1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十八年四月二十六日(火曜日)
午後一時三十二分開会
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委員の異動
四月二十日
辞任 補欠選任
井上 裕君 中村 禎二君
佐々木 満君 三浦 八水君
関口 恵造君 古賀雷四郎君
田代由紀男君 藏内 修治君
円山 雅也君 田原 武雄君
伊藤 郁男君 柳澤 錬造君
四月二十五日
辞任 補欠選任
柳澤 錬造君 伊藤 郁男君
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出席者は左のとおり。
委員長 下条進一郎君
理 事
岡部 三郎君
高木 正明君
初村滝一郎君
鶴岡 洋君
委 員
大城 眞順君
熊谷太三郎君
古賀雷四郎君
田原 武雄君
中村 禎二君
坂倉 藤吾君
村沢 牧君
中野 明君
藤原 房雄君
下田 京子君
伊藤 郁男君
大石 武一君
国務大臣
農林水産大臣 金子 岩三君
政府委員
農林水産大臣官
房長 角道 謙一君
農林水産省構造
改善局長 森実 孝郎君
農林水産省農蚕
園芸局長 小島 和義君
農林水産技術会
議事務局長 岸 國平君
事務局側
常任委員会専門
員 安達 正君
説明員
経済企画庁総合
計画局計画官 坂井 順行君
大蔵省主計局主
計官 千野 忠男君
自治省財政局調
整室長 前川 尚美君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○農業改良助長法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○肥料取締法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/0
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001・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る二十日、井上裕君、佐々木満君、田代由起男君、関口恵造君及び円山雅也君が委員を辞任され、その補欠として中村禎二君、三浦八水君、藏内修治君、古賀雷四郎君及び田原武雄君がそれぞれ選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/1
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002・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 理事の辞任についてお諮りいたします。
坂元親男君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/2
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003・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/3
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004・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に初村滝一郎君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/4
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005・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 農業改良助長法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/5
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006・村沢牧
○村沢牧君 私は、法律案審議に入る前に日米農産物交渉について大臣に若干伺います。
日米の農産物交渉の専門家会議を開催をする、その際、牛肉や六品目の輸入枠の拡大をアメリカに提案する方針を大臣は固めたというふうに報道されておりますが、まずその真意についてお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/6
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007・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) きょうから佐野経済局長がアメリカにおいて交渉を始めております。相手がどのような出方をいたしますか、相手の、米国側の出方を見ながらこちらの考え方を明らかにしていこうというようなことで出かけております。したがって、一日、二日会議を続けると何らか中身がはっきりしてくるんじゃないかなと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/7
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008・村沢牧
○村沢牧君 相手の出方待ちということであって、現在のところ輸入枠を拡大をして、そしてこの方向を見出していこうと、こういう考え方は持っておらないわけですか、持っておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/8
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009・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) それは自由化と枠の拡大と二つ問題があります。したがって、アメリカがどういう考え方で日米の交渉を始めようとしておるのかまず出方を見て検討をしようと、こういう考え方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/9
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010・村沢牧
○村沢牧君 農産物の自由化はもとよりのこと、輸入枠拡大もわが国の農業に及ぼす影響はきわめて大きく、これ以上枠の拡大をしてわが国農業を崩壊に導くようなことがあってはならない。したがって、衆参両院の農林水産委員会でも枠拡大についても慎重に扱うように決議を行っている。また金子農林水産大臣は、去る三月二十三日、予算委員会からの委嘱の本委員会で私の質問に答えて、自由化は将来とも認められない、枠の拡大も必要ない、市場開放の問題について日本政府自体、そして私自身も絶対豹変をいたしません、このようにはっきり答弁をしておるんですけれども、この気持ちには変わりはないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/10
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011・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 私はその気持ちはいまも変わっていません。ただ、中曽根総理が一月に訪米した折に、枠の問題については専門家で冷静に今後検討を続けようということを取り決めてきておりますので、それがいま行われておる、このようにお考えになっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/11
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012・村沢牧
○村沢牧君 しかし、いままで各報道機関の記事を見ると、政府が与党とも話をして枠拡大で譲歩
をする、あるいはまた大臣は、私の責任で自由化はしないけれども牛肉や六品目の輸入枠拡大を提案して決着をいたしたいというようなことを報道されていますが、これらの報道はあれですか、正しく大臣の考え方を伝えておらないというふうに理解していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/12
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013・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) いろいろ新聞には書いておりますが、どの新聞にどのように書いていますか、私は全部の新聞を目を通しておるわけじゃありませんので、新聞の内容をひとつもう一遍読んでいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/13
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014・村沢牧
○村沢牧君 新聞の内容はともかくとして、輸入枠拡大をして日米農産物交渉に決着をつけるという考え方を持っているのかどうか、そういう方向で進んでいるのかどうかもう一度はっきり答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/14
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015・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) どういう方向で進むかということは先ほどから申し上げておりますとおり、相手国の出方を見て日本がどうこれに対応しようかということになるわけでございますから、きょうからその交渉が始まっておるわけですから、これについて国会で私がいま交渉中のものについていろんな立ち入った意見を述べることは交渉上、どうでしょうか、国益にはならないと私は考えますので、ただ私の基本的なこの問題に対しての考え方はやはり終始一貫変わっていませんということでひとつ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/15
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016・村沢牧
○村沢牧君 それでは要望だけしておきますが、自由化はもちろんできない、輸入枠の拡大についてもアメリカの言うとおり日本が譲歩することはできない、そういう立場で、毅然たる態度でもってこれからの交渉に臨んでいただくように強く要望しておきます。
法案に入りますけれども、農業改良普及事業は昭和二十三年に農業改良助長法が制定されて以来三十五年の歴史を有しており、この間に何回か法の改正が行われましたが、農業生産性の向上、農業経営の改善に大きな役割りを果たしてまいったことは私も承知をいたしております。いま、わが国の農業を取り巻く現状、そして将来展望から見て、普及事業はますます重要性を帯びてくるというふうに思いますけれども、政府はどのように認識をしていますか。大臣に答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/16
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017・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/17
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018・村沢牧
○村沢牧君 御指摘のとおりと言いますけれども、普及事業はますます重要になってくるというふうに思うけれども、大臣はどういうふうにお考えになっているかということを聞いているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/18
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019・小島和義
○政府委員(小島和義君) 農業も、その特質といたしまして、大変技術集約型の産業でございます。今後日本の農業の生産性を高めまして健全な農業経営を確立していくというふうな観点からいたしまして、もっぱら教育的な手法によりまして、技術の改良、あるいは生活改善を進めるというこの事業は今後とも農政の手段として最も根幹をなすものであると、かように認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/19
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020・村沢牧
○村沢牧君 この農業改良普及制度については、五十五年の十二月行管庁から勧告があり、五十七年七月臨調基本答申で提言やいろいろな主張がなされています。農水省はこれらの勧告や提言をどのように受けとめているのか、また、そのことが今回の法改正といかなる関係を持つものであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/20
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021・小島和義
○政府委員(小島和義君) 御指摘ございました行政管理庁の勧告、あるいは臨調の答申におきましては、それぞれこの農業改良普及事業をもっと効率的に運営をするようにというのが主眼の一つでございます。別途臨調におきましては、農業改良普及制度を含めました都道府県に対する人件費助成につきまして原則として二年以内にこれを一般財源化するようにというふうな指摘があるわけでございます。で、普及事業の効率化という問題につきましては、私どももかねがね心がけてきておるところでございまして、時代の要請にこたえまして生産性の高い農業経営の育成、あるいは地域農業の振興、すぐれた農業の担い手の育成などにつきまして、今後どのようにこの事業を運営していくかということについて心を砕いておるところでございまして、そのことにつきましては本質的な異論はないわけでございます。で、人件費助成の廃止という問題につきましては、この制度のいわば根幹に触れる問題でございまして、臨調がこのような答申を出します過程におきましては、私どもは協同事業の本質というものにつきましてるる御説明を申し上げました。俗な言葉で申し上げますならば、一番頑強に抵抗した部分でございます。しかしながら、結果的には、御存じのような答申ででき上がりまして、いわば客観的な存在となったわけでございますから、今後、この答申を現実的に受けとめて、どう対処するかということにつきましていろいろ知恵をしぼりまして、その結果、臨調の御指摘であるところの人件費補助の廃止という問題は、国が地方公共団体に対して経費を出すこと自体を封じたものということではなくて、人件費補助の制度の持っております地方公共団体に対する過剰介入性と申しますか、そういう弊害に着目をしたものであるというふうに理解をいたしました。今般、予算及び今回お出しいたしております法律によりまして、この制度を交付金の交付ということに置きかえることにいたしました。今後のこの制度の安定的な発展を図ろうというふうにいたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/21
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022・村沢牧
○村沢牧君 臨調の答申は、一つは「普及事業については、生産性向上のための事業への重点化、生活改善普及事業の見直し等事業内容の刷新と効率化を図る。」ということであり、一つは、お話のありました普及員の人件費補助を原則として一般財源に二年以内に移行しろと、二つですが、前段申し上げたことについては、法律にこれを生かしていく。後段の問題については、これは認めることができないので、交付金制度に切りかえていく、このように理解をしてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/22
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023・小島和義
○政府委員(小島和義君) 臨時行政調査会の答申は政府全体といたしまして尊重するというのが基本的な姿勢でございます。したがいまして、この答申を認めないということを申し上げておるわけではございませんで、客観的な答申となりました以上、これをいかに受けとめて対処していくかということに心を砕いたわけでございます。先ほど申し上げましたように、この答申の趣旨は、国が地方公共団体に対して財政上の支援措置を行う、そのことを禁じたものということではございませんで、人件費補助の持っております都道府県の行政に対する過剰介入性というふうな問題をどうやって回避しながら協同事業の実を上げていくかということに思いをめぐらしまして、今回このような制度改正に踏み切ったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/23
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024・村沢牧
○村沢牧君 農水省は普及事業研究会を設け、昨年の十月「普及事業の刷新について」という報告書をまとめましたが、その内容は、行管庁の勧告、臨調の答申、さらには財界その他からの普及事業批判攻勢に対応したいわば妥協案ともいうべきものであるというふうに私は理解します。農水省が真に普及事業を発展させようとするならば、臨調の指摘を受けるまでもなく、もっと早く検討し、将来展望に立った改善方向を示すべきではなかったかというふうに考えますけれども、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/24
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025・小島和義
○政府委員(小島和義君) この普及事業の研究会は一昨年の夏の終わりごろから開始いたしたものでございますが、御指摘のように、直接のきっかけになりましたのは、臨時行政調査会の一昨年の七月でございますか、中間答申がきっかけになっておるわけでございますが、このようなきっかけがなければ普及事業の見直しと申しますか、そういうことをやらなかったかといえば、決してそうではございませんで、これまでにおきましても、形はいろいろ違っておりますが、この三十数年間にいろいろ時勢の移り変わりにかんがみまして、この事業のあり方についての見直しを行ってきておるわけでございます。御承知のとおり、かつては市町村駐在制というものからスタートいたしましたこの事業でございますが、その後、中地区普
及所制あるいは広域普及所制というふうな制度自体の切りかえも行ってきておりますし、また、普及職員自体の資質のレベルアップというふうな観点からも、さまざまな改善を加えてきておるわけでございます。したがいまして、仮に、このような問題提起がなくても、当然、私どもとしましては、いずれかの時期において、このような見直しを行うものというふうに考えておったわけでございますが、たまたま一昨年七月の中間答申をきっかけといたしましてこの研究会を発足させたという経過に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/25
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026・村沢牧
○村沢牧君 以上の経過から見て、また、答弁のあったように、研究会の発足も臨調の部会の検討事項がきっかけであったということでありますことから見ても、今回の農業改良助長法の改正を提案する背景には臨調の答申がある、その改正案の中身も研究員制度を廃止をしたり、あるいは国の負担を軽減しようとするものであって、普及事業の強化充実に期待をできる改正案ではない。大臣は法律案提案理由の説明を先ほどいろいろ述べておりますけれども、この説明の趣旨とは大分違っているのではないか、このように理解しますけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/26
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027・小島和義
○政府委員(小島和義君) 確かにこの昭和五十二年に改正されました後の協同農業普及事業負担金という制度はそれなりに幾つかの長所を有している大変安定的な制度であるというふうに私どもも考えておるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたような人件費補助についての原則的な廃止というふうな問題がすでに臨調答申で動かざるものとして出されました以上は、こういう事実を踏まえてどのように対処するかということをもまたこの制度を発展させるための一つの方法であろうというふうに考えるわけでございます。
臨調答申におきましては、御存じのとおり、原則としてとかあるいは二年以内にというふうな若干のエスケープクローズがついておるわけでございます。したがいまして、私どもはそういう若干の例外条項というものに対していわば万感の思いを込めてこの答申を受け取ったわけでございますけれども、しかしながら、かようなことが決まりました以上は、仮に何とかして例外ということで逃げ回ってまいりましたとしましても、二年後さらには三年、四年たちましても、常にこの答申との関係ということがこの制度に大変重くのしかかってくるということは紛れもないわけでございます。そのようなことになりますと、当然毎年の予算折衡等におきましてもこの負担金をどのように予算上こなすかということがかなり大きな話題になることは間違いございませんし、仮にそういうことが議論されます都度に、普及関係者とすれば大変大きな精神的な動揺を免れ得ないという問題になってまいります。また、具体的な予算折衡の段階におきましても細部にわたっていろいろ切り込みを受けるというふうなこともあり得ることだというふうに考えるわけでございます。そういうことを考えますと、この際、人件費補助制度の持っておる弊害というものを改善しながら、制度全体としてはこれを安定的に発展させる、こういう視点に立ちまして、いわば仕組みの転換を図っていくということもこの制度を発展させるゆえんではなかろうか、かように考えて本制度を提出いたしたわけでございます。
また、交付金制度に伴います利点といたしましては、従来の個別経費の積み上げによります負担金というのは執行上のある程度の硬直性を免れないものでございます。ある経費が不必要であったという場合に当然それは予算返上ということになりますし、また逆にある経費が予算上の計上された額よりも足りないという場合におきましてもみだりには流用できない、こういう仕組みでございます。それに引きかえまして、今回の制度は与えられました交付金の範囲内においては都道府県の農業の実情に合わせまして相当弾力的な運営もできる、こういう利点もあるわけでございます。
ただ、まあ余り弾力的に各都道府県の思い思いの方向で走られますと、この事業の全国的ないわばレベルの整合性と申しますか、そういう点から問題が起こってまいりますので、別途この事業の運営指針及び実施方針についての規定も設けまして、国と都道府県が相談をしながらこの事業を安定的に運営していくための制度もつくったわけでございます。
そういう全体をごらんいただければ、決して今回の改正が普及事業を後退させると、こういう意図に出たものでないということはおわかりいただけるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/27
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028・村沢牧
○村沢牧君 研究会を発足させるきっかけは臨調答申であったけれども、しかし、農水省としては普及事業全体の見直しをしなければならない時期になっておるし、そういうことを心がけておったという先ほどの答弁であったわけでありますけれども、そうだとするならば、ただ臨調答申だけ受けてこうした法律改正をするのではなくて、今回の改正が普及事業全体の見直し、発展につながるものであるのか、内容、これで十分なのかどうか、この辺はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/28
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029・小島和義
○政府委員(小島和義君) お話がございましたように、臨調答申だけを受けてこの問題を考えたわけではないわけでございまして、研究会の答申の中にもいろいろ触れておりますように、この事業の本来持っております役割りと実際に機能いたしておりますさまざまな普及の活動との間にまだ詰めなければならない問題をいっぱい抱えておるわけでございます。
話が飛びますが、いまの研究会の構成に当たりましても、したがって普及事業関係者の集まりの研究会というよりは、むしろ普及事業についていろいろ注文を持っている人たちのお集まりというふうな構成にいたしたつもりでございまして、臨調とは別個にこの事業についていろいろな御注文が現実に寄せられるということを踏まえて、今回の研究会のまとめもでき上がりました。
また、臨時行政調査会の先ほどの答申を受けてこの問題をどう対処するかということを考えます場合にも、研究会などで述べられておりますようなこの事業に対するいろいろな期待あるいは要請というものを真っ正面から受けとめまして、事業の将来的な発展を願うという観点から制度を考えたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/29
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030・村沢牧
○村沢牧君 局長に要請しておきますが、答弁は簡潔にして、しかも質問に答えてくださるように要請しておきます。
つまり、私の言わんとするところは、研究会はいろいろなことを提案しています。そのことが今度の法律改正に生かされているのかどうか、この程度の法律改正でもって普及事業を発展をし、さらにまた改善をしていくに十分であるのかどうか、そのことを聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/30
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031・小島和義
○政府委員(小島和義君) 今回の改正案に盛り込まれております事項は、いわば法制度としての対応を必要とするものに限られておるわけでございます。研究会で述べられておりますことは、必ずしも法制度にかかわりのない事業運営上の問題にわたることが大部分でございます。それらの部分につきましては今後の事業の運営にゆだねられている問題でございますし、研究会の報告でも、この報告の実施の段階におきましては都道府県と十分相談をしながら対処していくようにというふうな記述もございます。
それらを受けとめまして、今回の法律で申し上げますならば、事業運営の指針でございますとか、あるいは実施方針というものに盛り込まれるべき事項もかなりあろうかと思います。また、そういった指針あるいは方針に盛り込まれないような事項でありまして、国と県がいろいろ知恵を出し合いまして、今後適切に対処していくべき問題もまたあるわけでございますので、必ずしもすべての事項を今回の法律に網羅したということではございません。まだまだやらなきゃならぬことはたくさんあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/31
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032・村沢牧
○村沢牧君 普及事業が農業情勢の変化に対応して内容を改善していかなければならないことは当然でありますが、現在の普及事業のどこに問題点があるのか、見直さなければならない重要な課題
は何であるのか、そのことについて説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/32
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033・小島和義
○政府委員(小島和義君) 普及事業につきまして寄せられておりますいろんな批判、要請というものは、大別いたしますと次の四つぐらいではないかと思います。
一つは、まあ農政の方向あるいは農業、農村の実態が変化してきておるのに、普及事業の担っております役割りあるいはその普及対象、課題の重点というふうなことが必ずしも今日的に明確になってないのではないか、こういう問題意識でございます。
第二には、農業、農村が大変多様化してきておりまして、それぞれの地域の要請に密着した活動になっておらぬのではないかという問題意識でございます。
第三には、これは農業の分野におきましても大変すぐれた専門的な経営あるいは高度の経営ができ上がってきておりますが、そういうすぐれた農業経営の層から見ますと、普及員の持っております技術水準が必ずしもついてきておれないのではないか、農業経営からの要請に十分にこたえ切っておらぬのではないかという問題意識でございます。
第四には、農業改良と生活改善、これは御承知のように、ともに協同農業普及事業の内容をなすものでございまして、本来一つの事業であるべきものでございます。にもかかわりませず、沿革的な理由などによりまして、かなり別個の体系として運営されてきたといううらみがございまして、農村の現実においても、両事業が必ずしもうまく機能的に結合しておらないと、こういう問題提起がございます。これらの問題点に答えるというのが今回の研究会の報告であるように受けとめております。
私どもといたしましても、この内容につきましては、細部にわたりましてはいろいろまだ議論すべき点がございますが、大筋としては受けとめ得るものというふうに考えておりまして、さらにまた、この中に記述のない問題につきましても、今後県と協議する過程におきまして、逐次また問題を掘り下げて詰めていかなきゃならぬと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/33
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034・村沢牧
○村沢牧君 いま局長が問題点あるいは課題について四点ほど挙げられたわけでありますが、そういう問題点を改善することによって今後の普及事業にいかなる役割りを期待していくのか、普及事業が必要なことはいまも昔も変わりはないけれども、これからの農業に対して普及事業の果たすべき役割りは何か、そのことについて重ねて質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/34
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035・小島和義
○政府委員(小島和義君) 協同農業普及事業は、先ほども申し上げましたように、もっぱら教育的な手法によりまして、農業に必要な技術、あるいは農家の生活上の必要な知識というものについて普及指導を図っていくという性格を持っておりまして、今日の農業の実態から申しますと、普及事業の主たる課題といたしますべき事項は、農業の生産性の向上あるいは農業経営の体質の強化、さらにはその地域農業の方向づけとすぐれた農業経営の担い手の育成と、そういったことがこの事業に期待される非常に大きな役割りであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/35
