1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年五月八日(火曜日)
午前十時十七分開議
出席委員
委員長 福家 俊一君
理事 鹿野 道彦君 理事 久間 章生君
理事 浜野 剛君 理事 三塚 博君
理事 小林 恒人君 理事 吉原 米治君
理事 近江巳記夫君 理事 中村 正雄君
加藤 六月君 小山 長規君
佐藤 文生君 田中 直紀君
近岡理一郎君 中馬 弘毅君
中山 正暉君 林 大幹君
増岡 博之君 箕輪 登君
若林 正俊君 兒玉 末男君
左近 正男君 関山 信之君
田並 胤明君 富塚 三夫君
西中 清君 森田 景一君
河村 勝君 西村 章三君
梅田 勝君 辻 第一君
野間 友一君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 細田 吉藏君
出席政府委員
運輸政務次官 津島 雄二君
運輸大臣官房長 松井 和治君
運輸大臣官房総
務審議官 西村 康雄君
運輸大臣官房審
議官 丹羽 晟君
運輸省鉄道監督
局長 永光 洋一君
運輸省自動車局
長 角田 達郎君
運輸省航空局長 山本 長君
海上保安庁次長 山下 文利君
高等海難審判庁
長官 林 至君
委員外の出席者
警察庁警備局警
備課長 井上 幸彦君
環境庁企画調整
局環境影響審査
課長 加治 隆君
環境庁大気保全
局交通公害対策
室長 小澤 三宜君
大蔵省主計局主
計官 涌井 洋治君
運輸省航空局飛
行場部長 松村 義弘君
運輸省航空局飛
行場部関西国際
空港計画室長 小坂 英治君
運輸省航空局管
制保安部長 平井磨磋夫君
建設省計画局地
域計画官 光岡 毅君
建設省道路局高
速国道課長 高見 昌信君
建設省道路局道
路経済調査室長 藤井 治芳君
自治省財政局調
整室長 前川 尚美君
運輸委員会調査
室長 荻生 敬一君
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委員の異動
五月八日
辞任 補欠選任
河村 勝君 西村 章三君
辻 第一君 野間 友一君
同日
辞任 補欠選任
西村 章三君 河村 勝君
野間 友一君 辻 第一君
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五月七日
脊髄損傷者に対する運輸行政改善に関する請願
(岩垂寿喜男君紹介)(第三九九七号)
同(安田修三君紹介)(第三九九八号)
同(渡辺美智雄君紹介)(第三九九九号)
国鉄高森線特定地方交通線に関する請願(北口
博君紹介)(第四〇五〇号)
熊本空港ストップオーバー等の早期実現に関す
る請願(北口博君紹介)(第四〇五一号)
同月八日
軽車両等運送事業者のタクシー営業類似行為規
制に関する請願(相沢英之君紹介)(第四一三
一号)
同(増岡博之君紹介)(第四一三二号)
同(山下元利君紹介)(第四一三三号)
同(小里貞利君紹介)(第四三〇八号)
同(岸田文武君紹介)(第四三〇九号)
同(宮澤喜一君紹介)(第四三一〇号)
ユーザー車検代行行為の是正に関する請願外二
件(友納武人君紹介)(第四一三四号)
脊髄損傷者に対する運輸行政改善に関する請願
(愛野興一郎君紹介)(第四二四七号)
同(岡田利春君紹介)(第四二四八号)
同(齋藤邦吉君紹介)(第四二四九号)
同(渡辺省一君紹介)(第四二五〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
関西国際空港株式会社法案(内閣提出第三五号)
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、地方運輸局及び海運監理部の設置に関し承
認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/0
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001・鹿野道彦
○鹿野委員長代理 これより会議を開きます。
委員長所用のためおくれますので、指名により私が委員長の職務を行います。
内閣提出、関西国際空港株式会社法案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西中清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/1
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002・西中清
○西中委員 関西国際空港の建設はまさしく国家的事業でございますが、事業主体が特殊法人たる株式会社ということで、事業の成否はもちろん主体たる株式会社にあるわけでございますけれども、やはり運輸省なり政府のこの事業に対するかかわり方、過度の干渉もいろいろ問題がありましょうし、また、膨大な事業費を要する問題でもございます、その他いろいろの重要課題がございます。したがって、政府としても相当な意気込みで取り組みをしていただかなければならぬ、こういう両面があろうと思います。したがいまして、まず基本的にどういう姿勢で臨もうとされておるのか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/2
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003・細田吉藏
○細田国務大臣 関西国際空港は大変な国家的な事業でございます。これまで、既に長年にわたっていろいろ計画段階で調査をいたしておる、また環境問題等についてもいろいろ調べております。今後、実際に工事をやるということになりましても、いろいろな形で国が援助しなければこの仕事はうまくいかないということははっきりしておることと思います。あらゆる段階でいろいろな方法を講じたいと思っておりますが、その詳細については航空局長からお答えさせます。
しかしながら、まず会社をつくるにいたしましても母体があるわけでもございませんので、まずつくります、この実際に仕事をやる人間、これも国と地方公共団体とまた公共団体の御意向で地方における事情をよく知った人、そういう人が集まって会社を構成しなければ、専門家がいるわけじゃございませんので、これはどうしてもそういう格好になるわけでございます。そういった意味で、言うならば言葉が当たるかどうかわかりませんが、国は全力を挙げて協力をするというか、いわば自分の仕事というような気持ちでこの仕事にかからなければならない、かように考えておりますが、詳細については航空局長からお答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/3
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004・山本長
○山本(長)政府委員 広範な御質問でございますけれども、特殊法人たる株式会社ということで民間の資本も参加をしていただくことで効率的な経営を期待しておるわけでございます。しかしながら、事業そのものが国際空港の建設、運営という極めて公共性の高い、また安全面、防災面、諸般にわたって十分な配慮をしていかなければならない事業でございます。そういった観点から法案の中にもございますように、法律上は、政府は少なくとも過半数を超える株式会社を持たなければならぬ。資金計画上は三分の二を持つという計画でございますけれども、要するに大半のものは政府が責任を持つ。そのほかに、資金の援助といたしまして、政府から無利子の貸し付けをするとか、あるいは外部資金の調達を図ってまいりますときに、やはり会社に対して信用力を付与しなければならぬというところから、債務については政府が保証をいたしますとか、その他会社の事業全般に。わたって政府が援助をいたしますと同時に、所要の監督の措置を講ずることといたしておるわけてございます。この辺については、財政上あるいは税制上にもわたっておりますので細かくは申しませんけれども、全般にわたって援助をし、かつ監督をしていく、こういうことで会社の事業の円滑を期すと同時に、公共性の確保を図ってまいりたいというふうに一考えておる次第でございます。
さらに、事業の運営段階になりまして諸般の問題が生じてくると思いますが、この辺につきましては、本法案審議の過程におきまして先生方のいろいろな御指摘もあり、その辺のところもよく留意しながら会社を指導してまいらなければならないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/4
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005・西中清
○西中委員 やはり国の、また運輸省の援助、これは非常に重要なことだと私も見ておりますが、例えば十五条には「技術的援助」ということが述べられておるわけでございますが、今日まで百八十億の調査費をかけて種々の調査が行われました。したがいまして、その蓄積された調査結果、こういうものも相当新会社には必要ではないかと思います。したがって、当然この会社にそういった成果を引き継ぐもの、こういうふうに私は判断をいたしておりますし、とりわけこのあたりは二十メーターの水深と言われているようですが、これを埋め立てをするという非常に高度な技術を要する工事が始まるわけであります。したがいまして、当然今日まで運輸省としても技術研究所等がいろいろとこの面については技術を開発されておるというふうに聞いておるわけでありますけれども、そういった技術も含めて事業主体に対して援助を行われるのかどうか、その点も伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/5
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006・山本長
○山本(長)政府委員 お答え申し上げます。
御質問のとおり、この法案の十五条におきまして、「国及び地方公共団体は、会社の事業の円滑かつ効率的な遂行を図るため、適当と認める人的及び技術的援助について必要な配慮を加えるものとする。」という規定を置いておるわけでございます。
御承知のように、長年にわたりこの空港計画については調査をいたしてきたわけでございますけれども、大規模な埋め立てでございますし、相当水深も深いところでございますし、また湾内の沖積層を埋め立てるということでございますので、地盤の処理というふうなものについてもやはり相当高度な技術が必要でございます。この点につきまして、私たちといたしましては、長年にわたり十分な調査を実施してきたというふうに自負しておるわけでございますけれども、何しろ高度な技術をもってやらなければいかぬということは事実でございます。そういった国が行ってまいりました諸般の調査研究のノーハウというものは当然にこの会社に引き継いでいかなければならぬというふうに考えております。
さらに、地方公共団体もこのプロジェクトにつきましては、私たちの運輸省と一緒になりまして諸般の調査を行い、また研究もなさってきておるのでございます。また、この調査段階におきまして、いろんな漁業者との協力を得るような努力をしてきておるわけでありますが、この辺につきましても地元とのかかわり合いにつきまして、地方公共団体も非常な努力をしてきておる。そういった知識経験というものをこの会社に引き継いでいくということが必要であろうというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/6
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007・西中清
○西中委員 ノーハウを提供する、こういうことは非常に重要なことだと思いますので、十分なる配慮を願いたいと思います。
次に、財政、税制上の支援ということがうたわれておるわけでありますけれども、やはり株式会社に対してはできる限りの支援が必要だろうというふうに私は判断をいたしております。特に、公共的な使命を有しておるわけでありますけれども、株式会社ということでございますから、当然経営の健全化ということもあわせ考えなければならない、こういう点でいろいろ措置をお考えだと思うのでありますけれども、具体的にはどういう措置をお考えか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/7
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008・松村義弘
○松村説明員 本会社の収支採算の確保ということにつきましては、関係各省の協力を得まして万全の措置をとってまいりたいと考えております。
この法律に盛られました点について御説明いたしますと、まず、政府といたしましては二分の一以上の株式保有をすることというふうに規定してございます。実際の予算措置におきましては三分の二の出資を予定しております。さらに、足らざる分は政府から無利子の資金として貸し付けるというための条項も置いてございます。さらに、外部資金を調達いたすために、この会社に信用力を付与する必要がございます。そのために、発行する社債について政府が保証することができるという措置も置いてございます。
こういった財政面におきます助成と並びまして、税制面におきましても、ほぼ同じような事業を行っております新東京国際空港公団と同程度の税制上の特典を与えるように措置してございます。
これらの助成措置を前提とし、なおかつ三〇%程度の無利子の資金を確保できますれば、開港後おおむね五年程度で単年度の損益計算は黒に転ずると予測しております。また、開港後九年程度で民間及び地方公共団体の出資者に対する配当が可能になると予想しております。さらに、二十三年程度で有利子資金の償還は可能であろうと予想しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/8
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009・西中清
○西中委員 収支計画については後で御質問をいたしますけれども、ここで財政的に大きな負担になるであろうと考えられる一つの例として、漁業補償について伺っておきたいと思います。その他の問題については既に多く議論をされておるようでございますので、この一点に絞ってお伺いしておきますが、今後空港建設に伴って当然、漁業権を持つ漁業者への補償が必要と思われます。この漁業補償を行うのはだれなのか、政府なのか、それとも株式会社になるのか、その点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/9
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010・山本長
○山本(長)政府委員 漁業補償は、当然、この事業を実施する前提条件というか、必要不可欠な条件でございます。この漁業補償につきましては、この空港を建設する当事者となります特殊法人たるこの会社が、関係者の協力を得て交渉をするということになります。つまり、会社が当事者であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/10
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011・西中清
○西中委員 そうしますと、補償対象は、いわゆる区画漁業権に限るのか、また共同漁業権に限るのか、こういったような問題もあろうと思うのですね。また、当該地域の海域に限るのか、大阪、和歌山、兵庫にまたがるのか、その辺のところはどういう形になるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/11
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012・山本長
○山本(長)政府委員 補償の内容につきましては、いろいろな交渉事でございますけれども、現在時点において考えられますことは、やはり埋め立てによりまして海域が消滅するわけでございますので、海域が消滅することに伴う補償問題、それから、工事を行います際における漁業への影響に対する補償等が主な内容と考えられます。
これらにつきましては、こういった漁業補償等につきまして、政府が全般的に基準を決めて交渉を行っておりますが、公共用地の取得に伴う損失補償基準を、各省共通のものを持って対応しておるわけでございますので、会社が、こういったものを基準にいたしまして折衝を続けていくということになると思います。
第二の、対象地域あるいは範囲というふうな御質問でございますが、やはりここの空港の建設、運用によりまして、漁業権でございますとか、あるいは入漁権でございますとか、そのほか許可漁業といって許可を受けて漁業をしておられるというふうな方がございます。そういった権利と申しますか、実績と申しますか、そういったことが制限を受ける、あるいは消滅するというふうなことに伴うものでございますから、当然にその制限なり影響を受ける方々ということになるわけでございます。
具体的な範囲につきましては、工事の態様によりましてまた異なってくると思います。しかし、私たち、この海域におきまして、長年にわたって調査を実施してきておりますけれども、調査の中身といたしまして、ボーリングをたしか五十本程度やっております。これによりまして、いろいろな漁業に伴う制限が加わるというようなことで、漁業補償なども、その面に限っての漁業補償をやってきておるわけでございますが、主として大阪府、兵庫県の大阪湾において漁業活動を営んでおられる方というものを対象にいたしまして交渉し、漁業補償を行ってきているという実績がございます。こういった実績、過去の経験も参考にいたしまして、さらにまた、会社が設立された後、関係者といろいろな話し合いをして、その範囲も確定していかなければならぬと考えておりますが、現段階では、今までの実績から見てそういったところではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/12
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013・西中清
○西中委員 補償の問題は、今後にゆだねられておるわけですから、明確なことを言うわけにいかぬでしょうし、これからおのおの実際に事に当たってみなければ、範囲も金額も確定できないと思うのですけれども、収支計画の中ではおおよそどれくらいを補償金額として見ておられるのか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/13
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014・山本長
○山本(長)政府委員 このプロジェクト、第一期工事、約一兆円というふうに試算をいたしております。その中には、積算上当然ある額のものを置いておるわけでございます。先ほど申し上げました、政府あるいは政府関係機関が今まで行っております基準に従って、政府側といたしまして、今までの調査に基づいて何がしかのものを積算しておるわけでございますけれども、これは、これからの交渉事でございますし、影響するところが非常に大きいものでございますので、積み込んでおる金額につきましてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/14
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015・西中清
○西中委員 この種の問題、非常に微妙でございますから、私もそれ以上は伺いません。しかし、言わんとする意味は、この国際空港の収支計画については、不確定な要素が非常に多過ぎるので、私はやはり収支計画が非常に狂ってくるのではないかという心配を、実はしておるのです。したがいまして、そういった場合に、国の財政的な援助また信用力の増強という面で相当な配慮をしていかなければならぬだろう、こう思っております。この種の問題は、また今までの空港と違って、新しい人工島にできる空港でありますから、その点については政府が極力面倒を見ていくという姿勢がなければならぬと思うのです。今、金額云々ということは当然言えないでしょうけれども、その点についての大臣の決意を伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/15
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016・細田吉藏
○細田国務大臣 お説のように、これだけの大プロジェクトでございます。また、漁業補償というような、ある意味では非常に不確定な相手方のある話でもございます。いろいろな点から考えまして、国が面倒を見るという態度でいかなければ、これを完成することはできない、こう思っております。幸いにして、国が今の資金計画で援助するという程度ででき上がれば、大変結構だと思っておりますし、そういうつもりで法案も提案しておるのでございますが、こういう大プロジェクトはえてしていろいろなことが起こる可能性があるわけでございます。そこで、御心配がいろいろあるのだろうと思うのですが、その実情に応じて、会社側と政府、そして関係の地方公共団体がよく相談をいたしまして、最終的にはやはり国がどこまでも、この国際空港というものは必要なんでございますから、責任を持ってその話を進めていくという格好にしなければならぬのじゃないか、かように思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/16
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017・西中清
○西中委員 ここで、収支採算性という点について、私が危惧いたしております問題について、何点かお伺いをしてまいりたいと思います。
先ほど、この採算性につきましては、単年度の黒字が開業後五年、配当開始が九年後、こういったようなお話がございました。そのようにいくことを私も願っておりますけれども、この収支の採算といった面の大きな前提になるのは、やはり航空需要の動向にあろうと思います。関西国際空港開港当初の需要予測はどの程度見込んでおられるか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/17
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018・松村義弘
○松村説明員 開港初年度に当たります六十八年度におきまして、国際旅客約九百万人、国内旅客約一千百万人、国際貨物約五十八万トン、国内貨物約二十四万トン、以上の需要を予想しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/18
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019・西中清
○西中委員 果たして需要がそういうように順調に伸びるのかどうか、その点、私は危惧をいたしております。例えば、これから日本の産業構造というものが非常に変わってくると思うのです。したがいまして、できるだけ小さく、軽く、薄く、こういった高度技術の産業が大きなウエートを占めてくると思います。その点で果たして貨物がそれだけのものを確保できるのかどうか。それから旅客の需要も、伸びてはいくのでしょうけれども、必ずしもこれがどんどん伸びていくかどうかということについては、疑問に思っております。やはりマスメディア、またニューメディア、こういうものの発達によりまして、いわゆる営業活動であるとかそういった面の旅客が、どんどん落ち込んでくるのではないかというような気がしないわけでもないのです。したがいまして、これから十年先ということになったら、テレビ会議なんというものは当然、当たり前のことになるでしょう。
そういったことを考えあわせますと、航空需要の主体はやはり観光、旅行、こういうものに大きなウエートが移っていくのではないかというように私は予測をしておるのです。そういう点ではどういうようにお考えなのか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/19
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020・松村義弘
○松村説明員 先生御指摘のとおり、航空需要は長期的に見ますと徐々に伸び率は鈍ると我々も予想してございます。この点を加味いたしまして我我も予想しておるわけでございますけれども、具体的に六十八年度までの輸送需要想定をどのようにしたか、ちょっと御説明したいと思います。
昭和五十八年度におきまして内閣は、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」を閣議決定いたしました。その中で、計画期間の五十八年度から六十五年度までのGNPの平均伸び率を四%と想定しております。この平均伸び率四%に、四十九年度以降の航空輸送需要実績とGNPの実績から推計されます弾性値を掛け合わせます。そして、六十五年度における輸送需要を想定いたします。この全国の輸送需要に対して関西地区のシェアを、運輸省の持っております総合交通モデル等から推計いたしまして、六十五年度の関西地区の輸送需要を想定いたします。それ以降は、長期的な航空輸送伸び率の逓減率、年々伸び率が減少しておると想定しておりますけれども、逓減率を予想して、それを掛け合わせて五年目ごとの節目の年度におきます輸送需要を想定する。そして、六十五年度と七十年度、第一の節目は七十年度でございますけれども、その七十年度の間を直線で結びまして、六十八年度の輸送需要を想定する、こういう手法を用いております。なお、長期的な航空輸送伸び率の逓減率は、三十年代から五十七年までの三十年弱の長々期の逓減率の実績を用いて減少傾向をはかってございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/20
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021・西中清
○西中委員 経済成長も大きな伸びがそう期待できるものではないと思いますし、とりわけ、私が申し上げましたように、これからの質的な社会の変化というものを考えますと、若干の危惧を私は持っております。
ところで、旅客需要二千万人ないしは二千五百万人とも言われておるわけですが、こういう前提でまいりますと、現在の大阪国際空港の存在は一体どうなるのかということ、これは現在、大阪空港の能力からまいりましたならば、はるかに超えておる需要ということでございますから、当然これは併用して使っていくということになるわけですね。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/21
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022・松村義弘
○松村説明員 現大阪国際空港の存廃につきましては、運輸省が調査をして、また、関係地方公共団体の皆様方の意見をお聞きした上で決定するということになっておりますので、この場で存続または廃止ということはちょっと述べられませんけれども、本会社の輸送需要想定の上におきましては、一応一日二百便のジェット機が就航するという想定のもとに収支採算をはじいております。これは、大阪国際空港がもし廃止ということになりますれば、需要はすべて関西国際空港に移るわけでございます。そうしますと、収支採算上は有利な結果が出てまいります。しかし、プロジェクトを採用するに当たりまして、むしろ厳しい条件を設定して、その中においてもなおかつ収支採算はとれるということを前提に検討いたしましたので、一応現大阪国際空港一日二百便という枠でもって想定をさせていただいております。
なお、現在大阪国際空港におきましては、国際旅客、国内旅客合わせまして約千五百万人の需要がございます。六十八年度に開港いたしますれば、関西国際空港で、国際、国内合わせまして二千万人、大阪国際空港におきまして千四百万人の国内旅客をさばく、こういう計画になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/22
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023・西中清
○西中委員 まあ、どういう結果になるかわかりませんけれども、両方が存続する場合と大阪空港を閉鎖する場合、これは収支の関係では非常に問題が多いと思うのですね。ですから、どういう予測でやられたかということをお聞きしたら、大体二百便ということでございますけれども、いずれにしてもこの点が明確でないと、実は収支計画がもう一つ納得がいかぬわけなんで、これをはっきりさせろというのも今無理でしょうから、それ以上は追及をいたしませんけれども、しかし、関西国際空港の第一期計画の能力は、年間離着陸の回数が十三ないし十六万回、こういうことですから、大体今の大阪空港と変わらない。ですから私としては、併用を考えておるのじゃないかというふうに思うのですけれども、これは深く追及しないておきましょう。
ただ、私は、関西国際空港の位置、これが収支採算性の上では非常に大きな問題を抱えているというふうに考えておるわけです。この空港は、御承知のように、大阪の中心部から大体四十四キロ、こう言われております。現在の大阪空港までは十七キロ、こういう位置関係です。かなり遠距離になる。当然アクセスについてもいろいろとこれから整備はされると思いますけれども、これだけの長い距離というものは、渋滞も当然ございましょうし、いろいろ問題は多い。都心を遠く離れるのは、これはもう環境問題その他については当然やむを得ないことだし、関西としてはここしかなかったのかもしれません。しかし、遠いという現実は非常に大きな問題を抱えていると私は今考えておるのです。
したがって、先ほどから航空需要の話が出ておりますけれども、この大阪の航空需要の八〇%が国内便という現状でございます。そうすると、この八〇%の乗客は一体どこから乗っておるのかと言えば、京阪神間、大阪府、この辺のところを中心に乗っておると私は思っております。そうしますと、大阪の中心部よりも北部及び京阪神間というものは、今申し上げた四十四キロ以上の距離になるわけでございまして、二時間ぐらいは覚悟しなければならぬでしょう。したがいまして、こうなってくると当然、国鉄には非常に結構な話でありますけれども、新幹線に国内の客は乗っていく、東京、福岡。したがって、東京便、福岡便というものは大変に飛行機離れを起こしてくるのではないかというふうに私は考えるわけです。今八〇%を占めている国内便の乗客が国鉄へかわる、こういう影響は一体どういうふうにお考えになっているのか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/23
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024・山本長
○山本(長)政府委員 空港が新しく設置されるその場所によりまして、既存の空港からその利用者までの距離というものが変わってまいります。そのことによりまして便のいいところと不便のところが出てまいるということは避けられない事態でございます。それに応じまして、需要という面にその点がプラスの要素とマイナスの要素としてはね返ってくるということは、これは事実であろうと思うのでございます。ただ、関西国際空港をつくりますという動機それ自身が、現在の空港ではとても対応できない、現在、実際現実には潜在的には対処できないという事態を受けて計画されておるものでございますので、要するに関西地区に将来発生するであろうと先ほど飛行場部長がるる申し上げましたけれども、一応の前提のもとにおきまして試算されましたその需要というものが関西地区の空港の需要として顕在化してくる、その場合に両空港をどう分け持つかということについては明確ではございませんけれども、しかしながら、存続する場合にはこう、こういうふうな仮定を置いておるわけでございます。
先生おっしゃる、京阪神の中の特に大阪よりも北、現空港に比べて遠くなるところについて影響があるということは確かに言えることだと思います。しかし、これは現大阪空港の取り扱いいかんにもよりますけれども、私たちといたしましては、やはりこの新しい空港というものは、たとえ現大阪空港が存続するということになったといたしましても、長距離の路線、長い足を持つ路線というものを主体に考えていかなければならぬ、同時にそういう路線というのに就航いたします航空機は燃料を多く積みますから重いということで騒音の被害が大きいというところもございます。そういった観点から国際線、それから国内線におきましても足の長い路線というものを中心に考えざるを得ないだろうというふうに考えておるわけでございます。
先生おっしゃるように、理論的には確かに位置によりまして需要が変動してまいることは事実だと思います。しかしながら、将来の問題でございますけれども、両空港の機能というものを検討いたしていずれは結論を出さなければいかぬわけでございますけれども、その場合におきましても、空港の立地によりましてそこに就航する路線、機材というものも勘案いたしまして、やはり立地に適した路線を選ぶといいますか範囲を分けまして就航させていくというふうなことが必要だと思います。そういった国際線でございますとか国内線におきます割合に長い距離における航空路線というものの今度はアクセスがもたらす需要への影響ということになってまいりますと、割合近い路線に比べますとその需要のインパクトというものは少ないということが言えると思います。先生おっしゃるのは、理論的には確かにそういうことが言えると思いますけれども、数字ではっきりと言いあらわすことはなかなか困難だと思います。しかし、その辺につきましては、需要者といいましょうか、そのニーズというものをよくとらえて、できるだけそれにマッチした機能分担というものも考えていかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/24
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025・西中清
○西中委員 五十七年度の実績でまいりますと、大阪空港は国内線が一千二百九十九万七千人、国際線が三百二十三万七千人、八対二の関係ですね。これが国内需要が減るということは非常に大きな打撃になると思います。したがって、私は心配をいたしておるわけでございます。何といっても時間的メリットがなくなるということが非常に大きな要素で、それだけ国鉄が有利になる、こういう関係だと思うのですね。では、国際線をこれからどんどんおろすんだからといっても、果たして関西圏にそれだけの需要があるかどうかという問題も一つ残されていると思う。これは先の話ですから議論しておっても終わりありませんけれども、そういう点で私は若干の心配をしておるということです。
それで、例えば国際線と一部国内線を新空港に移し、大阪国際空港を併用するというケースを選択した場合、遠い空港は敬遠するというのは当然のことでございまして、客は大阪国際空港に集まる。そうすれば、新空港の当初の目的は達せられない。例えばアメリカのワシントン・ナショナル空港は小さくて大阪空港と同じような条件下にある。こういうことで都心から四十キロ離れたところにダレス空港という立派な空港をつくった。しかし、お客さんは全くわずかしか寄っていかないという。これは実績が示しております。カナダのモントリオールも同じことで、ドーバル空港がございますけれども、ここも狭いということで都心から五十三キロ離れたところに持っていって新しい空港をつくった。しかし、これも目的を達しておらない。要するに私は、ここで言いたいのは、こういう遠い地域の空港は採算性で非常に苦しくなるという危険性があるということを指摘しておきたいと思うのです。そういう心配はないのかあるのか、これは先ほどお聞きしましたけれども、こういった点で私は心配せざるを得ません。
今度は大阪国際空港に国内線を残して国際線のみを移しても、先ほど申し上げましたように、果たして国際線の需要が東京、関東ほどあるのかないのか、これも考えてみますと、大阪のマーケットは非常に小さいのではないかと私は思っております。そういった点で収支の計画が大きく狂いを生じないように、万全の収支の計画というものをしっかりまた見直していただくことが非常に大事ではないかと思っておりますが、果たして九年後に配当ができるような状況になるのかならないのか、この辺のところを私は非常に心配をいたしておりますので、十分な検討を願いたいと思います。大臣いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/25
