1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十七年十二月十八日(土曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第七号
昭和五十七年十二月十八日
午前十時開議
第一 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(国鉄労働組合関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第二 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(国鉄動力車労働組合関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第三 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全国鉄施設労働組合関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第四 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全国鉄動力車労働組合連合会関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第五 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(国鉄千葉動力車労働組合関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第六 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(鉄道労働組合関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第七 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全国電気通信労働組合関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第八 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(日本電信電話労働組合関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第九 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全専売労働組合関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第一〇 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全逓信労働組合関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第一一 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全日本郵政労働組合関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第一二 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全林野労働組合関係「定員内職員及び常勤作業員(常勤作業員の処遇を受ける常用作業員を含む。)」)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第一三 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全林野労働組合関係「(基幹作業職員、常用作業員(常勤作業員の処遇を受ける者を除く。)及び定期作業員」)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第一四 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(日本林業労働組合関係「定員内職員及び常勤作業員(常勤作業員の処遇を受ける常用作業員を含む。)」)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第一五 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(日本林業労働組合関係「基幹作業職員、常用作業員(常勤作業員の処遇を受ける者を除く。)及び定期作業員」)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第一六 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全印刷局労働組合関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第一七 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全造幣労働組合関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
第一八 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(アルコール専売労働組合関係)(第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一より第一八まで
一、昭和五十七年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案(趣旨説明)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/0