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036・村沢牧
○村沢牧君 普及事業に対する役割りについての期待ともいうべきことについて答弁があったわけでありますが、そのようなことは別段目新しい問題ではなくて、いままでも抱えてきたことであるというふうに思うんです。特に重点を置き、あるいは改善しなければならないと思われる点は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/36
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037・小島和義
○政府委員(小島和義君) これは、普及事業も非常に長い歴史をもって続けられてきている事業でございますので、いままで全くなかったことが突如として登場するということはないわけでございまして、お話ございましたように、これまでもそういう視点というのはこの事業の中に盛り込まれておったわけでございます。
ただ、先ほど来申し上げておりますように、この事業の今後の効率化を図るという観点から申しますと、主たる役割りが何であるか、主な重要な課題が何であるかということをより鮮明にしていく必要はあるだろうと思います。俗な言葉で申し上げますと、事業のめり張りをつける、こういうことが必要であろうというふうに考えているわけでございます。
したがいまして、いま申し上げましたような課題がその主要な課題ということでございますけれども、そのほかのことは一切やらないとか、あるいは対象とします農業者等につきましても、全体の農業者ということじゃなくて、特定の階層あるいは特定の農業者にしぼってこの事業の対象にしていって、あとは一切普及事業としては相手にしないというふうなことを申し上げているつもりはないわけでございまして、この事業の主要な対象ということを鮮明にしていくと。そのことによって、この事業が何をねらっているのかということを世の中にもアピールしていきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/37
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038・村沢牧
○村沢牧君 この事業が何を重点にしていくかということを鮮明にしていく、そこで「普及活動の刷新方向」では、普及対象の重点化によって活動の効率化を図るように見直しをしなさい、こういう指摘をしている。また、いままでの答弁でも明らかなように、今後の農政の課題に対応して、普及事業にまた多くのことを期待しているわけなんです。多くの役割りを期待しながら対象の重点化を図っていくという、この関連性についてはどう理解したらいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/38
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039・小島和義
○政府委員(小島和義君) 農業改良普及事業について申し上げますならば、やはりこれは技術で勝負をする仕組みでございます。したがって、そのような技術を受けとめまして、自己の経営の生産性の向上、あるいはその経営体質の強化ということを図り得るような農業者が相手でなければならないと思うわけでございます。必ずしも第二種兼業農家がすべてそのらち外であると申し上げるつもりはございませんで、第二種兼業農家の中にももちろんそういう農家もいらっしゃるわけでございますが、数多い農家の中には、農業の将来性ということにつきまして、御本人ももちろん、周囲におきましても余り期待の持てないというふうな層もあるわけでございます。そういう方々に対しましては、別途のまたアプローチが考えられておるわけでございますが、それらを盛り育てて将来の日本農業の担い手にしていくというふうな発想はなかなかとり得ないわけでございまして、この報告書の中でも述べられておりますように、「今後の生産性向上が期待できるような農家層及びこれらを中核とする農業集団」というものが普及活動の重点でなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
しかしながら、わが国の農業の問題を考えます場合に、農村の中に散らばっておりますそういう農家層の、いわば一本釣りのような形で農政展開ができるかということになりますと、何と申しましても、農業の基礎になりますところの土地とか水の利用問題、さらにはまとまった産地をつくっていくというふうな問題、それから生産とか生活環境の改善を図っていくというふうな必要性、さらには冷害とか災害とかというふうな場合に、地域全体を対象として問題解決をしなければならないということが多々あるわけでございまして、それらのことを想定いたしますと、中核農家を軸としながらも、多様な農家を取り込んだ一つの農業の組織化を進めながら普及事業を展開していくということがこの研究会の報告の主題でございまして、私どもも、重点はさような中核農家層に置きながら、普及事業の持っておりますいろんな役割りに思いをいたしますと、この報告に述べられておるとおりの受けとめ方をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/39
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040・村沢牧
○村沢牧君 普及活動としてやること、またやらなければならないことはたくさんある。普及活動に対する期待も大きい。しかし、これからは普及員の定数も減らさなければならないから、あれもこれもやるわけにいかない、したがって重点的な
仕事をする、そういうねらいがあるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/40
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041・小島和義
○政府委員(小島和義君) 普及員全体の定数について申し上げますならば、これまでの負担金制度のもとにおきましても、政府全体、これは私ども国家公務員も同様でございますが、補助職員も含めまして、一定の割合での計画的な削減を実施してきておるわけでございます。その意味では、普及員もその対象とはなり得ないわけでございますが、ただ、そういう削減というものがどんどん迫ってくるので、少ない人数で能率的に仕事をしていく、あるいはその限られた対象に限定をしていくという発想でこの問題を考えておるわけではございません。人数の問題につきましても、確かに人全体は減ってきておるわけでございますけれども、地方にもよりますが、たとえば農地面積あるいは農家戸数というものもそれぞれ減少してきております。そういうものとの均衡で考えますと、決して普及員が必要以上に数を減らされてきておるというふうな意識は実は持っていないわけでございます。
そこで問題は、今後どういうことになるのかということでございますけれども、今後この普及関係の職員を、たとえば定数の増加とかあるいは予算の大幅な増加ということをもってこの普及事業を守り立てていくということについては、御存じのような財政事情のもとにおいては大変むずかしい状態でございます。また、臨調答申などを受けまして今後この事業に対する予算面からの風当たりというものも当然覚悟してかからなきゃいかぬ。そういうことになりますと、この際においてはむしろこの事業を骨格を維持してそれを守っていくということに一つの発展のきっかけを見つけていこう、こういう意図があるわけでございまして、少ない人数で少ない人を対象にしているという発想では決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/41
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042・村沢牧
○村沢牧君 ぜひ、普及員の数が少なくなってくるから仕事も重点的にやっていくという、こういう考え方はないといういま話であったわけでありますけれども、そのようなことがあってはならないので、今後とも十分そうした方針で進んでもらいたいというふうに思うんですけれども。
そこで、効率的な普及事業を展開するためには、中核農家を中心とする農業集団に重点を置く。そのためには普及活動の対象地域も中核農家が多いところ、また将来農業の発展が期待されるところにおのずから重点が置かれてくるであろう。しかし一面、普及事業が地域に密着した活動を行っていくというふうに言っておるわけでありますけれども、普及活動の重点地域やあるいは対象農家がおのずから選別されることになってくる、こういう結果にはならないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/42
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043・小島和義
○政府委員(小島和義君) 普及事業は主として教育的な手法によって農業の技術あるいは農家生活上の必要な知識、技術というものを普及指導していく役割りを持っておるわけでございますから、そこに受け取る側の内発的な動機のようなものがなければその事業の成果を上げ得ないわけでございます。一つの新しい高度な技術にいたしましても、その技術を導入してみずからの経営をよくしていこうというふうな意欲、動機というものがなければならないわけでございまして、その意味におきまして中核農家等そういう将来の農業による発展というものを期待しております層が主な対象になるということは、これは理の当然になるわけでございます。
ただ、それがいわば選別政策と申しますか、特定の農家だけを相手にしてそのほかの人は相手にしないんだということを意味するわけでは決してございませんで、今日の日本の農業の実態から見ますればおわかりのとおり、非常にその農業自体が地縁的、社会的な関係の中において存立をいたしておるわけでございます。したがいまして、これらの農家を巻き込みました形で普及指導活動を進めていきませんと、なかなかその成果が上がらないという面もあるわけでございますので、決して対象地域や農家というものにつきまして、おのずからアクセントはついていくにいたしましても、差別をする、区分けをするというふうな発想から出ているものではないと御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/43
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044・村沢牧
○村沢牧君 差別をする、区分けをするという気持ちはないとしても、結局は普及員の配置をするについても中核農家あるいは将来農業の発展をするであろうと思われる地域に重点的に配置をされるようになってくる。こうした結果、最も指導、援助を必要とする条件の悪い地域、これは普及事業の対象として取り残されてしまうんではないか。山村僻地の地域農業の振興も必要であるけれども、この山村僻地の農業振興と普及活動はどのように関連づけをしていくんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/44
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045・小島和義
○政府委員(小島和義君) 僻地の中には実はさまざまなむずかしい問題がございまして、たとえばもう村落自体として崩壊寸前である、あるいは挙家離村等によりまして一つの地域社会として存立し得ないというふうな状態に立ち至りましたところにつきましては、これは普及事業だけの力をもってしてはいかんともしがたいという地域があることは事実でございます。ただ、山村あるいは離島というふうな単に地理的な条件からだけ不便であるというふうなところにつきましては、農業の適地性ということにつきましては必ずしも悲観的な見方をする必要はないかと存じます。現実におきまして山村あるいは離島におきましてもそれぞれの置かれておる農業上の立地の特色を生かしました大変すぐれた農業あるいは他に見られないような特別な農産物を栽培する農業といったものも数多く育ってきておるわけでございます。したがいまして山村であるとかあるいは離島である、あるいはおっしゃいました意味での僻地等も含めまして自然的、社会的条件に恵まれない地域だからといって普及事業の重点たり得ないとは決して思っていないわけでございまして、そこに大きなニーズがあります限り、普及事業としては重点地域として取り上げるべきものというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/45
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046・村沢牧
○村沢牧君 そこで普及事業の重点を中核農家に置くということでありますが、わが国の農業の中で兼業農家の果たすべき役割りは大きい。中核農家を育成するについてもあるいは地域農業を再編成するについても兼業農家の理解と協力がなくてはできない。また普及員の指導に対する期待も専業農家よりも兼業農家の方が強い場合も多くある。そういう中で、わが国農業の中で兼業農家の位置づけを農水省としてはどのように考えているのか、これは今日までたびたび私も当委員会で質問したことでありますが、改めてお聞きをするとともに、兼業農家の振興を踏まえた普及活動のあり方をどういうふうに考えているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/46
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047・小島和義
○政府委員(小島和義君) 専業、兼業の統計上の区分と申しますのは農家単位で見ました所得の依存度合いによりまして区分を設けておるわけでございまして、通常私どもが申し上げておりますような中核農家というふうな場合に、専業農家だからといってすべて中核農家ということではございませんし、また一種兼農家、二種兼農家だからといって中核農家たり得ないものとは決して考えていないわけでございます。極端な事例で申しますと、娘さんが銀行に勤めている間は兼業農家で、娘さんがお嫁に行ったらば専業農家になるということでございますが、農家としての本質はその間においていきさかも変わってない、所得の依存率によりましてそういう区分を設けておるだけでございます。
ただ、一般的に申し上げますならば、中核農家として今後期待されます農家層は兼業農家なら第一種兼業農家の層に多いということでございまして、二種兼農家の場合には総体として眺めますならば労働力も脆弱でございますし、またその技術のレベルも低い、一般論としてはさように申し上げられるわけでございますが、統計区分上の第二種兼業農家であるからといって今後農業経営の担い手として全くその発展が期待できないものというふうに理解いたしておるわけではございません。ただ今日の日本農業を大変マクロに眺めてみますと、現在の時点におきましては第二種兼業農
家も農業生産の上において相当大きな役割りを担っておるということは事実でございますが、これらの農家層が今後とも同じような形態のままで将来農業経営として残り得るのかどうか、また残すべきなのかどうかというところにつきましては非常に議論の分かれるところでございまして、零細多数な農家層を数多く有するということよりは、その中からできるだけすぐれた農家層、りっぱな農家層が育っていく、たとえそれによって数が少ないというふうなことがございましても、中核農家たり得るような農家層を育てていくというのがわれわれの仕事ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
その意味におきまして、第二種兼業農家に対する普及事業のアプローチといたしましてもすべての第二種兼業農家層をりっぱな農家層に育てていくということはなかなかこれはできないわけでございまして、農家の意向をそんたくしながら、ある者は農用地利用増進等における土地の提供者として、あるいはさまざまな農業生産組織の一員として農村地域に居住し、安定的な生活を営みながら農業生産活動にも若干関与していく。場合によりましてはみずから関与することをやめまして、他の中核農家層の発展のために貢献をしていく、こういう姿が自然な姿であろうと考えておるわけでございます。また、第二種兼業農家層の中には、そういった単に居住者としての役割りのほかに、中核農家とともに農村社会のいわばリーダーとして、まとめ役としての役割りを担うというふうな期待もあるわけでございまして、そういう方々を含めまして地域社会の発展には十分寄与し得るものと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/47
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048・村沢牧
○村沢牧君 以上の事柄から推して、今後の普及活動については重点的あるいは効率化を図るということを中心に置くけれども、しかし、そうだからといって対象地域や対象農家について、あるいはまた普及員の配置状況について選別主義はとらない。その地域の特性を生かして農業を発展させようとする希望があり、あるいは熱意があるならば、要請があるならば、普及事業としては積極的に取り組んでいくと、このことについて確認をいただきたいというふうに思うんですけれども、そういうことでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/48
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049・小島和義
○政府委員(小島和義君) おっしゃるとおりでございまして、普及事業に対するニーズと申しますか、普及の要請の強弱に応じまして必要な措置を十分とってまいる方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/49
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050・村沢牧
○村沢牧君 普及員が地域農業の振興に果たす役割りまた期待も大きいわけですが、地域農業の再編成は、現実には農家や農家集団、あるいは農協や市町村が主体となって構造改善やあるいは生産体制の組織化を進めておるわけです。こうした地域農業を振興させるために普及員のやるべき仕事、その役割りは何ですか。
つまり、普及員はこうした市町村や農協の計画や事業実行に対して補完的役割りを果たすのか、あるいは普及員も一緒になってこの計画に参画し、この実行のために活動を進めていくのか、その辺はどうなんですか。普及員にどこまで期待をするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/50
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051・小島和義
○政府委員(小島和義君) この事業が発足いたしました当初は、行政的な側面から立案をいたしておりますような各種の事業の計画でございますとか、あるいはその補助金などによりまして実行いたします各種の事業というものについてはなるべく普及事業がタッチをしない、もっぱら技術的な次元だけにおいて協力をしていくというのがこの事業の一つの原則のようなものでございました。
ところが、最近の政府のやっておりますさまざまな施策、たとえば水田利用再編対策というふうなものもございまして、これは御承知のように米の生産調整を伴う仕事でございますから、このこと自体につきましては、都道府県、市町村という行政系列にお願いをいたしておりまして、普及員に割り当て等の仕事をお願いするというつもりはいささかもないわけでございますが、ただ、その目標配分を受けまして、今後どのような農業をその地域に構築するかということになりますと、これはその計画段階において普及員の知恵と力をかりなきゃならないことが多くなってくるわけでございます。
また、そのほかの問題、たとえば地域の農業構造改善計画でございますとか、あるいはその地域の農業の振興計画でありますとか、そういう計画におきましても、その計画の立案段階におきまして、普及組織の持っておりますさまざまな科学的、技術的な知見というものをフルに活用をいたしまして計画をつくってまいりませんと、実行段階におけるアドバイザーというだけでは十全の役割りを果たし得ないということになってきておるわけでございます。
その意味におきまして、このように予算その他の措置を伴います仕事は、それぞれの資金の流れに応じまして、あるいは市町村でありますとか、あるいは農協でありますとか、そういうところがその推進役でございますけれども、できるだけ計画段階において普及員も関与いたしまして、その地域の農業振興あるいは農業経営の改善のために役立つように指導をいたしてきておるわけでございます。
また、さまざまな事業におきましても、その計画立案段階から市町村、農協あるいは農業委員会あるいは農業共済組合のほかに、この普及事業関係者も中に取り込んだ形でのさまざまな協議、立案機関ができておるというケースが多いわけでございまして、普及の組織におきましてもこれらの動きについては積極的に協力するように仕向けておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/51
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052・村沢牧
○村沢牧君 いま局長の答弁は、そうすることが理想ではあるけれども、現実問題として地域農業を再編成していくもろもろの計画に対して、普及員が計画段階から参画をし意見を述べていく、アドバイスをする。そうしたことが実際問題として行われているのかどうか。また、現在のこの普及所なり普及員の技術水準から見て、そうしたことが可能であるのかどうか。それはどういうふうに把握しているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/52
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053・小島和義
○政府委員(小島和義君) これは、率直に申しまして普及組織と市町村の行政あるいは農協のさまざまな経済活動というものの関連の度合いというのが各都道府県によりまして必ずしも一様ではございません。それらの関係が非常に円滑にいっておりましてその成果を上げている地域もございますれば、必ずしもその普及事業がいま申し上げたような機関と円滑にいってないという地域も現実にあることは否定をするつもりはないわけでございます。
ただ、今後の農業の発展を図る観点からいたしますと、市町村には市町村の役割りがございます。また農協には農協の役割りがあるわけでございます。普及事業は普及事業本来の仕事を持っておるわけでございますから、そういうものをできるだけ力を結集して農業の問題に取り組んでいくということが大変望ましいことであろうというふうに考えておりますので、先ほど申し上げましたように、普及のサイドからもできるだけ協力態勢をとるようにというのが私どもの指導方針でございます。
また、個々の普及員の技術水準の問題、先ほども申し上げましたように農家、それも高度の専門的な農業経営の側からは、普及員の技術ではもはや太刀打ちができないというふうな御指摘も現に行われておるわけでございますので、普及員の資質の向上、全体的なレベルアップという問題につきましては、これに並行いたしまして取り上げて強化いたしてまいりませんと、理想論になかなか接近できないという現実がございますので、その問題につきましても同様に力を入れていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/53
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054・村沢牧
○村沢牧君 いま答弁のあったようなことを現実に普及活動に移していくためには、関係間との連絡協調が一層必要になってくるわけです。市町村、農業団体などと普及所の密接な協力、あるいは市町村の技術員、農協の営農指導員などとの連絡協調、このことがなお一層強固にしなければならないわけでありますが、このために今日まで協議会
などというものを設けているようでありますけれども、私は必ずしも有効に機能しているというふうには言いがたい。特に、営農指導員の中などからは、普及活助に対する批判も聞かれるわけです。
したがって、これらの関係団体、関係技術者と普及員の連絡協調、あるいは役割りの分担、これを明確にして総合的な指導効果を発揮できるようにしなければならないけれども、今後はどういうふうに指導しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/54
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055・小島和義
○政府委員(小島和義君) 普及の側で申しますと、主として普及所段階で市町村あるいは農協、あるいは農業者の代表等も含めまして普及事業を効果的に進めるための農業改良普及推進協議会というものを持っておるわけでございます。そこの場におきまして相互の活動が密接な連絡、協力を行いながら効率的に推進されるように努めておるわけでございまして、今後ともそういった普及所の側からの普及をより効率的に進めるための、その推進協議体制というものは継続し強化をしていくつもりでございます。
また、同時に市町村あるいは農協などがさまざまなプランを持つ場合があるわけでございます。普及の側で申しますと、主として農業生産に関係するような計画がそれに該当するわけでございますが、そういう市町村とかあるいはほかの機関が立案をいたしますいろいろな相談の場があるわけでございますが、そういうものに対しましても普及のサイドから積極的に協力をしていく、こういう体制をとってまいるつもりでございまして、両々相まちましてただいま御指摘がありましたようないろいろな地域の問題を、普及は何をすることによってお手伝いできるのかという問題をよく見定めまして、その上で地域の必要に応じた普及活動を行っていく、それがまた現実に各地域から寄せられておりますこの事業に対する御批判なりあるいは要請に対してこたえていくゆえんではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/55
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056・村沢牧
○村沢牧君 関係機関団体との連絡協調を図るために協議会組織等でもって推進をしていく、そのことはわかるんですけれども、いままでもそういうことをやってきたけれども、なかなかいろいろな批判もあるから今後どういうふうにもっと改善をしていくのか、どういうふうに指導をしていくかということと、それから普及員、技術員、あるいはまた営農指導員等々が連絡協調していくために、ただ精神的な面の指導あるいは文書指導だけでなくて、連絡協調していくためにはいろいろ会議も持たなければならないであろうし、研究もしなければならないであろう、それに必要な予算的な措置なんかも講じてやる、もっと前向きなことができないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/56
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057・小島和義
○政府委員(小島和義君) これは仕組みの問題としましては、ただいま申し上げたようなことが都道府県によりまして多少のニュアンスの差はあろうかと思いますが、基本的な仕組みとしてはいま申し上げたようなことに尽きるのだと思います。
問題はそのような協議会のような場がおざなりのお茶を飲む会議で終わってしまうのか、本当にその地域の農業の実情を深く掘り下げまして、それぞれの機関がどういう角度から問題を取り上げなけりゃならないかということについて議論を突き詰めまして、その上でそれぞれの機関の持っておる特性に応じて仕事を効果的に運営するかという問題に尽きるのではないかというふうに考えておるわけでございます。その際において、普及の側でそれだけの問題解決能力を持ってなければ、幾ら協議会で話を煮詰めましても役割りを十分に果たし得ないわけでございますから、そういう普及の側の能力向上、資質の向上を行いながら、あわせていま言ったような仕組みを十分に活用していくということが基本であろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/57
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058・村沢牧
○村沢牧君 後段質問をした連絡協調を技術員がお互いにしていく、そのためにはいろいろな研究もしなけりゃならないであろうし、あるいはまた会議等も開かなければならないであろう。そのための呼び水として、たとえば都道府県等においてはそのための予算措置を講じているようなところもあるわけなんです。国としてはそのようなことを考えておらないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/58
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059・小島和義
○政府委員(小島和義君) 従来から普及事業の活動経費の中にはそのような経費を計上いたしておるわけでございますが、五十七年度から新普及システム推進事業費といたしまして、別途四億程度の経費でございますが、計上をいたしておるわけでございます。それはただいま申し上げたようなことを、全部の普及所ということでは必ずしもございませんが、限られた普及所を舞台にいたしまして、より効果的に実施するための一つのモデル的な事業として展開をいたしているわけでございまして、その中におきましては、普及所段階の協議会のほかに都道府県段階の横の連携機関というものをつくりまして、普及所段階での協議会、県段階での協議会、それが上、下にもよくつながる、縦にもよくつながって機能をするというふうなこと、あわせてそのような推進事業が単なる精神活動ということに終わらず、情報活動の裏づけを持つような仕組みというものについてもささやかながら予算を計上をいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても横の連携、縦の連携ということも、とどのつまりは情報活動が非常に活発になるということによって促進されるわけでございますので、それらについては予算を計上いたしておりますし、今後もその成果を見届けながらこういった事業については大いに広げてまいるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/59
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060・村沢牧
○村沢牧君 モデル的な普及活動を推進するために若干の予算措置も講じておるということでありますが、モデル的な一定の地域だけでなくて、やはり普及活動をさらに活発にし、連絡協調を深めるためにそうしたことを全国的に農林水産省が指導し、その裏づけをしていく必要がある、このように思います。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/60
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061・小島和義
