1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十八年三月二十四日(木曜日)
午前十時二分開議
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委員の異動
三月二十二日
辞任 補欠選任
杉山 令肇君 竹内 潔君
前島英三郎君 山田耕三郎君
三月二十三日
辞任 補欠選任
竹内 潔君 杉山 令肇君
秦野 章君 堀江 正夫君
山田耕三郎君 前島英三郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 堀内 俊夫君
理 事
片山 正英君
田沢 智治君
粕谷 照美君
佐藤 昭夫君
委 員
井上 裕君
杉山 令肇君
世耕 政隆君
内藤誉三郎君
中西 一郎君
仲川 幸男君
宮之原貞光君
柏原 ヤス君
高木健太郎君
小西 博行君
前島英三郎君
国務大臣
文 部 大 臣 瀬戸山三男君
政府委員
文部政務次官 大塚 雄司君
文部大臣官房長 高石 邦男君
文部大臣官房審
議官 齊藤 尚夫君
文部大臣官房会
計課長 國分 正明君
文部省初等中等
教育局長 鈴木 勲君
文部省大学局長 宮地 貫一君
文部省社会教育
局長 宮野 禮一君
文部省体育局長 西崎 清久君
文部省管理局長 阿部 充夫君
文化庁次長 浦山 太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 瀧 嘉衛君
説明員
大蔵省主計局主
計官 米澤 潤一君
文部大臣官房人
事課長 大門 隆君
厚生省援護局業
務第一課長 森山喜久雄君
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本日の会議に付した案件
○昭和五十八年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和五十八年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和五十八年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
(文部省所管)
○国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/0
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001・堀内俊夫
○委員長(堀内俊夫君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
去る三月十五日、予算委員会から、三月二十三日及び二十四日の二日間、昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管について審査の委嘱がありました。
この際、本件を議題といたします。
予算の説明につきましてはすでに聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/1
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002・宮之原貞光
○宮之原貞光君 まず、教科書の無償給付の問題につきましてお伺いをいたしたいと思います。
予算案を拝見いたしますと、ことしも四百五十九億七千二百万、定価一・九%引き上げが計上されておるわけでございますが、この問題は、毎年予算の編成の大詰めの段階になりますと政治問題化しておりまして、それで最終段階では従来どおり無償だというようなパターンがここ数年繰り返されてきておるわけでございます。この点、今回の予算編成の大詰めも表面的にはそのようでございました。しかし実際上は、例年と違いました不気味なものを私は強く感ずるのであります。
それは、十二月二十九日の文相、大蔵の大臣折衝の際、新聞報道によりますと、田中政調会長も同席をしたということでございますが、その折衝の中で、教科書有償化問題は、単なる予算折衝の事項にとどまらず、党としても検討機関を設け、五十九年度の概算要求時までに徹底的な討議の上、適正な解決を講ずるということが三人合意をされたと報じられておるのであります。私は、このことが事実かどうか、その結論を出すに至ったところの意味合いというものは何なのか、そこのところをまずお聞きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/2
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003・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) いまお話しのように、教科書の無償制度については、ここ数年来、予算編成時を中心にして、この無償制度を廃止するのがいいのか、存続すべきかということが議論されて今日に来ております。五十八年度の予算編成に当たっても同様なことが深刻に論議されたわけでございまして、特に御存じのとおり今年度は、さきにいわゆる第二臨調から、この教科書問題については教科書無償制度の廃止を含めて検討する必要があるというような答申が出ておるわけでございます。そういう関係もあって、特に五十八年度予算には無償制度を廃止するかしないかということについて、われわれ文部省側の主張と財政当局との間がなかなか議論が強かったと、こういうことでございます。
私どもは、無償制度が正しい教育制度であると、こう考えておりますからその主張を続けておるわけでありますけれども、財政当局、大蔵省側といいますか、財政関係から言いますと、臨調の答申もあることであるから無償制度をこの際改むべきであるという主張があった。けりがつきませんから、まあ党が中に入ったと言うんでしょうか、自由民主党の、われわれの方では三役と言っておりますけれども政調会長、総務会長、それから幹事長、党が中に入ったということでことしの取り扱いの決着がついた。五十八年度は無償制度を続けると。ただこの問題については、いま申し上げましたように臨調の答申もあることですから、もうちょっと各方面からいかにあるべきかを検討する必要がある。ほかにもわれわれ中教審等に検討願っておりますが、党としては自由民主党でも検討してみたい、こういうことでございます。検討することは構わぬわけですから大いに検討すべきです。そういう意味で取り交わしました文書というのを御招介しておきます。
「教科書無償給与制度について」という文書でございますが、
教科書有償化問題は、単なる大蔵省と文部省との予算折衝の事項にとどまらず、国民世論の動向、臨調答申、文教政策との関連など大局的見地から検討すべきものであり、中数審と並行して、党としても政務調査会に検討機関を設け、五十九年度概算要求時までに徹底的な議論の上、適正な解決を講ずることとする。
なお、昭和五十八年度予算においては、無償給与を継続する。
こういう内容でございまして、いま申し上げましたように、大蔵大臣、文部大臣、われわれの方の党の三役が署名しておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/3
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004・宮之原貞光
○宮之原貞光君 時間がございませんので、お聞きすることにはできるだけ簡単にひとつ大臣にお願いしたいんですがね。中身は大体新聞に報じられていますからもう重複する必要はないわけでございますから。
政府は今日まで、文教政策の基本に関する問題はというかっこうで常に中教審とか何とかというものにかけて、それを隠れみのにした形でいろいろなものを出してくる。ところが、この教科書問題はすでに中教審にかけておられるわけでしょう。それをわざわざ今度は党サイドに持ってきて党の中にも機関を設けて、そして概算要求時といったら八月ですね、もうあと五カ月しかないんですが、それまでに結論を出すというならばもう動き出しておらなきゃならないはずなんです。具体的にこの問題についてどういうふうにじゃこの合意事項によって動いておるのかどうか、その間の状況をお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/4
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005・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 大臣がお答え申し上げましたように、第二臨調の答申におきまして、義務教育教科書無償制度については廃止等を含め検討するという第一次答申がございまして、そのこともございましたので五十六年の十一月に中央教育審議会に対しまして、今後の初等中等教育の教育内容の基本的なあり方に関連いたしまして教科書のあり方についても御検討をお願いしているところでございます。
なお、五十八年度予算の概算要求の折衝におきましての経緯は大臣がお話し申し上げたとおりでございますが、それに従いましてお話のございました党の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/5
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006・宮之原貞光
○宮之原貞光君 ちょっと待ってください。経緯はいいんですよ。確認された以降どう動いておるかということをお聞きしておるんだから、そこを話してくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/6
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007・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) そのことと並行いたしまして中教審においては引き続き検討されておりますし、党の方におきましては、これは党のことでございますけれども、本年の二月下旬に自由民主党の政務調査会に教科書制度に関するプロジェクトチームというものが設置されまして、現在いろんな角度から検討が進められているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/7
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008・宮之原貞光
○宮之原貞光君 文部省はこれに対してどういう態度でいま臨んでおられるのか、あるいは臨もうと考えておられるのか、その考え方を大臣にお聞きしたい。あくまでも無償を貫くところの決意であられるのかどうか。言われておるところのいわゆる合意事項というのは白紙の状態だとはどうしても感じられないんです。そこで、大臣のこの問題に対するところのお考えをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/8
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009・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 簡単にという御指摘でありますからごく簡単に申し上げます。
最初申し上げましたように、無償制度は教育制度としてわが国では正しい道であると考えておりますから、文部省としてこれはあくまでも貫く、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/9
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010・宮之原貞光
○宮之原貞光君 そうすると、この合意事項というのは全く白紙の立場に立ったところの検討というふうに理解をしておってよろしゅうございましょうか。そして、その白紙に対して文部省はあくまでも従来の方針を堅持をしていくんだというふうに理解をしてよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/10
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011・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) この検討事項はもちろん白紙の立場で検討するということでございます。何でも問題があるときには検討するのはあたりまえのことでございまして、自分の言うことが最高だと思い上がってもいけない。ほかにもいろんな意見がありますから、国民全体に関係があることでありますから、各方面で検討されることはやぶさかでない。しかし、文教を担当しておる者としてはあくまでも無償制度が正しいという道をたどりたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/11
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012・宮之原貞光
○宮之原貞光君 私は大臣があくまでも堅持をするという方針は支持をするものでございますが、しかし世の中に言われておりますところの再検討論というのは、これは純然たる白紙論ではございませんね、率直に申し上げて。これは有償論の立場に立って再検討しようと、客観的に見ればそうだと言わざるを私は得ないと思うんです。それはいまも御答弁にありましたところの財政当局、臨調の物の考え方、そういう考え方から含めまして相手側の意図はそうだと明確に私どもは理解を受けとめざるを得ないと思うのでございますが、それに対して、どうしてもやはりいま申し上げたように、大臣は決然たるひとつ決意でもって私はこれはやっていただきたい、こう思うのでございます。
そこでこの問題の理解を深めるためになおお尋ねをいたしたいと存ずるのでございます。
今日有償論があることは事実でございます。その事実有償論の中には単に大蔵省とかあるいは財界だけでなくて、いわゆる自民党の文教関係者の中にもおありのようでございますね、特に若手と言われておるような人々の中に。このことはかつて参議院の予算委員会でも与党の某議員の方が、たかだかパーマ一回分じゃございませんか、父母が負担をするのは当然でございませんかと、こういう発言をしておられることからもうなずけますし、さらにまた私どもが承知をいたしておりますところの与党の文教関係の議員の有力なある人は、この教科書無償を守るために他の文教予算が犠牲になっているところの傾向がある、新しい文教政策を優先的に展開するためにはこの無償という足かせをいま除去すべきところの段階に来ておるという提起をしたというのが、単に新聞報道ばかりでなくていろんな文書の中からもうかがえるのでございます。
きわめて重要な教科書無償という問題について、文部省、与党の文教関係者が一体となってやらなければならないこの問題に対して、いわゆる文教関係者の中にもこういう意見があるということを私ども承知しておりますだけに、再検討という問題について本当にそのまま貫けるだろうかどうだろうかという一つの危惧を持つものでございますが、財政当局や財界の話は別にして、このような党内の動きのいろんな問題について、大臣はこの主張に対してどういう御見解をお持ちでございますか、お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/12
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013・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 物の考え方というものは十人十色でありまして、それがまた民主主義というんだろうと思うんですが、いろいろあります。わが党の文教関係といいますか、文教行政に特に関心を持っておられる議員の方にもそういう意見の方もあります。あるいは国民世論の中にもいろんなことがあるわけでございまして、その結論がどうなるかということは、それこそ民主主義によって、多くの人がこの方がいいと言えばそれでやむを得ないわけでありますが、私どもは、これは単に私が、私はもう文教関係はわずかな経験でありますけれども、そういう意味でなしに、時間がかかって恐縮でございますが、一体教育とは何だというととを私は考えておるんです。
教育とはまさに教え育てることである。これは生物の本能から言っても教え育てることは親がやること。一人前になって生活ができるようになるまでは親が見るのがこれは当然のことで、これはあらゆる生命体がそういうことをやっている。人間は当然でございます。
この人間社会では、最初は学校とか教育場とかなかった。みんな親がそれぞれあるいは海浜で、山で、あるいは川のふちで魚のとり方、あるいはけだもののとり方、木の実のとり方を教えて、生活の生きる道を数えておる。それがだんだん社会を成し、近代国家になりますと、それが寺小屋となり、学校制度となって、小中高と言われておる、まず人間として羽ばたけるところまで育てる。こういう制度をつくったわけでありますから、人間としてまあ何かえさを見つけて生きる道ができるまでは育てるというのがこれは人間の責任、親の責任であります。
いまやそういう制度をつくって、学校制度で教育するというのは、まさに私は国民が国民の子を育てる、こういう制度だという感覚を持っておりますから、そこまでは国民が全責任を持ってやる、それが憲法二十六条の精神である。それは授業料だけだという話もありますけれども、教科書というもので生きる道を教えるのであれば、教科書までちゃんと与えて生きる道を教えるというのが国民の子の親として私は当然だと、こういう所信でございますから、この道は正しいという、こういう主張を通していきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/13
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014・宮之原貞光
○宮之原貞光君 私は、大臣が教科書無償の物の考え方の基本を憲法二十六条の精神に基づいて、当然無償であるべきだというお考えについては全面的に賛意と敬意を表するものでございます。
この点、御承知のように、この有償、無償論は、ややもすればそういうものではなくして、単なる政策上の問題として取り扱われておるところの傾向があるのでございます。私はいま大臣の発言を聞きながら、いわゆる毎年予算編成期の大詰めになると、いわゆる文教の、文部大臣経験者のOBの皆さんがよく党の首脳に申し入れられる。その皆さんの主張も、いま大臣がおっしゃったように、数料書無償制度は憲法二十六条の義務教育無償の理念に少しでも近づこうとするところの国の基本理念なんだと。無償は将来にわたって堅持をすべきであると、こう主張をされて、申し入れられていることについて、かねがねなるほどと、こう思っておったところでございますが、大臣がいまおっしゃったような単なる政策論ではなくして、憲法上の物の考え方からもやはり無償ということで貫きたいという御意見をお伺いをいたしまして、その意を強うしておるわけでございます。
まあこれは大臣は与党の憲法調査会の大御所でございますから、十分そのことを踏まえての私はまた御発言だと思いまして、非常に意を強うするのではございますが、実は私も全くそのとおりだと思っておるんです。これは少なくともやはり法原理的な、言うならば義務教育の無償というのは原理的には義務だと思ってもいいのではないかとさえ思っておるわけでございますので、どうしてもやはりこの問題について、今後ともひとつ大臣のこの問題についての立場を貫いていただきたいと思うのであります。
ただ私、いろんなものを見てみますと、どうもこれに対して今日いわゆる財政論と申しますか、政策上のことから、もう無償が長年続いておるんだから教科書無償に対するところのありがたさ、教科書を大事にするところの考え方も失われがちであるから、むしろ有償にした方がいいとか、あるいは先ほどちょっと紹介いたしましたように、父母負担からすればたかがパーマ一回分ではないかと、こういうような財政と申しますか、そういう安易な直線的な物の考え方からこの有償論をやるところの傾向があるわけでございますが、この問題について、私は、これは何ら教育的見地からの主張じゃないと考えておるものでございますが、こういう主張に対しては大臣はどうお考えになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/14
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015・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 宮之原さんに私から申し上げるまでもなく、世間にはいろんな考えの人があるわけでございます。いまお話しのように、現在で中学校が三千数百円、小学校が二千数百円、本当の微々たるものじゃないか。パーマの話もありましたが、パーマは五千円もかかるんだという話も聞いておりますけれども、そればかりじゃなくて、教科書のほかにいろんな何千円という参考書まで親は買っているじゃないか、年間二千円、三千円のことを無償になんかしなくてもいいじゃないか、まさに銭金から言うとそうでございます。コーヒー二、三杯飲んで歩けばそのくらいにはなるわけです。
私はこの点は、妙な言い方をいたしますが、教育の問題は、憲法の話になって恐縮でありますけれども、憲法第三章のたくさんの三十条余りの規定というのは何だというと、あれは人間の生きる道を定めてあるわけであります。その一つの道として、育てるうちの一つの方法として二十六条に教育の規定があるわけでございまして、でありますから、これは銭金の問題じゃない、銭金で論ずるべき問題じゃないと私はそういうことをぜひ理解してもらいたいわけです。
そういう話をいたしますれば、それじゃ二、三千円だから、むしろただでやっていいじゃないかという、金の問題になりますとこんなのは議論どっちでもつくわけでございます。私は、金の問題ではない。金の問題でないというと恐縮でございますが、そういう議論は適当ではないんじゃないか。
それから、よく言われます、親に買ってもらって、この教科書で今度は一年生になったんだ、あるいは二年生、今度は中学校に入ったんだとやった方が、親のありがたみといいますか、愛情が伝わるという議論、それもそうだと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、私は、国が国の子供にこれでりっぱな社会人となれ、りっぱな国民となれと、こういうことをやるのも、またひとつこれは親の愛情を伝えなければならない。
それで、私はどんなことをやっておるかと調べてみたんです。文部省はこれよりかもっと大きな袋に、これはこうこうこういうわけで国から下さるんですよということが書いてある。それに入れて渡してやるらしいです。私は、それだけじゃだめと言うんです。子供はそんなところは余り興味はないぞと。これはどういうときにやられるか知りませんけれども、これは君たちがりっぱに日本国民として社会に育つように、みんな国民の親さんたちがただで上げるんだから大切にしてそのことを忘れちゃなりませんよということで渡すようなやり方をやってもらいたい、こういうことも求めておるわけでありますが、これはまあどっちにも言える議論でありまして、もちろん親が本屋に行って買ってやるのも愛情の一つでしょう。それが悪いとは言いませんけれども、それだけでこの問題を論じては適当ではないんではないかというのが私の所感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/15
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016・宮之原貞光
○宮之原貞光君 文部行政の最高の責任者が教科書の有償、無償の問題は銭金の問題ではない、そういうことよりももっと次元の高いところからこの問題を判断をすべきだと、あるいは憲法の二十六条の精神からいってそれはあくまでも守っていくというのが国の行政の大筋なんだという御主張でございまして、非常に私も意を強くしておるところでございますが、もう一つお尋ねをしておきたいと思うのであります。
それは、今度は逆に無償論の中に、この憲法二十六条の精神ではなく、有償化すれば教育正常化に重要な役割りを果たしてきた現行教科書制度を根本から揺さぶられることになるんだ、買い主が国から父母に移れば発行者は国より国民の声に耳を傾けがちになり、思うとおりの検定がしにくくなるんだと。また、学校がどの教科書を選ぶかの採択制度も、今日は無償制度をてこにして広域採択をやろうとしておるのに、有償化になればこれを崩すことになる。あるいは、教科書もこうなると現場におけるところの採択というのが中心になるんだから、またぞろ日教組に牛耳られるんじゃないかとかいってですね、こういう論拠を一大の拠点にして無償論がありますね。これなければ幸いなんですけれども、このことについて大臣はどうお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/16
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017・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) まあそういう言い方といいますか、考え方をしておる人もあるかもしれません。私はまだ経験が浅いですから余りそういう点はつまびらかにしておりませんが。私は、義務教育の教科書無償の制度といいますか、あり方と、教科書の検定制度、これは全然別問題だと思っております。
先ほど申し上げましたように、国民の子を育てる、まだ本当の白紙の状態で、指導の仕方によってどんなにでも生物ですから導き得る、つくり得ると、こういう状態の中のまあせいぜい六、七歳ごろから十年ぐらいの間、どういう社会人、どういう国民、これは社会連帯の人間をつくらなきゃだめですから、ある程度の標準的な、客観的な常識といいますか、通用する生き方、こういうものを教えるためには、やっぱりある程度の基準というものがなければならない。そういう意味で現行検定制度が法定されておると私は解釈しておるんですけれども。それと無償制度とを結びつけるということは、私は論理的には別につながっておる問題ではないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/17
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018・宮之原貞光
○宮之原貞光君 私も大臣がいまおっしゃったように、検定制度のあり方の問題とこの無償の問題は全然別でなきゃおかしいと思うんです。もしその検定制度をさらに統制を強める、広域採択にするあるいはどうするという一つの手段に、口実にこれが使われるとするならば、それこそやはり私はこれは党利党略の無償論だと、こう言わざるを得ないんです。その点、大臣が明確にこれは別問題なんだと、こうおっしゃっていただいたことについては、これまた私、深く高く評価をし、敬意を表したいと思うんです。まれに見る、歴代文部大臣で思い切ってそこまでおっしゃった方はいらっしゃいませんよ。さすがやはり私は憲法の大家だと思いますよ。だからひとつ在任中は、そういうもろもろの雑音に惑わされてこれをひん曲げるようなことのないようにがんばっていただきたい、こう思います。
実はこの問題と関連をして、どうも文部省の中には、率直に申し上げていま大臣が否定されたことと大体同じような考え方を持っておるところの流れが強くあるんですよ。これは僕は大臣が就任中にきちんとやっぱり整理していただいて、そんなこそくなことをやるなと、こう言ってもらいたいと思うんです。
実はこういうのがあるんですよ、諸澤正道さん、これは前の文部事務次官ですね。この方が三十九年三月に第一・法規出版から「逐条解説 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」という解説をされた本を出されておるんです。これは前の文部事務次官ですからね、いまおられるところの皆さんの上司ですよ。ここの七十九ページ、百七十三ページを見ますと、どうも大臣がおっしゃったような高度な立場からのものとはいささか、いささかというより全然逆のようなふうに考えられておるんじゃないかと思われるのがあるんです。
たとえば「広地域の共同採択を制度化することを主体とするものである。これによって無償とする教科用図書の需要数の把握を迅速確実に行ない、採択部数の集約化によって教科用図書の製造コスト」云々と、こうあるのでございますが、いわゆる発行者の指定によって、今度無償にすることによって、「経営基盤の一定水準が維持され、無償となる教科用図書の製造が適確に行なわれ、学校までの供給が確実に行なわれるという効果が期待される」とか、「同一教科用図書を採択する期間を三年と規定したのは」云々と、こういうような「企業経営の安定・健全化の要請」、こういうことがこの無償によってますます確立をされていくんだと、したがって教科書の無償ということは、いわゆる広域採択ということにとっても、あるいは発行ということによっても非常に有効になるんだ、こういう、教育論というよりも一種の効用論を論じておるところの論文があるんです。
私はこういう論法でこの無償論が論じられると、勢い先ほど御質問申し上げたように、教科書の検定の強化のためには無償が必要だとかいうところの論拠にこれはそのままつながっていきかねないところの物の考え方だと指摘せざるを得ないんです。
これがもし大上段に、憲法二十六条に規定するところの義務教育に、授業料から教科書からいろいろ持っていくというのが教育行政の高邁な理念であって、それに近づけしめていくんだという物の考え方なら、これはやはり文部行政のそれぞれの責任者としてはということで、これは私ども評価するのにやぶさかじゃないんですけれども、何か便宜的にこういうものが扱われるとするならば、私はやはりこれは問題点を感ぜざるを得ないんです。
したがって、私はこの問題については、無償制度というもののいろんな理由や言い方はありましょう、あるいは相手を説得するのにはいろいろな物の説得の仕方がありましょう。しかしながら、やはり基本には先ほど大臣のおっしゃった憲法理念を踏まえたところの無償制度という論拠でなければ、国民の皆さんを納得させることはできないのじゃないだろうか、このように強く感ずるものでございますが、どうしても大臣にその問題をさらに明確にさせて指導していただきたいと、こう思うのでございますが、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/18
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019・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 諸澤さん、名前は知っておりますけれども、私は、お目にかかったことはありませんし、その本も読んだことはありません。それは文部行政の長い経験のある方ですから、りっぱな方であると思いますけれども、先ほど申し上げましたように、物事の考え方というのは人おのおの違うわけで、たくさんあるわけであります。ですから、私は私の考え方が最高だなんてうぬぼれちゃおりません。うぬぼれちゃおりませんけれども、いま重ね重ね申し上げましたように、生きる道を憲法で決めてある。その生きる道の一環として教育をするんだという二十六条の規定があるわけです。
それで、どういう観点からこの無償制度の法律をつくったか、昭和三十七年だと思いますが、衆議院の委員会の速記録全部調べてみました。当時の文部大臣、ちょっといまど忘れしましたが、大牟田から出ておられて長らく文部大臣をされた――荒木文部大臣、それから、いま大蔵省がこういうことを言っておりますから、その当時の大蔵大臣はどういう発言をしておられるかと思ったら、いずれもこれは憲法二十六条のこの精神を生かすために無償制度を今度つくるんだ、これは日本の教育制度において画期的なすばらしいことをやるわけでございます。文部大臣も、大蔵大臣もそういうことを国会で答弁し、説明しておられますから、僕の考えは間違っておらぬなという自信を持って言っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/19
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020・宮之原貞光
○宮之原貞光君 私、初めて瀬戸山文部大臣の見解をお聞きいたしたわけでございますが、事教科書問題については、事がなければなおいいんですけれども、全く同感でございまして、これは大臣、もう単なるここでの答弁だけではこれはおさまらないぐらいの大きな政治問題化する要素があるわけでございます。まあ党内でも非常に影響力を持っておられる方でございますから、もう次の概算要求時、八月ですからね、あと五カ月しかありませんから、ぜひともひとつそれを貫いていただいて、今後の文教行政の基本を、単なる財政論とか便宜論でねじ曲げられることのないように、一層の御検討をお願いを申し上げておきたいと思います。
次に、私学助成の問題についてお聞きをいたしたいと思うのであります。
五十八年度の政府予算案は、防衛費だけが突出をし、そのしわ寄せを受けて大なたをふるわれたのが文教予算であり福祉予算であるということは、一部には否定される方もいらっしゃいますけれども、これは大体国民の大多数の声だと申し上げていいと思うのであります。
それで、その文教予算を見てみますと、ことに文部省から五十八年度文部省所管予算概要説明というのをいただいておるわけでございますが、これを見ますと、どうも事実と違って文部省の予算はこんなにいいんだという、しきりに宣伝の要素が感じられてならないのでございます。それは、これを見ますと、一ページには前年度の当初予算との対比は百三億二千二百万円増の〇・二%の伸び率である云々と、ちょっと見るとあたかも文部予算が一般予算においても伸びておるような物の言い方ですよね、このトータルで言いますと。しかし正確に言うならば、これはやっぱり普通私どもは一般会計で物を考えるのが常識であって、国立学校特別会計との合わせたものでやっているということはいかがだろうか。言うならば、一般会計でいえば一・一%減の五百十億八千一百万円の減なんですね、これ。明確にこれはマイナスなんですよ、この一般会計では。
しかも、文教予算は本来その三分の二は人件費であることがその特徴なんですよ。その人件費は定昇分の三百億近くが増額をされておるわけですからね。そういたしますと、今度はトータル面で見れば一般の施設費に大きなしわ寄せがいっておるということ、これは理の当然なんですよ。だから五%の八千億前後がその実態になっておるし、特に公立文教施設の設備費の、あるいは私学助成費の大学、高校への経常助成費が大きくしわ寄せをされて減額をされているということは間違いないんです。それを、どうもこれを拝見いたしますと、伸び率のトータルではいいんだと。なるほど国立学校の特別会計の分までが、それはそれでいいでしょうけれども、普通、常識的に私ども文教予算を議論する場合には、一般会計の問題を議論するんですよ。僕は、やはりこの概算要求説明なんていうのは誇大宣伝もはなはだしいと思っているんです。ただ、きょうは時間の制約もありますから、そう全般にわたるわけにはいきませんので、まずその中の私学助成費の問題に焦点を合わせていろいろお尋ねをしてみたいと思うのであります。
私立大学の経常費の補助は、この制度が発足以来ずうっと増というパターンをたどってまいりました。ところが、本年度は大学の場合が六十五億減、二・三%減の二千七百七十億円。これは私立大学の経常費補助が、五十五年度では二九・五%だったのが、今年度は二五・六%に補助率が低下をしたということをこれはもう立証しておるわけなんです。
御承知のように、大学を出ておる学生の八割近くが今日の高等学校教育の中で私立におんぶをされているというこの現実、しかもその中で、この私立に通う学生に使われておるところの国費は、一人当たり国立大学の学生に比して十一分の一にしかすぎない。あるいは大学の納入金あるいは授業料の問題にいたしましても毎年値上がりをしておる。こういうような状況にあるときに、この私学助成費が減額をされなければならないということはどうしても理解できない。なるほど臨調には当面総額の抑制という答申があるようでございますけれども、これまた教育のあり方の基本に係るところの問題でありますだけに、非常にこの私学助成の問題は問題点だと私どもは思うのであります。
いまも申し上げましたように、私学の日本の教育に果たしておるところの役割り、比重の大きさということから考えまして、その比重の大きさ、役割りの大きさを考えれば考えるほど、どうも問題だと指摘せざるを得ないんですが、この問題に対する大臣の所見を総括的にまずお伺いを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/20
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021・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私学に触れる前に簡単に申し上げておきますが、文教予算、いろいろ御批判がありましたけれども、総額については一・一%の減ということになっておるわけでございます。御存じのとおりに財政が非常に困難なときでありますし、宮之原さんは専門家でおられますから御存じのとおり、小学校の児童が減るというようなことで、地方公共団体からの学校の整備が今度は減る状況になっておりますし、そういう点で相当公立小学校の整備助成費が減っており、あるいは南極探検船も去年でき上がった、八十一億はもう済んだと、こういういろんな原因があるわけです。
こういう抑制の中で、十分であるとは言いませんけれども、おっしゃるように文教は大事な問題であるから、これは長期にわたる大切な問題だからということでわれわれ微力ながら努力をしてきた、これだけはひとつお認め願いたいと思います。
それから、私学の問題でございますが、おっしゃるとおりにわが国の教育の大半は私学の教育に負うてきておるわけでございます。その成果は非常に高い。でありますから私学の助成ということがずっと続いておるわけでございます。これは一部に私学助成に問題の点等がありましていろいろ世間からも批判を受けているのはまことに遺憾といいますか、残念でありますが、財政その他の関係である程度の抑制はやむを得ない。ただ、その中でも新たな項目を設けて、細かい点は局長からでも御説明申し上げますが、教育施設の整備費とか新たな項目を設けて新規予算を立てた、私学について軽視しておるという考えでないことだけはひとつ御理解をいただきたいと、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/21
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022・宮之原貞光
○宮之原貞光君 そうおっしゃりたいのでしょうけれど、どうも、先ほどもちょっと申し上げましたように、財政上とかあるいはいろんなところからもうぎりぎりなんだというのもそれも一つの物の考え方だと思うんですけど、ちょっとこれを見ますと、どうもそう思えぬですよ、大臣。
六ページから七ページの私学助成に関する経費云々の説明を見てごらんなさいよ。これ減額のことは全然触れてないんですよ。そうしておいて、「新たに私立大学等の研究装置等整備の補助として二十五億円」計上しましたと、こう書けば、これは素人が見ると、あ、今度も私学に理解があって増額してくれたかと、こう思いますよ。これは高校の場合も同じですよ。同じ筆法なんです。減額しながら、この補助は対前年比一・八%減でしょう。それを生徒減対策をやってありますからというふうなアクセントを置いて前年度と実質的に何ら変わりませんという物の書き方でしょう、これは。
それは官僚の皆さんの、自分のぎりぎりの仕事に対して批判をされたくない、評価されたいという気持ちはわかりますけれども、私ども、実際の国政にあずかる、そういう立場からいろいろなものを論ずるところの者から見れば、これまた、粉飾決算じゃございませんけれども、ちょっと誇大宣伝過ぎると言いたいですよ。私は、もし大臣がおっしゃったような理由ならば、そういう理由を率直に書いて、だから一体こういう方法はできないだろうかということを模索するというなら話はわかりますよ。どうも、その点が素直じゃないんですね、大臣。大臣みたいに素直にてきぱきおっしゃっていただけばよくわかるんですけれども、これまた大臣がやはり教育してもらわなければならぬことだと思うんですね。
そこでお聞きいたしたいのは、この説明は説明としてそのままにして置いておくといたしましても、それならば、今度の予算編成の中では私立学校振興助成法、御承知のように、これは五十年に決まったわけですね。この第一条の目的から見て、どういうところに力点を置いた予算のあり方なのか、こういうことをまずお聞きしたい。
これは申し上げるまでもなく、第一条には「学校教育における私立学校の果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体」は、「私立学校の教育条件の維持及び向上」を図る、「私立学校に在学する児童、生徒、学生又は幼児に係る修学上の経済的負担の軽減」を図る、「私立学校の経営の健全性」を高める、これをやはり目的の三つの項目にしておるんですよ。
それならばお聞きいたしたいのは、ことしの予算は総体的にはそうあるけれども、このうちのどれはこの目的に沿うようにやりました、こう言えるのか。これは大臣よりも局長に聞いた方がいいでしょうけれども、局長、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/22
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023・阿部充夫
○政府委員(阿部充夫君) ただいま先生からお話がございましたように、私学振興助成法の目的は御指摘のような中身が書かれておるわけでございます。私どもといたしましても、この法律の精神にのっとり、そうしてまた私学の重要性を十分勘案をいたしまして、経常費の確保には最大限の努力をしてきてまいったわけでございますが、先ほど来お話に出ておりますように、最近の国の財政状況等から、特に五十八年度の予算の編成に当たりましては、こういった経常的経費についてはマイナス五%というようなシーリングの中でこれに対処せざるを得ないというような非常に厳しい対応を強いられたわけでございますので、そういった中で最大限の努力をいたしました結果が御指摘がございましたような二・三%減というところでとどめることができたということでございます。
この条項のどれにというお話でございますけれども、この条項全体を考えながら最大限確保する、現在の財政状況の中での努力をしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/23
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024・宮之原貞光
○宮之原貞光君 この三つの目的ですね、特に。この全体を考えながらと言うけれども、この三つ全体を見て、どれ一つ、なるほどここに力点を置いて、ほかのものは減額されておるけれども、これだけはうまく考えておるのだと、こう理解はできませんよ、これ。ここにも私学関係の委員の方いらっしゃいますけれども、これは率直に申し上げて、僕は、やはり今度はなかなかとれなかったんだということを率直に申された方がいいと思いますよ。
そういうあなたのような答弁をされますと、それならば一体、私学振興助成法の第四条とこの予算とはどういう関係になっておるのかということを聞きたいんだよ。御承知のように「当該学校における教育又は研究に係る経常的経費について、その二分の一以内を補助することができる。」とあるこの二分の一、これはいろいろここでも議論いたしました。私どもも議論に参加したのですが、この二分の一以内というのは、漸次ふやしていって行く行くは二分の一に到達しようじゃないか、こういうことだったはずなんですよ、立法の趣旨と議論を踏まえた中では。それは皆さんも多分おわかりだと思うんです。
ところが、先ほど申し上げたように、経常費の補助が五十五年度は二九・五までは行った。ところがことしは二五・六に下がっておるんですよ。経常費の補助というのは私立大学関係の助成の中では最大の目玉なんだよ。これがまだ現状維持というならわかりますよ。それがどんと下がっているんです、どんどんどんどん。これではこの私学振興法の第一条の目的を総合的に考えましたとはどうも理解できない。
それでいて新聞の報道によれば、またことしも私学関係の、入学金にしてもあるいは施設設備に対するところの寄附金にしても、受験料にしても、みんな国立の二倍、三倍近く上がっているでしょうが。そういう状況の中で、これ、やりましたと言ったんじゃ、どうにもならぬのですよ。僕は、皆さんがあっさり、これはもうことしはいろんな財政上の問題でまいりましたというなら話はわかるけれども、何とかうまくやったようなかっこうでつくろうとするからますます傷を深くするだけなんです。いま申し上げたところ四条の二分の一補助から見れば、せっかくのやつがどうっと下向きになっていくということは事実なんでしょうが。どうなんです。それは認めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/24
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025・阿部充夫
○政府委員(阿部充夫君) 私学振興助成法四条に御指摘のような規定があるわけでございますし、それから、議員立法でつくられた法律でございますけれども、当時の国会の御審議におきまして、できるだけ速やかに二分の一に近づけるようにという附帯決議がついておるということも十分承知をしておるわけでございまして、私どもといたしましても、その精神を体して努力をしてまいったつもりでございます。
先生から御指摘がございましたように、五十五年度には全体の二九・五%というような指数まで到達したわけでございますけれども、以後、財政状況の困難化に伴いまして停滞をし、あるいは若干今回のように減額というような、率が下がらざるを得ないというような事態もあったわけでございます。いずれにいたしましても、今後とも財政状況の範囲内ということで、非常に苦しい状況ではございますけれども、この精神は私どもとしても大事にして、必要な額の確保には努めてまいりたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/25
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026・宮之原貞光
○宮之原貞光君 これはまた大臣に憲法上の問題等でお尋ねをしたいのですが、実は私学助成の問題は憲法八十九条との関連の中で、かつていろいろ議論されたことのあるところの問題なんです。これも大臣、この問題についての御所見がございましたら、私学助成の問題と関連してお聞きいたしたいんですが、ちょっと突然申し上げてあれだと思いますが、若干問題点を私申し上げまして、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。事前にお話し申し上げることなくぼんとやるわけですから、それは経緯を若干申し上げながら申し上げたいと思うんです。
昭和二十四年に私立学校法が制定された当時からこれはいろいろ意見があったわけです。すなわち「公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」という八十九条の問題があるんです。これと私立学校のあり方との問題でいろいろ過去に議論をされてきたんです。この問題について、本来、自主独立に経営さるべき私立学校に国が財政援助をすることを通じて不当な支配を及ぼすことがあってはならないというのが、この八十九条の精神なんだと。したがって私立学校に公の財政援助をするということは、私学の法律を改正して、公立学校同様に国の監督指導下に置く必要がある、だからおかしいという見解と、そうではない、公教育を公立学校だけでは不十分なので私立学校が肩かわりしているのであるから、国が財政援助をするのは当然なんだ。国立学校並みの監督権云々というのは、法理論的にはこれは別の問題である。ただ、助成を受けた場合、その助成の問題について特別の監督を受けるのは仕方がない。言うならば、私立学校振興助成法の十二条の問題ですね。こういう二つの意見が国会の論議の中からずっとあったわけです。そういう中から大多数の皆さんの意見として、いわゆる後段の意見から、この助成法なるものの議員立法が成立をしたところの経緯があるわけです。
言うならば、私学というものの運営については、サポートはする、しかしコントロールはしないというのがこの基本の方針なんですね。サポート・バット・ノット・コントロール、これが一番の私学に対するところの教育行政のあり方なんです。私もこの主張は正しいと、こう思うんですがね。まだやはり、この議論の中には、先ほど紹介しました位置に戻せ、もっと監督強化を強めるべきだという意見等もあるんです。したがってこの問題は、憲法上の問題からも避けて通れないところの問題でございますだけに、憲法問題に一番造詣の深い大臣に、この機会に改めてそのことについての、今度は行政の文部大臣としての立場からの御見解をお聞きしておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/26
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027・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 憲法に造詣が深いわけでも何でもないんですが、中曽根内閣は憲法論議をせぬことになっておりますのですが、それはそれとして、憲法論議をするという意味じゃなしに、宮之原さんからお尋ねがありましたが、そういう憲法と、それから学校教育、慈善福祉団体その他に、そうではございますが、国としてはやっぱり助成をする必要があるという一面があるわけでございます。ところが、この憲法の条章に触れやせぬかという議論が出てくるわけでございますので、私学振興財団とかいう別なクッションをつくって、直接国が支配するようなかっこうでないような姿をつくられたんじゃないか。これは私、その法案審議にタッチしておりませんから明確な認識がないんですけれども、そういうふうに解しておるわけでございまして、もちろん私学に対してはある程度の助言、指導は必要でありましょうけれども、これはまさに私学の自主性を持ってやるべき性質のものであると、これがたてまえであると思います。
ただ最近、私学でいろいろな事件が、補助金の受給その他について、運営について、事件がありまして、文部省は何をしているんだと、えらい国会でおしかりを受けるときに、文部省はどうも力が及ばぬようになっておるので困っているところがあるんですが、まあそこら辺がむずかしいと言えばむずかしいんですけれども、やはり教育の機関として、私学は私学の自主性を十分理解してやってもらうということが私はこの憲法の規定の精神でもあると、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/27
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028・宮之原貞光
○宮之原貞光君 いま大臣から答弁いただいたように、これはさまざまな議論があるにしても、ずっと戦前からの私学のあり方という議論のいろんな集積として、いま大臣が最終的に申された、サポートはする、しかしながらコントロールはしないというのが一番のやっぱり基本ですからね、これを、私学のいろんな事件が起きたからといって便宜的にまた改めるということには非常に問題がある、あくまでもこれは貫かれるべきだということを私はこの機会に強調しておきたいと思うんです。
