1. 会議録本文
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000・会議録情報
本国会召集日(昭和五十八年九月八日)(木曜日
)(午前零時現在)における本委員は、次のとお
りである。
委員長 綿貫 民輔君
理事 太田 誠一君 理事 熊川 次男君
理事 中川 秀直君 理事 羽田野忠文君
理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君
理事 沖本 泰幸君 理事 岡田 正勝君
井出一太郎君 今枝 敬雄君
上村千一郎君 大西 正男君
亀井 静香君 木村武千代君
高村 正彦君 白川 勝彦君
高鳥 修君 森 清君
山崎武三郎君 石橋 政嗣君
大島 弘君 栂野 泰二君
鍛冶 清君 塚本 三郎君
安藤 巖君 林 百郎君
田中伊三次君
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昭和五十八年十一月十七日(木曜日)
午後零時四十一分開議
出席委員
委員長 綿貫 民輔君
理事 熊川 次男君 理事 中川 秀直君
理事 羽田野忠文君
井出一太郎君 上村千一郎君
木村武千代君 北川 石松君
北村 義和君 高村 正彦君
白川 勝彦君 高鳥 修君
玉沢徳一郎君 堀内 光雄君
森 清君 山崎武三郎君
田中伊三次君
出席国務大臣
法 務 大 臣 秦野 章君
出席政府委員
法務大臣官房長 根岸 重治君
委員外の出席者
最高裁判所事務
総局人事局長 大西 勝也君
法務委員会調査
室長 藤岡 晋君
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委員の異動
九月十九日
辞任 補欠選任
今枝 敬雄君 金子 一平君
上村千一郎君 正示啓次郎君
亀井 静香君 根本龍太郎君
木村武千代君 藤本 孝雄君
高村 正彦君 武藤 嘉文君
同日
辞任 補欠選任
金子 一平君 今枝 敬雄君
正示啓次郎君 上村千一郎君
根本龍太郎君 亀井 静香君
藤本 孝雄君 木村武千代君
武藤 嘉文君 高村 正彦君
同旦三十日
辞任 補欠選任
白川 勝彦君 柳沢 伯夫君
同日
辞任 補欠選任
柳沢 伯夫君 白川 勝彦君
十月四日
辞任 補欠選任
今枝 敬雄君 赤城 宗徳君
同日
辞任 補欠選任
赤城 宗徳君 今枝 敬雄君
同月五日
辞任 補欠選任
上村千一郎君 椎名 素夫君
高村 正彦君 塩川正十郎君
同日
辞任 補欠選任
椎名 素夫君 上村千一郎君
塩川正十郎君 高村 正彦君
同月二十八日
辞任 補欠選任
上村千一郎君 小澤 潔君
亀井 静香君 池田 淳君
高村 正彦君 染谷 誠君
白川 勝彦君 江崎 真澄君
商鳥 修君 地崎宇三郎君
森 清君 安田 貴六君
同日
辞任 補欠選任
池田 淳君 亀井 静香君
江崎 真澄君 白川 勝彦君
小澤 潔君 上村千一郎君
染谷 誠君 高村 正彦君
地崎宇三郎君 高鳥 修君
安田 貴六君 森 清君
同月三十一日
辞任 補欠選任
上村千一郎君 江崎 真澄君
亀井 静香君 地崎宇三郎君
木村武千代君 塩谷 一夫君
高村 正彦君 染谷 誠君
白川 勝彦君 安田 貴六君
同旧
辞任 補欠選任
江崎 真澄君 上村千一郎君
塩谷 一夫君 木村武千代君
染谷 誠君 高村 正彦君
地崎宇三郎君 亀井 静香君
安田 貴六君 白川 勝彦君
十一月十七日
辞任 補欠選任
今枝 敬雄君 北村 義和君
大西 正男君 玉沢徳一郎君
太田 誠一君 堀内 光雄君
亀井 静香君 北川 石松君
同日
辞任 補欠選任
北川 石松君 亀井 静香君
北村 義和君 今枝 敬雄君
玉沢徳一郎君 大西 正男君
堀内 光雄君 太田 誠一君
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九月八日
国籍法の一部を改正する法律案(土井たか子君
外六名提出、第九十三回国会衆法第六号)
最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する
法律案(稲葉誠一君外五名提出、第九十三回国
会衆法第七号)
最高裁判所裁判官任命諮問委員会設置法案(稲
葉誠一君外五名提出、第九十三回国会衆法第八
号)
刑事訴訟法の一部を改正する法律案(稲葉誠一
君外五名提出、第九十三回国会衆法第九号)
刑法の一部を改正する法律案(稲葉誠一君外五
名提出、第九十三回国会衆法第一〇号)
利息制限法の一部を改正する法律案(正森成二
君外二名提出、第九十四回国会衆法第二一号)
利息制限法の一部を改正する法律案(稲葉誠一
君外五名提出、第九十四回国会衆法第四〇号)
刑法の一部を改正する法律案(岡田正勝君外二
名提出、第九十八回国会衆法第一八号)
刑事施設法案(内閣提出、第九十六回国会閣法
第八〇号)
十月十二日
集団代表訴訟に関する法律案(飯田忠雄君外一
名提出、参法第二号)(予)
十一月十六日
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第一二号)
検察官の俸給等に関する法律の一郡を改正する
法律案(内閣提出第一三号)
九月二十七日
死刑制度廃止と死刑執行停止に関する請願(井
上一成君紹介)(第三号)
同(金子みつ君紹介)(第四号)
同(横山利秋君紹介)(第五号)
十月七日
死刑制度廃止と死刑執行停止に関する請願(池
端清一君紹介)(第一五三号)
刑事施設法案の廃案に関する請願(安藤巖君紹
介)(第二二一号)
同(林百郎君紹介)(第二二二号)
同(不破哲三君紹介)(第二二三号)
同(渡辺貢君紹介)(第二二四号)
同(栂野泰二君紹介)(第二六二号)
同月十七日
刑事施設法案の廃案に関する請願(石橋政嗣君
紹介)(第四五八号)
同(稲葉誠一君紹介)(第四五九号)
同(山花貞夫君紹介)(第五三五号)
同月二十日
刑事施設法案の廃案に関する請願(横山利秋君
紹介)(第八八三号)
同月二十四日
刑事施設法案の廃案に関する請願(栂野泰二君
紹介)(第一〇〇三号)
同(林百郎君紹介)(第一一二五号)
同(三谷秀治君紹介)(第一一二六号)
同月二十五日
浦和地方裁判所越谷支部の甲号支部昇格等に関
する請願(三ッ林弥太郎君紹介)(第一二三三
号)
刑事訴訟法の一部改正に関する請願(伊藤茂君
紹介)(第一二九七号)
同月二十八日
刑事施設法案の廃案に関する請願(安藤巖君紹
介)(第一三七四号)
十一月七日
刑事施設法案の廃案に関する請願(栂野泰二君
紹介)(第一五八四号)
同(横山利秋君紹介)(第一五八五号)
同月八日
刑事施設法案の廃案に関する請願(稲葉誠一君
紹介)(第一八四六号)
同月十一日