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001・徳永正利
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
日程第一より第一八までの公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件十八件(いずれも第九十六回国会内閣提出、第九十七回国会衆議院送付)を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長目黒今朝次郎君。
〔目黒今朝次郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/1
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002・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 ただいま議題となりました公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(国鉄労働組合関係)外十七件につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
各件は、公共企業体等労働関係法に基づき、三公社五現業の職員の基準内賃金を、昭和五十七年四月一日以降、一人当たり、基準内賃金の三・二二%相当額に二千六百九十円を加えた額の原資をもって引き上げること等を内容とする本年五月八日の仲裁裁定の実施について、国会の議決を求めるものであります。
委員会におきましては、採決の結果、各件はいずれも全会一致をもって公共企業体等労働委員会の裁定のとおり実施することを承認すべきものと議決いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/2
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003・徳永正利
○議長(徳永正利君) これより十八件を一括して採決いたします。
委員長の報告は、いずれも公共企業体等労働委員会の裁定のとおり実施することを承認すべきものとすることであります。
十八件はいずれも委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/3
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004・徳永正利
○議長(徳永正利君) 総員起立と認めます。
よって、十八件は全会一致をもって委員長報告のとおり議決されました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/4
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005・徳永正利
○議長(徳永正利君) この際、日程に追加して、
昭和五十七年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/5
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006・徳永正利
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。竹下大蔵大臣。
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/6
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007・竹下登
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました昭和五十七年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
昭和五十七年度予算につきましては、歳入面において、世界経済停滞の影響等による経済情勢の変化に伴い、租税及び印紙収入は、当初予算に対し六兆一千四百六十億円の減収となることが見込まれることとなりました。また、歳出面においても、史上最大規模となった本年の災害の復旧に要する経費等、緊急に措置を要する追加財政需要が生じてまいりました。
政府は、このような状況に対応するため、所要の予算補正を行うこととし、従来にも増して既定経費の徹底した節減、税外収入の確保、追加財政需要の圧縮等を行ったところでありますが、なお多額の公債の追加発行が避けられない状況にあります。
しかしながら、公債の消化環境はきわめて厳しく、公債の追加発行額についても極力これを縮減し、市場の状況を勘案して消化可能な範囲にとどめる必要があります。
このような状況のもとで、当初予定した国債費の定率繰り入れ等を停止することとすれば、それだけ公債の追加発行額の縮減が可能となります。
他方、国債整理基金の資金繰りの状況を見ますと、昭和五十七年度の公債の償還は、同基金にこれまで積み立てられた余裕金によって対処可能であり、国債費の定率繰り入れ等を停止するとしても、公債の償還に支障はないものと見込まれております。
このような状況にかんがみ、昭和五十七年度における国債の元金の償還に充てるべき資金の一般会計から国債整理基金特別会計への繰り入れについて、前年度首国債総額の百分の一・六に相当する金額の繰り入れ及び割引国債に係る発行価格差減額の年割り額に相当する金額の繰り入れを行わないこととする法律を提案いたしたものであります。
以上、昭和五十七年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/7
