1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和五十八年十一月二十七日(日曜日)
午前零時五分開会
─────────────
委員の異動
十一月二十七日
辞任 補欠選任
和田 静夫君 穐山 篤君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 高平 公友君
理 事
亀長 友義君
坂野 重信君
小野 明君
委 員
板垣 正君
岡田 広君
源田 実君
沢田 一精君
林 寛子君
林 ゆう君
堀江 正夫君
村上 正邦君
穐山 篤君
野田 哲君
矢田部 理君
和田 静夫君
太田 淳夫君
峯山 昭範君
内藤 功君
柄谷 道一君
国務大臣
国 務 大 臣
(内閣官房長官) 後藤田正晴君
国 務 大 臣
(総理府総務長
官) 丹羽 兵助君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 谷川 和穗君
政府委員
人事院総裁 藤井 貞夫君
人事院事務総局
給与局長 斧 誠之助君
総理府人事局長 藤井 良二君
事務局側
常任委員会専門
員 林 利雄君
─────────────
本日の会議に付した案件
○一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○ミッドウェー艦載機の下総基地使用反対に関する請願(第二四号外二件)
○下総基地の米軍使用反対に関する請願(第一一一号)
○ウタリに対する施策の拡充に関する請願(第一一四号)
○共済年金制度改悪反対に関する請願(第一四四号外四件)
○従軍看護婦に対する恩給法に準じた処遇に関する請願(第一五九号)
○国立筋肉総合研究所設立に関する請願(第二〇五号)
○共済年金制度の改悪反対等に関する請願(第二一二号外五一一件)
○人事院勧告の完全実施に関する請願(第二七二号外四九五件)
○軍人恩給改定に関する請願(第三九三号外二四件)
○旧満州棉花協会等を恩給法による外国特殊機関指定に関する請願(第四三八号外八件)
○人事院勧告の実施に関する請願(第四五五号)
○恩給問題等小委員会設置に関する請願(第六一三号)
○肢体障害者に対する国家公務員等特別採用制度確立等に関する請願(第六四四号)
○満州国軍に服務した旧軍人等の処遇に関する請願(第八八七号外八件)
○人事院勧告制度の維持尊重に関する請願(第一〇一三号)
○人事院勧告実施に関する請願(第一〇一四号)
○老後不安解消のための国鉄共済年金改善に関する請願(第一三三六号外一三件)
○人事院勧告完全実施に関する請願(第一七三〇号)
○公的年金制度の改悪反対に関する請願(第一八五一号外一件)
○人事院勧告の早期完全実施に関する請願(第二三三六号外七件)
○人勧の完全実施に関する請願(第二六六七号外一件)
○継続調査要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/0
-
001・高平公友
○委員長(高平公友君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
昨日の内藤君の質問に対し、官房長官から答弁を求められております。官房長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/1
-
002・後藤田正晴
○国務大臣(後藤田正晴君) これは私の所管ではございませんけれども、お答えをしておきたいと思います。
ILOのこの決議は承知をいたしております。これは御案内のように、五十七年度の問題についてのILOの決議であった、かように考えておるわけでございますが、ILOのこういう決議もわれわれのこういった問題を処理する際の、方針を決める際の考えなければならない重要な決議であると、かように考えるわけでございますが、同時にまた、内藤さんの方にも御研究いただきたいのは、アメリカあるいはフランス、イギリス、こういったところの給与の勧告の取り扱い、これらについても十分ひとつ御検討をしておいていただきたい、かように思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/2
-
003・内藤功
○内藤功君 質問に答えてないじゃないですか。ILOでもって、どういうふうに政府としては次の機会に実行できなかったことを言うのかという質問なんですよ。全然答えてない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/3
-
004・後藤田正晴
○国務大臣(後藤田正晴君) 最大限の努力をして五十八年度はかようにいたしましたということを説明するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/4
-
005・柄谷道一
○柄谷道一君 私は、十月七日の本会議質問で、人事院勧告が完全に実施されないようなことになれば、人事院制度を崩壊させ、公務員の生活を圧迫し、その士気にもかかわると政府の猛省を求めました。これについて総務長官は、「昨年の経緯、良好な労使関係の維持等に配慮し、勧告の実施に向けて最大限の努力を尽くしてまいる」と答弁されております。しかるに、その答弁にもかかわら
