1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十八年四月十九日(火曜日)
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議事日程 第十二号
昭和五十八年四月十九日
午後一時開議
第一 高度技術工業集積地域開発促進法案(内閣提出)
第二 農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 高度技術工業集積地域開発促進法案(内閣提出)
日程第二 農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
臨時行政改革推進審議会設置法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/0
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001・福田一
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
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日程第一 高度技術工業集積地域開発促進法案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/1
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002・福田一
○議長(福田一君) 日程第一、高度技術工業集積地域開発促進法案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。商工委員長登坂重次郎君。
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高度技術工業集積地域開発促進法案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔登坂重次郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/2
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003・登坂重次郎
○登坂重次郎君 ただいま議題となりました高度技術工業集積地域開発促進法案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、最近における内外の経済環境の変化のもとで、高度な技術力を有する工業の新たな展開が要請されている状況にかんがみ、特定の地域について高度技術に立脚した工業開発を促進しようとするものでありまして、一般にテクノポリス法案とも言われているものであります。
その主な内容は、
第一に、主務大臣は、高度技術に立脚した工業開発に関する開発指針を定め、これを公表しなければならないこと、
なお、主務大臣は、通商産業大臣、建設大臣、農林水産大臣、国土庁長官とすること、
第二に、都道府県は、開発指針に基づいて開発計画を作成し、主務大臣の承認を申請することができること、
開発計画においては、高度技術に立脚した工業開発を行おうとする地域、工業開発の目標、工業用地等の施設の整備に関する事項等を定めること、
第三に、工業開発に必要な業務を行う者に対し、負担金を支出した場合の損金算入の特例、固定資産税の不均一課税に伴う補てん措置、施設整備等に対する国及び地方公共団体の援助、地方債発行に対する特別の配慮について定めること
等であります。
本案は、去る四月六日当委員会に付託され、四月十二日山中通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、以来慎重に審査を重ね、四月十五日質疑を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
なお、本案に対し、附帯決議が付されたことを申し添えます。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/3
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004・福田一
○議長(福田一君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/4
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005・福田一
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
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日程第二 農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/5
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006・福田一
○議長(福田一君) 日程第二、農林水産省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。内閣委員長橋口隆君。
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農林水産省設置法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔〔橋口隆君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/6
