1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十八年五月十日(火曜日)
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議事日程 第十五号
昭和五十八年五月十日
午後一時開議
第一 酪農振興法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第三 臨時行政改革推進審議会設置法案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 酪農振興法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 臨時行政改革推進審議会設置法案(内閣提出)
外国事業者による型式承認等の取得の円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度の統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/0
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001・福田一
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
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日程第一 酪農振興法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/1
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002・福田一
○議長(福田一君) 日程第一、酪農振興法の一部を改正する法律案、日程第二、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。農林水産委員長山崎平八郎君。
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酪農振興法の一部を改正する法律案及び同報告書
家畜改良増殖法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔山崎平八郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/2
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003・山崎平八郎
○山崎平八郎君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
最初に、両案の内容について申し上げます。
まず、酪農振興法の一部を改正する法律案は、酪農及び肉用牛生産の健全な発達を図り、あわせて牛肉の安定的な供給に資するため、酪農及び肉用牛生産の近代化を総合的かつ計画的に推進するとともに、肉用子牛の価格の安定を図るための措置等を講じようとするものであります。
本案は、去る三月十二日提出され、同日本委員会に付託されました。
次に、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案は、家畜の改良増殖を促進し、畜産の振興を図るため、家畜受精卵移植に関する規制について定めるとともに、海外から輸入された家畜人工授精用精液の利用等に関する措置を講じようとするものであります。
本案は、去る四月十九日提出され、同日本委員会に付託されました。
委員会におきましては、両案につき、四月十九日金子農林水産大臣から提案理由の説明を聴取した後、酪農振興法の一部を改正する法律案については、四月二十七日及び二十八日の二日間にわたり審査を行い、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案については、四月二十八日に審査を行い、同日両案について質疑を終局し、直ちに採決の結果、両案とも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
なお、両案に対し、それぞれ附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/3
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004・福田一
○議長(福田一君) 両案を一括して採決いたします。
両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/4
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005・福田一
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第三 臨時行政改革推進審議会設置法案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/5
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006・福田一
○議長(福田一君) 日程第三、臨時行政改革推進審議会設置法案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。内閣委員長橋口隆君。
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臨時行政改革推進審議会設置法案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔橋口隆君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/6
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007・橋口隆
○橋口隆君 ただいま議題となりました臨時行政改革推進審議会設置法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、社会経済情勢の変化に対応した適正かつ合理的な行政の実現を推進するため、総理府に、委員七人をもって構成する臨時行政改革推進審議会を設置しようとするものであります。
本案は、三月二十五日政府から提出され、四月十九日本会議において趣旨の説明及びこれに対する質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。
委員会におきましては、四月二十八日齋藤行政管理庁長官より提案理由の説明を聴取した後、直ちに質疑に入りました。
本案に対する質疑は、臨時行政改革推進審議会の設置理由、性格及び委員の人選方針、審議会の設置期間を三年とした理由、臨調最終答申後の新行政改革大綱の策定時期とその内容、電電公社及び専売公社の改革など、広範多岐にわたって行われましたが、その詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
かくて、同日質疑を終了し、討論に入り、日本社会党の渡部行雄君及び日本共産党の中路雅弘君より、それぞれ反対の意見が述べられました。
次いで、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/7
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008・福田一
○議長(福田一君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/8
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009・福田一
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/9
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010・保利耕輔
○保利耕輔君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、内閣提出、外国事業者による型式承認等の取得の円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/10
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011・福田一
○議長(福田一君) 保利耕輔君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/11
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012・福田一
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
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外国事業者による型式承認等の取得の円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/12
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013・福田一
○議長(福田一君) 外国事業者による型式承認等の取得の円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。商工委員長登坂重次郎君。
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外国事業者による型式承認等の取得の円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔登坂重次郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/13
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014・登坂重次郎
○登坂重次郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
御承知のとおり、近年、世界経済の停滞が長期化する中で、国際的に保護貿易主義の風潮が高まり、自由貿易体制はかつてない困難な事態に直面いたしております。
このような情勢のもとで、わが国は、自由貿易体制を維持強化し、貿易の拡大均衡によって、世界経済の再活性化を図るため、諸般の市場開放対策を講じてきたところであります。
本案は、わが国の市場開放をより一層推進するため、基準・認証制度における内外無差別の確保を図ろうとするものであり、十六法律を一括して改正しようとするものであります。
その主な内容は、
第一に、外国の製造事業者が、わが国の認証制度において定められた各種認証をみずから取得し得る旨の規定を新設するとともに、当該認証取得に係る手続及び外国製造事業者の遵守すべき事項に関する規定の整備を図ること、
第二に、外国製造事業者が法令に違反した場合、その他一定の事由に該当するときは、認証を取り消すことができること、
第三に、外国製造事業者が国内において恒常的に果たすべき義務を課せられている場合には、これを履行する者を国内に置かなければならないこと
等であります。
本案は、去る四月二十日提出され、同月二十六日商工委員会に付託になり、同日塩崎国務大臣から提案理由の説明を聴取し、慎重に審査を行い、本日質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/14
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015・福田一
○議長(福田一君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/15
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016・福田一
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度の統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/16
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017・福田一
○議長(福田一君) この際、内閣提出、国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度の統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案及び地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。大蔵大臣竹下登君。
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/17
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018・竹下登
