備等に要する経費であります。
次に、少年鑑別所関係としては、五千三百万円が増額されておりますが、これは生活備品の整備及び日用品の充実等に要する経費であります。
次に、保護観察所関係としては、一億三千二百万円が増額されておりますが、これは補導援護活動の充実に要する経費であります。
第四に、出入国管理業務の充実につきましては、関係職員の人件費を含めて八十八億五千三百万円が計上され、前年度に比較して七億百万円の増額となっております。その中には、外国人登録事務の充実に要する経費三億三千七百万円、機動力の充実に要する一千七百万円が含まれております。
第五に、施設の整備につきましては、矯正収容施設の整備費五十五億二千二百万円、登記所等小規模施設の整備費四十四億四千百万円及び沖繩関係施設整備費二億八千二百万円を含め百四十億一千百万円が計上されておりますが、前年度に比較して十五億五千五百万円の減額となっております。
なお、このほか大蔵省及び建設省所管の特定国有財産整備特別会計において、東京拘置所ほか十七施設の施設整備費として二十七億三百万円が計上されていることを申し添えます。
以上が、法務省所管歳出予算予定経費要求の概要であります。
終わりに、当省主管歳入予算について御説明いたします。
昭和五十五年度法務省主管歳入予算額は、六百八十一億五百六十万九千円でありまして、前年度予算額七百五十三億二千八百九万一千円と比較いたしますと七十二億二千二百四十八万二千円の減額となっております。
以上をもって、法務省関係昭和五十五年度予算についての御説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/8
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009・峯山昭範
○委員長(峯山昭範君) 次に、草場最高裁判所経理局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/9
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010・草場良八
○最高裁判所長官代理者(草場良八君) 昭和五十五年度裁判所所管予定経費要求額について説明申し上げます。
昭和五十五年度裁判所所管予定経費要求額の総額は、一千八百一億二百二十万六千円でありまして、これを前年度予算額一千七百三十七億六千四百十九万八千円に比較いたしますと、差し引き六十三億三千八百万八千円の増加となっております。これは、人件費において三十六億八千九百六十六万三千円、裁判費において五億百四十三万九千円、営繕費において十九億七千九百五十四万五千円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において一億六千七百三十六万一千円が増加した結果であります。
次に、昭和五十五年度予定経費要求額のうち、主な事項について説明申し上げます。
まず、人的機構の充実、すなわち増員であります。
特殊損害賠償事件、民事執行法に基づく執行事件の適正迅速な処理等を図るため、四十八人の新規増員及び沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律に基づく定員からの二十一人の振りかえ増により、裁判所職員定員法上、判事二十二人、裁判所書記官十六人、裁判所事務官三十一人、合計六十九人の増員をしております。他方、定員削減計画に基づく昭和五十五年度削減分として裁判所事務官三十二人の減員を計上しております。
次は、裁判所施設の整備充実に必要な経費であります。一、東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎の新営に必要な経費として九十四億四千七百四十一万五千円、二、その他の裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として四十九億四千百二十一万四千円、合計百四十三億八千八百六十二万九千円を計上しております。
次は、裁判費であります。一、国選弁護人報酬に要する経費として二十億三千七十八万五千円、二、証人等の日当に要する経費として四億九千六百六十七万六千円を計上しております。
次は、民事執行法の施行に伴い、民事執行の充実強化に必要な経費であります。民事執行事件の円滑、適正な処理を図るため、裁判資料及び競売場、現況調査用器具等の整備に要する経費として一億二千七百九十九万三千円を計上しております。
次は、裁判運営の効率化及び近代化に必要な経費であります。一、庁用図書、図書館図書の充実を図るため裁判資料の整備に要する経費として四億八千八百六十一万七千円、二、裁判事務の能率化を図るため複写機、計算機等裁判事務器具の整備に要する経費として三億七千五百八十万二千円を計上しております。
以上が、昭和五十五年度裁判所所管予定経費要求額の大要であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/10
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011・峯山昭範
○委員長(峯山昭範君) 以上をもちまして説明を終了いたしました。
ただいまの所信及び予算の説明に対する質疑は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/11
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012・峯山昭範
○委員長(峯山昭範君) 先般本委員会が行いました委員派遣について、派遣委員から報告を聴取いたします。上田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/12
