1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年五月九日(水曜日)
午前十時三分開議
出席委員
委員長 福家 俊一君
理事 鹿野 道彦君 理事 浜野 剛君
理事 三塚 博君 理事 小林 恒人君
理事 吉原 米治君 理事 近江巳記夫君
理事 中村 正雄君
加藤 六月君 小山 長規君
田中 直紀君 近岡理一郎君
中山 正暉君 若林 正俊君
兒玉 末男君 左近 正男君
関山 信之君 田並 胤明君
富塚 三夫君 西中 清君
森田 景一君 梅田 勝君
辻 第一君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 細田 吉藏君
出席政府委員
日本国有鉄道再
建監理委員会事
務局次長 林 淳司君
運輸大臣官房総
務審議官 西村 康雄君
運輸省港湾局長 小野寺駿一君
運輸省鉄道監督
局長 永光 洋一君
運輸省自動車局
長 角田 達郎君
委員外の出席者
内閣総理大臣官
房参事官 藤田 健次君
警察庁交通局交
通企画課長 広谷 干城君
警察庁交通局交
通規制課長 矢部 昭治君
通商産業省生活
産業局窯業建材
課長 松井 司君
運輸省鉄道監督
局民営鉄道部長 服部 經治君
建設大臣官房技
術調査室長 岩井 國臣君
建設省道路局有
料道路課長 上條俊一郎君
建設省道路局国
道第二課長 福井 迪彦君
自治省財政局公
営企業第一課長 紀内 隆宏君
日本国有鉄道総
裁 仁杉 巖君
日本国有鉄道常
務理事 竹内 哲夫君
日本国有鉄道常
務理事 岡田 宏君
日本国有鉄道常
務理事 太田 知行君
参 考 人
(日本道路公団
理事) 北村 照喜君
参 考 人
(本州四国連絡
橋公団理事) 高山 昭君
参 考 人
(住宅・都市整
備公団理事) 中川 友夫君
運輸委員会調査
室長 荻生 敬一君
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委員の異動
五月九日
辞任 補欠選任
森田 景一君 柴田 弘君
同日
辞任 補欠選任
柴田 弘君 森田 景一君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
港湾運送事業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七〇号)
陸運に関する件
日本国有鉄道の経営に関する件
港湾に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/0
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001・福家俊一
○福家委員長 これより会議を開きます。
陸運、海運、航空及び日本国有鉄道の経営に関する件等について調査を進めます。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
陸運、日本国有鉄道の経営及び港湾に関する件について、本日、日本道路公団理事北村照喜君、本州四国連絡公団理事高山昭君及び住宅・都市整備公団理事中川友夫君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/1
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002・福家俊一
○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/2
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003・福家俊一
○福家委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。富塚三夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/3
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004・富塚三夫
○富塚委員 私は、国鉄問題に関連をする、とりわけ国鉄改革に対する対応について御質問をいたしたいと思います。
まず第一に、ごく最近ですが、国鉄監理委員会がこういうパンフレットを実は出されたわけです。「もう走り出しています。「国鉄改革」号」というふうなパンフレットを出されています。国鉄再建監理委員会というのはどういう役割を持つのかという点で、改めて問題点をはっきりさせる必要があるだろうという観点に立って質問をいたしたいと思うのです。
この監理委員会の出しました、恐らくPR版だと思いますが、この六ページにも「国鉄監理委員会の任務」というふうにいたしまして、法律に基づいて、臨時行政調査会の基本答申を尊重して、内閣総理大臣に意見を述べる、あるいは内閣総理大臣に提言をする、運輸大臣に意見を述べるという点で、国鉄の将来展望を踏まえて国鉄事業再建をするという立場からそのように提言をする、あるいは意見を述べるということになっているのですが、このパンフレットの内容を見ますと、勝手に監理委員会の立場を国民の側にPRするというか、監理委員会の判断を国民の側にPRするというやり方は、監理委員会が設置された筋から言うとちょっと違うのじゃないか。もうちょっと、その点は慎重にあるべきだと思うのですが、監理委員会はどういう判断に立たれてこういうものを作成されたのか、国民の側に配布されたのかということについてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/4
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005・林淳司
○林(淳)政府委員 お答えいたします。
今回監理委員会の方でまとめましたこの小冊子でございますけれども、これは国鉄の経営状況というものが非常に厳しい状態に置かれておる、こういう客観的な事実、あるいはそういう状況に置かれておる国鉄に対しましてその事業再建を図るために、監理委員会としてはそれにどう取り組んできているかという、今までの取り組みの対応というふうなことにつきましてそれを客観的に記述いたしまして、これを広く関係方面に配布しまして、御理解をいただく、こういう趣旨でございます。
監理委員会は、御承知のとおり昨年八月に緊急提言を提出いたしましたが、その後引き続いて、本来の任務でございますところの効率的な経営形態の確立あるいは長期債務等の処理、こういう問題に取り組んでいるわけでございますけれども、そういう大変に国民的な大きな課題というものを解決していくためには、やはり広く国民の理解と協力というものが必要であろう、こういう判断のもとに、客観的な現在の状況というものをまとめて広く配布をした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/5
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006・富塚三夫
○富塚委員 少なくとも監理委員会というのは、国民の側に立って、公正でなければならないし、同時に、偏見や私情などを捨てて、公正に国鉄の改革の展望を示す、検討する、そして来年の八月ですか、政府に答申をするという任務であると私どもは理解するのでありますが、どうもこの「改革号」の中を見ましても、いわゆる監理委員会側の解釈というのは独自の見解をもって具体的に国民にPRされようとしている。例えばこの七ページ、八ページにもあるのですが、「経営管理の適正化」や「事業分野の整理」あるいは「営業収支の改善および債務増大の抑制」などということを既に五十八年八月に総理大臣に緊急提言をした、しかも、増大する国鉄の赤字は次のような病状になっているという点で、輸送構造の変化の対応に立ちおくれたことや、貨物輸送、地方交通線の非効率部門の赤字、職場規律の乱れや生産性の低下、巨額な設備投資などのために云々ということをここに言っているわけです。その前提として、いわゆる輸送構造の変化に国鉄が十分対応できなかったということの中で、親方日の丸的な経営に陥ってしまった、そういうことをきちっと位置づけをしているのですが、だれが、どういう責任のもとにこういうふうな見解になっているのかということの問題を、監理委員会の側が何か一方的に解釈をして、そして再建という問題はこういうところから来ているから、監理委員会はよってこのような方向をとらざるを得ないというふうな、いわば分割・民営化の道筋を打ち立てていかなければならないような必然性の問題を、改めてなぜここでPRをしなければならないのか、そういう問題提起をしなければならないのかということの問題について、どうしても一方的に判断をしている、一方的に理解をしている、こういうものについての監理委員会の受けとめ方が非常に問題があるのではないかというふうに思うのですが、こういうことは、監理委員会の側として議論をされて、統一的な見解として明らかにされているのかどうかということをちょっとお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/6
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007・林淳司
○林(淳)政府委員 監理委員会といたしましては、昨年の八月に緊急提言を出しまして、それから九月以降この四月にわたるまで各方面からいろいろな御意見を承ったり、それからさらには監理委員会独自でいろいろなデータ分析をいたしまして、国鉄の諸問題について相当詳細な勉強をいたしております。
その過程におきまして、今日こういう状態に陥った基本的な背景といたしましては、輸送構造の大きな変化があった。その大きな変化に対して国鉄が対応し得なかった。国鉄が対応しなかったというのではなくて、国鉄が対応できなかった。そのできなかった原因は一体何であるかということについて、一いろいろ詳細に分析をしてみた結果、それはいろいろな制度上の諸制約はあった。さらにはいろいろな外部からの干渉もあった。そういうことの結果として国鉄が責任ある経営が必ずしもできなかった。そういうところから現在の効率性を阻害するような事態というものが招かれたのではないか、言うならば、そういう複合的な要因というものが重なって現在の状態というものがあらわれてきたのではないか、こういうふうな認識を、大体監理委員会としては各委員の頭の中には一致して持たれているという現状でございます。したがって、そういう状況というものを今回のパンフレットにはそのまま記載をしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/7
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008・富塚三夫
○富塚委員 お尋ねしますが、五十八年八月に内閣総理大臣に緊急提言をした各分野の問題、完全にこのことが実施されるならば国鉄経営は再建できると監理委員会は考えておられるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/8
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009・林淳司
○林(淳)政府委員 国鉄の現在抱えております問題というのは非常に多岐にわたっております。現在の国鉄経営の経営内容そのものの問題、そのほかに長期債務等の問題、いろいろな問題がございます。したがいまして、国鉄の事業再建を図るためにはあらゆる問題を総合して抜本的な改革、解決をしなければならないという認識でございまして、したがってそれに至るまで一定の期間が必要でございますので、その間も経営が刻々と悪化をしておる。そういう状況をできるだけ食いとめるためにいわゆる緊急措置というものが必要である、こういう位置づけでございます。
したがって、昨年八月の緊急提言と申しますのは、いわばその抜本的な改革に至るまでの緊急的な措置というものでございまして、これが達成されたから直ちに国鉄がそれで再建できるというものではないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/9
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010・富塚三夫
○富塚委員 監理委員会についてはまだ後で御質問いたします。
けさの日経新聞を見ましたら、運輸省は独自に国鉄累積債務の処理方法について考えたい、チームを組んで八月にも素案をつくりたい。つまり来年度の予算編成の概算要求を出す八月をめどに素案をまとめたい、政務次官を中心に検討に入っている。この中で、細田運輸大臣は、監理委員会にすべてを任せるのではなくて、監督官庁としての考え方を監理委員会に積極的に示したいという考えに立っているということが言われているのですけれども、このようなことを運輸省として考えられているのかどうか、お尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/10
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011・細田吉藏
○細田国務大臣 国鉄の長期債務の処理の問題は、何をするにしましても解決の非常に困難な最大の問題であることは間違いないと私は思っております。この問題をどうするかということを解決しないと、極端なことを言えば大きな解決の方法は何も出せない、こう申していいと思うのでございます。
この問題については、法律の中にも明らかになっておりますように、監理委員会で御検討いただき、監理委員会の意見を述べてもらうことになっておるわけでございます。しかしながら、監理委員会といいましても五人と少数の事務局がおられるだけでございまして、実際問題としては運輸省なり、私は国鉄もしかりと思っておるわけでございますが、少なくとも我々運輸省の側は、監理委員会がいろいろな判断をなさるのに、我々の立場から考えましてこういうふうな状況になっておる、こうする方法がある、これは単数でないかもしれません、複数であるかもしれません、こういう選択肢がある、しかしこういう中から選ばなければならぬのじゃないかというようなことを、我々が責任ある官庁としまして監理委員会と十分な連絡をとることが妥当である、かように考えておるのでございまして、監理委員会と独立してどんどん進行させるという考え方ではないのでございます。これは法律がそういうふうになっておりますので、監理委員会と密接不可分といいましょうか、表裏一体と申しましょうか、そういう関係において我々の方で研究をしようということで、プロジェクトチームをつくって、政務次官を長とするチームで検討を開始したばかりのところでございます。そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/11
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012・富塚三夫
○富塚委員 国鉄総裁にお尋ねします。
きのう各労働組合に、きょうの日付で経営改善計画の変更ということについて説明をされたというふうに承っています。この前段に掲げている、なぜ経営改善計画を変更したのかという問題は、いわゆる監理委員会の経営形態変更などの作業が始まった、いわば情勢が大きく変わってきたということの中で計画の変更を余儀なくされた。この点の内容はまた後でいろいろ御質問しますけれども、一体どういう考え方でこの経営改善計画の変更を打ち出されたのかということについて、まずお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/12
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013・仁杉巖
○仁杉説明員 今御質問がございました経営再建計画は、御承知のとおり五十六年五月に立案というか決定されたものでございます。その後の経過を見ておりますと、そのときの計画より輸送量が下がってきているということ、これはまた収入が減るということにもつながりますが、一方要員の効率化ということも進められまして、その面ではかなり経営的に改善をされるということもございます。それらを新しい時点に立ちまして再検討するということで、昨年の秋ごろからいろいろ作業を進めておったわけでございますが、大体各方面との御了解もできたということで、今申し上げたような再建計画の変更ということを提案するということにしたわけでございます。これは御承知のとおり法律的に運輸大臣に申請をいたして御認可をいただくということでございますが、そういう処理をしていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/13
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014・富塚三夫
○富塚委員 監理委員会は既に内閣総理大臣に緊急提言をして、また閣議決定をして十項目の推進をしている、これが経営再建の課題であるというふうに問題提起をされているわけですね。しかも一方では、運輸大臣も言われているように、監理委員会の審議する動向と相まって所管行政官庁である運輸省も問題提起をしなければならない。総裁も言われたように、国鉄は国鉄当局自身としての経営改善をしなければならないという問題ですが、問題がはっきりしないのは、監理委員会は一体何をしようとしているのか、何の任務でやろうとしているのか。運輸大臣はチームをつくってそれなりの問題提起をしたい。何を提起しようとしているのか。国鉄当局としては何を監理委員会に問題提起しよう、考えようとしているのか。そこらの三者の関係が全く食い違っている、そこを来しているような中で歯車が回っていくことに、私は重大な懸念を持つのであります。本来なら監理委員長に出席していただければ一いずれこれは参議院の側と相談してお願いしなければならぬと思いますけれども、そこのところは、監理委員会は何か五人の方のこういう経歴を連ねてPRをして、一生懸命やっています、国民、協力してくれ、これだけで一体そんなに簡単に国鉄問題、いくのですか。その前に既に提言なりそれを受けての政府の態度、国鉄当局の態度というものがあるのではないでしょうか。そこの点をはっきりしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/14
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015・林淳司
○林(淳)政府委員 監理委員会の任務でございますけれども、これは昨年成立をさせていただきました国鉄事業再建臨時措置法に明確に書いてあるわけでございますが、監理委員会の主たる任務は、効率的な経営形態の確立、現在の国鉄の状況を踏まえまして抜本的に事業再建を図るために効率的な経営形態を確立すること及びこれに関連する長期債務等の関連諸問題について適切な処理を図ること、これがいうならば監理委員会の基本的な任務でございまして、そのためのいわば企画立案機関でございます。八条機関という位置づけでございますが、そのための企画立案をいたしまして、案を策定いたしましてこれを内閣総理大臣に意見として提出する、その提出を受けた内閣総理大臣は内閣全体の総力を挙げてこれを実施に移していく、こういう関係にあるわけでございます。