再審被告の即時釈放に関する請願(安藤巖君紹
介)(第二七八一号)
同外一件(林百郎君紹介)(第二七八二号)
同月十二日
刑事施設法案の廃案に関する請願(林百郎君紹
介)(第二九五九号)
は本委員会に付託された。
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十月六日
外国人登録法の改正に関する陳情書外四件
(第二一号)
公証人法の改正に関する陳情書
(第二二号)
スパイ防止法制定反対に関する陳情書
(第二三号)
スパイ防止法の早期制定に関する陳情書
(第二四号)
刑法改正による保安処分制度新設反対に関する
陳情書
(第二五号)
同月十八日
外国人登録法の改正に関する陳情書外五件
(第一八五号)
十一月七日
外国人登録法の改正に関する陳情書
(第二二四号)
横浜拘置所内における歯科診療に関する陳情書
(
第二二五号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第一二号)
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第一三号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/0
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001・綿貫民輔
○綿貫委員長 これより会議を開きます。
日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党から、それぞれ委員会に出席できないとの通告が参っております。まことに遺憾ながら、やむを得ず議事を進めます。
お諮りいたします。
本日、最高裁判所大西人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/1
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002・綿貫民輔
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/2
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003・綿貫民輔
○綿貫委員長 内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
まず、趣旨の説明を聴取いたします。秦野法務大臣。
—————————————
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/3
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004・秦野章
○秦野国務大臣 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。
政府は、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりであります。
第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を増額することとしておりますので、おおむねこれに準じて、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給を増額することといたしております。
第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。
これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様、昭和五十八年四月一日にさかのぼって行うことといたしております。
以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/4
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005・綿貫民輔
○綿貫委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/5
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006・綿貫民輔
○綿貫委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。熊川次男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/6
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007・熊川次男
○熊川委員 ただいま提案されましたこの法案によると、裁判官、検察官の報酬あるいは俸給の改定でありますけれども、まずその改定率、それからこれを実行した場合に要するところの経費、そしてその三としては、人事院勧告を完全に実施した場合とただいまの法案による場合とを比較した場合にどの程度経費が削減されるものか、簡潔にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/7
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008・根岸重治
○根岸政府委員 裁判官、検察官の給与改善率は、一般の政府職員と同様に平均二・〇三%であります。今回の給与改定に伴う所要額は、裁判官につきましては約五億二千万円、検察官につきましては約三億七千万円でございまして、人事院勧告に基づく試算と比べますと、両者合わせまして合計約十九億三千万円の経費が節減できることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/8
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009・熊川次男
○熊川委員 現在の裁判官、検察官の報酬あるいは俸給は、それに対応するところの一般の政府職員の俸給にスライドされる、いわば対応金額スライド方式がとられております。しかし、人事院勧告があっても、それが凍結されたり、少なくとも完全実施されない最近の情勢から見るときに、最終審は言うに及ばず、下級審も持っておるところの違憲立法審査権というような高い機能を付与されている裁判官、さらにはそれに準ずる検察官、こういった方々に対する給与体系は、この際、別個、独立に樹立する必要がありはしないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/9