ず、本日提案されております政府の考え方は、二%のベアにしかすぎません。私は、合理的な根拠もなく勧告を抑制することは、人事院勧告を尊重したことにはとうていならない。人事院総裁の見解もまた同様であることがその席上で述べられたわけでございます。
内藤委員がさきに引例いたしました、昭和五十六年十一月二十六日の行革特別委員会連合審査会で質問いたしましたのは私でございます。私は、その質問の中で、総理は異例の措置と言うが、明年、明後年とこの異例が続くということになれば異例にはならない、政府は総人件費の抑制に全力を挙げて取り組むとともに、人事院勧告については今後完全に実施することが政治姿勢として正しいのではないかと、この質問をいたしました。これに対して当時の鈴木総理は、毎年毎年ことしのような異例の措置が繰り返されるようであれば、これはまさに人事院制度の根幹に触れるような結果になる、政府としては財政非常のときであるので異例の措置をとったが、今後は人事院制度の持つ権威なりその勧告の重みを十分心得て、誠意を持ってこれに取り組みたい、こう答弁されているわけでございます。
にもかかわらず、五十七年度は人勧は全く無視されて、異例の措置という言葉のもとで凍結され、五十八年度も、人事院勧告は尊重し実施するという与野党代表者会議の確認にもかかわらず、政府はこれを二%に抑制しようとしているわけでございます。異例は三年続き、これでは鈴木前総理の答弁は、結果として一時逃れのまやかしであったと言われても過言ではないと私は思います。三年連続して人勧の完全実施を行なわないことは、人勧制度そのものを否定し、崩壊させるものと言っても過言ではございません。官房長官は、この人事院制度を守り抜くという決意をお持ちなのか、それとも制度改正が必要であるとお考えになっておるのか、この際、明確にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/5
-
006・後藤田正晴
○国務大臣(後藤田正晴君) しばしばお答えしておりますように、人事院の今日の制度の基本を変えるといったような考え方はいささかも持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/6
-
007・柄谷道一
○柄谷道一君 そうだとすれば、藤井人事院総裁はしばしば今回の政府の措置について、人事院として政府の決定は合理性のあるものとは言えない、人事院制度が崩れる危険があると指摘され、人件費は義務費であって最高度の優先順位で実施すべきであるとも述べておられます。さらに、勧告は政府とともに国会に対しても行ったものであり、今後国会審議を通じて完全実施の確保を期待するとすら述べていられるわけでございます。しかるに、国会において与党は、この人事院総裁の期待にもかかわらず、この法案の修正を拒否されました。特に、今回の政府のとりました措置で問題と指摘されますことは、俸給表についてその値切りが行われたということでございます。戦後の混乱期は別として、昭和二十八年以来三十年間、いわばこの人事院勧告に基づく俸給表は聖域というべき立場を持続されてまいりました。今回、三十年ぶりにこの俸給表そのものを尊重しないという措置に出られたことは、まことに人事院制度の根幹を揺るがすものと断ぜざるを得ません。
そこで、今後この俸給表についていかなる姿勢をもって臨まれるのか、この点に対する政府の明確な御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/7
-
008・丹羽兵助
○国務大臣(丹羽兵助君) ただいま従来聖域とされた俸給表を政府がつくりかえるということは人事院勧告の根幹を揺るがすことになると思うがどうだ、こういうお尋ねでございますけれども、それに対して簡単にお答えさしていただきたいと思います。
現行法制上、人事院は社会一般の情勢を考慮して公務員給与の改定を国会及び内閣に勧告することとされている。勧告を受けた国会及び内閣は、人事院勧告制度が公務員の労働基本権制約の代償措置の一つとして憲法上の評価が与えられておるものであるから、この制度が実効を上げるよう最大限の努力をしなければならないということは申すまでもないことでございますが、最大限の努力が尽くされた場合には、仮に勧告の実施が抑制されたとしてもそれはやむを得ない措置として憲法上問題はないと考えております。このように最大限の努力をした上で抑制せざるを得ない場合には、政府においてもその権限に基づき責任を持ってその取り扱いを決定し、国会に法律案を提出することができると考えられるのであります。
なお、その場合において政府がどのような俸給表を作成するかについては、人事院勧告の趣旨を踏まえ、合理的な配慮を行った上で行うこととしております。
なお、本年度の俸給表の引き上げ率の切り下げを行ったということは、先々申し上げておりまするように、まことに異例のことであると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/8
-
009・柄谷道一
