1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十八年五月十二日(木曜日)
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議事日程 第十六号
昭和五十八年五月十二日
午後一時開議
第一 有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案(逓信委員長提出)
第二 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第三 医学及び歯学の教育のための献体に関する法律案(文教委員長提出)
第四 沿岸漁場整備開発法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第五 漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案(逓信委員長提出)
日程第二 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 医学及び歯学の教育のための献体に関する法律案(文教委員長提出)
日程第四 沿岸漁場整備開発法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第五 漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案(内閣提出)
金子農林水産大臣の農業基本法に基づく昭和五十七年度年次報告及び昭和五十八年度農業施策、林業基本法に基づく昭和五十七年度年次報告及び昭和五十八年度林業施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和五十七年度年次報告及び昭和五十八年度沿岸漁業等の施策についての発言及び質疑
午後一時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/0
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001・福田一
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/1
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002・福田一
○議長(福田一君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/2
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003・福田一
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。
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日程第一 有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案(逓信委員長提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/3
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004・福田一
○議長(福田一君) 日程第一、有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の趣旨弁明を許します。逓信委員長左藤恵君。
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有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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〔左藤恵君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/4
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005・左藤恵
○左藤恵君 ただいま議題となりました有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
近年、有線ラジオ放送事業及び有線テレビジョン放送事業が活発化しておりますが、これら事業者の中には、自己の市場を拡大するため、道路法による許可を受けないで道路を占用するなど法令に違反し、あるいは電柱所有者の承諾を得ないで電柱への添架を行うなど他人の財産権を侵害してその設備を設置する者があり、このように違法な手段によって設置される設備が増加する状況にありますので、この際、有線ラジオ放送及び有線テレビジョン放送の秩序を確保するため、このように違法に設置された設備を使用して有線ラジオ放送または有線テレビジョン放送を行うことを禁止しようとするものであります。
その内容の第一は、有線ラジオ放送または有線テレビジョン放送の業務を行う者は、道路法の許可その他法令に基づく許可等を受けないで設置されている設備、または所有者等の承諾を得ないで他人の電柱等に設置されている設備によって有線放送をしてはならないこととしております。
第二に、この禁止規定に違反する行為は、業務停止処分の対象となるものでありますが、特に道路法違反に係るものについて処分を行うに当たっては、郵政大臣は、あらかじめその旨を建設大臣に通知するものとし、建設大臣は、当該道路法違反に関する意見を郵政大臣に述べることができることとしております。
第三に、郵政大臣は、違法に設置されている設備の設置状況等について、道路管理者その他の関係行政機関及びその他の関係者から資料の提供その他の協力を求めることができることとしております。
第四に、この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行することとしております。