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013・上田稔
○上田稔君 先般当委員会より中国地方及び関西地方へ派遣されました委員を代表して、調査の結果を御報告いたします。
去る一月十日から三日間、峯山委員長、寺田理事、宮崎理事、橋本委員、それに私、上田が、岡山県及び大阪府におきまして、裁判所及び法務省関係各庁の管内概況及び庁舎施設などの営繕状況について調査を行ってまいりました。
調査の対象は、岡山県におきましては、岡山地方裁判所、岡山家庭裁判所、岡山地方検察庁、岡山地方法務局、岡山刑務所、岡山少年院、岡山少年鑑別所及び岡山保護観察所でございます。大阪府におきましては、大阪高等裁判所、大阪高等検察庁、大阪地方裁判所、大阪家庭裁判所、大阪地方検察庁、大阪法務局、大阪矯正管区、近畿地方更生保護委員会及び大阪入国管理事務所でございます。
以下、調査項目に従いまして、御報告申し上げます。
第一は、裁判所及び法務省関係各庁の所掌事務に関する管内概況でございます。
まず、裁判所における各種事件の処理状況について申し上げます。
大阪高等裁判所の民事・行政事件の新受は、昭和五十一年まで漸増の傾向を示してまいりましたが、昭和五十二年以降わずかながら減少に転じております。同高等裁判所管内の地方裁判所の民事・行政事件及び同簡易裁判所の民事事件は、新受・既済ともに昭和四十九年来増加の傾向にあり、とりわけ昭和五十一年以降の簡易裁判所における調停事件の増加傾向が目立っております。
岡山地方裁判所におきます民事訴訟事件は漸増し、訴訟事件以外の事件数は、ここ数年、訴訟事件のほぼ三倍という状態を維持してきております。また、同地方裁判所管内の簡易裁判所におきましては、民事訴訟事件の新受件数は減少しておりますが、これは事物管轄の関係と思われます。しかし、いわゆるローンやクレジットなどによる支払い命令事件が増加しております。
次に、刑事事件でございますが、大阪高等裁判所におきましては、昭和五十年に一たん減少したものの、昭和五十一年から漸増に転じ、昭和五十三年に至って、一段と増加の傾向を強めています。同高等裁判所管内の地方裁判所におきましては、年々増加の傾向を示し、簡易裁判所におきましては、略式事件の増加が目立ち、そのほとんどは、道交法違反事件でございます。岡山地方裁判所及び同管内の簡易裁判所におきます刑事事件の処理状況もほぼ同様でございます。
次に、家庭裁判所でございますが、大阪家庭裁判所では、審判事件、調停事件ともに年々増加しております。岡山家庭裁判所におきましても、審判事件はここ数年増加しておりますが、調停事件は横ばいであります。この審判事件の増加は、精神衛生法第二十条事件の増加によるものであります。また、事件種別では、子の氏の変更事件が、大体四五%を占めております。家事調停事件では、婚姻中の夫婦間の事件が年々増加の傾向にあり、全調停事件の五〇%以上になっております。一般保護事件につきましても、ここ数年増加の傾向を示し、これを非行別で見ますと、窃盗が五〇%、業務上過失致死傷が二五%を占めております。
次は、検察庁関係でございます。
岡山地方検察庁におきましては、刑法犯は漸次減少の傾向にありますが、道交法違反事件が漸増しております。大阪地方検察庁におきましては、盗犯、知能犯、業務上過失致死傷事犯及び道交法違反事件が増加しているのに対しまして、凶悪犯、粗暴犯及び風俗犯が減少しております。しかし、両地検におきます取扱事件で注目しなければならないのは、覚せい剤事犯であります。大阪地検におきましては、昭和五十三年の同事件数は、同四十九年における事件数に比べ約三倍に激増し、昭和五十四年におきましても相当の増加が見込まれています。
従来、この種の事犯は、暴力団関係者によるものでありましたが、最近は、一般市民によるものが増加しております。きわめて憂慮すべきものがあります。また、この種の事犯は、暴力団の有力な資金源となっており、組織暴力団の増加及び勢力拡大の要因となっておりますことから、厳正な取り締まりが望まれるところであります。
なお、岡山地方検察庁におきましては、同地検が瀬戸内海臨海工業地帯を抱えていることから、水質汚濁による環境汚染、船舶による海洋汚染、産業廃棄物の投棄などの公害事犯が逐年増加していることが注目されます。
次に、法務局関係でございます。
まず、大阪法務局におきましては、訟務事件は、量的増加もさることながら、大阪空港騒音訴訟、スモン訴訟、琵琶湖総合開発工事差しとめ訴訟などに見られるごとく、質的変化が著しく、近時の社会情勢を反映し、複雑困難な事件が増加する傾向にあることが指摘されます。戸籍事務、国籍事務及び供託事務につきましては、おおむね横ばいないしは増加という傾向でありますが、登記事件数は、年々増加し、大阪法務局におきましては、従事職員一人当たりの年間取扱件数が平均三千件を超える状況にあり、円滑適正な処理が困難となっております。法務局の所掌事務は、広範囲にわたっており、国民の権利意識の高揚や社会情勢の多様化から多くの問題を抱え、きわめて繁雑度が高く、職員の増員が強く望まれています。
次に、矯正関係について申し上げます。
岡山刑務所は、昭和四十五年三月に現在地に新築移転し、同四十七年の分類規程の改正により、長期受刑者であるLA級受刑者の収容施設に指定されました。以来、LA級受刑者の効果的処遇を目指して、処遇の重点を定め、金属、木工等の高度な作業の導入を図り、あるいは環境の美化等に積極的に取り組んでおります。特に施設全体の明るいムードづくりに努力しており、たとえば、運動場に面したへいいっぱいに美しい壁画が描かれ、なごやかなムードをつくり出しておりました。この壁画は、市民の積極的な協力によって描かれたとのことでありましたが、この市民の善意が、社会復帰に不安を持つ長期受刑者に大きな力づけとなっております。
次に、更生保護関係でございます。