○政府委員(小島和義君) 普及の仕事が効果的に成果を上げますためには、先ほど来申し上げておりますように、個々の普及員がレベルを高めるということが大変大事なことであり、また、基本であるというふうに考えておりますが、また逆に、一人の普及員の方が必要な知識をすべて頭の中へたたき込んでいくということも大変むずかしいことでございます。現地から寄せられております希望、要請というものは非常に多種多様にわたっておりますので、そこに何らかの情報提供のシステムがなければならない。それによりまして都道府県の中の縦の系列ももちろんでございます、場合によりましては横との連絡がよくなるためにも、普及所が特有の情報組織を持っておるという必要があろうと思います。その意味で先ほど申し上げましたモデル普及所というような制度、仕組みをつくりまして、現在予算措置もいたしておるわけでございますが、そういったものが特定の普及所だけでいいとは決して思っていないわけでございまして、全普及所におきましてもその端緒をなしますような情報管理の改善等の仕事はやらしておるわけでございます。
さらにまた、全国レベルにおきましても、特定の課題だけでございますけれども、全国レベルの普及情報協会を組織いたしておりまして、それが全国的に各都道府県に対して普及上の必要な情報提供をする、こういう仕組みも現につくっておるわけでございます。問題は、そういった仕組みをさらに発展させまして国と都道府県、市町村等の関係もそうでございますし、あるいは都道府県相互間の横の連携ということも必要でございます。また、場合によりましては、普及所相互間の必要な情報の相互交換、こういった仕組みも考えてまいりまして、個々の普及員のレベルアップとあわせまして組織全体としても有効適切な働きができるようにしていくということがこれからの普及活動の最大の課題ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/61
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062・村沢牧
○村沢牧君 先ほど来の答弁で普及水準の効果、つまり技術の向上が必要であるということは何回も繰り返されておるわけであります。特に、農協の生産部会等が発達した中で農業者の農業技術に対する要請も多様化、専門化してきている。こうした中で専業農家の経験と地についた技術の方が
普及員の技術よりもすぐれており、普及員の指導性は無用だというような声すら一部には聞かれておるわけであります。また、昭和二十三年にスタートした普及職員はいま世代交代期に入ってきており、この時期の戦力低下を防ぐためには、新任者を初め職員の資質向上、研修の強化がきわめて重要であります。技術を高めねばならない、普及水準を高めねばならないことはだれでもわかっていることでありますけれども、そのためにはどうするかということ、つまり普及員に研修の機会等を多く与える必要があるというふうに思いますが、これからどういうふうに進めていくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/62
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063・小島和義
○政府委員(小島和義君) 資質の高い普及員を確保するという観点から従来普及員の試験を受ける資格といたしましては、四年制大学卒と二年制の短大卒程度の人と二本立ての試験制度を実施してまいりました。今般、農業の側から寄せられております、技術の高度化に伴いまして基礎学力を高めるという観点から、昭和五十九年度以降四年制大学卒に一本化していくという方針をすでに定めまして、各都道府県もその線に沿って実施する予定に相なっております。
ただ、御指摘がございましたように、四年制の大学を出たということだけをもってして非常にレベルの高い農家層に指導が現実にできるかということになりますと、大学の授業で伝授いたしますことは主として基礎的な学問でございまして、現場の農業の実際面においては確かに欠くるところが多いわけでございます。これは普及事業に限りませず、他の会社等においてもそうでございますが、四年制の大学で修得したことだけをもって直ちにその第一線の用に立つかということになりますと、なかなかそうはまいりませんで、それぞれ企業内研修あるいは企業外の研修ということを通じまして実践に役立つ職員を育てるということに心を砕いておるわけでございますから、普及員におきましてもできるだけレベルの高い人を採用はいたしますけれども、同時に採用後の研修ということがなければならぬわけでございます。これまでの普及員の研修の体系を眺めてみますとおおよそ三通りに分類されるわけでございまして、一つは職務研修。これは新しく普及員になった人あるいはこれから普及所長になろうという人、新しい職務に必要な研修がまずございます。それから何年か職務に従事しました人につきましてその技術のレベルを高めるための技術向上研修と申しますか、そのような研修を実施いたしております。第三には、それぞれの地域で実際に起こっております課題、それを解決するための研修があるわけでございます。
ただ、いま申し上げましたような研修は主として集合研修でございまして、その同じような仲間が集って相互に切磋琢磨するというふうな利点はございますけれども、同時に集合研修の場合にはどうしても一方通行になりがちでございます。また何と申しますか、テーマの選択ということも多分に他動的でございますし、研修が終わればそれでおしまいという一過性というふうな特徴もあるわけでございます。したがって今後の研修はそのような集合研修だけではなくて、職場における自己研修、さらには同じような問題意識を持っております仲間同士のグループ研修、さらには職場の中で仕事をやりながら行います職場内研修と申しますか、そういったものと集合研修をうまく組み合わせて展開をしていく必要があるだろうと思います。
また、特に専門的な問題を掘り下げたいという方につきましては、ただいまでも国内の大学留学研修というふうなルートも開いておりますけれども、必要によっては海外への派遣なども含めた高度な研修というものも取り上げていかなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
それらを通じまして、またその試験研究機関との人事交流の促進なども図りまして、できるだけ今後農村の現実に役立つ普及員を育てる、こういうつもりで取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/63
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064・村沢牧
○村沢牧君 普及員の技術を高めていくためにはそうした研修をさらに充実させること。もう一つは、試験研究機関と普及組織の連携あるいは情報提供組織体制を強化する、こうしたこともきわめて重要であるというふうに思います。研究会の報告でも試験研究体制の整備もうたっておるわけですけれども、これは今後どのように充実をしていくんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/64
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065・岸國平
○政府委員(岸國平君) 試験研究の面からお答えを申し上げますが、ただいま先生御指摘のように、普及の面での技術的な向上を図るために試験研究機関との人的な交流あるいは技術の交流が非常に重要であるということにつきましては私どもも全くそのとおりであると考えております。特に、試験研究の側だけから見ましても研究をやり、技術を開発いたしますのはやはり開発されたその技術が農業の現場でどうやって使われるかということが最終の目標でございます。その場合に最も重要なことはそれがいかにして普及されていくか。どういう経路で、どういう手段で普及されていくかということが大変重要でございまして、研究の側からもその点を特に重視をいたしております。研究を進めます場合にも、そういう現場にすぐに必要な技術の開発の場合には現地に実証圃のようなものを設けまして、その実証圃での試験のときには試験研究の関係者だけではなくて専門技術員、あるいは改良普及員と一緒になっての研究というようなことも各都道府県において実施をされつつあるわけでございまして、そういう機会を通じまして研究と普及との密着を図ってまいるということを現に実施をいたしております。
それから、実際に研究をした結果として出てまいりました成果をいかに普及につないでいくかということにおきましても、それぞれの都道府県におきまして研究の関係者と行政の関係者、また普及の関係者とが一緒になった連絡会議といったようなものを年に何回か開いているというのがどの都道府県でも行われていることでございまして、そういった機会を通じて研究の成果ができるだけ早く普及に伝わり、また農業の現場に伝わるということを考えておりまして、そういう機会を通じて普及関係者の技術的な面での新しい情報を得て技術の向上も図るということが行われているわけでございまして、そういった点につきましては今後も一層努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/65
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066・村沢牧
○村沢牧君 そうした研究機関なりあるいはまた普及員の情報提供ということはきわめて現在まで手薄であり不備だというように思うんです。やはりせっかくそのような研究をするんですから、農家なりあるいは農業団体に対しての適切な情報を提供しなきゃいけないし、指導しなきゃいけない。情報提供についてどのように充実をしていくんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/66
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067・小島和義
○政府委員(小島和義君) 普及情報につきましては、これまでやってまいりましたことは次の三つでございます。
一つは、普及所自体における情報蓄積というものを図っていくということが一つでございます。
第二には、現地の課題を試験研究機関に提起をする。また、試験研究機関の得られた成果を普及所側で受け取る、こういう仕組みでございます。
第三には、全国の普及組織相互間での情報の交換利用という問題でございます。その三点を重点にいたしましてこれまで強化を図ってまいったわけでございます。
ところが、最近におきます農業を取り巻きます情勢は大変複雑かつ多様化いたしておりまして、要請される情報も高度化いたしてきておるわけであります。その意味で現場の普及員さんが本当にほしい情報というものを常に適確に整備をいたしておりまして、質の高い情報を的確、迅速に提供できるという体制がなければならぬと思うわけでございます。その意味におきまして、先ほど申し上げました新普及システム推進事業の中におきましても普及指導活動に必要な情報の収集、評価あるいは提供、これを積極的に取り上げておるわけでございますが、特に五十八年度におきましては、情報入手の迅速化というふうな観点から、すでに
他の分野で取り上げられておりますような情報のオンライン化、つまり都道府県レベルと普及所の間につきましてのオンラインということの試行を実験いたしたいと考えております。対象県はわずか五県でございますが、その成果を見届けまして逐次全国に拡大をいたしたいと考えております。
第二には、その都道府県の枠を超えた横の情報交換ということでございまして、地方農政局という組織もございますので、地方農政局の管内におきまして、各部道府県の持っております普及に必要な情報、知識のリスト交換というふうなことから始めまして、一つのブロック内においてできるだけその普及に必要な知識、情報を共有できるような体制をとっていこうと、この二点を特に本年度は取り上げておるわけでございまして、将来はさらにそういったシステムが全国的に整備されまして、現場の普及員がどこの県の、あるいはどこの試験研究機関の成果でありましても必要とあれば直ちに入手できると、こういうふうな体制に持っていきたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/67
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068・村沢牧
○村沢牧君 研究会の報告は組織体制の整備についていろいろ強調していますが、現場の普及員が本来の仕事に専念できるような体制づくりについては何ら触れておらない。第一線の普及員は、国や県の調査事項を初め事務的な仕事、この繁雑な行政事務に追われて、また市町村や農協の本来やるべきような仕事の肩がわりまでしておるものもある。こうしたことでは本来の普及事業に専念することができないではないか。普及事業が便利屋的なものから脱皮して本来の仕事に集中するためには、まず国や県が率先をして普及員の事務的仕事を減らすようにしなければならないけれども、その組織体制については現状はどうであり、それから今後どういうふうに改善しようとしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/68
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069・小島和義
○政府委員(小島和義君) 改良普及員の活動時間がどのような業務にどれぐらい充てられておるかということにつきましては、毎年各県の様子を調べておるわけでございまして、最近の傾向といたしまして、特に調査等の仕事がふえてきておるという感じを実は余り持ってないわけでございます。
御承知のように、普及事業は、普及員がまさに現場で教育活動をやるというのが本体でございますので、事務的な仕事は必要最小限、つまり普及所の運営のための計画、あるいは事務処理というものは最小限つけ加わりますけれども、それ以外の行政事務的なものについては、極力普及所には負わせないという方針でございます。
ただ、これは大変申しわけないことでございますけれども、都道府県で必要とするその調査等の中に、市町村等に照会をいたしましたのでは即刻には手に入らないというふうなものもございまして、普及所に聞けば、普及所の方がすぐわかるというふうなものもあるわけでございまして、その意味でまあ臨時散発的なものとして普及所に照会があるというふうなケースはあるわけでございまして、それが普及員の仕事の一つの重荷になっておるとすれば、これは大変申しわけないことでございます。しかし、災害等の場合に現場の様子がどうかということについては、手足を持っております普及所が一番速いというふうな現実にもございますものですから、その意味で、できるだけ最小限にしぼっていくという筋のものであろうというふうに考えておるわけでございます。
ただまあ、そういったことについて体制的にどういうことが可能であるかということになりますと、普及所全体がとにかく一般の補助金交付とか、あるいは許認可等の仕事にはもうかねてよりかかわりないようにいたしておるわけでございまして、組織といたしましても、できるだけ独立した、他の行政機関等とのかかわりを持たないような組織体制が一番いいということで進めてきておる経過もあるわけでございます。そういったことを中心にいたしまして、今後とも普及活動に専念できるように知恵をしぼっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/69
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070・村沢牧
○村沢牧君 局長はいま答弁の中で普及員が行政的な事務に追われているようなことは余りないというようなことであったんですが、現実はそんなふうになってないと思うんです。やはり普及所なんかの実態を見ると、そうした仕事が非常に多いように見受けられる。したがって、まず国や県が率先をして普及員が現場のこの普及に専念できるような体制づくり、そのことをしなければならないわけですけれども、もう一度そのことについて答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/70
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071・小島和義
○政府委員(小島和義君) まあ、事務的な仕事は普及所の中で大別をいたしますと三種類ほどになるわけでございまして、一つは、関係機関との連絡と申しますか、先ほど来申し上げておりますようなさまざまな協議会とかなんかということになりますと、普及所といたしましてもある程度の事務はあるわけでございます。しかし、これは考えようによりますと普及所本来の仕事の展開のために必要な事務でございます。
それから第二には、普及所の中の事務打ち合わせ等でございまして、これは普及所自体の運営、さらには普及所の仕事といたしております農業改良資金を貸し付けるために必要な普及所長の認定と申しますか、貸付事務はやっておりませんが、そういう仕事でありますとか、あるいはその普及所自体の管理運営、さらには行政機関等を通ずる調査照会とか、これは先ほど申し上げたようなことでございます。
それから第三には、市町村とか農協とかに対する指導でありますとか、あるいは共進会、共励会に対する出席でありますとか、場合によりましては視察者に対する案内というふうなことがあるわけでございまして、まあ本来的な仕事といえば本来的な仕事でございますけれども、度を超しますと本来の仕事ができなくなる、こういう問題でございまして、過去の推移で見ます限りは決して時間の割合として増加しているという傾向にはないというふうに考えておりますけれども、さらにそういった問題が起こらぬように、十分注意をいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/71
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072・村沢牧
○村沢牧君 次に、生活改良普及員について尋ねますが、生活改良普及員については行政改革に関連して特に風当たりが強い。行管庁や臨調の指摘は生活改良普及員の必要性がなくなったんではないかと言わんばかりであるけれども、これは今日まで生活改良普及事業の果たしてきた役割り、あるいは今後の農政の変化に対応し、農家生活の改善や生活改良普及事業がいかに大事であるかということを無視した全く行政レベルの考え方にすぎないと思います。
これからの農業労働力は、申すまでもありませんが、主婦にますます依存するようになる。また、高齢化社会を迎えて農家の主婦の負担も重くなる。これに伴って家庭生活や健康面で生活改善の果たす役割りは大きくなってくるわけです。農村にとって生活改善と農業改良は一体のものであるというふうに私は理解をします。生活改善を協同普及事業として国と県が責任を持って行う必要性は高まりこそすれ、生活改善事業が要らなくなったなどという意見は全くもって農村の実態を知らない者の言い方である、こういうふうに指摘しますが、農水省は生活改善事業についてどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/72
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073・小島和義
○政府委員(小島和義君) 生活改善普及事業につきましては、確かに臨調その他の場における風当たりというものは大変強うございまして、これまでもしばしばもうこの事業については将来要らないのではないかというふうな議論も聞かれたわけでございます。と申しますのは、この事業の発足当初におきます農業あるいは農村における農家の生活というのは、都市の生活に比べまして外見的に見ましても数々の点で非常におくれておった点があったわけでございまして、発足当初におきましてこの事業が果たしましたその歴史的な役割りというものについては、どなたも大変高く評価をしておるわけでございます。
しかるにかかわらず、最近比較的批判的な意見が多いというのは、農家の生活がもうよくなったのではないかと、人によりましては都会の人よりははるかにりっぱな住宅に住んでおると、自動車
を二台も持っておるというふうな外見的ないしは経済的な現象に注目されまして、すでに都市生活よりも農村生活の方が質的レベルが高いのであるから、その意味でもう歴史的な役割りは終わったと、こういうふうな意見の方が多いわけでございます。またかなりこの事業について御認識の深い方におきましては、現実に農村なり農家の中で起こっておりますさまざまな生活上の諸問題、これには大変根の深いものがあるわけでございますが、それに対して十分な期待にこたえていないのではないか、こういうふうな御批判もあるわけでございます。それから、まあそのいずれにおきましても一面において真理の点もありますが、かなり誤解に基づくものもあるわけでございまして、農家の生活につきましては確かにある部分について見ますならば大変向上いたしております。しかし、農家の抱えております特徴的な問題、たとえば農業をやっております以上はどうしても季節的に集中する過度の労働という問題がございますし、また収入面におきましてもサラリーマンのように毎月決まった収入が必ず入ってくるという保証は何もないわけでございます。また統計的に見ましても、高齢者を抱えたいわば多世代型の家庭が多いわけでございますし、それらを通じまして農家の主婦の方が家庭生活と生産活動と両面を担って大変過酷な労働下にあるという現状はほとんど変わっておらないわけでございます。その一番端的な例といたしましては、これだけ農家の生活が経済的にはよくなったとはいいながら、依然として農家にはなかなか嫁にやらぬというふうな風習がいまでも残っておるということは決して農家生活が統計にあらわれたような意味でよくなっているということのまあ保証ではないというふうに私どもは考えておるわけです。
したがいまして、今後高生産農業の実現を図るというふうな観点からいたしますと、農家の生活面の持っておりますさまざまな制約というものをできるだけ克服して、そこにりっぱな生活ができるようにしていかないと農業経営の発展も望み得ない、こういうふうに思うわけでございまして、その意味で協同農業普及事業が農業技術と農家の生活問題を同時的に取り上げておるというのは大変な卓見であるというふうに考えておるわけでございます。そういうことをできるだけ私どもといたしましてもPRをしながら、この事業の必要性を十分訴えていくつもりでございますが、同時に世の中から誤解をされるということにつきましては、やはりそれなりにみずから正すべき点は正していかなければなかなか世の中の人の支援が得られないという問題もあるわけでございますので、臨時答申にもございますが、必要な見直しは行いましてこの事業を安定的に発展をさしていくとかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/73
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074・村沢牧
○村沢牧君 農林水産省も生活改良普及事業についてその必要性をそのように考えるならば、もっと自信を持って積極的にこの必要性を訴え、それから指導内容を改善をするようにしなければいけないし、国民の理解も得るようにしなければならないわけですけれども、いままで何か受身のような形だけに終わってしまっておる。もっと前向きな形でこの生活改良普及が必要だということの方針、あるいはまたその訴えを起こすべきじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/74
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075・小島和義
○政府委員(小島和義君) これは私どもといたしましてはまあ精いっぱいその必要性を強調をしてきておるつもりでございますが、なかなか都市と農村との距離が開いてきたと申しますか、農家の生活の内容について実感を持って受けとめられないような、そういう都市の方々がふえてきておるというのは遺憾ながら現実であるわけでございます。その意味で今後農村の、農家の問題というのをできるだけ非農家にも知らせるという努力が必要であろうと思うわけでございます。現実に地域によりましてはかなり混住化が進んでいるような地域もございますから、そういうところにおきましては非農家も取り込んだようなさまざまな交流活動をやっていくことによって農家の生活実態をよく認識してもらうということが必要であると考えております。
また、とかく普及所の仕事というのは、先ほど来こう話題が出ておりますような農協とか、あるいは市町村でありますとか、あるいは農業委員会でありますとか、そういった農業だけの場に閉じこもりがちでございますけれども、たとえば都道府県段階、あるいは普及所段階におきまして婦人対策などの横の連携の場がございます。そういうところにおきましても努めて普及の側からもアプローチをいたしまして、農業以外の婦人問題に関心をお持ちの方々にもこの事業の必要性、特質というものを知らしめる必要があると考えております。
第三には、一般的なPRということでございまして、たとえば、ただいまでもささやかな経費でございますが、民間に委託いたしましてテレビ番組をつくっております。これは「あぜみちの詩」というふうな題名でございまして、農村の生活がどのようなものであるか、またそれを改善するためにどんな努力をしているのかというふうなことをできるだけ一般の市民の茶の間にも提供しようと、かように考えておりまして、それらを通じてこの事業の必要性が単に農水省あるいは農蚕園芸局だけが必要だと、こう言っているだけではだめなわけでありまして、世の中の人からも広い支持が得られますように努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/75
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076・村沢牧
○村沢牧君 以上、私は普及活動のあり方等について質問をしてまいりましたが、改正法案では国と県を通じて一貫した方針に基づいて事業内容の刷新、効率化が図られるよう農林水産大臣は運営指針を定めて、都道府県はこの運営指針を基本として事業の実施方針を定めることになっていますが、運営指針の具体的な策定に当たってはどのような内容を考えているのか、項目的に明らかにしてもらいたいんですが、時間がありませんから簡潔にひとつ要点を述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/76
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077・小島和義
○政府委員(小島和義君) 運営指針におきましてその法定をいたしております事項が五項目あるわけでございまして、その五項目につきまして逐一どういうことを予定しているか申し上げたいと存じます。
まず第一には、「普及指導活動の基本的な課題」でございまして、この中には高度技術の普及、高能率的農業経営の確立、すぐれた農業の担い手の育成、農業者の健康の維持増進、農村婦人、高齢者の自主的活動の助長、こういったことを取り上げたいと存じます。
第二は、「専門技術員及び改良普及員の配置に関する基本的事項」でございまして、農業事情の変化の実態に応じて都道府県間で均衡のとれた普及指導水準を維持し得る配置の考え方、及び都道府県内の改良普及員配置について農業振興の期待される地域や農業者のニーズの高い地域への重点配置、その他適正配置の考え方を定めるつもりでございます。
第三には、「専門技術員及び改良普及員の資質の向上に関する基本的事項」でございまして、研修の基本的な枠組み、あるいは試験研究機関等との人事交流のあり方について定めたいと存じております。
第四には、「普及指導活動の方法に関する基本的事項」でございまして、試験研究機関との連携の考え方、中核農家、農業集団等の重点指導対象の考え方、農業改良と生活改善との一体的活動、その他効率的な普及活動の手法に関して定めたいと存じます。
第五には、「その他」でございまして、普及事業の支援、協力体制の整備等を念頭に置いて詰めてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/77
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078・村沢牧
○村沢牧君 これはこの法律が公布されて、いつころまでをめどとしてつくるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/78
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079・小島和義
○政府委員(小島和義君) 本来でございますと、これら運営指針あるいは実施方針を定めまして、その後において予算の執行に入るというのが筋道であろうかと存じておりますが、この場合すでに新しい年度に入っておりますので、私どもの率直な希望といたしましては、法律が公布施行になり
ました段階では新年度の予算執行をとりあえず行いまして、同時に並行いたしまして運営指針及び実施方針の協議をいたしたいというふうに考えております。したがいまして、できますならばこの実施方針協議を夏までには終わりたいというふうに考えておりますが、これは都道府県との意見調整を必要とする事項でございますので、当方において一方的な期日を決めるわけにもまいりません。できるだけ早くということで、並行してやれるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/79
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080・村沢牧
○村沢牧君 普及事業は国と県がともに責任を持つ協同事業であるから、現行法は都道府県に対して負担金を交付するように規定しておりますが、この負担金を今回法律改正をして交付金にしようとする理由は何か。また、負担金と交付金とはその内容において具体的にどのような相違が生じてくるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/80
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081・小島和義
○政府委員(小島和義君) 先ほど申し上げましたように、負担金につきましてはそれなりのメリットがあるわけでございますが、臨時行政調査会答申におきまして、人件費補助の弊害が指摘をされまして、今後原則的にこれを廃止していくという方針が出されました。そいうう事態を踏まえまして、今後関係者に不安、動揺を与えることなく、この制度を安定的に発展させ、かつ協同事業としての性格を維持したい、こういう意味で交付金に改めることにいたしたわけでございます。まあ負担金の場合には、御承知のように個別の経費、人件費であれば何等級何号俸の者何人とか、旅費が何日分とか、車が何台とか、あるいは農業者大学校の経費はかくかくしかじかというふうな積み上げをいたしまして、それにそれぞれの負担率を乗ずるということによって予算を計上いたしまして、その負担率を除いた以外のものは都道府県が負担をすると、こういうことに相なっておるわけでございます。また、原則的に各費目間での流用は制限をされておる、こういうものでございまして、この負担金の予算計上を通じまして都道府県の仕事の方向づけをするという、予算で引っ張っていくと申しますか、そういうふうな性格を持ったものでございます。交付金はそれに比べますれば、個別の経費の積み上げということではございませんで、標準、定額の経費でございます。もちろんその中には普及職員の設置、あるいは普及所の運営等の基本的な経費は盛り込んでおるつもりでございます。したがいまして、その経費の中におきましては、運営面におきまして費目間の運営、執行の弾力性というのは保持されるわけでございます。もちろん協同農業普及事業以外の経費に充当するということは法律をもって禁止をいたしておるわけでございます。そういうことによりまして、普及の仕事の推進に当たりまして、国がいかように知恵を出しましてきめ細かく予算を計上いたしましても、各都道府県の農業の実態、あるいは普及所運営の実態というところには、かゆいところに手が届かないという面があるわけでございますが、今回はそういう問題がなくなりまして、都道府県の自主的な判断によりまして資金を効率的に使って仕事ができる、こういうことが一つのメリットであるというふうに考えておるわけでございます。それでまた同時に、余り弾力的に実行されまして、各都道府県間の横の均衡がとれないという問題がないように、先ほど来申し上げておりますような、必要な制度的な手当てもあわせて行う、こういうものであるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/81