ただしかしながら、公費をもらってやっておるところの私学に不正事件やいろんなものがあれば、これは不当な干渉じゃないでしょう。これは助成法の十二条、十三条に明記されておるんですよ。この明記されておるところの事項について、やり方が手ぬるいんじゃないか、こういうのが私どもの見解なんですよ。何でもかんでも一切、寄附金やいろんな金をもらいながら何をやったっていいんだというふうなのが私学の自主性だというふうにお考えであるとするなら、これは大変な間違いだと思うんです。それならば補助をもらわなければいいんですよ。
ただ、私どもが皆さん方に申し上げておるのは、肝心かなめの、国民の血税としての国の予算からもらいながら勝手気ままなことをしておるじゃないかと、これが問題なんです。しかし、この問題は明らかにこの十二条、十三条から見ても当然できるところの文部省の監督権限なんですよ。それを混同されて、いや私学に対しては何もできないんだというふうに逃げられると、これまたおかしいと思うんです。私はそういう考え方でありますだけに、九州産業大学問題は看過するわけにはまいらないんです。恐らくこの委員会でもいろいろ質疑があったと思うんですが、その後一番新しい、皆さん方のいろいろ行政指導してきたところの段階で、今後九州産業大学は、学校の運営その他どういう形になっていくのか、それをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/28
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029・阿部充夫
○政府委員(阿部充夫君) 九州産業大学のその後の状況でございますけれども、すでに御案内と思いますが、補助金の関係につきましては、去る二月三日付で私学振興財団から二十五億八千万円の返還を命じたわけでございまして、これは同月二十二日に命令どおり返還が行われております。なお、昭和五十七年度、本年度の補助金の問題につきましては、去る三月の十八日に私学振興財団におきまして本年度は交付をしないということを決定をいたしておるわけでございます。
それから、大学の学園の管理運営等に関しまして、去る二月の三日に学園の責任者として鶴岡理事長とそれから数学側の代表という意味で井本学長代理両者に御来省いただきまして、五項目にわたって厳重に注意をいたしたわけでございまして、その内容は、運営体制の刷新を図ること、入学者選抜方法の公正を図ること、教員組織を充実すること、経理の適正化を図ること、学内監査体制を充実すること、項目だけを申し上げればそのような内容の指導をしたわけでございます。
これに対しまして二月の二十六日に理事長からこの五項目についての回答があったわけでございますが、ただいま申し上げました五項目のうち後の四項目につきましては、おおむね文部省の指導に沿った方向での努力を誓っておりますので、その点については今後の運営を見守っていきたい、こう考えておるわけでございますが、第一項目である理事体制を含めて運営体制の刷新確立を図ることという点につきましては、学園側から報告されました改善の内容が、文部省の期待をしておりますような、社会的な信頼が得られるようなりっぱな体制にしてもらいたいということで刷新を求めたのに対しましてはきわめて不十分であると考えまして、この点については再度検討して報告をしてくれということで、学園側にいわば差し戻しをしたわけでございまして、現在学園内部において検討がなされているところと承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/29
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030・宮之原貞光
○宮之原貞光君 私は、九州産業大学問題は、私学経営の中でのいろんな問題点の氷山の一角じゃないかと見ておるんですよ。よく文部省の担当者の皆さんとかあるいは私学振興財団の皆さんの中には、あの大学はあれは特別の悪なんだ、ほかにはそんなことは決してないと、こうおっしゃっていますけれども、どうも私はそれはそう取り消すわけにはまいらないと思うんです。本委員会におきましても、委員会のたびにとは申しませんけれども、回数から言えば恐らく、私学助成法に基づくところの公金を、補助を受けながらいろんな問題を起こしておるところの大学というのは、私学の場合にはやっぱり絶えないんですね。
私は以前、私立医大の寄附金の問題についても委員会でやった記憶があるわけですが、それだけでは終わっていないんですね。早い話が九州産大の事件の発覚をする三カ月前の昨年の八月の久留米工業大学の当時の理事長ら四人が学納金を着服した事件もありましたね。あるいは北里医大の三十二億五千万円、あるいは北陸大、金沢の三十七億五千万円のやみ寄附金問題、こういった問題が起きておるわけです。
それだけに、私は皆さんがいろんな立場から見て交付をしたところの補助金、それの使途というのについてはあくまでも厳重にして監督をしていただかなければ、これは先ほど申し上げたところの私学の自主性の隠れみのに、これだけは逃れるわけにはいきませんから、そのけじめだけはしっかりしていただいてきちんと指導していただきたいものだと思うんです。時間が来ましたから多くは申し上げませんけれども、こういう問題に対するところの大臣の今後のお考えと申しますか、それをお聞かせを願って私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/30
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031・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) ちょっと余談になって恐縮でございますが、先ほど私学の予算が少ないんじゃないかという御指摘がありましたが、われわれとしては非常な苦労をいたしましてあれほどの私学関係の予算を編成したわけでございます。その際に、十二月三十日でありましたが、私学関係者の代表者何人か見えまして、この窮屈な財政事情の中でよくぞここまで予算を組んでいただいてありがとうございましたとお礼に見えました。そのときに、私は前の九産大その他のことは新聞等で知っておったわけでございますから、けしからぬことだという頭があるものですから、こういう窮屈な財政事情でも、われわれは私学が、教育が大事だから、ということで予算の編成をいま済ましてきましたよ。これは国民の税金なんだ、幾らか減ったけれどもこれだけの予算を組んであるのだ、これは教育が非常に大事だからということで差し上げることになっておるのですから、これをもらい得という頭でやられちゃ困るのですよと。いろいろな事件があって、国民の方からは非常に何しておるのだと言われておる。気持ちはよくわかるのであるから、今後はそういうことのないように、私学協会なんかがあるわけですから御指導願いたい、こう余談になりますけれども、申し上げた。
それから九産大の問題について、あのやり方を私はいろいろ聞いておりますと、きわめて率直に言ってふらちなことだという感じがいたしております。非常に悪質です。ですから、私は財団の皆さんに対してもよく、書類だけの審査で、大体教授の資格があるかないのかわからぬなんて、しかもそれは一人や二人じゃなくて、たくさんの人が教授にされて、それをペーパーに書いてきたとおり認めるなんて、そんなことやっていたら大変なことじゃないか。それは一々これはどうだということを調べるのは困難かもしれないけれども、ちゃんとそこまで調べて、しかも十億、何十億という補助金を出すんですから、ひとつそこまで厳重に審査をしてもらいたい、こういうことも申し伝えてありますし、文部省としても今後一層私学助成については、大事でありますだけにやっぱり厳重に審査等をすべきである、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/31
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032・宮之原貞光
○宮之原貞光君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/32
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033・粕谷照美
○粕谷照美君 きょうは予算の審議ということになっていますので、直接関係がありませんけれども、冒頭に教科書問題について質問をいたします。
去年、外交問題にまで発展いたしました教科書問題の決着に当たりまして、政府は歴史教科書の是正を約束して、また文部省は教科用図書検定調査審議会にそのことを諮問をして答申を受けております。新しい検定基準が告示をされて、小川前文部大臣の談話が発表されまして、一連の対策によって教科書問題は決着をつけた、こういうふうに言われておりますが、本当にきれいに決着がついたというふうに考えておられるかどうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/33
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034・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 昨年の七月以来起こりましたところの、いわゆる歴史教科書に関します問題につきましては、八月二十六日に官房長官が談話を発表されまして、韓国におきましては翌日、公式な外交ルートを通じまして了承したというような回答が参ったと聞いておりますし、中国におきましても、九月九日になりまして、おおむねそのような回答に接したわけでございまして、私どもとしては、その上で官房長官談話に示されておりますところの諸手続と申しますか、いま粕谷先生お挙げになりましたような教科用図書検定調査審議会に対します諮問でございますとか、それを受けた答申を受けまして、その答申に基づく教科用図書検定基準の改正でございますとか、また同時にそのことを文部広報に掲載いたしまして、文部大臣の所見を発表するというふうな約束をいたしました手続をすべて終了いたしまして、これによって官房長官談話に盛られました内容は誠実に履行しているというふうに考えているものでございます。そのような趣旨は、中国、韓国等にも十分に了解されているものと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/34
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035・粕谷照美
○粕谷照美君 文部省は、この答申の内容はまことに満足すべきものであるというふうに考えていらっしゃるかどうか。
発表によりますと、この答申の後で大石第二部会長の談話が出されているわけです。なかなか内容的にも非常に大変だったんだということが感じられるわけでありますが、「この答申においては、我が国と近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに当たっては、国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がなされていることとする旨を検定の基準に加える必要がある」と、こういうふうになっているわけです。しかし、近隣アジア諸国との友好親善に逆行した検定が批判を受けたわけであります。だから、教科書検定審議会は、まずその反省の上にみずからの責任を明確にして、行き過ぎた検定に対する歯どめをきちんとかけていくという、私はそういう答申が出てくるものだと思っていたわけですけれども、全然違うわけであります。私どもからすればあたりまえのことを、なぜ事新しく書いたのか、こういうふうに考えているわけですけれども、どう受け取っていらっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/35
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036・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) この検定調査審議会の答申は、歴史教科書につきまして中国、韓国からその記述についての批判を受けました経緯を踏まえまして、過去における関係のあった国に対する国民感情という観点からの配慮がどうであったかというような点もいろいろと勘案いたしまして、国際理解、国際協調の精神については、従来から配慮をしているところであるけれども、とりわけ近隣アジア諸国との関係を記述するに当たっては、このような過去における不幸な関係にかんがみて、これら諸国の国民感情等にも配慮することが必要である、そういう観点を加えましてこの検定基準を新たに加えたということでございまして、検定調査審議会の審議の過程におきましては、そのような議論を十分にいたしまして、結果としては簡単な内容の答申でございますけれども、議論の過程ではいろいろなそのようなこともあったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/36
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037・粕谷照美
○粕谷照美君 確かにいま局長がおっしゃったように、この問題に関しては、中国側から、趙紫陽総理の、この問題はすでに一段落したことを喜びを持って見ている、あるいは鄧小平中央顧問委員会委員の、この問題は双方の努力で解決をした、こういうふうに言っていらっしゃることや、また韓国は十一月二十四日に、日本政府の一連の措置により是正のための制度的措置が敷けたものとして評価する、こういうことで外交的に決着をつけた、了解をいただけたというふうに判断をしているかもしれません。
しかし、私は、本当に韓国がそういうふうに決着をつけたというふうに考えているんだろうかという危惧を持っています。文部省の措置に対しても、あるいは日本の政府に対しても非常に危惧の念を持っているのではないかということを思っているわけです。
衆議院の予算委員会でわが党の木島委員が質問をいたしました。そのときに中曽根総理は、訪韓をしたときに教科書問題は話に出なかったということを答弁をされております。また、カラオケパーティーがあったそうですが、その前に総理がごあいさつをなさった、そのときに過去の反省の上に立ってというごあいさつをされたわけですが、過去の反省とは一体何かという質問に対して、植民地支配のような形になっていろいろ迷惑をかけたことも含めて反省をしているんだと、議事録にちゃんと載っているわけであります。また、教科書問題も含めていることも明言をされております。
しかし、総理がお帰りになった後、これは二月四日、朝日新聞ですけれども、「韓国が歴史教科書改訂 日本の侵略を生々しく記述」というものが載っているわけです。「ソウル三日=AFP時事」、こうなっておりますが、
韓国の高校生は、三月の新学期から、日本の朝鮮侵略と三十六年間の日本統治時代における残虐行為を生々しく記述した文教省編集の教科書を学ぶことになった、と韓国当局が三日発表した。
新しい教科書は、李氏朝鮮の抵抗にもかかわらず日本が同国をいかに強引に併合したかを詳細に説明し、また、一九一九年の三・一独立運動と、その際処刑された七千五百九人に上る反日独立運動闘士についてこれまで以上に詳しく述べている。さらに、二〇年、満州(現在の中国・東北地方)で発生した反日抵抗運動参加容疑者三千百六人の大量虐殺事件も初めて取り上げている。
韓国当局は全面改訂の理由について、従来の教科書では六五年の日韓関係正常化(日韓条約締結)を考慮して日本残虐行為には詳しくは触れなかったが、日本がこのところ歴史を歪曲しようとするに至ったため、「わが国は歴史事実をありのままに記述することにした」と述べている。
と、こう載っているわけですね。大臣、このことをどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/37
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038・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) その国その国の教科書の内容はその国の――韓国は国定教科書じゃないかと、これは私は想像でございますけれども――つくり方があるわけでございますから、それをとやかく言う立場にはないわけでございます。
ただ私は、いまいろいろお話がありましたが、人間の歴史というものはいろんな過去があるわけでございます。これは個人でもそうでございます。でありますから、そのよいところ、悪いところを積み上げていって、人間が進歩するか、後退するかということになるわけでございますが、その悪いところを反省し、そういうことは再び重ねない。いいところを伸ばしてだんだん進歩を図ると、こういう歴史を私は積み上げてきておると思うんです。十五、六世紀からずっと、十七、八世紀、十九世紀までの歴史は全部そうだと思います。
でありますから、たとえばこれはよけいなことになってしまいますけれども、この前の中国と韓国との問題でも、やっぱりそういう歴史の一こまでありまして、そういう歴史は、私は事実は事実として、やっぱり書き残すものは書き残し、そしてそれは、こういうことはいかぬのだと、いまや世界はだんだん反省期にまた入っております。まだまだ完全ではないと思いますが、ここ四、五百年、千年ぐらいの歴史を見ますると、ずっと反省が積み重なってだんだん平和になってきておる。
日本の国の状態は、よけいでございますが、いままた「徳川家康」をやっておりますけれども、四、五百年前は日本の国内でもあれほどやっておった。いまから考えるとばかばかしいきわみでありますけれども、あの当時は真剣に、それがあたりまえのように戦われておった。そういうのはつまらぬということで、織田信長が出たり、豊臣秀吉が出たり、それじゃいかぬのだということで徳川家康が三百年の、国内で争っちゃいかぬのだという思想がずっと普及して、いまやこうなった。明治維新になって世界を見ると、世界はみんないろんなことをやっておるじゃないか、自分の国をよくするためにそうしなきゃいかぬのだという西洋先進諸民族のことをならってやってみて、大失敗をした。これは大変な失敗だった。そんなことこんりんざいしちゃならぬと、いまその反省期に入っておる。こういうことを歴史というのは書くのじゃないかと思いますが、その韓国の歴史がどうである、こうであるということは、韓国の方でそういう歴史の反省として書かれるのであろうと思いますから、私の方でとやかく言う立場にはない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/38
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039・粕谷照美
○粕谷照美君 大臣がそういうふうにおっしゃることは私はいいと思うんですけれども、いままでの韓国の歴史よりももっと厳しい態度で臨んできた。しかも教科書問題が外交的に決着を見た、文部省がこういうふうにやったという後にこういう措置をとられたことについて、私は日本の政府が信用されてないのではないだろうか、文部省の検定に対する姿勢に対して非常な危惧を持っているのではないかと、こう私自身が心配をするものですから、文部省としてはどのように受けとめていらっしゃるかということをお伺いしたわけであります。いかがですか、その辺は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/39
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040・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) これは先ほど申し上げましたように、八月の二十七日に官房長官談話が発表されましてから、そこに盛られました内容について、外交ルートを通じまして正式に回答があったわけでございまして、その後の諸手続についても逐次外務省を通じて報告されておりまして、その点の理解は届いておると思います。ただ、いまお挙げになりましたような韓国の国定教科書におきます歴史記述の内容がどういう観点かち改訂されたものであるかということにつきましては、韓国におきます国民教育と申しますか、そういう観点がいろいろ日本とは異なるまた事情があろうと思いますし、それについて私どもの方で推測を申し上げることはできない立場にございますので、ただいま大臣が申し上げましたように、韓国の歴史教科書の記述についてわが国が感想を申し上げるとか、そういうことにつきましては差し控えさしていただきたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/40
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041・粕谷照美
○粕谷照美君 私は、こういう問題が起きた原因が検定の強化にあった、そして日本の国が韓国の教科書に載っているようなことについて検定を強化することによって曲げていこうとした、ここから問題点が発生しているわけですから、この検定問題についてはもっと真剣に取り組んでいかなければならないというふうに考えているのであります。特に私は、韓国がこういうことで心配をされるのではないかなと思っていることについて、文部省の考え方を聞いてみたいんですけれどもね。
宮澤官房長官の談話にありました、日中共同声明、日韓共同コミュニケ、こういうことがあるんですけれども、その二つの間には明らかなる差があるわけです。
どういうふうに違いがあるのかなと思ってよく読んでみましたけれども、一九六五年の日韓共同コミュニケの中では、過去のある期間に両国民に不幸な関係があった。不幸な関係というのはどういうことかということを明確に言っていないわけです。そしてまた、そういう関係があったために生まれた韓国民の対日感情について説明をした。これは李外務部長官が説明をしたわけです。椎名外務大臣は李外務部長官の発言に留意し、このような過去の関係は遺憾であって深く反省していると述べた。これが共同コミュニケなんです。私ども内容を読みましても、一体歴史を知らない人たちにしてみれば、過去の関係は遺憾であったとか不幸な関係というのは何なのか、だれがそれをしたのかというようなことがわからないような共同コミュニケになっている。非常にぼゃっとした言い方になっているわけです。
それに比べて、一九七二年の日中共同声明を見てみますと、明確に、「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」と、こう言い切っているわけです。
だから、これを基調として教科書問題を考えていくんだという日本の態度は理解できますけれども、韓国からしてみれば非常に不明確で不満が残るのではないかな、こういう感じがしてならなかったわけであります。
それで、いままでの韓国の教科書などというものも読んでみました。教育評論という雑誌があるわけですけれども、一九七四年に、当時学芸大学の教授でありました星野安三郎先生が「日本教育百年外史」というのを書いておられます。その中で大韓民国の教科書というのもありますけれども、本当に生々しく日本のやったことが書きつづられております。朝鮮民主主義人民共和国は、これは教科書じゃありませんけれども、法令の中に日本のやったことが書いてあるということが記入されています。またフィリピンの教科書、インドネシアの教科書、日本の歩いてきた道をよく子供たちに教えるように書いてあるわけですね。
私は教科書をまるまる教えるんじゃないんだと思うんですけれども、教科書を一つの重大な参考書として教師がどのような観点で教えていくかということは重大なことでありまして、日本の国の教科書をそのまままるまると教える先生はいらっしゃらないと思うわけです。だから、そこに教師の力量というものが問われてくるわけでありますけれども、検定によって大事な教科書の中を曲げさしていこう、歴史を曲げていこうとしてきたここのところをもう少し反省をしておかないと、幾ら答申の中で近隣アジア諸国との関連を留意しなどと言っても本物にならないのではないかという気持ちがするわけであります。局長、どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/41
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042・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) お挙げになりました日中共同声明にいたしましても、日韓共同コミュニケにいたしましても、これは外交文書でございまして、それは国と国とのいろんな交渉の結果生まれたものでございます。
ただ、歴史教科書の記述については、わが国の国民を教育するという観点から、わが国の立場に立ってわが国のこれまでの歴史的な事実を教えるという観点に立っているわけでございまして、そういう観点に立って記述いたしました内容がたまたま過去に関係のありました両国にとって国民感情に触れるという点があったということでございまして、わが国は検定制度というたてまえをとっておりまして、著者が作成いたしました教科書について一定の基準によって検定を行うということでございまして、そういう検定制度の教科書を持っている国と国定教科書を持っている国とのいろいろな記述の考え方と申しますか、差があるわけでございまして、その点がいわゆる教科書関係をきわめて複雑にしたという背景があるわけでございます。
これまでの問題になりました韓国に対する記述の例を申し上げますと、たとえば三・一独立運動についての記述は、かなり日本の教科書としては正確に書いているわけでございますし、分量もかなり書いているわけでございますが、その中でこの三・一独立運動におきますところの状態を表現する言葉についてのさらにこれを正確にするための意見を付しましたところが、これが新聞報道等によりまして暴動というふうに規定されたというふうに受けとられまして、それがいわゆる教科書問題、韓国における一つのポイントになったということでございます。
しかし、これまでの私どもが検定を行ってまいりました観点はそういう何らかの意図を持って歴史を曲げるとか、そういうことでございませんで、できるだけ客観的に、しかも正確に状況を子供たちが把握できるように、そういう観点からの検定の意見を付したものでございまして、それがたまたまいろんな関係で誤解を招いたと、その誤解を解くためにいろんな措置をとっているわけでございまして、わが国としては、わが国の歴史教科書がより適切になるような努力はしなければなりませんし、また外国からあれば、その聞くべき点は謙虚に聞くということでございまして、それまでそのようにやってまいったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/42
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043・粕谷照美
○粕谷照美君 文部省は一貫してこの検定は正しかったと、いまの局長のお話もそういうふうに言っていらっしゃいますけれども、しかし、正しかったものを是正するということはこれ矛盾ではないんですか。衆議院の予算委員会で後藤田官房長官は、是正するというのは、誤りがあったから、だから直すんだと、こういうことも答弁をされていらっしゃるわけです。こういうのがやっぱりわかりやすい政治だというふうに思うわけですけれども、その検定問題についてとにかく検定の密室性をやめてほしい、あるいは経過だとか、合格の場合の理由の公開をしてほしい、修正意見をやめて改善意見のみとして公表せよなどなど検定の非常に暗い部分に対する批判というのが大きかったわけであります。
読売新聞が昨年の十月の十一日ですか、世論調査やっておりましたね。非公開を批判しているのが五二%、検定を改善せよというのが四四%、非常に検定制度に対する批判というものが大きくなっているわけです。この公開をやっていく、密室性をなくしていくということに対して、文部省としてはこの後どのような態度をとちれるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/43
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044・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) いろいろ密室性というようなことが言われるわけでございますが、どういう点を一体密室性と言われるのかいろいろ見解があると思いますけれども、私どもとしては、教科書の検定は文部大臣の権限に基づく事項でございますけれども、教科用図書検定調査審議会に諮問いたしまして、その答申を最大限に尊重してやっているということでございますし、また検定基準は公表しておりますし、またそれに従って検定を行いました場合に、関係する著者なり発行者に対しましては十分にその理由を説明しているわけでございまして、その際には必要に応じてテープをとることも許しているということで、いわゆる密室性ということがどこの部分を指して言うのかは必ずしも論者によって明らかでないわけでございます。
私どもとしてはこのように慎重に関係者には十分理解がいくような形で検定の内容、意見の内容等については言っているのでございまして、それをさらに個々の教科書のいろいろな点について明らかにするというところまでは、いまの検定の手続から考えましてかえって誤解を与える点もございますし、いわゆる行政の行為について一切の内容を明らかにせよというふうな御意見であれば、これは大変な他の一般的な行政行為にも関連することでございますし、検定についてだけ申し上げますとそういうことで、私どもとしては現状で十分関係者には理解が届いているというふうに考えるわけでございます。
なお、それを仮に個々の検定の経過について一々の意見を全部知らせるということでございますと事務的にもほとんど不可能なことでございますし、またそれによって教科書の採択の公正を損なうというふうな公益上の問題もございますので、そういうことは私どもとしてはできないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/44
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045・粕谷照美
○粕谷照美君 全然去年の問題に対する反省がないのではないかというふうに考えます。しかし、きょうは私、この問題についてのみ突っ込んでいくわけにいきませんのですけれども、全くもう考える余地がないでいままでどおりであると、こういう御返答と伺ってよろしいですか。
〔委員長退席、理事片山正英君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/45
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046・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 文部省の考え方としては従来からそういう考え方で申し上げておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/46
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047・粕谷照美
○粕谷照美君 しかし、それは局長、執筆者の方々がお集まりになっていろいろな具体的な報告なども民間の集会でやっていらっしゃるわけでありますから、そういうこともきちんと耳に入れて、その頑固な態度をやっぱり改めていくという姿勢が必要だと思うわけであります。大臣、この問題について、いままでどおりで結構ですということについていかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/47
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048・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 検定のあり方等についてはいま局長からるる申し上げましたが、この問題についてはいろいろな意見があります。しかし、世間で言われているようなことでいいのかということも私は感じておりますが、いずれにしても審議会等においてもとの問題をどう扱うかということを検討しておられる部門もありますから、そういう意見を聞いてなるほどと、しかも弊害がない、こういうことがもしありますれば全然考えないというわけではありませんけれども、いまはいま局長から申し上げたような方針でおる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/48
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049・粕谷照美
○粕谷照美君 いまはですけれども、いずれまたこの問題については徹底的な討論をする場所を設けていきたいというふうに思っております。
では予算に関連をいたしまして、ひとつ、今度名前が変わりましたけれども学校健康会に関する問題についてお伺いいたします。
最近の子供たちが学校の管理下において大変なけがをしている、死亡者が出ている、いろいろな問題があろうかと思いますけれども、最近の動向はどんな状況になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/49
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050・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) 学校健康会は、昨年、先生御案内のとおり、給食会と安全会が統合して引き続き学校事故にかかわる災害給付の事業を継続しておるわけでございますが、まあ学校事故の案件といたしましては、五十六年度の統計によりまして、大体年間百二十万件というふうなかなり多くの件数があるわけでございまして、給付総額としては約百二十億円の給付を行っておる。若干、件数につきましても増加の傾向があるということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/50
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051・粕谷照美
○粕谷照美君 この問題でいままでずいぶん討論が出てまいりまして、非常に給付の額が少ない、これではもう実態に即しないということで、一応廃疾の最大級は千四百万円、それから死亡事故に関しては千二百万、こういう結論が出たわけです。非常に喜ばれておりますけれども、この死亡事故とか廃疾事故の最高給付の額の基準というものは一体どこから出てきたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/51
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052・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) ただいま先生からお話ございましたように、過去におきましては死亡一時金の給付額は三百万円でございました。この三百万円の給付額が非常に低いというふうなこともございまして、昭和五十三年当時に他の補償制度等との比較考量等からその引き上げを図りまして、五十三年度以降は千二百万円ということにいたしておるわけでございます。で、この千二百万円の基準はどこにあるかということでございますが、当時、予防接種法における予防接種を受けたことにより死者した者の給付額が千百七十万円でございました。この予防接種法に基づきます死亡給付額の千百七十万円と申しますのが、いろいろな補償の制度における最高の給付額であったわけであります。そこに基づきまして、その千百七十円にプラス三十万というところで千二百万円の給付額を決定していると、そういう経緯がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/52
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053・粕谷照美
○粕谷照美君 千四百万ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/53
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054・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) 失礼いたしました。千二百万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/54
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055・粕谷照美
○粕谷照美君 いえ、今度廃疾の最高がです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/55
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056・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) 失礼いたしました。
障害にかかわる最高の給付額は千五百万円でございます。死亡の方が千二百万円。障害の最高の給付額は千五百万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/56
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057・粕谷照美
○粕谷照美君 千五百万円の基準は一体何にあったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/57
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058・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) ちょっといま資料を手持ちいたしておりませんので恐縮でございますが、当時、労災補償にかかわる給付額等を勘案して決めたというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/58
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059・粕谷照美
○粕谷照美君 そうすると、当時はそれを基準にしたと言いますけれども、いまその額というのは全然上がってないでずうっと同じになっておりますか。予防接種法に基づくものとか労災補償ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/59
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060・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) その後の経緯でございますが、予防接種法につきましては、昭和五十七年度に千百七十万円から千二百万円に引き上げられまして、この点につきましては学校事故災害補償の千二百万円と同額にいたしております。そのほか、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律でございますが、この給付額につきまして遺族給付一時金につきましては、死亡した者でございますが、四百八十万でありましたものが現時点では五百七十万、最高の場合八百三十万が九百八十万に改定をされておるというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/60
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061・粕谷照美
○粕谷照美君 予防接種法の方が健康会の方に近づいてきた、こういうことですけれども、それでも引き上げがあったわけですね。全然こちらの方は引き上げがないんですね。まことにこれ私は残念なことだというふうに思っております。物価は上がっていくんですからね、経企庁のこの報告なんか見ましても。生活がだんだん厳しくなっていくわけなんですよね。どうしてもこの点については努力をしてもらわなきゃならないと思うのですが、しかしそれにしても全然単位が違う条件がいま出ていると思います。横浜の中学生が全身麻痺になった水泳事故、これどのようになっておるか御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/61
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062・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) 先生御指摘のケースは、横浜における学校の子供が水泳プールに飛び込みまして首の骨を強打し、そしてかなり何と申しますか、麻痺的症状で大変障害が重いというふうなケースがあったわけでございまして、この点につきましては現在裁判係争中となっておりまして、横浜地方裁判所が五十七年七月に、教師の過失を認めまして、約一億四千万円の支払いを市に命じたということになっておると承知しております。ただ、市側はこれを不服として現在控訴中であるということが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/62
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063・粕谷照美
○粕谷照美君 これ授業中の事故でありますね。教師が、学習指導要領の中にも助走をつけてプールに飛び込むなんというのはないのにやらせたのが問題だというようなことなども含まれておりますけれども、こういう問題が体育を指導する教師たちにとって大変な圧力になっているということは事実なんですね。跳び箱を見るともう足がすくんで体育館に入ることができない。事故を起こした教師がそういうことを言っているわけでありまして、大変な胸が痛む実態があるわけです。そして、特に裁判に訴えられた場合には被告の立場に立つ、訴える方もまたいままで習っていた先生を敵として闘うわけですから、その辺の心中というのは非常に複雑なものがあろうかと思います。しかし、一億四千万円の損害賠償を市が支払いなさい。あの大都会の横浜ですから払えるだろうとは思います。しかし、もしこれが小さな村、町であった場合には、一億四千万円が払えるんだろうかどうなのか、ここのところも問題になるだろうというふうに思います。あわせまして、私立逗子開成高校の問題については御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/63
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064・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) ただいま先生御指摘の点は、昭和五十五年の十二月でございましたが、神奈川県の逗子の私立逗子開成高校の山岳部生徒五人が長野県の八方尾根に登山中遭難したというケースかと存じております。この登山遭難につきましては、学校側に無届けであるということから、学校側の責任が必ずしもないというふうなことが問題となっておりまして、この点遺族側との交渉と申しますか、話し合いがまとまらず、現在、学校管理下の事故として損害賠償を遺族側が求めまして、横浜地方裁判所に訴訟係属中であるというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/64
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065・粕谷照美
○粕谷照美君 中学生、高等学校の生徒たちが課外のクラブ、部活をやっている。その部活は全部が全部届け出なければならないものなのかどうか。とてもそういう条件なんかにないような場合もあるわけでありまして、子供たちのそれでは自主性、あるいは先生の熱意などというものをどのように酌んでいくかなんということは大変なことだというふうに思うんです。
それでこの問題は、逗子開成高校の学校側が、もしこれで学校側に責任があるといって敗訴をしたならば、亡くなった先生の家族がこのお金を払いなさい、こういうことを言っているわけですね。非常にこれ教員組合の反発を買いましてね、大体訴えている方も、その先生の責任そのものをじゃなくて、ましてや家族に、責任をとってこの金を払ってくれなんということを言っているわけではありませんけれども、この辺のことについてどういうふうに判断をしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/65
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066・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) いま先生御指摘のお話の中で、もし事故について責任ありとすれば、学校側でなくてその先生個人にという話が出ているやでございますが、この点はちょっと私つまびらかには承知していないわけでございます。
ただ、学校事故にかかわる災害のその原因の点につきましては、いろいろむずかしい問題がございまして、学校なり教員についての責任にかかわる部分もございますし、それから児童生徒にかかわる、たとえば心臓病であるとか、児童生徒の個人的ないろいろな過ちに基づく災害であるとか、いずれにいたしましても、一義的に責任関係が明確になりがたいというふうなケースがいろいろあるわけでございます。したがいまして、先生もよく御承知のとおり、国家賠償法等に基づく国、地方公共団体等の責任の問題は問題といたしまして、この点は、いろいろその責任ありや否やが詰められる必要がある。しかし、それは別といたしまして、互助共済の制度に基づき、その責任の有無とは別個に災害が起きたその事故に基づく補償制度として、学校安全会に基づく給付制度が発足したと、そういうふうな姿において現在行われておるわけでございまして、その意味における責任関係を云々することなく学校健康会の給付が機能しておるというところにこの制度の意味があるというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/66
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067・粕谷照美
○粕谷照美君 山形地裁が、山形商業高校の春山合宿訓練で、登山中に猛吹雪に遭って、生徒三人が凍死をした事件があるわけですね。この場合にも、教師の責任になるということについてのこういう厳しいあれはなかったと思います。まして家族に金を払わせるなんというようなことは論外だというふうに思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/67
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068・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) この逗子開成高校の事件につきましては、当該先生が学校側への連絡をしていた、していないという問題が、先生と学校側との関係で若干問題になっているということは私どもも聞き及んでおるわけでございます。しかし、学校登山というものが当該学校の教育課程の中で行われたかどうかというところが一つの判断のポイントであろうかと思う次第でございまして、そこのところでの事実関係の有無というところが学校側の責任にあるかないかというところで、学校側と当該先生との間の雇用関係に基づく求償というのはまた別個の問題かというふうに思うわけでございまして、雇用関係がそのような求償にまで及ぶものかどうかという点については、私どもは若干問題ではないかというふうにも思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/68
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069・粕谷照美
○粕谷照美君 いずれにいたしましても、裁判にかかっていることでありますから、そちらの判断をいただくということになろうかと思いますけれども。
大臣、いままでもとの文教委員会では学校災害についてのことがずいぶん討論になりました。先ほど話に出ました横浜市の水泳事故で、もう全く車いすになってしまったこの生徒ですけれどもね、お父さんは仕事をやめなきゃならなかったんですね。それから、その子供は、悪いときには自分自身で呼吸をすることが非常に困難だったものですから、家をわざわざ改築いたしまして、そうして夏は汗をかかないように、冬はもう本当に温度が常に一定に保たれるようにとか、大変なお金を使うわけですね。お母さんなんかは看病のために倒れるとか、非常な苦労をされていくわけです。
そうしますと、学校健康会で給付になります、当時は安全会ですけれども、安全会で給付になります廃疾の千五百万円ぐらいでは、利息に税金かけないから、月にすれば十万円弱ぐらいのお金が毎月行くんだからいいだろうと、こういう考え方では間に合わないような実態になっているわけであります。この健康会の給付の問題について、ずっと据え置きなんですから、大臣としても、国家財政厳しいときなんだからやめなさいなんて言ったって、年金は上がっているわ、賃金は上がっているわ、全然こちらの方は上がらないということについては、非常に私は不満があるわけですけれども、いかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/69
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070・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) 若干事務的に事前に御説明を申し上げたいと思うわけでございますが、先生御指摘の災害共済給付額の改善につきましては、健康会法が成立したときの附帯決議にも、今後の検討課題として上がっておるところでございます。ただ私どもの課題としてはお預かりをしておるわけでございますが、現在の給付額の水準が他のこの種制度との比較において非常に高位のものであるという点と、それから、これがやはり父兄の拠出に基づく掛金というものが半額義務教育の場合にはございまして、給付額の引き上げにつきましては、やはり父兄の掛金の増額を伴いますし、あわせて義務教育等につきましては国庫補助の問題もあるわけでございます。
したがいまして、災害補償にかかわる給付額についての改善は、今後の社会情勢なり物価ということでの検討課題として、引き続きお預かりをいたさねばならないと思うわけでございますが、父兄負担の問題と財政負担の問題等いろいろ勘案をいたしまして、今後の課題とさしていただく必要があろうかというふうに事務的には考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/70
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071・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私、申しわけないんですけれども、余り学校健康会の問題については詳細を承知いたしておりませんが、一般論といたしまして、いまのような問題については、いま局長からもお話がありましたが、他の類似の災害補償等があるわけでございまして、それから障害の程度等によってもいろいろ違うと思いますが、いまの具体的事例についてはもう少し、何といいますか、被害者の状況をよく見ていられる方がいいんじゃないかという率直な感想でございますが、仕組み等たくさん、いろいろなほかの問題との関係もありますから、改善をすることに努力することはやぶさかでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/71