以上が本案の提案の趣旨及び内容であります。
本案は、逓信委員会において全会一致をもって委員会提出として提案することに決したものであります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださるようお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/5
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006・福田一
○議長(福田一君) 採決いたします‘
本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/6
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007・福田一
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/7
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008・福田一
○議長(福田一君) 日程第二とともに、日程第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、両案を一括して議題とするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/8
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009・福田一
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。
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日程第二 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 医学及び歯学の教育のための献体に関する法律案(文教委員長提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/9
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010・福田一
○議長(福田一君) 日程第二、学校教育法の一部を改正する法律案、日程第三、医学及び歯学の教育のための献体に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。文教委員長葉梨信行君。
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学校教育法の一部を改正する法律案及び同報告書
医学及び歯学の教育のための献体に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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〔葉梨信行君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/10
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011・葉梨信行
○葉梨信行君 ただいま議題となりました両案について、文教委員会における審査の報告及び委員会提出法律案の提案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、学校教育法の一部を改正する法律案について、審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、近年の畜産の発展、公衆衛生の拡充等による社会的要請にこたえるため、獣医学を履修する課程について、大学の学部段階における教育内容の充実を図り、かつ、効果的な教育を実施することができるようにするため、現在四年となっている修業年限を六年に延長することとするものであります。
なお、この改正に伴い、獣医師法を改正し、獣医師国家試験の受験資格が、「大学における四年の課程を卒業し、修士課程を修了した者」となっているのを、「大学において獣医学の正規の課程を修めて卒業した者」と改めるとともに、制度改正に伴う所要の経過措置を定めることとしております。
本案は、去る三月十八日文教委員会に付託され、四月二十七日瀬戸山文部大臣より提案理由の説明を聴取し、昨十一日質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
次に、医学及び歯学の教育のための献体に関する法律案について、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
人体の正常な形態及び構造を学び、これを明らかにすることは、医学または歯学の教育の基本であります。このため人体解剖学の実習は不可欠であるばかりでなく、医の道を志す者として、人間の生命及び身体の尊厳を深く自覚し、医の倫理の涵養の貴重な教育の場となっております。
現在、大学における医学、歯学の教育のための解剖及び解剖用遺体の交付等は、死体解剖保存法等に根拠を置いておりますが、近年の医科、歯科大学の新増設や社会状況の変遷に伴い、解剖学実習用遺体の確保が困難となり、医学教育に支障を生ずるおそれがあります。このため、自己の身体を死後、無報酬で提供し、医学教育の発展に尽くそうとする、いわゆる献体運動が篤志家団体や大学関係者により、じみちに進められておりますが、遺族感情等もあって、献体の意義が必ずしも国民一般の理解を得るに至っておらず、せっかくの生前の献体の意思が死後生かされないという事態も生じております。
これらの事情にかんがみ、医学及び歯学の教育の向上に資するため、献体に関する法制を整え、国民の理解を深める必要があると考えられるのであります。
