1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十八年四月十四日(木曜日)
午後一時一分開会
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委員の異動
三月三十一日
辞任 補欠選任
大城 眞順君 藤田 正明君
四月十四日
辞任 補欠選任
竹田 四郎君 寺田 熊雄君
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出席者は左のとおり。
委員長 戸塚 進也君
理 事
大河原太一郎君
中村 太郎君
増岡 康治君
穐山 篤君
塩出 啓典君
委 員
岩動 道行君
上田 稔君
河本嘉久蔵君
鈴木 省吾君
藤井 孝男君
藤井 裕久君
赤桐 操君
鈴木 和美君
寺田 熊雄君
桑名 義治君
近藤 忠孝君
柄谷 道一君
野末 陳平君
衆議院議員
発 議 者 大原 一三君
国務大臣
大 蔵 大 臣 竹下 登君
政府委員
大蔵省証券局長 水野 繁君
大蔵省銀行局長 宮本 保孝君
国税庁直税部長 角 晨一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 河内 裕君
説明員
警察庁刑事局保
安部保安課長 仲村 規雄君
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本日の会議に付した案件
○貸金業の規制等に関する法律案(第九十六回国会衆議院提出)(継続案件)
○出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案(第九十六回国会衆議院提出)(継続案件)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/0
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001・戸塚進也
○委員長(戸塚進也君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る三月三十一日、大城眞順君が委員を辞任され、その補欠として藤田正明君が選任されました。
また、本日、竹田四郎君が辞任され、その補欠として寺田熊雄君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/1
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002・戸塚進也
○委員長(戸塚進也君) 貸金業の規制等に関する法律案、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案、以上二案を一括して議題といたします。
これより両案の質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/2
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003・寺田熊雄
○寺田熊雄君 質疑をいたします前に、一言、委員長にお伺いいたしたいんですが、私は、先般三月三日の委員会でも、このサラ金規制両法案は非常に問題点が多いので、できるだけ慎重審議が望ましい、したがって十分な審議時間をお与えいただきたいと、こういうお願いを特に委員長にいたしたわけです。ところが、きょう承りますと、私どもの審議時間というのは、私四十分、穐山理事が四十分ということで、これではとても慎重審議というわけにはまいらぬわけなんです。ですから、その点は御再考願えないものかどうかということをちょっと一言お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/3
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004・戸塚進也
○委員長(戸塚進也君) 寺田委員の御要望につきましては、過般来の理事会あるいは理事懇談会等におきまして各党間で十分お話し合いをしたつもりでございます。結果におきまして、そのような時間になりまして、寺田委員には必ずしも満足していただけない点につきましては、大変恐縮でございますが、理事同士でたびたび協議をいたしました結果でございますので、どうぞ御了承をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/4
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005・寺田熊雄
○寺田熊雄君 まあ、委員長がそこまでおっしゃるわけですから、了承はできませんけれども、いたし方ないということになりますね。
きょうは特に大蔵大臣がおいででございますので、大臣にまずお尋ねをいたしたいと存じます。
先般、予算委員会でも大臣のお答えをいただいたのでありますけれども、大臣は非常に答弁がお上手で、人によっては、何かだまされたような気もするというようなことを言われた議員さえもあるわけで、この際、国民がなるほどと納得するような明快な御答弁をいただきたいと思うのです。
サラ金に関するいろいろな悲惨な事件が頻発をいたしておりますことは、大臣も御存じのとおりであります。これは一つの大きな社会悪として私どもは見ざるを得ないわけですね。都銀、地銀など正規の金融機関が、個人金融、消費者金融にもっと、資金にしろ人間的な面にしろ、努力をすべきであったと思うんですが、それを怠っておった。それは地銀、都銀だけの責任ではなく金融の全体を指導監督なさる大蔵当局にも責任があると私ども考えておるわけです。ですから、この消費者金融の立ちおくれにつきましては、大臣も責任をお感じいただかないと困るわけですよ。そういう責任をお感じになっていらっしゃるのかどうか。
それと同時に、今後こういう社会悪をできるだけ少なくしていくための努力といいますと、大臣の御所管になる金融行政の面では、個人金融、消費者金融について十分な金融機関に対する行政指導を活発にかつ徹底していただきたいと私どもは希望いたしますが、大臣のお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/5
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006・竹下登
○国務大臣(竹下登君) わが国の金融というものを考えてみますと、たとえば銀行法一つとりましても、長い間かたかなの法律がございましたのを、いま改正をしていただいたわけであります。
そこで、世界先進国等の例をいろいろ検討してみましても、確かに預金者保護、それから投資家保護、あるいは被保険者保護という点においては、私はわが国の立法の体系は非常によくできておると思っております。しかしながら、その金融が預金者保護ということにどうしても傾斜がまいりますと、言ってみれば、できるだけコストの低い金融というものが、預金者保護の立場からすれば、ある意味において一つの役割りを果たすということの結果、よく言われる消費者金融というものが企業金融に比して、いわばニーズに対する対応の度合いとでも申しますか、それが比較的低かったのではないか、こういう感じは率直にございます。
そこで、端的な例で申し上げますならば、住宅
ローンとかいう一つの公共性、社会的ニーズに対応する商品としては逐年拡充されつつありますが、一般に言う急場の場合の個人金融という問題がとかく、預金者保護の見地の中で、どちらかといえば、比較的軽視されておったような傾向があると私も思います。そこにサラ金という問題が出て、それがもろもろのサラ金地獄という言葉に象徴されるような事態を惹起したんじゃないか。したがって、現実に即して見れば、その規制というものを行うことによってそれなりの社会的意義というものに対応する法律規制というものが一つは必要ではないか。これが今度の議員立法である。これは長い歴史をかけて各党間でさまざまな協議をここ数年行ってこられたわけでありまして、これがこのように御審議の場に提供されておる事実であろうと思います。
いま一つは、最初に申しました今日ございます銀行法とか、そういうものに基づく金融機関の個人金融に対する対応の仕方というものをもっと指導していかなきゃならぬ。それが社会の公共性にこたえるいま一つの道であるというふうに思っております。
これについては、今日まで行政指導というものが行われてきておりますが、なおかつ国民のニーズの多様化に対応し個人金融の面に配慮して金融制度そのものが働いていかなきゃならぬ余地はあるというふうに私は認識いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/6
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007・寺田熊雄
○寺田熊雄君 そういたしますと、大臣、いまの大臣のお答えぶりは、言葉を選んで答弁する往年の大平さんとそっくり、大変似た感じかするんですが、結局、従来の金融行政が消費者金融に対する対応について金融機関に対する指導監督の面で十分でなかったという御反省の上に立って、今後はできるだけ努力すると、簡単に申しますとそういうふうに受けとめてよろしいでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/7
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008・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 端的に申されますと、怠っておったという表現は別といたしまして、その方のニーズに対応する姿勢をもっとそれぞれの金融機関が持つべきだという行政指導は私どもとして絶えず念頭に置かなきゃならぬ。
もちろん、預金者保護という立場からして、どちらかといえば、わが国の銀行法は貸出先自由という形態になっておりますので、およそ法的な規制の問題ではございませんけれども、金融機関の持つ社会的公共性ということからいたしまして、その面に大いな配慮をするような指導、助言というものは続けていくべきものであるというふうに、その限りにおいては一緒であると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/8
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009・寺田熊雄
○寺田熊雄君 なお、この両法案の審議に当たりまして、三月三日、参考人としてこの委員会に出席をなさいました上田昭三博士は、適正金利はたとえば五十六年末の場合二十五万以下は三〇・九%、三十万円を超えれば二五・三%であり、これは、アメリカが二二・七%、西ドイツが一四—二五%、フランスが一五・八%—一九・五%という科罰金利を消費者金融について規定しておることからも、決して無理ではないんだ、現在クレジットカード発行会社、信用販売会社いずれもそれなりの金利でやっておるではないかという、きわめて説得力のある意見を述べたわけですが、大蔵当局は適正金利を見出し得ないということを盛んに弁明するわけです。
大蔵省の頭脳とそれから何万という手足をお持ちになっていらっしゃるその機構等から見て、適正金利を見出しがたいということは、これこそまさに職務怠慢のそしりを免れないであろうと私は考えるんですが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/9
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010・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 上田先生の一つの御提案でございまして、国会におきましてもいろんな案が出たということは私どもよく存じております。
一つの御意見であろうかと思うわけでございますが、金利といいますのは、そのときどきの経済情勢とかあるいは金融情勢、それから資金の需要供給の問題、それからどこがだれに貸すかという個別の取引の問題、種々ございまして、適正な金利水準はどうかということは一律になかなか決めにくい状況でございます。
しかも最近の経済金融情勢の動きから見まして、それぞれの金融機関が個々に自分の実態に応じて、あるいは取引先との関係に応じて、あるいは全体の資金需給関係に応じまして、それぞれ金利を決めていくというふうなのが現在の趨勢でございまして、私どもといたしまして、特に消費者金融におきましていま現在どれが適正であるかということにつきましては、なかなか一つの答えを出しにくい状況にあるということは、御理解いただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/10
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011・寺田熊雄
○寺田熊雄君 あなた方の御専門である臨時金利調整法では、一般の金融機関については現在一五%以下ということを大臣告示で決めていらっしゃるでしょう。どうしてそれがサラ金の場合にお決めになることができないのか。つまり業者の数が多いとか、そういうようなことでお逃げになることができないんじゃないんだろうか。あなた方はどうあるべきかというゾルレンの問題、当為の問題ですね、これを念頭に絶えず置いて事実を調査なさって、そのことによって適正な立法を生んで、そして社会悪を根絶するという熱意をお持ちいただかないと困るわけですよ。ただ数が多いのでむずかしい問題でありましてとおっしゃるのは、責任逃れと言われても仕方がないと私は考えるのです。
銀行局長の御答弁はもうすでにきょうで二回伺ったわけですが、大臣は初めてでありますので、大臣も適正金利というものがどうあるべきかということを把握なさいませんと、この消費者金融、サラ金に対してどう自分は対応したらいいかということの根本的な態度が決まらないと思うんですよ。だからこれを発見するための御努力は当然なさらなければいけないと思いますよ。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/11
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012・竹下登
○国務大臣(竹下登君) この問題は四、五年前からいろんな議論を確かにいたしました。一般の金融機関と違いまして確かにそのニーズの多様化もございますが、それなりにまたリスクというものの多様化とでも申しましょうか、そういう問題もございますので、一体適正金利とは何ぞやということについての確たる答えが出し得ないこともまた、これは決して逃げの姿勢ではございませんが、政府提案というものにすることのできなかった一つのゆえんのものであります。
確かにそれこそ上田先生の試算というものも一つの御見識だと思っておりますが、これを議論すればするほど、一体適正とはということについて壁にぶち当たるわけでございますので、これからももちろん努力しなければならない課題でありますが、ある意味において国民各界各層の意見を集約された国会の議論というようなものが、さまざまな経緯を経て各党からもお出しになった時点もございますが、今日このような段階に至っているということなのじゃなかろうか。非常にむずかしい問題でありますが、これは勉強は続けなきゃならぬ課題であるというふうには私も理解はしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/12
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013・寺田熊雄
○寺田熊雄君 それは勉強していただいて、大蔵省として、国として適正金利はどうあるべきかという点の見解はお持ちいただくべきだと思いますよ。
それからサラ金悪を根絶する一つのかぎは、貸せば貸すほど利益が上がるという、そういう経済的な基礎を、芟除してというか、なくしてしまわないと根絶できないと思いますよ。
いまの場合は、少額の貸付金、たとえば十万円の金利でも、それから一千万円の貸し付けの場合の金利でも、すべてあなた方は七三%とし、五四%とし、それから四〇%というようなものを目標にしていらっしゃる。これは議員提案ですが、あなた方はそれを支持していらっしゃるわけでしょう。
武富士にしろアコムにしろ、調べてみますと、どんどんとダミーを使って都銀や生保から資金の借り受けをして店舗をふやす。アコムのごときはわずかに四年間に武富士をしのぐだけの店舗を開
設してしまった。アコムは、五十三年の十月二十三日設立ですから、ちようどいま五年ですね。ところが、武富士の方は、四十三年六月二十九日ですから、これは約十五年になりますね。ところが、アコムの場合はいま、昨年十一月三十日に出されました有価証券報告書を見ますと、三百八十九店舗となっております。武富士の方は三百四十五店舗。そして融資額残高を見ますと、武富士の方が二千七百六十二億円。アコムの方は二千三十七億四千六百万円。片っ方は十五年で、片っ方は五年の間にそれをしのぐほどの店舗を開設しておる。で、よく調べてみますと、アコムの広告宣伝費は実に、売り上げ高ですね、営業収益の一一・八%という巨額のものです。これは金額にして五十六億九千八百万円。従業員の給与と手当が四十億七千二百万円、賞与が十二億八千五百万円、合計して五十三億五千七百万円。つまり従業員の給与や手当、賞与を含めたものよりも宣伝広告費の方が多いという驚くべき事実になっておるわけですね。これは貸せば貸すほどもうかるということなので、やっぱり段階的な金利制度というものを考えていただかないと、こういう現象は今後も続くと考えざるを得ません。
ですから、利息制限法のような非常に古い昭和二十九年にできた法律でさえも、しかも法務省所管の法律でさえも、十万円未満の場合には二割、百万円未満は一割八分、百万円以上が一割五分というような、それだけの細かい配慮をしておるわけでしょう。まして、あなた方金融の総括をなさる人がサラ金に関して段階的金利ということを考えないというのは、非常にお粗末であると言われてもしようがないと思うんですが、この点大蔵大臣はどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/13
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014・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) この貸出金利につきましては、今回の場合にも、国会の御判断に従うものでございますけれども、刑罰金利の規定につきましては法務省所管でございますが、一般論として申しますと、出資法上の上限金利は刑罰を科す限界となるものでございますので、元本の額に応じまして段階的に規制するということになりますと、実際には貸付契約の場合に額を分割する等の脱法行為等によりましてかえって実効が期しがたいんではないかというふうな点もあるわけでございまして、刑罰金利ということになりますと一律の金利にならざるを得ないんではないかというふうに考えておるわけでございまして、別途、過剰貸し付けの問題につきましては、この法律成立後におきまして私どもといたしましても十分な配慮をいたしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/14
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015・寺田熊雄
○寺田熊雄君 これは刑事責任と民事責任を分けて考える近代的な法感覚を持っていただかないと——前回の審議でも刑事責任と民事責任とを何かごちゃごちゃにしたような御議論があるわけですよね。これを何か区別することが法的な整合性に反するようなお考えを持っていらっしゃる方もいらっしゃるようですが、それはそうじゃないんで、銀行局長、いまのも刑事責任と民事責任を分けて考えてもいいわけですからね。ですから、その点は、これをやらないと過剰融資はどうしてもなくならないと私は思いますよ。
それからもう一つは、先般予算委員会でもお尋ねしましたように、都銀や生保がダミーを使ってサラ金業者に融資する。この点は大蔵大臣の御答弁、非常に微妙な御答弁でありました。悪を助長するものとすると、一般的にいって自粛すべきだという御意見のようでした。今後も金融の本質に立ち戻って、なるほど銀行は自由だと申しましても、公的な性格がありますし、かつ一般の消費者に対する貸金債権を担保にしているわけですからして、そういう面から、日銀総裁がおっしゃったように、好ましくないものとしてこれの抑制的な行政指導を期待したいと思うんですが、いかがでしょう。これは大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/15
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016・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 金融機関の役割りといたしまして、良質な資金を供給することによりまして健全な消費者金融業者を育てていく、あるいはそういう卸売金融的なことを通じまして消費者金融に役立っていくという点も、金融機関側の機能なり、あるいは社会的責任を果たす役割りの大きな一つかと思うわけでございます。
ただ、この間も大臣御答弁になっておられましたが、それが社会的な悪を助長するとか、あるいは非常に弱者を苦しめるようなことになるとか、あるいは金融秩序全体を混乱させるようなことになるとか、こういうことになりますと、これはまた非常に公共的性格を持った金融機関としてはまことに好ましからざることでございますので、その辺は、私どもといたしましても従来から、健全なる消費者金融に役立つような資金の供給については前向きでいいけれども、これが一たん社会的な悪を助長する、あるいは非常に社会的な批判をこうむるようなことにつながるようなことであれば、これはまさに公共的使命を担う金融機関としてはあるべからざることでございますので、この点につきましては厳重に注意いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/16
