1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十七年十二月二十三日(木曜日)
午後八時四十八分開議
出席委員
委員長 中山 利生君
理事 工藤 巖君 理事 染谷 誠君
理事 宮下 創平君 理事 安田 貴六君
理事 石田幸四郎君 理事 青山 丘君
池田 淳君 臼井日出男君
小澤 潔君 北川 石松君
左藤 恵君 桜井 新君
志賀 節君 塩谷 一夫君
竹中 修一君 谷 洋一君
玉沢徳一郎君 中村 弘海君
草野 威君 部谷 孝之君
田島 衞君
出席国務大臣
自 治 大 臣 山本 幸雄君
出席政府委員
自治大臣官房審
議官 津田 正君
自治省行政局公
務員部長 坂 弘二君
自治省財政局長 石原 信雄君
自治省税務局長 関根 則之君
委員外の出席者
地方行政委員会
調査室長 島村 幸雄君
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委員の異動
十二月二十三日
辞任 補欠選任
江崎 真澄君 玉沢徳一郎君
片岡 清一君 志賀 節君
地崎宇三郎君 桜井 新君
同日
辞任 補欠選任
桜井 新君 地崎宇三郎君
志賀 節君 片岡 清一君
玉沢徳一郎君 江崎 真澄君
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本日の会議に付した案件
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/0
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001・中山利生
○中山委員長 これより会議を開きます。
ただいま日本社会党・護憲共同、日本共産党の委員の出席がありません。ただいま委員長から事務局に命じ、出席方を要請いたさせますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。――日本社会党・護憲共同、日本共産党に対して出席を要請いたしましたが、いまだに出席ありませんので、やむを得ず議事を進めます。
内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田幸四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/1
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002・石田幸四郎
○石田(幸)委員 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、若干の質疑をいたしたいと存じます。
ちょっとかぜを引いておりますので聞きにくい点があるかもしれませんが、御容赦をいただきたいと思います。
今回、地方交付税等の減額についての提案を政府がなされておるわけでございますが、このことは、地方自治体にとってその行政の運営上大変大きな支障を来すわけであります。ここ数年のそういった推移を見ておりますと、これから五十七年度、五十八年度、五十九年度と、少なくとも中期展望に立ったときに、大変地方の財政が厳しい状態が続くのではないか、このように思わざるを得ないわけでございます。
そういうような厳しい財政状況の中で、やはり地方の自治あるいは住民生活環境等を整備していかなければならないわけでございますけれども、ただ金がない金がないだけでは、住民生活の発展は期待できないわけでございますので、やはり重点的にやるか、あるいはまたどんな面に新しい芽を出して今後の地方行政をリードしていこうとするのか、まず基本的な考え方を大臣より承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/2
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003・山本幸雄
○山本国務大臣 今回の地方に対する財源不足を来したのは、大変遺憾なことでございますが、これは御承知のように、地方税そのものの減収と、それから国税三税による地方交付税の減額という、二つの大きな理由のためにこういうことになったわけでございます。ただいまのお尋ねは、そういう地方財政の将来はやはり厳しいものであろう、そういうのを踏まえて、これからの地方行財政のあり方というものはやはり新しい観点で考えていかなければならない時期が到来をしておると私どもも考えます。
そこで、地方の実情は、私はやはり時代とともに大きく動いておると思います。いろいろな財政需要にしましても何がしかの変化は起こっておりますし、地方の住民の生活、そういうものにもやはり変化を来しておる。また、価値観の変化ということもございます。また、地方行政の中には文化的な面も非常に取り入れられるような時代が来ておりまして、地方は実にいま大きく動いておると私は思うのでございまして、そういう新しい事態に対処して地方財政の確立を図っていくというのは、当面大変大事な問題であろうと私は思います。ただ、何といいましても、地方財政は国の財政との関連も大いにあるわけでございまして、そういう関連あるいは整合性といいますか、そういうものも考えながらこれからのそうした問題と取り組んでいかなければなるまい、かように存じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/3
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004・石田幸四郎
○石田(幸)委員 なおいろいろそこら辺についてのお話も申し上げたいわけでございますけれども、限られた時間でございますから、具体的な問題に少し入ってまいりたいと思うわけでございます。
成長率の問題でございますけれども、五十七年度の当初予算においては五・二%というようなことで、補正予算の段階において三・四というふうに下方修正をされたわけでございますけれども、この下方修正についても、いわゆる民間の研究機関は二・五%前後というような推測をいたしておるわけでございまして、三・四というのはかなり無理があるのではないかというふうに思われるわけですね。
ですから、二つある。一つは、下方修正のままで行った場合は問題がないという点。それからもう一点は、下方修正が当たらなかった、なお下がってしまったというようなことになる場合は、十分にというよりは十二分にもう想定をされるわけですけれども、そういうことによってさらに減収が明らかになった場合には、一体どんな措置をとられるのか、ここら辺について明かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/4
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005・山本幸雄
○山本国務大臣 この成長率の問題は、今回三・四と修正をしたわけでございますが、これについては政府側として、経済企画庁は今回の三・四は自信を持ってとにかく実現できる、こういうふうに言っておるわけでございます。そのためには、今回の補正予算にも出ております総合経済対策というものを実施をしていかなければならない、しかもこれを早急に実施をしていかなければならないという事態になっておると思います。いままで企画庁が考えました成長率は、本当のところ何回か修正をされておりますが、今回の下方修正は、いろいろな経済指標を考えてこれは実現できるもの、こういうふうに政府としては考えておるところでございますので、さようなことの考え方で地方財政も対処をしていこう、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/5
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006・石田幸四郎
○石田(幸)委員 いまの大臣の答弁は型どおりのお答えであって、しかし事態はそんなになまやさしいことではない。いわゆる地方自治体においても、あるいは国民の皆さんも、三・四がさらに下回るのではないかという推測をすでにしておるわけでございますので、そういうことによって減収が起こったときには何らかの補てんをしなければならないわけでありまして、それが起債で賄うのか、さらに補正を組んで地方交付税を追加するのか、これはそううまい手法がたくさんあるわけではなくて、手法は限られておるわけでございますから、そこら辺の想定の議論というのは、本委員会で政府側から一つの予測としての答弁があることは当然なわけでありますけれども、これはやはりしてもらわなければならぬと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/6
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007・石原信雄
○石原政府委員 今回の補正予算に関連いたしまして、地方交付税において一兆六千九百五十七億円の減額が行われているわけでありますが、そのもととなりました国税三税の減収額五兆二千九百九十億円、これについては、国税当局が最新のデー夕で、いわば積み上げによって見積もったもので、私どもはこれが確保されるものと考えております。しかし、今後の経済の動きによって、これが絶対変わらないということは言えないわけでありますが、ただ、地方交付税について申しますと、この減額後の三税を前提として現在の予算計上額がそれぞれ執行されるわけであります。したがって、再度交付税の減額補正がない限りは、五十七年度の交付税はこの額で最終的に地方団体に確保されるということになろうかと思います。