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008・徳永正利
○議長(徳永正利君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。穐山篤君。
〔穐山篤君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/8
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009・穐山篤
○穐山篤君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました昭和五十七年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
本法律案は、国債償還のための定率繰り入れの停止並びに発行価格差減額繰り入れの停止によって、総額一兆一千九百八十四億円の国債費の修正減額を内容とするものですが、政府の意図に反しまして、かえってわが国財政の危機に一層の拍車をかける悪法と言わなければならぬと思うわけであります。
まず総理、歴代政府がとってきました財政政策、特に昭和五十年代に入って税収が著しく鈍化してからの財政運営はことごとく失敗をいたしました。たとえば、臨時異例であったはずの赤字国債は、すでに九年にわたりまして乱発を続けてきたわけであります。また、毎年毎年その場しのぎの財政収支のつじつま合わせに終始してきたのは御存じのとおりであります。これらにつきまして、日本社会党は抜本的な改革を提案しましたが、政府はこれに全く耳をかしませんでした。そして、本法律案もまた真の財政再建とは遠く離れた、その場しのぎのびほう策と言わなければなりません。いや、定率繰り入れ停止はわが国の財政体質を一層悪化させ、崩壊させることになります。国債に対します国民の信頼を全く失うものであります。
さてそこで、中曽根総理は鈴木前内閣の有力な閣僚でありましたが、前内閣が当初予算の実に一七%、六兆一千億円もの税収不足をもたらし、本案のごとき特例法を提案せざるを得なくなったことについて、どのような評価と同時に政治的な責任を感じておるのか、明確な御答弁をいただきたいと思うわけであります。
五十六年度の予算補正の際におきましても、私たちは景気の分析、税収見込みなどについて政府の甘さを指摘してまいりました。結果はわれわれが主張したとおりになったわけであります。政府は今回成長率三・四%に修正をしましたが、ごく最近の各種の資料によりましても、円相場が反騰を見せているものの、景気の回復は依然として低迷したままであります。景気はこれによって停滞感が一層広がっているのは御案内のとおりであります。なお、輸出は低調で回復はまだであります。回復基調でありました個人消費も鈍化しておりますし、雇用条件も改善の兆しも見られない状況であります。このような経済状況にもかかわらず、なおかつこれ以上税収不足はないと、こういうふうにお答えをされておりますが、具体的な根拠を経企庁長官並びに大蔵大臣から明示をしていただきたいわけであります。
いま、最も国民が中曽根内閣に不信感を持っておりますのは、何といいましても、中長期的な財政再建のプログラムがいまだに示されておらず、ただただ、しゃにむに財政再建に協力してくれという政府の無責任さを追及しているわけであります。政府の経済政策、財政運営が全く不透明なために、設備投資にいたしましても、あるいは個人消費にいたしましても、企業や国民はとまどっているのであります。これでは内需の拡大は望むべくもなく、縮小再生産と言わなければなりません。この際、財政再建の枠組みを示すことが何よりも新内閣の責任ではないかと考えます。
政府の国民に対する公約は千鈞の重みを持ち、政治に関する国民の信頼感もここからスタートをするわけであります。しかるに総理は、五十九年度赤字公債脱却はきわめて困難であると言明されましたが、しからばその時期はいつになるのか、あるいは赤字公債をいつまで続けるのか、中曽根内閣の政策は示されておりません。これでは国民は判断のしようがないと思うのです。ぜひとも具体的な答弁をお願いしたいと思うわけであります。
今回の繰り入れ停止の特別措置は、全く臨時異例なものと言ってはおりますけれども、特例公債の実績にも例を見るごとく、またその変節の危険を心配するのは当然であります。特例公債の脱却の時期までこの繰り入れ停止の措置を続けるのか、あるいはこの制度をいつ放棄をするのか、明確な答弁を求める次第であります。
本年度末に九十七兆円に達します国債残高を抱えることになっていますが、このうち赤字公債は四十兆円、さらに六十年度から巨額な償還を迫られることになっております。定率繰り入れ停止措置によって、国債整理基金は、当初の昭和六十二年の計画が六十年度に底をつくことになると考えます。たとえば、建設国債は借りかえ方式によって手直しをすることができるにいたしましても、特例公債は発行根拠法で借りかえを禁じておりまして、現金償還するとの規定は今後もしっかり守られていかなければならないと考えておりますが、その点どう考えておられますか。苦し紛れの日銀引き受けやあるいは特例公債の借りかえを行うということを金融機関や国民は心配しております。具体的にどうやって償還をしていくのか、具体的に明示をしていただきたいと思うわけであります。
わが国の国債は、戦前戦後を通じ紆余曲折はありましたが、今日、一応国民の信頼をつなぎとめているようであります。それは何といいましても、国債発行に対しまして国民の厳しい監視の目があるという点であります。第二は、制度上の問題でありますが、諸外国には例がありませんが、減債基金制度が存在し、一応これまで有効に機能していたからにほかなりません。