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017・寺田熊雄
○寺田熊雄君 現実の問題として、武富士でさえも一年間に店舗を倍増したということが最近の有価証券報告書に出ております。先般武富士の社長が自粛するということを記者会見でおっしゃったようですね。武富士といえども、いまは大体営業収益の五%、三十九億円が貸し倒れだという結果を出しています。またこの武富士でさえもかなりな厳しい取り立てをやっておる。
ですから、そういう全般をにらんで、現実はこれは少し度が過ぎておるぞとお認めになっているのか、単に理論的にあなた方はもし害悪を助長すれば抑制すると言われるのか、現実をどう見ておるかということをお答え願いたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/17
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018・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) まさに先生御指摘のところは非常によく私ども理解できるところでございまして、最近特に一年間急激に融資量もふえております。それから店舗にいたしましても、一年間で倍になるというような状況でございますし、また職員数にいたしましても、大変な激増ぶりであるということでございまして、現実に社会悪が出ているかどうかは別といたしまして、このような余りにも急激な膨張ぶりにつきましては、私どもといたしましては、率直のところ、大変危惧の念を持っておるわけでございまして、したがいまして、金融機関等に対しましても、こういうふうな非常に急激な膨張をしているようなサラ金につきましては、十分慎重であるべきだというふうなことを注意いたしておるわけでございますが、現在、私どもは貸金業者に対する監督権限が非常に少のうございます。今回の法律を成立さしていただきますれば、それに基づきまして早速適宜指導してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/18
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019・寺田熊雄
○寺田熊雄君 ちょっと問題がわが田に水を引く議論のようで、貸金業者を指導監督するのじゃなくて都銀や生保に対して十分指導監督してほしいと、こう言ってるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/19
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020・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 御指摘のとおりでございまして、かねがね指導はいたしておるわけでございますけれども、この法律の成立を機に改めて政省令、通達等を出しまして、準備万端整えて実施の運びになると思います。その過程におきまして、いまの御指摘の点等も含めまして指導を強化してまいりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/20
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021・寺田熊雄
○寺田熊雄君 先ほどの宣伝広告費の問題、どうお考えになりますか。つまり従業員の給与、賞与を含めたものより多い点。従業員の給与、賞与等は営業収益の一一・一%なんですよ。ところが宣伝広告費の方は一一・八%というふうにこれを上回る。今度のこの法案でも行き過ぎた宣伝広告というものに対してはある程度メスを加えていますね。この点は、あなた方としては無制限に放任するという態度ですか、それともそんな行き過ぎた広告はいかぬという態度を持するものでしょうか。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/21
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022・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) どの程度の宣伝広告費が適当であるかどうかは、こういう自由主義経済社会でございますので、各企業の自主的な経営判断による問題でございますけれども、特に消費者金融につきましては、いまこの法律案の中にもご
ざいますように、誇大広告という点につきまして十分慎重な御趣旨も出ておるわけでございまして、私どもといたしましては、この法律が実施の運びに至りますれば、法の趣旨に沿いまして協会等を通ずる指導も強化いたしまして、余り過度な宣伝にならないように指導いたすことによりましておのずから広告宣伝費も抑制されるのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/22
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023・寺田熊雄
○寺田熊雄君 次に、提案者にお尋ねいたしますが、先般の当委員会の審議で十分御理解いただいたと思うんですけれども、私どもとしましては、四十三条は大変な毒薬であるという認識を持っております。
提案者の御説明によりますと、四十三条を適用する事件は、たとえばサラ金の調停事件の新受件数を見ましても、最近の数は一万六千件ほどであるという御意見でしたね。これがちょっと違うんですね。最高裁の民事局長にはっきり確認いたしますと、五十六年十月から五十七年の三月まで半年間のサラ金調停新受件数が一万六千八百六十二件であるというので、これはちょうどその倍数が正しいわけです。これは半年間なんですね。しかもまだサラ金業者の方から払ってくれということを訴える件というのはないわけです。というのは、利息制限法超過の利息は請求できませんからね。訴訟というのは、原則として、債務者の方から、利息制限法を適用いたしますと、すでに超過利息は元金に繰り入れられて元金はもう完済されておるぞという債務不存在確認の訴訟の形をとりますね。ですからそれは統計がないわけですよ。それが非常に数が多いんです。
それと、この間も私お話ししましたように、私どもがサラ金業者にかけ合って最高裁の判例を盾に、君のところは百万円の元金だけれども、利息がよけいに払い過ぎておって三十万円になっているよ、あるいは三年もたてばあなたの方は元金はなくなっているのだと言って、示談で解決するのが調停や訴訟に持っていく事件の何十倍もあるわけです。だから、あなた方は、こういう最高裁の判例によって救済を受ける人は全体の数から見るときわめてわずかだという論拠で四十三条の効用を非常に軽くごらんになりますけれども、そうじゃないんです。
ことに、先般日弁連の樋口事務総長が言いましたように、一家が離散する、事業が倒産する、あるいは夫婦が離別しなきゃいかぬ、あるいは一家心中しなきゃならぬ、そういう悲惨な人間を救う手だてというのはあの最高裁の判例しかないわけですよ。そういうことをだんだんと申し上げて、最終的に穐山委員の御質問に対して、よく問題点がわかったので、参議院で十分御審議願ってということをおっしゃいましたね、あなた。その問題もあります。
それから何よりも、上限金利を四〇%とした場合にグレーゾーンはなくなってしまうという御意見がございましたが、これも実は大変間違いなんです。というのは、利息制限法では百万円以上のものは一割五分というのが最高の利息でありまして、これが遅延損害金になっても三割なわけですね、倍額を許されるので。三割と四割では一割も違うわけです。サラ金でも一千万円も貸す業者がおります、中小企業に対して。一千万円を貸す場合に、一〇%の利息の差というのは中小企業にとっては死活的な問題になるわけです。ですから、四〇%になればこの問題は解決するというような御議論が私ども聞いておって実際ありましたけれども、とんでもないことで、依然としてやっぱりグレーゾーンというものは継続するわけです。そういう点、提案者の御認識にはまだ十分でないものがある。
ことに、四〇%の利息を実現する本当のお気持ちが提案者の皆様方にあるかということを調べてみますと、昨年の五月七日の衆議院大蔵委員会の論議を見ますと、あなた御自身が反対する中小の金融業者に対して、いや、これをやるということは書いてないから安心しなさいと言って、あたかも実施するお気持ちがないかのようなことをおっしゃってなだめていらっしゃいますね。正確なものは会議録をお読みくださるとわかりますけれども、本当に実施するお気持ちがあるのかどうか。それじゃ御発言はどういう趣旨でおっしゃったのか。
それから取り立て規制が非常に抽象的に過ぎないかとか、担保に関する規定が不十分ではないか。たとえば運転免許証や健康保険証、恩給証書まで取るような業者がおるけれども、それに対して抑制的な規定は全くない。それから白紙委任状に関する制限も公正証書作成の場合についてのみ規定しているが、不動産担保についても必要がある。たとえば抵当権設定を任してということで白紙委任状をとって、実際は所有権移転をやってしまうような事例が多いんです。それは私ども経験しております。
そういうさまざまな欠陥があることが明らかになりましたけれども、いかがでございましょうか、どちらも、あなたも私どもと一緒に本当に大衆を救うというお気持ちで御提案になったのでしょうから、問題点が明らかになりました今日では、もう一度この法案のこの問題について根本的に御検討になる御意思はないでしょうか。
それからいまの四〇%という上限金利を実現する本当のお気持ちがあって御提案になったのでしょうかどうか。そういう点について御意見を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/23
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024・大原一三
○衆議院議員(大原一三君) いろいろたくさん御指摘がございましたが、この前からも何回か申し上げましたけれども、私としてはできるだけ早い機会に、先生もさっき御指摘ございましたように、実態金利が非常に高いものになっておりますし、それを漸次この法案によって引き下げていき、できるだけ四〇%のラインに近づけるように努力していかなきゃならぬという気持ちでおります。
ただ、先ほどから先生から御指摘がございましたように、実態金利がまことに業態によって私は千差万別であろうと思うんです。この法律は、その高いのは全部一律にカットしていくんだと。低いのは幾ら低くてもいいわけなんですが、そういう過程において好ましからざる業者というのは漸次切り落とされていくんではなかろうか。そういう意味では、非常になまぬるい法案だとおっしゃると思いますけれども、実際に営業しているのは十九万件の中で半分ぐらい、半分ちょっと超えるぐらいと言われておりますが、これをもう少し秩序のあるものにしていきたい、外堀から漸次攻めていく、将来は四〇%でも高過ぎるというのが私の実感であります。
どういうお金なら一〇九%でなきゃ貸せないのか、そこらがいろいろわからないところも、銀行局長も言いましたように、たくさんございます。ですが、この法案は外堀を埋めながら、将来は四〇%ラインに持っていきたいということを宣明した法律でございまして、私としては、これからいろいろ御議論がなされると思いますけれども、できるだけ早い機会に四〇%の設定ができますよう願望をしておる者の一人であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/24
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025・寺田熊雄
○寺田熊雄君 大変残念ですが、委員長から与えられました質問時間が切れましたんで、いたし方ないんですが終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/25
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026・穐山篤
○穐山篤君 提案者の大原先生にお伺いをします。
前回の質問の際に私は——この法案が研究、立案されましたのが三年前で、昨年衆議院を通過し、自来、参議院側では三回にわたって審議をしてきたわけです。これは引き延ばしをするという意図ではなく、慎重に審議をしよう、そういう立場で今日に至ったわけですが、いまも寺田委員からもお話がありますように、衆議院で審議をしておった当時の庶民金融の状況と最近の状況ではかなり変化しているわけです。したがって、その変化に十分対応する必要があるだろうということで、提案者に対しまして私は再検討をお願いしたところであります。
そこで、大原先生にお伺いしますが、どういう点が大きく変化したのか、あるいはこの一年間の審議を通して、さらに改善の余地があるのではないかというふうな問題点があるだろうと思うんで
すが、その点について、まず先生の御感想をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/26
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027・大原一三
○衆議院議員(大原一三君) せんだってからの先生の御議論で、参議院において修正案を用意したいというお話もお聞きをいたしたわけでありますが、これは参議院の自主的な御判断でお出しをいただくわけでございますから、私からいろいろ申し上げる筋合いの問題ではないというふうに、まず考えます。
ただ非常に残念なのは、段階的に金利をおろしていくことになっていますから、もう少し早く通していただければ、一、二年たってますから、再来年にはもう五四%に下がったんじゃないかと思うんでありますけれども、そういう意味ではできるだけ早くこの法案を通していただいて、大蔵省もいろいろ準備があるでございましょうし、大蔵省だけじゃなくて、関係官庁当局、そういった筋の準備も早くしていただいて、執行できるようにできるだけ早くお願いしたいというのが私の願望であります。
どこの部分を修正したらいいのかは、私の口から、衆議院ではこの案でもってまとまったものでございますから、申し上げる筋合いの問題ではないというふうに思います。
ただ一点だけ、最近のサラ金被害の実態というものが、新聞紙上で取り上げられない日はないぐらい非常にいびつな金融構造になっておるということ、先ほど大蔵大臣からもお話がありましたが、一口にサラ金業界といいましても、一つの言葉で割り切れないぐらい複雑怪奇な部分がありますから、それにメスを入れていく法案だという考え方でわれわれはまとめたつもりでございます。
そういう意味で、この法案で実施いたしまして、先生今後御指摘になるかもしれませんが、いろいろ不本意な点を行政指導でやるし、さらにまた将来改革をしていかなきゃならないという気持ちでおります。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/27
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028・穐山篤
○穐山篤君 いまお話がありましたが、庶民金融は異常な構造になっていると、そのことはお認めになったわけですが、たとえば良識を超えた経常利益を出しておる。もちろんそれが全部とは言いませんけれども、大手については都銀、以上の収益を上げている。これは二、三年前、四、五年前は予想もしていなかった事態だと思うんです。
それから貸し付けの残高につきましても、寺田先生からも再三指摘がありますように、非常に膨大な貸し付けの残高になっておる。これは予想をせざることであっただろうというふうに思うんですね。
それから先日も、さる大手の社長が反省をしながら問題の所在を明らかにしましたが、私ども昨年から議論をしておったときに、店舗の拡大が異常に行われている。もう意図的に参入されている。このことも従来と変わった点ではないかということも申し上げたわけです。
それから新しい支店あるいは営業所ができますと、当然でありますが、膨大なノルマが課せられます。そこで開店記念サービスという特別なサービスが行われるわけです。前回私は、二十万円借りに行ったら二十五万円貸してくれた、そういう事例を具体的に申し上げました。そういう中で過剰貸し付けが出てくる、強制取り立ても出てくる。
それから宣伝につきましても、広告につきましても、誘発をするような広告があるわけです。中にはトイチ商売といいまして、延滞金を貸しながらなお延滞金を元本に算入して利息の計算をする、こういう事例が数々あるわけです。
そこで、私はもう一度お伺いをするわけですが、なるほど一日も早くこの法律を成立をさしてほしい、また私どももよりベターなものに十分に仕上げて実施をしたいと、こういうふうに思うわけです。最近のサラ金禍を可能な限り少なくする努力をしながらこの業界の健全な発展というものを願うとするならば、ここで思い切って知恵を出し合う必要があるだろうというふうに私どもは考えるわけです。私は前回修正案を準備することになるだろうと、こういうことを申し上げましたが、これは参議院のお話だと。なるほど参議院の取り扱いではありますけれども、これは国民注目の問題です。したがって、両院で良識を発揮することがこの際一番必要なことではないかなと、こういうふうに考えているわけです。衆議院側、提案者の立場でも、なお弾力的に検討をお願いができぬだろうかということを申し上げているわけですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/28
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029・大原一三
○衆議院議員(大原一三君) 修正案なるものをわれわれも、昨日でしたか、公式ではございませんが、非公式にいただきまして、一応検討はしております。
ただ、いろいろこの案自体にも問題があるんではないかと思うんでありますが、一番問題は結局四十三条のグレーゾーンの問題だろうと思うんです。これは日弁連の案によりましても四〇%ラインになったときにはグレーゾーンを取っ払うという案になっているわけであります。
ただ、この法案が実施されますと、ある業界にとっては非常に厳しい。特に中小のいわゆる旧来の俗称高利貸さんというのは大変厳しい業務規制が行われるわけであります。そういう状況の中でまじめにこの法律に従って業務をやっていく業者というものも相当あると思うんですね。その方たち、せっかくこの法律に基づいて秩序のある将来の業界のためにも努力される方々たちのことを考えますと、とにかく制限金利を超えたものは常にグレーゾーンであって、不当利得の返還請求ができるという状態にあることはいかがなもんだろうかということを考えております。
その点につきましては、いろいろ衆議院においても議論のあったところでありますが、私といたしましては、原案でひとつ、業界にも厳しい条件をかけるわけでございますので、通していただいて、今後かなり業界に変革がもたらされるであろうし、この法案の実施を見ながら検討していくべきではなかろうかということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/29
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030・穐山篤
○穐山篤君 そこで提案者にもう一つお伺いするわけですが、この出資法の一部改正の方にも附帯決議が付されているわけですね。
附則第四項の検討を加えた結果、附則第三項の「別に法律で定める日」を速やかに定めることが困難と認められる場合には、附則第三項の規定による金利を引き続き上限とするか、又はこれを下回る金利を上限とする経過措置の制定等を含め、適切な措置を講ずること。
こう書かれているわけです。ごく常識的に言いますと、適切な措置を講ずるように検討するという附帯決議になるのがごく常識的でありますが、前段に少し前提条件がついているわけですね。こういう附帯決議というのは最近例が少ないと思うんですが、これはどういうふうに理解をしたらよろしゅうございますか。この中に含まれているのは、上にするとか、下にするとか、形式的にはそう書かれているわけですが、金利を下げるというところに重点を置いて書かれた附帯決議なのか、あるいはそうでないのか。たてまえでなく本音で、この附帯決議の理解をどうされているか、その点をひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/30
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031・大原一三
○衆議院議員(大原一三君) 本音は、五年後に検討を始めて恐らく四〇%ラインに決めざるを得ないだろうというまず前提がございます。決めざるを得ないというのもおかしいんでありますが、決めなければならぬであろうという大前提があるわけです。ところが、業界の実態金利がこの法律の施行によって非常に切り下げられていくか、あるいは現在の異常な高金利を生んでいる金融構造、私、余りいい言葉ではないと思いますけれども、いわゆるブラックマネーなるものがカットできて、そして正常な金利のついた資金によって融資が行われる状態が現実のものになるか、そういう場合を想定しておるわけでありますけれども、それにもかかわらず、五四%から五年後に四〇%ラインに下げる場合に非常に無理だというような事態が想定されるかもしれない。その場合には四〇%と五四%の間の線も検討することもあり得るという考え方でその附帯決議が出たわけでございますが、本音は、四〇%ラインというのはひとつ