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007・橋口隆
○橋口隆君 ただいま議題となりました農林水産省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、農業に関する技術上の基礎的調査研究の一層の推進を図るため、農林水産省の本省の附属機関として、農業生物資源研究所及び農業環境技術研究所を設置し、これに伴い農業技術研究所及び植物ウイルス研究所を廃止しようとするものであります。
本案は、一月二十八日本委員会に付託され、三月三日金子農林水産大臣より提案理由の説明を聴取し、四月十二日質疑に入り、十五日に質疑を終了し、討論を行い、採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、本案に対し、附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/7
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008・福田一
○議長(福田一君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/8
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009・福田一
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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臨時行政改革推進審議会設置法案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/9
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010・福田一
○議長(福田一君) この際、内閣提出、臨時行政改革推進審議会設置法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣齋藤邦吉君。
〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/10
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011・齋藤邦吉
○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいま議題となりました臨時行政改革推進審議会設置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
申すまでもなく、行政改革は、厳しい内外の環境のもとにおいて、当面する国政上の最重要課題の一つであり、わが国の将来への明るい展望を開くために避けて通ることのできない国民的課題であります。このため、政府は臨時行政調査会からの累次にわたる答申を踏まえて、政府としての諸般の改革方策を着実に推進しつつあるところであります。
臨時行政調査会は、去る三月十五日をもって存置期限を迎え、解散したところでありますが、これに先立ち、二月二十八日に提出された行政改革に関する第四次答申において、臨時行政調査会の任務終了後における行政改革の推進体制のあり方として、学識経験者若干名をもって構成する調査審議機関の設置の必要性を提言しているところであります。
もとより、臨時行政調査会の累次にわたる答申を踏まえつつ、行政改革を具体的に実施することは、政府みずからの責務でありますが、この国民的課題である行政改革を推進するに当たって、各界有識者の御意見を聴取しつつ諸施策を立案、実施することは、きわめて重要かつ有益であると考える次第であります。
このため、政府といたしましては、今般、臨時行政調査会の第四次答申を最大限に尊重する旨の基本的対処方針を決定し、この方針を踏まえて、総理府に臨時行政改革推進審議会を設置することとし、ここに、この法律案を提出した次第であります。
次に、法律案の概要について御説明申し上げます。
臨時行政改革推進審議会は、臨時行政調査会の行った行政改革に関する答申を受けて講ぜられる行政制度及び行政運営の改善に関する施策に係る重要事項について調査審議し、その結果に基づいて内閣総理大臣に意見を述べるほか、内閣総理大臣の諮問に応じて答申することを任務としており、審議会の意見または答申については、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないこととしております。
審議会は、行政の改善問題に関してすぐれた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する委員七人をもって構成することとし、また、審議会の調査事務その他の事務を処理させるための事務局を置くことといたしております。
また、審議会は、行政機関の長等に対して資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができることとしているほか、特に必要があると認めるときは、みずからその運営状況を調査することができることとしております。
なお、審議会は臨時の機関として設置されるものであり、政令で定める本法律の施行期日から起算して三年を経過した日に廃止されることとしております。
このほか、関係法律について所要の改正を行うこととしております。
以上が臨時行政改革推進審議会設置法案の趣旨であります。(拍手)
