1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十七年十二月二十三日(木曜日)委員長の
指名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任し
た。
減税問題に関する特別小委員
相沢 英之君 大原 一三君
奥野 誠亮君 金子 一平君
倉成 正君 小泉純一郎君
村山 達雄君 山下 元利君
渡辺美智雄君 伊藤 茂君
沢田 広君 堀 昌雄君
正木 良明君 竹本 孫一君
正森 成二君 小杉 隆君
減税問題に関する特別小委員長
村山 達雄君
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昭和五十七年十二月二十三日(木曜日)
午後九時一分開議
出席委員
委員長 森 喜朗君
理事 大原 一三君 理事 粕谷 茂君
理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君
理事 鳥居 一雄君 理事 和田 耕作君
麻生 太郎君 伊藤宗一郎君
石橋 一弥君 今枝 敬雄君
植竹 繁雄君 木村武千代君
熊川 次男君 小泉純一郎君
笹山 登生君 椎名 素夫君
塩川正十郎君 白川 勝彦君
平泉 渉君 平沼 赳夫君
堀内 光雄君 森田 一君
柳沢 伯夫君 山崎武三郎君
与謝野 馨君 柴田 弘君
渡部 一郎君 小杉 隆君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 竹下 登君
出席政府委員
経済企画庁調整
局審議官 横溝 雅夫君
大蔵政務次官 塚原 俊平君
大蔵大臣官房審
議官 吉田 正輝君
大蔵大臣官房審
議官 水野 勝君
大蔵省主計局次
長 窪田 弘君
大蔵省主税局長 梅澤 節男君
大蔵省銀行局長 宮本 保孝君
国税庁次長 酒井 健三君
委員外の出席者
大蔵委員会調査
室長 大内 宏君
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委員の異動
十二月二十三日
辞任 補欠選任
麻生 太郎君 相沢 英之君
伊藤宗一郎君 石橋 一弥君
木村武千代君 金子 一平君
白川 勝彦君 倉成 正君
平泉 渉君 村山 達雄君
藤井 勝志君 植竹 繁雄君
毛利 松平君 堀内 光雄君
渡部 一郎君 正木 良明君
玉置 一弥君 竹本 孫一君
同日
辞任 補欠選任
石橋 一弥君 渡辺美智雄君
植竹 繁雄君 山下 元利君
堀内 光雄君 奥野 誠亮君
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本日の会議に付した案件
昭和五十七年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案(内閣提出第一号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/0
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001・森喜朗
○森委員長 これより会議を開きます。
日本社会党・護憲共同及び日本共産党所属委員が御出席になっておりませんので、出席を要請いたしますので、しばらくお待ち願います。
ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/1
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002・森喜朗
○森委員長 速記を始めてください。
日本社会党・護憲共同及び日本共産党所属委員に出席を要請いたしましたが、いまだに御出席がありませんので、やむを得ず議事を進めます。
昭和五十七年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田耕作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/2
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003・和田耕作
○和田(耕)委員 昨夜遅くこの問題についての質問を大臣にいたしましたので、きょうは、一つの問題だけにつきまして大臣の御答弁をいただきたいと思います。
この法律が昭和四十三年から発効をしたことにつきましては、戦前の満州事変からシナ事変へと発展していく中で国債がどんどんと発行をされてきた、それが結局支払われることなしに終わってしまった、この国債に対する大変不安な気持ちを日本の国民の多数の人が持っている。四十三年から、国債、当時は建設国債でありますけれども、これを発行するについては、国民の国債に対して抱いている不安をできるだけなくするために、安心して国債を買ってもらうための重要な一つの決め手になる制度として、この制度が発足したわけであります。そういうふうな意味で、この制度は、国債に対する国民の信用を確かなものにする重要な制度であるわけであります。
こういうことを考えてまいりますと、今回の五十七年度の定率の繰り入れをストップするというこの法案は、大変大きな重要な一つの意味を持っておるわけであります。そしてまた、五十六年度の歳入欠陥に対して国債整理基金から二兆円余りの借り入れをしている、これは当然五十八年度には返さなければならないわけでありますけれども、伝えられるところによりますと、大蔵省は、これを返す余裕もないので、返さないで済ますようなことを考えておられるということを聞いております。
この二つの問題から判断をいたしますと、この制度そのものの存続に対して、何らかの重要な変更を考えておられるのではないかという疑問を持つわけであります。もしそういうことになりますと、今後まだ大きな国債を発行しなければならない見通しに立っておる現在、重大な不安を国民に与えるということでありまして、私は、非常に困難なことは十分承知しておりますけれども、この制度そのものの存続に致命的な不安を抱かすような今回の措置については、賛成することはできないわけであります。
そこで、大蔵大臣にお伺いしたいのですけれども、今後大蔵省としては、この国債整理基金の制度を存続させる決意があるのか、あるいは場合によっては違った措置を考えるという気持ちを持っておられるのか、この一点について御所信をお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/3
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004・竹下登