決まったようなものだという考え方から出発した附帯決議でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/31
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032・穐山篤
○穐山篤君 いろいろ立法の中に問題点があるわけですが、最終的に大きな問題というのは金利の問題と四十三条のみなし条項であろう。これはすべての会派からも指摘されているわけですが、金利の点についてもう一度お伺いをします。
庶民金融の実態から考えてみて与党側は七三%を提案したわけですね。野党の各会派は、実勢もあるけれども、それぞれ経営の努力をしてもらいながらスタートを五四%にしようじゃないか。この話が三年前から出ておるわけですね。当然その間、業者並びに協会も努力されたことは十分に認めるわけです。そこで、もう三年前の話ですから、業界あるいは会員としても、経営の改善、コストの引き下げというものに努力をしてもらうということがあってしかるべきだろうというふうに思うんですね。特別なアウトサイダーを除くとするならば、これは努力いかんによっては、七三でなくてもいい。今後、いつ施行になるかは不明ではありますけれども、施行までの間に、最大の努力をするならば五四%ぎりぎりのところまで努力でいける、こういう話も聞いているわけです。
ですから、この間の情勢の変化というものがかなりあるわけですから、この金利の問題について、これは大蔵省に幾ら言いましてもあれで、これは議員立法ですから、金利の問題についてもう一歩前向きの方法をとってもらえないかどうか、あるいはそういう努力をしてもらう決意があるかどうか、もう一度その点をお伺いをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/32
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033・大原一三
○衆議院議員(大原一三君) 先ほど銀行局長からもいろいろ指摘がありましたが、その後サラ金業界の実効金利が非常に下がった。この法案が仮に実行されておりますならば、いろいろの規制、金利規制はもとよりでございますが、その牽引車になったであろうと思いますけれども、その後の実態、実効金利が、五十五年でございましたか、各業界でお決めになっておる七〇%、八〇%、高いのは九〇%という基準金利が非常に下がったという実態もございませんし、いまのところいきなり二十銭ラインに持っていくのは多少問題があるんじゃないかという感じを正直に持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/33
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034・穐山篤
○穐山篤君 わかりました。
それから二つ目は四十三条の問題です。
私どもは利息制限法をあくまでも維持する、こういう原則を持っているわけです。そこであるときに、たとえばこの金利の上限を七三でなくて五四にした場合に、五四からみなし条項を適用するのもやむを得ないかなと、こういう研究もしたことも事実であります。それもある意味では政治的な妥協ということになると思うんですけれども、先生はその点についてはどういうふうなお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/34
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035・大原一三
○衆議院議員(大原一三君) 五四%からというお話でございますが、それもまた一つの考え方であろうかと思います。
ただ先生、これにはまことに長いいろんないきさつがございまして、いま私がにわかに——そう大物でもありませんので、衆議院での御議論、各党とのやりとりをまたもとへ返して、自民党の党内の手続もありましょうが、もとに返して再検討するということも、これはやっていかなければならぬと思うんですが、なかなかむずかしい状況に現在のところ置かれております。
やはり混乱は最初にあると思うんですね。一〇九%を七三%に下げるというその辺、滑り出しが一番混乱するんではなかろうかという感じも持っておりますので、三段階に下げていくということになれば、先ほども申し上げましたように、業界に対するもろもろの規制、厳しい規制を行い、また業務の停止、さらに取り消し条項ということになりますと、きわめて広範な取り消し条項を網羅しておりますし、その辺からいきますと、七三%に下げる、日歩二十銭に下げる段階から例のみなし条項を入れていった方が、業界指導の立場からもやりやすいんではないかということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/35
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036・穐山篤
○穐山篤君 大蔵大臣にお伺いをしますが、これが成立をしますと、正規に大蔵省の所管、管轄に入るわけですが、この貸金業規制の法律の適用を受ける業種、あるいは業態というものをどういうふうにお考えになっているのか。これから皆さん方の監督下に入るわけですから、できればこういうものである、ああいうものであるというふうに業態を明確にしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/36
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037・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) この本法案におきましては、その適用に関しまして、「資金需要者等の利益を損なうおそれがないと認められる貸付けを行う者で政令で定めるもの」を適用除外とすることとなっておるわけでございますが、これにつきましては、法案成立後におきまして、大変関係している省庁が多いものでございますから、関係省庁と協議する必要があるわけでございまして、私どもといたしましては、できるだけ貸金業の専業者はもちろんでございますが、いわゆる一般消費者と非常に関連の深い信販会社とか、あるいはクレジットカード会社、あるいは大型小売店、そういうようなものもこういう適用対象にしていきまして、できるだけ消費者保護に欠けることのないように配慮してまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/37
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038・穐山篤
○穐山篤君 考え方はわかりましたけど、私はあっちこっち歩いて質問を受けますのは、おれの商売はこの法律の適用を受けるんですか、受けないんですかという非常にきめの細かい質問を受けるわけです。これは当然だと思うんですね、登録申請をしなければ営業行為は認められないわけですから。そういう意味でもう少し明確にはなりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/38
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039・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 現段階におきましては、私どもの管轄以外の業種もたくさんあるわけでございまして、いまここで私の口から御答弁申し上げる段階にはないということで御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/39
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040・穐山篤
○穐山篤君 それでは誇大広告、不当広告といいますか、その問題について、共同提案でいきますとごく抽象的であります。したがって、サラ金禍を少なくしていくためには広告のあり方が当然問題になります。一般の新聞、テレビでも、広告の倫理というのが各社に共通のものもあるし、あるいは社によって独自のものもあるわけですが、そういう一般の広告機構ではそういうことがなされているわけですね。ところが、この今回の貸金業につきましては、この広告の部分につきましては非常に文理文体が抽象的です。これをもっと明確にすべきだというふうにまず考えます。
それから二つ目には、過剰貸し付けはしないように本人の資力、信用を十分に調査してというふうになってはおりますが、それだけではこのサラ金禍の重大な要因になっております過剰貸し付けについて厳禁をすることは不可能だと思う。したがって、具体的な対応というものがこれまた必要だろうというふうに思うわけですね。
それから三つ目の問題として、例の強制取り立ての問題ですが、これも軽犯罪法程度の域を超えない文理文体になっておりまして、本来禁止すべき条項をもっと明確にしなければならぬと思う。そうしなければ法律の効果というものは上がらないというふうに考えるわけです。
そこで、この三つについてどういうふうに大蔵省としては対応される気持ちがあるのか、あるいは準備についてどういう検討を進めているのか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/40
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041・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) いま御指摘の点につきましては、確かに法律案の中ではそれほど具体的な条文になっていないわけでございますが、ただ法律の案になりますと、列挙することがかえって、列挙されていないものについて適用外であるかのような誤解を招く面もあるわけでございますので、私どもといたしましては、こういう法律の趣旨が十分生かされるように政令とか省令とか、あるいは通達の段階で、誇大広告、それからいま御指摘の過剰貸し付け、あるいは取り立て行為、こういうものの規制等につきまして、国会での御審議でいろいろ御指摘がございましたので、そういう点も含めまして具体的な指導をしてまいるべく準備いたしたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/41
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042・穐山篤
○穐山篤君 これから、現在もそうですが、庶民金融業の協会あるいは連合会というもののあり方が問われなければならぬと思うわけです。当然、自助努力によって体質を十分改善されることだろうと信じます。
そこで、問題を明らかにしてもらいたいんですが、本法の登録の申請というのは、一定の書面が整っておりますと申請を受け付けなければなりませんし、登録の拒否も困難になるわけですね。そこで、私は前々から申し上げているわけですが、少なくとも届け出制が登録制になるわけですから、その段階、言いかえてみますと、開業の段階で十分に庶民金融のあり方をチェックしていく、このことが必要だろうということを述べてきたわけです。書面が不備の場合はともかくとしまして、書面さえ整っていればいかなる人でも拒否ができない仕組みになっているわけですね。たとえば資本金のことも特別に制限がない。個人の任意の会社でもよろしいし、株式会社でもよろしい、有限会社でもよろしい、何ら制限がないわけですね。そういうことについての一定の資格要件というふうなものも必要ではないかということを申し上げているわけですが、その点についてまず一つ。
それからもう一つ、そういう登録申請というのはこれからたくさんあるだろうと思いますが、大蔵大臣なり都道府県知事の能力ではとても審査は不可能に近いと思います。そこで、私は貸金業協会の体質改善、強化と相まって、そこで予備的な書類の指導をする、実質審査をする、それを経由して大蔵大臣なりあるいは都道府県知事に登録申請を出す。このことが、開業するに当たって、登録をするに当たって一番スタートになる点であろうというふうに思って指摘しているわけですが、その点についてのお考え方を二つ目にお伺いをしておきます。
それから三つ目に、いろいろ衆参両院で議論をされてきましたし、また私も先ほど申し上げたわけですが、当然国税庁としては問題がたくさんあるわけですから、すべての業者、業界というわけにはいかぬだろうとは思いますが、典型的なところをピックアップして税務調査をなされたと思うんですけれども、その点についての感想といいますか、これからの問題のあり方、この三つについてとりあえずお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/42
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043・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) まず、第一点の登録を受け付ける前に十分実態調査をした上で、不適正なものは登録を拒否すべきではないかというふうな御意見、ごもっともな御意見かとも思いますが、ただ何せ貸金業の届け出数が現在二十万件を超えているわけでございまして、そのうち幾ら登録申請してくるか予測がつきかねますけれども、いずれにいたしましても、大変膨大な数になるのではないかということでございますので、事前に現在の行政体制のもとで審査を行うことが非常にむずかしかろうと思うわけでございまして、私どもといたしましては、形式的な登録要件を備えているものにつきまして、登録を受け付けた後の実態の把握等につきましてできるだけ十分いたしました上で、取り消すものがあれば取り消していくというふうなことで対処していくのが、現実的な手法ではないかというふうに考えておるわけでございます。
それから第二点でございますが、別途協会等、事前に別の組織でチェックさしたらどうかというふうなお考え、これも一つのお考えかとも思うわけでございますが、現在庶民金融業協会自体は非常に組織率も低く、事務局がきわめて小人数であるというふうな点から考えますと、なかなか貸金業協会に法律をもって直ちにそういうふうな業務を行わせることが適当であるかどうかという問題があるわけでございますが、こういう協会の体制が整備されまして、登録事務を補助させることが適当と認められるような段階になりますれば、場合によっては御提案のようなことを実際上行っていくことも一つの手法かな、こういうふうに思うわけでございます。
ただ、仮にそのような場合でございましても、協会自体が登録申請事項の内容につきまして事実の確認以外の意見を付させることにつきましては、こういう社会、政治体制のもとでは慎重に考えていく必要があるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/43
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044・角晨一郎
○政府委員(角晨一郎君) 私ども貸金業ということで業種分類をして見ておるわけでございますけれども、従来、貸金業につきましては課税上いろいろ問題があるということで、重点的に調査対象に取り上げて充実した調査をするということに努力をしておるわけでございます。
最近の調査事績を若干、法人と個人で申し上げますと、法人税につきましては、五十六事務年度で見ましても、約千百件余り調査をいたしておるわけでございますが、全体として申告漏れ割合ないしは一件当たりの申告漏れ所得、相応のものが上がっておりますけれども、注目すべきは不正申告のあったものの一件当たりの不正申告額、これが千二百万円余に達しておるわけでございますけれども、ほかの業種に比べてもこの一件当たりの不正所得が多いということが注目されるわけでございます。
また、所得税につきましても、五十五年分で約五百八十件ほど調査をしておるわけでございますが、一件当たりの申告漏れ所得六百万円ということでございまして、所得税のほかの業種に比べると相当申告漏れ所得が高いんではないかと、こう思うわけでございます。
従来、毎年の調査を積み重ねて、課税上問題があるということで重点的な調査対象に取り上げたわけでございますけれども、今後とも調査の状況を見ながら、指導面も含めまして、調査指導を組み合わせて適切に対応していきたいと、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/44
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045・穐山篤
○穐山篤君 最後に大蔵大臣にお伺いしますが、この法案を共同提案をする過程では、大蔵省、政府が法律案を提案するとは言いませんでしたけれども、それも一つの方法だということで検討されたこともあったわけですが、現実に業態が非常に多様化しておりますし、また庶民金融の数も多いわけです。これから大蔵大臣の所管になるわけですが、相当意を決して対応をしなければサラ金禍を排除することはできないし、これだけの社会的問題になっておりますものを正常なものに回復することは非常に困難だと思うんです。
そこで、大蔵大臣として、いよいよこれを預かることになるわけですが、それについての決意といいますか、考え方というものをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/45
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046・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これはまさに歴史的には長い経過があったと思います。これの問題につきまして、ベストではないがベターなものとしてでも一つの合意を得ようではないかというような各党間の努力もなされましたし、私どもも、あるいは大蔵大臣であるとき、また党に帰りましたときも、その間の与野党の折衝をお手伝いしたり、そういう非常に経過を持つ法律案でございます。
したがって、これが成立を見たという前提におきましては、国会でなされましたもろもろの議論等を踏まえまして、これの執行に当たりましては、実際問題、私も当初考えておりましたが、人員の配置の問題でございますとか、いろいろわが方にもむずかしい問題も——むずかしいという表現は適切ではありません。わが方にもかなりの努力を要する問題もございますし、また地方自治体を初めとする関係者への御協力、さらにそれに基づく政省令等の作成、それらについて、まさに立法の趣旨を体しながら一生懸命取り組んで、少なくともこの時点において議論されました問題点が、悪い方向で起きることのないような対応には精いっぱいの努力をしなければならぬではなかろうかというふうに考えております。
むしろ、これができますまでの長い過程を見ますと、いかにも議員立法というのはこういう考え方の積み上げの結晶というものかなという、政府側に立ってみますと、そういう角度に立っての院のあり方等についての高い評価、こういうものもしておるということをつけ加えさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/46
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047・塩出啓典
○塩出啓典君 最近特にサラ金に関するニュースが新聞をにぎわしておるわけであります。自殺とか家出が急増しているように感じます。最近は被害者に女性が多いとか、金額が非常に多額になってきておるとか、それからサラ金だけではなしに、ほかの金融機関からもいろいろ借りている、そういうような例が多い。こういうようなことが言われておるわけでありますが、警察庁としてはどのように感じておるのか。急にふえたのか、あるいはもともとあったものが顕在化してきたものなのか。どのように感じておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/47
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048・仲村規雄
○説明員(仲村規雄君) お答え申し上げます。
私どもの承知しておりますところによりますと、最近とみにサラ金をめぐる被害者が大変ふえてきておるというように感じてきておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/48
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049・塩出啓典
○塩出啓典君 最近の新聞を見ましても、ピンはね業というのができた。これはサラ金に借りているのに、より安い業者を紹介して、そこでピンをはねるとか、それからまた大手のあるサラ金が、肩がわりをということで、あちらこちらから借りまくっている人を呼びかけて、そういうのに肩がわりをするとか、あるいはサラ金の相談に弁護士のところへ参りましても二カ月ぐらい待たされる、そうしてダフヤが横行して、その人に頼んで金を払えばかわりに順番をとってくれて早く相談ができるとか、こういうようなことが非常に報道されておるわけであります。
このような被害の発生を少しでも減らすように速やかな手を打つのがわれわれ国会の責任であったわけでありますが、そういう点が非常におくれまして、サラ金規制法というものが今日まで成立を見ずにきておるわけであります。そういうわけで、早く規制法をつくれという、こういう意見が一つある。それともう一つは、いまのサラ金は手ぬるいじゃないかという、こういう二つの意見があるわけであります。
