1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十七年十二月二十五日(土曜日)
午前九時六分開会
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委員の異動
十二月二十五日
辞任 補欠選任
上條 勝久君 宮澤 弘君
玉置 和郎君 内藤 健君
和泉 照雄君 太田 淳夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 宮田 輝君
理 事
亀長 友義君
松浦 功君
山田 譲君
田渕 哲也君
委 員
岩上 二郎君
加藤 武徳君
金井 元彦君
上條 勝久君
小林 国司君
後藤 正夫君
内藤 健君
原 文兵衛君
宮澤 弘君
小山 一平君
佐藤 三吾君
志苫 裕君
大川 清幸君
太田 淳夫君
神谷信之助君
美濃部亮吉君
衆議院議員
地方行政委員長 中山 利生君
地方行政委員長
代理 工藤 巖君
国務大臣
自 治 大 臣
国 務 大 臣
(国家公安委員
会委員長) 山本 幸雄君
政府委員
警察庁刑事局長 金澤 昭雄君
自治政務次官 佐野 嘉吉君
自治大臣官房長 矢野浩一郎君
自治大臣官房審
議官 津田 正君
自治省行政局長 大林 勝臣君
自治省行政局公
務員部長 坂 弘二君
自治省財政局長 石原 信雄君
自治省税務局長 関根 則之君
消防庁長官 砂子田 隆君
事務局側
常任委員会専門
員 高池 忠和君
説明員
大蔵省主計局主
計官 八木橋惇夫君
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本日の会議に付した案件
○行政書士法の一部を改正する法律案(第九十六回国会衆議院提出)(継続案件)
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○個人事業税にみなし法人課税(事業主報酬)制度の適用に関する請願(第一七号外四二件)
○個人事業税における事業主報酬制度に関する請願(第四五号)
○地方自治体の財政確立に関する請願(第一四八号外四件)
○高校増設等のため地方税財政制度改善に関する請願(第五八〇号外四件)
○土地価格の評価替えによる固定資産税の増税中止に関する請願(第一〇一八号)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/0
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001・宮田輝
○委員長(宮田輝君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、和泉照雄君が委員を辞任され、その補欠として太田敦夫君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/1
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002・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 次に、行政書士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、本案の取り扱いについて理事会における協議の結果につきまして一言申し上げておきます。
衆議院地方行政委員会の理事会は、本法律案の起草に当たり今回の行政書士制度の改正は他の類似制度との均衡上やむを得ない措置であるとし、なお今後の問題として留意すべき事項について申し合わせを行っております。
当委員会の理事会においては、この点について協議した結果、本法律案が六派共同提案にかかるものである経緯にかんがみ、発議関係者の申し合わせ事項を尊重すべきであるとのことで意見が一致しました。
以上御報告いたします。
本案の趣旨説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。――別に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
本案の修正について松浦君から発言を求められておりますので、この際これを許します。松浦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/2
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003・松浦功
○松浦功君 私は本案に対し修正の動議を提出いたしたいと思います。その内容はお手元に配付申し上げているとおりでございます。
これよりその趣旨について御説明申し上げます。
原案では、この法律を昭和五十八年一月一日から施行することといたしておりますが、その期日が切迫しており、その施行に当たりましてある程度準備期間を必要といたしますので、これを昭和五十八年四月一日から施行することに改めようとするものでございます。
何とぞ御賛成くださるようにお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/3
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004・宮田輝
○委員長(宮田輝君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。
それでは、これより行政書士法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
まず、松浦君提出の修正案の採決を行います。
本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/4
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005・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 全会一致と認めます。よって、松浦君提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。
修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/5
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006・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/6
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007・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本会議休憩後再開することとし、休憩いたします。
午前九時十分休憩
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午前十時三十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/7
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008・宮田輝
○委員長(宮田輝君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、玉置和郎君及び上條勝久君が委員を辞任され、その補欠として内藤健君及び宮澤弘君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/8
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009・宮田輝
○委員長(宮田輝君) この際、自治大臣兼国家公安委員会委員長山本幸雄君及び自治政務次官佐野嘉吉君からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。山本国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/9
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010・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) このたび自治大臣、国家公安委員会委員長を命ぜられました山本幸雄でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
地方行政委員会の委員各位には平素から地方行政及び警察行政の推進に当たりましては格別の御尽力をいただいており、厚く御礼を申し上げます。
現下の地方行政は国、地方を通ずる行政の簡素効率化、地方財政の健全性の回復を初め地方公務員行政の適正な運営、参議院比例代表制の円滑な運営、選挙制度の改善、また消防、防災体制の整備等数多くの課題を抱えております。また警察は最近の犯罪の増加傾向と国民に大きな不安を与える悪質重大な事件、事故の多発する状況を抱えております。
私は今後これらの地方行財政上の諸問題の解決と治安の維持に最大限の努力を傾注してまいる所存でありますので、委員各位の格段の御協力をお願い申し上げ、私のごあいさつといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/10
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011・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 佐野自治政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/11
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012・佐野嘉吉
○政府委員(佐野嘉吉君) このたび自治政務次官を命ぜられました佐野嘉吉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の先生方におかれましては長年にわたる豊富な御経験と高い識見を持ってわが国地方自治の進展のために常日ごろから並み並みならぬ御尽力をいただき、まことにありがたく存ずる次第であります。
当委員会は国民の日常生活に密着した地方行政に関する各般の施策を御審議いただくきわめて重要な委員会であると心得ております。私もとより浅学非才でございますので、これからは委員各位の御指導、御鞭撻のもとに自治政務次官としての任務を果たしてまいりたいと存じております。今後とも何とぞよろしくお願い申し上げまして、ごあいさつを終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/12
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013・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山本自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/13
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014・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
今回の補正予算において国税三税が大幅に減額補正されることとなり、これに伴い地方交付税についても当初予算計上額に対して一兆六千九百五十六億八千万円に上る巨額の落ち込みを生ずることとなってまいったのでありますが、現下の地方財政はこの巨額の落ち込みに耐えられる状態にはありません。
このため、昭和五十七年度分の地方交付税については、地方交付税の算定に当たり地方公務員の給与の基準とされている国家公務員の給与についてその改定が見送られることとされたこと、老人保健法の施行日が当初の予定よりもおくれたこと等により、当初見込んだ財政需要に減少が見込まれること等の事情を考慮して、交付税及び譲与税配付金持別会計における借入金を一兆五千四百三十二億八千万円増額し、その所要額を確保することといたしたいのであります。
また、当該借入額については、後年度における償還額の二分の一に相当する額を臨時地方特例交付金として一般会計から交付税及び譲与税配付金持別会計に繰り入れることにより、地方財政の運営に支障のないようにいたしたいのであります。
次に、さきに述べた財政需要の減少を基準財政需要額に反映させるため、昭和五十七年度の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正するとともに、昭和五十七年度分として交付すべき普通交付税及び特別交付税の総額についても特例を設けることといたしたいのであります。
以上が地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/14
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015・宮田輝
○委員長(宮田輝君) これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/15
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016・佐藤三吾
○佐藤三吾君 本来これは大臣が就任した際はいままで地行では恒例としては一般質問が設定されて、それから法案審議ということに入るのが日程になっておったのですが、今度の国会は日程がごらんのような情勢ですから、それもできずにいきなり法案審議と、こういうことになったと思うんです。しかし何と言ってもこれは大臣の政治姿勢なりそういったものはやっぱり冒頭に聞いておかないといけないと思いますので、法案審議に入る前に二つだけ聞いておきたいと思います。
一つは、大臣は三十八年ですか、当時の建設省の官房長、課長補佐と一緒に公選法並びに公務員法違反で起訴されておる、こういうふうに聞いておるわけですが、公判の中で大臣のみは知らなかったということで逃れておるようでありますが、この事件は国と請負契約を持っておる業者から六百三十万をもらったもらわぬということが容疑のようでございますが、あなたも御存じのとおり公務員の場合には起訴されれば休職、有罪が確定すれば免職、いまの場合、特に警察の場合などは社会一般の批判も厳しいこともございまして、有罪確定前に退職、こういう処分というのが普通なんでございますが、このときの私の記憶が違うのかどうなのかということが一つ。
それからもう一つの問題は、今国会から、九十六、九十七国会を通じていろいろ議論のございました政治倫理の問題で、佐藤孝行君が有罪判決を受けておる、このことについて総理からいろいろ答弁いただきましたが、あなたの関係を含めて国家公安委員長としてどういう御見識を持っておるのか、それをひとつまず聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/16
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017・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 昭和三十八年の秋の総選挙で私は初めて選挙を経験したわけでございますが、それから半年ぐらいしてからいまおっしゃられたような事件となったわけでございますが、そのときの状況は実は私は非常に唐突に立候補をいたしたものですから、身辺まことにあわただしい中で選挙戦に臨んだようなことで、そのために私の親友、同僚が私のためを思ってそういうことをやってくれたということでございます。私は判決にもございますように全くこのことを存じませんでして、判決によりまして、私が関与をすることがなかったということで御存じのとおりの判決をいただいたわけでございます。
それから第二点の、私はいやしくも国家公安委員長というお役目をいただいたわけでございますが、あくまでも警察は厳正中正、また政治的に中立という立場を守っていくということは警察の今日の私はりっぱな伝統として定着をしてきておると思っております。したがって、私の公安委員長としての職責ももちろんその線に沿って今後ともその職責を果たしていきたいという所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/17
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018・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いや、佐藤孝行君の見解をちょっと聞きたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/18
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019・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 佐藤委員からこの前本会議で――佐藤孝行君のことですか。佐藤孝行君のことは私は余り存じませんので、私との関係はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/19
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020・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いや、佐藤孝行君が有罪でなおかつ議員を辞職をしてないというのが九十六、九十七今国会における一つの焦点として議論になりましたね。それについて、あなたはそういう経験も持っておることだから、いま非常に第一点の問題では神妙なごあいさつでございましたが、今度は国家公安委員長という立場でこの問題についてどういうお考えを持っておるのか、それをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/20
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021・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) まだ裁判の最終的決着はついていないように聞いておるわけでございますが、それを待つほかなかろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/21
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022・佐藤三吾
○佐藤三吾君 何か意味が不明でわからぬけれども、まあいいでしょう。
それなら次にもう一つ聞いておきますが、あなたの場合に大阪府警本部長を経験なさっておりますね。その大阪府警でいま大変な警察の不祥事が起こってきている。そういう中で警察自身が警察庁長官以下国民の信頼を取り戻すのにいま躍起になっておる、こういう状況にございますが、参議院の予算委員会でわが党の寺田議員から御指摘のあった問題ですが、私もその際に傍聴しておりました。そのときに、あなたが認証式の前に刑事被告人のところにあいさつに行った、それが追及されておったんですが、それに対してあなたは、これは恩になった人に対してお礼に行くのは人の道だ、こういうお答えをしておった。またこの問題で総理の答弁は、要約しますと確かに認証式の前で補職の任命の前だったから、国家公安委員長になってからは私情を殺してやってもらわなきゃ困る、こういう答弁だったと私は記憶しておるんですがね。
そこで、しかしそう言ってみてもあなたの場合には刑事被告人が派の親分でもある、そうなると人の道と私情を殺すということの板挟みになるんじゃないかということを私予算委員会の傍聴をしながら思ったんですがね。いまはもう厳然たる国家公安委員長でございますが、そこで私聞きたいのは、これから一体いわゆる田中派という会をあなたは脱会をするのかどうなのか。
それからもう一つの問題は、そういう意味でのパーティーとかいろいろございますね。刑事被告人の出席するパーティーについては同席をしないのかするのか。早速また正月には目白の訪問とかいうこともあるわけですが、それはしないのかするのか。この点について聞いておきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/22
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023・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) ただいまお尋ねの点は予算委員会でもお尋ねのあったところでございますが、私はそのときにも、私ども初めてこういう入閣ということをやらしていただいたという場合には相当長い政治生活の中での一つの区切りでありまして、そこまでの間には社会生活の中でいろいろな人間関係があるわけでございます。選挙区の方を初めとして私の今日あるのを支えてくれたたくさんの人がおるわけでございまして、そういう方には、たまたまこういうことになりましたというごあいさつをするのは私は人としての道であろうと、こういう考え方でありますということを御答弁申し上げたわけでございます。
さらに、私は国家公安委員長というそういう立場にあるということは十分におっしゃるまでもなく自覚をしておるわけでありまして、そういう自覚に基づいて私は今後の行動を律していくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/23
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024・佐藤三吾
○佐藤三吾君 私がなぜこれを聞くかといいますと、御存じのとおりに五十八年度は一月早々から言うなら選挙の季節に入る、六月までずっと選挙が続くわけです。その取り締まりの最高責任者があなたでもある。そしてロッキード事件の求刑が、判決がある。そういうことを考えてみますと、世間の一般の皆さん、国民の皆さんから見ても、あなたがそこら辺は割り切れるのだろうかどうなのか、こういうことで非常に私は疑心を持って見守っていると思うんですよ。そしてしかも大阪府警に見られるように警察の威信というのはいまかなり低下をしておる、非常に不信の目で見られている、その最高の長でもあるわけです。
そこで、私が細かく聞きましたのは、田中派の皆さんは正月には目白にごあいさつに行くのは慣例になっておるようだし、そのためにまたあの豪邸の中にわざわざ何と言うんですか、広場というんですか家屋もつくったということを聞いております。まあ接見の間ですか、いろいろそういうのがあるようでございますし、さらにまたパーティーが盛んにやられておる。その中でまたテレビも追っかけていくでしょうし、いろいろな意味で注目されると思うんで、具体的に聞いておるわけですから。
会は脱退なさるのかどうなのか。正月は行くのか行かぬのか。そこら辺のいわゆる刑事被告人というものに対して国家公安委員長としてどう対処するのか。そこをきちっと明確に答えてくれませんかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/24
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025・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 繰り返し同じことを申し上げてお答えにならぬとおぼしめすかもしれませんが、私は私なりに、ただいま申し上げるように自分の与えられておる職責というものについて十分自覚を持って今後とも身を処していくつもりでありますということを申し上げるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/25
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026・佐藤三吾
○佐藤三吾君 自覚を持っていくということは脱会なさる、そしてまたそういうことはしない、こういうことで受けとっていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/26
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027・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) いまお尋ねのことでございますが、これは率直に申せば木曜クラブというのは確かにあるわけでございますが、これはそういう一つの政策を中心とした集団とも言えるのでありまして、これは純粋に私はそういう同士が政策の研究、勉強をしようというそういう組織であると観念しておるわけでございまして、どうしても公務が忙しくなっておりますから恐らく出るというチャンスはほとんどなかろうと、こう思ってはおりますが、いま直ちに、おっしゃるようなことまではいま考えていない、将来ともただいま申し上げたような私の自覚というものをひとつ御信頼いただきたい、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/27
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028・佐藤三吾
○佐藤三吾君 まあ時間の関係もございますからこれ以上は追及しませんが、いずれにしてもやっぱり田中派というものは切れない、その切れない中で自覚してやっていくということだと思うんです、いまの答弁は。
しかし、それでは私は国民は国家公安委員長を信頼できないと思いますね。やっぱりそうかと、こういうのが私はきょうのあなたの答弁を聞いて実感を持ったんじゃないかというふうに思うんですが、これは私は通常国会の中でもまた追及してまいりたいと思いますが、いずれにしても人の道という問題についていろいろあなたなりの考え方もあるでしょうけれども、やっぱりそこら辺をすきっとしてもらわないと国民は私は疑念が晴れないと思うんですよ。刑事被告人は前の総理大臣であろうがだれであろうが刑事被告人には間違いないでしょう。そういう者に対して国家公安委員長がどうしても緑が切れない、こういうようなことでは、疑いを持たないでもらいたいと何ぼ強調しても私は国民の皆さんはそうはならないと思うんで、その点だけひとつ申し上げて、また次の段階に入っていきたいと思います。
あなた十一時から公選法に行くということですから、一つだけその前に聞いておきたいんですが、私は本会議であなたに質問をしたわけですが、あなたからお答えをいただいてないものですから聞いておきたいと思うんですが、いわゆる地方の時代、自治分権ということに対して自治大臣としてどう処していこうとしておるのか、あなたの考えをまず聞いておきたい。それから地方財政計画についてあなたがどういう見識を持っておるのか、これもちょっとあわせて聞いて、公選法に行ってもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/28
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029・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 地方の時代ということを言われるわけでございますが、確かにいろいろな地方を取り巻く環境というものは時代とともに移ってきておる。新しい社会的なあるいは経済的な構造の変化というものが確かに起きている。それこそ新しい時代の息吹が地方にもある、まただんだんと時代の進展とともに価値観も変わってきておるのでありまして、そういう価値観の変化にも地方は鋭敏に私は対応をしておると思うんです。また文化的な面も漸次地方は非常な活発な動きになっております。また国際化の波も地方には押し寄せているということで、時代とともに地方は大きく変化をしてきていると思うんです。それこそまさに地方の時代であろうと思います。それに対処して私どもの立場もそれに順応をし、さらにまたある場合にはそれを先取りするという立場で事に当たらなければならないのではないかと思うのでございます。
また、地方財政につきましてはこれはだんだんと国と同じように厳しくなってきております。だからこの内容はやはり国の財政と非常に密接に連係をしておる。たとえば今回の場合も国税の落ち込みが六兆一千億もある、そして中で国税三税は五兆二千億もあるということで交付税は大きく落ち込むという、国税と連動をしておるわけでございます。また地方税そのものも連動をしておるわけでありまして、やはり国との関係はどうしても否めないことでございます。
そういう中にありまして地方財政計画が立てられるわけでございますが、今回の落ち込みに対しまして地方財政というものはやはり守っていかなければなりませんから、その需要額を何とか調達しなければなるまいということで今回もそういう方法で処理をしたと、こう思うのでございます。地方財政計画というものはそういう国との関連を考えながら地方の需要にこたえられるだけのものに今後とも努力をしていかなきゃならぬものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/29