それから、地方税につきましても、最新のデータによって税務当局において減収額が見積もられたわけでありまして、私どもは現時点では、今回の一兆二千億余りの減収見込み額、これで何とかとどまるもの、このように見ております。ただ、この減収補てん措置につきましては、この地方財政計画上の金額そのままではなくて、各団体ごとの最新のといいましょうか、現実にこの減収補てん債の許可を行いますヒヤリングは、年が明けて一月末から二月ごろ行うわけでありますが、その時点における最新のデータによる各団体ごとの税収見込み額と本年度の基準財政収入額の算定の基礎となった収入見込み額との差額を基礎として減収補てん債の許可を行うこととしておりますので、仮に今後多少の変動がありましても減収の面では対応できる、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/7
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008・石田幸四郎
○石田(幸)委員 減収見込みの場合、その対応ができるとおっしゃるのですけれども、どういう形で対応するというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/8
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009・石原信雄
○石原政府委員 減収補てん債は、あらかじめ総枠を決めておくわけではございません。各団体ごとの年が明けてからの最終的な現実の税収見込み額と、それから地方交付税の計算の基礎となりました関係税目の交付税計算上の収入見込み額とのギャップ、これを基礎に補てん債を許可いたしますので、仮に今回の見込み額よりも大きくなりましても、それは減収補てん債で対処できる。すなわち、この減収補てん債はあらかじめ枠を決めておるわけではありませんで、現実の必要額に基づいて許可が行われますので、今後の変化には対応できる、このように考えるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/9
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010・石田幸四郎
○石田(幸)委員 それでは、ちょっと角度を変えてお伺いをするわけですが、要するに、地方が発行している各種の債券の総額、新聞によりますと五十兆円ぐらい、こう言われておるわけでございますが、この五十兆円に上る大きな債務を地方自治体が抱えているという傾向、これはまあそう簡単にどんどん返せる状況ではないわけでありまして、一体これに対する対処の仕方、もちろん長期的な返済であるわけでございますから、それはそれなりの対応の仕方があると言えばそれまでなんですけれども、しかし、これだけのいわゆる借金財政というものを少しでも解消をしなければならない、その具体的な手だてというのはどんな柱を立てておられるのか、そこら辺についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/10
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011・石原信雄
○石原政府委員 地方債の現在高は、普通会計で今年度末で三十五兆円余り、それから交付税会計の借り入れの現在高が九兆六千億円、それに公営企業関係で普通会計の負担によって償還をしなければならないもの、これが七兆円、これらを合わせますと五十兆円を超える金額になります。これらにつきましては、それぞれその各年度ごとの償還額が決まっておりますから、これを前提にして各年度の財政措置というものを考えていかなければならないわけであります。
そこで、今後の各年度の地方財政の収支全体がどのようになるのか、その中でこの償還費というものが償還にたえられるのかどうか、あるいは地方行政全体に支障が生ずるのかどうか、こういった点は中長期の財政見通しを立てることによって明らかになるわけでありまして、その計画なども今後検討していかなければなりませんが、いずれにいたしましても、現在の地方財政の状況では、率直に申しまして、今後の収支見通しというのは相当シビアにならざるを得ないと思います。
そこで、これにどう対処していくのかというこになりますと、一方においては、歳出面で節減合理化を徹底する、行政の効率化に努めるということと同時に、また歳入面におきまして、地方税源を初めとして地方財源の充実強化、確保ということが今後図られなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/11
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012・石田幸四郎
○石田(幸)委員 そこら辺の細かい議論をする時間がないわけでございますけれども、具体的に言って、じゃ、どういうふうに歳出を切り詰めるかというような問題、これはひとつ年が明けたらじっくりとまたお伺いをいたしたい、こういうふうに思うわけですが、もう一つの税収確保の問題で、景気がよければいいのですけれども、しかしこれ、なかなか景気が回復しそうにもない状況の中に、口では地方の独自財源というものを確保しなければならないと言いながら、各地方自治体とも大変苦労してやっておるけれども、遅々として進まないわけですね。これについては何か見込みがあるのですか。そういうふうにおっしゃる以上は、何か基本的なお考えがあるかと思いますが、その点だけ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/12
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013・関根則之
○関根政府委員 税収確保の問題は、二つの道があるわけでございまして、いわゆる制度的に地方税体系というものを強化拡充するという道と、与えられた制度のもとで執行面を強化することによって税収を実質的に上げていくという方法があると思います。
地方税の制度改正に基づきまして増収を図っていく、これはいわば増税という形につながるものでございますけれども、現在政府の方針といたしましては、極力経費の節減、歳出の切り込みによって財政の再建を達成していこうということで、増税なき財政再建という理念に沿いながら考えていこうという方針を立てているわけでございます。したがって、その面から当面大きな税収増につながるような制度改正というものは考えられないわけでございます。
一方、執行面の問題につきましては、各県、市町村の段階におきまして、細々した問題ではありますけれども、埼玉県で自転車部隊を編成いたしまして、いろいろな税収の確保に職員を外へ出しているといったような、涙ぐましいような努力も続けられているわけでございます。まあ、これはそれなりに相当の実績を上げておるということは言えると思いますけれども、いかんせん、それによって得られる増収額というのは、そう大きなものは期待できないということでございまして、長期的にはやはり税制の問題について根本的な検討を加えていかなければいけないのではないか。本日、政府の税制調査会におきましても、そういった意見を中に含みました答申がなされているわけでございまして、われわれといたしましては、長期的にはそういった方面についても検討を加えていかざるを得ないんではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/13
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014・石田幸四郎
○石田(幸)委員 大臣にお願いをしたいわけでございますが、これはなかなかむずかしい問題ではあろうけれども、いまも御答弁がありましたように、税源を新たに見出す以外にないわけでございまして、ぜひともひとつ大臣のときに、長期展望を含めて、芽を出されるように御努力をいただきたいと思います。これはもう御答弁結構でございます。――どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/14
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015・山本幸雄
○山本国務大臣 いま御議論がありましたが、いまの日本の国税と地方税との関連というのか税全体の中で、国税が三分の二で地方税が三分の一だ、そうして国税の中からまたその半分が地方に戻ってくる、こういう形。その間に調整作用が行われる。各地方公共団体間の調整が行われる。私は、このシステムはそう捨てたものではない、こう思っております。
そこで、やはりどう考えましても、交付税という制度は、これはどうしても国と関連がございます。国の、特に所得税、法人税という国税の大宗を占めるものとの関連において地方の財源が考えられているということ。また、地方税にいたしましても、国税との関連がございます。これは、たとえば住民税はすべて個人の所得あるいは法人の所得というものによる、事業税にしましても法人税と関係があるということで、国税との関連はどうしても抜けないということでございます。