まず、保護観察事件の事件数でございますが、近畿地方更生保護委員会の管内六庁におきましては、新受件数が昭和五十一年から増加し、同五十三年からは相当幅の増加を示しております。また、同管内の特徴として、シンナー等及び精神障害者の対象者が少なく、逆に暴力組織及び無期刑対象者の多いことが挙げられております。これに対しまして、岡山保護観察所におきましては、ここ数年来、昭和五十二年に短期交通保護観察の導入により急増したのが目立ったほか、著しい増減はありません。しかし、近年、覚せい剤関係の事犯の増加から、執行猶予者保護観察法による保護観察の増加が目立っております。
この覚せい剤関係の事件及び暴力団関係事犯は、処遇困難な事件が多く、しかも、件数も増加の傾向にあり、このため保護観察官等の不足の悩みは次第に顕著になってきており、増員の要望が強く出されております。
所掌事務に関する管内概況の最後といたしまして、入国管理関係について申し上げます。
まず、大阪入国管理事務所の出入国審査業務について見ますと、出入国者数は、昭和五十三年四月二十四日から大阪空港に大型機が導入されたこと等によりまして、昭和五十四年は二百四十二万六千人と前年よりも約四十二万人も増加しております。このため、出入国のピーク時には、混雑をきわめ、出入国管理事務の適正迅速な処理に相当数の人員の増加が必要とされております。
また、同事務所の地域的特性といたしまして、管内に多数の韓国及び朝鮮人が在留していることが挙げられております。このため、多数の不法入国者が潜在しており、その数は、一万人とも二万人とも言われております。このような実情から不法入国事案等の違反事件も多く、この面からも職員の増加が望まれております。
また、大阪国際空港におきましては、大阪入国管理事務所のほか、大阪空港事務所及び大阪税関伊丹空港税関支署から大阪国際空港の管理運営等につきまして、有益な説明を聴取することができ、また、同空港内の各施設の視察も行いました。
第二は、裁判所及び法務省関係の庁舎及び宿舎の営繕状況についてでございます。
まず、庁舎施設についてでありますが、裁判所関係では一部に終戦後間もなくつくられました木造の簡易裁判所があるのを除きまして、おおむね、鉄筋またはコンクリートづくりに整備されております。検察庁関係におきましても、おおむね同様でございます。法務局関係では、大阪法務局管内で終戦前につくられました木造庁舎の老朽化が目立っており、緊急に新営等の抜本的解決を図る必要に迫られている庁舎が、支局十一庁、出張所二十六庁の計三十七庁であります。岡山地方法務局におきましても、ここ数年著しく改善整備されているようでございますが、いまだ十分とは言えず、老朽化が目立つ出張所もあります。
次に、宿舎についてであります。
職員の宿舎は、逐年増設整備され、全般的におおむね充足されていると言えますが、岡山地方検察庁におきましては、必要戸数を確保することができず、また、明治年間に建設され、耐用年限をはるかに超えたものがいまだ使用されているという状態であります。このことは、岡山地方法務局におきましてもほぼ同様であります。また、大阪法務局におきましては、支局所在地の宿舎が不足し、人事異動にも支障を来しているとのことであります。
以上をもちまして報告を終わりますが、詳細は調査室保管の資料に譲りたいと存じます。
最後になりましたが、調査に当たり、現地の各関係機関から終始懇切な御協力をいただきましたこと、また、最高裁判所及び法務省から種々便宜を得ましたことを報告し、厚く御礼を申し上げます。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/13
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014・峯山昭範
○委員長(峯山昭範君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/14
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015・峯山昭範
○委員長(峯山昭範君) これより請願の審査を行います。
第四六号民法第七百五十条の改正に関する請願外三十五件を議題といたします。
本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。
理事会で協議の結果、第七三九号法務局、更生保護官署及び入国管理官署職員の大幅増員に関する請願外五件は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと意見が一致いたしました。
以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/15
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016・峯山昭範
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。
審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/16
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017・峯山昭範
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、第四六号民法第七百五十条の改正に関する請願外二十九件は、後日改めて審査することにいたしました。
以上、御報告いたしておきます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十時五十三分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109115206X00219800306/17
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