○柄谷道一君 私は、政府答弁はその都度その都度変わってくるのじゃないかと思うんですね。かつて野党が人事院から勧告されました俸給表についてその修正を求めた際は、これはいわゆる聖域なんだ、俸給表に手をつけるということになれば人事院の根底そのものを揺るがすことになるとしてわれわれの主張を退けられたわけでございます。その主張とただいまの総務長官の御答弁は全く異なる姿勢をとっておられるわけでございまして、私は一貫した政府の姿勢なくして、その都度その都度政府方針というものをくるくる変更されるというようなことになれば、一体何を根拠に官公労働者がスト権の制約を受けながら人事院制度に頼っておるのか、そのことの信頼の根底を揺るがすことになるのではないですか。官房長官、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/9
-
010・後藤田正晴
○国務大臣(後藤田正晴君) もちろん、人事院の勧告というものは完全に実施をしていくというのがこれは理想の姿であることは言うまでもありません。そういうような意味合いから、過去においてそういう答弁を政府はなさったのだろうと思いますが、しかし今日のような厳しい財政の状況、そして行財政改革のさなかである、最近の物価の情勢、いろんなことを国政全般との関連の中において考えざるを得ないといったような場合には、昨年のような完全見送りということもありますが、これは私はやはり異例中の異例であろうと思います。本年度は昨年以上に財政の状況も厳しいのだけれども、しかしながらとにもかくにも二・〇三、定期昇給を入れれば四・一四でございますから、それだけの財政の支出をして何とかひとつ公務員の生活を確保したい、こういう政府としては精いっぱいの努力をしておるのだということは、ひとつぜひ御理解を賜りたい。
なお、お話の中に、人事院総裁は義務費であるから財政に優先するのだ、こういうお話でございましたが、これは人事院の総裁として私はさような御見解があるのかもしれませんけれども、勧告を受けて政府がそれを実施するということになりますと、これはやはり勧告の完全実施が理想だけれども、国政全般との絡み合いの中で決めざるを得ない場合もあるのだということを政府としては申し上げておかなければならぬ、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/10
-
011・柄谷道一
○柄谷道一君 私は、鈴木前総理以来異例という言葉が三年続きますと、国語の解釈が信用できなくなってしまうのじゃないかと思うんですよ。いまも総務長官は、俸給表に手をつけざるを得なかったのは異例の措置だと、こう言われました。ということは、文字どおり異例です。来年またその異例が繰り返されるということはないということですね。そうでないと異例ということにならぬじゃないですか。その点だけをお答えを求めまして、時間でございますから私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/11
-
012・丹羽兵助
○国務大臣(丹羽兵助君) なるほど先生の御意見のとおりでございますから、異例というものは異例であるように今後心得てまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/12
-
013・柄谷道一
○柄谷道一君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/13
-
014・高平公友
○委員長(高平公友君) 総務長官より発言を求められておりますので、これを許します。丹羽総理
府総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/14
-
015・丹羽兵助
○国務大臣(丹羽兵助君) 五十九年度の人事院勧告の取り扱いについてこれまでいろいろ御議論がございましたが、ここに改めて申し上げます。
五十九年度の人事院勧告の取り扱いについては、人事院勧告制度尊重の基本方針を堅持しつつ、俸給表等の勧告内容を尊重した完全実施に向けて最大限努める所存であります。
なお、本年俸給表の引き上げ率の切り下げを行ったことは異例のことであると認識しております。
以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/15
-
016・高平公友
○委員長(高平公友君) 三案について質疑を終局することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」「反対」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/16
-
017・内藤功
○内藤功君 委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/17
-
018・高平公友
○委員長(高平公友君) 内藤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/18
-
019・内藤功
○内藤功君 質疑継続の動議を出します。質疑は尽くされてないですよ。十分間ですよ、われわれの質問はね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/19
-
020・高平公友
○委員長(高平公友君) ただいま内藤君から三案の質疑を継続することの動議が提出されました。