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度の統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、臨時行政調査会の「行政改革に関する第三次答申」の趣旨にのっとり、高齢化社会の進展に対処するための公的年金制度の再編・統合の一環として、国家公務員と公共企業体職員との共済組合制度を統合し、長期給付の給付要件等の一致を図るとともに、国鉄共済組合に係る年金の円滑な支払いを確保するための財政調整事業の実施等の措置を講ずることといたしております。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、国家公務員と公共企業体職員との共済組合制度の統合についてであります。
各公共企業体の共済組合を改正後の国家公務員等共済組合法の規定により設けられる国家公務員等共済組合とするとともに、この法律の施行後も引き続き公共企業体職員である者については、その者が各公共企業体の共済組合の組合員であった間、国家公務員等共済組合の組合員であったものとみなし、国家公務員と公共企業体職員の長期給付の給付要件等の一致を図ることといたしております。
また、この法律の施行の日前に公共企業体職員等共済組合法の規定により年金を受ける権利を有していた者についても、改正後の国家公務員等共済組合法の規定に準じて算定した額の年金を支給することとし、その額が従前の年金額より少ないときは、従前の年金額を保障することといたしております。
第二に、国鉄共済組合に対する長期給付財政調整事業の実施についてであります。
国家公務員等共済組合連合会及び公共企業体の組合は、国鉄共済組合が行う長期給付の事業に係る財政の現状にかんがみ、当分の間、長期給付に係る財政調整事業を実施することといたしております。
なお、国家公務員等共済組合連合会に、学識経験者並びに連合会及び各公共企業体の組合を代表する者で構成する長期給付財政調整事業運営委員会を置くこととし、同委員会は、昭和六十年度以降における財政調整五カ年計画を定めるほか、財政調整事業に関する重要事項について審議することといたしております。
第三に、長期給付に要する費用に係る国または公共企業体の負担につきましては、昭和六十年度以降、いわゆる事業主負担に相当する部分を除き、拠出時負担を給付時負担に変更することといたしております。
第四に、公共企業体職員で二十年以上勤続して退職した者に対する退職手当の三%の減額措置につきましては、これを廃止することといたしております。
以上のほか、国家公務員に係る定年制度の実施に伴い定年等による退職をした者に対する長期給付に係る特例措置を講ずることとする等の所要の改正を行うことといたしております。
以上、本法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/18
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019・福田一
○議長(福田一君) 自治大臣山本幸雄君。
〔国務大臣山本幸雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/19
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020・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、地方公務員共済組合の長期給付に係る業務の適正かつ円滑な運営を図るため、新たに地方公務員共済組合連合会を設けることとするとともに、市町村職員共済組合連合会及び都市職員共済組合連合会を廃止して、新たに全国市町村職員共済組合連合会を設けることとするほか、地方公務員の定年制度の実施に伴い、定年等による退職をした者のうち、何らの年金を受ける権利を有しない者で一定の要件に該当するものに対して、長期給付に係る特例等の措置を講じようとするものであります。
次に、この法律案の概要について御説明を申し上げます。
第一は、地方公務員共済組合連合会の設立等に関する事項についてであります。
その一は、地方公務員共済組合の長期給付に係る業務の適正かつ円滑な運営を図るため、新たにすべての地方公務員共済組合をもって組織する地方公務員共済組合連合会を設けることとしております。
地方公務員共済組合連合会は、その組織する地方公務員共済組合の長期給付に係る組合員の給料と掛金との割合を決定するほか、地方公務員共済組合から払い込まれる一定の金額を長期給付積立金として管理し、長期給付に要する資金が不足する地方公務員共済組合に対して長期給付積立金から必要な資金を交付する等の事業を行うこととしております。
なお、地方公務員共済組合連合会は、当分の間、公立学校共済組合及び警察共済組合を除く八十九の地方公務員共済組合で組織することとしております。
その二は、地方公務員共済組合連合会の設立に伴い、市町村職員共済組合連合会及び都市職員共済組合連合会を廃止し、新たに全国市町村職員共済組合連合会を設けることとしております。
全国市町村職員共済組合連合会は、市町村職員共済組合または都市職員共済組合の給付事務等の指導、災害給付積立金の管理等の事業を行うこととしております。
第二は、定年等による退職をした者に係る長期給付の特例等に関する事項についてであります。
その一は、地方公務員の定年制度の実施に伴い、定年等による退職をした者のうち、退職年金または通算退職年金を受ける権利を有しない者で定年等による退職前の組合員期間が十年以上であること等一定の要件に該当するものについては、その者の申し出により、退職後も引き続き地方公務員等共済組合法の長期給付に関する規定の適用を受ける特例継続組合員となることができることとする措置を講ずることとしております。
その二は、定年等による退職をした者のうち、退職年金または通算退職年金を受ける権利を有しない者で定年等による退職前の組合員期間のうち四十歳以上の組合員期間が十五年以上であること等一定の要件に該当するものまたはその遺族に対して、特例退職年金を支給する等の措置を講ずることとしております。
以上が地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
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国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度の統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/20
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021・福田一
○議長(福田一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。平沼赳夫君。
〔平沼赳夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/21
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022・平沼赳夫
○平沼赳夫君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度の統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、総理大臣及び関係大臣に対しまして、若干の質問を行い、その御所見を伺いたいと思います。
近年、わが国の人口構造は、出生率や死亡率の低下とともに急速に高齢化が進んでおります。現在、六十五歳以上の人口は約一千六十万人、総人口の九%程度でありますが、二十一世紀を迎える昭和七十五年にはその割合は一五・六%に達し、高齢化がピークとなる昭和九十五年には実に二一%となり、四・六人に一人が六十五歳以上になるものと予測されております。
このような高齢化社会においてもなお活力ある社会を維持していくためには、高齢者の雇用環境の整備を図り、生産年齢層の拡大を図っていくことが必要であるとともに、老後の生活設計の中核となるべき公的年金制度の役割りがますます重要になると考えるのであります。
御承知のとおり、現在、わが国の公的年金制度は、厚生年金、国民年金、船員保険、そのほか、国家公務員、公共企業体職員、地方公務員、農林漁業団体職員及び私立学校教職員の五共済年金から成る八つの制度となっております。これらの公的年金制度は、いずれも近い将来、本格的な高齢化社会の到来及び年金制度の成熟化に伴い、年金給付の増大が確実に予測されているところであり、さらに、これら各制度における給付内容等の相違から、いわゆる制度間格差問題とともに給付水準の見直しなど、公的年金制度全体の再編成が要請されているところであります。とりわけ、国鉄共済年金における財政危機は一刻の猶予も許されない状況にあることは周知のとおりであります。
このような公的年金制度の再編成が大きな課題となっている中で、昨年七月に提出された臨時行政調査会の第三次答申においても、わが国の公的年金制度は、制度的にはすでに西欧諸国に比較してほぼ遜色のない水準に達していると指摘している一方、現行の給付水準と負担の関係をこのまま続けていると、人口の高齢化と制度の成熟化によって、将来の年金制度は危機的状況を迎えると予想しております。
したがいまして、私は、公的年金制度に対する国民の信頼を損なうことのないよう、二十一世紀を展望した施策、すなわち、年金制度の長期的安定のための施策を講じていくことが、現在の政治に課せられた重要な課題の一つであると確信するものであります。
このような観点から、公的年金制度の再編・統合の一環として、その改革の第一歩となるべき意味を持つ本法律案をできるだけ速やかに成立させ、さらに基本的な改革に取り組む必要があるとの立場に立って、次の諸点について御質問をいたします。
まず第一に、さきに申し上げたように、公的年金制度の改革は早急に着手しなければならない重要な政策課題の一つであります。
高齢化社会の急速な進展等に対応し、わが国の社会保障制度、なかんずく公的年金制度が引き続き国の政策として安定的に機能し得るよう、国民の合意の得られる負担水準との関連に配慮しながら、現行制度における不合理の是正、体系化を図っていく必要があると考えます。今後における公的年金制度のあり方、改革の方向について、総理の基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
次に、第二には、国家公務員及び公共企業体職員の共済組合制度の統合を図る法律案の持つ意味についてであります。
公共企業体職員三組合のうち、特に国鉄共済組合は、昭和六十年度以降、年金の支払いが危ぶまれるような緊急の事態に直面しております。その原因はいろいろあったと思うのでありますが、一つには、戦時中に応召で軍隊に入りあるいは軍属として外地に派遣されていて復員した人たちや、旧満州、朝鮮、台湾、中支、北支等の外地鉄道在勤者で帰国した人たちを再採用したため職員が急増し、やがてこれらの人たちが退職期を迎えたのが大きな原因とされております。一方、国鉄は、その再建を図るため職員の大幅削減を余儀なくされております。したがって、国鉄共済組合の財政は今後ますます危機的状態に陥ることは明瞭となっておりますから、直ちにその応急対策を講じていかなければならないと思うのであります。
今回、政府は、現行の年金制度となるまでの沿革が類似している国家公務員と公共企業体職員の両共済年金を合併するという方法によってパンク寸前の国鉄共済年金に対する緊急措置を講ずることとしておりますが、当面この法律によってどのような効果が期待されるか、お伺いをいたしたいと思います。
また、この法案は、公的年金制度の再編・統合の第一段階と位置づけられておりますが、その意味するものは何かということについてであります。恐らく、共済年金の統合法案は、これだけで完結するものでなくて、引き続いて次の改革へつながっていくものであると思うのでありますが、公務員グループの共済年金制度の運営等について、今後その安定を図るため、基本的にどのようなお考えを持っておられるか、大蔵大臣及び関係大臣の率直な御意見をお伺いいたしたいと思います。
第三には、昨年九月二十四日に閣議決定された行革大綱を受けて年金問題担当大臣が指名され、指名を受けられた厚生大臣は、本法律案の取りまとめのほか、去る四月一日の年金制度に関する関係閣僚懇談会における今後の年金制度改革の方針の取りまとめなど、大変御苦労されております。これらの点につき深く敬意を表するものでありますが、この関係閣僚懇談会において決定された今後の「公的年金制度改革の進め方について」というものはいかなる意味を持っているものであるか、厚生大臣にお伺いいたします。
公的年金制度の将来展望について国民は大きな関心を寄せているところでありますので、この際、改革を進めるに当たっての政府の基本的な考え方を明らかにしていただきたいと思います。
最後に、公共企業体の共済組合が支給している既裁定年金の扱いについてお伺いをいたします。
現在、公共企業体の共済年金受給者は、国鉄三十三万人、電電公社六万五千人、専売公社二万人、合計四十一万五千人の受給者数に上っております。今回の法律改正により、これらの既裁定年金につきましては、国家公務員共済組合法に基づいて裁定がえが行われることになりますが、多くの年金受給者は少なからず不安を抱いているところであり、政府においても細心な配慮が必要であると思われますが、どのような措置を講じられようとしているのかお伺いをいたします。
さらに、公的年金制度の再編成に当たっては、給付水準の見直しは避けて通れない課題であると考えますので、今後の見通しについての御所見をお伺いいたしたいと思います。