したがいまして、監理委員会としてはそういう企画立案をするに当たりまして、やはり具体性のある、実効性のある結論をつくらなければなりませんので、したがってそのためには各方面の御意見も十分聞きながら案をつくっていく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。先ほど運輸大臣から申されましたように、そういう中で運輸省あるいは国鉄という専門的な立場からいろいろな御意見をまとめられて、その幾つかの複数の御意見等について監理委員会としてもそれを聞かせていただいて、それを参考にさせていただきながら監理委員会独自の判断で最終的な案をつくり上げていく、こういうことになろうかと思います。そういう関係で、監理委員会、運輸省、国鉄、こういう関係は整今されているものというふうに私どもは考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/15
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016・富塚三夫
○富塚委員 監理委員会が、結局、既に提起をした経営改善の課題ではもううまくいかない、まさに経営形態そのものを変更しなければならないという前提に立って作業を進めているように思うのですが、そのことはそういうふうに理解していいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/16
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017・林淳司
○林(淳)政府委員 これも事業再建推進臨時措置法に書いてございますように、監理委員会は臨調答申を尊重して、そしてその所掌事務を遂行しろ、こういうことになっておるわけでございます。臨調答申は御承知のとおり分割・民営化ということを明確に打ち出しておるわけでございますが、したがいまして監理委員会としてはその法律に従って、まずは分割・民営化の方向に従って、その方向に沿って検討を詰めてみる、進めていく、こういう立場にあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/17
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018・富塚三夫
○富塚委員 運輸大臣、いわゆる国鉄の累積債務の処理方法について、建設費などは国の負担にするということで具体的にチームを組んで素案の検討に入りたいというふうにこれに出ているのですけれども、結局、分割・民営という経営形態の変更は監理委員会に判断を任せる、当面する累積赤字の問題の処理について予算編成をめどに検討に入りたいという考え方なのですか、その点お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/18
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019・細田吉藏
○細田国務大臣 去年通りました日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法、再建監理委員会をつくった法律ですが、この法律で今、林次長から説明がありましたように一つの方向が監理委員会に与えられておるわけです。その中で大きく分けると二つあると私は思うのです。
一つは、臨調答申のいわゆる分割・民営化路線、それと密接不可分な関係にある長期債務の処理の問題、これが大きな根本的な一つの問題だと思います。
もう一つの問題は、緊急提言で行われたような、法律の中に内閣総理大臣に対していろいろ勧告をすることができるということになっておりますから、これを受けていわゆる緊急提言がなされる、とりあえずこういうことはやりなさいというものがなされるということでございまして、これは監理委員会の御判断ですから今後も出るかもしれません。それは出るかもしれませんが、根本の問題は臨調答申の線に沿ったものということになっておるわけです。
したがいまして、私どもとしましては、分割・民営化については内閣の立場ではこれを尊重するということになっておりますし、また、国会の意思として決まったこの法律によって臨調答申の方針に従って、ということは簡単に言えば分割・民営化の方針に従って監理委員会に意見を出してもらえ、こういうことになっておりますので、我々としては、これは法律でさえ決まっておることでございますから、国有鉄道も含めまして政府としては当然従わなければならない、こういうことになっておると思うのでございます。
今、長期債務のプロジェクトチームと申しましたが、分割・民営化ということにつきましてもやり方がいろいろあると思うのでございます。そのやり方につきましては、これは監理委員会が独自でお出しになるのも一つの方法でございますし、我々がこれに対して意見を述べることは十分あってしかるべきことである。これは国有鉄道が考え方を述べることも結構でございましょうし、いろいろ国民の皆さんの御意見もあるだろうと思いますが、そういうものを監理委員会がそしゃくされて臨調の線に沿ってどういう結論を出す、こういうことでございます。
したがって、今私のところでつくった、長期債務だけなぜやるのか、分割・民営化もやったらいいじゃないかというようなことであれば、実は長期債務の問題こそが非常に難しい。今の国家財政の見地では非常に難しい。言葉を変えて言えば、相当知恵が要る。どうしたらいいのか。しかもこの問題ですべてのことが行き詰まる。むしろ国鉄の最大の難関は、一種のサラ金状態になっておる、ここにあるんだ。ここのところを解決しなければならぬということで、特に先にプロジェクトチームをつくったということにとどまるわけでございます。今後、そのほかの監理委員会のいろいろな答申の内容につきましても、私どもは監督官庁として国有鉄道のことをよく知っておるわけですから、いろいろ御意見は申し上げたいというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/19
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020・富塚三夫
○富塚委員 国鉄総裁としても、監理委員会の言うように分割・民営を前提とした検討に入っている、あるいは運輸大臣は法律できちんと確認をしたものだから当然そういう方向を前提として、累積赤字の処理の問題も大事な課題としてまず検討したい、こう言っているのですが、国鉄総裁としてもそういう考え方に立って経営改善計画を打ち出そうとしているのかどうか、そういう点をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/20
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021・仁杉巖
○仁杉説明員 国鉄総裁という立場に立ちますと、もちろん今運輸大臣からお話がございましたような法律体系になっていることはよく承知しておりますが、三十万余という職員がおるという立場に立ちますと、必ずしも分割・民営化ということを前提として事をするというような立場だけではないというふうに私は考えております。
しかし、その前に国鉄といたしましては、今お話が出ました長期債務その他のいろいろな問題点がございますが、これらについて今後どうしていくかということ、それをまずやらなければいけないなというふうに考えておりまして、これがきちんといたしませんと、分割・民営と言ってもなかなか経営基盤が確立しないという問題があります。そういう点で運輸大臣などがおっしゃる一つの問題としては、長期債務という問題もございましょうし、またそのほかの施策等につきましても、国鉄としてはいろいろなことを今勉強いたしておりますが、それらにつきまして監理委員会にもよく意見は申し上げるということで、最終的には監理委員会が御判断になると思いますけれども、我々としては我々の立場からきちんとしたことを監理委員会に申し上げ、反映していくように努力してまいりたいというのが国鉄総裁としての立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/21
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022・富塚三夫
○富塚委員 そういたしますと、国鉄当局としては、国鉄総裁としては、必ずしも分割・民営を前提として経営改善計画を打ち出しているものではないというふうに考えていいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/22
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023・仁杉巖
○仁杉説明員 今度出しましたのは、五十六年に決定いたしました経営改善計画についての変更でございますが、それより先の問題に関しては、今申し上げましたようにいろいろ勉強をいたしております。その中で、もちろん臨調なりあるいは監理委員会の御意見もあると思います。こういうことを否定するものではございませんが、国鉄としては国鉄の立場でいろいろ作業をし、それらについて監理委員会にも運輸省にも意見を申し上げるというふうにしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/23
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024・富塚三夫
○富塚委員 監理委員会の基本的な認識として、先ほど言いましたように、ますます増大する国鉄の赤字、根本的な病気を治さなければいけない、昭和三十年代以降高度成長期を通じていわゆるモータリゼーションの発達などに有効な対応ができなかった国鉄公社、あるいは国鉄は親方日の丸的な経営に陥ったと明確に書いているのですが、こうなった責任の所在はだれにあるのか、どこにあるのかということをまずはっきりしないとこの問題は進んでいかないと思うのですが、その点はどのように監理委員会は考えていられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/24
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025・林淳司
○林(淳)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、今日のような事態を招いた基本的な背景は輸送構造の変化ということであろうかと思います。国鉄がそれに対して的確に対応し得なかった、ではそのし得なかったのはなぜかということについては、これはやはり制度的な諸制約があったということ、あるいはいろいろな意味での外部からの介入あるいは干渉があったということ、これらの結果として国鉄自体も経営責任が非常に不明確になっていったということ、そういうことからいろいろな事態が生じて現在の事態を招いたということであろうかと思います。したがいまして、そういう諸般の要因というものが複雑に複合して現在の状態を招いた、すなわちその原因あるいは要因というものは複合的なものである、こういうふうに私どもは理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/25
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026・富塚三夫
○富塚委員 ちょっとどこが、国鉄当局が責任なのか、経営者が責任なのか、運輸省が責任なのか、国民が責任なのか。ただ客観情勢がそうしたからいいというものではないと思うのですね。その基本的問題を明確にしないと今後の問題は進んでいかないと思うのですが、どうなんですか。そこのところをはっきり言ってください。
〔委員長退席、浜野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/26
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027・林淳司
○林(淳)政府委員 これは監理委員会の中でのいろいろな議論の過程でございますけれども、当事者である国鉄の労使あるいは政府、国会、地域住民というふうに国鉄に関係するいろいろな部面でそういう問題についての責任があるんではないか、そういう意味で複合的な責任ではないかというのが監理委員会の議論の過程での議論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/27
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028・富塚三夫
○富塚委員 そんなばかなことはないと思うので、少なくとも公式なこういうPR文書をつくって、国民の側に問題点を提起するには責任の所在は明確にして提起すべきである、私はそう思うのです。そこのところが、関係する人がみんな責任だみたいなもの、そんな政治がありますか。そんな国会があるんですか。私はそこのところを改めて監理委員等の見解を求めることを申し上げておきたいと思います。今答えていただけるならば明確な答えを出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/28
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029・林淳司
○林(淳)政府委員 このパンフレットに書いた、四ページでございますけれども、なぜ国鉄は時代の変化に対応できなかったのかということにつきまして、国鉄が公社であるために経営上いろいろな制約があった、それから外部からの干渉を受けやすい状態にあった、その結果として経営責任が不明確になっていわゆる親方日の丸の経営に陥ったというふうなこと、さらにはそういうことの結果としていろいろな年金負担の問題あるいは膨大な借金の利子負担の問題、こういうふうな問題が累積をしてきて、それで現在の重体に陥った、こういうふうに分析しているわけでございます。これは、もちろんそういう現象面を書いたわけでございますけれども、その裏にはその経営上の制約とか外部からの干渉とかあるいは経営責任がその結果として不明確になったとかということの結果として、先ほど申しましたように国鉄に関係するあらゆる分野の人たちに基本的には責任があるんじゃなかろうか、こういう分析のもとにこれからの国鉄の経営の再建というものを考えていかなければいかぬだろう、こういう認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/29
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030・富塚三夫
○富塚委員 そんなことでは納得できないので、基本的にこの問題の見解を明確に監理委員会としてしていただきたいというふうに要請をしておきたいと思います。これは委員長の方からぜひそのように取り計らっていただきたい。そうしませんと、こういうものが国民の間に、ただ想定をするとか、こういうふうに思われるとか、一般のマスコミの風潮みたいな形の中で問題を出して——結局は行政の責任は運輸大臣であり、国鉄当局である、私はそう思いますよ。しかし、現実の問題にはいろいろな関係者が皆、国民も責任がある、だから累積赤字も国民の問題だ、こんなふうになったら、一体政治とは何かということを問われることになると私は思うのです。きょうはここのところの質問はそれ以上は留保いたしますから、ひとつぜひお取り計らいをいただきたい。
次に、国鉄当局にお尋ねいたしますけれども、「経営改善計画の変更(案)」について、きょうの日付で提起をされて既に労働組合には説明があったと聞いていますが、基本的に、なぜ経営改善計画を変更する気になったのかという問題なんです。先ほど総裁からの説明で、今までの経営計画を改善する必要性が生まれたという国有鉄道の立場の判断に立った。何か非常に歯切れが悪いのです。情勢の変化というものは何か監理委員会の審議の動向、検討の動向と相まって我々も考えなければならぬみたいな感じになっているわけですけれども、その点は改めてもう一回明確に、監理委員会のそういった審議の趨勢と相まってやったのかどうか、その点をはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/30
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031・竹内哲夫
○竹内説明員 経営改善計画の変更につきましては、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法の第四条に「日本国有鉄道は、毎事業年度、経営改善計画の実施状況について検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。」「日本国有鉄道は、経営改善計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、運輸大臣の承認を受けなければならない。」と現在定められておるわけでございます。
先ほど来総裁が申しましたように、輸送量が非常に落ち込んできている、特に貨物の輸送量が激減をしてきているという状況で、国鉄の経営規模がいろいろな面でかなり変化を生じてきているわけでございます。これらの変化に対応し、一方では、この経営改善計画は六十年度におきまして健全経営の基盤を確立するということで六十年度という時点を区切りまして一つの決めをいたしておるわけでございます。そういたしますと、その中でいわゆる幹線系の収支というのは一体どういうことになるのか、それから一般営業損益で益金が出せるのか、一体どうなるのかという点についてこの国会でもいろいろ御質問がございました。それに対して私どもは、これは近々内容となる諸数値がかなり大きく変化をするのでぜひ改定をいたしたいということでまいったわけでございまして、その趣旨で今回この変更をお願い申し上げるということになったわけでございまして、これはあくまでも現在の日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づきましての措置であると考えております。
ただ、先ほど監理委員会の方からもお話がございましたように、監理委員会の設置法におきましてこの経営改善計画の変更をいたす場合には運輸大臣は監理委員会にこれを付議するということになっておるわけでございまして、その意味での監理委員会とのかかわり合いはあるわけでございます。それからもう一点、この経営改善計画の変更に当たりましては、昨年八月に出ました監理委員会の緊急措置事項につきまして国鉄としてもこれを受けとめて、これを実現に移すべく努力も行っておるわけでございまして、それらの内容もあわせてこの中に盛り込んでいるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/31
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032・富塚三夫
○富塚委員 竹内常務、それは問題のある答弁だと私は思うのです。ここにこう書いてあるのです。いろいろな努力をしてきた、しかし七月三十日臨調答申を経て新しい問題が提起されている、ほとんど三分の二はそこに費やされ、その情勢の変化にこたえて我々は経営改善計画を打ち出した、こう言っている。あなたの趣旨は全然違うのではないか。そこのところをもっとはっきりさせないと、わかったかわからぬようなことの中での経営改善計画は一体何を意味するのかということが基本的に、きょうは時間がないから突っ込んだ議論はできませんけれども、私は問題があるだろうと思います。
そこで、質問します。
まず、改善計画の変更の中で「輸送の近代化」、これは貨物輸送の八百駅・百ヤード体制も六十年度までの実施予定を繰り上げて改善をした、あるいは五九・二でヤード系輸送の廃止もやった、拠点間直行輸送への全面的な転換に踏み切ったし、荷物の問題も直行利用運送を目指して努力している、輸送増、収入増を見込むと言っているのですが、どれだけ見込もうとしておるのか、わかったらお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/32