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030・佐藤三吾
○佐藤三吾君 それでは大臣はまた後でやりますが、地方財政計画ですね。それと自治分権について財政局長の方からお考えをいただきたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/30
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031・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 地方財政計画は、御案内のように法律上の根拠としては地方交付税法第七条の規定に基づきまして毎年度地方財政全体の歳入歳出の見込み額を定めるという形で国会に提出されているものであります。これは地方自治、地方分権というものの財政的な基盤を保障するという役割りを負わされているものではないか、このように考えます。
この地方財政計画は、御承知のようにかつての地方財政平衡交付金法の時代におきましては地方財政計画上の収支の差額が即地方財政平衡交付金として国の一般会計予算に計上されるという形で直接的な地方財源保障機能を担っておったわけでありますが、地方交付税制度になりましてからは言うなれば中長期的な立場に立って地方財源の状況をこの地方財政計画で見通すことによって地方財源の保障の役割りを果たす、そういった意味で平衡交付金時代とは若干違いますけれども、やはり基本的には地方分権、地方自治というものを保障するための役割り、機能というものを持っているものと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/31
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032・佐藤三吾
○佐藤三吾君 二十二日に地方制度調査会が開かれまして答申を行いましたね。その中でも特に地方財政計画なり地方財政というものについていろいろ見解が出されておるんですが、特に一つだけこの問題で聞いておきたいと思うんですが、こういうのがあるんです。
七ページの後段の(4)に「地方交付税の性格をより明確にするためには、現在のように国の一般会計を通ずることなく、地方譲与税と同様、国税収納金整理資金から交付税特別会計に直接繰り入れる制度に改めるべきである。」、この意味をどういうふうにとらえておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/32
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033・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) このいわゆる交付税の特会直入論といいましょうか、これは長い間の議論でありまして、交付税制度の基本的な性格とも関連する問題であろうと思います。
すなわち御案内のように現在たとえば地方譲与税の地方道路税とか石油ガス利用税、こういった譲与税につきましては特定の国税の収入額が国税収納金整理資金から直接交付税会計に繰り入れられております。言うなれば国の一般会計を通さないで直にこの地方に配分すべき会計に入ってくる。これは大変地方財源としての性格が明確になっている、このように理解されているわけであります。
ところで、地方交付税につきましては所得税、法人税、酒税という三つの国税の三二%が地方の税であるということが交付税法で明らかにされているわけであります。そこで、これが地方の税、地方の固有の財源といいましょうか、本来国と地方の財源配分に当たって三二%は地方のものだとして観念される、その点を徹底するならば一般会計を通すことなく直接国税収納金整理資金から三二%分だけは交付税会計に繰り入れてしまう、一般会計を通さない、そうすることが交付税の独立性というものをより明確にする上ではっきりするじゃないか、こういう考え方であり、私どももかねてからそうすることが交付税の性格に合うんじゃないかという考え方を持っているわけであります。
しかし、同時にまた交付税の性格につきましては、別の考え方はこれはあくまで特定の国税の一定割合を地方に交付する交付金である、予算上の科目は交付税交付金となっておりますが、その交付金の方にウエートを置く考え方もありまして、その見地に立つならば一般会計を通す方が正しい、国の支出金であるから一般会計を通すべきだ、こういう考え方が強いわけでありまして、現行制度では後者の立場をとっているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/33
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034・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そこで聞きたいんですけれども、自治省としては基本的に一体どちらをとっているんですか。どういう態度なんですか。そこのところをちょっとお聞かせ願いたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/34
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035・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) ただいまも申し上げましたように、現行制度、現行法制のもとでは交付税については少なくとも経理上は一般会計を通しておるわけでありますが、私自身もまた私どもの役所も、一つの考え方、気持ちとしては交付税の基本的な性格からするならば特別会計に直接繰り入れる方がより適当である、望ましい、こういう考え方を率直に言って持っております。ただ、この点は国の財政経理の根幹にもかかわるような内容を含んでおりますので、長い間の議論でありますが、まだわれわれのような考え方が実現に至ってないということではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/35
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036・佐藤三吾
○佐藤三吾君 大臣もそういうふうに同じ考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/36
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037・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 歴代の自治大臣がそれぞれ個人的にどういうお考えを持っておられるか必ずしも明かでありませんけれども、山本大臣についても交付税がそういう性格を持ち、またそういう議論があるということは申し上げておりますので、大臣もその点は交付税の基本的な性格についてそれなりの問題意識は持っておられるのじゃないかと想像いたします。ただ大臣から具体的にこの点の見解について承ったことはありませんので、その点は答弁を差し控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/37
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038・佐藤三吾
○佐藤三吾君 それは大臣が来てからもう一遍聞きましょう。
私は、いま財政局長がおっしゃったように、そこら辺が政府全体の中できちっとしてない、したがって今度のような措置が平気でやられるんじゃないかというふうに思うんです。したがって、この問題は本会議でも言ったんですが、大臣の答弁は、この議事録を見ますと言うなら交付税、地方税が大幅に税収欠陥のできた国税三税の落ち込みのためにこうせざるを得なかったということにとどまって、「しかし」がないんですね。「しかし」がない。「しかし本来はこうであるべきだ」というのが全然欠落しておるわけですね。
そうして、一切今回の措置によって地方自治体に迷惑をかけないように措置をした、こういう答弁をこの議事録ではいただいているわけですが、今度の補正予算に伴う交付税の減額措置によって地方税で一兆二千九十二億、交付税で一兆六千九百五十七億、二兆九千四十九億円のカットになっておるわけでございますが、このうち補てんしておるのは一兆五千四百三十三億であって、これで一切迷惑をかけてない、こういう認識ですか、自治省全体は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/38
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039・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 今回の補正予算に当たりましては、ただいまお示しのように国税三税の減額に伴いまして交付税法の規定に基づいて一兆六千九百五十七億円の交付税が減額になってしまう、現行制度のたてまえ上減額になってしまうわけであります。これについて地方団体とすれば現在の九兆三千三百億円という当初の金額を前提にして今年度の財政運営を考えておられると思いますので、通常であるならばこのような事態が生ずればそれを全額補てんするというのが少なくともこれまでの取り扱い万であったと思います。
今回も私どもはいろいろな選択の中で可能ならば当初の額を補てんできないものかということも考えたわけでありますけれども、ただ今回御案内のように国の予算の方も大変な状況になっております。そうした中でたとえば給与改定のためのいわゆる給与改善費、これについて国の補正予算におきましては一%の先組み分を全部減額しております。そうしますと、その同じ時点で交付税の減額を補てんするという議論の中で、地方財政についてはその交付税の積算基礎になっておりますところの地方公務員の給与改定の給与改善費一%分、これをどう扱うかということで議論したわけですけれども、国の補正予算、それから地方財政補正措置との整合性ということから考えますと、従来から地方財政計画上、地方交付税の積算上、地方公務員の給与につきましては国家公務員に準ずる、基本的な考え方は合わせるということで措置してきておりましたので、今回の減額の補てんに当たってこの一%相当は国の補正予算とも整合性を考えて補てん対象から除外せざるを得ないんじゃないかというふうに考えたわけであります。
それから、また同じように老人保健法の実施時期が当初の十月一日から明年の二月一日にずれ込んだために一般会計の負担額としては減になります。こちらの方も国の補正予算では減額されておりますので、地方財政計画上あるいは地方交付税の積算上見込まれておりますこの老人保健法の一般会計負担分についても同じように減額せざるを得ない、このように考えたわけであります。
そのほか既定経費の節減等についても基本的には国の補正予算と同一の考え方で対処した、国の補正の整合性、補正予算の対処の仕方としての整合性という意味でそのような取り扱いをいたしたわけでございます。
その結果、一兆六千九百五十七億円の減額に対して以上申し上げたような事由、千五百二十四億円になりますが、これらの事由を除外した分を補てんする、すなわち一兆五千四百三十三億円を補てんする、このような取り扱いといたした次第であります。したがいまして、現在の国、地方を通ずる財政環境のもとで地方行政が最小限度必要とするものは財源を確保するという見地に立つならばこの一兆五千四百三十三億円の補てんということでこの際は対処せざるを得ないと、このように考えた次第であります。
この点は私は地方交付税制度の持つ財源保障機能、国の財源保障責務というものは最小限度守られているのじゃないかと、このように理解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/39
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040・佐藤三吾
○佐藤三吾君 やむを得ない措置で、完全に補てんすべきところが国の財政いろいろの事情でできなかった、したがってやむを得ない措置で補てんしたんであって、大臣が本会議で答弁したように一切迷惑かけない、十分な措置をとったということにはならぬでしょうが。これはそうすれば大臣の言うことと財政局長の言うことは違う、こういうことで受け取っていいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/40
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041・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 大臣の御答弁は地方財政の運営に支障ないような措置を講じたという趣旨で御答弁を申し上げたわけであります。
ですから、迷惑をかけたとかかけないとかという表現については、確かに年度途中で経済情勢の変化によっていろいろな変動が起こったということは地方団体にとってはいろんな御苦労があると思います。では、その点についてどう評価するかということでありますが、私ども財政運営の衝にある者からいたしますと、やはり現行制度のたてまえ上必要とされ標準的に必要とされるものは最小限度確保されなきゃならないし、今回はその必要な最小限度のものは確保した、そういう意味で行財政運営に支障なきを期した、こういう趣旨で大臣も御答弁申し上げたものと私は理解しております。
したがいまして、私のただいまの答弁と大臣の御答弁とは基本的には変わりはない、基本的な考え方では同じである、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/41
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042・佐藤三吾
○佐藤三吾君 大臣、いまちょっとあなたおらぬときに地方財政計画の問題に入っておりますけれども、やっぱり国の税収の査定というのは政府の責任でやっておるわけでしょう。そこに六兆一千億の見込み違いが出てきた。地方財政計画もほとんど自治省、国の責任でつくっておられる。
この問題について僕らはこの二月、三月の予算委員会の中で、また過去の地方行政委員会の中でも、これは少し過大見積もりじゃないか、年度途中で変更するようなことが起こるのじゃないか、そんな迷惑をかけることはすべきではないんじゃないかということで追及したんですよ。ところが議事録見ればわかりますように、あなた方の答弁というのは、絶対に御迷惑をかけません、もしそういうことが起これば完全に政府の責任で補てんしますと、こういう約束したんですよ。ところが今度完全にできない、できないからこういう減額措置になる。そのことについて本会議の席上で大臣が一切迷惑かけておりませんとはどういうことです、大変御迷惑かけて申しわけないと言うならともかくとして。大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/42
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043・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) いま佐藤委員のおっしゃるお気持ちもよくわかります。わかりますが、いま財政局長から御答弁申し上げましたように、いまの厳しい国家財政、同時に同じように厳しい地方財政というそういう中で、私どもの方としてはできる限りあとう限りの努力はしたということで、確かに減額も一部あることは確かでございますが、その辺は地方財政としてもいろいろ今後ともお考えをいただかなければならない点も私はあると思うんです。
地方財政上御迷惑をおかけしたということになる、こうおっしゃるわけでございますが、私どもとしましてはできるだけの努力をして何とか地方財政が回っていくようにはこれで努力をした、こういう考えでおるわけでございまして、その辺のところはひとつ御理解を賜りたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/43
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044・佐藤三吾
○佐藤三吾君 あなたはいつも最後の方がわからないですね、一番肝心なところが。ぐにゃぐにゃと、こう言ってわからないのだけれども、最後は何と言ったんですか、いま。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/44
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045・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 自治省としましては、いまの厳しい財政の中でできるだけの自治省としては努力をして、地方財政に大きく影響することのないようにという真剣な努力をしたというわけでございまして、そういう点でひとつ御理解を賜りたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/45
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046・佐藤三吾
○佐藤三吾君 真剣に努力したことはわからぬでもないんです。わかっておるんですよ。
ただ問題は、私が言うように税収の査定というのは国の責任でやったわけですね、国税三税は。そうしてそれが見損なった、見誤った、これが一番大きな原因、地方財政計画もこれも国の責任でやっておる、したがってそこに減額せざるを得ない、これも見誤った、しかもこれは年度途中であと二、三カ月というときでしょう。これで自治体に迷惑かけてないということが言えますか。そこら辺、私は率直にやっぱり大臣、本会議の中でもそれは大変国の責任で御迷惑かけて申しわけない、今後は一切こういうことはしませんというぐらいのきちっとしたものを僕は言うべきだと思うんですね。言えますか。今後は一切迷惑かけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/46
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047・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) これはいまおっしゃるように、いまの地方財政というものはやはり国家財政との連結点というのがあるのであります。そういう仕組みになっておりますだけに地方財政だけが全く独立独歩というわけにはなかなかまいらない。どうしても国の経済の見通し、それに従って国家財政の動きというものとどうしても関連が出てくるのはやむを得ないことであろうと思うんです。
見通しがりっぱに立ってその見通しどおりいけば、それは計画どおり運ぶわけですけれども、現在の経済の動きはなかなか予想したよりも激しい動きになってきて、それから一つの財政上の変動も起こってくるということで、ある程度そういう変動をやっぱり考えればやむを得ない面もあると私は思うんです。そういうことが起こった場合にどう措置するかというについては私どもは懸命な努力をしなければならぬ、こう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/47
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048・佐藤三吾
○佐藤三吾君 時間があればいろいろ言いたいんですが、大臣、なぜ私はここをあなたのきちんとした姿勢を求めるかといえば、また今度は次にきょうの新聞ですか、出ておるでしょう。元金二分の一、金利全額国庫負担という、五十三年度の暫定措置か、当分の間かということでやられておりますが、今度はきょうの新聞で見ると、きのうあなたが大蔵大臣と会って、きょう何かもう一遍会うそうですが、この措置については五十八年度は「これまで国庫負担だった交付税特別会計の借入金利息を打ち切る、その穴埋めの財源手当てや補償措置に国が協力」、こういう二点でほぼ了解が得られたということが出ておるんですが、国、国ということで次々に地方財政に政府がやった不始末のしりぬぐいをどんどんさせていく、こういう感じがしてならぬのですよ、私はあなたのその姿勢がきちっとしないと。
この措置などというのは、ここに松浦さんもいらっしゃるけれども、交付税法の附則の改正をやったときに生まれてきたのであって、本来なら松浦解釈、松浦財政局長時代の解釈で言えば交付税法の六条の三の二項、あなたがここで答弁したんだけれども、「著しく」、「引き続き」という意味を言った。それは一〇%以上二年間、三年目は本則を改正しなきゃなりませんと、こう言ったんですよ。ところが財政局長からころっとかわったら今度は附則を持ってきた、便宜的措置を。こういうかっこうでやられて、今度はその附則の分で大蔵と話のついた分まで利子負担はひとつ地方に責任を持たせよう、こういうふうにずるずる、これだけで七千億でしょう、やられてくる。あなたのそういう姿勢ではまた押し切られていくんじゃないか、こういう気がしてならぬのですよ。
だから私はここを時間をかけて、時間がないのに時間をかけて言っておるのですけれども、この点は一体どうなんですか。また次々にやられたのではたまらぬので、ここで明確にしておいてほしいんですがね、きょうやるなら。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/48
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049・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) これは一つは、国家財政がもう百兆円に近い国債を抱え、それから地方財政ももう五十兆を超すという、そういう公債を抱えているというそういう現状を私は今後とも厳しく認識をしながらやっていかなければならないのではないか、国も厳しいけれどもやはり地方も厳しいんだという認識は私はお互いに持ってやっていきたいものだと思っております。
そこで、いま現行の制度の枠の中でやっていかなきゃならぬわけでございますから、そこで、いまお尋ねの新聞に出た交付税特会借入金の利子の国庫負担の問題でございます。ただ、ゆうべ私は大蔵大臣にお会いをいたしましたが、この点は先方の大蔵省の方はまるまる利子を持ってくれという話でございましたが、私どもは、いまお話しのようなとおりのことでございますから、私の方としてはさようなことはお断りしたい、こういうことでこの点は物別れになったということになっておりまして、このことについて七千億をもうすでに浮かしてしまったというようなことは、まださようなことには私どもは承服をしていない。ですからこれはほかの新聞には恐らくこういうことは載っておらぬであろう、私は大蔵省から帰りまして記者会見もしましてこの点の大蔵と当方との交渉の経過も話しておきましたから、さような記事にほかの新聞は私はなっておるのであろうと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/49
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050・佐藤三吾
○佐藤三吾君 これは通常国会には当然出てきますわね。今月いっぱいには明らかになると思うんですが、ひとつこれは堅持をして、これ以上地方に迷惑をかけることのないように、あなたはすぐ国、国と言いますが、あなたは国は言わずに、大蔵大臣がいるわけだから、あなたはやっぱり自治体のことを考えなきゃいけない、それが自治大臣だから。その立場を堅持してひとつ予算折衝に当たってほしいと思います。
それから、まだいろいろ質問したいんですが、時間がございませんからもう一つだけ注文をしておきますが、本会議答弁でいただきましたように今度の地方税の減収に伴って都道府県や政令都市は縁故債になるわけですね。この縁故債についてはあなたはもしそれが達成できぬ場合には大蔵省と相談をして円滑な消化に努めるということを答弁いただいていますから、その努力はひとつぜひやってほしいということをつけ加えておきます。
それから、もう一つこの問題で関連してお聞きしておきたいと思うんですが、起債の許可というか減収補てん債の発行に当たって、何かそういうことはないと思うんですが、新聞でちらちらするのは、あなたのところは財政事情がいい、その理由は何かというと上乗せ福祉があるとか給与が高いとか、そういうのを許可基準の中で物差しを当てておるというようなこともちらっと聞くのですが、そういうことはないと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/50
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051・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 地方税の減収補てん債についてのお尋ねでございますが、まず初めのお尋ねで、都道府県、政令指定都市については民間資金によって消化していただくことにしております。この点もし消化に問題があれば大蔵省とも綿密な連携をとって金融機関等を指導して完全消化できるようにしたいと、こういう約束をしております。まだ具体的に減収補てん債が発行されますのは恐らく三月以降であると思いますから、その時点での公社債市場の情勢がどうなるかわかりませんが、少なくとも現状では現在の市場の状況からいたしますと減収補てん債の消化ができないあるいは非常にむずかしいというふうなことではない、むしろ現在は消化環境はかなりいい方に向いている、このように見ております。
それから、第二のお尋ねでございますが、減収補てん債の許可に当たって具体的にどのような取り扱いをするのかということについてでございます。この点につきましては従来も減収補てん債の許可に当たりましては主として法人関係税でありますが、地方交付税の計算の基礎となりました基準財政収入額に含まれておりますこの関係税収のそれの標準税収ベースの額と、それからその団体の最新のデータに基づく収入見込み額とのギャップ、その範囲内で許可をするという扱いにしております。
ただ、その場合にその差額がストレートで自動的に許可額になるのではなくて、その際には各団体の財政状況を判断いたしまして、ほかの税目の状況がどうなっているのか、あるいは歳出の執行状況がどうなっているのか、こういうようなものを総合勘案いたしまして真に必要な額を許可するという扱いにしております。と申しますのが減収補てん債もほかの通常の建設事業債と違いまして一種の年度末の緊急措置としてこれが従来から扱われておりますので、その団体の財政状況万般を勘案するという扱いにしているところであります。
特に五十七年度につきましては、実は先ほど申し上げました地方交付税の減額をどこまで補てんするかという議論の過程におきまして、国庫当局の方では交付税の積算基礎に入っておりますいわゆる追加財政需要、国で言えば予備費的な部分でありますが、この追加財政需要も補てん対象から差し引くべきではないかという議論が大変強くあったんですけれども、私どもは地方税の減収の状況などもありますし、また今後なお歳出面でいろいろ見込み得ない不確定要素もあるということで、これは補てん対象にすべて含める、すなわち差し引かないということにしたわけでありますが、その際に差し引かないこととしたということとの関連もありまして、各団体の減収補てんに当たりましてはその追加財政需要の執行状況、歳出の執行状況、こういったものもカウントするということにいたしておりまして、この点は各団体の財政状況を統合的に見ていきたい、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/51
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052・佐藤三吾
○佐藤三吾君 その問題でもう少し含みがあるようだからただしたいのですけれども、時間がございませんが、要するに意地悪をしなさんなと、恣意を入れたりしちゃいかぬ、総合的に科学的に、こういうお言葉ですから、私はそれは結構だと思うんですけれども、そこら辺はひとつ要請しておきたいと思います。
それから次に、時間がございませんから一つ二つお聞きしておきたいのは、九月二十四日に次官通達が出ましたですね。国に準じて給与の改定を見送るようにと、こういう趣旨だと思うんですが、これはその中に「地方公務員の給与は給与決定原則に則り、」国に「準じて措置されるべき」である、こういうことが書いてあるわけです。
これは恐らく私は給与決定の原則というのは地公法二十四条三項のことだろうと思うんです。生計費、国または他の自治体、民間賃金、その他、この四点を言っておるのだと私は思うので、国に「準じて」ということは、その四点のうちの一項目にすぎない。それが何かすべてみたいな書き方になっておるわけですけれども、これはどういう意味でこういう書き方をしたのか、何か法的な基準があってそういうことをしたのか、そこが一つ。