○竹下国務大臣 これはいま和田先生御指摘のとおり、確かに戦時中の国債というものが、昭和二十年度の発行が四二%ということになって、これがいわば日本の歴史上の最高の発行比率であったと思うのであります。したがって、その後の別に調整インフレとか政策インフレとかそういう問題がないままに、この困難な戦後復興期におきまして、まさに国債そのものが紙切れ一枚というような感じになって、そこで国債政策、すなわちインフレに対する懸念から、確かに国民全体が信頼を失ったと思うのであります。
したがって、その後昭和三十九年のオリンピック後におきます、俗に当時神武景気とか岩戸景気とか言われた後でありますが、いわば戦後最高の不況と言われたときに、これは佐藤内閣、福田大蔵大臣の当時でありましたが、初めて建設国債の発行に踏み切った。しかし、そのときの議論というものも、国債政策というものがいかにしてインフレにつながらないように歯どめをするかということと、そしていま一つが、いかにして国民の国債に対する信頼をつなぐか、この二点であったと思うのであります。その大きな歯どめ、信頼をつなぐための歯どめとしてできたのが、まさに本日審議をいただいておる国債整理基金の定率繰り入れというものであったと私は思うのであります。
したがって、まさに暫定的な措置、緊急やむを得ざる暫定的な措置として、このような措置をとったわけでございますが、基本的にいわゆる減債制度というものを失わしめてはならない、すなわち、この制度に大きな変革を加えようという考え方はございません。そして、いま五十六年度のいわゆる繰り戻しの問題についての御意見を交えての御質問でありましたが、予算編成中でありますが、私は、この繰り戻しはやはり法律に基づいて五十八年度これを行うべきではないかということを前提にして予算編成を急いでおる、こういうことになるわけであります。
いずれにいたしましても、昨日以来の議論のように、このような不安を除去するためには、言ってみれば五十八年をある意味においてまた財政再建の新しいスタートの年としてこの予算編成をとらまえた場合、まず国債をいかにしてその発行額を減らすかということに重点を置いて、そして基本的には委員御指摘のこの制度そのものは守っていくという方向で今後国債政策に当たっていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/4
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005・和田耕作
○和田(耕)委員 その点を特に要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/5
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006・森喜朗
○森委員長 渡部一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/6
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007・渡部一郎
○渡部(一)委員 国債整理基金に対する定率繰り入れの停止という問題につきましては、これは現在の財政状態のきわめて悪化した現況において仕方がないという意見もありますが、私といたしましては、この財政法の形骸化というものについては、ここのところ連続しているという意味で、余り適切な態度ではないのではないかと思われるわけであります。
すでに述べられているところでもありまして、重複もいたしますが、基本的に、これは財政法の精神に対してかなり傷を負わせたものではないかというふうに私は考えるわけでありまして、大臣の御見解をまず承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/7
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008・竹下登
○竹下国務大臣 私は、渡部先生の御指摘を全く否定するような考えはございません。が、率直に申しまして、世界経済の停滞、その不透明感からして、経済成長そのものも大きく下方修正せざるを得なかったというときにとったやむを得ざる措置、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/8
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009・渡部一郎
○渡部(一)委員 厳格な立場で言うならば、今年だけのことではなくて、四十年度の建設国債、また五十年度から始まった赤字公債の問題、五十三年の法人税の年度区分変更に関する問題等も、ここでいま論議されております国債整理基金からの借り入れの問題につきましても、償還財源の取り崩しという形で今回定率繰り入れの停止ということが考えられているということもあわせて、結局は、言ってみるならば借金の多くなった家計がその借金をさらに別の形でしていくという形で好ましからざる方向へと向かって進んでいった、その原状を回復することがついにできないで、だんだんと拡大していったという傾向の流れというものを感ずるわけであります。
いま大臣は、最近の国際情勢の諸問題を踏まえておっしゃいましたけれども、反省すべきとすれば、これは相当前にさかのぼって考えなければならない問題ではないかと思いますが、その点の御認識はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/9
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010・竹下登
○竹下国務大臣 私は、四十年にいわゆる建設国債の発行に踏み切りましたとき、当時の高度経済成長になれた国民の体質に対しては、一つのいわゆる経済に対して財政の支える対応力というものをある意味においては示したというふうにも、その当時理解しておりました。したがって、この建設国債そのものに対する理解度はだんだん国民の中に浸透しまして、建設国債性悪説というものは比較的なくなっておったと思うのであります。しかし、それが財政の健全性から見れば少ないほど好ましい、あるいはあくまでも一けたであるべきである、こういうようないろいろな議論もあっておりましたが、結局大きな転換を遂げたのはやはり第一次石油ショック後のあの状態からしての、しかも、昭和四十八年が福祉元年と唱えられた当時でございます。それに対応するために赤字国債に踏み切っていった。ここにまた一つの大きな曲がり角とでも申しましょうか、あるいは先生の御意見から言えば認識のチャンスとでもとらまえてもいいかもしれませんが、そういうことがあったのではないかと思う。