そこで、私は提案者にお尋ねをしたいわけでありますが、いわゆるサラ金ピンはね業、肩がわりをするような商売が起こる理由はどこにあるか。普通は、そういうようなたくさん借りているような人は避けて堅実な人に貸すというのが普通のいままでの商売じゃなかったかと思うんですね。たくさん借りていて返済能力のないそういう人を選んで金を貸そうという、しかもある大手のサラ金業者がそういうことをやっておるという、こういう私たちの常識から考えると考えられないことが起きる原因はどこにあると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/49
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050・大原一三
○衆議院議員(大原一三君) 私も実態がよくわからないんであります、どういう場合にピンはねするのかですね。先生おっしゃるのは何か新聞に出ていたことがありますね。金利が安いからおれの方で借りろと言って、大手が人の貸しているのを自分の方にすりかえていくという実態があって、それを自粛するように業界が申し入れたとか申し入れないとかいう新聞を私も読ましていただきました。これはいま申し上げますように、サラ金業界というのは全く秩序のない非常に戦国時代みたいな業界でありまして、この法案によりますと協会というものをしっかりつくって、大蔵大臣、県知事に協力をさせるという条項も入っております。しかし、銀行局長が言いましたように、業界の体制というものもまだ非常に幼稚であって、そういったことについてもリーダーシップを持てるような仕組みになってない。こいねがわくば、この法案によりまして協会なるものが新しく再編されるわけでございますから、それに対する県知事なり大蔵大臣の指導監督なるものも行われるわけでありますから、でき得べくんばそういうこれからの協会のあり方によってそういった問題も排除できるんではないかというふうな感じがいたします。
ただ、先生がおっしゃっているのが大手であるかどうかよくわかりませんが、私はちょっともうけ過ぎだと思うんですね、いまの業界の実態は。とにかく一千数百億貸して百何十億もうかるというのはちょっともうけ過ぎであります。そっちの方はそれで金利は幾らか安いのかといいますと、そう安くないわけでありまして、こういった無秩序な状態の中でひとつコントロールをしていこうという法案でございますので、できるだけ早くこの法案を通していただいて、そうした体制整備にできるだけ早く移行すべきであるという考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/50
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051・塩出啓典
○塩出啓典君 ここで大蔵大臣にお尋ねしますが、サラ金というものについて大蔵大臣のお考えを聞いておきたいと思うんであります。
よく人の中にはサラ金なんて言うな、高利貸と言えということですね。サラ金には余りいいやつはいないんだ、そういうように非常にサラ金というものを悪者の見本のように考えている人もいるわけであります。しかし私は、時代が変わってきたわけですから、サラ金というものも必要な産業であって、サラ金即悪であるというそういう考えはちょっと古いんじゃないか。健全なサラ金、また庶民が金を借りやすくなるということは、少々お金がなくても国民が消費をするわけですから、GNPの成長にも影響してきているんじゃないか。そういう意味で私は、サラ金というものはこのように健全なサラ金を育てるべきである、そのように理解をしているんでありますが、大蔵大臣のお考え方について聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/51
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052・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私は庶民金融とでも申しましょうか、これが実際問題わが国の金融制度の中で必要であるということは——これはいささか私見にわたりますが、よくサービス部門の自由化等の議論が行われます際に、外国の金融制度とわが国の金融制度の運営の相違とでも申しましょうか、そういう議論をいたしますと、言ってみれば、預けた者が悪いんだ、仮に金融機関が倒産いたしますと。それから倒産すればその経営者が悪いんだ、こういう傾向が強くて、日本ほどある意味において預金者保護あるいは被保険者保護、投資者保護、こういう精神が徹底した一つの伝統となって存在しておる国はないような感じも時に受けるわけであります。
要するに、預金者保護という問題からしますと、当然今度は金融の健全性ということが出てきて、手続がより健全ならしむるために煩雑になり、そしてこれは業を行うものにとってはまたできるだけ手数もかからないものが対象になりがちであるという一つの傾向を持つ背景がそこにもあるんじゃないか。そうすると、職業選択の自由の問題はもちろんでありますが、そこに必要なものとしての庶民金融というものがあり得るんじゃないか。それをできるだけニーズに適応させるというところに、あるいは漁協の信用部とか農協の信用部とか信用組合とか、郵便局の問題は、貯金、預金担保でございますので、若干の相違はあるにいたしましても、そういうものがそれらのニーズにどう対応していくか。それでもなおニーズに対応するために、庶民金融というものの存在はそれなりの社会的意義というものを持っておると私は思っております。したがって、現象的に見られるいろいろな悲劇等を生むような状態をもって、すべて悪であるという断定の仕方というのは、私も好ましい断定の仕方ではないと思っております。
したがって、本来政府の責任でこの法律をつくるべきであるという議論も、当然何遍も行われてきたわけでございますが、非常に多岐多様にわたる形態の中でむずかしい問題がある、そういうところを議員立法というもので議論され、一つの結論が出、それを政府の命ぜられた範囲内における行為によって正当化していけば、さらにイコール悪という物の考え方は、より払拭されていくのではなかろうかというふうな基本認識を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/52
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053・塩出啓典
○塩出啓典君 そこで提案者にお尋ねいたしますが、大体サラ金の被害の原因というのは、一つは高金利である、それからまた過剰貸し付けである、それから強制取り立てである、こういうことが言われてきたわけでありますが、これらはすべて関連をしておるわけですね。過剰貸し付けをするからまた強制取り立ても起こるわけであります。なぜ、あるサラ金大手が、あちこちから借りまくってどこも信用してくれない人を探してそこに貸す
かということは、少々の貸し倒れがあっても高金利であるからどんどん貸しまくった方がもうかる、そういうところに一つの原因があると思うのですね。
先般の委員会で上田参考人はこう言われました。ともかく日本人というのは借りたものは返すというんで、もう九五%は必ずほうっておいても返す、その五%のうちの半分は二、三回督促さえすれば返す、五%のもう半分の二・五%が最後は返せない、なかなか返せなくて困る人が出る、だから貸し倒れ率というものは三%であるということをこの前言われたわけですね。三%以内である。
確かに、いろいろまじめなサラ金業者に聞いてみましても、大体九八%から九七%がその程度でやはりやっておるわけですね。そうしますと、先ほども話がありましたように、二十五万円以下ならば三〇%のコストがかかるけれども、二十五万円以上ならば一四%で営業が可能である。これは利息制限法以下のところでできるわけであります。そういうわけで、金利が下がれば、そうすると余り過剰融資をして貸し倒れが出るところはもうからないわけですから、過剰融資もなくなってくる。そうなってくれば強制取り立てにも行く必要がなくなってくる。そういうことで金利を下げるということが、これが一番大事なことではないか、そのように思うわけであります。
そういう意味で、今回の法案でまず七三%にし、それから三年後には五四・何%と、こういうようにいくわけですが、このスピードをもうちょっと早くして四〇%に到達するように努力すべきではないかと、このように考えるわけであります。この点についての提案者の御意見を承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/53
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054・大原一三
○衆議院議員(大原一三君) 先ほどもちょっとお答え申し上げたのでありますが、いびつな金融構造と申し上げたわけですが、わが国では銀行さんというのは高度成長の過程において産業金融偏重であった。したがって、わが国の銀行の消費者金融のウエートは、末端の庶民金融機関まで入れて、非常に少なかったというのが実態であります。
幸いに最近は、銀行貸し出しの一〇%ぐらいが庶民金融といいますか、消費者金融に回っておる。将来はそれがだんだんふえてくるであろうし、いわゆる物離れの産業ということになってまいりますと、そういった面への金融サイドの進出というものもこれから考えられるわけでありますが、まだまだ一〇%程度の水準でしかないわけでありますから、庶民金融の需要に十分応ずる仕組みと実態が一般金融機関にないということになりますと、庶民金融のあり方というものは、先ほど大蔵大臣も言われましたが、また先生もそれに触れられたのでありますが、全部が悪いんじゃないんだ、現在ある実際の庶民金融の需要に応じた庶民金融体制というものが整備されなきゃならぬということがこの法案の大きなねらいであろうと私は思います。
そういう意味で、先生がおっしゃるように、現在の実態金利が大蔵省の調査によりましても七〇%以上で貸しているのがかなりのウエートを占めておる、五四%水準以上のものもこれまた相当なウエートを占めておるというような状況の中で厳しい規制をしていくんですから、この法案に定めたような段階的規制でとりあえず——これは大変な法律だと思うんです、何もないところへこれだけの規制を打ち込んでいくわけでありますから。そういう意味では、このような段階的規制によって業界がコントロールされ、そして好ましくない業者がこの業界から外れていくということを考えての提案でございますから、いまの大蔵省の金利の調査によりましても、いきなり五〇%台へ持っていくというのは相当無理が生ずるんではないかということを考えて、この案のような段階的引き下げを御相談申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/54
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055・塩出啓典
○塩出啓典君 大蔵省にお尋ねいたしますが、私がいま申しましたように、サラ金被害をなくするにはいろんな道があると思いますが、まず金利を下げさせること。そういう意味で、この法律が成立いたしますと一年以内に施行し、それから三年間は七三%、四年目から五四%になる。一刻も早く七三%、五四%に移行すべきだと私は思うんですがね。この法律が成立したら一年以内に施行する。一年もかかるのかどうか、その点の見通しはどうなのか、これを伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/55
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056・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 御指摘のとおりでございまして、この法律が成立後一刻も早く施行できるように私どもといたしましても政省令、通達等の準備に努力いたしたいと、こう思っておるわけでございます。去年の夏に衆議院の方で御審議いただいておりまして、まあことしの春にはというふうな期待を抱きながら準備はしてまいってきております。したがいまして、今回法律が成立いたしました暁には、一年と言わずに、ことしの秋ぐらいにはぜひ実施の運びに至るような努力をしてまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/56
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057・塩出啓典
○塩出啓典君 それからサラ金への銀行融資の件が問題になってきておるわけでありますが、これは大蔵大臣にお尋ねします。
私は、サラ金というものは不特定多数の大衆を相手に金を貸すわけです。特定の大きな企業に貸す場合は、ばっさりその企業がつぶれると安宅産業のように損失があるわけで、あのことから考えれば、多数の人に貸すということは危険を分散して、非常に統計的にもむしろ安全であるとも言えるわけですね。しかもサラ金の金利を下げるということが被害を少なくするということであるならば、一つは金融機関がもっと積極的にやるべきだ、こういう問題。
もう一つは、健全なサラ金業者には融資をしてもいいんじゃないか。そのかわり、サラ金業者の貸出金利を非常に安くする。一五%という利息制限法以下ぐらいに限定して、それでも十分やっていけるわけです。それから貸し倒れ率も非常に低い。そういうところにはある程度融資をして、そして健全なサラ金を育成する。そのことが被害を少なくしていくことになるんじゃないか。この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/57
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058・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私も、国民の金融のニーズの多様化に即応するために金融機関自身が消費者金融に積極的に取り組むことが望ましいと、一つはそう思います。それには、再三申し上げるようでございますが、いわば預金者保護という大前提の上に立った場合おのずから、限界という表現は適切でございませんが、その対応する能力が万全であるとは言えないと思っております。
したがって、消費者金融というものに取り組む場合は、直接に消費者金融を取り扱うか、あるいはいまおっしゃいましたように、サラリーマン金融専業者に対していわば卸売的金融を行うかということになると思います。それは個々の金融機関の経営判断の問題でございますけれども、そういう対象に対しましての卸売的金融というものは、それなりの金融機関の持つ社会的責任に反するとは全く思っておりません。
だから、その場合、その対象となるサラリーマン金融専業者そのものが健全であるということが必要でありまして、その種の行為が非常に問題を惹起するようなところに及ぶということがあったといたしますならば、金融機関のよってもって立つ信用性というものから、おのずから預金者自体が離れていくということもあり得ますので、そういう自浄作用というものが存在すると同時に、また御議論いただいております法規制等の中においてより健全な対象として成長し、また金融機関も健全な融資対象としてそれに融資するという判断に傾くであろうというような、相互のいい意味における作用が働くことを私も心から期待をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/58
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059・塩出啓典
○塩出啓典君 これは税金の関係でございますが、銀行局長に私は御意見を承りたいと思うんです。
サラ金業者等の貸し倒れというものが貸し倒れ損失金として全部引かれるようになっていると思うんですけれども、そうすると貸し倒れが幾ら出ても、それは結局経費から落とせればいいんだと。貸し倒れ損失金というんですか、そういうものにもある範囲を決めて、これ以上出しちゃいかぬ。
もちろんサラ金の大手、中手、小規模といろいろ大きさはあると思うんですけれども、最近貸し倒れ損失が非常にふえておるわけですけれども、ある程度そういうふうに損失金の限度を設けて、それ以上もし出れば損するんだということで、もう少し貸し倒れを起こさないように努力をされるという制度にした方がいいんじゃないかと思うんです。いま少々貸し倒れが出ても高金利でより貸した方がもうかるんだ、いまそういう態勢になっておるわけで、そういう点を考えたらどうかなと思うんですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/59
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060・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) サラ金に限りませず、一般的に私どもが償却を認めますのは、ルーズとか安易に流れているわけでは決してございませんで、銀行局の検査部の厳重な審査と、それから国税当局との話し合いのもとで個々の案件につきまして無税償却を認めているわけでございますので、決して安易に流れているわけではございません。ただ、現実問題として起きました損失につきましては、十分な償却を行っていくことは、これはまた一方、金融機関の健全性の見地からいっても必要なわけでございます。
しかし、いずれにいたしましても、そういう損失が起きないような状況で貸金業者が融資をすることもまた必要でございます。したがいまして、その消費者の信用調査等につきましては、現在もいろいろと情報の機関があるわけでございますけれども、そういう信用調査機関なども、今後法律の成立後は、十分また業界での話し合い等によりまして、そういう充実した信用情報機構等が育っていくことなどを通じまして、貸し倒れ損失のできるだけ発生しないような方策を講じていく必要がございますし、私どもといたしましても、そういう方向で手助けをしてまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/60
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061・塩出啓典
○塩出啓典君 それから衆議院においては附帯決議がつけられたわけであります。これは恐らく消費者保護の観点からさらに一歩前進していかなければならない、こういう意味で三つの附帯決議がつけられたわけであります。この附帯決議の第一はアウトサイダーに対する指導。それから第二はいわゆるたらい回し的に他の貸金業者から金を貸りて、そして自分の方の債務の弁済を強要するということをしてはいかぬ。それからもう一つ三つ目。
このようなことが言われておるわけでありますが、大蔵省としてはこういう点は指導できるのかどうか、その点を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/61
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062・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) この附帯決議の内容すべてごもっともなことでございまして、第一の問題、それから第二の問題、第三の問題、いずれも御趣旨の線に沿いまして行政指導をすることが可能でございますし、その実効を期するような方策を実施までに考えてまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/62
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063・塩出啓典
○塩出啓典君 それから先ほど申しましたように、サラ金も経営の中身はガラス張り、こうならなくてはいけないと、こう思います。先般の上田参考人は、サラ金業者の言うことは余り信用できないと、こういうことを言われたわけてありますが、こういうことでは非常にいけないんじゃないか。もっと信用できるサラ金になってもらわなければならない。
そういう意味で、特に現在上場されていない企業でも株式の店頭取引が行われている場合は有価証券報告書が義務づけられているようでありますが、サラ金業界ではこれに該当するものはどれぐらいあるのか。
また、銀行との対比において大手サラ金四社の収益状況を見ると、経常利益でも大手銀行並みの収益がある企業もあるわけでありますが、これらの企業は当然上場すべきではないか。大蔵省としても上場すべく指導していくべきだと思うが、その点のお考えを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/63
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064・水野繁
○政府委員(水野繁君) 先生御指摘のとおり、店頭登録会社には有価証券報告書の届け出義務がございます。店頭登録会社というのは五十八年三月で百八社ございます。このおのおのにつきまして、消費者金融を会社の目的としている、ないしは事業内容としているもの、これを調査いたしましたけれども、五十八年三月末現在ではゼロでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/64
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065・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 大きなサラ金業者に対して上場を指導すべきではないかというふうな御指摘でございますが、株式会社の株式を上場するかどうかにつきましては、証券取引所の定めます上場規程に基づきまして、それぞれの企業が独自に判断すべきものと考えられるわけでございますので、私どもはこの上場につきまして、貸金業者に対する指導といたしまして、これを促すというようなことはちょっと適当ではないのではないかというふうに考えております。