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082・村沢牧
○村沢牧君 交付金方式に変更することによって普及事業の後退につながるんではないかという心配もあるし、私もそうしたことを心配している一人であります。また、普及事業の水準を後退させないためには、人件費や事業費、活動費に対応し得る国庫予算を確保しなければならない。従来の負担金に比べて交付金予算を減らさないという方針がなくてはならない。さしあたって、五十九年度予算編成に当たりどのような必要額を確保しようとしておりますか。また、物価、給与等の上昇があった場合には交付金も増額していくという基本的な考え方がなくてはならないけれども、それらのことについてお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/82
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083・小島和義
○政府委員(小島和義君) 先ほど申し上げましたように、定率の負担金というのはそれなりに大変すぐれた長所を持っておるわけでございますが、同時に、経費の積み上げということによって予算を組んでおりますので、予算の査定の余地というのはあるわけでございまして、これまでも費目によりましては政府の統一的な方針のもとに予算査定がされているという場合があったわけでございます。したがいまして、負担金であるから予算が当然削られることはないとか、あるいは交付金だから当然に削られることはないとかという、そういう違いはないわけでございますが、ただ、ただいま申し上げておりますように、本年度この予算を標準、定額のものといたしました経緯がございます。まあ、その考え方からいたしますと、これが五十九年度において途端にすぐ削られるというふうな問題は私はないというふうに確信をいたしております。ただまあ予算でございますから、そのときどきの折衝によりまして増減はもちろんあり得るわけでございまして、一遍決めたらもう絶対変えないというものではないわけでございます。まあ従来の経費に比べれば比較的予算の安定性は強いものと考えておりますが、御指摘ございましたように、物価、賃金等が大変に上昇いたしまして、このままでは普及事業の円滑な実施ができないというふうな事態になりますれば、当然この予算の増額を要求せざるを得ないと思っておりますし、また、そういうふうな事態にならないように毎年の予算でも心がけていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/83
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084・村沢牧
○村沢牧君 後段質問した、物価その他の経済情勢の変化によって負担金も増額をしていくという基本的な考え方がなくてはならないけれども、これについてはどうなんですか、簡潔に述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/84
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085・小島和義
○政府委員(小島和義君) そういった経済事情が変わったことによりまして物価とか賃金が上がりまして、この事業の円滑な推進に支障を来すことがないように措置をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/85
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086・村沢牧
○村沢牧君 大臣、私はこういうふうに方式が変わったからといって国の予算総額等を減らしてはならない、このことをいま指摘をしておるんですが、局長はそのようなことはないと思うという答弁ですけれども、大臣もひとつ責任を持って方式が変わっても国の予算は減らさない、そのことについて大臣の見解を明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/86
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087・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) いま質疑を交わされていらっしゃいましたので私もよく承っておりましたが、大変村沢先生は御心配をしておるようでございますが、私はやはりよりよき成果を上げることができるのではないかと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/87
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088・村沢牧
○村沢牧君 普及事業の水準を後退させないための基本となるものは、何といっても普及職員の定数の確保であります。今回の法改正で国の予算定数が廃止をされる。従来のように負担金の中で人件費が積み上げされておるのとは違ってくるわけです。そのことによって定数を減らすようなことがあってはならないけれども、交付金制度下における普及定数の確保は今後どうしていくんですか、絶対確保していくというひとつ自信のほどを示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/88
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089・小島和義
○政府委員(小島和義君) 従来の負担金制度のもとにおきます予算上の定数でございますが、これも先ほども申し上げましたように政府全体の方針のもとにおきます計画削減の対象にはなっておったわけでございまして、これまでもある程度の割合では総数が減少をしてきておるわけでございます。今回の改正によりまして、基本的には定員管理は都道府県の自主的な管理にゆだねられるわけでございますが、今回の助成方式の変更によりましてその削減が加速されるということはないようにいたしたいと思っております。
具体的に申し上げますならば、今回の法律改正によりまして国の運営指針あるいは都道府県がこれを基本といたしまして農林水産大臣と協議して事業の実施方針を定めるということになっておるわけです。その中には普及職員の配置に関する事
項も定めることになっておりますので、これらの協議を通じまして普及指導の水準の確保ということについては一つの制度的な手がかりがあるわけでございます。もちろんこれは都道府県の職員の問題でございますから、県内のいろんな農業の情勢の変化というものがございます。現実にも過去におきまして相当な農業地域であった場所が、その後開発が進みまして、もはや農業の地域ではなくなってきているというふうな地域もあるわけでございますから、そういう農業の実態の変化等も十分織り込みながら、都道府県と協議をいたしまして、適正な人員配置ができますように努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/89
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090・村沢牧
○村沢牧君 その交付金を算定する要素は何か、要素について項目だけ示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/90
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091・小島和義
○政府委員(小島和義君) これは定数配分というよりは、資金配分の基準という形になっておるわけでございますが、従来から改良助長法におきましては、まず農業者の数、それから農地面積、それから市町村数、その他、こういう四つの項目によりまして配分をするということになっておりまして、今回はその点につきましては法律上の規定から政令に配分基準はゆだねておりますが、基本的な考え方としては踏襲をいたしたいと思っております。ただ、従来の四項目は主として人件費配4分の基準でございましたが、今回たとえば農業者大学校なども含めまして、資金配分の基準というふうにいたしましたものでございますから、農業者大学校があるところ、ないところということによりまして多少の差がついてまいります。その意味におきましては、従来の一号、二号、三号、四号の比率は三、三、二、二でございましたが、これを三、二、二、三ということで、第四号のその他の項目のところのウエートを若干高くいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/91
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092・村沢牧
○村沢牧君 その他の要素の中で、従来の都道府県別の農業改良普及員なり生活普及員の定数というか、数も含まれるのかどうか。私はここに農水省の資料、都道府県別普及職員の配置状況の資料を持っていますが、それを見ると、たとえば奈良県を例にとってみますると、五十六年度は二百四十八名、これは三十五年の人員に比較して六八%の減少だと。生活改良普及員は四十四名で、三十五年に比べて八〇%も減っておる。この減った理由というのは、それぞれ広域指導体制をつくるための、いわば研究会の答申に先駆けてこうしたことをやった結果である。しかも、この減り方は全国的に比べて減少率が高い。しかし、いま交付金算定の要素になった耕地面積なり農家戸数、人口、市町村数を見ると、奈良県よりもはるかに少ないところで普及員の数が非常に多い、こういうところがみんなあらわれているわけなんです。俗にいう、西高東低なんて言われておるようでありますけれども、一体今度交付金を算定するについては、このことを改めなければいけない、これを基準として交付金算定の要素にしてはならないと思います。現に、研究会の報告でも、こうしたことを見直せということを指摘をしているんですが、これについてはどういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/92
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093・小島和義
○政府委員(小島和義君) 現在の普及員の配置につきましては、制度発足当初におきますところの実際の人的配置という歴史的な経緯があるわけでございます。お話のように西高東低というふうな現象も確かに見られるわけでございますが、この理由につきましてはさまざまなことがあるわけでございます。一つには、この制度ができました当初、各都道府県の財政事情というのはかなりばらつきがございまして、普及の必要性を感じつつも、国庫負担以外の残りの経費負担がなかなかできないというふうな財政的な事情から、国の配分にもかかわらず、返上せざるを得なかったというふうな都道府県もございます。
また、その後の事態の推移の中におきましては、いまお話ございましたような三項目を中心に配分をしてきたわけでありますが、現実の普及事業に対する要請は、必ずしも農家戸数あるいは農地面積、市町村数というものにスライドするわけではございませんで、それぞれの地域の地理的な事情もございますし、それから作物の数というふうなこともございます。さらには、農業改良普及員以外に、たばこでございますとか、蚕糸でございますとか、独特の普及指導組織を持っている地域もあるわけでございます。また、一番その本質的な問題といたしましては、それぞれの地域の農業者の普及に対するニーズの度合いと申しますか、農業者自身のレベルの高さというふうなことも関係をしてくるわけでございます。そういう大変多様な問題が関係しております普及員の配置の問題を、これらの若干の項目だけで律するというのは確かに問題でございまして、なかなか適切な物差しが決めにくいという事情にあるわけでございます。その意味で、一応今回項目といたしましては四項目踏襲をいたしましたけれども、第四の項目、すなわち普及事業の実施を必要とする度合いと申しますか、そういうものの中に要約をいたしまして、その他の要素が総合的に判断されますように心がけたつもりでございます。
そういう意味におきまして、現在の配置状況がそのままベストであると決して考えておるわけではございませんで、今後、各都道府県と相談をしながら長期的に配置の是正という問題も当然考えていかなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/93
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094・村沢牧
○村沢牧君 研究会の報告でも、都道府県普及職員配置を見直し、その適正化を図るべきである、こういう指摘がされています。局長は研究会の報告を尊重して改善をしていくという答弁でありますけれども、私が指摘をしたように、今回の交付金算定の基準について、現在の普及員配置状況をこのまま参考にして交付金を算定してはいけない、これを見直さなければいけない、そのことについてもう一回はっきりした答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/94
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095・小島和義
○政府委員(小島和義君) 長期的にはそのようにいたしたいと考えております。
本年度ただいまで申しますならば、昨年度、負担金制度のもとにおきまして交付されました予算の実績のようなものがあるわけでございます。交付金制度に変わりました途端に各都道府県に配分されます資金の額が、実態が全然変わらないにもかかわらず急激に変動するということになりますと、これはこれなりにまた問題を起こすわけでございますので、短兵急な改善はなかなかできかねますが、長期的には御指摘のとおりこの普及員の配置問題というのも取り上げていって、全国的に眺めてみて適正なレベルに持っていく、こういうことに努力をいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/95
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096・村沢牧
○村沢牧君 ぜひそのことは実行できるように強く要望しておきます。
それから、定額交付金への移行によって国と都道府県との経費負担の基準がなくなると、都道府県の予算づけが非常にこの普及事業に対しても厳しくなってくる。したがって、国では引き続き必要な財源を地方交付税に算入して事業水準の維持を図るようにすべきだというふうに思いますが、自治省はこの都道府県の裏負担についてどういうふうに考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/96
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097・前川尚美
○説明員(前川尚美君) 従来の負担金に対する裏負担に相当するものについてどう考えておるかということでございますが、私ども、今回の改正案によりまして従来の負担金が定額の交付金ということになるわけでございまして、改正の趣旨からいたしますと、従来言っておりました意味での都道府県の義務負担というのは改正法後はこれはなくなるというふうに考えているわけでございますが、しかしながら、一方では現実に都道府県で農業改良普及事業を続けられていくことになるわけでございます。交付税におきましても、私ども五十八年度につきましては国の予算の状況を勘案いたしまして、従来の裏負担に相当する金額についても的確に基準財政需要額に算定をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/97
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098・村沢牧
○村沢牧君 重ねて質問しますが、方式は変わってもいままでと同じように交付税でもって裏負担はめんどう見ていく、そのようにはっきり言い切っていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/98
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099・前川尚美
○説明員(前川尚美君) 今後の問題でございますが、裏負担といいますと、従来補助金なりあるいは負担金に対する都道府県の義務的な負担という理解の仕方がされておりますが、そういう意味での裏負担ではなくて、県が実際に事業を行っていくのに際して必要な財政需要というものを測定をして、きちっと交付税でも各府県の事業の実施に支障がないように対応をしていきたい。そういう意味では、五十八年度は先ほど申し上げましたように、裏負担に相当する金額を算定さしていただいているわけでございますが、それから先の問題につきましても、今後交付金が制度化されますことによりまして、それぞれ農業改良普及事業の内容なり規模なりというものについては、各都道府県が自主的に地域地域の実情に応じて適確に実施できるように考えていくということでございますから、私どももそういった地域の実情の動きに着目し、また国の予算の動向等も勘案しながら、交付税面での対応も配慮をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/99
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100・村沢牧
○村沢牧君 時間が参りましたから、最後に大臣にお伺いして私の質問を終わりますけれども、いままで質問いたしましたように、交付金方式に移行したことによって国と県との負担率が定まっておらないために、都道府県の考え方で普及事業の予算が抑制される場合もある。特に、交付金は人件費に充ててもあるいは事業費に力点が置かれても、これは県の考え方次第である。地方財政も厳しい折から、こうした中でも普及員の定数確保あるいは普及水準の強化、このことに支障を来さないようにしなければならない。さらにまた、交付金に対する地方財源の裏負担というか、持ち出し分、これらについてもいま自治省が答弁あったように、交付税で見ていかなければいけない、これらについて方式は変わっても普及事業の水準は落とさない、定数は確保していく、このことについて最後に大臣の決意をお聞きをいたしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/100
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101・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) いろいろ負担金が交付金に変わるので御懸念を抱いておるようでございますが、いままでより普及事業が後退しないように、先ほども申し上げたとおり、よりよき普及事業がひとつ発展するように、財政的にも十分御指摘の点を心得て、今後責任を持って努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/101
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102・村沢牧
○村沢牧君 時間ですから終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/102
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103・藤原房雄
○藤原房雄君 私は、農業改良助長法の一部を改正する法律案について若干の御質問をいたすわけでございますが、目まぐるしい社会情勢、農業を取り巻く環境の激変に伴いまして、いままでの体質のままで物事がいいとは思いません。そこには何らかの対応策が必要だろうと思います。そういう点では、今日まで法案のいろいろ提出がございましたが、それらの問題についても一歩前進という感じも受けますが、また非常に危惧の念を抱く、そういうものもございます。
〔委員長退席、理事高木正明君着席〕
そういう点で、何点かについて御質問申し上げるわけでありますが、最初に同僚委員からもお話があったようでございますが、日本農業がいま当面しております大きな問題といたしまして、日米農産物交渉の再開を前にいたしまして、大臣がそれぞれのマスコミやまた委員会等でもお述べになっていらっしゃるようでありますが、この機会でございますので、大臣の所信といいますか、決意のほどを伺っておきたいと思うんでありますが、専門家によります協議が今月の末に行われるということであります。大臣も交渉を焦らずじっくりと取り組むんだとか、それから日本農家に被害を与えるようなことではなくて、輸入枠の拡大についても慎重に取り組むんだとかいろんなお話があるわけでありますけれども、まず、大臣にこの委員会の席上でひとつ取り組みについての基本的な考え方をお伺いしておきたい。
これは現在輸入不安という、こういうものが最近の子牛価格または甘柑などの低迷に大きな深刻な影響を与えておるという、心理的な問題から、現実的な問題とか、とにかく日米農産物交渉の行く末というのは日本農家にとりましては非常に重大な問題でございますので、基本的な大臣のお考え方をひとつ明確にお答えいただきたい、こう思うんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/103
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104・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 私は就任以来、市場を開放すること、自由化はもちろんのことでありまして、枠の拡大についてもいまのところその必要はないではないかというようなことをずっと主張を続けてまいっておるわけでございます。中曽根総理が訪米しまして、一月にこの問題で触れまして、これは専門家で冷静にひとつ協議をさせようということで、一応レーガンさんとの話を取り決めておりますので、その後続けてやはり専門家レベルの話を続けさせなければならないということで、自来、四カ月の間に、非公式、公式に数回交渉させましたが、なかなか非常に米国の方は強い姿勢でこの問題に取り組んでいるのでございます。したがって日本側としましても、いわゆる昨年の八月の国会決議もあることでございますし、これは日本農業に被害を与えないようなこの問題の収拾をつけなければならない、こういう考え方に立って、きょうから佐野経済局長が交渉を始めておるわけです。いわゆる専門家レベルの交渉にきょうから本格的に入っておる、こういうことなんです。
〔理事高木正明君退席、委員長着席〕
したがって、先ほどもお話し申し上げましたとおり、向こうがどういうふうな態度で公式の専門家レベルの会議にいろいろ具体的な提案をしようとしておるのか、あるいは提案があるのかということを見きわめた上でわが国の方の対応は早く決めるべきであると。枠の拡大についても、私はいま取り決められております明年の三月までは別に動かす必要はないということを申し上げておるわけでございまして、これは動くはずもない、動かしもしないと思います。ただ交渉するのは明年四月以降のことを交渉するわけでございますので、この問題については具体的に私の方でも数字をいまのところいろうてああでもないこうでもないという検討は私の方ではいたしておりません。向こうの出方を見て、それに対応して検討しようと、こういうことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/104
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105・藤原房雄
○藤原房雄君 来年の三月ですか。これは交渉事ですから、相手のあることで、こっちから先走って云々することはないだろうと思うんであります。しかしながら、いまここで農林大臣として日本の農業に被害といいますか、大きな打撃を与えるようなことがあってはならぬという、そういう日本農業を守るという強い不退転の決意の上に立って今後の問題の処理に当たるんだという、このような大臣の決意であるというふうにとらしていただいて、今後ひとつ個々の問題についてはその不退転の決意の上から的確にひとつ判断をしていくという、こういうことで進んでいただきたい、このことをひとつ要望しておくわけであります。
さらに、——さらにというか、話は次に移りますが、過日、昭和五十八年四月の十二日ですか、閣議決定いたしました土地改良長期計画、これは農業にとりましては生産性の向上ということから何といいましても基盤整備が大事な問題でありますので、この法案審議に先立ちまして二、三ちょっとお聞きしておきたいと思うんでありますが、五十八年から第三次計画、総額三十二兆八千億、これは閣議で決定をいたしたようでありますが、当初農林省としましては三十七兆、これぐらい考えておったようでありますが、いろいろ大蔵省との折衝の段階で下方修正といいますか、三十二兆八千億というところに落ちついたようでありますが、財政事情云々という話になるともうそれ以上ものが進まないというんじゃなくて、やはりこれそういうことを勘案した上で農林省としても三十七兆という試算といいますか、一つの目標というものを、総額というものを定めたんだろうと思います。この大蔵省との折衝の中で下方修正された、それで決着をしたその理由といいますか、そこのいきさつと、それから三十二兆八千億という、これ細々しいお話は結構でありますから、十年間でこれだけの事業量をというそこに至った基本的な
考え方、この根拠といいますか、それらのことについてちょっとお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/105
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106・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) いろいろ三十七兆数千億が三十二兆八千億になったということについての経過あるいはこれからの十カ年の計画、そういうことについては構造改善局長が詳細に御説明申し上げますのでひとつお聞き取りを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/106
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107・森実孝郎
○政府委員(森実孝郎君) 当初三十七兆の要求が御指摘のように三十二兆八千億ということで最終的に合意を見たわけでございます。一般の公共事業の長期計画の例に準じてもおわかりいただけますように、要求官庁としてはやはり予算要求と同じ姿勢でできるだけ安全圏を見て高い数字で要求すると、それをどこまで内容的に修正できるかどうかということで折衝が行われたわけでございます。
端的に申しますと、たとえば農地の壊廃の見方をどう考えるかだとか、それから圃場整備の整備率というものをどの程度に抑えていくかとか、あるいは単価をどの程度に抑えていくかとか、それからすでに投資が行われた水利施設の更新をどの程度の率で見ていくかと、こういうふうに基本的なフレームワークに大きく関係しない部分で調整をしたわけでございます。その結果、今回まとめました三十二兆八千億の数字につきましてもやはり基本的な枠組みは私ども確保できたのではないかと、まず第一に必要な農用地面積五百五十万ヘクタールの確保という前提で試算をしております。
また農地の整備率につきましても当初の考えよりは若干下方修正いたしましたが、おおむね七〇%という整備率で組んでおります。これ以外に汎用水田化の推進とか、あるいは農村環境整備の充実とか国土保全事業につきましても若干の数字的な調整、たとえば国土保全で言うならば緊急地区をどの程度見るかという点については修正をいたしましたが、基本的な枠組みとしてはそういう考えでまとめたわけでございます。
この計画が是認され、その計画どおりに事業が実施されるならば、私どもやはり一つの政策課題というものに、長期展望に従った政策課題にも対応できると考えておりますし、また当初要求のとき持ち出しました各県あるいは市町村がつくっております土地改良に関する長期的な見通しというものに大体こたえられるのではないだろうかと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/107
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108・藤原房雄
○藤原房雄君 いま農水省サイドから細目についての、土地の壊廃問題とかいろんなことについての中からこういう三十二兆ということであったということでありますが、財政当局としてはこれは当初農水省としてもいろいろ検討したものに対して下方修正を迫ったんだろうと思うんですが、それはお互いに突き合わせた上でこういう三十二兆に落ちついたんだと思いますけれども、しかし、農水省は農水省の言い分があってやっぱりこの計画を立てたわけですけれども、この三十二兆に落ちつくに至りましては大蔵省とは終始一貫一つの理念というか考え方があったんだと思うんですが、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/108
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109・千野忠男
○説明員(千野忠男君) 第三次土地改良長期計画につきましては、御存じのとおりの大変厳しい財政事情のもとではございますけれども、財政当局の側といたしましても食糧自給力の維持向上あるいは生産性の向上といったような農政の緊急の課題に対応するために必要な事業量はこれは認めなきゃいかぬということで鋭意折衝をしてきたわけでございますが、先ほど森実構造改善局長からお話のございましたような若干の点についての調整の後、両省の合意のもとに必要な事業量を認めたということでございます。財政当局といたしましてもこの計画の重要性というものについては十分承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/109
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110・藤原房雄
○藤原房雄君 それから公共投資部門で最近の経済情勢とか国の財政事情とか、こういうことで五十四年に策定されました新経済社会七カ年計画ですか、これもいま見直し論といいますか、こういうことがささやかれておるわけでありますけれども、そういう中でこの土地改良長期計面、これを含めて経済社会及び公共投資計画が一体現在どう機能しておるのか、また将来における目標達成のための指針として当計画の性格、これは一体どのように認識していらっしゃるのか、これ企画庁ですか、計画自体の中でのこういう問題についてひとつお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/110