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072・粕谷照美
○粕谷照美君 文部省が主催をいたしまして、五十七年度生涯スポーツ推進研究協議会を開催したことがあると思いますね。そこのところで、少年スポーツをめぐって非常な論議が出てきた。一生懸命にやればやるほどいろいろな事故が出てくる。この事故を何とか救済する措置というものがとれないものだろうか、こういう論議が出たそうであります。そのときに文部省は、障害に対する保険は、厳しい財政事情の折、個々人にかかわるものは受益者負担で行ってほしいと、こう答えていますね。一生懸命にがんばりなさい、でも、事故があったら、それはやっている人たちの責任ですよというような、本当に指導をなさったのかどうなのかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/72
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073・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) ただいま先生のお話は、学校管理外の一般的な地域なり町村等における少年スポーツ活動、言ってみますれば、社会体育分野における少年の事故災害に対する補償の問題というふうに伺うわけでございます。
学校管理下につきましては健康会の補償があるわけでございますが、管理下以外につきましては、先生も御案内のとおり、財団法人のスポーツ安全協会という財団法人がございまして、その法人において互助制度、共済的な姿ではございますが、スポーツにかかわる事故についての災害共済給付ということを実施しておるわけでございます。
したがいまして、先生御指摘のとおり、この点については、やはり個人の拠出に基づく互助共済制度でございますから、何がしかの個人負担を伴うわけでございますから、しかしこれに加入することによって、万一不幸な事態があった場合にはそういうふうな給付が受けられるという道は学校管理外においても開かれておるということは申し上げられようかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/73
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074・粕谷照美
○粕谷照美君 大会なんかの傷害に対しては、私設保険だとか一日保険の利用などいろいろ努力をしているところもあろうかと思いますが、すべてがすべてこういうふうにやるというような指導をなさっていらっしゃるんですか。うっかり気がつかないでそういうことをやったなどというような場合には全く補償がないわけですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/74
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075・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) 財団法人スポーツ安全協会への加入を行政的なべースで慫慂するということではございませんが、現時点におきます加入はかなりの加入者になっておりまして、この点は財団法人と体育諸団体なり地域におけるスポーツ活動の事業主体がいろいろとこういう事態にかんがみて加入を奨励しているとも思えるわけでございますが、そういう点においてはこういうふうな財団法人に加入することがスポーツを行う上においてはベターではないかというふうに私どもは考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/75
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076・粕谷照美
○粕谷照美君 私は、いまの問題は学校外のことであったとしましても、現職の教職員がずいぶんこういうところに参加を要請されましてそして入っているという例が非常に大きいと思います。そういうことも含めまして、課外クラブ活動とかそういう地域におけるスポーツ活動に対する教師の危惧の問題ですね、本人自身の情熱と好意によって支えられていくことを黙って放置しておくということは非常に問題だろうというふうに思うわけでありまして、十分この点についても審議が尽くせるようにそれぞれの機関で努力をしていただきたい、こういうふうに思っております。
ところで、ずっとこれは問題になっているわけですけれども、こういう裁判にかけられたのではかなわん、裁判に訴える方も大変だということからいたしまして、学校災害補償法というような法律を新たにつくっていかなければならないのではないかという声が大きくなって、まして補償金一億四千万円も出しなさいという判決が出るようであっては特にこの声が大きくなるというふうに思いますが、この件について研究などというものは全然やっておられないんですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/76
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077・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) 学校災害にかかわる補償につきまして、設置者なり学校の責任のいかんを問わず補償する、いわゆる無過失責任補償制度の制定ということが先生の御趣旨かと思うわけでございますが、私も従来の経緯を調べてみましたところ、学校安全会法をつくりますプロセス、まあその当初においてすでに行政当局、文部省としても、あるいは無過失責任補償制度というものが考えられるかどうかということを検討した経緯かございます。
その記録などを当時の創案者の文章でたどってみますと、やはり最初に申し上げましたように、学校の事故につきましては、設置者にかかわる責任もありますし、児童生徒の個人的な責任にかかわるものも多々ある。そういたしますと、現行の法体系が国家賠償法その他におきまして、あるいは民法におきましても無過失責任ではなくて過失責任という形で国、地方公共団体の責任を押さえているという現行法体系の中で、学校についてのみ設置者、学校の無過失責任を問うという法体系はなかなかとりにくいというのが安全会法制定の当初からの議論があったわけでございまして、それならば、まあ責任のあるないを問わない形でできるだけやるためには互助共済制度で走るというふうなことで、安全会の給付制度が発足したというふうなことを承知しておるわけでございます。
そのような事態につきましては今日においても同様な事態がございまして、無過失損害賠償責任制度というもので補償制度というものをこの際法律制度としてとることはなかなか困難がある。そういう意味におきましては健康会における給付額その他いろいろな観点を検討して、課題として今後努力をするということが必要ではないかというふうにも思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/77
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078・粕谷照美
○粕谷照美君 いずれわれわれもその点については審議をいたしまして、できれば法律など出してきちんとした補償ができるような形にしていきたい、こういうふうに思いますが、当面死亡千二百万円というものは引き上げるように努力をしていただきたい、こういうことを要望しておきます。
さて、最後に、臨調と絡まりまして学校給食の父母負担の問題について質問をいたします。
臨調が学校給食に触れまして、受益者負担の方向をとるということを言っているようでありますけれども、その受益者負担というのは一体どの辺のところまでが受益者負担というのか、一切のところを受益者負担というのか、臨調の考え方そのものを文部省はどのように把握しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/78
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079・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) このたびの臨調の最終答申におきまして学校給食関係として触れられておりますところは、「給食の費用については、基本的には受益者の負担とするのが適当である。」という文章をまず置きまして、その後のところで「中長期的には、食材費以外の経常費についても、受益者の負担を求めることとする。」こういうふうに書いておるわけでございます。
そういたしますと、給食の費用については、基本的には受益者の負担とするとはしておりますが、中長期的という一つのクッションを置きまして、「食材費以外の経常費」と、こうなっておりますので、食材費以外の経常費というところから考えますと、主としては人件費というところを臨調は念頭に置いて受益者の負担を求めるというふうなお考えではないかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/79
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080・粕谷照美
○粕谷照美君 現在学校給食に対する主なる国庫補助というものは、項目でいえばどのくらい、総額にしていえばどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/80
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081・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) 現在先生御案内のとおり、学校給食につきましては、人件費、施設設備費は設置者負担、食材料費は保護者負担という若干法制度上の負担区分があるわけでございまして、国において学校給食にかかわる助成を行っておりますものを項目的に申し上げますと、まず食材料費につきましては、米飯給食のための米の値引き等が約二百億余、それから牛乳にかかわる値引きが百六十億余ございまして、そのほか果汁等を引っくるめまして食材料費にかかわるものが三百九十五億ございます。それから要保護、準要保護にかかわる学校給食費の父兄負担にかかわる補助が百五十九億ほどございます。
以上が食材料費でございまして、人件費につきましては、栄養士にかかわる人件費の国庫負担半額分が百八十一億、そしてあと施設設備費にかかわりますものが約百二十二億ほどございまして、全体を引っくるめまして約八百八十億が国が学校給食にかかわる経費として支出しているものの総計というふうに申し上げられようかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/81
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082・粕谷照美
○粕谷照美君 そういたしますと、もし臨調方針どおりになる、こういうようなことを想定いたしますと、父母負担というのはどのくらい上がるということになりますか。計算など成り立ちませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/82
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083・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) これはまず人件費の問題でございますが、人件費につきましては、主として調理員にかかわる人件費が大変大きいわけでございます。これが約三千億近くあるわけでございまして、全体で栄養士その他含めますと三千四百億近くあるわけでございます。そうしますと、この人件費にかかわるいまは設置者負担なり国の負担というふうに、都道府県負担もございますが、なっているものをすべて保護者に負担させるというふうに考えますと、給食費にいたしまして百円程度の値上がりになるのではないかというふうに試算をいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/83
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084・粕谷照美
○粕谷照美君 一食百円ということになりますか。そうしますと、月にして二十日間ぐらいになりますかね、二千円値上げということになるんですか。百円ぐらいなんていうといかにも上がらないような感じがいたしましてね。明確にその辺言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/84
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085・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) まあ百円ぐらいということで、一食当たりで申し上げましたので百円になるわけでございますが、現在は平均月額が小学校の場合は約三千円でございます。細かく申しますと二千九百四十六円でございます、月額でございますが。それから中学校の場合が三千四百円というふうなことでございますが、一食当たり百円ずつ上がりますと、月にして二十日といたしますと二千円でございますから、少学校は三千円のものが五千円に、それから中学校の場合は三千五百円が五千五百円程度には上がってまいると、こういうふうに申し上げられようかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/85
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086・粕谷照美
○粕谷照美君 しかし、それで終わるということには私はならないというふうに思うわけであります。このお米の補助というのは非常に大きく、お米の消費を拡大しよう、日本人なんだから米を食べようと、こういうキャッチフレーズのもとに奨励をしてきたというふうに思うわけですね。これずいぶん伸びていると思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/86
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087・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) 昭和五十一年から米飯給食の推進を図って今日に至っておりますが、米飯給食については非常に大きく普及をいたしておりまして、もう九割以上というふうなのが実態でございます。ただ、一週間五日といたしまして、一週間の五回の給食のうちで何回米飯給食をやっておるかというところが問題でございます。昭和五十七年度の統計でございますと、週当たり一・七回というのが平均値でございます。私どもとして目標としては一週間二回には少なくとも本年度ぐらいには持っていきたい、五十七年度末には持っていきたいというふうに思っておるわけでございましたが、今後の課題といたしましては、もう少し米飯については普及を図りまして、六十年度初頭においては二・五回ぐらいまではとりあえず持っていきたいというふうな考え方を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/87
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088・粕谷照美
○粕谷照美君 ところで、どんどん米飯給食は伸びてきます、お米の消費量も上がっていきますね。それで、非常に気になっているんですけれども、いま農協が農家に回りまして指導しているんですね。米一俵供出してください。私はその話を聞きましたら、戦後のことや戦中のことを思い出しまして、大変なことになっているんだなと思いましたが、これは参議院の予算の公聴会で福岡に行きましたときに、農協の役員の方がおいでになりまして、それで、われわれは強制じゃありません、お願いをしているんですと言いますけれども、お米を出してくださいと言ってお願いをしなければならないような米の需給状況になっている。
そして現に、いま八三年米というと、古々々になるんですか、そういう古いお米というのは販売ルートには乗せないということになっておりますのに、今回はある数量ちゃんと供給のルートの中に入れるとかいうことになっているわけですけれども、もし米の需要が足りなくなったなどということになった場合には、またこの学校給食がそれに振り回されまして、米が余ったときには子供たちに食べさせよう、お米がなくなったときは学校給食をやめさせましょう、これじゃ私は教育としての学校給食ではないというふうに思いますけれども、その辺はどういうふうに判断しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/88
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089・西崎清久
○政府委員(西崎清久君) 米の需給の問題につきましては農政の問題として、私も詳細に承知しておらないわけでございますが、米飯給食を始める際におきましても、それから今日におきましても、農林水産省との御相談において、米穀の学校給食への供給については責任を持って農水省において御措置をいただくというふうな形で、かつその点について支障なく現在も行われておるわけでございます。したがいまして、米飯給食に係る米の供給については今後も心配はなく行われるものと私どもは理解をし、またもちろん期待をしておるわけでございますし、その前提のもとに私どもは二・五回なり、あるいは将来においては三回ぐらいまでは米飯給食を拡充してまいるというふうな考え方のもとに指導していきたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/89
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090・粕谷照美
○粕谷照美君 大臣にお伺いをしますけれども、いま学校給食が小学校で三千円。大臣も、練馬へいらっしゃって給食召し上がっておいしかっただろうと思うんです、あそこはすばらしい給食をやっておりますからね。特別おいしいんで、ほかのところへ行って食べていただくと、うん、何と差のあることよと、こういうふうにお考えになられるだろうというふうに思うんですが、あそこで三千円。それプラス二千円というのはもう九割近いお金ですね。倍増ということになりましょうか、給食費。親にとっては大変な負担ですね、臨調答申が生きまして父母負担ということになりますと。こういう問題を私はやっぱり教育としてなんですからきちんと守っていただくということがないと困るというふうに思っているんです。
ある新聞を見ていましたら、文部省の女性の方がイギリスに行きまして給食問題について調査をしてきたことを書いていらっしゃいましたけれども、イギリスも一九八〇年に非常に財政難に陥りまして、とにかく給食は自由でよろしいと、こういうことになったというのであります。自由でよろしいということになって補助なども下げたのでありましょうが、給食費がどんどん上がっていった。上がっていったらどういうことが出てきたかといいますと、みんなうちからパンを持ってくるようになった。サンドイッチを持ってくるようになった。だから給食事業そのものが成り立たなくなっているわけですね。それで給食を廃止したという例が非常にたくさんある。
それと同じように、そういう方向を出しましたら、今度は学校でどういうことになったかといいますと、私的な業者が入ってきまして、そしてカフェテリア方式というんですか、子供たちがきょうは何がいい何がいいと頼んで食べるようなものがふえてきた。それじゃ困るんだと、こういってとにかく給食は栄養価もちゃんと考えてやらなきゃならないよと教育委員会が指導したんだけれども、そんなものはお構いなしで、本当にそのカフェテリア方式があっという間に広がってしまっていったということなんです。で、それは悪いことかといいますと、地域の人たちからいいますと、いままで一律に食べさしたときにはもう残り物がいっぱいだった。ところが自由に自分でメニューを選ぶ場合にはこれは残飯が少なくなった。これはいいじゃないかという声も上がっていると。こういういろいろなものが出てくるわけであります。
私は、私的なことをやれということではありません。もう日本なんかすばらしい施設なんかも整っているわけですし、食堂なんかもきちんと整えてすばらしい給食をやろうと努力をしているところもたくさんあるわけですから、ぜひ教育としての給食、内容も安全面もいいものにしていかなければならないというふうに思っているのですが、臨調答申をうのみにはいはいということになりますと、父母負担の増、内容の悪化というようなことになりはしないだろうか。そのことも含めて、子供たちの体力、ここまで伸びてきたというのは給食の果たしてきた役割りが非常に大きいと思いますので、大臣の御決意、給食を守る決意に期待をいたしまして質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/90
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091・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 給食制度ができてから相当年数がたつわけでございますが、私が申しげるまでもなく、これは食生活の改善、子供たちの健康、共同生活の訓練と、いろいろな利点を求めてやっておると思います。一面において、給食なんてやらないでも、それだから愛情がなくなって子供が親の愛というのがわからなくなるんだとか、むしろ朝早く起きて弁当つくって子供に愛情を施すのがいいんだという意見もまたあるわけでございますが、そういう意見の中で、やはり先ほど私の個人的な教育論を申し上げましたが、小中学校ぐらいはやっぱりみんなで国民として育てるんだと、こういう意味で健康の問題、栄養の問題等よく考えた給食制度をする方がいい、こういう考えを持って進めておるわけでございます。
そこで、臨調の答申に触れますが、正直に言って、臨調の答申はこういう長い戦後の歴史を見ましていろんな部面で改革すべきところはあると。確かに私は、人間の社会というものはあらゆる、個人的にもそうでございますが、社会制度等、たまには見直さなければ効果が上がらない、あるいは逆に弊害があるということもあると思います。それは国民の負担にも関係があることでありますから、もちろん臨調の答申、大筋においては最大限の尊重をするという方針を決めておるわけでございます。しかし、個々の問題についてはその本質から調べて、いかにあるべきかということをこれから検討するわけでございます。
給食の問題についても、一挙にこうしなさいというような臨調の答申の趣旨でもございません。また施設費であるとか人件費であるとかいうものは、これは給食の本質といいますか、でありますから、これはできるだけ父母負担にしない。食材費はこれはどこにおっても食べるものは食べるんですから、原則としては父兄の個人負担にする。
これはいいんですけれども、米の消費を拡大するため、それからまた、米というものに対する栄養その他の日本的食糧だということで、普及する意味もあって、これは農林省予算になっておりますけれども、先ほど言ったように安い米にするという補助を出す。牛乳の普及も同じでございます。農業政策との関係がありますし、農業政策の食糧政策の方の観点からも勘案しながら改善するところは改善せいというような答申にもなっておりますから、そういう点を十分含みながら、給食制度の本来の使命を崩さない程度に、ある程度は父母も考えてもらわなきゃならぬ場合があると思いますけれども、しかし父兄負担もそう格段に多くならないようにと、こういう点を考えながら、今後、これはやや時間がかかると思います。早急には結論は出せないと思いますから、よく考えていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/91
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092・片山正英
○理事(片山正英君) 本件に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時三十三分休憩
─────・─────
午後一時三十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/92
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093・堀内俊夫
○委員長(堀内俊夫君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、予算委員会から委嘱された昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/93
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094・田沢智治
○田沢智治君 文部大臣が衆議院の本会議に出ているようでございますが、順序を変えまして校内暴力事件に関する事項を質疑をさしてもらいたいと思います。
政務次官がお見えでございますが、社会的に大きな問題を起こした忠生中学に視察に行かれた由お伺いしているわけでございますが、行かれてどういう御感想を得たか、その御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/94
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095・大塚雄司
○政府委員(大塚雄司君) 田沢先生のお求めに御報告をさしていただきたいと思います。
御指摘のように、校内暴力問題はいまや社会問題の一つとして国民の皆様がみんな心配をしておられるわけであります。たまたま二月の五日に横浜市で、校内暴力というよりは青少年の非行の大変忌まわしい事件が発生をいたしました。引き続いて、町田市の忠生中学において先生が生徒を刺傷するというような不幸な事件が発生いたしました。もとより学校の設置者は地方公共団体でございますし、文部省の責任者の一人である私が現地の学校に出向くにつきましては若干のちゅうちょもなしとはいたしませんでしたけれども、余りにもこの事件の内容等が問題が大きいものでありますから、ぜひ現地に出向いて自分で確かめてみたい、こういう気持ちで、事件の発生が二月十五日、私が学校を訪れましたのは二月の二十四日でございました。
率直なところを申し上げまして、あれほどに校舎が荒廃しているとは思っておりませんでしたし、また校長を初め、学習指導主任、生活指導主任、もちろん教頭も含めまして皆様と対話もさしていただきましたが、校舎の荒廃の問題と同時に、学校における校長、教頭の管理能力について大きな欠如があることを痛感するとともに、教職員の連帯感がなかったということがこのような事件を巻き起こした原因ではなかろうかと、こういう判断をいたしたわけであります。
同時に、教師と生徒間の愛情も大変に欠如しているような感もしないではありませんでしたけれども、率直に申しまして、荒廃した校舎につきまして、学校側がなぜすぐに修復をしなかったかということについては、校長の回答は予算がなかったからというような表現もありまして、私は大変驚いたわけであります。少なくともあの新聞の写真に載りましたドアが全部損壊してなくなっておるあのトイレは、昨年の十一月の末から約二カ月半たっておるそうでございまして、生徒が使用するのに大変不便を感じておることはもちろんのこと、それを修復せずに放置をしておった学校管理者初め教職員全体の物の考え方に私は大変不満を持ったわけであります。
同時に、特に八木教諭があのような事件を起こしてから後、PTAが立ち上がりまして、嘆願書を署名をとりましてまとめましたが、教職員の間にも嘆願書の提出をする動きがありましたが、五十九人中三十七人しか署名をしなかったということからも、先生方の仲間意識も非常になかったんではないかというような感がいたしました。
いずれにいたしましても、対話の中で先生方は、もっと教師間の連帯があればこのようなことは未然に防げたというような回答も私にいたしておりましたけれども、その後三月の四日、三月十一日、三月十五日と、私が訪問した後にもそのような暴力事件が発生をいたしまして、大変遺憾なことだと思っておるわけであります。
文部省としてもプロジェクトチームをつくるなど、私自身も現場のその視察の結果をそれぞれの皆さんにも御報告をしながら、一日も早くこのようなことが発生しないように全力を挙げて取り組んでおるところでございまして、先生のお求めに応じまして率直なところを申し述べさしていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/95
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096・田沢智治
○田沢智治君 ただいまのお話のとおり、大体中学の校内暴力事件というのは一過性的な要素が私は多いと思うんです。要するに学校というところは教育の場であるとするならば、教育者がみずから教えている子供の命をたっとび、その学園の秩序維持をするということは、これは教育の使命だと私は思っておるんです。文部省におかれては、そういう校舎の荒廃をそのまま放置しているものに対して直ちに修復をすべきであるというような行政指導を行った経緯はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/96
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097・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) ただいまの具体的なケースでございますと、これは政務次官が行かれまして、御指摘がありまして早速市教委の方で予算措置をいたしまして修復をしたと聞いております。
私ども、一般的にはやはり生徒指導のあり方といたしまして、そういう問題行動のある学校において校舎の棄損等があった場合には直ちにこれを修復することが、そういう問題行動を続発させないという意味からも大変重要なことであるという指導は指導資料等を通じまして十分指導しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/97
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098・田沢智治
○田沢智治君 十分指導はしているけれども現場には徹底していないというような現状の中で新学期を迎えるということは、私は非常に子供の、新しく夢と希望を持って入学する新入生の夢も破るし、教育環境上きわめて重大な問題だと思うんです。そういうような時点の中で、やはり二十数校現実にそういう学校が新聞紙上に近年出ておる事態から見たときに、新学期を迎えるについて教育の環境整備を充実し、整理整とんをすべきであるということを、局長名において所管の教育委員会に直ちに通達を出して、そういう体制を整えるということについて、局長、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/98
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099・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) この事件が起こりましてから文部省におきましてもいろいろと検討いたしまして、たとえば問題行動に関する有識者の懇談会等を開催いたしまして諸種の意見をいただいたわけでございますが、その中にはいろんないま御指摘のような意見もございまして、私どもとしては緊急に、提案のございました学校の点検と申しますか、そういうものをまず早急に行うことを、去る三月十日の都道府県教育長の会議におきまして点検項目を具体的に示しまして指導をしたわけでございまして、この中には、校舎のこともございますし、組織のこともございますし、また実際の校内暴力の実情調査をいたしますが、その中には学校の棄損とかそういう問題につきましても調査をいたすわけでございますから、そういうものを調査を徴しつつ、具体的な学校のあり方についてはその都度指導しているところでございます。一般的に環境の整備については、これはいろんな形で指導しているわけでございますけれども、いま直ちに新学期を迎えて云々というところまでは実は検討しておらなかったわけでございますが、確かにそういうふうな配慮も必要かと思いますので、検討はさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/99
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100・田沢智治
○田沢智治君 やはり中学というものは感受性の高い児童心理の状況から見まして、やはり整理整とんされている学校に学ぶというところに教育的にかなり大きな効果を私は得ると思うんです。たとえば清掃そのものも、きれいになっている場所にごみを捨てるということは、捨てること自身が心の中に何かそういうことをしてはならないんだという、心の締めがあるのと同時に、破壊された場所へ行けばやはりそれに類する行為をやることが普通のように思われる。そういう環境感化というものが、感受性の高い子供にとっては私は非常に問題だと思うんです。ですから、いち早くそういう問題を整理整とんして、清潔であり、教育の場としてやはり魅力のあるような整備充実を私はやるべきだろうと思いますので、これは早急に具体的な次元で措置をされることを望みたいと思うんですが、局長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/100
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101・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) この間の懇談会におきましても、ある教育長の経験によりますと、具体的に校内暴力等によって棄損されました個所を直ちに修復をするということを繰り返しますうちにその校内暴力がやんだというふうなこともございまして、このようなことは確かに教育委員会の迅速な適切な措置によりまして校内暴力を防ぐと、あるいは悪化させないという効果は確かにあろうと思います。
ただ、全般的に学校の環境を整えるということは、これは言うまでもなく市町村の教育委員会がしなければならないことでございますので、私どもとして一般的な環境整備という観点からと申しますよりは、やはり具体的な問題行動を起こすそういう学校についての集中的なそのような指導と申しますか、そういうような観点から指導の徹底を図ることを考えたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/101
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102・田沢智治
○田沢智治君 修復経費については特別に予算をつくらなければならないというような状況は私はないんじゃないかと思いますが、その辺のところはいかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/102
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103・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) これは市町村の予算の中に修繕費等があるわけでございますから、やろうといたしますと具体的な予算の中で十分なし得ることだと思いますし、そのことは過般の町田市の場合にも、政務次官が視察をされまして指摘をいたしますと直ちに可能だったわけでございますから、そういう予算の問題では私はないと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/103
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104・田沢智治
○田沢智治君 先ほど政務次官が申されたとおり、私はやはり校内暴力を一掃するという意味においては三つの要点があると思います。
その一つは、校長のやはり人間性に裏づけられたリーダーシップと教師の教育者としての情熱がまずもって必要である。これがなければもう問題にならぬと思うんです。
二番目は、教師一人一人が生徒の生活指導について体をぶつける気構えで意思統一を図り、生徒指導については担当教師だけに任せず、共通理解の上に立って教師全員が取り組む全学的指導体制の確立が必要であろうと私は思っております。
三つ目は、やはり生徒一人一人の自助自立精神というものを尊重しながら、学校の校則とか生活規則というようなものをつくる上においても、見直す上においても、生徒の意見を聞けるような一つの方法、手段の中で学校全体を活性化するという教育的配慮を整えながら、本当の学校の秩序維持というものは先生と生徒が一体になってつくり上げていくんだというひたむきなじみな努力というものを積み重ねていくとするならば、こういうような問題が一つ一つ解決するのではないか。ともすれば管理主義に走って、管理を強化すればこういう問題は起こらないんだとするような考え方は私は反対なんです。であるからこそ、教育は教育的配慮の中に、教える者、教わる者の心の通いの一環としての位置づけが今後こういう問題を解決する唯一の道になるのではないだろうか。
私も学生時代少し暴れた方で、いろいろ考えるところがございます。やはり問題学生が一番悩んでいるものは何かと言えば、勉学についていけないという落ちこぼれ的な要素、それからやはり家庭的な次元の中で愛情のない家庭、欠陥家庭と言われるような諸情勢、人間不信というものの中でいつも自分はだれかに監督されている、監視されているという孤独感に私は襲われているんじゃないだろうか。なるがゆえに、わが友はわが命であるから、悪いことを一緒にすることによって連帯感を高めて、おまえがおれから逃げようとするならばばらすぞというような形で悪い次元の回転をしていく、悪い次元の連帯性を強化していくというような積み重ねの中で一番本人が苦しみ、悩み、悲しんでいるんじゃないだろうか。
そういう子供の心を心としていくような教育的配慮の中で、問題学生、問題生徒というものを更生さしていくということが教育者としてなくてはならないものであると、私はそういう考えに立つのでございますが、政務次官、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/104
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105・大塚雄司
○政府委員(大塚雄司君) 先生御指摘のように、私も、先ほど御報告申し上げた中にも申し上げましたが、学校教育というのは生徒と先生の愛情が基本である。そしてまた、学校の先生間の連帯して一致して事に当たろうという意識が非常に大事である。それからまた、学校の管理の面で校長のリーダシップというものが大事である。私も全くそのように考えておるわけでございます。
その後現地から、いま局長からもお話をしましたように、校舎の荒廃については、校長は予算がなかったというようなことを言いましたけれども、直ちに修復をいたしまして、卒業式は全く校舎がきれいな状態で行えたということからいたしましても、やる気になれば絶対にできるはずでありまして、その辺は今後の指導によってさらに体制を整えるように努力をしてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/105
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106・田沢智治
○田沢智治君 近時起きた校内暴力校のうち九校を、私、拾い出していろいろ検討してみたんですが、特にその中で思われることは、一つは学校規模が、やはり九校のうち八校が全部千名以上なんです。これが問題としては、適正規模の学校の実態をどう整えていくかということも、教育の徹底を図る上において問題があるのではないだろうか。
もう一つは、学級平均大体四十五名が上で低い方が三十八・四名ということで、クラスの定員数については大体基準に合っているというような姿が出ております。ただ、教員の受け持ち授業日数というのは一週十八時間ということになっておるんですけれども、大体二十時間前後を持っているということで、まあ一学級四十人にするという考えも悪くはございませんけれども、私は、学級の人数を少なくすれば徹底するというふうな考え方よりも、現状の中では教員の一週の持ち時間を一時間でも二時間でも少なくして、その分を生徒との交流に充てるというような仕組みをひとつ考えた方がいいのではないだろうか、こういうふうに思うんです。
私の学校経営の経験からいきますと、大体一年のクラスは六クラスで、三年で十八クラス、四十五人平均で出しますと八百十名ぐらいの生徒を擁する中規模ぐらいの学校を大体適正標準として位置づけるとするならば、およそ教育の徹底というものの環境づくりの第一歩ができるのじゃないかと思うんですが、文部省としては、適正規模というような次元の中での一つの考え方がございますれば、ひとつ御所見を述べていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/106
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107・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 学校の規模と校内暴力との関連につきましては、いま先生がお挙げになりましたようなケースにつきましては確かにそういう傾向が見られるかと存じますが、やはり全体的なあれを見ますと、こういうところにもございますけれども、かなり小さいところにも起きておるということを考えますと、規模によってそのもともとあった誘因が触発されると申しますか、激化するというふうなこともございましょうし、その校内暴力の基本的な要因と、それから付随的な要因と申しますか、いろいろ分けて考えてみますと、確かに規模の問題もございますけれども、規模だけが大きな要因ではないという感じがいたします。
しかし、教育をする上でどの程度の規模が適正かということを考えてみますと、学校教育法施行規則等におきまして、小中学校におきましては学級数が十二学級から十八学級というふうに書いてございますのは、これまでのやはり教育の経験から申しまして、この辺のところが一つの学校としてのまとまりと申しますか、教育がいろいろな意味で均てんし充実していくという意味の規模としては適正であるというふうに考えているかと思います。
なお、教員の勤務時間の問題等がございましたけれども、これは大規模校だからふえるということではございませんで、標準法の積算の基準で申しますと、小中学校につきましては二十四時間を基準としておりますから、実際にお調べになりました二十一時間というのは基準よりはかなり下回っているということでございまして、必ずしも過重な負担であるということはこれだけでは言えないかと思いますが、そのほかに、授業のほかに、生徒指導でございますとかいろんな仕事がございますから、全体として見ますとそういう面もあるかと存じます。
いずれにいたしましても、現在、四十人学級の計画を含めまして教員定数の改善計画の第五次の計画を進めておりますので、これが進みますといろいろな意味でこの持ち時間の減少等も実現してまいるというふうに考えておりますので、そのような方向で努力を続けてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/107
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108・田沢智治
○田沢智治君 校長がリーダーシップをとれということ、それからチームワークづくりに専念せよというようなことが指摘されておるのですが、現状における校長さんの職務の内容についてちょっとお伺いしたいんですが、具体的に教育面あるいは管理運営面等の比重ですか、そういうものについてわかるだけお述べいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/108
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109・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 校長は、学校教育法によりまして校務をつかさどるということでございまして、学校の全般の仕事を全部責任を負っているということでございます。したがいまして、授業の、教育教務関係を初めといたしまして、校舎の管理でございますとかあるいは会計でございますとか、いろいろな問題すべて校長の責任においてするわけでございますが、しかしながら、学校には、校長だけではなくて教頭なり教員なり、あるいは事務職員が配置されておりまして、それぞれの仕事を分担をして学校全体の業務を適正に運営していくという仕組みになっているわけでございます。
校長がどの程度管理運営に力を入れているか、あるいは教育活動に力を入れているか、あるいは事務的な方面に力を入れているかということは、これはその学校の環境と申しますか、あるいはこの運営の状況によりましてかなり違っておりまして、一概にどの程度ということは申し上げにくいと思いますけれども、やはり校長の一番の腐心は、学校の管理と申しますか、運営と申しますか、全体として一つの目的に従ってきちんと運営をされていくというところに一番の苦心があるのではなかろうかというふうに考えております。
ちなみに、いろいろと問題の起こりましたケースを点検してみますと、校長を中心としたそのような学校全体の体制が十分整っていないというところに問題がいろいろと指摘をされておりまして、そういう点で、校長の一番の苦心はそういうところにあるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/109
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110・田沢智治
○田沢智治君 そこで私は、きょうのこういう委員会でも、私たちが資料を整理し、問題点を提起して、必要な意見を聴取するとなると、やはり事務組織がしっかりしておればおるほど、私たちの考え方が客観的に位置づけられる。そういう意味では、学校運営の中でも、教育委員会に委託された財産の管理とか予算決算とか、あるいは教育計画における施設の増築改造及び備品の管理まで、全部校長がやらなければならないというシステムの中では、私は率直に言って、校長が現場の授業をやはり週三時間か五時間ぐらい持って生徒と直接触れ合うというような、教育に専念できる体制は、今日の校長の現状ではできてないのじゃないだろうか。
そういう意味で、「高等学校には、事務長を置く」というふうに施行規則五十六条の三に出ておるのでございます。そういう意味では、校長がその学校の管理運営の全責任を負うけれども、機能として、行政事務については事務長を中心として、ある程度決裁事項のうちでも、たとえば財産の管理の責任を負うとか、契約あるいは経理に関する委託をするとか、あるいは学校全体の経営面等についても一定の専権事項を与えるというような、事務組織における事務長の職務権限あるいは職制というものをもっと明確化して、煩わしい管理運営面の実務については事務長に任せる。校長さんはその上に立って教育行政に専念して、みずからがリーダーシップをとれるような、教職員、生徒との融和を図るという教育的配慮をすることが、今日日本の土壌の中で大変必要じゃないだろうか。
ちなみに、私立学校に学園紛争が少ないということはなぜかというと、事務職と教員職というものをしっかり分けちゃって、事務職を統轄するというのは担当理事という理事者がきちっとやって、教育面の組織、教育内容については干渉をせずに、教員組織がそれを運営していくというバランスの中に、かなりの大きな成果を私は上げていると思うんです。そういう意味では、まだまだ公立学校における、小学校は別としても、中学、高校クラスの中では、必要に応じてそのくらいの措置ができるぐらいなひとつ方向性を将来性の中で位置づけることが、大切な、浄化する、あるいは整理することではないかと思うんですが、局長、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/110
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111・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 学校の事務の重要性につきましては御指摘のとおりでございますが、やはり学校の規模とか性格によりまして、事務職員の組織をどの程度にするかということにはおのずから基準が必要であろうかと思います。
高等学校におきましては、いま先生お挙げになりましたように、事務長の制度がございまして、これは学校教育法施行規制第五十六条の三に規定してございますように、校長の監督を受けまして事務処理に当たっております。多くの都道府県の場合には、これは管理職として位置づけられておりまして、教頭と同じように、管理職として校長を補佐しているという形になっております。実質的には、事務の処理の面では、教頭と並んで補佐をしているということでございますから、校長はいろんな形で事務の処理に当たって、会計事務とか、そういう学校事務の面については事務長に任せるというふうな委任と申しますか、内部委任と申しますか、そういうふうな形で処理をしている例が多かろうというふうに思います。
それから、小中学校の場合には、これは規模の大きい学校に複数を配置するというのが標準法でいま積算しているところでございまして、なかなか事務職員の充足というのがむずかしいところでございますけれども、現在のところは、小学校が三十学級、中学二十四学級以上の学校につきましては複数の配置をするということで進んでいるわけでございまして、十二年計画で事務職員の未設置校をできる限り解消するということが、この事務についての十二年計画の最大の目標でございますので、まずそれに向かって私どもとしては力を上げなければいけないというふうに考えておりまして、小中学校まで高等学校と同じようにするというのは、なかなか一挙には困難であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/111
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112・田沢智治
○田沢智治君 マンモス化している千五百とか、千六百とか、千八百とかというような学校には、私は、臨時措置として事務長クラスを置いて、暫定的にそういう煩わしいことを校長にさせないというような方向性を出すべきではないか。あるいは事務主事でも私はいいと思うんですけれども、そういう暫定措置をしながら、校長がやはり教育現場に専念できるような体制をつくるということが、私は、今後校内暴力をなくしていく大きな要素ではないかと、こう思うのでございますが、そういう次元で御検討をいただきたいと思います。
〔委員長退席、理事片山正英君着席〕