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026・細田吉藏
○細田国務大臣 今御心配になっておることは非常に基本的な問題だと思います。とにかくこの関西新空港をつくらなければならぬという話が始まったころのことを考えていただくと、伊丹には空港を置いておけぬ、どこかへ持っていこう、こういう話から始まっておるわけですね。そういう格好になっておるわけですね。したがって、航空審議会の答申も廃止を前提としてということになっているわけです。ところが、現在の段階では、これはまだはっきり決めておりませんけれども、伊丹の現在の大阪空港をどうするかということはそう長く決めずに置くということにまいらないと思います。これは前にも他の方に御答弁申し上げておるとおりなんで、ある程度速やかにといいましょうか、少なくとも余り便々としてこれを延ばすわけにまいらない、こういうことになっておると思うのでございます。そして、羽田空港と成田空港との関係と少し状況が違うわけでございます。したがって、関西新空港に国際線だけ持っていって国内線は伊丹へ残すというようなことでは関西新空港は成り立たないことはだれが考えてもわかることだと思うのです。
そこで、問題は、先ほど来いろいろお話がありますが、将来の航空需要の伸びが非常な関係を持ってくること、これは当然でございますが、もう一つの問題は、アクセス問題というものが成田の問題とまた別な意味で、全然性格的に違った意味で決定的に重要度を持っておるというふうに実は思うのです。単に物理的な距離がどうこうということよりも時間的距離が問題なわけであるこは言うまでもないわけでありますから、私は、関西新空港については今おっしゃったような心配があります。あると思います。ないと言ったらうそですね。
〔鹿野委員長代理退席、久間委員長代理着席〕
ですから、私はその問題を決定するのに、決定的な要素になるものはアクセスが本当に完全といいましょうか非常に立派なものになるということ、これが前提でないといろいろなことが成り立たないと実は思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/26
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027・西中清
○西中委員 私は京都に住んでおるわけですが、とてもじゃないけれどもあそこまで行く気が起こらない、おっしゃるようにアクセスが相当すばらしいものがネットされなければまずかなわぬな、こういう印象ですね。現在でも、時間的メリットは大阪空港ですら全くないから、京都の方は大抵もう新幹線ですよね。そういうことを考えて、これから十分アクセスにも力を入れていただきたいと思うのです。
次に、二番目に心配な点は、航空審の第一次答申、第二次答申によりますと、補助滑走路について大阪湾は常時強い西風がある、だから、これはほとんど必要不可欠だ、こういうのに近い表現でその必要性が述べられております。しかし、第一期の事業計画ではこれは含まれてはおらない事業でございます。膨大な投資ですから一気にやれないというのはよくわかるのでありますけれども、この空港が最大限に機能する、または二十四時間の空港が必要だという観点から始まった、こういうことから考えてまいりますと、常時強い西風が吹いておる、これは環境影響評価の中を見ておりましても大変なような状態であります。西風を受けて離発着ができない、こういう事態も十分予測がされるわけでございますけれども、その点はどういうふうに考えておられるのか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/27
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028・山本長
○山本(長)政府委員 おっしゃるとおり、空港があらゆる風に対応できる滑走路を持つことが望ましいことは申すまでもございません。そういう意味で、今度の関西国際空港の構想もいわゆる横風の滑走路を持つという最終計画にはなっておるわけでございます。
おっしゃるように、第一期の計画については滑走路一本、必要最小限のもので開港するということでございます。その場合の影響でございますが、おっしゃるように特に冬におきましては西風が強い地域でございますのでこの影響を受けることは事実でございます。それによって滑走路に離発着てきないという状態をどういうふうな計算で行うか。いろいろな計算の仕方がございますが、ICAOの方式もございますれば、現在航空会社がとっておる方式もございます。だんだんと航空機も大型化しジェット化していくということでもって風に強くなってきております。
そこで、現在日本の航空会社及び外国の航空会社がいわゆる運用限界、横風運用限界の一つの基準というものを持っておりますが、その場合は、風が幾らの場合、それから滑走路の路面の摩擦が大きい場合、小さい場合、これは雨が降っておるとか雪が積もっておるとかいうふうな路面の状態と横風の力の働きぐあいというものの二つの要素から掛け合わせて運用限界を決めておるわけでございますが、通常決めております基本的な通常のパターンでもって試算をいたしますと、この一本の滑走路でもっていわゆる年間の利用率というものを計算いたしますと、一本でも年間平均で大体九九%程度いけるという計算でございます。さらに、西風の強い冬季でございますけれども、九八%程度は確保できるという計算をしております。これは現在の各航空会社の機材、風に対する強さというものを基準に置いて運用しておる基準にのっとって計算したものでございます。飛行場というものは完全無欠、一〇〇%ということが望ましいわけでございますけれども、若干のこういった問題は避け得ないと思いますが、今申し上げましたような数字から見て大きな支障はないというふうに私たちは判断をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/28
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029・西中清
○西中委員 就航率九八%、九九%というお話で、それならばほとんど影響はないと言ってもいいと思うのです。そうすると答申の方はちょっと大げさに書き過ぎたのかなという感じもせぬわけでもない。しかし、大変な投資をして補助滑走路をつくるということでしょう。やはりそれなりの必然性、必要性がある空港であると考えなければならぬ、これは当たり前だと私は思っておるのです。九九%ならばほとんど要らないわけですから一期工事だけでもいいということになりかねない、そういうお話ですと。しかし風の状況もやはり一つの大きな要素であろうと思いますし、とりわけ海のど真ん中という空港はそう例があるわけはないのですから、いろいろな予測がもっともっとできるのだと思うのです。シビアにもう少し検討された方がいいのじゃないかと私は考えております。
次は、第三点目に心配な点を申し上げます。それは何かと申しますと、新しい島をつくる、こういう事業でございますから当然沈下ということを考えておかなければならぬと思うのです。どれくらいの期間、どれくらい沈下するものと予測をされておるのか伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/29
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030・山本長
○山本(長)政府委員 諸般のボーリング、土質調査等の結果を踏まえまして予測したものでございますが、地盤改良工事等を行うことによりまして沖積層の地盤の一番弱いところの沈下というものをできるだけ早く沈下をさせるという計画でございますが、開港後もなお、さらにその下の層の沈下というものは避け得ないと思います。これはどの埋立地でも同じでございます。そこで開港後も残りますいわゆる残留沈下の量でございますけれども、開港後十年後までにおおむね〇・六メートル、それから開港後二十年ないし三十年後におきましては一メートル程度の地盤沈下がなお残留沈下として残るというふうに予測をいたしております。
その後、ずっと長い期間にわたって少しずつ沈下をしていくわけでございますが、この辺につきましてはこういった予測をもとにいたしまして地盤改良工事を実施することにしておりますし、さらにまたその残留沈下というものに対応した対策といたしまして、余盛りをしておくというようなことでもって半永久的にもち得るというように埋立地を造成する計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/30
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031・西中清
○西中委員 私はポートアイランドを聞いてみましたところが、埋め立て工事を完了して、開始してから大体九年間で約三メーター、最終的には四メーター沈下した。六甲アイランドは十年間で約四メーター、九五%方沈下した、こういうデータが出ておるわけです。これは地盤とかその他いろいろな堆積物によっていろいろ状況も違うでございましょうし、埋め立ての工法によっても違いがあるわけでございますから一概には言えませんけれども、開港が六十七年ということになりますとすぐ始めても沈下が激しい時期である、こういうふうに私は判断をいたしておるわけでございます。関西空港の位置はなかなか深いところでありますし、当然沖積層の土質の多いところでございますから、それに対応した工法もとられるのでしょうけれども、沈下は避けられない、開港してもしばらくの間はかなり沈下をする、こういう予測をせざるを得ないと思います。
とりわけ面倒なのは、沈下が一律に、島全体が同じように沈んでくれれば一番都合がいいわけでありますけれども、不同沈下を起こす、要するに、滑走路全体が同じように沈まない。そうすると、でこぼこが起こる。そのときにやはり当然、空港を閉鎖して改良工事を加えなければなりません。そのときには一本しかございませんから、当然、空港にはおりられない、こういう状況になろうかと思います。
先ほど西風の問題とあわせて私が申し上げましたように、不同沈下の改良工事と西風、こういう問題、それから航空需要の問題、位置の問題、こういうことを三点にわたって申し上げてまいりましたけれども、そういった点で、空港全体として閉鎖する確率はかなり高いんじゃないかということを心配しておるわけです。当然それは収支の方に響いてくるわけでございますから、これは単なる私の杞憂にすぎないようになることを願っておるわけでありますけれども、やはりその点は十分工法の上でも慎重の上に慎重を期し、最善の技術を駆使をして不同沈下を起こさないようにやっていただかなければならぬ、こういうように思っておるわけでございます。その点とどいうようにお考えか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/31
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032・山本長
○山本(長)政府委員 先生の御心配、三点御指摘になったわけでございますが、需要の点につきましては、位置の関係においての影響は確かにあろうかと思いますけれども、大臣が先ほど申し上げましたように、これはやはり時間距離というふうな観点から、アクセス問題というような観点からの整備ということでそれをカバーしていくというふうな必要があろうかと思います。
それから滑走路一本であるということに伴う不安という点についてでございますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、一〇〇%というわけにはもちろんまいりませんけれども、就航率というものは冬場におきましても九八というふうな数字でございますので、大きな影響はないというふうに我々は考えております。
それから沈下問題につきましても、全般的な沈下につきましては、先ほど申し上げましたように、これはどの埋立地でもずっと長きにわたって沈下するものでございますので、それに対応する措置をとっておく必要がございます。これについては技術的に対応してまいりたいと思います。
また、新しい不同沈下の問題が御指摘にございましたけれども、これもあの海域において数多くのボーリングを実施いたしまして、そして土質を調べておりますが、比較的均一な土質でございます。したがいまして、全般的な沈下というものは、残留沈下が残りますけれども、その沈下というものが今度は不同沈下としてどうあらわれてくるかということでございますけれども、我々の試算によりますと、これも技術的な検討に基づく現在の検討結果でございますが、滑走路の水平距離二百メートルに対して最大で五十ないし六十センチ程度、これは滑走路のいわゆる勾配の許容限度が千分の八でございますが、今申し上げました数字は千分の二・五ないし三・〇になります。こういった予測をいたしておるわけでございまして、沈下というもの、それが場所によって若干沈下の度合いが違うということによって均一ではないという点がございますけれども、十分滑走路の運用の許容の範囲内であるというふうに考えておる次第でございます。この点につきましては先生御指摘の、御懸念のようなことにならないように、技術的な面におきましても万全を期していかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/32
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033・西中清
○西中委員 全般的に千分の幾つというふうにきれいに沈下してくれれば大したことはないのですけれども、不同沈下をしてでこぼこになると困るわけで、この例はポートピアを見ても十分あるわけで、あそこはいいかげんに手抜きをしたというふうには私は判断できないわけです。いろいろな不法をやはり駆使していると思うのです。もう時間もありませんから、これはこれでおきますが、慎重の上にも慎重を期してお願いをいたしたいと思います。
それから、時間もなくなりましたから、あと伺っておきたいのは、株式会社という性格ですから、当然配当しなければならぬ。ところが、巨額の投資額から見ましても、空港の使用料と公租公課はかなり高いものになるのじゃないかというように予測をしております。御承知のとおり、成田は世界で二番目の高い使用料を出しておるというふうな状況でありますけれども、結局はお客にこういったものが転嫁される、こういう危険性も非常に強いわけでございます。勢いそれが国内線の公租公課にも影響が出てくるのではないか、こういう点で航空運賃の値上げということにつながる心配がございますので、その点をどういうように考えておられるか、ひとつ伺っておきたい。
それから先ほど申し上げましたように、航空需要の変化が予測をされるわけでございます。位置からいきまして、先ほど申したように航空機離れもあるでしょう。また、本四架橋ができれば徳島も高松も大阪からの便が変化をしてくると私は見ております。そのほか愛媛、当然変化いたしましょう。こういったことを見てまいりましても、航空需要の変化に対応した国内、国際両面にわたっての航空行政の再編成の問題、路線の再編成の問題、これは当然起こってくるものだと思います。この問題についてはいつごろ結論をお出しになるのか、どういう手順でこれから作業をされるのか伺っておきたいと思います。
以上二点につきまして御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/33
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034・山本長
○山本(長)政府委員 この空港の収支採算を確保していくために先生の御指摘の幾つかの、三点ばかりの御指摘というものがあり、それが顕在化すると、結局は空港使用料を高額にせざるを得ない、それが運賃にはね返ってくるのではないか、どう考えておるか、こういう御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、需要予測の問題、それから建設技術に伴う建設費の問題、あるいは空港利用率の問題等につきまして、これは収支採算のやはり前提条件でございますけれども、私たち相当研究をしたつもりでございます。適切に計画しておるつもりでございます。
また、この収支採算の前提になりますいろいろな着陸料等、あるいはそれだけではなくて、あそこに人が集まることに伴ってこの会社の収益になってくるようなものの収益の予測というものを前提にしておるわけでありますけれども、こういったものにつきましては、やはりほかの空港の着陸料あるいはそのほかの料金収入というものとのバランスを考えまして、そして確かに世界的に見て安い空港じゃございません、確かに日本は成田だけではございません、全般的に高いのは事実でございます。やはり日本の中においてのバランスを考えまして設定いたしたわけでございます。
私たちといたしましては、その計画がそごを来さないようにしていくことが一番必要だと思います。その面につきまして諸般の配慮をしていかなければなりません。また、運賃の値上げというふうなものは当然できるだけ避けていかなければならぬという配慮から、この空港のコストというものについてもできるだけ計画どおりにいくように努力をしてまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。
それから、航空路線の再編成といった航空の企業体制の御質問がございました。これは御存じのように、昭和四十五年の閣議の了解、四十七年の大臣通達というものが基本になりまして現在の運営体制ができ上がっておるわけでございます。確かに、十年以上経過いたしまして、客観情勢が非常に変わってきておることも事実でございます。また、現在の運営体制につきましていろいろな意見があることも事実でございます。ただ、この問題は、単に航空会社サイドから見まして、企業の利害の立場から、こうしてくれ、ああしてほしいとかいうふうな観点から論ずるのは適切ではないだろうと考えるのでございます。やはり現在の航空輸送需要あるいは将来にわたる需要というものを考えた場合に、あるべき航空輸送体制のあり方というものを基本に置いて考えていかなければならぬ問題であろうかと思います。
この点につきましては、いつからどうするのだというふうな御質問でございますけれども、私たちとしては、やはり絶えず勉強し、検討していかなければならぬ問題でございます。永久のものだとは考えておりません。しかし、今、この時点で、いつからどうするのだというふうなことをお答えできるだけの段階にまではもちろん至っておりません。慎重に考えていかなければならぬ問題だと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/34
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035・西中清
○西中委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/35
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036・久間章生
○久間委員長代理 西村章三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/36
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037・西村章三
○西村委員 関西新空港問題は、今、国会で論議をされておりますこの空港株式会社法案、これが成立をいたしますと新しい局面を迎えるわけでございます。過去十年間のいわゆる計画段階から、実施段階へと移ってまいるわけでありますが、このことは、言葉をかえて言いますと、今日まではいわば産みの苦しみの時期であった。環境問題、財源問題等々、多くの難問題を抱えた産みの苦しみの時期であった。どこもが、この法案が成立いたしまして、十月に新会社が発足をいたしますと、これからは、いわば育ての苦しみが始まるわけでございます。
細田運輸大臣も、新聞の対談の中で、小さく産んで大きく育てる、こうおっしゃいました。確かに、空港問題も、そういう意味におきましては、これからの育ての期間、いわゆる自然環境、教育環境、さらには社会環境、経済環境、これらも整えてもらわなければ、立派な空港が建設されないわけでございます。そういう意味におきましては、むしろ、産みの苦しみよりも建設の苦しみの方が大きいのではないか、こう思っております。この成否いかんが空港の将来を決するものだ、かように考えておりまして、一層の御努力をお願いをいたしたいわけでございます。
前置きがありましたけれども、限られた時間でございますので、私は具体的にお尋ねをいたしてまいりたいと思います。時間が制約をされておりますので、できるだけ簡潔にお答えをいただきたいのでありますが、まず、新空港の位置の問題でございます。
この法案の第二条に、関西空港は「大阪府の地先水面で政令で定める位置」だ、こう表現をされているわけでございます。かねてから泉州沖五キロと言われてまいりましたが、これがどの地点から五キロなのか、今までは定かでなかったわけでございます。泉州沖五キロということは、この計画にはおよそ間違いがないのか、この計画はこれからも基本として建設の時点で確認をされるのだろうか、この辺についてまずお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/37
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038・山本長
○山本(長)政府委員 この空港の位置、それからもう一つは滑走路の方向でございますけれども、これはやはり空港の計画の基本でございます。これがどうあるべきかということにつきまして、航空審議会の答申を得たわけでございまして、答申の中心もここにあるわけでございます。泉州沖五キロの位置が最適という御答申に基づいて計画を詰めてまいったということでございます。
この具体的な位置につきましては、先生も御指摘のように、政令で決める、こういうふうになっておるわけでございます。通常は、政令で決めますときには、地方公共団体の名称で決めるわけでございますけれども、何しろ地先海面でございますので、所属がまだはっきり決まっておりません。したがいまして、これは今後、この政令で決める段階でそれが決まりますれば、そういった通常の位置の標示の仕方になろうかと思いますけれども、しかしながら、それが決定いたしません場合には、私たちといたしましては、空港の標点、通常は滑走路の中心線でございますけれども、その場所を示すわけでございまして、これは所属する市町村で標示ができません場合には、正確な緯度、経度というふうな標示で明らかにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。この緯度、経度につきましては、私たち、この答申に基づいてさらに調査の結果、いわゆる三点セットという形で示して、オープンにしている場所がございますが、おおむねその地点というふうに基本的には考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/38
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039・西村章三
○西村委員 大阪府では、いわゆる南大阪の湾岸整備事業ということで前島構想というものを計画いたしております。これには島のタイプなりあるいは沖出しタイプというものがあるのですが、これの地点と今回のこの五キロ地点、これは余り関係がないと思われるのでありますが、今、航空局長がおっしゃられましたいわゆる滑走路の標点といいますか、これは例えば空港計画案の中でいいますと、とりあえず先につくられます三千三百メートルのB滑走路ですね、これの中心点と考えてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/39
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040・山本長
○山本(長)政府委員 先生御質問のとおり、そのように御理解願って結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/40
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041・西村章三
○西村委員 了解をいたしました。
それから次に、空港機能につきまして、先ほども御質問がございました。関西新空港の航空輸送需要予測につきましては、収支試算の中で開港時の六十八年当初では、およそ国際旅客が九百万人、国内旅客が一千百万人と予測をされております。この数字は、現大阪の国際空港、伊丹空港との機能分担について、どのような計算をされたのか、両方について数字を説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/41
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042・松村義弘
○松村説明員 現大阪国際空港の存廃につきましては、調査の上、後ほど決定するということでございますけれども、一応収支採算の予測に当たりましては、現大阪国際空港に一日二百便の国内線を入れるという予想のもとにしております。したがいまして、国際線はすべて関西国際空港に移したいと思っております。また、大阪国際空港の取り扱いは、一日二百便と仮定しております。もちろん、これは大阪国際空港の存廃調査のいかんによって影響を受けることは、申すまでもございません。それ以外、二百便を超えます国内線につきましては、すべて関西国際空港の方において処理したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/42
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043・西村章三
○西村委員 大阪国際空港の方がおよそ国内で二千五百万人と予測をされ、二百便などのことでございます。私は、大阪空港の存廃問題につきましては、あえてきょうは触れようとは思いません。しかし、国際空港、新空港ができますと、成田の例で既に皆さんも御承知のとおりであります。国内幹線との乗り継ぎあるいは連絡を含む併用空港でなければこれは全く利用価値が半減をする、こういうことでありまして、先ほどの答弁によりますと、いわゆる足の長い路線を見込んでおる、こういう航空局長の答弁でございますが、それが確定をするのは大体いつごろになるのか、現空港の存廃の時期の問題も、確定と同時期なのか、あるいはそれ以前にもそういうことが決定をされるのか、この問題についてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/43
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044・細田吉藏
○細田国務大臣 先ほども西中先生の御質問に答弁をいたしましたが、現伊丹空港、これをどうするかということについては、工事ができ上がるまでに決定するということに建前上なっておりますが、私の考えでは、これはそうゆっくりするわけにはまいらないのじゃないか。というのは、新空港のいろいろな計画にこれは関連を持ってまいりますので、私としましては、これはなるべく早く決めなければならぬのじゃないか。
ただ、これは会社を設立する前に決めるとかなんとかということではございません。会社が設立すれば当然会社の方から、この問題を早く決めてもらわなければいろいろな計画が立たぬじゃないかという話に実際問題としてはなると思うのでございます。地元ともよく相談をしなければなりませんが、地元との相談の上でなるべく早く決める、そういうことにスタンスをはっきりさせませんと、いろいろな点が進行ができなくなるのじゃないか、かように考えておる次第でございます。いつということは、ちょっと今申し上げかねるのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/44
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045・西村章三
○西村委員 ただいまの大臣の答弁によりましても、およそ国内幹線と国際線との併用空港だ、こう理解をさせていただいてよろしゅうございますね。
そういたしますと、いわゆるこれからの、この計画の中にあります開港時十万回、この中には国内の幹線というのは含まれておるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/45
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046・松村義弘
○松村説明員 開港当初十万回の年間離発着回数を予定しておりますけれども、そのうち六万回を国際線、四万回を国内線と考えております。この国内線の四万回の中には、長距離の幹線も含まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/46
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047・西村章三
○西村委員 わかりました。
それから、次にお伺いいたしたいのは、いわゆる周辺地域整備の問題でございます。もう当委員会でも多くの同僚委員の中から随分この問題には意見が出され、質問がなされたと思うのでありますけれども、私も地元の立場からぜひお伺いをしておきたいのであります。
空港立地に伴う人口の増加、これに対する地域社会の変化、それについての施設の整備あるいは新たな国際空港都市づくりに必要な諸条件、これらを満たすための諸施策の実施につきましては、国や新会社が一方的に定めるというのは、過去の成田の例でこれは悪例として残っておるわけであります。したがって、あくまでも地域整備の内容は、国や会社が一方的に定めるのではなしに、地元の地方自治体あるいは住民の意見にも耳を傾けながら、地域の主体的な創意工夫、これを取り入れるべきだと思うのであります。またそのことが、これからのいわゆる地元との共存共栄に結びつく空港という面での最大の問題点だと思うのであります。この点について、基本的なことをまず聞かせていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/47
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048・細田吉藏
○細田国務大臣 おっしゃるとおり、地域整備の問題は大問題なんでございます。これは、会社を中心にやれといっても、私は、できるものだとは考えておりません。やはり国が公共団体と一緒になって、それで会社も一緒になって、地元の方もこれに参加していただくという形に基本的にはいたさなければならないと思っております。結局それは、私は、問題がむずかしくなるなり、最終的には関係閣僚協議会の問題になるということであると基本的には思っております。
なお、詳細は航空局長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/48
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049・山本長
○山本(長)政府委員 このいわゆる地域整備問題につきましては、先般、ことしの二月でございますけれども、関西国際空港関係閣僚会議が開かれまして、その際に、関西国際空港の故地に伴う関連施設整備の進め方については、「空港のアクセスとして根幹となる交通施設については、国が地方公共団体等の協力を得て計画面の調整を行い、国を含む関係の機関及び地方公共団体等が相互に協力して整備を行う」、また、「空港の立地に伴い必要となる関連公共施設」、この辺が先生のおっしゃった都市づくり、町づくりでございますけれども、「計画の策定及び推進については、今後、国と地方公共団体との間で協議・調整を図っていく」という基本的な考え方がこの会議においても了承されたところでございます。今後、関係機関との間で協議、調整を図りつつ具体策を検討していくことになるわけでございます。
具体的な地域整備につきましては、葉本的には、先生おっしゃるように、関係する地方公共団体が、地域の特性を生かしつつ、みずからの創意により計画の策定及び推進がなされるべきものと考えておりますが、これらにつきまして国が所要の協力をしていくということがやはり基本的な立場であろうかと考えておる次第でございます。
この点につきましては、このプロジェクトを中心になって進めておりますのが運輸省でございますが、しかし地域整備の問題というのは、関係各省多岐にわたっておる問題でございます。関係閣僚会議の場を通じ、また、地方公共団体、関係省庁とも連絡をし合いながら、先ほど申し上げました地域の創意によるところの町づくり、地域整備というものが生かされていくように、私たちといたしましても努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/49
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050・西村章三
○西村委員 もちろん、これは運輸省だけで到底なし得ない問題でありまして、それだけに関係閣僚会議が設置をされたわけでございます。建設も第一期工事だけでおよそ十年近くかかるわけでありますから、これが完了ということになりますと、非常に長年月が必要なわけでございます。地域整備も同様でございまして、都市基盤の強化あるいは都市施設の整備を進めるためには、長期的な視野に立って目標を定めていく必要がございますし、国の援助体制も、そういう意味では長期的な観点からこれに取り組んでもらわなければ困るということでございます。
既に本委員会では、関係閣僚会議は建設の完了までは存続をさせる、こういう御答弁もいただいているようであります。まことに結構なことだと思っておるのでありますが、私はそれと同時に、今この三度セットの中では、交通アクセス以外にはほとんど地域整備というものが示されておらない、これは今言ったような、いわゆる地元の創意工夫あるいは地方自治体の要望等々も入れつつこれから計画を策定していくんだというふうに理解をいたしておるわけでございますが、これからの長期的な視野の中で、およそいつごろまでをめどにして、協議、調整を地方団体と重ねて地域の整備計画案というものをまとめようとしているのか、運輸省のこれからのめどについてお尋ねをしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/50
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051・山本長
○山本(長)政府委員 基本的な考え方は先ほど申し述べたとおりでございますけれども、この地域の創意工夫を生かした町づくりというものにつきましては、やはり計画の緊要度それからまた熟度というものを勘案しながら策定されかつ推進されていくというものであろうと思うのでございます。したがいまして、一律にすべてをいつまでに計画として一つのものとしてまとめ上げるということが適当であるかどうかについて若干問題があろうかと思いますが、この面につきましては、先生も御存じのように各地方公共団体、市、町のレベルのいろいろな要望、御意見等も取り入れて、それをまた基本にしながら、例えば大阪府でございますれば府のレベルにおいて一つの将来のビジョンをつくろうというふうな作業も進められているというふうに聞いておる次第でございます。
こういった地方公共団体における町づくりのビジョンというものを受けまして、運輸省も、及ばずながらでございますけれども、運輸省でできることは御協力申し上げる、また、関係省庁に対して、この空港の立地に関するものにつきましては運輸省も関係省庁に働きかけて、そして地方公共団体の計画をサポートしていく、こういうふうなことで進んでいくというのが一番現実的ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/51
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052・西村章三