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臨時行政改革推進審議会設置法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/11
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012・福田一
○議長(福田一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。山花貞夫君。
〔山花貞夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/12
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013・山花貞夫
○山花貞夫君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました臨時行政改革推進審議会設置法案について、以下の諸点にわたり、総理並びに関係大臣に質問いたします。
第一は、この法律案によって実施が推進、強行されようとしている第二臨時行政調査会の諸答申の基本についてであります。
これらの答申で示された行政改革なるものは、わが党が一貫して主張してきた平和、福祉、分権という国民のための行革理念とは全く無縁であります。それは、国民に重い負担と犠牲を一方的に負わせるものであります。わが国を危険な軍事大国にし、国の財政を取り返しのつかない破産状態に追い込むものであります。このことは、鈴木、中曽根内閣が行革推進の名のもとに行ってきた福祉、年金、教育の切り詰め、引き下げと、軍事費の連続的異常な突出を見ただけでもきわめて明白であります。
こうして臨時行政調査会の答申については、まず基本として次の重大な問題点を指摘しなければなりません。
それは、答申が防衛力の質的水準の維持向上を図れなどと、国会の意思に従うべきわが国の安全保障問題に介入していることであります。そのねらいは、言うまでもなく軍事費の聖域化であり、これまで以上に軍事費の増額を実現しようとするところにあります。明らかに越権であります。国会審議の空洞化をもたらし、立法権を侵すおそれがあると言わざるを得ないのであります。
同時に、臨調答申は、「増税なき財政再建」をてこに、歳出を削減すると称し、福祉、年金、教育、住宅などの国民生活のための費用の集中的な切り下げを求めているのであります。しかも、答申は、大企業向けや保守党の基盤培養のための補助金などの不要経費の削減には手をつけようとしていません。国民が期待する不公平税制の是正には目を向けようともしていないのであります。
このような臨調答申をそのまま推進する、あるいはそのための審議会を設置することが、国民と日本の将来のためになるか否かは明らかであります。私は、断じて否と言わざるを得ないのであります。
軍事費を聖域化してはならないのであります。それとも中曽根内閣は、臨調答申にかかわらず、すでに軍事費を聖域と考えているのでありましょうか。防衛費GNP一%以内の枠はすでに外したつもりなのでしょうか。ことしの予算を見れば、もう限界に来ていることは明らかであります。いつ外すのでしょうか。もう青天井で、枠などないということを考えていらっしゃるのでしょうか。総理にお答えをいただきたいと思います。
政府のいまなすべきことは、この臨調答申を強行するのではなく、臨時行政調査会の答申を白紙に戻すことであります。国民の生活を守り、軍縮で平和を築く、効率的で簡素な政府をつくるための国民のための行政改革案を策定し、実行することであると考えます。以上についての総理並びに行管庁長官のお考えを伺いたいと思います。
第二に、総理が行革推進に関し持っている危険な政治的意図とその姿勢について取り上げたいと思います。
総理、あなたは、昨年五月ある集会で、行革を強行することによって軍事力を増強し、憲法を改正するのだととれる趣旨の発言をしております。あなたは、まず行革を断行しようとお話しになりました。この大きな仕事が失敗したならば、教育の改革もできなくなる、防衛の問題もだめになる、いわんや憲法をつくる力はだめになってしまうとお話しになりました。そして、行政改革で大掃除をしてお座敷をきれいにして、そしてりっぱな憲法を安置する、これがわれわれのコースである、このようにはっきりおっしゃっているのであります。
行政改革で福祉、教育費を削り、それで捻出したお金を軍事費の増強に充てる、そして憲法を改悪する、このことを総理が行政改革でスタートするコースとして企画しているとしか解釈できない明白な発言なのであります。
総理が、行政改革で大掃除をして、きれいになったお座敷にどんな憲法を安置しようとしているのでしょうか。総理のこれまでの数々の問題発言、不沈空母あるいは四海峡封鎖からだれでも推測することができるのであります。また、昨年七月、自民党憲法調査会の憲法改正についての中間報告からも明らかであります。新しい天皇制であり、九条の改悪であり、有事の体制づくりではありませんか。私は、現にこの方向に進みつつある中曽根内閣の行政改革に対し、反対の強い意思を表明するものであります。
総理は、この発言の考えを現在なおお持ちでしょうか。この点については、すでにわが党の委員長が代表質問の際総理にただしているのでありますけれども、本音の答弁がありませんでした。率直にお答えいただきたいと思います。
さらに、これに関連して、総理の太平洋戦争についての認識についてもお伺いをいたします。