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033・竹内哲夫
○竹内説明員 昨日、国鉄の各労働組合に対しまして事前に非公式に説明をいたしてございます。ただし、この内容につきましては、後刻、運輸大臣に承認申請をしたいということで考えておりまして、それまでの間の取り扱いにつきましては非公式な取り扱いをしたいということで考えておりまして、その具体的な内容につきましては後刻また御説明を申し上げたいと思いますので、ここではお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/33
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034・富塚三夫
○富塚委員 何か抽象的な表現であって、そんなに簡単に目算が立つと考えられないと私自身も思うのですけれども、これは検討するということでいいでしょう。
二番目「業務運営の能率化」ということで、六十年度までに三十五万人体制をとるということでやってきた、しかし、今後は業務運営等の合理化施策に全力を挙げて私鉄並み生産性を目指して業務運営全般にわたる能率化を進める、当然六十年度も新採を停止して三十二万人体制をとりたい。私鉄並みの生産性対比の基準とは、また概念というのは一体どんなふうに考えられているのか、あるいはこの新規採用の停止や合理化促進で人員の整理だけをねらいとしているような枠組みだけを考え出したのか、そこらをはっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/34
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035・竹内哲夫
○竹内説明員 私鉄並みの生産性という点につきましては、指標といたしましてかなりいろいろな指標がございます。全般的な指標もございますけれども、それぞれ各パート、パートにおける指標もあるわけでございまして、これらは比較するということにつきましては事情もかなりいろいろ異なりますし、なかなか簡単には比較ができないという要素もございます。ただ、全般といたしまして、私鉄の運営に当たりまして私ども聞き得る範囲内の数値では国鉄との間にかなり差があるということは一般的に言えることではないかということで、同じ業種である私鉄の生産性というものを目指していく必要があるのではなかろうかというふうに私どもは考えております。
ただ、これを今直ちに国鉄の要員規模とどう結びつけるのかということにつきましては、業務の実態もいろいろ違うわけでございますので問題がある。したがって、国鉄の要員規模イコール現在の段階で私鉄の生産性、私鉄の要員規模というものとは必ずしも結びつかないのではないかと思います。
ただ、経営改善計画を、現計画をつくります段階で、私ども、一つは営業収入に対する人件費率が一体どんな状態になっているのか、あるいは職員一人当たりの輸送量、国鉄の場合は人トンキロということで表示をいたしてございますけれども、これがどういう状況になるのが当面望ましいかということで、この数値を計算したわけでございます。それに対しまして、六十年度の時点では、かなり要員規模が当初計画を上回ったとしても、なおかつ当初計画の段階にいくのにまだ若干差があるというのが現実の姿ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/35
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036・富塚三夫
○富塚委員 僕は重大な問題が潜んでおると思うのですね。
〔浜野委員長代理退席、委員長着席〕
私鉄並みの生産性対比——合理化計画があるにしても、私鉄並みの生産性対比という問題はそんなに簡単に国有鉄道を担当する経営者が打ち出していい性格のものかどうか、私は物すごく疑問を持つのであります。私鉄と国鉄がそんなに同一視して見られなければならないだろうか。なるほど社会的な通念や概念では、マスコミが言うように私鉄は働いて国鉄は働かぬような、一般論としては問題があるかもしれません。私は、荷物も人も来ないんだからぶらぶらしている以外にないというのが基本的考え方ですけれども、結局、私鉄と対比をするという問題はそう簡単に国鉄の経営者が使うべき問題じゃないと私は思うのですけれども、今、例えば営業収入に対比するコストとかいろいろなことを言われるけれども、そんなことで国有鉄道がこれから再建できると思っているのかどうか、これは総裁、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/36
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037・仁杉巖
○仁杉説明員 私鉄並みという言葉は監理委員会等でもいろいろ使われておる言葉でございます。それで、私どもも、鉄道運営という、企業体としての運営という考え方から言えば、一つの指標であるということは考えられることだと思います。ただ、それを今の国鉄の中にどう取り組んでくるかということについてはいろいろ考えてみなければならないというふうには考えております。ただ、一つの指標としては参考にすべきものであるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/37
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038・富塚三夫
○富塚委員 ですから、結局一つの目標、指標としては私鉄を参考にする、私は当然あっていいと思います。しかし、私鉄並みの生産性という問題を考えるなんということは大いに問題があるだろう。これは今後の問題になると思いますけれども、指摘をしておきたいと思います。
それから、その三番目にある「収入の確保」の中で、いわゆる運賃制度は他の運輸機関との競合の関係、収支の状況、物価動向を考慮しつつ適切に対応したい。全国一律運賃制度の是正、これは今回なされたわけですけれども、結局、運賃制度見直しといったってそう簡単なものではない。関連事業収入が千億を上回る。この経営改善期間中、五千億と見ているんだと思いますが、本当に、この千億を上回るように収支改善をしたいという、これはちっぽけな土地の売却みたいなことを考えてやられるような感じが出ているわけです。私はずっと一読しますと、三十二万人に人を減らすことと、何か土地を売って千億もうけるというのがこの改善計画の内容になっているように見受けられるのですが、これはそういうふうに理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/38
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039・竹内哲夫
○竹内説明員 今回の変更に当たっては、その二点以外にもいろいろな面におきまして新しい施策をオンさせまして、その目標に到達したいということで考えておるわけでございまして、それだけが変更点であるということではないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/39
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040・富塚三夫
○富塚委員 結局、監理委員会の側の新たな国鉄の経営形態の分割・民営化を目指す検討、しかしどうにもならない累積赤字という問題、それを少しでも減らしていこうと考えようとする国鉄の立場ということの問題が出ておるのですけれども、これはどうなんでしょう、運輸大臣、もっと真剣に、深刻に中身を吟味して、そして労使の協力なども得て、国民の理解と協力を得てやっていくという基本的な姿勢に立たない限り、監理委員会は監理委員会でPRして独走する、運輸省は運輸省で累積赤字を考える、国鉄は人を減らすあるいは土地を売ってもうけたい。何かちぐはぐなことをやっているようでは、私は、真の再建などはどんなことをやったってできない、だれがやったってできないと思うのですね。そこのところをもう少し一元化した議論をしていくというふうに政府は考え直す気にはなれないですか、運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/40
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041・福家俊一
○福家委員長 細田運輸大臣から明確にお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/41
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042・細田吉藏
○細田国務大臣 昨年、法律ができますときに、五十五年につくった特別措置法があるわけですね。五十五年につくった特別措置法と、去年つくった措置法との関係は一体どうなんだということを明確にしないと、今のような混乱に陥っているように見えると思うのです。
これは、基本的には、昨年つくった法律で、監理委員会で基本的な問題をやってもらうのだ、さっき申し上げたように、そのほか、それまでの間にやらなければならぬことについて総理大臣にいろいろ進言するのだ、こういうような二段構えになっておるわけです。そして監理委員会は六十二年まで臨時に置かれているもので、それでやめると言っているのですね。したがって、監理委員会は、いつ出すかわかりませんけれども、六十二年まで期間があるものでございますから、恐らくある時期にはその基本的な解決の案が出るだろうと思うのです。その前に出さなければいかぬ、なくなるよりも相当程度前にお出しにならなければいかぬだろうと思うのです。
そうすると、それではそれまでは経営改善をしないのか。五十五年の法律はどうなるのだ。出てくるのをただ待っているのか。それではいかぬのだ。だから五十五年の特別措置法の線はそのまま続けてやっていくのだ。しかし、そこで民営・分割といったようなものが出てくれば、経営改善計画というものは一応途中で中断されるというか、大きな変更を受けるということになるわけでございますね。そういう格好をしておるところに、ちょっと一見しますと非常な矛盾があるように見えるということだと思うのです。
ですから、例えば経営改善計画の今度の変更について、今御指摘のような点、私どももうなずける点が多々ございます。しかし、やることがどうかということは、先ほど国鉄から答弁がありましたように、五十五年の法律の方でもし変更が著しいものがあったら出せ、そして去年の法律で、これを運輸大臣が認可するときには監理委員会に話せ、こういうことになっている。そして結びつきがつくってあるわけですね。
ですから、監理委員会から基本的なものが出るまでは前の法律の線に沿って、経営改善計画の線に沿って一生懸命やりましょう、こういう格好をしていると思うのでございまして、矛盾はしてないのですが、その根本的なものがすぐ出てこないものですから、それまでは何をするのだというので、前の法律を生かしてそのまま続けておるというところに、おっしゃるような矛盾撞着のように見える。また、ある程度の矛盾撞着があるかもしれません。これは国会で御審議願ったわけでございますから。それはそういう格好をしておると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/42
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043・富塚三夫
○富塚委員 これは、運輸大臣、どんなお手当てをしても、累積赤字は来年度は何か二十兆円になって、六十五年度は三十兆円に膨れ上がる。国民が負担をしなければどうにもならない。国鉄は国民の財産だ。何をやってもどうにもならないで、じゃ先行き分割だ、民営化をやればそれはうまくいくのかなんという問題は、論理的に言ったって、実際的に見たって通用せぬでしまう。努力をしてみる、三十二万人に人を減らす、千億稼いでみると言ってみたって、そんな簡単なものではない。だから、やっぱり責任は運輸大臣であり、国鉄当局なんだから、もちろん細田さんや仁杉さんがしたとは思いませんが、今日までこうきたというのはそういうことの責任なんだから、やっぱり国の運輸行政を預かる責任者がもっと大乗的な見地に立って、監理委員会も含め、国鉄当局も含め、労使も含め、国民も含めて、もっとこれからの展望を明確に打ち出していかないと大変なことになりはせぬかということを私は申し上げておきたいというふうに思います。
それで、時間の関係がありますから、国鉄……(細田国務大臣「答弁」と呼ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/43
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044・福家俊一
○福家委員長 ちょっと、答弁するそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/44
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045・富塚三夫
○富塚委員 では決意表明をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/45
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046・細田吉藏
○細田国務大臣 今おっしゃっておる、大きな責任が政治にあるということは、これは認めざるを得ないと思います。しかし、政治だけが責任か、政府だけが責任か、自民党が責任か。これはそうじゃない。じゃあ労働組合の、要するに国鉄の労使関係はうまくいったか、従業員は十分働いたかと言われますと、これは世間の人が必ずしもそうだとは言ってくれないと思うのです。ですから、そっちの方も責任がないわけじゃない。その辺は、何が政治的な理由で累積債務になっておるかということを分析しなければいかぬ。働かなかったためにどれだけの赤字が出たかということを分けなければいかぬ。そういう仕事を今監理委員会がやっておるわけです。
ですから、今おっしゃったような点は私どもよくわかりますよ。しかし、これを、今長期債務の処理と言ったってできやしないじゃないか、こうおっしゃいますが、そういうことでは困るわけなんです。どうしてもこれはやらなければいけないということなんでございまして、そのやるやり方をどうするかということを御検討をいただく。私どもの方も検討する。これはもうどうにもならぬ、三十兆になってしまうのだ、だからしょうがないじゃないかということであれば何をか言わんやでございまして、それでは努力するしがいもないわけでございます。ですから、そうならないようにするのにどう知恵を出すかということで今一生懸命やっておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/46
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047・富塚三夫
○富塚委員 やっぱり運輸行政というのは、それはもちろん国家であり、政党政治であり、議会があり、さまざまな仕事をしている分野でのいろいろな問題もあるでしょう。しかし、根本はやはり自民党内閣で運輸行政をずっとこの間進めてきて、モータリゼーションの発達に伴う有効な対応ができなかった責任は、政府が責任を持つべきでしょう。そこのところだけははっきりした上で、なお問題のあるところは是正をしていくというのか筋であると私は思うのです。私は……(細田国務大臣「答弁」と呼ぶ)時間の関係がありますから答弁はいいですから、問題は、大臣……(細田国務大臣「言いっ放しじゃ困る」と呼ぶ)もっとあなたのイニシアチブによって監理委員会にも進言をして、国鉄当局からも意見を聞いて、積極的に次の改革という問題を打ち出していく姿勢に立たないと大変になりますから、そこのところを再検討を求めたい。私は要請しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/47
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048・福家俊一
○福家委員長 富塚委員に申し上げます。
あなたは答弁は必要ないとおっしゃいますが、運輸大臣は非常に闘志を燃やして、答弁するそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/48
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049・細田吉藏
○細田国務大臣 言いっ放しでは困りますので、ちょっと簡単にお答えしておきます。
政治的な責任というものは、中身の事情はいろいろあろうとも、やはり政府が負うべきであるということについては、非常に広い意味での政治責任というものはある。それから、第一の所管官庁である運輸省、運輸大臣、歴代の運輸相ですね、政府一体でございますから、運輸相が従来の責任を最終的に負わなければならぬということです。監理委員会の答申が出たって、監理委員会は行政機関じゃございませんから、政府が最終的な責任は負わなければならぬ。だから、十分な意見も申し上げて、監理委員会が我々の意見も十分考えたものを出していただくことを望んでおる。
じゃあ、なぜ監理委員会ができたかというと、これは、国鉄の問題は大き過ぎて運輸省だけで、運輸大臣の諮問機関程度のものではどうにもならない。大蔵省の方の御協力も得なければならぬし、内閣全体としてこの問題を解決していただかなければならぬというので、運輸省に置かないで内閣に監理委員会を置かれた。しかし、だからといって運輸大臣の責任が軽くなるものじゃありません。運輸大臣が国有鉄道の責任者ですから、一番責任があるものである、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/49
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050・富塚三夫
○富塚委員 この「経営改善計画の変更(案)」の中で、「合理化施策の展開と退職者数の推移との関係で発生することとなる所要員と現在員との不均衡については、有効な対策を早急に検討」しなければならないと言っている。現在いわゆる過員、過剰人員というのは二万三千人ぐらいおるのじゃないか。国鉄に働く労働者にすると非常に深刻な雇用問題であります。あるいは管理者で退職される方の再就職も実は大変な問題を抱えている、こういうふうに思います。
何回かごの委員会でも質問したのですが、依然として国鉄当局の本社と組合間では、まだこの扱いについて話し合いが成立していない。一体経営者はどう考えているのか。あるいは現実にデパートに出向するとか、あるいは東鉄に全部過員を集めて養成をするとか、いろいろなうわさは聞きますけれども、一体有効な対応というのはどういうふうに考えようとしているのか。門鉄地本などに見るように、タコ部屋に入れて全部菜っぱ服を着せる。首をつないでおって、毎日何か営業成績を上げるための訓練をするとか、そんな非人道的なことを依然としてなされているわけですけれども、経営者としてはこの問題にもっと積極的に取り組むべきだと思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/50
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051・太田知行