そういう中で、私は、国の方が中期的な財政展望というものをどういうふうにおつくりになるのか、それとの整合性をよく篤と考えながらやっていかなければならない。簡単な例が、たとえばいま国税で直間比率のことが言われております。直間比率のことが言われておりますが、じゃあ、これを直税から間接税にある程度ウエートを移すということならば、いまの交付税の制度、システムというものも考え直していかなければならないのじゃないかという問題もあると私は存じますので、何とか国のそういう中期展望と符節を合わせて地方の財政の中期展望というものをぜひ考えてみたいな、これは大変むずかしい問題でいろいろな難点がございますが、何とかそういう問題と取り組んでみたいな、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/15
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016・石田幸四郎
○石田(幸)委員 全然別の問題に移るのですけれども、給与問題について自治省としていろいろと指導していらっしゃると思うのですが、今回の人勧がらみの問題、政府の方針、なかなかいま厳しいところに来て、どちらとも言えぬような状況かと思うのです。
これはなお努力をしてもらわなければなりませんけれども、この法案が通ると仮定をいたしますと、非交付団体との間において、要するに給料面において大変大きな較差ができると思われますね。非交付団体の場合は、なかなか財政的にも豊かであるというので、いろいろな措置を考えるのじゃないかということも言われておりますし、あるいはまた、地方公務員といえども、いろいろな問題を勘案しつつ、これは交渉によって成立をする仕組みになっておるわけですから、必ずしも政府のベースのようにはいかない。それに近いものであったとしても、それをオーバーするかもしれない。
そうすると、それに対する制裁措置がとられるということで、しばしばそれが議論になりながら、しかし、一たん交付税として渡ってしまえば、それに色がついているわけじゃないからというようなことで、そこら辺が常に不鮮明になりながら来ているわけでございますけれども、そういうような問題はもう少しきちんとした形で整理できるような状況に入っていかないといけないのじゃないかと私は思うのです。
そういう問題で、たとえば政府の指導よりも一%、二%ふえたとしても、それに対する制裁措置はしてはならないのが法のたてまえなわけですから、それを厳守する意味において何か方法がないのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/16
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017・石原信雄
○石原政府委員 政府が今回国家公務員の給与改定の見送りを決めた背景は、御案内のように、国、地方を通じますところの最近の深刻な財政事情あるいは行政改革の推進、こういったことから公務員に率先して協力していただきたい、こういう趣旨でこの方針を決めたわけでありまして、私どもは、地方公務員につきましても国家公務員と同様の措置をとっていただくように、地方団体に要請しているわけであります。
ところで、ただいま御指摘の点でございますが、私どもは、今日の地方財政の状況は、地方交付税の交付を受ける団体のみならず、地方交付税の交付を受けていないいわゆる不交付団体におきましても、法人関係税を中心とする税収の大幅な減というようなことから、財政運営は大変厳しい状況にあると思います。したがって、今回の地方交付税における給与改善費の削減と同様な趣旨で、不交付団体におきましても財政の状況は厳しくなっているわけでありますから同様の対応をしていただきたい、このように考えているところであります。
ところで、給与改定の実施に関連して制裁というようなお話がございましたが、私どもは特に制裁というようなことを考えているわけではございません。ただ、給与改定が全体として見送らざるを得ないような状況の中でこれをあえて行うというような団体は、結果としてそれだけ財政的なゆとりがあると判断せざるを得ない、私どもは地方財政制度のいろいろな運営の中でそのような判定をせざるを得ない、そういう頭で制度の運営を図らざるを得ない、このように考えております。そういうことにならないように、すべての団体が、今回、国の措置に準ずる取り扱いをしていただくようにお願いしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/17
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018・石田幸四郎
○石田(幸)委員 どうも、そういうように多少でも多く出すと、地方財政が豊かな団体であると見られるということについて、私は大変疑問を持つわけでございますけれども、そのことは別にして、さらに具体的にお伺いをいたしたいわけです。
三公社五現業の職員の給与に関して仲裁裁定の実施が決まったわけですけれども、自治省は十六日に、地方自治体の交通、水道部門に働く地方公営企業の職員について、一般公務員と同様に給与改定は見送るべきだという見解を明らかにしたという新聞報道がなされております。これが事実かどうか。もし事実だとすれば、これは地方公営企業労働関係法第七条との関係、これは給与の問題ですから純粋に労働協約事項というふうに労働関係法で定められているわけですが、こういう法律を破りなさいという指導をまさか自治省でなさろうとは思わないのだけれども、ここら辺の関係について御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/18
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019・坂弘二
○坂政府委員 お答え申し上げます。
新聞報道の件でございますが、改めてそういう指導をしたんでございませんで、九月二十四日の国家公務員の給与の改定見送りでございますね、あれに基づきまして地方公務員についても給与の改定の見送りをするようにと自治事務次官通達で指導中でございますが、地方公務員の給与改定につきましては国家公務員に準じてやっていただきたいという、その地方公務員の中には公営企業職員も当然含んでわれわれは指導しておるわけでございます。
その理由と申しますのは、現在、国家公務員の給与についてこのような措置がとられて改定が見送られましたのは、「国民的課題である行財政改革を担う公務員が率先してこれに協力する姿勢を示す必要がある」ということでございますが、これは一般の地方公務員であっても、また企業職員であっても全く同じような状態に置かれるということ、それから、企業職員の給与は労働協約によって具体的に決まるわけでございますが、その給与を決める基準というものはやはり地方公営企業法の方で規定されているわけでございまして、いろいろございますが、地方公務員一般の場合と同じように、国、地方の公務員との均衡を保つ、そういうような原則になっているわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、企業職員の給与は当該団体の一般の職員の給与の取り扱いと合わせるようにするのが一番実情に合うということで、実際はもうほとんどそういうふうになっているわけでございますが、そこでそのように企業職員であろうと一般の職員であろうと、地方公務員についても国の公務員の取り扱いに準じてほしいということをお願いしているわけでございます。
ただいま御質問の終わりの方にございました、企業職員につきましては労働協約によって決まるのではなかろうか、それに対して自治省がそういうことを言うのは、要するに干渉しておると申しますか、そういうふうな感じだったと思いますが、もちろん自治省といたしましては、法律上認められておりますそういう団体交渉権等に口出しをする、そういうようなつもりはございませんが、われわれの意図しておりますところは、要するに、地方公営企業の労使双方がそういう協約を結んだり交渉するわけでございますが、その労使双方が、この自治事務次官通達で述べておりますような現下の諸情勢をよく勘案していただいて、そして、給与改定の問題につきましては先ほど申し上げました給与決定の原則を踏まえて適切に対処していただきたい、そういうことを期待しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/19
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020・石田幸四郎
○石田(幸)委員 もうそろそろ最後にしますが、大臣、いまお聞き及びのとおりでございまして、労使の間で交渉があって、国家公務員ベースを基準にして、それを多少なりともオーバーしたときには、そのオーバーの額にもよるでしょうけれども、やはり地方自治体は財政的に豊かであるというので、制裁措置とは言わぬけれども、それなりの指導をしなければいかぬとおっしゃっているし、片や労使協定なんだから現実的にはわれわれはタッチできないと言うのですが、これはいつも繰り返されている問題なんですよね。だから、そういうような地方自治体の権限で決める。当然、国家公務員のベース、あるいは地方公営企業の職員の場合であれば地方公務員のそれぞれの自治体の状況というのを勘案して決めるわけですけれども、多少のでこぼこは出てくるわけですよね。そのでこぼこの幅を自治省としてはやはりある程度基準をつくって認めなければだめなのじゃないかと思うのですよ。ここら辺の考え方についてひとつ御答弁いただいて、終わりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/20