すなわち、改編されました際の財政制度審議会によりますと、その報告の中で、「減債制度を確立する意義は、新しい公債政策を導入するに当たって、一般財源による公債償還の考え方を明らかにし、そのための一般財源繰り入れの仕組みを確立することにより、公債政策の運用に遺漏なきを期し、もって公債政策に対する国民の理解と信頼をうるところにある」と述べているわけであります。
明治以来の沿革を持ち、昭和四十二年度から確立しました現行の減債基金制度は根幹から覆ることになり、国債に対します国民の信頼感は全くなくなってしまいます。この際、政府は、この減債基金制度をどう認識をしているのか、あるいはまた減債基金制度というのは必要がないのかどうか、改めてお伺いをするわけであります。
このように減債基金制度を崩壊させながら、昭和五十七年度補正予算で赤字公債三兆三千八百五十億円を含む三兆九千億円の借金をしたいと言っておりますが、これでは、「担保するものは何もありません。返済する見込みもありません。しかし借金だけはさせてもらいます」というのでは、全くサラ金と同じだと思うわけであります。政府は、満期到来しました公債の返還について、国民に向かって必ずお返しできますと確約できるでしょうか、しかと答弁をいただきたいと思うわけであります。あるいは現在の減債基金制度にかわるものを別に考えているのかどうか、あわせて考え方を明らかにしてほしいわけであります。
五十七年度国債費のうち六兆四千億円は利子の支払い費であり、五十八年度は八兆円に達する膨大なものであります。言うまでもなく、国債の利子は国民の税金をもって財政という機能を通じて国債保有者に返されるものであります。利子支払い費は雪だるま式にふえているわけですから、いわば意図せざる財政構造の変化が進んでいるわけであります。しかも、利子支払い費の逓増によりまして、財政に課せられました所得再分配の機能は大きく阻害されております。加えて、最近、行政改革という名の福祉関係費などの圧縮は、二重三重に所得再分配機能を減殺しております。新内閣は、この意図せざる財政構造の変化についてどのように対処し、どのように再分配機能の復活を図ろうとするのか、その点もお伺いをするわけであります。
次に、政府公約の「増税なき財政再建」について質問をします。
これまで「増税」の定義につきまして、政府の見解は依然として不明確であります。いわゆる一般消費税のごとき大型新税は増税に当たるのでこれは導入しない、その点は明確であります。しかし、租税負担率を低下させない程度の増収策、すなわち既存の税目の増税はこれに入らないとか、最近では直間比率の見直しとか、当初予算に見込んだ税収額を確保するための増収措置は増税とはみなさない、このように勝手気ままな解釈も行われようとしております。これではまさに禅問答でありまして、「わかりやすい政治」を標榜します新内閣は、そのときに応じてどのようにも解釈できるような答弁は厳に慎まなければならぬと思うわけであります。このような混乱を生じないためにも、明確に増税なき財政再建とは何を指すのか、具体的にすべきではないかと思うわけであります。
今回の六兆一千億円の減収を計上することによって、税収構造にも大きな変化を来したのは当然であります。すなわち、所得税、法人税の両税について見ますと、当初予算で源泉所得税三〇・五%が補正後に三二・七%に引き上げになり、逆に法人税に至りましては、三二・六%を占めておりましたのが補正後に二九・七と少なくなり、源泉所得税と法人税はその構成が逆転をしてしまったわけであります。勤労大衆、特にサラリーマンの立場から見るなら、税負担の不公平が拡大再生産されることになり、勤労者の不満は一層増幅されるばかりであります。増税なきというのは、法人税などの大企業についての増税はするなとの財界の主張をうのみにして、大衆課税を強化することなのかどうか、しかと答弁をいただきたいと思うのです。
最後に、公務員の賃金問題について質問します。
政府はさきに人事院勧告について凍結することを決定しましたが、まことに遺憾のきわみであります。その後、与野党代表者会議で協議の結果、自民党から、昭和五十八年度は人事院勧告を尊重し、実施をいたします、第二、今年度については、野党の意見を踏まえ、誠意をもって検討するという回答でありましたが、野党はこれを不満とし、なお引き続き協議をすることになったわけであります。
そこでお伺いをしたいと思います。政府は、この第一、第二項目とも原則的にこれを尊重する立場をとるのかどうか、明確にしていただきたいと思うのです。さらに、一項、五十八年度分については、当然のことながら五十八年度当初予算に所要の予算計上を行うべきだと考えますが、その点どうでしょうか。二項目については、今後与野党協議の結果実施が確約された場合に、予算の補正なり財政措置が必要であると考えますが、以上、三つについてお伺いします。
以上をもって私の質問を終わりますが、中曽根新内閣の真価を問う重大な質問でありますので、わかりやすい答弁を求めまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/9
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010・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 穐山議員の御質問にお答え申し上げます。
今回、国債整理基金に対する繰り入れを停止いたしましたことはまことに遺憾であります。この原因は、前に大蔵大臣が申し上げましたように、第二次石油危機に基づく急激な世界不況の襲来そのほかに基づくものでございますが、一面におきましては、政府側の税収の見積もりの甘さという問題もあったと反省せざるを得ません。今後は、このような経済や税収に対する見通しの精度の向上を図りまして、堅実にして着実な財政運営を心がけてまいる決心でございます。
第二に、財政再建に関する枠組みを示せと、こういう御質問でございます。
とりあえず、五十八年度におきましては歳出歳入構造を徹底的に洗いたいと思います。特に、歳出につきましては、臨時行政調査会の答申の趣旨に基づきまして思い切った縮減合理化を図りたいと思っております。