○大田説明員 お尋ねは二点あろうかと存じますので、分けてお答え申し上げたいと思います。
まず最初の、余剰人員にかかわる本社、本部の団体交渉ないしは話し合いの進捗状況いかんということかと存じますが、これにつきましては、結論からいいますと、ただいま協議を継続しております。
もう少しさかのぼりまして流れを申し上げますと、三月時点にいろいろな話が始まりまして、もちろんその前もいろいろございましたが、かなりまとまった形で問題提起があったのが三月時点でございまして、まず、その時点での問題の提起の仕方は、労使の交渉事でございますからいろいろなやりとりはしておりますが、デテールは省略させていただきましてかいつまんで申し上げますと、余剰人員が発生していること、そのこと自体が労働条件である、こういうスタンスでの指摘が組合側からありましたので、私どもは、それは当方は意見が異なる、余剰人員そのもの、総論として、その事柄を抽象的に労働条件と言うのはなじまない、余剰人員があること、発生していることに伴っていろいろな問題が生じ得るので、そのことを具体的に提起してもらいたい、そのことについて本社、本部でなじむものであれば中央でやるし、地方でなじむものであれば地方でやりましょう、まあ仕分けですね、そういうことが必要であろうというような論議を交わしまして、第一段階はそれで終わりました。もちろん問題は残っておると思います。
続いて第二の流れに入りまして、四月でございますが、四月に入りましてからもう少し問題を具体化してまいりまして、現実的な処理だと思います。第一段階の問題は必ずしも決着がついたわけではないけれども、論議を深めるという双方の知恵、特に組合側の知恵もあったと思いますが、そういうことでかなり問題を具体的にしぼって、メモという形で我々は提示を受けております。二十一項にわたっております。
その二十一項目につきまして、回答せよということとか、明らかにせよということとか、考え方を示せ、幾つかの分類がありますし、私どもの仕事の流れから申し上げますと、労働課にかかわる事項、職員課にかかわる事項、給与課にかかわる事項、いろいろございますので、その辺を仕分けしながら、お互いの意見の対立がかなり厳しゅうございますし、ある意味では勤務であるとか給与であるとか協約の扱いであるとかいう基本にかかわる問題でございますので、お互いに意見を述べ、解明を求め合ってただいま論議をしている。
それで、ちょっと回数を見たのでございますが、回数が多いからいいというわけにはまいりませんけれども、三月三十日に今の二十一項目の提示を受けまして、私も出まして二度にわたって総論的な話し合いをし、以後連休前までに八回ほどの団体交渉をやって、連休で中断しましてきょう再開をすることになっております。さっき申しましたように、ある意味では基本的な部分でありまして、意見の対立というものもあるし意見の一致するものもありまして、それなりにお互いに真剣な議論をしているところでございます。
それから、第二点の余剰人員の扱い方の問題、タコ部屋とか葉っぱ服とかいうお話がございましたが、先般もお答え申し上げましたように、初めての経験でございまして、走りながら対応策を講ずるという面がございましたが、その後時間がたつにつれましていろいろ知恵もつき、工夫も凝らしました。例えば葉っぱ服とおっしゃったのは、構内係が作業服を着たままセールスに行かざるを得ないという場面も確かにありましたけれども、急速営業係が着る制服を追加支給したり、あるいは足りない分を今作製しているという面もございますし、便所が足りないとか換気扇が足りないという御指摘もいろいろございましたが、それも今かなりな速度で整備しつつあるということでございます。居住状況といいますか環境状況は今逐次整備しつつございます。
それから、出向というお話がちょっとございましたけれども、管理職については一部試み的に出向を、これはきのうきょうではなくて随分長い以前からやっておりますが、一般職員についての出向はまだ実施していませんで、教育の一環、研修の一環としてデパートでありますとか銀行へ行って、小人数の者がしかも短期間勉強しているということはございます。
要すれば、この余剰人員につきましてはこの機会に教育を充実したい。今言いましたように、体験教育も含めましてフロントサービスの教育であるとか転換教育であるとか昇格昇職のための事前の教育であるとか、いろいろ教育をやり出せば切りがないくらいやりたい面がありますので、そちらに重点を置く面と、もう一つは、セールスであるとか特別改札であるとかいったような臨時業務あるいは多客期に対応した業務、こういう面での活用をそれぞれの地方局、地方機関で努力しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/51
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052・富塚三夫
○富塚委員 もう時間がないから、私、きょうここに、鹿児島の総務部長が「ばかやろう」「このやろう」と言ってどやしながら点呼をやっている場面のテープを持ってきています。これは、後で委員長によく聞いていただきますけれども、省略してやります。
太田さんの性格にもよるのかもしれませんけれども、労使関係が、話し合いをもっとうまくやっていくようなことができないのかどうかという点で私は非常に疑問に思っているのです。参議院の運輸委員会でもいろいろ議論があったと思いますけれども。これは、労使関係というものをうまくやっていくために過員の扱いの問題を決めていくことと、具体的な労使関係の改善は総裁も約束をされておったのですから、ぜひその点で積極的に努力をしていただきたい。
もう一つは、この前国鉄渋谷駅の跡地の貸し付けの汚職事件の問題で元常務理事ら十数人が問題として上げられている。国鉄の遊休資産の処理の問題についていろいろな問題が提起されているわけです、品川の跡地を高い値段で売ったとか。こういうやり方のルールの問題をもっと明確にしていかなければならないというふうに私は思うのですが、これに関連をいたしまして例の福島交通問題なんです。
我々社会党でもいろいろ現地の調査をしてみました。これはまた別の場所で積極的に取り上げてやるつもりですけれども、いわゆる国鉄の遊休資産の処理の問題などについて疑惑や疑念の起きないような、そういう指導について総裁は一体どう考えておられるか、ひとつお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/52
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053・仁杉巖
○仁杉説明員 先日来、東京西局を中心にいたしました。地貸し付けに絡む汚職事件、それから大分では職員が用地を無断で売ってしまったという問題等が起こりまして、まことに申しわけなく思っておるわけでございます。
今御指摘がございましたように、売却につきましてはかなり神経を使っているようでございますが、貸し付け等につきましてはもう少し検討の余地があるというふうに思っております。これら全般につきまして、先ほどからお話に出ております余剰人員もあることでございますので、用地の総点検並びに契約事項等の総点検等を、施設局あるいは監察局等を中心にいたしましてもう一度見直すという作業をさせるように今いたしておりまして、その辺から、改善すべきものは早急に改善するように努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/53
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054・富塚三夫
○富塚委員 阿武隈急行株式会社ができて、そのときにいわゆる福島駅前の土地五千平米をめぐる問題についていろいろ疑惑が持たれている。
福島市長が七月二十一日に仙台の管理局長あてに出した文書、これを管理局は二十三日に受け付けておる。小針福島交通社長が福島市長に土地のあっせん申請をしたのを受けて、市長がこういう文書を実は出しているわけですね。仙鉄当局の話でも、異例な文書であると。この文書そのものは、福島市が土地を売ってくれという申請だけではなくて、小針社長の求めているものも面倒見てやってくれ、こういう非常に異例な文書が出ているわけです。こういうことをやすやすと仙鉄局が受け入れて、すぐ土地の問題はわかりましたというやり方は、私は非常に問題だと思うのです。これは、時間がありませんから、いずれまた問題にして、明確にしなくちゃいけないと思います。総裁、今、渋谷の問題でも遺憾である——こういったことが、随所でいろいろな形のものが政治家が介在してやられているかのようになっている問題をやはり直さないと、土地の売却問題はこれからどんどんそういう疑惑が出てくるのではないかということを懸念します。
そこで、運輸大臣、いわゆる福島交通問題に関連をしていろいろな疑惑があるわけですけれども、運輸大臣として福島交通問題の疑惑の解消に対してもっと積極的に努力をすべきであると思うし、地方交通線の第三セクターへの転換という一つの出発点であるだけに、私はこの問題を非常に重視しているわけです。これからたくさん転換をしていかなければならぬというときにそのような問題があってはならないというふうに思うわけであります。
こういう福島県の企画調整部長が証言をしているものを見ても、政治家が介在をしているという事実も明確に証言をしている。あるいは土地の売却について……(「介在をした事実をはっきり言いたまえ」と呼ぶ者あり)はっきりします。
一月二十一日に赤坂の料亭で三塚先生と山本宮城県知事、松平福島県知事、小針社長の四者で阿武隈急行の設立をするための具体的な詰めを行った。それは電化の問題も三塚さんが提起をしたと言われている、あるいは国鉄との乗り入れもそうだ、あるいは人事や出資や名称の詰めも全部ここでやった、赤坂の料亭だと証言を得ました。そういうことをやっているということは……(発言する者あり)私は思うのです。この阿武隈急行の事業計画のあらましという問題について三人の国会議員が載っております。自民党の三塚さん、天野さん、亀岡さんです。私が言いたいのは、なぜ三人だけ相談役に載らなければいけないのか、なぜ三塚さんだけが出て、赤坂の料亭で詰めをやらなければいけないのか。もっと第三セクターにしていくという、具体的なそういう公共交通のあるべき姿にやっていくには、そういった疑惑を持たないようにするというのが筋だと思うのです。
きょうは時間がありませんから問題を十分提起いたしませんけれども、結局特定の政党の代議士だけが参加するとか時の権力者だけが密室で打ち合わせをするとか、こういった一連の癒着をしていることはまさに一つの証言の中でもはっきりしておりますし、本来なら国鉄再建のための地方交通線の転換という問題は住民の意思やニーズを大事にしなければならない、多数の国民の意思を大事にしてやるべき筋合いのものだと思うのです。そういうことが疑惑を招いていることは極めて遺憾であって、今後のローカル線の転換の問題が想定されるだけに、あるいは土地売却問題でさまざまな疑惑を生んでいるだけに、この問題は運輸大臣としてあるいは国鉄当局として総裁としてしっかりしてもらわなければいけない。
そこで大臣、どうでしょうか。福島問題は大変深刻です。約八百億の債務を抱えていると言われています。そして、働く人たちも大変深刻な問題です。日債銀から約七百億、北海道東北開発公庫から五十億、県内の農業共済連から三十四億も借りて、福島交通の名義で小針さんが借りて実は不動産の方に全部やっている、そういうやり方なのです。そうすると、どうでしょうか、この辺で小針さんにやめてもらって新たに再建をし直すということについて、もっとそういった第三セクターの転換の問題で疑惑を招かないような、これからのルールというものを明確にしていくということについて大臣は努力していただきたいと思うし、その点についての見解をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/54
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055・細田吉藏
○細田国務大臣 疑惑があってはいけないことはもう言うまでもないところでございます。運輸省といたしましては、今の土地売却の問題にいたしましても、また福島交通に対して自動車、鉄道等補助金を出しておりますから、そういう財務の処理の問題につきましても十分調査をいたして、不正はないという結論を今日までの調査では得ておるのでございます。他の不動産とか債銀がどうとか別な何とか会社というのが、B何とかという会社がどうとかといったような問題は、実は運輸省というよりは、そういう疑惑があるならばそれぞれの政府の担当の箇所において十分、あるいは税務官庁とかその他でおやりになってしかるべきであって、我々がそこまで入ることはいかがか、こう思うのでございます。しかし、疑惑があってはいけませんので、公共事業でございますからその点は十分注意をいたさなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
なお、第三セクターをつくる云々ということについて、これは私ども承知しております限りでは、与党の議員だけではなく野党の議員さんもお入り願ったりいろいろしている例があるのでございまして、そのこと自体はちっともおかしくはございません。住民を代表する立場で国会議員がいろいろあっせんをしたり世話をしたりすること自体はある意味では結構なことじゃないか、私はかように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/55
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056・富塚三夫
○富塚委員 国の補助金を受けて公共交通を経営している、これはまさに国民の立場に立ってやらなければならない経営者の立場である。モラルとしてもより大事にされなければならないと思うのです。また、いわゆる地方ローカル線の転換について第三セクター移行などの問題について地元の協力を取りつける、このことも大事な問題だと私は思います。しかし、そこに政治家が介在するあるいは疑惑を生むということがあってはいけない、ここのところが非常に大事な問題であると私は思うのです。だから、どんな政治家がどんな介在、そんなことは私は大して問題にしようとは思いません。
今、これだけ国鉄再建が深刻な問題になっている。ローカル線、一次線は四十線区、二次は三十三線区の廃止計画を打ち出して、県知事にも意見書を求めようとしている。さまざまな現地の協議会の対応がある。それは右から左までいろいろな人たちが集まって議論をして、国鉄を残してほしい、守りたいという人たちもいる、しかし事情やむを得ず転換を余儀なくされるという考え方に立つ人もいる。そういう中で便宜供与を過大にして疑惑を生むようなことがあったら、政治というものは根本的に不信を招く、私はそう思います。そういう点で福島交通問題はむしろ積極的に運輸大臣が乗り出して、小針さんにやめてもらって新しく再建を打ち出していくということをやっていただきたい。そういうことがこの問題解決の兆しをつくることになるのではないかという点について重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/56
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057・福家俊一
○福家委員長 左近正男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/57
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058・左近正男
○左近委員 私は、きょうは各都市で経営している都市交通問題について若干の御質問をしたいと思います。
今日、都市交通は、バスについては一日五百二十万人、特に六大都市と札幌ではそのうちの七〇%に当たる三百六十一万人を輸送しておりますし、地下鉄においては一日五百二十万人、合わせて一日一千万人を超えるお客さんの輸送を担当しておるわけであります。これは国民生活にとって大変切実な交通機関である、このように判断をいたしております。しかし、今日これらの公営交通については大変な財政的危機でございます。特に大都市においては市営交通が大変危機的な状況にある、こういうことでございます。これらの原因について、大臣お話し中でございますが、運輸大臣として、なぜこういう公営交通機関が財政的にこれだけ行き詰まったのか、この要因は何だとお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/58
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059・細田吉藏
○細田国務大臣 実は私は自民党の公営企業の小委員長もいたしたことがありまして、バス対策をいろいろやったのでございます。それは十年ぐらい前ですけれども、そのときよりもますます状態は悪いのでございます。これは都市バスの状況というよりも、過疎バスまでみんなひっくるめてバスが悪い状況にあるということなのでございますけれども、都市バスについて言いますと、やはり何といっても自家用車、マイカーが多い、そして道路が非常に混雑をするということ、バスの利用者は減る、原因、結果が悪循環を起こしてまいっておるということが基本的な原因であると考えざるを得ないのでございまして、そういう悪循環をどこかで断ち切るという方策を講じなければならぬ、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/59
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060・左近正男
○左近委員 今、大臣から見解の表明がございました。今大臣いみじくも言われましたように、特に大臣は都市交通の問題についてかねてから大変いろいろと御識見を持っておられまして私どもも心強いわけですが、構造的な要因として、特に路面交通部門においては、今大臣が言われましたように走れない、年々走行キロが低下をしておるわけであります。これはもう言うまでもなく自動車が非常に急増した、モータリゼーションが非常に急激に進展をした、こういうことが一番大きな要因だと思います。そしてまた、各都市の現状を見てまいりますと、不法な駐停車、これは警察の方ではかなり努力をしていただいておりますけれども、今日各都市では非常に不法な駐停車がまだはんらんをしておる。また最近は自転車の急増、またミニバイクがかなり利用されておる、こういうような問題もございます。そしてまた、バスでは、もういつ来るかわからないということで、他の交通機関に乗客が移行しておる。こういうようなさまざまな問題が今日路面交通部面においては重なっておる、このことが私は原因ではないか、このように思っております。また地下鉄部面については、特に建設費が一キロ二百億から三百億かかる、こういうことでこの借金の利息の支払いなり減価償却、こういうものが財政的に大きな負担になっておる、こういうことだと思うのです。
そこで、これらの要因について一つずつひとつ御見解を聞きたいと思いますが、今大臣が言われました自動車問題について私は調べましたら、昭和四十年には八百十二万台であった自動車台数が五十七年には四千百九十二万台、これは五・一六倍になっておるわけです。そのうち、自家用車だけを拾ってみますと、昭和四十年には百七十二万台であったものが、昭和五十七年には二千三百十三万台、これは十三・四九倍になっておるわけであります。都市圏におけるこういう自家用車の急増が、今日バスの大量輸送機関、こういうものが走れなくなっておる大きな要因ではないか、このように私は考えます。したがって、この点について具体的にどういうような施策をこれから交通行政の中でいろいろやられようとするのか。私は、もっと自家用車の利用者の皆さん方の御理解も得て大胆に交通規制を行っていくべきだと思いますが、この点についての見解をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/60