なお、その御質問の趣旨が、サラ金業者に対しまして十分な監督を行うべきであるということでございますれば、本法施行後におきまして、本法によりまして十分な指導を行ってまいりたいと、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/65
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066・塩出啓典
○塩出啓典君 それから本法律案の第三十条において過剰貸し付けの防止というのが規定されておるわけでございますが、何を基準として過剰貸し付けとするのか、支払い能力の有無の基準はどうなるのか。しかもこの過剰貸し付けには罰則がない。これは提案者にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/66
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067・大原一三
○衆議院議員(大原一三君) これは大分議論のあったところでございまして、せんだってからもこの規定が非常に抽象的でわかりにくいというお話でございますが、これはとにかく相対の話でありまして、借り手の返済能力が基本になると思います。これはやっぱり社会一般の通念で解釈する以外にはないんではないかというふうに考えております。この罰則規定がこれについてはないわけでありますので、何を過剰だとこう言うのか、貸したときは過剰じゃなかったけれども返済するときはずいぶん過剰になったという人もあるわけでありまして、実際問題としてなかなか規制がむずかしいわけでございますが、私たちは社会一般の通念で返済能力があるかないかを基準に考えるべきものであると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/67
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068・塩出啓典
○塩出啓典君 それから取り立て規制の問題でございますが、これは警察庁にお尋ねをいたします。
先般もテレビで見ておりましたら、あるサラ金に追い立てられて家出をしたというそのニュースで、ぱっとテレビに写ったのがその人のアパートの前のビラで、大きな字で、ここでは言えないような言葉が書いてあって○○商事、こういうビラを張りつけておったわけです。そういうようなのは、現在の法体系のもとで取り締まれるのか、もちろん暴力は取り締まれると思うんですがね。さらにこの二十一条によってどこまで広がるのか。この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/68
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069・仲村規雄
○説明員(仲村規雄君) 現在の警察といたしましては、貸金業者の不法な取り立てに関しましては、刑法の脅迫とかあるいは恐喝、暴行傷害罪、あるいは暴力行為等処罰ニ関スル法律、こういったものを適用いたしまして検挙してまいったところでございます。お話のようにビラを張りつけておるというような行為につきまして、残念ながらまだ検挙した事例についての報告は受けておりません。
ただ、新法によりましてどうなるかということでございますが、現在刑法等で問擬できないような問題につきまして、あるものにつきましては、新法の二十一条を適用いたしまして検挙できるものもあるいは出てくるのではないかなと、こう思いますが、ただ、今後の事案につきまして実態に即して判断しなければなりませんので、直ちにここでどういうものが該当するということはちょっと申し上げられないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/69
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070・塩出啓典
○塩出啓典君 いま言いましたように、たとえばある女性がおりまして、その女性のアパートの前にたとえばこの悪女、○○商事と、こう書いたビラを張った場合、これは警察に届け出れば、たとえば軽犯罪法か名誉棄損かなんかに該当するものはあるんですか。いまではそういうのを張られても仕方ないんですか。いまどうなんですかね、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/70
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071・仲村規雄
○説明員(仲村規雄君) 先ほど申し上げましたように、ただいままでそういったビラを張った行為につきまして警察が検挙したという事例はございません。ございませんが、ただ先生おっしゃるとおり、内容によっては名誉棄損になることもあるいは考えられますし、またみだりに他人の家屋にビラを張るということで軽犯罪法の一条の三十三号、それに該当するものもあるいはないとは言えない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/71
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072・塩出啓典
○塩出啓典君 これは大蔵省にお尋ねいたしますが、今度二十一条ができて一歩前進しなければ余り意味がないと思うのですけれどもね。この法律の施行においてたとえばいま言った行為ですね、いままでの御答弁では、余り具体的なことを書くと頭のいいサラ金屋さんがいてその網をかいくぐるから、そのときにまた法律改正するとめんどうくさいから、そういう細かいことは法律に定めないで何らかほかの方法で規制をするというのですね。そういうことができるのかどうか。もちろん借りたものは返さなくちゃいけないと思いますがね。だけど、いま言ったように、その人がもうそこにおれなくなるような、家出をしなきゃならぬようなそういうやり方というのは、やっぱり規制をしなければ、この法律は一歩前進と評価するにしては非常にむずかしい状況になると思うのですがね。その点はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/72
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073・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 先ほどもお答え申し上げましたが、確かに法律によりましてそういう規定を置くことが大変いろんな問題がございますのでむずかしかろうということは申し上げましたが、今後政省令、通達をつくる段階におきまして、行政的にそういうふうな法律に盛られました趣旨が実効が上がるような方向で行政的な対応をしてまいらなきゃいけないというふうに私ども考えているわけでございまして、政省令、通達、どの段階になるかは別といたしまして、そういう行政指導の段階におきましては、具体的なこともできるだけ例示いたしましてその具体的な指導というものをしてまいりたいと思っておりますし、またいろいろな情報等が今後は私どもにも集まってくるでございましょうから、警察等を初め、関係省庁ともよく連絡をとりながら法律の趣旨が十分生かされるような対応の仕方を考えてまいりたい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/73
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074・塩出啓典
○塩出啓典君 これは大蔵大臣に要望しておきますが、大蔵大臣、私はこの強制取り立てについては、こういうことはしちゃいかぬとここに歯どめをぴしっとかけることが、これは非常に大事だと思うのですよ。もし借りたものを返さないならばちゃんと冷静に裁判なりそういうものをもって取り立てればいいのだから、それを暴力とかおどしとか、そういうようなことでともかく取るというようなそういうような行為を許すならば、業者も非常な過剰貸し付けにも走るわけで、そのあたりを厳しくしておくと、これは貸すときにも注意せんと取れなくなるぞ、そういうことで、二十一条を厳格にやるということは、この過剰貸し付けなりそういうものを防ぐことにも逆になってくるのじゃないかと思うのですがね。その点はひとつ、いま銀行局長からお話がありましたように、この法律の趣旨が生かされるように行政当局において努力してもらいたい。この点をお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/74
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075・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは銀行局長からもお答えを申し上げましたが、その趣旨はしかと承らしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/75
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076・塩出啓典
○塩出啓典君 それで、このサラ金の被害をなくするには、借りる方も悪いというか無知というか、そういう点が非常にあると思うのですね。また現在サラ金に追われて困っている人でもその解決の道がいろいろあるのに知らない。もっと安いところもある。安く借りるところもあるわけですし、また現在ならば返還請求もできる、そういうことも知らないで苦しんでいる人も非常に多いわけであります。そういう意味で、私はこの法律をつくることも大事ですけれども、さらに国民にPRをし、国民がそういう悪い人にだまされないように、このようにしていくのも私は政府の努めではないかと思うのですね。
各地の弁護士会等で、広島でもやっておりますが、サラ金の一一〇番とか、こういうものをつくっていろいろやっておるわけですが、私は国においても地方自治体においても、テレビでもっとPRするとか。PRというのは、サラ金業者のPRではなしに、こういうようにすればいいんだということです。業者のPRばかり先立って、本当に賢明な生き方というか、サラ金救済はこういう道があるとか、こういうようなPRにもっとぜひ政府は努めるべきじゃないか。これは大蔵省の問題でないかもしれませんが、中曽根内閣の重要な閣僚の一人である大蔵大臣としても、このサラ金法案の審議の経過を踏まえて、法律を通すだけじゃなしに、国民へのPRというか、そういうものに取り組んでもらいたい。この点をお伺いして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/76
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077・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは政府には政府広報というものもございます。これがよしんば議員立法であろうとはいえ、責任を持って政省令をつくり、そして執行の責任に当たる。大蔵省といたしましても、これのPRにつきましては、万全を期していかなければならない課題であるということは十分に心得させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/77
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078・近藤忠孝
○近藤忠孝君 最初に銀行局長に質問いたしますが、適正金利についての質問、いろいろありましたが、どうも答弁がよくわかりませんですね。問題は二つあると思うんですよ。
一つは、局長言うとおり、貸す側と借りる側との資金の需給関係、それからもう一つは、貸す側のコストの問題。確かにこの需給関係についてはなかなかつかみづらいものがあると思うんですよ。しかし、コストの問題につきましては、すでに上田教授からも具体的な数値が大変科学的根拠をもって示されてますね。これはわかるのじゃないかと思うんです。
そこで、一つお伺いしたいのは、前回三月三日に上田教授がここで示された試算、二十五万円以下の部分が三〇・九%、二十五万円超一四%という場合に、いろいろコスト、たとえば人件費とか宣伝広告費あるいは貸し倒れ損失等、いろいろ具体的な数字を挙げています。これについてはどうですか、根拠があるんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/78
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079・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 上田先生の御試算は一つの御試算かと思うわけでございますけれども、この金利の問題といいますのは、先ほど来申し上げておりますようにまことに複雑多岐な要素によって決まってくるわけでございます。特に二十万件もあるような貸し金業者に対する金利につきまして、一定の何か一つの基準というようなもの、あるいは一つの数値というようなものがはじけるかどうか、これは非常に大きな問題でございまして、それこそ大貸金業者から本当に個人の小さなところもあるわけでございますので、私どもといたしまして、そのどこが適正な数値かということにつきましては、少なくとも行政当局としては責任ある教値をお示しすることができないということを再々申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/79
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080・近藤忠孝
○近藤忠孝君 ですから、いろんな複雑な要素があるうち、需給関係は確かに複雑ですよ。だけども、コストというのは客観的な問題ですね。しかも上田教授の試算というのは、大体かなり零細なところ、従業員三人ぐらいのところで出しているでしょう。
私が聞いておるのはその一つの試算ですね。だから具体的に言ってほしいんです。人件費がちょっと安過ぎるとか、あるいは貸し倒れが少な過ぎるとか、これはわかるはずです。現にこれはもうすでに前から論文が出ておることです。
それからすでに一カ月以上も前の三月三日に具体的に示されたわけですね。となれば、いまここで七〇%以上の金利になろう、下げることなんだけれども、しかしそれを維持されるということは、これはきわめて大事なことですよ。しかも大蔵省所管になる。なれば、大蔵省としては、具体的にそういうものが示されている以上、それに対して調査をし、検討をし、そして一定の見解を持ってしかるべきだと思うんです。そういった調査は全然
してないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/80
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081・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 従来の私どもに与えられました権限のもとにおきましては、なかなか調査というものにつきましても行き届きにくい面があったわけでございまして、現在、私どもといたしまして、そういう数値を把握いたしまして責任あるお答えをする段階にはないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/81
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082・近藤忠孝
○近藤忠孝君 じゃもう一つ別の角度から聞きますが、局長は一応その上田私案について貴重な意見として拝聴したというので、全然これがインチキな数字じゃないということはそれなりに評価していると思うのですね。ですから、これが間違った数字だという根拠もないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/82
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083・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 間違ったということは何とも申し上げられないわけでございますけれどもまことにこれを基準にいたしまして行政ができる数値であるとは申してもいないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/83
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084・近藤忠孝
○近藤忠孝君 私、別にそれによって行政をやれということじゃない。上田教授の試算はたとえば三〇・九%です。わが党は四〇%という考えを持っています。その差はあっていいんですがね、行政というのは。
だから、私が聞きたいのは、上田教授の出した金利によって倒産する、営業できていけない業者がどれほどおるのか、逆に言えば。大部分はやっていけるのじゃないでしょうか。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/84
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085・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 率直のところ、私どもが実態調査をいたしましても、なかなか悉皆的な調査もできにくうございますし、ここでもって上田先生の数値を基準にいたしまして、それじゃこれ以上ならどうか、以下ならどうかというふうな具体的なお答えをする資料といいますか、判断材料を持ち合わせてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/85
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086・近藤忠孝
○近藤忠孝君 ということは、ますます国会として、これは委員長に申し上げますけれども、集中的にこの問題を議論する必要があるということを私は申し上げて、これ以上質問しませんから、大変残念ですけれども、次に入ります。
そこでもう一つはこの暴利の問題ですが、資金量ではきわめて少ない、大手銀行に比べて少ないサラ金業者が大手都市銀行の下位行とほぼ同じ経常利益を出しているという指摘があったわけですね。結局そのかなりの部分が暴利ではないかと。
そこでお伺いをしたいのは、これがごく少数のたとえば暴力団に関係するとか、そういうごく少数の例外的な業者だけの問題ではなくて、現在社会的に問題になっているのは、武富士とかプロミスとか、いわゆる大手四社も含めて業界全体としてそういう暴利が問題になり、特に最近の新聞記事などはよく武富士が出てきますね。週刊誌もにぎわしている。これはきょうの新聞記事ですが、武富士が少年にまで金を貸して、これが検挙されたと、そういったことも出ています。となると、大変好ましくない実態というのは一部の業者だけじゃなくて業界全体じゃないか、こう思うんですが、その点の認識はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/86
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087・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 確かに私ども所管しております金融機関等の収益状況に比べまして、千億、二千億の資金量でこれだけの利益が出るというのは、私どもの感覚から言いまして、大変利益が出過ぎているという実感は持っておるわけでございます。ただ、私どもといたしましても、現在有価証券報告書等からごく一部の業者についての数字しか把握していないわけでございまして、いま御指摘のように、サラ金業界全体についての収益状況についての御答弁は、私ども現在までのところ数字的にはお答えはできないような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/87
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088・近藤忠孝
○近藤忠孝君 そういう暴利をさらに裏から支えているものが銀行からのサラ金業者への融資の問題だということは、私は前回も指摘しましたし、予算委員会でも指摘されています。
そこで、これは最近「政界往来」という雑誌五月号ですが、その中の「サラ金への融資銀行全リスト」ということで具体的に全部出ているのです、融資した銀行と金額までね。これは事前に言っておきましたので局長ごらんになったと思いますけれども、これは大体事実に合っているのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/88
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089・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 特に本件につきまして、私どもといたしまして具体的に金融機関に照会をいたしたわけではございませんで、この数値については確認はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/89