以上、私は、年金制度の改革を進めるに当たっては、全国民を基礎とする統一的制度により基礎的年金を公平に国民に保障することを目標とし、国民の理解と協力を得ながら、来るべき高齢化社会に向かって着実にその実現を図るよう政府に強く希望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣臨時代理齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/22
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023・齋藤邦吉
○内閣総理大臣臨時代理(齋藤邦吉君) 平沼議員にお答えを申し上げます。
私に対する御質問は、年金改革構想の問題でございますが、高齢化社会の到来を控え、公的年金制度の重要性は一層高まっておることはお述べになりましたとおりでございます。このため、わが国社会が高齢化のピークを迎える二十一世紀においても、制度が健全かつ安定的に機能し得るよう、いまから改革を進めていくことが必要であると考えておるものであります。
政府としては、こうした見地に立って、公的年金制度の一元化を展望しながら、制度全般のあり方について見直しを進め、昭和五十八年度末までに改革の具体的内容、手順等について成案を得ることといたしておる次第でございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/23
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024・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問に対してお答えをいたします。
まず、御説のとおり、本法案は、公的年金制度の再編・統合の一環として、年金制度の改革を進める上での第一歩となるものでありまして、国家公務員と公企体職員の共済年金の給付内容等の統一を図ることは、きわめて重要な意味を持つと思っております。
また、極度に悪化しております国鉄共済年金に対する当面の措置として、財政調整事業を実施し、国鉄共済組合の円滑な支払いを確保しようとするものであります。
そこで、公務員グループの共済年金制度の運営について、その安定を図るための基本的な考え方についての御質問が引き続いてありました。
公的年金制度の長期的安定を図るためには、まず、給付と負担の両面にわたって抜本的な見直しを行いますとともに、公的年金全体の再編・統合を図るとの方向で制度全体の改革について計画的に検討を進めてまいります。
このような公的年金全体の再編・統合の方向を踏まえつつ、その一環として、まず、制度の内容、沿革が類似しております国家公務員と公企体職員の共済年金制度の統合に着手したというところでございます。
次に、今回の改正による公企体の年金受給者の既裁定年金等々の問題についてお答えをいたします。
今回の共済制度の統合は、公企体共済法を廃止いたしまして、国共済法に統合するため、公企体共済法に基づく既裁定年金は支給根拠が失われることになりますために、一たん消滅させ、改正後の法による年金に裁定がえを行うことが必要でございます。
裁定がえによる年金額は改正後の法によって算定した額としておりますが、これによって従前の年金額より下回ることとなるときは、激変を緩和するため、従前の年金額を保障するということといたしております。
そこで、さらに、公的年金制度の再編成に当たっては、給付水準の見直しは避けて通れない課題であるということに対する御質問でございます。
今回の統合法案においては、公企体共済組合の給付要件等を国家公務員のそれと合わせることとしておりますが、これによって共済年金の抱えております問題が解決するわけではございません。さらに第二段階としての改革が必要であると考えております。
第二段階の改革とは、給付と負担の両面にわたって長期的に安定した制度に組みかえていくことでございますが、そのためには、共済年金に含まれておる公的年金部分について、厚生年金等との整合性を図っていくことを中心といたしまして、今後検討を進めてまいりたい、このように考えております。(拍手)
〔国務大臣林義郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/24
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025・林義郎
○国務大臣(林義郎君) 平沼議員の御質問にお答えを申し上げます。
私に対して御質問がありましたのは、公務員グループの共済年金制度の運営等について、今後、その安定を図るためにどんなふうに考えていくかというのが第一問だったと思います。
御説のように、本格的な高齢化社会の到来を控えまして、老後の生活安定の基礎的な役割りを果たす公的年金制度を長期的に安定させるということは非常に重要な課題であることは御指摘のとおりでございまして、これは一般的に言えることだろうと私は思います。
共済年金制度につきましても、全体の公的年金制度の一元化を展望しながら、給付と負担の関係など、公的年金制度全般の改革の一環として計画的にこれを進めてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
その次に、大変努力をしているというお言葉をいただきましたが、年金制度関係閣僚懇で決定をいたしました今後の「公的年金制度改革の進め方について」というのはどういう意味を持つかというのが御指摘だと思います。
これは、昨年七月三十日の臨調第三次答申及びこれを受けて閣議決定されました、いわゆる行革大綱におきまして、「公的年金制度の長期的安定を図るため、将来の一元化を展望しつつ、給付と負担の関係等制度全般の在り方について見直しを行い、昭和五十八年度末までに改革の具体的内容、手順等について成案を得る」としております。この成案を固めるためにも、まず、およその方向と段取りの目安を定め、これに沿った検討を行っていく必要があると考えまして、私のもとで関係各省に協議を重ねてもらい、その結果、合意されたものである、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣長谷川峻君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/25
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026・長谷川峻
○国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。
この改正案は、今後の年金制度の改革を進める上で非常に大事な第一歩でございます。と同時に、財政窮迫している国鉄共済年金に対して所要の財政的措置を講じていただくということが期待されております。いわんや、国鉄再建法案をやっている者といたしますと、国鉄の共済年金の安定化が、働く国鉄職員に大きな希望を持たせることでありますので、よろしくお願いしたいと思います。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/26
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027・福田一
○議長(福田一君) 戸田菊雄君。
〔戸田菊雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/27
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028・戸田菊雄
○戸田菊雄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度の統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案、地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案の二法案について質問を行います。(拍手)
いまわが国は、約八十年の人生に差しかかりました。こういう事態におきまして、医療、雇用あるいは年金等について抜本的に見直す時期に差しかかっておるのではないかと判断をいたします。
わが国の公的年金制度は、しばしば指摘されますように八種類、二十六の保険単位、所管省庁は六省に分かれており、その中の共済年金制度は、公務員等を適用対象に現在五つの制度が分立して運営されております。高齢化社会を迎えたわが国にとって、年金制度の統合一元化は避けて通れない政策課題であります。
昨年七月の臨調第三次答申では、年金制度の改革について、全国民を基礎とする統一的制度により、基礎的年金を公平に国民に保障することを目標に、長期的制度運営の安定強化を確保するため、被用者年金の統合を図ること等により、段階的に統合すると述べております。
今回の法案は、その手始めとして、職域別に設けられている五つの共済年金のうちから、国家公務員共済年金と公共企業体共済年金の統合を行うとしております。
質問の第一は、この法案によって共済年金の統合が達成されるか、大変疑問だということであります。
年金制度を一つにする、あるいは統合すると言うからには、最小限、ばらばらの現行年金システムを同一負担、同一給付の原則の確認と推進、さらに積立金の移管、既裁定年金費用や過去勤務債務も統合された保険者の負担とする方向が明確にされなければなりません。
しかし、本案にはそれが見当たらないばかりか、実は改正後も従来の共済組合はそのまま存続し、それぞれの組合ごとに財政収支のバランスをとるように掛金が定められ、同一負担、同一給付の方向などは全く考慮されておりません。さらに、積立金の運用も組合ごとに行われることになっており、実態は現状と全然変わらないのであります。
被用者年金統合の第一段階と言うにはお粗末過ぎるばかりか、今後の年金制度の一本化の方向性すら示し得ない場当たり的法案と言わざるを得ません。大蔵大臣の明快な答弁を求めます。(拍手)
さらに、関連して、本法案によって改組された国家公務員等共済組合連合会が行う長期給付業務等について、当分の間、現行どおりの国家公務員共済組合連合会と公共企業体共済組合がそれぞれ業務を行うこととしておりますが、「当分の間」とはいつごろまでを考えているのか、その間に統合一元化をどう進めようとするのか、その構想とスケジュールについて大蔵、厚生両大臣の見解をお伺いいたしたいと存じます。
質問の第二は、長期給付に係る財政調整事業の運用についてであります。
この事業は、国鉄共済年金救済のために、諸施策を講じてなお残る年金の不足額一千二百億円の二分の一の相当額を国家公務員共済、電電、専売の三共済に一九八五年四月以降、五年間にわたり拠出させようというものであります。
大蔵省の試算によりますると、国鉄共済組合のための拠出分は、保険料率にして千分の十二、組合員一人当たり料率が〇・六%の引き上げとなっております。これだけの犠牲と負担を三つの共済組合員に押しつける本法改正案は、交通政策無策によって国鉄経営を破綻に陥れた政府の責任を転嫁するもので、許されません。
それと同時に、この五年間の措置がとられた後の処理については全く不明であり、この救済策を実施すれば国鉄共済組合は健全な体質に立ち直れるとの展望も示されておりません。この点では、当面の国鉄共済救済策であり、財政対策としても場当たり的で、とうてい真の解決策とはなり得ないのではないかとの疑問を持っている次第でございます。
本法案に規定されている財政調整五カ年計画を実施すれば、再度国家公務員共済等三共済に、救済援助はもちろん、五カ年の間にさらに追加援助を求めるようなことはないと明確に答弁できますか。大蔵大臣の答弁を求めます。
私は、財政調整五カ年計画の前提となっている国鉄共済の給付額九千二百億円、収入六千六百億円、差し引き年金支払い不足額二千六百億円の見通しは甘いのではないかと思います。また、国鉄共済の保険料引き上げ、年金スライドの停止、船員関係者の加算年の切り捨てなどいわば自助努力によって生み出す六百億円も、実行上大変無理があるように思えてなりませんが、この点は指摘にとどめておきたいと思います。
質問の第三は、国鉄共済年金の救済は政府の責任で行うべきであるということであります。
戦後及び戦中期国鉄は戦時輸送力の増強という国策上の要請から、また応召、外地派遣等により不足した国鉄労働者の補充のため、五十八万人に及ぶ大量の新規採用を行っております。さらに、戦後しばらくの間は、復員者、外地引き揚げ者の吸収、戦後混乱期における減耗職員補充のために大量採用を続けた結果、過大な職員を抱えることになり、これら職員層が退職時を迎えた今日、年金制度の成熟度は急激にその速度を速めるに至りました。
他方、確固たる交通政策を持たないまま、モータリゼーションの流れに任せ、競争基盤が格段に異なる道路運送と国鉄輸送を自由競争のまま放置し、今日の国鉄の苦境を招き、大量の人員整理、二年連続の新規採用ストップといった政府のやり方が、年金受給者急増と、年金を支える組合員、拠出者の著しい減少という、年金システム破壊につながったことは明らかであります。
政府の失政を棚上げして、年金財政における給付と負担の不均衡を国鉄労働者への異常高率の掛金と、三共済の組合負担に押しつけることは許されません。政府は、国策遂行とみずからの失策によってもたらされた国鉄共済年金のゆがみに相当する六十年度以降五カ年間の不足額一千二百億円は、国が負担すべきではないでしょうか。
政府の負担の回避ともとられかねない本法案のような共済年金制度の統合ではなく、今後の高齢化社会に向かって真に勤労国民が安心して生活できる年金制度樹立こそ必要だと思いますが、運輸、大蔵、厚生、各大臣の答弁を求めます。
質問の第四は、公的年金制度一元化と本法律案の位置づけについてであります。