このような観点から、文教委員会におきましては、各党各派とも相諮り、昨日全会一致をもって、ここに御提案申し上げましたような法律案を提出いたした次第であります。
本案においては、献体の意義を法令上明らかにし、本人の献体の意思が尊重されるべきこと、遺族感情にも配慮しながら献体に係る解剖の要件の緩和等について規定を設け、国民一般への献体の精神の啓発、普及を図ろうとするものであります。
その主な内容は、
第一に、この法律の目的を、献体に関して必要な事項を定めることにより、医学及び歯学教育の向上に資することとしております。
第二に、この法律において「献体の意思」とは、自己の身体を死後医学または歯学の教育として行われる正常解剖の解剖体として提供することを希望することをいうとしております。
第三に、この献体の意思は尊重されなければならないこととしております。
第四は、医学または歯学に関する大学において、正常解剖を行おうとする場合に、死亡した者の献体の意思が書面により表示されており、かつ、大学の学長または学部長がその旨を遺族に告知し、遺族がその解剖を拒まない場合には、死体解剖保存法第七条本文の解剖のための「遺族の承諾」の規定にかかわらず、遺族の承諾を要しないこととしております。
第五は、学長等は、正常解剖体として死体を受領したときは、その死体に関する必要な記録を作成し、保存しなければならないこととしております。
以上のほか、文部大臣の献体篤志家団体に対する指導助言、献体の意義について国民の理解を深めるための国の措置等について規定を設けることとしております。
以上が本案の趣旨及び内容であります。
何とぞ、議員各位の御賛成をお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/11
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012・福田一
○議長(福田一君) これより採決に入ります。
まず、日程第二につき採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/12
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013・福田一
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、日程第三につき採決いたします。
本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/13
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014・福田一
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
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日程第四 沿岸漁場整備開発法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第五 漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/14
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015・福田一
○議長(福田一君) 日程第四、沿岸漁場整備開発法の一部を改正する法律案、日程第五、漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。農林水産委員長山崎平八郎君。
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沿岸漁場整備開発法の一部を改正する法律案及び同報告書
漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔山崎平八郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/15
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016・山崎平八郎
○山崎平八郎君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
最初に、両案の内容について申し上げます。
まず、沿岸漁場整備開発法の一部を改正する法律案は、沿岸漁場の生産力の増進に資するため、水産動物の種苗の生産及び放流並びに水産動物の育成を計画的かつ効率的に推進する措置を講ずるとともに、沿岸漁場の安定的な利用関係の確保を図る措置を講じようとするものであります。
次に、漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案は、近年、密漁等が多発していることにかんがみ、両法に規定する罰金の額を十倍に引き上げる等の改正を行い、その発生を防止しようとするものであります。
両案は、去る三月二十九日提出され、同日本委員会に付託されました。
委員会におきましては、両案につき、四月二十八日金子農林水産大臣から提案理由の説明を聴取した後、五月十一日審査を行い、同日質疑を終局し、直ちに採決の結果、両案とも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
なお、両案に対し、それぞれ附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/16
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017・福田一
○議長(福田一君) 両案を一括して採決いたします。
両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/17
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018・福田一