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090・近藤忠孝
○近藤忠孝君 じゃ、これについては確認していなくても、大蔵省としては調べる機会があるわけですからね。
そこでお伺いしたいのは、ここで都市銀行で名前が見えているのは、第一勧業とか太陽神戸銀行、富士銀行などいわゆる都市銀行ですね。あとは相互銀行、信用金庫が多いんですが、それからもう一つは外国銀行が多いんです。これは私はかなりサラ金業者に対する融資の中の全体的な傾向と思えるのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/90
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091・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 個別な話は具体的に把握しておりませんが、一般論として外銀の融資が多いということは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/91
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092・近藤忠孝
○近藤忠孝君 それから相互銀行、信用金庫などはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/92
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093・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 信用金庫につきましては、さほどという話は聞いておりませんが、相互銀行が比較的出ておるということは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/93
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094・近藤忠孝
○近藤忠孝君 そこで、大臣にお伺いしたいのは、このように金融機関から直接あるいは中間のいろんなペーパーカンパニーなどを通じていっているということはもう常識なんですね。
そこで、いまの状況からいきますと、昭和六十年度で五兆円、現在三兆円経済と言われています。ところが、これが昭和六十年で五兆円、六十五年には十兆円になるかもしれぬという、またしようという、そういう動きもあるわけですね。そして銀行がどんどんこんなに資金を供給していますと大変な事態じゃないか。仮に十兆円にいたしますと、金利が約五〇%になりますわね。その当時、五〇%になるか、大体そんなものです、まだ四〇%にするかしないかわからないわけですからね。そうしますと金利だけで五兆円ですよ。そのうち暴利と思われるのは、私がちょっと計算すると約二兆円ぐらい適正金利を超えるもの、上田教授の計算による適正金利を超えるもの二兆円。こんな金が国民、庶民からどんどんどんどん巻き上げられているわけでしょう。こういう事態を大蔵大臣として放置できるんだろうか。現に銀行に対してすでに通達が出ておるようですが、私はいまこそこういう状況を予測して大蔵省としてはきちっとした措置をとるべきではないかと思うんですが、御見解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/94
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095・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 再三申し上げるようでございますけれども、消費者金融というものに対する現行金融機関のおのずからの限界、ある意味においてそこにある種の必要性というものが存在し、そしてそれが多様化するニーズの中で好ましくない方向へ行ってきた。いまその五兆円、二兆円というものに対する判断は即座には私にはつきません、計算しておりませんので。このような法律がベストであるかベターであるかというのは、その人の判断によって異なりますが、このハウスの意思によって法律ができることによりそれらの弊害が除去されるであろうし、その法律の趣旨に沿ってわれわれもまた、政省令はもちろんのこと、それに対応する努力、執行の責任者としてやっていかなきゃならぬ課題だというふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/95
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096・近藤忠孝
○近藤忠孝君 私は前に申しましたけれども、四十三条による被害者救済の道をふさぐ大変な悪法であるという面が本法案の一番中心だと思うんですが、一面、業者に対する規制、チェックが前進面と言われておるのですが、私はなかなか期待しにくいのじゃないかと思うんです。その一つ、これは貸金業界にかなりのものを期待しておって、行政が直接なかなか手を下さないのですね、この法案は。
そこで、大蔵省からいただいた資料によります
と、大体この貸金業界の加入率がきわめて少ないのです。一番多いところ、広島で九・九、一番少ないところ福岡で三・六%です、加入率が。大東京で四%、全国平均で六・九%なんですね。こんなわずかの加入率、だから実際業界を把握し切れているところがないのですね。そういうところで果たして自主的な規制が期待できるんだろうか。直接行政が関与しなければこれはとてもむずかしい問題じゃないか、こう思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/96
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097・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 御指摘のとおり、協会の運営を通じましてこの指導いたしてくる分野というのが非常にウエートが高いわけでございます。したがいまして、現在の庶民金融業協会は先ほど申し上げましたけれども、まだ非常に手薄といいますか、組織についても弱い状況でございます。そのために、私どもといたしましては、本法案の実施運営の過程におきましてできるだけこの協会への加入者をふやすような方向へ努力してまいる。ただ、この辺は大蔵省だけではとても実効を期しがたいわけでございますので、都道府県等とも十分な連絡をとりながら協会加入率のアップに努めるということに努力いたしたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/97
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098・近藤忠孝
○近藤忠孝君 それは努力する気持ちはわかりますがね、そうしなきゃこの法案の目標、目的を達しないわけですから。ただ、基礎の数字はこんなに低いのですから、とてもとてもこれは気の遠い話じゃないかというぐあいに思うのです、時間の関係で数字は省略しますが。
行政の直接の関与というのはほとんどないわけでしてね。現状では都道府県への大体届け出事項、今度が登録の受理になるわけですが、大体いまの都道府県に聞いてみますと手いっぱいだというのですね、それだけで。それからそのほかに相談が相当多いそうです。東京で申しますと五十五年に千件、五十六年千五百件、五十七年二千二百件とどんどんふえて、四人の職員がいますが、もうその対応で手いっぱいだという状況です。そのほか指導の内容とか、実際調査といいましてもとても手が回らないというのですよ。前回、予算と人員の規模を聞きましたけれども、とてもそれでは——たとえば一財務局当たりにしたって本当にわずかな一人ふえるかふえないかの問題ですね。とてもこれではむずかしいのじゃないか。
そこで、一つお伺いしたいのは、今度の法案によって都道府県の所管から大蔵省に移るもの、それはどれぐらいになるのか。全体なかなかむずかしいそうですけれども、たとえば東京、大阪でどれぐらいになるのか。これはわかると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/98
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099・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 大蔵省所管の業者は、都道府県をまたがる業者になるわけでございまして、具体的に現実問題としてどれぐらいの数になるかということは、いまの段階では実はつかんでいない状況でございまして、法案成立後に早急に都道府県等とも打ち合わせしながら実態をつかみたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/99
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100・近藤忠孝
○近藤忠孝君 どうしてもこういう行政改革の折ですから、莫大な相当多くのものが大蔵省の所管となっても、恐らく予算つけた人員がふえるはずでもないと思いますね。私は実際上なかなか業者に対する指導なりチェックがむずかしいのじゃなかろうか。業界の実態は先ほど言ったとおり、それから行政の対応もそのとおりということでは、大変これはむずかしいということを指摘せざるを得ません。
時間の関係で次に進みますが、発議者にお伺いしますけれども、一つは四十三条の関係でこういう答弁をされておるのです。現在は超過利息は返還請求できることになっている、それが業界に大変厳しいのだと。だから四十三条を設けたのだという趣旨だろうと思うんですね。そうでなければ業者が言うことを聞かないのだと私は思うんです、発議者の立場から言いますと。ところが、実際どんな意味で厳しいんだろうか、利息制限を超えているのを承知で貸したのですから、だから当然請求されれば判決どおり、最高裁判例どおりこれはもうしようがないのじゃないかと思うんですね。それがどうして厳しいんだろうか。そして、その適用を受けるそういう返還請求をされて困るような業者がどれほどおるんだろうか。そのことによって倒産するんだろうか。私は前回も数字で申し上げましたけれども、これも上田教授の試算によると、約十三万人ぐらいが大体問題のある人ですね。私はほぼその半分ぐらいが大体いま言った四十三条関係で問題のある人だと思うんですね。そんなに多くはないんですよ。その実態をどうつかんでおられ、どういう意味で厳しいのか、これについての見解を賜りたいと思います。
そうして、もう時間ですから大臣と発議者に最後にお伺いをします。
この四十三条によって最高裁の判例をなくす、判例は一つの法秩序ですから、法秩序をなくしちゃうわけです。片や、盛んに言われているのがいま七十何%という金利の実勢、その金融業界の秩序を保ちたいということ。いわば大もうけをする、暴利をむさぼる秩序を保つために、最高裁判例によって守られている超過利息返還請求できるという法秩序が崩れちゃうんですね。その崩れることによって今後大変被害が拡大すると思うんです。深刻化すると思うんです。そういうことについての責任が、こういう法案を通す以上、発議者としてあると思うんですが、その責任をどう思うのか。大臣はその秩序をどうお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/100
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101・大原一三
○衆議院議員(大原一三君) これは先ほども議論のあったところでありますが、先生も御案内になっていると思うんでありますけれども、五十五年のいつでしたか、業界の基準金利というものがございまして、これは各県別に基準金利を決めているわけでありますが、七四%以下というのは実はないわけなんです。業界もたくさんありますけれども、大きいところはわずかでありまして、小さいのが大部分、それの恐らくは実効金利に近いものがその基準金利に示されておると思います。そういった状況の中でこれをやっていくわけでありますから、これは金利面でも早く四〇%になっていただくことが一番いいんでありますが、現在一〇九%という金利が現にあるわけでありますので、それを段階的に下げていこう。いきなり四〇%になれれば非常にいいんでありますが、それが一つ。
もう一つは、先ほど先生は、これでは大して業界の規制にならないとおっしゃいましたけれども、銀行局の方ではこれから登録をやり、そして立入検査もできる体制ができるわけであります。立入検査は行政当局がやるわけであります。そういったことで、違法者に対しては業務停止、取り消しと、いままでにない厳しい規制が行われるわけでありますので、そういう意味で実効金利がそういう高いものであれば、それを下げていく過程で、しかも監督は非常に厳しいという条件の中でやっていくんでありますから、これに正直に従っていく業者、全部が全部悪いんじゃありませんから、これに従って体制をこの法律に順応さしていこうという業者に対して、常に金利を不安定な状況にして返還請求ができるというのは、業界指導のこれからの体制の中で不適切ではないかという考え方でこの四十三条を設定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/101
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102・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 最高裁判例、それが法治国家の中で一つの法体系の秩序を明示するものであると、その議論を私は否定はいたしません。しかし、それらの問題をも御勘案の上に立ってこういう議員立法で新しい別の角度からの秩序が立てられていくということ、それと最高裁判例そのものとの矛盾性はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/102
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103・柄谷道一
○柄谷道一君 本法案は八十七国会で各党から法案が提出され、これが廃案になりまして以来、サラ金苦に対する社会的批判が強まっている中で、今日まで貸金業に対する規制の立法措置がとられた、そして規制法の早期制定を望む世論は高まっている、私はこう認識をいたします。今回の提出法案は私自身も決してベストなものとは考えてはおりませんが、現状と比べて債務者保護が前進するものとして、現状と対比しつつわれわれは衆議
院段階で賛成をしたものでございます。そしてその背景には、今後逐次法改正を積み上げてより完璧な法律にする努力を続けなければならない、こう思っているわけでございます。この姿勢は本院でも貫きたいと思いますが、ここで問題になりますのは、最高裁の判例といわゆるグレーゾーン金利の関連でございます。私はこの点について三月三日の本委員会でも質問に取り上げたところでございますが、再度大臣に確認をいたしたいと思います。
それは貸金業者に対して登録制を導入し、厳正な業務規制を実施し、かつ刑罰の対象となる上限金利を段階的とはいえ相当程度引き下げるという制度的な枠組みをつくり、その枠組みの中で債務者の自由意思に基づいて契約した内容を任意に履行した場合に限り、貸金業者が書面交付義務等を遵守している場合には、その取り戻しを認めないと、こういうものでありまして、本法によって返還請求が認められなくなるのは、さきに申しました要件、すなわち任意の支払いと本法の書面交付義務等の規制遵守に従った者に限られます。同時に、依然として任意かどうか、規制遵守に従った者かどうかについて債務者に争う余地が残されており、かつ債務者が利息制限法の制限を超える金利の支払いを拒否した場合、これに対して強制執行ができないことは現行と変わりがない、こう私は理解いたしますが、大臣の認識もそのようでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/103
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104・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 御指摘のとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/104
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105・柄谷道一
○柄谷道一君 大臣もそのように認識されておるということであれば、私は本法は債務者保護の面が配慮されている。したがって、立法政策としては現実的であり、かつ合理的な一つの方法だと思います。
ところで、遅延損害金につきましては、本則の四〇%の金利が適用される時期にはグレーゾーン金利はなくなるわけでございます。その意味では返還請求の論議は経過的なものになると、こう思うのでございます。肝心なことは、本法案ではその時期が「別に法律で定める日」となって、明定されていないことでございます。これを明定することがベストである。しかし衆議院段階の審議過程から、それが困難であるとしても、できる限りこれを速やかに定めるという立法府としての意思の統一が必要だと、こう考えるわけでございます。
そこで具体的に質問したいんですが、本法案では、法施行五年経過後の時点で「経済・金融情勢、貸金業者の業務の実態等を勘案して」法律で「速やかに定める」と、こういうことになっておりますが、その際「別に法律で定める」ということの中に、議員立法のみならず、内閣による法律案提出も当然含まれるものと考えますが、いかがか。
また、金融情勢等の動向次第では、法施行後五年未満でも、四〇%を上限金利としたり、四〇%を下回る金利を適用する立法措置もあり得ると考えるがどうか。
さらに、上限金利の水準を設定するに当たって、融資残高の金額に応じた段階的な適正金利を導入する考えがあるのかどうか。
以上三点について大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/105
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106・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 「別に法律で定める日」につきましては、法施行五年経過後に、その時点におきます資金需給の状況その他の経済金融情勢、貸金業者の業務の実態等を勘案いたしまして検討を加えて国会でお決めいただくものと、われわれといたしましては理解いたしているところでございます。
第二点でございますが、四〇%以下にするかどうかという点につきましては、そのときの先ほど申し上げました諸情勢のいかんによりましては、御指摘のようなことを国会でお決めいただくことも可能性としてはあり得るのではないかというふうに考えております。
それから三番目でございますが、これはあくまでも刑罰金利の規定でございます。したがいまして、当省の所管ではございませんけれども、一般論として申しますれば、出資法上の上限金利は刑罰を科す限界となるものでございますから、元本の額に応じまして段階的に規制するにいたしましても、実際には貸付契約を分割する等の脱法行為によりまして実効が上がらなくなるという面もございますので、私どもとしてはなかなか困難な問題ではないかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/106
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107・柄谷道一
○柄谷道一君 これは大臣にお伺いいたしますが、三点お伺いしましたうちの最初の点ですね、これは議員立法で決めたのだから立法府でまた決めなさいと。これは、これだけサラ金問題に対する国民の関心が高まっている中で、いわゆる行政府としては余りにも責任を回避する姿勢ではないかと、こう思うわけでございます。もちろん、議員立法でございますから、議員立法においてまた改正する、別にその日を定めるというのは当然でございますけれども、行政当局としてこれらの金融情勢等を最も的確に把握し得るのは大蔵当局なんでございますから、大蔵省がこれに積極的姿勢を示すということは当然あるべき政治姿勢ではないかと、私はこう思いますが、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/107
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108・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは通常、議員立法でできた法律につきまして、それが改正等については議員立法でお願いするという姿勢だけは持っておるべきであるが、その際、院と政府のいわば話し合いによりまして、これはむしろ政府の責任で出すべきものだというある種の了解、理解というものをいただく場合においては、これは政府提案でやる場合もございます。だが、一応従来ともハウスの意思決定の中にできたものに対する対応の仕方としては、やはりハウスでお決めになるべきものであるというたてまえだけは、それなりに私は結構じゃなかろうか。
ただ、当然そういう問題は話し合いが出てまいります。いま御指摘になりましたとおり、おまえの方がいわゆる現状の把握の問題については一番正確じゃないか、さようしからば、これはむしろ政府提案においてやるべき問題じゃないか、こういう議論が出てくる場合も、それは当然のこととしてあり得るわけでありますが、いわゆる議員立法に対処する考え方としては、国会でもってお決めいただくというふうに一応私は筋として理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/108