臨調第三次答申は、被用者年金の統合を図る等による公的年金の段階的統合を述べております。政府は、この答申を受けた後、九月二十四日に、年金問題担当大臣に厚生大臣を指名し、以来、年金統合問題を中心に検討が進められてきたことは承知しております。そして、先ごろ、関係閣僚懇談会で、昭和七十年を目標に公的年金制度全体の一元化を完了させるとの決定が行われたと報じられております。公的年金の一元化は先送りを許されない緊急課題でありますが、さればといって、一元化しさえすれば問題が解決するというほど簡単ではありません。
この国家公務員共済と公共企業体共済の統合法案の審議に当たった社会保障制度審議会の答申は、本改正案を、国鉄共済の財政対策の一つとしてやむを得ないが、公的年金制度の再編・統合の第一段階として位置づけることは理解に苦しむと、消極的評価しか与えていないばかりか、公的年金の将来のあり方と改革の手順を明らかにするよう異例の勧告をいたしておるのであります。国民の理解と協力が不可欠な年金一元化のスタートとしては、政府の対応は安易に過ぎ、頂門の一針と言うべきです。
昨年九月から半年がかりで年金一元化のタイムスケジュールしか示せないのは、怠慢のそしりは免れないばかりでなく、より重要な、そして年金加入者や国民が知りたいのは、年金制度の将来像であり、統合一元化のための具体的な内容と手順であります。そうした肝心な点を示さず、昭和七十年に公的年金制度の一元化を言っても、まさに空虚であり、今回の法案も位置づけが不明で、当面糊塗策としか思えないのでありますが、本法律案を含め、公的年金制度一元化の具体策、手順を厚生大臣から御答弁を願いたいと思います。
質問の第五は、公的年金統合一元化の方針に関連し、加入者が多い厚生年金と国民年金の統合について伺います。
厚生省から先般提出された「二十一世紀の年金を考える」に見ますると、「制度を統合一本化する方法」、「制度が分立したままで基礎的年金部分について財政調整を行う方法」、「国民年金を基礎的年金に発展させる方法」の三案が示されております。
かてて加えて、年金の負担と給付、婦人の年金の権利の問題、そして一元化の問題等、この三本を柱にして今後の一元化方式を踏み出そうといたしておるわけでありまするが、公的年金被保険者総数の四七%が拠出制国民年金加入者であり、厚生年金加入者は四三%を占めておるのであります。公的年金制度の大宗を占めるこの二つの年金制度はこれまで分立して運営されてきましたが、実は、この二つの年金統合のやり方と具体策が、わが国年金制度の統合一元化にとって最も大事な事柄であると思うのであります。
一元化の過程では、後世代を含めた公正の原則を貫徹しつつ、生活維持可能な年金水準の維持という大変困難な問題が待ち受けていることも承知しておりますが、年金統合の担当大臣である厚生大臣の答弁を求めます。
質問の第六は、本法案とも関連して年金行政の一元化について質問いたします。
六つの省庁、八つの法律制度というばらばらのわが国の年金制度は、制度創設の沿革はあったとはいえ、今日、国民皆年金、そして高齢化社会を迎え、このままでは運営が行き詰まりになることが指摘されてすでに長い年月がたったのに、その対応はおくれ過ぎと指摘しないわけにはまいりません。
年金制度の統合には、年金行政の一元化が実は第一の柱ではないかとすら考えるものであります。国家公務員共済組合と公共企業体職員共済組合の統合の法案が提示されながら、年金行政部門については全然手つかずというのは、どうしたことでしょうか。
わが党は、年金行政を企画部門と現業部門に分けて一元化を図ることとし、総理府に年金庁を設置し、六省庁に分かれた年金行政の統合を主張してまいりましたが、政府にそうした構想がなく、場当たり的な今回の設置に終わることは、問題を将来に残しただけと言わなければなりません。
さらに、わが党は年金担当大臣の設置をも主張してきましたが、いまのように厚生大臣の片手間的な処理で対処できるとはとうてい考えられないのであります。年金行政の一元化と国会に年金問題等特別委員会を設置し、万全の対応策をとるべきと思うが、大蔵、厚生両大臣の御答弁を求めます。
最後に、地方公務員の六十歳定年制が施行されることに伴って、国会審議でも問題になった地方公務員の無年金者について、今改正案では特例年金を設けることとしておりますが、十分な救済が行われるのかどうか、お伺いをいたします。
また、連合会への拠出金三〇%の基準は何を根拠としているのか、さらに連合会の組織、業務の管理と運営をいかように考えておるのか、自治大臣の答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/28
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029・竹下登
○国務大臣(竹下登君) まず最初の御質問は、本法律案によって国家公務員と公企体職員の長期給付の給付水準は一致することとなって、給付水準が同一であれば、本来、負担面においておおむね同一水準であることが公的年金として望ましい姿であるということについては、私も同感でございます。
このような観点から、本法律案におきましては、原則として、公共企業体の共済組合も含めて、年金保険者の統合を図ることとしております。
しかし、国家公務員と公企体職員の共済組合につきましては、直ちに財政単位を一元化するということは、負担面で急激な変化を招くことになりますなど、必ずしも適当でない面がございますので、当分の間は、公企体の共済組合はそれぞれ単独で長期給付事業を行いまして、国鉄共済組合に対しては財政調整事業を実施するということでございますので、経過措置を設けることは、第一段階という考え方でやむを得ないと御理解をいただきたいと思います。
それから次は、本法律案で、当分の間、連合会と各公企体の組合がそれぞれ年金事業を行っておる、その「当分の間」という問題でございます。
「当分の間」とは、国鉄共済組合と他の共済組合の組合員の負担水準が近づくなど、完全統合の条件が整うまでの間、これをいわば「当分の間」ということであります。
まず、昭和六十一年までに共済年金についても厚生年金等との関係整理を行うほか、その後、負担面の制度間調整も進めまして、七十年までに一元化を完了するという考え方でございます。
それから次は、財政調整五カ年計画の問題でございます。
財政調整五カ年計画は、五カ年間の国鉄共済組合の長期給付の収支見通しをもとに、財政調整事業運営委員会において策定することとなっておるわけでございます。
五カ年計画を改定することがあるかという御質問でございますが、論理的には改定することもあり得るということになりますが、運営委員会としては安定的な計画をおつくりになるものと期待をしておる、こういうことで御理解をいただきたいと思うわけであります。
次が、いわば国が負担すべきであるという問題についてでございます。
国鉄共済年金財政の悪化は、基本的には給付と負担の関係が長期的に安定したものとなっていなかったことと、それから小単位の年金保険集団で運営してきたために、産業構造等の変化に適切に対応し得なかったことが主たる原因でありますが、このような基本的な問題は、別に国鉄共済年金に限らず、他の公的年金制度にも共通する問題でありまして、こうした年金制度の持つ基本的な問題点を解決することなく、ただ安易に国庫負担をもって対応するということについては、私どもとしては賛成しがたいところでございます。
それから、高齢化社会の到来を控えまして、公的年金制度の長期的安定を図るため、給付と負担の関係等、制度全般の見直しを行うほか、制度の再編・統合を進める必要がありまして、本法律案は、重ねて言うようでございますが、年金制度改革の第一歩となるべき意味を持っておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
それから、年金行政機構の一元化問題についてのお尋ねでございます。
年金行政機構の一元化は、公的年金制度の再編・統合の進展に対応してこれを推進していくべきものであると考えております。
現行の公企体職員等共済組合法は、大蔵、運輸、郵政の三省共管、こういうことになっておりますが、改正後の共済組合制度は、大蔵省のみの所管となります。この意味においては、本法律案においても、年金行政の一元化に一歩を進めてきたという御理解もいただけるのではなかろうか、このように考えておるところであります。
以上でお答えを終わります。(拍手)
〔国務大臣林義郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/29
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030・林義郎
○国務大臣(林義郎君) 戸田議員の御質問にお答え申し上げます。
私に対する御質問、多々ございましたが、まず第一に、政府の負担回避ともとられかねないような本法案のような統合ではなくて、真に高齢化社会に対応して国民が安心して生活できる年金制度の樹立が必要である、公的年金制度の一元化の構想、スケジュール、さらにはその具体策、手順等を明らかにせよという御質問だろうと思いますが、御説のとおり、本格的な高齢化社会の到来を間近に控え、公的年金制度の役割りはますます重要になってきておりますし、高齢化がピークを迎える二十一世紀においても制度が健全かつ安定的に運営できるよう、国民だれもが安心できる揺るぎのない制度を確立していくことが現下の最重要課題であるというふうに考えておりますし、この点につきましては先生も全く御同感のことだと思います。
こうした考え方に立ちまして、政府としては、年金制度の一元化など、制度体系のあり方を含めまして、昭和五十八年度末までに、公的年金制度改革の具体的内容、手順等につきまして成案を得ることといたしておるところでございます。
次に、私に対する御質問かどうかはよくわかりませんが、この法案におきまして「当分の間」という問題がございましたが、これにつきましては先ほど大蔵大臣から答弁がありましたので、私に対する御質問は、その間に公的年金制度の統合一元化をどう進めようとしているのかということだと解しまして、お答えを申し上げます。
厚生年金保険及び国民年金につきましては、昭和五十九年度の制度改正を目標に、現在、関係審議会で御審議をお願いをしておるところでございます。また、広く各界有識者の御意見を参考にするため、御指摘の一元化問題等、制度のあり方に関連しまして、有識者調査を実施したところでございます。今後、関係審議会の意見や有識者調査の結果などを踏まえまして、具体的な改革案を作成してまいりたい、こういうふうに考えております。
さらに、国鉄のひずみ、国鉄のこういうふうないろいろな問題になってきたところに対して政府がもっと援助すべきではないかというような御指摘がございましたが、これも先ほど大蔵大臣から御答弁がありましたとおりでございます。
その次に、年金行政一元化につきましてどう考えているかということでございますが、年金行政の一元化の問題につきましては、当面、共済年金の統合化をするわけでございますが、年金制度全般のあり方とも密接に関連してくる問題でありますので、制度の改革の動向を踏まえつつ、行政と制度改革と一緒に考えていかなければならない点がありますので、この点につきましては慎重に検討したいと考えておるところでございます。しかし、当面社会保険庁におけるところのオンライン計画の進捗状況等を考慮しながら、年金の現業業務の統合を図る方向で検討を進めることといたしております。(拍手)
〔国務大臣長谷川峻君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/30
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031・長谷川峻
○国務大臣(長谷川峻君) 国鉄共済年金の財政が今日のように悪化した原因というものは、諸物価の高騰に伴うところの大幅な年金改定によるほか、国鉄職員の年齢構成のひずみによる年金受給者の急増や、合理化によるところの職員数の減少があることは否定できません。
しかし、より基本的には、国鉄共済年金が国鉄という一企業の年金制度であるために、その企業が受けた社会的、経済的諸要因によるところの変動を直接的にこうむらなければならないという、そのことが大きな原因だと思っております。
したがって、公的年金制度の再編・統合の一環として、国家公務員と公共企業体職員の共済制度の統合を図るとともに、所要の財政調整を行っていくことが本法律案でございまして、その点、これもまたよろしくお願いするものであります。(拍手)
〔国務大臣山本幸雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/31
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032・山本幸雄
○国務大臣(山本幸雄君) まず、今回の改正により無年金者の救済はできるかというお尋ねであります。
これは、定年退職者のうちには、何らかの理由により年金の受給資格を全く持たない方があると考えられますために、今回の改正において、民間の例もしんしゃくいたしまして特例措置を設けることといたしておりますが、わが国におきましては通算年金制度というものもあり、これを含めて国民皆年金の制度が整備をされておりますので、定年退職者のうちこの措置の対象となる方の数は余りなかろう、こう考えており、十分に救済できるものと考えております。
それから拠出金のお尋ねであります。
連合会の設置は、地方公務員の共済年金について財政単位を一元化して、財源率の一本化あるいは財政上の調整を行うことによって年金財政の安定化を図ろうというのが目的でございますので、連合会には相当程度の資金をやはりプールする必要がございます。