次に、文部省はいろいろ資料を実態調査ということで出しておりますが、これは私はすばらしいと思います。五十二年度実施された「小・中・高等学校における特別活動等に関する実態調査」の一覧を私は見まして、これが本当に実行されておれば、校内暴力なんかなくなっちゃうんじゃないかと、こう思うんです。その中で一番私が関心を持ったのは、必修部活動、課外活動を熱心にやっているところは、私は校内暴力関係というものはほぼないと思うんです。特に高等学校の場合の校内暴力の特色としては、横型事件が多くて、生徒間暴力が横行しているということが言われておるのです。
生徒間暴力ということは、生徒間の融和が図れてないからこそそういう暴力が起こるのであるとするならば、部活動とか必修部活動とかということで、先輩、後輩が一つのクラブの中でともに共存して連帯し、一つの競技活動、文化活動を通して人間的融ふれ合いを得る、しかもそれを指導の中心となった先生方が全体を見ながら、より生徒間、より自分と生徒との距離を人間的愛情によって縮めているというケースがたくさんあるわけです。
そういう中で、あなたはクラブ活動の現状に対してどう評価するかという項目では、うまくいっているということを言っている先生方の理由を見たときに、「活動の内容が児童生徒の興味、関心をひきつける」ものである。大体こういうような部活動を行っているところは、四二・四%の生徒がそれに参画しておるわけでございます。しかも、「教科では経験できない自由で能動的な活動」が保障されているというところに楽しい部活動の位置づけがあると、こう評価しております。また、「よい仲間がいてまとまっているから」私は大変部活動に興味を持ち、必修クラブに入っておりますというのも三六・七%いるわけです。
そういう一つ一つの実態を見た中では、学校の教科に基づく教室だけの授業じゃなくして、教室外の教育活動というものを、いい意味において充実促進していくという形態を今後も充実し、環境を整備しながらこれを振興していくという路線が大切ではないだろうか。
そういうようなことを思う中で、今後こういうものに対する予算的措置、環境整備するということになれば、グラウンドを整備しなきゃならぬでしょうし、器具器材というものを買わなきゃならぬ面があるかと思います。そういうような次元の中で、予算的な措置を今後そういうものに重点的にしていくというような考えは、文部省としてはとる意思があるかないかお聞き申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/112
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113・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) クラブ活動とか部活動の重要性につきましては、田沢先生の御指摘のとおりでございまして、五十五年度小学校から実施しております新しい学習指導要領の趣旨は、できるだけ知識の詰め込み教育というものを排しまして、体育でございますとか道徳教育というふうなものがバランスをとれていくことと同時に、このようなクラブ活動なり部活動のような特別活動が盛んにできるようにするために、学校全体の運営にゆとりができるような配慮をしているわけでございまして、そのゆとりのできました範囲内におきましてそれを、たとえば体育的な活動でございますとか、ただいまのクラブ活動のようなものをさらに発展させるとか、あるいは勤労生産学習でございますとか社会奉仕とか、いろんな意味で学校が弾力的に使うことができるわけでございますから、最近の問題行動等にかんがみますと、御指摘のような、同学年だけではなくて、上下の学年が一緒になっていろいろな行動をする、校舎の清掃を一緒になってするというふうなことも含めまして、大変重要な学校における活動だと一存じます。
私どもとしては、そういう意味から、今後の指導要領の趣旨の徹底を図っているところでございまして、いろんなデータで見ますと、そのような趣旨にのっとった運営が定着をしつつあるということが報告されておりますから、さらにその方面の充実を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/113
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114・田沢智治
○田沢智治君 文部大臣が、いま私が話したようなそういう学校運営に活力を出して、結局管理主義的なものよりも人間的な触れ合いをダイナミックに学校の教育全体の活動の中に起こしていくという、そういう動的な活動を通して紛争を解決していくんだ、問題行動をなくしていくんだというような、本当の前向きの姿勢で取り組んだとするならば、こういう問題は一気に解決する方向が出ると私は確信するんですが、文部大臣の所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/114
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115・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私は、遊びながら勉強しなさいというのが口癖でございます。これは多少オーバーでございますけれども、何といいますか、字を覚えたり言葉を覚えたりするのもこれは大切でございますけれども、その前に、やはりいまいろいろお話しがありましたが、いろんなクラブ活動その他の、体育その他の行動から、私は生きるすべといいますけれども、生きる道を覚える。そして、その上に文字も覚える、算数も覚える、そういうことでないと本当の人間らしい人間にはならないんじゃないかという気がするわけです。教科書ばっかりにらめっこしておったってこれは本物にならない。これも程度の問題でございますけれども、先ほど初中局長からも言いましたように、そういう方針で今後できるだけ進めなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/115
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116・田沢智治
○田沢智治君 もう一つは、やはり教員養成制度の問題も私はあると思うんです。生徒が先生を見て、ああこの先生はたくましいなと思う先生と、あの先生生きているか死んでいるかわからないというような先生では、教室へ入って全く違います。私なんかが授業をやれば、生徒がいっぱい来る。聞きたいというのは何かというと、やはり私は陽的だから、お前の顔を見るとおやじにおこられてきたけれども何となく元気出して帰れるというふうに言われる。
そういうような意味で、学校の先生にこれから採用する場合は、やはりある程度声が大きくて、背丈も生徒よりもまあまあぐらいのところで、しかもいい男ならなおいいんだけれども、なかなかそういうわけにもいかぬでしょうが、並みぐらいの人で、それで見るからにやはり陽的な要素を持つ、私はこれは大事だと思うんです。生徒に理解でき得る、生徒一人一人にわかるような授業をするということは、学力だけあったって私はだめだと思うんです。抑揚と社会一般的な教養を身につけて、実戦的に、けさ起きた新聞の問題を、おいお前らこういう問題どう思うかと問いかけるような形で授業に入っていくという、いい意味における教育の高度技術というものを身につけるような、そういう資質のある先生を養成するということも私は大事だと思うんです。
そういう意味で、教員免許の問題についてもいろいろ意見があるかと思いますけれども、第一には学力テストをなされるようですが、第二次試験として面接等をやられる。これはそういう次元の中で学力主義のみに走らずに、いい先生をとるというような努力の改善が必要じゃないだろうか。
それから、教員養成の中に教科課程そのものの改善が私は必要だと思うんです。特に私が言いたいことは、カウンセリング等の修得をさせるということも教育課程の改善の中に具体的にカリキュラムとして入れることが、児童心理とか青年心理のみならず、そういう要素をこれから持たなきゃならないんじゃないだろうか。
専門的な学問あるいは教育の分野と、もう一つ人間的な何か魅力を持つような分野を持ったような、そういう人材をやはり教員として採用する基準にしていくというような改善策、さらには、現行教育実習制度というものでは三週間程度で実習は終わっちゃいます。下手な教育実習生に現場をかき回されるというのは、ある意味においてはマイナスだという意見もございますけれども、これをせめて六週間か、二月か、三月ぐらい、私は一年間ぐらいこの教育実習を――学校を終わって先生になりたいという者を、一年間の研修期間を置いて本当にやる者だけをそこできちっと養成して現場に送るというような将来的展望が必要ではないか。
こういうような問題点に対し、文部大臣どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/116
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117・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私は教育の専門家じゃありませんけれども、常識人として、いまおっしゃるように、特に小中学校、大学でもそうだろうと思うんですけれども、あの先生の講義を聞いてあの先生の話はおもしろいなと興味といいますか、それと親しみを持つということ、それはこのごろ、これはちょっと当たりさわりあるかもしれませんけれども、平等主義が間違っておりまして、生徒も先生も同じなんだ、何言っているんだというようなことは、これは平等じゃないだろうと思うんです。人間としてはもちろん同じ、平等でございますけれども、教える方と教えられる方はまた全然違うんだ。
こういう意味において、尊敬する気持ちが出るような先生でなければ。しかし、それは尊敬といっても、ただ、いかめしいからこわごわ尊敬するんじゃなくて、あの先生が来ると走って行ってみたいなというぐらいの、まあ田沢さんあたりが一番いい先生になるんじゃないかと思うんです、西田敏行の太閤秀吉みたいな感じがするんですけれども。(笑声)本当に冗談じゃなくて、そういう先生が一番望ましい。学力はもちろん必要であります、教えなきゃならぬのですから。学力の前に体で教える。体で教えるといいますか、人格で教える、体全体で教わる、これが特に小中学校の時代は大事じゃないかと思いますから。
実は実習の話がありました。私も素人で文部省へ入って、こういう事件を見ていろいろ部内で検討しておるわけでございますが、一体、いまの先生はいろんな学校から卒業した人を採用しておるが、教育者という立場を養うという実習はどのくらいしているかというと、二週間と四週間だという話。二週間や四週間で教育者になれるなんておかしいじゃないか。どのくらいがいいか、これは専門家に検討してもらわなければいけません。一年がいいのかどうかわかりませんが、二週間や四週間ではこれは本当の先生になれない、そういう点をいま検討しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/117
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118・田沢智治
○田沢智治君 そういう意味ではこの文教委員会に出てきておられる先生方はほとんど学校の出身の人が多くて、ですから、みんな国会議員になっちゃったから現場が荒れているんじゃないか、われわれも場合によっては帰らなければならぬかというようなことまで思うくらい、いまの後輩の育ちがよくないわけです。ですから、これは行政的な面において、いま申されるように教員養成制度というものを真剣に考える、これがやはり新しい命に対してわれわれが子孫に残す大きな問題点だと思うんです。文部大臣、ひとつこういう点に精力的に力を入れてほしい、こう私は思っております。
また、よく家庭、学校、地域社会との連帯、協力体制の確立をしなければ、こういうような問題は解決しないんだと口々に言うのでございますけれども、家庭、学校、地域社会との連帯、協力体制を確立する具体的な試案は文部省にございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/118
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119・宮野禮一
○政府委員(宮野禮一君) いま御指摘のように、こういう問題につきましては、家庭、学校、地域社会を通じた連帯、協力体制を確立することが必要であるということでございます。この点につきましては、まさに先生の御指摘のとおりだと考えておりまして、私どもとしても家庭、学校、地域社会、それぞれの教育機能を充実し、かつ、相互の連係を密にしていくことが大切でないか、そうして総合的に取り組んでいくことが必要であるというふうに考えているわけでございます。
昨年から実は私どもの省内で、いろいろな面の青少年の健全育成関係の諸施策を総合的に推進するために、「豊かな心を育てる施策」というふうに名づけまして、各局で実施しております施策を全般的に見直して、総合的に全省を挙げて取り組んでいくという姿勢を、これは省内でつくりまして実施しているわけでございます。そのために具体的な施策として、たとえば豊かな心を育てる施策のモデル市町村を指定するとか、あるいはそういったモデル市町村その他の市町村でいろいろな面で取り上げていただく事業のための指導資料としまして、参考の資料をつくって全国の市町村に配付するとか、そういうことをやっております。
このようなことは、これは昨年からやっていることを申し上げたわけでございますが、こうした青少年の健全育成を図るためになおいろいろ必要なことがあると考えておりまして、私どもといたしましては、たとえば全体的に申し上げますと、先ほど初中局の方からお話のありました最近の学校における問題行動に関する懇談会の提言にもいろいろそういう指摘が触れられておりますが、そのようなことも踏まえまして、各地域においてその実態に応じて地域の連帯感を確立する、地域の教育力とかいうことをよく言うわけでございますが、教育力を回復する。そのために、たとえば具体的に学校とPTA、あるいは学校単位に設けられております学校警察連絡協議会などというような関係の各機関連帯の連携を強めていくことが重要だと考えておりますので、そういう方向で指導をしておりますし、先日もPTAの全国の団体に対しまして、お招きして懇談会を持ちまして、PTAとしても学校と協力して全国的に取り組んでもらいたいということを要望して、各PTAでもそれなりに取り組むということを体制を整えているところでございます。
それから、先ほどの御質問にも若干ありましたけれども、こうした非行問題につきましては、その基本に、青少年のいろいろな子供の体験がいわばこういう世の中でございますからプアになっているのではなかろうか。そういう意味で生活体験と私どもは言っておるわけですが、豊かな生活体験を持たせるということがそれぞれの青少年の育成のために重要であろう。そこで私どもといたしまして、青少年が大自然の中で共同して宿泊訓練を行うような少年自然の家というような施設をたとえば設けまして、これは各社会教育関係の団体単位で行くこともございますし、学校が教育活動として行って訓練することもあるわけでございますが、そういう少年自然の家といったような施設の整備を図っています。また、地域におきまして、それぞれの子供たちがさらに自分よりも上の年配者とも交流できるように青少年の団体活動を盛んにしていくことが望ましいのではなかろうか。そういう青少年団体活動への参加を促進したい。なるべくそういう好ましい教育環境と申しますか、生活環境を育てていくことが重要でなかろうか。
非常にまとまりませんでしたが、そういったいろいろな関係施策の一層の充実をこれからもまた図っていきたいと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/119
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120・田沢智治
○田沢智治君 非常に結構な話だと私思います。どうかそういうものを効果あらしめるように機能を生かして実態的次元の中で定着させるよう努力をいただきたいと思っております。
次に、共通一次試験にかかわる問題点を二、三お聞きいたしたいと存じます。
昭和五十四年一月実施以来五年目を迎えた今日、新聞等の報道を見ても、欠席二万人に迫るとか、共通一次終わる、原因を近く追跡調査しなきゃならぬとか、多くの問題点が出ているように報道されておりますし、この共通一次試験が実施されることによって多くの御父兄からも受験地獄がある程度解消されると期待していいのかというような意見等もございまして、実施後数年を見なければその成果がどういうようにあらわれるか、かえってやらなかった方がよかったんじゃないかというような結果になるかはわからぬということを申したのでございますが、文部当局におかれては、今日までの実態を見られて、当初の目的、使命にかかわった内容の中でどういうところがよかったと思うか、どういうところが今後の課題であるのか、ひとつ所見をお伺いさしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/120
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121・宮地貫一
○政府委員(宮地貫一君) 国公立大学の共通一次試験について、御指摘のように過去五回の実施を見たわけでございます。全般的には、共通一次試験以前に行われておりました各大学の入試問題に見られますような難問、奇問というようなものがなくなり、いわばそういう意味では適切な問題が出題されるようになりましたこと、そしてまた第二次試験についても各大学の出題科目数の減少でございますとか、それにかわって、先ほどもお話ございましたが、面接とか小論文、実技検査を課するなどして選抜に工夫が行われるようになってきたというようなことで、この選抜方法が一応の評価を得ているものと私どもは理解をしているわけでございます。
他方、高等学校側からは、たとえば共通一次試験の受験科目が五教科七科目では過重負担であるというようなことでございますとか、高等学校の教育を考慮して実施時期を繰り下げられないかというような問題、さらに二次試験について、受験のチャンスをふやすために推薦入学とか、二次募集を拡大すべきであるというようないろんな意見も出されているわけでございます。したがいまして、私どもとしてはこれらの問題点を踏まえまして、常に改善のための努力というものは必要であろうというぐあいに理解をしております。
いろいろとそういう意味でのメリット、デメリット、それぞれ言われているわけでございますが、この共通一次につきましても、文部省にも入試改善会議というものを関係者の方々にお集まりをいただいて置いておるわけでございますし、また直接実施にかかわります国立大学協会におきましても、問題点についてすでに検討も始めているところでございます。ただ、やはり三十数万人が受けるという大変量的にも大きなものになってきておるわけでございまして、関係するところ、影響するところも大変大きいわけでございます。したがいまして制度の改善はもちろん、改善を要する点については早急に結論を出さなければなりませんが、改善そのものについては影響するところを考え、私どもとしても慎重に対応してまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/121
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122・田沢智治
○田沢智治君 二、三御質問しますが、簡単に御返事してください。
現行の五教科七科目を五教科五科目にしたらどうかという意見に対してどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/122
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123・宮地貫一
○政府委員(宮地貫一君) やはりそれにつきましても双方の意見があるわけでございまして、過重負担だからもう少し軽くしてはどうかという意見の方がやや多いように感じておりますが、しかし高等学校の基礎的、一般的な学力を見るためにはやはり必要であるという意見もあるように伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/123
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124・田沢智治
○田沢智治君 私学とのかかわり合いを持つ学生は五教科七科目というのは大変なんです、現実に。うちの下の娘も来年受けるようになるんですけれども、私はやっぱり七科目というのはなかなかこれはむずかしいなというように思うんです。ですから、これを合理化していくという考えの調整も今後の問題点として御検討に値するんじゃないかと、こう思いますので、これもひとつ検討課題に置いていただきたい。
第二は、理科と社会の科目間で平均点にかなりの差があるわけです。これを調整したらどうだろうか。
それから、一次で足切りしちゃうということについて私は不満があるのではないだろうかと。なぜならば、一次試験は論理的思考の判断、二次試験は創造力、構想力をはかるものであって、一次、二次合わせてこの人の能力というものが判断されてしかるべきじゃないかというような意見もあるかに聞いておりますが、こういう問題点についてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/124
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125・宮地貫一
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のような問題点はあるわけでございます。いわゆる足切りの問題につきましても順次全体の傾向としては減ってきておるわけでございますが、御指摘の点は、先ほど申し上げました国大協の担当の委員会におきましても、また入試改善会議におきましても、問題点として検討課題とすべきものと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/125
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126・田沢智治
○田沢智治君 この足切りが問題なんですよね。第一次で失敗しても第二次でがんばりゃいいんだというように、教育的配慮というものは先へ先へ努力すればするほどおまえの個性というものは伸びるんだよと、努力をさせるために試験があるにもかかわらず、一遍こっきりでおまえもうできないからだめだというような、そういう制度が目的、使命に合うのかという問題から見たときに、私はこれは足切りはやめた方がいいと思うんです。来年からはもう足切りはやめで、一次、二次受けて、総体として判断しますよというようなものが共通第一次試験の目的、使命じゃないかと思うんですが、局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/126
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127・宮地貫一
○政府委員(宮地貫一君) 足切りの場合、おおむね三倍というところに目途を置いてやっている大学が多いわけでございますが、先ほど申し上げましたように順次それらについては、たとえば当初三十八大学、百十二学部という予定でございましたものが、実際には十二大学、二十八学部ということでございましたが、今日では、五十八年で申し上げますと、実際にそういう二段階選抜ということでやりましたものが十大学、二十四学部ということで、傾向としては順次減ってきておるわけでございます。御指摘の点も十分踏まえまして、今後とも検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/127
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128・田沢智治
○田沢智治君 検討じゃ私は困るんです。文部大臣どうですか。足切りなんかやめて、共通一次試験というものは、その本人の能力を開発し努力させるためにあるのであって、足切られちゃったんじゃこれしようがないじゃないですか。ですから、来年度からもう足切りはしない、そのかわり一生懸命努力せよというように教育的配慮をすべきだと私は思うんですが、これははっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/128
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129・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私は素人で、簡単に言うと大変なことになりますから、とにかく研究さしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/129
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130・田沢智治
○田沢智治君 これはもうはっきりしてもらわないと、要するに足切りを減らしているんですよ。合理性がないから減らしているんでしょう。だから、合理性のないものを存続させるというのはおかしいんですよ。だから、足切りはもう来年からはやらぬと、そのかわりおまえら一生懸命勉強しろというように前向きの姿勢で改正していくという方向性は私は出すべきだと思うんですが、局長、これ私は譲りませんから。その返事をもらうまでしつっこく言いますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/130
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131・宮地貫一
○政府委員(宮地貫一君) 極力そういう方向で私どもも指導を進めさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/131
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132・田沢智治
○田沢智治君 非常に私は結構だと思うんです。ぜひそういう方向でやってほしい。そうじゃないと、結局は共通第一次を廃止して、名大学独自の入試に切りかえた方がいいという意見がかなり強い意見として出てきているということが一つと、もう一つはやはりいまの若者の大半は大都市志向型ということで、東京を中心として大都市の国立大学の方へ志向しますから、東大とか京大とかというところは大変人数は多いけれども、地方大学、地方の国立大学というものは創意工夫しないとだんだん応募者が減っていっちゃうと思うんです。じゃ、何のためにこういうものをやったかということを考えたときに問題点が起こるんじゃないだろうか。そういう意味で、一層の改革試案を練って、現状に即する魅力ある試験内容を具体的に示していただきたいということを要望さしていただきたいのでございます。
次に、臨調関係に対して御質問をさせてもらいたいと思います。
予算を審査するという次元においては臨調問題をかわしていくというわけにはまいりません。そこで、去る三月十四日、第二臨調が最終答申をまとめて中曽根総理に提出し、政府はこれを受けて三月十八日、この答申を最大限尊重するとの閣議決定がなされたと報じております。そういう意味において、臨調答申の文教関係主要事項に対する取り扱いについて、文部大臣の基本的な姿勢をまずもってお伺いいたしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/132
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133・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) ただいま御指摘のように、臨調の最終答申が出まして、内閣としてはこれを受けて去る十八日に、これを最大限に尊重する方針で行政の簡素化、合理化を図ろう、こういうことに決めておるわけでございます。
文教関係でも、御存じのとおり、重要な事項について数点の改革の指摘があるわけでございますが、われわれも、この臨調の答申の趣旨を尊重しながら文教行政の水準を維持するという前提のもとに研究をしていきたい。こういう時代でありますから、何もかにも従来のままでいいとは考えられませんので、改めてなお文教行政に大きな支障を来すというようなことのないような考え方で進めていきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/133
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134・田沢智治
○田沢智治君 臨調答申の序章総論の中で、文教に関する行政施策の基本方針について、「生涯教育機会の拡大等教育環境の大きな変化を踏まえ、個人の生涯の各段階においてそれぞれの能力と自主的努力に応じた適切な教育を受けられるようにするため、学校教育の多様化・弾力化を推進するとともに、特に高等教育については、量的拡大よも質的充実を進め、その費用負担は個人の役割重視する方向で適正化を図る。」と記載されております。ここで言う「学校教育の多様化・弾力を推進する」とは何を意味するのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/134
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135・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) この文章全体を読んでみますと、やはり生涯教育という観点から、学校教育における内容もそれぞれ個人の生涯の各段階において適切な教育が受けられるようなシステムにすることが必要だということから考えますと、そういう観点から学校教育におきます教育内容でございますとか、指導のあり方でございますとか、そういう問題についての多様化なり弾力化を推進する必要があるということだろうかと存じます。
この点については、すでに初等中等教育につきましての教育内容の基本的なあり方という観点から、文部大臣が去る五十六年の十一月に中央教育審議会に諮問している一つの重要なテーマでございまして、特に中等教育におきますところの多様化という点については今後中教審の御検討をいただく。また、現在進めておりますところの高等学校学習指導要領の実施でございますが、この中には教育内容、選択教科のあり方とか、いろんな意味で多様化なり弾力化が図られているわけでございまして、この方向は、私どもが考えております教育課程の改善の方向とも一致をしているというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/135
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136・田沢智治
○田沢智治君 そこで、高等教育の量的拡大よりも質的充実を指摘していますが、現在、高等教育機関における国公私立に在籍している学生数の構成比はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/136
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137・宮地貫一
○政府委員(宮地貫一君) 大学の場合は、在学者数で申しますと全体が百七十一万でございますが、国立が三十六万七千、公立が約四万七千、私立が百三十万という数になっております。短期大学の場合は、全体が約三十七万でございますが、国立が約一万六千、公立が約一万九千、私立が約三十三万四千という状態でございます。
おおよそのパーセントで申し上げますと、国立が約二一%、公立が三%、私立が七六%という数字になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/137
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138・田沢智治
○田沢智治君 結局、高等教育機関では私学が五六・七%ということになって、ほとんど八〇%に近いのが私立なわけでございます。
私は、今日の日本がここまで大きく経済的に社会的に高度化したという要因は、日本の教育力にあるというふうに確信しておるのですが、ちなみに、主要国の人口と科学者一人当たりの国民維持数を、私は科学技術庁から出している五十六年度版の要覧を参考にして見たのでございます。アメリカは六十三万人、日本は三十万五千人、フランスが六万八千人、イギリスが七万九千人、西ドイツが十万人ということで、自由諸国の中では日本は世界第二位。しかも人口比によってはアメリカは二億、日本は一億ですから、人口比は日本とアメリカはほとんど同じです。アメリカは科学者一人当たりの国民維持数の比で見ると三百五・一人、日本は三百七十九・九人ということで、ほぼアメリカの数と日本の数は同じになっております。
これだけ日本の教育力というものが底上げしてきたという要因は、私学が大きくこれを支え発展さしてきたという多くの実績がそこに位置づけられている。そこで、三十万四千人から五千人の科学者を今後も維持し、これをさらに拡大していくということの中で、資源のない日本の生きる道を考え、かつ日本が教育立国として世界の平和と人類福祉に貢献するということになれば、こういう力をもって世界の平和に、あるいは世界の国民の福祉増進に貢献していく道というものをとるべきであると、私はそう確信するんです。
そういう実態から見ますと、国立大学の学生が約五十万人前後とするならば、量的にはふやさない、質的に向上させるという将来展望を大きく変革していくとすれば、国立大学を私は、四年生教育から、大学院、研究機関まで整備、整とんして、それこそ科学者とか学者とかというようなものの養成機関にきちっと位置づけて、四年生大学教育というものを私学に渡して、主要的には大学教育は私学に、科学者、学者、そして研究者を国立大学中心に研究機関の整備充実をしてやるんだというようなやはり変革していく日本の姿を出したとき、日本の学者、研究者の中には、たくさんのノーベル賞をもらえるような基盤づくりができるんじゃないだろうか。中途半端なことをやめて、そういうことを文部大臣、逆に臨調に提言していく姿勢はございますか。
〔理事片山正英君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/138
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139・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 非常に興味のある御意見を拝聴いたしましたが、そこまではなかなか簡単には実行できない。やっぱり量をふやすということはやらないと、これ多少のことはやっぱり伸びていかなきゃならないと思いますが、質の向上はもちろんこれは非常に大事なことであると思います。やっぱり、国公立、私学両々相まちて日本を支えておるわけでございますから、それぞれの特徴、特色を生かしながら文教政策を進めていかなきゃならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/139
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140・田沢智治
○田沢智治君 私は極端なことを申したわけでございますが、それは何かというと、経費負担の実態を見ると、国立大学の授業料は年間二十一万六千円、入学料が十二万で計三十三万六千円なんです。私学の方の実態はどうかというと、私立大学の平均が文科系においては六十六万二千九百十一円、要するに国立の倍です。理科系においては九十二万円、そして医師系、医科歯科系における平均が四百四十二万一千三百二十四円ということで、それぞれ文科、理科、医師系では大きく格差があるわけです。国立大学は全部同じです。医者になろうと何になろうと全部同じ。果たしてこういうようなものでいいか。
というのは、元来国立大学というものは、経済的に苦しい人で能力があり、日本にとって、世界にとって必要な人材だということで、みずからが向学心に燃えて、安い授業料でりっぱな仕事をする基礎づくりをしたわけです。今日、国立大学へ入りたければ幼稚園から教育投資をどんどこどんどこして、国立大学へ入るような学力中心な仕込み方をしないと入れない。
ということは、国立大学へ入っている父兄層の所得の実態を見ると、少なくともお金がない、本人は有能な人材であるから国立へ行くんだという層ではほとんど私はないと思うんです。そうなったとすれば、お金持ちでなきゃ事前に教育投資ができないから国立へ入れない。入ったら、安くて施設がよくて内容的にも整った環境の中で、お金がたくさんある御家庭の子弟が教育投資の結果そういうところへたくさん入って、入りたくても入れないのが私学へ流れていくという、一つの構造的変化というものもかなりあるんじゃないか。
私立学校へ上げている御父兄は、国立の学生の授業料を負担し、自分の子供の授業料まで負担しなきゃならぬというような二重、三重の負担を強いられているという現実に対して、この矛盾を是正して、やはり教育が機会均等であるならば経済的負担も機会均等にしていくというような改革路線を、臨調がやはりやるべきじゃないだろうか。そういう中で、私学の助成を抑制したり減らしたりするようなことをしないで、もっと内容的な次元においては、授業料ぐらいは同じようにして、本当にいい教育を充実さしていくというような、教育機関の整備充実が私は必要だと、こう思っておるんですが、文部大臣、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/140
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141・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 結論を申し上げますと、非常に貴重な御意見だと私は思います。
実は、私ごとを申し上げて恐縮でございますが、そういうことはすぐ実現すると思いませんけれども、佐藤内閣の時代、昭和四十何年でしたでしょうか。これは明治以来国立大学をつくるということは、いわゆる近代国家をつくるための要員を養成するために国立大学をつくったわけです。もうその時代はすでに終わったんだ。いまやもうほとんど全部大学へ行くような時代でありますから、もうそういう時代は終わったので、国立、私立の別をなくすべきである、そして国民全体が必要な大学に子供を出して、同じような負担をして教育をすべきであるという実は建言書を出しておる。もちろんそれはとんでもない当時としては意見でしょうから、さすがの佐藤さんもそれを取り上げて具体化することはできなかった。私はそれが本当だと思っておるんです。ただそうなかなか一挙にはまいりません。
私がどのようになっておるかと思って統計を見ますると、授業料にしますると、大変な差があったのが、最近は国立が半分、私立が約二倍になっておるというように、相当差が縮まってきておるようでございます。その他に入学金あるいは学校の維持費とかありますけれども、そういう意味で一挙にとはまいりませんけれども、同じ国民の子、私は憲法に言う教育の平等というのはそういうところにあるんだと。実際は教育の平等になっておりません。そういう意味で、これは一挙にはまいりませんけれども、いまのような御意見を尊重しながら、順次そう大差のないような制度に改めていくべきものだと、かように考えております。私はその考えは間違っておらない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/141
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142・田沢智治
○田沢智治君 そういう意味で、私学に御理解をいただくとするならば、来年、五十九年度の予算の概算要求が八月にあると思いますが、私学の助成金というものに対して、抑制もしなきゃならぬでしょうけれども、現状を削らぬというような決意が文部大臣にございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/142
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143・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) まあもっと研究します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/143
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144・田沢智治
○田沢智治君 ひとつその旨関係局長さんにおかれても、特に官房長もがんばってもらいたいと思うんですが、よろしくお願い申し上げたいことを御陳情申し上げまして、私の質疑を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/144
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145・柏原ヤス
○柏原ヤス君 最初に教科書無償制度についてお伺いいたします。
大臣は、昨年の暮れの臨時国会でわが党中野明議員の教科書無償制度に対する質問にお答えになっております。その中で、予算編成ごとに財政当局との間で論議があるが、憲法二十六条あるいは教育基本法の精神に基づいて人間の平等、教育の機会均等という大きな精神から発して、無償の制度が確立されている、これは基本原則であるから文部省としてはぜひ崩してはならないと考えていると、こう述べていらっしゃいます。これは歴代の文部大臣の考え方と同じ趣旨のもので、当然と思いますが、大臣は現在もその考えにいささかも変更がない、こういうふうに理解していてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/145
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146・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 文部大臣としては私はさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/146
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147・柏原ヤス
○柏原ヤス君 同じ御答弁の中で、臨調の第一次答申が無償制度について検討せよというので、現在中教審で教科書をめぐる諸問題とあわせて検討をお願いしてある、この結論を待っていかにすべきかの方針を決めたいと、こう述べていらっしゃいます。
そこで、その中教審が五月中旬の答申に向けて素案を固めました。その素案の中に、無償制度については明確に存続の方針を打ち出すことになったという報道がございます。文部省にとってはこの答申が無償制度の検討の最終結論である、今後の財政当局との折衝にもこれは強力な支えを得た、こういうふうに思っておりますが、この素案の中の問題、どういうふうに受けとめていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/147
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148・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 無償制度については先ほど申し上げましたような考え方でおりますが、御指摘のように、この廃止をも含めて検討する必要があると非常に意味深長な表現で答申が出ております。そのほかに、先ほど宮之原さんにもお答えいたしましたが、私の所属の自由民主党では、この問題は大きな問題であるから党内でも検討する、こういうことになっておりますが、文部省としては、中教審にこの問題も含めていろいろ御意見を賜るようにお願いしてあるわけでございますけれども、新聞報道をちょっと見ましたけれども、まだ最終的な答申をいただいておりませんから、いまそれについてとやかく申す段階ではない、かように思っておりますが、これはまさに国民的な課題でありますから、周到に結論を出すべきである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/148
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149・柏原ヤス
○柏原ヤス君 もう一度お尋ねするんですが、五月中旬の答申に向けての素案が固められたわけですね。その答申に対して、文部省として、また大臣としてはどういう受けとめ方をしていらっしゃるかということをお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/149
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150・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 大臣がいま申し上げましたのは、臨調との関係がございまして中央教育審議会に諮問をした、その経過と、それから、現在、中教審におきましては教科書小委員会を設けまして慎重に検討を進めているわけでございますが、たまたま新聞に発表されましたのは、これは素案がまとまったということではございませんで、何と申しますか、検討のたたき台のようなものが取材を通じまして報道されたということでございまして、まだ実際その小委員会におきましてはまとめた結論というものができておるわけではございません。
一応五月をめどに結論を出すということで御検討いただいておりますので、その中間のところでそのような報道がなされたということでございます。文部省といたしましては、最終の御答申をまちまして適切な対応をしなければならない、こう考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/150
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151・柏原ヤス
○柏原ヤス君 そうしますと、この素案に対しての意見は何とも言えないということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/151
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152・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) ただいま申し上げましたように、素案というよりは、まだ固まっていない、たたき台のようなものというふうに了解しておりますので、これについて御意見を申し上げる段階ではなかろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/152
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153・柏原ヤス
○柏原ヤス君 次にお聞きしたいんですが、大蔵省や自民党内の一部の有償論者の意見によってできたと私は思うんですが、文部大臣、党三役の間の五者協定として、有償化問題について、五十九年度概算要求時までに適正な解決策を講ずるという、こういう内容の念書が取り交わされたということですが、この事実はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/153
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154・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 先ほども宮之原さんに申し上げたんでございますが、事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/154
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155・柏原ヤス
○柏原ヤス君 大蔵省は、これで有償化への踏み台ができたとほくそ笑んでいる、というようなことが新聞記事に出ております。ごらんになったと思うんです。そこで、まさか文部大臣が、財政当局を喜ばせるようなこんな念書に同意することはあり得ないと私は思っております。これは事実はどうなんでしょうか。納得のいく御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/155
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156・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 別に大蔵省が喜んでおるかどうか知りませんけれども、しばしば申し上げておりますように、私は、もちろん財政というものを忘れて政治はできません、財政を不問に付して物を言っているわけじゃありませんけれども、そういう苦しい財政の中でもこの制度は維持すべき性質のものである、こういう考えを持っておるわけでございまして、この文書の取り交わしというのは、予算編成の最終段階でいろいろ議論があるわけでございますから、検討するということは、これはもうやむを得ないことでございまして、どういう結論が出るかは今後の問題でございますが、臨調の指摘もあるし、われわれもしたがって中数審にも御検討願う、党内でも検討する、こういうことでございますから、検討することはやぶさかでない、こういう種類のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/156
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157・柏原ヤス
○柏原ヤス君 どういう結論が出るかはわからないとか、検討するのは当然だというような大臣のお言葉でございますけれども、大臣の姿勢というものは、先ほどお聞きしたように、憲法を尊重し、そして無償は堅持すると、こういうふうにお答えになったんでしょう。そういうお立場だったら、どんな結論が出るかわからないとか、議論するのは当然だなんという、そういうお考えは矛盾じゃないですか。あなたとしては、無償を堅持する、しかも憲法を尊重するという、そういう厳然としたよりどころを持って臨んでいらっしゃる。何だか自民党的文部大臣みたいじゃないですか。どうなんでしょう。そして、ほくそ笑んでいるかどうかは知らんよというような、まあ知らないかもしれないけれども、新聞でこういうふうに取り上げているんですよ。それを知らんよなんていいかげんなことじゃなく、はっきりと、疑問を持ってお聞きしているんですから、この疑問を打ち消していただくような御答弁をなさるのが大臣の基本的な姿勢での御答弁だと思うんですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/157
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158・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 実際、大蔵省がそれでほくそ笑んでおるかどうか知らないんですから。新聞を見ておりませんので、新聞に何て書いてあったかわかりませんが、いろんな意見があるわけですから、御承知のとおりに。その意見を闘わして検討するということは、これは私は民主主義社会でやむを得ないことだと思っております。いろんな意見がありますが、こういうことが教科書無償制度の本旨でございますということはその中で主張していって、それを実現したいと、こういうことでわれわれはおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/158