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021・山本幸雄
○山本国務大臣 公務員の場合は、国家公務員も地方公務員も、公務員という本質には変わりはない。そこで、給与問題になってきますと、やはりひとつ地方公務員も国の給与準則に準じてやってほしい、これは一つの原則であろうと思うのです。そこで、いまお話しのように、余裕のあるところはやってもいいじゃないかという御議論も確かにおありだと思います。
ただ、制裁とかなんとかという言葉がよく使われますけれども、私は部内にも、制裁なんというようなことをやっているつもりはさらさらないので、制裁という言葉は少なくも使ってはならないのではないか、こう言っておるわけです。それは、交付税全体のパイが決まっておりまして、そのパイを各地方公共団体の財政状況に応じていかに公平に配分できるかというのが自治省の使命だと私は思っているのです。そこで、全体で決まっているパイを財政の厳しいところにはなるべくよけい援助をする、しかし、豊かであれば多少がまんをしていただいて、全体の地方公共団体でひとつ分け合おうという精神に立っていただきたいなという考え方からいまのお話のような問題をスタートをさせてやっておるのだ、私はこういうことだと存じておりますので、そういう点でひとつ御理解を賜りたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/21
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022・石田幸四郎
○石田(幸)委員 これで終わりますが、いずれにしても、地方交付税の減額をめぐって各地方自治体は大変な困却ぶりであろう、こういうふうに思うわけでございます。その最大のポイントになったのは、やはり経済成長率の見込み違いの問題、こういうふうに思わざるを得ないわけで、しかもこれから五十八年度、五十九年度というふうに行政を進めていく上において、景気が回復してくる見込みというのはそうない。したがって、経済成長率の見通しということ、そこら辺の見方については、経企庁にもひとつ十分注文をつけておいていただいて、厳しい上にも厳しくしていただかなければ、また来年において補正予算を組まなければならぬということになります。それだけ地方財政の借金財政が拡大するわけでございますから、特にこの点は自治省からもひとつ十分厳しく注文をつけていただきたいことを希望して、一応質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/22
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023・中山利生
○中山委員長 青山丘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/23
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024・青山丘
○青山委員 限られた時間ですので、急いで質問させていただきたいと思います。
昭和五十七年度の当初予算を審議いたしてまいりましたが、このときに、本年度の地方財政が八年ぶりで収支の均衡を回復していくということで財源不足がゼロになっていくということに対して、私どもは、果たしてこれが現実に即しているものかどうかについて若干の問題点を指摘してきたわけです。そして、経済の実態とは大幅にかけ離れた経済成長率を前提とした税収を見込んできておられる、こういうことについて、やがて必ず大幅な歳入欠陥が生じるのではないかと心配をして、指摘もしてまいりました。現実にこうして三兆円近い地方財源の不足を来してしまった。もうすでに地方財政というものが相当厳しい状態になってきていて、多額の借金を背負っている状況、さらに政府は、今回借金の上乗せをされるということになるわけです。
そこで、できるだけ簡潔に御答弁がいただきたい。五十七年度の経済成長見通し、これに過大の見通しがあったのではないかと思うのですが、自治大臣としての御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/24
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025・山本幸雄
○山本国務大臣 成長率は、確かに当初見込みから下方修正しなければならないということになって、三・四となり、とにかく三・四を維持するためにいまお願いをしておる総合経済対策をひとつぜひやらしていただきたい、こういうことに相なっておるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/25
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026・青山丘
○青山委員 私どもは、経済成長に過大の見積もりがあった、自治大臣も若干その点はお認めのようだと受けとめております。したがって、そういうことから今年度の予算編成及び地方財政計画の策定において粉飾税収があったのではないかと見ておるのですが、その点の御見解は大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/26
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027・山本幸雄
○山本国務大臣 よく粉飾決算なんて出ますけれども、そういう意味での粉飾ということはさらさらなかった。要するに、ただいま仰せられたような国の税収をはじく場合に、従来は経済成長率に税の弾性値を掛けて簡単に税収は出たものです。しかし、今日はなかなかそうはまいらない。税はそれぞれの税目について細かく計算をするということでなければならないはずでございましたが、何といいましても、世界的な経済状況の悪化ということを主因といたしまして、先ほど仰せられたような経済成長率が下方修正をせざるを得ない状態となり、それが税収に大きく響いてきた、国税の収入に響いた結果、地方財政にも大きく影響が来た、こういうことが実情ではなかったかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/27
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028・青山丘
○青山委員 大臣としては、粉飾という言葉については若干疑問をお示しのようですが、言葉はいろいろとあるわけですけれども、しかし、経済見通しにおいて過大の見通しがあった、地方財政計画においてもその点で税収の過大算定がなされていた、そしてこういう事態がやはり来た、その辺の責任を痛感していただかないといけないのではないか。見通しを誤った、そこでしゃあしゃあと開き直っておっていただいて次の手はこうだということではなくて、これは地方財政にとっては、地方財政の運営の指標として地方財政計画なるものを見てきておるのですから、そういう点からすれば、その辺の見通しを誤ってきたという点での責任を痛感していただきたいと思うのです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/28
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029・山本幸雄
○山本国務大臣 地方財政が厳しい現状になったということについては、これはまことに国の全体の経済の状況、国全体の財政の影響というものが当然に地方財政に来たわけでございますが、まことにその辺はやむを得ないものがあったと私は思いますが、ただ、その場合に地方財政に非常な迷惑をかけてしまうということにならないように、とにもかくにもことしの地方財政が回っていくように、そういう財政的な措置はとにかくとったということで地方財政はとにかく回っていっている、こう思っておるわけでございます。それらについてもいろいろ問題点はあるわけでございまして、やはり何といいましても借入金をやるわけでございますから、翻って地方公共団体も本当にそういう財政の現状を深刻に認識をして対処をしてほしい、私はこういう気持ちでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/29
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030・青山丘
○青山委員 政府の税収見積もりよりは、すでに地方団体の方が下方に修正して税収見積もりを立てておったということがあるのですよ。それは政府が示される地方財政計画に対する信頼性をもうすでに失ってきておるのではないか、私はこれを心配しておるのです。そういう点で、地方財政計画が地方団体に対して地方財政の運営の指標としての役割りを失いつつあるのではないかと心配しておるのです。そういう点で、政府が地方財政計画に対する信頼性を回復するための努力を示していただかなければならない。いろいろな手を打っておるということではなくて、その辺の信頼性を回復するための何らか具体的な措置はお考えかどうか、お聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/30
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031・関根則之