また、一方においては、各共済組合の積立金のうちには、組合員に対する貸し付けなど福祉事業の資金として活用されておるものもあるので、連合会への拠出については、これらの事業の運営に対する影響についてもやはり配慮をする必要があります。
これらの点を総合的に勘案をいたしました結果、現在、地方公務員共済組合が地方公共団体の行政目的に資するため、地方債または公営企業金融公庫債の取得に充てています積立金のうちの三〇%に相当する額を連合会に拠出してもらうということとし、この拠出に見合う地方債につきましては、連合会において引き受けるということが最も妥当であろうと考えておるところでございます。
なお、各共済組合への影響を考慮して、連合会の設立に当たりましては、経過的な措置を講ずることといたしたいと考えておりまして、これらを含めまして、本法案の成立後において政令で定めたいと考えております。
最後に、新しくできる連合会の運営についてであります。
この連合会につきましては、業務の執行に当たる理事長等を置くのはもちろん、運営審議会を置くこととしておりまして、連合会を組織する共済組合やあるいは組合員の意向は、運営審議会の場を通じて連合会の運営の上に十分反映をされ、その適切な運営を確保することのできるように配慮をいたしたいと考えておるところでございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/32
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033・福田一
○議長(福田一君) 平石磨作太郎君。
〔平石磨作太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/33
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034・平石磨作太郎
○平石磨作太郎君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度の統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、総理並びに関係の各閣僚に質問をいたします。
まず、総理大臣にお尋ねをいたします。
日本の社会保障は、社会のときどきのニーズに応じ、そのときの必要に迫られて制度が打ち立てられ、他制度との整合性や関連を配慮することなく、総論のない、いわば各論としての制度が発展してまいりました。年金制度もまさにその一つであります。
そういう中で、わが国の人口高齢化はきわめて急速度で進んでおり、これまでどの国も経験したことのない高い老齢人口の割合に達すると言われております。換言すれば、高齢社会は、増大する老年人口に対し、それを支える働く若い世代の人口が減少するということであり、それは好むと好まざるとにかかわらず生産年齢階層、すなわち働く若い世代の老人扶養負担が大変重くなることを意味しております。このことは、社会から活力を損なうおそれを内包しているのであります。高齢社会が活力を保ちながら負担を克服しいくには、世代間の負担の公平と連帯の意識が不可欠であると考えますが、負担する世代と給付を受ける世代との調整、すなわち世代間の連帯についてどのように指導されていくのか、総理の所信を承りたいのであります。
第二点は、人生八十年の時代に入って、六十歳を超えてからの約二十年間をいかに生活していくかが、高齢社会の大きな課題であります。特に、老後生活を支える重要な役割りを持つ年金制度の安定性が求められているのでありまして、総理もつとに御承知のごとく、国民皆年金制度といっても、内容は制度の分立、仕組みと財政力に格差があり、不均衡、不平等が大きく指摘されているのであります。
一方、先ごろ行われた「「二十一世紀の年金」に関する有識者調査の結果」によると、六十五歳までは就労による収入を中心として生活設計を立てるべきだとの意見が調査対象者の八割を超えております。また、高齢化社会問題研究会の調査報告でも、六十五歳以上の約半数以上が働くことを希望していることが明らかとなっているのであります。
総理は、個人の充実、日本的福祉社会の実現、自立と連帯を標榜されておるのでありますが、私も、自立の前提がなくては社会保障は成り立たないことを承知しております。真に自立自助を助長し、活力のある福祉社会を実現するには、健康で働きがいと生きがいを保障する職場と賃金の確保が不可欠の前提であると考えるものであります。年金財政の長期的安定と後代負担の軽減を図るためにも、中高年齢者の雇用環境の整備が急務であると考えるものでありますが、定年延長法の制定等、雇用対策にどのように取り組まれる御決意か、総理の所信をお聞かせいただきたいのであります。
さらに、もし将来、年金支給開始年齢の変更があるとすれば、今後の年金財政に大きく影響を与えるものでありますが、定年とのリンクにおいて行うべきであり、あわせて御見解をいただきたいのであります。
第三点として、公的年金制度の統合一元化を円滑に推進するため、年金問題担当大臣を任命していますが、各年金は、長い伝統と歴史を持って、それぞれ所管大臣が個別に管理運営されており、権限のない担当大臣の事実上の調整を期待しても、かえって混乱するのではないかと心配するものであります。特別権限を与えた上での調整事務を行うが適当と考えるが、総理の所見をお伺いしたいのであります。
第四点として、現在、国民の間に公的年金に対する将来不安が高まっているが、この際、公的年金と私的年金の相違について明らかにしておきたいと思います。
公的年金は、憲法第二十五条に言う社会保障の一環であり、強制加入が本則であります。したがって、これには公の立場から国庫補助がなされるのも当然と言わなければなりません。また、公的年金は、世代間扶養による年金制度がその特質であります。一方、私的年金は、企業性の上に、任意加入を原則とするものでありますから、いわば自分の老後はみずから保障するという貯蓄的なものであります。そこで、私的年金的な発想をもって公的年金の財政基盤に対する批判は、いたずらに不安を醸成するものであり、慎むべきであると思うが、総理の御見解をいただきたいのであります。
第五点は、臨調基本答申にあるいわゆる三公社の経営形態問題と年金問題とは重大なかかわり合いがあります。
国家公務員共済組合審議会の答申にも、三公企体の経営形態問題が不明確な現段階で、共済制度だけの分離審議は困難であると問題点が指摘されております。三公社の経営形態についての将来展望が定かとなっていない現在、なぜ年金のみの統合を急がれたのか。
行政改革に政治生命をかけておられる総理のお立場からは、三公社の民営移管は当然のことと思われるのでありますが、もし民営化ならば、むしろ厚生年金制度との関係になるはずであります。いわゆる三公社の経営形態についていかなる見通しを持っておられるのか、総理の率直なる御答弁をお願いいたします。
次に、竹下大蔵大臣にお尋ねいたします。
質問の第一点は、本法案に対する国家公務員共済組合審議会の答申は、「今後のわが国公的年金の在るべき方策について、政府が早急に具体案を提示すべきである」と述べ、また、社会保障制度審議会からも、公的年金制度全般の将来展望を明示していないのに、今回の諮問を公的年金制度の再編・統合の第一段階として位置づけていることは、はなはだ理解に苦しむと、怠慢を批判されているのであります。公的年金統合の全体像が示されないまま、説得力のない提案として、いわば見切り発車のそしりを免れません。共済組合の労使双方からも強い反対の意向が表明されておりますが、大蔵大臣の御所見を承りたいのであります。
次に、公的年金統合一元化の目的と全体像を明らかにしていただきたいのであります。わが国は、八つの年金制度が実施されておりますが、制度発足の時期、歴史、さらに内容、財政事情に大きな差があり、それなりの特質を持つ制度独自のメリットと期待が加入者にあることも事実であります。このような制度を統合するには、それなりの理由と説得力のある年金制度のビジョンが必要であります。その点、理由も制度の全体像も示されておりません。
しかるに、本法案は、財政調整を主たる目的としており、しかも、法改正後も当分の間、各共済制度は存続し、独自に財政運営、年金給付事業を行うこととなっております。全体像との関連、さらに、制度改革に当たり、公務員及び公企体職員の既得権、期待権についてどのように考えておられるか、大蔵、郵政、年金問題担当各大臣の見解を承りたいのであります。
最後に、林年金問題担当大臣にお尋ねいたします。
二十一世紀の年金についてのアンケート調査に関しお伺いをいたします。現行各年金制度については、約七割が年金制度の一元化が必要だと考えていますが、この調査結果をどのように評価しておられるか、お伺いいたします。
さらに、統合一元化については、将来各制度を解消し、完全に一本化するのか、あるいは基礎的部分を統合し、基本年金と所得比例年金による二階建て年金とする方針なのか、いわゆる一元化の内容について明確にしていただきたいのであります。
以上、十項目にわたりお伺いをいたしましたが、明快かつ誠意ある御答弁をお願いして、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣臨時代理齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/34
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035・齋藤邦吉
○内閣総理大臣臨時代理(齋藤邦吉君) 平石議員にお答えを申し上げます。
私に対する質問はたくさんあるわけでございますが、まず最初の御質問は、保険料を負担する世代と給付を受ける世代との調整、つまり世代間の連帯についてどのように指導するかというお尋ねでございます。
増大する扶養負担のもとで、今後の高齢化社会を活力あるものとしていくためには、世代間の公平と連帯の意識を強めていくことが必要であることは御指摘のとおりであります。そのため、今後は給付と負担の水準について、給付を受ける世代と保険料を負担する世代とについて、それぞれ保険の実態等を十分理解していただき、その合意を得つつ、安定した社会保障制度の確立に向かってその改革を進めていくことが必要であると考えておる次第でございます。
それから二番目は、活力ある福祉社会を実現するために、雇用環境の整備が急務であるのではないかというお尋ねでございます。
まさしくそのとおりでございまして、高年齢者の雇用対策は、活力ある福祉社会実現のために重要でございますので、今後とも行政指導による六十歳定年一般化の早期実現あるいは六十歳代前半層の雇用就業対策の推進、離職者の再就職の促進等、総合的な対策の推進に努力をいたしてまいりたいと考えております。
さらに次の御質問は、年金支給開始年齢と定年とのリンクについてどう考えておるかというお尋ねでございます。
年金の支給開始年齢の問題につきましては、高齢者の雇用の動向、これを踏まえつつ総合的に取り組んでいくということが必要であると考えております。
次は、年金問題担当大臣についてのお尋ねでございますが、公的年金制度の統合一元化を推進するために、年金問題担当大臣を任命してあるのでありますが、各年金は、現在、各所管大臣が個別に管理運営しており、権限なき担当大臣による事実上の調整は困難ではないか、そこで、年金問題担当大臣に特別の権限を与えた上での年金の調整事務を行うのが適当であると考えるがどうかというお尋ねでございます。
年金制度の改革はぜひとも実現しなければならないのでありますが、そのために、年金問題担当大臣のもとで問題点の整理、話し合いの促進、こうした事実上の調整を通じて、整合性のある年金改革の方途を探っていくことがより適当である、かように考え、この方向で努力してまいりたいと考えております。
それから次は、公的年金と私的年金との相違についてのお尋ねでございます。
公的年金は仰せのごとく強制加入でございまして、現役の勤労世代と老齢世代の連帯に基づく社会的扶養の仕組みでございます。これに対して、私的年金は、国民一人一人の私的貯蓄の一形態であります。両者はその性格、機能を全く異にいたしておるわけでございまして、このような点について、世間に誤解の生ずることのないよう、今後とも一層適切に対処してまいりたいと思います。それにつけましても、やはり公的年金が長期にわたって安定的に実施されるというふうに努力することが最も必要ではないかと考えておる次第でございます。
次は、三公社の経営形態と年金の問題でございます。
今後の公的年金制度については、給付と負担を通じ、長期的に安定した制度の確立を目指し、その再編・統合を図っていくこととしております。その中にあって、三公社の年金制度については、今後仮に公社の経営形態が変更された場合でありましても、公的年金全体の再編・統合が完了するまでの間は、改正後の共済組合制度の適用を継続していくことが現実的な処理であると考えております。臨調答申におきましても、同様の考え方が明記されておる次第でございます。
なお、三公社の経営形態につきましては、国鉄につきましては、すでに法律案を提案をいたして御審議をいただいておるわけでございますが、電電、専売等の改革につきましては、いろいろ検討しておりますけれども、経営形態の基本的なあり方については、それぞれ担う事業や制度の重要性、その社会的影響等をめぐり種々の問題がありまして、今後とも関係各方面との調整が必要でございますので、そうした方向に努力をいたしてまいりたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させていただきます。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/35