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111・坂井順行
○説明員(坂井順行君) ただいま御指摘の経済計画でございますが、御案内のように五十八年度を初年度といたしまして八カ年を目標に現在作業中でございます。したがいまして、現段階で具体的に農業をどう位置づけるかというまだ回答を、成案を得る段階ではございませんが、計画の中では少なくとも公共投資の配分、それから総額、あるいは今回どう取り扱うかということにつきましては鋭意関係省庁と協議をこれから続けていくことになろうかと思います。したがいまして、本件につきましても当然農林省といろいろ協議をさせていただいてこれから決める段階でございますので、現段階でまだ成案を得ておるわけでございませんが、いろいろ取り扱いを含めまして検討を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/111
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112・藤原房雄
○藤原房雄君 きょうはこれは法案審議なものですから余り一つ一つ詳しくやるつもりもないんですが、大枠的なことについて閣議決定いたしました段階でお聞きしておるわけですが、土地改良事業費、五十七年度でですね、国の支出に係る農業基盤整備費が大体九千億ですか、これを見ますと。それから、これを含めて事業量としては一兆六千億から七千億ぐらいということになるわけですが、五十八年度からスタートする第三次計画の三十二兆八千億、これ十年の計画をずっとならしますと土地改良費が毎年一四%前後、これぐらいの前後で増加していかなければ達成できないというような感じになりますね。こういう点から考えて、企画庁の方の新経済社会七カ年計画の策定という、まだその確定していない段階で、せっかく立てた計画というものが実現性があるのかどうかという点について、非常に危惧といいますか、ここらあたりのことについては農水省としてもどうお考えになっていらっしゃるのか。また、企画庁としても、こういうせっかく農業サイドで食糧問題、大変なグローバルにいろいろ議論されている段階ですから、認識は十分持っていらっしゃると思いますけれども、実現性ということにつきましては、企画庁としましても、農水省としましても、それぞれの立場でどうお考えになっていらっしゃるか、ちょっと基本的なことだけをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/112
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113・森実孝郎
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のように、この計画を達成するためにはいろいろな内部の関数関係をどう見ていくかという問題はございますけれども、総じて申し上げるならば、一二%程度の伸び率の予算を確保していかなければならないということで、今日の財政事情から見ればなかなか厳しい課題をわれわれも自分自身に課したと思っております。しかし、この長期計画の必要性はやはり農政の立場から見て否定することはできませんので、この達成のために予算の確保にはこれからも努力していきたいと思います。
さて、長期計画との関係でございますが、従来から経済計画におきます公共投資の部門別配分、総枠と部門別配分と各種の公共事業の長期計画との整合性ということは、やはり政府としても基本的に考えていかなければならない問題があると思います。そのような意味合いにおきまして、土地改良事業計画も他の公共事業計画同様新しき経済計画との関連の中でその整合性の問題を論議しなければならないことは十分あり得ると思っております。それは今後の企画庁の検討を待たなければ私どもも判断できませんが、ただ、私どもといたしましては、この計画が先ほど申し上げましたように一つの政策課題に応ずるものであり、また末端からの需要を積み上げてはじいた必要な事業と考えておりますので、極力そういった状況の変化の中でも必要な枠を確保できるよう、当初の決めましたこの三十二兆八千億が確保できるよう最大
限の努力を続けてまいりたいというのが現在の気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/113
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114・坂井順行
○説明員(坂井順行君) 先ほども申しましたように、現段階でこの計画を、経済計画の中での整合ということについては、お答えといいますか、こうだというわけにはまいりませんけれども、やはり社会資本整備というものが安全の基盤であったり、あるいは活力の基盤を整備するもとでございますので、重要性は十分認識しておるつもりでございます。今後とも大蔵省、それから農水省とも十分協議をして、できるだけこの計画の目標としているところに沿えるよう努力をしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/114
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115・藤原房雄
○藤原房雄君 揺れ動く社会情勢の中で計画を立てるということはなかなかむずかしいことだと思いますけれども、食糧確保という非常に大事な見地の上から、そういうことをも乗り越えて、一つの経済計画、それに伴います公共事業としての位置づけ、そういうことで、これはむずかしい問題いろいろあると思いますが、それぞれの立場でこれは推進しなければならない大事なことだろうと私は思います。過去のことに何も私は拘泥するわけではないですが、いままでの経緯を見ましても、土地改良事業というのは非常に息の長い仕事である。また、非常に重要なことでありますので、非常に年数を要する。その間に、財政事情とかいろいろな農業基盤整備費の伸び悩み、こういうふうなことで工事費が上昇したり、こういうことで事業の進捗率がきわめて低くなっているのも見受けられるわけでありますけれども、財源のめどがつかないで途中で工事が打ち切られるケースも少なくないという、こんな感じもしてならないわけでありますが、今後の継続事業への財源の優先配分、それから新規事業の抑制、それから重点採択費、こういうことでいままでも何度か答弁があって、今日もそういう点はもちろん配慮しながら進めてきておることだろうと思うのでありますが、このたびのこの計画を推進するに当たりましても、やっぱり原則的には、これは新規事業の採択については、農政審の答申等踏まえて物事は進めなければならぬだろうとは思いますけれども、そういう中で畑作農業とか水田汎用化、こういうことがまた非常に大きなウエートを占めてくるだろうと思います。土地改良投資への重点的な配分、こういう中で経費の効率的使用状況の確保、こういうこともあわせて土地改良事業の採択、それから推進、こういうことに当たりまして、過去の経緯も含めまして、農水省としては、これは基本的にさっきも申し上げた継続事業、新規事業、それをどういうふうにやるか、いままでの経緯もありますから、おおよそわかっておるんですけれども、こういう大きな計画を立てるわけですから、立てるに当たりましては、やっぱり基本的ないろいろなことを検討なさっていらっしゃると思いますけれども、それらのことについて、概略的で結構ですからお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/115
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116・森実孝郎
○政府委員(森実孝郎君) 事業の重点といたしましては、ただいま御指摘にもございましたように、農用地の造成、圃場の整備と並んで、水田の汎用化と、それからもう一つは畑地・土地改良の推進ということは重視していかなければならないと思っております。採択の問題でございます。
率直に申し上げまして、藤原委員も御案内のように、地域社会でそれぞれ土地改良の計画がつくられ、申請が行われるまでにはいろいろな準備期間を経ております。その意味で新規を抑えるということは容易なことではございませんが、私どもといたしましても、新規の採択に当たってはやはりこれを極力抑制しようという考えで、五十七年度予算からは補助事業等については従来の採択事業量の大体三分の二程度に抑制する、これによって多少単価等の向上があっても工期は延びない、あるいは場合によっては圧縮できるというところにとどめようということで、簡単なようでございますが、なかなか努力いたしまして圧縮してきた経緯がございます。ことしもこの方針を踏襲しております。やはり新規の採択の抑制ということは非常に重要な課題であり、うらはらにやはり継続事業の完了期間をできるだけ圧縮していくということが必要な課題だろうと思っております。実は、この土地改良長期計画におきましても、現在の継続事業量を計画的に消化を図る、五十三年以前に採択したものと五十四年以降に採択したものに分けまして、前半と後半に分けて計画的に完了を図る、新規もそれに応じてとってくるという計画をはじいていろいろ議論したのも、そういう経過があるわけでございます。いろいろむずかしい問題もございますが、やはり臨調の答申にもございますように、これは一つの基本的に土地改良事業の執行に当たって取り組まなければならない問題だろうと思います。そういう意味で、持続的に息の長い話として新規の抑制、それから工費の縮減という問題については今後とも努めてまいりたいと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/116
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117・藤原房雄
○藤原房雄君 いまの話とつながるわけですが、これから水田利用再編対策の一環として水田汎用化対策、これが現実味を帯びて、各地でそれぞれ工夫してやっているようですね。去年も私ども当委員会で視察にも仙台ですか、行きましたが、その進めるに適した土地柄と、なかなかこれはむずかしいようです。そういうことから転換対策が適正なところと、それから、事業を起こしながら遊休化と申しますか、なかなか条件に合わなかったというような、そういうことでこの汎用化対策というのは重要性はますます増すといたしましても、この推進につきましては相当慎重に進めなきゃならぬだろうと思いますし、それからまた、一たび起こした事業が遊休化するなんということがあってはならぬだろうと思いますし、農業用排水施設や圃場整備、こういうことでむだのあるようなことがあってはならぬだろうと、こういうことで、今後推進するに当たりましては十分に御配慮をいただいて、有効な時代にマッチしたものの推進をひとつ図っていただきたいと思うのです。
もう一点、結局土地改良事業というのは生産性を上げるということですね。一応そこら辺に目的があるわけですが、このたびの第三次土地改良長期計画に関連して生産性向上目標というのは現行の一・四七倍ですか、一応目標を定めているようでありますが、早い話が土地改良計画を、それをもちろん国の負担分とそれから地方自治体それから受益者負担あるわけですけれども、こういう経済情勢の中になりますと土地柄を見て十分にこれ推進いたしませんと、工事をいたしましても、結局機械の導入のための負担とか、間接、直接いろんな負担増がありまして、機械化して非常にやりやすくなった。営農面ではいいかもしれないけれども、経営面ではこれが大変な重荷になるという、これは酪農なんかでもよく問題になって、結局設備過剰投資というふうなことが論じられておりますけれども、この土地改良事業におきましてもそれが農家の負担増になって、それが結局大きな重荷になることのないような配慮、せっかくの生産性向上というものが農家を押しつぶす、こういうことのないような対策といいますか、配慮が大事じゃないか、こう思うのですが、ここらあたりはどうお考えになって、また対策といいますか、今後についての取り組みですね、どういうふうにお考えになっているか、ちょっと基本的なことだけお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/117
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118・森実孝郎
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘の点もいずれも専門的に見まして私どももいわば一種の二律背反と申しますか、非常に頭を痛めている、非常にきめの細かい行政運営が必要な点だと思います。
冒頭ございました水田汎用化の問題にいたしましては、やっぱり地下水位を下げるということが非常に反当事業費を上げることになる。しかし、それが徹底しなければ完全な意味での畑作物の導入はできない。そういう意味においては、地下水位をどの程度下げるかということは、立地なり営農計画に即してやはりきめ細かく、いたずらに負担がふえることにならないよう配慮することが重要だろうと思っております。この点についてはさらに努力をしたいと思っております。
それから第二は、やはり生産性の向上にどうつなげていくかという問題だろうと思います。長期
見通しでも、土地利用型農業の物的生産性を御指摘になりました数字にも代表されますように、いろいろその向上目標をつくっているわけでございます。やはりこれは土地改良事業を通じて物的条件を整備するだけではなくて、その上に立って利用権の集積とか作業受委託の推進等、やはり経営規模の拡大に直結するように持っていかなければならない点があるわけでございまして、その意味でことしから地域農業集団の育成ということを一つの基本政策の柱として打ち出した点もあるわけでございます。長期的に見て総合的に効果が上がるよう努力をしてまいりたいと思っております。
次に、負担の問題でございます。なかなかに厳しい問題があると思います。私はやはりこの第三段階に入りまして、土地改良も従来とやはり府県によって、市町村によってかなり整備率に差がついてきております。そういう意味においては、ある程度予算配分についての平準化が第三段階に図られる、つまり需要の優先度が図られるという配慮がどうしても要るだろうと思います。
また、事業の採択に当たっては、従来よりもさらに徹底してやはり高い同意率のものでなければとらないとか、あるいは営農計画もしっかり農民の皆さんに納得していただいてからとるという手続の慎重さが要ると思います。さらに、まあ極端に経済的に非効率な場合は別といたしまして、やはり農民の主体的な意思に媒介された点を尊重するという意味におきましては、やはり地区除外等も場合によっては考える、そういう弾力的な配慮が要るだろうと思っております。
御指摘の点は、よく私どもも日夜頭の痛い点で、考えております点で、これからも十分勉強いたしまして着実に改善努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/118
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119・藤原房雄
○藤原房雄君 これは法案審議に直接関係ないもんで、以上で土地改良のことについては、また具体的なことについて時間がありましたらやらしていただきたいと思います。
総括的なことについてはまた後から大臣にお聞きすることといたしまして、農業改良助長法ですね、私がここで長々申し上げることもなく、農地改革とまた農業協同組合の創設と並らんで三本柱といいますかね、戦後日本の農業が大きく進展するためには一つのそれなりの大きな役割りを果たしてきたものだろうと思います。
まあ時代の大きな変化の中で、それに対してのいろいろ議論がありましたし、普及事業そのものについても現状のままでいいのかということについてもいろんな問題の提起があったわけでありますが、最近の農業とか農政に対するいろんな批判といいますか、行政改革の問題が出ますと必ず農業の何らかの問題が問題になる。そういう中で普及事業というのはいつもやり玉に上げられてきたわけでありますが、今日までいろんな議論を見ますと、一つは全国の知事会等地方六団体は、五十三年ごろから協同農業普及事業の負担金を地方一般財源に振りかえるべきだというような、こういう要請が繰り返されてきたようですね。地方自治体というのは、これは協同事業を担う主体といいますか、中軸的な役割りを果たすわけでありますが、この事業運営に対する地方自治体、このたびの改正によりまして地域性とか、国が上から問題を提起するのじゃなくて、地方自治体、都道府県の意見を聞き、そしてまた、それをもとにして一つの基本線をつくる。そうした上に立って地方自治体がそれぞれ——そういう点では、運営面だけ見ますと地方自治体の主体性といいますか、そういうものがある程度加味されたように見えるわけですけれども、財政面とか運営面と、いろいろ今日までも議論されてきたところでありますが、地方自治体の立場から言うと、今後の法改正後の事業運営、これによってどういういままでと違った形になるのか、そのあたりちょっと、ひとつ御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/119
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120・小島和義
○政府委員(小島和義君) この事業に対する助成の仕組みの面から申しますと、昭和五十二年に改正されるまでは協同農業普及事業補助金、五十二年度以降は協同農業普及事業負担金として、それなりに発展をしてまいったわけでございますが、これらの制度に対する自治体側の問題提起ということは、いろいろございますが、特にいまの人件費補助という仕組みに関する点にかなり集中しているようでございます。
と申しますのは、私どもも、都道府県と農林水産省との間に、この事業の必要性そのものについての基本的な認識の差があるとは考えておらないわけでございますし、また、そういうその必要性に関する認識に基本的な方向性の差があるということになりますれば、協同事業というもの自体が、いかなる制度のもとにおいても成り立たないわけでございます。問題は、自治体側におきまして、従来のいわば個別経費積み上げによるところの負担方式、その中には、特に人件費につきましての細目の積み上げがあるわけでございますが、そのことの持っております過剰介入性と申しますか、そのことに対する御批判があるように思うわけでございます。
その意味におきましては、今回の交付金制度への切りかえという問題は、国が自治体とともに経費の負担に応じつつも、その中において、かなり自治体側の自主的な運営を認めるという意味において大きな変革があるわけでございます。従来でございますれば、個別の経費の積み上げでございますから、当該経費について、もしその必要度が薄かった場合に、自治体はそれを返上するということになりますし、また逆に、他の経費に振り向けたいと思いましても、経費別のある垣根のようなものがございますから、随意にそれを振りかえるということもできないような仕組みになっておるわけでございます。それを改正いたしましたのが、今回のその交付金制度の最もすぐれた点でございます。
もちろん、このきっかけになりましたものは、臨時行政調査会の人件費補助の廃止という答申がきっかけになっておるわけでございまして、その答申を現実的に受けとめながらこの事業を安定的に発展させる、こういう意味において、この制度が一つのお答えということになるのではないかと私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/120
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121・藤原房雄
○藤原房雄君 それから、五十五年の十二月に、行政管理庁で、「農業技術の開発と普及に関する行政監察結果に基づく勧告」、これが出されましたですね。これに基づいて、農水省としましても、勧告ですから、それに対するいろいろ検討をしたわけでしょう。普及事業の改善措置、こういうものについても、この勧告を受けて、これに対する対処というものがあったと思うんですが、それをもとにして都道府県に対する指導とか、いろんなことがなされたとも聞いているんですけれども、その概要はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/121
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122・小島和義
○政府委員(小島和義君) 昭和五十五年十二月に行われました行政管理庁の勧告の中におきましては、協同農業普及事業につきまして四点主な点が指摘されております。一つは、農業改良普及職員の計画的縮減の問題、第二には、農業改良普及事業の簡素効率化という問題、第三には、大都市部における協同農業普及事業の整備縮小という問題、第四には、生活改善普及事業のあり方についての基本的な構想、こういう問題が提起されておるわけでございます。
これを受けまして農林水産省といたしましては検討を行いまして、五十六年七月に行政管理庁に対して回答を行いますとともに、都道府県に対しましても次のような指導を行ってきておるわけでございます。
一つは、指導チームによります総合的な指導体制の確立と、濃密指導地域に対する重点指導の強化というふうなこと、農協の営農指導等の役割り分担の明確化等、農業改良普及事業の運営の効率化を図るということでございます。
また、そのような地域農業の特性に応じた効果的、効率的な活動を推進しながら普及員の配置の適正化を図ることにいたしております。
普及員全体の頭数の問題につきましては、すでに申し上げておりますように、政府全体の方針に従いまして、国家公務員同様、定数の計画的な縮
減に努めておりますので、その範囲内においては十分お答えになっておるかと存じます。
また、改良普及所の支所、出張所の統合整備という問題、これにつきましても指摘されておりますので、その点についてさらに徹底を期するように努めておるところでございます。
それから大都市における普及事業につきましては、これは確かに一般の農村部と都市農業とは多少問題点の相違もございますので、特色ある都市農業の展開が図られるような普及事業の進め方について検討する旨お答えをいたしておるわけでございます。
それから生活改善事業の問題でございますけれども、農蚕園芸局の中におきまして生活改善問題検討会をつくりまして、その基本的な検討を行うということにいたしておりまして、現在検討を続けている途中にございます。今回の制度改正問題が中途に挟まりましたものですから、多少このところお休みをいたしておりますが、本年度またこの検討会を続けまして、生活改善事業の見直しにつきましての作業をまとめたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/122
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123・藤原房雄
○藤原房雄君 次に、臨調の第一次及び第三次答申、これで厳しく指摘を受けたわけですけれども、その中で最も重要なのは、今回の法改正につながっていると思われる負担金の一般財源化の問題ですね。予算編成等を通じて、今回の交付金方式の変更についてはいろいろ議論があり、また、やりとりといいますか、交渉があったと思うのですけれども、その辺の農水省としての、この法律案をつくるに当たりまして、今日までいろいろ各方面からのお話があり、そういうものの中で苦悩しつつつくり上げたものだろうと思うのでありますけれども、特に臨調の答申というのは一つの大きな指針であったのだろうと思いますが、予算編成等を通じて今回の交付金に変更された経緯、または農水省のこれに対する考え方、基本的なことをちょっとひとつお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/123
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124・小島和義
○政府委員(小島和義君) 臨時行政調査会の答申の作成過程におきまして、私どもとしまして一番問題視いたしましたのは、実は人件費補助の一般財源化という問題でございます。
協同農業普及事業は、御承知のように、普及職員の配置というのが基本的な仕事の中身でございまして、その関係職員の活動を通じてこの事業が展開されるということでございますので、この人件費についての国の関与という問題がなくなりますれば、事業自体、制度自体が完全に雲散霧消してしまうということになりかねないわけでございます。その意味におきまして、臨調の答申作成過程におきましても、この問題について農林水産省が、特に私ども農蚕園芸局が最も強く抵抗を示したところでございます。当初の案におきまして、協同農業普及事業の補助金と、そのほか保健所等の職員についての人件費補助が、いわば例示的に書かれるというふうな動きもございまして、大変びっくりいたしたわけでございますが、最終的には、御承知のとおり、原則として二年以内に一般財源化、多少の弾力条項を含んだ表現になっております。したがいまして、私どもといたしましてはその「原則として」というところにいわば万感の思いを託してこの答申を受け取ったわけでございます。
しかしながら、このような答申が一たび客観的な存在となりまして、政府全体としてもこれを尊重していくということになりますれば、たとえ五十八年度予算においてこの問題をくぐり抜けることができたといたしましても、今後予算編成のたびごとにこういう答申に対する行政側の答えが迫られてくるということが避けられないわけでありますし、そのたびごとに関係者の不安、動揺は大変大きなものになろうかと思います。また、予算の額という点からおきましても、こういう問題提起がされております以上は、仮に本質をとどめ得たとしましても金額的な面におきまして縮減を免れ得ないのではないかという心配もあるわけでございます。それらを考え合わせまして今回定率負担金方式からいわば人件費補助ではない交付金方式ということに切りかえたわけでございます。
臨調の御指摘も決して国が地方公共団体に財政的な支援をすることを、そのこと自体を全く封じたものというふうに考えてないわけでございまして、人件費補助制度の持っております都道府県、地方公共団体に対する国の過剰関与という問題に対する御指摘であろうというふうに考えておるわけでございます。
そういう意味におきましてこのような交付金にいたしたわけでございますが、確かに定率の負担金というのは大変すぐれた長所を持っておる制度でございます。それに比較いたしまして交付金の場合には、定率負担金の持っております長所はないものの、逆に交付金は交付金なりのまたいい点もあるわけでございます。すなわち定率負担金の場合には経費の細目の積み上げとそれに乗ずるところの負担率ということをもって予算が積算されるわけでございますから、負担率自体はなかなか手を触れられない問題でありますが、経費の内訳にわたって査定のメスをふるうということは予算の編成過程においては行われ得ることでございます。定率の定額の交付金ということになりますと、そういう積み上げの細目にわたっての予算の査定という問題はなくなるのみならず、実行上も都道府県の実情に応じまして経費の枠を、もともとないわけでございますから、弾力的な執行が可能である、こういうことになろうかと思うわけでございます。
しかしながら、そういう都道府県の自主的な運営ということになりまして、全くの歯どめがないということになりますれば、全体の事業規模の問題あるいはその内容の問題につきまして都道府県ごとのそれぞれの自由濶達な運営ということになりまして、国全体を通ずるところの事業の均衡ある発展ということがなかなか望み得なくなるという問題意識もございますので、今回の改正案に盛り込んでおりますような事業の運営の指針、さらには都道府県の定めますところの実施方針というものの国と都道府県との相談の場を通じまして、両者の考え方をすり合わせましてこの事業の発展を図っていくことが可能である、かような意味で今回のような改正に踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/124
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125・藤原房雄
○藤原房雄君 普及事業をめぐるこうした意見ですね、また報告、こういうのが出されておるわけですが、農業をめぐる諸条件も大きくいま変わりつつあり、普及事業の刷新とか効率化、こういうものも時の要請としてあるわけであります。そういう中で、こういういろんな問題が提起されておる。そこでこの普及事業研究会ですか、こういうものが設けられて報告書が提出されておるわけですが、その中で事業運営とか現地の活動等にまでわたる意見が盛り込まれて、今後の運用面についてはまだまだ再検討を必要とするような問題があるのではないか、このように思うんですけれども、今日まで行政管理庁の勧告、それからまた臨調からの提言、それを受けての普及事業研究会でのいろんな検討、こういうものの中で今度の法案は法案として趣旨はわかりますけれども、農水省としましてもこういういろんな提言の中からいろいろな角度からこれは検討しておるんだろうと思いますし、今後にもまだ検討課題というのはあるんだろうと思うんですけれども、その辺どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/125
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126・小島和義
○政府委員(小島和義君) 今回の改正法案では普及事業の法制的な面にわたりましてぜひとも手直しの必要があるという部分に限りまして改正をいたしておるわけでございまして、普及事業のいわば現場での運営面というのはこれは法律をもって規定すべき問題ではございませんで、主として運営上の問題でございます。したがいまして、法制化いたしました運営指針並びに実施方針の中に基本的な枠組みというものは定めたいというふうに考えておりますが、それでもなおかつさらに細目上の運用部分というものはどうしても出てくるわけでございます。普及事業研究会の報告におきましても一応今後の普及事業の刷新の方向は明らかにするとともに、その具体的な展開に当たりま
しては都道府県と十分協議しながら逐次改善を図っていくというふうに述べられておるわけでございまして、その意味で今回の改正法はいわば制度の入れ物をつくったということでございます。内容的な問題は今後都道府県と十分相談をしながらこの事業の安定的発展のためによりよい方向に運営をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/126
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127・藤原房雄
○藤原房雄君 行政管理庁の勧告やまた臨調のお話なんかを見ますと、やっぱり第一次産業である農業、さらに農村とか農民の生活の特殊性、こういうものから言うと、どうもこういう特殊性というものをよくわきまえた上での指摘であったかどうかというそういう気もするんですけれども、農政を推進する基本的な手段である普及事業ですね、こういうことに対して単に経済的合理性とか効率性、こういうことだけでは進まない面もあるんじゃないか、こういう点で矢面に立たされたというか、そういう非常に厳しい立場に立って検討を進められた。中身のことについては同僚委員からもいろいろ話がありましたが、私もいろいろお聞きしたいことがあるんですけれども、こういう農業を取り巻く諸情勢というのはほかの産業とは違って非常にむずかしいことの面があるんだという、経済的合理性とか効率性だけではまるっきり割り切れない面があるんだ、そういうものについてやっぱり強い農民サイドに立った主張というか、こういうものが必要なんだと思うんですけれども、その間のことについてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/127