○関根政府委員 御指摘をいただきましたように、地方財政計画の税収の伸び率に比べまして、都道府県等の当初予算の税収の見込みは確かに低くなっております。しかし、これはたとえば五十四年におきましても四・一ポイント下回って組んでおりますし、五十五年におきましても二・三ポイントでございますが下回って組んでおる。五十七年はそれが三・五ポイント下回ったということでございまして、特に五十七年だけが都道府県の見積もりが低かったということではないと思います。しかし、都道府県の税収見込み等につきましては、県によりまして事情は違いますが、年度途中での補正というものを考えまして財源留保をするという通例もあるわけでございますので、そういうことからの開差が出てくるものというふうに私どもは考えております。
しかし、御指摘がありましたように、確かに私どもが推計をいたしました五十七年度の当初税収見積もりが達成し得なかったという事態が生じているわけでございまして、われわれも大いに反省をしているところでございます。今後の見積もりにおきましては、われわれの見積もりました当初の税収額を落ち込むことのないように、あらゆる指標を通じてできる限り正確な見積もりを立てていきたい、そのための努力を続けていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/31
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032・青山丘
○青山委員 いまお話があったように、都道府県の当初予算の税収の伸び率は三・五%も開いておる。したがって、そういう意味では地方団体の財政運営の指標としての信頼性を失いつつある。したがって、この信頼性を回復するための努力をしていただきたいと私は思います。
そこで、今回の補正等による減額措置後の税収確保についての不安はありませんか。すなわち、修正、補正後の税収見通しというのはもう間違いないのか。地方税の中心となっていく法人関係税というのは、いまもお話が出ておりましたように、景気の影響を大変受けやすいわけであります。今後の景気動向の見通しというのはなかなかむずかしい。政府が先般立てられておる修正後、補正後の税収見通しというものが果たして立つものかどうか。計画の再修正というのはありませんね。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/32
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033・関根則之
○関根政府委員 地方税につきましては、年度途中におきまして収入状況が悪いということから、国税の減収状況等とも平仄を合わせながら、今回、一兆二千九十二億の減額を立てさせていただいたわけでございます。その結果、地方税全体といたしましては、対前年度実績六%の伸びということになるわけでございますが、都道府県は四%の伸びしかございません。逆に市町村は比較的高くて七・八%の伸び、そういう形で修正をしたわけでございますが、十月末の都道府県の徴収実績によりますと五・九%伸びておりますので、四%の見込みに比べまして一・九ポイント上回っておるというような状況でございます。
ただしかし、だからといって私どもは、完全に手放しで安心しているわけではございません。これからの決算を迎える法人等の収益というのはむしろ下降ぎみであるというふうに国税の方も予想しておりますので、私どももそういう警戒をしながら見積もっている次第でございます。しかし、いずれにしましても、十月末の現在では修正後の数字を上回っておるという状況でございますので、まあまあ何とか今年度の修正後の見積もり額は達成できるものというふうに見込んでいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/33
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034・青山丘
○青山委員 そういう御答弁であろうということは予測はするのですよ。ことしの当初予算の質疑のときでも、総理の答弁も大蔵大臣の答弁も自治大臣の答弁も、税収の見通しは立ちますというようなことでしたからね。しかし、努力をしていただかなければならぬと思います。
そこで、減収補てん債は、それぞれの地方団体ごとに財政事情を総合的に勘案して許可予定額を決定するようでありますが、たとえば給与改定を実施するというような地方団体が出てきつつあるようですけれども、そうなっていくと許可額を減額するというような方向にあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/34
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035・石原信雄
○石原政府委員 地方税の減収補てん債の許可に当たりましては、基本的には明年の一月末時点で、その年度の法人関係税あるいは住民税所得割についてでございますが、最終の税収見込みとそれから地方交付税の計算の基礎となりましたそれぞれの税目の収入見込みとの差額の範囲で許可をするわけであります。ただ、その許可は、その差額が当然に許可額になるということではなくて、その減収補てん債は、他の税目の状況あるいは歳出の不用額の状況等も勘案して、最小限度必要な額として許可するという考え方に立っております。
したがいまして、たとえばお示しのように、他の団体が給与改定をしないという状況のもとで給与改定を行うというような団体は、それだけ財政的にはゆとりがあると考えざるを得ませんので、減収補てん債の審査の際にこれを考慮に入れるということになろうかと思います。ただ、具体的にどのように扱うか、これからのことでございますけれども、そういったことも財政状況の一要素として考慮せざるを得ない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/35
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036・青山丘
○青山委員 地方交付税の減額についてちょっとお尋ねさせていただきますが、所得税、法人税、酒税の国税三税五兆二千九百九十億円の減収に伴って、地方交付税率三二%に当たる地方交付税一兆六千九百五十七億円が減額されるわけでありますが、地方財政みずからが歳出のカットで対応する一千五百二十四億を除いた一兆五千四百三十三億円を借り入れることとなります。年度途中の交付税減額は、昭和二十九年に地方交付税制度が創設されて以来のことであって、きわめて異常な事態だと言わなければならぬと思います。
そこで、交付税交付金九兆三千三百億円のうち普通交付税については、すでに八月末に地方団体別の配分額が決定されております。それに基づいて地方団体は財政を賄っていくわけでありますので、この総額を減額するということは、地方財政運営に著しい支障を来すこととも考えられる。
問題は、こういうことを前例にして、これからまたあり得るんではないか。いままでなかったことです。これが前例になっていくのかどうか、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/36
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037・石原信雄
○石原政府委員 御指摘のように、交付税制度が発足した昭和二十九年度以降今日まで、すでに決定した交付税を減額するという例は、これまではございません。今回、国税三税の減収に伴いまして、交付税が一兆六千九百五十七億円減収になるわけでありますが、これを補てんするに当たりまして、国の補正予算において今回減額されております給与改善費、これに対応する地方公務員の給与改善費、交付団体ベースで八百三十億円、これは国の補正予算の取り扱いとの整合性という意味で、交付税の補てん対象から除外するということが政府としての方針の一貫性という意味から必要ではないか。さらに、今回は老人保健法の実施期日が、当初の十月一日から年明けの二月一日までおくれたわけでありますが、現在の地方交付税の積算におきましては、十月一日から施行されるという前提で必要な経費が積算されております。これも当然今年度としては不用となる額、交付団体ベースで三百三十三億円を補てん対象から除外することがむしろ正しいんじゃないか。そのほか、国に準じて既定経費の節減等を全く国と同じような手法で見込むことが適切ではないか、こういう考え方のもとに、言うなれば補てん対象から交付団体ベースで千五百二十四億円を減額したわけであります。
このようなことを今後の先例とするのかしないのかというお尋ねでありますが、今回、交付税が巨額の減額になった、それを今日非常に厳しい財政状況の中で補てんするわけでありますから、補てんに当たって、国の予算との整合性等から、当然財政需要の減少要因としてカウントできるものは減額する。このような状況のもとではこういう取り扱いとせざるを得ないんじゃないかと思います。
ただ、そのときの財政状況あるいは金額の程度、これによって扱いは変わると思います。望ましい姿としては、少々の金額であるならば、すでに決定した交付税は変えない方が望ましい、このように考えておりますけれども、今年度の場合は、以上申し上げたような事情から、千五百二十四億円を減額して残余を補てんする、このような扱いといたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/37