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036・竹下登
○国務大臣(竹下登君) いま平石議員から御指摘がありましたように、私も、公的にも私的にも審議会の先生方とも接触をいたしましたが、御指摘のような指摘があったことは事実であります。
そこで、年金制度の改革につきましては、昨年九月二十四日のいわゆる行革大綱についての閣議決定がございます。それには、「昭和五十八年度末までに改革の具体的内容、手順等について成案を得る」、こういう方針が決定されておりまして、現在年金担当大臣のもとで関係各省が協議中でございます。
こういう状況を踏まえて、本法案に対する国共審、制度審の答申では、公的年金制度の将来のあり方についての具体策を早急に示すべきである、こういう御指摘があったわけであります。
まず、去る四月一日の公的年金制度に関する関係閣僚懇談会、これにおきまして「公的年金制度改革の進め方について」というものを決定をいたしまして、年金制度改革のおおよその方向と段取りの目安、この方針をいま決定しておるという状態でございます。
それから、次の問題でございますが、これは公的年金全体の再編・統合の一環として国の公企体の共済組合制度を統合し、いわば、私の今日までの担当で申しますならば専売ということになるわけでございますが、年金制度上の給付要件等を一致させるとともに、国鉄共済組合に対する財政上の措置を図ることを主たる目的としておりますので、単に国鉄共済年金対策だけを図ったものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
次に、この法律が成立後、引き続いて昭和五十九年から六十一年にかけて公的年金全体を通ずる年金制度間の関係整理が図られる予定でございます。
今回の統合法案における給付面の取り扱いにつきましては、現行国共済水準に統一することを原則としております。したがって、いわゆる既得権、期待権、これにつきましても国家公務員並みにそろえることとしておりますが、ただ既裁定年金受給者の年金額につきましては、特に従前額を保障するという措置を講じておるというところでございます。(拍手)
〔国務大臣林義郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/36
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037・林義郎
○国務大臣(林義郎君) 平石議員から私に対する御質問は、まず、公的年金統合一元化の目的と全体像を明らかにしてほしいというのが第一だったと思います。
現行の公的年金制度のいろいろ分立をしていることは先生御指摘のとおりでありますし、制度間でも格差がありますし、財政基盤の安定性というのもばらばらである。こういった問題につきまして、指摘がありましたようにいろいろ問題があることは事実でございます。こうした問題を解決して、長期的に安定した制度を確立するためには、究極的には年金制度を一元化することが望ましい方向であるというふうに考えております。
公的年金制度につきましては、昨年の九月の閣議決定に基づきまして、将来の一元化を展望しつつ、見直しを進めていくこととされているところでありまして、こうした方針を踏まえまして昭和五十八年度末までに改革の具体的内容、手順等について成案を得るように、現在検討中でございます。
次に、二十一世紀の年金についてのアンケート調査についてはどのように評価をしているのかという御質問だと思いますが、今回のいわゆる有識者調査は、今後の年金制度のあり方につきまして広く各界の有識者の意見を聞き、制度改革の参考に資することを目的として厚生省で実施したものでございます。対象者の方々の十分な御理解と御協力を得まして、六割を超えるという、この種の調査では余り例のない高い回収率を確保することができたところでございまして、この内容につきましては、次期制度改正に向けて貴重な御意見をちょうだいすることができたものと考えておるところでございます。
さらに御指摘ございましたのは、いわゆる統合化、一元化ということにつきまして、一体完全に一本化するのか、あるいは基礎的部分を統合して基本年金とするのか、いわゆる一元化の内容について明確にしてほしいという御指摘でございました。
いわゆる年金制度の一元化という言葉は、これまでいろいろ年金の議論がされてまいっておりまして、その中で使われておりますが、その意味合いは必ずしも一様でないというふうに判断をしております。いろいろの御議論の中から判断いたしますと、全制度を統合一本化する、何もかも全部一本化してしまうという考え方から、制度は分立したままで財政調整を行うという考え方までいろいろ考え方がございますし、先生お尋ねの基礎的部分を統合する方法も、当然のことながら一元化の一つの考え方であるというふうに受けとめているところでございます。
公的年金制度につきましては、昨年九月の閣議決定に基づき、将来の一元化を展望しつつ、見直しを進めていくこととされているところでありまして、こうした方針を踏まえ、五十八年度末までに改革の内容等につきまして成案を得るように、現在検討中でございます。(拍手)
〔国務大臣桧垣徳太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/37
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038・桧垣徳太郎
○国務大臣(桧垣徳太郎君) 平石議員の御質問にお答えをいたします。
私に対する御質問は、今回の制度改革に当たり、郵政省所管に係る電電公社共済年金加入者の既得権、期待権についてであったと承知をいたします。
まず、従前の制度下における既得権につきましては、極力その確保に努めるべきものでございまして、今回提出しました法案におきましても、ただいま大蔵大臣の御答弁にありましたように、既得権の侵害とならないよう十分配慮されているものと心得ております。
また、制度改革後受給権の発生するものの取り扱いにつきましては、公的年金制度再編・統合の目的とするところに沿うという観点から申し上げまして、国家公務員共済年金と同一の取り扱いとなるということはやむを得ない措置であると考えておるところでございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/38
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039・福田一
○議長(福田一君) 玉置一弥君。
〔玉置一弥君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/39
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040・玉置一弥
○玉置一弥君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま趣旨説明のありました国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度の統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
〔議長退席、副議長着席〕
現在の不透明な時代と言われる中で、高齢化社会の到来だけは確実であり、わが国は世界に例を見ないスピードで人口の高齢化が進行しています。急速かつ深刻な人口の高齢化がわが国の経済社会に及ぼす影響は、はかり知れないものがあります。
第一次、第二次の石油危機をわが国は欧米諸国に比べてうまく切り抜けてきましたが、財政の悪化が国民の公的負担の増大を招き、先進諸国にも見られるように、従来の諸制度の硬直化が進行し、近い将来における諸制度の破綻が確定的であります。
政府・与党が人気取りのために、その場限りの政策を取り入れ、高度成長期における国民生活がインフレに圧迫されていたことを解消しようとせず、低成長時代に移行してからも、高度成長期の夢が捨て切れず、対応がおくれ、財政の悪化を招いたのであります。
財政再建についても、鈴木内閣では五十九年末赤字国債脱却を国民に約束しながら、中曽根内閣になるとすぐに財政再建期間の延長を表明されるという変わりようで、政府の財政再建に対する取り組み姿勢に熱意が全く感じられないのであります。景気低迷の長期化が財政再建をおくらせる要因となっているのも事実でありますが、政府の景気の対応の悪さも影響しております。
また、中曽根総理が政治生命をかけるとまで宣言された行政改革については、臨調答申に対する政府の対応が遅く、行革推進をおくらせ、間接税導入の口実をつくるつもりかと、うがった見方も出てくるほどであります。
低成長下の国民生活は、実質可処分所得が伸び悩み、勤労者世帯において、昭和五十五年マイナス〇・九%、昭和五十六年プラス一・三%とほとんど横ばいとなっております。
現在でさえ、雇用不安や生活防衛に追われている状況にありますが、さらに政府の財政再建への取り組みや諸制度の対応を見ていると、老後の生活に対する不安が国民の間に広がってしまうのであります。このようなときにこそ、財政再建、経済計画の長期展望を国民の前に提示し、国民の不安を一掃すべきであります。
老後の安定した生活の確保のために、公的年金は不可欠であります。高齢化が進む中で、公的年金の成熟度が年々上昇し、年金財政の悪化が公表されていくと、将来の負担の増加とともに、年金の確保に対する不安が免じ、特に私のような年代あるいはそれ以下の年代の者にとって、絶望感を持っている者さえいるのが現状でございます。
そこで、総理に質問いたします。
現在の年金財政を見てこれからの国の財政運営を考えたときに、現在の公的年金制度の抜本的改定をしなければならないと思いますが、活力を保持した福祉社会をつくっていくための公的年金の将来をどのようにお考えになっているのか、また、税及び社会保険を含む公的負担の限界をどこまでとするのか、国民の将来に対する不安を取り除くために明確にお答えください。
続いて、厚生大臣にお伺いします。
政府は、さきに、昭和七十年度を目途に分離している年金制度を一元化することを閣議決定しました。年金制度の一元化は臨調の第三次答申にこたえたものであり、政府の決定を評価いたしますが、制度の一元化に当たっては、国民の理解と合意を得るような最善の努力を尽くすべきであります。この点について厚生大臣はどのようにお考えか、決意をまず明確にお聞かせ願います。
私は、制度体系の抜本改正に当たっては、制度の公正化と安定化にこたえるよう、民社党が多年にわたって提唱してきた基礎年金制度を導入すべきだと考えます。保険料拠出の有無や長短にかかわらず、一律に社会的最低生活を保障する基礎年金制度については、昭和五十二年の社会保障制度審議会と年金制度基本構想懇談会の中間意見でもその創設を提言しており、国民合意も形成されていると考えます。基礎年金制度の創設に対する厚生大臣の具体的な見解をお伺いいたします。
さて、今回の共済統合法案は、年金一元化の一環として位置づけられておりますが、今後の一元化との関係が不明確であり、実態的には国鉄救済法案ではないかとの意見もあります。国鉄共済は破産状態にあり、その健全化の緊急性は十分に承知しておりますが、破産状態に追いやった責任は政府にあることもまた事実であります。
国鉄は、戦中から戦後にかけて、政府の要請によって、大量輸送体制を確保するため多数の職員を採用してまいりました。その結果、国鉄の人員構成は著しくひずみを生じるとともに、これら職員の多くが外地からの引き揚げ者や旧軍人等であったため、国鉄が相当の追加費用を負担することとなったのであります。しかも、これから昭和六十年にかけて、当時採用された人々が大量に定年退職を迎えるため、国鉄共済年金はさらに成熟度を増し、昭和六十二年度には文字どおり破綻状態に陥ることが確実となっております。こうした経過を見れば、国鉄共済年金がいずれ今日のような事態を迎えることは十分に予測されたはずであります。
しかるに、政府はかかる事態を回避するための政策を積極的に講ずることなく、無責任にもこれを放置し続けてきたのであります。その意味で、国鉄共済年金を破綻に陥れた第一の責任は政府にあると言わざるを得ませんが、運輸大臣の所見を賜りたいと思います。
また、政府の責任を明確にするためにも、この際、財政調整額の一部を政府負担とすべきだとの強い意見もありますが、その意見に対する運輸大臣の見解をあわせて明らかに願います。
また、共済年金の統合に際して避けることのできない電電公社の経営形態の問題を先送りにしたことはきわめて遺憾であります。昨年七月、臨時行政調査会が第三次答申において、電電公社など公社の抜本的改革方策を提示し、政府も答申の最大限尊重を天下に公約したことはよもやお忘れではありますまい。しかも政府は答申を受けて、電電、専売公社の改革法案を今国会に提出する方針を閣議決定したのであります。
しかるに、聞けば政府・自民党内に特殊法人化、民営化、現行維持などの意見が噴出し、今日に至るまで一向にまとまる気配がないというではありませんか。一体政府は、電電公社の改革をいつまで放置しておくのでありましょうか。臨調答申を誠実に実施するのかしないのか、また、法案をいつ国会に提出をするのか、総理の明快な答弁を求めます。
次に、共済年金の基本的な問題について大蔵大臣の所見を伺います。
まず一つは、共済年金と厚生年金の官民格差の問題です。将来の公的年金一元化を考えるならば、共済年金と厚生年金の役割り上の差、支給実態の差を埋めていかなければなりません。共済年金の改革に当たって、まず初めに着手すべきは、公的年金部分と企業年金部分の役割りの明確分離であります。支給開始年齢、併給の問題、年金水準等、同一の基準にそろえていかなければならないと思いますが、大蔵大臣のお考えをお示しください。