なお、増税なき財政再建という考え方は、この基本線を維持してまいります。と同時に、公債依存度をできるだけ下げていくというこの基本的な考え方は最大限努力してみたいと思う次第でございます。そういうようなやり方によりまして、財政の対応力を次第に回復していくように努め、かつ、財政金融両面にわたる機動的な政策を来年度は考えてまいりたいと思います。
なお、枠組みにつきましては、従来の経済社会七カ年計画を是正いたしまして、いま新しい計画を策定中でございます。財政再建もこれとの見合いにおきまして枠組み、内容等も決められてまいりますので、いまにわかにお示しすることができないのは残念でございます。
さらに、赤字公債脱却の時期はいつであるかという御質問でございます。
諸般の事情によりまして五十九年度脱却ということはきわめて困難になりましたことは、先般来申し上げたとおりであります。しかし、この精神はあくまで堅持して、最大限今後も努力してまいらなければならないと思います。先ほど来申し上げましたように、この経済社会七カ年計画の是正、あるいはそれに見合う財政再建計画等々との見合いがございまして、いつ脱却できるかという時期を明示することは困難でございます。いずれにせよ、通貨価値及び国債の価値、通貨と国債に関する信用を保持していくということは政府の最大政策でございまして、その点は堅持してまいりたいと考えております。
最後に、人事院勧告の取り扱いについて御質問でございましたが、私が衆議院で申し上げましたように、野党の皆様方の御意見も踏まえ、各党代表者会議の情勢を見守りまして、これを尊重する、こういう考えを改めてここで申し上げる次第でございます。
残余の点は関係大臣から御答弁申し上げる次第でございます。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/10
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011・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問に対しお答え申し上げます。
まず、五十七年度六兆一千億円以上の税収不足はこれ以上は起こさないと、こう言っておるがという御質問でございます。
今回の補正予算の編成に当たりましては、これまでの課税実績、そして改定された経済見通し、それらに伴う諸指標に基づきまして、さらに大法人に対する聞き取り調査、そして個別税目ごとに積み上げて見直しを行った結果、合わせて六兆一千四百六十億円の減額補正と、こういうことになったわけでございますので、具体的に積み上げたものであるということを申し上げる次第であります。
それから今度の定率繰り入れ停止特別措置に伴って、御意見を交えながらのいわゆる国債政策に関する御質疑でございます。
まず、今回の定率繰り入れの停止は、五十七年度の困難な財政事情にかんがみ、かつ国債整理基金の資金繰り上、公債の償還に支障のないことからとられる措置でありまして、減債基金制度そのものを廃止するものではございません。今後とも基本的にはこれを維持してまいる所存であります。
そうして、当面五十八年度の定率繰り入れの取り扱いについてはどうするか。これはまさに五十八年度の予算編成の過程で、五十六年度決算処理に伴う同基金への繰り戻しの問題と一緒に、五十八年度の財政事情等を踏まえて検討してまいる所存でございます。
それから次は、特例公債について、国会の答弁、五十年度、そうして法律の規定、五十一年から五十七年、これによりまして借りかえを行わない、こういうことになっております。これを尊重していく考えでございます。
なお、六十年度からは特例公債の本格的な償還が始まるわけでございますが、公債は国の債務であり、何事にも優先して償還することが当然である、このように考えております。
将来の公債償還のあり方につきましては、今後、中長期的視点に立って幅広く各方面の意見を聞きながら公債の償還に万全を期してまいりたい、このように考えております。
そうして、国債に対する信頼感というものについての意見を交えながらの御質疑でございました。
定率繰り入れを中心といたします現行の減債制度は、戦後初の公債政策の導入に伴いまして、御指摘がありましたとおり四十二年度に創設されたものでございます。今回の定率繰り入れの停止は、五十七年度の困難な財政事情等にかんがみまして、かつ公債の償還に支障のないということからとられた措置でありますので、減債制度そのものを廃止するものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
そうして、国民の保有する公債について満期が到来した場合、個々の保有者に対して全額現金で償還が行わるべきことは、これは国の義務として当然でありまして、総理もお述べになりましたが、公債政策の根幹であるというふうに心得ております。したがいまして、政府としては、今後とも基本的には減債制度を維持しつつ公債の確実な償還を行いますとともに、歳出の節減合理化等財政の健全化のための努力を重ねて、公債政策に対する国民の信頼を確保してまいる考え方であります。
次が、公債の利払い費の逓増というようなものに対する、いわゆる所得再配分という観点からの御質疑でございました。
御指摘のとおり、公債の利払いにつきましては、公債の保有状況等によって、いわゆる当面政策意図と直ちにつながらないところに所得の再配分が行われる可能性がある、これは御指摘のとおりであると私も思います。また、社会保障支出ということになりますと、生活保護費のように高所得者から低所得者への垂直的な所得再配分機能が高いもの、あるいは医療年金のように中間的な所得階層間での水平的な所得再配分機能が高いもの、そういうふうにいろいろありまして、一律にこれを論ずることはむずかしいと思います。