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109・柄谷道一
○柄谷道一君 ただいまの大臣の答弁は、いわゆるたてまえ論としては確かにそのようではあるが、決して大蔵省としては無関心にこの問題に対応するというのではなくて、立法府と緊密に連携をとって、そのタイミング等につきましてはハウスと十分に連携をとって、速やかな金利引き下げの時期を設定していくために取り組んでいきたい、こういう姿勢であることは確認して間違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/109
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110・竹下登
○国務大臣(竹下登君) この法律がこれからひとり歩きするわけでございますが、その間において、行政の立場からこれに対応していくものとして、その立法者の趣旨というものを生かしながら、絶えず綿密な連絡はとっておるべき課題であると理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/110
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111・柄谷道一
○柄谷道一君 次に、過剰融資の防止方策についてお伺いをいたします。
他の同僚議員も指摘いたしましたように、私は政治としてのあるべき姿勢というものは、高金利の恐ろしさというものを国民に正しく理解していただき、自制心を失って欲望のままに軽々に過大な高金利の借金をして、そのことによって深みにはまり込んでいくということに対して、これを防ぐということが政治姿勢としてはあるべき姿勢であろうと、こう思うんですね。
この点については政府広報等を通じて今後意見を踏まえて配慮してまいりたいという大臣の答弁もあったところでございますが、実態は今日、サラ金業界は借り入れ意欲を過度に刺激する広告を積極的に行っております。業者間の貸し出し競争をそのために激化さしているというのが実態でございます。たとえば有名タレント、漫画のキャラクターやソフトなキャッチフレーズを使いましたり、マッチ等の街頭配布を行うなどして、いかにも安心して気軽に借りられるローンであるかのご
とき宣伝を行っていることは大臣も御承知のとおりでございます。私は、このサラ金というものは広告の効果がきわめて高い業種である、朝の出勤時、マッチやチラシを配布することを休むと途端にその日の営業実績に影響してくるとも聞いております。私は、この自制心に欠ける人々の借金意欲をむやみにあふるようなサラ金独特の広告が現在大量に行われていることは問題であろう、こう思うわけでございます。
そこで、十六条の誇大広告の禁止の規定がございますけれども、私は誇大広告のみならず、このような業界の広告行為に対しましても行政当局は適正な規制を行うべきであると、こう思うのでございますが、御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/111
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112・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) まさに誇大広告によりまして大変サラ金禍が発生しているという因果関係は、私どもも十分に理解できるところでございます。新しい法律十六条にこの禁止の規定が出ているわけでございます。
先ほど来申し上げておりますように、この法律の運営に当たりましては、十分その実効が上がるように行政的にも努力いたすつもりでございますので、また半年ぐらいかけて政省令、通達をつくる段階におきまして、有効な手だてがあればそれを取り入れまして、特に今国会におきます御審議の過程でいろいろと御意見が出ておりますので、そういう点も含めまして検討してまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/112
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113・柄谷道一
○柄谷道一君 適正な行政指導が行われるものと、こう確認をいたしておきます。
そこで、五十三年三月八日に大蔵省は金融機関の貸出業者に対する融資について口頭指導を行っておられます。しかし実態は、大手五社の融資残高がこの一年間で二倍以上にふえ、かつ九百店舗もふえたということは、銀行等の融資のパイプが太くなったということを実証しているものだと思います。口頭指導は全く逆の方向に動いているというのが実態であろう。
そこで、本法案が成立した時点で政省令等が出されるわけでございますが、その際、通達も新たに出し直しが行われるものと考えますが、そのとおりか。その際、五十三年の通達は抑制的な見地から出されたものでございますが、法律施行後における通達もこの方向と変わらず、かつむしろ一層この規制を強化する内容のものと理解していいかどうか。
また、銀行は最近融資ばかりではなくて直接ないしは系列会社を通じて間接に出資を行っております。この銀行のサラ金業者への出資行為というものは両者が一種の身内関係になったことを意味するわけでございます。このような動きに対して行政当局は今後どのように対処していこうとしておられるのか。
以上の点を質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/113
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114・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) 政省令、通達を出す段階におきまして、貸金業者側あるいは金融機関側の利便といいますか、便宜というものも考えまして、統一的な通達を出し直した方がいいのではないかというふうに考えております。その際、現在あります五十三年三月の口頭通達の趣旨につきましては、私ども現在も変わりない考え方でおりますので、この趣旨の内容の通達をお出しすることになるのではないか、こう思います。
ただ、御指摘のように、必ずしもこの通達自体は抑制一本やりの通達ではございませんで、先ほど来お話に出ておりますように、消費者金融というものを健全に育てていくということも金融界におきますこれからの大きな課題でございますので、そういう意味におきましては、消費者金融が健全に育つような、良質低利の資金供給であれば、これは前向きに取り組んでいいのではないか。ただ、ここにございますように、社会的な批判を受けるとか、あるいは信頼を損なうとかというような点につきましては、公共的な金融機関としての使命にかんがみまして、これは厳に自粛する必要がある、こういうふうに考えております。
なお、サラ金業者に対する金融機関の出資につきましても、同じような考え方で対処すればいいのではないか。それはサラ金業者への出資につきましても、健全なサラ金業者の育成という見地からいきまして妥当でございますれば、これは必ずしもすべて抑制的に扱う必要はないのではないか。
ただ、何度も申し上げますが、非常に問題のあるような出資等につきましては、これは当然自粛すべきであることはもちろんのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/114
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115・柄谷道一
○柄谷道一君 いま局長の答弁ですけれども、通達はここにあるんですよ。これは裏を読めば、健全な業者に対して自粛を、そして禁止したものじゃないと、こう言われるのはわかりますけれども、通達はこの「過当な収益の追求その他利用者の利益を不当に害するとして社会的批判を受けている行為を助長するおそれのある融資」、こうなっているんですね。
現に、いままでも同僚議員から多く指摘されておりますように、これが出されて以来過当な利益が膨大に上がっておる、利用者の利益を不当に害するのではないかという社会的批判が高まっておるということですから、こういう問題に対しては自粛しなさいよという通達は逆の方向に向かっている。いまサラ金の問題が第二のピークでしょう。五十三年以降第二のピークにいま逢着しておる。なるがゆえに立法府ではこの規制措置が必要だという議論がされているわけですから、余り原則的な御答弁じゃなくて、これに対しては厳正な指導内容を含んだ通達をするということが行政府の責任だと思いますよ。大臣、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/115
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116・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 御趣旨の意味は私も十分理解をしております。この問題について、これは非常に整理した言葉でもってお答えをするのが妥当でございますので、私も言葉を整理しながら、いまの御趣旨に沿うような方向で努力すべき課題であるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/116
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117・柄谷道一
○柄谷道一君 私はさらに立入検査、業務停止命令、登録取り消し等について統一的な指導監督体制を確立する必要があること、アウトサイダーに対する行政指導を徹底する必要があること、さらに武富士等で一部問題が出ておりますが、信用情報機関の設置とプライバシーの保護及び信用情報機関の情報悪用というものに対するチエックを厳正に行うこと及び強引な取り立て行為の規制に関する対処方法等を質問予定し、通告をいたしておりましたが、時間が参りましたので、これは前回の質問の中でも篤と触れたところであり、以上の点について今後出される政省令の中で私の意向も十分組み入れた内容が確立されることを希望して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/117
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118・野末陳平
○野末陳平君 私は、庶民金融に社会的なニーズがあると、それなりの役割りというものを認めるわけなんです。四、五年前にもこの委員会で、業者に銀行がかなりの融資をしていて、いずれ大問題になるからというようなことも言っていたんで、ここで法律がいろんな形で議論を呼んでいることは非常にいいと思っているんですが、さてこの中身ですね、いろいろな社会的役割りがあるだけに、この庶民金融をどうするか、サラ金をどうするか、どう規制するか、この法律の中身はしっかりしたものにした方がいいという前提で二、三質問したいんです。
金利のことは、大分出尽くしたようですから、もう触れませんけれども、いまの法案の中身はちょっと満足できかねるところがありますね。そこで一番お客と密着している広告あるいは取り立て、そういうことで質問したいんです。
で、十五条ですが、先に大蔵省に聞きますけど、この十五条に「貸付けの利率その他大蔵省令で定める事項を表示」とありますが、その他どういう事項が法律成立後に考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/118
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119・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) この点につきましても、現在私どもあらかじめいろいろ議論はいたしているわけでございますけれども、具体的内容につきまして、いまここで大蔵省令で定める事項についてどういうことを考えているのかということにつきましては、お答えできるまで煮詰めておりませんので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/119
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120・野末陳平
○野末陳平君 ちょっと私が考えていることを二、三言ってみますけれども、これは十六条もひっくるめて聞いてほしいんです。
サラ金の広告は大分変わってきているんですね、時代とともに。初期のころは、要するに利息が安いんだ、たばこ一箱分だとか、そういうような言い方をしてきたんですが、最近はもうムード広告ですよ。いま柄谷委員の質問の中にありましたけれども、要するにムード広告になっている、世の中全体がそうだから。サラ金の広告は、十六条に「誇大広告」とありますが、ここに触れるような明らかにいいかげんな、数字を出すようなのは、これからはないですよ、まともな普通の業者は。むしろ誇大広告とは何かというところで非常に微妙になってくるだろうと思うんですよ。
そこで、これから私のちょっと考えているところを今後大蔵省に検討してもらい、「貸付条件の広告」の中に入れるべきではないかということですがね。サラ金の利口な利用者は早く返す。早く返せば何ということはないんで、利用価値があるんだから問題ないんですね。一番の問題は、要するにうかつな、あるいは無知な、あるいは欲が深過ぎてちょっとどじな、そういうのがはっきり言って一番カモになっているわけで、そこを救うのが法律だからね。
そこで、早く返せば確かにこのぐらいだというのを利率で示してもだめなんです、上限がこれだけだって。そうじゃなくて、幾ら借りたものがどれだけの利息になるか。ここでしょう。いまの広告は、早く返したという前提でつくっているんだね。早く返したら大した利息じゃない。ところがだんだん返せなくなって、一年、二年に及んだときに物すごくふくれていくという部分までも、つまり利息額のふえ方というか、そういう警告を発するということは、業者は嫌がるだろうけれども、やっぱり必要じゃないか、検討に値するんじゃないかなと、こう思うんですよ。ですからサラ金のこわさというのは、長くなってほっとくと、無自覚にずるずるしちゃうと、えらいことになるんだと。この恐ろしさを業者自身もなるべく避けて、早く返してもらって回転させればもうかるんですから、広告についてその辺までを考え、「貸付条件」という省令で定める事項に入れるべきではないかということですが、それについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/120
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121・宮本保孝
○政府委員(宮本保孝君) この点につきましても、現在ここでそういうふうにいたすというふうなことをお答えしかねるわけでございますけれども、できるだけこの法律の趣旨が生かされるような方向でこの国会におきますいろんな御議論、御意見を具体化できるものにつきましては具体化の方向で考えてまいりたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/121
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122・野末陳平
○野末陳平君 もっとも、いまのようなのはマッチの広告だの小ちゃいものにはなかなか入れられないからね。そうするとどの広告に入れるか、むずかしいが、検討してほしい。
同時に、大蔵大臣ね、これは大蔵省に法律成立後は責任があるわけですから、要するに無知な大衆と言っちゃ悪いけれども、無自覚に金を借りるそういう大衆に警告を発する義務があると思うんだね。さっき塩出委員からも話があったけれども、私はサラ金利用のうまいやり方というのまで教えるのはどうかと思いますよ。それは自分たちでやればいいんで、そこまで大蔵省でやれと言うんじゃないんです。でも、政府広報あたりで通り一遍にやったってなかなかそんなものじゃないですよ。何しろ便利だし、銀行が貸さないという場合にはサラ金へ行きますよ。
そこで、大蔵省のできる範囲で考えてみるとたばこに「吸いすぎに注意」なんて書いてあるじゃない、ああいう警告でもいいと思うんです。つまりサラ金が出す広告にはある程度の……(「借り過ぎに注意しましょう。」と呼ぶ者あり)そう。だから吸い過ぎの向こうを張るわけじゃないけれども、「借り過ぎには注意して」とか、何らかのキャッチフレーズ的なこと、そういうものを入れなさいよ、常に入れない広告はだめだとか、あらゆることでこの十五条を生かすということは、これは無知な大衆に対してのサービスです。これはいろいろもっとありますよ、検討に値するアイデアは。つまり業者はムード広告へ走っているんだから、こちらが決めたことをさらっと避けた広告は幾らでもできますからね。
よけいなおせっかいだけれども、この業界は自由に任しておやりなさいというようなほかの業種とちょっと違いますからね。しかも社会悪のようなものがいろいろと言われている。だから大蔵省も一言ぐらいはそういう形で知恵を出して、無知な大衆を保護してやるということに積極的に出てもいいんじゃないですか。大臣、検討の価値あるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/122
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123・竹下登
○国務大臣(竹下登君) まあ、たとえばの問題でございますが、この問題、三、四年前の話ですが、その広告問題はいま野末委員がおっしゃったような問題がそれこそ協会の名においてなされたら協会がより権威づけられるじゃないかと、こういうような議論もあったこともございますので、いずれにしても貴重な意見としてもちろん参考にさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/123
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124・野末陳平
○野末陳平君 法律の中身よりもむしろこれは省令というか、指導だと思うんですね、サラ金業界に対しての。誇大広告を言ったら切りがないんで、ついでに取り立てのところを伺います。
社会党からも修正案が出ているんですが、この第二十一条ね、この辺の書き方は、私生活あるいは平穏を害するとか、こういう書き方で、普通法律では無理ですから、余り具体的なことは書き込めないと思いますけれども、ここで大蔵省の行政指導というのは非常にむずかしいんですね。つまり警察が関知できないような形の取り立てというのが実はいま多いんですよ。全国的に業者だっていいの悪いのいろいろいて、取り立てもうまくなっている。昔みたいにおどかしてどうとか、そうはやりませんよ。結果的には借りた方はおどかされている感じですが、やり方としては実に巧妙で、これはもう変わってますよ。
電話とか、嫌がらせとか、いろいろさっきも出ましたけれども、いまなんか夜中に電報を毎日十時ごろからだっだっと打つとか、そういうやり方をやっている。一番困るのは小さいお店。資金繰りに困っちゃってサラ金から金を借りちゃう、あるいは借りろ借りろで借りちまうというそういう人たちね。そして毎晩電報。電報は郵便局から来るんだから、これじゃおどかしでも何でもない。電報が来るんだ、毎晩一時間おきに。こういうようなこと。もちろん電報料は後から請求されますよ。いろいろな業者がいて巧妙をきわめてくるとこの辺の第二十一条でこう書いてあっても、なかなかこれが実効を上げ得ないというような心配がある。
もちろん、ビラなんぞ張りめぐらして近所にいられなくなるというようなこと、その結果、小さい自営業なんか土地を取られちゃったりお店を取られちゃったり、ざらですよ、いま。一番困るのは、市とか県の商工課にそういうときになって泣き込むのだよね。そんなこと言ったってもう無理だというわけだ。もっと自覚してくんなきゃ、私たちに早く相談してくんなきゃというけれども、現実にもう夜逃げ同然でしょう。そういうのがあります。その取り立てを警察の関係、あるいは暴力的取り立て、威迫的だと言えるかどうか。あちらの方が頭いいわけだね。
となると、この辺も行政指導なのか、あるいは警察との緊密な連絡なのか、ありますが、現実に対処するには、つまり被害者をなくそうというからにはむずかしいのですね。だからもうちょっと具体的である方がいい。法律に盛り込めないまでも、指導の段階では非常に具体的である方がよりいいと思うんで、それは大蔵省よりもむしろ提案者の大原先生の方にひとつ御意見を聞いて、大蔵省に提案して後でいろいろアドバイスしてもらいたいと思いますよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/124
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125・大原一三
○衆議院議員(大原一三君) この提案は自民党だけではなくて野末先生のところも提案者になっていただきたいぐらいでございます。おっしゃったとおりでありまして、法律の書き方についていろ
いろ議論がありました、夜の十時から朝の六時まで電話しちゃいけないとか。そうすると、そのほかの時間だったら何ぼやってもいいのかというようなことになりますし、非常にむずかしいのですよ。
そこはこの法律は読めば大分きつく読めるようにもなっておるわけでありますので、先生のおっしゃいましたように「借り過ぎに注意」はどうかしりませんけれども、いずれにしても、大蔵省でこれから具体的に省令、政令でしっかり詰めていただきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/125