○西村委員 先ほどからも確認がなされましたように、いわゆる空港と地域との将来にわたる共存共栄、これのキーポイントは、何といいましても周辺地域の環境整備が極めて重要でございます。しかし、現実には、国家財政も苦しいように地方公共団体もそれぞれ財政事情が厳しいわけでございまして、地元の市町村は今大変に苦しんでおるところであります。したがって、私ども地元の者といたしましては、ぜひこの際、新東京国際空港と同様な周辺整備の特別措置法、いわゆる財特法の制定措置によりましてかさ上げが必要だと思うのであります。この点について大臣からもう一度答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/52
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053・細田吉藏
○細田国務大臣 大変ごもっともな御意見なんでございます。地方財政の現状から考えますといろいろな点で問題が起こってくるだろうと思います。
ただ、現在、御承知のように政府の方針としまして、新しく特定の事業なり特定の地域についてのかさ上げというものはつくらないという、臨時行政調査会の考え方に基づくものと思うのですが、そういう方針をとっておりますので、これについて特別な法律を特に考えるというわけにまいらない。そこで、私ども、自治省とも十分相談いたし、今後大蔵省とも相談いたさなければならぬと思いますが、そういう中でできるだけのことをいたさなければならないと考えておるのでございます。その実施の状況いかんによっては、これをまたどう考えていくかというような段階に入るかと思うのでございますが、できるだけ現行法の許す限りであらゆる方法を、便宜を講じて、地方公共団体のためになるようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/53
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054・西村章三
○西村委員 経済情勢、財政事情という厳しい中でわからぬことはないわけでございますが、その財政上の配慮がないということは、いわゆる国を挙げての空港という認識にややもすれば欠けるのではないか、こういう嫌いもあるわけでございます。また、新東京国際空港を比べまして片手落ちになるのではないか、そんな気もいたしてなりません。地域整備は、いわゆる地元が、空港が存置をするからその見返りにあるいはこの際にこね得で何か取ってやろう、こういうものではないのであります。
もう既にこれも御承知をいただいておりますが、空港ができますと必然的に人口がふえてまいります。都市化現象が急速に生じてそれに対応するすべての新たな必要性というものがそこに生じてくるわけでありまして、そしてそれらはすべて自治体や市民の負担増に結びついてまいります。その負担をどこまで地元がするのか、負担能力にはおのずから限界があるわけでありまして、したがって、それらの対策、事業を市町村がやるのかあるいは府がやるのかあるいは国がやるのか別にして、関係省庁がどう認知をしてくれるか、ここに地元としては当然の要求があるわけでございます。それらに適切に対応するのが地域整備そのものだと私どもは考えておるのでありますが、地元の理解と協力を期待されるのであれば、これからもそういった誠意を運輸省が中心になって政府一体になって示していただきたいと強く私は要望をしておきたいと思うのであります。
そこで、具体的にお尋ねをいたしますが、今申し上げましたように、地元の八市四町の財政事情は非常に厳しゅうございます。そうした中でかさ上げ法案が無理だというのであれば、現行制度の運用で最低限、公共事業の優先的な選択、これは建設省ぜひやってもらいたい。
それから、自治省にお願いしたいのはいわゆる起債枠の拡充でありますが、これらの行財政上の措置を適時適切に地方自治体に対してとってもらいたい。この点で理解と協力が得られるのかどうか、建設省、自治省そして運輸省も含めて答弁をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/54
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055・光岡毅
○光岡説明員 お答えいたします。
建設省としては、先月、関西国際空港関連公共事業等の連絡会議を省内に設けました。これによって空港計画の進捗に合わせて空港のアクセス等地域整備に関する所要の検討をこれから進めてまいり、必要なものについては推進を図る所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/55
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056・前川尚美
○前川説明員 関西国際空港の設置に伴います関連公共施設の整備についての基本的な考え方、方針は、既に先ほど御説明ありましたように関係閣僚会議で確認をされておるわけでございまして、私どもも、事柄が地元地方公共団体に密接にかかわりのある事業でございますから、これは当然のことながら地域の特性なり創意というものを十分に尊重して計画がつくられるべきであるというふうに考えております。そういう意味で関係各省に、そうした努力をする過程で国庫補助対象事業あるいは国庫負担事業として取り上げるべきものは優先的に採択をするようにしていただきたいということを申し上げておるわけでございますし、また、それに伴います所要の財源措置、自治省の所管にかかわる財源措置についても関係地方団体の要望あるいはその財政事情等々を勘案しながら適切に対処していきたいと基本的に考えているわけでございます。
この問題は個別具体の事業にかかわる財政措置ということになりますので、私どもは、何としてもまずはその地域の整備計画としてどういう事業を取り上げるのか、それをだれが主体になってやるのか、その財政負担はどうするのかということで検討をする必要があると考えております。私どもも発言する場があれば的確に発言をしてまいりたいという方針ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/56
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057・山本長
○山本(長)政府委員 この間風は空港の立地に伴う、関連する問題でございますので、運輸省といたしましても、空港の機能を維持する上において、また地域と共存する上において不可欠の問題だと思っております。地域の御要望、計画というものも私たちといたしましても十分に聴取いたしまして、また関係各省にもその空港とのかかわり合いとの関連におきまして円滑な事業の実施ができるように、また地域と空港が共存できるような観点からお願いをしてまいりたいというふうに考えております。運輸省といたしましてもできるだけの努力をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/57
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058・西村章三
○西村委員 自治省、もう結構です。
次に、交通アクセスにつきまして建設省を中心にお尋ねをしていきたいと思うのであります。
交通アクセスが空港の死命を決する、先ほども運輸大臣がこう答弁をされたとおりだと思います。今の成田空港を見てまいりましても車の利用率が一番高いわけでありますけれども、今回の三点セットで示されておりますいわゆる交通アクセス、鉄道、道路を含めましておよそ三本でございますが、この中で特に近畿自動車道は開港までに間に合わすように急ピッチで今用地買収がなされ、工事にかかろうといたしておるわけでございますけれども、私はこの建設省がつくられた地図を見せていただきまして、いわゆるインターチェンジの取りつけ口でございますが、地図によりますと、交通アクセス道路だと言いながらお隣の貝塚地区それから一番先の泉南地区、このインターチェンジは明確に示されておるわけでございますが、肝心の連絡橋への接続になります泉佐野市のインターチェンジの位置というものは全く明確にされておりません。計画にも載っておりません。これは既に計画としては決まっておるのか、あるいは今公表ができないということなのか、公表するとすればいつごろ公表するのか、まずこの辺を建設省に聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/58
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059・光岡毅
○光岡説明員 お答えします。
御指摘の点は、近畿自動車道から空港を結ぶ連絡道路についての路線の決定云々に関する御質問でございますが、まず空港と対岸を結ぶ連絡橋、これは関西国際空港株式会社が建設、管理することになるわけでございます。これについては、現在運輸省において当面北ルートで検討しておられるということで、具体的にはまだ聞いておりません。それからもう一つ、前島構想についても神出し案を含めて大阪府におきまして現在調査を行っているところでございます。したがって、建設省としては関係の深いこれらの二つの重要な計画、そういったものの進捗に合わせて関係地方公共団体とともにこの連絡道路についての検討を進めてまいりたいということで、今勉強を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/59
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060・西村章三
○西村委員 そういたしますと、まだ今地図の上では明確に位置づけはできないけれども、その連絡橋との関係で泉佐野市内にインターチェンジをつくる、こう理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/60
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061・光岡毅
○光岡説明員 どのような形、インターチェンジになりますのかあるいは取りつけだけになりますのか、その辺もこれから検討してまいりたいわけでございます。そういう、先生のおっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/61
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062・西村章三
○西村委員 これからと言いましても、この道路の建設計画というのは非常に膨大な時間がかかるわけでございます。そういう面からいたしますと、できるだけ早くやりましても空港の開港に間に合うのかどうかいささか疑念があるわけでございまして、一日も早くルート決定をしていただきますようにお願いしたいわけであります。
それから、同じく道路のもう一つの問題でありますが、いわゆる湾岸高速道路の計画をされております。泉大津市以南泉佐野市に至る南伸計画、これは現在調査中だと伺っておるのですが、今どの辺まで調査が進んでおるのか、またその調査の中でネックになっているのは何なのか、空港の開港、いわゆる第一期の開港までに開通する見込みがあるのかどうか、建設省答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/62
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063・高見昌信
○高見説明員 先生御質問の泉大津市以南の南伸計画の調査でございますが、泉大津市の臨海町から泉佐野市下瓦屋町に至る区間につきましては、昭和五十四年度から路線計画策定をするための調査に着手しておりまして、現在港湾計画を初めとします沿線の土地利用計画との調整を進めているところでございます。
さらに下瓦屋町から関西新空港に至る区間につきましては、新空港計画やいわゆる前島計画の進捗に合わせまして今後の積極的に調査を進めていく方針でございます。
それから今申しました以南の延伸計画につきましては、これらの調査が完了した区間から逐次都市計画決定を行っていきまして、事業化に向けて調査を鋭意進めていきたいと考えております。
事業化をする時期につきましては、現在の時点では各計画との調整がございましてまだ明確な見通しを得るには至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/63
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064・西村章三
○西村委員 まだまだ問題が多いようでございまして、果たして空港の開港までに間に合う見通しなのかどうか、この辺をもう一度答えていただきたいのです。
この湾岸道路は、近畿自動車道と並びまして空港への主要な二本の交通アクセスでございます。しかし、実際には大阪市内、神戸市内はもとよりでありますけれども、京都でありますとか滋賀でありますとか、奈良県を除く近畿一円の車はほとんどこの湾岸道路を通ってくるのじゃないか、それが多分ほとんどこのコースを通ることになる、湾岸道路の利用者が非常に多くなると私どもは想定をいたしております。したがって道路整備の最優先事業として南伸の早期計画決定というものをしなければ、これは交通アクセスが空港に至る途中でちょん切れてしまう、いわば最悪の事態になることを恐れるわけであります。もう一度、空港の開港までに間に合うのか、いつごろまでにやりたいと思っているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/64
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065・高見昌信
○高見説明員 空港の開港時までにつきましては、現在幹線道路としましては第二阪和国道がございます。これは昨年の十二月に全線供用になったわけでございますが、これと現在鋭意事業を実施しております近畿自動車道がございます。近畿自動車道につきましては埋蔵文化財の問題がございますけれども、それで一応新空港が開港する時点ではこの二本の道路で交通量はほぼ……(西村委員「湾岸道路は間に合うのか間に合わないのかを聞いているのです」と呼ぶ)湾岸道路は六十七年の開港ということですと、前島か沖出しかそういう計画がまだはっきりしない点もございますので、そういうものとの調整を今後していく必要があるだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/65
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066・西村章三
○西村委員 間に合わないのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/66
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067・高見昌信
○高見説明員 間に合わないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/67
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068・西村章三
○西村委員 調査中のことですから、これ以上突っ込んでもしょうがないわけであります。地形から言いまして人家の非常に密集したところでございますだけに、大阪府の計画をいたしております前島計画、これとの関連があることは十分に私も承知をいたしておりますが、いずれにいたしましてもこの問題は空港問題での一番重要なことの中心になるのではないか、私はこう考えておるのでございます。
この空港建設では、特に地域の周辺整備の中でも随分金がかかるわけでございますけれども、道路築造費というものが年々増高をいたしております。これは建設省、肌でもって御存じのとおりでありますが、この十年余りで道路築造費というものは年々増高の一途をたどっておりまして、例えて申し上げますと、二十年前に一メーター当たり百万円の道路と騒がれましたのがいわゆる名神高速道路でございまして、それでも昭和四十五年に開通をいたしました阪神高速堺線、これは十三キロで三百三十億、一メーター当たりに直しますと二百五十万円、一昨年開通をいたしました阪神高速の西宮線は七キロで九百五十億である。一メートル当たり何と一千三百五十万円。さらに加えて、昨年開通をいたしましたこの湾岸線、南港から三宝出口間に至っては六キロで九百六十億円かかっておるのですよ。建設省、知っておられますね。十数年で優に六倍を上回っておる。九百六十億円を六キロで割りますと、一メートル当たり実に一千六百万円、一メートル百万円と騒がれたこの道路が今では何と一千六百万円まではね上がってきておるのです。
これはすべて税金で賄われております。必要な道路は何としてでも一日も早く築造しなければ税金の浪費ということにもなりますし、そういう意味で、この湾岸道路は空港へのアクセスとしては最大のものになる、この観点から急いでほしいということを申し上げておるわけです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/68
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069・高見昌信
○高見説明員 将来の交通の需要を考えましても、湾岸線は非常に重要なものと考えております。現在事業を実施しておりますところも、それから調査申のところも、鋭意その推進を図っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/69
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070・西村章三
○西村委員 一日も早く調査を完了されまして計画決定ができますように、建設省のせっかくの御努力をお願いをいたしておきます。
次いで、もう一つの交通アクセスの鉄道についてでございますが、これは運輸省からお答えをいただくのですか、いわゆる国鉄阪和線、外環状から阪和線を経由して空港へというこの計画でございましたが、この阪和線は開港までに空港への乗り入れが可能でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/70
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071・永光洋一
○永光政府委員 空港アクセスとしまして阪和線を活用するということで、開港までにそういうアクセスの解決を図りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/71
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072・西村章三
○西村委員 この三点セットの中で示されましたいわゆる大阪外環状線、新大阪から加美、加美から阪和線、こういうルートが可能なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/72
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073・永光洋一
○永光政府委員 鉄道のアクセスとしましては、やはり現段階におきましては既設の鉄道を活用するということがまず第一に考えられるわけでありまして、そういう観点からいきますと、やはり南海本線あるいは国鉄の阪和線というものを活用して、空港アクセスに役立てるべきではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/73
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074・西村章三
○西村委員 先般の委員会でもこれはもう既に出たようでございますが、いわゆる外環状線、城東貨物線を利用した阪和線の利用、これはもう到底だめだという見通しのようでございます。それならばいわゆる鉄道としては南海本線、国鉄阪和線以外にはないわけでありますから、そのかわりとしてと言えば語弊があるかもしれませんが、新大阪から環状線の天王寺、天王寺から阪和線に切りかえまして空港と結ぶルート、これが最も至近な、しかも可能性のあるルートだと思うのです。この計画については、今策定をされておりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/74
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075・永光洋一
○永光政府委員 ただいま申し上げましたように、既設の鉄道路線を活用したいということを考えます場合に、今先生がおっしゃいました考え方も一つの構想として非常に貴重なものであると思いますし、地元の国鉄におきましても勉強しておるというふうに聞いておりますが、まだ本社段階でその計画自体が非常に成熟したというところまではいってないというふうに考えております。
ただ本計画は、聞きますと、貨物線の旅客線化だとか、環状線あるいは阪和線におけみ通勤通学との関連とか、その他、先生御存じと思いますけれども、天王寺駅におけるスイッチバックの問題とか、割にいろいろな面でのまだ検討すべき問題があると思います。ただ、先ほど申しましたように既設の線を活用する、しかも国鉄の場合に非常に大きな投資が今後なかなか難しいという面からまいりまして、この考え方自体も我々としてもひとつ詰めて検討してみたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/75
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076・西村章三
○西村委員 伝えられるところによりますと、このスイッチバック方式で既設の路線を使うということになりますと、もちろん空港の連絡線は除きますが、およそ二十億円で可能だ、こういうことでございます。この問題もできるだけ早急に計画を詰めていただきまして、できれば開港までに間に合わしていただきたいということを要望いたしておきたいと思います。
それから南海本線のことでございますが、これは京成ライナーと同じように、空港へノンストップで乗り入れ計画があるようでございます。この問題については南海電鉄側と協議を進めておられるのか、そうした上でのいわゆる採算性というのは成り立つのかどうか、この辺について運輸省の考え方を聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/76
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077・永光洋一
○永光政府委員 南海本線の活用につきまして、これは大きな地方のプロジェクトでもありますし、南海の会社におきましても社内体制を強化しましていろいろな勉強をしておるようでございまして、我々も、今先生がおっしゃいましたような非常に高速の特急を走らせたらどうだというような研究を行っておると聞いております。運輸省に対しましても余り具体的な話はまだ出ておりませんが、空港の需要の問題とかいろいろな事情の収集を会社としても真剣にやっておるようでありまして、現段階におきましてまだ空港全体の、要するに旅客の需要なりというものを正確に詰める問題が残っておると思いますし、さらに南海がどの程度シェアを負い、その投資が果たして採算がとれるかどうかという問題はもう少し詰めないとまだはっきりいたしませんが、いずれにいたしましても、南海の本線を活用してアクセスに役立てたいということは、会社側もまた我々もそう考えておりますので、十分会社側とも相談に乗ってそのプロジェクトの推進を図っていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/77
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078・西村章三
○西村委員 いずれにいたしましても、南海本線、阪和線、ともに空港への連絡線というものがこれからは非常にかなめになってまいります。これができなければ実際供用ができないわけです。承りますと、道路との併用橋で鉄道が引き込まれるということでございますが、この事業主体がどうなるのか、あるいはまた建設の時期が、これはもちろん開港までに間に合わしてもらわなければいかぬわけですが、果たして間に合うのか、この辺のところが非常に心配をされるところでございます。今後一層の御努力を重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。
〔久間委員長代理退席、委員長着席〕
それから、ちょっと先ほどに戻りますけれども、建設省、道路の問題でございますけれども、第二阪和国道がようやく完成をいたしました。これは二十五年かかっております。昭和三十四年の計画決定から、完成をいたしましたのが昨年の十二月、当初は万博の四十五年までに完成というのがおよそ昨年までかかったわけでございますが、これも早晩、交通量はパンク状態に相なるわけでございます。
そういたしますと、第二阪和国道の今終点でございます阪南町から岬町への延伸計画、これもかねてから地元から強い要望が出ておるのでありますが、これについても現在調査をしていただいておるのですか、見通しを聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/78
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079・高見昌信
○高見説明員 第二阪和国道の阪南町から和歌山方面へ延伸する計画につきましては、現在路線の構造等に関する調査を実施中でございます。今後、関西新空港に関連する交通を含む将来の交通需要の見通しや周辺地域の開発動向等を十分勘案しながらさらに調査を推進しまして、路線計画を策定してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/79
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080・西村章三
○西村委員 このルートも和歌山市内とは極めて密接な関係がございます。近畿自動車道だけでは到底賄い切れないものがあるわけでございます。いわゆる第二阪和国道の延伸についてはぜひお考えをいただきたい、お願いをいたしておきます。
それから、次は空港本体についての問題でございますが、これはむしろ大臣にお尋ねをいたしたいわけでございます。
空港島がつくられますが、それにかける連絡橋、大阪府の方は今北ルートということでおよそ運輸省と合意を得ているようでございます。この位置、場所は今の時点でまだ申し上げられないということであると思いますから、私はあえてお尋ねしないのでございますけれども、むしろその前段として連絡橋が一本で足りるのかどうか。もちろん財源の問題、金の問題が大きく影響してくるわけでございますが、今後災害あるいは突発的な事故、緊急の事態を想定いたしましたときに、連絡橋が一ルートというのは利用者あるいは住民ともに極めて不安を残すということでございます色特に併用橋の場合は、鉄道と車とが同じでございますから二本だということには相なりません。そういたしますと、安全性、利便性から考えて将来もう一ルート連絡橋あるいは隧道の計画というものを真剣に検討していただかなければならぬ、こう思うのであります。この連絡橋の将来にわたる問題について大臣の方から聞かしていただければと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/80
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081・山本長
○山本(長)政府委員 対岸とを結ぶ連絡施設につきましては、先生おっしゃるようにいろいろな将来のことを考えますと多様な手段があるということが望ましいことは言うまでもございません。しかしながら、経済性といった面との兼ね合いというものもやはり考える必要がございます。長期的な観点からは多様なルート整備ということが望ましいと考えますけれども、当面は北ルートが適切だ、こういうふうな地元の見解を受けまして私たち計画を進めておるところでございます。細かい点はまだ詰めていかなければなりませんが、基本的な点については私たちも異存があるものではありません。
その多様なルートあるいは複数のルートという問題につきましては、今後の空港の運用状況なども勘案しながら将来の課題と申しますか、少し長期的な課題になろうと思います。やはり課題としては考えておかなければならない問題でありますけれども、当面の問題としては現在の計画で進めさせていただいて、長期的な課題として検討していくというのが適当であろうというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/81
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082・細田吉藏
○細田国務大臣 今航空局長からお答え申し上げたとおりでございますが、申し上げるまでもございませんが、前島計画がどういう程度のものになるかということによって橋梁が非常に違ってまいります。そこで考え方は今研究するというふうに局長が申しましたからそれに違いないのですが、研究していくのにこの計画いかんによって要するに工事にかかる金がうんと違う可能性があります。ですから、そういう点もあわせて今後の検討課題だと思っております。御心配の足りるかどうかという問題は、私ども御同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/82
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083・西村章三
○西村委員 第一期工事の建設段階では無理な話かと思いますが、二期工事、三期工事、これらの中でぜひこの問題は真剣に考えていただきたい、このことを要望いたしておきます。
時間がもう参りましたけれども、最後になりまして失礼ですが、警察庁、おいでいただいておりますね。
警察庁にお尋ねをしたいのでありますが、これからの治安の問題でございます。四月四日の過激派によるいわゆる襲撃事件、爆弾事件というものがございました。その後の捜査状況が一体どうなっておるのかということが一点でございます。
それから、私ども地元といたしましてはやはり成田の二の舞はやりたくない。まして今回の場合は、空港計画というものは綿密に調査をされて、地元の合意にしてもいろいろな手続が得られておるということでございます。したがって、地元でのそういうものは余りないのであります。むしろ外部からの過激派によるいわゆる破壊のための破壊、これを最も恐れておるのでありますけれども、こういう画につきまして善良な国民、市民の生命財産、これを守りながら空港関係者の安全もあわせて守っていかなければならぬと思いますが、警察庁として具体的にどのようにこれから対処されようとしているのか、先ほどの捜査状況とあわせてお聞きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/83
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084・井上幸彦
○井上説明員 去る四月四日に発生いたしましたゲリラ事件につきましては、大阪府警といたしまして刑事、警備両部の合同の捜査本部を設けまして、ただいま捜査中でございます。残念ながらまだ被疑者の特定には至っておりませんけれども、中核派の事務所を初め活動拠点に捜索を行いまして証拠品を押さえるなど、被疑者検挙のために現在鋭意捜査中である状況であります。
なお、国民の生命、身体、財産を守る立場からという御質問につきましては、警察庁といたしまては、この種過激派極左暴力集団が関西国際空港粉砕を呼号して先般のゲリラ事件も行っておりますし、今後も空港建設の作業スケジュールが進むに伴いまして一層活動を強化してまいるものと見ております。したがいまして、今後は運輸省を初めとする関係機関と一層緊密な連携を図るとともに、大阪府警並びに関連府県警察に対しまして、建設の作業の進捗状況をにらみ合わせ、あるいはそのときどきの警備情勢を勘案しながら警備体制の確立を図るなど、警察諸対策を推進して国民の皆さん方の御支持、御理解を得つつ治安の維持の万全を期してまいりたい、そのために強力な指導というものを行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/84
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085・西村章三
○西村委員 これは最後に要望ということでお願いをいたしておきたいわけでございますが、これから建設が進むにつれまして今おっしゃられましたようにいわゆる過激派の跳梁ばっこが始まる、より一層エスカレートするということでございます。地元としては一番迷惑なことでございます。また、今回の空港は、いわゆる空港島でございますだけに、海上からのいろいろな襲撃等も予想されます。したがって、水上警察につきましても、格段の御配慮を願いたいと思いますし、特に地元の四市四町を包括する泉佐野署、泉南署、これにつきましては、今日の段階では非常に心もとないものですから、ぜひ警備面での強化をしていただきたいということをお願いをいたしたい。それから、言うなれば、大阪南部全体がこの空港を中心にしてこれからそういうことも予想されるわけでございます。機動隊の編成といいますか、機動隊の基地等もこれからはぜひ考えていただきたいということを、特に要望をいたしたいと思います。
以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/85
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086・福家俊一
○福家委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時二十分休憩
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午後二時三十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/86
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087・福家俊一
○福家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。梅田勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/87
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088・梅田勝
○梅田委員 関西国際空港株式会社法案につきまして質問をいたします。
今回の法案は、運輸省自身が当初計画を立てておりましたのを変更して、空港整備法に定める運輸大臣の第一種空港設置及び管理責任を変更して新会社にするという計画は、私は、運輸省自身が考えを変えたという点におきまして相当の背景があったのではないかと思うわけであります。
雑誌現代六月号を読まれたのではないかと思いますが、「空前のピッグプロジエクトに群らがる政商たち 関西新空港「利権三兆円」」云々というように書いておりますが、国の財政事情が非常に悪化しておりますときに、この計画を何としても早くやりたい、こういう考え方で民間資本を導入して何としても計画を実行に移す、そういう背景にはやはり相当のものがあったと思わざるを得ないのであります。
例えば四月十八日の日本経済新聞によりますと、「商戦も本格化」というように書きまして、「受注減に苦しむ業界にとって、新空港プロジェクトはまさに「干天の慈雨」(竹中工務店)。」あるいは「例えば空港建設で最初に必要な地盤改良工事では、竹中のほか、不動建設、東洋建設、東亜建設工業、五洋建設などの会社がしのぎを削っている。」あるいは「神戸製鋼所では「このプロジェクトのために、十年も前から多くのヒト、モノ、カネをつぎ込んできた。これで仕事を取れなかったら今までの努力も水のアワ」」というように、各新聞が書いておりますように、すさまじい動きをしていると思うわけであります。