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128・小島和義
○政府委員(小島和義君) 農業自体の特色といたしまして、すぐれて技術集約的な産業であると私どもは受けとめておるわけでございます。また臨時行政調査会あたりの意見の中にも、農業の今後の方向といたしまして、すぐれた技術を導入して能率的な農業経営をやっていくということに対する抵抗というものは全くないわけでございます。その意味で協同農業普及事業のような技術を中心とする普及指導活動、その存在そのものに否定的な意見というのは私はなかったような気がいたしておるわけでございます。
実行の問題についてはいろいろ御注文ももちろんあるわけでございますが、制度の骨組みにつきましては、臨調ももちろんそうでございますし、都道府県あたりにおきましてもこういった事業自体の存立自体を否定するということはないようでございます。
具体的にどういうことが問題になってくるのかと申しますと、都道府県等の場合においては先ほど来申し上げておりますような人件費補助に伴う国の過剰関与という問題に対する強い御批判、抵抗があるわけでございますし、また臨調に代表されますような、一般の意見と言ってはなんでございますが、こういう普及指導活動そのものの必要性を認めつつも、もっと効率的な展開ができないか、こういう御注文であろうかと思うわけでございます。したがいまして、私どもといたしましてもこの事業自体の今後の展開に当たりましては、もちろん単純な経済合理性だけで割り切れるわけではございませんが、農業自体の産業としての能率を高めていくということに主眼が置かれるということは容易に受けとめ得ることというふうに考えておるわけでございます。
また生活の面におきましても、生産性の高い農業経営を育成するというふうな観点からいたしますと、どうしても農家の生活面の問題、健康問題もございますれば労働問題もございますが、そういった現在の農業、農村の課題に適切に対処することなく事業の展開ができないという問題があるわけでございますので、その意味におきましては各方面から出されております意見を十二分に受けとめながら今後の事業展開を図っていくということが可能であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/128
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129・藤原房雄
○藤原房雄君 これは同僚委員からもさっきあり、また局長からも説明があったんですが、私どもとしてやっぱり一番危惧するのは、これは定額交付金という形で今後の財政事情とかいろんなことでだんだん押し込められていくといいますか、削減されるような方向で、大事な農業を支える三本柱がやせ細ってしまうんじゃないかという、こんな危惧を抱くので同じようなことを何回も申し上げているわけなんですけれども、この定額交付金の都道府県への配分に当たって、改正法案第十六条の二の「割当基準」に基づいて、農業人口とか耕地面積、また市町村数、こういうものを基礎として都道府県においては普及事業を緊急に実施する必要性を考慮することになっているんですが、多様化する地域性とかこういうものも十分に反映させることができるかどうか。西高東低という話も先ほどあったんですけれども、現状で決していいとは思いませんけれども、この定額交付金ということで、都道府県の主体性という美辞麗句はあるんですけれども、現実的に普及事業というものが本当にその地元に、多様化しまた地域特性というものがますます複雑化しておる中でこれが本当に生かされていくのかどうかということですね。また現行法では法文上、それらの要素割合が規定されておるんですけれども、改正法案では政令で定める基準で割り当てするようになっているし、また政令事項に落としている。こういうことになりますと、どうもだんだん普及事業というものに対しての歯どめが薄らいでいくような気がするわけですが、さらに定額交付金方式についてメリット、デメリットいろいろ説明ありましたけれども、今後の物価とか賃金の変動、それから農業事情の変化、こういうことがあったときに予算の増額要求とか普及職員のベースアップだとか、こういうものにどう対応するのか、それから定額交付金の助成額の削減に対する歯どめというものはどこにあるのか。こういうものをどうもこの法案については、それなりの時代の要請というものもわかるんですが、いたずらに数をいじるなということだけ言っているんじゃないんですけれども、財政事情の厳しい折柄とか行政改革とか、こういうことで一番いままでも矢面に立たされておりますし、手のつけやすい、そういうところにどうもしわ寄せがあるような、もしそういうことで今日まで農業を支えてきた大きな柱であるこの普及事業というものに大きな穴があくようなことがあってはならぬということで老婆心ながら申し上げているわけなんですけれども、いま申し上げた政令事項に落としたことや、それから職員に対する予算増額要求やまたベースアップとかこういうもの等、定額交付金の助成額の削減に対する歯どめというのは一体どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、その辺ちょっと御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/129
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130・小島和義
○政府委員(小島和義君) 定率負担金は、確かにそれなりに大変すぐれた数々の長所を持っておる制度であるわけでございます。しかしながら、これもまた一つの予算でございます以上は、国家財政の厳しい際でもございますし、その経費の内訳に至りまして削減あるいは査定のメスをふるわれるということはあり得るわけでございまして、人員の頭数という問題になりますと、先ほど来申し上げておりますように国家公務員全体を通じまして一定率の削減を実施中でございますし、国の助成にかかわる職員の数につきましても、同じような計画削減をただいま現在も実施中ということに相なっておるわけでございます。
したがいまして、定率負担金であれば免れ得たものが定額の交付金になったとたんに非常に悪い面が出てきて、たとえば人員数の縮小が加速されるというふうな問題はないと思いますし、またそのようなことがないようにいたしたいと考えておるわけでございます。
そこで、従来の負担金でございますが、これも大変おもしろい構成をとっておりまして、定率負担という性格を持ちながら、同時に都道府県別の資金の配分について法定の物差しがあったと、こういうことでございまして、他の法令にちょっと例がない、大変ユニークな制度でございます。
今回、この配分の基準につきまして政令に委任いたしましたゆえんのものは、従来の資金配分基準は主として人件費部分だけでございましたが、今回は農業者大学校等、協同農業普及事業の根幹部分の一切を含めて交付金にいたしましたものですから、都道府県別にかなり弾力的に対応しな
きゃならない部分がふえてまいりましたので、それを政令にゆだねまして、原則的な考え方は従来の法律を踏襲するつもりでございますが、配分率等については多少の調整を行うというつもりでございます。
そういうわけでございますので、従来の制度自体が大変ユニークな制度でございましたが、今回の交付金というのは確かに本邦初演の制度でございまして、制度自体の功罪というのは挙げて今後の運営にゆだねられるという問題、今後の運営によって判断されるべき問題だろうと思いますが、私どもはただいまのように非常に国家財政が厳しくていろんな補助金、負担金につきましてメスがふるわれていく。特に補助金の一割一律カットというふうなことも現実に行われております事態のもとで申しますと、このような標準、定額の交付金というのは、そのときどきの財政事情に応じた予算査定というものに対して、より安定的な仕組みではないかというふうに考えておるわけでございます。
と申しますのも、経費の内訳というものはございませんから、単価で、あるいは員数で、そういうところでその縮減をするということがなかなかむずかしい経費になっておるわけでございまして、今後の予想されますような財政の厳しさという点から言えば、まあそれなりに一つの安定した制度ではないかというふうに考えておるわけでございます。
そういう意味におきまして、今回の制度につきましては普及事業の将来の安定的発展のために一つの手だてであるというふうに考えて、さんざん思いあぐねました結果、決断をいたしたということでございます。
もちろん予算でございますから、この内容によりまして普及事業の今後の円滑な運営ができないというふうな事態になりそうな気配がございましたならば、私どもといたしましては予算の増額等要求によって、そういう事態が起こらぬように対処をするというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/130
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131・藤原房雄
○藤原房雄君 予算の増額を要求して、そういう不足が起きないようにするという局長のお話でございますが、大臣もいまお聞きになっていらっしゃって、まあ同僚委員からもお話ございましたけれども、私ども危惧するのは、この定額方式になって危惧するのはやっぱりそこのところでして、これはひとつしかと胸にとめていただきたいし、さしあたっての五十九年度予算ということになるわけでありますが、こういうことでこの普及事業に当たっている方々に対して、また普及事業に関係する方々に不安を与えないような、まず初年度としてのしっかりとした取り組みが大事だろうと思うんですけれどもね。大臣のひとつ決意のほどをちょっとお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/131
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132・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 改善しようとして改正をやるんでございますから、改正が改悪になるように、あるいは後退するようにということは、これは考えてもならないことでありまして、やはり改正案によってより一層のひとつ強化を図りたいという考え方でいろいろ取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/132
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133・藤原房雄
○藤原房雄君 国務大臣たる大臣が仰せになるんですから、私はつけ加えることもないんですが、財政の窮迫した現状下だということでいろんなことがあるものですから、老婆心ながら申し上げているわけです。
次に、普及員の資質の向上というのは何といっても大事なことになるわけでありますが、専門技術員または改良普及員の資格試験ですね、これはやっぱり普及職員の資質のレベルを決める第一歩といいますか、大事なことだなと思うんですが、こういう資格試験のあり方、これは試験のための試験じゃなくてあくまでもやっぱり資質向上という、こういうことのための、そのためには研修、いろんなものがあって当然これが生かされてくることだと思うんでありますが、今後の資格試験のあり方と、それともう一つは普及職員の高齢化ですね。「農業改良普及員の年齢別構成」五十七年、これを見ますと、五十一歳から六十歳というのは三八・一%という、こういう状況になっておりますね、農業改良普及員。それから専門技術員というのは、これは五十七年三月ですが、五十一年から六十歳が五一・三%ということですね。こういうことで、あと生活改良普及員、これは五十一から六十歳が一〇・二%ですか、三十一歳から三十五歳が一九・九%ですから、まあそうあれだと思うんですが、専門技術員、それから農業改良普及員、非常に老齢化といいますか、五十一歳以上の方々の非常に比率が高くなっている。こういうことから、やがては定年を迎えられるわけでしょう。その後ですね、どのように専門技術員とか改良普及員の養成をし、そして滞りなくこの事業の推進を図るようにするのか。うがった見方をすれば、これらの方の定年になった後、実質的な人員削減はしなくても後がまを養成しないということだと実質的にはこれは減になるわけですから、先ほど来いろいろ論じられておりますように、普及事業の重要性から考えまして、そしてまた非常に高度化する今日の技術、こういうことを考えますと、早急な対策が必要であろうか、こう思うんですが、ひとつ資質の向上ということについての資格試験のあり方と普及職員の高齢化、これに対しての今日までの農水省の取り組みと、今後こういう状況にある現状にかんがみまして、職員構成とか人事問題とか、こういうことついての対策ですね、どのようにお考えになっていらっしゃるのか。この点ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/133
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134・小島和義
○政府委員(小島和義君) まず、普及員の資格試験制度の問題でございますが、この制度が発足いたしました当初におきましては、おおむね専門学校卒業程度、その後短大卒程度というふうなことで資格試験の学歴を規定をいたしておったわけでございます。その後、四年制大学卒が一般化する過程におきまして、短大卒と四年制大学卒の二本立てで試験を実施いたしてきてまいりましたが、農業も大変高度化いたしてきておりますし、まず普及関係職員の基礎的な学力のレベルアップというふうな観点から受験資格を改めまして、五十九年度以降は四年制をたてまえとするということにいたしたいと存じております。もちろん、四年制大学を卒業すれば直ちにりっぱな普及員になるということではございませんで、大学で授業をいたしておりますことは主として基礎的な学問でございます。現場の普及員として十分な活動をするためにはそれだけでは不十分でございまして、採用後における資質の向上のための研修ということが当然問題になるわけでございます。今日におきましても、大体普及員の方が二年に一遍程度は何らかの研修の機会があるというぐらいの予算的な措置は講じておりまして、研修の中身も、新任者あるいは普及所長等に新たに任命される者に対する研修あるいは技術の高度化のための研修、現地の具体的な特別な課題に取り組むための研修というふうな、細目いろいろございますが、研修体系をつくって実施をいたしておりますが、今後普及員の資質の大幅向上という観点からいたしますと、現在の研修の体系を見直しまして、新たに自己研修あるいは職場内研修というものも取り込みました新しい研修の枠組みを考えていかなければならないと思っておりまして、現在部内で検討をしておるところでございます。
それから職員の年齢構成の問題でございますが、これは大変私どもも実は頭の痛い問題でございまして、現在の普及の体制が大体三十数年前に急速に体制を整えましたものでございますから、そのころにおきまして新進気鋭の士を集めたわけでございますけれども、その後年を経るに従いまして全体の年齢構成が高まっております。これは農水省自体についても似たようなことが言えるわけでございますが、ただいまの五十歳よりも少し上のところが団塊の世代ということになっておるわけでございまして、これが退職年齢に入りました場合に人的構成がどうなっていくのかということは私どもとしても大変頭の痛いところでございます。もちろん、これらの人が退職いたしました場合においてその補充ということが当然問題になりますが、仮に退職者と同数の人を一時期に採用することになりますと、新しい団塊の世代をつ
くってしまうという問題もございますし、一時に大量の人を採用するということになりますれば当然採用者の質的なレベルという問題も出てまいるわけでございます。したがいまして、これらが退職年齢を迎えるに当たりましてはできるだけ計画的な採用をやっていく、一時期に大幅に採用することを避けましてならして採用をしていくということと、同時に、普及関係職員と他の行政部局等との人事の交流なども進めまして、できるだけいまの年齢構成をならしていくという努力を並行して続ける必要があろうと考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、この人をどの程度採用するかという問題につきましては、ただいま現在におきましても都道府県知事の権限にゆだねられておる問題でございますので、私どものそういう考え方だけではいかようにもならぬわけでございまして、都道府県と十分協議をしながら今後の普及の全体の体制をどう持っていくのかということの一環といたしまして適切に対処できるように努めたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/134
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135・藤原房雄
○藤原房雄君 その問題についてはいろいろ現場の声も聞いておりますし、まだお話ししたいこともあるんですが、時間もありませんから、また後日やります。とにかく非常に大きな断層ができる重要な問題でありますから、ひとつその点十分に配慮して進めていただきたいと思います。
それから農業労働に占める婦人のウエートが非常に高いということもデータの上でもはっきり出ておるわけでありますが、五十五年現在で六二%ですか。婦人の役割りの重要性という、こういうことも一つ一つ申し上げるほどのこともないだろうと思うんでありますが、何といいましても日本の農業というのは家族農業経営、こういう形態の中にあるわけでありますから、農業生産、それから家事という二つの役割りを婦人は担っておる。
こういうことで、生活改善普及事業というのはそれなりに非常に重要な意味を持っておるんですが、これもまた大変見直しの批判の多いところてありますが、これは都市近郊とか限られた地域だけ見て云々するんじゃなくて、やっぱり農家の生活様式もずいぶん変わっておりますし、そういうことから、やはりより適正な充実強化というものが必要だろうと思いますし、それから健康維持ということからいいますと、農民病とかハウス病とか、そういうことも言われておりますが、そういうこと等も考えますと、よけい生活改善普及事業というのは非常に重要になってくると思うんです。これはもう地域性とか地域の特性によりますから、そういう点もひとつきめ細かに充実強化を進めていただきたい、このことと。
もう一つは、この農業改良普及推進協議会ですね、農協とか市町村とか、営農に携わっている方々で農業改良普及推進協議会を設けてこれの連携の実を上げていくということも言われておるわけでありますが、これについてもそれぞれの立場があるわけでありますが、この情報交換とか、また、お互いの連携ということが非常に重要視されると思うんですが、このことについて、まず二点、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/135
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136・小島和義
○政府委員(小島和義君) 生活改善普及事業につきましては、御指摘のとおり、農家の生活の実態というものについて必ずしも十分な知識、経験がないままに外形的に判断いたしまして、農家も一時に比べればずいぶんよくなってきたというふうな判断からの御批判も多いようでございます。生活の問題というのは農業の問題とまた違った点がございまして、対象といたします農家も非常に純然たる農家的な特質を備えておる家庭から、都市の一般の市民の方々と紙一重の相違しかないような階層の方々から、非常に千差万別でございます。また、その対象として取り上げております問題も、都市でも共通するような問題から、まさに農家ならではの問題から、非常にすそ野の広い問題でございます。したがいまして、一般の御批判もさることながら、私どもといたしましても広い行動領域の中でどの辺にピントを合わせた仕事をやっていくのかということが今後の生活改善事業を考えます場合の重要なポイントだろうというふうに考えておるわけでございます。そういう点を含めて、ただいまいろいろ内部で検討いたしておりますが、事柄の重要性についての認識におきましては、いささかも変わるところはないつもりでございますので、御指摘の御意見も十分踏まえまして、今後、対処をいたしたいと存じます。
また、協議会の必要性ということについても全く同感でございまして、ただいま現在でも、市町村、農協、農業委員会その他、農業者の集団なども取り込みました普及事業の運営推進協議会をつくっておりますが、これらを一層活用いたしまして、現地の普及に対する需要に十分にこたえられるように努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/136
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137・藤原房雄
○藤原房雄君 今度は農業改良研究員の制度が廃止になるわけですけれども、研究員は研究員の今日までの大きな役割りがあったと思うわけですが、改良研究員の資格試験というのは、それなりの勉強する一つの励みになっておったと、そういうお話を私どもは聞いておるわけですが、これは廃止になりますと、今後の連携の強化対策、普及と研究所との関係をどういうふうに連携をされるのか、今後の運用についてひとつお伺いしておきたい。
それから、何といいましても、農業経営の現場における技術問題、これを解決するには共同研究というのは非常に大事ですね。今度これははっきりと明記されたわけでありますが、都道府県からの要請による共同研究の推進方策、これをちょっとお聞きをしておきたい。
それから最後になりますが、普及事業に必要な試験研究で都道府県の試験研究に対する国の助成ですね、これはどういうことになるのか。
それから、各地域にはそれぞれ大学もあるわけですけれども、これとの連携とか、こういうもので最大限地域性というか、そこにある研究機関、あらゆるものを連携をとり合っていくことが大事なんだろうと思います。
東北は三年連続冷害で、大変農家の方々、農家経済というのは疲弊をいたしているわけでありますが、特に下北半島や三沢、あの辺あたりのやませですね、これに対する研究、やはりそれなりの効果をおさめているというところもあるわけですね。どの地点のどういう問題を取り上げるかという、それにはそれなりの国の助成があって推進されるわけですから、やっぱりこれは非常にこういう連携プレーとか共同研究の実を上げるということは非常に重要なことだろうと思いますし、それに対して国も何にどう助成して進めるかということは非常に大事なことになるだろうと思います。
何といいましても、農業の推進に当たりましては新しい技術がどんどん開発され、農業にもその中で生かさなければならない部門がたくさんある。そういうことで技術革新のこういう時代でありますから、ひとつその実の上がるような方策というものをひとつしっかり進めていただきたい。
最後に一つ、この共同研究とか研究方策、それからまた試験研究に対する国の助成、こういうものに対して大臣にぜひひとつ、農業のこういう新しい時代に即応した研究体制というものに対しての農業を守るという上から十分にひとつ配慮してもらいたい。このたびの法改正というものが行革絡みということから起きたことだということじゃなくて、やっぱり農業を守るという、農民サイドの上の改革であったというような、そういう実を上げるような施策であってもらいたい、こう思うんですが、以上の点についてお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/137
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138・岸國平
○政府委員(岸國平君) お答えいたします。
今回、改良研究員を廃止することにいたしました。これは昭和二十七年以来各県に一人の改良研究員を置いてまいったわけでございますが、その後各県におきます農業関係の試験研究の体制が大変充実されてまいりまして、そういったような事情を配慮いたしまして、今回その制度そのものは廃止するということにいたしたわけでございますが、そのことによりまして協同農業普及事業に必要な試験研究が弱体化するというようなことのないように、これからしっかりと研究をしてまいるつもりでございます。
それから、改良研究員の廃止ということと同時に、今回の法改正におきましては、都道府県の試験研究機関から国の試験研究機関に対して共同研究の実施を求めることができるということを法の中に入れていただくことにいたしております。このことによりまして、ただいま先生の御指摘にもございましたように、都道府県と国との間で共同研究を実施して、それによって農業の現場に役立つ研究を推進していくということを図ろうとしているわけでございます。現に、現在もその点につきましては進めておりまして、先ほど先生のお言葉の中にもございましたように、やませの常襲地帯における農作物の安定生産技術の体系化というようなテーマで、この研究は東北農業試験場と東北四県——青森、岩手、宮城、福島の四県で実施している研究でございますが、そういった研究を今後も県への助成も含めまして実施してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/138
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139・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 先ほども申し上げましたとおり、改正が改悪になるあるいは後退するといったようなことのないように、いま質疑を交されました御懸念の点を十分ひとつ踏まえまして、より一層内容の充実した普及制度を実現したいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/139
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140・下田京子
○下田京子君 まず、当面する農政の課題で、農産物の日米協議の問題でお尋ねいたします。
きょう二十六日からワシントンで日米農産物交渉が始まりました。大臣は相手の出方を見て対応したいと、こういうお話なんでございますけれども、去る十四日、本委員会で私がこの問題で尋ねましたときに、大臣の基本姿勢、これは自由化も枠拡大も当面はしないんだと、こういうことを言いながらも、実のある話をするためには農業団体等の意見を聞いて輸入枠拡大等の譲歩案の検討ということも入らざるを得ない、こういうことをお述べになったと思うんですが、その後、農業団体や自民党とどのような意見調整を行いましたでしょうか。枠拡大オーケーというふうになったかどうか。——これちょっと、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/140
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141・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 農業団体と自民党とのお話し合いの内容については、私は承っておりません。
ただ、私は農水省としての考え方は終始一貫いままでどおりのことを主張してまいっております。それは自由化はもちろん、枠の拡大もいま必要ではないと、こういうことを申しておるわけでございます。したがって局長が出かけていって今夜から交渉に入るわけでございますが、私の基本的な考え方は十分踏まえて、ひとつ向こうに話を持ち込み、米側の出方を見る、こういう交渉になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/141
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142・下田京子
○下田京子君 意見調整を行ったかどうかという点では……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/142
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143・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 意見調整ということよりも、このアメリカとの交渉は自民党でもなければ農業団体でもないんで、農水省の責任において一切後の事態収拾をやるようにひとつ農水省にすべてを一任しようと、こういう話になったと、こういうことは聞いておるわけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/143
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144・下田京子
○下田京子君 農業団体の意見を聞いてということではなくて、農水省として責任を持って交渉に臨んだと、こういうことですね。
相手方の出方ということなんですが、わが国は自由化に応じないという点、この姿勢は崩さないけれども、米側のそういう点から理解を求めると、ただしその結果、米側が今後の方向について示す態度によっていろいろと案が提示されると思うんですが、たとえば字句の表現なんかで一定程度自由化について米側が柔軟な態度を示したと、こういうことになりますと、来年四月以降の四年間の面についての一定の枠の拡大ということを提示される、そういう準備はされて行ったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/144
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145・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) いや、別に準備は何もして参ってませんが、ただ向こうはどう出るかわからぬわけですから、この出方を見てこちらの対応を決めようと、こういうことにしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/145
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146・下田京子
○下田京子君 時間がありませんから多くは言いませんが、いずれにしても実のある交渉をと。で、ホノルルの二の舞にはならないようにということになりますと、一定の枠の拡大の内部的な数字は持っていっていると思いますね。それはいまお聞きしませんが、大臣うなずいていらっしゃるからそうだと思いますが、私は大臣、申し上げたい点はきのうも、後で審議になりますが酪振法あるいは家畜改良増殖法の一部を改正する法律の早期実現をということで中央畜産会あるいは全農、中央酪農会議あるいは全国肉用牛協会等々十四団体の皆さん方が私のところに見えまして、それでもってぜひ自由化も枠の拡大も絶対しないようにという点を強力に申しておりました。国内にあって肉用牛の振興を図ろうということで、衆議院でいま法案も審議始まっていこうというときに、一方では枠拡大もやむなしということになりますと、これやっぱり支離滅裂ではないかと思うんです。わが国では自由化は絶対譲らないという姿勢は崩してないけれども、枠の拡大ではやむなしというかっこうで一歩一歩譲歩していくということになりますと、限りない枠の拡大で自由化に近づいていくというかっこうになりますんで、その辺はしかと押さえて対応していただきたいと思うわけです。お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/146