したがって、最近の経済情勢の中で、いわば五十四年の経済というものが民間の活力によって自然増収が出た年であって、そういうものは、考えようによれば五十二年、三年あたりの国債の増発が下支えとなって、そういう結果をもたらしたかもしらぬ。だから、それを短期的に見ていった場合には、それなりの財政というものの出動した意義があったとは私は思います。
しかし、そこにやはり限界ができてしまった。その限界というものから、五十五年度予算を財政再建元年と位置づけたかったが、まあ結論としてそれはできなかった。そうして、六年、七年と国際経済の停滞とはいえ大きな歳入欠陥を生じたというような認識から見ると、総合して見たときに、やはり国債依存にイージーな物の考え方がなかったとは言えない、それは反省すべき材料であるというふうに私は認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/10
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011・渡部一郎
○渡部(一)委員 非常に回りくどい言い方はしていただきましたけれども、率直に考え方の反省の意図を述べられましたので、私は、その点を十分考えられまして、今後の財政再建というものは、単に法案あるいはテクニックに満ち満ちたやり方ではなくて、正面から財政再建というものに取り組むという姿勢を腹の中に持ちながら、いろいろな点をやっていただきたいなと思うのであります。
前年度におきまして、たとえば健保の会計につきまして十二カ月を十一カ月で組むなどというようなこそくきわまるやり方、粉飾決算と言われてやむを得ないようなやり方、そういうような国民を瞞着するやり方というものは、これほど財政状態が悪化したときにはむしろ慎まなければいけない。それを別の理由をつけて、十二カ月を十一カ月で組んだのはこれこれしかじかの巧妙なる意味があるのであるというような大上段に振りかぶった弁明というものは国民を怒らせるばかりであって、国民の信をつなぐことはできない。私は、信頼を欠いたところの財政再建策、財政再建というよりもむしろ財政窮乏化の中における諸施策というものは、小細工ではなく、国民に率直に重大問題を訴える中で積み上げられるものではないか、こういうふうに思うわけでございまして、先ほどの御答弁でも明らかではございますが、もう一言承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/11
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012・竹下登
○竹下国務大臣 私も過去の財政運営を見ましても、いま渡部先生、歳出のいわば十一カ月分で組んでつじつまを合わせた、こういう御指摘でございます。その前に、やはり歳入の際の十三カ月分を先取りしたこともあったと思うのです。それなりの、その都度の理由はあろうかといたしましても、やむを得ざる措置とはいえ、財政そのものを預かる者として反省すべき一つの曲がり角というのがその辺にあったということでございます。したがって、いま御指摘のような姿勢でもって、今後訴えるべきは国民に訴えて進めていかなければならない問題であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/12
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013・渡部一郎
○渡部(一)委員 今回の補正の組み方自身の中で、一番緊急非常事態の問題が扱われているのはわかるのでございますけれども、この緊急事態、救難措置にも当たるべき財政運営の中でも、将来のために景気を刺激し、財政を再建するための手続きが積極的に織り込まれなければならないと考えるわけであります。
もちろん、そんなに巧妙な手が連続してあるならば、すでにとっているとおっしゃるでありましょうけれども、視点を変えてアイデアをもっと出すべきが財政当局なのではないかという感じが私はしてならないのであります。第二臨調にすべての考えをつくり出すのをゆだねて、責任者である財政当局が後ろへ下がって二年間を空費したように見えることは、国民にとってはなはだ心外だと私は思われるのでありまして、その辺はもう一工夫、二工夫あってしかるべきではないかと私は思うのであります。
それは、私は実感で一つ申し上げて、当委員会の所管もちょっと外れた形で申し上げるわけでございますが、たとえば現在、新設住宅建設について、来年度はひとつ百三十万戸ぐらい目指すようにすべきだとわが党では言うているわけでございます。その新設住宅建設が大きくなってくるということは、景気の回復に大きな効能を持つものと私たちは思っているわけでございますが、現場を歩いてみて痛感をいたしましたことは、最近、住宅の増改築に対する猛烈な動きが起こっておりまして、その増改築融資制度の充実とか中古住宅に対する公庫融資の拡充の要望というのはきわめて高いものであります。テレビで見たので正確な数字はわかりませんが、一昨年は二兆五千億、昨年ではすでに五兆円、今年度はすでに七兆の規模に達しようというような中古住宅修復に関する仕事というものが発生しているようでございまして、先進諸国を見れば見るほど、そうした問題については考慮すべき事態が来ているのではないかと私は思うわけであります。
この辺、いまのうちからそろそろ手を打ち始められても、財政的に見ましてそう金額のかかるものではありませんし、そういう雰囲気が国内に醸成されていくということは、景気回復への大きな足がかりになるのではないか。そうすると、年末のボーナスの使い方にしても、国民の皆さんは考えていただけるのではないか。
そういうふうに考えますと、これらの諸制度を少し考え直していただくということも、あわせて今後財政当局に考えていただきたいなと思うのでございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/13
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014・竹下登
○竹下国務大臣 御指摘のように、住宅というものはすそ野が広いだけに、ただ木材とか鉄筋とか鉄骨とかにとどまらず、畳にいたしましても、じゅうたんにいたしましてもカーテンにいたしましても、あるいは障子紙にいたしましても、確かに需要を喚起するには最高の対象物であるというふうに私も理解しております。