総理は、同じ集会での発言で、太平洋戦争に関し、日本の戦争責任を覆い隠し、日本を被害国、不運に遭遇した国だと強調しております。すなわち、日本が大東亜戦争という大きな災難に遭い、敗戦の屈辱を迎えたと述べているのであります。また同時に、大東亜戦争によって植民地は全部解放され、インドネシアも独立したことを強調しているのであります。
太平洋戦争の基本的性格は、日本の軍部の独走、これに追随した政府が戦争を引き起こし、他国を侵略して、他国と自国の国民に多大の被害を及ぼしたことにあります。こうした軍隊と政府の出現を阻止できなかったことをわれわれは痛感し、過ちを繰り返さないよう、今日の憲法を国民が歓迎したのであります。わが国の防衛問題を扱う場合は、この観点を原点としなければなりません。
総理の軍事力増強路線の背景には、太平洋戦争に対する誤った認識があるのではないかと、この発言を通してうかがわれるのであります。東南アジアの諸国が教科書の問題で指摘したのも、この点ではありませんか。総理の御認識のほどを承りたいのであります。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
第三は、政府の行政改革と大衆増税導入との密接不可分な関係についてであります。
大企業や特権層に対する補助金の整理には手をつけない、それらに対する適正な税負担を求めることもしない、財界本位、政界官界癒着の行政改革では、財政再建はできないことについては初めから明らかであります。また、福祉、教育費の削減は限界に来ています。したがって、政府は、行革を行っても財政赤字はなくならないとして、大衆増税を導入しようとしているのであります。換言すれば、政府の行政改革は大衆増税の露払いの役割りをしようとしているのではないでしょうか。かくして政府は、公約である「増税なき財政再建」をほごにするのは必至であります。
すでに大蔵大臣は、五十九年度に大型間接税を導入したい、EC型付加価値税の導入を検討する、六兆円の増税になる租税負担率の引き上げが可能であるなど、大衆増税へ次々に布石をしいているではありませんか。
総理初め自民党が行おうとしている衆参同時選挙の大きなねらいに、この大型間接税の導入があることも問題にしなければなりません。衆参同時選挙を行えば、少なくとも三年間は国政選挙、統一地方選挙を実施しないで済むわけでありますから、この間に国民の反対を押し切って大衆増税を導入しようとする意図をお持ちなのではないでしょうか。
行政改革で国民に総がまんをさせた上で、財政再建もできず、大型間接税を導入するというのでは、中曽根内閣は国民にすべての犠牲を負わせるだけで、国民を欺瞞することになるではありませんか。総理の率直な見解を承りたいと思います。
第四は、臨時行政改革推進審議会の性格についてであります。
自民党政府は、これまで第二臨調を財界本位の行政改革を強行するための隠れみのとして利用してきました。政府は、臨調の答申を金科玉条、にしきの御旗として、国会での十分な審議を経ることなく、国民犠牲の行政改革を断行してきたのであります。これは行政権の専横であり、立法府の権限を軽視したものと言わなければなりません。
臨調を利用した政府の行政改革は、福祉、年金、教育費の切り詰めに続いて、国民の足を奪うことになる国鉄再建監理委員会法案の成立を図ろうとしているところにもあります。住民の生活に重大な影響を及ぼす国鉄の問題は、臨調答申を機械的に実施するのではなく、国民の足を守ることを基本に据えて、国民の英知を集めた十分な国会審議によってその再建の方途を確立すべきであります。
今度設置されようとしている臨時行政改革推進審議会が第二臨調と同じような非民主的役割りを果たし、また政府がそのように利用しないという保証は全くないのであります。中曽根内閣のもとではむしろその危険性が強まっていると言わなければなりません。
加えて、推進審議会の委員の構成の問題があります。第二臨調の委員の中に、その答申によって最も犠牲と負担を負わされている老人、婦人、障害者、過疎地住民などの代表者が一人でも入っていたでありましょうか。第二臨調の委員の多くは財界の代表によって占められました。財界の意向が答申に強く反映し、苦しめられる国民の声は届いていなかったのであります。提出された法律案により設置されるとしている審議会の委員の構成も、第二臨調のそれと同様になるのではないかと危惧を持つのは私だけではありません。
総理は、両議院の同意を得て任命するとされている推進審議会の委員の選出について、第二臨調の反省の上に立ってどのように考えておられるか御見解をお伺いしたいと思います。
最後に、国民のための行政改革を進める上での基本的な前提条件である国民の政治に対する信頼をどう回復するかについて触れないわけにはいきません。
いかなる行政改革も国民の納得と協力なしに推進されることはありません。そのためには清潔な政治を実現することが大前提とはお考えになりませんか。汚職に対しては政治的責任を国民の前に明らかにすることが緊急の課題であります。いま日本の国民の最大の関心は、日本社会党を初め野党が一致して求めている田中角榮君の議員辞職勧告に関する決議案の取り扱いであります。
総理、あなたは総裁として潔く田中角榮君の議員辞職勧告に関する決議案に賛成すべきではありませんか。政界の浄化と国民の信頼を回復するための残された唯一の道であることを強く主張し、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/13
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014・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 山花議員の御質問にお答えをいたします。
まず、第二臨調答申を白紙に戻せ、そういう御質問でございますが、白紙に戻す考えはございません。