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010・大西勝也
○大西最高裁判所長官代理者 現在、裁判官の報酬につきまして、熊川委員御指摘のように、いわゆる対応金額スライド方式というのをとっておるわけでございます。これは報酬法の十条にもそういう趣旨のことが書いてあるわけでございます。
申し上げるまでもないことでございますが、現在の民主主義国家における司法の重要性からいいまして、裁判官の報酬というものはそれなりの高さが必要である、憲法にも「定期に相當額の報酬を受ける。」というふうに書いてありまして、相当程度の報酬を受ける理由があるということは仰せのとおりでございます。ただ、その相当額の報酬というのは何かというのが非常にむずかしいわけでございますが、現在の報酬そのものは裁判官の職責にふさわしいある程度の高さを保っておるというふうに思いますし、一般の行政官に比べましてもそれなりの格差があるわけでございまして、現在のやり方自体は相当の合理性があるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
ただ、最初に申し上げましたように、憲法に規定しておる裁判官の職責の重要性から申しまして、そのスライド方式そのものがいいかどうかということについてはある程度の意見はあろうかと思います。それはそれなりに私どもとしてもいろいろ研究はしておるところでございますが、何と申しましても報酬制度そのものは現在の裁判官の任用制度とも絡み合うことでございまして、先ほど申しましたように、研究は続けておりますけれども、なかなか報酬制度のみを切り離して考えるというわけにもいかない複雑な問題があるわけでございます。そういうことでございまして、私どもとしても裁判官の報酬制度の充実改善につきましては今後とも一層の努力を続けたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/10
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011・熊川次男
○熊川委員 いま御指摘のとおり、憲法七十九条においての最高裁判所あるいは八十条においての下級審裁判官の報酬は、それぞれその在任中減額されないと憲法上保障されております。
ちなみに裁判官、検察官に支給されるところの初任給調整手当については、昭和四十六年にこの手当が創設されてことしで十二年になるかと思いますが、その間この手当は一度も改定されておらないし、ちなみに四十六年当時の判事補第十二号の報酬、すなわち六万一千五百円に比し、初任給調整手当二万三千円はその三七・四%であったと思います。ところが、現行では判事補十二号の報酬、すなわち十五万五千六百円に占めるその割合が一四・八%となるのではないかと、私の調査ではそういうふうに思いますが、まさに下落の一途をたどっております。
裁判官、検察官がいま御指摘のとおり優秀な人材を確保する。任用の面においても問題はあると言われましたけれども、一方においてはこの率が下がっておる。三七・四%がこの十二年間に一四・八%に下がったということは実質的に憲法の精神に合致しないおそれがあるんじゃないだろうか。相対的に見れば、傘として減額されたことになりはしないか。一般公務員と異なって、やはり司法の優越、民主主義の最後のよりどころは裁判所だと思いますし、またそれを支える検察官だと思いますけれども、その国民主権、憲法の精神から見て、この辺をどういうふうに御理解しているか、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/11
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012・大西勝也
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の初任給調整手当は、お話にございましたように昭和四十六年に初めて設けられたものでございます。当時、裁判官、検察官に対する志望者が必ずしも十分得られない、優秀な人がなかなか来ないということが考慮されまして、いわゆる裁判官の報酬のほかにそういう初任給調整手当というものを支給するという制度が発足したわけでございまして、その後十数年、初任給調整手当自体は上がっていないということはお話しのとおりでございます。
そこで、報酬はそれぞれの時代の経済情勢等に応じまして非常に上がってきておりますので、それと比べて初任給調整手当の比率というものは下がっておるというのは御指摘のとおりでございます。
ただ、設けられました当時、弁護士と裁判官、検察官との収入の格差というものがございまして、その格差に着眼いたしまして手当の額が決められてきたわけでございますが、その後、毎年私どもも弁護士と裁判官、検察官との収入の格差というものをそのときそのときやはり調査を続けておるわけでございまして、現時点におきまして若干の違いがあるということはそのとおりでございますが、これも総合して考えませんことにはいけませんで、いろんな、たとえば裁判官の住宅なんかは官舎等があるというふうな、そういうふうなことをも含めていろいろ考えますと、現時点において、それほどの弁護士との実質的な収入の相違というものは見られないのではないだろうかということで今回も初任給調整手当の値上げはされなかった、そういう経過があるわけでございます。そういう意味で、実質的な減額ということになりませんとともに、まあ手当で、報酬でもないというふうな問題もございますが、そういうふうに考えておるわけでございます。
いずれにいたしましても、熊川議員、裁判官の報酬につきまして非常に御理解のあるお言葉をちょうだいいたしまして、私どもまことにありがたく思っておるわけでございまして、今後ともそれが実質的に低下することのないように努力を続けたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/12
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013・熊川次男
○熊川委員 よく理解ができない面が多々ありますけれども、法務大臣にお伺いしたいと思います。