それから「給与決定」というのは、私の理解するところでは二十四条三項に基づいて四つの要素によって条例で決めるわけですが、その決定ということは自治体のこれはもう完全な固有の自治業務である、自治事務であると私は思っておるわけです。これを自治省が一方的に指導することはまさにこれは地方自治の否定につながるというふうに思うんですね。そこら辺のことについてどういう御理解なのか、簡単にひとつ簡潔に要を得た御答弁をいただきたいことが一つ。
それからもう一つの問題は、これは人事委員会が県、指定都市を含めて設置されております。それに基づいて人事委員会が給与勧告を行っておる。このことは私は国の人事院の制度と何ら変わるものでない労働基本権制約の代償措置であると、そういうふうに思うんですが、違いますか。
それから、その勧告については、当然これは長や議会が尊重する義務がある。これも私はいままで予算委員会の中でも議論があったように、確認しておると思うんですが、改めて何か自治省は別の見解を持っておるのかどうなのか。最高裁判例もあることですからそうではないと思うんですけれども、何かそういうものから見ますと次官通達というものがそれらを一切無視したようなかっこうで出されているような気がしてならぬのですが、これは私は憲法違反にも値する内容になりますから、そうではなくていま私が申し上げたような趣旨だ、最大限努力してほしい、こういうことなのかどうなのか、簡単にひとつお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/52
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053・坂弘二
○政府委員(坂弘二君) まず第一番目に、九月二十四日に出しました次官通達の中に「地方公務員の給与は、給与決定原則に則り、国家公務員の給与に準じて措置されるべきもので」云々というところがございますので、それがいわゆる地方公務員の給与に関する根本基準である地方公務員法二十四条三項の規定との関係の御質問であると思います。
それで、御質問のとおり地方公務員の給与につきましては生計費、国及び他の地方公共団体の職員の給与、民間事業の従事者の給与、その他の事情を考慮して決めなきゃならぬということでございますが、これらのいろいろな点を総合的に考えれば、原則として国の公務員の給与と均衡を保つ、もちろん給与でございますから、その組織の規模であるとかあるいは職務権限の配分の仕方とかいろいろ異なれば当然異なるわけでございますけれども、しかし基準といたしましては、基本といたしましては国家公務員の給与に準ずることがこの地方公務員法で言う給与に関する根本基準に合致することになるという、そういう基本的な立場に立ちまして従来ともやっておりますし、今後もやっていくつもりで出しておるわけでございます。
それから第二番目の、人事委員会の権限を侵すことになるのじゃなかろうかというようなことと、それからこの人事委員会の勧告の持つ意味でございます。
その点でございますが、まず人事委員会の勧告の持つ意味につきましては、やはり最高裁判所の判例によりまして労働基本権制約の補償措置の一つであるというふうには理解いたしております。それから人事委員会の権限を侵すというような意味ではございませんで、九月二十四日の閣議におきまして、先ほど申し上げました給与決定の従来からの原則に基づいて地方公務員についても給与の国家公務員に準じた措置を講ずべきであるということが決定されましたので、その時点で地方公共団体に対してもそのように御指導申し上げたわけでございまして、その権限を侵す云々というようなつもりで出していることではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/53
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054・佐藤三吾
○佐藤三吾君 そうしますと、あなたが十月一日に「自治日報」で、給与改定を行う団体については厳正に判断をして財政の制裁措置を行うと、こういうことをしゃべっておるわけですね。そうすると、いまあなたが言った答弁と違うわけです。
最低限国としてはこういう要請をする、要請をするけれどもそれは要請であって、ところがあなたは「自治日報」で制裁措置をとる、財政措置ですか、こういうことをしゃべっておるわけですね。こういうことは私はやっぱり慎むべきじゃないか、少なくともそういう権限はないはずです、法的権限は。あるならひとつここで明確にしてほしいんですが、ありますか。
だから、そういう憲法なり公務員法なりそういうものに定められた範囲を逸脱した発言をやって、何かいかにもおもしをかけるような、そういうことはやっぱり私はやるべきじゃない、やる立場でもないと思うんですね。そういうことはこの際ひとつきちっとしてほしいんですよ。そういう意味でなかったらなかったで結構ですよ。私はそれをあげつらってこう言うんじゃない、最大限の要望にするという意味だ、制裁措置などとる考えはないと、そこはきちっとしてくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/54
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055・坂弘二
○政府委員(坂弘二君) 言葉の端で申し上げるわけではございませんが、私はその「自治日報」との会見で財政制裁というようなことは決して申しておりませんし、むしろ書かれておったらそれはちょっと不確かであろうと思います。
ただ、閣議決定に基づきまして地方団体に通知申し上げましたように、自治省といたしましては今回の国家公務員の給与の取り扱いに至るいきさつ、その理由等を考えますれば、これは単に国家公務員のみならず地方公務員についても当然適用されるべき、準ずべき事柄である、これは強く信じておりますので、もちろん給与の決定は地方公共団体が行うことでございますが、その決定については先ほど申し上げました給与決定の原則も踏まえ、そしてこのような事情も考慮して、ぜひそのとおりしていただきたいと強くお願いしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/55
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056・佐藤三吾
○佐藤三吾君 いただきたいという意味で、こういう考えはないということですね、財政措置をとるとか。
たとえばこう書いてあるんですよね。「もし、一部で改定を実施する団体が出た場合は。」ということに対してあなたの答弁は、対談の中ですが、「地方公務員給与は、各団体が給与決定原則に基づき改定するものだが、全団体が、国に歩調を合わせるものと考えている。ただ、一部で改定を実施する団体があった場合は、自治省としては厳正な判断に立って財政措置を講ずる。すなわち、給与改定を行った団体に対しては、財政的に余裕があるとの判断の下、財政措置を講じることになる。」と、こういうことを言っておるんです。
だから、こんなことはあなたが言える立場でもないし、言うべきでもない。こういうことを間々言うものですから誤解が生まれて、昔の内務省に返ったんじゃないかと、こうなっちゃうわけです。だから、そうでないならそんなことを言わずに、要請を最大限努力してほしい、この給与決定というのは自治体の固有の事務なんだから国がとやかく言う問題じゃないということだけはきちっと堅持をしてもらわぬと誤解を生ずると思うんです。
そういうことでひとつあなたの――これは大臣にもらっておこうかな。今後こういう問題については誤解が生まれぬように、それでなくてもあなたはさっき言ったように政治姿勢の問題で誤解があるわけだから、だからきちっとしていただきたいと思うんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/56
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057・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 今回の公務員の給与の見送りということは、私は国家公務員の場合いろいろ論議がございましたが、緊急的な措置であって、この際の行政改革、財政再建のひとつ先駆になってほしい、こういう願望を込めて今回の措置が行われたと思うんです。
そこで、いまお尋ねのように人事委員会の勧告、これは国の場合の人事院と全く私は同じだと思うんで、確かに労働基本権の代償としてあるということは御説のとおりだと私も思うんです。そこで、今度は政府は人事院というものの制度そのものはこれは大事にしていく、これは尊重をしていきたいということを考えておるわけでして、その考えは私は人事委員会についても同じことだと思うんです。
それで、今回は私がいま申し上げたような緊急の措置として公務員にひとつ先頭を切ってごしんぼうを願おうと、こういう趣旨でありますから、私は公務員という本質から考えて国家公務員も地方公務員も同じように痛みを分け合っていただきたい、そういう気持ちであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/57
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058・佐藤三吾
○佐藤三吾君 もう質問時間過ぎていますから最後になりますが、大臣、いま私が申し上げたように、国の気持ち、大臣としての気持ち、期待、こういうものについて言うのは結構です。しかし何かそれに従わなければ、何というんですか、財政措置はどんな財政措置か知りませんが、おもしをかけるような、そんなことは慎まなければいけない、そういうことはきちっとわきまえていかないと地方自治もへったくれもなくなっちゃう。憲法にも反することになる。そこら辺はひとつぜひ厳然と守っていくという点はひとつここで確認をしておきたいと思うんです。
それから、時間がございませんから一つだけ、大蔵省呼んでおりますが、資料いまここでいただきました。これは自治省、大臣もひとつ聞いてほしいと思うんですが、結果的に原資補てんの財政措置の問題にしても完全にできない一番大きな理由は、やっぱり資金運用部資金の運用に問題があるんじゃないかと私は思うんです。これを見ると、四十五年からずっと地方自治体関係の振り分けを見ると年々下がってきている。金額は上がってきているのにパーセンテージは下がってきている。ここはやっぱり、これはほとんど郵便貯金や厚生、国民年金が九〇%を占める内容ですから、ここら辺についてはもっと努力をしてもらって、そうして自治体に優良な政府資金を保障していく、こういった措置をとってもらいたいことが一つ。
もう一つの問題は、この資金運用審議会の構成メンバーというのを見ると、自治体関係者は一人も入ってないんです。これは庶民の金ですよ、ほとんど。それからさらに労働代表も一人も入ってない。こういうことでは私は運営に問題があると思うんで、ここら辺は自治大臣も強くひとつそこら辺を主張していただいて、運用審議会の中に自治体代表を入れるように、そうしてさらにまた労働代表を入れるように御努力をひとつお願いしておきたいと思います。
いろいろ申し上げたかったんですが、時間がございませんから以上で私は終わります。大臣何かあればいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/58
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059・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 給与をいまこちらからお願いしたようなことと違ったことを行われた場合ということについても御言及がございましたが、よく新聞などに制裁措置ということが出るんでございますが、私は決して制裁措置といったものではない、要するに地方財政計画の枠は一つに決まっておるわけでございますから、これをたくさんの地方公共団体が同じようにひとつ公平に分け合って、もって地方公共団体の円滑な運営をしていただくという趣旨であろうと思うんです。
そこで、財政の比較的楽なところとそうでないところとの関係は出てくるわけでございまして、そういう間の調整をする、一つのやはり制裁措置といったようなものじゃなくて財政的な措置である、こう観念を私どもしておるわけでございまして、さような点に私は御理解をいただきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/59
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060・佐藤三吾
○佐藤三吾君 肝心な最後のやつ、それを私は聞きたかったんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/60
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061・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 資金運用部のことはこれは大蔵省の所管でございますが、御趣旨に沿いまして私どもも検討をさしていただこう、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/61
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062・志苫裕
○志苫裕君 大臣新任になられたんで、この委員会というのはまず大臣が新任になりますと一体どういう物の考え方であるかということから始めて大臣の所信をただす、でないと法案の審議なんかしないという当委員会伝統のある見識を持っているんですよ。見識を持っておるんだからそこから始めぬといかぬのですが、ちょっと時間がないので、見識こっちに置きまして――委員長、よくないよ、これは。まず先にその場を持たなきゃいかぬですよ。これはひとつ注文申し上げておきますが。
ただひとつこれからのこともありますので、一連の臨調答申、わけても第三次答申と言われる基本答申について、国と地方の自治体にかかわる分について大臣のまず評価を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/62
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063・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 私どもは、臨調の第三次基本答申と言うんですが、この内容は一つはやはり地方分権、地方自治を尊重しようという方向は確かに私はあると思います。その点は確かに私は評価していいだろうと思う。
そこで、具体的にどういうことをやれるのかということになってまいりまして、具体的な肉づけをするという段になってどういう成果が出てくるのであろうか、臨調答申の基本線に沿って地方分権の実現をひとつ大いに図ってもらいたい、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/63
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064・志苫裕
○志苫裕君 評価しているんだか評価していないんだかわからぬ答弁だけれども、ただ、いま言いましたように自治分権ということについて方向性がないとは言えない。しかし肝心なところは非常に抽象的に書いてあるんですね。自治分権に反するようなことは具体的に書いてある。私らに言わせますと、いいところは抽象的に、悪いところは具体的に書いてあるという答申なんで、これはこれからの地方自治にとっては非常に大事な問題ですから、大臣もせっかく勉強をしてがんばってもらわぬといかぬのですが、これはまだ先の長いことですからおいおいとやります。
それから、先ほどの佐藤君の質問の続きだけれども、いろいろと皆さんが自治体の財政運営なり給与、人事の運営について技術的な助言をする、注文を述べる、希望を述べるということ自体を否定しないけれども、そういうことは自治体もよく知っているんですよ。もうかつてのようにのんびりできる状況じゃないんですから自治体もよく知っている。でありますから、そういう技術的な助言そのものをするなとは言いませんが、そこから先はやっぱり自治体を信用するということを基本にしませんと地方自治は育ちませんし、またいい意味での自治省と地方自治体の関係も生まれないということを私はこの機会に注文を申し上げておきます。
私きょうは一、二点だけなんですが、十一月十四日に新潟県の両津市というところで市長選挙が行われました。これはその差は二十一票というずいぶんきわどい差ではあったんですから、それなりに激しい選挙であったということを大体頭に描いてもらえばいいんです。
この結果について無効の申し立てがなされております。その理由は何かというと、確認団体を二つ認めちゃった。一方の陣営には、いわば勝った方ですね。勝った方には確認団体を二つ市の選管が認めたということが選挙の規定違反であるし、結果に影響を及ぼしたということで無効の申し立てが行われておるんですが、これについて自治省はどの程度掌握されているか、簡潔に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/64
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065・大林勝臣
○政府委員(大林勝臣君) 御質問の十一月十四日の新潟県両津市長選挙におきまして、御指摘のような同一の候補者に対して二つの確認団体が認められた、これをめぐりまして選挙無効を求める異議の申し出が現在市の選挙管理委員会になされているという報告を受けております。これは明らかに法律のいわゆる選挙の規定に違反するというふうにいま考えておりますが、まだ詳細についての報告は受けておりません。きわめて残念なことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/65
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066・志苫裕
○志苫裕君 これは事理明白でして、選挙の規定に違反をしておる、いまの答弁どおりだと思う。
そうしますと、無効であるかどうかの判断のもう一つの材料、当選の結果に影響が出たかどうかというのが残るわけですが、これについていま選管でやっておられるということなんですが、ところで申し立てが十一月十九日ですね。それできょうはもう二十五日なんですが、いまだに実は何をやっておるのかさっぱりわからぬという状況だそうですね。
ところで、公選法二百十三条によりますと、それぞれ異議申し立てに対する決定は受理の日から三十日、あるいは審査申し立ての場合には六十日、訴訟の判決の場合は百日という規定があります。これのまず立法趣旨を述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/66
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067・大林勝臣
○政府委員(大林勝臣君) 二百十三条でそれぞれの争訟、裁決あるいは判決の期間をそれぞれ決めておりますのは、こういった選挙という重要な問題についてはできるだけ早く審理を終えなさいと、こういう立法趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/67
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068・志苫裕
○志苫裕君 ところが、あなたどの程度掌握しているか、もう御承知だろうが、いまの答弁のように、まだ市の選管で云々というお話がありましたね。異議の申し立てをしたのが十一月十九日ですからもう六十日どころじゃないわ。七十日近いですね。
で、どうも現地の事情は私も詳しくないんだけれども、ぐずぐずしているわけだわ、ぐずぐずと。そしてまた関係人も呼ばないんだね。ということでずるずる行かれるということになると、いまあなたの言う立法趣旨にも反するということになるんですが、これずるずる引っ張っていった場合の救済規定ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/68
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069・大林勝臣
○政府委員(大林勝臣君) この三十日以内に異議の申し出の決定をするよう法律が要請をしておるわけでありますが、いかなる理由で遅延をしておるのか、その具体的な経過までには承知しておりませんけれども、三十日以内に決定を行わなかったからといって、これは一応訓示規定になっておりますので、その決定を出し次第、さらに裁決あるいは裁判所の方に事件が係属する、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/69
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070・志苫裕
○志苫裕君 いや、それはそうなんですよ、そう書いてあるんだから。しかしいままで何か四、五回開いておるようだが、勉強会一生懸命にやっているというんだね。勉強会といったってわかり切った話なんだ、こんなものは。
だけれども、そういう形で私が言うのはずるずる引っ張るということについて、これはうわさだからようわからぬが、関係筋に聞いたら、うん、三十日というのはまあ三倍ぐらい考えればいいんだ、三十日といったら九十日、百日といったら三百日、大体この辺が相場だよということを、まあ関係当局というんだからおたくも関係当局に入るのかもしらぬが、何かそんな見解のようなものを、そんな取り扱いのようなものの慣例なり見解なりが出ているんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/70
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071・大林勝臣
○政府委員(大林勝臣君) そういった慣例と申しますか見解というものはいままで一切ございません。
この事件についてどうして遅延しておるのかわかりませんけれども、一般的に申しますと選挙の争訟というのがわりあい関係人、そういったものについての意見あるいは証人、そういった手続を経なければならない段階が多いからきわめて争訟が遅延をする、そういう遅延をするということが困るからできるだけ争点をしぼって短期間に決定をするようにというのが法律の趣旨でございまして、この事件のように非常に遅延をしておるということはきわめて残念なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/71
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072・志苫裕
○志苫裕君 自治体のことをそうここでとやかく申し上げませんが、一般的に言って選挙管理委員会に対する指揮監督権はどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/72
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073・大林勝臣
○政府委員(大林勝臣君) 都道府県の選挙管理委員会に対しましては自治大臣、それから市町村の選挙管理委員会に対しましては都道府県の選挙管理委員会ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/73
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074・志苫裕
○志苫裕君 この点については私この委員会で取り上げたわけでありますし、先ほどの答弁も私は了といたしますが、自治省の及ぼす範囲においてこの問題に関心を払って、三十日という訓示規定があるがサボっていれば幾らでもサボれるということでは法は形骸化しますからね。そういう点につきましては皆さんの及ぼす範囲内で指揮監督あるいは指導助言、これを求めておきたい、こう思います。
それから、これに関連をしましてちょっと警察関係にお伺いするんだが、申請者の方に刑事責任、まあ法律違反は事実なんだけれども、申請者側には刑事責任はこれはないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/74
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075・金澤昭雄
○政府委員(金澤昭雄君) お答えいたします。
いま御質問の件につきましては、警察といたしましては関係者から事情聴取を行ったというふうに報告聞いております。その結果は届け出をしました団体には故意はなくて本当に過失で届け出た、こういうふうに聞いておりますので、現在捜査の対象にはならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/75
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076・志苫裕
○志苫裕君 そうしますと、故意じゃなかった、まあ故意であったかなかったかわかりません、似たような名前の会なんだ、これは二つとも。躍進の会と何とかの会というのか、これは。同じような名前で、同じ車の色していて、外見同じ。それから両津市というのは長いふんどしみたいな市なものだから、あっちの端とこっちの端で音出しておるんだ。それでお巡りさんも行政改革だか配置が少ないものだから気がつかないんだな、余り。
ということだと言うんだけれども、しかし問題なのは、気がつかぬかった、知らなかったと言うても、これは違反法だったことは間違いないわけ。そこに事実違法の車が二台走っておるということについて確認行為が行われておれば何台走っておってもこれは適法ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/76
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077・金澤昭雄
○政府委員(金澤昭雄君) 選管の確認行為に基づいた行為だと、こういうことでございますので一応適法というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/77
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078・志苫裕
○志苫裕君 そこなんだよな。私、そういうものかね、法律というのは。許可をした方がまず間違っているんですよ。これが選挙の規定に違反をしているんですよ。違反をした車がここ走っておるわけね、二台でも三台でもね。つかまえてみると、何台であろうとも確認団体の証文は持っておるわけね。証文を持っておれば、もとが間違っておってもその車は違法でないという解釈、これは自治省どういう解釈ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/78
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079・大林勝臣
○政府委員(大林勝臣君) 理論的にはおっしゃるとおりなんでありますけれども、選挙の手続というのが非常に複雑多岐な細々とした手続の集積で行われておるものでございますから、一たん選挙管理委員会が確認行為をいたしました場合には、その確認行為が取り消されない、つまり恐らくこれ選管もぼやっとして気がついていなかったんだろうと思いますけれども、取り消されない間というものはその行為自体は法律上は適法であるという状態で続いてまいると言わざるを得ないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/79
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080・志苫裕
○志苫裕君 これはいまのあなたの、こういうことなんでしょうな。もとが間違った車が走っておる、それをお巡りさんも選管も見ておるわけだね、見ておるわけだ。間違っておるよと言うて途中で言われたんだわ。気がついたんだわ。ところが選管はそれを取り消すと選挙に混乱が起きるんじゃないかという判断を下して取り消さなかったわけですよ。
県の選管から言われたわけですよ、それ間違っておると。言われたのだが、市の選管はこれ取り消すと今度選挙に混乱が起きるというんで、そのまま行っちゃったという、こういういきさつがあるわけ。警察もそれ知っているわけ。だけれども、いま言う適法だ、何台であろうと証文を持っちゃっているんだからしようがないということになったんで、これは一つのちょっと盲点と言えば盲点ですね。こういうときに、それはだれか強制力がある者がそれだめなんだと言ってとめるか縛るか命ずるかというようなことはできないわけね。
こういう点もあるんですが、今日はどう考えてもこれは規定違反だし、過去の判例に従えば選挙の効力に影響があったという認定は容易にできるんですが、そうなってくると政治的にがんばって、さっきの三倍の論理じゃないけれども延ばす、それに何らの救済規定がない、行政も指揮監督も助言も指導もしないということは、これは法の規定が全く泣いちまうということになりますので、この点は再度重大な関心を払うように、必要な機会があれば報告をいただければありがたいということを一つは申し上げておきます。