さらに、厳しい財政事情のもとで、社会保障支出につきましても、四十八年、いわゆる福祉元年以来水準が高まってまいりましたが、今日、行政の範囲内における抑制をいろいろ行っております。しかし、各種福祉施策の重点的推進等、社会的要請の強い施策にはこれまでも十分配慮をしてきておるというふうに考えております。今後とも高齢化社会への移行等を考慮いたしまして、限られた財源が真に財政支出を必要とするものに向けられるよう検討してまいる所存であります。
いずれにいたしましても、財政の所得再配分機能につきましては歳入歳出両面について考える必要がございますが、以上申し述べました公債の利払いの所得再配分に与える影響及び国債費の増大による財政の硬直化が財政本来の機能でありますところの所得再配分機能を阻害すること等にかんがみまして、今後とも公債発行額の縮減、これにまず最大限の努力をしてまいる所存であります。
そうして次は、増税なき財政再建とは何を示すか、総理からもお答えがございました。すなわち、あくまでも行政改革の理念でありまして、安易に増税を念頭に置くということではなく、まず行政の簡素効率化、制度、施策の見直し、合理化、これに努力をしてまいりたい、このように考えております。それでもなお制度、施策の水準を維持する必要があるということになれば、改めて受益と負担との関係を考えてみる必要が出てくるかもしれません。しかし、いずれにいたしましても、これらは国民の合意と選択の問題でありまして、今後、それこそ十分各方面の意見を聞いてまいりたいと思っております。
そうして、補正予算の編成に当たって、個別税目ごとに見直しを行いまして、源泉所得税につきましては一兆二千二百億円の減額、そして法人税につきましては二兆八千九百五十億円の減額、この結果、御指摘になりましたとおり、一般会計分税収に占める構成比は変わってまいったことは事実であります。これはやはり世界経済停滞の影響等によりますところの経済情勢の変化というものが、景気動向の影響を受けやすい法人税に最も強く作用したというふうに考えられます。だからこれは構成比が逆転したと、その事実だけをもってにわかに税負担の不公平が増したという判断に立つのは適当ではないと考えております。
そうして、増税なき財政再建の問題についての御質疑に対しまして、この臨調の第三次答申、すなわち、増税なき財政再建とは、当面の財政再建に当たっては何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきものであり、全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にとらないということを意味しておるというふうにわれわれは理解しておりますので、この考え方に基づいておるわけであります。
最後に、人勧につきましての各党代表責任者会議の問題でありましたが、基本的な考え方は総理からお述べになりましたとおりであります。
そして、給与改善費の計上の問題でございます。これは今日までもろもろの経過のもとに給与改善費の計上が行われてきたところでありますが、来年度における財政状況等総合的に勘案して予算編成の過程において決定すべきものであるという考え方でありまして、現段階において政府の方針はいまだ決まっておりません。
そうして次の、いわゆる各党の合意を見た場合、凍結解除と財政措置を講ずる考えはあるか、こういう仮定に基づく御質疑でございます。
現段階におきましては、各党代表者会議の推移を見守っておると言うしか申し上げようがございません。あえて申し上げますならば、財政当局といたしましては、今日の厳しい財政状況等からいたしまして、私どもと同様の結論が出ることを期待申し上げておると、このように申し上げるしかなかろうかと思います。(拍手)
〔国務大臣塩崎潤君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/11
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012・塩崎潤
○国務大臣(塩崎潤君) 穐山議員にお答えいたします。
まず、本年度の経済見通しの下方修正につきましては確かに遺憾に存ずるところでございます。この下方修正の根本的な原因は、見通しを策定いたしました後のアメリカの高金利の異常な傾向などによりまして、世界経済が予想を超えた停滞を示したことにあると思うのでございます。
このため、そのときまで成長を支えておりましたわが国の輸出が、五十六年の末ごろから急激に鈍化いたしまして、これが国内の経済活動に少なからぬ影響を及ぼしたのでございます。こうした変化はわが国だけではございません。OECDを初め、世界各国とも経済見通しについて大幅な修正を余儀なくされたのでございますが、このような経済の変化が税収の大幅減少につながったことに対しても大変遺憾に存ずるところでございます。
しかし、政府といたしましては、この修正されました見通しについては、最近におきますところの長期金利の低下の傾向あるいは円高の傾向などの新しい良好な経済状態、これらも十分踏まえながら、ただいまお願いいたしておりますところの補正予算の二兆七百億円の公共投資を中心といたします総合経済対策を着実に実施することによりまして、この見通しは達成可能と考えまして、全力を挙げたいと考えているところでございます。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/12
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013・徳永正利
○議長(徳永正利君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109715254X00619821218/13
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