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126・野末陳平
○野末陳平君 私は、こういうものは中身に不満はあるけれども、成立することが業者に対しても、それからお客に対しても、自覚を促す点で非常にいいことだと思いますからいいんですが、成立した後、大蔵省の方に責任がいきますから、その点でなかなか大変だから実情を踏まえて対処してほしいと思っていますね。
それから大臣のお考えも、予算委員会でちょっとあったからあえて言うまでもないと思うんですけれども、結局サラリーマンとか、何といいますか、ある程度の返済のめどがあって利口に利用している人にとっては問題は全くないんですよ、上限が高かろうが低かろうが。しかし、そうでない人たちを救うためにはいまの金利はどうかと思うわけでして、いま一番サラ金を利用して被害を受けて問題になっている人たちというのは、そもそも低所得で生活費に食い込んじゃってて、どうにもならなくてお金欲しさにまず目先だけで借りちゃう、あるいは強引に貸してもらえちゃうというか、そういう人とか、あるいは商売やっていて、このごろ本当に小さい店だめだから、そういうところは資金繰りに困っちゃって何が何でも、信金、信組も貸さないとなれば、どこかから借りる。庶民金融ですからわりと額が大きい、百万借りてだめ、また二百万借りてと、こうなる。結局まともに相手にされない金融機関からという人でしょう。
だから大蔵省の指導で、ここは銀行も商売だからうるさいけれども、しかし銀行自体がサラ金に金貸してそれでもうけるんだったら、直接お客に貸してやるという——結局、銀行が貸さないのは情報量がないからですよ。サラ金業者はすごい情報量を持っているわけよね、お客に対しても。大変ですよ彼らの持っているデータは、いい業者は。田舎の方のかなりいいかげんなのはこれはもう顔だけでやっているからちょっとわかりませんが、銀行ももうちょっと顧客に対する情報をきちっとコンピューターに入れて、そして何というのですか、審査に手間取るような、あるいはけちつけるようなそういう営業姿勢を早く改めさして、アメリカみたいにとは言わないけれども、いま見放されてサラ金に行くしかない人たちを銀行が救うという方向で大蔵省がもっと強力な指導をしてもらいたいと思うんだね。
だから大臣はそういうことが大事だとこの間予算委員会でお答えになっていましたが、そちらの方向をやることがむしろサラ金を規制すること以上に大事じゃないか。そんなふうに思って、要望を込めて大臣のお考えを聞いて終わりにしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/126
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127・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私もこれだけ多様化したニーズにこたえるための一つの社会的責任というもの、ある意味において保護された金融機関がこれをやっていくべきだという大義名分論はそのとおりだと思うんですよ。だから、これは指導していかなきゃいかぬ、これは大事なことです。そのためには、いわば担保能力とか、いわば調査能力とか、そういうものもございます、一つは。基本的に預金者保護というのがこれほど確立した日本の国です。アメリカの場合はわりに簡単。しかし、つぶれることもアメリカの方がたくさんございますわね。そういう意味において、その辺の調整というものがいわゆる政治というものだなあ、こう感じております、平素。しかし、いまの御議論は、そういう方向でもって指導していくという努力は引き続いて払っていかなきゃならぬ重大な問題だという問題意識は私も持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/127
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128・戸塚進也
○委員長(戸塚進也君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
穐山篤君、近藤忠孝君及び増岡康治君から両案の修正について発言を求められておりますので、順次これを許します。穐山篤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/128
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129・穐山篤
○穐山篤君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となっております二法案に対し、修正の動議を提出をいたします。その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。
これより提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
御承知のように、消費者金融市場は、新規参入による供給の多様化、新商品の開発などと、消費者金融に対する認識の変化によって急成長を続けていますが、他方、小口の消費者金融部門につきましては、駆け込み参入の増加とともに、いわゆるサラ金問題は重大な社会問題にまで発展しております。借り主の蒸発、自殺、離職、離婚など、家庭の崩壊を招いている事例は後を絶ちませんし、ますます深刻化している状態にあります。
日本社会党は、このような事態を憂慮し、悲劇的なサラ金被害を早急に根絶し、あわせて病理的なサラ金業者を一掃し、貸金業界の健全なる運営を促進する見地から、早急に有効かつ適切な規制措置を導入すべきものと強く考えてまいりました。サラ金被害がこれほどまで深刻化した要因は、業者の経営基盤の脆弱や過当競争、行政当局の対応の不十分、利用者の安易な態度などの諸要因の相乗作用によるものと思われます。特に、最近は急激な支店の開設、ノルマの付加などが一層拍車をかけている状況にあります。
本問題に取り組むに当たりましては、まず第一に不当な高金利による貸し付けを禁止すること、第二に利用者の資力、返済能力を無視した過剰貸し付けを防止すること、第三には利用者などに対する暴力的な取り立て行為を厳禁し、業務上及び私生活上への不当な影響の防止に努めること、第四には行政当局が厳格に対応し、指導監督に努めること、以上の四点を基本的な考え方とすべきであると思うのであります。
かかる観点から考えますならば、第九十六回国会に共同提案されました衆第三一号及び第三二号は、高金利、みなし弁済、各種の規制問題など、重要課題においていまなお重大な欠陥を持っているのであります。また衆議院審議当時に比べ、その後の事情の大きな変化なども考えますならば、参議院が長期にわたり真剣に慎重審議を重ねてきたのもそのためであります。したがって、四点の基本原則をかたく重視して、細部にわたり具体的規制を取り入れない限り、実効を期待することは全く不可能なのであります。
以上の前提に立って、私はこの際、参議院が良識を発揮し、勇気を持って本法律案の内容を充実し、消費者保護の基本を実現すべきものと考えます。よって以下の諸点について修正を求めるものであります。
第一に、貸金業の開業が届け出制から登録制に改善された点は評価しますが、一定の形式が整い登録申請書に瑕疵がなければ登録を拒否することがきわめて困難と思われますので、社会的問題にまでなっているいわゆるサラ金問題を解決する第一歩は、登録に当たっての開業規制から取り組まねばその効果は期待できないのであります。そこで、一定の要件を満たすことは当然のことですが、その際、実質的な審査を厳格に行い、庶民金融業として不適当な者については登録の拒否を行う必要があります。また貸金業協会並びに同連合会の果たす役割りと責任は一段と強化されなければなりません。会員に対する指導、サービスの提供、苦情の処理など、自助努力によって体質の改善強化を図り、登録に当たって専門的見地から開業者の実質審査に当たるため、登録の申請を協会並びに同連合会とし、意見を付して大蔵大臣並びに都道府県知事に申請することとしたものであります。かかる手段を通して、業者の連合会並びに協会への加入の促進を図り、あわせて健全な貸金業の運営を図る必要があると考えるものであります。
第二に、金利規制の問題についてであります。
共同提案では、上限金利を法律施行後三年間は年率七三%に、次いで年五四・七五%に引き下げ、最終的に四〇・〇〇四%に移行するものと定めていますが、五年経過後に検討するとされており、実施時期がしかと明示されていません。これは上限金利を長期間にわたって高金利に固定するものであります。また実勢の金利も反映していないばかりか、かえって金利を高騰させる口実となり、被害を増幅することになります。サラ金をめぐる高金利による悲劇を一刻も早く解消するため、法律施行時から三年間は年率五四・七五%(日歩十五銭)、三年経過後は四〇・〇〇四%に移行すべきものと考えます。
第三に、任意弁済の取り扱いについてであります。
共同提案は、任意に支払った金利は有効な債務の弁済とみなすことにしております。これは利息制限法制定の本旨を形骸化するのみならず、同法に関連して確立されました超過利息の元本充当及び過払い金の返還を求めた最高裁判例を否定する規定と解されるものであります。みなし弁済の定めは、高金利の長期固定化のもとに巧妙な過剰融資を誘発し、その結果、強制取り立てを行うという新たな側面を持っていることに注目しなければなりません。またサラ金被害の法的救済が困難になることも明白で、消費者保護はますますむずかしくなります。したがって、現行の利息制限法を維持することが最良の政策と考え、みなし弁済の定めは削除すべきものと考えます。
第四に、誇大広告、過剰貸し付け、強制的暴力取り立て行為などについて、共同提案はきわめて抽象的であり、全く不十分と言わざるを得ません。誇大かつ不当広告の散乱を防ぎ、利用者を誘発するがごとき広告は厳禁すべきであり、そのためには広告の倫理を定め、禁止すべき広告の表現について具体的に列記することが必要であります。利用者の返済能力や資力を無視した巧妙な過剰貸し付けを行わせない手段として、保証人となる者の契約の締結の意思の確認を行うとともに、いわゆるマワシ過剰貸し付けの防止など必要な措置がとられなければなりません。暴力的な取り立てを防止するためには、深夜早朝の取り立ての禁止、電報電話による反復取り立ての禁止、多人数による取り立ての禁止など、禁止すべき行為を本法に具体的に列記すべきものと考えます。法的実効性を上げ被害を最小限度にとどめるためには、以上のごとき具体的明示が必要と考えます。
なお、昭和五十七年とあるのをすべて昭和五十八年に修正するものであります。
以上が主なる修正案の内容であります。
何とぞ慎重審議の上、参議院の良識をもって御賛同いただきますようにお願い申し上げ説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/129
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130・戸塚進也
○委員長(戸塚進也君) 近藤忠孝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/130
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131・近藤忠孝
○近藤忠孝君 私は、適正金利についての集中審議など私の申し入れが取り上げられないまま質疑終了となったことに反対であります。したがって、修正案の動議提出は意に沿わない、現在ではそういう気持ちでありますけれども、手続上やむを得ませんので発言いたします。
私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております二法案に対し、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
これより提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
小口消費者金融、いわゆるサラ金に対する有効な規制措置は、いまや社会の強く求めるところとなっております。
過去における政府機関による調査結果によっても悲惨な被害の実態や事件の背景が明らかにされてきております。
警視庁が行った調査でも五十三年の八カ月間でサラ金に起因する自殺者が百三十人、家出人が一千五百二人という驚くべき数字とともに、暴力団関係の営業が三千五百四十六店に及ぶという衝撃的な事実が明らかになっています。その後、これに類する調査はありませんが、今日でも事態はより深刻化しているというのが関係する人々の定説であります。また、大蔵省が一昨年行った賃金業の実態調査で見ると、業者みずからが記入し、郵送によるという不十分な方法にもかかわらず、民事上無効となる年利二〇%を超える金利での貸し付けが六四%以上を占め、中でも年利六二・〇五%を超えるものが全体の五七%以上に上るなど異常な高金利の横行を裏づけています。そればかりか、契約書を交付していないものが一八・八%、受領書を交付していないものが九・三%など、常識を超える業界の業務実態の一端が示されております。
自殺や心中、夜逃げなど悲惨なサラ金地獄を引き起こす原因の第一は、異常な高金利の野放しであります。現在年利二〇%を超える金利は利息制限法によって民事上無効とされており、支払いを遅延した場合でも最高倍額の四〇%とされております。ところがサラ金業界においてはその不法ぶりを取りざたされておりながらも、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の上限である年一〇九・五%に近い金利が多くあるばかりか、悪質な場合にはそれをはるかに上回るものさえ少なくありません。借り受け者である一般市民が高金利の重圧のもとで返済不可能な事態に陥るのも至極当然であります。
第二に、現行の届け出制のもとでは自由に開業できることであります。都道府県知事に届け出さえすれば何の制限もなく開業できるため、資金源確保のための暴力団の参入や、悪質業者の開業が野放しとなっているのであります。
第三に、業務規制が全くないことであります。このため過剰な貸し付けや強迫的取り立てなど違法、不当な行為の常態化を許す結果となっております。
サラ金規制立法は、これらの諸点に抜本的なメスを入れたものでなければ、真に有効な規制措置となり得ないことは明白であります。
ところが、二会派提出の二法案は、消費者、国民の立場に立つものでなく、むしろサラ金業者の利益を守ることに重きを置くものとなっております。
その問題点の第一は、出資法の改正案で当面年七三%もの高金利を公認し、三年後でようやく五四・七五%、ところが法文に明記されている四〇・〇〇四%への移行については、別途検討し、法律で定めるとして不明確なままにしております。
年利七十数%が大半となっている今日でも、サラ金をめぐる悲惨な事件が頻発している現状にかんがみ、とうてい認めがたいものであります。
第二は、貸金業法案で、契約書や受領書を交付するという当然の業務手続を条件に、利息制限法、最高裁判例の適用から除外することにしている点であります。これは被害者救済の道をふさぎ、債務者、弁護士などが悪質業者と闘う武器を奪い去るものにほかなりません。返済に行き詰まってしまえば、あとは自殺か夜逃げか破産しか道がなくなるのは明らかであります。
第三は、貸金業法による業務規制がきわめて抽象的である点です。これによっては、貸し付けの額も期間も規制されず、物品抱き合わせなども禁じられていません。早朝、深夜取り立てや、子供や親族への嫌がらせ、第三者からの借り入れによる返済なども野放しのままであります。
わが党は、かかる二法案に断固反対し、真に消費者、国民の生活と利益を守ることができる法案とするため、その全部の修正を行おうとするものであります。
以下修正案の概要を御説明申し上げます。まず、貸金業の規制等に関する法律案に対する修正案についてであります。
本修正案では、貸金業の規制等に関する法律案を全部修正し、小口消費者金融業法案とすることとしております。
小口消費者金融業法案では、物上担保なしの個人に対する金銭の貸し付けを業として行うものを小口消費者金融業とし、他の貸金業とは別に、大蔵大臣または都道府県知事の免許を受けることを
義務づけております。免許の際には厳正に審査し、禁治産者や禁錮刑受刑者などとともに不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者には免許してはならないこととしております。
貸付業務については、一営業所から一借り主に対する貸し付けは百万円を限度とし、貸付期間は二年を超えてはならないこととしたほか、未成年者、学生など弁済資力のない者に対してみだりに貸し付けることや白紙委任状の徴収、物品購入等の要求行為を禁ずるなどによって不当な貸し付けを規制することとしております。
取り立てに関しては、正当な理由がなく、早朝または深夜に、借り主、保証人またはこれらの者の縁故者の住居を訪問することや、債務のない縁故者に対する支払いの強要、借り主、保証人、縁故者を威迫し、またはその私生活や業務の平穏を害するような言動、第三者からの借り入れによる返済の強要などを禁じております。なお、返済のあった時には領収書を交付することを義務づけております。
また、利用者の保護を図るため、業者は営業所ごとに、利率、利息計算方法等を掲示することとし、広告においても所定の事項を明示しなければならないことにしております。
監督については、業者がこの法律や他の法律に違反し、業者として不適当と認められる場合には、大蔵大臣または都道府県知事は必要な指示ができることとし、さらに悪質な者に対しては、業務の停止、免許の取り消しを行うこととしております。業者の不正、不当、不誠実な業務行為についてはだれでもが大蔵大臣、都道府県知事に申告し、改善措置を要求できることとしたほか、大蔵大臣、都道府県知事は事業年度ごとに業務報告書を徴し、必要に応じて指導や報告の徴収、立入検査等ができるようにしております。
最後に、罰則については、不正手段による免許取得や無免許営業、名義貸し、業務停止命令違反に対し、併科を含めて、三年以下の懲役または三百万円以下の罰金に処するなど、所要の規定を定めております。
次に、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案についても、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の一部を改正する法律案として全部を修正することといたしております。
出資法第五条第一項の刑事罰の対象となる金利の上限を現行の年利一〇九・五%から四〇・一五%に引き下げることとしておりますが、これは異常な高金利の引き下げとともに、利息制限法第四条で遅延金利など賠償予定額の最高限を利息制限法金利二〇%の二倍、四〇%までとしていることにかんがみてとった措置であります。これによって、四〇%を超える高金利は処罰対象となり、経済実態に見合った金利が実現することになります。さらに罰金額は最高百三万円まで引き上げを図ることといたしております。
なお、この二つの修正案は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上が本修正案の内容でございます。
何とぞ慎重審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/131
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132・戸塚進也
○委員長(戸塚進也君) 増岡康治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/132
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133・増岡康治
○増岡康治君 私は、両案に対し、自由民主党・自由国民会議を代表して、修正の動議を提出いたします。
その内容はお手元に配付したとおりであります。案文の朗読は省略さしていただきます。
これより提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
御承知のとおり、この両案は衆議院議員提案として、第九十六回国会、昭和五十七年八月三日提出せられ、八月五日衆議院本会議可決、本院においては第九十六回国会、第九十七回国会継続審査となったものでありますが、第九十八回の今国会、昭和五十八年の今日まで審議がなされ、質疑の終局を迎えたものであります。この時間的な推移に伴って、事務的な修正の必要が生じたというのが提案の趣旨であります。
すなわち、その修正内容は、原案では「貸金業の規制等に関する法律(昭和五十七年法律第号)」、「金利等取締法昭和五十七年改正法」等の文言が出てまいるものでありまして、これらについて「昭和五十七年」を「昭和五十八年」に改めようとするものであります。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/133
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134・戸塚進也
○委員長(戸塚進也君) ただいまの三修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もないようですから、三修正案に対する質疑は終局したものと認めます。
なお、両案及び三修正案の自後の審査は次回に譲ります。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109814629X01119830414/134
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