第二点なんですが、済みません、時間あと二、三分でやめますが、これは余り細々したことは申し上げませんが、ちょっと見解だけ聞いておきますけれども、百三十六条、公務員の地位利用というのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/80
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081・大林勝臣
○政府委員(大林勝臣君) 百三十六条の二という条文に公務員等の地位利用の禁止に関する規定があるわけでありますが、従来これは一般的には「地位を利用して」という言葉の解釈をめぐっていろいろ疑義があるところでありますけれども、「地位を利用して」という意味は、公務員としての地位があるために特にその選挙運動を効果的に行い得るような影響力でありますとかあるいは便益を利用するという意味で、つまり職務上の地位と選挙運動の行為が密接に結びついている場合、こういうふうに解釈をされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/81
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082・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 志苫君、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/82
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083・志苫裕
○志苫裕君 わかりました。
それを伺った上で一点ですが、実は新潟県議会の十二月九日の連合委員会で、この問題をめぐってこういうやりとりがなされておるので、これは新潟の出来事だけじゃない、法にかかわる問題なのでちょっと引用するんですが、ごく簡単に言うと、新潟県知事という公務員が選挙の応援に行って、ここでおれの気に入らない候補者、二十一票で負けた方だが、それが市長になるとおれは金も補助金もやらないということを演説した、あるいはそういう種類の公選はがきとか、そういうものを頒布した、これが公務員の地位利用でないかということでいろいろやりとりありました。
私はここでそれが地位利用であるかどうかは新潟のことでありますからあえて伺いません。しかし、いずれにいたしましても補助金の事業の採択ということについて、いろいろ順位が前へ行ったり後へ行ったりというふうなことは、別に気に入る入らぬにかかわらず、予算の枠が定まってくるとか、緊急の度合いとかというようなものでいろいろ順位の移動があり得るということは私は一般的には否定をしない。ただ選挙のさなかに、そういう事業の事前に、こいつが市長になったらおれはやめるぞ、金はやらぬぞというふうな、こういうことを言っておるということは、行政の公平な執行という点でゆゆしき問題になる。
大臣、このことについてお伺いしますが、私は新潟のケースをあなたにお伺いしません。自治省が、たとえばどこどこの県知事がどうも山本さんの昔の恋がたきか何かで気に食わぬとか、あるいは大嫌いな社会党の息がかかっているから大嫌いだとか、こういうことによって、たとえば補助金の採択、交付、その他自治省の行政運営にかかわる分で差がつきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/83
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084・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) どうも私もいま事案の内容を出たり入ったりしてよく聞いておりませんので、よくわからないので、そういう認識で余り私からどうこう申し上げるよりは、これは一つの法律的な解釈の問題でもありますから、事務当局の方から答弁をさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/84
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085・志苫裕
○志苫裕君 じゃ、事務当局に答えてもらって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/85
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086・大林勝臣
○政府委員(大林勝臣君) 政治の世界、特に選挙というのは非常に政治的な色彩が強く出る場面でありますから、そういった政治の場面でいろいろその都度自分の政治的な態度、こういうものを表明されるためにときどき言葉が強くなったりするということは往々にしてあるわけでありますけれども、しかし政治の世界、選挙の世界というものは別にいたしまして、一たんその責任者になられた以降、行政の具体的な執行について、およそその行政の具体的な執行は公正であるべきでありまして、党派のいかん、あるいはイデオロギーのいかんによって差別されるというようなことはあり得ないし、またあってはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/86
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087・志苫裕
○志苫裕君 大臣、いまの点どうですか。確認できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/87
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088・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 繰り返しまするが、事案の内容をよく承知しない上で、私の立場で余り法律解釈的なことで申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/88
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089・志苫裕
○志苫裕君 いま事案のことは私はこっちに置いたと言ったでしょう。背景として私がこの質問をする動機は申し上げたけれども、私があなたに聞いておるのは、自治省、まあ国の補助金でもそうですが、そういう行政執行の場合に、自治体の長、どんな方でもそれは住民から選ばれているんですよ。それは革新的な場合もあるだろうしあるいは保守的な場合もあるだろうし、あるいはまた個人的に気に食わぬやつがなったりするというようなこともあるだろう、しかしそのことによって行政の運営が左右されたり不公平に扱われることはないということをあなたに確認できるかと聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/89
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090・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 行政が公正でなければならないというのは当然のことだと思います。その限りにおいては私もそういう地方公共団体の運営の中で正しい運営が行われることを期待をいたしております。
ただ、いまのお話のは、もし不当なことがあるのかあるいは違法なことがあるのか、私には何ともここで申し上げかねるのでございますが、もしそういうことがあるとするならば、それぞれの部局でそれぞれのしかるべき措置もあることであろうと、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/90
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091・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 志苫君、簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/91
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092・志苫裕
○志苫裕君 いやいや、簡潔と言ったって、向こうがわけのわからぬことを言うから何遍も言わなきゃならない。――じゃ、まあいいや。あなた、なかなか用心深い男だな。いずれじっくりやらぬといかぬな。
警察の方では地位利用に関する調査なり何かを行っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/92
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093・金澤昭雄
○政府委員(金澤昭雄君) ただいまの御質問の新潟の件だと思いますが、この前の新潟県議会で質問、論議が行われたことは承知しております。当時の県の本部長の答弁といたしましてもこの知事の発言された内容自体の把握が現在まだはっきりとできておりませんので、その把握をした上で検討したい、こういう答弁をしておりますが、私の方もそういうふうなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/93
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094・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
午後零時十八分休憩
─────────────
午後一時三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/94
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095・宮田輝
○委員長(宮田輝君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/95
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096・大川清幸
○大川清幸君 初めに地方財政の実情について大臣の御所見を伺いたいと思うんですが、午前中の質疑でも論議になっておりましたが、地方公共団体の必要な財源を保障するという意味では確かに借り入れをしたり肩がわりをしたり、バランスをとれば帳じりが合えばいいということだろうと思うんですよ。
ところが中身を見ますと、これは二十四日、自治省みずから発表した地方公共団体の財政事情ですが、これを見ましても財政調整基金の取り崩しですとか、いろいろ財政運営のやりくりは地方公共団体苦労しているようです。しかも五十六年度のこの財政事情、決算というのは確かに駆け込み退職なんかもあって人件費もふくらんでいる特殊事情も多少は手伝っていると思うんですが、財政の弾性値といいますか柔軟性については大分これは硬直化している実績がはっきりしているわけです。
これはこういうことから考えると五十七年度も交付の時期がおくれたり、それから今回は縮減をされるというようなことで、この五十六年度の決算の実情から見てもこれ以上よくなる材料というのは全くないわけでしょう。そうすると御迷惑はかけていないということにはならないんじゃないですか。この点はどういうふうに解釈をなさっておりますか。地方財政ますます苦しくなりますよ。ことしの補正予算における財政措置なんかも上乗せをされて、これは地方を圧迫する材料というのはあるわけですから、そういう点から考えれば決して迷惑は全くかけてないということにはならぬと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/96
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097・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 大臣から御答弁申し上げます前に、先般発表いたしました都道府県の昭和五十六年度の決算概況に関連してのお尋ねと思いますので若干御説明申し上げますが、あの発表にもありますように五十六年度決算の収支は全体としては前年度よりも若干よくなっております。ただ、これは東京都と大阪府が従来の赤字、東京都の場合は赤字が黒字になり大阪府は赤字幅が小さくなった、これが寄与して全体としては収支は若干よくなっておりますが、それ以外の府県について見ますと収支は悪くなっております。
その内容を分析いたしますと、全体として税を中心とする一般財源は伸び悩みの傾向が強まっている。一方、歳出では公債償還費を中心に義務的な経費の増加傾向がじわじわと強まっている。その結果として、財政体質を判断する一番重要なポイントになります経常収支比率が少しずつでありますけれどもじりじりと悪くなっております。その主力は公債償還費の増加であります。そういう見地から言いますと、私ども今後の地方財政を考える場合に大変これは厳しい状況になっていくんではないか、まあこのように考えざるを得ないわけです。
そこで、これに対してどう対処するのかという点でございますが、国の財政が大変な危機に陥っておる、そうした中で地方財政を取り巻く環境も大変厳しくなっている。こういう悪い環境のもとでやはり地方団体が最小限度必要な住民サービスを確保できるようにあらゆる努力を尽くして必要な財源を確保するということが私どもの役割りではないかと、このように考えております。
ただ、その努力をした結果としての財源の総量というものは傾向的にじり貧の状態になっているということは否定できませんので、この点は地方団体の歳出の面でも、またそういう環境に見合った対応をしていただかざるを得ないと思います。そういった点がいわゆる迷惑をかけるというふうに言うのか言わないのか、こういう客観条件の厳しさのもとで地方団体にもいろいろ御努力いただかなきゃならない面がどうしてもこれは出てまいります。その点をどのように評価するか、いろいろあると思いますけれども、私どもは最小限度必要な財源は確保するという点であらゆる努力を尽くしてまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/97
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098・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) いま財政局長から五十六年度の決算の話を申し上げましたが、地方財政は、私も今度自治大臣になっていろいろ具体的なお話を聞いていきまするうちに非常なこれは重大な時期にいま差しかかったなあという感じがいたします。
先ほど来申しますように、やはり交付税という国に連動したものが大きな財源となっております。また地方税の方も、たとえばことしの一兆二千億の減収の中身を見ますと、やっぱり事業税とそれから法人住民税の法人割りが大きなものであります。これもやはり法人税と連動をしてくる。その辺のことを考えていきますと、国の経済全体の動き、そして国の財政、そしてそれにつながる地方財政と、こういうふうに考えざるを得ないわけでございます。国は御存じのようにことし五十八年度予算の編成はもうこれはほんとに大変な厳しい状況にございます。しかし同じように地方財政も私はことしは財政としては非常にむずかしい年になったなあと、こういうふうに思います。
そこで、五十七年度も一千百四十何億という減額をいたしましたものの、あとは何とか交付税特会に借り入れを増額いたしまして、地方公共団体に余り財政上の御迷惑をかけないようにと努力を払ったわけでございますが、しかしこれも考えてみればやはり借入金というものでありまして、累積した公債がもう五十兆にも達するということでありますから、私は地方公共団体としても自主的なやはり努力をして新しい事態に対応をしてほしいという気がいたします。
同時に、私はそういうものができるかどうか、事務当局も非常に渋っておりますが、中期的な財政展望というものを何とか考えられないか、国の方も中期展望というものを考えたいという大蔵大臣のお話もございますが、これはなかなかむずかしいことなので、中身は私は非常に捕捉しがたい予想しがたい要素、不確定要素がたくさんありますから大変むずかしいと思います。しかし、さりとて、じゃやや中期的に考えてどういうふうにしたらいいかということをやはり真剣に私は不確定要素の多い中ながら勉強をすべきときではなかろうかと、こう思って、そういう方向で地方財政の将来というものをひとつ模索をしていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/98
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099・大川清幸
○大川清幸君 もう一つ伺っておきますが、先ほど佐藤委員とのやりとりでも問題になりまして、まだ結論が出ていない問題ですが、来年度の地方財政対策の中での例の利子負担分ですね。これのカットの問題、七千億円にかかわる問題ですが、これは平行線で合意に至らなかったということですが、これは自治省側の考え方で押し通せますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/99
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100・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) まさにいまその問題をここ数日来大蔵省当局と議論を重ねているところであります。
私どもは、この五十三年度にできました現在の交付税の不足した場合の借り入れ措置並びにその元金償還、あるいは利子負担の現在のこのルール、これは言うなれば交付税率あるいは地方財政制度の根本的な見直しができなかったために当分の間の措置としてとられた措置でありまして、現状においては少なくともこの基本的な枠組みはどうしても維持していく必要がある、そうしてもらいたい、こういう考えで臨んでおります。
一方国庫当局側では、その後国の財政状態が一層悪くなり、まさに危機的な状況に現在陥っている、そうした中で増税をしないで財政を立て直す、そのための手段として一般歳出を伸び率ゼロに抑える、こういうふうないろいろな前提要件を置きますと、五十三年度当時と格段に違った国の財政状況のもとでは交付税特会の借り入れ利子を国庫が全部責任を持つということはどうしてもできないんだ、何かこれを考え直してくれないかということを大変強く実は要求してきております。
昨夜も自治大臣、大蔵大臣の折衝の主たる論点はそこであったわけですが、結論が得られませんでした。国の方も、大蔵省当局もなかなか引き下がれない事情があるようです。私どももこれは交付税制度の根本にかかわる問題でありますから簡単には応じられないということで、引き続き議論をしているところであります。
率直に申しまして大変情勢は厳しいと申し上げざるを得ないのでありますが、私どもも最終決着に向けて最大限の努力をしたいと思います。大臣にもそのようにお願いいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/100
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101・大川清幸
○大川清幸君 大臣の御決意はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/101
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102・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) これ実は私ゆうべ大蔵大臣ともお話し合いをしたわけでございますが、この点は相当大蔵省も財源難の折から強く要請をしてきておりまして、夕べの段階ではお互い物別れという形になっておりまして、さらに事務当局で詰め、なるべく早くその結果を得たいと、こういうことになっております。
先ほどのお尋ねで、ある新聞に七千億丸々持つようになったということが出ておりましたが、それは私どもとしては折衝の中ではさようなことに合意をしたわけではありませんということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/102
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103・大川清幸
○大川清幸君 もう一つ来年度の関係で確認をしておきたいんですが、大蔵省側としては基金の取り崩しですね。このことについて強く要望しているやに聞いておるんですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/103
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104・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 五十八年度の地方財源の不足がどの程度になるかという論議の過程で、五十五年度決算で地方は三兆五千億円の積立金を持っております。国の方は御案内のように補助貨幣回収準備金を全部取り崩すとか、あるいは国債整理基金への定率繰り入れを一時ストップする、こういうような非常手段をとっているのだから、地方の方も積立金を全部とは言わないけれども一部取り崩してこれを財源不足に充ててもらえないか、そうすればそれだけ国の方が対応する財源不足が小さくなるわけでありますから、そういう考え方が示されてきております。これは財政制度審議会などでもそんな議論がなされております。
ただ、この問題は、現在地方財政計画はいわば単年度ごとに標準歳出、標準歳入の収支バランスを見まして、その差額について国が適切な財源措置をとる、こういう方式になっておりますから、前年度以前の要素を取り込みますと、これはいまの立て方が根本から変わってしまうわけであります。そのことはひいては地方に対する適切な財源措置を困難にするという危険もありますので、私どもとしてはその提案には応じないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/104
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105・大川清幸
○大川清幸君 それでは、そのようにぜひガードを固めてがんばっていただきたいと思うんですが、五十七年度の地方財政の補正措置に関連して何点かお伺いをいたしておきたいと思います。
いただいた資料の中で見ますと、まず地方税の減収の方ですが、住民税所得割で一千三百八億円、住民税法人割が四千二十八億円、法人事業税関係で六千七百五十六億円ですね。これですが、これらの税は前年所得税主義でこれは確定をするものですから、この額は実績からいってやむを得ないんだという結論になるのかもしれないけれども、ちょっと額としては大変大きいように思うんですが、この見込み違いの原因は、やはり国税の税収の誤りということになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/105
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106・関根則之
○政府委員(関根則之君) いま御指摘をいただきました減収額でございますが、法人税につきましてはこれは国の収入年度と地方の収入年度と大体同じになっているわけです。例の二月、三月分の決算法人が年度が違うということはございますが、そのほかの四月、一月分は同じでございますので、年度の違いでということはそれほど大きくはございません。一部二月、三月分があるということでございます。したがいまして国税におきまして昨年のちょうどいまごろの段階で五十七年度の法人税収を見込んだその数字がやはり大き過ぎた、経済の見通しについて実態よりも実際の経済よりも伸びの期待が大き過ぎた、こういうことの結果であろうと思います。
また、個人住民税につきましては、御指摘ございましたように前年度所得に対する課税でございますから、本来ならばこれに狂いが生ずるということはおかしいのですけれども、やはり昨年の十二月の時点で推計をいたして見通しを立てたわけでございます。実際に入ってまいりますのが三月十五日までの申告に基づきまして申告所得の分が予想以上に下回った、いろいろ節税の思想等が強化されておりまして三月の申告所得分が異常に落ち込んだ、そのために私どものベースとなります五十六年度所得税額が落ち込んでしまった、したがって五十七年度におきます地方税としての個人所得分が落ち込んだ、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/106
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107・大川清幸
○大川清幸君 税収見込みの誤りがどっちにしても明確なのは政府側にあったこと、これは間違いないのでして、前の予算委員会でもさんざんこれはやったのですが、そうなると減収補てん債の措置の仕方ですが、「上記地方債のうち一般市町村に係るものは、政府資金で措置するよう配慮し、残余は民間資金で措置する。」、こうなっていますが、そうすると、この説明だけでは明確なところまでちょっとどういう姿になるか私わからないのでお聞きをするのですが、この減収補てん債の資金についての政府資金、これは具体的にはどの程度配分することになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/107
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108・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) ただいま先生からお示しになりましたように、減収補てん債につきましては都道府県と指定都市は民間資金を活用していただく、それから一般市町村については政府資金をできるだけ充当する、こういう方針で処理したいと思っております。
ただ、具体的に一般市町村の減収補てん債がどれだけ出てくるか現時点ではわかりません。年が明けまして一月末か二月ごろにかけて詰めをやりたい、各団体のヒヤリングをしたいと思っておりますが、減収額の税目が法人事業税、法人住民税の所得割、こういう税目でございますから、都道府県と指定都市の減収額が圧倒的に多いのでありまして、一般市町村は金額的にはそう大きくないと思います。したがって、その金額も政府資金に置きかえてどのくらいになりますか、私は見込みとしてはせいぜい一千億以内ではないかと思っておりますが、これから整理して数字が確定するのは年が明けて二月ごろではないかと思います。この段階で正確な数字はまだ申し上げかねる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/108
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109・大川清幸
○大川清幸君 それでは、それは時間がたたなければわからないということで現時点でやむを得ないと思いますが、それで地方債とそれから政府資金との利率の差額分、これについては従来どおりの措置でいくわけですね。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/109
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110・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 地方債計画上の地方債総額に対する政府資金の額が最近の政府資金の原資の事情から必ずしもわれわれの期待どおりいっていないということで、昭和五十六年度までにつきましては、地方債計画総体の規模の六割までの部分については、現実の政府資金の総額とそれから現実の政府資金と六割との差額部分について、市場公募債の発行者利回りと政府資金の金利との差を臨時特例交付金で交付税会計に入れる、こういう約束がなされております。その線に沿いましてこれまで必要な財源手当てをしてきておりますし、五十八年度についても私どもは当然過去の約束でございますからその差額は補てんされていくべきものと考えております。
ただ、五十七年度の場合には当初の財政状況が変わりましたので、五十六年度以前の方式は一応中断といいましょうか、確認されておりません。そこでこの点も五十八年度以降の扱いをどうするのか、これから議論しなきゃならない一つの要素だと考えておりますが、私自身の気持ちとしては財政状況が五十八年度以降かなり厳しくなりますから、基本的には従前の方式を復活すべきではないか、復活していただきたい、こういう気持ちでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/110
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111・大川清幸