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038・青山丘
○青山委員 過去、年度途中の国税の減収に伴う交付税の減額というのは、落ち込みということは、ほとんど資金運用部からの借り入れで完全に補てんされてきた。ところが今回は、たとえ千五百二十四億円とはいっても減額をしていくと、将来いろいろな形でかえって自治省が困るような事態に私はなってくるような気がするのです。これはやるべきではなかったと思う。
それから、借入金の元利償還方法についてですけれども、元金は国、地方折半、利子は国庫負担、こういう形でこれまで償還方法として決着を見てきたわけです。ところが、全額地方が負担をしてほしいという要求を出してきた大蔵省、全額国庫負担を主張してきた自治省、その自治省と大蔵省との対立について、時の大蔵大臣が次のように述べています。五十八年度予算で検討したい、こう述べておるのですが、現行の償還方法は今回限りの意向と見ていかなければならないのかどうか、自治省の受けとめ方、ひとつここではっきり示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/38
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039・石原信雄
○石原政府委員 交府税特別会計におきまして借り入れた額の返還について、ただいまお示しのように償還元金の二分の一と、それから借入金にかかる利子の全額を国の一般会計が負担する、このようなルールが昭和五十三年度の改正の際にできまして、その後このルールがずっと適用されてきているわけであります。
五十七年度の補正による借入金の償還の扱いにつきまして、その折衝の過程では、国の財政状況が五十三年当時と比べて格段に悪化しているというふうな事情から、この方式を見直すことができないかというふうな議論があったことは事実であります。しかし、このような交付税制度の基本にかかわるような問題を補正の段階で取り上げることは承服できないと私どもは考えまして、最終的には補正予算につきましては従来の方式で処理する、このようになったわけであります。
ただ、その際に、ただいまお話しのように、大蔵大臣からは、五十八年度の予算編成の際にはこの問題を再検討していただきたい、そういう問題を提起したい、こういうお話があったことは事実であります。そこで、五十八年度の予算編成に当たりまして、この交付税特別会計の償還費の取り扱いについて大蔵省当局がこれを見直したい、国の今日の財政状況のもとで見直したいという意向を持っておることは事実であります。私どももそれは承知しております。
今後、五十八年度の予算編成の作業の中でこれは論議されることになると思いますが、自治省といたしましては、この方式は地方交付税制度の持つ財源保障機能というものを全うするために必要不可欠の制度でありますので、私どもとしては、この枠組みは基本的に維持されるべきである、このように考えており、そういった考え方のもとに五十八年度の予算編成作業に向かってまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/39
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040・青山丘
○青山委員 なし崩しでいろいろなすでに得てきた権利というものをだんだんと狭めていくことは、自治省としても重大なことでありますので、地方団体の円滑な財政運営のためにも、しっかり踏ん張るところは踏ん張ってほしいと思います。
そこで、時間がなくて早く急げ急げということで先へ進みますが、地方は五十七年度当初において、地方交付税財源の中から減額留保分という形で一千百三十五億円を国に貸し付けておりますね。あのことも、当初審議した中で妙なやり方だと言ってきたのですが、今回、交付税の借り入れという措置をとられるのならば、さきに国に貸した減額留保分をまず返還させるべきではないか、それが交付税の借入金の額を少しでも少なくしていく努力になっていくのではないか、それが一番妥当な筋道だと思う。こんな金ばかり貸したものだから、地方財政は均衡がとれておるなどというような間違ったスタートを切ってしまったわけです。これは重大なことなんですよ。減額留保分をまず返還させるべきだったと思う。なぜやらなかったのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/40
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041・石原信雄
○石原政府委員 今年度の当初の段階で地方財政全体の収支を見たところ、均衡がとれるということで、将来の地方財政の健全性の確保に資するという意味合いから、千百三十五億円の地方交付税を減額留保したわけであります。この分につきましては、御案内のように、昭和五十九年度、六十年度、六十一年度、三カ年度にわたって三分の一ずつ返還していただく、こういうことになっております。
そこで、補正の段階で地方財源の不足を生ずる、交付税の減収を生ずるということになりましたので、御指摘のように貸したものをまず返してもらうのが筋じゃないか、こういう議論を私どももいたしました。いたしましたが、すでにこの千百三十五億円につきましては、国庫の方ではそれを前提にして全体の収支が組み立てられておる、この段階でこれを全部やりかえるというのは大変である。そこで、この段階では、その問題を含めて減収を生ずる額の必要額については交付税会計で借り入れをして、その償還費については二分の一を将来負担する、利子は全額負担、このルールで今回は対処してもらいたい、もちろんその千百三十五億円は将来全額地方に返ってくるわけでありますが、五十七年度の財政運営についてはこの借入金による対応でも具体的な支障はないというわけでありますけれども、確かに御指摘のような議論があったのですが、何分にも国庫の方でこれを前提にしてすべてが組み立てられておる、こういう状況のもとで、私どもはこの点については、その分だけいわば交付税会計の借り入れをふやすということで対処することにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/41
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042・青山丘
○青山委員 国庫のそれが前提であったでしょうけれども、地方財政だって九兆三千三百億円の交付税総額が前提で進められていたわけですから、こういう形で一つ一つ譲歩していくということは、将来自治省自身が悔やむことになっていくんではないかと私は思います。
委員長のお許しをいただいて、さらに質問させていただきたいと思います。まだ重要な質問が二、三残っていますので、ひとつぜひお願いしたいと思います。これでもずいぶん急いでやっているんですよ。
年度途中に三兆円近い巨額の財源不足を生じるということに対して、地方交付税率の引き上げは要求できなかったのでしょうか。五十五年、五十六年は要求しております。五十七年度は地方財政収支が均衡した、余ったから貸した、あるいは財源不足がゼロだった、こういうことで、結局地方交付税法第六条の三第二項の要件には該当しないということで、自治大臣からも、昨年のちょうどいまごろでしたけれども、大蔵大臣との折衝の中で交付税率の引き上げの問題は出されておりませんでした。しかし、結果的にはこうして三兆円近い財源不足を来しております。したがって、この事態は当然第六条の三第二項の要件を十分に満たしておると考えるべきだと思います。
ことし財政収支が均衡したというのは、結局あれはまさに夢幻のごとくという感じですね。まさに一瞬喜んだだけ。地方財政はようやく長いトンネルを抜け出したと思った。思った途端暗いトンネルへまた突入、こういうことですよ。したがって、この事態を見てまいりますと、今回当然交付税率の引き上げを要求すべきであったと思う。それがなされたのかどうか、なされなかったとしたらなぜか、聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/42
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043・石原信雄
○石原政府委員 五十七年度につきましては、確かに、当初の段階では収支が均衡する見通しでありましたので、地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する事態ではない、このように私ども考えた次第でございます。しかし、結果的には地方税収の大幅な減あるいは地方交付税の減額、こういったことからいたしまして、五十七年度も交付税法第六条の三第二項のケースに該当する事態になった、このことは私どももそのように考えております。
〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕
しからば、そのような事態になったのになぜ地方交付税率の引き上げを要求しなかったのか、あるいはしたのかしないのかというお尋ねでございますが、要求はいたしませんでした。
交付税率の引き上げということは、現在の六八対三二というこの国税三税の国と地方の税源配分割合を変更するということであります。国と地方の税源の配分について大きな変更を行う、こういう問題でございますから、補正の段階でこれを取り上げることはいかがなものか、このような考え方のもとに、今回は当面の減収補てん措置を講ずるということで、交付税率の引き上げは要求いたしておりません。このような問題は、本来的に年度の初めにおいて、あるいは将来を見通して議論すべきもの、このような考えに立っているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/43