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061・矢部昭治
○矢部説明員 警察庁といたしましては、昭和四十九年に全国的に都市総合交通規制を実施いたしまして、それに関連いたしまして都市部における自動車の交通総量を抑制するという政策を打ち出してまいったわけでございます。その一環といたしまして、大量公共輸送機関を優先する、マイカーから大量公共輸送機関へ転換を図るというための施策を強力に実施をしてまいったわけでございます。
ちなみに、その一つとしてのバスレーンの設定について見ますと、四十六年を一〇〇といたしますと、五十七年が十倍近くの九二五という、千九百二十七・五キロという数字に達しておるわけでございます。このバスレーン等につきましては、現在ほとんどできるところは引いてまいったという状況がございまして、道路状況の問題であるとか、あるいは原則片側二車以上でございますが、片側一車であるとかいうような非常なネックが出てまいっておるわけでございます。しかし、これにつきましても、今後さらに第二、第三の段階を切り開いて、公共性という見地から、マイカーから大量輸送機関へ転換を図るという基本的な考え方に立ちまして、例えば地域のコンセンサス等が得られるようなところにつきましては、広島の安芸町であるとかあるいは埼玉県の鳩ケ谷市等におきますように、ある時間帯を絞りまして、一車の道路につきましてもバスの専用通行帯にするという施策もとってまいっておるわけでございます。ただこの問題につきましては、やはり地域の住民のコンセンサス、さらにはバスを増便するとかいうバス事業者側の努力あるいは道路管理者側の道路の改良等、そういった関係諸機関による施策が相まって、これは初めて成果を得るものであろうと思います。
なお、ただいま御質問がありました、既存の道路につきまして大変渋滞があるという問題でございますが、この問題につきましては、やはりバスレーンを設定いたしましたのが、今申し上げましたマイカーからの転換という施策にあります以上、それを促進するための具体的ないろいろな施策、例えば指導取り締まりあるいは監視活動あるいは近隣における商店街その他に対する駐停車の抑制のための働きかけ、こういうありとあらゆる施策をとっておるところでございます。
なお、このバスレーン等につきましての渋滞緩和ないしは駐停車等の問題につきましては、こういう取り締まりも必要でございますが、同時に、やはりバスがそこそこに動いておるという実態がないと、バスレーンとしての実効性がなかなか確保できないということでございますので、先ほど申し上げましたバスレーン新設の際の考え方と同じように、関係諸機関の御協力をいただきながら前向きに進めてまいりたい、これが基本的な姿勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/61
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062・左近正男
○左近委員 確かに今言われるように、このバスという大量輸送機関、これをスムーズに走らすためには特に自家用車、これの規制をしていかなければならぬわけですが、これは自家用車を持っておられる方々の御理解も得なければ実現しないことは当然でございます。しかし、都市部における、例えば排ガスの公害問題あるいはエネルギーの消費量の問題、こういうものから見ても、私は、ある程度今日の都市の混雑状況を考えてみますと、専用レーンとか、もう優先レーンなんかはなかなかあってもなしに等しいわけでございまして、やはりもう少し大胆な専用レーンの設定を私はしていただきたい。このためにある程度もう少し制度的な行政指導ができないかどうか。ただ単にお願いをするということではなしに、もう少し裏づけのある、法的にとはいかないまでも、もう少しきっしりした行政指導ができないかどうか、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/62
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063・矢部昭治
○矢部説明員 ただいま先生の御質問、御指摘はまことにごもっともでございまして、まさにバスの優先通行、できるだけ優先通行の実効が上がるような方法で制度的に考えるべきではないかということはもっともでございます。そこで私どもは、バス専用レーンということで制度的にはバスのみを走らせるという形をとってまいっておるわけでございます。そのほかに優先レーンというのがございまして、これは専用レーンよりも制度的にやや優先度において落ちるわけでございます。しかしながら、これにつきましては、そういう道路の交通量であるとかバスの運行回数であるとかバスの利用状況とかそういった交通状況をやはり個々具体的に勘案をいたしまして、それぞれの規制の特色を生かしながら個別的にやはり検討してまいるという問題であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/63
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064・福家俊一
○福家委員長 警察庁からいま一人出席されておりますから、広谷交通企画課長、御答弁してください。二人いるんだから、勉強のために答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/64
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065・広谷干城
○広谷説明員 ただいま規制課長から答弁をいたしたとおりでございます。やはりバスレーン等につきましても、優先レーンにするか、専用レーンにするかというふうなものは、個々具体的な場所のバスの通行量とかあるいは自家用車の通行量というような具体的な状況によりまして決定をするべきものであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/65
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066・左近正男
○左近委員 このバスの走れない要因の一つとして、特に大都市においては不法な駐停車があるわけですが、これについて、今具体的にどんな対策を全国的にやられておるか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/66
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067・矢部昭治
○矢部説明員 バスレーンの実効性を担保することは最も重要な問題でございますので、そのためにいろいろな施策をとっておるわけでございます。警察といたしましては、専用通行帯であば専用通行帯としての機能を十分に発揮させるために指導、取り締まりとかあるいは街頭監視活動とかといったものが基本になろうかと思います。そういった問題につきましては、ちょっと古い数字で恐縮でございますが調べたもので見ますと、例えば昭和五十七年中に、優先も含めてのバスの通行帯違反につきましては、取り締まりは二万七千件ばかり行っております。あるいはバス専用通行帯の中における規制時間内の駐停車違反につきましてな一万二千件ばかりの取り締まりを行っております。なおこのほかに、朝方、例えば白バイがそこに駐留監視と申しますか、とまって、そういう違反を犯させない、あるいは街頭の警察官がそういう違反を犯させないという形での監視活動等も行っておるわけでございます。それとともに、先ほども申し上げましたように、例えば近隣が物流地域であれば商店街等に対してその時間帯は駐停車をさせないということで組織的な働きかけによって抑制するような方向で動いているわけでございます。
なお、バス専用レーンの区間につきましてはおおむね駐停車規制を原則といたしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/67
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068・左近正男
○左近委員 最近自転車の問題が駐輪公害と言われているぐらい大都市周辺駅においては大変な問題になっておるわけです。最近、総理府の発表では放置箇所千六百八十九カ所、八十六万四千台に及んでおるということでございます。政府としても、五十六年五月二十日に施行された自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律に基づいていろいろ行政指導をされておりますが、私は大変手ぬるいように思います。この自転車の放置問題について今日どういう認識を持っておられ、また今後どういうように具体的な対策を立てられようとしておるのか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/68
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069・藤田健次
○藤田説明員 自転車の放置問題が都市機能の低下を非常に来しておるというのは全く先生のお話のとおりでございます。先生今お話しいただきましたように、私ども調査いたしましたところでも放置自転車台数は大層多うございまして、全国で八十六万台というのが昭和五十八年十一月の数字でございます。ただ、この数字は昭和五十六年には約九十九万台という数字でございまして、それに比べますと一二%の減少ということでございますけれども、先生お話しのとおり自転車の放置はまだ大量でございますし、また放置問題自体が決して解消したわけではございませんので、私どもとしましては、五十六年五月に施行された自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律の趣旨に基づきまして、関係省庁、地方公共団体等が一体となって放置自転車対策推進ということに当たってきたわけでございます。その結果、先ほどお話のございましたように若干は効果が上がったのじゃないかとは思いますが、今後とも一層対策を強化していくことは必要であると考えておりまして、私どもとしましては、自転車駐車場整備対策がさらに円滑に行われますよう総理府におきましても関係省庁等と連絡調整を図ってまいりたい、それによって放置自転車の整理、撤去を一層推進されるように努めてまいりたい、こういう姿勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/69
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070・左近正男
○左近委員 時間がございませんので、ひとつ積極的によろしくお願いしたいと思います。
そこで、五十ccミニカーの問題ですが、最近これが社会的に大きな問題になっております。現在約六千台が使用されておると言われておりますが、これは御承知のとおり原付免許で乗れるわけでございます。これを今の段階でもっと制度的犯きちっとしておかなければ、これこそ大変な問題になろうと私は思います。この点について、普通免許取得の必要性があるとかいう点についていろいろ検討されておりますが、いつごろからそういうような形ですっきりさせていくのか、この点について見解をお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/70
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071・広谷干城
○広谷説明員 お尋ねのミニカーの問題でございますけれども、現在五、六千台のものが走っておるというふうに考えております。これの免許をどういうふうに考えるかというお話でございますが、御承知のとおりミニカーは、外見上はもとよりその構造、機能は自動車というべきものであろうというふうに考えておりますし、また、現実の走行実態も自動車の走行と同じようなものでございます。また、現実の交通の場面におきましても自動車の運転と同様の注意力あるいは運転感覚、運転技能が要求をされるというふうに考えまして、その運転につきましては、自他ともに安全に乗っていただくという意味で普通自動車運転免許を必要とするという方向で現在検討中でございます。
なお、いつからそういう制度にするんだというお話でございますが、これは可及的速やかにそういうふうになるようにいたしたいと現在考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/71
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072・左近正男
○左近委員 今日都市バスの復権というか、もっと活性化を図るために運輸省としてもいろいろ努力をされておられます。バスロケーションシステム、これは十八都市で三百五十九路線あるいは都市基幹バスあるいは乗り継ぎ運賃制度、都市新バスシステム、バス乗り継ぎターミナル、こういうものがいろいろ行われているわけですが、これらの施策については当然その都市にマッチをした形でやっていかなければならないと思いますが、どうもやり方が部分的であり、継続性がないように思います。私は、運輸省としてこれからの都市バスのあり方についてどういうような施策を中心にしてやっていかれようとするのか、その点についての基本的な考え方をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/72
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073・角田達郎
○角田政府委員 都市バスが非常に状況が悪くなってきておる、その原因は、先ほど来いろいろお話が出ておりましたように、基本的には、マイカーの増加とかあるいは自転車、ミニバイク等の増加によりまして交通環境が悪くなってきている、そのためにバスの運行がスムーズにいかない、そしてサービスが悪くなる、そういう悪循環が原因でございまして、やはりこの悪循環を断つには、一つは先ほど来いろいろと御議論なされておりますように交通環境の整備が必要ではないかと思われます。バス専用レーンあるいは優先レーンをもっとどんどんふやしていくというようなことにつきまして先ほど来いろいろお話が出ておりますが、これにつきましても関係各方面といろいろ御協議を申し上げて推進していただくということが一つではなかろうかと思います。
それから、第二はやはりバスの輸送サービスを改善していくということでございまして、輸送サービスの改善の方策としては二つに分けて考えられると思います。一つはハードの面でございまして、先ほど先生がおっしゃいましたようにバスの乗り継ぎターミナルであるとか、あるいはバスロケであるとか、あるいは都市新バスシステムであるとか、そういうようなハードの面の改善をもっと継続してやっていくということが必要であろうと思います。それから、ソフトの面につきましては、もう少し利用者がバスを利用しやすいように、乗り継ぎ運賃の導入であるとかバス同士の共通回数券を設定するとか、そういうようなソフトの面につきましてのいろいろな工夫をこれからもやっていかなければならないと思います。どれが決め手で、これをやれば全部解消できるというようなことはないと思いますので、やはり今申し上げましたようないろいろな対策を積み上げて、バスの活性化のために今後とも努力してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/73
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074・左近正男
○左近委員 ひとつ積極的によろしくお願いします。
再建地方都市バス事業の問題について、車両更新の補助が今日されておるわけですが、これが五十九年度では五十二両。この年度でこの補助については打ち切られるということを聞いております。自治省は、これらのバス事業に対して今日軽油引取税の還元金、これは運輸事業振興助成金という名でやられているわけですが、これで十分だという判断をされておるかもわかりませんが、今日の大都市の、あるいは全国的にバス問題を何とかスムーズに運営をしていくためにも、資本費について何らかの助成措置をすべきだと私は思いますが、この点についてひとつ前向きな御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/74
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075・紀内隆宏
○紀内説明員 若干沿革について申し上げたいと思いますが、御承知のように、これは昭和四十八年に交通健全化法というものが実施されまして、その際に、企業の再建債の発行どこれに対する利子助成とあわせまして、車両購入費に対する補助がスタートしたわけでございます。当初は、四十八年度から五十三年度までの六カ年度ということでまいりましたけれども、その時点における経営環境が非常に厳しいものがあったものでございますから、財政当局と種々折衝を重ねまして、これを五十四年度から五十七年度まで延長いたしたわけでございます。五十七年度におきまして、再建企業はその過半が再建を終了したということがございまして、財政当局からも今回で打ち切りということでかなり強い意向が示されました。私どもといたしましては、なおこの制度の対象にならなかったものが二百十両残っておりまして、これに対して、五十八、五十九の両年度でもって最後にするから、これだけはやらせてほしいということで今日に至ったわけでございます。
現在の厳しい財政事情のもとで、このような沿革に照らしますと、この補助制度を今後さらに延長することは困難だというふうに考えております。実際に、再建企業の実情につきましても、再建企業の個別の対応、やや異なりはございますけれども、好転したものも見られますし、また、この補助対象だった車両も全体に一巡しております。今後は、資本投下に必要な資金手当てに鋭意努力をいたしまして、さらに経営の効率化を行うために、経営改善システムの開発等を行いまして、資本費の回収をも十分に行い得るようなそういう経営について指導してまいりたい、このように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/75
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076・左近正男
○左近委員 特に、最近見てみますと、民間バスもかなり新しい車をどんどん入れているわけであります。そして、冷房がされております。やはりお客さんのニーズというか、そういうものに適合したバス車両というのがどうしても今日の社会的な条件からして必要だと私は思いますが、特に、バスの耐用年数というものをどれぐらいに見ておられるのか。また、各自治体からのバスの新しい車両更新、新車購入というものについて、自治省の方では購入費の起債をかなり極端に制限をしておる、こういう行政指導をかなり厳しくやっておる、こういうことを聞きますが、そういうことでは古いバスでお客さんがだんだん逃げていく、このように私は思いますが、この点についての現状なり自治省の見解はどうなっておるのか、お聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/76
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077・紀内隆宏