憲法九十九条によれば、裁判官を初め、公務員はこの憲法を尊重し、擁護する義務がある。特に高い地位がある。もちろん国務大臣、国会議員も同じでありますが、この憲法が前文並びに最高法規の規定でうたっているところの国際協調主義あるいは高い道徳性、こういうものも要求しているのは特に裁判官であり、検察官であると思います。またこれに並列的に国会議員、国務大臣も書いてありますけれども。そこでやはり率が相対的に十二年間で下がっている。実質的に報酬ではないという形式的な言葉ではまずい。手当についても、裁判官、検察官の生活を支える経済的なこの利益には間違いがないわけですから、これは憲法の精神に必ずしも合致していないおそれが非常に濃厚だと私は思います。
そこで、法務大臣、この裁判官、検察官に関する限り別個な給与件糸というものを確立するのが憲法の精神に合致し、財政がどうであれ、そういうことに余り左右されないで身分の保障をしっかりしたところに司法権の独立が確保されるのであって、財産権のこの保障、相対的に率を下げていくような形でもっていくことは、私は憲法の精神に合致しないと思います。
そんな意味で、この独立体系を立てること、あるいは裁判官は家族まで含めて日常行動が規制されているということが事実上あると思うのですが、こういう意味において、裁判官、さらには同じこの条文に国会議員もありますので、高い倫理性を求められていることなどとあわせ考えて、所感を述べていただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/13
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014・秦野章
○秦野国務大臣 ただいまの御発言、私も全くそう思っている一人でございまして、事務当局にはそのことを実は指示して、やはり別途の体系として昭和二十三年に判事と検事の俸給についてできたときには一般公務員とかなりの差があったように思います。いまおっしゃったような率はここ十年ですけれども、さらにさかのぼって検討し、かつ国際比較もしながら独自の体系というものを確立しなければならぬ。そのためには、あるいは法務省の所管だけではできないかもしらぬ。できなければ、もっと大きな、大きなというか、広ばた範囲でもって委員会をつくるか何かしてたたき台をつくって、それをひとつ持ち上げていきたい、そういうふうに内々話をしているわけでございます。
お説はまことにごもっともで、だんだんだんだんスローダウンしてきた。正直言って、途中でやめる人なんかが多いというふうにも聞いておりますけれども、人材を確保するという上からも、ぜひやっていかなければならぬ、まあ目先の問題じゃなくて、長期の問題としてどうしても取り組まなければならぬ問題だ、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/14
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015・熊川次男
○熊川委員 では最後に。
この憲法がうたっているところの理想主義、その真髄をなすもりは、すべての公務員がこの憲法を遵守しろと書いてありますが、憲法が言うところの高い道徳性というものを国家公務員全般に期待しているように思います。
そこで、最近の大臣で、ちょっと誤解をされているような節があるのではないか、十分大臣の意を尽くして書き切ってくれていないあるいは雑誌があったのではないかなと私は想像しますので、その辺についての所感がありましたら述べていただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/15
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016・秦野章
○秦野国務大臣 ちょっとこう、簡単に申し上げるのはむずかしいのですけれども、全体を読んでいただけば私はおわかり願えると思いますが、もとより、おっしゃるように憲法の趣旨で貫かなければならぬことは当然であります。
私は、たとえば人間の尊厳、人権というようなことも憲法の掲げているところでありまするし、法治国として、法治国家としてルールが尊重されなければならぬことも当然であります。
そういうことで、新聞の記事だけではちょっと誤解を受けるおそれがあるところもあったことは私も認めます。いずれ機会がありましたら、ゆっくりお話をさしていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/16
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017・熊川次男
○熊川委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/17
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018・綿貫民輔
○綿貫委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/18
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019・綿貫民輔
○綿貫委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/19
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020・綿貫民輔
○綿貫委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/20
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021・綿貫民輔
○綿貫委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/21
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022・綿貫民輔
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/22
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023・綿貫民輔
○綿貫委員長 本日は、これにて散会いたします。
午後一時一分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110005206X00119831117/23
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