臨時行政調査会は、国民的見地に立った幅広い人材によって構成されておるものでございまして、この委員会は国民の圧倒的御支持を得ているものと考えております。このような委員会によってつくられました答申は、私たちはこれを最大限に尊重すると申し上げてきておるのでございまして、そのような考えに一貫してまいるつもりでございます。
政府といたしましても、今後とも各方面の御意見等をも聴取しつつ、簡素で効率的な行政改革の実現に、最大限努力してまいります。
ただいま、いわゆる答申に基づく新行革大綱を策定すべく努力しておる最中でございます。
次に、昨年五月、私がある集会で発言したことについて御質問がございましたが、主権在民の国家におきましては、国民の力がすべての原動力であります。この国民の力が国をつくる力であり、それが憲法をつくり、憲法を守り、憲法を改正する原動力であります。このような意味の民族的、国民的エネルギーを最大限に尊重するということは政治においても必要であり、それは行政改革を行う力と共通しておる力である、そういうことを申し上げた次第であります。
次に、太平洋戦争について御指摘がございましたが、過般の太平洋戦争は、はなはだ遺憾な戦争であったと思います。国民に対して大きな惨害を与え、また周辺諸国等につきましても多大の御迷惑をおかけした戦争でございまして、このような戦争は二度と繰り返してはならないと考えております。そして、太平洋戦争については、外国からは侵略戦争であるという厳しい批判を受けておるのでございまして、われわれは、このような批判については耳を傾けて改心しなければならないと考えております。
次に、東南アジア諸国に対して軍事大国への危惧はないかという御質問でございますが、わが国の防衛政策は、ここで一貫して申し上げておりますように、平和憲法のもとに専守防衛に徹しまして、非核三原則を守り、個別的自衛権の範囲内で防衛力を整備しようとするものでございまして、このような考え方は、逐次東南アジア諸国についても御理解を得つつある次第であり、今回、ASEAN諸国訪問につきましても、この点について御理解を得るように努力してまいります。
次に、大衆増税、大型間接税について御質問がございましたが、「増税なき財政再建」を行うことは、われわれの行財政改革の一貫した理念でございます。大型間接税の導入については、具体的に検討もしておらなければ、指示もしておりません。
次に、臨時行政改革推進審議会の構成等について御質問がございました。
この構成につきましては、国民的視野を持った、そして見識のある、しかも実行力のある国家的人材をぜひとも起用させていただきたいと思っております。これらは法律が成立した後で具体的に検討をいたすべき問題でございまして、目下の段階において、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
次に、辞職勧告決議案について御質問がございました。
この問題につきましては、しばしば申し上げますように、国会の案件として上程され、目下議院運営委員会において審議されておる案件でございますので、審議の情勢、推移を見守るということでおる次第でございます。
次に、防衛費のGNP一%の枠を守れという御質問でございますが、防衛費GNP一%に関する昭和五十一年の閣議決定は、現在のところ、これを遵守していく決意でございます。
残余の答弁は、関係大臣から御答弁申し上げます。(拍手)
〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/14
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015・齋藤邦吉
○国務大臣(齋藤邦吉君) 山花議員に対しお答えを申し上げます。
最初の御質問は、臨調答申に基づく行革は、大企業擁護、国民生活圧迫ではないかという御質問でございます。
この問題についてはすでに総理大臣からお答えを申し上げたわけでございますが、私にも質問がございましたので、私からも一言お答え申し上げます。
行政改革の目標は、行財政の全般について聖域を設けないということで見直しを進めつつ、国民の要請にこたえ、社会経済情勢の進展、内外環境の変化に対応した行政の体制を整えようとするものであり、今次の行政改革については、広く国民各層の御理解と御支援を得ているものと考えており、大企業擁護、国民生活圧迫、こういう御批判は当たらないものと考えております。
政府としては、今後とも、各方面の意見等を聴取しながら、簡素、効率的な行政の実現を目指して最大限の努力を払う所存であります。
次は、委員の人選についてのお尋ねでございますが、この問題につきましては、先ほど総理からお答えがありましたとおり、法案が成立した段階で決定すべき問題でありますが、国民各層から広くこの審議会の重要な任務にふさわしい学識経験者を選任するよう心がけてまいりたいと考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/15
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016・岡田春夫
○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/16
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017・岡田春夫
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X01719830419/17
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