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159・柏原ヤス
○柏原ヤス君 それじゃもう一言お聞きしますが、念書が交わされたということ、そして念書の中に文部大臣も署名されているわけですね。その署名されたということに対して、念書が有償化を前提にしたものならば私は署名などしないと。だから、御自分はあくまでも無償の制度を守るという姿勢で署名したんだと、こういうことですね。また、いろんな議論はその後取り交わされると思いますけれども、大臣の御意見、大臣のとる姿勢というものは、あくまで無償化というものを推し進めるために念書に署名されたんだと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/159
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160・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) しばしばどこの場所でも申し上げておりますように、無償化制度というものはこれは憲法の本旨から来ているものだと、そういう趣旨でございますから、変える考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/160
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161・柏原ヤス
○柏原ヤス君 次にお聞きいたします。
文部大臣、大蔵大臣、自民党三役の申し合わせに基づいて、この念書に基づいて、教科書制度に関するプロジェクトチームが自民党内に設置された。そして、その初会合が二月十五日に開かれたようですが、このメンバーの中には有償を主張している人も入っている。それだけに、私はその成り行きに不安を感ずるんです。
そこで、文部省としては、このプロジェクトチームにどういうふうなかかわり合いを持っていくか、どうかかわっていくか、これをはっきりお聞きしておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/161
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162・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 本年の二月の下旬に自由民主党の政務調査会の中に、教科書制度に関するプロジェクトチームが設置をされまして、現在検討が進められていることは御指摘のとおりでございます。このプロジェクトチームにおきまして、先ほどお挙げになりました文書にございますように、国民世論の動向でございますとか、臨調の答申でございますとか、あるいは文教政策との関連でございますとか、そういう大局的な観点から教科書無償制度について検討されるということになっておりまして、文部省といたしましては、大臣がいま申し上げましたように、この無償制度の趣旨、意義というふうなものが、この議論の中で十分に理解されるということが大変重要であるということから、この理解を得るための努力と申しますか、必要に応じまして資料なり、説明の要求があればそれに積極的に努力をしているというようなかかわり方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/162
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163・柏原ヤス
○柏原ヤス君 私は、その局長の言葉の中に、あくまでも無償の方向に結論が出るような、そういう取り組みをしていくという積極的な言葉が一言ほしいんですけれども、無償ということをどこまでも堅持していくという立場ならば、結論もそういう方両に出るようなかかわり合いを持っていくべきだと思うんですね。それは十分そういう姿勢でやっていくと、こういうふうにおっしゃっていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/163
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164・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) これは自由民主党の党内の機関のことでございますから、私どもが呼ばれもしないのに行っていろいろやることもはばかられるわけでございますけれども、気持ちとしてはいま大臣が申し上げましたように、大臣の基本的な御方針もございますし、そのような文部省の立場ができるだけ理解されるような努力をいろんな機会に続けたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/164
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165・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) よけいなことでございますが、いまここで、党の機関があるわけでございますから、わが党の。その機関をこっちへ持っていくとかあっちへ持っていくとかは言わぬ方がかえっていいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/165
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166・柏原ヤス
○柏原ヤス君 いずれにしても、同じ問題について中教審と並行して党が独自に検討することになっているわけなんです。
そこで、もし制度の意義よりも財政的見地から検討するというようなことなら、私は非常に不見識であると思うんです。大臣が中教審の答申とこのプロジェクトチームの結論のいずれを優先にするかと、これはそんなこと聞くまでもありませんけれども、この一点を確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/166
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167・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) そこら辺が微妙なところで、余り言わぬことがいいんじゃないかと、えらい失礼ですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/167
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168・柏原ヤス
○柏原ヤス君 臨調は十四日に最終答申を出しました。これによりますと、教科書無償制度については、第一次答申で示した廃止等を含め検討するということについて着実な実施を図れと、こう言っております。
そこで、第一次答申の後、文部省として、無償制度存続のために臨調に対して具体的にどのような働きかけをしてきましたか、その点お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/168
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169・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 第二臨時行政調査会におきましては、第一次答申におきまして、「廃止等を含め検討する。」と、教科書無償制度につきましてはそのような答申があったわけでございまして、これが答申をいただきましてから、その年の五十六年の十一月に、文部省におきましては、この時代の変化に対応する初等中等教育の教育内容の基本的なあり方と関連いたしまして、教科書の制度、教科書のあり方についても中教審に検討をお願いしたわけでございますが、その中にこの給与のあり方等も含めて御検討をお願いしたわけでございまして、そのことをこの中教審において諮問して検討いただいているというようなことは第二次臨調の方にも報告をしたわけでございます。なお中教審におきましてはいろいろな角度から議論をしていただいておりまして、精力的な積極的な審議を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/169
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170・柏原ヤス
○柏原ヤス君 各省が相当積極的な働きかけをしているようでございますので、文部省としても無償を堅持するならばそうした働きかけがあってしかるべきだと、こう思ってお聞きしたわけです。
次に、二月二十五日の文部広報に無償制度堅持の必要性を裏づける資料を載せていらっしゃいます。これは何度も取り上げられたことであって、先進国のほとんどが無償であるとか、最近の各新聞の世論調査でもおよそ七〇%が無償を支持しているというようなことが載っております。文部省にも、学校の団体とか父兄から無償を守る決議とか要望が寄せられていると思いますが、どんな状況ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/170
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171・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 教育関係団体はもとよりでございますけれども、日本PTA全国協議会でございますとか、あるいは県議会、市議会あるいは市長会のような地方議会や団体等から、無償制度の存続を求める陳情が数多く寄せられている状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/171
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172・柏原ヤス
○柏原ヤス君 大蔵省の言い分の中に、生活保護世帯などを除いて父兄負担とする、そういうことを言っています。これは、同じ教室の中に家庭の貧富の差を持ち込む、また、子供の心に悪影響を与えると、これは当然です。財政当局はこういう教育的立場を考えていないんじゃないか、こう思いますが、この点、大臣はどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/172
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173・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) その点について、この制度が発足します昭和三十七年でございますか、国会審議を私、調べておりますが、その当時、特にその点が問題にされて質疑応答が交わされております。これは、一体社会福祉政策としてやるのか憲法の精神としてやるのかということは非常に論議がされております。先ほどもちょっと触れましたが、その当時の文部大臣及び大蔵大臣は、これは社会福祉政策ということでなしに、憲法二十六条の精神を生かすという意味でこういう制度をつくるので、画期的なものであると思います、こういう説明をされて、私、それを正しいと思っております。
いまおっしゃったように、失礼ですけれども、家庭が貧乏だからこれやるんだなんということはあるべきでないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/173
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174・柏原ヤス
○柏原ヤス君 私は、少なくとも教科書無償制度は文教行政の根幹だ、これを堅持することは全国民の願いでもある、こういう立場から、文部大臣としてはこれをいかなる立場にあっても主張していく、一歩も譲らない、その覚悟を改めてここで明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/174
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175・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 柏原さんの御声援をいただきまして、本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/175
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176・柏原ヤス
○柏原ヤス君 次に、中国からの引揚者に対する日本語教育の問題についてお伺いいたします。
昭和四十七年の日中国交回復以来、中国からの引揚者は、身元の判明した日本人孤児を含めて、公費帰国者だけで四千人に上っているといわれておりますが、これらの人々は戦後の混乱の中で置き去りにされていた人であり、戦争の犠牲者となった人、こう言えます。
そこで、これらの人たちの日本での生活に対しては可能な限りの援助を提供すべきだと考えます。まず、大臣の基本的な認識を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/176
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177・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私は、こういうことを言っては失礼でありますけれども、中国から、残された子供さんたちが大きくなって祖国である日本に帰ってこられる、肉親を探しに帰ってこられるという場合に、どうも中国残留孤児という言葉は私は本当に余り気に食わないのです、率直に言って。なぜああいうふうな言葉になったか。孤児というと私どもはせいぜい十二、三ぐらいまでの感覚なんですけれども、どうも四十過ぎてから孤児が来た孤児が来たと言われると、私の単独の感覚でございますが。
だから、孤児という言葉は使いたくないんですけれども、おっしゃったから申し上げますが、まことにこれは戦争の犠牲でありまして、お気の毒といいますか、大変な事態であった、あのときの状況はわれわれは現場にはおりませんからわかりませんけれども、いろいろ記録を見たり、またその当時の人の、帰られた人の話で。私の弟も実はその当時満州の吉林におったわけでございますが、子供二人を連れて、それこそソ連軍が捜索する中で、中国人に床の下に隠してもらっておったそうです。いま成長しておりますけれども、小さな子供、二、三歳の子供二人連れてよくぞ帰ってきたと思いますよ。その状況なんか聞きますと、それはまことに悲惨な状況です。その際にやむを得ず子供を残してきた。全く気の毒と申しますか、申しわけないという印象を受けます。
そういう意味で、国交が残念ながらああいう状況でありましたから私はやむを得なかったと思うんですけれども、もう少し早かったら――もう三、四十年たっています、その当時の三、四十の両親はもう亡くなっている人が相当多いんだろうと思うんです。そうでなければ、あの子はこうだった、あのときはこうだったと思い起こす御両親がもっとおられるわけですけれども、それ以外は兄弟やなんかではなかなかわからぬ場合がある。よけいなことでございますが、そういうことをテレビを見たり、新聞を見たりして非常に残念がっているわけでございますが、これはできるだけ希望を達成されるようにして、それに対しては国としてもできるだけの処遇をしなければならぬ、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/177
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178・柏原ヤス
○柏原ヤス君 帰国者が最初に直面する大きな障害は言葉と生活習慣の違いです。特に言葉については就職への妨げとなるなど非常に深刻な問題となっております。周囲との意思疎通もできず、ノイローゼになって、そして帰国青年が隣人二人を刺殺するという痛ましい事件も起きております。
そこで、文部省にお尋ねしますが、成人帰国者に対する日本語教育の現状、これは一体どうなっているのか、また、文部省としてどんな施策を行っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/178
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179・宮野禮一
○政府委員(宮野禮一君) 先生御指摘のように、帰国者が直面する大きな問題として言葉の問題があるわけでございます。
そこで、いまお尋ねでございますが、成人帰国者に対します日本語教育の現状は、現在各県等におかれまして日本語教育等を行っているのが実情でございます。文部省といたしましては、成人の帰国者に対する日本語学習の充実を図るために、本年度の昭和五十七年度から実際的な日本語教材、名前は「中国からの帰国者のための生活、日本語」というのを編集いたしまして、これは最近できました。関係各者、指導者等、それから実際の帰国者等に無償で配布しております。それが一点。
それからまた、この教材を用いまして指導者が日本語を教える場合の指導法の研修というのを本年度、東京と大阪の二カ所で行っております。
それからなお、市、区立の中学校の夜間学級におきまして、成人帰国者も入学いたしまして、日本語を中心として学習をしているという実態が昭和五十七年の五月現在、全国に十八校ほどございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/179
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180・柏原ヤス
○柏原ヤス君 いまお聞きいたしましたように、日本語教育の場としては夜間中学があるようです。また、民間団体とか自治体の中でも日本語学級を実施しているようですが、これらの機会を得られない人もたくさんいる。そういう人たちは家庭で独学をせざるを得ない。そこで、昨年六月の厚生省の生活実態調査を見ますと、三分の一が家庭で独学しているというふうに答えています。世界でも日本語というのは非常にむずかしいと言われております。これを独学でマスターするということは非常にむずかしい。特に四十歳以上の人たちにはとても至難なことだと思います。このように、成人帰国者に対する現在の日本語教育の体制は非常に不十分だと言わざるを得ないんですが、この点、文部省の認識はどういうふうにしていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/180
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181・宮野禮一
○政府委員(宮野禮一君) 成人の帰国者に対する日本語教育について、先ほどかいつまんで御説明いたしましたが、その多くの方がたとえば四十歳くらいの中高年層でありまして、しかも、実際のいろいろな日常生活あるいは職業等を持ってお働きにならなければならないというような、職業生活を送りながら同時に学習をしていくということになりますので、たとえて言えば時間的な制約などもございましょうと思います。そういうことで、成人の帰国者にとっては非常に困難な問題であるというふうに考えておるわけでございます。
この中国残留日本人の帰国者の問題につきましては、従来から厚生省が中心として対策に取り組んでいるわけでございますので、私どもといたしましても、日本の生活に適応するために何よりもやはり確かに日本語の習得が欠かせないことであると思っておりますので、厚生省とも御協力して、私ども文部省としてもその重要性を十分に認識し、できる限りの対応をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/181
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182・柏原ヤス
○柏原ヤス君 いろいろああやっているこうやっているというお話ですけれども、きわめて不十分だということは文部省もそう言わざるを得ないんでしょう、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/182
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183・宮野禮一
○政府委員(宮野禮一君) 現状で十分であるとは思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/183
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184・柏原ヤス
○柏原ヤス君 そこで、東京都では五十八年度予算で、中国帰国者定着事業というものを発足させ、帰国者に、日中両国語で書かれた暮らしの便利帳を配ったり、また、民間が行っている日本語教室、生活相談コーナーの費用の四分の三を補助することにしております。
それに比べて国はどうかというと、文部省の施策としては、先ほどの御答弁のように日本語教材の配付、講師の研修、これだけだ。民間の善意や自治体の努力に甘え過ぎているのではないかと思います。日本語教育の体制整備が不十分だと認識しているならば、最低限でいいから民間団体や自治体が実施している日本語教育事業に対して助成措置を講じてはどうか、そしてその充実を図るのが当然だと考えておりますが、御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/184
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185・宮野禮一
○政府委員(宮野禮一君) 先ほど申し上げましたように、中国残留者の帰国者の問題につきましては、厚生省が主体となって取り組んでいるところでございまして、文部省も政府の一員としてそれに協力するという体制でございます。
したがいまして、この点につきましてはあるいは厚生省からお答えいただいた方がよろしいのかもしれませんが、お尋ねでございますので申し上げますと、昨年の三月に中国残留日本人孤児問題懇談会というもの、これは厚生省が主体となってお招きいたしまして懇談会というのをつくりました。そこで中国残留日本人孤児問題の諸問題について、学識経験者をお招きしまして、いろいろ具体策についての意見をお聞きしたところでございますが、そのレポート、「中国残留日本人孤児問題の早期解決の方策について」というのが昨年の八月に、先生御承知かと存じますけれども出ているわけでございます。
そこで、この内容で拝見いたしますと、今後の問題としまして懇談会の提言として指摘されておりますのは、孤児が円滑に社会生活に溶け込めるようにするために、まず帰国後直ちに一定期間一カ所に入所させて、そこで集中的に日本語教育を含めた生活指導、日本に溶け込むために日本語を学習することが必要である。それからいろいろ日本の社会について学んで、日本の社会にできるだけ早く溶け込むことが必要である。そういった問題を集中的に、帰国者センターを設けてそこで行ってはどうだろうか。そこで簡単な日常会話ができる程度までの日本語教育と日本の生活習慣などについての基礎的な生活指導を行い、その後で親元へ帰るというふうにしてはどうかという新しい提言をいまの懇談会でしていただいているわけでございます。
そこで、来年度、いま国会で御審議いただいております昭和五十八年度予算において、厚生省の方でこの趣旨に沿って中国帰国孤児定着促進センターというふうに私ども名前をお聞きしておりますが、中国帰国孤児定着促進センターの経費を計上していると聞いております。
日本語の教育の問題につきましては、いろいろな考え方もあるいはあろうかと存じますが、こういう提言が出てきている背景には、やはり一定期間集中的にインテンシブにやっていくのがやはり習得するのに一番よいのではないか、そういう考え方でこの提言ができているわけでございます。
したがいまして、この予算でいま申し上げました促進センターが成立いたしますれば、私どもとしてはその後はこの促進センターがどういうふうに事業を行っていくか、その実績と申しますか、その内容と申しますか、その推移を見きわめつつ、さらに日本語教育につきましてどういうふうにその後考えていったらよいかということにつきまして、いま申し上げました定着促進センターの推移を見きわめながら関係省庁とも御協議し対処してまいりたいというふうに現在考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/185
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186・柏原ヤス
○柏原ヤス君 今後、いまおっしゃるようないろいろな方法は講ぜられると思うんですけれども、現在、自治体やボランティア活動などでやっている日本語教育というもの、私はこれにもっと国が手を差し伸べていいんじゃないか。実際やっている現在の活動に国がそれ以上何らかやってこそこれからの問題も充実すると思うんです。いまやるべきことをやれないんですかということを聞いているわけです。
もう一度申し上げますけれども、東京都でもやっている、国はどうかといえばやっていない。できればこの助成措置を講じて、いまやっていることをもっと充実させられるんではないかということをお聞きしているんですけれども、それについてはちっともお答えいただいていませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/186
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187・宮野禮一
○政府委員(宮野禮一君) いま、現実に民間なり地方公共団体でおやりいただいている実態があるわけでございますが、先ほど申し上げましたセンターができたときにどういうふうな形になっていくかということも、いろいろ私どもとしても、これから地方公共団体の方の実情等もお聞きし、かつ促進センターを主管いたします厚生省とも協議しながら、どのように対処していくかを考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
当面、率直に申し上げますと、明年度予算で具体的な手当てをしているわけでございませんので、先生が申されるようなことに直ちにまいりますというふうなことは遺憾ながら御答弁できかねるというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/187
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188・柏原ヤス
○柏原ヤス君 日本語習得のための貴重な場は、やはり夜間中学だと思います。現在、都内には八校の公立夜間中学があるわけですが、帰国者が比較的集中して住んでいる江東区、ここには設置されておりません。このために昨年、地元のボランティアグループが自主夜間中学を開いて実績を上げている。そして、この実績をもとにして公立への移行を求めております。文部省はこれに対して、今後は夜間中学の設置は認めないとか、また区の教育委員会側もそうした方針に沿っている、そのためにいまだ実現していないようでございますが、この点をお伺いしたいのです。文部省は、いまの江東区のように、帰国者が集中して居住しているという特殊な事情にあるこの地域での夜間中学の必要性を、どのように認識しているかという点ですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/188
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189・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) いわゆる夜間中学と申しますのは中学校の夜間学級ということでございますが、これは義務教育を終わっていない学齢超過者と申しますか、そういう者に対して教育を施すという意味では意義のあるものでございますけれども、いま御指摘の対象となっております者は日本語の習得を主たる目的とする成人の引揚者でございますから、これは中学校の性格上、教育課程とかいろんな点で問題がありますので、仮にその江東区にそういう引き揚げの方が多いからといっていまのようなものをふやすということは適当ではないと私どもとしては考えています。
成人に対する日本語教育の指導につきましては、社会教育局長の方からるるお答えがございましたが、都道府県の民生、福祉関係の部局におきまして、日本語教室とか、そういう形でやっているわけでございますし、五十八年度からは厚生省におきまして中心的な施設ができるということでありますから、そちらの方で引き受けていただくというのが適当ではないかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/189
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190・柏原ヤス
○柏原ヤス君 厚生省、厚生省と、厚生省の方に何か責任を持たせていくように、そんなふうに感ずるんですけれども、夜間中学が認められない、その理由はわかりました。しかし、夜間中学が認められないとすれば、じゃどういう形で日本語教育が行われるのが望ましいと文部省は考えていらっしゃるか、その点です。日本語教育ということはやはり文部省の問題じゃないんでしょうか。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/190
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191・宮野禮一
○政府委員(宮野禮一君) この中国の帰国者の場合の日本語教育ということにつきまして考えますと、やはり日本語教育というか、日本語を学習するということと同時に、日本の社会に早く適応していくようになるということがまず必要であります。したがって、日本語の学習についてはいろいろなやり方がそれは論理的には考えられると思いますが、やはりなるべく短期間に早く、日本語の学習の問題も含めまして、日本の社会に溶け込むという意味では、厚生省が今度つくるようなセンターで集中的に短期間にいろいろな問題を含めて学んでいくというか、習得していくということがより適切なのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/191
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192・柏原ヤス
○柏原ヤス君 私は、生活だ生活だ、だから厚生省だというふうに感ずるわけなんですね。ですけれども、教えなければならない、手を差し伸べなければならないのは、やはり一番困っている言葉が使えない、言葉がわからないというところだと思うんです。生活は教えなくたって、日常生活はわかりますよ、一緒に暮らしていれば。どんな着物を着るとか靴をはくとか、御飯はどうやって食べるなんということは、見てわかるわけです。ただ、言葉を教えなければ、そういう生活も身につかないと私は思うんですね。
そういう点で、日本語教育というものが帰国者の一番大きな問題であり、国として手を差し伸べるならば日本語教育、日本語が使えるというところに私は一番力を注ぐべきだと思うんですね。そういう点、厚生省とそれは協力しなきゃなりませんですけれども、日本語の使える人にするということにやはり文部省はもっともっと力を注ぐべきだと私は思うんです。可能な限りにおいてどんなことにも援助しなきゃならないと先ほど大臣もおっしゃっているんですから、日本語の問題は文部省がもう引き受けた、こういう姿勢で取り組んでいただきたいわけです。
そこで、厚生省おいでになっておりますね。理――来年度の厚生省の予算に、中国帰国孤児定着促進センターをつくる、そのために四億三千三百万円が予算に計上されておりますが、このセンターの事業内容について御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/192
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193・森山喜久雄
○説明員(森山喜久雄君) 先ほどからお話の中に出てまいったわけでございますが、ただいま御審議を願っております予算案の中にこのセンターの経費が入っているわけでございます。
厚生省が考えておりますのは、最近特に中国残留孤児の問題がクローズアップされてまいりまして、先ほど文部省の方からもお話ございましたが、厚生大臣の私的な諮問機関であります懇談会からもそういう提言がございまして、そういう中国残留孤児の方々でお帰りになった方を、まず日本に到着されると同時に施設に収容をいたしまして、そこで集中的に日本語の教育、これは日常会話ができるようになる程度でございます。標準的には四カ月ぐらいのものを考えているわけでございますが、そこに入っていただきまして、そこで集中的に日本語教育、それから中国社会と日本社会では大分生活習慣も違いますので、そういうようなことも勉強していただく、その一定期間終わりました段階で郷里の方にお帰りいただくということを考えております。
それから、これは来年度から実施されると思いますけれども、日本に来られて例の肉親捜しをされまして、わかった方はよろしいんでございますが、肉親が判明しなかったという方でもお帰りになりたいという方はございます。五十八年度からはそういう方も、御希望があれば日本に定住をしていただくということで、相当帰る方もふえてくるんじゃないかということを想定いたしまして、大体年間百世帯の三百三十名ぐらいの方が収容できる。ですから、これは三回転になりますのでその三分の一ずつ収容していくわけでございますが、そういうようなスケジュールを立てまして、また細かい点につきましては中国側ともいろいろ御相談を申し上げまして、何とかうまく運営してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
それから、先生先ほどおっしゃったことでございますけれども、民間ボランティアに何か援助できないのかというお話でございましたが、これは政府ベースでやるのが本筋かもしれませんけれども、実は私の方ではこのセンターを運営委託する団体を四月に発足させる予定でございます。その団体は、たとえば中国の養父母に対する扶養費の問題が先ほど問題になったわけでございますが、これを国が半分出す、残りの半分は企業など民間の御寄附を仰いでその中から払うということでございますので、その団体でそういう寄附募集をやる、これは大蔵省とも交渉中でございますが、例の指定寄附の許可をいただきまして、寄附される方は損金不算入になるというようなことをやりまして、そういう団体ができますので、そういう団体の事業の一環として、そういうような民間ボランティアで非常に熱心に日本語教育を実施されておるというところで、どうも金がなくなってつぶれそうだというところもあるわけでございますので、そういう方面にもその団体からそういう補力を、募金した中から回すことも明年度は考えていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/193
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194・柏原ヤス
○柏原ヤス君 いまその内容をお聞きした中で、研修期間が四カ月というのは、日本語の基礎を習得する期間としてはいかにも短いという感じがいたします。厚生省は、四カ月で十分な成果を上げる自信があるのか。この点、非常に期間として短いのじゃないか。というのは、厚生省の実態調査の中にも、簡単な日常会話ができるようになるまでの期間というのを調査していらっしゃいますが、三カ月から六カ月未満、その時点で孤児本人が一二%、配偶者六%と、非常に簡単な日常会話すらやっとこのくらいの人が使えるようになっている。これから比べてみると四カ月というのは本当に短いんじゃないかと、こういうふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/194
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195・森山喜久雄
○説明員(森山喜久雄君) 実は、これは私の方でいろいろ立案いたしますときに、何かほかに参考になるような事例はないかということでいろいろ調べたわけでございますが、たまたまインドシナ難民の定住促進センターというのが大和市にございまして、そこでも同じような日本語教育をやっておるわけでございます。そこのいろんな資料をいただき、またお話も聞いてみますと、大体三カ月程度で先ほど申し上げましたような日常会話ができるようになる。それから、終わったときに作文なんかを書いていただいたのだと思いますが、そういうような本もありまして、それは個人差がありまして一律にはいかないのかもしれませんが、それだけの期間があれば、教え方の問題ももちろんございますけれども、それは専門の方にお願いをして、基礎的にじっくりやっていただくということでございます。そういう事例もございますし、文部省の方にも御相談も申し上げたわけでございますが、その程度の期間があれば基礎的な日常会話ができるようにはなるであろうということでございます。もちろんこれ、まだこれからやるわけでございますから、実際やってみなければ確実にできるということは申せないわけでございますが、そういう事例もございますので、そういうようなことから判断をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/195
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196・柏原ヤス
○柏原ヤス君 五十九年度以降、東京地区以外に設置するというような計画がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/196
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197・森山喜久雄
○説明員(森山喜久雄君) このセンターの問題も、いま財政難の折で非常にむずかしかったんでございますけれども、いま申し上げましたような特殊な事情であるということで、すぐに大蔵の方も認めていただいたようなわけでございまして、まあ中国残留孤児だけでございますと、大体これだけのものがあれば賄っていけるんではないかというふうに考えております。
それから、各地であるいは都道府県なりでそういうような似たようなものを建てるという計画もあるやに伺っておるわけでございますが、これは一般の引揚者の方を対象としたようなものではないかというふうに考え、まだその詳しい話は聞いておりません。それから、孤児ばかりではなくて、スペースがあけば、たとえば初めて日本にお帰りになった方、いまの帰国者の方は大体三分の二ぐらいはかつて一時帰国をされまして、里帰りでございますが、半年から一年ぐらいは日本におられて、それでまた中国に戻られて、そして改めて永住帰国でお帰りになる方が非常に多いわけでございます。そういう方ではなく、初めて日本に戦後お帰りになるという引揚者の方をまず優先的に、空きがあればそこに入っていただくようなことも考えていきたいというふうに考えております。したがいまして、五十九年度以降また新しいものを建てるという計画はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/197
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198・柏原ヤス
○柏原ヤス君 民間団体あるいは地方自治体が積極的に取り組んでいるこの問題を、国が遅まきながら取り組んだということは一歩前進して非常に結構なことだと思っております。そこで、このセンターがあくまでも帰国者の声を十分に尊重した運営がされるように取り組んでいただきたいと要望するわけです。そういう点、どんな配慮がされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/198
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199・森山喜久雄
○説明員(森山喜久雄君) 先生のおっしゃいましたように、厚生省といたしましても初めてやるわけでございますので、帰国者の方々の御意見も十分に取り入れて、またその関係の団体もございますので、そういう団体の御意見も聞きながら、実情に沿って柔軟に対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/199
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200・柏原ヤス
○柏原ヤス君 次に、厚生省は今後の帰国者数の状況、これを公費、私費と合わせて毎年どの程度か見込んでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/200
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201・森山喜久雄
○説明員(森山喜久雄君) 日本に永住帰国を希望される方でございますけれども、これは現在私の方で旅費の国庫負担ということをやっておりまして、事前にそういう申請が来るわけでございます。それで、わが方で旅費の国庫負担をいたしますと言って承認をして、まだ帰ってこない方がもうすでに二百世帯ばかりございます。それから、先ほど申し上げましたように、里帰りを一回やりまして、これももちろん政府で金を出したわけでございますが、その方が向こうへお戻りになって、また再び今度は永住の目的でお帰りになるという場合も国が旅費の負担をやっておるわけでございますが、そういう方が大分ふえてまいりますので、ここ当分は従来と同じぐらいの引揚者、帰国者が続くのではないかというふうに考えております。
それから、私費で帰国される方でございますが、これはちょっと私どもではつかみようがないわけでございまして、そう数は多くないと思いますけれども、ちょっと実態は承知いたしかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/201
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202・柏原ヤス
○柏原ヤス君 今後もかなりの数の帰国者が見込まれると。そこで、帰国後に日本語の学習を始めるよりも、帰国前に日本語や日本の生活習慣についての基礎を習得しておくことが望ましいと、こう思いますし、また帰国した人たちもこれを強く要望しております。文部省として、これに対して何らかの方法を考えてもいいのではないか、必要ではないかと思いますが、文部省には何かそうしたお考えはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/202
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203・宮野禮一
○政府委員(宮野禮一君) 帰国者が帰国前に日本語やあるいは日本の生活習慣等について御存じであるということがより望ましいという点では確かに先生のおっしゃるとおりだと思うわけでございます。ただ、中国の国内でその方々は現実に生活されているわけでございますから、そのような方々に対して現実の問題としてどのような手当てをしたらよいかということにつきまして、中国残留者の事情にかんがみて、私ども政府としてできるだけの援助体制をする必要があるとは存じますけれども、中国の国内にいる間について、やはりそれは中国の内部のいろいろな国内事情もあると存じます。この懇談会のレポート等を見ますと、たとえば中国の養父母の問題とかあるいは中国の政府の考え方の問題とか、いろいろなむずかしい問題があるやに私どもレポートを読みますと受けるわけでありまして、そういう問題につきましては、広く日中友好の観点から配慮しなければならないところだと思うわけでございまして、中国にいる間に何かということよりも、やはり日本へ帰ってきてからわが国の方で責任を持って受け入れ体制をやるということが現実的ではなかろうかというふうに私どもとしては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/203
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204・柏原ヤス
○柏原ヤス君 それは何らかの方法を考えればできるんじゃないか。私は、困難ないろいろな事情はたくさんあると思います。また、そうしたことをするということが、中国人の方たちも日本語を覚えたい、日本語をしゃべりたいという方がたくさんいるわけなんですね。そういうところまで日本語を普及していくという点でいいんじゃないかと思いますものですから、困難なことを乗り越えたそうした方法が講じられることを私は希望いたします。
そこで次に、小中学生の日本語習得については、成人に比べてのみ込みが速い、成人のような深刻な問題はないと言われておりますが、そのとおりだと理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/204
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205・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) おっしゃるように子供の方が成人よりも日本語の習得の状況は速いというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/205
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206・柏原ヤス
○柏原ヤス君 問題ないというふうに私は理解していいですかとお聞きしたのは、理解できないからお聞きするので、私はいろいろやはり問題はあると思うんです。
帰国児童や生徒に対して、それでは日本語教育がどういうふうに行われているか御説明をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/206
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207・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 児童生徒でございますので、小中学校のそれぞれの相当の学年に受け入れをいたしまして、日本語の集中的な指導でございますとか、あるいは教育上の適切な配慮をいたしまして、できるだけ早く日本の学校に溶け込んで、日本の子供たちと同じように学習ができるようなそういうような配慮をしているわけでございますが、たとえばこの引き揚げの児童生徒が多いような学校を引揚者子女教育研究協力校と指定いたしまして、現在全国七校ほどございますけれども、そこでは特別な教育的配慮に基づきます、指導の研究でございますとか、あるいは生徒指導の問題でございますとか、そういうものを研究させているわけでございますけれども、そのほか学校生活や学習にできるだけ早く適応できますように日本語の学習の教材、これを編集いたしまして、「日本の学校」というものでございますけれども、これをつくりまして配付をいたしまして、学習の促進を図っているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/207
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208・柏原ヤス
○柏原ヤス君 もう一点、高校入試について支障が生じているのではないか。もし生じているとすれば何か特別な配慮が必要ではないかと思いますが、この点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/208
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209・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 確かに中国から引き揚げてまいりました児童生徒、向こうで九年間の学校教育を受けておりますと、学校教育法上は高校の入学の資格が認められておりますので問題ないわけでございますけれども、やはり日本語が非常に不自由だという点がございますから、そういう点の問題はあろうと存じます。で、先ほど申し上げました帰国子女教育研究協力校等におきまして、帰国子女の学習指導それから生活指導の調査の問題でございますとか、そういう帰国子女を受け入れるようなそういう制度をつくってるわけでございますけれども、そのほか都道府県に指導いたしまして、入試の方法に工夫を加えまして、このような中国等の引き揚げの児童生徒の入試が何らかの形で改善されるような指導をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/209
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210・柏原ヤス
○柏原ヤス君 日本語教育と関連してもう一点伺っておきたいのは就職の問題です。昨年六月の厚生省の生活実態調査を拝見しますと、調査対象六十八人のうち、帰国後三年ないし四年たってもその三分の一が生活保護を受けているというふうに出ております。こうした状況を受けて、厚生省として昨年三月老人ホームなどの社会福祉施設を就労の場として開放するという方針を決定したと報道されておりますが、この一年間の成果はどんな状態でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/210
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211・森山喜久雄
○説明員(森山喜久雄君) 帰国者の方々の就労の場の一つといたしまして社会福祉施設を活用するということは、私どもの方で各部道府県でございますとか社会福祉団体に協力をお願いをいたしまして、極力そういう御希望の方が希望がかなえられるような形で努力をしておるわけでございますが、まことに申しわけないのですが、全国的な統計がございませんので、いずれ早い時期にそういう調査をいたしましてまた先生の方に御報告に参りたいと思いますが、東京都の事例をちょっと、これは全部じゃないと思いますけれども、一部聞いてみたのでございますが、社会福祉施設に現在入っておられる方、職種は用務員とか補助指導員、そういうような方でございますけれども、この方が大体四名ございます。それから、これは福祉施設ではございませんけれども、東京都の公務員と申しますか、江東区の学校給食職員に二人、これは正規の試験を受けて合格しているようでございます。それから、杉並の小学校の給食関係に二人でございますが、これは杉並区が優先的に採用していただいたというようなケースもございます。
こういうことでございますので、全国的に調べればかなりの数があるんではないかと思いますが、いずれにいたしましても、申しわけございませんが全国的な統計をとっておりませんでしたので、いまここで申し上げるということはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/211
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212・柏原ヤス
○柏原ヤス君 中国で福祉の現場で働いていた人にはその経験を生かして日本でも働けるようにと、厚生省として資格要件などについて関係方面と折衝に当たったということも聞いておりますが、その経過とか結果とかは御説明していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/212