まず、これについてお諮りいたします。
内藤君の動議に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/20
-
021・高平公友
○委員長(高平公友君) 少数と認めます。よって、内藤君の動議は否決されました。
それでは、三案について質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/21
-
022・高平公友
○委員長(高平公友君) 多数と認めます。よって、質疑は終局いたしました。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/22
-
023・小野明
○小野明君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております給与関係三法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
公務員の給与は、民間の給与と均衡させることを基本といたしております。しかも、公務員の労働基本権はこれが制約されていることから、人事院勧告は完全実施さるべきものであることは論を要しないところであります。
人事院は、去る八月五日、昭和五十八年四月から平均六・四七%の給与改定を行う旨の勧告を国会と内閣に行ったのでありますが、政府は人事院勧告を全く無視して、二%の給与改定を内容とした法律案を提出してきたのであります。
このような法律案の提出は、労働基本権の代償措置としての人事院勧告制度の否定にもつながるものであり、今回政府が人事院勧告を無視して独自に俸給表を作成したことは、本来団体交渉で決定すべき配分問題にまで使用者側が中立機関である人事院を無視して介入したということであり、絶対に許すことはできないところであります。これでは労働基本権を制約された公務員の基本権を剥奪するものであり、憲法違反と言わざるを得ません。
しかも、衆議院内閣委員会では自民党の単独審議で決せられ、本院においても会期末のこのような制約された状況下で、十分な審議も行われないまま採決されようとしていることは断じて許すことができません。今回の措置は、人事院勧告の完全実施という長年にわたる完熟した慣行を使用者である政府みずからが破るものであります。定着した良好な労使関係と公務員の士気に重大な影響を与え、公務の運営に暗影を投ずることになりかねないのであります。
以下、反対の主な理由を申し述べます。
反対の理由の第一は、政府が憲法で保障された労働基本権の制約の代償措置である人事院勧告制度を全く無視していることであります。昨年の凍結、そして本年の抑制という措置は、それを証明しております。特に、今回の措置は、従来行ってきた実施時期の繰り延べや凍結というものでなく、勧告の内容そのものを変更しているのでありまして、このことは人事院勧告制度の崩壊に通ずるものと言わざるを得ません。これでは政府がいままで公務員関係労働組合の行ってきたストライキを非難し処分する根拠を失うことになるということを強く警告するものであります。
第二は、政府が勝手に俸給表を作成し、改正法案を提出することは、憲法及び国家公務員法にも抵触することであります。二%という何の根拠もない数値によって俸給表を使用者である政府が勝手につくり直すことは、賃金決定の原則を全く無視しておるのであります。
以上の理由により、給与関係三法案に対し反対の意見を表明して、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/23
-
024・峯山昭範
○峯山昭範君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案外二件について反対の討論を行うものであります。
第一に、働く者にとって最大の関心事は、生活の糧となる給与の保障であります。これは社会の公僕たる公務員とて例外ではありません。五十八年度の国家公務員給与の引き上げに関する人事院勧告六・四七%を大幅に下回る二%強の改正案を国会に提出し、昨年の凍結に引き続き二年連続で完全実施が見送られたことは、勧告制度自体の形骸化、否定を意味するもので、まことに遺憾な事態と言わざるを得ません。労使関係の正常化維持という観点からも政府に対し強く再考を求めるものであります。
第二に、人事院勧告制度が国家公務員の労働基本権を制約していることの代償措置として存在していることは、いまさら強調するまでもない事実であります。
そして制度的にも、五十七年度分の凍結を見るまではこれまで勧告どおりほぼ実施されてきており、公務員制度としてすっかり定着、完熟していたのであります。
このため、五十七年度の凍結措置に対しては、ILOも撤回を求めた上で、わが国政府に人勧の早期完全実施を迫ったのであります。
それにもかかわらず、ことしも完全実施を怠ったことは、労働基本権制約との絡みで憲法問題に発展しかねない要素を含んでいるがゆえに、公務員ストを是認せざるを得ない風潮が出てくることを危惧するものであります。
第三に、人事院勧告の大幅抑制は、単に国家公務員の問題だけにとどまらず、地方公務員や国鉄、電電職員など公共企業体職員、各種年金生活者、さらに民間労働者のベアにも波及することは避けられないのであります。