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044・青山丘
○青山委員 それならば、来年度の地方財政計画策定の時期に来ているわけですから、来年度も相当な財源不足があるであろうという見通しをもうすでにいろいろな形でされておるわけですが、どれくらいの不足が出てくると考えておられるのか、地方交付税率の引き上げについてどう対処するのか、明らかにしていただきたいと思います。これは大臣に答えていただかなければ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/44
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045・山本幸雄
○山本国務大臣 確かにおっしゃるように、地方財政はいろいろの問題を抱えております。地方財政が大変厳しくなってきたということも確かで、これから地方財政の改善策をいろいろ考えていかなければならないということは明瞭でございます。ただその場合に、どこまでもやはり国との関連があるわけでありまして、国の財政というものとのにらみ合いの形に当然になってまいります。
一方、しからば国はどんな状況かと言えば、ことしは御存じのように何と六兆一千億円もの赤字を出し、皆様方が非常な関心を持っておられる、われわれも何とかしたいと思った公務員のベースアップもできないというようなことになっておりまして、その間にいよいよ五十八年度予算編成がいま行われようとしておるわけでございまして、その場合に私どもも、いまお話しの趣旨をよく体しまして、あとう限りの地方財政の改善にひとつ今後とも努力をしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/45
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046・青山丘
○青山委員 地方交付税率の引き上げを要求されるのかどうか、その辺、大臣、お答えになったおつもりなのかわかりませんが、私は答弁をいただいておらぬと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/46
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047・山本幸雄
○山本国務大臣 これは先ほど御指摘になった、たしか六条の三ですかの中に、一つの制度の改革、それから率の引き上げというものを考えるべきだという条件があるわけでございますが、そういう条件もほぼ現在の状況は満たしておるようにも思えます。したがって、私どもとしてはおっしゃる筋をひとつよく頭にたたき込みまして今後に処していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/47
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048・青山丘
○青山委員 質問を終わります。
〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/48
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049・中山利生
○中山委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/49
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050・中山利生
○中山委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。宮下創平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/50
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051・宮下創平
○宮下委員 私は、自由民主党を代表し、内閣提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の意見を表明するものであります。
今回、内閣から提出された地方交付税法等の一部を改正する法律案は、第一に昭和五十七年度の地方財政補正措置をその内容とする地方交付税の総額の特例、第二に単位費用の改正、第三に昭和五十七年度分として交付すべき普通交付税の総額及び特別交付税の総額の特例を設けることをその内容とするものであります。
第一の地方交付税の総額の特例措置につきましては、今回の補正予算において、国税三税が大幅に減額補正されることとなり、これに伴い地方交付税についても、当初予算計上額に対して一兆六千九百五十六億八千万円に上る巨額の落ち込みを生ずることとなったところであります。そこで、これを補てんするに当たっては、公務員の給与の改定が見送られることとされたこと、老人保健法の施行延期により、地方負担額の減少が見込まれること等の事情による財政需要の減千五百二十四億円を除いた残りの一兆五千四百三十二億八千万円については交付税及び譲与税配付金特別会計借入金を増額し、その所要額を確保することとしたものであります。
また、当該借入額については、後年度における償還額の二分の一に相当する額を臨時地方特例交付金として一般会計から交代税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることにより、将来の地方財政の運営に支障のないように配慮しておるところであります。
第二の単位費用の改正は、先に述べた財政需要の減少を基準財政需要額に反映させるため、行うものであります。
第三の昭和五十七年度分として交付すべき普通交付税及び特別交付税の総額の特例を設けたのは、今回の地方交付税の減額はすべて普通交付税について行うこととしているためであります。
自由民主党といたしましては、これらの措置を内容とする内閣提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案は、昭和五十七年度における地方交付税の所要額を確保し、後年度における地方交付税の総額の確保にも資する適切なものであると認められるので、同法律案に賛成するものであります。
以上をもちまして、内閣提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の意見の表明を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/51
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052・中山利生
○中山委員長 草野威君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/52
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053・草野威
○草野委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました内閣提出に係る地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行うものであります。
以下、反対理由の要点を申し述べます。
まず、税収不足の原因となりました経済見通し及び景気対策についてであります。
本年度の国の一般会計は六兆五千億円にも上る税の減収を生じ、これに伴って地方財政も、交付税が一兆七千億円、地方税が一兆二千億円、合計二兆九千億円もの膨大な財政の落ち込みが明らかになりました。これは、五十七年度当初予算編成の際の経済見通しを、政府は実質五・二%、名目八・四%と見込んでいたのでありますが、五十六年度の経済状況から見ても明らかに高過ぎた数値であり、この点についてもわれわれも指摘をしていたところであります。
しかも、五十七年度の経済成長は輸出に期待できず、これを支えるためには内需の拡大がその柱とされたのでありますが、この拡大を図るために、所得税、住民税の減税などによる可処分所得の増大や公共事業の拡大が不可欠でありますが、所得税、住民税減税は見送られ、また公共事業の予算も三年間据え置きという措置をとってきたのであります。この結果、内需の拡大どころか、失業率は増大し、国民経済が深刻な事態に立ち至っております。
こうした点からも、景気の停滞及びこれに伴う税収不足の原因は、経済見通しの誤りと経済政策の失敗によるもので、その責任は政府が負うべきであります。
その上、現在緊急を迫られている景気対策を盛り込んだ今回の補正予算は、かげりを見せてきた個人消費を刺激するための減税を見送るとともに、公共事業に至っては、一般公共事業を全額債務負担行為で措置するという、いまだかつてない施策に終始しているのであります。これらは地元負担の増大を招くとともに、事業の執行に重大な支障を来すことになりかねず、今後の経済や財政がさらに落ち込むのではないかと憂慮にたえないものであります。
これが反対理由の第一であります。
次に、今回の交付税法改正案に対する問題点について申し述べます。