○大川清幸君 大臣、いまの問題、地方制度調査会からももう報告なり答申出ていると思いますが、その方向で五十八年度以降のルール化の問題には努力していただけますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/111
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112・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) ただいま五十八年度予算折衝の中でございますが、お話しのような点は考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/112
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113・大川清幸
○大川清幸君 これは五十七年度中断の形になるけれども、これ既成事実で後押されるということは財政局長ないでしょうな。どうなんです。何とも言えないかな、これ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/113
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114・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) あの方式は、五十年度の補正で政府資金が当初の段階で六〇%だったものが三〇%切ってしまった、こういう異常な事態のもとであの差額を臨特で補てんするという方式を確立したわけですが、大蔵省側の主張ではあの時点と現在では国の財政事情が格段に違う、だからあの方式をもう一回同じようにやるわけにいかない、できればもうあの差額補てん方式はやめてもらいたいということを大変強く主張しております。
ただ、私どもは五十八年度以降の財政を展望いたしますと再び政府資金の状況は非常に厳しくなると思いますので、ぜひこれを復活したいという考え方で、ただいま大臣も御答弁申し上げましたように大蔵省とも折衝を現在行っているところでございます。何としてもこれは戻したいという決意で臨んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/114
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115・大川清幸
○大川清幸君 後の交付税にも関係してくるんですが、今回の補正のやり方でちょっと私としては納得いかないのは基準財政需要額の圧縮ですね。これはやっておられますが、一方で実績で減額したんだからバランスとれるからいいだろうという理屈もこれは成り立つと思うんですけれども、基準財政収入額の方の圧縮もやって試算をしてみると、これ別の姿が出てこないかどうか。その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/115
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116・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 御指摘のように、五十七年度の現在の地方財政の状況のもとで最も理想的な姿を言うならば、基準財政需要額も基準財政収入額も現時点の実勢に基づいて再算定するのが一番いい方法だと思います。そうしますと、法人関係税を中心に一兆二千億円を超える減収が予想されるわけでありますから、その分だけは交付基準額がふえる、歳出の方で落ちる要素もあるけれどもふえる要素もあるという立論はできるわけです。これまでもそういう議論はいつもあったわけです。
ただ、この補正段階で基準財政収入額を再算定したというのは、かつてはいつも交付税の総額が補正でふえたときにいわばそのふえた交付税を引き当てるといいましょうか、その際に収入まで再算定したという例はありますけれども、交付税総額がふえないとき、あるいは減るときに再算定したということはありません。結局残念ながら今日の国、地方を通ずる財政事情、特に国の財政状況のもとで地方税の減収分まで全額交付税で、交付税を増額して補てんするということはとうていできない実情にあります。
そこで、御案内のように基準財政収入額については再算定をしないけれども、法人関係税を中心に基準財政収入額に比べて現実に収入額が落ちてくるものについてはそのギャップの範囲内で減収補てん債の発行を認める、そうしてその減収補てん債につきましては将来その元利償還金を基準財政需要額に算入する、そうしてこの時点で地方税の基準財政収入額の再算定をしたと同じ効果を持たせよう、こういう対応をしているわけであります。
理想論から言えば先生御指摘のようなことも言い得るわけですけれども、現実にはともかくできないということで、次善の策として地方団体の財政運営に支障のないような措置として減収補てん債で対応しようということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/116
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117・大川清幸
○大川清幸君 ところで、次に地方交付税についてですが、今回は六千百億円しか配分されなかったんですが、これの理由はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/117
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118・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 今年度の交付税のうち普通交付税につきましては去る八月二十七日に各団体の額を決定しております。それに基づきまして九月までは現金交付を完了しておりまして、十一月に二兆二千億円を交付することになっておったわけです。
ところが、御案内のように十月末に政府としては国税収入の大幅な減というものを放置できないということで補正予算を編成することになりまして、その結果、整理いたしますと国税三税について五兆二千九百九十億円の減が立つ、補正予算でそのような減が立てられたわけです。その結果、地方交付税について一兆六千九百五十七億円の減額が生じてしまうということになったわけです。
この点につきまして、交付税法の第十六条第二項におきましては、交付税の交付時期ごとの交付額の原則に対して、国の予算の総額が変更する、そして交付税総額が減るような事態がある場合など十六条第一項の一般原則によりがたい事情がある場合には交付時期及び交付額の特例を自治省令で定めることができるという規定があります。この規定に基づきまして、交付税が減額になってしまう、これを一たん交付してしまって後で返還ということになると大変実務的にも混乱いたします。諸団体ももらえると思ったものがまた返さなければいかぬということになれば大変混乱する。こういう行政事務の混乱を避けなければいけないということなどもございまして、今回の補正予算により影響を受けない部分、すなわち六千百億円については現行法のたてまえに従って十一月中に交付をした、しかし補正予算の結果影響を受ける部分については、今回御審議をお願いしております交付税法の一部改正で必要な補てん措置を講ずるわけでありますけれども、それはこの法律を待たなければ補てんできないわけでありますから、その残余の分について一兆四千四百億円ばかりの額については十二月において交付するという特例省令を制定した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/118
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119・大川清幸
○大川清幸君 いまの説明で大体のことはやむを得ないような気もするんですけれども、交付税法の第十六条の二項のたてまえからいいましても、ここに出されている「総額の変更事由内訳」で合計額は一千五百二十四億円ですね。これだけなんですから、この配分のことについては残りが大変ぱっとそっくり送られちゃったみたいな感じになるので、これは扱いとしてはちょっと妥当な措置ではないような気がするんですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/119
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120・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 交付税法第十六条第二項の扱いの問題とも絡むと思うんですが、今回の補正予算によりまして五兆二千九百九十億円の国税三税が減額されますと、言うなれば交付税法第六条第二項の規定によりまして自動的に交付税が一兆六千九百五十七億円減ってしまうのであります。この減った分をもとへ戻すためには、今回お願いしております交付税法の改正によって借り入れの授権をいただかなければ交付税特別会計で借り入れできないわけです。
ですから、考え方といたしましては千五百二十四億円減額するというのは、これは単位費用を改定してそれだけ基準財政需要額が減るわけでありますが、結果として最終的に減るのは千五百二十四億円でありますけれども、この補正予算が成立した段階でこの特例法が成立しない時点を考えますと一兆六千九百五十七億円が全部落ちてしまう。もとへ戻らない状態になっているわけです。したがいまして、そういう最悪の事態でも混乱が起こらないようにするためには六千百億円しか交付できない、それ以上交付すると返還という問題が起こってしまうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/120
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121・大川清幸
○大川清幸君 それで、普通交付税の配分の時期ですね。先ほどもちょっと触れられたんですが、十二月に配分されるということですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/121
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122・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 一応交付税法十六条第二項の規定による交付時期の特例については自治省令で定める必要がありますから、そこで十一月三十日のぎりぎりの段階で普通交付税が当初どおり交付できない事態になっておるという考え方のもとに十六条第二項の自治省令を制定して、十一月においては二兆二千億でなくて六千百億円交付する、残余の普通交付税は十二月に交付する、こういう省令を出した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/122
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123・大川清幸
○大川清幸君 ところで、十二月に出すことになっているんですが、日限からいって、この法律きょう通ることは間違いないんでしょうけれども、事務レベルでの作業でいうと年越しちゃいませんか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/123
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124・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 実は改正法律案の御審議をお願いしておるわけでありますから、私ども準備行為をどの程度したらいいのかということは大変微妙な問題でございますけれども、ただ現在は計算事務の大部分はコンピューターに入っておりまして、今回の改正は単位費用の改正が中心で補正係数はほとんどいじっておりませんから、法律が成立いたしますととたんに計算作業を集計できますので、実はもしきょう成立さしていただければ、今夜から直ちに、もう準備さしておりますので、関係職員は待機しておりまして、明日日曜日でございますが、今明日中に全部計算作業を終わって、二十七日にはこの法律が公布され次第直ちに現金交付する態勢で準備しているところでございます。きょう御可決いただければ二十七日には間違いなく現金交付できるものと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/124
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125・大川清幸
○大川清幸君 仕事納めまでに間に合えば結構ですけれどもね。
ところで、十二月の特別交付税の配分はいつに予定されているんですか。何か十二月二十二日現金交付の予定がかつてはあったんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/125
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126・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) この二十二日にすでに交付済みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/126
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127・大川清幸
○大川清幸君 それは三分の一以内という規定からいうと金額的には幾ら配付なさったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/127
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128・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 二十二日に交付した額は千五百三十一億七千五百万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/128
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129・大川清幸
○大川清幸君 それはそうすると減額一兆六千九百五十七億円に含まれている特別交付税の六%分を見込んで減らして配付したということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/129
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130・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 今回の千五百二十四億円の減額はこれは全部普通交付税の減額でございまして、特別交付税には影響しないようにしております。そこで今回の交付額につきましては現在御審議いただいております改正法によって借り入れて総額をふやしていくわけですから、その総額の増額が仮にできなくても影響を受けない範囲でこれは配分いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/130
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131・大川清幸
○大川清幸君 特別交付税の総額はこれはたしか五千六百二十四億円ですから、この三分の一というと千八百七十五億円でいいんじゃないですか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/131
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132・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 実は今回の総額の減額によって影響を受ける分がどれだけかという計算方式で六千百億円の現金交付する場合、今度減る分の一部は特別交付税も減るんだという想定のもとに地方にとって最も有利な計算として六千百億円の現金交付をいたしたわけです。
ですから、単純に九十四対六で分けますと五千億円ちょっとしか交付できないじゃないかという解釈も成り立つわけで、そのときに国庫当局とも議論したんですが、単純に減った分を九十四対六で分けますと五千億円程度しか交付できないじゃないかという議論もあったんですけれども、減額の一部は特別交付税も一応その時点では減るんではないかという想定をしまして、できるだけ多くの額を地方に交付しようというので六千百億円交付した、そこで、この時点で特別交付税を配分するにつきましては、その先に普通交付税の影響を受けない部分として交付した部分を含めて法律に抵触しないようにぎりぎり計算いたしますと千五百億台のものになるんじゃないかと、そういう非常に慎重な計算のもとに今回の総額を決めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/132
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133・神谷信之助
○神谷信之助君 まず大臣にお尋ねしますが、五十六年度、五十七年度と税収の大きな不足が国税、地方税に起こってきています。これについてまず閣僚の一員としてどういうように政治責任を感じておられるか、まずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/133
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134・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) この税収の勘定を計算するときに、やはり経済的な見通しというものがまず一つの確かに資料になる土台になると思うんです。最近は余り経済見通しだけで税をはじくということは、それだけではむずかしいことになるという判断もありまして、国税の方でも聞くところによりますと、もちろんその経済見通しに税の弾性値を乗じて一応出すけれども、しかし同時に各税目ごとに相当詳しい積み上げ方式も考えるという式に勉強もしておるようでございますが、しかしいずれにせよ経済の動きにやっぱり左右されることは間違いない。そこで主としては世界経済の大きな動きの中で日本経済も同じような道をたどった、特にアメリカの高金利による円安ということも加わりまして日本経済の足取りは鈍かった、そういうことでせっかくの経済成長率もやはり下方修正をだんだんにせざるを得ない、こういう状態でございます。
そこで、国税もそういう税収の大きな落ち込みがことしなど六兆一千億も起こったわけでございますが、やはり地方財政にもそういう影響が如実にあらわれたということでありまして、その点は私はまことにいろいろな事情はあったにせよまことにやむを得ないものではなかったか、今後はできるだけそういう、経済は生き物ですからそう正確に物差しではかるようなわけにはいきませんけれども、できるだけ正確な見通しを立てて財政計画をつくるべきものではないかと、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/134
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135・神谷信之助
○神谷信之助君 私が聞いているのは政治責任の問題です。この春の通常国会の予算委員会でもこの問題は相当議論されました。当時の大蔵大臣は、いままでも若干の差異はあったんだ、それはぴたっと当たるはずはない、こういう答弁を繰り返すんですよね。
で、結果とするとどれだけの差が出たかというたら六兆一千億も出ておるんです。そういういいかげんな見通ししか持てないような、そういう政府のやり方について政治責任はお感じになっていないのかどうか。いま大臣のおっしゃっているのはその状況の説明だけであって責任はあるのかないのかはっきりしない。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/135
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136・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) まあ私はまだ一月ばかりしかならぬわけでございますが、私は自治大臣でございますから地方財政の責任は私が負わなければならないということでございます。
そこで、より正確な見通しのもとに地方財政計画を国と連動させながら立てなければならないという責任は確かに私はあると思うんです。その点についてはそういう見通しが実態とはなはだしくかけ離れたということは確かに私も言えると思うのでありまして、そういう点については今後一層ひとつ心を引き締めて、そういう状態が起こらないように、そういう事態にならないように極力努力をするということではないかと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/136
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137・神谷信之助
○神谷信之助君 これは五十七年度予算そのものが言うたら水増し予算というか、粉飾予算とよく言われているわけですよね。それに基づいて地方財政計画をつくって、そしてことしは収支均衡しておりますというのがこの間の国会での自治省なり当時の世耕大臣の説明なんですよね。しかし当時の税務局長さんも、交付税の見積もりはそれでいけるのかどうかという問題も含めて私が聞いたら、その基礎はもう国の予算で国税で決まっていますから、だからそれの三二%でございますと言うことしかできない。
だから問題は、それじゃ大蔵省が見積もりをふやしたからもうしようがないのか、あるいは経済成長率を五・二%としている、それに合わせてやりました、だから自治省としては仕方がございません、こういうことだった。しかし実際にそれが確保できるのかどうかと言うてさらに突っ込みますと、これは四月二十日でしたか、とにかく当時の世耕大臣は、当初の計画を変えないで今後の適切な経済財政運営を通じて当初の目標を達成したいと、こうおっしゃった。達成できっこないということを知りながらですよ。そこが問題なんです。
九月二十四日でしたか、人勧凍結の方針が出た直後に、その日だったと思いますが、私、大臣室へ行って話をしたんですよね。自治体に対してもそういうことをやるというのはけしからぬと抗議に。そのときの話で、大体成長率も変えざるを得ぬようになったじゃないか、むちゃくちゃじゃないかと言ったら、いやもうそれは大体危ないとは思っていたけれどもそう言わざるを得なかったと言うんですよ。
これではまさに国民をペテンにかけているようなものですよ。だから地方財政計画自身も予定をしたようにそのままの姿を維持できないし、千五百二十四億削って、とにかく削ったりしたけれども、大枠としては必要財源は借金をして確保したと、こういうようにおっしゃるんでしょうけれども、私はそれでは自治体の財政についても責任を持たなきゃならぬ自治大臣としての責任は免れない、借金をしてでも何でもとにかく借りてきて保障したらそれでいいんでしょうということでは免れないというように思うんですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/137
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138・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 地方財政と国家財政が違うところは、私は一つはやはり地方公共団体というのは何せたくさんある、その財政内容もやはり何がしかずつ違うということがある中で全体の計画をまとめていかなきゃならないということでございます。
一方、国の方との関連は、いまおっしゃるように交付税というものは全く国税三税の収入に依存をしておる、三二%をただ機械的と言ったら語弊があるかもしれませんが、とにかく三二%である。こういうややきっちりしたシステムの中で運営をしておるわけでございますから、この根っこのもとが違ってくれば、それはやっぱり違ってくる。
政府は全体としまして経済見通しをしっかり立て、そして国も地方も財政計画というものをしっかり立てなければならぬという責任は、私は政府全体としても当然にあるわけでございますから、そういう意味では私どもしっかりしたそういう財政計画を立てなければならないという責任は今後ともしかと心にとめてやっていかなけりゃならないものであると、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/138
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139・神谷信之助
○神谷信之助君 それで、具体的にちょっとそういう地方財政計画、水増しの地方財政計画を立てておられるために一体自治体ではどういう問題が起こってくるのかという点で少しただしていきたいと思うんですけれども、基準財政収入額の算定の問題です。
特に法人関係税ですね。法人関係税の算定については自治省の指導としては、四月、五月は実績で計算をする、それから六月から三月については前年度対比で三九%の伸びで計算をする、そういう指導をなさっているように伺っていますが、それは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/139
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140・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 五十七年度の当初の普通交付税の算定に当たりましては、法人関係税について申しますと、ただいまお示しのように二月、三月決算分、すなわちこれは四月、五月申告分でございますが、これについては現実の数字を把握してベースに置いている、そうしてその残りについては地方財政計画上の法人関係税の総額と合うように、言うなれば乗率と言っておりますが、要するに合わせるための伸び率を適用して全体として地方財政計画に合わしておる、こういうやり方をとっております。その結果たしか道府県分については下期は三九%の伸びという乗率を適用したはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/140
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141・神谷信之助
○神谷信之助君 ですから、当時の実際計算をしているその時期の経済上の見通しですね。対前年比法人関係税が三九%も伸びるというようなことは、そういう計算方式を支持された皆さんの方はそうなるぜという確信を持って言われたんでしょうか。
私はそうじゃないと思うんですよ。地方財政計画上そうなっておるから、いまおっしゃるように、それで計算をすれば三九%の伸びで計算せざるを得ぬ、こういうことになったんじゃないかと思うんです。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/141
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142・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) ただいまの点はいまの地方交付税制度の全体の仕組みとも関係する問題なんでございますが、従来から地方財政計画上見込まれた税収というものを前提にして歳出とのバランスをとられた、その歳出を前提にして単位費用の積算を与える、こういう仕組みなものですから、基準財政収入額も基本的には地方財政計画上見込まれた税収にトータルとしては合わせないと勘定が合わなくなっちゃう。
そういう事情がありまして、法人関係税について言いますと二、三月決算はもうすでにデータがとれるものだから現実のものとして使う、そしてその残余の部分は総額に合わせる、こういう方法をとっているわけです。たまたま五十七年度の場合にはこの二、三月が非常に地方財政計画で見込んだ平均値より低かったものですから、いわば下期の方にしわがいったというか、結果的に高い乗率を掛けないと総額に合わないという事態になったわけです。
そこで、じゃそれだけ伸びると思ってやったのかと、こういう御指摘でございますが、確かに五十七年度の普通交付税算定時点における経済情勢などを考えますと、この乗率は確かに高い、かなり実態的には無理じゃないかという御批判が出てくるだろうと思います。私どもも絶対それが自信があるということでやったんじゃないんです。いまの交付税の全体の仕組みが総額に合わせざるを得ない、交付税総額が全体との絡みで決まっておりますから、算定上はそれ全体に合わせざるを得ないということでこのような処理をしてきたわけです。