○紀内説明員 バスの購入に対しましての起債に当たりましては、現在、実耐用年数を考慮いたしまして、年度当初におきまして車齢が十年以上というものを基準としてございます。これは、実は地方都市と大都市の場合で若干更新に当たっての年数に違いがあるようでございますけれども、おおむね十年を基準としておけば大体の平均はカバーできるということでございます。また、購入に当たっての単価をどのように考えているかと申しますと、これはよほどのことがない限りは実購入単価によるということでございます。また、御指摘のございました冷房の問題でございますけれども、これもお話のとおり、乗客の快適さを保つ、あるいは乗客の逸走を紡ぐというふうな観点からいたしまして、このようなものが参りますれば、私ども、現状に即しまして起債の採択の対象としているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/77
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078・左近正男
○左近委員 それでは、各自治体から新車の購入の申請があれば、起債の制限はしないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/78
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079・紀内隆宏
○紀内説明員 申し上げましたように、極度に高い単価とかそういうものを持って参れば格別でございますけれども、そうでない限りは、おっしゃるような極端な制限というのは何か誤り伝えられたものではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/79
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080・左近正男
○左近委員 それでは地下鉄部門について、時間がございませんから簡潔に。
もう状況については御承知だと思いますが、五十七年度の公営地下鉄の運輸収入というのは、料金収入は二千五十九億であります。それに対して、支払い利息と減価償却が二千八十二億でございます。料金収入よりも上回っておる、こういう現状であります。これでは幾ら経営努力をしても赤字になるのが当然であります。したがって、政府としても昭和三十七年以降いろいろ地下鉄建設に対する補助制度が設けられているわけですが、私はこれについてまだ不十分だと思っております。特に現在、名目では七〇%の補助制度でありますが、これは実質五九・八五%であります。さらに、これは十年分割交付。これを私どもは実質七〇%にしてもらいたい。また、大規模な改良工事についても今補助対象になっておりますが、これらについてもさらに強化をしてもらいたいと思っております。この点についての見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/80
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081・服部經治
○服部説明員 地下鉄に対します補助制度の充実は、全く先生のおっしゃるとおりに大変基本的に重要な問題だというふうに思っておりまして、私どもも日ごろそうした認識のもとに予算問題等に取り組んできているところでございます。
ただ、ここ三、四年の実情を申し上げますと、先生も御高承のとおり、大変厳しい財政状況のもとでの予算編成を余儀なくされておりまして、率直に申し上げて現在の補助制度の維持を図るということで精いっぱいという状況でございますので、その辺の事情も御賢察賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/81
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082・左近正男
○左近委員 きょうはこれ以上あれしませんが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
そこで、東京圏における高速鉄道を中心とする交通網のあり方について、五十七年九月に運輸政策審議会に諮問が行われまして、現在東京圏都市交通部会で検討がされておると聞いておりますが、この作業はいつごろ完了するのか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/82
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083・西村康雄
○西村(康)政府委員 五十七年九月に、東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備について諮問をして、運輸政策審議会で検討しているところでございますが、現在の進捗状況から見まして、私どもことしじゅうに答申をいただけるようにしたいというふうに期待している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/83
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084・左近正男
○左近委員 少し大阪の問題について御質問しますが、国鉄の総裁も来ておられますので、見解をお聞かせ願いたいと思います。
国鉄の大阪外環状線、これは新大阪から加美まで十八・六キロ、事業費は約一千百五十億円、これについての工事認可は既に五十六年四月十六日におりております。また、片福連絡線について、これは京橋から尼崎まで十二・二キロ、事業費は約千八百八十億円、これについても工事認可が五十六年四月十六日におりておりますが、国鉄としていつごろこの工事を始められるのか、そのめどが具体的にあるのかどうか、お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/84
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085・岡田宏
○岡田説明員 大阪外環状線並びに片福連絡線につきましては、いずれも大変多額な工事費を要する工事でございまして、大臣の認可を得ました当初から、財政再建期間中につきましては用地買収あるいは都市計画関連工事等のみについて施行する、本格的な着工は六十年度以降になるという考え方で推移してまいったわけでありますけれども、その後におきます財政事情はより厳しいものがございますので、これらの大規模工事の進め方につきましては、現在国鉄部内におきましても鋭意検討を重ねているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/85
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086・左近正男
○左近委員 総裁、どうですか、国鉄として近年にやられる確信ある見通しがあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/86
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087・仁杉巖
○仁杉説明員 片福、外環状、ともに古いときからの計画でございますし、認可もあったということも知っておりますが、今回田常務から御答弁いたしましたように、実は非常に膨大な金がかかりまして、それの収支が非常に難しいという建前に今立っておりますし、なお、先ほどから御議論がございますように、再建期間中でもございまして、国鉄といたしましては、今のところ、いつ着工していつ完成するという自信がちょっとないというのが現状であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/87
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088・左近正男
○左近委員 大臣、 国鉄の状況については、再建中で非常に大変な時期であります。今総裁が言われたように、今の答弁ではもう全く見通しがないのじゃないか、私はこういうように思うのです。これは長年の懸案問題であり、営業すれば絶対にもうかる路線だ、私はこのように思っております。
そこで、新空港の問題ではございませんが、国鉄がどうしてもできないということであれば、この建設主体について、地方公共団体なりあるいは民間の資本も導入して、それこそ第三セクター的にこの工事をやっていくというような新しい発想で考えてもらえないかどうか、その点いかがでしょうか。空港だけじゃなしに、これを頼みますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/88
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089・永光洋一
○永光政府委員 先生今お話しのように、五十六年に認可いたしまして、その後、情勢の変化、臨調、監理委員会等、あるいは政府としましても設備投資を極力抑制ということで、現実には確かに、着工の見通しは非常に大きな難しい問題になっていることは御高承のとおりであります。
大阪における都市交通といいますか、そういう面からいいましての当該線の重要性というのは我々も認識しておるわけでございまして、確かに現在明るい見通しがなかなかないということで、先生がおっしゃいますような、一つの地方と協力しながら別のセクターで資金を賄い建設する方法はどうかということについて、我々も、現在のプロジェクトがなかなか国鉄独力でできないということでありますればやはり勉強していかなければならないのではないかと思いますが、線形を見ますと、片福の連絡線だとか、あるいは国鉄の貨物線の旅客化だとかという問題でもありますので、やはり国鉄自体の事業と非常に関連をいたす線でございますので、そのあたり難しい問題もあるかと思いますけれども、そういう考え方も含めながらひとつその線を眺めてみたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/89
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090・左近正男
○左近委員 大臣、この点についてどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/90
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091・細田吉藏
○細田国務大臣 都市交通では、私は、どうしても高速鉄道というものが、東京と言わず大阪と言わず、あるいは他の大都市についても、もっとつくられなければならぬと思うのでございます。先ほど地下鉄の補助率をもっと上げろというお話がございましたが、私はかねがねそう言っておるので、少なくとも実質六〇%でなくて実質七〇%ぐらいまではどうしても上げてもらわなければならないということを主張し続けておるわけでございます。
今お話しのような点は、今鉄監局長がお答えいたしましたように、やはり十分検討いたしまして、これを国鉄に任せるということでなくて、もっと大きい立場で取り上げていかなければならぬ。それにはやはり国の都市交通に対する基本的な考え方、国がどの程度援助ができるかということを考えて、少なくとも建設当初において相当、地下鉄その他と同じように、援助の方式を考えなければならぬ、こういうふうに思っておりますので、私どもとしましては今、環状線なり片相線だけの問題ではなくて、都市交通の改善という見地から真剣にこの問題は取り上げていくべきものであるというふうに思っております。今後そういう方式で、ある程度国が援助をしながらこれをやっていく以外には方法はありませんし、またこういう方法を講じなければ都市交通の解決は根本的にはあり得ない、このように強く考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/91
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092・左近正男
○左近委員 それでは大臣、ひとつ積極的に取り組んでいただくことをお願いいたしまして、時間が来ましたので終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/92
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093・福家俊一
○福家委員長 西中君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/93
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094・西中清
○西中委員 きょうは、極めて技術的な問題でありますけれども、日本の国有財産または国民の財産というべきいわゆる公共事業の構造物、その中でもコンクリートの構造物について最近さまざまな報道がなされて、その劣性化が問題とされてまいりました。今すぐどうという問題ではありませんけれども、極めて将来心配な要素を含んでおるのではないか、こういう立場で御質問をいたしたいと思います。
コンクリートの劣性化という問題は、いろいろの問題が含まれていると思います。今取り上げられておるのは、いわゆる海砂によるコンクリートに塩分が入るという問題、それから砕石によるアルカリ骨材反応と、そのほか施工上のいろいろな問題があろうと思うのです。建設を始めて五年や七年でコンクリートが破壊されておるというようなことは、少なくとも三十年、四十年前、私たちは学校では教わっておりませんでした。しかし、今この問題が現実の問題として国鉄の新幹線や高速道路のあちこちに一つの欠陥として具体的にあらわれてきておるということは間違いない事実だと思うのです。したがいまして、国としてもこの補修に今後とも金を使わなければならぬ、コンクリートの劣性化は財産がそれだけ早く失われていく、いわんや民間の所有物でありましたならばこれは資産価値が低下をする、こういう重大な問題を含んでいると思います。
私が説明するまでもなく、この塩害というのは、いわゆる構造物に塩分が含まれてしまいますと塩の中にある塩素イオンが鉄筋の表面被膜を破壊してこのために鉄筋がさびてくる、およそ二倍にこの鉄筋が膨れ上がってコンクリートが破壊される、こういったことが一般的に言われているようでございます。したがって、コンクリートに海砂を使用する場合には当然塩分を除かなければならぬ、こういうことでございますけれども、業界のあちこちの組合の幹部の皆さん方も、今決められておりますこの数値を達成することは極めて困難だということを明快におっしゃっております。いわゆる塩を除くためにはたくさんの水が要るからコストがかかる、したがって値崩れをしておるときには塩を除くのは適当にやる、また大型の公共事業をやる場合には砂の塩抜きをしている時間がない、こういった要素もあると思います。また、生コンの需要が景気によって非常に盛り上がってまいりますと品不足、したがって少々の塩分も目をつぶっていこう、これは自然の流れだろうと私は思っております。既に日本の河川には川砂、川砂利の資源というものはほとんど枯渇をいたしておる現状でございますから、勢い海からとるということもある面で言えばやむを得ないところだと私は思っておるのです。
しかし、そうだといって莫大な国の費用、税金をかけて橋梁だ、道路だ、高速道路だ、新幹線だというようにいろいろな面でこの建設が進められていきますと、我々生きている者、やっておるものはこの世を終わっておるかもわかりませんけれども、結局後代の子孫にツケを回すということが起こってくる事実だと思うのです。したがって、この海砂の問題、さらにはアルカリ骨材の反応、こういった問題についてさまざまの研究もなされておるようでありますけれども、やはり各関係省庁、こういったところでこの問題については本格的な取り組みをしていただかなければならぬ、こういう思いで私はきょう質問をいたす次第でございます。
そこで、この現状は一体どうなっておるのかという問題が一つあると思います。したがいまして、まず運輸省にお伺いしますけれども、運輸省では港湾であるとか空港であるとか、今度は関西新空港も法案が通れば事業も始まりますが、本四架橋であるとかいろいろあるわけですが、運輸省関連として年間どの程度コンクリートを使用し、そしてその中で海砂はどの程度使っておるのか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/94
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095・小野寺駿一
○小野寺政府委員 ただいま港湾及び空港においてどの程度のコンクリートが使用されているかということでございますが、この点につきまして私ども正確な統計をとっておりませんので正確な数字を申し上げるというわけにはまいりませんけれども、いろいろな材料から想定してみますと、おおむね六、七百万立方メートル程度であろうかというふうに想像されます。
その際に、そのコンクリートに使われます細骨材としての砂として海砂がどの程度使われるかという点につきましては、これは全く統計はございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/95
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096・西中清
○西中委員 次に、建設省にお伺いしますが、建設省も道路、橋梁その他の公共事業にコンクリートをお使いになっておるわけですが、この点についてどの程度の掌握をされておるか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/96
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097・岩井國臣
○岩井説明員 建設省におきましてコンクリートの使用量の総量がわかりますので概数はわかりますが、そのうち海砂をどの程度使っておるかという統計はとっておりませんので、海砂の使用量についてはわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/97
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098・西中清
○西中委員 今、塩害等が言われておりますけれども、建設省ではこの点については御調査をなさっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/98
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099・福井迪彦
○福井説明員 先生御指摘のように、最近海岸に建設されましたコンクリート構造物、これにひび割れとか剥離といった被害が見られるようになっておりましたので、これについては調査を実施しております。調査をいたしましたのは、昭和五十七年二月から昭和五十八年一月にかけまして、全国の一般国道にかかる橋梁、十五メーター以上でございますが、海岸から五百メーター以内にあるものを対象にして実態調査をしております。
その結果でございますけれども、調査を実施いたしましたのは九百二十橋でございまして、そのうちコンクリート表面に何らかの変化が見られるものが一五%でございます。それから、ひび割れが多数発生しているとか剥離とか大きなクラックが入っているといったものが五%程度ございます。そのほか既に補修済みのもの、これも五%ございます。