今回の交付税法改正案によると、国税三税の減収に伴う交付税額の減収一兆七千億円のうち一千五百二十四億円を減額し、残りの一兆五千四百億円余については、交付税会計が借金することとしております。
地方財政は、五十年以降毎年大幅な財源不足が続いておりますが、これに対する措置として、政府は交付税会計の借金と地方債により帳じりを合わせてきましたが、今回も全く同様の措置をとろうとしております。このために、地方財政の借金は、交付税特別会計の借入金と地方債を合わせてすでに五十兆円にも達しておりますが、この膨大な借金は、今後の地方財政にとって大きな負担になっております。
しかも、今回の改正案では、地方財政始まって以来の交付税総額の減額を行っております。住民生活に密着した行政を行う地方自治体にとって、このような交付税の減額は住民生活に重大な影響を及ぼすことは明らかであるとともに、このような措置は、地方財政の保障という地方財政計画の役割りを果たし得なくなるとともに、地方団体の財政運営を制約し、自主性を損なうものであり、強く反対するものです。
また、今回の交付税法改正案による交付税の減額の要因となっている公務員給与の引き上げ見送りは、労働基本権が制約されている公務員に対して不当なしわ寄せを強いる結果となり、強く反対するものであります。
なお、一言申し述べたいことは、五十八年度の地方財政対策についてであります。
最近の政府の経済財政政策の失敗により五十九年度赤字国債脱却が事実上不可能になったことなどにより、現在、交付税会計の借入金に対する利子分については全額国庫負担、元金は二分の一国庫負担となっているものについて、今後見直しを行い、地方財政への負担増を求める声があるやに聞いておりますが、交付税法第六条の三第二項の趣旨に照らし、交付税の引き上げを行うことを強く要求するものであります。
なお、最後に、本日の委員会質疑がはなはだ残念な形で行われたことは、人勧実施に絡み、政府・自民党が明確に実施に踏み切らなかったことに端を発したことであります。これはきわめて遺憾なことであり、今後、実施に向かって最大限の努力をするべきであると思います。
以上を申し述べて、討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/53
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054・中山利生
○中山委員長 部谷孝之君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/54
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055・部谷孝之
○部谷委員 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
反対の第一点は、経済成長の過大見通し及び税収の過大見積もりについての政府の責任についてであります。
昭和五十七年度当初予算を審議した際、本年度の地方財政が八年ぶりで収支の均衡を回復し、財源不足がゼロとなっていることに対して、わが党は、果たしてこれは現実に即したものかどうかについて問題点を指摘いたしました。そして、経済の実態とは大幅にかけ離れた経済成長率を前提として税収を過大に見積もっている事実につき、必ずや歳入不足が生じるであろうと予測したわけであります。その予測にたがわず、今日、実に約三兆円にも上る巨額の財源不足を生じるに至ったわけであります。
今回の地方財政の補正措置は、多額の借金を背負っておる地方財政にさらに上積みを強いることとなり、将来の財政構造に多大なる悪影響を政府みずから与えようとするものであります。政府の責任はきわめて重大であると言わなければなりません。
反対の第二点は、地方交付税交付金の減額措置についてであります。
今回、一千五百二十四億円とはいえ、年度途中で地方交付税が減額されるということは、昭和二十九年に地方交付税制度が創設されて以来の異例の事態であります。この地方交付税の減額措置は、直ちに取りやめるべきであります。
その理由は、第一に、五十七年度の地方財政計画は、交付税交付金九兆三千三百億円を前提として策定されており、そのうちの普通交付税については、すでに八月末に団体別の配分額が決定しております。したがって、その総額を減額することは、地方団体の財政運営上著しい支障を来し、混乱を生じさせるからであります。
第二は、過去、年度途中の国税減収に伴う交付税の落ち込み分については、借り入れ等で完全に補てんされてまいりました。
さらに第三は、今年度の予算編成または地方財政計画で、粉飾税収を行った責任が国にあることであります。
今回の地方財政補正措置によって地方団体の借金は約三兆円増の約五十二兆円となり、大幅に増加することになります。
反対の第三点は、五十七年度当初において減額留保した千百三十五億円の取り扱いについてであります。
御承知のように、五十七年度当初において千百三十五億円を国に貸し付けております。交付税借入金を少しでも縮小させるという観点から、この国に貸し付けた千百三十五億円を直ちに返還させるべきであります。
反対の第四点は、交付税率の引き上げ問題であります。
五十七年度当初においては、地方財政の収支が均衡するということから、地方交付税法第六条の三第二項の要件に該当せず、地方交付税率の引き上げ要求は行われなかったわけであります。しかしながら、年度途中にこのような巨額の財源不足が見込まれることになれば、当然交付税率の引き上げを要求し、その実現を図るべきであります。にもかかわらず、政府の措置は、国家財政の赤字脱却を急ぐの余り、当面の財政収支の均衡確保のみに躍起になっておるだけであります。
以上が反対の理由でありますが、以上をもちまして、地方交付税法等の一部を改正する法律案についての反対の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/55
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056・中山利生
○中山委員長 田島衞君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/56
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057・田島衞
○田島委員 私は、新自由クラブ・民主連合を代表いたしまして、ただいま議題となっている地方交付税法等の一部改正案について、反対の立場から討論をいたします。
まず、反対の理由の一つは、今回、国税三税の大幅減収に基づく改正案でありますけれども、このことは、地方交付税法の欠陥を遺憾なく露呈したものでありまして、かねてからわれわれが主張していたことでありまして、それに対するいわばびほう的、泥縄的な今回の改正措置は、どう考えても賛意を表しかねるということが一つであります。
それから第二点は、大幅減収というけれども、もともと当初予算編成のときにおいて明らかに予測されたことであり、その可能性のない税収を見込んだところに大きな理由があることを指摘せざるを得ないからであります。
三点目、補正予算がまだ成立していない現時点におきましては、補正予算に反対したわが新自由クラブ・民主連合としては、残念ながら、本案にも反対せざるを得ない。
以上、三つの理由をもちまして、本案の成立が必要なことについては理解を持ちながらも、残念ながら、反対をせざるを得ません。
以上です。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/57
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058・中山利生
○中山委員長 これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/58
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059・中山利生
○中山委員長 これより採決に入ります。
地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/59
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060・中山利生
○中山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
この際、お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/60
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061・中山利生
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/61
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062・中山利生
○中山委員長 次回は、明二十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後十時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109704720X00219821223/62
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