次に、現在、共済年金の年金額の算定方式は、共済方式と通年方式の二本立てになっており、両者のうち高い年金を選択できることになっています。今後、年金制度を一元化するためにも、また、現に退職年金受給者の約六割の人たちが通年方式を選択している実態から見ても、この際、共済年金の算定方式を通年方式に一本化すべきであります。算定方式を通年方式に一本化する考えはないのですか、大蔵大臣の明快な答弁を求めます。
次に、年金資金の自主運用について厚生大臣に質問をいたします。
厚生年金と国民年金の積立金は、毎年四兆円ずつ増加し、五十七年度末の累計額は約三十九兆二千億円に達しています。現在、この積立金は、その全額が資金運用部に預けられ、財政投融資の原資になっております。これに対し、共済年金は自主運用を原則としており、国家公務員共済組合では、五十六年度末で三一・七%を有価証券、信託等により有利運用をしています。厚生年金と国民年金においても、共済年金と同様に有利運用をしますと、金利が〇・一%高くなるだけで年間四百億円程度の増収になります。今後、年金財政が窮迫化するのは避けられないとすれば、急激に国民負担を増大させないよう、国みずからが年金財政の安定化に努力すべきであります。私は、厚生年金と国民年金の積立金については、共済年金と同様、自主運用を原則とすべきだと考えますが、当面、積立金の一部を自主運用できる道を切り開くべきであると思います。
すでに厚生大臣は、年金積立金だけで特別勘定を設置して有利に運用するか、積立金の一部については、大蔵省と相談しながら別に運用したいとの意向を示しておられますが、こうした年金の自主運用について、厚生大臣はどのような見解をお持ちであるのか明らかにしていただきたいと思います。
年金の積立金は労使による保険料にほかなりません。それゆえ、積立金の運用に当たっては、これら拠出者の意見が反映されなければなりません。しかし、現在の資金運用審議会には労使の代表が委員となっていないことは遺憾であります。私は労使の代表を資金運用審議会に加えるべきだと思いますが、大蔵大臣の見解をお伺いいたします。
社会保障とは、本来、社会を構成する全員による相互扶助という崇高で美しい人間愛から出発したものであり、わが国の憲法は、すべての国民に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障し、社会保障の向上、増進に対する国の責務を明記しております。
政府は、財源不足を理由に福祉を後退させたり、将来に対する不安を国民に抱かせたりしないで、ただ人気取りに終始せず、計画的に福祉行政に取り組んでいかれるよう強く反省を求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣臨時代理齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/40
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041・齋藤邦吉
○内閣総理大臣臨時代理(齋藤邦吉君) 玉置議員の御質問にお答え申し上げます。
まず第一の御質問は、公的年金制度のあり方についてでございます。
公的年金制度につきましては、わが国が高齢化のピークを迎える二十一世紀においても、制度の長期的安定を図るということ及び制度全般の整合性を確保するということを基本といたしまして、公的年金制度一元化という長期的展望に立って、給付と負担の関係等制度全般の見直しを進める必要があると考えておるわけでございます。
なお、二番目には、社会保障負担の限界の問題についてのお尋ねでございます。
租税及び社会保障負担の限界をどう見るかは、給付との兼ね合いも含め、国民がどう選択するかという問題でありますが、政府としては、現在のヨーロッパ諸国の水準、すなわち、対国民所得五〇%というようなことであってはならない、それよりはかなり低目に抑えることが必要であるという臨調の基本答申の意見をも参考にしつつ、給付と負担の水準について、国民の合意を得ながら、安定した社会保障の確立に努めてまいりたいと考えております。
次のお尋ねは、三公社の経営形態変更の問題についてお尋ねがございました。
国鉄につきましては、すでに現在、国鉄再建監理委員会の設置を主な内容とする法律の御審議をお願いしておるわけでございますが、電電、専売の改革につきましては、関係省庁を中心に所要の検討を進めておるところでありますが、何分、電電、専売の経営形態等の基本的なあり方については、それぞれの担う事業、制度の重要性、その社会的影響をめぐりまして種々の問題がございますので、関係各方面との調整を進めておるわけでございますが、具体的な改革方法についての結論を見出すには、まだ若干の期間をちょうだいしなければならないかと考えております。いずれにせよ、臨調答申の趣旨に沿いながら、なるべく速やかに所要の結論を得られるよう、引き続き政府部内において努力をいたす考えでございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/41
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042・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 玉置議員のいわゆる官民格差問題でございます。
この官民格差と言われておりますものは、年金額の算定方式、支給開始年齢、併給調整、退職後に民間に再就職したときの年金支給等であろうかと思われます。
共済年金と厚生年金ではそもそも制度の目的、沿革、これらを異にしておりますことから、両制度間に存在する相違が直ちに、いわゆる制度、沿革が異なりますだけに、それが格差だという断定というものについてはむずかしい点があろうかと思います。しかしながら、共済年金の公的年金部分について、両制度間に合理的でない相違点があることも事実でございます。今後は、公的年金全体の一元化を展望しながら制度の再編・統合を進めていくことが必要でございまして、その際に、いわゆる官民格差としての議論のある部分を含めて厚生年金との整合性を図っていくよう検討してまいりたいと考えております。
それから次は、四月一日の公的年金制度に関する関係閣僚懇談会決定では、昭和六十一年までに共済年金と厚生年金等との関係整理を図ることとしておりますので、こうした改革を進める中で給付算定方式、この問題については検討してまいりたいと考えておるところでございます。
それから、資金運用部資金法に基づく、いわゆる資金運用部資金法第十条の審議会の委員の問題でございます。
これは幅広い学識経験を持たれる方、そしてこの方々によりまして客観的な立場にある御審議をいただく、こういう形で構成されておるわけでございます。したがって、十分活発な審議をいただいておりますので、審議会の構成そのものについて特に見直す必要は今日ないというふうに考えておるところでございます。(拍手)
〔国務大臣林義郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/42
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043・林義郎
○国務大臣(林義郎君) 玉置委員から私に対する御質問の第一は、年金制度の一元化という方針が打ち出されているけれども、いつまでにどのようにして国民の理解を得ながら進めていくのか、こういう御指摘だと思います。
年金制度の一元化など制度体系のあり方を含めまして、今後の公的年金制度のあり方につきましては、昨年九月に閣議決定されましたいわゆる行革大綱、及び本年四月に公的年金制度に関する関係閣僚懇談会におきまして決定いたしました「公的年金制度改革の進め方について」というのがございますが、これに沿いまして、昭和五十八年度末までに改革の具体的内容、手順等について成案を得ることにしております。
現在、厚生年金、国民年金の次期制度改正に向けまして制度の見直しを検討しているところでございますが、その際に、関係審議会に当然のことながら御審議をお願いし、また有識者調査を実施するなどいたしまして、幅広く各方面からの御意見を聞いて、理解と合意を得るように最大の努力を傾けてまいりたい。
年金というのは、先ほど先生から御指摘のございましたように、広く国民全体のものである、そういった観点に立ちまして、広く国民のコンセンサスを求めなければならないものだというふうに認識をしているところでございます。
次に、基礎年金の導入について、先生御指摘の基礎年金構想についてどんな考え方を持っているのかという御質問でございます。
今後の公的年金の制度体系のあり方を考えるに当たりましては、先生御指摘の基礎年金、いろいろございますが、基礎的な年金を創設し、その上に各制度を上積みするという考え方につきましても、参考としつつ検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
その次に、厚生年金の資金運用につきまして先生からいろいろと御指摘がございました。共済年金と同様に自主、有利運用を行うべきではないかというようなお話がございましたが、現在、私たちの方では、昭和五十九年度の制度改正に向けまして、厚生年金と国民年金の制度の見直しを進めているところでございます。その際には、給付水準の適正化を図る一方で、従来と同様に保険料の負担増をお願いせざるを得ないものと考えているところでございまして、こうした場合になりますと、年金財政に資するために、年金積立金の有利運用その他所要の方策によりまして負担増をできるだけ緩和する努力をするということが国民の納得を得る上で重要であるというふうに考えております。
積立金の管理運用のあり方につきましては、年金制度改正の中でも重要なテーマであると考えておりますし、今後、社会保険審議会などの御意見をいただきまして、厚生省としての結論をまとめたい、こういうふうに考えているところでございます。(拍手)
〔国務大臣長谷川峻君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/43
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044・長谷川峻
○国務大臣(長谷川峻君) 玉置さんにお答えいたします。
御指摘のようにいろいろな御意見がありますけれども、国鉄共済の財政悪化の根本的な原因は、やはり国鉄共済年金が国鉄という一企業の年金制度でありますから、その企業が受ける社会的なあるいは経済的な要因というものを真っすぐに受けるわけでありまして、それが今日に至っておりますから、ことに今日、私は国鉄関係の大臣もしておりますが、こういうときに、六十年度ではもうすでにパンク寸前と言われたときに、公的年金制度の再編と統合の一環として国家公務員と公共企業体職員の共済制度の統合を図るとともに、所要の財政調整を行っていくというこの法律案に対しましては、心から敬意を払うと同時に御協賛をいただきたい、こう思っておるわけであります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/44
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045・岡田春夫
○副議長(岡田春夫君) 渡辺貢君。
〔渡辺貢君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/45
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046・渡辺貢
○渡辺貢君 私は、日本共産党を代表して、ただいま提案された国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度の統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案について、総理及び関係大臣に質問いたします。
本法案の基本的性格は、第一に、軍備拡大、大企業奉仕、福祉・教育切り捨ての臨調路線を具体化するものであること、第二に、政府の重大な責任である国鉄経営危機と一体の国鉄共済制度の危機を勤労者、国民の犠牲と負担に転嫁するものであり、第三には、国際水準に比べても遜色がないなどと国民を偽り、給付水準の引き下げなど、すでに国会に提出されている地方公務員共済組合法案とともに公的年金制度の抜本的改悪をねらうものであります。
言うまでもなく、公的年金制度の再編・統合は、昨年七月の臨調基本答申を政府が全面的に尊重するとして推進してきたものであります。
ところが、政府は、これまで公的年金制度全般の将来展望、内容について何らの具体策を示していないのでありまして、これは本法案の関係者ばかりか、すべての国民に対する無責任な態度であると言わなければなりません。
そこで、私が第一にお尋ねしたいことは、臨調答申に基づく公的年金制度の再編・統合によって、政府は国民に何を約束しようとするのか、その具体的内容と展望についてであります。
現在、わが国における各種の老齢年金受給者は千二百万人、そのうちの約七割、八百万人は月額わずか二万円台の年金にすぎず、老後の暮らしを支えるにはほど遠い状態であります。しかも、人口の急速な高年齢化が進み、多くの国民は老後の暮らしに大変な不安を抱いております。厚生年金、国民年金、共済年金などの公的年金制度を拡充、改善することこそ、こうした国民の不安にこたえる政府の緊急な課題なのであります。
ところが政府は、臨調答申がいう国際的にも遜色のない水準など、根拠のない言い分を盾に、給付水準、支給開始年齢の見直し、国庫負担の引き下げ、保険料の値上げなど制度の抜本的改悪を進めようとしているのであります。