しかし、大切な国の資金も投ずるわけでありまして、また借金で大規模な工事をやるわけでありまして、これがもうけ本位に動かされたのではたまったものではないと思うわけであります。国が全部資金を投じてやる場合はより慎重になりますけれども、今回のように株式会社、特殊会社といいましても民間資本が導入されての株式会社、これがもうけを中心、もうけを目的の資本によって動かされるということになりますと、率直に言って私どもは非常な無責任さを感ずるわけであります。
そこで、まず最初にお尋ねをしたいことは、なぜ公共事業に営利目的を導入したのかということであります。民間資本が導入されるゆえをもって政府所有の株式は、第十二条によりますと、「利益配当の特例」におきまして「会社は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第一条の規定にかかわらず、」その「政府の所有する株式に対し利益を配当することを要しない。」というように、民間の資本に対しては早目に配当をやる、これがいわゆる助成の意味だと言われておるわけでありますけれども、少なくとも配当をやるからにはもうかっているわけです。だのに、民間優先の特例を設けるというのはどう考えても不当だ。
必要な事業に対して国が補助するということは、別途考えればいいことであって、もうけそのものに対して配当を、政府出資の場合と地方公共団体あるいは民間とそれぞれ区別して扱うのはけしからぬことではないかと思うわけでありまして、わざわざ法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律というものもあるわけで、その精神からして反するのではないかと思うわけであります。その点、大臣の所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/88
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089・細田吉藏
○細田国務大臣 お答えいたします。
まず最初に、運輸省が途中で話を変えたのじゃないか、まさしくそのとおりでございます。実は私は就任前でございますが、去年の八月の概算要求の段階におきましては、空港自体の建設、管理は公団でやるということにして、そして附帯のいろいろな仕事や設備は第三セクターでやるということで一応の概算要求を出しておったわけでございます。これがどうして変わったかということでございますが、幾つかの理由がございます。
一つは、公団の方式と特殊会社の方式ではどうも公団の方式の方が非能率じゃないか、やはり民間活力を導入する方が能率が上がるのじゃないかということが一つ。いろいろ御議論はあるでしょう。
それから、資金が何しろ足りない。特に、国が財政的に非常に困っておる、こういうときにできるだけ民間の資金を導入するということが望ましいんだということ。臨時行政調査会の答申は、公団の新設、増設というものについては非常に消極的といいましょうか、むしろ反対である。こういうことから、途中で計画を変更して、ただいま提出しているような株式会社にいたしたわけでございます。
しかしながら、株式会社といいましても、これは純粋の株式会社じゃないのでございまして、政府が三分の二の資本を持っておる特殊会社でございます。したがって、もうけ本位にどんどん何でもやるという会社を我々は考えていないのでございます。どちらかといいますと、公団のもう少し能率のいいやつという考え方。政府がじかにやるというわけにはまいりません。公団かごの特殊法人なんでございますが、この特殊法人たる株式会社の方がよかろうということでこのようになったということでございます。
その間に、中曽根総理の意見があったとかどうとかということにつきましては、これはできる前の話でございますから、総理大臣の意見もあったし、大蔵大臣の意見もあったし、行管長官の意見もあったし、皆いろいろな意見があって、前の運輸大臣の御意見もありまして、それで概算要求で出したものを途中から変えたわけでございまして、やましいことがあって変えたとかどうとかいうものではございません。
多くの業者が云々と今名前を挙げられましたけれども、これは全く我々はあずかり知らぬことでございまして、それぞれのところは多分一生懸命やっているんでしょうね。これだけの大プロジェクトですから、大きな仕事があると、世の中は不景気ですから、だから各関係の業界は一生懸命、この仕事を何とかとろうということで今からいろいろ努力をしているだろうということは想像はつきますけれども、会社はできておりませんから、直ちに政府や地方公共団体といったところと結びつけられる問題ではないと私は承知いたしておる次第でございます。
政府が後配株であることはどうかということでございますが、これは前提が、民間の資金なり公共団体の資金なりを出してもらうということは初めてのことであって、非常に難しいんじゃないか、会社の経営がすぐ利益が出て配当するというようなことでないから非常に難しいんじゃないか。資金を集めることが、政府が八で二、二という割合でございますが、二、二でもなかなか困難じゃないかというのが当初の考え方であり、現在でも私ども必ずしも自信があるわけではないのであります。したがって、そういうものを集めるためには、これは政府が後配株にするということは往々にしてあることでございまして、非常にけしからぬとおっしゃっていただくのは必ずしも当たらないんじゃなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/89
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090・梅田勝
○梅田委員 いや、そこが一番大事な点でありまして、公共事業としてやるというのでありましたならば、本当に民間活力の導入ということが、もうけ本位ではなくて、国は今資金がないから民間の力もかりたいというのであれば、私に言わせればほんのわずかの金を民間が出すだけですけれども、それに対して優遇措置をとるというのは行き過ぎだ。そういう配慮をやるからさまざまな疑惑が生まれてくるのであって、もっとすごい背景があるのじゃないかというように雑誌等に書かれるわけでありまして、そこをけじめとしてはきちんとしておくべきではないかというのが私どもの主張であります。特に、今日、財政困難な折でありますから、かかる空港に大変な金を注ぎ込むということについては慎重にすべきだというのが私どもの考え方でありますが、その点は平行線でありますからこれ以上は言いませんけれども、特にそのことを申し上げておきたい。
時間がございませんので答弁の方は簡単にお願いしたいのでありますが、第二条において「国際航空路線に必要な公共用飛行場として、大阪府の地先水面で政令で定める位置に設置する」というようになっておりますが、この位置決定の責任は、政令でありますから新会社の責任ではなくて国の責任において定められたというように理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/90
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091・山本長
○山本(長)政府委員 政令で定めるわけでございますから、会社が決めるわけではございません。政府が位置を決める、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/91
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092・梅田勝
○梅田委員 それでは国の責任ということで理解をしたいと思います。
新しい空港は大阪湾内の海中に土砂を投じてつくるというわけでありますから、周りは海だということを考えますと、その安全性についてだれしも危惧を持つわけであります。先ほど来そのことも議論されておりましたが、災害の事態発生の場合の安全性についてお尋ねをしたいと思います。
気象庁からいただいた大阪湾におきます高潮の実績というものによりますと、昭和九年九月二十一日の室戸台風の三・一メートルというのが一番高いわけでありますが、それに準ずるような台風がたびたび襲っているわけであります。
波浪につきましても、過去最大の波浪についてはかなり高いものがありまして、今回の空港建設に当たっての調査において、昭和五十三年から五十六年の四年間のMT局波高順位表というのがありますが、四メートル以上に及んだのが四回ほどあるわけであります。
台風が起こりましたらどんなに恐ろしいものであるかということは、私も昭和九年の室戸台風を経験してありますので、大変でございます。もし空港建設途上に、あるいは完成後にこの自然災害ともいうべき台風によってこの空港に災害が発生した場合、空港の安全性は保障されるのかどうか、また災害が発生した場合の責任の所在はどこにあるのかということをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/92
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093・山本長
○山本(長)政府委員 海上にこういった構築物を設置いたしますときに、その安全性の確保というのは最大の問題でございます。これは、この空港の埋め立てに限らず、埋立地をつくる場合においてはどの場合においても最も注意をして計画をするところでございます。運輸省におきましては、長年大阪湾の台風や地震に関する襲来実績等を調査してまいってきております。また、これらのデータをもとにいたしまして、現段階で想定し得る最大規模の台風が襲来した場合を考えまして各種のシミュレーションを行い、高潮や波浪の発生規模などを予測いたしております。こういったデータをもとにいたしまして空港のまず護岸の構造、護岸の下の地盤改良の仕方等、つまり護岸それ自身が丈夫でなければならぬといった護岸の強固さを確保する、あるいは空港島の盛り土の高さを決定するというふうなことについて、安全性について万全の計画をいたす所存でございます。また、地震につきましても、過去の地震の発生実績等をもとにいたしまして、空港島やそれから橋梁の構造物の設計に先立ちまして振動模型実験あるいは地震応答シミュレーションなどを実施いたしておりまして、これらによりまして空港の用地、それから橋梁等の安全性に対し万全を期するということで計画をいたしておるところでございます。現在の知見によりまして最も信頼性の高い技術、手法をとることによりまして安全性を確保するという考え方で対処いたしておるのでございます。
先生もう一つの御質問で、しかしながら不測の事態が発生をした場合その責任はどうなるのかというふうなことでございますけれども、この不測の事態が発生しないように万全の措置をとるということは会社の責任であり、会社がそういった措置をとるように、政府は、これに対して監督あるいは助成という形でもって会社が責任を全うするように支援をし監督していくという必要があると思います。また、責任というといろいろございますけれども、第三者に与えました損害がありましたらどうなるかというふうな問題がございますけれども、この空港の設置、管理につきまして瑕疵がある場合には、所要の法律によりましてこの会社が責任を負う、こういうふうなことになっていくものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/93
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094・梅田勝
○梅田委員 私は、不測の事態というようには言ってないのですよ。大阪湾というところは台風がよく通るところですから、大体予測される、あるいは現在までの予想以上の台風が来るかもしれない、そういう場合はどうかということでありまして、責任の所在が新会社にあるのか、それぞれ作業をやっておる場合だったら作業をしている会社、台風が来ておるのに作業をしておって事故を起こしたとかいう場合は、当然その会社の責任者が責任を問われるということもありましょうが、そもそもそういう危険なところにつくった国の責任はどうなるのかということを私は問いたいわけです。
そこで、高等海難審判庁の長官に来ていただいたのでありますが、昭和二十九年の九月に十五号台風、いわゆる洞爺丸台風というものによりまして、青函連絡船では洞爺丸を初めといたしまして十勝丸、日高丸、北見丸、第十一青函丸が遭難、沈没をした。この事件の報告によりますと、我が国海難史上未曾有の大事件であるというように記録されておりますが、この海難事故で審判が行われましたが、結局事故の原因はどうだったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/94
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095・林至
○林(至)政府委員 お答えいたします。
これらの事件はいずれも函館地方海難審判庁において第一審が、続いてさらに高等海難審判庁において第二審が行われまして、洞爺丸の事件につきましては昭和三十四年二月に、その他の四件につきましては昭和三十五年三月に裁決の言い渡しが行われております。
その発生原因については、洞爺丸裁決につきましてお答えしたいと思います。そして、その結論の要旨は、要約すれば次の三点でございます。
第一点は、船長の出航の判断の誤りでございます。すなわち気圧示度が低下したままの気象状況のもとで台風が通過し去ったとは認められない荒天下において、船長が多数の旅客及び車両を搭載して青森に向け函館を出航したことでございます。
第二点は、船体構造が適当でなかったことであります。すなわち、本船は船尾の大開口に波浪を遮る設備もなく、それに続いて車両甲板がございますが、その車両甲板上に設けられた諸開口がございますが、その車両甲板上の諸開口の縁材も低くて、かつその閉鎖装置が荒天時に閉鎖しても海水の浸入を防止できないような状態であったということでございます。
第三点は、運航管理が適切でなかったということでございます。すなわち本航路は特殊な構造の船舶を使用し、かつその輸送体制及び乗組員の勤務体制も独特なものであるところから、管理部門としてはこれらの事情に適切に対応した安全運航のために必要な措置を十分に講ずべきところ、その措置が余りとられておらなかった、そしてすべてを船長にゆだねていたということでございます。
なお、あとの四件につきましては、これは事情がそれぞれ違います。運航状態が違いますので、それぞれ裁決においてはニュアンスが違った原因を言っております。
まず第一に、第十一青函丸については、これは全員乗組員が死亡し、しかも荒天の早い時期に沈没してしまったので、その原因は不明である。その他の三隻につきましては、これはただいま申し上げました洞爺丸事件裁決の第二点、第三点については同じでございますが、船長の判断につきましては、いずれも多少先ほどの洞爺丸の船長の出航判断とは違ったニュアンスでその原因をあらわしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/95
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096・梅田勝
○梅田委員 私はなぜわざわざ長官に来ていただいてこの証言をしていただいたのかといいますと、今もありましたように、船長の判断が間違っていた、台風が来ているのに行ったという間違い。今回の場合、台風がしょっちゅう来るところへ空港を建設する。そこへやれ、そこへつくれと政令でもって指示するのは国ですから、国の責任というのは私は大きな災害が起こりました場合には必ず最終的には持たねばならぬということを申し上げたいのです。
洞爺丸のあの事件をいろいろ読ましていただきましても、国鉄の管理体制が非常に不備であったということも痛感するのですよ。だからやはり今回新しく空港をつくる場合に、国がよほどの責任を持って、第一種空港ですから本来は国がやらなければならぬ、その責任を放棄してあいまいな形で新会社方式でやろうという発想に私はどうしても納得がいかないから、洞爺丸のときには船長の責任にされたのは非常に酷だと私は思うのでありますが、しかし結局は責任というものはとらねばならぬということでありまして、先ほど新会社が責任を負うみたいなことを言われましたけれども、私はそれでは済まないと思うのです。建設途上に災害が起こりました場合は、相当工費がかさんでくるということが考えられます。これは採算性に当然影響してくるわけですから、そうすると、結局最終的には国が責任を持たねばならぬということになるわけですね。それを新会社だけにやらせるということになれば、これは赤字がどこまでいくかわからぬということで、朝日新聞が四月二十一日に当運輸委員会の審議を書いてあるのでありますけれども、「会社方式に不安続々」。ここに書いてあることは、やはり皆さんの気持ちを反映していると思うのです。そこのところを明確にさせることが私は非常に大事だと思うわけであります。
時間が余り与えられておりませんので意を尽くすことはできませんが、大規模な、急速な施工による埋立工事というものは非常に危険性が大きいのではないかと思うのです。今回の第一期の工事におき貧しては、甲子園の広さの百二十六倍という広大な面積を埋めていくわけでありますが、先ほど質問がありましたように果たして均等に、地盤改良工事というものが計算どおりにいくのかどうか、不等沈下の危険性というものはないのかどうかということもあるわけであります。
それからまた、空港ができましてからの安全性の問題で申し上げますと、空路の管制上の危険であります。これも、現在の大阪空港と併用して使用する可能性が非常に大きい。何しろ滑走路一本しかつくらないということでありますから、私は欠陥空港になるんじゃないかという気もするわけでありますけれども、現空港との併用ということになってきますと、半径八十キロメートルの空域におきましての出入りの空路がかなりふくそうしてくるのではないか。風向きによりましては逆の離陸ということが起こってくるわけでありますから、そうすると従来の飛行機の流れが変わってくるわけでありまして、非常に危険性が大きいのではないか。果たして現地の管制官あるいはパイロットの意見等をよく聞いてやられたのかどうかという点で再検討を求めたいし、管制上におきましても新会社が介入してくるわけでありますけれども、私は管制上におきましてはシステムの一元化というのが必要ではないかと思うわけであります。国際空港でありますから外人のパイロットがどんどん入ってくるわけでありまして、そういうところにおきましては決めたコースを飛ばないということでありますから、騒音問題も新しい問題が出てくるのじゃないかと思いますよ、コース外れで。この間ヘリコプターで飛びましたけれども、びゅうと上がったらすぐでした。真横に人家があるわけですから、ちょっとコースを外れたらこんなはずじゃなかったという大きな騒音がする可能性がある。そういう点におきましてはきちっとした対策というのが必要じゃないか。そこらあたりにつきまして、もう時間がありませんから簡単に御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/96
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097・平井磨磋夫
○平井説明員 関西国際空港の空域の問題につきまして御答弁いたします。
関西空港の空域の飛行経路につきましては、現大阪国際空港の存続する場合と廃止する場合の両方について検討をいたしております。
現大阪国際空港が存続される場合におきましては、同空港の飛行経路は関西国際空港の飛行経路の計画との関係から飛行経路の変更を行うことを予定しております。一部経路に確かに交差を生ずるわけでございますが、この部分につきましては十分な垂直方向の間隔つまり高度差をとりまして、空域全体としても航空機の飛行の安全性が十分確保されるように計画しておるわけでございまして、両空港の併用された場合でも安全性につきましては全く支障がないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/97
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098・梅田勝
○梅田委員 残念ながら時間がありませんのでやめます。関連して野間委員が質問いたしますけれども、必ず私ははみ出た環境問題というのが出てくると思うのですよ。だから、そういう点につきましてもちゃんとした責任体制というものを考えていただきたい。需要予測等につきましてもちょっと質問したいと思っていたのですけれども、一応以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/98
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099・福家俊一
○福家委員長 関連して、野間友一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/99
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100・野間友一
○野間委員 時間がありませんので、端的にまず土取り問題からお伺いをしたいと思います。
和歌山市の加太という地区、これなど五カ所です。これについて区域を特定いたしまして空港埋め立てに必要とする土砂採取・運搬施工計画調査、これが行われました。そして既にこれが終わっておりますが、これはいつ始めていつ終わったのか、それだけまずお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/100
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101・小坂英治
○小坂説明員 お答えいたします。
今、先生が言われました土取りの調査、五地域に分けて調査しておりますが、五十八年十二月から始めまして年度末に完成しております。ただし、これは継続的な調査でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/101
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102・野間友一
○野間委員 その調査の内容あるいは目的でありますが、この対象地域につきまして土砂採取の方法、積み出し、桟橋までの運搬計画、工費、工期、これなどと思いますが、どうでしょうか。
それから、調査は加太地区については鹿島建設、岩出地区は大成建設、岬町多奈川地区は熊谷組、阪南町箱作地区は大林組、泉南市金熊寺・楠畑地区は青木建設、それぞれに請け負わせて調査させたわけですが、このことは既に当委員会におきまして運輸省も認めておるところでありますが、この再度の確認と、調査の費用にどれだけかかったのか、あわせてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/102
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103・小坂英治
○小坂説明員 お答えします。
五十八年度から実施しております土砂採取・運搬施工計画調査の内容をお聞きのようでございますが、本調査は土取り地選定のための基礎資料を得るための調査でございまして、大阪府南部から和歌山県北部にかけての丘陵地を調査対象地域として、ただいま申し上げましたとおり五十八年度から実施しておる調査の一環としてやっておるものでございます。
調査は、埋立土砂を経済的、かつ安定的に確保する方策を検討するための基礎資料を得ることを目的としておりまして、調査対象地域内の数地区を対象に複数ケースの採取土量を与件としまして、土砂の採取及び運搬工事の実施状況を想定し、地形・地質条件に適合しました施工機械の選定、工事費等について検討したものでございます。
場所については、今言われましたが、泉南市、阪南町、岬町、和歌市岩出町の丘陵地でございます。
調査に当たりましては、三点セットでもいろいろと考え方を述べておりますが、主尾根、前山あるいは国立、国定公園等を除く地域で技術的にどういう格好で取れるか、問題はどの辺にあるかというようないわゆるフィージビリティー調査をやっているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/103
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104・野間友一
○野間委員 時間がありませんし、質問に端的に答えてくださいよ。どこの地区をだれがやったのかということと、幾らかかったのかという質問ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/104
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105・小坂英治
○小坂説明員 お答えします。
施工機関でございますが、和歌山市につきましては鹿島建設、岬町は熊谷組、それから阪南町は大林組、泉南市につきましては青木建設、岩出町は大成建設でございます。金額につきましては、トータルとして一億強でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/105
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106・野間友一
○野間委員 一億強をかけまして、今指摘された、私も申し上げた建設会社に調査を依頼し、これが一応できたという段階でありますが、この調査の区域について、これは運輸省が決めて調査させたものなのか、それとも一定のブロックを決めて、その中で土取りに適切な箇所を調査させた業者に選定させたのか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/106
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107・小坂英治
○小坂説明員 この調査に先立ちまして踏査調査等いろいろやっております。先ほども言いましたけれども、避けるべきところも指示しているわけでございます。したがいまして、そういうところを除きましていわゆる五ブロックに分けました。その中で自由に選択させたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/107
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108・野間友一
○野間委員 これは業者が自由に選択した、それはもちろん運輸省がやらしたわけですから、運輸省が知っておるのは当然であります。そこで、この五地区が果たして土取りとの関係でどうなるのかということであります。一億五千万立米が第一期工事の必要な土砂の量、これについて私の承知するところによりますと、この五カ所全部が候補地にはならない。しかし、少なくとも五カ所からさらに絞ることはあっても、この中から選ばれるということは確実だと私は思う。そういう意味では、採取の予定地ないしは候補地、こう言っても差し支えないと思うのですが、端的にいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/108
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109・小坂英治
○小坂説明員 お答えします。
ただいま言われました、私どもが指示しました調査範囲というのは相当広いものでございます。その中で技術的問題、環境問題、特に防災面、そういうものを調査しております。それは各社にいろいろと検討されておりますので、それをもって最終的にどういうふうにやるかというのは、現在業者にやらせましたものとは変わり得るものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/109
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110・野間友一
○野間委員 その変わり得るというのはどういうことなのか。つまり、今申し上げたいろいろな調査をやった、五カ所について一億円以上かけてやったわけでしょう。場所を特定しなければこれは調査ができない、工費も全部出すわけですからね。そうすると、変わり得る可能性があるというのは、固定したものでなくて、その周辺多少の微調整はあるというふうに私は理解しておるわけですけれども、間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/110
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111・小坂英治
○小坂説明員 お答えします。
今回の調査の中では、土地所有であるとか跡地利用とかそういうものをまだ含んでおりません。そういう社会的な要素も含めて考えますと、それなりに変わり得る要素が大分出てまいるはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/111
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112・野間友一
○野間委員 だから、変わり得る可能性があるということは、一応この五カ所が候補地であるということの言いかえだと私は思います。その点は必ずしも聞く必要はないと思います。
そこで、問題は、そういう重要な場所でありながら、何で大手の建設会社にこれを調査させたのかということであります。これは運輸省あるいは建設省がやればいい。あるいは百歩譲っても、純粋のコンサルタントあるいは専門の第三者機関、これがやるのが当然でしょう。つまり、土取りそれから運搬、コンベヤーで岸壁まで運びますね。そしてこの工費は一体幾らかかるのかということを国が金を出して調査させているわけでしょう。なぜこんなことをやったのか。なぜ国が、あるいは純粋なコンサルタントにやらせなかったのか、私は非常に不可解なのです。
この建設会社は、今度は土取りについての、あるいはその運搬も含めてですが、仮に指名競争入札、恐らくそうなると思いますが、そうなった場合に、その競争入札の対象企業としてあなたは認めるのかどうか、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/112
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113・小坂英治
○小坂説明員 お答えいたします。
繰り返しますけれども、今回の調査は技術的に防災あるいは安全問題、そういうものを考えた上で、どういう施工機械を使って、どういう案があるかということを調査する、いわば粗い調査でございまして、いわゆる実施設計に類するものではございません。したがって、私ども業者にやらせるに当たりまして、ただの請負業者にやらせたということではなくて、実績のある業者を集めまして、二十一社ございましたけれども、指名競争入札させたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/113
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114・野間友一
○野間委員 いや、こういう重要な場所ですから何で国がやらなかったのか、今のあなたの答えには全くそれが含まれていないわけです。建設省のこういうたぐいについての運用ですけれども、「設計業務等の受託者はもちろんのこと、当該受託者と資本、人事面等において関連があると認められる建設業者についても、原則として、当該設計に係る工事の入札に参加させ又は当該工事を請負わせてはならないものとすること。」、こうあるわけです。先ほどのお話では、これはそういう意味での設計業務に当たらないというようなお答えだと思いますが、少なくとも広い範囲でボーリング調査をして、その中の五カ所を決める。これは業者に決めさせたわけでしょう。一億円から出したわけですよ。しかもこれが土取りの候補地なんですよ。こういう人たちが競争入札に参加することは、私はこれに照らしてもおかしいと思うのですが、理屈は別にして、こういう業者も競争入札に参加する資格があるというふうに思うわけですか。それだけ答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/114
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115・山本長
○山本(長)政府委員 補足説明というとおかしいですけれども、調査の趣旨につきましてちょっと御理解願いたいと思うのです。
土取り地はどこであるということをまだ決めているわけでもないわけでありまして、あるところで土砂を取る場合に、五地区を選んで五地区の中で一億立米を取る場合あるいは五千万立米を取る場合、複数のケースを与えているようでございますけれども、その場合に、どういう取り方をすれば経済的に、かつ防災面に配慮し、環境にも与える影響を考えて、一番合理的な土砂の取り方が考え得るかということを、このAの地区については甲の、Bについては乙の業者というふうに一つのフィージビリティースタディーをやっていただいて、それは今までの土取りの実績のある、経験のあるところからそういったフィージビリティースタディをやっていただいて、それのデータを集めまして、それをもとにいたしまして、今度は具体的に土取り地というものが、候補地が決まった場合には、関係のところといろいろ相談して決めなければなりませんけれども、決まった場合にはその土取りの設計書というものを、事業主体が今のようなたくさんのいろんなケースを集めた知識をもとにしてつくって、発注をするわけでございます。そういった、事業主体が設計書をつくるのに一番合理的な方法を模索するためにフィージビリティースタディーをやっておる、こういうものでございまして、先生おっしゃる、設計書をつくるというふうな作業をやってもらっておるわけではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/115
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116・野間友一
○野間委員 そうでなくても大体似たようなことなんですよ。大体前段のやらなければならぬ作業でしょう。入札というのは公平でなければならぬ、これは当然ですよ。
今、私、建設省のものを引きました。そこで聞きますが、あなたはいろいろ弁解しますが、それじゃ、こういう業者を、あなたがおっしゃるような理由で仮に競争入札する場合に指名対象業者にするというわけですか、資格があるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/116
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117・山本長
○山本(長)政府委員 先生おっしゃるように、確かにいわゆる設計業務を行った事業者がその後の設計に従って受注をする業務の受注に参加するということは好ましくない、そういう考え方があることは事実でございます。運輸省においてもそういう考え方でやっております。しかし、先ほども申し上げましたように、この調査というのは設計業務をやるための調査をやっておるわけじゃございませんでして、将来、事業主体が設計を行うために必要な知識といいますか、そういうものを得るためにいろいろなケーススタディーを各地区についてやってもらっている、こういうものでございますので、基本的に設計業務を行った者を工事参加から排除する、こういう思想はもうこれは前からある思想でございますので、それと相反するものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/117
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118・野間友一
○野間委員 聞いたことに答えてくださいよ。だから、要するに競争入札の参加資格はあるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/118
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119・小坂英治
○小坂説明員 現在やっております調査に参加している業者は、資格があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/119