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213・森山喜久雄
○説明員(森山喜久雄君) 福祉の職場での資格要件でございますが、これは資格要件のある者については、特に中国で経験されておられるからといってすぐそこに行けるというわけではございませんで、やはり資格試験を通らなければ、まあこれは職種の性格上からやむを得ないことでございますけれども、特別の緩和条件というのはないようでございます。したがいまして、まず日本語をマスターして、関係の学校とか養成所へ入りまして資格を取得するというような手段が必要でございます。それで、とりあえずこういう日本の福祉の仕事を経験するという意味で、そういうところへ見習いとかそれから補助的な仕事ということで、これは試験が要らないような職種に就労をしていただくことにして、そこで勉強していただいて、今度正規の資格を取るというような方法はどうかということで、関係機関、関係団体の協力を求めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/213
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214・柏原ヤス
○柏原ヤス君 希望する人たちが福祉の職場で働けるように今後努力を続けていただきたいと、この点、厚生省の再確認をいただきたいと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/214
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215・森山喜久雄
○説明員(森山喜久雄君) この福祉の職場で働くことを希望される方につきましては、今後とも担当の社会局でございますとか、それから地方公共団体とも連携を密にいたしまして、また、関係の全国社会福祉協議会でございますとかそういう団体ともお話し合いをいたしまして、その協力を得ながらこういう方々の希望に沿えるように厚生省としても努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/215
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216・柏原ヤス
○柏原ヤス君 そこで最後に、大臣にお聞きいただきたいんですが、私は、帰国者が日本の社会に溶け込む、そして充実した生活を送っていくための基本というのは、やっぱりしっかりとした日本語教育が不可欠である、最も大事である。この日本語教育をどう教えるかというのには非常に力を持っていかなければならない。教えるという点で非常にむずかしいと思いますし、また必要なことだと思う。厚生省の調査を拝見しても、今後政府に望むことという項目に対して、日本語教育を充実してほしいという声が非常に多いんです。また、就職していない人は、その理由として病気、これは病気ですから就職できませんが、日本語ができないというのがやっぱり就職できないという大きなネックになっているわけなんですね。現在のこのままでは、大きな期待を持って帰国した人がますます母国への失望をつのらせる結果になるということを心配いたします。
そこで大臣には、ぜひ、帰国者に対する日本語教育がいかに大事であるか、またこれが基本であるということ、そしてその現状はいかにも不十分であるということを改めて認識していただきたい。その上で、本腰を入れて今後の施策の上にしっかりとした取り組みをしていただきたい、これを強く要望いたします。大臣の力強い御答弁を期待しておりますのでお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/216
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217・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) いわゆる残留孤児の皆さんの処遇について、基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりでございます。
すっかり言葉も環境も違ったところへ来て生きる道は、全くおっしゃるとおりに言葉をまず覚えること、そしてそのうち生活マナーを覚えること。それでなければ職業になかなかつきにくいし、またついてもうまくいかない。当然なことであろうと思います。いままで日本語教育等については、先ほど来申し上げておりますが、やはりばらばらではなかなかでございますから、厚生省からも御説明がありましたように、ちゃんとしたセンターをつくって、そこでしっかりした日本語教育等、あるいは生活マナー等を習得してもらって社会に出てもらう、こういうふうにすることは非常に適切なことだと思いますが、これは各省それぞれ担当が協力してやるわけでございますから、日本語教育の問題については、文部省としてはそういう関係各省と相談しながら全力を尽くして御協力をしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/217
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218・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 まず初めに、最近、児童演劇劇団協議会などから国会にも要請が寄せられております子供の文化のための予算、この問題について質問をいたしますが、それに先立って、まず大臣に所見をお尋ねをしますが、中曽根総理は、第二臨調の次に必要なものは教育大臨調だと、こういう発言をされています。文部省の中教審程度のスケールの小さい技術論による教育改革ではなく、教育体系の基本的なあり方まで掘り下げるような教育改革であってしかるべきだと思う。行革はいわばその精神的な先駆けであると、こういうふうに一九八一年七月二十七日、当時行管庁長官ではありましたが、財団法人国策研究会会員懇談会、この席上で述べられ、こうした発言はその他いろんな文書にも随時あらわれるわけでありますが、この中曽根総理の考え方について文部大臣はどのように思われますか。
〔委員長退席、理事片山正英君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/218
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219・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私は不敏にして、これは前の話だと思うんですけれども、いまおっしゃったように教育第二臨調構想、そういうお話は直接聞いたことがないんです。どういう考えでおられるか全然聞いたことはありませんが、いずれにいたしましても、何事によらず、長い歴史を踏みますといろいろ実情に合わないことがあったり、あるいは環境が違って適切でない場合もあるし、かえってまた弊害もある、こういうこともあると思いますから、教育問題、文教政策においてもやっぱりもし改めるととるがあれば改める、これは当然のことであると思います。臨調の指摘等も、これもやっぱりその一つであろうと思いますが、何といいますか、教育第二臨調構想というようなものは私はまだ承っておらないんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/219
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220・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 公に活字にもなっておる発言でありますので、ひとつ必要ならば中曽根氏に確かめるということも含めて、文部大臣としての当然見解を明らかにしていただきたい。きょうは言えないということであれば、これは引き続き今後とも尋ねますので、見解を整理をしておいていただきたい。
あえてこのことを言いますのは、国会でも、第二臨調なるものが国会よりも優位の、国会よりも何か権限があるかのごとき、こういう形で事がどんどん進行していく、国会の権限を侵害するものじゃないかと、こういう批判があることもよく御存じのとおりだと思いますけれども、この総理の発言の中に、中教審程度のものではだめだとか、こういうような発言もある。こういう点からいって、次回またお聞きしますから、見解をまとめておいていただきたいと思います。
もう一つ、臨調の最終答申は、文化庁については文化行政のあり方そのものの抜本的再検討を行う、こういうふうに述べておりますが、文化庁長官おいでですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/220
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221・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) 文化庁の次長でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/221
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222・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 この答申について、具体的にどのように受けとめ、どう対処しようとするのかという点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/222
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223・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) 臨調の御指摘につきましては、私ども、現在の文化行政そのものが十分にして完全なものであるというようなことを考えているわけではございませんので、これを謙虚に受けとめまして、これからの国民の文化的な要求にこたえた、そのような行政を進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
〔理事片山正英君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/223
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224・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 そういう一般的なお役所答弁ではなく、不十分とすれば、どこを改善、改革をしようとするのか、何か考えはありますか。それを述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/224
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225・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) 従来、文化財の保護行政につきましては、戦前からの伝統がございまして、文化財保護法のもとにある程度の固まってまいった行政を遂行しているわけでございますけれども、芸術、文化の関係の行政等につきましては比較的歴史も新しく、この点について当然民間の文化の創造性等を前提にしながら、これを側面から援助をするという形で進めていかなければならないわけでございますけれども、そういった点につきましても、現在行っている行政について、その内容をさらに充実をさせるといったようなことを含めまして今後進めてまいりたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/225
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226・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 依然として抽象的答弁に終わっていますけれども、次へ進みましょう。
この予算の問題についてお尋ねをしますが、文化行政を含めて文教行政の責任者であります文部大臣にお尋ねをしますが、子供が人間として豊かに発達をするためにはすぐれた文化に触れるということがきわめて大切な問題だというふうに私は考えますが、この点、大臣、所見はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/226
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227・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私もそういうことであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/227
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228・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 そこで、現在の日本の文化予算全体を眺めてみたときの問題でありますが、施政方針でも中曽根首相はたくましい文化ということを非常に強調をされました。この総理の言うたくましい文化というのはどのように理解をしたらいいのか、いろいろ議論を呼んだところでありますが、このたくましい文化という考え方が昭和五十八年度の予算案にどのようにあらわれているんですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/228
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229・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) 文化庁の予算につきましては、豊かな芸術文化の振興を図るとともに、わが国の伝統的文化の象徴である文化財の保護を図る観点から、厳しい財政状況下にありますけれども、これに配慮をしているところでございまして、五十八年度の文化庁予算の総額は四百億五百万円ということでございまして、若干、一億四百万円ばかりでございますけれども増加をさせてこれに対処している、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/229
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230・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 私がお尋ねしているのは、たくましい文化という考え方が予算の面ではどういう形であらわれているかと、これを聞いているんですから、その点に即して答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/230
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231・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) たくましい文化の考え方がどういった点で反映されているかというお話でございますが、この点につきましては、わが国の社会なり、国民全体が、そういうたくましさに向けて育っていくと申しますか、それに力を添える、こういったようなところで行政としても努力をしていく、こういう形になろうかと思うわけでございます。したがいまして、文化庁といたしましては、柱を地域社会における文化の振興あるいは芸術文化創造の援助あるいは伝統文化の継承と保存等の柱を立てて、こういった課題に取り組んでいるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/231
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232・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 答えにくい問いですというんでしたら、そういうふうに素直に言ってもらったらいい。
この五年間を振り返って、文化庁予算の伸び率、これに比べてたとえば防衛庁の予算の伸び率、格段の乖離がある。ここがたくましい文化ということなのかというふうに私は疑いの眼をもって見るわけですけれども、一体どうでしょうか。この五年間対比をして、教育予算、文化庁予算、片や防衛庁予算、対前年伸び率はどういうふうに推移していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/232
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233・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) 文化庁全体の予算でございますけれども、これは昭和五十三年度で大体三百三十四億という額であったわけでございますけれども、これが五十七年度には三百九十九億と。ただいまお願いをしております五十八年度予算におきましては四百億という形で、若干でございますけれども伸びを示しておるという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/233
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234・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 対前年伸び率を具体的な数字を挙げた方がもっと事柄は歴然とするんじゃないですか。
これ文部省の発行されておる、そこから出しておる数字ですよ、私が勝手につくった数字じゃありません。たとえば五年間、昭和五十四年文教費の伸び一一・六、これが五十五年から五・七、四・七、二・六、マイナス一・一と、こう顕著に下がっている。文化庁予算を見ると対前年伸び率一五・三、三・九、一・〇、〇・七、〇・二六、これも顕著に伸び率が下がっている。軍事費は一〇・二、六・五、七・六、七・八、六・五。この六・五は人件費が入っていませんからさらに大きな八になるだろうともっぱら言われているわけですけれども、軍事費は顕著に上向きのカーブで対前年毎年伸びてきている。こういう歴然たる数字にあるということを、やっぱり文化庁の責任者としてしっかり踏まえて考えてもらう必要があると思うんです。
ちょっと角度を変えて、それならばGNP世界一位二位を争っておるわが国でありますが、先進資本主義国の予算と比べてわが国の文化予算の実情というのはどういう姿ですか。国全体の予算の中で文化予算が占める比率ですね、諸外国に比べて日本はどういう姿ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/234
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235・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) 昭和五十八年度予算としてお願いしております文化庁の所掌の予算額は四百億五百万円で、国の一般会計予算に占める比率は〇・〇八%でございます。諸外国における文化関係予算は、それぞれ文化行政の組織、制度、または予算等におきまして独自のものがありまして、わが国のそれと単純に比較することは困難でございます。ただ、今後とも長期的な計画のもとにわが方の予算も充実を図ってまいりたいと、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/235
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236・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 単純に比較ができないことは何もあなたの説明を受けなくてもあれですけれども、そう言ってあなた方は資料を出しませんから、私どもいろいろ調べてみますと、これは一九八一年の数字ですけど、イギリス〇・二%、フランス〇・五一、西ドイツ〇・一一、ソ連一・〇八、アメリカ〇・〇五ということで、いかにわが国の予算が貧弱かということ、もう疑うべくもないと思うんです。
そこで具体的に聞きますが、演劇、音楽など、そういった舞台芸術に対する昭和五十八年度の予算はどうなっているのか。たとえば文化庁直轄の事業であるこども芸術劇場、青少年芸術劇場、この予算はどういう内容ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/236
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237・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) こども芸術劇場は、五十八年度でお願いしております予算総額といたしましては一億八千四百万ばかり、それから青少年芸術劇場につきましては三億三千八百万ばかりの予算をお願いをしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/237
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238・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 いま御説明があったようなそういう予算案の額ですけれども、いずれも対前年一割減ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/238
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239・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) ほぼそのような状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/239
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240・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 それで、これもここ三、四年の経過を振り返ってみますと、予算では何がしかの予算が計上される。そうして実際のこども芸術劇場なり青少年芸術劇場なり、予算上の実施回数、そういうものも明らかにされて、たとえばことしの五十八年度予算案であればこども芸術劇場百九十八回、青少年芸術劇場二百十三回、こういうことになっているのでありますけれども、過去五年間見てみた場合に、予算上の回数と実際に実行された回数、これは五〇%にも満たぬ、こういう姿になっているわけでありますが、この理由は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/240
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241・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) 若干予算の技術的な問題もあるわけでございますけれども、御承知のように予算につきましては前年度との対比が往々にしてなされるという形でございまして、私どももそのような形でまいった予算の額を、たとえばこのようなこども芸術劇場あるいは青少年芸術劇場の内容を充実させていく上で確保しながらさらに充実を図りたい、かような考え方で進んでおるわけでございます。したがいまして、予算上ただいま御指摘のようにこども芸術劇場百九十八回、あるいは青少年芸術劇場二百十三回というようになっておりますけれども、実際上実行の単価が上がってまいってきておりますために、実行の回数の方は、従来からそれより少ない形で行ってきているという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/241
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242・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 ですから国会などに提示する当初予算の、本年度これだけの回数のそういうこども劇場なり青少年劇場をやっていきますという形になっていても、実際はそのとおりに実施されないという、こういう非常に予算単価が低いということのための予算になっている。こういうことがこか数年続いているということですね。
さらに問題なのは、民間文化団体の活動に対する国の援助の貧弱さの問題であります。民間団体である日本児童演劇協会、これが全国の子供たちに生のすぐれた児童演劇を見せようと地方巡回公演をいろいろ努力をされているわけでありますが、この児童演劇協会の年間の公演回数、それに対して国が補助を行っておる補助対象の回数、それから補助額、これはどういう状況ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/242
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243・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) 日本児童演劇協会に対します昭和五十七年度の予算で計上しております公演回数は三百二十七回でございまして、実際上も三百二十七回やっていただくという予定で、補助金額は四千万円を計上してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/243
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244・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 実際にその児童演劇協会が行っておる公演の回数は何回ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/244
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245・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) 三百二十七回でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/245
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246・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 いやいや、それは補助を行っておるだけでしょう。実際に補助のない、それを含めてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/246
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247・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) 恐縮でございますが、ちょっと補助の回数のみ手元にございまして、その他補助を受けないでやっている回数についてはつまびらかでございません。必要があれば後ほど申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/247
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248・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 質問の通告要求をしてあるんですから、よく準備をしておいてもらいたいと思うんですが、たとえばその前年、昭和五十六年度について言えば、公演の延べ回数二万三千四百二十回、総回数、国の補助が出たのが二百八十一回ということですから、国の補助が出るのは一%にも満たないという回数だと。しかもその補助額がトータルで昭和五十六年度について言えば三千七百五十万円、さっき五十七年度四千万円というお話でありますが、大体一公演当たり十三万円ぐらいですね。ですから、ずいぶん苦労をしてひとつ子供たちにいい演劇を見せようということでやっておる全回数の一%ぐらいしか国の補助が出ない。しかも出る補助は一公演当たり十三万円、大体少な目に見たって、どんなに経費を節約したって一回の公演に二、三十万はかかるというのがこの関係者のお話なんです。こういう姿というのは、本当に子供たちを健やかに育てていくためにいい文化に触れさせていこうというこのうたい文句にぴったり合ったそういう施策になっているかと、こういう点で文部大臣どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/248
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249・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 佐藤さんとのいろいろな質疑応答を聞いておりまして、確かに、私はこういう方面は素人でございますけれども、わが国が政治の面でいわゆる狭い意味の文化というものを取り上げたのは非常に歴史が浅いわけであります。いろんな日本的な文化がありますけれども、これはまさに自然発生的といいますか、民間といいますか、国民のいろんな芸術その他に努力した結果が出ておりますけれども、国政に取り上げて文化行政をし、これを振興しようといいますか、そういう点はいま何年だったかなと思って聞いたんです。佐藤内閣のときでございましたが、四十三年、初代の長官が今日出海さんでございましたが、非常に歴史が浅い。欧米先進国に比べましてそういう意味においては非常に浅いと、私は率直にこう思います。まあ御承知のとおりパリあたりへ行くとちゃんと国立劇場が昔からある。日本に国立劇場ができた歴史はまだ浅い。このどろいろんな第二国立劇場とかなんかやっておりますけれども、そういう意味でやはりこれは今後努力をしていかなければならない。しかし、なかなか正直なところ御承知のような財政の苦しいときでありますから、そう思ったように希望どおりにいかない。
ただ、私が先ほどから承っていて、総理がたくましい文化、福祉の国を建設したいと、こういう言葉を使われたのでございますが、これで言われておるのは、これはなかなか参議院の本会議でも問いがあったから、これは珍しい表現でございますということを私申し上げたのでございますが、これは、いま質疑応答がありました文化庁が担当するような文芸とか芸術とか絵画とか演劇とか、そういう狭い意味の文化を私は限定して指しておるものではないと思う。やはり個性豊かな創造力たくましい、しかもいわゆる福祉豊かな、言いかえると、物質的にも精神的にも豊かな国をつくりたいと、こういう意味でたくましい文化と福祉の国を建設したいと、こういう表現になっておると、私はそう解しておるんです。
ですから、さっき来聞いておりますと、たくましい文化というとなかなかお答えが戸惑ってくるんじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、いま質疑応答がありました狭い意味の文化にもまだまだわが国の政治として文化に対する努力は不十分である。歴史も浅いし、今後努力を続けなきゃならない問題であると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/249
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250・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 いま大臣も認めておられるように、文化の概念を広くとらえるか狭くとらえるか、そこの問題はさておくにしても、日本の文化行政の歴史が浅いということの中から、決して胸張って語れるようなそういう文化行政、文化予算の水準にないということを自認をしておられるわけですけれども、私は文化庁直轄事業あるいは民間、そういう自主的な演劇団体、これの行う子供たちのための演劇活動、音楽活動、こういうものに対する国の助成というのが本当に貧弱だということを、数字を挙げてこの委員会において明らかにしたつもりですけれども、たとえばほかの点ですね、そういう文化芸術活動のための施設、これがどういう現状になっているかということで、たとえばそういう演劇、音楽等公演をするホールのある数、市、町、村と見て、市でどれくらいの率か、ホールがある率、町でどれくらいの率か、村でどれくらいの率か、文化庁掌握しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/250
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251・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) これは五十七年の三月末現在の数字でございますけれども、五百席以上のホールを持ちます文化会館は都道府県立が五十七、人口十万以上の市が二百三十七、広域市町村圏の中心都市で人口十万人以上のものを除くところが百七十九、人口十万人未満の市が百二十四と、合計五百九十七という数字が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/251
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252・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 そういうホールの絶対数で報告をされておるわけでありますけれども、これは、全国子ども劇場おやこ劇場連絡会というところで、文化庁から補助金が出て、それによってこういう冊子を編集をして発行されておる、そういうものですね。ですから内容はよく御存じと思いますけれども、これの、昭和五十八年版、「子どもの文化と環境(2)」というこの冊子、ここの統計で「ホールのある市町村数」ということで、市について言えば設置率七五%、町について設置率一・〇%、村は設置率〇・三%。ですから、町村に至ってはもうほとんどなきに等しい、こういう状況である。こういう状況でそこに住んでいる子供たちに豊かな文化に触れる機会をできるだけつくっていこうといっても、そのことに本当にほど遠い姿にあるんじゃないかということが、この点も数字的に明瞭だと思うんですけれども。ところがこういった施設に対する国の予算補助、これはここ五年間伸び率ゼロ、こういう姿になっているのであります。この点はどうしてもひとつ改善をしてもらう必要があるというふうに思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/252
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253・浦山太郎
○政府委員(浦山太郎君) ただいま文化庁の方からは、御指摘のように文化会館に対する補助を行っているわけでございますけれども、現在そのような文化会館、補助を受けまたは受けないで建設が全国的にかなりされておるわけでございますけれども、問題になっておりますのはそこの運営の問題でございます。と申しますのは、せっかく施設をつくりましてもその施設を有効に活用できているかどうかという点に批判がございまして、そういった点については、私ども今後ともやはり十分県や市町村と話し合いながら何らかの手助けができればこれを行っていきたいというように考えているところでございますけれども、現下のいろいろな御承知の状況からいたしまして、このような建設をするために補助金を欲しいという地方団体は限られてきておるわけでございまして、大体そのような現在の需要に見合った補助を私どもとしてはやってきておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/253
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254・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 設置をしてもその運営が問題だという言い方で、私、数字を挙げたように町村に至ってはなきに等しいと、こういう姿が五年間伸び率ゼロでずっと続いているということについて、一体いいと思うのか。まあちょっと情けない答弁じゃないですか。大臣が横におるから気がねしておるのかどうか知らぬけれども。
大臣に最後にお尋ねをしますけれども、ひとついろいろ数字を挙げて申しましたけれども、この文化庁関係者を大臣としてもひとつ励まして、本当に未来を担う子供たちの豊かな成長のためにひとついい文化に触れる機会をたくさんつくっていく、このことのための努力ですね。なぜこのことを私きょう強調をするかといいますと、臨調がこれは文化の問題に限らず福祉の問題についてもこういう言い方をしているわけでありますが、個人の自立、自助の精神を非常に強調をする。ですから子供の文化のための演劇活動についても、それぞれ手弁当で、見たいというものは子供からお金を取ってやったらよろしいという、そういうことでゆだねていく、こういう形で国の援助、国が果たすべき役割り、これをないがしろにするというふうなことになったらこれは非常に大変だと思うんですね。おくれているんですから、速度を速めて先進諸国に追いついていく行政上の努力があってしかるべきであるというふうに思いますので、ぜひ文化庁関係者をひとつ励ましながら、特に文部大臣、先頭に立ってがんばってもらう必要があると思うんですけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/254
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255・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私は、人間社会は、生物と言ってもいいでしょう、これは根本的には自立自助の精神がなければだめだと思っております。しかし、それに任してしまうということになりますと、これはやっぱりまた非常な弊害がある。でありますから、臨調がよく自立、自助ということを主張しておられますけれども、その精神だけは私は根本的に間違っておると思いませんけれども、しかし、それだけに頼って政治がおろそかになるということは大変な間違いを起こす、こう思っております。
文化施設等についていろいろお話がありましたが、もちろん十分とは、先ほど申し上げたように思っておりません。しかし、これはなかなか口で言うように簡単には、国民の負担でありますからできませんが、さっき、文化庁ができたのは四十二年、まだわずか十五年そこそこだと言いましたけれども、最近各地方の町村を、全部じゃありませんけれども回ってみますると、いろんなすばらしい施設が、演劇でも集会でもできるような施設ができていることは事実でありますが、それをどう活用するか、こういうことが非常に大事じゃないか。決して後退することはできない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/255
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256・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 この後、実は自衛隊の学校教育介入の問題をちょっと取り上げたいと思っていたんですが、これをやり出すと相当時間がかかりますので、あともう十五分ほどしか持ち時間が残っておりませんので自衛隊問題は次回へ譲りますので、防衛庁御出席をお願いをしておったかと思いますけれども、ちょっとそういうことで失礼いたします。
それで、次の問題は国立大学のいわゆる定員外職員、賃金職員の問題について質問をいたします。
近年、行政改革の名によって公務員の定員削減が強まっていますが、大学や病院、研究所等も運営上必要やむを得ず定員外職員が雇用をされているわけでありますけれども、現在国立大学全体についてのその人数、何人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/256
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257・高石邦男
○政府委員(高石邦男君) 国立学校の非常勤職員は、昭和五十七年七月一日現在で七千四百二十人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/257
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258・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 毎年一定数、いわゆる定員全体としての、定員総枠は抑えられつつも新規採用というのがあると思うんですが、五十六年、五十七年の定員内職員として採用された人数、定員外職員の問題と別ですよ、この新規採用職員数は何人ですか、大学について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/258
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259・大門隆
○説明員(大門隆君) お答えいたします。
試験採用による職員数につきまして、これ五十六年度の数でございますが、一千七十五人になっております。これは行(一)関係でございます。それで、定員外職員からの採用者数でございますが、五十六年度は五百五十三人、そのうち行政職の関係が二百三十七人となっております。なお、五十七年度につきましては例年次年度の七月一日に調査をいたしますので、現在データがございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/259
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260・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 一方、いわゆる定員外職員、賃金職員、五十六年、五十七年新たに雇用した人数。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/260
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261・大門隆
○説明員(大門隆君) 定員外職員につきましては、先生御存じのように一会計年度以内で雇用するということでございますので、全部が四月一日に新しく雇用されるということになっておるわけです。しかしながら、一年未満の雇用者数、実質的には継続している者があるわけでございますので、一年未満の雇用者数を申し上げますと、五十六年度が千八百七十九人、五十七年度が千七百九十五人。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/261
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262・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 さてそこで、この定員外職員の人件費、これは国立大学について言えばどこから、積算校費から出ておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/262
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263・大門隆
○説明員(大門隆君) いまお話がございましたように、いわゆる積算校費、物件費から出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/263
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264・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 それで、人があってこそ教育研究は進むものでありますから、人件費も教育研究費の一部であることには間違いないわけですけれども、片や校費そのものが年々伸びが抑えられているという、これを一層窮屈にしておるということは事実だと思うんですけれども、しかし、大学の教育研究の運営上必要だとして定員外職員が現存をするわけで、さっきも数字ありましたように、現に五十六年、五十七年、一定の新たな雇用も起こっておる。ところが、先ほどの行政職について言えば、この新規採用約千三百、五十六年度について言えばですね、試験採用千七十五、任用二百三十七というのですから、それくらいですね。千三百のうち定員外職員から任用されていくのは二百三十七だということでありますと、二割ぐらいだと。こういうことでいきますと、七千四百二十人というこの定員外職員の人たち、この人たちが長年働いて定員として任用されていく、その展望というのはなかなかほど遠いものがあるわけですね。
私、京都ですので、京都大学のちょっと実情を聞いてみましたけれども、京都大学には四百三十三人の定員外職員がいると、これは昨年の数字ですけれども。そのうち四十歳以上が百十八人、勤続十年以上という人が百四十八人ある。こういう状況でありますから、したがって、さっきのようなせいぜい二割程度が新規採用の中に繰り込まれていく、こういう形では正規の定員になれぬまま一生を終わるということになる。こうした点でお尋ねをしたいのは、この任用採用、要するに繰り入れ、この任用採用の率を高めることを含めて、定員外職員の人たちの定員化のための積極的方針、これをどうしてもいま一度しっかり確立をしてもらう必要があるんじゃないかというふうに思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/264
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265・高石邦男
○政府委員(高石邦男君) 定員外職員につきましては、毎年その数を減少させるように努力をしておりまして、ちなみに申し上げますと、四十七年当時一万七百二十六人いた数が、五十七年度では七千四百二十ということで、全体的に非常勤職員の数を減らすように努力をしているわけであります。もちろん、定数内の職員として採用する以上は、一定の資質、能力を備えた人でなければならないわけでございます。したがいまして、非常勤採用になった人の中からそれに適する資格を持っている人、そして試験を受けて合格した人、それはできるだけ優先的に定員内の職員に組み入れると、こういう方式で漸次解消をしてきているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/265
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266・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 そういう任用採用を率を高めるという、このことも含めて積極方針をぜひ一段とひとつ検討してもらいたい。
時間が迫っていますので急ぎますが、昭和五十五年、例の文人給一〇九号通知、それ以降新たに雇用された定員外職員の人たちについて、いま、三年の期限が来たからということで、幾つかの大学で解雇通告、いわゆる首切り問題が起ころうとしているということで、非常に問題化をしているわけでありますけれども、この、五十五年以降の新たに雇用をした定員外職員については三年が期限だという、これは文部省の指導ですか、あるいは大学の自主的な態度なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/266
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267・高石邦男
○政府委員(高石邦男君) 給与の問題、身分上の問題、長くなりますといろんなむずかしい問題が出てくるわけでございます。したがいましてそういう問題を解消すべく、できるだけ給与について頭打ちの状況にならないように、また、身分について焦げつきの状態にならないようにというようなことで、三年程度のローテーションでいくという方針を立てないと、後々いろんなむずかしい労務関係が生ずるということで、そういう方針を基本的に各大学に示したわけであります。各大学はそれを受けまして、三年を限度とする、大学によっては二年を限度とする、いろんな取り決めを大学の自主的な判断で決めたわけでございます。したがいまして、現実的にはそれぞれの大学で大部分が三年という一つの限度を決めてこの非常勤職員問題について対処しようと、こういうふうに運用しているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/267
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268・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 私が改めてきょうここで引用するまでもなく、よく御存じのはずでありますが、問題のその昭和五十五年文人給一〇九号通知、これには三年というような文言は使っていませんね。そこでは「長期にわたる雇用とならないよう」という、この通知の1のイ項、「今後、真に止むを得ない事由によって新たに採用する場合においても長期にわたる雇用とならないように」と、こういう表現であった。そうして、さらにそれを受けて、その翌年の昭和五十六年四月の一日、参議院の予算委員会でわが党の小笠原議員が質問をしておる。それに対する文部省答弁は、文部省として年限を限った指導はしていませんという答弁。これははっきり会議録に残っています。
ところが、いまの官房長の答弁によると、基本的に三年という考え方で指導をしているかのごとき答弁。となると、これはいままで国会で公式に表明をしてきたあれが、ことしいまここで変わったのかと、変わったとすればそれは重大問題ということになりますね。私は、変わってるはずないと、基本的には任命権は大学が持っているのですから。校費をもってどれだけ雇うか、どういうふうに雇うかということの決定権は大学が持っているんですから、最終的には大学の判断にゆだねると、こういう問題の性格ではないかというふうに思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/268
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269・高石邦男
○政府委員(高石邦男君) 御指摘のように、通達そのものは期限を、期間を決めて通知しておりません。要するに、いろんな問題が生じない、長期的雇用にならないようにということでございます。ただ、各それぞれの大学で、一体どういう程度のことをやるかということを、いろんな情報交換をやっていくわけでございます。その中で、文部省の人事課に、一体どの程度のことをやっておけば後々問題にならないのであろうかというような事実上の相談というのがあるわけでございます。その際にそれとなく大学に対して、まあ大学の意見も聞いた上で三年程度がいいのではないかということで、大部分の大学が三年ということを自主的に決められた、そして、文部省もそれについてはまあ適当な措置ではないかと、こういう判断をしたということでございます。大学がこの問題についての最終決定権者であることは御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/269