そこで、ただいま百三十万戸という御指摘もございましたが、今年度、目下五十七年度の見込みでは百十四万戸程度ではないか、こう申しております。これについて私もそれなりに検討してみましたが、きょうたまたま聞いてみますと、私の隣に座っておる塚原政務次官は昭和二十二年生まれでございます。昭和二十二年から二十七年までは大体毎年二百五十万程度生まれておりましたので、その方々が結婚されると百二十五万組、その後、今日百六十万程度でございますから、その方々が結婚されて大体八十万組といたしますと、年間の結婚組数がおおむね四十万組ぐらい減っておる。これは構造的な住宅需要に対する人口とかなんとか言うのでありますが、いわばベビーブームの方々が、経済成長したり子供たちができたりしてすでに二DKから三LDKへ移って、そうした新しく二DKで事足りる方々の組数自体が少なくなってしまって、したがって、いま空き家戸数が、私が五十一年に建設大臣をしておりますときが百八十一万戸、いま二百七十万戸で、言ってみれば大阪一つがすっぽり空いている、こういう状態でございますので、量的には足りた。そしていま一つは、昭和三十五年からの高度経済成長期にいわば田舎のわら家も全部かわら家になった、それの耐用年数がまだ来ないというような背景もあるかと思うのであります。
したがって、いま委員御指摘のように、これからはいわゆる新築以上に増改築に財政があるいは政策が出動すべきである、こういうことで、五十七年度予算で見ますと、増改築枠というのが住宅公庫で四万八千戸でございますか初めて出てきた。そういうようなことから総合経済対策でさらに一万五千戸、そういうようなことになりまして、貸付限度も三百万から三百五十万にふやされた。そういうようなことが、いまの御指摘の増改築に対して、それを、言ってみれば量的な問題より質的に、あるいは家を広げていこう、そういうニーズにこたえていこうというので、それらの政策がそれなりに出動しているわけでございますけれども、さらにもっともっと工夫をして、これには対応していくべき課題だというふうに率直に思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/14
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015・渡部一郎
○渡部(一)委員 大臣は建設関係も非常に明るくていらっしゃいますので、もう一言国務大臣としてお答えをいただいておきたいと思うのは、実はこの増改築をやっておられる方々から聞いた話で、一番強烈に要望が出てまいりますのは容積率の制限に対する変更の要望であります。
と申しますのは、最近二世帯、三世帯住宅で住むという要望が多くございますが、そういう人々にとりましても、また二DKや三DKは新世帯が住んでいて、子供がふえた御家庭でも同じように要望されますのは、物を置く場所がないという要望でございます。この物を置く場所がないという要望は、要するに、家の中じゅうがいろいろな品物、戸棚、たんすその他の品物で埋まってしまって足の踏み場がないという状況に意外になってくる。そのための住みにくさを解決するために物置が欲しいあるいは地下室が欲しい、屋上に載せる物置が欲しい等々の要望があらわれてくるようであります。
ところが、意外や意外でございますが、屋上に物を載せるというのは消防法の上で難点がある。そしてまた、うちの中に物置をつくろうとすれば、その物置は容積率で制限されて増築をするということは不可能である。容積率についての御議論が建設委員会等ですでに幾多行われている問題でございますから、その御議論に対して非難を加えるつもりはないのでありますけれども、たとえば地下室のようなものをつくった場合には容積率から外すとか、駐車面積については容積率から外すとか、あるいはピアノ室については容積率から外すとか、使途に応じて容積率に対する考え方というものを一部手直しをするということは、このような財政再建の意味にもかないますし、多くの投資が行われるし、なかなかよろしいのではないか、そういうように考えるわけでございます。この点も、いろいろなテーマがございますので、諸官庁と御相談の上、御検討をいただけないものかと思いまして、御質問する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/15
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016・竹下登
○竹下国務大臣 いわゆる他下室の問題につきましては、木造住宅の場合は火災等の問題から建築基準法上の制限がございます。が、いまの容積率というものの問題につきまして、住宅建設の一つの融資の対象として、また、建築そのものの質的改善というのは、質というものの大部分のニーズは広さということになっておるようでございますから、両面からの御指摘でございますので、いま建設省でそういう問題について検討をしておると聞いておるわけでございますけれども、わが大蔵省と建設省は、しょっちゅういろいろなことで仲よくしたり議論したりいたしておりますので、私どもの方からも、先生から御提案なさいましたことは、言ってみれば建設的な画期的な意見として、これをお伝えすることにやぶさかでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/16
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017・渡部一郎
○渡部(一)委員 ぜひよろしくお願いしたいと存じます。
最後に私が申し上げたいのは、国税職員の定員の増加に関する要望でございます。
国税労組全国会議におきましては、国税職員の定員を一万名増員してほしい、五十八年度において二千名の定員増を実現してほしい、また、歳入官庁であるのですから、画一的な定員削減の対象にしないでほしいという要望を持ってきております。
この問題につきましては、私は、国民の中において課税執行に対する不公平感がますます増強している状況というものを考えますと、少ない職員に重労働を課すということは不公平感をますます増すゆえんではないかと心配をいたしておるところでございます。当委員会におきましても、実に九回にわたりまして国税職員の増員というものが決議されているわけでありますが、その実行はきわめて明快でない、実施はきわめて遅々たるものである、ある年には逆にゼロになってしまうというような状況も続いているわけであります。
人数一人当たりにつきましても、一人を増員すれば五千万円程度の増収が上がるとまで職員側は述べているわけでありまして、機械的にとてもいくものではないとは思いますけれども、職員の構成がある年代層に集中しており、非常に大きなばらつきを示しておる。関税職員の仕事の質の低下というものが、広い意味で課税の低下を招くだけでなく、不公平感を助長したり、日本国民の行政に対する反感を助長することになる可能性がきわめて高い。これは、ある意味で民主主義の危機的現象の最初の大きな現象であると私は思うのであります。