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120・野間友一
○野間委員 そうでしょう。だからそう言えばいいのだよね。一億円以上かけてこういう調査をさせて、しかもこの五カ所のうちの、これは絞りがあるかもわからないけれども、しかし、調査をした者が、しかも入札に参加をすることができる。だから、調査で金をもうけて、それから施工で金をもうけて、これは全く踏んだりけったりでしょうが。こんなことが許されていいのかどうか、私は非常に不可解なんです。
そこで、日経の四月二十五日付の記事によると、土砂の採取、それから運搬、それからさらに跡地の利用、造成、これについて第三セクターを、これは民間企業、建設会社も不動産会社も、あるいは地元の自治体、こういうものも含めてつくるような報道がありました。じゃあ、これを一体こういう方向でやるのかどうなのかということ。これは一つの方法として検討しておると言うかもわかりません。これは具体的にいつまでに詰めるのかということと、この場合だって結局同じなんですよね。これは新聞報道が正しいとするならば、随意契約で建設会社はみんな入れるわけですね。それが要するに随契で仕事をやるわけですから、これまた彼らの大もうけを保証することになるわけですね。その点の今の方針はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/120
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121・山本長
○山本(長)政府委員 運輸省といたしまして、新聞記事に書いてありましたような新たな第三セクター方式で行うという方針を、現在決めたというふうな事実はございません。土砂採取の事業主体というものについては、やはりこの関西国際空港をつくるというこの事業主体が第一義的に事業主体であるというふうに考えております。
ただ、この土砂採取というものは、その跡地の利用計画というものとの関連を十分考えなければいけませんし、またそれが、そうするのが妥当であろうという意見があるわけでございます。また、それももっともな意見でございます。またさらに、大阪府におきましては前島計画というものが構想されておりまして、そこにまた土砂が必要だというふうな事情もございます。そういったところへの土砂の供給というふうなものも考えた場合に、この地域の実情に通じまして、かつ地域の将来のあるべき姿に関心を持っておられる地元の公共団体とこの会社というものが中心となって設立されるいわば第三セクターというふうな事業主体によって土砂採取の事業を行うということが望ましい、こういうふうな考え方もあることは事実でございます。ただ、この問題につきましては非常に大きな、重要な問題でございまして、そういう考え方も運輸省が確定して持っているというわけじゃございませんが、そういう意見もあるということでございます。
この点につきましては、将来の重要な課題でございますので、土砂採取に関する諸調査、それから土砂採取地の選定というものに至るまでの過程におきまして、関係府県と十分協議しながらその辺のところについての方針を決めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/121
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122・野間友一
○野間委員 どっちにしても、これは大きな企業から見ればおんぶにだっこですよ。
そこで、今ありました跡地利用との関係で質問を続けたいと思いますが、この地元の自治体ではそれぞれが跡地利用を中心とした周辺の整備計画、これの構想を持っておるわけですね。
しかし問題は、同時に、大臣聞いていただきたいのは、私先ほど申し上げた五カ所、このいずれも土取りの予定地あるいは候補地と言っても差し支えないと思いますが、この周辺の土地の投機あるいは思惑買い、それが非常に進んでおりまして、情報を漏らしたとしか思えないような状況が生まれておると私は思うのです。既に多くの事例は当委員会等でも明らかにされたわけでありますけれども、そうなりましたら整合性のとれた周辺整備が一体できるのか。先ほどから論議を聞いておりますと、これからの問題として自治体と協議をして、調整をして、こういうお話がありましたけれども、遅いと思うのですね。
例えば和歌山の加太の地区ですけれども、私は採取の候補地、これを知っております。これは既に図面をお配りしておりますので、大臣、見ていただきたい。
森林公園、これがブルーで塗ったところです。いわゆる土取りの候補地と私が称しておるのがこの黄色で塗ったところですね。この真ん中の色が競合しておるところが、これは森林公園で土取りの予定地と競合する場所です。その上に、北ですが、紫色に塗っておるところが、これはちょうど土を掘りまして、ここに集積して、コンベヤーで運ぶ一番大事なところだと思いますが、ここがいろいろな企業によって買いあさりやあるいは投機が行われておる、こういう状況であります。これは森林公園が三分の一弱あるいは四分の一強ですね。西側部分が含まれるわけでございますが、こういう状況が今生まれておるわけですね。そういう点で周辺の整備計画は非常に危なくなっておるというふうに私は思います。
ちなみに、参考のためですが、私いろいろな地籍図、公図を調べまして、これで色をずっと塗ってみたのです。これは下に森林公園があります。ここに書いてありますが、この周辺ずっと色が、所有者が違うところです。青に塗ったところはもともとからの地元の所有者、ところが、あっちこっちで虫食いのように、しかも重要なところがずっと買い占めが進んでおるというのが実態なんですよ。それがこの一枚物の地図の中でのこの紫の部分、これは一番大事なところです。道路の走るところでもあるわけですね。こう進んでおります。
しかも、これを見ますと、この所有者をずっと調べてみますと、これは全く地元に関係のない人が随分とおる。例えば、これは既に国会でも出ましたが、竹内陽一さんという方ですね。これは行政問題研究所の主宰で「官界」という雑誌を発行されておる方ですね。もちろん東京の方。それから和歌山県の中で県商工信用組合というのがありますが、ここのトンネル会社、明和とか興和というのをつくっておりますが、この土地もある。それから最近になりまして、ずっと拾ってみますと、例えば砂川国際ゴルフという会社がありますが、これがやはりその重要な部分を買いあさっておる。それは五十五年であります。これも先ほど挙げた竹内氏絡みの興紀観光という会社から転売を受けて、そしてこの砂川国際ゴルフというのが今持っておる。ここの役員が永石さんという、これは先ほど挙げた県信用組合の元和歌山支店長をやっておった方がそこの役員にずっと入っておりますね。
それからさらに、琵琶湖の総合開発の土地買い占めで有名になりました米田さんという方がおりますが、この人が買収し、しかもことしの一月に吉祥院ビル株式会社に転売されておる土地もあります。これは京都の会社です。調べてみますと、会社名の看板もない、おばさんが一人おるような会社ですけれども、こういうようなこの土地に全く関係のないような県外の、東京とか京都とかその他のところから出てきて、私は地元ですから現地をよく知っておりますが、こんな森林のようなところを買いあさる。そうしますと、大臣、土地利用を中心とした周辺整備といいましても、要所要所が買い占められましたら、どうにもならぬわけですね。
そういう点で私申し上げたのは、民間にそういう調査を発注するということが、私のような者でも大体こういう予定地、候補地がわかるというところまで来ておるわけですから、これは非常に重要な問題だと思うのです。これは国の責任だと思いますが、大臣はいかが御見解をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/122
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123・細田吉藏
○細田国務大臣 土地の買い占めがあるという話で、具体的に御調査をお聞かせいただいて、大変ありがとうございました。しかし、まことに苦々しい話なのでございまして、けしからぬことだと思うのですが、さて、これをとめる方法が本当にあるのかどうかということになると、なかなか難しいのじゃございませんでしょうか。何とか肩透かしぐらい食わしてやりたいものだなという気に実はなるわけでございます。(野間委員「よろしい、名答弁」と呼ぶ)
調査をいたすということにつきましては、これは土建会社の力を使わなければ、結局調査を役所がやるといったって土建会社を使うということなので、それがある程度わかるということはやむを得ないと思うのですが、これから選ぶときに実際にこれをどうやってやるかということが大事なのと、それから、あなたの御質問はそうではないでしょうけれども、何だか知らぬがもうけさせて、もうけさせてというお話なんですけれども、とにかく調査する土建会社もやはり競争で入札して入れているのです。ですから、一番大事なことは役所の連中やこれからできる新しい会社の連中が政治家と変なことがあったり、そんなことがいけないのでしょう、土建会社がもうけるというのはこれは商売ですから。ただ安くつくらなければいけません。だから、これは厳重にやらなければいかぬ、株式会社だからいいかげんでよろしいということになりません。例の贈収賄の規定もこの株式会社の役員はちゃんと入っています。
そういうことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/123
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124・野間友一
○野間委員 私が先ほど幾人か名前を挙げましたのは、もう既に国会で明らかになったものとか新たなものを含めてやったわけです。これは建設会社がどういう関係があるのか、ここは私はこの場で定かにする気持ちはないわけですが、先ほど大臣も言われましたけれども、やはりこういうようなことは従前から周辺整備——航空審議会の答申でも、跡地利用を含めた周辺整備、これと建設とは整合性を持たせなければならぬ、これは三点セットの中にも書いてあるでしょう。ところが、今ではもう遅いというところが問題だということを私は指摘しておるわけです。いろいる五カ所を調べてみましたら、やはりいろいろな問題がいっぱいあるわけです。それでは、今後これをどうするのかということについては運輸省の中でも十分対応を検討してほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/124
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125・細田吉藏
○細田国務大臣 大抵役所のやることより民間がやることが早いのです。大抵間に合わないのです。これはここだけに限った問題ではない。いいこととは思いませんけれども。どうしても本質的に商売人の方が早くやる。それから、悪いことをするやつほど早く土地を買い占める。こういうのは日本じゅう至るところにある現象で、まことにけしからぬことです。
それではどうするかということなんですが、私はさっき肩透かしというふうに言いましたけれども、そういうものに煩わされないように、私ども今後できるだけ跡地整備の問題その他地方公共団体の皆さんとも十分相談しまして進めていくということ以外には方法はないのじゃないかというふうに思いますので、十分気をつけます。特に、変な関係がないということが、これだけのプロジェクトですから絶対大事ですので、特にその点には力を入れたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/125
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126・福家俊一
○福家委員長 野間君、まだ質問がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/126
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127・野間友一
○野間委員 はい。時間がありませんので、最後にまとめて質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/127
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128・福家俊一
○福家委員長 では、時間が来ておりますが、もう一問許しましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/128
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129・野間友一
○野間委員 和歌山県あるいは和歌山市民のいろいろな要望ですので、最後にまとめてお伺いしてお答えをいただきたいと思います。よく聞いておいてください。
飛行コースの問題ですけれども、成田の例でもコースをずれるのが常識というような状態もありますが、離着陸についてずれを生じさせない、そういうような手だて、保証があるのかということが第一点。
それから夜間、早朝南西方面に出発するいわゆる経路四、五は、居住地域、特に加太地域ですが、ここの騒音の軽減を図るために六、七のコースヘすべて迂回させるべきだ。これは県、市からの要望でもありますが、この点についていかがか。
それから、環境目標値を航空機騒音についてはWECPNL六十五にすべきだ、これも県、市の要望でもありますが、いかがか。
監視、観測施設の問題で、騒音、大気、水質について空港等の影響調査、これについては国の責任で設置すべきだという要求ですが、これについてのお答え。
午前中も出ておりましたが、近畿自動車道の南紀の方への延伸の問題あるいは新大阪への阪和線の乗り入れ、外環状線と加美駅でドッキングする問題とか、あるいは内環状線の天王寺までを利用する問題等々ありましたけれども、これらを具体的にどのように進捗させようとするのか。この点を合わせて、建設省も含めてですが、お答えいただいて私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/129
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130・福家俊一
○福家委員長 山本航空局長。建設省とまとめて答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/130
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131・山本長
○山本(長)政府委員 飛行コースのぶれの問題で御指摘がございましたが、この飛行コースにつきましては、飛行機は航空保安施設というものをたどって、最後には空港の保安施設に導かれていくというふうなコースをとりまして、それによりましてぶれが生ずる場合には絶えずそれを修正しながら進入する、こういう方式をとっておりますので、大きなぶれというものはないと思います。ただ、ぶれが絶対ないかとおっしゃいますれば、それは多少あるわけでございます。進入よりも出発の方に若干のぶれがあるというのが実態でございます。しかし、この空港の滑走路の位置及び方位につきましてその点について相当配慮をいたしておりまして、若干のぶれが生じましても、居住地域においての環境への影響というものにつきましては環境基準というものに抵触することがないというふうな計画にいたしておるわけでございます。
それから、現在考えておる経路をもう少し変えて迂回を考えたらどうかというふうなお話でございますけれども、私たちといたしましては環境への影響はないというふうな判断に基づいて設定をいたしておるわけでございますが、この点につきましては例えば実際上運用段階におきまして問題が生ずるというようなことになりますれば、これについては検討することにやぶさかではないというふうに考えるところでございます。
それから全般的な環境影響調査について御質問がございましたけれども、これまでもやってきておりましたが、空港の建設、運用の各段階におきまして騒音であるとかあるいは海水の汚濁でございますとかいろいろな公害問題が懸念されるところでございますけれども、それにつきましては環境影響評価でもってやってきたところの諸対策あるいはその対策が十分であるかどうかについての監視というものについて会社を指導してまいりまして、環境への影響を極力排除し、そして地域との共存を図るというふうなことでもって会社を指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
それから、六十五Wという環境の騒音値を守れというふうな御質問であったと思います。これにつきましては、七十というところでもって環境基準ができておりまして、私たちとしては七十Wで海上においておさまるということで計画をいたしておるのでございます。六十五でおさまるというふうなことをこの席上はっきりと申し上げるということはできないと思います。
それから環境監視の問題についてでございますけれども、環境監視というのは、空港の建設段階、運用段階、長きにわたりましてそれなりの体制を整備して継続的にやっていかなければならない、会社自身が事業を行っていきます場合にそういう配慮をしなければならぬ、会社の責務でございます。したがって、金もかかり組織も要るということでございまして、会社がやるべきことであるというふうに考えます。ただ、この環境監視というものは、事業主体が自分の都合のいいような環境監視をやるということではいけないのでございまして、これにつきましてこの環境監視のデータを明らかにするあるいはそれに対して第三者が意見が言えるようなチャンスを設ける、あるいは環境監視の体制についてこうしたらどうかというふうな意見が言える、そういった環境監視の一つの体制というかシステムをつくっていかなければならぬ。それは会社がやっていきます環境監視に対する一つのチェック機能といいましょうか、そういった形として環境監視のためのシステムづくりというものを考えていかなければならぬというふうに考えている次第でございます。これについての具体的なことにつきましては、今後地方公共団体等と十分協議していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/131
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132・藤井治芳
○藤井説明員 近畿自動車道の紀南延伸についてでございますが、これは現在、高規格幹線道路網長期構想ということで、第九次道路整備五カ年計画の期間中にその計画を策定しようとして、現在調査中でございます。この紀南延伸についても、この一環として現在検討しております。
なお、この三月二十八日に、海南湯浅道路ということで、自動車専用道の一般有料道路が約十キロ開通いたしましたけれども、これに続きまして、吉備町から広川町に、至る区間につきまして、この五十九年度、事業化をいたしております。このように、今後、この延伸については、いろいろと調査をしながら、実態に即して事業化していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/132
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133・野間友一
○野間委員 どうもありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/133
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134・福家俊一
○福家委員長 次に、兒玉末男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/134
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135・兒玉末男
○兒玉委員 最初に、委員長に御要望したいと思いますが、けさ、理事の方々にも御苦労をかけて、御努力いただいたことを敬意を表しますが、ぜひひとつ、本委員会に総理の御出席を要望したい。理由につきましては、御存じの方もあると思うのですが、現代六月号において「関西新空港「利権三兆円」は中曽根総理の”恩返し”」、こういう見出しで、実は、十九ページにわたる極めて細かい論述が出ております。もちろん、月刊誌でございますので、講談社の現代編集局の担当者にも、私は電話でお伺いしまして、この内容はきょうの法案の審議に極めて関係の深い課題でございますが、記述については間違いありませんか、それは最も正確を期しております、こういう答弁をいただきましたので、このことを実は取り上げるわけであります。
この記述の中で、三つの問題点について、中曽根総理との極めて深いかかわり合いの経過が記されております。かって、立花氏が文藝春秋を通して田中氏の問題を、いわゆる指摘したこともありますが、今回の場合も、まさしく軌を一にするような問題ではないかと私は考えます。我々が当初から懸念しましたように、株式会社法案に至るその背景あるいはまた配当制限等の撤廃、こういうこと等も、あるいは閣議決定の直前で中曽根総理が待ったをかけたということに至るまで、我々が不安であるところの材料がこの中に明確に指摘をされておるわけであります。少なくとも、第一種空港であり、恐らくこれから日本最大の空港と言われる関西新空港が、こういうような疑惑の中で、法案が終結することは、我々はとても我慢ができないのであります。
そういう立場から、厳正であり、しかも、国会はやはり神聖な場でありますから、法案の審議を通して、一点の疑惑もない審議が極めて大事ではなかろうか、そういう意味から御要望を申し上げる次第であります。
それでは、内容に入りますけれども、この間にひとつ十分御配慮をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/135
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136・福家俊一
○福家委員長 ちょっと待ってください。入る前に ……。
今、兒玉委員から御発言がありましたとおり、理事会において、各党理事から申し入れがありました。委員長は、今日まで、公平かつ慎重審議を尽くしてまいりました。各理事の申し入れを受けまして、国対及び総理に、御出席を願えるかどうか、意見を七十分間にわたって具申いたしました。しかし、一々、そういう雑誌に取り上げられて、それは編集局としては責任、自信を持っておるのだとおっしゃるかもしれませんが、委員会としてはそういう中傷的な、事実無根に関するようなことを取り上げるわけにはいきません。で、本件につきましては、総理も出席の意思はないということでございますので、委員長のまことに力及ばぬところでございますが、本委員会には近来になき名大臣細田吉藏君が御出席になっておりますから、政府の責任者として細田大臣から御出席委員の疑いの点はお答えをいたしますから、御遠慮なく質問してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/136
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137・兒玉末男
○兒玉委員 極めて残念でございますが、委員長の御努力には敬意を表します。
それで、法案につきましては、御承知のとおり、同僚議員がかなり詳細な立場から質問しておるわけでございますが、きょうは締めくくりということでございますので、今までの経過を踏まえて、いわゆる問題点の確認ということでお伺いしたいと存じます。
何といっても、これはやはり地方自治体においては、財政的な問題は極めて重大な課題でございまして、この事業を通じて地方自治体に、今日でも非常に苦しい状態にあるわけでございまして、これ以上の自治体の財政負担、圧迫ということがないように十分な配慮をすべきであると思うのですが、まず自治省はどういうふうな対応をしているのか、お伺いしたいと思います。
〔委員長退席、浜野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/137
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138・前川尚美
○前川説明員 関西国際空港の設置に伴いまして、地元地方公共団体には御指摘のとおり、関連公共施設等々の整備に関連して、相当の財政需要が生ずるものと見込まれるわけでありますが、午前中にも申し上げましたけれども、これに当たって、基本的には二月の関係閣僚会議で確認をされておりますとおり、国と地方団体との間で調整、協議を図って、具体的に計画の策定を進めていくということでございます。
私ども、財政措置をどのように講ずるかということを検討するに当たって、その前提となります事業がどういうものが考えられるのか、あるいはその事業主体はどこが実施をすることになるか、そういうことを含めてこれは総体的に考えなければなりません。同時に、事業計画自体、やはり関係する地元の地方団体の総意なり、あるいは特性というものを十分に生かした事業計画でなければならないということもあろうかと思うわけでありまして、私ども、そういう点についても地元の地方団体の意見を十分に尊重して、関係各省庁、特に事業主管庁で調整をしていただくようにお願いをしているわけでございます。
財政措置の面につきましては、国の財政は大変厳しい状況にございますが、地方財政もそれに劣らず厳しい状況にあります。御指摘のとおりでございます。私どもは、この事業の実施に当たりまして、まずは何をおいても、国庫補助あるいは国庫負担の対象となる事業についての優先的な採択をすべきであると考えておりますし、それに伴う財政措置につきまして、現行の制度あるいは財源措置の活用を十分に図りながら、関係事業の円滑な実施が図られますように対処してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/138
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139・兒玉末男
○兒玉委員 大臣にお伺いいたします。
再三答弁されておりますが、当初、運輸省が本法案の策定過程で、いわゆる公団方式と第三セクター併用の方式を検討しておったのが、閣議決定の直前になって待ったがかかり、たしか三日か四日たってから閣議決定に至ったということが新聞でも大々的に報道され、しかも、今回のこの現代の記述でも、そのことは余りにも極端な表現のような形で書かれておることは、いよいよ疑惑を深める、そういう点でありますので、なぜ閣議決定がおくれたのか、その背景は一体、何であったのか、これについて大臣の明確な御答弁を要求します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/139
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140・細田吉藏
○細田国務大臣 今の御質問の中で、当初、公団と第三セクターでやるというのが閣議決定の間際に変わったようなお話、ちょっとこれは私の聞き違いかもしれませんが、それはさようではないのでございまして、それははるか前に決まった、五十九年度予算が決まる前に既に決まっておったわけでございます。
閣議決定直前に条文の変更があって、そのために延びたということは、事実でございます。それは配当制限のところでございまして、第十一条め関係でございます。これは「企業一般の配当の動向その他の経済事情及び会社の行う事業の公共性を考慮して」という字句になって、「政令で定める」、こうなっております。これが原案は、率直に申し上げて、一〇%から一二%の間で政令で定める、こうなっておったのでございまして、それを抽象的な文句に書き直すということにいたしたのでございます。
これは書き直したために非常によくなったんじゃないか、こう私は思っておるのでございます。それはなぜかといいますと、一〇%ないし一二%の間で政令で決めるということは、二%の開きの間で決めるというので、これはもっと詳しく申しますと、一〇が最初出てきたのは大蔵との折衝の間で出てきた、一二という上の方のものはむしろ法制局との折衝の間で出てきた、ところででき上がったものは一〇ないし一二で政令で定める、こういうことになったので、私自身もこれはちょっとおかしな格好のものだなと実は思っておったんでございますが、官房の方から御指摘がありまして、これではぎらつくのと、それからもう一つは配当というのは将来の話でございましょう、将来例えば公共事業関係の株式会社の配当がもっと今より下がるかもしれません。そういうときに一〇%以上ということにするのかいということなんでございます。それは、その場合にはあるいは八%がいいか六%がいいか、そういう制限だって十分将来のことですからあり得るわけでございます。そういう意味で新しくできた方がより弾力性があってよろしいんじゃないか、かように思っておるのでございまして、変わったことはそういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/140
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141・兒玉末男
○兒玉委員 それでは、大臣の説明によると、具体的パーセントを除いて抽象的な表現をしたということは、それでは配当率は野放しか天井なしか、こういうふうに理解していいのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/141
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142・細田吉藏
○細田国務大臣 いや、さようではないのでございまして、政令で定めるということになっておりますし、あそこにちゃんと抽象的に書いてございますから、あるいは電力会社の配当がどうであるとかいろいろな関係の会社とかそういう特殊会社的なものですね、あるいは公共事業的なもの、そういうものの配当との考え方に合わせて政令で決めるわけですから、一五%でも一七%でもいいなどという考え方は毛頭ございません。もう一二%ぐらいは最高だろうと今でも思っております。一二%でも高過ぎるんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/142
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143・兒玉末男
○兒玉委員 それから、いただいている資料によりましても、五十八年度、いわゆる大蔵省の予算項目の表現でございますが、今までいろいろな資料検討しましたけれども、一般調査費というのと実施設計調査費といろいろあるけれども、今回の三十二億のいわゆる予算は着工準備調査費、こういうような表現になってかなり大蔵省との間にもやりとりがあったように聞いておりますが、大蔵省主計局、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/143
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144・涌井洋治
○涌井説明員 五十八年度予算におきまして着工準備調査費というものを計上したわけでございますけれども、これはいわゆる実施設計調査費に相当する内容も含まれておるわけですけれども、あわせて採算性とかあるいは事業主体とか負担のあり方等、五十八年度予算の段階におきましてはまだ残されておる問題が多々あったわけでございます。ですから、そういうものをも検討していくために必要ということで実施設計調査とそれから一般調査というものを含めたところの新しい調査費を計上したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/144
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145・兒玉末男
○兒玉委員 再度お伺いしますけれども、実施と着工とは実質的に違いかなければ実施調査でいいんじゃないですか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/145
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146・涌井洋治
○涌井説明員 通常、実施設計調査費を計上する場合は、これは工事費そのもの、要するに直ちに着工するということを前提として計上するわけでございますので、工事費になるわけでございます。ところが、本件の場合は直ちに着工するということではございませんで、着工する前の前提として、採算性がどうであるとか、事業主体をどうするかとか、負担のあり方をどうするかという基本的な問題があったわけでございます。ただ、そういう問題を検討するための費用もこの中に含まれておるということでございます。
〔浜野委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/146
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147・兒玉末男
○兒玉委員 今の答弁、ちょっと納得しないのです。非常におかしいですよ、どう考えても。
それでは、次に移りますけれども、大臣お見えにならないようですから局長にお伺いしたいわけですけれども、航空政策研究会でございましたね、運輸省の監修で出しておる本がありますね。これはまだ法案が制定過程での山本局長のある会合での意見が載っております。その中でいわゆる国庫納付金制度、後で準備金制度も入れたそうですが、その発想の中で、収益金を国庫の方に入れて、そうした場合に損金扱いにするから収益が高まる。そのかわり、今度はまだその会社に返す。こういう意味のことが山本さんの意見の中に載っております。そうしますと、結局は会社の利益を多分につくるための一つの特別措置によって民間の利益を援助する、こういうような理解にも受け取れる書き方でございます。
これと準備金制度の関連についてと、それから先ほど配当のことで大臣が答弁されましたけれども、この点はやはりきちんとしておかないと、これから十年、十五年先であなた方がずっと運輸省におるわけじゃございませんので、そこら辺の歯どめということをどうお考えなのか。この二点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/147
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148・山本長
○山本(長)政府委員 私が一月であったと思いますけれども、航空政策研究会という朝飯会のようなところでお話ししたものが印刷物になっておるわけであります。あれは私たちが監修をしておるというものではございません。あの話をいたしました時期は、予算が決まりましてこの法案の作成に手をつけようとしておる時期でございました。
あの私の話の中にございます。ですけれども、この企業体が将来うまく事業が進んでいく一番の要件といたしまして、借金をうまく返していくということが一番重要な問題だ。その場合に、この空港の工費の中で一番ウエートを占めるのは土地の造成でございます。土地の造成については多額の借金を必要とするわけでございますけれども、それを返していく場合には、通常、企業の場合には償却費で返していくわけでございますけれども、土地の場合には償却費が立たない。利益から返さなければいかぬ。利益から返す場合には法人税、事業税等が相当大きな負担になってまいりますので、これを通常の税制のもとにおいて利益課税があったのでは、この会社が将来円滑な運営がやっていけない、ここが一番の問題である。その一つの方法として私の、その当時運輸省が考えておりました話をいたしたのでございます。
その後、現実に法案の形で御提出申し上げておりますのは、その国庫納付金制度ではなくて、関西国際空港整備準備金制度ということになったわけでございます。
この会社の運営が円滑に将来行われ、借金を返していけるというふうにしなければならないという点につきましては、これは財政当局も私たちも意見を言ってきたところでございますけれども、その具体的な方策につきまして、利益の課税というものを真っ正面から非課税にするというような運輸省の考え方というのはむしろ素人の議論であって、やはり企業の利益に対しては課税をするのが当たり前である、税務当局はそのようなお考えでございます。