現に、五十七年度の人勧凍結がことしの春闘に大きな影響を及ぼしたことは周知のとおりであります。むしろ、この措置によって消費意欲は抑制され、景気回復へのマイナス効果となったものであります。
第四に、政府は行革推進を口にするなら、まず仕事減らしを断行した上で余剰人員を削減するなど、公務員の純減を伴う定員管理を行い、総経費の抑制をこそ実現すべきであります。それをしないで財源難から圧縮せざるを得ないなどということでは筋違いもはなはだしいと言わざるを得ません。
第五に、政府が人事院勧告を大幅に値切ったことによって、政府は人事院にかわって俸給表の作成を含めた給与法案の策定作業を行わざるを得なくなっていますが、このこと自体人事院の権限を踏みにじる行為であると言わざるを得ないものであります。
最後に、国会答弁で、二年連続の凍結はあり得ない、五十八年人勧については尊重すると言ってきたのに、それを守らなかった政府の責任は重大なものであります。
以上の理由から、今回の本案は速やかに撤回をし、人事院勧告の完全実施をするよう強く求めて、私の反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/24
-
025・内藤功
○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、一般職職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案外二件に対し、反対の討論を行います。
まず初めに、一般職職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案についてであります。本法案に盛り込まれた改定内容は、いずれも現状より
もましな改良案でありますが、同時に、行革と財政危機を口実にして人事院勧告を大幅に値切り実施するなどという重大な問題をはらんでいるのであります。今回のこの措置は、公務員の労働基本権剥奪の代償として設けられた人事院の給与勧告制度さえじゅうりんする二重に憲法違反の措置であるばかりか、軍拡と大企業奉仕のためには国民生活をも顧みないという中曽根内閣の反動路線を改めて露骨に示したものであり、断じて容認することができないのであります。
しかも、俸給表の手直しなどという前代未聞の今回の人勧値切り措置は、給与の根本基準と人事院の俸給表作成権をじゅうりんし、いまでさえ十分機能していない人事院の代償機能を一層空洞化する不法不当な暴挙と断じなければなりません。これが、わが国の低賃金構造の重要な支柱の一つとなってきた人事院の給与勧告制度を反動的に再編しようとする財界の企てに呼応したものであることは明白であります。
さらに、昨年の人勧凍結に続く今回の人勧値切りは、国公、地公合わせ約五百万人に及ぶ公務員とその家族の生活に対する許しがたい攻撃であるばかりか、年金、恩給のスライド改定や民間労働者の賃上げ抑制など、国民生活総攻撃の突破口とすることをねらったものであり、公務員を初め、広範な国民生活を防衛する上でもとうてい容認することができないのであります。
次に、特別職職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、防衛庁職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案についてでありますが、これら二法案は、人勧の大幅値切り実施を当然の前提としたものであります。一般職職員の給与法案に反対する見地から、これら二法案にも当然反対であります。
そればかりか、特別職職員の給与法案には、いまでさえ国民一般の生活実態から見て高過ぎる内閣総理大臣や国務大臣の給与を月額二万円から三万円もお手盛り的に引き上げるなどという許しがたい改定内容が含まれているのであります。
以上、給与関係三法案に反対する主な理由を明らかにするとともに、私はかかる重大な問題をはらんだ法案を、わが党の場合わずか十分、全体でわずか一時間という形だけの質疑によって採決するなどという不当きわまる委員会運営を行った高平内閣委員長の責任は重大であり、厳しく抗議し、討論を終わるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/25
-
026・柄谷道一
○柄谷道一君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を初めとする給与関係三法案に対し、一括して反対の討論を行うものであります。
反対の第一の理由は、言うまでもなく、政府案は労働基本権制約の代償として設けられている人事院勧告制度を無視し、公務員給与決定のルールを踏みにじるものであるということであります。政府は、五十六年以来、その都度異例の措置は繰り返さないと言明しながら、昨年は勧告凍結、今回は人事院制度の根幹とも言うべき俸給表の書きかえという暴挙を行おうとしているのであります。人事院勧告制度をなし崩し的に骨抜きにする政府のやり方は断じて認めることはできません。