その意味で、この問題については特段の御配慮をいただかなければならないだろうと私は思います。職員の数を機械的に全部減らせばいいというような程度の仕事をしておりますならば、そのしわ寄せは国民にはね返ってくると私は思うのでございまして、この点について十分御検討の上、適切な御措置をお願いしたいと要望するものでありますが、ぜひ御答弁を的確にお願いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/17
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018・酒井健三
○酒井政府委員 国税庁では、税負担の公平の確保、歳入の確保を図るために、従来から、限られた定員の中で事務の合理化とか効率化を進める等最大限の努力をしてまいったわけでございますが、一方、私どもの税務行政を取り巻く環境は、先生の御指摘のように年々厳しさを加えておりまして、課税対象の増大とか取引の広域化、複雑化等厳しさが加わっているわけでございます。
こういうような状況のもとで、私どもも、一層適正公平な課税を実現するためには、国税庁としては、職員の強い要望もございますので、国税職員の増員が必要と考え、今後とも関係方面の御理解を得られるように極力努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/18
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019・渡部一郎
○渡部(一)委員 そういうあなたの御意見はもうわかっているし要らないのです、時間つぶしなばかりだから。
大臣、これはまことにお答えしにくい答弁だろうとは思いますけれども、いまのままでいくならば、申告納税者については二十年に一回、法人については十年に一回しか調査されないことになる。したがって、十年に一回ずつ会社を整理すれば課税されない法人というものが発生するということは公然と言われていることであります。こういう中において、課税当局がもう一回点検に来られれば災難としか考えられない、そういう風潮が増加しつつあるわけであります。
その意味で、課税の公平というものは、課税当局が本当に考えなければならぬテーマとして、職員の増員については別段の配慮が要るのではないか。聞くところによれば、大臣は内閣における枢要な有力者とも承っておりますし、その御実力を示していただくチャンスではなかろうかと私は思うわけでありまして、ぜひ御答弁をお願いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/19
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020・竹下登
○竹下国務大臣 これは渡部委員、五十五年度予算編成をいたしました責任者として、あの当時何よりも私の気になりましたのは、公務員全体の純減の際でございましたので、国税職員の九名減ということが大変ざんきにたえない思い出の一つであります。
率直に言って、国税職員の諸君は本当に一生懸命やっていると思います。したがって、これらの要望というもの、そして全体からするその必要性というようなものと、現在置かれておる行政改革、人員削減、そういう中でどのように知恵をしぼっていくかということが、私に課せられた使命の一つであろうと思いますし、たびたび御決議もいただいておりますので、御声援のほどを心からお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/20
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021・渡部一郎
○渡部(一)委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/21
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022・森喜朗
○森委員長 小杉隆君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/22
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023・小杉隆
○小杉委員 時間も大分遅いことですし、私は、昨日の時間切れによって質問を十分尽くせなかった点にしぼって質問をしたいと思います。
まず、今度の補正予算案を見まして、いかにも経費の節減が少な過ぎるのではないか。それは、歳入が六兆円も落ち込んだ、これは収入の見込みの三十六兆円の約六分の一に及んでいる。これに対して経費の節減は、確かに表では三兆三千三百九十五億円になっておりますが、これは、いまこの法案の出されている国債費の定率繰り入れの停止ということで一兆二千億、地方交付税の減額で一兆七千億、あと予備費の削減が千二百億ということで、既定経費の節減というのはわずか三千二百五十億円にしかすぎないということなんです。
昨日の答弁では大体一〇%を削ったというのですが、総額五十兆円に及ぶ予算の中で、どういう項目が削れなくて、どういう項目を削る対象にしてやったのかというところをもう少し詳しくお答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/23
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024・窪田弘
○窪田政府委員 五十七年度の予算総額は四十九兆六千億でございますが、このうちから人件費、国債費、地方財政費、年金、恩給、公共事業費、生活保護費のような義務的経費、あるいは国庫債務負担行為の歳出化、国際協定のある出資金、育英資金のような貸付金等々の節約対象除外の経費が四十八兆七千億ございます。そういたしますと、差し引き節約対象の経費は九千七百四十六億円でございます。
このうち、たとえば試験研究費のように従来軽減した率で節約をしているものがございますので、そういうものについては軽減節約率として、その他大部分について一〇%の節約をいたしますと、節約が約七百億ということになります。前年度はこれが五%の節約でございましたから、節約額が約三百五十億でございました。
そのほかに、ことしは、補正予算を組む段階で執行の見込みがないもの、あるいは予算に計上いたしましたが実行上安上がりで済みそうなもの、そういうものを全部洗い出しまして、約千億円の不用見込みを計上しておるところでございます。この不用見込みは前年は二百五十四億でございましたから、従来に比べますと非常に努力をした、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/24
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025・小杉隆