ただし、この会社の行っていきます事業というものが非常に特殊な事業であり、土地づくりが非常に大きなウエートを占めるということから考えてみまして、やはり借入金の返済というものを容易にしていくためには、利益の課税を免除するということではないけれども、準備金制度というふうな制度をつくることによりまして利益の課税を繰り延べていく、将来長きにわたっては利益課税していく、こういうふうな考え方の方が現在の税制の中においては妥当である、こういうふうなことが税務当局の御意見でございました。私たちといたしましても、そういうふうな方法をとることによりまして、この空港の運営あるいは借金の返済というものが可能であるというふうに判断をいたしましたので、財政当局のそういったお考え、税に関する専門家の御意見というものに従いつつ会社の運営ができる方法ということで、準備金制度ということになっていったわけでございます。
したがいまして、ねらっておるところにつきましては、同じようなねらいをしてその目的が達成できるようにしたわけでございますけれども、税との関係において、真っ正面から税を非課税にするというふうな方法をとらないで、準備金制度といって税を繰り延べていくという方法によって会社の運営をうまくやるような制度にしたというのがその経緯でございます。
それから、何かこういうふうなことで、会社が税金を払わないように制度的にしておいて、そして配当について特例を設けていくというようなお話でございましたけれども、この配当につきましては、やはりこういった税というものについての特例措置を設けていること、そのほかの財政上の面におきまして、政府はこの会社に相当な財政的な援助をすることになっております。また、この会社があの地域においてこの事業を行っていくということにおきましては、競争者がないというふうな、そういう性格の地位を持っているものでもございます。
したがいまして、この会社の運営というものが円滑にいくということについての配慮はしなければなりませんけれども、そこで、この会社の利益につきまして、もうかったからといって利益配当というものを無制限にしていくというのはおかしな話でございまして、税制上、財政上の特別の措置をとって、そして、決して非常にもうかる企業ではございませんけれども、しかしながら、もうかった場合におきましても、配当なり所要のものは確保するにいたしましても、その配当の額というものは、先ほど配当制限条項でございましたように、経済情勢あるいは他の企業の配当の動向というものを考えて、つまり経済的な意味において常識的な線というものの範囲を出ないようにしていただく、こういうふうなのがこの法律の思想でございます。会社の運営が成っていくように、しかしながら、利益が出た場合において、その利益というものを無制限に流出するというふうなことがないようにするというのが、この配当の制限の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/148
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149・兒玉末男
○兒玉委員 資料として運輸省から、今回の空港の資金計画案というものをいただいているわけでございますが、かなり優遇された措置がとってあるというふうに、私はこの数字では判断をします。問題は、先ほど大臣が答弁されましたが、なぜ公団方式一本では不都合なのか。
私は航空局から、成田公団のこの五年間における状況の資料をいただいておりますが、これによりましても、五十三年の発足当時の損失が約百五十八億であったのが、五十四年は九十四億、五十五年は九十二億、五十六年は五十八億、五十七年は三十三億と極めていい成績を上げておりますし、反面収益についても、当初の倍近い収入が上がっておるわけであります。
こういう点から考えた場合に、成田公団の場合でも、もし非能率であり非経済的であれば、こういう数字は出てこないはずであります。そういう点からも、大臣の御答弁のいわゆる民間活力だとか非能率、非効率というのは、私は、当を得ていないような感じがするわけでございますが、この数字を示している点から、特に担当の局長あるいは大臣はどうお考えになるか、明快な回答をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/149
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150・山本長
○山本(長)政府委員 御質問は、端的に、会社でなくとも公団でいいのじゃないか、こういうような御質問のように伺いました。
こういった大規模であり、かつ急いでやらなければいけない事業につきまして、新しい組織体をつくる必要性はあるという点については、先生も御異論がないところだと思いますが、その場合に、一つの公団方式というものが今まであったわけでございまして、これについて公団方式というのも一形態であろうというふうには考えます。
しかしながら、これは予算の編成段階でもいろいろな議論があったわけでございますけれども、究極のところ、現在の行財政事情というものを考えて、また、民間活力というものをこういった公共事業の執行についても導入を図っていくのが望ましいというふうな臨調の趣旨というものにかんがみまして、本事業につきましては、公共性の確保という点から十分な配慮をする必要がありますけれども、その観点から必要な監督規定を講じながらも、この民間の活力を活用でき、また地域との調和を図っていくための措置といたしまして、国と地方公共団体、民間、三者の出資による特殊会社たる方式が一番いい、こういうふうな結論になったわけでございます。この点につきましては、いろいろな事業主体方式の中で、今日の情勢のもとにおいて、特殊会社たる株式会社方式がよいという判断に基づいて行ったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/150
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151・福家俊一
○福家委員長 大臣の答弁は要りませんか。——細田運輸大臣、特に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/151
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152・細田吉藏
○細田国務大臣 お答え申し上げます。
成田の新東京国際空港公団は非常に努力をしております。そのことを今お認めをいただいて、大変感謝しております。
今度の関西についても、公団では絶対にいけないのかという議論になりますと、それは、さようなことはない。これは、運輸省がじかにやるということはやはり策を得たものではない。ですから、公団にするか、公団と第三セクターとをまぜ合わせた第三万式をやったときに出した案によるか、それとも、新しい今度出した特殊会社の方法によるかということの選択の問題なんでございます。したがって、兒玉委員がおっしゃっているように、公団の方がいいんだぞという御意見は御意見なりにわからないわけではございませんが、先ほど航空局長が申しましたように、今日の事情から、第二臨調が、公団というものはもう増加しない、むしろ減らしていくのだという考え方に立っておるというような事情もございまして、そういう関係からこういう形になったんだ、こういうことに御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/152
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153・兒玉末男
○兒玉委員 大臣としてもそれぞれ立場があり、派閥の関係もあるでしょうから、思い切ったことは言えないということはよくわかるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/153
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154・福家俊一
○福家委員長 当委員会には派閥の関係はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/154
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155・兒玉末男
○兒玉委員 私は、やはりもう少し、成田公団がいい例でありますから、いい例は残していく。臨調だってそういうことは書いてないのですよ、成田公団けしからんから、今度は関西は民間入れろ、そんなことは一言も書いてないのであります。そこに先ほど来、多くの利権絡みの疑惑があるということが指摘をされてもやむを得ない、こういうふうに私は判断をして再度聞いたようなわけであります。
さらにまた、次に移りますけれども、時間がありませんので、ひとつ答弁は明快に簡潔にお願いしたいと思うのであります。
これは環境の問題でございまして、この前四月二十七日、新聞で発表されました全国の空港が環境基準に達しているのは釧路空港と熊本だけだ、あとは依然として基準達成がされないのみか、数県においては全然その調査もしてない、こういうことが環境庁から指摘をされておるわけでございまして、環境庁は運輸省と防衛庁に対して的確な措置を要望しておるのでございますが、環境庁としてはその後どういうような対応をしているのか。
それから、今回の関西空港の場合においても、特に地元から環境アセスに対する強い要望が出ておるわけでございまして、環境庁がその関門にございますから、ひとつ勇気ある行動と実行を要望するものでございますが、環境庁いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/155
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156・福家俊一
○福家委員長 環境庁から二人出ておられますが、大切な質問ですから両人からお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/156
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157・小澤三宜
○小澤説明員 先日発表いたしました航空機騒音に係る環境基準等の達成状況の調査に関係してでございますけれども、その達成状況を把握いたしました結果、環境基準の達成のためにはなお引き続き努力が必要であるというふうに認められたわけでございます。
本年四月二十七日、私どもの方から運輸省及び防衛庁に対しまして、住宅防音工事の早期完了、それから発生源対策の推進等々につきまして、その推進方のお願いをしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/157
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158・加治隆
○加治説明員 お答え申し上げます。
関西国際空港の航空機騒音の影響について、環境庁はどう考えているかというふうに理解いたしましてお答え申し上げたいと思います。
この航空機騒音の問題につきましては、昭和五十六年五月から運輸省との間で意見交換を行ってまいりました。いわゆる三点セットの中で環境アセスメントについて十分審査を行ってきたところでございます。その結果、航空機騒音に係る環境基準におきまして、いわゆる専ら住暦の用に供される地域の基準となっておりますWECPNL七〇のコンターラインは海域にとどまっております。したがいまして、大阪湾周辺地域において航空機騒音に係る環境基準を十分満足するもの、そのように判断したところでございます。
なお、今後この計画の実施に当たりましては、公有水面埋立法の規定に基づきまして、環境アセスメントが適切に行われることになりますので、その際にも所要の審査を十分に行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/158
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159・兒玉末男
○兒玉委員 あと二問程度お伺いしたいと思いますが、大臣と局長にお伺いします。
第一点は、環境庁から運輸省に対して環境基準改正についての強い要請が出ているわけでございますが、これについてどのように対応するのか。それからまた、関西新空港には世界の各国の飛行機が来ると思うのですよ。今までのこのアセス評価だけでは不十分である。いろいろな飛行機の機種が多種多様ですね。そういう点から、それには一体具体的にどう対応しようとしているのか。それから環境庁からの要請に対する改善では、大体今後何年間くらいをめどに対応をするのか、その二点についてお伺いしたい。
もう一つは、大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、この前飛行場部長もお招きしてレクチャーを受けたわけですが、やはりこのような膨大な構想でございますので、関係住民、各団体等が絶えず環境状況というものを監視する体制が絶対必要だ。会社になれば、ともすれば政府の行政指導はあるけれども、決まってしまえばもう住民のことなど考えない。そういうことでは困るので、地方自治体、労働組合団体あるいはそういう人たちを網羅したところのきちんとした監視機構というものを、規約なり定款等でも明確にするような方針をこの際ぜひひとつ確認をとりたいと思うのですが、これに対してどういうふうな対応をされようとするか。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/159
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160・山本長
○山本(長)政府委員 最初の御質問の、環境基準達成のための運輸省の今後の努力の考え方と申しますか、環境庁に対してどういう対応をするのか、こういうふうなお尋ねでございますが、空港周辺対策につきましては、私ども過去十数年力を入れてまいりまして、相当に努力をしてまいってきておるつもりでございます。環境行政の元締めでございます環境庁と御連絡もとりながらも、また環境庁からいろいろな御注文あるいは御叱正を受けながらも、私たちといたしましてはできる限りの努力をいたしてきておるところでございます。その成果はこの間発表していたとおりでございまして、これについてなお御批判のある点も十分存じておるところでございます。
さらに、私たちといたしましては、民家防音工事等を主体といたします空港周辺対策というものを進めてまいる所存でございます。現在、七五WECPNLの範囲におきまして、民家防音工事というものをやっておるわけでございますけれども、五十九年度及び六十年度におきまして、現在、特定空港として十六空港指定しておりますけれども、これの民家防音工事を希望者に対しては終える、こういう計画で進めたいというふうに考えておるところでございます。これが第一点でございます。
それから今後の問題でございますけれども、特にこの新空港につきまして、世界各国からたくさんの飛行機が来るであろう、それに対してどうしていくのだ、こういうふうなお話でございますが、第三点の環境監視の問題と若干関係をしてくると思います。
私たちこの新空港につきましては、環境問題について十分配慮したつもりでございますけれども、そしてまた、それに伴うアセスメントを実施してきておるところでございます。また実施段階においてもそうするつもりでございますが、そういった空港建設段階、それからまた、騒音につきましては空港の運用段階におきまして、そのアセスメントの結果というものが狂っていないかどうかということについて、絶えず反省をしながら事業を進めていくという方式が必要であろうと思います。今後の対応につきましては、そういった環境監視というものの体制の中で、環境問題についての問題を発生させないようにしていきたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/160
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161・細田吉藏
○細田国務大臣 環境監視委員会につきましては、法律に入れろというような御意見もあるようでございますけれども、残念ながらそこまではまいりませんが、必ずこれはつくらせるという考え方でございますので、はっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/161
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162・兒玉末男
○兒玉委員 これは大臣の答弁がいいと思いますが、航空局からいろいろな資料をいただいております。その中で関連事業の収益状況というのを実は数字を当たってみました。
それで、例えば羽田の場合でもこの五年間で大体四〇%、五十七年度で三百三十五億二千万という膨大な収益を関連事業で上げております。それから、大阪の場合では五十七年度七百六十五億八千万ですね。こういう岡の施設を利用して莫大な収益が上がる以上は当然、国鉄等が関西高架なりあるいは東京高架等に対して賦課金を取っておるわけですね。だから、当然国が莫大な先行投資をしているわけですから、それによって生ずる関連事業に対しては使用料が非常に安い、そういう部分もございますし、先般文藝春秋で我が党の同僚議員が指摘したように、やはり正当なる収益に対しては正当なる課徴金も取るという考え方が大事ではなかろうかというふうに私は考えますので、これは大臣なり局長なりいずれでも結構ですが、今後の対応についてお答えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/162
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163・山本長
○山本(長)政府委員 関連事業からの空港管理、空港建設などに対する利益還元という問題が重要な問題でございます。成田の公団のような場合にはそれは公団が実はやっております。この新しい会社も会社がその関連事業も一緒に主なものはやるということでございますが、先生おっしゃるようにその他の空港におきまして関連事業というものを第三者が行っておるということも事実でございますし、それにつきましては土地使用料という形で空港整備特別会計に負担をしてもらっておるわけでございますが、実情から、その収益の状況から見まして相当大きな収益が上がっているというふうな事実があることも事実でございます。
現在、土地使用料というものを普通財産の借料よりも高目に設定をいたしておるわけでございますけれども、空港の関連の事業としてあの場所において独占的に事業を行うことによって利益が多額に上がっているという事実に着目して、これを何らかの方法によりまして、直接的あるいは間接的な方法によりまして、その利益を空港の建設なり管理なりの方に吸収していくという方法を検討すべきであるというふうな意見があることも事実でございます。具体的な方法につきましては、空港の財産管理の、非常に専門的な問題でございますけれども、そういった過剰な利益というものが発生をしないように、また、した場合には、それが空港の建設、管理の方に還元できるようにという仕組みにつきまして、今後検討していきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/163
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164・兒玉末男
○兒玉委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/164
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165・福家俊一
○福家委員長 関連して左近正男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/165
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166・左近正男
○左近委員 それでは、時間がありませんので簡潔に御質問します。
まず、法第六条の「事業の範囲」について、関西新空港の土砂採取、運搬について会社の事業の範囲に入るのかどうか明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/166
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167・山本長
○山本(長)政府委員 空港の設置、管理業務というものが第六条の会社の業務の範囲に掲げられておりますけれども、空港の設置の業務の一つとして十砂採取業務もこの事業主体の業務の中に入るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/167
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168・左近正男
○左近委員 それでは、今の答弁では、先ほど若干御質問がありました第三セクター的なもので十砂の採取なり運搬についてはやらさないという理解でよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/168
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169・山本長
○山本(長)政府委員 この法律におきましては、この事業主体は、第六条の各号に掲げておりますところによりまして事業の範囲が決まっておるわけでございますけれども、その中に、この会社の事業の目的を達成するために必要のある事業は会社が行うようになっております。先ほど他の先生でございますがお答え申し上げましたけれども、一つの考え方としてこの会社、地方公共団体等を主なる出資者とした第三セクターという考え方もあるというふうなことを申し上げましたけれども、そういった方式によって行うような場合には、この会社の業務といたしましては会社の目的達成業務の中に入るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/169
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170・左近正男
○左近委員 地方公共団体の財政負担の問題について我が党の小林、関山委員の方から四月二十日に御質問していますが、出資金の二百億円、これについては政府も必要あれば起債を認可していく、こういうことで答弁がございました。ところが、長期低利の融資の資金三百億円、これを年利四%の金利を想定すると、これは六百億円になる。こういう膨大な融資資金について国としてはどういうような手だてを考えておられるのか明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/170
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171・松村義弘
○松村説明員 このプロジェクトを収支採算をとらせるために三〇%の無利子の資金が必要であるということで御説明しておるわけでございますけれども、その三〇%のうち二〇%は国が出す、あと残りの一〇%のうち半分の五%を地方公共団体に負担していただくという考え方で御協力をお願いしたわけでございます。パーセントでなくて金額で申しますと、仮に総事業費を一兆円といたしますと、五%は五百億円になります。五百億円のうち二百億円を出資という形で御協力いただく、あと残りの三百億円につきまして長期低利の融資ということで、仮に四%の年利ですと六百億円の御融資をいただくことになります。
これにつきましては、当分の間各年度の事業費の五%を出資という形で地方公共団体の方に御協力いただきたいと考えております。そうしますと、年々の事業費を勘案しますと、六十三年度の半ばぐらいまでの事業費は出資という格好で御協力いただけると考えております。その時点で二百億円という限界に達します。したがいまして、その後のことにつきましては長期低利の御融資をいただくことになるわけでございますけれども、六十三年度の半ばぐらいまでの間、よく関係の方々とお話し合いをいたしまして、どういった格好で御融資をいただくか、場合によっては出資に切りかえていただくことも含めまして御相談をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/171
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172・左近正男
○左近委員 それでは、六十三年まではこの地方公共団体の財政負担については出資金二百億円内でやっていく、あと長期低利の融資分については六十三年半ば以降の資金繰りの問題だ、こういう理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/172
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173・松村義弘
○松村説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/173
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174・左近正男
○左近委員 この会社は十月一日に設立が予定をされておりますが、各地方自治体の議会の承認案件に当然なるわけでありまして、十月設立は各地方議会の関係で無理ではないかと言われております。したがって、十二月になるんじゃないか。この十月から十二月にずれ込むことによって、この空港建設に当たって具体的にどういうような障害が出ると想定されるか明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/174
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175・山本長
○山本(長)政府委員 機械的に考えますれば、それだけ発足の時期がずれ込むことによりまして着工のための準備がおくれるわけでございます。したがいまして、それが翌年度においてどれだけ取り返し得るかということにかかっているわけでございますけれども、例えば二カ月おくれたら本格的な着工が二カ月おくれる、機械的にそういうふうなことにはならないと思いますけれども、しかしながら、本格着工の時期の方に影響してくるということは事実だと思います。
ただ、先生おっしゃる十月一日が無理ではないか、無理というふうに今考えてしまうことはいかがかと思います。私たちといたしましては、十月一日を目途にいたしまして、もちろんこの国会において御承認をいただくという、その時期がいつかということにもよるわけでございますけれども、御承認いただけますれば、できるだけ早く会社の設立を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/175
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176・左近正男
○左近委員 民間の出資問題について、または融資問題についてお尋ねしますが、これについてはもう各経済団体、関経連とか大阪商工会議所等々いろいろございますが、これは出資促進委員会というのをつくっておりますが、こういうところに全く無原則な一任をされるのか、政府として何らかの基準をそういう民間の経済団体に示されるのか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/176
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177・山本長
○山本(長)政府委員 この法律の附則によりまして、この会社の設立事務は運輸大臣が任命いたします設立委員によって行うということになっております。その設立委員が株式の募集を行うわけでございます。先生の御質問の中にございました出資促進委員会というものは、経済界の中においてそういう事態に対応して民間が円滑に対応できるようにという準備のための作業として行われているものでございます。これに任せきりというものではございませんで、設立準備委員の中で御相談をいただいて、そして募集の方針を決めていくことになっていくわけでございます。現在のところ、基準というものをはっきりこの段階で決めておるわけではございませんけれども、しかしながら、相当長い間の建設期間でございますし、配当までの間にまだ相当時間がかかるということもございますので、やはり経済界が中心になってこの民間の資金について応募されるのが主流になるのではないかというふうに考えております。
その場合に、できるだけ広い範囲にわたってその協力が得られるという体制が望ましいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/177
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178・左近正男
○左近委員 民間の出資なり融資をすることによって、空港のもうかる部分ですね、附帯事業に対し何らかの利便が与えられるのではないかというような立場で、民間の各会社が今日こぞって融資なり出資態勢にあるということも考えられるわけですが、この点について、新空港の附帯事業についてはあくまで会社が責任を持って営業していく、運営していくという理解をしていいかどうか、ひとつ明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/178
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179・山本長
○山本(長)政府委員 御質問の中で御指摘になった考え方が、そのとおりであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/179
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180・左近正男
○左近委員 兒玉先生から御質問をされました公害の監視体制については、今大臣から必ずそういうものを責任を持って設置するという御答弁があったわけですが、空港を円滑に運営するために運営協議会的なものについても、公害監視体制とともに会社の定款等で明確に位置づけをするという理解をしてよろしいですか。これは大臣に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/180
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181・細田吉藏
○細田国務大臣 そのとおり御理解願って結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/181
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182・左近正男
○左近委員 ありがとうございます。
時間がありませんので、ちょっとせいて申しわけございません。
二十四時間使用可能な空港にとって大きなメリットは航空貨物の輸送であろうと思います。この点について、航空貨物の基地がなくてもいいわけですけれども、これからの航空貨物需要を考えれば当然ACCTの必要性というのは出てくるだろうと思いますが、この点についてどういうような構想を持っておられるか。例えば一カ所に限定するのか、あるいはまた各地方自治体から手を挙げれば数カ所そういう基地を設置していくというような考え方でおられるのか、構想についてひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/182
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183・山本長
○山本(長)政府委員 空港以外の都市に近い場所においてACCTというふうな業務が行われているものが、日本においてもございます。空港の中の貨物の取り扱いの負担というものを、貨物が多くなってまいりましたときには軽くしていくという観点からも、そういった施設の建設、整備ということは望ましいことだと考えております。
それから、先生おっしゃるように、どこへいつまでにというふうなところまで現在のところ計画は煮詰まってきておりません。ただ、こういった構想について、なお現在においてもそういう構想があるわけでございますが、やはり関係者と調整の上、その計画を進めていくということについて運輸省あるいはこの会社が協力をしていくという必要があろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/183
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184・左近正男
○左近委員 くどいようですが、これは特定な一カ所ということではなしに、この点はかなり複数的な発想だという理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/184
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185・山本長
○山本(長)政府委員 これは一カ所でなければならないというものではないと思います。必要な場所に必要な施設という観点から計画を詰めていけばいいという問題であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/185
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186・左近正男
○左近委員 この関西国際空港の関連の従業員数はどれくらい想定されるか。例えば、現在大阪国際空港では一万二千三十七名という関連職員がおられますが、今度の新空港ではどれぐらいの雇用創出が図れると想定されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/186
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187・松村義弘
○松村説明員 開港時におきます空港島における仕事を持っていらっしゃる従業員の方の数は三万人強と想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/187
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188・左近正男
○左近委員 この新しい会社の役員数については大臣から、十名内外が常識的だというような御答弁をいただきましたが、会社の職員数、今度新しくできる関西空港株式会社の職員数はどれぐらいの規模を想定されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/188
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189・松村義弘
○松村説明員 本会社創立当初は百四十名程度の役職員を予定しております。その後、事業量の増大に伴いまして必要な増員を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/189
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190・左近正男
○左近委員 この第十五条に「国及び地方公共団体の配慮」という条項があるのですが、この「人的及び技術的援助について必要な配慮を加えるものとする。」、この場合、国から派遣される場合あるいは自治体から派遣される場合が当然出てくると思いますが、そういう理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/190
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191・松村義弘
○松村説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/191