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270・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 その大学側からの質問に対してそれとなく答えてるんだと。まさしくそれとなく答えているということで、文部省として画一的な三年ということで断固解雇、首切りをやれということを指示をしているわけではないということがはっきりしました。
そこでひとつ、とにかく必要があって雇っている。事実、形式上は一年雇用ですけど、三百六十四日雇用ですけれども、しかしかなりの人たちが事実上の継続雇用になっておる、そうならざるを得ない教育研究上の必要性というものがあってこそ今日まで来ているわけですね。そこで、私いろいろ調べてみたんですけれども、各省庁に大なり小なり定員外職員がいろいろあります。その中で、いま国立大学で起こっているほど、三年、これでもうポッキリだということで、解雇問題が重大化をしている例というのは、他の省庁には私聞かないんです。私もそれなりにいろいろ調べました。ですから、ひとつそういう画一的な首切りという、言うなら働く者にとっての重大事ですね、こういうことが起こらないようによくひとつ話し合って、そして大学が賢明な最終的な処理をすると、こういう方向でのそれこそ指導、助言をやってもらいたいというふうに思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/270
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271・高石邦男
○政府委員(高石邦男君) 各大学が学内でいろんな意見を聞いた上で最終的に決めるわけでございますので、その大学の意思決定を文部省として尊重していかなければならないと基本的に思っているわけでございます。ただ、一時的な人情を持って対処しますと、先ほど御指摘のように四十歳まで非常勤でいるということになると、そのこと自体が実は大きな問題になるということもあわせて考えていかなければならないということで、現時点における大学の三年間のローテーションはまあ妥当な対応ではないかと、こういうふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/271
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272・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 時間ですから、本日はやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/272
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273・小西博行
○小西博行君 まず大臣に質問を申し上げたいと思いますが、率直に申し上げて五十八年度の予算、これは削減ということが決まっておりますが、この予算に対して大臣の御所感をまずお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/273
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274・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 五十八年度の予算でございますか。これはたびたび申し上げておりますように、財政事情が御承知のように窮屈なときでございますから、何といいますか、しんぼうのできるところはできるだけしんぼうする。これは文部省だけではありません。全体的にいわゆるゼロシーリングと言われるぐらいに線を引いて内閣が向かっておりますから、その中で軽重を見ながら、先ほども申し上げましたように、文教行政に大きな支障を来さないように仕組みをしよう、こういうことでやったのでございまして、十分満足だと思いませんけれども、こういう状況の中ではまずまず、これが偽らざる感想でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/274
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275・小西博行
○小西博行君 一昨日の参議院の大蔵委員会で、竹下大蔵大臣の方から発言がありまして、文部省予算につきましてもどうやら五十九年度もマイナスというふうに私はまあとらえたんですが、全体の予算をマイナスにする、枠を入れると、そういうような発言があったというふうに私聞いておるわけでありますが、それに対してはどういうふうにお考えでしょうか。五十九年度です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/275
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276・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私はその発言はまだ承知しておりませんが、いずれにしても大蔵大臣、予算委員会等でいろいろ質疑を受けて答えておりますけれども、御承知のように経済情勢もまだまだ明るい情勢ではない。いわゆる増税はするな、国債はだめだと、いろいろ問題が多いものですから、なかなか五十九年度をどうするかということはこれからだけれども、非常に厳しいものと考えなきゃいくまいというような表現をして答えておりますが、それはもう少したってみなければわからぬことでございますから、国全体の財政状況の中で、それぞれ各省の行政がそれほど停滞しないようにという仕組みをしなければならない。そのときになってみないと、まだはっきりはわからないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/276
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277・小西博行
○小西博行君 マイナスシーリングもだんだん厳しくなっていきますと、だんだん予算的に逼迫してくるんじゃないかという感じもいたしまして、もし大幅なマイナスシーリングの形になった場合に、教育行政にどういう欠陥が出てくるのか、その辺を実はお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/277
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278・高石邦男
○政府委員(高石邦男君) マイナスシーリングといいましても、何%というパーセンテージにも大きな影響があるわけでございます。五十九年度一体どういう形になるか、全く私たちはまだ正式に知らされておりませんので、それをもとにした予算の作業は全然やっていないわけでございます。したがいまして、現時点でどういうふうになるということをここで申し上げることが非常にできにくいという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/278
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279・小西博行
○小西博行君 どうも予算の話をいろいろお聞きいたしますと、一般の民間と比べましてずいぶん発想も違うし、私どもが質問をする場合でも何かこう民間とは大分違うなという感じが実はするわけです。
と申しますのは、つまりマイナスシーリング、この行革の時代でありますから、何としても予算的に何とか抑えて、しかも効率を上げていかなければいかぬ、こういうのが実は私は一番大事な問題だと思うんです。ですから、予算が少なくなると即もう行革全体が停滞していくとか、あるいは効率が上がらないんだとかという問題がややもすると中心の課題になってしまう。先ほど田沢委員の方からもありましたが、先生一人でも、非常にりっぱないい先生の場合は大変大きな効率を発揮されると思うんですね。
そういう意味で私は、これからの文部行政にしても、これだけたとえばマイナス予算である場合にはこういう対応をしていかなければいかぬという、具体的な何か目玉が欲しいような気がするんですね。いまの予算の審議の過程の中ですと、どうも教員の数がどうだとか、四十人学級やれば全体によくなるということが中心になりましてね。もっと私は教育の効果というんでしょうか、そういうものに焦点を合わして本当は議論をしたい、こういうように考えておるものですから、その問題に対してはどのように考えておられるのか、ちょっとお聞きしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/279
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280・高石邦男
○政府委員(高石邦男君) ことし初めてマイナスシーリングの予算編成をやったわけでございます。その枠の中で大変な苦労をしながら、行政の水準を落とさないで、しかも教育の水準も落とさないで、どうやって工夫したらいいかというところを中心にいろいろ検討していったわけでございます。そして、結果的には五百億余りのマイナスの金額になったわけでございますが、どうやら教育水準を落とさない形で予算編成が五十八年度はできたと、こういうふうに実感として思っているわけでございます。
五十九年度以降一体その数字がどうなるかということでございますけれども、ことしの経験から言いますと、大変苦労してつくった予算で、もっと削れるんじゃないかというふうになりますと、もっと削れますということをこの場で私が申し上げるのは非常におかしな答弁になりますし、いままで経験しないような経験を積んで、今後財政状況に対応しながら文教予算も編成していかなければならないということは重々覚悟しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/280
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281・小西博行
○小西博行君 昨年もたしかこういう質問をさしていただいたと思うんですが、教育に対する、予算当然取ってやっておられるわけですけれども、評価ですね、私特に科学技術の方も同時にやっておりますから、研究開発に対する評価は一体どうなんだということも科学技術庁の方でいろいろ考えてほしいということを詰めておるわけです。だから、たとえばある学校では非常にいい教育をされているといっても、何をメジャーにして評価しているんだろうかなと。あるいは、どこそこ県については非常にいい教育結果が上がっているとかというようなことは当然あると思うんです。
もっと細かく言えば、ある先生のクラスは非常にいい教育なんだとおっしゃる場合に、上級の学校への進学率というのはすぐ出てくるわけですね。それ以外に何かそういうメジャーみたいなものがあってもいいんじゃないかなと、これはまあ勤務評定という問題では大変反対される政党の方もいらっしゃるようでありますけれども、何か先生に対してとかあるいは学校に対してとか、あるいは教育委員会に対してとか、あるいはもっと言うなら文部省ですね、文部省のそれぞれ担当されていらっしゃるわけですから、そういうものに対する評価の基準というようなものを何か出さないと、予算が少ない形でやっているからよかったんです、成果が上がったんですというのは非常に単純な評価になってしまうんじゃないだろうか。
そういう意味で、一昨年も大臣に申し上げたように、この非行問題とか校内暴力の評価だけでも実際はいけないんじゃないかと思うんですけれども、そういうものについて何か、文部省の中でいろんな研究会なり何なり設けてやったという経緯はないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/281
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282・高石邦男
○政府委員(高石邦男君) 地方行政に関する経費が文部省は大部分でございまして、たとえば鹿児島県と北海道と同じ子供たちの義務教育を実施するに、鹿児島によくて北海道にマイナスにすると、そういうことはなかなか行政としてはできないわけでございます。したがいまして、それぞれの今度は市町村の段階で学校をどう評価し、先生をどう評価していくかということの具体的な予算の執行内における対応ということはあり得るかもしれませんが、文部省レベルでそういう格差をつけてやるということは非常に問題を起こすということでできないわけでございます。
ただ、そういうように全国的に流す経費につきましても、節約できるものは節約をしていくというような形で対応をしていかなければならないと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/282
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283・小西博行
○小西博行君 文部省というのは非常にやりにくい省庁だなということをつくづくいつも感じるわけですけれども、何か私はそこに指導的なと言うたらまたこれぐあい悪いのかもしれませんけれども、何か教育の効果というのを考えないと、どうも皆さんがそれぞれ試行錯誤しながら、われわれから見ますと文部省そのものが、本当に教育に対してあるいは非行問題に対して、非常に熱心にこういうふうにやっているんだという姿勢が余り見えないんですね。何か問題が起きますと、それは地元の教育委員会が問題であるとか、あるいは学校とか先生が問題だということで片づいてしまっているような感じが非常にあるものですから、これは行革も含めて相当文部省内部で、どうやったらいい教育ができるのかということを真剣に考えていただいているような姿勢が出ていたら実は一番感じがいいんじゃないかなと、こう思っているわけです。
局長さんクラスで非常にりっぱな方ばかりだと思いますけれども、国会の答弁だけが何かすべてのような感じも多少いたしまして、これはかえって申しわけないという感じもいたしますけれども、もう少し各省庁の中での一つのビジョンというものを明確に打ち出していけると、たとえば課長さんクラスですとこうありたい、こうしたいというのがたくさんあるいはあるのではないかと思うんですが、なかなかわれわれがいろいろお聞きしてもそれは出てこない。過去の実際のデータというのは非常に詳しく御存じであるというような感じがいたしますので、文部省の内部でそういうディスカッション十分されていると思いますけれども、私はもう少しこういうような委員会の中でもそういう意見がどんどん出てもらえるような、そういう形をぜひ希望申し上げたいので、ずっと専門でやっておられるだけに、私はぜひその点を何かの形で表に出していただきたいなということを申し上げたいというふうに思います。
次へ移ります。文部省の予算全体としては、先ほど申し上げましたように抑制されているんですが、どうやら間もなく法案も出てまいりますが、国公立の学校の整備についてはかなり予算的にどんどん進んでおるわけなんですが、私学というのは毎年削減の傾向にあるという結果が出ておりますね。それに対して一体どうなのか、これから先もやはり私学というのはそういう非常に厳しく削減される運命にあるのだろうかなと、その辺をまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/283
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284・阿部充夫
○政府委員(阿部充夫君) 先ほど来、文部省一般の予算につきまして大臣あるいは官房長から御説明を申し上げましたことと重複するわけでございますけれども、御承知のようなマイナスシーリングの中での予算編成ということでもございまして、私ども従来から私学助成については私立学校振興助成法の精神を体してその充実に努めてまいったわけでございますが、こういった厳しい状況の中で非常につらい対応を余儀なくされたということであろうかと思うわけでございます。
いずれにいたしましても、要求段階で五%のマイナスシーリングというような状況の中でございましたので、最終的に大学関係では二%強の減、それから高校関係ではおおむね前年同額を確保することができたという点で、この額につきましていろいろ御批判もあろうかと思います。それはわからないわけでは決してないわけでございますけれども、現在置かれております諸条件のもとではある金額を確保できたというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、明年度以降またいろいろむずかしい時期にぶつかってまいるわけでございますけれども、こういった諸条件を十分勘案しながら、その中で最大限の努力をしてまいりたい、かように思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/284
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285・小西博行
○小西博行君 これは昨年もやはり同じ質問さしてもらったと思うんですが、例の経常経費の問題ですね、二分の一。ことしも恐らく私学の大学のいわゆる経費といいますか、授業料ですね、これは大変また値上がりされるのじゃないかなと、こういうように考えているんですが、そのことに対しては一般の家庭の収入からいきますと非常に大きなウエートになっておりますので、これは通告はしておりませんけれども、そのことに対してどのように考えておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/285
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286・阿部充夫
○政府委員(阿部充夫君) 今回あるいは前年度、本年度と私学助成の総額が停滞をいたしておりまして、その関係で授業料、特に私立大学の授業料に対する影響というのは私ども憂慮をいたしておったわけでございます。もちろん各私学に対しましてはできるだけ経営の合理化を図って、学生等の負担に嫁することがないように努力をしてほしいというお願いをしてまいったわけでございます。
幸いにもここ数年来の状況で申しますと、過去三〇%あるいは十数%といった授業料のアップのあった時代もございましたけれども、五十七年度におきましては結果的に六%のアップ、そして五十八年度、明年度、これから入る学生たちでございますけれども、五・九%のアップにとどまるということで、従来からの、ここ数年来のアップ率から言えば最低のところへおさめていただいたという感じがしておるわけでございます。いずれにしましても、金額が上がること自体が適切であると言うわけにはまいりませんけれども、それだけの私学側の努力を拝見いたしましてややほっとしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/286
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287・小西博行
○小西博行君 これも突然なんですが、そういうように進学率が非常に上がっておる、その中で一点だけお聞きしたいんですが、ドクターコースですね、オーバードクターというのは非常にふえていますね。これに対する何か対応、これは毎年そういう議論をされておるわけですが、オーバードクターに対してどういうふうに考えておられるのか、その辺は大学局長にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/287
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288・宮地貫一
○政府委員(宮地貫一君) オーバードクターの問題はかねがね御議論があるところでございます。オーバードクターの出てくる原因、いろんな点があるわけでございますが、一つには、日本の大学院の問題について、まだ大学院の制度そのものについての一般社会全体の理解と申しますか、そういうようなものも必ずしも十分でない点があるわけでございます。
たとえば日本の社会の一般的な雇用慣行からすれば、大体学部卒業者で就職をするケースが非常に多いわけでございます。もちろん分野によりましては、たとえば工学部系統では大学院の修士課程卒業者が相当高度の専門技術者ということで就職をするというようなケースもだんだんふえてきておるわけでございますが、オーバードクターの問題について言えば、やはり現実非常にオーバードクターと言われている者が多い分野というのは、特定の分野に比較的、たとえば理学部系統でございますとか、そういう分野に限られているわけでございますが、大学院で博士課程を修了した者が一般に望む就職先として、やはり研究者として生きたいというような希望が大変強い。
その反面、実際に大学なり、そういう博士課程を修了した者がその専攻分野を生かせるような就職先と申しますか、そういうものが必ずしもうまくマッチをしていないというような点がございまして、その際、博士課程の修了者の方で職業についてさらに幅広く選択をするというととがあればある程度解消される点もあろうかと思いますが、どうしても研究者として生きたいというような志向が強いというようなこともありまして出てきておる問題であろうかと思います。
いずれにいたしましても、大学院問題はいわゆるオーバードクターの問題に限らず、大学院制度全体のあり方についてやはり基本的に今後どう整備をしていくかという問題も含めまして、私どもも大きな課題だというぐあいに意識をしております。そういうような点を受けて、文部省内にも関係の専門家によります調査会議を設けて、鋭意検討も続けている点でございます。
一つには、大学人自身の意識を改めてもらうということも大変大事なことでございまして、先般来それぞれたとえば人文系でございますとか工学部系統でございますとか、そういう分野別に実際に大学で担当しておられる方々にも来ていただいて、問題点のヒヤリングをしながら、かつ大学人自身の意識の方も改めていただくというようなことで努力を積み重ねているところでございます。調査会議の結論を得まして、私どもとしてはそういう大学院制度全般の改革ということで取り組んでまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/288
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289・小西博行
○小西博行君 最近、ちょうど去年の初めごろからやっております流動研究システムというのが実は科学技術庁の中にできまして、そして研究開発ということでかなり進んでおるわけです。そのおのおののテーマがいま六つぐらいにたしかなっていると思いますが、二十人ずつが研究者として集まっているわけです。非常に著名な方がリーダーになりまして、新しい金属の開発であるとか、あるいは遺伝子組みかえとか、こういう問題をずっとやっておるわけですが、その中にオーバードクターの人を何人か採用されてやっている。ところが、現実これは五年間しか実は契約期間がないものですから、それが終わった後はやめていただくといいますか、そういうようなかっこうになっているんですね。
これは文部省の問題だけではないと思いますけれども、そういうせっかく大学院、しかもドクターコースを出られて、学位をとって、しかも新しいそういう先端技術の研究を五年間もやらしてもらって、その後さようならということでは余りにもかわいそうだなあという感じが実はいたします。それも入れた人はもう本当に幸せな部類だと思います。非常に大勢の人数の方が、私は広島なんですが、広島でも大勢おられまして、そして就職運動、何とかどこか入りたいということを絶えず頼みに来るわけですが、中小零細の場合はとてもじゃないがオーバードクターの人、いわゆる学位持った人はとても使えないと、こういうのが現実でありまして、本人はどこでもいいということで盛んに言われるんですが、現実大変就職がむずかしい。親御さんも大変失望されるというようなことがありますから、私はある意味ではこれから先の国公立の大学院、ドクターコースを出られる、こういうような条件はたくさんつくってもいいんですけれども、結果的にその後をどういう形で就職してもらうかということもあわせて考えてもらわなきゃいかぬなということをつくづく思いますので、その辺もあわせてひとつお願いしたいと思います。
次に教科書問題、先ほどから議論されておりますが、この無償問題について一、二点だけお伺いしたいと思います。
午前中からかなり詳しく議論がありましたから、ダブることはできるだけ避けたいと思いますが、私どもこれはもうもちろん無償化の方向でぜひ行っていただきたいということをずっと主張しておりますが、もしもこれが将来のいろんないきさつ上有償化した場合、現実にどういう問題が起こるんだろうか。この問題についてお答えいただきたい。
たとえば、一点としては、保護者負担はどの程度ふえるか。これは小学校では、中学校ではという金額が一応出ておりますが、それだけの金額だけで済むのかどうかですね。どのぐらいふえるのか、これが一点。それから二番目には、教育の機会均等という問題。これはどのように保っていけるのか、これが二点目です。それから三点目は、教科書の広域採択制度ですね、これは一体どうなるのか。先ほどちょっと出ておりましたが、四点目は検定制度との関係、これは全く関係ありませんという話でありましたが、この問題。五番は教科書出版会社との関係。この五つの問題についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/289
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290・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 有償化されました場合の問題点五つお挙げになったわけですが、保護者の負担につきましては、これはいま小西先生お挙げになりましたように、現在の費用、小学校について申しますと一人当たり平均が二千百三十三円、中学校が三千二百四十一円でございますから、これはそのまま父兄負担になるわけでございます。そのほか現行の教科書の発行制度なり供給制度が無償制度を基礎としてつくられておりまして、それが変更されますために、いろいろな製造過程でございますとか、あるいは供給の仕組みでございますとか、そういう観点から私どもとしてまだ積算はできないのでございますけれども、かなりの単価アップが考えられますので、そういうものを含めてやはり保護者負担というものを考えなければならぬというふうに思います。したがって、ただいま申し上げましたような数字に加えまして、かなりのアップした数字が保護者の負担になるというふうに考えられます。
それから、教育の機会均等の問題でございますが、これは先ほど大臣がお答えいたしましたように、教科書無償法が制定されました国会論議等、あるいはこれが制定されましたときの政府の考え方の中には、やはり過去におきまして一部の経済的に困難な家庭の児童生徒にのみ教科書を無償で供与するということを実際やったわけでございますけれども、その間の経験から見まして、対象となる児童生徒にいろいろ教育の場でふさわしくない感情と申しますか、そういうものをもらった生徒、それからそうでない生徒の間に好ましくない感情のようなものがある。それを差別感というか、劣等感というか、いろいろあると思いますけれども、教育的に一律に同じ物を支給するという方が教育政策としては望ましいのではないかという議論があってこうなったわけでございますから、これを有償にした場合には同じような問題点が生ずるのではないかと考えます。
それから、採択の問題ですが、これは無償法は、いわゆる義務教育教科書は無償とするということを宣言いたしまして、その実際の無償の措置につきましては別に法律をもって定めたわけでございまして、それが教科書無償措置法でございますが、これは単に無償にすると申しましても、いろいろな仕組みを整備いたしませんとできませんので、その際に発行者の指定でございますとか、広域採択制度というふうなものを整備いたしまして無償が円滑に実施できる基盤と申しますか、そういうものを築いたわけでございます。したがいまして、その際に広域採択を実施いたしましたのは、国が支給する無償教科書が迅速に供給できる、あるいはコストの面で何らかのプラスの面があるだろうというふうなことも考えまして広域的な採択制度をとったわけでございますから、これは有償になった場合、その制度との関連をどうするかということは非常に大きな問題になると考えるわけでございます。
それから、検定制度の問題につきましては、大臣がお答えいたしましたとおりでございますので、省略をさしていただきます。
それから、出版会社との関係でございますが、一番初めに申し上げましたように、現在の教科書無償制度のシステムが発行者に前払い金を払うとか、あるいは教科書の供給のシステムがその代金回収というふうなものが要らなくなっているとか、いろんな形で無償制度によって保証されている面がございまして、これは教科書発行者はかなり弱小の資本の会社でございますから、そういう意味で国が一括買い上げるという形で経営の安定が結果として図られているという点があるわけでございまして、それは無償教科書が供給されないような、発行されないようなことになりますと、国家としても契約を結んでやるわけでございますから、そういう点の安定性という意味からいろいろな措置をとっている、そういうことができないようなことになりますと、その分だけのやはり経営の安定でございますとか、金利の問題とか、いろいろな問題が生じてくるのではないかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/290
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291・小西博行
○小西博行君 どうやらやっぱりお金だけじゃなくて、その背後にいろんなたくさんの問題があるから、何としてもこれは無償で行かなきゃいけないということが非常に明確にされていると思います。
大蔵省の方いらっしゃっていますね。――大蔵省は、大変この有償化を積極的に進めようというふうにしているわけですね。きょうは文教委員会でありますから、みんな何とかして無償でいきたいと思っておられる方ばかりなんです。文部省もちろんそうです。そういう中で、大蔵省の御意見、なぜそういう有償化の方向に積極的に進めておられるのか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/291
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292・米澤潤一
○説明員(米澤潤一君) 大蔵省といたしましては、これまでに再三にわたりまして財政制度審議会及び第二次臨時行政調査会から教科書無償給与制度の見直しについて御指摘をいただいております。特に現在のように多額の特例公債に依存するというきわめて異例な厳しい財政事情のもとで、財政資金の効率的使用を図るという財政当局の基本的な使命にかんがみますと、この際、無償給与制度の見直しをお願いすべき時期ではないかということで、そういう主張をしてきたことも事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/292
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293・小西博行
○小西博行君 先ほど文部省の方がおっしゃいましたいろんな有償化の場合の問題点ですね、五つほど挙げておりますけれども、その五つの問題点に対しては個々にどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/293
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294・米澤潤一
○説明員(米澤潤一君) まず、保護者負担の問題でございますけれども、もちろんこれはだれが負担するかという基本問題から有償か無償かという問題が出ているわけでございますから、少なくとも現在の教科書の代金、小学校で二千円余り、中学校で三千二百円余りといったものが保護者負担になることはこれは避けられないところであろうと思われます。
一方、先ほど文部省の方から御答弁のありましたそのほかにいろいろなコストアップを招くのではないかという点につきましては、これは仮定の問題でございますので、いまここであえて議論を提起すべきではないかと思いますけれども、これはまたいろいろ工夫の余地があるのではないか。したがって、現在の供給なり取り次ぎのシステムをそのまま前提として、それが変わればコスト増は大変なものになるよと、必ずしもきめつけてしまうわけにはいかないのではないか、そこは工夫の余地があるだろうというふうに期待しております。
それから第二の問題でございますが、一番この制度発足のときに御議論いただいた点だと思いますが、いわゆる生活保護、その他低所得者対策をどうするのかという問題でございます。確かにこの制度発足のときにそういう御議論が非常に大きなウエートを占めてきたことを承知しておりますけれども、ひるがえって考えますと、現在でも学用品とか給食費、それから修学旅行費といったものにつきましては要保護、準要保護児童生徒に対する援助という制度がございまして、これは補助金でございますから、実際には国の予算の補助率で割り戻しただけの事業費があるわけでございますが、国の予算、補助金ベースで五十七年度に二百八億円の予算が計上されております。
これが、もちろん時代とともにいろいろその辺変わってくるのだと思いますが、運用が教育現場に混乱を招かないような方法で、もうちょっと平たく申し上げさしていただきますと、教育上の悪効果をもたらさないで低所得者に対してそういう援助ができるという制度がもはや定着しているのではないか。したがいましてそれは、学用品、給食費のほかに教科書もそういう制度に仮になったといたしましても、そこで非常な教育上の悪効果が出るというものでは必ずしもないのではないかとやはり期待しております。
それから、三番目以降の問題は、これは文部行政プロパーの問題かと思いますが、基本的には、採択の問題、検定の問題、それから出版会社との関係というのと、費用負担をだれがするのかという財政の問題とは、これは異質の問題であろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/294
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295・小西博行
○小西博行君 私、いま聞いておりながら、あなたにざっくばらんにいろいろお聞きしたいと思ったんですが、あなたがもし文部省に入っておられたら全然違った御意見を述べていらっしゃるんじゃないかなと、そういうことも理解しないわけではありませんけれども、そういった意味で、大蔵省そのものが文部の行政についてやっぱりかなり詳しく知らなければいかぬなというふうに実際私は思うんです。ですから、その辺も含めて、ここで文部省と大蔵省とけんかしてもらいたいとは思いませんが、大臣どうでしょうか、これは彼だけの問題じゃないと思うんですけれども、そのように非常に教科書的にいま言っていただいたんですけれども、これに対しては大臣、どのようにお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/295
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296・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 大蔵省の担当にしても、そういう方針でおられますから、そういう意見をおっしゃることも理解できないわけじゃないんです。ただ、せいぜい現在で四百五十、五百億足らずの金です。五十兆円の予算を持っておるときに、本当のところ文教関係でこのくらいのことを削らなければ国家財政はむずかしいなんというのは私はおかしいと思うんです。これだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/296
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297・小西博行
○小西博行君 なかなかいい御意見だと思いますが、私も、実際は大蔵省の内部でもかなり合理化できる部分があると思うんですね、あえてここでは申しませんけれども。だから自分の省庁、つまり縦割りだけの中でいいとか悪いとかいう論議じゃなくて、やっぱり私は、将来の日本を考える場合に教育というのはどの程度価値があるものだということを考えた上で、予算化という問題もあわせてしていかなければいかぬと思うんです。最初に申し上げましたように、この予算の金額だけで私は物を言っているのじゃなくて、むしろ教育行政、すばらしい教育をするためにはどういう仕組みをつくればいい、システム化していけばいいというような問題も含めて、これは金額もあわせてお話をしているわけでありまして、何も予算が一〇%ふえたからすべてがすばらしくなるとは私は思いませんけれども、そこには文部省の当然の知恵が要るというように私は思うんですね。知恵が要ると。だから、知恵については文部省がんばっていただきたいというふうに思います。
せっかく大蔵省から来ていただいたので、もう一点お聞きしたいと思います。
これはいつも文部省にお願いするわけですが、予算を獲得する場合のどうもそのノーハウが文部省は下手なんじゃないか。つまり、これだけ予算くれたらこれだけのことができますという、この因果関係が非常に弱いといいますか、証明できないという部分がかなりあると思うんですね。やってみて、十年たって二十年たってこうだというんだったら言えるんでしょうけれども、その辺の何か確固とした理論武装を前から文部省にしてくださいということを私も言っているわけですが、その辺どうでしょうかね。ざっくばらんに大蔵省の方にお聞きしたいんですが、何かいい知恵を、せっかく出てもらったんですから、若いあなたの方から教えていただきたい。もし教えていただくなら、われわれもそれで一生懸命がんばりたい、このように思いますけれども、一点でも二点でも結構ですが、感じる点をどうぞお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/297
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298・米澤潤一
○説明員(米澤潤一君) 先生御指摘のように、教育というものは国家百年の大計でございますけれども、具体的な予算との結びつき、どういう予算を計上すると直ちにこういう効果が上がるということが、計数的にはもちろん、ときには定性的にも証明しがたい面があるという教育というもののむずかしさは私どもも十分承知しているつもりでございます。
したがいまして、その証明が、たとえば橋をかけたときの経済効果というようなものと同じ次元でぴったりいかないからということで、文部省の予算が特に相対的に重要づけの面で適正を欠いているということは全くないと思っております。そのような教育の持つむずかしさというものを十分踏まえまして予算編成に、これは私がいうのは口はばったいのでございますが、大臣以下予算編成に取り組んでいると理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/298
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299・小西博行
○小西博行君 ありがとうございました。本当に参考になりました。
それでは次へ移っていきたいと思います。例のこれは非行問題に私は多少関係するんではないかと思うんですが、中高一貫教育の推進という問題ですね、これは文部省の方はどういうふうにお考えなんでしょうか。
現在の中学校ということになりますとどうしても、さっきのお話じゃありませんが、知育中心といいますか、何とかいい高等学校へ行って、いい大学へ行きたいための受験学校といいますか、一番大切な遊びたい時期でもあるのに、とにかく受験勉強と、そのために塾へもどんどん惜しげなく金を使って行く、こういう体制が見られているわけですけれども、これに対してはどのようにお考えでしょうか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/299
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300・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 戦後わが国が学校制度の改革をいたしまして、義務教育の九年という大方針を立てまして、新制の中学校三年を上乗せをしたわけでございますが、それはアメリカの教育使節団の勧告もございますけれども、戦前から教育制度の進展に伴いまして包蔵していた線に沿って教育改革を行ってきたというふうに理解しておるわけでございます。
したがって、それによってその上に新制の高等学校三年を積み重ねまして、義務教育の九年と後期中等教育三年というふうにしてやってまいりまして三十何年たったわけでございますが、その間に教育の普及という面で見ますと、ヨーロッパがいま非常に悩んでおりますのが後期の中等教育問題でございまして、その普及度、それが高等教育につながっているという点で問題があるわけでございますけれども、わが国はそういう意味の開かれた六・三・三という制度をとってまいりましたために、中等教育が普及いたしまして、その教育水準の向上が日本の社会の進展と申しますか、それに寄与したというふうに私どもとしては評価をしているわけでございます。
ただ、戦後三十五年たちまして、高校の進学率が九四%、ほとんどの者が進学をするというふうになってまいりますし、そのような状態の中で大学の進学率も四〇%近くなってくるというふうになりますと、制度と申しますよりも教える中身をどうするかという問題があるわけでございまして、実は昭和五十五年度に実施をいたしておりますところの新しい教育課程の基本的な考え方は、九十教%に達しました高等学校の進学率を基礎といたしまして、高等学校、中学校、小学校と、逆に一貫した教育課程をどうして組むかという観点から考え直しまして、そして組み直したものでございまして、これは制度の枠組みを変えるという問題は大変むずかしい問題でございます。
したがって、文部省としては中央教育審議会の昭和四十六年のいわゆる第三の教育改革といわれます提案の中に、いろいろな新しい提案というものもあるわけでございますけれども、現在の学校制度を支えている社会的な背景なり基盤というものを考えますと、軽々に制度の枠を崩すということではなくて、教育内容の面から一貫性のある、あるいはもっと子供にとって身につく教育内容、指導方法というものをどうするかという観点から検討を重ねてまいりまして、それが五十五年に小学校、五十六年に中学校、五十八年に高等学校というふうに順次実施しておりますところの新しい教育課程の基本的な考え方でございまして、そういう方向で教育内容の方で現在のいろいろな問題点を考えながら対応していきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/300
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301・小西博行
○小西博行君 四十六年に中教審の答申が出されて、その中で中高教育の一貫性というものが非常にいいんだというような回答を得ているというように私、確認しているわけなんですけれども、この問題についてはそのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/301
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302・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) これは中教審の四十六年六月の答申の中に、学校体系に関します提言が、一つのこれがよろしいということではございませんで、いろんな考え方がある、それを先導的な試行という形で着手をしたらどうかという提案でございます。中教審といたしましても、いろいろな学問的な研究なり過去の経験なりを重ねまして研究をしたわけでございますけれども、いま直ちに日本の社会におきましてこの学校の制度がいいというところまでは踏み切らないで、結局いろんな考え方を挙げまして、このようなものを、先導的な試行という手法を使ってやってみたらどうかと。
それは、新たな学校制度を開発するためにすぐに変えるんではなくて、たとえば中学校三年、高等学校三年というようなものをつないでみる場合に、全国一律にするのではなくて、ある特定の地区とか特定のタイプのようなものをつくって、二つの学校制度を走らせまして、十年ぐらいたっていろいろ検討した結果を比較考量して、どちらがいいかというようなことでやるのが先導的試行だと言っているわけでございます。
しかし、その考え方はかなりむずかしい手法でございまして、法律の改正をいたしまして新しい制度を走らせる。また、それについての全国民のコンセンサスというものも必ずしも得られていなかったということでございまして、せっかくの御提案があったわけでございますけれども、先導的試行という手法を使って二つの学校体系のようなものを走らせながらやるというのは、どうもわが国のような教育制度をずっと全国一律にしいてまいりました国柄としてはなかなかむずかしいんではないか。
そこで、文部省としては、中高の教育内容の一貫性というようなものを、研究開発学校というような学校を委嘱をいたしまして、教育内容から中高の一貫性のようなもの、提携とか連関とか、そういうような観点からの検討をずっとしてまいっているわけでございまして、そういうものもあわせながら、今回の指導要領の改定の方にも反映させるという措置をとってまいったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/302
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303・小西博行
○小西博行君 戦後のいわゆる六・三・三制というのは、アメリカから指導を受けながら入ったわけですけれども、どうもその当時から比べると、子供さんの肉体的な条件もずいぶんよくなっているんではないかと思うんですね。それから、学校制度でもいろんな学校制度、私学の場合なんかというのはわりあい思い切った教育もできるわけですが、そういう比較検討というものが明確に何か資料としてないという面も一つ大きな私は問題じゃないかと思うんです。
ですから、私はこの六・三・三制が、あるいは五・四・四であるとか、あるいはもっといろんな方法もあると思います。そういうような方法を考える場合に、何か実験的にやってみる必要があるんじゃないか。法律的には非常にいま厳しい制約も受けておるようです。欧米ではこの義務教育の場合は、各州であるとか、そういう一つの単位で、地域の中でわりあい自由にやっておるようなんですが、それを実際まねしようと思ったら法的な改正が大変だということでやっていないようなんですが、せめて国立の附属高校あたりで何かそういう一貫性教育、こういうもの、現在でもやっている学校は大分ありますけれども、そういう成果がよければ、せっかくいい結果が出ておるんだから何かいい検討はないものか、こう思うんですがね。
どうなんでしょう、これは大臣にお聞きしたらいいかわかりませんが、将来、そういうことについて検討しようという気はございますでしょうか、成果がいいということになればです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/303
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304・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 四十六年に中教審からそういう一つの何といいますか、試しをやってみたらどうかという意見が出ておるということでございますが、中教審といいますと、それこそ教育関係の専門家の集まりでございます。私ごときがそれにどうだこうだというのはちょっと失礼に当たると思いますが、六・三・三制というものがいいか悪いかいろいろな議論が今日あります。
もちろんいつも申し上げておりますように、あらゆる制度は、年数がたってみますると、長所、欠点いろいろありますから、いかにあるべきかということを検討することはこれはもう当然でございますけれども、私は中高一貫性というのはよくわかりませんけれども、これが、もしいまの中学校と高校まで一つの学校でやるというような場合は退屈するんじゃないかという気がして、これは素人考えでございますけれども。やっぱりたまには変化がないと、人間の生き方というのはかえって退屈して妙な生徒ができてくるんじゃないかという気も実はしておるわけなんです。ですから、これは実行して、いまお話しのようにどこかで研究してみることはいいんですけれども、これを制度として立てることはどうかなという感じはしております。
ただ、六・三・三制については、私は専門家じゃありませんが、いろいろ意見があっちこっちにあります。しかし、どれがいいかという確たる結論めいたものはまだ出ておらぬのじゃないか。しかも、局長も言っておりましたけれども、こういう学制制度というのは、国全体将来にわたって大変な大事件といいますか、大きな問題でありますから、軽々には結論出すわけにはいかないわけですけれども、さればといって、いろいろ欠陥があれば何かの試みをしなければならない、進歩がありませんから。でありますから、中教審等でも教科内容の検討というようなことを含めて、この制度がいいか悪いかということも考えてもらっておるわけでありますから、そういう意見等出ましてから、さらに衆知を集めて、国民的な理解を得ないとよけい混乱を起こしますので、そういう気持ちでこの問題に対応したいと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/304
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305・小西博行
○小西博行君 途中でありますけれども時間が来ましたので、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/305
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306・前島英三郎
○前島英三郎君 おとといは時間も短くて、私の質疑がしり切れトンボのような形で終わりましたので、おとといの続きというようなつもりで始めたいと思います。
共通一次の問題なんですけれども、前回、大学局長は、昨年十二月二十四日の予算委員会での答弁について何かお述べになりました。あいにく私はちょっと聞き漏らしてしまいましたので、会議録もまだできておりませんから、もう一回ちょっとお答えいただきたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/306
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307・宮地貫一
○政府委員(宮地貫一君) 昨年十二月二十四日の答弁で申し上げました点について、若干質問者と答弁側との間でやや受け取り方にそごがあったのではないかという危惧をいたしましたので、一昨日、この席でお答えを申し上げたわけでございます。