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
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国務大臣の発言(農業基本法に基づく昭和五十七年度年次報告及び昭和五十八年度農業施策、林業基本法に基づく昭和五十七年度年次報告及び昭和五十八年度林業施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和五十七年度年次報告及び昭和五十八年度沿岸漁業等の施策について)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/18
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019・福田一
○議長(福田一君) 農林水産大臣から、農業基本法に基づく昭和五十七年度年次報告及び昭和五十八年度農業施策、林業基本法に基づく昭和五十七年度年次報告及び昭和五十八年度林業施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和五十七年度年次報告及び昭和五十八年度沿岸漁業等の施策について発言を求められております。これを許します。農林水産大臣金子岩三君。
〔国務大臣金子岩三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/19
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020・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 農業、林業及び漁業の各昭和五十七年度年次報告並びに昭和五十八年度において講じようとするそれぞれの施策につきまして、概要を御説明申し上げます。
第一に、農業について申し上げます。
昭和五十六年度から五十七年度にかけて、経済が停滞する中で、農産物の需給は依然として緩和基調にあり、農産物の生産者価格は低迷しております。農家経済は、農業所得の低迷と兼業所得の伸び悩みにより、厳しい状況が続いております。
農業の生産性は、欧米諸国に比肩し得るテンポで向上してまいりましたが、稲作等土地利用型部門では、中小家畜等の部門に比べ立ちおくれております。
一方、農産物の国際需給は、不安定要素が多く、中長期的には楽観を許さない状況にあります。農産物の市場開放問題への対応に当たっては、今後とも国際協調の立場をも踏まえ、わが国農業の健全な発展との調和を図っていく必要があります。
他方、農村では、混住化、高齢化等が進行し、集落機能の低下や緑資源の培養に支障をもたらす事態が生じております。
このような状況のもとで、今後の農政の重要課題は、農業の生産性向上、農業生産の再編成と総合的な食糧自給力の維持強化、農産物価格の安定と食品産業の体質強化、活力ある農村社会の建設と緑資源の維持培養に努めることであります。
以上の観点から、昭和五十八年度には、土地利用型農業を中心とした構造政策等の推進、需要の動向に応じた生産性の高い農業の展開、農業技術の開発・普及と農業生産基盤の整備、豊かな食生活の保障と農産物価格の安定、活力ある農村の建設等の施策を推進することとしております。
第二に、林業について申し上げます。
伐採、造林等の林業生産活動は、木材価格の低迷、林業経営費の増高等に起因して停滞しており、保育・間伐等の管理が適正に行われていない森林が増加しております。
また、木材産業は、住宅建設の引き続く不振等による木材需要の低迷から、依然不況に陥っております。
さらに、豪雪、台風、病害虫等による森林被害も目立っております。
このような状況のもとで、今後の林政の重要課題は、林業生産活動の活発化、山村の振興を通じた担い手の確保等を図り、森林管理の適正化と緑資源確保に努めることであります。
以上の観点から、昭和五十八年度には、林道の開設等の生産基盤の整備、森林の持つ公益的機能の維持増進、林産物需給の安定及び流通加工の合理化、林業の担い手対策等の充実整備、国有林野事業の一層の改善合理化等の施策を推進することとしております。
第三に、漁業について申し上げます。
最近のわが国漁業をめぐる情勢は、海洋新秩序の定着、水産物需要の伸び悩み、燃油価格の高水準での推移等厳しいものがあります。漁業生産は、わが国周辺水域でのマイワシの好漁に支えられ、量的には引き続き増加してきておりますが、漁業経営は、依然として厳しい状況を続けております。
このような状況のもとで、今後の水産行政の重要課題は、省エネルギーや生産構造の再編整備等による経営の脆弱性の克服、海洋新秩序の定着への対応、消費者ニーズに対応した水産物の供給に努めることであります。
以上の観点から、昭和五十八度には、経営安定対策、わが国周辺水域における漁業の振興、漁業生産基盤の整備、海洋水産資源の開発と海外漁場の確保、水産物の流通加工、消費対策等の施策を推進することとしております。
以上をもちまして、農業、林業及び漁業の各年次報告並びに講じようとする施策の概要の説明を終わります。(拍手)
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国務大臣の発言(農業基本法に基づく昭和五十七年度年次報告及び昭和五十八年度農業施策、林業基本法に基づく昭和五十七年度年次報告及び昭和五十八年度林業施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和五十七年度年次報告及び昭和五十八年度沿岸漁業等の施策について)に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/20
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021・福田一
○議長(福田一君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。小川国彦君。