○小杉委員 いまの説明を聞きますと、従来と比べれば相当財政当局が努力したということはわかるんですが、私は、これは歳入が六分の一も減っているのに、歳出の方の削減対象がわずか一兆円足らずということでいいんだろうかというのが率直な疑問なんです。
これは、財政当局に聞くよりも大蔵大臣に聞くべき問題だと思うのですが、中曽根さんは行政改革をいままで担当してきて、今度の内閣組閣に当たっても行政改革を最大重点に掲げている内閣であるわけです。その内閣が最初に編成をするこの補正予算ということになれば、従来と同じ手法で減額補正というものをやっていいのだろうか。四十九兆円のうちわずか一兆円だけを対象にして、一〇%削りました、従来は五%ですと、こういうことで鬼の首でも取ったように言われたのでは、なかなかこれは国民の期待にこたえられない。
まず大蔵大臣に伺いたいのは、いままで、補正ということの性格上、制度の見直しとかあるいは政策的な経費については年度途中では手をつけないんだというようなことでしたけれども、こういう人事院勧告を凍結をするとか定率繰り入れを停止するというふうな異常な手段をとらざるを得ない今回の補正に限っては、やはり従来と同じ姿勢で減額をするという安易な姿勢ではなくて、もう少し政策的な経費とか制度の見直しにまで踏み込んで減額をすべきではなかったかと思うのですが、その辺の見解を聞かしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/25
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026・竹下登
○竹下国務大臣 私は、財政民主主義ということから、いわば国会の議決をいただいておるということにおいては、本予算を補正する場合に、まず、すでに国権の最高機関たる国会の議決というものがあるだけに、いわゆる政策転換をももたらすような内容というものには確かに疑問があると思うのであります。これは、たとえば旧憲法下と違いますところのいまの暫定予算制度というものは、逆にまた暫定予算の持つ性格から、政策的なものは組み入れるべきでない。そういう本予算、補正予算、暫定予算というようなものの性格の中に大きな政策転換を行政府の意図でやっていくということには、おのずから限界というものがありはしないかというふうな感じを持っております。
しかし、委員の御指摘は、これだけ緊迫した状態であるから、そのような措置をしても、いわば審議していただける国会の方にはそれを許容するだけの気持ちもあるじゃないかという感じも私には理解できますので、今後の予算編成に際してその意図を十分に生かして、もう迫っておる五十八年度予算でございますが、編成の作業に当たらなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/26
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027・小杉隆
○小杉委員 後段の答弁はそれで結構だと思うのですが、前段の方は、国会の議決を経たのだから政策の転換にわたるような修正というか見直しはできないのだということですけれども、それじゃ、国会にかけたこの予算の収入の見積もりですね、三十六兆円がなぜ六兆円も落ち込んだのだ、その辺の政府の責任はどうなんだということを言いたいわけですが、後段で大変低姿勢な答弁になっていますから、これはやめます。
私は、この前の委員会でも申し上げたのですが、たとえば昨年度も三兆円の歳入欠陥が大体いまごろ明らかになってきたにもかかわらず、当然減額補正を組むべきだと言ったのに組まなかった。こういうことで、五十七年度は何とか減額補正をやりますということでやって出てきたわけですが、これが思ったほど多くなかったということであります。私は、これからの残されたわずかの期間ですが、たとえば政策的な経費じゃなくても、あるいは制度的な見直しにわたらないものでも、たとえば医療費にしてもあるいは私学助成なども、詳細に調べますと、私学の中にいろいろ寄附を大幅に集めたりというかことで、必ずしも組んだ予算を全額支出しなくても済むのではないかというような経費がたくさん含まれていると思うのですね。そういう点については、今度の補正にこだわらずに大幅に削り込んでいくという努力をやはりしていくべきだと思うのですが、そのほかにもっと努力の余地があると思われるものがあれば、その決意とあわせてお聞かせをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/27
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028・窪田弘
○窪田政府委員 医療費につきましては、監査を一層厳しくするという形で、一応見込みで計上してはおりますが、なるべくその支出が少なくなるように、厚生省とも相談をして努力をしておるところでございます。
また、私学助成につきましても、新聞で報ぜられているような事件もございまして、そういうものに対しては厳しく留保をするというような形で、その他執行上従来余り気にしていなかったような点につきましても、今後大いに実行を洗いまして、予算の執行上できるだけ節約を図るようにしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/28
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029・小杉隆
○小杉委員 私は、これは文教委員会でいずれ指摘をいたしますが、たとえば私学の中には、どんどん過大な設備投資をして、それを回収するために在校生とか新入学者から相当多くの寄附金を集めて、それでしかも私学助成をもらっているというようなケースが非常に多いわけでございまして、こういう点は、ひとつ、補正予算が通っちゃったからもういいのだということじゃなくて、これから残された期間のうちに全力でいままでの中でももっともっと削り込んでいく、収入の減に比べて歳出減が余りにも少な過ぎるということを十分自覚をして努力をしていただくということをお願いをして、時間もありませんから質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/29
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030・森喜朗
○森委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/30
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031・森喜朗