高等学校の新しい学習指導要領が五十七年度の高校入学者から適用されることになったわけでございます。これに伴ってその年に高等学校へ入りました者が大学に進学するのが昭和六十年度になるわけでございます。したがって、昭和六十年度以降の大学の学力検査の実施教科科目についてどうするかということでございますが、それは新しい学習指導要領に即したものにすることが必要になるわけでございます。
そこで文部省としては、五十七年の四月に入試改善会議の検討も経まして、昭和六十年度以降の国公立大学については二次試験の、そして私立大学及び国公私立の短期大学の入学試験を通じての全体の学力検査の実施教科科目について通知をしたわけでございます。そして、それを文部時報に掲載をいたしたわけでございますが、その点は、国公立について言えば第二次試験についての考え方を基本的に述べたものでございます。そして、基本的には共通一次については、これは国立大学協会で検討した結果に基づきまして大学入学者選抜実施要項に盛り込むことになっておるわけでございます。したがって、やや答弁に質問者との間で食い違いがあったんではないかと危惧をしておりますのは、共通一次試験の科目そのものについての変更が六十年以降にあるように受け取られた点については必ずしも正確でないという点を一昨日申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/307
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308・前島英三郎
○前島英三郎君 私は共通一次を早く改善すべきだと思うし、文部省がそのために努力をしようとしていることを評価したいと思うし、おとといも大臣は、いろいろ問題もあるし検討が必要なんだというようなこともおっしゃっておったんで、いわば応援しようと思っているわけですね。応援してくれなくて結構というような姿勢をおとりになるとすればこれはまことに不可解千万と言わざるを得ない。
それは、いま局長そういう答弁をしていますが、十二月二十四日に質問された吉田議員にとってもこれは同じであると思うんですよ。三月三日に衆議院で質問された小林議員もまたしかりだと思うんです。まして教育の荒廃を憂う全国民にとって、国会での答弁が何を言っているのか、どうにでも解釈できるようなものであっては、何を信じていいかわからなくなる、こう思うんです。
それで、十二月二十四日の大学局長、あなたの答弁は会議録によるとこうなんです。いいですか。「五教科七科目の科目の選定につきまして大学に自主的な選択を認めるという方向で六十年度以降運営したいというのがその趣旨でございます。」もう一回言いますよ。「五教科七科目の科目の選定につきまして大学に自主的な選択を認めるという方向で六十年度以降運営したいというのがその趣旨でございます。」こうあなたが答弁しているんですよ。
これがどういう問いに対する答えなのかというと、文部省が発行している文部時報、いまあなたが言いましたね、七月号の記事の中で、「「六〇年度以降は各大学の判断により決定できることとした」とあるのは、これは何を指しておるのですか。」という質問に対するものなんです。
それで、文部時報の当該ページ、その前後を読んでも、大学入学者選抜実施要項改訂の前提となる四月二十六日の通知の内容を見ましても、このやりとりが各大学の二次試験のことであるなどという説明ができるはずがないんです。二次試験なんていうことの説明は絶対できないようになっている、あの通知では。なぜなら、通知でも、文部時報の解説でも、その後の方に共通一次学力試験実施に伴う第二次試験の出題方法について別に書いてあるんですから。高等学校の学習指導要領改定に伴う大学入試のあり方の改定でありますから、共通一次に参加してない私立大学もこれは当然対象になると思うんです。したがって、共通一次そのものを指しているとは言えないと思うんですね。しかし、共通一次をもその中に含むものであると受けとめるのはこれは当然だと思うんです。
しかも、大学局長は、吉田議員の当該質問の文言の中に使っていない「五教科七科目」という言葉をあなた自身が使っているんですよ。あなた自身がそれを使っている。五教科七科目というのはどうかというと、これは共通一次の代名詞でしょう。共通一次の代名詞みたいなものでしょう。じゃ、五教科七科目なんていう大学がありますか。東大でさえも四教科でしょう。私立大学では三教科のところが普通なんですから。あなたは「五教科七科目」という言葉を使っているんですよ。ですから、五教科からそれぞれ一科目を回答させることを原則として大学が定めるという部分は、実質的には共通一次の科目について述べているということになるじゃありませんか。それが、不思議なことにことしになって様子が変わってきたんです。
一月十八日付で六十年度からの大学入学者選抜実施要項が通知されたわけなんですけれども、今度は共通一次の教科科目は別枠にされているんですね。しかも、「大学と学生」という文部省発行の雑誌に掲載された解説では、ことしの二月号なんですけれども、「学力検査」と書いて「(共通一次以外)」と、こう書いてあるんです。ことしになってずいぶん様子が変わってきているわけです。そこの部分は、大学局長の十二月の答弁はいわばその変わり目の時期に答弁しているわけで、いまになってその中身を変えるというのは、これは国会答弁は何だということになるし、ルール違反もはなはだしいと僕は思うんです。しかも、おとといの答弁は、あれは各校の行う二次試験のことだといううその答弁をするということになりますと、これはもう私は納得いかないです。その辺はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/308
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309・宮地貫一
○政府委員(宮地貫一君) 確かに、五十七年四月二十六日の通知そのものの書き方について、これは各国公私立大学長あての通知でございまして、いわば入試についてそれぞれ専門に取り扱っている人たちに対する通知でございましたので、その点についての理解について、いわば入試に関係する関係者としては、事柄としては十分お互いに熟知をした方々に対する通知でありましたものですから、その点についてやや表現が不適切であったと申しますか、十分至らなかった点があるということはこの席で釈明を申し上げたいと思います。御説明いたしましたように、六十年度以降の入試全体についての説明でございまして、共通一次そのものについての説明では基本的にはないわけでございます。
そこで、委員の御質問に対して、私ども、決してこの共通一次の改善そのものについて取り組まないというようなことを申し上げているのでは毛頭ございません。もちろん、共通一次そのものについてもいろいろ御議論がある点は踏まえまして、共通一次そのものについての改善策についてもこれは取り組まなければならないということで、すでに一昨日の御質問にも御説明申し上げたように、それぞれ入試改善会議におきましても、また国大協の常置委員会におきましても、具体的に共通一次の改善策について、世間で言われておりますようないろいろな問題点は取り上げてそれぞれ取り組んでいこうということで取り組みをいたしておるわけでございます。
そして、その際申し上げましたように、いつからやるのかというお尋ねがございまして、先ほども申しましたように、六十年のことについてはもうすでに事柄として決められておるわけでございまして、取り組むとすれば一番早くて六十一年以降のことでございますと、しかしながら、やはり共通一次そのものが大変世間一般にも非常に社会的に関心の高い重大な問題でございますし、仮に六十一年からやるにいたしましても、そのことについては事前に十分理解をしていただくために、少なくとも五十八年度じゅうぐらいにはその結論を要するのではないかということで御調明を申し上げておるわけでございまして、共通一次試験の改善策について私どもとしてももちろん全力を挙げて取り組むつもりでございますし、その点についてはいろいろ御示唆をいただいておりますような事柄について、取り組んでいく事柄については、委員御指摘のように共通一次について取り組まないというようなことで申し上げているのではない点を御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/309
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310・前島英三郎
○前島英三郎君 ですからね、新聞報道もされているし、あなたはそういう発言ではっきりと述べているわけです。だから私の質問、私もこの点は勉強不足の部分もありましたから深くはおとといは追及しなかったんですけれども、あれは各校の行う二次試験のことだなんていうのはこれはとんでもないことで、あなたはそういう意味では専門家、大学へ通知するものにしても、そういうものはまた多くの受験生の方にも流れていくわけだし、また報道もされていくわけですから、それはまさしく私は軽率な発言であったろうし、それは非常に欠いている部分が言葉の中にあったんじゃないかというような気がするんです。
ですから、私の印象から言いますと、文部省は昨年四月、一たんは六十年度からの共通一次の改革、それもアラカルト方式への改善を決意したものの、昨年末あたりからことしにかけてかなりぐらついてしまった。そういう経過があったんじゃないか。一体何がそうぐらつき出したのかということを何か聞きたいような気がするのですね。恐らくそのとおりだとは言わないと思うのですけれどもね。やっぱり初めの決意のとおりに、文部省の四月の一つの気持ちというものを私は持続してほしかったように思うのですけれども、その辺いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/310
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311・宮地貫一
○政府委員(宮地貫一君) 経過については先ほど御説明をし、御答弁申し上げたとおりでございまして、気持ちとして何かぐらついているんではないかとか、あるいは後退をしているんではないかというような御印象で受けとめられたとすれば、その点は私ども問題点は十分正面から受けとめまして、その改善策をどう進めるかということについては、積極的な対応で関係者の合意を得た上で進めていきたいということについては変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/311
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312・前島英三郎
○前島英三郎君 大学入学者選抜実施要項を見ても、その横成はまず国公私立大学全般の選抜方法が書いてありまして、五教科からそれぞれ一科目を解答させることを原則として大学が定めるというのは基本的な事項だと思うのです。共通一次については、いわばその例外として別に定めた形になっている。基本は基本だけれども共通一次は別というのは、これは教育行政として一貫性を大変欠いているような気がするのです。そういう意味では大変私は納得いかない部分があるのですけれども、大臣はどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/312
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313・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) そのいきさつは私よく存じませんものですから答えようがないのです。
この問題については、いま最後に局長が申し上げましたように、検討して早く結論を出そう、こういう立場でおるわけでございまして、いままでのいきさつは細かいことは私わからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/313
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314・前島英三郎
○前島英三郎君 ですから、私は六十年度は無理だというなら、六十一年には必ず改善を図るという、時期をこの際明確にしてもらいたい、そう思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/314
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315・宮地貫一
○政府委員(宮地貫一君) 関係者の合意を得ながらこのことは進めていかなければならない事柄でございますので、その点については、私ども国大協なり関係者の合意を得るように最善の努力をいたしまして、御指摘のように、なるたけ早くその改善が実現を見るように私どもとしても最大限の努力をいたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/315
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316・前島英三郎
○前島英三郎君 またいずれの機会に時間があったらもっとお伺いしたいと思うんですけれども。それでは次の問題に入ります、時間も余りありませんので。
先日読み上げました福岡県八女市の女の子の手紙のことに移るんですけれども、おとといは、手紙が届いたばかりでいきなり大臣に感想をお聞きしましたので、大臣も戸惑いがあったと思いまして、大変申しわけないと思います。
私は、いかに校長権限とはいえ、車いすゆえに不合格にするということは許されないことだと思っております。あるいは車いすだから不合格にしたんではないという言いわけをするかもしれませんけれども、しかし、事前の話し合いの経過やあるいは彼女の不断の努力あるいは学力、そういったものを考え合わせたときに、車いすだから不合格にした、その理由は言えないんだというふうな部分がかなりあったんじゃないかという気がするんですけれども、これは文部省として調べていただきたいということを申し上げておったんですが、どうだったんでしょうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/316
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317・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 御指摘がございまして、福岡県の教育委員会に調査をお願いしたわけでございますが、福岡県立福島高校の定時制課程を受験いたしました同県立筑紫養護学校中学卒業の中園和子さんの件でございますが、これが重度の肢体不自由の方でございまして、高等学校側におきましては、入学者選抜試験を行いました結果、総合的に判断をしてと、こう言っておりますが、総合的に判断をした結果、不合格としたというふうな報告を受けております。
福岡県の一般的な方針としては、軽度の身体障害者の普通高校への進学につきましては、たとえばトイレでございますとか手すりとか、そういう設備改善等の若干の配慮をいたしますれば受け入れることのできる生徒につきましては、学力的に問題がないということであれば受け入れることを妥当としているということを言っておりますし、そういうような報告でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/317
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318・前島英三郎
○前島英三郎君 文部省としては、教育委員会と学校側の立場から物事を見て、学ぶ側の立場から物を見てくれないという傾向があるような気がしてならないんです。今後の経過については私も関心を持っていきたいと思っているんですけれども、今回のようなケースは以前にも繰り返し起きている問題なんですが、その背景には、公立高等学校の学校施設設備のあり方にも原因がある。いま局長はそういう部分もちょっと述べられておりました。校舎が障害児を拒んでしまっている例が多いと思うんですね。中にはそれを教育問題とすりかえてしまって、たとえば、高校は知育だけでなく体育も重視するから、体育ができないなら自分の高校で学ぶ資格がないと。中園さんの場合もその部分もあったやに聞くんです。
というようなことを見てきますと、体育というものは健康な人たちのものに限られてはいないわけですね。障害者にも障害者の体育があるわけでありますし、というより、体育の目標の立て方というのは一人一人違っていて当然だと思うんです。百メートルが十秒から二十秒で走れる以外の者は人間ではない、普通学校では学べないなんということになっていきますと、これはやっぱり記録優先的になってしまいましょうし、甲子園型の子供になっていってしまうと思うんですね。しかし一生懸命、百メートル一分かかる人もあるいは十秒の人も、流す汗は同じなんだということが僕は本当の教育でなければならないというような気がするんです。知育が点数オンリーであってはならないように、体育も体力オンリーであってはならないという気が大変するわけなんです。
そこで、学校の施設設備の問題に戻りますが、中園さんが車いすであるということがかなり不合格の要因になっていると見るならば、学校施設設計指針というのがありますが、この適用範囲というか、指針の性格というのはどういうものなんですか、ちょっと答えていただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/318
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319・阿部充夫
○政府委員(阿部充夫君) 先生ただいま御指摘の学校施設設計指針でございますが、これは、私ども文部省が公立学校の施設整備に際しましての補助という事業を行っておるわけでございますので、それとの関連におきまして、各学校の建築計画につきましてこういう方向が望ましいという、まあ一種の指針を参考としてお配りをし、それをできるだけ尊重していただくようにしていると、こういう指導用の資料でございまして、内容的には幼稚園、小学校、中学校、高等学校から特殊教育の小学校についてまで述べられておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/319
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320・前島英三郎
○前島英三郎君 この学校施設設計指針は、以前国会でもお尋ねしまして、一般学校に在学する障害児のために配慮する条項も盛り込んでいただいたというような経過があるわけです。その時点ではまだ義務教育諸学校を念頭に置いておりました、いわゆる養護学校義務化という実施以前のころでありますね。
〔委員長退席、理事片山正英君着席〕
その中にはちゃんとこう書いてあるんですよ。「身体障害児童・生徒等と施設計画」というのがありまして、「身体障害児童・生徒等の使用上、洋式便器を設けたり階段などに障害児のための手すりを設ける等必要な配慮をする。」ということですね。これはどういうふうな解釈の仕方でいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/320
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321・阿部充夫
○政府委員(阿部充夫君) 御指摘がございましたように、昭和五十三年の十月にこの設計指針の改定をいたしまして、先生が御指摘の内容を新たに盛り込んだわけでございまして、これはもちろん、先ほど来話題になっております高等学校についても対象といたしまして、こういうことで配慮をすることが望ましいということで、これは、この資料をお配りすると同時に、また毎年都道府県等の担当者の研修会等もやっておりますけれども、そういう場においてもこの条項を説明をして理解を求めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/321
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322・前島英三郎
○前島英三郎君 そうしますと、中園さんの場合は、一階で四年間学べる学校はないかというんで福島高校のしかも定時制を選んだんですね。その定時制を選んだという理由は暦間働いていること。そういう働いている人たちに職場のことも聞きたい、そして自分も早く自立をしたいという願いの中から、自分の家から五分間という近距離であるということで私は応募したと思うんです。ですから、入試を受けたいという時点で、私はこういう設計指針の問題で、試験は受けさせる、だけれども合格はさせないというふうな形よりも、もっとその前にやるべき部分があるような気がするんですけれども、その辺はどうお感じになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/322
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323・阿部充夫
○政府委員(阿部充夫君) 先ほどのお話は、この場で実は初めて私は伺っておりましたので、内容を十分承知をいたしておらないわけでございますけれども、しかしながら、非常に重度の障害を持っておられるというような方の場合には、たとえばエレベーターが必要になるとか、いろいろ大変なことがあろうかと思いますので、にわかに施設上は対応できないというケースもあろうかと思いますが、
〔理事片山正英君退席、委員長着席〕
洋式便器あるいは手すりを設けるとか、あるいはごく若干のスロープをつくるとかいうような程度のことであれば、経費的にもそれほど大きいものではないと思いますので、そういう点については各都道府県等において対応できることではなかろうかと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/323
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324・前島英三郎
○前島英三郎君 そこでお尋ねしたいんですけれども、現在のシステムでは、義務教育の段階よりも高等学校の方が障害を持った生徒が入学する場合が多いはずだと思うんです。また、だんだん多くなっていくだろうと思うんですね。これは養護学校の中等部から普通高校に進学するという道が当然あるからだと思うんです。中には養護学校も高等部が設置されてないというような部分もあるものですから、どうしてもそれ以上のところを求めるとなると、高校、さらに大学。大学のことはまた後で伺いたいと思うんですけれども、そうなりますと、高等学校において障害を持った生徒が在学する場合の施設あるいは設備の改良など必要な配慮がなされるための対策が当然行き渡っていかなければならないというような気がするんです。
昭和五十四年度の養護学校の義務化、それからもう四年は経過しているわけでありますし、その子たちがやがて高等学校、大学へと進んでいく。その受け入れ体制の対策も、やっぱり場当たり的ではなくて、先を見越した施策が僕は大変重要だというような気がするんですが、文部省としてそのためにどのような指導をしておるのか、これからどのような施策を実行する考えがあるのか、現在すでに設備改善をした学校はどのくらいあるのか、現状についてもわかりましたらお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/324
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325・阿部充夫
○政府委員(阿部充夫君) まことに恐縮でございますが、比較的軽微な改装でございますので、各学校でどの程度のことをやっておるのかというのを私どもの方として現在つかんでおりません。いろいろな機会にまた問い合わせ等はしてみたいと思いますが、いずれにいたしましても先ほど来申し上げておりましたように、こういった指針に基づきまして各部道府県を指導しておるわけでございますので、今後とも研修会あるいは主管課長会議等の場において趣旨の徹底を図っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/325
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326・前島英三郎
○前島英三郎君 障害児は普通高校まで進学するのは少ないだろうと、こう頭から思い込んでいらっしゃっては大変困るわけでありまして、設備がないから入学させませんということになりますと、それはもう教育の問題ではなくなってしまうような気がするんです。基本的な考え方としては、教育方針があってそのために必要な施設設備を整えるというのが私は筋だと思うんです。で、高校が必要な場合にすぐに施設設備の改善ができるように、文部省として早い時期に対策を講ずる必要があるような気がしてならないんです。そして、これらの点を踏まえてもう一度福岡県の手紙の女性の問題について、大臣は今度はどういう御感想を持たれたかお伺いをしたいと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/326
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327・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) まあ具体的な福岡のお話の場合は、先ほど初中局長からもお答えしておりましたが、総合的に判断をして――試験を受けさせたけれども総合的な判断で入学はできなかった、こういうことでございますから、これにとかくは言いたくないのですけれども、もし施設の問題で、仮に通っても入学はその身体の障害の程度ではこの学校では無理だ、こういう判定があれば、それはあらかじめ注意してもらった方がかえってよかったのじゃないか、これは私の感想です。
それから一般論といたしまして、私、身体障害者の方々のデータをここに持っておるわけでございませんけれども、先ほど文化についても話がありましたが、率直に言って福祉の政策が全体的に日本はまだおくれておる。身体障害の程度によって、そのために養護学校等進めておるわけでございますけれども、それ以外の通常の学校にも行ける程度の状態ならば、できるだけ普通の学校に行きたいというのが、これは人間の希望でございます。でありますから、それにふさわしいだけの、この程度ならばこういう施設をしておけば入学ができる、こういうことは、これは簡単に言うようでございますけれどもやっておくべきだと、そういう面が確かにわが国はおくれております。
最近は、私も全部知っておるわけではありませんけれども、たとえば交通信号でも、だんだんいろいろ工夫をしてきておるし、あるいは駅や人が集まるところでは、車いすでも行き来ができるような、あるいは便所の改造もしておるとか、だんだん進んできておる。でありますから、高等学校全部一挙にというわけにはなかなかこれまいりませんが、少なくとも相当数の人口のあるところには一校ぐらいはそういう施設をするように進めるのが本当の意味の福祉、仮に何人おられてもそこで教育ができる程度のものであればこの施設があればいいというぐらいのことはしておくものだと思います。
そういう何か学校施設の方針があるそうでありますから、今後十分そういう点に、一遍にやれと言われてもこれはなかなかできるものではありませんから、心がけていかなければならない。また、そういう施設をしておるかどうかということは、今後機会を見てできるだけ全国の調べをしてもらうことにしていきたい、それはぜひ進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/327
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328・前島英三郎
○前島英三郎君 大臣、大変前向きのお言葉をいただきましてありがとうございます。
今度、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案というのが出ていますけれども、これからつくられる新しい校舎は、これは歩ける人も歩けない人も使えるようなつくり方にしますと、先ほど町田のいろいろ忠生中学の悪い面ばかりがよく論じられますけれども、たとえば町田ではほとんど新設の校舎は、車いすでもあるいは松葉づえの人でも利用できるようにつくっている。しかもそれもそんなに、あらかじめ設計の段階でつくりますと超過負担にはならないというようなことの報告なんかを受けますと、どうも教育の部分が非常に古い形の中で、しかも洋式便所は五六%ぐらいもう実生活の中でみんな利用しているのだけれども、学校は相変わらず和式トイレである。もう五〇%以上が洋式ならば、十ある中の五つは洋式便所にして、その中の一つは車いすでも使えるトイレをつくっておきさえすれば、これはもう車いすの人でなくてもだれでも使えるわけですから、足を骨折した人でもね。そういうふうな学校の設備という面にも、やはり文部省の積極的な取り組みをお願いしたいと思うのです。
そして、訪問教育ということも行われておりますけれども、現行は二日間四時間程度だということでございます。四時間でも中園さんという子は一生懸命がんばりまして、訪問教育の中から普通学校で学びたいというような情熱を持って挑戦したのだけれども、かつて「十五の春は泣かせまい」と言った方がおられましたが、障害を持つがゆえに十五の春をひどいやり方で泣かせてよいわけがないというような気がするんです。ですから、文部省の柔軟で適切な対応を私は要望しておきたいと思います。
次に、関連しまして大学における障害学生の受け入れ体制及びその受け入れ状況についても、この際、大学局長の方に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/328
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329・宮地貫一
○政府委員(宮地貫一君) 大学における障害学生の受け入れ体制とその状況についてのお尋ねでございます。
基本的には身体に障害のある者も、障害の種類、程度と本人の能力、適正に応じまして、一般学生と同様に大学進学の道が開かれなければならないと考えているわけでございまして、その趣旨によりまして文部省としてはかねてから各大学に対し、これらの者の受験の機会を広げるような適切な受け入れ方法、受け入れ体制の整備を図るよう要望しておりまして、各大学においてもその方向に沿った配慮が漸次検討され、実施に移されている状況にございます。
国立大学における身体障害者受け入れのための配慮といたしましては、昭和四十九年度から入学試験経費及び学生当たり積算校費について、また昭和五十一年度から身体障害者学生用設備について特別の予算措置を講ずるとともに、施設についても予算執行上配慮をしてきているわけでございます。公立大学については、昭和五十二年度から身体障害者学生用設備整備費の補助も行っているわけでございます。また、私立大学についても、身体障害者が多数在籍する大学に対しては経常費助成の中で特別の補助を行っているということになっております。こういうことで、各大学の施設設備の整備状況も順次改善されてまいっておりまして、昭和五十七年度当初現在で、国立で六十八大学、公立十九大学、私立九十二大学がエレベーター、トイレ、点字図書等身体障害者のための設備等の整備が行われているわけでございます。
なお、視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者等、身体に障害を有する者の入学者数でございますが、国公私立全体で昭和五十七年度八百二名でございまして、ここ数年約千人前後という者が入学しているというのが現状でございます。
なお、身体障害者の各大学への受け入れにつきましては、学部学科の教育の内容と障害の種類、程度との兼ね合い等を総合的に考慮する必要があるわけでございますし、一律な措置によって対処をするということはむずかしい面もございますが、今後とも能力、適正に応じて大学進学の道が開かれなければならないという基本的な立場に立って指導を続けてまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/329
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330・前島英三郎
○前島英三郎君 大学はそういう意味ではかなり門戸が開かれてきている。その前段の部分に非常に法律に振り回されて門戸が閉ざされている部分がある。そういう意味でも一番精神的に育ち盛りの子供にとっての教育を、これから統合という方向へ向かって温かい御指導をいただきたいと思うんです。
さて、その養護学校への就学通知に不服の場合に、現状では行政不服審査法によるしかない。そして、養護学校から普通学校への転校の規定があるので大丈夫だといった趣旨の答弁がおととい鈴木局長の方からあったわけなんですけれども、しかしどうもこれでは不十分でありまして、行政不服審査というのはこれは一種の裁判であるわけですね。一種の裁判であるわけだし、教育というのは相互信頼の上に成り立つものであって、裁判のような形とはなじみにくい面もあるんじゃないかというような気がするんです。先日もこの点では私もいろいろ伺ったところでありますけれども、何か別の方式を検討してもらえないものかという気がするんですけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/330
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331・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 学校の指定に絡みまして、非常にシリアスになった場合にそういう形になるということは大変不幸なことだと私も思います。しかし、せっかく障害の程度に応じまして養護学校を整備いたしまして、着護学校の義務制を五十四年から発足をした、そこにできるだけ丁寧な教育が、手厚い教育ができるような配慮をしてそういう施設に迎え入れているということもございますし、やはり判定には慎重な配慮が必要でございますので、判定の際に保護者の気持ちを十分お聞きするとかそんな形でできるだけ丁寧に運用をいたしまして、そういうトラブルが起きないようにしていくのがやはり教育的な措置だと思います。
しかし、どうしても親御さんのお気持ちとかそんな形で判定と違うような結果が出ると、判定と違う御希望があるというふうな場合に、その御希望によって先生がおっしゃるように試行錯誤的にやるというのをいまの制度の中で考えろということは、やはり私どもとしてはせっかく養護学校なり特殊学級なりいろんな学校を整備いたしまして、そこでいろんな障害の程度に応ずるような教育的な配慮をもって迎え入れるというふうな制度をとっております以上、これはやはり非常にむずかしい問題ではないか。御趣旨は、そういうトラブルがないように判定なり何なりの際に丁寧な運用をしていくということは確かにどもっともだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/331
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332・前島英三郎
○前島英三郎君 つまり、親御さんは校区の近い学校へ障害があるがゆえに行きたいと、中には全寮制ですから寄宿舎もありますよといいましても、六歳、七歳、八歳の子供を親元から離れてそういう寄宿舎へ入れるという、これは正常な親の判断では忍びないというのがあたりまえだと思うんですね。そういう部分では養護学校というものが近来たくさんできていて、それはそれで評価はできると思うんです。私はですから養護学校は否定はしてない。しかし、そこに入るか入らないかという部分はやっぱり最終的には一番身近な親御さんが判断して、普通学校でこの子にとってマイナスだと思うと、それはもう養護学校にという気持ちが働いていくだろう。絶対普通学校はだめなんですよというかたくなな部分が頑としてあるものですから、どうしてもその辺が何といいますか、そういう形のトラブルになってくるような気がするんです。
かつてずいぶん前、それはもう就学指導、あの養護学校義務化のころに、障害児は醜いというふうないわゆる障害児の見分け方みたいなものが文部省から出されていて、私は一度訂正を求めたことがありましたけれども、そういう部分の中で何か偏見というものが就学指導委員会とか地域の中に根差しているとしたら、私はやっぱり心ある教育というものを今後模索する努力はぜひしてもらいたいというふうに思うんです。
そこで、現実に行政不服審査法による不服申し立てをしているケースがあるわけですね。これは長崎県で実際にあって、この経過についても調査していただきたいということを申し入れておいたのですけれども、この経過はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/332
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333・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) これは長崎市と諫早市の保護者による不服申し立てと訴えの提起でございまして、調べましたところ、五十七年一月の下旬に、長崎の県の教育委員会が、梅野さんというお子さんに聾学校への就学通知を出した。それから峯友さんというお子さんに、県の教育委員会が肢体不自由養護学校に、これは県立でございますけれども、就学通知を出した。その後、保護者の委託を受けました弁護士から、口頭によりまして不服申し立てについての教示を求めるあれが長崎の教育委員会にございまして、八月二十日には長崎の教育委員会が文書で保護者に教示をした。
その後八月二十七日、長崎市の教育委員会、諫早市の教育委員会の就学判定に対しまして、これは上級官庁ということで長崎県の教育委員会に審査請求が出され、それから長崎県の教育委員会の学校指定に対しまして、上級官庁でございます文部大臣に審査の請求が出されたという経緯がございます。
その後五十七年の十一月二十二日に、長崎県の教育委員会が、上記の審査請求に対しまして却下の裁決をいたしました。文部大臣は、十一月二十五日でございますが、同様に却下の裁決をしたわけでございますが、これは審査請求を提起いたしました法定期間を過ぎていたということでございましたために却下したわけでございます。
そこで五十七年の二月二十七日に、両名の保護者の方から長崎地方裁判所に訴えの提起がなされているわけでございまして、その内容は、学校の指定処分の取り消し及び審査請求に対する裁決の取り消しというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/333
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334・前島英三郎
○前島英三郎君 そういう経過なんですけれども、最初は不服申し立て期限の六十日を過ぎているからだめだということで、これはいわば門前払いになったんですね。ところが、普通親はそういう行政不服審査という制度がどのくらいわかっているのだろうかと思うんです。そういうことは余りよくわからないわけですよ。知らないものですから、行政処分に相当するのがいつの時点になるかもわからない。三月いっぱいで年度が変わるから、三月三十一日から六十日でよいのかと思ったら、実は就学通知を出した時点から起算するんだと、こういうことなんですね。
そうすると去年の一月の末に通知を受け取って、二月、三月に教育委員会と親が話し合っているうち四月になっちゃった。つまり六十日たってしまってるんですね。何とか普通学校でと、こういうお願いをしていたところが、新年度だから四月であろうと、こう思っていた親は、つまり六十日たってしまって不服申し立ての期間が過ぎて、その結果門前払いになったと、こういうことになるんですけれども、その後上級審で今度は裁判になっているわけなんですね。県教委はどういう神経をしているのかなと、平気で引き延ばしを図っているとしか思えないんです。
本来その子供さんは去年四月の入学ですから、それから一年以上もたって裁判はまだ入り口のところという状況で、これから先もどれだけかかるかわからない。その間その子供は一体どうしたらいいのか。つまり裁判ということに教育がなじまないということ、私はその辺を言いたかったわけです。これにかわる何かやり方があるのではないか。三カ月どとにまた就学指導委員会に見てもらう、あるいはとりあえず入れてみる、しかしこの子にとって、ほかの子供たちの影響とかいろいろな問題が出てきたら、そこで初めてその子の適性に合ったそうした学校に入れるという部分ですね、そういうフォローというものがないまま、不服審をそういう法の道がありますからやりなさいと、全く音痴な親にとっては、そんなことは、どういうぐあいに法律がなっているかなんというようなことはわからない部分があるだろうと思うんです。
そういう意味での親切さが本当に欠けているし、教育の問題がこんな形で進められていいのかなあという気が僕はするんです。少なくとも長崎の教育委員会の態度を私はどうも誠意あるものというふうには思えないんです。その辺はぜひ指導してもらいたいと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/334
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335・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) 判定いたしまして就学の通知をいたしまして、その後いろいろな話し合いがあったということは聞いております。その間に御希望もお聞きいたしましたり、障害の程度とかいろいろなことを基礎にいたしまして話し合いが行われたというふうに聞いておりますが、やはりこのケースのように、どうしても判定に不服だという場合にはこういう形になってしまう。
これはいまの制度のたてまえから申しまして、やはり就学指導委員会がいろいろと調査をいたしまして判定をして、それに従って教育委員会はそれを尊重しているわけでございますし、また、就学の判定に当たりましても、いろいろといままでの蓄積がありますから、そういうものを使いまして慎重な判定をしている。また、先ほどお話のございましたような偏見のようなものがないような、一般的な就学指導に関するPRは予算を取りましてずっとやっておるわけでございますから、一般的な形ではこの制度の趣旨が大体理解されまして、ほとんどのところでは、若干のいろいろな話し合いがございましても最終的には判定の方向と親御さんの気持ちが一致いたしましてそういうふうになっているわけでございますけれども、長崎の場合には不幸にいたしましてそこがなかなか調整できなかったという点が確かにあろうと思います。
しかし、いままでのいきさつを申しますと、このような経過を経ておりまして訴えが提起をされているわけでございますから、しかし、その間にも長崎の教育委員会としては話し合いを継続をしてやっていくべきだというふうに思いますので、その辺の指導は十分にいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/335
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336・前島英三郎
○前島英三郎君 ですから、長崎では、その就学通知に行政不服審査による不服申し立てができると、こう書いてあるのですね。これ親切そうに見えるんですよ。ところが、実は責任逃れというか、もしくは親に対する圧力になってしまうんですね。そうすると、これはもう、とてもじゃないけれども何かノーマルな姿ではないという気がしてならないのです。ですから文部省も、たとえば今後、長崎に端を発して四十七都道府県にこういう部分がだあっといってしまうのか、その辺はどう文部省はお考えになっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/336
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337・鈴木勲
○政府委員(鈴木勲君) いまの就学通知の問題は、これはもともとそういうふうに不服申し立てとか、そういう不利益を課するような処分とは考えられないわけですから、普通の場合にはそういうようなことをしないと思います。ただ、長崎の場合には、そのような問題が起きましていろいろ御指摘があったんだと思いますので、ことしからそういうふうにしたというふうに聞いておりまして、全国の都道府県がそういう形のことをするかどうかということは、やはり一律な指導は私どもとしてはする考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/337
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338・前島英三郎
○前島英三郎君 ですから、今後何か非行性があると就学通知にもそういう一項が盛られて、何かとても鋳型にはめてしまうというのか、恐い感じもするんですね。だから小学校の教育、しかもこれから子供はどう成長していくんだろうか。子供にとってこの子のハンディキャップを補うのは教育しかない。五体満足ならばぐれている暇もあるけれども、この子にとってぐれる暇もない。ただひたすらに普通の子供たちと車いすを押したり押されたりしながら、やはり心の通い合うようなそういう強い人間に育てていきたいという親の願いがそれは中にはあるでしょうし、まして、あるいは就学指導委員会のおっしゃるとおりに、その養護学校というもののいい面の指導を受けて養護学校に進んでいく子もいるでしょう。しかし、そこの部分の最終的なキャスチングボートは教育委員会のメンツとか学校長のメンツとかいう問題じゃなくて、やはりその子にとって何が一番教育の場が幸せであるかというのは、親が一番考えているわけです。金井康治君は、六年間の努力が実ってようやく普通中学校に入れました。指文字で書くというような重度の子供でも、周りの人たちがそうして理解を持って初めて普通学校に入っていくというケースを見ましても、たとえばそういう問題が文部省にとってはちょっとけしからぬ、不服申し立てができるみたいなものを就学通知の中に入れちゃえというような逆行した方向になることは私は何としても避けてもらいたいと思います。
ですから、最後にその辺をひとつ大臣にしっかりとお伺いをいたしまして、大変さっき大臣から前向きな温かいお言葉をいただきましたので、教育は人の生きる道を教えるものである、むしろ遊びながら学ぶべきものであるというふうな言葉も承っておりまして、私はその辺を大臣に大変期待しているんですが、ひとつ最後にお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/338
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339・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) いまのお話はこの間から聞いておるわけですけれども、これが裁判というわけでもないんですけれども、不服審査――行政に不服な場合は不服審査と、これはもうあらゆる場合にあるわけでございますが、そこまでいっておるというのは非常にかわいそうだというか気の毒だという気がいたすわけでございます。しかし、長崎の場合、具体的なことはもちろん承知いたしておりませんが、いろいろ親御さんとも話をし、就学指導委員会でも検討したあげくのことで、なかなか親御さんとの意見が一致しなかったというところに、この子供さんをここに入れたんじゃ無理があるんだという判定だろうと思うんです。ですから、そこら辺はよく話し合ってもらうということなんですがね。
問題は、おっしゃるように子供がどっちの方が幸せに生きていけるのか、生きる道ができるのかと、これはもう抽象的になりますけれども、そうだと思いますが、先ほどのその施設じゃありませんけれども、できるだけ愛情のある扱い方をしてもらうように今後もそれぞれ注意をしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/339
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340・堀内俊夫
○委員長(堀内俊夫君) これをもって昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/340
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341・堀内俊夫
○委員長(堀内俊夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/341
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342・堀内俊夫
○委員長(堀内俊夫君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。瀬戸山文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/342
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343・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 委員各位には遅くまで恐縮でございますが、衆議院を通りましたのでございますから、ひとつ提案理由の説明をさせていただきたいと思います。
このたび政府から提案いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、昭和五十八年度における国立大学の学部及び大学院の設置、国立短期大学の新設等について規定しているものであります。
まず第一は、三重大学の人文学部の設置についてであります。
これは、この地方における高等教育整備の必要性も勘案し、かねてから調査検討を進めてきたものであり、今回これを設置し、教育研究体制の充実等の社会的要請に対応しようとするものであります。
第二は、奈良教育大学及び福岡教育大学の大学院の設置についてであります。
初等中等教育においては、より高度の専門性を有する教員の養成が求められているところでありますが、これは、既存の教員養成系大学のうち諸準備の整った両大学に教育学の修士課程の大学院を置き、こうした要求にこたえるとともに、学校教育に関する総合的な教育研究の充実を期するものであります。
第三は、高岡短期大学の新設等についてであります。
これは、地域の多様な要請に積極的にこたえ、広く地域社会に対して開かれた特色ある短期大学として、富山県に高岡短期大学を設置し、今後の短期大学の運営及び教育研究の改善に資しようとするものであります。
また、山形大学に併設されている山形大学工業短期大学部については、これを廃止し、同大学工学部に統合することといたしております。
なお、高岡短期大学は本年十月に開学し、学生の入学は昭和六十一年度からとするものであり、山形大学工業短期大学部は昭和五十八年度から学生募集を停止し、五十九年度限りで廃止を予定するものであります。
以上のほか、昭和四十八年度以降に設置された医科大学等に係る職員の定員を改めるとともに、その他筑波大学に係る規定等について、所要の改正を行うことといたしております。
以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/343
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344・堀内俊夫
○委員長(堀内俊夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/109815077X00419830324/344
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