〔小川国彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/21
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022・小川国彦
○小川国彦君 私は、日本社会党を代表いたしまして、昭和五十七年度林業白書、漁業白書、農業白書について、質問いたしたいと存じます。
冒頭、激動する日本の政局に対応しつつも、ASEAN諸国との友好の外交に旅立たれ、元気に帰国されました中曽根総理に、党派や立場、見解は異にするものでありますが、御苦労さまを申し上げる次第でございます。(拍手)
さて、三白書を通覧して痛感いたしますことは、戦後三十八年にわたる自民党政権の工業化中心による高度経済成長政策の弊害が、いかに第一次産業たる農業、漁業、林業への犠牲と荒廃をもたらしたかということであります。
まず、林業について言うならば、日本の林業の現状は、外材による圧迫と価格の低落によって最大の危機に見舞われており、林業生産者が再生産もできない状態に追い込まれております。すなわち、わが国の山林は、戦後、経済資源としてのみ利用され続けてまいりました。これが今日の林業の停滞と日本の山脈の荒廃を招いたと言っても過言ではありません。
いま、私たちは、日本の緑を経済資源という一面的考察から脱却して、国土の環境保全、国民の健康から見た緑の効用という面から、総合的に見直さなければならないのではないでしょうか。そこで、日本の林業経営のあり方と同時に、日本の緑の保全について、総理の将来計画を伺いたいのであります。
さらに、漁業の実態はと見ますと、本来、零細で生産性の低い沿岸漁業が大勢を占めるわが国の漁業構造に加えて、最近は油の高騰、二百海里時代の国際的制約等による経営の悪化から、現在、日本の漁業生産者は、年間二兆七千八百九十一億円の生産額に対し、二兆九千百五十四億円と、年間生産額を上回る巨額の負債を背負って、全く行き詰まりの状態となっております。
この苦境を脱却するために、漁業者みずから減船、撤退を含む漁業構造再編成事業に取り組んでおりますが、これに対する政府の援助は融資助成のみで、きわめて不十分であります。そして、ここにも年間一兆五百億円もの魚の輸入が商社の利権と化し、国内漁業生産圧迫の大きな要因として存在するのであります。
こうした状態から、厳しい行き先不安を訴える国内漁業生産者に対し、漁業再建の根本的解決策はどこに求められるのか、政府の方針を伺いたいのでございます。
農業白書におきましても、わが国農業が四つの苦しみ、すなわち、低成長、減反、臨調行革等による内圧、加えて、外国農産物の輸入の自由化という外圧、この四重苦とも言うべき苦しみを背負っている姿が浮き彫りとなって指摘されております。
特に、サミットを控えまして、日米貿易摩擦を喧伝される中で、アメリカの農産物貿易自由化要求に対し、中曽根総理を初め関係閣僚が今後どう対処されるか、その態度がきわめて注目されているのであります。
そこで、私は、まず、日本に対し農産物貿易の自由化を求めるアメリカ及びECの国境保護措置について、中曽根総理及び外務、通産、農林水産の各大臣が具体的にどのような見解をお持ちなのか、承りたいのであります。
御承知のように、アメリカは、一九五五年三月五日、アイゼンハワー大統領、ベンソン農務長官の時代において、ガット史上前例のない、無期限で、かつ品目を特定しないウエーバー条項を獲得いたしました。その結果、アメリカは、ガット上の義務免除を得て、合法的に輸入制限を認められている酪農関連製品は十三品目、食肉については二品目、残存輸入制限品目の精製糖を加えますと、主要農産物において実に十六品目の輸入制限を行っているのであります。
中曽根総理、わが国はアメリカのガットウエーバーを単にアメリカの僥倖として見逃してよいのでありましょうか。アメリカのガットウエーバー戦略といい、ECの課徴金制度といい、わが国農産物輸入制限の主張と、農業自立を守り農業保護の本質を求める点において、いささかも変わるものでないと考えますが、いかがでしょうか。
さらに、自由化にかえて懸念される問題は、牛肉、オレンジの枠拡大によって、アメリカが日本の牛やミカンを減らそうとしていることであります。もし、外国から三分の一の安い価格の牛肉を輸入したいがために、わが国で二百二十八万頭を数える牛を半分の百万頭に減らしてしまった場合、牛は一年一産しか産まれないわけでありまして、一度減らした牛は、もとの二百万頭に戻すことは、十年かかっても容易に戻せないのであります。
同様に、三十万戸のミカン農家が栽培してきたミカンの木を一度切ってしまえば、桃クリ三年カキ八年のたとえでございませんけれども、新たに木を植えて十年の歳月を待たなければ、果実の熟するもとのミカンの木はできないわけであります。
中曽根総理、農産物自由化要求という目先の苦しさに追われて、日本農業百年の大計を見失ってはならないと考えますが、この点いかがでしょうか。(拍手)
農業の主要な第二点は、日本の米について、日本の米づくりのあり方について総理の見解をただしたいことであります。
米は、中国において六千年、日本において二千年の歴史を有する民族固有の主要食糧であり、わが国食糧の中で一〇〇%の自給を確保しているものは、米をおいてないのであります。しかし、この米が三年連続の凶作に見舞われ、しかも、本年もまた異常な気象の予報に不安を生じています。自然の気象に依存した産業としての農業、その中での米づくりにおいて四年連続凶作の懸念はないのか。凶作を克服する適切な経営管理、技術指導の方針は立てられているのか、本年度、来年度とも米不足の事態を引き起こすおそれはないのか、伺いたいのであります。
米問題の第二は、米の備蓄の方針についてであります。
米の需給計画においても最も大切なことは、米の備蓄制度だと考えるのであります。しかし、米の需給計画を安上がりに考えていく場合、単年度での需給均衡を考え、万一わが国で米不足の際は、アメリカで生産過剰となっている七百万トンの米を輸入したらという発想が生まれてくるわけであります。私は、まず、政府にこのような安易な米輸入を考える計画はないであろうと考えますが、この際、ただしておきたいのであります。