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147・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 枠の拡大はいま必要ないということを、私は明年の三月までは必要はないと、これは取り決めがあるわけですから、ということを申し上げておるので、それから以降のことを話し合っておるわけですから、それから以降アメリカはどういう日本に要請をするのか。またわが国でもいわゆる来年四月以降の牛肉なりオレンジの需給の動向、こういうものがどう変わってくるのか。いわゆる生産と消費と、国内産と国民の消費の伸びる率といろいろな兼ね合いを見て足りないものはやはり輸入しなければならないでしょう、国民に食糧の不安を与えないように。だから足りるものは入れる必要はない、こういうのが私の考え方ですからどうぞひとつ御安心ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/147
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148・下田京子
○下田京子君 全然安心できない大臣、来年の三月までは枠拡大しないと、その後は別よということなので、私が話しているのはその後も別よではなくて、その後もいままでと同じように自由化は絶対しないと、枠の拡大についてもいま酪農振興法だとか、国内で本当に振興させていこうということを言っているときなんだから、そこを崩しちゃいけませんよということを言っているんです。それは私、特別に申し上げておきます。
次に、本法案の問題に移りたいと思うんですけれども、今回の法改正の中心的中身、これを見ますと臨調の人件費補助の一般財源化との指摘を受けて農業改良研究員についての補助を廃止したと。そして研究員制度そのものもなくしたわけですね。それからもう一つは、協同農業普及事業については定率負担方式から交付金制度へ変更されたということにあると思うんです。そこでまず明らかにしておきたい点なんですけれども、協同農業普及事業の助成方式の変更という問題、これはどういう意味かということですが、先般森林法の改正の際にも林業改良普及事業の助成方式の変更で議論しました。定率でないということで地方財政法第十条の適用から外されます。つまりこのことは地財法上は国の負担責任がなくなったと、それから地方公共団体の負担義務もなくなったと。実態的にはなくさないでということだけれども、法律的には明確である。この点も今回の協同農業普及事業の場合も同じなんだということを指摘しておきたいと思うんです。政府は、先ほどから聞いてますと、盛んに実態論で予算確保に努力するとか、定額なのでむしろ予算面で安定すると、こういうことをお述べになっております。そしてまた地方公共団体につきましても協議を通して自治体の負担分は減らないようにしたいと、そういう点で自治体の負担分についても交付税の算入については自治省と協議している、こういうことをお述べになりまして、現状では、実態上は問題がないんだというふうなことでいろいろ御決意を述べられていると思います。その決意は非常に結構な
んですけれども、具体的にどうなのかということでお尋ねしますと、局長、よろしいですか。——第一に、五十九年度の取り扱いがどうなのかということです。この問題について、財政当局は早くも五十九年度の概算要求について五十八年度同様に厳しい姿勢、つまりマイナスシーリングで臨むようにということで指示されております。この協同農業普及事業費の場合に交付金ということでマイナスシーリングがされた場合に、防衛費だとか、あるいは経済援助費なんかと同じようなかっこうに特別扱いされるのかされないのか。お答えはそこだけでいいんです。そこをはっきりお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/148
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149・小島和義
○政府委員(小島和義君) 五十九年度予算の問題は、まだ政府全体といたしましてもまあ何らの方針が決まったとは私ども承知をいたしておらぬわけでございます。いろいろ大変厳しいといううわさを耳にしている程度でございます。したがいまして、どうなのかということは的確にお答えいたしかねるわけでございますが、本年度このような新しい助成方式に変更したと、しかもそれは標準定額のものとして総額を決定した。こういう経緯にかんがみますれば、政府全体としてもこの交付金総額については手をつけにくいものというふうに理解をいたしております。
それからマイナスシーリングになったらどうかということでございますが、恐らく従来の例によりますれば、省全体として前年度の予算額と同等とか、あるいは何%減とかというふうな形で来るものと思いますので、特定の費目については例外ということはあろうかと思いますが、従来わが省におきましてそれらの例外となりました経費は農林年金その他の社会保険関係の経費だけだったと記憶いたしますので、恐らくこの経費が例外ということはならないかと思いますが、シーリングは恐らく省全体というふうなことで来ますので、個別経費について全部一律カットということにはならぬだろうと、まあいまの段階で申し上げられることはそのようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/149
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150・下田京子
○下田京子君 交付金については手がつけにくいだろうという推測と、ただし省全体でマイナスシーリングの際には別枠扱いということにはならないというふうなことがはっきりしましたが、この協同農業普及事業費の場合、その内容は人件費が約九割ぐらい占めておりますよね。これまで予算積算を積み上げ方式でやってきた場合には、人件費については実態になるべく近づけようということで大変いろいろ苦労されてきたと思います。特に人事院勧告等に基づいて実際に給与の引き上げがなされた場合には補正の予算で引き上げていくという措置をとってきたのがいままでの経過だったと思うんですね。今後交付金になったということでこういう給与改善措置があった場合に予算上対応されなくなるんじゃないか、こう思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/150
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151・小島和義
○政府委員(小島和義君) 確かに定率の負担金についてはいろいろ長所があるということを再々申し上げておりますが、予算の積算がおおむね単価、員数をもって定められておるということから、単価について変動があった場合その分を補っていくという点は、この定率負担金の一つの長所でございます。同時に昨今のような厳しい情勢の中にありますと、人件費はともかくといたしまして、そのほかの協同農業普及事業を構成いたします予算上のいろんな経費の中の特定の費目について査定のメスが入る、あるいは人件費の総数につきまして、人員総数につきまして計画削減のメスが入るというふうなことはあるわけでございまして、定率負担におきましてもそういう予算の増減要素というのはあるわけでございます。したがいまして、必ずしも今後の事態を念頭に置いて考えますと、そういう伸び縮みがずいぶんでき得るような予算の積算をとるよりも、経費の積算が定かでない、したがってなかなかそのメスも入れにくい、こういう予算はそれなりに一つの安定した仕組み足り得るものというふうに考えておるわけでございます。もちろんいいことずくめだとは私どもも決して思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/151
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152・下田京子
○下田京子君 人件費はともかくということをおっしゃいましたが、九割方占める協同農業普及事業費の人件費問題というのは大事だと思うんですよ。しかも人数がどうなるか。行うのは人間ですし、職員設置費を見てみますと、人勧が凍結された五十七年度を除きまして常に補正予算で増額が図られてきております。資料もいただいておりますけれども、四十八年では九・九%アップ、四十九年は二六・二%のアップ、五十年には一三・一%アップ、五十一年以降も一%前後とわずかながらも補正でもって対応しているのが実態なんです。五十七年は不当にも人勧は凍結されておりますけれども、仮に五十八年度人勧で五十七、五十八年度二年分の給与改善の勧告がなされたとすれば、これは約九%のアップになると、こんなふうに言われております。その際に、協同農業普及事業に支障を来すというふうなことで、補正でもって交付金の引き上げ措置が実施されるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/152
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153・小島和義
○政府委員(小島和義君) これは経費の積み上げによりますところの負担金ではございませんから、号俸単価が修正されれば当然に予算増があるというふうな性格のものではないというふうに理解をいたしております。ただし、物価、賃金にいかなる変動があっても絶対に変えないという性格のものではございませんで、予算でございますから、事業の運営上問題があるというふうな事態になりますれば、予算の要求という形において増額を図る手段はあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/153
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154・下田京子
○下田京子君 物価、賃金等変動があればということなので、私は具体的に補正でやられるのかと、こういうことを申し上げたんですけれども、決意だけであって、具体的基準は明確にならないと思うんですね。何をして支障があると判断するかどうかというその辺の基準は明確でないと思うんですね。いままでのように給与改善がなされても国の交付金を引き上げる、そういう保証がないと、こういうことになりますと、やっぱり大きな問題だということがいままでの中で議論でも一つはっきりしたと思うんです。
そこで、次にお尋ねしたいのが普及職員の定数の問題です。いままで国の定員管理計画に基づいてずっとやってこられたわけですが、今後はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/154
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155・小島和義
○政府委員(小島和義君) いままでは先ほど申し上げましたように予算の積算上、単価、員数でございますから、その員数の合計したものがいわば予算定数ということでございます。ただ、その予算定数に見合ったものを各県に必ず置くということを強制するだけの予算的な拘束力がないわけでございますから、予算といたしまして執行いたしましても、都道府県の方でその分は要らないから返上すると言えば金は不用になるだけでございます。従来のものもそういう性格の予算定数でございます。今回の場合にはそういう予算定数さえもなくなるわけでございます。しかしながら、各都道府県においてどれぐらいの質的、量的な事業をやっていくかという問題につきましては、都道府県と農林水産大臣との協議の過程におきましてその大まかな性格ははっきりするわけでございますから、その中においてどれだけの人員を各県が配置をしていくのかと、そのことが全国的に眺めてみまして均衡をとれていくのかどうかという問題については国と十分意見をすり合わせる機会はあるわけでございます。それがいわば予算定数といえば、予算定数に見合うものといえば見合うものになるわけでございます。国の方の交付金の交付は、都道府県において実際にどの程度の仕事が行われておるのかということも十分に配慮いたしまして交付金が交付されるわけでございますから、予算上の定数がなくなったからといって直ちに普及職員の縮減が加速されるというふうな事態にはならないというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/155
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156・下田京子
○下田京子君 直ちに定数が削減ということにはないけれども、定数削減という点では全体として変わりないと。心配なことは、年齢構成なんかを全体的に見てみますと、いわゆる五十代の方が全体の三八・一%と高率を示しているわけですね。この方々が退職されていったときに一体補充にな
るのかどうかと、県と協議してやっていきますよというお話なんですけれども、実態を見てみますと、五十年と五十六年度末の比較ですと、同じ東北でも青森県の場合には四人ふえてるんですね。ところが岩手県は二十一人減ってまして、福島の場合にも二十人減っていると。率で見ますと、香川は二・四%ふえて、熊本の場合には一〇・三%減っている、こういうことになっておりまして、大変不安を覚えているわけなんです。
で、五十一年の一月に「協同農業普及事業の運営の適正化について」ということでもって通達をお出しになっているわけですが、そういうこの通達に基づいておやりになるのかどうか、——大変いいことを言ってるんですよね。たとえば普及所の数、機構等につきましても、普及活動を総合的かつ効果的に実施するため中心的な機能を果たすべきことに十分留意してやりなさいとか、あるいはその普及職員の業務の問題につきましても、できるだけ専門的に従事できるようにというふうなことで、一般の行政事務に従事させちゃいかぬと、あるいはその普及職員の設置の問題についても、設置数を変更する際にはあらかじめ地方農政局長に協議されたい、こういうふうに言ってるんです。いままでと同じように、こういうことでもし減らすということになれば局長などと協議されていくんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/156
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157・小島和義
○政府委員(小島和義君) 先ほど総数の問題につきましては、政府全体の方針のもとに計画削減が行われていることを申し上げたわけでありますが、そのほかの要因といたしまして、各都道府県においていろいろ農業事情が変わってきているという問題があるわけでございます。かつて相当な農業地域でありましたものがその後開発されまして、都市化、市街化が進んでいくというふうな事態もございます。農業者の総数が大きく減少するという事態もあるわけでございます。
そういう中におきまして、どの程度の普及員を配置したらいいかという問題は、これはまあ都道府県知事が一番よく知っているわけでございまして、そういう各地の具体的な実情に応じまして都道府県が判断をしていくという問題であろうと思います。その点はただいまの定率負担金の方式のもとにおきましても、また今後の交付金の方式のもとにおきましても事情は同じでございまして、ただいまお挙げになりました通達で、まあ協議条項はございますけれども、その協議条項というものはやはり県の実情をよく聞いて運用をしていくということのあらわれでございますから、その点におきましては、今後の運営指針あるいは実施方針、これは毎年度のものというよりはやや中期的なものになりますけれども、基本的な考え方というのはそれほど大きく変わるわけではないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/157
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158・下田京子
○下田京子君 県の事情は知事が一番知っているということなんですが、その改良普及員の必要性は知っていても、財政的な事情から見てどうかということはまた悩みだと思うんですよ。で、いままでですと、これは五十一年の通達、指導に基づいて具体的にどういうふうにやってたかといえば、東京都なんかの場合ですと国の方から——これ五十五年の行管庁からの指摘に基づいてのあれなんですが、五十四年度に一人削減したが国との協議において、「変更は止むを得ないが、今後普及活動遂行上必要とする職員数を定めその確保に努めること」との条件を付した上で負担金の交付を行っているんですね。同じように、大阪の場合にも五十二年度に二人減員したんですけれども、これも早期に回復しなさいと、つまりそういうことで国全体がこういうところは必要だと言って、まあ言ってみれば縛りをかけたわけですが、そういうことがなくなってくるわけですね。これはやっぱり問題だなあと思います。
そこで、これは大臣にお尋ねしますけれども、実は昭和五十二年の法改正のときに、従来の補助金を現行の負担金と表現を改めた際に、当時の堀川農蚕園芸局長は次のように発言されておりますね。補助金から負担金にかえたのは、本事業が国と都道府県との協同事業であるという趣旨を鮮明にするためだと、この点では協同事業との位置づけはまあ残ったわけですけれども、さっきも申し上げましたように、地財法上通常の補助金になったという点で、協同事業の趣旨は薄らいでいるわけです。しかも、局長はこのメリットとして——局長というのは堀川局長ですよ——その際のときに、従来補助金という名前がついていたので、過去にあった交付税回しにしたらどうだということは今後起こり得ないと、こういうことをはっきり言っているわけなんです。ところがどうかといいますと、今回の臨調の基本方向は、人件費補助は打ち切って一般財源化にせいと、いわゆる交付税回しにしなさいと、こう言ってきたわけです。
そういうことを見ますと、やっぱり決して交付税回しの問題というのは楽観できないんじゃないか。つまり、今回は一定の定額、いわゆる定額とおっしゃってますけれども交付金になって、やがてこれが一般財源化されるんではなかろうか。その辺、大臣、どのようにお受けとめになってますか。当時衆議院の農水委員会の委員長やっておられた。その辺の経緯踏まえて大臣に——ちょっと時間がないんだから、だめよ。大臣はやってたんだもの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/158
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159・小島和義
○政府委員(小島和義君) 当時も私、農蚕園芸局の審議官をいたしておりまして、経緯はあらまし……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/159
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160・下田京子
○下田京子君 だけど、大臣に聞いてんのよ。私、時間がないんだから。失礼だなあ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/160
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161・小島和義
○政府委員(小島和義君) 当時から交付税回しという問題は折に触れて出てまいりまして、負担金に改めることによってそのことについての防波堤的効果というのはより強くなるというふうな確信に基づいて法律改正をいたしたわけでございます。当時におきまして臨時行政調査会のようなものがその後でき上がるということはいわば想定もしなかったわけでございますから、その点におきましては堀川局長の当時の御答弁はまさにそういう確信に基づいたものであったわけでございます。
ただし、今回交付金に直りましたけれども、地方財政法の十条から落ちたということは、この交付金交付の義務性が薄らいだというふうなことは私ども考えておりませんで、改正後の改良助長法の第十三条一項におきましても、「協同農業普及事業交付金を交付する。」ということを鮮明にいたしておりますので、改良助長法上の義務的な支出であるという事情はいささかも変わってない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/161
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162・下田京子
○下田京子君 国の義務等について薄らいだと思わないということですが、地財法上明確になっていることはこれは否定できませんでしょう。
で、さらにもう時間本当にないんで、大臣、これは大臣にお聞きしたいんですけどね、しきりに都市農業で普及活動というのは何か要らないみたいなことがいろいろのところで言われているんですが、具体的にお尋ねしますと、東京の場合でどうなのかということなんです。東京都民が消費している野菜というのはいま一〇・九%都内で生産されております。で、一割という数字だけ見ますとわからないと思うんですけれど、東京都民は約一千百万人の人口ですから、その一割の野菜を供給しているということになりますと、県で言いますと奈良とか富山とか、東北で言えば山形とか秋田なんかのその県にも匹敵するようなものなんですよね。
ところで、その東京都で生産されている全国一の野菜というのは何だか御存じですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/162
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163・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) ツマミナ、コマツナ、ツケナ、こういうものが主たる野菜です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/163
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164・下田京子
○下田京子君 ウドが出てこなかったんですけどね、ウドの何か栽培というのは日本一なんですね。しかも、これはいまから百五十年前の江戸時代からいろいろとおやりになってこられたものなんですよ。で、果樹生産でもナシやブドウからイチゴなんかまで生産されて、驚いたことにはリンゴとミカンが一緒に生産されているんですよ。そういう点で、非常に東京の野菜栽培というか、都市農業というのも大事なわけです。
しかも、市街化区域内でも、宅地並み課税の関係で、長期十年以上農業を続けたいということで手を挙げている方がもう九割からいらっしゃるんです。そういうことを考えますと、この東京における農業改良の普及員の事業というものは非常に重要だと思うんですが、大臣の御認識いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/164
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165・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 御指摘のとおり。私も少し田舎の方に住んでいますから、よく実情を把握しております。御指摘のとおり、同感です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/165
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166・下田京子
○下田京子君 御指摘のとおり同感だと。ところが、けしからぬのは、臨調の中でいろいろ議論されているメンバーの皆さん方が得手勝手なことを言っているんです。
亀井第三部会長と加藤第四部会長との対談の中で、「巨大補助金に群らがる恐るべきタカリの構造を斬る」という、そういう対談をしていまして、こういうことを言っているんです。「東京都周辺の農家は、べつに農業技術を改良して生活しようとは思っていない。土地の値段が上がるのを待ってているのが正直なところで、大根なんかを作ってるだけ。」だと、盆栽を習ってきて老人に教えたりしているだけなんだ、こういうことを言っております。それからさらに、第三部会長代理の飯島氏も文藝春秋八二年の八月号で「臨調の内幕」という対談の中で、東京の農業改良普及員は盆栽の指導だとかをやっている、こういうことを言っているわけなんですけれども、盆栽の指導ばっかりやっているというふうな御認識でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/166
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167・小島和義
○政府委員(小島和義君) これは盆栽とか花とかいいますと、何か老人の趣味みたいな誤解を生むわけでありますが、盆栽も農業の一つの作目として十分成り立ち得るものでございます。したがいまして、地域の農業の実態が花であれ、盆栽であれ、あるいはその他の観葉植物であれ、それが農家の一つの産業として行われておる限りにおいては農業改良普及事業のりっぱな対象になるわけでございまして、その辺は委員の方々の誤解があるのじゃないか、私どもそう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/167
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168・下田京子
○下田京子君 全くそうだと思うんです。こういうことで、けしからぬ臨調の御意見は政府としては基本的に受けて立ちますという、そこの辺にも問題があるんだということを指摘しておきたいと思うんです。
具体的に申しますと、とにかく東京都の場合で、私も実際にいろいろお伺いしてきたんです。やっぱり一番指導しているのは野菜で、五五・九%、全体の活動の中でそれだけつぎ込んでおりますし、あるいは果樹だとか畜産だとか、いろんなところで骨折っておられるんですよ。
そういう点で、時間になっちゃったので、これは大臣にひとつ聞きたいんですけれども、本当に一言だけです。
先ほどもちょっと言われましたけれども、農村婦人の問題なんです。この農村婦人の役割りの問題というのはますます重要になってまいりまして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/168
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169・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 時間が参っておりますから、手短にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/169
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170・下田京子
○下田京子君 とにかく農村にお嫁さんの来手がないということを見れば、大臣もその実態がよくわかると思うんです。
その理由は何かと言ったら、所得が減っている、兼業化によって働き過ぎ、健康は破壊されている、しかも農作業によるいろんな事故もふえている、こういう中にあって、生活改良普及員の仕事というのは非常に重要なんだ、その点できちんと——予算を見ると減っているので心配なので、その姿勢をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/170
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171・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 時間が経過しておるようですから、簡単にお答えします。
御指摘を十分踏まえて取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/171
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172・伊藤郁男
○伊藤郁男君 最初に、日米農産物交渉、大臣は先ほどの質疑の中で、来年の三月までは自由化も枠拡大も必要ないんだ、こういうことです。しかし、今晩から恐らく入るであろう交渉の中では、三月以降のことですね。
それで、大臣は、先ほども御答弁がありましたけれども、向こうの出方を見ている、こういうことなんですが、恐らく向こうの出方の中で予想されるのは、自由化の時期を日本側としてはっきり明示しろと、こういうことではないかと予想されるわけですが、交渉事ですから、この時点で、交渉に入ろうとしている時期に大臣のお立場ではっきりしたことは恐らくまだ言えないでしょうが、しかし雑音がさまざまありますね。
自民党が牛肉の一〇%枠拡大とか、オレンジは五%枠拡大を決めたんだ、あるいは六品目についてもある程度の譲歩案を携えていかなければ交渉そのものだって入れっこないんじゃないか、そういうさまざまな雑音があるんですが、これらの点について大臣のいまのお考えをまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/172
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173・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) ただいま伊藤先生が述べられておりますように、私も雑音として聞いておるわけです。それでこれは数字を出かける経済局長と打ち合わせても話してもおりませんので、とにかく向こうは自由化をということを盛んに強調しておるわけですから、まあ自由化をどこまで押すのか、あるいは自由化は一応当分見送るとして、今度は裏づけとして枠拡大をどの程度言うのか、相手国の出方を見てそれに対応するという考え方で、実は私もその数字などは全く承っておらないんです。やがて今夜から会議が始まりますと、ここ両三日のうちには大体の様子がわかってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/173
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174・伊藤郁男
○伊藤郁男君 まあ、この生産者に対する影響は甚大ですから、その辺のところは慎重に対処していただきたい。
そこで、それでは法案の方に入っていきますが、まず最初に今度はその協同農業普及事業、大臣が運営指針を定めると、こういうことになったわけですが、今回の法改正で策定される運営指針の中に、この普及の課題とか対象とか範囲等についてどのような内容を盛り込もうとしておるのか、その点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/174
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175・小島和義
○政府委員(小島和義君) 農林水産大臣が定めます運営指針には法律上五つの項目を予定いたしております。その五つにつきまして逐一内容を、おおむね次のようなことを考えておるわけでございます。
第一は、「普及指導活動の基本的な課題」についてでございまして、ここでは高度な技術の普及、高能率農業経営の確立、すぐれた農業の担い手の育成、農業者の健康の維持増進、農村婦人、高齢者の自主的な活動の助長等を定めたいと思っております。