こういったことで、その被害を受けた橋の多くが北海道、東北、北陸といった日本海側ですとか沖縄に集中しておりまして、これは今おっしゃった海砂の使用という問題ではなくて、冬期間の季節風によります強い塩風とかしぶきあるいは沖縄の高温多湿の亜熱帯海洋性気候で台風の常襲地帯といったような影響から、海塩粒子が外から恒常的に入ることによって生じた被害だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/99
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100・西中清
○西中委員 海岸に近くない場所の調査はなさいましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/100
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101・福井迪彦
○福井説明員 しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/101
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102・西中清
○西中委員 そうしますと、それはしぶきといいますか海の波からくる塩害、こういうことで、内部的なコンクリートそのもののいわゆる塩害の調査にはなっておらぬと私は思うのです。
ただ、確認をしておきたいのですが、建設省では規制値というものを設けておられますね、塩分は何%に抑えなければならぬ、これはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/102
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103・岩井國臣
○岩井説明員 細骨材に含まれる塩分含有量の規制値につきましては、これは一般土木構造物でございますが、JISにおきまして〇・一%以下というふうに決められておりますし、コンクリート標準仕様書、これは土木学会のつくったものでございますが、これにおいても同様の基準がございます。
さらに、建設省におきましては、五十三年の五月に技術調査室長通達といたしまして、プレストレスト・コンクリートの規制値といたしまして〇・〇三%以下にするようにということを定めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/103
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104・西中清
○西中委員 規制値を設けておるということは、やはり塩分は排除しなければならぬということだと思うのですね。こういう報道が盛んになされておる中で、建設省としては、塩害によるものか、またアルカリ骨材反応によるものかは別にして、この種の破壊されておる実例といいますか報告はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/104
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105・福井迪彦
○福井説明員 塩害による被害につきましては、先ほど御報告したとおりでございます。アルカリ骨材反応につきまして、道路の被害、橋梁の被害でございますが、数例見受けられております。現在調査中のものもございますし、既に補修手当てをしたものもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/105
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106・西中清
○西中委員 次は国鉄にお伺いいたします。
このコンクリート構造物の早期劣化につきましては、山陽新幹線がその象徴だというふうに言われておる面がございます。被害の最もひどいのは、建設当時コンクリート中の塩分チェックをしなかった新大阪−岡山間、特にこの中でも今具体的に破壊の現象が見られるのは、ひどいのは加古川−相生間、こういうことだろうと思います。この原因は塩害ではなかろうか、こういうように言われておるわけでございますが、一部アルカリ骨材反応も加わっておると思われます。この被害の実態調査をやられたのかどうか、また、塩分はどの程度含まれておるのか、おわかりでしたらお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/106
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107・岡田宏
○岡田説明員 今先生から御質問ございました山陽新幹線の新大阪−岡山間の高架橋の工事をいたしましたのは四十一年から四十七年にかけてでございますが、後半の部分はともかくといたしまして、当初四十二年に定められました土木学会のコンクリート標準仕様書におきましても、塩分のことについて特に取り上げての規制値はなかったわけでございます。そういったことから、国鉄といたしましても、この塩分含有率について、初期に施工いたしました新大阪−岡山間の高架橋工事の部分については特段の塩分に関するチェックを行っておりませんでした。ついでに申し上げますけれども、その後におきまして、やはり塩分は少し問題があるぞということで、四十六年以降の施工のものにつきましては塩分含有量をチェックするというシステムをとっております。
それで、今お話のございました新幹線高架橋等に生じておりますコンクリートのひび割れの状況につきましては、現地にございます保線所の構造物検査グループというところで日常のように巡回をいたしましてチェックをいたしておりまして、その実際のひび割れの状況に応じまして適切な補修工事を施しており、安全上では問題がないというふうに考えております。
塩分調査につきましては、コアをとってはかっている事例がございますけれども、大体〇・一%を下回っているものが多いというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/107
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108・西中清
○西中委員 〇・一%を超えるようじゃ困るのですけれども、私の見聞いたしておるところでは〇・三ないし〇・四というデータも出ておるようでございました。それから、砕石にアルカリ骨材反応を引き起こす輝石安山岩という石が含まれておるという話も聞いておるのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/108
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109・岡田宏
○岡田説明員 アルカリ骨材反応につきましては十分な確認がなされておりません。現在調査をしている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/109
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110・西中清
○西中委員 岡山以西の工事についてもお伺いをしておきたいと思うのです。
これはもう規制がなされておると思うのです。しかし、こういう大型の事業になりますと時期というものがやはり問題になって、どうしても急ぐ。したがって、公然と塩抜きをしないで使ったという業者も、責任ある立場の人がおっしゃっておる。この辺は当然チェックをされておったとは思うのですけれども、この当時の塩分の許容量は国鉄としては〇・〇一%ということを守ろうとしておったと思うのですけれども、守られておらなかった危険がやはり出ておると思うのです。この点はどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/110
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111・岡田宏
○岡田説明員 山陽新幹線の後半、岡山—博多間の工事につきましては、塩分の問題、いろいろ問題があるぞということで、塩分の含有量の目標値といたしまして、〇・〇一%と非常に厳しい数値でございますが、そういうことを指示いたしまして品質の確保に努めたということでございます。
もう少し具体的に申し上げますと、現地に駐在をしております工事係員がプラントに参りまして、毎月一回でございますが、JASSの正あるいは塩分検知管による方法を用いまして塩分の管理を行っていたわけでございます。しかしながら、必ずしもその除去が完全ではないという事態も見られましたので、同工事局におきましては四十六年十一月に広島県の生コンの協会長にあてまして、海砂における塩分の除去につきまして積極的に取り組まれるよう要請をした事実がございます。
なお、この時点で塩分の管理をいたしておりました状況を見てみますと、大体のものが〇・〇五%以下の範囲にはおさまっているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/111
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112・西中清
○西中委員 やはり途中で要請をせなければならないという状況があったということですね。ですから、やはりこれも将来的に心配な要素を含んでおる、こういうように思います。
これはきょうちょっと手違いで、おいでをいただかなかったのですけれども、鉄建公団も多くのコンクリートをお使いでございますが、どの程度海砂を使っておるか、運輸省なり国鉄の方でおわかりでしたら御答弁いただきたいのですが、わかりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/112
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113・岡田宏
○岡田説明員 東北新幹線と上越新幹線はほぼ同一時期に工事が始められておりますので、東北新幹線につきましては既にレディミクストコンクリートに関しますJISもできているという後の状況でございまして、塩分についてはほとんど問題がない、海砂を仮に使っていてもほとんど問題がないという状況でございます。なお、上越新幹線の公団につきましても問い合わせをいたしましたのですが、経過地も経過地であるということから、海砂あるいはその中に含まれている塩分についてほとんど問題がないというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/113
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114・西中清
○西中委員 次は、日本道路公団と本四架橋公団にお尋ねをいたします。
高速道路の橋梁や高架橋、本四架橋などの建設にもやはり海砂や砕石が使われていると思いますが、塩分の規制値はどのようになっており、同時にまたチェック体制はどのようになっておるか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/114
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115・北村照喜
○北村参考人 御説明いたします。
道路公団におきましては、年間コンクリート量約二百万立米、それから砂を大体八十万立米使用しておりますけれども、この砂の中の約三〇%が海砂でございまして、したがいまして、二十四、五万というのが実態でございます。
塩分の規制値につきましては、我が方では公団の土木工事共通仕様書というのを五十三年に制定、改定いたしまして、その中の塩分の規制値は、海砂の乾燥重量、絶対乾燥重量と称しますけれども、これに対しまして〇・〇五%の規制値、それ以下ということでやってございます。それから、施工につきましてもプラントサイドにおきましてチェックをいつもいたしておりまして、また施工後供用いたしております区間につきましても、巡回その他で絶えず管理いたしておるのが実態でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/115
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116・高山昭
○高山参考人 本四公団の実情を申し上げます。
本四公団のコンクリートの構造物には海砂を使用しております。その海砂の塩分の規制値でございますが、土木学会制定のコンクリート標準仕様書及びプレストレスト・コンクリート標準仕様書によることといたしております。なお、私どもの特記仕様書でその海砂を十分水洗いするようにというふうに規制を設けております。プレテンション方式のプレストレスト・コンクリート部材には海砂を使用しないようにというふうに強い規制も設けております。
なお、これらの塩分濃度のチェック体制でございますが、これは入荷ごとに請負者においてチェックいたしまして、それを私どもの公団の監督員が確認するというようなことで入念にチェックしている実情でございます。
以上でございます。
〔委員長退席、浜野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/116
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117・西中清
○西中委員 使用された砕石にアルカリ骨材反応を引き起こすものが入っているのではないかということが言われておりますけれども、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/117
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118・高山昭
○高山参考人 本四公団におきましては、従来よりコンクリート構造物についての建設時点の品質管理を十分に実施しておるところでございます。現在の構造物の状況でございますが、アルカリ骨材反応によると思われる損傷は全く発生しておりません。私どもの構造物の置かれている環境を考慮しましてコンクリート配合が決められておるわけでございますが、そういう事情からいたしましても、当公団における構造物には今後ともアルカリ骨材反応が生ずる可能性は非常に少ないと私ども考えております。
なお、供用中の構造物につきましても今後十分点検してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/118
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119・西中清
○西中委員 これからもまだ工事が続いていくわけでございますので、十分な留意をいただきたいと思います。
いずれにしても、異常なひび割れ、これは早いものではコンクリートを打ちましてからわずか数年で出ております。きょうは遠方でございますのでおいでいただいておりませんけれども、阪神高速道路の例でいきましても、コンクリート打ちが昭和五十年に行われた、その後六、七年でひび割れが出ておる、こういう状況でございますから、どこの公団にお聞きしましてもきちっとチェックはしている、また規制値はこうだとおっしゃっておっても、随所にこういうものが出てきておるというのが現状でございます。
海砂と同時にまたアルカリ骨材と、両方が反応が出ますとなお相乗効果で破壊が早い、こういうことで私も心配をいたしておる。とりわけ東日本よりも西日本にこの海砂の使用が非常に高い。例えば道路公団の場合近畿以西、これは八割に達すると聞いておりますが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/119
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120・北村照喜
○北村参考人 詳細にはまだ調べておりませんけれども、後ほどまた御報告したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/120
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121・西中清
○西中委員 あなたの方からいただいた資料の中でそうお聞きをしておるわけですがね。
ですから、この問題は特に西日本を中心に非常に深刻であろうと思います。同時にまた東日本も良質の細骨材、砂利、砂、この河川の砂、砂利はほとんど枯渇をしておる。ですから、問題はこれから本格的に出てくるのではないかというふうに思います。
次に、建設省にお伺いします。コンクリート骨材として海砂を使用する場合は一応塩分の規制がなされておりますけれども、原料としての砂の段階での規制、これはわかるのですね。しかし、生コンの段階ではどうなっておるのか。コンクリートをつくる場合、言うまでもなく砂利や砕石、石、それにコンクリート、さらにはいわゆる混和剤を使用いたしますけれども、これは塩化カルシウム、塩化物が含まれていると思うのです。ですから、こうした海砂の塩分と混和剤の双方の塩化物、こういうものの合計量というものになりますと、これはちょっとわからない、こういう現状ではないかと私は思っておりますが、塩分含有量を規制しようとするならば、やはりでき上がった生コンの段階でチェックをしなければ本当のことはわからないと私は思いますが、その点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/121
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122・岩井國臣
○岩井説明員 コンクリート中に含まれる塩分の規制の万法といたしましては、先生御指摘のとおり塩分が混入する原因となっている海砂の塩分含有量そのものを規制するという方法と、生コンクリート中に含まれる塩分の総量を規制する方法と二つあるかと考えられます。現段階ではJISその他で規定されている海砂の塩分含有量による規制を実施しているところでございますが、土木構造物におきまして海砂使用による被害は現在のところ発生していないということでございますけれども、先生御指摘のような問題もありますので、生コンクリート中の塩分総量につきましてどうチェックすればいいかというようなことについて研究する必要があるんじゃないかと考えております。ただ、規制値をどのようにするか、あるいはこれは技術的な問題でございますが、塩分測定の方法をどうするかといった、幾つかの検討課題がございまして、現在それらの基本的な問題につきまして研究を進めておるところでございます。今後とも積極的に研究を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/122
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123・西中清
○西中委員 ぜひとも総量規制、規制値、さらにはまたその方法、これについて早くこの検討をしていただいて結果を出していただきたい、このように思います。
それから通産省にお伺いをしておきたいと思います。
今までいろいろなお話をして質疑を続けてまいりましたけれども、海砂の塩分を取り除くということは相当コストが高くつく、こういうことだと思うのですね。海砂の塩分許容量〇・一%は何とか達成しよう、こういうように業界の方でも努力をされておると思うのですが、建設省の指導通達では〇・〇四%、こういうようになっておると思うのです。そうすると大変な水を使用して塩分を取り除かなければならぬ。コストの面でも問題がございますし、同時にまたその洗った水の排水という点では、生コン工場等は水質汚濁防止法でいわゆる特定施設の指定がなされておる。それからそれ以外に、各地方自治体では上乗せ条例がございます。さらにまた海砂の採取量が一番多い瀬戸内海、この沿岸では瀬戸内海環境保全特別措置法の規制を受ける。いわば二重、三重の縛りがかかっておる。それはそれで意義のあることだと思うのです。