言うまでもなく、世界の先進諸国において、その主要食糧を備蓄するという制度は当然行われており、スイス、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなどの国々は、主要穀物としての小麦を数カ月分は備蓄するということを法律で定めているのであります。せめてわが国も、凶作、大災害、国際紛争などの不測の事態に備えて、主要食糧の米は一定の数量を備蓄しておくという制度は当然必要のことと考えるのでありますが、昭和五十年八月、政府が総合食糧政策の中で打ち出した二百万トン備蓄の考え方はそのまま踏襲されているのか、あるいは新たな備蓄数量を考えているのか、政府の備蓄に対する見解を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)
米問題の第三点は、米に生きる私たち日本民族は、主食である米の生産組織を大切に子孫に引き継いでいく責務があろうかと思います。
ところが、白書も示すとおり、最近は若い層で米の消費が非常に減り、五十代、四十代、三十代と世帯が若返るにつれて米の消費が減少してきております。やはり米は日本型食生活の主食であり、理想であるとされ、欧米人の食生活にも愛好されつつあります。若い世代の人たちに民族二千年の主食、米に親しみ、米を愛していただくには、食習慣の出発点である学校給食で週三回の米飯給食を実現して、子供たちに特に人気のありますカレーライス、ハンバーグライスなどは大いにふやしていただく必要があろうと思いますが、文部大臣、いかがでございましょうか。(拍手)
また、日本の水田機能を維持していくためには、農政審答申にも触れております他用途米の制度化についても、八月概算要求の時期を控えてどう具体化するのか、第三期対策の方針とあわせて、この際、明確にお示しいただきたいのであります。
最後に、私は、日本農業の現状と未来像について中曽根総理にただしたい。
いま日本農業を取り巻く状況は、農業就業者の減少、農業所得率の低下、出稼ぎの激増、農家負債の増大、細かい数字は申し上げませんが、どの一つをとっても深刻な問題ばかりであります。これでは農業に希望を失うばかりでなく、農業後継者もいなくなれば、せっかく残った後継者に嫁の来手もないということで、農業は衰退するばかりであります。日本農業の将来を担う青年に対して、このような農業をやれば農業で自立して暮らしていけますという日本農業の未来像、将来像を政府は真剣になって示すべきではないでしょうか。
中曽根総理は、機会あるごとに日本の将来、日本の未来について論じておられます。しかし、一国の将来を論ずるには、まず食糧のあり方を考えねばならないのではないでしょうか。十年後の農業、農家、五十年後の農業、農家はかくあるべしという未来像をつくり上げておく必要があろうと存じますが、いかがお考えでありましょうか。
中曽根総理並びに関係閣僚の明確な答弁を期待して、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/22
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023・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 小川議員の御質問にお答えをいたします。
まず、その前に、私のASEAN訪問につきまして御懇篤なお言葉をいただきまして、謹んで感謝申し上げる次第であります。
まず第一は、わが国の林業政策のあるべき姿でございます。
森林は、木材供給機能に加えて、国土の保全、水資源の涵養あるいは自然環境の保全、形成等、きわめて多方面の公益的な機能を果たしているところでございます。このために、長期的視野に立って林業振興を図るとともに、国民各位の御理解と協力を得ながら、緑の資源の保護、森林を育てることは、わが国の林業政策の基本としてきわめて重視しておるところでございます。
最近は、民有林の所有者等は、間伐も下刈りもできないような採算ベースになっており、また外材の輸入の重圧に苦しんでおるということもよく承知し、憂慮しておるところでございますが、これらの点につきましても十分配慮して、長期的観点に立って日本の林政を発展させてまいりたいと思っております。
政府におきましては、木と緑を大事にするという意味におきましても、植樹運動を起こそうというので、いま大々的に国民にお訴え申し上げておる次第でございます。(拍手)
次に、漁業構造再編事業の見直し、日本漁業再建について御質問をいただきました。
わが国漁業は、国民への動物性たん白の供給という点において大きな役割りを担っており、今後とも非常に重要な食糧供給の分野であると思っております。
最近、二百海里問題出現以来、これらの問題について障害が出てきておりますことはきわめて遺憾でございますが、外交活動あるいはその他のあらゆる活動をもちまして、これらの問題を解決し、この動物性たん白資源の供給に遺憾なきを期するように努力してまいるつもりでございます。
次に、日米農産物交渉について御質問をしていただきました。
このサミットにおきましては、恐らく世界経済再活性化の問題等の一般的な問題が討議されると思いますので、個々の農業問題について討議は行われないのではないかと思いますが、自由貿易体制の維持強化という問題は、これは討議されると思います。
また、サミット前の日米首脳会談等におきましては、まだ議題は未定でございまして、いかなる問題が取り上げられるか、わかりません。
いずれにしましても、牛肉及び柑橘の輸入問題につきましては、私は、ことし一月、訪米前にすでに、牛肉及び柑橘の完全自由化はできないと言明をし、またアメリカにおきましても、閣僚協あるいは両議院におきましてそのことを言明して、この問題につきましては、いままでの計画を実行していくということ、それから、この計画が期限が終了した場合には、両方の専門家の間におきまして静かな討議を行うことが望ましい、こういうことで、いまその静かな討議が行われ始めているということでございます。