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192・左近正男
○左近委員 大阪湾の漁業補償問題について、せんだっての質問で、この補償の基準については漁業権簿の消滅または制限により通常派生する損失の補償、こういう基準に基づいて行うのだということを聞いておりますが、新空港をつくることによってどれぐらいの漁獲量の変化を来すと考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/192
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193・松村義弘
○松村説明員 空港設置後の大阪湾におきます予想漁獲量につきましては、現在の技術水準では、海域環境と海域生物の生態との関係が定量的に完全に解明されておりません。また、他のプロジェクトの実施に伴う影響、今後の漁業振興策の進展の度合いにも関連すると思います。こういった観庶がいろいろございますので、明確にはお答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/193
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194・左近正男
○左近委員 そんなばかなことはあらへんのだけれども、もう時間がないからやりとりできないですよ。これはそんなことはないですよ、大阪府はちゃんと出していますよ。これは時間がないから結構です。
そこで、空港用地のこの漁業補償問題について、一兆円の予算規模の中で空港用地の造成工事費約四千五百億円、そのうち大体土砂の費用が約三千億円だと言われておりますが、この中に、この残りの千五百億円で漁業補償をされるという予算項目になっておるという理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/194
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195・松村義弘
○松村説明員 埋め立て造成のための総工事費としまして四千五百億円を予定しております。その積算につきましては、先生御指摘の土砂の搬入以外にそれを囲みます護岸の整備が必要でございます。そういったものももろもろ含まれております。
なお、漁業補償にどの程度の予算を充てているかということにつきましては、今後交渉事でございますので、ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/195
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196・左近正男
○左近委員 予算項目はここですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/196
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197・松村義弘
○松村説明員 そうでございます。四千五百億円の中に入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/197
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198・左近正男
○左近委員 漁業補償はこの中ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/198
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199・松村義弘
○松村説明員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/199
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200・左近正男
○左近委員 もう二問だけお願いします。
このたびの空港建設に当たって何といっても大きな問題はこの土取り問題だと思うのです。これについては私も質問しましたし、各先輩議員からもかなり突っ込んだ御質問がされております。やはり大臣もクリーンな空港をつくっていく、クリーンな空港つくりのためには何といってもこの土砂採取を公有地に限定すべきだ、そうしなければ今のこの現実を見てみますと、いろいろとうわさも飛んでおり紛らわしい点があるわけです。したがって、この点について大臣も公有地に極力努力をするという答弁をされておりますが、現時点でその決意についてさらに突っ込ん決意として大臣から一遍お聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/200
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201・細田吉藏
○細田国務大臣 できれば全部公有地からの方がよろしいと思っております。そう思っておるぐらいでございますから、なるべく多く公有地からということにいたしたい。どうも公有地からだけではちょっと間に合わなかったり、跡地の関係があったり、いろいろするようでございますから、しかし極力御趣旨のようなことでやるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/201
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202・左近正男
○左近委員 最後の質問です。関経連の日向会長が、この新会社の人事問題について少し記者会見で発表されておられるわけですが、何か運輸省は会長、社長制構想を持っておられる、このことについて日向会長は社長一本で副社長を二人置いたらどうか、社長は運輸省などの空港等島づくりの専門家、副社長は地元代表の大阪府と資金面に明るい大蔵省出身者というような考え方を回向会長は記者会見で言っておられますが、運輸大臣の見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/202
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203・細田吉藏
○細田国務大臣 法律案がまだ衆議院も通っておらないような段階でございます。この段階で人事のことは考えておりません。そう言ったって、しかしそうじゃないんじゃないかというふうにおっしゃるかもしれませんが、これはもちろん頭の中ではいろいろ考えております。しかし、御相談をするとかいろいろなことは一切いたしておりません。どのような役職にするかということ、どのような方になってもらうかというようなことは一切まだ相談も何もいたしておりません。日向さんかどういう意味でおっしゃったのか、よくわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/203
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204・左近正男
○左近委員 これで終わりますが、大臣、いろいろ地元の新聞ではこの点についてかなり出ているんですよね。だから、その点例か財界主導の人事が先行しておるというような感じを受けますので、運輸省としても十分注意をしていただきたいと思います。
これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/204
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205・福家俊一
○福家委員長 細田運輸大臣、重ねてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/205
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206・細田吉藏
○細田国務大臣 私どものところへも新聞記者が来まして、もうこのことばかり聞くのです。もうこれは話にならない。もとが相談も何もしておらぬことでございますから、おっしゃるようにだれかがこの人事をやっているようなことに新聞等に出ておることはまことに残念なことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/206
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207・左近正男
○左近委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/207
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208・福家俊一
○福家委員長 これにて本案に対する質疑は、慎重審議の結果、終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/208
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209・福家俊一
○福家委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。中馬弘毅君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/209
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210・中馬弘毅
○中馬委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表し、ただいま議題となっております関西国際空港株式会社法案に対し、賛成の立場から討論いたします。
今日、我が国における運輸行政の課題は、二十一世紀社会を展望し、国土の均衡ある発展を促進する総合交通体系を確立することであります。航空運輸も、このような総合交通体系の中における役割を踏まえ、産業構造の変化や我が国社会経済の一層の国際化に対応した二十一世紀の基幹輸送交通手段として、さらに拡充していくことが求められています。
関西新空港の問題は、大阪伊丹空港の欠陥に端を発してから十八年、泉州沖が最適とされてから十年の歳月を経ております。この間、世界の情勢は大きく変化し、国際関係の相互浸透は一層深まり、国際交流も拡大の一途をたどっております。政治、経済の分野にのみならず、科学技術、芸術、スポーツ、観光などさまざまなレベルで航空需要の増大が起こっております。
周知のごとく現在、我が国には二十四時間使用できる空港は存在いたしておりません。七〇年代以降、世界第二位の経済大国となった我が国が、世界各国との経済的、文化的交流を果たすべき国際的役割を考えるとき、二十四時間操業の空港建設は何よりも緊要であると言えましょう。
さらに現在、大阪伊丹空港が環境問題から厳しく運航規制を受けており、我が国第二の大都市圏である大阪に新たな乗り入れができないため、国際航空交渉において、大きな障害となっております。また、各県にジェット機の就航が可能な地方空港が整備されつつある現在、これに対し国内航空交通体系の一つの重要な中心である大阪国際空港への増便が不可能になっている現状は、経済の発展、国民生活の向上の大きな阻害要因とも言えましょう。関西国際新空港は、二十四時間、世界に開かれた空の玄関として、我が国の将来にとって極めて重要な意味を持つものであります。
本法案における株式会社方式は、事業の効率的な運営が行われるよう、国の監督措置を必要最少限度にとどめ、企業の自主性を最大に尊重する中で民間活力の導入を意図したものであります。また地元である関西経済団体や関係自治体も資金を出資することにより、地元に密着した空港になることが期待されると同時に、今日の国の財政事情を勘案するならば、まことに好ましい方法がとられていると言えましょう。この方式は、今後地域性の強い公共事業の実施のモデルケースともなり得るもので、その成功に期待したいと思います。関西国際空港にはアクセス道路の整備、今後の伊丹空港の取り扱いなど、未解決な問題点も残されておりますが、今後、関係者間で十分な協議を重ねることにより、これらの問題点を解決し、将来にわたり有用な事業としていくことを望みます。
最後に、政府は、本案の成立後関係方面と緊密な協議、調整を行い、速やかに会社設立の手続を進めるとともに、環境問題、アクセスを含む地域整備問題等についても十分配慮さるれことを要望いたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/210
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211・福家俊一
○福家委員長 小林恒人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/211
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212・小林恒人
○小林(恒)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、関西国際空港株式会社法案に対し、反対の討論を行うものであります。
本法案は、その提出までのいきさつについて振り返ってみますと、昭和五十九年度予算概算要求の段階で、関西国際空港の事業主体が公団と第三セクターの併用方式であったものが、中曽根総理の意向で突如として特殊会社に変更され、その上、原案が閣議に提出される直前に配当制限条項が修正されるなど、財界の意向が強く反映されたものと思料され、極めて遺憾なことであります。
地元と何ら協議することなく、既に合意に達していた事業主体を一方的に変更することなどは、地元との合意形成の上に進められてきた空港整備プロジェクトの従来の慣行を無視する非民主的な行為であり、到底納得し得るものではありません。空港の事業主体を特殊法人たる株式会社にした本法案には反対であります。
民間資本を導入した空港の建設、管理を行う株式会社方式は、世界で初めての例であります。関西国際空港は、空港整備法の第一種空港として位置づけられ、国際航空路線に必要な公共用飛行場でありますので、国が設置し、管理するのが本来の姿であります。この株式会社方式をとることにより、政府は、臨調答申が提言した民間活力の導入が図り得ると考えているようでありますが、それはむしろ、国がやるべき責任を回避していると言うべきものであります。
また、このように公共性の高い国家的一大プロジェクトに民間活力の導入を図ることが、果たして妥当であるか、甚だ疑問に思うところであります。すなわち、民間からの資本参加は、会社の人事面、運用面で企業性が優先され、利益追求の余り航空界にとって最も重要な課題である安全性の軽視が危惧されることであります。ちなみに、特殊会社である日本航空の企業経営を見ましても、同社に対する政府の持ち株比率の低下と裏腹に、営利性が優先し、そのため、会社発足当時に比べ事故が多発している現状であります。このことは、民間資本の導入とその増加が、その導入企業に対する政府の指導監督が弱まることを如実に示した例であり、安全を至上とする航空界にとってはゆゆしき事態であると憂慮しているところであります。
また、一月二十五日の新聞報道によれば、大蔵、運輸両大臣の間で、今後工事費を削減して、より採算のとれるよう会社を指導することということが話し合われたとのことでありますが、これは、今後における同空港の工事の縮小、安全性等について強く懸念されることであり、株式会社方式にしたことによる採算性の重視が如実にあらわれているものと存じます。
資金計画につきましても、その収入はおおよそ予想し得るものでありましても、その支出は工事の困難性、物価の上昇等予測せざる事情によって見込みと大幅に差異の生ずることは、新幹線鉄道や青函トンネルの建設等の過去の事例を見ても明瞭であります。しかも、これらの支出に要する資金は、国の経費によるものであればその計画を予定できるにしても、民間、地方公共団体に依存するものであれば、その支出についての予測は困難であり、また、これらのものに過大な負担をかけることが危惧されるのであります。
さらに、本法案には、新東京国際空港公団法に規定してあるような環境対策についての規定はないので、今後における環境対策に対する会社の責任の所在等に対し、地元住民は心配しており、また、成田方式によるかさ上げの法律的裏打ちがないため、関係地方公共団体は、アクセスを含む地域整備について大きな負担を強いられることを案じているのであります。
以上、空港の建設、管理を行う麻薬主体が株式会社であることによる種々の問題が内在いたします本法律案に対し、我が党は反対するものであり、以上をもちまして反対討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/212
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213・福家俊一
○福家委員長 次に、森田景一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/213
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214・森田景一
○森田(景)委員 私は、公明党・国民会議を代表して、関西国際空港株式会社法案に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。
関西国際空港については、事業主体となる特殊法人・関西国際空港株式会社の設立が予定され、新空港建設に向けてようやくその第一歩がしるされようとしています。運輸省が新空港の基本調査を開始してから十六年、航空審議会が泉州沖候補地の答申を出してから十年の歳月が流れたわけであります。この間、さまざまな経緯があり、また、多くの障害を乗り越えての政府の認知であるだけに、空港建設のために努力された関係者各位に対して、改めて敬意を表したいと思うのであります。
御承知のとおり、四面海に囲まれた我が国にとって国際空港の果たす役割は大きいものがあります。これまで我が国には二十四時間機能する国際空港は一つもなく、深夜の日本の空は鎖国状態となっています。こうした状態に対する国際非難も高まっており、現在世界三十数カ国からの日本への航空路開設要求を拒否せざるを得ない状況等を勘案するとき、我が国初の二十四時間機能する関西国際空港の意義は極めて大きいと考えるのであります。
次に、本法案に賛成する理由に、関西国際空港の建設に対して地域の関係自治体と住民の強い支持がある点を挙げることができます。
当初、この空港の建設には、成田空港問題の影響もあって、地元自治体や住民の間から反対の声があり、空港建設反対の決議もなされたのでありますが、慎重な手続と関係者の努力によって、今日では建設支持に大きく変化しております。これだけの大型プロジェクトに地元の多くの支持が得られていることは、注目すべきであります。私たちは、公共事業を進めるに当たって、地元の支持を得られずに計画に破綻を来し、十分な成果を得られない例を幾つか経験したところでありますが、関西国際空港については、その轍を踏むことのないようさらに努力を続けるべきであります。
私は、地域と協調した公共事業という長年の課題に対する解答を見つけるためにも、関西国際空港の建設に一歩踏み出すべきであると考えるものであります。
なお、関西国際空港の事業主体が特殊法人・関西国際空港株式会社となった点については、多くの意見があります。
確かに、第一種空港は本来国の直轄事業であるべきであると思います。しかし、我が国の財政事情を勘案すると、国の直轄事業では空港建設は遅滞しかねず、また、第二臨調の答申にある民間活力の有効利用を尊重するならば、事業主体を特殊会社としたことは、種々の点を総合して判断したとき、現段階においてはやむを得ないと考えるのであります。
以上、何点か本法案に賛成する理由を述べましたが、関西国際空港の建設に全く問題なしとは言えません。
空港の本質から、環境に与える影響は皆無ではなく、建設に伴なう公害発生にも万全の防止対策を講ずべきであると思います。さらに、事業主体の採算性の確保、民間活力を生かすための人事のあり方、地域整備に関する地域との意見調整など、会社発足までに、また発足以降において解決すべき多くの課題が残されている点、特に民間企業なるがゆえに採算性が優先して公共性が没却されることのないよう、今後も配慮を忘れてはならないこと等、これまでの委員会審議を通して我が党の各委員が指摘したところであります。
そうした懸念を解消し、関西国際空港を国際的にも誇れる第一級の空港とするために、さらにまた、地域と共存共栄できる空港とするには、本委員会で指摘された各事項について政府がこれを尊重し、責任を持って適切な措置を講ずることが必須と考えます。
このことを政府に強く要望して、私の賛成討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/214
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215・福家俊一
○福家委員長 中村正雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/215
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216・中村正雄
○中村(正雄)委員 関西地区の人々が多年の要望でありました新しい空港を建設する基礎でありまする事業主体の設立のこの法案には、民社党・国民連合は賛成でございます。
関連いたしまして、二、三の要望を申し述べてみたいと思います。
その一つは、国と自治体と民間の三者構成によりまする事業主体は世界の国際空港に例を見ない初めての試みでございます。したがって、三者のそれぞれがその長所を生かし得るような運営をやってもらいたいことを第一に要望いたしたいと思います。
第二の要望は、これからの建設、運営はこの新しい特殊会社がやるわけでありますが、しかし、国の責任はそれによって回避されるものではございません。千二百億という出資金、一兆円という事業資金のほとんどが借入金でございます。したがいまして、これからの資金のそれぞれの調達については国が責任を持ってやらなければなりません。したがって、今存続いたしまする閣僚会議等も、政権の交代があろうとも、この空港の建設が完了するまで存続できるように要望いたしたいと思います。
第三点は、技術の進歩というものは相当速いものでございます。過去十年を考えてみますると、十年前と今では航空関係の技術の進歩も目をみはるものがございます。この空港がオープンするのは八年ないし十年先でございます。したがって、これからの計画についても、弾力性を持たせまして、むだのないように政府は指導してもらいたいということが第三点でございます。
第四点目の要望は、空港へのアクセス等の地域整備、これは事業主体でありまする特殊会社でなくして国の仕事でございます。自治体の仕事でございます。これの計画を樹立するためには、現存いたしまする大阪空港の存廃、これがやはり前提でございます。これを決めなければ計画の内容が変わってくるわけでございます。したがって、政府としては早急に現在の大阪空港の存廃を決定するように要望いたしたいと思います。
最後にお願いいたしたい点は、成田空港の例を見るまでもなく、過激派等の暴動事件が起こることが大体予想されます。現在の地域の警備体制では不十分でございます。大阪府警だけではなくして、警察庁自体が責任を持って万全の体制をつくり、地域住民に迷惑を及ぼさないような措置を講じていただきたい。
以上、要望申し上げまして、賛成討論といたします。(捕手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/216
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217・福家俊一
○福家委員長 辻第一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/217
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218・辻第一
○辻(第)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、関西国際空港株式会社法案に対し反対の討論を行います。
第一の反対理由は、本来国の仕事である国際空港の設置、管理を民間資本を導入した株式会社に行わせることは、国の責任を放棄し、経済的効率を理由に安全性、公共性を犠牲にするものであり、到底賛成できないものであります。
なぜなら、今日国際空港は国際、国内輸送の上で大きな役割を果たしており、公共性、安全性の確保こそ空港の第一義的な使命であり、同時に騒音問題など環境対策を初め、アクセス交通など周辺地域整備の大規模な事業となり、したがって、国際空港の設置、管理は国以外の者では責任を果たし得ない特別の性格を持っているからであります。
第二の反対理由は、地元住民との完全な合意がないこと、自治体に過大な負担となること、さらに政府の新空港計画案には、大規模な海上埋め立てによる工事、複雑空域の問題など、安全性や環境保全の面で重大な問題点が指摘されていることであります。また、参考人質疑でも明らかにされたように、環境影響評価の不十分さなどの点が未解決のまま着工に移すことは許されないことであります。
第三の反対理由は、本法案が株式会社の人事や経営に関し、本来必要な国民的規制を取り外し、大幅に緩和したことであります。この点は、公共事業における国民主権の考え方に逆行する重大な問題であります。
役員の兼職禁止規定を外し、利益配当制限を政令にゆだね、中小企業への官公需の点でも官公需法の適用外とされるなど、本法案は国民の支持は得られないものであります。
国民のための国際空港は国民の手で建設し、国民の手で運営されるよう民主的経営を保障した国営方式で設置、管理すべきであり、これ以外に公共性、安全性は保障されないのであります。
さらに新空港計画案自体についても、環境対策、周辺地域整備を含め、住民参加による民主的計画案づくりの観点から再検討すべきであることを最後に指摘し、私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/218
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219・福家俊一
○福家委員長 これにて討論は終局いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/219
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220・福家俊一
○福家委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、関西国際空港株式会社法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/220
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221・福家俊一
○福家委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/221
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222・福家俊一
○福家委員長 この際、本案に対し、浜野剛君外三名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者から趣旨の説明を求めます。浜野剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/222
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223・浜野剛
○浜野委員 ただいま議題となりました関西国際空港株式会社法案に対し附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
関西国際空港株式会社法案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の事項につき、適切な措置を講ずべきである。
一 関西国際空港の建設工事(土砂採取を含む。)に当たっては、事前に十分なる環境影響評価を行い、住民に不安のおきないよう配慮して進めるよう会社を指導すること。
二 関西国際空港へのアクセス等地域整備については、関係地方公共団体と協議し、空港と地域社会の調和が図られるよう十分配慮すること。
三 地方公共団体の会社への出資及び地域整備等については、その財政運営の健全性の確保に配慮すること。
四 会社の役員等の大事については、地元の事情に精通した人材など広く適材適所の人材起用に配慮すること。
五 公共性の確保を図るため、環境監視のための体制及び地方公共団体等の意向を会社の経営に反映させるための仕組みを整備するよう会社を指導すること。
右決議する。
以上であります。
この附帯決議は、当委員会における本案審査の過程におきまして、委員各位からの御意見及び御指摘のありました問題点を取りまとめたものでありまして、本法の実施に当たり、政府において特に留意して措置すべきところを明らかにし、関西国際空港株式会社がその所期の目的を果たすため、遺憾なきを期そうとするものであります。
以上をもって本動議の趣旨の説明を終わります。
何とぞ御賛成を賜りますよう、お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/223
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224・福家俊一
○福家委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
浜野剛君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/224
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225・福家俊一
○福家委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、細田運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。細田運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/225
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226・細田吉藏
○細田国務大臣 ただいまは関西国際空港株式会社法案につきまして、慎重審議の結果、御可決をいただきましたこと、まことにありがとうございました。
また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、政府として十分の努力をしてまいる所存であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/226
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227・福家俊一
○福家委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/227
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228・福家俊一
○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/228
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229・福家俊一
○福家委員長 内閣提出、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、地方運輸局及び海運監理部の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林恒人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/229
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230・小林恒人
○小林(恒)委員 ただいま議題になりました承認案件につきまして、若干の質問をしておきたいと思います。
今回提起をされております案件につきましては、既に内閣委員会の中でも相当時間をかけて議論をされてきた経過がございまするし、可能な限りふくそうすることを避けて御質問したいと考えるのでありますが、まず第一に、今回の機構改革について、特にマスコミ等は従来の縦割りの許認可行政から運輸政策を推進する政策官庁への脱皮をねらっての組織がえであるとの評価をしている部分があるわけですけれども、本年七月一日から実施を予定されている運輸省の機構改革の骨子とその考え方、並びに機構改革後の政策官庁としての具体的なありようといいますか、手順等についてどのようにお考えなのか、総体的な考え方についてお示しを賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/230
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231・松井和治
○松井政府委員 お答え申し上げます。
運輸省は、御承知のように昭和二十四年に設置をされた官庁でございまして、そのとき以来、いわゆる縦割りの組織をもって仕事をしてまいりました。この交通機関別の縦割り組織と申しますのは、戦後の荒廃した我が国におきまして、それぞれの交通機関を育成、振興するためには大変適した組織であったと私ども考えておるわけでございますが、その後大きく経済の状況も変わりまして、あるいは国際化がどんどん進むというような事態になりまして、今回先生の御質問にございましたように横割り組織の導入ということを考えて、運輸省始まって以来と言ってもよろしい大きな機構改革を企図したわけでございます。
具体的に申し上げますと、従来の海運局、船舶局、船員局、鉄道監督局、自動車局という五局を再編いたしまして、新たに運輸全般に関します基本的かつ総合的な政策を立案、調整いたします運輸政策局を設置をいたします。そこに今後の情報化時代を迎えまして、情報管理部をこの局に置くということにいたしております。
第二に、国際関係の進展に応じまして国際競争も激化し、あるいは国際協力も重要な時期を迎えておりますので、これを一体的に所管いたします国際運輸・観光局というものを設けまして、これに観光部を附置することにいたします。
第三に、過疎問題、過密問題の深刻化に対応いたしまして、従来の自動車、鉄道を横断的に所管いたしまして国内旅客線もあわせ所管する地域交通局を設けまして、これに陸上技術安全部を置くということにいたしたいと考えております。
第四に、貨物流通局という貨物の分野の一体的な所管部局を設置することにいたしております。
そして最後に、従来の船舶局と船員局を統合いたしまして、海上技術安全局という局を設置することにさせていただいております。
このようにいたしますと、運輸省の最大の課題であります国鉄再建問題を取り扱う部局がただいま申し上げました横割り部局では処理し切れない面がございますので、全省挙げて取り組むという姿勢を示すために、従来鉄道監督局に置かれておりました国有鉄道部を官房に移管いたしまして、これを統括する職といたしまして、国有鉄道再建総括審議官という従来の総務審議官を振りかえた職を設けまして、国鉄問題をここで総括、調整をするというような仕組みにいたしたわけでございます。
以上が本省内部部局についての主な改革の具体的な点でございます。
地方につきましては、臨調の答申の趣旨に沿いまして、できる限り地方支分部局を統合するという方向で検討いたしまして、従来海運局陸運局というそれぞれ全国にもつずつ置かれておりました地方ブロック機関を統合いたしまして、全国九カ所の地方運輸局にするという案をつくったわけでございまして、従来ばらばらになりがちであった海陸の行政をここで総合的かつ効率的に行いたいということでございまして、特に、地方運輸局では従来非常に手薄でございました企画的な機能を充実していきたいというふうに考えて、今回の改正を行った次第でございます。