○森委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。中西啓介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/31
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032・中西啓介
○中西(啓)委員 私は、自由民主党を代表して、昭和五十七年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案に対し、賛成の意見を述べるものであります。
昭和五十七年度におきましては、世界経済の停滞等を反映して租税収入等が見込みを大きく下回り、経費の徹底した節減合理化を行っても、なお多額の公債の追加発行が避けられない状況となっておりますが、現在の厳しい公債の消化環境を考えますと、極力その発行額の縮減を図る必要があります。このような状況のもとで、当初予定した国債費定率繰り入れを停止することといたしますれば、それだけ特例公債の追加発行額の縮減が可能となるのであります。
他方、国債整理基金の資金繰りの状況を見ますと、五十七年度の公債の償還は、これまでに積み立てられた余裕金によって十分に対処可能であり、定率繰り入れを停止いたしましても、五十七年度の公債の償還に支障を生ずることはないのであります。
このような財政事情等にかんがみますと、緊急の措置として、五十七年度の定率繰り入れを暫定的に停止することは、当面の財政運営のためやむを得ないものと考え、本案に賛成するものであります。
なお、公債の償還については、いやしくも国民の間に不安、誤解を与えることのないよう、政府は一層の努力を傾けられるよう要請いたしますとともに、将来における大量の公債償還に適切に対処するため、中長期的視点に立って幅広く検討を加えることを求めまして、私の賛成討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/32
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033・森喜朗
○森委員長 鳥居一雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/33
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034・鳥居一雄
○鳥居委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十七年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰り入れの特例に関する法律案について、反対の討論を行うものであります。
以下、本法案に反対する理由を申し上げます。
その第一の理由は、政府が財政再建計画を破綻させたことであります。政府は、五十六年度に引き続き五十七年度も経済財政運営に失敗し、巨額な歳入不足をもたらしております。この巨額な歳入不足は、政府も認めざるを得ないように、五十九年度に赤字国債から脱却する計画を完全に破綻させております。今日まで、財政再建の名のもとに国民に負担と犠牲を強いながら、簡単に公約を棚上げする政府の責任はきわめて重大であります。しかも、新たな財政再建計画は一切明示していないのであります。財政再建の破綻の責任を明確にしない政府の態度はとうてい納得できません。
反対する理由の第二は、政府が財政法を形骸化させ、財政運営の節度を失っていることであります。政府は、昭和五十年度に本来わが国財政法で認めていない赤字国債を発行して以来、法人税の年度区分の変更、歳入欠陥を国債整理基金からの借り入れで埋め合わせるなど、糊塗的な方法で財政をゆがめてまいりました。国債整理基金への定率繰り入れの停止もその一環であるとともに、将来、国債を現金償還するための財源を取り崩してしまうことから、赤字国債の借りかえにつながることは必至であると言わねばなりません。国民に増税と福祉後退を強要しながら、財政の健全化に逆行する措置を見逃すことはできないのであります。
政府は、激増する失業者や企業倒産を知りながら、相変わらず帳じり合わせ的な財政再建策に固執し、所得税減税を見送るなど、景気回復にきわめて消極的であります。また、財政再建についても、その計画を明示しないばかりか、大型間接税の導入すら画策しております。これら政府の姿勢は反国民的と言わざるを得ず、本法案に賛成できない大きな理由でもあります。
わが党は、本法案には反対でありますが、財政再建の緊急性にかんがみ、本法案の質疑に参加いたしました。しかし、同僚議員の一部は本委員会の質疑に対して参加せず、審議終了を迎えたことは、私は、同僚議員の欠席の理由を理解できるゆえに、はなはだ残念であります。
すなわち、政府は、公務員の給与に関する人事院勧告を無視し、凍結の意図を覆さないために、その約束を取りつけんがために欠席されるのを何で批判できましょうか。私は、この際、スト権を奪われた公務員の人々のために、この場をかりて、ぜひとも人事院勧告実施を希望いたします。それは憲法に沿い、政府職員の忠誠と勤勉を保証するためにもぜひとも必要だからであります。
以上をもちまして、私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/34
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035・森喜朗
○森委員長 和田耕作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/35
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036・和田耕作
○和田(耕)委員 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、この国債整理基金に関する特別の法案に対しまして、反対の討論をいたしたいと思います。
今回の補正予算を考えますと、現在の国債の額は九十七兆円という巨額に達しております。しかも、その四〇%、四十兆円というのは赤字国債なのであります。
政府は、五十九年度までに赤字国債の発行をゼロにするというかなり重い公約をしてまいりましたが、今回の中曽根総理の言明を待つまでもなしに、この公約は無残に破綻を示したのであります。
それだけではありません。今回のこの補正予算で示される三兆九千億の赤字国債の増発等を考えますと、五十七年度の六兆一千億という税収不足というのは、五十八年度はもっと多くの税収不足が出てくるというようなことを考えましても、今後ますます赤字国債の増発は避けられない、そういう状態にあるわけであります。