従来からもそういう処理をしてきておりまして、ただ従来はその乗率というのはそう大きなものではなかった、その年度の実態とそう乖離のない率でこれまで推移してきたんですが、五十七年度については残念ながら非常に高い率にならざるを得なかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/142
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143・神谷信之助
○神谷信之助君 特に五十七年度は異常な感じなんですね。なぜそうなるのか。それは歳出をずっと洗って積み上げていくと収支均衡せにゃいかぬのだから、だから歳入の方も、今度は収入の方もふくらまさざるを得ぬ、そうせぬことには交付税総額にはまらないですな。逆に言うと、本当は財源不足を生じているんだけれども、たとえばこの法人関係税なら法人関係税を大きく見せて、そしてバランスをとらなければならぬ、だからそれが今度は実際には計算をするというといま言ったような状況になってくるということだと私は思うんですよ。
たとえば、これは神奈川県の例ですが、県で聞いたら四月、五月分は前年比マイナス二・七%ですよね。それから六月から三月は三九%の伸びだと。これはもう非常識ですよね、何で三九%というのが出てくるんだと。こういうことでは地方財政計画自身も、それから交付税の計算そのものが実態に合わなくなっている。いままでもそうだったのかどうかという点はよう知りませんけれども、局長のいまの言葉ですといままではそうではなかった、五十七年度だけ特別だという意味に聞こえましたけれどもね。だから、これはこのこと自身が地方財政計画あるいは今年度は自治体の地方財政は収支均衡しているというあなた方の説明自身が破綻をしていったということを私は物語っておると思うんですよ。だから、四月二十日に当委員会で私も地財計画自身を組みかえなさいという主張をしたんです。そしたら、世耕大臣は、いやもう変更しないでとにかくそういうふうに目標を持っていきますというさっきの答弁が出ているんですよね。実際はそうならぬでしょうと言ったんだけれども、おっしゃったようなことをなさっています。
で、具体的にどんなことになってくるかもう少し申し上げますと、神奈川県の五十六年度決算で法人関係税の交付税ベースが千八百四十七億円なんですね。それを基礎にして、先ほど言いましたように四月、五月が実績でマイナス二・七%、六月―三月にかけては三九%の伸びで計算をして、その結果基準収入額の法人関係税というのは二千三百八十八億円という計算ですね、神奈川県の場合。これは決算ベースで昨年比に対して二九・三%の増、しかもそれは五十六年昨年の交付税ベースの基準収入額の法人関係税の千九百八十四億円に対しますと、これは二〇・四%の増ということになります。だから、実際にはそんなに入りっこないやつが多く見込まれる。
これを県の当初予算のベースで計算をしますと千九百三十九億円ということですね。昨年度に対して五%減なんですね。ところが、自治省の方の基準収入額の計算でいくと二千三百八十八億円という計算が出てくる。こういう状況が出てきておる。ですから、この中から超過課税分やらその他いろいろなやつがありますから、それをずっと引いた上で見てみましても、結局千九百三十九億円になってしまうという状況になっているんですね。
だから、この県の実態のやつで計算をすると神奈川県の場合は不交付団体ではなしに交付団体になって、逆に二百億ぐらいの交付税が配分される。しかし向こうは法人関係税の占める率が大きいですからね。それを大きく水増しされれば現在の不交付団体になるわけです。こういう状態は愛知県も同様の状況が起こっていますね。だから水増しをすることによってわざわざ不交付団体をつくり出して、そして何とか交付税の配分に矛盾が起こらぬようにする、うがって見ればそういうことも考えられなくもないというような状態が起こっているんですね。
これはなぜそうなったのかというのは、結局五十七年度の地方財政は収支均衡をいたしておりますということが自治、大蔵の間ではなって、まあなったのか、そういうふうに自治省自身も言わざるを得ぬようになったのかして、それをもとに地方財政計画を組み立て、そして交付税総額に合わしていくという、そういうことから生まれてくるように私は考えざるを得ないと思うんですけれども、こういうやり方がまかり通るとなると、日本の交付税制度というのは皆さん方の努力で非常に精緻、まあわかりにくいけれども精緻になっているという評判が高いんだけれども、精緻どころの騒ぎじゃない、まさに恣意的に数字を操っているではないか、だから交付税制度そのものの信用性にかかわるそういう問題が起こっているし、さらにこういうやり方というのはめちゃくちゃだと言わなきゃならぬというように私は思うんですが、その辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/143
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144・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) ただいま御指摘の事実でございますが、確かに今年度について申しますと神奈川県、愛知県のような不交付団体で、かつボーダーラインの団体については、まあ最終的に税収がどうなるかわかりませんけれども、現時点で関係県当局が推定している数字を前提にして考えますと、御指摘のような問題が出てくることは事実であります。
ただ、先生、恣意的にとか特定団体をねらってというような感じに言われましたけれども、先ほど申しましたように、私どもは特に神奈川県、愛知県に特別の伸び率を適用したわけじゃございませんで、全体として地方財政計画上の法人関係税に合うように、言うならば二、三月は実績でございますから、それを引いた残りが全体として合うように乗率を決めている、従来そういうやり方をしているものですから今回もこれを適用した、それが結果的に今年度の場合には大変実態と乖離したものになってしまった、結局この点は年度当初の税収の見積もりに問題があったんではないかという御指摘で、今日の時点で振り返ってみますと大きな食い違いが生じたということは事実でありまして、否定できません。
当時税務局長も答弁しておったようでありますけれども、私どもは税収見積もりの中で一番変動要因の多いのは法人関係税でございます。これらについては国税当局の方が発表しております法人関係税の法人所得などを同じ課税ベースですから同じものを使わざるを得ない。自治省だけ違うんだというわけにいきませんので、結局そこは合わせざるを得ない。その点が結果として食い違っていたということで、御指摘のようないろいろな問題点が出てきているわけであります。
そこで、結局こういう大きな変動が起こった場合にどう対応するかということなんです。先ほど私は大体過去はうまくいっていると申し上げたのは、通常の年はうまくいっているんですが、過去においても昭和五十年度においては今年度と同じような事態が起こりました。そのときもどうするかということで議論したんですが、結局いまの交付税制度、いまの地方財政計画の全体の仕組みの中で税収が大幅に減になった場合に、理想論からすればその税収の減相当だけ交付税総額を増やして、そして基準財政収入額を最近のデータで再算定をする、そうすれば一番いいんですけれども、残念ながら五十年度の場合も今年度の場合も補てんするといっても結局は国の方から何とかしてもらわにゃいかぬが、その国の方ももうとてもじゃないが国の財政そのものをどう締めくくるか大変なことになっているわけですから、結局わが方も必要な措置を講じていただくような状況にない。
そこで、これまでずっととってきている方法は税収の大幅な減が起こった場合にその減収額の範囲で減収補てん債の発行を認める、そしてその年度の収支に支障がないように手当てしている。そしてさらに法人関係税について言いますと、その団体の徴税努力というのはほとんど関係ない。経済の情勢によって変動するわけでありますから、その減収補てん債については元利償還金を基準財政需要額に算入するということで、言うなればならしてこれを後で補てんしていくという方法をとっておりますし、またこれが金額が小さい場合には減収補てん債でなくて翌年度以降の基準財政収入額の算定に当たってのいわゆる精算方式でこれを増減を調整するという方法で、当該年度は減収補てん債で対応しますが、中長期的には減収補てん債の基準財政需要額の算入、あるいは過去の年度の法人関係税の食い違いを精算する、交付税の基準財政収入額の方で精算するという形で、一定の期間をとればその増減が実態と基準財政収入額は合うようにするというような方法をとっているわけでございます。
したがいまして、繰り返すようでありますが、理想論からすればその年度で必要な交付税の増額措置を講じてけりをつければ一番理想なんですけれども、現実にはなかなかそれができないものですから、やむを得ず今日減収補てん債で対応するという方法をとっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/144
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145・神谷信之助
○神谷信之助君 そこで、そうすると五十七年度の地方財政について当初は収支均衡をしておりますという、そういう答弁でこられましたね。あるいはそういう認識であった。現在こういう事態になって、この事態は収支均衡しているというようにお考えなのかどうか。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/145
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146・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) お尋ねの点は、五十七年度の地方財政の状態というものが地方交付税法第六条の三第二項の規定するケースになるのかならないのかという意味でのお尋ねだと思います。
私どもは確かに当初の段階ではその当時のデータでは収支が均衡する、こう考えたわけですけれども、今日の段階ではこれは明らかに収支は均衡しておりません。したがいまして今日の事態は交付税法第六条の三第二項に該当するケースである、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/146
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147・神谷信之助
○神谷信之助君 大蔵省おりますか。――大蔵省の方にお伺いしますが、いま自治省の方の財政局長はいまのような認識を示しているんですが、五十七年の現在の段階における地方財政の状況は当初政府側が考えていた収支均衡しているという状態であるとお考えか、いかがですか。もっと具体的に言うと、いま局長言ったように六条の三の二ですね。これに当てはまるというようにお考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/147
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148・八木橋惇夫
○説明員(八木橋惇夫君) お答え申し上げます。
地方財政におきましても五十年度以来財源不足が続いておるわけでございますが、五十七年度当初におきましては一たん均衡すると見込まれましたものが結局大幅な税収減によりまして収支が相均衡しないという状態になっているということでございますので、地方交付税法第六条の三第二項にいうところの条件がまだ解消されておらない状況である、こういうぐあいに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/148
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149・神谷信之助
○神谷信之助君 では、財政局長に聞きますが、五十六年度も税収見積もりの違いで財源不足を生じた、手当てをしなきゃならぬことになった、それから五十七年度もいまおっしゃるような、それから五十八年度もその後遺症でいわゆる精算分その他入ってきますから、それらを含めて考えた場合に同じく財源不足が相当の規模で予想される。これはまた財源不足そのものは後でなにしますが、そういう状況だとしますと、前の五十年代の地方財政のいわゆる交付税法の六条の三の二に該当する状態、それは石油ショックその他の問題ありますが、それと、今度はある意味で言うと政府のそういう税収見積もりあるいは思うように経済が好転しなかったということによる新しい六条の三の二の状態が三年続こうとしているというようにも考えられるのですけれども、その辺についてはどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/149
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150・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 私自身はいま主計官が答弁したように今年度の事態は当初では均衡していると思っておったのが最終的には均衡しなかった、もう今日では明らかに均衡していないわけです。したがって今日の事態は五十七年度から新たにまた六条の三第二項のような事態が発生したんじゃなくて、五十年度以降そういう状態がずっと続いている、これ結局五十七年度も初めそう思ったけれども、それは思っただけで実態はそうならなかったわけですから、やはり六条の三第二項の事態が今日続いている。で、現時点で展望いたしますと五十八年度も事態は悪くなってもよくなることはまずなかろうという状況でありますから五十年度以降の状態がずっと続いている、こういうふうに考えていいんじゃないかと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/150
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151・神谷信之助
○神谷信之助君 そこで局長、先ほどの五十七年度の法人関係諸税の場合がありました。本来なら交付税総額をふやせばそんな矛盾はなしに解決する問題だ、ところがいまはそうはいかぬということで、現在二分の一ルール、あれがいわゆる制度改正、それだというように強弁されているんですね。
当時の議事録を見ると、私が追及したら、あなたの著書に書いてあるやつを引用して言ったら、その制度改正は非常に幅広く考えてもらったらいいんです、構造的改善まででなくても部分的な当面の策としてももう含まれるんですということを強弁されていますが、あなたの本にはそう書いてなかった。しかしそれでずっときているんですよ、どちらもとりあえずの当面を糊塗する二分の一ルールで。しかしそれやっているといまのような、ことしのような矛盾がどうしても起こってこざるを得ないというように思うんですけれども、これ、大臣がいないのでなんですが、事務当局としてはどうなんですか。
交付税率の引き上げの問題については、そういう要求をこの補正の編成段階、大蔵省との折衝の中では要求されたのかどうか。あるいは五十八年度の地方財政対策の折衝の中でそういう要求をされているのかどうか。これはそういつもいつも要求されていませんわね。初めて要求されたのが前回のときの五%から六%アップを要求された時期がありましたね。それから二分の一ルールになってきていると思うんですけれども、この点は今回どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/151
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152・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 交付税率の引き上げ要求に関連してのお尋ねでございますが、率直に申しまして五十七年度の補正につきましては年度の途中での対応ということでございますから、交付税率の変更というような将来の国と地方の財源配分の変更につながる問題を取り上げるのは適当でないと考えまして、当面の補てん措置について大蔵省と折衝し、御審議いただいているような内容で決着したわけでございます。
次に、五十八年度、じゃどうするんだということでございますが、五十八年度の地方財政対策をどうするか現在大蔵省と議論中でございます。なるべく早く結論を得たいと思っておりますが、その中で交付税率の引き上げを要求するのかどうかというお尋ねでございます。私どもは今日の事態は確かにこの交付税法第六条の三第二項の原則に立つならば地方行政制度の改正あるいは地方財政制度の改正もしくは交付税率の変更、こういう事態に該当するような状況である、これは否定できないところです。
ただ、具体的に、じゃ交付税率の問題を持ち出すのか持ち出さないのかということにつきましては、やはり今日の国、地方を通ずる財政状況の中でどこまでこれが実現可能かということも念頭に置かざるを得ないわけで、こちらだけの理想論ですべて突っ走ってしまうわけにもいきません。ですからそういう問題意識は十分持っておりますが、具体的にどこまでこの問題を詰めていくか、いま議論中でございますので、問題意識は持っているという程度で御勘弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/152
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153・神谷信之助
○神谷信之助君 大蔵省の方はこの問題についてはどう考えておられるんですか。交付税法の六条の三第二項のような状態が引き続き起こっている、それに対してとりあえずは二分の一ルールなりその他のいろいろな便法で処理をされてきているけれども、それでいいというようにお考えなのかどうか。法の趣旨に沿って考えなきゃならぬというようにお考えなのかどうか。この辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/153
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154・八木橋惇夫
○説明員(八木橋惇夫君) お答え申し上げます。
地方財政が円滑に支障なく運営されるための措置が講じられていかなきゃならぬということはもちろん望ましいわけでございますが、一方国の財政というものも同時にうまく運営されていくということも大事でございまして、国と地方が同時にうまく回っていくというための措置を講じていかなければならないということで私どもはどうしても考えていかなければならない。
そういたしますと、第六条の三第二項の規定があるわけでございますが、それに従いまして現在の国民経済と財政というものとの関係から見ますと、この当分の間の措置といたしまして、いま地方交付税法の附則で措置されているような状況で動いていかざるを得ないということで今日までまいってきたと、こう観念しておるわけでございますが、最近に至りまして国の財政状況はまた一歩危機的な状況にあるということでございまして、そういったような措置そのものもこの辺でちょっと見直していかなければならないというような状況にございまして、私どもただいま大変苦慮しながら自治省と話し合いを継続している最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/154
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155・神谷信之助
○神谷信之助君 大臣、大臣がいま出ておられる間にずっと話を進めてきておりまして、ちょうどその話をずっと聞いておってもらえると質問もしやすいんですけれども、簡単に言いますと、ことしは地方財政は収支バランスがとれておるんだと言うて、そう言って出発をしたけれども、もう現在の段階では収支はバランスがとれていない。交付税法の六条の三の第二項に規定をするような状態がずっとやっぱり引き続き続いているという状況で、したがって、それに対していままではちゃんと交付税率の引き上げか制度改正をやらにゃいかぬと。
制度改正というたら何かといえば、それは石原さんが書かれた本の中にもありますけれども、それによると「それによって構造的に生じている地方財源の過不足を解消できる程のものでなければならない」、「単年度限りの予算措置は制度の改正とはいえず、いわんや単に経費の節約を行うことによってつじつまを合わせるようなことは、もちろん含まれない。」と、こうなっていますよね。それで、単年度ではないんだ、二分の一のルール化した法律で改正して単年度でなくなったということで、この制度の改正は広義に解釈していただきたいと言うてこの二分の一ルールを御説明なさいました。
しかし、そういう二分の一ルールをやっているものですから、逆に現実にはことしのような状態が起こりますと、神奈川県とか愛知県など交付団体、不交付団体のすれすれのところでは大きな矛盾が起きているということも局長はお認めになったんです。それならどうしたらいいのかというたら、一番いい方法は交付税総額をふやすのが一番よろしい、しかしいまのような状態をやらざるを得ないので、したがってそういう矛盾が起こらざるを得ませんというのが趣旨なんですね。
そうすれば、五十八年度の予想される財源不足が生じようとしているそのときに、来年度の地方財政対策について交付税率の引き上げを自治省として自治大臣としては要求なされてしかるべきではないか、あるいは制度の改正をいわゆる構造的なそういう矛盾、過不足が起こることのないようなそういうものを考え、提起をするということが自治大臣の責任ではないのかという点についてお考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/155
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156・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 六条の三の解釈につきましてはもうお話があったことだと思います。
そこで、制度の改正といいますか、同時に交付税率の変更ということが六条の三に書いてあるわけでございますが、これは実は夕べも交付税率のアップについても御相談を申し上げたところであります。一方現実的な問題としましてやはり地方財政も大変苦しい、しかし同時に国の方も苦しいという状態はまたこれは現実の姿であろうと思うのです。全体を見渡して考えなければならない点も私はあると思います。しかし私どもの立場からすればやはり地方財政を守るということでございますから、私はこの規定はあることはよくわかっており、これは一つの私どもの方としては有力な武器でございますが、同時にひとつ構造的な問題といまおっしゃいましたが、まさにそのとおりで、私は先ほども申し上げた中期展望というお話を申し上げたんですが、やや長い目で見た地方財政の構造を少し考えていく際にこの問題も一つ考えるべきではないか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/156
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157・神谷信之助
○神谷信之助君 大蔵省に聞きますが、先ほどまでの議論の中で大蔵省の方では先ほどいままでのルールもひとつ見直してというお話がありましたけれども、それから交付税会計の借り入れに対する利子を持てという話が出ているという話で、大臣の方からはきのうは物別れになったという話なんですが、それは事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/157
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158・八木橋惇夫
○説明員(八木橋惇夫君) お答え申し上げます。
私どもの立場からは、先ほど申し上げましたように国と地方が同時にうまく回っていくというようなことを考えていかなければならない。そういたします場合におきまして五十二年度以降財源不足があり、五十三年度以降元本については国がその二分の一を臨時地方特例交付金として負担するという当面の間の措置の制度改正を行ってきたわけでございますが、利子負担につきましては毎年度毎年度予算編成時におきまして自治省との間にハードな予算折衝をいたしながらも国の方で肩がわり負担するという措置を講じてきたところであるわけでございます。
しかし、今日の事態にいたしますとこの利子負担というものが一般会計の中で相当な負担になってきているということでございますので、この辺で、借入金というものをいたします場合には利子はつきものでございますので、これにつきましてもこれは地方共同の借金ということで地方の方で御負担いただきたいということを強く要望している最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/158
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159・神谷信之助
○神谷信之助君 この利子負担の問題は、これができたのが昭和三十九年ですね、利子を負担するということで改正がなされたのは。「借入金の利子の支払に充てるため、必要な金額は、予算の定めるところにより、一般会計からこの会計に繰り入れるものとする。」と。
その三十九年当時の参議院の大蔵委員会の議事録をずっと見てみますと、
〔委員長退席、理事亀長友義君着席〕
いま参議院議員になっておられる鳩山さんが当時主計局次長で政府委員として出てきて、そのとき初めて給与改善費に百五十億借りたというのですね。この「百五十億の措置でございますが、これは借金をいたしたのは国でありまして、地方ではないのであります。」、こういう答弁なさっているのです。「国の特別会計が資金運用部から借金をいたしたものでありますので、国庫内の借金で、これが返すという、観念的に特別会計というものがこれは地方の特別会計である、地方の財源をとっておる特別会計である」と、こういうことかと思うけれども、その借金をしたのはそうであっても、それを借金したのは「国でありますから、国のほうで利子の負担もしなきゃならぬ。」と。
あなたのいまの話ですと国と地方が共同して借金をしているのだ、こうおっしゃるけれども、この制度ができて一般会計が負担するという、そういう改正がなされた年の大蔵省の主計局次長であった鳩山さんの答弁はそういう答弁しているんですよ。国の借金なんですよ。国の政策上のいろんな原因によって、そして必要な地方財源が賄い切れない、だから国の責任で借金をして地方の財源を保障します、だから元金も利子も当然そうなんだと。本来そうなんですよ。
ところが、そのときに一応妥協になって百五十億は五年間にわたって交付税会計から返済するという地方自治体側の負担にされましたけれども、しかし利子はぐあいが悪い、利子は少なくともやっぱり国が借金したからには、利子くらい持つのはあたりまえだと、こういうのが当時の政府の説明ですよ。
だから、それをいまの段階になって今度は国の財政が厳しいからと言われても、道楽おやじ持ってその借金のツケを子供に全部回す、もうおやじはかい性ないからおまえ持てというようなことで、それでとんずらしてしまうというような、みじめなもんですよ、サラ金でね。そんなひどい話はない。
そうおっしゃるならば、もし本当にそういう点を明確にしようとおっしゃるならば、国庫収納金の会計、金庫からこっちへ直通で入れればいい。あなた方の方は、いや国だというて一般会計通してこうやっているでしょう。そういうことを主張なさるならば本来国の責任なんだから、国が借金しているのだから、それで大蔵省の当時の主計局次長は国会答弁なさっているのだから、元金も利子も持つのがあたりまえじゃないですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/159
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160・八木橋惇夫
○説明員(八木橋惇夫君) お答え申し上げます。
確かに形式的には国の特別会計における借金でございますので、形式的には国の借金ということではございますが、実体的にこれを見ますと地方財源として国税三税の三二%を整理する会計でございまして、その三二%の地方財源が足りないということで交付税特会におきまして借入金をして地方の財政需要に充てるということから見まして、これにつきましては地方が共同して借り入れをしているというぐあいに観念できるものと思われますので、私どもとしてはそのような観点に立って御提案をしているというのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/160
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161・神谷信之助
○神谷信之助君 国と地方とが共同して借金をしているというようにお考えのようですけれども、私はそうは思わないのです。大体三二%の交付税率を交付税法上からいうならば上げるか制度改正やらにゃいかぬ。それを国の方がやりもせぬでおいて、これは自治体ではできないでしょう、国がやらなきゃ。それをやらないでおいて、そうして三二%に抑え込んでおいて、そして足らぬ分はおまえも責任持てと、そんな話は私は通らぬということを申し上げておきたいと思うんです。