今後、私どもといたしましては、こういういわば組織と申しますか、入れ物ができたわけでございますので、その入れ物の中に詰め込む中身につきまして、十分私どもとしても、今後の新しい行政のあり方というものを現在模索しておるわけでございまして、省内にも既に研究会を設置いたしまして、今後あるべき行政の姿を現在研究をしておる、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/231
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232・小林恒人
○小林(恒)委員 今説明を受けた範囲で、正札で受け取りますと、運輸省は政策官庁への脱皮をします、こういうことになるわけですけれども、ただ問題は、海運局、陸運局という二つの仕事内容といいますか、こういったものを考えてみるとき、特に地域の産業形態などを考えてみるとき、一本にまとめて地方運輸局という形態をとったからといって、産業、企業体との関連からいいますと、そぐわない部分というのが相当あるのではないか。また、地域的にも、現行の海運局所在地、陸運局所在地、こういったことを考えた場合に、当面の取り扱い手順等がおありなのでございましょうけれども、行政サービスが特に低下をする心配はないのかなという危惧の念を持たざるを得ません。この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/232
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233・松井和治
○松井政府委員 お答え申し上げます。
私ども、陸運局と海運局を統合いたしまして地方運輸帰を設置する際に一番関心を持って考えましたのが、ただいま御指摘のありました行政サービスが低下しないということでございます。
この点につきまして、まず陸運局、海運局で国民の生活に最も密着しております仕事と申しますと、陸運局でいえば車険登録の仕事でございますし、海運局で申しますとそれぞれの支局が行っております船員関係の業務というようなものがそれに当たろうかと思いますが、こういうものを担当いたしますいわゆるブロック機関の下に置かれます支局につきましては、従来の設置場所、所掌事務、こういうものには変更を加えないということにいたしておりますので、その面における行政サービスの低下という御心配は全く当たらないというふうに考えております。
ただ、ブロック機関の統合でございますので当然局長が一人になるわけでございます。御指摘のように海運局と陸運局の庁舎は当面別々で仕事を行うことになりますので、その限りにおきまして統一庁舎に入ります方がより効率的な仕事ができるということは確かかもしれません。その点につきましては、内部権限委任等も大幅に行いまして事務の渋滞を来さないように、またそれぞれのブロック機関に置かれます海運関係の運航、船員、船舶というような部は従来の海運局所在地にそのまま置かれておりますので、そういう意味では行政サービスの低下を来すことはないというふうに考えておりますが、この点は大変重要な問題であると考えておりますので、今後の運用に当たりましては御指摘の点を十分念頭に置きまして行政サービスを低下させないようにという配慮を加えてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/233
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234・小林恒人
○小林(恒)委員 ちょっとしつこいようですけれども、従来いわゆる総務と呼ばれる部門でのお仕事、こういったものがさらに具体化をして企画という部分が新設をされて、それぞれに本省でいいますとさらに流通、物流という問題もきめ細かく作業されることになるわけですから余り心配する必要はないのかなという気はいたしますけれども、従来の慣行と新しくでき上がる機構、部、部局の作業移行というのは、例えば法律ができ上がると旧海運局、旧陸運局といった縄張りの違いというものを正確な意味で手順よく乗り越えていく、局長が一人だからそこは心配ないのだぞ、こういう言い方になるのかなとは思いますけれども、例えば次長の権限、機能というものと局長の権限、機能というものとの関連からいいますと、従来長年続いてきたものなだけに手順は本当に大丈夫なのかという心配をするわけです。この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/234
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235・松井和治
○松井政府委員 先生御指摘のように陸運局、海運局は、先ほども私御答弁申し上げましたが、大変古い歴史を持って従来の運輸省の設置以前の逓信省、鉄道省のいわば殻を引きずったような形の組織でございまして、これを合体するに当たりましては大変問題が多うございました。しかし総合的な地方運輸行政を実現するために地方運輸局の設置にこぎっけたわけでございますが、確かに御指摘のように旧陸運局の職員と旧海運局の職員との間で当面若干の違和感は存在するかもしれないとは思っておりますが、その点につきましては、先生御指摘のように今後の新しい運輸局長の指揮のもとにそういうような相違を乗り越えて一体的な運輸行政が図られるように、私どもとしては十分努力をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/235
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236・小林恒人
○小林(恒)委員 地方事務官の廃止に伴って、これはまた後ほど本委員会に提起をされてくることになるのだと思いますが、道路運送法等の一部を改正した場合に陸運支局を設置するということになるわけです。陸運支局の設置という問題については国会の承認は必要だと考えているのか不必要だと考えているのか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/236
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237・角田達郎
○角田政府委員 お答えいたします。
地方事務官を廃止するために今回道路運送法等の一部を改正する法律案を提案申し上げておりますが、これは地方事務官制度を廃止することが目的でございまして、これに伴いましてただいま先生おっしゃいましたように従来都道府県の組織として置かれていました陸運事務所それから支所、出張所、これを地方運輸局、今度設置法の改正で陸、海運局が統合されて地方運輸局になりますが、この地方運輸局の下部の組織といたしまして陸運事務所は陸運支局、それから支所、出張所は自動車検査登録事務所、こういう名称になりますが、そういうものを置くということにしておるわけでございます。
これらの組織を国の機関として設置することにつきましては、実質的には従来の陸運事務所あるいは支所、出張所の組織とそれから位置、業務の内容、これが全く変更がないというような理由によりまして、道路運送法等の一部を改正する法案の附則の十条におきまして地方自治法第百五十六条六項の規定を適用しないというふうに規定を案として付しているものでございます。それによって、個々の設置につきまして国会の承認を必要としないというような整理をさせていただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/237
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238・小林恒人
○小林(恒)委員 行政管理庁が最近海上保安庁の管区海上保安本部関係の行政監察を行いました。その結果を報告されているわけですが、海上保安庁の内部部局の再編成に対応した地方支分部局の内部組織の合理化改革を実施すべきではないのかなという気がいたしますけれども、この点についてはどのような対処をしようとしているのか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/238
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239・山下文利
○山下(文)政府委員 先生御指摘のように四月に行政管理庁より「地方支分部局等総合実態調査」に基づきまして勧告がございました。
その内容は、海上保安庁の支分部局でございます管区本部から始まりまして各航路標識事務所に至るまでかなり膨大な内容の御指摘でございます。その中で特に海上保安本部の組織等につきましては「海上保安庁本庁の内部組織の再編成後の状況を勘案しつつ、管区海上保安本部の内部組織の再編整備を行うことについて検討する必要がある。」、このように御指摘を受けております。したがいまして、私どもでは、この点について至急検討いたしたいと思います。また、管区本部の組織につきましては、海難等が発生した場合の第一線の組織でございますので、これが本庁とどのような関係で結びつくのが一番いいのか、そのあたりも踏まえて至急に検討いたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/239
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240・小林恒人
○小林(恒)委員 できるだけ早い時期に検討したいということでありますけれども、おおよそのめどはいつぐらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/240
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241・山下文利
○山下(文)政府委員 この勧告は、ただいま申し上げましたが、先月、四月にいただきまして、その内容を、今、精査して、勉強中でございますので、至急検討して、できるだけ早く実行に移したいと思います。
ただ、その中でも、できるものにつきましては至急やりたいということで、今問題になっております航路標識事務所の統廃合、これにつきましては、このうち四カ所については、本年度中にも実行に移したい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/241
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242・小林恒人
○小林(恒)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/242
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243・福家俊一
○福家委員長 近江巳記夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/243
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244・近江巳記夫
○近江委員 本法案につきましては、内閣委員会で、我が党委員からも、問題点につきましては詰めておるわけでございまして、きょうは十五分程度しかございませんので、何点がお聞きしておきたいと思います。
一つは、海運局そして陸運局を統合されて地方運輸局をつくられたわけでございますけれども、この行革の効果というのは具体的にどのように実施されるのか、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/244
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245・松井和治
○松井政府委員 お答え申し上げます。
先ほどもお答え申し上げましたが、今回の陸、海運局の統合は、臨調の答申によります、最近の情勢の変化に対応するということとできる限り総合的な行政を行うという二つの大きな答申の柱に沿ったものと考えておりますが、先ほどお答え申し上げましたが、具体的な中身といたしまして、今回の統合によりまして、総務部系統の事務の合理化を図りまして、その人間で、従来あった企画部門をさらに強化をいたしまして、企画調整機能を充実したいというのが大きなねらいでございます。したがいまして、今後の地方運輸局におきましては、従来よりもさらに一層地域と密着いたしました政策にウエートを移してまいりまして、適正な行政を進めていくことができるようになる、これが最も大きな効果ではなかろうかと考えておるところでございます。
最近、地方公共団体におきましても、運輸・交通問題につきましての御関心が大変深まりまして、交通を担当するセクションを設けられるような都道府県もふえてきております。私どもも、都道府県との連絡というものにつきましては、従来以上に密接な関係を保っていきたいと考えておりまして、実は、運輸省と地方公共団体との間でも、できる限り人事交流を図るというようなことも進めておりますが、今後、地方運輸局におきまして、地元の地方公共団体の要請を十分にくみ上げて行政に反映させていきたいと考えておるわけでございまして、これが今回の統合による最も大きなメリットだというふうに私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/245
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246・細田吉藏
○細田国務大臣 つけ加えて、私、申し上げたいのですが、海運局、陸運局が一緒になることによって非常によくなることは、水陸連絡のいろいろな問題があります。これは一局になることによる大きなメリットがあると思います。それから、倉庫というものは、海陸両方にまたがっている場合が多いのですが、これも一局であるためのメリットというものが大きく出てくると思います、すぐさまではないかもしれませんが。それから、観光問題、こういう問題についても、海も陸も一緒に観光という問題があります。こういう問題も、運輸局であれば、例えば地方自治団体といろいろな交渉があっても一本で済むといったようなことがございまして、私は、そういう点について、大きな効果を期待いたしたい。例えばフェリーなんというものは、これは海陸両方のものでございますから、こういう点について、今度できる企画部というようなところでも十分考えてもらうということで考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/246
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247・近江巳記夫
○近江委員 そこで、もう少し中身を聞いてみたいと思うのですけれども、この海運局の業務内容に関する事務で、簡素合理化されたものは具体的にどういうものか、もしあればお聞きしたいと思います。この合併によりまして、海運局が所管されておられた中でお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/247
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248・松井和治
○松井政府委員 先ほどちょっと申し上げたわけでございますが、海運局と陸運局の部の数は、現在、合計いたしますと八つございます。そのうち、それぞれが総務部を持っておるわけでございますが、これは当然、両者を合併いたしますことによって、事務の合理化が図られるわけでございまして、この総務部の合理化を大いに進めることが一つのねらいでございまして、その合理化できた要素を企画機能の充実に回す、こういうことでございまして、海運局のその他の運航部、船員部、船舶部の所掌しております事務につきましては、その地方運輸局の設置によりまして、当面、直ちに変更を来すというようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/248
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249・近江巳記夫
○近江委員 同様に、陸運局の従来のそういう業務内容で、廃止であるとか、または合理化、どういうことができるか、具体的にひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/249
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250・松井和治
○松井政府委員 陸運局についても同様でございまして、当面、直ちに事務に変化を来すということは考えておりませんが、ただ冒頭、今回の運輸省の行政機構改革の大きな目標ということで申し上げましたが、今後、私どもといたしましては、従来の行政手法の中心をなしておりました、いわゆる許認可という問題につきまして、今後いかにあるべきかということについては、見直しを行っていく必要があると考えております。そのために省内にも研究組織をつくっておりますが、その結果によりまして許認可事務が簡素化されるとか、合理化されるというようなことになりますならば、この地方運輸局の事務に影響が出てくるわけでございます。これは組織をつくりましてから後の研究課題ということになっておりますので、当面、統合によって事務が大幅に何か変わるというようなことはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/250
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251・近江巳記夫
○近江委員 その研究課題といたしまして、許認可の簡素合理化ですね、大体今後のテーマになるわけでございますが、どのくらい合理化できるのですか。まだ、その辺のめども全然つきませんか。アバウトでよろしいですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/251
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252・西村康雄
○西村(康)政府委員 許認可行政の合理化の問題でございますが、許認可行政と申しましても、いろいろと事業規制、事業活動について直接これをコントロールする、参入規制をするとか、運賃の認可をするとかそういう分野と、それから安全行政で検査をするとか、いろいろな危険物の荷役をするのに許可を受けるとか、そういう意味での安全関係の許認可というのもございます。
今、お尋ねの件は、恐らく事業規制の問題かと存じますが、事業規制のあり方をどうするかということは、実は今、運輸を取り巻く諸環境は非常に大きく変わっております。御承知のように経済ソフト化、サービス化というのが進展しております。特に物流の分野では、貨物の軽薄短小ということもあり、運輸の提供するサービスのあり方が大いに変わってきております。そういう意味で、現在やっております事業に対する規制のあり方も、現在の事業区分なり何なりが実情に合っているかどうかということもありますし、またトータル物流業というような、販売から管理そして配送、在庫管理というようなありとあらゆるような物流にかかわるものを、一つの事業として請け負うというような業態も出てまいりますし、さらには陸海空を通じての複合運送という分野も出てきております。
そういった事態に対応するような新たな事業のやり方というのを、これから模索する、具体的にはこういうふうにやっていくということで育成をしていくということになるわけですが、そういった事業のあり方を考えながら、そして既存の事業の簡素化、合理化ということを一方で見ていくあるいは実態に合わせるような努力をする、こういうことを、三つの問題を同時にこれから解決していくということなので、実はいつまでにどの程度のものが簡素化するんだというような感じではちょっとないんで、むしろ新しい難業の再編成というようなイメージでこれから作業を進めていかなければならないだろう、そういうふうに考えているわけでございます。
もちろん、御指摘のような、これまでやってきた行政の中でいたずらに担当する事業者の負担をふやすような手続の問題、こういったものを簡素、合理化するという部門は当然あるわけでございますから、これはこれとして一方で進めていくということで、現在研究会でそこら辺の議論をしていますが、また新しい局ができて、七月以降も今申し上げたような観点からどういうふうなものを構築していくか、これから具体化する段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/252
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253・近江巳記夫
○近江委員 あと最後、一問お聞きしておきたいと思いますが、遭難通信制度の導入の問題でございますが、静止衛星を使いまして海難安全制度の導入という問題が今IMO、これは御承知のように国際海事機構でございますが、これを中心に研究開発を進めておるということを聞いておるわけでございますが、我が国の協力体制そしてまた国内の政策的な課題、検討が今どのように行われておるかということが一つです。またいつごろから対応できるのか、見通しについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/253
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254・山下文利
○山下(文)政府委員 船舶は遭難した場合に遭難信号つまりSOS信号を発するわけでございますが、これは現在中波、中短波及び長短波、こういった電波で出しておりますので、到達範囲が非常に狭うございまして、即時性がないという点、非常に問題でございます。この点、ただいま先生の御指摘のようなIMOでもって人工衛星を使ってこれを全世界的、即時的にカバーできるシステムを検討しておるということで、現在の段階では一九九〇年に実用化の段階を目途に検討中である、このように承知しておるところでございます。
海上保安庁といたしましても、このシステムは非常に有効であるということで非常に関心を深め、積極的にこれに協力して、かつまた完成の暁には導入することについて非常に関心を持っておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/254
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255・近江巳記夫
○近江委員 これは次長からお話あったように、非常にカバーできる範囲も広くなるし、精度もいいということでございますし、これはひとつ大臣、いろいろと研究を進めていただきまして、速やかにこの制度がまた導入できるように、これは将来の問題でございますけれども、我が国としても対応を十分とっていただきたい、このように思います。大臣の御決意をお聞きして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/255
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256・細田吉藏
○細田国務大臣 承知いたしました。十分力を入れてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/256
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257・近江巳記夫
○近江委員 終わります。
〔委員長退席、久間委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/257
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258・久間章生
○久間委員長代理 梅田勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/258
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259・梅田勝
○梅田委員 地方運輸局及び海運監理部の設置承認案件について質問いたしますが、この機構改革は私が思いますのに、臨調、にせ行革の一環でいわゆる機構いじりだ。一時的経費が約五千万円要るというのですけれども、全くむだな感じがするわけであります。
また、海陸一貫輸送体制の強化をねらう大企業の思惑に迎合したものではないか、そういう感じがするわけでありますが、当初、現在の九ブロックの陸運局と海運の関係ですね、これを八ブロックに統合するということでありましたが、新潟の場合は隣接の局に統合ということを言っていたわけでありますけれども、新潟は、ここにもたくさん持ってきたのですけれども、陳情がたくさんきたわけでありますが、日本海側は唯一の局だ。それから豪雪で地域的な特性が非常に強い。それからスキーリフトが全国の約半数が新潟にある。運輸収入にいたしましても、年間二百六十七億円の上がりがある等々の点を考えますと、廃止してしまうというのは運輸行政のサービス低下になるんじゃないかということで、地方自治体の首長や議会あるいは関係の労働組合員などからたくさんの意見が出てまいりまして今回は一応存続ということになったわけでありますが、今後この九ブロック制、特に日本海側の唯一の運輸局としての新潟の局ですね、これは存続していくべきだと思うのでありますが、その点のお考えはいかがかということと、同様の趣旨で四国の場合はどうするのか。行政需要が少ないということだけで廃止をするのは問題があると思うのでありますが、この二点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/259
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260・松井和治
○松井政府委員 現在、陸運局が九局、海運局が九局あるわけでございまして、今回地方運輸局の設置に当たりまして、この九局と九局を合わせて九つの地方運輸局にするのが最も現実的であると私ども考えたわけであります。
ただいま御指摘ございましたように、新潟は日本海側の唯一のブロック機関でございます。また四国は陸運、海運通しまして、特に海運の面では全国九ブロックの中でも大変業務量の多い地方局でございます。私どもそういう意味で九つのブロックにまとめるということが行政を行っていきます上で適当だという趣旨から、今回の九運輸局になったわけでございますが、本年一月の閣議決定によりまして、さらに統合後の実態等も踏まえながら将来さらにこのブロック数につきましては検討を加えるということが決定されておりますので、私どもといたしましては統合後の実態等を十分検討し、将来いかにあるべきかということについては引き続き慎重に検討させていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/260
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261・梅田勝
○梅田委員 実際問題として日本列島、長いわけでありまして、そう合理化、合理化といいましてもむちゃくちゃなことはできないと思うのですが、大臣はその点は非常に詳しいわけでありますから、運輸省の意向としてはどうかということで決意の一端を聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/261
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262・細田吉藏
○細田国務大臣 陸運局と海運局とを合わせるのはどうも機構いじりじゃないかというお話が先ほどありましたが、さようなことはないので、海だ、陸だというのは、もともと逓信省と鉄道省というのは大変けんかをしておった。これを一本にするだけで大変な意味があるのです。ここまできてやっとできるということになったので、機構いじりや何かではありません。非常に大きな意味があるということ。
それから九ブロックの問題につきましては、臨調の答申が八ブロックということになっておりますので、慎重に研究するという政府委員の答えのとおりだ、私はさように思っております。
〔久間委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/262
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263・梅田勝
○梅田委員 これと関連をいたしまして、地方の陸運事務所のやっている仕事で、前回も当委員会で質問をさせていただいたわけでありますが、大分県のトキハタクシーですね、その後どうなったかということを聞きたいわけであります。
結局、三十二台は増車を認められた。しかしその後、滅車したいと言った。これは取り下げた。ところが、一方で、利権の疑いのあった十九社が三十二台の増車の申請をした。これはそのままになっている。実際はトキハタクシーというのは、大分で四十三台の自動車を持っているわけでありますが、現在は約半分ぐらいしか動いていない、こういう実態があるわけですね。現地からのお話によりますと、九台は車検切れで、これはもう全く動けない、放置されておる。それから、従業員の労働者に対しましては、経営が厳しいものでありますから、一〇%の賃下げを押しつけている、それで非常にもめている、こういう状態になっているのですね。
前の大分の陸運事務所の所長はよそへかわってしまったのです。責任を問われたのかどうか知りませんが、新しく来たのは、事情がわからぬからまだよくわからぬということで、団体交渉いたしましても、もうひとつはっきりした返事が得られない。現在、業界あるいは県と相談をしておるというようなことで一向に決着を見ないというのは、私は大変重大な問題だと思うのです。合理化、合理化で、陸運事務所は何だかんだと、そういうことで人が減ったりしますと大変なことになって、先日も聞いたら、現実に車が動いているかどうかということは、現認しなければはっきりしたことは言えない、体制がないものですから、なかなか見に行けない。こんなことでは、結局問題が起こってもはっきりさせることができない。
ですから、私は、前に大臣もおっしゃったように、疑惑を招くようなことがあってはならない、許認可事項が利権の取引に使われたら重大問題だということで、はっきりさせるというように言われたわけでありますが、トキハの三十二台については、認可したというのは全く不合理だったということが今日では明白ですから、これを速やかに再検討して取り消すということ。それから、利権取引をした十九社の申請を、これはもう認めるべきではないということで指導して取り下げをさせるべきだ。それから三つ目に、だらだらだらだらいつまでやっておるかわからない状態では困ると思うのです。いつまでに決着をつけます、今月中なら今月中には決着をつけます、これをはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/263
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264・角田達郎
○角田政府委員 第一点目のトキハタクシーに対する三十二台の増車の件でございますけれども、このトキハタクシーというのは、この前も委員会で私が答弁申し上げましたように、五十二年に同和対策事業として、大分県の資金面を含む援助を受けて免許した事業者でございまして、今回の増車は、このような経緯を踏まえまして、企業組合の再建を図る目的で、企業組合の位置づけ、それから再建の必要性、地域における輸送実績、こういったものを勘案いたしまして、県とも相談の上、県の要望も踏まえて増車を認可処分したものでございます。
そのタクシーの車両の稼働の状況が非常に悪いということでございますが、二月十日に増車認可をしたわけでございまして、まだ時日もそうたっておません。関係者がそろって再建に向けて努力をしている最中でございますので、その辺の事情をもう少し見守っていく必要があろうというふうに考えております。
それから第二点の、既存事業者の増車の申請でございますけれども、これはただいま大分県陸運事務所それから福岡陸運局において検討中でございます。事業計画の内容とかあるいは需給の状況とか、こういうものを十分調査の上、陸運局なりあるいは大分県の陸運事務所なりで適切に対応するものというふうに考えております。
それから、いつまでというような期日につきましては、今のところ申し上げられるような段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/264
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265・梅田勝
○梅田委員 運輸大臣は、前回、疑惑が持たれるようなことがあってはならないとおっしゃったのです。これは三十二台で一億一千万円の利権の取引にされようとしたのだから、何をもたもたしておるのだということを私は言いたいのであって、もう一度大臣の方から、これは厳重に処置する、決して合理化、合理化でいいかげんなことはしないということで、明確な御答弁を要求いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/265
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266・細田吉藏
○細田国務大臣 疑惑を招くようなことは避けなければならない、私が申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/266
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267・福家俊一
○福家委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/267
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268・福家俊一
○福家委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、地方運輸局及び海運監理部の設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/268
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269・福家俊一
○福家委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
この際、細田運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。運輸大臣細田吉蔵君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/269
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270・細田吉藏
○細田国務大臣 ただいま地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、地方運輸局及び海運監理部の設置に関し承認を求めるの件につきまして、慎重御審議の結果御可決をいただきましたこと、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/270
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271・福家俊一
○福家委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/271
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272・福家俊一
○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/272
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273・福家俊一
○福家委員長 次回は、明九日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00819840508/273
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