そういうときに、この苦しい状態の何とかつじつま合わせというような感じで国債整理基金からの定率繰り入れというこの制度を五十七年度ストップするというこの法案の内容は、きわめて重大な意味を持っておるわけであります。国債発行の無謀な増大というものを防ぐ歯どめとしての歴史的な役割りを果たしてきたこの制度に何らか大きな変化が起こるのではないかということを、国民の多くの人たちは大変心配をしている。そういうようなことをやろうとするのが今回の定率繰り入れのストップの法案であります。これは本当に真剣に考えてみなければならないと思います。
政府・与党の人たちは、たとえば五十八年度の国債の償還でも五十九年度の償還でも、仮に定率繰り入れをやめたとしても支障がないということを言っております。なぜ支障がないのか。いままでの積立金があるからじゃありませんか。いままでの積立金があるから、五十八年度も五十九年度も国債の償還が支障なくできるというわけであります。
そういうことを考えましても、この制度は今後とも厳しく守っていかなければならないと私どもは考えております。そうでなければ、国債特にこの赤字国債の歯どめになるような制度は何一つないからであります。また、歳入欠陥に対して、これに対処するものは国債の増発だけだというような状況を考えましても、この問題については特別に慎重な考慮が必要なわけだと思うのであります。そのような意味で、政府に対して強い反省を私どもは求めたいと考えております。
また、これと関係していまの人事院勧告の問題、この問題なんかは本当にまずい問題だと思います。公務員に対して、今後行政改革等を通じて大きな犠牲を強いようとしている、がまんを願おうとしておるのに、その公務員に対して制度上しっかりした制度を持った人事院の勧告というものを無視するというのは、本当に暴挙だと私どもは考えております。そういうものを考え合わせましても、政府は、この際もっと真剣になってこの財政再建の問題に取り組まなければならないと考えておるわけであります。
いろいろな意味を込めまして、私どもはこの法案に賛成することはできないわけでありまして、反対の理由の大筋を申し上げまして反対討論といたします。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/36
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037・森喜朗
○森委員長 小杉隆君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/37
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038・小杉隆
○小杉委員 私は、新自由クラブ・民主連合を代表して、ただいま議題となっております昭和五十七年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰り入れの特例に関する法律案に対し、反対の立場から討論をいたします。
まず、今回政府がとろうとしているこの繰り入れ停止措置は、質疑の中でも指摘してきたとおり、一時しのぎの施策でしかなく、財政当局がわが国の財政の将来に何らの願望も持っていないことを露呈したものと言わざるを得ないのであります。加えて、今回の停止措置が、九十七兆円にも及ぶ国債残高に対し大きな不安を抱いている国民に、さらに強い動揺を与えることは必然であり、今後発行されるべき国債の消化が危ぶまれる結果となります。
さらに、六兆円にも及ぶ歳入欠陥を出すという予算編成上の読み違いをしておきながら、国際経済の落ち込みを理由に、あたかも政府の責任ではないと言わんばかりの答弁に終始し、支出削減について不徹底であり、政府の財政運営についての姿勢には大いに不満を感じざるを得ません。
本来、今日の財政危機を乗り切るために、断固とした決意で徹底的な行政改革を断行し、簡素で効率的な行政府へと体質改善を図ることを言明されたのは、前鈴木内閣において行管庁長官であった中曽根総理でありました。中曽根内閣は行革を実現するためにこそ組閣されたものとわれわれは期待をしておりました。しかし、中曽根総理、竹下大蔵大臣となった現在もなお将来願望を示し得ず、相も変わらぬ場当たり財政運営を続けていくことが明らかとなった以上、この法案に対して反対していくことが国民に対する私たちの使命であると申し上げざるを得ないのであります。
最後に、いまや最大の国民の念願となった大規模な所得減税、景気対策などについて、政府は速やかにしかるべき措置を講じ、一部の圧力に屈することなく、行政改革、財政再建、景気回復、政治への信頼回復に誠意を持って真剣に取り組むよう強く要望し、本法案に対する討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/38
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039・森喜朗
○森委員長 これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/39
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040・森喜朗
○森委員長 採決いたします。
昭和五十七年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/40
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041・森喜朗
○森委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書事の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/41
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042・森喜朗
○森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/42
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043・森喜朗
○森委員長 次回は、明二十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後十時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704629X00319821223/43
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