そこで大臣、そういう経過なんですよね。ですから私は二分の一ルール自身ももうけしからぬ、まして利子を持てというと、これやったら七千億ぐらいでしょう。
〔理事亀長友義君退席、委員長着席〕
自治体に対して負担が強まってくる。だからそういうような無理難題に大臣は国の立場も考慮して屈服をするというようなことになってしまうとこれは自治大臣でなくなるんですが、この辺はひとつきっぱりとしてもらいたいと思うんですが、きょう、あすぐらいには解決するんでしょうけれども、まあきょうか、その辺はもう一度はっきりした決意を伺いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/161
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162・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) おっしゃるところはよくわかります。さればこそゆうべの大臣折衝でもさような点はわが方としては主張をしたわけでございまして、両方が物別れになったわけでございます。なお今明日中ぐらいにはこれを何とかお互いの話し合いで解決をしなきゃならないというそういう局面を迎えておりますので、御趣旨のほどもよく心にとめまして交渉をしていきたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/162
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163・神谷信之助
○神谷信之助君 もう一つ次の問題は、今回の補正措置で十一月分は六千四百億しか配れなくて十二月に移りますわね。そうすると、自治体の方ではそれぞれ来るまでは、いま年末ですから一時借り入れをやらなきゃならぬという状況ですね、その不足分。こういう状況が全国的に起こっています。
私は京都市でちょっと調べてみますと、十一月予定をしておったのは百三十二億ぐらいを予定しておったそうです。ところが実際に三十日に交付されたのは三十五億で、結局九十八億、百億近くの金は一時借り入れをしなきゃならない、こういう状況になります。そうすると、これ理財局の計算によりますと、それだけで一カ月四千八百万ぐらいの利子を払わなきゃならないですね。これは多から少なかれ相当の自治体でもそうではないかと思うんです。
当委員会が山口県、広島県を調査に行ったときに、あのときにも九月分の交付税の支給が少しおくれましたね。そのときそのことで市町村の方からも話がありました。おくれたために、というのは交付税が来るであろうと予定をしておったのが来ない、しかし支払いの期日は約束しているということで一時借り入れをして、そのために結局利息負担をせざるを得なかった。これはひとつ何とか考えてもらいたいという陳情がありました。当委員会、私も一緒に行きましたが、当時の上條委員長らと、これはひとつ理事会に自治省を呼んで事情を聞いて、そしてしかるべき措置をしてもらおうじゃないかという、そういうことで意見は一致したのですけれども、なかなかそのチャンスがなくて、上條委員長の方から自治省の方にも連絡をなさったように聞いています。
しかし、九月のときは金額もそう大きい金額でありませんけれども、今回の場合は言うたら政府自身の見込み違いによって交付が一カ月おくれたわけですね。まさに何というか政府の責任で交付おくらして、そして自治体に借金をさしているという状況です。だからこの分については少なくとも利子はちゃんと見るという主張は当然できるんじゃないかというように思うんですが、この辺についてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/163
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164・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 地方公共団体の資金繰りの状況でございますが、今年度の前半ぐらいの段階では例年と比べて特に資金繰りが悪いということはございません、データ的にも。かなりの団体が現先運用とかあるいはCDの購入とかいうようなことをやっているということで、大蔵省からは地方はうまいことをやっているじゃないかという話が出たくらいなんですが、秋口になりましてからは確かに資金繰りは厳しくなっているようであります。特に十月はそれほどでないですけれども、十一月は交付税の予定額が大幅に減りましたから、一時借入金も例年よりもかなりふえている状況であります。
そこで、こういった国税三税の減に伴って今回の補正措置が講じられ、その結果として交付税の現在交付がおくれ金利負担が増大している、これにどう措置するのか、どう対処するのかということでありますが、じゃ、このようなことも頭に置きまして、先ほどもちょっと御紹介申し上げましたが、五十七年度の補正措置を決める際に、交付税の減額を補てんするに当たって給与の先組み分とか老人保健法のおくれ分とかについて国の予算に見合った減額をした上で補てんするという措置を決めたのでありますけれども、その際に、御案内のように国の補正予算では予備費も千五百億ですか減額しております。そこで、それに対応いたしまして交付税の積算の基礎に入っております三千九百億円の追加財政需要分についても、少なくとも国の予備費の減額に対応する分ぐらいは減額すべきじゃないか、補てん対象から除外すべきじゃないかという大変強い意見があったのでありますが、私自身は、今年度いろんな災害も大きかったし、いろんな不確定要因もある、特にいま申しましたように、現金交付が例年よりおくれておりますから、それによる金利負担の増というようなことも念頭に置かざるを得ない状況であるというふうなことで、追加財政需要の減額は一切行わないということで処理いたしました。
したがいまして、この金利負担の増加分について別途補てん措置を講ずるというようなことは現実問題としてなかなかむずかしいものでありますから、交付税の積算の過程でそういった要因も念頭に置いた対応をしていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/164
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165・神谷信之助
○神谷信之助君 追加財政需要額の三千九百億を使ってそういう点の補てんも考えるということですから、それはしかるべくやってもらいたいというふうに思いますが、その次の問題は、先ほどからも議論になっていました自治体の賃金引き上げ問題ですね。
それで、大臣は国に準じて抑えてもらいたいということをお願いするという趣旨なんですが、もう一度はっきりさせますが、それは強制ではないでしょうね。――大臣に聞いている。大臣の答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/165
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166・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) これは地方公共団体というのはやはりそれぞれ独立しておられるといえば独立しておられるということでございますから、国の場合とは統一性はとれないということは明白だと思うんです。
ただ私は、給与はこれはできるだけひとつ、国家公務員の場合といえ、また地方公務員の場合といえ、公務員であるというそういう職責、つまり国民あるいは市民に公的な奉仕をするという本質には変わりはないのであります。もう一つつけ加えさしていただくならば、租税を納める方、これは国民でございますが、国税を納めるあるいは地方税を納めるにしましても同じ人でございますが、その人たちの目から見たら私はやはり同じような公務員として映るであろう、だから私はこの給与については国家公務員の場合と地方公務員の場合と同じ公務員というそういう本質といいますか、そういうところに着目をすれば、できるだけ同じような給与でありたいなと、こういうふうに思うわけでございます。そういうふうにひとつ御措置を願いたいという要請を私どもの立場としてはする、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/166
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167・神谷信之助
○神谷信之助君 要請はするが強制ではないということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/167
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168・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) そこで、もしそれを聞かなかったときはどうするかということをすぐ追っかけて聞かれるわけでございますが、これは制裁だ、こうくるわけですが、私は制裁ということはない。制裁ということは私は部内にももちろんそんな言葉を使ってはおらぬと思いますが、よく新聞なんかには制裁と出ます。しかし決して私は、これは制裁ということではありませんと、要するに全地方公共団体が一つのパイを公平にお互いの中で分け合っていただいて、そしてその地方行政、財政の運営が円滑にいくようにという私どもはそういうことを願っておるつもりでございます。
そういう気持ちをひとつ申し上げて、御理解を得たいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/168
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169・神谷信之助
○神谷信之助君 しかし地方自治を否定されるのじゃないんですから、画一をおっしゃっているわけではないでしょう、全部同じでなけりゃならぬと。だったら国の国家公務員にしておけばいい、昔の天皇制の役人にしておけばいい。そうじゃないということははっきりしているし、だとすれば民間の企業でどれだけの労働者を使い、どれだけの賃金を出すか、それはそれぞれの経営者の問題でしょう。一つの自治体でどれだけの人間を労働者として雇い、どれだけの賃金を与え、どれだけの仕事をやってもらうか。それはそれぞれの自治体の長の判断であり、そしてそのことをまた議会が認めるかどうかによるわけでしょう。この点は間違いないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/169
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170・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 営利企業である場合は、それはもうかっているところともうかっていないところというのは相当差のついていることだと思います。しかし地方公共団体というのはそうじゃないんでして、そこで国と地方との関係というものは一体どう観念すべきものなのか。
たとえばこの間も私はアメリカで聞いたんですけれども、アメリカというのはやっぱり州というものが全く独立をしている、州と州との間には厳重な壁がある、しかしわが国の実情というものは必ずしもそうではない、そこで国との関係というものをどう考えたらいいのかということでございまして、確かにおっしゃるように地方公共団体は地方公共団体としておやりいただくということでございますので、私は私どもの要請をひとつぜひ聞いていただきたいと、こういうことを言っているわけであります。
しかし同時に、国全体と地方公共団体との整合性ということもやはり考えていただかなければならない面もあるわけなんです。たとえば今度の行政改革の面でも、私はできるだけ地方分権という趣旨に沿っていろいろひとつ行政改革の中身を具体的に考えてほしい、こう思っておるところでございますが、しかしその面でもやはり国との整合性という問題は私はどうしても出てくる、こう思っておるのでございまして、その辺の兼ね合いといいますか、そういうものをどう考えながら地方自治の本旨に従って地方自治をひとつしっかり盛り立てていくかという、そういうむずかしい課題であろうと、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/170
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171・神谷信之助
○神谷信之助君 いや、むずかしい課題と思っているだけではどうにもならぬのでして、私は賃金を幾ら払ったらいいかというやつを一々指図をするような、そういう考え方、発想自身が問題だと思うんです。
もう詳しくは言いませんけれども、公務員法の二十四条には四つの考えるべき基準というのがあるんですから、それに基づき、しかもそれは恣意的に長が決めるということではなしに人事委員会の勧告や報告、そうしてまた議会の承認を得てやられる。その上にさらに自治省が次官通達まで出して、そして要らざるおせっかいをなさるという必要はない。一方では地方自治は戦後の今日までの歴史の中で根づいてきたとかどうとか言いながら、一々片一方では指図をするというのはまさに矛盾しておるし、けしからぬ考え方だというように思うのです。今日のあの憲法の民主主義の一つの重要な土台が地方自治であることもこれも明らかだと思いますからね。
今日の、現在のまた自治体の自治権というものは、そういう点から言うときわめて不十分というか不完全な、言うなればまだまだ戦前の残りかすを背負ったままの自治体である。そこへもってきて今度はさらに旧内務省的通達行政をどんどんとやるということはまさに地方自治の破壊だというように思うんですよ。そういう点を一つ申し上げて、大臣も強制ではない、制裁はないということをおっしゃっていますから、その点でお聞きをしておき、そういうことが起こればこれは重大な国会に対する違背行為になりますから、その点を指摘しておきたいと思います。
もうぽつぽつ時間ですからなにしますが、大臣、私は、今明日中に決着がつくであろう来年度の地方財政対策というのは、五十年度以降に起こった地方財政の危機を、一定のいまのわれわれは強くけしからぬと言っておりますいまのルールですね。二分の一ルールとかあるいは足らぬ分は減収補てん債を出すとか、そういう借金を強制するやり方でそれなりに切り抜けてきたけれども、しかしこれから以降の地方財政対策の新しいまたルールをつくることになりはしないかという、そういうように思っているんですよ。
先ほどの特交の会計の利子は負担せいという問題もそうですし、あるいは財政調整資金の取り崩しとか、それからどこまでがどうなのか、報道されているところでは地方財政計画に毎年の余剰金を計上せいとかいうことも新聞に出ておりますし、あるいは交付時期を変更せい、そうしたら二千五百億ほど浮くのではとかいう話も出てきたり、いろんな形で国と地方との関係の財政措置の問題についていろんな問題が提起をされてきています。したがって、これでどういう態度をとるか、どういう決着になるかということが、またこれからの何年かの一つのルールになっていく危険があります。
ですから、まあ大臣になられたばかりで大変そういう点では御苦労かと思いますが、これは非常に重要な問題で、国と地方とが両方がうまいこといかにゃいかぬというようにおっしゃるんだけれども、国の立場に立っている人はよけいいるんですよ、閣僚の中には。地方の立場に立った人というのは形の上では自治大臣一人ですよね。その自治大臣が同じように国と地方とをうまいことというようなことを言っておったんでは、だれもいないわけですよ。
私はそういう意味でもこの自治体の現状、それから地方自治についても先ほどアメリカを例にしてお話しになりましたけれども、これは若干議論をすればまだ時間がかかりますからまたいずれ別の機会にいたしますけれども、本当に地方自治を伸ばしていく、そしてそれを財政的にちゃんと保障していく、そういう意味では構造的なこの制度の改善を早くやれということを毎年のように私は言っているんですけれども、しかし現実にやろうとすれば三年なり五年なりの当面の対策を立てて、その間に十分議論をして、そして行政、財政制度全体にメスを入れるということが必要だというふうに思いますが、しかしそれを一年おくれ一年おくれにおくらせていけばますますのっぴきならないところへいく。
国の方はどんどんと国債発行する権限やいろいろ持っておりますから、借金も百兆からになるぐらい借金できますよね。しかし自治体の方は、自治体全体とすれば国と同じような財政規模を持ちながらも一般会計で言えば三十五兆ですが、特別会計入れて五十兆余り、だから国で言えばうんと借金は少ない、だから大蔵省はゆとりがあると言いますけれども、実際にはそう簡単に借金ばかりしていられるわけはない。赤字公債をどんどん発行していっちゃうことにはいかない。先ほど財政局長も言うように公債費はじりじりふえていく。そういう状況ですから、国のように簡単にどんどん借金をするわけにはいかない。そこへもってきて減収補てん債はやられる。税収が不足したから減収補てん債の枠を幾らもらってみてもその枠いっぱいに自治体は借金をするわけにはいかぬわけです。できるだけやらにゃいかぬ仕事も節約をするあるいは切り捨てる、そして住民に負担を転嫁をするという形でしのがざるを得ない。そういう状況になってくる。だから逆に言うと地方自治はそういう中で財政危機が深まるにつれて破壊をされていくというのが実態だと私は思うんです。
そういう点をひとつ踏まえていただいて、今明日の折衝について地方自治を本当に守る観点からしっかりした考え方を持って、まあ持っておられると思いますけれども、それをはっきりとして地財対策についてがんばってもらいたいというふうに思うんですが、その点についてひとつお考えを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/171
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172・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) いまのお話のとおり、やっぱり地方財政は国に連動をしておるということはこれ紛れもないことなんです。
そこで、国はとにかく地方財政のめんどうはできるだけ見ろ、しかしおれたちは独立だぞと、そういうことばかりでも私はいけないのではないだろうか、やっぱり地方がよくなれば国もよくなるし、また国がよくなれば地方もよくなるという私は持ちつ持たれつの地方と国ではないだろうか、やっぱり両輪のごとしということではないだろうかと思うんです。
そこで、その間の大変観念的なことを申し上げて恐縮なんだけれども、そういう関係をどう考えていくのか。財政のルールは私はできておりますから、このルールは先輩が長年の蓄積でおつくりになったもので、りっぱにいま作動していると思うんです。しかしだんだんに世の中も変わっていくから、その辺のところも考えながら、新しい事態が起こるとするならばこれからの対応を考えていかなければならない。新しい事態というのは、私は何といっても国、地方両方とも大変な財政難、そして多額の公債を抱えて、一体こういうことで将来ともやっていけるんだろうかどうかという、そういう気持ちは私ひとりではあるまいと、こう思うんです。
そこで、来年度予算につきましては、私どもは私どもなりに、自治省というのは地方の味方でありますから、そういう立場を堅持してひとつやっていく、しかし同時に私は地方公共団体にもこういう財政的には大変な年だ、五十七年度は確かに少し減額をいたしたわけですけれども、とにもかくにも借入金をやりまして地方の財布は賄えるようにしたということですけれども、これも借入金でございますから、地方にもその辺のところの御理解を賜って、私は今後の厳しい事態を乗り切っていきたいなと、こう思っておるわけでございます。これは私の考え方でございまして、これをあえて申し上げるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/172
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173・田渕哲也
○田渕哲也君 すでに幾つかの点について質問が行われておりますが、私は二、三点につきまして質問をさせていただきたいと思います。
まず、五十七年度の地方財政におきましては地方財政計画に比べて地方税の減収一兆二千億円、国税三税の減収に伴う地方交付税の減額が一兆六千九百五十億円、合わせて三兆円近い巨額の財源不足が生じると言われております。その原因は端的に言えば現実離れをした成長率を前提にした税の自然増収を頼りにし過ぎたということが言えると思うのであります。またこのようなことは当初予算の審議のときにすでに予測されていたことであります。したがって、現実にこのような歳入欠陥が生じたというのは、私は政府の責任はきわめてて重大だと思うのであります。
特に五十七年度の地方財政計画は、もうすでにそのできた当初から地方団体の財政運営の指標としての役割りを喪失しておったと言わざるを得ないと思うのであります。法的に言えば地方財政計画の改定を行う必要はないのでありますけれども、しかし地方団体の地方財政計画に対する信頼性を回復するために政府は何らかの措置を講ずる必要があると思いますけれども、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/173
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174・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 地方財政計画は政府の立場で来るべき年度の歳入歳出全体の姿を示し、その結果見込まれる財源不足等がある場合にはこれに対してそれぞれ必要な財政措置を講ずる、こういう役割りを果たしております。この地方財政計画を各地方団体は一つの行財政運営の指針としてこれを使っているわけであります。ですから、地方財政計画上見込んだ歳入歳出に大きな変動が生じた場合におきましては、その内容にもよりますけれども政府として必要な措置を講ずる必要があると思います。
たとえば、ただいま御指摘のように五十七年度におきまして地方税について一兆二千億円を超える減収が見込まれる、ここれにつきましては現在私どもとり得る手段としては減収補てん債で対応せざるを得ない、減収補てん債で各団体の財政運営に支障のないような措置を講ずる。一方交付税の減額につきましては、当面国の補正予算との整合性の関係で補てん対象から除外すべきものを除きまして基本的には減収額を政府の責任において補てんするという措置を講じたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/174
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175・田渕哲也
○田渕哲也君 私のお伺いしておるのはそういう減収に対する対策ではなくて、問題はその地方財政計画の策定のやり方というものについての改善を行うべきだということを申し上げたいのであります。
これは臨調の第三次答申にも触れられておりますけれども、この策定方式の改善について政府は何らかの検討をされておるのかどうか。国税の見積もりは国の予算編式方針にのっとってやられるわけですけれども、地方税の見積もりをこのような国税の見積もりにリンクするというようなやり方ではどうしても実態との乖離が出てくるおそれがあるわけであります。たとえば法人関係税の見積もりにしても、府県におきましては企業ヒヤリング等をやってその状況を把握するということをやっておりますけれども、私は地方財政計画の中で地方税の見積もり等をやる場合にも府県の税務当局の予測等も参考にして実態に沿ったものをつくるべきだ、このように考えるわけですけれども、臨調の答申に触れられておるような策定方式の改善等についてどのように検討されておるかお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/175
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176・関根則之
○政府委員(関根則之君) 地方税の見積もりにつきましてはやはり国民経済の中から地方税全体としての税収を上げていくわけでございますので、やはりマクロ的には、たとえば法人関係税につきましては法人税と課税ベースが同じでございますので、やはり同じような経済見通しなりあるいは法人税収の入りぐあいなりというところからマクロ的に押さえざるを得ないというふうに考えております。ただ、もちろん全国的にはこれだけの法人税収があるはずだと言いましても、それは地域的な偏在というものは当然あるわけでございますから、各都道府県なり市町村なりによっていろいろな伸びの変化が出てくるということは当然頭に置かなければいけないことであろうと思います。
実際地方税を見積もるに当たって各都道府県からその見通し等について聞いたらいいじゃないかというお話でございますが、確かにそのとおりでございまして、現に私どもは十二月の時点で翌年度の税収見積もりを立てるに当たりましては各都道府県から都道府県の徴税担当者の意見等を徴しているところでございますし、また財政局には財務調査官が置かれておりまして、各地方団体の実際の財政状況等をつかんで常時新しい情報を入れているわけでございます。そういうものも私どもの方の税収の見積もりに活用してまいりましたが、今後ともそういった面で地方の声なり実態というものをできるだけくみ上げた中で、しかも国税との整合性といいますか、そういうものも考えながら正確な税収見積もりに努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/176
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177・田渕哲也
○田渕哲也君 今回の地方税の減収を補てんするために減収補てん債を発行するということが決まっておるわけでありますけれども、その場合の地方債は地方財政法第五条に基づくいわゆる建設地方債であるというふうに伺っておりますが、そのとおりかどうか。たとえば法人関係税のウエートの高いあるいは不況業種が集中しておるような地方団体ではこの減収額が非常に大きくなる。それを地方債で埋めるとしましても、それに対応する適債事業というものとのバランスがとれるのかどうか。その辺の実態はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/177
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178・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 今回許可しようと考えております減収補てん債は、御指摘のとおり地方財政法第五条の規定に基づく地方債でございます。すなわち建設事業の財源に充当する地方債でございます。
しからば、現実の問題として法人関係税の減収の大きい団体で充当対象事業が確実にあるのかどうかという御指摘でございます。私どもその点非常に心配でございましたので、減収額の大きい団体につきましては全部事情を聞きました。そして予想されるこの補てん債の額と充当可能な対象経費、いわゆるすき間と申しましょうか、振替ができる限度との突き合わせをやりまして大体問題がないであろうと、このように見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/178
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179・田渕哲也
○田渕哲也君 いわゆる赤字公債の発行が必要なければいいのでありますけれども、五十年度の減収補てん債の場合には特例法を制定して約三千五百億円の発行を認めた例があります。しかし私は地方財政の健全性を維持するために将来とも赤字債の発行はすべきではないと考えるわけですけれども、将来にわたってそういうようなことは絶対ないのかどうか、また絶対にしないかどうか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/179
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180・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 五十年度の場合は、御指摘のとおりああいう大きな減収が生じたのは初めてでございましたので、果たして充当対象経費が確実にあるかどうか必ずしも把握していなかったために地方財政法第五条の特例規定を置いたわけであります。今回は秋口からこういった事態が心配されたものですから、早い時点から関係団体の状況を把握いたしまして、今回は地財法五条の特例を定めなくても対応できるという見通しが得られましたので、特例債を出さないという方針で臨んでいるわけであります。