反対の第二の理由は、財政事情を理由にして公務員給与を抑制することは許されないということであります。国の財政赤字の理由は、今日まで本格的な行政改革に取り組まず、経済見通しを誤り、有効な経済政策の展開を欠いたいわば政府の政策失敗の結果であります。政府の政策失敗のツケを公務員に求めることは筋違いもはなはだしいと言えます。仮に財政事情を考慮するとすれば、定員削減、公務能率の向上、配置転換の促進などの行政改革を断行し、総人件費の思い切った抑制を図るべきであります。それができないから公務員全体の給料を抑制するというやり方は、本末転倒であり、責任をみずから回避するものと言えます。また、民間賃金準拠という人事院勧告制度を維持する限り、勧告の抑制は単に問題の先送りにすぎないこともあわせ指摘せざるを得ません。
反対の第三の理由は、民主的労働組合運動の基本理念にのっとり、法と秩序を守りながら職務遂行に専念し、国民的課題である行政改革に率先してこたえるべく努力してきたまじめな良識ある労働運動を進めてきた公務員に対するはなはだしい裏切り行為であり、断じて許されないということであります。政府の措置は、違法ストを合法化する口実を与え、労使関係を不安定なものとし、国民が望む公正かつ安定した行政を阻害する結果を招くおそれがありますが、それは政府の責任と言うべきであります。
以上、反対理由を述べますとともに、政府が二度と再びこのような過ちを繰り返すことなく、人事院勧告を完全実施することを強く求め、反対の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/26
-
027・高平公友
○委員長(高平公友君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/27
-
028・高平公友
○委員長(高平公友君) 委員の異動について御報告いたします。
本日、和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として穐山篤君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/28
-
029・高平公友
○委員長(高平公友君) これより採決に入ります。
まず、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/29
-
030・高平公友
○委員長(高平公友君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/30
-
031・高平公友
○委員長(高平公友君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/31
-
032・高平公友
○委員長(高平公友君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、三法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/32
-
033・高平公友
○委員長(高平公友君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/33
-
034・高平公友
○委員長(高平公友君) これより請願の審査を行います。
第二四号ミッドウェー艦載機の下総基地使用反対に関する請願外千九十四件を議題といたします。
請願の願意につきましては、お手元に配付いたしました資料のとおりでございます。
これらの請願につきましては、各会派間で協議した結果、第一五九号従軍看護婦に対する恩給法に準じた処遇に関する請願外四十三件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第二四号ミッドウェー艦載機の下総基地使用反対に関する請願外千五十件は保留とすることに意見が一致いたしました。
以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/34
-
035・高平公友
○委員長(高平公友君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/35
-
036・高平公友
○委員長(高平公友君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/36
-
037・高平公友
○委員長(高平公友君) 継続調査要求に関する件
についてお諮りいたします。
国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、両件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/37
-
038・高平公友
○委員長(高平公友君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/38
-
039・高平公友
○委員長(高平公友君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
これにて散会いたします。
午前零時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110014889X00719831127/39
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。