しかし、それだけに、今度は水を、コストの面からいってもこういう規制からいっても排出できない。だから、いろいろな規制値を設けておるけれども、実態的には一つの工場から出せる水の量などというものは非常に限られておるというのが実情です。だからこそ、サンプルとしてどういう結果が出るかということはともかくとして、実態的に生コンの業界の首脳部が、これは無理なんだ、こういう規制値を設けてもらっても無理なんだということを言っておる。これは言う方も言う方ですけれども、やはり問題をどういうふうに解決するかということについてこれからもっともっと真剣に取り組まなければならぬという問題点を含んでおるということだと思うのです。ですから、このチェックを含めた品質管理というもの、それからどうしたらそれが可能なのかということ、これについて通産省でも真剣に取り組みをしてもらわなきゃならぬと私は思っておるのですが、その点についてお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/123
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124・松井司
○松井説明員 海砂の除塩処理の費用、コストの面でございますが、その処理方法あるいはどこで処理するかによってコストも変わってきますので一概に申すことはできませんが、一般的には海砂一立米当たり二百円から三百円くらいするのではないか、こう言われております。他方、海砂の製品価格、これも地域によっていろいろ違いますので一概に申し上げられませんが、立米当たり二、三千円、こう言われておりますので、これから見ますと除塩コストが約一割ということでございます。そうしますと、現在の砂利産業、非常に需要が低迷しておりますし、過当競争によって価格が非常に低迷しておりますので、一割を占めるということは、砂利産業にとっては非常に大きな負担となっていることは事実でございます。
それから、環境規制との問題でございますが、海砂を採取している船上での除塩については特に規制等も問題がないのじゃないかと考えておりますが、一度陸揚げしましてあるいは生コン業者が除塩する場合には、水質汚濁防止法によって浮遊物質、SSと言われておりますが、ここに排出濃度を決めておられますので、必要な場合には公害防止処理施設を設けないといかぬということになっております。
いずれにしましても、海砂の重要性は今後非常に重要になってまいっておりますので、海砂の除塩、こういうことについては非常に重要な問題でございますので、現在、砂利業界あるいは生コン業界におきましてもこの除塩に一生懸命取り組んでおりますし、私どもも努力してまいって、あるいは指導してまいりたいと考えております。いずれにしましても、通産省としましては、除塩処理方法、いわゆる適切な除塩法、どういうシステムでやればいいかということは真剣に考えなければいかぬかと思って、今後取り組んでいきたいと考えております。
最後に生コンの品質の問題でございますが、先ほどからお話がありますようにJISで規格が定められております。生コン業界には現在、中小企業近代化促進法という法律に基づきまして構造改善をやっております。そういう事業の中で工業組合ごとに品質管理監査制度ということでお互いにチェックし合うという制度を設けまして、品質の安定、向上に努めてまいっておりまして、私どもこういう構造改善事業を進める中でこういう品質の安定というものの徹底を指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/124
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125・西中清
○西中委員 大臣、極めて技術的な問題で恐縮なんですけれども、少なくとも運輸省関連の公共事業というものは大変な量のコンクリートを使っておるわけでございます。そして先ほどの質疑からおわかりいただけたと思いますけれども、この問題については実態調査も十分行われておらないし、今始めたところだとかいうようなことが多いし、同時に今のお話のように除塩技術、こういうものもまだ進んでおらないし、それからコンクリート破壊のメカ、ある程度、先ほどから話をいたしておりますように、究明はされておりますけれども、これはまだまだやらなきゃならぬ問題だろうと思うのです。
膨大な範囲にわたります国鉄沿線、そして建設省の管轄になりますけれども高速道路、その他空港、港湾、いずれにしてもこれの安全性という点から考えますと、ばらばらコンクリートが落ちてくるというような事態が始まったときにはもう大変なことになるわけでございまして、現にそういうことでけがをなさった方も今まで事故として報告をされておるわけです。ですから私は、技術を担当される皆さん方はそれなりに誇りを持っておられるからいいかげんだとは言わないです。そしてまた、日本の技術も進んでおるから、海外からも評価をされていることもよく知っております。しかし、だからといってこの問題を放置しておきますと、事が重大な事態に至ったときに責任は強く究明されるだろうと思うのです。そして今度は腐食をし、また破壊をされたコンクリート、鉄筋が腐食する、強度が落ちる、こういうときに果たして高速道路や新幹線が安全なのかという、人命尊重の上からもこれはやはり深刻に取り組んでいただかなければなりません。
ただ、今申し上げましたように、各省庁にわたりまして、非常に幅の広い所管にまたがっておりますから、運輸大臣一人で運輸省だけのことをやっていただく、それだけでは進まないと思うのです。したがいまして、政府としてもこれは今のうちにしっかり取り組む体制を各省庁にわたってやっていただくということが肝要ではなかろうかと私は思うのですけれども、その点いかがお考えか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/125
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126・細田吉藏
○細田国務大臣 西中先生の非常に真摯な新しい重大な問題の提起に対して、心から敬意を表します。
今、御質問の中にもありましたように、非常に広範多岐にわたっておる問題でございますし、日本のような四辺海に囲まれているところでは、問題がよその国と違って重大な問題であろうかと思うのでございます。
これはどういう仕組みがいいのかわかりませんが、政府が挙げてこれに取り組まなければならぬ問題でございます。私もしかるべき機会に建設大臣——建設大臣は同じ役所にもおるわけでございますし、建設大臣あるいはさらに通産大臣ともよく相談し、あるいは科学技術庁長官も御参加を願うか、この問題にどう取り組むかというようなことについて話し合ってみたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/126
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127・西中清
○西中委員 非常に力強いお言葉で、本当にしっかりお取り組みをいただきたいと思います。
そこで、当面少なくとも公共事業、これは貴重な税金を投入するわけでありますから、後々我々の子孫にツケを回さないという意味において、資源は枯渇しておるのですけれども、できる限り良質な川砂、砂利そして砕石、こういうものを優先的に使う。そして足らざる分はやむを得ず海砂を、そしてそれもきちっと規制を守らせるようにする、こういう方向で公共事業の建設はやっていくのがいいのじゃないか。例えば、民間の建物でございますと損害賠償とか欠陥建物だからといってそれなりの法的な争いもできるでしょうけれども、公共事業はそういうわけにいかないのです。したがいまして、そういうような方向で当面はやっていくということが大事じゃないか、こう思うのですけれども通産省はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/127
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128・松井司
○松井説明員 先生のおっしゃるようなこと、海砂の除塩問題というのは非常に大切でございますので、通産省としても砂利業界あるいは生コン業界を品質のいいものを責任を持って供給できるような産業に育成していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/128
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129・西中清
○西中委員 私の言っているのは、海砂はもちろんきれいにしてもらわなければ困るわけですが、それよりもまず、先ほどから申し上げておりますように法の規制の上からいくとコストが非常に高くつくわけです。しかも、水質汚濁防止法であるとか瀬戸内海の規制であるとか、こういった問題が重なっておるわけです。現実問題としては、幾ら規制をしてもそれが守られる状況にないということです。ですから、できる限り良質のものを使うように、海砂でともかくいけばいいんだ、海からとってくればいいんだというような安易なことではなくて、やはり良質な川砂さらには山砂、こういうものを中心にし、なお足らざる分は海砂でやらざるを得ない、こういうことで当面の対策は、いろいろこれからやっていただかなければならぬ問題がいっぱいあるわけですから、そういう方向でやっていく方がいいんじゃないかという意味で聞いておるわけです。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/129
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130・松井司
○松井説明員 私も細骨材の資源の分布というものをしっかり調べたことはございませんが、一般的には西日本の方は地質的というか地理的な面で細骨材の河川砂利というものはほとんど少のうございますので、どうしても海砂利、海砂というものを使わざるを得なくなっていくんじゃないかと私の方は認識しております。そういう意味で私の方は、海砂は問題がないような除塩をしたものをできるだけ供給したい、そのためには砂利業界がそういう除塩というものの認識を持っていただくとともに、除塩コストを反映したような価格で取引していただくというかユーザーの方にもお願いしたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/130
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131・西中清
○西中委員 さまざまな問題を含んでおりますから私も強く言わなかったのですけれども、例えば生コン一立米当たりの海砂の除塩コストは、規制どおりにやろうとしたらあなたのおっしゃったような値段で絶対できませんよ。二百円、三百円というようなお話がありましたけれども、一般的に、専門家に聞きますと五千円から六千円かかる、これが実態です。だから、こういうものはできるだけ手を抜かなければ採算は合いません。合わないから、どこかでつじつまを合わせながらいこうとしているのです。それが現に公共事業のコンクリートにどんどん使われておるという事実を深刻に受けとめないと、これは大変な問題になるということを私は申し上げたい。その点はもう一度よく検討していただきたいと思うのです。そうでなければ、必ずコンクリートの欠陥という問題が輪を広げてくるということを私たちは十分予測をしておかなければならぬと思います。
それから、今西日本が多いといういうことを申し上げておるわけでございますけれども、状況はどんどん変わってきておる。こうした破壊現象は鳥取、次いで岡山、広島、北海道、東京、そして沖縄と大変な広がりを持ってきておるわけでございます。したがいまして、こういう骨材が安全かどうか、将来簡単に破砕されるようなことがないかどうかというテストの方法も開発をしていかなければならぬでしょうし、それからとりわけ今補修をしておるところ、これはいろいろな方法があるし、またやられておるようでございますけれども、果たしてその効用はどうなのかということに大変な疑問がある。こういった問題を各関係の皆さん方でひとつどんどんとやっていただかなければならぬと思うのです。
次の問題ですけれども、高速道路の整備状況は、日本の場合、目標に対しまして三〇%、これから七千キロを建設したいという計画があるわけでありますけれども、こういうようにぼろぼろ破壊されてくると当然維持修繕費がかさんでくるだろうと思います。道路関係の総事業費に占める補修費の割合は二〇%というふうにお聞きをいたしておりますが、これから五年、十年、二十年、この塩害やアルカリ骨材反応の補修が加わってくるとなったならばその費用は非常に大きく膨らんでくるだろう、無視できない状況になろうかと思います。その点で、高速道路やまた新規の道路建設という点では大きなネックになるのではなかろうかと私は予測をいたしておるのですが、建設省、どういう御意見をお持ちか、お伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/131
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132・上條俊一郎
○上條説明員 有料道路事業につきましては、建設に要した費用、それからその利息、供用中の維持管理費、これが支出でございますけれども、この支出を料金収入で一定の期間内で賄うというのが制度でございますけれども、先生御指摘の維持管理につきましては、小さなうちに芽をつぶすということで日々点検に努めておりまして、そういう御指摘のような事態にならないように努力しておりますので、御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/132
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133・西中清
○西中委員 時間も参りましたので以上で質問を終わりますけれども、何と申しましても本来ですと六十年なりまた百年なり大体それくらいはもつのだろうなというのが一般の理解だろうと思います。現に百年たってもびくともしない建造物もある反面に、今申し上げましたように六年、七年で破砕されておるというような建造物も出てきた、こういうことでございますから、国民の財産の保全、そしてむだな出費を抑える意味においても、また実際頭の上にこういう建造物がいっぱいあるわけでございますから、国民の生命を守るという立場からぜひ、これは極めて地味で困難な作業だろうと思いますが、いずれにしても重大な事故が起こらないうちに、こうした補修やまたその他の問題についても一層の研究を進めていただくように心から要望をいたしまして、私の質問を終わります。以上です。
〔浜野委員長代理退席、委員長着席〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/133
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134・福家俊一
○福家委員長 次に、内閣提出、港湾運送事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。運輸大臣細田吉藏君。
—————————————
港湾運送事業法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/134
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135・細田吉藏
○細田国務大臣 ただいま議題となりました港湾運送事業法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
四面を海に囲まれた我が国にとりまして、港湾運送は、海陸交通の結節点たる港湾における流通機能のかなめとして産業の発展、貿易の振興寺我が国産業経済上極めて重要な役割を果たしております。
しかしながら、近年、コンテナ埠頭等の近代的な港湾施設の整備などによる港湾における物流合理化の進展には目覚ましいものがあり、港湾運送についても、このような状況の変化に適切に対応すべく港湾運送事業に関する規制を見直す必要性が高まっております。
また、この点につきましては、昨年三月の臨時行政調査会の最終答申におきましても、同趣旨の指摘を受けているところでおります。
このような情勢にかんがみ、将来にわたって効率的な港湾運送事業の実施が図られるよう、今回、港湾運送事業法を改正することとした次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、船内荷役と沿岸荷役が一貫して行われる荷役形態が大部分を占めるようになった現状にかんがみ、事業の種類について、船内荷役事業と沿岸荷役事業を統合して港湾荷役事業とすることとしております。
第二に、一般港湾運送事業者についての下請に関する規制の弾力化を図ることとしております。
現在、一般港湾運送事業者は、引き受けた港湾運送について、その一部を直営することを条件にそれ以外の港湾運送については、当該事業者と一定の密接な関係を有する関連事業者に下請をさせることを認めておりますが、今回新たに、コンテナ埠頭等の施設においてみずからの統括管理のもとに一定量以上の港湾運送を行う場合にも関連事業者に下請をさせることを認めることとしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/135
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136・福家俊一
○福家委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/136
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137・福家俊一
○福家委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
港湾運送事業法の一部を改正する法律案について、参考人の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/137
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138・福家俊一
○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、参考人の出頭日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/138
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139・福家俊一
○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次回は、来る十一日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時四分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110103830X00919840509/139
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