一部に特例債を認めてはどうかという御意見もあります。またこの問題は五十八年度の地方財政対策にもそのままつながる問題でありまして、五十八年度地方財源相当足りなくなる、一方国の方は財政非常に厳しい、だから国も特例公債出しているんだから地方も特例債出して、要するに自分の力で対応したらいいじゃないかというような御意見もあるんですけれども、この特例公債、建設公債なりは経常経費の不足に地方債を充てるという、こういう例を開きますと歯どめがなくなってしまう、地方財政が非常に不健全になるおそれがある、こういうふうに私ども心配しております。したがいまして、五十七年度はもとより五十八年度についても私どもはこの特例地方債、赤字地方債は出すべきでない、何とか出さないで済むように必要な財政措置を講じてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/180
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181・田渕哲也
○田渕哲也君 次に、総合経済対策の中に挙げられております地方単独事業についてお伺いをしますけれども、これは約五千億円が追加されるということになっております。この見通しはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/181
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182・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 先般定められました総合経済対策において見込まれております地方単独事業の五千億円の追加でございますが、この点については九月末の段階で都道府県については全部ヒヤリングいたしました。
御案内のように、地方公共団体におきましては九月あるいは十月に定例議会がありまして、この段階で補正予算を組む団体が多いわけです。そこで、九月補正でどの程度の単独事業の追加が可能か、また私どもは当時の状況からもし事情が許せばなるべく単独事業を積極計上してほしいということを財政課長名で要請しておったわけでありますけれども、その結果を踏まえまして九月末の段階で全都道府県について九月補正、すなわち九月、十月の定例議会にかける補正予算でどの程度の追加があるかを全部調べました。
その結果、都道府県について申しますと約千五百億円の追加が確実に行えるという結果が出てまいりました。一方市町村につきましては悉皆調査できませんので大きな団体については事情を聞きましたが、それ以外の団体については過去の九月補正における都道府県の単独事業と市町村の単独事業との比率、過去数年間の比率などをとりまして調べてみますと、都道府県のこの千五百億円に対応して三千億円近い金額が可能ではないか、このように考えた次第でございます。この点はある程度個々の団体についても事情を聞いております。
そういったことで都道府県、市町村について、言うなれば一部は積み上げ、一部は推定で五千億円の追加が間違いなく行えると、このように見たわけでございます。その後の各関係団体の状況などを聞きましても、私はこの五千億円の追加は確実に行われ確実に実行されるものと、このように見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/182
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183・田渕哲也
○田渕哲也君 その追加措置の五千億を加えて、五十七年度の単独事業の合計はどれぐらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/183
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184・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 五十七年度の単独事業は地方財政計画上は前年対比八・五%の増、八兆五千億円の規模を想定しているわけでありますが、この当初見込んだ額と今回追加の段階で各団体が予定しております五千億とをそのまま足して九兆ということになるのかどうか、これは単独事業の追加事業の場合にはその分が八兆五千億円の中なのか、あるいはそれとは別なのかという点がなかなか確認しがたいものですから、私どもは秋の追加の段階で五千億は確実に実行されると、このように見ておりますけれども、それと当初からのトータルでどうなるか、これは必ずしも詰めておりません。
と申しますのが、単独事業につきましては、もともと計画計上額と実態との間にかなり開差があります。この点については一部は公共事業の方に統計上紛れ込んでいるという技術的な問題もありますけれども、必ずしも地財計画と実態とが合っていないという問題がありますので、今回の五千億円の追加がそのまま八兆五千億円に上積みになるというふうには考えておりません。ですからこれを足して考えるという見方ではないのでありますけれども、追加の段階でこれだけ当初に予定されたものに対して五千億円の追加が確実に行われるであろうと、こういう見方をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/184
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185・田渕哲也
○田渕哲也君 正確な数字は出ておりませんけれども、大体推定してもその五千億の追加を加えても地方財政計画の八兆五千億円をはるかに下回る数字であるということは言えるわけであります。言うならばこの政府の総合経済対策における地方単独事業なんというものは全くのこれは書いてみただけのことであって、本当の経済政策とは言えないしろものではないか。もし経済対策として行うならば八兆五千億円に対してさらに上積みをするというものがなければこれは景気刺激にも何にもならないわけであります。だから私は総合経済対策の中にああいうものを入れること自体が全くナンセンスなことだと思うんでありますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/185
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186・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 総合経済対策に盛り込まれた事柄の中には政府みずからが直接財政措置を講ずる部分、すなわち災害復旧費の追加でありますとかあるいは国庫債務負担行為の追加、これは国が直接手段を講ずる部分でございますが、それ以外の民間の投資に対する期待とかあるいは地方公共団体における単独事業の要請、期待、こういったもの、それぞれニュアンスの違いがあります。ただ、あの総合経済対策が立てられる段階で私どもとしては在来ベースといいましょうか、自然体でいく場合に比べて五千億円の追加を要請いたし、またその点はヒヤリングした結果確実であると、このように見込んだ次第でありまして、そういった政府以外の主体の行動に待つべき部分をああいった対策の中でカウントするのがいいのか悪いのか、この辺はいろいろ御議論があろうかと思いますけれども、私どもは少なくともあの時点で要請された部分が従来のペースに対して上乗せになるであろうという数字をお答えし、これが総合経済対策にカウントされた、このように理解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/186
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187・田渕哲也
○田渕哲也君 最後に大臣にお伺いしますが、国においても国債発行残高が百兆になんなんとしております。地方財政におきましても地方財政全体の借金は約五十兆円、内訳は普通会計分で三十四兆円、公営企業債でその元利償還金を普通会計で負担するということになっておるものが約七兆円、それから交付税特別会計の借入残高が約八兆円、こういうきわめて危機的な状態にあるわけであります。
国においても財政再建ということに取り組んでおるわけでありますけれども、これもなかなか目標達成はめどがついていない段階であるけれども、地方の方もさらにこれからの情勢を見ても大変な状態になると思うのであります。大臣はこの地方財政再建の抱負というものをどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/187
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188・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) これは私一人がお尋ねいただいても御満足のいくようなお答えはとうてい私はできない大きな難問題だと思っております。
だんだん公債はふえていく、一方においてやはり予算を組む際はできるだけ今度は歳出を抑えるということがまず一つあるわけでございますけれども、総論は確かに賛成なんですけれども各論になってくるとなかなかそれぞれ強い抵抗のあることは御存じのとおりであります。歳出をとにかくできるだけ切り詰めていこうと地方公共団体でもいろいろ御苦労なすっておると思うんですけれども、なかなかそう簡単にはまいらない。一方入ってくる方、歳入の方は先ほど来のお話しのように国との関連においてもまた地方税自体においても思うようにいかない。一体これをどうしていったらいいのかということ。
ことし国の方は二枚看板で、鈴木内閣以来の二枚看板の一枚の看板、五十九年度までに赤字公債解消という看板はとうていむずかしい事態になったということを率直に認めた形になりました。そういうことも考えあわしていきまして一体これからの地方財政をどうして再建、立て直しをしていくかという問題は、原則的にはやはりいま申しましたように歳入をふやして歳出を切っていくということだろうと思いますが、事はしごく簡単なものではありません。
したがって、私は一つはやはり構造的なものと観念して、やや長い目で見たこれからのあり方をひとつ速急に検討、模索をしていきたい、こう思っているところでございまして、いまここでお尋ねによってこういう妙案がございます、あるいはこういう妙薬がございますということには、とても私のいまなったばかりの者にはお答えができないのを残念に思いますが、何とかこれからこの再建を皆様方の御意見も伺いながらひとつぜひ地方財政も立て直しをしかいかなきゃならぬと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/188
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189・田渕哲也
○田渕哲也君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/189
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190・宮田輝
○委員長(宮田輝君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/190
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191・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/191
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192・山田譲
○山田譲君 私はただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。
年度途中において地方財政に大きな歳入不足を生じたのは最近では一九七五年のことでありますが、そのときに比べ今回政府が講じた措置は三つの点で地方財政に重大な悪影響を及ぼすものと言わざるを得ません。
一つは、一兆六千九百五十七億円の減収補てんについてこれを全額補てんすることなく、給与改善費、老人医療費等千五百二十四億円の需要額のカットを行い、残りの一兆五千四百三十三億円を全額資金運用部からの借金で賄うということにしていることであります。申し上げるまでもなく地方交付税は地方財政の収支見込みの差として交付されるべきものであり、これを政府の都合で給与費等を一方的にカットして減額することは、自治体の財源を確保し、もって地方自治の本旨の実現に資するとともに地方団体の独立性を強化することを目的とする地方交付税法の精神に真っ向から反するものと言わざるを得ません。
なお、これに関連して本来自治体が自主的に決定すべき公務員の給与について一方的にこれをカットしたことは、公務員労働者の労働基本権のみならず自治権に対する重大な侵害行為であって、絶対に容認できるものではありません。
二つには、交付税の交付時期の一方的繰り延べの違法性の問題であります。交付税の交付時期が法律に明記されているのは、それが自治体の固有財源であることにかんがみ、政府の恣意的な交付を排し自治体の自主的かつ計画的財政運営を確保するためであります。これを地方交付税法第十六条の二を悪用し十二月交付を一方的に繰り延べたことはまさに違法のそしりを免れないと思います。
三つには、減収対策に係る政府の経済財政見通しと地方財政対策の問題であります。実質経済成長率を五・二%と見込み、これを前提に地方財政対策を講じ、あまつさえ本年度は地方財政は収支均衡したとして千百三十五億円も国が借り上げたあげくの結果、今日のような歳入欠陥を招いたことは地方財政に対する国の無責任さに起因するものであります。このような無責任な地方財政対策の結果、地方交付税が本則の規定を離れてますますゆがめられる結果となっており、国と自治体間の財政秩序と財政調整制度が根底から崩されようとしていることはいまやだれの目にも明らかであります。
この際、政府は地方財政に対するみずからの責任を痛感し、こうした措置を速やかにとりやめるとともに、来年度地方財政対策においては地方交付税率の引き上げ等地方交付税法の本則の規定に沿った措置を講ずるよう強く要求し、私の反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/192
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193・亀長友義
○亀長友義君 私は自由民主党・自由国民会議を代表し、本法律案に賛成の立場から討論を行うものであります。
本法律案は、昭和五十七年度補正予算における国税三税の巨額の減額補正に伴い地方交付税交付金も大幅に減額されることとなったため、将来の地方財政に配慮しつつその総額の確保を図るとともに、財政需要の減少に伴う単位費用の改定を行うことなどを主な内容とするものであります。
地方財政は本年度当初には収支均衡するものと見込まれておったのでありますが、予想外の税収の落ち込みにより国税三税の合計額が五兆二千九百九十億円減収となり、このまま放置すれば地方交付税は一兆六千九百六十億円減額され、地方団体の財政運営に著しい支障を生ずることになります。
このような事態に対処するため、政府は別途地方税の減収対策などとあわせて厳しい財政事情にもかかわらず減額分の九割強に相当する一兆五千四百三十億円を従来通りのルールによって資金運用部資金から借り入れて補てんし、地方財政の運営に支障なきよう措置することとしたしたのであります。
また、今回は地方公務員の給与追加改善費などを削減し、単位費用の改定によって基準財政需要額を千五百二十億円減少することといたしております。前例のない厳しい措置ではありますが、すでに政府は国民的課題である行財政改革を達成するためそれを推進する立場にある国家公務員に協力を求め、給与改定を見送るなどの措置を実施しておるところであります。末曽有の危機的財政事情のもとで車の両輪の一方を担う地方としても国と同一基調に立脚して歳出の削減に協力することはもちろん、公務員給与のあり方からしてもまことにやむを得ない措置であると考えます。一刻も早く経済不況を脱し、財政収支の均衡を回復し、異例な事態が解消されることを切望するものであります。
以上の理由により、私は当面の措置として本法律案に賛成し、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/193
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194・大川清幸
○大川清幸君 私は公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行うものであります。
反対理由の第一は、税収不足の原因となりました経済見通し及び景気対策についてであります。
昭和五十七年度の国の一般会計は六兆五千億円にも上る税の減収を生じ、その結果地方財政も交付税で一兆六千九百億円余、地方 で一兆二千億円余という膨大な財政の落ち込みが生じることが明らかとなりました。これは当初予算編成の際、経済見通しを政府は実質五・二%、名目八・四%と見込んでいたのでありますが、五十六年度の経済状況から見てもこの伸び率は明らかに高過ぎた数値であり、この点についてわれわれも指摘をしてきたところであります。案の定外需内需ともに低調で、経済全体が低迷を続けているわけで、当該年度の税収不足の原因は明らかに経済見通しの誤りと経済政策の失敗によるもので、その責任は政府が負うべきものであります。
その上、現在緊急を要する景気対策を盛り込んだ今回の補正予算も個人消費を刺激するための減税を見送るとともに、一般公共事業に至っては全額債務負担行為で措置するといういまだかつてない施策に終始しているのでありますが、これは地方負担の増大を招くとともに事業執行に支障を来すおそれもあり、今後の経済や財政がさらに落ち込むのではないかと憂慮される点であります。
反対理由の第二は、今回の交付税法改正案に対する問題点についてでありますが、国税三税の減収に伴う交付税額の減収額一兆六千九百億円のうち一千五百二十四億円を減額し、残りの一兆五千四百億円余については交付税会計が借金することとしております。地方財政は五十年以降毎年大幅な財源不足が続いておりますが、これに対する措置としては政府は交付税会計の借金と地方債により帳じりを合わせてきましたが、今回も全く同様の措置をとろうとしているのであります。このために地方財政の借金は、交付税特別会計の借入金と地方債を合わせてすでに五十兆円にも達しておりますが、この膨大な借金は今後の地方財政にとって大きな負担となることは間違いありません。
しかも、今回の補正措置では地方財政始まって以来の交付税総額の減額を行っております。住民生活に密着した行政を行う地方自治体の立場からすると、このような交付税の減額は住民生活に対する影響が大きいこと、またこのような措置は地方財政の保障という地方財政計画の役割りに不安定感を招くことにもなり、ひいては地方団体の財政運営を制約し、その自主性を損なうことにもなります。そういう理由で強く反対せざるを得ないのであります。
また、今回の補正措置の中で交付税の減額事由の一要因とされている公務員給与の引き上げ見送りは、労働基本権が制約されている公務員に対して不当なしわ寄せを強いる結果となり強く反対するものであります。
なお、最後に一言申し上げますが、五十八年度の地方財政対策についてであります。最近の政府の経済財政政策の失敗により五十九年度赤字国債脱却が事実上不可能になったことなどにより、現在交付税合計の借入金に対する利子分については全額国庫負担、元金については二分の一の国庫負担となっておるものを見直しを行い、地方財政への負担増を求める声があるやに聞いておりますが、従来のルールに戻すこと、なお交付税法第六条の三第二項の趣旨に照らしむしろ交付税率の引き上げを行うよう努力すべきであります。
以上の理由により、反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/194
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195・神谷信之助
○神谷信之助君 私は日本共産党を代表して地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
五十七年度の地方財政計画において政府は八年ぶりに収支均衡となったと言ってきましたが、内実は収支均衡とはほど遠いものでありました。とりわけ地方交付税の総額については粉飾予算と言われた五十七年度予算の国税三税の税収の過大見積もりをそのまま算定基礎としているため、九兆三千三百億円の地方交付税の総額確保については年度当初から強い疑念が出され、わが党も指摘したところであります。
ところが、政府は交付税の総額は確保できる、仮に税の減収があっても総額は確保するなどと答弁してきましたが、それは全くその場逃れの答弁であったことはいまや明らかであります。これでは地方財政計画の存在意義をみずからなくすものと言わねばなりません。われわれの事態の指摘と正当な批判に耳を傾けず、このような減額修正必至の交付税総額を押し通した政府の責任がまず問われなければなりません。これが第一点であります。
交付税総額確保について減額が当初から必至とわかりながら必要な手だてを打たず、二分の一地方負担により後年度にツケを回す交付税特別会計の借り入れを安易に行うことは重大問題であります。
御承知のように昭和五十年以降地方財政は毎年財源不足を生じ、その補てんのために地方交付税特別会計の借り入れ、財源対策債の発行などの措置がとられ、その額は十七兆円にも上ります。これに地方債を合わせると地方の借金は一般会計のみで実に五十兆円を超える巨額なものとなり、その償還は将来の地方財政に大きな負担となっています。抜本的な措置ではなく不本意だと自治省みずからが認める現行方法は当面の問題を先送りにするだけで、地方財政の財源不足を解消する抜本的な制度改正ではありません。早急に交付税率の引き上げを含む抜本的な制度改正を実施する必要があります。その場しのぎの現行方法を続けていくことは地方財政の将来に大きな禍根を残すのみならず財政面から地方自治を破壊するものと言わねばなりません。
第二は、地方交付税総額の減額の問題であります。今回の法改正では給与改善費など千五百二十四億円の交付税をカットしていますが、年度途中の減額修正は交付税制度始まって以来のものであります。この減額措置は交付税総額は確保するという当委員会の自治省答弁をみずから破ったものであり、容認できません。また、このことは地方の財源不足を補てんすることを目的とした地方交付税法の趣旨にも反するものであります。
第三は、給与改善費のカットが地方公務員給与に対する財政的抑圧であるという点です。去る九月二十四日の国家公務員給与に対する人勧凍結を受けて、自治省は事務次官通達で地方公務員給与の抑制を指示しました。それに引き続いてとられた今回の措置は、憲法で保障された公務労働者の労働基本権を奪って人勧制度と自治体における給与決定制度をつくり、さらに今回それさえも国は凍結し地方自治体にも強制するというものです。このようなやり方は二重の憲法違反であり、断じて許せません。
さらに、違憲の地方公務員給与抑制の意図を財政上からも強制しようとすることは、まさに自治体給与に対する政府の不当な介入であり、地方自治を破壊するものであります。これは特別交付税による財政措置という範囲を一歩踏み出し、財政的抑制措置を普通交付税にまで及ぼしてきたことを意味します。配分権を利用してのこうした自治省の恣意的な運用は地方自治を破壊するものであり、絶対に認めるわけにはいきません。
地方交付税は地方団体固有の財源であると自治省みずからが説明してきたにもかかわらず、その主張を投げ捨てて地方の固有の財源である地方交付税さえも政府の施策遂行手段として使うという今回の措置は、みずから地方自治を否定する自殺行為であり、撤回すべきものであります。
最後に、年末は多くの自治体が資金繰りに悩むときでもあります。こうした年末の特殊事情に加えて、今年は交付税の配分がおくれ、十一月配分の地方交付税の三分の二が未配分になっています。そのため急場をしのぐため銀行借り入れを行う自治体がふえていますが、この原因と責任は政府にあり、少なくとも借り入れにより生ずる利子負担は全額国が行うべきであることを指摘して私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/195
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196・田渕哲也
○田渕哲也君 私は民社党・国民連合を代表して地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行うものであります。
反対理由の第一は、経済の実態とは大幅にかけ離れた経済成長率を前提とし税収を過大に見積もり、地方税、地方交付税合計で三兆円弱の大幅な税収の見込み違いを生じた政府の責任についてであります。
八年ぶりに財源不足がゼロという収支均衡の五十七年度地方財政計画に対し、わが党を初め各方面より税収の見積もりが過大であり、この計画を達成するのは不可能であるとの指摘があったわけです。しかしこれに対し、政府当局は税収は確保できる、この計画は達成可能であると断言し、われわれの主張には耳を傾けませんでした。その結果、今日三兆円弱にも上る巨額の財源不足を生ずるに至ったのであります。これは見込み違いというよりも、予算編成時にわかっておりながらあえて粉飾し予算編成を行った結果であり、その責任はきわめて重大であると言わざるを得ません。
第二は、地方交付税交付金の減額措置についてであります。
昭和三十九年に地方交付税制度が創設されて以来、これまで地方交付税の減額分については借入金等で全額補てんされてまいりました。今回千五百二十四億円とはいえ年度途中で減額措置をされるということはかつてなかったことであり、異例の事態であります。その内容についても、人勧凍結に伴う給与改善費の取りやめは官公労使の給与に関する基本ルールを踏みにじるものであり、断じて容認することはできません。また五十七年度の地方財政計画は交付税交付金九兆三千三百億円を前提に策定されており、そのうち普通交付税については八月末に団体別に配分額が決定しております。したがって、それを減額することは地方団体の財政運営上著しい支障を来し、混乱を生じさせることになります。
第三は、交付税率の引き上げについてであります。
五十七年当初においては地方財政の収支が均衡するということから地方交付税率の引き上げ要求は行わなかったのであります。しかしながら、年度途中にこのような巨額の財源不足が見込まれることは当然交付税率の引き上げを要求し、その実現を図るべきであります。
以上が反対の意見でありますが、最後に一言申し上げたいことは、現在地方財政全体の借金が四十兆円を超えており、このような状況の中でさらに借金を抱えようとしております。また概算要求額から見ても来年度の借入金も膨大な額になると思われます。八〇年代は地方の時代と言われておりますが、これからの地方財政政策はきょうの答弁にあるような一時しのぎの策で事足りるものではなく、中長期的見通しに立ったものでなければなりません。そのためには臨調の基本答申でも指摘されているように市町村優先の原則を基礎として国と地方を通ずる財源の再配分を本格的に実行することが必要とされます。
地方財政の健全化を目指し独自性と主体性を生かした地域社会の建設のため中期展望を早期に作成されることを要望し、地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/196
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197・宮田輝
○委員長(宮田輝君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/197
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198・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/198
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199・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/199
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200・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/200
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201・宮田輝
○委員長(宮田輝君) これより請願の審査を行います。
第一七号個人事業税にみなし法人課税(事業主報酬)制度の適用に関する請願外五十四件を議題といたします。
これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。
以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/201
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202・宮田輝
○委員長(宮田輝君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109714720X00219821225/202
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