そればかりか政府は、行革一括法により、各年金制度への国庫補助四分の一の積立金への肩がわりと称する実質的な補助削減や、人勧の凍結、年金物価スライドの全面停止など、公的年金制度に対する国民の期待と信頼への裏切りを重ねてきているのであります。
本法案について、政府が公的年金制度再編・統合の第一歩と言うのであるならば、現行年金制度の劣悪な給付水準をどのように改善するのか、急増する保険料や掛金をどうやって抑えるのか、スライド制度は確実に実施するのか、一括法による国庫補助削減分を、いつどのように返還するのか、給付費や事務費の国庫補助をどうするのかなど、再編・統合の具体的な内容について、総理及び年金担当大臣の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
第二に、国鉄共済年金に対する政府の責任についてお尋ねをいたします。
この法案の重大なねらいは、国鉄の経営悪化に伴う国鉄共済年金財政の危機を、国家公務員、他二公社職員の掛金引き上げ、国鉄労使の負担増などで穴埋めしようとするものであります。
国鉄共済年金財政の急速な悪化には二つの要因があります。第一には、戦中、戦後の輸送の動脈を支えた大量採用の職員や、旧満鉄関係者など国家の政策目的に従ってきた世代の職員が、今日、大量に退職期を迎えていること。第二には、ピーク時六十万人、国鉄共済年金発足時の一九五六年でさえ四十九万人もいた職員が、相次ぐ政府の合理化計画によって急激に削減され、近い将来には三十万人にまでされようとしていることであります。
まさにこれは政府の責任であり、国鉄労使の負担、国公、公社職員、ひいては国民負担に転嫁することは断じて許されないのであります。
そこで、運輸大臣にお尋ねいたしたい。
一つは、こうした共済年金財政を悪化させた要因についての責任をどうお考えか。二つには、これまで政府が国鉄共済年金にどのような援助をしてきたのか、また今後どのようにすべきだと考えるかについてであります。明確な答弁を求めます。
あわせて運輸大臣にお尋ねしたいのは、共済年金財政とは別途に処理されているいわゆる追加費用の性格についてであります。
これは、現行共済年金制度発足前の旧制度期間にかかわる年金財源として、全額国鉄経営によって負担されているわけでありますが、今年度の所要額は四千三百億円余り、国鉄共済年金発足時の一九五六年からの累積総額は実に二兆三千億円余りの巨額に達し、国鉄経営にとって重大な負担になっているのであります。
旧制度期間の中には、鉄道院、鉄道省と言われた時期、旧満鉄や外地鉄道期間とともに軍人期間までも含まれており、これらの期間は他官庁と同様に、恩給等として全額を国が負担すべきものであります。国鉄経営が年々巨額の赤字を発生している現状のもとで、国鉄に相変わらず国の負担の肩がわりをさせているのは不当であり、その上共済年金が国鉄経営悪化の要因の一つなどと虚言を弄するなど言語道断と言わなければなりません。(拍手)
運輸大臣、こうした恩給期間に当たる費用負担については、本来の姿である国庫負担に戻すべきではありませんか。あわせて見解を伺いたいのであります。
第三に、年金にかかわる今後の負担の問題についてであります。
大蔵大臣。大蔵省による本法案施行後の保険料率予想では、国公共済と電電共済の場合、現行千分の百三の負担であるものが、一九八四年十月には千分の百七十になるとされております。この中には、本来国の負担で処理すべき国鉄共済年金救済のため、一九八四年度以降千分の十二の新たな負担まで含まれているのであります。とりわけ国家公務員には、人勧凍結で収入を抑えながら、こうした筋の通らない負担増を押しつけているのであります。大蔵大臣は、このような不当な事態を承知の上で本法案を強行されるのか、明確な答弁を求めるものであります。
さて、本年度の政府予算に見られるように、軍事費、大企業補助金、海外経済協力費などは聖域化され、膨張する一方、その重圧のもとで、年金、医療等福祉予算の切り捨てが行われております。
年金の問題とあわせて不可分なのが、老後の暮らしにとって重要な医療の問題であります。すでに今年二月一日から老人医療費の有料化が強行された結果、病院、診療所にかかれない、病院から強制的に退院を迫られるなど、大変な社会問題を引き起こしつつあります。このことは、年金制度の後退とあわせ、長い間世のために貢献、苦労されたお年寄りに対して二重の苦しみを与えるものではありませんか。
総理、御存じですか、予算編成時、冬の厚生省前のお年寄りの姿を。
落葉舞う霞ケ関の石畳み生命とうとしと坐してとくわれと切々と歌われたことを。
そこで、総理にお尋ねいたします。
今後とも軍事費の拡大を軸とする予算編成が必要であり、社会保障、年金制度の後退はやむを得ないと考えておられるのかどうか。それとも、軍縮を中心に福祉、年金制度の充実に取り組まれるのか。また、その具体的な第一歩として、老人医療費無料化制度復活を決断すべきであると思いますが、国民の前にその所信を明らかにされたいのであります。(拍手)
最後に、私は、政府がこの法案を国会に提出するまでの経過と手続についてお尋ねをいたします。
政府の法案要綱については、国家公務員共済組合審議会で三公社関係者も加えて審議されたにもかかわらず、関係者間で意見の重大な対立があり、答申は、法案の内容には全く触れることができず、単に審議経過を述べた異例のものとなっているのであります。
さらに、総理の諮問機関である社会保障制度審議会の答申も「国は、年金制度の技術的、制度的調整を図り、関係者の十分な理解と基本的合意を前提として案をまとめるべきである。」とし、政府の「努力が著しく不足していたことを指摘せざるを得ない。」としているのであります。
これらの経過に示されているように、政府が関係者間の意見の対立を放置し、しかも関係者に重大な利害を及ぼす本法案を強引に国会に提出したことは、法律に定められている年金制度運営の民主的なあり方をないがしろにするとともに、国民の年金制度に対する信頼を著しく損なうものであります。
同時に、このような法案を安易に国会審議にゆだねようとする政府の態度は、議会制民主主義から大きく逸脱したものと断ぜざるを得ないのであります。
私は、以上、本法案が持つ国民の利益に反する問題点とともに、法案提出に至る政府の不当な手順、手続を指摘し、関係者、国民の十分な理解と合意、コンセンサスを求めるために、本法案の撤回を強く求めるものであります。
総理の明確な答弁を要求し、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣臨時代理齋藤邦吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/46
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047・齋藤邦吉
○内閣総理大臣臨時代理(齋藤邦吉君) 私に対する最初のお尋ねは年金改革の進め方でございます。
今後の公的年金制度の改革の基本は、年金給付の長期的安定を確保するということにあるわけでございまして、昨年九月の閣議決定において、昭和五十八年度末までに改革の具体的内容、手順等について成案を得るとの方針を決定し、この方針に基づいて「公的年金制度改革の進め方」ということを決定し、五十八年度において、国家公務員と公共企業体職員の共済組合制度の統合を行うとともに、地方公務員共済年金制度内の財政単位の一元化を図り、将来の公的年金制度の一元化を展望しつつ、今後の制度全般の見直しを行っていく考えでございます。
次の渡辺議員のお尋ねは、社会保障費の取り扱い方についてのお尋ねでございます。
財政再建は当面緊急な課題であり、このため、行財政の守備範囲の見直しという見地から、すべての施策、経費について、いわゆる聖域を設けることなく徹底して見直し、合理化を図る所存でございます。したがって、社会保障関係費等についても厳しく見直す考えでございます。ただ、その中にありましても、真に緊要な施策については、これまでも十分配慮をしてきたところでありまして、今後とも十分配慮していく次第でございます。福祉切り捨てなどということは全然考えていないわけでございます。
なお、老人医療の問題につきましてのお尋ねでございます。
老人保健法は、今後の高齢化社会の到来に対応し、予防、治療から機能訓練に至る総合的な老人保健医療対策の確立を図るという重要な法律でございまして、その適正かつ円滑な運営に十分留意してまいりたいと考えておりまして、お尋ねのような老人医療費の無料化制度の復活は考えておりません。
それから最後に、法律を国会に提案するに当たりましていろいろな審議会において御審議をいただいたわけでございますが、なるほどいろいろ種々の意見はあったにいたしましても、関係審議会において十分議論が尽くされた上で答申をいただいておるところでございまして、これを撤回する考えはございません。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/47
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048・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 五十七年度人事院勧告に基づく給与改定につきましては、まさに未曾有の危機的な財政事情等を総合的に勘案して、万やむを得ずこれを見送ることといたしたことでありまして、たびたびの機会を通じて御理解をいただきたいと思っておるところであります。
そこで、今回の法律案は、公的年金制度の再編・統合の一環として、年金制度の改革の第一歩を進めるという意味を持っておりますので、五十七年度の給与改定問題とは全く別個の問題であるというようにお考えをいただきたいと思います。
それからなお、法案の施行日は五十九年四月一日でございますし、また、国鉄共済組合に対する財政調整事業は実質的には昭和六十年度から実施することとしておりますので、五十七年度の給与改定問題とは時間的にもこれまた関係が全くない、このように考えておりますので、どうか別個の問題として冷静に御議論をお願いをいたします。(拍手)
〔国務大臣林義郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/48
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049・林義郎
○国務大臣(林義郎君) 渡辺先生からの御質問の第一点は、公的年金制度の再編・統合を行う場合に、給付水準、国庫負担、保険料率、支給開始年齢、人勧凍結の場合のスライド実施など、具体的な内容についてどう考えているかというのが御指摘だと思います。
高齢化社会の到来を控えまして、老後の所得保障の中核としての公的年金制度の重要性は一層高まりつつあることは御指摘のとおりでありますし、わが国社会が高齢化のピークを迎える二十一世紀に向かって制度の長期的安定を図っていくことが必要不可欠なことは、たびたび申し上げているところでございます。
現在、厚生年金保険、国民年金の昭和五十九年度制度改革を目標にしていろいろとやっておりますが、御指摘のような諸問題につきましては、給付と負担の両面にわたって総点検をしなければならないところでございます。
この場合におきまして、現役労働者の生活水準や負担と年金の給付水準とのバランスを図るという観点に立ちまして、制度の見直しを進める必要があると考えております。
これらの諸点につきましては、現在関係審議会におきまして、次期制度改正に向け、専門的な御審議をいただいているところでございますので、その御意見等も踏まえまして、具体的に詰めてまいりたいと考えております。
それからもう一つはスケジュールの問題、公的年金制度再編・統合のスケジュールを、こういう話でございましたが、先ほど総理から御答弁がありましたと全く同じでございますので、私から改めて申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣長谷川峻君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/49
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050・長谷川峻
○国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。
満州から引き揚げた人々もおったということ、あるいはまた終戦後いろいろな人々を国鉄が抱えた、そういうことも大きな原因ですけれども、問題は、企業が小さいですから、年金の赤字が年々大きくなる。ここを今度改正するためにやるところに大きな意味がある、こう思います。
追加費用の問題は、これは前からの話でございまして、相当大きくなっておりますから、今度国鉄監理委法案が通過した暁に、その場所において御審議をお願いしたい、こう考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/50
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051・岡田春夫
○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/51
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052・岡田春夫
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02019830510/52
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