一面におきましては、この食糧の安定供給の重要性、また一面におきましては、世界各国との友好関係というものも配慮しつつ、農業の重要性を認識しつつこの問題は打開してまいりたいと思っております。
また、アメリカ、EC等が自国の農業保護につきまして非常なる努力をしていることは私もよく承知をしているところでありますが、自国の農業問題については、一面において保護主義を強化し、また一面において外国に自由化を唱えるというのはある意味においては矛盾であると思っております。わが国はわが国の国益を踏まえ、また、世界各国との友好関係も踏まえまして、粘り強く合理的解決を目指して努力していくつもりでございます。
次に、異常気象等に関して、米の備蓄等について御質問をいただきました。
三年間の不作という実情にかんがみまして、適地適品種の厳守、健苗の育成あるいは地域の営農の実態に即した気象変動に極力耐え得る安定性の高い稲作農業等を実現するために今後とも努力してまいります。(拍手)
米の備蓄につきましては、その需給についていささかも不安を国民に与えることがないように適切な備蓄水準の確保に努力してまいります。わが国は瑞穂の国と言われるぐらいでございまして、当然国内で自給自足するということは政策の基本でございます。(拍手)
なお、日本農業の未来像について御質問をいただきましたが、すでに農政審議会からも長期展望について御報告をいただいております。
私は、かねがね、農業は生命産業であるということを言って、農林業、水産業は国のもとであるとも言っておるわけでございます。豚を飼うのでも牛を飼うのでも、人間に対するのと同じような愛情がなければ豚も牛も成長できるものではございませんし、トマトにしてもイチゴにしても同じことでございます。工業製品とはまるきり違うのが農業の実態でございます。そういう生命産業の本質をわきまえまして、農業については特別に注意して政策をしていく必要があると思うのでございます。
今後は、このいただきました報告に即しまして、一面において生産性の向上を図り、需要の動向に応じた農業生産の再編成を進め、総合的な食糧自給力の維持強化に努力してまいりたいと思いますが、さらに、農村における今日の混住社会の共同体化、農業生産自体の環境の良好化につきましても私たちは努力してまいらなければならぬと思っております。
以下の答弁は関係閣僚からいたします。(拍手)
〔国務大臣金子岩三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/23
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024・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 林業政策についてお答えいたします。
森林は、木材の供給という経済的機能のみならず、国土の保全、水資源の涵養、良好な自然環境の保全、形成などの公益的機能を通じ、国民生活にとって重要な役割りを果たしていると考えているところであります。このために、この国会において森林法等の改正が行われたところであります。これを契機に林業基盤の整備と林業生産活動の活発化を一層図るとともに、保安林の整備、治山事業の推進等を図ることとしております。森林の公益的機能が一層発揮されるよう各般の施策を推進してまいる所存であります。
さらに、長期的視点に立って林業の振興を図るとともに、国民各位の理解と協力を得ながら緑資源としての森林を守り育てることをわが国の林業政策の基本として今後とも努力をしてまいる所存でございます。
次に、漁業政策について申し上げます。
今後わが国漁業の再活性化を図るためには、漁業生産構造の再編整備等を進めることが重要と考えております。そのために、特定漁業生産構造再編推進事業等の推進に当たっては、漁業者の自主的な取り組みを促しつつ、これに必要な融資枠の確保や助成の効率的な実施に努めてまいる所存であります。
水産物の輸入については、国内生産で賄い切れないものについては、ある程度輸入に依存せざるを得ませんが、水産物輸入制度の適切な運用により、今後とも国内漁業に悪影響を与えないよう対処してまいる所存であります。
わが国漁業の一層の発展を図るためには、遠洋、沖合い、沿岸の各漁業のバランスある発展が緊要であります。これに必要な生産、流通、加工、消費にわたる各般の施策の総合的な実施に努めてまいる所存であります。
日米農産物貿易問題についてであります。
日米農産物交渉に当たっては、農林水産委員会における昨年四月の決議及び十二月の申し入れの、農業者が犠牲とならないよう対処するとの趣旨を体して、慎重に対処してまいる所存であります。
元来、農業は、工業の場合と異なり、土地等の自然的条件の制約があるとともに、それに加えて、自然環境や国土資源の保全等の機能があるなど、単なる経済ベースだけで対応し得ない多くの側面があります。このため、農産物貿易に関しては、欧米各国とも相当な国境保護措置を講じております。わが国においても、諸外国の例にあるように、農産物の輸入については、関税、輸入数量割り当て等によって、わが国の農業生産や農家経済の安定に不測の悪影響を与えないよう十分配慮をしてまいるところであります。
米の需給問題について申し上げます。
まず、米の生産については、最近の三年不作という実情にかんがみ、本年度はすでに適地適品種の厳守、健苗の育成等の技術指導を行ってきたところであります。今後とも、地域の営農の実態に即して、気象の変動に極力耐え得る安定性の高い稲作を実現するよう、所要の指導に努めてまいる所存であります。
米の需給についてでありますが、本年度は、これまでの持ち越し米、大量の新米等により、全く問題はありません。また、来年度についても、本年度の転作目標面積の緩和措置により、在庫積み増しを計画したところであります。国民に不安を与えることのないように対処しているところであります。
備蓄問題については、かねて種々論議されてまいっておるところでありますが、将来の需給動向等を勘案しつつ、来年以降の米需給均衡化対策の一環として、今後適切な備蓄水準を保つよう、現在鋭意検討を進めているところであります。