第二点でございますが、「専門技術員及び改良普及員の配置に関する基本的事項」でございます。この中におきましては、農業の実態に応じて都道府県間で均衡のとれた普及指導水準を維持し得るような配置の考え方、及び都道府県の内部におきまして、改良普及員配置について農業振興の期待される地域や農業者のニーズの高い、強い地域への重点配置等その適正配置の考え方を定めたいと思っております。
第三点は、「専門技術員及び改良普及員の資質の向上に関する基本的事項」でございまして、普及関係職員の研修体系の枠組み、試験研究機関との人事交流のあり方等を定めたいと思っております。
第四点は、「普及指導活動の方法に関する基本的事項」でございまして、試験研究機関との連携の考え方、中核農家、農業集団等の重点指導対象の考え方、農業改良普及と生活改善普及との一体的活動の進め方等の効率的な普及活動の手法。
第五点は、「その他」でございまして、普及事業の支援、協力体制の整備等の問題を定めたいと思っておりますが、法律にもございますように、どういう細目を定めるかということにつきましても、都道府県の意見を十分聞いて定めるという規定になっておりますので、今後各県の意見を十分聞きながら内容をさらに詰めていきたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/175
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176・伊藤郁男
○伊藤郁男君 第二点は、普及職員の技術水準の
問題ですけれども、先ほども局長は本当に農業経営に意欲的に取り組んでいて、本当にすぐれた優秀な農業経営者、これらから見るとこの普及職員の技術水準、資質、こういうものは非常に低いというように彼らからは見られているわけですね。したがって、この職員らの技術水準を高めていくということは緊急の課題だと思うんですね。しかし、技術職員、この普及職員そのものももう高齢化が進んでいるのではないか、したがって古い体質をかなり持っていると、こういうふうに私どもも思うんですが、この辺の技術水準の向上及び資質の向上について、今後どのように対処されていくのかお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/176
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177・小島和義
○政府委員(小島和義君) かつてこの制度が発足いたしました昭和二十年代、いわば食糧増産時代でございまして、普及員の主眼点ももっぱら稲作に置かれておったという歴史的な経過があるわけでございます。その後におきまして、三十年代半ば以降、畜産でございますとか果樹でございますとか、あるいは野菜のようなものが出てまいりました。野菜などにおきましても、露地物からハウス物、さらには種類も非常に多種多様でございます。また最近、一部の地域におきましては各種の特産物、中には山菜のようなものから薬草のようなものまで栽培しているというふうなことでございまして、普及関係の職員に寄せられております農業者側のニーズというのは大変多様化いたしておるわけでございます。それと同時に、農家の中におきましても、特定の作物についてかなり専門的な経営が育ってまいりまして、それらの農家の方々は年がら年じゅう作物をいじっておるわけでございますから、そういう意味において大変高い技術レベルに到達をいたしているわけでございます。決して普及員の技術レベルが低下をしたとか、それらの人々に比べて一段と劣っているということではございませんで、新しい普及員の方々も、大部分の方は四年制の大学におきまして農学を学習して世に出られたわけでございますが、そういう学校の学問というだけでは現場の指導がなかなかできかねるという事態に立ち至っておるわけでございます。したがいまして、これはほかの企業でも同じでございますが、新卒者を採用いたしました場合に、それをいかにして一人前の職員に育てていくかということが重大な役割りになっておりまして、普及員におきましても同様に、採用後におきまして新任者研修、その後における技術高度化研修さらには課題解決のための研修、いろいろな研修制度を設けておりまして、中には一年を超えるような非常に長い研修もあるわけでございます。ただ、そういう研修をやってまいっておりますけれども、今日の農業の実態に着目をいたしますれば、まだまだやるべきことはたくさんあるという理解でございまして、このため、ただいまの研修の仕組みについてももう一度根本から見直しまして、できるだけ農業、農村の実情に合った、ニーズに即応したようなすぐれた普及員を育てていきたい、こういうことで取り組んでまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/177
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178・伊藤郁男
○伊藤郁男君 それから次に第三点、生活改善普及事業の問題についてお伺いをいたします。
最近、生活改善普及事業の必要性の有無につきましていろいろ議論がされておるわけですが、特に都市住民の側から見ますと、むしろわれわれの生活改善を進めてもらいたいというような、そういう感覚もあると思うんですが、したがって、都市住民のサイドから見ますと、いまの生活改善普及事業というものは果たして説得力のある事業内容なのかどうかという疑問もあるわけですが、今後このような事業をどのような観点で進められていこうとしておるのか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/178
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179・小島和義
○政府委員(小島和義君) まあ、一口に農家と申しましても、その態様は非常に多種多様でございまして、全く農家らしい特質を備えた農家もございますれば、一般の都市住民と紙一重の同じような生活内容の方々もいらっしゃるということで、非常に何と申しますか、農家も多種多様になってきているわけでございます。それから一方また、生活上の課題と申しますのも、まさに農家なるがゆえに避けられない生活上の宿命のような問題もあれば、かなり都市と問題を分かち得るような、至るところにおいて起こっているような生活上の問題もある。したがって、生活改良普及員の仕事が広い領域の中のどの辺に主眼を置いて仕事をやるかということによりまして世の中の評価が分かれてくるのではないかというふうに思っているわけでございます。
従来の仕事の進め方につきましては、それなりの歴史的な背景もあるわけでございますが、今日の時点に立ちましてこの事業の実際にやっておりますこと、その役割りということを改めて見直しをいたしまして、最も必要性の高い、緊要度の高いところに重点を置いて展開をする、そのことによりましてこの事業に対する世の中の評価というものが変わってくるんじゃないか、かように考えておりまして、ただいま見直し作業を実施中でございます。不幸にいたしまして、間に法律改正という行事が挾まりましたものですから一時中止をいたしておりますが、早急に再開をいたしまして取りまとめいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/179
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180・伊藤郁男
○伊藤郁男君 次に第四点、臨調の第五次最終答申に関連をしてお伺いをしますけれども、この臨調最終答申の中で、「農蚕園芸局普及部の部制を廃止し、その際、農蚕園芸局における技術指導行政の総括機能を整備」しなさいと、こういうように指摘しているわけでありますが、これに対するお考えをお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/180
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181・小島和義
○政府委員(小島和義君) 農林水産省も長い歴史の中でさまざまな組織の改編を経てきておりますが、普及部につきましては発足以来ほとんど組織改編がなく今日に至っておるわけでございます。今日ただいまの農蚕園芸局の中で申しますと課が十二課ございますが、そのうちの普及教育課及び生活改善課という二課を普及部ということにいたしておるわけでございます。
で、臨調の答申におきましても部制廃止問題を取り上げておりますが、反面におきまして、農蚕園芸局における技術指導行政の総括機能の整備という問題を取り上げておりまして、私どももこの答申につきましては多少わかる点もあるわけでございます。と申しますのは、私どもの局内におきましても作物別のさまざまな技術指導行政というものを抱えております。またそのほかに肥料、機械、あるいは植物防疫、病害虫防除、あるいは種苗、そういった農業の横断的な技術を所管している課もあるわけでございます。それらのたくさんの課があります中の二課だけを部ということにいたしまして部長が統括をいたしておりますことは、全体の人物経済の上から言いましても非常にもったいないという感じもいたすわけでございますし、そういう縦割りの技術指導行政及び横割りの技術指導行政を普及事業を中核としながらどうやって改編をするのかということがこれからの検討課題だというふうに考えておりまして、この答申を受けとめて鋭意検討いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/181
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182・伊藤郁男
○伊藤郁男君 第五点になりますが、この臨調答申にもう一つ関連をいたしまして、この答申ではこういうことも言っているわけですが、例の作目別試験場、まあ八種設置されているけれども、研究の総合性、効率性を確保する見地から、これら試験場について統合を含めそのあり方を見直しなさいと、こう言っておりますが、この点についてはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/182
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183・岸國平
○政府委員(岸國平君) ただいま御指摘のように、作目別試験場についての指摘が行われております。で、私ども、この作目別の専門試験場につきましては、現在、畜産の関係三場、果樹、野菜、茶、蚕といったようなものを試験場として持っておりまして研究を進めているわけでございますが、これらの作目別の試験場は、作物の近縁性、それからまた基礎科学の分野、そういったような面から研究の推進、あるいは研究の調整管理といったようなことの効率性を配慮いたしましてそのような分類でそういった研究機関を独立して持っているわけでございますが、この体制によっていままで
に非常に多くの研究成果を上げてまいっております。そういったようなことでございますので、これらの研究機関を臨調での御指摘のように今後統合を含め検討ということにつきましては大変困難がある、研究の推進上大変困難があるというふうに考えておりますけれども、臨調の指摘につきましては今後慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/183
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184・伊藤郁男
○伊藤郁男君 第六点、同じ臨調答申の中で、農林水産技術会議についての研究、管理、調整機能等を強化するため、この農林水産技術会議と農林水産省附属の試験研究機関との関係について見直しなさいと、こう言っておるわけですが、これについてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/184
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185・岸國平
○政府委員(岸國平君) 農林水産技術会議につきましては、その任務といたしまして、一番基本的なものは試験研究についての基本的な計画の策定ということでございます。それからまた行政部局の要望を試験研究へ反映させる、それからまた試験研究の成果を行政普及に反映させるといったようなことについての連絡調整、それからまた農業関係の試験研究機関の行う試験研究全体の総括といったようなことを任務といたしておりまして、現在その任務を十分果たしているというふうに考えているわけでございまして、農林水産技術会議と試験研究機関との関係につきましては、基本的には現行の体制で十分その任務を果たしているというふうに考えているわけでございますが、農林水産技術会議のあり方並びに試験研究機関との関係、そういったものにつきましても、時代の要請に適合した効率的な技術開発を進めるといった観点から今後も検討してまいりたい、そのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/185
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186・伊藤郁男
○伊藤郁男君 次に、第七点目になるわけですが、農業技術の水準を高める問題でお伺いをしておきたいんですが、たとえば日本の酪農技術水準というのはアメリカに比べると二十年おくれていると、こう言われておるわけですね。したがって、アメリカ並みに技術水準を高めればわが国の酪農業も非常に強くなると、こういうことも言われておりますし、一方、米作の技術水準というのはかなり日本は高い水準にあると、こういうように思いますけれども、しかし、いま私が指摘しました酪農の問題も含めまして、小麦とか大豆とかそういう大部分を輸入に頼っている、こういう農作物に係る技術改良というんですか技術水準ですか、こういうものはまだまだおくれているのではないかと思うんですが、これらの部門における技術改良、技術水準を高めるために、むしろいまから農水省としてはそのための重点的な予算の配分とか定員の配置とか、あるいは技術改良研究テーマをこういうところに重点的に定めて、設定してやっていくべきではないかと私は思うんですが、その点の御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/186
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187・岸國平
○政府委員(岸國平君) わが国の畜産関係、あるいは麦、大豆その他の畑作物に関する技術がアメリカその他に比べて発展が不十分ではないかというような御指摘でございますが、確かに、私どもそれらの面におきます技術開発をいま以上に発展させていかなければいけないという問題意識は十分に持っております。米につきましては世界にも十分誇れるものを持っているわけでございますが、それと同様に麦、大豆あるいは畜産関係についても高めていかなければいけないというふうに考えております。そのために、いままでにもすでにそういった面での研究の強化についてはそれぞれ図ってきておりますけれども、現在そういった面の研究を高めるためにいろんな形のプロジェクト研究を組みまして、そのプロジェクト研究を進めることによってその面での研究を充実させるということを努力中でございます。また、御指摘の予算とか研究員の確保という点につきましても、これは今後もその点については一層の努力をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/187
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188・伊藤郁男
○伊藤郁男君 最後に、これは大臣にお伺いをしたいんですが、農業にきわめて意欲を燃やして取り組んでいる農民の技術水準の向上あるいは試験研究に対するニーズというものは、かなり高まっていると思います。
そこで、このような意欲的な農民が農政の現場に直接参加する機会というものを私は保障すべきではないかと思うんですね。それと同時に、その農業団体あるいは地方公共団体あるいは試験研究団体あるいは改良普及、これらのすべてが参加をして、そしてその地域地域に合った農業を推進すると。そのためのそのような組織体を地域ごとにつくっていくべきではないかと。まあ、たとえばその名称は地域農業振興協議会というようなものでもいいんですが、そういうものを組織をして、そしてその地域の、本当に農業に意欲を燃やしている人々の創意工夫を集約していくと。そういうことがいま農政を取り巻く諸条件の変化の中で必要ではないかと私は思うんですが、その点についての大臣の御見解をお伺いして、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/188
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189・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 最後の、ただいまの御指摘の点は、大変検討の価値があると私は考えますので、十分これから検討いたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/189
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190・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/190
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191・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/191
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192・下田京子
○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、農業改良助長法改正案に対する反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、今回の改正案で協同農業普及事業に対する助成方式を定率負担方式から交付金方式に変え、地方財政法上も国の負担義務経費から削除していることです。
これによって、今日の政府の軍拡、大企業奉仕、国民総犠牲の財政運営のもとでは、普及事業予算が削減の方向に進むことは必至であり、また国と県との協同事業であるという普及事業の基本理念をも後退させるものです。
さらに、教育的事業である普及活動の基礎となる普及職員配置の面でも、国の定数削減の方針のもとで、地方自治体の姿勢いかんによっては大幅な削減が強行されかねません。
第二は、改正案で、国が普及事業の運営指針を定め、県はそれに基づき実施方針を定めることとしていますが、これによって政府が進めているいわゆる中核農家育成、兼業農家切り捨ての選別政策が普及事業においても一層強化される制度的保障がつくられたことです。
第三に、農業改良研究員制度については、第二臨調の指摘した人件費補助の一般財源化にそのまま応じたものであり、試験研究機関と農家との媒介的役割りを持つ普及事業の機能の弱体化につながりかねません。
今日、アメリカ等の不当な農産物市場開放圧力や財界、臨調等の農業保護政策に対する攻撃が強まっている中で、しかも大幅な米作減反が強行されるという日本農業の深刻な危機のもとで、農家に密着し、農家の自発的活動を助長し、農業生産の増大と農家の生活の向上に資するという普及事業の使命はますます重大です。
第二臨調が言う普及事業のいわゆる見直し、効率化ではなく、普及事業の理念を堅持し、すべての農家を対象とした普及活動を一層充実強化することこそ必要であることを指摘し、反対の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/192
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193・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
農業改良助長法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/193
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194・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
村沢君から発言を求められておりますので、こ
れを許します。村沢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/194
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195・村沢牧
○村沢牧君 私は、ただいま可決されました農業改良助長法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
農業改良助長法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、農業改良助長制度が、農業技術の開発普及と農業者の生活の改善に果たす役割の重要性にかんがみ、本法の施行に当たっては、今後の地域農業の生産体制の整備等の諸問題に適切に対処するとともに、普及事業が本来の使命を達成できるよう、次の事項を十分検討し、その実現を期すべきである。
一、普及事業の運営については、今後とも協同事業としての基本的性格を堅持するとともに、国の助成が定額交付金方式に改正されることに伴い、物価、賃金等の変動によって事業推進に支障を来すことかないよう予算の確保及び普及活動水準の維持・向上に努め、併せて都道府県の間の事業水準等に不均衡が生じないよう、その適正な運用を図ること。
二、普及職員に対する国の予算定数が廃止されることに伴い、都道府県における的確な普及事業の実施を図るため、適正な普及職員数の確保に努めること。
三、農業・農村をめぐる情勢の変化を踏まえ、普及事業に対する農業者の多様化した要請に適切に応えるため、普及事業の役割、機能の明確化、普及協力体制の整備による総合的な指導の強化を図るとともに、普及職員の研修の強化と技術水準の向上、地域に密着した普及活動等その事業運営の整備充実を期すること。
四、生活改善普及事業については、農村の混住化、農業に占める婦人の役割の増大、農業就業者の高齢化等の進行に対応し、農村の生活環境の改善、農業者の健康の維持増進等に資するようその充実に努めること。
五、農業に関する試験研究については、農業の技術革新、生産性向上等がますます重視されて来ている実情にかんがみ、国及び地方を通じて、その組織及び研究体制の整備充実に努めること。
また、農業改良研究員制度の廃止に当たっては、試験研究と普及事業との連携に支障を来さぬよう努力すること。
六、農業後継者の育成に当たっては、これらの者が農業に意欲をもって取り組むことができるよう、その体制整備に努めるとともに、これに必要な施策の推進を図ること。
右決議する。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/195
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196・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) ただいま村沢君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/196
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197・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 全会一致と認めます。よって、村沢君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、金子農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。金子農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/197
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198・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/198
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199・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/199
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200・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/200
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201・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 次に、肥料取締法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。金子農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/201
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202・金子岩三
○国務大臣(金子岩三君) 肥料取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
肥料は、農業生産に欠くことのできない基礎資材であり、農業生産力の維持増進を図るためには肥料の品質を保全し、その公正な取引を確保することが重要な課題であります。このため、従来から肥料取締法に基づき公定規格の設定、登録、検査等を行ってきているところであります。
しかしながら、近年、肥料については、製造方法の多様化等に伴い、配合肥料を中心として、銘柄数が著しく増加し、登録業務量及び肥料の生産業者等の事務量の増大を招き、その簡素合理化が求められるに至っております。また、他の産業の副産物の肥料化等に伴い、従来以上に品質の保全に努める必要が生じております。
このような肥料を取り巻く諸情勢にかんがみ、肥料取り締まり行政の効率的な実施と、肥料の一層の品質保全を図るための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、指定配合肥料についての登録制から届け出制への移行であります。登録を受けた普通肥料のみが原料として配合される指定配合肥料につきましては、生産業者または輸入業者はその氏名、住所等の届け出のみで足り、登録を受ける必要がないものとしております。
第二に、普通肥料の一部についての登録の有効期間の延長であります。
現在、登録の有効期間につきましては、一律に三年としておりますが、尿素等生産方法の安定した普通肥料につきましてはこれを六年に延長することとしております。
第三に、肥料の品質保全措置の強化であります。近年における肥料の生産の実態の変化に対処して、肥料の一層の品質保全を図るため、原料、生産の方法等から見て、特に必要がある普通肥料について登録時の調査内容を拡充し、植物に害があると認められるものについては登録しないことができることを明確化しております。また、植物に害があると認められるに至った肥料につきましては当該肥料の流通を規制し、またはその登録を取り消すことができることとしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/202
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203・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。小島農蚕園芸局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/203
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204・小島和義
○政府委員(小島和義君) 肥料取締法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
第一に、指定配合肥料についての登録制から届け出制への移行であります。
従来、普通肥料を生産し、または輸入しようとする者は、当該肥料について農林水産大臣または都道府県知事の登録または仮登録を受けなければならないこととしておりましたが、今回、肥料取り締まり行政の効率化と肥料業者の負担の軽減を図る見地から、品質保全上特に問題のない肥料につきましてはこれを要しないこととしております。すなわち、登録を受けた普通肥料のみが原料として配合される普通肥料であって、農林水産省令で定めるものを指定配合肥料といたしまして、これにつきましては、当該肥料の生産業者または輸入業者がその氏名及び住所、肥料の名称等を農林水産大臣または都道府県知事に届け出るものとし、登録または仮登録を受ける必要はないこととしております。
第二に、尿素等一部の普通肥料についての登録の有効期間の延長であります。
登録の有効期間につきましては、従来一律に三年としておりましたが、尿素等の普通肥料につきましては生産の方法が安定し、その公定規格も相当期間これを変更する必要がないと見込まれることから、これらの肥料についての登録の有効期間を六年に延長することとしております。
第三に、肥料の品質保全措置の強化であります。
農業生産の基礎資材である肥料につきましては従来からその品質の保全に努めてきたところでありますが、近年における肥料生産の実態等にかんがみ、農業者が安んじて肥料を施用し得るよう、今回品質保全措置を一層強化することとしております。
まず、原料、生産の方法等から見て、特に必要がある普通肥料につきましては、登録申請書に植物に対する害に関する栽培試験の成績を記載させることとするとともに、当該肥料について、調査の結果、植物に害があると認められるときは、農林水産大臣または都道府県知事は登録をしないことができることとしております。なお、仮登録の申請のあった普通肥料につきましても同様に措置することとしております。
また、農林水産大臣または都道府県知事は、通常の施用方法に従い施用する場合に植物に害があると認められるに至った肥料につきまして、必要があるときは、生産業者、輸入業者または販売業者に対し、当該肥料の譲渡もしくは引き渡しを制限しもしくは禁止し、またはその登録もしくは仮登録を取り消すことができることとしております。
以上のほか、大臣登録普通肥料の一部についての知事登録への移行、その他所要の規定の整備を行うこととしております。
以上をもちまして、肥料取締法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/204
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205・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815007X00919830426/205
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