なお、米はわが国農業にとって基幹となる作物であるとともに、国民にとって最も重要な食糧であります。当然国内で自給することを基本としてまいる考えであります。
米の消費拡大については、米の需給均衡を図るとともに、米等を中心とした日本型食生活の定着を図ること等を基本として、各般にわたる施策を推進しているところであります。学校給食への米飯導入についても、その拡大に努めてまいる所存であります。
さらに、他用途利用米については、水田の持つ高い生産力の有効利用が図れることや、緊急時に食糧供給の安定に寄与すること、また作付規模の拡大等を通じて稲作の生産性の向上に寄与する等の意義があります。しかしながら、反面、収益性がきわめて低いことや、主食用の米との識別が困難なため、不正規流通のおそれがあること等の問題があり、このような意義や問題点を踏まえつつ、水田利用再編第三期対策との関連において、現在検討を進めているところであります。
最後に、農業の未来像についてお答えいたします。
わが国農業は、食糧の安定供給を初め、健全な地域社会の形成、国土、自然環境の保全等、国民経済、国民生活上きわめて重要な役割りを果たしてまいっております。今後とも、このような農業の役割りが適切かつ効率的に発揮されるよう、農業の長期的展望と農政の進むべき方向を明らかにした先般の農政審議会の報告に即しつつ、生産性の向上を基本とした総合的な食糧自給力の維持強化に努めてまいる所存であります。(拍手)
〔国務大臣後藤田正晴君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/24
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025・後藤田正晴
○国務大臣(後藤田正晴君) お答えを申し上げます。
御質疑の第一点は、日米貿易摩擦の中でも特に農産物自由化が大きな問題となっているこの際にサミットが開かれるわけだけれども、わが国としては一体どういう対応方針を持って臨むのか、こういう御質疑でございますが、今回のサミットにおきましては、世界経済の活性化のために、保護貿易主義の傾向を抑えて、自由貿易体制の維持強化という観点から、貿易問題全般について討議されるということは予想されておりますけれども、日米農産物自由化問題等の個別問題が取り上げられるかどうかということについては、先ほど総理の御答弁がございましたように、取り上げられるとは予想をいたしておりません。
ちなみに、農産物をめぐる日米間の問題につきましては、日米の友好関係及び自由貿易体制の維持強化、こういう観点から、わが国といたしましても一層の市場開放に向けて努力をする必要はある、こう考えますけれども、農産物につきましてはやはりわが国にはわが国固有の困難な事情もございます。これら両者の兼ね合いを十分に考えながら、国民的な要望、期待にこたえるように適切に対処をしていくつもりでございます。
第二の御質問は、アメリカ、EC、それぞれ自国農業については輸入制限措置をとっておるではないか、わが国も自国農業を保護するために国境措置が必要であると考えるが、外務大臣、どう考えるのだ、こういう御質問でございますが、各国とも農業の分野では、御質疑のように、それぞれの立場、固有の事情がございますから、やはり国境措置をとっておるのが現状でございます。
そこで、このことと自由貿易推進の要請、このバランスをどのように図っていくのか、これが私は今日の国際貿易上の大きな課題となっておる、かように認識をいたしておりますが、わが国としましては、農産物貿易問題に対処していくに当たりましては、関係国との友好関係、これに留意しながら、わが国の需給動向、こういうものをも踏まえまして、食糧の安定供給という重要な役割りを果たしておりますわが国農業の健全な発展と貿易立国というこの国益との間に調和ある姿を探求していくという基本的な立場を政府としてはとっておるつもりでございます。
また、現在、ガット等の国際的な場において行われつつある農産品貿易の検討作業におきましても、いま申し上げました立場から対処をしていく所存でございます。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣瀬戸山三男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/25
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026・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 小川さんの御質問にお答えいたします。
学校給食で米飯給食を拡充する必要があるという小川さんの御意見、全く同感であります。五十一年度から実施しておるわけでございますが、目標を大体週二回、こういうことにして努力をしてまいりましたが、昭和五十七年五月でおおむねその目標に達したという現状でございます。
今後は、仰せのとおり週三回実施することを目標にして、六十年代の初期にはぜひこれを実現したい、こういうことで努力をしてまいりたい、かように考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/26
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027・福田一
○議長(福田一君) これにて質疑は終了いたしました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/27
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028・福田一
○議長(福田一君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109805254X02119830512/28
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